(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】マットレス組立品の周囲の第一のガスを検出する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61G 7/047 20060101AFI20230607BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
A61G7/047
A61B5/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022567520
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2021061737
(87)【国際公開番号】W WO2021224266
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】リップ トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ラジャン トニー モーゼズ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C040
【Fターム(参考)】
4C038SU18
4C038SU19
4C038SV00
4C038SX11
4C040AA17
4C040GG15
(57)【要約】
本発明は、第一のガスを検出するシステムに関し、システムは、支持表面を画定するマットレス組立品であって、第一のガスセンサーアレイであって、第一のアレイの各ガスセンサーが、支持表面の一部分の周囲の第一のガスの量を測定するように適合されていて、かつ第一のガスの測定された量を示すデータを出力するように適合されていて、それによって、支持表面の表面部分の第一のアレイ中の第一のガスの量が経時的に感知される、第一のガスセンサーアレイと、第一のガスの測定された量を示すデータを含む信号を外部装置に送信するように適合された送信器と、含む、マットレス組立品を備える、システム。本発明はまた、第一のガスを検出する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のガスを検出するシステムであって、前記システムが、
‐支持表面を画定するマットレス組立品であって、
・第一のガスセンサーアレイであって、前記第一のアレイの各ガスセンサーが、前記支持表面の一部分の周囲の第一のガスの量を測定するように適合されていて、かつ前記第一のガスの前記測定された量を示すデータを出力するように適合されていて、それによって、前記支持表面の表面部分の第一のアレイ中の前記第一のガスの前記量が経時的に感知される、第一のガスセンサーアレイと、
・前記第一のガスの前記測定された量を示すデータを含む信号を外部装置に送信するように適合された送信器と、含む、マットレス組立品を備える、システム。
【請求項2】
前記支持表面上に位置する時、身体の部位の位置を検出するように適合された一つ以上の位置センサーを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第一のガスセンサーアレイが、前記一つ以上の位置センサーによって検出された前記身体の前記部位の前記位置の前記周囲の前記第一のガスの量を測定するように適合されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一のガスセンサーアレイが、一酸化炭素、二酸化炭素、メタンチオール、硫化水素といったガスのうちの一つ以上を測定するように適合されている、請求項1~3の一項以上に記載のシステム。
【請求項5】
前記マットレス組立品が、
‐前記支持表面を画定するカバー層と、
‐前記第一のガスセンサーアレイを含むセンサー層であって、前記センサー層が前記カバー層の下方に位置している、センサー層と、を備える、請求項1~4の一項以上に記載のシステム。
【請求項6】
前記第一のガスセンサーアレイが、電気的に接続されたガスセンサーの複数のストリップを含む、請求項1~5の一項以上に記載のシステム。
【請求項7】
請求項2に従属する時、前記一つ以上の位置センサーが、
‐温度センサーと、
‐重量センサーと、
‐カメラと、のうちの一つ以上を備える、請求項1~6の一項以上に記載のシステム。
【請求項8】
前記第一のガスセンサーアレイが、
‐共通の基体と、
‐前記共通の基体に取り付けられた複数のガスセンサーと、を備える、請求項1~7の一項以上に記載のシステム。
【請求項9】
第一のガスを検出する方法であって、前記方法が、
‐支持表面を画定するマットレス組立品を提供することと、
‐前記支持表面において、第一の表面部分アレイを識別することと、
‐前記第一の表面部分アレイのそれぞれの前記表面部分の周囲に存在する第一のガスの量を検出することと、
‐前記第一のガスの前記測定された量を示すデータを含む信号を外部装置に送信することと、を含む、方法。
【請求項10】
‐前記支持表面上の身体を位置付けることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
‐前記支持表面上で位置付けられた前記身体の部位の前記位置を検出することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
‐前記身体の前記検出された部位が、前記第一の表面部分アレイのどの表面部分に位置するかを決定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第一のガスの量を検出する前記工程が、
‐前記マットレス組立品に統合された第一のガスセンサーアレイを形成すること、を含む、請求項9~12の一項以上に記載の方法。
【請求項14】
第一のガスセンサーアレイを形成する前記工程が、
‐共通の基体上に前記第一のガスセンサーアレイを形成するために、適切な材料をインク印刷すること、スパッタリングすること、または蒸着すること、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
‐前記支持表面の前記周囲の前記第一のガスの濃度の二次元マップを形成することを含む、請求項9~14の一項以上に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレス組立品の周囲の第一のガスを検出する方法およびシステムに関し、本方法およびシステムは、マットレス組立品によって画定された支持表面の異なる場所におけるガス濃度を検出しうる。
【背景技術】
【0002】
呼吸器系または呼吸の問題に関連する発症のため、睡眠者の健康状態をモニターすることが重要である可能性がある。さらに、睡眠者の健康状態をモニターすることは、胃腸系の問題または発熱などの症状を伴う感染症など、他の健康問題のため、重要である可能性がある。
【0003】
睡眠中の人の健康状態をモニターするためのシステムおよび方法は当技術分野において知られている。これらのシステムは、所与のパラメータをモニターするために、例えばカメラ、赤外線源、または温度センサーおよび湿度センサーなどの様々なセンサーを使用する。こうしたセンサーを使用することは、身体の動き、体温、または睡眠時の姿勢などの特定のパターンをモニターすることを可能にする。他者は、接続された警報装置によって監視の結果について通知されることができる。しかしながら、多くの周知のシステムは、単一のタイプの分析によるため、あまり正確ではない。さらに、多くの場合、睡眠中の身体の近くに置かれるウェアラブルセンサー(ブレスレットなど)は、人の動きのせいで、誤解を招く監視結果を生む場合がある。
【0004】
従って、例えば睡眠中に睡眠者の健康状態をモニターできるように、身体の環境を正確にモニターすることが可能である、信頼できる監視システムおよび方法を利用できるようにすることが望ましいであろう。さらに、これらの監視センサーをベッドまたはマットレスに誤って設置するリスクを最小化することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
