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特表2023-523058カチオン性ポリα-1,3-グルカンエーテルを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】カチオン性ポリα-1,3-グルカンエーテルを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/03 20060101AFI20230525BHJP
   D06M 13/463 20060101ALI20230525BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
D06M15/03
D06M13/463
D06M15/643
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565648
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2021029538
(87)【国際公開番号】W WO2021225837
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】20172973.8
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】バレラ、カローラ
(72)【発明者】
【氏名】シヴィク、マーク・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フライター、クリスティン・リン
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ヘレン・エス・エム
(72)【発明者】
【氏名】チウ、ウェイミング
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AB04
4L033AC02
4L033BA00
4L033BA86
4L033CA02
4L033CA59
(57)【要約】
ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物及び付着可能な活性物質を含む布地コンディショニング組成物であって、当該ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、特定の分子量及びカチオン置換度を特徴とし得る組成物。このような組成物の使用及び製造の関連方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地コンディショニング組成物であって、
(a)90キロダルトン~350キロダルトンの重量平均分子量及び(b)0.15~0.8のカチオン置換度を特徴とするポリα-1,3-グルカンエーテル化合物と、
柔軟化活性物質、フレッシュネス活性物質、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される付着可能なコンディショニング活性物質と、
を含み、
前記柔軟化活性物質が、存在する場合、第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル第四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、ショ糖エステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、柔軟化若しくはコンディショニングオイル、ポリマーラテックス、又はこれらの組み合わせ、
好ましくは、第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、又はこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記フレッシュネス活性物質が、存在する場合、遊離香料、プロ香料、香料送達系、悪臭制御剤、又はこれらの混合物、
好ましくは、遊離香料、香料送達系、又はこれらの混合物からなる群から選択される、布地コンディショニング組成物。
【請求項2】
前記ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、好ましくは骨格におけるグリコシド結合の割合として10%、又は9%、又は8%、又は7%、又は6%、又は5%、又は4%、又は3%、又は2%、又は1%未満の分岐点しか有しない、実質的に直鎖状である骨格を含む、請求項1に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項3】
前記ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、以下の構造を有する425~1200個の構造単位を含み:
【化1】
(式中、各Rは、独立して、H又は正に帯電した有機基である)。
好ましくは、前記ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、500~1100、より好ましくは600~1050、更により好ましくは700~1000、更により好ましくは700~900、最も好ましくは700~800個の構造単位を含む、請求項1又は2に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項4】
前記ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、置換アンモニウム基、好ましくは第四級アンモニウム基、より好ましくはトリアルキルアンモニウム基、更により好ましくはトリメチルアンモニウム基を含む正に帯電した有機基で置換される、請求項1~3のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項5】
前記ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を含む少なくとも1つの正に帯電した有機基で置換され、好ましくは、少なくとも1つの正に帯電した有機基が、第四級アンモニウムヒドロキシプロピル基、より好ましくはトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基を含み、更により好ましくは、前記正に帯電した有機基の全てがトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項6】
前記置換度が、0.3~0.7、又は0.3~0.6、又は0.4~0.6、又は0.4~0.5である、請求項1~5のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項7】
前記組成物の0.01重量%~3重量%、又は0.05重量%~2.5重量%、又は0.1重量%~2重量%、又は0.2重量%~1.5重量%、又は0.2重量%~1重量%、又は0.2重量%~0.75重量%、又は0.2重量%~0.5重量%の前記ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項8】
前記ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、90~300キロダルトン、より好ましくは90~260キロダルトン、より好ましくは90~240キロダルトン、より好ましくは95~200キロダルトン、更により好ましくは100~175キロダルトン、最も好ましくは100~150キロダルトンの重量平均分子量を特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項9】
前記ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、置換前に決定された90キロダルトン~190キロダルトンの重量平均分子量を特徴とする多糖骨格に由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項10】
前記ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、プレミックスとして提供され、
前記プレミックスが、前記プレミックスの5重量%~20重量%の前記ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含み、
前記プレミックスが、水を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項11】
前記付着可能な活性物質が、香料送達系を含み、
前記香料送達系が、封入体、より好ましくはコアを取り囲む壁を含む封入体を含み、前記壁が、アミノプラスト材料、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアクリレート、又はこれらの混合物を含み、任意にコーティングを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項12】
前記布地コンディショニング組成物が、液体組成物の形態、好ましくは、当該組成物の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、更により好ましくは少なくとも90重量%、又は更には少なくとも95重量%の水を含む液体組成物の形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項13】
前記コンディショニング組成物が、20秒-1及び21℃で、1~1500センチポアズ(1~1500mPas)、又は100~1000センチポアズ(100~1000mPas)、又は100~500センチポアズ(100~500mPas)、又は100~300センチポアズ(100~300mPas)、又は100~200センチポアズ(100~200mPas)の粘度を特徴とする液体である、請求項1~12のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項14】
前記布地コンディショニング組成物が、粒子の形態であり、
個々の粒子が、1mg~1グラムの質量を有し、
前記粒子が、水溶性担体中に分散した前記ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含み、
好ましくは、前記水溶性担体が、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ポリプロピレングリコールポリオキソアルキレン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールエーテル、硫酸ナトリウム、デンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
【請求項15】
布地をコンディショニングする方法であって、
任意に、水の存在下において、請求項1~14のいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物を布地と接触させる工程と、
任意に、表面を水ですすぐ工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物及び付着可能な活性物質を含む布地コンディショニング組成物であって、当該ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、特定の分子量及びカチオン置換度を特徴とし得る組成物に関する。本開示は、更に、このような組成物の使用方法及び作製方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
カチオン性ポリマーは、改善された感触又はフレッシュネスを含み得るコンディショニング効果の改善を促進することができるので、布地コンディショニング組成物などの家庭用ケア組成物において有用であり得る。
【0003】
特に、カチオン性多糖類は、通常天然の供給源又は原料に由来し、したがって、持続可能で環境に優しい材料であるとみられるので、製造業者及び/又は消費者によって好まれる場合がある。しかしながら、特定のカチオン性多糖類は、加工又は製剤上の課題を提示する。例えば、一部のカチオン性多糖類は、望ましくない粘度増加を引き起こす場合があったり、又はセルラーゼ酵素などの他の成分と適合しない場合があったりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カチオン置換多糖類を含む改善された布地コンディショニング組成物が継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、特定のポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含む布地コンディショニング組成物に関する。
【0006】
例えば、本開示は、(a)約90キロダルトン~約350キロダルトンの重量平均分子量及び(b)約0.15~約0.8のカチオン置換度を特徴とするポリα-1,3-グルカンエーテル化合物と、柔軟化活性物質、フレッシュネス活性物質、又はこれらの組み合わせから選択される付着可能なコンディショニング活性物質と、を含む、布地コンディショニング組成物に関する。
【0007】
本開示はまた、約0.15~約0.8、好ましくは約0.3~約0.7、又は約0.3~約0.6、又は約0.4~約0.6、又は約0.4~約0.5のカチオン置換度を有し、且つ置換前に決定された約90キロダルトン~約190キロダルトンの重量平均分子量を特徴とする多糖骨格に由来するポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含み、更に、柔軟性活性物質、フレッシュネス活性物質、又はこれらの組み合わせから選択される付着可能なコンディショニング活性物質を含む、布地コンディショニング組成物に関する。
【0008】
本開示は、更に、以下の構造によって表されるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物であって:
【0009】
【化1】
(i)nが、約425~約1200、好ましくは約500~約1100、又は約600~約1050、又は約700~約1000、又は約700~約900、又は約700~約800であり、(ii)各Rが、独立して、H又は正に帯電した有機基であり、当該正に帯電した有機基が、置換アンモニウム基、好ましくは第四級アンモニウム基、より好ましくはトリアルキルアンモニウム基、更により好ましくはトリメチルアンモニウム基を含み、(iii)当該化合物が、約0.15~約0.8、好ましくは約0.3~約0.7、又は約0.3~約0.6、又は約0.4~約0.6、又は約0.4~約0.5のカチオン置換度を有する化合物を含み、更に、柔軟性活性物質、フレッシュネス活性物質、又はこれらの組み合わせから選択される付着可能なコンディショニング活性物質を含む、布地コンディショニング組成物に関する。
【0010】
本開示はまた、布地をコンディショニングする方法であって、任意に水の存在下で、本開示によるコンディショニング組成物を布地と接触させる工程と、任意に、表面を水ですすぐ工程と、を含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、α-1,3-グリコシド結合を有することを特徴とするグルカンポリマーである、特定のカチオン置換ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含有する布地コンディショニング組成物に関する。これらの化合物は、多糖類であり、一般にセルラーゼ適合性であり、広範囲にわたる分子量及び置換度で提供され得る。そのようなカチオン性化合物は、レオロジー又は粘度調整効果を提供すると開示されている。
【0012】
それはそれとして、驚くべきことに、特定のカチオン性ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を選択することにより、布地コンディショニング組成物の状況において性能効果を提供できることが見出された。より具体的には、特定の分子量及び/又は置換度を特徴とするそのような化合物は、感触又はフレッシュネスの効果を提供するものなどの特定の付着可能な活性物質の布地に対する性能を改善することができることが見出された。
【0013】
組成物、その中に含有されるポリマー、及び関連する方法については、以下でより詳細に論じる。
【0014】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲で使用される場合の冠詞「a」及び「an」は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用するとき、用語「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」とは、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の成分を含み得る、これらから本質的になり得る、又はこれらからなり得る。
【0015】
