(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】単座及び多座配位子を含む口腔ケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/20 20060101AFI20230526BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20230526BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20230526BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230526BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20230526BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20230526BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230526BHJP
A61K 8/362 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
A61K8/20
A61K8/36
A61K8/55
A61K8/44
A61K8/365
A61K8/24
A61Q11/00
A61K8/362
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564841
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 US2021030754
(87)【国際公開番号】W WO2021226156
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム、マイケル、グランドルフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、フレドリック、グロート
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル、ジェームズ、セント、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ロス、ストランド
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB011
4C083AB032
4C083AB051
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB242
4C083AB281
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB471
4C083AB472
4C083AC132
4C083AC231
4C083AC241
4C083AC251
4C083AC291
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC581
4C083AC862
4C083AD191
4C083AD212
4C083AD222
4C083AD352
4C083CC41
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE32
(57)【要約】
スズ、単座配位子、及び多座配位子を含み、スズ対単座配位子対多座配位子の最適化されたモル比を有する、口腔ケア組成物。約1:0.5:0.5~約1:5:5のスズ対単座配位子対多座のモル比を有する口腔ケア組成物。スズ、モノカルボン酸、及びトリカルボン酸を含む口腔ケア組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア組成物であって、
(a)スズであって、好ましくは、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、又はこれらの組み合わせを含む、スズと、
(b)単座配位子であって、好ましくは、カルボン酸又はその塩を含む、単座配位子と、
(c)多座配位子であって、好ましくは、カルボン酸、ホスフェート、ポリホスフェート、又はこれらの組み合わせを含む、多座配位子と、を含み、
前記口腔ケア組成物が、約1:0.5:0.5~約1:5:5、約1:1:1~約1:5:5、又は約1:1:1~約1:2.5:2.5のスズ対単座配位子対多座のモル比を有する、口腔ケア組成物。
【請求項2】
前記単座配位子が、スズをキレート化できる単一の官能基を含む化合物を含む、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項3】
前記カルボン酸が、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、糖酸、これらの塩、又はこれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記糖酸が、アルドン酸、ウルソン酸、ウロン酸、アルダル酸、これらの塩、若しくはこれらの組み合わせを含み、又はより好ましくは、前記糖酸が、グルコン酸塩を含む、請求項1又は2記載の口腔ケア組成物。
【請求項4】
前記脂肪族カルボン酸が、直鎖飽和カルボン酸、直鎖不飽和カルボン酸、αヒドロキシ酸、βヒドロキシ酸、γヒドロキシ酸、アミノ酸、これらの塩、又はこれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記アミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、ロイシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、シトルリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項3記載の口腔ケア組成物。
【請求項5】
前記αヒドロキシ酸が乳酸塩を含む、請求項4に記載の口腔ケア組成物。
【請求項6】
前記多座配位子が、スズをキレート化できる少なくとも2つの官能基を含む化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項7】
前記ホスフェートが、ホスフェート塩、有機ホスフェート、又はこれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記ホスフェート塩が、オルトホスフェート、水素ホスフェート、二水素ホスフェート、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項8】
前記カルボン酸が、ジカルボン酸、トリカルボン酸、これらの塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項9】
前記ジカルボン酸が、式HO
2C-R-CO
2Hを有する化合物を含み、好ましくは、Rが脂肪族、芳香族、又はこれらの組み合わせである、請求項8に記載の口腔ケア組成物。
【請求項10】
前記ジカルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、タプシン酸、日本酸、フェロゲン酸、エキセトール酸、これらの塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8又は9記載の口腔ケア組成物。
【請求項11】
前記トリカルボン酸が、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、トリメシン酸、これらの塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8記載の口腔ケア組成物。
【請求項12】
前記ポリホスフェートが、ピロホスフェート、トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項13】
前記組成物が、亜鉛を含み、好ましくは、前記亜鉛が、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項14】
前記口腔ケア組成物が、追加の水を含まないか、水を含む、又は前記組成物の最大45重量%の水を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項15】
前記口腔ケア組成物が、歯磨剤組成物、単位用量口腔ケア組成物、エマルジョン組成物、リーブオン口腔ケア組成物、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スズ、単座配位子、及び多座配位子を含む口腔ケア組成物に関する。本発明はまた、スズを安定化させ、フッ化物取り込み及び/又は可溶性スズを増加させるための改善された配位子系に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔ケア組成物には、スズイオンなどの抗菌剤が含まれており、口腔細菌に対抗し、歯垢や歯石の形成など、口腔内の細菌によって引き起こされる状態を予防及び治療している。歯垢や歯石の形成、及びその増殖を止められないことが、虫歯、歯肉炎、歯周病、及び歯の喪失の主な原因である。加えて、スズイオンは口腔内の表面に付着し、抗侵食、抗菌性、抗感覚性の利点などの保護機能を提供することができる。
【0003】
しかし、スズと口腔ケア組成物の他の構成成分との反応性のために、スズを口腔ケア組成物に適切に配合することが困難な場合がある。スズの安定化が不十分であったり、安定化が過剰であったりすると、所望の効果を得るためのスズイオンの利用能が低下する場合がある。例えば、スズの安定化が不十分な場合、スズは口腔ケア組成物の他の構成成分、例えばシリカ、水などと反応し、利用可能なスズイオンの量が少なくなる可能性がある。加えて、安定化が不足で残ったスズは、口腔内に送達されると、異なる口腔表面と過剰に反応するため、他の成分の作用を阻害したり、過剰な着色汚れを発生させたりする可能性がある。一方、スズの安定化が過剰であったり、キレート剤とスズとの相互作用が強すぎたりすると、スズイオンが口腔内に送達されたときに結びついてしまい、所望の口腔ケア効果をもたらすための生物学的に利用可能なスズイオンの量が少なくなることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、利用可能なスズイオンの量を最大にするために、スズ対キレート剤の比と結合親和性とのバランスを注意深くとる必要がある。このように、所望の製品効果のために、最適に生物学的に利用可能である多量の利用可能なスズイオンを含む口腔ケア組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示されるのは、(a)スズと、(b)単座配位子と、(c)多座配位子と、を含み、約1:0.5:0.5~約1:5:5のスズ対単座配位子対多座配位子のモル比を有する、口腔ケア組成物である。
【0006】
また、本明細書では、予想に反して高いフッ化物取り込み及び/又は予想に反して高い可溶性スズ量を有する口腔ケア組成物も開示する。
【0007】
また、本明細書では、(a)スズと、(b)カルボン酸を含む単座配位子と、(c)ジカルボン酸、トリカルボン酸、又はこれらの組み合わせを含む多座配位子と、を含み、約1:0.5:0.5~約1:5:5のスズ対単座配位子対多座配位子のモル比を有する、口腔ケア組成物も開示される。
【0008】
また、本明細書では、(a)スズと、(b)カルボン酸を含む単座配位子と、(c)ポリホスフェートを含む多座配位子と、を含み、約1:1:1~約1:5:5のスズ対単座配位子対多座配位子のモル比を有する、口腔ケア組成物も開示される。
【0009】
また、本明細書では、(a)フッ化第一スズと、(b)単座配位子と、(c)多座配位子と、を含み、約1:0.5:0.75~約1:5:5のスズ対単座配位子対多座配位子のモル比を有する、口腔ケア組成物も開示される。
