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  • 特表-スズを含む再石灰化口腔ケア組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】スズを含む再石灰化口腔ケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/20 20060101AFI20230526BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/21 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
A61K8/20
A61Q11/00
A61K8/25
A61K8/21
A61K8/41
A61K8/19
A61K8/36
A61K8/365
A61K8/362
A61K8/44
A61K8/55
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564679
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 US2021030755
(87)【国際公開番号】W WO2021226157
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】63/020,036
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】アリフ、アリ、ベーグ
(72)【発明者】
【氏名】アーロン、リード、ビースブロック
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、フレドリック、グロート
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル、ジェームズ、セント、ジョン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB242
4C083AB281
4C083AB471
4C083AB472
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC241
4C083AC291
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC581
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC862
4C083AD222
4C083AD352
4C083CC41
4C083EE32
(57)【要約】
スズ、シリカ、キレート剤、約6以上のpHを有するが、亜鉛を含まない、再石灰化口腔ケア組成物。スズ、シリカ、単座配位子、多座配位子、約6以上のpHを有するが、亜鉛を含まない、再石灰化口腔ケア組成物。スズ、シリカ、及びキレート剤系を含むが、亜鉛を含まない、再石灰化歯磨剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯磨剤組成物であって、
(a)スズであって、好ましくは、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、又は組み合わせを含む、スズと、
(b)研磨剤であって、好ましくは、シリカ研磨剤、カルシウム研磨剤、又はそれらの組み合わせを含む、研磨剤と、
(c)単座配位子と、
(d)多座配位子と、
(e)少なくとも約6のpHと、を含み、
前記歯磨剤組成物が、前記歯磨剤組成物の0.01重量%未満の亜鉛を含み、好ましくは、前記歯磨剤組成物が、亜鉛を本質的に含まないか、実質的に含まないか、又は含まない、歯磨剤組成物。
【請求項2】
前記歯磨剤組成物が、約1:0.5:0.5~約1:5:5、約1:1:0.5~約1:2.5:2.5、又は約1:1:1~約1:2.5:2.5のスズ対単座配位子対多座配位子のモル比を有する、請求項1に記載の歯磨剤組成物。
【請求項3】
前記歯磨剤組成物が、フッ化物を含み、好ましくは、前記フッ化物が、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化アミン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の歯磨剤組成物。
【請求項4】
前記歯磨剤組成物が、添加された水を含まないか、水を含むか、又は前記組成物の最大45重量%の水を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の歯磨剤組成物。
【請求項5】
前記単座配位子が、スズをキレート化することが可能な1つの官能基を含む化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の歯磨剤組成物。
【請求項6】
前記単座配位子が、カルボン酸又はその塩を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の歯磨剤組成物。
【請求項7】
前記カルボン酸が、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、糖酸、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記糖酸、アルドン酸、ウロソン酸、ウロン酸、アルダル酸、グルコン酸、それらの塩、又はそれらの組み合わせである、請求項1~6のいずれか一項に記載の歯磨剤組成物。
【請求項8】
前記脂肪族カルボン酸が、直鎖飽和カルボン酸、直鎖不飽和カルボン酸、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、ガンマヒドロキシ酸、アミノ酸、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記アミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、ロイシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、シトルリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の歯磨剤組成物。
【請求項9】
前記アルファヒドロキシ酸が、ラクテートを含む、請求項7に記載の歯磨剤組成物。
【請求項10】
前記多座配位子が、スズをキレート化することが可能な少なくとも2つの官能基を含む化合物を含み、好ましくは、前記多座配位子が、カルボン酸、ポリホスフェート、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の歯磨剤組成物。
【請求項11】
前記カルボン酸が、ジカルボン酸、トリカルボン酸、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の歯磨剤組成物。
【請求項12】
前記ジカルボン酸が、式HOC-R-COHを有する化合物を含み、好ましくは、Rが、脂肪族、芳香族、又はそれらの組み合わせである、請求項11に記載の歯磨剤組成物。
【請求項13】
前記ジカルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、タプシン酸、日本酸、フェロゲン酸、エキセトール酸、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の歯磨剤組成物。
【請求項14】
前記トリカルボン酸が、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、トリメシン酸、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の歯磨剤組成物。
【請求項15】
前記ポリホスフェートが、ピロホスフェート、トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート、又はそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の歯磨剤組成物。
【請求項16】
前記歯磨剤組成物が、少なくとも約1000ppmの可溶性フッ化物を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の歯磨剤組成物。
【請求項17】
前記pHが、少なくとも約6.5である、請求項1~16のいずれか一項に記載の歯磨剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エナメル質及び/又は象牙質の再石灰化に寄与し得る、高量の可溶性フッ化物イオンを含むスズを含む口腔ケア組成物を対象とする。本発明はまた、高量の可溶性フッ化物イオンを含むスズ及びシリカを含む歯磨剤組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
