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特表2023-525920光学材料の構成要素の品質を評価するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】光学材料の構成要素の品質を評価するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/896 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
G01N21/896
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570580
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2020064127
(87)【国際公開番号】W WO2021233539
(87)【国際公開日】2021-11-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス コアプ
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス オッターマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク-トーマス レンテス
(72)【発明者】
【氏名】ニコラウス シュルツ
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA11
2G051AA82
2G051AB01
2G051AB02
2G051BA05
2G051BA06
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB02
2G051CC07
2G051CC11
2G051DA08
(57)【要約】
本発明は、光ビーム(11)を検出器装置(7)に向かわせ、光ビームが少なくとも時々構成要素(3)を横切るように、光ビーム(11)に対する構成要素(3)の位置および/または向きを変化させ、構成要素(3)の位置および/または向きに対する検出器装置(7)により検出された光ビーム(11)の1つ以上のパラメータの依存性を分析することに基づいて、構成要素(3)の少なくとも1つの性能指数の少なくとも1つの特性値を判定することにより、光学材料の少なくとも1つの構成要素(3)の品質を評価するための方法に関する。また、本発明は、このような構成要素(3)の品質を評価するためのシステム(1)に関する。システム(1)は、光源(9)と、回転および高さ調節可能なテーブルの形態で実現されるホルダ装置(5)と、プリズム、例えばペンタプリズム、または代替的にはミラーを備える光学素子(19)と、フィルタ(21)、例えば減衰フィルタと、(2D)検出器を備えることができる検出器装置(7)と、を備えることができる。構成要素(3)は、円筒形状のものであることができ、シェルを有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の中心軸線を有する光学材料の少なくとも1つの構成要素の品質を評価するための方法であって、前記方法は、
光ビームに対して前記構成要素の位置および/または向きを変化させながら、光ビームが少なくとも時々前記構成要素を横切るように、少なくとも1つの検出器装置に少なくとも1つの光ビームを向かわせることと、
前記構成要素の位置および/または向きに対する、前記検出器装置により検出された光ビームの1つ以上のパラメータの依存性を、少なくとも1つの分析装置により分析することに基づいて、前記構成要素の少なくとも1つの性能指数の少なくとも1つの特性値を少なくとも1つの判定装置により判定することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光ビームを向かわせることは、光ビームを、少なくとも1つの光源から少なくとも1つの光学素子を介して前記検出器装置へルーティングすることを含み、特に、前記光学素子は、少なくとも1つのプリズム、特に少なくとも1つのペンタプリズムおよび/または少なくとも1つのミラーを含み、かつ好ましくは、
(i)前記光学素子は、光ビーム、前記光源および/もしくは前記検出器装置に対して固定に配置され、
(ii)前記光学素子は、(aa)少なくとも部分的に、かつ/もしくは(bb)少なくとも時々、前記構成要素により囲まれた少なくとも1つの体積内に配置され、
(iii)前記光学素子は、光ビームの伝搬経路に沿って前記構成要素の前方または後方に配置され、
(iv)光ビームは、前記構成要素の前記第1の中心軸線に対して平行な方向に沿って前記光学素子に入射し、
(v)光ビームは、前記構成要素の前記第1の中心軸線に対して垂直な方向に沿って前記光学素子に入射し、
(vi)光ビームは、前記光学素子により、光ビームの入射方向に対して垂直な方向(aa)、前記構成要素の前記第1の中心軸線に対して垂直な方向(bb)、および/もしくは前記構成要素の前記第1の中心軸線に対して平行な方向(cc)に偏向され、
かつ/または
(vii)光ビームが前記構成要素を前記構成要素の少なくとも1つの局所的な表面領域に対して常に垂直に横切るように、前記光学素子が光ビームを偏向させる、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
(i)光ビームが前記構成要素を横切るとき、前記構成要素の少なくとも1つの厚さ範囲を通って、特に前記構成要素の少なくとも1つの壁もしくはシェルを通って伝搬し、
かつ/または
(ii)光ビームが常に前記構成要素を横切りかつ/もしくはそれぞれ異なる時点でのそれぞれ異なる位置で前記構成要素を横切る、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
(i)前記構成要素は、少なくとも1つの位置決め装置に対して固定に取り付けられており、好ましくは、前記構成要素の位置および/もしくは向きを変化させることは、前記位置決め装置を作動させることならびに/または前記位置決め装置の位置および/もしくは向きを変化させることを含み、
(ii)前記構成要素は、材料として、ガラス、ガラスセラミックおよび/もしくはポリマーを含み、特に、前記材料は、好ましくはUV、VISおよび/もしくはIRの周波数範囲にある光ビームに対して少なくとも部分的に透明であり、
かつ/または
(iii)前記構成要素は、特に少なくとも1つの壁もしくはシェルを有する円筒形状のもの、および/もしくは非円筒形状のもの、特に平坦な形状および/もしくは立方体形状のものである、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記位置決め装置が請求項4に関係する場合に、
(i)前記構成要素の位置を変化させることは、好ましくは前記位置決め装置を第1の方向に沿って変位させることにより、特に前記構成要素の前記第1の中心軸線に対して平行な少なくとも1つの第1の方向に沿って前記構成要素の位置を変化させることを含み、
(ii)前記構成要素の位置を変化させることは、好ましくは前記位置決め装置を第2の方向に沿って変位させることにより、特に前記第1の方向に対して垂直なかつ/または前記構成要素の前記第1の中心軸線に対して垂直な少なくとも1つの第2の方向に沿って前記構成要素の位置を変化させることを含み、
(iii)前記構成要素の向きを変化させることは、好ましくは前記第1の中心軸線の周りでかつ/もしくは入射する光ビームもしくは出射する光ビームに対して平行な少なくとも1つの軸線の周りで前記位置決め装置を回転させることにより、前記第1の中心軸線の周りでかつ/もしくは入射する光ビームもしくは出射する光ビームに対して平行な少なくとも1つの軸線の周りで前記構成要素を回転させることを含み、
(iv)前記構成要素の位置および/もしくは向きを変化させることは、前記第1の方向に沿って前記構成要素の位置を変化させることと、前記構成要素の向きを、好ましくは並行してかつ/もしくは順次に変化させることとを含み、
かつ/または
(v)前記構成要素の位置および/もしくは向きを変化させることは、前記第1の方向および前記第2の方向に沿って、好ましくは並行してかつ/もしくは順次に、前記構成要素の位置を変化させることを含む、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記検出器装置は、前記検出器装置に入射する光ビームを検出するための少なくとも1つの検出面を有し、好ましくは、前記検出面は、入射する光ビームに対して垂直であり、
好ましくは、前記検出面内での光ビームの断面は、好ましくは基準位置に対する位置、特にその中心の位置および/またはその重心の位置を有し、前記断面の位置は、第1の座標軸上の少なくとも1つの第1の座標値および/または第2の座標軸上の少なくとも1つの第2の座標値により示され、好ましくは、前記第1の座標軸は、第3の方向に沿っており、かつ/または前記第2の座標軸は、第4の方向に沿っており、好ましくは、前記第3の方向は、前記構成要素の前記第1の中心軸線に対して垂直であり、かつ/または前記第4の方向は、前記第3の方向に対して垂直でありかつ/もしくは前記第1の方向に対して平行である、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のパラメータは、
(a)断面が前記検出器装置の前記検出面内にある、光ビームの少なくとも1つの断面の領域、特に、形状、サイズ、例えば、最大拡張の絶対値、前記最大拡張の方向、前記領域の境界の楕円度および/もしくはシャープネスのそれぞれ、
(b)前記検出面内での光ビームの断面の位置、特に前記第1の座標値および/もしくは前記第2の座標値、
ならびに/または
(c)前記検出面内での光ビームの強度分布、
からなる群から選択される、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記性能指数は、
