(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】免疫原性組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/33 20060101AFI20230614BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20230614BHJP
C12N 15/30 20060101ALI20230614BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230614BHJP
C12N 15/29 20060101ALI20230614BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230614BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230614BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230614BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230614BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20230614BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20230614BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230614BHJP
A61P 39/02 20060101ALI20230614BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230614BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230614BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20230614BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230614BHJP
A61K 47/65 20170101ALN20230614BHJP
A61K 39/12 20060101ALN20230614BHJP
A61K 39/02 20060101ALN20230614BHJP
A61K 39/002 20060101ALN20230614BHJP
A61K 39/116 20060101ALN20230614BHJP
A61K 39/295 20060101ALN20230614BHJP
【FI】
C12N15/33
C12N15/31 ZNA
C12N15/30
C12N15/12
C12N15/29
A61P43/00 121
A61P37/04
A61P31/12
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/00
A61P37/08
A61P39/02
A61P35/00
A61K48/00
A61K39/39
A61K39/00 K
A61K39/00 H
A61K47/65
A61K39/12
A61K39/02
A61K39/002
A61K39/116
A61K39/295
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570514
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 US2021033409
(87)【国際公開番号】W WO2021236930
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520445473
【氏名又は名称】フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ シックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】カーベジアン,アバク
(72)【発明者】
【氏名】デ ブール,アレクサンドラ・ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】エチェラード,ヤン・ポール・ガイ・レジス
(72)【発明者】
【氏名】プルギス,ニコラス・マッカートニー
(72)【発明者】
【氏名】ウェインステイン,エリカ・ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ジェニファー・エイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076CC06
4C076CC07
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4C085AA03
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4C085BB03
4C085CC31
4C085EE01
4C085EE03
4C085EE06
4C085FF24
(57)【要約】
本開示は、1つ又は複数の免疫原性ポリペプチドをコードするポリリボヌクレオチドの組成物、医薬調製物、及び使用を提供する。特に、本開示は、1つ又は複数の免疫原性ポリペプチドをコードする環状ポリリボヌクレオチドを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配列を含み、各配列がポリペプチド免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチドであって、前記ポリペプチド免疫原の少なくとも2つが、異なる標的を同定する、環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項2】
前記ポリペプチド免疫原のそれぞれが、異なる標的を同定する、請求項1に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項3】
各標的が、異なる病原体である、請求項1又は2に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項4】
各標的が、独立して、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫である、請求項3に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項5】
各標的が、異なるウイルスである、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項6】
各標的が、異なる細菌である、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項7】
前記標的が、ウイルス及び細菌を含む、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項8】
複数の配列を含み、各配列が、ポリペプチド免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチドであって、前記ポリペプチド免疫原の少なくとも2つが、異なるタンパク質を同定し、前記異なるタンパク質のそれぞれが、同じ標的を同定する、環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項9】
前記ポリペプチド免疫原のそれぞれが、異なるタンパク質を同定する、請求項8に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項10】
前記標的が、病原体である、請求項8又は9に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項11】
前記病原体が、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫である、請求項10に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項12】
前記病原体が、ウイルスであり、前記異なるタンパク質のそれぞれが、前記ウイルスに関連するウイルスタンパク質である、請求項11に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項13】
前記病原体が、細菌であり、前記異なるタンパク質のそれぞれが、前記細菌に関連する細菌タンパク質である、請求項11に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項14】
前記標的が癌細胞である、請求項8又は9に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項15】
前記異なるタンパク質のそれぞれが、前記癌細胞に関連する異なる腫瘍抗原である、請求項14に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項16】
前記標的が、アレルゲン又は毒素である、請求項8又は9に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項17】
500~20,000個のリボヌクレオチドを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項18】
少なくとも1,000個のリボヌクレオチドを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項19】
少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、又は少なくとも9つの配列を含み、各配列が、ポリペプチド免疫原をコードする、請求項1~18のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項20】
2~3、2~5、又は5~10の配列を含み、各配列が、ポリペプチド免疫原をコードする、請求項1~18のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項21】
ポリペプチド免疫原をコードする少なくとも1つの配列が、シグナル配列をさらにコードする、請求項1~20のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項22】
前記ポリペプチド免疫原のそれぞれをコードする前記配列のそれぞれが、内部リボソーム進入部位(IRES)に作動可能に連結されている、請求項1~21のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項23】
単一のIRESを含む、請求項22に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項24】
前記ポリペプチド免疫原のそれぞれが、単一のIRESに作動可能に連結された単一のオープンリーディングフレームによってコードされ、前記オープンリーディングフレームの発現が、前記ポリペプチド免疫原のそれぞれのアミノ酸配列を含むポリペプチドを生成する、請求項23に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項25】
前記ポリペプチド免疫原がそれぞれ、ポリペプチドリンカーによって分離されている、請求項24に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項26】
前記ポリペプチド免疫原がそれぞれ、切断ドメインによって分離されている、請求項24に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項27】
各切断ドメインが、2A自己切断ペプチドである、請求項26に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項28】
複数のIRESを含む、請求項22に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項29】
各IRESが、ポリペプチド免疫原をコードする配列を含むオープンリーディングフレームに作動可能に連結されている、請求項28に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項30】
それぞれがポリペプチド免疫原をコードする配列を含む複数の環状ポリリボヌクレオチドを含む、免疫原性組成物。
【請求項31】
前記複数の環状ポリリボヌクレオチドのそれぞれが、請求項1~29のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチドである、請求項30に記載の免疫原性組成物。
【請求項32】
(a)第1のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第1の環状ポリリボヌクレオチド、及び(b)第2のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第2の環状ポリリボヌクレオチドを含み、前記第1及び前記第2のポリペプチド免疫原が、異なるタンパク質を同定し、それぞれの異なるタンパク質が、同じ標的を同定する、請求項31に記載の免疫原性組成物。
【請求項33】
前記標的が病原体である、請求項32に記載の免疫原性組成物。
【請求項34】
前記病原体が、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫である、請求項33に記載の免疫原性組成物。
【請求項35】
前記標的が、癌細胞、アレルゲン、又は毒素である、請求項32に記載の免疫原性組成物。
【請求項36】
(a)第1のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第1の環状ポリリボヌクレオチド、及び(b)第2のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第2の環状ポリリボヌクレオチドを含み、前記第1のポリペプチド免疫原が、第1の標的を同定し、前記第2のポリペプチド免疫原が、第2の標的を同定する、請求項30に記載の免疫原性組成物。
【請求項37】
各標的が病原体である、請求項36に記載の免疫原性組成物。
【請求項38】
各標的が、独立して、癌細胞、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、毒素、又はアレルゲンである、請求項36又は37に記載の免疫原性組成物。
【請求項39】
各ポリペプチド免疫原が、IRESに作動可能に連結されている、請求項30~38のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項40】
請求項1~29のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド又は請求項30~39のいずれか一項に記載の免疫原性組成物、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項41】
アジュバントをさらに含む、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記アジュバントが、無機アジュバント、小分子アジュバント、及び水中油型エマルジョン、脂質又はポリマー、ペプチド又はペプチドグリカン、炭水化物又は多糖、サポニン、RNAベースのアジュバント、DNAベースのアジュバント、ウイルス粒子、細菌アジュバント、ハイブリッド分子、真菌又は卵母細胞微生物関連分子パターン(MAMP)、無機ナノ粒子、又は多成分アジュバントである、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
対象の疾患、障害、又は症状を処置又は予防する方法であって、請求項1~29のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド、請求項30~39のいずれか一項に記載の免疫原性組成物、又は請求項40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項44】
前記疾患、障害、又は症状が、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記疾患、障害、又は症状が癌である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記疾患、障害、又は症状が、アレルゲンへの曝露に関連する、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記疾患、障害、又は症状が、毒素への曝露に関連する、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
対象において免疫応答を誘発する方法であって、請求項1~29のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド、請求項30~39のいずれか一項に記載の免疫原性組成物、又は請求項40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項49】
前記対象にアジュバントを投与することをさらに含む、請求項43~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記アジュバントが、無機アジュバント、小分子アジュバント、及び水中油型エマルジョン、脂質又はポリマー、ペプチド又はペプチドグリカン、炭水化物又は多糖、サポニン、RNAベースのアジュバント、DNAベースのアジュバント、ウイルス粒子、細菌アジュバント、ハイブリッド分子、真菌又は卵母細胞微生物関連分子パターン(MAMP)、無機ナノ粒子、又は多成分アジュバントである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
請求項1~29のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド、請求項30~39のいずれか一項に記載の免疫原性組成物、又は請求項40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物が、単回用量として前記対象に投与される、請求項43~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
請求項1~29のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド、請求項30~39のいずれか一項に記載の免疫原性組成物、又は請求項40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物が、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上前記対象に投与される、請求項43~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
請求項1~29のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド、請求項30~39のいずれか一項に記載の免疫原性組成物、又は請求項40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物の投与が、約1週間ごと、約2週間ごと、約3週間ごと、約1ヶ月ごと、約2ヶ月ごと、約3ヶ月ごと、約4ヶ月ごと、約5ヶ月ごと、約6ヶ月ごと、約1年ごと、約2年ごと、約3年ごと、約4年ごと、約5年ごと、又は約10年ごとに行われる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
ポリペプチド免疫原を前記対象に投与することをさらに含む、請求項43~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記ポリペプチド免疫原が、請求項1~29のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド、請求項30~39のいずれか一項に記載の免疫原性組成物、又は請求項40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与した後に前記対象に投与される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ポリペプチド免疫原が、前記対象における前記ポリペプチド免疫原に対する免疫応答を維持又は増強する、請求項54又は請求項55に記載の方法。
【請求項57】
対象における免疫応答を維持又は増強する方法であって、
(i)ポリペプチド免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチドを前記対象に投与するステップ;
(ii)前記ポリペプチド免疫原を前記対象に投与するステップ
を含み、
ステップ(ii)が、ステップ(i)の1週間から6ヶ月後に行われ、ステップ(ii)のポリペプチド免疫原の投与が、前記対象における前記ポリペプチド免疫原に対する免疫応答を維持又は増強する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、全体が参照により本明細書に援用される配列表を含む。2021年5月18日に作成された前記ASCIIコピーは、51509-024WO3_Sequence_Listing_05.18.21_ST25と命名され、41,145バイトのサイズである。
【背景技術】
【0002】
ワクチン接種は、ヒト及び動物の両方の健康に多大な貢献をしてきた。1796年に最初のワクチンが発明されて以来、ワクチンは、対象において免疫応答を引き起こすことによって多くの感染症を予防する最も成功した方法と見なされるようになった。世界保健機関(World Health Organization)によると、免疫付与は現在、すべての年齢層で毎年200万人から300万人の死亡を防止している。今日、ワクチンは、ジフテリア、破傷風、百日咳、インフルエンザ、及びはしかを含む20を超える感染症の蔓延を予防及び制御するために開発され、天然痘の完全な根絶につながった。新規且つ改良された免疫原性組成物及びその使用を開発する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、1つ又は複数の免疫原をコードするポリリボヌクレオチド(例えば、環状又は線状ポリリボヌクレオチド)の組成物、医薬調製物、及び使用を提供する。特に、本開示は、複数の免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチド、及び複数の環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物を提供する。本開示はさらに、1つ又は複数のポリペプチド免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチドを使用する方法に関する。本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドの組成物及び医薬調製物は、投与時に対象における免疫応答を誘発し得る。本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドの組成物及び医薬調製物は、対象の疾患、障害、又は症状を処置又は予防するために使用することができる。
【0004】
一態様では、本開示は、複数の配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを提供し、各配列は、ポリペプチド免疫原をコードし、ポリペプチド免疫原の少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、又は少なくとも9つ)が異なるタンパク質を同定し、異なるタンパク質のそれぞれが同じ標的を同定する。
【0005】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原のそれぞれが、異なるタンパク質を同定する。いくつかの実施形態では、標的は病原体である。いくつかの実施形態では、病原体は、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫である。いくつかの実施形態では、病原体は、ウイルスであり、異なるタンパク質のそれぞれは、ウイルスに関連するウイルスタンパク質である。いくつかの実施形態では、病原体は細菌であり、異なるタンパク質のそれぞれは、細菌に関連する細菌タンパク質である。いくつかの実施形態では、標的は癌細胞である。いくつかの実施形態では、異なるタンパク質のそれぞれは、癌細胞に関連する異なる腫瘍抗原である。いくつかの実施形態では、標的は、アレルゲン又は毒素である。
【0006】
別の態様では、本開示は、複数の配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを提供し、各配列は、ポリペプチド免疫原をコードし、ポリペプチド免疫原の少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、又は少なくとも9つ)が異なる標的を同定する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原のそれぞれは、異なる標的を同定する。いくつかの実施形態では、各標的は、異なる病原体である。いくつかの実施形態では、各標的は、独立して、癌細胞、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫である。いくつかの実施形態では、各標的は、異なるウイルスである。いくつかの実施形態では、各標的は、異なる細菌である。いくつかの実施形態では、標的には、ウイルス及び細菌が含まれる。
【0007】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる複数の免疫原のそれぞれは、90%未満の配列同一性を共有する。
【0008】
本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドのいずれか1つのいくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、500~20,000個(例えば、500~10,000個、500~9,000個、500~8,000個、500~5,000個、500~4,000個、500~3,000個、1,000~10,000個、1,000~8,000個、1,000~5,000個、3,000~8,000個、4,000~9,000個、又は10,000~20,000個)のリボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、500~5,000個を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1,000~5,000個のリボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5,000~10,000個のリボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも500個のリボヌクレオチド(例えば、少なくとも600個、少なくとも1000個、少なくとも1500個、少なくとも2000個、少なくとも2500個、少なくとも3000個、少なくとも3500個、少なくとも4000個、少なくとも4500個、少なくとも5000個、少なくとも5500個、少なくとも6000個、少なくとも6500個、少なくとも7000個、少なくとも7500個、少なくとも8000個、少なくとも8500個、少なくとも9000個、又は少なくとも9500個のリボヌクレオチド)を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、又は少なくとも9つの配列を含み、各配列は、ポリペプチド免疫原をコードする。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ又は3つ、2~5(例えば、2、3、又は4)、又は5~10の配列(例えば、5つ、6つ、7つ、8つ、又は9つの配列)を含み、それぞれの配列が、ポリペプチド免疫原をコードする。
【0010】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原をコードする少なくとも1つの配列は、シグナル配列をさらにコードする。いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原をコードする各配列は、シグナル配列をさらにコードする。いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原のそれぞれをコードする配列のそれぞれは、内部リボソーム進入部位(IRES)に作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、単一のIRESを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原のそれぞれは、単一のIRESに作動可能に連結された単一のオープンリーディングフレームによってコードされ、オープンリーディングフレームの発現は、各ポリペプチド免疫原のアミノ酸配列を含むポリペプチドを生成する。
【0011】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原はそれぞれ、ポリペプチドリンカーによって分離されている。いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原はそれぞれ、切断ドメインによって分離されている。いくつかの実施形態では、各スタガー要素(stagger element)は、2A自己切断ペプチドである。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、複数のIRESを含む。いくつかの実施形態では、各IRESは、ポリペプチド免疫原をコードする配列を含むオープンリーディングフレームに作動可能に連結されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、免疫原をコードする少なくとも1つの配列は、シグナル配列をさらにコードする。いくつかの実施形態では、免疫原をコードする各配列は、シグナル配列をさらにコードする。いくつかの実施形態では、免疫原をコードする少なくとも1つの配列は、シグナル配列をコードしない。いくつかの実施形態では、免疫原をコードする配列はいずれも、シグナル配列をさらにコードしない。
【0013】
本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドのいずれか1つのいくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’末端及び3’末端を有する第1のポリリボヌクレオチドを含み、5’末端及び3’末端はそれぞれ、第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズし、それにより、第1のポリリボヌクレオチドの5’末端及び3’末端を連結して環状ポリリボヌクレオチドを形成する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、スプリントライゲーションによって生成される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、3’末端及び5’末端を有する線状ポリリボヌクレオチドを提供することによって生成され、3’末端及び5’末端それぞれが、イントロンの一部を含み、3’末端のイントロン部分及び5’末端のイントロン部分が、スプライシング反応を触媒し、それによって5’末端及び3’末端を共有結合させて環状ポリリボヌクレオチドを生成する。いくつかの実施形態では、イントロンは、Group I自己スプライシングイントロンである。
【0014】
別の態様では、本開示は、それぞれがポリペプチド免疫原をコードする配列を含む、複数の環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、複数の環状ポリリボヌクレオチドのそれぞれは、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原のそれぞれは、標的を同定する1つ又は複数のエピトープを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、第1のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第1の環状ポリリボヌクレオチド、及び第2のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第2の環状ポリリボヌクレオチドを含み、第1及び第2のポリペプチド免疫原は異なるタンパク質を同定し、各異なるタンパク質は同じ標的を同定する。いくつかの実施形態では、組成物は、第1のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第1の環状ポリリボヌクレオチド、及び第2のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第2の環状ポリリボヌクレオチドを含み、第1のポリペプチド免疫原は第1の標的を同定し、第2のポリペプチド免疫原は第2の標的を同定する。いくつかの実施形態では、各標的は、独立して、癌細胞、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、毒素、又はアレルゲンである。いくつかの実施形態では、標的は病原体である。いくつかの実施形態では、病原体は、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫である。いくつかの実施形態では、標的は、癌細胞、アレルゲン、又は毒素である。いくつかの実施形態では、各ポリペプチド免疫原は、IRESに作動可能に連結されている。
【0015】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド、組成物、又は医薬調製物のいずれか1つ、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド、組成物、又は医薬調製物のいずれか1つ、及びプロタミン又はプロタミン塩(例えば、硫酸プロタミン)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、アジュバントをさらに含む。いくつかの実施形態では、アジュバントは、無機アジュバント、小分子アジュバント、及び水中油型エマルジョン、脂質又はポリマー、ペプチド又はペプチドグリカン、炭水化物又は多糖、サポニン、RNAベースのアジュバント、DNAベースのアジュバント、ウイルス粒子、細菌アジュバント、ハイブリッド分子、真菌又は卵母細胞微生物関連分子パターン(MAMP)、無機ナノ粒子、又は多成分アジュバントである。いくつかの実施形態では、アジュバントは、無機アジュバントである。いくつかの実施形態では、無機アジュバントは、アルミニウム塩又はカルシウム塩である。いくつかの実施形態では、アジュバントは小分子である。いくつかの実施形態では、小分子は、イミキモド、レシキモド、又はガルジキモドである。いくつかの実施形態では、アジュバントは、水中油型エマルジョンである。いくつかの実施形態では、水中油型エマルジョンは、スクアレン、MF59、AS03、Montanide製剤、任意選択によりMontanide ISA51又はMontanide ISA720、又は水中油型エマルジョンの不完全フロイントアジュバントである。いくつかの実施形態では、アジュバントは、脂質又はポリマーである。いくつかの実施形態では、脂質又はポリマーは、ポリマーナノ粒子、任意選択によりPLGA、PLG、PLA、PGA、又はPHB、リポソーム、任意選択によりビロソーム又はCAF01、脂質ナノ粒子又はその成分、リポ多糖(LPS)、任意選択によりモノホスホリルリピドA(MPLA)又はグルコピラノシルリピドA(GLA)、リポペプチド、任意選択によりPam2(Pam2CSK4)又はPam3(Pam3CSK4)、又は糖脂質、任意選択によりトレハロースジミコレートである。いくつかの実施形態では、アジュバントは、ペプチド又はペプチドグリカンである。いくつかの実施形態では、ペプチド又はペプチドグリカンは、合成又は精製されたグラム陰性菌又はグラム陽性菌、任意選択によりN-アセチル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(MDP)、フラジェリン融合タンパク質、マンノース結合レクチン(MBL)、サイトカイン、又はケモカインのすべて又は一部に一致する。いくつかの実施形態では、アジュバントは、炭水化物又は多糖である。いくつかの実施形態では、炭水化物又は多糖は、デキストラン(分枝微生物多糖)、硫酸デキストラン、レンチナン、ザイモサン、βグルカン、Deltin、マンナン、又はキチンである。いくつかの実施形態では、アジュバントはサポニンである。いくつかの実施形態では、サポニンは、1つ又は複数の糖側鎖に結合したグリコシド又は多環式アグリコン、任意選択によりISCOMS、ISCOMSマトリックス、又はQS-21である。いくつかの実施形態では、アジュバントは、RNAベースのアジュバントである。いくつかの実施形態では、RNAベースのアジュバントは、ポリIC、ポリIC:LC、ヘアピンRNA、任意選択により5’PPP含有配列、ウイルス配列、ポリU含有配列、dsRNA、天然又は合成の免疫刺激性RNA配列、核酸類似体、任意選択により環状GMP-AMP又は環状ジGMPなどの環状ジヌクレオチド、又は免疫刺激塩基類似体、任意選択によりC8置換又はN7,C8二置換グアニンリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、アジュバントは、DNAベースのアジュバントである。いくつかの実施形態では、DNAベースのアジュバントは、CpG、dsDNA、又は天然若しくは合成の免疫刺激性DNA配列である。いくつかの実施形態では、アジュバントは、ウイルス粒子である。いくつかの実施形態では、ウイルス粒子は、ウイロソーム、任意選択によりリン脂質細胞膜二重層である。いくつかの実施形態では、アジュバントは、細菌アジュバントである。いくつかの実施形態では、細菌アジュバントは、フラジェリン、LPS、又は細菌毒素、任意選択によりエンテロトキシン、易熱性毒素、又はコレラ毒素である。いくつかの実施形態では、アジュバントは、ハイブリッド分子である。いくつかの実施形態では、アジュバントは、イミキモドにコンジュゲートしたCpGである。いくつかの実施形態では、アジュバントは、真菌又は卵母細胞微生物関連分子パターン(MAMP)である。いくつかの実施形態では、真菌又は卵母細胞MAMPは、キチン又はβグルカンである。いくつかの実施形態では、アジュバントは、無機ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、無機ナノ粒子は、金ナノロッド、シリカベースのナノ粒子、任意選択によりメソポーラスシリカナノ粒子(MSN)である。いくつかの実施形態では、アジュバントは、多成分アジュバントである。いくつかの実施形態では、多成分アジュバントは、AS01、AS03、AS04、完全フロイントアジュバント、又はCAF01である。
【0016】
別の態様では、本開示は、対象の疾患、障害、又は症状を処置又は予防する方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド、組成物、医薬調製物、又は医薬組成物のいずれか1つを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患、障害、又は症状は、ウイルス感染、細菌感染、又は真菌感染である。いくつかの実施形態では、疾患、障害、又は症状は癌である。いくつかの実施形態では、疾患、障害、又は症状は、アレルゲンへの曝露に関連している。いくつかの実施形態では、疾患、障害、又は症状は、毒素への曝露に関連している。
【0017】
別の態様では、本開示は、対象において免疫応答を誘発する方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド、組成物、医薬調製物、又は医薬組成物のいずれか1つを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、方法は、非ヒト哺乳動物である。いくつかの実施形態では、非ヒト哺乳動物は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ウマ、又はネコである。いくつかの実施形態では、対象はトリである。いくつかの実施形態では、トリは、雌鶏、雄鶏、七面鳥、又はオウムである。いくつかの実施形態では、方法は、アジュバントを対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド、又はその調製物若しくは組成物とは別個の分子実体である。いくつかの実施形態では、アジュバントは、無機アジュバント、小分子アジュバント、及び水中油型エマルジョン、脂質又はポリマー、ペプチド又はペプチドグリカン、炭水化物又は多糖、サポニン、RNAベースのアジュバント、DNAベースのアジュバント、ウイルス粒子、細菌アジュバント、ハイブリッド分子、真菌又は卵母細胞微生物関連分子パターン(MAMP)、無機ナノ粒子、又は多成分アジュバントである。いくつかの実施形態では、アジュバントは、ポリペプチドアジュバントである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドアジュバントは、サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子、自然免疫系刺激剤、シグナル伝達分子、転写活性化因子、サイトカイン受容体、細菌成分、又は自然免疫系の成分である。いくつかの実施形態では、アジュバントは、自然免疫系刺激剤である。いくつかの実施形態では、自然免疫系刺激剤は、GUリッチモチーフ、AUリッチモチーフ、dsRNAを含む構造領域、又はアプタマーを含むRNAから選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド、組成物、医薬調製物、又は医薬組成物のいずれか1つが、単回用量として対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド、組成物、医薬調製物、又は医薬組成物のいずれか1つが、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド、組成物、医薬調製物、又は医薬組成物のいずれか1つの投与は、約1週間ごと、約2週間ごと、約3週間ごと、約1ヶ月ごと、約2ヶ月ごと、約3ヶ月ごと、約4ヶ月ごと、約5ヶ月ごと、約6ヶ月ごと、約1年ごと、約2年ごと、約3年ごと、約4年ごと、約5年ごと、又は約10年ごとに行われる。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、対象にポリペプチド免疫原(例えば、ポリペプチド免疫原を含むタンパク質サブユニット)を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原は、環状ポリリボヌクレオチドの配列によってコードされるポリペプチド免疫原に一致する(例えば、90%、95%、96%、97%、98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を共有する)。いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原は、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド、免疫原性組成物、医薬調製物、又は医薬組成物のいずれか1つを投与した後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原は、対象におけるポリペプチド免疫原に対する免疫応答を維持又は増強する。
【0020】
別の態様では、本開示は、対象における免疫応答を維持又は増強する方法を提供し、この方法は、(i)ポリペプチド免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチドを対象に投与するステップ、及び(ii)ポリペプチド免疫原を対象に投与するステップを含み、ステップ(ii)は、ステップ(i)の後、1週間~6ヶ月間(例えば、1ヶ月~5ヶ月間、2ヶ月~3ヶ月間、2週間~3ヶ月間、又は3ヶ月~6ヶ月間)行われ、ポリペプチド免疫原の投与は、ステップ(ii)のポリペプチド免疫原の投与が、対象におけるポリペプチド免疫原に対する免疫応答を維持又は増強する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド免疫原は、標的を同定する1つ又は複数のエピトープを含む。いくつかの実施形態では、標的は病原体である。いくつかの実施形態では、標的は、癌細胞、アレルゲン、又は毒素である。
【0021】
付番された実施形態:
[1]複数の配列を含む環状ポリリボヌクレオチドであって、各配列が、ポリペプチド免疫原をコードし、ポリペプチド免疫原の少なくとも2つが、異なる標的を同定する、環状ポリリボヌクレオチド。
[2]ポリペプチド免疫原のそれぞれが、異なる標的を同定する、項[1]の環状ポリリボヌクレオチド。
[3]各標的が異なる病原体である、項[1]又は[2]の環状ポリリボヌクレオチド。
[4]各標的が、独立して、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫である、項[3]の環状ポリリボヌクレオチド。
[5]各標的が、異なるウイルスである、項[4]の環状ポリリボヌクレオチド。
[6]各標的が、異なる細菌である、項[4]の環状ポリリボヌクレオチド。
[7]標的が、ウイルス及び細菌を含む、項[4]の環状ポリリボヌクレオチド。
[8]複数の配列を含む環状ポリリボヌクレオチドであって、各配列が、ポリペプチド免疫原をコードし、ポリペプチド免疫原の少なくとも2つが異なるタンパク質を同定し、異なるタンパク質のそれぞれが、同じ標的を同定する、環状ポリリボヌクレオチド。
[9]ポリペプチド免疫原のそれぞれが、異なるタンパク質を同定する、項[8]の環状ポリリボヌクレオチド。
[10]標的が、病原体である、項[8]又は[9]の環状ポリリボヌクレオチド。
[11]病原体が、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫である、項[10]の環状ポリリボヌクレオチド。
[12]病原体が、ウイルスであり、異なるタンパク質のそれぞれが、ウイルスに関連するウイルスタンパク質である、項[11]の環状ポリリボヌクレオチド。
[13]病原体が、細菌であり、異なるタンパク質のそれぞれが、細菌に関連する細菌タンパク質である、項[11]の環状ポリリボヌクレオチド。
[14]標的が、癌細胞である、項[8]又は[9]の環状ポリリボヌクレオチド。
[15]異なるタンパク質のそれぞれが、癌細胞に関連する異なる腫瘍抗原である、項[14]の環状ポリリボヌクレオチド。
[16]標的が、アレルゲン又は毒素である、項[8]又は[9]の環状ポリリボヌクレオチド。
[17]500~20,000個のリボヌクレオチドを含む、項[1]~[16]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド。
[18]500~10,000個のリボヌクレオチドを含む、項[17]の環状ポリリボヌクレオチド。
[19]500~5,000個のリボヌクレオチドを含む、項[18]の環状ポリリボヌクレオチド。
[20]少なくとも500個のリボヌクレオチドを含む、項[1]~[16]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド。
[21]少なくとも1,000個のリボヌクレオチドを含む、項[20]の環状ポリリボヌクレオチド。
[22]少なくとも5,000個のリボヌクレオチドを含む、項[21]の環状ポリリボヌクレオチド。
[23]少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、又は少なくとも9つの配列を含み、各配列が、免疫原性ポリペプチドをコードする、項[1]~[22]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド。
[24]2~3、2~5、又は5~10の配列を含み、各配列が、ポリペプチド免疫原をコードする、項[1]~[22]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド。
[25]ポリペプチド免疫原をコードする少なくとも1つの配列がシグナル配列をさらにコードする、項[1]~[22]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド。
[26]ポリペプチド免疫原をコードする各配列が、シグナル配列をさらにコードする、項[1]~[22]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド。
[27]ポリペプチド免疫原のそれぞれをコードする配列のそれぞれが、内部リボソーム進入部位(IRES)に作動可能に連結されている、項[1]~[26]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド。
[28]単一のIRESを含む、項[27]の環状ポリリボヌクレオチド。
[29]ポリペプチド免疫原のそれぞれが、単一のIRESに作動可能に連結された単一のオープンリーディングフレームによってコードされ、オープンリーディングフレームの発現が、各ポリペプチド免疫原のアミノ酸配列を含むポリペプチドを生成する、項[28]の環状ポリリボヌクレオチド。
[30]ポリペプチド免疫原がそれぞれ、ポリペプチドリンカーによって分離されている、項[29]の環状ポリリボヌクレオチド。
[31]ポリペプチド免疫原がそれぞれ、切断ドメインによって分離されている、項[29]の環状ポリリボヌクレオチド。
[32]各切断ドメインが、2A自己切断ペプチドである、項[31]の環状ポリリボヌクレオチド。
[33]複数のIRESを含む、項[27]の環状ポリリボヌクレオチド。
[34]各IRESが、ポリペプチド免疫原をコードする配列を含むオープンリーディングフレームに作動可能に連結されている、項[33]の環状ポリリボヌクレオチド。
[35]5’末端及び3’末端を有する第1のポリリボヌクレオチドを含み、5’末端及び3’末端がそれぞれ、第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズし、これにより第1のポリリボヌクレオチドの5’末端と3’末端とが連結して環状ポリリボヌクレオチドを形成する、項[1]~[34]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド。
[36]スプリントライゲーションによって生成される、項[35]の環状ポリリボヌクレオチド。
[37]3’末端及び5’末端を有する線状ポリリボヌクレオチドを提供することによって生成され、3’末端及び5’末端それぞれが、イントロンの一部を含み、3’末端のイントロン部分及び5’末端のイントロン部分が、スプライシング反応を触媒し、それによって5’末端及び3’末端を共有結合させて環状ポリリボヌクレオチドを生成する、項[1]~[34]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド。
[38]イントロンが、Group I自己プライシングイントロンである、項[37]の環状ポリリボヌクレオチド。
[39]それぞれがポリペプチド免疫原をコードする配列を含む、複数の環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物。
[40]複数の環状ポリリボヌクレオチドのそれぞれが、項[1]~[38]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチドである、項[39]の免疫原性組成物。
[41](a)第1のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第1の環状ポリリボヌクレオチド、及び(b)第2のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第2の環状ポリリボヌクレオチドを含み、第1及び第2のポリペプチド免疫原が、異なるタンパク質を同定し、それぞれの異なるタンパク質が、同じ標的を同定する、項[39]の免疫原性組成物。
[42]標的が、病原体である、項[41]の免疫原性組成物。
[43]病原体が、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫である、項[42]の免疫原性組成物。
[44]病原体が、癌細胞、アレルゲン、又は毒素である、項[43]の免疫原性組成物。
[45](a)第1のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第1の環状ポリリボヌクレオチド、及び(b)第2のポリペプチド免疫原をコードする配列を含む少なくとも第2の環状ポリリボヌクレオチドを含み、第1のポリペプチド免疫原が、第1の標的を同定し、第2のポリペプチド免疫原が、第2の標的を同定する、項[39]の免疫原性組成物。
[46]各標的が、病原体である、項[45]の免疫原性組成物。
[47]各標的が、独立して、癌細胞、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、毒素、又はアレルゲンである、項[45]又は[46]の免疫原性組成物。
[48]各ポリペプチド免疫原が、IRESに作動可能に連結されている、項[39]~[47]のいずれか一項の免疫原性組成物。
[49]項[1]~[38]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド又は項[39]~[48]のいずれか一項の免疫原性組成物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
[50]アジュバントをさらに含む、項[49]の医薬組成物。
[51]アジュバントが、無機アジュバント、小分子アジュバント、及び水中油型エマルジョン、脂質又はポリマー、ペプチド又はペプチドグリカン、炭水化物又は多糖、サポニン、RNAベースのアジュバント、DNAベースのアジュバント、ウイルス粒子、細菌アジュバント、ハイブリッド分子、真菌又は卵母細胞微生物関連分子パターン(MAMP)、無機ナノ粒子、又は多成分アジュバントである、項[50]の医薬組成物。
[52]アジュバントが、無機アジュバントである、項[51]の医薬組成物。
[53]無機アジュバントが、アルミニウム塩又はカルシウム塩である、項[52]の医薬組成物。
[54]アジュバントが、小分子である、項[51]の医薬組成物。
[55]小分子が、イミキモド、レシキモド、又はガルジキモドである、項[51]の医薬組成物。
[56]アジュバントが、水中油型エマルジョンである、項[51]の医薬組成物。
[57]水中油型エマルジョンが、スクアレン、MF59、AS03、Montanide製剤、任意選択によりMontanide ISA51若しくはMontanide ISA720、又は水中油型エマルジョンの不完全フロイントアジュバントである、項[56]の医薬組成物。
[58]アジュバントが、脂質又はポリマーである、項[51]の医薬組成物。
[59]脂質又はポリマーが、ポリマーナノ粒子、任意選択によりPLGA、PLG、PLA、PGA、又はPHB、リポソーム、任意選択によりビロソーム又はCAF01、脂質ナノ粒子又はその成分、リポ多糖(LPS)、任意選択によりモノホスホリルリピドA(MPLA)又はグルコピラノシルリピドA(GLA)、リポペプチド、任意選択によりPam2(Pam2CSK4)又はPam3(Pam3CSK4)、又は糖脂質、任意選択によりトレハロースジミコレートである、項[58]の医薬組成物。
[60]アジュバントが、ペプチド又はペプチドグリカンである、項[51]の医薬組成物。
[61]ペプチドグリカンのペプチドが、合成又は精製されたグラム陰性菌又はグラム陽性菌、任意選択によりN-アセチル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(MDP)、フラジェリン融合タンパク質、マンノース結合レクチン(MBL)、サイトカイン、又はケモカインのすべて又は一部に一致する、項[60]の医薬組成物。
[62]アジュバントが、炭水化物又は多糖類である、項[51]の医薬組成物。
[63]炭水化物又は多糖類が、デキストラン(分枝微生物多糖類)、硫酸デキストラン、レンチナン、ザイモサン、βグルカン、Deltin、マンナン、又はキチンである、項[62]の医薬組成物。
[64]アジュバントがサポニンである、項[51]の医薬組成物。
[65]サポニンが、1つ又は複数の糖側鎖、任意選択によりISCOMS、ISCOMSマトリックス、又はQS-21に結合したグリコシド若しくは多環式アグリコンである、項[64]の医薬組成物。
[66]アジュバントが、RNAベースのアジュバントである、項[51]の医薬組成物。
[67]RNAベースのアジュバントが、ポリIC、ポリIC:LC、ヘアピンRNA、任意選択により5’PPP含有配列、ウイルス配列、ポリU含有配列、dsRNA、天然又は合成の免疫刺激性RNA配列、核酸類似体、任意選択により環状GMP-AMP又は環状ジGMPなどの環状ジヌクレオチド、又は免疫刺激性塩基類似体、任意選択によりC8置換又はN7,C8二置換グアニンリボヌクレオチドである、項[66]の医薬組成物。
[68]アジュバントが、DNAベースのアジュバントである、項[51]の医薬組成物。
[69]DNAベースのアジュバントが、CpG、dsDNA、又は天然若しくは合成の免疫刺激性DNA配列である、項[68]の医薬組成物。
[70]アジュバントが、ウイルス粒子である、項[51]の医薬組成物。
[71]ウイルス粒子が、ビロソーム、任意選択によりリン脂質細胞膜二重層である、項[70]の医薬組成物。
[72]アジュバントが、細菌アジュバントである、項[51]の医薬組成物。
[73]細菌アジュバントが、フラジェリン、LPS、又は細菌毒素、任意選択によりエンテロトキシン、易熱性毒素、又はコレラ毒素である、項[72]の医薬組成物。
[74]アジュバントが、ハイブリッド分子である、項[51]の医薬組成物。
[75]アジュバントが、イミキモドにコンジュゲートしたCpGである、項[74]の医薬組成物。
[76]アジュバントが、真菌又は卵母細胞微生物関連分子パターン(MAMP)である、項[51]の医薬組成物。
[77]真菌又は卵母細胞MAMPが、キチン又はβグルカンである、項[76]の医薬組成物。
[78]アジュバントが、無機ナノ粒子である、項[51]の医薬組成物。
[79]無機ナノ粒子が、金ナノロッド、シリカベースのナノ粒子、任意選択によりメソポーラスシリカナノ粒子(MSN)である、項[78]の医薬組成物。
[80]アジュバントが、多成分アジュバントである、項[51]の医薬組成物。
[81]多成分アジュバントが、AS01、AS03、AS04、完全フロイントアジュバント、又はCAF01である、項[80]の医薬組成物。
[82]項[1]~[38]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド又は項[39]~[48]のいずれか一項の免疫原性組成物を含む脂質ナノ粒子(LNP)。
[83]イオン性脂質を含む、項[82]のLNP。
[84]カチオン性脂質を含む、項[82]のLNP。
[85]カチオン性脂質が:
【化1】
の構造を有する、項[84]のLNP。
[86]1つ又は複数の中性脂質、例えば、DSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPE、SM、ステロイド、例えば、コレステロール、及び/又は1つ又は複数のポリマー複合脂質、例えば、ペグ化脂質、例えば、PEG-DAG、PEG-PE、PEG-S-DAG、PEG-cer、又はPEGジアルキルオキシプロピルカルバメート(dialkyoxypropylcarbamate)をさらに含む、項[82]~[85]のいずれか一項のLNP。
[87]対象の疾患、障害、又は症状を処置又は予防する方法であって、項[1]~[38]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド、項[39]~[48]のいずれか一項の免疫原性組成物、項[49]~[81]のいずれか一項の医薬組成物、又は項[82]~[86]のいずれか一項のLNPを対象に投与することを含む、方法。
[88]疾患、障害、又は症状が、ウイルス感染、細菌感染、又は真菌感染である、項[87]の方法。
[89]疾患、障害、又は症状が癌である、項[87]の方法。
[90]疾患、障害、又は症状が、アレルゲンへの暴露に関連する、項[87]の方法。
[91]疾患、障害、又は症状が、毒素への曝露に関連する、項[87]の方法。
[92]対象において免疫応答を誘発する方法であって、項[1]~[38]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド、項[39]~[48]のいずれか一項の免疫原性組成物、項[49]~[81]のいずれか一項の医薬組成物、又は項[82]~[86]のいずれか一項のLNPを対象に投与することを含む、方法。
[93]対象が哺乳動物である、項[87]~[92]のいずれか一項の方法。
[94]対象がヒトである、項[93]の方法。
[95]方法が、非ヒト哺乳動物である、項[93]の方法。
[96]非ヒト哺乳動物が、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ウマ、又はネコである、項[93]の方法。
[97]対象がトリである、項[87]~[96]のいずれか一項の方法。
[98]トリが、雌鶏、雄鶏、七面鳥、又はオウムである、項[97]の方法。
[99]対象にアジュバントを投与することをさらに含む、項[87]~[98]のいずれか一項の方法。
[100]アジュバントが、無機アジュバント、小分子アジュバント、及び水中油型エマルジョン、脂質又はポリマー、ペプチド又はペプチドグリカン、炭水化物又は多糖、サポニン、RNAベースのアジュバント、DNAベースのアジュバント、ウイルス粒子、細菌アジュバント、ハイブリッド分子、真菌又は卵母細胞微生物関連分子パターン(MAMP)、無機ナノ粒子、又は多成分アジュバントである、項[99]の方法。
[101]アジュバントが、ポリペプチドアジュバントである、項[99]の方法。
[102]ポリペプチドアジュバントが、サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子、自然免疫系刺激剤、シグナル伝達分子、転写活性化因子、サイトカイン受容体、細菌成分、又は自然免疫系の成分である、項[101]の方法。
[103]アジュバントが、自然免疫系刺激剤である、項[99]の方法。
[104]自然免疫系刺激物質が、GUリッチモチーフ、AUリッチモチーフ、dsRNAを含む構造領域、又はアプタマーを含むRNAから選択される、項[103]の方法。
[105]項[1]~[38]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド、項[39]~[48]のいずれか一項の免疫原性組成物、項[49]~[81]のいずれか一項の医薬組成物、又は項[82]~[86]のいずれか一項のLNPが、単回用量として対象に投与される、項[87]~[104]のいずれか一項の方法。
[106]項[1]~[38]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド、項[39]~[48]のいずれか一項の免疫原性組成物、項[49]~[81]のいずれか一項の医薬組成物、又は項[82]~[86]のいずれか一項のLNPが、対象に2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上投与される、項[86]~[99]のいずれか一項の方法。
[107]項[1]~[38]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド、項[39]~[48]のいずれか一項の免疫原性組成物、項[49]~[81]のいずれか一項の医薬組成物、又は項[82]~[86]のいずれか一項のLNPの投与が、約1週間ごと、約2週間ごと、約3週間ごと、約1ヶ月ごと、約2ヶ月ごと、約3ヶ月ごと、約4ヶ月ごと、約5ヶ月ごと、約6ヶ月ごと、約1年ごと、約2年ごと、約3年ごと、約4年ごと、約5年ごと、又は約10年ごとに行われる、項[106]の方法。
[108]ポリペプチド免疫原(例えば、ポリペプチド免疫原を含むタンパク質サブユニット)を対象に投与することをさらに含む、項[87]~[104]のいずれか一項の方法。
[109]ポリペプチド免疫原が、環状ポリリボヌクレオチドの配列によってコードされるポリペプチド免疫原に一致する(例えば、90%、95%、96%、97%、98%、又は100%のアミノ酸配列同一性を共有する)、項[108]の方法。
[110]ポリペプチド免疫原が、項[1]~[38]のいずれか一項の環状ポリリボヌクレオチド、項[39]~[48]のいずれか一項の免疫原性組成物、項[49]~[81]のいずれか一項の医薬組成物、又は項[82]~[86]のいずれか一項のLNPを投与した後に対象に投与される、項[108]の方法。
[111]ポリペプチド免疫原が、対象におけるポリペプチド免疫原に対する免疫応答を維持又は増強する、項[108]~[110]のいずれか一項の方法。
[112]対象における免疫応答を維持又は増強する方法であって、(i)ポリペプチド免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチドを対象に投与するステップ、及び(ii)ポリペプチド免疫原を対象に投与するステップを含む方法であって、ステップ(ii)が、ステップ(i)の後1週間~6ヶ月の間に行われ、ステップ(ii)のポリペプチド免疫原の投与が、対象におけるポリペプチド免疫原に対する免疫応答を維持又は増強する、方法。
[113]ポリペプチド免疫原が、標的を同定する1つ又は複数のエピトープを含む、項[112]の方法。
[114]標的が病原体である、項[113]の方法。
[115]標的が、癌細胞、アレルゲン、又は毒素である、項[113]の方法。
【0022】
定義
本開示は、特定の実施形態に関して及び特定の図を参照して説明されるが、本開示は、それらに限定されず、特許請求の範囲のみによって限定される。これ以降に記載される用語は、一般に、特に示されない限り、それらの一般的な意味で理解されるべきである。
【0023】
本明細書で使用される場合、「適応免疫応答」という用語は、体液性又は細胞性免疫応答のいずれかを意味する。本開示の目的のために、「体液性免疫応答」は、抗体分子によって媒介される免疫応答を指し、一方、「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球及び/又は他の白血球によって媒介されるものである。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アジュバント」という用語は、免疫応答を増強するか、そうでなければ変更又は改変する化合物を指す。免疫応答の改変には、抗体及び細胞性免疫応答のいずれか又は両方の特異性の強化又は拡大が含まれる。免疫応答の改変は、特定の免疫原特異的免疫応答を減少又は抑制することも意味し得る。
【0025】
本明細書で使用される、疾患、障害、又は症状に「関連する」という用語は、実体と、対象における疾患、障害、又は症状の発生又は重症度との間の原因又は相関のいずれかの関係を指す。例えば、標的が、疾患、障害、又は症状に関連している場合、標的は、疾患、障害、又は症状の原因病原体であり得る。例えば、ウイルスは、ウイルス感染の原因病原体であり得、細菌は、細菌感染の原因病原体であり得、真菌は、真菌感染の原因病原体であり得、又は寄生虫は、寄生虫感染の原因病原体であり得、癌細胞は、癌の原因病原体であり得、毒素は、毒性の原因病原体であり得、又はアレルゲンは、アレルギー反応の原因病原体であり得る。疾患、障害、又は症状に関連する標的は、加えて又は代わりに、疾患、障害、又は症状の発生する可能性の増加又は重症度の増加と相関し得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「担体」という用語は、対象、組織、又は細胞への組成物(例えば、線状又は環状ポリリボヌクレオチド)の輸送又は送達を容易にする化合物、組成物、試薬、又は分子を意味する。担体の非限定的な例には、炭水化物担体(例えば、無水物修飾フィトグリコーゲン又はグリコーゲン型物質)、ナノ粒子(例えば、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにカプセル化又は共有結合されるナノ粒子)、リポソーム、フソソーム、生体外で分化した網状赤血球、エキソソーム、タンパク質担体(例えば、ポリリボヌクレオチドに共有結合したタンパク質)、又はカチオン性担体(例えば、カチオン性リポポリマー又はトランスフェクション試薬)が含まれる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「細胞透過剤」という用語は、細胞に接触すると、細胞への侵入を促進する作用物質を意味する。場合によっては、細胞透過剤は、例えば、細胞膜の負に帯電したリン脂質との直接的な静電相互作用、又は膜タンパク質若しくはリン脂質二重層の構成変化を誘発することによる一時的な孔形成を介して、細胞膜の直接透過を促進する。場合によっては、細胞透過剤は、エンドサイトーシスを介した細胞への移行を促進する。例えば、特定の状況下では、細胞透過剤は、細胞を刺激してエンドサイトーシスプロセスを受け得、それによって細胞膜が細胞内に向かって折り畳まれ得る。特定の実施形態では、細胞透過剤は、細胞膜を透過して輸送する一時的な構造の形成を助ける。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書で提供される細胞透過剤は、細胞膜の透過性を増加させる、又は細胞への分子の内在化を増加させることができ、その結果、細胞透過剤なしの点を除くと同一である送達と比較して、同時に細胞が細胞透過剤と接触する場合、細胞への送達がより効率的になり得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「circRNA」又は「環状ポリリボヌクレオチド」又は「環状RNA」又は「環状ポリリボヌクレオチド分子」という用語は、互換的に使用され、遊離末端(即ち、遊離3’及び/又は5’末端)を有していない構造を有するポリリボヌクレオチド分子、例えば、共有結合又は非共有結合を介して環状又は末端のない構造を形成するポリリボヌクレオチド分子を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「環状化効率」という用語は、得られた環状ポリリボヌクレオチドのその非環状出発物質に対する測定値である。
