(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】電磁情報マーカーを有するロッド形状のエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24C 5/01 20200101AFI20230606BHJP
【FI】
A24C5/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022563044
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2021061150
(87)【国際公開番号】W WO2021219730
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】レーブ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ディップストラーテン イェロン
(72)【発明者】
【氏名】ワフニチェク-ヴュリアン ジョアンナ
(72)【発明者】
【氏名】タヴ メルヤート
(72)【発明者】
【氏名】ピセッタ ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】スパゴヴィック ミレーラ
(72)【発明者】
【氏名】マノハラン ニティーン
(72)【発明者】
【氏名】レンティ パオロ
(72)【発明者】
【氏名】オプラスティル トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンクナス ヴァルダス
(72)【発明者】
【氏名】シャミエレック ブルーノ
【テーマコード(参考)】
4B144
【Fターム(参考)】
4B144CB11
4B144CG01
4B144CL07
4B144CM01
(57)【要約】
長手方向(11)に沿って一列にセグメント(3、5、7、9)を配置することと、第一のシート(13)をセグメント(3、5、7、9)の少なくとも一つの周りに巻くことと、第一のシート(13)と少なくとも部分的に重複するように、第二のシート(15)をセグメント(3、5、7、9)の少なくとも一つの周りに巻くこととを含み、第二のシート(15)を巻くとき、電磁情報マーカー(25)が生成され、電磁情報マーカー(25)が、第一のシート(13)上に提供された第一の構造(17)と、第二のシート(15)上に提供された第二の構造(21)とを含む、ロッド形状のエアロゾル発生物品(1)を製造する方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド形状のエアロゾル発生物品を製造する方法であって、
長手方向に沿って一列にセグメントを配置することと、
前記セグメントの少なくとも一つの周りに第一のシートを巻くことと、
前記第一のシートに少なくとも部分的に重複するように、前記セグメントの少なくとも一つの周りに第二のシートを巻くことと、を含み、
前記第二のシートを巻く際に、電磁情報マーカーが生成され、前記電磁情報マーカーが、前記第一のシート上に提供される第一の構造と、前記第二のシート上に提供される第二の構造とを含む、方法。
【請求項2】
前記第二のシートを巻く際に、前記第二の構造が、前記第一の構造と少なくとも部分的に重複するように位置付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の構造が第一のサブ構造を含み、前記第二の構造が第二のサブ構造を含み、各第一のサブ構造が、対応する第二のサブ構造と共に、サブマーカーとの磁気相互作用によって読み取られるように構成された前記サブマーカーを形成する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二のシートを巻いた後に、前記電磁情報マーカー上に情報を書き込むことをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記電磁情報マーカーが、前記電磁情報マーカーを交番磁界に曝露することによって読み取られるように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
複数のロッド形状のエアロゾル発生物品を作製する方法であって、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を複数回実施することを含み、前記第一の構造に対する前記第二の構造の位置決めが、前記作製されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部に対して異なる、方法。
【請求項7】
電磁情報マーカーを備え、前記電磁情報マーカーが、1ビットを超える情報コンテンツを有する情報を記憶する、ロッド形状のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記電磁情報マーカーが、前記エアロゾル発生物品の製造場所、前記エアロゾル発生物品の製造日、前記エアロゾル発生物品の製造時間、前記エアロゾル発生物品のタイプ、および検証情報のうちの一つ以上に関する情報を記憶する、請求項7に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記電磁情報マーカーが、第一の構造と、前記第一の構造と少なくとも部分的に重複する第二の構造を含む、請求項7または8に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記第一の構造または前記第二の構造が、第一の金属材料を含み、前記第一の構造と前記第二の構造の他方が、第二の金属材料を含み、前記第一の金属材料が、前記第二の金属材料よりも高い磁気保磁力を有する、請求項9に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記第一の構造または前記第二の構造が、磁気収縮を示す、請求項9または10に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記第一の構造が第一のサブ構造を含み、前記第二の構造が第二のサブ構造を含み、各第一のサブ構造が、対応する第二のサブ構造と共に、サブマーカーとの磁気相互作用によって読み取られるように構成された前記サブマーカーを形成する、請求項9~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記サブマーカーの各々が、残りのサブマーカーの磁気共鳴周波数とは異なる前記磁気共鳴周波数を有する、請求項12に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