本明細書では、用語「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」を使用してもよい。これは、指示される材料が最小限の量であり、組成物の一部を形成するように意図的にその組成物に添加されたものでないこと、又は好ましくは、分析的に検出可能な濃度で存在しないことを意味する。それは、指示される材料が、意図的に含まれるその他の材料のうちの1つの中に不純物としてのみ存在する、組成物を含むことを意味する。指示される材料は、存在したとしても、組成物の1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は0重量%の濃度で存在してもよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、語句「布地コンディショニング組成物」とは、コンディショニング剤で布地を処理するために設計された組成物及び製剤を含む。このような組成物としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地軟化組成物、布地増強組成物、布地消臭組成物、洗濯前洗浄剤、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織布シート上又は中に含まれる洗剤、及び本明細書の教示を考慮して当業者に明らかであり得る他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用することができ、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加することができる。
【0017】
用語「ポリα-1,3-グルカン」、「α-1,3-グルカンポリマー」、「ポリグルカン」、及び「グルカンポリマー」は、本明細書において互換的に使用される。ポリα-1,3-グルカンは、グリコシド結合(すなわち、グルコシド結合)によって一体に結合されたグルコースモノマー単位を含むポリマーであり、グリコシド結合の少なくとも約50%はα-1,3-グリコシド結合である。ポリα-1,3-グルカンは、多糖類の一種である。ポリα-1,3-グルカンの一般構造は、以下のように例示することができる:
【0018】
【化2】
【0019】
本明細書のポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を調製するために使用できるポリα-1,3-グルカンは、化学的方法を使用して調製することができる。或いは、これは、ポリα-1,3-グルカンを産生する真菌などの様々な有機体から、これを抽出することによって調製することもできる。更に或いは、ポリα-1,3-グルカンは、例えば米国特許第7,000,000号、並びに米国特許出願公開第2013/0244288号及び同第2013/0244287号(その全てが参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている、1つ以上のグルコシルトランスフェラーゼ(gtf)酵素(例えば、gtfJ)を使用してスクロースから酵素的に生成することもできる。
【0020】
α-1,3である本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を調製するために使用されるポリα-1,3-グルカンのグルコースモノマー単位間のグリコシド結合の割合は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%(又は50%と100%との間の任意の整数値)である。したがって、このような実施形態では、ポリα-1,3-グルカンは、約50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%未満、又は0%(又は0%と50%との間の任意の整数値)の、α-1,3ではないグリコシド結合を有する。
【0021】
本明細書においてポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を生成するために使用されるポリα-1,3-グルカンは、好ましくは、直鎖/非分岐である。特定の実施形態では、ポリα-1,3-グルカンは、分岐点を有しないか、又はポリマー中のグリコシド結合の割合として約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満の分岐点しか有しない。分岐点の例としては、変異体ポリマーに存在するものなどのα-1,6分岐点が挙げられる。
【0022】
用語「グリコシド結合」及び「グリコシド連結」は、本明細書では互換的に使用され、炭水化物(糖)分子を別の炭水化物などの別の基に結合させる共有結合の種類を指す。本明細書で使用するとき、用語「α-1,3-グリコシド結合」は、隣接するα-D-グルコース環における炭素1及び3を介してα-D-グルコース分子を互いに結合させる共有結合の種類を指す。この結合は、上に提供したポリα-1,3-グルカン構造に示されている。本明細書では、「α-D-グルコース」は、「グルコース」と称される。
【0023】
用語「ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物」、「ポリα-1,3-グルカンエーテル」、及び「ポリα-1,3-グルカンエーテル誘導体」は、本明細書において互換的に使用される。本明細書のポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、以下の構造によって表され得る。
【0024】
【化3】
【0025】
この構造の式に関して、nは、約425~約1200であってよく、各Rは、独立して、水素原子(H)又は正に帯電した有機基であってよい。本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、約0.15~約0.8の置換度を有し得る。本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が1種類以上の正に帯電した有機基を有することを考慮して、これらの化合物は「カチオン性」であるとみなすことができる。
【0026】
本明細書で使用するとき、「正に帯電した有機基」は、別の原子又は官能基で置換された1つ以上の水素(すなわち、「置換アルキル基」)を有する1つ以上の炭素の鎖(「炭素鎖」)であって、置換のうちの1つ以上が正に帯電した基であるものを指す。正に帯電した有機基が、正に帯電した基による置換に加えて置換を有する場合、そのような追加の置換は、1つ以上のヒドロキシル基、酸素原子(それによって、アルデヒド又はケトン基を形成する)、アルキル基、及び/又は追加の正に帯電した基を有し得る。正に帯電した有機基は、1つ以上の正に帯電した基を含むので、正味の正電荷を有する。
【0027】
「正に帯電した基」、「正に帯電したイオン性基」、及び「カチオン性基」という用語は、本明細書では互換的に使用される。正帯電基は、カチオン(正帯電イオン)を含む。正に帯電した基の例としては、置換アンモニウム基が挙げられる。
【0028】
「置換アンモニウム基」、「置換アンモニウムイオン」、及び「置換アンモニウムカチオン」という用語は、本明細書では互換的に使用される。本明細書における置換アンモニウム基は、構造Iを含み得る:
【0029】
【化4】
【0030】
構造I中のR、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、若しくはアルカリール基を表し得る。構造I中の炭素原子(C)は、正に帯電した有機基の1つ以上の炭素の鎖(「炭素鎖」)の一部である。炭素原子は、ポリα-1,3-グルカンのグルコースモノマーに直接エーテル結合するか、又はポリα-1,3-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合する2つ以上の炭素原子の鎖の一部である。構造I中の炭素原子は、-CH-、-CH-(Hはヒドロキシ基などの別の基で置換される)、又は-C-(両Hが置換される)であり得る。
【0031】
置換アンモニウム基は、構造I中のR、R及びRの組成に応じて、「第一級アンモニウム基」、「第二級アンモニウム基」、「第三級アンモニウム基」、又は「第四級アンモニウム」基であり得る。第四級アンモニウム基が、本明細書では好ましく、R、R及びRが、それぞれ、アルキル、アリール、又はシクロアルキル基である(すなわち、R、R及びRのいずれも水素原子ではない)構造Iを指す。
【0032】
本明細書における第四級アンモニウムポリα-1,3-グルカンエーテルは、例えば、トリアルキルアンモニウム基(R、R、及びRの各々が、アルキル基である)を含み得る。トリメチルアンモニウム基は、R、R、及びRの各々がメチル基である、トリアルキルアンモニウム基の一例である。この命名法において「第四級」によって示される第4のメンバー(すなわち、R)は、ポリα-1,3-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合する正に帯電した有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるであろう。
【0033】
第四級アンモニウムポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の例は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα-1,3-グルカンである。このエーテル化合物の正に帯電した有機基は、構造IIとして表すことができる:
【0034】
【化5】
式中、R、R、及びRはそれぞれ、メチル基である。構造IIは、第四級アンモニウムヒドロキシプロピル基の例である。
【0035】
構造IIによる基では、R、R、及びRのうちのいずれか1つがC12アルキルで置換されてもよく、残りのR基は、メチル基で置換されてもよい。
【0036】
本明細書で使用するとき、「置換度」(degree of substitution、Dos)という用語は、ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の各モノマー単位(グルコース)において置換されたヒドロキシル基の平均数を指す。ポリα-1,3-グルカンにおける各モノマー単位に3つのヒドロキシル基が存在するので、本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物における置換度は、3以下であり得る。
【0037】
本明細書で使用するとき、「モル置換」(molar substitution、M.S.)という用語は、ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物のモノマー単位当たりの正に帯電した有機基のモル数を指す。或いは、M.S.は、ポリα-1,3-グルカンにおける各モノマー単位と反応するために使用されるエーテル化剤の平均モル数を指す場合もある(したがって、M.S.は、エーテル化剤の誘導体化度を説明することができる)。ポリα-1,3-グルカンのM.S.値は、上限を有しない場合があることに留意されたい。例えば、ヒドロキシル基を含有する正に帯電した有機基(例えば、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピル)がポリα-1,3-グルカンにエーテル化されている場合、有機基のヒドロキシル基が更なる反応を受け、それによって、より多くの正に帯電した有機基がポリα-1,3-グルカンに結合することができる。
【0038】
本明細書における「架橋」という用語は、1つ以上のポリマー分子における2つの隣接する原子を接続する化学結合、原子、又は原子の群を指す。架橋ポリα-1,3-グルカンエーテルを含む組成物では、少なくとも2つのポリα-1,3-グルカンエーテル分子間に架橋が存在し得(すなわち、分子間架橋)、分子内架橋も存在し得ることを理解されたい。本明細書で使用するとき、「架橋剤」は、架橋を生成することができる原子又は化合物である。
【0039】
本明細書における「水性組成物」は、溶媒が、例えば、少なくとも約20重量%の水であり、ポリα-1,3-グルカン及び/又はポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含む、溶液又は混合物を指す。本明細書における水性組成物の例は、水溶液及びヒドロコロイドである。
【0040】
用語「ヒドロコロイド」及び「ヒドロゲル」は、本明細書において互換的に使用される。ヒドロコロイドとは、水が分散媒体であるコロイド系を指す。本明細書において、「コロイド」は、別の物質全体に微視的に分散している物質を指す。したがって、本明細書におけるヒドロコロイドは、水又は水溶液中のポリα-1,3-グルカン及び/又は1つ以上のポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の分散液、エマルジョン、混合物、又は溶液を指す場合もある。
【0041】
本明細書における用語「水溶液」は、溶媒が水である溶液を指す。本明細書におけるポリα-1,3-グルカン及び/又は1つ以上のポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、水溶液中に分散、混合、及び/又は溶解することができる。水溶液は、本明細書のヒドロコロイドの分散媒体として機能することができる。
【0042】
本明細書で使用するとき、用語「粘度」は、流体又はヒドロコロイドなどの水性組成物が、それを流動させる傾向のある力に抵抗する程度の尺度を指す。本明細書で使用することができる粘度の様々な単位としては、センチポアズ(cPs)及びパスカル秒(Pa・s)が挙げられる。センチポアズは、ポイズの100分の1であり、1ポアズは、0.100kg・m-1・s-1に等しい。したがって、本明細書で使用するとき、用語「粘度調節剤」及び「粘度調整剤」は、流体又は水性組成物の粘度を変化させる/調整することができる全てを指す。粘度は、以下の試験方法の章に提供する手順に従って求められる。
【0043】
本明細書で使用するとき、「ずり減粘挙動」という用語は、剪断速度が増加するにつれてヒドロコロイド又は水溶液の粘度が減少することを指す。本明細書で使用するとき、「ずり増粘挙動」という用語は、剪断速度が増加するにつれてヒドロコロイド又は水溶液の粘度が増加することを指す。本明細書における「剪断速度」は、ヒドロコロイド又は水溶液に進行性剪断変形が適用される速度を指す。剪断変形は回転的に適用することができる。
【0044】
用語「布地」、「織物」、及び「布」は、本明細書において互換的に使用され、天然及び/又は人工繊維のネットワークを有する織布材料を指す。このような繊維は、例えば、糸又は毛糸であってもよい。
【0045】
「重質洗剤」及び「汎用洗剤」という用語は、本明細書では互換的に使用され、任意の温度における白色及び有色の織物の通常の洗浄に有用な洗剤を指す。「軽質洗剤」又は「ファインファブリック洗剤」という用語は、本明細書において互換的に使用され、特別なケアを必要とするビスコース、ウール、シルク、マイクロファイバー、又は他の布地などのデリケートな布地のケアに有用な洗剤を指す。「特別なケア」は、例えば、過剰の水を使用する、低撹拌する、及び/又は漂白剤を使用しないという条件を含み得る。
【0046】
本明細書における「吸着」という用語は、化合物(例えば、ポリα-1,3-グルカンエーテル)の材料表面への接着を指す。
【0047】
本明細書におけるポリα-1,3-グルカン及びポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の「分子量」は、数平均分子量(M)又は重量平均分子量(M)として表すことができる。或いは、分子量は、ダルトン、グラム/モル、DPw(重量平均重合度)、又はDPn(数平均重合度)として表すこともできる。高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、又はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの、これらの分子量測定値を計算するための様々な手段が当該技術分野において既知である。以下の試験方法の章で更に説明する通り、重量平均分子量を求めるためにサイズ排除クロマトグラフィーが使用される。
【0048】
「体積によるパーセント」、「体積パーセント」、「体積%」、及び「v/v%」という用語は、本明細書では互換的に使用される。溶液中の溶質の体積パーセントは、式:[(溶質の体積)/(溶液の体積)]×100%を使用して求めることができる。
【0049】
用語「重量パーセント」、「重量パーセント(重量%)」、及び「重量-重量パーセント(%w/w)」は、本明細書において互換的に使用される。重量パーセントは、組成物、混合物、又は溶液に含まれるときの質量基準での材料の百分率を指す。
【0050】
用語「増加」、「強化」、及び「改善」は、本明細書において互換的に使用される。これらの用語は、元の量若しくは活性よりもわずかに大きい量若しくは活性、又は元の量若しくは活性と比較して大きく過剰の量若しくは活性などのより大きな量又は活性を指し、これらの間の全ての量又は活性を含む。或いは、これらの用語は、例えば、増加した量又は活性と比較される量又は活性よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、又は200%(又は1%と200%との間の任意の整数)大きい量又は活性を指し得る。
【0051】
別段の注記がない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0052】
本明細書における全ての温度は、別途指示がない限り、摂氏(℃)である。別途記載のない限り、本明細書における全ての測定は、20℃及び大気圧下で実施される。
【0053】
本開示の全ての実施形態では、全てのパーセンテージは、特に記載のない限り、全組成物の重量に対するものである。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。
【0054】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、かかるより大きい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれる、より狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0055】
