(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(54)【発明の名称】歯内療法ブラシの端部の切断
(51)【国際特許分類】
A61C 5/42 20170101AFI20230602BHJP
【FI】
A61C5/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553032
(86)(22)【出願日】2021-03-07
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 IL2021050248
(87)【国際公開番号】W WO2021181378
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522027437
【氏名又は名称】エムディーティー マイクロ ダイアモンド テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MDT MICRO DIAMOND TECHNOLOGIES LTD.
【住所又は居所原語表記】2 Hamal Street 18110 Afula (IL)
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,アリエ
(72)【発明者】
【氏名】グルカノフ,ズヴィカ
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA16
4C052DD09
(57)【要約】
いくつかの実施形態では、不均一な(例えば、ブラシの軸に垂直な線に沿っていない)歯内療法ブラシの遠位端部。任意選択的に、不均一な撚線は、研磨カッター(例えば、研削ホイール)及び/またはレーザ及び/または放電加工(EDM)カッターを用いて切断され得る均一に切断された端部と比較して、より均一にチャネルの壁に接触する、及び/または向上した攪拌効果を有する。任意選択的に、研削ホイールは、ワイヤの巻線と反対に回転する。任意選択的に、丸め端部をワイヤ上に形成することができる。いくつかの実施形態では、歯内療法ブラシとハンドピースとの連結手段が、摩擦によってハンドピースに回転可能に保持される、及び/または干渉要素によってハンドピース内へ長手方向に係止されるように構成される。いくつかの実施形態では、ブラシの縁部は粗化されている。任意選択的に、ブラシは屈曲され得る及び/または偏心し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯内療法ブラシであって、
ハンドピースに連結するためのカップラと、
前記カップラによってハンドピース端部で支持される中央長手可撓コアと、
複数の撚線を含む前記コアの先端部であって、前記撚線が巻上げ方向に巻き付けられ、結合されておらず、それにより、使用時に前記ブラシが前記巻上げ方向の反対の方向に回転させられると、前記撚線が巻き戻され、開いてブラシを形成する、先端部と、を備え、
前記先端部が不均一に切断されている、歯内療法ブラシ。
【請求項2】
前記複数の撚線が、内側中央可撓ケーブルを囲んでいる、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項3】
前記コアを少なくとも部分的に囲み、前記ハンドル端部の反対の前記コアの先端部に向かって延びる螺旋ワイヤを更に備え、前記先端部が、前記先端部において前記螺旋ワイヤを超えて突出している、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項4】
前記螺旋ワイヤの表面が、粗化されている、請求項3に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項5】
前記螺旋ワイヤの遠位部が、長手方向に延伸され、横方向に狭められている、請求項3に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項6】
前記螺旋ワイヤの遠位部上の巻線が、中間部よりも緩められている、請求項3に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項7】
前記螺旋ワイヤの遠位部上の巻線が、前記長手可撓コアに平行に配向されている、請求項3に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項8】
前記歯内療法ブラシの中間部が屈曲している、請求項4に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項9】
前記歯内療法ブラシの中間部が屈曲している、請求項4に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項10】
前記撚線が、前記螺旋ワイヤと反対方向に巻き付けられ、それにより、前記螺旋ワイヤの前記巻上げ方向に前記ブラシを回転させることは、前記螺旋ワイヤを締め付けるとともに前記撚線を巻き戻す、請求項3に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項11】
前記撚線が、前記螺旋ワイヤと同じ方向に巻き付けられ、それにより、前記螺旋ワイヤの前記巻上げ方向に前記ブラシを回転させることは、前記螺旋ワイヤと前記撚線の両方を締め付ける、請求項3に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項12】
前記先端部が、前記コアの軸に対して10~80度の角度で方向付けられた線に沿って切断されている、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項13】
前記先端部が、前記コアの軸に対して25~75度の角度で方向付けられた線に沿って切断されている、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項14】
前記先端部が、研磨カッターを用いて切断されている、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項15】
前記先端部が、レーザカッターを用いて切断されている、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項16】
前記先端部が、放電加工(EDM)カッターを用いて切断されている、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項17】
前記先端部が、前記コアの軸に対して鋭角で方向付けられた線に沿って切断されている、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項18】
前記カップラが、前記ハンドピースを長手方向に係止するように構成されており、前記カップラと前記ハンドピースとの回転連結が摩擦による、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項19】
前記ブラシの中間部が、粗化縁部を含む、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項20】
前記可撓コアの近位部が、前記カップラ内で屈曲している、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項21】
前記ブラシの中間部が、粗化されている、請求項1に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項22】
歯内療法ブラシの製造方法であって、
ハンドピースに連結するためのカップラを供給することと、
可撓コアを形成するように複数の撚線を巻上げ方向に巻き付けることと、
前記カップラによってハンドピース端部で前記可撓コアを支持することであって、前記ハンドピース端部の反対の前記コアの先端部が結合されておらず、それにより、使用時に前記ブラシが前記巻上げ方向の反対の方向に回転させられると、前記撚線が巻き戻され、開いてブラシを形成する、ことと、
前記先端部を不均一に切断することと、を含む方法。
【請求項23】
前記巻き付けることが、内側中央可撓ケーブルを取り囲む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記コアを少なくとも部分的に囲み、前記ハンドル端部の反対の前記コアの先端部に向かって延びるワイヤを螺旋状に巻き付けることを更に備え、前記コアの未結合部が、前記先端部において前記螺旋ワイヤを超えて突出している、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記切断することが、前記コアの軸に対して鋭角に方向付けられた線に沿う、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記切断することが、前記コアの軸に対して10~80度の角度で方向付けられた線に沿う、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記切断することが、前記コアの軸に対して25~75度の角度で方向付けられた線に沿う、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記切断することが、研磨カッターによる、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記切断することが、レーザカッターによる、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記切断することが、放電加工(EDM)カッターによる、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
歯内療法ブラシであって、
ハンドピースに連結するためのカップラと、
前記カップラによってハンドピース端部で支持された中央長手可撓コアと、
複数の撚線を含む前記コアの先端部であって、前記撚線が巻上げ方向に巻き付けられ、結合されておらず、それにより、使用時に前記ブラシが前記巻上げ方向の反対の方向に回転させられると、前記撚線が巻き戻され、開いてブラシを形成する、先端部と、
前記コアを少なくとも部分的に囲み、前記ハンドル端部の反対の前記コアの先端部に向かって延びる螺旋ワイヤと、を備え、
前記先端部が前記先端部において前記螺旋ワイヤを超えて突出し、前記螺旋ワイヤの表面が粗化されている、歯内療法ブラシ。
【請求項32】
前記螺旋ワイヤの遠位部が、長手方向に延伸され、横方向に狭められている、請求項31に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項33】
前記螺旋ワイヤの遠位部上の巻線が、中間部よりも緩められている、請求項31に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項34】
前記螺旋ワイヤの遠位部上の巻線が、前記長手可撓コアに平行に配向されている、請求項31に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項35】
前記歯内療法ブラシの中間部が屈曲している、請求項31に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項36】
前記歯内療法ブラシの中間部が屈曲している、請求項31に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項37】
前記可撓コアの近位部が、前記カップラ内で屈曲している、請求項31に記載の歯内療法ブラシ。
【請求項38】
歯内清掃用キットであって、
無菌偏心歯内療法ファイルであって、
歯科用ハンドピースに装着されて、回転軸を中心に回転するように構成された近位ハンドルであって、平均質量中心を有する、近位ハンドルと、
歯内根管の内部で回転させて、前記根管の前記内部を清掃するように構成された遠位能動部を有する可撓清掃ロッドであって、前記ハンドルの遠位にあり、前記回転軸と前記遠位能動部の無応力の局所質量中心との間の距離が、前記ハンドルの半径よりも大きい、可撓清掃ロッドと、を含む、無菌偏心歯内療法ファイルと、
前記無菌偏心歯内療法ファイルの無菌状態を維持する無菌パッケージと、を備えるキット。
【請求項39】
前記回転軸と前記遠位能動部の無応力の局所質量中心との間の前記距離が、前記ハンドルの半径よりも大きい、請求項20に記載のキット。
【請求項40】
前記可撓清掃ロッドが、内側ワイヤコアと、前記内側コアに巻かれた螺旋ワイヤとを含む、請求項38に記載のキット。
【請求項41】
前記可撓清掃ロッドが、前記螺旋ワイヤに巻かれた外側螺旋ラッピングを更に含む、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
前記外側螺旋ラッピングが、前記根管の内部を清掃するための粗面を有する、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
前記ハンドルが平均質量中心を有し、前記無菌偏心歯内療法ファイルが、前記ハンドルの遠位かつ前記能動部の近位にある移行部を更に含み、前記回転軸と前記ファイルの無応力の局所質量中心との間の距離が、遠位方向に増大し、
前記能動部が、前記移行部から遠位先端部まで延び、前記能動部の無応力の局所質量中心が、前記回転軸の同じ側に常にあり、前記回転軸と前記能動部の無応力の局所質量中心との間の距離が、前記ハンドルの前記質量中心と前記回転軸との間の距離より大きい、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
歯内療法ファイルの製造方法であって、
無菌偏心歯内療法ファイルを提供することであって、
歯科用ハンドピースに装着されて、回転軸を中心に回転するように構成された近位ハンドルであって、平均質量中心を有する、近位ハンドルと、
歯内根管の内部で回転させて、前記根管の前記内部を清掃するように構成された遠位能動部を有する可撓清掃ロッドであって、前記清掃ロッドは、前記ハンドルの遠位にあり、前記回転軸と前記遠位能動部の無応力の局所質量中心との間の距離が、前記ハンドルの半径の2分の1よりも大きい、可撓清掃ロッドと、を含む、無菌偏心歯内療法ファイルを提供することと、
前記偏心歯内療法ファイルを消毒することと、
前記歯内療法ファイルを無菌状態で無菌維持パッケージ内に包装することと、を備える方法。
【請求項45】
前記回転軸と前記遠位能動部の前記無応力の局所質量中心との間の前記距離が、前記ハンドルの半径よりも大きい、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記可撓清掃ロッドが、内側ワイヤコアと、前記内側コアに巻かれた螺旋ワイヤとを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記可撓清掃ロッドが、前記螺旋ワイヤに巻かれた外側螺旋ラッピングを更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記外側螺旋ラッピングが、前記根管の内部を清掃するための粗面を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
偏心可撓歯内療法ブラシを歯科用ハンドピースに接続することと、
ファイルを回転させて、前記ブラシの遠位部の広がりを生成することと、
を含む、歯内根管の清掃方法。
【請求項50】
偏心可撓歯内療法ブラシの近位ハンドルを歯科用ハンドピースに接続することと、
前記ブラシの前記近位ハンドルの回転によって、ファイルの遠位部をホイップ運動で広げることと、を含む、歯内根管の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2020年11月1日に提出された米国仮特許出願第63/108,363号の優先権の利益を主張し、参考としてその全文を本明細書に組み込む。
【0002】
本願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2020年3月12日に提出された米国仮特許出願第62/988,453号の優先権の利益を主張し、参考としてその全文を本明細書に組み込む。
【0003】
本発明は、いくつかの実施形態で、歯内療法ブラシ、より具体的には、限定するものではないが、その遠位端部の改良された形成に関する。
【0004】
本出願と重複する発明者の米国特許第8790116号は、「歯内療法ファイル(10)は、少なくとも、中央長手コード(12)と、少なくとも部分的にコードを囲む螺旋巻きワイヤ(14)と、第1の端部の近傍で螺旋巻きワイヤを部分的に覆い、歯科用器具の筒部の内径よりもわずかに広い外径を有することによって、筒部への挿入時に摩擦のみで支持される弾性グリップ(16)と、を有する」ことを開示しているようである。
【0005】
米国特許第9585731号は、「歯内療法ファイル(10)は、ハンドル(11)と、中央金属コード(13)に所定の方向で巻き付けられ、狭い先端部(17)とハンドルにより上端で支持される反対側の広い上端(16)とを含む略円錐断面の一体型構造(18)を形成するように、中央コードの対向端間で形成される螺旋巻き金属ワイヤの螺旋コード(15)と、を有する。ハンドルによって支持される可撓円錐補強部(26、31)は、先端部から離れた螺旋コードの上部の最外層を覆い、螺旋コードの下端は、根管に入るのに十分小さな直径を有し、上端では上部の屈曲を制限する寸法を有する。螺旋コードの外面(20)は、歯内療法ファイルが所定方向に回転するときに根管内の材料を除去するように構成されている」ことを開示しているようである。