【0030】
本明細書で使用される場合、「circRNA調製物」又は「環状ポリリボヌクレオチド調製物」又は「環状RNA調製物」という用語は、互換的に使用され、circRNA分子と、希釈剤、担体、第1のアジュバント、又はそれらの組み合わせを含む組成物を意味する。
【0031】
「処置や調節などをするための化合物、組成物、製品など」という文言は、化合物、組成物、製品などを指すと理解されるべきであり、それ自体が処置や調節などの指示された目的に適した化合物、組成物、製品などを指すことを理解されたい。「処置や調節などをするための化合物、組成物、製品など」という文言は、好ましい実施形態として、そのような化合物、組成物、製品などが処置や調節などに使用されることをさらに開示する。
【0032】
「~に使用するための化合物、組成物、製品など」又は「~のための医薬品、医薬組成物、獣医学的組成物、診断組成物などの製造における化合物、組成物、製品などの使用」という文言は、そのような化合物、組成物、製品などが、ヒト又は動物の体に施され得る治療法で使用されるものであることを示す。それらは、処置方法などに関する実施形態及び請求項の同等の開示と見なされる。したがって、実施形態又は請求項が「疾患に罹患している疑いのあるヒト又は動物の処置に使用するための化合物」について言及する場合、これは、「疾患に罹患している疑いのあるヒト又は動物を処置するための医薬品の製造における化合物の使用」又は「疾患に罹患している疑いのあるヒト又は動物に化合物を投与することによる処置の方法」の開示とも考えられる。
【0033】
「希釈剤」という用語は、本明細書に記載の組成物(例えば、環状又は線状ポリリボヌクレオチドを含む組成物)を希釈又は溶解できる不活性溶媒を含むビヒクルを意味する。希釈剤は、RNA可溶化剤、緩衝剤、等張剤、又はそれらの混合物であり得る。希釈剤は、液体希釈剤又は固体希釈剤であり得る。液体希釈剤の非限定的な例には、水又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、及び1,3-ブタンジオールが含まれる。固体希釈剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、又は粉砂糖が含まれる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「疾患」、「障害」、及び「症状」という用語はそれぞれ、最適でない健康の状態、例えば、医療専門家によって通常は診断又は処置されている、又は診断又は処置されることになる状態を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗体又はT細胞受容体によって認識、標的化、又は結合される免疫原の一部又は全体を指す。エピトープは、線状エピトープ、例えば、核酸又はアミノ酸の連続的な配列であり得る。エピトープは、立体構造エピトープ、例えば、タンパク質の折り畳まれた立体構造にエピトープを形成するアミノ酸を含むエピトープであり得る。立体構造エピトープは、一次アミノ酸配列からの不連続なアミノ酸を含み得る。別の例として、立体構造エピトープには、その二次構造又は三次構造に基づいて、免疫原性配列の折り畳まれた立体構造にエピトープを形成する核酸が含まれる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「エンクリプトゲン(encryptogen)」という用語は、免疫細胞による検出を少なくする、逃れる、及び/又は回避するのに役立つ、且つ/又は環状若しくは線状ポリリボヌクレオチドに対する免疫応答の誘発を低減する環状ポリリボヌクレオチドの核酸配列若しくは構造である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「発現配列」という用語は、産物、例えばペプチド又はポリペプチドをコードする核酸配列、又は調節核酸である。ペプチド又はポリペプチドをコードする例示的な発現配列は、複数の三連ヌクレオチドを含み得、そのそれぞれは、アミノ酸をコードすることができ、「コドン」と呼ばれる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「同定する(identify)」又は「同定する(identifies)」という用語は、実体の同一性を示す、確立する、又は認識することを指す。例えば、免疫原又はそのエピトープは、標的を同定することができ、即ち、標的が、免疫原又はそのエピトープを含むこと、免疫原又はそのエピトープが、標的に由来すること、及び/又は免疫原又はそのエピトープが、標的の一部又は全体と高い類似性を共有することを意味する。抗体又はT細胞受容体の免疫原又はそのエピトープへの結合の認識により、標的を同定することができる。免疫原又はそのエピトープが標的を同定する場合、免疫原又はそのエピトープは、標的を1つ又は複数の他の標的から区別する。同様に、ポリペプチド免疫原は、タンパク質を同定することができる。別の言い方をすれば、ポリペプチド免疫原は、タンパク質又はタンパク質の一部、特にタンパク質のエピトープの成分であるか、その一部であるか、それに由来するか、又はそれと高い類似性を共有する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「不純物」という用語は、組成物、例えば、本明細書に記載の医薬組成物中に存在する望ましくない物質である。いくつかの実施形態では、不純物は、プロセス関連不純物である。いくつかの実施形態では、不純物は、最終組成物中の所望の産物以外、例えば活性薬物成分、例えば、本明細書に記載の環状又は線状ポリリボヌクレオチド以外の産物関連物質である。本明細書で使用される場合、「プロセス関連不純物」という用語は、本明細書に記載の線状ポリリボヌクレオチド以外の最終組成物、調製物、又は製品では望ましくない、組成物、調製物、又は製品の製造で使用される、存在する、又は生成される物質である。いくつかの実施形態では、プロセス関連不純物は、ポリリボヌクレオチドの合成又は環状化に使用される酵素である。本明細書で使用される場合、「産物関連物質」という用語は、組成物、調製物、又は製品、又はそれらの任意の中間体の合成中に生成される物質又は副産物である。いくつかの実施形態では、産物関連物質はデオキシリボヌクレオチド断片である。いくつかの実施形態では、産物関連物質は、デオキシリボヌクレオチドモノマーである。いくつかの実施形態では、産物関連物質は、1つ又は複数の本明細書に記載のポリリボヌクレオチドの誘導体又は断片、例えば、10、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、又は4つのリボ核酸、モノリボ核酸、ジリボ核酸、又はトリリボ核酸の断片である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「免疫原」という用語は、抗体又はT細胞受容体によって認識される、標的化される、又は結合される1つ又は複数のエピトープを含む任意の分子又は分子構造を指す。特に、免疫原は、対象において免疫応答を誘発する(例えば、本明細書で定義される免疫原性である)。免疫原は、対象において免疫応答を誘発することができ、免疫応答は、免疫系が免疫原に遭遇したときに誘発される一連の分子、細胞、及び生物の事象を指す。免疫応答は、体液性及び/又は細胞性免疫応答であり得る。これらには、抗体の産生とB細胞及びT細胞の増殖が含まれ得る。免疫応答が生じたかどうかを判断し、その経過を観察するために、免疫化された対象を、特定の免疫原に対する免疫反応物質の出現について監視することができる。ほとんどの免疫原に対する免疫応答は、特定の抗体及び特定のエフェクターT細胞の両方の産生を誘発する。いくつかの実施形態では、免疫原は、宿主にとって外来性である。いくつかの実施形態では、免疫原は、宿主にとって外来性ではない。免疫原は、ポリペプチド、多糖、ポリヌクレオチド、又は脂質のすべて又は一部を含み得る。免疫原はまた、ポリペプチド、多糖、ポリヌクレオチド、及び/又は脂質の混合物であり得る。例えば、免疫原は、翻訳的に改変されたポリペプチドであり得る。「ポリペプチド免疫原」は、ポリペプチドを含む免疫原を指す。ポリペプチド免疫原は、1つ又は複数の翻訳後修飾を含むこともでき、且つ/又は1つ又は複数の追加の分子と複合体を形成することができ、且つ/又は三次構造又は四次構造を選択することができ、それぞれが、ポリペプチドの免疫原性を決定することができる、又はポリペプチドの免疫原性に影響を与えることができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「免疫原性」という用語は、特定の免疫応答アッセイにおいて、物質に対して所定の閾値を超える応答を誘発する潜在能力である。アッセイは、例えば、特定の炎症マーカーの発現、抗体の産生、又は本明細書に記載の免疫原性のアッセイであり得る。いくつかの実施形態では、生物の免疫系又は特定の種類の免疫細胞が免疫原に曝露されると、免疫応答が誘発され得る。
【0042】
免疫原性応答は、全抗体アッセイ、確認試験、抗体の力価測定及びアイソタイピング、並びに中和抗体評価を使用して、対象の血漿又は血清中の抗体を評価することによって評価することができる。全抗体アッセイは、免疫原が投与された対象の血清又は血漿における免疫応答の一部として生成されたすべての抗体を測定する。抗体を検出するために最も一般的に使用される試験は、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)であり、ELISAは、IgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEを含む目的の抗体に結合する、試験される血清中の抗体を検出する。免疫原性応答は、確認アッセイによってさらに評価することができる。全抗体評価に続いて、確認アッセイを使用して、全抗体アッセイの結果を確認することができる。競合アッセイを使用して、抗体が標的に特異的に結合していること、及びスクリーニングアッセイでの陽性所見が、試験血清又は検出試薬とアッセイ中の他の物質との非特異的相互作用の結果ではないことを確認することができる。
【0043】
免疫原性応答は、アイソタイピング及び力価測定によって評価することができる。アイソタイピングアッセイを使用して、関連する抗体アイソタイプのみを評価することができる。例えば、予想されるアイソタイプは、IgM及びIgGであり得、IgM及びIgGは、アイソタイピング及び力価測定によって特異的に検出及び定量して、存在する全抗体と比較することができる。
【0044】
免疫原性応答は、中和抗体アッセイ(nAb)によって評価することができる。中和抗体アッセイ(nAb)を使用して、免疫原に応答して産生される抗体が、免疫原を中和し、それによって免疫原が標的に影響を与えることを阻害し、異常な薬物動態挙動を引き起こすかどうかを判断することができる。多くの場合、nAbアッセイは、標的細胞を抗体とともにインキュベートする細胞ベースのアッセイである。限定されるものではないが、細胞増殖、生存率、抗体依存性細胞毒性(ADCC)、補体依存性細胞毒性(CDC)、細胞変性効果阻害(CPE)、アポトーシス、リガンド刺激細胞シグナル伝達(Ligand Stimulated Cell Signaling)、酵素活性、レポーター遺伝子アッセイ、タンパク質分泌、代謝活性、ストレス、及びミトコンドリア機能を含む様々な細胞ベースのnAbアッセイを使用することができる。検出の読み出しには、吸光度、蛍光、発光、化学発光、又はフローサイトメトリーが含まれる。リガンド結合アッセイを使用して、免疫原と抗体の結合親和性をインビトロで測定し、中和効果を評価することもできる。
【0045】
さらに、細胞性免疫応答の誘発は、対象から得られたT細胞上の細胞マーカーを使用して、対象におけるT細胞活性化を測定することによって評価することができる。血液サンプル、リンパ節生検、又は組織サンプルを対象から収集し、サンプルからのT細胞を1つ又は複数(例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上)の活性化マーカー:CD25、CD71、CD26、CD27、CD28、CD30、CD154、CD40L、CD134、CD69、CD62L、又はCD44について評価することができる。T細胞活性化は、インビボ動物モデルで同じ方法を使用して評価することもできる。このアッセイは、免疫原をインビトロでT細胞(例えば、対象、動物モデル、貯蔵所、又は商業的供給源から得たT細胞)に添加し、前述のマーカーを測定してT細胞活性化を評価することによっても行うことができる。同様のアプローチを使用して、他の免疫細胞、例えば、好酸球(マーカー:CD35、CD11b、CD66、CD69、及びCD81)、樹状細胞(マーカー:IL-8、MHCクラスII、CD40、CD80、CD83、及びCD86)、好塩基球(CD63、CD13、CD4、及びCD203c)、及び好中球(CD11b、CD35、CD66b、及びCD63)の活性化に対する効果を評価することができる。これらのマーカーは、フローサイトメトリー、免疫組織化学、in situハイブリダイゼーション、及び細胞マーカーの測定を可能にする他のアッセイを使用して評価することができる。免疫原の投与前後の結果の比較を使用して、その効果を判断することができる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「免疫応答を誘発する」という用語は、対象による免疫応答を開始すること、増幅すること、又は維持することを指す。免疫応答の誘発は、適応免疫応答又は自然免疫応答を指し得る。免疫応答の誘発は、上記のように測定することができる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「線状対応物」という用語は、環状ポリリボヌクレオチドと同じ又は類似のヌクレオチド配列(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又はそれらの間の任意のパーセンテージの配列同一性)を有し、且つ2つの自由末端(即ち、環状ポリリボヌクレオチドの非環状型(及びその断片))を有するポリリボヌクレオチド分子(及びその断片)である。いくつかの実施形態では、線状対応物(例えば、環状化前の型)は、環状ポリリボヌクレオチドと同じ又は類似のヌクレオチド配列(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又はそれらの間の任意のパーセンテージの配列同一性)及び同じ又は類似の核酸修飾を有し、且つ2つの自由末端(即ち、環状ポリリボヌクレオチドの非環状型(及びその断片))を有するポリリボヌクレオチド分子(及びその断片)である。いくつかの実施形態では、線状対応物は、環状ポリリボヌクレオチドと同じ又は類似のヌクレオチド配列(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又はそれらの間の任意のパーセンテージの配列同一性)及び異なる核酸修飾を有するか、又は環状ポリリボヌクレオチドと同じ又は類似のヌクレオチド配列(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又はそれらの間の任意のパーセンテージの配列同一性)を有するが核酸修飾を有しておらず、且つ2つの自由末端(即ち、環状ポリリボヌクレオチドの非環状型(及びその断片))を有するポリリボヌクレオチド分子(及びその断片)である。いくつかの実施形態では、線状対応物であるポリリボヌクレオチド分子の断片は、線状対応物ポリリボヌクレオチド分子よりも短い線状対応物ポリリボヌクレオチド分子の任意の部分である。いくつかの実施形態では、線状対応物は、5’キャップをさらに含む。いくつかの実施形態では、線状対応物は、ポリアデノシン尾部をさらに含む。いくつかの実施形態では、線状対応物は、3’UTRをさらに含む。いくつかの実施形態では、線状対応物は、5’UTRをさらに含む。
【0048】
本明細書で使用される場合、「線状RNA」又は「線状ポリリボヌクレオチド」又は「線状ポリリボヌクレオチド分子」という用語は、互換的に使用され、5’及び3’末端を有するポリリボヌクレオチド分子を意味する。5’末端及び3’末端の一方又は両方は、遊離末端であってもよいし、又は別の部分に結合していてもよい。線状RNAは、環状化されていない(例えば、事前に環状化されていない)RNAを含み、例えば、スプリントライゲーション、又は化学的、酵素的、リボザイム又はスプライシング触媒による環状化法による環状化のための出発物質として使用することができる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「混合物」という用語は、混合された2つ以上の異なる物質からなる材料を意味する。場合によっては、本明細書に記載の混合物は、2つ以上の異なる物質の均一な混合物であり得、例えば、混合物は、混合物の任意の所与のサンプル全体で、その成分(例えば、2つ以上の物質)が同じ割合を有し得る。場合によっては、本明細書で提供される混合物は、2つ以上の異なる物質の不均一な混合物であり得、例えば、混合物の成分(例えば、2つ以上の物質)の割合は、混合物全体で異なり得る。場合によっては、混合物は溶液であり、例えば、混合物は液相で存在する。場合によっては、液体溶液は、液体溶媒及び溶質を含むと見なすことができる。溶質を液体溶媒に混合することは、「溶解」プロセスと呼ぶことができる。場合によっては、液体溶液は、液体中に液体を含む溶液(例えば、液体溶媒に溶解した液体溶質)、液体中に固体を含む溶液(例えば、液体溶媒に溶解した固体溶質)、又は液体中に気体を含む溶液(例えば、液体溶媒に溶解した固体溶質)である。場合によっては、複数の溶媒及び/又は複数の溶質が存在する。場合によっては、混合物は、コロイド、液体懸濁液、又はエマルジョンである。場合によっては、混合物は固体混合物であり、例えば、混合物は固相で存在する。
【0050】
本明細書で使用される場合、「修飾リボヌクレオチド」という用語は、糖、核酸塩基、又はヌクレオシド間結合に対して少なくとも1つの修飾を有するヌクレオチドを意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「裸の送達」という用語は、担体の助けを借りず、細胞への送達を助ける部分への共有結合修飾も使用しない、細胞への送達のための製剤を意味する。裸の送達製剤には、トランスフェクション試薬、カチオン担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体のいずれも含まれない。例えば、環状又は線状ポリリボヌクレオチドの裸の送達製剤は、共有結合修飾なしで環状又は線状ポリリボヌクレオチドを含み、担体を含まない製剤である。
【0052】
本明細書で使用される場合、「ニックRNA」又は「ニック線状ポリリボヌクレオチド」又は「ニック線状ポリリボヌクレオチド分子」という用語は、互換的に使用され、環状RNAの切断又は分解から生じる5’及び3’末端を有するポリリボヌクレオチド分子を意味する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「非環状RNA」という用語は、全ニックRNA及び線状RNAを意味する。
【0054】
「~によって入手可能」又は「~によって製造可能」などの用語は、請求項又は実施形態が、化合物、組成物、製品それ自体などを指すこと、即ち、化合物、組成物、製品などが、化合物、組成物、製品などの製造について記載されている方法によって入手又は製造できるが、化合物、組成物、製品などは、記載された方法以外の方法によっても入手又は製造できることを示すために使用される。「~によって得られた」又は「~によって製造された」などの用語は、化合物、組成物、製品が列挙された特定の方法によって得られるか、又は製造されることを示す。「~によって入手可能」及び「~によって製造可能」などの用語はまた、「~によって入手可能」及び「~によって製造可能」などの用語を、「~によって入手可能」及び「~によって製造可能」などの好ましい実施形態として開示していることを理解されたい。
【0055】
本明細書で使用される場合、「病原体」という用語は、例えば、対象に直接感染することによって、対象に疾患又は疾患の徴候を引き起こす病原体を産生することによって、及び/又は対象の免疫応答を引き出すことによって、対象に疾患又は疾患の徴候を引き起こす感染性病原体を指す。本明細書で使用される場合、病原体には、限定されるものではないが、細菌、原生動物、寄生虫、真菌、線虫、昆虫、ウイロイド、及びウイルス、又はそれらの任意の組み合わせが含まれ、各病原体は、単独で又は別の病原体と協調して対象に疾患又は徴候を引き出すことができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「ペイロード」という用語は、本明細書で開示されるポリリボヌクレオチドによって送達される任意の分子を意味する。場合によっては、ペイロードは、核酸、タンパク質、化学物質、リボ核タンパク質、又はそれらの任意の組み合わせである。場合によっては、ペイロードは、本明細書に開示されるポリリボヌクレオチド内に直接含まれる核酸配列である。場合によっては、ペイロードは、例えば、相補的ハイブリダイゼーションを介して、又はタンパク質-核酸相互作用を介して、本明細書に開示されるポリリボヌクレオチドに結合又は会合する。特定の場合には、ペイロードは、ポリリボヌクレオチド内に含まれる、ポリリボヌクレオチドに結合した、又はポリリボヌクレオチドに会合した核酸配列によってコードされるタンパク質である。場合によっては、「結合」は、2つの分子間の共有結合又は非共有相互作用を意味する。場合によっては、ペイロードとポリリボヌクレオチドとの間の相互作用の文脈で使用される場合の「会合」は、ペイロードが、それらの間の1つ又は複数の他の分子を介してポリリボヌクレオチドに間接的に連結されていることを意味する。場合によっては、結合又は会合が一時的であり得る。場合によっては、ペイロードは、ある条件下ではポリリボヌクレオチドに結合又は会合するが、別の条件下では結合又は会合せず、例えば、周囲のpH条件又は刺激若しくは結合パートナーの存在若しくは非存在に応じてである。
【0057】
「医薬組成物」という用語は、医薬組成物内に含まれる環状又は線状ポリリボヌクレオチドを、療法によるヒト又は動物の体の処置に使用できることを開示することも意図している。したがって、医薬組成物は、「療法に使用するための環状又は線状ポリリボヌクレオチド」と等価であることを意味する。
【0058】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、1つ又は複数の核酸サブユニット又はヌクレオチドを含む分子を意味し、「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」と互換的に使用することができる。ポリヌクレオチドは、アデノシン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、及びウラシル(U)、又はそれらの変異体から選択される1つ又は複数のヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドは、ヌクレオシド及び少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のリン酸(PO3)基を含み得る。ヌクレオチドは、核酸塩基、五炭糖(リボース又はデオキシリボースのいずれか)、及び1つ又は複数のリン酸基を含み得る。リボヌクレオチドは、糖がリボースであるヌクレオチドである。ポリリボヌクレオチド又はリボ核酸、又はRNAは、ホスホジエステル結合を介して重合された複数のリボヌクレオチドを含む高分子を指し得る。デオキシリボヌクレオチドは、糖がデオキシリボースであるヌクレオチドである。
【0059】
ポリデオキシリボヌクレオチド又はデオキシリボ核酸、又はDNAは、ホスホジエステル結合を介して重合された複数のデオキシリボヌクレオチドを含む高分子を意味する。ヌクレオチドは、ヌクレオシド一リン酸又はヌクレオシドポリリン酸であり得る。ヌクレオチドは、発光タグやマーカーなどの検出可能なタグ(例えば、フルオロフォア)を含む、例えば、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、ウリジン三リン酸(dUTP)、及びデオキシチミジン三リン酸(dTTP)dNTPから選択することができるデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)などのデオキシリボヌクレオシドポリリン酸を意味する。ヌクレオチドは、成長する核酸鎖に組み込むことができる任意のサブユニットを含み得る。このようなサブユニットは、A、C、G、T、又はU、或いは、1つ又は複数の相補的なA、C、G、T、若しくはUに特異的であるか、又はプリン(即ち、A又はG、又はその変異体)若しくはピリミジン(即ち、C、T、又はU、又はその変異体)に相補的な任意の他のサブユニットであり得る。いくつかの例では、ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、又はそれらの誘導体若しくは変異体である。場合によっては、ポリヌクレオチドは、いくつか例を挙げると、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、プラスミドDNA(pDNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、mRNA前駆体(pre-mRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)であり、ヌクレオチド配列、及び一本鎖、二本鎖、三本鎖、らせん、ヘアピンなどのその任意の構造的実施形態の両方を包含する。場合によっては、ポリヌクレオチド分子は環状である。ポリヌクレオチドは、様々な長さを有し得る。核酸分子は、少なくとも約10塩基、20塩基、30塩基、40塩基、50塩基、100塩基、200塩基、300塩基、400塩基、500塩基、1キロ塩基(kb)、2kb、3kb、4kb、5kb、10kb、50kb、又はそれ以上の長さを有し得る。ポリヌクレオチドは、細胞又は組織から単離することができる。本明細書で具体化されるように、ポリヌクレオチド配列は、単離及び精製されたDNA/RNA分子、合成DNA/RNA分子、及び合成DNA/RNA類似体を含み得る。
【0060】
ポリヌクレオチド、例えば、ポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドは、非標準ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、及び/又は修飾ヌクレオチドを含む1つ又は複数のヌクレオチド変異体を含み得る。修飾ヌクレオチドの例には、限定されるものではないが、ジアミノプリン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルケオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルケオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-D46-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ウィブトキソシン、プソイドウラシル、ケオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、及び2,6-ジアミノプリンなどが含まれる。場合によっては、ヌクレオチドは、三リン酸部分への修飾を含む、それらのリン酸部分の修飾を含み得る。そのような修飾の非限定的な例としては、より長いリン酸鎖(例えば、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のリン酸部分を有するリン酸鎖)及びチオール部分の修飾(例えば、α-チオ三リン酸及びβ-チオ三リン酸)が挙げられる。核酸分子はまた、塩基部分、糖部分、又はリン酸骨格で(例えば、典型的には相補的ヌクレオチドとの水素結合を形成するのに利用できる1つ又は複数の原子で、及び/又は典型的には相補的なヌクレオチドとの水素結合を形成できない1つ又は複数の原子で)修飾され得る。核酸分子はまた、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)などのアミン反応性部分の共有結合を可能にするために、アミノアリル(amino ally 1)-dUTP(aa-dUTP)及びアミノヘキシルアクリルアミド-dCTP(aha-dCTP)などのアミン修飾基を含み得る。本開示のオリゴヌクレオチドにおける標準的なDNA塩基対又はRNA塩基対の代替物は、高い1立方mm当たりのビット密度、より高い安全性(天然毒素の偶発的又は意図的な合成に対する耐性)、光プログラムされたポリメラーゼにおけるより容易な識別、又は下位二次構造を提供し得る。デノボ及び/又は増幅合成のための天然及び突然変異ポリメラーゼと適合するそのような代替塩基対は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Betz K,Malyshev DA,Lavergne T,Welte W,Diederichs K,Dwyer TJ,Ordoukhanian P,Romesberg FE,Marx A.Nat.Chem.Biol.2012 Jul;8(7):612-4に記載されている。
【0061】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」は、ほとんどの場合ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸残基(天然又は非天然)のポリマーを意味する。この用語は、本明細書で使用される場合、任意のサイズ、構造、又は機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。ポリペプチドには、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、相同体、オルソログ、パラログ、それらの断片及び他の同等物、変異体、及び類似体が含まれ得る。ポリペプチドは、単一分子であってもよいし、又は二量体、三量体、若しくは四量体などの多分子複合体であってもよい。ポリペプチドはまた、単鎖、又は抗体若しくはインスリンなどの多重鎖ポリペプチドを含み得、会合又は連結され得る。最も一般的なジスルフィド結合は、多重鎖ポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用することができる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「予防する」という用語は、疾患、障害、又は症状が発生する可能性を低減すること、或いは、その後に発生する疾患又は障害の重症度を軽減することを意味する。治療剤は、疾患又は症状の発生を予防する、又はその重症度を軽減するために、一般集団のメンバーと比較して疾患又は障害が発生するリスクが高い対象に投与することができる。治療剤は、予防として、例えば、疾患又は障害の徴候又は発現の発生の前に投与することができる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「疑似らせん状構造」という語句は、環状ポリリボヌクレオチドの高次構造であり、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも一部がらせん構造に折り畳まれている。
【0064】
本明細書で使用される場合、「疑似二本鎖二次構造」という語句は、環状ポリリボヌクレオチドの高次構造であり、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも一部が内部二本鎖を形成している。
【0065】
本明細書で使用される場合、「調節要素」という用語は、環状又は線状ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を変更する、核酸配列などの部分である。
【0066】
本明細書で使用される場合、「反復ヌクレオチド配列」という用語は、DNA若しくはRNAのストレッチ内又はゲノム全体内の反復核酸配列である。いくつかの実施形態では、反復ヌクレオチド配列は、ポリCA又はポリTG(UG)配列を含む。いくつかの実施形態では、反復ヌクレオチド配列は、イントロンのAluファミリーに反復配列を含む。
【0067】
本明細書で使用される場合、「複製要素」という用語は、複製に有用であるか、又は環状ポリリボヌクレオチドの転写を開始する配列及び/又はモチーフである。
【0068】
本明細書で使用される場合、対象の体の「表面積」という用語は、対象の体を外部環境に曝露するか、又は曝露する可能性がある対象の任意の領域を意味する。対象の体、例えば哺乳類の体、例えば、ヒトの体の表面積は、皮膚、口腔、鼻腔、耳腔、胃腸管、気道、膣、子宮頸部、子宮内、尿路、及び眼の表面積を含み得る。場合によっては、対象の体の表面積は、多くの場合、上皮細胞が並んでいる外側の領域を指し得る。例えば、皮膚は、本明細書で論じられる表面積の一種であり得、表皮及び真皮から構成され得る。表皮は、皮膚の最外層を形成し、他の多くの種類の細胞のうち上皮細胞の有機集合体を含み得る。
【0069】
本明細書で使用される場合、「スタガー要素(stagger element)」という用語は、翻訳中にリボソームの休止を誘導するヌクレオチド配列などの部分である。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、強力なαヘリックス傾向の後にコンセンサス配列-D(V/I)ExNPG Pが続くアミノ酸の非保存配列であり、xは任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、グリセロールなどの化学的部分、非核酸連結部分、化学修飾、修飾核酸、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、生物学的、化学的、物理的、及び/又は薬理学的効果を誘発するのに必要なレベルよりも低い、組成物、調製物、又は製品、又はそれらの任意の中間体中の成分のレベルである。いくつかの実施形態では、組成物、調製物、又は製品は、成分のレベルが微量のみ検出可能である場合、又は関連する検出技術(例えば、クロマトグラフィー(カラムを使用する、紙を使用する、ゲルを使用する、HPLCを使用する、UHPLCを使用するなど、又はICによって、SECによって、逆相によって、アニオン交換によって、混合モードによってなど)又は電気泳動(UREA PAGE、チップベース、ポリアクリルアミドゲル、RNA、キャピラリー、c-IEFなど)(そのレベルが、質量分析、紫外可視、蛍光、光散乱、屈折率に基づく検出技術又は検出に銀若しくは色素染色若しくは放射性崩壊を使用する検出技術を使用する分離前若しくは分離後の誘導体化法を用いる若しくは用いない)により検出可能なレベル未満である場合、成分を実質的に含まない。別法では、組成物、調製物、又は製品が成分を実質的に含むか含まないかは、質量分析による、顕微鏡法による、円偏光二色性(CD)分光法による、UV若しくはUV-vis分光測光法による、蛍光分析(例えば、Qubit)による、RNアーゼH分析による、表面プラズモン共鳴(SPR)による、又は検出に銀若しくは色素染色若しくは放射性崩壊を利用する方法による分離技術を使用しないで決定することができる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「実質的に耐性である」という用語は、参照と比較して、エフェクターに対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の耐性を有する耐性である。
【0072】
本明細書で使用される場合、「滅菌剤」という用語は、静菌性、殺菌性であり、且つ/又は微生物を積極的に殺す、微生物を不活性化する、又は微生物の増殖を防止する任意の作用物質を意味する。微生物を殺す滅菌剤は、抗菌剤及び/又は防腐剤であり得る。いくつかの実施形態では、滅菌剤は、アルコール、ヨウ素、又は過酸化水素などの液体である。いくつかの実施形態では、滅菌剤は、UV光又はレーザー光である。いくつかの実施形態では、滅菌剤は、電気的に、又は他の手段(例えば、蒸気、接触)を介して送達される熱である。
【0073】
本明細書で使用される場合、「化学量論的翻訳」という用語は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドから翻訳された発現産物の実質的に同等の産生である。例えば、2つの発現配列を有する環状又は線状ポリリボヌクレオチドの場合、環状又は線状ポリリボヌクレオチドの化学量論的翻訳は、2つの発現配列の発現産物が、実質的に等量を有し、例えば、2つの発現配列間の量(例えば、モル分子量)の差が、約0、又は1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、15%未満、又は20%未満、又は任意のそれらの間のパーセンテージ未満であり得ることを意味する。
【0074】
本明細書で使用される場合、「全身送達」又は「全身投与」という用語は、循環系(例えば、血液系又はリンパ系)への医薬組成物又は他の物質の投与経路を意味する。全身投与には、経口投与、非経口投与、鼻腔内投与、舌下投与、直腸投与、経皮投与、又はそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。本明細書で使用される場合、「非全身送達」又は「非全身投与」という用語は、医薬組成物又は他の物質の全身送達以外の任意の他の投与経路を指すことがあり、例えば、送達される物質は、対象の体の循環系(例えば、血液系及びリンパ系)に入らない。
【0075】
本明細書で使用される場合、「配列同一性」という用語は、グローバル又はローカルアラインメントアルゴリズムを使用して2つのペプチド配列又は2つのヌクレオチド配列のアラインメントによって決定される。したがって、配列は、それらが(デフォルトパラメータを使用して、例えばプログラムGAP又はBESTFITによって最適に整列された場合)少なくとも特定の最小パーセンテージの配列同一性を共有する場合、「実質的に同一」又は「本質的に類似」と呼ぶことができる。GAPは、Needleman及びWunschグローバルアラインメントアルゴリズムを使用して、2つの配列をその全長にわたって整列させ、一致の数を最大化し、ギャップの数を最小化する。一般に、ギャップ作成ペナルティ=50(ヌクレオチド)/8(タンパク質)及びギャップ拡張ペナルティ=3(ヌクレオチド)/2(タンパク質)のGAPのデフォルトパラメータが使用される。ヌクレオチドの場合、使用されるデフォルトのスコア行列は、nwsgapdnaであり、タンパク質の場合、デフォルトのスコア行列は、Blosum62である(Henikoff&Henikoff,1992,PNAS 89,915-919)。配列アラインメント及び配列同一性パーセンテージのスコアは、Accelrys Inc.,9685 Scranton Road,San Diego,CA 92121-3752 USAから入手可能なGCG Wisconsin Package,Version 10.3又はEmbossWin version 2.10.0(プログラム「針」を使用)などのコンピュータープログラムを使用して決定することができる。別法又はこれに加えて、パーセント同一性は、FASTA、BLASTなどのアルゴリズムを使用してデータベースで検索することによって決定することができる。配列同一性は、配列の全長にわたる配列同一性を指す。
【0076】
「シグナル配列」は、ポリペプチド配列を分泌経路にターゲティングする新生タンパク質のポリペプチド配列のN末端に存在する、例えば、10~30のアミノ酸長のポリペプチド配列を指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、「標的」という用語は、1つ又は複数のエピトープを含む任意の実体を指す。例えば、標的は、化学的部分、分子の一部、分子(例えば、アレルゲン若しくは毒素)、高分子(例えば、ポリペプチド、核酸、若しくは炭水化物)、高分子(例えば、リン酸化、グリコシル化、アシル化、アルキル化などの高分子)の翻訳後の修飾状態、高次高分子構造(例えば、2つ以上のポリペプチドの複合体)、細胞(例えば、癌細胞)、細胞の一部(例えば、腫瘍抗原)、細胞表面の受容体、病原体(例えば、ウイルス又はウイルスの一部;細菌若しくは細菌の一部;真菌若しくは真菌の一部;又は寄生虫若しくは寄生虫の一部)、又は組織型であり得る。
【0078】
本明細書で使用される場合、「処置する」又は「処置すること」という用語は、対象の疾患又は障害(例えば、感染症、癌、毒性、又はアレルギー反応)の治療的処置を指す。処置の効果には、疾患又は疾患若しくは障害の1つ若しくは複数の徴候若しくは発現の逆転、軽減、重症度の軽減、治癒、進行の阻害、再発の可能性の低減、疾患又は障害の状態の安定化(即ち、悪化しないこと)、及び/又は治療的処置がない場合の疾患又は障害の状態及び/又は症状と比較して、疾患又は障害の蔓延の防止が含まれ得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、「終結要素」という用語は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにおける発現配列の翻訳を終結させる核酸配列などの部分である。
【0080】
本明細書において使用される際、「総リボヌクレオチド分子」という用語は、リボヌクレオチド分子の総量によって測定される際、線状ポリリボヌクレオチド分子、環状ポリリボヌクレオチド分子、モノマーリボヌクレオチド、他のポリリボヌクレオチド分子、そのフラグメント、及びその修飾形態を含むいずれかのリボヌクレオチド分子の総量を意味する。
【0081】
本明細書において使用される際、「翻訳効率」という用語は、リボヌクレオチド転写産物からのタンパク質又はペプチド産生の速度又は量である。ある実施形態において、翻訳効率は、例えば、所与の翻訳系、例えば、ウサギ網状赤血球溶解物のようなインビトロ翻訳系において、又は真核細胞若しくは原核細胞のようなインビボ翻訳系において、例えば所与の期間で、タンパク質又はペプチドをコードする所与の量の1転写産物当たりで生成されるタンパク質又はペプチドの量として表され得る。
【0082】
本明細書で使用される場合、「翻訳開始配列」という用語は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにおける発現配列の翻訳を開始させる核酸配列である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】
図1は、それぞれが免疫原をコードする2つの発現配列を含む例示的な環状RNAの概略図である。環状RNAは、2つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、各ORFは、発現配列をコードし、各ORFは、IRESに作動可能に連結されている。
【
図2】
図2は、それぞれが免疫原である2つの発現配列を含む例示的な環状RNAの概略図である。環状RNAは、2A配列によって分離された2つの発現配列を含み、すべてが、IRESに作動可能に連結されている。
【
図3】
図3は、各ポリヌクレオチドが免疫原をコードするORFを含む、複数のポリリボヌクレオチドの概略図を示す。
【
図4】
図4は、BJ線維芽細胞及びHeLa細胞では検出されるが、ビヒクル対照を含むBJ線維芽細胞及びHeLa細胞では検出されなかった環状RNAによってコードされるRBD免疫原を示す。
【
図5】マウスモデルにおいて、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合された、SARS-CoV-2 RBD免疫原をコードする環状RNAの投与後に、持続的抗RBD抗体応答が得られたことを示す。
【
図6】マウスモデルにおいて、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合された、SARS-CoV-2 RBD免疫原をコードする環状RNAの投与後に、抗スパイク応答が得られたことを示す。
【
図7】マウスモデルにおいて、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合された、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする環状RNAの投与後に得られた抗RBD IgG2a及びIgG1アイソタイプレベルを示す。
【
図8】環状RNA製剤(Trans-IT配合、プロタミン配合、非配合)、プロタミンビヒクルのみの筋肉内注射後、及び非注射対照マウスの、長期間にわたるインビボでの環状RNAからのタンパク質発現を示す。
【
図9】(i)非配合環状RNA製剤(左側のグラフ)、(ii)TransITと共に配合された環状RNA(真ん中のグラフ)、及び(iii)プロタミンと共に配合された環状RNA(右側のグラフ)との、Addavax(商標)アジュバントの同時筋肉内送達後の、長期間にわたるインビボでの環状RNAからのタンパク質発現を示す。それぞれの場合、Addavax(商標)アジュバントを、0及び24時間の時点で個々の注射として送達した。
【
図10】(i)プロタミンと共に配合された環状RNA、(ii)24時間の時点でのAddavax(商標)アジュバントの注射と共に、プロタミンと共に配合された環状RNA、(iii)プロタミンビヒクルのみの皮内送達後、及び(iv)非注射対照マウスの、長期間にわたるインビボでの環状RNAからのタンパク質発現を示す。
【
図11】
図11は、プローブの環状及び線状RNAへの結合、及びその後のRNアーゼHによるRNAの分解を示す。環状RNAは、複数のバンドとして検出される線状及び鎖状RNAと比較して単一の切断された線状バンドとして検出される。分解は、変性ポリアクリルアミドゲルでサンプルを泳動させて、RNアーゼHを添加した場合と添加しない場合の分解バンドを比較することによって検出された。
【
図12】
図12は、スタガー要素を有する環状RNA又は線状RNAからの発現産物のタンパク質ブロットを示す画像である。
【
図13】
図13は、自己スプライシングによる例示的な環状RNAの生成を示す。
【
図14】
図14は、環状RNA又は線状RNAからの発現産物のタンパク質のブロットを示す画像である。
【
図15】
図15は、線状ポリリボヌクレオチド対応物(「線状」)と比較した環状ポリリボヌクレオチド(「末端なし」)の再投与後のマウスにおけるガウシアルシフェラーゼ発現の持続性の増加を実証する実験データを示す。
【
図16】
図16は、線状ポリリボヌクレオチド対応物のずらした投与(「線状の3回投与」)、又は環状ポリリボヌクレオチド(「末端なし」)の単回投与、又は線状ポリリボヌクレオチド対応物(「線状」)の単回投与と比較した、環状ポリリボヌクレオチドのずらした投与(末端なしの3回投与」)後のマウスにおけるガウシアルシフェラーゼ発現の持続性の増加を実証する実験データを示す。
【
図17】
図17は、線状ポリリボヌクレオチド対応物(「線状RNA」)の単回投与と比較した環状ポリリボヌクレオチド(「末端なしRNA」)の単回投与、単回投与(「線状RNA」)と比較した線状ポリリボヌクレオチド対応物のずらした投与(「線状RNAの3回投与」)、又は単回投与(「末端なしRNA」)と比較した環状ポリリボヌクレオチドのずらした投与(「末端なしRNAの3回投与」)後のマウスにおけるガウシアルシフェラーゼ発現の持続性の増加を実証する実験データを示す。
【
図18】
図18は、担体なしで筋肉内に投与された環状ポリリボヌクレオチドが長期間インビボでタンパク質を発現し、注射後数日での血漿中のタンパク質活性のレベルを示す。
【
図19】
図19は、静脈内投与された環状ポリリボヌクレオチドが長期間インビボでタンパク質を発現し、注射後数日での血漿中のタンパク質活性のレベル、及び少なくとも5回再投与できたことを示す。
【
図20A】環状ポリリボヌクレオチドからの複数の免疫原発現を示す。RD免疫原発現が、SARSs-CoV-2 RBD免疫原及びGLucポリペプチドをコードする環状RNAから検出された。
【
図20B】環状ポリリボヌクレオチドからの複数の免疫原発現を示す。GLuc活性が、SARSs-CoV-2 RBD免疫原及びGLucポリペプチドをコードする環状RNAから検出された。
【
図21A】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の免疫原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2 RBD免疫原をコードする第1の環状RNA及びGLucポリペプチドをコードする第2の環状RNAを接種した。抗RBD抗体が、注射の17日後の時点で得られた。
【
図21B】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の免疫原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2 RBD免疫原をコードする第1の環状RNA及びGLucポリペプチドをコードする第2の環状RNAを接種した。GLuc活性が、注射の2日後の時点で検出された。
【
図22A】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の免疫原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2 RBD免疫原をコードする第1の環状RNA及びインフルエンザ赤血球凝集素(HA)免疫原をコードする第2の環状RNAを接種した。抗RBD抗体が、注射の17日後の時点で得られた。
【
図22B】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の免疫原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2 RBD免疫原をコードする第1の環状RNA及びインフルエンザ赤血球凝集素(HA)免疫原をコードする第2の環状RNAを接種した。抗HA抗体が、注射の17日後の時点で得られた。
【
図23A】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の免疫原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2スパイク免疫原をコードする第1の環状RNA及びインフルエンザ赤血球凝集素(HA)免疫原をコードする第2の環状RNAを接種した。抗RBD(スパイクのドメイン)抗体が、注射の17日後の時点で得られた。
【
図23B】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の免疫原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2スパイク免疫原をコードする第1の環状RNA及びインフルエンザ赤血球凝集素(HA)免疫原をコードする第2の環状RNAを接種した。抗HA抗体が、注射の17日後の時点で得られた。
【
図24】複数の免疫原をコードする環状RNAを投与されたマウスにおける抗HA抗体応答を実証する。マウスに、SARS-CoV-2 RBD免疫原、SARS-CoV-2スパイク免疫原、インフルエンザHA免疫原、SARS-CoV-2 RBD免疫原及びインフルエンザHA免疫原、SARS-CoV-2 RBD免疫原及びGLucポリペプチド、又はSARS-CoV-2 RBD免疫原及びSARS-CoV-2スパイク免疫原をコードする環状RNAを投与した。赤血球凝集阻害アッセイ(HAI)を用いて、抗インフルエンザHA抗体を測定した。
図24は、それが単独で投与された場合又はSARS-CoV-2免疫原、例えばRBD又はスパイクと組み合わせて投与された場合の、インフルエンザHA免疫原をコードする環状RNA製剤を投与されたサンプルにおけるHAI力価を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
本開示は、1つ又は複数のポリペプチド免疫原をコードする環状又は線状ポリリボヌクレオチドの組成物及び医薬調製物、並びにそれらの使用を提供する。特に、本開示は、複数の免疫原をコードする環状又は線状ポリリボヌクレオチド、及び複数の環状又は線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を提供する。本開示は、1つ又は複数の免疫原をコードする1つ又は複数の環状又は線状ポリリボヌクレオチドを含む医薬組成物及び医薬調製物をさらに特徴とする。本明細書に記載の環状又は線状ポリリボヌクレオチドの組成物及び医薬調製物は、投与時に対象において免疫応答を誘発し得る。本明細書に記載の環状又は線状ポリリボヌクレオチドの組成物及び医薬調製物は、対象における疾患、障害、又は症状を処置又は予防するために使用することができる。
【0085】
ポリリボヌクレオチド
ポリリボヌクレオチドは、本明細書に記載の1つ又は複数の免疫原に加えて、以下に記載の要素も含む。特定の実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドである。
【0086】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、少なくとも約300ヌクレオチド、少なくとも約400ヌクレオチド、少なくとも約500ヌクレオチド、少なくとも約1,000ヌクレオチド、少なくとも約2,000ヌクレオチド、少なくとも約5,000ヌクレオチド、少なくとも約6,000ヌクレオチド、少なくとも約7,000ヌクレオチド、少なくとも約8,000ヌクレオチド、少なくとも約9,000ヌクレオチド、少なくとも約10,000ヌクレオチド、少なくとも約12,000ヌクレオチド、少なくとも約14,000ヌクレオチド、少なくとも約15,000ヌクレオチド、少なくとも約16,000ヌクレオチド、少なくとも約17,000ヌクレオチド、少なくとも約18,000ヌクレオチド、少なくとも約19,000ヌクレオチド、又は少なくとも約20,000ヌクレオチドである。
【0087】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、リボソームの結合部位を収容するのに十分なサイズであり得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの最大サイズは、環状ポリリボヌクレオチドを生成する、及び/又は環状ポリリボヌクレオチドを使用する技術的制約の範囲内の大きさであり得る。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、RNAの複数のセグメントをDNAから生成し、それらの5’及び3’遊離末端をアニールしてRNAの「ストリング」を生成することが可能であり、これが最終的に環状化して、1つの5遊離末端及び1つの3’遊離末端のみが残り得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの最大サイズは、RNAをパッケージングして標的に送達する能力によって制限され得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドのサイズは、本開示の免疫原又はそのエピトープなどの有用なポリペプチドをコードするのに十分な長さであり、したがって、少なくとも20,000ヌクレオチド、少なくとも15,000ヌクレオチド、少なくとも10,000ヌクレオチド、少なくとも7,500ヌクレオチド、又は少なくとも5,000ヌクレオチド、少なくとも4,000ヌクレオチド、少なくとも3,000ヌクレオチド、少なくとも2,000ヌクレオチド、少なくとも1,000ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、又は少なくとも70ヌクレオチドの長さが有用であり得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの最大サイズは、1つ又は複数(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、及び5つ以上)の免疫原をコードするのに十分な長さである。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの最大サイズは、2~5(例えば、3つ、4つ、及び5つ)の免疫源をコードするのに十分な長さである。
【0088】
環状ポリリボヌクレオチド要素
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、免疫原をコードする配列を含むことに加えて、本明細書に記載の要素の1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いているか、遊離3’末端を欠いているか、RNAポリメラーゼ認識モチーフを欠いているか、又はそれらの任意の組み合わせを欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2019/118919号パンフレットに開示されている任意の特徴又は特徴の任意の組み合わせを含む。
【0089】
免疫原
本明細書に記載の環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、免疫原をコードする少なくとも1つの配列を含む。免疫原には、所与の抗体又はT細胞受容体によって認識され、標的化され、又は結合される1つ又は複数のエピトープが含まれる。エピトープは、線状エピトープ、例えば、核酸又はアミノ酸の連続的な配列であり得る。エピトープは、立体構造エピトープ、例えば、タンパク質の折り畳まれた立体構造にエピトープを形成するアミノ酸を含むエピトープであり得る。立体構造エピトープは、一次アミノ酸配列からの不連続なアミノ酸を含み得る。別の例として、立体構造エピトープには、その二次構造又は三次構造に基づいて、免疫原性配列の折り畳まれた立体構造にエピトープを形成する核酸が含まれる。
【0090】
いくつかの実施形態では、免疫原は、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、リボ核タンパク質、炭水化物(例えば、多糖)、脂質(例えば、リン脂質又はトリグリセリド)、又は核酸(例えば、DNA、RNA)のすべて又は一部を含む。
【0091】
他の実施形態では、免疫原には、タンパク質免疫原又はエピトープ(例えば、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、又はリボ核タンパク質由来のペプチド免疫原又はペプチドエピトープ)が含まれる。免疫原は、アミノ酸、糖、脂質、ホスホリル、又はスルホニル基、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0092】
特定の実施形態では、免疫原は、ポリペプチド免疫原である。
【0093】
ポリペプチド免疫原は、翻訳後修飾、例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、ヒドロキシル化、硫酸化、又は脂質化を含み得る。
【0094】
ある実施形態において、免疫原は、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、若しくは少なくとも30のアミノ酸、又はそれ以上のアミノ酸を含むエピトープを含む。ある実施形態において、エピトープは、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、21以下、22以下、23以下、24以下、25以下、26以下、27以下、28以下、29以下、若しくは30以下のアミノ酸、又はそれ以下のアミノ酸を含む。ある実施形態において、エピトープは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個のアミノ酸を含むか又は含有する。ある実施形態において、エピトープは、5個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、エピトープは、6個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、エピトープは、7個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、エピトープは、8個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、エピトープは、約8~約11個のアミノ酸であり得る。ある実施形態において、エピトープは、約9~約22個のアミノ酸であり得る。
【0095】
免疫原は、B細胞によって認識される免疫原、T細胞によって認識される免疫原、又はそれらの組合せを含み得る。ある実施形態において、免疫原は、B細胞によって認識される免疫原を含む。ある実施形態において、免疫原は、B細胞によって認識される免疫原である。る実施形態において、免疫原は、T細胞によって認識される免疫原を含む。ある実施形態において、免疫原は、T細胞によって認識される免疫原である。
【0096】
エピトープは、B細胞によって認識されるもの、T細胞によって認識される免疫原、又はそれらの組合せを含み得る。ある実施形態において、エピトープは、B細胞によって認識されるエピトープを含む。ある実施形態において、エピトープは、B細胞によって認識されるエピトープである。ある実施形態において、エピトープは、T細胞によって認識されるエピトープを含む。ある実施形態において、エピトープは、T細胞によって認識されるエピトープである。
【0097】
コンピュータ内で免疫原及びエピトープを同定するための技術は、例えば、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Sanchez-Trincado JL,et al.(Fundamentals and methods for T-and B-cell epitope prediction,J.Immunol.Res.,2017:2680160.doi:10.1155/2017/2680160(2017));Grifoni,A,et al.(A Sequence Homology and Bioinformatic Approach Can Predict Candidate Targets for Immune Responses to SARS-CoV-2,Cell Host Microbe,27(4):671-680(2020));Russi RC et al.(In silico prediction of epitopes recognized by T cells and B cells in PmpD:First step towards to the design of a Chlamydia trachomatis vaccine,Biomedical J.,41(2):109-117(2018));Baruah V,et al.(Immunoinformatics‐aided identification of T cell and B cell epitopes in the surface glycoprotein of 2019‐nCoV,J.Med.Virol.,92(5),doi:10.1002/jmv.25698(2020))に開示されている。
【0098】
いくつかの実施形態では、免疫原は、ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、免疫原はポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、免疫原はRNAを含む。いくつかの実施形態では、免疫原はRNAである。いくつかの実施形態では、免疫原はDNAを含む。いくつかの実施形態では、免疫原はDNAである。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにコードされる。
【0099】
本開示の環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、様々な免疫原を含むか又はコードする。環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又はそれ以上の免疫原を含むか又はコードする。
【0100】
ある実施形態において、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、40以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、200以下、250以下、300以下、350以下、400以下、450以下、500以下、又はそれ以下の免疫原を含むか又はコードする。
【0101】
ある実施形態において、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、又は500の免疫原を含むか又はコードする。
【0102】
いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、複数の免疫原をコードする。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、1~100の免疫原を含む、又はコードする。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、1~50の免疫原を含む、又はコードする。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、1~10の免疫原を含む、又はコードする;例えば、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10の免疫原をコードする。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、2つの免疫原を含む、又はコードする。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、3つの免疫原を含む、又はコードする。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、4つの免疫原を含む、又はコードする。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、5つの免疫原を含む、又はコードする。
【0103】
いくつかの実施形態では、複数の免疫原はそれぞれ、同じ標的を同定する。別の言い方をすれば、単一の標的は、複数の免疫原のそれぞれを含み得、複数の免疫原のそれぞれは、同じ標的に由来し得、及び/又は複数の免疫原のそれぞれは、標的の一部又は全体と高度な類似性を共有し得る。例えば、標的は、細胞であり得、免疫原のそれぞれは、その細胞のタンパク質に一致し得る。例えば、標的は、特定の癌細胞であり得、免疫原のそれぞれは、その癌に関連する腫瘍抗原に一致し得る。したがって、いくつかの実施形態では、複数の免疫原のそれぞれは、同じ標的からの異なるタンパク質に由来する。
【0104】
いくつかの実施形態では、複数の免疫原は、異なる標的に由来する。いくつかの実施形態では、複数の免疫原は、所与のウイルスの様々なカプシドタンパク質に由来し得る。例えば、1つの免疫原は、オルソポックスウイルス(Orthopoxvirus)に由来し得、別の免疫原は、ヘパドナウイルス(Hepadnavirus)に由来し得、第3の免疫原は、フラビウイルス(Flavivirus)に由来し得る。例えば、ポリリボヌクレオチドは、複数の免疫原をコードし得、各免疫原は、黄熱病ウイルス、チクングンヤ熱(Chikungunya)ウイルス、ジカ(Zika)、A型肝炎、B型肝炎に由来する。ポリリボヌクレオチドは、黄熱病ウイルス、チクングンヤ熱(Chikungunya)ウイルス、ジカ(Zika)、A型肝炎、又はB型肝炎のそれぞれに由来する免疫原をコードし得る。ポリリボヌクレオチドは、日本脳炎、チクングンヤ熱(Chikungunya)ウイルス、ジカ(Zika)、A型肝炎、及びB型肝炎のそれぞれに由来する免疫原をコードし得る。ポリリボヌクレオチドは、複数の免疫源をコードし得、各免疫源は、SARS-CoV2、ポックスウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、又はヒトパピローマウイルスに由来する。ポリリボヌクレオチドは、SARS-CoV2、ポックスウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、及びヒトパピローマウイルスのそれぞれに由来する免疫原をコードし得る。ポリリボヌクレオチドは、複数の免疫原をコードし得、各免疫原は、ヘルペスウイルス(CMV、EBV、又はVZV)に由来する。ポリリボヌクレオチドは、ヘルペスウイルス:CMV、EBV、又はVZVのそれぞれに由来する免疫原をコードし得る。ポリリボヌクレオチドは、複数の免疫原をコードする場合があり、各免疫原は、帯状疱疹(Singles)又は西ナイルウイルスに由来する。ポリリボヌクレオチドは、帯状疱疹(Shingles)及び西ナイルウイルスのそれぞれに由来する免疫原をコードし得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる複数の免疫原のそれぞれは、90%未満の配列同一性を共有する。
【0106】