【0010】
また、本明細書では、(a)スズと、(b)単座配位子と、(c)多座配位子と、を含み、約1:0.5:0.5~約1:5:5のスズ対単座配位子対多座配位子のモル比を有し、フィチン酸を含まない、口腔ケア組成物も開示される。
【0011】
また、本明細書では、(a)スズと、(b)単座配位子と、(c)多座配位子と、を含み、約1:0.5:0.5~約1:5:5のスズ対単座配位子対多座配位子のモル比を有し、約6を超えるpHを有する、口腔ケア組成物も開示される。
【0012】
また、本明細書では、(a)スズと、(b)単座配位子と、(c)多座配位子と、(d)キサンタンガムを含む増粘剤と、を含み、約1:0.5:0.5~約1:5:5のスズ対単座配位子対多座配位子のモル比を有する、口腔ケア組成物も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】様々な口腔ケア組成物で処理されたヒドロキシアパタイト粉末が酸負荷に導入された後の、酸負荷のpHの変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、最適な生物学的利用能及び保存安定性を有する組成物をもたらすスズ-キレート剤及び/又はスズ-配位子比を有する口腔ケア組成物に関する。したがって、本発明は、有効な口腔硬組織溶解度低減効果及びフッ化物取り込み効果を提供すると同時に、口腔ケア組成物の保存期間を通して可溶性スズを改善する。このような成果は、金属と単座配位子、及び金属と多座配位子の最適な比を見出し、望ましい安定性と反応性を両立させることによって実現したものである。
【0015】
キレート効果とは、単座錯体に対する二座キレートのモルエントロピーが減少しているため、多座配位子と金属との錯体が、単座配位子で安定化した金属錯体の座が正規化された等価物(例えば、類似構造の単座配位子2モルと比較して、二座配位子1モル)よりも安定であることを仮定したものである。
【0016】
理論に束縛されることを望むものではないが、多座/単座の混合溶液中で錯体を形成する金属の場合、従来の安定剤(例えば、クエン酸アニオン)を使用すると、結合形状の配置上の制限が生じることが多く、その結果、金属-単座-多座錯体の形成が促進される。クエン酸アニオンによってキレート化されている第一スズ金属イオンの場合を考える。Sn2+は四面体結合の形状が好ましい。三座のクエン酸アニオンは、立体的な制限から、この形状では第一スズとの4つの配位部位のうち2つしか占めることができない。単座配位子(例えば、グルコン酸塩)は、このように、第3の配位部位で錯体に関与することができる。そして、過剰な電子密度(3つの配位カルボン酸アニオンから2+形式のスズの原子価を除いた1つの電子)は、Sn結合軌道内で、溶液中で水素結合した水又はヒドロニウムイオンを獲得できる第4の配位部位に分配される。
【0017】
理論に束縛されることを望むものではないが、先の例でクエン酸塩のモル比を1から2に増やして単座配位子を存在させなかった場合、金属キレートは過剰に安定化し、Snの生物学的利用能が低下して口腔ケアの効果が失われる。これは、キレート効果の直接的な現れである。加えて、混合又は多座のみの場合に使用される多座配位子が少なすぎると、金属錯体の安定化が不十分となり、口腔ケア効果が損なわれる。溶液中(2+の形式原子価を持つ四面体結合形状)及び単座/多座の混合配位子の存在下において、第一スズイオンの特性が極めて稀なため、Sn2+の混合座錯体が好ましい。これは、2つの多座配位子がキレート錯体を形成することはできるが、その結果、電子密度の分布が好ましくなく、それゆえに錯体の形成にエンタルピーペナルティが生じるためである。
【0018】
最後に、単座のみの安定化金属錯体の場合、キレート効果はなく、安定化配位子をより結合親和性の高い化学部位で容易に置き換えることが可能である。その結果、組成物中の安定化が不十分な第一スズが生じ、経時的に配合構成成分(シリカなど)が失われる。したがって、予想に反して、反応性を妨げることなく金属イオンを適切に安定化させるために、単座配位配位子と多座配位配位子の最適な混合物が必要である。このように、本発明は、口腔ケア組成物の保存期間を通じて予想に反して高い可溶性スズ量を提供する一方で、他の反応種の活性を妨げることなくスズ関連の口腔ケア効果を提供できる最適な反応性第一スズを提供する口腔ケア組成物に関する。
【0019】
図1では、スラリー上清処理したHAP粉末を導入した後のクエン酸溶液の5分後のpHの変化(ΔpH)に反映されるヒドロキシアパタイト溶解度の低下を示した。異なる金属配位子比は下部に示されている。最適な反応性を示す領域を図示した。ここでは、安定化Sn:単座:多座錯体は、強すぎる(したがって、溶解度低減の効果を妨げる)こともなく、弱すぎる(したがって、フッ化物取り込みを阻害する)こともない。最適な反応域は、図を横切る薄い灰色の帯で示されている。試料は次のように網掛けされている:実験対照(白色バー)、単座配位子のみ(黒色バー)、クエン酸塩多座(右斜めハッシュ)、トリポリホスフェート多座(水平ハッシュ)、ピロホスフェート多座(左斜めハッシュ)、シュウ酸塩多座(点線)、混合ホスフェート-クエン酸塩多座(垂直ハッシュ)、混合シュウ酸塩-クエン酸塩多座(クロスハッシュ)。略語:CCP(Crest Cavity Protection、Procter&Gamble,Cincinnati,OH)、CPHAGP(Crest ProHealth Advanced Gum Protection、Procter&Gamble,Cincinnati,OH)、Sn(第一スズ)、Gluc(グルコン酸塩)、Lac(乳酸塩)、Ortho(オルトホスフェート)、Ox(シュウ酸塩)、Cit(クエン酸塩)、Tripoly(トリポリホスフェート)、Pyro(ピロホスフェート)。
【0020】
定義
本明細書で使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別途記載のない限り、以下の定義は、本開示に適用可能である。ある用語が本開示で使用されているが本明細書で具体的に定義されていない場合、その定義が、本明細書に適用される任意の他の開示又は定義と矛盾しない限り、又はその定義が適用される任意の請求項を不明確に又は不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd Ed(1997)からの定義を適用することができる。
【0021】
用語「口腔ケア組成物」は、本明細書で使用する場合、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、歯の表面又は口腔組織と接触させるのに十分な時間にわたって口腔内に保持される製品を包含する。口腔ケア組成物の例としては、歯磨剤、歯磨ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用美白ストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭予防用溶解ストリップ、又は義歯用ケア若しくは付着性製品が挙げられる。口腔ケア組成物はまた、口腔表面に直接塗布又は装着するためにストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「歯磨剤組成物」は、特に指示がない限り、歯用又は歯肉縁下用ペースト、ゲル、又は液体製剤を包含する。歯磨剤組成物は、単相組成物であってもよく、又は2つ以上の別個の歯磨剤組成物の組み合わせであってもよい。歯磨剤組成物は、深い縞状、表面的な縞状、多層状、ペーストをゲルで包囲した状態、又はそれらのいずれかの組み合わせなど、任意の所望の形態であってもよい。2つ以上の別個の歯磨剤組成物を含む歯磨剤中の各歯磨剤組成物は、ディスペンサの物理的に分離された区画内に収容され、同時に分注されてもよい。
【0023】
本明細書で有用な「有効物質及び他の成分」は、美容的及び/若しくは治療的効果、又はそれらが要求される作用形態若しくは機能により、本明細書において分類又は記載されてよい。しかしながら、本明細書において有用な有効物質及び他の成分は、場合によっては、2つ以上の美容的及び/又は治療的効果をもたらす、あるいは2つ以上の作用形態で機能又は作用してもよいと理解すべきである。したがって、本明細書における分類は便宜上実施されるものであり、成分を、列挙される具体的に規定した機能又は作用に制限しようとするものではない。
【0024】
用語「口腔に許容可能な担体」とは、局所口腔投与に好適な1種以上の相溶性のある固体若しくは液体賦形剤、又は希釈剤を含む。用語「相溶性」は、本明細書で使用する場合、組成物の構成成分が、組成物の安定性及び/又は有効性を実質的に低下させるような方式で相互作用することなく、混合され得ることを意味する。本発明の担体又は賦形剤は、以下により完全に記載されるように、マウスウォッシュ又はマウスリンスの通常の及び従来の構成成分を含むことができる。マウスウォッシュ又はマウスリンスの担体材料は、典型的には、これらに限定されるものではないが、水、アルコール、保湿剤、界面活性剤、及び、着香剤、甘味剤、着色剤及び/又は冷感剤などの許容改善剤のうちの1つ以上を含む。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「~を実質的に含まない(substantially free)」は、組成物中に、かかる組成物の総重量の0.05%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.001%以下の指示物質が存在することを指す。
【0026】
本明細書で使用する場合、用語「~を本質的に含まない(essentially free)」は、指示物質が組成物に意図的に添加されていないこと、又は好ましくは分析によって検出可能な濃度では存在しないことを意味する。すなわち、指示物質が、意図的に添加されたその他の物質のうちの1つの不純物としてのみ存在する、組成物を包含することを意味する。
【0027】
用語「口腔衛生レジメン」又は「レジメン」とは、口腔健康のための2つ以上に分かれた異なる処理工程、例えば、練り歯磨き、マウスリンス、フロス、爪楊枝、スプレー、口腔洗浄器、マッサージ器を使用するための用語であり得る。
【0028】
本明細書で使用する場合、用語「総含水量」とは、遊離水、及び口腔ケア組成物中の他の成分によって結合される水、の両方を意味する。
【0029】
本発明の目的のために、使用される関連分子量(MW)は、例えば、キレート剤が、クエン酸、クエン酸ナトリウム又は他の塩の形態で供給できるクエン酸種である場合、組成物を調製する際に添加される材料の分子量であり、使用される分子量は、組成物に添加される特定の塩又は酸の分子量であるが、存在し得る結晶化水は無視される。
【0030】
組成物及び方法は、本明細書において、様々な構成成分又は工程を「含む」という観点で記載されているが、組成物及び方法はまた、別途記載のない限り、様々な構成成分又は工程「から本質的になる」又は「からなる」こともできる。
【0031】
本明細書で使用する場合、用語「又は」は、2つ以上の要素の接続詞として使用される場合に、要素を個々に、及び組み合わせで含むことを意味し、例えば、X又はYは、X若しくはY、又はこれら両方を意味する。
【0032】
本明細書で使用する場合、冠詞「a」及び「an」は、特許請求される又は記載される材料、例えば、「口腔ケア組成物」又は「漂白剤」の1つ以上を意味するものと理解される。
【0033】
特に明記しない限り、本明細書で言及される測定は全て約23℃(すなわち、室温)で行われる。
【0034】
一般に、元素群は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985に掲載されている元素周期表のバージョンで示される番号付けスキームを使用して示される。いくつかの例では、族に割り当てられた共通の名前を使用して、要素の群を示すことができ、例えば、第1族元素のアルカリ金属、第2族元素のアルカリ土類金属などが挙げられる。
