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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】ミント風味組成物
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20230526BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20230526BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20230526BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20230526BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20230526BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20230526BHJP
【FI】
C11B9/00 B
C11B9/00 C
C11B9/00 H
C11B9/00 G
C11B9/00 D
C11B9/00 T
C11B9/00 M
C11D3/50
A61K8/9789
A61Q11/00
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/35
A61Q13/00 101
A23L27/00 C
A23L27/10 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564676
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 US2021029774
(87)【国際公開番号】W WO2021222487
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/018,528
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ、カビン、モーガン、ザ、サード
(72)【発明者】
【氏名】ローウェル、アラン、サンカー
(72)【発明者】
【氏名】ドーン、ルイーズ、アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン、ハミルトン、ホーク、ザ、セカンド
(72)【発明者】
【氏名】チンシン、レイ
【テーマコード(参考)】
4B047
4C083
4H003
4H059
【Fターム(参考)】
4B047LB03
4B047LB08
4B047LB09
4B047LE02
4B047LG12
4B047LG43
4B047LP01
4B047LP02
4B047LP05
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB472
4C083AC031
4C083AC032
4C083AD531
4C083AD532
4C083CC41
4C083DD22
4C083KK02
4H003BA15
4H003DA02
4H003FA26
4H059BA01
4H059BA02
4H059BA12
4H059BA14
4H059BA17
4H059BA23
4H059BA35
4H059BA36
4H059BA64
4H059BC23
4H059DA09
4H059EA35
(57)【要約】
特定のミント風味成分を含むミント風味組成物は、天然由来のミント油のより費用効果の高い代替物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着香料を作製する方法であって、
(a)Mentha属植物を水蒸気蒸留して、第1のミント蒸留物を製造するステップであって、
前記第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも25ピーク面積パーセントのリモネンを含み、
前記第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも25ピーク面積パーセントの1つ又は2つ以上のミント風味成分を更に含み、これらのミント風味成分の各々が、摂氏155~183度の沸点を有する、ステップと、
(b)前記第1のミント蒸留物が、0.5%~6.0重量%の前記着香料を含むように、前記製造された第1のミント蒸留物を追加ミント風味成分に組み合わせるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
155~183度の沸点を有する前記ミント風味成分が、アルファ-ピネン、カンフェン、サビネン、ベータ-ピネン、ミルセン、アルファ-テルピネン、3-オクタノール、ユーカリプトール、p-シメン、シス-オシメン、ガンマ-テルピネン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、前記のミント風味成分のうちの少なくとも4つ、より好ましくは、少なくとも5つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のミント蒸留物が、1,000パーツ・パー・ミリオン(重量/重量でのPPM)未満、好ましくは、200PPM未満、より好ましくは、30PPM未満の硫黄化合物を含み、好ましくは、前記硫黄化合物は、ジメチルスルフィド、ジメチルスルホキシド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、及びそれらの組み合わせから選択され、より好ましくは、前記硫黄化合物が、ジメチルスルフィドである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、25~75、好ましくは、30~70、より好ましくは、35~65、更により好ましくは、40~60ピーク面積パーセントのリモネンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のミント蒸留物が、前記組成物の約2重量%~約10重量%、好ましくは、約2.4重量%~約8.0重量%、より好ましくは、約2.5重量%~約7.5重量%の、リモネン、ラセミリモネン、(-)-リモネン、(+)-リモネン、及び/又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のミント蒸留物が、摂氏155~183度の沸点を有する、25~75、好ましくは、30~70、より好ましくは、35~65、更により好ましくは、40~60ピーク面積パーセントの前記ミント風味成分を含み、好ましくは、摂氏155~183度の沸点を有する前記ミント風味成分が、少なくともピネンであり、より好ましくは、前記第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも15、好ましくは、少なくとも20、より好ましくは、22~40、更により好ましくは、25~35ピーク面積パーセントのピネンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ピネンが、ベータ-ピネンを含み、好ましくは、前記第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも5、より好ましくは、少なくとも10、更により好ましくは、10~25、その上更により好ましくは、12~20ピーク面積パーセントのベータ-ピネン、及び/又は前記ミント風味組成物の約0.01重量%~約3重量%、好ましくは、約0.5重量%~約3重量%の、ベータ-ピネン、ラセミベータ-ピネン、(-)-ベータ-ピネン、(+)-ベータ-ピネン、及び/又はそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ピネンが、アルファ-ピネンを含み、好ましくは、前記第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも5、より好ましくは、少なくとも7、更により好ましくは、8~20、更になおもより好ましくは、10~15ピーク面積パーセントのアルファ-ピネン、及び/または前記組成物の約0.01重量%~約10重量%、好ましくは、約0.1重量%~約5重量%、より好ましくは、1重量%~約5重量%の、アルファ-ピネン、ラセミアルファ-ピネン、(-)-アルファ-ピネン、(+)-アルファ-ピネン、及び/若しくはそれらの組み合わせを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
摂氏155~183度の沸点を有する前記ミント風味成分が、少なくともユーカリプトールであり、好ましくは、前記第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも1、より好ましくは、少なくとも3、更により好ましくは、3~10、更になおもより好ましくは、4~8ピーク面積パーセントのユーカリプトールを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
摂氏155~183度の沸点を有する前記ミント風味成分が、以下:
(i)サビネンであって、好ましくは、前記第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも1、より好ましくは、2~6ピーク面積パーセントのサビネンを含む、サビネン、及び
(ii)パラ-シメンであって、前記第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも1、より好ましくは2~8ピーク面積パーセントのパラ-シメンを含む、パラ-シメン
のうちの少なくとも1つ、好ましくは、両方である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、メントン及びメントールである、5未満、より好ましくは、3未満、及びなおもより好ましくは、1未満のピーク面積パーセントの追加ミント風味成分を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第2のミント蒸留物を前記第1のミント蒸留物及び前記追加ミント風味成分に組み合わせるステップを更に含み、前記第2のミント蒸留物が、
(i)前記第2のミント蒸留物の少なくとも10重量%、好ましくは、少なくとも15重量%、より好ましくは、少なくとも20重量%、更により好ましくは、少なくとも25重量%のビリジフロロールと、
(ii)前記第2のミント蒸留物の30重量%未満、好ましくは、20重量%未満、より好ましくは、15重量%未満、更により好ましくは、10重量%未満のミントスルフィドと、
(iii)任意選択的に、ゲルマクレンDであって、好ましくは、前記第2のミント蒸留物の少なくとも0.1重量%、より好ましくは、少なくとも0.5重量%、更により好ましくは、1~10重量%のゲルマクレンDと、
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のミント蒸留物が、0.01~5.0重量パーセントの前記着香料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記追加ミント風味成分が、以下:
(a)3-ヘキセン-1-オールであって、好ましくは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.01~0.1、より好ましくは、0.01~0.05、更により好ましくは、0.01~0.03ピーク面積パーセントの、3-ヘキセン-1-オール、
(b)Lei-Hoke方法Iによって決定される、9.2~20、好ましくは、9.5~15、より好ましくは、10.0~13ピーク面積パーセントのC1016モノテルペンであって、前記C1016モノテルペンが、サビネン、ミルセン、カンフェン、アルファ-テルピネン、シス-オシメン、アルファ-ツジェン、デルタ-3-カレン、ガンマ-テルピネン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、リモネン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、前記C1016モノテルペンが、以下:サビネン、ミルセン、カンフェン、アルファ-テルピネン、シス-オシメン、アルファ-ツジェン、デルタ-3-カレン、ガンマ-テルピネン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、及びリモネンから選択される少なくとも5つを含む、C1016モノテルペン、
(c)Lei-Hoke方法Iによって決定される、総含有量で3.5未満、好ましくは、0.01~2.2、より好ましくは、0.1~2、更により好ましくは、0.2~1.8ピーク面積パーセントの、ネオメントール、イソメントール、及び/又はネオイソメントール、
(d)メントールであって、Lei-Hoke方法Iによって決定される、好ましくは、40.0~45.0、好ましくは、41.5~45.0ピーク面積パーセントの、メントール、
(e)(+)-及び(-)-メントールであって、好ましくは、(+)-メントール:(-)-メントールのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IIによって決定される、0.2~0.4、好ましくは、0.21~0.35である、(+)-及び(-)-メントール、
(f)メントール及びメントンであって、好ましくは、メントール:メントンのピーク面積比が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、1.6~2、好ましくは、1.7~1.9である、メントール及びメントン、
(g)ジヒドロミントラクトンであって、好ましくは、ジヒドロミントラクトンは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.035~0.500、好ましくは、0.040~0.300、より好ましくは、0.045~0.100ピーク面積パーセントである、ジヒドロミントラクトン、
(h)(-)-リモネンであって、Lei-Hoke方法Vによって決定される、4.00~7、好ましくは、4.30~6ピーク面積パーセントである、(-)-リモネン、
(i)アルファ-ピネンであって、好ましくは、前記アルファ-ピネンが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、1.90~5、好ましくは、2.00~4、より好ましくは、2.20~3.5ピーク面積パーセントであり、より好ましくは、(-)-アルファ-ピネン:(+)-アルファ-ピネンのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IVによって決定される、3.0~6、好ましくは、3.1~5、好ましくは、3.2~4.7である、アルファ-ピネン、
(j)(-)-ベータ-ピネンであって、好ましくは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、1.1~5、好ましくは、1.2~3、より好ましくは、1.5~2.5ピーク面積パーセントの、(-)-ベータ-ピネン、
(k)ベータ-ピネンであって、好ましくは、前記ベータ-ピネンが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、2.2~5.0、好ましくは、2.3~4.0、好ましくは、2.4~3.0ピーク面積パーセントであり、より好ましくは、(-)-ベータ-ピネン:(+)-ベータ-ピネンのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IVによって決定される、3~8、好ましくは、4~7、より好ましくは、4.7~6.0である、ベータ-ピネン、
(l)(-)-リナロールであって、好ましくは、前記(-)-リナロールが、Lei-Hoke方法Vによって決定される、0.117~0.2、好ましくは、0.120~0.200、より好ましくは、0.125~0.190ピーク面積パーセントであり、好ましくは、(-)-リナロール:(+)-リナロールのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IVによって決定される、0.5~2.5、好ましくは、0.9~2.3である、(-)-リナロール、
(m)酢酸メンチルであって、好ましくは、前記酢酸メンチルが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、5.5~6.5、好ましくは、5.8~6.5ピーク面積パーセントを有し、より好ましくは、(+)-酢酸メンチル:(-)-酢酸メンチルのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IIによって決定される、0.1~0.980、好ましくは、0.7~0.980である、酢酸メンチル、
(n)酢酸メンチル、ユーカリプトール、及びメントフランであって、好ましくは、酢酸メンチル:メントフランのピーク面積比が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、60~225、好ましくは、61~200、より好ましくは、62~185であり、より好ましくは、ユーカリプトール:メントフランのピーク面積比が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、40~115である、酢酸メンチル、ユーカリプトール、及びメントフラン、
(o)(+)-ネオメントールであって、好ましくは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、0.2~1.5、好ましくは、0.4~1ピーク面積パーセントの、(+)-ネオメントール、
(p)(-)-及び(+)-ネオメントールであって、好ましくは、Lei-Hoke方法IIによって決定される、0~0.95、好ましくは、0.2~0.90の(-)-ネオメントール:(+)-ネオメントールのピーク面積比である、(-)-及び(+)-ネオメントール、
(q)メントール及びネオメントールであって、好ましくは、メントール:ネオメントールのピーク面積比が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、19~80、好ましくは、25~60、より好ましくは、30~55である、メントール及びネオメントール、
(r)イソメントンであって、好ましくは、イソメントンのピーク面積パーセントが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、5~10、好ましくは、5.2~9である、イソメントン、
(s)リモネンであって、好ましくは、リモネンのピーク面積パーセントが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、3.80~8、好ましくは、4.00~7、より好ましくは、4.30~6.50であり、より好ましくは、(-)-リモネン:(+)-リモネンのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IVによって決定される、5~40、好ましくは、11~35である、リモネン、