免疫原は、例えば、ウイルス表面タンパク質、ウイルス膜タンパク質、ウイルスエンベロープタンパク質、ウイルスカプシドタンパク質、ウイルスヌクレオカプシドタンパク質、ウイルススパイクタンパク質、ウイルス侵入タンパク質、ウイルス膜融合タンパク質、ウイルス構造タンパク質、ウイルス非構造タンパク質、ウイルス調節タンパク質、ウイルスアクセサリータンパク質、分泌ウイルスタンパク質、ウイルスポリメラーゼタンパク質、ウイルスDNAポリメラーゼ、ウイルスRNAポリメラーゼ、ウイルスプロテアーゼ、ウイルス糖タンパク質、ウイルスフソゲン、ウイルスらせんカプシドタンパク質、ウイルス正二十面体カプシドタンパク質、ウイルスマトリックスタンパク質、ウイルスレプリカーゼ、ウイルス転写因子、又はウイルス酵素などのウイルスに由来する。
【0107】
いくつかの実施形態では、免疫原は、これらのウイルスのうちの1つに由来する:
【0108】
オルソミクソウイルス:有用な免疫原は、ヘマグルチニン、ノイラミニダーゼ、又はマトリックスM2タンパク質などのインフルエンザA、B、又はCウイルスに由来し得る。免疫原がA型インフルエンザウイルスヘマグルチニンである場合、この免疫源は、任意のサブタイプ、例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、又はH16に由来し得る。
【0109】
パラミクソウイルス(Paramyxoviridae)科ウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、ニューモウイルス(例えば、呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、ルブラウイルス(例えば、ムンプスウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス)、メタニューモウイルス、及びモルビリウイルス(例えば、麻疹ウイルス)、ヘニパウイルス(例えば、ニパウイルス(Nipah virus))に由来するものが含まれる。
【0110】
ポックスウイルス(Poxviridae)科:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、大痘瘡及び小痘瘡を含むがこれらに限定されない天然痘ウイルスなどのオルソポックスウイルスに由来するものが含まれる。
【0111】
ピコルナウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、エンテロウイルス、ライノウイルス、ヘパルナウイルス、カルディオウイルス、及びアフトウイルスなどのピコルナウイルスに由来するものが含まれる。一実施形態では、エンテロウイルスは、ポリオウイルス、例えば1型、2型及び/又は3型ポリオウイルスである。別の実施形態では、エンテロウイルスは、EV71エンテロウイルスである。別の実施形態では、エンテロウイルスは、コクサッキーA又はBウイルスである。
【0112】
ブニヤウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、カリフォルニア脳炎ウイルスなどのオルソブニヤウイルス、リフトバレー熱ウイルスなどのフレボウイルス、又はクリミア・コンゴ出血熱ウイルスなどのナイロウイルスに由来するものが含まれる。
【0113】
ヘパルナウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、A型肝炎ウイルス(HAV)などのヘパルナウイルスに由来するものが含まれる。
【0114】
フィロウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、エボラウイルス(ザイール、コートジボワール、レストン、又はスーダンエボラウイルスを含む)又はマールブルグウイルスなどのフィロウイルスに由来するものが含まれる。
【0115】
トガウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、ルビウイルス、アルファウイルス、又はアルテリウイルスなどのトガウイルスに由来するものが含まれる。これには風疹ウイルスが含まれる。
【0116】
フラビウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、ダニ媒介性脳炎(TBE)ウイルス、デング(1型、2型、3型又は4型)ウイルス、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、キャサヌール森林ウイルス、西ナイル脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、ポワッサン脳炎ウイルス、ジカウイルスが含まれる。
【0117】
ペスチウイルス:ウイルス性免疫原には、限定されるものではないが、ウシウイルス性下痢症(BVDV)、豚熱(CSFV)、又はボーダー病(BDV)などのペスチウイルスに由来するものが含まれる。
【0118】
ヘパドナウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、B型肝炎ウイルスなどのヘパドナウイルスに由来するものが含まれる。B型肝炎ウイルス免疫原は、B型肝炎ウイルス表面免疫原(HBsAg)であり得る。
【0119】
他の肝炎ウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、C型肝炎ウイルス、デルタ型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、又はG型肝炎ウイルスに由来するものが含まれる。
【0120】
ラブドウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、リッサウイルス(例えば、狂犬病ウイルス及びベシクロウイルス(VSV)などのラブドウイルスに由来するものが含まれる。
【0121】
カリシウイルス(Caliciviridae)科:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、ノーウォークウイルス(ノロウイルス)などのカリシウイルス(Caliciviridae)科、及びハワイウイルス及びスノーマウンテンウイルスなどのノーウォーク様ウイルスに由来するものが含まれる。
【0122】
レトロウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、腫瘍ウイルス、レンチウイルス(例えば、HIV-1又はHIV-2)又はスプマウイルスに由来するものが含まれる。
【0123】
レオウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、オルソレオウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、又はコルチウイルスに由来するものが含まれる。
【0124】
パルボウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、パルボウイルスB19に由来するものが含まれる。
【0125】
ボカウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、ボカウイルスに由来するもの含まれる。
【0126】
ヘルペスウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、ヒトヘルペスウイルス由来のもの、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)(例えば、HSV1型及び2型)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV7)、及びヒトヘルペスウイルス8(HHV8)が含まれる。
【0127】
パポバウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、パピローマウイルス及びポリオーマウイルスに由来するものが含まれる。(ヒト)パピローマウイルスは、血清型1、2、4、5、6、8、11、13、16、18、31、33、35、39、41、42、47、51、57、58、63、又は65、例えば、血清型6、11、16及び/又は18の1つ又は複数であり得る。
【0128】
オルソハンタウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、ハンタウイルスに由来するものが含まれる。
【0129】
アレナウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラッサウイルス、ルジョウイルス、マチュポウイルス、サビアウイルス、又はホワイトウォーターアロヨウイルスに由来するものが含まれる。
【0130】
アデノウイルス:ウイルス免疫原には、アデノウイルス血清型36(Ad-36)に由来するものが含まれる。
【0131】
市中感染型呼吸器ウイルス(Community acquired respiratory virus):ウイルス免疫原には、市中感染型呼吸器ウイルスに由来するものが含まれる。
【0132】
コロナウイルス:ウイルス免疫原には、限定されるものではないが、SARSコロナウイルス(例えば、SARS-CoV-1及びSARS-CoV-2)、MERSコロナウイルス、トリ伝染性気管支炎(IBV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、及び豚伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)に由来するものが含まれる。コロナウイルス免疫原は、スパイクポリペプチド又はスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)であり得る。コロナウイルス免疫原はまた、エンベロープポリペプチド、膜ポリペプチド、又はヌクレオキャプシドポリペプチドであり得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、免疫原は、サカナに感染するウイルスに由来する。いくつかの実施形態では、免疫原は、サカナに感染するウイルスに対する免疫応答を誘発する。例えば、サカナに感染するウイルスは、伝染性サケ貧血ウイルス(ISAV)、サケ膵臓病ウイルス(SPDV)、伝染性膵臓壊死ウイルス(IPNV)、チャネルナマズウイルス(CCV)、魚類リンホシスチス病ウイルス(FLDV)、伝染性造血壊死ウイルス(IHNV)、コイヘルペスウイルス、サケピコルナ様ウイルス(salmon picorna-like virus)(アトランティックサーモンのピコルナ様ウイルスとしても知られる)、陸封サケウイルス(landlocked salmon virus)(LSV)、アトランティックサーモンロタウイルス(ASR)、マスストロベリー病ウイルス(TSD)、ギンザケ腫瘍ウイルス(CSTV)、又はウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)から選択される。
【0134】
いくつかの実施形態では、免疫原は、対象の宿主細胞に由来する。例えば、ウイルスの侵入を遮断する抗体は、ウイルスが侵入因子として使用する宿主細胞の成分からの免疫原又はエピトープを使用することによって生成することができる。
【0135】
免疫原は、例えば、細菌表面タンパク質、細菌膜タンパク質、細菌エンベロープタンパク質、細菌内膜タンパク質、細菌外膜タンパク質、細菌ペリプラズムタンパク質、細菌侵入タンパク質、細菌膜融合タンパク質、細菌構造タンパク質、細菌非構造タンパク質、分泌細菌タンパク質、細菌ポリメラーゼタンパク質、細菌DNAポリメラーゼ、細菌RNAポリメラーゼ、細菌プロテアーゼ、細菌糖タンパク質、細菌転写因子、細菌酵素、又は細菌毒素などの細菌に由来する。
【0136】
いくつかの実施形態では、免疫原は、これらの細菌の1つから免疫応答を誘発する:ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)(B群ストレプトコッカス(group B streptococcus)又はGBSとしても知られる))、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)(A群連鎖球菌(group A Streptococcus)(GAS)とも呼ばれる);黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus);メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)(MRSA);表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermis);梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum);野兎病菌(Francisella tularensis);リッケチア(Rickettsia)属;ペスト菌(Yersinia pestis);髄膜炎菌(Neisseria meningitidis):免疫源には、限定されるものではないが、付着因子、オートトランスポーター、毒素、鉄獲得タンパク質、H因子結合タンパク質などの膜タンパク質が含まれ;肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae);モラクセラ・カタラリース(Moraxella catarrhalis);百日咳菌(Bordetella pertussis):免疫源には、限定されるものではないが、百日咳毒素又はトキソイド(PT)、繊維状ヘマグルチニン(FHA)、パータクチン、凝集原2及び3が含まれ;破傷風菌(Clostridium tetani):典型的な免疫源は破傷風トキソイドであり;コリネバクテリウム・ジフテリア(Cornynebacterium diphtheriae):典型的な免疫源はジフテリアトキソイドであり;ヘモフィルス・インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae);緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa);クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis);肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae);ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori);大腸菌(Escherichia coli)(免疫源には、限定されるものではないが、毒素原性大腸菌(E.coli)(ETEC)、腸管凝集性大腸菌(E.coli)(EAggEC)、びまん性付着性大腸菌(E.coli)(DAEC)、病原性大腸菌(E.coli)(EPEC)、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)、及び/又は腸管出血性大腸菌(E.coli)(EHEC)に由来する免疫源が含まれる)。ExPEC株には、尿路病原性大腸菌(E.coli)(UPEC)及び髄膜炎/葉血症関連大腸菌(E.coli)(MNEC)が含まれる。また、炭疽菌(Bacillus anthracis);ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)又はボツリヌス菌(Clostridium botulinums);レジオネラ・モフィラ(Legionella pneumophila);コクシエラ・バーネティー(Coxiella burnetiid);ブルセラ(Brucella)属、例えば、B.アボータス(B.abortus)、B.カニス(B.canis)、B.メリテンシス(B.melitensis)、B.ネオトマエ(B.neotomae)、B.オビス(B.ovis)、B.スイス(B.suis)、及びB.ピンニペディエ(B.pinnipediae);フランシセラ(Francisella)属、例えば、F.ノビシダ(F.novicida)、F.フィロミラジア(F.philomiragia)、及びF.ツラレンシス(F.tularensis);淋菌(Neisseria gonorrhoeae);軟性下疽菌(Haemophilus ducreyi);エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)又はエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium);スタフィロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus);エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica);ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis);リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes);コレラ菌(Vibrio cholerae);チフス菌(Salmonella typhi);ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi);ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis);及びクレブシエラ(Klebsiella)属が含まれる。
【0137】
免疫原は、例えば、真菌表面タンパク質、真菌膜タンパク質、真菌エンベロープタンパク質、真菌内膜タンパク質、真菌外膜タンパク質、真菌ペリプラズムタンパク質、真菌侵入タンパク質、真菌膜融合タンパク質、真菌構造タンパク質、真菌非構造タンパク質、分泌真菌タンパク質、真菌ポリメラーゼタンパク質、真菌DNAポリメラーゼ、真菌RNAポリメラーゼ、真菌プロテアーゼ、真菌糖タンパク質、真菌転写因子、真菌酵素、又は真菌毒素などの真菌に由来する。
【0138】
いくつかの実施形態では、真菌免疫原は、以下を含む皮膚糸状菌に由来する:エピデルモフィトン・フロクスム(Epidermophyton floccusum)、ミクロスポルム・オードウイニ(Microsporum audouini)、ミクロスポルム・カニス(Microsporum canis)、ミクロスポルム・ジストルツム(Microsporum distortum)、ミクロスポルム・エクイヌム(Microsporum equinum)、ミクロスポルム・ジプスム(Microsporum gypsum)、ミクロスポルム・ナヌム(Microsporum nanum)、トリコフィトン・コンセントリクム(Trichophyton concentricum)、トリコフィトン・エクイナム(Trichophyton equinum)、トリコフィトン・ガリナエ(Trichophyton gallinae)、トリコフィトン・ジプセウム(Trichophyton gypseum)、トリコフィトン・メグニニ(Trichophyton megnini)、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィトン・クインケアナム(Trichophyton quinckeanum)、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトン・シェーンレイニ(Trichophyton schoenleini)、トリコフィトン・トンスランス(Trichophyton tonsurans)、トリコフィトン・ベルコーサム(Trichophyton verrucosum)、T.ベルコーサムアルブム変種(T.verrucosum var.album)、ジスコイデス変種(var.discoides)、オクラセウム変種(var.ochraceum)、トリコフィトン・ビオラセウム(Trichophyton violaceum)、及び/又はトリコフィトン・ファビホルメ(Trichophyton faviforme);又はアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・シドウイ(Aspergillus sydowi)、アスペルギルス・フラバタス(Aspergillus flavatus)、アスペルギルス・グラウクス(Aspergillus glaucus)、ブラストシゾミセス・カピタツス(Blastoschizomyces capitatus)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・エノラーゼ(Candida enolase)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・ステラトイデ(Candida stellatoidea)、カンジダ・クセイ(Candida kusei)、カンジダ・パラクセイ(Candida parakwsei)、カンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)、カンジダ・プソイドトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、カンジダ・ギリエルモンディ(Candida guilliermondi)、クラドスポリウム・カリオニイ(Cladosporium carrionii)、コクジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、ブラストミセス・デルマティディス(Blastomyces dermatidis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ジオトリカム・クレバタム(Geotrichum clavatum)、ヒストプラズマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、ミクロスポリジア(Microsporidia)、エンセファリトゾーン属(Encephalitozoon spp.)、セプタタ・インテスティナリス(Septata intestinalis)、及びエンテロシトゾーン・ビエヌーシ(Enterocytozoon bieneusi)に由来し;あまり一般的ではないが、ブラチオーラ属(Brachiola spp)、ミクロスポリジウム属(Microsporidium spp.)、ノセマ属(Nosema spp.)、プレイストフォラ属(Pleistophora spp.)、トラキプレイストフォラ属(Trachipleistophora spp.)、ビッタホルマ属(Vittaforma spp)、パラコシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、ピシウム・インシディオスム(Pythiumn insidiosum)、ピチロスポラム・オバーレ(Pityrosporum ovale)、サッカロミセス・セレビシエ(Sacharomyces cerevisae)、サッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、サッカロミセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)、セドスポリウム・アピオスペルム(Scedosporium apiosperum)、スポロトリックス・シェンキイ(Sporothrix schenckii)、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、ペニシリウム・マルネッフェイ(Penicillium marneffei)、マラセチア属(Malassezia spp.)、フォンセケア属(Fonsecaea spp.)、ワンギエラ属(Wangiella spp.)、スポロトリクス属(Sporothrix spp.)、バシディオボラス属(Basidiobolus spp.)、コニディオボラス属(Conidiobolus spp.)、クモノスカビ属(Rhizopus spp)、ケカビ属(Mucor spp)、ユニケカビ属(Absidia spp)、クワレケカビ属(Mortierella spp)、クスダマカビ属(Cunninghamella spp)、サクセネア属(Saksenaea spp.)、アルタナリア属(Alternaria spp)、カーブラリア属(Curvularia spp)、ヘルミントスポリウム属(Helminthosporium spp)、フザリウム属(Fusarium spp)、アスペルギルス属(Aspergillus spp)、ペニシリウム属(Penicillium spp)、モノリニア属(Monolinia spp)、リゾクトニア属(Rhizoctonia spp)、ペシロミセス属(Paecilomyces spp)、ピソミセス属(Pithomyces spp)、及びクラドスポリウム属(Cladosporium spp.)に由来する。
【0139】
免疫原は、例えば、真核寄生虫表面タンパク質、真核寄生虫膜タンパク質、真核寄生虫エンベロープタンパク質、真核寄生虫侵入タンパク質、真核寄生虫膜融合タンパク質、真核寄生虫構造タンパク質、真核寄生虫非構造タンパク質、分泌型真核生物寄生虫タンパク質、真核生物寄生虫ポリメラーゼタンパク質、真核生物寄生虫DNAポリメラーゼ、真核生物寄生虫RNAポリメラーゼ、真核生物寄生虫プロテアーゼ、真核生物寄生虫糖タンパク質、真核生物寄生虫転写因子、真核生物寄生虫酵素、又は真核生物寄生虫毒素に由来する。
【0140】
いくつかの実施形態では、免疫原は、熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)、三日熱マラリア原虫(P.vivax)、四日熱マラリア原虫(P.malariae)、又は卵形マラリア原虫(P.ovale)などのプラスモディウム(Plasmodium)属からの寄生虫に対する免疫応答を誘発する。いくつかの実施形態では、免疫原は、カリギダエ(Caligidae)科、特に、レペオフセイラス(Lepeophtheirus)属及びカリガス(Caligus)属の寄生虫、例えば、レペオフテイルス・サルモニス(Lepeophtheirus salmonis)又はカリグス・ロガークレッセイ(Caligus rogercresseyi)などのウオジラミなどの寄生虫に対する免疫応答を誘発する。いくつかの実施形態では、免疫原は、寄生虫トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)に対する免疫応答を誘発する。
【0141】
いくつかの実施形態では、免疫原は、癌免疫原(ネオエピトープなど)である。例えば、免疫原は、急性白血病、星状細胞腫、胆管癌(biliary cancer)(胆管癌(cholangiocarcinoma))、骨癌、乳癌、脳幹グリオーマ、細気管支肺胞細胞肺癌、副腎癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭頸部癌、腎臓癌、副甲状腺癌、陰茎癌、胸膜/腹膜癌、唾液腺癌、小腸癌、甲状腺癌、尿管癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、子宮頸癌、慢性白血病、結腸癌、大腸癌、皮膚黒色腫、上衣腫、類表皮腫、ユーイング肉腫、胃癌、膠芽腫、多形性膠芽腫、神経膠腫、血液悪性腫瘍、肝細胞(肝臓)癌、肝癌、ホジキン病、眼内黒色腫、カポジ肉腫、肺癌、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性骨髄腫、筋肉癌、中枢神経系(CNS)の新生物、神経細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、小児悪性腫瘍、下垂体腺腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、軟部肉腫、神経鞘腫(schwanoma)、皮膚癌、脊髄軸腫瘍、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、子宮癌、又は上記の任意の癌の難治型を含む腫瘍及びそれらの転移、又はそれらの任意の組み合わせに関連した新抗原及び/又はネオエピトープである。
【0142】
いくつかの実施形態では、免疫原は、以下から選択される腫瘍抗原である:(a)NY-ESO-1、SSX2、SCP1などの癌精巣抗原、並びにRAGE、BAGE、GAGE、及びMAGEファミリーポリペプチド、例えば、GAGE-1、GAGE-2、MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、及びMAGE-12(例えば、黒色腫、肺、頭頸部、NSCLC、乳房、胃腸、及び膀胱の腫瘍に対処するために使用することができる);(b)変異抗原、例えば、p53(例えば、結腸直腸癌、肺癌、頭頸部癌などの様々な固形腫瘍に関連する)、p21/Ras(例えば、黒色腫、膵臓癌、及び結腸直腸癌に関連する)、CDK4(例えば、黒色腫に関連する)、MUMl(例えば、黒色腫に関連する)、カスパーゼ-8(例えば、頭頸部癌に関連する)、CIA0205(例えば、膀胱癌に関連する)、HLA-A2-R1701、βカテニン(例えば、黒色腫に関連する)、TCR(例えば、T細胞非ホジキンリンパ腫に関連する)、BCR-abl(例えば、慢性骨髄性白血病に関連する)、トリオースリン酸イソメラーゼ、KIA0205、CDC-27、及びLDLR-FUT;(c)過剰発現抗原、例えば、ガレクチン4(例えば、大腸癌に関連する)、ガレクチン9(例えば、ホジキン病に関連する)、プロテイナーゼ3(例えば、慢性骨髄性白血病に関連する)、WT1(例えば、様々な白血病に関連する)、炭酸脱水酵素(例えば、腎癌に関連する)、アルドラーゼA(例えば、肺癌に関連する)、PRAME(例えば、黒色腫に関連する)、HER-2/neu(例えば、乳癌、結腸癌、肺癌、及び卵巣癌に関連する)、マンマグロビン、α-フェトプロテイン(例えば、肝癌に関連する)、KSA(例えば、大腸癌に関連する)、ガストリン(例えば、膵臓癌及び胃癌に関連する)、テロメラーゼ触媒タンパク質、MUC-1(例えば、乳癌及び卵巣癌に関連する)、G-250(例えば、腎細胞癌に関連する)、p53(例えば、乳癌、結腸癌に関連する)、及び癌胎児性抗原(例えば、乳癌、肺癌、及び大腸癌などの胃腸管の癌に関連する);(d)共有抗原、例えば、MART-l/Melan A、gplOO、MC1R、メラノサイト刺激ホルモン受容体、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質-1/TRP1、及びチロシナーゼ関連タンパク質-2/TRP2(例えば、黒色腫に関連する)などの黒色腫-メラノサイト分化抗原;(e)例えば前立腺癌に関連する、PAP、PSA、PSMA、PSH-P1、PSM-P1、PSM-P2などの前立腺関連抗原;(f)免疫グロブリンイディオタイプ(例えば、骨髄腫やB細胞性リンパ腫に関連する);(g)新抗原。特定の実施形態では、腫瘍免疫源には、限定されるものではないが、pi5、Hom/Mel-40、H-Ras、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、エプスタインバーウイルス抗原、EBNA、E6及びE7を含むヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、B型及びC型肝炎ウイルス抗原、ヒトT細胞リンパ向性ウイルス抗原、TSP-180、pl85erbB2、pl80erbB-3、c-met、mn-23HI、TAG-72-4、CA19-9、CA72-4、CAM17.1、NuMa、K-ras、pl6、TAGE、PSCA、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、β-HCG、BCA225、BTAA、CA125、CA15-3(CA27.29YBCAA)、CA195、CA242、CA-50、CAM43、CD68\KP1、CO-029、FGF-5、Ga733(EpCAM)、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90(Mac-2結合タンパク質サイクロフィリンC関連タンパク質)、TAAL6、TAG72、TLP、及びTPSなどが含まれる。
【0143】
いくつかの実施形態では、免疫原は、以下に対する免疫応答を誘発する:花粉アレルゲン(樹木、ハーブ、雑草、及び草の花粉アレルゲン);昆虫又はクモ類のアレルゲン(吸入物、唾液、及び毒アレルゲン、例えば、ダニアレルゲン、ゴキブリ、及び小昆虫アレルゲン、膜翅目(hymenopthera)毒アレルゲン);動物の毛及びフケアレルゲン(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ネズミ、マウスなどから);及び食物アレルゲン(例えば、グリアジン)。樹木、草、及びハーブからの重要な花粉アレルゲンは、限定されるものではないが、カバノキ(Betula)、ハンノキ(Alnus)、ハシバミ(Corylus)、シデ(Carpinus)及びオリーブ(Olea)、スギ(Cryptomeria及びJuniperus)、スズカケノキ(Platanus)を含む分類学上のブナ目(Fagales)、モクセイ目(Oleales)、マツ目(Pinales)、及びスズカケノキ科(platanaceae)、ロリウム属(Lolium)、プレウム属(Phleum)、ポア属(Poa)、キノドン属(Cynodon)、ダクティリス属(Dactylis)、ホルカス属(Holcus)、ファラリス属(Phalaris)、セケーレ属(Secale)、及びソルガム属(Sorghum)の草を含むポアレス(Poales)目、ブタクサ属(Ambrosia)、ヨモギ属(Artemisia)、及びパリエタ属(Parietaria)のハーブを含むキク目(Asterales)及びイラクサ目(Urticales)に由来する。その他の重要な吸入アレルゲンは、ヒョウヒダニ属(Dermatophagoides)及びユーログリフス属(Euroglyphus)のイエダニ由来のもの、貯蔵庫ダニ、例えば、レピドグリフィス属(Lepidoglyphys)、グリシファガス属(Glycyphagus)、及びチロファガス属(Tyrophagus)の由来のもの、ゴキブリ、小昆虫、及びノミ、例えば、チャバネゴキブリ属(Blatella)、ワモンゴキブリ属(Periplaneta)、ユスリカ属(Chironomus)、及びイヌノミ属(Ctenocepphalides)に由来のもの、ネコ、イヌ、及びウマなどの哺乳動物に由来のもの、ミツバチ(ミツバチ科)、スズメバチ科(Vespidea)、及びアリ類(Formicoidae)を含む膜翅目(Hymenoptera)の分類学上の目由来のものなどの刺したり噛んだりする昆虫に由来するものを含む毒アレルゲンが含まれる。
【0144】
いくつかの実施形態では、免疫原は、例えば、ヘビ(例えば、ほとんどの種のガラガラヘビ(例えば、ヒガシダイヤガラガラヘビ)、茶色のヘビの種(例えば、キングブラウンスネーク及びイースタンブラウンスネーク)、ラッセルバイパー、コブラ(例えば、インドコブラ、キングコブラ)、特定の種類のアマガサヘビ(例えば、一般的なアマガサヘビ)、マンバ(例えば、ブラックマンバ)、カーペットバイパー、ブームスラング、デュボアトゲオウミヘビ(dubois sea snake)、タイパン種(例えば、沿岸タイパン(coastal taipan)及び内陸タイパン(inland taipan)ヘビ)、ランスヘッド(lancehead)種(例えば、フェルドランス及びテルシオペロ)、ブッシュマスター、カッパーヘッド、コットンマウス、サンゴヘビ、デスアダー、ベルチャーウミヘビ、タイガースネーク、オーストラリアブラックスネーク(Australian black snake))、クモ(例えば、ドクイトグモ、クロゴケグモ、クロドクシボグモ(Brazilian wandering spider)、ジョウゴグモ(funnel-web spider)、ボタンスパイダー(button spider)、オーストラリアセアカゴケグモ、カティポ(katipo)、ニセゴケグモ(false black widow)、チリドクイトグモ(Chilean recluse spider)、マウスクモ(mouse spider)、ジョウゴグモ(Macrothele)種、シカリウス(Sicarius)種、ヘクスフサルマ(Hexpthalma)種、タランチュラの特定種)、サソリ及び他のクモ綱(例えば、ファットテールスコーピオン(fat-tailed scorpion)、デスストーカースコーピオン(deathstalker scorpion)、インディアン赤サソリ(Indian red scorpion)、セントルロイデス(Centruroides)種、ブラジリアンイエロースコーピオン(Brazilian yellow scorpion)などのティテュオス(Tityus)種)、昆虫(例えば、ミツバチ種、スズメバチ種、ヒアリなどの特定のアリ、鱗翅目の毛虫の一部の種、ムカデの特定の種、レミペド・キシバルバナス・トゥルメンシス(remipede Xibalbanus tulumensis)、サカナ(例えば、ナマズの特定の種(例えば、ゴンズイ(striped eel catfish)及びその他のゴンズイ科(eeltail catfish))、アカエイの特定の種(例えば、青斑アカエイ)、ミノカサゴ、オニダルマオコゼ、オニカサゴ、フグ、アイゴ、ゴブリンフィッシュ、ツマジロオコゼ、ストライプブレニー(striped blenny)、キビレミシマ(stargazer)、キマイラ(chimaera)、ハチミシマ(weever)、ツノザメ(dogfish shark))、刺胞動物(例えば、クラゲの特定の種(例えば、イルカンジクラゲ及びハコクラゲ)、ヒドロ虫綱(例えば、カツオノエボシ(Portuguese Man o’War))、イソギンチャク、サンゴの特定の種)、トカゲ(例えば、アメリカドクトカゲ(gila monster)、メキシコフトアゴヒゲトカゲ(Mexican bearded lizard)、ヴァラヌス(Varanus)の特定の種(例えば、コモドドラゴン)、ペレンティーオオトカゲ(perentie)、及びレースモニター(lace monitor))、哺乳動物(例えば、ミナミプラリナトガリネズミ(Southern short-tailed shrew)、カモノハシ、ヨーロッパモグラ、ミズトガリネズミ(Eurasian water shrew)、ミナミミズトガリネズミ(Mediterranean water shrew)、プラナリトガリネズミ(Northern short-tailed shrew)、エリオットプラリトガリネズミ(Elliot’s short-tailed shrew)、特定の種のソレノドン(例えば、キューバソレノドン、ハイチソレノドン)、スローロリス)、軟体動物(例えば、イモガイの特定の種)、頭足類(例えば、タコの特定の種(例えば、ヒョウモンダコ(blue-ringed octopus)、イカ、及びコウイカ)、両生類(例えば、ヤドクガエル、ブルーノイシアタマガエル、グリーニングのカエル(Greening’s frog)などのカエル、サンショウウオ(例えば、ファイアサラマンダー(Fire salamander)、イベリリアトゲイモリ(Iberian ribbed newt))からの毒液などの毒液中の毒素に由来する。
【0145】
いくつかの実施形態では、毒素は、植物又は菌類(例えば、キノコ)に由来する。
【0146】
いくつかの実施形態では、毒素免疫原は、シアノトキシン、ジノトキシン(dinotoxin)、ミオトキシン、細胞毒素(例えば、リシン、アピトキシン、マイコトキシン(例えば、アフラトキシン)、オクラトキシン、シトリニン、麦角アルカロイド、パツリン、フザリウム、フモニシン、トリコテセン、カルディオトキシン)、テトロドトキシン、バトラコトキシン、ボツリヌス毒素A、破傷風毒素A、ジフテリア毒素、ダイオキシン、ムスカリン、ブホトキシン、サリン、血液毒、フォトトキシン、壊死性毒、腎毒素、及び神経毒(例えば、カルシセプチン、コブロトキシン、カルシクルジン、ファシキュリン-I、カリオトキシン)などの毒素に由来する。
【0147】
任意の数の微生物又は癌由来の免疫原を、環状又は線状ポリリボヌクレオチドで使用することができる。場合によっては、免疫原は、上記に開示された1つの微生物に関連するか、又はそれによって発現される。いくつかの実施形態では、免疫原は、上記に開示された2つ以上の微生物に関連するか、又はそれらによって発現される。場合によっては、免疫原は、上記に開示された1つの癌に関連するか、又はそれによって発現される。いくつかの実施形態では、免疫原は、上記に開示された2つ以上の癌に関連するか、又はそれらによって発現される。いくつかの実施形態では、免疫原は、上記に開示された毒素に由来する。いくつかの実施形態では、免疫原は、上記に開示された2つ以上の毒素に由来する。
【0148】
2つ以上の微生物は、関連している、又は関連していない。場合によっては、2つ以上の微生物は、系統発生的に関連している。例えば、本開示の環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上のウイルス、ウイルスファミリーの2つ以上のメンバー、ウイルスクラスの2つ以上のメンバー、ウイルス系列の2つ以上のメンバー、ウイルス属の2つ以上のメンバー、ウイルス種の2つ以上のメンバー、2つ以上の細菌性病原体由来の免疫原を含む、又はこれらをコードする。いくつかの実施形態では、2つ以上の微生物は、系統発生的に関連していない。
【0149】
場合によっては、2つ以上の微生物は、表現型的に関連している。例えば、本開示の環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の呼吸器病原体、2つ以上の選択剤、重い疾患に関連する2つ以上の微生物、免疫不全の対象における有害転帰に関連する2つ以上の微生物、妊娠に関連する有害転帰に関連する2つ以上の微生物、出血熱に関連する2つ以上の微生物に由来する免疫原を含む、又はコードする。
【0150】
本開示の免疫原は、野生型配列を含み得る。免疫原を表す場合、「野生型」という用語は、天然であり、ゲノム(例えば、ウイルスゲノム)によってコードされる配列(例えば、核酸配列又はアミノ酸配列)を指す。ある種(例えば、微生物種)は、1つの野生型配列、又は2つ以上の野生型配列(例えば、参照微生物ゲノム中に存在する1つの標準野生型配列、及び突然変異から生じた存在するさらなる変異体野生型配列を有する)を有し得る。
【0151】
免疫原を表す場合、「誘導体」及び「から誘導される」という用語は、1つ以上の核酸又はアミノ酸が野生型配列と異なる、例えば、野生型配列と比べて1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/又は置換を含有する配列(例えば、核酸配列又はアミノ酸配列)を指す。
【0152】
免疫原誘導体配列は、野生型配列、例えば、野生型核酸、タンパク質、免疫原、又はエピトープ配列に対して、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性を有する配列である。
【0153】
ある実施形態において、免疫原は、コードされるタンパク質の構造に影響を与える1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せを含有する。ある実施形態において、免疫原は、コードされるタンパク質の機能に影響を与える1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せを含有する。ある実施形態において、免疫原は、細胞によってコードされるタンパク質の発現又はプロセシングに影響を与える1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せを含有する。
【0154】
いくつかの実施形態では、免疫原は、コードされた免疫原性核酸の構造に影響を与える1つ又は複数の核酸の挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを含む。
【0155】
アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せは、翻訳後修飾のための部位を導入し得る(例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、水酸化、硫酸化、若しくは脂質化部位、又は切断のために標的化される配列を導入する)。ある実施形態において、アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せは、翻訳後修飾のための部位を除去する(例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、水酸化、硫酸化、又は脂質化部位、又は切断のために標的化される配列を除去する)。ある実施形態において、アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せは、翻訳後修飾のための部位を修飾する(例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、水酸化、硫酸化、若しくは脂質化部位、又は切断の効率又は特性を改変するように部位を修飾する)。
【0156】
アミノ酸置換は、保存的又は非保存的置換であり得る。保存的アミノ酸置換は、類似の生化学的特性(例えば、電荷、サイズ、及び/又は疎水性)の別のアミノ酸の代わりの1つのアミノ酸の置換であり得る。非保存的アミノ酸置換は、異なる生化学的特性(例えば、電荷、サイズ、及び/又は疎水性)を有する別のアミノ酸の代わりの1つのアミノ酸の置換であり得る。保存的アミノ酸変化は、例えば、ポリペプチドの二次又は三次構造に対して最小の影響を与える置換であり得る。保存的アミノ酸変化は、1つの親水性アミノ酸から別の親水性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。親水性アミノ酸は、Thr(T)、Ser(S)、His(H)、Glu(E)、Asn(N)、Gln(Q)、Asp(D)、Lys(K)及びArg(R)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの疎水性アミノ酸から別の親水性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。疎水性アミノ酸は、Ile(I)、Phe(F)、Val(V)、Leu(L)、Trp(W)、Met(M)、Ala(A)、Gly(G)、Tyr(Y)、及びPro(P)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの酸性アミノ酸から別の酸性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。酸性アミノ酸は、Glu(E)及びAsp(D)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの塩基性アミノ酸から別の塩基性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。塩基性アミノ酸は、His(H)、Arg(R)及びLys(K)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの極性アミノ酸から別の極性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。極性アミノ酸は、Asn(N)、Gln(Q)、Ser(S)及びThr(T)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの非極性アミノ酸から別の非極性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。非極性アミノ酸は、Leu(L)、Val(V)、Ile(I)、Met(M)、Gly(G)及びAla(A)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの芳香族アミノ酸から別の芳香族アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。芳香族アミノ酸は、Phe(F)、Tyr(Y)及びTrp(W)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの脂肪族アミノ酸から別の脂肪族アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。脂肪族アミノ酸は、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)及びIle(I)を含み得る。ある実施形態において、保存的アミノ酸置換は、以下のグループ:グループI:ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr;グループII:cys、ser、tyr、thr;グループIII:val、ile、leu、met、ala、phe;グループIV:lys、arg、his;グループV:phe、tyr、trp、his;及びグループVI:asp、gluのうちの1つの中の、1つのアミノ酸から別のアミノ酸へのアミノ酸変化である。
【0157】
ある実施形態において、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100個のアミノ酸欠失を含む。
【0158】
ある実施形態において、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、又は少なくとも50個のアミノ酸置換を含む。
【0159】
ある実施形態において、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、25以下、30以下、35以下、40以下、45以下、又は50以下のアミノ酸置換を含む。
【0160】
ある実施形態において、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、1~20、1~30、1~40、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~15、2~20、2~30、2~40、3~3、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~15、3~20、3~30、3~40、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~15、5~20、5~30、5~40、10~15、15~20、又は20~25個のアミノ酸置換を含む。
【0161】
ある実施形態において、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸置換を含む。
【0162】
1つ以上のアミノ酸置換は、アミノ酸配列内の、又はそれらの組合せN末端、C末端にあり得る。アミノ酸置換は、連続、非連続、又はそれらの組合せであり得る。
【0163】
ある実施形態において、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、25以下、30以下、35以下、40以下、45以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、又は200以下のアミノ酸欠失を含む。
【0164】
ある実施形態において、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、野生型配列と比べて、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、1~20、1~30、1~40、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~15、2~20、2~30、2~40、3~3、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~15、3~20、3~30、3~40、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~15、5~20、5~30、5~40、10~15、15~20、20~25、20~30、30~50、50~100、又は100~200個のアミノ酸欠失を含む。
【0165】
ある実施形態において、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、野生型配列と比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸欠失を含む。
【0166】
1つ以上のアミノ酸欠失は、アミノ酸配列内のN末端、C末端、又はそれらの組合せにあり得る。アミノ酸欠失は、連続、非連続、又はそれらの組合せであり得る。
【0167】
ある実施形態において、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、野生型配列と比べて、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、又は少なくとも50個のアミノ酸挿入を含む。
【0168】
ある実施形態において、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、野生型配列と比べて、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、25以下、30以下、35以下、40以下、45以下、又は50以下のアミノ酸挿入を含む。
【0169】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、野生型配列と比べて、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、1~20、1~30、1~40、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~15、2~20、2~30、2~40、3~3、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~15、3~20、3~30、3~40、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~15、5~20、5~30、5~40、10~15、15~20、又は20~25個のアミノ酸挿入を含む。
【0170】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、野生型配列と比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸挿入を含む。
【0171】
1つ以上のアミノ酸挿入は、アミノ酸配列内のN末端、C末端、又はそれらの組合せにあり得る。アミノ酸挿入は、連続、非連続、又はそれらの組合せであり得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、免疫原は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドによって発現される。いくつかの実施形態では、免疫原は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル増幅の産物である。
【0173】
免疫原は、相当な量で産生させることができる。したがって、免疫原は、産生させることができる任意のタンパク質性分子であり得る。免疫原は、細胞から分泌され得るポリペプチド、又は細胞の細胞質、核、若しくは膜分画に局在し得るポリペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、本開示の環状又は線状ポリリボヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、本明細書に開示される2つ以上の免疫原を含む融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、本開示の環状又は線状ポリリボヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、エピトープを含む。いくつかの実施形態では、本開示の環状又は線状ポリリボヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、本明細書に開示される2つ以上のエピトープを含む融合タンパク質、例えば、本開示の1つ又は複数の微生物からの複数の予測エピトープを含む人工ペプチド配列を含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドから発現され得る免疫原は、膜タンパク質であり、例えば、膜タンパク質として一般的に見出されるポリペプチド配列、又は膜タンパク質となるように改変されたポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される環状又は線状ポリリボヌクレオチドから発現され得る例示的な免疫原には、細胞内免疫原又は細胞質免疫原が含まれる。
【0175】
いくつかの実施形態では、免疫原は、約40,000未満のアミノ酸長、約35,000未満のアミノ酸長、約30,000未満のアミノ酸長、約25,000未満のアミノ酸長、約20,000未満のアミノ酸長、約15,000未満のアミノ酸長、約10,000未満のアミノ酸長、約9,000未満のアミノ酸長、約8,000未満のアミノ酸長、約7,000未満のアミノ酸長、約6,000未満のアミノ酸長、約5,000未満のアミノ酸長、約4,000未満のアミノ酸長、約3,000未満のアミノ酸長、約2,500未満のアミノ酸長、約2,000未満のアミノ酸長、約1,500未満のアミノ酸長、約1,000未満のアミノ酸長、約900未満のアミノ酸長、約800未満のアミノ酸長、約700未満のアミノ酸長、約600未満のアミノ酸長、約500未満のアミノ酸長、約400未満のアミノ酸長、約300未満のアミノ酸長、約250未満のアミノ酸長、約200未満のアミノ酸長、約150未満のアミノ酸長、約140未満のアミノ酸長、約130未満のアミノ酸長、約120未満のアミノ酸長、約110未満のアミノ酸長、約100未満のアミノ酸長、約90未満のアミノ酸長、約80未満のアミノ酸長、約70未満のアミノ酸長、約60未満のアミノ酸長、約50未満のアミノ酸長、約40未満のアミノ酸長、約30未満のアミノ酸長、約25未満のアミノ酸長、約20未満のアミノ酸長、約15未満のアミノ酸長、約10未満のアミノ酸長、約5未満のアミノ酸長を有し、それらの間の任意のアミノ酸長又はそれ以下が有用であり得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数の免疫原配列を含み、インビボで対象の細胞において持続的に発現するように構成されている。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、後の時点における細胞内での1つ又は複数の発現配列の発現が前の時点と同等又はそれよりも高くなるように構成される。そのような実施形態では、1つ又は複数の免疫原配列の発現を、比較的安定したレベルで維持するか、又は経時的に増加させることができる。免疫原配列の発現は、長期間にわたって比較的安定させることができる。免疫原配列の発現は、一過性に、又は限られた時間だけ、例えば、多くとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、又は10日間、比較的安定させることができる。
【0177】
いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、例えば一過性又は長期的に、対象において1つ又は複数の免疫原を発現する。特定の実施形態では、免疫原の発現は、少なくとも約1時間から約30日間、又は少なくとも約2時間、6時間、12時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、60日間、又はそれよりも長く、それらの間の任意の時間持続する。特定の実施形態では、免疫原の発現は、約30分以内から約7日間以内、又は約1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、11時間以内、12時間以内、13時間以内、14時間以内、15時間以内、16時間以内、17時間以内、18時間以内、19時間以内、20時間以内、21時間以内、22時間以内、24時間以内、36時間以内、48時間以内、60時間以内、72時間以内、4日間以内、5日間以内、6日間以内、7日間以内、8日間以内、9日間以内、10日間以内、11日間以内、12日間以内、13日間以内、14日間以内、15日間以内、16日間以内、17日間以内、18日間以内、19日間以内、20日間以内、21日間以内、22日間以内、23日間以内、24日間以内、25日間以内、26日間以内、27日間以内、28日間以内、29日間以内、30日間以内、60日間以内、又はそれらの間の任意の時間持続する。
【0178】
免疫原の発現は、少なくとも、本明細書に提供される環状又は線状ポリリボヌクレオチドの領域を翻訳することを含む。例えば、環状又は線状ポリリボヌクレオチドを、本開示の1つ又は複数の免疫原を含むポリペプチドを生成するように対象において翻訳し、それにより対象における適応免疫応答(例えば、抗体応答及び/又はT細胞応答)の産生を刺激することができる。いくつかの実施形態では、本開示の環状又は線状ポリリボヌクレオチドを、ヒト又は動物対象における1つ又は複数の免疫原を生成するように翻訳し、それによりヒト又は動物対象における適応免疫応答(例えば、抗体応答及び/又はT細胞応答)の産生を刺激する。
【0179】
いくつかの実施形態では、免疫原発現のための方法は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドの全長の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のポリペプチドへの翻訳を含む。いくつかの実施形態では、免疫原発現のための方法は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドの、少なくとも5アミノ酸、少なくとも10アミノ酸、少なくとも15アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも100アミノ酸、少なくとも150アミノ酸、少なくとも200アミノ酸、少なくとも250アミノ酸、少なくとも300アミノ酸、少なくとも400アミノ酸、少なくとも500アミノ酸、少なくとも600アミノ酸、少なくとも700アミノ酸、少なくとも800アミノ酸、少なくとも900アミノ酸、又は少なくとも1000アミノ酸のポリペプチドへの翻訳を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質発現のための方法は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドの、約5アミノ酸、約10アミノ酸、約15アミノ酸、約20アミノ酸、約50アミノ酸、約100アミノ酸、約150アミノ酸、約200アミノ酸、約250アミノ酸、約300アミノ酸、約400アミノ酸、約500アミノ酸、約600アミノ酸、約700アミノ酸、約800アミノ酸、約900アミノ酸、又は約1000アミノ酸のポリペプチドへの翻訳を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドの、本明細書に提供されるような連続ポリペプチド、本明細書に提供されるような別々のポリペプチド、又は双方への翻訳を含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、免疫原発現のための方法は、翻訳産物の修飾、フォールディング、又は他の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態では、免疫原発現のための方法は、インビボでの、例えば、細胞機構を介する翻訳後修飾を含む。
【0181】
シグナル配列
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される環状又は線状ポリリボヌクレオチドから発現され得る例示的な免疫原として、分泌タンパク質、例えば、天然にシグナル配列を含むタンパク質(例えば、免疫原)、又は通常はシグナル配列をコードしないが、1つを含むように修飾されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドによってコードされる免疫原は、分泌シグナルを含む。例えば、分泌シグナルは、分泌タンパク質における天然にコードされた分泌シグナルであってもよい。別の例では、分泌シグナルは、分泌タンパク質における修飾された分泌シグナルであってもよい。他の実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドによってコードされる免疫原は、分泌シグナルを含まない。
【0182】
いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、同じ免疫原の複数のコピー、同じ免疫原の(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上)のコピーをコードする。いくつかの実施形態では、免疫原の少なくとも1つのコピーは、シグナル配列を含み、免疫原の少なくとも1つのコピーは、シグナル配列を含まない。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、複数の免疫原(例えば、複数の異なる免疫原又は100%未満の配列同一性を有する複数の免疫原)をコードし、ここで複数の免疫原の少なくとも1つは、シグナル配列を含み、複数の免疫原の少なくとも1つのコピーは、シグナル配列を含まない。
【0183】
いくつかの実施形態では、シグナル配列は、例えば、内因性に発現されるとき、野生型シグナル配列であり、対応する野生型免疫原のN末端上に存在するものである。いくつかの実施形態では、シグナル配列は、免疫原に対して異種であり、例えば、野生型免疫原が内因性に発現されるとき、存在しない。免疫原をコードするポリリボヌクレオチド配列は、野生型シグナル配列をコードするヌクレオチド配列を除去し、且つ/又は異種シグナル配列をコードする配列を付加するように修飾されてもよい。
【0184】
ポリリボヌクレオチドによってコードされる免疫原は、免疫原を分泌経路に導くシグナル配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、シグナル配列は、免疫原を特定の細胞小器官(例えば、小胞体、ゴルジ装置、又はエンドソーム)に存在するように導いてもよい。いくつかの実施形態では、シグナル配列は、免疫原を細胞から分泌されるように導く。分泌タンパク質の場合、シグナル配列は、分泌後に切断され、成熟タンパク質をもたらし得る。他の実施形態では、シグナル配列は、細胞又は特定の細胞小器官の膜内に包埋されるようになり、タンパク質を細胞、小胞体、又はゴルジ装置の膜に固定する膜貫通セグメントを創出し得る。特定の実施形態では、膜貫通タンパク質のシグナル配列は、ポリペプチドのN末端の短い配列である。他の実施形態では、第1の膜貫通ドメインは、タンパク質を膜に標的化する、第1のシグナル配列として作用する。
【0185】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドによってコードされる免疫原は、分泌シグナル配列、膜貫通挿入シグナル配列を含むか、又はシグナル配列を含まない、のいずれかである。
【0186】
調節要素
環状ポリリボヌクレオチド又は線状ポリリボヌクレオチドは、調節要素、例えば、環状又は線状ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を調節する配列を含む。調節要素は、発現産物をコードする発現配列に隣接して位置する配列を含み得る。調節要素は、隣接する配列に動作可能に連結され得る。調節要素は、調節要素が存在しない場合に発現される産物の量と比較して、発現される産物の量を増加させ得る。ある調節要素を用いて、環状又は線状ポリリボヌクレオチドによってコードされる1つ又は複数の免疫原の発現を増加させることができる。同様に、ある調節要素を用いて、環状又は線状ポリリボヌクレオチドによってコードされる1つ又は複数の免疫原の発現を減少させることができる。いくつかの実施形態では、ある調節要素を用いて、免疫原の発現を増加させることができ、また別の調節要素を用いて、同じ環状又は線状ポリリボヌクレオチドに対する別の免疫原の発現を減少させることができる。さらに、1つの調節要素が、並んで結合された複数の発現配列について発現される産物(例えば、免疫原)の量を増加させ得る。したがって、1つの調節要素が、1つ以上の発現配列(例えば、免疫原)の発現を促進することができる。複数の調節要素がまた、例えば、異なる発現配列の発現を異なって調節するのに使用され得る。ある実施形態において、本明細書において提供される調節要素は、選択的翻訳配列を含み得る。本明細書において使用される際、「選択的翻訳配列」という用語は、環状又は線状ポリリボヌクレオチド、例えば、特定のリボスイッチアプタザイム中の発現配列の翻訳を選択的に開始させるか又は活性化する核酸配列を指す。調節要素は、選択的分解配列も含み得る。本明細書において使用される際、「選択的分解配列」という用語は、環状若しくは線状ポリリボヌクレオチド、又は環状若しくは線状ポリリボヌクレオチドの発現産物の分解を開始させる核酸配列を指す。ある実施形態において、調節要素は、翻訳モジュレータである。翻訳モジュレータは、環状ポリリボヌクレオチド中の発現配列の翻訳を調節し得る。翻訳モジュレータは、翻訳エンハンサー又はサプレッサーであり得る。ある実施形態において、翻訳開始配列は、調節要素として機能し得る。調節要素のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0154]~[0161]に記載されている。
【0187】
翻訳を開始させるコドン、例えば、限定はされないが、開始コドン又は代替的な開始コドンに隣接するヌクレオチドは、環状若しくは線状ポリリボヌクレオチドの翻訳効率、長さ、及び/又は構造に影響することは知られている(例えば、Matsuda and Mauro PLoS ONE,2010 5:11を参照されたい;その内容はその全体が参照により本明細書中に援用される)。翻訳を開始させるコドンに隣接するヌクレオチドのいずれかをマスクすることを用いて、環状又は線状ポリリボヌクレオチドの翻訳開始の位置、翻訳効率、長さ及び/又は構造を変更してもよい。