【0006】
米国特許第8,647,116号は、「歯内療法ファイル(10)は、少なくとも、中央長手コード(12)と、コードを少なくとも部分的に囲む螺旋巻きワイヤ(14)と、第1の端部近傍で螺旋巻きワイヤを部分的に覆い、歯科用機器の筒部の内径よりもわずかに広い外径を有することによって、筒部への挿入時に摩擦でのみ内部で支持される弾性グリップ(16)と、を有する」ことを開示しているようである。
【0007】
米国特許公開第20140004479号は、「歯の根管を穿孔するための歯内機器。本機器は、歯の根管の壁を形成及び/または成形及び/または切断するための作業領域を備える。作業領域には、手動で又は機械的に駆動される取付台に装着され得る支持エンドピースが設けられる。作業領域は、機器の温度の所定の変動によって、器具が不動作位置から作業位置になるとき又はその逆であるときに格納構造をとるように構成される。この目的で、作業領域は、形状記憶特性又は特定の弾性特性を有する合金製ワイヤから作製される」ことを開示しているようである。
【0008】
米国特許第9931179号は、「形状が記憶された歯科用器具または機器を形成する方法。本方法は、室温未満の開始移行温度を有するニチノールワイヤを選択することと、第1の端部に隣接して位置する軸部と、反対側の第2の先端部に隣接して位置する少なくとも1つの切断縁部を有する作業領域とを有するように、ニチノールワイヤを研削して歯科用器具または機器を形成することと、作業領域を少なくとも1つの突出部が形成された成形形状に成形することと、歯科用器具または機器を加熱して、a)歯科用器具または機器の開始移行温度を最終移行温度に変更することと、b)少なくとも1つの突出部を含む成形形状を記憶して、それにより、歯科用器具または機器が最終移行温度以上の温度になると少なくとも1つの突出部を有する成形形状に自動的に復帰することと、を含む」ことを開示しているようである。
【0009】
Tuan Anh Nguyen、Yaelim Kim、Euiseong Kim、Su-Jung Shin、及びSunil Kim、「Comparison of the Efficacy of Different Techniques for the Removal of Root Canal Filling Material in Artificial Teeth」:A Micro-Computed Tomography Study、J.Clin.Med2019、8(7)、984;https://doi.org/103390/jcm8070984は、「研究の目的は、マイクロコンピュータ断層撮影(マイクロCT)を用いてGPの歯垢と根管内に残る封止材の量の割合を測定することによって、グタペルカ(GP)コーン及びケイ酸カルシウムベースの封止材の充填後の、3つの異なる技術による根管充填材の除去効果を評価することであった。充填材は、ニッケル・チタン(Ni-Ti)回転再処置システムによって30個のプラスチック歯から除去された。最終洗浄は、2mLの食塩水で実行され、10個の試料が従来群にランダムに割り当てられた。受動的超音波洗浄(PUI)群では、超音波洗浄が従来の群(n=10)に追加された。ジェントルファイルブラシ(GFブラシ)群では、GFブラシでの洗浄が従来群(n=10)に追加された。残存する充填材は、マイクロCT撮像回析を用いて測定された。従来群、PUI群、及びGFブラシ群における再処置後の残存充填材の総平均体積は、それぞれ4.84896mm3、0.80702mm3、及び0.05248mm3であった。根管内に残る充填材の割合は、従来群で6.76%、PUI群で1.12%、GFブラシ群で0.07%であった。この研究が示すように、GFブラシシステムの清掃効果は、歯根尖領域におけるNi-Ti再処置ファイル及びPUIシステムの清掃効果よりも優れている」ことを開示しているようである。
【0010】
追加の背景技術は、Francesco Belleucci及びEmanuele Ambu、「Root canal shaping with latest generation of expanding instruments」、Endodonitcs、2017年12月4日を含む。
【発明の概要】
【0011】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によると、歯内療法ブラシが提供され、歯内療法ブラシは、ハンドピースに連結するためのカップラと、カップラによってハンドピース端部で支持された中央長手可撓コアと、複数の撚線を含む前記コアの先端部であって、撚線が巻上げ方向に巻き付けられ、結合されておらず、それにより、使用時にブラシが巻上げ方向の反対に回転させられると、撚線が巻き戻され、開いてブラシを形成する、先端部と、を含み、先端部が不均一に切断されている。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によると、複数の撚線が、内側中央可撓ケーブルを取り囲む。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によると、歯内療法ブラシが、コアを少なくとも部分的に囲み、ハンドル端部の反対のコアの先端部に向かって延びる螺旋ワイヤを更に備え、先端部が、先端部において螺旋ワイヤを超えて突出している。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によると、螺旋ワイヤの表面は、粗化されている。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によると、螺旋ワイヤの遠位部は、長手方向に延伸され、横方向に狭められている。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によると、螺旋ワイヤの遠位部上の巻線は、中間部よりも緩められている。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によると、螺旋ワイヤの遠位部上の巻線は、長手可撓コアに平行に配向されている。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によると、歯内療法ブラシの中間部は、屈曲している。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によると、歯内療法ブラシの中間部は、屈曲している。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によると、撚線は、螺旋ワイヤと反対方向に巻き付けられ、それにより、螺旋ワイヤの巻上げ方向にブラシを回転させることは、螺旋ワイヤを締め付けるとともに撚線を巻き戻す。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によると、撚線は、螺旋ワイヤと同じ方向に巻き付けられ、それにより、螺旋ワイヤの巻上げ方向にブラシを回転させることは、螺旋ワイヤとともに撚線を締め付け、螺旋ワイヤの巻戻し方向にブラシを回転させることは、螺旋ワイヤとともに撚線を巻き戻す。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によると、先端部は、コアの軸に対して10~80度の角度で方向付けられた線に沿って切断されている。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によると、先端部は、コアの軸に対して25~75度の角度で方向付けられた線に沿って切断されている。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によると、先端部は、研磨カッターを用いて切断されている。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によると、先端部は、レーザカッターを用いて切断されている。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によると、先端部は、放電加工(EDM)カッターを用いて切断されている。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によると、先端部は、コアの軸に対して鋭角に方向付けられた線に沿って切断されている。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によると、カップラは、ハンドピースを長手方向に係止するように構成されており、カップラとハンドピースとの間の回転連結は摩擦による。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によると、ブラシの中間部は、粗化縁部を含む。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によると、可撓コアの近位部は、カップラ内部で屈曲している。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によると、ブラシの中間部は、粗化されている。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によると、歯内療法ブラシの製造方法が提供され、本方法は、ハンドピースに連結するためのカップラを提供することと、可撓コアを形成するように複数の撚線を巻き付けることと、カップラによってハンドピース端部で可撓コアを支持することであって、ハンドピース端部の反対のコアの先端部が結合されておらず、それにより、使用時にブラシが巻上げ方向の反対の方向に回転させられると、撚線が巻き戻され、開いてブラシを形成する、ことと、先端部を不均一に切断することと、を含む。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によると、巻き付けることは、内側中央可撓ケーブルを囲む。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によると、方法は、コアを少なくとも部分的に囲み、ハンドル端部の反対のコアの先端部に向かって延びるワイヤを螺旋状に巻き付けることを更に含み、コアの未結合部が、先端部において螺旋ワイヤを超えて突出している。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によると、切断することは、コアの軸に対して鋭角に方向付けられた線に沿う。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によると、切断することは、コアの軸に対して10~80度の角度で方向付けられた線に沿う。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によると、切断することは、コアの軸に対して25~75度の角度で方向付けられた線に沿う。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によると、切断することは、研磨カッターによる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によると、切断することは、レーザカッターによる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によると、切断することは、放電加工(EDM)カッターによる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によると、歯内療法ブラシが提供され、歯内療法ブラシは、ハンドピースに連結するためのカップラと、カップラによってハンドピース端部で支持された中央長手可撓コアと、複数の撚線を含む前記コアの先端部であって、撚線が巻上げ方向に巻き付けられ、結合されておらず、それにより、使用時にブラシが巻上げ方向の反対に回転させられると、撚線が巻き戻され開かれてブラシを形成する、先端部と、コアを少なくとも部分的に囲み、ハンドル端部の反対のコアの先端部に向かって延びる螺旋ワイヤと、を含み、先端部が先端部において螺旋ワイヤを超えて突出し、螺旋ワイヤの表面が粗化されている。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によると、螺旋ワイヤの遠位部は、長手方向に延伸され、横方向に狭められている。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によると、螺旋ワイヤの遠位部上の巻線は、中間部よりも緩められている。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によると、螺旋ワイヤの遠位部上の巻線は、長手可撓コアに平行に配向されている。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によると、歯内療法ブラシの中間部は、屈曲している。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によると、歯内療法ブラシの中間部は、屈曲している。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によると、可撓コアの近位部は、カップラ内部で屈曲している。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によると、歯内療法ファイルが提供され、歯内療法ファイルは、歯科用ハンドピースに装着されて、回転軸を中心に回転するように構成された近位ハンドルであって、平均質量中心を有する近位ハンドルと、中心コアとコアの周囲に巻き付けられた螺旋ワイヤとを含む湾曲本体と、を含む。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によると、中心コアは、撚線の束を含む。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によると、コアの遠位部は固定されておらず、撚線が広がってブラシを形成することを可能にする。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態によると、各撚線の幅は、5/100~1/10mmの範囲内である。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によると、コアの幅は、1/10~8/10mmの範囲内である。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によると、螺旋ワイヤの幅は、1/10~6/10mmの範囲内である。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によると、歯内療法ファイルは、遠位ブラシ部を更に含む。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態によると、ファイルの幾何学形状は偏心している。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によると、ファイルの幾何学形状は蛇行している。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によると、歯内療法ファイルが提供され、歯内療法ファイルは、歯科用ハンドピースに装着されて回転軸を中心に回転するように構成された近位ハンドルであって、平均質量中心を有する近位ハンドルと、ハンドルの遠位にある移行部であって、回転軸とファイルの無応力の局所質量中心との間の距離が遠位方向に増大する移行部と、移行部から先端部の遠位にある遠位部であって、能動部の無応力の局所質量中心が回転軸の同じ側に常にあり、回転軸と遠位部の無応力の局所質量中心との間の距離が、ハンドルの質量中心と回転軸との間の距離より大きい遠位部と、を含む。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態によると、遠位部におけるファイルの無応力の局所質量中心間の距離の変動係数は、2分の1未満である。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態によると、遠位部のあらゆる場所におけるファイルの無応力の局所質量中心間の距離は、ハンドルの質量中心と回転軸との間の距離の2倍未満である。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態によると、移行部の長さは、ファイルの全長の1/5未満である。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態によると、歯内療法ファイルは、ハンドルから遠位方向に突出する可撓清掃ロッドを更に含み、移行部と遠位部は可撓清掃ロッド内にある。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態によると、可撓清掃ロッドの可撓性は、遠位方向に増大する。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態によると、可撓清掃ロッドは、内側ワイヤコアと、内側コアに巻かれた螺旋ワイヤとを含む。