(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-22
(54)【発明の名称】鮮明なグラフィック知覚を呈する積層体を有する吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/514 20060101AFI20230615BHJP
A61F 13/42 20060101ALI20230615BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
A61F13/514 400
A61F13/42 B
A61F13/51
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571368
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 US2021033284
(87)【国際公開番号】W WO2021242592
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】サラ、エル.ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】アルマン、アシュラフ
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコプ、ヤヤカラン
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン、ラファエル、サンタ、ホルネド
(72)【発明者】
【氏名】ダニエレ、スキアーノ
(72)【発明者】
【氏名】キース、アルバラド
(72)【発明者】
【氏名】サラ、エム.ウェード
(72)【発明者】
【氏名】サラ、ニコル、ウルフ
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA14
3B200CA02
3B200CA11
3B200DA21
3B200DA25
3B200DD01
3B200DD09
3B200DF02
(57)【要約】
吸収性物品は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの中間に位置付けられた吸収性コアと、外側カバー不織布材料と、を備える。外側カバー不織布材料は、第1の表面と、第2の表面と、第1の表面及び/又は第2の表面上の三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンと、を備える。三次元特徴部のうちの少なくともいくつかは、各々、第1の領域及び第2の領域を備える。第1の領域は、平均示強性の第1の値を有する。第2の領域は、平均示強性の第2の異なる値を有する。バックシートの衣類対向面は、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備える。三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分は、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分と重なり合う。1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、8よりも大きい彩度値を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品であって、
液体透過性トップシートと、
液体不透過性バックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コアと、
外側カバー不織布材料であって、
第1の衣類対向表面と、
第2のバックシート対向表面と、
前記第1の表面又は前記第2の表面上の三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンであって、前記三次元特徴部のうちの少なくともいくつかが、各々、第1の領域及び第2の領域を備える、視覚的に識別可能なパターンと、を備え、
前記第1の領域が、平均示強性の第1の値を有し、
前記第2の領域が、前記平均示強性の第2の値を有し、
前記第1の値と前記第2の値が異なる、
外側カバー不織布材料と、を備え、
前記バックシートの衣類対向面が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備え、
前記三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分が、前記1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分と重なり合い、
前記1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの前記一部分が、バックシートグラフィック色試験に従って、8よりも大きい彩度値を示す、吸収性物品。
【請求項2】
前記バックシートの前記衣類対向面が、前記バックシートの前記衣類対向面の全エリアに対して、約5%~約80%の非印刷エリアを有する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの前記一部分が、バックシートグラフィック色試験に従って、約8~約130の範囲の彩度値を有する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックが、複数の第1の繰り返し単位から形成され、前記三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンが、複数の第2の繰り返し単位から形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1の繰り返し単位が、前記第2の繰り返し単位とは異なるサイズである、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記バックシートの前記衣類対向面が、前記視覚的に鮮明なグラフィックと重なり合わないステッチ状のパターンを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンが、1つ以上の第1の認識可能な個別の印を形成し、前記1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックが、1つ以上の第2の認識可能な個別の印を形成し、前記1つ以上の第1の認識可能な個別の印が、前記1つ以上の第2の認識可能な個別の印と協働する、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記第1の衣類対向表面が、Emtec試験に従って、約15dB V
2rms未満のTS7値を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記平均示強性が厚さであり、全ての領域の前記厚さが0よりも大きい、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記平均示強性が坪量であり、全ての領域の前記坪量が0よりも大きい、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記平均示強性が体積密度であり、全ての領域の前記体積密度が0よりも大きい、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記バックシートの着用者対向面が、湿り度インジケータを含み、色若しくはグラフィックの異なるゾーン又は色若しくはグラフィックのないゾーンが、前記湿り度インジケータを少なくとも部分的に取り囲む、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、鮮明なグラフィック知覚を呈する積層体を含む吸収性物品を対象とする。本開示はまた、改善された全体的な鮮明なグラフィック知覚のためのカラーグラフィックと組み合わせて視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブを含む積層体を含む吸収性物品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
不織布ウェブを含む吸収性物品は、乳幼児、子供、及び成人の身体の滲出物(すなわち、尿、排便、及び月経)を封じ込め、かつ吸収するために使用される。吸収性物品としては、おむつ、パンツ、成人用失禁製品、女性用ケア製品、及び吸収パッドを挙げることができるが、これらに限定されない。これらの吸収性物品の様々な構成要素は、1つ以上の不織布ウェブを含む。不織布ウェブを含むいくつかの例示的な構成要素は、例えば、外側カバー不織布材料、ベルトの部分、ランディングゾーン、及びトップシートである。場合によっては、1つ以上のグラフィックが、吸収性物品のバックシートフィルム上に印刷される。これらのグラフィックは、トップシートを通して、又は外側カバー不織布材料を通して視認可能であることが時には望ましい。外側カバー不織布材料又はトップシートが平面状の非可変の示強性ウェブである場合、グラフィックスは、トップシート又は外側カバー不織布材料を通して観察する消費者の視野からは、ある程度、斑点状であり、均一に抑制され、かつ/又は均一にマスクされたものとなる。したがって、外側カバー不織布材料、トップシート、及びバックシートグラフィックが改善されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、部分的には、鮮明なグラフィック知覚を呈する積層体を含む吸収性物品を提供する。本開示はまた、部分的に、改善された全体的な鮮明なグラフィック知覚のために、バックシートカラーグラフィックと組み合わせて三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブを含む積層体を含む吸収性物品を提供する。積層体は、バックシートと重なり合う1つ以上の不織布ウェブを含み得る。本開示の不織布ウェブは、バックシート上の1つ以上のグラフィックを、不織布ウェブを通して見られるときに、消費者にとってより視覚的に鮮明にすることを可能にする。これにより、消費者の体感が向上する。不織布ウェブは、例えば、トップシート、ベルトの部分、ランディングゾーン、又は外側カバー不織布材料であり得る。不織布ウェブは、可変平均示強性ウェブを含み得る。これにより、バックシート上の1つ以上のグラフィックの特定の部分は、不織布ウェブを通じた視覚的な鮮明性をより高く、又はより低くすることが可能となり、鮮明なグラフィックによる消費者体験をより高めることになる。例として、不織布ウェブは、第1の表面又は第2の表面上に三次元特徴部の1つ以上の視覚的に識別可能なパターンを含み得る。三次元特徴部の少なくともいくつかは、各々、第1の領域及び第2の領域を備え得る。第1の領域は、平均示強性の第1の値を有し得る。第2の領域は、平均示強性の第2の値を有し得る。第1の値と第2の値は異なり得る。三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分は、バックシート上に印刷された1つ以上のグラフィックと重なり合って、グラフィックの各領域が第1又は第2の領域のいずれかでより視覚的に鮮明になることを可能にし得る。バックシートフィルム上の1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックは、不織布ウェブが1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックと重ね合わされるときに、不織布ウェブの1つ以上の視覚的に識別可能なパターンの知覚を大幅に向上させる。
【0004】
本開示は部分的に、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、トップシートと液体不透過性バックシートとの中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コアと、外側カバー不織布材料と、を備える、吸収性物品を提供する。外側カバー不織布材料は、第1の衣類対向表面と、第2のバックシート対向表面と、第1の表面又は第2の表面上の三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンと、を備える。三次元特徴部のうちの少なくともいくつかは、各々、第1の領域及び第2の領域を備える。第1の領域は、平均示強性の第1の値を有する。第2の領域は、平均示強性の第2の値を有する。第1の値と第2の値は異なる。バックシートの衣類対向面は、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを含む。三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分と重なり合う。1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、バックシートグラフィック色試験に従って、8よりも大きい彩度値を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の上記及び他の特徴及び利点、並びにそれらを実現する様式は、本開示の以下の例示的な形態の説明を添付の図面と併せて参照することによって、より明らかになり、本開示自体の理解が深まるであろう。
【
図1】衣類対向表面を視認者に向けて、平らに広げて置いた状態の、テープ式おむつの形態の例示的な吸収性物品の平面図である。
【
図2】着用者対向表面を視認者に向けて、平らに広げて置いた状態の、
図1の例示的な吸収性物品の平面図である。
【
図3】締着位置にある、
図1及び
図2の吸収性物品の正面斜視図である。
【
図4】パンツの形態の吸収性物品の正面斜視図である。
【
図6】衣類対向表面を視認者に向けて、平らに広げて置いた状態の、
図4の吸収性物品の平面図である。
【
図7】
図6の線7-7の周囲で取られた吸収性物品の断面図である。
【
図8】
図6の線8-8の周囲で取られた吸収性物品の断面図である。
【
図9】例示的な吸収性コア又は吸収性物品の平面図である。
【
図10】
図9の吸収性コアの線10-10の周囲で取られた断面図である。
【
図11】
図10の吸収性コアの線11-11の周囲で取られた断面図である。
【
図12】生理用ナプキンである本開示の例示的な吸収性物品の平面図である。
【
図13A】横並びの配置の一次成分Aと二次成分Bとで作製されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図13B】偏心したシース/コア配置の一次成分Aと二次成分Bとで作製されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図13C】同心状のシース/コア配置の一次成分Aと二次成分Bとで作製されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図15】本開示の不織布ウェブを作製するための例示的な装置の概略図である。
【
図16】本開示の不織布ウェブの一部分を接着するための
図15の装置の部分詳細図である。
【
図17】
図16の
図17の詳細から取られた、本開示の不織布ウェブの一部分を接着するための装置の更なる部分詳細図である。
【
図18】本開示の不織布ウェブの一部分を任意選択的に更に接着するための装置の部分詳細図である。
【
図19】本開示の不織布ウェブとは異なるデザインを有する例示的な不織布ウェブの写真である。
【
図20】不織布ウェブを形成するための異なるデザインを有する形成ベルトの一部分の写真である。
【
図21】
図20の線21-21の周囲で取られた、形成ベルトの一部分の断面図である。
【
図22】
図20の形成ベルトの少なくとも一部を形成するために利用されるマスクの一部分の画像である。
【
図23】1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備える液体不透過性バックシートの平面図である。
【
図24】三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンを含む外側カバー不織布材料又はトップシートの平面図である。
【
図25】
図23の液体不透過性バックシートと
図24の外側カバー不織布材料又はトップシートとの重なり合いによって形成された積層体である。
【
図26】1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備える液体不透過性バックシートの平面図である。
【
図27】三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンを含む外側カバー不織布材料又はトップシートの平面図である。
【
図28】
図26の液体不透過性バックシートと
図27の外側カバー不織布材料又はトップシートとの重なり合いによって形成された積層体の平面図である。
【
図29】複数の認識可能な個別の印を含む外側カバー不織布材料又はトップシートの平面図である。
【
図30】バックシートのステッチ状のパターンの例である。
【
図31】バックシートのステッチ状のパターンの例である。
【
図32】バックシートのステッチ状のパターンの例である。
【
図33】1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備える液体不透過性バックシートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書で開示される鮮明なグラフィック知覚を有する吸収性物品の構造、機能、製造、及び使用の原理についての全体的な理解を与えるため、本開示の様々な非限定的な形態が以下で説明される。これらの非限定的な形態の1つ以上の実施例を添付の図面に示す。当業者であれば、本明細書において記載され、かつ添付の図面で例示される鮮明なグラフィック知覚を呈する吸収性物品は、非限定的な例示的形態であり、本開示の様々な非限定的な形態の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの非限定的な形態に関して示される、又は説明される特徴は、他の非限定的な形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本開示の範囲に含まれるものとする。
【0007】
視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブ及び視覚的に鮮明なグラフィック知覚を有する積層体について考察する前に、吸収性物品並びにそれらの構成要素及び特徴が、不織布ウェブの1つの潜在的用途として考察される。視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブ及び視覚的に鮮明なグラフィック知覚を有する積層体はまた、例えば、医療分野並びに/又は洗浄及び/若しくは除塵分野などの他の製品における他の使用も有することが理解されよう。
【0008】
吸収性物品の概説
テープ式おむつの形態で示されている本開示による例示的な吸収性物品10を
図1~
図3に示す。
図1は、衣類対向表面2を視認者に向けて、平らに広げて置いた状態の(すなわち、弾性収縮がない)、例示的な吸収性物品10の平面図である。
図2は、着用者対向表面4を視認者に向けて、平らに広げて置いた状態の、
図1の例示的な吸収性物品10の平面図である。
図3は、締着形態にある
図1及び
図2の吸収性物品10の正面斜視図である。本開示は、例えば、成人用失禁製品、パンツ、又は生理用ナプキン及び吸収パッドなどの他の吸収性物品などの、多種多様なおむつを作製するのに使用され得るため、
図1~
図3の吸収性物品10は、例示目的のみで示されている。
【0009】
吸収性物品10は、前側腰部領域12と、股部領域14と、後側腰部領域16と、を含み得る。股部領域14は、前側腰部領域12と後側腰部領域16との中間に延び得る。前側腰部領域12、股部領域14、及び後側腰部領域16は、各々、吸収性物品10の長さの3分の1とすることができる。吸収性物品10は、前端縁部18と、前端縁部18とは反対側の後端縁部20と、長手方向に延び、シャーシ52によって画定される、横断方向に対向する側縁部22及び24と、を含み得る。
【0010】