前記構成要素の局所的な不均一性、例えば、少なくとも1つの局所的な厚さおよび/もしくは少なくとも1つの局所的な屈折率、特に、少なくとも1つの局所的な厚さの変動および/もしくは少なくとも1つの局所的な屈折率の変動、
前記構成要素の、名目上理想的な形状の構成要素からの局所的な逸脱、
前記構成要素の、円筒設計からの局所的な逸脱、
前記構成要素中の局所的な欠陥、例えば泡および/もしくはノット、
前記構成要素の局所的なかつ/もしくは大域的な真円度、
前記構成要素の局所的な勾配誤差、
前記構成要素上の局所的な引抜線、
前記構成要素の局所的な形状誤差、
前記構成要素の局所的なアーチファクト、
前記構成要素の局所的な光透過特性、
前記構成要素の局所的な線条、
前記構成要素上の局所的な引っかき傷、
前記構成要素の物理的厚さの局所的な変動、
前記構成要素の光学的厚さの局所的な変動、
ならびに/または
前記構成要素中の局所的な不純物、例えば石および/もしくは金属片、
のそれぞれを対象にする、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記特性値は、前記性能指数の少なくとも1つの定量値でありかつ/または前記性能指数の少なくとも1つの定性値であり、例えば、「良好」、「非常に良好」、「悪い」、「より悪い」、「最も悪い」、「非常に少ない」、「少ない」、「幾らか」および「多い」のうちの1つ以上である、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記依存性を分析することは、前記検出器装置により検出された前記1つ以上のパラメータのそれぞれが前記構成要素のそれぞれ異なる位置および/もしくは向きにわたって有する変動を取得しかつ/または評価することを含み、特に、前記変動は、(a)各パラメータのいずれかの基準に関して取得されもしくは評価され、かつ/または(b)各パラメータが前記構成要素のそれぞれ異なる位置および/もしくは向きについて有する最大値と最小値との間の差により記述される、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記性能指数の特性値を判定することは、(a)特性値として前記パラメータの変動を使用すること、ならびに/または(b)前記依存性、特に前記パラメータの前記変動を分析することにより得られた結果を、少なくとも1つ以上の定性的参照手段かつ/もしくは定量的参照手段に対して比較することを含み、
好ましくは、前記定量的参照手段は、少なくとも1つのルックアップテーブル、少なくとも1つの上限閾値および/または少なくとも1つの下限閾値を含む、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
(i)前記パラメータは、前記検出面内での光ビームの断面の位置の前記第1の座標値であり、前記構成要素の前記第1の方向および/もしくは前記第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置および/もしくは前記第1の中心軸線の周りの前記構成要素の向きに対する、前記パラメータの依存性を、前記構成要素の円筒設計からの局所的な逸脱、真円度、勾配誤差および/もしくは引抜線それぞれの特性値を判定するために分析し、
(ii)前記パラメータは、前記検出面内での光ビームの断面の位置の前記第2の座標値であり、前記構成要素の前記第1の方向および/もしくは前記第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置および/もしくは前記第1の中心軸線の周りの前記構成要素の向きに対する、前記パラメータの依存性を、前記構成要素の円筒設計からの局所的な逸脱、真円度、勾配誤差および/もしくは引抜線それぞれの特性値を判定するために分析し、
(iii)前記パラメータは、前記検出面内での光ビームの断面の領域であり、前記構成要素の前記第1の方向および/もしくは前記第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置および/もしくは前記第1の中心軸線の周りの前記構成要素の向きに対する、前記パラメータの依存性を、前記構成要素の円筒設計からの局所的な逸脱および/もしくは局所的な欠陥それぞれの特性値を判定するために分析し、
かつ/または
(iv)前記パラメータは、前記検出面内での光ビームの強度分布であり、前記構成要素の前記第1の方向および/もしくは前記第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置および/もしくは前記第1の中心軸線の周りの前記構成要素の向きに対する、前記パラメータの依存性を、前記構成要素の局所的な欠陥および/もしくは少なくとも1つの光透過特性それぞれの特性値を判定するために分析する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
(i)光ビームは、少なくとも1つのレーザービームを含み、特に、前記レーザービームは、波長840nm、905nmおよび/もしくは1550nmの光を含み、
(ii)光ビームは、少なくとも1つの白色光源を含む少なくとも1つの光源から放出され、好ましくは、前記光源を、(a)光ビームに含まれる少なくとも1つの波長を設定するための少なくとも1つのフィルタと組み合わせてかつ/もしくは(b)特にビーム形成のために、光ビームの経路内に配置された1つ以上の光学部品と組み合わせて使用し、
かつ/または
(iii)前記少なくとも1つの光ビームを向かわせることは、2つ以上の光ビーム、特に平行な光ビームを前記検出器装置に向かわせることを含み、特に、前記2つ以上の光ビームは、前記構成要素を、前記第1の方向および/または前記第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置において同じ時点で横切る、
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
(i)前記方法は、前記検出器装置に入射する光ビーム、特に前記検出面に入射する光ビームの強度に基づいて、レーザービームの強度を制御することをさらに含み、
(ii)少なくとも1つの減衰フィルタは、入射する光ビームを減衰させるために、前記検出器装置の前方の光ビーム経路内に配置されており、
(iii)少なくとも1つの散乱光フィルタは、散乱光が前記検出器装置、特に前記検出面に到達することを防ぐために、前記検出器装置の前方の光ビーム経路内に配置されており、
(iv)前記検出器装置は、特にピクセルのアレイを含む少なくとも1つの2D検出器ユニットを備え、前記2D検出器ユニットは、好ましくは、前記検出面内での光ビームの断面の位置、形状および/または強度分布を判定するように構成されまたは構成可能であり、
(v)前記検出器装置は、少なくとも1つの位置感応検出器アレイ、例えば、少なくとも1つの四象限フォトダイオード、少なくとも1つのカメラデバイスおよび/もしくは少なくとも1つのラインセンサを備え、
(vi)前記判定装置、前記分析装置および前記検出器装置のうちの2つまたは全部は、少なくとも部分的に1つの単一装置として設計されており、
(vii)前記構成要素と前記検出器装置、特に前記検出面との間の最短距離は、前記構成要素の位置および/もしくは向きを変化させる間、特に、前記第1の方向および/もしくは第2の方向に沿って位置を変化させる間、かつ/もしくは前記第1の中心軸線の周りで向きを変化させる間、一定であり、好ましくは、前記光経路の全ての角度は、位置および/もしくは向きを変化させる間一定であり、
(viii)前記構成要素と前記検出器装置、特に前記検出面との間の最短距離は、1cm~100m、好ましくは1cm~10m、より好ましくは1cm~10cmまたは2m~6m、特に2m~4mであり、
かつ/または
(ix)少なくとも1つのホルダ装置が設けられ、好ましくは、前記少なくとも1つのホルダ装置は、特に前記構成要素が入射する光ビームおよび/もしくは出射する光ビームと常に同心となるような位置に前記構成要素を保持するために、前記位置決め装置の少なくとも1つの部分と一体に設計されている、
請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
光学材料の少なくとも1つの構成要素の品質を評価するためのシステム、特に請求項1から14までのいずれか1項記載の方法を実施するためのかつ/またはこの方法を実施するように構成されたシステムであって、前記システムは、
・構成要素を保持するための少なくとも1つのホルダ装置と、
・少なくとも1つの検出器装置と、
・前記構成要素が前記ホルダ装置により保持されている場合、光ビームが少なくとも時々前記構成要素を横切るように、前記少なくとも1つの検出器装置に向けられる少なくとも1つの光ビームを放出する少なくとも1つの光源と、
・特に前記構成要素が前記ホルダ装置により保持されている間に、光ビームに対する前記構成要素の位置および/または向きを変化させるためのかつ/または変化させるように構成された少なくとも1つの位置決め装置と、
・好ましくは、前記構成要素の位置および/または向きに対する、前記検出器装置により検出された光ビームの1つ以上のパラメータの依存性を分析するように構成された少なくとも1つの分析装置と、
・好ましくは、前記分析装置から得られた少なくとも1つの結果に基づいて、前記構成要素の少なくとも1つの性能指数の少なくとも1つの特性値を判定するように構成された少なくとも1つの判定装置と、
を備えるシステム。
【請求項16】
(i)少なくとも1つの光ビームは、少なくとも1つの光源から前記検出器装置に少なくとも1つの光学素子を介して向けられ、特に前記光学素子は、少なくとも1つのプリズム、特に偶数の反射面を有する少なくとも1つのプリズムもしくは少なくとも1つのペンタプリズムおよび/または好ましくは1つの反射面を有する少なくとも1つのミラーを備え、