【0035】
いくつかの種類の範囲が本発明に開示される。任意の種類の範囲が開示又は特許請求される場合、範囲の端点並びにその中に包含される任意の部分範囲及び任意の部分範囲の組み合わせを含む、そのような範囲が合理的に包含し得る可能な各数を個々に開示又は特許請求することを意図している。
【0036】
用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメータ、並びにその他の数量及び特性が正確ではなく、正確である必要はないが、所望に応じて、許容誤差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、並びに当業者に既知のその他の要因を反映して、近似的及び/又はより大きいかより小さい場合があることを意味する。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の数量若しくは特性は、そのようであると明示的に記載されているか否かに関わらず、「約」又は「近似的」である。用語「約」はまた、特定の初期混合物から生じる組成物の異なる平衡状態に起因して異なる量も包含する。用語「約」によって修飾されているか否かに関わらず、特許請求の範囲は、その量に対する均等物を含む。用語「約」は、報告された数値の10%以内、好ましくは報告された数値の5%以内を意味し得る。
【0037】
口腔ケア組成物は、固体、液体、粉末、ペースト、又はこれらの組み合わせなどの任意の適切な形態であり得る。口腔ケア組成物は、歯磨剤、歯磨ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、泡、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用美白ストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭予防用溶解ストリップ、又は義歯用ケア若しくは付着性製品であり得る。口腔ケア組成物の構成成分は、フィルム、ストリップ、泡、又は繊維ベースの歯磨剤組成物に組み込まれることができる。
【0038】
本明細書に記載の口腔ケア組成物は、スズ、単座配位子、及び多座配位子を含む。加えて、口腔ケア組成物は、以下に記載されるように、他の任意の成分を含み得る。以下のセクションヘッダーは、あくまでも便宜上提供されるものである。場合によっては、化合物は、1つ以上のセクション内に含まれ得る。例えば、フッ化第一スズは、スズ化合物及び/又はフッ化物化合物であり得る。加えて、例えば、シュウ酸又はこれらの塩は、ジカルボン酸、多座配位子、及び/又は美白剤であり得る。
【0039】
スズ
本発明の口腔ケア組成物は、スズイオン源によって提供され得るスズを含む。スズイオン源は、口腔ケア組成物中にスズイオンを提供することができ、及び/又は口腔ケア組成物が口腔に適用されるときに、口腔にスズイオンを供給することができる任意の好適な化合物であり得る。スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、酸化第一スズ、シュウ酸第一スズ、硫酸第一スズ、硫化第一スズ、フッ化第二スズ、塩化第二スズ、臭化第二スズ、ヨウ化第二スズ、硫化第二スズ、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のスズ含有化合物を含み得る。スズイオン源は、フッ化第一スズ、塩化第一スズ、及び/又はこれらの混合物を含み得る。スズイオン源はまた、塩化第一スズなどのフッ化物フリーのスズイオン源であってもよい。
【0040】
口腔ケア組成物は、当該口腔ケア組成物の約0.0025重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.4重量%~約1重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%のスズ及び/又はスズイオン源を含み得る。
【0041】
単座配位子
口腔ケア組成物は、1000g/mol未満の分子量(MW)を有する単座配位子を含む。単座配位子は、スズイオンなどの中心原子と相互作用でき単一の官能基を有する。単座配位子は、口腔ケア組成物での使用に適している必要があり、これには、米国食品医薬品局の「一般的に安全と認められている(Generally Regarded as Safe)」(GRAS)リスト又は関心のある管轄区域の他の好適なリストに記載されていることが含まれ得る。
【0042】
本明細書に記載の単座配位子は、スズとキレート化し、スズと会合し、かつ/又はスズと結合することができる単一の官能基を含み得る。スズとキレート化し、スズと会合し、かつ/又はスズと結合することができる好適な官能基には、当業者に知られている他の官能基の中でも、カルボニル、アミンが含まれる。好適なカルボニル官能基は、カルボン酸、エステル、アミド、又はケトンを含み得る。
【0043】
単座配位子は、単一のカルボン酸官能基を含み得る。カルボン酸を含む好適な単座配位子は、式R-COOH[式中、Rは任意の有機構造である]を有する化合物を含み得る。カルボン酸を含む好適な単座配位子はまた、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、糖酸、これらの塩、及び/又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0044】
脂肪族カルボン酸は、直鎖状炭化水素鎖、分岐状炭化水素鎖、及び/又は環状炭化水素分子に結合したカルボン酸官能基を含み得る。脂肪族カルボン酸は、完全飽和又は不飽和であり、1つ以上のアルケン及び/又はアルキン官能基を有し得る。他の官能基が存在し、炭化水素鎖に結合することができ、炭化水素鎖のハロゲン化変異体が含まれる。また、脂肪族カルボン酸は、カルボン酸官能基に対してα位、β位、γ位にアルコール官能基を有する有機化合物であるヒドロキシル酸を含み得る。好適なαヒドロキシ酸には、乳酸及び/又はこれらの塩が含まれる。
【0045】
芳香族カルボン酸は、少なくとも1つの芳香族官能基に結合したカルボン酸官能基を含み得る。好適な芳香族カルボン酸基には、安息香酸、サリチル酸、及び/又はこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0046】
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、アスコルビン酸、安息香酸、カプリル酸、コール酸、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、リノール酸、ナイアシン、オレイン酸、プロパン酸、ソルビン酸、ステアリン酸、グルコン酸塩、乳酸塩、炭酸塩、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、これらの塩、及び/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0047】
口腔ケア組成物は、組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約15重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.0001重量%~約25重量%の単座配位子を含み得る。
【0048】
多座配位子
口腔ケア組成物は、1000g/mol未満の分子量(MW)を有する多座配位子を含む。多座配位子は、スズイオンなどの中心原子と相互作用できる少なくとも2つの官能基を有する。加えて、多座配位子は、口腔ケア組成物での使用に適している必要があり、これには、米国食品医薬品局の「一般的に安全と認められている(Generally Regarded as Safe)」(GRAS)リスト又は関心のある管轄区域の別の好適なリストに記載されていることが含まれ得る。
【0049】
本明細書に記載の多座配位子は、スズとキレート化し、スズと会合し、かつ/又はスズと結合することができる少なくとも2つの官能基を含み得る。多座配位子は、二座配位子(すなわち、2つの官能基を有する)、三座配位子(すなわち、3つの官能基を有する)、四座配位子(すなわち、4つの官能基を有する)などを含み得る。
【0050】
スズとキレート化し、スズと会合し、かつ/又はスズと結合することができる好適な官能基には、当業者に知られている他の官能基の中でも、カルボニル、ホスフェート、硝酸塩、アミンが含まれる。好適なカルボニル官能基には、カルボン酸、エステル、アミド、又はケトンが含まれ得る。
ホスフェートを含む好適な化合物には、オルトホスフェート、ホスフェート、ポリホスフェート、これらの塩、及び/又はこれらの組み合わせが含まれる。好適なホスフェート化合物には、ホスフェート塩、有機ホスフェート、又はこれらの組み合わせが含まれる。好適なホスフェート塩には、オルトホスフェート、水素ホスフェート、二水素ホスフェート、アルキル化ホスフェート、ポリホスフェート、及び/又はこれらの組み合わせの塩が含まれる。
【0051】
多座配位子は、2つ以上のカルボン酸官能基を含み得る。カルボン酸を含む好適な多座配位子には、式HOOC-R-COOH[式中、Rは任意の有機構造である]を有する化合物が含まれ得る。また、2つ以上のカルボン酸を含む好適な多座配位子には、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸なども含まれ得る。
【0052】
他の好適な多座配位子には、少なくとも2つのホスフェート官能基を含む化合物が含まれる。したがって、多座配位子は、本明細書に記載のように、ポリホスフェートを含み得る。
【0053】
他の好適な多座配位子には、ルプロン、コルプロン、アドルプロン、及び/又はこれらの組み合わせなどのホップβ酸が含まれる。ホップβ酸は、合成的に誘導及び/又は天然源から抽出することができる。
【0054】
多座配位子は、シュウ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、タプシン酸、日本酸、フェロゲン酸(phellogenic acid)、エキセトール酸(equisetolic acid)、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フィチン酸、ピロホスフェート、トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート、これらの塩、及び/又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0055】
口腔ケア組成物は、組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約15重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.0001重量%~約25重量%の、多座配位子を含み得る。
【0056】
スズ対単座配位子対多座配位子の比
本明細書に記載の口腔ケア組成物は、スズ対単座配位子対多座配位子の比を含み、予想に反して多量の可溶性スズ及び/又は優れたフッ化物取り込みを提供する。スズ対単座配位子対多座配位子の好適な比は、約1:0.5:0.5~約1:5:5、約1:0.5:0.75~約1:5:5、約1:1:1~約1:5:5、約1:1:0.5~約1:2.5:2.5、約1:1:1~約1:2:2、約1:0.5:0.5~約1:3:1、又は約1:0.5:0.5~1:1:3であり得る。
【0057】