吸収性物品10は、液体透過性トップシート26と、液体不透過性バックシート28と、トップシート26とバックシート28との中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コア30と、を含み得る。吸収性物品10はまた、弾性体33を有する若しくは有さない一対以上のバリアレッグカフ32、一対以上の脚部弾性体34、1つ以上の弾性ウエストバンド36、及び/又は1つ以上の捕捉材料38を含むことができる。捕捉材料(複数可)38は、トップシート26と吸収性コア30との中間に配置することができる。不織布ウェブなどの外側カバー不織布材料40が、バックシート28の衣類対向表面を被覆してもよい。吸収性物品10は、後側腰部領域16に後耳部42を含むことができる。後耳部42は締結具46を含んでもよく、吸収性物品10の後側腰部領域16から延び、吸収性物品10の前側腰部領域12の衣類対向部分のランディングゾーンエリア又はランディングゾーン材料44に(締結具46を使用して)取り付けられ得る。吸収性物品10はまた、前側腰部領域12に前耳部47を有することができる。2つの前耳部47の代わりに、吸収性物品10は、ランディングゾーンとしても機能し得る一体成形の前側ベルトを有し得る。吸収性物品10は、中央横方向(又は横断方向)軸48と、中央長手方向軸50と、を有することができる。中央横方向軸48は、中央長手方向軸50に対して垂直に延びる。
【0011】
他の例では、吸収性物品は、恒久的又は再締結可能なサイドシームを有するパンツの形態であってもよい。好適な再締結可能なシームは、米国特許出願公開第2014/0005020号及び米国特許第9,421,137号に開示されている。
図4~
図8を参照すると、パンツ形態の例示的な吸収性物品10が例示されている。
図4は、吸収性物品10の正面斜視図である。
図5は、吸収性物品10の背面斜視図である。
図6は、衣類対向表面を視認者に向けて、平らに広げて置いた状態の、吸収性物品10の平面図である。
図1~
図3に関連して上述したものと同一の参照番号を有する
図4-
図8の要素は、同一の要素(例えば、吸収性コア30)であってもよい。
図7は、
図6の線7-7の周囲で取られた、吸収性物品の例示的な断面図である。
図8は、
図6の線8-8の周囲で取られた、吸収性物品の例示的な断面図である。
図7及び
図8は、前側ベルト54及び後側ベルト56の例示的な形態を示す。吸収性物品10は、前側腰部領域12と、股部領域14と、後側腰部領域16と、を有し得る。領域12、14、及び16の各々は、吸収性物品10の長さの3分の1とすることができる。吸収性物品10は、
図1~
図3に関して上述したものと類似の、トップシート26と、バックシート28と、トップシート26とバックシート28との中間に少なくとも部分的に配置された吸収性コア30と、任意選択の捕捉材料38と、を含むシャーシ52(中心シャーシ又は中心パネルと称されることもある)を有することができる。吸収性物品10は、前側腰部領域12の前側ベルト54と、後側腰部領域16の後側ベルト56と、を含み得る。シャーシ52は、前側ベルト54及び後側ベルト56の着用者対向表面4、又はベルト54、56の衣類対向表面2に接合することができる。前側ベルト54の側縁部23及び25は、それぞれ、後側ベルト56の側縁部27及び29に接合されて、2つのサイドシーム58を形成することができる。サイドシーム58は、例えば、突き合わせシーム又は重なり合いシームなど、当業者に既知の任意の好適なシームとすることができる。サイドシーム58が恒久的に形成されるか又は再締結可能に閉じられると、パンツ形態の吸収性物品10は、2つの脚部開口部60及び腰部開口外周部62を有する。サイドシーム58は、例えば、接着剤又はボンドを使用して恒久的に接合されてもよく、又は、例えば、フックアンドループ式締結具を使用して再締結可能に閉じられてもよい。
【0012】
ベルト
図7及び
図8を参照すると、前側ベルト54及び後側ベルト56は、前側内側ベルト層66及び後側内側ベルト層67と、それらの間に少なくとも部分的に配置されたエラストマー材料(例えば、ストランド68又はフィルム(有孔であってもよい))を有する前側外側ベルト層64及び後側外側ベルト層65と、を含んでもよい。弾性要素68又はフィルムは、吸収性コア30上の弾性歪みを低減するために弛緩(切断されることを含む)されてもよく、又は代替的に、吸収性コア30を横断して連続的に通っていてもよい。弾性要素68は、ベルトの任意の部分において、それらの間に均一又は可変の間隔を有することができる。弾性要素68はまた、同一量又は異なる量の予歪みも受けていてもよい。前側ベルト54及び/又は後側ベルト56は、シャーシ52がベルト54、56と重なり合う、1つ以上の弾性要素を含まないゾーン70を有してもよい。他の例では、弾性要素68のうちの少なくともいくつかは、シャーシ52を横断して連続的に延びてもよい。
【0013】
前側内側ベルト層66及び後側内側ベルト層67、並びに前側外側ベルト層64及び後側外側ベルト層65は、接着剤、熱ボンド、圧力ボンド、又は熱可塑性ボンドを使用して接合することができる。様々な好適なベルト層構成は、米国特許出願公開第2013/0211363号に見出され得る。
【0014】
前側ベルト端縁部55及び後側ベルト端縁部57は、前側シャーシ端縁部19及び後側シャーシ端縁部21(
図6に示される)を越えて長手方向に延びてもよく、又はそれらは同一末端であってもよい。前側及び後側ベルト側縁部23、25、27、及び29は、シャーシ側縁部22及び24を越えて横方向に延びてもよい。前側ベルト54及び後側ベルト56は、ベルト側縁部からベルト側縁部まで(例えば、23~25まで及び27~29までの横断方向距離)連続的であってもよい(すなわち、連続的である少なくとも1つの層を有する)。代替的に、前側ベルト54及び後側ベルト56は、それらが別個となるように、ベルト側縁部からベルト側縁部まで(例えば、23~25まで及び27~29までの横断方向距離)不連続的であってもよい。
【0015】
米国特許第7,901,393号に開示されるように、後側ベルト56の長手方向長さ(中央長手方向軸50に沿った)は、前側ベルト54の長手方向長さより長くてもよく、このことは、後側ベルト56がサイドシーム58に隣接するか又はすぐ隣接する前側ベルト54と比べて、より大きい長手方向長さを有するときに、増加した臀部適用範囲に特に有用であり得る。
【0016】
前側外側ベルト層64及び後側外側ベルト層65は、各層が別個となるように互いから分離されてもよく、又は代替的に、これらの層は、層が前側ベルト端縁部55から後側ベルト端縁部57まで連続的に通るように連続的であってもよい。これは、前側内側ベルト層66及び後側内側ベルト層67にも当てはまることができ、すなわち、それらは、長手方向にも別個であってもよく、又は連続的であってもよい。更に、前側内側ベルト層66及び後側内側ベルト層67を長手方向に別個とする一方で、前側外側ベルト層64及び後側外側ベルト層65を長手方向に連続的としてもよく、その結果、間隙がそれらの間に形成される(前側外側ベルト層64と後側外側ベルト層65との間の間隙、及び前側内側ベルト層66と後側内側ベルト層67との間の間隙は
図7に示され、前側内側ベルト層66と後側内側ベルト層67との間の間隙は
図8に示される)。
【0017】
前側ベルト54及び後側ベルト56は、増加した通気性、柔軟性、及び衣服のような質感を提供するスリット、穴、及び/又は穿孔を含んでもよい。下着様の外観は、サイドシーム58(
図4及び
図5を参照)の位置で腰部及び脚部縁部を実質的に整列させることによって向上させることができる。
【0018】
前側ベルト54及び後側ベルト56はグラフィックを含んでもよい(例えば
図1の78を参照)。グラフィックは、吸収性物品10の全周の周りに実質的に延びてもよく、またサイドシーム58全体に、かつ/又は近位前側ベルトシーム15及び後側ベルトシーム17全体に配置してもよく、又は代替的に、米国特許第9,498,389号に記載される方法でシーム58、15、及び17に隣接して配置することで、より下着らしい物品とすることができる。グラフィックはまた、不連続であってもよい。
【0019】
代替的に、ベルト54及び56をシャーシ52に取り付けてパンツを形成する代わりに、個別のサイドパネルがシャーシ22及び24の側縁部に取り付けられてもよい。
【0020】
視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブは、本開示の利点を達成するために、バックシートフィルム上の1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィック上に位置付けられたベルトの部分として使用され得る。
【0021】
トップシート
トップシート26は、吸収性物品10のうちの着用者の皮膚に直接接触する部分である。トップシート26は、当業者には既知であるように、バックシート28、吸収性コア30、バリアレッグカフ32、及び/又は任意の他の層の部分に接合することができる。トップシート26は、着用者の皮膚に対して適合性があり、柔らかい感触であり、かつ非刺激性のものとすることができる。更に、トップシートの少なくとも一部分又はその全体を液体透過性とすることができ、これにより液状の身体の滲出物がその厚みを通して容易に浸透する。好適なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網目状発泡体、有孔プラスチックフィルム、織布材料、不織布ウェブ、天然繊維(例えば、木材繊維若しくは綿繊維)の織布又は不織布ウェブ、合成繊維又はフィラメント(例えば、ポリエステル繊維、若しくはポリプロピレン繊維、若しくは2成分PE/PP繊維、又はこれらの混合物)、あるいは天然繊維と合成繊維との組み合わせなどの幅広い範囲の材料から製造されてもよい。トップシートは1つ以上の層を有してもよい。トップシートは有孔であってもよく(
図2の要素31)、任意の好適な三次元特徴部を有してもよく、及び/又は、複数のエンボス(例えば、ボンドパターン)を有してもよい。トップシートは、材料を強接合し、次いで、米国特許第5,628,097号(Bensonら、1997年5月13日発行)及び米国特許出願公開第2016/0136014号(Aroraら)に開示されているように、リングロールを介して強接合部を破裂させることによって、孔形成されてもよい。トップシートの任意の部分は、スキンケア組成物、抗菌剤、界面活性剤、及び/又はその他の有益な薬剤でコーティングされてもよい。トップシートは、親水性又は疎水性であってもよく、あるいは、親水性部分若しくは親水性層及び/又は疎水性部分若しくは疎水性層を有していてもよい。トップシートが疎水性である場合、身体の滲出物がトップシートを通過し得るように、典型的には孔が存在することになる。
【0022】
視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブは、本開示の利点を達成するために、バックシートフィルム上の1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィック上に位置付けられたトップシートとして使用され得る。
【0023】
バックシート
バックシート28は、一般には、吸収性コア30の衣類対向表面に近接して配置された吸収性物品10のその部分である。バックシート28は、当業者に既知の任意の取り付け方法によって、トップシート26、外側カバー不織布材料40、吸収性コア30、及び/又は吸収性物品の任意の他の層の部分に接合することができる。バックシート28は、吸収性コア10に吸収され閉じ込められた身体の滲出物が、ベッドシーツ、下着、及び/又は衣服などの物品を汚すことを防止するか、又は少なくとも抑制する。バックシートは典型的には、液体不透過性であるか、又は少なくとも実質的に液体不透過性である。バックシートは、例えば、約0.012mm~約0.051mmの厚さを有する熱可塑性フィルムのような薄いプラスチックフィルムであるか、又はこれを含んでもよい。他の好適なバックシート材料は、吸収性物品から蒸気を逃がすことを可能にする一方で、依然として、身体の滲出物がバックシートを通過することを防止するか又は少なくとも抑制する、通気性材料を含んでもよい。バックシートは、その着用者対向面及び/又は衣類対向面のいずれかに1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備え得る。
【0024】
外側カバー不織布材料
外側カバー不織布材料(バックシート不織布と称されることもある)40は、バックシート28に接合されてバックシート28を被覆する、1つ以上の不織布材料を含み得る。外側カバー不織布材料40は、吸収性物品10の衣類対向表面2の少なくとも一部分を形成し、フィルムが衣類対向表面2上に存在しないように、バックシート28を効果的に「被覆する」。
【0025】
視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブは、本開示の利点を達成するために、バックシートフィルム上の1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィック上に位置付けられた外側カバー不織布材料として使用され得る。
【0026】
吸収性コア
本明細書で使用される場合、用語「吸収性コア」30は、最も大きい吸収能力を有し、かつ吸収性材料を含む、吸収性物品10の構成要素を指す。
図9~
図11を参照すると、いくつかの例では、吸収性材料72をコアバッグ又はコアラップ74内に配置することができる。吸収性材料は、特有の吸収性物品に応じて、輪郭を付けても付けなくてもよい。吸収性コア30は、コアラップと、吸収性材料72と、コアラップ内に封入された糊剤と、を含むか、本質的にこれらから構成されるか、又はこれらから構成され得る。吸収性材料は、超吸収性ポリマー、超吸収性ポリマーとエアフェルトとの混合物、エアフェルトのみ、並びに/又は高内相エマルジョンフォームを含むことができる。いくつかの例において、吸収性材料は、吸収性材料の少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、又は最大100重量%の超吸収性ポリマーを含むことができる。そのような例では、吸収性材料はエアフェルトを含まないものであっても、少なくともエアフェルトをほとんど含まないものであってもよい。吸収性コア周辺部は、コアラップの周辺部であり得るが、例えば矩形、「T」、「Y」、「砂時計」、又は「ドッグボーン」形状などの任意の好適な形状を画定することができる。ほぼ「ドッグボーン」又は「砂時計」の形状を有する吸収性コア周辺部は、その幅に沿って吸収性物品10の股部領域14に向かってテーパ状であり得る。
【0027】
図9~
図11を参照すると、吸収性コア30は、コアバッグ74の着用者対向表面をコアバッグ74の衣類対向表面と接合することができる、吸収性材料72をほとんど又は全く有さないエリアを有することができる。吸収性材料をほとんど又は全く有さないこれらのエリアは、「チャネル」76と称され得る。これらのチャネルは、任意の好適な形状として具体化することができ、任意の好適な数のチャネルを設けることができる。他の例では、吸収性コアにエンボス加工を施して、チャネルにくぼみを付けることができる。
図9~
図11の吸収性コアは、単なる例示的な吸収性コアである。チャネルを有する又は有しない多くの他の吸収性コアも本開示の範囲内である。
【0028】
バリアレッグカフ/脚部弾性体
例えば、
図1及び
図2を参照すると、吸収性物品10は、一対以上のバリアレッグカフ32及び一対以上の脚部弾性体34を含むことができる。バリアレッグカフ32は、脚部弾性体34の横方向内側に配置することができる。各バリアレッグカフ32は、吸収性物品10の着用者対向表面4から上方向に延び、かつ着用者の胴部と脚部との接合部付近で改善された身体の滲出物の閉じ込めを提供することができるように、吸収性物品10に結合される一片の材料によって形成することができる。バリアレッグカフ32は、トップシート及び/又はバックシートに直接又は間接的に接合された近位縁部と、着用者の皮膚に接触し皮膚との封止部を形成することが意図された自由末端縁部と、によって境界が定められる。バリアレッグカフ32は、中央長手方向軸50の両側で吸収性物品10の前端縁部18と後端縁部20との間に少なくとも部分的に延びてもよく、少なくとも股部領域14に存在してもよい。バリアレッグカフ32は、各々、自由末端縁部付近又は自由末端縁部に、1つ以上の弾性体33(例えば、弾性ストランド又はストリップ)を含むことができる。これらの弾性体33により、バリアレッグカフ32は、着用者の脚部及び胴部の周囲に封止部を形成する助けとなる。脚部弾性体34は、前端縁部18と後端縁部20との間に少なくとも部分的に延びる。脚部弾性体34により、本質的に、シャーシ側縁部22、24に近接している吸収性物品10の部分は、着用者の脚部の周囲に封止部を形成する助けとなる。脚部弾性体34は、少なくとも股部領域14内に延びてもよい。
【0029】
ウエストバンド
図1及び
図2を参照すると、吸収性物品10は、1つ以上の弾性ウエストバンド36又は非弾性ウエストバンドを含むことができる。弾性ウエストバンド36は、衣類対向表面2又は着用者対向表面4上に配置することができる。一例として、第1の弾性ウエストバンド36は、前側腰部領域12の前側ベルト端縁部18付近に存在してもよく、第2の弾性ウエストバンド36は、後側腰部領域16の後端縁部20付近に存在してもよい。弾性ウエストバンド36は、着用者の腰部の周囲で吸収性物品10を封止し、少なくとも身体の滲出物が腰部開口部外周部を通って吸収性物品10から漏れ出るのを防ぐのを助けることができる。いくつかの例では、弾性ウエストバンドは、吸収性物品の腰部開口外周部を完全に包囲してもよい。
【0030】
視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブは、本開示の利点を達成するために、バックシートフィルム上の1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィック上に位置付けられた腰部バンドの部分として使用され得る。
【0031】
捕捉材料
図1、
図2、
図7、及び
図8を参照すると、1つ以上の捕捉材料38が、トップシート26と吸収性コア30との中間に少なくとも部分的に存在してもよい。捕捉材料38は、典型的には、身体の滲出物の著しいウィッキングを提供する親水性材料である。これらの材料は、トップシート26を脱水し、身体の滲出物を吸収性コア30内へ迅速に移動させることができる。捕捉材料38は、例えば、1つ以上の不織布ウェブ、発泡体、セルロース系材料、架橋セルロース系材料、エアレイドセルロース系不織布ウェブ、スパンレース材料、又はこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの例では、捕捉材料38の部分はトップシート26の部分を通って延びてもよく、トップシート26の部分は捕捉材料38の部分を通って延びてもよく、かつ/又はトップシート26は捕捉材料38と入れ子にされてもよい。典型的には、捕捉材料38は、トップシート26の幅及び長さよりも小さい幅及び長さを有し得る。捕捉材料は、女性用パッドの文脈で、二次トップシートとすることができる。捕捉材料は、吸収性コア30に関して上述したように、1つ以上のチャネルを有し得る(エンボス加工されたバージョンを含む)。捕捉材料のチャネルは、吸収性コア30のチャネルと位置合わせされていても位置合わせされていなくてもよい。一実施例において、第1の捕捉材料は、不織布ウェブを含んでもよく、第2の捕捉材料は、架橋セルロース系材料を含んでもよい。
【0032】
ランディングゾーン
図1及び
図2を参照すると、吸収性物品10は、外側カバー不織布材料40の衣類対向表面2の一部分に形成されるランディングゾーンエリア44を有してもよい。ランディングゾーンエリア44は、吸収性物品10が前側から後側に締結される場合は後側腰部領域16に配置することができ、又は吸収性物品10が後側から前側に締結される場合は前側腰部領域12に配置することができる。いくつかの例において、ランディングゾーン44は、吸収性物品が前側で締結されるか又は後側で締結されるかに応じて、前側腰部領域12又は後側腰部領域16の外側カバー不織布材料40の一部分に取り付けられる1つ以上の別個の不織布材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。本質的に、ランディングゾーン44は、締結具46を受けるように構成され、例えば、締結具46の複数のフックと係合されるように構成された複数のループを含んでもよく、又は逆もまた同様である。
【0033】
視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブは、本開示の利点を達成するために、バックシートフィルム上の1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィック上に位置付けられたランディングゾーンとして使用され得る。