布地コンディショニング組成物
本開示は、布地コンディショニング組成物に関する。組成物は、ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物及び付着可能なコンディショニング活性物質を含み得る。
【0056】
そのような組成物は、布地に柔軟性、ケア、及び/又はフレッシュネスの効果を提供することができる。この組成物は、自動洗濯機の洗浄サイクル及び/又はすすぎサイクルの間、好ましくはすすぎサイクルの間、布地を処理することが意図され得る。
【0057】
本開示の布地コンディショニング組成物は、任意の好適な形態であってよい。この組成物は、液体組成物、顆粒状組成物、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解性シート、香錠剤若しくはビーズ、繊維状物品(これは水溶性又は水中分散性、或いは実質的に不溶性/非分散性であってもよい)、錠剤、バー、フレーク、発泡体/ムース、不織布シート(例えば乾燥機用シート)又はこれらの混合物の形態であってもよい。組成物は、液体、固体、又はこれらの組み合わせから選択することができる。この組成物は、液体布地改善剤、発泡体/ムース、乾燥機用シート、又は香錠剤/ビーズの形態であってもよい。
【0058】
そのような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用してもよく、洗濯作業のすすぎ若しくは洗浄サイクル中、又は更には乾燥プロセス中に添加してもよい。そのような組成物は、衣服の着用と着用との間など、布地の使用と使用との間に布地に塗布してよい。
【0059】
組成物は、液体の形態であってもよい。組成物は水を含んでもよい。組成物は水性であってもよい。液体組成物であってよい組成物は、少なくとも50重量%の水、好ましくは少なくとも75重量%、又は更には85重量%を超える、又は更には90重量%を超える、又は更には95重量%を超える水を含んでいてよい。組成物は、当該組成物の約10重量%~約97重量%、好ましくは約10重量%~約90重量%、より好ましくは約25重量%~約80重量%、より好ましくは約45重量%~約70重量%の水を含んでいてよい。液体組成物は、液体布地増強剤であってもよい。液体は、注入可能なボトルにパッケージングされてもよい。液体は、エアゾール缶又は他のスプレーボトルにパッケージングされてもよい。
【0060】
組成物は、非水性組成物であってもよい。組成物は、20%未満の水、又は15%未満の水、又は12%未満の水、又は10%未満の水、又は8%未満の水、又は5%未満の水、又は3%未満の水、又は1%未満の水を含み得る。そのような組成物は、例えば環境上の理由から、水を輸送するために必要なエネルギーを最小限に抑えるために好ましい場合がある。そのような組成物は、液体、ゲル、又は固体(顆粒若しくは粉末、及び/又は溶解性シート若しくはウェブを含む)であってよい。
【0061】
組成物は、錠剤、パウチ、シート、又は繊維状物品などの単位用量物品の形態であってもよい。このようなパウチは、典型的には、組成物を少なくとも部分的に封入する水溶性フィルム、例えば、ポリビニルアルコール水溶性フィルムを含む。好適なフィルムは、MonoSol,LLC(Indiana,USA)から入手可能である。組成物は、単一区画パウチ又は多区画パウチに封入することができる。多区画パウチは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの区画を有してもよい。多区画パウチは、並べて及び/又は重ねて配置された区画を含んでもよい。パウチ又はその区画に収容される組成物は、液体、固体(粉末など)、又はこれらの組み合わせであってもよい。パウチにした組成物は、比較的少量の水、例えば、洗剤組成物の約20重量%未満、又は約15重量%未満、又は約12重量%未満、又は約10重量%未満、又は約8重量%未満の水を有してもよい。
【0062】
組成物は、固体の形態、好ましくは、パスティル又はビーズなどの粒子の形態であってもよい。好適な粒子は、水溶性担体中に分散したポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含み得る。個々の粒子は、約1mg~約1gの質量を有し得る。水溶性担体は、水溶性ポリマーであり得る。水溶性担体は、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ポリプロピレングリコールポリオキソアルキレン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールエーテル、硫酸ナトリウム、デンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。組成物は、約25重量%~約99.99重量%の水溶性担体、及び約0.01重量%~約30重量%のポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含み得る。粒子は、香料、コンディショニング剤(例えば、第四級アンモニウム化合物及び/又はシリコーン)、又はこれらの混合物などの追加の有益剤を更に含み得る。粒子は、第1の粒子であってもよく、第2の粒子を更に含む複数の粒子の一部であってもよい。複数の粒子は、第1の粒子及び第2の粒子を含んでいてよく、その場合、ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含む粒子が第1の粒子であり、第2の粒子は、非カプセル化香料、カプセル化香料、又はこれらの混合物であってよい香料などの異なる有益剤を含む。粒子は、洗剤組成物と組み合わせて、例えば、洗浄サイクル中に同時に、又はその後すすぎサイクル中に使用され得る。
【0063】
布地ケア組成物は、20秒-1及び21℃で、1~1500センチポアズ(1~1500mPas)、又は100~1000センチポアズ(100~1000mPas)、又は100~500センチポアズ(100~500mPas)、又は100~300センチポアズ(100~300mPas)、又は100~200センチポアズ(100~200mPas)の粘度を有していてよい。粘度は、以下に提供されるブルックフィールド試験方法に従って求められる。分配の容易さを促進し及び/又は機械残渣を少なくするために、比較的低い粘度が好ましい場合がある。
【0064】
本開示の布地ケア組成物は、pHが約2~約12、又は約2~約8.5、又は約2~約7、又は約2~約5であることを特徴とすることができる。本開示の組成物は、好ましくは水性液体の形態で、約2~約4のpH、好ましくは約2~約3.7のpH、より好ましくは約2~約3.5のpHを有してもよい。このようなpHレベルにより、第四級アンモニウムエステル化合物の安定性が促進されると考えられる。組成物のpHは、組成物を脱イオン水中に溶解/分散させて、約20℃で10%濃度の溶液を形成することによって測定される。
【0065】
布地コンディショニング組成物の特定の成分について、以下により詳細に記載する。
【0066】
ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物
本開示の布地コンディショニング組成物及び方法は、ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含み得る。典型的には、ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、カチオン電荷を有するポリα-1,3-グルカンエーテル化合物である。そのような化合物は、一般に、特定の組成物に粘度調整効果を提供することが知られているが、驚くべきことに、カチオン性ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の特定の分子量及び/又は置換度を選択すると、特定の布地コンディショニング組成物、特に付着可能な有益剤を更に含むものに対して改善された性能効果を提供できることが見出された。
【0067】
本開示の布地コンディショニング組成物は、当該布地コンディショニング組成物の約0.01重量%~約3重量%、又は約0.05重量%~約2.5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%、又は約0.2重量%~約1.5重量%、又は約0.2重量%~約1重量%、又は約0.2重量%~約0.75重量%、又は約0.2重量%~約0.5重量%のポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含み得る。
【0068】
ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、以下の構造を有する約425~約1200個の構造単位を含み得る:
【0069】
【化6】
(式中、各Rは、独立して、H又は正に帯電した有機基である)。ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、約500~約1100、又は約600~約1050、又は約700~約1000、又は約700~約900、又は約700~約800の示された構造単位の反復を含み得る。以下に示すように、有効なコンディショニング組成物を提供するために、構造単位の数(ひいては、分子量)を適切に選択することが望ましい。各Rは、独立して、H又は正に帯電した有機基であり、当該正に帯電した有機基は、置換アンモニウム基、好ましくは第四級アンモニウム基、より好ましくはトリアルキルアンモニウム基、更により好ましくはトリメチルアンモニウム基を含み得る。ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、分岐点として機能する構造単位を含む他の構造単位を含んでいてもよいが、分岐はほとんど~全くないことが好ましい。
【0070】
ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、以下の構造によって表され得る:
【0071】
【化7】
【0072】
この構造の式に関して、nは、約425~約1200であってよく、化合物中の各Rは、独立して、H又は正に帯電した有機基であってよい。更に、ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、約0.15~約0.8の置換度を有し得る。
【0073】
本明細書に開示されるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の置換度(DoS)は、約0.15~約0.8、又は約0.3~約0.7、又は約0.3~約0.6、又は約0.4~約0.6、又は約0.4~約0.5であってよい。グルカンエーテル化合物が、スルーザウォッシュ用途で(例えば、洗濯洗剤の一部として又は組み合わせて)使用されることが意図される場合、DoSは、約0.15~約0.6であってよい。グルカンエーテル化合物が、スルーザリンス用途で(例えば、液体布地強化剤の一部として)使用されることが意図される場合、DoSは、約0.3~約0.8であってよい。本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、約0.15~約0.8の置換度を有し、またエーテルであることから、当該化合物のR基は水素のみではあり得ないことが当業者には理解されるであろう。
【0074】
α-1,3である本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物のグルコースモノマー単位間のグリコシド結合の割合は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%(又は50%と100%との間の任意の整数)である。したがって、このような実施形態では、化合物は、約50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%未満、又は0%(又は0%と50%との間の任意の整数値)の、α-1,3ではないグリコシド結合を有する。
【0075】
本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の骨格は、好ましくは、実質的に直鎖/非分岐であってよい。例えば、化合物は、分岐点を有していなくてもよく、又はポリマーにおけるグリコシド結合の割合として約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満の分岐点しか有していなくてもよい。分岐点の例としては、α-1,6分岐点が挙げられる。比較的少ない分岐点を有すると、比較的多くの水溶性ポリマーが得られ、これにより製剤化の容易さを促進することができると考えられる。
【0076】
上記のポリα-1,3-グルカンエーテル化合物について、指数nは、約425~約1200、又は約500~約1100、又は約600~約1050、又は約600~約1000、又は約700~約1000、又は約700~約900、又は約700~約800であってよい。分子のサイズ(重量平均分子量に影響を与える)の適切な選択は、改善されたコンディショニング活性物質の性能及びそれを含有するコンディショニング化合物を容易にするために重要であると考えられる。例えば、分子のサイズが小さすぎる場合、コンディショニング活性物質が適切に付着しない恐れがあり、分子のサイズが大きすぎる場合、例えば粘性が高くなることによって、組成物の粘度が悪影響を受ける恐れがある。
【0077】
本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の分子量は、重量平均分子量(M)として測定することができる。重量平均分子量は、試験方法の章でより詳細に説明されるように、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって求められる。本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、約90キロダルトン~約350キロダルトン、又は約90キロ~約300キロダルトン、又は約90キロダルトン~約260キロダルトン、又は約90~約240キロダルトン、又は約95~約200キロダルトン、又は約100~約175キロダルトン、又は約100~約150キロダルトン(これが最も好ましい)の重量平均分子量を特徴とし得る。
【0078】
本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、置換前に決定された約90キロダルトン~約190キロダルトンの重量平均分子量を特徴とする多糖骨格に由来し得る。約120キロダルトンの直鎖状ポリマーについて、繰り返し単位の数は740である。この多分散度は、1~約5、より好ましくは1~約3の範囲であってよい。
【0079】
本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の式中の各R基は、独立して、H又は正に帯電した有機基であり得る。上に定義した通り、正に帯電した有機基は、別の原子又は官能基で置換された1つ以上の水素を有する1つ以上の炭素の鎖を含み、置換のうちの1つ以上は、正に帯電した基によるものである。
【0080】
正に帯電した基は、例えば、置換アンモニウム基であってよい。置換アンモニウム基の例は、第一級、第二級、第三級、及び第四級アンモニウム基である。構造Iは、上記のように、構造I中のR、R、及びRの組成に応じて、第一級、第二級、第三級、又は第四級アンモニウム基を示す。構造I中のR、R、及びRの各々は、独立して、水素原子、又はアルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、若しくはアルカリール基を表す。或いは、R、R、及びRの各々は、独立して、水素原子又はアルキル基を表すことができる。本明細書におけるアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、又はデシル基であってよい。R、R及びRのうちの2つ又は3つがアルキル基である場合、これらは同じ又は異なるアルキル基であってよい。
【0081】
第四級アンモニウムポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が好ましい。本明細書における「第四級アンモニウムポリα-1,3-グルカンエーテル化合物」は、例えば、トリアルキルアンモニウム基を有する正に帯電した有機基を含み得る。この例では、正に帯電した有機基は、R、R及びRの各々がアルキル基である構造Iを構成する。そのような正に帯電した有機基の非限定的な例は、R、R、及びRの各々がアルキル基である構造IIによって表される。第四級アンモニウムポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の例は、手短にいうと、トリアルキルアンモニウムポリα-1,3-グルカンエーテル(例えば、トリメチル、トリエチル、トリプロピル、トリブチル、トリペンチル、トリヘキシル、トリヘプチル、トリオクチル、トリノニル、又はトリデシル-アンモニウムポリα-1,3-グルカンエーテル)として表すことができる。上記命名法において「第四級」によって示される第4のメンバー(すなわち、R)は、ポリα-1,3-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合する正に帯電した有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるであろう。
【0082】