本明細書で望まれるのは、少なくとも約1000ppm、2000ppm、4000ppm、少なくとも約4500ppm、少なくとも約5000ppm、少なくとも約6000ppm、及び/又は少なくとも約8000ppmの可溶性Snを有する口腔ケア組成物である。また、本明細書では、少なくとも約9日、30日、65日、75日、100日、200日、365日及び/又は400日の時間経過後に、少なくとも約6.5μg/cm2、少なくとも約7.0μg/cm2、少なくとも約8.0μg/cm2、又は少なくとも約9.0μg/cm2のフッ化物取り込みを有する口腔ケア組成物もまた所望される。
【0058】
全体として、理論に束縛されることを望むものではないが、可溶性Snの量は、口腔衛生上の利点を提供するために自由に利用できることから、生物学的に利用可能なSnと相関があると考えられる。完全に結合したSn(オーバーキレート化したSn)又は沈殿したSn(不溶性のスズ塩、例えばSn(OH)2及び/又はSnベースの着色汚れはアンダーキレート化の場合に形成される)は、可溶性Snの測定に含まれない。加えて、理論に束縛されることを望むものではないが、Snと単座配位子及び多座配位子との比のバランスを注意深くとることで、表面の着色汚れなどのカチオン性抗菌剤の使用に対するいくつかのマイナス面なしに、多量の生物学的に利用可能なフッ化物及びSnイオンを提供できると考えられる。したがって、単座配位子及び多座配位子の範囲及び同一性を定量化及び認定するために、追加のスクリーニング実験を行った。
【0059】
ジカルボン酸
多座配位子は、ジカルボン酸を含み得る。ジカルボン酸は、2つのカルボン酸官能基を有する化合物を含む。ジカルボン酸は、式Iによって定義される化合物又はこれらの塩を含み得る。
【0060】
【0061】
Rは、存在しないか、アルキル、アルケニル、アリル、フェニル、ベンジル、脂肪族、芳香族、ポリエチレングリコール、ポリマー、O、N、P、及び/又はこれらの組み合わせであり得る。
【0062】
ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、タプシン酸、日本酸、フェロゲン酸、エキセトール酸、リンゴ酸、酒石酸、これらの塩又はこれらの組み合わせを含み得る。ジカルボン酸は、例えば、シュウ酸モノアルカリ金属、シュウ酸ジアルカリ金属、シュウ酸一水素一カリウム、シュウ酸二カリウム、シュウ酸一水素一ナトリウム、シュウ酸二ナトリウム、シュウ酸チタン、及び/又はシュウ酸の他の金属塩などのジカルボン酸の好適な塩を含み得る。また、ジカルボン酸には、ジカルボン酸の水和物及び/又はジカルボン酸の塩の水和物が含まれ得る。
【0063】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約15重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.0001重量%~約25重量%の、ジカルボン酸を含み得る。
【0064】
トリカルボン酸
多座配位子は、トリカルボン酸を含み得る。トリカルボン酸は、3つのカルボン酸官能基を有する化合物を含む。トリカルボン酸は、式IIによって定義される化合物又はこれらの塩を含み得る。
【0065】
【0066】
Rは、アルキル、アルケニル、アリル、フェニル、ベンジル、脂肪族、芳香族、ポリエチレングリコール、ポリマー、O、N、P、及び/又はこれらの組み合わせであり得る。
【0067】
トリカルボン酸は、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、トリメシン酸、クエン酸回路又はクレブス回路における任意のトリカルボン酸、これらの塩、又はこれらの組み合わせを含み得る。トリカルボン酸は、例えばクエン酸ナトリウムなどのトリカルボン酸の好適な塩を含み得る。
【0068】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約15重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.0001重量%~約25重量%のトリカルボン酸を含み得る。
【0069】
ポリホスフェート
多座配位子は、ポリホスフェートを含むことができ、これはポリホスフェート源によって提供することができる。ポリホスフェート源は、1つ以上のポリホスフェート分子を含み得る。ポリホスフェートは、オルトホスフェートの脱水及び縮合によって、フィチン酸などの様々な鎖長の直鎖及び環状ポリホスフェートをもたらすことにより、得られる物質の部類である。したがって、ポリホスフェート分子は、一般に、以下に記載されるように、ポリホスフェート分子の平均数(n)で同定される。ポリホスフェートは一般に、主に直鎖構造に配置された2つ以上のホスフェート分子からなると理解されているが、いくつかの環状誘導体が存在する場合もある。
【0070】
好ましいポリホスフェートは、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のホスフェート官能基を生成し、これがアニオン性表面電荷並びに表面の親水性特徴を強化するように、平均して2つ以上のホスフェート基を有するものである。本発明において好ましいものは、式:XO(XPO3)nX(式中、Xは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、又は任意の他のアルカリ金属カチオンであり、nは、平均約2~約21、約2~約14、又は約2~約7である)を有する直鎖状ポリホスフェートである。カルシウムなどのアルカリ土類金属カチオンは、フッ化物イオン及びアルカリ土類金属カチオンを含む水溶液から不溶性フッ化物塩を形成する傾向があるため、好ましくない。したがって、本明細書に開示される口腔ケア組成物は、ピロリン酸カルシウムを含まなくてもよく、又は実質的に含まなくてもよい。
【0071】
好適なポリホスフェート分子のいくつかの例としては、例えば、ピロホスフェート(n=2)、トリポリホスフェート(n=3)、テトラポリホスフェート(n=4)、ソーダフォス(sodaphos)ポリホスフェート(n=6)、ヘキサフォス(hexaphos)ポリホスフェート(n=13)、ベネフォス(benephos)ポリホスフェート(n=14)、ヘキサメタホスフェート(n=21)(Glass Hとしても知られる)を挙げることができる。ポリホスフェートとしては、FMC Corporation、ICL Performance Products、及び/又はAstarisによって製造されるポリホスフェート化合物を挙げることができる。
【0072】
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1~約20重量%、又は約10重量%以下のポリホスフェート源を含み得る。あるいは、口腔ケア組成物は、ポリホスフェートを本質的に含まないか、実質的に含まないか、又は含まないものであり得る。口腔ケア組成物は、環状ポリホスフェートを本質的に含まないか、実質的に含まないか、又は含まないものであり得る。口腔ケア組成物は、不溶性のスズ及び/又は亜鉛化合物をもたらす可能性のあるフィチン酸を本質的に含まないか、実質的に含まないか、又は含まないものであり得る。
【0073】
フッ化物
口腔ケア組成物は、フッ化物を含むことができ、これはフッ化物イオン源によって提供することができる。フッ化物イオン源は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のフッ化物含有化合物を含むことができる。
【0074】
フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えばフッ化第一スズなどの同じ化合物であり得る。加えて、フッ化物イオン源及びスズイオン源は、スズイオン源が塩化第一スズであり、フッ化物イオン源がモノフルオロリン酸ナトリウム又はフッ化ナトリウムである場合など、別個の化合物であり得る。
【0075】
フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン及びフッ化物イオンを生成することができる、例えばフッ化亜鉛などの同じ化合物であり得る。加えて、フッ化物イオン源及び亜鉛イオン源は、亜鉛イオン源がリン酸亜鉛であり、フッ化物イオン源がフッ化第一スズである場合など、別個の化合物であり得る。
【0076】
フッ化物イオン源は、フッ化第一スズを本質的に含まないか、又は含まないものであり得る。したがって、口腔ケア組成物は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及び/又はこれらの混合物を含み得る。
【0077】
口腔ケア組成物は、約50ppm~約5000ppm、好ましくは約500ppm~約3000ppmの遊離フッ化物イオンを提供することができるフッ化物イオン源を含み得る。所望の量のフッ化物イオンを送達するために、フッ化物イオン源は、口腔ケア組成物中に、当該口腔ケア組成物の約0.0025重量%~約5重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%の量で存在し得る。あるいは、口腔ケア組成物は、0.1%未満、0.01%未満のフッ化物イオン源を本質的に含まないか、実質的に含まないか、又は含まないものであり得る。
【0078】
金属
本明細書に記載の口腔ケア組成物は、金属を含むことができ、これは、1つ以上の金属イオンを含む金属イオン源によって提供することができる。金属イオン源は、本明細書に記載されているように、スズイオン源及び/又は亜鉛イオン源を含んでいてもよく、又はそれに加えてもよい。好適な金属イオン源としては、Sn、Zn、Cu、Mn、Mg、Sr、Ti、Fe、Mo、B、Ba、Ce、Al、In及び/又はこれらの混合物などであるがこれらに限定されない金属イオンを有する化合物が挙げられる。金属イオン源は、好適な金属並びに任意の付随するリガンド及び/又はアニオンを含む任意の化合物であり得る。
【0079】
金属イオン源と対をなすことができる好適なリガンド及び/又はアニオンとしては、酢酸塩、硫酸アンモニウム、安息香酸塩、臭化物、ホウ酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、グルコン酸塩、グリセロホスフェート、水酸化物、ヨウ化物、シュウ酸塩、酸化物、プロピオン酸塩、D-乳酸塩、DL-乳酸塩、オルトホスフェート、ピロホスフェート、硫酸塩、硝酸塩、酒石酸塩、及び/又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
口腔ケア組成物は、約0.01重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、又は約0.5重量%~約15重量%の金属及び/又は金属イオン源を含み得る。
【0081】
亜鉛
口腔ケア組成物は、亜鉛イオン源によって提供され得る亜鉛を含み得る。亜鉛イオン源は、フッ化亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ヘキサフルオロジルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、メタリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、及び/又は炭酸亜鉛などの1つ以上の亜鉛含有化合物を含み得る。亜鉛イオン源は、リン酸亜鉛、酸化亜鉛、及び/又はクエン酸亜鉛などのフッ化物フリーの亜鉛イオン源であり得る。
【0082】
亜鉛及び/又は亜鉛イオン源は、全口腔ケア組成物中に、歯磨剤組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%の量で存在し得る。あるいは、口腔ケア組成物は、亜鉛を本質的に含まないか、実質的に含まないか、又は含まないものであり得る。
【0083】
pH
本明細書に記載の口腔ケア組成物のpHは、約4~約7、約4.5~約6.5、又は約4.5~約5.5であり得る。本明細書に記載の口腔ケア組成物のpHはまた、少なくとも約6、少なくとも約6.5、又は少なくとも約7であり得る。マウスリンス溶液のpHは、未希釈溶液のpHとして決定することができる。歯磨剤組成物のpHは、スラリーpHとして決定することができ、歯磨剤組成物及び水の1:4、1:3、又は1:2混合物など、歯磨剤組成物及び水の混合物のpHである。本明細書に記載の口腔ケア組成物のpHは、約4~約10、約5~約9、約6~約8、又は約7の好ましいpHを有する。