【0034】
湿り度インジケータ/グラフィック
図1を参照すると、本開示の吸収性物品10は、衣類対向表面2から視認可能である、グラフィック78及び/又は湿り度インジケータ80を含み得る。グラフィック78は、ランディングゾーン40、バックシート28、及び/又はその他の位置に印刷され得る。湿り度インジケータ80は、典型的には、吸収性コア30内で身体の滲出物と接触することができるように、バックシート28の吸収性コア対向面に適用される。いくつかの例では、湿り度インジケータ80は、グラフィック78の部分を形成してもよい。例えば、湿り度インジケータは、現れるか又は消えることができ、いくつかのグラフィック内に文字を形成/除去することができる。他の例では、湿り度インジケータ80は、グラフィック78と調和してもよく(例えば、同一デザイン、同一パターン、同一色)、又は調和していなくてもよい。
【0035】
前耳部及び後耳部
図1及び
図2を参照すると、上記で参照したように、吸収性物品10は、テープ式おむつの関連で、前耳部47及び/又は後耳部42を有することができる。ほとんどのテープ式おむつでは、一組の耳部のみが必要とされ得る。一組の耳部は、ランディングゾーン又はランディングゾーンエリア44と係合するように構成された締結具46を含むことができる。二組の耳部が提供される場合、ほとんどの例では、一組の耳部のみが締結具46を有し、他方の組は締結具がなくてもよい。耳部又はその部分は、弾性であってもよく、又は弾性パネルを有してもよい。一実施例では、弾性フィルム又は弾性ストランドは、第1の不織布ウェブと第2の不織布ウェブとの中間に配置することができる。弾性フィルムは有孔であってもよく、又は有孔でなくてもよい。耳部は、成形されてもよい。耳部は、一体型(例えば、外側カバー不織布材料40、バックシート28、及び/又はトップシート26の延長)であってもよく、あるいは吸収性物品のシャーシ52の着用者対向表面4上、衣類対向表面2上、又は2つの表面4、2の中間に取り付けられた別個の構成要素であってもよい。
【0036】
センサ
再び
図1を参照すると、本開示の吸収性物品は、吸収性物品10内の変化を監視するためのセンサシステム82を含んでもよい。センサシステム82は、吸収性物品10と別個であってもよく、又は一体であってもよい。吸収性物品10は、尿及び/又は便などの身体の滲出物の発生に伴う吸収性物品10の様々な態様を感知することができるセンサを含むことができる(例えば、センサシステム82は、温度、湿度、アンモニア又は尿素の存在、滲出物(尿及び便)の様々な蒸気成分、吸収性物品の衣類対向層の透湿性の変化、衣類対向層の半透明性の変化、及び/又は衣類対向層の色の変化などの変動を感知することができる)。加えて、センサシステム82は、アンモニア若しくは尿素などの尿の成分、及び/又はこれらの成分と吸収性物品10との反応に起因する副生成物を感知することができる。センサシステム82は、尿が吸収性物品10の他の成分(例えば、接着剤、agm)と混ざり合ったときに生じる副生成物を感知することができる。感知されるこれらの成分又は副生成物は、衣類対向層を通過することができる蒸気として存在し得る。また、尿又は便と混ざり合うと、状態(例えば、色、温度)を変化させる、又は測定可能な副生成物が生じる反応物質を、吸収性物品に入れることが望ましい場合がある。センサシステム82は、pH、圧力、臭気、ガスの存在、血液、化学マーカー若しくは生物学的マーカー、又はこれらの組み合わせの変化も感知し得る。センサシステム82は、吸収性物品からより遠位にある、例えばiPhoneなどの受信機に信号を送信する構成要素を、吸収性物品上に又はこれに近接して有してもよい。受信機は、吸収性物品10の状態を介護者に通信する結果を出力することができる。他の例では、受信機が提供されなくてもよいが、代わりに吸収性物品10の状態が吸収性物品上のセンサから視覚的又は聴覚的に明らかであり得る。
【0037】
パッケージ
本開示の吸収性物品はパッケージに入れてもよい。パッケージは、不織布ウェブ、高分子フィルム、及び/又は他の材料を含み得る。吸収性物品の特性に関する図形及び/又は目印は、パッケージの外側部分に形成され、印刷され、位置付けられ、及び/又は配置されてもよい。各パッケージは、複数の吸収性物品を含んでもよい。吸収性物品は、パッケージのサイズを小さくする一方で、1パッケージ当たりに適切な数の吸収性物品を提供するように、圧縮下で包装することができる。吸収性物品を圧縮下で包装することによって、介護者はパッケージを容易に扱い、保管することができると共に、パッケージのサイズによる流通コストの削減を製造業者にもたらすこともできる。視覚的に識別可能なパターン及び改善されたテクスチャ知覚を有する不織布ウェブは、パッケージの不織布構成要素、又はその部分として使用され得る。
【0038】
生理用ナプキン
図12を参照すると、本開示の吸収性物品は生理用ナプキン110であってもよい。生理用ナプキン110は、液体透過性トップシート114と、液体不透過性又は実質的に液体不透過性のバックシート116と、吸収性コア118と、を含んでもよい。液体不透過性バックシート116は、蒸気透過性であってもなくてもよい。吸収性コア118は、吸収性コア30に関して本明細書で説明される特徴のいずれか又は全部を有してもよく、いくつかの形態では、上記で開示した捕捉材料の代わりに二次トップシート119(secondary topsheet、STS)を有してもよい。STS119は、上述したように、1つ以上のチャネルを含み得る(エンボス加工されたバージョンを含む)。いくつかの形態において、STS119のチャネルは、吸収性コア118のチャネルと位置合わせされ得る。また、生理用ナプキン110は、生理用ナプキン110の長手方向軸180に対して外向きに延びる羽根120を含んでもよい。生理用ナプキン110はまた、横方向軸190を含むことができる。羽根120は、トップシート114、バックシート116、及び/又は吸収性コア118に接合することができる。生理用ナプキン110はまた、前縁部122と、前縁部122と長手方向の反対側に位置する後縁部124と、第1の側縁部126と、第1の側縁部126と長手方向の反対側に位置する第2の側縁部128と、を含み得る。長手方向軸180は、前縁部122の中点から後縁部124の中点まで延びてもよい。横方向軸190は、第1の側縁部128の中点から第2の側縁部128の中点まで延びてもよい。生理用ナプキン110は、当該技術分野では既知のように、生理用ナプキンに一般的に見出される追加の特徴も備えてもよい。
【0039】
視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブは、本開示の利点を達成するために、バックシートフィルム上の1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィック上に位置付けられた生理用ナプキンのトップシートとして使用され得る。一例では、視覚的に識別可能なパターンと1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックとの重なり合いは、羽根内で発生し得る。吸収性コア又は二次トップシートが羽根内に存在しない場合があるため、トップシートを通じた羽根内の視覚的に鮮明なグラフィックの知覚が改善され得る。
【0040】
視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブ
ここで、1つ以上の視覚的に識別可能なパターンを有する不織布ウェブについて考察する。本明細書に開示される不織布ウェブは、水などの液体に可溶ではない。視覚的に識別可能なパターンは、三次元特徴部によって形成され得る。そのような不織布ウェブは、例えば、トップシート、生理用ナプキンの羽根のトップシート部分、外側カバー不織布材料、ベルトの部分、ウエストバンド、及び/又はランディングゾーンなどの吸収性物品の様々な構成要素、又は構成要素の部分として使用され得る。
【0041】
本開示の不織布ウェブのいずれも、熱空気が不織布ウェブに通されるときに個々の繊維の交点において結合が生じるように、通気結合され得る。通気結合は、より従来のカレンダー結合と比較して、不織布ウェブの柔軟性を維持するのに役立ち得る。他の結合方法としては、カレンダー点結合(calendar point bonding)、超音波結合、ラテックス結合、水流交絡、樹脂結合、及び/又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0042】
本開示の不織布ウェブはいずれも、吸収性物品の構成要素の部分又は全部を構成し得る。上で考察されたように、吸収性物品は、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、少なくとも部分的にトップシートとバックシートとの中間に位置付けられた吸収性コアと、を備え得る。吸収性物品は、吸収性物品の衣類対向表面の少なくとも一部分を形成する外側カバー不織布材料を含み得る。外側カバー不織布材料及び/又はトップシートは、本開示の不織布ウェブを含み得る。例えば、ベルト、ランディングゾーン、生理用ナプキンの羽根、及び/又はウエストバンドなど、吸収性物品の他の構成要素、又はそれらの部分がまた、本開示の不織布ウェブを含み得る。
【0043】
吸収性物品用の不織布ウェブが提供される。不織布ウェブは、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを有する少なくともバックシートフィルムと組み合わせて、本開示の積層体の一部分を形成し得る。不織布ウェブは、第1の表面と、第2の表面と、第1の表面又は第2の表面上の三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンと、を備え得る。三次元特徴部は、第1の領域及び第2の領域を備え得る。第1の領域は、平均示強性の値において第2の領域とは異なってもよく、平均示強性は、坪量、体積密度、及び/又はキャリパである。第1の領域は、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全範囲内において、全ての1%の増分を具体的に列挙して、不織布ウェブの総面積に対して約5%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、又は約10%~約25%の不織布ウェブを形成し得、第2の領域は、不織布ウェブの残部を形成する。
【0044】
三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンを含む不織布ウェブは、本明細書の坪量試験に従って、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全範囲内の、全ての0.1gsmの増分を具体的に列挙して、約10gsm~約100gsm、約10gsm~約60gsm、約15gsm~約50gsm、約15gsm~約45gsm、約20gsm~約40gsm、約20gsm~約35gsm、約20gsm~約30gsmの範囲を有し得る。
【0045】
三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンは、エンボス加工、水流交絡によって、又は繊維を載置するための構造化された形成ベルトを使用することによって、不織布ウェブに形成され得る。エンボス加工又は水流交絡を使用して第1の領域又は第2の領域にエンボス加工又は水流交絡を施すことによってパターンを形成することができる。構造化された形成ベルトは、本明細書で考察されている。
【0046】
材料
本開示の不織布ウェブは、短いステープル繊維を使用する乾式レイドプロセス、及びカーディングプロセスなどの機械的ウェブ形成によって形成され得る。得られたウェブは、不規則なパターンの熱エンボス加工又は液圧成形/水流交絡プロセスを使用して結合され得る。不織布ウェブはまた、綿又は他の天然繊維を含み得る。本開示の不織布ウェブはまた、共形成ウェブであり得る。共形成ウェブは、典型的には、例えば、フラッフパルプ、綿、及び/又はレーヨンなどの少なくとも1つの追加の繊維状有機材料と混合されたメルトブローン繊維のマトリックスを含む。共形成ウェブは、共形成プロセス中に構造化ベルト上の複合材をエンボス加工又は敷設することによって更に構造化され得る。一例では、不織布ウェブが構造化された形成ベルト上で作製されている場合、連続したスパンボンド繊維が不織布ウェブを製造する際に使用される(以下に記載されるように)。不織布ウェブは、一次ポリマー成分を含む連続した一成分ポリマーフィラメントを含み得る。不織布ウェブは、一次ポリマー成分及び二次ポリマー成分を含む連続した多成分ポリマーフィラメントを含み得る。フィラメントは、一次ポリマー成分A及び二次ポリマー成分Bを含む連続的な2成分フィラメントであってもよい。2成分フィラメントは、断面、長さ、及び外周表面を有する。成分A及びBは、2成分フィラメントの断面にわたって実質的に別個のゾーンに配置することができ、2成分フィラメントの長さに沿って連続的に延在することができる。二次成分Bは、2成分フィラメントの長さに沿って連続的に2成分フィラメントの外周表面の少なくとも一部分を構成する。ポリマー成分A及びBは、従来の溶融紡糸機器で多成分繊維に溶融紡糸することができる。機器は、多成分の所望の構成に基づいて選択され得る。市販の溶融紡糸機器は、Hills,Inc.(Melbourne、Florida所在)より入手可能である。紡糸の温度は、約180℃~約230℃の範囲である。2成分スパンボンドフィラメントは、例えば、約6マイクロメートル~約40マイクロメートル、又は約12マイクロメートル~約40マイクロメートルの平均直径を有することができる。
【0047】
成分A及びBは、
図13Aに示されるような横並びの配置で、又は
図13Bに示されるような偏心したシース/コア配置で配置することで、天然の螺旋状捲縮を呈するフィラメントを得ることができる。代替的に、成分A及びBは、
図13Cに示されるような同心状のシース/コア配置に配置することができる。更に、成分A及びBは、
図14に示されるような多葉型のシース/コア配置に配置することができる。他の多成分繊維は、本開示の組成物及び方法を使用して製造することができる。2成分繊維及び多成分繊維は、分割されたパイ型の構成、リボン型の構成、海島型の構成、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。シースは、コアの周囲で連続的又は不連続的であり得る。本開示の繊維は、円形、楕円形、星形、矩形、及びその他の様々な幾何学的形を含む異なる幾何学的形状を有し得る。多成分ポリマーフィラメントをこうした配置に押出すための方法は、当業者には一般的に知られている。
【0048】
ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレンなど)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エラストマー材料などを含む多種多様のポリマーが、本開示を実施するのに好適である。フィラメントに紡糸することができるポリマー材料の非限定的な例としては、天然ポリマー(デンプン、デンプン誘導体、セルロース及びセルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、キチン、キトサン、ポリイソプレン(cis及びtrans)、ペプチド、ポリヒドロキシアルカノエートなど)、並びに合成ポリマー(熱可塑性ポリマー(ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体など)、ポリアクリル酸ナトリウム(吸収性ゲル材)、並びにポリエチレン-オクテンのようなポリオレフィンのコポリマー又はプロピレンとエチレンとのモノマーブレンドからなるポリマー、並びにポリ乳酸フィラメント、ポリビニルアルコール、フィラメント、及びポリカプロラクトンフィラメントなどの生分解性又は堆肥化可能な熱可塑性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。1つの実施例では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー、スチレンイソプレンスチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、及びこれらの混合物の群から選択される。別の例では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。代替的に、ポリマーは、例えば、バイオポリエチレン、バイオポリプロピレン、バイオPET、又はPLAなどのバイオベースであるモノマーから誘導されたポリマーを含み得る。
【0049】
一次成分A及び二次成分Bは、得られる2成分フィラメントが改善された不織布の接着及び柔軟性をもたらすように選択することができる。一次ポリマー成分Aは、二次ポリマー成分Bの融点よりも低い融点を有してもよい。
【0050】
一次ポリマー成分Aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はプロピレンとエチレンとのランダムコポリマーを含み得る。二次ポリマー成分Bは、ポリプロピレン、又はプロピレンとエチレンとのランダムコポリマーを含み得る。ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含み得る。更に、二次ポリマー成分Bは、フィラメントの天然の螺旋状捲縮を向上させ、フィラメントの接着温度を低下させ、得られる布の耐摩耗性、強度及び柔軟性を高めるための添加剤であるポリマーを含むことができる。
【0051】
例えば、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、及びチタンの酸化物などの無機充填剤を、安価な充填剤又は加工助剤として添加してもよい。顔料及び/又は色溶融添加剤も添加され得る。
【0052】
本明細書に開示の不織布ウェブの繊維は、繊維に望ましい触感を付与するのに十分な量の滑剤を更に含み得る。本明細書で使用するところの「滑剤」又は「スリップ剤」とは、外部潤滑剤を意味する。スリップ剤は、樹脂と溶融混合されると、冷却中又は製造後に表面に徐々に滲出又は移行することで均一で目に見えないほど薄いコーティングを形成し、これにより永続的な潤滑作用を与える。スリップ剤は、急速なブルームスリップ剤であってもよい。
【0053】
製造中、又は後処理において、又は更にはその両方で、本開示の不織布ウェブを界面活性剤又は他の薬剤で処理することによってウェブを親水性化するか又はウェブを疎水性化することができる。例えば、トップシートとして使用される不織布ウェブを親水性化材料又は界面活性剤で処理することによって、尿及び経血などの身体の滲出物に対して透過性にすることができる。他の吸収性物品では、不織布ウェブは、その天然の疎水性状態に保たれてもよく、又は疎水化物質又は界面活性剤を添加することで更により疎水性にされてもよい。
【0054】
本開示の不織布ウェブの多成分フィラメントの調製に好適な材料には、Exxon Mobil Corporationより入手されるPP3155ポリプロピレン及びExxon Mobil Corporationより入手されるPP3854ポリプロピレンが含まれ得る。
【0055】
構造化された形成ベルト及び不織布ウェブを製造するためのプロセス
上述のように、本開示の不織布ウェブは、エンボス加工、水流交絡によって、又は繊維若しくはフィラメンを載置するための構造化された形成ベルトを使用することによって作製され得る。構造化された形成ベルト及び製造プロセスについて、ここでより詳細に説明される。不織布ウェブは、連続スパンボンドフィラメントを用いて単一の形成プロセスで、構造化された形成ベルト上で直接形成され得る。不織布ウェブは、構造化された形成ベルトの形状及びテクスチャに対応する形状及びテクスチャを呈し得る。
【0056】
本開示では、溶融紡糸のプロセスを利用することができる。溶融紡糸は、約150℃~約280°、又は約190°~約230°で発生し得る。繊維の紡糸速度は100m/分よりも速くてもよく、例えば、約1,000~約10,000m/分、約2,000~約7,000m/分、又は約2,500~約5,000m/分であってもよい。紡糸速度は紡糸繊維の脆性に影響し得るが、一般的には紡糸速度が高いほど繊維の脆性は低くなる。連続繊維は、スパンボンド法又はメルトブローン処理によって製造することができる。
【0057】
