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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】炭水化物の熱分解プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/60 20060101AFI20230609BHJP
   B01J 23/30 20060101ALI20230609BHJP
   B01J 27/22 20060101ALI20230609BHJP
   B01J 23/28 20060101ALI20230609BHJP
   B01J 23/22 20060101ALI20230609BHJP
   B01J 21/16 20060101ALI20230609BHJP
   C07C 47/19 20060101ALI20230609BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230609BHJP
【FI】
C07C45/60
B01J23/30 M
B01J27/22 M
B01J23/28 M
B01J23/22 M
B01J21/16 M
C07C47/19
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568515
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 US2021029660
(87)【国際公開番号】W WO2021231089
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】63/023,763
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507303309
【氏名又は名称】アーチャー-ダニエルズ-ミッドランド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ,ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】テリアン,ジョッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ブラジル,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ケヴィン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA03A
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA05A
4G169BA06A
4G169BA13A
4G169BA13B
4G169BA14A
4G169BA14B
4G169BB04A
4G169BB15A
4G169BB15B
4G169BC09A
4G169BC10A
4G169BC16A
4G169BC40A
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC51A
4G169BC54B
4G169BC59A
4G169BC59B
4G169BC60A
4G169BC60B
4G169BD05A
4G169CB35
4G169CB62
4G169CB72
4G169DA06
4G169DA08
4G169EA02Y
4G169EA04Y
4G169EA06
4G169EA08
4G169EC02X
4G169EC02Y
4G169EC03X
4G169EC03Y
4G169FA02
4G169FB08
4G169FB23
4H006AA02
4H006AC45
4H006BA14
4H006BA30
4H006BB31
4H006BC10
4H039CA62
(57)【要約】
炭水化物を熱分解してグリコールアルデヒドなどの生成物を調製するための様々なプロセスが記載される。また、様々な触媒、及び炭水化物の熱分解に有用な触媒を調製するためのプロセスも記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4つの炭素原子を有する炭水化物を含む供給組成物を熱分解反応領域に供給することと、
前記熱分解反応領域において水及び触媒の存在下で前記炭水化物を熱分解してグリコールアルデヒドを含む反応生成物を形成することと、
を含む、グリコールアルデヒドを調製するためのプロセスであって、前記触媒は、触媒担体上の金属酸化物を含み、以下の条件:
(a)前記熱分解反応領域は、400℃以上の温度に加熱される、
(b)前記触媒担体は、500m/g以下、250m/g以下、100m/g以下、50m/g以下、25m/g以下、10m/g以下、5m/g以下、又は1m/g以下のBET比表面積を有する、
(c)前記触媒担体は、ガラス材料、セラミック材料、又は耐火性材料を含む、
(d)前記熱分解反応領域は、前記触媒とは異なる反応領域媒体を更に含む、及び/又は
(e)グリコールアルデヒドの収率は、70%以上、75%以上、又は80%以上である、の少なくとも1つが満たされるプロセス。
【請求項2】
前記炭水化物は、C~C24の炭水化物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記炭水化物は、単糖、二糖、オリゴ糖、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのC~C24糖を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記炭水化物は、グルコース(デキストロース)及び/又はフルクトースを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記供給組成物は、前記炭水化物を含む水溶液を含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記供給組成物は、グルコースを含む水溶液を含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記金属酸化物は、遷移金属酸化物を含む、請求項1又は6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記金属酸化物は、4、5、6、7、8、9、10、又は11族金属の酸化物又はこれらの混合物を含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記金属酸化物は、4、5、又は6族金属の酸化物又はこれらの混合物を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記金属酸化物は、チタン、モリブデン、タングステン、バナジウムの酸化物、又はこれらの混合物を含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記金属酸化物は、モリブデン、タングステンの酸化物、又はこれらの混合物を含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記金属酸化物は、酸化タングステン(IV)を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記金属酸化物は、酸化タングステン(V)を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記金属酸化物は、酸化モリブデンを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
酸化タングステン及び/又は酸化モリブデンは、前記触媒担体における前記金属酸化物の、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上%、45重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、又は99重量%以上を構成する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
前記触媒担体における前記金属酸化物は、酸化タングステン及び/又は酸化モリブデンからなる、請求項11に記載のプロセス。
【請求項17】