口腔ケア組成物には、口腔内細菌に対抗し、かつ歯垢及び結石の形成などの、口腔内の細菌によって引き起こされる状態を予防し、治療するために、スズイオンなどの抗菌剤が含まれている。歯垢及び結石の形成、並びにそれらの増殖を停止できないことが、虫歯、歯肉炎、歯周病、及び歯の喪失の主な原因である。追加的に、スズイオンは、口腔内の表面上に堆積して、抗侵食、抗菌、及び/又は抗過敏の利益などの保護機能を提供することができる。
【0003】
しかしながら、スズは、口腔ケア組成物のスズと他の構成成分との間の反応性のために、口腔ケア組成物中に適切に配合することが困難であり得る。アンダーキレート化スズ又はオーバーキレート化スズは、所望の利益を提供するために、スズイオンのより低い利用可能性をもたらす可能性がある。例えば、スズがキレート化されていない場合、スズは、シリカ、水などの口腔ケア組成物の他の構成成分と反応する場合があり、より少ない量の利用可能なスズイオンをもたらし得る。対照的に、スズがオーバーキレート化されているか、又はキレート剤-スズキレート化が強すぎる場合、スズイオンは、口腔内で結び付けられ、それはまた、より少ない量の利用可能なスズイオンをもたらし得る。
【0004】
特に、スズ及びシリカを含む歯磨剤組成物は、約7以上のpHで配合することが困難であり得る。フッ化第一スズなどのスズ化合物は、単相で一緒に配合されたときにシリカ研磨剤と反応し得、これは低レベルの可溶性フッ化物イオンをもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、エナメル質及び/又は象牙質の再石灰化に寄与するために、十分なレベルの可溶性フッ化物イオンを含む約7以上のpHでスズ及びシリカを含む歯磨剤組成物の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において、(a)スズと、(b)研磨剤と、(c)キレート剤と、(d)少なくとも約6のpHと、を含み、歯磨剤組成物が、歯磨剤組成物の0.01重量%未満の亜鉛を含む、歯磨剤組成物が開示されている。
【0007】
また本明細書において、(a)スズと、(b)研磨剤と、(c)単座配位子と、(d)多座配位子と、(e)少なくとも約6のpHと、を含み、歯磨剤組成物が、歯磨剤組成物の0.01重量%未満の亜鉛を含む、歯磨剤組成物が開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1及び実施例2のフッ化物活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、可溶性フッ化物の生物学的利用能を反映する、希釈された組成物中の高フッ化物活性を確実にするために、配合構成成分の残りを最適化しながら、高量の生物学的に利用可能なSnをエナメル質表面に送達するために最適に安定化されたSn含有口腔ケア組成物に関する。可溶性フッ化物の高生物学的利用能は、虫歯予防の有効性にとって重要である。得られた発明は、Znを添加せずに組成物を提供し、それによってZn-キレート-F錯体の形成を制限する。クエン酸亜鉛は、従来、抗結石剤として使用され、フッ化物活性へのその影響は、文献において以前に報告されている知識にはなかった。したがって、組成物へのZnの添加を控えることにより、Zn含有組成物に対して組成物フッ化活性が予想外に増加した。
【0010】
定義
本明細書で使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別途記載のない限り、以下の定義は、本開示に適用可能である。ある用語が本開示で使用されているが本明細書で具体的に定義されていない場合、その定義が、本明細書に適用される任意の他の開示又は定義と矛盾しない限り、又はその定義が適用される任意の請求項を不明確に又は不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd Ed(1997)からの定義を適用することができる。
【0011】
用語「口腔ケア組成物」は、本発明で使用する場合、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、歯の表面又は口腔組織と接触させるのに十分な時間にわたって口腔内に保持される製品を包含する。口腔ケア組成物の例としては、歯磨剤、歯磨ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭予防用溶解ストリップ、又は義歯用ケア若しくは付着性製品が挙げられる。口腔ケア組成物はまた、口腔表面に直接塗布又は装着するためにストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0012】
本明細書で使用する場合、用語「歯磨剤組成物」は、特に指示がない限り、歯用又は歯肉縁下用ペースト、ゲル、又は液体製剤を包含する。歯磨剤組成物は、単相組成物であってもよく、又は2つ以上の別個の歯磨剤組成物の組み合わせであってもよい。歯磨剤組成物は、深い縞状、表面的な縞状、多層状、ペーストをゲルで包囲した状態、又はそれらのいずれかの組み合わせなど、任意の所望の形態であってもよい。2つ以上の別個の歯磨剤組成物を含む歯磨剤中の各歯磨剤組成物は、ディスペンサの物理的に分離された区画内に収容され、同時に分注されてもよい。
【0013】
本明細書で有用な「有効物質及び他の成分」は、美容的及び/若しくは治療的効果、又はそれらが要求される作用形態若しくは機能により、本明細書において分類又は記載されてよい。しかしながら、本明細書において有用な有効物質及び他の成分は、場合によっては、2つ以上の美容的及び/又は治療的効果をもたらす、あるいは2つ以上の作用形態で機能又は作用してもよいと理解すべきである。したがって、本明細書における分類は便宜上実施されるものであり、成分を、列挙される具体的に規定した機能又は作用に制限しようとするものではない。
【0014】
用語「経口的に許容し得る担体」とは、局所口腔投与に好適な1種以上の相溶性のある固体若しくは液体賦形剤、又は希釈剤を含む。用語「相溶性」は、本明細書で使用する場合、組成物の構成成分が、組成物の安定性及び/又は有効性を実質的に低下させるような方式で相互作用することなく、混合され得ることを意味する。本発明の担体又は賦形剤は、以下により完全に記載されるように、マウスウォッシュ又はマウスリンスの通常の及び従来の構成成分を含むことができる。マウスウォッシュ又はマウスリンスの担体材料は、典型的には、これらに限定されるものではないが、水、アルコール、保湿剤、界面活性剤、及び、着香剤、甘味剤、着色剤及び/又は冷感剤などの許容改善剤のうちの1つ以上を含む。
【0015】
本発明で使用する場合、用語「~を実質的に含まない(substantially free)」は、組成物中に、かかる組成物の総重量の0.05%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.001%以下の指示物質が存在することを指す。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「~を本質的に含まない(essentially free)」は、指示物質が組成物に意図的に添加されたものでないこと、又は好ましくは分析によって検出可能な濃度では存在しないことを意味する。すなわち、指示物質が、意図的に添加された他の物質のうちのいずれかの不純物としてのみ存在する、組成物を包含することを意味する。
【0017】
用語「口腔衛生レジメン」又は「レジメン」とは、口腔健康のための2つ以上に分かれた異なる処置工程、例えば、練り歯磨き、マウスリンス、フロス、爪楊枝、スプレー、口腔洗浄器、マッサージ器を使用するための用語であり得る。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「総含水量」とは、遊離水、及び口腔ケア組成物中の他の成分によって結合される水、の両方を意味する。
【0019】
本発明の目的のために、例えば、キレート剤がシトレート種で、クエン酸、クエン酸ナトリウム、又は他の塩の形態で供給できる場合、使用されるべき関連分子量(molecular weight、MW)は、組成物を調製する際に添加される物質のMWであり、使用されるMWは、組成物に添加される特定の塩又は酸のMWであるが、存在し得るいかなる結晶化水も無視される。
【0020】
組成物及び方法は、本明細書において、様々な構成成分又は工程を「含む」という観点で記載されているが、組成物及び方法はまた、別途記載のない限り、様々な構成成分又は工程「から本質的になる」又は「からなる」こともできる。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「又は」は、2つ以上の要素の接続詞として使用される場合に、要素を個々に、及び組み合わせで含むことを意味し、例えば、X又はYは、X若しくはY、又はこれら両方を意味する。