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態によると、可撓清掃ロッドは、螺旋ワイヤに巻かれた外側螺旋ラッピングを更に含む。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態によると、外側螺旋ラッピングは、歯内根管の内部を清掃するための粗面を有する。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によると、歯内清掃のためのキットが提供され、本キットは、無菌偏心歯内療法ファイルであって、歯科用ハンドピースに装着されて、回転軸を中心に回転するように構成された近位ハンドルであって、平均質量中心を有する近位ハンドルと、歯内根管の内部で回転させて、根管の前記内部を清掃するように構成された遠位能動部を有する可撓清掃ロッドであって、ハンドルの遠位にあり、回転軸と遠位能動部の無応力の局所質量中心との間の距離が、ハンドルの半径の2分の1よりも大きい、可撓清掃ロッドと、を含む無菌偏心歯内療法ファイルと、無菌偏心歯内療法ファイルの無菌状態を維持する無菌パッケージと、を含む。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態によると、回転軸と遠位能動部の無応力の局所質量中心との間の距離は、ハンドルの半径より大きい。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態によると、可撓清掃ロッドは、内側ワイヤコアと、内側コアに巻かれた螺旋ワイヤとを含む。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態によると、可撓清掃ロッドは、螺旋ワイヤに巻かれた外側螺旋ラッピングを更に含む。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態によると、外側螺旋ラッピングは、根管の内部を清掃するための粗面を有する。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態によると、ハンドルは平均質量中心を有し、無菌偏心歯内療法ファイルが、ハンドルの遠位かつ能動部の近位にある移行部を更に含み、回転軸と前記ファイルの無応力の局所質量中心との間の距離が、遠位方向に増大し、能動部が、移行部から遠位先端部まで延び、能動部の無応力の局所質量中心が、回転軸の同じ側に常にあり、回転軸と能動部の無応力の局所質量中心との間の距離が、ハンドルの質量中心と回転軸との間の距離より大きい。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によると、歯内療法ファイルの製造方法が提供され、本方法は、無菌偏心歯内療法ファイルを提供することであって、歯科用ハンドピースに装着されて、回転軸を中心に回転するように構成された近位ハンドルであって、平均質量中心を有する近位ハンドルと、歯内根管の内部で回転させて、根管の前記内部を清掃するように構成された遠位能動部を有する可撓清掃ロッドであって、ハンドルの遠位にあり、回転軸と遠位能動部の無応力の局所質量中心との間の距離が、ハンドルの半径よりも大きい、可撓清掃ロッドと、を含む、無菌偏心歯内療法ファイルを提供することと、無菌偏心歯内療法ファイルを消毒することと、歯内療法ファイルを無菌状態に無菌維持パッケージ内に包装することと、を含む。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態によると、回転軸と遠位能動部の無応力の局所質量中心との間の距離は、ハンドルの半径より大きい。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態によると、可撓清掃ロッドは、内側ワイヤコアと、内側コアに巻かれた螺旋ワイヤとを含む。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態によると、可撓清掃ロッドは、螺旋ワイヤに巻かれた外側螺旋ラッピングを更に含む。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態によると、外側螺旋ラッピングは、根管の内部を清掃するための粗面を有する。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によると、歯内根管の清掃方法が提供され、本方法は、偏心可撓歯内療法ファイルを歯科用ハンドピースに接続することと、ファイルを回転させてファイルの遠位部の広がりを生成することと、を含む。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によると、歯内根管の清掃方法が提供され、本方法は、偏心可撓歯内療法ファイルの近位ハンドルを歯科用ハンドピースに接続することと、ファイルの近位ハンドルの回転によって、ファイルの遠位部をホイップ運動で広げることと、を含む。
【0079】
別に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術的及び/または科学的用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に類似するまたは等価である方法及び材料を本発明の実施形態の実施または試験に際して使用することができるが、例示的方法または/及び材料を以下説明する。矛盾が生じる場合、定義を含む特許明細書が優先される。また、材料、方法及び実施例は単に例示的であり、必ずしも限定することを目的としていない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
本発明のいくつかの実施形態は、添付図面を参照して、単に例示のために本明細書に記載される。ここで、図面を詳細に参照すると、図示される細部は単に例であり、本発明の実施形態の例示的な説明を目的とすることを強調しておく。これに関して、図面を参照した記載により、当業者にとって、本発明の実施形態がいかにして実施されるかが自明となる。
【0081】
図面中、
【
図1A】本発明の一実施形態による、閉じた構造の歯内療法ブラシの不均一に切断された遠位端部を示す図である。
【
図1B】本発明の一実施形態による、部分的に開かれた構造の歯内療法ブラシの不均一に切断された遠位端部を示す図である。
【
図1C】本発明の一実施形態による、斜めに切断された撚線を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、歯内療法ブラシの遠位端部の切断を示す図である。
【
図3A】剪断クリッパで切断された歯内療法ブラシの実施形態を示す図である。
【
図3B】剪断クリッパで切断された歯内療法ブラシの実施形態を示す図である。
【
図3C】本発明の一実施形態による、研磨カッターで切断された歯内療法ブラシの部分を示す図である。
【
図3D】本発明の一実施形態による、研磨カッターで切断された歯内療法ブラシの部分を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、ブラシを用いて清掃されるチャネルを示す画像である。
【
図5】遠心力の効果を示す例示的な実験の画像である。
【
図6A】本発明の一実施形態による、清掃された例示的なチャネルの断面を示す図である。
【
図6B】本発明の一実施形態による、清掃された例示的なチャネルの断面を示す図である。
【
図6C】本発明の一実施形態による、清掃された例示的なチャネルの断面を示す図である。
【
図6D】本発明の一実施形態による、清掃された例示的なチャネルの断面を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、歯内療法ブラシを用いて清掃された歯内のチャネルの根尖部の500倍拡大表面740を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態による、歯内療法ブラシの遠位端部を切断する方法のフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態による、歯内チャネルの清掃を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態による、歯内器具(例えば、ブラシ及び/またはファイル)アセンブリを示す図である。
【
図11A】本実施形態の一実施形態による、歯内器具を示す図である。
【
図11B】本実施形態の一実施形態による、歯内器具を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態による、歯内療法ブラシの概略図である。
【
図13】本発明の一実施形態による、延伸端部を有する歯内療法ブラシの概略図である。
【
図14】本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ブラシの概略図である。
【
図15】本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ブラシの概略図である。
【
図16】本発明の一実施形態による、シミュレートされたチャネル内の歯内療法ブラシを示す図である。
【
図17】本発明の一実施形態による、粗化縁部を有する歯内療法ブラシを示す図である。
【
図18】本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルのブロック図である。
【
図19】本発明の一実施形態による、歯内根管の清掃を示すフローチャートである。
【
図20】本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルを含むキットのブロック図である。
【
図21】本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルを含むキットの作製を示すフローチャートである。
【
図22】本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルの概略図である。
【
図23】本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルの局所平均重心の概略図である。
【
図24】本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルのホイップ運動の概略図である。
【
図25A】本発明の一実施形態による、根管に浅く挿入された偏心歯内療法ファイルの概略図である。
【
図25B】本発明の一実施形態による、根管に深く挿入された偏心歯内療法ファイルの概略図である。
【
図26A】本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルの低倍率画像である。
【
図26B】本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルの中倍率画像である。
【
図26C】本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルの高倍率画像である。
【
図27A】本発明の一実施形態による、3層偏心歯内療法ファイルの縦断面の高拡大概略図である。
【
図27B】本発明の一実施形態による、2層偏心歯内療法ファイルの縦断面の高拡大概略図である。
【
図28A】本発明の一実施形態による、ブラシ端部を有する波形ファイルの概略図である。
【
図28B】本発明の一実施形態による、閉鎖先端部を有する波形ファイルの概略図である。
【
図29】本発明の一実施形態による屈曲したファイルのブロック図である。
【
図30】本発明の一実施形態による、根管の清掃方法を示すフローチャートである。
【
図31】本発明の一実施形態による、根管の清掃の2段階方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本発明は、いくつかの実施形態で、歯内療法ブラシ、より具体的には、限定するものではないが、その遠位端部の改良された形成に関する。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態は、添付図面を参照して、単に例示のために本明細書に記載される。図面を詳細に参照すると、図示される細部は単に例であり、本発明の実施形態の例示的な説明を目的とすることを強調しておく。これに関して、図面を参照した記載により、当業者にとって、本発明の実施形態がいかにして実施されるかが自明となる。
【0084】
概要
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、歯内療法ブラシの遠位端部を不均一に(例えば、ブラシの軸に垂直な線に沿ってではなく)切断することに関する。任意選択的に、ブラシの撚線が広がると、各撚線は、他の撚線とは異なる位置でチャネルの壁と接触する。任意選択的に、ブラシの撚線が広がっていないとき、例えば、狭いチャネルで使用されているとき、ブラシの不均一な端部は、均一に切断された端部と比較して、チャネル内の流体の攪拌効果が向上する。ブラシの様々な撚線がチャネルの壁に接触する位置を分離させることは、チャネルの壁の溝切り及び/または溝付けを阻止することができる。ブラシの様々な撚線がチャネルの壁に接触する位置を分離させることは、チャネル壁の均一な清掃を容易にすることができる。例えば、ブラシの遠位端部は、ブラシの軸に対して鋭角で切断することができる。例えば、切断された端部と軸との間の角度は、好ましくは、30~45度及び/または45~75度の範囲内であり得る、及び/または5~30度及び/または75~85度の範囲内であり得る。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、歯内療法ブラシの遠位端部を切断することに関する。例えば、端部は、研磨カッター(例えば、研削ホイール)及び/またはレーザ及び/または放電加工(EDM)カッターを用いて切断することができる。従来のワイヤブラシは、はさみ型カッター用いて切断されている。このような切断技術は、異なる撚線に不均一な切断を残す、及び/またはワイヤの端部を屈曲させてブラシの適切な開放を阻む場合がある。いくつかの実施形態では、研削ホイールは、ワイヤの巻線の反対に回転させて、例えば、切断中にケーブルが解かれるのを回避する。任意選択的に、例えば、ワイヤの端部を加熱することによって、ワイヤ上に丸め端部を形成することができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、歯内療法ブラシとハンドピースとの間に、回転方向の滑りよりも長手方向の滑りに大きく対抗してハンドピースに対して保持されるように構成された連結手段に関する。例えば、連結手段は、摩擦によってハンドピースに回転可能に接続することができる、及び/または干渉要素によってハンドピース長手方向に係止することができる。例えば、連結手段とハンドピースとの間のトルクが高くなりすぎると、連結手段はハンドピースに対して滑る(例えば、それによりブラシ及び/または歯を高トルクから保護する)ことができる。それに加えて及び/またはその代わりに、連結手段は、ハンドピースに長手方向に係止されて、ハンドピースから分離するのを阻止することができる。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、その遠位端部の近くで解かれている螺旋外側コイルを有する歯内療法ブラシ及び/またはファイルに関する。いくつかの実施形態では、歯内療法ブラシの近位部は、内側コア(例えば、コアは、1~5個及び/または5~10個及び/または10~20個の撚線を含むケーブルを含むことができ、例えば、各撚線の直径は0.02~0.15mm、コアの直径は0.05~0.30mmの範囲内であり得る)、及び/またはコアに螺旋状に巻き付けられた外側コイル(例えば、外側コイルのコードはワイヤであり得る、及び/または0.1~0.4mmの範囲内の直径を有し得る)を含むことができる。例えば、近位部におけるブラシ/ファイルの直径は、コイルのコードの直径の2倍とケーブルの直径の合計であってもよい。任意選択的に、遠位端部では、コアを露出させることができる(例えば、ケーブルはブラシへと開くことができる)。例えば、遠位領域では、ブラシ/ファイルの直径は、コアの直径であってもよい。いくつかの実施形態では、コイルのコードが解かれているブラシ/ファイルの領域(例えば、ブラシ/ファイルの近位部とコアの露出部との間)が存在していてもよい。例えば、コイルのコードの遠位端部は、略直線状であり得る、及び/またはコアに平行であり得る、及び/または長手方向に配向され得る。例えば、コード及び/またはコイルが相互に平行に延びる場合、ブラシ/ファイルの幅は、コアの直径とコイルのコードの直径との合計と等しくなり得る。任意選択的に、コードの遠位端部は、延伸させる及び/または先細にすることができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、遠位端部上のブラシ及び/または近位部上のファイルを含む歯内器具に関する。いくつかの実施形態では、歯内療法ブラシの近位部は、内側コア(例えば、コアは、1~5個、及び/または5~10個、及び/または10~20個の撚線を含むケーブルを含むことができ、例えば、各撚線の直径は0.02~0.15mm、コアの直径は0.05~0.30mmの範囲内であり得る)及び/またはケーブルに螺旋状に巻き付けられた外側コイル(例えば、外側コイルのコードはワイヤであり得る、及び/または0.1~0.4mmの範囲内の直径を有し得る)を含むことができる。