(t)チモールであって、好ましくは、チモールのピーク面積パーセントが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.03~0.15、好ましくは、0.05~0.10である、チモール、
(u)ユーカリプトールであって、好ましくは、ユーカリプトールが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、3~5.5、好ましくは、3.5~5ピーク面積パーセントである、ユーカリプトール、
(v)メントフランであって、好ましくは、メントフランが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.01~0.1ピーク面積パーセントである、メントフラン、
(w)ピペリトンであって、好ましくは、前記ピペリトンが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.1~1.0、好ましくは、0.2~0.7ピーク面積パーセントであり、より好ましくは、(-)-ピペリトン:(+)-ピペリトンのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IVによって決定される、2~18、好ましくは、5~15である、ピペリトン、並びに
(x)イソプレゴールであって、好ましくは、前記イソプレゴールが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.20~0.60、好ましくは、0.21~0.50ピーク面積パーセントである、イソプレゴール、
のうちの少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つ、より好ましくは、少なくとも3つ、更により好ましくは、少なくとも4つ、なおもより好ましくは、少なくとも5つ、更になおもより好ましくは、少なくとも6つ、又は7~24個から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
追加ミント風味成分を添加するステップが、前記着香料が、前記着香料の80重量%超、好ましくは、85%重量超、より好ましくは、90重量%超、更により好ましくは、93重量%超の合成ミント風味成分を含むように、合成の追加ミント風味成分を添加することを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、ミント風味を消費者製品に付与することが可能なミント風味組成物、及び同組成物を含有する消費者製品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
ミント風味、並びにペパーミント及びスペアミントなどのMentha属から生じる風味は、菓子、パーソナルケア、及び口腔ケアを含む広範囲の消費者製品カテゴリーにとって重要である。ミント風味の普遍性を考慮すると、多くの消費者は、高品質のミント風味体験において期待される風味の鋭い感覚を発達させている。更に、一部の消費者は、加えて、多くのミント風味消費者製品において冷却感を期待するようになっている。したがって、ミント風味プロファイルは、多くの場合、ミント風味消費者製品の消費者の全体的な評価における決定的要因である。
【0003】
1つのミント着香源は、Menthagenus属から抽出及び/又は蒸留される天然ミント油を組み込むことを含む。ミント着香の天然源に関する問題は、特に、その中の成分の複雑性を考慮すると、消費者製品中の他の配合成分と負に相互作用して、変色、負及び/若しくは不安定な風味プロファイルなどの望ましくない結果を生じ、並びに/又は活性成分をあまり効果的ではなくし得る、1つ又は2つ以上の成分の存在を含む。高級な例としては、天然ミント油を含有する第一スズ練り歯磨きが挙げられる。これらの配合物のうちのいくつかは、経時的に硫黄臭を生成するように還元剤として作用する、第一スズを示す。この問題は、異なる植物の種類、領域、更には異なる成長の季節から収集された天然ミント油を有することによって、ほぼ間違いなく更に悪化し、最終的なミント風味組成物及び/又は全体的な消費者製品配合物を製造する際に考慮される必要があり得る動的変数を導入する。その結果として、これは、消費者製品配合設計及び製造において複雑さ及び予測不可能性を望ましくないほど増加させる。
【0004】
実質的に合成のミント風味組成物を配合する試行がある。しかしながら、これらの試行は、多くの課題のうちの少なくとも1つに遭遇する。第1に、消費者の期待を満たすミント風味プロファイルを合成的に複製することは、非常に困難である。実際、ミント油は、化学的組成の観点から複雑であり、味覚及び嗅覚の生物学的プロセスもまた、複雑である。更に、多くの消費者は、ミント風味の普遍性を考慮すると、高品質のミント風味プロファイルにおいて期待される風味についてかなり鋭い意見を持っている。したがって、高品質のミント風味プロファイルについて消費者の期待を満たす、実質的に合成のミント風味を開発することは十分に困難である。しかしながら、特に、より低い利幅の消費者製品について、この合成アプローチが商業的に実行可能であるために、費用は、少なくとも等価であり、好ましくは、大量の天然ミント油を含有するミント着香への一流のアプローチよりも安価であるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
要約すると、費用効果が高く、大量の天然ミント油を含有する一流のアプローチによって別様に提供されるミント風味プロファイルと本質的に平価である、主に合成のミント風味組成物を提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、高品質のミント風味プロファイルを提供し、冷却感を付与し、重要なこととして費用効果の高い、主に(例えば、合成成分の75重量%超、好ましくは更に90重量%超)合成的に導出されたミント風味組成物の驚くべき発見に基づく。この発見は、記載される1つ又は2つ以上の問題に対する費用効果の高い解決策を提供することに役立つ、立体化学(例えば、エナンチオマー)の役割についての(100回超の異なる配合反復からの)観察に少なくとも部分的に基づく。具体的には、非天然キラル異性体及び比率を含む特定の合成ラセミミント風味成分を添加することによって、製造するための費用効果が著しく高い、心地良くて爽やかなミント風味プロファイルを有するミント風味組成物を製造することが可能であることが、驚くべきことに発見されている。重要な原価増減因は、天然源又は合成の純粋なエナンチオマーに対して概してより費用効果が高いため、ミント風味成分の合成ラセミ源の大幅な使用である。しかしながら、対応するラセミ合成成分との天然エナンチオマーの単純な置き換えは、成功した風味プロファイルのために十分ではない。むしろ、ラセミ及び純粋なエナンチオマー成分の最適化された平衡が、成功した風味プロファイルのために必要であることが観察される。更に、特定の高級なミント風味成分の量を減少又は増加させることが、この成功を達成することに役立ち得る。その上更に、特定の非古典的成分の添加もまた、役立ち得る。この最後の時点までに、例えば、特定の成分が、この費用効果の高い解決策を達成するために全体的なミント風味プロファイルに影響を与えることに役立つ化学修飾剤として作用し得ることも、驚くべきことに発見されている。これらの発見は、従来の知識とは反対であり、理論に拘束されることを望むものではないが、ミント油におけるラセミ/非天然エナンチオマー成分の使用が、非天然エナンチオマーによって示される、強い(不平衡な)若しくは異なる匂い特性、及び/又はより弱い冷却プロファイルに起因して、高品質の天然ミント油の粗悪化と見なされることを示唆している。これらのエナンチオマーの平衡を選択的に保つこと、及び/又は特定の成分の使用、並びに/若しくは特定の成分のレベルを調整することによって、満足できるミント風味プロファイルを伴うミント風味組成物が、主に合成成分から、結果として、天然に存在しないエナンチオマーの比較的多い使用から作製することができる。
【0007】
本発明の一態様は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、C1016モノテルペンである、9.2~20、好ましくは、9.5~15,より好ましくは、10.0~13ピーク面積パーセントのミント成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。
【0008】
本発明の別の態様は、アルファ-ピネンであるミント風味成分を含むミント風味組成物を提供し、アルファ-ピネンは、(a)Lei-Hoke方法Iによって決定される、1.90~5、好ましくは、2.00~4、より好ましくは、2.20~3.5ピーク面積パーセントと、(b)Lei-Hoke方法IVによって決定される、3.0~6、好ましくは、3.1~5、より好ましくは、3.2~4.7の(-)-アルファ-ピネン:(+)-アルファ-ピネンのピーク面積比とを有する。
【0009】
本発明の別の態様は、Lei-Hoke方法Vによって決定される、1.1~5、好ましくは、1.2~3、より好ましくは、1.5~2.5のミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。
【0010】
本発明の別の態様は、Lei-Hoke方法Vによって決定される、0.117~0.2、好ましくは、0.120~0.200、より好ましくは、0.125~0.190ピーク面積パーセントの(-)-リナロールと、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。
【0011】
本発明の別の態様は、(+)-及び(-)-メントールであるミント風味成分であって、(+)-及び(-)-メントールが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、40.0~45.0、好ましくは、41.5~45.0ピーク面積パーセントを有し、(+)-メントール:(-)-メントールのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IIによって決定される、0.2~0.4、好ましくは、0.21~0.35である、ミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。
【0012】
本発明の別の態様は、ジヒドロミントラクトンであるミント風味成分であって、ジヒドロミントラクトンが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.035~0.500、好ましくは、0.040~0.300、より好ましくは、0.045~0.100ピーク面積パーセントである、ミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、酢酸メンチルであるミント風味成分であって、酢酸メンチルが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、5.5~6.5、好ましくは、5.8~6.5ピーク面積パーセントを有し、(+)-酢酸メンチル:(-)-酢酸メンチルアのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IIによって決定されるように、0.1~0.980、好ましくは0.7~0.980である、ミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。
【0014】
本発明の別の態様は、(+)-及び(-)-メントンであるミント風味成分であって、(+)-及び(-)-メントンが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、21~26、好ましくは、22.0~26.0ピーク面積パーセントを有し、(+)-メントン:(-)-メントンのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IIIによって決定される、0.9~1、好ましくは、0.91~0.99である、ミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。
【0015】
本発明の別の態様は、80重量パーセント(重量%)超、好ましくは、85重量%超、より好ましくは、90重量%超、更により好ましくは、93重量%の合成成分を含む、ミント風味組成物を提供する。
【0016】
本発明の別の態様は、着香料/ミント風味組成物を作製する方法であって、(a)Mentha属植物を水蒸気蒸留して、第1のミント蒸留物を製造するステップであって、第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも25ピーク面積パーセントのリモネンを含み、第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも25ピーク面積パーセントの1つ又は2つ以上のミント風味成分を更に含み、これらのミント風味成分の各々が、摂氏155~183度の沸点を有する、ステップと、(b)第1のミント蒸留物が、0.5%~6.0重量%の着香料/ミント風味組成物を含むように、製造された第1のミント蒸留物を追加ミント風味成分に組み合わせるステップとを含む、方法を提供する。
【0017】
本発明の別の態様は、前述のミント風味組成物を含む着香料を提供する。
【0018】
本発明の別の態様は、前述の着香料及び担体を組み合わせて、消費者製品を作製するステップを含む、消費者製品を作製する方法を提供する。
【0019】
本発明の別の態様は、前述のミント風味組成物又は前述の着香料と、任意選択的な担体とを含む、消費者製品を提供する。
【0020】
本明細書のミント風味組成物中の主に合成成分の使用において提供される利点は、天然ミント油によって別様に示され得る、天然ミント組成物、品質、感覚、特性、及び/又は費用における季節性又は地理的変動の低減である。
【0021】
本明細書のミント風味組成物中の主に合成成分の使用において提供される利点は、消費者配合物、特に、第一スズイオンなどの還元剤を含有するものにおいて、感覚安定性(例えば、風味プロファイル)を提供することに役立つことである。
【0022】
主に合成成分の使用において提供される利点により、別様に風味プロファイルに実質的に寄与しない成分を最小限化しながら、全般的に、他の配合成分(例えば、第一スズイオン)との負の相互作用を最小限化することに役立つ。
【0023】
ミント風味成分の特定の合成ラセミ源の使用において提供される利点は、費用削減である。
【0024】
本明細書のミント風味組成物(並びに同組成物を含有する着香料及び消費者製品)における利点は、消費者に好ましいミント風味プロファイルである。着香料は、好ましい芳香プロファイルを有し、また、完成した消費者製品と関連すると、それをよく示す。
【0025】
本発明のこれらの並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本明細書は、本発明を特に規定し、かつ明確に特許請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付図面の以下の説明からより深く理解されると考えられる。
図1図1-1~図1-3は、発明及び比較例における特定のミント風味成分のピーク面積パーセント及びエナンチオマーピーク面積比の比較の表である。
図2図2-1及び図2-2は、発明及び比較例における特定の追加ミント風味成分のピーク面積パーセント及びエナンチオマーピーク面積比の比較の表である。
図3図3-1及び図3-2は、発明及び比較例における特定の更なる追加ミント風味成分のピーク面積パーセント及びエナンチオマーピーク面積比の比較の表である。
図4図4-1及び図4-2は、発明及び比較例におけるミント風味成分のピーク面積パーセントの比較の表である。
図5図5-1及び図5-2は、発明及び比較例における追加ミント風味成分のピーク面積パーセントの比較の表である。
図6図6-1及び図6-2は、発明及び比較例における更なる追加ミント風味成分のピーク面積パーセントの比較の表である。
図7図7-1及び図7-2は、発明及び比較例における特定のミント風味成分テルペンのピーク面積パーセント及びピーク面積比の比較の表である。
図8図8-1及び図8-2は、発明及び比較例におけるメントールのピーク面積パーセント及びピーク面積比の表である。
図9図9-1及び図9-2は、発明及び比較例におけるミント風味成分のピーク面積パーセント及びピーク面積比の表である。
図10図10-1及び図10-2は、発明及び比較例における追加ミント風味成分のピーク面積パーセント及びピーク面積比の表である。
図11】第1のミント蒸留物(本明細書に記載のミント風味組成物/着香料を作製する方法で有用である)を含む、ミント風味成分及びそれらのピーク面積パーセントの表である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」を含む冠詞は、特許請求又は記載されるもののうちの1つ又は2つ以上を意味すると理解される。
【0028】
本明細書で使用される場合、記号「/」及び「:」は、記号の両側に配置される2つのアイテムの比を示すために、様々な状況で同義的に使用される。この比率は、例えば、具体的なエナンチオマーミント風味成分の比、又は目的のミント風味成分のピーク面積比を含み得る。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprise、comprises、comprising)」、「包含する(include、includes、including)」、「含有する(contain、contains、containing)」という用語は、非限定的であることを意味し、即ち、最終結果に影響を及ぼすことのない他のステップ及び他の部分を加えることができる。上記用語には、「からなる」及び「から本質的になる」という用語が包含される。
【0030】
本明細書で使用される場合、「ミント風味組成物」は、以下の37個のミントの風味成分のうちの少なくとも1つ又は2つ以上、好ましくは、少なくとも2つ、より好ましくは、少なくとも3つ、更により好ましくは、少なくとも4つ又は5つ以上、更になおもより好ましくは、5~36個、代替的に、10~35、15~30、20~31、25~32、又は12~29個を含む、組成物を意味する。ひいては、本明細書で使用される場合、「ミント風味成分」は、メントン、イソメントン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、リモネン、メントール、ネオメントール、イソメントール、ネオイソメントール、酢酸メンチル、リナロール、テルピネン-4-オール、イソプレゴール、ピペリトン、ジヒドロミントラクトン、ユーカリプトール、チモール、ビリジフロロール、3-ヘキセン-1-オール、メントフラン、カリオフィレン、カルボン、サビネン、ミルセン、カンフェン、アルファ-テルピネン、シス-オシメン、アルファ-ツジェン、デルタ-3-カレン、ガンマ-テルピネン、3-オクタノール、トランス-サビネン水和物、ゲルマクレンD、デルタ-カジネン、p-シメン、プレゴン、及びアルファ-テルピネオールからなる群から選択される成分を意味する。未発表の内部研究では、調香師は、これら37個の成分の大部分が、概ねMentha属と関連付けられる市販のミント組成物で見出され、したがって、許容されるミントプロファイルをユーザに提供する組成物で表立って必要であると考えている。これらのミント風味成分は、図1~6の表及び付随する脚注で特定される。ミント風味組成物は、着香料及び/又は消費者製品内に含有することができる。
