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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】カカオの実の殻を含む食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20230616BHJP
   A23L 29/231 20160101ALI20230616BHJP
   A21D 13/38 20170101ALI20230616BHJP
   A23G 1/54 20060101ALI20230616BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
A23L19/00 Z
A23L29/231
A21D13/38
A23G1/54
A23G3/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022559823
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2021059930
(87)【国際公開番号】W WO2021209609
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】2020/5253
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522384422
【氏名又は名称】ピュラトス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ヤムサツァデー・ケルマニ,ツァーラ
(72)【発明者】
【氏名】ソイェウル,ヤーン-ルク
【テーマコード(参考)】
4B014
4B016
4B032
4B041
【Fターム(参考)】
4B014GB04
4B014GG06
4B014GG18
4B014GK05
4B014GL05
4B014GL10
4B014GL11
4B014GP01
4B014GP12
4B014GP14
4B014GP23
4B014GQ12
4B016LC02
4B016LC04
4B016LG16
4B016LK04
4B016LK08
4B016LK09
4B016LP01
4B016LP04
4B016LP05
4B016LP08
4B016LP11
4B032DB05
4B032DK07
4B032DK12
4B032DK15
4B032DK17
4B032DK18
4B032DK34
4B032DK47
4B032DP02
4B032DP05
4B032DP06
4B032DP66
4B041LC01
4B041LC10
4B041LD01
4B041LH02
4B041LH05
4B041LH10
4B041LK07
4B041LK11
4B041LK26
4B041LP01
4B041LP03
4B041LP07
4B041LP13
4B041LP16
(57)【要約】
本発明は、カカオの実の殻(CPH)を含むゼリー状食品ペーストなどの食品組成物を提供する。より具体的には、本発明は、1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(乾物重量/w);CPHを0.150~7.50%(乾物重量/w);ペクチンを0.10~4.0%(w/w);1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w);クエン酸イオンを0.030~3.0%(w/w);カルシウムイオンを0.0010~0.50%(w/w);保存料を0.0~2.0%(w/w);および水を100.0%まで含む組成物であって、Brixが45~75で、pHが2.8~4.5である、組成物を提供する。本発明は、そのような組成物を含む食品、およびそれらを得るための方法にさらに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カカオの実の殻(CPH)を含む、ゼリー状食品ペースト。
【請求項2】
カカオの実の殻(CPH)を0.150~7.50%(乾物重量/重量(w))含む、請求項1に記載のゼリー状食品ペースト。
【請求項3】
1つまたは複数の糖、1つまたは複数の食品等級の水溶性親水コロイド、食品等級のクエン酸イオン、水、および任意選択で1つまたは複数の保存料をさらに含む、請求項1または2に記載のゼリー状食品ペースト。
【請求項4】
前記1つまたは複数の食品等級の水溶性親水コロイドが、ペクチン、および1つまたは複数の食感付与助剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のゼリー状食品ペースト。
【請求項5】
Brixが45~75である、および/またはpHが2.8~4.5である、請求項1~4のいずれか一項に記載のゼリー状食品ペースト。
【請求項6】
- 1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(乾物重量/w);
- CPHを0.150~7.50%(乾物重量/w);
- ペクチンを0.10~4.0%(w/w);
- 1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w);
- クエン酸イオンを0.030~3.0%(w/w);
- カルシウムイオンを0.0010~0.50%(w/w);
- 保存料を0.0~2.0%(w/w);および
- 水を100.0%まで
含む組成物であって、
Brixが45~75で、pHが2.8~4.5であり;ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストを製造するための組成物である、
組成物。
【請求項7】
前記CPHが、CPH粉末である、請求項1~5のいずれか一項に記載のゼリー状食品ペーストまたは請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記CPH粉末の最大粒径が、200μm未満である、請求項7に記載のゼリー状食品ペーストまたは組成物。
【請求項9】
カカオ豆に由来する白い果肉を含まない、請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記1つまたは複数の糖が、スクロースおよびグルコースシロップの形態で存在する、請求項6~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記グルコースシロップのデキストロース当量が、55を超える、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記1つまたは複数の食感付与助剤が、アルギン酸塩、ガラクトマンナン、ローカストビーンガム、ジェラン、セルロース、デンプン、およびカラギーナン、またはそれらの組合せからなる群から選択され、好ましくは、前記食感付与助剤がアルギン酸塩であり、より好ましくはアルギン酸ナトリウムである、請求項6~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ペクチンのエステル化度が、50%未満である、請求項6~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか一項に記載のゼリー状食品ペーストまたは請求項6~13のいずれか一項に記載の組成物をフィリングおよび/またはトッピングとして含む、食品。
【請求項15】
請求項6~13のいずれか一項に記載の組成物を製造するための方法であって、請求項6に規定される前記組成物の成分を混合するステップを含む、方法。
【請求項16】
Brixが45~75である組成物を製造するための方法であって、
- 1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(w/w);
- CPHを0.150~7.50%(w/w);
- ペクチンを0.10~4.0%(w/w);
- 1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w);ここで、好ましくは、前記1つまたは複数の食感付与助剤は、1つもしくは複数の低温で溶解可能なもしくは低温で分散可能な食感付与助剤、および/または1つもしくは複数の高温で溶解可能な食感付与助剤を含む;
- クエン酸イオンを0.030~3.0%(w/w);
- カルシウムイオンを0.0010~0.50%(w/w);
- 保存料を0.0~2.0%(w/w);および
- 水を100.0%まで
含み、
ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストを製造するための組成物であり、
(a)ただし、前記1つまたは複数の食感付与助剤が、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、前記方法は、以下のステップ:
- 前記1つまたは複数の糖、前記CPH、前記クエン酸イオン、前記低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および任意選択で前記水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 前記第1の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度に、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチンを前記水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に前記水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 前記第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 前記第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、前記第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 前記第3の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、1~10分の間、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、前記混合物を、好ましくは70.0℃を超える温度で、包装するステップ
を含み;
(b)ただし、前記1つまたは複数の食感付与助剤が、高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、前記方法は、以下のステップ:
- 前記1つまたは複数の糖、前記CPH、前記クエン酸イオン、および任意選択で前記水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 前記第1の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度に、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチン、および前記高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を前記水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に前記水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 前記第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 前記第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、前記第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 前記第3の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、1~10分の間、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、前記混合物を、好ましくは70.0℃を超える温度で、包装するステップ
を含み;
(c)ただし、前記1つまたは複数の食感付与助剤が、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、前記方法は、以下のステップ:
- 前記1つまたは複数の糖、前記CPH、前記クエン酸イオン、前記低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および任意選択で前記水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 前記第1の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度に、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチン、および前記高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を前記水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に前記水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 前記第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 前記第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、前記第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 前記第3の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、1~10分の間、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、前記混合物を、好ましくは70.0℃を超える温度で、包装するステップ
を含む、方法。
【請求項17】
食品、好ましくは甘い食品の中のフィリングおよび/または食品、好ましくは甘い食品の上のトッピングとしての請求項6~13のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項18】
組成物における香味料としてのCPHの使用であって、前記組成物が、ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストを製造するための組成物である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品加工の分野に関する。より具体的には、本発明は、ゼリー状食品ペースト、特に、甘いベーカリー、パティスリーおよび他の製菓用途におけるフィリングおよび/またはトッピングとして使用されるゼリー状食品ペーストに関する。本発明は、そのような食品用ゼリー状ペーストを含む食品、およびそれらを得るための方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の食品のトレンドとしては、より健康的な製品の開発、新規のおよび/またはより自然な成分の供給源の探索、ならびに、新規のおよび/または向上した特性および機能性を有する成分の探索が挙げられる。
【0003】
甘いベーカリー製品または菓子製品用のフィリングは、通常、特定の条件下でゲルを形成する親水コロイドの特性に基づいて製造される。デンプンのゲル化は、例えば、デンプンの濃度、加工温度、および水の存在に左右される。アルギン酸塩またはペクチンなどの他の親水コロイドは、2価のカチオンの存在を要する。しかしながら、満足のいく食感および香味を有するフィリングを開発するためには、一般に、例えば、さらなる親水コロイド、果実抽出物、香味料(例えば、人工香味料など)など、さらなる成分を追加する必要がある。これによって、場合によっては、ラベル表示要件の増加、または製品の安定性(例えば、微生物安定性)の低下につながる可能性がある。
【0004】
カカオの実の殻(CPH)は、カカオ収穫の主な副産物(新鮮な果実の重量の52~76%)であり、一般に、有機肥料として農場に廃棄される。しかしながら、この未処理のCPHは、世界的に年間約20~30%の収量減を引き起こす黒色実腐病の発生源にもなりうる。代替用途は、現在では、価値が低く、石鹸の製造、動物の飼料または活性炭が挙げられる。また、例えば、製紙や、比較的規模は小さいがバイオ燃料の製造など、他の価値化方法も検討されている。
【0005】
しかしながら、CPHは、繊維(リグニン、セルロース、ヘミセルロースおよびペクチン)、ならびに抗酸化物質(ポリフェノール)の豊富な供給源である。これらの理由から、付加価値がより高い用途に向けて、カカオの実の殻をその化学組成に基づいて価値化することは、カカオ生産現場での年間損失を防ぐだけでなく、農家(追加収入)、産業界(新規の付加価値成分)、および消費者(新規の革新的な製品)などの複数の利害関係者にとって有益となりうる。
【0006】
したがって、CPHを含む新規の食品を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
従来、カカオの実の殻(CPH)の全体を食品に取り入れると、望ましくない食感および官能特性を招いていた。こうした望ましくない特性を避けるために、CPH全体から、CPH抽出物およびCPH由来ペクチン溶液などのCPH画分が製造され、食品に取り入れられている。しかしながら、こうしたCPH画分の製造には複雑な加工方法および設備が必要であり、限られた収量は別にしても、副産物が発生する。
【0008】
本発明者らは、この度、CPH全体(すなわち、分画されていないおよび/または抽出されていないCPH)が、食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペーストに使用すると、白い果肉および/またはカカオ豆(例えば、豆の外殻および/または豆自体)がない場合でも、風味および食感特性を向上させるために使用できることを見出した。さらに、CPH全体を含むそのような食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペーストの風味は、独特で予測不可能であることが判明した。より詳細には、本発明者らは、驚くべきことに、CPH全体を含む食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペーストの食感および/または風味が、1つまたは複数の糖、およびペクチンなどの水溶性親水コロイド、および1つまたは複数の食感付与助剤をCPH全体と組み合わせることによって、望ましいものになることを見出した。そのような食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペーストの風味は、典型的には、イチジク、リンゴ、柑橘類、オレンジまたは酸っぱいアンズに関連するフルーティーな感じを有すると表現される。