【0188】
一実施形態では、コドンをマスクするか又は隠し、マスクされた開始コドン又は代替的な開始コドンでの翻訳開始の確率を低減するため、マスキング剤を開始コドン又は代替的な開始コドンの近傍で用いてもよい。別の実施形態では、代替的な開始コドンで翻訳が開始する可能性を高めるため、マスキング剤を用いて、環状又は線状ポリリボヌクレオチドの開始コドンをマスクしてもよい。
【0189】
翻訳開始配列
いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、免疫原をコードし、翻訳開始配列、例えば、開始コドンを含む。いくつかの実施形態では、翻訳開始配列は、コザック又はシャイン・ダルガノ配列を含む。いくつかの実施形態では、翻訳開始配列は、コザック配列を含む。ある実施形態において、翻訳開始配列は、コザック又はシャイン・ダルガノ配列を含む。ある実施形態において、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する翻訳開始配列、例えば、コザック配列を含む。ある実施形態において、翻訳開始配列は、非コード開始コドンである。ある実施形態において、翻訳開始配列、例えば、コザック配列は、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、発現産物の分離をもたらす。ある実施形態において、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少なくとも1つの翻訳開始配列を含む。ある実施形態において、翻訳開始配列は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドに立体配座柔軟性を与える。ある実施形態において、翻訳開始配列は、環状ポリリボヌクレオチドの実質的に一本鎖領域内にある。翻訳開始配列のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0163]~[0165]に記載されている。
【0190】
環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60又は60を超える開始コドンなどの2つ以上の開始コドンを含んでもよい。翻訳は、第1の開始コドンで開始し得るか、又は第1の開始コドンの下流で開始し得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、第1の開始コドン、例えば、AUGでないコドンで開始し得る。環状又は線状ポリリボヌクレオチドの翻訳は、国際特許公開の国際公開第2019/118919A1号パンフレット(その全体が参照により本明細書中に援用される)の[0164]に記載のような代替的な翻訳開始配列で開始し得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、翻訳は、ロカグレートを伴う真核生物開始因子4A(eIF4A)の処理によって開始される(翻訳は、43Sスキャニングを遮断し、RocA-eIF4A標的配列を有する転写物からの未成熟な上流の翻訳開始及びタンパク質発現低下を引き起こすことによって抑制される、例えば、www.nature.com/articles/nature17978を参照)。
【0193】
IRES
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位(IRES)要素を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上(例えば、2、3、4、及び5つ)の内部リボソーム進入部位(IRES)要素を含む。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の片側又は両側に1つ又は複数のIRES配列を含むことで、得られるペプチド及び/又はポリペプチドの分離を引き起こす。いくつかの実施形態では、IRESは、少なくとも1つ(例えば、2、3、4、5つ又はそれ以上)の発現配列の両側に隣接する。環状又は線状ポリリボヌクレオチド内に含めるのに適したIRES要素は、真核生物リボソームと会合することが可能なRNA配列であり得る。いくつかの実施形態では、IRESは、脳心筋炎ウイルス(encephalomyocarditis virus)(EMCV)IRESである。いくつかの実施形態では、IRESは、コクサッキーウイルス(Coxsackievirus)(CVB3)IRESである。IRESのさらなる例が、国際特許公開の国際公開第2019/118919号パンフレット(その全体が参照により本明細書で援用される)のパラグラフ[0166]~[0168]に記載されている。
【0194】
切断ドメイン
本開示の環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、切断ドメイン(例えば、スタガー要素又は切断配列)を含み得る。
【0195】
「スタガー要素」という用語は、翻訳中のリボソームの休止を誘導する、ヌクレオチド配列などの部分を指す。ある実施形態において、スタガー要素は、強いαらせん傾向を有するアミノ酸の非保存配列、続いてコンセンサス配列-D(V/I)ExNPGP(ここで、x=任意のアミノ酸である)(配列番号7)である。ある実施形態において、スタガー要素は、グリセロール、非核酸連結部分、化学修飾、修飾核酸、又はそれらの任意の組合せなどの化学部分を含み得る。
【0196】
ある実施形態において、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少なくとも1つのスタガー要素を含む。ある実施形態において、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接するスタガー要素を含む。ある実施形態において、スタガー要素は、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、発現産物、例えば、免疫原の分離をもたらす。ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列の一部である。ある実施形態において、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列(例えば、免疫原)を含み、1つ以上の発現配列のそれぞれが、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにおけるスタガー要素によって後続の発現配列(例えば、免疫原)から隔てられる。ある実施形態において、スタガー要素は、(a)単一の発現配列の2回の翻訳から、又は(b)2つ以上の発現配列の1回以上の翻訳からの単一のポリペプチドの生成を防止する。ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列から切り離された配列である。ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列のうちの発現配列の一部を含む。
【0197】
スタガー要素の例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0172]~[0175]に記載されている。
【0198】
いくつかの実施形態では、環状又は線状リボヌクレオチドによってコードされる複数の免疫原は、各免疫原間のIRESによって分離されてもよい。IRESは、全ての免疫原の間で同じIRESであってもよい。IRESは、異なる免疫原間で異なってもよい。他の実施形態では、複数の免疫原は、2A自己切断ペプチドによって分離されてもよい。さらに、環状又は線状リボヌクレオチドによってコードされる複数の免疫原は、IRES及び2A配列の双方によって分離されてもよい。例えば、IRESは、第1の免疫原と第2の免疫原の間に存在してもよい一方で、2Aペプチドは、第2の免疫原と第3の免疫原の間に存在してもよい。特定のIRES又は2A自己切断ペプチドの選択を用いて、IRES又は2A配列の制御下で免疫原の発現レベルを制御してもよい。例えば、選択されるIRES及び/又は2Aペプチドに応じて、ポリペプチドでの発現が増強又は低減されてもよい。
【0199】
連続的発現産物、例えば、免疫原の産生を回避しながら、ローリングサークル翻訳を維持するため、スタガー要素を含めることで、翻訳中のリボソーム停止を誘導してもよい。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ又は複数の発現配列の少なくとも1つの3’末端にある。スタガー要素は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル翻訳中にリボソームを停止させるように設計され得る。スタガー要素は、限定はされないが、2A様、又はCHYSEL(配列番号8)(シス作用性ヒドロラーゼエレメント)配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、X1X2X3EX5NPGP(式中、X1は、不在又はG若しくはHであり、X2は、不在又はD若しくはGであり、X3は、D又はV又はI又はS又はMであり、X5は、任意のアミノ酸(配列番号9)である)であるC末端コンセンサス配列を有する配列をコードする。いくつかの実施形態では、この配列は、強力なαらせん性を有するアミノ酸の非保存配列と、それに続くコンセンサス配列-D(V/I)ExNPGP(式中、x=任意のアミノ酸(配列番号7)である)を含む。スタガー要素のいくつかの非限定例として、GDVESNPGP(配列番号10)、GDIEENPGP(配列番号11)、VEPNPGP(配列番号12)、IETNPGP(配列番号13)、GDIESNPGP(配列番号14)、GDVELNPGP(配列番号15)、GDIETNPGP(配列番号16)、GDVENPGP(配列番号17)、GDVEENPGP(配列番号18)、GDVEQNPGP(配列番号19)、IESNPGP(配列番号20)、GDIELNPGP(配列番号21)、HDIETNPGP(配列番号22)、HDVETNPGP(配列番号23)、HDVEMNPGP(配列番号24)、GDMESNPGP(配列番号25)、GDVETNPGP(配列番号26)、GDIEQNPGP(配列番号27)、及びDSEFNPGP(配列番号28)が挙げられる。
【0200】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスタガー要素は、本明細書に記載のコンセンサス配列のG及びPの間などで、発現産物を切断する。1つの非限定例として、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、発現産物を切断するための少なくとも1つのスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの発現配列に隣接したスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の後にスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の片側又は両側に存在するスタガー要素を含むことで、各発現配列から個別のペプチド及び/又はポリペプチドの翻訳を引き起こす。
【0201】
いくつかの実施形態では、スタガー要素は、翻訳中にリボソーム停止を誘導する、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド又は非天然ヌクレオチドを含む。非天然ヌクレオチドは、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ及びロックド核酸(LNA)、並びにグリコール核酸(GNA)及びトレオース核酸(TNA)を含んでもよい。これらなどの例は、天然に存在するDNA又はRNAと、分子の骨格に対する変化によって区別される。例示的な修飾は、翻訳中にリボソーム停止を誘導し得る、糖、核酸塩基、ヌクレオシド間結合(例えば、連結リン酸塩/リン酸ジエステル結合/リン酸ジエステル骨格)に対する任意の修飾、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。本明細書に提供される例示的な修飾のいくつかは、本明細書中の他の箇所に記載されている。
【0202】
いくつかの実施形態では、スタガー要素は、環状又は線状ポリリボヌクレオチド中に他の形態で存在する。例えば、いくつかの例示的な環状又は線状ポリリボヌクレオチドでは、スタガー要素は、環状又は線状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の終結配列、及び第1の発現配列に連続する発現の第1の翻訳開始配列から終結配列を分離するヌクレオチドスペーサー配列を含む。いくつかの例において、第1の発現配列の第1のスタガー要素は、環状又は線状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列に連続する発現の第1の翻訳開始配列の上流(それに対する5’側)に存在する。いくつかの場合、第1の発現配列及び第1の発現配列に連続する発現配列は、環状又は線状ポリリボヌクレオチド中の2つの別々の発現配列である。第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、第1の発現配列及びその連続する発現配列の連続的翻訳を可能にし得る。いくつかの実施形態では、第1のスタガー要素は、終結配列を含み、第1の発現配列の発現産物をその連続する発現配列の発現産物から分離し、それにより分離した発現産物を作出する。いくつかの場合、環状又は線状ポリリボヌクレオチド中の連続する配列の第1の翻訳開始配列の上流に第1のスタガー要素を含む環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される一方で、第2の発現配列に連続する発現配列の第2の翻訳開始配列の上流に存在する第2の発現配列のスタガー要素を含む対応する環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳されない。いくつかの場合、環状又は線状ポリリボヌクレオチド中に発現配列が1つだけ存在し、第1の発現配列及びその連続する発現配列は、同じ発現配列である。いくつかの例示的な環状又は線状ポリリボヌクレオチドでは、スタガー要素は、環状又は線状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の終結配列、及び下流の翻訳開始配列から終結配列を分離するヌクレオチドスペーサー配列を含む。いくつかのそのような例では、第1のスタガー要素は、環状又は線状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流(に対する5’側)に存在する。いくつかの場合、第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、第1の発現配列及び任意の連続する発現配列の継続的翻訳を可能にする。いくつかの実施形態では、第1のスタガー要素は、第1の発現配列の1回目の発現産物を第1の発現配列の次回の発現産物から分離し、それにより分離した発現産物を作出する。いくつかの場合、環状又は線状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流に第1のスタガー要素を含む環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される一方で、対応する環状又は線状ポリリボヌクレオチド中の第2の発現配列の第2の翻訳開始配列の上流にスタガー要素を含む対応する環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳されない。いくつかの場合、第2のスタガー要素と第2の翻訳開始配列との間の距離は、対応する環状又は線状ポリリボヌクレオチドにおいて、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにおける第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離よりも少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍大きい。いくつかの場合、第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70nt、75nt、又はそれ以上である。いくつかの実施形態では、第2のスタガー要素と第2の翻訳開始配列との間の距離は、第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離よりも、少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70nt、75nt、又はそれ以上大きい。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の発現配列を含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの切断配列を含む。いくつかの実施形態では、切断配列は、発現配列に隣接する。いくつかの実施形態では、切断配列は、2つの発現配列の間に存在する。いくつかの実施形態では、切断配列は、発現配列内に含まれる。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、2~10の間の切断配列を含む。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、2~5の間の切断配列を含む。いくつかの実施形態では、複数の切断配列は、複数の発現配列間に存在し;例えば、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列間に切断配列が存在するように、3つの発現配列及び2つの切断配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、犠牲的circRNA(immolating circRNA)又は切断可能なcircRNA又は自己切断circRNA中に切断配列を含む。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、環状又は線状ポリリボヌクレオチド、例えば、miRNA、線状RNA、より小さい環状又は線状ポリリボヌクレオチドなどの複数の産物への分離を引き起こす、2つ以上の切断配列を含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、切断配列は、リボザイムRNA配列を含む。リボザイム(RNA酵素又は触媒RNAとも称される、リボ核酸酵素に由来)は、化学反応を触媒するRNA分子である。多くの天然リボザイムは、それら自身のホスホジエステル結合の1つの加水分解、又は他のRNAにおける結合の加水分解のいずれかを触媒するが、リボソームのアミノトランスフェラーゼ活性を触媒することも見出されている。触媒RNAは、インビトロ方法によって「進化」され得る。上で考察されたリボスイッチ活性と同様、リボザイム及びそれらの反応産物は、遺伝子発現を調節し得る。いくつかの実施形態では、触媒RNA又はリボザイムは、リボザイムが、バルク体積からの分子の化学変換を意図して、細胞内の多数のコピーに存在するように、より大きい非翻訳RNA内部に配置され得る。いくつかの実施形態では、アプタマー及びリボザイムは、双方とも、同じ非翻訳RNA中でコードされ得る。
【0205】
いくつかの実施形態では、切断配列は、切断可能なポリペプチドリンカーをコードする。例えば、ポリリボヌクレオチドは、例えば、2つ以上の免疫原が単一のオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされる場合、2つ以上の免疫原をコードし得る。例えば、2つ以上の免疫原は、単一のオープンリーディングフレームによってコードされてもよく、その発現は、IRESによって制御される。いくつかの実施形態では、ORFは、ポリペプチドリンカーをさらにコードすることで、例えば、ORFの発現産物は、2つ以上の免疫原であり、それぞれがポリペプチドリンカー(例えば、5~200、5~100、5~50、5~20、50~100、又は50~200アミノ酸のリンカー)をコードする配列によって分離されるものをコードする。ポリペプチドリンカーは、切断部位、例えば、プロテアーゼ(例えば、ポリリボヌクレオチドの対象への投与後の該対象における内因性プロテアーゼ)によって認識及び切断される切断部位を含んでもよい。かかる実施形態では、2つ以上の免疫原のアミノ酸配列を含む単一の発現産物が発現時に切断されることで、2つ以上の免疫原は、発現後に分離される。例示的なプロテアーゼ切断部位、例えば、メタロプロテイナーゼ(例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、MMP1~28の任意の1つ又は複数など)、ディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAM、ADAM2、7~12、15、17~23、28~30及び33の任意の1つ又は複数など)、セリンプロテアーゼ、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター、マトリプターゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテイナーゼ、又はカテプシンプロテアーゼによって認識されるプロテアーゼ切断部位として作用するアミノ酸配列は、当業者に公知である。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは、MMP9又はMMP2である。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは、マトリプターゼである。
【0206】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、犠牲的な環状若しくは線状ポリリボヌクレオチド、切断可能な環状若しくは線状ポリリボヌクレオチド、又は自己切断性の環状若しくは線状ポリリボヌクレオチドである。環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、RNA、lncRNA、lincRNA、miRNA、tRNA、rRNA、snoRNA、ncRNA、siRNA、又はshRNAを含む細胞成分を送達し得る。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、(i)自己切断要素;(ii)切断動員部位;(iii)分解性リンカー;(iv)化学的リンカー;及び/又は(v)スペーサー配列によって分離されたmiRNAを含む。いくつかの実施形態では、circRNAは、(i)自己切断配列;(ii)切断動員部位(例えば、ADAR);(iii)分解性リンカー(例えば、グリセロール);(iv)化学的リンカー;及び/又は(v)スペーサー配列によって分離されたsiRNAを含む。自己切断配列の非限定例として、ハンマーヘッド、スプライシングエレメント、ヘアピン、δ型肝炎ウイルス(hepatitis delta virus)(HDV)、Varkudサテライト(VS)、及びglmSリボザイムが挙げられる。
【0207】
調節要素及び発現産物の比
ある実施形態において、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の調節核酸配列を含み、又は調節核酸、例えば、内在性遺伝子及び/又は外来性遺伝子の発現を調節する核酸をコードする1つ以上の発現配列を含む。ある実施形態において、本明細書において提供される環状又は線状ポリリボヌクレオチドの発現配列は、限定はされないが、tRNA、lncRNA、miRNA、rRNA、snRNA、マイクロRNA、siRNA、piRNA、snoRNA、snRNA、exRNA、scaRNA、Y RNA、及びhnRNAなどの、ノンコーディングRNAのような調節核酸に対してアンチセンスである配列を含み得る。
【0208】
例示的な調節核酸が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0177]~[0194]に記載されている。
【0209】
ある実施形態において、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドの翻訳効率は、参照、例えば、線状同等物、線状発現配列、又は環状化のための線状ポリリボヌクレオチドより高い。ある実施形態において、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドは、参照の翻訳効率より少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、70%、800%、900%、1000%、2000%、5000%、10000%、100000%、又はそれ以上高い翻訳効率を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物のものより10%高い翻訳効率を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物のものより300%高い翻訳効率を有する。
【0210】
ある実施形態において、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、化学量論的比の発現産物を生成する。ローリングサークル型翻訳は、実質的に同等の比率で発現産物を連続して生成する。ある実施形態において、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、発現産物が実質的に同等の比率で生成されるような化学量論的翻訳効率を有する。ある実施形態において、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、複数の発現産物、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又はそれ以上の発現配列からの産物の化学量論的翻訳効率を有する。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、発現産物の実質的に異なる比をもたらす。例えば、複数の発現産物の翻訳効率は、1:10,000;1:7000、1:5000、1:1000、1:700、1:500、1:100、1:50、1:10、1:5、1:4、1:3又は1:2の比を有し得る。いくつかの実施形態では、複数の発現産物の比は、調節要素を用いて変更されてもよい。
【0211】
翻訳
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳が開始されたら、環状ポリリボヌクレオチドに結合されたリボソームは、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも1回の翻訳を完了する前に環状ポリリボヌクレオチドから離脱しない。ある実施形態において、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、ローリングサークル型翻訳の能力がある。ある実施形態において、ローリングサークル型翻訳中、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳が開始されたら、環状ポリリボヌクレオチドに結合されたリボソームは、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも20回、少なくとも30回、少なくとも40回、少なくとも50回、少なくとも60回、少なくとも70回、少なくとも80回、少なくとも90回、少なくとも100回、少なくとも150回、少なくとも200回、少なくとも250回、少なくとも500回、少なくとも1000回、少なくとも1500回、少なくとも2000回、少なくとも5000回、少なくとも10000回、少なくとも105回、又は少なくとも106回の翻訳を完了する前に環状ポリリボヌクレオチドから離脱しない。
【0212】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳は、環状ポリリボヌクレオチドの2回以上の翻訳から翻訳されたポリペプチド産物(「連続した」発現産物)の生成をもたらす。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、スタガー要素を含み、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳は、環状ポリリボヌクレオチドの1回の翻訳又は1回未満の翻訳から生成されるポリペプチド産物(「別個の」発現産物)の生成をもたらす。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳中に生成される全ポリペプチド(モル/モル)の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%が別個のポリペプチドであるように構成される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、全ポリペプチドの少なくとも99%が別々のポリペプチドであるように設計される。ある実施形態において、全ポリペプチドにわたる別個の産物の量比率がインビトロ翻訳系において試験される。ある実施形態において、量比率の試験に使用されるインビトロ翻訳系は、ウサギ網状赤血球溶解物を含む。ある実施形態において、量比率は、真核細胞若しくは原核細胞、培養細胞又は生物内の細胞などのインビボ翻訳系において試験される。
【0213】
非翻訳領域
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、非翻訳領域(UTR)を含む。遺伝子を含むゲノム領域のUTRは、転写され得るが、翻訳されていない。ある実施形態において、UTRは、本明細書に記載される発現配列の翻訳開始配列の上流に含まれ得る。ある実施形態において、UTRは、本明細書に記載される発現配列の下流に含まれ得る。ある場合において、第1の発現配列のための1つのUTRは、第2の発現配列のための別のUTRと同じであるか又はそれと連続しているか又はそれと重複している。ある実施形態において、イントロンは、ヒトイントロンである。ある実施形態において、イントロンは、完全長ヒトイントロン、例えば、ZKSCAN1である。
【0214】
例示的な非翻訳領域が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0197]~[201]に記載されている。
【0215】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を含む。例示的なポリA配列が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0202]~[0205]に記載されている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。
【0216】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、アデノシン及びウリジンの1つ又は複数のストレッチが内包されたUTRを含む。これらのAUリッチのシグネチャーは、発現産物のターンオーバー速度を増加させ得る。
【0217】
UTRのAUリッチエレメント(ARE)の導入、除去、又は修飾は、環状ポリリボヌクレオチドの安定性、又は免疫原性(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカーのレベル)を調節するのに有用であり得る。特定の環状ポリリボヌクレオチドを改変するとき、AREの1つ又は複数コピーを環状ポリリボヌクレオチドに導入してもよく、AREのコピーは、発現産物の翻訳及び/又は産生を調節し得る。同様に、AREを、同定及び除去し、又は環状ポリリボヌクレオチドに改変することで、細胞内安定性を調節し、ひいては得られるタンパク質の翻訳及び産生に作用することができる。
【0218】
任意の遺伝子からの任意のUTRが環状ポリリボヌクレオチドの各隣接領域に組み込まれてもよいことは理解されるべきである。
【0219】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTRを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、3’UTRを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、終結配列を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTR、3’UTR、及びIRESを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、以下の配列:1つ又は複数のmiRNAをコードする配列、1つ又は複数の複製タンパク質をコードする配列、外因性遺伝子をコードする配列、治療(therapeutic)をコードする配列、調節要素(例えば、翻訳モジュレータ、例えば、翻訳エンハンサー又はサプレッサー)、翻訳開始配列、内因性遺伝子を標的にする1つ又は複数の調節核酸(例えば、siRNA、lncRNA、shRNA)、及び治療的mRNA又はタンパク質をコードする配列、の1つ又は複数を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTRを欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、3’UTRを欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、終結配列を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによる分解感受性を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドが分解感受性を欠いているという事実は、環状ポリリボヌクレオチドがエキソヌクレアーゼによって分解されない、又はエキソヌクレアーゼの存在下で限られた範囲に限って分解される、例えば、エキソヌクレアーゼの不在下で同等又は類似的であることを意味し得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによって分解されない。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼに曝露されるとき、分解が低下している。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップ結合タンパク質への結合を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’キャップを欠いている。
【0221】
終結配列
環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数の発現配列(例えば、免疫原をコードする)を含み得て、各発現配列は、終結配列を有する場合も有しない場合もある。終結配列のさらなる例が、国際特許公開の国際公開第2019/118919号パンフレット(その全体が参照により本明細書で援用される)のパラグラフ[0169]~[0170]に記載されている。
【0222】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリA配列の長さは、10ヌクレオチド長を超える。一実施形態では、ポリA配列は、15ヌクレオチド長を超える(例えば、少なくとも約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約70、約80、約90、約100、約120、約140、約160、約180、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約600、約700、約800、約900、約1,000、約1,100、約1,200、約1,300、約1,400、約1,500、約1,600、約1,700、約1,800、約1,900、約2,000、約2,500、及び約3,000ヌクレオチドであるか又はそれを超える)。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、国際特許公開の国際公開第2019/118919A1号パンフレット(その全体が参照により本明細書中に援用される)の[0202]~[0204]中のポリA配列の記述に従って設計される。
【0223】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリAを含むか、ポリAを欠いているか、又は環状ポリリボヌクレオチドの1つ若しくは複数の特性を調節するための修飾ポリAを有する。いくつかの実施形態では、ポリAを欠いているか又は修飾ポリAを有している環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数の機能特性、例えば、免疫原性(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカーのレベル)、半減期、発現効率などを改善する。
【0224】
調節核酸
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、内因性遺伝子及び/又は外因性遺伝子の発現を修飾する、調節核酸をコードする1つ又は複数の発現配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるような環状ポリリボヌクレオチドの発現配列は、限定はされないが、tRNA、lncRNA、miRNA、rRNA、snRNA、マイクロRNA、siRNA、piRNA、snoRNA、snRNA、exRNA、scaRNA、Y RNA、及びhnRNAなどの非翻訳RNAに類する調節核酸に対してアンチセンスである配列を含み得る。
【0225】
一実施形態では、調節核酸は、宿主遺伝子などの遺伝子を標的にする。調節核酸は、国際特許公開の国際公開第2019/118919A1号パンフレット(その全体が参照により本明細書中に援用される)の[0177]及び[0181]~[0189]に記載の調節核酸のいずれかを含んでもよい。
【0226】
いくつかの実施形態では、発現配列は、本明細書に記載の特徴の1つ又は複数、例えば、1つ又は複数のペプチド又はタンパク質をコードする配列、1つ又は複数の調節要素、1つ又は複数の調節核酸、例えば、1つ又は複数の非翻訳RNA、他の発現配列、及びそれらの任意の組み合わせを含む。
【0227】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のRNA結合部位を含む。マイクロRNA(又はmiRNA)は、核酸分子の3’UTRに結合し、核酸分子安定性を低下させるか又は翻訳を阻害することによって遺伝子発現を下方制御する短鎖ノンコーディングRNAである。環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のマイクロRNA標的配列、マイクロRNA配列、又はマイクロRNAシードを含み得る。このような配列は、内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2005/0261218号明細書及び米国特許出願公開第2005/0059005号明細書において教示されるものなどの任意の公知のマイクロRNAに対応し得る。マイクロRNA配列は、「シード」領域、即ち、成熟マイクロRNAの2~8位の領域内の配列であって、miRNA標的配列に対して完全なワトソン・クリック相補性を有する配列を含む。マイクロRNAシードは、成熟マイクロRNAの2~8位又は2~7位を含んでもよい。いくつかの実施形態では、マイクロRNAシードは、7ヌクレオチド(例えば、成熟マイクロRNAのヌクレオチド2~8)を含んでもよく、ここで対応するmiRNA標的におけるシード相補的部位は、マイクロRNAの1位に相対するアデニン(A)によって隣接される。いくつかの実施形態では、マイクロRNAシードは、6ヌクレオチド(例えば、成熟マイクロRNAのヌクレオチド2~7)を含んでもよく、ここで対応するmiRNA標的におけるシード相補的部位は、マイクロRNAの1位に相対するアデニン(A)によって隣接される。例えば、Grimson et al;Mol Cell.2007 6;27:91-105(その全体が参照により本明細書中に援用される)を参照されたい。
【0228】
タンパク質結合
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、例えば、リボソームがRNA配列内の内部部位に結合することを可能にする、1つ又は複数のタンパク質結合部位を含む。タンパク質結合部位、例えば、リボソーム結合部位を環状ポリリボヌクレオチド中に設計することにより、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドを宿主の免疫系の成分からマスクすることによって、宿主の免疫系による検知を逃避し得るか又は低下させているか、分解を調節しているか、又は翻訳を調節している。
【0229】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの免疫タンパク質結合部位を含むことで、例えば、免疫応答、例えば、CTL(細胞傷害性Tリンパ球)応答を逃避する。いくつかの実施形態では、免疫タンパク質結合部位は、免疫タンパク質に結合し、外因性としての環状ポリリボヌクレオチドのマスキングを補助するヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、免疫タンパク質結合部位は、免疫タンパク質に結合し、外因性又は外来性としての環状ポリリボヌクレオチドの隠蔽を補助するヌクレオチド配列である。
【0230】
線状RNAへのリボソーム会合の伝統的機構は、RNAのキャップされた5’末端へのリボソーム結合を含む。リボソームは、5’末端から開始コドンに移動するとすぐに、第1のペプチド結合が形成される。本開示によると、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳の内部開始(即ち、キャップ非依存性)は、遊離末端又はキャップ末端を必要としない。むしろ、リボソームは、非キャップ内部部位に結合し、それにより、リボソームは、ポリペプチド伸長を開始コドンで開始させる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、リボソーム結合部位、例えば、開始コドンを含む、1つ又は複数のRNA配列を含む。
【0231】
天然5’UTRは、翻訳開始における役割を果たす特徴を有する。それは、リボソームが多数の遺伝子の翻訳を開始させるプロセスに関与することが一般に知られるコザック配列のようなシグネチャーを内包する。コザック配列は、コンセンサスCCR(A/G)CCAUGG(配列番号29)(ここでRは、開始コドン(AUG)の3塩基上流のプリン(アデニン又はグアニン)である)を有し、それにもう一つの「G」が後続する。5’UTRは、伸長因子結合に関与する二次構造を形成することも知られている。
【0232】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質に結合するタンパク質結合配列をコードする。いくつかの実施形態では、タンパク質結合配列は、環状ポリリボヌクレオチドを特異的標的に標的化し、又は局在化する。いくつかの実施形態では、タンパク質結合配列は、タンパク質のアルギニンリッチ領域に特異的に結合する。
【0233】
いくつかの実施形態では、タンパク質結合部位として、限定はされないが、ACIN1、AGO、APOBEC3F、APOBEC3G、ATXN2、AUH、BCCIP、CAPRIN1、CELF2、CPSF1、CPSF2、CPSF6、CPSF7、CSTF2、CSTF2T、CTCF、DDX21、DDX3、DDX3X、DDX42、DGCR8、EIF3A、EIF4A3、EIF4G2、ELAVL1、ELAVL3、FAM120A、FBL、FIP1L1、FKBP4、FMR1、FUS、FXR1、FXR2、GNL3、GTF2F1、HNRNPA1、HNRNPA2B1、HNRNPC、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPM、HNRNPU、HNRNPUL1、IGF2BP1、IGF2BP2、IGF2BP3、ILF3、KHDRBS1、LARP7、LIN28A、LIN28B、m6A、MBNL2、METTL3、MOV10、MSI1、MSI2、NONO、NONO-、NOP58、NPM1、NUDT21、PCBP2、POLR2A、PRPF8、PTBP1、RBFOX2、RBM10、RBM22、RBM27、RBM47、RNPS1、SAFB2、SBDS、SF3A3、SF3B4、SIRT7、SLBP、SLTM、SMNDC1、SND1、SRRM4、SRSF1、SRSF3、SRSF7、SRSF9、TAF15、TARDBP、TIA1、TNRC6A、TOP3B、TRA2A、TRA2B、U2AF1、U2AF2、UNK、UPF1、WDR33、XRN2、YBX1、YTHDC1、YTHDF1、YTHDF2、YWHAG、ZC3H7B、PDK1、AKT1、及びRNAに結合する任意の他のタンパク質などのタンパク質への結合部位が挙げられる。
【0234】
エンクリプトゲン
本明細書に記載の通り、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞の自然免疫応答を低減、逃避、又は回避するためのエンクリプトゲンを含む。一態様では、細胞に送達されるとき、参照化合物、例えば、記載された環状ポリリボヌクレオチドに対応する線状ポリヌクレオチド又はエンクリプトゲンを欠いている環状ポリリボヌクレオチドによって誘起される応答との比較として、低下した宿主からの免疫応答をもたらす、環状ポリリボヌクレオチドが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エンクリプトゲンを欠いている対応物よりも低下した免疫原性(例えば、低下したレベルの、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカー)を有する。
【0235】
いくつかの実施形態では、エンクリプトゲンは、安定性を増強する。核酸分子の安定性及び翻訳の観点でのUTRによって発揮される調節的役割について、一連の証拠が増えている。UTRの調節的特徴は、環状ポリリボヌクレオチドの安定性を増強するため、エンクリプトゲンに含まれてもよい。
【0236】
いくつかの実施形態では、5’又は3’UTRは、環状ポリリボヌクレオチド中でエンクリプトゲンを構成し得る。例えば、UTRのAUリッチエレメント(ARE)の修飾の除去は、環状ポリリボヌクレオチドの安定性又は免疫原性を調節する(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカーのレベルを調節する)のに有用であり得る。
【0237】
いくつかの実施形態では、発現配列内のAUリッチエレメント(ARE)、例えば、翻訳可能領域の修飾の除去は、環状ポリリボヌクレオチドの安定性又は免疫原性を調節する(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカーのレベルを調節する)のに有用であり得る。
【0238】
いくつかの実施形態では、エンクリプトゲンは、miRNA結合部位又は任意の他の非翻訳RNAに対する結合部位を含む。例えば、miR-142部位の本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドへの組み込みは、造血細胞内での発現を調節するだけでなく、環状ポリリボヌクレオチドにおいてコードされるタンパク質に対する免疫応答を低減又は消失させることができる。
【0239】
いくつかの実施形態では、エンクリプトゲンは、タンパク質、例えば、免疫タンパク質がRNA配列に結合することを可能にする、1つ又は複数のタンパク質結合部位を含む。タンパク質結合部位を環状ポリリボヌクレオチド中に設計することにより、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドを宿主の免疫系の成分からマスクすることによって、宿主の免疫系による検知を逃避し得るか又は低下させているか、分解を調節しているか、又は翻訳を調節している。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの免疫タンパク質結合部位を含むことで、例えば、免疫応答、例えば、CTL応答を逃避する。いくつかの実施形態では、免疫タンパク質結合部位は、免疫タンパク質に結合し、外因性としての環状ポリリボヌクレオチドのマスキングを補助するヌクレオチド配列である。
【0240】
いくつかの実施形態では、エンクリプトゲンは、1つ又は複数の修飾ヌクレオチドを含む。例示的な修飾は、環状ポリリボヌクレオチドに対する免疫応答を阻止又は低減し得る、糖、核酸塩基、ヌクレオシド間結合(例えば、連結リン酸塩/リン酸ジエステル結合/リン酸ジエステル骨格)に対する任意の修飾、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。例示的な修飾の一部が、本明細書に提供される。
【0241】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、宿主からの免疫応答を、参照化合物、例えば、修飾を欠いている環状ポリリボヌクレオチドによって誘起される応答と比較して低減するための、本明細書中の他の箇所に記載のような1つ又は複数の修飾を含む。特に、1つ又は複数のイノシンの付加は、RNAをウイルス性に対する内因性として区別することが示されている。例えば、Yu,Z.et al.(2015)RNA editing by ADAR1 marks dsRNA as“self”.Cell Res.25,1283-1284(その全体が参照により援用される)を参照されたい。
【0242】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、shRNA又はsiRNAにプロセシング可能なRNA配列に対する1つ又は複数の発現配列を含み、shRNA又はsiRNAは、RIG-Iを標的にし、RIG-Iの発現を低減する。RIG-Iは、外来の環状RNAを感知可能であり、外来の環状RNAの分解を引き起こす。したがって、RIG-1を標的にするshRNA、siRNA又は任意の他の調節核酸における配列を内包する環状ポリヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドに対する免疫、例えば、宿主細胞免疫を低減し得る。
【0243】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドが細胞の自然免疫応答を低減、逃避、又は回避することを補助する配列、エレメント、又は構造を欠いている。いくつかのそのような実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列、5’末端、3’末端、リン酸基、ヒドロキシル基、又はそれらの任意の組み合わせを欠いてもよい。
【0244】
ヌクレオチドスペーサー配列
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、スペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、又はそれ以上のスペーサー配列を含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、スペーサー配列を含む。ある実施形態において、ポリリボヌクレオチドの要素は、スペーサー配列又はリンカーによって互いに隔てられ得る。スペーサー配列の例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0293]~[0302]に記載されている。
【0246】
非核酸リンカー
本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドは、非核酸リンカーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書に記載の配列又はエレメントの1つ又は複数の間に非核酸リンカーを有する。一実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数の配列又はエレメントは、リンカーと連結される。非核酸リンカーは、化学結合、例えば、1つ又は複数の共有結合又は非共有結合であってもよい。いくつかの実施形態では、非核酸リンカーは、ペプチド又はタンパク質リンカーである。そのようなリンカーは、2~30の間、又はそれ以上のアミノ酸であってもよい。本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドはまた、非核酸リンカーを含んでもよい。例示的な非核酸リンカーは、国際特許公開の国際公開第2019/118919号パンフレット(その全体が参照により本明細書で援用される)のパラグラフ[0303]~[0307]に記載されている。
【0247】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、別の核酸配列をさらに含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、DNA、RNA、又は人工核酸を含む他の配列を含み得る。他の配列としては、限定はされないが、ゲノムDNA、cDNA、又はtRNA、mRNA、rRNA、miRNA、gRNA、siRNA、若しくは他のRNAi分子をコードする配列が挙げられる。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドと同じ遺伝子発現産物の異なる遺伝子座を標的にするためにsiRNAを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチド中に存在する遺伝子発現産物と異なる遺伝子発現産物を標的にするためにsiRNAを含む。
【0248】
安定性及び半減期
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、特定の配列特性を含む。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、特定のヌクレオチド組成物を含んでもよい。いくつかのそのような実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数のプリン(アデニン及び/又はグアノシン)リッチ領域を含んでもよい。いくつかのそのような実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数のプリン欠乏領域を含んでもよい。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数のAUリッチ領域又はエレメント(ARE)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数のアデニンリッチ領域を含んでもよい。
【0249】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書中の他の箇所に記載される1つ又は複数の反復エレメントを含んでもよい。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書中の他の箇所に記載される1つ又は複数の修飾を含む。
【0250】
環状ポリリボヌクレオチドは、参照配列に対する、1つ又は複数の置換、挿入及び/又は付加、欠失、及び共有結合修飾を含んでもよい。例えば、親ポリリボヌクレオチドに対する、1つ又は複数の挿入、付加、欠失、及び/又は共有結合修飾を有する環状ポリリボヌクレオチドは、本開示の範囲内に含まれる。例示的な修飾は、国際特許公開の国際公開第2019/118919号パンフレット(その全体が参照により本明細書で援用される)のパラグラフ[0310]~[0325]中に記載されている。
【0251】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、高次構造、例えば、二次又は三次構造を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの相補的セグメントは、ペア間、例えば、A-U及びC-G間の水素結合で共に維持された、二本鎖セグメントに自らフォールディングする。いくつかの実施形態では、ステムとしても知られるらせん体が分子内的に形成され、それはエンドループに連結された二本鎖セグメントを有する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、疑似二本鎖二次構造を有する少なくとも1つのセグメントを有する。
【0252】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの1つ又は複数の配列は、実質的に一本鎖の領域及び二本鎖の領域を含む。いくつかの実施形態では、一本鎖対二本鎖の比は、環状ポリリボヌクレオチドの機能性に影響し得る。
【0253】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの1つ又は複数の配列は、実質的に一本鎖である。いくつかの実施形態では、実質的に一本鎖である環状ポリリボヌクレオチドの1つ又は複数の配列は、タンパク質又はRNA結合部位を含んでもよい。いくつかの実施形態では、実質的に一本鎖である環状ポリリボヌクレオチド配列は、立体構造的に柔軟であることで、相互作用の増強を可能にし得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの配列は、タンパク質又は核酸結合に対して結合又は増強するような二次構造を含むことを意図して改変される。
【0254】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、実質的に二本鎖である。いくつかの実施形態では、実質的に二本鎖である環状ポリリボヌクレオチドの1つ又は複数の配列は、立体構造的な認識部位、例えば、リボスイッチ又はアプタザイムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、実質的に二本鎖である環状ポリリボヌクレオチド配列は、立体構造的に強固であってもよい。いくつかのそのような例では、立体構造的に強固な配列は、環状ポリリボヌクレオチドがタンパク質又は核酸に結合することから立体的に妨げることができる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの配列は、タンパク質又は核酸結合を回避又は低減するような二次構造を含むことを意図して改変される。
【0255】
16の塩基対が考えられるが、これらの内の6つ(AU、GU、GC、UA、UG、CG)が、実際の塩基対を形成し得る。残りは、ミスマッチと称され、らせん体で非常に低い頻度で生じる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの構造は、その機能及び致死的結果に対する影響を伴わずに容易に破壊することができず、それは二次構造を維持するための選択肢を提供する。いくつかの実施形態では、ステムの一次構造(即ち、それらのヌクレオチド配列)はやはり変化し得るが、らせん領域を依然として維持する。塩基の性質は、高次構造に派生するものであり、二次構造を保持する限り、置換は可能である。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、疑似らせん状構造を有する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、疑似らせん状構造を有する少なくとも1つのセグメントを有する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、Uリッチ若しくはAリッチ配列又はそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、Uリッチ及び/又はAリッチ配列は、三重疑似らせん状構造をもたらすような様式で配列される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、二重疑似らせん状構造を有する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、二重疑似らせん状構造を有する1つ又は複数のセグメント(例えば、2、3、4、5、6、又はそれ以上)を有する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、Cリッチ及び/又はGリッチ配列の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、Cリッチ及び/又はGリッチ配列は、三重疑似らせん状構造をもたらすような様式で配列される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、安定化を補助する、分子内三重疑似らせん状構造を有する。
【0256】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、(例えば、リン酸ジエステル結合によって分離された)2つの疑似らせん状構造を有することで、それらの末端塩基対は積層し、疑似らせん状構造は共線性になり、「同軸的に積層された」部分構造をもたらす。
【0257】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数のモチーフ、例えば、シュードノット、g-四重鎖、ヘリックス、及び同軸積層を有する三次構造を含む。
【0258】
本明細書で開示されるような環状ポリリボヌクレオチドの構造のさらなる例が、国際特許公開の国際公開第2019/118919号パンフレット(その全体が参照により本明細書で援用される)のパラグラフ[0326]~[0333]に記載されている。
【0259】
その環状化の結果として、環状ポリリボヌクレオチドは、それを線状RNAと区別するいくつかの特徴を含み得る。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、線状RNAと比較して、エキソヌクレアーゼによる分解に対する感受性がより低い。したがって、環状ポリリボヌクレオチドは、特に、エキソヌクレアーゼの存在下でインキュベートされるとき、線状RNAより安定している。線状RNAと比較した環状ポリリボヌクレオチドの増加した安定性により、環状ポリリボヌクレオチドが、ポリペプチドを生成する細胞形質転換試薬(例えば、免疫原))としてより有用になる。線状RNAと比較した環状ポリリボヌクレオチドの増加した安定性により、環状ポリリボヌクレオチドが、線状RNAより容易に及びより長く貯蔵可能になる。エキソヌクレアーゼで処理された環状ポリリボヌクレオチドの安定性は、RNA分解が起こったかどうかを決定する、当該技術分野において標準的な方法を用いて(例えば、ゲル電気泳動によって)試験され得る。
【0260】
さらに、線状RNAと異なり、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドが、仔牛小腸ホスファターゼなどのホスファターゼと共にインキュベートされるとき、脱リン酸化に対する感受性がより低い。
【0261】
ある実施形態において、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドの調製は、参照、例えば同じヌクレオチド配列を有するが環状されていない線状ポリリボヌクレオチド(例えば、線状同等物)より増加した半減期を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、分解、例えば、エキソヌクレアーゼに対して抵抗性である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己分解に対して抵抗性である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、酵素切断部位、例えばダイサー切断部位を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、参照、例えば、線状対応物よりも、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約120%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約180%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%少なくとも約800%、少なくとも約900%、少なくとも約1000%又は少なくとも約10000%長い半減期を有する。
【0262】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞分裂中、細胞内で存続する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、有糸分裂後、娘細胞内で存続する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞内で複製され、娘細胞に継代される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドの自己複製を媒介する複製エレメントを含む。いくつかの実施形態では、複製エレメントは、環状ポリリボヌクレオチドの、環状ポリリボヌクレオチドに相補的(線状相補的)である線状ポリリボヌクレオチドへの転写を媒介する。いくつかの実施形態では、相補的な線状ポリリボヌクレオチドは、細胞内、インビボで、相補的な環状ポリリボヌクレオチドに環状化され得る。いくつかの実施形態では、相補的なポリリボヌクレオチドは、開始の環状ポリリボヌクレオチドと同一又は類似のヌクレオチド配列を有する、別の環状ポリリボヌクレオチドにさらに自己複製し得る。1つの例示的な自己複製エレメントは、HDV複製ドメインを含む(Beeharry et al,Virol,2014,450-451:165-173によって記載の通り)。いくつかの実施形態では、細胞は、少なくとも1つの環状ポリリボヌクレオチドを、少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、又は99%の効率で、娘細胞に継代する。いくつかの実施形態では、減数分裂を経ている細胞は、環状ポリリボヌクレオチドを、少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、又は99%の効率で、娘細胞に継代する。いくつかの実施形態では、有糸分裂を経ている細胞は、環状ポリリボヌクレオチドを、少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、又は99%の効率で、娘細胞に継代する。
【0263】
本明細書で開示されるような環状ポリリボヌクレオチドの安定性及び半減期のさらなる例は、国際特許公開の国際公開第2019/118919号パンフレット(その全体が参照により本明細書で援用される)のパラグラフ[0308]~[0309]に記載されている。
【0264】
修飾
環状ポリリボヌクレオチドは、参照配列、特に、親ポリリボヌクレオチドに対する、1つ又は複数の置換、挿入及び/又は付加、欠失、及び共有結合修飾を含んでもよいことは、本開示の範囲内に含まれる。
【0265】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数の転写後修飾(例えば、キャッピング、切断、ポリアデニル化、スプライシング、ポリA配列、メチル化、アシル化、リン酸化、リジン及びアルギニン残基のメチル化、アセチル化、並びにチオール基及びチロシン残基のニトロシル化など)を含む。1つ又は複数の転写後修飾は、RNAにおいて同定されている100を超える異なるヌクレオシド修飾のいずれかなどの任意の転写後修飾であり得る(Rozenski,J,Crain,P,and McCloskey,J.(1999).The RNA Modification Database:1999 update.Nucl Acids Res 27:196-197)。いくつかの実施形態では、第1の単離核酸は、メッセンジャーRNA(mRNA)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、国際特許公開の国際公開第2019/118919A1号パンフレット(その全体が参照により本明細書中に援用される)の[0311]中に記載されるような群から選択される少なくとも1つのヌクレオシドを含む。
【0266】
環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、糖、核酸塩基、又はヌクレオシド間結合(例えば、連結リン酸塩/リン酸ジエステル結合/リン酸ジエステル骨格)に対する任意の有用な修飾を含んでもよい。ピリミジン核酸塩基の1つ又は複数の原子は、任意選択的に置換されたアミノ、任意選択的に置換されたチオール、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、メチル又はエチル)、又はハロ(例えば、クロロ又はフルオロ)で置換(replaced)又は置換(substituted)されてもよい。特定の実施形態では、修飾(例えば、1つ又は複数の修飾)は、糖及びヌクレオシド間結合のそれぞれにおいて存在する。修飾は、リボ核酸(RNA)の、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)又はそれらのハイブリッド)への修飾であってもよい。さらなる修飾は、本明細書中に記載されている。
【0267】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳効率を増加させるための少なくとも1つのN(6)メチルアデノシン(m6A)修飾を含む。いくつかの実施形態では、N(6)メチルアデノシン(m6A)修飾は、環状ポリリボヌクレオチドの免疫原性を低下(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカーのレベルを低下)させ得る。