【0031】
本明細書で使用される場合、その立体化学に対する限定条件がない「ミント風味成分」の言及は、成分のエナンチオマー(例えば、ラセミ混合物及び同等物)を含むことを意図している。対照的に、具体的なエナンチオマーの言及は、特定されたエナンチオマーを含むことのみを意図している。例証目的のために、「メントール」という用語の言及が、両方のエナンチオマーの合計(すなわち、(+)-及び(-)-メントール)を意味する一方で、具体的なエナンチオマーを参照するとき、それは、そのまま、すなわち、(+)-メントール又は(-)-メントールのいずれかとして特定される。13個のエナンチオマー対についての具体的なデータが、図1~3の表内に提供される。
【0032】
概して、着香料は、典型的には、芳香、味、及び/又は三叉神経衝撃の人間の知覚を誘発し、消費者製品におけるそれらの意図された使用のために安全である、化学成分である。本発明の着香料は、ミント風味組成物と、任意選択的な成分とを含む。これらの任意選択的な成分は、多種多様な天然及び合成の非ミント風味成分、微量成分、及び/又は溶媒を含み得る。1つの着香料は、第2、第3、又はそれ以上の着香料と組み合わされ(消費者製品の作製において直接又は連続的に)、最終的な風味を提供することができる。限定するものではないが、本発明の着香料は、ミント、ウィンターグリーン、又はスペアミント風味プロファイルを有するものとして表され得る。代替的に、限定するものではないが、本明細書の着香料は、柑橘類(例えば、レモン)、香辛料(例えば、シナモン)、又は甘味(例えば、バニラ)などの様々な主要風味プロファイルのいずれかのうちの1つを有し得、同着香料は、(全体的な風味プロファイルの)微量香調又はファセットとしてミントを有する。本発明の着香料は、多種多様の消費者製品内で使用され得る。すなわち、本発明の着香料は、消費者製品を作製するために他の成分(例えば、担体)と組み合わせることができる。着香料は、消費者製品内で安全かつ効果的なレベルであるように組み合わされる。
【0033】
消費者製品は、そのエンドユーザ(すなわち、消費者)によって使用されることを意図している最終形態である。着香料は、消費者製品のユーザの選好及び楽しみを増すために重要である。消費者製品の非限定的な例としては、食品及びパーソナルケア製品が挙げられる。これらの消費者製品は、家庭又は機関ユーザのために設計することができる。
【0034】
Lei-Hoke方法I-V
いくつかの方法が、特に、以下のものなどの多くの文献の方法として、ミント風味組成物の徹底的な特性評価のために必要とされる:J.Rohloff,「Monoterpene Composition of Essential Oil from Peppermint(Mentha x piperita L.)with Regard to Leaf Position Using Solid-Phase Microextraction and Gas Chromatography/Mass Spectrometry Analysis」,J.Agric.Food Chem.47(1999)3782-3786 and W.M.Coleman,III,B.M.Lawrence、及びS.K.Cole,「Semiquantitative Determination of Off-Notes in Mint Oils by Solid-Phase Microextraction」,J.Chromatogr.Sci.,40(2002)133-139は、主要なミント風味組成物の主要エナンチオマー対の分離を提供せず、これは、M.L.Ruiz del Castillo,G.P.Blanch,and M.Herraiz,「Natural Variability of Enantiomeric Composition of Bioactive Chiral Terpenes in Mentha Piperita」,J.Chromatogr.A,1054(2004)87-93、及びB.M.Lawrence,「The Composition of Commercially Important Mints」,In Mint The genus Mentha,Ed.by Brian M.Lawrence.CRC Press,Taylor&Francis Group,2007,Chapter 7,pp.217-324に記載されている。この場合、本ミント風味組成物が、少なくとも部分的に、天然に存在しないミント風味成分エナンチオマー及び合成ラセミ化合物の選択的で最適な使用によって規定される場合、ミント風味組成物のアキラル及びキラルミント風味成分を特性評価することが必要である。これらの方法は、ミント風味組成物を含有する着香料及び消費者製品に適用可能である。5つの方法が、この特性評価のために提供され、表Aに要約される。記載される主要なエナンチオマー対のベースライン又は近ベースライン分離を取得するという課題により、3つの別個のキラル固定相が利用され、Lei-Hoke方法II、III、及びIVとして特定される。
【0035】
【表1】
【0036】
LHM I
サンプル中のミント風味成分のピーク面積パーセントのアキラル決定のためのLei-Hoke方法Iが記載される。方法Iは、ガスクロマトグラフィー質量選択検出部(「GC-MSD」)による着香料及び消費者製品内に含有されるミント風味組成物中のミント風味成分のピーク面積パーセントを決定するための詳細を含み、以下の節を伴う:(i)試料調製、(ii)ガスクロマトグラフィー(GC)分離条件、(iii)質量分析計検出部(MSD)較正、(iv)質量分析計データ収集、及び(v)質量分析計データ処理。
【0037】
Lei-Hoke方法I:サンプル調製。消費者製品を構成する、着香料と広範囲の材料とを含む、多数の成分を考慮して、特に、液体、半固体、クリーム、ゲル、トローチ剤、チューインガム、ペースト、固体などを含む、製品形態の多様性を考慮して、サンプル分析への全般的アプローチが、LHM Iにおいて提供される。しかしながら、この可能性の幅広さを考慮して、任意の所与の着香料又は消費者製品サンプルについて、当業者がサンプル調製を行い、サンプリング、希釈、及び/又は抽出効率が(元のサンプルに対して)各ミント風味成分の90重量%(wt%)超、好ましくは、95重量%超の代表的分析を確認することを保証することが予想される。具体的には、各ミント風味成分は、その元のマトリクスに関係なく、LHM Iによる分析のために利用可能にされ、ミント風味成分の代表的分布がLHM Iによって分析される形態で、捕捉される。例えば、液液抽出を使用する場合、全てのミント風味成分が、消費者製品マトリクスから90重量%超にて有機溶媒に抽出され、記載されるLHM Iの後続の節で詳述されるように分析するべきである。90%超の抽出効率を確認することは、所与のサンプルの反復抽出を実施し、続いて、別々に抽出物の分析を実施して、最初の抽出後に有意量のミント風味成分が回収されないことを保証することによって、達成され得る。
【0038】
ほとんどの場合、これらのサンプルが着香料であるか消費者製品であるかにかかわらず、LHM Iによって分析されたミント風味組成物含有サンプルは、注入用のサンプルに含有されるミント風味組成物が、液体中で約3,000パーツ・パー・ミリオン(PPM、体積/体積、又はv/v)であるように、GC-MSDへの注入の前に、ヘキサンなどの有機溶媒で抽出又は希釈するべきである。(元のサンプルに対して)各ミント風味成分の90重量%超の代表的分析を保証するサンプル調製のための選択肢には、(1)(適用可能である場合)サンプルの直接分析、(2)有機溶媒又は溶媒の混合物中のサンプルの希釈、又は(3)消費者製品サンプルを潜在的に粉砕して、次いで、水溶液又は塩水溶液中で分散及び/又は混合し、続いて、固相又は液液抽出を行うことが含まれる。これらのプロセスが完了すると、ミント風味組成物含有サンプル又はその抽出物は、各ミント風味組成物の90重量%超を含有することとなり、全てのミント風味成分の合計は、ヘキサンなどの有機溶媒を含む混合物中で約3,000PPM(v/v)になる。これは、LHM Iに従ったGC-MSDへの液体注入による分析に好適である、液体中のミント風味組成物濃度(分析のための調製後にサンプルに含有される)の目標である。
【0039】
また、回避するべきサンプル調製又は抽出条件もある。例えば、ミント風味成分の分配の差異により、静的ヘッドスペース又はヘッドスペース固相マイクロ抽出(HS-SPME)サンプリングは、利用するべきではない。これらのサンプル調製物からの結果は、液体注入によって取得されたものとは異なり、サンプル中のミント風味成分ピーク面積パーセントを正確に表さない。J.Rohloff,J.Agric.Food Chem.47(1999)3782-3786;W.M.Coleman et al.,J.Chromatogr.Sci.,40(2002)133-139.加えて、静的ヘッドスペース又はHS-SPMEを用いると、各ミント風味成分の90重量%超がサンプリング及び分析のために利用可能である可能性は非常に低い。同様に、繊維上へのミント風味成分の分配が各ミント風味成分の特性に基づいて選択的であり、各ミント風味成分のピーク面積パーセントを正確に表さないため、浸漬SPMEも利用するべきではない。
【0040】
LHM Iを用いたサンプル調製の例として、ミント風味組成物を含有する着香油がある。LHM Iによる分析のための着香油サンプルの調製は、75μLのサンプルを25mLのクラスAメスフラスコにピペット採取することによって達成される。ヘキサンを用いた体積への希釈(J.T.Baker,Phillipsburg,NJ,USA)が実施され、3,000PPM(v/v)のミント風味組成物濃度を(サンプルから)作成する。次いで、ヘキサン中の希釈サンプルは、メスフラスコの繰り返しの逆転及び振盪によって徹底的に混合される。図1~10の発明の実施例1~4及び比較例A~O、並びに図11の「フロントカット」蒸留留分例が、この手順を利用して分析のために調製される。
【0041】
LHM Iを用いたサンプル調製の第2の例は、ミント風味組成物を含有する歯磨剤消費者製品である。この場合、液液抽出が利用され、それによって、歯磨剤サンプルは、水溶液は塩水溶液中で均質化及び分散される。次いで、得られた水性製品分散液が、ヘキサンなどの非極性溶媒で液液抽出される。有機溶媒の水性製品分散液に対する体積比が最適化されるため、液層は、遠心分離の有無にかかわらず容易に分離可能であり、全ての風味成分の抽出は、(元のサンプルに対して)90重量%超であり、(サンプルからの)ミント風味組成物の濃度は、抽出溶媒中で約3,000PPM(v/v)であり、GC-MSD全イオンクロマトグラム(TIC)中の最大ピークは、検出部を飽和させず、ミント風味組成物全体(すなわち、規定される37個までのミント風味成分を含む)に対して約0.01ピーク面積パーセントまでのピークが、全イオンクロマトグラムディスプレイを使用して統合することができる。歯磨剤サンプル、水性分散溶液、及び非極性抽出溶媒の間の比は、これらのパラメータを満たすように、かつ分析技術分野の当業者と一致して、正確なピーク面積パーセント結果につながる高品質のサンプル調製物を保証するように最適化される。
【0042】
サンプル調製が、GC-MSD分析に備えて、直接分析、希釈、又は粉砕及び/若しくは分散並びに/又は抽出を介して達成されるかどうかにかかわらず、(サンプルからの)ミント風味組成物は、全てのミント風味成分(すなわち、規定される37個までのミント風味成分を含む)の合計を考慮すると、約3,000PPM(v/v)の濃度で液体溶媒内に含有するべきである。混合後、約1.8mLのアリコートが、2mLのROBOオートサンプラーバイアル(VWR International,LLC,Radnor,PA,USA)に入れられ、次いで、これは、キャップを付けられてネジ締めされる。
【0043】
Lei-Hoke方法I:ガスクロマトグラフィー条件。GC注入部は、寸法4×6.3×78.5mmであり、ガラスウールを含有するガラス注入部ライナー(Restek,Bellefonte,PA,USA、部品番号20782-213.5)と共にMerlin Microseal(Restek,Bellefonte,PA,USA、部品番号22810)で構成される。ミント風味組成物含有サンプルの37個のミントの風味成分の各々についてのピーク面積パーセントのアキラル決定のための条件は、以下である。GC入口温度は、280℃で保持され、GCは、30m×0.25mmID×0.25μmフィルム厚の寸法のAgilent J&W HP FFAPカラム(Agilent HP FFAPカラム、部品番号19091F-433)を装備し、スプリット比は、6:1であり、キャリアガスは、ヘリウムであり、カラム圧力は、約15.7psi(108.25kPa)であり、カラム流量は、約1.15mLヘリウム/分であり、GCは、分析部分の分析の全体を通して一定流量モードで実行される。所与のミント風味組成物含有サンプルの分析のために、1μLの体積が、モデルGCサンプラー80オートサンプラー(Agilent Technologies,Santa Clara,CA,USA)を使用した10μLシリンジを用いて、Agilent 5975C質量分析計検出部(MSD)に接続されたAgilent 7890ガスクロマトグラフ(GC)のスプリット/スプリットレスGC注入部ポートに注入される。
【0044】
GCオーブン温度プログラムは、40℃で1.0分間保持され、次いで、10℃/分で240℃まで上昇させられ、240℃で5.0分間保持される。GC実行時間は、26分である。次いで、オーブン温度は、後続の注入に備えるために40℃まで冷却される。ミント風味組成物含有サンプル分析の前に、カラムが、製造元の推奨に従って調整され、1μLの有機溶媒注入が、以前の注入からの繰り越しがないことを保証するために適宜実行される。
【0045】
Lei-Hoke方法Iによって調製されたサンプルのためのGC分析条件は、全般的に、ミント風味組成物含有サンプルに適用可能であり、例外はわずかしかない。例えば、MSD感度要件を満たすためにGCスプリット比を最適化することが必要とされる場合があり、又はクロマトグラフィー分解能を改善するために温度勾配を減速することが必要とされる場合がある。
【0046】
Lei-Hoke方法I:質量分析計検出部の較正。ミント風味組成物含有サンプル分析の前に、質量分析計は、Agilent MSD ChemStation(バージョンE.02.02.1431又は同等物、Agilent 5975 Series MSD Operation Manualを参照されたい)で見出される自己調整手順を使用して、70eV電子衝撃(EI)イオン化モードでFC-43(パーフルオロトリブチルアミン、Agilent、部品番号GCS-200)を用いて較正される。自己調整の完了時に、質量較正範囲にわたる主要FC-43イオンの相対存在量(%RA)は、これらの基準を満たすべきである:m/z50(5~25%RA)、m/z69(80~100%RA)、m/z100(5~25%RA)、m/z119(5~20%RA)、m/z131(40~60%RA)、m/z219(40~100%RA)、m/z264(5~30%RA)、m/z414(1~15%RA)、及びm/z502(1~15%RA)。全てのピークは、0.7ダルトン(Da)のピーク半値全幅(FWHM)で、おおよそ単位質量分解能で観察するべきである。全ての13C同位体ピークは、それらのそれぞれの12C同位体から分解されるベースライン又は近ベースラインであるべきである。これらの基準のうちのいずれかが満たされていない場合、機器は、ミント風味組成物含有サンプルの分析の前に、適切な修理、保守、トラブルシューティング、及び/又は再較正を受けるべきである。
【0047】
Lei-Hoke方法I:質量分析計データ収集。GCカラムからの流出物は、以下の条件で5975C質量分析計検出部のイオン源に直接導入される:その時点でソースフィラメントがオンになり、質量スペクトルデータを収集し始める、4.20分の溶媒遅延、質量分析計の移送ライン温度は、250℃で保持され、質量分析計のソース温度は、230℃で保持され、四重極質量分析器温度は、150℃で保持される。収集範囲は、1秒当たり2回のスキャンで質量対電荷比(m/z)33~350からスキャンするように設定される。スキャンされる最低m/zは、m/z28及びm/z32で最も豊富な空気ピークを上回って設定するべきである。
【0048】
ミント風味組成物含有サンプルの分析の前に、ある裁量が質量分析計の感度を最適化するために提供される。これは、分析されるミント組成物含有サンプルで見出されるミント成分、通常はメントールを表す最大ピークが、検出部応答のほぼ線形最大値となるように、GCスプリット比及び/又はサンプル調製条件を最適化することを介して実施され得る。最大ピークは、MSD応答がミント風味成分のピーク面積パーセントを正しく測定しないように、検出部を飽和させ始めるべきでもなく、平坦頂のピークを提供するべきでもない。これらの設定を用いると、全イオンクロマトグラムにおけるピークは、ベースラインを上回って約0.01パーセントのピーク面積まで検出可能であるべきである。これが達成可能ではない場合、機器又は方法の条件は、上記のように最適化が必要であり、及び/又はミント風味組成物含有サンプル中のミント風味成分についてピーク面積パーセントデータを取得する前に、GC-MSDシステムがこれらの基準を満たすことを可能にするために、適切な修理、清浄化、保守、若しくはトラブルシューティングは、完了するべきである。
【0049】
Lei-Hoke方法I:質量分析計データ処理。ミント風味組成物含有サンプルの各ミント風味成分は、その保持時間及び質量スペクトル断片化パターンから特定される。必要に応じて、ミント風味成分特定は、上記で規定される同じLei-Hoke方法I条件下で分析される、サンプルを分析するために利用される参照標準化合物の使用を介して確認される。この手順では、標準への保持時間及び質量スペクトル一致を確認し、所与のミント風味成分を正しく特定する。
【0050】
GC-MSD TICにおけるピークは、それらがミント風味組成物の成分に関連するかどうか(すなわち、対象ピークが37個のミント風味成分のうちの1つに属するかどうか)に関して評価するべきである。非ミント風味成分を表すと決定されたピークは、ピーク面積パーセント計算から除かれる。ミント風味成分ピーク面積パーセント計算に含むべきではない、潜在的に観察され得るピークの例としては、(a)サリチル酸メチル、桂皮アルデヒド、バニリン、エチルバニリン、酢酸イソアミル、ベンズアルデヒド、アネトールなどのミント風味成分ではない風味成分、(b)グリセリン又はプロピレングリコールのような保湿剤などの消費者製品成分及び担体、(c)界面活性剤から不純物として導入される長鎖脂肪アルコール又はエステルなどの消費者製品からの不純物、(d)ブランク注入の分析中に観察されるアルカンなどの有機抽出又は希釈溶媒からの不純物、並びに(e)同様にブランク注入中に観察されるGC-MSDシステム又はバックグラウンドピークが挙げられる。ピーク純度は、(他のミント風味成分を含む)共溶出成分がないことを保証するために、ピークにわたる質量スペクトル完全性を介してチェックするべきである。ピークが純粋ではない場合、状況は、理想的には、共溶出又は部分的共溶出成分を完全に分解するようにGC条件を最適化することによって、補正するべきである。次いで、ミント風味成分のピーク面積は、以下のピーク面積積分パラメータでピーク面積パーセントの計算のために全イオンクロマトグラムから取得するべきである:初期閾値14.5、初期ピーク幅0.034、肩検出オフ、初期面積拒絶0。必要とされるときに、任意選択的な手動積分が利用され得るが、その使用は最小限化するべきであり、使用されるときに、手動積分が、一貫して適用するべきである。上記のように、バックグラウンド、溶媒、又は他の非ミント風味成分ピークは、ミント風味組成物の面積パーセントの計算から除くべきである。