【0009】
本発明は、カカオの実の殻(cacao pod husk)(CPH)を含むゼリー状食品ペーストを提供する。
特定の実施形態では、ゼリー状食品ペーストは、カカオの実の殻(CPH)を0.150~7.50%(乾物重量/重量(w))含む。
【0010】
特定の実施形態では、ゼリー状食品ペーストは、1つまたは複数の糖、1つまたは複数の食品等級の水溶性親水コロイド、食品等級のクエン酸イオン、水、および任意選択で1つまたは複数の保存料を含む。
【0011】
特定の実施形態では、1つまたは複数の食品等級の水溶性親水コロイドは、ペクチン、および1つまたは複数の食感付与助剤(食感改良助剤)(co-texturizers)を含む。
特定の実施形態では、ゼリー状食品ペーストは、Brixが45~75である、および/または、pHが2.8~4.5である。
【0012】
特定の実施形態では、CPHは、CPH粉末である。
特定の実施形態では、CPH粉末の最大粒径は、200μm未満である。
また、本発明は、
- 1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(乾物重量/w);
- CPHを0.150~7.50%(乾物重量/w);
- ペクチンを0.10~4.0%(w/w);
- 1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w);
- クエン酸イオンを0.030~3.0%(w/w);
- カルシウムイオンを0.0010~0.50%(w/w);
- 保存料を0.0~2.0%(w/w);および
- 水を100.0%まで
含む組成物であって、
Brixが45~75で、pHが2.8~4.5であり;
ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストを製造するための組成物である、
組成物も提供する。
【0013】
特定の実施形態では、CPHは、CPH粉末である。
特定の実施形態では、CPH粉末の最大粒径は、200μm未満である。
特定の実施形態では、組成物は、カカオ豆(cacao beans)に由来する白い果肉を含まない。
【0014】
特定の実施形態では、1つまたは複数の糖は、スクロースおよびグルコースシロップの形態で存在する。
特定の実施形態では、グルコースシロップのデキストロース当量は、55を超える。
【0015】
特定の実施形態では、1つまたは複数の食感付与助剤は、アルギン酸塩、ガラクトマンナン、ローカストビーンガム、ジェラン、セルロース、デンプン、およびカラギーナン、またはそれらの組合せからなる群から選択され、好ましくは、食感付与助剤はアルギン酸塩であり、より好ましくはアルギン酸ナトリウムである。
【0016】
特定の実施形態では、ペクチンのエステル化度は、50%未満である。
また、本発明は、本明細書で教示される組成物をフィリングおよび/またはトッピングとして含む食品も提供する。
【0017】
また、本発明は、本明細書で教示される組成物を製造するための方法であって、本明細書で教示される組成物の成分を混合するステップを含む、方法も提供する。
また、本発明は、
- 1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(w/w);
- CPHを0.150~7.50%(w/w);
- ペクチンを0.10~4.0%(w/w);
- 1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w);ここで、好ましくは、1つまたは複数の食感付与助剤は、低温で予め溶解させるもしくは予め分散させることが好ましい1つもしくは複数の食感付与助剤、および/または高温で予め溶解させるもしくは予め分散させることが好ましい1つもしくは複数の食感付与助剤を含む;
- クエン酸イオンを0.030~3.0%(w/w);
- カルシウムイオンを0.0010~0.50%(w/w);
- 保存料を0.0~2.0%(w/w);および
- 水を100.0%まで
含み、
ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストを製造するための組成物である、
Brixが45~75である組成物を製造するための方法であって、
(a)ただし、1つまたは複数の食感付与助剤が、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、方法は、以下のステップ:
- 1つまたは複数の糖、CPH、クエン酸イオン(の一部)、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および任意選択で水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 第1の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度に、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチンを水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 第3の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、1~10分の間、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、混合物を、好ましくは70.0℃を超える温度で、包装するステップ
を含み;
(b)ただし、1つまたは複数の食感付与助剤が、高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、方法は、以下のステップ:
- 1つまたは複数の糖、CPH、クエン酸イオン(の一部)、および任意選択で水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 第1の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度に、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチン、および高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 第3の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、1~10分の間、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、混合物を、好ましくは70.0℃を超える温度で、包装するステップ
を含み;
(c)ただし、1つまたは複数の食感付与助剤が、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、方法は、以下のステップ:
- 1つまたは複数の糖、CPH、クエン酸イオン(の一部)、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および任意選択で水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 第1の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度に、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチン、および高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 第3の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、1~10分の間、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、混合物を、好ましくは70.0℃を超える温度で、包装するステップ
を含む、方法も提供する。
【0018】
また、本発明は、食品、好ましくは甘い製品へのフィリングおよび/またはトッピングとしての本明細書で教示される組成物の使用も提供する。
また、本発明は、組成物における香味料としてのCPHの使用であって、前記組成物が、ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストを製造するための組成物である、使用も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】参照用組成物(左)および本発明による組成物(右)を示す図である。
図2】本発明による組成物をフィリングとして注入した後のカップケーキの写真(左図)および同じカップケーキの断面の写真(右図)である。本発明による組成物を矢印で示す。
図3】本発明による組成物をフィリングとして含むプラリネ(左図)および同じプラリネの断面(右図)の写真である。本発明による組成物を矢印で示す。
図4】本発明による組成物をフィリングとして含むマシュマロ(左図)および同じマシュマロの断面(右図)の写真である。本発明による組成物を矢印で示す。
図5】本発明による組成物をフィリングとして焼成する前に注入したカップケーキの断面(左図)または焼成した後に注入したカップケーキの断面(右図)を示す図である。本発明による組成物を矢印で示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明で使用される方法および装置を説明する前に、本発明は、説明される特定の方法、構成要素、または装置に限定されないことを理解すべきである。そのような方法、構成要素、および装置は、もちろん様々となりうるからである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は限定を意図するものではないことも理解されるべきである。