【0268】
いくつかの実施形態では、修飾は、化学又は細胞誘導修飾を含んでもよい。例えば、細胞内RNA修飾のいくつかの非限定例が、Nat Reviews Mol Cell Biol,2017,18:202-210からのLewis and Pan、“RNA modifications and structures cooperate to guide RNA-protein interactions”によって記載されている。
【0269】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドのリボヌクレオチドに対する化学修飾は、免疫逃避を増強し得る。環状ポリリボヌクレオチドは、当該技術分野で十分に確立された方法、例えば、“Current protocols in nucleic acid chemistry,”Beaucage,S.L.et al.(Eds.),John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY,USA(ここで参照により本明細書中に援用される)に記載されたものによって合成及び/又は修飾されてもよい。修飾は、例えば、末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化(モノ-、ジ-及びトリ-)、コンジュゲーション、逆結合など)、3’末端修飾(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、逆結合など)、塩基修飾(例えば、安定化塩基、不安定化塩基、又はパートナーの拡大されたレパートリーと塩基対を形成する塩基との置換)、塩基の除去(脱塩基ヌクレオチド)、又はコンジュゲート塩基を含む。修飾リボヌクレオチド塩基はまた、5-メチルシチジン及びプソイドウリジンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、塩基修飾は、いくつかの機能的効果を挙げると、環状ポリリボヌクレオチドの、発現、免疫応答、安定性、細胞内局在化を調節し得る。いくつかの実施形態では、修飾は、双直交性のヌクレオチド、例えば、非天然塩基を含む。例えば、Kimoto et al,Chem Commun(Camb),2017,53:12309,DOI:10.1039/c7cc06661a(ここで参照により援用される)を参照されたい。
【0270】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの1つ又は複数のリボヌクレオチドの糖修飾(例えば、2’位又は4’位)又は糖の置換、並びに骨格修飾は、リン酸ジエステル結合の修飾又は置換を含み得る。環状ポリリボヌクレオチドの具体例として、限定はされないが、リン酸ジエステル結合の修飾又は置換を含む、修飾骨格又は非天然ヌクレオシド間結合、例えば、ヌクレオシド間修飾を含む、環状ポリリボヌクレオチドが挙げられる。修飾骨格を有する環状ポリリボヌクレオチドは、特に、骨格内にリン原子を有しないものを含む。本願を意図して、また時として当該技術分野で参照される通り、ヌクレオシド間骨格内にリン原子を有しない修飾RNAはまた、オリゴヌクレオシドと考えることができる。特定の実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ヌクレオシド間骨格内にリン原子を有するリボヌクレオチドを含むことになる。
【0271】
修飾された環状ポリリボヌクレオチド骨格は、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ジチオリン酸、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル及び他のアルキルホスホネート、例えば、3’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネート、ホスフィネート、ホスホロアミデート、例えば、3’-アミノホスホロアミデート及びアミノアルキルホスホロアミデート、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及び正常な3’-5’結合を有するボラノリン酸、これらの2’-5’結合類似体、及びヌクレオシド単位の隣接ペアが、3’-5’と5’-3’又は2’-5’と5’-2’で結合される、反転極性を有するものを含んでもよい。様々な塩、混合塩及び遊離酸形態も含まれる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、負又は正に荷電され得る。
【0272】
環状ポリリボヌクレオチドに組み込まれ得る修飾ヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合(例えば、リン酸塩骨格)に対して修飾され得る。本明細書では、ポリヌクレオチド骨格との関連で、「リン酸塩」及び「リン酸ジエステル」という語句は、互換可能に用いられる。骨格リン酸基は、酸素原子の1つ又は複数を異なる置換基で置換することによって修飾され得る。さらに、修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドは、非修飾リン酸部分の、本明細書に記載のような別のヌクレオシド間結合による大規模な置換を含み得る。修飾リン酸基の例として、限定はされないが、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノリン酸、ボラノリン酸エステル、ホスホン酸水素、ホスホロアミデート、ホスホロジアミデート、アルキル又はアリールホスホネート、及びホスホトリエステルが挙げられる。ジチオリン酸は、硫黄によって置換された両方の非結合酸素を有する。また、リン酸リンカーは、窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)、及び炭素(架橋メチレン-ホスホネート)による結合酸素の置換によって修飾され得る。
【0273】
a-チオ置換リン酸部分は、RNA及びDNAポリマーに非天然ホスホロチオエート骨格結合を介して安定性を与えるように提供される。ホスホロチオエートDNA及びRNAは、細胞環境下で、増強されたヌクレアーゼ抵抗性と、それに続く延長された半減期を有する。環状ポリリボヌクレオチドに連結されたホスホロチオエートは、細胞の自然免疫分子のより弱い結合/活性化を介して自然免疫応答を低減することが予想される。
【0274】
具体的な実施形態では、修飾ヌクレオシドは、α-チオヌクレオシド(例えば、5’-O-(l-チオリン酸)-アデノシン、5’-O-(l-チオリン酸)-シチジン(a-チオ-シチジン)、5’-O-(l-チオリン酸)-グアノシン、5’-O-(l-チオリン酸)-ウリジン、又は5’-O-(1-チオリン酸)-プソイドウリジン)を含む。
【0275】
亜リン酸原子を含まないヌクレオシド間結合を含む、本開示に従って用いられてもよい他のヌクレオシド間結合が、本明細書に記載される。
【0276】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数の細胞傷害性ヌクレオシドを含んでもよい。例えば、細胞傷害性ヌクレオシドは、二機能性修飾などの環状ポリリボヌクレオチドに組み込まれてもよい。細胞傷害性ヌクレオシドは、限定はされないが、アデノシンアラビノシド、5-アザシチジン、4’-チオ-アラシチジン、シクロペンテニルシトシン、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン、シトシンアラビノシド、l-(2-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-アラビノ-ペントフラノシル)-シトシン、デシタビン、5-フルオロウラシル、フルダラビン、フロクスウリジン、ゲムシタビン、テガフール及びウラシルの組み合わせ、テガフール((RS)-5-フルオロ-l-(テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2,4(lH,3H)-ジオン)、トロキサシタビン、テザシタビン、2’-デオキシ-2’-メチリデンシチジン(DMDC)、及び6-メルカプトプリンを含んでもよい。さらなる例として、リン酸フルダラビン、N4-ベヘノイル-l-β-D-アラビノフラノシルシトシン、N4-オクタデシル-1-β-D-アラビノフラノシルシトシン、N4-パルミトイル-l-(2-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-アラビノ-ペントフラノシル)シトシン、及びP-4055(シタラビン5’-エライジン酸エステル)が挙げられる。
【0277】
環状ポリリボヌクレオチドは、分子の全長に沿って均一に修飾されてもされなくてもよい。例えば、ヌクレオチドの1つ又は複数又は全てのタイプ(例えば、天然に存在するヌクレオチド、プリン若しくはピリミジン、又はA、G、U、C、I、pUの任意の1つ若しくは複数若しくは全て)は、環状ポリリボヌクレオチド、又はその所与の所定の配列領域において均一に修飾されてもされなくてもよい。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、プソイドウリジンを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、イノシンを含み、それは環状ポリリボヌクレオチドを内因性RNAとウイルス性のRNAとして特徴づける免疫系に寄与し得る。イノシンの組み込みはまた、RNA安定性の改善/分解の減少を媒介し得る。例えば、Yu,Z.et al.(2015)RNA editing by ADAR1 marks dsRNA as“self”.Cell Res.25,1283-1284(その全体が参照により援用される)を参照されたい。
【0278】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド(又はその所与の配列領域)における全てのヌクレオチドが、修飾される。いくつかの実施形態では、修飾は、発現を増強し得るm6A;免疫応答を減弱し得るイノシン;RNA安定性、又は翻訳リードスルー(スタガー要素)を増強し得るプソイドウリジン、安定性を増強し得るm5C;及び細胞内転位(例えば、核局在化)を補助する2,2,7-トリメチルグアノシンを含んでもよい。
【0279】
異なる糖修飾、ヌクレオチド修飾、及び/又はヌクレオシド間結合(例えば、骨格構造)は、環状ポリリボヌクレオチド中の様々な位置に存在してもよい。当業者は、ヌクレオチド類似体又は他の修飾が環状ポリリボヌクレオチドの任意の位置に位置し得ることで、環状ポリリボヌクレオチドの機能が実質的に低下しないことを理解するであろう。修飾はまた、非コード領域修飾であってもよい。環状ポリリボヌクレオチドは、(全ヌクレオチド含量、又はヌクレオチドの1つ若しくは複数のタイプ、即ち、A、G、U若しくはCの任意の1つ若しくは複数のいずれかに対して)約1%~約100%、又は任意の間の百分率(例えば、1%~20%>、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、及び95%~100%)の修飾ヌクレオチドを含んでもよい。
【0280】
構造
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、高次構造、例えば、二次又は三次構造を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの相補的セグメントは、ペア間、例えば、A-U及びC-G間の水素結合で共に維持された、二本鎖セグメントに自らフォールディングする。いくつかの実施形態では、ステムとしても知られるらせん体が分子内的に形成され、それはエンドループに連結された二本鎖セグメントを有する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、疑似二本鎖二次構造を有する少なくとも1つのセグメントを有する。いくつかの実施形態では、疑似二本鎖二次構造を有するセグメントは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、又はそれ以上の対合ヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、疑似二本鎖二次構造を有する1つ又は複数のセグメント(例えば、2、3、4、5、6、又はそれ以上)を有する。いくつかの実施形態では、セグメントは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、又はそれ以上のヌクレオチドだけ分離される。
【0281】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの1つ又は複数の配列は、実質的に一本鎖の領域及び二本鎖の領域を含む。いくつかの実施形態では、一本鎖対二本鎖の比は、環状ポリリボヌクレオチドの機能性に影響し得る。
【0282】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの1つ又は複数の配列は、実質的に一本鎖である。いくつかの実施形態では、実質的に一本鎖である環状ポリリボヌクレオチドの1つ又は複数の配列は、タンパク質又はRNA結合部位を含んでもよい。いくつかの実施形態では、実質的に一本鎖である環状ポリリボヌクレオチド配列は、立体構造的に柔軟であることで、相互作用の増強を可能にし得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの配列は、タンパク質又は核酸結合に対して結合又は増強するような二次構造を含むことを意図して改変される。
【0283】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの結合部位、例えば、少なくとも1つのタンパク質結合部位、少なくとも1つのmiRNA結合部位、少なくとも1つのlncRNA結合部位、少なくとも1つのtRNA結合部位、少なくとも1つのrRNA結合部位、少なくとも1つのsnRNA結合部位、少なくとも1つのsiRNA結合部位、少なくとも1つのpiRNA結合部位、少なくとも1つのsnoRNA結合部位、少なくとも1つのsnRNA結合部位、少なくとも1つのexRNA結合部位、少なくとも1つのscaRNA結合部位、少なくとも1つのY RNA結合部位、少なくとも1つのhnRNA結合部位、及び/又は少なくとも1つのtRNAモチーフを有する。
【0284】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、高次構造、例えば、国際特許公開の国際公開第2019/118919A1号パンフレット(その全体が参照により本明細書中に援用される)に記載のものを含むように設計される。
【0285】
産生方法
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、非天然であり、組み換え技術(例えば、DNAプラスミドを用いてインビトロで得られる)、化学合成、又はそれらの組合せを用いて生成され得るデオキシリボ核酸配列を含む。
【0286】
RNA環を生成するのに使用されるDNA分子が、天然の元の核酸配列のDNA配列、その修飾形態、又は自然界で通常見られない合成ポリペプチド(例えば、キメラ分子又は融合タンパク質、例えば、複数の免疫原を含む融合タンパク質)をコードするDNA配列を含み得ることは、本開示の範囲内である。DNA及びRNA分子は、限定はされないが、部位特異的突然変異誘発、突然変異を誘発するための核酸分子の化学的処理、核酸フラグメントの制限酵素切断、核酸フラグメントのライゲーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅及び/又は核酸配列の選択された領域の突然変異誘発、オリゴヌクレオチド混合物の合成及び核酸分子の混合物を「構築する」ための混合物群のライゲーション並びにそれらの組合せなど、古典的な突然変異誘発技術及び組み換え技術を含む様々な技術を用いて修飾され得る。
【0287】
環状ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが、化学合成及び酵素的合成を含む任意の利用可能な技術に従って調製され得る。ある実施形態において、線状一次構築物又は線状mRNAは、環状化又はコンカテマー化されて、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを生成し得る。環化又はコンカテマー化の機構は、限定はされないが、化学的、酵素的、スプリントライゲーション)、又はリボザイム触媒方法などの方法によって行われ得る。新たに形成される5’-/3’-結合は、分子内結合又は分子間結合であり得る。
【0288】
本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを作製する方法は、例えば、Khudyakov & Fields,Artificial DNA:Methods and Applications,CRC Press(2002);in Zhao,Synthetic Biology:Tools and Applications,(First Edition),Academic Press(2013);及びEgli & Herdewijn,Chemistry and Biology of Artificial Nucleic Acids,(First Edition),Wiley-VCH(2012)に記載されている。
【0289】
環状ポリリボヌクレオチドを合成する様々な方法がまた、当該技術分野において記載されている(例えば、それぞれの内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6210931号明細書、米国特許第5773244号明細書、米国特許第5766903号明細書、米国特許第5712128号明細書、米国特許第5426180号明細書、米国特許出願公開第20100137407号明細書、国際公開第1992001813号パンフレット及び国際公開第2010/084371号パンフレットを参照されたい)。
【0290】
環状化
ある実施形態において、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドは、環状化又はコンカテマー化され得る。ある実施形態において、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドは、製剤化及び/又は送達前にインビトロで環状化され得る。ある実施形態において、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドは、細胞内で環状化され得る。
【0291】
a.細胞外環状化
ある実施形態において、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドは、化学的方法を用いて環状化又はコンカテマー化されて、環状ポリリボヌクレオチドを形成する。ある化学的方法において、核酸(例えば、環状化のための線状ポリリボヌクレオチド)の5’末端及び3’末端は、互いに近づけると、分子の5’末端と3’末端との間で新たな共有結合を形成し得る化学的に反応性の基を含む。5’末端は、NHSエステル反応性基を含有し得、3’末端は、3’-アミノ末端ヌクレオチドを含有し得、有機溶媒中において、線状RNA分子の3’末端における3’-アミノ末端ヌクレオチドが、5’-NHS-エステル部分上で求核攻撃を起こして、新たな5’-/3’-アミド結合を形成するようになっている。
【0292】
ある実施形態において、DNA又はRNAリガーゼを用いて、5’-リン酸化核酸分子(例えば、環状化のための線状ポリリボヌクレオチド)を核酸(例えば、線状核酸)の3’-ヒドロキシル基に酵素的に連結して、新たなホスホロジエステル結合を形成する。例の反応において、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドは、製造業者のプロトコルに従って1~10単位のT4 RNAリガーゼと共に1時間にわたって37℃でインキュベートされる(New England Biolabs,Ipswich,MA)。ライゲーション反応は、酵素的ライゲーション反応を補助するために並んだ5’-及び3’-領域の両方と塩基対合することが可能な線状核酸の存在下で起こり得る。ある実施形態において、ライゲーションは、スプリントライゲーションである。例えば、SplintR(登録商標)リガーゼのようなスプリントリガーゼがスプリントライゲーションに使用され得る。スプリントライゲーションでは、一本鎖RNAのような一本鎖ポリヌクレオチド(スプリント)は、2つの末端が一本鎖スプリントとのハブリダイゼーション時に並置され得るように線状ポリリボヌクレオチドの両方の末端とハイブリダイズするように設計され得る。したがって、スプリントリガーゼは、線状環状ポリリボヌクレオチドの並置される2つの末端のライゲーションを触媒して、環状ポリリボヌクレオチドを生成し得る。
【0293】
ある実施形態において、DNA又はRNAリガーゼは、環状ポリヌクレオチドの合成に使用される。ある実施形態において、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドの5’末端又は3’末端のいずれかは、インビトロ転写中、得られる環状化のための線状ポリリボヌクレオチドが、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドの5’末端を環状化のための線状ポリリボヌクレオチドの3’末端にライゲートすることが可能な活性リボザイム配列を含むように、リガーゼリボザイム配列をコードし得る。リガーゼリボザイムは、グループIイントロン、デルタ肝炎ウイルス、ヘアピン型リボザイムに由来し得るか、又はSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの体系的な進化)によって選択され得る。リボザイムリガーゼ反応は、0~37℃の温度で1~24時間行われ得る。
【0294】
ある実施形態において、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの非核酸部分を用いることによって環状化又はコンカテマー化される。一態様において、少なくとも1つの非核酸部分は、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドを環状化又はコンカテマー化するために、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドの5’末端の近傍及び/又は3’末端の近傍の領域又は特徴と反応し得る。別の態様において、少なくとも1つの非核酸部分は、環状化のための線状ポリリボヌクレオチド5’末端及び/又は3’末端に位置するか又は連結されるか又はその近傍にあり得る。考えられる非核酸部分は、同種又は異種であり得る。非限定的な例として、非核酸部分は、疎水性結合、イオン結合、生分解性結合及び/又は切断可能な結合などの結合であり得る。別の非限定的な例として、非核酸部分は、ライゲーション部分である。さらに別の非限定的な例として、非核酸部分は、本明細書に記載されるアプタマー又は非核酸リンカーなどのオリゴヌクレオチド又はペプチド部分であり得る。
【0295】
ある実施形態において、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドは、環状化のための線状ポリリボヌクレオチド5’及び3’末端における、その近傍における若しくはそのような5’及び3’末端に連結された、原子間、分子表面間の吸引力を引き起こす非核酸部分により、環状化又はコンカテマー化される。非限定的な例として、1つ以上の環状化のための線状ポリリボヌクレオチドは、分子間力又は分子内力によって環状化又はコンカテマー化され得る。分子間力の非限定的な例としては、双極子-双極子力、双極子-誘起双極子力、誘起双極子-誘起双極子力、ファン・デル・ワールス力及びロンドン分散力が挙げられる。分子内力の非限定的な例としては、共有結合、金属結合、イオン結合、共鳴結合、アグノスティック結合(agnostic bond)、双極子結合、共役、超共役及び反結合が挙げられる。
【0296】
ある実施形態において、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドは、5’末端の近傍及び3’末端の近傍にリボザイムRNA配列を含み得る。リボザイムRNA配列は、配列がリボザイムの残りの部分に曝されるとき、ペプチドに共有結合し得る。一態様において、5’末端及び3’末端の近傍でリボザイムRNA配列に共有結合されたペプチドは、互いに結合して、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドを環状化又はコンカテマー化させ得る。別の態様において、5’末端及び3’末端の近傍でリボザイムRNAに共有結合されたペプチドは、限定はされないが、タンパク質ライゲーションなどの当該技術分野において公知の様々な方法を用いたライゲーションに線状一次構築物又は線状mRNAを供した後、それらを環状化又はコンカテマー化させ得る。本開示の線状一次構築物若しくは線状RNAに使用するためのリボザイムの非限定的な例又はペプチドを組み込み且つ/又は共有結合するための方法の非限定的な一覧が米国特許出願公開第20030082768号明細書に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0297】
ある実施形態において、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、5’トリホスフェートをRNA 5’ピロホスホヒドロラーゼ(RppH)又はATPジホスホヒドロラーゼ(アピラーゼ)と接触させることによって5’モノホスフェートに転化される核酸の5’トリホスフェートを含み得る。代わりに、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドの5’トリホスフェートを5’モノホスフェートに転化することは、(a)環状化のための線状ポリリボヌクレオチドの5’ヌクレオチドをホスファターゼ(例えば、アンタークティック(Antarctic)ホスファターゼ、エビ由来アルカリホスファターゼ、又は仔牛小腸由来ホスファターゼ)と接触させて、3つ全てのホスフェートを除去する工程;及び(b)工程(a)後の5’ヌクレオチドを、1つのホスフェートを追加するキナーゼ(例えば、ポリヌクレオチドキナーゼ)と接触させる工程を含む2工程反応によって行われ得る。
【0298】
ある実施形態において、本明細書において提供される環状化方法の環状化効率は、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は100%である。ある実施形態において、本明細書において提供される環状化方法の環状化効率は、少なくとも約40%である。ある実施形態において、提供される環状化方法は、約10%~約100%の環状化効率を有し;例えば、環状化効率は、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、及び約99%であり得る。ある実施形態において、環状化効率は、約20%~約80%である。ある実施形態において、環状化効率は、約30%~約60%である。ある実施形態において、環状化効率は、約40%である。
【0299】
b.スプライシング要素
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのスプライシング要素を含む。例示的なスプライシング要素が、全体が参照により本明細書に援用される国際特許公開番号国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0270]~[0275]に記載されている。
【0300】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのスプライシング要素を含む。本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドにおいて、スプライシング要素は、環状ポリリボヌクレオチドのスプライシングを媒介し得る完全なスプライシング要素であり得る。或いは、スプライシング要素はまた、完了したスプライシング事象からの残留スプライシング要素であり得る。例えば、ある場合には、線状ポリリボヌクレオチドのスプライシング要素は、線状ポリリボヌクレオチドの環状化をもたらすスプライシング事象を媒介し得、それによって、得られた環状ポリリボヌクレオチドは、このようなスプライシング媒介環状化事象からの残留スプライシング要素を含む。ある場合には、残留スプライシング要素は、いずれのスプライシングも媒介することができない。他の場合、残留スプライシング要素は、特定の状況下で依然としてスプライシングを媒介することができる。ある実施形態において、スプライシング要素は、少なくとも1つの発現配列に隣接している。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接するスプライシング要素を含む。ある実施形態において、スプライシング要素は、各発現配列の1つの側又は両側にあり、発現産物、例えば、ペプチド及び又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0301】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、複製されると、スプライスされた末端が一緒に結合される内部スプライシング要素を含む。いくつかの例は、スプライス部位配列及び短い逆方向反復(30~40nt)、例えばAluSq2、AluJr、及びAluSz、隣接するイントロン中の逆方向配列、隣接するイントロン中のAlu要素、及びバックスプライス(backsplice)事象に近接するcis-配列要素に見られるモチーフ(サプタブル(suptable)4富化モチーフ)、例えば、隣接するエクソンを有するバックスプライス部位の200bp前にある(上流の)又は後ろにある(下流の)配列を有する小型イントロン(<100nt)を含み得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、内部スプライシング要素として本明細書における他の箇所に記載される少なくとも1つの反復ヌクレオチド配列を含む。このような実施形態において、反復ヌクレオチド配列は、イントロンのAluファミリーからの反復配列を含み得る。ある実施形態において、スプライシング反復リボソーム結合タンパク質が、環状ポリリボヌクレオチド生合成(例えば、Muscleblind及びQuaking(QKI)スプライシング因子)を調節し得る。
【0302】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドの頭-尾結合に隣接する標準スプライス部位を含み得る。
【0303】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2つの3-ヌクレオチドバルジが隣接する4-塩基対ステムを含むバルジ-ヘリックス-バルジモチーフを含み得る。切断は、バルジ領域中の部位において生じ、末端5’-ヒドロキシル基及び2’、3’-環状ホスフェートを有する特徴的なフラグメントを生成する。環状化は、同じ分子の2’、3’-環状ホスフェートへの5’-OH基の求核攻撃によって進行して、3’、5’-ホスホジエステル架橋を形成する。
【0304】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、HPR要素を有する多量体反復RNA配列を含み得る。HPRは、2’,3’-環状ホスフェート及び5’-OH末端を含む。HPR要素は、環状化のために線状ポリリボヌクレオチドの5’-及び3’末端を自己プロセシングし、それによって末端を一緒にライゲートする。
【0305】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己スプライシング要素を含み得る。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)からのイントロンを含み得る。
【0306】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己ライゲーションを媒介する配列を含み得る。一実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己ライゲートするためのHDV配列(例えば、HDV複製ドメイン保存配列、GGCUCAUCUCGACAAGAGGCGGCAGUCCUCAGUACUCUUACUCUUUUCUGUAAAGAGGAGACUGCUGGACUCGCCGCCCAAGUUCGAGCAUGAGCC(配列番号5)又はGGCUAGAGGCGGCAGUCCUCAGUACUCUUACUCUUUUCUGUAAAGAGGAGACUGCUGGACUCGCCGCCCGAGCC(配列番号6))を含み得る。一実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己ライゲートするためのループE配列(例えば、PSTVd中)を含み得る。別の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己環状化イントロン、例えば、5’及び3’スプライス結合、又は自己環状化触媒イントロン、例えば、グループI、グループII又はグループIIIイントロンを含み得る。グループIイントロン自己スプライシング配列の非限定的な例は、T4バクテリオファージ遺伝子tdに由来する自己スプライシング置換イントロン-エクソン配列、及びテトラヒメナ属(Tetrahymena)の介在配列(IVS)rRNAを含み得る。
【0307】
他の環状化方法
ある実施形態において、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドは、個々のイントロン内に又は隣接するイントロンにわたって反復又は非反復核酸配列を含む相補的配列を含み得る。反復核酸配列は、環状ポリリボヌクレオチドのセグメント内に存在する配列である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、反復核酸配列を含む。ある実施形態において、反復ヌクレオチド配列は、ポリCA又はポリUG配列を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドの別のセグメント中の相補的な反復核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの反復核酸配列を含み、ハイブリダイズされたセグメントが内部二本鎖を形成する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1~10の間(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10)の反復核酸配列であって、環状ポリリボヌクレオチドの別のセグメント内の相補的な反復核酸配列にハイブリダイズし、ハイブリダイズされたセグメントが内部二本鎖を形成する、反復核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、2つの反復核酸配列であって、環状ポリリボヌクレオチドの別のセグメント内の相補的な反復核酸配列にハイブリダイズし、ハイブリダイズされたセグメントが内部二本鎖を形成する、反復核酸配列を含む。ある実施形態において、2つの別個の環状ポリリボヌクレオチドからの反復核酸配列及び相補的な反復核酸配列がハイブリダイズして、単一の環状化ポリリボヌクレオチドを生成し、ハイブリダイズされたセグメントが内部二本鎖を形成する。ある実施形態において、相補的配列は、環状化のための線状ポリリボヌクレオチドの5’及び3’末端において見られる。ある実施形態において、相補的配列は、約3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100又はそれを超える対合ヌクレオチドを含む。
【0308】
ある実施形態において、環状化の化学的方法が、環状ポリリボヌクレオチドを生成するのに使用され得る。このような方法としては、限定はされないが、クリック化学(例えば、アルキン及びアジドに基づく方法又はクリック可能な塩基)、オレフィンメタセシス、ホスホロアミデートライゲーション、ヘミアミナール-イミン架橋、塩基修飾及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0309】
ある実施形態において、環状化の酵素的方法は、環状ポリリボヌクレオチドを生成するのに使用され得る。ある実施形態において、ライゲーション酵素、例えばDNA又はRNAリガーゼは、環状ポリリボヌクレアーゼ若しくは相補体の鋳型、環状ポリリボヌクレアーゼの相補鎖又は環状ポリリボヌクレアーゼを生成するのに使用され得る。
【0310】
環状ポリリボヌクレオチドの環状化は、当該技術分野において公知の方法、例えばNucleic Acids Res,2015,43(4):2454-2465からのPetkovic及びMullerによる“RNA circularization strategies in vivo and in vitro”及びRNA Biol,2017,14(8):1018-1027からのMuller及びAppelによる“In vitro circularization of RNA”に記載されているものによって行われ得る。
【0311】
環状ポリリボヌクレオチドは、複製に有用な配列及び/又はモチーフをコードし得る。例示的な複製要素が、全体が参照により本明細書に援用される国際特許公開番号国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0280]~[0286]に記載されている。
【0312】
環状ポリリボヌクレオチドの精製
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、精製され、例えば、遊離リボ核酸、線状又はニックRNA、DNA、タンパク質などは、除去される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、当該技術分野で一般に用いられる任意の公知の方法によって精製されてもよい。非限定的な精製方法の例として、カラムクロマトグラフィー、ゲル切除、サイズ排除などが挙げられる。
【0313】
送達
本明細書に記載の環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、担体を有する医薬組成物又は担体を有しない医薬組成物に含まれてもよい。
【0314】
本明細書に記載の医薬組成物は、例えば、薬学的担体及び/又は高分子担体、例えば、リポソームなどの担体を含むように製剤化され、それを必要とする対象(例えば、ヒト又は非ヒトの農業用又は家畜用動物、例えば、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、家禽)に公知の方法によって送達されてもよい。そのような方法として、限定はされないが、トランスフェクション(例えば、脂質媒介性、カチオン性ポリマー、リン酸カルシウム、デンドリマー);エレクトロポレーション又は膜破壊の他の方法(例えば、ヌクレオフェクション)、ウイルス送達(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、AAV)、マイクロインジェクション、微粒子銃(「遺伝子銃」)、fugene、直接音波負荷、細胞圧迫、光学トランスフェクション、プロトプラスト融合、インパレフェクション、マグネトフェクション、エキソソーム媒介移行、脂質ナノ粒子媒介移行、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。送達の方法はまた、例えば、Gori et al.,Delivery and Specificity of CRISPR/Cas9 Genome Editing Technologies for Human Gene Therapy.Human Gene Therapy.July 2015,26(7):443-451.doi:10.1089/hum.2015.074;及びZuris et al.Cationic lipid-mediated delivery of proteins enables efficient protein-based genome editing in vitro and in vivo.Nat Biotechnol.2014 Oct 30;33(1):73-80に記載されている。
【0315】
いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、「ネイキッド」送達製剤で送達されてもよい。ネイキッド送達製剤は、担体の補助なしに、また環状若しくは線状ポリリボヌクレオチドの共有結合修飾又は環状若しくは線状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全なカプセル封入を伴わずに、環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達する。
【0316】
ネイキッド送達製剤は、担体から遊離された製剤であり、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、細胞への送達を補助する部分に結合する共有結合修飾を伴わず、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、部分的でなく、又は完全にカプセル封入される。いくつかの実施形態では、細胞への送達を補助する部分に結合する共有結合修飾を伴わない環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、細胞への送達を補助するタンパク質、小分子、粒子、ポリマー、又は生体高分子などの部分に共有結合的に結合されないポリリボヌクレオチドであってもよい。いくつかの実施形態では、環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、プロタミン又はプロタミン塩(例えば、プロタミン硫酸塩)を有する送達製剤で送達されてもよい。
【0317】
細胞への送達を補助する部分に結合する共有結合修飾を伴わないポリリボヌクレオチドは、修飾リン酸基を含まなくてもよい。例えば、細胞への送達を補助する部分に結合する共有結合修飾を伴わないポリリボヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノリン酸、ボラノリン酸エステル、ホスホン酸水素、ホスホロアミデート、ホスホロジアミデート、アルキル若しくはアリールホスホネート、又はホスホトリエステルを含まなくてもよい。
【0318】
いくつかの実施形態では、ネイキッド送達製剤は、トランスフェクション試薬、カチオン性担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体を含まなくてもよい。例えば、ネイキッド送達製剤は、コハク酸フィトグリコーゲンオクテニル、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリン、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、l-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N\N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHC1)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(l,2-ジミリスチルオキシプロプ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンを含まなくてもよい。
【0319】
ネイキッド送達製剤は、非担体賦形剤(non-carrier excipient)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、非担体賦形剤は、活性細胞の透過効果を示さない不活性成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、非担体賦形剤は、緩衝剤、例えば、PBSを含んでもよい。いくつかの実施形態では、非担体賦形剤は、溶媒、非水性溶媒、希釈剤、懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存剤、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤、平滑剤、又は油であってもよい。
【0320】
いくつかの実施形態では、ネイキッド送達製剤は、非経口的に許容できる希釈剤などの希釈剤を含んでもよい。希釈剤(例えば、非経口的に許容できる希釈剤)は、液体希釈剤又は固体希釈剤であってもよい。いくつかの実施形態では、希釈剤(例えば、非経口的に許容できる希釈剤)は、RNA可溶化剤、緩衝剤、又は等張剤であってもよい。RNA可溶化剤の例として、水、エタノール、メタノール、アセトン、ホルムアミド、及び2-プロパノールが挙げられる。緩衝剤の例として、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、ビストリス、2-[(2-アミノ-2-オキソエチル)-(カルボキシメチル)アミノ]酢酸(ADA)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(ヘペス)、トリス、トリシン、Gly-Gly、ビシン、又はリン酸が挙げられる。等張剤の例として、グリセリン、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トレハロース、又はスクロースが挙げられる。
【0321】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるような医薬調製物、本明細書で開示されるような医薬組成物、開示のような医薬品原体、又は本明細書で開示されるような医薬品製剤は、非経口的な核酸送達系に含まれる。親核酸送達系は、本明細書で開示されるような医薬調製物、本明細書で開示されるような医薬組成物、開示のような医薬品原体、又は本明細書で開示されるような医薬品製剤、及び非経口的に許容できる希釈剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、非経口的な核酸送達系における本明細書で開示されるような医薬調製物、本明細書で開示されるような医薬組成物、開示のような医薬品原体、又は本明細書で開示されるような医薬品製剤は、担体を全く含まない。
【0322】
本開示は、本明細書に記載の環状又は線状ポリリボヌクレオチドを含む宿主又は宿主細胞をさらに対象とする。いくつかの実施形態では、宿主又は宿主細胞は、脊椎動物、哺乳動物(例えば、ヒト)、又は他の生物若しくは細胞である。
【0323】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、参照化合物、例えば、記載された環状ポリリボヌクレオチドに対応する線状ポリヌクレオチド又はエンクリプトゲンを欠いている環状ポリリボヌクレオチドによって誘起される応答と比較して、低下した宿主の免疫系による望ましくない応答を有するか、又はそれを生成できない。実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、宿主において非免疫原性である。いくつかの免疫応答として、限定はされないが、体液性免疫応答(例えば、免疫原に特異的な抗体の産生)及び細胞媒介免疫応答(例えば、リンパ球増殖)が挙げられる。
【0324】
いくつかの実施形態では、宿主又は宿主細胞は、環状ポリリボヌクレオチド又は線状ポリリボヌクレオチドと接触される(例えば、それに送達又は投与される)。いくつかの実施形態では、宿主は、ヒトなどの哺乳動物である。宿主における環状ポリリボヌクレオチド又は線状ポリリボヌクレオチド、発現産物、又は双方の量は、投与後の任意の時点で測定され得る。特定の実施形態では、培養下の宿主成長の時間経過が測定される。成長が環状ポリリボヌクレオチド又は線状ポリリボヌクレオチドの存在下で増強又は低減される場合、環状ポリリボヌクレオチド又は発現産物又は双方は、宿主の成長を増強又は低減するのに有効なものとして同定される。
【0325】
本明細書に記載のような環状又は線状ポリリボヌクレオチド分子を細胞、組織、又は対象に送達する方法は、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤を細胞、組織、又は対象に投与することを含む。
【0326】
いくつかの実施形態では、細胞は、真核細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、有蹄動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、免疫細胞である。いくつかの実施形態では、組織は、結合組織、筋肉組織、神経組織、又は上皮組織である。いくつかの実施形態では、組織は、臓器(例えば、肝臓、肺、脾臓、腎臓など)である。
【0327】
いくつかの実施形態では、送達する方法は、インビボ方法である。例えば、本明細書に記載のような環状ポリリボヌクレオチドの送達方法は、非経口的にそれを必要とする対象に、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む。別の例として、環状ポリリボヌクレオチドを対象の細胞又は組織に送達する方法は、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤を細胞又は組織に非経口的に投与することを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、対象における生物学的応答を誘発するのに有効な量である。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、対象における細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な量である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、担体を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、希釈剤を含み、担体を全く含まない。
【0328】
いくつかの実施形態では、医薬組成物、医薬品原体、又は医薬品製剤は、非経口的に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物、医薬品原体、又は医薬品製剤は、静脈内に、動脈内に、腹腔内に、皮内に、頭蓋内に、くも膜下腔内に、リンパ内に、皮下に、又は筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、非経口投与は、静脈内、筋肉内、眼科的、皮下、皮内又は局所による。
【0329】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、皮下に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、局所的に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物、医薬品原体、又は医薬品製剤は、気管内に投与される。
【0330】
いくつかの実施形態では、医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、注射によって投与される。投与は、全身投与又は局所投与であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような送達方法のいずれかは、担体を用いて実施される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のようないずれかの送達方法は、担体又は細胞透過剤の補助なしに実施される。
【0331】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド又は環状ポリリボヌクレオチドから翻訳された産物は、投与するステップから少なくとも1日後、少なくとも2日後、少なくとも3日後、少なくとも4日後、又は少なくとも5日後、細胞、組織、又は対象において検出される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド又は環状ポリリボヌクレオチドから翻訳された産物の存在は、投与するステップ前、細胞、組織、又は対象において評価される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド又は環状ポリリボヌクレオチドから翻訳された産物の存在は、投与するステップ後、細胞、組織、又は対象において評価される。
【0332】
製剤
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される医薬製剤は、(i)本明細書で開示される化合物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド);(ii)緩衝剤;(iii)非イオン界面活性剤;(iv)等張化剤;及び/又は(v)安定剤を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される医薬製剤は、(i)本明細書で開示される化合物(例えば、線状ポリリボヌクレオチド);(ii)緩衝剤;(iii)非イオン界面活性剤;(iv)等張化剤;及び/又は(v)安定剤を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される医薬製剤は、安定な液体医薬製剤である。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される医薬製剤は、プロタミン又はプロタミン塩(例えば、プロタミン硫酸塩)を含む。
【0333】
本開示は、上記の環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を提供する。本開示は、上記の線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を提供する。本開示の免疫原性組成物は、希釈剤若しくは担体、アジュバント、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。本開示の免疫原性組成物はまた、1つ又は複数の免疫調節剤、例えば、1つ又は複数のアジュバントを含んでもよい。アジュバントは、以下にさらに考察される、TH1アジュバント及び/又はTH2アジュバントを含んでもよい。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、担体を全く含まない希釈剤を含み、環状ポリリボヌクレオチドの対象へのネイキッド送達に使用される。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、担体を全く含まない希釈剤を含み、線状ポリリボヌクレオチドの対象へのネイキッド送達に使用される。
【0334】
本開示の免疫原性組成物を用いて、対象における免疫応答を産生させる。免疫応答は、好ましくは、保護的であり、好ましくは、抗体応答(通常はIgGを含む)及び/又は細胞媒介免疫応答を含む。例えば、対象は、免疫応答を誘導するため、本開示の環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫される。別の例では、対象は、免疫原に結合する抗体の産生を刺激するため、免疫原を含む線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫される。これらの使用及び方法によって、対象における免疫応答を産生させることにより、対象は、様々な疾患及び/又は感染に対して、例えば、上で考察のような細菌性及び/又はウイルス性疾患に対して保護され得る。特定の実施形態では、免疫原性組成物は、ワクチン組成物である。本開示に従うワクチンは、予防的(即ち、感染を予防するため)又は治療的(即ち、感染を治療するため)のいずれであってもよいが、典型的には予防的となる。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は、動物、好ましくは、哺乳動物、例えば、ヒトである。一実施形態では、対象は、ヒトである。他の実施形態では、対象は、例えば、雌ウシ(例えば、乳牛及び肉牛)、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、イヌ、又はネコから選択される、非ヒト哺乳動物である。他の実施形態では、対象は、鳥類、例えば、雌鳥又は雄鶏、シチメンチョウ、オウムである。いくつかの実施形態では、動物は、マウス又はウサギ又は雌ウシでない。特定の実施形態では、免疫原性組成物が予防用途である場合、ヒトは、小児(例えば、幼児又は乳児)又はティーンエイジャーである。別の実施形態では、免疫原性組成物が治療用途である場合、ヒトは、ティーンエイジャー又は成人である。また、小児用が意図される免疫原性組成物は、例えば、安全性、用量、免疫原性などを評価するため、成人に投与されてもよい。
【0335】
本開示に従って調製された免疫原性組成物を用いて、小児及び成人の双方を治療してもよい。ヒト対象は、1歳未満、5歳未満、1~5歳、5~15歳、15~55歳、又は少なくとも55歳であってもよい。特定の実施形態では、免疫原性組成物を投与するヒト対象は、高齢者(例えば、≧50歳、≧60歳、及び≧65歳)、若年者(例えば、≦5歳)、入院患者、医療従事者、軍職員(armed service and military personnel)、妊婦、慢性疾患、又は免疫不全患者である。免疫原性組成物は、これらの群に対して単独で適さないが、集団内でより一般的に使用されてもよい。
【0336】
いくつかの実施形態では、対象は、アジュバントでさらに免疫される。いくつかの実施形態では、対象は、ワクチンでさらに免疫される。
【0337】
免疫化
ある実施形態において、本開示の方法は、対象を、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化することを含む。ある実施形態において、免疫原は、環状ポリリボヌクレオチドから発現される。ある実施形態において、免疫化は、環状ポリリボヌクレオチドから発現される免疫原に対する、対象における免疫応答を誘導する。ある実施形態において、免疫化は、対象における免疫反応を誘導する(例えば、環状ポリリボヌクレオチドから発現される免疫原に結合する抗体の産生を誘導する)。ある実施形態において、免疫原性組成物は、単一の組成物中に環状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤、担体、第1のアジュバント又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、対象は、第2のアジュバントでさらに免疫化される。ある実施形態において、対象は、ワクチンでさらに免疫化される。
【0338】
ある実施形態において、本開示の方法は、対象を、本明細書に開示される線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化することを含む。ある実施形態において、免疫原は、線状ポリリボヌクレオチドから発現される。ある実施形態において、免疫化は、線状ポリリボヌクレオチドから発現される免疫原に対する、対象における免疫応答を誘導する。ある実施形態において、免疫化は、線状ポリリボヌクレオチドから発現される免疫原に結合する抗体の産生を誘導する。いくつかの実施形態では、免疫は、細胞媒介免疫応答を誘導する。ある実施形態において、免疫原性組成物は、単一の組成物中に線状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤、担体、第1のアジュバント又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、対象は、第2のアジュバントでさらに免疫化される。ある実施形態において、対象は、ワクチンでさらに免疫化される。
【0339】
対象は、いくつもの環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。対象は、例えば、少なくとも1つの環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。非ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20の異なる環状ポリリボヌクレオチド、又はそれ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、1つ以下の環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、20以下の異なる環状ポリリボヌクレオチド、又は21未満の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、約1つの環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、又は約20の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、約1~20、1~15、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~20、2~15、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~20、3~15、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~20、4~15、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、4~4、4~3、5~20、5~15、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、5~10、10~15、又は15~20の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。異なる環状ポリリボヌクレオチドは、互いに異なる配列を有する。例えば、それらは、異なる免疫原、重複免疫原、類似の免疫原、又は同じ免疫原(例えば、同じか又は異なる調節要素、開始配列、プロモータ、終止要素、又は本開示の他の要素と共に)を含むか又はコードし得る。対象が、2つ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される場合、2つ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドは、同じか又は異なる免疫原性組成物中にあり、同時に又は異なる時点で免疫化され得る。2つ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物は、同じ解剖学的位置又は異なる解剖学的位置に投与され得る。
【0340】
対象は、いくつもの線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化され得る。対象は、例えば、少なくとも1つの線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。非ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20の異なる線状ポリリボヌクレオチド、又はそれ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、1つ以下の線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、20以下の異なる線状ポリリボヌクレオチド、又は21未満の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、約1つの線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、又は約20の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、約1~20、1~15、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~20、2~15、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~20、3~15、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~20、4~15、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、4~4、4~3、5~20、5~15、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、5~10、10~15、又は15~20の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。異なる線状ポリリボヌクレオチドは、互いに異なる配列を有する。例えば、それらは、異なる免疫原、重複免疫原、類似の免疫原、又は同じ免疫原(例えば、同じか又は異なる調節要素、開始配列、プロモータ、終止要素、又は本開示の他の要素と共に)を含むか又はコードし得る。対象が、2つ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される場合、2つ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドは、同じか又は異なる免疫原性組成物中にあり得、同時に又は異なる時点で免疫化され得る。2つ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物は、同じ解剖学的位置又は異なる解剖学的位置に投与され得る。
【0341】
2つ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドは、本明細書に開示される同じ供給源、異なる供給源、又は供給源の異なる組合せからの免疫原を含むか又はコードし得る。2つ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドは、同じウイルス又は異なるウイルス、例えば、異なる分離株からの免疫原を含むか又はコードし得る。
【0342】
ある実施形態において、対象は、いくつもの環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物及び本明細書に開示されるいくつもの線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、本明細書に開示される免疫原性組成物は、本明細書に開示される1つ以上の環状ポリリボヌクレオチド及び1つ以上の線状ポリリボヌクレオチドを含む。
【0343】
ある実施形態において、免疫原性組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤、担体、第1のアジュバント、又はそれらの組合せを含む。特定の実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド及び担体、又は担体を含まない希釈剤を含む。ある実施形態において、担体を含まない希釈剤と共に環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、対象への環状ポリリボヌクレオチドのネイキッド送達に使用される。別の特定の実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド及び第1のアジュバントを含む。
【0344】
特定の実施形態において、対象に、第2のアジュバントがさらに投与される。アジュバントは、自然免疫応答を促進し、これが、ひいては、対象における適応免疫応答を促進する。アジュバントは、後述される任意のアジュバントであり得る。特定の実施形態において、アジュバントは、免疫原性組成物の一部として環状ポリリボヌクレオチドと共に配合される。特定の実施形態において、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の一部でない。特定の実施形態において、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と別々に投与される。この態様において、アジュバントは、対象に環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と共投与されるか(例えば、同時に投与される)又は異なる時点で投与される。例えば、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間後、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の後に投与される。ある実施形態において、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間前、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の前に投与される。例えば、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日後、又はそれらの間の任意の日数の後に投与される。ある実施形態において、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日前、又はそれらの間の任意の日数の前に投与される。アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と同じ解剖学的位置又は異なる解剖学的位置に投与される。
【0345】