【0051】
ピーク面積パーセントの決定に含むべきミント風味成分は、具体的には、規定される37個までのミント風味成分である。言い換えれば、他の成分ではない、これらの37個までのミント風味成分の集合ピーク面積は、100%ピーク面積パーセントと見なされる。評価されるいくつかのサンプルは、37個全てのミント風味成分を有していない場合があることが理解される。そのような場合、サンプル中に存在すると決定されるこれらのミント風味成分が、集合的に100%ピーク面積パーセントと見なされる。
【0052】
ミント風味成分のピーク面積パーセントは、特定される37個までのミント風味成分の総面積を合計することによって計算される。次いで、評価される37個のミント風味成分のうちのいずれか1つのピーク面積は、総ピーク面積で除算され、100で乗算され、そのアキラルピーク面積パーセントを取得する。(37個から)特定される任意の具体的なミント風味成分は、この100%ピーク面積パーセントに対するものである。
【0053】
三重GC-MSD注入が、各ミント風味組成物含有サンプルについて実施され、報告されたピーク面積パーセントは、3回の別個の注入からの結果の平均である。少なくとも0.01%を有するピーク面積パーセントのこれらのミント風味成分は、ミント風味組成物及びピーク面積パーセントの計算に含まれる。そうでなければ、これらのミント風味成分は、検出限界の閾値、及び100%ピーク面積パーセントの全体的な決定に対する最小限の影響により、除かれる。各ミント風味成分のピーク面積パーセントの相対標準偏差は、概ね5パーセント未満であるべきである。
【0054】
LHM II
サンプル中のメントール、酢酸メンチル、ネオメントール、及びイソメントール/ネオイソメントールエナンチオマー対のピーク面積比のキラル決定のためのLei-Hoke方法IIが記載される。Lei-Hoke方法IIは、各エナンチオマー対中の各エナンチオマーの相対ピーク面積パーセント、並びに(着香料及び消費者製品に含有される)ミント風味組成物中の以下のエナンチオマー対:(+)-及び(-)-メントール、(+)-及び(-)-ネオメントール、並びに(+)-及び(-)-酢酸メンチルの各エナンチオマー対のピーク面積比の決定に利用される。この分離を用いると、イソメントール及びネオイソメントールのエナンチオマーは、共溶出し、共に報告され、すなわち、(+)-イソメントール及び(+)-ネオイソメントールデータが組み合わされ、並びに(-)-イソメントール及び(-)-ネオイソメントールデータが組み合わされる。イソメントール及びネオイソメントールエナンチオマーは、他のミント風味成分を含む他の成分から十分に分離される。LHM IIのためのサンプル調製条件は、Lei-Hoke方法I:サンプル調製について上記で特定されるものと同じである。
【0055】
Lei-Hoke方法II:ガスクロマトグラフィー条件。Lei-Hoke方法IIのためのGC条件は、記載される具体的なエナンチオマー対のGC分離を可能にするために、Lei-Hoke方法I、III、及びIVとは重要な態様において異なる。GC注入部は、寸法4×6.3×78.5mmであり、ガラスウールを含有するガラス注入部ライナー(Restek,Bellefonte,PA,USA、部品番号20782-213.5)と共にMerlin Microseal(Restek,Bellefonte,PA,USA、部品番号22810)で構成される。GC入口温度は、280℃に保持され、GCは、Lei-Hoke方法IIのために60m×0.250mm×0.25μmフィルム厚の寸法のSupelco beta DEX 110カラム(Supelco,Bellefonte,PA,USA、部品番号SU24302)を装備している。初期オーブン温度は、105℃に設定され、35psi(242.32kPa)の圧力、50:1のスプリット比、及び1.6mL/分のヘリウム流量である。本方法は、一定流量モードで実行される。前述のような調製に続く、有機溶媒中のミント風味組成物含有サンプルの1μLサンプルの注入時に、GCオーブン温度プログラムは、105℃で80.0分間保持され、次いで、20℃/分で200℃まで上昇させられ、200℃で3.25分間保持される。GC実行時間は、88分である。次いで、オーブン温度は、後続の注入に備えるために105℃まで冷却される。サンプル分析の前に、カラムが、製造元の推奨に従って調整され、1μLの有機溶媒ブランク注入が、以前の注入からの繰り越しがないことを保証するために適宜実行される。参照標準化合物が、各エナンチオマーの保持時間、及び全てのエナンチオマー対のベースライン又は近ベースライン分離を確認するために利用される。
【0056】
Lei-Hoke方法II:質量分析計検出部の較正。Lei-Hoke方法IIのためのMSD較正は、Lei-Hoke方法I:質量分析計検出部の較正について詳細に記載されるものと同じである。
【0057】
Lei-Hoke方法II:質量分析計データ収集。Lei-Hoke方法IIのためのMSDデータ収集は、Lei-Hoke方法I:質量分析計データ収集について詳細に記載されるものと同じであり、以下の例外がある:60メートルカラムの利用により、溶媒遅延が8.0分に設定され、また、MSDスキャン範囲が、m/z33~250に修正される。
【0058】
Lei-Hoke方法II:質量分析計データ処理。各ミント風味成分は、その保持時間及び質量スペクトル断片化パターンから特定される。必要に応じて、ミント風味成分特定は、上記で規定される同じLei-Hoke方法II条件下で分析される、ミント風味組成物含有サンプルを分析するために利用される参照標準化合物の使用を介して確認される。この手順では、保持時間及び質量スペクトル一致を確認し、所与の化合物を正しく特定する。参照標準化合物の使用は、エナンチオマー対にとって特に重要である。(-)-ネオイソメントールなどの純粋な参照化合物が容易に入手可能ではない場合、(+/-)-ネオイソメントール並びに(+)-ネオイソメントールが分析される。(-)-ネオイソメントールの保持時間は、これらのクロマトグラムを比較するときに固有のピークから決定され、ネオイソメントールのEI質量スペクトルを介して確認される。この方法で利用される参照標準化合物の供給源は、(+)-メントール(TCI(Tokyo Chemical Industry Co.,LTD)America,Portland,OR,USA)、(-)-メントール(TCI America)、(+)-ネオメントール(TCI America)、(-)-ネオメントール(ChemCruz,Santa Cruz,CA,USA)、(+)-イソメントール(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)、(-)-イソメントール(Sigma-Aldrich)、(+)-ネオイソメントール(AA Blocks,San Diego,CA,USA)、(+/-)-ネオイソメントール(ALFA Chemistry,New York,USA)、(+)-酢酸メンチル(Sigma-Aldrich)、及び(-)-酢酸メンチル(Sigma-Aldrich)である。
【0059】
ピーク純度は、(他のミント風味成分を含む)共溶出成分がないことを保証するために、LMH IIにおける目的のピークにわたる質量スペクトル完全性を介してチェックされる。ピークが純粋ではない場合、状況は、理想的には、共溶出成分を完全に分解するようにGC条件を最適化することによって、補正するべきである。次いで、ピーク面積(PA)は、LHM IIによって特定される各エナンチオマー対におけるピークの各々について全イオンクロマトグラムの手動積分から取得するべきである。手動積分は、ピークにわたって一貫して適用するべきである。これらのデータから、各対中の各エナンチオマーのピーク面積パーセントが計算され、例えば、%(+)-メントール=PA(+)-メントール/(PA(+)-メントール+PA(-)-メントール)100である。加えて、エナンチオマーピーク面積比は、例えば、(+)/(-)-メントール=PA(+)-メントール/PA(-)-メントールの比として計算される。ミント風味組成物含有サンプルの重複GC-MSD注入が、各サンプルについて実施され、報告されたピーク面積、エナンチオマー対のピーク面積比、及び各エナンチオマー対中の各エナンチオマーのピーク面積パーセントは、2つの別個の注入からの結果の平均である。
【0060】
LHM III
サンプル中のメントン及びイソメントンエナンチオマー対のピーク面積比のキラル決定のためのLei-Hoke方法IIIが記載される。Lei-Hoke方法IIIは、各エナンチオマー対中の各エナンチオマーの相対ピーク面積パーセント、並びに(着香料及び消費者製品に含有される)ミント風味組成物中の以下のエナンチオマー対:(+)-及び(-)-メントン、並びに(+)-及び(-)-イソメントンの各エナンチオマー対のピーク面積比の決定に利用される。この方法のためのサンプル調製条件は、Lei-Hoke方法I:サンプル調製について上記で特定されるものと同じである。
【0061】
Lei-Hoke方法III:ガスクロマトグラフィー条件。Lei-Hoke方法IIIのためのGC条件は、記載される具体的なエナンチオマー対のGC分離を可能にするために、Lei-Hoke方法I、II、及びIVとは重要な態様において異なる。GC注入部は、寸法4×6.3×78.5mmであり、ガラスウールを含有するガラス注入部ライナー(Restek,Bellefonte,PA,USA、部品番号20782-213.5)と共にMerlin Microseal(Restek,Bellefonte,PA,USA、部品番号22810)で構成される。GC入口温度は、280℃に保持される。GCは、寸法25m×0.250mmのMacherey-Nagel Lipodex Eカラムを装備している(フィルム厚は、カラム製造元、Macherey-Nagel GmbH&Co.,Duren,Germanyから入手可能ではない、部品番号723368.25)。初期オーブン温度は、100℃に設定され、16.5psi(113.76kPa)の圧力、50:1のスプリット比、及び1.1mL/分のヘリウム流量である。本方法は、一定流量モードで実行される。記載されるような調製に続く、有機溶媒中の1μLのミント風味組成物含有サンプルの注入時に、GCオーブン温度プログラムは、100℃で12.0分間保持され、次いで、20℃/分で200℃まで上昇させられ、200℃で3.0分間保持される。GC実行時間は、20分である。次いで、オーブン温度は、後続の注入に備えるために100℃まで冷却される。サンプル分析の前に、カラムが製造元の推奨に従って調整され、1μLの有機溶媒ブランク媒注入が、以前の注入からの繰り越しがないことを保証するために適宜実行される。参照標準化合物が、各エナンチオマーの保持時間、及び全てのエナンチオマー対のベースライン又は近ベースライン分離を確認するために利用される。
【0062】
Lei-Hoke方法III:質量分析計検出部の較正。Lei-Hoke方法IIIのためのMSD較正は、Lei-Hoke方法I:質量分析計検出部の較正について詳細に記載されるものと同じである。
【0063】
Lei-Hoke方法III:質量分析計データ収集。Lei-Hoke方法IIIのためのMSDデータ収集は、5.0分の溶媒遅延の使用を除いて、Lei-Hoke方法I:質量分析計データ収集について詳細に記載されるものと同じである。
【0064】
Lei-Hoke方法III:質量分析計データ処理。各ミント風味成分は、その保持時間及び質量スペクトル断片化パターンから特定される。必要に応じて、ミント風味成分特定は、規定される同じLei-Hoke方法III条件下で分析される、ミント風味組成物含有サンプルを分析するために利用される参照標準化合物の使用を介して確認される。この手順では、保持時間及び質量スペクトル一致を確認し、所与の化合物を正しく特定する。参照標準化合物の使用は、エナンチオマー対にとって特に重要である。この方法で利用される参照標準化合物の供給源は、(+)-メントン(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)、(-)-メントン(Sigma-Aldrich)、(+)-イソメントン(AA Blocks,San Diego,CA,USA)、及び(-)-イソメントン(AA Blocks)である。
【0065】
ピーク純度は、(他のミント風味成分を含む)共溶出成分がないことを保証するために、LMH IIIにおける目的のピークにわたる質量スペクトル完全性を介してチェックされる。ピークが純粋ではない場合、状況は、理想的には、共溶出成分を完全に分解するようにGC条件を最適化することによって、補正するべきである。次いで、ピーク面積(PA)は、LHM IIIによって特定される各エナンチオマー対におけるピークの各々について全イオンクロマトグラムの手動積分から取得するべきである。手動積分は、ピークにわたって一貫して適用するべきである。これらのデータから、各エナンチオマー対中の各エナンチオマーのピーク面積パーセントが計算することができ、例えば、%(+)-メントン=PA(+)-メントン/(PA(+)-メントン+PA(-)-メントン)100である。加えて、エナンチオマーピーク面積比は、例えば、(+)/(-)-メントン=PA(+)-メントン/PA(-)-メントンの比として計算することができる。ミント風味組成物含有サンプルの重複GC-MSD注入が、各サンプルについて実施され、報告されたピーク面積、エナンチオマー対のピーク面積比、及び各エナンチオマー対中の各エナンチオマーのピーク面積パーセントは、2つの別個の注入からの結果の平均である。
【0066】
LHM IV
サンプル中のミント風味成分の7つのエナンチオマー対のピーク面積パーセントのキラル決定のためのLei-Hoke方法IVが記載される。Lei-Hoke方法IVは、各エナンチオマー対中の各エナンチオマーの相対ピーク面積パーセント、並びに(着香料及び消費者製品に含有される)ミント風味組成物中の以下のエナンチオマー対:(+)-及び(-)-アルファ-ピネン、(+)-及び(-)-ベータ-ピネン、(+)-及び(-)-リモネン、(+)-及び(-)-リナロール、(+)-及び(-)-イソプレゴール、(+)-及び(-)-テルピネン-4-オール、並びに(+)-及び(-)-ピペリトンの各エナンチオマー対のピーク面積比の決定に利用される。この方法のためのサンプル調製条件は、Lei-Hoke方法I:サンプル調製について上記で特定されるものと同じである。
【0067】
Lei-Hoke方法IV:ガスクロマトグラフィー条件。Lei-Hoke方法IVのためのGC条件は、上記に記載される具体的なエナンチオマー対のGC分離を可能にするために、Lei-Hoke方法I、II、及びIIIとは重要な態様において異なる。GC注入部は、寸法4×6.3×78.5mmであり、ガラスウールを含有するガラス注入部ライナー(Restek,Bellefonte,PA,USA、部品番号20782-213.5)と共にMerlin Microseal(Restek,Bellefonte,PA,USA、部品番号22810)で構成される。GC入口温度は、280℃に保持される。GCは、30m×0.25mm×0.25μmフィルム厚の寸法のAgilent HP 20Bキラルカラム(Agilent部品番号19091G-B233)を装備している。初期オーブン温度は、40℃に設定され、15.7psi(108.25kPa)の圧力、10:1のスプリット比、及び1.14mL/分のヘリウム流量である。本方法は、一定流量モードで実行される。記載されるような調製に続く、有機溶媒中のミント風味組成物含有サンプルの1μLサンプルの注入時に、GCオーブン温度プログラムは、40℃で2.0分間保持され、次いで、4℃/分で220℃まで上昇させられ、220℃で1.0分間保持される。GC実行時間は、48分である。次いで、オーブン温度は、後続の注入に備えるために40℃まで冷却される。サンプル分析の前に、カラムが製造元の推奨に従って調整され、1μLの有機溶媒ブランク注入が、以前の注入からの繰り越しがないことを保証するために適宜実行される。標準化合物が、各エナンチオマーの保持時間、及び全てのエナンチオマー対のベースライン又は近ベースライン分離を確認するために利用される。
【0068】
Lei-Hoke方法IV:質量分析計検出部の較正。Lei-Hoke方法IVのためのMSD較正は、Lei-Hoke方法I:質量分析計検出部の較正について詳細に記載されるものと同じである。
【0069】
Lei-Hoke方法IV:質量分析計データ収集。Lei-Hoke方法IVのためのMSDデータ収集は、Lei-Hoke方法I:質量分析計データ収集について詳細に記載されるものと同じである。
【0070】
Lei-Hoke方法IV:質量分析計データ処理。各ミント風味成分は、その保持時間及び質量スペクトル断片化パターンから特定される。必要に応じて、ミント風味成分特定は、規定される同じLei-Hoke方法IV条件下で分析される、ミント風味組成物含有サンプルを分析するために利用される参照標準化合物の使用を介して確認される。この手順では、保持時間及び質量スペクトル一致を確認し、所与の化合物を正しく特定する。参照標準化合物の使用は、それらの非常に近い保持時間及び類似質量スペクトルから、エナンチオマー対の特定のために特に重要である。(+)-リナロールなどの純粋な参照化合物が容易に入手可能ではない場合、(-)リナロール並びに(+/-)リナロールが分析される。(+)-リナロールの保持時間は、これらのクロマトグラムを比較するときに固有のピークから決定され、リナロールのEI質量スペクトルを介して確認される。この方法で利用される参照標準化合物の供給源は、(+)-アルファ-ピネン(TCI(Tokyo Chemical Industry Co.,LTD)America,Portland,OR,USA)、(-)-アルファ-ピネン(TCI America)、(+)-ベータ-ピネン(AA Blocks,San Diego,CA,USA)、(-)-ベータ-ピネン(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)、(+)-リモネン(TCI America)、(-)-リモネン(TCI America)、(-)-リナロール(Sigma-Aldrich)、(+/-)-リナロール(AA Blocks)、(-)-テルピネン-4-オール(Sigma-Aldrich)、(+/-)-テルピネン-4-オール(AA Blocks)、(-)-ピペリトン(Atlantic Research Chemicals Ltd,Cornwall,United Kingdom)、ラセミピペリトン(エナンチオマーの混合物、主に(R)-(-)-形態、TCI America)、(+)-イソプレゴール(Sigma-Aldrich)、及び(-)-イソプレゴール(Sigma-Aldrich)である。
【0071】