【0022】
本明細書で使用する場合、冠詞「a」及び「an」は、特許請求される又は記載される材料、例えば、「口腔ケア組成物」又は「漂白剤」の1つ以上を意味するものと理解される。
【0023】
特に明記しない限り、本明細書で言及される測定は全て約23℃(すなわち、室温)で行われる。
【0024】
一般に、元素群は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985に掲載されている元素周期表のバージョンで示される番号付けスキームを使用して示される。いくつかの例では、族に割り当てられた共通の名前を使用して、要素の群を示すことができ、例えば、第1族元素のアルカリ金属、第2族元素のアルカリ土類金属などが挙げられる。
【0025】
いくつかの種類の範囲が本発明に開示される。任意の種類の範囲が開示又は特許請求される場合、範囲の端点並びにその中に包含される任意の部分範囲及び任意の部分範囲の組み合わせを含む、そのような範囲が合理的に包含し得る可能な各数を個々に開示又は特許請求することを意図している。
【0026】
用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメータ、並びに他の数量及び特性が正確ではなく、正確である必要はないが、所望に応じて、許容誤差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、並びに当業者に既知の他の要因を反映して、近似的及び/又はより大きいか若しくはより小さい場合があることを意味する。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の数量若しくは特性は、そのようであると明示的に記載されているか否かに関わらず、「約」又は「近似的」である。用語「約」はまた、特定の初期混合物から生じる組成物の異なる平衡状態に起因して異なる量も包含する。用語「約」によって修飾されているか否かに関わらず、特許請求の範囲は、その量に対する均等物を含む。用語「約」は、報告された数値の10%以内、好ましくは報告された数値の5%以内を意味し得る。
【0027】
口腔ケア組成物は、固体、液体、粉末、ペースト、又はこれらの組み合わせなどの任意の好適な形態であり得る。口腔ケア組成物は、歯磨剤、歯磨ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、泡、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭予防用溶解ストリップ、又は義歯用ケア若しくは付着性製品であり得る。口腔ケア組成物の構成成分は、フィルム、ストリップ、泡、又は繊維ベースの歯磨剤組成物に組み込まれることができる。
【0028】
口腔ケア組成物は、本明細書に記載されるように、スズ、単座配位子、及び多座配位子を含む。追加的に、口腔ケア組成物は、以下に記載されるように、他の任意の成分を含み得る。以下のセクションヘッダーは、あくまでも便宜上提供されるものである。場合によっては、化合物は、1つ以上のセクション内に含まれ得る。例えば、フッ化第一スズは、スズ化合物及び/又はフッ化物化合物であり得る。追加的に、例えば、シュウ酸又はその塩は、ジカルボン酸、多座配位子、及び/又はホワイトニング剤であり得る。
【0029】
スズ
本発明の口腔ケア組成物は、スズイオン源によって提供され得るスズを含む。スズイオン源は、口腔ケア組成物中にスズイオンを提供することができ、及び/又は口腔ケア組成物が口腔に適用されるときに、口腔にスズイオンを供給することができる任意の好適な化合物であり得る。スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、酸化第一スズ、シュウ酸第一スズ、硫酸第一スズ、硫化第一スズ、フッ化第二スズ、塩化第二スズ、臭化第二スズ、ヨウ化第二スズ、硫化第二スズ、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のスズ含有化合物を含み得る。スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、及び/又はこれらの混合物を含み得る。スズイオン源はまた、塩化第一スズなどのフッ化物フリーのスズイオン源であってもよい。
【0030】
口腔ケア組成物は、当該口腔ケア組成物の約0.0025重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.4重量%~約1重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%のスズ及び/又はスズイオン源を含み得る。
【0031】
単座配位子
口腔ケア組成物は、1000g/mol未満の分子量(MW)を有する単座配位子を含む。単座配位子は、スズイオンなどの中心原子と相互作用することができる1つの官能基を有する。単座配位子は、口腔ケア組成物における使用に適している必要があり、これは、米国食品医薬品局による一般に安全と認められる物質(Generally Regarded as Safe、GRAS)リスト、又は対象の管轄区域における他の好適なリストに列挙されていることが含まれ得る。
【0032】
本明細書に記載の単座配位子は、スズにキレート化、会合、及び/又は結合することができる1つの官能基を含み得る。スズにキレート化、会合、及び/又は結合することができる好適な官能基は、当業者に知られている他の官能基の中でも、カルボニル、アミンを含む。好適なカルボニル官能基は、カルボン酸、エステル、アミド、又はケトンを含み得る。
【0033】
単座配位子は、1つのカルボン酸官能基を含み得る。カルボン酸を含む好適な単座配位子は、式R-COOHを有する化合物を含み得、式中、Rは任意の有機構造である。カルボン酸を含む好適な単座配位子はまた、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、糖酸、それらの塩、及び/又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0034】
脂肪族カルボン酸は、直鎖炭化水素鎖、分岐炭化水素鎖、及び/又は環状炭化水素分子に結合したカルボン酸官能基を含み得る。脂肪族カルボン酸は、完全に飽和又は不飽和であり得、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン官能基を有する。他の官能基は、炭化水素鎖のハロゲン化バリアントを含む、炭化水素鎖に存在し、結合し得る。脂肪族カルボン酸はまた、カルボン酸官能基に対してアルファ、ベータ、又はガンマ位置にアルコール官能基を有する有機化合物であるヒドロキシル酸を含み得る。好適なアルファヒドロキシ酸は、乳酸及び/又はその塩を含む。
【0035】
芳香族カルボン酸は、少なくとも1つの芳香族官能基に結合したカルボン酸官能基を含み得る。好適な芳香族カルボン酸基としては、安息香酸、サリチル酸、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、アスコルビン酸、安息香酸、カプリル酸、コール酸、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、リノール酸、ナイアシン、オレイン酸、プロパン酸、ソルビン酸、ステアリン酸、グルコネート、ラクテート、カーボネート、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、それらの塩、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
口腔ケア組成物は、組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約15重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.0001重量%~約25重量%の単座配位子を含み得る。
【0038】
多座配位子
口腔ケア組成物は、1000g/mol未満又は2500g/mol未満の分子量(MW)を有する多座配位子を含む。多座配位子は、スズイオンなどの中心原子と相互作用することができる少なくとも2つの官能基を有する。追加的に、多座配位子は、口腔ケア組成物における使用に適している必要があり、これは、米国食品医薬品局による一般に安全と認められる物質(GRAS)リスト、又は対象の管轄区域における別の好適なリストに列挙されていることが含まれ得る。
【0039】
本明細書に記載の多座配位子は、スズにキレート化、会合、及び/又は結合することができる少なくとも2つの官能基を含み得る。多座配位子は、二座配位子(すなわち、2つの官能基を有する)、三座(すなわち、3つの官能基を有する)、四座(すなわち、4つの官能基を有する)などを含み得る。