前記触媒は、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上%、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、又は99重量%以上の酸化タングステン及び/又は酸化モリブデン充填物を有する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記触媒は、0.1重量%~15重量%、0.5重量%~15重量%、1重量%~15重量%、2重量%~15重量%、5重量%~15重量%、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~10重量%、1重量%~10重量%、2重量%~10重量%、又は5重量%~10重量%のタングステン及び/又はモリブデンの金属酸化物充填物を有する、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記触媒担体は、500m/g以下、250m/g以下、100m/g以下、50m/g以下、25m/g以下、10m/g以下、5m/g以下、又は1m/g以下のBET比表面積を有する、請求項11又は18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記触媒担体は、ガラス材料、セラミック材料、耐火性材料、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記触媒担体は、ガラス材料を含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記触媒担体は、セラミック材料を含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項23】
前記セラミック材料は、炭化ケイ素、イットリア安定化ジルコニア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記触媒担体は、耐火性材料を含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項25】
前記耐火性材料は、シリコン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記触媒は、未焼成触媒である、請求項20に記載のプロセス。
【請求項27】
前記反応領域媒体は、ガラス材料、セラミック材料、耐火性材料、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記反応領域媒体は、ガラス材料を含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記反応領域媒体は、コーティングされていない、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記反応領域媒体は、コーティングされていない、請求項27に記載のプロセス。
【請求項31】
前記反応領域媒体は、金属酸化物コーティングを含まない又は本質的に含まない、請求項29に記載のプロセス。
【請求項32】
前記反応領域媒体は、金属酸化物コーティングを含まない又は本質的に含まない、請求項30に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、炭水化物を熱分解してグリコールアルデヒド(ヒドロキシアセトアルデヒドとしても知られる)などの生成物を調製するための様々なプロセスに関する。本発明は更に、様々な触媒、及び炭水化物の熱分解に有用な触媒を調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
長年に渡り、商業的に有用な化学物質を生産するために、炭水化物が豊富なバイオマス原料を使用することに関心が寄せられてきた。バイオマス原料の熱分解は、グリコールアルデヒド、メチルグリオキサール/ピルブアルデヒド、アセトール/ヒドロキシアセトン、及びホルムアルデヒドなど、様々な化学製品及び中間体を生成する潜在的に魅力的なプロセスである。これらの化学物質の中で、グリコールアルデヒドは、栄養及び再生可能材料産業における様々な価値のある戦略的製品のための特に用途の広い化学物質である。例えば、グリコールアルデヒドは、食品用途(例えば、燻煙液)における褐変剤及び香味料として有用である。又、この化合物は、様々なアミン、ポリオール、糖、及び糖アルコールの構成要素として使用できる。
【0003】
バイオマス原料(例えば、セルロース/グルコース含有原料)、反応媒体(例えば、砂)、キャリアガス(例えば、窒素)、並びにバイオマスの熱分解のための典型的なプロセス及び装置で使用される構成材料は、比較的安価である。しかしながら、これらの原料の熱分解は、本質的にエネルギー集約型のプロセスでもあり、典型的には、500℃を超える温度での一定の加熱と、熱伝達を促進するための追加の手段が必要である。又、グリコールアルデヒドを含む所望の生成物の収率は、以前の試みでは制限されていた。例えば、米国特許第7,094,932号は、55%~70%の範囲のグリコールアルデヒド収率を報告している。更に、一部の熱分解プロセスでは、分離が難しく、特別な取り扱いと廃棄が必要な問題のある副生成物が生成される。熱分解プロセスでは、典型的には、副生成物として焦げ(char)も生成される。望ましい生成物の収率は、焦げの生成によって制限され、焦げは、操作上の困難さを引き起こし、反応器の停止及び/又は生産の損失をもたらす可能性がある。従って、操作コストがより低く、グリコールアルデヒドなどの望ましい生成物をより多く生成し、及び/又は生成する副生成物及び/又は焦げの量が少ない炭水化物の熱分解プロセスが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明の様々な態様は、グリコールアルデヒドを調製するためのプロセスに関する。典型的には、プロセスは、少なくとも4つの炭素原子を有する炭水化物を含む供給組成物を熱分解反応領域に供給することと、前記熱分解反応領域内で水及び触媒の存在下で前記炭水化物を熱分解してグリコールアルデヒドを含む反応生成物を形成することと、を含み、前記触媒は、触媒担体上の金属酸化物を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、プロセスは、以下の条件の少なくとも1つを更に含む:
(a)前記熱分解反応領域は、400℃以上の温度に加熱される、
(b)前記触媒担体は、500m/g以下、250m/g以下、100m/g以下、50m/g以下、25m/g以下、10m/g以下、5m/g以下、又は1m/g以下のBET比表面積を有する、
(c)前記触媒担体は、ガラス材料、セラミック材料、又は耐火性材料を含む、
(d)前記熱分解反応領域は、前記触媒とは異なる反応領域媒体を更に含む、及び/又は
(e)グリコールアルデヒドの収率は、70%以上、75%以上、又は80%以上である。
【0006】
本発明の更なる態様は、炭水化物の熱分解に有用な触媒を調製するためのプロセスに関する。いくつかの実施形態では、触媒を調製するためのプロセスは、金属酸化物、溶媒、及び強酸を混合してゾル-ゲルを形成することと、触媒担体に前記ゾル-ゲルを堆積させてコーティングされた触媒担体を形成することと、前記コーティングされた触媒担体から溶媒を除去して前記触媒を形成することとを含む。
【0007】
本発明の更なる態様は、これらのプロセスによって調製された触媒に関する。
【0008】
他の目的及び特徴は、以下において、部分的に明らかにされ、部分的に指摘されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の詳細な説明
一般に、本発明は、グリコールアルデヒド、メチルグリオキサール/ピルブアルデヒド、アセトール/ヒドロキシアセトン、及びホルムアルデヒドなどの生成物を調製するための炭水化物の熱分解のための様々なプロセスに関する。本発明は、更に、様々な触媒、及び炭水化物の熱分解に有用な触媒を調製するためのプロセスに関する。本明細書で使用される場合、「炭水化物」及び/又は「炭水化物供給物」は、炭水化物、特に4つ以上の炭素原子を有する炭水化物を含む又はもたらす任意の形態のバイオマス原料を含み、そこから熱分解条件下でグリコールアルデヒドが得られることができるものとして理解されるであろう。
【0010】
本発明の様々なプロセスは、向上した収率でグリコールアルデヒドを生成することが見出されている。グリコールアルデヒドの収率を増加させる以前の試みは、主に供給濃度と反応器条件の変更に焦点を当てており、床材料及び/又は熱分解触媒はほとんど変更されないままであった。しかしながら、熱分解触媒(典型的には、必ずしもそうではないが、流動化可能な担持された触媒の形態で、炭水化物供給物への熱伝達のために供給される従来の床材料と組み合わされる)が、熱分解反応に大きく影響し、以前のプロセスで遭遇した問題を克服できることが、驚くべきことに発見された。
【0011】