(ii)前記システムは、低振動、特に無振動であり、
(iii)前記システムは、入射する光ビームを減衰させるために、前記検出器装置の前方の光ビーム経路内に配置される少なくとも1つの減衰フィルタをさらに備え、
かつ/または
(iv)前記システムは、散乱光が前記検出器装置、特に前記検出面に到達することを防ぐために、前記検出器装置の前方の光ビーム経路内に配置される少なくとも1つの散乱光フィルタをさらに備える、
請求項15記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料の少なくとも1つの構成要素の品質を評価するための方法に関する。また、本発明は、このような構成要素の品質を評価するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学材料の構成要素は、光ビームが光学材料を通過する種々の光学用途において、最高水準の技術で広く使用されている。例えば、UV、VISまたはIRの所定のスペクトル範囲内で少なくとも透明である光学材料、例えばガラス製の薄壁円筒管は、特にLIDAR用途のための光学窓を提供するために、または例えば印刷技術の分野における円筒形光学スキャナに対して、使用される。ここで、光源は、光学材料の構成要素により囲まれた、特に円筒のシェルにより囲まれた体積内に配置されうる。さらに、少なくとも部分的に円筒形状の容器、特に医薬品容器、例えばバイアル、シリンジまたはフラスコには、容器の外側から容器内に含まれる材料を検査する目的で、1つ以上の光学窓または透明部分が設けられうる。ここで、完全な容器または少なくとも光学窓は、光学材料の各構成要素を含みうる。例えば、光学材料の構成要素は容器全体を表すことができる。
【0003】
これらの光学用途は全て、光ビームが歪められることなく光学材料を通過することができるよう、光学材料の構成要素が特に高い光学品質のものでなければならないという点で共通している。
【0004】
この点において、ほんの数例を挙げると、構成要素の均一な物理的および光学的厚さ、(数および/または拡張に関して)明らかな局所的または大域的な表面欠陥がないこと、円筒状構成要素の高い真円度、内側および外側輪郭の高い同心度、均質な材料分布ならびに均質な光学特性等の態様は、このような構成要素の品質を評価するための重要な基準であると考えられる。
【0005】
従来の手法では、光学材料の単一の構成要素を、最も重要な誤差源、例えば上記にて言及した誤差源に関して検証するために、多数の異なる測定方法を利用する必要がある。加えて、それぞれ異なる幾何学的形状の構成要素について、多くの場合、それぞれ異なる測定方法が必要となりうる。特に円筒形またはさらに任意の形状の構成要素の場合には、各形状の構成要素の取り扱いおよび測定の実行が高価で複雑となり、したがって非常に不便である。従来の方法は、多数の構成要素を検査しなければならない場合には適切ではない。
【0006】
例えば、最新技術では、構成要素の物理的厚さの均一性を触覚測定装置により評価することができる。同様に、共焦点測定装置、色的に離れた判定装置および干渉法アプローチが、品質評価のために提案されている。
【0007】
しかしながら、これらの方法は全て複雑であり、十分に正確ではなく、構成要素の品質の1つの単一パラメータのみを提供し、多くの場合に製造環境における高速なオンラインでの品質評価能力の要求に適合しないという事実に悩まされている。
【0008】
さらに、特にLIDAR用途で使用される構成要素について、従来の方法により得られた結果を、LIDAR用途に対しても高い重要性を有する品質パラメータへ移すことは、多くの場合に複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このため、本発明の目的は、光学材料の構成要素の品質を評価するための方法を提供することにより、最新技術に関して上記の欠点を克服することである。この方法は、迅速かつ信頼性があり、使用が容易であって、可能な限り多くの誤差源をカバーし、また多種多様な形状の構成要素をサポートする。また、本発明の目的として、このような構成要素の品質を評価するためのシステムを提供することも挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、少なくとも1つの第1の中心軸線を有する光学材料の少なくとも1つの構成要素の品質を評価するための方法であって、光ビームに対して構成要素の位置および/または向きを変化させながら、光ビームが少なくとも時々構成要素を横切るように、少なくとも1つの光ビームを少なくとも1つの検出器装置に向かわせることと、構成要素の位置および/または向きに対する、検出器装置により検出された光ビームの1つ以上のパラメータの依存性を、少なくとも1つの分析装置により分析することに基づいて、構成要素の少なくとも1つの性能指数の少なくとも1つの特性値を少なくとも1つの判定装置により判定することと、を含む方法が提案される点で、第1の態様に係る本発明により解決される。
【0011】
このため、本発明は、光ビームが(光学材料の)構成要素の材料を通って伝搬した後に、全ての可能性のある誤差源についての情報が光ビームに既に含まれているという驚くべき発見に基づいている。これは、光ビームが構成要素を横切るときに、各誤差源、例えば、欠陥、光学的不均一性、壁およびシェルの厚さの変動、不完全な真円度(円筒形の構成要素の場合)、不純物等が特定の形式で光ビームに影響を及ぼし、したがって光ビームの変化をもたらすため、正しい。このため、光ビームが構成要素をそれぞれ異なる位置で横切った後の1つ以上のパラメータに関して光ビームを分析することにより、1つ(または複数)の特定の性能指数に関して詳細な情報を得ることが可能となり、次に、その性能指数を、構成要素のどの品質状況が目的であるかに応じて任意に選択することができる。
【0012】
これは、光ビームのパラメータの評価が構成要素自体、特にその形状、そのサイズまたはその材料とは完全に無関係であるため、非常に都合が良い。さらに、目的の性能指数、すなわち構成要素につき判定された品質状況を、各誤差の性質から完全に切り離すことができ、このため、驚くべきことに、光ビームの適切なパラメータに基づいて判定を行うことができる。
【0013】
光ビームのパラメータを、従来の手段により、全てのタイプの構成要素について常に同じ方式で簡単に評価することができる。さらに、個々の誤差源についての情報を取得するために、それぞれ異なるタイプの測定を行う必要がない。この場合、これにより、より費用効率が高く、汎用的な設定が可能となる。
【0014】
実際に、個々の誤差源を事前にも事後にも知る必要がないことは、特に有益な態様である。実際の用途において、光ビームに影響を及ぼすあらゆる誤差源は、試験中に、光ビームに同様に影響を及ぼし、したがって、光ビームのパラメータの評価によりカバーされる。このことは、高く評価される。なぜなら、従来の手段により個々に考慮される場合には試験下での構成要素の品質についての誤差源が潜在的にまたはその時点で重大であるとしても、提案している発明により得られるように、品質の全体的な評価では、当該誤差源が例えば他の誤差寄与を伴ってゼロとなるため重大でないことが明らかとなりうるからである。これにより、顧客からの不合格がほとんどなくなる。
【0015】
さらに、光ビームを分析することにより、生データ、すなわち、光ビームのパラメータに直接に取り組むことが可能となる。所望の性能指数の特性値を判定するために、複雑かつ計算的に高価な信号処理技術を扱う必要がない。加えて、品質評価を、実際の用途に直接に移すことができる。これは、LIDAR用途に特に重要である。
【0016】
提案しているアプローチは、従来のアプローチより、実施が容易で、迅速で、安価で、信頼性があり、より正確である。構成要素の全ての可能性のある誤差の重要性を判定するのに必要な設定は、1つのみである。さらに、高度に自動化された方式で実行することもできるオンライン品質評価も可能である。
【0017】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの光ビームを向かわせることが、光ビームを、少なくとも1つの光源から検出器装置に、少なくとも1つの光学素子を介してルーティングすることを含み、特に、光学素子が、少なくとも1つのプリズム、特に少なくとも1つのペンタプリズムおよび/または少なくとも1つのミラーを含み、かつ好ましくは、(i)光学素子が、光ビーム、光源および/もしくは検出器装置に対して固定に配置され、(ii)光学素子が、(aa)少なくとも部分的に、かつ/もしくは(bb)少なくとも時々、構成要素により囲まれた少なくとも1つの体積内に配置され、(iii)光学素子が、光ビームの伝搬経路に沿って構成要素の前方または後方に配置され、(iv)光ビームが、構成要素の第1の中心軸線に対して平行な方向に沿って光学素子に入射し、(v)光ビームが、構成要素の第1の中心軸線に対して垂直な方向に沿って光学素子に入射し、(vi)光ビームが、光学素子により、光ビームの入射方向に対して垂直な方向(aa)、構成要素の第1の中心軸線に対して垂直な方向(bb)、および/もしくは構成要素の第1の中心軸線に対して平行な方向(cc)に偏向され、かつ/または(vii)光ビームが構成要素を構成要素の少なくとも1つの局所的な表面領域に対して常に垂直に横切るように、光学素子が光ビームを偏向させることが好ましいとされうる。
【0018】
光学素子を使用することにより、取り扱いが複雑な(光学材料の)構成要素の品質を評価することが可能となる。例えば、光学素子を使用して、ビームが構成要素(例えば、円筒形状の構成要素の場合には、そのシェル)を適切に横切るように、適切な手法でビームを偏向させることができる。これを、有利には、例えばプリズムまたはミラーを使用することにより達成することができる。
【0019】