エアロゾル発生システムであって、
特に請求項7~13のいずれか一項に記載の、ロッド形状のエアロゾル発生物品と、
前記エアロゾル発生物品を受容してエアロゾルの発生を可能にするように構成された電子ホルダと、を含み、
前記エアロゾル発生物品が電磁情報マーカーを含み、
前記電子ホルダが、前記電磁情報マーカーからデータを読み取るように構成されたデータリーダーを含む、エアロゾル発生システム。
【請求項15】
ロッド形状のエアロゾル発生物品の少なくとも二つのセグメントを組み合わせるための、および前記エアロゾル発生物品についての情報を記憶する電磁情報マーカーの金属構造の基体としての、シートの使用。
【請求項16】
前記金属構造が、前記シート上に印刷される、または前記シート上に蒸着される、または前記シート上に積層される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
追加のシートが前記セグメントの少なくとも一つの周りに巻かれ、前記電磁情報マーカーの追加的な金属構造の基体として使用される、請求項15または16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロッド形状のエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
EP1422168A1は、容器、容器内部に収容されたたばこ物品の群、および容器内部に収容された少なくとも一つの万引きマーカーを含む、たばこ物品のパッケージを記述する。万引きマーカーは、所与の共鳴周波数で共鳴する磁気共鳴手段を含む。万引きマーカーは、共鳴周波数と実質的に等しい周波数を有する磁界によって万引き検出器装置によって遠隔的に検出可能である。万引きマーカーは、磁気材料のセグメントと共に提供される支持要素を含む。万引きマーカーは、容器の異なる表面に接着されてもよい。あるいは、万引きマーカーは、たばこ物品の群において少なくとも一つの紙巻たばこに組み込まれてもよい。具体的には、万引きマーカーは、紙巻たばこのフィルターの内側に収容されてもよく、または紙巻たばこのフィルターの周りに巻かれてもよく、または接続ストリップによって支持されてもよく、または紙巻たばこのたばこのロッドの内側に収容されてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の態様によると、ロッド形状のエアロゾル発生物品を製造する方法が提供される。方法は、長手方向に沿って一列にセグメントを配置することを含む。方法は、セグメントの少なくとも一つの周りに第一のシートを巻くことをさらに含む。本方法は、第一のシートに少なくとも部分的に重複するように、セグメントの少なくとも一つの周りに第二のシートを巻くことをさらに含む。第二のシートを巻くと、電磁情報マーカーが生成される。電磁情報マーカーは、第一のシート上に提供される第一の構造と、第二のシート上に提供される第二の構造とを含む。
【0004】
電磁情報マーカーは、第二のシートをセグメントの少なくとも一つの周りに巻くことによって生成されるので、電磁情報マーカーの生成は、エアロゾル発生物品の既存の製造工程に容易に統合され得る。このようにして、有利には、電磁情報マーカーをエアロゾル発生物品に取り付けるための追加の手段を必要としない。第一のシートおよび第二のシートのうちの少なくとも一つは、セグメントのうちの一つ以上を覆うか、またはセグメントのうちの二つ以上を組み合わせるなど、エアロゾル発生物品中に別の機能を有することに加えて、第一の構造または第二の構造の基体として機能しうる。
【0005】
第二のシートが巻かれているセグメントの少なくとも一つは、第一のシートが巻かれているセグメントであってもよい。第一のシートと第二のシートとの間の重複は、セグメントの一方を少なくとも部分的に取り囲んでもよい。第二のシートが巻かれるセグメントは、第一のシートが巻かれるセグメントとは異なる場合がある。第一のシートと第二のシートとの間の重複は、セグメント間の間隔を囲むことができる。
【0006】
第二のシートを巻くとき、第二の構造は、第一の構造と少なくとも部分的に重複するように位置付けられてもよい。第一の構造と第二の構造との間の重複は、第一の構造と第二の構造との間の相互作用を容易にする。
【0007】
第一のシートを巻くステップおよび第二のシートを巻くステップの少なくとも一つは、二つ以上のセグメントを互いに接続しうる。第一のシートを巻くことと、第二のシートを巻くことの少なくとも一つは、三つ以上のセグメント、または四つ以上のセグメント、または六つ以上のセグメントを互いに接続しうる。第一のシートを巻くことと、第二のシートを巻くことの少なくとも一つは、20未満のセグメント、15未満のセグメント、10未満のセグメント、8未満のセグメント、または4未満のセグメントを互いに接続しうる。
【0008】
たばこロッドメーカーまたはフィルターロッドメーカーのような連続ロッドメーカーでは、第一のシートを巻くステップおよび第二のシートを巻くステップのうちの少なくとも一つは、(連続ロッドの作製が中断されるまで)ほぼ不定量のセグメントを接続することができ、その結果、少なくとも時間的に連結されたセグメントの上限は、数百万内にあってもよい。複数の第一の構造は、第一のシート上に間隔を置いて配置されてもよく、複数の第二の構造は、第二のシート上に対応する間隔を置いて配置されてもよい。第一のシートおよび第二のシートを巻く際に、複数の電磁情報マーカーが生成されてもよく、各々が第一の構造および第二の構造を含む。後の段階で、連続ロッドを分離して、個々の物品を形成してもよい。好ましくは、個々の物品の各々は、電磁情報マーカーのうちの一つ以上を含む。
【0009】
エアロゾル発生物品のセグメントを組み合わせて、電磁情報マーカーを生成することは、単一のプロセスステップで達成されうる。
【0010】
第二のシートを巻くことは、第一のシートを巻いた後に実施されてもよい。セグメントの少なくとも一つの周りに第二のシートを巻くステップは、第一のシートが少なくとも一つのセグメントの周りに完全に巻かれた後に実施されてもよい。
【0011】
セグメントの少なくとも一つの周りに第二のシートを巻くステップは、長手方向に沿って一列にセグメントを配置するステップの後に実施されうる。セグメントの少なくとも一つの周りに第一のシートを巻くステップは、長手方向に沿って一列にセグメントを配置するステップの後に実施されうる。別の方法として、セグメントの少なくとも一つの周りに第一のシートを巻くステップは、長手方向に一列にセグメントを配置するステップの前に実施されてもよい。
【0012】