図15を参照すると、本開示の構造化された形成ベルト上で作製されたいくつかの例示的な不織布ウェブを製造するための代表的なプロセスライン330が示されている。プロセスライン330は2成分連続フィラメントの不織布ウェブを生産するように構成されているが、本開示は、1成分、又は2成分超を有する多成分フィラメントで作製された不織布ウェブも包含する点が理解されるべきである。2成分フィラメントは三葉であってもよいし三葉でなくてもよい。
【0058】
プロセスライン330は、それぞれ、一次ポリマー成分A及び二次ポリマー成分Bを別々に押出すために押出機駆動装置331及び333によって駆動される一対の押出機332及び334を含むことができる。ポリマー成分Aは第1のホッパー336から対応の押出機332に供給することができ、ポリマー成分Bは第2のホッパー338から対応の押出機334に供給することができる。ポリマー成分A及びBは、押出機332及び334から、それぞれのポリマー導管340及び342を介して、フィルタ344及び345、並びにポリマーを紡糸パック348に圧送する溶融ポンプ346及び347に供給することができる。2成分フィラメントを押出すための紡糸口金は、当業者には一般的に知られている。
【0059】
一般的に述べると、紡糸パック348は、ハウジングを含み、ハウジングは、紡糸口金を通して、ポリマー成分A及びBを別々に方向付けるための流路を形成するように配置された所定のパターンの開口部を有する、互いに積み重ねられた複数のプレートを含む。紡糸パック348は、1つ以上の列に配列された開口部を有する。紡糸口金の開口部は、ポリマーが紡糸口金から押出されると、下方に延びるフィラメントのカーテンを形成する。本開示の目的では、紡糸口金は、
図13A~
図13Cに示されるように横並びの偏心シース/コア型又はシース/コア型2成分フィラメント、並びに
図14に示されるように三葉型繊維のような非円形繊維を形成するように構成され得る。更に、繊維は、例えば、ポリプロピレンなどの1つのポリマー成分を有する1成分型であってもよい。
【0060】
プロセスライン330は、紡糸口金から延びるフィラメントのカーテンに隣接して配置される急冷ブロワ350を含んでもよい。急冷空気ブロワ350からの空気は、紡糸口金から延びるフィラメントを急冷することができる。急冷空気は、フィラメントカーテンの片側又はフィラメントカーテンの両側から送ることができる。
【0061】
アテニュエータ352は、紡糸口金の下に配置されてもよく、急冷されたフィラメントを受けることができる。ポリマーの溶融紡糸においてアテニュエータとして使用される繊維ドローユニット又は吸引機は、当該技術分野において一般的に知られている。本開示の不織布ウェブを形成するプロセスで使用するのに好適な繊維ドローユニットには、米国特許第3,802,817号に示されるタイプの直線状繊維アテニュエータ、並びに米国特許第3,692,618号及び米国特許第3,423,266号に示されるタイプのエダクティブガン(eductive gun)が含まれ得る。
【0062】
一般的に述べると、アテニュエータ352は、細長い垂直の通路を含み得、この通路を通じて、通路の側面から流入し、通路を下方に流れる空気を吸引することによって、フィラメントが引き出される。構造化され、エンドレスで、少なくとも部分的に小孔が形成された形成ベルト360は、アテニュエータ352の下に配置されてもよく、アテニュエータ352の出口開口部からの連続フィラメントを受け取ることができる。形成ベルト360はガイドローラ362の周囲を移動することができる。構造化された形成ベルト360の、フィラメントが堆積する部分の下に配置された真空装置364が、形成表面に対してフィラメントを吸引する。
図15では、形成ベルト360はベルトとして示されているが、形成ベルトはドラムなどの他の形態であってもよいことを理解すべきである。成形された特定の形成ベルトの詳細を以下に説明する。
【0063】
プロセスライン330の操作において、ホッパー336及び338はそれぞれのポリマー成分A及びBで充填される。ポリマー成分A及びBは溶融され、それぞれの押出機332及び334によってポリマー導管340及び342並びに紡糸パック348を通って押出される。溶融ポリマーの温度は使用されるポリマーの温度に応じて異なるが、それぞれ、一次成分A及び二次成分Bとしてポリエチレンが使用される場合、ポリマーの温度は、例えば、約190℃~約240℃の範囲とすることができる。
【0064】
押出されたフィラメントが紡糸口金の下に延びる際に、急冷ブロワ350からの空気流がフィラメントを少なくとも部分的に急冷し、特定のフィラメントでは溶融フィラメントの結晶化を誘導する。急冷空気は、約0℃~約35℃の温度及び約100~約400フィート/分の速度で、フィラメントの長さに実質的に垂直な方向に流れ得る。フィラメントは形成ベルト360上に回収されるよりも十分前に急冷されてもよく、これにより、フィラメント及び形成ベルト360を通過する強制空気によってフィラメントを配列させることができる。フィラメントを急冷することによりフィラメントの粘着性が低減するため、フィラメント同士が接着される前に互いに密着しすぎることがなく、形成ベルト360上へのフィラメントの回収中及び不織布ウェブの形成中に形成ベルト360上でフィラメントを動かす又は配列させることができる。
【0065】
急冷後、フィラメントは、繊維ドローユニットの流れによってアテニュエータ352の垂直な通路内に引き込まれる。アテニュエータは、紡糸口金の底部の下方30~60インチに配置され得る。
【0066】
フィラメントは、アテニュエータ352の出口開口部を通して、成形された移動している形成ベルト360上に堆積させることができる。フィラメントが形成ベルト360の形成表面と接触している際に、真空装置364が空気及びフィラメントを形成ベルト360に対して引き込むことで、構造化された形成ベルト360の構造化された形成表面の形状に一致した形状を呈する連続フィラメントの不織布ウェブを形成する。上で考察されたように、フィラメントは急冷されるため、フィラメントの粘着性は過度とならず、フィラメントが形成ベルト330上に回収されて不織布ウェブに形成されている際に、真空によって形成ベルト360上でフィラメントを動かすか又は配列させることができる。
【0067】
プロセスライン330は、ニップを形成する円筒形状の圧縮ロール370及び372のような1つ以上の接着デバイスを含み得、このニップに通して不織布ウェブを圧縮(例えば、カレンダー加工)することができ、この圧縮ロールもやはり繊維を接着させるために加熱することができる。圧縮ロール370、372の一方又は両方を加熱することで、不織布ウェブの部分を接着させることによって不織布ウェブに向上した特性及び利点をもたらすことができる。例えば、熱接着をもたらすのに十分な加熱によって不織布ウェブの引張り特性が向上すると考えられている。圧縮ロールは、独立した加熱制御部を有する、一対の表面が滑らかなステンレス鋼製のロールであってもよい。圧縮ロールは、電気素子又は高温のオイルの循環によって加熱することができる。圧縮ロール間の隙間は、不織布ウェブが形成ベルト上で圧縮ロールを通過する際に不織布ウェブに所望の圧力を加えるように油圧制御することができる。一実施例として、形成ベルトのキャリパが1.4mmであり、スパンボンド不織布ウェブが25gsmの坪量を有する場合、圧密ロール370と372との間のニップ隙間は約1.4mmとすることができる。
【0068】
上側圧密ロール370は、不織布ウェブ310の第1の表面上の繊維を強固にする又は溶融させるだけ十分に加熱することができ、これにより不織布ウェブに強度を与えることで一体性を失わずに不織布ウェブを形成ベルト360から取り外すことができる。例えば、
図16及び
図17に示されるように、ロール370及び372が矢印により示される方向に回転するに従って、スパンボンドウェブが載置されたベルト360がロール370と372とによって形成されるニップに進入する。加熱されたロール370は、ベルト360の隆起した樹脂要素によってロール370に押し付けられる不織布310の部分(すなわち領域321)を加熱することで、不織布ウェブ310の少なくとも第1の表面上に接着繊維380を形成することができる。本明細書の説明により理解されるように、このようにして形成された接着領域は、形成ベルト360の隆起要素のパターンを有することができる。温度及び滞留時間を調整することにより、接着を、不織布ウェブ310の第1の表面に最も近い繊維に主に限定することができるか、又は熱接着を第2の表面に対して行うことができる。接着は、例えば、以下で考察される点接着部390として不連続的な網目構造であってもよい。
【0069】
形成ベルト360の隆起要素は、形成ベルト及び不織布ウェブ310の接着領域の様々な網目構造特性を確立するように選択することができる。この網目構造は、形成ベルト360の隆起要素を構成する樹脂に対応しており、実質的に連続的、実質的に半連続的、不連続的、又はこれらの選択肢の組み合わせを含むことができる。形成ベルト360は網目構造の外観と関連しているため、これらの網目構造は、形成ベルト360の隆起要素を記述したものであるか、又は、これらの網目構造は、形成ベルト360のXY平面の構造であり得るか、又は不織布ウェブ310の三次元特徴部であり得る。
【0070】
圧縮後、不織布ウェブ310は形成ベルト360を離れ、カレンダーロール371、373によって形成されるニップを通ってカレンダー加工され得、その後、不織布ウェブ310は、リール375上に巻き取られてもよく、又は吸収性物品などの製品の製造作業へと直接運ばれてもよい。
図18の概略断面図に示されるように、これらのカレンダーロール371、373は、彫刻パターンロール384と滑らかなロール386とを有するステンレス鋼ロールとすることができる。彫刻ロールは、不織布ウェブ310に更なる圧縮及び接着をもたらすことができる隆起部分388を有することができる。隆起部分388は、カレンダーロール371及び373のニップに比較的小さい点接着部390のパターンを形成する、比較的小さく離間した「ピン」の規則的なパターンとすることができる。不織布ウェブ10の点接着部の割合(%)は、例えば、約3%~約30%、又は約7%~約20%とすることができる。彫刻パターンは、複数の密集した規則的な概ね円筒形状で、概ね平坦な頂部を有するピンの形状とすることができ、ピンの高さは、例えば、約0.5mm~約5mm又は約1mm~約3mmの範囲である。ピン接着カレンダーロールは、
図19の実施例に示されるように、不織布ウェブ10に、密集した規則的な点接着部390を形成することができる。更なる接着は、例えば、熱風貫通接着によって行うことができる。
図19は、本開示の不織布ウェブを作製するために使用され得る同じ構造化された形成ベルト技術によって作製されたハート形パターンを示す。
【0071】
本明細書で使用される「点接着」とは、不織布ウェブを熱接着する方法である。この方法は、ウェブを、加熱された雄パターンの又は彫刻を有する金属ロールと、平滑な又はパターン形成された金属ロールと、からなる2つのロールの間のニップに通過させることを含む。雄パターンのロールは、円形の点接着部を生じさせる、複数の隆起した、概ね円筒状のピンを有することができる。平滑なロールは、用途に応じて加熱されてもされなくてもよい。不織布の製造ラインでは、非接着不織布ウェブである場合もある不織布ウェブが、カレンダーニップに供給され、彫刻された点の先端部において、平滑ロールと接して繊維が互いに熱融合する点まで繊維温度が上げられる。加熱時間は、典型的には数ミリ秒ほどである。不織布ウェブの特性は、ロール温度、ウェブのライン速度、及びニップ圧などのプロセスの設定に依存し、これらはいずれも所望の点接着度が得られるように当業者が決定することができる。高温カレンダー接着として一般に知られる他のタイプの点接着は、楕円、線、円などの、(円形以外の)接着を行うための異なる幾何学的形状を使用することができる。一実施例では、点接着は、10%の全体の接着面積を有する直径0.5mmの円である点接着部のパターンを生成する。他の接着形状は、例えば、約0.1mm~2.0mmのピンの接着面にわたる最長の寸法を有し、全体の接着面積が約5%~約30%の範囲である隆起したピンを有することができる。
【0072】
図19に示されるように、加熱された圧密ロール370によって、不織布ウェブ310の第1の表面(
図19では視認者から離れる方向に向けられているために示されていない)上に実質的に連続的な網目構造の接着パターン380(例えば、相互接続されたハート形接着部)であってもよい、接着パターンを形成することができ、彫刻カレンダーロール373によって、不織布ウェブの第2の表面314上に比較的小さい点接着部390を形成することができる。点接着部390は、不織布ウェブ310の使用中に毛羽立ち又はピリングを生じやすい、ほつれた繊維を固定することができる。不織布ウェブ310の得られる構造の利点は、例えば、おむつなどの吸収性物品のトップシート又は外側カバー不織布材料として使用される場合に最も明確となる。吸収性物品に使用される場合、不織布ウェブ310の第1の表面は(第2の表面14と比べて)比較的平坦とすることができ、加熱された圧縮ロールが形成ベルト360の隆起要素によって押し付けられる不織布ウェブの領域に接着部380を形成するために比較的多くの接着を有し得る。この接着は不織布ウェブ310に構造的一体性をもたらすが、使用者の皮膚に対して依然として比較的固いか又は粗くなり得る。したがって、不織布ウェブ310の第1の表面は、おむつ又は生理用ナプキンにおいて物品の内側に面して、すなわち、着用者の身体から離れて、又は衣類に面して配向され得る。同様に、第2の表面314は、使用時に着用者に面し、かつ身体と接触し得る。比較的小さい点接着部390は使用者によって視覚的又は触覚的に知覚されにくいものとなり得、比較的柔軟性のある三次元特徴部は、使用時に身体にとって柔らかく感じる一方で視覚的に目立つ毛羽立ち及びピリングがない状態に保つことができる。上述した接着の代わりに、又はそれに加えて、更なる接着を使用することもできる。通気結合を使用することもできる。
【0073】
形成ベルト360は、スパンボンド不織布ウェブを製造するための本明細書に開示される改良された特徴及びパターンを各々が有する、2003年8月26日にLindsayらに付与された米国特許第6,610,173号、又は1996年5月7日にTrokhanらに付与された米国特許第5,514,523号、又は2002年6月4日にBurazinらに付与された米国特許第6,398,910号、又は2015年1月27日にStageらに付与された米国特許第8,940,376号に記載される方法及びプロセスに従って製造することができる。Lindsay、Trokhan、Burazin、及びStageによるこれらの開示は、織物強化部材上に硬化樹脂で作製された製紙用ベルトに代表される構造化された形成ベルトについて説明しているが、これらのベルトは、改良を加えることで、本明細書に記載されるように本開示の不織布ウェブを形成するために利用することができる。
【0074】
米国特許第5,514,523号の開示に従って作製することができる構造化された形成ベルト360の一実施例が、
図20に示されている。そこに教示されているように、強化部材394(フィラメント396の織布ベルトなど)を、液体感光性ポリマー樹脂で予め選択された厚さに完全にコーティングする。所望の隆起要素パターンの繰り返し要素(例えば、
図22)を組み込んだフィルム又はネガマスクを、液体感光樹脂上に並置する。次に、フィルムを通して樹脂を適当な波長の光に曝露する(例えば、紫外線硬化性樹脂には紫外線)。この光への曝露によって、曝露された領域(すなわち、マスクの白い部分又は非印刷部分)の樹脂を硬化させる。未硬化の樹脂(マスクの不透明部分の下の樹脂)をシステムから取り除くと、図に示されるパターンを形成する硬化樹脂が残る(例えば、
図20に示される硬化樹脂要素392)。
【0075】
形成ベルト360は、織物強化部材394上に硬化樹脂要素392を含むことができる。強化部材394は、樹脂コーティングされた製紙用ベルトなどの、製紙用ベルトの技術分野で一般的に知られているフィラメント織物396で作製することができる。硬化樹脂要素は、
図20に示される一般構造を有することができ、
図22に示される寸法を有するマスク397を使用することで作製される。
図21の概略断面図に示されるように、硬化樹脂要素392は、強化部材394の周囲を流れ、硬化されてそこに「固定」され、約0.020インチ~約0.060インチ、又は約0.025インチ~約0.030インチの遠位端幅(width at a distal end、DW)と、約0.030インチ~約0.120インチ又は約0.50インチ~約0.80インチ、又は約0.040インチの、オーバーバーデン(over burden、OB)と称される強化部材394よりも上の全高を有することができる。
図22は、本明細書に単に一実施例として示されている、繰り返しハート形デザインの1個の繰り返し単位のデザイン及び代表的な寸法を示す、マスク397の一部分を表している。白い部分398は紫外線に対して透過性であり、米国特許第5,514,523号に記載されるベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は硬化されて強化部材394上に隆起要素392を形成する。未硬化の樹脂が洗い流された後、
図15に示されるように、装置の設計によって決定され得る形成ベルトの長さの両端を継ぎ合わせることにより、
図20に示されるような硬化樹脂のデザインを有する形成ベルト360が作られる。
【0076】
本明細書に開示される不織布ウェブは、流体透過性であり得る。不織布ウェブ全体が流体透過性とみなされてもよく、又はいくつかの領域が流体透過性であり得る。不織布ウェブに関連して本明細書で使用される流体透過性とは、不織布ウェブが、消費者製品又は吸収性物品の使用中の条件下で液体を通過させる少なくとも1つの領域を有することを意味する。例えば、使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用される場合、不織布ウェブは、下層の吸収性コアへと尿を通過させる一定レベルの流体透過性を有する少なくとも1つのゾーンを有することができる。ある領域に関連して本明細書で使用される流体透過性とは、その領域が液体を通過させる多孔質構造を呈することを意味する。
【0077】
構造化された形成ベルト及び他の装置要素の性質のため、本明細書に記載されるように、不織布ウェブの三次元特徴部は、パーソナルケア物品、衣類、医療用品、及びクリーニング製品に使用される場合に不織布ウェブの有用な特性を与えるように、第1の領域と第2の領域とで異なり得る、又は特徴ごとに異なり得る平均示強性を有する。例えば、第1の領域は、第2の領域の坪量又は密度とは異なる坪量又は密度を有してもよく、また、どちらも第3の領域の坪量又は密度と異なる坪量又は密度を有してもよく、これにより、おむつ又は生理用ナプキンにおける流体捕捉性、分配性及び/又は吸収性に関する有益な美的及び機能的特性を与える。
【0078】
不織布ウェブの様々な領域間の平均示強性の差は、本明細書に述べる装置及び方法から生じる繊維の分布及び圧縮によるものと考えられる。繊維の分布は、例えばエンボス加工プロセスのような製造後プロセスとは異なり、繊維敷設プロセスの間に生じる。繊維は溶融紡糸プロセスなどのプロセス中に自由に動くことができ、その運動は形成ベルトの特徴の性質及び空気透過度、並びに他の処理加工パラメータによって決まるため、繊維は不織布ウェブ内でより安定し、永久的に形成されるものと考えられる。
【0079】
複数のゾーンを有する構造化された形成ベルトにおいて、各ゾーンの空気透過度は、ゾーンの平均坪量及び平均体積密度の示強性が変化し得るように可変であり得る。様々なゾーンの可変空気透過度は、載置中に繊維の移動を引き起こす。空気透過度は、指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全範囲内の、全ての0.1cfmの増分を具体的に列挙して、約400~約1000cfm、又は約400~約800cfm、又は約500cfm及び約750cfm、又は約650~約700cfmであり得る。
【0080】
構造化された形成ベルトは、第1の表面及び第2の表面を備える無端状有孔部材と、有孔部材の第1の表面から延在する硬化性樹脂と、無端状有孔部材上の三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンと、を備え得る。三次元特徴部は、1つ以上の第1の領域及び複数の第2の領域を備え得る。1つ以上の第1の領域は樹脂を含み得、複数の第2の領域は樹脂を含まなくてもよい。
【0081】
吸収性物品構成要素のためのバイオベース成分