第四級化合物が好ましいが、本開示の組成物は、例えば不純物及び/又は部分的に反応した反応生成物として、第一級、第二級、及び/又は第三級アンモニウムポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含んでいてもよい。
【0083】
本明細書において正に帯電した基として機能することができる置換アンモニウム基の更なる非限定的な例は、R、R及びRの各々が、独立して、水素原子;メチル基、エチル基、若しくはプロピル基などのアルキル基;フェニル基若しくはナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;アルカリール基;又はシクロアルキル基を表すとき、構造Iで表される。R、R、及びRの各々は、例えば、アミノ基又はヒドロキシル基を更に含み得る。
【0084】
構造Iによって表される置換アンモニウム基中の窒素原子は、正に帯電した有機基に含まれているとき、1つ以上の炭素の鎖に結合する。この1つ以上の炭素の鎖(「炭素鎖」)は、ポリα-1,3-グルカンのグルコースモノマーにエーテル連結され、置換アンモニウム基の窒素原子による置換に加えて1つ以上の置換を有し得る。例えば、本明細書における炭素鎖には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14個の炭素が存在し得る。例えば、構造IIの炭素鎖は、3個の炭素原子の長さである。
【0085】
正帯電有機基の炭素鎖が、正帯電基による置換に加えて置換を有する場合、そのような追加の置換は、1つ以上のヒドロキシル基、酸素原子(それによってアルデヒド又はケトン基を形成する)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、及び/又は追加の正帯電基であり得る。正帯電基は、典型的には、炭素鎖の末端炭素原子に連結している。炭素鎖は、ヒドロキシル基、好ましくはヒドロキシアルキル基、より好ましくはヒドロキシプロピル基を含む1つ以上の置換を含み得る。
【0086】
本明細書に開示される特定の実施形態におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、R基として1種類の正に帯電した有機基を含有し得る。例えば、ポリα-1,3-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合した1つ以上の正に帯電した有機基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基(構造II)であり得、したがって、この具体例におけるR基は、独立して、水素及びトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基になるであろう。
【0087】
或いは、本明細書に開示されるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、R基として2種類以上の異なる正に帯電した有機基を含有していてもよい。
【0088】
本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、例えば、少なくとも1つの非イオン性有機基及び少なくとも1つのアニオン基を含み得る。別の例として、本明細書におけるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物は、少なくとも1つの非イオン性有機基及び少なくとも1つの正に帯電した有機基を含み得る。
【0089】
本明細書におけるポリα-1,3グルカン及び/又はポリα-1,3-グルカンエーテルは、セルラーゼ酵素による分解に対してほとんど又は完全に安定(耐性)である。例えば、1つ以上のセルラーゼによるポリα-1,3グルカン及び/又はポリα-1,3-グルカンエーテル化合物の分解率は、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、若しくは1%未満、又は0%である。そのような分解率は、例えば、一定期間(例えば、~24時間)セルラーゼで処理する前後のポリマーの分子量を比較することによって求めることができる。有利なことに、そのような化合物は、セルラーゼと共配合されてもよく、セルラーゼ含有製品と同時に使用されてもよく、又は残留セルラーゼが表面上及び/若しくは水性環境に残る可能性がある製品と共に逐次使用されてもよい。
【0090】
本明細書に開示されるポリα-1,3-グルカンエーテルは、多糖骨格に沿ってエーテル修飾でランダムに置換されたポリα-1,3-グルカンの骨格を含み、その結果、多糖骨格が非置換及び置換α-D-グルコース環を含む。分岐が存在する実施形態では、分岐のα-D-グルコース環も、エーテル修飾基でランダムに置換され得る。本明細書で使用するとき、用語「ランダムに置換された」は、ランダムに置換された多糖におけるグルコース環上の置換基が非反復的に又はランダムに存在することを意味する。すなわち、置換グルコース環上の置換は、多糖における第2の置換グルコース環上の置換と同一であっても異なっていてもよく[すなわち、多糖におけるグルコース環の異なる原子上の置換基(同一であっても異なっていてもよい)]、その結果、ポリマー上の置換全体がパターンを有しなくなる。更に、置換グルコース環は、多糖内にランダムに存在する(すなわち、多糖内に置換及び非置換のグルコース環のパターンは存在しない)。
【0091】
反応条件に応じて、本明細書に開示されるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、多糖骨格に沿ってエーテル修飾基で「非ランダムに」置換されたポリα-1,3-グルカンの骨格を含むことも可能である。分岐が存在する状況では、分岐のα-D-グルコース環は、α-1,3-グリコシド結合を介して連結された骨格グルコースモノマー単位よりも多くの置換を不均衡に含有することも可能である。特定の反応条件では、修飾が多糖内でブロック状に存在し得ることも可能である。
【0092】
反応条件に応じて、ポリα-1,3-グルカン骨格のグルコース炭素位置1、2、3、4、及び6が「不均衡に」置換されることも可能である。例えば、炭素位置6における-OH基は、第一級ヒドロキシル基であり、立体障害が少ない環境で存在し得るので、この-OH基は、特定の反応条件でより高い反応性を有し得、したがって、この位置ではより多くの置換が起こり得る。他の反応条件では、炭素位置1、2、3、又は4における-OH基がより高い反応性を有することが可能であり得る。
【0093】
付着可能なコンディショニング活性物質
布地コンディショニング組成物は、付着可能なコンディショニング活性物質を更に含んでいてよい。付着可能なコンディショニング活性物質は、処理サイクル後、例えば衣服が洗浄及び/又は乾燥された後の少なくとも一定期間、成分が標的表面上に残ることを目的として、標的表面、典型的には布地上に付着することが意図される成分である。
【0094】
付着可能なコンディショニング活性物質は、柔軟化活性物質、フレッシュネス活性物質、又はこれらの混合物であってよい。付着可能なコンディショニング活性物質は、布地強化組成物、好ましくは液体布地強化組成物の状況において有用であることが好ましい場合がある。
【0095】
付着可能な活性物質は、布地コンディショニング組成物の約0.1重量%~約35重量%、又は約0.1重量%~約25重量%のレベルで存在し得る。付着可能な活性物質が柔軟化活性物質である場合、柔軟化活性物質は、約2%~約35%、又は約2%~約20%、又は約2%~約12%、又は約2%~約8%のレベルで存在し得る。付着可能な活性物質がフレッシュネス活性物質である場合、フレッシュネス活性物質は、約0.1%~約10%、又は約0.2%~約5%、又は約0.3%~約3%のレベルで存在し得る。
【0096】
柔軟化活性物質
本開示の布地コンディショニング組成物は、柔軟化活性物質を含み得る。柔軟化活性物質は、標的布地に柔軟性、しわ防止、静電気防止、コンディショニング、伸び防止、色、及び/又は外観上の利点を提供し得る。柔軟化活性物質は、第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル第四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、ショ糖エステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、柔軟化若しくはコンディショニングオイル、ポリマーラテックス、グリセリドコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択してよい。
【0097】
この組成物は、第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン又はこれらの複数組の組み合わせ、好ましくは一組の組み合わせを含んでもよい。第四級アンモニウムエステル化合物とシリコーンとの合計量は、組成物の約5重量%~約70重量%、又は約6重量%~約50重量%、又は約7重量%~約40重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約25重量%であってもよい。組成物は、第四級アンモニウムエステル化合物及びシリコーンを、約1:10~約10:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:3~約1:3、又は約1:2~約2:1、又は約1:1.5~約1.5:1、又は約1:1の重量比で含み得る。
【0098】
本開示の組成物は、柔軟化活性物質として第四級アンモニウムエステル化合物を含んでよい。第四級アンモニウムエステル化合物(「エステルクワット」と称することもある)は、組成物の約2重量%~約40重量%、又は約3重量%~約25重量%、好ましくは4重量%~18重量%、より好ましくは5重量%~15重量%の濃度で存在し得る。好ましくは、第四級アンモニウム布地化合物が形成される親脂肪酸のヨウ素価(方法の項を参照)は、約0~約90、又は約10~約70、又は約15~約50、又は約18~約30であり得る。ヨウ素価は、約25~50、好ましくは30~48、より好ましくは32~45であってもよい。理論に束縛されるものではないが、第四級アンモニウム化合物が形成される親脂肪酸が少なくとも部分的に不飽和である場合、柔軟化活性物質の加工性を容易にするより低い融点が得られる。特に、二重不飽和脂肪酸は、柔軟化活性物質を容易に加工できるようにする。好ましい液体布地柔軟化組成物では、第四級アンモニウムコンディショニング活性物質が形成される親脂肪酸は、全脂肪酸鎖の2.0重量%~20.0重量%、好ましくは3.0重量%~15.0重量%、より好ましくは4.0重量%~15.0重量%の二重不飽和C18鎖(「C18:2」)を含む(方法の項を参照)。一方、経時な布地柔軟剤組成物の酸化の結果としての悪臭形成を最小限に抑えるために、非常に高濃度の不飽和脂肪酸鎖は避けるべきである。
【0099】
第四級アンモニウムエステル化合物は、組成物の0重量%超~約30重量%、約1重量%~約25重量%、約3重量%~約20重量%、約4.0重量%~18重量%、より好ましくは4.5重量%~15重量%、更により好ましくは5.0重量%~12重量%の濃度で存在してもよい。第四級アンモニウムエステル化合物のレベルは、組成物(希釈又は濃縮組成物)中の全布地コンディショニング活性物質の所望の濃度、及び他の柔軟化活性物質の有無に依存し得る。しかしながら、典型的には、より高い柔軟化活性物質レベルを有する布地処理組成物では、経時的に粘度が増加するリスクがより高い。他方、非常に高い柔軟化活性物質レベルでは、もはや十分に粘度を制御することができず、製品が使用に適さなくなる。
【0100】
好適な第四級アンモニウムエステル化合物としては、モノエステルクワット、ジエステルクワット、及びトリエステルクワット、並びにこれらの混合物からなる群から選択される物質が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、全第四級アンモニウムエステル化合物を基準として、モノエステルクワットの濃度は、2.0重量%~40.0重量%であり、ジエステルクワットの濃度は、40.0重量%~98.0重量%であり、トリエステルクワットの濃度は、0.0重量%~25.0重量%である。
【0101】
第四級アンモニウムエステル化合物は、以下の化合物:
{R (4-m)-N+-[X-Y-R}A
(式中、
mは、1、2又は3であるが、ただし、各mの値は、同一であり、
各Rは、独立して、ヒドロカルビル基又は分枝状ヒドロカルビル基であり、好ましくは、Rは、直鎖であり、より好ましくは、Rは、部分不飽和直鎖アルキル鎖であり、
各Rは、独立して、C~Cアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、1-メチル-2-ヒドロキシエチル、ポリ(C~Cアルコキシ)、ポリエトキシ、ベンジルから選択され、
各Xは、独立して、-(CH)n-、-CH-CH(CH)-又は-CH-(CH)-CH-であり、
各nは、独立して、1、2、3又は4であり、好ましくは、各nは、2であり、
各Yは、独立して、-O-(O)C-又は-C(O)-O-であり、
A-は、独立して、塩化物、硫酸メチル、及び硫酸エチルからなる群から選択され、好ましくは、Aは、塩化物及び硫酸メチルからなる群から選択され、より好ましくは、A-は、硫酸メチルである)を含み得るが、
ただし、Yが-O-(O)C-であるときには、各Rにおける炭素の合計は、13~21、好ましくは、13~19である。好ましくは、Xは、-CH-CH(CH)-又は-CH-(CH)-CH-であって、第四級アンモニウムエステル化合物の加水分解安定性を改善し、ひいては布地処理組成物の安定性を更に改善する。
【0102】
好適な第四級アンモニウムエステル化合物の例は、商品名Rewoquat WE18及び/若しくはRewoquat WE20としてEvonikから、並びに/又は商品名Stepantex GA90、Stepantex VK90、及び/若しくはStepantex VL90AとしてStepanから市販されている。
【0103】
本開示の布地コンディショニング組成物は、柔軟化活性物質としてシリコーンを含み得る。シリコーンの好適な濃度は、組成物の約0.1重量%~約70重量%、又は約0.3重量%~約40重量%、又は約0.5重量%~約30重量%、或いは約1重量%~約20重量%を含み得る。
【0104】
有用なシリコーンは、任意の好適なシリコーン含有化合物であり得る。シリコーンポリマーは、環状シリコーン、ポリジメチルシロキサン、アミノシリコーン、カチオン性シリコーン、シリコーンポリエーテル、シリコーン樹脂、シリコーンウレタン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。シリコーンは、ポリジメチルシリコーン(ポリジメチルシロキサン、すなわち「PDMS」)などポリジアルキルシリコーン、又はこれらの誘導体を含み得る。シリコーンは、アミノ官能性シリコーン、アミノ-ポリエーテルシリコーン、アルキルオキシル化シリコーン、カチオン性シリコーン、エトキシル化シリコーン、プロポキシル化シリコーン、エトキシル化/プロポキシル化シリコーン、第四級シリコーン、又はこれらの組み合わせを含み得る。シリコーンは、ポリジメチルシリコーン、アミノシリコーン、又はこれらの組み合わせ、好ましくはアミノシリコーンを含み得る。
【0105】
シリコーンは、ランダム又は塊状の有機シリコーンポリマーを含み得る。シリコーンは、エマルションとして提供されてよい。
【0106】
シリコーンは、比較的高い分子量によって特徴付けられてよい。シリコーンの分子量を記載するための好適な方法としては、その粘度を記載することが挙げられる。高分子量シリコーンは、約10cSt~約3,000,000cSt、又は約100cSt~約1,000,000cSt、又は約1,000cSt~約600,000cSt、又は更には約6,000cSt~約300,000cStの粘度を有するものであり得る。
【0107】
組成物は、グリセリドコポリマーを含み得る。グリセリドコポリマーは、天然油に由来し得る。天然油の例としては、これらに限定されるものではないが、植物油、藻類油、魚油、動物脂、トール油、これらの油の誘導体、これらの油のいずれかの組み合わせなどが挙げられる。植物油の代表的な非限定例としては、低エルカ酸ナタネ油(キャノーラ油)、高エルカ酸ナタネ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、カラシ油、グンバイナズナ油、カメリナ油、麻実油、及びヒマシ油、好ましくは、キャノーラ油が挙げられる。動物脂の代表的な非限定例としては、ラード、獣脂、家禽油、黄色油脂、及び魚油が挙げられる。トール油は、木材パルプ製造の副生成物である。グリセリドコポリマーは、メタセシス化不飽和ポリオールエステルであり得る。
【0108】
フレッシュネス活性物質
本開示の布地コンディショニング組成物は、フレッシュネス活性物質を含み得る。フレッシュネス活性物質は、芳香(例えば、香料)効果及び/又は悪臭の低減若しくは悪臭制御の効果を提供することができる。フレッシュネス活性物質は、未希釈製品中、処理液中、湿潤布地上、乾燥布地上、又は擦られた布地上を含む、1つ以上の消費者接触点において意図された効果を送達することができる。フレッシュネス活性物質は、芳香活性物質、悪臭制御剤、又はこれらの組み合わせから選択され得る。
【0109】
フレッシュネス活性物質は、芳香活性物質であってよい。香料活性物質は、遊離香料、香料送達系、プロ香料、又はこれらの混合物から選択してよい。
【0110】