【0084】
口腔ケア組成物は、1つ以上の緩衝剤を含み得る。本明細書で使用される緩衝剤は、口腔ケア組成物のスラリーpHを調整するために使用することができる薬剤を指す。緩衝剤としては、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、ホスフェート、イミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。具体的な緩衝剤としては、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、炭酸ナトリウム、イミダゾール、ピロホスフェート、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムが挙げられる。口腔ケア組成物は、1つ以上の緩衝剤を各々が本組成物の約0.1重量%~約30重量%、約1重量%~約10重量%、又は約1.5重量%~約3重量%の濃度で含み得る。
【0085】
界面活性剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、組成物をより美容的に許容可能にするために使用することができる。界面活性剤は、好ましくは、組成物に洗浄性及び起泡性を付与する洗浄性材料である。好適な界面活性剤は、安全かつ有効な量のアニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性、両性及びベタイン界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、グルタミン酸ココイルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸、ミリストイルサルコシン酸、パルミトイルサルコシン酸、ステアロイルサルコシン酸及びオレオイルサルコシン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン及びラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン、N-ラウロイル、N-ミリストイル、又はN-パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム、及びエタノールアミン塩、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、パルミチルベタイン、ココイルグルタミン酸ナトリウムなどである。ラウリル硫酸ナトリウムが、好ましい界面活性剤である。口腔ケア組成物は、1つ以上の界面活性剤を各々が口腔ケア組成物の約0.01重量%~約15重量%、約0.3重量%~約10重量%、又は約0.3重量%~約2.5重量%の濃度で含み得る。
【0086】
増粘剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の増粘剤を含み得る。増粘剤は、口腔ケア組成物において、練り歯磨きを相分離に対して安定化させるゼラチン構造を提供するのに有用である。好適な増粘剤としては、多糖類、ポリマー、及び/又はシリカ増粘剤が挙げられる。多糖類のいくつかの非限定例としては、デンプン、デンプンのグリセライト、ガム、例えばカラヤガム(ステルクリアガム)、トラガカントガム、アラビアガム、ガティガム、アカシアガム、キサンタンガム、グアーガム及びセルロースガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、寒天、ペクチン、ゼラチン、セルロース化合物、例えばセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、及び硫酸化セルロース、天然及び合成粘土、例えばヘクトライト粘土、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0087】
増粘剤は多糖類を含むことができる。本明細書での使用に好適な多糖類としては、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カルボマー、ポロキサマー、変性セルロース、及びこれらの混合物が挙げられる。カラギーナンは海藻由来の多糖類である。その海藻源によって区別され得る、及び/又は硫酸化の程度及び位置によって区別され得る複数種類のカラギーナンが存在する。増粘剤は、カッパカラギーナン、変性カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、修飾イオタカラギーナン、ラムダカラギーナン、及びこれらの混合物を含むことができる。本明細書での使用に好適なカラギーナンとしては、FMC Companyからシリーズ名「Viscarin」で市販されているものが挙げられ、限定するものではないが、Viscarin TP 329、Viscarin TP 388、及びViscarin TP 389が挙げられる。
【0088】
増粘剤は、1つ以上のポリマーを含み得る。ポリマーは、口腔ケア組成物の様々な重量パーセントの、及び様々な範囲の平均分子範囲の、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸、少なくとも1つのアクリル酸モノマーから誘導されたポリマー、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー、架橋ポリアクリル酸ポリマーであり得る。ポリマーは、ポリアクリレートクロスポリマー、例えば、ポリアクリレートクロスポリマー-6を含み得る。ポリアクリレートクロスポリマー-6の好適な供給源には、Seppicから市販されているSepimax Zen(商標)が含まれ得る。
【0089】
増粘剤は、無機増粘剤を含むことができる。好適な無機増粘剤のいくつかの非限定的な例としては、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ増粘剤が挙げられる。有用なシリカ増粘剤としては、例えば、非限定的な例として、ZEODENT(登録商標)165シリカなどの非晶質沈降シリカが挙げられる。他の非限定的なシリカ増粘剤としては、ZEODENT(登録商標)153、163及び167、並びにZEOFREE(登録商標)177及び265シリカ製品(全てEvonik Corporationから入手可能)、並びにAEROSIL(登録商標)ヒュームドシリカが挙げられる。
【0090】
口腔ケア組成物は、0.01%~約15%、0.1%~約10%、約0.2%~約5%、又は約0.5%~約2%の1つ以上の増粘剤を含むことができる。
【0091】
研磨剤
本発明の口腔ケア組成物は、研磨剤を含み得る。研磨剤は、歯から表面の着色汚れを除去するのを助けるために口腔ケア製剤に添加され得る。好ましくは、研磨剤は、カルシウム研磨剤又はシリカ研磨剤である。
【0092】
カルシウム研磨剤は、口腔ケア組成物中にカルシウムイオンを提供することができ、及び/又は口腔ケア組成物が口腔に適用されるときに、口腔にカルシウムイオンを供給することができる任意の好適な研磨剤化合物であり得る。口腔ケア組成物は、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%のカルシウム研磨剤を含み得る。カルシウム研磨剤は、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム(PCC)、粉砕炭酸カルシウム(GCC)、チョーク、リン酸二カルシウム、ピロリン酸カルシウム、及び/又はこれらの混合物などの1つ以上のカルシウム研磨剤化合物を含み得る。
【0093】
口腔ケア組成物はまた、シリカゲル(それ自体、及び任意の構造のもの)、沈降シリカ、非晶質沈降シリカ(それ自体、及び任意の構造のもの)、水和シリカ、及び/又はこれらの組み合わせなどのシリカ研磨剤を含み得る。口腔ケア組成物は、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%のシリカ研磨剤を含み得る。
【0094】
口腔ケア組成物はまた、ベントナイト、パーライト、二酸化チタン、アルミナ、水和アルミナ、焼成アルミナ、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、不溶性炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、粒子状熱硬化性樹脂、及び他の好適な研磨剤材料などの別の研磨剤を含み得る。口腔ケア組成物は、約5重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約40重量%、又は約1重量%~約50重量%の別の研磨剤を含み得る。
【0095】
アミノ酸
口腔ケア組成物は、アミノ酸を含み得る。アミノ酸は、本明細書に記載されるように、1つ以上のアミノ酸、ペプチド、及び/又はポリペプチドを含み得る。
【0096】
アミノ酸は、式IIにあるように、アミン官能基、カルボキシル官能基、及びそれぞれのアミノ酸に特異的な側鎖(式IIIではR)を含有する有機化合物である。好適なアミノ酸としては、例えば、正又は負の側鎖を有するアミノ酸、酸性又は塩基性の側鎖を有するアミノ酸、極性非荷電側鎖を有するアミノ酸、疎水性側鎖を有するアミノ酸、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。好適なアミノ酸としては、例えば、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セレノシステイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ジアミノブタン酸、ジアミノプロピオン酸、これらの塩、及び/又はこれらの組み合わせも挙げられる。
【0097】
好適なアミノ酸としては、天然起源の又は合成的に誘導される、式IIIに記載の化合物が挙げられる。アミノ酸は、R基及び環境に基づいて、双性イオン性であるか、中性であるか、正に帯電するか、又は負に帯電し得る。アミノ酸の電荷、及び特定の官能基が、特定のpH条件でスズと相互作用できるかどうかは、当業者にはよく知られていることであろう。
【0098】
【0099】
好適なアミノ酸としては、1つ以上の塩基性アミノ酸、1つ以上の酸性アミノ酸、1つ以上の中性アミノ酸、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
口腔ケア組成物は、当該口腔ケア組成物の約0.01重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約6重量%、又は約1重量%~約10重量%のアミノ酸を含み得る。
【0101】
本明細書で使用する場合、用語「中性アミノ酸」には、天然由来の中性アミノ酸、例えばアラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどだけではなく、pH5.0~7.0の範囲の等電点を有する生物学的に許容可能なアミノ酸をも含む。生物学的に好ましい許容可能な中性アミノ酸は、分子中に単一のアミノ基及びカルボキシル基を有するか、あるいは物理化学的特性は類似又は実質的に類似しているが変更された側鎖を有する官能性誘導体などといった、これらの官能性誘導体を有する。更なる実施形態では、アミノ酸は、少なくとも部分的に水溶性であり、25℃で1g/1000mLの水溶液中で7未満のpHを提供する。
【0102】