【0021】
本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、別段に定義されない限り、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の実施または試験には、本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である任意の方法および材料を用いることができるが、好ましい方法および材料についてこれから説明する。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲では、単数形の「a」、「an」、「the」は、文脈上特に明記されていない限り、単数および複数の両方を含む。
用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「からなる(comprised of)」とは、本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含む(includes)」または「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的であるかまたはオープンエンドであり、列挙されていない追加の部材、要素または方法ステップを除外しない。本明細書が、特定の特徴、部分またはステップを「含む」製品または方法について言及する場合において、これは、他の特徴、部分またはステップもまた存在する可能性を指すが、列挙されている特徴、部分またはステップのみを含有する実施形態を指すこともありうる。用語「含む」、「含む」および「からなる」はまた、用語「からなる(consisting of)」を含む。
【0023】
数字の範囲による数値の列挙は、すべての値およびこれらの範囲の一部、ならびに列挙されている端点を含む。
パラメータ、量、期間などの測定可能な値について言及する場合に使用する用語「約(about)」および「およそ(approximately)」は、変動が本明細書に開示される発明に適用される限り、指定した値のおよび指定した値から、+/-10%以下、好ましくは+/-5%以下、より好ましくは+/-1%以下、さらにより好ましくは+/-0.1%以下の変動を含むことを意図している。用語「約」または「およそ」が指す値それ自体も、開示されていることを理解すべきである。
【0024】
本明細書全体を通じて「一実施形態」または「ある実施形態」を参照することは、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて様々な箇所における「一実施形態では」または「ある実施形態では」という文言の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではなく、指す可能性があるということである。さらに、特定の特徴、構造または特性は、本開示から当業者にとって明らかなように、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、他の特徴は含まない一方、異なる実施形態の特徴の組合せは、当業者によって理解されるように、本発明の範囲内にあり、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲において、請求項に記載の実施形態はいずれも任意の組合せで使用することができる。
【0025】
カカオの実の殻(CPH)全体を食品組成物に取り入れることは、評価されない食感(例えば、パンの場合は硬い)または苦味などの望ましくない特性を発現させるため、困難である。CPHは、一般に、そのような望ましくない特性を克服するために、精製ペクチンなどの精製CPH画分を得るために加工される。しかしながら、CPHの精製は、複雑な加工方法および設備を必要とし、収量も限られ、他の副産物も発生するため、原産国にとってコスト的にもエネルギー的にも有効ではない。
【0026】
本出願の発明者らは、驚くべきことに、それらのパラメータおよび欠点を考慮した組成物および方法を見出した。より詳細には、本発明者らは、驚くべきことに、食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペースト、より好ましくは甘いゼリー状食品ペーストの食感(視覚的態様および口当たりを含む)および/または風味が、CPH(全体)、好ましくはCPH(全体)の粉末を食品組成物に取り入れることによって、白い果肉および/またはカカオ豆を導入しない場合でも望ましくなることを見出した。好ましくは、CPH(全体)は、1つまたは複数の糖、およびペクチンなどの水溶性親水コロイド、および1つまたは複数の食感付与助剤と混ぜ合わされる。そのような食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペースト、より好ましくは甘いゼリー状食品ペーストの食感および風味は、優れていて、独特で、予測不可能で、驚くべきものである。例えば、本明細書で教示される組成物の風味および食感は常に心地よいものとして経験されるが、個人が風味および/または構造を異なるように経験する場合がある。そのような食品組成物の風味は、一般に、新規の、独特な、美味しい、濃厚で、上品である、人工的な香味がない、甘い、および/または、イチジク、リンゴ、柑橘類、オレンジおよび/もしくは酸っぱいアンズに関連するフルーティーな感じを有すると表現されうる。そのような食品組成物の食感は、一般に、専門家の試食審査員団によって、心地よい、滑らか、ねばねばしない、濃い、溶ける、わずかに粒々である、および/または非常に弾力性があると表現される。
【0027】
本明細書で教示されるCPH(全体)を含む組成物は、風味を向上させるための人工的な香味料を何ら必要とせず、高い度合いの繊維も抗酸化物質も包含する。したがって、本明細書で教示される組成物は、例えば、CPHを含まない公知の甘いゼリー状食品ペーストと比較して、より健康的な代替物である。
【0028】
本発明は、CPHを含む食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペーストに関する。
特定の実施形態では、食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペーストは、CPHを0.150~7.50%(乾物重量/重量(w))含む。
【0029】
特定の実施形態では、食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペーストは、1つまたは複数の食品等級の水溶性親水コロイド、および1つまたは複数の食品等級のカチオン、好ましくはCa2+、Ba2+、Fe2+、Sr2+、Mg2+、Mn2+およびAl3+からなる群から選択される1つまたは複数の食品等級のカチオンを含む。
【0030】
特定の実施形態では、1つまたは複数の食品等級の水溶性親水コロイドは、ペクチン、および1つまたは複数の食感付与助剤を含む。
特定の実施形態では、食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペーストは、1つまたは複数の糖、クエン酸イオン、水、および任意選択で1つまたは複数の保存料をさらに含む。
【0031】
特定の実施形態では、食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペーストは、Brixが45~75である、および/またはpHが2.8~4.5である。
また、本発明は、
- 1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(乾物重量/w);
- カカオの実の殻を0.150~7.50%(乾物重量/w);
- ペクチンを0.10~4.0%(w/w);
- 1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w);
- クエン酸イオンを0.030~3.0%(w/w);
- カルシウムイオンを0.0010~0.50%(w/w);
- 保存料を0.0~2.0%(w/w);および
- 水を100.0%まで
含む、それから本質的になる(すなわち、少なくとも70%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも90%(w/w)、少なくとも95%(w/w)、または少なくとも99%(w/w))、または、それからなる組成物であって、
Brixが45~75で、pHが2.8~4.5であり、ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストを製造するための組成物である、
組成物も提供する。
【0032】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物において、
- 1つまたは複数の糖の総量は、5.0~70.0%(乾物重量/w)であり;
- カカオの実の殻の総量は、0.150~7.50%(乾物重量/w)であり;
- ペクチンの総量は、0.10~4.0%(w/w)であり;
- 1つまたは複数の食感付与助剤の総量は、0.10~7.0%(w/w)であり;
- クエン酸イオンの総量は、0.030~3.0%(w/w)であり;
- カルシウムイオンの総量は、0.0010~0.50%(w/w)であり;および
- 保存料の総量は、0.0~2.0%(w/w)である。
【0033】