一態様によると、本発明は、第一のガスを検出するシステムに関し、システムは、支持表面を画定するマットレス組立品を備える。マットレス組立品は、第一のガスセンサーアレイを含んでもよく、第一のアレイの各ガスセンサーは、支持表面の一部分の周囲の第一のガスの量を測定するように適合されていて、かつ第一のガスの測定された量を示すデータを出力するように適合されていて、それによって、支持表面の表面部分の第一のアレイ中の第一のガスの量が経時的に感知される。マットレス組立品は、第一のガスの測定された量を示すデータを含む信号を外部装置に送信するように適合された送信器を含んでもよい。
【0006】
本発明の方法において、支持表面の複数の場所の周囲の第一のガスの濃度を測定できるように、複数のガスセンサーが使用される。このようにして、身体が支持表面上に位置する場合、ガスセンサーの測定に不備がある可能性があるものの、その他の測定は依然として、正確な結果を提供しうる。さらに、複数の場所での第一のガスの濃度を測定することは、例えば他の場所よりも高い第一のガスの消費または放出に起因して、例えば身体の頭部などの様々な身体部位の位置を決定することを可能にしうる。また、経時的に記録された時、例えば酸素または二酸化炭素などの特定のガスの濃度の局所的変動から、睡眠者の呼吸周期が確立されてもよい。
【0007】
本発明のシステムはマットレス組立品を含む。マットレス組立品は単一の要素であってもよい。この場合、システムのすべての構成要素は、マットレスの一体的部分である。その一方でマットレス組立品は、単一の要素以上の要素を含んでもよい。例えば、マットレスは、マットレスと、マットレスから分離されているマットレストッパーとを含んでもよい。
【0008】
マットレス組立品は、単一の部品であろうが複数の部品であろうが、支持表面を画定する。マットレス組立品がマットレスおよびマットレストッパーに分割されている場合、支持表面はマットレストッパー上に画定されていることが好ましい。支持表面は、身体が睡眠または休息活動のために横たわる表面である。身体は人体または動物体であってもよい。支持表面は標準的な表面であることが好ましく、すなわちマットレス表面の幾何学的形状を有してもよい。支持表面はマットレスの上面を含んでもよい。好ましくは、支持表面は長方形の形状を有する。好ましくは、支持表面の寸法は標準的なマットレス表面の寸法であり、例えば成人用マットレスの場合、支持表面の幅は、80センチメートル~200センチメートルから成ってもよい。支持表面の長さは、例えば190センチメートル~220センチメートルから成ることができる。他の場合において、支持表面の寸法は、幅が70センチメートル~90センチメートルから成ることが好ましく、長さが90センチメートル~140センチメートルから成ることが好ましい。支持表面は複数の表面を含んでもよい。例えば、支持表面は、互いに近接して位置付けられた二つ以上のマットレスの頂面の組み合わせによって形成されることができる。例えば、二つの単一のマットレスは、二重のマットレスを形成するために互いに隣り合って位置してもよく、支持表面は二つの単一のマットレスの両方の頂面を含む。さらに、支持表面は、マットレスの完全な頂面と合致する必要はない。例えば、二つの単一のマットレスは、二重のマットレスを形成するために互いに隣り合って位置してもよく、支持表面はマットレスの二つの頂面のうちの一つのみを含んでもよい。
【0009】
マットレス組立品は第一のガスセンサーアレイを含む。第一のアレイの各ガスセンサーは、所定の場所での第一のガスの量(例えば第一のガスの濃度)を測定するように適合されている。第一のガスの量が測定される場所は、支持表面の一部分の周囲である。支持表面は、幾つかの部分に分割され、第一の表面部分アレイを形成するものと見なされうる。表面部分の数は、支持表面のサイズに依存しうる。表面部分の数は、システムから望まれる精度に依存しうる。表面部分の数は、ガスセンサーの数に依存しうる。好ましくは、支持表面の一部のまたはすべての表面部分に、第一のガスセンサーアレイが関連付けられている。それ故にガスセンサーは、関連付けられた支持表面の表面部分の周囲の第一のガスの量を測定するように適合されている。従って、ガスセンサーは、支持表面のこの部分の周囲の第一のガスの濃度を測定するように適合されていて、これは、支持表面の部分を側部として有する容積内の第一のガスの濃度を測定することを意味する。支持表面が分割される表面部分の数は、1平方メートル当たり25~1600個であることが好ましい。好ましくは、支持表面の表面部分は、互いに異なる面積を有してもよい。例えば、より広い部分が支持表面の境界に存在してもよく、その一方でより小さい部分が支持表面の中心の近くに存在してもよい。このようにして、身体が見いだされる確率が最も高い場所で、より高い精度を達成しうる。
【0010】
第一のガスセンサーアレイは、一定のペースで一つのセンサーをその他のセンサーから分離する、規則的な構成で分布されてもよい。第一のガスセンサーアレイは、単一の平面上にあってもよい。第一のガスセンサーアレイは、マットレス組立品内に位置してもよい。好ましくは、第一のガスセンサーアレイは、支持表面の下にあってもよい。
【0011】
好ましくは、第一のガスセンサーアレイから、データを収集することが可能であり、このデータから、支持表面での第一のガスの濃度の二次元(2D)マップまたは表を取得することができる。2Dマップにおいて、支持表面の第一のアレイのそれぞれの表面部分に、または一部の表面部分にのみ、第一のガスセンサーアレイのうちの一つによって測定される第一のガス濃度の値が関連付けられうる。このようにして、濃度の値はそのような濃度が測定された位置と関連付けられているため、収集されたデータは「位置依存的」である。支持表面内の2センチメートル~15センチメートルの距離に位置する2つの点の間の第一のガス濃度変動(存在する場合)を決定することが可能であるように、2センチメートル~15センチメートルから成る解像度が好ましい。
【0012】
2Dマップまたは表は、支持表面の第一のアレイの一つ以上の表面部分における第一のガスの濃度が変化しうるという事実に起因して、時間的に変化するマップとすることができる。支持表面の第一のアレイの一つ以上の表面部分における第一のガスの濃度は、時間経過とともに変化してもよく、時間経過とともに起こるこの変化は、一つ以上の表面部分においてのみ起こる場合があり、他の部分において起こらない場合がある。例えば、人の頭部が支持表面の特定の表面部分に位置付けられている場合、その人の呼吸に起因して、酸素または二酸化炭素の量は時間経過とともに変化しうる。
【0013】
2Dマップは、身体が支持表面上に横たわっている時、一つ以上の身体部位の位置を決定するためのツールとして使用されてもよい。例えば、経時的に、支持表面の第一のアレイの一つまたは二つの表面部分の周囲においてのみ、空気中の酸素濃度(第一のガス)が変化することを、2Dマップから決定することができる。例えば、経時的に、支持表面の第一のアレイの一つまたは二つの表面部分の周囲においてのみ、空気中の二酸化炭素(CO2)濃度(第一のガス)が変化することを、2Dマップから決定することができる。従って、その場所において、すなわち第一のガスの変化が識別される第一のアレイの一つ以上の表面部分に対応する場所において、人の頭部が存在することを決定することができる。例えば、周囲空気中の硫化水素(H2S)濃度が、支持表面の特定の表面部分に対応する、単一の場所で変化する場合、その表面部分において、身体の下半身が位置する可能性があることを決定することができる。
【0014】
第一のガスの濃度をチェックすること、および時間経過とともに起こる第一のガスの濃度の変動をチェックすることは、一つ以上の身体部位の位置を決定することを可能にしうる。特定の表面部分における(または複数の表面部分においてであるが、すべての表面部分においてではない)第一のガスの濃度の変動は、その特定の表面部分において、第一のガス濃度を変化させる能力のある身体の部位が存在することを示しうる。
【0015】
システムは制御ユニットを含んでもよい。制御ユニットは、第一のガスセンサーアレイから来るデータを受信して精緻化するように適合されている。制御ユニットはマットレス組立品に含まれてもよい。制御ユニットはマットレス組立品の外部であってもよい。制御ユニットは、2D濃度マップまたは表を生成する役割を担ってもよい。制御ユニットは、第一のガスセンサーアレイによって測定された第一のガス量についてのデータが送信される外部装置に含まれてもよい。
【0016】