【0040】
スズにキレート化、会合、及び/又は結合することができる好適な官能基は、当業者に知られている他の官能基の中でも、カルボニル、ホスフェート、ナイトレート、アミンを含む。好適なカルボニル官能基は、カルボン酸、エステル、アミド、又はケトンを含み得る。
【0041】
多座配位子は、2つ以上のカルボン酸官能基を含み得る。カルボン酸を含む好適な多座配位子は、式HOOC-R-COOHを有する化合物を含み得、式中、Rは任意の有機構造である。2つ以上のカルボン酸を含む好適な多座配位子はまた、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸などを含み得る。
【0042】
他の好適な多座配位子としては、少なくとも2つのリン酸官能基を含む化合物が挙げられる。したがって、多座配位子は、本明細書に記載されるように、ポリホスフェートを含み得る。
【0043】
他の好適な多座配位子としては、ルプロン、コルプロン、アドルプロン、及び/又はそれらの組み合わせなどのホップベータ酸が挙げられる。ホップベータ酸は、天然源から合成的に誘導及び/又は抽出され得る。
【0044】
多座配位子としてはまた、スズと相互作用する官能基としてホスフェートが挙げられる。好適なホスフェート化合物としては、ホスフェート、有機ホスフェート、又はそれらの組み合わせが挙げられる。好適なホスフェートとしては、オルトホスフェート、リン酸水素、リン酸二水素、アルキル化ホスフェート、及びそれらの組み合わせの塩が挙げられる。多座配位子は、シュウ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、タプシン酸、日本酸、フェロゲン酸(phellogenic acid)、エキセトール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フィチン酸、ピロホスフェート、トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0045】
口腔ケア組成物は、組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約15重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.0001重量%~約25重量%の多座配位子を含み得る。
【0046】
スズ対単座配位子対多座配位子の比
本明細書に記載の口腔ケア組成物は、予想外に高量の可溶性スズ及び/又は優れたフッ化物取り込みを提供する、スズ対単座配位子対多座配位子の比を含む。スズ対単座配位子対多座配位子の好適な比は、約1:0.5:0.5~約1:5:5、約1:0.5:0.75~約1:5:5、約1:1:1~約1:5:5、約1:1:0.5~約1:2.5:2.5、約1:1:1~約1:2:2、約1:0.5:0.5~約1:3:1、又は約1:0.5:0.5~約1:1:3であり得る。
【0047】
本明細書で所望されるのは、少なくとも約1000ppm、2000ppm、4000ppm、少なくとも約4500ppm、少なくとも約5000ppm、少なくとも約6000ppm、及び/又は少なくとも約8000ppmの可溶性Snを含む口腔ケア組成物である。また、本明細書では、少なくとも約9日、30日、65日、75日、100日、200日、365日、及び/又は400日の時間経過後に、少なくとも約6.5μg/cm、少なくとも約7.0μg/cm、少なくとも約8.0μg/cm、又は少なくとも約9.0μg/cmのフッ化物取り込みを有する口腔ケア組成物が望ましい。
【0048】
全体として、理論に束縛されることを望むものではないが、可溶性Sn量は、口腔衛生利益を提供するために自由に利用可能であるため、生物学的に利用可能なSnと相関すると考えられている。完全に結合したSn(すなわち、オーバーキレート化されるSn)又は沈殿Sn(すなわち、Sn(OH)2及び/又はSnベースの着色汚れなどの不溶性スズ塩は、Snがキレート化されているときに形成され得る)は、可溶性Snの測定に含まれないであろう。追加的に、理論に束縛されることを望むものではないが、Snの単座及び多座配位子に対する注意深いバランスのとれた比は、表面の着色汚れなどのカチオン性抗菌剤の使用に対するいくつかの否定的な面を伴うことなく、高量の生物利用可能なフッ化物及びSnイオンを提供することができると考えられる。したがって、単座及び多座配位子の範囲及び同一性を定量化かつ認定するために、追加のスクリーニング実験を行った。
【0049】
ジカルボン酸
多座配位子は、ジカルボン酸を含み得る。ジカルボン酸は、2つのカルボン酸官能基を有する化合物を含む。ジカルボン酸は、式Iによって定義される化合物又はその塩を含み得る。
【0050】
【化1】
【0051】
Rは、ゼロ、アルキル、アルケニル、アリル、フェニル、ベンジル、脂肪族、芳香族、ポリエチレングリコール、ポリマー、O、N、P、及び/又はそれらの組み合わせであり得る。
【0052】
ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、タプシン酸、日本酸、フェロゲン酸、エキセトール酸、リンゴ酸、酒石酸、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含み得る。ジカルボン酸は、例えば、シュウ酸モノアルカリ金属、シュウ酸ジアルカリ金属、シュウ酸モノ水素一カリウム、シュウ酸二カリウム、シュウ酸一水素一ナトリウム、シュウ酸二ナトリウム、シュウ酸チタン、及び/又はオキサレートの他の金属塩などの、ジカルボン酸の好適な塩を含み得る。ジカルボン酸はまた、ジカルボン酸の水和物及び/又はジカルボン酸の塩の水和物を含み得る。
【0053】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約15重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.0001重量%~約25重量%のジカルボン酸を含み得る。
【0054】
トリカルボン酸
多座配位子は、トリカルボン酸を含み得る。トリカルボン酸は、3つのカルボン酸官能基を有する化合物を含む。トリカルボン酸は、式IIによって定義される化合物又はその塩を含み得る。
【0055】
【化2】
【0056】
Rは、アルキル、アルケニル、アリル、フェニル、ベンジル、脂肪族、芳香族、ポリエチレングリコール、ポリマー、O、N、P、及び/又はそれらの組み合わせであり得る。
【0057】
トリカルボン酸は、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボキシル酸(tricarboxylic acid)、トリメシン酸、クエン酸サイクル若しくはKrebs Cycle中の任意のトリカルボン酸、それらの塩、又はそれらの組み合わせを含み得る。トリカルボン酸は、例えば、クエン酸ナトリウムなどのトリカルボン酸の好適な塩を含み得る。
【0058】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約15重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.0001重量%~約25重量%のトリカルボン酸を含み得る。
【0059】
ポリホスフェート
多座配位子は、ポリホスフェートを含み得、ポリホスフェート源によって提供され得る。ポリホスフェート源は、1つ以上のポリホスフェート分子を含み得る。ポリホスフェートは、オルトホスフェートの脱水及び縮合によって様々な鎖長のフィチン酸などの直鎖及び環状ポリホスフェートをもたらすことにより、得られる物質の部類である。したがって、ポリホスフェート分子は、一般に、以下に記載されるように、ポリホスフェート分子の平均数(n)で同定される。ポリホスフェートは一般に、主に直鎖構造に配置された2つ以上のホスフェート分子からなると理解されているが、いくつかの環状誘導体が存在する場合もある。
【0060】
好ましいポリホスフェートは、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のホスフェート官能基を生成し、これがアニオン性表面電荷並びに表面の親水性特徴を強化するように、平均して2つ以上のホスフェート基を有するものである。本発明において好ましいものは、式:XO(XPOX(式中、Xは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、又は任意の他のアルカリ金属カチオンであり、nは、平均約2~約21、約2~約14、又は約2~約7である)を有する直鎖状ポリホスフェートである。カルシウムなどのアルカリ土類金属カチオンは、フッ化物イオン及びアルカリ土類金属カチオンを含む水溶液から不溶性フッ化物塩を形成する傾向があるため、好ましくない。したがって、本明細書に開示される口腔ケア組成物は、ピロリン酸カルシウムを含まなくてもよく、又は実質的に含まなくてもよい。