とりわけ、本明細書で論じるように、特定の金属酸化物は、炭水化物、特にグルコースなどの糖の熱分解からグリコールアルデヒドなどの望ましい生成物の収率を改善するのに特に有効であることが発見された。これらの触媒を組み込んだ本明細書に記載の熱分解プロセスは、有利には、プロセスの経済性を改善し、生成物混合物からの分離及び特別な取り扱い及び廃棄を必要とし得る望ましくない生成物の量を低減することをもたらすことができる。例えば、これらの触媒を使用する熱分解プロセスは、触媒がない場合に経験するよりも、所定量のグリコールアルデヒド及び他の所望の生成物の生成において、プロセス流入量(input)をより生産的に使用し(例えば、より少ないエネルギーを必要とすることによって)、より少ない量の望ましくない副生成物を生成し、及び/又はより少ない焦げを生成し得る。更に、本明細書に記載される様々なプロセスは、長時間の操作に渡り及び/又は高い反応器処理量で安定した生成物収率をもたらすという利点を有する。
【0012】
従って、本発明の実施形態は、グリコールアルデヒドを調製するための様々な改善された熱分解プロセスに関する。例えば、様々な実施形態は、少なくとも4つの炭素原子を有する炭水化物を含む供給組成物を熱分解反応領域に供給することと、前記熱分解反応領域において水及び触媒の存在下で前記炭水化物を熱分解してグリコールアルデヒドを含む反応生成物を形成することと、を含むグリコールアルデヒドを調製するためのプロセスに関し、前記触媒は、触媒担体上の金属酸化物を含む。
【0013】
供給材料
前述のように、供給組成物は、少なくとも4つの炭素原子を有する炭水化物を含む。例えば、いくつかの実施形態では、炭水化物は、C~C24炭水化物を含む。このような炭水化物は、トウモロコシ粒(maize)、小麦、ジャガイモ、キャッサバ及び米などの様々な従来の生物再生可能な供給源、並びにエネルギー作物、植物バイオマス、農業廃棄物、林業残留物、砂糖加工残留物、及び植物由来の生活廃棄物などの代替供給源から得ることができる。様々な実施形態では、炭水化物は、穀物作物(例えば、トウモロコシ、小麦、大豆、米、大麦、ライ麦、キビ、ソルガムなど)から得られる。より一般には、使用できる生物再生可能な供給源は、例えば、スイッチグラス、ススキ、樹木(広葉樹及び針葉樹)、植生、及び作物残留物(例えば、バガス及びトウモロコシ茎葉)などの炭水化物の供給源を含む任意の再生可能な有機物質を含む。他の供給源は、例えば、廃棄物(例えば、使用済み紙、生ごみ、自治体廃棄物など)を含む。炭水化物は、公知の方法を用いて生物再生可能な材料から単離することができる。炭水化物は、炭水化物溶液(例えば、グルコース水溶液)の形態で、又はこのようなバイオマスの粉砕された個体としてもたらされ得る。
【0014】
これらの供給源から得られる炭水化物は、様々な単糖、二糖、オリゴ糖、及び多糖を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、炭水化物は、C~C24糖を含む。特定の実施形態では、炭水化物は、単糖、二糖、オリゴ糖、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの糖を含む。様々な実施形態では、炭水化物は、単糖を含む。また、炭水化物は、セルロースをも含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、炭水化物は、少なくとも4つの炭素原子を有する糖を含む。例えば、糖は、様々なアルドースを含む。本明細書で言及されるアルドースは、アルデヒド基及びヒドロキシル基を有する様々な化合物を含み、これらは式(I)で表されることができる:
HOCH(HCOH)CHO (I)
(式中、wは、例えば、2~10の整数、又はいくつかの実施形態では、2~5の整数であり得る)。様々な実施形態では、炭水化物は、少なくとも1つのC~Cアルドースを含む。いくつかの実施形態では、炭水化物は、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの糖を含む。特定のC~Cアルドースは、例えば、トレオース、エリスロース、キシロース、リボース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース、グルコヘプトース、L-グリセロ-D-マンノ-ヘプトース、及びこれらの混合物を含む。様々な実施形態では、炭水化物は、グルコース(デキストロース)などのヘキソースを含む。いくつかの実施形態では、炭水化物は、キシロース、リボース、及び/又はアラビノースなどのペントースを含む。本明細書に記載され、式(I)で定義される「アルドース」という用語及び任意の特定のアルドースは、これらの化合物の環状形態(ヘミアセタール形態)も含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、炭水化物は、少なくとも4つの炭素原子を有するケトース糖を含む。様々な実施形態では、炭水化物は、ケトテトロース、ケトペントース、ケトヘキソース、ケトヘプトース、及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つのケトース糖を含む。特定の実施形態では、炭水化物は、フルクトースを含む。
【0017】
供給組成物は、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、又は20重量%以上である炭水化物濃度を有することができる。例えば、様々な実施形態では、供給組成物は、1重量%~50重量%、1重量%~30重量%、1重量%~25重量%、5重量%~50重量%、5重量%~30重量%、5重量%~25重量%、10重量%~50重量%、10重量%~30重量%、10重量%~25重量%、15重量%~50重量%、15重量%~30重量%、15重量%~25重量%、20重量%~50重量%、20重量%~30重量%、又は20重量%~25重量%である炭水化物濃度を有する。
【0018】
熱分解触媒
前述のように、本明細書に記載のプロセスにおける熱分解反応は、触媒担体上の金属酸化物を含む存在触媒中で実施される。様々な実施形態では、金属酸化物は、遷移金属酸化物を含む。例えば、金属酸化物は、4、5、6、7、8、9、10、又は11族金属の酸化物、又はこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、金属酸化物は、4、5、又は6族金属の酸化物、又はこれらの混合物を含む。特定の実施形態では、金属酸化物は、チタン、モリブデン、タングステン、バナジウムの酸化物、又はこれらの混合物を含む。特定の実施形態では、金属酸化物は、モリブデン、タングステン、バナジウムの酸化物、又はこれらの混合物を含む。特定の実施形態では、金属酸化物は、タングステン、モリブデンの酸化物、又はこれらの混合物を含む。好ましい金属酸化物は、典型的には、レトロ-アルドール(retro-aldol)化学物質を優先的に触媒するものを含む。
【0019】
モリブデン及びタングステンの酸化物は、熱分解触媒に特に有効であることが見出されている。従って、様々な実施形態では、金属酸化物は、酸化タングステンを含む。例えば、酸化タングステンは、酸化タングステン(IV)及び/又は酸化タングステン(V)を含むことができる。いくつかの実施形態では、金属酸化物は、酸化モリブデンを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、酸化タングステン及び/又は酸化モリブデンは、触媒担体上の金属酸化物のかなりの部分を構成する。例えば、いくつかの実施形態では、酸化タングステン及び/又は酸化モリブデンは、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、又は99重量%以上の触媒担体上の金属酸化物を構成する。様々な実施形態では、酸化タングステン及び/又は酸化モリブデンは、1重量%~99重量%、2重量%~99重量%、3重量%~99重量%、4重量%~99重量%、5重量%~99重量%、10重量%~99重量%、15重量%~99重量%、20重量%~99重量%、25重量%~99重量%、30重量%~99重量%、35重量%~99重量%、40重量%~99重量%、45重量%~99重量%、50重量%~99重量%、60重量%~99重量%、70重量%~99重量%、80重量%~99重量%、90重量%~99重量%、95重量%~99重量%、1重量%~95重量%、2重量%~95重量%、3重量%~95重量%、4重量%~95重量%、5重量%~95重量%、10重量%~95重量%、15重量%~95重量%、20重量%~95重量%、25重量%~95重量%、30重量%~95重量%、35重量%~95重量%、40重量%~95重量%、45重量%~95重量%、50重量%~95重量%、60重量%~95重量%、70重量%~95重量%、80重量%~95重量%、90重量%~95重量%、1重量%~90重量%、2重量%~90重量%、3重量%~90重量%、4重量%~90重量%、5重量%~90重量%、10重量%~90重量%、15重量%~90重量%、20重量%~90重量%、25重量%~90重量%、30重量%~90重量%、35重量%~90重量%、40重量%~90重量%、45重量%~90重量%、50重量%~90重量%、60重量%~90重量%、70重量%~90重量%、又は80重量%~90重量%の触媒担体上の金属酸化物を構成する。特定の実施形態では、触媒担体上の金属酸化物は、酸化タングステン及び/又は酸化モリブデンからなる。