ある実施形態において、免疫原性組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤、担体、第1のアジュバント、又はそれらの組合せを含む。特定の実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド及び担体、又は担体を含まない希釈剤を含む。ある実施形態において、担体を含まない希釈剤と共に線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、対象(例えば、免疫化のための対象)への線状ポリリボヌクレオチドのネイキッド送達に使用される。別の特定の実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド及び第1のアジュバントを含む。
【0346】
特定の実施形態において、対象に、第2のアジュバントがさらに投与される。アジュバントは、自然免疫応答を促進し、これが、ひいては、対象における適応免疫応答を促進する。アジュバントは、後述される任意のアジュバントであり得る。特定の実施形態において、アジュバントは、免疫原性組成物の一部として線状ポリリボヌクレオチドと共に配合される。特定の実施形態において、アジュバントは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の一部でない。特定の実施形態において、アジュバントは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と別々に投与される。この態様において、アジュバントは、対象に線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と共投与されるか(例えば、同時に投与される)又は異なる時点で投与される。例えば、アジュバントは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間後、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の後に投与される。ある実施形態において、アジュバントは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間前、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の前に投与される。例えば、アジュバントは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日後、又はそれらの間の任意の日数の後に投与される。ある実施形態において、アジュバントは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日前、又はそれらの間の任意の日数の前に投与される。アジュバントは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と同じ解剖学的位置又は異なる解剖学的位置に投与される。
【0347】
ある実施形態において、対象は、環状ポリリボヌクレオチドでない第2の薬剤、例えば、ワクチン(後述されるような)でさらに免疫化される。ワクチンは、対象に環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と共投与されるか(例えば、同時に投与される)又は異なる時点で投与される。例えば、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間後、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の後に投与される。ある実施形態において、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間前、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の前に投与される。例えば、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日後、又はそれらの間の任意の日数の後に投与される。ある実施形態において、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日後、又はそれらの間の任意の日数の後に投与される。
【0348】
ある実施形態において、対象は、線状ポリリボヌクレオチドでない第2の薬剤、例えば、ワクチン(後述されるような)でさらに免疫化される。ワクチンは、対象に線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と共投与されるか(例えば、同時に投与される)又は異なる時点で投与される。例えば、ワクチンは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間後、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の後に投与される。ある実施形態において、ワクチンは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間前、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の前に投与される。例えば、ワクチンは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日後、又はそれらの間の任意の日数の後に投与される。ある実施形態において、ワクチンは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日前、又はそれらの間の任意の日数の前に投与される。
【0349】
対象は、所望される応答を得るため、任意の好適な回数にわたり、免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせで免疫され得る。例えば、プライムブースト免疫法を利用し、系統的及び/又は粘膜免疫を誘発することができる。対象は、例えば、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、又は少なくとも15回、又はそれ以上にわたり、本開示の、免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせで免疫され得る。
【0350】
いくつかの実施形態では、対象は、最高で2回、最高で3回、最高で4回、最高で5回、最高で6回、最高で7回、最高で8回、最高で9回、最高で10回、最高で15回、又は最高で20回、又はそれ以下にわたり、本開示の、免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせで免疫され得る。
【0351】
いくつかの実施形態では、対象は、約1回、約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、約10回、約15回、又は約20回にわたり、本開示の、免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせで免疫され得る。
【0352】
いくつかの実施形態では、対象は、本開示の、免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせで1回免疫され得る。いくつかの実施形態では、対象は、本開示の、免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせで2回免疫され得る。いくつかの実施形態では、対象は、本開示の、免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせで3回免疫され得る。いくつかの実施形態では、対象は、本開示の、免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせで4回免疫され得る。いくつかの実施形態では、対象は、本開示の、免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせで5回免疫され得る。いくつかの実施形態では、対象は、本開示の、免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせで7回免疫され得る。
【0353】
好適な時間間隔は、2回以上の免疫化の間隔を空けるように選択され得る。時間間隔は、同じ免疫原性組成物、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せによる複数回の免疫化に適用され得、例えば、同じ免疫原性組成物、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せが、同じ免疫化経路又は異なる免疫化経路を介して、同じ量又は異なる量で投与され得る。時間間隔は、異なる免疫原性組成物、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせでの複数回の免疫に適用することができ、例えば、異なる免疫原性組成物、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組み合わせは、同じ量又は異なる量で、同じ免疫経路又は異なる免疫経路を介して投与され得る。時間間隔は、異なる薬剤、例えば、第1の環状ポリリボヌクレオチドを含む第1の免疫原性組成物及び第2の環状ポリリボヌクレオチドを含む第2の免疫原性組成物での免疫に適用することができる。時間間隔は、異なる薬剤、例えば、第1の環状ポリリボヌクレオチドを含む第1の免疫原性組成物及びタンパク質免疫原(例えば、タンパク質サブユニット)を含む第2の免疫原性組成物での免疫に適用することができる。時間間隔は、第1の線状ポリリボヌクレオチドを含む第1の免疫原性組成物及び第2の線状ポリリボヌクレオチドを含む第2の免疫原性組成物に適用され得る。3回以上の免疫化を含むレジメンでは、免疫化の間の時間間隔は、同じか又は異なり得る。いくつかの例では、2回の免疫化の間に、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、17、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、40、48、又は72時間が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、17、18、20、21、24、28、又は30日が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、約1、2、3、4、5、6、7、又は8週間が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、約1、2、3、4、5、6、7、又は8ケ月が経過する。
【0354】
ある実施形態において、2回の免疫化の間に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも24、少なくとも36、若しくは少なくとも72時間、又はそれ以上が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、1時間以下、2時間以下、3時間以下、4時間以下、5時間以下、6時間以下、7時間以下、8時間以下、9時間以下、10時間以下、15時間以下、20時間以下、24時間以下、36時間以下、若しくは72時間以下、又はそれ以下が経過する。
【0355】
ある実施形態において、2回の免疫化の間に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26 少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、若しくは少なくとも30日、又はそれ以上が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、2日以下、3日以下、4日以下、5日以下、6日以下、7日以下、8日以下、9日以下、10日以下、15日以下、20日以下、21日以下、22日以下、23日以下、24日以下、25日以下、26日以下、27日以下、28日以下、29日以下、30日以下、32日以下、34日以下、若しくは36日以下、又はそれ以下が経過する。
【0356】
ある実施形態において、2回の免疫化の間に、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、若しくは少なくとも8週間、又はそれ以上が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、2週間以下、3週間以下、4週間以下、5週間以下、6週間以下、7週間以下、8週間以下、又はそれ以下が経過する。
【0357】
ある実施形態において、2回の免疫化の間に、少なくとも1ケ月、少なくとも2ケ月、少なくとも3ケ月、少なくとも4ケ月、少なくとも5ケ月、少なくとも6ケ月、少なくとも7ケ月、若しくは少なくとも8ケ月、又はそれ以上が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、2ケ月以下、3ケ月以下、4ケ月以下、5ケ月以下、6ケ月以下、7ケ月以下、8ケ月以下、9ケ月以下、10ケ月以下、11ケ月以下、12ケ月以下、又はそれ以下が経過する。
【0358】
いくつかの実施形態では、本方法は、免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドに対する免疫原性応答を改善するため、薬剤を対象に前投与することを含む。ある実施形態において、薬剤は、本明細書に開示される免疫原(例えば、タンパク質免疫原)である。例えば、本方法は、タンパク質免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドの投与の1~7日前に、タンパク質免疫原を投与することを含む。ある実施形態において、タンパク質免疫原は、タンパク質免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。例えば、本方法は、タンパク質免疫原をコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチドの投与の1~7日前にタンパク質免疫原を投与することを含む。ある実施形態において、タンパク質免疫原は、タンパク質免疫原をコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチドの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。タンパク質免疫原は、タンパク質製剤として投与され得るか、プラスミド(pDNA)においてコードされ得るか、ウイルス様粒子(VLP)において提示され得るか、脂質ナノ粒子中で製剤化され得るかなどである。
【0359】
いくつかの実施形態では、本方法は、免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドが対象に投与された後、免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドに対する免疫原性応答を改善するため、薬剤を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、本明細書で開示されるような免疫原(例えば、タンパク質免疫原)である。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質免疫原をコードする配列を含む。例えば、本方法は、免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを対象に投与する1年以内(例えば、11ケ月、10ケ月、9ケ月、8ケ月、7ケ月、6ケ月、5ケ月、4ケ月、3ケ月、2ケ月、及び1ケ月以内)にタンパク質免疫原を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドのいずれか1つ又は本明細書に記載の免疫原性組成物のいずれか1つ及びタンパク質サブユニットを対象に投与することを含む。
【0360】
いくつかの実施形態では、タンパク質免疫原は、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる免疫原と同じアミノ酸配列を有する。例えば、ポリペプチド免疫原は、環状ポリリボヌクレオチドの配列によってコードされるポリペプチド免疫原とのアミノ酸配列同一性に対応してもよい(例えば、90%、95%、96%、97%、98%、又は100%を共有する)。いくつかの実施形態では、タンパク質免疫原は、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる免疫原のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する。例えば、ポリペプチド免疫原は、環状ポリリボヌクレオチドの配列によってコードされるポリペプチド免疫原と90%未満(例えば、80%、70%、30%、20%、又は10%)のアミノ酸配列同一性を共有してもよい。
【0361】
対象は、任意の好適な数の解剖学的部位で、免疫原性組成物、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで免疫化され得る。同じ免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せが、複数の解剖学的部位に投与され得、同じか又は異なる環状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)又はそれらの組合せを含む異なる免疫原性組成物が、異なる解剖学的部位に投与され得、同じか又は異なる環状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)又はそれらの組合せを含む異なる免疫原性組成物が、同じ解剖学的部位に投与され得、又はそれらの任意の組合せである。例えば、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、2つの異なる解剖学的部位に投与され得、及び/又は環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、1つの解剖学的部位に投与され得、アジュバントが、異なる解剖学的部位に投与され得る。同じ免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せが、複数の解剖学的部位に投与され得、同じか又は異なる線状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)又はそれらの組合せを含む異なる免疫原性組成物が、異なる解剖学的部位に投与され得、同じか又は異なる線状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)又はそれらの組合せを含む異なる免疫原性組成物が、同じ解剖学的部位に投与され得、又はそれらの任意の組合せである。例えば、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、2つの異なる解剖学的部位に投与され得、及び/又は線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、1つの解剖学的部位に投与され得、アジュバントが、異なる解剖学的部位に投与され得る。
【0362】
いずれか2つ以上の解剖学的経路における免疫化は、免疫化の同じ経路(例えば、筋肉内)を介するか又は免疫化の2つ以上の経路によるものであり得る。ある実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、若しくはワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せを含む免疫原性組成物が、対象の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの解剖学的部位に接種される。ある実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、若しくはワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せを含む免疫原性組成物が、対象の2つ以下、3つ以下、4つ以下、5つ以下、6つ以下、7つ以下、8つ以下、9つ以下、若しくは10個以下、又はそれ以下の解剖学的部位に接種される。ある実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチド又はアジュバントを含む免疫原性組成物が、対象の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の解剖学的部位に接種される。ある実施形態において、本開示の線状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、若しくはワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せを含む免疫原性組成物が、対象の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの解剖学的部位に接種される。ある実施形態において、本開示の線状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、若しくはワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せを含む免疫原性組成物が、対象の2つ以下、3つ以下、4つ以下、5つ以下、6つ以下、7つ以下、8つ以下、9つ以下、若しくは10個以下、又はそれ以下の解剖学的部位に接種される。ある実施形態において、本開示の線状ポリリボヌクレオチド又はアジュバントを含む免疫原性組成物が、対象の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の解剖学的部位に接種される。
【0363】
免疫化は、任意の好適な経路によるものであり得る。免疫化経路の非限定的な例としては、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、胸骨内、脳内、眼内、病巣内、脳室内、嚢内、又は実質内、例えば、注射及び注入が挙げられる。ある場合には、免疫化は、吸入によるものであり得る。2つ以上の免疫化は、同じ経路又は異なる経路によって行われ得る。
【0364】
任意の好適な量の環状ポリリボヌクレオチドが、本開示の対象に投与され得る。例えば、対象は、少なくとも約1ng、少なくとも約10ng、少なくとも約100ng、少なくとも約1μg、少なくとも約10μg、少なくとも約100μg、少なくとも約1mg、少なくとも約10mg、少なくとも約100mg、又は少なくとも約1gの環状ポリリボヌクレオチドで免疫化され得る。ある実施形態において、対象は、約1ng以下、約10ng以下、約100ng以下、約1μg以下、約10μg以下、約100μg以下、約1mg以下、約10mg以下、約100mg以下、又は約1g以下の環状ポリリボヌクレオチドで免疫化され得る。ある実施形態において、対象は、約1ng、約10ng、約100ng、約1μg、約10μg、約100μg、約1mg、約10mg、約100mg、又は約1gの環状ポリリボヌクレオチドで免疫化され得る。
【0365】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象を免疫原に対する抗体応答について評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドの投与の前及び/又は後に評価がなされる。いくつかの実施形態では、免疫原をコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチドの投与の前及び/又は後に評価がなされる。
【0366】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド、免疫原性組成物、医薬調製物、又は医薬組成物は、表1に提供される投与スケジュールに従い、出生~15ケ月の間の対象に投与されるか、又は表2の投与スケジュールに従い、18ケ月~18年の間の対象に投与される。投与は、当該技術分野で公知の投与スケジュールに従い、例えば、米国疾病対策予防センター(Centers of Disease Control and Prevention)(CDC)又は国立保健研究所(National Institutes of Health)(NIH)によって記載される通り、実施されてもよい。表1及び表2は、2020年8月29日付けのCDCウェブサイト上に示された特定の障害に対するワクチン接種についての投与スケジュールの概略を提供する。
【0367】
【0368】
【0369】
細胞透過剤
本明細書に記載の細胞透過剤は、ポリリボヌクレオチドの細胞への送達を増強する任意の物質を含み得る。細胞透過剤は、有機化合物又は無機分子を含み得る。いくつかの場合、細胞透過剤は、限定はされないが、アルカン、アルケン、及びアレーン;ハロゲン置換アルカン、アルケン、及びアレーン;アルコール、フェノール(ベンゼンの誘導体)、エーテル、アルデヒド、ケトン、及びカルボン酸;アミン及びニトリル;並びに有機硫黄(例えば、ジメチルスルホキシド)などの1つ又は複数の官能基を有する有機化合物である。いくつかの実施形態では、細胞透過剤は、極性溶媒に可溶性である。いくつかの実施形態では、細胞透過剤は、極性溶媒に不溶性である。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0370】
細胞透過剤は、1つ又は複数のヒドロキシル官能基を有するアルコールなどの有機化合物を含み得る。いくつかの場合、細胞透過剤は、限定はされないが、一価アルコール、多価アルコール、不飽和脂肪族アルコール、及び脂環式アルコールなどのアルコールを含む。細胞透過剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、フェノキシエタノール、トリエタノールアミン、フェネチルアルコール、ブタノール、ペンタノール、セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性アルコール、ベンジルアルコール、特殊変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、エトキシル化脂肪酸、又はヒドロキシエチルセルロースの1つ又は複数を含み得る。特定の実施形態では、細胞透過剤は、エタノールを含む。
【0371】
他の場合、本明細書に提供される組成物及び方法は、ポリリボヌクレオチドの細胞への送達を増強するため、細胞透過剤としてアルコールのみを含み、他の薬剤を全く有しないか又は使用しない。いくつかの場合、細胞透過剤は、ポリリボヌクレオチドの細胞への送達を増強し得るエタノール及び任意の他のアルコールを含む。いくつかの場合、細胞透過剤は、ポリリボヌクレオチドの細胞への送達を増強し得るエタノール及び任意の他の有機又は無機分子を含む。いくつかの場合、細胞透過剤は、エタノール及びリポソーム又はナノ粒子、例えば、国際公開番号の国際公開第2013/006825号パンフレット、国際公開第2016/036735号パンフレット、国際公開第2018/112282A1号パンフレット、及び国際公開第2012/031043A1号パンフレット(それらのそれぞれはその全体が参照により本明細書中に援用される)に記載されたものを含む。いくつかの場合、細胞透過剤は、エタノール及び細胞透過性ペプチド又はタンパク質、例えば、Bechara et al,Cell-penetrating peptides:20 years later,where do we stand?FEBS Letters 587(12):1693-1702(2013);Langel,Cell-Penetrating Peptides:Processes and Applications(CRC Press,Boca Raton FL,2002);El-Andaloussi et al.,Curr.Pharm.Des.11(28):3597-611(2003);Deshayes et al,Cell.Mol.Life Sci.62(16):1839-49(2005)、米国特許公開番号の米国特許出願公開第20130129726号明細書、米国特許出願公開第20130137644号明細書及び米国特許出願公開第20130164219号明細書(それらのそれぞれはその全体が参照により本明細書中に援用される))に記載されたものを含む。いくつかの場合、エタノール対他の細胞透過剤の比は、約1:0.001、約1:0.002、約1:005、約1:008、約1:0.01、約1:0.02、約1:0.05、約1:0.08、約1:0.1、約1:0.2、約1:0.3、約1:0.4、約1:0.5、約1:0.6、約1:0.7、約1:0.8、約1:0.9、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:1.8、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:120、約1:150、約1:200、約1:250、約1:500、又は約1:1000である。いくつかの場合、エタノール対他の細胞透過剤の比は、少なくとも約1:0.001、約1:0.002、約1:005、約1:008、約1:0.01、約1:0.02、約1:0.05、約1:0.08、約1:0.1、約1:0.2、約1:0.3、約1:0.4、約1:0.5、約1:0.6、約1:0.7、約1:0.8、約1:0.9、約1:1、約1:1.2、約1:1.5、約1:1.8、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:120、約1:150、約1:200、約1:250、又は約1:500である。
【0372】
本明細書で開示される組成物は、細胞透過剤及びポリリボヌクレオチドの混合物を含み得る。いくつかの場合、ポリリボヌクレオチドは、細胞透過剤と予備混合された混合物中に存在する。いくつかの場合、ポリリボヌクレオチドは、細胞への接触前、細胞透過剤と別に準備される。これらの場合、ポリリボヌクレオチドは、細胞に適用されるとき、細胞透過剤と接触され、ポリリボヌクレオチドの細胞への送達のため、一緒に混合された状態になる。特定の理論に拘束されないが、混合物中の細胞透過剤の濃度は、送達の効率に寄与し得る。したがって、いくつかの場合、細胞透過剤は、混合物中の所定の濃度で準備される。いくつかの他の場合、細胞透過剤及びポリリボヌクレオチドが、最初に別々であるが、送達に適用されるときに一緒に混合される場合、細胞透過剤は、混合物中の所定の最小濃度に達することを保証すると思われる、ポリリボヌクレオチドに対する十分な量で準備される。
【0373】
いくつかの場合、細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.01%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.08%、少なくとも約0.09%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%体積/体積(v/v)を占める。いくつかの場合、細胞透過剤は、混合物の最高で約0.01%、最高で約0.02%、最高で約0.03%、最高で約0.04%、最高で約0.05%、最高で約0.06%、最高で約0.07%、最高で約0.08%、最高で約0.09%、最高で約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%v/vを占める。いくつかの場合、細胞透過剤は、混合物の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、又は約100%v/vを占める。
【0374】
いくつかの場合、細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.01%、少なくとも約0.02%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.08%、少なくとも約0.09%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%重量/重量(w/w)を占める。いくつかの場合、細胞透過剤は、混合物の最高で約0.01%、最高で約0.02%、最高で約0.03%、最高で約0.04%、最高で約0.05%、最高で約0.06%、最高で約0.07%、最高で約0.08%、最高で約0.09%、最高で約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%w/wを占める。いくつかの場合、細胞透過剤は、混合物の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約98%w/wを占める。いくつかの場合、細胞透過剤は、混合物の約10%v/vを占める。
【0375】
いくつかの場合、本明細書に記載の混合物は、溶液である。例えば、細胞透過剤は、液体物質自体である。或いは、細胞透過剤は、固体、液体、又は気体物質であり、液体担体、例えば、水に溶解される。これらの場合、ポリリボヌクレオチドもまた、溶液に溶解され得る。
【0376】
いくつかの場合、エタノールは、混合物の少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%体積/体積(v/v)を占める。いくつかの場合、エタノールは、混合物の最高で約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%v/vを占める。いくつかの場合、エタノールは、混合物の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、又は約100%v/vを占める。いくつかの場合、エタノールは、混合物の約10%v/vを占める。
【0377】
保存剤
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、単回投与のための材料を含み得る、又は複数回投与のための材料(例えば、「多回投与」キット)を含み得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。組成物又は医薬組成物は、チオメルサール又は2-フェノキシエタノールなどの1つ又は複数の保存剤を含み得る。保存剤を使用し、使用中の微生物汚染を阻止することができる。好適な保存剤は、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、Onamer M、又は当業者に公知の他の薬剤を含む。眼科製品では、例えば、そのような保存剤は、0.004%~0.02%のレベルで使用することができる。本明細書に記載の組成物において、保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウムは、0.001%~0.01%未満、例えば、0.001%~0.008%、好ましくは、約0.005重量%のレベルで使用することができる。
【0378】
ポリリボヌクレオチドは、周囲環境下で大量に存在し得るリボヌクレアーゼ(RNase)に感受性を示し得る。本明細書に提供される組成物は、リボヌクレアーゼ活性を阻害し、それによりポリリボヌクレオチドを分解から防ぐ試薬を含み得る。いくつかの場合、組成物又は医薬組成物は、当業者に公知の任意のリボヌクレアーゼ阻害剤を含む。代替的に又は追加的に、本明細書に提供される組成物中のポリリボヌクレオチド、並びに細胞透過剤及び/又は薬学的に許容できる希釈剤若しくは担体、媒体、賦形剤、若しくは他の試薬は、リボヌクレアーゼを含まない環境下で調製され得る。組成物は、リボヌクレアーゼを含まない環境下で製剤化され得る。
【0379】
いくつかの場合、本明細書に提供される組成物は、無菌であり得る。組成物は、当該技術分野で公知の、好適な媒体中の無菌溶液又は懸濁液として製剤化され得る。組成物は、従来の公知の滅菌技術によって滅菌可能であり、例えば、組成物は、滅菌濾過され得る。
【0380】
塩
いくつかの場合、本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、1つ又は複数の塩を含む。浸透圧を制御するため、ナトリウム塩などの生理学的塩が、本明細書に提供される組成物に含まれ得る。他の塩は、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム、及び/又は塩化マグネシウムなどを含み得る。いくつかの場合、組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容できる塩とともに製剤化される。1つ又は複数の薬学的に許容できる塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムイオンなどの無機イオンのものを含み得る。そのような塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、又はマレイン酸などの無機酸又は有機酸の塩を含み得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0381】
緩衝剤/pH
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、トリス緩衝剤;ホウ酸緩衝剤;コハク酸緩衝剤;ヒスチジン緩衝剤(例えば、水酸化アルミニウムアジュバントを有する);又はクエン酸緩衝剤などの1つ又は複数の緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、いくつかの場合、5~20mMの範囲内に含まれる。
【0382】
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、約5.0~約8.5の間、約6.0~約8.0の間、約6.5~約7.5の間、又は約7.0~約7.8の間のpHを有し得る。組成物又は医薬組成物は、約7のpHを有し得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0383】
洗浄剤/界面活性剤
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、意図される投与経路に応じて、1種又は複数種の洗浄剤及び/又は界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般に「Tween」と呼ばれる)、例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80;DOWFAX(商標)という商品名で販売されているエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、及び/又はブチレンオキシド(BO)のコポリマー、例えば、線状EO/POブロックコポリマー;エトキシ(オキシ-l,2-エタンジイル)基の繰り返し数が異なり得るオクトキシノール、例えば、オクトキシノール-9(Triton X-100、又はt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール);(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA-630/NP-40);リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン(レシチン);ノニルフェノールエトキシレート、例えば、Tergitol(商標)NPシリーズ;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びオレイルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪族エーテル(Brij界面活性剤として知られる)、例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij 30);並びにソルビタンエステル(一般に、「SPAN」として知られる)、例えば、ソルビタントリオレエート(Span 85)及びソルビタンモノラウレート、オクトキシノール(オクトキシノール-9(Triton X-100)又はt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノールなど)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(「CTAB」)、又はデオキシコール酸ナトリウムを含むことができる。1種又は複数種の洗浄剤及び/又は界面活性剤は、微量でのみ含まれ得る。いくつかの例では、組成物は、オクトキシノール-10及びポリソルベート80のそれぞれを1mg/ml未満含むことができる。本明細書では、非イオン性界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性バランス)によって分類することができる。いくつかの例では、界面活性剤は、少なくとも10、少なくとも15、及び/又は少なくとも16のHLBを有する。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状の形態で含まれ得る。
【0384】
希釈剤
いくつかの実施形態では、本開示の免疫原性組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、本開示の免疫原性組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む。
【0385】
希釈剤は、非担体賦形剤であり得る。非担体賦形剤は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤の非限定的な例としては、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散体、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))、滑沢剤、油、及びそれらの混合物が挙げられる。非担体賦形剤は、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)(FDA)によって承認され、細胞透過効果を示さないInactive Ingredient Databaseに列挙された非有効成分のいずれかであり得る。非担体賦形剤は、例えば、獣医学的使用に好適な非ヒト動物への投与に好適な任意の不活性成分であり得る。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に好適な組成物の変更は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、あったとしても通常の実験のみでこのような変更を設計及び/又は行うことができる。
【0386】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、希釈剤を含むものなどのネイキッド送達製剤として送達され得る。ネイキッド送達製剤は、担体を用いずに、修飾又は環状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入、キャップされたポリリボヌクレオチド、又はその複合体なしで、環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達する。
【0387】
ネイキッド送達製剤は、担体を含まない製剤であり、ここで、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さず、又は環状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入なしである。
【0388】
ある実施形態において、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、小分子、粒子、ポリマー、又はバイオポリマーに共有結合されないポリリボヌクレオチドである。細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、修飾リン酸基を含まない。例えば、細胞への送達を助ける部分に結合する共共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミダート、ホスホロジアミダート、アルキル又はアリールホスホネート、又はホスホトリエステルを含まない。
【0389】
ある実施形態において、ネイキッド送達製剤は、トランスフェクション試薬、カチオン性担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体のうちのいずれか又は全てを含まない。ある実施形態において、ネイキッド送達製剤は、フィトグリコーゲンオクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリン、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-β-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、1-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHCl)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク質(LDL)、高比重リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンを含まない。
【0390】
ある実施形態において、ネイキッド送達製剤は、非担体賦形剤を含む。ある実施形態において、非担体賦形剤は、細胞透過効果を示さない不活性成分を含む。ある実施形態において、非担体賦形剤は、緩衝液、例えばPBSを含む。ある実施形態において、非担体賦形剤は、溶媒、非水性溶媒、希釈剤、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤、滑沢剤、又は油である。
【0391】
ある実施形態において、ネイキッド送達製剤は、希釈剤を含む。希釈剤は、液体希釈剤又は固体希釈剤であり得る。ある実施形態において、希釈剤は、RNA可溶化剤、緩衝液、又は等張剤である。RNA可溶化剤の例としては、水、エタノール、メタノール、アセトン、ホルムアミド、及び2-プロパノールが挙げられる。緩衝液の例としては、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、ビス-トリス、2-[(2-アミノ-2-オキソエチル)-(カルボキシメチル)アミノ]酢酸(ADA)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、トリス、トリシン、Gly-Gly、ビシン、又はホスフェートが挙げられる。等張剤の例としては、グリセリン、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トレハロース、又はスクロースが挙げられる。
【0392】
担体
ある実施形態において、本開示の免疫原性組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び担体を含む。ある実施形態において、本開示の免疫原性組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び担体を含む。
【0393】
特定の実施形態において、免疫原性組成物は、小胞又は他の膜ベースの担体中に本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを含む。特定の実施形態において、免疫原性組成物は、小胞又は他の膜ベースの担体中に本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドを含む。
【0394】
他の実施形態において、免疫原性組成物は、細胞、小胞若しくは他の膜ベースの担体中に又はそれらを介して環状ポリリボヌクレオチドを含む。他の実施形態において、免疫原性組成物は、細胞、小胞若しくは他の膜ベースの担体中に又はそれらを介して線状ポリリボヌクレオチドを含む。一実施形態において、免疫原性組成物は、リポソーム又は他の同様の小胞中に環状ポリリボヌクレオチドを含む。一実施形態において、免疫原性組成物は、リポソーム又は他の同様の小胞中に線状ポリリボヌクレオチドを含む。リポソームは、内部の水性区画を取り囲む単層又は多重膜脂質二重層及び比較的不透過性の外側の親油性リン脂質二重層から構成される球形の小胞構造である。リポソームは、アニオン性、中性又はカチオン性であり得る。リポソームは、生体適合性であり、非毒性であり、親水性及び親油性の両方の薬物分子を送達することができ、そのカーゴを血漿酵素による分解から保護し、生体膜及び血液脳関門(BBB)を越えてそのロードを輸送する(例えば、概説については、Spuch and Navarro,Journal of Drug Delivery,vol.2011,Article ID 469679,12 pages,2011.doi:10.1155/2011/469679を参照されたい)。
【0395】
小胞は、いくつかの異なるタイプの脂質から作製され得るが;リン脂質が、薬物担体としてリポソームを生成するために、最も一般的に使用される。多重膜小胞脂質の調製のための方法が、当該技術分野において公知である(例えば、多重膜小胞脂質調製に関連するその教示内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,693,086号明細書を参照されたい)。脂質膜が水溶液と混合されるとき、小胞形成が自然に起こり得るが、それはまた、ホモジナイザー、ソニケーター、又は押し出し装置を用いることによって、振とうの形態の力を加えることによって促進され得る(例えば、概説については、Spuch and Navarro,Journal of Drug Delivery,vol.2011,Article ID 469679,12 pages,2011.doi:10.1155/2011/469679を参照されたい)。押し出された脂質は、押し出された脂質の調製に関するその教示内容が参照により本明細書に援用される、Templeton et al.,Nature Biotech,15:647-652,1997に記載されるように、減少したサイズのフィルタに通して押し出すことによって調製され得る。
【0396】
特定の実施形態において、本開示の免疫原性組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド及び脂質ナノ粒子、例えば、脂質ナノ粒子を含む。特定の実施形態において、本開示の免疫原性組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び脂質ナノ粒子を含む。脂質ナノ粒子は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子のための生体適合性及び生分解性送達システムを提供する担体の別の例である。脂質ナノ粒子は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子のための生体適合性及び生分解性送達システムを提供する担体の別の例である。ナノ構造脂質担体(NLC)は、SLNの特性を保持し、薬物安定性及び負荷容量を改善し、薬物漏出を防止する、修飾された固体脂質ナノ粒子(SLN)である。ポリマーナノ粒子(PNP)は、薬物送達の重要な構成要素である。これらのナノ粒子は、薬物送達を、特定の標的に有効に指向し、薬物安定性及び制御薬物放出を改善し得る。リポソーム及びポリマーを組み合わせる新しいタイプの担体である脂質-ポリマーナノ粒子(PLN)も、用いられ得る。これらのナノ粒子は、PNP及びリポソームの補完的な利点を有する。PLNは、コア-シェル構造から構成され;ポリマーコアは、安定した構造を提供し、リン脂質シェルは、良好な生体適合性を提供する。したがって、2つの構成要素が、薬物封入効率を増加させ、表面修飾を促進し、水溶性薬物の漏出を防止する。概説については、例えば、Li et al.2017,Nanomaterials 7,122;doi:10.3390/nano7060122を参照されたい。
【0397】
担体のさらなる非限定的な例としては、炭水化物担体(例えば、無水物修飾フィトグリコーゲン若しくはグリコーゲン型材料)、タンパク質担体(例えば、環状ポリリボヌクレオチドに共有結合されたタンパク質又は線状ポリリボヌクレオチドに共有結合されたタンパク質)、又はカチオン性担体(例えば、カチオン性リポポリマー又はトランスフェクション試薬)が挙げられる。炭水化物担体の非限定的な例としては、フィトグリコーゲンオクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、及び無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリンが挙げられる。カチオン性担体の非限定的な例としては、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、l-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N\N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHC1)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(l,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、及びN,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)が挙げられる。タンパク質担体の非限定的な例としては、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンが挙げられる。
【0398】
エキソソームはまた、本明細書に記載される環状RNA組成物又は調製物の薬物送達ビヒクルとして使用され得る。エキソソームはまた、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド組成物又は調製物の薬物送達ビヒクルとして使用され得る。レビューのためには、Ha et al.July 2016.Acta Pharmaceutica Sinica B.Volume 6,Issue 4,Pages 287-296;https://doi.org/10.1016/j.apsb.2016.02.001を参照されたい。
【0399】
エクスビボ分化赤血球はまた、本明細書に記載される環状RNA組成物又は調製物の担体として使用され得る。エクスビボ分化赤血球はまた、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド組成物又は調製物の担体として使用され得る。例えば、国際公開第2015/073587号パンフレット;国際公開第2017/123646号パンフレット;国際公開第2017/123644号パンフレット;国際公開第2018/102740号パンフレット;国際公開第2016/183482号パンフレット;国際公開第2015/153102号パンフレット;国際公開第2018/151829号パンフレット;国際公開第2018/009838号パンフレット;Shi et al.2014.Proc Natl Acad Sci USA.111(28):10131-10136;米国特許第9,644,180号明細書;Huang et al.2017.Nature Communications 8:423;Shi et al.2014.Proc Natl Acad Sci USA.111(28):10131-10136を参照されたい。
【0400】
例えば、国際公開第2018/208728号パンフレットに記載されるようなフソソーム組成物も、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。例えば、国際公開第2018/208728号パンフレットに記載されるようなフソソーム組成物も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。
【0401】
ビロソーム及びウイルス様粒子(VLP)も、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を標的細胞に送達するための担体として使用され得る。ビロソーム及びウイルス様粒子(VLP)も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を標的細胞に送達するための担体として使用され得る。
【0402】
例えば、国際特許公開番号国際公開第2011/097480号パンフレット、国際公開第2013/070324号パンフレット、国際公開第2017/004526号パンフレット、又は国際公開第2020041784号パンフレットに記載されるような植物ナノ小胞及び植物メッセンジャーパック(PMP)も、本明細書に記載される環状RNA組成物又は調製物を送達するための担体として使用され得る。植物ナノ小胞及び植物メッセンジャーパック(PMP)も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド組成物又は調製物を送達するための担体として使用され得る。
【0403】
マイクロバブルも、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。マイクロバブルも、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。例えば、米国特許第7115583号明細書;Beeri,R.et al.,Circulation.2002 Oct 1;106(14):1756-1759;Bez,M.et al.,Nat Protoc.2019 Apr;14(4):1015-1026;Hernot,S.et al.,Adv Drug Deliv Rev.2008 Jun 30;60(10):1153-1166;Rychak,J.J.et al.,Adv Drug Deliv Rev.2014 Jun;72:82-93を参照されたい。ある実施形態において、マイクロバブルは、アルブミン被覆されたペルフルオロカーボンマイクロバブルである。
【0404】
本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドを含む担体は、複数の粒子を含み得る。粒子は、30~700ナノメートル(例えば、30~50、50~100、100~200、200~300、300~400、400~500、500~600、600~700、100~500、50~500、又は200~700ナノメートル)の物品サイズ中央値を有し得る。粒子の大きさは、細胞への環状ポリリボヌクレオチドを含むペイロードの沈着に有利に働くように最適化することができる。特定の細胞型への環状ポリリボヌクレオチドの沈着は、異なる粒径に有利であり得る。例えば、粒径は、抗原提示細胞への環状ポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。粒径は、樹状細胞への環状ポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。さらに、粒径は、流入領域リンパ節細胞への環状ポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。
【0405】
脂質ナノ粒子
本開示によって提供される組成物、方法、及び送達システムは、特定の実施形態において、本明細書に記載の脂質ナノ粒子(LNP)を含む任意の好適な担体又は送達モダリティを用い得る。脂質ナノ粒子は、ある実施形態において、1つ以上のイオン性脂質、例えば、非カチオン性脂質(例えば、中性又はアニオン性、又は両性脂質);1つ以上のコンジュゲート脂質(PEGコンジュゲート脂質又は全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーにコンジュゲートされた脂質など);1つ以上のステロール(例えば、コレステロール)を含む。
【0406】
ナノ粒子形成において使用され得る脂質(例えば、脂質ナノ粒子)は、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表4に記載されるものを含み-例えば、脂質含有ナノ粒子は、国際公開第2019217941号パンフレットの表4中の脂質の1つ以上を含み得る。脂質ナノ粒子は、さらなる要素、例えば、ポリマー、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーを含み得る。
【0407】
ある実施形態において、コンジュゲート脂質は、存在する場合、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEGS-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、及び国際公開第2019051289号パンフレット(参照により援用される)の表2に記載されるもの、並びに上記のものの組合せのうちの1つ以上を含み得る。
【0408】
ある実施形態において、脂質ナノ粒子に組み込まれ得るステロールとしては、参照により援用される国際公開第2009/127060号パンフレット又は米国特許出願公開第2010/0130588号明細書に記載されるものなどの、コレステロール又はコレステロール誘導体の1つ以上が挙げられる。さらなる例示的なステロールとしては、参照により本明細書に援用される、Eygeris et al.(2020)、dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものを含む植物ステロールが挙げられる。
【0409】
ある実施形態において、脂質粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質、及びステロールを含む。これらの構成要素の量は、独立して、所望の特性を達成するために変化され得る。例えば、ある実施形態において、脂質ナノ粒子は、総脂質の約20mol%~約90mol%の量のイオン化可能な脂質(他の実施形態において、それは、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の20~70%(mol)、30~60%(mol)又は40~50%(mol);約50mol%~約90mol%であり得る)、総脂質の約5mol%~約30mol%の量の非カチオン性脂質、総脂質の約0.5mol%~約20mol%の量のコンジュゲート脂質、及び総脂質の約20mol%~約50mol%の量のステロールを含む。総脂質対核酸の比率は、必要に応じて変化され得る。例えば、総脂質対核酸(質量又は重量)比は、約10:1~約30:1であり得る。
【0410】
ある実施形態において、脂質対核酸比(質量/質量比;w/w比)は、約1:1~約25:1、約10:1~約14:1、約3:1~約15:1、約4:1~約10:1、約5:1~約9:1、又は約6:1~約9:1の範囲であり得る。脂質及び核酸の量は、所望のN/P比、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のN/P比を得るために調整され得る。一般に、脂質ナノ粒子製剤の全脂質含量は、約5mg/ml~約30mg/mLの範囲であり得る。
【0411】
本明細書に記載される組成物、例えば、本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))の送達のための脂質ナノ粒子を形成するために(例えば、他の脂質成分と組み合わせて)使用され得る脂質化合物のいくつかの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
【化2】
ある実施形態において、式(i)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0412】
【化3】
ある実施形態において、式(ii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0413】
【化4】
ある実施形態において、式(iii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0414】
【化5】
ある実施形態において、式(v)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0415】
【化6】
ある実施形態において、式(vi)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0416】
【化7】
ある実施形態において、式(viii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0417】
【化8】
ある実施形態において、式(ix)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0418】
【化9】
式中、
X
1が、O、NR
1、又は直接結合であり、X
2が、C2~5アルキレンであり、X
3が、C(=O)又は直接結合であり、R
1が、H又はMeであり、R
3が、C1~3アルキルであり、R
2が、C1~3アルキルであり、又はR
2が、それが結合される窒素原子及びX
2の1~3個の炭素原子と一緒になって、4員、5員、若しくは6員環を形成し、又はX
1が、NR
1であり、R
1及びR
2が、それらが結合される窒素原子と一緒になって、5員若しくは6員環を形成し、又はR
2が、R
3及びそれらが結合される窒素原子と一緒になって、5員、6員、若しくは7員環を形成し、Y
1が、C2~12アルキレンであり、Y
2が、
【化10】
から選択され、
nが、0~3であり、R
4が、C1~15アルキルであり、Z
1が、C1~6アルキレン又は直接結合であり、
Z
2が
【化11】
(いずれかの配向で)であるか又は非存在であり、ただし、Z
1が直接結合であり、Z
2が非存在である場合;
R
5が、C5~9アルキル又はC6~10アルコキシであり、R
6が、C5~9アルキル又はC6~10アルコキシであり、Wが、メチレン又は直接結合であり、R
7が、H又はMe、又はその塩であり、ただし、R
3及びR
2が、C2アルキルであり、X
1が、Oであり、X
2が、直鎖状C3アルキレンであり、X
3が、C(=0)であり、Y
1が、直鎖状Ceアルキレンであり、(Y
2)n-R
4が、
【化12】
であり、R
4が、直鎖状C5アルキルであり、Z
1が、C2アルキレンであり、Z
2が、非存在であり、Wが、メチレンであり、R
7が、Hである場合、R
5及びR
6が、Cxアルコキシでない。
【0419】
ある実施形態において、式(xii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0420】
【化13】
ある実施形態において、式(xi)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0421】
【化14】
ある実施形態において、LNPは、式(xiii)の化合物及び式(xiv)の化合物を含む。
【0422】
【化15】
ある実施形態において、式(xv)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0423】
【化16】
ある実施形態において、式(xvi)の製剤を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【化17】
【0424】
ある実施形態において、本明細書に記載される組成物、例えば、本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))の送達のための脂質ナノ粒子を形成するのに使用される脂質化合物は、以下の反応のうちの1つによって作製される:
【化18】
【0425】
ある実施形態において、本明細書に記載される組成物(例えば核酸(例えば環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)又はタンパク質)は、イオン化可能な脂質を含むLNP中で提供される。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、米国特許第9,867,888号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例1に記載されるようなヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(SM-102)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2015/095340号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例13において合成されるような9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート(LP01)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、米国特許出願公開第2012/0027803号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)実施例7、8、又は9において合成されるようなジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2010/053572号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例14及び16において合成されるような1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、イミダゾールコレステロールエステル(ICE)脂質(3S、10R、13R、17R)-10、13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2、3、14、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17-テトラデカヒドロ-lH-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノエート、例えば、国際公開第2020/106946号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)からの構造(I)である。