任意選択的に、外側コイルは粗面を含むことができる。例えば、粗面は、歯内チャネルの近位部を磨くように構成することができる。任意選択的に、ブラシは、コアが露出される遠位部を含むことができる。例えば、遠位部は、1~3mm、及び/または3~9mm、及び/または9~12mmの長さを有し得る。任意選択的に、器具の遠位端部は、ブラシとして開くように構成することができる。任意選択的に、ファイル及び/またはブラシは、旋回するときにあちこちホイップするように構成することができる。例えば、器具の近位部は、回転ハンドル内に偏心して及び/またはハンドルの回転軸に対して斜めに装着することができる。その代わりにまたはそれに加えて、器具(ファイル及び/またはブラシ)は屈曲させる及び/または波形にすることができる。任意選択的に、ブラシ及び/またはファイルは可撓である。例えば、旋回する器具の遠心力は、ファイル及び/またはブラシを外方に屈曲させ得る。外方移動により、ファイル/ブラシは、歯内チャネルの側部と接触する、及び/またはチャネルの側部を掻き取る、及び/またはチャネルの側部を清掃することができる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、回転源のための装着されるハンドルに対して偏心して配置される能動遠位部を有する歯内療法ファイルに関する。いくつかの実施形態では、ファイルは、ハンドルの旋回がファイルの遠位部のホイップ運動を引き起こすように構成される。任意選択的に、ホイップ運動により、ファイルの能動部は、根管内の表面をより完全に及び/またはより均一に清掃する。いくつかの実施形態では、ファイルは、無菌パッケージ内に包装される、及び/または歯科医に供給される。任意選択的に、ファイルの能動部は可撓性が高い。例えば、能動部は、中央ケーブルに巻かれた1つ以上の螺旋ワイヤを含むことができる。いくつかの実施形態では、ファイルの能動部は、長さに沿って遠位方向に移動するほど可撓性が高くなる。任意選択的に、ファイルは、近位端に歯科用ハンドピース用のハンドルを含む。アダプタの遠位には、遠位方向に移動するにつれ、局所的偏心が増大する任意選択の移行領域が存在する。任意選択的に、無応力状態では、移行領域の遠位にあるファイルの能動部は全て、ハンドルの回転軸の一方の側にある。例えば、静止状態では、能動部及び/または移行部の遠位にある能動部の質量中心は、ハンドルの回転軸から変位させてもよい。例えば、静止状態では、能動部及び/または移行部の遠位にある能動部の質量中心は、ハンドルの半径よりも大きくハンドルの回転軸から変位させてもよい。例えば、静止状態では、能動部及び/または移行部の遠位にある能動部の平均質量中心は、ハンドルの半径よりも大きくハンドルの回転軸から変位させてもよい。
【0090】
本発明の各種実施形態は、直線状、同心、偏心、屈曲、及び/または波形形状の開いた端部(例えば、ブラシ)及び/または閉じた端部(例えば、フライ)を含むことができる。コアの巻線は、外側巻線と同じ方向及び/または反対方向に捩ることができる。外側巻線は、粗くてもよく、及び/または滑らかでもよい。機器の遠位端部は、軸に対して垂直に及び/または鋭角に切断することができる。
【0091】
特定の実施形態
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が、以下の説明に記載される及び/又は図面及び/又は実施例に示される構成要素及び/又は方法の構造及び配置の詳細に必ずしも限定されないと理解すべきである。本発明は、他の実施形態も可能である、又は様々な方法で実施若しくは実行することが可能である。
【0092】
図1Aは、本発明の一実施形態による、閉鎖構造の歯内療法ブラシの不均一に切断された遠位端部を示す。いくつかの実施形態では、歯内器具は、根管の根尖部と近位部の両方を清掃するように構成することができる。例えば、器具の遠位端部は、ブラシとして形成することができる。ブラシは、根管の根尖部を清掃することができる。任意選択的に、中間部及び/または近位部は、巻線108を含むことができる。任意選択的に、巻線108の表面は粗化させることができる、及び/または巻線は可撓にすることができる。例えば、巻線108は、根管の中間部及び/または近位部の側部を清掃することができる。任意選択的に、器具は直線状であってもよい。その代わりにまたはそれに加えて、器具は偏心していてもよく、及び/または屈曲していてもよい。いくつかの実施形態では、巻線108は、例えば遠位端部に向かって鋭利にすることができる。任意選択的に、中心コアの撚線は、巻線と同じ方向に捩ることができる。その代わりにまたはそれに加えて、中心コアの撚線は、巻線と反対方向に捩ることができる。
【0093】
図1Bは、本発明の一実施形態による、部分的に開いた構造の歯内療法ブラシの不均一に切断された遠位端部を示す。いくつかの実施形態では、ブラシの遠位端部は、ケーブルの未結合の先端部102を含む。任意選択的に、ブラシの遠位端部104は、ブラシの軸(例えば、ブラシの連結手段及び/またはブラシのコア106の軸)に対して斜めに切断される。いくつかの実施形態では、ブラシがチャネル内で開くと、ケーブルの撚線の不均一な切断が、ケーブルがチャネル壁に接触する領域を増大させる。いくつかの実施形態では、ブラシがチャネル内で開くと、ケーブルの撚線の不均一な切断は、ブラシがチャネルの壁に溝を切り込む可能性を低下させる。
【0094】
図1Cは、本発明の一実施形態による、斜めに切断された撚線を示し、コアの撚線及び/または巻線を斜めに切断することは、撚線の先鋭化効果を有し得る。例えば、円形断面を有する円柱状撚線131が斜めに切断されると、切断面133は楕円形外周135を有し得る。楕円の頂点137は、円柱の軸に対する垂直な切断から得られる円形表面の外周よりも鋭い。
【0095】
いくつかの実施形態では、歯内療法ブラシは、例えば、4,000~40,000rpmの範囲の速度で回転することができる回転ハンドピースと共に使用される。任意選択的に(例えば、
図7に示す)、ブラシアセンブリは、カップラ要素内の第1の端部に固定されたハンドピース及び/または中央長手コア106に連結するためのカップラ要素を備える。任意選択的に、使用時、カップラは、ハンドピース内に固定され、この目的で、以下の説明及び請求項全体を通じて「ハンドピース端部」と称される。いくつかの実施形態では、螺旋巻線(例えば、螺旋状に巻き付けられたワイヤ108)はコアを部分的に囲み、第1の方向(例えば、時計回り)に巻き付けられるため、ブラシが時計回り方向に回転すると、螺旋ワイヤは締まる傾向にある。いくつかの実施形態では、巻線はブラシの根管への挿入時に螺旋ワイヤが開くのを防止することによって、螺旋ワイヤが内壁に引っ掛かることを回避する。螺旋ワイヤは、任意選択的に、ハンドル端部の反対側のコードの第2の端部に向かって延在し、螺旋ワイヤ108を超えて突出し、この第2の端部は、以下の説明及び請求項全体を通じて遠位端部及び/または「先端部」と称される。コア106の先端部は、任意選択的に、両側で結合されず、例えば、突出部は、螺旋ワイヤから2~9mm突出することができる、及び/又は先端部近傍の遠位2~9mmにおいて未結合とすることができる。いくつかの実施形態では、ブラシは、回転させずに根管に挿入することができる、及び/または巻戻し方向に回転させながら根管に挿入することができる。
【0096】
中心ケーブル(例えば、コア106)は、典型的には、可撓ケーブルを形成する中心単一コード及び/またはいくつかの撚線(例えば、4~20個)を備える。任意選択的に、ケーブルは捩られる及び/または巻き付けられる。いくつかの実施形態では、コア106は、撚線が任意選択的に巻き付けられる内側ケーブルを含むことができる。任意選択的に、内側ケーブルはフィラメントを含むことができる。例えば、フィラメントは、撚線の巻きの反対方向に捩ることができる。その代わりにまたはそれに加えて、フィラメントは、撚線の巻きと同じ方向に捩ることができる。任意選択的に、コアの撚線及び/またはフィラメントはステンレス鋼繊維を含む、及び/またはほぼ0.03~0.10mmの幅の断面を有する。周囲の螺旋巻きワイヤは、任意選択的に、ステンレス鋼製である、及び/または0.2~0.4mmの断面幅を有する。一実施形態では、撚線は、螺旋ワイヤ108と反対に巻き付けられる。その代わりにまたはそれに加えて、撚線は、螺旋ワイヤ108と反対に巻き付けられる。その代わりにまたはそれに加えて、撚線は巻き付けられない。コア106の直径は、典型的には、例えば、0.15~0.35mmの範囲内である。任意選択的に、撚線が内側ケーブルに巻き付けられる場合、コア106の直径の30~70%が内側ケーブルである、及び/またはコア106の直径の30~70%が外側撚線である。任意選択的に、コアの遠位端部は細く、根管内深部、例えば、歯根尖狭窄部及び/または最後のミリメートルまで到達する。
【0097】
いくつかの実施形態では、動作時、カップラは歯科用ハンドピースに装着される、及び/または遠位端部が歯の根管に挿入される。ハンドピースが回転するように設定されている間、手動の前後運動が任意選択的に提供され、例えば、回転速度は2000~6000rpm及び/または6,000~30,000rpmの範囲内であり得る。螺旋ワイヤ108の一部は、遠心力によって根管の天然の湾曲及び/または複雑な断面に沿った根管壁の内側象牙質層にぶつけることができる。任意選択の研磨層は、象牙質層を磨く及び/または研磨する。任意選択の前後運動は、減摩剤及び/または歯垢のすすぎ液を、ハンドピースによって供給される一定の洗浄水流と共に導入することを可能にする。
【0098】
いくつかの実施形態では、コア106の先端部104が所望の位置(例えば、チャネルの歯根尖狭窄部)に到達した後、アセンブリが反対方向に回転する、及び/またはブラシが根管から引き出される。任意選択的に、これは、捩れたコアの撚線を巻き戻すことによって、歯垢の非常に効果的な除去を提供する図示されるようなブラシを形成する効果を有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、先端部の遠位端部を不均一に切断することで、コア106の撚線とチャネルの壁との接触面積を増やす。例えば、ブラシが開くと、短い撚線が、長い撚線110と異なる位置で壁と接触する。これは、例えば、ブラシの軸に垂直に均一に切断された撚線と比較して、より大きな面積のチャネルの壁と接触することを容易にし得る。例えば、これにより、チャネルに沿ったブラシの移動速度が低速であるとき、及び/またはブラシがチャネルに対して長手方向に静止し続けるときに、より良好な清掃をもたらすことができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、ブラシを不均一に切断することで(例えば、ブラシの異なる個々の撚線は異なる長さを有する)、チャネルの壁に引っ掻き傷をつける可能性を低減することができる。例えば、複数の撚線が全て同じサイズを有するとき、複数の撚線は壁の同じ領域に引っ掻き傷をつけ得る。ブラシが根管に沿って長手方向に十分に高速で移動していない場合、この多撚線の掻き取りはコアチャネルの壁の溝に引っ掻き傷をつけ得る。任意選択的に、ブラシが不均一に切断される、及び/または撚線が異なる長さを有するとき、各撚線は壁の異なる領域を掻き取って、壁のある部分が繰り返して及び/または壁の他の領域よりも多く掻き取られる可能性を低下させる。例えば、これは、(例えば、ブラシが長手方向移動なしで回転し続けるとき、例えば、ユーザが後方運動及び/または前後移動のプロトコルに応じて作業しなかったとき、及び/または長手方向運動を一時停止したときに)チャネルの壁に溝及び/または深い掻き傷が形成される可能性を阻止及び/または低減することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、例えば、除去されるべき構造がある場合(例えば、根管壁の突出部、及び/または集中した掻き傷が除去を容易にし得る特定の閉塞)、均一に切断されたブラシ(撚線の遠位端部が軸に垂直に均一に切断されている)を特別な器具として使用することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、消毒及び/または排出動作は、消毒流体上のブラシの遠心力を用いて実行される。例えば、遠心力は、ブラシの高速回転(例えば、1000~1500rpm、及び/または1500~8000rpm、及び/または8000~20000rpm、及び/または20000~50000rpm、及び/または50000~150000rpm)の結果として生成することができる。任意選択的に、回転は、ブラシのコア及び/または先端部の撚線の巻きと反対方向である。例えば、この回転は、ブラシを開く、及び/または流体をブラシの旋回する撚線にさらすことができる。非常に狭いチャネルでは、ブラシが完全に開くだけの空間を有していない場合がある。このような場合、ブラシの遠位端部104の不均一な切断は、(例えば、閉鎖構造であっても、個々の繊維が差別的に流体にさらされるため)乱流及び/または混合効果を増大させ得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、ブラシは、開放した根管への消毒剤の注入後にのみ開かれる及び/または始動される、及び/または流体の根管への挿入後にのみ始動される。例えば、これにより、チャネルの損傷及びチャネル外への流体の跳ねを阻止することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、ブラシの遠位端部104の不均一な切断は、ブラシのチャネルの細い部分(例えば、歯根尖狭窄部)への貫入を容易にすることができる。例えば、ブラシが斜めに切断されると、先端部の遠位端部の幅は、コア106の全直径よりも小さくなり得る。例えば、最遠位点では、ブラシは、1つ又は数個の比較的長い最終撚線110からなることができる。これらの撚線は、例えば、ブラシのコア106よりも更に狭い、極狭の狭窄部に入ることができる。
【0105】
図2は、本発明の一実施形態による、歯内療法ブラシの遠位端部の切断を示す。いくつかの実施形態では、歯内療法ブラシ206の遠位端部において、ワイヤが研磨カッター(例えば、回転研磨ディスク212)を用いて切断される。本出願人は、従来の切取りカッター(例えば、剪断カッター及び/またはくさび型カッター[例えば、斜めカッター])及び/またはギロチンカッターは、きれいに切断しないことがあることを観察した。このようなカッター(特に、直径が0.02~0.15mmの小さな撚線の場合)は、切断された撚線の端部に皺を発生させる、及び/または撚線を一緒にくっつけてしまう場合がある。場合によっては、研磨カッターでのこのような撚線の切断は、切取りと比較して、撚線の皺及び/または絡みを低減させることができる。その代わりにまたはそれに加えて、撚線は、レーザカッター及び/または放電加工(EDM)カッターを用いて切断することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、ブラシ206のシャフト及び/または遠位端部は、クランプ214内に保持される。例えば、クランプ214は、歯内療法ブラシ206のシャフトが配置される溝、及び/または締付け機構(例えば、円滑なブロックに対して締め付けられる溝付きブロック)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ガイド216が、切断及び/または移動を制御するために使用される。例えば、カッターは、歯内療法ブラシが静止している間にガイド216に沿って移動することができる、及び/またはカッターは、ブラシ206が静止している間にガイドに沿って移動することができる。任意選択的に、歯内療法ブラシは、軸がカッターに対して垂直な状態で保持され得る。その代わりにまたはそれに加えて、歯内療法ブラシ206は、軸がカッターに対して鋭角をなす状態で保持され得る。例えば、カッターに対して鋭角でカッターを保持する結果、撚線が不均一に切断される(例えば、一方の側が他方の側よりも長い)。いくつかの実施形態では、カッターは、モータ218によって旋回するように駆動される。任意選択的に、カッターの旋回方向は、ブラシ105のコアのワイヤの捩りを保つように選択される。例えば、ダイヤモンドホイールは、高rpmで、かつケーブルファイバの捩り方向及び/または撚線の巻上げ方向に対抗して動作させることができる。
【0107】
図3A及び3Bは、剪断クリッパで切断された歯内療法ブラシの実施形態を示す。場合によっては、剪断クリッパは、突出する撚線320及び/または捕捉された撚線322を残す。例えば、捕捉された撚線322は皺になり得る及び/または一緒に潰され得る。例えば、これはブラシが開くのを妨害する場合がある。
【0108】
図3C及び3Dは、本発明の一実施形態による、ブラシのコアの巻線方向に回転する研磨カッターで切断された歯内療法ブラシの部分を示す。図面に示すように、研磨カッターは、コア106にほとんど損傷を及ぼさず、皺や絡みなしに撚線の遠位端部104をきれいに切断する。
【0109】