本明細書に記載されている使い捨て吸収性物品(すなわち、おむつ、使い捨てパンツ、成人用失禁物品、生理用ナプキン、パンティライナなど)の構成要素は、2007年9月20日公開のHirdらによる米国特許出願公開第2007/0219521(A1)号、2011年6月16日公開のHirdらによる米国特許出願公開第2011/0139658(A1)号、2011年6月16日公開のHirdらによる米国特許出願公開第2011/0139657(A1)号、2011年6月23日公開のHirdらによる米国特許出願公開第2011/0152812(A1)号、2011年6月16日公開のHirdらによる米国特許出願公開第2011/0139662(A1)号、及び2011年6月16日公開の米国特許出願公開第2011/0139659(A1)号に記載されているバイオ源含有物から少なくとも部分的に構成され得る。これらの構成要素としては、トップシート不織布、バックシートフィルム、バックシート不織布、サイドパネル不織布、バリアレッグカフ不織布、超吸収体、不織布捕捉層、コアラップ不織布、接着剤、ファスナフック、及び締結具ランディングゾーン不織布、並びにフィルムベースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
いくつかの形態では、使い捨て吸収性物品の構成要素は、ASTM D6866-10の方法Bを使用して、約10%~約100%、別の実施形態では、約25%~約75%、更に別の実施形態では、ASTM D6866-10の方法Bを使用して、約50%~約60%のバイオベース含有量値を含む。
【0083】
ASTM D6866-10の方法論を適用して、任意の使い捨て吸収性物品の構成要素のバイオベース含有量を決定するために、使い捨て吸収性物品の構成要素の代表的試料を、試験用に得る必要がある。ある形態では、使い捨て吸収性物品の構成要素を、既知の粉砕方法(例えば、Wiley(登録商標)ミル)を使用して、約20メッシュ未満の微粒子に粉砕し、ランダムに混合された粒子から好適な質量の代表的試料を取り出すことができる。
【0084】
不織布ウェブは、多成分繊維又は2成分繊維を含んでもよく、少なくとも1つ以上の成分はバイオベースである。例としては、サイドバイサイド、シース/コア、又は海島の構成が挙げられ、構成成分の1つ以上又は全てがバイオベースである。
【0085】
不織布ウェブは、熱風を不織布ウェブに通しかつ通気結合と称されるプロセスを使用することによって形成された繊維交点での結合を含み得る。他の例では、不織布ウェブは、繊維を一緒に接合するように構成されたカレンダー結合を含み得る。
【0086】
本開示の不織布ウェブは、第1の表面又は第2の表面上に三次元特徴部の第2の視覚的に識別可能なパターンを含み得る。三次元特徴部の第2の視覚的に識別可能なパターンは、視覚的に識別可能なパターンとは異なり得る。三次元特徴部は、1つ以上又は複数の第3の領域及び複数の第4の領域を備え得る。1つ以上の第3の領域は、坪量、キャリパ、及び/又は体積密度などの平均示強性の値において、複数の第4の領域とは異なり得る。
【0087】
本開示の不織布ウェブは、2成分繊維(例えば、
図13A~
図13Cを参照)などの多成分繊維を含み得る。多成分繊維の少なくとも1つの成分は、例えば、PLA、バイオPE、又はバイオPPなどのバイオベースであり得る。
【0088】
不織布ウェブは、スパンボンド不織布ウェブであっても、カード不織布ウェブであってもよい。
【0089】
本開示の不織布ウェブは、テクスチャ知覚、吸収性知覚、及び柔軟性知覚を助けるために、低濃度の着色剤、添加剤、及び/又は染料を含み得る。低濃度の着色剤、添加剤、及び/又は染料は、不織布ウェブが人間の目に依然として「白色」であるように見えるように十分に低くてもよい。例えば、暗い青緑色の着色剤、添加剤、及び/又は染料が使用される場合、結果として生じる不織布材料は、依然として人間の目に白色であるように見えるが、不織布ウェブのテクスチャは、見るとより強化される。これは、吸収性及び柔軟性の改善された知覚をもたらす。
【0090】
一実施例として、典型的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び/又はポリエステルなどの担体樹脂を有する約15%~約65%活性の範囲の顔料を含む固体添加剤である着色剤マスターバッチを使用することができる。着色剤マスターバッチは、「レットダウン比(let-down ratio)」として記載される特定の標的色を送達するように設計されている。例えば、不織布ウェブにおいて、2%のレットダウン比のマスターバッチは、マスターバッチの2%がポリプロピレン、ポリエチレン、及び/又はポリエステルなどの対応する不織布の樹脂の98%とブレンドされるときに目標色をもたらす。従来のレットダウン比は、約1.5%~約5%の範囲であり得る。しかしながら、このレベルのレットダウン比では、不織布ウェブは、例えば、暗い青緑色のように、人間の目には着色されたように見える。本開示では、マスターバッチのこの添加レベルは、テクスチャ知覚、吸収性知覚、及び柔軟性知覚を高めるために有意に低く、色は人間の目に視認可能ではない(すなわち、不織布ウェブは、依然として白色であるように見える)。
【0091】
例示的な着色剤は、Ampacet Corporation(所在地:660 White Plans Rd.Tarrytown,NY10591)から購入することができる。1つの例示的な着色剤は、Ampacet Corporation製の商品名Ampacet 4600664-Nである青色着色剤である。
【0092】
Emtec
改善されたテクスチャ知覚を提供することに加えて、本開示の不織布ウェブは、改善された柔軟性及びテクスチャを提供する。本開示は、高い柔軟性と、視認性の高いテクスチャとの間の矛盾を更に解決する。本明細書におけるEmtec試験に従って、柔軟性、テクスチャ(すなわち、平滑度)、及び/又は剛性は、Emtec Tissue Softness Analyzerによって測定することができる。触覚柔軟性は、TS7として測定される。テクスチャ/平滑度は、TS750として測定される。剛性は、Dとして測定される。
【0093】
本開示の不織布ウェブの一部分、又は全てが、15dB V2、又は、約1dB V2rms~約4.5dB V2rms、約2dB V2rms~約4.5dB V2rms、若しくは約2dB V2rms~約4.0dB V2rmsの範囲のTS7値を有し得る。本開示の不織布ウェブの一部分、又は全てはまた、約4dB V2rms~約30dB V2rms、約6dB V2rms~約30dB V2rms、約6dB V2rms~約20dB V2rms、約6dB V2rms~約15dB V2rms、約6dB V2rms~約12dB V2rms、又は約6.5dB V2rms~約10dB V2rmsの範囲のTS750値を有してもよい。本開示のトップシートの着用者対向表面の一部分、又は全てはまた、約1mm/N~約10mm/N、約3mm/N~約8mm/N、約2mm/N~約6mm/N、約2mm/N~約4mm/N、又は約3mm/N~約4mm/Nの範囲のD値を有してもよい。全ての値は、本明細書のEmtec試験に従って測定される。TS7値は触覚的柔軟性であり、そのため、少数が望まれる(数字が低いほど、材料がより柔軟性がある)。TS750値はテクスチャであるため、多くの数が所望される(数字が高いほど、材料がより高いテクスチャである)。低いTS7値及び高いテクスチャ値を有することは、典型的には、不織布がより多くのテクスチャを有し、柔軟性が劣るという点で矛盾である。本出願人らは、理論に束縛されることを望むものではないが、依然として非常に柔らかい高度にテクスチャ加工された不織布の予想外の結果を発見した。
【0094】
積層体
本開示の積層体は、三次元特徴部の1つ以上の視覚的に識別可能なパターンを有する、本明細書で考察される不織布ウェブの1つ以上、及び、衣類対向面又は着用者対向面に1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備えるバックシートフィルムを備え得る。バックシートフィルム上の1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックは、不織布ウェブが1つ以上のグラフィックと重ね合わされるときに、不織布ウェブの1つ以上の視覚的に識別可能なパターンの知覚を大幅に向上させる。積層体はまた、他の材料を含み得る。三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分又は全ては、1つ以上のグラフィックの一部分又は全てに重なり合い得る。一例の積層体は、バックシートの衣類対向面に印刷された1つ以上のグラフィックを有するバックシートフィルム上に位置付けられた外側カバー不織布材料である。別の例は、バックシートの着用者対向面に印刷された1つ以上のグラフィックを有するバックシートフィルム上に位置付けられたトップシートである。場合によっては、トップシートは、少なくとも生理用ナプキンの羽根において、バックシートフィルムの1つ以上のグラフィックと重なり合って積層体を形成し得る。
【0095】
バックシートグラフィック
バックシートの衣類対向面又は着用者対向面は、1つ以上のグラフィックを含み得る。1つ以上のグラフィックは、視覚的に鮮明なグラフィックを備え得る。視覚的鮮明グラフィックは、本明細書で更に考察されるように、彩度、L*、a*、b*色値、L*値、a*値、又はb*値によって特徴付けられ得る。1つ以上のグラフィックは、同じ色又は異なる色のフラッドであり得る。フラッドは、バックシート又はその部分の1つの表面の全てを被覆し得る。他の例では、多くの異なるグラフィックが提供され得るが、いくつかは繰り返され得る。1つ以上のグラフィックは、色、単語、スローガン、ブランド名、湿り度インジケータ(又はその一部分)、デザイン、アイコン、ロゴ、文字、ハート、数、サイズ表示、前面/背面表示、文字、動物、顔、記号などを含み得る。グラフィックはまた、例えば、センサの形状と一致する破線の輪郭など、センサがおむつに取り付けられるべき場所を示すための視認可能な配置印を含み得る。グラフィックは、バックシート上に印刷される任意のものであり得る。グラフィックはまた、バックシートの着色エリアであり得る。バックシートの着用者対向表面又は衣類対向表面は、非印刷領域エリア、非着色エリア、又は、例えば、具体的には、列挙された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全ての範囲内の全ての1%の増分を含めて、約5%~約90%、約5%~約80%、約10%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%の範囲において1つ以上のグラフィックによって被覆されないエリアを有し得る。
【0096】
彩度
彩度値は、バックシートグラフィックにおける鮮やかさ又は鮮明度の尺度である。1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックは、本明細書におけるバックシートグラフィック色試験に従って、8より大きく100未満、又は8より大きく90未満の彩度値を有し得る。1つ以上のグラフィックの彩度値はまた、本明細書におけるバックシートグラフィック色試験に従って、約10~約95、約10~約90、約15~約80、約20~約75、約10~約60、又は約10~約50の範囲内にあり得る。1つ以上のグラフィックの彩度値はまた、本明細書におけるバックシートグラフィック色試験に従って、約10~約45、約19~約45、約13~約45、約13、約14、約27、約28、約35、約36、約37、約40、又は約41の範囲にあり得る。この段落における列挙された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全ての範囲内の全ての0.5の増分が明確に含まれる。
PANTONEカラーシステムは、色番号付けシステムを使用して色を特定及び照合する。
【0097】
彩度値PANTONEカラー109
109のPANTONEカラーであるバックシート上の1つ以上のグラフィックは、本明細書におけるバックシートグラフィック色試験に従って、また、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全範囲内の全ての0.5の増分を具体的に列挙して、約5~約90、約8~約90、約18~約90、約18~約84、約27~約77、約37~約66、又は約47~約56の範囲の彩度値を有し得る。
【0098】
彩度値PANTONEカラー171
171のPANTONEカラーであるバックシート上の1つ以上のグラフィックは、本明細書におけるバックシートグラフィック色試験に従って、また、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全範囲内の全ての0.5の増分を具体的に列挙して、約15~約80、約19~約75、約26~約65、約34~約57、又は約42~約49の範囲の彩度値を有し得る。
【0099】
彩度値PANTONEカラー2965
2965のPANTONEカラーであるバックシート上の1つ以上のグラフィックは、本明細書におけるバックシートグラフィック色試験に従って、また、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全範囲内の全ての0.5の増分を具体的に列挙して、約5~約30、約7~約25、約7~約21、約8~約20、約11~約18、約13~約17、又は約13~約15の範囲の彩度値を有し得る。
【0100】
彩度値PANTONEカラー3272
3272のPANTONEカラーであるバックシート上の1つ以上のグラフィックは、本明細書におけるバックシートグラフィック色試験に従って、また、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全範囲内の全ての0.5の増分を具体的に列挙して、約10~約70、約11~約65、約18~約65、約25~約55、約30~約50、約31~約46、又は約31~約40の範囲の彩度値を有し得る。
【0101】
彩度値PANTONEカラー423
423のPANTONEカラーであるバックシート上の1つ以上のグラフィックは、本明細書におけるバックシートグラフィック色試験に従って、また、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全範囲内の全ての0.5の増分を具体的に列挙して、約1~約5、約1~約3、約1~約2.5、約1~約2.2、約1~約2、約1~約1.5、約1~約1.4、又は約1.4の範囲の彩度値を有し得る。
【0102】
L*、a*、b*値
バックシート上の1つ以上のグラフィックの、上に列挙されていないものを含む全てのPANTONEカラーについて、L*値は、約5~約95、約40~約95、約50~約95、約60~約95、約65~約95の範囲にあり得るが、あるいはL*値は95未満又は90未満であり得る。a*値は、約-90~約90、約-50~約50、又は約-30~約40の範囲であり得、b*値は、約-90~約90、約-50~約50、又は約-25~約40の範囲であり得る。全てのL*、a*、b*値は、本明細書における不織布バックシート積層体色試験に従って測定され、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全ての範囲内の全ての0.5の増分が具体的に列挙される。その色及び/又はそれらの色は、本明細書における不織布バックシート積層体色試験に従って、CIE 1976 L*、a*、b*値によって特徴付けられ得る。CIE L*、a*、b*は、明度(L)、赤色度-緑色度(a)、及び黄色度-青色度(b)の測定値を利用して色を特徴付けるものである。その色及び/又はそれらの色はまた、PANTONEカラーシステムによって特徴付けられ得る。
【0103】
L*、a*、b*値PANTONEカラー109
109のPANTONEカラーであるバックシート上の1つ以上のグラフィックは、本明細書におけるバックシートグラフィック色試験に従って、また、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全範囲内の全ての0.5の増分を具体的に列挙して、約86~約96の範囲内のL*値、約0~約5の範囲内のa*値、約18~約84の範囲内のb*値を有し得る。
【0104】
L*、a*、b*値PANTONEカラー171
171のPANTONEカラーであるバックシート上の1つ以上のグラフィックは、本明細書における不織布バックシート積層体色試験に従って、また、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全範囲内の全ての0.5の増分を具体的に列挙して、約60~約86の範囲内のL*値、約15~約56の範囲内のa*値、及び約13~48の範囲内のb*値を有し得る。
【0105】
L*、a*、b*値PANTONEカラー2965
2965のPANTONEカラーであるバックシート上の1つ以上のグラフィックは、本明細書におけるバックシートグラフィック色試験に従って、また、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全範囲内の全ての0.5の増分を具体的に列挙して、約14~約82の範囲内のL*値、約-7~約-2の範囲内のa*値、約-19~約-5の範囲内のb*値を有し得る。
【0106】
L*、a*、b*値PANTONEカラー3272
3272のPANTONEカラーであるバックシート上の1つ以上のグラフィックは、本明細書における不織布バックシート積層体色試験に従って、また、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全範囲内の全ての0.5の増分を具体的に列挙して、約58~約89の範囲内のL*値、約-60~約-12の範囲内のa*値、及び約-11~-3の範囲内のb*値を有し得る。
【0107】
L*、a*、b*値PANTONEカラー423
423のPANTONEカラーであるバックシート上の1つ以上のグラフィックは、本明細書における不織布バックシート積層体色試験に従って、また、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全範囲内の全ての0.5の増分を具体的に列挙して、約58~約91の範囲内のL*値、約-2~約-1の範囲内のa*値、及び約-1~0の範囲内のb*値を有し得る。
【0108】
生理用ナプキン積層体
再び
図12を参照すると、生理用ナプキン110は、羽根120及び液体不透過性バックシート116を備えている。バックシート116の着用者対向面115又は衣類対向面は、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィック400を含み得る。1つ以上のグラフィック400は、例えば、羽根120内などの任意の場所においてバックシート116上に位置付けられ得る。1つ以上のグラフィック400はまた、バックシート116上の他の場所に位置付けられ得る。液体透過性トップシート114又はその一部分は、その第1の表面又は第2の表面上に三次元特徴部402の1つ以上の視覚的に識別可能なパターンを含み得る。三次元特徴部402の少なくともいくつかは、各々、第1の領域404及び第2の領域406を備え得る。第1の領域404は、平均示強性の第1の値を有し得、第2の領域406は、平均示強性の第2の値を有し得る。第1の値と第2の値は異なり得る。平均示強性は、本明細書で考察されるものと同じであり得る。三次元特徴部402の視覚的に識別可能なパターンの一部分又は全ては、1つ以上のグラフィック400の一部分又は全てに重なり合い得る。この重なり合いは、例えば、吸収性コア118及び第2のトップシート119が存在しない場合があり、その結果、1つ以上のグラフィック400がトップシート114を通してより視認可能となり得るため、羽根120内で発生し得る。三次元特徴部の1つ以上の視覚的に識別可能なパターンは、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックと重なり合うときにより視認可能であり得る。液体透過性トップシート114の衣類対向表面又は着用者対向面は、Emtec試験に従って、約15dB V
2未満のTS7値(又は本明細書で指定された他のTS7、TS750、及びD値)を有し得る。1つ以上のグラフィック400は、バックシートグラフィック色試験に従って、8超かつ130未満、8超かつ100未満の彩度値、又は本明細書で指定された他の彩度値の彩度値を示し得る。1つ以上のグラフィック400の一部分又は全ては、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部402の視覚的に識別可能なパターンの第1の領域404を通して測定される場合、第1のL