特定の実施形態では、組成物は、1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(乾物重量/w)、好ましくは10.0~65.0%(乾物重量/w)、より好ましくは20.0~60.0%(乾物重量/w)、さらにより好ましくは30.0~55.0%(乾物重量/w)含む。
【0034】
本明細書で使用される用語「糖」は、食品用途、好ましくはフィリングおよび/またはトッピング用途に適している任意の糖、または糖の組合せを指す。糖には、単糖および二糖などの単純な糖、ならびに、オリゴ糖と呼ばれるより長い糖鎖を含む様々な種類がある。好ましくは、糖は、単糖および/または二糖である。
【0035】
特定の実施形態では、1つまたは複数の糖は、単糖、二糖、またはそれらの混合物である。より特定の実施形態では、1つまたは複数の糖は、スクロース、フルクトース、グルコース、マルトース、またはそれらの混合物から選択される。さらにより好ましくは、糖は、スクロースである。
【0036】
1つまたは複数の糖は、1つまたは複数の糖供給源の形態、例えば1つまたは複数の糖系甘味料の形態で、組成物中に存在してもよい。糖系甘味料は、任意の非精製糖系、部分精製糖系、または精製(純)糖系の甘味料であってもよい。糖系甘味料の非限定的な例としては、(白)精製(結晶化)スクロース、ブラウンシュガー、ミルホワイトシュガー、転化糖、コーンシロップなどの(高)フルクトースシロップ、蜂蜜、グルコースシロップ、メープルシロップ、玄米シロップ、大麦麦芽、アガベネクター、甘蔗糖、およびココナッツシュガーが挙げられる。
【0037】
本明細書で使用される用語「甘味料」は、一般に、食品用途、好ましくはフィリングおよび/またはトッピング用途に適していて、甘味を有するおよび/または甘味料が取り入れられる製品に甘味を与える、任意の食品等級の物質または組成物を指す。糖系甘味料は、典型的には、糖に加えて、糖以外の物質を含む。例えば、蜂蜜は、糖(約76%(w/w))、水(約18%(w/w))、ならびに、ミネラル、タンパク質、酸、および不定物などの他の成分から構成される。蜂蜜中に存在する1つまたは複数の糖は、典型的には、フルクトース、グルコース、およびスクロースである。
【0038】
1つまたは複数の糖が、1つまたは複数の糖系甘味料の形態で本明細書で教示される組成物中に存在する場合、本明細書で教示される組成物中の1つまたは複数の糖の量は、組成物中に存在する1つまたは複数の糖の量(例えば、単糖および/または二糖の総量)として算出されるのであって、組成物中に存在する1つまたは複数の糖系甘味料の量として算出されるのではない。例えば、1つまたは複数の糖が単糖および/または二糖である場合、本明細書で教示される組成物中の1つまたは複数の糖の量は、組成物中に存在する任意の単糖および二糖の合計である。好ましくは、組成物中の1つまたは複数の糖の量は、スクロース(純粋なスクロースとして算出)、フルクトース(純粋なフルクトースとして算出)、グルコース(純粋なグルコースとして算出)およびマルトース(純粋なマルトースとして算出)の量の合計である。
【0039】
特定の実施形態では、1つまたは複数の糖の一部は、人工(すなわち合成)甘味料で置き換えてもよい。当業者は、Brix指数を45~75に維持しながら、人工甘味料で置き換えられる1つまたは複数の糖の量を決定する方法を知っている。人工甘味料の非限定的な例としては、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース、D-タガトース、およびサッカリンが挙げられる。
【0040】
特定の実施形態では、1つまたは複数の糖の量は、本明細書で教示される組成物のCPH中に存在する糖の量を包含しない。したがって、組成物は、CPH中に存在する1つまたは複数の糖に加えて、1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(乾物重量/w)、好ましくは10.0~65.0%(乾物重量/w)、より好ましくは20.0~60.0%(乾物重量/w)、さらにより好ましくは30.0~55.0%(乾物重量/w)含む。
【0041】
特定の実施形態では、1つまたは複数の糖は、スクロースおよびグルコースシロップの形態で、本明細書で教示される組成物中に存在する。
グルコースシロップは、糖系甘味料で、グルコース、マルトース、およびマルトトリオースの供給源としての役割を果たす。好ましくは、グルコースシロップは、高いデキストロース当量を有する。高いデキストロース当量を有するグルコースシロップは、より甘く、保湿剤としての役割を果たすことができる。より特定の実施形態では、グルコースシロップのデキストロース当量は、50超、55超、60超、または65超、好ましくは55超、または50~95もしくは55~65である。
【0042】
グルコースシロップの乾物含有量は相当に変化しうるので、本明細書で教示される組成物中のグルコースシロップの量は、本明細書で教示される組成物中に存在するグルコースシロップの乾物として表される。特定の実施形態では、グルコースシロップの乾物含有量は、60.0~90.0%、65.0~90.0%、60.0~85.0%、65.0~85.0%、または70.0~85.0%であり、好ましくは70.0~85.0%である。
【0043】
したがって、より特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、グルコースシロップを5.0~59.0%、10.0~59.0%、15.0~59.0%、20.0~59.0%、25.0~59.0%、30.0~59.0%、35.0~59.0%、または38.0~55.0%、好ましくは38.0~55.0%(w/w)(乾物含有量のパーセントとして表す)含む。
【0044】
特定の実施形態では、組成物は、カカオの実の殻を0.150~7.50%(乾物重量/w)、好ましくは0.150~5.0%(乾物重量/w)、より好ましくは1.0~3.0%(乾物重量/w)含む。
【0045】
本明細書で使用される用語「カカオの実の殻」、「CPH」、「カカオの実の殻全体」、または「CPH全体」は、一般に、カカオ豆(すなわち、豆の外殻または殻を含む)およびカカオ豆の周囲の白い果肉を取り除いた後に得られるカカオ果実の部分を指す。CPHは、カカオ果実の実の外殻全体(すなわち、全部)、すなわち、外果皮、中果皮、硬化部(すなわち、中果皮と内果皮の間の層)、および内果皮を包含する。また、CPHは、外果皮を除いたカカオ果実の実の外殻全体(すなわち、全部)、すなわち、中果皮、硬化部(すなわち、中果皮と内果皮の間の層)、および内果皮をも包含する。本明細書で使用される用語「カカオの実の殻」、「CPH」、「カカオの実の殻全体」、または「CPH全体」は、カカオの実の殻(例えば、CPHの食物繊維)の何らかの抽出物(例えば、ろ過抽出物)または画分を指すことを意図したものではない。
【0046】
好ましい実施形態では、カカオの実の殻は、カカオの実の殻の粉末の形態で、本明細書で教示される組成物中に存在する。
本明細書で使用される用語「カカオの実の殻の粉末」または「CPH粉末」は、一般に、乾燥させ、次いで、粉砕されてまたは粉砕機にかけられて、粉末にされたCPHを指す。CPHの乾燥は、天日乾燥、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、または凍結乾燥、好ましくは凍結乾燥またはマイクロ波乾燥により行うことができる。CPH粉末の製造方法の非限定的な例は次の通りである:カカオ果実の実の外殻からカカオ豆を取り除いた後、実の外殻全体(すなわち、上果皮、中果皮、硬化部および内果皮を含む)を約8片に切断する。その後、新鮮なカカオの実の殻片をおよそ10日間天日乾燥させ、長期保存中の成分の安定性を確実にする。次いで、粉砕し、篩にかける。
【0047】
好ましくは、CPH粉末は、200μmの篩または選別器を通過できるように細かく粉砕機にかけられる。したがって、特定の実施形態では、CPHは、最大粒径が200.0μm未満であるCPH粉末である。
【0048】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、カカオ豆、カカオ豆の外殻または殻、およびカカオ豆の周囲の白い果肉を含まない。
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、ペクチンを0.10~4.0%(w/w)、0.10~3.50%(w/w)、0.10~3.0%(w/w)、0.250~3.0%(w/w)、0.250~3.0%(w/w)、0.250~2.50%(w/w)、0.250~2.0%(w/w)、0.50~2.0%(w/w)、好ましくは0.10~3.0%(w/w)、より好ましくは0.50~2.0%(w/w)含む。ペクチンの供給源の非限定的な例としては、リンゴ、柑橘類、ライム、レモンおよびオレンジのペクチンが挙げられる。
【0049】
本発明の組成物に使用されるペクチンは、食品用途に適した任意の種類の食品等級のペクチンおよびペクチン誘導体であってもよい。ペクチンは、食品等級の親水コロイドであり、その構造に応じて1つまたは複数の2価のカチオンの存在下でゲル化することができる。ペクチンのゲル化機構は、主にそのエステル化度の影響を受ける。好ましくは、組成物中のペクチンが有するエステル化度(DE)は、30%~75%、30%~50%、または30%~45%である。