図4は、本発明の一実施形態による、ブラシを使用して清掃されるチャネルを示す画像である。いくつかの実施形態では、洗浄液及び/または消毒液がチャネルに注入される。例えば、洗浄液は、次亜塩素酸ナトリウムを含むことができる。任意選択的に、チャネルの外側部428がファイルでまず清掃され、次に、チャネルの根尖部430がブラシで清掃される。その代わりにまたはそれに加えて、チャネル428は単独工程で清掃される。例えば、ブラシは、チャネルの外側部428の壁を充填する近位部と、チャネルの根尖部430に挿入される及び/または根尖部を清掃する遠位部との粗い外側表面を含む。ブラシの回転は、流体内に乱流を引き起こし得る。乱流は(例えば、移動する液体の摩擦及び/または運動量により)チャネルの領域を清掃することができる(流体は、例えば、ブラシが到達しない横方向の根管432及び/または領域において、ブラシとの接触と併せて、及び/またはブラシとの接触なしにチャネルを清掃することができる)。いくつかの実施形態では、バイオフィルム及び/または歯垢は、ファイル及び/またはブラシとの接触によって、及び/または消毒剤及び/または乱流によって、チャネルの壁から分離させることができる。
【0110】
図5は、遠心力の効果を示す例示的な実験の画像である。いくつかの実施形態では、ブラシの高rpm及び/または弾性は、遠心力現象を生成する。任意選択的に、歯科用ハンドピース534は、チャネル内で歯内療法ブラシ506を回転させる。遠心力は、任意選択的に、チャネルの根尖部でブラシを開かせる。開いたブラシは、大きな断面及び/または大きな仮想質量を有する、及び/または回転エネルギーを流体に加えるのに効率的である。例えば、流体は、高速で及び/または高乱流で(これは、例えば、
図5では、渦流及び捕捉された気泡の存在を示す濁度536及び流体の白色によって示され得る)及び/または自由表面537の変形によって回転するように駆動させることができる。例えば、1500rpm超及び/または特に6000rpm超の回転速度で、撚線は開くことができる(例えば、大きなパドル様プロファイル及び/または大きな仮想質量を生成する)、及び/またはチャネル内の流体に高乱流及び/または高遠心力を生成することができる。流体の遠心力及び/または乱流は、低回転速度でブラシのみ及び/または流体では到達することが困難であると思われる空間(例えば、小歯根尖チャネル、湾曲チャネル、象牙質管、及び/または小孔)内の閉塞物(気泡、バイオフィルムの残余、根管粘液、及び/または歯垢など)及び/または流体を解放することができる。実験が示すように、これは、チャネルの消毒及び/または歯科治療の結果(例えば、インプラントの寿命の向上)の向上をもたらす。
図5では、乱流体上の高遠心力によって、自由表面537が重力に対して傾斜する、及び/またはチャネルの壁に沿って上昇する。例えば、チャネルの左側を押して、流体の自由表面を左側壁に沿って上昇させるブラシが示されている。例示的な実験では、流体の高濁度536(例えば、その明るい白色)は、キャビテーションを引き起こした可能性のある高乱流の影響として理解される。いくつかの実施形態では、流体のキャビテーションは、ブラシの毛が到達していない場合ですら、表面上の摩擦及び/または摩耗を増大させ得る。例えば、これにより、閉塞を軽減する、及び/または消毒を促進することができる。
【0111】
図6A~6Dは、本発明の一実施形態による、清掃された例示的なチャネルの断面を示す。チャネルの表面は、従来の歯内技術で清掃された同様のチャネルよりもかなり清浄であった。例えば、
図6Aは、先端部から2mmにおけるチャネルの根尖部638aの断面を示し、小さな歯根尖チャネルでも清掃されているのが見える。例えば、ブラシの細い遠位部は、チャネル638aの細い歯根尖部に進入する、及び/または遠心力下で開く、及び/またはチャネル壁を清掃することができる。
図6B及び6Cは、先端部からそれぞれ4mmと6mmにおけるチャネルの中間部の例示的な断面を示す。例示的な実施形態では、チャネル638b、638c、638c’の断面は薄く不規則である(例えば、638c’では、638bの2つの歯根尖チャネルは収束して、より大きな不均一チャネルを形成したように見える)にもかかわらず、ファイル及び/または乱流はチャネルの壁を清掃している。例えば、部分638b、638c、638c’では、ホイップ運動(例えば、屈曲するファイル及び/または遠心力下でのファイルの撓みにより)が、(例えば、外側螺旋巻きワイヤ上の)ファイルの粗化部をチャネルの壁と接触させる、及び/またはチャネルの壁を清掃させることができる。
図6Dは、先端部から8mmにおけるチャネルの開放の例示的な断面を示す。例示的な実施形態では、チャネル638dの断面は不規則である(例えば、638dでは、2つの中間チャネル638c及び638c’は収束して、より大きな不規則なチャネルを形成したように見える)にもかかわらず、ファイル及び/または乱流はチャネルの壁を清掃している。例えば、この部分638dでは、ファイルのホイップ運動及び/または屈曲及び/または遠心力下でのファイルの撓みは、(例えば、外側螺旋巻きワイヤ上の)ファイルの粗化部をチャネルの壁と接触させる、及び/またはチャネルの壁を清掃させることができる。
【0112】
図7は、本発明の一実施形態による、歯内療法ブラシを用いて清掃された歯におけるチャネルの根尖部の500倍拡大表面740を示す。表面740は粗く、微小小孔742を有するが、清浄であるように見える。例えば、ブラシの清掃力は、ブラシの撚線及び/または乱流によって掻き取る結果であってもよい。
【0113】
図8は、本発明の一実施形態による、歯内療法ブラシの遠位端部を切断する方法のフローチャートである。例えば、ブラシの軸は、クランプ内に設定することができる844。任意選択的に、カッターに対する軸の角度は(例えば、垂直に及び/または有限角度に)固定される。任意選択的に、研磨カッターは、切断される撚線の巻線と一致する方向に(例えば、巻線と同じ及び/または反対方向に)回転させられる846。任意選択的に、次いで、カッターは、撚線を通過して848、撚線を切断する。
【0114】
図9は、本発明の一実施形態による、歯内チャネルの洗浄を示すフローチャートである。例えば、カップラは歯科用ハンドピースに係止して950、例えば、ハンドピースに対する長手方向移動及び/またはハンドピースとブラシとの分離を阻止することができる。任意選択的に、係止950は、カップラとハンドピースの取付具(例えば、チャック)との間の回転方向の滑りを防止しない。例えば、係止要素は、回転可能に対称であってもよい。例えば、ハンドピースとカップラとの間の回転自在な連結のための把持952は、摩擦によるものであってもよい。任意選択的に、ハンドピースは、トルクが閾値を超えない限り、ブラシを回転させる954。閾値トルクを超えると、カップラは任意選択的に、ハンドピースに対して長手方向に移動せずに、及び/またはハンドピースから分離せずに、ハンドピースの取付具内で回転方向に滑る。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明は、こととを含む、器具と歯科用ハンドピースとの分離を回避しながら歯科用ハンドピースで歯内器具(例えば、ブラシ及び/またはファイル)に付与されるトルクを安全に制限する方法を提供する。例えば、ブラシのカップラを歯科用ハンドピースの取付筒部に挿入して、カップラをハンドピースに長手方向に係止する。任意選択的に、回転運動は、ハンドピースとカップラとの摩擦にのみ基づいてブラシに付与される。例えば、摩擦は、カップラ及び/またはその材料の直径を調節することによって制御することができる。例えば、カップラは、弾性及び/または可撓材料(例えば、エラストマー)及び/または高摩擦係数材料(例えば、エラストマー)を含むことができる。任意選択的に、付与されたトルクは、取付筒部への挿入中、カップラとハンドピースの筒部との間の摩擦係数によって、カップラ(ハンドピースの筒部よりもわずかに大きくすることができる)にかかる絞り力で制限される。任意選択的に、ブラシと歯内チャネルとの間の剪断力が所定値を超えて増大すると、カップラはハンドピースの筒部内で回転して滑る。このため、器具の破損及び/または象牙質層への望ましくない損傷を阻止することができる。長手方向係止は、ブラシのハンドピースからの望ましくない解放を阻止することができる。例えば、カップラの外径は、筒部の直径の100.5~102%、及び/または筒部の直径の102~105%、及び/または筒部の直径の105~115%及び/または筒部の直径の115~150%の範囲内であり得る。例えば、カップラの外径は、2.3~2.36mm、及び/または2.36~2.4mm、及び/または2.4~2.5mmの範囲内であり得る。例えば、カップラの外径は、2.0~2.05mm、及び/または2.05~2.15mm、及び/または2.15~2.25mmの範囲内であり得る。
【0116】
図10は、本発明の一実施形態による歯内器具(例えば、ブラシ及び/またはファイル)アセンブリを示す。例えば、アセンブリは、長手方向力に対抗して器具をハンドピースに係止する、及び/または閾値トルクを超えた滑りを許容する摩擦接続でハンドピースと器具間にトルクを印加する係止要素1058を有するカップラ1056を含むことができる。例えば、カップラ1056は、歯科用ハンドピースの標準的なDリング取付具に嵌合することができる。任意選択的に、カップラ1056は、回転対称であることによって、取付具に対して係止するが、回転滑りを許容することができる。例えば、取付具及び/またはカップラ1056は、ハンドピースと器具との間のトルクを制限するように構成することができる。例えば、摩擦嵌合は、0.05Ncm超、及び/または0.01Ncm超、及び/または0.1Ncm超、及び/または0.5Ncm超、及び/または1Ncm超のトルクでの滑りを許容し得る。任意選択的に、カップラ1056は、例えば、直径2.35mm、3.0mm、及び/または3.175mmの標準サイズを有し得る。その代わりにまたはそれに加えて、取付具は、標準的なチャンクへの接続のための円形スピンドルを含むことができる。その代わりにまたはそれに加えて、他の種類及び/またはサイズ、例えば、1~2.5mm、及び/または2.5~3.5mm、及び/または3.5~7mmの取付具が可能である。
【0117】
いくつかの実施形態では、器具の中間部1060は、例えば、螺旋巻きワイヤ1008によって拘束されるコア1006(例えば、ケーブルを含む)を含む。任意選択的に、器具は、未拘束の遠位部1002を含むことができ、コア1006は、任意選択的に、未拘束である、及び/またはブラシ内へと開くことができる。
【0118】
図11A及び11Bは、本実施形態の一実施形態による歯内器具を示す。
図11Aでは、ハンドル(例えば、カップラ1156)に装着される前の器具が示されている。いくつかの実施形態では、器具の近位部1157は屈曲している、及び/またはカップラ1156内で折り重なっている。例えば、器具の遠位端部を屈曲させることにより、器具をカップラ1156に接続することがより容易になり得る。それに加えてまたはその代わりに、器具の近位部の屈曲は、器具を偏心してカップラ1156に嵌合させる、及び/または器具のホイップ運動を容易にすることができる。例えば、カップラは、中空チューブの形態であってもよい(例えば、中空部は1つ又は2つの側に開放されてもよい)。任意選択的に、カップラ1156は、可撓及び/または高摩擦材料(例えば、ゴム、エラストマー及び/またはプラスチック)で作製することができる。任意選択的に、器具の屈曲部1157は、カップラの中空部に詰め込まれる。
【0119】
図12は、本発明の一実施形態による歯内療法ブラシの概略図である。いくつかの実施形態では、ブラシは、中間部1260及び/または遠位部1202を含む。任意選択的に、中間部1260は、コア1206(例えば、複数の撚線及び/または捩ったケーブルを含む)及び/または周囲の螺旋巻線1208を含む。遠位部1202では、コア1206は、任意選択的に、突出する及び/または未結合である。任意選択的に、遠位部1202に向かって、螺旋巻線1208は巻き戻されてもよい。例えば、巻線1208の遠位部1262は、コア1206及び/または器具の軸に平行に及び/または略平行に配向させることができる。例えば、遠位部1202において、器具の幅(例えば、直径)は、コアの厚さ1279であってもよい。例えば、中間部1260において、器具の幅(例えば、直径)は、コアの厚さ1279と螺旋巻線1208の厚さ1277の2倍との合計であってもよい。任意選択的に、螺旋巻線1208が、例えば、中間部1260と遠位部1202との間で巻き戻される場合、器具の幅は中間部1260の幅1272と遠位部1202の幅の間になる。例えば、巻線1208がコアと平行である部分1262では、器具の幅1274は、コア1206の幅と巻線1208の幅1277との合計である。
【0120】
本発明者は、場合によっては、歯内療法ファイルが根管を損傷させる場合があることを観察した。例えば、外側巻線1208を巻上げ方向に反して回転させると、外側巻線の剛体なワイヤが根管に突出する及び/または根管に損傷を及ぼすことがあり得る。例えば、外側巻線の遠位先端部は、外方に突出して、チャネルの壁を掻き取る場合がある。いくつかの実施形態では、外側巻線の遠位先端部は鈍くすることができる、及び/または損傷の可能性を低下させる方向に方向付けることができる。例えば、遠位先端部は、コアに平行に方向付けられてもよい。これにより、チャネルの損傷の可能性を低減することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、ブラシ及び/またはファイルは、コア1206の周囲に巻かれた単一巻線1208を含むことができる。例えば、コア1206は、複数の撚線のケーブルを含むことができる。例えば、撚線は全て、外側巻線1208と同じ方向に捩ることができる。その代わりにまたはそれに加えて、撚線は全て、外側巻線1208の反対方向に捩ることができる。その代わりにまたはそれに加えて、コア1206は、捩っていない撚線及び/または異なる方向に捩った撚線を含むことができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、巻線1208の幅1277(例えば、直径)は、0.15~0.25mm、及び/または0.25~0.3mm、及び/または0.3~0.4mm、及び/または0.05~0.15mm、及び/または0.4~0.7mmの範囲内であり得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、コア1206の幅1279(例えば、直径)は、0.15~0.25mm、及び/または0.25~0.3mm、及び/または0.3~0.4mm、及び/または0.05~0.15mm、及び/または0.4~0.7mmの範囲内であり得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、中間部1260の幅1272(例えば、直径)は、0.25~0.4mm、及び/または0.4~0.7mm、及び/または0.7~0.9mm、及び/または0.9~1.2mmの範囲内であり得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、巻線1208が中間部1260と遠位部1202との間で巻き戻される移行部の幅1274(例えば、直径)は、0.1~0.25mm、及び/または0.25~0.7mm、及び/または0.7~1.0mmの範囲内であり得る。任意選択的に、移行部の長さ1276は、0.1mm~0.4mm、及び/または0.4mm~0.8mm、及び/または0.8mm~1.6mm、及び/または1.6mm~3.2mmの範囲内であり得る。任意選択的に、巻線1208は、完全に巻き付けられた部分(例えば、中間部1260)と移行部とで同じである。
【0126】
いくつかの実施形態では、遠位部1202の長さ1278は、0.1mm~0.4mm、及び/または0.4mm~0.8mm、及び/または0.8mm~1.6mm、及び/または1.6mm~3.2mm、及び/または3.2~7mm、及び/または7~10mm、及び/または10~20mmの範囲内であり得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、中間部1260及び/または遠位部1202は、屈曲させることができる、及び/または可撓であり得る、及び/または波形にすることができる。任意選択的に、器具の外側部(例えば、螺旋巻線1208)は粗化させることができる(例えば、チタンプラズマスプレー(TPS)、二重酸エッチング(DAE)、大粒度サンドブラスト酸エッチング(SLA)、陽極酸化(ANO)、機械加工(MAC)、シリカコーティング(Sc)、サンドブラスト(Sb)、金属プライマ、カップリング剤、繊維(Fb)塗布、及び不透明化剤(O)によって、粗化処理することができる)。いくつかの実施形態では、例えば、シラン、金属プライマ、又は接着剤(ビジオボンド[V]、磁性フォトボンド[PP]、合金プライマ[AP]、ユニボンド封止剤[Us]、ESPE-Sil[ES])、及び/または不透明化剤、例えば、Clearfil St Opaquer(CstO)、Sinfony(S)、Miris(M)、及び/またはEO-Cavex)などの材料を粗化のために使用することができる。
【0128】