ピーク純度は、(他のミント風味成分を含む)共溶出成分がないことを保証するために、LMH IVにおける目的のピークにわたる質量スペクトル完全性を介してチェックされる。ピークが純粋ではない場合、状況は、理想的には、共溶出成分を完全に分解するようにGC条件を最適化することによって、補正するべきである。次いで、ピーク面積(PA)は、LHM IVによって特定される各エナンチオマー対におけるピークの各々について全イオンクロマトグラムの手動積分から取得するべきである。手動積分は、ピークにわたって一貫して適用するべきである。これらのデータから、各対中の各エナンチオマーのピーク面積パーセントが、計算することができ、例えば、%(+)-リナロール=PA(+)-リナロール/(PA(+)-リナロール+PA(-)-リナロール)100である。加えて、エナンチオマーピーク面積比、例えば、(-)/(+)-リナロール=PA(-)-リナロール/PA(+)-リナロールの比が、計算することができる。ミント風味組成物含有サンプルの重複GC-MSD注入が、各サンプルについて実施され、報告されたピーク面積、エナンチオマー対の比、及び各エナンチオマー対中の各エナンチオマーのパーセントは、2つの別個の注入からの結果の平均である。
【0072】
LHM V
サンプル中の個々のミント成分エナンチオマーのピーク面積パーセントの計算のためのLei-Hoke方法Vが記載される。Lei-Hoke方法Iを用いると、ミント風味組成物含有サンプル中の各ミント風味成分のピーク面積パーセントが決定され、それぞれのエナンチオマーが共に測定される。一例としてメントールを使用すると、アキラルLei-Hoke方法Iは、ミント風味組成物含有サンプル中の(+)-メントール及び(-)-メントールの複合応答及びピーク面積を測定し、次いで、メントールとしてのピーク面積パーセントを計算及び報告する。Lei-Hoke方法II-IVを用いると、各エナンチオマー対内の各エナンチオマーのピーク面積パーセント、及び/又は主要ミント風味成分エナンチオマー対内のエナンチオマーピーク面積比が決定される。LHM Iで取得されたデータ及びLHM II-IVから取得された所与のエナンチオマー対の適切なデータから、Lei-Hoke方法Vは、以下の式:ミント風味組成物中の(-)-エナンチオマーの%=(LHM Iからのミント風味組成物中のアキラル%)(LHM II、III、又はIVからのエナンチオマー対中の%(-)-エナンチオマー/100)、同様に、ミント風味組成物中の(+)-エナンチオマーの%=(LHM Iからのミント風味組成物中のアキラル%)(LHM II、III、又はIVからのエナンチオマー対中の%(+)-エナンチオマー/100)を使用して、ミント風味組成物含有サンプル中の各エナンチオマーのピーク面積パーセント組成を計算するための手順を詳述する。
【0073】
例証目的のための仮説例として、Lei-Hoke方法Iを介したミント風味組成物含有サンプルの分析時に、メントールは、全体的なミント風味組成物の50ピーク面積パーセントであると決定される。サンプルはまた、Lei-Hoke方法IIによって分析され、これから、(+)-メントールのピーク面積は、1,000面積単位であると決定され、(-)-メントールのピーク面積は、10,000面積単位であると決定される。LHM IIから、メントールエナンチオマー対中の(+)-メントールの対応するピーク面積パーセントは、((1,000)/(1,000+10,000))100=9.09%である。同様に、LHM IIから、メントールエナンチオマー対中の(-)-メントールの対応するピーク面積パーセントは、((10,000)/(1,000+10,000))100=90.9%である。Lei-Hoke方法Vから、ミント風味組成物中の(+)-メントールのピーク面積パーセント=50%(9.09%/100)=4.55%であり、ミント風味組成物中の(-)-メントールの%=50%(90.9%/100)=45.5%であることが更に計算される。
【0074】
ミント風味組成物
本発明のミント風味組成物は、以下のミント風味成分のうちの1つ又は2つ以上(及び1つ又は2つ以上の追加ミント風味成分)を含む。
【0075】
メントール
本発明の一態様は、ラセミメントールであるミント風味成分及び追加ミント風味成分、好ましくは、ラセミメントール及び(-)-メントールの組み合わせ、より好ましくは、ネオメントール、イソメントール、及びネオイソメントールの量を最小限化しながら、ラセミメントール及び(-)-メントールの組み合わせを含む、ミント風味組成物を提供する。この組み合わせは、冷却感の利点を提供し、あまり望ましくない立体異性体からの欠点を最小限化する一方で、費用効果が高い。メントールは、3つのキラル中心を有し、したがって、8つの立体異性体、具体的には、(+)-メントール、(+)-イソメントール、(+)-ネオメントール、(+)-ネオイソメントール、(-)-メントール、(-)-イソメントール、(-)-ネオメントール、及び(-)-ネオイソメントールを有する。天然メントールは、天然ペパーミント油中に存在する芳香化学物質の35~50%を占めることがある、(-)-メントールとしても知られている(1R,2S,5R)立体異性体形態として存在する。メントールの他の異性体(すなわち、ネオメントール、イソメントール、及びネオイソメントール)は、若干類似しているが同一ではない匂い及び味を有し、すなわち、いくつかは、内部未発表研究から、土のような、樟脳、かび臭い、モーター油、靴用の革、及び焼けたゴムとして説明される不愉快な香調を有する。異性体の中で主な違いは、それらの冷感効力にある。(-)-メントールは、最も強力な冷却を提供する。しかしながら、合成(-)-メントールは、ラセミメントールよりも高価である。
【0076】
より費用効果の高いアプローチは、ラセミメントールの使用、又は好ましくは、ミント風味組成物中の(-)-メントールの一部分をラセミメントールと置換することである。部分的な置換は、多くの消費者が高品質のミントプロファイルで期待するようになる望ましい冷却感を提供することに役立ち、しかし著しく費用を削減する。ラセミメントールは、50:50(-)-メントール:(+)-メントール混合物又はDL-メントールとしても知られている。更により好ましくは、これらの立体異性体に付随する負の感覚/味覚特性のうちのいくつかを考慮して、全ネオメントール/イソメントール/ネオイソメントールの量を最小限化する。概して、本明細書のミント風味組成物は、より高いレベルの非天然エナンチオマー及び/又は比を採用して、これらのレベル及び/又は比の平衡を慎重に保つことによって、費用を最小限化し、風味プロファイルを最適化する。
【0077】
本発明の一態様は、メントールであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。好ましくは、(+)-及び(-)-メントールは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、40.0~45.0、好ましくは、41.5~45.0、代替的に、42.0~43.5ピーク面積パーセントを有する。好ましくは、(+)-メントール:(-)-メントールのピーク面積比は、Lei-Hoke方法IIによって決定される、0.2~0.4、好ましくは、0.21~0.35、代替的に、0.30~0.34、又は0.220~0.319、若しくは0.3~0.4である。(+)-メントールは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、6~12、好ましくは、7.0~11.0、代替的に、9.5~10.5ピーク面積パーセントを有し得る。(-)-メントールは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、30~37、好ましくは、31.0~36.0、代替的に、31.5~32.5ピーク面積パーセントを有し得る。ラセミメントールは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、14~22、好ましくは、15.0~21.0、代替的に、19.5~20.5ピーク面積パーセントを有し得る。非ラセミ(-)-メントールは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、5~29.0、好ましくは、15~28.5、より好ましくは、19~28.0、代替的に、20~28.0又は19.0~23.0ピーク面積パーセントを有し得る。好ましくは、ラセミメントール:非ラセミ(-)-メントールのピーク面積比は、Lei-Hoke方法Vによって決定される、0.5~1、好ましくは、0.7~1代替的に、0.8~1又は0.900~0.950である。ピーク面積パーセントに関して上記に記載されるような好適なミント風味組成物は、加えて、ミント風味組成物の重量%で表すことができる。したがって、好適なミント風味組成物は、ミント風味組成物の約35重量%~約45重量%、約30重量%~約50重量%、又は約35重量%~約50重量%の、ラセミメントール、(-)-メントール、(+)-メントール、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0078】
本発明の一態様は、ネオメントール、イソメントール、及び/又はネオイソメントールであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。概して、ミント風味組成物は、評価される比較例よりも少ないネオメントール、イソメントール、及び/又はネオイソメントールを有し、これは組成物の合成的性質を示し、あまり好ましくない風味香調を目立たせない。好ましくは、ミント風味組成物は、(+)-ネオメントールを含み、(+)-ネオメントールは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、0.2~1.5、好ましくは、0.4~1、代替的に、0.5~0.7ピーク面積パーセントを有する。好ましくは、ミント風味組成物は、(+)-及び(-)-イソメントールを含み、(+)-及び(-)-イソメントールは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.1~0.3、好ましくは、0.11~0.25、代替的に、0.14~0.23ピーク面積パーセントを有する。組成物は、ネオイソメントールを含み得、ネオイソメントールは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.01~0.2、好ましくは0.02~0.18、代替的に、0.02~0.05ピーク面積パーセントを有する。好ましくは、ミント風味組成物は、ネオメントール、イソメントール、及び/又はネオイソメントールの総含有量を最小限化する。この目的のために、ミント風味組成物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、総含有量で3.5未満、好ましくは、0.01~2.2、より好ましくは、0.1~2、更により好ましくは、0.2~1.8、代替的に、0.1~3.5、又は0.5~3.0、若しくは1~2ピーク面積パーセントのネオメントール、イソメントール、及び/又はネオイソメントールを含み得る。ミント風味組成物は、メントール及びネオメントールを含み得、メントール:ネオメントールのピーク面積比は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、19~80、好ましくは、25~60、より好ましくは、30~55である。
【0079】
以下のデータは、本明細書に記載のミント風味組成物の費用を削減するためのラセミメントールの使用を支持することに役立つ。内部未発表研究から、表Bは、練り歯磨き配合物中で1:1にて(-)-メントールをラセミメントールで置き換えることを比較する。そのような直接置換は、低減した冷却プロファイル及び嗅覚差を考慮すると好ましくない。しかしながら、L-メントールの一部分は、好ましくは、全体的なミント風味プロファイルへの影響を最小限化しながら、費用効率を獲得するために、ラセミメントールによって置き換えられる。
【0080】
【表2】
60が、最大量の冷却として規定される一方で、0は、最少量の冷却である。
EC 50は、ベースラインと最大冷却との中間で応答を誘発する冷却剤材料の濃度を指す、最大有効濃度の半分である。この値は、その最大冷却の50%が観察される、冷却剤の濃度を表す。
【0081】
別個の未発表内部実験では、ラセミメントールの知覚経験が、専門家感覚試験を介して定量化される。標準スペアミント風味の使用(余分なメントール寄与を最小限化する)は、練り歯磨き配合物(CREST Cavity)中のラセミメントールを(-)-メントールと比較した。これらの実験から得られたいくつかの感覚観察がある。第1に、ラセミメントールは、冷却について(-)-メントールよりも約25~30%効力が弱い。同等の濃度では、(-)-メントールは、より冷たく、よりミント風であり、苦みが少なく、あまり乾燥していないものとして知覚され、高い全体的な清浄口内感覚を実現する。第2に、より高い濃度(すなわち、5,000パーツ・パー・ミリオン超)では、ラセミメントールは、鉛筆の芯、焼けたゴム、靴用のゴム/革、及びモーター油として特徴付けられる。これらの芳香の香調は、歯磨き中に出現し、吐き出し後の5~10分後に消失し、濃度が増加するにつれてより顕著になる。第3に、複数の属性(唐辛子による辛さ、冷却蒸気、熱拡散、及び低温)に有意義な差はない。最後に、測定される全ての感覚属性について口腔内で検出された有意義な差はない。
【0082】
メントン
本発明の一態様は、メントンであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。概して、本明細書のミント風味組成物は、より高いレベルの非天然エナンチオマー及び/又は比を採用して、これらのレベル及び/又は比の平衡を慎重に保つことによって、費用を最小限化し、風味プロファイルを最適化する。好ましくは、メントンは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、21~26、好ましくは、22.0~26.0、代替的に、21.5~23.5又は22.0~23.0ピーク面積パーセントを有する。好ましくは、(+)-メントン:(-)-メントンのピーク面積比は、Lei-Hoke方法IIIによって決定される、0.9~1、好ましくは、0.91~0.99である。理論に拘束されることを望むものではないが、(-)-、(+)-、及びラセミメントンの芳香プロファイルは、類似しているが、(+)-及びラセミメントンは、(-)形態よりもわずかに土のような/かび臭い香調を有する。ミント風味組成物は、メントール及びメントンを含み得、メントール:メントンのピーク面積比は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、1.6~2、好ましくは、1.7~1.9である。ラセミメントール(上記に記載される)の添加と組み合わせて、全体的な風味ミント組成物の大きなパーセント割合は、これらのメントール及びメントン成分の包含によって表され、したがって、全体的な風味プロファイルに対する大きな影響があり、したがって、負の芳香族化合物の寄与レベルを考慮しながら、あまり高価ではないラセミ化合物の平衡を保つことから、費用削減が達成される。
【0083】
ミント風味組成物はまた、イソメントンを含み得る。イソメントンは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、5~10、好ましくは、5.2~9、代替的に、7.5~8.5ピーク面積パーセントを有し得る。好ましくは、(-)-イソメントン:(+)-イソメンテノンのピーク面積比は、Lei-Hoke方法IIIによって決定される、0.850~0.999、好ましくは、0.90~0.98である。(-)-イソメントンが、植物性の豆のような特徴を示す一方で、(+)-イソメントン及びラセミ化合物は、西洋ワサビ及び酢などのより刺激性の芳香をもたらす。(-)-イソメントンが、ミント風味芳香プロファイルにおいて持続性を構築するために好ましい一方で、低レベルの(+)-イソメントン及びラセミ化合物は、刺激性の特性により、高揚及び鼻の衝撃をもたらし得る。
【0084】
ピーク面積パーセントに関して上記に記載されるように、メントン及び/又はイソメントンを含む好適なミント風味組成物は、加えて、ミント風味組成物の重量%で表すことができる。したがって、好適なミント風味組成物は、ミント風味組成物の約22重量%~約26重量%、約20重量%~約30重量%、又は約20重量%~約27重量%の、ラセミメントン、(-)-メントン、(+)-メントン、ラセミイソメントン、(-)-イソメントン、(+)-イソメントン、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0085】
酢酸メンチル
本発明の一態様は、酢酸メンチルであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。概して、本明細書のミント風味組成物は、より高いレベルの非天然エナンチオマー及び/又は比を採用して、これらのレベル及び/又は比の平衡を慎重に保つことによって、費用を最小限化し、風味プロファイルを最適化する。好ましくは、酢酸メンチルは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、5.5~6.5、好ましくは、5.8~6.5、代替的に、6.0~6.3ピーク面積パーセントを有する。好ましくは、(+)-酢酸メンチル:(-)-酢酸メンチルのピーク面積比は、Lei-Hoke方法IIによって決定される、0.1~0.980、好ましくは、0.7~0.980、代替的に、0.900~0.980である。理論に拘束されることを望むものではないが、酢酸メンチルは、甘い、エーテル性、スギ、及び木のような特性と加味された特徴的なペパーミント香調を付与する。ラセミ酢酸メンチルは、(-)-酢酸メンチルよりもわずかに影響力が少ないが、それらの芳香プロファイルは、極めて類似し、ミント風味組成物内のラセミ混成物を使用することは、負の属性をもたらすことなく費用を削減する。
【0086】
ピーク面積パーセントに関して上記に記載されるように、酢酸メンチルを含む好適なミント風味組成物は、加えて、ミント風味組成物の重量%で表すことができる。したがって、好適なミント風味組成物は、ミント風味組成物の約1重量%~約12重量%、約0.01重量%~約15重量%、又は約0.1重量%~約12重量%の、ラセミ酢酸メンチル、(-)-酢酸メンチル、(+)-酢酸メンチル、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0087】
ジヒドロミントラクトン
本発明の一態様は、ジヒドロミントラクトンであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。好ましくは、ジヒドロミントラクトンは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.035~0.500、好ましくは、0.040~0.300、より好ましくは、0.045~0.100ピーク面積パーセントである。理論に拘束されることを望むものではないが、ジヒドロミントラクトンの添加は、乳製品のようなクリーム状、増強したミントの濃密さ、及び天然ミント組成物によく似たふくよかさを付与するので、重要である。評価される市販のミント組成物には、いずれの有意量のジヒドロミントラクトンも存在しない。すなわち、発明の実施例は、比較例と比較して、より高いレベルのジヒドロミントラクトンを含有した。好ましくは、ジヒドロミントラクトンは、費用の利点を考慮して、合成源から供給される。