【0021】
触媒は、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、又は99重量%以上の金属酸化物充填物を有することができる。例えば、様々な実施形態では、触媒は、0.1重量%~15重量%、0.5重量%~15重量%、1重量%~15重量%、2重量%~15重量%、5重量%~15重量%、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~10重量%、1重量%~10重量%、2重量%~10重量%、又は5重量%~10重量%の金属酸化物充填物を有する。
【0022】
場合によっては、低い表面積の触媒及び触媒担体は、より大きな生成物収率(例えば、グリコールアルデヒドのより高い収率)をもたらすことが見出されている。従って、いくつかの実施形態では、触媒担体は、比較的低い表面積(例えば、500m/g以下、250m/g以下、100m/g以下、50m/g以下、25m/g以下、10m/g以下、5m/g以下、又は1m/g以下のBET比表面積)を有する材料を含む。
【0023】
様々な実施形態では、触媒担体は、ガラス材料、セラミック材料、耐火性材料、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。いくつかの実施形態では、触媒担体は、ガラス材料を含む。特定の実施形態では、ガラス材料は、ガラスビーズ(例えば、ガラス球、又は類似の幾何学的若しくは非晶質形状)を含む。いくつかの実施形態では、触媒担体は、炭化ケイ素、イットリア安定化ジルコニア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるセラミック材料を含む。特定の実施形態では、触媒担体は、実質的に非多孔性であり、比較的低い表面積を有する材料を含む。
【0024】
本明細書に記載される触媒は、長い作動時間(time on stream)(TOS)期間をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、触媒のTOSは、1,500時間以上、2,000時間以上、4,000時間以上、6,000時間以上、8,000時間以上、又は10,000時間以上である。
【0025】
触媒は、本明細書に更に記載されるようなプロセスに従って調製されることができる。いくつかの実施形態では、触媒は、ガラス材料と、金属酸化物を含むコーティングとを含み、コーティングは、前記金属酸化物又はその反応生成物を含むゾル-ゲルを使用してコーティングされた前記ガラス材料に堆積される。これらの実施形態及び他の実施形態では、触媒は、未焼成触媒である。
【0026】
熱分解プロセスの特徴
前述のように、熱分解は、熱分解反応領域において高温を必要とするエネルギー集約的なプロセスである。様々な実施形態では、熱分解反応領域は、400℃以上、450℃以上、475℃以上、500℃以上、525℃以上、550℃以上、575℃以上、又は600℃以上の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、熱分解反応領域は、400℃~600℃、400℃~575℃、400℃~550℃、400℃~525℃、450℃~600℃、450℃~575℃、450℃~550℃、450℃~525℃、500℃~600℃、500℃~575℃、500℃~550℃、500℃~525℃、525℃~600℃、525℃~575℃、又は525℃~550℃の温度に加熱される。
【0027】
触媒担体上の金属酸化物を含む熱分解触媒に加えて、熱分解反応領域は、触媒とは異なる反応領域媒体を更に含むことができる。様々な実施形態では、反応領域媒体は、触媒が組み合わされ流動化されて、炭水化物供給組成物及び熱分解生成物が不活性キャリアガスによって形成されるときにそれを通して運ばれ得る一般に均質に分布した流動床をもたらし得る任意の不活性材料を含むことができ、これは、炭水化物供給物中の炭水化物を熱分解し、炭水化物を少なくともグリコールアルデヒドを含む熱分解生成物に変換するために必要な熱エネルギーを搬送するために使用することができる。当業者であれば、これらの本質的な機能を果たすことができるであろう様々な材料を特定することが十分に可能であろう。様々な実施形態では、反応領域媒体は、ガラス材料、セラミック材料、耐火性材料、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。いくつかの実施形態では、反応領域媒体は、ガラス材料を含む。いくつかの実施形態では、反応領域媒体は、炭化ケイ素、イットリア安定化ジルコニア、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるセラミック材料を含む。特定の実施形態では、ガラス材料は、ガラスビーズ(例えば、ガラス球、又は類似の幾何学的若しくは非晶質形状)及び/又は砂を含む。
【0028】
前述のように、反応領域媒体は、典型的には、担体上の金属酸化物を含む触媒とは異なる。従って、様々な実施形態では、反応領域媒体は、コーティングされていない。特定の実施形態では、反応領域媒体は、金属酸化物コーティングを含まない又は本質的に含まない(例えば、1重量%未満、又は更には0.1重量%未満)。いくつかの実施形態では、反応領域媒体は、金属酸化物を含まない触媒の担体(即ち、裸の触媒の担体)を含む。
【0029】
触媒及び反応領域媒体は、熱分解反応領域内に充填された媒体の総体積を構成することができ、その結果、触媒は、熱分解反応領域内に充填された媒体の総体積の1体積%~50体積%、2体積%~25体積%、3体積%~15体積%、又は4体積%~10体積%である。
【0030】
様々な実施形態では、供給組成物は、熱分解反応領域において流動化ガス又はキャリアガス中で流動化される。流動化ガスは、例えば、様々な不活性ガス又は不活性ガス混合物を含む。いくつかの実施形態では、流動化ガスは、窒素、水蒸気、二酸化炭素、及び/又は燃焼オフガスなどの廃棄物ガスを含む。いくつかの実施形態では、例えば、炭水化物が炭水化物溶液の形態でもたらされる場合、プロセスは、熱分解反応領域に供給される供給組成物を霧化することを更に含む。特定の実施形態では、供給組成物は、流動化ガス(例えば、窒素、蒸気など)を用いて霧化することができる。
【0031】
熱分解反応領域における炭水化物供給物の平均滞留時間は、比較的速くあり得る。例えば、いくつかの実施形態では、滞留時間は、10秒以下、8秒以下、6秒以下、4秒以下、2秒以下、1秒以下、又は0.5秒以下である。特定の実施形態では、滞留時間は、0.5秒~10、0.5秒~5秒、0.5秒~2秒、0.5秒~1秒、1秒~10秒、1秒~5秒、又は1秒~2秒である。
【0032】
一般に、反応領域は、固定床反応器、トリクル床反応器、スラリー相反応器、移動床反応器、又は触媒反応、特に不均一触媒反応を可能にする任意の他の設計を使用した、1つ以上のバッチ、セミバッチ、又は連続反応器設計を含むことができる。反応器の例は、参照により本明細書に組み込まれるChemical Process Equipment-Selection and Design, Couper et al., Elsevier 1990に見ることができる。本明細書に記載される様々なプロセスにおいて、熱分解反応領域は、1つ以上の流動床反応器を含む。供給組成物、任意の流動化ガス、及び触媒は、別々に又は様々な組み合わせで適切な反応器に導入することができると理解されるべきである。
【0033】
本発明の様々なプロセスは、向上した生成物収率をもたらすことが見出されている。例えば、炭水化物供給物として20重量%のグルコース水溶液を使用して、本明細書で実証されるように、本明細書に記載される様々なプロセスは、70%以上、75%以上、又は80%以上であるグリコールアルデヒドの収率をもたらす。いくつかの実施形態では、グリコールアルデヒドの収率は、70%~85%、70%~80%、75%~85%、又は75%~80%である。
【0034】
反応生成物は、他の微量成分を更に含むことができる。様々な実施形態では、反応生成物は、ホルムアルデヒド、グリオキサール、ピルブアルデヒド、アセトール、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分を含む。いくつかの実施形態では、反応生成物は、ホルムアルデヒドを更に含む。特定の実施形態では、反応生成物は、ホルムアルデヒドを更に含み、グリコールアルデヒド対ホルムアルデヒドのモル比は、5:1以上、6:1以上、8:1以上、10:1以上、又は12:1以上である。
【0035】