第一の構造または第二の構造は、第一の金属材料を含んでもよく、または第一の金属材料から形成されてもよい。第一の構造および第二の構造の他方は、第二の金属材料を含んでもよく、または第二の金属材料から形成されてもよい。第一の金属材料は、金属構成要素を含んでもよい。第一の金属材料は、金属インクまたは金属ペーストを含んでもよい。第二の金属材料は、金属構成要素を含んでもよい。第二の金属材料は、金属インクまたは金属ペーストを含んでもよい。第一の金属材料または第二の金属材料、またはその両方は、金属系合金を含み得る。金属系合金は、マンガンを含んでもよい。金属系合金は、7~20重量パーセント、または9~18重量パーセント、または11~15重量パーセントでマンガンを含み得る。金属系合金は、少なくとも一つの強磁性材料を含んでもよい。金属系合金は、10重量パーセント未満、または8重量パーセント未満の少なくとも一つの強磁性材料を含み得る。金属系合金は、鉄(Fe)を含んでもよい。金属系合金は、コバルト(Co)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、およびアルミニウム(Al)のうちの一つ以上を含み得るか、またはそれらに基づいてもよい。
【0013】
第一の磁気材料は、第二の磁気材料とは異なる磁気保磁力を有してもよい。第一の磁気材料は、第二の磁気材料よりも高い磁気保磁力を有してもよい。材料の磁気保磁力は、材料が消磁することなく、外部磁界に耐える能力である。第二の金属材料の磁気保磁力は、10~90エルステッド(Oe)の範囲、または15~70エルステッド(Oe)の範囲にありうる。磁気保磁力は、例えば、約50~60キロヘルツ(kHz)での直流法を使用して測定されてもよい。
【0014】
電磁情報マーカーは、電磁情報マーカーを交番磁界に曝露することによって読み取られるように構成されうる。
【0015】
方法は、電磁情報マーカーを読み取ることをさらに含んでもよい。電磁情報マーカーを読み取ることにより、電磁情報マーカー上に記憶された情報を取得することができる。
【0016】
電磁情報マーカーを読み取ることは、電磁情報マーカーを交番磁界に曝露することを含みうる。交番磁界は、10ヘルツ(Hz)~20キロヘルツ(kHz)の範囲の周波数を有してもよい。電磁情報マーカーが交流電磁場に供される場合、情報マーカーは応答信号を発しうる。
【0017】
電磁情報マーカーを交番磁界に露出することは、交番磁界で周波数掃引を実施することを含み得る。交番磁界の周波数は、10ヘルツ(Hz)~20キロヘルツ(kHz)の範囲、または10ヘルツ(Hz)~20キロヘルツ(kHz)の範囲のサブレンジを通して掃引されてもよい。例えば、周波数掃引が実施される場合、電磁情報マーカーの一つまたは複数の共鳴周波数が決定されうる。
【0018】
電磁情報マーカーを読み取ることは、交番磁界に対する電磁情報マーカーの応答を検出することを含みうる。電磁情報マーカーの応答は、電磁場の形態であってもよい。電磁情報マーカーの応答は、電磁情報マーカーの共鳴周波数でもよい。
【0019】
電磁情報マーカーの交番磁界に対する応答の検出は、交番磁界に対する電磁情報マーカーの応答の有無を判定することを含みうる。電磁情報マーカーが、交流電磁場に対する応答を発するか、または交流電磁場に対する応答を発しないかを決定することによって、バイナリタイプの情報を取得することができる。
【0020】
電磁情報マーカーの交番磁界に対する応答の検出は、交番磁界に対する電磁情報マーカーの応答の少なくとも一つの周波数を決定することを含みうる。電磁情報マーカーの応答の周波数は、電磁情報マーカーの共鳴周波数に対応してもよい。電磁情報マーカーは、一つ以上の共鳴周波数を有してもよい。交番磁界に対する電磁情報マーカーの応答の周波数は、情報マーカー上に記憶された情報を成文化しうる。
【0021】
第一の構造は、第一のサブ構造を含んでもよい。第二の構造は、第二のサブ構造を含みうる。各第一のサブ構造は、対応する第二のサブ構造と共に、サブマーカーとの磁気相互作用によって読み取られるように構成されたサブマーカーを形成してもよい。サブ構造は、例えば、ドット形状または長方形形状またはストライプ形状であってもよい。一つ以上の第一のサブ構造は、サイズもしくは形状またはサイズおよび形状において、一つ以上の他の第一のサブ構造とは異なる場合がある。一つ以上の第二のサブ構造は、サイズもしくは形状またはサイズおよび形状の一つ以上の他の第二のサブ構造とは異なっていてもよい。
【0022】
電磁情報マーカーの各サブマーカーは、少なくとも一つの共鳴周波数を有してもよい。一つ以上のサブマーカーの共鳴周波数は、一つ以上の他のサブマーカーの共鳴周波数とは異なってもよい。電磁情報マーカーを読み取ることは、電磁情報マーカーのサブマーカーの各々を個々に読み取ることを含みうる。サブマーカーの数を増やすことによって、電磁情報マーカーの情報記憶容量を増大させることができる。
【0023】
方法は、電磁情報マーカー上に情報を書き込むことをさらに含みうる。電磁情報マーカー上に情報を書き込むステップは、第二のシートを巻いた後に実施されうる。電磁情報マーカーへ情報を書き込むことは、エアロゾル発生物品の製造中、またはエアロゾル発生物品の製造が完了した後に実施されうる。
【0024】
電磁情報マーカーに情報を書き込むことは、電磁情報マーカーを直流(DC)磁界に供することを含みうる。DC磁界は、ゼロヘルツ(Hz)の周波数を有する磁界である。
【0025】
方法は、第一の構造を第一のシート上に印刷すること、または第一の構造を第一のシート上に蒸着させること、または第一の構造を第一のシート上に積層することをさらに含みうる。
【0026】
方法は、第二の構造を第二のシート上に印刷すること、または第二の構造を第二のシート上に蒸着させること、または第二の構造を第二のシート上に積層することをさらに含みうる。
【0027】
ロッド形状のエアロゾル発生物品を製造する方法は、複数のロッド形状のエアロゾル発生物品を作製するために複数回実施されてもよい。第一の構造に対する第二の構造の位置付けは、作製されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部に対して異なってもよい。第一の構造に対する第二の構造の位置付けを変更することによって、電磁情報マーカーの共鳴周波数を変更しうる。第二の構造が第一の構造に対してどのように位置付けられるかは、複数のロッド形状のエアロゾル発生物品の製造中に随時変更されうる。第一の構造に対する第二の構造の相対的位置付けに基づいて、個々のエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の特定ロットに起因する場合がある。
【0028】
本発明の別の態様によると、ロッド形状のエアロゾル発生物品も提供される。ロッド形状のエアロゾル発生物品は、電磁情報マーカーを含む。電磁情報マーカーは、1ビットを超える情報内容を有する情報を記憶する。