図13は、本発明の一実施形態による、延伸端部を有する歯内療法ブラシの概略図である。任意選択的に、巻線1308の幅1277は、完全に巻き付けられた部分(例えば、中間部1260)の幅と同じであり、移行部の巻線1308の幅よりも大きい。例えば、巻線は、可鍛性(例えば、金属ワイヤ)であり得、巻かれていない及び/または遠位端部の近傍である移行部1362において延伸されている、及び/または狭められている。例えば、移行部1362の幅1374は、コア1206の幅1279と中間部1260の巻線1308の幅との合計よりも小さくてもよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、巻線1308は、巻戻しを阻止するように構成することができる。例えば、ブラシが螺旋巻線1308の巻戻し方向に回転しているとき、巻線1308は巻戻しに抵抗することができる。任意選択的に、巻線1308の遠位部及び/または遠位端部は、巻戻しに抵抗するように十分太くすることができる。いくつかの実施形態では、巻線1308を延伸すること、及び/または巻線1308の近位部とは異なる選択方向に巻線1308の先端部を方向付けること(例えば、遠位部を巻き戻すこと及び/または遠位先端部をコア1206と平行に方向付けること)は、チャネルを損傷させる危険性を低減させて、ファイルの遠位部(例えば、巻線1308の遠位部)を容易に狭めることができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、ブラシ及び/またはファイルは、コア1206に巻き付けられた単一の巻線1308を含むことができる。例えば、コア1206は、複数の撚線のケーブルを含むことができる。例えば、撚線は全て、外側巻線1308と同じ方向に捩ることができる。その代わりにまたはそれに加えて、撚線は全て、外側巻線1308の反対の方向に捩ることができる。その代わりにまたはそれに加えて、コア1206は、捩っていない撚線及び/または様々な方向に捩った撚線を含むことができる。
【0131】
図14は、本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ブラシの概略図である。いくつかの実施形態では、器具の遠位部1402は、例えば、チャネルの根尖部を清掃するためのブラシを含む。任意選択的に、中間部1460は、粗化することができる、及び/または屈曲させることができる、及び/または可撓であり得る。例えば、中間部1460の粗化部は、チャネルの側部を掻き取るように構成することができる。例えば、中間部1460及び/または遠位部1402は、屈曲及び/または偏心を含むことができる。例えば、屈曲及び/または偏心及び/または可撓性により、ファイル及び/またはブラシをチャネル内であちこちホイップさせることができる。
【0132】
図15は、本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ブラシの概略図である。いくつかの実施形態では、器具の遠位部1502は、例えば、チャネルの根尖部を清掃するためのブラシを含む。任意選択的に、中間部1560は、粗化させることができる、及び/または屈曲させることができる、及び/または可撓であり得る。例えば、中間部1560の粗化部は、チャネルの側部を掻き取るように構成することができる。例えば、中間部1560及び/または遠位部1502は、複数の屈曲部を含むことができる、及び/または波形にすることができる、及び/または偏心することができる。例えば、屈曲及び/または偏心及び/または可撓性により、ファイル及び/またはブラシをチャネル内であちこちホイップさせることができる。
【0133】
図16は、本発明の一実施形態による、シミュレートされたチャネル内の歯内療法ブラシを示す。いくつかの実施形態では、屈曲した歯内療法ブラシは、チャネル1680の内部で回転させられる。任意選択的に、ブラシは粗化縁部を含む。例えば、ブラシの中間部1560は、螺旋ワイヤ1608で囲むことができる。螺旋ワイヤ1608は、任意選択的に粗化される。任意選択的に、ブラシは屈曲している、及び/または可撓である、及び/または回転に対して偏心しているため、ブラシの側部の様々な部分がチャネル1680の壁を擦り、チャネルを清掃する。チャネルの狭い先端部では、任意選択的に、ブラシの遠位部1502で露出している狭いコアが進入及び/または拡張して、チャネル1680の壁を清掃する、及び/または流体内の移動を生成してチャネルを清掃することができる。
【0134】
図17は、本発明の一実施形態による、粗化縁部を有する歯内療法ブラシを示す。例えば、外側縁部は、ブラシの外側巻線1708の表面を含むことができる。例えば、外側縁部は、例えば、チタンプラズマスプレー(TPS)、二重酸エッチング(DAE)、大粒度サンドブラスト酸エッチング(SLA)、陽極酸化(ANO)、機械加工(MAC)、シリカコーティング(Sc)、サンドブラスト(Sb)、金属プライマ、カップリング剤、繊維(Fb)塗布、及び不透明化剤(O)によって粗化処理することができる。いくつかの実施形態では、例えば、シラン、金属プライマ、又は接着剤(ビジオボンド[V]、磁性フォトボンド[PP]、合金プライマ[AP]、ユニボンド封止剤[Us]、ESPE-Sil[ES])、及び/または不透明化剤、例えば、Clearfil St Opaquer(CstO)、Sinfony(S)、Miris(M)、及び/またはEO-Cavex)などの材料を、粗化のために使用することができる。任意選択的に、ブラシは屈曲させる、及び/または偏心させることができる。任意選択的に、ブラシの遠位端部は、不均一に切断する、及び/または研磨カッターを使用して切断することができる。任意選択的に、螺旋巻線の遠位部1762は、巻き戻されてもよい、及び/またはコア1206に平行であってもよい。任意選択的に、螺旋巻線の遠位部は、先鋭化させる、及び/または延伸させる、及び/または中間部と同じように残すことができる。
図17のブラシの様々な寸法は、本明細書に開示される任意の他の実施形態であってもよい。
【0135】
図18は、本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイル1801のブロック図である。いくつかの実施形態では、ファイル1801は、近位ハンドル1802と遠位能動部1806を含む。任意選択的に、近位ハンドル1802は、回転軸を中心に回転するように構成される(例えば、ハンドルは、歯科用ハンドピースに嵌合する及び/または回転軸を中心に歯科用ハンドピースを回転させるように構成された取付具を含むことができ、例えば、回転軸は、ハンドルの全部又は一部の対称軸であり得る)。任意選択的に、ファイル1801の遠位能動部1806は、偏心して及び/または非対称にハンドルに取り付けられる。例えば、遠位能動部1806の局所質量中心は、ハンドルの回転中心から変位していてもよい。例えば、遠位能動部1806の局所質量中心は、ハンドルの回転軸と一致しなくてもよい、及び/または全てハンドルの回転軸の一方の側にあってもよい。例えば、遠位能動部1806の平均質量中心は、ハンドルの半径~ハンドルの半径の2倍、及び/またはハンドルの半径の2倍超、及び/または半径の2分の1~ハンドルの半径の距離だけハンドルの回転軸から離れて変位させることができる。いくつかの実施形態では、移行部1804の遠位の可撓能動部1806は、無応力状態ではハンドル1802の回転軸と略平行である。例えば、回転軸と移行部1804の遠位の可撓能動部1806の局所質量中心との間の距離は、例えば、移行部1804からファイル1801の遠位先端部及び/またはほぼ遠位先端部までの可撓能動部1806の長さに沿ってほぼ固定されていてもよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、ファイル1801は移行部1804を含むことができる。例えば、移行部に沿って、ファイルの局所重力中心からハンドルの回転軸までの距離を増加させることができる。任意選択的に、移行領域1804は、遠位能動領域1806よりも可撓性が低い。任意選択的に、移行領域1804は、近位ハンドル1802よりも可撓性が高い。いくつかの実施形態では、移行部1804は、ファイル1801の能動領域の一部である(例えば、能動領域は可撓ワイヤである、及び/または根管を清掃するための粗コーティングを含むことができる)。その代わりにまたはそれに加えて、移行部は、ハンドルの一部である(例えば、ハンドルは、プラスチック及び/または剛体材料で作製することができる)。
【0137】
いくつかの実施形態では、ハンドル1802は摩擦嵌合及び/または係止嵌合を含むことができる。例えば、係止嵌合はDリングを含むことができる。任意選択的に、ハンドルの材料はプラスチック及び/または金属を含むことができる。いくつかの実施形態では、ハンドルはトルクリミッタを含むことができる。例えば、摩擦嵌合は、高トルク(例えば、30g/(cmN)超、及び/または100g/(cmN)超、及び/または5g/(cmN)超のトルク)でハンドピース及び/またはファイルの間で滑ることができる。その代わりにまたはそれに加えて、ハンドルは、歯科用ハンドピースとファイルとの間に高トルクを伝達する係止具を含むことができる。
【0138】
図19は、本発明の一実施形態による、歯内根管の洗浄を示すフローチャートである。いくつかの実施形態では、偏心歯内療法ファイルを供給することができる1901(例えば、ファイルは、本明細書に記載の実施形態のいずれかを含むことができる)。任意選択的に、ファイルの近位ハンドルが、回転源(例えば、歯科用ハンドピース)に装着される1902。いくつかの実施形態では、ファイルの可撓遠位部が、清掃を必要とする根管に挿入される1906。任意選択的に、ハンドルが、(例えば歯科用ハンドピースによって)回転軸を中心に回転させられる1903。例えば、ファイルの回転1903は、遠位先端部の根管への挿入1906後に開始させることができる。ハンドルの回転1903は、任意選択的に、ハンドルの遠位にあるファイルの可撓部の回転ホイップ運動1908を引き起こす。例えば、ホイップ運動1908は、ファイルの移行部及び/または可撓遠位部の一部で発生させることができる。任意選択的に、ホイップ運動1908は、根管の内部のファイルの一部で発生させることができる。その代わりにまたはそれに加えて、ファイルの可撓遠位部の一部(例えば、可撓遠位部の中間部及び/または遠位先端部)を、根管内でホイップさせることができる1908。任意選択的に、ホイップ運動は、根管内部のファイルの能動可撓部を、単純な回転運動よりも広い領域にわたって根管を清掃させる、及び/または根管の壁と接触させることができる。例えば、ホイップ可撓部は、ファイル自体の部分よりもずっと広い領域にわたってホイップすることができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、ファイルは、例えば、遠位端部にブラシを含む。任意選択的に、ファイル1903の回転はブラシを開く。例えば、ブラシは、根管の遠位(例えば、根尖)部に挿入する1906、及び/または回転させる1903、及び/または開くことができる。任意選択的に、ブラシは、根管の歯根尖部を清掃することができる。例えば、清掃は、壁の掻き取り、乱流、及び/または化学物質の活性化を含むことができる。任意選択的に、ブラシは、回転させずに1903、及び/または巻上げ方向に回転させながら、及び/または巻戻し方向に回転させながら1903、挿入することができる1906。
【0140】
図20は、本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルを含むキット2001のブロック図である。任意選択的に、ファイルは、例えば、本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載されるように、偏心歯内療法ファイルを含むことができる。例えば、ファイルは、ハンドル2002及び/または移行部2004(任意選択的に、ハンドルの遠位)及び/または能動部2006(任意選択的に、移行部の遠位)を含むことができる。任意選択的に、偏心ファイルが無応力状態で供給される、及び/または包装される。任意選択的に、能動部2006の重心は、ハンドル2002の回転軸上にない。任意選択的に、ファイルは、配布(例えば、販売)のためにパッケージ2010(例えば、ボックス及び/またはトレイ及び/またはボトル及び/または包み)に包装される。その代わりにまたはそれに加えて、ファイルは、無菌状態にするために包装される。例えば、ファイルは、無菌パッケージ2010で包装することができる。例えば、無菌パッケージは、(例えば、外科技術協会(ANSI:The Association of Surginal Technologies)及び医療機器振興協会(AAMI:The Association of Surgical Technologies))規格などの規格に準拠する、織材料、剛体容器、紙-プラスチック剥離パックなどの細菌バリアを含むことができる。例えば、無菌パッケージは、EtO及び/またはガス及び/またはプラズマ殺菌のための加熱殺菌及び/またはガス浸透に耐えることができる。任意選択的に、パッケージ2010はトレイを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、ファイル及び/または殺菌材料及び/またはパッケージを含むことができる。例えば、パッケージは、ガラス、紙、プラスチック、及び/または金属製の容器を含むことができる。例えば、パッケージは、繊維材料、フィルム、フォイル及び/またはラミネートを含むことができる。いくつかの実施形態では、パッケージは、閉鎖する及び/または封止することができる。例えば、封止は、ガスケット及び/またはフィルタ及び/または接着剤及び/または熱封止を含むことができる。
【0141】
図21は、本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルを含むキットの作製を示すフローチャートである。例えば、偏心ファイル(例えば、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる)を包装のために提供することができる2101。任意選択的に、ファイルは、無応力状態及び/または無菌状態及び/または清浄状態で提供される2101。任意選択的に、ファイルは殺菌される2112、及び/または包装される2110。いくつかの実施形態では、ファイルは、殺菌し2112、次いで、包装することができる2110(例えば、加圧減菌し、次いで、無塵室内の清浄アクセストレイに配置される)。その代わりにまたはそれに加えて、ファイルは、(例えば、本明細書に列挙される殺菌包装及び技術を使用して)包装し2110、次いで、殺菌することができる2112。いくつかの実施形態では、パッケージは閉鎖されてもよい。例えば、閉鎖は、パッケージを封止することを含んでもよい。封止は気密であってもよい、及び/または細菌バリア及び/またはフィルタを含んでもよい。任意選択的に、封止は、クリンプ加工、キャップのねじ締め、糊付け、熱封止、折重ね、コーティング、及び/または収縮封止を含むことができる。
【0142】
図22は、本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイル2201の概略図であり、
図23は、本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルの局所的な平均重心の概略図である。
図22のファイルは、本明細書の他の実施形態に記載されるようなファイルを含むことができる。任意選択的に、ファイル2201は、回転軸2218を有する近位ハンドル2202を含む。任意選択的に、ファイルは能動部2207を含む。能動部2207は、中心コア2211及び/または中心コアを覆う1つ以上の螺旋ワイヤ2213を含むことができる。任意選択的に、中心コアは、例えば、複数の細撚線からなるワイヤ及び/またはケーブルを含む。いくつかの実施形態では、能動部2207は、移行区間2204及び/または偏心遠位能動部2206を含むことができる。その代わりにまたはそれに加えて、移行区間は、ハンドルの一部を含むことができる(例えば、能動区間は、ハンドルの回転軸に対して偏心して、例えば、回転軸に対して斜めに、及び/または回転軸から離れて併進させて、ハンドルに取り付けることができる)。
【0143】
いくつかの実施形態では、ハンドル2202は、1.3~2.9mm、及び/または2.9~3.2mm、及び/または3.2~3.5mm、及び/または3.5mm超の幅(例えば、直径2216d)を有し得る。例えば、ハンドル2202は、2mmの摩擦嵌合及び/または3.35mmの摩擦嵌合で嵌合し得る。例えば、ハンドル2202は、5~9mm、及び/または2~5mm、及び/または9~15mmの範囲の長さ2216aを有し得る。任意選択的に、ハンドル2202は回転軸2218を有することができる。例えば、回転軸2218は、ハンドルの質量中心及び/または重心2224を通過することができる。例えば、回転軸2218は、長さに沿ったハンドル2202の局所質量中心2222に対応し得る。任意選択的に、無応力形状では、遠位能動部2206はほぼ直線状である。その代わりにまたはそれに加えて、無応力形状では、遠位能動部2206は、一定の二次モーメントを有することができる(例えば、遠位能動部は、全長に沿って同じ方向に湾曲している)。
【0144】