したがって、本発明での使用に好適な中性アミノ酸としては、アラニン、アミノ酪酸、アスパラギン、システイン、シスチン、グルタミン、グリシン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、これらの塩、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の組成物において使用される中性アミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、グリシン、これらの塩、又はこれらの混合物を挙げることができる。中性アミノ酸は、25℃の水溶液中で、5.0、又は5.1、又は5.2、又は5.3、又は5.4、又は5.5、又は5.6、又は5.7、又は5.8、又は5.9、又は6.0、又は6.1、又は6.2、又は6.3、又は6.4、又は6.5、又は6.6、又は6.7、又は6.8、又は6.9、又は7.0の等電点を有し得る。好ましくは、中性アミノ酸は、プロリン、グルタミン、又はグリシンから選択され、より好ましくはその遊離形態(すなわち、非錯体型)である。中性アミノ酸がその塩形態である場合、好適な塩としては、提供される量及び濃度において生理学的に許容可能であると考えられる、薬剤として許容可能な塩であることが当該技術分野において既知である塩が挙げられる。
【0103】
美白剤
口腔ケア組成物は、口腔ケア組成物の約0.1重量%~約10重量%、約0.2重量%~約5重量%、約1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約15重量%の美白剤を含み得る。美白剤は、口腔内の少なくとも1本の歯の美白に好適な化合物であり得る。美白剤としては、過酸化物、金属亜塩素酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過酸、過硫酸塩、ジカルボン酸、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。好適な過酸化物としては、固体過酸化物、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化ベンゾイル、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、無機過酸化物、ヒドロペルオキシド、有機過酸化物、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な金属亜塩素酸塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。その他の好適な美白剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、peroxydone、6-フタルイミドペルオキシヘキサン酸、フタルアミドペルオキシカプロン酸、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0104】
保湿剤
口腔ケア組成物は、1つ以上の保湿剤を含んでもよく、低濃度の保湿剤を含んでもよく、又は保湿剤を含まなくてもよい。湿潤剤は、口腔ケア組成物又は歯磨剤に濃度(body)又は「口当たり」を加えるだけでなく、歯磨剤が乾燥するのを防止する役割を果たす。好適な保湿剤としては、ポリエチレングリコール(様々な異なる分子量で)、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ブチレングリコール、ラクチトール、加水分解水添デンプン、及び/又はこれらの混合物が挙げられる。口腔ケア組成物は、各々当該口腔ケア組成物の0~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約80重量%の濃度で1つ以上の保湿剤を含み得る。
【0105】
水
本発明の口腔ケア組成物は、無水、低含水製剤、又は高含水製剤である歯磨剤組成物であり得る。合計で、口腔ケア組成物は、組成物の0重量%~約99重量%、約20重量%以上、約30重量%以上、約50重量%以上、最大約45重量%、又は最大約75重量%の水を含むことができる。好ましくは、水は、USP水である。
【0106】
高含水歯磨剤製剤では、歯磨剤組成物は、組成物の約45重量%~約75重量%の水を含む。高含水歯磨剤組成物は、組成物の約45重量%~約65重量%、約45重量%~約55重量%、又は約46重量%~約54重量%の水を含んでもよい。水は、高含水歯磨剤製剤に直接添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に含まれてもよい。
【0107】
低含水歯磨剤製剤では、歯磨剤組成物は、組成物の約10重量%~約45重量%の水を含む。低含水歯磨剤組成物は、組成物の約10重量%~約35重量%、約15重量%~約25重量%、又は約20重量%~約25重量%の水を含んでもよい。水は、低含水歯磨剤製剤に直接添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって組成物に含まれてもよい。
【0108】
無水歯磨剤製剤において、歯磨剤組成物は、組成物の約10重量%未満の水を含む。無水歯磨剤組成物は、組成物の約5重量%未満、約1重量%未満、又は0重量%の水を含む。水は、無水製剤に直接添加されてもよく、及び/又は他の成分を含めることによって歯磨剤組成物に含まれてもよい。
【0109】
歯磨剤組成物はまた、アルコール、保湿剤、ポリマー、界面活性剤、及び許容改善剤、例えば着香剤、甘味剤、着色剤及び/又は冷感剤などの、他の口腔に許容可能な担体材料を含むことができる。
【0110】
口腔ケア組成物はまた、マウスリンス製剤であってもよい。マウスリンス製剤は、約75%~約99%、約75%~約95%、又は約80%~約95%の水を含み得る。
【0111】
他の成分
口腔ケア組成物は、以下に記載されるように、着香剤、甘味料、着色剤、防腐剤、緩衝剤、又は口腔ケア組成物での使用に好適な他の成分などの様々な他の成分を含み得る。
【0112】
着香剤を口腔ケア組成物に添加してもよい。好適な着香剤としては、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブバッド油、メントール、アネトール、メチルサリチレート、ユーカリプトール、カッシア、1-メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α-イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4-シス-ヘプテナール、ジアセチル、メチル-パラ-tert-ブチルフェニルアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な着香剤としては、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブバッド油、メントール、アネトール、メチルサリチレート、ユーカリプトール、カッシア、1-メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α-イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4-シス-ヘプテナール、ジアセチル、メチル-パラ-tert-ブチルフェニルアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。清涼剤も風味剤系の一部であってもよい。本組成物に好ましい清涼剤は、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド(商業的に「WS-3」として知られている)のようなパラメンタンカルボキシアミド剤、又はN-(エトキシカルボニルメチル)-3-p-メンタンカルボキサミド(商業的に「WS-5」として知られている)、及びこれらの混合物である。風味剤系は、一般に組成物中で、口腔ケア組成物の約0.001重量%~約5重量%の濃度で用いられる。これらの着香剤は、一般に、アルデヒド、ケトン、エステル、フェノール、酸、並びに脂肪族、芳香族、及び他のアルコールの混合物を含む。
【0113】
製品に快い味を付与するために、甘味料を口腔ケア組成物に添加してもよい。好適な甘味料としては、サッカリン(ナトリウム、カリウム又はカルシウムサッカリンとして)、シクラメート(ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩として)、アセスルファムK、タウマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アンモニア化グリチルリチン、デキストロース、レブロース、スクロース、マンノース、スクラロース、ステビア、及びグルコースが挙げられる。
【0114】
製品の審美的外観を改善するために、着色剤を添加してもよい。好適な着色剤としては、限定するものではないが、FDAなどの適切な規制機関によって承認された着色剤、及び欧州食品医薬品指令(European Food and Pharmaceutical Directives)に列挙されている着色剤が挙げられ、TiO2などの顔料、並びにFD&C及びD&C染料などの色素を含む。
【0115】
細菌増殖を防止するために、防腐剤もまた、口腔ケア組成物に添加されてもよい。メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及び安息香酸ナトリウムなどの、口腔用組成物中での使用が承認された適切な防腐剤を、安全かつ有効な量で添加することができる。
【0116】
二酸化チタンもまた本発明の組成物に加えられてもよい。二酸化チタンは、組成物に不透明度を加える白色粉末である。二酸化チタンは、一般に、口腔ケア組成物の約0.25重量%~約5重量%を含む。
【0117】
減感剤、治癒剤、他のう蝕予防剤、キレート剤/金属イオン封鎖剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、他の抗歯垢/抗歯石剤、乳白剤、抗生物質、抗酵素類、酵素類、pH調整剤、酸化剤、酸化防止剤などの他の成分を、口腔ケア組成物中で使用することができる。
【0118】
口腔ケア組成物形態
スズ、単座配位子、及び/又は多座配位子の送達に好適な組成物としては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0133121号の乳化組成物、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2019/0343732号の単位用量組成物などの単位用量組成物、リーブオン口腔ケア組成物、詰まった乳化剤、歯磨剤組成物、マウスリンス組成物、マウスウォッシュ組成物、歯磨ゲル、歯肉縁下用ゲル、マウスリンス、ムース、フォーム、マウススプレー、トローチ剤、チュアブル錠、チューインガム、歯用美白ストリップ、フロス及びフロスコーティング、口臭予防用溶解ストリップ、義歯ケア製品、義歯用接着剤製品、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【実施例】
【0119】
本発明は、以下の実施例によって更に例示され、これは、いかなる方法であっても本発明の範囲に制限を課すものとして解釈されるべきではない。本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨又は添付の特許請求の範囲の範疇から逸脱することなく、それらの様々な他の態様、修正、及び均等物が、当業者に想到され得る。
【0120】
フッ化物取り込み
FDA Method 40によるエナメル質フッ化物取り込みは、1:3の歯磨剤スラリー上清の1回、30分間の処理によって脱灰されたエナメル質標本に送達されるフッ化物の量を決定するために使用される方法である。
【0121】
3~4mmの直径を有する健康なヒトエナメル質のコアを、ヒトの歯全体から抽出した。このコアをアクリルロッド上に取り付け、600グリットを使用して表面を研磨した。次いで、コアを0.05μ艶出し剤(Alumina Suspension Gamma B(MetLab Corp)、カタログ#M303-128)で磨いた。標本を、標準的な実験室用冷蔵庫(約2~4℃)中で、少量の脱イオン水(約1~5mL)の上で気密容器内に保管した。