システムはまた、第一のガス濃度についてのデータを含む信号を送信するように適合された送信器を含む。データを含む信号は外部装置によって受信される。データは、第一のアレイ内のすべてのガスセンサーによって測定された、すべての第一のガス濃度についての情報を含んでもよい。このように、例えば外部装置は、上述の2Dマップまたは表を作成してもよい。データは、第一のアレイ内の一部のガスセンサーのみによって測定された濃度についての情報を含んでもよい。例えば、最大または最小の第一のガス濃度のみが送信される。データは、第一のアレイ内のガスセンサーのうちの一つのみによって測定される濃度についての情報を含んでもよい。例えば、特定の身体部位が位置する第一のアレイの表面部分に関連付けられたガスセンサーによって測定された第一のガス濃度のみが送信されてもよい。
【0017】
制御ユニットはまた、第一のガスセンサーアレイのサンプリング頻度を制御してもよい。ガスセンサーの第一のアレイは、所与の頻度で第一のガスの濃度を測定し得る。サンプリング頻度と呼ばれるこの頻度は、可変であってもよく、制御ユニットによって設定されてもよい。サンプリングが行われる頻度は、第一のアレイのすべてのガスセンサーで同じであってもよく、または可変であってもよい。ガスセンサーのサンプリング頻度は、ガスセンサーの位置に応じて変化してもよい。ガスセンサーのサンプリング頻度は、ガスセンサーが関連付けられている表面部分(および好ましくはこの表面部分の支持表面内の場所)に応じて変化してもよい。ガスセンサーが、頭部が位置する表面部分と関連付けられている場合、例えばそのガスセンサーのサンプリング頻度は、足が位置する表面部分と関連付けられたガスセンサーのサンプリング頻度よりも高くてもよい。
【0018】
制御ユニットは、第一のガスセンサーアレイから来るデータを精緻化してもよい。制御ユニットは、時間経過とともに第一のガス濃度の変化がある表面部分を決定してもよい。制御ユニットは、身体部位がどの表面部分に存在するかを、これらの表面部分における第一のガス濃度の変動に基づいて決定してもよい。
【0019】
信号は、精緻化の後に送信されてもよい。例えば、信号は、制御ユニットによる精緻化の後に送信されてもよい。精緻化は、閾値との比較であってもよい。信号は、第一のガスセンサーアレイの一つによって検出された第一のガスの濃度が、特定の閾値を上回るまたは下回る場合に送信されてもよい。閾値は、予め設定された閾値であり、濃度が測定される第一のガスのタイプに依存することが好ましい。
【0020】
制御ユニットは、メモリユニットおよび中央処理装置(CPU)を含んでもよい。制御ユニットは、第一のガスセンサーアレイによって送信されたデータを記憶および分析しうる。制御ユニットはまた、異なるユーザーに異なるデータが関連付けられるように、データを特定のユーザーに関連付けてもよい。ユーザーの要求に応じて、CPUはデータを分析してもよく、評価報告書が送信器によって外部装置に送信されてもよい。
【0021】
信号は、一つ以上の条件が検証された場合にのみ、送信器によって送信されてもよい。異なる条件が設定されてもよい。条件は例えば、閾値との比較であってもよい。例えば、信号は、第一のガスの第一のアレイの一つ以上のガスセンサーによって測定される第一のガスの濃度が、第一の閾値を上回るまたは下回る場合に送信される。別の条件は時間比較であってもよい。信号は、第一のガスの濃度が所定の時間よりも長い時間にわたり、閾値を上回るまたは下回る場合に送信されてもよい。別の条件は、第一のガス濃度が取られる場所であってもよい。例えば、信号は、第一のガスの濃度が支持表面の特定の表面部分に関連付けられたガスセンサーから来る場合に送信される。条件の組み合わせも使用されてもよい。
【0022】
送信される信号は、精緻化されなくてもよく、第一のガスセンサーアレイによって取られた測定の生データのみを含んでもよい。信号は、第一のガスセンサーアレイのうちの一つのみによって行われた測定についてのデータを含んでもよく、または選択したガスセンサーまたはすべてのガスセンサーによって行われた測定のデータを含んでもよい。
【0023】
データは、外部装置によって受信された時に精緻化されうる。例えば、閾値との比較、または時間との比較、またはデータ元の決定は、外部装置で行われうる。
【0024】
閾値との比較は、支持表面上に横たわる人に対する潜在的リスクを検出するために有用でありうる。複数の閾値との比較も行われてもよい。比較は、第一の閾値および第二の閾値を用いて行われてもよく、第一の閾値は第二の閾値と異なる。例えば、第一のガスの濃度が第一の閾値を上回るまたは下回る場合、信号が送信される。濃度が第二の閾値を上回るまたは下回る場合、信号は、こうした濃度が、少なくとも所与の時間間隔にわたり、第二の閾値を上回るまたは下回る場合にのみ送信される。例えば、第一のガスがCO2である場合、第一の閾値が設定されてもよく、これは例えば、13.000ppmに等しい。第一のガスセンサーアレイによって測定されるCO2の濃度が第一の閾値を上回る場合、窒息のリスクが存在しうる。警報信号は、システムによって外部装置に送信されてもよい。この警報信号は、支持表面上の人について注意を促す通知をしてもよい。既にCO2濃度のレベルがより低い(例えば12.000~13.000ppmの範囲内の第二の閾値よりも低い)場合、一定時間にわたり持続すると、睡眠障害または慢性不眠症につながる可能性がある。それによって、第二の閾値が、ある一定の時間よりも長く超過した場合、信号は外部装置に送信されることが可能であり、支持表面上の人の睡眠障害の可能性を警告する。一酸化炭素(CO)のような別の特性ガスも、窒息事故または他の健康問題の指標としての役割を果たしうる。人が吐き気および嘔吐に悩まされている時、窒息のリスクも存在しうる。この嘔吐は、その人の気道を塞ぐ可能性があり、窒息のリスクをもたらしうる。本発明のシステムは、例えば大気と接触している時、特性ガス状混合物(例えばメルカプタン/硫化物(RSH)混合物)を形成するであろう乳酸を含む胃液混合物を検出しうる。第一のアレイの一つ以上のガスセンサーによって測定されるRSH濃度が第一の閾値を上回る場合(例えばRSH>0.6ppmの濃度である場合)、信号が送信されてもよい。また、より低いRSH濃度レベル(例えば0.1~0.5ppmの範囲内の第二の閾値よりも低いレベル)は、この濃度が一定時間にわたり持続する場合、胃腸の問題を示しうる。それによって、信号は、第二の閾値が特定の時間よりも長く超過する場合に外部装置(例えば医師、親、家族または看護スタッフの電話)に送信されることができ、今後の健康問題について医師、親、家族または看護スタッフに警告しうる。信号はまた、ガス濃度が安全範囲外である場合に、支持表面上の人を覚醒させるか、または警告するために使用されてもよい。測定値は、ユーザーが後でそれらを見直して、睡眠者が支持表面上に横たわっていた間に、選択された範囲外のガス濃度のデータがあったかどうかを自己評価できるように、記録または保存されうる。
【0025】
排便などの追加的な生理学的効果も、本発明のシステムによって検出されうる。例えば、第一のセンサーアレイを使用して、周囲空気中の硫化水素(H2S)濃度を測定することができる。硫化水素の量が第一の閾値よりも低い(例えば第一の閾値は2ppmに等しい)場合、信号が外部装置に送信される。例えば、睡眠者のおむつを制御するために、助言が与えられうる。H2S濃度のレベルが低い(例えば0.1~1.0ppmの範囲内の第二の閾値より低い)ことは、胃腸の問題を示す場合がある。
【0026】
閾値はまた、測定された第一のガス濃度に関連付けられた表面部分の場所に応じて変化しうる。特定の表面部分において、対象の身体部位が存在すると判定された場合、その特定の表面部分に関連付けられたセンサーによって測定されたガス濃度と比較される第一のガス濃度の閾値は、他の表面部分に関連付けられたセンサーによって測定されたガス濃度と比較される閾値と異なる場合がある。
【0027】
システムからのデータは、特定の頻度で外部装置に送信されてもよい。別の方法として、信号は、条件が満たされた時にのみ送信されてもよい。条件は、閾値との比較の結果とすることができる。頻度は調整可能であってもよい。
【0028】