芳香活性物質は、1つ以上の香料原料を含み得る。用語「香料原料」(又は「PRM」)は、本明細書で使用する場合、少なくとも約100g/モルの分子量を有し、且つ匂い、芳香、エッセンス、又は香りを、単独で又はその他の香料原料と共に付与するのに有用な化合物を意味する。典型的なPRMは、特に、アルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ナイトライト、及びテルペンなどのアルケンを含む。一般的なPRMのリストは、例えば、「Perfume and Flavor Chemicals」第I巻及び第II巻;Steffen Arctander Allured Pub.Co.(1994)及び「Perfumes:Art,Science and Technology」、Miller,P.M.and Lamparsky,D.,Blackie Academic and Professional(1994)のような様々な参照元に見出され得る。組成物は、当該組成物の約0.05重量%~約20重量%、又は約0.1重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約5重量%の香料原料を含み得、それに応じて、フレッシュネス活性物質のレベルを選択してよい。
【0111】
芳香活性物質は、例えば、香料原料が他の成分にカプセル化も他の成分に化学的に結合もしていない、遊離香料を含み得る。遊離香料は、ベース組成物に未希釈で、又はエマルジョンとして、及び/又は可溶化剤と組み合わせて添加され得、これにより、組成物への適切な分散又は安定性を促進することができる。
【0112】
芳香活性物質は、香料送達系を含み得る。好適な香料送達系、特定の香料送達系の製造方法、及びそのような香料送達系の使用は、米国特許出願公開第2007/0275866(A1)号に開示されている。香料送達系は、ポリマー支援送達(Polymer Assisted Delivery、PAD)(封入体などのマトリックス系又はリザーバ系を含む)、分子支援送達(Molecule-Assisted Delivery、MAD)、アミン支援送達(Amine-Assisted Delivery、AAD)、シクロデキストリン送達系(Cyclodextrin Delivery System、CD)、デンプンカプセル化アコード(Starch Encapsulated Accords、SEA)、無機担体送達系(Inorganic Carrier Delivery System、ZIC)、又はこれらの混合物を含み得る。
【0113】
本開示の布地コンディショニング組成物は、香料送達系としての封入体を含む。典型的には2種以上のカプセル化剤が存在するので、組成物は、複数のカプセル化剤又はカプセル化剤の集団を含むものとして記載されてもよい。
【0114】
組成物は、組成物の約0.05重量%~約20重量%、又は約0.05重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約5重量%、又は約0.2重量%~約2重量%のカプセル化剤を含んでもよい。組成物は、組成物の約0.05重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%の香料を組成物に提供するのに十分な量のカプセル化剤を含んでもよい。本明細書で論じる場合、カプセル化剤の量又は重量パーセントは、シェル材料とコア材料との合計を意味する。
【0115】
カプセル化剤は、約0.5マイクロメートル~約100マイクロメートル、或いは10~100マイクロメートル、好ましくは約1マイクロメートル~約60マイクロメートル、或いは10マイクロメートル~50マイクロメートル、或いは20マイクロメートル~45マイクロメートル、又は或いは20マイクロメートル~60マイクロメートルの容積重量中央値のカプセル化剤サイズを有してもよい。
【0116】
封入体は、典型的には、コアを少なくとも部分的に取り囲む壁(又はシェル)を有し、コアを少なくとも部分的に取り囲むことができる壁を有し得る。コアは、香料原材料、及び任意に、ミリスチン酸イソプロピル又は他の好適な材料などの分配調整剤を含み得る。
【0117】
壁は、ポリエチレン;ポリアミド;ポリスチレン;ポリイソプレン;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリアクリレート;アクリル;アミノプラスト;ポリオレフィン;多糖類、例えば、アルギネート及び/若しくはキトサン;ゼラチン、シェラック;エポキシ樹脂;ビニルポリマー;水不溶性無機材料;シリコーン;並びにこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み得る。壁材料は、アミノプラスト、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアクリレート、又はこれらの混合物から選択される材料を含み得る。
【0118】
封入体の外壁は、コーティングを有することができる。特定のコーティングは、布地などの対象面上への封入体の付着性を向上させることができる。コーティングは、効能ポリマーを含んでもよい。コーティングは、カチオン性効率ポリマーを含んでもよい。カチオン性ポリマーは、多糖類、カチオン変性デンプン、カチオン変性グアー、ポリシロキサン、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドとビニルピロリドンとのコポリマー、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリニウムハライド、イミダゾリウムハライド、ポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミド、ポリアリルアミン、これらのコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。コーティングは、多糖類(キトサンなど)、ポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミド、ポリアリルアミン、これらのコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含み得る。
【0119】
封入体は、アミノプラスト材料と、ポリビニルホルムアミドを含むコーティングと、を含む壁を含み得る。封入体は、ポリアクリレート材料と、キトサンを含むコーティングと、を含む壁を含み得る。
【0120】
組成物は、好ましくは組成物が液体である場合、香料封入体を含む布地強化剤組成物であり得る。組成物は、洗剤組成物、好ましくは液体洗剤組成物(任意に、水溶性パウチに収容される)であってよく、これは、香料封入体と、約5%~約50%、好ましくは約8%~約40%の、好ましくは直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、及び/又はAESなどのアルコキシル化アルキルサルフェートから選択されるアニオン性界面活性剤と、本開示によるカチオン性ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物と、を含む。
【0121】
芳香活性物質は、典型的には香料原料及び直接性又は溶解性成分を含むプロ香料を含み得、当該香料原料及び直接性又は溶解性成分は、典型的には、一緒に結合、複合体化、又は他の方法でカップリングされる。経時的に又は他のトリガー刺激(例えば、水との接触、pHの変化、又は高温)により、PRM及び成分は分離され、PRMが持続放出される。適切な直接性又は溶解性成分を選択することにより、製剤は、水中のプロ香料の溶解度、布地に対するプロ香料の直接性の程度、又は材料のバルク特性を制御することができる。
【0122】
例えば、洗濯プロセスが完了し、プロ香料が布地に好適に送達されたら、プロ香料が香料原料を放出し始め、材料のこの放出が持続するので、布地の「フレッシュ」及び「清潔な」匂いがより長く続く。
【0123】
好適なプロ香料としては、ジメトキシベンゾイン誘導体及び/又はアミン反応生成物を挙げることができる。
【0124】
フレッシュネス活性物質は、悪臭制御剤であり得る。悪臭制御剤は、オリゴアミンを含み得る。特定のオリゴアミンは、特定の化合物の分解の阻害に寄与し得、そうしなければ当該化合物は酸化して悪臭化合物になり得る。
【0125】
本開示による好適なオリゴアミンとしては、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、5-メチルジプロピレントリアミン(5-MeDPTA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、4-メチルトリエチレンテトラアミン(4-MeTETA)、4,7-ジメチルトリエチレンテトラアミン(4,7-MeTETA)、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン(M5-DETA)、トリプロピレンテトラアミン(TPTA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、テトラプロピレンペンタアミン(TPPA)、ペンタエチレンヘキサアミン(PEHA)、ペンタプロピレンヘキサアミン(PPHA)、ヘキサエチレンヘプタアミン(HEHA)、ヘキサプロピレンヘプタアミン(HPHA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、又はこれらの混合物を挙げることできる。
【0126】
オリゴアミンは、好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン(M5-DETA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、5-メチルジプロピレントリアミン(5-MeDPTA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、トリプロピレンテトラアミン(TPTA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、テトラプロピレンペンタアミン(TPTA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、及びこれらの混合物、より好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン(M5-DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、及びこれらの混合物、更により好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、及びこれらの混合物、最も好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)から選択されてもよい。分子量が低い及び/又は製造コストが比較的低いことから、DETAが最も好ましい場合がある。
【0127】
他の添加剤
本開示の布地コンディショニング組成物は、他の補助成分を含んでよい。補助成分は、例えば、加工、安定性、及び/又は性能上の利点を提供するように選択され得る。
【0128】
好適な消費者製品補助材料としては、界面活性剤、コンディショニング活性物質、付着助剤、レオロジー変性剤若しくは構造化剤、漂白系、安定剤、ビルダー、キレート化剤、移染阻害剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、シリコーン、色相剤、審美染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、構造化剤、抗凝集剤、コーティング剤、ホルムアルデヒドスカベンジャー、並びに/又は顔料を挙げ得る。
【0129】
意図される形態、配合、及び/又は最終用途によって、本開示の組成物は、以下の補助材料すなわち、漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染阻害剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、構造化剤、抗凝集剤、コーティング剤、ホルムアルデヒドスカベンジャー、並びに/又は顔料のうちの1つ以上を含有してもしなくてもよい。
【0130】
これらの追加の成分の正確な性質及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び使用される作業の性質に依存する。しかし、1種以上の補助剤が存在する場合、かかる1種以上の補助剤は、以下に詳述されるように存在することができる。以下は、好適な追加の補助剤の非限定的なリストである。
【0131】
レオロジー改質剤/構造化剤
本開示の組成物は、レオロジー改質剤及び/又は構造化剤を含んでもよい。レオロジー改質剤は、液体組成物を所望の粘度に「増粘する」又は「減粘する」ために使用されてもよい。構造化剤は、相安定性を促進するために、及び/又は本明細書に記載された封入物などの液体組成物中の粒子を懸濁させるために、又はその凝集を阻害するために使用されてもよい。
【0132】
好適なレオロジー変性剤及び/又は構造化剤としては、非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤(硬化ヒマシ油ベースのものを含む)、ポリマー構造化剤、セルロース繊維(例えば、細菌、真菌、若しくは木材を含む植物起源に由来し得るミクロフィブリル化セルロース)、ジアミドゲル化剤、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0133】
ポリマー構造化剤は、天然由来又は合成由来であってもよい。天然由来のポリマー構造化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、及びこれらの混合物を含んでもよい。多糖誘導体は、ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアガム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、及びこれらの混合物を含んでもよい。合成ポリマー構造化剤は、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物を含んでもよい。ポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はこれらの混合物を含んでもよい。ポリアクリレートは、不飽和モノ炭酸又はジ炭酸と、(メタ)アクリル酸のC~C30アルキルエステルとのコポリマーを含んでもよい。このようなコポリマーは、商品名Carbopol Aqua 30でNoveon Inc.から入手可能である。別の好適な構造化剤は、BASFから入手可能な商品名Rheovis CDEで販売されている。
【0134】
追加のカチオン性ポリマー
本開示の組成物は、上記のカチオン置換ポリエーテルグルカン(及び存在する場合、カチオン性布地柔軟化活性物質)に加えて、カチオン性ポリマーを含み得る。カチオン性ポリマーは、付着助剤として機能することができ、例えば、標的表面上への柔軟化及び/又はフレッシュネス活性物質の改善された付着効率を促進する。追加的又は代替的に、追加のカチオン性ポリマーは、組成物に安定性、構造化、及び/又はレオロジー上の利点を提供し得る。
【0135】
組成物は、当該組成物の0.0001重量%~3重量%、好ましくは0.0005重量%~2重量%、より好ましくは0.001重量%~1重量%、又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.05重量%~約0.3重量%の追加のカチオン性ポリマーを含み得る。
【0136】
全般的なカチオン性ポリマー及びこれらの製造方法は、文献において周知である。好適なカチオン性ポリマーとしては、化粧品成分の国際命名法で命名された「ポリクオタニウム」ポリマーとして知られる第四級アンモニウムポリマー、例えば、ポリクオタニウム-6(ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリクオタニウム-7(アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)、ポリクオタニウム-10(四級化ヒドロキシエチルセルロース)、ポリクオタニウム-22(アクリル酸とジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)などを挙げることができる。
【0137】
カチオン性ポリマーは、カチオン性デンプン、カチオン性セルロース、カチオン性グアー、カチオン性キトサン、又はこれらの混合物などのカチオン性多糖を含み得る。カチオン性セルロースは、四級化ヒドロキシエチルセルロース、好ましくは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドで誘導体化されたヒドロキシエチルセルロースを含み得る。多糖類由来のポリマーが好ましい場合があるが、それは天然由来及び/又は持続可能な材料であるためである。明確にするために、本明細書に記載のカチオン性多糖は、存在する場合、本明細書に記載のカチオン置換ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物に加えて存在する。
【0138】