【0029】
電磁情報マーカーによって記憶される情報は、装置が起動状態であるか停止状態であるか、万引きマーカーの起動状態または停止状態などのみに基づいて、装置から取得された情報よりも高い情報内容を有する。エアロゾル発生物品の電磁情報マーカーは、特定の複雑さを有する情報を記憶することを可能にする。電磁情報マーカーは、エアロゾル発生物品の一部であるため、電磁情報マーカー上に記憶された情報は、個々のエアロゾル発生物品から入手可能である。電磁情報マーカーによって記憶される情報は、個々のエアロゾル発生物品についての情報を含みうる。
【0030】
エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル発生物品はたばこ材料を含んでもよい。長手方向に沿ったエアロゾル発生物品の長さは、1センチメートル(cm)~20センチメートル(cm)、または2センチメートル(cm)~15センチメートル(cm)、または4センチメートル(cm)~12センチメートル(cm)の間であってもよい。
【0031】
電磁情報マーカーは、エアロゾル発生物品の製造場所、エアロゾル発生物品の製造日、エアロゾル発生物品の製造時間、エアロゾル発生物品のタイプ、および検証情報のうちの一つ以上に情報を記憶してもよい。製造場所に関する情報は、例えば、国に関する情報または特定の工場の情報を含みうる。製造日に関する情報は、年に関する情報、月に関する情報、および製造された日に関する情報のうちの一つ以上を含み得る。エアロゾル発生物品のタイプに関する情報は、例えば、物品番号などのエアロゾル発生物品のタイプに対応するコードを含みうる。検証情報は、エアロゾル発生物品の信頼性の検証を可能にしうる。電磁情報マーカー上の情報は、他の情報と相関または比較され得る。他の情報は、例えば、エアロゾル発生物品の包装に提供されうる。
【0032】
電磁情報マーカーは、第一の構造および第二の構造を含んでもよい。第二の構造は、第一の構造と少なくとも部分的に重複してもよい。
【0033】
第一の構造または第二の構造は、第一の金属材料を含んでもよい。第一の構造および第二の構造の他方は、第二の金属材料を含んでもよい。第一の金属材料は、第二の金属材料よりも高い磁気保磁力を有してもよい。
【0034】
第一の構造または第二の構造は、磁気収縮を示しうる。磁気収縮は、磁化プロセス中に、磁気材料の形状または寸法を変化させる磁気材料の特性である。第一の構造または第二の構造が磁気収縮を示す場合、外部磁界の適用は、第一の構造または第二の構造の形状または寸法を変更する。これは、検出され得る磁気応答をもたらし得る。電磁情報マーカーによって記憶される情報は、第一の構造または第二の構造の応答によって表されてもよい。
【0035】
第一の構造は、第一のサブ構造を含んでもよい。第二の構造は、第二のサブ構造を含みうる。各第一のサブ構造は、対応する第二のサブ構造と共に、サブマーカーとの磁気相互作用によって読み取られるように構成されたサブマーカーを形成しうる。
【0036】
サブマーカーの各々は、残りのサブマーカーの磁気共鳴周波数とは異なる磁気共鳴周波数を有してもよい。
【0037】
エアロゾル発生物品は、ロッド形状のエアロゾル発生物品の長手方向に沿って配置されたセグメントを含んでもよい。エアロゾル発生物品は、セグメントの少なくとも一つの周りに巻いた第一のシートを含んでもよい。エアロゾル発生物品は、セグメントの少なくとも一つの周りに巻かれ、かつ第一のシートに少なくとも部分的に重複する第二のシートを含んでもよい。第一の構造は、第一のシート上に提供されてもよい。第二の構造は、第二のシート上に提供されてもよい。
【0038】
電磁情報マーカー上に記憶された情報の少なくとも一部は、再書き込み可能であってもよい。電磁情報マーカー上に記憶された情報の少なくとも一部は、電磁情報マーカーとの磁気相互作用によって書き換え可能であってもよい。
【0039】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生システムは、ロッド形状のエアロゾル発生物品および電子ホルダを含む。電子ホルダは、エアロゾル発生物品を受容して、エアロゾルの発生を可能にするように構成される。エアロゾル発生物品は、電磁情報マーカーを含む。電子ホルダは、電磁情報マーカーからデータを読み取るように構成されたデータリーダーを含む。
【0040】
電磁情報マーカーは、エアロゾル発生物品に直接情報を記憶することを可能にする。データリーダーを電子ホルダに組み込むことにより、電磁情報マーカーからデータを読み取るための別個の装置の必要性が排除される。電磁情報マーカーからのデータは、データリーダーを介して電子ホルダに利用可能にすることができる。電磁情報マーカーからのデータは、電子ホルダによって処理されてもよい。電子ホルダの動作は、電磁情報マーカーからのデータに基づいて制御されてもよい。
【0041】
データリーダーは、エアロゾル発生物品が電子ホルダに少なくとも部分的に受容された時に、電磁情報マーカーからデータを読み取るように構成されうる。データを読み取る時、エアロゾル発生物品は、電子ホルダ内で、エアロゾルを発生する際に要求されるのと同じ、または実質的に同じ方法で受容されうる。
【0042】
電子ホルダは、ユーザ入力を受信するように構成され、ユーザ入力に応答して、データリーダーによって電磁情報マーカーからデータを読み取るようにトリガするように構成される、入力デバイスを備えてもよい。入力デバイスは、例えば、ボタンまたはスイッチを備えてもよい。
【0043】
データリーダーは、エアロゾル発生物品を電子ホルダに挿入すると、電磁情報マーカーからデータを読み取るように構成されうる。電子ホルダは、電子ホルダへのエアロゾル発生物品の挿入を検出し、電子ホルダへのエアロゾル発生物品の挿入時に電子情報マーカーからデータを読み取るようにデータリーダーをトリガするセンサーを備えてもよい。
【0044】
データリーダーには、電磁情報マーカーからデータを読み取るために交番磁界を発生するように構成されたコイルを含みうる。
【0045】
コイルはまた、エアロゾル発生物品を加熱して、エアロゾルの発生を可能にするように構成されてもよい。同じコイルが、エアロゾル発生物品の加熱および電磁情報マーカーからのデータの読み取りに使用される場合、コストを低減することができる。
【0046】
データリーダーは、交番磁界で周波数掃引を実施するように構成されうる。
【0047】
データリーダーは、交番磁界に対する電磁情報マーカーの応答を検出するように構成されうる。
【0048】
本発明の別の態様によれば、ロッド形状のエアロゾル発生物品の少なくとも二つのセグメントを組み合わせるための、およびエアロゾル発生物品についての情報を記憶する電磁情報マーカーの金属構造の基体としての、シートの使用が提供される。