【0050】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物中に存在するペクチンは、本明細書で教示される組成物のCPH中に存在するペクチンを包含しない。したがって、本明細書で教示される組成物は、CPH中に存在するペクチンに加えて、ペクチンを0.10~3.0%(w/w)、0.10~2.50%(w/w)、0.10~2.0%(w/w)、0.250~2.0%(w/w)、0.250~2.0%(w/w)、0.250~1.50%(w/w)、0.250~1.0%(w/w)、0.50~1.0%(w/w)、好ましくは0.10~2.0%(w/w)、より好ましくは0.50~1.0%(w/w)含む。
【0051】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w)、0.10~5.0%(w/w)、0.20~5.0%(w/w)、0.20~4.0%(w/w)、0.10~3.0%(w/w)、0.20~3.0%(w/w)、0.30~3.0%(w/w)、0.30~1.0%(w/w)、または0.30~0.60%(w/w)、好ましくは0.10~3.0%(w/w)、より好ましくは0.30~1.0%(w/w)含む。
【0052】
本明細書で使用される用語「食感付与助剤」または「ペクチン-食感付与助剤」は、一般に、ペクチンを含む組成物に使用される場合、組成物の固化またはゼリー化中にペクチンと相互作用するか、またはペクチンと(例えば、水素結合またはイオン相互作用によって)結合し、組成物の食感に寄与する食品等級成分を指す。適切な食感付与助剤の非限定的な例としては、アルギン酸塩(アルギン酸ナトリウムなど)、ガラクトマンナン、ローカストビーンガム、ジェラン、変性セルロース(カルボキシメチルセルロース(ナトリウム)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロースなど)を含むセルロース、物理的および/もしくは化学的変性デンプン(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンなど)を含むデンプン、カラギーナン、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0053】
好ましい実施形態では、1つまたは複数の食感付与助剤は、アルギン酸塩、ガラクトマンナン、ローカストビーンガム、ジェラン、セルロース、デンプン、およびカラギーナン、またはそれらの組合せからなる群から選択される。より好ましい実施形態では、1つまたは複数の食感付与助剤は、アルギン酸塩、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの組合せからなる群から選択される。さらにより好ましい実施形態では、食感付与助剤は、アルギン酸塩、好ましくはアルギン酸ナトリウムを含むか、アルギン酸塩、好ましくはアルギン酸ナトリウムから本質的になるか、または、アルギン酸塩、好ましくはアルギン酸ナトリウムからなる。
【0054】
特定の実施形態では、セルロースは、カルボキシメチルセルロース(ナトリウム)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および結晶セルロース、またはそれらの組合せなどの変性セルロースである。
【0055】
特定の実施形態では、デンプンは、天然のデンプン、天然の機能性デンプン、または、物理的および/または化学的変性デンプンであってもよい。変性デンプンの非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、予めゲル化されたデンプン、およびα化デンプン(instant starch)が挙げられる。当業者は、用語「天然の機能性デンプン」が、特定の加工/育種によって得られる改良された特性を有するデンプンも包含することを理解する。
【0056】
特定の実施形態では、CPH中に存在する任意の食感付与助剤の量は、組成物中に存在する1つまたは複数の食感付与助剤の量に含まれない。したがって、本明細書で教示される組成物は、CPH中に存在する食感付与助剤に加えて、1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w)、0.10~5.0%(w/w)、0.20~5.0%(w/w)、0.20~4.0%(w/w)、0.10~3.0%(w/w)、0.20~3.0%(w/w)、0.30~3.0%(w/w)、0.30~1.0%(w/w)、または0.30~0.60%(w/w)、好ましくは0.10~3.0%(w/w)、より好ましくは0.30~1.0%(w/w)含む。
【0057】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、クエン酸イオンを0.030~3.0%(w/w)、好ましくは0.10~2.50%(w/w)、より好ましくは0.10~2.0%(w/w)含む。
【0058】
本明細書で使用される用語「クエン酸イオン」は、一般に、トリカルボン酸トリアニオンを指す。クエン酸イオンは、分子式C 3-またはCO(COO) 3-で表すことができる。クエン酸イオンは、クエン酸(例えば、CAS番号77-92-9のクエン酸)、クエン酸塩(例えば、クエン酸三ナトリウム(クエン酸ナトリウムとしても公知である)またはクエン酸カルシウム)および/または柑橘類(例えば、レモン)の絞り汁の形態で、本明細書で教示される組成物中に存在してもよい。
【0059】
特定の実施形態では、クエン酸イオンは、クエン酸および1つまたは複数のクエン酸塩の形態で、本明細書で教示される組成物中に存在する。当業者は、クエン酸の形態およびクエン酸塩、好ましくはクエン酸ナトリウムおよび/またはクエン酸カルシウムの形態でクエン酸イオン間のバランスが正しいと、カルシウムイオンの(本明細書の他の箇所に記載されている通りの)適切な含有量および本明細書で教示される組成物の適切なpHである2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2が両方とも確実に得られることを理解する。
【0060】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、クエン酸(無希釈、100%)を0.50~2.0%(w/w)、好ましくは0.50~1.0%(w/w)含み、1つまたは複数のクエン酸塩を0.05~0.70%(w/w)、好ましくは0.10~0.60%(w/w)含む。
【0061】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、カルシウムイオンを0.0010~0.50%(w/w)、好ましくは0.010~0.30%(w/w)含む。
本明細書で使用される用語「カルシウムイオン」は、一般に、カルシウムジカチオンを指す。カルシウムイオンは、分子式Ca2+で表すことができる。カルシウムイオンは、本明細書で教示される組成物の他の成分のうちの1つまたは複数中の存在を通じて本明細書で教示される組成物中に存在してもよく、および/または、カルシウムイオンは、カルシウム塩の形態で本明細書で教示される組成物に加えてもよい。したがって、本明細書で教示される組成物中に存在するカルシウムイオンの少なくとも一部、好ましくは0.00040%~0.040%は、本明細書で教示される組成物中のCPHに由来してもよい。
【0062】
特定の実施形態では、カルシウムイオンの少なくとも一部は、緩衝ペクチンの一部であってもよい。
特定の実施形態では、カルシウムイオンは、1つまたは複数のカルシウム塩の形態で、好ましくはCaCl、CaCl・2HO、ヨウ素酸カルシウム、乳酸カルシウム、CaSO、Ca(PO4)、プロピオン酸カルシウム、およびクエン酸カルシウムからなる群から選択される1つまたは複数のカルシウム塩の形態で、好ましくはクエン酸カルシウムの形態で、本明細書で教示される組成物中に存在する。
【0063】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、着色料、果物、果物片、果物抽出物、香味料、芳香、酵素、および/または保存料などの追加の成分をさらに含んでもよい。
【0064】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、保存料を0~2.0%(w/w)、0~1.0%(w/w)、0~0.10%(w/w)、好ましくは0~1.0%(w/w)、さらにより好ましくは0~0.10%(w/w)含む。さらに特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、保存料を0.010~1.0%(w/w)、0.010~0.10%(w/w)、0.050~1.0%(w/w)または0.050~0.10%(w/w)、好ましくは0.010~1.0%(w/w)、さらにより好ましくは0.010~0.10%(w/w)含む。当業者は、特定の保存可能期間または特定の保存温度での安定性を達成するために、組成物中に必要な保存料の適切な量を決定できる。
【0065】
特定の実施形態では、保存料は、カルシウムイオンおよび/またはクエン酸イオンの供給源として本明細書で教示される組成物中のいかなる保存料も包含しない。したがって、特定の実施形態では、保存料は、クエン酸カルシウムなどのカルシウム塩ではない。より特定の実施形態では、保存料は、安息香酸ナトリウムまたはソルビン酸カリウム、好ましくはソルビン酸カリウムである。
【0066】
特定の実施形態では、水は、軟水である。特定の実施形態では、水は、カルシウムイオンを100ppm未満含む、および/または、マグネシウムイオンを100ppm未満含む。特定の実施形態では、水は、電解質、カチオン、または、塩や糖などの他の水中競合成分を0.021%未満含む。
【0067】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、Brixが45~75、好ましくは60~68、より好ましくは64~66である。