カチオン性ポリマーは、カチオン性アクリレートを含んでもよい。カチオン性ポリマーは、カチオン性モノマー、非イオン性モノマー、及び任意にアニオン性モノマーを含み得る(ポリマー全体の電荷が依然としてカチオン性である限り)。カチオン性ポリマー、好ましくはカチオン性アクリレートは、塩化メチル四級化ジメチルアミノエチルアンモニウムアクリレート、塩化メチル四級化ジメチルアミノエチルアンモニウムメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるカチオン性モノマーを含み得る。カチオン性ポリマー、好ましくはカチオン性アクリレートは、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される非イオン性モノマーを含み得る。カチオン性ポリマーは、任意に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、並びにスルホン酸又はホスホン酸機能を発揮するモノマー、例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(ATBS)、及びこれらの塩から選択されるアニオン性モノマーを含み得る。
【0139】
カチオン性ポリマー、好ましくはカチオン性アクリレートポリマーは、実質的に直鎖状であってもよく、又は架橋されてもよい。組成物は、実質的に直鎖状のカチオン性ポリマー(例えば、50ppm未満の架橋剤で形成される)及び架橋カチオン性ポリマー(例えば、50ppmを超える架橋剤で形成される)の両方を含む、ポリマー系、好ましくはカチオン性アクリレートポリマー系を含み得る。そのような組み合わせは、付着及び構造化上の利点の両方を提供し得る。
【0140】
界面活性剤
布地コンディショニング組成物は、当該組成物の5重量%未満、又は2重量%未満、又は1重量%未満、又は約0.1重量%未満のアニオン性界面活性剤を含んでもよく、又は更にはアニオン性界面活性剤を実質的に含んでいなくてもよい。アニオン性界面活性剤は、本組成物の安定性及び/又は性能に悪影響を及ぼす場合があるが、その理由は、カチオン性成分と望ましくない相互作用をし得るためである。液体布地強化剤などの自動洗濯機のすすぎサイクル中に添加されることが意図される組成物は、比較的低レベルのアニオン性界面活性剤を含んでいてよい。追加的又は代替的に、自動洗濯機の洗浄サイクル中に洗剤組成物と組み合わせて使用されることが意図される組成物は、比較的低レベルのアニオン性界面活性剤を含んでいてよい。
【0141】
それはそれとして、本開示の組成物は、意図される使用法に応じて、洗浄性界面活性剤を含んでいてよい。更に、組成物は、乳化剤又は他の加工助剤として低レベルの界面活性剤を含んでいてよい。例えば、組成物は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はこれらの混合物を含んでいてよい。好適なアニオン性界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、アルキルサルフェート、及び/又はアルコキシル化アルキルサルフェート(アルキルエトキシル化サルフェート、又はAESなど)などのスルホネート、サルフェート、又はカルボキシレートを挙げることができる。非イオン性界面活性剤は、ゲルベアルコールに基づくエトキシル化アルキルアルコール、アルキルポリグルコシド、及び/又は非イオン性界面活性剤などのアルコキシル化脂肪アルコールを含み得る。双性イオン性界面活性剤は、アミンオキシド界面活性剤を含み得る。両性界面活性剤は、ベタイン界面活性剤を含み得る。
【0142】
布地コンディショニング組成物の作製方法
本開示は、本明細書に記載された組成物のいずれかの作製方法に関する。布地コンディショニング組成物を作製する方法は、本明細書に記載のポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を、本明細書に記載の布地コンディショニング活性物質と合わせる工程を含み得る。
【0143】
本開示の布地コンディショニング組成物は、任意の好適な形態へと製剤化してよく、配合者によって選択される任意の方法によって調製され得る。ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物、布地コンディショニング活性物質、及び/又は補助材料は、バッチプロセス、循環ループプロセス、及び/又はインライン混合プロセスで合わせてよい。本明細書で開示された方法で使用するのに好適な装置としては、連続撹拌槽型反応器、ホモジナイザー、タービン撹拌機、再循環ポンプ、パドルミキサー、プラウ剪断ミキサー、リボンブレンダー、垂直軸造粒機及びドラムミキサー(両方ともバッチ式であり、利用可能な場合は連続プロセスの構成のもの)、噴霧乾燥機、並びに押出成形機を挙げてもよい。
【0144】
ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物をポリマープレミックスとして提供することが望ましい場合がある。プレミックスは、ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物(例えば、7.5重量%)及び水を含んでいてもよく、これらから本質的になっていてもよく、又はこれらからなっていてもよい。グルカンポリマーは、プレミックスの約5重量%~約20重量%、好ましくは約5重量%~約10重量%のレベルでプレミックス中に存在し得る。グルカンポリマー及び水は、約5:95~20:80、又は約5:95~約10:90、又は約7.5:92.5のポリマー:水重量比でポリマー中に存在し得る。ポリマープレミックスを最適化するために、ポリマーは、得られた粒子のサイズ及び形状を一貫させるため、並びにグルカンポリマーを完全に水和し、ゲル相を制御するために、制御された混合、剪断、及び時間を用いて調製され得る。水和が完了したら、ベース製品製剤に添加する前に、ゲル形成が不均一である場合に均一な流動性を確保するために、ポリマープレミックスを(例えば、電子ローラー又はオーバーヘッドミキサーで)再混合してもよい。一貫したプロトコルの使用により、製剤安定性の変動を小さくし、更に完成製品全体にわたって変動する濃度のポリマープレミックスから生じ得る一貫性のない性能を最小限に抑えることができる。
【0145】
布地コンディショニング組成物は、単位用量物品を形成するために、公知の方法に従って水溶性フィルムに封入されてもよい。
【0146】
布地コンディショニング組成物は、公知の方法に従ってエアゾール又はその他のスプレー容器に入れてもよい。
【0147】
布地コンディショニング組成物の使用方法
本開示は更に、布地コンディショニング組成物の使用方法に関する。例えば、本開示は、本開示による組成物で布地を処理する方法に関する。このような方法は、コンディショニング、及び/又はフレッシュニングに関わる効果を提供してもよい。
【0148】
この方法は、布地を本開示の布地コンディショニング組成物と接触させる工程を含み得る。組成物は、そのままの形態であってもよく、又は液体、例えば、洗浄液又はすすぎ液で希釈されてもよい。組成物は、表面又は物品との接触前、接触中、又は接触後に水で希釈されてもよい。布地は、接触工程の前及び/又は後に、任意に洗浄及び/又はすすがれてもよい。組成物は、布地上に直接適用されてもよく、又は自動洗濯機の分配容器若しくはドラムに供給されてもよい。
【0149】
布地を処理する方法は、(a)任意に、布地を洗浄、すすぎ、及び/又は乾燥する工程と、(b)任意に水の存在下において、当該布地を本明細書に記載の布地コンディショニング組成物と接触させる工程と、(c)任意に、布地を洗浄及び/又はすすぐ工程と、(d)任意に、受動的に及び/又は洗濯乾燥機などの能動的方法を介して乾燥させる工程と、を含んでもよい。この方法は、自動洗濯機の洗浄サイクル又はすすぎサイクル、好ましくはすすぎサイクル中に行うことができる。布地は、洗浄サイクル、次いで、1回以上のすすぎサイクルによって処理してよい。
【0150】
本開示の目的のために、処理は、擦り洗い及び/又は機械的撹拌を含み得るが、これらに限定されない。布地は、標準的な消費者の使用条件で洗濯又は処理することが可能な、ほとんどいずれの布地を含んでもよい。
【0151】
開示された組成物を含む液体は、約3~約11.5のpHを有してもよい。希釈される場合、このような組成物は、典型的には、溶液中で約500ppm~約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水である場合、水の温度は、典型的には、約5℃~約90℃の範囲であり、水対布地の比は、典型的には、約1:1~約30:1であってよい。
【0152】
布地は、コンディショニング組成物と接触させる前に、任意に水の存在下において、アニオン性界面活性剤と接触させてもよい。布地は、洗浄工程から残留しているアニオン性界面活性剤を含んでいる場合がある。アニオン性界面活性剤の供給源は、重質液体洗濯洗剤などの洗剤組成物、洗剤組成物を含む水溶性パウチ、又は粉末洗濯洗剤であり得る。洗剤組成物は、好適な洗剤補助剤を更に含んでいてもよい。例えば、洗剤組成物は、セルラーゼ酵素、脂肪酸及び/若しくはその塩、又はこれらの混合物を更に含んでいてよい。
【0153】
アニオン性界面活性剤及び/又はその供給源(例えば、洗剤組成物)は、自動洗濯機のドラムなどの容器内において水で希釈されて、洗浄液を形成し得、当該洗浄液は、布地と接触し得る。この方法は、布地と接触した後であるが、布地がコンディショニング組成物と接触する前に、容器から洗浄液を除去することを更に含んでいてよい。
【0154】
コンディショニング組成物は、任意に自動洗濯機などの容器内において水で希釈されて、すすぎ液を作製し得る。すすぎ液は、洗浄サイクルから残留するか又は持ち越される場合があるアニオン性界面活性剤及び/又はセルラーゼ酵素を含んでいる場合がある。すすぎ液は、容器から除去してよい。布地は、例えば自動乾燥機などにおける任意の好適な方法によって、又はライン乾燥によって乾燥させてよい。
【0155】
洗浄液及び/又はすすぎ液の一部である水は、特定の硬度を特徴とし得る。例えば、水は、12gpg未満、又は10gpg未満の硬度を有することを特徴とし得る。より低いレベルの硬度は、より高いレベルの硬度で生じる方法と比較して、より良好な性能をもたらし得ると考えられる。
【0156】
組み合わせ
本開示の具体的に企図される組み合わせを、本明細書において以下のアルファベット付きの段落に記載する。これらの組み合わせは、本質的に例示を目的としたものであり、限定することを意図したものではない。
A.布地コンディショニング組成物であって、(a)約90キロダルトン~約350キロダルトン、好ましくは約90~約300キロダルトン、より好ましくは約90キロダルトン~約260キロダルトン、より好ましくは約90~約240キロダルトン、より好ましくは約95~約200キロダルトン、更により好ましくは約100~約175キロダルトン、最も好ましくは約100~約150キロダルトンの重量平均分子量、及び(b)約0.15~約0.8のカチオン置換度を特徴とするポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含み、柔軟化活性物質、フレッシュネス活性物質、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される付着可能なコンディショニング活性物質を更に含む、布地コンディショニング組成物。
B.布地コンディショニング組成物であって、約0.15~約0.8、好ましくは約0.3~約0.7、又は約0.3~約0.6、又は約0.4~約0.6、又は約0.4~約0.5のカチオン置換度を有し、置換前に決定された約90キロダルトン~約190キロダルトンの重量平均分子量を特徴とする多糖骨格に由来するポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含み、柔軟化活性物質、フレッシュネス活性物質、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される付着可能なコンディショニング活性物質を更に含む、布地コンディショニング組成物。
C.当該ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、置換アンモニウム基、好ましくは第四級アンモニウム基、より好ましくはトリアルキルアンモニウム基、更により好ましくはトリメチルアンモニウム基で置換される、段落A又はBのいずれかに記載の布地コンディショニング組成物。
D.当該ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、好ましくは骨格におけるグリコシド結合の割合として約10%、又は9%、又は8%、又は7%、又は6%、又は5%、又は4%、又は3%、又は2%、又は1%未満の分岐点しか有しない、実質的に直鎖状である骨格を含む、段落A~Cのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
E.当該ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、以下の構造を有する約425~約1200個の構造単位を含む、段落A~Dのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物:
【0157】
【化8】
(式中、各Rは、独立して、H又は正に帯電した有機基である)。
F.当該ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、約500~約1100、又は約600~約1050、又は約700~約1000、又は約700~約900、又は約700~約800個の当該構造単位を含む、段落Eに記載の布地コンディショニング組成物。
G.各Rが、独立して、H又は正に帯電した有機基であり、当該正に帯電した有機基が、置換アンモニウム基、好ましくは第四級アンモニウム基、より好ましくはトリアルキルアンモニウム基、更により好ましくはトリメチルアンモニウム基を含む、段落E又はFのいずれかに記載の布地コンディショニング組成物。
H.少なくとも1つの正に帯電した有機基が、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を含み、好ましくは、少なくとも1つの正に帯電した有機基が、第四級ヒドロキシプロピル基を含む、段落A~Gのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
I.当該置換度が、約0.3~約0.7、又は約0.3~約0.6、又は約0.4~約0.6、又は約0.4~約0.5である、段落A~Hのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
J.以下の構造によって表されるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含む布地コンディショニング組成物であって:
【0158】
【化9】
(i)nが、約425~約1200、好ましくは約500~約1100、又は約600~約1050、又は約700~約1000、又は約700~約900、又は約700~約800であり、(ii)各Rが、独立して、H又は正に帯電した有機基であり、好ましくは、当該正に帯電した有機基が、置換アンモニウム基、好ましくは第四級アンモニウム基、より好ましくはトリアルキルアンモニウム基、更により好ましくはトリメチルアンモニウム基を含み、(iii)当該化合物が、約0.15~約0.8、好ましくは約0.3~約0.7、又は約0.3~約0.6、又は約0.4~約0.6、又は約0.4~約0.5のカチオン性置換度を有し、当該布地コンディショニング組成物が、柔軟性活性物質、フレッシュネス活性物質、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される付着可能なコンディショニング活性物質を更に含む、布地コンディショニング組成物。
K.当該ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基である正に帯電した有機基を含み、好ましくは、当該正に帯電した有機基の全てがトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基である、段落A~Jのいずれかに記載の布地コンディショニング組成物。
L.当該組成物の約0.01重量%~約3重量%、又は約0.05重量%~約2.5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%、又は約0.2重量%~約1.5重量%、又は約0.2重量%~約1重量%、又は約0.2重量%~約0.75重量%、又は約0.2重量%~約0.5重量%のポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含む、段落A~Kのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
M.当該ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、置換前に決定された約90キロダルトン~約190キロダルトンの重量平均分子量を特徴とする多糖骨格に由来する、段落A~Lのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
N.当該ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物が、プレミックスとして提供され、当該プレミックスが、当該プレミックスの約5重量%~約20重量%の当該ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含み、当該プレミックスが、水を更に含む、段落A~Nのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
O.当該付着可能な活性物質が、当該布地コンディショニング組成物の約0.1重量%~約35重量%のレベルで存在する、段落A~Oのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