【0088】
ピーク面積パーセントに関して上記に記載されるように、ジヒドロミントラクトンを含む好適なミント風味組成物は、加えて、ミント風味組成物の重量%で表すことができる。したがって、好適なミント風味組成物は、ミント風味組成物の約0.035重量%~約0.500重量%、約0.025重量%~約0.750重量%、又は約0.1重量%~約12重量%の、ラセミジヒドロミントラクトン、(-)-ジヒドロミントラクトン、(+)-ジヒドロミントラクトン、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0089】
アルファ-ピネン
本発明の一態様は、アルファ-ピネンであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。概して、本明細書のミント風味組成物は、より高いレベルの非天然エナンチオマー及び/又は比を採用して、これらのレベル及び/又は比の平衡を慎重に保つことによって、費用を最小限化し、風味プロファイルを最適化する。好ましくは、アルファ-ピネンは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、1.90~5、好ましくは、2.00~4、より好ましくは、2.20~3.5ピーク面積パーセントを有する。好ましくは、(-)-アルファ-ピネン:(+)-アルファ-ピネンのピーク面積比は、Lei-Hoke方法IVによって決定される、3.0~6、好ましくは、3.1~5、より好ましくは、3.2~4.7、代替的に、3.5~4.5である。(-)-アルファ-ピネンは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、1.5~2.5ピーク面積パーセントを有し得る。(+)-アルファ-ピネンは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、0.40~0.60ピーク面積パーセントを有し得る。理論に拘束されることを望むものではないが、(-)-及び(+)-アルファ-ピネン異性体は、他の成分とのいくらかの最大芳香差を示す。専門の調香師の観点から、(-)-形態が、動物性かつ汗臭いとして表される一方で、(+)-形態は、青リンゴに似ている。この場合、(-)-アルファ-ピネンのより重い動物性香調が、濃厚さ及び濃密さを増強するために特性プロファイルにとって好ましい一方で、(+)-アルファ-ピネンの軽いリンゴ香調は、過剰にエーテル性かつ一瞬である。
【0090】
ピーク面積パーセントに関して上記に記載されるように、アルファ-ピネンを含む好適なミント風味組成物は、加えて、ミント風味組成物の重量%で表すことができる。したがって、好適なミント風味組成物は、ミント風味組成物の約1重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約5重量%の、アルファ-ピネン、ラセミアルファ-ピネン、(-)-アルファ-ピネン、(+)-アルファ-ピネン、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0091】
ベータ-ピネン
本発明の一態様は、ベータ-ピネン、好ましくは、少なくとも(-)-ベータ-ピネンであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。概して、本明細書のミント風味組成物は、より高いレベルの非天然エナンチオマー及び/又は比を採用して、これらのレベル及び/又は比の平衡を慎重に保つことによって、費用を最小限化し、風味プロファイルを最適化する。好ましくは、(-)-ベータ-ピネンのピーク面積パーセントは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、1.1~5、好ましくは、1.2~3、より好ましくは、1.5~2.5、代替的に、2.0~2.4である。好ましくは、ベータ-ピネンは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、2.2~5.0、好ましくは、2.3~4.0、好ましくは、2.4~3.0ピーク面積パーセントを有する。組成物は、Lei-Hoke方法IVによって決定される、3~8、好ましくは、4~7、より好ましくは、4.7~6.0の(-)-ベータ-ピネン:(+)-ベータ-ピネンのピーク面積比を有し得る。理論に拘束されることを望むものではないが、ベータ-ピネンは、より高いレベルの緑の松に似た木のような香調を本明細書のミント風味組成物に付与し得る。
【0092】
ピーク面積パーセントに関して上記に記載されるように、ベータ-ピネンを含む好適なミント風味組成物は、加えて、ミント風味組成物の重量%で表すことができる。したがって、好適なミント風味組成物は、ミント風味組成物の約0.5重量%~約3重量%、約0.01重量%~約3重量%、又は約0.1重量%~約5重量%の、ベータ-ピネン、ラセミベータ-ピネン、(-)-ベータ-ピネン、(+)-ベータ-ピネン、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0093】
リモネン
本発明の一態様は、リモネンであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。好ましくは、リモネンのピーク面積パーセントは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、3.80~8、好ましくは、4.00~7、より好ましくは、4.30~6.50、代替的に、4.0~5.5又は4.50~5.50である。好ましくは、(-)-リモネン:(+)-リモネンのピーク面積比は、Lei-Hoke方法IVで決定される、5~40、好ましくは、11~35である。好ましくは、(-)-リモネンのピーク面積パーセントは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、4.00~7、好ましくは、4.30~6ピーク面積パーセントである。(+)-リモネンは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、0.100~0.500、代替的に、0.400~0.500ピーク面積パーセントを有し得る。理論に拘束されることを望むものではないが、(-)-リモネンは、そのテルペン性の松の芳香により、ミントと最も一般的に関連付けられる構成である。(+)-リモネンは、より花のような柑橘類の香調を示し、更にはラセミリモネンは、「弱々しい」柑橘類の特性を含意する。したがって、(-)-リモネンは、柑橘類の香調が芳香風味プロファイルを異なる方向に傾斜させ得るため、本明細書のミント風味組成物のための好ましい異性体である。
【0094】
ピーク面積パーセントに関して上記に記載されるように、リモネンを含む好適なミント風味組成物は、加えて、ミント風味組成物の重量%で表すことができる。したがって、好適なミント風味組成物は、ミント風味組成物の約2.40重量%~約8.00重量%、約2重量%~約10重量%、又は約2.50重量%~約7.50重量%の、リモネン、ラセミリモネン、(-)-リモネン、(+)-リモネン、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0095】
リナロール
本発明の一態様は、リナロール、好ましくは、(-)-リナロールであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。概して、本明細書のミント風味組成物は、より高いレベルの非天然エナンチオマー及び/又は比を採用して、これらのレベル及び/又は比の平衡を慎重に保つことによって、費用を最小限化し、風味プロファイルを最適化する。好ましくは、(-)-リナロールは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、0.117~0.2、好ましくは、0.120~0.200、より好ましくは、0.125~0.190、代替的に、0.125~0.185ピーク面積パーセントを有する。好ましくは、リナロールは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.22~0.40、好ましくは、0.22~0.35、より好ましくは、0.25~0.28、代替的に、0.260~0.270ピーク面積パーセントを有する。好ましくは、(-)-リナロール:(+)-リナロールのピーク面積比は、Lei-Hoke方法IVによって決定される、0.5~2.5、好ましくは、0.9~2.3である。理論に拘束されることを望むものではないが、リナロールは、緑の花のような特性を全体的なミント風味組成物にもたらす一方で、リナロールのラセミ形態を使用することが、最も費用効果が高い。
【0096】
ピーク面積パーセントに関して上記に記載されるように、リナロールを含む好適なミント風味組成物は、加えて、ミント風味組成物の重量%で表すことができる。したがって、好適なミント風味組成物は、ミント風味組成物の約0.12重量%~約0.40重量%、約0.10重量%~約0.50重量%、又は約0.15重量%~約0.65重量%の、リナロール、ラセミリナロール、(-)-リナロール、(+)-リナロール、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0097】
チモール
本発明の一態様は、チモールであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。好ましくは、チモールは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.03~0.15、好ましくは、0.05~0.10ピーク面積パーセントである。理論に拘束されることを望むものではないが、チモールは、影響力の強い樟脳の特性をミント風味組成物に与える。
【0098】
ピーク面積パーセントに関して上記に記載されるように、チモールを含む好適なミント風味組成物は、加えて、ミント風味組成物の重量%で表すことができる。したがって、好適なミント風味組成物は、ミント風味組成物の約0.03重量%~約0.15重量%、約0.01重量%~約0.20重量%、又は約0.02重量%~約0.25重量%の、チモールを含むことができる。
【0099】
ユーカリプトール
本発明の一態様は、ユーカリプトールであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。好ましくは、ユーカリプトールは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、3~5.5、好ましくは、3.5~5、代替的に、3.8~4.5ピーク面積パーセントである。理論に拘束されることを望むものではないが、ユーカリプトールは、全体的な風味プロファイルにとって影響力が強く、かつ高揚させる。これはまた、他の成分を伝えることに役立ち得るが、過剰に多量は、望ましくない薬の味を風味プロファイルに付与し得る。
【0100】
ピーク面積パーセントに関して上記に記載されるように、ユーカリプトールを含む好適なミント風味組成物は、加えて、ミント風味組成物の重量%で表すことができる。したがって、好適なミント風味組成物は、ミント風味組成物の約2.3重量%~約6.0重量%、約2.0重量%~約7.5重量%、又は約1重量%~約5重量%の、ユーカリプトールを含むことができる。
【0101】
メントフラン
本発明の一態様は、メントフランであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。概して、本明細書のミント風味組成物は、評価される比較例よりも少ないメントフランを有し、これは組成物の合成的性質を示し、あまり好ましくない風味香調を目立たせない。好ましくは、メントフランのピーク面積パーセントは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.01~0.10、代替的に、0.04~0.08である。ミント風味組成物は、酢酸メンチルと、メントフランとを含み得、酢酸メンチル:メントフランのピーク面積比は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、60~225、好ましくは、61~200、より好ましくは、62~185、代替的に、80~130である。ミント風味組成物はまた、ユーカリプトールと、メントフランとを含み得、ユーカリプトール:メントフランのピーク面積比は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、40~115、代替的に、50~90である。組成物は更にまた、酢酸メンチルと、ユーカリプトールと、メントフランとを含み得、酢酸メンチル:メントフランのピーク面積比は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、60~225、好ましくは、61~200、より好ましくは、62~185であり、ユーカリプトール:メントフランのピーク面積比は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、40~115である。
【0102】
カリオフィレン
本発明の一態様は、ミント風味成分と、任意選択的に、追加ミント風味成分としてカリオフィレンとを含む、ミント風味組成物を提供する。好ましくは、カリオフィレンは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0~0.30、代替的に、0.08~0.16ピーク面積パーセントである。
【0103】
カルボン
本発明の一態様は、ミント風味成分と、追加ミント風味成分としてカルボンとを含む、ミント風味組成物を提供する。好ましくは、カルボンは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.05~0.20、代替的に、0.06~0.12ピーク面積パーセント割合である。
【0104】
ピペリトン
本発明の一態様は、ピペリトンであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。好ましくは、ピペリトンは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.1~1.0、好ましくは、0.2~0.7、代替的に、0.3~0.55又は0.4~0.6ピーク面積パーセントである。好ましくは、ミント風味組成物は、Lei-Hoke方法IVによって決定される、2~18、好ましくは、5~15、代替的に、12~16ピーク面積比の(-)-ピペリトン:(+)-ピペリトンを含む。
【0105】
テルピネン-4-オール
本発明の一態様は、ミント風味成分と、任意選択的に、追加ミント風味成分としてテルピネン-4-オールとを含む、ミント風味組成物を提供する。好ましくは、テルピネン-4-オールは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0~0.5、好ましくは、0~0.3ピーク面積パーセントである。
【0106】
イソプレゴール
本発明の一態様は、ミント風味成分と、追加ミント風味成分としてイソプレゴールとを含む、ミント風味組成物を提供する。好ましくは、イソプレゴールは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.20~0.60、好ましくは、0.21~0.50ピーク面積パーセントである。
【0107】
ビリジフロロール
本発明の一態様は、ビリジフロロールであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。好ましくは、ビリジフロロールは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.01~0.2、好ましくは、0.02~0.08、代替的に、0.03~0.06ピーク面積パーセントである。
【0108】
p-シメン、プレゴン、アルファ-テルピネオール、3-ヘキセン-1-オール
本発明の一態様は、ミント風味成分と、p-シメン、プレゴン、アルファ-テルピネオール、3-ヘキセン-1-オール、及びそれらの組み合わせから選択される追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。存在するとき、組成物は、例えば、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.310~0.390ピーク面積パーセントのp-シメンと、0.050~0.270ピーク面積パーセントのプレゴンと、0.090~0.110ピーク面積パーセントのアルファ-テルピネオールと、0.01~0.1、好ましくは、0.01~0.05、より好ましくは、0.01~0.03ピーク面積パーセントの3-ヘキセン-1-オールと、それらの組み合わせとを含み得る。理論に拘束されることを望むものではないが、3-ヘキセン-1-オールが、新鮮な緑の葉の多いミントの香調を付与するために使用され得る。
【0109】
モノテルペン
本発明の一態様は、C1016モノテルペンであるミント風味成分と、追加ミント風味成分とを含む、ミント風味組成物を提供する。C1016モノテルペンは、サビネン、ミルセン、カンフェン、アルファ-テルピネン、シス-オシメン、アルファ-ツジェン、デルタ-3-カレン、ガンマ-テルピネン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、リモネン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。概して、本明細書のミント風味組成物は、評価される商品化されたバージョンと比較して、より大量のこれらのC1016モノテルペンを含有する。好ましくは、組成物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、9.2~20、好ましくは、9.5~15、より好ましくは、10.0~13、代替的に、9.60~11.50ピーク面積パーセントのC1016モノテルペンを含む。ミント風味組成物は、前述のC1016モノテルペンのうちの少なくとも3つ、好ましくは、少なくとも4つ、より好ましくは、少なくとも5つ、更により好ましくは、少なくとも6つ、更になおもより好ましくは、少なくとも7つ、その上更になおも好ましくは、少なくとも8つ、代替的に、1~11個の任意の組み合わせを含み得る。好ましくは、C1016モノテルペンは、少なくともアルファ-ピネン、ベータ-ピネン、及びリモネンを含む。より好ましくは、C1016モノテルペンは、少なくともアルファ-ピネン、ベータ-ピネン、リモネン、及びサビネンを含む。好ましくは、C1016モノテルペンは、少なくとも(-)-リモネン、好ましくは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、4.00~7、好ましくは、4.30~6ピーク面積パーセントの(-)-リモネンを含む。
【0110】