いくつかの実施形態では、ファイル2201の能動部2207の同心部2209は、ハンドル2202の回転軸と同心であってもよい。例えば、同心部2209は、移行区間2204とハンドル2202との間に位置することができる。その代わりに、移行区間は、ハンドル2202の一部に直接接続することができる、及び/またはそれを含むことができる。いくつかの実施形態では、移行区間2204に沿って遠位方向に移動するにつれ、ファイルの局所質量中心2222は、ハンドル2202の回転軸2218から更に離れ得る。例えば、移行区間は、1~2mm、及び/または2~6mm、及び/または6~12mm、及び/または12~25mmの範囲内の長さ2216bを有し得る。任意選択的に、移行区間2204の近位開始点と移行区間2204の遠位端部間の横方向変位2216eは、0~1.5mm、及び/または、1.5~2.2mm、及び/または2.2mm~4mm、及び/または4~10mmの範囲内であり得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、遠位能動領域2206は、移行領域2204の遠位に位置する。例えば、遠位能動領域2206は、移行領域2204を介して、ハンドルに接続することができる。任意選択的に、遠位能動領域2206は、ファイル2201に応力がかかっていないとき、ハンドルの回転軸2218にほぼ平行である。その代わりにまたはそれに加えて、遠位能動領域2206は、ファイル2201に応力がかかっていないとき、ハンドルの回転軸2218に対して斜めであってもよい、及び/または湾曲していてもよい。いくつかの実施形態では、遠位能動領域2206は全て、回転軸2218の一方の側にあってもよい。任意選択的に、遠位能動部2216fの長さは、15~20mm、及び/または5~15mm、及び/または20~30mmの範囲内であり得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、ファイル2201の質量中心2227からハンドル2202の回転軸2218までの距離は、ファイルのハンドル2202の半径よりも大きい。その代わりにまたはそれに加えて、ファイル2201の質量中心2227からハンドル2202の回転軸2218までの距離は、ファイルのハンドル2202の半径未満であってもよい(例えば、半径の2分の1~半径)。いくつかの実施形態では、ファイル2201の遠位能動部2206の質量中心2225からハンドル2202の回転軸2218までの距離は、ファイルのハンドル2202の半径より大きい。その代わりにまたはそれに加えて、ファイル2201の遠位能動部2206の質量中心2225からハンドル2202の回転軸2218までの距離は、ファイルのハンドル2202の半径未満であってもよい(例えば、半径の2分の1~半径)。いくつかの実施形態では、ファイル2201の質量中心2227は、遠位能動部2206の質量中心2225よりもファイルのハンドル2202の回転軸に近い。いくつかの実施形態では、ファイル2201の質量中心2227は、遠位能動部2206(例えば、ファイルの移行部2204の遠位)に沿ってファイルの局所質量中心2222よりもファイルのハンドル2202に近い。任意選択的に、ファイル2216cの全長は、30~34mm、及び/または20~30mm、及び/または34~45mmの範囲内であり得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、遠位能動部2206は、ファイルの近位部(例えば、移行部2204、及び/または同心部2209、及び/またはハンドル2202)の一部または全部よりも薄くてもよい、及び/または可撓であってもよい。任意選択的に、遠位能動部306は先細である。例えば、遠位能動部は、先細先端部で終端させることができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、コア2211は、螺旋ワイヤ2213の1つ以上から外方に突出することができる。例えば、遠位端部で、コア2211は露出させることができる。例えば、コア2211は、デバイスが特定の方向に回転するとき、デバイスの遠位端部においてブラシとして開く多撚線ケーブルを含むことができる。例えば、ファイルは、第1の方向に回転しながら挿入させることができる、及び/または回転方向を逆転させ、ファイルの遠位端部において撚線を開いて、ブラシを形成する及び/または根管の側部を清掃することができる。根管の壁との接触は、撚線を更に開くことができる。任意選択的に、ファイルの遠位部は、非常に小さな直径を有する、及び/または十分に可撓であるために、根管の非常に小さな根尖部に進入することができる。回転するブラシは、任意選択的に、消毒化学物質を活性化させる。任意選択的に、ブラシの回転が、(例えば、乱流、遠心力を引き起こす、及び/または小孔を閉塞させるフィルムを除去することによって)流体(例えば、消毒剤)を小孔内へと追いやることができる。
【0149】
図24は、本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルのホイップ運動の概略図である。いくつかの実施形態では、ファイル2401の回転軸2418は、ファイル2401の能動部(例えば、移行領域2404及び/または遠位能動領域2406)の対称軸に対応しない。いくつかの実施形態では、ファイル2401がハンドル2402の回転軸2418を中心に回転させると2430、遠心力が任意選択的に、外方へ(例えば、回転軸2418から離れるように)遠位能動領域2406に応力を加える。任意選択的に、ホイップ及び/または広がりは、ファイル2401の移行領域2404及び/または遠位能動領域2406の全長にわたって分散される。例えば、移行領域2404が対向位置2404、2404’間で回転する、及び/または遠位能動領域2406が対向位置2406、2406’間で回転すると、ファイル2401の遠位部は周囲でホイップする及び/または広がることができる。例えば、ファイル2401の遠位部が根管内にあるとき、遠位先端部は、根管の範囲内の大きな空間をあちこちホイップする、及び/または根管の側部と接触する、及び/または根管の側部を清掃することができる。このホイップ運動は、根管内部の角部及び/または到達しにくい場所を清掃することができる。ホイップ運動はまた、例えば、チャネルの清掃及び/または消毒のために、根管内部で洗浄液をホイップさせて、洗浄液を活性化する、及び/または洗浄液を根管内のより深いところで混合させることができる。いくつかの実施形態では、移行部2304は、ファイルのハンドル2402に直接装着される。
【0150】
図25Aは、本発明の一実施形態による、根管に浅く挿入された偏心歯内療法ファイルの概略図であり、
図25Bは、本発明の一実施形態による、歯2534の根管に深く挿入され、歯科用ハンドピース2532によって回転させられた偏心歯内療法ファイル2201の概略図である。いくつかの実施形態では、ファイル2201のホイップ動作は、根管内の空間及び/または幾何学形状を自己調節する。例えば、ファイル2201が根管に挿入されると、根管の近位のファイルの能動部、例えば、移行部2204が辺りをホイップする、及び/または遠位部に根管の大きな開口の縁部を擦らせる。根管外部の移行部604のホイップはまた、任意選択的に、遠位部内部のホイップ運動を引き起こす。ホイップ運動は、任意選択的に、ファイル2201の遠位能動部の全ての部分に同じように影響を及ぼす。例えば、これにより、ファイル2201は、遠位能動部に沿ってずっと壁と接触する。いくつかの実施形態では、湾曲及び/または可撓性及び/または屈曲力は、(例えば、ファイルが弾性的に座屈する際に)ファイルの各部分の体積を拡張させて、根管を充填する、及び/または根管周囲にわたって縁部を掻き取る。
【0151】
図26Aは、本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイル2201の低倍率画像であり、
図26Bは、本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイル2201の中倍率画像であり、
図26Cは、本発明の一実施形態による、使用後の偏心歯内療法ファイルのセクションB(
図26A及び26Bに示す)の高倍率画像である。ファイルのホイップは、ファイルの研磨面のほぼ均一な摩耗を引き起こすことが見て取れる。例えば、ファイルの移動は、ホイップ及び/または広がり及び/またはファイルの能動部に沿った根管の表面との接触を引き起こすことができる。例えば、ファイル2201の回転軸がファイルの能動部の質量中心に対応しないとき、遠心力は、全長に沿って能動部を根管の壁に押し付けることができる。例えば、ファイル2201の遠位能動部の質量中心は、回転軸にほぼ平行に延びることができる。任意選択的に、遠心運動及び/またはホイップは、ファイルの能動部と根管の壁との間に遠心力を生成する。任意選択的に、この力は、ファイルの遠位能動部全体にわたって分散される。例えば、偏心ファイルの回転速度は、4000~5500RPM、及び/または5500~7500RPM、及び/または7500~9500RPMの範囲内であり得る。任意選択的に、ファイル2201は、(例えば、可撓性及び/または弾性、根管との接触、及び/またはファイルの無応力の能動部と回転軸との間のほぼ一定の距離により)材料疲労及び/または応力の集中に抵抗する。いくつかの実施形態では、応力下でのファイル2201の能動領域の可撓螺旋設計は、圧力を均等化させ、ファイル上の構造の移動を容易にする。例えば、ファイルの動的荷重、屈曲、弾性座屈、及び/または撓みは、ファイルの様々な部分を、様々な時点で根管の壁に接触させることができる。このため、応力の分散も容易化され得る。
【0152】
図27Aは、本発明の一実施形態による、偏心歯内療法ファイルの縦断面(
図22のセクションA)の高拡大概略図である。いくつかの実施形態では、ファイルの能動部の構造は、中心コア2714を含むことができる(例えば、コアの直径は、例えば、0.05~0.2mm、及び/または0.01~0.05mm、及び/または0.2~0.4mmの範囲内であり得る)。任意選択的に、コア2714は、単独の及び/または複数の細い撚線を含むことができる。例えば、各撚線は、0.01~0.05mm、及び/または0.05~0.1mm、及び/または0.1~0.2mmの直径を有することができる。撚線は、任意選択的に、一緒に捩られる。例えば、撚線は、螺旋ワイヤ2744及び/または2746とは反対方向に捩ることができる。その代わりにまたはそれに加えて、撚線は、螺旋ワイヤ2744及び/または2746と同じ方向に巻き付けることができる。任意選択的に、中径ワイヤ2744(例えば、直径が0.05~0.1mm、及び/または0.1~0.25mm、及び/または0.25~0.5mmの範囲内)は、コア2714に堅く巻き付けられる(例えば、巻線間の距離2716aは、中ワイヤ2744の直径の100%~110%、及び/または110%~130%、及び/または130%~150%、及び/または150%~200%である)。任意選択的に、大径ワイヤ2746(例えば、直径が0.1~0.2mm、及び/または0.2~0.5mm、及び/または0.5~1mmの範囲内)は、中ワイヤ2744(例えば、巻線間の距離2716bは、太ワイヤ2746の直径の120%~150%、及び/または150%~200%、及び/または200%~400%、及び/または400%~900%の範囲内であり得る)に緩く巻き付けられる。任意選択的に、ファイルの先端部の近傍で、コア2714及び/またはワイヤ2744、2746は先細にすることができる。その代わりにまたはそれに加えて、ファイルの遠位先端部の近傍で、太ワイヤ2746は存在しなくてもよい、及び/または中ワイヤは存在しなくてもよい。任意選択的に、先端部近傍のコア2714及び/または外側ワイヤ(例えば、セクションA内のワイヤ2746、及び/またはワイヤ2744、及び/またはコア2714)のうちの1つ又は全部は、表面粗さを有するように処理することができる(例えば、
図26Cに示す)。任意選択的に、先端部では、コア2714の撚線は(例えば、ブラシを形成するために)自由にする、及び/または(例えば、ファイルを形成するために)溶融させることができる。
【0153】
図27Bは、本発明の一実施形態による、2層構造の偏心歯内療法ファイルの縦方向の高拡大概略図である。本明細書に記載のファイル及び/またはブラシのいずれの実施形態も、2層構造及び/または3層構造で作製することができる。いくつかの実施形態では、ファイルの能動部の構造は、中心コア2742を含むことができる(例えば、コア2742の直径2743は、例えば、0.1~0.3mm、及び/または0.01~0.1mm、及び/または0.3~0.5mmの範囲内であり得る)。任意選択的に、コアは、単一のワイヤ及び/または複数の細撚線を含むことができる。例えば、コア2742は、4~10個の撚線、及び/または1~4個の撚線、及び/または10~30個の撚線を含むことができる。例えば、各撚線は、0.03~0.1mm、及び/または0.1~0.2mm、及び/または0.01~0.03mmの直径を有し得る。撚線は任意選択的に、一緒に捩ることができる。例えば、撚線は、螺旋ワイヤ2747と反対方向に捩ることができる。その代わりにまたはそれに加えて、撚線は、螺旋ワイヤ2747と同じ方向に巻き付けることができる。任意選択的に、螺旋ワイヤ2747は、例えば、0.05~0.1mm、及び/または0.1~0.25mm、及び/または0.25~0.5mm、及び/または0.5~1.0mmの範囲内の直径を有し、コア2742に巻き付けられる(例えば、巻線間の距離2747は、ワイヤ1047の直径の100%~110%、及び/または110%~130%、及び/または130%~150%、及び/または150%~200%、及び/または200%~400%、及び/または400%~900%の範囲内であり得る)。任意選択的に、ファイルの先端部近傍で、コア2742及び/またはワイヤ2747は先細にすることができる。その代わりにまたはそれに加えて、ファイルの遠位先端部近傍で、螺旋ワイヤ2747は存在しなくてもよい。任意選択的に、先端部近傍のコア2742及び/または螺旋ワイヤ2747の1つ又は全部は、表面粗さを有するように処理することができる(例えば、
図26Cに示す)。任意選択的に、先端部では、コア2742の撚線は(例えば、ブラシを形成するために)自由にする、及び/または(例えば、ファイルを形成するために)溶融させることができる。
【0154】
図28Aは、本発明の一実施形態による、ブラシ先端部を有する波形ファイルの概略図である。
【0155】
いくつかの実施形態では、ファイルは、根管を清掃する及び/または根管内の流体を攪拌するためのブラシとして供する撚線2811を含む。例えば、ファイルのコアは、複数の撚線を有するケーブルを含むことができる。任意選択的に、ファイルの本体2807上で、コアは1つ以上の螺旋ワイヤ2804によって囲まれる。いくつかの実施形態では、コア及び/または螺旋ワイヤ2804は、同じ方向に巻き付けることができる。ファイルを一方向に回転させることで、螺旋ワイヤ2804を巻き付ける、及び/またはコアの巻線を締め付けることができる。これにより、根管へのファイルの貫入を容易にすることができる。任意選択的に、ファイルを反対方向に回転させることで撚線2811を開く、及び/または螺旋ワイヤ2804を広げることができる。例えば、撚線2811の開放は、根管の根尖部内の構造(例えば、細いチャネル及び/または小孔)を清掃するためのブラシを形成することができる。螺旋ワイヤ2804の開放は、根管の近位部の壁の掻き取りを向上させることができる。その代わりにまたはそれに加えて、任意選択的に、ブラシの回転は、歯垢及び/または根管内の残留物を崩壊させる、及び/または根管の壁を擦る。任意選択的に、ファイルは、根管を清掃しながら、応力に抵抗させる、及び/または高速回転を容易にする多撚線構造を有することができる。ファイルの構造は、例えば
図5、26A~26C及び/または10を参照して本明細書で上述したような構造であってもよい。任意選択的に、ファイルは、歯科用ハンドピースに嵌合する近位アダプタ2802を含むことができる。例えば、ハンドピースは、5500~7500RPM、及び/または3000~5500RPM、及び/または2000~5500RPM、及び/または7500~11000RPMの速度でファイルを回転させることができる。
【0156】
いくつかの実施形態では、単独のファイル及び/または一対のファイルは、根管全体を清掃するために使用することができる。例えば、ファイルは、根管の根尖部を清掃するためのブラシを形成する遠位撚線2811を含むことができる。撚線2811は、任意選択的に、同時に根管の壁を清掃する、及び/または根管内の流体を始動させる。例えば、旋回する撚線2811は、根管全体及び/または根管の側部へ液体(例えば、消毒剤)を押しやる乱流を生成し得る。それに加えてまたはその代わりに、撚線2811は、感染性有機物を消毒剤による攻撃から遮蔽するバイオフィルム及び/または他のコーティングを掻き取る、及び/または除去する。任意選択的に、この清掃は、消毒剤がバイオフィルム層を貫通する、及び/または細菌を除去することを容易にし得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、ファイルの本体2807は、根管の外側部を清掃することができる。例えば、ファイルは、可撓性が非常に高いため、根管内でホイップして及び/または屈曲して及び/または折り畳まれて、空間を充填する及び/または根管の壁を掻き取る、及び/または根管内の消毒流体を活性化することができる。任意選択的に、ファイル上の回転する螺旋巻線は、根管から歯垢を排出させることができる。任意選択的に、外側部の清掃は、根尖部の清掃と同時に行われてもよい。任意選択的に、ファイルは、例えば
図22に示すように偏心構造を有することができる。偏心構造は、例えば、ホイップ運動を生成して、根管への入口近傍の大きな開放領域を生成するのに有益であり得る。その代わりにまたはそれに加えて、ファイルは蛇行幾何学形状を有することができる(例えば、