【0061】
好適なポリホスフェート分子のいくつかの例としては、例えば、ピロホスフェート(n=2)、トリポリホスフェート(n=3)、テトラポリホスフェート(n=4)、ソーダフォス(sodaphos)ポリホスフェート(n=6)、ヘキサフォス(hexaphos)ポリホスフェート(n=13)、ベネフォス(benephos)ポリホスフェート(n=14)、ヘキサメタホスフェート(n=21)(Glass Hとしても知られる)を挙げることができる。ポリホスフェートとしては、FMC Corporation、ICL Performance Products、及び/又はAstarisによって製造されるポリホスフェート化合物を挙げることができる。
【0062】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1~約20重量%、又は約10重量%以下のポリホスフェート源を含み得る。代替的に、口腔ケア組成物は、ポリホスフェートを本質的に含まない、実質的に含まない、又は含まなくてもよい。口腔ケア組成物は、環状ポリホスフェートを本質的に含まない、実質的に含まない、又は含まなくてもよい。口腔ケア組成物は、フィチン酸を本質的に含まない、実質的に含まない、又は含まなくてもよい。
【0063】
フッ化物
口腔ケア組成物は、フッ化物イオン源によって提供され得るフッ化物を含み得る。フッ化物イオン源は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のフッ化物含有化合物を含むことができる。
【0064】
フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えばフッ化第一スズなどの同じ化合物であり得る。追加的に、フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン源が塩化第一スズであり、フッ化物イオン源がモノフルオロリン酸ナトリウム又はフッ化ナトリウムである場合など、別個の化合物であり得る。
【0065】
フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えばフッ化亜鉛などの同じ化合物であり得る。追加的に、フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン源がリン酸亜鉛であり、フッ化物イオン源がフッ化第一スズである場合など、別個の化合物であり得る。
【0066】
フッ化物イオン源は、フッ化第一スズを本質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。したがって、口腔ケア組成物は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及び/又はこれらの混合物を含み得る。
【0067】
口腔ケア組成物は、約50ppm~約5000ppm、好ましくは約500ppm~約3000ppmの遊離フッ化物イオンを提供することができるフッ化物イオン源を含み得る。所望の量のフッ化物イオンを送達するために、フッ化物イオン源は、口腔ケア組成物中に、当該口腔ケア組成物の約0.0025重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%の量で存在し得る。代替的に、口腔ケア組成物は、フッ化物イオン源を0.1%未満、0.01%未満含んでいてもよく、本質的に含んでいなくてもよく、実質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。
【0068】
金属
本明細書に記載される口腔ケア組成物は、1つ以上の金属イオンを含む金属イオン源によって提供され得る金属を含み得る。金属イオン源は、本明細書に記載されているように、スズイオン源及び/又は亜鉛イオン源を含んでいてもよく、又はそれに加えてもよい。好適な金属イオン源としては、Sn、Zn、Cu、Mn、Mg、Sr、Ti、Fe、Mo、B、Ba、Ce、Al、In及び/又はこれらの混合物などであるがこれらに限定されない金属イオンを含む化合物が挙げられる。金属イオン源は、好適な金属並びに任意の付随する配位子及び/又はアニオンを含む任意の化合物であり得る。
【0069】
金属イオン源と対をなすことができる好適な配位子及び/又はアニオンとしては、アセテート、硫酸アンモニウム、ベンゾエート、臭化物、ボレート、カーボネート、塩化物、シトレート、グルコネート、グリセロホスフェート、水酸化物、ヨウ化物、オキサレート、酸化物、プロピオネート、D-ラクテート、DL-ラクテート、オルトホスフェート、ピロホスフェート、サルフェート、ニトレート、タルトレート、及び/又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
口腔ケア組成物は、約0.01重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.5重量%~約15重量%の金属及び/又は金属イオン源を含み得る。
【0071】
亜鉛
口腔ケア組成物は、亜鉛イオン源によって提供され得る亜鉛を含み得る。亜鉛イオン源は、フッ化亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ヘキサフルオロジルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、及び/又は炭酸亜鉛などの1つ以上の亜鉛含有化合物を含み得る。亜鉛イオン源は、リン酸亜鉛、酸化亜鉛、及び/又はクエン酸亜鉛などのフッ化物フリーの亜鉛イオン源であり得る。
【0072】
亜鉛及び/又は亜鉛イオン源は、全口腔ケア組成物中に、歯磨剤組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%の量で存在し得る。特に、亜鉛は、再石灰化プロセスに有害であり得る。したがって、口腔ケア組成物は、亜鉛を本質的に含まない、実質的に含まない、又は含まなくてもよい。
【0073】
pH
本明細書に記載の口腔ケア組成物のpHは、約4~約7.5、約4.5~約6.5、又は約4.5~約5.5であり得る。本明細書に記載の口腔ケア組成物のpHはまた、少なくとも約6、少なくとも約6.5、又は少なくとも約7であり得る。マウスリンス溶液のpHは、未希釈溶液のpHとして決定することができる。歯磨剤組成物のpHは、スラリーpHとして決定することができ、歯磨剤組成物及び水の1:4、1:3、又は1:2混合物など、歯磨剤組成物及び水の混合物のpHである。本明細書に記載の口腔ケア組成物のpHは、約4~約10、約5~約9、約6~8、又は約7の好ましいpHを有する。
【0074】
口腔ケア組成物は、1つ以上の緩衝剤を含み得る。本明細書で使用するとき、緩衝剤は、口腔ケア組成物のスラリーpHを調整するために使用することができる剤を指す。緩衝剤としては、アルカリ金属水酸化物、カーボネート、セスキカーボネート、ボレート、シリケート、ホスフェート、イミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。具体的な緩衝剤としては、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、炭酸ナトリウム、イミダゾール、ピロホスフェート、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムが挙げられる。口腔ケア組成物は、1つ以上の緩衝剤を各々が本組成物の約0.1重量%~約30重量%、約1重量%~約10重量%、又は約1.5重量%~約3重量%の濃度で含み得る。
【0075】
界面活性剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、組成物をより美容的に許容可能にするために使用することができる。界面活性剤は、好ましくは、組成物に洗浄性及び起泡性を付与する洗浄性材料である。好適な界面活性剤は、安全かつ有効な量のアニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性、両性及びベタイン界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、グルタミン酸ココイルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸、ミリストイルサルコシン酸、パルミトイルサルコシン酸、ステアロイルサルコシン酸及びオレオイルサルコシン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン及びラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン、N-ラウロイル、N-ミリストイル、又はN-パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム、及びエタノールアミン塩、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、パルミチルベタイン、ココイルグルタミン酸ナトリウムなどである。ラウリル硫酸ナトリウムが、好ましい界面活性剤である。口腔ケア組成物は、1つ以上の界面活性剤を各々が口腔ケア組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.3重量%~約10重量%、又は約0.3重量%~約2.5重量%の濃度で含み得る。