*、a
*、b
*の色値を示し得る。1つ以上のグラフィック400の一部分又は全ては、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部402の視覚的に識別可能なパターンの第2の領域406を通して測定される場合、異なる第2のL
*、a
*、b
*の色値を示し得る。1つ以上のグラフィック400の一部分又は全ては、不織布バックシート積層体色試験に従って、95未満又は90未満かつ5超のL値を示し得る。1つ以上のグラフィック400はまた、トップシート114を通じた視認が可能となるように、第2のトップシート119上に印刷され得る。1つ以上のグラフィック400はまた、他の彩度値、すなわち、L
*、a
*、b
*色値、又は個々のL
*、a
*、若しくはb
*値、デルタE値、又は、例えば、本明細書に開示される非印刷エリア又は非着色エリアなどの他の値のいずれかを呈し得る。簡潔にするために、ここでは同じことは繰り返さない。
【0109】
バックシート/不織布積層体
上述のように、本開示の積層体は、バックシート及び1つ以上の不織布ウェブによって形成され得る。ここで、付加的な積層体の例について考察する。
【0110】
図23は、液体不透過性バックシート28の平面図である。バックシート28は、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィック400及び湿り度インジケータ80を含み得る。場合によっては、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィック400は、湿り度インジケータ80の少なくとも部分又は全てを含み得る。バックシート28は、着用者対向表面と、衣類対向表面408と、を備える(すなわち、外側カバー不織布材料40に面する)。着用者対向面又は衣類対向面408は、1つ以上のグラフィック400を含み得る。湿り度インジケータ80は、着用者対向面408上に位置付けられ、そのため、吸収性物品10の着用中に吸収性コア内の身体の滲出物と接触し、吸収性物品10の湿り度又は充填度を示すように構成されている。1つ以上のグラフィック400は、例えば、ウサギなどの動物又は雲からのものであり得る。本明細書に記載されるように、1つ以上のグラフィック400は、数字、単語などであり得る。ウサギ又は雲の画像は、繰り返されてもよく、あるいは、サイズ、形状、色、及び/又は配向において、全て異なっていてもよい。1つ以上のグラフィック400は、バックシートグラフィック色試験によれば、8超かつ130未満、8超かつ100未満の彩度値、又は本明細書で指定された他の彩度値の彩度値を示し得る。バックシート28の衣類対向面408は、バックシート28の衣類対向面408の全エリアに対して約5%~約80%(又は本明細書で指定された他の範囲)の非印刷エリア又は非着色エリアを有し得る。場合によっては、グラフィックス400は、複数の第1の繰り返し単位から形成され得る。
【0111】
図24は、外側カバー不織布材料又は不織布トップシート410(410は「外側カバー不織布材料410」と称されるが、不織トップシートであってもよい)の平面図である。外側カバー不織布材料410は、第1の衣類対向表面と第2の着用者対向表面とを含む。
図24では、衣類対向表面412を視認者に向けている。外側カバー不織布材料410は、三次元特徴部402の1つ以上の視覚的に識別可能なパターンを含む。三次元特徴部402の視覚的に識別可能なパターンは、衣類対向表面又は着用者対向表面上に存在し得ることが理解されよう。三次元特徴部のうちの少なくともいくつかは、第1の領域404及び第2の領域406を備え得る。第1の領域404は、平均示強性の第1の値を有し得る。第2の領域406は、平均示強性の第2の値を有し得る。平均示強性の第1の値と第2の値は、異なり得る。平均示強性は坪量であり得、第1及び第2の領域404、406の坪量は両方ともゼロよりも大きくてもよい。平均示強性は体積密度であり得、第1及び第2の領域404、406の体積密度は両方ともゼロよりも大きくてもよい。平均示強性は厚さであり得、第1及び第2の領域404、406の厚さは両方ともゼロよりも大きくてもよい。三次元特徴部402の視覚的に識別可能なパターンは、1つ以上のグラフィック400の複数の第1の繰り返し単位よりも大きくても、小さくてもよい、複数の第2の繰り返し単位で形成され得る。衣類対向表面412は、Emtec試験に従って、約15dB V
2未満のTS7値(又は本明細書で指定された他のTS7、TS750、及びD値)を有し得る。
【0112】
図25は、外側カバー不織布材料410の衣類対向表面412を視認者に向けた、
図23のバックシート28と重なり合う
図24の外側カバー不織布材料410の積層体414の平面図である。ランディングゾーンエリア413は、別個のランディングゾーンが外側カバー不織布材料410に取り付けられ得る場所に存在し得る。バックシート28の衣類対向表面408は、外側カバー不織布材料410の着用者対向表面と向かい合う関係にある。
図25に見られるように、1つ以上のグラフィック400の部分は、三次元特徴部402の視覚的に識別可能なパターンの部分と重なり合う。1つ以上のグラフィック400の一部分又は全ては、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部402の第1の領域404を通して測定される場合、第1のL
*、a
*、b
*の色値を示し得る。1つ以上のグラフィック400の一部分又は全ては、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部402の第2の領域406を通して測定される場合、異なる第2のL
*、a
*、b
*の色値を示し得る。1つ以上のグラフィック400の一部分又は全ては、不織布バックシート積層体色試験に従って、95未満又は90未満かつ5超のL
*値を示し得る。第1のL
*、a
*、b
*色値は、約5~約95の範囲のL
*値、約-90~約90の範囲のa
*値、及び約-90~約90の範囲のb
*値を有し得るが、これらは全て不織布バックシート積層体色試験に従って測定される。第2のL
*、a
*、b
*色値は、約5~約95の範囲のL
*値、約-90~約90の範囲のa
*値、及び約-90~約90の範囲のb
*値を有し得るが、これらは全て不織布バックシート積層体色試験に従って測定される。上述のように、1つ以上のグラフィック400の一部分は、バックシートグラフィック色試験に従って、8よりも大きい彩度値を示し得る。第1のL
*、a
*、b
*色値と第2のL
*、a
*、b
*色値との間のデルタEは、不織布バックシート積層体色試験に従って、約2~約19、又は約3.4~約19の範囲にあり得る。1つ以上のグラフィック400の一部分はまた、不織布バックシート積層体色試験に従って、95未満又は90未満であるが5を超えるL値を有し得る。1つ以上のグラフィック400はまた、他の彩度値、すなわち、L
*、a
*、b
*色値、又は個々のL
*、a
*、若しくはb
*値、デルタE値、又は、例えば、本明細書に開示される非印刷エリア又は非着色エリアなどの他の値のいずれかを呈し得る。
【0113】
図26は、
図23と同じ参照番号付けを有する同様又は同一の特徴を備え、かつ衣類対向表面408を視認者に向けた、バックシート28の平面図である。
図27は、
図24と同じ参照番号付けを有する同様又は同一の特徴を備え、かつ衣類対向表面412を視認者に向けた、外側カバー不織布材料410又は不織布トップシートの平面図である。
図28は、
図25と同じ参照番号付けを有する同様又は同一の特徴を備え、かつ衣類対向表面412を視認者に向けた、
図26のバックシート28と重なり合う
図27の外側カバー不織布材料410の積層体414の平面図である。
図28において、ランディングゾーンエリア413は、別個のランディングゾーンが外側カバー不織布材料に取り付けられ得る場所に存在し得る。色値、L
*、a
*、b
*値、個々のL
*、a
*、若しくはb
*値、彩度値、デルタE値、又は非印刷エリア又は非着色エリアなどの他の値は、
図23~
図25に関連して記述された、又は別様に本明細書に開示されたものと同一又は同様であり得る。
【0114】
デルタE
デルタEは、第1の色値と第2の色値との間の色値の差である。特定のデルタEを下回ると、人間の目は差異を検出することができない。2つの色間の人間によって検出可能なデルタE値は、例えば、2超、3.4超、又は3.5超である。1つ以上のグラフィックの第1及び第2のL*、a*、b*色値に対する好適なデルタEの範囲は、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全ての範囲内の全ての0.1の増分を具体的に列挙して、約2~約19、約2~約16、約3.4~約19、約3.4~約16、約3.5~約19、約3.5~約16、約5~約16、約6~約15、約6、約7、約8、約9、約10、約12、約11、約13、約14、又は約15の範囲内にあり得る。
【0115】
認識可能な個別の印
例えば、
図23に示されるように、バックシート28上の1つ以上のグラフィック400は、1つ以上の認識可能な個別の印を含むか、又は形成することができる。
図23では、認識可能な個別の印は、ウサギ又は雲であり得る。認識可能な個別の印はまた、単語、スローガン、ブランド名、湿り度インジケータ(又はその一部分)、デザイン、アイコン、ロゴ、文字、数、サイズ表示、前面/背面表示、文字、動物、顔、心臓、記号などを含み得る。
図29は、外側カバー不織布材料40又はトップシートの平面図である。外側カバー不織布材料410又はトップシートは、認識可能な個別の印416を含み得る。
図29では、認識可能な個別の印は、例えば、ウサギ又は雲であり得る。認識可能な個別の印は、三次元特徴部402の視覚的に識別可能なパターンによって形成され得る。バックシート及び/又は外側カバー不織布材料は、約2個~約25個、約2個~約20個、又は約2個~約15個の認識可能な個別の印を有し得る。三次元特徴部402の視覚的に識別可能なパターンは、衣類対向表面又は着用者対向表面上に存在し得ることが理解されよう。三次元特徴部のうちの少なくともいくつかは、第1の領域404及び第2の領域406を備え得る。第1の領域404は、平均示強性の第1の値を有し得る。第2の領域406は、平均示強性の第2の値を有し得る。平均示強性の第1の値と第2の値は、異なり得る。平均示強性は坪量であり得、第1及び第2の領域404、406の坪量は両方ともゼロよりも大きくてもよい。平均示強性は体積密度であり得、第1及び第2の領域404、406の体積密度は両方ともゼロよりも大きくてもよい。平均示強性は厚さであり得、第1及び第2の領域404、406の厚さは両方ともゼロよりも大きくてもよい。三次元特徴部402の視覚的に識別可能なパターンは、1つ以上のグラフィック400の複数の第1の繰り返し単位よりも大きくても、小さくてもよい、複数の第2の繰り返し単位で形成され得る。衣類対向表面412は、Emtec試験によれば、約15dB V
2未満のTS7値(又は本明細書で指定された他のTS7、TS750、及びD値)を有し得る。
【0116】
外側カバー不織布材料又はトップシート当たりの認識可能な個別の印のエリア及び繰り返し数
バックシート28上の1つ以上のグラフィック400によって、若しくは外側カバー不織布材料40又はトップシート上の視覚的に識別可能なパターンによって形成された認識可能な個別の印は、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって規定される全ての範囲内の全ての0.5mm
2の増分を具体的に列挙して、約30mm
2~約10,000mm
2、約40mm
2~約8,000mm
2、約40mm
2~約3,000mm
2、約40mm
2~2,000mm
2、約40mm
2~約500mm
2、約45mm
2~約300mm
2の範囲の面積を有し得るか、あるいは、約52mm
2、約85mm
2、約96mm
2、約157mm
2、約171mm
2、約279mm
2、約1,198mm
2、約1,950mm
2、又は約4,453mm
2であり得る。バックシート28、外側カバー不織布材料40、及び/又はトップシートは、少なくとも1つの認識可能な個別の印、又は複数の認識可能な個別の印を有し得る。2つ以上の認識可能な個別の印がバックシート、外側カバー不織布材料、又はトップシート上に提供される場合、認識可能な個別の印は、様々な構成要素上で同じであっても異なっていてもよい。いくつかの認識可能な個別の印は同じであってもよく、他の認識可能な個別の印は、様々な構成要素上で異なっていてもよい。一例として、バックシート、外側カバー不織布材料、及び/又はトップシートは、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全ての範囲内で全ての1つの増分を具体的に列挙して、約1個~約50個、約2個~約40個、約2個~約30個、約2個~約25個、又は約2個~約20個の認識可能な個別の印を有する。認識可能な個別の印は、同じ材料及び/又は異なる材料上で同一にあるいは別様に配向され得る。認識可能な個別の印を有する例示的な積層体は、
図23のバックシートと重なり合う
図29の外側カバー不織布材料である。そのような形式で、
図29の認識可能な個別の印は、
図23の認識可能な個別の印(例えば、ウサギとウサギ及び雲と雲)と協調し得る。
【0117】
ステッチ状のパターン
本明細書で考察される様々なグラフィック400に加えて、バックシートは、その衣類対向表面又は着用者対向表面上にステッチ状のパターンを備え得る。ステッチ状のパターンは、グラフィック400を取り囲むか、又は部分的に取り囲んでもよい。典型的には、ステッチ状のパターンは、グラフィック400と重なり合わないか、又はグラフィック400と重なり合わない。場合によっては、ステッチ状のパターンは、グラフィック400又はその部分と重なり合い得る。場合によっては、ステッチ状のパターンは、グラフィック400なしで使用され得る。
図30~
図32は、ステッチ状のパターン500の例を示す。当然のことながら、グラフィック400は、また、ステッチ状のパターン内に存在してもよい。本明細書に開示される視覚的に認識可能なパターンを有する外側カバー不織布材料及び/又はトップシートとペアにされたバックシート上のステッチ状のパターンは、消費者にとって望ましい衣類様の柔らかい外観を本開示の吸収性物品に提供する。
図30及び
図31に示されるように、ステッチ状のパターンは、複数の線形要素502を備え得る。吸収性物品では、線形要素502は、典型的には、吸収性物品の中心長手方向軸に対して概ね平行な方向に延在するが、他の方向にも延在してもよい。一般に、この文脈では、概ね平行とは、吸収性物品の中心長手方向軸に対して±10度を意味する。線形要素はまた、例えば、約45度など、吸収性物品の中心長手方向軸に対して約11度~約90度の範囲内に延在し得る。線形要素は連続的であっても、非連続的であってもよい。線形要素は、波状の線形要素を形成するように弧状部分を含み得る。線形要素は、水平方向において互いからある距離だけ離間され得る。その距離は、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全ての範囲内で全ての0.1mmの増分を具体的に列挙して、約1mm~約15mm、約1.5mm~約15mm、約2mm~約12mm、約2mm~約10mm、約2mm~約8mm、約2mm~約5mm、又は約1.5mm~約4mmの範囲にあり得る。2つの隣接する線形要素間の距離は変化してもよく、又はステッチ状のパターン内で一貫していてもよい。線形要素間の1mm未満の距離は、色の「フラッド」の印象を生じ、ステッチ状のパターンの美的利益を大幅に低減する。線形要素自体は、指定された範囲及びその中に若しくはそれによって形成される全ての範囲内で全ての0.1mm増分を具体的に列挙して、約0.2mm~約5mm、約0.3mm~約5mm、約0.4mm~約4mm、又は0.5~約3mmの範囲内にあり得る。2つの隣接する線形要素502は、複数の接続要素504によって互いに接続され得る。接続要素504は、線形要素502の間でほぼ水平に延在してもよく、又は非水平の角度で延在してもよい。異なる接続要素が、同じ方向又は異なる方向に延在し得る。約5~約100個の接続要素504が、2つの隣接する線形要素502の間に延在し得る。
図32に示されるパターンなどの他のステッチ状のパターンでは、線形要素が提供されなくてもよい。ステッチ状のパターンは、バックシートの全表面積の約20%~約95%を被覆し得る。
【0118】
図33は、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備える液体不透過性バックシートの平面図である。湿り度インジケータ80は、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分を含んでもよく、又は含まなくてもよい。バックシートは、上記のようなステッチ状のパターンを備え得る。場合によっては、湿り度インジケータ80が介護者に明確に視認可能のままであるように、かつ視覚的に鮮明なグラフィックによって曖昧にされないように、湿り度インジケータ80を取り囲む非印刷ゾーン、無グラフィックスゾーン、軽グラフィックスゾーン、色なしゾーン、又は白色ゾーン(合わせて「ゾーン600」)を含むことが望ましい場合がある。他の例では、湿り度インジケータ80を取り囲むゾーン600は、湿り度インジケータが介護者に明確に視認可能のままであるように、グラフィックの残りの部分の少なくとも一部分及び湿り度インジケータとは異なる色であり得る。一例では、ゾーン600は、湿り度インジケータ80をより視認性の高いものにするために段階化され得るか、又は勾配を有し得、かつ、グラフィックの粗い線が少ない/グラフィック又は色を有さない/色を有さない場合がある。例えば、湿り度インジケータ80からより遠位のゾーン600内のグラフィックは、湿り度インジケータ80に対してより近位のゾーン600内のグラフィックと比べて、より暗いか、又はより視認性の高い場合がある。別の例では、湿り度インジケータ80からより遠位のゾーン600内のグラフィックは視認可能であり得るが、一方、湿り度インジケータに対してより近位のゾーン600内のエリアは、グラフィックを含まないか、又は色を含まない場合がある。色若しくはグラフィックの異なるゾーン600又は色若しくはグラフィックのないゾーンは、湿り度インジケータ80を完全に、又は少なくとも部分的に取り囲んでもよい。
【0119】
実施例/組み合わせ1:
1. 吸収性物品であって、
液体透過性トップシートと、
液体不透過性バックシートと、
トップシートとバックシートとの中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コアと、を備え、
液体透過性トップシートは、
第1の着用者対向表面と、
第2のバックシート対向表面と、
第1の表面又は第2の表面上の三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンであって、三次元特徴部のうちの少なくともいくつかが、各々、第1の領域及び第2の領域を備える、視覚的に識別可能なパターンと、を備え、
第1の領域は、平均示強性の第1の値を有し、
第2の領域は、平均示強性の第2の値を有し、第1の値と第2の値は異なり、
バックシートの着用者対向面が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備え、
三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分と重なり合い、
1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、バックシートグラフィック色試験に従って、8よりも大きい彩度値を示す、吸収性物品。
2. バックシートの着用者対向面は、バックシートの着用者対向面の全エリアに対して、約5%~約80%の非印刷エリアを有する、段落1に記載の吸収性物品。
3. 1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、バックシートグラフィック色試験に従って、約8~約130の範囲の彩度値を有する、段落1又は2に記載の吸収性物品。
4. 1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックは、複数の第1の繰り返し単位から形成され、三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンは、複数の第2の繰り返し単位から形成される、段落1~3のいずれか1つに記載の吸収性物品。