【0049】
金属構造は、シート上に直接形成されてもよい。
【0050】
金属構造は、例えば、シート上に印刷されてもよく、またはシート上に蒸着されてもよく、またはシート上に積層されてもよい。
【0051】
追加のシートは、セグメントの少なくとも一つの周りに巻かれてもよい。追加のシートは、電磁情報マーカーの追加的な金属構造のための基材として使用されうる。
【実施例】
【0052】
以下に、本発明に関する非限定的な実施例の非網羅的なリストが提供される。これらの実施例の特徴のうちの任意の一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0053】
実施例A1:
ロッド形状のエアロゾル発生物品を製造する方法であって、
長手方向に沿って一列にセグメントを配置することと、
セグメントの少なくとも一つの周りに第一のシートを巻くことと、
第一のシートに少なくとも部分的に重複するように、セグメントの少なくとも一つの周りに第二のシートを巻くことと、を含み、
第二のシートを巻く際に、電磁情報マーカーが生成され、電磁情報マーカーが、第一のシート上に提供される第一の構造と、第二のシート上に提供される第二の構造とを含む、方法。
実施例A2:
第二のシートを巻く際に、第二の構造が、第一の構造と少なくとも部分的に重複するように位置付けられる、実施例A1に記載の方法。
実施例A3:
第一のシートを巻くことと、第二のシートを巻くことの少なくとも一つが、セグメントのうちの二つ以上を互いに接続する、実施例A1またはA2に記載の方法。
実施例A4:
第二のシートを巻くことが、第一のシートを巻いた後に実施される、実施例A1~A3のいずれか一つに記載の方法。
実施例A5:
第一の構造または第二の構造が、第一の金属材料を含み、第一の構造および第二の構造の他方が、第二の金属材料を含み、第一の金属材料が、第二の金属材料よりも高い磁気保磁力を有する、実施例A1~A4のいずれか一つに記載の方法。
実施例A6:
電磁情報マーカーを読み取ることをさらに含む、実施例A1~A5のいずれか一つに記載の方法。
実施例A7:
電磁情報マーカーを読み取ることが、電磁情報マーカーを交番磁界に曝露することを含む、実施例A6に記載の方法。
実施例A8:
電磁情報マーカーを交番磁界に曝露することが、交番磁界で周波数掃引を実施することを含む、実施例A7に記載の方法。
実施例A9:
電磁情報マーカーを読み取ることが、交番磁界に対する電磁情報マーカーの応答を検出することを含む、実施例A7またはA8に記載の方法。
実施例A10:
電磁情報マーカーの交番磁界への応答を検出することが、電磁情報マーカーの交番磁界への応答の有無を決定することを含む、実施例A9に記載の方法。
実施例A11:
電磁情報マーカーの交番磁界への応答を検出することが、電磁情報マーカーの交番磁界への応答の少なくとも一つの周波数を決定することを含む、実施例A9または実施例A10に記載の方法。
実施例A12:
第一の構造が第一のサブ構造を含み、第二の構造が第二のサブ構造を含み、各第一のサブ構造が、対応する第二のサブ構造と共に、サブマーカーとの磁気相互作用によって読み取られるように構成されたサブマーカーを形成する、実施例A1~A11のいずれか一つに記載の方法。
実施例A13:
第二のシートを巻いた後に電磁情報マーカー上に情報を書き込むことをさらに含む、実施例A1~A12のいずれか一つに記載の方法。
実施例A14:
電磁情報マーカー上に情報を書き込むことが、情報マーカーをDC磁界に供することを含む、実施例A13に記載の方法。
実施例A15:
第一の構造を第一のシート上に印刷すること、または第一の構造を第一のシート上に蒸着させること、または第一の構造を第一のシート上に積層させることをさらに含む、実施例A1~A14のいずれか一つに記載の方法。
実施例A16:
第二の構造を第二のシート上に印刷すること、または第二の構造を第二のシート上に蒸着すること、または第二の構造を第二のシート上に積層することをさらに含む、実施例A1~A15のいずれか一つに記載の方法。
実施例A17:電磁情報マーカーが、電磁情報マーカーを交番磁界に曝露することによって読み取られるように構成される、実施例A1~A16のいずれか一つに記載の方法。
実施例A18:
実施例A1~A17のいずれか一つに記載の方法を複数回実施することを含み、第一の構造に対する第二の構造の位置決めが、少なくとも製造されるエアロゾル発生物品の一部について異なっている、複数のロッド形状のエアロゾル発生物品を作製する方法。
実施例B19:
電磁情報マーカーを備え、電磁情報マーカーが、1ビットを超える情報コンテンツを有する情報を記憶する、ロッド形状のエアロゾル発生物品。
実施例B20:
電磁情報マーカーが、エアロゾル発生物品の製造場所、エアロゾル発生物品の製造日、エアロゾル発生物品の製造時間、エアロゾル発生物品のタイプ、および検証情報のうちの一つ以上に関する情報を記憶する、実施例B19に記載のエアロゾル発生物品。
実施例B21:
電磁情報マーカーが、第一の構造および第一の構造と少なくとも部分的に重複する第二の構造を含む、実施例B19またはB20に記載のエアロゾル発生物品。
実施例B22:
第一の構造または第二の構造が、第一の金属材料を含み、第一の構造および第二の構造の他方が、第二の金属材料を含み、第一の金属材料が、第二の金属材料よりも高い磁気保磁力を有する、実施例B21に記載のエアロゾル発生物品。
実施例B23:
第一の構造または第二の構造が磁気収縮を示す、実施例B21またはB22に記載のエアロゾル発生物品。
実施例B24:第一の構造が第一のサブ構造を含み、第二の構造が第二のサブ構造を含み、各第一のサブ構造が、対応する第二のサブ構造と共に、サブマーカーとの磁気相互作用によって読み取られるように構成されたサブマーカーを形成する、実施例B21~B23のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例B25:
サブマーカーの各々が、残りのサブマーカーの磁気共鳴周波数とは異なる磁気共鳴周波数を有する、実施例B24に記載のエアロゾル発生物品。
実施例B26:
エアロゾル発生物品が、ロッド形状のエアロゾル発生物品の長手方向に沿って配置されたセグメント、セグメントの少なくとも一つの周りに巻かれた第一のシート、及びセグメントの少なくとも一つの周りに巻かれ、かつ第一のシートと少なくとも部分的に重複する第二のシートを含み、第一の構造が第一のシート上に提供され、第二の構造が第二のシート上に提供される、実施例B21~B25のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例B27:
電磁情報マーカー上に記憶される情報の少なくとも一部が書き換え可能である、実施例B19~B26のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例C28:
エアロゾル発生システムであって、
特に実施例B19~B27のいずれか一つに記載の、ロッド形状のエアロゾル発生物品と、
エアロゾル発生物品を受容してエアロゾルの発生を可能にするように構成された電子ホルダと、を含み、
エアロゾル発生物品が電磁情報マーカーを含み、
電子ホルダが、電磁情報マーカーからデータを読み取るように構成されたデータリーダーを含む、エアロゾル発生システム。
実施例C29:
データリーダーが、使い捨てエアロゾル発生物品が電子ホルダ内に少なくとも部分的に受容される時に、電磁情報マーカーからデータを読み取るように構成される、実施例C28に記載のエアロゾル発生システム。
実施例C30:
データリーダーが、電子ホルダへの使い捨てエアロゾル発生物品の挿入時に電磁情報マーカーからデータを読み取るように構成される、実施例C28またはC29に記載のエアロゾル発生システム。
実施例C31:
データリーダーが、電磁情報マーカーからデータを読み取るために交番磁界を発生するように構成されたコイルを含む、実施例C28~C30のいずれか一つに記載のエアロゾル発生システム。
実施例C32:
コイルがまた、エアロゾルの発生を可能にするためにエアロゾル発生物品を加熱するように構成される、実施例C31に記載のエアロゾル発生システム。
実施例C33:
データリーダーが、交番磁界で周波数掃引を実施するように構成される、実施例C28~C32のいずれか一つに記載のエアロゾル発生システム。
実施例C34:
データリーダーが、交番磁界に対する電磁情報マーカーの応答を検出するように構成される、実施例C28~C33のいずれか一つに記載のエアロゾル発生システム。
実施例D35:
ロッド形状のエアロゾル発生物品の少なくとも二つのセグメントを組み合わせるための、およびエアロゾル発生物品についての情報を記憶する電磁情報マーカーの金属構造の基体としての、シートの使用。
実施例D36:
金属構造がシート上に直接形成される、実施例D35に記載の使用。
実施例D37:
金属構造がシート上に印刷される、またはシート上に蒸着される、またはシート上に積層される、実施例D35またはD36に記載の使用。
実施例D38:
追加のシートが、セグメントの少なくとも一つの周りに巻かれ、電磁情報マーカーの追加的な金属構造の基体として使用される、実施例D35~D37のいずれか一つに記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0054】
ここで、以下の図を参照しながら本発明に関する実施例をさらに説明する。
【0055】
【
図1】
図1は、一実施形態によるロッド形状のエアロゾル発生物品の製造工程の概略図を示す。
【
図2】
図2は、電磁情報マーカーの位置における、
図1の実施形態によるエアロゾル発生物品の第一のシートおよび第二のシートを通る概略断面図を示し、断面平面は、エアロゾル発生物品の長手方向に平行である。
【
図3】
図3は、別の実施形態によるロッド形状のエアロゾル発生物品の製造工程の概略図を示す。
【
図4】
図4は、電子ホルダが、エアロゾル発生物品を加熱するための、および電磁情報マーカーからデータを読み取るための別個のコイルを備える一実施形態による、エアロゾル発生システムの概略図を示す。
【
図5】
図5は、エアロゾル発生物品を加熱し、電子情報マーカーからデータを読み取るための共通コイルを有する電子ホルダを有する一実施形態による、エアロゾル発生システムの概略図を示す。
【
図6】
図6は、一実施形態によるエアロゾル発生物品を製造するための製造装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、一実施形態による、ロッド形状のエアロゾル発生物品1を製造する方法の概略図を示す。エアロゾル発生物品1は複数のセグメント3、5、7、9を備える。図示した実施形態では、エアロゾル発生物品1は、四つのセグメント3、5、7、9を含む。しかしながら、異なる数のセグメントが可能である。セグメント3、5、7、9は、ロッド形状であってもよい。図示したセグメントは、エアロゾル発生物品のマウスピースを含むマウスピースセグメント3、ディフューザを含むディフューザセグメント5、たばこ材料を含むたばこ材料セグメント7、および一部の実施形態では、エアロゾル発生物品の熱源、およびエアロゾル発生物品のキャップを含むキャップセグメント9を含む。セグメント3、5、7、9は、長手方向11に沿って一列に配置される。
【0057】
図1の第一のセクションに示されるように、第一のシート13は、セグメント3、5、7、9の周りに巻かれ、セグメント3、5、7、9が組み合わされる。第一のシート13は、ホイルを含んでもよい。第一のシート13は、紙を含んでもよい。第一のシート13は、金属化または積層されてもよい。
【0058】
第一のシート13がセグメント3、5、7、9の周りに巻かれた後、第二のシート15が熱源セグメント7およびキャップセグメント9の周りに巻かれる。第二のシート15は、第一のシート13の上に巻かれる。第二のシート15は、ホイルを含んでもよい。第二のシート15は、紙を含みうる。第二のシート15は、金属化または積層されてもよい。
【0059】
第一の構造17は、第一のシート13上に提供されている。図示した実施形態では、第一の構造17は、三つのサブ構造19を備える。三つのサブ構造19は、第一のシート13を巻いた後に、セグメント3、5、7、9の中心軸の周りに平行な円を形成するように配向された平行な線またはストライプとして形成される。第一の構造17は、第一のシート13をセグメント3、5、7、9の周りに巻く前に、第一のシート13上に形成されうる。第一の構造17は、第一のシート13上に印刷、蒸着、または積層されてもよい。第一の構造17は、第一のシート13と一体である。図示した実施形態では、第一の構造17は、第一のシート13がセグメント3、5、7、9の周りに巻かれた後に、セグメント3、5、7、9から離れて面する第一のシート13の側面である、第一のシート13の外面上に提供されている。しかしながら、第一の構造17または一つ以上の第一のサブ構造19は、代替的に、セグメント3、5、7、9に面する第一のシート13の内側面上に提供されてもよい。
【0060】
第二の構造21は、第二のシート15上に提供される。図示した実施形態では、第二の構造21は、三つの第二のサブ構造23を備える。第二の構造21は、第二のシート15をセグメント7、9の周りに巻く前に、第二のシート15上に形成されてもよい。第二の構造21は、第二のシート15上に印刷、蒸着、または積層されてもよい。第二の構造21は、第二のシート15と一体型である。図示した実施形態では、第二の構造21は、第二のシート15の外面上に提供され、これは、第二のシート15がセグメント7、9の周りに巻かれた後に、セグメント7、9から離れて面する第二のシート15の側面である。しかしながら、第二の構造21または一つ以上の第二のサブ構造23は、代替的に、セグメント7、9に面する第二のシート15の内面上に提供されてもよい。