【0076】
増粘剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の増粘剤を含み得る。増粘剤は、口腔ケア組成物において、練り歯磨きを相分離に対して安定化させるゼラチン構造を提供するのに有用である。好適な増粘剤としては、多糖類、ポリマー、及び/又はシリカ増粘剤が挙げられる。多糖類のいくつかの非限定例としては、デンプン;デンプンのグリセライト;ガム、例えばカラヤガム(ステルクリアガム)、トラガカントガム、アラビアガム、ガティガム、アカシアガム、キサンタンガム、グアーガム及びセルロースガム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum);カラギーナン;アルギン酸ナトリウム;寒天;ペクチン;ゼラチン、セルロース化合物、例えばセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、及び硫酸化セルロース;天然及び合成粘土、例えばヘクトライト粘土;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0077】
増粘剤は多糖類を含むことができる。本明細書での使用に好適な多糖類としては、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カルボマー、ポロキサマー、変性セルロース、及びこれらの混合物が挙げられる。カラギーナンは海藻由来の多糖類である。その海藻源によって区別され得る、及び/又は硫酸化の程度及び位置によって区別され得る複数種類のカラギーナンが存在する。増粘剤は、カッパカラギーナン、変性カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、修飾イオタカラギーナン、ラムダカラギーナン、及びこれらの混合物を含むことができる。本明細書での使用に好適なカラギーナンとしては、FMC Companyからシリーズ名「Viscarin」で市販されているものが挙げられ、限定するものではないが、Viscarin TP 329、Viscarin TP 388、及びViscarin TP 389が挙げられる。
【0078】
増粘剤は、1つ以上のポリマーを含み得る。ポリマーは、口腔ケア組成物の様々な重量パーセントの、及び様々な範囲の平均分子範囲の、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)、ポリアクリル酸、少なくとも1つのアクリル酸モノマーから誘導されたポリマー、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマーであり得る。ポリマーは、ポリアクリレートクロスポリマー-6などのポリアクリレートクロスポリマーを含み得る。好適なポリアクリレートクロスポリマー-6源としては、Seppicから市販されているSepimax Zen(商標)が挙げられる。
【0079】
増粘剤は、無機増粘剤を含むことができる。好適な無機増粘剤のいくつかの非限定的な例としては、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ増粘剤が挙げられる。有用なシリカ増粘剤としては、例えば、非限定的な例として、ZEODENT(登録商標)165シリカなどの非晶質沈降シリカが挙げられる。他の非限定的なシリカ増粘剤としては、ZEODENT(登録商標)153、163及び167、並びにZEOFREE(登録商標)177及び265シリカ製品(全てEvonik Corporationから入手可能)、並びにAEROSIL(登録商標)ヒュームドシリカが挙げられる。
【0080】
口腔ケア組成物は、0.01%~約15%、0.1%~約10%、約0.2%~約5%、又は約0.5%~約2%の1つ以上の増粘剤を含むことができる。
【0081】
研磨剤
本発明の口腔ケア組成物は、研磨剤を含み得る。研磨剤は、歯から表面の着色汚れを除去するのを助けるために口腔ケア製剤に添加され得る。好ましくは、研磨剤は、カルシウム研磨剤又はシリカ研磨剤である。
【0082】
カルシウム研磨剤は、口腔ケア組成物中にカルシウムイオンを提供することができ、及び/又は口腔ケア組成物が口腔に適用されるときに、口腔にカルシウムイオンを供給することができる任意の好適な研磨剤化合物であり得る。口腔ケア組成物は、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%のカルシウム研磨剤を含み得る。カルシウム研磨剤は、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム(precipitated calcium carbonate、PCC)、粉砕炭酸カルシウム(ground calcium carbonate、GCC)、チョーク、リン酸二カルシウム、ピロリン酸カルシウム、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のカルシウム研磨剤化合物を含み得る。
【0083】
口腔ケア組成物はまた、シリカゲル(それ自体、及び任意の構造のもの)、沈降シリカ、非晶質沈殿シリカ(それ自体、及び任意の構造のもの)、水和シリカ、及び/又はこれらの組み合わせなどのシリカ研磨剤を含み得る。口腔ケア組成物は、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%のシリカ研磨剤を含み得る。
【0084】
口腔ケア組成物はまた、ベントナイト、パーライト、二酸化チタン、アルミナ、水和アルミナ、焼成アルミナ、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、不溶性炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、粒子状熱硬化性樹脂、及び他の好適な研磨剤材料などの別の研磨剤を含み得る。口腔ケア組成物は、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%の別の研磨剤を含み得る。
【0085】
アミノ酸
口腔ケア組成物は、アミノ酸を含み得る。単座及び/又は多座配位子は、アミノ酸を含み得る。アミノ酸が単座配位子又は多座配位子であるかどうかは、スズにキレート化、会合、及び/又は結合することができるどれだけの官能基の数が、存在し、かつ/又は口腔ケア組成物のpHであるかに基づくことができる。アミノ酸は、本明細書に記載されるように、1つ以上のアミノ酸、ペプチド、及び/又はポリペプチドを含み得る。
【0086】
アミノ酸は、式IIにあるように、アミン官能基、カルボキシル官能基、及びそれぞれのアミノ酸に特異的な側鎖(式IIではR)を含有する有機化合物である。好適なアミノ酸としては、例えば、正又は負の側鎖を有するアミノ酸、酸性又は塩基性の側鎖を有するアミノ酸、極性非荷電側鎖を有するアミノ酸、疎水性側鎖を有するアミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。好適なアミノ酸としては、例えば、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ジアミノブタン酸、ジアミノプロピオン酸、これらの塩、及び/又はこれらの組み合わせも挙げられる。
【0087】
好適なアミノ酸としては、天然起源の又は合成的に誘導される、式IIIに記載の化合物が挙げられる。アミノ酸は、R基及び環境に基づいて、双性イオン性であるか、中性であるか、正に帯電するか、又は負に帯電し得る。アミノ酸の電荷、並びに特定の官能基が、特定のpH条件でスズと相互作用することができるかは、当業者には周知であろう。
【0088】
【化3】
【0089】
好適なアミノ酸としては、1つ以上の塩基性アミノ酸、1つ以上の酸性アミノ酸、1つ以上の中性アミノ酸、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0090】