5. 第1の繰り返し単位は、第2の繰り返し単位よりも小さい、段落4に記載の吸収性物品。
6. 第2の繰り返し単位は、第1の繰り返し単位よりも小さい、段落4に記載の吸収性物品。
7. 三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンは1つ以上の第1の認識可能な個別の印を形成し、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックは1つ以上の第2の認識可能な個別の印を形成し、1つ以上の第1の認識可能な個別の印は、1つ以上の第2の認識可能な個別の印と協働する、段落1~3のいずれか1つに記載の吸収性物品。
8. 第1の着用者対向表面は、Emtec試験に従って、約15dB V2未満のTS7値を有する、段落1~7のいずれか1つに記載の吸収性物品。
9. 平均示強性は厚さであり、全ての領域の厚さが0よりも大きい、段落1~8のいずれか1つに記載の吸収性物品。
10. 平均示強性は坪量であり、全ての領域の坪量が0よりも大きい、段落1~8のいずれか1つに記載の吸収性物品。
11. 平均示強性は体積密度であり、全ての領域の体積密度が0よりも大きい、段落1~8のいずれか1つに記載の吸収性物品。
12. 吸収性物品であって、
液体透過性トップシートと、
液体不透過性バックシートと、
トップシートとバックシートとの中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コアと、を備え、
液体透過性トップシートは、
第1の着用者対向表面と、
第2のバックシート対向表面と、
第1の表面又は第2の表面上の三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンであって、三次元特徴部のうちの少なくともいくつかは、各々、第1の領域及び第2の領域を備える、視覚的に識別可能なパターンと、を備え、
第1の領域は、平均示強性の第1の値を有し、第2の領域は、平均示強性の第2の値を有し、第1の値と第2の値は異なり、
バックシートの着用者対向面が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備え、
三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分が、視覚的に鮮明な1つ以上のグラフィックの一部分と重なり合い、
1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部の第1の領域を通して測定される場合、第1のL*、a*、b*の色値を示し、
1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部の第2の領域を通して測定される場合、異なる第2のL*、a*、b*の色値を示す、吸収性物品。
13. 第1のL*、a*、b*色値は、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部の第1の領域を通して測定される場合、約5~約95の範囲のL値、約-90~約90の範囲のa*値、及び約-90~約90の範囲のb*値を有し得る、段落12に記載の吸収性物品。
14. 第2のL*、a*、b*色値は、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部の第2の領域を通して測定される場合、約5~約95の範囲のL*値、約-90~約90の範囲のa*値、及び約-90~約90の範囲のb*値を有し得る、段落13に記載の吸収性物品。
15. 1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、バックシートグラフィック色試験に従って、8よりも大きい彩度値を示す、段落12~14のいずれか1つに記載の吸収性物品。
16. 不織布バックシート積層体色試験に従って、第1のL*、a*、b*色値と第2のL*、a*、b*色値との間のデルタEが少なくとも2である、段落12~15のいずれか1つに記載の吸収性物品。
17. 第1のL*、a*、b*色値と第2のL*、a*、b*色値との間のデルタEは、不織布バックシート積層体色試験に従って、約2~約19の範囲内にある、段落12~15のいずれか1つに記載の吸収性物品。
18. バックシートの着用者対向面は、バックシートの着用者対向面の全エリアに対して、約5%~約80%の非印刷エリアを有する、段落12~17のいずれか1つに記載の吸収性物品。
19. 1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックは、複数の第1の繰り返し単位から形成され、三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンは、複数の第2の繰り返し単位から形成される、段落12~18のいずれか1つに記載の吸収性物品。
20. 第1の繰り返し単位は、第2の繰り返し単位よりも小さい、段落19に記載の吸収性物品。
21. 第2の繰り返し単位は、第1の繰り返し単位よりも小さい、段落19に記載の吸収性物品。
22. 三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンは1つ以上の第1の認識可能な個別の印を形成し、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックは1つ以上の第2の認識可能な個別の印を形成し、1つ以上の第1の認識可能な個別の印は、1つ以上の第2の認識可能な個別の印と協働する、段落12~18のいずれか1つに記載の吸収性物品。
23. 第1の着用者対向表面は、Emtec試験に従って、約15dB V2rms未満のTS7値を有する、段落12~22のいずれか1つに記載の吸収性物品。
24. 平均示強性は厚さであり、全ての領域の厚さが0よりも大きい、段落12~23のいずれか1つに記載の吸収性物品。
25. 平均示強性は坪量であり、全ての領域の坪量が0よりも大きい、段落12~23のいずれか1つに記載の吸収性物品。
26. 平均示強性は体積密度であり、全ての領域の体積密度が0よりも大きい、段落12~23のいずれか1つに記載の吸収性物品。
27. 吸収性物品であって、
液体透過性トップシートと、
液体不透過性バックシートと、
トップシートとバックシートとの中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コアと、
液体透過性トップシートは、
第1の着用者対向表面と、
第2のバックシート対向表面と、
第1の表面又は第2の表面上の三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンであって、三次元特徴部のうちの少なくともいくつかは、各々、第1の領域及び第2の領域を備える、視覚的に識別可能なパターンと、を備え、
第1の領域は、平均示強性の第1の値を有し、
第2の領域は、平均示強性の第2の値を有し、第1の値と第2の値は異なり、
バックシートの着用者対向面が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備え、
三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分と重なり合い、
1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、不織布バックシート積層体色試験に従って、95よりも大きいL*値を示す、吸収性物品。
28. 1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、バックシートグラフィック色試験に従って、130よりも小さい彩度値を示す、段落27に記載の吸収性物品。
29.吸収性物品であって、
液体透過性トップシートと、
液体不透過性バックシートと、
トップシートとバックシートとの中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コアと、を備え、
液体透過性トップシートは、
第1の着用者対向表面と、
第2の衣類対向表面と、
第1の表面又は第2の表面上の三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンであって、三次元特徴部のうちの少なくともいくつかは、各々、第1の領域及び第2の領域を備える、視覚的に識別可能なパターンと、を備え、
第1の領域は、平均示強性の第1の値を有し、
第2の領域は、平均示強性の第2の値を有し、第1の値と第2の値は異なり、
バックシートの着用者対向面が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備え、
三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分と重なり合い、
1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、バックシートグラフィック色試験に従って、8よりも大きい彩度値を示し、
トップシートは、2~25個の認識可能な個別の印を含む、吸収性物品。
30. 吸収性物品であって、
液体透過性トップシートと、
液体不透過性バックシートと、
トップシートとバックシートとの中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コアと、
外側カバー不織布材料であって、
第1の衣類対向表面と、
第2のバックシート対向表面と、
第1の表面又は第2の表面上の三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンであって、三次元特徴部のうちの少なくともいくつかは、各々、第1の領域及び第2の領域を備える、視覚的に識別可能なパターンと、を備え、
第1の領域は、平均示強性の第1の値を有し、
第2の領域は、平均示強性の第2の値を有し、第1の値と第2の値は異なり、
バックシートの衣類対向面が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備え、
三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分と重なり合い、
1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、不織布バックシート積層体色試験に従って、95よりも大きいL*値を示す、吸収性物品。
31. 1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、バックシートグラフィック色試験に従って、130よりも小さい彩度値を示す、段落30に記載の吸収性物品。
【0120】
実施例/組み合わせ2
1. 吸収性物品であって、
液体透過性トップシートと、
液体不透過性バックシートと、
トップシートとバックシートとの中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コアと、
外側カバー不織布材料であって、
第1の衣類対向表面と、
第2のバックシート対向表面と、
第1の表面又は第2の表面上の三次元的特徴部の視覚的に識別可能なパターンであって、三次元的特徴部のうちの少なくともいくつかが、各々、第1の領域及び第2の領域を備える、視覚的に識別可能なパターンと、を備え、
第1の領域は、平均示強性の第1の値を有し、第2の領域は、平均示強性の第2の値を有し、第1の値と第2の値は異なる、外側カバー不織布材料と、を備え、
バックシートの衣類対向面が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備え、
三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分と重なり合い、
1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分が、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部の第1の領域を通して測定される場合、第1のL*、a*、b*の色値を示し、
1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分が、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部の第2の領域を通して測定される場合、異なる第2のL*、a*、b*の色値を示す、吸収性物品。
2. 第1のL*、a*、b*色値は、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部の第1の領域を通して測定される場合、約5~約95の範囲のL値、約-90~約90の範囲のa*値、及び約-90~約90の範囲のb*値を有し得る、段落1に記載の吸収性物品。
3. 第2のL*、a*、b*色値は、不織布バックシート積層体色試験に従って、三次元特徴部の第2の領域を通して測定される場合、約5~約95の範囲のL値、約-90~約90の範囲のa*値、及び約-90~約90の範囲のb*値を有し得る、段落2に記載の吸収性物品。
4. 1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、バックシートグラフィック色試験に従って、8よりも大きい彩度値を示す、段落1~3のいずれか1つに記載の吸収性物品。
5. 第1のL*、a*、b*色値と第2のL*、a*、b*色値との間のデルタEは、不織布バックシート積層体色試験に従って、約2~約19の範囲内にある、段落1~4のいずれか1つに記載の吸収性物品。
6. バックシートの衣類対向面は、バックシートの衣類対向面の全エリアに対して、約5%~約80%の非印刷エリアを有する、段落1~5のいずれか1つに記載の吸収性物品。
7. 1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックは、複数の第1の繰り返し単位から形成され、三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンは、複数の第2の繰り返し単位から形成される、段落1~6のいずれか1つに記載の吸収性物品。
8. 第1の繰り返し単位は、第2の繰り返し単位とは異なるサイズである、段落7に記載の吸収性物品。
9. 三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンは1つ以上の第1の認識可能な個別の印を形成し、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックは1つ以上の第2の認識可能な個別の印を形成し、1つ以上の第1の認識可能な個別の印は、1つ以上の第2の認識可能な個別の印と協働する、段落1~6のいずれか1つに記載の吸収性物品。
10. 第1の衣類対向表面は、Emtec試験に従って、約15dB V2rms未満のTS7値を有する、段落1~9のいずれか1つに記載の吸収性物品。
11. 平均示強性は坪量であり、全ての領域の坪量が0よりも大きい、段落1~10のいずれか1つに記載の吸収性物品。
12. 吸収性物品であって、
液体透過性トップシートと、
液体不透過性バックシートと、
トップシートとバックシートとの中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コアと、
外側カバー不織布材料であって、
第1の衣類対向表面と、
第2のバックシート対向表面と、
第1の表面又は第2の表面上の三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンであって、三次元特徴部のうちの少なくともいくつかは、各々、第1の領域及び第2の領域を備える、視覚的に識別可能なパターンと、を備え、
第1の領域は、平均示強性の第1の値を有し、
第2の領域は、平均示強性の第2の値を有し、第1の値と第2の値は異なる、外側カバー不織布材料と、を備え、
バックシートの衣類対向面が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックを備え、
三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンの一部分が、1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分と重なり合い、
1つ以上の視覚的に鮮明なグラフィックの一部分は、バックシートグラフィック色試験に従って、8よりも大きい彩度値を示し、
外側カバー不織布材料は、2個~25個の認識可能な個別の印を含む、吸収性物品。
【0121】
試験方法
バックシートグラフィック色試験
彩度値は、バックシートグラフィックにおける鮮やかさ又は鮮明度の尺度である。一般に、彩度は、CIE 1976 L*a*b*色値の反射率測定値から計算される。彩度は、コンピュータインターフェースを備えた分光光度計を使用して測定される(好適な機器は、Hunter Associates Laboratory Inc.(Reston,VA)から入手可能なHunterLab LabScan XE running Universal Softwareである)。全ての試験は、約23±2℃及び約50±2%の相対湿度に維持された調湿室内で行われる。
【0122】
試料を得るために、材料のバックシートフィルム層を吸収性物品から注意深く取り出す。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze(Control Company(Houston TX)など)を使用して、試料を下位層から取り出してもよい。試料のうちの均一な色のグラフィックを含む領域を試験部位として特定する。試験部位の試料が任意の穴、裂け目、又は他の物理的変形を含む場合、別の部位を選択することにする。全ての接着剤及び不織布繊維が試験部位から完全に取り出されていることを確認する。吸収性物品に組み込む前に得られた、グラフィックを有する未加工のバックシートフィルム材料の層も試験することができる。試験前に、約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で約2時間にわたって試料をプレコンディショニングする。
【0123】
選択された均一な色のグラフィック試験部位内に収まり得る最大測定ポートサイズを有するディスクを選択する。製造業者により供給される黒色タイル、次に白色タイルを利用し、選択されたポートサイズを使用して機器を標準化する(適切なエリアビューをソフトウェアに指示する)。製造業者の仕様に従って、供給された標準タイルを使用して機器を較正する。CIE 1976 L*a*b*カラースケール、D65光源、及び10°標準観察者を使用して、色を測定するようにソフトウェアを構成する。
【0124】
グラフィックが上にある表面に応じて、衣類対向表面又は着用者対向表面を機器に配向した状態で、試料を測定ポート上に配置する。引き伸ばすことなく試料を静かに引っ張ってピンと張り、ポート内にもたれないことを確実にし、次いで標準白色タイルを背景とする。測定される試料のエリアがポートに面し、ポートを完全に覆っていることを確認する。読み取りを行い、個々のL*、a*、及びb*値を記録し、次いで白色のタイル及び試料を除去する。以下の式に従って、試料の彩度値を計算する。
【0125】
【0126】
不織布バックシート積層体色試験
この試験の目的は、外側カバー不織布材料及び/又はトップシートの領域を通して視認可能なバックシートグラフィックのCIE 1976 L*a*b*色値を測定し、2つの領域間のデルタE、又は色差の大きさを計算することである。カラーマネジメントの手動制御機能を有する2400dpiで24ビットカラーの最小値を走査することができる、平台型スキャナ(好適なスキャナは、Epson America Inc.(Long Beach CA)製のEpson Perfection V750 Pro又はその同等物である)を使用して画像を取得する。ANSI法IT8.7/2-1993(好適な色較正ソフトウェアは、X-Rite Grand Rapids,MIから入手可能なMonaco EZColor若しくはi1Studio、又はその同等物である)に準拠した対応する参照ファイルを利用して、カラー反射IT8標的に対してスキャナを較正することが可能なカラー較正ソフトウェアを実行するコンピュータに、スキャナをインターフェース接続する。カラー較正ソフトウェアは、スキャナのためのインターナショナルカラーコンソーシアム(International Color Consortium、ICC)のカラープロファイルを構築するが、これは、ICCプロファイルの適用をサポートする画像解析プログラムを使用して出力画像を色補正するために使用される(好適なプログラムは、Adobe Systems Inc.(San Jose,CA)から入手可能なPhotoshop又はその同等物である)。次いで、色補正された画像を、次の色解析のために、CIE L*a*b*色空間に変換する(好適な画像色解析ソフトウェアは、Mathworks,Inc.(Natick,MA)から入手可能なMATLABである)。