外部装置は、システムの外部にあることが好ましい。外部装置は、システムを操作するように、またはシステムと通信するように構成された任意のタイプの装置であってもよい。好ましくは、外部装置は、無線環境で動作・通信するように適合された装置である。例として、外部装置は、無線信号を送信または受信するように構成されていてもよく、外部装置にはユーザー機器、移動端末、固定または携帯加入者ユニット、ポケットベル、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、iPhone、ノートパソコン、ネットブック、パーソナルコンピュータ、無線センサー、消費者電子機器、当技術分野で周知のその他の送信器/受信器が挙げられてもよい。外部装置は人に、または機械にも接続されることができる。
【0029】
第一のガスの濃度は経時的に測定される。好ましくは、ガス濃度を検出する工程と、第一のガスの濃度を表す信号を外部装置に送信することとは反復される。反復は所与の頻度で行われてもよい。反復は時間間隔中に行われてもよい。好ましくは、時間間隔は予め選択される。検出の工程および送信の工程のこの反復は、第一のガス濃度の変動が経時的に存在するかどうかを検証することを可能にする。言及した通り、これらの変動は、身体部位が支持表面のどの表面部分に位置するかを決定することを可能にしうる。
【0030】
従って、本発明のシステムは、支持表面の異なる表面部分における濃度を測定するための第一のセンサーアレイの存在に起因して、人の身体が横たわることができる、支持表面の周囲のガス濃度の検出において信頼性が非常に高い。このようにして、支持表面上の人にとって潜在的に有害な状態が検出され、危害が防止されることができる。さらに、異なる表面部分における第一のガスの濃度の測定は、異なる身体部位がその周囲の第一のガス濃度に及ぼす異なる効果を有しうるため、支持表面上の異なる身体部位の場所を識別するために使用されてもよい。時間経過とともに第一のガスの濃度を測定することはまた、「局所的な」ガス濃度の変化を検出することを可能にし、これはさらに、様々な身体部位の位置を検出することを可能にしうる。
【0031】
好ましくは、システムは、支持表面上に位置する時、身体の部位の位置を検出するように適合された一つ以上の位置センサーを備える。好ましくは、位置センサーはマットレス組立品に統合されている。位置センサーは、身体部位の場所、より好ましくは複数の身体部位の場所を特定しうる。身体部位は、支持表面上に横たわる身体の部位である。一つ以上の身体部位の位置の検出は、第一のガスセンサーアレイから来る信号の精緻化を簡略化するのに役立つ場合があり、これは、第一のガス濃度の変化が支持表面のどの表面部分で期待されうるかが既に知られているためである。身体部位は、例えば身体の頭部であってもよい。身体部位は、例えば下半身であってもよい。
【0032】
好ましくは、第一のガスセンサーアレイは、一つ以上の位置センサーによって検出された身体の部位の位置の周囲の第一のガスの量を測定するように適合されている。特定の身体部位の局在化は、第一のガスセンサーアレイから来る信号を精緻化するのに役立ちうる。第一のガス濃度の変化が、どこで(すなわち、支持表面のどの表面部分で)起こりうるかを既に知っていることは、読み取りの誤差を最小化するのに役立ちうる。また、各ガスセンサーの場所に応じて、第一のガスセンサーアレイから来る様々な信号を異なる方法で重み付けするのに役立ちうる。例えば、身体の頭部が存在する支持表面の表面部分に関連付けられたガスセンサーからの測定値は、他の身体部位が存在する表面部分からの測定値よりも重要である。システムの精度および応答性は改善されうる。
【0033】
好ましくは、第一のガスセンサーアレイは、一酸化炭素、二酸化炭素、メタンチオール、硫化水素といったガスのうちの一つ以上を測定するように適合されている。好ましくは、二酸化炭素、一酸化炭素、メタンチオールは、人の頭部の周囲で測定される。好ましくは、第一のセンサーアレイから来る第一のガス濃度に関連する信号は、下記の閾値と比較される。
【表1】
【0034】
警報信号は、上記の条件の一つ以上が満たされた時、すなわち第一のガス濃度が第一のガスに関連付けられた閾値を上回るまたは下回る時、システムから外部装置に送信されてもよい。別の方法として、信号が送信され、外部装置は、センサーの第一の組によって測定された濃度と、第一のガスに関連付けられた閾値との間の比較を実行する。外部装置は、第一のガス濃度が、第一のガスに関連付けられた閾値を上回るまたは下回る場合に、警報信号を発生しうる。特定の身体部位が検出される場合、システムまたは外部装置は、特定の身体部位に近接して位置するガスセンサーから来る信号をその他の信号と異なるように重み付けしうる。
【0035】
好ましくは、マットレス組立品は、支持表面を画定するカバー層を含む。好ましくは、マットレス組立品は、第一のガスセンサーアレイを含むセンサー層を含み、センサー層はカバー層の下に位置する。カバー層は、支持表面を含むという事実に起因して、カバー層に横たわっている時に人体にとって「快適」であるように設計されていることが好ましい。好ましくは、カバー層は、通過する第一のガスの流れをカバー層が遮断しないように、第一のガスに対して透過性である。このようにして、第一のガスセンサーアレイは、カバー層の下方に位置する第一のガス濃度を測定することができる。好ましくは、カバー層は、通気性の発泡構造を有する。カバー層は、熱可塑性のポリウレタンを含んでもよい。それによって、第一のガスは、熱可塑性ポリウレタンの高い蒸気透過性によってセンサー層に到達しうる。好ましくは、カバー層は可撓性である。好ましくは、カバー層は、2ミリメートル~15ミリメートルから成る厚さ、より好ましくは6ミリメートル~10ミリメートルから成る厚さを有する。
【0036】
センサー層は第一のガスセンサーアレイを含む。好ましくは、第一のアレイ内のガスセンサーは、規則的に間隔が置かれている。好ましくは、センサー層は複数のセンサー素子を含み、複数のセンサー素子の各センサー素子は、ガスセンサーを含む。次に、感知素子は、センサー層を形成するように相互に取り付けられている。感知素子は、相互に同一の幾何学的形状であってもよい。感知素子は、相互に「タイル構造」で取り付けられてもよい。好ましくは、一つ以上の間隔要素が、感知素子の間に挟まれてもよい。それ故に、センサー層は、層(センサー層)を形成するために、互いに接続されたセンサー素子および間隔要素を含んでもよい。好ましくは、間隔要素は、ガスセンサーなしで、感知素子と同じ幾何学的形状を有する。好ましくは、センサー素子または間隔要素、またはその両方は、六角形構造を有する。それ故に、センサー層は、結果として生じるハニカム構造を有しうる。
【0037】
センサー層はプラスチック層であってもよく、より好ましくは可撓性のプラスチック層であってもよい。好ましくは、感知素子はプラスチックで形成されている。センサー層は、穿孔を含んでもよい。好ましくは、感知素子は可撓性のプラスチックで形成されている。「可撓性」とは、センサー層が好ましくは、その上に横たわる人に「快適さ」をもたらすことを意味する。それ故に、センサー層上に位置する身体の重量に適応することが好ましい。感知素子は、少なくとも一つのガスセンサーを含むが、そのサイズに応じて、複数のガスセンサーを含んでもよい。感知素子は、異なるタイプのガスセンサー、例えば異なるガスの濃度を測定するガスセンサーを含んでもよい。好ましくは、ガスセンサーは、インク印刷、スパッタリング、または蒸着によって感知素子上に形成されている。感知素子は、材料を保存するために、かつ最終的に入ってくる液体が感知素子を通過することを許容するために、穿孔を備えてもよい。
【0038】
間隔要素はまた、プラスチック、より好ましくは可撓性のプラスチックで実現されてもよい。
【0039】
マットレス組立品の上面図で、第一のアレイの各ガスセンサーは、支持表面の表面部分に関連付けられることが好ましい。支持表面の表面部分は、上面図の表面部分の下に位置付けられたガスセンサーを包囲する円であってもよい。それ故に、支持表面は、第一の表面部分アレイに分割されてもよく、各表面部分には、その表面部分の下に位置するガスセンサーが関連付けられている。
【0040】
第一のアレイ内のガスセンサーは、互いに電気的に接続されてもよい。これらのガスセンサーは、クラスタを成して互いに電気的に接続されてもよい。例えば、第一のガスセンサーアレイは、ガスセンサーストリップに分割されてもよい。ガスセンサーストリップは、互いに平行に位置付けられてもよい。
【0041】