一例では、ミント風味組成物は、Lei-Hoke方法Vによって決定される、6.50~15.0、好ましくは、7.0~14、より好ましくは、7.5~12、更により好ましくは、8~11ピーク面積パーセントのC1016モノテルペンの(-)-異性体を含み得、C1016モノテルペンの(-)-異性体は、(-)-アルファ-ピネン、(-)-ベータ-ピネン、及び(-)-リモネンを含む。別の例では、ミント風味組成物は、Lei-Hoke方法Vによって決定される、1.10~1.35ピーク面積パーセントのC1016モノテルペンの(+)-異性体を含み得、C1016モノテルペンの(+)-異性体は、(+)-アルファ-ピネン、(+)-ベータ-ピネン、及び(+)-リモネンを含む。
【0111】
アルファ-ピネンは、C1016二環式モノテルペンの例である。ミント風味組成物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、1.90~5.0、好ましくは、2.00~4.0、より好ましくは、2.2~3.5ピーク面積パーセントのアルファ-ピネンを含み得る。組成物は、Lei-Hoke方法IVによって決定される、3.0~6、好ましくは、3.1~5、より好ましくは、3.2~4.7の(-)-アルファ-ピネン:(+)-アルファ-ピネンのピーク面積比を有し得る。
【0112】
ベータ-ピネンは、C1016二環式モノテルペンの例である。ミント風味組成物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、2.2~5.0、好ましくは、2.3~4.0、好ましくは、2.4~3.0ピーク面積パーセントのベータ-ピネンを含み得る。組成物は、Lei-Hoke方法IVによって決定される、3~8、好ましくは、4~7、より好ましくは4.7~6.0の(-)-ベータ-ピネン:(+)-ベータ-ピネンのピーク面積比を有し得る。組成物は、Lei-Hoke方法Vによって決定される、1.1~5、好ましくは、1.2~3、より好ましくは、1.5~2.5、代替的には、2.0~2.4ピーク面積パーセントの(-)-ベータ-ピネンを含み得る。
【0113】
リモネンは、C1016環状モノテルペンの例である。ミント風味組成物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、3.80~8、好ましくは、4.00~7、より好ましくは、4.30~6.50、代替的に、4.0~6.0又は4.40~5.60ピーク面積パーセントを含み得る。組成物は、Lei-Hoke方法IVによって決定される、5~40、好ましくは、11~35の(-)-リモネン:(+)-リモネンのピーク面積比を有し得る。
【0114】
サビネンは、二環式C1016モノテルペンの例である。ミント風味組成物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.1~0.4、好ましくは、0.15~0.30ピーク面積パーセントのサビネンを含み得る。
【0115】
理論に拘束されることを望まないが、本明細書に記載される具体的なテルペン量及びテルペンエナンチオマー比は、風味プロファイル及びその費用効果の成功に寄与する。
【0116】
分別蒸留物の使用
Mentha属の植物(例えば、葉)の特定の分別蒸留物は、特定のミント風味成分の安価な供給源として使用することができる。本明細書に記載されるこれらの分別蒸留物は、標準のミント油蒸留で使用される、典型的に所望のいわゆる「ミドルカット」の前又は後のいずれかである。これらの全般的に望ましくない、したがって低費用の蒸留留分が、本明細書のミント風味組成物を作製するために使用され得ることは、驚くべきことである。好ましくは、これらの蒸留物は、望ましくない風味、匂い、又は悪臭前駆体を別様に付与し得る、硫黄含有化合物の量を最小限化する。「フロントカット」蒸留留分には、リモネン、好ましくはまた、ピネン及び/又はユーカリプトールなどの望ましいミント風味成分も含み得る、比較的低い沸点を有する成分がある。後期蒸留留分又は「テールカット」、すなわち、比較的高い沸点の成分では、望ましいミント風味成分は、ビリジフロロール、及び任意選択的であるが、好ましくはまた、ゲルマクレンDも含み得る。
【0117】
本発明の一態様は、着香料/ミント風味組成物を作製する方法であって、(a)Mentha属植物を水蒸気蒸留して、第1のミント蒸留物を製造するステップであって、第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも25ピーク面積パーセントのリモネンを含み、第1のミント蒸留物が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも25ピーク面積パーセントの1つ又は2つ以上のミント風味成分を更に含み、これらのミント風味成分の各々が、摂氏155~183度の沸点を有する(かつリモネンを除く)、ステップと、(b)第1のミント蒸留物が、0.5%~6.0重量%の着香料/ミント風味組成物を含むように、製造された第1のミント蒸留物を追加ミント風味成分に組み合わせるステップとを含む、方法を提供する。図11の表は、第1のミント蒸留物の非限定的な例のミント風味成分及びそのピーク面積パーセントを記載する。第1のミント蒸留物の1つの商業的な例は、以下の表C(1)及びC(2)に記載される「ミント油テルペン(「フロントカット」)」である。好ましくは、第1のミント蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、25~75、好ましくは、30~70、より好ましくは、35~65、更により好ましくは、40~60、代替的に、45~55ピーク面積パーセントのリモネンを含む。好ましくは、摂氏155~183度の沸点を有するこれらのミント風味成分(リモネンを除く)は、アルファ-ピネン、カンフェン、サビネン、ベータ-ピネン、ミルセン、アルファ-テルピネン、3-オクタノール、ユーカリプトール、p-シメン、シス-オシメン、ガンマ-テルピネン、及びそれらの組み合わせから選択される。好ましくは、第1のミント蒸留物は、25~75、好ましくは、30~70、より好ましくは、35~65、更により好ましくは、40~60、代替的に、50~55ピーク面積パーセントの、摂氏155~183度の沸点を有するミント風味成分(リモネンを除く)を含む。
【0118】
ピネン、例えば、アルファ-ピネン及びベータ-ピネンは、そのようなミント風味成分の具体的な例である。好ましくは、第1のミント蒸留物は、ピネン、好ましくは、Lei-Hoke方法Iによると、少なくとも15、好ましくは、少なくとも20、より好ましくは、22~40、更により好ましくは、25~35ピーク面積パーセントのピネンを含む。好ましくは、ピネンは、ベータ-ピネン及び/又はアルファ-ピネンである。一例では、ピネンは、ベータ-ピネンであり、第1のミント蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによると、少なくとも5、より好ましくは、少なくとも10、更により好ましくは、10~25、その上更により好ましくは、12~20ピーク面積パーセントのベータ-ピネンを含む。別の例では、ピネンは、アルファ-ピネンであり、第1のミント蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによると、少なくとも5、より好ましくは、少なくとも7、更により好ましくは、8~20、更になおもより好ましくは、10~15ピーク面積パーセントのアルファ-ピネンを含む。更に別の例では、ピネンは、好ましくは、前述のピーク面積パーセントレベルで、アルファ-ピネン及びベータ-ピネンの両方を含む。
【0119】
ユーカリプトールは、そのようなミント風味成分の別の具体的な例である。好ましくは、第1のミント蒸留物は、ユーカリプトール、好ましくは、Lei-Hoke方法Iによると、第1のミント蒸留物中に少なくとも1、より好ましくは、少なくとも3、更により好ましくは、3~10、更になおもより好ましくは、4~8ピーク面積パーセントのユーカリプトールを含む。サビネンは、そのようなミント風味成分の別の例である。好ましくは、第1のミント蒸留物は、サビネン、好ましくは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも1、より好ましくは、2~6ピーク面積パーセントのサビネンを更に含む。パラ-シメンは、そのようなミント風味成分の別の例である。好ましくは、第1のミント蒸留物は、パラ-シメン、好ましくは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、少なくとも1、より好ましくは、2~8ピーク面積パーセントのパラ-シメンを更に含む。
【0120】
好ましくは、第1のミント分別蒸留物は、カンフェン、ミルセン、アルファ-テルピネン、3-オクタノール、シス-オシメン、ガンマ-テルピネン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるミント風味成分を更に含む。より好ましくは、第1のミント蒸留物は、前述のミント風味成分のうちの少なくとも2つ、好ましくは、少なくとも3つ、より好ましくは、少なくとも4つ、更により好ましくは、少なくとも5つ、更になおもより好ましくは、6つを更に含む。別の例では、第1の分別蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.1~2、好ましくは、0.5~1.5、より好ましくは、0.8~1.2ピーク面積パーセントのカンフェンを含む。別の例では、第1の分別蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、12~22、好ましくは、14~20、より好ましくは、15~19、更により好ましくは、16~18ピーク面積パーセントのベータ-ピネンを含む。別の例では、第1の分別蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.5~5、好ましくは、1~4、より好ましくは、2~3ピーク面積パーセントのミルセンを含む。別の例では、第1の分別蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.1~2、好ましくは、0.5~1.5、より好ましくは、0.7~1.1ピーク面積パーセントのアルファ-ピネンを含む。別の例では、第1の分別蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.5~6、好ましくは、1~5、より好ましくは、2~4ピーク面積パーセントの3-オクタノールを含む。別の例では、第1の分別蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、25~75、好ましくは、30~70、より好ましくは、35~65、更により好ましくは、40~60、代替的に、42~52ピーク面積パーセントのリモネンを含む。別の例では、第1の分別蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、1~11、好ましくは、2~10、より好ましくは、3~9、更により好ましくは、4~8ピーク面積パーセントのユーカリプトールを含む。別の例では、第1の分別蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.1~1、好ましくは、0.15~0.9、より好ましくは、0.2~0.7ピーク面積パーセントのシス-オシメンを含む。別の例では、第1の分別蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.1~3、好ましくは、0.2~2、より好ましくは、0.5~1.5ピーク面積パーセントのガンマ-テルピネンを含む。
【0121】
好ましくは、第1のミント蒸留物は、1,000パーツ・パー・ミリオン(PPM-重量/重量(wt/wt))、好ましくは、200PPM未満、より好ましくは、30PPM未満の硫黄化合物を含む。好ましくは、硫黄化合物は、ジメチルスルフィド、ジメチルスルホキシド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、及びそれらの組み合わせから選択される。好ましくは、硫黄化合物は、ジメチルスルフィドである。第1のミント蒸留物は、Lei-Hoke方法Iによって決定される、メントン及びメントールである、5未満、好ましくは、3未満、より好ましくは、1未満のピーク面積パーセントの追加風味成分を含み得る。好ましくは、第1のミント蒸留物は、1重量%未満のC~Cアルコールを含有し、好ましくは、C~Cアルコール(例えば、エタノール又はメントール)を実質的に含まない。
【0122】
着香料/ミント風味組成物を作製する方法は、第2の(「テールカット」)ミント蒸留物を第1のミント蒸留物及び追加ミント風味成分に組み合わせる追加のステップを含み得る。好ましくは、第2のミント蒸留物は、0.01~5.0重量パーセントの最終着香料/ミント風味組成物を含む。第2のミント蒸留物の1つの商業的な例は、以下の表C(1)及びC(2)に記載される「ペパーミント残留蒸留物(「テールカット」)」である。第2のミント蒸留物は、(i)第2のミント蒸留物の少なくとも10重量%、好ましくは、少なくとも15重量%、より好ましくは、少なくとも20重量%、更により好ましくは、少なくとも25重量%のビリジフロロールと、(ii)第2のミント蒸留物の30重量%未満、好ましくは、20重量%未満、より好ましくは、15重量%未満、更により好ましくは、10重量%未満のミントスルフィドとを含む。第2のミント蒸留物は、任意選択的であるが、好ましくは、ゲルマクレンDを含む。存在する場合、第2のミント蒸留物は、第2のミント蒸留物の少なくとも0.1重量%、より好ましくは、少なくとも0.5重量%、更により好ましくは、1~10重量%のゲルマクレンDを含む。好ましくは、第2のミント蒸留物は、1重量%未満のC~Cアルコールを含有し、好ましくは、C~Cアルコール(例えば、エタノール又はメントール)を実質的に含まない。
【0123】
第1及び任意選択的に第2のミント蒸留物は、ミント風味組成物及び/又は同組成物を含有する着香料を作製する方法において、前述の1つ又は2つ以上の追加ミント風味成分と組み合わせることができる。先行請求項のいずれか一項に記載の方法では、追加ミント風味成分を添加するステップは、着香料/ミント風味組成物が、着香料/ミント風味組成物の80重量%超、好ましくは、85%重量超、より好ましくは、90重量%超、更により好ましくは、93重量%超の合成ミント風味成分を含むように、合成の追加ミント風味成分を添加することを含む。
【0124】
追加ミント風味成分
本明細書の上記に記載されるミント風味成分に加えて、ミント風味組成物は、追加ミント風味成分を含み得る。追加ミント風味成分は、メントン、イソメントン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、リモネン、メントール、ネオメントール、イソメントール、ネオイソメントール、酢酸メンチル、リナロール、テルピネン-4-オール、イソプレゴール、ピペリトン、ジヒドロミントラクトン、ユーカリプトール、チモール、ビリジフロロール、3-ヘキセン-1-オール、メントフラン、カリオフィレン、カルボン、サビネン、ミルセン、カンフェン、アルファ-テルピネン、シス-オシメン、アルファ-ツジェン、デルタ-3-カレン、ガンマ-テルピネン、3-オクタノール、トランス-サビネン水和物、ゲルマクレンD、デルタ-カジネン、p-シメン、プレゴン、アルファ-テルピネオール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、ミント風味組成物は、前述の追加ミント風味成分のうちの1~37個のいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせを含む。より好ましくは、ミント風味組成物は、前述の追加ミント風味成分のうちの少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、更により好ましくは、少なくとも20個、更になおもより好ましくは少なくとも25個、その上なおも更により好ましくは、少なくとも30個を含む。更により好ましくは、ミント風味組成物は、以下の追加ミント風味成分のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含む:
(a)3-ヘキセン-1-オールであって、好ましくは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.01~0.1、より好ましくは、0.01~0.05、更により好ましくは、0.01~0.03ピーク面積パーセントの、3-ヘキセン-1-オール、
(b)Lei-Hoke方法Iによって決定される、9.2~20、好ましくは、9.5~15、より好ましくは、10.0~13ピーク面積パーセントのC1016モノテルペンであって、好ましくは、C1016モノテルペンが、以下:サビネン、ミルセン、カンフェン、アルファ-テルピネン、シス-オシメン、アルファ-ツジェン、デルタ-3-カレン、ガンマ-テルピネン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、及びリモネンから選択される、少なくとも1~5つ、好ましくは、少なくとも5つを含む、C1016モノテルペン、
(c)Lei-Hoke方法Iによって決定される、総含有量で3.5未満、好ましくは、0.01~2.2、より好ましくは、0.1~2、更により好ましくは、0.2~1.8ピーク面積パーセントの、ネオメントール、イソメントール、及び/又はネオイソメントール、
(d)メントールであって、Lei-Hoke方法Iによって決定される、好ましくは、40.0~45.0、好ましくは、41.5~45.0ピーク面積パーセントの、メントール、
(e)(+)-及び(-)-メントールであって、好ましくは、(+)-メントール:(-)-メントールのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IIによって決定される、0.2~0.4、好ましくは、0.21~0.35である、(+)-及び(-)-メントール、
(f)メントール及びメントンであって、好ましくは、メントール:メントンのピーク面積比が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、1.6~2、好ましくは、1.7~1.9である、メントール及びメントン、
(g)ジヒドロミントラクトンであって、好ましくは、ジヒドロミントラクトンは、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.035~0.500、好ましくは、0.040~0.300、より好ましくは、0.045~0.100ピーク面積パーセントである、ジヒドロミントラクトン、
(h)(-)-リモネンであって、Lei-Hoke方法Vによって決定される、4.00~7、好ましくは、4.30~6ピーク面積パーセントである、(-)-リモネン、
(i)アルファ-ピネンであって、好ましくは、アルファ-ピネンが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、1.90~5、好ましくは、2.00~4、より好ましくは、2.20~3.5ピーク面積パーセントであり、より好ましくは、(-)-アルファ-ピネン:(+)-アルファ-ピネンのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IVによって決定される、3.0~6、好ましくは、3.1~5、より好ましくは、3.2~4.7である、アルファ-ピネン、