【0426】
ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、カチオン性脂質、イオン化可能なカチオン性脂質、例えば、pHに応じて正荷電若しくは中性形態で存在し得るカチオン性脂質、又は容易にプロトン化され得るアミン含有脂質であり得る。ある実施形態において、カチオン性脂質は、例えば、生理的条件下で、正に荷電することが可能である脂質である。例示的なカチオン性脂質としては、正電荷を有する1つ以上のアミン基を含む。ある実施形態において、脂質粒子は、中性脂質、イオン化可能なアミン含有脂質、生分解性アルキン脂質、ステロイド、多価不飽和脂質を含むリン脂質、構造脂質(例えば、ステロール)、PEG、コレステロール及びポリマーコンジュゲート脂質のうちの1つ以上との配合物中のカチオン性脂質を含む。ある実施形態において、カチオン性脂質は、イオン化可能なカチオン性脂質であり得る。本明細書に開示される例示的なカチオン性脂質は、6.0を超える有効pKaを有し得る。実施形態において、脂質ナノ粒子は、第1のカチオン性脂質と異なる有効pKa(例えば、第1の有効pKaより高い)を有する第2のカチオン性脂質を含み得る。脂質ナノ粒子は、40~60molパーセントのカチオン性脂質、中性脂質、ステロイド、ポリマーコンジュゲート脂質、及び治療剤、例えば、脂質ナノ粒子内に封入されるか又はそれと結合された本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))を含み得る。ある実施形態において、核酸は、カチオン性脂質と同時に配合される。核酸は、LNP、例えば、カチオン性脂質を含むLNPの表面に吸着され得る。ある実施形態において、核酸は、LNP、例えば、カチオン性脂質を含むLNP内に封入され得る。ある実施形態において、脂質ナノ粒子は、例えば、標的化剤で被覆された標的部分を含み得る。実施形態において、LNP製剤は、生分解性である。ある実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の脂質、例えば、式(i)、(ii)、(ii)、(vii)及び/又は(ix)を含む脂質ナノ粒子は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は100%のRNA分子を封入する。
【0427】
脂質ナノ粒子製剤に使用され得る例示的なイオン化可能な脂質としては、限定はされないが、参照により本明細書に援用される国際公開第2019051289号パンフレットの表1に列挙されるものが挙げられる。さらなる例示的な脂質としては、限定はされないが、以下の式の1つ以上:米国特許出願公開第2016/0311759号明細書のX;米国特許出願公開第20150376115号明細書又は米国特許出願公開第2016/0376224号明細書のI;米国特許出願公開第20160151284号明細書のI、II又はIII;米国特許出願公開第20170210967号明細書のI、IA、II、又はIIA;米国特許出願公開第20150140070号明細書のI-c;米国特許出願公開第2013/0178541号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0303587号明細書又は米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0141678号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0239926号明細書のII、III、IV、又はV;米国特許出願公開第2017/0119904号明細書のI;国際公開第2017/117528号パンフレットのI又はII;米国特許出願公開第2012/0149894号明細書のA;米国特許出願公開第2015/0057373号明細書のA;国際公開第2013/116126号パンフレットのA;米国特許出願公開第2013/0090372号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274523号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274504号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0053572号明細書のA;国際公開第2013/016058号パンフレットのA;国際公開第2012/162210号パンフレットのA;米国特許出願公開第2008/042973号明細書のI;米国特許出願公開第2012/01287670号明細書のI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2014/0200257号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2015/0203446号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2015/0005363号明細書のI又はIII;米国特許出願公開第2014/0308304号明細書のI、IA、IB、IC、ID、II、IIA、IIB、IIC、IID、又はIII~XXIV;米国特許出願公開第2013/0338210号明細書の;国際公開第2009/132131号パンフレットのI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2012/01011478号明細書のA;米国特許出願公開第2012/0027796号明細書のI又はXXXV;米国特許出願公開第2012/0058144号明細書のXIV又はXVII;米国特許出願公開第2013/0323269号明細書の;米国特許出願公開第2011/0117125号明細書のI;米国特許出願公開第2011/0256175号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2012/0202871号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII;米国特許出願公開第2011/0076335号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、X、XII、XIII、XIV、XV、又はXVI;米国特許出願公開第2006/008378号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0064242号明細書のI又はX-A-Y-Z;米国特許出願公開第2013/0022649号明細書のXVI、XVII、又はXVIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2010/0062967号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0189351号明細書のI~X;米国特許出願公開第2014/0039032号明細書のI;米国特許出願公開第2018/0028664号明細書のV;米国特許出願公開第2016/0317458号明細書のI;米国特許出願公開第2013/0195920号明細書のI;米国特許出願公開第10,221,127号明細書の5、6、又は10;国際公開第2018/081480号パンフレットのIII-3;国際公開第2020/081938号パンフレットのI-5又はI-8;米国特許出願公開第9,867,888号明細書の18又は25;米国特許出願公開第2019/0136231号明細書のA;国際公開第2020/219876号パンフレットのII;米国特許出願公開第2012/0027803号明細書の1;米国特許出願公開第2019/0240349号明細書のOF-02;米国特許出願公開第10,086,013号明細書の23;Miao et al(2020)のcKK-E12/A6;国際公開第2010/053572号パンフレットのC12-200;Dahlman et al(2017)の7C1;Whitehead et alの304-O13又は503-O13;米国特許第9,708,628号明細書のTS-P4C2;国際公開第2020/106946号パンフレットのI;国際公開第2020/106946号パンフレットのIが挙げられる。
【0428】
ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例9に記載されるようなMC3(6Z,9Z,28Z,3lZ)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,3l-テトラエン-l9-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA又はMC3)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例10に記載されるような脂質ATX-002である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例11に記載されるような(l3Z,l6Z)-A,A-ジメチル-3-ノニルドコサ-l3、l6-ジエン-l-アミン(化合物32)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例12に記載されるような化合物6又は化合物22である。
【0429】
例示的な非カチオン性脂質としては、限定はされないが、ジステアロイル-sn-グリセロ-ホスホエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-モノメチルPEなど)、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-ジメチルPEなど)、l8-l-trans PE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、スフィンゴミエリン(SM)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジエルコイルホスファチジルコリン(DEPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、リゾホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、又はそれらの混合物が挙げられる。他のジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミンリン脂質も使用され得ることが理解される。これらの脂質中のアシル基は、好ましくは、C10~C24炭素鎖を有する脂肪酸に由来するアシル基、例えば、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、又はオレオイルである。さらなる例示的な脂質としては、特定の実施形態において、限定はされないが、参照により本明細書に援用される、Kim et al.(2020)dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものが挙げられる。このような脂質としては、ある実施形態において、mRNA(例えば、DGTS)との肝臓トランスフェクションを改善することが分かっている植物脂質が挙げられる。
【0430】
脂質ナノ粒子に使用するのに好適な非カチオン性脂質の他の例としては、限定はされないが、非リン脂質、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、パルミチン酸アセチル、リシノール酸グリセロール、ステアリン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸イソプロピル、両性アクリルポリマー、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキル-アリールサルフェートポリエチルオキシ化脂肪酸アミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、セラミド、スフィンゴミエリンなどが挙げられる。他の非カチオン性脂質が、国際公開第2017/099823号パンフレット又は米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全内容が参照により本明細書に援用される)に記載される。
【0431】
ある実施形態において、非カチオン性脂質は、オレイン酸又は米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の式I、II、若しくはIVの化合物である。非カチオン性脂質は、例えば、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0~30%(mol)を占め得る。ある実施形態において、非カチオン性脂質含量は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の5~20%(mol)又は10~15%(mol)である。実施形態において、イオン化可能な脂質対中性脂質のモル比は、約2:1~約8:1の範囲(例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、又は8:1)である。
【0432】
ある実施形態において、脂質ナノ粒子は、いずれのリン脂質も含まない。
【0433】
ある態様において、脂質ナノ粒子は、膜完全性を提供するために、ステロールなどの成分をさらに含み得る。脂質ナノ粒子に使用され得る1つの例示的なステロールは、コレステロール及びその誘導体である。コレステロール誘導体の非限定的な例としては、極性類似体、例えば、5a-コレスタノール、53-コプロスタノール、コレステリル-(2,-ヒドロキシ)-エチルエーテル、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテル、及び6-ケトコレスタノール;非極性類似体、例えば、5a-コレスタン、コレステノン、5a-コレスタノン、5p-コレスタノン、及びデカン酸コレステリル;及びそれらの混合物が挙げられる。ある実施形態において、コレステロール誘導体は、極性類似体、例えば、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテルである。例示的なコレステロール誘導体が、PCT公開国際公開第2009/127060号パンフレット及び米国特許出願公開第2010/0130588号明細書(これらはそれぞれ、全体が参照により本明細書に援用される)に記載される。
【0434】
ある実施形態において、ステロールなどの、膜完全性を提供する成分は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0-50%(mol)(例えば、0~10%、10~20%、20~30%、30~40%、又は40~50%)を占め得る。ある実施形態において、このような成分は、脂質ナノ粒子の総脂質含量の20~50%(mol)30~40%(mol)である。
【0435】
ある実施形態において、脂質ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)又はコンジュゲート脂質分子を含み得る。一般に、これらは、脂質ナノ粒子の凝集を阻害し、及び/又は立体安定化を提供するのに使用される。例示的なコンジュゲート脂質としては、限定はされないが、PEG-脂質コンジュゲート、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質コンジュゲート、ポリアミド-脂質コンジュゲート(ATTA-脂質コンジュゲートなど)、カチオン性ポリマー脂質(CPL)コンジュゲート、及びそれらの混合物が挙げられる。ある実施形態において、コンジュゲート脂質分子は、PEG-脂質コンジュゲート、例えば、(メトキシポリエチレングリコール)コンジュゲート脂質である。
【0436】
例示的なPEG-脂質コンジュゲートとしては、限定はされないが、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEGS-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-l,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、又はそれらの混合物が挙げられる。さらなる例示的なPEG-脂質コンジュゲートが、例えば、米国特許第5,885,6l3号明細書、米国特許第6,287,59l号明細書、米国特許出願公開第2003/0077829号明細書、米国特許出願公開第2003/0077829号明細書、米国特許出願公開第2005/0175682、米国特許出願公開第2008/0020058号明細書、米国特許出願公開第2011/0117125号明細書、米国特許出願公開第2010/0130588号明細書、米国特許出願公開第2016/0376224号明細書、米国特許出願公開第2017/0119904号明細書、及び米国特許出願第099823号明細書(これらは全て、全内容が参照により本明細書に援用される)に記載される。ある実施形態において、PEG-脂質は、米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全内容が参照により本明細書に援用される)の式III、III-a-I、III-a-2、III-b-1、III-b-2、又はVの化合物である。ある実施形態において、PEG-脂質は、米国特許出願公開第20150376115号明細書又は米国特許出願公開第2016/0376224号明細書(これらは両方とも、全内容が参照により本明細書に援用される)の式IIのものである。ある実施形態において、PEG-DAAコンジュゲートは、例えば、PEG-ジラウリルオキシプロピル、PEG-ジミリスチルオキシプロピル、PEG-ジパルミチルオキシプロピル、又はPEG-ジステアリルオキシプロピルであり得る。PEG-脂質は、PEG-DMG、PEG-ジラウリルグリセロール、PEG-ジパルミトイルグリセロール、PEG-ジステリルグリセロール、PEG-ジラウリルグリカミド、PEG-ジミリスチルグリカミド、PEG-ジパルミトイルグリカミド、PEG-ジステリルグリカミド、PEG-コレステロール(l-[8’-(コレスタ-5-エン-3[β]-オキシ)カルボキサミド-3’,6’-ジオキサオクタニル]カルバモイル-[ω]-メチル-ポリ(エチレングリコール)、PEG-DMB(3,4-ジテトラデコキシルベンジル-[ω]-メチル-ポリ(エチレングリコール)エーテル)、及び1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]のうちの1つ以上であり得る。ある実施形態において、PEG-脂質は、PEG-DMG、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]を含む。ある実施形態において、PEG-脂質は、
【化19】
から選択される構造を含む。
【0437】
ある実施形態において、PEG以外の分子とコンジュゲートされた脂質も、PEG-脂質の代わりに使用され得る。例えば、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質コンジュゲート、ポリアミド-脂質コンジュゲート(ATTA-脂質コンジュゲートなど)、及びカチオン性ポリマー脂質(GPL)コンジュゲートが、PEG-脂質の代わりに又はそれに加えて使用され得る。
【0438】
例示的なコンジュゲート脂質、すなわち、PEG-脂質、(POZ)-脂質コンジュゲート、ATTA-脂質コンジュゲート及びカチオン性ポリマー-脂質が、国際公開第2019051289A9号パンフレット(これらは全て、全内容が参照により本明細書に援用される)の表2に列挙されるPCT及びLIS特許出願に記載される。
【0439】
ある実施形態において、PEG又はコンジュゲート脂質は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0~20%(mol)を占め得る。ある実施形態において、PEG又はコンジュゲート脂質含量は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0.5~10%又は2~5%(mol)である。イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、ステロール、及びPEG/コンジュゲート脂質のモル比は、必要に応じて変化され得る。例えば、脂質粒子は、組成物のモル又は総重量当たり30~70%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり0~60%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり0~30%の非カチオン性脂質及び組成物のモル又は総重量当たり1~10%のコンジュゲート脂質を含み得る。好ましくは、組成物は、組成物のモル又は総重量当たり30~40%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり40~50%のコレステロール、及び組成物のモル又は総重量当たり10~20%の非カチオン性脂質を含む。ある他の実施形態において、組成物は、組成物のモル又は総重量当たり50~75%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり20~40%のコレステロール、及び、組成物のモル又は総重量当たり5~10%の非カチオン性脂質及び組成物のモル又は総重量当たり1~10%のコンジュゲート脂質である。組成物は、組成物のモル又は総重量当たり60~70%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり25~35%のコレステロール、及び組成物のモル又は総重量当たり5~10%の非カチオン性脂質を含有し得る。組成物はまた、組成物のモル又は総重量当たり最大で90%のイオン化可能な脂質及び組成物のモル又は総重量当たり2~15%の非カチオン性脂質を含有し得る。製剤はまた、例えば、組成物のモル又は総重量当たり8~30%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり5~30%の非カチオン性脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり0~20%のコレステロール;組成物のモル又は総重量当たり4~25%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり4~25%の非カチオン性脂質、組成物のモル又は総重量当たり2~25%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり10~35%のコンジュゲート脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり5%のコレステロール;又は組成物のモル又は総重量当たり2~30%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり2~30%の非カチオン性脂質、組成物のモル又は総重量当たり1~15%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり2~35%のコンジュゲート脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり1~20%のコレステロール;或いは組成物のモル又は総重量当たり最大で90%のイオン化可能な脂質及び組成物のモル又は総重量当たり2~10%の非カチオン性脂質、或いは組成物のモル又は総重量当たり100%のカチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子製剤であり得る。ある実施形態において、脂質粒子製剤は、50:10:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質、リン脂質、コレステロール及びPEG化脂質を含む。ある他の実施形態において、脂質粒子製剤は、60:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質、コレステロール及びPEG化脂質を含む。
【0440】
ある実施形態において、脂質粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質(例えばリン脂質)、ステロール(例えば、コレステロール)及びPEG化脂質を含み、ここで、脂質のモル比は、イオン化可能な脂質では20~70モルパーセントの範囲であり、目標は40~60であり、非カチオン性脂質のモルパーセントは、0~30の範囲であり、目標は0~15であり、ステロールのモルパーセントは、20~70の範囲であり、目標は30~50であり、PEG化脂質のモルパーセントは、1~6の範囲であり、目標は2~5である。
【0441】
ある実施形態において、脂質粒子は、50:10:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質/非カチオン性脂質/ステロール/コンジュゲート脂質を含む。
【0442】
一態様において、本開示は、リン脂質、レシチン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含む脂質ナノ粒子製剤を提供する。
【0443】
ある実施形態において、1つ以上のさらなる化合物も含まれ得る。それらの化合物は、別々に投与され得、又はさらなる化合物は、本発明の脂質ナノ粒子に含まれ得る。言い換えると、脂質ナノ粒子は、核酸又は第1の核酸と異なる少なくとも第2の核酸に加えて、他の化合物を含有し得る。限定はされないが、他のさらなる化合物は、小型若しくは大型有機又は無機分子、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、タンパク質、ペプチド類似体及びその誘導体、ペプチド模倣薬、核酸、核酸類似体及び誘導体、生体材料から作製された抽出物、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0444】
ある実施形態において、LNPは、生分解性、イオン化可能な脂質を含む。ある実施形態において、LNPは、(9Z,l2Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,l2-ジエノエート(3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,l2Z)-オクタデカ-9,l2-ジエノエート)とも呼ばれる)又は別のイオン化可能な脂質を含む。例えば、国際公開第2019/067992号パンフレット、国際公開第/2017/173054号パンフレット、国際公開第2015/095340号パンフレット、及び国際公開第2014/136086号パンフレット、並びにその中に提供される参考文献の脂質を参照されたい。ある実施形態において、LNP脂質に関するカチオン性及びイオン化可能という用語は、同義的であり、例えば、イオン化可能な脂質は、pHに応じてカチオン性である。
【0445】
ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、例えば、動的光散乱(DLS)によって測定される、数10nm~数100nmであり得る。ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約40nm~約150nm、例えば、約40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、又は150nmであり得る。ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約50nm~約100nm、約50nm~約90nm、約50nm~約80nm、約50nm~約70nm、約50nm~約60nm、約60nm~約100nm、約60nm~約90nm、約60nm~約80nm、約60nm~約70nm、約70nm~約100nm、約70nm~約90nm、約70nm~約80nm、約80nm~約100nm、約80nm~約90nm、又は約90nm~約100nmであり得る。ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約70nm~約100nmであり得る。特定の実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約80nmであり得る。ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約100nmであり得る。ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約lmm~約500mm、約5mm~約200mm、約10mm~約100mm、約20mm~約80mm、約25mm~約60mm、約30mm~約55mm、約35mm~約50mm、又は約38mm~約42mmの範囲である。
【0446】
LNPは、ある場合には、比較的均質であり得る。多分散指数は、LNPの均質性、例えば、脂質ナノ粒子の粒度分布を示すのに使用され得る。小さい(例えば、0.3未満の)多分散指数は、一般に、狭い粒度分布を示す。LNPは、約0~約0.25、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、又は0.25の多分散指数を有し得る。ある実施形態において、LNPの多分散指数は、約0.10~約0.20であり得る。
【0447】
LNPのゼータ電位は、組成物の界面動電位を示すのに使用され得る。ある実施形態において、ゼータ電位は、LNPの表面電荷を表し得る。より高度に荷電された種は、身体内の細胞、組織、及び他の要素と不必要に相互作用し得るため、正又は負の比較的低い電荷を有する脂質ナノ粒子が一般に望ましい。ある実施形態において、LNPのゼータ電位は、約-10mV~約+20mV、約-10mV~約+15mV、約-10mV~約+10mV、約-10mV~約+5mV、約-10mV~約0mV、約-10mV~約-5mV、約-5mV~約+20mV、約-5mV~約+15mV、約-5mV~約+10mV、約-5mV~約+5mV、約-5mV~約0mV、約0mV~約+20mV、約0mV~約+15mV、約0mV~約+10mV、約0mV~約+5mV、約+5mV~約+20mV、約+5mV~約+15mV、又は約+5mV~約+10mVであり得る。
【0448】
タンパク質及び/又は核酸の封入の効率は、提供される初期量と比べた、調製後にLNPで封入されるか又は他の形でLNPと結合されるタンパク質及び/又は核酸の量を表す。封入効率は、高い(例えば、ほぼ100%)のが望ましい。封入効率は、例えば、1つ以上の有機溶媒又は洗浄剤で脂質ナノ粒子を分解する前及び後で脂質ナノ粒子を含有する溶液中のタンパク質又は核酸の量を比較することによって、測定され得る。アニオン交換樹脂が、溶液中の遊離タンパク質又は核酸(例えば、RNA)の量を測定するのに使用され得る。蛍光が、溶液中の遊離タンパク質及び/又は核酸(例えば、RNA)の量を測定するのに使用され得る。本明細書に記載される脂質ナノ粒子の場合、タンパク質及び/又は核酸の封入効率は、少なくとも50%、例えば50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%であり得る。ある実施形態において、封入効率は、少なくとも80%であり得る。ある実施形態において、封入効率は、少なくとも90%であり得る。ある実施形態において、封入効率は、少なくとも95%であり得る。
【0449】
LNPは、任意に、1つ以上のコーティングを含み得る。ある実施形態において、LNPは、コーティングを有するカプセル、フィルム、又は錠剤に製剤化され得る。本明細書に記載される組成物を含むカプセル、フィルム、又は錠剤は、任意の有用なサイズ、引張り強さ、硬度又は密度を有し得る。
【0450】
LNPのさらなる例示的な脂質、製剤、方法、及び特性評価が、国際公開第2020061457号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)によって教示される。
【0451】
ある実施形態において、インビトロ又はエクスビボ細胞リポフェクションが、Lipofectamine MessengerMax(Thermo Fisher)又はTransIT-mRNA Transfection Reagent(Mirus Bio)を用いて行われる。特定の実施形態において、LNPは、GenVoy_ILMイオン化可能な脂質混合物(Precision NanoSystems)を用いて製剤化される。特定の実施形態において、LNPは、2,2‐ジリノレイル‐4‐ジメチルアミノエチル‐[1,3]‐ジオキソラン(DLin‐KC2‐DMA)又はジリノレイルメチル‐4‐ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA又はMC3)を用いて製剤化され、その製剤及びインビボでの使用が、Jayaraman et al.Angew Chem Int Ed Engl 51(34):8529-8533(2012)(全体が参照により本明細書に援用される)に教示される。
【0452】
CRISPR-Casシステム、例えば、Cas9-gRNA RNP、gRNA、Cas9 mRNAの送達のために最適化されたLNP製剤が、国際公開第2019067992号パンフレット及び国際公開第2019067910号パンフレット(両方とも参照により援用される)に記載され、環状ポリリボヌクレオチド及び本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドの送達のために有用である。
【0453】
核酸(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)の送達に有用なさらなる特定のLNP製剤が、米国特許第8158601号明細書及び米国特許第8168775号明細書(両方とも参照により援用される)に記載され、これは、ONPATTROの名称で販売されているパチシラン中で使用される製剤を含む。
【0454】
ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)LNPの例示的な投与量は、約0.1、0.25、0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、8、10、又は100mg/kg(RNA)を含み得る。ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)を含むAAVの例示的な投与量は、約1011、1012、1013、及び1014vg/kgのMOIを含み得る。
【0455】
アジュバント
アジュバントは、アジュバント及び/又はアジュバントを含む免疫原性組成物を受ける対象において誘発される免疫応答(体液性及び/又は細胞性)を増強する。いくつかの実施形態では、アジュバントは、本明細書に開示される対象に投与される。いくつかの実施形態では、アジュバントは、本明細書に記載の免疫応答を生じさせるために、本明細書に記載の方法で使用される。いくつかの実施形態では、アジュバント及びポリリボヌクレオチドは、別々の組成物で同時投与される。いくつかの実施形態では、アジュバントは、単一の組成物中にポリリボヌクレオチドと混合又は製剤化され、対象に投与される。いくつかの実施形態では、アジュバント及び環状又は線状ポリリボヌクレオチドは、別々の組成物で同時投与される。いくつかの実施形態では、アジュバントは、対象に投与される免疫原性組成物を得るために、単一の組成物中に線状又は環状ポリリボヌクレオチドと混合又は製剤化される。
【0456】
アジュバントは、同じ医薬組成物中にポリリボヌクレオチドと共に製剤化され得る。アジュバントは、ポリリボヌクレオチドと組み合わせて別々に(例えば、別々の医薬組成物として)投与され得る。
【0457】
アジュバントは、TH1アジュバント及び/又はTH2アジュバントであり得る。本開示で考慮されるさらなるアジュバントとしては、限定はされないが、以下のものの1つ以上が挙げられる:
鉱物含有組成物。本開示におけるアジュバントとして使用するのに好適な鉱物含有組成物は、アルミニウム塩、及びカルシウム塩などの無機塩を含む。本開示は、水酸化物(例えばオキシ水酸化物)、リン酸塩(例えばヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩などの無機塩、又は様々な無機化合物の混合物を含み、化合物は、任意の好適な形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)を取る。カルシウム塩は、リン酸カルシウム(例えば、「CAP」)を含む。アルミニウム塩は、水酸化物、リン酸塩、硫酸塩などを含む。
【0458】
油乳剤組成物。本開示におけるアジュバントとして使用するのに好適な油乳剤組成物は、スクアレン-水エマルション、例えば、MF59(5%のスクアレン、0.5%のTween 80及び0.5%のSpan、マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に製剤化される)、AS03(水中油型エマルション中のα-トコフェロール、スクアレン及びポリソルベート80)、Montanide製剤(例えばMontanide ISA 51、Montanide ISA 720)、不完全フロイントアジュバント(IFA)、完全フロイントアジュバント(CFA)、及び不完全フロイントアジュバント(IFA)を含む。
【0459】
小分子。本開示におけるアジュバントとして使用するのに好適な小分子は、イミキモド又は847、レシキモド又はR848、又はガルジキモド(gardiquimod)を含む。
【0460】
ポリマーナノ粒子。本開示におけるアジュバントとして使用するのに好適なポリマーナノ粒子は、ポリ(a-ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリラクトン(ポリカプロラクトンを含む)、ポリジオキサノン、ポリバレロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリシアノアクリレート、チロシン由来ポリカーボネート、ポリビニル-ピロリジノン又はポリエステル-アミド、及びそれらの組合せを含む。
【0461】
サポニン(すなわち、グリコシド、1つ以上の糖側鎖に結合された多環式アグリコン)。本開示におけるアジュバントとして使用するのに好適なサポニン製剤は、精製された製剤、例えば、QS21、並びに脂質製剤、例えば、ISCOM及びISCOMマトリックスを含む。QS21は、STIMULON(商標)として販売されている。サポニン製剤は、コレステロールなどのステロールも含み得る。サポニン及びコレステロールの組合せは、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独自の粒子を形成するのに使用され得る。ISCOMは、典型的に、ホスファチジルエタノールアミン又はホスファチジルコリンなどのリン脂質も含む。任意の公知のサポニンが、ISCOMにおいて使用され得る。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHA及びQHCのうちの1つ以上を含む。任意に、ISCOMSは、さらなる洗浄剤を含まなくてもよい。
【0462】
リポ多糖。本開示において使用するのに好適なアジュバントは、腸内細菌性リポ多糖(LPS)の非毒性誘導体を含む。このような誘導体は、モノホスホリル脂質A(MPLA)、グルコピラノシル脂質A(GLA)及び3-O-脱アシル化MPL(3dMPL)を含む。3dMPLは、4、5又は6つのアシル化鎖を有する3 De-O-アシル化モノホスホリル脂質Aの混合物である。他の非毒性LPS誘導体は、モノホスホリル脂質A模倣体、例えば、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体、例えばRC-529を含む。
【0463】
リポソーム。本開示におけるアジュバントとして使用するのに好適なリポソームは、ビロソーム及びCAF01を含む。
【0464】
脂質ナノ粒子。本開示において使用するのに好適なアジュバントは、脂質ナノ粒子(LNP)及びそれらの成分を含む。
【0465】
リポペプチド(すなわち、1つ以上の脂肪酸残基及び2つ以上のアミノ酸残基を含む化合物)。本開示におけるアジュバントとして使用するのに好適なリポペプチドは、Pam2(Pam2CSK4)及びPam3(Pam3CSK4)を含む。
【0466】
糖脂質。本開示におけるアジュバントとして使用するのに好適な糖脂質は、コードファクター(トレハロースジミコラート)を含む。
【0467】
MDP(N-アセチル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン)などの(合成又は精製)グラム陰性又はグラム陽性菌に由来するペプチド及びペプチドグリカンが、本開示におけるアジュバントとして使用するのに好適である。
【0468】
アジュバントとして使用するのに好適な炭水化物(炭水化物含有)又は多糖は、デキストラン(例えば、分岐微生物多糖)、硫酸デキストラン、レンチナン、ザイモサン、β-グルカン、デルチン(deltin)、マンナン、及びキチンを含む。
【0469】
RNAベースのアジュバント。本開示において使用するのに好適なRNAベースのアジュバントは、ポリIC、ポリIC:LC、5’三リン酸を有するか又は有さないヘアピンRNA、ウイルス配列、ポリU含有配列、dsRNA天然又は合成RNA配列、及び核酸類似体(例えば、環状GMP-AMP又は他の環状ジヌクレオチド、例えば、環状ジ-GMP、免疫刺激塩基類似体例えば、C8-置換及びN7,C8-二置換グアニンリボヌクレオチド)である。いくつかの実施形態では、アジュバントは、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドの線状ポリリボヌクレオチド対応物である。
【0470】
DNAベースのアジュバント。本開示において使用するのに好適なDNAベースのアジュバントは、CpGs、dsDNA、及び天然又は合成免疫刺激DNA配列を含む。
【0471】
タンパク質又はペプチド。本開示におけるアジュバントとして使用するのに好適なタンパク質及びペプチドは、フラジェリン-融合タンパク質、MBL(マンノース結合レクチン)、サイトカイン、及びケモカインを含む。
【0472】
ウイルス粒子。アジュバントとして使用するのに好適なウイルス粒子は、ビロソーム(リン脂質細胞膜二重層)を含む。
【0473】
本開示において使用するためのアジュバントは、フラジェリン、LPS、又は細菌毒素(例えば、エンテロトキシン(タンパク質)、例えば、易熱性毒素又はコレラ毒素)など、細菌由来であり得る。本発明において使用するためのアジュバントは、イミキモドにコンジュゲートされたCpGなどのハイブリッド分子であり得る。本開示において使用するためのアジュバントは、キチン又はβ-グルカンなどの、真菌又は卵菌綱(oomycete)微生物関連分子パターン(MAMP)であり得る。ある実施形態において、アジュバントは、金ナノロッド又はシリカ系ナノ粒子(例えば、メソ多孔質シリカナノ粒子(MSN))などの無機ナノ粒子である。ある実施形態において、アジュバントは、多成分アジュバント又はアジュバント系、例えば、AS01、AS03、AS04(MLP5+ミョウバン)、CFA(完全フロイントアジュバント:IFA+ペプチドグリカン+トレハロースジミコラート)、糖脂質免疫調節剤(マイコバクテリア細胞壁に位置するコードファクターの合成変異体であり得るトレハロース6,6-ジベヘネート(TDB))で安定化されたCAF01(カチオン性リポソームビヒクルの2成分系(ジメチルジオクタデシル-アンモニウム(DDA))である。
【0474】
いくつかの実施形態では、対象は、1つ又は複数の免疫原をコードする環状又は線状ポリリボヌクレオチドを、アジュバントと組み合わせて、投与される。本明細書を通して使用される「~と組み合わせて」という用語には、治療レジメンの一部として任意の2つの組成物を投与することが含まれる。これには、例えば、単一の医薬組成物として、ポリリボヌクレオチド及びアジュバントを製剤化することが含まれ得る。これにはまた、例えば、定義された治療又は投薬レジメンに従って、別々の組成物として、ポリリボヌクレオチド及びアジュバントを対象に投与することが含まれる。アジュバントは、ポリリボヌクレオチドの投与の前、実質的に同時に、又は後に、対象に投与され得る。アジュバントは、ポリリボヌクレオチドの投与の前又は後の1日、2日、5日、10日、20日、1ケ月、2ケ月、3ケ月、4ケ月、5ケ月、又は6ケ月以内に投与され得る。アジュバントは、ポリリボヌクレオチドと同じ投与経路(例えば、筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内、局所、又は経口)、又は異なる経路によって投与され得る。
【0475】
ワクチン
本明細書に記載される方法のある実施形態において、第2の薬剤がまた、対象に投与され、例えば、第2のワクチンがまた、対象に投与される。ある実施形態において、対象に投与される組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド及び第2のワクチンを含む。ある実施形態において、ワクチン及び環状ポリリボヌクレオチドは、別個の組成物中で共投与される。ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチド免疫化と同時に投与され、環状ポリリボヌクレオチド免疫化の前に投与され、又は環状ポリリボヌクレオチド免疫化の後に投与される。
【0476】
例えば、ある実施形態において、対象は、非環状ポリリボヌクレオチドワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)及び環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、第1の微生物(例えば、肺炎球菌)のための非ポリリボヌクレオチドワクチン及び本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化される。ワクチンは、任意の細菌感染ワクチン又はウイルス感染ワクチンであり得る。特定の実施形態において、ワクチンは、PCV13又はPPSV23などの肺炎球菌多糖ワクチンである。ある実施形態において、ワクチンは、インフルエンザワクチンである。ある実施形態において、ワクチンは、RSVワクチン(例えば、パリビズマブ)である。
【0477】
ある実施形態において、対象に投与される組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及びワクチンを含む。ある実施形態において、ワクチン及び線状ポリリボヌクレオチドは、別個の組成物中で共投与される。ワクチンは、線状ポリリボヌクレオチド免疫化と同時に投与され、線状ポリリボヌクレオチド免疫化の前に投与され、又は線状ポリリボヌクレオチド免疫化の後に投与される。
【0478】
例えば、ある実施形態において、対象は、ポリリボヌクレオチド(例えば、非線状ポリリボヌクレオチド)ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)及び免疫原をコードする配列を含む本明細書に開示される線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、第1の微生物(例えば、肺炎球菌)のための非ポリリボヌクレオチドワクチン及び免疫原をコードする配列を含む本明細書に開示される線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化される。ワクチンは、任意の細菌感染ワクチン又はウイルス感染ワクチンであり得る。特定の実施形態において、ワクチンは、PCV13又はPPSV23などの肺炎球菌多糖ワクチンである。ある実施形態において、ワクチンは、インフルエンザワクチンである。ある実施形態において、ワクチンは、RSVワクチン(例えば、パリビズマブ)である。
【0479】
他の実施形態
記載された本発明の組成物、方法及び使用の様々な変更及び変形は、当業者であれば、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく明らかであろう。本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、特許請求される本発明がそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことを理解されたい。実際、当業者に明らかな、本発明を実施するための記載されたモードの様々な変更は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0480】
全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、又は特許出願がその全体を参照することにより本明細書に組み込まれることが具体的且つ個々に示されたのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0481】
本開示を限定するのではなく例示することが意図される以下の実施例は、本明細書に記載される組成物及び方法がどのように使用され、作製され、評価され得るかの説明を当業者に提供するために提示される。実施例は、本開示を純粋に例示するものであることが意図されており、本発明者らが本発明とみなすものの範囲を限定することは意図されていない。
【0482】
実施例1:免疫原をコードする環状RNAの設計
本実施例は、免疫原をコードする環状RNAの設計を記載する。本実施例では、環状RNAが、IRES、免疫原をコードするORF、及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサーエレメントを含むように設計される。環状化により、ローリングサークル型翻訳、個別のORF発現及び制御されたタンパク質化学量論のための交互のスタガーエレメントを有する複数のORF、並びにリボソーム進入のためのRNAを標的とするIRESが可能になる。環状RNAによってコードされる例示的な免疫原は、SARS-Cov-2免疫原(RBD及びスパイク)、インフルエンザH1N1免疫原、HPV免疫原、及び腫瘍ネオ抗原である。
【0483】
実施例2:環状RNAの生成及び精製
本実施例においては、環状RNAは、2つの例示的な方法のうちの1つによって生成され、RNA精製システムで再び精製される。
【0484】
例示的方法1:DNAスプリントライゲーション
この例示的な方法は、スプリントライゲーションによって環状RNAを生成する。RppH処理線状RNAは、スプリントDNAを用いて環状化される。非修飾線状RNAは、DNAセグメントからT7 RNAポリメラーゼを使用して、インビトロ転写によって合成される。転写されたRNAを、RNA精製システム(New England Biolabs)で精製され、RNA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs、M0356)で、製造業者の指示に従って処理される。或いは、又は加えて、RNAは、GTPより過剰なGMPで転写された。
【0485】
スプリントライゲーションは、以下のように実施される:環状RNAが、RNAリガーゼを使用して、転写された線状RNA及び10~40ヌクレオチド長のDNAスプリントの処理によって生成される。環状RNAを精製するために、ライゲーション混合物を4%変性PAGEで分離し、各環状RNAに対応するRNAバンドを切除した。切除したRNAゲル断片を破砕し、RNAをゲル溶出緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM EDTA)により37℃で1時間溶出した。或いは、又は加えて、環状RNAをカラムクロマトグラフィーによって精製した。上清を回収し、破砕したゲルにゲル溶出緩衝液を加えることによってRNAを再度溶出し、1時間インキュベートする。ゲル破片を遠心分離フィルタで除去し、エタノールで沈殿させる。アガロースゲル電気泳動を、純度及び環状化を検証するための品質管理測定として使用する。
【0486】
例示的方法2:自己スプライシングイントロンによる環状化
この例示的な方法は、自己スプライシングによって環状RNAを生成する。環状RNAは、インビトロで生成される。非修飾線状RNAを、先に列挙した全てのモチーフを含むDNA鋳型からインビトロで転写する。インビトロ転写反応は、1μgの鋳型DNA T7 RNAポリメラーゼプロモーター、10×T7反応緩衝液、7.5mM ATP、7.5mM CTP、7.5mM GTP、7.5mM UTP、10mM DTT、40U RNアーゼ阻害剤、及びT7酵素を含んだ。転写は37℃で4時間行う。転写されたRNAを、1UのDNアーゼIにより37℃で15分間DNアーゼ処理する。自己スプライシングによる環状化を促進するために、2mMの最終濃度まで追加のGTPを添加し、55℃で15分間インキュベートする。次いで、RNAをカラム精製し、UREA-PAGEによって可視化する。
【0487】
実施例3:環状RNAからのマルチ免疫原発現
本実施例は、環状RNAからの複数の免疫原の発現を記載する。
【0488】
本実施例では、1つの環状RNAは、IRES(配列番号1)、続いて、インフルエンザA H1N1の第1の株、A/California/07/2009(H1N1)由来のヘマグルチニン(HA)の一部に対応する免疫原1をコードするORF(配列番号2)、終止コドン、IRES(配列番号1)、インフルエンザA H1N1の第2の株、A/Puerto Rico/8/1934由来のヘマグルチニン(HA)の一部に対応する免疫原2をコードする別のORF(配列番号3)、終止コドン、及びスペーサー(配列番号4)を含むように設計される(
図1を参照)。この環状RNAは、本明細書に記載の方法に従って、インビトロ又は細胞内で生成される。
【0489】
簡潔に説明すると、環状RNAをウサギ網状赤血球ライセート(RRL;Promega、Fitchburg、WI、USA)中、30℃で1.5~3時間インキュベートする。反応混合物の最終組成物は、70%のウサギ網状赤血球ライセート、20μMのアミノ酸混合物(Promega;L446A)、及び0.8U/μLのRNasin(登録商標)リボヌクレアーゼ阻害剤(Promega、N211A)を含む。トリクロロ酢酸沈殿法によりヘモグロビンを除去する。沈殿及び遠心分離の後、上清を廃棄し、ペレットを2×SDSサンプル緩衝液(Thermo)に溶解し、70℃で15分間インキュベートする。サンプルを、4~12%勾配のポリアクリルアミド/ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ゲル(Thermo、NP0326BOX)上で分離し、続いてウェスタンブロッティングを行う。タンパク質を、セミドライ法を用いてポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜(Thermo)に電気泳動で転写させ、ブロットし、特異的抗体でプローブし、C-Digitスキャナー(LI-COR Biosciences)で化学発光によって可視化する。Image-Studio Lite(LI-COR Biosciences)を、発現レベルの定量に使用する。
【0490】
さらに、免疫原1及び免疫原2の発現を、eRNAでトランスフェクトされたHeLa細胞由来の培養上清中でELISAによって測定する。簡潔に説明すると、0.1pmolのeRNAを、Opti-MEM(Invitrogen;31985062)中、MessengerMax(Invitrogen;LMRNA015)を用いて10,000個のHeLa細胞にトランスフェクトする。細胞上清を1日目及び2日目に回収する。ELISAを以下のように行う:100μLのPBS中、4℃で、捕捉抗体をELISAプレート(MaxiSorp 442404、96ウェル)上に一晩かけてコーティングする。TBS-Tで3回洗浄した後、プレートをブロッキングバッファ(2%のFBS及び0.05%のTween20を含むTBS)で1時間ブロッキングする。次いで、上清希釈物を100μLブロッキングバッファの入った各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートする。TBS-Tで3回洗浄した後、プレートをHRP検出抗体と共に室温で1時間インキュベートする。テトラメチルベンゼン(Pierce 34021)を各ウェルに添加し、5~15分間反応させた後、2Nの硫酸でクエンチする。光学濃度(OD)値を、450nmで測定する。
【0491】
実施例4:同じ標的に由来する複数の免疫原をコードする環状RNA
この実施例では、環状RNAは2つの異なるタンパク質に由来する2つのポリペプチド免疫原をコードするが、両タンパク質は同じ標的を識別する。環状RNAは、開始コドン、発現配列、スタガーエレメント、及びIRESを用いて設計される(
図2)。環状化により、スタガーエレメントによって分離された複数の発現配列のローリングサークル型翻訳が可能になる。
【0492】
具体的には、環状RNAは、開始コドン、HIV-1エンベロープ糖タンパク質120(gp120)に由来するポリペプチド免疫原を含む第1のORF、任意選択のスタガーエレメント、HIV-1エンベロープ糖タンパク質41(gp41)に由来するポリペプチド免疫原を含む第2のORF、及び任意選択のIRESをコードし、HIV-1エンベロープタンパク質はポリペプチド免疫原の標的である。3つのgp120及び3つのgp41はヘテロ二量体の三量体で結合し、gp120の三量体は頭部領域であり、gp41の三量体は尾部領域であり、HIV-1のエンベロープスパイクを一緒に形成する。したがって、gp120及びgp41の両方に由来するポリペプチド免疫原は、HIV-1エンベロープタンパク質を標的とする環状RNAに含まれる。
【0493】
実施例5:異なる標的に由来する複数の免疫原をコードする環状RNA
この例では、環状RNAは、互いに異なる標的を識別する2つの異なるタンパク質に由来する2つのポリペプチド免疫原をコードする。環状RNAは、開始コドン、発現配列、スタガーエレメント、及びIRESを用いて設計される(
図2)。環状化により、スタガーエレメントによって分離された複数の発現配列のローリングサークル型翻訳が可能になる。
【0494】
異なる標的に由来する複数の免疫原は、開始コドン、水痘帯状疱疹ウイルス由来のエンベロープ糖タンパク質1(gP1)に由来するポリペプチド免疫原をコードするORF、スタガー配列、及びヘマグルチニンに由来するポリペプチド免疫原を有するように設計されるような環状RNAによってコードされる。水痘帯状疱疹ウイルスのエンベロープ糖タンパク質は少なくとも6種あり、糖タンパク質gP1、gP2、gP3は、身体が中和抗体を産生するように誘導することができる(Zweerink et al.1981;31(1):436-444)。同様に、2つのエンベロープ糖タンパク質、ヘマグルチニン及び融合タンパク質は、モルビリウイルス(Morbillivirus)の知られた免疫原である。したがって、gP1に由来するポリペプチド免疫原及びヘマグルチニンに由来するポリペプチド免疫原をコードする環状RNAは、水痘帯状疱疹ウイルス及びモルビリウイルスの両方を標的とする。
【0495】
実施例6:環状RNAのマルチ免疫原投与
本実施例は、複数の環状RNA分子を投与することによる、対象における複数の免疫原の発現を記載する。
【0496】
この実施例では、環状RNA 1は、IRES(配列番号1)、続いて、インフルエンザA H1N1の第1の株、A/California/07/2009由来のヘマグルチニン(HA)の一部に対応する免疫原1をコードするORF(配列番号2)、終止コドン、及びスペーサー(配列番号4)を含むように設計される(
図3を参照)。環状RNA 2は、IRES(配列番号1)、続いて、インフルエンザA H1N1の第2の株、A/Puerto Rico/8/1934由来のヘマグルチニン(HA)の一部に対応する免疫原2をコードするORF(配列番号3)、終止コドン、及びスペーサー(配列番号4)を含むように設計される(
図3を参照)。これらの環状RNAは、インビトロ転写(Lucigen;AS3107)、及び本明細書に提供される方法によって記載されるRNAリガーゼを使用するRNAライゲーションによって生成される。
【0497】
上記のような複数の異なる免疫原をコードする複数の環状RNAを、哺乳動物対象への投与のために製剤化する。
【0498】
環状RNAを、本明細書に含まれる製剤のいずれかに製剤化する。これらの製剤化されたRNAを、0日目に、好適な経路、皮内、皮下、筋肉内又は静脈内経路によって注射する。
【0499】
分泌された免疫原発現を、哺乳動物対象から採取した血液又は組織において評価する。投与後1、2、7、14及び21日目に、抗凝固剤を含まない管に血液サンプルを採取する。血清を、1300g、4℃で25分間の遠心分離によって単離し、分泌されたタンパク質発現をELISAによって測定する。簡単に説明すると、捕捉抗体を、100μLのPBS中、4Cで一晩、ELISAプレート(MaxiSorp 442404、96ウェル)上にコーティングする。TBS-Tで3回洗浄した後、プレートをブロッキングバッファ(2%のFBS及び0.05%のTween20を含むTBS)で1時間ブロッキングする。次いで、上清希釈物を100μLブロッキングバッファの入った各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートする。TBS-Tで3回洗浄した後、プレートをHRP検出抗体と共に室温で1時間インキュベートする。テトラメチルベンゼン(Pierce 34021)を各ウェルに添加し、5~15分間反応させた後、2Nの硫酸でクエンチする。光学濃度(OD)値を、450nmで測定する。
【0500】
実施例7:環状RNAによってコードされる免疫原及び小分子アジュバントの同時投与
本実施例は、環状RNAを小分子アジュバントと組み合わせて対象に投与することにより、免疫応答を刺激することを示す。
【0501】
この実施例では、ポリペプチド免疫原をコードする環状RNAを設計し、生成し、精製し、製剤として調製する。免疫応答を刺激するために、MF5(登録商標)アジュバントなどの小分子アジュバントを対象に投与する。ポリペプチド免疫原をコードする環状RNAの製剤及び小分子アジュバントの両方を、対象に同時に対象に投与する。
【0502】
実施例8:異なる標的に対応するポリペプチド免疫原をそれぞれコードする複数の環状RNAを含む免疫原性組成物の同時投与
本実施例では、それぞれがポリペプチド免疫原をコードする複数の環状RNA(
図3)を対象に投与する。
【0503】
モルビリウイルス(Morbillivirus)標的を識別するために、当該技術分野で知られているエンベロープタンパク質ヘマグルチニンに由来するポリペプチド免疫原をコードする1つの環状RNAを対象に投与する。水痘帯状疱疹ウイルス標的を識別するために当該技術分野で知られているエンベロープタンパク質糖タンパク質Eに由来するポリペプチド免疫原をコードする別の環状RNAも対象に投与する。両方の環状RNAを設計し、生成し、精製し、そして製剤として調製する。両環状RNAを含む製剤を対象に投与する。
【0504】
実施例9:環状RNAを用いた哺乳動物における免疫原に対する抗体のインビボ誘導
上記の免疫原をコードする環状ポリヌクレオチドを、哺乳動物対象へ投与するために製剤化する。製剤は、生理食塩水によるか、又は本明細書で教示する製剤のいずれかである。環状ポリヌクレオチドを含有するワクチンは、任意選択により、1種又は複数種の樹状標的剤又は部分を含有する。免疫原をコードするポリヌクレオチドを含むワクチンを、0日目に、好適な経路、皮内、皮下、筋肉内又は静脈内経路によって注入する。免疫刺激剤又は部分をコードするポリヌクレオチドを、免疫応答を刺激するために、免疫原をコードするポリヌクレオチドと同時投与することができる。免疫原をコードする環状ポリヌクレオチドを含有するワクチンの追加のチャレンジを、免疫原に対する抗体が検出されるまで、週1回、隔週、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと又は8週間ごとに行う。免疫原特異的抗体の産生を強化するために、追加のワクチンチャレンジを投与する。
【0505】
実施例10:哺乳動物細胞における環状RNAからのタンパク質又は免疫原の発現の検出
RNAコンストラクトからの非分泌タンパク質又は免疫原の発現効率を測定するために、タンパク質又は免疫原をコードする環状RNA(0.1ピコモル)を、本明細書に記載の方法に従って生成し精製する。MessengerMax(Invitrogen、LMRNA)を用いて、HEK293(無血清培地の入った96ウェルプレートに、1ウェル当たり10,000個の細胞)に環状RNAをトランスフェクトする。
【0506】
非分泌タンパク質又は免疫原について、タンパク質発現を、免疫原特異的ELISAを用いて24、48、及び72時間で測定する。発現を測定するために、溶解バッファ及びプロテアーゼ阻害剤を使用して、適切な時点で各ウェル中の細胞を溶解する。細胞溶解物を回収し、12,000rpmで10分間遠心分離する。上清を採取する。
【0507】
分泌されたタンパク質又は免疫原について、免疫原特異的ウエスタンブロットを用いて、24、48、及び72時間で免疫原発現を検出する。簡単に説明すると、哺乳動物細胞からの80μLの上清を各ウェルから採取する。採取した培地中のタンパク質レベルをBCAタンパク質アッセイ法によって測定し、同量のタンパク質を4%~12%勾配のBis-Trisゲル(Thermo Fisher Scientific)上で分離し、iBlot2トランスファーシステム(Thermo Fisher Scientific)を用いてニトロセルロース膜に移す。抗免疫原抗体(Sino Biological)を用いて免疫原を検出する。タンパク質バンドからの化学発光シグナルを、iBright FL1500イメージングシステム(Invitrogen)によってモニターする。
【0508】
実施例11:哺乳動物細胞における環状RNAからのRBD免疫原の発現
本実施例は、哺乳動物細胞における環状RNAからのRBD免疫原の発現を示す。
【0509】
この実施例では、SARS-CoV-2 RBD免疫原をコードする環状RNAを、本明細書に記載の方法に従って生成し精製した。
【0510】
RBDをコードする環状RNAの発現を、ウエスタンブロットと組み合わされた免疫沈降(IP-ウエスタン)によって試験した。簡潔に述べると、RBD免疫原をコードする環状RNA(0.1ピコモル)を、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いて、BJ線維芽細胞及びHeLa細胞(10,000個の細胞)中にトランスフェクトした。MessengerMax単独を、対照として使用した。上清を、24時間の時点で収集し、免疫沈降を、タンパク質G-Dynabeads(Invitrogen、10003D)に結合されたSARS-CoV-2 RBD-スパイク糖タンパク質(Sino Biologicals、Cat:40592-T62)に特異的なウサギ抗体を用いて行い、同じ抗体を用いて、PAGEによって分解された免疫沈降された産物を検出した。組み換えRBD(42ng)免疫沈降を、対照として使用し、細胞タンパク質発現を定量した。膜化学発光を、Image Studio(商標)Liteウエスタンブロット定量ソフトウェア(Li-COR Biosciences)を用いて定量した。
【0511】
環状RNAによってコードされるRBD免疫原が、BJ線維芽細胞及びHeLa細胞上清において検出され、対照では検出されなかった(
図4)。
【0512】
この実施例は、SAR-CoV-2 RBD免疫原(分泌されたタンパク質である)が、哺乳動物細胞における環状RNAから発現されたことを示す。
【0513】
実施例12:マウスモデルにおけるSARS-CoV-2 RBD免疫原の免疫原性
カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)で製剤化したSARS-CoV-2 RBD免疫原をコードする環状RNAの免疫原性を、マウスモデルにおいて評価した。カチオン性ポリマーで製剤化したSARS-CoV-2 RBD免疫原に対する抗体の産生もまた、マウスモデルにおいて評価した。
【0514】
この実施例では、環状RNAをIRES、及びSARS-CoV-2 RBD免疫原をコードするORF、並びにIRES-ORFに隣接する2つのスペーサーエレメントを用いて設計した。環状RNAを、以下のように生成した。DNAセグメントからのT7 RNAポリメラーゼを用いて、過剰のグアノシン5’モノホスフェートを用いたインビトロ転写により、非修飾線状RNAを合成した。転写されたRNAを、RNA精製システム(New England Biolabs,Inc.)を用いて、製造業者の使用説明書に従って精製した。精製した線状RNAを、スプリントDNAを用いて環状化した。
【0515】
環状RNAを、以下のようにスプリットライゲーションによって生成した:転写された線状RNA及びDNAスプリントを混合し、アニーリングし、RNAリガーゼで処理した。環状RNAを精製するために、ライゲーション混合物を逆相クロマトグラフィーによって分離した。移動相の有機含量を増加させることにより、環状RNAを線状RNAから選択的に溶出した。溶出したRNAを分別回収し、環状RNAの純度を測定した。選択した画分を合わせ、バッファを交換して移動相の塩及び溶媒を除去した。アクリルアミドゲル電気泳動を、純度及び環状化を検証するための品質管理測定として使用した。
【0516】
精製した環状RNAを純水で1100ng/μLの濃度に希釈した。硫酸プロタミンを乳酸リンゲル液(4000ng/μL)に溶解した。攪拌しながら、RNA:プロタミンの重量比が2:1になるまで、プロタミン-乳酸リンゲル溶液を環状RNA溶液の半分に添加した。安定な複合体の形成を確実にするため、溶液をさらに10分間撹拌した。次いで、残りの環状RNAを(すなわち、残りの環状RNAを環状RNA:プロタミン溶液に)添加し、溶液を短時間撹拌した。混合物(すなわち、環状RNA混合物)の最終濃度を、乳酸リンゲル溶液を用いて調整して、50μL中に2μg又は10μgのRNAを含有する最終RNA濃度を有する環状RNA調製物を得た。
【0517】