光学素子が、光ビーム、光源および/または検出器装置に対して固定に配置される場合、堅牢な設定を得ることができ、したがって正確な測定を行うことができる。可動部品の数が減らされるためである。
【0020】
幾らかの中空空間を囲む構成要素を、光学素子が各体積内に位置する場合、好ましい手法で測定することができる。例えば、円筒形状の構成要素は、その点で1つのタイプの構成要素である。当然ながら、構成要素の位置および/または向きが変化する一方で、光学素子の一部が持続的にまたは時々のいずれかで体積の外側にある状態が起こりうる。ただし、これは、光ビームがそれでも構成要素の品質を評価することについて、各測定中に構成要素を適切に横切るのであれば、許容可能である。
【0021】
特に、いかなる中空空間も囲まない、一部の特定の手法で成形された構成要素、例えば、立方体形状の構成要素について、光学素子が構成要素の前方または後方に配置されるという点で、光ビームが構成要素を通って適切に向けられるように、光学素子を配置することができる。
【0022】
光ビームが構成要素の少なくとも1つの局所的な表面領域に対して実質的に常に垂直に、構成要素を横切るように、光学素子が光ビームを偏向させる場合、測定を、定義された信頼性の高い手法で行うことができる。
【0023】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、光ビームが、構成要素の第1の中心軸線に対して平行な方向に沿って光学素子に入射し、光ビームが光ビームの入射方向に対して垂直な方向に光学素子により偏向されることが好ましい。
【0024】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、光ビームが構成要素の第1の中心軸線に対して垂直な方向に沿って光学素子に入射し、光学素子により光ビームの入射方向に対して垂直な方向に偏向されることが好ましい。
【0025】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、(i)光ビームが構成要素を横切るとき、構成要素の少なくとも1つの厚さ範囲を通って、特に構成要素の少なくとも1つの壁もしくはシェルを通って伝搬し、かつ/または(ii)光ビームが常に構成要素を横切りかつ/もしくはそれぞれ異なる時点でのそれぞれ異なる位置で構成要素を横切ることが好ましいとされうる。
【0026】
光ビームが、構成要素の厚さ範囲を通って、すなわち材料を通って伝搬する場合、特定の場所における構成要素の品質に関する情報を「収集」することができる。
【0027】
特に、後続の用途において、光ビームが構成要素の内側から外側に放出される場合(例えばLIDAR用途において)、壁の(その表面を含む)品質は厳密に調査されなければならない重要な側面である。
【0028】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、(i)構成要素が少なくとも1つの位置決め装置に固定に取り付けられており、好ましくは、構成要素の位置および/もしくは向きを変化させることが、位置決め装置を作動させることならびに/または位置決め装置の位置および/もしくは向きを変化させることを含み、(ii)構成要素が、材料として、ガラス、ガラスセラミックおよび/もしくはポリマーを含み、特に、材料が、好ましくはUV、VISおよび/もしくはIR周波数範囲にある光ビームに対して少なくとも部分的に透明であり、かつ/または(iii)構成要素が、特に少なくとも1つの壁もしくはシェルを有する円筒形状のもの、および/もしくは非円筒形状のもの、特に平坦な形状および/もしくは立方体形状のものであることが好ましいとされうる。
【0029】
位置決め装置は、正確かつ反復的な手法で、移動、すなわち構成要素の位置および/または向きを変化させるのに有用である。
【0030】
円筒形状の構成要素は、特定の用途、例えばLIDAR用途に好ましい。
【0031】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、(i)構成要素の位置を変化させることが、好ましくは位置決め装置を第1の方向に沿って変位させることにより、特に構成要素の第1の中心軸線に対して平行な少なくとも1つの第1の方向に沿って構成要素の位置を変化させることを含み、(ii)構成要素の位置を変化させることが、好ましくは位置決め装置を第2の方向に沿って変位させることにより、特に第1の方向に対して垂直なかつ/もしくは構成要素の第1の中心軸線に対して垂直な少なくとも1つの第2の方向に沿って構成要素の位置を変化させることを含み、(iii)構成要素の向きを変化させることが、好ましくは、第1の中心軸線の周りでかつ/もしくは入射する光ビームもしくは出射する光ビームに対して平行な少なくとも1つの軸線の周りで位置決め装置を回転させることにより、第1の中心軸線の周りでかつ/もしくは入射する光ビームもしくは出射する光ビームに対して平行な少なくとも1つの軸線の周りで構成要素を回転させることを含み、(iv)構成要素の位置および/もしくは向きを変化させることが、第1の方向に沿って構成要素の位置を変化させることと、構成要素の向きを、好ましくは並行してかつ/もしくは順次に変化させることとを含み、かつ/または(v)構成要素の位置および/もしくは向きを変化させることが、第1の方向および第2の方向に沿って、好ましくは並行してかつ/もしくは順次に、構成要素の位置を変化させることを含むことが好ましいとされうる。
【0032】
本発明の目的で、第1の方向は、個々の場合に特に断らない限りまたは文脈から明らかでない限り、構成要素の位置が変化する方向のうちの少なくとも1つを指す。
【0033】
本発明の目的で、第2の方向は、個々の場合に特に断らない限りまたは文脈から明らかでない限り、構成要素の位置が変化する方向のうちの少なくとも1つを指す。
【0034】
一実施形態では、構成要素の向きを変化させることは、好ましくは位置決め装置を第1の中心軸線の周りで回転させることにより、構成要素を第1の中心軸線の周りで回転させることを含む。
【0035】
一実施形態では、好ましくは、構成要素の向きを変化させることは、好ましくは、位置決め装置を入射する光ビームに対して平行な少なくとも1つの軸線の周りで回転させることにより、構成要素を入射する光ビームに対して平行な少なくとも1つの軸線の周りで回転させることを含む。
【0036】
一実施形態では、構成要素の向きを変化させることは、好ましくは、位置決め装置を出射する光ビームに対して平行な少なくとも1つの軸線の周りで回転させることにより、構成要素を出射する光ビームに対して平行な少なくとも1つの軸線の周りで回転させることを含む。
【0037】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、検出器装置が、検出器装置に入射する光ビームを検出するための少なくとも1つの検出面を有し、好ましくは検出面が入射する光ビームに対して垂直であり、好ましくは、検出面内での光ビームの断面が、好ましくは基準位置に対する位置、特にその中心の位置および/またはその重心の位置を有し、断面の位置が、第1の座標軸上の少なくとも1つの第1の座標値および/または第2の座標軸上の少なくとも1つの第2の座標値により示され、好ましくは、第1の座標軸が第3の方向に沿っており、かつ/または第2の座標軸が第4の方向に沿っており、好ましくは、第3の方向が構成要素の第1の中心軸線に対して垂直であり、かつ/または第4の方向が第3の方向に対して垂直でありかつ/もしくは第1の方向に対して平行であることが好ましいとされうる。
【0038】
検出面は、光ビームが検出器装置により評価される場所である。例えば、これは、光ビームを検出可能でありかつ/または検出するように構成された1つ以上の光学センサであることができる。
【0039】
例えば、検出器装置は、検出面内での断面の強度分布の2D検出のための2D検出器アレイであることができる。
【0040】
光ビームの断面の位置が、光ビームの断面の中心の位置に対応する場合、これは、光ビームの断面全体を円周する最小円の中心を意味する。
【0041】
基準位置は、第1の座標軸および/または第2の座標軸の座標の原点でありうる。
【0042】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、1つ以上のパラメータが、(a)検出器装置の検出面内にある、光ビームの少なくとも1つの断面の領域、特に、形状、サイズ、例えば、最大拡張の絶対値、最大拡張の方向、領域の境界の楕円度および/もしくはシャープネスのそれぞれ、(b)検出面内での光ビームの断面の位置、特に第1の座標値および/もしくは第2の座標値、ならびに/または(c)検出面内での光ビームの強度分布、からなる群から選択されることが好ましいとされうる。
【0043】
パラメータは、常に、光ビームの特定の態様を指す。これらは、光ビーム自体に固有の態様、例えば、例えば光ビームの(2D)断面の形状または光ビームの断面の強度分布を含むことができる(すなわち、更なる調査に利用可能なビームによってのみ、このような態様を判定することができる)。一方、パラメータは、光ビームにより提供されない基準に関連する態様を指すこともできる。後者の例は、断面の位置であり、これは、光ビームの固有の特性ではなく、いくつかの基準(例えば、検出面および/または1つ以上の座標軸)を必要とする。
【0044】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、パラメータが、検出面内での光ビームの断面の領域の形状であることが好ましい。
【0045】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、パラメータが、検出面内での光ビームの断面の領域の楕円度であることが好ましい。
【0046】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、パラメータが、検出面内での光ビームの断面の領域の最大拡張であることが好ましい。