P.当該付着可能な活性物質が、第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル第四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、柔軟化若しくはコンディショニングオイル、ポリマーラテックス、又はこれらの組み合わせ、好ましくは、第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される柔軟化活性物質を含む、段落A~Oのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
Q.当該付着可能な活性物質が、遊離香料、プロ香料、香料送達系、悪臭制御剤、又はこれらの混合物、好ましくは、遊離香料、香料送達系、又はこれらの混合物からなる群から選択されるフレッシュネス活性物質を含む、段落A~Pのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
R.当該布地コンディショニング組成物が、封入体、好ましくはコアを取り囲む壁を含む封入体を含む香料送達系を含み、当該壁が、アミノプラスト材料、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアクリレート、又はこれらの混合物を含み、任意にコーティングを備える、段落Qに記載の布地コンディショニング組成物。
S.布地コンディショニング組成物が、液体組成物の形態、好ましくは、当該組成物の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、更により好ましくは少なくとも90重量%、又は更に少なくとも95重量%の水を含む液体組成物の形態である、段落A~Rのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
T.存在するとしても、約5%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満のアニオン性界面活性剤しか含まない、段落A~Sのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
U.追加のカチオン性ポリマーを含み、好ましくは、当該追加のカチオン性ポリマーが、カチオン性多糖、カチオン性アクリレート、又はこれらの混合物から選択され、より好ましくは、当該カチオン性アクリレートが、塩化メチル四級化ジメチルアミノエチルアンモニウムアクリレート、塩化メチル四級化ジメチルアミノエチルアンモニウムメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるカチオン性モノマーを含む、段落A~Tのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
V.約2~約4、好ましくは約2~約3.7、より好ましくは約2~約3.5のpHを特徴とする、段落A~Uのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
W.布地コンディショニング組成物が、20秒-1及び21℃で、約1~1500センチポアズ(1~1500mPas)、又は100~1000センチポアズ(100~1000mPas)、又は100~500センチポアズ(100~500mPas)、又は100~300センチポアズ(100~300mPas)、又は100~200センチポアズ(100~200mPas)の粘度を特徴とする液体である、段落A~Vのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
X.布地コンディショニング組成物が、粒子の形態であり、個々の粒子が、約1mg~約1グラムの質量を有し、当該粒子が、水溶性担体、好ましくはポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ポリプロピレングリコールポリオキソアルキレン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールエーテル、硫酸ナトリウム、デンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択される水溶性担体中に分散した当該ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物を含む、段落A~Wのいずれか一項に記載の布地コンディショニング組成物。
Y.布地をコンディショニングする方法であって、任意に水の存在下で、前述の請求項のいずれか一項に記載のコンディショニング組成物に布地を接触させる工程と、任意に、表面を水ですすぐ工程と、を含む方法。
Z.当該コンディショニング組成物が水で希釈されてすすぎ液を形成し、当該すすぎ液が、アニオン性界面活性剤及び/又はセルラーゼ酵素を更に含み、当該アニオン性界面活性剤及び/又はセルラーゼが、任意に洗浄サイクルから残留しているか又は洗浄サイクルから持ち越されたものである、段落Yに記載の布をコンディショニングする方法。
【0159】
試験方法
ポリα-1,3-グルカンの調製
ポリα-1,3-グルカンは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0244288号に記載されているgtfJ酵素調製物を使用して調製することができる。
【0160】
ポリα-1,3-グルカンエーテル誘導体のモル置換を決定するためのH核磁気共鳴(NMR)法
およそ30mgのポリα-1,3-グルカンエーテル誘導体を、化学天秤上のバイアルに秤量する。天秤からバイアルを下ろし、1.0mLの酸化重水素をバイアルに添加した。磁気撹拌子をバイアルに添加し、混合物を撹拌して固体を懸濁させる。次いで、重水素化硫酸(DO中50%v/v)1.0mLをバイアルに添加し、ポリマーを脱重合及び可溶化するために混合物を90℃で1時間加熱した。溶液を室温まで冷却し、次いで、溶液の0.8mLの部分をガラスピペットを使用して5mmのNMRチューブに移す。5mmのAutoswitchable Quadプローブを備えたAgilent VNMRS 400MHz NMR分光計を使用して、定量的H NMRスペクトルを取得する。6410.3Hzのスペクトル窓、3.744秒の取得時間、10秒のパルス間遅延、及び64パルスを使用して、399.945MHzのスペクトル周波数でスペクトルを取得する。0.50Hzの指数関数的乗算を使用して、時間領域データを転換する。
【0161】
重量平均分子量及び/又は重合度の決定
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって重合度(DP)を求める。SEC分析のために、乾燥ポリα-1,3-グルカンエーテル誘導体をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(0.02~0.2mg/mL)に溶解させる。使用するクロマトグラフィシステムは、3つのオンライン検出器と連結されたWaters Corporation(Milford,MA)製のAlliance(商標)2695液体クロマトグラフである:Waters製の示差屈折計410、Wyatt Technologies(Santa Barbara,CA)製の多角光散乱光度計Heleos(商標)8+、及びWyatt Technologies製の示差毛細管粘度計ViscoStar(商標)。SECに使用するカラムは、水性ポリマー用の2本のTosoh Haas Bioscience TSK GMPWXL g3K及びg4K G3000PW及びG4000PWポリマーカラムである。移動相は、PBSである。使用するクロマトグラフィー条件は、カラム及び検出器区画で30℃、サンプル及び注入器区画で30℃、0.5mL/分の流量、及び100μLの注入量である。データ整理に使用するソフトウェアパッケージは、Wyatt製のAstraバージョン6(カラム較正を用いた三重検出法)である。
【0162】
ホモジナイゼーション
ホモジナイゼーションは、IKA ULTRA TURRAX T25デジタルホモジナイザー(IKA,Wilmington,NC)を使用して行われる。
【0163】
布地の準備
その中に含有されているコンディショニング組成物及び/又はポリマーの性能を評価するために、以下の方法に従って布地を調製/処理する。
【0164】
A.機器及び材料
布地は、Kenmore FS 600及び/又は80シリーズの洗濯機を使用して評価する。洗濯機は、以下の通り設定する:洗浄/すすぎ温度32℃/15℃、硬度6gpg、標準サイクル、及び中等度の洗濯量(64リットル)。布地の塊は、綿100%からなる清潔な布地2.5キログラムからなる。試験見本は、この塊に含まれており、綿100%のEuro Touchテリー織タオル(Standard Textile,Inc.Cincinnati,OHから購入)を含んでいた。
【0165】
B.脱色及び糊抜き
任意の試験製品で処理する前に、布地の塊を、試験実施前に布地調製-脱色及び糊抜き(Stripping and Desizing)手順に従って脱色する。
【0166】
布地調製-脱色及び糊抜き手順は、5回の連続する洗浄サイクルに引き続き、乾燥サイクルの間、綿100%のEuro Touchテリー織タオルの試験見本を含む清潔な布地の塊(綿100%を含む布地2.5kg)を洗浄することを含む。AATCC(American Association of Textile Chemists and Colorists)の高効率(HE)液体洗剤を用いて、試験見本布地及び清潔な布地の塊を脱色/糊抜きする(洗浄サイクル1回当たり1x推奨用量)。洗浄条件は、以下の通りである:Kenmore FS 600及び/又は80シリーズの洗濯機(又は等価物)、洗浄/すすぎ温度48℃/48℃、水硬度0gpgに等しい、標準洗浄サイクル、及び中程度の洗濯量(64リットル)に設定。乾燥機のタイマーは、綿/高/時限式乾燥設定で55分に設定する。
【0167】
C.試験処理
洗濯機を少なくとも半分充填した後、水の表面下にTide Free液体洗剤(1x推奨用量)を添加する。水の流れが停止し、洗濯機が回り始めたら、清潔な布地の塊を加える。洗濯機がすすぎ水でほぼ満たされ、撹拌し始める前に、確実に布地ケア試験組成物が試験見本又は布地の塊と直接接触しないように、布地ケア試験組成物(例えば、液体コンディショニング組成物)をゆっくり添加する(1×用量)。洗浄/すすぎサイクルが完了したら、各湿潤布地の塊を対応する乾燥機に移す。用いる乾燥機は、Maytag市販シリーズの(又は等価な)電気乾燥機であり、綿/高温加熱/時限式乾燥設定でタイマーを55分に設定した。このプロセスを、合計3回の完全な洗浄-乾燥サイクルの間、繰り返す。3回目の乾燥サイクル後、乾燥機が停止したら、活性物質の付着を分析するために各布地の塊から12枚のテリータオルを取り出す。次いで、一定温度/相対湿度(21℃、相対湿度50%)に制御された採点用の室内に12~24時間布地を置き、次いで、柔軟性及び/又は活性物質の付着について採点する。
【0168】
セカント係数インストロン法
セカント係数は、Instronモデル5565(Instron Corp.,Norwood,Massachusetts,U.S.A.)などの引張及び圧縮試験機器を使用して測定される。この機器は、次の設定を選択することによって、布地に応じて構成される:モードはTensile Extensionである;波形形状はTriangleである;最大ひずみは、479サンフォライズドでは10%及び7422編物では35%であり、速度は、479サンフォライズドでは0.83mm/秒及び7422編物では2.5mm/秒であり、サイクル数は4であり;保持時間は、サイクル間15秒である。
1.ハサミを使用して、各見本の片側全体のかがった縁部を縦方向に切り取り、均等な縁部が得られるまで布地に応力をかけずに糸を慎重に取り外す。
2.布プレス型を配置し、幅1インチ、少なくとも長さ4インチのストリップを均一な縁部に平行に切断し、縦方向に長手に切断する。
3.処理あたり3個の別個の布見本から織られた試験布479サンフォライズド100%綿又は編まれた試験布7422 50:50ポリコットンの3つのストリップを切断する。分析前に、布地を一定温度(70°F)及び湿度(50%RH)の室内で少なくとも6時間調湿する。
4.引張試験装置の2.54cm把持部内に布ストリップの上部、次いで下部を固定し、2.54cmのギャップを設定し、サンプルへの少量の力(0.0.05N~0.2N)を加える。
5.保持サイクル中、サンプルの下部固定を解放し、再固定し、サンプル上に0.05N~0.2Nの力を加え、同じ力を再度加えることによって弛みを取り除く。
6.サンプルについて4回のヒステリシスサイクルが完了すると、セカント係数がメガパスカル(MPa)で報告される。最終結果は、所与の生地タイプにおける所与の処理のための全ての試験ストリップからの個々のサイクル4の弾性率結果の平均である。報告されるセカント係数は、各布タイプの最大ひずみで計算される。
【0169】
ブルックフィールド粘度測定
ブルックフィールド粘度は、Brookfield DV-E粘度計を使用して測定される。液体をガラス瓶に入れ、ここでのガラス瓶の幅は約5.5~6.5cm、ガラス瓶の高さは約9~約11cmである。500cPs未満の粘度では、60RPMでスピンドルLV2を使用し、500~2,000cPsの粘度を測定するには、60RPMでスピンドルLV3を使用する。試験は、機器の取扱説明書に従って行う。初期ブルックフィールド粘度は、対象組成物の製造の24時間以内に測定されるブルックフィールド粘度として定義する。
【0170】
第四級アンモニウムエステル化合物のヨウ素価を測定する方法
第四級アンモニウムエステル布地化合物のヨウ素価は、布地コンディショニング活性物質を形成する親脂肪酸のヨウ素価であり、布地コンディショニング化活性物質を形成する親脂肪酸100グラムと反応するヨウ素のグラム数として定義される。
【0171】
まず、第四級アンモニウムエステル化合物を、以下のプロトコルに従って加水分解する:布地処理組成物25gを、水50mL及び水酸化ナトリウム0.3mL(50%活性)と混合する。この混合物が乾燥するのを回避しながら、混合物をホットプレート上で少なくとも1時間沸騰させる。1時間後、混合物を放冷し、pHストリップ又は較正済みpH電極を使用して、25%硫酸でpHを中性(pH6~8)に調整する。
【0172】
次に、ヘキサン又は石油エーテルによる酸性液-液抽出によって混合物から脂肪酸を抽出する:抽出シリンダにおいてサンプル混合物を水/エタノール(1:1)で160mLに希釈し、塩化ナトリウム5グラム、硫酸(25%活性)0.3mL、及びヘキサン50mLを加える。シリンダに栓をして、少なくとも1分間振盪する。次に、2層が形成されるまで、シリンダを静置する。ヘキサン中に脂肪酸を含む最上層を別の受容器に移す。次に、ホットプレートを使用してヘキサンを蒸発させ、抽出した脂肪酸を残す。
【0173】
次に、布地コンディショニング活性物質を形成する親脂肪酸のヨウ素価を、ISO3961:2013に従って測定する。親脂肪酸のヨウ素価を計算する方法は、規定量(0.1~3g)をクロロホルム15mLに溶解することを含む。次に、溶解した親脂肪酸を、酢酸溶液(0.1M)中の一塩化ヨウ素25mLと反応させる。これに、10%ヨウ化カリウム溶液20mL及び脱イオン水150mLを加える。ハロゲンの添加を行った後、ブルースターチ法指示薬粉末の存在下で、チオ硫酸ナトリウム溶液(0.1M)で滴定することにより、過剰な一塩化ヨウ素を測定する。同時に、同じ量の試薬と同一条件下でブランクを測定する。ブランクに使用したチオ硫酸ナトリウムの量と、親脂肪酸との反応に使用した量との差により、ヨウ素価を算出することができる。
【0174】
脂肪酸鎖長分布を測定する方法
第四級アンモニウムエステル布地コンディショニング活性物質の脂肪酸鎖長分布は、布地コンディショニング活性物質を形成する親脂肪酸の鎖長分布を指す。それは、第四級アンモニウムエステル布地コンディショニング活性物質のヨウ素価を測定する方法に記載されているように、第四級アンモニウムエステルコンディショニング活性物質で、又は布地柔軟剤組成物から抽出された脂肪酸で測定することができる。0.2gの第四級アンモニウムエステルコンディショニング活性物質又は抽出された脂肪酸を3mLの2-ブタノールに溶解させることによって、脂肪酸鎖長分布を測定し、3つのガラスビーズを添加し、サンプルを高速で4分間ボルテックスする。次に、この抽出物のアリコートを2mLのガスクロマトグラフィーバイアルに移し、次いで、それをガスクロマトグラフ(Agilent GC6890N)のガスクロマトグラム入口(250℃)に注入し、得られた副生成物をDB-5msカラム(30m×250μm×1.0μm、2.0mL/min)上で分離する。これらの副生成物を、質量分析計(Agilent MSD5973N,ChemstationソフトウェアバージョンE.02.02)を用いて同定し、対応する脂肪酸鎖長のピーク面積を測定する。脂肪酸鎖長分布は、全ての脂肪酸鎖長に対応する全てのピークの合計と比較した、対象となる各脂肪酸鎖長に対応するピーク面積の相対比によって決定される。
【0175】
体積加重メジアン封入体サイズ
封入体のサイズは、Encapsulate Sizing Systems(Santa Barbara CA)製のAccusizer780Aを用いて測定する。計測器は、Duke封入体サイズ標準を用いて0から300μまで較正する。エマルジョンの体積加重メジアン封入体サイズを測定する場合は約1gのエマルジョンを、又は、仕上げたカプセルの体積加重メジアン封入体サイズを測定する場合は1gのカプセルスラリーを、約5gの脱イオン水に希釈し、この溶液約1gを約25gの水に更に希釈することにより、封入体サイズ評価のためのサンプルを調製する。