図28Aに示す)。例えば、蛇行構造は、ファイルの長さの全て及び/または大部分にわたって湾曲を含むことができる(例えば、静止状態では、ファイルの10%超、及び/または10~25%、及び/または25~50%、及び/または50~75%、及び/または5~10%、及び/または2~5%を湾曲させることができる)。蛇行幾何学形状は、(例えば、歯科医がファイルをチャネルに押し込む際に)軸方向圧力下でのファイルの弾性的な座屈を容易にすることができる。ファイルの弾性及び/または座屈は、軸方向力を緩和させて、ファイルの遠位点にかかる力を制限する(例えば、ファイルの遠位端部が根管から歯の周囲の敏感な組織内へ押し込まれることを阻む)ことができる。ファイルに沿った座屈は、任意選択的に、根管の側部を充填するファイルの長さに沿ってファイルを外方に押すことができる。これは、根管の中間部(例えば、根尖部と外側部との間)を清掃する際に特に有用であり得る。任意選択的に、蛇行ファイルの弾性的な湾曲構造はまた、力を再分散させ、それにより、壁のある位置を押圧して座屈を引き起こした高局所側方力の一部が、ファイルに沿って分配されて別の位置での座屈を引き起こすことで、非常に大きな集中局所力が根管の壁に損傷及び/または衝撃を与えることを阻止する。任意選択的に、静止状態のファイルの本体の湾曲部の曲率半径は、1~3mm、及び/または3~10mm、及び/または10~30mm、及び/または30~50mm、及び/または50~100mm、及び/または100~300mmの範囲内であり得る。任意選択的に、ファイルは、0.2~1mm、及び/または1~2mm、及び/または2~4mm、及び/または4~8mm、及び/または8~16mmの範囲内の曲率半径まで弾性的に座屈するのに十分可撓であり得る。いくつかの実施形態では、ブラシ先端部を有する波形ファイルは、3層構造を有する(例えば、
図27Aに示す)。その代わりにまたはそれに加えて、ブラシ先端部を有する波形ファイルは、2層構造を有してもよい(例えば、
図27Bに示す)。
【0158】
図28Bは、本発明の一実施形態による、波形ファイルの概略図である。任意選択的に、ファイルは(例えば、ブラシではなく)閉鎖先端部を含む。いくつかの実施形態では、波形ファイルは3層構造を有する(例えば、
図27Aに示す)。その代わりにまたはそれに加えて、波形ファイルは2層構造を有してもよい(例えば、
図27Bに示す)。
【0159】
いくつかの実施形態では、ファイル先端部は、根管に貫入する、及び/または根管を清掃することに供する閉鎖ファイル2811’である。例えば、ファイルのコアは、複数の撚線を有するケーブルを含むことができる。任意選択的に、ファイルの本体2807上で、コアは1つ以上の螺旋ワイヤ2804によって囲まれる。いくつかの実施形態では、コア及び/または螺旋ワイヤ2804は、同じ方向に巻き付けることができる。ファイルを一方向に回転させることで、螺旋ワイヤ2804を巻き付ける、及び/またはコアの巻線を締め付けることができる。これにより、根管へのファイルの貫入を容易にすることができる。任意選択的に、ファイルは、根管を清掃しながら、応力に抵抗させる、及び/または高速回転を容易にする多撚線構造を有することができる。ファイルの構造は、例えば、
図22、26A~26C及び/または27を参照して本明細書で記載されるような構造であってもよい。任意選択的に、ファイルは、歯科用ハンドピースに嵌合する近位アダプタ2802を含むことができる。例えば、ハンドピースは、5500~7500RPM、及び/または3000~5500RPM、及び/または2000~5500RPM、及び/または7500~11000RPMの速度でファイルを回転させることができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、ファイルの本体2807は、根管の外側部を清掃することができる。例えば、ファイルは非常に可撓性が高いため、根管内でホイップして及び/または屈曲して及び/または折り畳まれて、空間を充填する及び/または根管の壁を掻き取る、及び/または根管内の消毒流体を活性化することができる。任意選択的に、ファイル上の回転する螺旋巻線は、根管から歯垢を排出させることができる。任意選択的に、外側部の清掃は、根尖部の清掃と同時に行うことができる。任意選択的に、ファイルは、例えば
図22に示すように、偏心構造を有することができる。偏心構造は、例えば、ホイップ運動を生成して、根管の入口に近い大きな開放領域を清掃するために有益であり得る。その代わりにまたはそれに加えて、ファイルは蛇行幾何学形状を有することができる(例えば、
図28Bに示す)。例えば、蛇行構造は、ファイルの長さの全て及び/または大部分にわたって湾曲を含むことができる(例えば、静止状態では、ファイルの10%超、及び/または10~25%、及び/または25~50%、及び/または50~75%、及び/または5~10%及び/または2~5%を湾曲させることができる)。蛇行幾何学形状は、(例えば、歯科医がファイルをチャネルに押し込む際に)軸方向圧力下でファイルの弾性的な座屈を容易にすることができる。ファイルの弾性及び/または座屈は、軸方向力を緩和させて、ファイルの遠位点にかかる力を制限する(例えば、ファイルの遠位端部を根管から歯の周囲の敏感な組織内へ押し込むことを阻む)ことができる。ファイルに沿った座屈は、任意選択的に、根管の側部を充填するファイルの長さに沿ってファイルを外方に押すことができる。これは、根管の中間部(例えば、根尖部と外側部との間)を清掃する際に特に有用であり得る。任意選択的に、蛇行ファイルの弾性的な湾曲構造はまた、力を再分散させ、それにより、壁のある位置を押圧して座屈を引き起こした高局所側方力の一部が、ファイルに沿って分配されて別の位置での座屈を引き起こすことで、非常に大きな集中局所力が根管の壁に損傷及び/または衝撃を与えることを阻止する。任意選択的に、ファイル本体の湾曲部の曲率半径は、静止状態で、1~3mm、及び/または3~10mm、及び/または10~30mm、及び/または30~50mm、及び/または50~100mm、及び/または100~300mmの範囲内であり得る。任意選択的に、ファイルは、0.2~1mm、及び/または1~2mm、及び/または2~4mm、及び/または4~8mm、及び/または8~16mmの範囲内の曲率半径まで弾性的に座屈するのに十分可撓であり得る。
【0161】
図29は、本発明の一実施形態による、屈曲したファイルのブロック図である。いくつかの実施形態では、歯内療法ファイルは、例えば、歯科用ハンドピースに嵌合するように構成された近位ハンドル2902を含む。任意選択的に、ファイルは湾曲本体2904を含む。例えば、本体2904の湾曲は蛇行していてもよい、及び/または偏心していてもよい。任意選択的に、本体は、例えば、本明細書の先行する実施形態に記載するようにコア及び/または螺旋巻線を含むことができる。例えば、コアは複数の撚線のケーブルを含むことができる、及び/または螺旋巻線はコアを覆うことができる、及び/またはワイヤを含むことができる、及び/または粗コーティングを含むことができる。任意選択的に、ファイルの遠位部は、ブラシ2911を形成するように構成することができる。例えば、ブラシ2911は、螺旋巻線を遠位方向に超えて延在するコアケーブルの遠位部によって形成することができる。
【0162】
図30は、本発明の一実施形態による、根管の洗浄方法を示すフローチャートである。いくつかの実施形態では、湾曲可撓ファイル(例えば、先行する実施形態に記載される)を供給することができる3001。ファイルのハンドルは、任意選択的に、歯科用ハンドピースに装着される3002。ファイルの遠位ブラシは、根管の根尖部に挿入することができる3006。任意選択的に、ハンドル及び/またはファイルは、ハンドピースによって回転させられる3003、及び/または回転するファイルは、根管の根尖部及び/または根管の中間部及び/または外側部を同時に清掃することができる3008。例えば、ファイルのブラシは、根尖部で開いて、根管の壁を掻き取る及び/または消毒流体内に乱流を引き起こすことができる。例えば、ファイルの湾曲本体は、根管の外側部内部でホイップして及び/または座屈して、根管の壁を掻き取る、及び/または消毒流体内に乱流を引き起こすことができる。例えば、ファイルは、第1の方向に回転させながら挿入することができる3006、及び/または回転方向を逆転させて、ファイルの遠位端部で撚線を開いてブラシを形成する、及び/または根管の側部を清掃することができる3008。任意選択的に、軸方向力が加えられて、ファイルを座屈させ、根管の外側部分の側部を清掃することができる3008。
【0163】
図31は、本発明の一実施形態による、根管の清掃の2段階方法を示すフローチャートである。いくつかの実施形態では、偏心ファイル(例えば、先行する実施形態に記載する)は、根管の大まかな清掃3108のために使用され得、例えば、ファイルの偏心は、根管の外部の大きな開口内のホイップ及び/または清掃を向上させ得る3108。任意選択的に、偏心ファイルは、根管の根尖部を清掃するブラシを含むことができる3108。任意選択的に、外側部及び/または根尖部は、同時に清掃することができる3108。任意選択的に、蛇行ファイル(例えば、先行する実施形態に記載する)を使用して、根管を更に清掃することができる3109。例えば、蛇行ファイルの可撓座屈部は、根管の中間部(外部と根尖部の間)の清掃にとって有益であり得る3109。任意選択的に、蛇行ファイルは、根管の根尖部を清掃するためのブラシを含むことができる3109。任意選択的に、中間部及び/または根尖部は、同時に清掃することができる3109。
【0164】
図32は、本発明の一実施形態による、チャネルの洗浄方法を示す。本発明者は、場合によっては、逆回転が根管に損傷をもたらし得ることを観察した。例えば、外側巻線の巻上げ方向に対抗して外側巻線が回転すると、外側巻線の硬質ワイヤが突出する、及び/または根管に損傷を及ぼすことがある。いくつかの実施形態では、ブラシ及び/またはファイルは、逆回転なしで使用することができる。例えば、ブラシは、回転なしで挿入させることができる3206。任意選択的に、ファイルが根管の根尖部内のブラシと共に所定の位置に置かれると、ブラシを巻線の反対方向に回転させることができる3203。例えば、ブラシは、外側巻線の捩りの反対方向に捩ることができる。その代わりにまたはそれに加えて、ブラシは、外側巻線の捩りと同様の方向に捩ることができる。例えば、これにより、外側巻線を開くことなく、根管の根尖部を清掃するためのブラシを開くことができる。任意選択的に、外側巻線の側部は粗化させることができる、及び/または器具は偏心させ及び/または屈曲させて、例えば、根管の近位部の壁を清掃することができる。例えば、ブラシ及び/または外側巻線の側部は、回転及び/または根管からの後退3205中に根管を清掃することができる。
【0165】
図33は、本発明の一実施形態による、チャネルの清掃方法を示す。例えば、ブラシは、ブラシの巻きの反対方向に回転させながら3303、挿入することができる3306。その代わりにまたはそれに加えて、ブラシは、外側巻線の捩りと同様の方向に捩ることができる。例えば、ブラシは、外側巻線の捩りの反対方向に捩ることができる。いくつかの実施形態では、ブラシ及び/またはファイルは、逆回転なしに使用することができる。例えば、ブラシは、開く及び/または捩りの反対方向に回転する3306ときでも、根管の根尖部に進入できるほど可撓であり得る。例えば、ブラシは、外側巻線の捩りの反対方向に捩ることができる。例えば、これにより、根管の根尖部を清掃するために、外側巻線を開かずにブラシを開くことができる。任意選択的に、外側巻線の側部は粗化させることができる、及び/または器具は、例えば、根管の近位部の壁を清掃するために、偏心していてもよい、及び/または屈曲していてもよい。例えば、ブラシ及び/または外側巻線の側部は、回転3303及び/または根管からの後退3205及び/または根管への挿入3306中に根管を清掃することができる。
【0166】
図34は、本発明の一実施形態による、歯内療法ブラシ及び/またはファイルの製造方法を示す。例えば、コアを供給することができる3408、及び/または捩り方向に捩ることができる(任意選択的に、コアは、全ての撚線が単一方向に捩られたケーブル、及び/または撚線が様々な方向に捩られた複雑なケーブルを含むことができ、例えば、コアの捩り方向は、最も内側の捩られた撚線の捩り方向である)。任意選択的に、外側巻線は、コアの同じ捩り方向でコアに巻き付けられる3409。
【0167】
図35は、本発明の一実施形態による、歯内療法ブラシ及び/またはファイルの製造方法を示す。例えば、コアを供給することができる3408、及び/または捩り方向に捩ることができる(任意選択的に、コアは、全ての撚線が単一方向に捩られたケーブル、及び/または撚線が様々な方向に捩られた複雑なケーブルを含むことができ、例えば、コアの捩り方向は、最も内側の捩れた撚線の捩り方向である)。任意選択的に、外側巻線は、コアの捩り方向と反対方向にコアに巻き付けられる3509。
【0168】
本願から生じる特許の期間中、多数の関連する技術が開発されることが予測され、設計要素、分析ルーチン、ユーザデバイスに関する用語の範囲は、先験的にそのような新しい技術を全て含むことを意図する。
【0169】
別に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術的及び/または科学的用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に類似するまたは等価である方法及び材料を本発明の実施形態の実施または試験に際して使用することができるが、例示的方法または/及び材料を以下説明する。矛盾が生じる場合、定義を含む特許明細書が優先される。また、材料、方法及び実施例は単に例示的であり、必ずしも限定することを目的としていない。
【0170】
本明細書で使用されるとき、用語「約」は±10%を指す。
【0171】
用語「備える」、「備えて」、「含む」、「含んで」、「有する」、及びそれらの活用形は、「を含むがこれらに限定されない」を意味する。
【0172】
用語「からなる」は、「を含むがこれらに限定されない」を意味する。
【0173】
用語「から本質的になる」は、組成、方法、または構造が、追加の成分、工程、及び/または部が、請求される組成、方法、または構造の基本的かつ新規な特徴を著しく変更することがない限り、追加の成分、工程、及び/または部を含み得ることを意味する。
【0174】
本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別に明確に示されない限り、複数を含む。
【0175】
本願全体を通じて、本発明の各種実施形態は、範囲形式で提示されることがある。範囲形式での記載は単に便宜上及び簡潔にするためであると理解すべきであり、発明の範囲に対する不動の限定と解釈すべきではない。したがって、範囲の記載は、具体的に開示された全ての可能な部範囲だけでなく範囲内の個々の数値を含むと考えるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示された部範囲だけでなく1、2、3、4、5、及び6などの範囲内の個々の数を含むと考えるべきである。これは範囲の大きさにかかわらず適用される。
【0176】
数値範囲が本明細書で示される場合は常に、示される範囲内の全ての数値(分数または整数)を含むことを意味する。「第1の表示数と第2の表示数にわたる/それらの間の範囲」という表現と、「第1の表示数~第2の表示数の範囲」という表現は、本明細書では互換可能に使用され、第1及び第2の表示数、ならびにその間の全ての分数及び整数を含むことを意味する。複数の範囲が単独の変数に対して列挙される場合、範囲の組み合わせも含まれる(例えば、1~2及び/または2~4の範囲は、1~4の組み合わせた範囲も含む)。
【0177】
明瞭化のため、別々の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴は、単独の実施形態における組み合わせで提供されてもよいと理解される。逆に、簡潔化のため、単独の実施形態の文脈で記載される本発明の各種特徴は、別々に、または任意の適切な下位組み合わせで、または本発明の任意の他の記載される実施形態において適宜、提供されてもよい。各種実施形態の文脈で記載される特定の特徴は、それらの要素無しでは実施形態が不能でない限り、それらの実施形態の必須の特徴とみなすべきではない。
【0178】
本発明は具体的な実施形態と併せて説明したが、多数の変更、修正、変形が当業者にとって自明となることは明らかである。したがって、添付の請求項の精神及び概略的な範囲に属する上記全ての変更、修正、変形を包含することが意図される。
【0179】
本明細書に言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許または特許出願がそれぞれ引用により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示され、引用により本明細書に全文を組み込む。また、本願における参考文献の引用または特定は、本発明の従来技術として利用可能であることの承認と解釈されるべきではない。節の見出しが使用される程度まで、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
【国際調査報告】