センサー層は、第一のセンサー層および第二のセンサー層を含んでもよい。第一のセンサー層は、第一のガスの濃度を測定するように適合された第一のガスセンサーアレイを含む。第二のセンサー層は、第二のガスの濃度を測定するように適合された第二のガスセンサーアレイを含む。好ましくは、第一のガスセンサーアレイの第一の層と第二のガスセンサーアレイの第二の層とは、一方が他方の上方に位置してもよい。好ましくは、第一のガスは第二のガスと異なる。好ましくは、第二のアレイ内のガスセンサーは、規則的に間隔が置かれている。好ましくは、第二のセンサー層は、第一のセンサー層について詳細に述べられた通りのセンサー素子に分割されている。それ故に、第二のセンサー層は、第二のセンサー層を形成するために互いに接続されたセンサー素子および間隔要素を含んでもよい。好ましくは、間隔要素は、ガスセンサーなしで、感知素子と同じ幾何学的形状を有する。好ましくは、センサー素子または間隔要素、またはその両方は、六角形構造を有する。それ故に、第二のセンサー層は、結果として生じるハニカム構造を有する。第一のセンサー層および第二のセンサー層が他方の上方に位置付けられている時、第一のセンサー層の感知素子は上面図において、第二のセンサー層の間隔要素に対応することが好ましい。
【0042】
センサー層は、同じ層上に配置された、第一のガスセンサーアレイと、第二のガスを感知するよう適合された第二のガスセンサーアレイとを含んでもよい。好ましくは、第一のガスは第二のガスと異なる。例えば、センサー層は、第一のガスセンサーアレイおよび第二のガスセンサーアレイを交互に含みうる。
【0043】
好ましくは、センサー層は、2ミリメートル~15ミリメートルから成る厚さ、より好ましくは5ミリメートル~10ミリメートルから成る厚さを有する。
【0044】
好ましくは、システムはセンサーハウジングを含む。センサーハウジングは、センサー層を収容することが好ましい。例えば、センサーハウジングは、天井と底部とを有する内部感知チャンバーを画定する。好ましくは、センサー層は、センサーハウジングの天井に取り付けられている。このようにして、センサーハウジングの底部とセンサー層との間に間隙が存在する。液体は感知チャンバーに入る場合、重力によって底部に集まる。センサー層が天井に取り付けられているという事実に起因して、センサー層のセンサーは、底部で集められた液体から分離されうる。センサーハウジングはポリエチレンで実現されてもよい。好ましくは、センサーハウジングはわずかに弾性である。好ましくは、センサーハウジングは、センサー層を含んで適切に保護するために回復力のある空洞(感知チャンバー)を作るのに十分に剛性である。
【0045】
好ましくは、センサーハウジングは、8ミリメートル~30ミリメートルから成る厚さ、より好ましくは10ミリメートル~20ミリメートルから成る厚さを有する。
【0046】
好ましくは、マットレス組立品は、カバー層とセンサー層の間に介在するガス透過性の層を含む。カバー層とセンサー層の間に介在するガス透過性の層はガス透過性であり、それによって、支持表面の周囲からの空気がそれを通過してもよく、また空気中に含有された第一のガスがセンサー層によって検出されてもよい。ガス透過性の層はメッシュ構造を含んでもよい。メッシュ構造は、弾性特性を有する回復力のある3D構造を作るポリエチレンの糸によって形成されてもよい。ガス透過性の層は、柱構造を含んでもよい。柱構造は、複数の接続されたポリエチレンの管またはダクトを含んでもよい。ガス透過性の層は、支持表面上に横たわる身体の圧力負荷を支持できる剛性を有することが好ましい。
【0047】
好ましくは、ガス透過性の層は、2ミリメートル~20ミリメートルから成る厚さ、より好ましくは8ミリメートル~12ミリメートルから成る厚さを有する。
【0048】
好ましくは、送信器は無線送信器である。無線送信器は、第一のガスセンサーアレイまたは第二のガスセンサーアレイによって実行された測定を表すデータを送信するように適合されている。無線送信器は、データを送信するためのアンテナを備えることが好ましい。好ましくは、無線送信器は、第一のガス濃度または第二のガス濃度に関する情報を伝える電磁信号を送信する。
【0049】
好ましくは、システムは、支持表面の第二の部分アレイの周囲の第二の所定のガスの量を測定するように適合された、かつ第二の所定のガスの測定された量を示すデータを出力するように適合された第二のガスセンサーアレイを備える。支持表面の第一の部分アレイと支持表面の第二の部分アレイは、同一場所でありうる。第一のガスセンサーアレイまたは第二のガスセンサーアレイは、金属酸化物センサーおよびカーボンナノチューブセンサーを含んでもよい。ガスセンサーだけでなく他のセンサー(例えば温度、液体、または汗に応答するバイオセンサーまたはセンサー)も、マットレス組立品に備えられてもよい。
【0050】
好ましくは、マットレス組立品はマットレストッパーを含む。好ましくは、マットレス組立品はまた、マットレスを含む。好ましくは、マットレストッパーはマットレスに固定されている。例えば、マットレストッパーは、現場で使用される標準的な付属品を使用してマットレスに固定されてもよい。マットレストッパーは、弾性の保持ストラップを含んでもよい。弾性ストラップは、マットレストッパーをマットレスの各隅に接続しうる。弾性の保持ストラップは、マットレストッパーをその伸張力によって定位置に保持しうる。マットレストッパーは、マットレストッパーをマットレスに取り付ける面ファスナーを含んでもよい。
【0051】
好ましくは、第一のガスセンサーアレイまたは第二のガスセンサーアレイは、電気的に接続されたガスセンサーの複数のストリップを含む。濃度2Dマップが作成されている場合、幾つかの濃度2Dマップが実現されることができ、ガスのタイプに付き一つのマップ(例えば第一のガスについての第一の2Dガス濃度マップ、および第二のガスについての第二の2Dガス濃度マップ)が実現されることができる。電気的接続は、第一のガスセンサーアレイまたは第二のガスセンサーアレイから来るすべての信号を、制御ユニットに伝送することが好ましい。
【0052】
好ましくは、一つ以上の位置センサーは、温度センサーを備える。好ましくは、一つ以上の位置センサーは、重量センサーを備える。好ましくは、一つ以上の位置センサーは、カメラを備える。好ましくは、一つ以上の位置センサーは、温度センサーと、カメラと、位置センサーとのうちの二つのセンサーの組み合わせを備える。
【0053】
好ましくは、第一のガスセンサーアレイまたは第二のガスセンサーアレイは、共通の基体を備える。好ましくは、第一のガスセンサーアレイまたは第二のガスセンサーアレイは、共通の基体に取り付けられた複数のガスセンサーを備える。好ましくは、基体は、センサー素子および間隔要素に分割されることができる。好ましくは、基体は穿孔を含む。好ましくは、基体は可撓性である。
【0054】
別の態様によると、本発明は第一のガスを検出する方法に関し、方法は、支持表面を画定するマットレス組立品を提供することを含む。方法はまた、支持表面において第一の表面部分アレイを識別することを含んでもよい。方法はまた、第一の表面部分アレイの表面部分の各々の周囲に存在する第一のガスの量を検出することを含んでもよい。方法はまた、第一のガスの測定された量を示すデータを含む信号を外部装置に送信することを含んでもよい。
【0055】
本発明の方法の特徴および利点は、本発明のシステムの説明を参照して既に詳細に記載されていて、ここでは繰り返さない。
【0056】
信号は、第一のアレイの単一のガスセンサーまたは第一のアレイの複数のガスセンサーから来る測定値についてのデータを含んでもよい。例えば、第一のガスセンサーアレイを使用して、特定の身体部位の位置を検出することができる。この身体部位は身体の頭部であってもよい。特定の身体部位が識別された時、すなわち身体部位の位置が識別された時、特定の身体部位が位置する支持表面の表面部分に関連付けられた第一のガスセンサーアレイから来るデータに関連する信号のみが、外部表面に送信されてもよい。
【0057】
好ましくは、方法は支持表面上の身体を位置付けることを含む。好ましくは、身体は人体である。
【0058】