様々な実施形態では、反応生成物は、グリオキサールを更に含む。いくつかの実施形態では、反応生成物は、グリオキサールを更に含み、グリコールアルデヒド対グリオキサールのモル比は、10:1以上、15:1以上、20:1以上、又は25:1以上である。
【0036】
様々な実施形態では、反応生成物は、ピルブアルデヒドを更に含む。いくつかの実施形態では、反応生成物は、ピルブアルデヒドを更に含み、グリコールアルデヒド対ピルブアルデヒドのモル比は、5:1以上、6:1以上、8:1以上、10:1以上、又は12:1以上である。
【0037】
様々な実施形態では、反応生成物は、アセトールを更に含む。いくつかの実施形態では、反応生成物は、アセトールを更に含み、グリコールアルデヒド対アセトールのモル比は、15:1以上、20:1以上、25:1以上、又は30:1以上である。
【0038】
様々な実施形態では、反応生成物は、エチレングリコールを含まない又は本質的に含まない。いくつかの実施形態では、グリコールアルデヒド対エチレングリコールのモル比は、100:1以上、200:1以上、又は400:1以上である。
【0039】
本発明のプロセスは、本明細書に記載の特徴の様々な組み合わせを含むことができる。例えば、グリコールアルデヒドを調製するための様々なプロセスは、
少なくとも4つの炭素原子を有する炭水化物を含む供給組成物を熱分解反応領域に供給することと、
前記熱分解反応領域において水及び触媒の存在下で前記炭水化物を熱分解してグリコールアルデヒドを含む反応生成物を形成することと、
を含むことができ、この場合、前記触媒は、触媒担体上の金属酸化物を含み、以下の条件の少なくとも1つが満たされる:
(a)前記熱分解反応領域は、400℃以上の温度に加熱される、
(b)前記触媒担体は、500m/g以下、250m/g以下、100m/g以下、50m/g以下、25m/g以下、10m/g以下、5m/g以下、又は1m/g以下のBET比表面積を有する、
(c)前記触媒担体は、ガラス材料を含む、
(d)前記熱分解反応領域は、前記触媒とは異なる反応領域媒体を更に含む、及び/又は
(e)グリコールアルデヒドの収率は、70%以上、75%以上、又は80%以上である。
【0040】
触媒の調製
熱分解触媒は、様々な技術によって調製されることができる。金属酸化物は、ゾル-ゲル、溶液滴下含浸(incipient wetness)、イオン交換、堆積-沈殿、及び真空含浸の技術を含むがこれらに限定されない手順を使用して、触媒担体に堆積させることができる。
【0041】
本発明の態様によれば、特に有効であることが見出された触媒を調製するための1つのプロセスは、
金属酸化物、溶媒、及び強酸を混合してゾル-ゲルを形成することと、
前記ゾル-ゲルを触媒担体に堆積させてコーティングされた触媒担体を形成することと、
前記コーティングされた触媒担体から溶媒を除去して前記触媒を形成することと、
を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、ゾル-ゲルは、金属酸化物、過酸化物供給源、及び溶媒を混合することによって調製される。更なる実施形態では、過酸化物供給源は、過酸化水素を含み、溶媒は、水を含む。
【0043】
金属酸化物、金属酸化物充填物、及び担体は、熱分解触媒について本明細書で特定したもののいずれかであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、金属酸化物は、酸化タングステン及び/又は酸化モリブデンを含むことができ、担体は、ガラス(例えば、ガラスビーズ)などの低い表面積材料を含むことができる。
【0044】
様々な実施形態では、溶媒は、C~C10アルカノールを含む。例えば、C~C10アルカノールは、イソプロパノール、エタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。更に、強酸は、塩酸、硫酸、硝酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されることができる。
【0045】
ゾル-ゲルは、空気中で形成されてもよく、又は不活性雰囲気中で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ゾル-ゲルは、不活性雰囲気中で形成される。例えば、ゾル-ゲルは、窒素雰囲気中で形成されることができる。更に、ゾル-ゲルは、酸素の実質的な非存在下で形成されることができる。様々な実施形態では、ゾル-ゲルは、金属酸化物、過酸化物供給源、及び溶媒を混合することによって調製されることができる。いくつかの実施形態では、過酸化物供給源は、過酸化水素であってもよく、溶媒は、水であってもよい。
【0046】
溶媒除去の間、コーティングされた触媒担体は、コーティングされた触媒における任意の溶媒を蒸発させるのに十分な温度まで加熱することができる。様々な実施形態では、コーティングされた触媒担体は、溶媒を除去するために、80℃以上、90℃以上、又は100℃以上の温度に加熱される。しかしながら、様々な実施形態では、触媒は、焼成に典型的な温度(例えば、500℃以上、750℃以上、又は1000℃以上)に曝されない。
【0047】
本発明を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、修正及び変更が可能であることは明らかであろう。従って、上記の説明又は以下に示す特定の実施例に含まれる全ての事項は、例示として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことが意図される。
【0048】
本発明の要素又はその好ましい実施形態を紹介するとき、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び「前記(said)」は、1つ又は複数の要素があることを意味することを意図している。「含む(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0049】
より具体的には、本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、それに関して「含む(comprising)」という用語が使用される製品/方法/使用は、後述の要素「のみからなる」こともできる代替物を網羅すると理解されるべきである。
【0050】
又、本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、それに関して「含む(comprising)」という用語が使用される製品/方法/使用は、後述の要素「から本質的になる」ことができる代替物を同様に網羅すると理解されるべきである。
【0051】
特に明記しない限り、全ての合成プロセス及びパラメーター測定は、室温/周囲温度、即ち、摂氏21±1度で行われたと理解されるべきである。
【実施例
【0052】
実施例
以下の非限定的な実施例は、本発明を更に例示するためにもたらされる。
【0053】
実施例1:金属酸化物でコーティングされたガラスビーズ触媒の調製
金属酸化物でコーティングされたガラスビーズ触媒を調製するために、酸素への曝露を防ぐため、まず金属酸化物ゾル-ゲルを窒素充填環境で調製した。0.70mLのタングステン(V)エトキシド、1,2-ジメトキシエタン付加物、99%を、50mLのイソプロパノールに撹拌しながら加えた。次いで、2M塩酸0.2mLを滴下し、白色沈殿を含む淡黄色ゾルが得られた。混合物を室温で約1時間撹拌し、一晩放置した。
【0054】
ガラスビーズをイソプロパノールで発散することにより、ガラスビーズを調製した。次いで、25mlの発散されたガラスビーズをゾルに添加した。ガラスビーズを含む混合物を定期的に混合し、蓋をせずに放置した。得られたコーティングされたガラスビーズを、酸化タングステン溶液で均一にコーティングした。
【0055】
次いで、コーティングされたガラスビーズを周囲温度で乾燥させ、約80℃で一晩加熱した。コーティングされたガラスビーズは、焼成又はその他の改質を受けなかった。
【0056】
各コーティングされたガラスビーズは、薄膜コーティングの形態で約0.25重量%のタングステンを含んだ。
【0057】
実施例2:金属酸化物がコーティングされたガラスビーズ触媒の調製
約80℃で一晩加熱する前に、コーティングされたガラスビーズをアセトンで濯いだ以外は、実施例1の手順に従って実験を行った。コーティングされたガラスビーズをアセトンで濯いでも、大幅な量の酸化タングステン溶液は除去されなかった。
【0058】
実施例3:ガラスビーズ触媒を利用したデキストロースの熱分解
未処理のガラスビーズ触媒を、流動床反応器システムを利用したデキストロースの熱分解について試験した。ガラスビーズ触媒は、反応器床の全媒体体積の6%を占めた。約20重量%のデキストロース溶液を、反応器システムに1.7mL/分の速度で導入した。窒素ガス流も4500~5000mL/分の速度で系に導入した。以下の表1~3は、様々な反応温度について、作動中の様々な時点での生成物プロファイルを報告する。以下に示す各反応の滞留時間は、0.98秒であった。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