【0122】
各エナメル質標本を検査し、大きな亀裂又は不均一な石灰化を有する試料を廃棄した。標本を、0.05μ艶出し剤を用いて再度10分間磨いた。試料は、脱イオン水中で超音波処理器を用いて15~30分間超音波処理された。その後、エナメル質標本を標準の脱イオン水ですすぎ、拭き取って残留する艶出し剤を除去した。
【0123】
その後、エナメル質標本を脱灰した。各標本につき、25mLのMHDP(N-2-ヒドロキシエチル,メタンヒドロキシジホスホネート)脱灰溶液(0.025M乳酸、2×10-4M MHDP)を30mLのプラスチックバイアルに入れた。エナメル質標本を各バイアルのキャップ上に置いた。各キャップをバイアルの上部に配置して、MHDP脱灰溶液中のエナメル質標本を浸漬した。エナメル質標本は、バイアルの底部に触れることはできなかった。標本を脱灰溶液中に周囲条件で48時間放置して、人工う蝕病変を形成した。ロッドを1日2回軽く叩いて、あらゆる気泡を除去した。48時間後、標本を脱灰溶液から取り出し、脱イオン水で十分にすすいだ。
【0124】
試料がペースト歯磨剤である場合、10gの歯磨剤を50mLの三角プラスチックビーカーに入れた。30mLの脱イオン水をビーカーに添加した。各ビーカー内の歯磨剤の上にx状の撹拌子を置き、ビーカーを磁気撹拌プレート上に置いた。撹拌子が300~400rpmで自由に回転できるまで、歯磨剤を木製スティックで破壊した。歯磨剤スラリーを20分間撹拌した。スラリーを遠心管に移し、11,000rpmで30分間遠心分離した。
【0125】
スラリー上清を、50mLの三角プラスチックビーカーにデカントした。ビーカー内にx状の撹拌子を置き、ビーカーを磁気撹拌プレート上に置いた。撹拌プレートを300~400rpmに回転させた。病変したエナメル質標本を各処理に懸濁させた。各試料を30分間処理した。30分後、各試料を脱イオン水ですすいだ。試料を、標準的な実験室用冷蔵庫(約2~4℃)中で、少量の脱イオン水(約1~5mL)の上で気密容器内に保管した。
【0126】
エナメル質に50マイクロメートルの深さまで穴を開けた後、粉砕したエナメル粉末の一部を回収し、酸中でそのエナメル質を溶解し、その後中和して緩衝化しすることによって、フッ化物含有量分析について試料を分析した。エナメル質標本由来の試料に穴を開けて、穴を開けたエナメル質の領域を記録した。
【0127】
フッ化物取り込みは、フッ化物イオン特異的電極(Thermo Scientific、Orion、96-09-00(Waltham,MA))を使用して直接測定した。各標本の試料を電極の端部に配置した。mVの値を記録した。調製したフッ化物標準の標準曲線を使用することによって、この値をフッ化物ppmに変換した。フッ化物取り込みは、μg単位のフッ化物の質量をマイクロドリル生検によってサンプリングした総面積で除算することによって計算した。
【0128】
エナメル質フッ化物取り込み法は、FDA試験方法#40に基づく。エナメル質フッ化物取り込みの結果を本明細書に示す。
【0129】
可溶性Sn
この方法は、水性スラリー上清中の約5~約5,000ppmのSnの口腔ケア用練り歯磨き又は歯磨剤組成物中の可溶性スズの測定に適している。1部の練り歯磨きを3部の水と混合することによってスラリーを調製した。スラリーのアリコートを酸消化し、希釈し、測定された各練り歯磨きの誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-OES)により分析した。結果は、本明細書では、練り歯磨き及び/又は歯磨剤の純水相中のppmとして報告される。
【0130】
分析の開始前に、いくつかの標準及び試薬を調製した。約1Lの超純水、18MΩの(DI)水を含有する2Lのメスフラスコに、各100mLの濃HCl及び濃HNO3を移すことにより、5%塩酸/5%硝酸リンス溶液を調製した。この溶液を撹拌して混合し、メスフラスコの印まで希釈し、次いで、フラスコの反転を繰り返してよく混合した。
【0131】
表1に従って標準溶液を調製するために、1000mg/Lのスズ及び1000mg/Lのガリウム標準溶液を購入した(Sigma Aldrich,Merck KGaA(Darmstadt,Germany))。ピペットを使用して、正確な量の標準を50mLのメスフラスコに移し、濃縮酸についてはメスシリンダーを使用した。移した後、ラインまでメスフラスコにDI水を入れ、十分に混合した。
【0132】
【0133】
2.00グラムの試料を、10個のガラスビーズを含有する風袋引きした丸底38mL遠心管に秤量することによって、スラリーを調製した。最低0.001gまで重量を記録した。スラリー化の直前に、6.0mLのDI水をチューブに移した。チューブに蓋をし、ボルテックスに配置し、試料を1200rpmで60分間混合した。混合サイクルの完了直後にチューブをボルテックスから取り出し、遠心分離機に入れた。それらを、21,000相対遠心力(RCF)で10分間遠心分離した。遠心分離の完了直後にチューブを取り出し、遠心分離チューブの底の固体プラグが乱されないことを確認しながら、上清をゆっくりと3回反転させることによって穏やかに混合した後、試料をデカントした。次いで、上清を15mLのスクリューキャップ試料チューブにデカントし、上清の大部分を移した。
【0134】
次いで、50mLのファルコンチューブに、上清の0.5mLのアリコートを正確に秤量(0.001gまで)することによって、上清試料を消化した。次いで、2.5mLの濃HCl及びHNO3を添加した。チューブをポリプロピレン製の時計皿で覆い、90℃に予熱したブロック消化器に30分間入れた。試料を熱から取り出し、ウォッチクラスをDI水(毎回約1mL)で3回すすぎ、リンス液を消化した上清に添加した。ガリウム標準(0.2mL)を消化した上清にピペットで入れ、次いで、上清試料をDI水で50mLに希釈した。チューブに蓋をして混合した。上清の代わりに0.5mLのDI水を使用して、同様に消化方法のブランクを調製した。一度にホットブロックに入れることができないほど多くの試料を調整した場合は、ホットブロック消化の各セットについて方法ブランクを調製し、分析した。
【0135】
ICP-OES(Perkin-Elmer 8300(Waltham,MA,USA))を、訓練を受けた資格のある操作者が操作し、器具を稼働させて、口腔ケア組成物中のスズの量を正確に測定できることを実証した。製造業者の指示に従って、モデル及び構成に基づいてICP-OES操作パラメータを選択した。以下のプロトコルに従って試料を分析した。
1.ICP-OESを、製造業者のガイドラインに従って予熱し、最適化した。推奨されるシステムチェックを実行した。分析の前に、HCl/HNO3リンス溶液を試料導入システムに通して、システムを30分間コンディショニングした。
2.製造業者が推奨する波長、積分時間、及び観察モードでガリウム内部標準を使用してスズを測定する方法を、操作コンピュータにロードした。
3.5%HCl/5%HNO3リンス溶液を使用して、各ブランク、標準、又は試験溶液の分析の間に試料導入システムをすすぎ洗いした。
4.分析中、全ての溶液について3~5回の読み取り値を記録した。
5.較正ブランクを分析した。
6.10ppmのSn標準を測定した。
7.5ppmのSn標準を測定した。
8.0.5ppmのLLOQスズ標準を測定した。
9.方法のブランクを測定した。
10.試験溶液を測定した。
11.5ppmのSn標準を、6番目毎の試験溶液の後及び最後の試料の後に再測定した。分析を完了するために十分な標準を作成した。
12.試料分析の終了時に、0.5ppmのLLOQスズ標準を測定した。
10ppm及び5ppmのスズ標準の反復読み取り値の相対標準偏差%が約3%未満である場合、分析は成功したと見なされた。5ppmのチェック標準は、その値の96~104%以内であった。LLOQは、その値の75~125%以内であった。方法のブランクは、LLOQ試料よりも少ないスズシグナル強度を示した。各分析溶液中の内部標準の回収率は、その値の90~130%以内であった。
【0136】
可溶性スズを以下の式に従って決定した。
【0137】
【0138】
HAP溶解
選択した試験歯磨剤の酸保護を試験するために、HAP溶解法を設計した。ヒドロキシアパタイト粉末(HAP)を試験歯磨剤スラリーで処理した後、このHAPを酸性媒体に添加し、pHの変化を表面吸着度及び/又は酸からの保護度の指標とする。
【0139】
歯磨剤スラリー(1:3ペースト:水)を全ての処理組成物について調製した。具体的には、10gの歯磨剤ペーストを、撹拌子を用いて、50mLの容器内で30gの脱イオン水と混合した。撹拌子が300~400rpmで自由に動くまで、歯磨剤をスパチュラで砕いた。スラリーを撹拌プレート上で10~20分間及び/又は均一なスラリーが形成されるまで撹拌した。ペーストスラリーを15,000rpmで15分間遠心分離し、上清液から固形成分を分離した。
【0140】
水対照を含む各処理について、0.300gのヒドロキシアパタイト粉末(HAP)を4,4mmのガラスビーズが入った50mLの丸底遠心管に入れた。歯磨剤ペーストを用いる処理では、24mLの調製した歯磨剤の上清を、HAPに添加した。各処理されたHAP試料を、直ちに2500rpmで2分間ボルテックス混合した。次いで、全ての試料を15,000rpmで15分間遠心分離した。液相を遠心管からデカントすることにより、HAPペレットを残した。残ったHAPペレットに脱イオン水を加えてすすぎ、2500rpmで1分間ボルテックス混合してペレットを完全に分散させ、15000rpmで15分間遠心分離し、遠心管から液相をデカントして廃棄した。このすすぎ工程を更に2回繰り返した。処理したHAPペレットを55℃のオーブンで一晩乾燥させた。
【0141】
HAPの試料のΔpHについて分析した。25mLの10mMクエン酸(1L脱イオン水中1.9212gのクエン酸)を、撹拌子と共に50mLビーカーに添加した。ビーカーを撹拌プレート(Metrohm(Herisau,Switerland)、モデル番号728)上に置いた。Titrano pH電極(Metrohm(Herisau,Switerland)、モデル番号719 S)をクエン酸を含む撹拌ビーカーに入れた。クエン酸溶液を平衡化した後(pH読み取り値が30秒以内にpH2.5±0.001になるまで)、50mgの乾燥したHAP粉末をクエン酸溶液に加えた。pHは5分で記録された。処理済みHAP粉末を添加する直前に得られた安定したpH読み取り値から、5分でのpH読み取り値を差し引くことにより、ΔpHを求める。
【0142】
【0143】
表2は、フッ化物取り込み及び可溶性Snについて試験した組成物の説明である。実施例1はフッ化第一スズと塩化第一スズを配合した歯磨剤組成物であった。実施例1は、Snに対する少なくとも2つの配位子、すなわち、多座配位子(クエン酸塩)及び単座配位子(グルコン酸塩)を含んだ。クエン酸イオンはクエン酸亜鉛から提供された。グルコン酸イオンはグルコン酸ナトリウムで提供された。Sn:単座:多座のモル比は、実施例1では1対1対0.33であった。
【0144】
実施例2は、単座配位子(グルコン酸塩)及び多座配位子(クエン酸塩)を含んだ。実施例2は、クエン酸ナトリウムの添加により追加量の多座配位子を含んだ。Sn:単座:多座のモル比は1対1対0.67であった。実施例3は、単座配位子(グルコン酸塩)及び多座配位子(クエン酸塩)を含んだ。実施例3は、クエン酸ナトリウムの添加により追加量の多座配位子を含んだ。Sn:単座:多座のモル比は、1対1対1であった。実施例4は、単座配位子(グルコン酸塩及び乳酸塩)及び多座配位子(クエン酸塩)を含んだ。Sn:単座:多座のモル比は、追加量の単座配位子で1対2対1であった。追加の単座配位子は、乳酸亜鉛によって提供された。
【0145】