【0047】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、パラメータが、検出面内での光ビームの断面の領域の境界のシャープネスであることが好ましい。
【0048】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、パラメータが、検出面内での光ビームの断面の位置であることが好ましい。
【0049】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、パラメータが、検出面内での光ビームの強度分布であることが好ましい。なお、これは2D強度分布である。
【0050】
例えば、検出器装置が、特にピクセルのアレイを含む少なくとも1つの2D検出器ユニットを備え、2D検出器ユニットが、検出面内での光ビームの断面の位置、形状および/または強度分布を判定するように構成されていることから、パラメータを判定することができる。
【0051】
光ビームの断面の強度分布の測定により、正確な分布を判定することができまたは典型的には、より低い強度(この場合、強度は、10%または1/eに低下すると言える)を有するエッジをカットオフすることができることは、当業者に明らかである。
【0052】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、性能指数が、
-構成要素の局所的な不均一性、例えば、少なくとも1つの局所的な厚さおよび/もしくは少なくとも1つの局所的な屈折率、特に、少なくとも1つの局所的な厚さの変動および/もしくは少なくとも1つの局所的な屈折率の変動、
-構成要素の、名目上理想的な形状の構成要素からの局所的な逸脱、
-構成要素の円筒設計からの局所的な逸脱、
-構成要素中の局所的な欠陥、例えば泡および/もしくはノット、
-構成要素の局所的なかつ/もしくは大域的な真円度、
-構成要素の局所的な勾配誤差、
-構成要素上の局所的な引抜線、
-構成要素の局所的な形状誤差、
-構成要素の局所的なアーチファクト、
-構成要素の局所的な光透過特性、
-構成要素の局所的な線条、
-構成要素上の局所的な引っかき傷、
-構成要素の物理的厚さの局所的な変動、
-構成要素の光学的厚さの局所的な変動、
ならびに/または
-構成要素中の局所的な不純物、例えば石および/もしくは金属片、
のそれぞれを対象にすることが好ましいとされうる。
【0053】
例えば、名目上理想的な形状からの局所的な逸脱は、試験下での構成要素が少なくとも概ねそれぞれ円筒形または立方体形状のものである場合、理想的な円筒形または立方体形状の構成要素からの逸脱でありうる。この点に関して、第1の中心軸線に沿って構成要素上に延在するリップルにより、構成要素が回転している間、第3の方向に沿って光ビームの逸脱がもたらされうる。一般的には、局所的な逸脱は、局所的な(差分的に)幾何学的誤差、例えば勾配逸脱、すなわち物体の全体的なサイズの僅かなサイズ内での横方向の寸法における理想的な幾何学的形状からの波面および/または表面勾配の逸脱と称されることもある。
【0054】
例えば、欠陥は、検出器装置、特に検出面内での光ビームの光スポットの強度を弱めることおよび/または強度分布を修正することのそれぞれをするおそれがある。代替的にまたは追加的に、欠陥は、光ビームを少なくとも部分的に散乱させるおそれがあり、これは、次に、光スポットは、影響を受けていない光ビームの光スポットと比較して、直径が広げられ、かつ/または幾らかのオーラ等を有する光ビームの光スポットをもたらすおそれがある。したがって、断面の領域の境界のシャープネスが変化しうる。
【0055】
例えば、局所的な勾配誤差は、各名目上理想的な形状の材料厚さ分布と比較した、構成要素の材料厚さ、特に、構成要素の壁またはシェルの厚さの局所的な変動を指す。特に、厚さの変動は、長さに沿った厚さの変動を意味し、この変動により、角度、すなわち、勾配誤差を計算することが可能となる。
【0056】
すなわち、勾配誤差は、接線誤差と称される場合もあり、理想的な目標勾配からの局所的な勾配逸脱または長さセクション、例えば、周方向セクションに沿った壁厚の変動(壁厚変動)を説明する。勾配誤差を考慮し、判定の際に、要素/光学窓の特定の領域上の理想的な領域が基準領域として使用される。光学窓が円筒形要素である場合、これは、連続的に同一の名目曲率半径を有する数学的な完全な輪であろう。
【0057】
局所的な勾配誤差は、表面の外側勾配と内側勾配との複合誤差と見なすこともできる。勾配が平行である場合、誤差は、勾配が互いに対して傾いているかのように、あまり重要でない可能性が高いことが留意される。
【0058】
例えば、引抜線は、第1の中心軸線に沿って構成要素上に延在するリップルを構成しうる。例えば、ピークからピークまでの振幅は、20~500nmの範囲内にありかつ/または0.3~2mmの空間波長を有しうる。このリップルは、構成要素が回転している間に、第3の方向に沿った光ビームの逸脱をもたらすおそれがある。リップルは、構成要素が円筒状のガラス管要素を含むかまたはそれである場合に、ガラス引抜加工により生じうる。
【0059】
形状誤差は、完全な/所望の形状からの任意の逸脱である。例えば、形状誤差は、楕円、すなわち、例えば、円筒状または管状の構成要素の最適以下の真円度に対応しうる。この点に関して、形状誤差、例えば楕円を有する構成要素は、名目上理想的な形状の構成要素と比較して、第3の方向に沿った光ビームの逸脱をもたらすおそれがある。例えば、円筒形状の構成要素の内側から半径方向外側に向けられた光ビームは、常に、構成要素に垂直に衝突し、したがって、偏向されない。しかしながら、構成要素が少なくとも部分的に楕円形である場合、光ビームは第3の軸線に沿って(すなわち、構成要素の第1の中心軸線に対して垂直に)偏向される。
【0060】
例えば、アーチファクトは、構成要素の内面および/または外面の欠陥、例えば引っかき傷または孔、すなわち半球形状の欠陥でありうる。
【0061】
例えば、両壁面上の縞としてのリップルは、構成要素がガラス管要素であるかまたはガラス管要素を含む場合に、ガラス引抜加工により生じうる。
【0062】
より一般的な観点から、以下の態様は、適切な性能指数をどのように得るかについての重要な洞察を提供することができる。
【0063】
屈折率nおよび幾何学的厚さtを有する光学窓の光学波面wを、
w=(n-n)・t
により定義することができる。
【0064】
両面が空気または真空に囲まれていると仮定した場合、nは、
≒1
により、
w=(n-1)・t
に近似させることができる。
【0065】
ここでは、表面欠陥(例えば引っかき傷)による散乱およびバルク散乱は無視される。
【0066】
波面誤差を説明するための最も重要な量は勾配誤差(SE)と称される。光波面の横方向の変動(ここではx方向、一般的にはdw/dx)は、
SE=dw/dx=dn/dx・t+(n-1)・dt/dx
SE=dw/dx=dn/dx・w/(n-1)+w/t・dt/dx=w・(1/(n-1)・dn/dx+1/t・dt/dx)
により定義される勾配
【数1】
により置き換える必要がある。
【0067】
2つの主な寄与が存在する。すなわち、多くの場合、勾配誤差の大部分は厚さの横方向の局所的な変動dt/dxに起因するが、材料の不均質性dn/dxは、場合によっては、全勾配誤差に寄与しうる。
【0068】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、特性値が、性能指数の少なくとも1つの定量値でありかつ/または性能指数の少なくとも1つの定性値であり、例えば、「良好」、「非常に良好」、「悪い」、「より悪い」、「最も悪い」、「非常に少ない」、「少ない」、「幾らか」および「多い」のうちの1つ以上であることが好ましいとされうる。
【0069】
好ましくは、特性値は、性能指数の定量値、例えば、構成要素の位置および/または向きが変化している間の、ある基準位置からの(好ましくは検出器装置における、特に検出面内の)光ビームの(最大)偏向の値でありうる。好ましくは、基準位置は、構成要素、理想的な品質の構成要素および/またはちょうど許容可能な品質の構成要素が存在しない場合、光ビーム(例えば、好ましくは検出器装置における、特に検出面内の光ビームの位置)に基づいて決定される。
【0070】
好ましくは、特性値について、定性値を、定量値が特定の閾値を上回るか否かに基づいて選択することができる。
【0071】
好ましくは、特性値は、パラメータの依存性の定量値が検討中の少なくとも1つのパラメータの最大許容逸脱を有する一部の試験構成要素の最大値より大きいかどうかに基づいて、定性値を選択することもできる性能指数の定性値でありうる。
【0072】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、依存性を分析することが、検出器装置により検出された1つ以上のパラメータのそれぞれが構成要素のそれぞれ異なる位置および/もしくは向きにわたって有する変動を取得しかつ/または評価することを含み、特に、変動は、(a)各パラメータのいずれかの基準に関して取得されもしくは評価され、かつ/または(b)各パラメータが構成要素のそれぞれ異なる位置および/もしくは向きについて有する最大値と最小値との間の差により記述されることが好ましいとされうる。
【0073】
パラメータの変動が取得されかつ/または評価される場合、パラメータの依存性を正確かつ信頼性の高い手法で分析することができる。
【0074】
各パラメータの基準が組み込まれる場合、同じ(公称)タイプの異なる構成要素についてのパラメータの変動間の比較が可能となる、定義された開始点が使用される。一実施形態では、基準は、理想的な形状の構成要素について得られる。なお、ここでの「理想的な」は、実用的な観点からのもの、特に実用的な観点から理想的であると見なされる構成要素に関するものを意味する。