実施例4:炭化タングステンを利用したデキストロースの熱分解
炭化タングステンのグリット材料を、ガラスビーズと混合し、デキストロースの熱分解又はクラッキングのために流動床反応器システムで利用した。混合物は、様々な反応器温度で試験され、コーティングされていないガラスビーズで実行された実験と比較した。
【0063】
約20重量%のデキストロース溶液を、反応器システムに1.7mL/分の速度で導入した。窒素ガス流も4500~5000mL/分の速度で系に導入した。表4及び5は、反応器システムの様々な場所での温度、流速、滞留時間などを報告する。以下に報告する「底部温度」は、流動床反応器の供給ノズルでの温度である。表6は、作動中の特定の時間における生成物プロファイルを報告する。
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】
ガラスビーズと混合された炭化タングステンのグリット材料を利用する第2の実験は、同じ条件下で行った。クラッキング媒体は、体積基準で、約3%の炭化タングステンのグリットと97%のガラスビーズを含んだ。表7及び8は、反応器システムの様々な場所での温度、流速、滞留時間などを報告する。この第2の実験の生成物プロファイルは、表9に報告される。
【0068】
【表7】
【0069】
【表8】
【0070】
【表9】
【0071】
実施例5:酸化タングステンがコーティングされたガラスビーズ触媒を利用したデキストロースの熱分解
実施例4で行ったものと同様のいくつかの実験を行った。表10及び11は、酸化タングステンがコーティングされたガラスビーズ触媒を、反応器システムの様々な温度で使用した結果を報告しており、この場合、酸化タングステンがコーティングされた触媒は、全クラッキング媒体の約6重量%を占めていた。
【0072】
【表10】
【0073】
【表11】
【0074】
上記の結果によって実証されるように、金属酸化物がコーティングされたガラスビーズを含む触媒は、金属炭化物触媒と比較して、グリコールアルデヒドのかなり高い収率を生じた。
【0075】
実施例6:酸化モリブデンがコーティングされたガラスビーズ触媒を利用したデキストロースの熱分解
全クラッキング媒体の約6重量%を占める酸化モリブデンがコーティングされたガラスビーズ触媒を使用して、実施例4と同様の実験を行った。触媒を、様々な反応器温度で試験した。反応条件を表12に示し、結果を表13に報告する。
【0076】
【表12】
【0077】
【表13】
【0078】
【表14】
【0079】
【表15】
【0080】
実施例7:酸化バナジウムがコーティングされたガラスビーズ触媒を利用したデキストロースの熱分解
5重量%の酸化バナジウムがコーティングされたガラスビーズ触媒を使用して、実施例4と同様の実験を行った。この触媒を設定温度525℃での反応に使用した。50時間作動した後、反応器のコーキングが観察された。
【0081】
反応条件を以下の表14に記載する。表15は、反応中の反応器の様々な場所での温度を報告する。以下の「底部温度」は、供給ノズルでの温度である。表16は、反応生成物の生成プロファイルを報告する。
【0082】
【表16】
【0083】
【表17】
【0084】
【表18】
【0085】
実施例8:モリブデンがコーティングされた石英砂触媒を利用したデキストロースの熱分解
約5重量%のモリブデンがコーティングされた石英砂触媒と95重量%の未処理の石英砂であるクラッキング媒体を使用して、実施例4と同様の実験を行った。反応は設定温度525℃で行った。反応条件を以下の表17及び18に記載する。以下に報告される「底部温度」は、供給ノズルでの温度である。表19は、実験の結果を報告する。
【0086】
3時間作動した後、反応を停止し、反応器を検査した。コーキングが観察され、反応器で固体の塊が形成された。
【0087】
【表19】
【0088】
【表20】
【0089】
【表21】
【0090】
実施例9:チタニアがコーティングされたガラスビーズ触媒を利用したデキストロースの熱分解
酸化チタニアがコーティングされたガラスビーズを実施例1の手順に従って調製し、この触媒を用いたデキストロースの熱分解の実験を実施例4の手順に従って試験した。反応生成物のプロファイルを以下の表20に報告する。
【0091】
反応を行う前に、反応器本体全体と全てのガス処理ラインを適切に洗浄した。反応器は、完全に密閉する前に30時間を超える間、操作できなかった。調査の結果、反応器内に固体の塊が形成され、ガス処理ラインが焦げと熱分解油の混合物で密閉された。注入後、供給物がガラスビーズと反応して固体の塊を形成し、焦げの量が増加したという仮説が立てられた。この蓄積により、最終的に反応器が停止し、圧力が上昇した。
【0092】
【表22】
【0093】
本発明の要素又はその好ましい実施形態を紹介するとき、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び「前記(said)」は、1つ又は複数の要素があることを意味することを意図している。「含む(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0094】
上記に鑑みて、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られることが分かるであろう。
【0095】
項目:
1.少なくとも4つの炭素原子を有する炭水化物を含む供給組成物を熱分解反応領域に供給することと、
前記熱分解反応領域において水及び触媒の存在下で前記炭水化物を熱分解してグリコールアルデヒドを含む反応生成物を形成することと、
を含む、グリコールアルデヒドを調製するためのプロセスであって、前記触媒は、触媒担体上の金属酸化物を含み、以下の条件:
(a)前記熱分解反応領域は、400℃以上の温度に加熱される、
(b)前記触媒担体は、500m/g以下、250m/g以下、100m/g以下、50m/g以下、25m/g以下、10m/g以下、5m/g以下、又は1m/g以下のBET比表面積を有する、
(c)前記触媒担体は、ガラス材料、セラミック材料、又は耐火性材料を含む、
(d)前記熱分解反応領域は、前記触媒とは異なる反応領域媒体を更に含む、及び/又は
(e)グリコールアルデヒドの収率は、70%以上、75%以上、又は80%以上である、の少なくとも1つが満たされるプロセス。
【0096】
2.前記炭水化物は、C~C24の炭水化物を含む、項目1のプロセス。
【0097】
3.前記炭水化物は、単糖、二糖、オリゴ糖、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの糖を含む、項目1又は項目2のプロセス。
【0098】
4.前記炭水化物は、単糖を含む、項目1~3のいずれか1つのプロセス。
【0099】
5.前記炭水化物は、セルロースを含む、項目1~4のいずれか1つのプロセス。
【0100】
6.前記炭水化物は、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの糖を含む、項目1~5のいずれか1つのプロセス。
【0101】
7.前記炭水化物は、ケトテトロース、ケトペントース、ケトヘキソース、ケトヘプトース、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのケトース糖を含む、項目1~6のいずれか1つのプロセス。
【0102】
8.前記炭水化物は、グルコース(デキストロース)及び/又はフルクトースを含む、項目1~7のいずれか1つのプロセス。
【0103】
9.前記供給組成物は、前記炭水化物を含む水溶液を含む、項目1~8のいずれか1つのプロセス。
【0104】
10.前記供給組成物は、グルコースを含む水溶液を含む、項目9のプロセス。
【0105】
11.前記供給組成物は、前記炭水化物を含む固体を含む、項目1~10のいずれか1つのプロセス。
【0106】
12.前記供給組成物は、バイオマス原料を含む、項目1~11のいずれか1つのプロセス。
【0107】
13.前記供給組成物は、粉砕されたバイオマス個体を含む、項目1~12のいずれか1つのプロセス。
【0108】
14.前記金属酸化物は、遷移金属酸化物を含む、項目1~13のいずれか1つのプロセス。
【0109】
15.前記金属酸化物は、4、5、6、7、8、9、10、又は11族金属の酸化物又はこれらの混合物を含む、項目1~14のいずれか1つのプロセス。
【0110】
16.前記金属酸化物は、4、5、又は6族金属の酸化物又はこれらの混合物を含む、項目1~15のいずれか1つのプロセス。
【0111】