好ましくは、方法は、支持表面上で位置付けられた身体の部位の位置を検出することを含む。単一の身体部位が検出されうるか、または空間的に分離された二つの別個の第一の身体部位および第二の身体部位など、単一の身体部位よりも多くの身体部位が検出されうる。身体部位の位置はまた、その場所だけでなく、身体部位の向きを示してもよく。例えば、酸素または二酸化炭素などの第一のガスの濃度が、頭部の裏面でよりも口により近い呼吸のたびに、より頻繁に変化するため、頭部が位置する方向は検出されることができる。好ましくは、マットレス組立品は、第一の身体部位の周囲の第一のガスの量を検出するように適合された第一のガスセンサーアレイと、第二の身体部位の周囲の第二のガスの量を検出するように適合された第二のガスセンサーアレイとを含む。
【0059】
好ましくは、方法は、身体の検出された部位が、第一の表面部分アレイのどの表面部分に位置するかを決定することを含む。好ましくは、支持表面のそれらの部分に関連付けられたガスセンサーから来るデータのみが、外部装置に送信される。好ましくは、支持表面のそれらの部分に関連付けられたガスセンサーのサンプリング頻度は、他の身体部位を含む、または身体部位を全く含まない支持表面の残りの表面部分に関連付けられたガスセンサーのサンプリング頻度よりも高い。
【0060】
好ましくは、身体の検出された部位が、第一の表面部分アレイのどの表面部分が位置するかを決定することは、身体の検出された部位が、第一の表面部分アレイのどの表面部分が位置するかを、その表面部分において検出された第一のガスの量の変動に基づいて決定することを含む。それ故に、身体部位の場所は、その特定の表面部分において検出されたガスの量(濃度)の変動に基づいて決定される。変動は可視的であり、経時的にガス濃度を検出する。
【0061】
好ましくは、信号を送信する工程は、モバイル機器に信号を送信する工程を含む。信号を送信する工程は、ホームオートメーションシステムに信号を送信する工程を含むことが好ましい。
【0062】
好ましくは、第一のガスの量を検出する工程は、マットレス組立品に統合された第一のガスセンサーアレイを形成する工程を含む。好ましくは、第一のガスセンサーアレイは、マットレス組立品の一体的部分であり、より好ましくはマットレストッパーの一体的部分である。
【0063】
好ましくは、第一のガスセンサーアレイを形成する工程は、共通の基体上に第一のガスセンサーアレイを形成するために、適切な材料をインク印刷すること、スパッタリングすること、または蒸着することを含む。
【0064】
好ましくは、方法は、支持表面の周囲の第一のガスの濃度の二次元マップを形成することを含む。好ましくは、支持表面において、第一の表面部分アレイは識別されることができる。これらの表面部分のそれぞれに、第一のガスセンサーアレイのガスセンサーが関連付けられている。好ましくは、支持表面の各表面部分について、その表面部分に関連付けられた第一のガスセンサーアレイによって測定される第一のガスの濃度が記録される、マップが作成される。このようにして、位置に依存する第一のガスの異なる濃度のマップが形成されることができる。2Dマップは、制御ユニット、システムの一部、または外部装置のいずれかによって作成されることができる。好ましくは、二次元マップは、ディスプレー上に可視化されてもよい。ディスプレーは、外部装置の一部であってもよい。
【0065】
好ましくは、本方法は、支持表面の周囲の第一のガスの濃度の時間依存の二次元マップを形成することを含む。第一のガスの濃度は、時間経過とともに変化しうる。従って、二次元マップは、第一のセンサーアレイから来る新しいデータで更新される。更新は所定の頻度で行われることができる。二次元マップは、特定の身体部位の付近で第一のガス濃度変化がある場合に、潜在的に有害な状況を識別するのに役立ちうる。例えば、人の頭部の周りでのCO2の濃度の上昇、例えば第一の閾値を超えるCO2の濃度は、警告する警報信号を誘発しうる。身体の足の付近での同じ濃度変化は、こうした警報信号を誘発しないであろう。
【0066】
本テキストにおいて、空間座標は、その標準的な使用に従って、マットレス組立品が位置付けられている基準系を参照して与えられる。これは、こうした基準系において、支持表面が実質的に水平な表面であることを意味する。次に、「下方」および「上方」という用語は、使用時のマットレス組立品の構成を指す。マットレス組立品は、輸送時、組立時、または貯蔵時に、この構成に関して空間内で回転される場合があることが理解される。それ故に、基準系の対応する回転が行われる。
【0067】
本文脈における「層」は、他の二つの寸法よりも少なくとも10分の1小さい厚さを有するシート材料を画定する。好ましくは、その他の二つの寸法は、シートの厚さよりも1桁大きい。
【0068】
本文脈における「可撓性」は、力がかけられている時に壊れることなく形状を変える層の能力を意味する。
【0069】
本テキストにおいて、動詞の「comprise(含む)」および「include(含む)」は同義語であり、両方とも特徴の非網羅的リストを示す。動詞「consist(から成る)」は、網羅的なリストを示す。
【0070】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちの任意の一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0071】
実施例1:第一のガスを検出するシステムであって、システムが、
‐支持表面を画定するマットレス組立品であって、
・第一のガスセンサーアレイであって、第一のアレイの各ガスセンサーが、支持表面の一部分の周囲の第一のガスの量を測定するように適合されていて、かつ第一のガスの測定された量を示すデータを出力するように適合されていて、それによって、支持表面の表面部分の第一のアレイ中の第一のガスの量が経時的に感知される、第一のガスセンサーアレイと、
・第一のガスの測定された量を示すデータを含む信号を外部装置に送信するように適合された送信器と、含む、マットレス組立品を備える、システム。
【0072】
実施例2:支持表面上に位置する時、身体の部位の位置を検出するように適合された一つ以上の位置センサーを備える、実施例1に記載のシステム。
【0073】
実施例3:第一のガスセンサーアレイが、一つ以上の位置センサーによって検出された身体の部位の位置の周囲の第一のガスの量を測定するように適合されている、実施例2に記載のシステム。
【0074】
実施例4:第一のガスセンサーアレイが、一酸化炭素、二酸化炭素、メタンチオール、硫化水素といったガスのうちの一つ以上を測定するように適合されている、実施例1~3の一つ以上に記載のシステム。
【0075】
実施例5:マットレス組立品が、
‐支持表面を画定するカバー層と、
‐第一のガスセンサーアレイを含むセンサー層であって、センサー層がカバー層の下方に位置している、センサー層と、を備える、実施例1~4の一つ以上に記載のシステム。
【0076】
実施例6:マットレス組立品が、カバー層とセンサー層の間に介在するガス透過性の層を含む、実施例5によるシステム。
【0077】
実施例7:送信器が無線送信器である、実施例1~6の一つ以上に記載のシステム。
【0078】
実施例8:
‐支持表面の表面部分の第二のアレイの周囲の第二の所定のガスの量を測定するように適合された、かつ第二の所定のガスの測定された量を示すデータを出力するように適合された第二のガスセンサーアレイを備える、実施例1~7の一つ以上に記載のシステム。
【0079】
実施例9:マットレス組立品がマットレストッパーを含む、実施例1~8の一つ以上に記載のシステム。
【0080】
実施例10:第一のガスセンサーアレイまたは第二のガスセンサーアレイが、電気的に接続されたガスセンサーの複数のストリップを含む、実施例1~9の一つ以上に記載のシステム。
【0081】
実施例11:一つ以上の位置センサーが、
‐温度センサーと、
‐重量センサーと、
‐カメラと、のうちの一つ以上を備える、実施例2に記載のシステム。
【0082】
実施例12:第一のガスセンサーアレイまたは第二のガスセンサーアレイが、
‐共通の基体と、
‐共通の基体に取り付けられた複数のガスセンサーと、を備える、実施例1~11の一つ以上に記載のシステム。
【0083】
実施例13:第一のガスを検出する方法であって、方法が、
‐支持表面を画定するマットレス組立品を提供することと、
‐支持表面において、第一の表面部分アレイを識別することと、
‐第一の表面部分アレイのそれぞれの表面部分の周囲に存在する第一のガスの量を検出することと、
‐第一のガスの測定された量を示すデータを含む信号を外部装置に送信することと、を含む、方法。
【0084】
実施例14:
‐第一の表面部分アレイのそれぞれの表面部分の周囲に存在する第一のガスの量を検出する工程と、ある時間間隔にわたって測定された第一のガスの量を示すデータを含む信号を外部装置に送信する工程とを繰り返すことを含む、実施例13に記載の方法。
【0085】
実施例15:
‐第一の表面部分アレイのそれぞれの表面部分の周囲に存在する第一のガスの量を検出する工程と、所定の頻度で測定された第一のガスの量を示すデータを含む信号を外部装置に送信する工程とを繰り返すことを含む、実施例13または実施例14に記載の方法。
【0086】
実施例16:
‐経時的に検出された第一のガスの量の変動を決定することを含む、実施例13~15の一つ以上に記載の方法。
【0087】
実施例17:
‐各表面部分において経時的に検出された第一のガスの量の変動を決定することを含む、実施例16に記載の方法。
【0088】
実施例18:
‐支持表面上の身体を位置付けることを含む、実施例13~17の一つ以上に記載の方法。
【0089】
実施例19:
‐支持表面上で位置付けられた身体の部位の位置を検出することを含む、実施例18に記載の方法。
【0090】
実施例20:
‐身体の検出された部位が、第一の表面部分アレイのどの表面部分に位置するかを決定することを含む、実施例19に記載の方法。
【0091】
実施例21:身体の検出された部位が、第一の表面部分アレイのどの表面部分に位置するかを決定することが、
‐身体の検出された部位が、第一の表面部分アレイのどの表面部分に位置するかを、その表面部分において検出された第一のガスの量の変動に基づいて決定すること、を含む、実施例20に記載の方法。
【0092】
実施例22:信号を送信する工程が、信号をモバイル機器に送信する工程を含む、実施例13~21の一つ以上に記載の方法。
【0093】
実施例23:第一のガスの量を検出する工程が、
‐マットレス組立品に統合された第一のガスセンサーアレイを形成すること、を含む、実施例13~22の一つ以上に記載の方法。
【0094】
実施例24:第一のガスセンサーアレイを形成する工程が、
‐共通の基体上に第一のガスセンサーアレイを形成するために、適切な材料をインク印刷すること、スパッタリングすること、または蒸着すること、を含む、実施例23に記載の方法。
【0095】
実施例25:
‐支持表面の周囲の第一のガスの濃度の二次元マップを形成することを含む、実施例13~24の一つ以上に記載の方法。
【0096】
実施例26:
‐支持表面の周囲の第一のガスの濃度の二次元マップを形成することを含む、実施例25に記載の方法。
【0097】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に従って実現されたマットレス組立品を含む、第一のガスの量を測定するシステムの側面図である。
【
図3】
図3は、
図1および
図2のシステムと通信する外部装置の異なる実施形態の概略図である。
【
図4】
図4は、分解された構成での
図1のマットレス組立品の上面図である。
【
図5】
図5は、
図4のマットレス組立品の層のうちの一つの上面図である。
【
図7】
図7は、分解された構成での
図6の詳細の上面図である。
【
図8】
図8は、本発明の異なる一実施形態における
図5の層の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
図1および
図2を最初に参照すると、1によって第一のガスの量を測定するシステムは全体的に1によって示されている。
【0100】
システム1はマットレス組立品2を含む。マットレス組立品2は、マットレストッパー3およびマットレス4を含む。マットレストッパー3は、弾性の保持ストラップ(すべて5で示されている)によってマットレス4に取り付けられていて、マットレス4のそれぞれの隅に一つの弾性の制限用ストラップ5がある。保持ストラップは、マットレストッパー3を伸張力によって定位置に保持する。
【0101】
さらに、システム1は、マットレストッパー3内に位置する無線送信器6(
図1および
図2において長方形として描かれている)を含む。
【0102】
システム1は、送信器6と通信する制御ユニット7も含む。
【0103】
マットレストッパー3は、カバー層8と、ガス透過性の層9と、センサー層10とを備える三層構造を備える。三つの層は、
図1において組み立てられた構成で描写されていて、
図4において互いに分離されている。
【0104】
カバー層8は、通気性の発泡構造を含み、好ましくは熱可塑性ポリウレタンによって形成されている。カバー層8はマットレス組立品の最上層であり、身体12が横たわりうる支持表面11を画定する。マットレストッパー3の周囲の空気中に存在するガスは、熱可塑性ポリウレタンの高い蒸気透過性に起因して、カバー層8に入ることができる。
図2において、支持表面11は、標準的なマットレス上面と同じ寸法および形状を有する。カバー層8の厚さは、6ミリメートル~10ミリメートルから成ることが好ましい。
【0105】
ガス透過性の層9はカバー層8の下方に位置し、マットレストッパー3の中間層である。ガス透過性の層9は、透過性メッシュ構造を有することが好ましい。好ましくは、空気ガス透過性の層9のメッシュ構造は、弾性特性を有する回復力のある3D構造を作るポリエチレン糸を含む。好ましくは、ガス透過性の層9の厚さは10ミリメートルである。
【0106】
センサー層10はマットレストッパー3の最下層であり、好ましくはマットレス3に接触している。ここで
図5~9を参照すると、センサー層10は、センサーストリップ13で分割されていることが好ましい、第一のガスセンサーアレイ12を含む。第一のガスセンサーアレイは、第一のガスの濃度を測定するように適合されている。
図5に示すガスセンサーの第一のアレイ12は、
図6の拡大図でよりよく詳細に示されていて、この拡大図ではセンサー層10の小さい部分が描写されている。
図6において、センサーストリップ13が示されている。好ましくは、センサーストリップ13は、互いに平行に、かつセンサー層10の側面に対して対角線上に走る。各センサーストリップ13は、第一のガスの濃度を測定するように適合された複数のガスセンサー14(
図9に示されている)を備える。センサーストリップ13を形成するために、各センサーストリップ13は、タイル15の少なくとも一つの側面によって互いにリンクされている、様々なモジュールセンサー素子(センサータイル15など)を備えることが好ましい。それ故に、センサーストリップ13は、一緒にリンクされていてセンサーストリップ13を構築する、少なくとも二つのセンサータイル15によって形成されている。好ましくは、センサーストリップ13は、すべてが同一の幾何学的形状を有する複数のセンサータイル15によって形成されている。各センサータイル15は、
図9に示す通りの少なくとも一つのガスセンサー14を含む。センサー層10は、センサータイル15だけでなく、好ましくはスペーサータイル16も含んでもよい。スペーサータイル16は、異なるセンサーストリップ13に属するセンサータイル15間の距離を強制する。幾つかのセンサーストリップ13は、二つの異なるセンサーストリップ13に属する少なくとも二つのセンサータイル15を接続する、スペーサータイル16と組み合わされていることが好ましい。好ましくは、センサー層10は、センサータイル15(それぞれのセンサータイルはセンサー14を含む)と、センサーのないスペーサータイル16とによって形成されている。それ故に、センサー層10は、互いに平行なストリップに分割されていて、これらはセンサーストリップ13か、またはスペーサータイル16によって形成されたセンサーなしのストリップのどちらかであることができる。この構成は、
図6および
図9に明確に示されている。
【0107】
好ましくは、センサータイル15およびスペーサータイル16は、その幾何学的形状と寸法とにおいて同一である。好ましくは、センサータイル15およびスペーサータイル16は、ハニカム形状を有する。
【0108】
好ましくは、スペーサータイル16およびセンサータイル15は、可撓性のプラスチック基体から作製されていて、材料を節約するために、かつ最終的に入ってくる液体が通過することを許容するために、穿孔(図に示さず)を備えてもよい。
【0109】