口腔ケア組成物は、当該口腔ケア組成物の約0.01重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約6重量%、又は約1重量%~約10重量%のアミノ酸を含み得る。
【0091】
本明細書で使用するとき、用語「中性アミノ酸」には、天然由来の中性アミノ酸、例えばアラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどだけではなく、pH5.0~7.0の範囲の等電点を有する生物学的に許容可能なアミノ酸をも含む。生物学的に好ましい許容可能な中性アミノ酸は、分子中に1つのアミノ基及びカルボキシル基を有するか、あるいは物理化学的特性は類似又は実質的に類似しているが変更された側鎖を有する官能性誘導体などといった、これらの官能性誘導体を有する。更なる実施形態では、アミノ酸は、少なくとも部分的に水溶性であり、25℃で1g/1000mlの水溶液中で7未満のpHを提供する。
【0092】
したがって、本発明での使用に好適な中性アミノ酸としては、アラニン、アミノ酪酸、アスパラギン、システイン、シスチン、グルタミン、グリシン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、これらの塩、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の組成物において使用される中性アミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、グリシン、これらの塩、又はこれらの混合物を挙げることができる。中性アミノ酸は、25℃の水溶液中で、5.0、又は5.1、又は5.2、又は5.3、又は5.4、又は5.5、又は5.6、又は5.7、又は5.8、又は5.9、又は6.0、又は6.1、又は6.2、又は6.3、又は6.4、又は6.5、又は6.6、又は6.7、又は6.8、又は6.9、又は7.0の等電点を有し得る。好ましくは、中性アミノ酸は、プロリン、グルタミン、又はグリシンから選択され、より好ましくはその遊離形態(すなわち、非錯体型)である。中性アミノ酸がその塩形態である場合、好適な塩としては、提供される量及び濃度において生理学的に許容可能であると考えられる、薬剤として許容される塩であることが当該技術分野において既知である塩が挙げられる。
【0093】
ホワイトニング剤
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.1重量%~約10重量%、約0.2重量%~約5重量%、約1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約15重量%のホワイトニング剤を含み得る。ホワイトニング剤は、口腔内の少なくとも1本の歯をホワイトニングするのに好適な化合物であり得る。ホワイトニング剤としては、過酸化物、金属亜塩素酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過酸、過硫酸塩、ジカルボン酸、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。好適な過酸化物としては、固体過酸化物、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化ベンゾイル、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、無機過酸化物、ヒドロペルオキシド、有機過酸化物、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な金属亜塩素酸塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。他の好適なホワイトニング剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、peroxydone、6-フタルイミドペルオキシヘキサン酸、フタルアミドペルオキシカプロン酸、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0094】
保湿剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の保湿剤を含んでもよく、低濃度の保湿剤を含んでもよく、又は保湿剤を含まなくてもよい。湿潤剤は、口腔ケア組成物又は歯磨剤に濃度(body)又は「口当たり」を加えるだけでなく、歯磨剤が乾燥するのを防止する役割を果たす。好適な保湿剤としては、ポリエチレングリコール(様々な異なる分子量で)、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ブチレングリコール、ラクチトール、加水分解水添デンプン、及び/又はこれらの混合物が挙げられる。口腔ケア組成物は、各々当該口腔ケア組成物の0~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約80重量%の濃度で1つ以上の保湿剤を含み得る。
【0095】

本発明の口腔ケア組成物は、無水、低含水製剤、又は高含水製剤である歯磨剤組成物であり得る。合計で、口腔ケア組成物は、組成物の0重量%~約99重量%、約20重量%以上、約30重量%以上、約50重量%以上、最大約45重量%、又は最大約75重量%の水を含むことができる。好ましくは、水は、USP水である。
【0096】
高含水歯磨剤製剤では、歯磨剤組成物は、組成物の約45重量%~約75重量%の水を含む。高含水歯磨剤組成物は、組成物の約45重量%~約65重量%、約45重量%~約55重量%、又は約46重量%~約54重量%の水を含んでもよい。水は、高含水歯磨剤製剤に直接添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に含まれてもよい。
【0097】
低含水歯磨剤製剤では、歯磨剤組成物は、組成物の約10重量%~約45重量%の水を含む。低含水歯磨剤組成物は、組成物の約10重量%~約35重量%、約15重量%~約25重量%、又は約20重量%~約25重量%の水を含んでもよい。水は、低含水歯磨剤製剤に直接添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に含まれてもよい。
【0098】
無水歯磨剤製剤において、歯磨剤組成物は、組成物の約10重量%未満の水を含む。無水歯磨剤組成物は、組成物の約5重量%未満、約1重量%未満、又は0重量%の水を含む。水は、無水製剤に直接添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって歯磨剤組成物に含まれてもよい。
【0099】
歯磨剤組成物はまた、アルコール、保湿剤、ポリマー、界面活性剤、及び許容改善剤、例えば着香剤、甘味剤、着色剤及び/又は冷感剤などの、他の経口的に許容し得る担体材料を含むことができる。
【0100】
口腔ケア組成物はまた、マウスリンス製剤であってもよい。マウスリンス製剤は、約75%~約99%、約75%~約95%、又は約80%~約95%の水を含み得る。
【0101】
他の成分
口腔ケア組成物は、以下に記載されるように、着香剤、甘味料、着色剤、防腐剤、緩衝剤、又は口腔ケア組成物での使用に好適な他の成分などの様々な他の成分を含み得る。
【0102】
着香剤を口腔ケア組成物に添加してもよい。好適な着香剤としては、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブバッド油、メントール、アネトール、メチルサリチレート、ユーカリプトール、カッシア、1-メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、アルファ-イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4-シス-ヘプテナール、ジアセチル、メチル-パラ-tert-ブチルフェニルアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。清涼剤も風味剤系の一部であってもよい。本組成物に好ましい清涼剤は、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド(商業的に「WS-3」として知られている)のようなパラメンタンカルボキシアミド剤、又はN-(エトキシカルボニルメチル)-3-p-メンタンカルボキサミド(商業的に「WS-5」として知られている)、及びこれらの混合物である。風味剤系は、一般に組成物中で、口腔ケア組成物の約0.001重量%~約5重量%の濃度で用いられる。これらの着香剤は、一般に、アルデヒド、ケトン、エステル、フェノール、酸、並びに脂肪族、芳香族、及び他のアルコールの混合物を含む。
【0103】