17.前記金属酸化物は、チタン、モリブデン、タングステン、バナジウムの酸化物、又はこれらの混合物を含む、項目1~16のいずれか1つのプロセス。
【0112】
18.前記金属酸化物は、モリブデン、タングステンの酸化物、又はこれらの混合物を含む、項目1~17のいずれか1つのプロセス。
【0113】
19.前記金属酸化物は、酸化タングステン(IV)を含む、項目1~18のいずれか1つのプロセス。
【0114】
20.前記金属酸化物は、酸化タングステン(V)を含む、項目1~19のいずれか1つのプロセス。
【0115】
21.前記金属酸化物は、酸化モリブデンを含む、項目1~20のいずれか1つのプロセス。
【0116】
22.酸化タングステン及び/又は酸化モリブデンは、前記触媒担体上の金属酸化物の、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上%、45重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、又は99重量%以上を構成する、項目17~21のいずれか1つのプロセス。
【0117】
23.酸化タングステン及び/又は酸化モリブデンは、前記触媒担体上の金属酸化物の、1重量%~99重量%、2重量%~99重量%、3重量%~99重量%、4重量%~99重量%、5重量%~99重量%、10重量%~99重量%、15重量%~99重量%、20重量%~99重量%、25重量%~99重量%、30重量%~99重量%、35重量%~99重量%、40重量%~99重量%、45重量%~99重量%、50重量%~99重量%、60重量%~99重量%、70重量%~99重量%、80重量%~99重量%、90重量%~99重量%、95重量%~99重量%、1重量%~95重量%、2重量%~95重量%、3重量%~95重量%、4重量%~95重量%、5重量%~95重量%、10重量%~95重量%、15重量%~95重量%、20重量%~95重量%、25重量%~95重量%、30重量%~95重量%、35重量%~95重量%、40重量%~95重量%、45重量%~95重量%、50重量%~95重量%、60重量%~95重量%、70重量%~95重量%、80重量%~95重量%、90重量%~95重量%、1重量%~90重量%、2重量%~90重量%、3重量%~90重量%、4重量%~90重量%、5重量%~90重量%、10重量%~90重量%、15重量%~90重量%、20重量%~90重量%、25重量%~90重量%、30重量%~90重量%、35重量%~90重量%、40重量%~90重量%、45重量%~90重量%、50重量%~90重量%、60重量%~90重量%、70重量%~90重量%、又は80重量%~90重量%を構成する、項目17~21のいずれか1つのプロセス。
【0118】
24.前記触媒担体における前記金属酸化物は、酸化タングステン及び/又は酸化モリブデンからなる、項目1~23のいずれか1つのプロセス。
【0119】
25.前記触媒は、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上%、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、又は99重量%以上の金属酸化物充填物を有する、項目1~24のいずれか1つのプロセス。
【0120】
26.前記触媒は、0.1重量%~15重量%、0.5重量%~15重量%、1重量%~15重量%、2重量%~15重量%、5重量%~15重量%、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~10重量%、1重量%~10重量%、2重量%~10重量%、又は5重量%~10重量%の金属酸化物充填物を有する、項目1~25のいずれか1つのプロセス。
【0121】
27.前記触媒担体は、500m/g以下、250m/g以下、100m/g以下、50m/g以下、25m/g以下、10m/g以下、5m/g以下、又は1m/g以下であるBET比表面積を有する、項目1~26のいずれか1つのプロセス。
【0122】
28.前記触媒担体は、ガラス材料、セラミック材料、耐火性材料、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、項目1~27のいずれか1つのプロセス。
【0123】
29.前記触媒担体は、ガラス材料を含む、項目1~28のいずれか1つのプロセス。
【0124】
30.前記ガラス材料は、ガラスビーズを含む、項目29のプロセス。
【0125】
31.前記触媒は、ガラス材料を含む触媒担体と、金属酸化物を含むコーティングとを含み、前記コーティングは、前記金属酸化物又はその反応生成物を含むゾル-ゲルを使用してコーティングされた前記ガラス材料に堆積される、項目28~30のいずれか1つのプロセス。
【0126】
32.前記触媒担体は、セラミック材料を含む、項目1~28のいずれか1つのプロセス。
【0127】
33.前記セラミック材料は、炭化ケイ素、イットリア安定化ジルコニア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目33のプロセス。
【0128】
34.前記触媒担体は、耐火性材料を含む、項目1~28のいずれか1つのプロセス。
【0129】
35.前記耐火性材料は、シリコン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、又はこれらの組み合わせを含む、項目34のプロセス。
【0130】
36.前記触媒は、未焼成触媒である、項目1~35のいずれか1つのプロセス。
【0131】
37.前記供給組成物は、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、又は20重量%以上である炭水化物濃度を有する項目1~36のいずれか1つのプロセス。
【0132】
38.前記供給組成物は、1重量%~50重量%、1重量%~30重量%、1重量%~25重量%、5重量%~50重量%、5重量%~30重量%、5重量%~25重量%、10重量%~50重量%、10重量%~30重量%、10重量%~25重量%、15重量%~50重量%、15重量%~30重量%、15重量%~25重量%、20重量%~50重量%、20重量%~30重量%、又は20重量%~25重量%の炭水化物濃度を有する、項目1~37のいずれか1つのプロセス。
【0133】
39.前記熱分解反応領域は、400℃以上、450℃以上、475℃以上、500℃以上、525℃以上、550℃以上、575℃以上、又は600℃以上の温度に加熱される、項目1~38のいずれか1つのプロセス。
【0134】
40.前記熱分解反応領域は、400℃~600℃、400℃~575℃、400℃~550℃、400℃~525℃、450℃~600℃、450℃~575℃、450℃~550℃、450℃~525℃、500℃~600℃、500℃~575℃、500℃~550℃、500℃~525℃、525℃~600℃、525℃~575℃、又は525℃~550℃の温度に加熱される、項目1~39のいずれか1つのプロセス。
【0135】
41.前記グリコールアルデヒドの収率は、70%以上、75%以上、又は80%以上である、項目1~40のいずれか1つのプロセス。
【0136】
42.前記グリコールアルデヒドの収率は、70%~85%、70%~80%、75%~85%、又は75%~80%である、項目1~41のいずれか1つのプロセス。
【0137】
43.前記供給組成物は、グルコース水溶液を含み、グリコールアルデヒドの収率は、70%以上、75%以上、又は80%以上である、項目37~42のいずれか1つのプロセス。
【0138】
44.前記反応生成物は、ホルムアルデヒド、グリオキサール、ピルブアルデヒド、アセトール、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分を更に含む、項目1~43のいずれか1つのプロセス。
【0139】
45.前記反応生成物は、ホルムアルデヒドを更に含む、項目1~44のいずれか1つのプロセス。
【0140】
46.前記反応生成物は、ホルムアルデヒドを更に含み、グリコールアルデヒド対ホルムアルデヒドのモル比は、5:1以上、6:1以上、8:1以上、10:1以上、又は12:1以上である、項目1~45のいずれか1つのプロセス。
【0141】
47.前記反応生成物は、グリオキサールを更に含む、項目1~46のいずれか1つのプロセス。
【0142】
48.前記反応生成物は、グリオキサールを更に含み、グリコールアルデヒド対グリオキサールのモル比は、10:1以上、15:1以上、20:1以上、又は25:1以上である、項目1~47のいずれか1つのプロセス。
【0143】
49.前記反応生成物は、ピルブアルデヒドを更に含む、項目1~48のいずれか1つのプロセス。
【0144】
50.前記反応生成物は、ピルブアルデヒドを更に含み、グリコールアルデヒド対ピルブアルデヒドのモル比は、5:1以上、6:1以上、8:1以上、10:1以上、又は 12:1以上である、項目1~49のいずれか1つのプロセス。