【0061】
第二の構造21は、第二のシート15をセグメント7、9の周りに巻いた後、第二の構造21が第一の構造17と重なるように、第二のシート15上に位置する。特に、各第二のサブ構造23は、対応する第一のサブ構造19と重複している。図示した実施形態では、第二のサブ構造23の形状およびサイズは、第一のサブ構造19の形状およびサイズに対応する。しかしながら、第一のサブ構造19および第二のサブ構造23に対して異なる形状を有することもできる。第一の構造17および第二の構造21は、第一のシート13および第二のシート15を巻いた後に接触しうる。別の方法として、第一の構造17および第二の構造21は、第一のシート13および第二のシート15を巻いた後には触れない場合がある。第一の構造17および第二の構造21は、互いに間隔を置いてもよい。
【0062】
第一の構造17または第二の構造21は、第一の金属材料を含んでもよく、または第一の金属材料から形成されてもよい。第一の構造17および第二の構造21の他方は、第二の金属材料を含んでもよく、または第二の金属材料から形成されてもよい。第一の金属材料は、金属構成要素を含んでもよい。第一の金属材料は、金属インクまたは金属ペーストを含んでもよい。第二の金属材料は、金属構成要素を含んでもよい。第二の金属材料は、金属インクまたは金属ペーストを含んでもよい。第一の金属材料または第二の金属材料、またはその両方は、金属系合金を含み得る。金属系合金は、マンガンを含んでもよい。金属系合金は、7~20重量パーセント、または9~18重量パーセント、または11~15重量パーセントでマンガンを含み得る。金属系合金は、少なくとも一つの強磁性材料を含んでもよい。金属系合金は、10重量パーセント未満、または8重量パーセント未満の少なくとも一つの強磁性材料を含み得る。金属系合金は、鉄(Fe)を含んでもよい。金属系合金は、コバルト(Co)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、およびアルミニウム(Al)のうちの一つ以上を含み得るか、またはそれらに基づいてもよい。
【0063】
図2は、第一のシート13および第二のシート15がセグメント3、5、7、9の周りに巻かれた後の、第一のシート13および第二のシート15を通る概略的な部分断面図を示し、断面平面は長手方向に平行である。
図2に示すように、第二のシート15上に提供された第二のサブ構造23の各々は、第一のシート13上に提供された第一のサブ構造19の対応する一つと重複している。第一の構造17および第二の構造21は共に情報マーカー25を形成する。
図1および2の実施形態では、情報マーカー25は、三つのサブマーカー27を含む。各サブマーカー27は、第一のサブ構造19および対応する第二のサブ構造23を含む。特定のサブマーカー27の第一のサブ構造19および対応する第二のサブ構造23は、互いに重複する。
【0064】
図3は、別の実施形態による、ロッド形状のエアロゾル発生物品1の製造を示す。
図1および
図2の実施形態に関して、選択された差異のみを記載する。
図3の実施形態では、電磁情報マーカー25は、一つのサブマーカー27のみを備える。第一のシート13上に提供される第一の構造17は、一つの第一のサブ構造19のみを備える。第二のシート15上に提供される第二の構造21は、一つの第二のサブ構造23のみを含む。第一のシート13および第二のシート15が巻かれた時、第二の構造21は第一の構造17と重複するように位置付けられる。第一の構造17および第二の構造21は、
図3の実施形態で同一のサイズおよび形状である。しかしながら、第一の構造17および第二の構造21もまた、サイズまたは形状が異なってもよいと考えられる。
図3の実施形態では、第一のシート13がセグメント3、5、7、9の周りに巻かれた後、セグメント3、5、7、9に向かって内側に面する第一のシート13の側面上に第一の構造17が提供される。
図3の実施形態では、第二のシート15がセグメント3、5、7、9の周りに巻かれた後、セグメント3、5、7、9から外向きに面する第二のシート15の側面に第二の構造21が提供される。
図2の実施形態では、第二のシート15は、四つのセグメント3、5、7、9すべての周りに巻かれる。
【0065】
図4は、エアロゾル発生物品1および電子ホルダ33を含む、エアロゾル発生システム31を示す。エアロゾル発生物品1は、電子ホルダ33に挿入された挿入位置で示されている。エアロゾル発生物品1は、
図1に示すエアロゾル発生物品1、または
図3に示すエアロゾル発生物品1であってもよい。電子ホルダ33は、エアロゾル発生物品1を受容するための受容開口部35を有する。ホルダ33は、エアロゾル発生物品1を加熱することによって発生されるエアロゾルを排出するためのエアロゾル開口部37をさらに備える。さらに、電子ホルダ33は、エアロゾルを発生するエアロゾル発生物品1を加熱するためのヒーター39を含む。図示した実施形態では、ヒーター39は電気ヒーターであり、加熱コイルを含む。エアロゾルをフィルタリングするためのフィルター要素41が、受容開口部35とエアロゾル開口部37との間に提供される。電子ホルダ33は、ヒーター39の動作を制御する制御ユニット43を備える。電子ホルダ33は、エアロゾル発生物品1の電磁情報マーカー25からデータを読み取るように構成されたデータリーダー45をさらに備える。データリーダー45は、交番磁界を発生するように構成されたコイルを備える。データリーダー45は、制御ユニット43によって制御されてもよい。
【0066】
一実施形態によれば、第一の構造17は、第二の構造21よりも高い磁気保磁力を有し、スイッチング構造と呼ばれ、より低い磁気保磁力を有する第二の構造21は、スイッチ構造と呼ばれる。別の実施形態によれば、第二の構造21は、第一の構造17よりも高い磁気保磁力を有し、スイッチング構造と呼ばれ、より低い磁気保磁力を有する第一の構造17は、スイッチ構造と呼ばれる。
【0067】