【0127】
試料を得るために、吸収性物品から外側カバー不織布材料並びにバックシートフィルム積層体又はトップシート及びバックシートフィルム積層体を注意深く取り出す。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze(Control Company(Houston TX)など)を使用して、試料を下位層から取り出してもよい。外側カバー不織布材料又はトップシートの三次元特徴部の視覚的に識別可能なパターンがバックシートフィルム上の均一な色のグラフィックの一部分と重なり合う試料の一部分を試験部位として特定する。試験部位の試料が、三次元特徴部以外の任意の穴、裂け目、又は他の物理的変形を含む場合、別の部位を選択することにする。吸収性物品に組み込む前に取得されたグラフィックを備える、外側カバー不織布材料とバックシートフィルムとの積層体又はトップシートとバックシートフィルムとの積層体も試験され得る。試験前に、約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で約2時間にわたって試料をプレコンディショニングする。
【0128】
較正及び画像取得の前に、スキャナを30分間オンにする。スキャナソフトウェアに含まれる場合がある、あらゆる自動的色補正又はカラーマネジメントオプションの選択を解除する。自動カラーマネジメントを無効にすることができない場合、そのスキャナは、この用途には不適である。色較正ソフトウェアの推奨手順に続いて、スキャナのICC色プロファイルを作成し、エクスポートする。色較正ソフトウェアは、取得されたIT8標的画像を対応する参照ファイルと比較して、スキャナ用のICC色プロファイルを作成及びエクスポートし、このICC色プロファイルは、後続の出力画像の色を補正するために画像解析プログラム内で適用される。
【0129】
スキャナ蓋を開き、着用者対向表面(トップシート/バックシートフィルム積層体の場合)又は試験部位の衣類対向表面(外側カバー不織布材料/バックシートフィルム積層体の場合)をガラスに配向した状態で、試料をスキャナガラスの中心に慎重に平らに広げて置く。試験部位全体を含む走査を取得し、反射モードで2400dpi(約94.5ピクセル/mm)の解像度の24ビットカラーの画像解析ソフトウェアにインポートする。色補正されたsRGB画像を生成する画像にICC色プロファイルを割り当てる。解析に先立って、この較正された画像を、較正されたR、G、B色値を保持するために、TIFFファイルなどの非圧縮形式で保存する。
【0130】
sRGB色較正画像を色解析ソフトウェアで開き、CIE L*a*b*色空間に変換する。これは、以下の手順によって達成される。最初に、sRGBデータを、値の各々を255で割ることによって、[0、1]の範囲にスケーリングする。次いで、以下の操作が3つのチャネル(R、G、及びB)の全てに対して実行されたとき、圧縮されたsRGBチャネル(大文字(R、G、B)、又は包括的にVで示される)は線形化されている(小文字(r、g、b)、又は包括的にvで示される)。
【0131】
【数2】
次に、線形r、g、及びb値をマトリックスで乗算して、以下の式に従ってXYZ三刺激値を得る。
【0132】
【0133】
次いで、XYZ三刺激値を、それらの値に100を掛けることによって再スケールし、次いで、D65基準白色を使用して、CIE 15:2004セクション8.2.1.1で定義されたCIE 1976 L*a*b*値に換算する。
【0134】
CIE L*a*b*画像を、第1の領域を特定し、その視覚的に識別可能な周辺部の周りに関心領域(region of interest、ROI)を手動で描画することによって、分析する。ROI内の平均L*、a*、及びb*色値を測定し、L*
1、a*
1、及びb*
1として記録する。第1の領域とは異なる示強性を有する第2の領域を特定し、その視覚的に識別可能な周辺部の周りに関心領域(ROI)を手動で描画する。次いで第2の領域について、平均L*、a*、及びb*色値を測定し、L*
2、a*
2、及びb*
2として記録する。デルタE値を次式に従って計算する。
【0135】
【0136】
2つの領域に対する個々のL*、a*、及びb*色値並びにデルタE値を0.1単位で報告する。
【0137】
空気透過度試験方法
空気透過度試験を使用して、形成ベルトを通過する空気流の大きさを、立方フィート/分(cubic feet per minute、cfm)の単位で測定する。空気透過度試験は、Textest AG(Sonnenbergstrasse 72,CH 8603 Schwerzenbach,Switzerland)から入手可能なTexas InstrumentsモデルFX3360 Portair空気透過度試験機で行う。この設備は、300~1000cfmの空気透過率の範囲では20.7mmのオリフィスプレートを利用する。空気透過度が300cfm未満である場合、オリフィスプレートを小さくする必要がある。1000cfmを超える場合、オリフィスプレートを大きくする必要がある。形成ベルトの複数の局所ゾーンで空気透過度を測定することで、形成ベルト全体にわたる空気透過度の差を測定することができる。
【0138】
試験手順
1. FX3360機器を起動する。
2. 以下の設定を有する既定の方式を選択する。
a.材料:標準
b.測定特性:空気透過率(Air Permeability、AP)
c.試験圧力:125Pa(パスカル)
d.T係数:1.00
e.試験ポイントのピッチ:0.8インチ。
3. 20.7mmのオリフィスプレートを形成ベルトの上面(三次元突起のある面)の目的の位置に配置する。
4. 試験設備のタッチスクリーンで「スポット測定」を選択する。
5. 必要であれば測定の前にセンサをリセットする。
6. リセットしたら、「スタート」ボタンを選択して測定を開始する。
7. 測定値が安定するまで待ち、スクリーン上のcfmの測定値を記録する。
8. 再び「スタート」ボタンを選択して測定を停止する。
【0139】
坪量試験
本明細書に記載の不織布ウェブの坪量は、いくつかの利用可能な手法によって測定することができるが、単純な代表的な手法は、吸収性物品又は他の消費者製品を取り、存在し得る一切の弾性を除去し、吸収性物品又は他の消費者製品をその全長まで伸張させることを伴う。続いて、45.6cm2の面積を有する打抜き型を使用して、不織布ウェブを存在し得るあらゆる他の層に締結するために使用され得るあらゆる接着剤と、不織布ウェブが他の層から取り外されることと、を可能な限り回避する位置で、吸収性物品又は他の消費者製品のおおよそ中心から不織布ウェブの一片(例えばトップシート、外側カバー不織布材料)を切り取る(必要に応じてCyto-Freeze(Control Company(Houston,Texas))などの低温スプレーを使用して)。続いて、試料を秤量して打抜き型の面積で割ると、不織布ウェブの坪量が得られる。結果を、5つの試料の平均として、0.1グラム/平方メートル(gram per square meter、gsm)単位で報告する。
【0140】
Emtec試験
Emtec試験は、目的の不織布ウェブの部分で実施される。この試験では、TS7、TS750、及びD値は、Emtec TSAソフトウェア(バージョン3.19又はこれに相当するもの)を実行するコンピュータに接続されたEmtec Tissue Softness Analyzer(「Emtec TSA」)(Emtec Electronic GmbH、Leipzig、Germany)を使用して測定される。Emtec TSAは、規定の較正された回転速度(製造業者によって設定される)及び100mNの接触力で試験試料上で回転する垂直ブレードを備えたロータを含む。垂直ブレードと試験試料との間の接触は、ブレード及び試験片の両方において振動を生成し、得られた音は、器具内のマイクロフォンによって記録される。記録された音ファイルは、次にEmtec TSAソフトウェアによって分析されて、TS7及びTS750値を決定する。D値は、試料の剛性の尺度であり、試験試料上の刃の接触力に必要な垂直距離に基づいて、100mN~600mNに増加させる。試料調製、器具操作、及び試験手順は、機器製造者の仕様書に従って行う。
【0141】
試料の調製
試験試料は、吸収性物品の不織布ウェブから目的の正方形又は円形部分を切断することによって調製される。分析される不織布ウェブを吸収性物品から除去するために凍結スプレーを使用しないことが望ましいが、層の分離の開始を補助するために、遠位領域に凍結スプレーを使用することは許容可能である。試験試料を、約90mm以上かつ約120mm以下の長さ及び幅(円形試料の場合の直径)に切断して、試料をTSA器具内に適切にクランプすることができることを確実にする。(吸収性物品が、上記に指定されたサイズの試料を抽出するために、目的の基材の十分に大きい面積を収容しない場合、ロールストックから同等の材料を試料採取することは許容可能である。)試験試料は、試験領域内に非常に大きいしわ、又は折り目を避けるように選択される。試験のために、6つの実質的に同様の複製試料を調製する。
【0142】
TSA試験を実施する前に、全ての試料をTAPPIの標準温度及び相対湿度条件(23℃±2℃及び50%±2%)で少なくとも2時間平衡化し、TSA試験もTAPPI条件下で行う。
【0143】
試験手順
器具は、Emtecから入手可能な適切な基準規格(いわゆる「ref.2試料」又は同等物)を使用して、1点較正法を使用してEmtecの指示に従って較正される。
【0144】
試験試料は、目的の表面が上向きに面した状態で器具に取り付けられ、試験は、製造業者の指示に従って実施される。ソフトウェアは、自動器具試験ルーチンが完了したときにTS7、TS750、及びDの値を表示する。TS7及びTS750は、各々、0.01dBV2rms単位で記録され、Dは、0.01mm/N単位で記録される。次いで、試験試料を器具から取り外し処分する。この試験手順は、6つの複製試料の各々の対応する目的の表面(トップシート試料の着用者対向表面、及び外側カバー不織布材料試料の衣類対向表面)上で個別に実施される。
【0145】
TS7、TS750、及びDの値は、各々、6つの試料複製にわたって平均化される(算術平均)。TS7及びTS750の平均値は、0.01dBV2rms単位で報告される。Dの平均値は、0.01mm/N単位で報告される。
【0146】
マイクロCTによる示強的性質の測定方法
このマイクロCTによる示強的性質の測定方法では、基材試料の視覚的に区別可能な領域内の坪量、厚さ、及び体積密度の値を測定する。この方法は、マイクロCT器具(好適な器具は、Scanco Medical AG(Switzerland)から入手可能なScanco μCT 50、又は同等のものである)で得られる3D X線試料画像の分析に基づいたものである。このマイクロCT器具は、遮蔽キャビネットを備えた円錐ビームマイクロトモグラフである。メンテナンスフリーX線管を、焦点の直径が調節可能な線源として使用する。X線ビームは試料を通過し、X線の一部は試料によって減衰される。減衰の程度は、X線が通過しなければならない材料の質量と相関する。透過したX線は継続してデジタル検出器アレイに入射し、試料の2D投影像を生成する。回転させた試料の複数の個別の投影像を収集し、次いでこれらの投影像を単一の3D画像として再構成することによって、試料の3D画像が生成される。器具は、コンピュータで動作するソフトウェアと連動されることで画像の取得を制御し、生データを保存する。次いで、画像解析ソフトウェア(好適な画像解析ソフトウェアは、The Mathworks,Inc.(Natick,MA)から入手可能なMATLAB又は同等のものである)を使用して3D画像を分析して、試料内の領域の坪量、厚さ、及び体積密度の示強的性質を測定する。
【0147】
試料の調製:
測定用の試料を得るため、1枚の層の乾燥した基材材料を平らに広げて置き、直径30mmの円形片を打ち抜く。
【0148】
基材材料が、例えば、トップシート、バックシート外側カバー不織布材料、捕捉層、分配層、又は他の構成層などの吸収性物品の層である場合には、吸収性物品を固い平坦面にテープで貼り付けて平面状の形態とする。個々の基材層を吸収性物品から慎重に分離する。必要に応じて、メス及び/又は低温スプレー(Control Company(Houston TX)製Cyto-Freeze)を使用して、更なる下層から基材層を除去することにより、材料の縦方向及び横方向の伸長を防止することができる。基材層が物品から除去されたら、上述したように試料の打ち抜きを行う。
【0149】
基材材料が湿潤拭き取り用品の形態である場合には、湿潤拭き取り用品の新しいパッケージを開封し、パッケージから積み重ね全体を取り出す。積み重ねの中ほどから1枚の拭き取り用品を抜き取り、これを平らに広げて置き、完全に乾燥させた後、分析用の試料を打ち抜く。
【0150】
分析を行う視覚的に区別可能なゾーンを含む任意の位置から試料を切り取ることができる。1つのゾーン内において、分析を行う領域は、1つのマイクロゾーンを画定する三次元特徴部に不随した領域である。マイクロゾーンは、少なくとも2つの視覚的に区別可能な領域を含む。ゾーン、三次元特徴部、又はマイクロゾーンは、質感、高さ、又は厚さが変化しているために視覚的に区別可能であり得る。同じ基材材料から採取された異なる試料内の領域を分析し、互いに比較してもよい。試料を採取する位置を選択する場合、折れ目、しわ、又は破れを避けるように注意を払う必要がある。
【0151】
画像の取得:
製造業者の仕様書に従ってマイクロCT器具を準備し、較正する。試料を、適切なホルダー内の、25mmの内径を有する低密度材料の2つのリングの間に配置する。これにより、試料の中央部分が水平に置かれ、その上面及び下面に直接隣接するあらゆる他の材料を有さずに走査することができる。測定値はこの領域で取られなければならない。3D画像の視野はXY平面で各辺が約35mmであり、約5000×5000ピクセルの解像度を有し、試料のZ方向を完全に含むだけの十分な数の厚さ7マイクロメートルのスライスが集められる。再構成された3D画像解像度は、7マイクロメートルの等方性ボクセルを含む。画像は、更なる低エネルギーフィルタなしに45kVp及び133μAの電源を用いて取得される。これらの電流及び電圧の設定値は、充分なX線が試料を透過して投影データのコントラストが最大となるように最適化することができるが、ひとたび最適化されると全ての実質的に同様の試料について一定に維持される。1000ミリ秒の積分時間と3つの平均で合計1500の投影画像が取得される。これらの投影画像は3D画像に再構成され、16ビットのRAWフォーマットで保存されることで、分析用の完全な検出器出力シグナルを保存する。
【0152】
画像処理:
画像解析ソフトウェアに3D画像をロードする。閾値3D画像は、空気によるバックグラウンドシグナルを分離及び除去するが、基材内の試料繊維からのシグナルは維持する。
【0153】
閾値3D画像から2Dの示強的性質の画像が3つ生成される。第1は、坪量の画像である。この画像を生成するには、XY平面のスライスの各ボクセルの値を、試料からのシグナルを含む他のZ方向のスライスの対応するボクセルの値の全てと合計する。これにより2D画像が生成され、ここでこの各ピクセルは、試料全体を通じた累積シグナルに等しい値を有する。
【0154】
坪量画像内の生データ値を実際の値に変換するために、坪量較正曲線が生成される。分析される試料と実質的に同様の組成を有し、均一な坪量を有する基材を得る。上述した手順に従ってその較正曲線基材の少なくとも10個の複製試料を得る。質量を0.0001g単位で測定し、試料の面積で割り、g/平方メートル(gsm)に変換することによって、単一層の較正試料の各々の坪量を正確に測定し、平均を0.01gsm単位で計算する。上述した手順に従って、単一層の較正用試料基材のマイクロCT画像を取得する。上述した手順に従って、マイクロCT画像を処理し、生データ値を含む坪量画像を生成する。この試料の実際の坪量の値は、較正用試料で測定された平均の坪量の値である。次に、2層の較正用基材試料を互いの上に積み重ね、2層の較正用基材のマイクロCT画像を取得する。両方の層を合わせた坪量の生データ画像を生成する。その実際の坪量の値は、較正用試料で測定した平均の坪量の値の2倍に等しい。単一層の較正用基材を積み重ね、全ての層のマイクロCT画像を取得し、実際の坪量の値が層の数に較正用試料で測定した平均の坪量の値を掛けたものに等しい、全ての層の生データの坪量画像を生成する、この手順を繰り返す。合計で少なくとも4つの異なる坪量較正画像が得られる。正確な較正を確実にするには、較正用試料の坪量の値は、分析される元の試料の坪量の値の上下の値を含む必要がある。較正曲線は、4つの較正用試料について実際の坪量の値に対する生データの線形回帰を行うことによって生成される。この線形回帰は少なくとも0.95のR2値を有していなければならず、そうでない場合には較正手順全体を繰り返す。次に、この較正曲線を使用して生データの値を実際の坪量に変換する。
【0155】
第2の示強的性質の2D画像は厚さの画像である。この画像を生成するには、試料の上面と下面を特定し、これらの表面の間の距離を計算して試料の厚さを得る。試料の上面は、最も上のZ方向のスライスから開始し、試料を通じて進みながら各スライスを評価していくことで、試料シグナルが最初に検出されたXY平面の全てのピクセル位置についてZ方向のボクセルの位置を特定することによって特定される。試料の下面を特定するには、位置特定されるZ方向のボクセルが全て、試料シグナルが最後に検出されたXY平面の位置である点を除いて同じ手順に従う。上面と下面が特定されたら、これらを15×15のメディアンフィルタによって平滑化して逸脱繊維からのシグナルを除去する。次いで、XY平面のピクセル位置の各々について上面と下面との間に存在するボクセルの数をカウントすることによって2Dの厚さ画像を生成する。次いで、ボクセル数に7μmスライスの厚さ解像度を掛けることにより、この生の厚さ値を、マイクロメートル単位の実際の距離に変換する。
【0156】
第3の示強的性質の2D画像は、体積密度の画像である。この画像を生成するには、gsm単位の坪量画像の各XY平面のピクセル値を、マイクロメートル単位の厚さ画像の対応するピクセルで除算する。体積密度画像の単位はg/立方センチメートル(grams per cubic centimeter、g/cc)である。
【0157】
マイクロCTによる坪量、厚さ、及び体積密度の示強的性質:
分析を行う領域を特定することにより開始する。分析を行う領域は、1つのマイクロゾーンを画定する三次元特徴部に付随した領域である。マイクロゾーンは、少なくとも2つの視覚的に区別可能な領域を含む。ゾーン、三次元特徴部、又はマイクロゾーンは、質感、高さ、又は厚さが変化しているために視覚的に区別可能であり得る。次に、分析を行う領域の境界を特定する。領域の境界は、試料内の他の領域と比較した場合の示強的性質の差の視覚的な区別によって特定される。例えば、領域の境界は、試料の別の領域と比較した場合の厚さの差を視覚的に区別することに基づいて特定することができる。いずれの示強的性質を使用しても、マイクロCTによる示強的性質の画像のいずれかの物理的試料自体の領域の境界を区別することができる。領域の境界が特定されたら、楕円形又は円形の「関心領域(ROI)」をその領域の内側に描く。ROIは、少なくとも0.1mm2の面積を有し、特定された領域を表す示強的性質の値を有する面積を測定するように選択する必要がある。3つの示強的性質の画像の各々から、ROI内の平均の坪量、厚さ、及び体積密度を計算する。これらの値を、その領域の坪量として0.01gsm単位で、厚さとして0.1マイクロメートル単位で、更に体積密度として0.0001g/cc単位で記録する。
【0158】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0159】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0160】
本開示の特定の形態について説明し記載したが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本開示の範囲内に属する全てのそのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。
【国際調査報告】