(j)(-)-ベータ-ピネンであって、Lei-Hoke方法Vによって決定される、好ましくは、1.1~5、好ましくは、1.2~3、より好ましくは、1.5~2.5ピーク面積パーセントの、(-)-ベータ-ピネン、
(k)ベータ-ピネンであって、好ましくは、ベータ-ピネンが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、2.2~5.0、好ましくは、2.3~4.0、好ましくは、2.4~3.0ピーク面積パーセントであり、より好ましくは、(-)-ベータ-ピネン:(+)-ベータ-ピネンのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IVによって決定される、3~8、好ましくは、4~7、より好ましくは、4.7~6.0である、ベータ-ピネン、
(l)(-)-リナロールであって、好ましくは、(-)-リナロールが、Lei-Hoke方法Vによって決定される、0.117~0.2、好ましくは、0.120~0.200、より好ましくは、0.125~0.190ピーク面積パーセントであり、好ましくは、(-)-リナロール:(+)-リナロールのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IVによって決定される、0.5~2.5、好ましくは、0.9~2.3である、(-)-リナロール、
(m)酢酸メンチルであって、好ましくは、酢酸メンチルが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、5.5~6.5、好ましくは、5.8~6.5ピーク面積パーセントを有し、より好ましくは、(+)-酢酸メンチル:(-)-酢酸メンチルのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IIによって決定される、0.1~0.980、好ましくは、0.7~0.980である、酢酸メンチル、
(N)酢酸メンチル、ユーカリプトール、及びメントフランであって、好ましくは、酢酸メンチル:メントフランのピーク面積比が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、60~225、好ましくは、61~200、より好ましくは、62~185であり、より好ましくは、ユーカリプトール:メントフランのピーク面積比が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、40~115である、酢酸メンチル、ユーカリプトール、及びメントフラン、
(o)(+)-ネオメントールであって、好ましくは、Lei-Hoke方法Vによって決定される、0.2~1.5、好ましくは、0.4~1ピーク面積パーセントの、(+)-ネオメントール、
(p)(-)-及び(+)-ネオメントールであって、好ましくは、Lei-Hoke方法IIによって決定される、0~0.95、好ましくは、0.2~0.90の(-)-ネオメントール:(+)-ネオメントールのピーク面積比である、(-)-及び(+)-ネオメントール、
(q)メントール及びネオメントールであって、好ましくは、メントール:ネオメントールのピーク面積比が、Lei-Hoke方法Iによって決定される、19~80、好ましくは、25~60、より好ましくは、30~55である、メントール及びネオメントール、
(r)イソメントンであって、好ましくは、イソメントンのピーク面積パーセントが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、5~10、好ましくは、5.2~9である、イソメントン、
(s)リモネンであって、好ましくは、リモネンのピーク面積パーセントが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、3.80~8、好ましくは、4.00~7、より好ましくは、4.30~6.50であり、より好ましくは、(-)-リモネン:(+)-リモネンのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IVによって決定される、5~40、好ましくは、11~35である、リモネン、
(t)チモールであって、好ましくは、チモールのピーク面積パーセントが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.03~0.15、好ましくは、0.05~0.10である、チモール、
(u)ユーカリプトールであって、好ましくは、ユーカリプトールが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、3~5.5、好ましくは、3.5~5ピーク面積パーセントである、ユーカリプトール、
(v)メントフランであって、好ましくは、メントフランが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.01~0.1ピーク面積パーセントである、メントフラン、
(w)ピペリトンであって、好ましくは、ピペリトンが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.1~1.0、好ましくは、0.2~0.7ピーク面積パーセントであり、より好ましくは、(-)-ピペリトン:(+)-ピペリトンのピーク面積比が、Lei-Hoke方法IVによって決定される、2~18、好ましくは、5~15である、ピペリトン、並びに
(x)イソプレゴールであって、好ましくは、イソプレゴールが、Lei-Hoke方法Iによって決定される、0.20~0.60、好ましくは、0.21~0.50ピーク面積パーセントである、イソプレゴール。
【0125】
その上更により好ましくは、ミント風味組成物は、前述の追加風味成分(a)~(x)のうちの少なくとも2個、好ましくは、少なくとも4個、より好ましくは、少なくとも6個、更により好ましくは少なくとも8個、更になおもより好ましくは、少なくとも10個、その上なおも更により好ましくは、少なくとも12個を含む。代替的に、ミント風味組成物は、当該追加風味成分の(a)~(x)の任意の組み合わせを含む。
【0126】
着香料
本発明の着香料は、ミント風味組成物(以前に規定されたような)と、任意選択的な成分とを含む。これらの任意選択的な成分は、多種多様な天然及び合成非ミント風味成分、微量成分、及び/又は溶媒を含み得る。例えば、当業者は、サリチル酸メチルを本明細書に記載のミント風味組成物に添加して、ウィンターグリーン風味プロファイルを着香料に付与する。別の例は、本発明の着香料を提供するためのトランス-アネトールの添加である。非限定的な例は、得られた着香料に対して0.05~6重量%、好ましくは、0.5~3重量%、代替的に、0.9~2重量%のトランス-アネトールがあるように、トランス-アネトールをミント風味組成物に添加することを含む。トランス-アネトール(CAS番号4180-23-8)は、1-メトキシ-4-[(E)-プロパ-1-エニル]ベンゼンとして、そのIUPAC名によって特定される。理論に拘束されることを望むものではないが、トランス-アネトールは、リコリスのような甘味及び濃密さを提供し、全体的な風味プロファイルを滑らかにするか、又は丸みを付けることに役立つ。
【0127】
消費者製品
本発明の一態様は、本明細書に記載のミント風味組成物(又は当該ミント風味組成物を含む着香料)を含む、消費者製品を含む。これらの消費者製品は、菓子などの食品、又は口腔ケア(例えば、練り歯磨き及びマウスウォッシュ)などのパーソナルケア品目を含み得る。最終消費者製品に含まれるミント風味組成物の典型的なレベルは、消費者製品の0.01~10重量%、好ましくは、0.1~5重量%、より好ましくは、0.2~3重量%である。着香料は、同様のレベルで含有され得る。消費者製品は、食品(好ましくは、チューインガムなどの菓子)及びパーソナルケア製品(好ましくは、歯磨剤などの口腔ケア製品)から選択することができる。
【0128】
本明細書のミント風味組成物は、様々な消費者製品に組み込むことができる。本発明の一態様は、担体と、ミント風味組成物とを含む、消費者製品を提供する。担体は、対象消費者製品の通常かつ従来の成分である。食品は、本明細書のミント風味組成物によって提供されるミント着香料を含み得る。食品の1つの好ましい例としては、菓子が挙げられる。ひいては、菓子の例は、チューインガムである。チューインガムは、概して、水不溶性ガムベース、水溶性部分、及び着香料からなる。水溶性部分は、咀嚼中の期間にわたって着香料の一部分と共に消散する。ガムベース部分は、咀嚼の全体を通して口の中で保持される。不溶性ガムベースは、概して、エラストマー、樹脂、脂肪及び油、軟化剤、並びに無機充填剤を含む。ガムベースは、ワックスを含む場合とそうではない場合がある。チューインガム配合物は、糖(約45重量%~60重量%)、ガムベース(15重量%~30重量%)、コーンシロップ(5重量%~10重量%)、デキストロース(5重量%~20重量%)、グリセリン(0.1重量%~3重量%)、及び本明細書に記載されるミント風味組成物(0.1重量%~3重量%、好ましくは0.5重量%~2重量%)を含み得る。チューインガムの例は、米国特許第5,372,824号に記載されている。
【0129】
パーソナルケア製品は、本明細書のミント風味組成物によって提供されるミント風味を含むことができる。口腔ケア製品は、前述のミント風味組成物と、経口的に許容される担体とを含み得る。そのような経口的に許容される担体とは、局所経口投与に好適である1つ又は2つ以上の相溶性固体若しくは液体賦形剤又は希釈剤を含む、材料である。「相溶性」とは、組成物の成分が、組成物の安定性、安全性、消費者受容、及び/又は有効性を実質的に低減する様式で相互作用することなく、混合することが可能であることを意味する。担体は、本明細書の以降でより完全に説明されるように、歯磨剤、非研磨ゲル、歯肉下ゲル、マウスウォッシュ又はリンス、口内スプレー、チューインガム、トローチ剤、及びブレスミントの通常かつ従来の成分を含むことができる。使用される担体の選択は、基本的に、組成物が口腔に導入される方法によって決定される。例えば、練り歯磨き、歯用ゲル、又は同等物のための担体材料には、研磨材料、起泡剤、結合剤、保湿剤、着香剤、及び甘味剤などが含まれる。
【0130】
一例では、組成物は、練り歯磨き、歯用ゲル、歯用粉末、及び錠剤などの歯磨剤の形態である。そのような練り歯磨き及び歯用ゲルの成分は、概して、歯科用研磨剤(6重量%~50重量%)、界面活性剤(0.5重量%~10重量%)、増粘剤(0.1重量%~5重量%)、湿潤剤(5重量%~55重量%)、着香剤(0.04重量%~3重量%)、甘味剤(0.1重量%~3重量%)、着色剤(0.01重量%~0.5重量%)、及び水(2重量%~45重量%)のうちの1つ又は2つ以上を含む。そのような練り歯磨き又は歯用ゲルはまた、虫歯予防剤(フッ化物イオンとして0.05重量%~0.3重量%)及び歯石予防剤(0.1重量%~15重量%)のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。
【0131】
他の例では、組成物は、マウスウォッシュ又はリンス、口内スプレー、歯科溶液、及び灌注流体を含む、液体製品の形態である。そのようなマウスウォッシュ及び口内スプレーの成分は、典型的には、水(45重量%~95重量%)、エタノール(0重量%~25重量%)、保湿剤(0重量%~50重量%)、界面活性剤(0.01重量%~7重量%)、着香剤(0.04重量%~2重量%)、甘味剤(0.1重量%~3重量%)、及び着色剤(0.001重量%~0.5重量%)のうちの1つ又は2つ以上を含む。そのようなマウスウォッシュ及び口内スプレーはまた、虫歯予防剤(フッ化物イオンとして0.05重量%~0.3重量%)及び歯石予防剤(0.1重量%~3重量%)のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。歯科溶液の成分は、概して、水(90重量%~99重量%)、防腐剤(0.01重量%~0.5重量%)、増粘剤(0重量%~5重量%)、着香剤(0.04重量%~2重量%)、甘味剤(0.1重量%~3重量%)、及び界面活性剤(0重量%~5重量%)のうちの1つ又は2つ以上を含む。パーソナルケア組成物は、米国特許出願公開第2012/0014883(A1)号に記載されている。
【実施例
【0132】
ミント風味組成物を含む発明の着香料
【0133】
【表3】
【0134】
【表4】
【0135】
表C(1)及びC(2)からの材料は、限定されないが、以下の供給元、すなわち、Symrise、BASF、AM Todd、Firmenich、Norwest Ingredients、Bordas、Kerry、H.Reynaud、Takasago、Callisons、Labbeemint、Givaudan、Mane、Sharp Mint Ltd.、Copeland、RC Treatt、Penta、Vigon、Sigma Aldrich、Berje、IFF、Excellentia、Global Essence、Robertet、及びLebermuthから入手され得る。
【0136】
発明の実施例1及び2は、発明の実施例3及び4と比較して提供される更に高い費用削減により、発明の実施例のうちで最も好ましい。以下に論じられるように、発明の実施例2、3、及び4は、それらの正のミント風味プロファイル属性においてほぼ等しく試験された。発明の実施例1は、発明の実施例2のわずかな修正であり、したがって、風味/感覚の専門家又はパネリスト若しくは消費者の間で評価されるときに有意に異なることは予想されない。
【0137】
感覚/風味データ
比較例A、B、及びCは、芳香において有利に示されない初期プロトタイプである。それらのプロファイルは、薄く、堅調性を欠く。これらの比較例は、全体的な風味特性プロファイルに持続性及びふくよかさをもたらすことに役立つ重いクリーム状及び/又は「滑らかにする」成分が欠落している。これらの比較例はまた、過剰に甘く、過剰に清浄であり、天然の豊富なミントに特徴的な湿り気のある土のような香調を欠く。本発明に到達するために、100回超の反復が試作され、芳香について評価された。研究過程の間、芳香プロファイルが所望の特性に改善すると、ミント風味組成物候補が、風味の専門家による迅速な評価のために練り歯磨きに混入された。場合によっては、ミント風味組成物は、好ましい芳香プロファイルを有するが、完成した製品と関連するとそれをよく示さなかった。風味プロファイルは、気が抜け、所望のミントの衝撃を伝えるのに足りるほど堅調ではなかった。これは、望ましくないことに、バニラ、香辛料、又はフルーツのような香調などの練り歯磨きの風味の二次香調が、商業的制御よりも透過することを可能にした。練り歯磨きにおける芳香プロファイル及び味の両方で有利に示されるミント風味組成物は、表E(1)、E(2)、及びFで共有される対応するデータを用いて、本明細書に記載される専門家感覚及び風味試験に進められる。
【0138】
様々な歯磨剤配合物中の本明細書のミント風味組成物の発明の実施例2、3、及び4は、市販のミント風味組成物を含有する同配合物の商品化されたバージョンと比較される。以下の表E(1)及びE(2)では、初回の試験が、相違度(「DOD」)等級付けスケールを使用して、発明及び対照の歯磨剤を評価及び比較した外部の訓練された感覚パネリストによって完了される。5点DODスケールが、表Dに示される。
【0139】
【表5】
【0140】
以下の表E(1)及びE(2)では、2つのCrest(登録商標)ブランド歯磨剤シャーシ内の発明の実施例2、3、及び4からの感覚DOD結果の要約であり、全て同製品の商品化されたバージョンと比較され、各対照もまた、その個別の対照の同様のバージョンに対して評価される。
【0141】
【表6】
【0142】
【表7】
【0143】
表E(1)及びE(2)を参照すると、データは、試験された発明の実施例(2、3、及び4)とそれらのそれぞれの現在市販されている対照との間にわずかな差のみが存在することを示唆する。「陰性対照区間」(対照と比較された対照)は、感覚パネルが評価においてうまく機能していることを示す。対照対対照の口内評価のDODスコアが両方の歯磨剤シャーシについて1.57であったことを考慮すると、発明の実施例のスコアリングには最大0.5点の差のみがある。このデータは、発明の実施例2、3、及び4が、性能において対照と同等であることを示す。
【0144】
発明の実施例2における更なる費用削減及びより高い合成組成物の%割合により、本発明のミント風味組成物は、複数の着香料内で9つの異なる歯磨剤シャーシにおいて更に試験された。以下の表Fでは、発明の実施例2を含む9つの異なる歯磨剤シャーシ、又は同歯磨剤の対応する商品化されたバージョン(ミント風味の商品化バージョンを採用する)を使用して、歯磨き体験中のいくつかの時間間隔から取得された100個の具体的なデータ点から生成された結果の要約である。
【0145】
データは、外部専門感覚パネル及び内部専門風味パネルの両方から生成される。試験は、2つの歯磨剤を使用することの合間に最低1時間のウォッシュアウト期間で、発明の歯磨剤及び対照としての同歯磨剤の個別の商品化されたバージョンの両方で(二重盲検、無作為化された順序)歯を磨くことによって、専門感覚パネルによって完了される。外部専門感覚パネリストは、発明の歯磨剤を対応する対照歯磨剤サンプルと比較して評価し、説明的フィードバックを提供し、その結論が表Fに記録される。内部専門風味パネリストもまた、発明及び対照の歯磨剤を評価した。これらの調香師は、連続して両方で(二重盲検、無作為化された順序)歯を磨くことによって、発明の歯磨剤を対照に対して比較するDOD方法を使用した。DOD値は、表F上で平均として報告される。口内評価のための5点DODスケールは、本明細書の表Dで以前に提供されている。
【0146】
表Fは、本明細書の発明の実施例2を含有する発明の歯磨剤配合物と、同配合物の商品化されたバージョン(CREST(登録商標)ブランド下)との専門感覚及び風味パネリストによる比較である。
【0147】
【表8】
【0148】
結論として、表Fを参照すると、専門家感覚及び専門家風味評価の両方は、完成した歯磨剤製品との関連で、商品化されたミント風味と対比したミント風味組成物の実施例2の差は、消費者が気付く可能性が低く、交換可能であり得ることを示す。典型的には、3(中程度の差)のDOD周辺に消費者が気付く差のリスクがあるが、製品ペアのうちのいずれも、2.3のDODを上回らなかった。当然ながら、発明の実施例2は、大幅な費用削減を提供する。
【0149】
実施例1の発明のミント風味組成物は、図1~10の表上に示されるように、実施例2のわずかな修正である。これらの差は、風味/感覚の専門家又はパネリスト若しくは消費者の間で評価されたときに、有意に感覚的に顕著であることは予想されず、したがって、更なる感覚試験に値しない。
【0150】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解するべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0151】
いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0152】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図10-1】
図10-2】
図11
【国際調査報告】