【0075】
最大値と最小値との間の差による変動を記述することは、非常に記述的であり、更なる処理に使用するのが容易である。加えて、差は、効率的にかつ反復的に、信頼性の高い手法で取得することができるフォーマットを表す。
【0076】
一実施形態では、検出面内での光ビームの少なくとも1つの断面の領域のサイズが、特定のタイプの構成要素の品質を評価するためのパラメータとして使用される。ついで、構成要素の位置および/または向きを変化させながら、サイズの変動、例えば領域の最大拡張の増大/減少を評価することができる。特に、代替的にまたは追加的に、変動を、試験下にある当該タイプの理想的な構成要素について得ることができる基準領域と比較することができる。なお、ここでも、「理想的な」とは、実用的な観点からのことを意味する。
【0077】
一実施形態では、好ましくは、検出面内での光ビームの少なくとも1つの断面の位置が、特定のタイプの構成要素の品質を評価するためのパラメータとして使用される。ついで、構成要素の位置および/または向きを変化させながら、第1の座標値および/または第2の座標値の変動を評価することができる。特に、代替的にまたは追加的に、変動を、試験下にある当該タイプの理想的な構成要素について得ることができる基準位置と比較することができる。なお、ここでも、「理想的な」は、実用的な観点からのことを意味する。
【0078】
一実施形態では、検出面内での光ビームの強度分布が、特定のタイプの構成要素の品質を評価するためのパラメータとして使用される。ついで、構成要素の位置および/または向きを変化させながら、強度分布の変動を評価することができる。特に、代替的にまたは追加的に、変動を、試験下にある当該タイプの理想的な構成要素について得ることができる基準強度分布と比較することができる。なお、ここでも「理想的な」とは、実用的な観点からのことを意味する。
【0079】
例:理想的な構成要素、例えば、円筒形の構成要素についての光ビームの理想的な領域の断面が存在することができる。この(理想的な)断面は、円形の領域を有することができると言える。構成要素の位置および/または向きを変化させながら、断面の領域の変動を、例えば、(i)断面の領域の形状の変化、(ii)最大拡張のその最大および/もしくは最小サイズ、(iii)その最大および/もしくは最小楕円度(好ましくは、少なくとも1つの基準方向に対する主軸線の角度と共に)、ならびに/または(iv)領域の境界におけるその最小および/もしくは最大シャープネスにより表すことができる。
【0080】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、性能指数の特性値を判定することが、(a)特性値としてパラメータの変動を使用すること、ならびに/または(b)依存性、特にパラメータの変動を分析することにより得られた結果を少なくとも1つ以上の定性的参照手段かつ/もしくは定量的参照手段に対して比較することを含み、好ましくは、定量的参照手段が、少なくとも1つのルックアップテーブル、少なくとも1つの上限閾値および/または少なくとも1つの下限閾値を含むことが好ましいとされうる。
【0081】
依存性を分析した結果または他の任意のタイプのアウトカムを特性値にキャストする/変換するための種々の可能性があることが見出されている。これは特に、依存性を分析した結果または一般的なアウトカムが任意のタイプの情報のものでありうるという発見である。この情報は、性能指数の特性値と同じ単位または次元を有する必要はない(ただし必要となる場合もある)。代わりに、特性値は、依存性を分析した結果/アウトカムに基づいて判定される。ついで、この「判定」を、ある種のキャストまたは変換を組み込むことができる。
【0082】
パラメータの変動を特性値として使用することは、実現が容易でかつ信頼性の高い極めて直接的なアプローチである。
【0083】
依存性の分析により得られた結果が定性的参照手段/定量的参照手段と比較される場合、性能指数の特性値を非常に効率的かつ信頼性の高い形式で得ることができる。さらに、特性値自体も、この場合、より高い信頼性を有する。これは特に、効率的かつ容易な手法で実現することのできる明確な判断が可能となるためである。
【0084】
参照手段が閾値を含む場合、特性値の判定は、1つ以上の単一の判断に低減され、各判断を、非常に容易にかつ快適に行うことができる。特に、2値特性値、すなわち少なくとも1つの性能指数に関して、少なくとも高品質構成要素または低品質構成要素それぞれを示すことができる1または0のいずれか、を実現することが可能である。例えば、参照手段は、パラメータの値についてちょうどほぼ許容可能な閾値であることができる。
【0085】
参照手段がルックアップテーブルを含む場合、特性値を、非常に陣族かつ単にルックアップテーブルを修正することにより調整することができる任意の所望の階調/増分で判定することができる。例えば、1つ以上のパラメータそれぞれの異なる(範囲の)変動について、それぞれ異なる特性値をテーブルに記憶することができ、迅速かつ確実に検索することができる。
【0086】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、(i)パラメータが、検出面内での光ビームの断面の位置の第1の座標値であり、構成要素の第1の方向および/もしくは第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置および/もしくは第1の中心軸線の周りの構成要素の向きに対する、パラメータの依存性を、構成要素の円筒設計からの局所的な逸脱、真円度、勾配誤差および/もしくは引抜線それぞれの特性値を判定するために分析し、(ii)パラメータが、検出面内での光ビームの断面の位置の第2の座標値であり、構成要素の第1の方向および/もしくは第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置および/もしくは第1の中心軸線の周りの構成要素の向きに対する、パラメータの依存性を、構成要素の円筒設計からの局所的な逸脱、真円度、勾配誤差および/もしくは引抜線それぞれの特性値を判定するために分析し、(iii)パラメータが、検出面内での光ビームの断面の領域であり、構成要素の第1の方向および/もしくは第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置および/もしくは第1の中心軸線の周りの構成要素の向きに対する、パラメータの依存性を、構成要素の円筒設計からの局所的な逸脱および/もしくは局所的な欠陥それぞれの特性値を判定するために分析し、かつ/または(iv)パラメータが検出面内での光ビームの強度分布であり、構成要素の第1の方向および/もしくは第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置および/もしくは第1の中心軸線の周りの構成要素の向きに対する、パラメータの依存性を、構成要素の局所的な欠陥および/もしくは少なくとも1つの光透過特性それぞれの特性値を判定するために分析する、ことが好ましいとされうる。
【0087】
構成要素の位置および/または向きの変化に基づいて、適切なパラメータペアおよび性能指数が選択される場合、驚くべきことに、構成要素の性能指数の特性値に関して、信頼性の高い記述を行うことができる。さらに、2つ以上のパラメータが組み込まれることも可能であり、したがって、性能指数の特性値を、2つ以上のパラメータを分析することに基づいて判定することができる。実際に、これにより、特性値の信頼性を改善することができる。
【0088】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、パラメータが、検出面内での光ビームの断面の位置の第1の座標値であり、第1の中心軸線の周りの構成要素のそれぞれ異なる向きに対する、パラメータの依存性を、構成要素の円筒設計からの局所的な逸脱、勾配誤差および/もしくは引抜線それぞれの特性値を判定するために分析することが好ましいとされうる。
【0089】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、パラメータが、検出面内での光ビームの断面の位置の第2の座標値であり、構成要素の第1の方向および/もしくは第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置に対する、パラメータの依存性を、構成要素の局所的な勾配誤差および/もしくはアーチファクトそれぞれの特性値を判定するために分析することが好ましいとされうる。
【0090】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、パラメータが、検出面内での光ビームの断面の強度分布であり、構成要素の第1の方向および/もしくは第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置および/もしくは第1の中心軸線の周りの構成要素の向きに対する、パラメータの依存性を、構成要素の局所的な光透過特性の特性値を判定するために分析することが好ましいとされうる。
【0091】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、パラメータが、検出面内での光ビームの断面の領域の楕円度であり、構成要素の第1の方向および/もしくは第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置および/もしくは第1の中心軸線の周りの構成要素の向きに対する、パラメータの依存性を、構成要素の局所的な勾配誤差の特性値を判定するために分析することが好ましいとされうる。