スイッチ構造17、21の各サブ構造19、23は、起動状態と停止状態との間で切り替えられてもよい。起動状態では、特定のサブマーカー27のスイッチサブ構造19、23は、データリーダー45によって発生された交番磁界にサブマーカー27の共鳴周波数で供された場合、検出可能な電磁応答を発する。サブマーカー27の共鳴周波数は、それぞれ異なるものであってもよく、サブマーカー27を個別に読み取ることを可能にする。データリーダー45が発生する交番磁界に対するサブマーカー27による応答は、データリーダー45によって検出されうる。制御ユニット43は、データリーダー45を制御して、サブマーカー27の各々について、サブマーカー27が、起動状態(交番磁界に応答する)であるか、または停止状態(交番磁界に応答しない)であるかを決定してもよい。このアプローチに基づいて、電磁情報マーカー25は、サブマーカー27と同数のビットの情報内容に対応する情報を記憶しうる。
【0068】
追加情報は、個々のサブマーカー27の共鳴周波数でコード化されてもよい。サブマーカー27は、特定の共鳴周波数で交番磁界に応答するように特別に設計されてもよい。特定のサブマーカー27の共鳴周波数は、周波数の範囲にわたって周波数掃引を実施し、どの周波数でサブマーカー27からの応答を受信するかを検出することによって、データリーダー45によって決定されうる。サブマーカー27の共鳴周波数は、第二のシート15に対する第一のシート13の正確な位置決め、および第一の構造17と第二の構造21の特定の形状および材料組成物に依存しうる。
【0069】
スイッチ構造17、21は、磁気収縮を示しうる。この場合、スイッチ構造17、21が、データリーダー45によって、スイッチ構造17、21の固有共鳴周波数で交番磁界に供される場合、スイッチ構造17、21はその形状またはサイズを変更する。特に、スイッチ構造17、21は、スイッチ構造17、21の共鳴周波数に対応する速度で、定期的にその形状またはサイズを変更してもよい。スイッチ構造17、21のサイズおよび形状の変化は、電磁応答信号の放射につながる。電磁応答信号の放射は、スイッチ構造17、21のサイズおよび形状の継続的な変化により、データリーダー45による交番磁界がもはや発生されなくなった後、短期間継続し得る。
【0070】
電磁情報マーカー25は、エアロゾル発生物品1についての情報を記憶しうる。例えば、電磁情報マーカー25は、エアロゾル発生物品1の製造場所、エアロゾル発生物品1の製造日、エアロゾル発生物品1の製造時間、エアロゾル発生物品1のタイプ、および検証情報のうちの一つ以上についての情報を記憶してもよい。電磁情報マーカー25上の情報は、電子ホルダ33の動作を改善するために、電子ホルダ33の制御ユニット43によって使用されうる。例えば、制御ユニット43は、電磁情報マーカー25上に記憶されたデータに由来するエアロゾル発生物品1のタイプに基づいて、エアロゾル発生物品1の加熱を制御してもよい。制御ユニット43は、電子情報マーカー25上の検証情報が有効であると判定された場合のみ、電子ホルダ33を制御して、エアロゾル発生物品1の加熱を開始してもよい。制御ユニット43は、情報マーカー25上に記憶された製造日または賞味期限などの日付が所定の範囲内である場合にのみ、エアロゾル発生物品1の加熱を開始してもよい。
【0071】
電子ホルダ33は、外部装置または外部ネットワークと通信するように構成されうる。電子ホルダ33は、電磁情報マーカー25から得られた情報を外部装置または外部ネットワークに送信しうる。
【0072】
電子ホルダ33は、ユーザ入力を受信するように構成され、ユーザ入力に応答してデータリーダー45によって電磁情報マーカー25からデータを読み取るようにトリガするように構成される、入力装置48を備えてもよい。入力デバイスは、例えば、ボタンまたはスイッチを備えてもよい。
【0073】
別の方法として、または追加的に、データリーダー45は、エアロゾル発生物品1を電子ホルダ33に挿入すると、電磁情報マーカー25からデータを読み取るように構成されうる。電子ホルダ33は、電子ホルダ33へのエアロゾル発生物品1の挿入を検出し、電子ホルダ33へのエアロゾル発生物品1の挿入時に電子情報マーカー25からデータを読み取るようにデータリーダー45をトリガするセンサー50を備えてもよい。
【0074】
図5は、代替的な電子ホルダ33を示す。
図5に示す電子ホルダ33は、
図4に示す電子ホルダ33とほぼ同じである。しかしながら、
図5の実施形態では、ヒーター39のコイルは、制御ユニット43によって制御され、データリーダー45の機能をも果たすため、データリーダー45に起因する別個のコイルは不要である。
【0075】
個々のサブマーカー27の状態を、起動から停止または停止から起動に変更することによって、データは、電磁情報マーカー25上に新たに書き込まれてもよく、または電子情報マーカー25上のデータは、書き換えられてもよい。サブマーカー27の状態は、それぞれのサブマーカー27に対応するスイッチング構造17、21のサブ構造19、23をDC磁界に当てることによって変更することができる。DC磁界の電界強度は、サブ構造19、23の磁化を永久的に変化させるほど十分に高くてもよい。サブマーカー27の停止状態では、サブマーカー27のスイッチングサブ構造19、23は、サブマーカー27のスイッチサブ構造19、23がデータリーダー45からの交番磁界に続いて、それによって交番磁界への応答を発することを防止するように、磁化されてもよい。別の方法として、サブマーカー27のスイッチングサブ構造19、13を停止状態にすることは、データリーダー45によって検出されうる、サブマーカー27のスイッチサブ構造19、13の共鳴周波数を変えることができる。
【0076】
実施形態によれば、情報は、エアロゾル発生物品1の製造工程中に電磁情報マーカー25に書き込まれる。例えば、
図6に図示するように、エアロゾル発生物品1の一つまたは複数の製造ステップを実施するための製造装置51に、一つまたは複数の書き込み装置49が提供されてもよい。
図6に示す実施形態では、第一の書き込み装置49は、エアロゾル発生物品1またはエアロゾル発生物品1の前駆体生成物が搬送される直線経路を囲むコイル53を含む。コイル53は、DC磁界を発生しうる。コイル53を通過するエアロゾル発生物品1またはエアロゾル発生物品1の前駆体生成物は、DC磁界に供され、それによって、電磁情報マーカー25に情報が書き込まれうる。
【0077】
図6はまた、エアロゾル発生物品1またはエアロゾル発生物品1の前駆体生成物を回転式に搬送するためのドラム装置に統合された第二の書き込み装置49を示す。ドラム装置は、エアロゾル発生物品1またはエアロゾル発生物品1の前駆体生成物を搬送するための二つの回転ドラムを含む。回転ドラムの最初の一つは、エアロゾル発生物品1またはエアロゾル発生物品1の前駆体生成物を、移動領域の第二のドラムに与えるように構成される。移動領域では、第一のドラムのコイルと第二のドラムのコイルが合致して、電磁情報マーカー25への書き込みが可能になる。
【0078】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはAのA±10%として理解される。
【国際調査報告】