【0145】
51.前記反応生成物は、アセトールを更に含む、項目1~50のいずれか1つのプロセス。
【0146】
52.前記反応生成物は、アセトールを更に含み、グリコールアルデヒド対アセトールのモル比は、15:1以上、20:1以上、25:1以上、又は30:1以上である、項目1~51のいずれか1つのプロセス。
【0147】
53.前記反応生成物は、エチレングリコールを含まない又は本質的に含まない、項目1~52のいずれか1つのプロセス。
【0148】
54.グリコールアルデヒド対エチレングリコールのモル比は、100:1以上、200:1以上、又は400:1以上である、項目1~53のいずれか1つのプロセス。
【0149】
55.前記熱分解反応領域は、前記触媒とは異なる前記反応領域媒体を更に含む、項目1~54のいずれか1つのプロセス。
【0150】
56.前記触媒及び前記反応領域媒体は、前記熱分解反応領域内に充填された前記媒体の総体積を構成し、前記触媒は、前記熱分解反応領域内に充填された媒体の総体積の、1体積%~50体積%、2体積%~25体積%、3体積%~15体積%、又は4体積%~10体積%である、項目1~55のいずれか1つのプロセス。
【0151】
57.前記反応領域媒体は、ガラス材料、セラミック材料、耐火性材料、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、項目1~56のいずれか1つのプロセス。
【0152】
58.前記反応領域媒体は、ガラス材料を含む、項目1~57のいずれか1つのプロセス。
【0153】
59.前記ガラス材料は、ガラスビーズを含む、項目58のプロセス。
【0154】
60.前記反応領域媒体は、コーティングされていない、項目1~59のいずれか1つのプロセス。
【0155】
61.前記反応領域媒体は、金属酸化物コーティングを含まない又は本質的に含まない、項目1~60のいずれか1つのプロセス。
【0156】
62.前記反応領域媒体は、金属酸化物を含まない前記触媒の担体を含む、項目1~61のいずれか1つのプロセス。
【0157】
63.前記熱分解反応領域は、少なくとも1つの流動床反応器を含む、項目1~62のいずれか1つのプロセス。
【0158】
64.前記供給組成物は、前記熱分解反応領域において流動化ガス中で流動化される、項目1~63のいずれか1つのプロセス。
【0159】
65.前記流動化ガスは、窒素、蒸気、二酸化炭素、及び/又は燃焼オフガスを含む、項目64のプロセス。
【0160】
66.前記熱分解反応領域に供給される前記供給組成物を霧化することを更に含む、項目1~65のいずれか1つのプロセス。
【0161】
67.前記滞留時間は、10秒以下、8秒以下、6秒以下、4秒以下、2秒以下、1秒以下、又は0.5秒である、項目1~66のいずれか1つのプロセス。
【0162】
68.前記滞留時間は、0.5秒~10秒、0.5秒~5秒、0.5秒~2秒、0.5秒~1秒、1秒~10秒、1秒~5秒、又は1秒~2秒である、項目1~67のいずれか1つのプロセス。
【0163】
69.前記触媒の作動時間(TOS)期間は、1,500時間以上、2,000時間以上、4,000時間以上、6,000時間以上、8,000時間以上、又は10,000時間以上である、項目1~68のいずれか1つのプロセス。
【0164】
70.前記触媒は、
金属酸化物、溶媒、及び強酸及び/又は過酸化物供給源を混合してゾル-ゲルを形成することと、
前記触媒担体に前記ゾル-ゲルを堆積させてコーティングされた触媒担体を形成することと、
前記コーティングされた触媒担体から溶媒を除去して前記触媒を形成することと、
を含むプロセスによって形成される、項目1~69のいずれか1つのプロセス。
【0165】
71.前記溶媒は、C~C10アルカノールを含む、項目70のプロセス。
【0166】
72.前記過酸化物供給源は、過酸化水素を含み、溶媒は、水を含む、項目70のプロセス。
【0167】
73.前記強酸は、塩酸、硫酸、硝酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、項目69~72のいずれか1つのプロセス。
【0168】
74.触媒を調製するためのプロセスであって、
金属酸化物、溶媒、及び強酸を混合してゾル-ゲルを形成することと、
触媒担体に前記ゾル-ゲルを堆積させてコーティングされた触媒担体を形成することと、前記コーティングされた触媒担体から溶媒を除去して前記触媒を形成することと、
を含む触媒を調製するためのプロセス。
【0169】
75.前記金属酸化物は、遷移金属酸化物の酸化物を含む、項目74のプロセス。
【0170】
76.前記金属酸化物は、4、5、6、7、8、9、10、又は11族金属の酸化物又はこれらの混合物を含む、項目74又は項目75のプロセス。
【0171】
77.前記金属酸化物は、4、5、又は6族金属の酸化物又はこれらの混合物を含む、項目74~76のいずれか1つのプロセス。
【0172】
78.前記金属酸化物は、チタン、モリブデン、タングステン、バナジウムの酸化物、又はこれらの混合物を含む、項目74~77のいずれか1つのプロセス。
【0173】
79.前記金属酸化物は、モリブデン、タングステンの酸化物、又はこれらの混合物を含む、項目74~78のいずれか1つのプロセス。
【0174】
80.前記金属酸化物は、酸化タングステン(IV)を含む、項目74~79のいずれか1つのプロセス。
【0175】
81.前記金属酸化物は、酸化タングステン(V)を含む、項目74~80のいずれか1つのプロセス。
【0176】
82.前記触媒は、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、5重量%、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上%、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、又は99重量%以上の金属酸化物充填物を有する、項目74~81のいずれか1つのプロセス。
【0177】
83.前記触媒は、0.1重量%~15重量%、0.5重量%~15重量%、1重量%~15重量%、2重量%~15重量%、5重量%~15重量%、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~10重量%、1重量%~10重量%、2重量%~10重量%、又は5重量%~10重量%の金属酸化物充填物を有する、項目74~82のいずれか1つのプロセス。
【0178】
84.前記触媒担体は、500m/g以下、250m/g以下、又は100m/g以下のBET比表面積を有する、項目74~83のいずれか1つのプロセス。
【0179】
85.前記触媒担体は、ガラス材料、セラミック材料、耐火性材料、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、項目74~84のいずれか1つのプロセス。
【0180】
86.前記触媒担体は、ガラス材料を含む、項目74~85のいずれか1つのプロセス。
【0181】
87.前記ガラス材料は、ガラスビーズを含む、項目74~86のいずれか1つのプロセス。
【0182】
88.前記触媒は、焼成を受けない、項目74~87のいずれか1つのプロセス。
【0183】
89.前記溶媒は、C~C10アルカノールを含む、項目74~88のいずれか1つのプロセス。
【0184】
90.前記C~C10アルカノールは、イソプロパノール、エタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、項目89のプロセス。
【0185】
91.前記強酸は、塩酸、硫酸、硝酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、項目74~90のいずれか1つのプロセス。
【0186】
92.前記ゾル-ゲルは、窒素雰囲気中で形成される、項目74~91のいずれか1つのプロセス。
【0187】
93.前記ゾル-ゲルは、酸素の実質的な非存在下で形成される、項目74~92のいずれか1つのプロセス。
【0188】
94.前記溶媒を除去するために、前記コーティングされた触媒担体を80℃以上、90℃以上、又は100℃以上の温度に加熱する、項目74~93のいずれか1つのプロセス。
【0189】
95.触媒を調製するためのプロセスであって、
金属酸化物、溶媒、及び過酸化物供給源を混合してゾル-ゲルを形成することと、
触媒担体に前記ゾル-ゲルを堆積させてコーティングされた触媒担体を形成することと、
前記コーティングされた触媒担体から溶媒を除去して前記触媒を形成することと、
を含む触媒を調製するためのプロセス。
【0190】
96.前記過酸化物供給源は、過酸化水素を含む項目95のプロセス。
【0191】
97.前記溶媒は、水を含む、項目95又は96のプロセス。
【国際調査報告】