【0092】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、(i)光ビームが少なくとも1つのレーザービームを含み、特に、レーザービームが波長840nm、905nmおよび/もしくは1550nmの光を含み、(ii)光ビームが、少なくとも1つの白色光源を含む少なくとも1つの光源から放出され、好ましくは、光源を、(a)光ビームに含まれる少なくとも1つの波長を設定するための少なくとも1つのフィルタと組み合わせてかつ/もしくは(b)特にビーム形成のために、光ビームの経路内に配置された1つ以上の光学部品と組み合わせて使用し、かつ/または(iii)少なくとも1つの光ビームを向かわせることが、2つ以上の光ビーム、特に平行な光ビームを検出器装置に向かわせることを含み、特に、2つ以上の光ビームが、構成要素を、第1の方向および/または第2の方向に沿ったそれぞれ異なる位置において同じ時点で横切ることが好ましいとされうる。
【0093】
特定の波長の光ビームを使用する場合、特定の用途、例えばLIDAR用途で使用されるものと同じ波長を構成要素の品質の評価に使用することができる。
【0094】
ビーム形成のために光学部品を使用することは、光ビームを試験下にある構成要素の幾何学的形状に一致するように成形することができるため、特に好ましい。さらに、このような光学部品を、白色光源である光源と組み合わせて使用することができる。
【0095】
2つ以上の光ビームを使用する場合、この方法を顕著に高速化することができる。評価下にある構成要素をそれぞれ異なる空間位置で同時に評価することができるためである。これにより、必要な測定時間が短縮される。
【0096】
一実施形態では、2つ以上の光ビームを使用し、好ましくは、光ビームが検出器装置に対して平行に進むことが好ましいとされうる。
【0097】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、(i)この方法が、検出器装置に入射する光ビーム、特に検出面に入射する光ビームの強度に基づいて、レーザービームの強度を制御することをさらに含み、(ii)少なくとも1つの減衰フィルタが、入射する光ビームを減衰させるために、検出器装置の前方の光ビーム経路内に配置されており、(iii)少なくとも1つの散乱光フィルタが、散乱光が検出器装置、特に検出面に到達することを防ぐために、検出器装置の前方の光ビーム経路内に配置されており、(iv)検出器装置が、特にピクセルのアレイを含む少なくとも1つの2D検出器ユニットを備え、この2D検出器ユニットが、好ましくは、検出面内での光ビームの断面の位置、形状および/または強度分布を判定するように構成されまたは構成可能であり、(v)検出器装置が、少なくとも1つの位置感応検出器アレイ、例えば、少なくとも1つの四象限フォトダイオード、少なくとも1つのカメラデバイスおよび/もしくは少なくとも1つのラインセンサを備え、(vi)判定装置、分析装置および検出器装置のうちの2つまたは全部が、少なくとも部分的に1つの単一装置として設計されており、(vii)構成要素と検出器装置、特に検出面との間の最短距離が、構成要素の位置および/もしくは向きを変化させる間、特に第1の方向および/もしくは第2の方向に沿って位置を変化させる間、かつ/もしくは第1の中心軸線の周りで向きを変化させる間、一定であり、好ましくは、光経路の全ての角度が、位置および/もしくは向きを変化させる間一定であり、(viii)構成要素と検出器装置、特に検出面との間の最短距離が、1cm~100m、好ましくは1cm~10m、より好ましくは1cm~10cmまたは2m~6m、特に2m~4mであり、かつ/または(ix)少なくとも1つのホルダ装置が設けられ、好ましくは、特に構成要素が入射する光ビームおよび/もしくは出射する光ビームと常に同心となるような位置に構成要素を保持するために、位置決め装置の少なくとも1つの部分と一体に設計されていることが好ましいとされうる。
【0098】
強度分布を制御することにより、提案している方法は、事前に必要とされる任意の更なる配置または準備なしに、それぞれ異なる吸収係数の構成要素に適用することが可能となる。
【0099】
位置感応検出器アレイは、高速かつ使用が容易であり、1つ以上の位置パラメータ(例えばx値およびy値)の直接の測定が可能である。
【0100】
カメラにより、光ビーム、特に検出面内での断面の包括的な情報を記録することが可能となる。
【0101】
一実施形態では、2つ以上のカメラが検出器装置に備えられることが好ましいとされうる。これは、2つ以上の光ビームが使用され、検出器装置において、各光ビームが、個々のカメラにより検出される場合に特に好ましい。例えば、2つの光ビームのための2つのカメラである。
【0102】
例えば、検出器装置は、特にピクセルのアレイを含む少なくとも1つの2D検出器ユニットを備えることができ、この2D検出器ユニットは、好ましくは検出面内での光ビームの断面の位置、形状および/または強度分布を判定するように構成されている。
【0103】
好ましくは、「最短距離」なる用語は、本明細書において、検出器装置、特に検出面上の任意の2点と構成要素との間で測定された最短距離を指す。
【0104】
本課題は、光学材料の少なくとも1つの構成要素の品質を評価するためのシステム、特に本発明の第1の態様に係る方法を実施するためのかつ/またはこの方法を実施するように構成されたシステムであって、
・構成要素を保持するための少なくとも1つのホルダ装置と、
・少なくとも1つの検出器装置と、
・構成要素がホルダ装置により保持されている場合、光ビームが少なくとも時々構成要素を横切るように、少なくとも1つの検出器装置に向けられる少なくとも1つの光ビームを放出する、少なくとも1つの光源と、
・特に構成要素がホルダ装置により保持されている間に、光ビームに対する構成要素の位置および/または向きを変化させるためのかつ/または変化させるように構成された、少なくとも1つの位置決め装置と、
・好ましくは、構成要素の位置および/または向きに対する、検出器装置により検出された光ビームの1つ以上のパラメータの依存性を分析するように構成された、少なくとも1つの分析装置と、
・好ましくは、分析装置から得られた少なくとも1つの結果に基づいて、構成要素の少なくとも1つの性能指数の少なくとも1つの特性値を判定するように構成された、少なくとも1つの判定装置と、
を備えるシステム
が提案される点で、第2の態様に係る本発明により解決される。
【0105】
驚くべきことに、便利な手段を含む設定により、本発明の第1の態様に関して上記にて検討したように、非常に効率的かつ加速された手法で品質の評価が可能となることが見出された。
【0106】
一実施形態では、代替的にまたは追加的に、(i)少なくとも1つの光ビームが、少なくとも1つの光源から検出器装置に少なくとも1つの光学素子を介して向けられ、特に光学素子が、少なくとも1つのプリズム、特に偶数の反射面を有する少なくとも1つのプリズムもしくは少なくとも1つのペンタプリズムおよび/または好ましくは1つの反射面を有する少なくとも1つのミラーを備え、(ii)システムが、低振動、特に無振動であり、(iii)システムが、入射する光ビームを減衰させるために、検出器装置の前方の光ビーム経路内に配置される少なくとも1つの減衰フィルタをさらに備え、かつ/または(iv)システムが、散乱光が検出器装置、特に検出面に到達することを防ぐために、検出器装置の前方の光ビーム経路内に配置される少なくとも1つの散乱光フィルタをさらに備えることが好ましいとされうる。
【0107】
本発明の種々の態様を添付の模式図に照らして読んだ当業者には、好ましい実施形態が以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1】本発明に係る方法を実施するための第1のタイプの構成要素についての第1の構成における本発明に係るシステムを示す図である。
図2】本発明に係る方法を実施するための第2のタイプの構成要素についての第2の構成における本発明に係るシステムを示す図である。
図3】同じタイプであるが、それぞれ異なる品質の構成要素について選択されたパラメータの変動の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0109】
図1に、第1のタイプの光学材料の少なくとも1つの構成要素3の品質を評価するための第1の構成のシステム1を示す。
【0110】
システム1により品質を評価することができる(光学材料の)構成要素3は円筒形状のものであり、シェル(すなわち第1のタイプの構成要素)を有する。構成要素3は、第1の中心軸線を有する。図1において、第1の中心軸線は、方向R1に対して平行な方向(すなわち、図1における垂直方向)に沿って走っている。
【0111】
システム1は、構成要素3を保持するためのホルダ装置5を備える。図1において、このホルダ装置は、テーブルの形態である。
【0112】
システム1は、検出器装置7と光ビーム11を放出する光源9とを備える。ここで、構成要素3がホルダ装置5により保持されている場合、光ビーム11が少なくとも時々構成要素3を横切るように、光ビーム11が検出器装置7に向けられる。光源は、例えば633nmの波長を有するレーザーの形態で実現することができる。
【0113】
検出器装置7は、検出器装置7に入射する光ビーム11を検出するための検出面を有する。検出面は、入射する光ビーム11に対して垂直である。例えば、検出器装置7は、ピクセルのアレイを備える2D検出器ユニットを備える。これにより、検出器装置7は、検出面内での光ビーム11の断面の位置、形状および/または強度分布を判定することが可能となる。
【0114】
システム1は、構成要素3がホルダ装置5により保持されている間、光ビーム11に対して構成要素3の第1の方向R1および向きに沿って位置を変化させるための位置決め装置13をさらに備える。位置決め装置13は、回転式で高さ調節可能なテーブルの形態で実現される(説明の目的で位置決め装置13に示されている矢印を参照のこと)。実際に、ホルダ装置5は、位置決め装置13の少なくとも一部と一体に設計されている。すなわち、テーブルは、ホルダ装置5として機能し、同時に、位置決め装置13としても機能する。