図7に描写の通り、センサー層10は、第一の層100および第二の層200を備えてもよく、第一のセンサー層100は、第一のガスの濃度を測定するために第一のセンサーアレイ12を含み、第二のセンサー層200は、第二のガスの濃度を測定するための第二のガスセンサーアレイ(図示せず)を備える。二つの層100、200は、互いに重ね合わせられてもよい。第一のセンサー層100および第二のセンサー層200は、上述の通り、センサータイル15とスペーサータイル16の両方を含むことが好ましい。好ましくは、第一のセンサー層100および第二のセンサー層200が互いに重ね合っている時、第二のセンサー層200のセンサータイル15は、第一のセンサー層100のスペーサータイル16の上方に位置してもよく、またその逆も可能である(
図7を参照。同図において、二つの層100、200はわずかにずらされていて、そうでなければ同じ場所にある両方の層のタイル構造を示している)。
【0110】
図8に描写されたさらなる一実施形態において、センサー層10は、センサーハウジング18内部に配設されることができる。センサーハウジング18は、内側チャンバー19を画定する。
図8に示す通り、最終的に入ってくる液体がセンサー層10の上に蓄積するのを避けるために、センサー層10はそれによって、センサーハウジング18の上部、すなわち内側チャンバー19の天井に取り付けられている。
【0111】
好ましくは、センサーハウジング18は、弾性特性と、センサー層10を含んで適切に保護するために、内側チャンバー19を作るのに十分な剛性とを有するポリエチレン壁を備える。好ましくは、センサーハウジング18の厚さは、10ミリメートル~20ミリメートルである。
【0112】
図9に図示の通り、各センサータイル15は、少なくとも一つのガスセンサー14を含む。好ましくは、ガスセンサーは平坦であり、可撓性である。ガスセンサー14は概して、インク印刷、スパッタリング、または蒸着によってセンサータイル15に施されている。センサータイル15上の所定の量の空間に応じて、異なるガスを測定する幾つかのガスセンサー14、17が、センサータイル15に施されてもよい。例えば、タイルセンサー15は、第一のアレイのガスセンサー15と第二のアレイの第二のガスセンサー17とを含んでもよく、これらのそれぞれは第一のガス濃度および第二のガス濃度をそれぞれ測定するように適合されている。好ましい一実施形態において、金属酸化物センサーおよびカーボンナノチューブセンサーがセンサータイル15に施されていて、それによって、各センサーは特定のガスおよび対応する閾値レベルを担当することができる。
図9において、各センサータイル15は、単一のガスセンサー(第一のアレイのガスセンサー14、または第二のガスセンサーアレイ17のいずれか)を含む。
【0113】
温度、液体、または汗(図に描写されていない)に応答するバイオセンサーまたはセンサーなどの他のセンサーが、タイルに組み込まれてもよい。
【0114】
すべてのガスセンサー14、17は、例えば接触領域20を有するOR回路によって電気的に相互接続されている。ガスセンサー14、17から来る信号は送信器6に向けられ、送信器6は、例えばPAN、LANまたはWANインターフェースなどの通信モジュール(図に示さず)を含んでもよい。送信器6は制御ユニット7によって制御されてもよい。送信器6は信号21(
図2および
図3において波で概略的に描写されている)を、接続されたスマートデバイス22に送信するように適合されている。
図3において、スマートウォッチ、タブレット、またはスマートフォンなどの幾つかの異なるスマートデバイス22が示されている。単一のスマートデバイス22が必要であるが、複数のスマートデバイスが使用されることができる。
【0115】
本発明のシステム1の機能性は以下の通りである。
【0116】
図10に描写の通り、支持表面11は、第一の表面部分アレイ23で分割されてもよい。各表面部分23は、センサータイル15またはスペーサータイル16の形状を有してもよく、例えば六角形の形状を有する。しかしながら、任意の形状を有してもよい。各表面部分23に、ガスセンサー14、17が関連付けられている。従って、第一のアレイまたは第二のアレイの各ガスセンサー14、17は、支持表面11を形成する各表面部分23の周囲の第一のガスまたは第二のガスの濃度の測定を行う。
【0117】
制御ユニット7によって制御されるガスセンサー14、17は、各表面部分23の周囲の第一のガスまたは第二のガスの濃度に関する信号を、送信器6または制御ユニット7に送信する。この送信は経時的に繰り返される。第一のガスまたは第二のガスのこの濃度は、その測定値が由来する表面部分23に応じて異なってもよい。従って、支持表面11上の身体12の特定の身体部位の位置、例えば頭部26の位置が検出されてもよい。これは、特定のガスの濃度が特定の身体部位の付近でのみ変化しうるという事実に起因する。濃度のこれらの変動は、経時的にモニターされる。それ故に、身体部位の位置、および身体部位の向きさえも検出されることができる。
【0118】
ガスセンサー14、17によって測定される第一のガスまたは第二のガスのガス濃度が、経時的に起こるその変動において、一つ以上の表面部分23(例えば頭部26が位置する部分23)の下方で特定の閾値を超えるまたその特定の閾値である場合、信号21は、送信器6によってスマートデバイス22に送信されることになり、例えば支持表面11上に位置する幼児が、幼児の顔を毛布が覆うことによる窒息のリスクをさらされていることを知らせる。この検出は以下のように行われてもよい。最初に、幼児(身体12)はまず、普通に呼吸をしているであろうが、毛布の下のCO2の量は、呼気によって経時的に増加することになる。この状況におけるガスセンサー14、17は、特に頭部26が位置する場所でのCO2の連続的な増大を検出しうる。また、頭部のある場所で検出された濃度が、CO2の閾値濃度(例えば13.000ppmよりも高い濃度)を超える時、送信器6は、接続されたスマートデバイス22に警報信号21を送信して、子供に注意を向けるように親に通知する。また、毛布が幼児の顔を覆っていない状態で、既に低めのCO2レベル(例えば12.000ppm~13.000ppm)であり、これが一定の時間にわたって継続すると、睡眠障害または慢性不眠症につながる可能性がある。それによって、メッセージ21は、スマートデバイス22に送信されて、子供の潜在的な睡眠障害を警告することが可能である。
【0119】
一酸化炭素(CO)などの他の特性ガスも、窒息事故またはその他の健康問題の指標として役割を果たすことが可能である。
【0120】
第二のセンサーアレイ17は、大気と接触している時、特性ガス状混合物、すなわちメルカプタン/硫化物(RSH)混合物を発生させる、例えば乳酸を含む胃液混合物を検出するために使用されることが可能である。第二のガスセンサーアレイ17によって検出されるこの混合物の濃度が閾値レベルを上回る(例えば0.6ppmを上回る)場合、信号21がスマートデバイス22に送信されてもよい。また、ある一定の時間にわたる、低めのレベルのRSH(例えば0.1ppm~0.5ppmから成るRSHの濃度)は、胃腸の問題を示す場合がある。それによって、潜在的な今後の健康問題を示す信号21が、スマートデバイス22に送信されることが可能である。
【0121】
排便などの追加的な生理学的効果も、周囲空気中の硫化水素(H2S)濃度をモニターすることによって検出されることが可能である。H2S(2ppm未満)の発生を検出する時、幼児または高齢者のおむつを取り替える忠告を伴う信号が、ユーザーのスマートデバイス22に送信されることになる。より低いレベルのH2S(例えば0.1ppm~1.0ppmから成るレベル)は、胃腸の問題を示唆している可能性がある。
【0122】
制御ユニット7は好ましくは、メモリユニットおよびCPU(図に示さず)を含む。好ましくは、制御ユニット7は、ガスセンサー14、17から来るデータを保存および分析し、特定のユーザーについてのデータ(例えばマットレストッパー上の異なるガス濃度、温度分布、または検出された汗)をモニターしうる。ユーザーの要求に応じて、CPUはモニターしたデータを分析することが可能であり、評価報告が通信モジュール6によってユーザーのスマートデバイス22に送信されることが可能である。
【0123】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±10パーセントとして理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】