本明細書で使用される用語「Brix」または「Brix指数」またはそれらの派生語は、糖濃度の測定量を指し、典型的には、ISO規格に沿った屈折計を用いて測定される。測定では、流体の滴を機器の一端にある石英の表面に置き、流体中の糖が量に応じて一定の角度で光を屈折させ、屈折計はこの角度を測定し、混合物中の溶解した糖の量に対応する目盛と比較する。Brixの1度は、溶液100グラム中におけるスクロース1グラムに相当し、溶液の強度を質量パーセントで表す。溶液が純スクロース以外の溶解固形物を含む場合、Brixは、溶解固形物の含有量を近似しているに過ぎない。本明細書で使用されるBrixは、45~75、好ましくは60~68、より好ましくは64~66である。
【0068】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、pHが2.8~4.5、好ましくは3.0~4.2、より好ましくは3.4~4.2である。当業者は、例えばpHメーターによって、フィリングなどの食品組成物のpHを測定する方法を理解する。
【0069】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、Brixが45~75で、pHが2.8~4.5、好ましくは、Brixが60~68で、pHが3.0~4.3、さらにより好ましくは、Brixが64~66で、pHが3.4~4.2である。
【0070】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、水分活性が、少なくとも0.80、少なくとも0.85、少なくとも90、好ましくは少なくとも0.85である。
Brixおよび水分活性の所望の値に到達するために、成分の適切な量、特に1つまたは複数の糖の量を決定することは、当業者の通常の能力の範囲内である。
【0071】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、ゲル状食品組成物、好ましくは、ジャム、マーマレード、食品用フィリング、および食品用トッピングからなる群から選択される甘いゼリー状食品ペーストなどのゼリー状食品ペーストである。
【0072】
本発明は、本明細書で教示される組成物を製造するための方法であって、本明細書で教示される組成物の成分を混合するステップを含む、方法をさらに提供する。
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物の製造方法は、
- 1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(乾物重量/w);
- CPH、好ましくはCPH粉末を0.150~7.50%(乾物重量/w);
- ペクチンを0.10~4.0%(w/w);
- 1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w);
- クエン酸イオンを0.030~3.0%(w/w);
- カルシウムイオンを0.0010~0.50%(w/w);
- 保存料を0.0~2.0%(w/w);および
- 水を100.0%まで
混合し、
それによって、本明細書で教示される組成物を得るステップであって、好ましくは、組成物は、ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストを製造するための組成物である、ステップを含む。
【0073】
組成物に関して本明細書に記載される実施形態が、本明細書に記載される製造方法にも適用されることは、明らかであるべきである(その逆もまた同じである)。
本明細書の他の箇所に記載されるように、本明細書で教示される組成物は、組成物の固化またはゼリー化中に、ペクチンと相互作用するまたは結合することが可能な様々な種類の食感付与助剤を含むか、またはそのような食感付与助剤を用いて製造することができる。アルギン酸塩、ガラクトマンナン、ローカストビーンガム、ジェラン、セルロース、デンプン、およびカラギーナンなどの食感付与助剤をペクチンと組み合わせて使用することは、(甘い)ゼリー状食品ペーストなどのゲル状食品組成物の分野において周知である。したがって、当業者が、こうした食感付与助剤をペクチンと組み合わせて適切に機能させることを確実にするために、本明細書で教示される組成物の製造方法においてこうした食感付与助剤を取り扱う方法を知っていることは、理解されるべきである。
【0074】
食品組成物の固化またはゼリー化中に食品組成物中のペクチンとの相互作用を可能にするために、特定の種類の食感付与助剤を好ましく取り扱う方法のいくつかの例を以下に示す。
【0075】
当業者は、例えば、カルボキシメチルセルロース(ナトリウム)または結晶セルロースなどのいくつかのセルロースまたはセルロース誘導体が、セルロースまたはセルロース誘導体を食品組成物の他の成分と混合する前に、低温(例えば、約15.0℃~約35.0℃の間の温度)で、および/または、電解質、カチオン、または塩や糖などの他の水中競合成分がない状態で、水に分散させることが好ましいことを知っている。こうしたセルロースまたはセルロース誘導体を水に分散させるための混合時間およびせん断速度は、当技術分野において公知のパラメータであり、例えば、教科書または製造者が提供する技術データシートから入手できる。ただし、パラメータに達することを可能にするのであれば、特別な混合装置は必要ない。カルボキシメチルセルロース(ナトリウム)または結晶セルロースなどのセルロースまたはセルロース誘導体は、より高温での分散が可能であるが、60.0℃を超える水に分散させると低粘度のものが得られる。
【0076】
1つまたは複数の食感付与助剤がデンプンを含む場合、デンプンの膨潤および糊化時におけるデンプンに対する水の利用可能性が重要である。α化デンプンおよび予めゲル化されたデンプンは、低温(例えば、約15.0℃~約35.0℃の間の温度)で水に溶解させることが好ましく、塩や糖などの他の水中競合成分がない場合、デンプンの溶解を促進することができる。ヒドロキシプロピルデンプンおよびヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンは、使用前にそのように水に溶解させる必要はないが、デンプンの膨潤および糊化時の水の利用可能性は、水に、好ましくは低温で適切に分散させることによって、確実になる。
【0077】
当業者は、1つまたは複数の食感付与助剤が、デンプンとセルロースとの組合せ、特にヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの組合せを含む場合、食品組成物の他の成分がない場合において、または、食品組成物の他の成分を加える前の食品組成物を製造する方法のごく初期の段階中に、特に食品組成物中に存在する水の総量が少ないときに、1つまたは複数の食感付与助剤の分散を水中で行うことが好ましく、それによって、デンプンおよびセルロースの完全な分散が確実に行われることを理解する。
【0078】
当技術分野において公知であるように、アルギン酸塩およびジェランガムは、食品組成物に加える前に、高温(通常、約80℃~95℃の間の温度)で水に予め溶解させるのが好ましい食感付与助剤である。アルギン酸塩および/またはジェランガムを高温で水と混合した後、典型的には20分未満で完全な溶解が実現する。また、当業者は、アルギン酸塩またはジェランガムを含有する溶液を食品組成物の他の成分と適切に混ぜ合わせる方法を理解する。例えば、アルギン酸塩またはジェランガムを含有する溶液を、アルギン酸溶液またはジェランガム溶液の温度に近い(例えば、大きくても5℃の差である)温度に加熱された食品組成物の他の成分の溶液と混ぜ合わせることができる。
【0079】
ガラクトマンナンまたはカラギーナンなどの他の食感付与助剤の使用も周知であり、記載されている。他の食感付与助剤の溶解度および実施方法(濃度および温度)は、その構造や組成から導き出すことができる。
【0080】
本明細書で上述したような食品組成物における食感付与助剤の実施方法は、実施例としてのみ提供するものであって、決して本発明の範囲を限定するものではない。(甘い)ゼリー状食品ペーストなどの食品組成物の製造において、食感付与助剤を使用する他の方法が利用可能であることを当業者は知っている。例えば、上記ほど適切ではないが、アルギン酸塩を上記より低い温度でより長い時間をかけて予め溶解させてもよい。
【0081】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物を製造するための方法は、1つまたは複数の食感付与助剤を、1つまたは複数の糖、CPH、ペクチン、クエン酸イオン、カルシウムイオン、および任意選択で保存料と混合する前に、1つまたは複数の食感付与助剤を水の一部と混合することによって1つまたは複数の食感付与助剤を予め溶解させるまたは予め分散させるステップを含む。当業者は、食感付与助剤の種類に応じて、水は、15.0℃~35.0℃の温度などの低温であることが好ましく、または、75.0℃~95.0℃の温度などの高温であることが好ましいと理解する。例えば、1つまたは複数の食感付与助剤がアルギン酸塩を含む場合、本明細書で教示される組成物を製造するための方法は、アルギン酸塩を、1つまたは複数の糖、CPH、ペクチン、クエン酸イオン、カルシウムイオン、および任意選択で保存料と混合する前に、アルギン酸塩を水の一部と75.0℃~95.0℃の温度で混合することによってアルギン酸塩を予め溶解させるまたは予め分散させるステップを含む。例えば、1つまたは複数の食感付与助剤が、カルボキシメチルセルロース(ナトリウム)、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、α化デンプン、予めゲル化されたデンプン、またはそれらの組合せを含む場合、本明細書で教示される組成物を製造するための方法は、そのような食感付与助剤を、1つまたは複数の糖、CPH、ペクチン、クエン酸イオン、カルシウムイオン、および任意選択で保存料と混合する前に、それ(それら)を15℃~35℃の温度で水の一部と混合することによって、予め溶解させるまたは予め分散させるステップを含む。