【0115】
また、システム1は、構成要素3の位置および/または向きに対する、検出器装置7により検出された光ビーム11の1つ以上のパラメータの依存性を分析するように構成された分析装置15も備えている。
【0116】
また、システム1は、分析装置15から得られた少なくとも1つの結果に基づいて、構成要素3の少なくとも1つの性能指数の少なくとも1つの特性値を判定するように構成された判定装置17も備える。
【0117】
実際には、分析装置15および判定装置17は、いくつかのハードウェアおよびいくつかのソフトウェアがインストールされたパーソナルコンピュータであってよい、1つの単一デバイスとして設計される。分析装置15および判定装置17は、図1において実線で示されているように、制御データを送信しかつ交換しかつ検出器装置7のデータを受信することを目的として、互いにかつ/または検出器装置7および位置決め装置13と接続されていてよい。
【0118】
システム1において、光ビーム11は、光源9から光学素子19を介して検出器装置7に向けられる。光学素子19は、プリズム、例えばペンタプリズムを備えるが、代替的にまたは追加的にミラーを備えていてもよい。
【0119】
場合により、システム1は、検出器装置7の前方の光ビーム経路内に配置されているフィルタ21をさらに備える。フィルタ21は、入射する光ビーム11を減衰させるための減衰フィルタの形態であることができる。代替的にまたは追加的に、フィルタは、散乱光が検出器装置7に到達することを防止するための散乱光フィルタの形態であってもよい。
【0120】
とりわけ、1つ以上の任意の取り付け要素23により、システム1は、使用中に最小のぐらつき/振動を経験する/受ける。
【0121】
システム1において、光ビーム11は、構成要素3の第1の中心軸線に対して平行な方向、すなわち方向R1に対して平行な方向に沿って、光学素子19に入射し、この光学素子19により、光ビーム11の入射方向R1に対して垂直な方向(これも構成要素3の第1の中心軸線に対して垂直な方向である)へ偏向される。
【0122】
当然ながら、完全性のために、円筒形の構成要素について、光ビーム11が、構成要素の第1の中心軸線に対して垂直な方向に沿って光学素子19に入射し、この光学素子19により構成要素の第1の中心軸線に対して平行な方向へ偏向されるように、システム1の可能な修正を行うことができると認識される。すなわち、システム1のこのような修正は、位置決め装置13の適切修正と合わせて、円筒形の構成要素3が図1の図平面内で90°回転されるシナリオに適しうる。
【0123】
光ビーム11は、常に、構成要素3(特にそのシェル)を横切り、構成要素3を変位させかつ/または回転させることにより、光ビーム11は、構成要素をそれぞれ異なる位置で横切る。したがって、検出器装置7は、光ビームを評価することにより、それぞれ異なる位置における構成要素の品質を評価することができる。これにより、構成要素3の品質の全体的な評価が可能となる。
【0124】
図2に、第2のタイプの光学材料の少なくとも1つの構成要素3’の品質を評価するための第2の構成におけるシステム1’を示す。
【0125】
システム1’により品質を評価することができる(光学材料の)構成要素3’は、好ましくは、平坦な形状、例えば立方体形状(すなわち第2のタイプの構成要素)のものである。構成要素3’は、第1の中心軸線を有する。図2において、第1の中心軸線は、方向R1’に対して平行な方向(すなわち、図2における垂直方向)に沿って走っている。
【0126】
実際には、システム1’は、図1に関して上記のシステム1に類似している。このように、同じ構造的特徴については、同じ参照番号が使用されているが、ダッシュが付されている。したがって、システム1’とシステム1との間の相違点のみを説明すれば十分であるが、残りについては、図1と組み合わせてシステム1に関して上記に提供した説明を参照することができる。
【0127】
システム1’において、位置決め装置13’により、第1の方向R1’に沿ってかつ第2の方向R2’(これは図2の図平面に対して垂直な方向である)に沿って、構成要素3’の位置を変化させることが可能となる。一方、構成要素3は、光ビーム11’に対して、ホルダ装置5’により保持される。位置決め装置13’は、X-Y調節可能なテーブルの形態で実現される(説明の目的で、位置決め装置13’に示されている矢印を参照のこと)。
【0128】
すなわち、システム1の位置決め装置13と比較して、システム1’の位置決め装置13’は、回転ではなく、更なる方向(第1の方向に対して垂直)への変位を行う。
【0129】
システムのこうした修正により、特に、有益な方式で、非円筒形の構成要素、例えば立方体形状のものである構成要素3’の品質の評価が可能となる。
【0130】
システム1およびシステム1’は両方とも、少なくとも1つの第1の中心軸線を有する光学材料の少なくとも1つの構成要素、例えば構成要素3または3’の品質を評価するための方法をそれぞれ実施しかつ/または実施するように構成されるかのいずれかに適していることができる。この方法は、前述のシステム1および1’を参照することにより説明することができるが、この方法を実施するために、システム1および1’に関して記載されたもの以外の他の設定も可能でありうることは明らかである。
【0131】
この方法は、光ビームに対して構成要素(例えばシステム1または1’の構成要素3または3’)の位置および/または向きを変化させながら、光ビームが少なくとも時々構成要素を横切るように、少なくとも1つの光ビーム(例えばシステム1または1’の光ビーム11または11’)を、少なくとも1つの検出器装置(例えばシステム1または1’の検出器装置7または7’)に向かわせることと、構成要素の位置および/または向きに対する、検出器装置により検出された光ビームの1つ以上のパラメータの依存性を、少なくとも1つの分析装置(例えばシステム1または1’の分析装置15または15’)により分析することに基づいて、構成要素の少なくとも1つの性能指数の少なくとも1つの特性値を、少なくとも1つの判定装置(例えばシステム1または1’の判定装置17または17’)により判定することと、を含む。
【0132】
光ビームは、構成要素を横切ると、構成要素の少なくとも1つの厚さ範囲を通って伝搬する。システム1の円筒形の構成要素について、この厚さ範囲は、構成要素3のシェルであり、システム1’の立方体の構成要素3’について、この厚さ範囲は、立方体の壁の厚さである。
【0133】
システム1について、光学素子は、この方法が実施されるときに少なくとも部分的に、かつ/または少なくとも時々、構成要素3により囲まれた少なくとも1つの体積内に配置される。これにより、光ビームが常に構成要素を横切り、すなわち構成要素の検出器側情報が常に利用可能となる。
【0134】
図3に、同じタイプであるが異なる品質の構成要素について選択されたパラメータの変動の図を示す。
【0135】
例えば、性能指数(システム1、システム1’によりかつ/または上記の各方法を実施することにより、特性値を判定することが望ましいとされうる)は、円筒形状の構成要素(例えば構成要素3)の円筒設計からの局所的な逸脱に向けられうる。すなわち、円筒形の構成要素と理想的な円筒形形状との比較が目的である。この性能指数を評価するために、パラメータとして、検出面内での光ビームの断面の位置の第1の座標値を選択することができる。
【0136】
第1の座標値は第1の座標軸上にあり、第1の座標軸は第3の方向に沿っている。第3の方向は構成要素の第1の中心軸線に対して垂直である。例えば、システム1について、第3の方向は図1の図平面に対して垂直であることができる。
【0137】
図3に、2つの異なる品質の円筒形の構成要素AおよびBについての第1の座標値の変動の図を示す。この図を、好ましくは、図1と組み合わせて上記のシステム、例えばシステム1により得ることができる。ここで、パラメータ(第1の座標値)は、構成要素の回転角度に応じて、検出器装置により検出される。一方、構成要素の位置は一定の高さにある。すなわち、図3に、構成要素AおよびBそれぞれの向きに対する検出器装置により検出された光ビームの第1の座標値(すなわちパラメータ)の依存性を示す。
【0138】
円筒設計からの局所的な逸脱(すなわち性能指数)の特性値を判定することは、ここでは、パラメータの変動の形態での依存性を分析することにより得られた結果を、定量的参照手段に対して比較することを含む。ここで、定量的参照手段は、上限閾値(図3において、50ピクセルにおける実線の水平線で示す)および下限閾値(図3において、-50ピクセルにおける実線の水平線で示す)を含む。
【0139】
このようにして、図3に示されている依存性を分析することにより得られた結果を、上限閾値および下限閾値に対して比較する。例えば、パラメータの変動が、上限閾値を超えかつ/または下限閾値を下回る場合、構成要素の品質を許容できないものとしてまたはいずれかの場合に許容できるものとして分類することが可能である。この点に関して、図3に示されている結果に基づいて、構成要素Aを(パラメータが両方の閾値の外側に外れるため)許容できないものとして分類することができ、構成要素Bを(パラメータが両閾値の範囲内にあるため)許容できるものとして分類することができる。
【0140】
明細書、図面および特許請求の範囲に開示されている特徴は、その種々の実施形態における本発明の実現のために、単独でまたはあらゆる組み合わせで不可欠であることができる。
【符号の説明】
【0141】
1,1’ システム
3,3’ 構成要素
5,5’ ホルダ装置
7,7’ 検出器装置
9,9’ 光源
11,11’ 光ビーム
13,13’ 位置決め装置
15,15’ 分析装置
17,17’ 判定装置
19,19’ 光学素子
21,21’ フィルタ
23,23’ 取り付け要素
R1,R1’ 方向
R2’ 方向
図1
図2
図3
【国際調査報告】