製品に快い味を付与するために、甘味料を口腔ケア組成物に添加してもよい。好適な甘味料としては、サッカリン(ナトリウム、カリウム又はカルシウムサッカリンとして)、シクラメート(ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩として)、アセスルファムK、タウマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アンモニア化グリチルリチン、デキストロース、レブロース、スクロース、マンノース、スクラロース、ステビア、及びグルコースが挙げられる。
【0104】
製品の審美的外観を改善するために、着色剤を添加してもよい。好適な着色剤としては、限定するものではないが、FDAなどの適切な規制機関によって承認された着色剤、及び欧州食品医薬品指令(European Food and Pharmaceutical Directives)に列挙されている着色剤が挙げられ、TiOなどの顔料、並びにFD&C及びD&C染料などの色素を含む。
【0105】
細菌増殖を防止するために、防腐剤もまた、口腔ケア組成物に添加されてもよい。メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及び安息香酸ナトリウムなどの、口腔用組成物中での使用が承認された好適な防腐剤を、安全かつ有効な量で添加することができる。
【0106】
二酸化チタンもまた本発明の組成物に加えられてもよい。二酸化チタンは、組成物に不透明度を加える白色粉末である。二酸化チタンは、一般に、口腔ケア組成物の約0.25重量%~約5重量%を含む。
【0107】
減感剤、治癒剤、他のう蝕予防剤、キレート剤/金属イオン封鎖剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、他の抗歯垢/抗歯石剤、乳白剤、抗生物質、抗酵素類、酵素類、pH調整剤、酸化剤、酸化防止剤などの他の成分を、口腔ケア組成物中で使用することができる。
【0108】
口腔ケア組成物形態
スズ、単座配位子、及び/又は多座配位子の送達に好適な組成物としては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0133121号の乳化組成物、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2019/0343732号の単位用量組成物などの単位用量組成物、リーブオン型口腔ケア組成物、詰まった乳化剤、歯磨剤組成物、マウスリンス組成物、マウスウォッシュ組成物、歯磨ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用ホワイトニングストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭予防用溶解ストリップ、義歯ケア製品、義歯用接着剤製品、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0109】
方法
口腔ケア組成物は、本明細書に記載されるように、口腔に適用される場合、歯の再石灰化などの口腔衛生利益をもたらし得る。例えば、使用者は、本明細書に記載の好適な口腔ケア組成物の少なくとも1インチ片を、歯ブラシ、アプリケータ、及び/又はトレイなどの口腔ケア器具上に分配し、口腔及び/又は歯に適用することができる。
【0110】
使用者は、1日当たり少なくとも1回、少なくとも2回、又は少なくとも3回、少なくとも30秒間、少なくとも1分間、少なくとも90秒間、又は少なくとも2分間、歯を十分にブラシするように指示され得る。使用者はまた、ブラシ手順の完了後に口腔ケア組成物を吐き出すように指示され得る。使用者はまた、ブラシ手順の完了後に、治療量のフッ化物を含むマウスウォッシュ組成物、及び/又は治療量のフッ化物を含むマウスリンス組成物ですすぐように指示され得る。使用者はまた、治療量のフッ化物を含む組成物以外の、タップ又はボトル入り水を含む任意の液体ですすがないように指示され得る。口腔ケア組成物の適用が、歯の再石灰化などの口腔衛生利益をもたらし得るので、口腔ケア組成物の塗布及び吐き出し後に口腔をすすぐことにより、歯の表面から残留フッ化物を除去し、それによって口腔衛生利益を少なくとも部分的に減少させることができる。
【0111】
口腔ケア組成物の歯への適用などの口腔内での口腔ケア組成物の使用から生じる可能性のある他の口腔衛生利益は、歯の密度を増加させること、歯からのカルシウムの損失の防止、エナメル質の構造弱点を修復すること、使用者の歯の寿命を延ばすこと、エナメル質の構造密度を増加させること、無機物を再構築してエナメル質をコーティングすること、かつ/又は歯の再石灰化を含む。
【0112】
本明細書には、歯の密度を増加させること、歯からのカルシウムの損失の防止、エナメル質の構造弱点を修復すること、使用者の歯の寿命を延ばすこと、エナメル質の構造密度を増加させること、無機物を再構築してエナメル質をコーティングすること、かつ/又は歯の再石灰化の方法が開示されており、これは、本明細書に記載の口腔ケア組成物を、1日に2回、少なくとも1分間、適用することを使用者に指示することを含む。この方法はまた、口腔ケア組成物を吐き出して、口腔をすすがないか、又は治療量のフッ化物を含む組成物で口腔をすすぐことのみを使用者に指示することを含み得る。
【実施例
【0113】
本発明は、以下の実施例によって更に例示され、これは、いかなる方法であっても本発明の範囲に制限を課すものとして解釈されるべきではない。本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨又は添付の特許請求の範囲の範疇から逸脱することなく、それらの様々な他の態様、修正、及び均等物が、当業者に想到され得る。
【0114】
フッ化物活性を決定するための実験は、実行することが簡単であった。約15gの練り歯磨きを、シリンジからのいかなる空気も除外するように、60mLのシリンジに注意深く入れた。第2のシリンジでは、シリンジからのいかなる空気も除外するように、45gの超純水18MΩ(DI)水を注意深く分配した。2つのシリンジは、ルアーロックコネクタを介して一緒にロックされ、組成物が少なくとも20回の前後のプランジを約2分で完全に混合されるまで、交互に前後に押し込まれた。得られたスラリーをシリンジから十字形状の撹拌棒を含むビーカー内に排出した。
【0115】
得られたスラリーを磁気撹拌プレートミキサー上に置き、pH及びフッ化物イオン選択電極(Thermo Scientific,Orion,96-09-00,Waltham,MA)をスラリーに入れた。両方の電極は、製造業者の指示に従って以前に較正されていた。TISAB II(Sigma Aldrich,Merck KGaA,Darmstadt,Germany)で1:1に希釈されたフッ化物標準を使用して、フッ化物イオン選択性電極の較正曲線を開発した。撹拌プレートをオンにし、激しい混合を確実にするように速度を選択した。pH及びフッ化物の同時測定は、両方の電極がそれらの値を記録する前に安定化することを確実にするように注意して、1NのHCl又は1NのNaOHでpHが滴加されたときに得られた。酸又は塩基が添加されると、撹拌プレートをオフにして、電極を安定化させた。測定を記録し、手順を繰り返して、各練り歯磨きのフッ化物活性曲線を作製した。
【0116】
【表1】
【0117】
表1は、本明細書に記載の組成物を記載する。実施例1は、フッ化第一スズ、シリカ研磨剤、及びクエン酸亜鉛を含む。実施例2は、フッ化第一スズ、シリカ研磨剤を含むが、全ての亜鉛塩を含まない。作製されると、実施例の組成物を、室温で約6ヶ月熟成させた。各組成物中のその天然のpH(約pH7)でのCrest(登録商標)Cavity Protection(Procter & Gamble,Cincinnati,OH,USA)に対する可溶性フッ化物活性(登録商標)を、様々なpH条件下で表2に決定した。
【0118】
【表2】
【0119】
表2は、その天然のpH(約pH7で100%)でのCrest Cavity Protectionスラリーのものに対する様々なpH条件下での可溶性フッ化物活性を示す。追加的に、図1に示されるように、全てのpH範囲にわたって、実施例2(Znを含まない)は、実施例1(クエン酸亜鉛を含む)よりも練り歯磨きスラリーにおいてより高いフッ化物活性を示した。正の対照(Crest(登録商標)Cavity Protection)と比較した相対フッ化物活性を図1に視覚化する。
【0120】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0121】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0122】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
【国際調査報告】