表3は、実施例1~4のフッ化物取り込みを、様々な配位子比のもとで示したものである。フッ化物取り込みは配位子の添加量が増えるにつれて増加した。例えば、Sn対単座配位子対多座配位子の比が、1対1対0.33(実施例1)から1対1対1(実施例3)に増加するにつれて、フッ化物取り込みは9日間で6.31μg/cm2から7.61μg/cm2に増加した。この結果は230日目で更に顕著で、1対1対0.33(実施例1)で5.86μg/cm2のフッ化物取り込みであったが、1対1対1(実施例3)では11.82μg/cm2のフッ化物取り込みであった。乳酸亜鉛の添加により、フッ化物取り込みは9.08μg/cm2まで増加した(実施例4)。全体として、フッ化物取り込みの増加傾向は、少なくとも1年間は一貫している。フッ化物の量が一定に保たれていたため、これらのフッ化物取り込みの増加は予想外であった。代わりに、唯一の配合の変更は配位子のバランスをとることであった。
【0146】
【0147】
理論に束縛されることを望むものではないが、実施例1におけるSnの安定化が不十分のため、Snはエナメル質の表面と過剰に反応し、フッ化物取り込みを妨げる層を表面に付着させると考える。Snは、プラークや食物の酸に対する耐性を与える手段として、エナメル質の表面に付着することが知られている。このような層は、厚く形成されたり、早く形成されたりすると、虫歯病変へのフッ化物の浸透が妨げられる可能性がある。Snと単座配位子及び多座配位子との比のバランスを注意深くとることで、カチオン性抗菌剤の使用に対するいくつかのマイナス面なしに、多量の生物学的に利用可能なフッ化物及びSnイオンを提供できると考えられる。
【0148】
【0149】
表4は、多座配位子の量を増やすと、Snの量が一定に保たれているにもかかわらず、可溶性Snが増加することを予想に反して示している。理論に束縛されることを望むものではないが、可溶性Snの量は、口腔衛生上の利点を提供するために自由に利用できることから、生物学的に利用可能なSnと相関があると考えられる。完全に結合したSn(オーバーキレート化したSn)又は沈殿したSn(不溶性のスズ塩、例えばSn(OH)2及び/又はSnベースの着色汚れはアンダーキレート化の場合に形成される)は、可溶性Snの測定に含まれない。例えば、Sn対単座配位子対多座配位子の比が、1対1対0.33(実施例1)から1対1対1(実施例3)に増加するにつれて、可溶性Sn量は15日で3871ppmから4715ppmに増加した。この可溶性Snの増加は、365日でも明らかであり、可溶性Sn量は、2653ppm(実施例1)から3299ppm(実施例4)に増加した。追加の単座配位子を1対1対1の比で追加すると、可溶性Snの量も増加した(実施例4)。実施例4の可溶性Sn量は、15日で5349ppm、365日で3429ppmであった。
【0150】
理論に束縛されることを望むものではないが、Snと単座配位子及び多座配位子との比のバランスを注意深くとることで、表面の着色汚れ又はフッ化物取り込みの干渉などのカチオン性抗菌剤の使用に対するいくつかのマイナス面なしに、多量の生物学的に利用可能なフッ化物及びSnイオンを提供できると考えられる。したがって、単座配位子及び多座配位子の範囲及び同一性を定量化及び認定するために、追加のスクリーニング実験を行った。
【0151】
HAP溶解法では、フッ化物取り込みや可溶性Snの測定に数ヶ月を要するのに対し、数日ではるかに多くの条件をスクリーニングすることが可能である。HAP溶解法は、ヒドロキシアパタイト(HAP)粉末の表面に付着した物質の量を測定する。前処理したヒドロキシアパタイト粉末を酸負荷で処理したときのΔpHをモニタリングしている。酸によりF及び/又はSnでコーティングされたHAPを溶解することができなかったので、pHが低いほど、HAP粉末粒子の表面に付着する物質が多くなることを示した。一方、酸によりコーティングされていないHAPを溶解することができたため、ΔpHが高いほど、HAP粉末の表面に付着する物質が少なくなることと相関している。
【0152】
好適な組成物は、約0.9未満のΔpHで、Crest(登録商標)Cavity Protection(1100ppm NaF、Snイオンなし)の陽性対照よりも少なくとも優れた性能を発揮する(すなわち、より多くの物質を付着させる)必要がある。このような性能は、Snの安定化が過剰でないことを示している。しかし、安定化が不十分な組成物は、HAP粉末との反応性が高くなり、HAP粉末表面に厚く膨張した耐酸性コーティングが生じ、将来的にエナメル質へのフッ化物取り込みが阻害される可能性があることを示唆している。その結果、ΔpHは約0.4未満にならないことが必要である。このような性能(すなわち、ΔpHが約0.4未満)は、Snの安定化が不十分であることを示す。したがって、全体として、Sn安定化のための最適化された、又はGoldilocksの範囲は、約1100ppmのフッ化物を配合した組成物について、約0.4より大きいが約0.9未満のHAP溶解のΔpHによって示される。フッ化物の含有量によって範囲が変わることがある。但し、Sn含有組成物のΔpHは、そのSnプラセボよりも低く、約0.4超である必要がある。対照の配合物に対する好ましい帯域を
図1に示す。
【0153】
【0154】
表5にSn及びグルコン酸塩-クエン酸塩キレート化系を含む水溶液のHAP溶解結果を示す。陽性対照であるCrest(登録商標)Cavity Protection(CCP)は、キレート化系を用いずに1100ppmのNaFを含んでおり、ΔpHは約0.95であった。他の比較組成物は、SnF2と、単座配位子及び/又は多座配位子などの1つ以上の配位子とを含んでいた。Sn:グルコン酸塩1:1のモル比では、ΔpHは約0.29と測定されたが、単座配位子の量を1:2の比に増やすと、ΔpHは約0.31と比較的変化しない結果になった。本明細書で述べたように、非常に低いΔpHは、HAP表面との反応性が高く、フッ化物取り込みの減少によって観察されるように、フッ化物の有効性を妨げる安定化が不十分のSnを示している。予想に反して、単座配位子が多座配位子と組み合わされた場合、例えば、Sn:グルコン酸塩:クエン酸塩において、ΔpHはCrest Cavity ProtectionのΔpHより小さく、表面保護を示したが、単座のみの錯体ほどは小さくなかった。これは、Snが適切に安定化され、エナメル質表面と過剰に反応することなく、高い可溶性Snを維持していることを示唆している。Sn:グルコン酸塩クエン酸塩のモル比が1:1:1で、ΔpHは約0.64であった。理論に束縛されることを望むものではないが、単座/多座配位子系がSnの量と適切にバランスがとれている場合、着色汚れの原因となるか又はフッ化物取り込みを妨げることなく、生物学的に利用可能なSnの最大量が存在すると考えられる。
【0155】
【0156】
表6は、別の単座配位子である乳酸塩を加えた場合の影響を示している。グルコン酸塩で観察されたように、乳酸塩などの単座配位子を、Sn:単座のモル比で使用すると、ΔpHは非常に低く、Snの着色汚れ及び/又はフッ化物取り込みの減少を示す可能性が高い。重要なのは、単座配位子を更に追加すると、例えばSn:単座モル比1:2では、必要な範囲内のΔpH値が得られなかった。加えて、2つの異なる単座配位子を有することでは、適切な値にはならず、Sn:グルコン酸塩:乳酸塩が1:1:1だと、ΔpHは約0.32となった。しかし、予想に反して、単座配位子及び多座配位子の組み合わせにより、適切なΔpH値が得られた。例えば、Sn:乳酸塩:クエン酸塩を1:1:1にすると、ΔpH値は約0.64となり、一方、Sn:グルコン酸塩:乳酸塩:クエン酸塩を1:1:1:1(すなわち、Sn:単座:多座1:2:1)にすると、ΔpH値は約0.62であった。したがって、単座配位子及び多座配位子の両方で、生物学的に利用可能なSnの量のバランスを注意深くとる必要がある。
【0157】
【0158】
表7は、他の適切な単座配位子がホスフェートベースの化合物を含み、他の適切な多座配位子がポリホスフェートを含むことを示す。クエン酸塩で観察されたように、ホスフェート多座配位子(Ortho、Pyro、Tripoly)などの多座配位子を、Sn:単座:多座のモル比で使用すると、予想に反して適切なΔpH値をもたらした。例えば、Sn:Gluc:Tripolyが1:2:1であると、ΔpHは約0.82であり、所望の範囲内であった。複数の単座配位子及び複数の多座配位子のより複雑な系も、適切にバランスがとれていれば有効であった。
【0159】
【0160】
表8は、シュウ酸及び他のジカルボン酸もまた、適切な多座配位子として作用できることを示している。例えば、Sn:Gluc:シュウ酸塩1:1:1だと、ΔpHは約0.50であり、好ましい範囲内であった。
【0161】
表9に、様々なSn:Mono:Polyの比で含む追加の溶液組成を示す。実施例Aは、グルコン酸塩とクエン酸塩を含むSnF2/SnCl2歯磨剤であり、Sn:Mono:Poly比は1:1:0.33である。実施例Bは、実施例Aと比較して、更にクエン酸イオン(多座配位子)を追加しており、Sn:Mono:Polyの比は1:1:0.67である。実施例Cは、更に多くのクエン酸イオン(多座配位子)を追加しており、Sn:Mono:Polyの比は1:1:1である。実施例Dは、実施例Aと異なり、リン酸イオン(多座配位子)を追加しており、Sn:Mono:Polyの比は、1:1.5:0.73である。実施例Eは、実施例Dと異なり、リン酸イオン(多座配位子)を更に追加しており、Sn:Mono:Polyの比は1:1:1.63である。
【0162】
表10は、Sn:Mono:Polyの比で、可溶性Snの量及びフッ化物取り込みに及ぼす影響を示したものである。予想に反して、多座配位子の添加によりフッ化物取り込みが増加したが、単座配位子の量は増加しなかった。例えば、Sn:Mono:Polyの比が、1:1:0.33から1:1:0.67、1:1:1へと増加すると、フッ化物取り込みは、6.72μg/cm2から7.18μg/cm2、8.00μg/cm2へと増加する。同時に、可溶性Snの量も高いままである(少なくとも約8000ppmのSn)。これに対し、Sn:Mono:poly比が1:1:0.33から1:1:0.73、1:1:1.63と増加すると、フッ化物取り込みは、6.72μg/cm2から6.99μg/cm2、10.83μg/cm2へと増加するが、可溶性Snは、少なくとも約8000ppmから、1:1:0.73で3700ppmへ、1:2:0.33で1600ppmへと劇的に低下した。このことは、フッ化物は生物学的に利用可能なままであるが、ホスフェート多座の存在量が多すぎるため、Snイオンがオーバーキレート化されていることを示している。
【0163】
【表9】
a10%シリカブレンド
b50%水溶液
c純固体
【0164】
【表10】
aSn:単座配位子:多座配位子のモル比
【0165】
全体として、本明細書に記載されているように、フッ化第一スズベースの組成物は、配合が極めて複雑になり得る。中性pHでは、単座配位子及び多座配位子を含むキレート剤系は、Sn表面の着色汚れを引き起こすか、又はフッ化物取り込み値を犠牲にすることなく、SnF2のキレート化のバランスを注意深くとることができる。
【0166】
表2~表10に示すように、本明細書で望まれる組成物には、スズ、単座配位子、及び多座配位子を含む組成物が含まれ、スズ対単座配位子対多座配位子の比(スズ:単座:多座)は、約1:0.5:0.5~約1:5:5、約1:1:0.5~約1:2.5:2.5、約1:1:1~約1:2:2、約1:0.5:0.5~約1:3:1、又は約1:0.5:0.5~約1:1:3である。
【0167】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0168】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0169】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】