1群あたり3匹のマウスに対し、0日目及び21日目に、2μg若しくは10μgの用量の環状RNA調製物、又はプロタミンビヒクル対照を、筋肉内又は皮内にワクチン接種した。各マウスに、Addavax(商標)アジュバント(Invivogen)を、0日目及び21日目の環状RNA調製物を投与した24時間後に、筋肉内又は皮内に1回投与した。Addavax(商標)アジュバントは、50μL中の1×PBS中50%で、製造業者の説明書に従って投与した。
【0518】
各マウスからの血液の収集は、サブモル採血によって行った。血液を、環状RNAの投与後、7、14、21、23、28、35、41、49、56、63、69、77、84、108及び115日目に抗凝固剤を含まない乾燥チューブに収集した。4℃、1200g、30分間の遠心分離により全血から血清を分離した。血清を56℃で1時間加熱することにより熱不活性化した。個々の熱不活性化血清サンプルを、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によってRBD特異的IgGの存在についてアッセイした。ELISAプレート(MaxiSorp 442404 96ウェル、Nunc)に、100μL PBS中、4℃で、一晩かけて、SARS-CoV-2 RBD(Sino Biological、40592-V08B;100ng)をコーティングした。次いで、プレートをブロッキングバッファ(2%のFBS及び0.05%のTween 20を含むTBS)で1時間ブロッキングした。次いで、血清希釈物を100μLブロッキングバッファの入った各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。Tween(登録商標)洗浄剤(TBS-T)をふくむ1×トリス緩衝生理食塩水で3回洗浄した後、プレートを抗マウスIgG HRP検出抗体(Jackson 115-035-071)と共に1時間インキュベートし、続いて、TBS-Tで3回洗浄し、次いで、テトラメチルベンゼン(Pierce 34021)を添加した。ELISAプレートを5分間反応させ、次いで、2Nの硫酸を用いてクエンチした。光学濃度(OD)値を、450nmで測定した。
【0519】
各血清サンプルの光学密度を、バックグラウンド(RBDでコーティングし、二次抗体のみと共にインキュベートしたプレート)の光学密度で除した。各サンプルのバックグラウンドに対する倍率をプロットした。
【0520】
結果は、環状RNA調製物を注入した後、14、21、23、28、35、41、49、56、63、69、77、84、108及び115日目に抗RBD応答が得られたことを示した(
図5)。プロタミンビヒクルの注入後では、抗RBD抗体は得られなかった。これらの結果は、RBD免疫原をコードする環状RNAがマウスにおいて抗原特異的免疫応答を誘導することを示した。
【0521】
同様のELISAを用いて、スパイク特異的IgGの存在について血清サンプルをアッセイした。ELISAプレート(MaxiSorp 442404 96ウェル、Nunc)に、100μL PBS中、4℃で、一晩かけて、SARS-CoV-2 Spike(Sino Biological、40589-V08B1;100ng)をコーティングした。次いで、プレートをブロッキングバッファ(2%のFBS及び0.05%のTween20を含むTBS)で1時間ブロッキングした。次いで、血清希釈物を100μLブロッキングバッファの入った各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。Tween(登録商標)洗浄剤(TBS-T)をふくむ1×トリス緩衝生理食塩水で3回洗浄した後、プレートを抗マウスIgG HRP検出抗体(Jackson 115-035-071)と共に1時間インキュベートし、続いて、TBS-Tで3回洗浄し、次いで、テトラメチルベンゼン(Pierce 34021)を添加した。ELISAプレートを5分間反応させ、次いで、2Nの硫酸を用いてクエンチした。光学濃度(OD)値を、450nmで測定した。
【0522】
結果は、環状RNA調製物を注入した後、35日目に抗スパイク抗体が得られたことを示した(
図6)。ビヒクルの注入後では、抗スパイク抗体は得られなかった。
【0523】
投与後14日目の血清抗体を、相対IgG1対IgG2aアイソタイプを測定するアッセイを用いて特徴付け(
図7)、血清抗体のウイルスを中和する能力を、PRNT中和アッセイを用いて、特徴付けた。その結果、アジュバントを筋肉内投与した2μgのRBD環状RNAが中和能を有することが示された。
【0524】
実施例13:環状RNAを用いた哺乳動物におけるインフルエンザHA免疫原に対する抗体のインビボ誘導
上記のインフルエンザHA免疫原をコードする環状ポリヌクレオチド(例えば、実施例1、3及び6を参照)を、哺乳動物対象への投与のために製剤化する。製剤は、生理食塩水によるか、又は本明細書で教示する製剤のいずれかである。環状ポリヌクレオチドを含有するワクチンは、任意選択により、1種又は複数種の樹状標的剤又は部分を含有する。免疫原をコードするポリヌクレオチドを含むワクチンを、0日目に、好適な経路、皮内、皮下、筋肉内又は静脈内経路によって注入する。免疫刺激剤又は部分をコードするポリヌクレオチドを、免疫応答を刺激するために、免疫原をコードするポリヌクレオチドと同時投与することができる。免疫原をコードする環状ポリヌクレオチドを含有するワクチンの追加のチャレンジを、抗HA抗体が検出されるまで、週1回、隔週、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと又は8週間ごとに行う。抗HA抗体の産生を強化するために、追加のワクチンチャレンジを投与する。
【0525】
実施例14:マウス免疫原性試験 HA幹抗原の比較
本実施例では、環状RNAを用いて送達されるインフルエンザウイルスワクチン免疫原に対する免疫応答を評価するアッセイを実施する。インフルエンザウイルスの異なる株から得られたHA幹タンパク質をコードする環状RNAポリヌクレオチドを含む候補インフルエンザウイルスワクチンのマウスにおける免疫原性を試験する。試験ワクチンは、MC3 LNPの有無にかかわらず製剤化された以下の環状RNAを含んだ。
【0526】
マウスを、0週目及び3週目に、2用量の様々なインフルエンザウイルスRNAワクチン製剤の筋肉内注入によって免疫し、2回目の用量で免疫した2週間後に血清を採取する。
【0527】
実施例15:マウス免疫原性試験 HA幹抗原の比較
本実施例では、環状RNAを用いて送達されるインフルエンザウイルスワクチン免疫原に対する免疫応答を評価するアッセイを実施する。インフルエンザウイルスの異なる株から得られたHA幹タンパク質をコードする環状RNAポリヌクレオチドを含む候補インフルエンザウイルスワクチンのマウスにおける免疫原性を試験する。試験ワクチンは、MC3 LNPの有無にかかわらず製剤化された以下の環状RNAを含んだ。
【0528】
マウスを、0週目及び3週目に、2用量の様々なインフルエンザウイルスRNAワクチン製剤の筋肉内注入によって免疫し、2回目の用量で免疫した2週間後に血清を採取する。
【0529】
血清を、ELISAを用いて、多種多様なインフルエンザ株由来のヘマグルチニン(HA)に結合することができる抗体の存在について試験する。簡潔に説明すると、ELISAプレートに、PBS中、4℃で、100ngの組換えHA(Sino Biological)を一晩かけてコーティングする。コーティング後、プレートを0.05%のtween20を含むトリス緩衝生理食塩水(TBS-T)で洗浄し、次いで、室温で1時間、TBS-T+2% BSAでブロッキングする。ブロッキング後、100μLの対照抗体又は免疫したマウスからの血清(TBS-T+2% BSAで希釈)を各プレートの上部ウェルに添加し、2%のBSAを含むTBS-Tで連続希釈する。プレートを密封し、次いで、室温で1~2時間インキュベートする。プレートをTBS-Tで洗浄し、ヤギ抗マウスIgG(H+L)-HRPコンジュゲートを、マウス血清を含む各ウェルに添加する。プレートを室温で1時間インキュベートし、次いで、TBS-Tで洗浄し、TMB基質(Pierce 340214)と共にインキュベートする。約10分間発色させ、次いで、100μLの2N硫酸でクエンチする。プレートをマイクロプレートリーダーにより450nmで読み取る。エンドポイント力価を算出する。
【0530】
実施例16:インフルエンザAに対する環状RNAワクチンのマウス有効性試験
本実施例は、インビボでインフルエンザAに対して有効である環状RNAワクチンを記載する。
【0531】
試験ワクチンには、プロタミン中に調合した以下の環状RNAが含まれる。NIHGen6HASS-フォールドン環状RNA(Yassine et al.Nat.Med.2015 September;21(9):1065-70に基づく)、H3N2株由来の核タンパク質NPをコードする環状RNA、又はNIHGen6HASS-フォールドン及びNP環状RNAのいくつかの組み合わせのうちの1つ。ワクチン免疫原同時送達のいくつかの方法、例えば、以下の方法を試験する:製剤化前に個々の環状RNAをプロタミンと混合する、混合前に個々の環状RNAを製剤化する、及び環状RNAを個々に製剤化し、遠位部位(反対側の脚)に注入する。対照動物には、環状RNAを含まないプロタミンをワクチン接種する(プロタミンの効果を調整するため)か、又はワクチン接種をしない(ナイーブ)。
【0532】
0週目及び3週目に、筋肉内(IM)注入により動物に免疫を付与する。候補インフルエンザウイルスワクチンは実施例13に記載される。2回目の投与の2週間後に、全ての動物から血清を採取する。6週目に、動物の一部から脾臓を採取する。残りの動物を、ケタミンとキシラジンの混合物で鎮静させ、次いで、マウスに適応したインフルエンザウイルス株H1N1 A/プエルトリコ/8/1934の致死量を鼻腔内にチャレンジする。死亡率を記録し、個々のマウスの体重を感染後20日間毎日評価する。
【0533】
多種多様なインフルエンザ株又は核タンパク質(NP)由来のヘマグルチニン(HA)に結合することができる抗体の存在について血清を試験するために、ELISAアッセイを行い、エンドポイント力価を上述したように算出する。
【0534】
機能的抗体応答を調べるために、HA偽型ウイルスのパネルを中和する血清の能力を評価する。簡潔に記載すると、293細胞を、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含有する複製欠損レトロウイルスベクター、ヒト気道セリンプロテアーゼをコードする発現ベクター、並びにインフルエンザヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)タンパク質をコードする発現ベクターで同時トランスフェクトする。得られた偽ウイルスを培養上清から回収し、濾過し、力価測定する。
【0535】
血清の連続希釈物を、96ウェルプレート中、37℃で1時間、偽ウイルスストック(1ウェル当たり、30,000~300,000相対発光量)と共にインキュベートし、その後、293細胞を各ウェルに添加する。培養物を37℃で72時間インキュベートし、その時点でルシフェラーゼ基質及び細胞溶解試薬を添加し、相対発光量(RLU)をルミノメーターで測定する。中和力価は、偽ウイルス感染の50%を阻害する血清希釈(IC50)の逆数として表される。
【0536】
NIHGen6HASS-フォールドン抗血清がインビトロで抗体依存性細胞傷害(ADCC)サロゲート活性を媒介する能力を評価する。簡潔に記載すると、連続的に滴定したマウス血清サンプルを、H1N1 A/Puerto Rico/8/1934由来のHAを細胞表面に安定して発現するA549細胞と共にインキュベートする。続いて、ADCCバイオアッセイエフェクター細胞(Promega、マウスFcgRIV NFAT-Lucエフェクター細胞;M115A)を血清/標的細胞混合物に添加する。約6時間後、Bio-glo試薬(Promega;G7940)をサンプルウェルに添加し、発光を測定する。
【0537】
2回目のワクチン用量投与の3週間後、各群の一部の動物から脾臓を採取し、同じ群の動物からの脾細胞をプールする。脾臓リンパ球をHA又はNPペプチドのプール(Anaspec)で刺激し、IFN-γ、IL-2又はTNF-α産生を細胞内染色及びフローサイトメトリーによって測定する。
【0538】
実施例17:非ヒト動物への投与のための環状RNA製剤
精製の後、環状RNA又はmRNAを、以下のように配合した:
A.環状RNA又はmRNAを、50uL中2.5又は25ピコモルの最終濃度になるまでPBS中で希釈して、環状RNA製剤又は線状RNA製剤(非配合)を得た。
【0539】
B.環状RNA又はmRNAを、製造業者の説明(15%のTransIT、5%のブースト)に従って、脂質担体(例えば、TransIT(Mirus Bio))及びmRNAブースト試薬(Mirus Bio)と共に配合して、50uL中2.5又は25ピコモルの最終RNA濃度を得て、環状RNA製剤又は線状RNA製剤を得た。
【0540】
C.環状RNA又はmRNAを、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合した。簡潔に述べると、環状RNA又はmRNAを、純水中で希釈した。プロタミン硫酸塩を、乳酸リンゲル液(4000ng/uL)に溶解させた。撹拌しながら、プロタミン-乳酸リンゲル液を、RNA:プロタミンの重量比が2:1になるまで環状RNA又はmRNA溶液の半分まで加えた。溶液を、さらに10分間にわたって撹拌して、安定した複合体の形成を確実にした。次に、残りの環状RNA又はmRNAを加え(すなわち、残りの環状RNAを環状RNA溶液に加え、残りのmRNAをmRNA溶液に加えた)、溶液を短時間撹拌した。混合物(すなわち、環状RNA混合物又はmRNA混合物)の最終濃度を、乳酸リンゲル液を用いて調整して、50uL当たり2.5又は25ピコモルの最終RNA濃度を有する環状RNA製剤又は線状RNA製剤を得た。
【0541】
D.環状RNA又はmRNAを、脂質ナノ粒子と共に配合した。簡潔に述べると、環状RNA又はmRNAを、25mMの酢酸塩緩衝液pH=4(0.2umのフィルタに通してろ過された)中で、0.2ug/uLの濃度になるまで希釈した。脂質ナノ粒子(LNP)を、50/38.5/10/1.5mol%のモル比で、イオン化可能な脂質(例えばALC0315)、コレステロール、DSPC、及びDMG-PEG2000をエタノール(0.2umの滅菌フィルタに通してろ過された)にまず溶解させることによって配合した。最終的なイオン化可能な脂質/RNA重量比は、8/1w/wであった。脂質及びRNA溶液を、3/1緩衝液/エタノールの流量比及び1ml/分の総流量で、マイクロ流体システムを用いてマイクロミキサーチップ中で混合した。次に、LNPを、3時間にわたってPBS pH=7.4中で透析して、エタノールを除去した。LNPの内部のRNA濃度及び封入効率を、Ribogreenアッセイを用いて測定した。必要に応じて、LNPを、Amicon遠心分離フィルタ、100kDaカットオフを用いて、所望のRNA濃度になるまで濃縮した。粒子のサイズ、濃度、及び電荷を、Zetasizer Ultra(Malvern Pananaytical)を用いて測定した。RNA濃度を、PBSを用いて、0.1又は0.2ug/ulの最終濃度になるまで調整した。2つのRNA配列を含む製剤では、LNP中で配合する前又は各RNAが別々に配合された後に、RNAを混合した。インビボ実験では、LNP中で配合された最終RNAを、滅菌0.2um再生セルロースフィルタに通してろ過した。
【0542】
実施例18:時間調整されたアジュバント送達を使用する、マウスにおける環状RNAからのガウシアルシフェラーゼのインビボ産生の調節
本実施例は、インビボでの環状RNAからのタンパク質又は免疫原の発現を示す一方で、アジュバントを送達して免疫応答を刺激する。
【0543】
この実施例では、GLucをコードする環状RNAを、本明細書に記載の方法に従って生成し、精製した。環状RNAを実施例17に記載のように製剤化して、環状RNA調製物(例えば、Trans-ITによる製剤化、プロタミンによる製剤化、PBS/未製剤化)を得た。マウスに、後肢への単回筋肉内注射によって、各環状RNA調製物50μLを投与した。別の群のマウスに、プロタミン製剤化環状RNA調製物を、背中への単回皮内注射により皮内投与した。
【0544】
免疫応答を刺激するために、MF59(登録商標)アジュバントと同様の処方のスクアレンベースの水中油型ナノエマルジョンであるAddavax(商標)アジュバント(Invivogen)を、0時間(環状RNA調製物との同時送達)又は24時間後にマウス後肢に注射した。Addavax(商標)アジュバントを、製造業者の使用説明書に従って50μLを投与した。
【0545】
血液サンプル(約25μL)を、各マウスから、サブモル採血によって採取した。環状RNAの投与の0、6、24及び48時間後に、血液をEDTAチューブに採取した。4℃、1300gで30分間遠心分離することによって血漿を単離し、分泌酵素であるガウシアルシフェラーゼの活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて試験した。50μLの1×GLuc基質を5μLの血漿に加えて、GLucルシフェラーゼ活性アッセイを行った。ルミノメーター装置(Promega)内で混合した直後に、プレートを読み取った。
【0546】
本実施例は、(a)アジュバントを含まない場合(
図8)、及びアジュバントを0時間及び24時間時に送達した場合(
図9)、TransIT製剤化、プロタミン製剤化、及び未製剤化の環状RNA調製物の筋肉内注射によって;また(b)アジュバントを含まない場合、及びアジュバントを24時間時に送達した場合(
図10)、プロタミン製剤化環状RNA調製物の皮内注射によって、インビボで長期間にわたって環状RNAからタンパク質が首尾よく発現することを実証した。
【0547】
実施例19:RNアーゼH産生核酸分解産物を評価することによる環状RNA調製物の特徴付け
本実施例は、RNアーゼH産生核酸分解産物についての環状RNA調製物の評価が、線状のコンカテマー産物対環状産物を検出することができることを示す。
【0548】
RNAは、リガーゼとインキュベートした場合、反応しないか、又は分子内若しくは分子間結合を形成することができ、それぞれ環状(遊離末端なし)又はコンカテマーRNA(線状)を生成する。相補的DNAプライマー及びDNA/RNA二本鎖を認識する非特異的エンドヌクレアーゼのRNアーゼHにより各タイプのRNAを処理することにより、出発RNA材料に応じて特定のサイズの固有の数の分解産物を生成すると予想される。
【0549】
ライゲーションされたRNAは、RNアーゼH分解によって産生されるRNAの数及びサイズに基づいて、コンカテマーRNAの混入のない環状RNA、又はコンカテマーRNA混入を伴う環状RNAであることが示され得る。プライマー及びRNアーゼHが環状RNAに添加される場合、環状RNA及びRNアーゼHを有する単一のプライマー二本鎖は、DNA/RNA二本鎖領域を分解して、単一の線状RNA産物を生成する。プライマー及びRNアーゼHがコンカテマーに付加される場合、コンカテマーRNA及びRNアーゼHを有する少なくとも2つのプライマー二本鎖は、DNA/RNA二本鎖を分解して3つの産物をもたらす。1つの産物は5’末端から第1のプライマー結合領域までのRNAであり、1つの産物は連結されたコンカテマーの数に応じて複数のRNAを含み得る第1のプライマー結合領域と次のプライマー結合領域との間のRNAであり、最終産物は、最後のプライマー結合領域から3’末端までのRNAである。プライマー及びRNアーゼHが線状RNAに付加されると、線状RNAを有する単一のプライマー二本鎖は、5’末端からプライマー結合領域へのRNAのための1つの産物、及び3’末端へのプライマー結合領域のための別の産物を生じる。
図11の左側の図はこの戦略を示す。
【0550】
この実施例では、環状RNAを以下のように生成した。修飾されていない線状RNAを、DNAセグメントからT7 RNAポリメラーゼを使用して、インビトロ転写により合成した。転写されたRNAを、RNA精製システム(New England Biolabs,Inc.)で精製し、RNA5’ピロホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs,Inc.、M0356)で製造業者の使用説明書に従って処理し、RNA精製システムで再び精製した。環状RNAは、ナノルシフェラーゼ(Nluc)をコードするORFを有するIRES、及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサーエレメントを含むように設計した。
【0551】
RNAの環状化状態を試験するために、0.05pmole/μlの線状又は環状RNA調製物を、0.25U/μlのRNアーゼH、DNA/RNA二本鎖を消化するエンドリボヌクレアーゼ、及び37℃で30分間、Nluc RNAに相補的な10~30核酸の0.3pmole/μlオリゴマーと共にインキュベートした。インキュベーション後、反応混合物を6%変性PAGEによって分析した。ゲルをSYBR-greenで染色し、E-gel Imagerで可視化した。可視化したゲル上のバンド強度を測定し、ImageJにより分析した。
【0552】
図11の右側は、この実験における実際の分解産物を示す。RNアーゼHエンドヌクレアーゼと共にインキュベートされた線状RNAレーン中のバンドの数は、予想通り2つのバンドを生成したが、一方、レーンAの場合、単一のバンドが環状RNAレーンで検出され、環状RNAが実際に環状であり、コンカテマーではないことを示した。レーンB及びレーンCの場合、線状及びコンカテマー混入によるバンドが、RNアーゼHレーンに現れる複数の小さい断片バンドの存在のため、RNアーゼH処理後に見られた。
【0553】
実施例20:合成環状RNAのローリングサークル型翻訳は、細胞において別個のタンパク質産物を産生した
本実施例は、細胞において、終止エレメント(終止コドン)を欠く、例えば、終止エレメント(終止コドン)の代わりにスタガーエレメントを有する合成環状RNAからのローリングサークル型翻訳によって、別個のタンパク質又は免疫原産物が翻訳されたことを示す。さらに、この実施例は、スタガーエレメントを有する環状RNAがその線状対応物よりも正確な分子量を有するより多くのタンパク質又は免疫原産物を発現したことを示す。
【0554】
環状RNAは、終止エレメント(終止コドン)の代わりにスタガーエレメントを有するナノルシフェラーゼ遺伝子(nLUC)を含むように設計した。細胞を、ビヒクル:トランスフェクション試薬のみ;線状nLUC:EMCV IRES、スタガーエレメント(2A配列)、3×FLAGタグ付きnLuc配列、及びスタガーエレメント(2A配列);又は環状nLUC:EMCV IRES、スタガーエレメント(2A配列)、3×FLAGタグ付きnLuc配列、及びスタガーエレメント(2A配列)でトランスフェクトした。
図12に示すように、環状RNAは、線状RNAと比較して、正確な分子量を有するより高いレベルのタンパク質を産生した。
【0555】
24時間後、100μlのRIPAバッファを添加することによって細胞を回収した。1400×gで5分間遠心分離した後、上清を10~20%勾配のポリアクリルアミド/SDSゲルで分析した。
【0556】
ドライトランスファー法を用いてニトロセルロース膜に電気転写した後、ブロットを抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロットをECLキットで可視化し、ウェスタンブロットバンド強度をImageJで測定した。
【0557】
図12に示すように、環状RNA翻訳産物が細胞で検出された。特に、終止エレメント(終止コドン)を有さない環状RNAは、その線状RNA対応物よりも正確な分子量を有する、より高いレベルの別個のタンパク質産物を産生した。
【0558】
実施例21:調節核酸部位を有する環状RNAの調製
本実施例は、調節RNA結合部位を有する環状RNAのインビトロ産生を示す。
【0559】
異なる細胞型は、特定のRNA配列を標的とする特有の核酸調節機構を有する。環状RNAにおけるこれらの特定の配列をコードすることにより、異なる細胞型において特有の特性を付与し得る。以下の実施例に示すように、環状RNAを、マイクロRNA結合部位をコードするように操作した。
【0560】
この実施例では、環状RNAは、WT EMCV IRESをコードする配列、mir692マイクロRNA結合部位、及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサーエレメントを含んだ。
【0561】
環状RNAを、インビトロで生成した。修飾されていない線状RNAを、転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターに加えて、上に列挙した全てのモチーフを含むDNA鋳型からインビトロで転写した。転写されたRNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs、T2050)で精製し、製造業者の説明書に従ってRNA5’-ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs、M0356)で処理し、RNA精製カラムで再び精製した。RppHで処理したRNAを、10~40ヌクレオチド長のスプリントDNA及びT4 RNAリガーゼ2(New England Biolabs、M0239)を用いて環状化した。環状RNAを尿素-PAGE精製し(
図13)、緩衝液(0.5Mの酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTA)に溶出し、エタノール沈殿させ、RNアーゼを含まない水に再懸濁した。
【0562】
図13に示すように、miRNA結合部位を有する環状RNAが生成された。
【0563】
実施例22:血液中の分泌された免疫原の検出
血液サンプル(約25μL)を、顎下腺抽出によって分析のために各マウスから採取した。血液が、環状RNAの投与の0、6時間、24、48時間及び7日後の時点で、EDTAチューブに採取される。血漿が、4℃で、1300gで30分間にわたって遠心分離によって単離される。分泌された免疫原の発現が、実施例5に記載されるような方法を用いて、例えばRBD免疫原について、ELISA又はウエスタンブロットを用いて評価される。
【0564】
実施例230:免疫原に対する抗体の検出
この実施例は、免疫原に対する抗体の存在を決定する方法を記載する。
【0565】
ELISAが、Chen X et al.(medRxiv、doi:doi.org/10.1101/2020.04.06.20055475(2020))によって記載されるように使用される。簡潔に述べると、ウェル当たり100μLのPBS中のSARS-CoV-2タンパク質が、4℃で一晩、ELISAプレート上に被覆される。次に、ELISAプレートが、ブロッキングバッファ(5%のFBS及び0.05%のTween 20)で1時間にわたってブロックされる。次に、10倍希釈された血漿が、1時間にわたって100μLのブロッキングバッファ中で各ウェルに加えられる。Tween(登録商標)洗浄剤(PBST)を含む1倍リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、結合抗体が、30分間にわたって抗マウスIgG HRP検出抗体(Invitrogen)と共にインキュベートされた後、PBST、次にPBSで洗浄され、テトラメチルベンゼンが加えられる。ELISAプレートが、5分間にわたって反応させられ、次に、1MのHCl停止緩衝液を用いてクエンチされる。光学密度(OD)値が、450nmで決定される。
【0566】
A.SARS-CoV-2 RBD免疫原に対する抗体の場合、使用されるSARS-CoV-2タンパク質は、SARS-CoV-2 RBD(Sino Biological、40592-V08B)である。
【0567】
B.SARS-CoV-2スパイク免疫原に対する抗体の場合、使用されるSARS-CoV-2タンパク質は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質(Sino Biological、40591-V08H)である。
【0568】
実施例24:環状RNAから発現されるタンパク質の増加
本実施例は、細胞における合成環状RNA翻訳を示す。さらに、本実施例は、環状RNAがその線状対応物よりも正確な分子量の発現産物をより多く産生したことを示す。
【0569】
線状及び環状RNAは、終止エレメント(終止コドン)を有するナノルシフェラーゼ遺伝子(nLUC)を含むように設計した。細胞を、ビヒクル:トランスフェクション試薬のみ;線状nLUC:EMCV IRES、スタガーエレメント(2A配列)、3×FLAGタグ付きnLuc配列、スタガーエレメント(2A配列)、及び終止エレメント(終止コドン);又は環状nLUC:EMCV IRES、スタガーエレメント(2A配列)、3×FLAGタグ付きnLuc配列、スタガーエレメント(2A配列)、及び終止エレメント(終止コドン)でトランスフェクトした。
図14に示すように、環状RNAは、線状RNAと比較して、正確な分子量を有するより高いレベルのタンパク質を産生した。
【0570】
24時間後、100μlのRIPAバッファを添加することによって細胞を回収した。1400×gで5分間遠心分離した後、上清を10~20%勾配のポリアクリルアミド/SDSゲルで分析した。
【0571】
ドライトランスファー法を用いてニトロセルロース膜に電気転写した後、ブロットを抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロットをECLキットで可視化し、ウェスタンブロットバンド強度をImageJで測定した。
【0572】
図14に示すように、環状RNAは細胞内でタンパク質に翻訳された。特に、環状RNAは、その線状RNA対応物と比較して、正確な分子量を有するより高いレベルのタンパク質を産生した。
【0573】
実施例25:環状RNAのインビボ再投与
本実施例は、2用量の環状RNAを使用して、インビボにおける環状RNAからの発現を駆動する能力を示す。
【0574】
本実施例では、環状RNAは、EMCV IRES、ガウシアルシフェラーゼ(GLuc)をコードするORF、及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサーエレメントを含んだ。
【0575】
環状RNAを、インビトロで生成した。修飾されていない線状RNAを、上に列挙した全てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA鋳型からインビトロで転写した。転写されたRNAを、Monarch RNAクリーンアップキット(New England Biolabs、T2050)で精製し、製造業者の説明書に従ってRNA5’-ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs、M0356)で処理し、MonarchRNAクリーンアップシステムで再び精製した。RppHで処理したRNAを、10~40ヌクレオチド長のスプリントDNA及びT4 RNAリガーゼ2(New England Biolabs、M0239)を用いて環状化した。環状RNAを尿素-PAGE精製し、緩衝液(0.5Mの酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTA)に溶出し、エタノール沈殿させ、RNA保存溶液(ThermoFisher Scientific、カタログ番号AM7000)中に再懸濁した。
【0576】
マウスに、両方とも担体としての脂質ベースのトランスフェクション試薬(Mirus)中に調合した、ガウシアルシフェラーゼORFを有する環状RNA、又は対照としての線状RNA 0.25μgの単一尾静脈注射用量を0日目に投与し、2回目の用量を56日目に投与した。
【0577】
投与後、1、2、7、11、16、及び23日目に、各マウスの尾静脈から血液サンプル(50μl)をEDTAチューブに採取した。4℃、1300gで25分間遠心分離することによって血漿を単離し、分泌酵素であるガウシアルシフェラーゼの活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて試験した。50μlの1×GLuc基質を5μLの血漿に加えて、GLucルシフェラーゼ活性アッセイを行った。ルミノメーター装置(Promega)内で混合直後に、プレートを読み取った。
【0578】
ガウシアルシフェラーゼ活性は、環状RNAの最初の用量を投与した1、2、7、11、16、及び23日後の血漿中で検出された(
図15)。
【0579】
対照的に、修飾線状RNAの投与後は、1及び2日目の血漿中でのみ、ガウシアルシフェラーゼ活性が検出された(
図15)。
【0580】
ガウシアルシフェラーゼ活性は、環状RNAの2回目の用量の投与後、2、3、8、及び15日目の血漿中で再び検出された(
図15)。
【0581】
対照的に、修飾線状RNAの投与後は、1、2及び3日目の血漿中でのみ、ガウシアルシフェラーゼ活性が検出された。
【0582】
この実施例は、環状RNAがインビボで長期間タンパク質を発現し、注射後数日、血漿中にタンパク質活性レベルを有することを示した。さらに、実施例は、環状RNAの再投与が同様の発現プロファイルをもたらすことを示している。
【0583】
実施例26:環状RNAのインビボスタガード投与
本実施例は、環状RNAの連続的なスタガード用量を使用して、インビボにおける環状RNAからのタンパク質又は免疫原のより高い発現を駆動する能力を示す。
【0584】
本実施例では、環状RNAは、EMCV IRES、ガウシアルシフェラーゼ(GLuc)をコードするORF、及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサーエレメントを含んだ。
【0585】
環状RNAを、インビトロで生成した。修飾されていない線状RNAを、上に列挙した全てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA鋳型からインビトロで転写した。転写されたRNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs、T2050)で精製し、製造業者の説明書に従ってRNA5’-ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs、M0356)で処理し、RNA精製カラムで再び精製した。RppHで処理したRNAを、10~40ヌクレオチド長のスプリントDNA及びT4 RNAリガーゼ2(New England Biolabs、M0239)を用いて環状化した。環状RNAを尿素-PAGE精製し、緩衝液(0.5Mの酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTA)中に溶出し、エタノール沈殿させ、RNアーゼを含まない水に再懸濁した。
【0586】
マウスに、両方とも担体としての脂質ベースのトランスフェクション試薬(Mirus)中に調合した、ガウシアルシフェラーゼORFを有する環状RNA、又は対照としての線状RNA 0.25pmolの尾静脈注射用量を0日目、2日目及び5日目に投与した。
【0587】
投与の6時間後、1、2、3、5、7、14、21、28、35、42日後に、各マウスの尾静脈から血液サンプル(50μl)をEDTAチューブに採取した。4℃、1300gで25分間遠心分離することによって血漿を単離し、分泌酵素であるガウシアルシフェラーゼの活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて試験した。50μlの1×GLuc基質を5μLの血漿に加えて、GLucルシフェラーゼ活性アッセイを行った。ルミノメーター装置(Promega)内で混合した直後に、プレートを読み取った。
【0588】
ガウシアルシフェラーゼ活性は、環状RNAの単回用量を投与した6時間後、1、2、3、5、7、14、21、28日後の血漿中で検出された(
図16及び
図17)。ガウシアルシフェラーゼ活性は、環状RNAを3用量、投与した場合、その最初の用量を投与した6時間後、1、2、3、5、7、14、21、28、35日後の血漿中で検出された(
図16及び
図17)。
【0589】
対照的に、修飾線状RNAの投与後は、6時間後、1、2、3日後の血漿中でのみ、ガウシアルシフェラーゼ活性が検出され、発現レベルはその初回用量を超えて増加することはなかった。線状RNA由来タンパク質からの酵素活性は、追加の線状RNAが投与されたにもかかわらず、x日目以降、バックグラウンドレベルを超えて検出されることはなかった(
図16及び
図17)。
【0590】
この実施例は、環状RNAがインビボで長期間タンパク質を発現し、複数回の注射後の血漿中のタンパク質活性レベルが上昇することを示した。さらに、実施例は、環状RNAの反復投与は発現をもたらすが、線状RNAの反復投与は発現をもたらさないことを示している。
【0591】
実施例27:筋肉内注射による環状RNAのネイキッド投与(naked dose)及び再投与
本実施例は、筋肉内に投与される2つの用量の環状RNAを使用して、インビボにおける環状RNAからのタンパク質又は免疫原のより高い発現を駆動する能力を示す。
【0592】
本実施例では、環状RNAは、EMCV IRES、ガウシアルシフェラーゼ(GLuc)をコードするORF、及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサーエレメントを含んだ。
【0593】
環状RNA及びmRNAを、本明細書に記載の方法に従って作製し精製した。
【0594】
次いで、製剤化されていないRNAを生成するために、環状RNA及びmRNAを、100μLのPBS中に最終濃度が2.5ピコモルになるように希釈した。
【0595】
2.5ピコモルの用量の、ガウシアルシフェラーゼORFを有する環状RNAを、マウスの後肢に単回筋肉内注射した。注射は0日目に実施し、2回目の用量を49日目に投与した。ビヒクルのみを対照として使用した。
【0596】
血液サンプル(50μL)を、投与後1、2、7、11、16、及び23日目に、顎下穿刺により、EDTAチューブに採取した。4℃、1300gで25分間遠心分離することによって血漿を単離し、分泌酵素であるガウシアルシフェラーゼの活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて試験した。50μLの1×GLuc基質を5μLの血漿に加えて、GLucルシフェラーゼ活性アッセイを行った。ルミノメーター装置(Promega)内で混合直後に、プレートを読み取った。
【0597】
ガウシアルシフェラーゼ活性は、製剤化されていない環状RNAの最初の用量を投与した1、2、7、11、16、及び23日後の血漿中で検出された。(
図18)。
【0598】
対照的に、製剤化されていないmRNAの投与後は、1及び2日後の血漿中でのみ、ガウシアルシフェラーゼ活性が検出された。(
図18)。
【0599】
ガウシアルシフェラーゼ活性は、製剤化されていない環状RNAの2回目の用量の投与後、2、3、8、及び15日目の血漿中で再び検出された。(
図18)。
【0600】
対照的に、製剤化されていない修飾mRNAの投与後は、1、2、3日後の血漿中でのみ、ガウシアルシフェラーゼ活性が検出された。(
図18)。
【0601】
いずれの場合も、ガウシアルシフェラーゼ活性は溶媒のみの対照よりも大きかった。
【0602】
この実施例は、担体なしで筋肉内に投与された環状RNAはインビボで長期間タンパク質を発現し、注射後数日、血漿中にタンパク質活性レベルを有することを示した。さらに、実施例は、環状RNAの再投与が同様の発現プロファイルをもたらすことを示している。
【0603】
実施例28:5回繰り返される静脈内注射による環状RNAの担体再投与は、機能性タンパク質の発現をもたらす
本実施例は、筋肉内に投与される5用量の環状RNAを使用して、インビボにおける環状RNAからの発現をインビボで駆動する能力を示す。
【0604】
本実施例では、環状RNAは、EMCV IRES、ガウシアルシフェラーゼ(GLuc)をコードするORF、及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサーエレメントを含んだ。
【0605】
環状RNA及びmRNAを、本明細書に記載の方法に従って作製し精製した。
【0606】
環状RNA及びmRNAを、カチオン性脂質担体を用いて製剤化した。この実施例では、10%TransIT(Mirus Bio)及び5%Boostを、製造業者の説明書に従ってRNAと複合体化した。
【0607】
マウスに、ガウシアルシフェラーゼORFを含む環状RNA 0.25ピコモルの単一尾静脈注射用量を投与した。注射は、0日目、71日目、120日目、196日目、及び359日目に行った。ビヒクルのみを対照として使用した。
【0608】
血液サンプル(50μL)を、投与後0.25、1、2、3、7、14、21、28、及び35日目に、顎下穿刺により、EDTAチューブに採取した。4℃、1300gで25分間遠心分離することによって血漿を単離し、分泌酵素であるガウシアルシフェラーゼの活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて試験した。50μLの1×GLuc基質を5μLの血漿に加えて、GLucルシフェラーゼ活性アッセイを行った。ルミノメーター装置(Promega)内で混合直後に、プレートを読み取った。
【0609】
Trans-IT製剤化環状RNAを投与した場合、ガウシアルシフェラーゼ活性は、初回用量の投与後1、2、3、7、14、21及び28日目;2回目用量の投与後1、2、3、7、14及び21日目;3回目用量の投与後1、2、3、7、14及び21日目;4回目用量の投与後1、2、3、7、14、21及び28日目;並びに5回目用量の投与後1、2、3、7、14及び21日目の血漿中で検出された。(
図19)。
【0610】
対照的に、Trans-IT製剤化修飾mRNAを投与した場合、ガウシアルシフェラーゼ活性は、初回用量の投与後0.25、1及び2日目;2回目用量の投与後0.25、1及び2日目;3回目用量の投与後0.25、1及び2日目;4回目用量の投与後0.25、1及び2日目;並びに5回目用量の投与後0.25、1及び2日目の血漿中で検出された。(
図19)。
【0611】
それぞれの場合において、ガウシアルシフェラーゼ活性、したがって発現は、mRNAよりも環状RNAの場合の方が大きかった。
【0612】
この実施例は、静脈内投与された環状RNAは、インビボで長期間タンパク質を発現し、注射後数日、血漿中にタンパク質活性レベルを有し、少なくとも5回再投与することができることを示した。さらに、実施例は、環状RNAの再投与が同様の発現プロファイルをもたらすことを示している。
【0613】
実施例29:哺乳動物細胞における環状RNAからの複数の免疫原の発現
この実施例は、哺乳動物細胞における環状RNAからの複数の免疫原の発現を実証する。
【0614】
実験1
SARS-CoV-2 RBD免疫原(核酸配列番号33;アミノ酸配列番号32)をコードする第1の環状RNA、及びSARS-CoV-2スパイク免疫原(核酸配列番号31;アミノ酸配列番号30)をコードする第2の環状RNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、精製した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。混合物(環状RNAのそれぞれを1ピコモル)を、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いてHeLa細胞(24ウェルプレート中でウェル当たり100,000個の細胞)中にトランスフェクトした。対照として、第1の環状RNA及び第2の環状RNAも、MessengerMaxを用いてHeLa細胞中に別々にトランスフェクトした。
【0615】
RBD免疫原発現を、SARS-CoV-2 RBD免疫原特異的ELISAを用いて24時間の時点で測定した。スパイク免疫原発現を、フローサイトメトリーによって24時間の時点で測定した。
【0616】
混合物によるトランスフェクションから、SARS-Co-V-2 RBD免疫原が、HeLa細胞上清において検出され、SARS-CoV-2スパイク免疫原が、HeLa細胞の細胞表面において検出された。第1の環状RNAによるトランスフェクションから、SARS-CoV-2 RBD免疫原が検出されたが、SARS-CoV-2スパイク免疫原は検出されなかった。第2の環状RNAによるトランスフェクションから、SARS-CoV-2スパイク免疫原が検出されたが、SARS-CoV-2 RBD免疫原は検出されなかった。これは、SAR-CoV-2 RBD及びSARS-CoV-2スパイク免疫原の両方が、環状RNAの組合せ混合物からの哺乳動物細胞において発現されたことを実証する。
【0617】
実験2
SARS-CoV-2 RBD免疫原(核酸配列番号33;アミノ酸配列番号32)をコードする第1の環状RNA、及びガウシアルシフェラーゼ(GLuc)ポリペプチド(核酸配列番号37;アミノ酸配列番号36)をコードする第2の環状RNAを設計し、本明細書に従った方法により生成した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)と共に別々に複合体形成し、次に、一緒に混合して、混合物を得た。混合物(0.1ピコモルの各環状RNA)を、HeLa細胞(96ウェルプレート中のウェル当たり20,000個の細胞)中にトランスフェクトした。対照として、第1の環状RNA及び第2の環状RNAも、MessengerMaxを用いてHeLa細胞中に別々にトランスフェクトした。
【0618】
RBD免疫原発現を、SARS-CoV-2 RBD免疫原特異的ELISAを用いて24時間の時点で測定した。GLuc活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて24時間の時点で測定した。
【0619】
混合物によるトランスフェクションから、SARS-CoV-2 RBD免疫原及びGLuc活性が、24時間の時点でHeLa細胞上清において検出された。第1の環状RNAによるトランスフェクションから、SARS-CoV-2 RBD免疫原が検出されたが、GLuc活性は検出されなかった。第2の環状RNAによるトランスフェクションから、GLuc活性が検出されたが、SARS-CoV-2 RBD免疫原は検出されなかった。これは、SAR-CoV-2 RBD及びGLuc免疫原の両方が、環状RNAの組合せ混合物からの哺乳動物細胞において発現されたことを実証する。
【0620】
実験3
SARS-CoV-2 RBD免疫原(核酸配列番号33;アミノ酸配列番号32)をコードする第1の環状RNA、及びインフルエンザA H1N1、A/California/07/2009からの赤血球凝集素(HA)免疫原(核酸配列番号35;アミノ酸配列番号34)をコードする第2の環状RNAを、本明細書に従った方法によって設計し、生成した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。混合物(1ピコモルの各環状RNA)を、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いてHeLa細胞(24ウェルプレート中でウェル当たり100,000個の細胞)中にトランスフェクトした。対照として、第1の環状RNA及び第2の環状RNAも、MessengerMaxを用いてHeLa細胞中に別々にトランスフェクトした。
【0621】
RBD免疫原発現を、SARS-CoV-2 RBD免疫原特異的ELISAを用いて24時間の時点で測定した。HA免疫原発現を、免疫ブロット法を用いて24時間の時点で測定した。簡潔に述べると、免疫ブロット法では、トランスフェクションの24時間後に、細胞を溶解させ、ウエスタンブロットを行って、一次抗体としてインフルエンザA H1N1 HA(A/California/07/2009)モノクローナル抗体(MA5-29920(Thermo Fisher))及び二次抗体(Abcam、ab 97023)としてヤギ抗マウスIgG H&L(HRP)を用いて、HA免疫原を検出した。ローディングコントロールのために、αチューブリンを、一次抗体としてαチューブリン(DM1A)マウス抗体(Cell Signaling Technology、CST #3873)及び二次抗体としてヤギ抗マウスIgG H&L(HRP)(Abcam、ab 97023)と共に使用した。
【0622】
混合物によるトランスフェクションから、SARS-CoV-2 RBD及びインフルエンザHA免疫原の両方が検出された。第1の環状RNAによるトランスフェクションから、SARS-CoV-2 RBDが検出されたが、インフルエンザHA免疫原は検出されなかった。第2の環状RNAによるトランスフェクションから、インフルエンザHA免疫原が検出されたが、SARS-CoV-2 RBD免疫原は検出されなかった。これは、SAR-CoV-2 RBD及びインフルエンザHA免疫原の両方が、環状RNAの組合せ混合物からの哺乳動物細胞において発現されたことを実証する。
【0623】
実験4
SARS-CoV-2スパイク免疫原(核酸配列番号31;アミノ酸配列番号30)をコードする第1の環状RNA、及びインフルエンザA H1N1、A/California/07/2009からのヘマグルチニン(HA)(核酸配列番号35;アミノ酸配列番号34)をコードする第2の環状RNAを、本明細書に従った方法によって設計し、生成し、精製した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。混合物(1ピコモルの各環状RNA)を、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いてHeLa細胞(24ウェルプレート中でウェル当たり100,000個の細胞)中にトランスフェクトした。対照として、第1の環状RNA及び第2の環状RNAも、MessengerMaxを用いてHeLa細胞中に別々にトランスフェクトした。
【0624】
スパイク免疫原発現を、フローサイトメトリーによって24時間の時点で測定した。HA免疫原発現を、実験3において上述されるように免疫ブロット法によって24時間の時点で測定した。
【0625】
混合物によるトランスフェクションから、SARS-CoV-2スパイク免疫原及びインフルエンザHA免疫原の両方が検出された。第1の環状RNAによるトランスフェクションから、SARS-CoV-2スパイク免疫原が検出されたが、インフルエンザHA免疫原は検出されなかった。第2の環状RNAによるトランスフェクションから、インフルエンザHA免疫原が検出されたが、SARS-CoV-2スパイク免疫原は検出されなかった。これは、SAR-CoV-2スパイク及びインフルエンザHA免疫原の両方が、環状RNAの組合せ混合物からの哺乳動物細胞において発現されたことを実証する。
【0626】
この実施例は、複数の免疫原が、環状RNAの異なる組合せを含む環状RNA製剤から哺乳動物細胞において発現されたことを示す。
【0627】
実施例30:環状RNAからの複数の免疫原発現
この実施例は、哺乳動物細胞における環状RNAからの複数の免疫原の発現を実証する。
【0628】
実験1
この実施例において、環状RNAを、IRES、続いてGLucポリペプチドをコードするORF、終止コドン、スペーサー、IRES、SARS-CoV-2 RBD免疫原をコードするORF、及び終止コドンを含むように設計した。環状RNAを、本明細書に記載される方法によって生成し、精製した。対照として、以下の環状RNAを、上述されるように生成した:(i)IRES及びSARS-CoV-2 RBD免疫原をコードするORFを有する環状RNA;(ii)IRES及びGLucポリペプチドをコードするORFを有する環状RNA。
【0629】
環状RNA(0.1ピコモル)を、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いてHeLa細胞(96ウェルプレート中のウェル当たり10,000個の細胞)中にトランスフェクトした。
【0630】
RBD免疫原発現を、SARS-CoV-2 RBD免疫原特異的ELISAを用いて24時間の時点で測定した。GLuc活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて24時間の時点で測定した。
【0631】
RBD免疫原発現が、SARS-CoV-2 RBD免疫原及びGLucポリペプチドをコードする環状RNAから検出された(
図20A)。GLuc活性が、SARS-CoV-2 RBD免疫原及びGLucをコードする環状RNAから検出された(
図20B)。これは、SAR-CoV-2 RBD及びGLuc免疫原の両方が、SARS-CoV-2 RBD及びGLuc免疫原の両方をコードする環状RNAから哺乳動物細胞において発現されたことを実証する。
【0632】
実験2
この実施例において、環状RNAを、IRES、続いてSARS-CoV-2 RBD免疫原をコードするORF、終止コドン、スペーサー、IRES、中東呼吸器症候群(MERS)RBD免疫原をコードするORF、及び終止コドンを含むように設計した。環状RNAを、本明細書に記載される方法によって生成し、精製する。
【0633】
環状RNAを、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いてHeLa細胞(96ウェルプレート中のウェル当たり10,000個の細胞)中に様々な濃度でトランスフェクトする。
【0634】
SARS-CoV-2 RBD免疫原発現が、SARS-CoV-2 RBD免疫原特異的ELISAを用いて24時間の時点で測定される。MERS RBD免疫原発現が、検出が可能なMERS RBD免疫原特異的抗体を用いて24時間の時点で測定される。
【0635】
実施例31:マウスモデルにおける環状RNAからの複数の免疫原の免疫原性
この実施例は、複数の環状RNA分子を投与することによる、対象における複数の免疫原の発現を実証する。
【0636】
実験1
脂質ナノ粒子中で製剤化された、(a)SARS-CoV-2 RBD免疫原をコードする環状RNA及び(b)モデル免疫原としてGLucポリペプチドをコードする環状RNAを含む環状RNA製剤の免疫原性を、マウスモデルにおいて評価した。SARS-CoV-2 RBD免疫原に対する抗体の産生及びGLuc活性も、マウスモデルにおいて評価した。
【0637】
SARS-CoV-2 RBD免疫原(核酸配列番号33;アミノ酸配列番号32)をコードする第1の環状RNA、及びGLucポリペプチド(核酸配列番号37;アミノ酸配列番号36)をコードする第2の環状RNAを設計し、本明細書に記載される方法によって設計し、精製した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。次に、この混合物を、実施例17に記載されるように脂質ナノ粒子と共に配合して、第1の環状RNA製剤を得た。第1の環状RNA及び第2の環状RNAはまた、実施例17に記載されるように脂質ナノ粒子と共に別々に配合し、次に、一緒に混合して、第2の環状RNA製剤を得た。
【0638】
3匹のマウスに、0日目に第1の環状RNA製剤(10ugのRBD+10ugのGLucの総用量で)及び12日目に第2の環状RNA製剤(10ugのRBD+10ugのGLucの総用量で)を筋肉内に接種させた。さらなるマウス(群当たり3又は4匹)にも、0日目及び12日目に、(i)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第1の環状RNA;(ii)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第2の環状RNA;又は(iii)PBSを筋肉内に接種させた。
【0639】
各マウスからの血液採取を、顎下腺抽出によって行った。血液を、第1の環状RNA製剤によるプライミングの2及び17日後の時点で乾燥抗凝固剤フリーチューブ中に採取した。血清を、4℃で30分間にわたって1200gにおける遠心分離によって、全血から分離した。個々の血清サンプルを、酵素結合免疫吸着法(ELISA)によって、RBD特異的IgGの存在についてアッセイした。ELISAプレート(MaxiSorp 442404 96ウェル、Nunc)を、100uLの1×コーティング緩衝液(Biolegend、421701)中のSARS-CoV-2 RBD(Sino Biological、40592-V08B;100ng)で、4℃で一晩被覆した。次に、プレートを、ブロッキングバッファ(2%のBSA及び0.05%のTween 20を含むTBS)で1時間にわたってブロックした。次に、血清希釈物(1:500、1:1500、1:4500、及び1:13,500)を、100uLのブロッキングバッファ中で各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。Tween(登録商標)洗浄剤(TBS-T)を含む1倍トリス-緩衝生理食塩水で3回洗浄した後、プレートを、1時間にわたって抗マウスIgG HRP検出抗体(Abcam、ab97023)と共にインキュベートした後、TBS-Tで3回洗浄し、次に、テトラメチルベンゼン(Biolegend、421101)を加えた。ELISAプレートを、10~20分間にわたって反応させ、次に、0.2Nの硫酸を用いてクエンチした。光学密度(O.D.)値を、450nmで決定した。
【0640】
各血清サンプルの光学密度を、バックグラウンド(二次抗体のみと共にインキュベートされた、RBDで被覆されたプレート)で除算した。各サンプルのバックグラウンドを超える倍数をプロットした。
【0641】
GLucの活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて試験した。50uLの1×GLuc基質を、10uLの血清に加えて、GLucルシフェラーゼ活性アッセイを行った。プレートを、発光測定装置(Promega)において混合した直後に読み取った。
【0642】
結果は、抗RBD抗体が、プライムの17日後(すなわち、第1の環状RNA製剤の注射の17日後)の時点で得られ(
図21A)、GLuc活性が、プライムの2日後(すなわち、第1の環状RNA製剤の注射の2日後)の時点で検出された(
図21B)ことを示した。
【0643】
これらの結果は、異なる免疫原をコードする2つの環状RNAを含む環状RNA製剤が、マウスにおける免疫原特異的応答を誘導したことを示した。
【0644】
実験2
脂質ナノ粒子中で製剤化された、(a)SARS-CoV-2 RBD免疫原をコードする環状RNA及び(b)インフルエンザ赤血球凝集素(HA)免疫原をコードする環状RNAを含む環状RNA製剤の免疫原性を、マウスモデルにおいて評価した。SARS-CoV-2 RBD及びインフルエンザHA免疫原に対する抗体の産生も、マウスモデルにおいて評価した。
【0645】
SARS-CoV-2 RBD免疫原(核酸配列番号33;アミノ酸配列番号32)をコードする第1の環状RNA、及びインフルエンザA H1N1、A/California/07/2009からの赤血球凝集素(HA)(核酸配列番号35;アミノ酸配列番号34)をコードする第2の環状RNAを、本明細書に記載される方法によって設計し、精製した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。次に、この混合物を、実施例17に記載されるように脂質ナノ粒子と共に配合して、第1の環状RNA製剤を得た。第1の環状RNA及び第2の環状RNAはまた、実施例17に記載されるように脂質ナノ粒子と共に別々に配合し、次に、一緒に混合して、第2の環状RNA製剤を得た。
【0646】
3匹のマウスに、0日目に第1の環状RNA製剤(10ugのRBD+10ugのHAの総用量で)及び12日目に第2の環状RNA製剤(10ugのRBD+10ugのHAの総用量で)を筋肉内に接種させた。さらなるマウス(群当たり3又は4匹)にも、0日目及び12日目に、(i)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第1の環状RNA;(ii)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第2の環状RNA;又は(iii)PBSを筋肉内に接種させた。
【0647】
血液採取は、実験1に記載されるとおりであった。ELISAによるRBD特異的IgGの存在が、実験1に記載されるように決定された。
【0648】
個々の血清サンプルを、ELISAによってHA特異的IgGの存在についてアッセイした。ELISAプレートを、HA組み換えタンパク質(Sino Biological、11085-V08B;100ng)で、4℃で一晩被覆し、プレートを、実験1に記載されるように処理した。各血清サンプルの光学密度を、バックグラウンド(二次抗体のみと共にインキュベートされた、HAで被覆されたプレート)の光学密度で除算した。各サンプルのバックグラウンドを超える倍数をプロットした。
【0649】
結果は、抗RBD及び抗HA抗体が、プライムの17日後(すなわち、第1の環状RNA製剤による注射の17日後に得られたことを示した(
図22A及び22B)。
【0650】
結果はまた、異なる免疫原をコードする2つの環状RNAを含む環状RNA調製物がインビボで発現され、免疫原特異的免疫応答を誘導することを示した。
【0651】
実験3
脂質ナノ粒子中で製剤化された、(a)SARS-CoV-2スパイク免疫原をコードする環状RNA及び(b)インフルエンザ赤血球凝集素(HA)免疫原をコードする環状RNAを含む環状RNA製剤の免疫原性を、マウスモデルにおいて評価した。SARS-CoV-2スパイク及びインフルエンザHA免疫原に対する抗体の産生も、マウスモデルにおいて評価した。
【0652】
SARS-CoV-2スパイク免疫原(核酸配列番号31;アミノ酸配列番号30)をコードする第1の環状RNA、及びインフルエンザA H1N1、A/California/07/2009からの赤血球凝集素(HA)(核酸配列番号35;アミノ酸配列番号34)をコードする第2の環状RNAを、本明細書に記載される方法によって設計し、生成した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。次に、この混合物を、実施例17に記載されるように脂質ナノ粒子と共に配合して、第1の環状RNA製剤を得た。第1の環状RNA及び第2の環状RNAはまた、実施例17に記載されるように脂質ナノ粒子と共に別々に配合し、次に、一緒に混合して、第2の環状RNA製剤を得た。
【0653】
3匹のマウスに、0日目に第1の環状RNA製剤(10ugのスパイク+10ugのHAの総用量で)及び12日目に第2の環状RNA製剤(10ugのスパイク+10ugのHAの総用量で)を筋肉内に接種させた。さらなるマウス(群当たり3又は4匹)にも、0日目及び12日目に、(i)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第1の環状RNA;(ii)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第2の環状RNA;又は(iii)PBSを筋肉内に接種させた。
【0654】
血液採取は、実験1に記載されるとおりであった。血清を、40Cで30分間にわたって1200gにおける遠心分離によって、全血から分離した。個々の血清サンプルを、実験1に記載されるようにELISAによってRBD(すなわち、スパイクのRBD)特異的IgGの存在についてアッセイした。
【0655】
個々の血清サンプルを、ELISAによってHA特異的IgGの存在についてアッセイした。ELISAプレートを、HA組み換えタンパク質(Sino Biological、11085-V08B;100ng)で、4℃で一晩被覆し、プレートを、実験1に記載されるように処理した。各血清サンプルの光学密度を、バックグラウンド(二次抗体のみと共にインキュベートされた、HAで被覆されたプレート)の光学密度で除算した。各サンプルのバックグラウンドを超える倍数をプロットした。
【0656】
結果は、抗RBD抗体及び抗HA抗体が、プライムの17日後(すなわち、第1の環状RNA製剤の注射の17日後に得られたことを示した(
図23A及び23B)。
【0657】
結果はまた、異なる免疫原をコードする2つの環状RNAを含む環状RNA製剤が、マウスにおける免疫原特異的免疫応答を誘導したことを示した。
【0658】
実施例32:マウスモデルにおける複数の免疫原を含む環状RNAの免疫原性
この実施例は、複数の免疫原を含む環状RNAの免疫原性を記載する。この実施例はまた、単一の環状RNAによってコードされる複数の免疫原に対する、マウスモデルにおける抗体の産生を記載する。
【0659】
実験1
この実施例において、環状RNAを、IRES、続いてGLucポリペプチドをコードするORF、終止コドン、スペーサー、IRES、SARS-CoV-2 RBD免疫原をコードするORF、及び終止コドンを含むように設計し、実施例30に記載されるように生成し、精製した。対照として、以下の環状RNAを、上述されるように生成した:(i)IRES及びSARS-CoV-2 RBD免疫原をコードするORFを有する環状RNA;(ii)IRES及びGLucポリペプチドをコードするORFを有する環状RNA。
【0660】
環状RNAを、実施例17に記載されるように脂質ナノ粒子と共に配合して、環状RNA製剤を得る。
【0661】
群当たり3匹のマウスに、0日目及び12日目に10ug又は20ugの総用量の環状RNA製剤を筋肉内に接種させる。
【0662】
血液採取は、実施例31に記載されるとおりである。ELISAによるRBD特異的IgGの存在が、実施例31に記載されるように決定される。GLuc活性が、実施例31に記載されるように測定される。
【0663】
実験2
脂質ナノ粒子中で製剤化された、IRES、続いてSARS-CoV-2 RBD免疫原をコードするORF、終止コドン、スペーサー、IRES、MERS RBD免疫原をコードするORF、及び終止コドンを含むように設計された環状RNAを含む環状RNA製剤の免疫原性が、マウスモデルにおいて評価される。SARS-CoV-2 RBD及びMERS RBD免疫原に対する抗体の産生も、マウスモデルにおいて評価される。
【0664】
次に、この環状RNAを、実施例17に記載されるように脂質ナノ粒子と共に配合して、環状RNA製剤を得る。
【0665】
マウスに、0日目に及び最初の投与の少なくとも1日後に再度、5μg、10μg、20μg、又は50μgの量の環状RNA製剤を筋肉内に又は皮内に接種させる。
【0666】
血液採取は、実験1に記載されるとおりである。ELISAによるSARS-CoV-2 RBD特異的及びMERS RBD特異的IgGの存在が、実験1に記載されるように決定される。
【0667】
個々の血清サンプルが、抗SARS-CoV-2 RBD結合抗体、抗MERS RBD結合抗体、SARS-CoV-2 RBD免疫原に対する中和抗体、MERS RBD免疫原に対する中和抗体、SARS-CoV-2免疫原に対する細胞応答、及びMERS RBD免疫原に対する細胞応答の存在についてアッセイされる。
【0668】
実施例33:T細胞応答の評価
ELISpotアッセイを用いて、SARS-CoV-2スパイク又はRBD特異的T細胞又はインフルエンザHA特異的T細胞の存在を検出する。このアッセイは、実施例31からのマウスの以下の群において行われる:
1.RBD
2.GLuc
3.HA
4.スパイク
5.RBD+HA
6.スパイク+HA
7.PBS
【0669】
マウス脾臓を、ブーストの30日後(すなわち、第1の環状RNA製剤による注射の30日後)に採取し、単一の細胞懸濁液中で処理する。脾細胞を、IFN-g又はIL-4 ELISpotプレート(ImmunoSpot)においてウェル当たり0.5Mの細胞で平板培養する。脾細胞を、刺激のない状態のままにするか又はSARS CoV-2及びHAペプチドプール(JPT、PM-WCPV-SRB及びPM-IFNA_HACal)で刺激する。ELISPOTプレートを、製造業者のプロトコルに従って処理する。
【0670】
実施例34:複数の免疫原をコードする環状RNAを投与されたマウスにおける抗体応答の評価
この実施例は、複数の免疫原の発現をコードする環状RNAの投与から得られる抗体応答を実証する。
【0671】
赤血球凝集阻害アッセイ(HAI)を用いて、マウスからの血清中の赤血球凝集を防止する抗インフルエンザHA抗体を測定した。マウスに、環状RNAの製剤を投与し、これはそれぞれ、本明細書に記載される方法によって設計され、生成され、SARS-CoV-2 RBD免疫原、SARS-CoV-2スパイク免疫原、インフルエンザHA免疫原、SARS-CoV-2 RBD免疫原及びインフルエンザHA免疫原、SARS-CoV-2 RBD免疫原及びGLucポリペプチド、又はSARS-CoV-2 RBD免疫原及びSARS-CoV-2スパイク免疫原の発現をコードする。血液採取は、実施例30、実験1に記載されるとおりであり、注射の2日後及び17日後に行われた。
【0672】
2日目及び17日目にマウスから採取されたサンプルの2倍連続希釈物を調製した。ウイルスを加えなかった血清対照ウェルを除いて、既知の赤血球凝集素(HA)力価を有する一定の量のインフルエンザウイルスを、96ウェルプレートの全てのウェルに、4つの赤血球凝集素単位に相当する濃度まで加えた。プレートを、室温で60分間静置させ、その後、赤血球サンプルを加え、4℃で30分間インキュベートさせた。赤血球凝集を防止した最高血清希釈は、血清のHAI力価であることが決定された。17日目に採取されたサンプルは、それが単独で投与された場合又はSARS-CoV-2免疫原、例えばRBD又はスパイクと組み合わせて投与された場合の、インフルエンザHA免疫原をコードする環状RNA製剤を投与されたサンプルにおけるHAI力価を示した(
図24)。17日目にHAI力価が、HA免疫原が投与されていないサンプル、例えばSARS-CoV-2 RBD免疫原単独又はSARS-CoV-2スパイク免疫原単独から見られなかった。
【0673】
実施例において参照される配列
配列番号1
【化20】
配列番号2
【化21】
配列番号3
【化22】
配列番号4
aaaaaacaaaaaacaaaacggctattaatagccgaaaaacaaaaaacaaaaaaaacaaaaaaaaaaccaaaaaaacaaaacaca
配列番号30
【化23】
配列番号31
【化24】
配列番号32
【化25】
配列番号33
【化26】
配列番号34
【化27】
配列番号35
【化28】
配列番号36
【化29】
配列番号37
【化30】
【配列表】
【国際調査報告】