【0176】
自動希釈機能を用いて、約1gの、大半の希釈サンプルがAccusizerに添加され、試験が開始される。Accusizerは、9200カウント/秒を超えて読み取る必要がある。カウントが9200未満の場合、追加のサンプルを添加する必要がある。Accusizerは、9200カウント/秒になるまで試験サンプルを希釈し、評価を開始する。試験から2分後、Accusizerは、体積加重メジアンサイズを含む結果を表示する。
【0177】
累積封入体体積の95%が超えた封入体サイズ(95%サイズ)、累積封入体体積の5%が超えた封入体サイズ(5%サイズ)、及び体積加重メジアンサイズ(50%サイズ:このサイズを超える封入体体積及びこのサイズを下回る封入体体積の両方が封入体体積の50%)を決定することによって、ブロードネス指数を計算することができる。ブロードネス指数(5)=((95%サイズ)-(5%サイズ)/50%サイズ)。
【0178】
布地におけるフレッシュネスヘッドスペース分析方法
分析用の布地を調製するために、上記方法に従って調製及び処理された綿テリー生地から、2.54cm×5.08cmの綿布片を1枚切り取る。各片を20mLのヘッドスペースバイアルに入れる。湿度及び温度(21C/湿度50%)の制御された室内で4時間再平衡化する。4時間後、バイアルに蓋をし、ヘッドスペース固相マイクロ抽出/ガスクロマトグラフィー/質量分析を介して分析した。
【0179】
分析に使用した機器:質量選択検出器(5977B)(MSD)及びChemstation定量パッケージを備えたガスクロマトグラフ7890B、固相マイクロ抽出(SPME)プローブ又は同様のシステムを備えたGerstel多目的サンプラー、Supleco部品#57298-Uからのジビニルベンゼン/カルボキセン/ポリジメチルシロキサンSPME繊維(又は同様の繊維)、公称直径30mx0.25mm、膜厚0.25μm、J&W 122-5532UI DB-5、20mL
【0180】
Gerstelオートサンプラーのパラメータは、以下の通りである:SPME-インキュベータ由来、インキュベーション温度-65℃、インキュベーション時間-10.00分サンプルパラメータ、バイアル浸透量-22.00mm、抽出時間-5.00分、注入浸透量-54.00mm、脱離時間-300秒。
【0181】
GCオーブンのパラメータは、以下の通りである:フロントSSインレットHeの場合、モード-スプリットレス、ヒータ-270℃、GCランタイム-14.28分。オーブンの場合、初期温度-40℃、保持時間-0.5分、加熱プログラム-速度17℃/分、温度270℃、保持時間0.25分。
【0182】
MSDパラメータは、以下の通りである:35~350m/zの最小範囲のスキャンモードで実行し、較正曲線は、各香料成分についての標準的な香料材料定量ソフトウェアから作成し、Chemstationソフトウェア(又は同様の定量ソフトウェア)で、各香料成分の定量ソフトウェアを使用してこの量を計算する。
【実施例
【0183】
以下に提供される実施例は、事実上例示を意図するものであり、限定することを意図するものではない。
【0184】
以下の配合例については、特に指示がない限り、成分は、以下のキーに従って特定される。
【0185】
【表1】
【0186】
実施例1.第四級アンモニウムポリα-1,3-グルカンの調製
これらの実施例は、第四級アンモニウムポリα-1,3-グルカンエーテル誘導体の生成について説明する。具体的には、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα-1,3-グルカンを生成した。
【0187】
A.調製物1
金属/機械撹拌ロッド、熱電対、添加漏斗、及びN入口が上にある凝縮器を備える4つ口1L丸底フラスコに、130.0g(0.325モル)のウェットケーキグルカン(40.5重量%グルカン、DPw800(~120,000MW)、180~300マイクロに粉砕、52.7gのグルカン及び77gの水を含有)及び300mLのイソプロパノールを仕込んだ。34.6gの50重量%水酸化ナトリウム溶液を10分間かけて添加しながら、混合物を撹拌した(20~26℃)。混合物を室温で15分間撹拌し、次いで、60℃に加熱した。3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(107g、60%水溶液)を5分間で添加した。反応物を58~61℃で4時間撹拌した。反応混合物は非常に粘性が高く、約35℃に冷却され、濾過されて、湿潤ケーキを与えた(ハウス真空及びプレスによって可能な限り液体を除去しようと試みた)。ウェットケーキを水(3L)と混合し、HCl(18.5重量%)で処理してpHを約7にした。混合物を濾過して、任意の固形物を除去した。ほとんど固形物は収集されなかった。濾液をTFF(MWCO 30K PES膜)で更に精製した。残余分を乾燥させて固形物を得た(71.1g)。NMRに基づいて、DSは、カチオン性ポリグルカンの0.49である。
【0188】
B.調製物2
10gのポリα-1,3-グルカン(M[重量平均分子量]=168,000)を、温度モニタリング用熱電対、及び再循環浴に接続された凝縮器、及び磁気撹拌子を取り付けた500mLの容量の丸底フラスコ内の100mLのイソプロパノールに添加した。30mLの水酸化ナトリウム(17.5%溶液)をこの調製物に滴下し、次いで、ホットプレート上で25℃に加熱した。調製物を1時間撹拌した後、55℃に昇温した。次いで、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-トリメチルアンモニウムクロリド(31.25g)を添加して反応物を提供し、これを55℃で1.5時間保持した後、90%酢酸で中和した。このように形成された固形物(トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα-1,3-グルカン)を真空濾過によって収集し、エタノール(95%)で4回洗浄し、20~25℃において真空下で乾燥させ、NMR及びSECで分析して、分子量及びDoSを求めた。
【0189】
トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα-1,3-グルカンの追加のサンプルを、特定のプロセス変動を伴って、上記の方法に従って合成した。具体的には、様々なMを有するポリα-1,3-グルカンサンプルを出発物質として使用し、異なる量のエーテル化剤(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-トリメチルアンモニウムクロリド)を使用した。また、反応時間(エーテル化剤の添加から始まり、中和で終わる)を変化させた。これらの様々なプロセス変動及び第四級アンモニウムグルカンエーテル生成物の得られたDoS測定値を表1に列挙する。
【0190】
【表2】
反応時間は、エーテル化剤を添加した時点から反応中和の時点まで測定した。
【0191】
実施例2.例示的な液体布地強化剤
液体布地強化剤は、表2に示す比率で列挙された成分を混合することによって調製することができる。特に指定がない限り、百分率は活性成分の重量による。
【0192】
【表3】
【0193】
実施例3.カチオン性ポリグルカンは、布地のセカント係数を改善する
以下の試験を実行して、特定のカチオン性ポリグルカン化合物の存在が、2つの異なるレベルの布地柔軟化活性物質(8重量%及び4重量%)で、液体コンディショニング組成物の性能を改善できることを示す。
【0194】
上記の布地調製方法に従って布地を処理する。液体コンディショニング組成物は、以下の表3に示す式による液体布地強化剤である。式III及びVは、カチオン性ポリグルカン化合物を含み、比較例としての式II及びIVは、含まない。各実施例について、49.5g/用量の布地強化剤組成物が提供される。処理後、上記の方法に従ってInstron機器を使用して布地のセカント係数を求める。結果を以下の表3に示す。
【0195】
【表4】
ポリグルカンエーテル:本開示によるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物;SEC(MW)=140,000;カチオンDoS=0.5;トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基で置換
【0196】
表3に示すように、ポリグルカン化合物の存在によって布地のセカント係数を減少させ、これは、典型的には、柔軟性の増大に関連する。
【0197】
実施例4.分子量の影響
以下の試験を実行して、セカント係数値に対するカチオン性ポリグルカン化合物の分子量の効果を示す。
【0198】
上記の布地調製方法に従って布地を処理する。液体コンディショニング組成物は、上の実施例2に示した式による液体布地強化剤であり、カチオン性ポリグルカン化合物は、以下に示す通り変化する。各実施例について、60g/用量の液体コンディショニング組成物が提供される。処理後、上記の方法に従ってInstron機器を使用して布地のセカント係数を求める。結果を表4A及び表4Bに示す。
【0199】
【表5】
【0200】
【表6】
【0201】
比較的低いセカント係数値は、柔軟性の増大に関連している。したがって、表4A及び表4Bのデータは、例えば、78,000ダルトン超242,000ダルトン未満(好ましくは約99,000~約150,000ダルトン)の重量平均分子量を有する本開示によるポリマーが、試験した製剤中の比較化合物と比較して、改善された柔軟性効果を提供することを示す。
【0202】
実施例5.カチオン置換度の効果
以下の試験を実行して、セカント係数値に対するカチオン性ポリグルカン化合物のカチオン置換度の効果を示す。分子量は同様であるが、カチオン置換度(DoS)が異なるポリマーを選択する。
【0203】
上記の布地調製方法に従って布地を処理する。液体コンディショニング組成物は、上で実施例2に示した式による液体布地強化剤であり、カチオン性ポリグルカン化合物は、以下に示す通り変化する。各実施例について、十分な組成物を添加して、1用量あたり9.6グラムの柔軟化活性物質を提供する。処理後、上記の方法に従ってInstron機器を使用して布地のセカント係数を求める。結果を表5に示す。
【0204】
【表7】
【0205】
比較的低いセカント係数値は、柔軟性の増大に関連している。したがって、表5のデータは、少なくともある点までカチオン置換度(DoS)を増加させることにより、液体布地強化剤組成物において改善された柔軟性効果が提供され得ることを示す。
【0206】
実施例6.ポリグルカン対他の多糖類の比較
以下の試験を実行して、他のカチオン性多糖化合物と比較したカチオン性ポリグルカン化合物の相対的な効果を示す。
【0207】
以下に示すように、異なるカチオン性多糖類を用いて、表6Aによる式を有する液体コンディショニング組成物を調製する。
【0208】
【表8】
【0209】
上記の布地調製方法に従って布地を処理する。液体コンディショニング組成物は、上の実施例2に示した式による液体布地強化剤であり、カチオン性多糖類は、以下に示す通り変化する。非多糖対照も作製する(以下の実施例11)。各実施例について、十分な組成物を添加して、1用量あたり3グラムの柔軟化活性物質を提供する。処理後、上記の方法に従ってInstron機器を使用して布地のセカント係数を求める。更に、上記の方法に従って各液体コンディショニング組成物のブルックフィールド粘度を求める。結果を表6Bに示す。
【0210】
【表9】
LR400:ポリクオタニウム-10;SEC(MW)=400,000;カチオンDoS=0.19
Celquat L200:ポリクオタニウム-4;SEC(MW)=303,000;カチオンDoS=0.45
ポリグルカンエーテル:本開示によるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物;SEC(MW)=145,000;カチオンDoS=0.50;トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基で置換
【0211】
表6Bの結果は、本開示によるグルカンエーテル化合物が、他の既知のカチオン性多糖類によって提供されるものと同様の柔軟性効果(セカント係数データによって示される)を提供できることを示す。しかしながら、グルカンエーテル化合物に関連する生成物粘度は、他の組成物よりも比較的低い。粘度が低いほど、分注経験が改善され、機械残渣が少なくなり得る。
【0212】
実施例7.液体布地増強剤中のカチオン性ポリグルカンのフレッシュネスの例
以下の試験を実行して、特定のカチオン性ポリグルカン化合物の存在が、液体コンディショニング組成物のフレッシュネス性能を改善できることを示す。
【0213】
上記の布地調製方法に従って布地を処理する。液体コンディショニング組成物は、以下の表7に示す式による液体布地強化剤である。式VIIIは、カチオン性ポリグルカン化合物を含み、比較例としての式VIIは、含まない。各実施例について、1用量あたり48.5グラムの液体布地強化剤を添加する。処理後、上記の方法に従ってガスクロマトグラフィー機器を使用して布地ヘッドスペース分析を行う。結果を下の表7に示す。
【0214】
【表10】
ポリグルカンエーテル:本開示によるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物;SEC(MW)=145,000;カチオンDoS=0.50;トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基で置換
【0215】
表7に示すように、製剤VIIIで処理された布地は、ヘッドスペースにおいてより多量の香料材料を提供する。
【0216】
実施例8.追加の液体布地増強剤の例
表8は、追加の例示的な液体布地強化剤組成物を示す。
【0217】
【表11】
【0218】
実施例9.添加剤製剤及び柔軟性効果
この実施例は、固体パスティル添加剤製剤中のカチオン性ポリグルカン化合物の特定の効果を示す。上記の布地調製法に従って布地を処理し、洗浄サイクルでパスティル添加剤を添加する。パスティル添加剤の組成は、以下の表9に示す式に従う。式XVは、カチオン性ポリグルカン化合物を含み、比較例としての式XIVは、含まない。各実施例について、1用量あたり32gのパスティル添加剤製剤を添加する。処理後、上記の方法に従ってInstron機器を使用してセカント係数を求める。結果を下の表9に示す。
【0219】
【表12】
PEG:ポリエチレングリコール(PLURIOL E8000、BASF製)
ポリグルカンエーテル:本開示によるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物;SEC(MW)=139,000;カチオンDoS=0.40;トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基で置換
【0220】
表9に示すように、製剤XVで処理された布地は、比較製剤XIVと比較して比較的低いセカント係数値を提供し、これは改善された柔軟性を示す。
【0221】
実施例10.洗剤製剤及び香料付着
この実施例は、重質液体洗剤におけるカチオン性ポリグルカン化合物の特定の効果を示す。より具体的には、液体洗剤組成物(液体GAIN(登録商標)、The Procter & Gamble Company製)にカチオン性ポリグルカン化合物を添加し、次いで、洗剤を使用して、布地を処理する。処理された布地を平均香料付着について評価し、これを、未改変の洗剤で処理された布地と比較する。
【0222】
布地への平均香料付着を、以下の通り求める。設定体積のアルコール系溶媒を使用して、秤量した布地を抽出して、香料成分を除去する。次いで、溶質を内部標準と合わせ、GC-MSに注入する。典型的なクロマトグラフィー技術を使用して、香料ピークを同定し、定量的値に統一する。
【0223】
結果を以下の表10に示す。
【0224】
【表13】
ポリグルカンエーテル:本開示によるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物;SEC(MW)=139,000;カチオンDoS=0.40;トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基で置換
【0225】
表1の結果によれば、本開示によるポリグルカンを含む液体洗濯洗剤では、香料の付着が相対的に増加した。
【0226】
実施例11.洗剤及び柔軟性
この実施例では、市販されている重質洗濯洗剤(液体BOLD(登録商標)洗剤、日本で販売されているもの、Procter & Gamble製)を提供する。本開示によるポリグルカンは、洗剤の一部に提供される。布地のサンプルを各洗剤で洗浄し、パネルによって柔軟性についてスコア化する。結果を表11に提供する。
【0227】
【表14】
ポリグルカンエーテル:本開示によるポリα-1,3-グルカンエーテル化合物;SEC(MW)=139,000;カチオンDoS=0.40;トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基で置換
【0228】
表11の結果によれば、本開示によるポリグルカンを含む液体洗濯洗剤では、相対的に柔らかい布地が得られた。
【0229】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0230】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、或いはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0231】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】