【0082】
また、当業者は、ペクチンは親水コロイドであるため、その完全な水和を確実にし、ゲル状食品組成物などの食品組成物中でその機能性を完全に発揮させるために、ペクチンを食品組成物の他の成分に混合する前に、高温(例えば、75.0℃~95.0℃の温度)で予め溶解させることが好ましいことも理解する。好ましくは、予め溶解させることは、高せん断で行われる。特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物を製造するための方法は、ペクチンを、1つまたは複数の食感付与助剤、1つまたは複数の糖、CPH、クエン酸イオン、カルシウムイオン、および任意選択で保存料と混合する前に、ペクチンを水の一部と混合するステップであって、水の温度が75.0℃~95.0℃、好ましくは80℃~90℃である、ステップを含む。当業者は、より低い温度での高せん断混合など、ゼリー状食品にペクチンを導入する他の技術が存在することもさらに知っている。
【0083】
特定の実施形態では、1つまたは複数の食感付与助剤が、高温で水に溶解させるまたは分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を含む場合、それから本質的になる場合、またはそれからなる場合、本明細書で教示される組成物を製造するための方法は、高温で水に溶解させるまたは分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤およびペクチンを、1つまたは複数の糖、CPH、クエン酸イオン、カルシウムイオン、および任意選択で保存料と混合する前に、高温で水に溶解させるまたは分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤およびペクチンを、水の一部と混合するステップであって、高温での水の温度が、75.0℃~95.0℃、好ましくは80.0℃~90.0℃である、ステップを含む。
【0084】
特定の実施形態では、1つまたは複数の食感付与助剤が、本明細書で教示される組成物の他の成分を加える前に低温で水に溶解させるまたは分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を含む場合、それから本質的になる場合、またはそれからなる場合、あるいは換言すれば、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を含む場合、またはそれから本質的になる場合、またはそれからなる場合、1つまたは複数の糖、CPH(好ましくはCPH粉末)、クエン酸イオンの一部または全部、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および任意選択で水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得る。この第1の混合物は、CPHに存在するペクチンの他には、ペクチンを含まない。
【0085】
特定の実施形態では、1つまたは複数の食感付与助剤が、本明細書で教示される組成物の他の成分を加える前に高温で水に溶解させるまたは分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を含む場合、それから本質的になる場合、またはそれからなる場合、あるいは換言すれば、高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を含む場合、それから本質的になる場合、またはそれからなる場合、1つまたは複数の糖、CPH(好ましくはCPH粉末)、クエン酸イオンの一部または全部、および任意選択で水の第1の部分を混合し、それによって第1の混合物を得る。好ましくは、ここで、第1の混合物を80.0℃~100.0℃の間、好ましくは85.0℃~95.0℃の間の温度で製造するまたは加熱する。この第1の混合物は、本明細書で教示される組成物の他の成分を加える前に高温で水に溶解させるまたは分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を含まない、または、本明細書で教示される組成物のCPH中に存在するペクチンの他には、ペクチンを含まない。
【0086】
特定の実施形態では、1つまたは複数の糖がグルコースシロップを含む場合、グルコースシロップに、CPH、クエン酸イオンの一部または全部、および任意選択で水の第1の部分を加える前に、グルコースシロップを45.0℃~50.0℃の温度に加熱することが好ましい。
【0087】
特定の実施形態では、1つまたは複数の食感付与助剤がデンプンまたは変性デンプンを含む場合、第1の混合物は、1~15分または1~10分、好ましくは5~10分の間、85.0℃~95.0℃、好ましくは90.0℃~95.0℃の温度に加熱することができる。デンプンを含む第1の混合物を加熱することにより、デンプンを十分に糊化させることができる。
【0088】
特定の実施形態では、1つまたは複数の食感付与助剤が、本明細書で教示される組成物の他の成分を加える前に低温で水に溶解させるまたは分散させる1つまたは複数の食感付与助剤を含む場合それから本質的になる場合、またはそれからなる場合、ペクチンおよび水の第2の部分または全部を混合し、それによって第2の混合物を得る。ここで、水の温度は、75.0℃~95.0℃、好ましくは80℃~90℃である。特定の実施形態では、この第2の混合物は、本明細書で教示される組成物の1つまたは複数の糖、CPH(好ましくはCPH粉末)、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、およびクエン酸イオンを含まない。
【0089】
特定の実施形態では、1つまたは複数の食感付与助剤が、本明細書で教示される組成物の他の成分を加える前に高温で水に溶解させるまたは分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を含む場合、それから本質的になる場合、またはそれからなる場合、ペクチンと、本明細書で教示される組成物の他の成分を加える前に高温で水に溶解させるまたは分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤と、水の第2の部分または全部とを混合し、それによって第2の混合物を得る。ここで、水の温度は、80.℃0~90.0℃である。特定の実施形態では、この第2の混合物は、1つまたは複数の糖、CPH(好ましくはCPH粉末)、およびクエン酸イオンを含まない。好ましくは、1つまたは複数の食感付与助剤が、本明細書で教示される組成物の他の成分を加える前に高温で水に溶解させるまたは分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を含む場合、それから本質的になる場合、またはそれからなる場合、1つまたは複数の食感付与助剤が溶解するまたは分散するまで、第2の混合物の成分を混合する。
【0090】
特定の実施形態では、第1の混合物および第2の混合物を得た後、第1の混合物および第2の混合物を80.0℃~100.0℃、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、一緒に混合し、それによって第3の混合物を得る。好ましくは、第1の混合物および第2の混合物を、一定の撹拌下で一緒に混合する。
【0091】
好ましくは、第1の混合物に第2の混合物を加える前に、第1の混合物を80.0℃~100.0℃、好ましくは85.0℃~95.0℃、より好ましくは90.0℃~95.0℃の温度に加熱する。より好ましくは、第1の混合物を、一定の撹拌下で加熱する。特定の実施形態では、第3の混合物のpHの値を、2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整する。本明細書で教示される組成物のpHを調整することは一般常識であり、例えば、50%(w/w)クエン酸溶液などのクエン酸溶液を加えることによって行うことができる。
【0092】
特定の実施形態では、保存剤を、1つまたは複数の糖、CPH、ペクチン、1つまたは複数の食感付与助剤、クエン酸イオンおよびカルシウムイオンを含む第3の混合物に加え、好ましくは、第3の混合物の温度は、80.0℃~100.0℃、好ましくは85.0℃~95.0℃である。
【0093】
特定の実施形態では、任意選択で保存料を含む第3の混合物を得た後、第3の混合物を80.0℃~100.0℃、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、1~10分、好ましくは3~6分の間、維持する。好ましくは、第3の混合物を製造するステップの後、第3の混合物を80.0℃~100.0℃の温度で維持するステップの前は、第3の混合物を70.0℃未満の温度に冷却しない。
【0094】
当業者は、組成物を加熱することにより、組成物中の水分が失われることになりうることを理解する。したがって、第3の組成物を80.0℃~100.0℃の温度で1~10分の間維持するステップ中に蒸発した水の量に等しい量の水を、第3の組成物を80.0℃~100.0℃の温度で1~10分の間維持するステップの間に加えることができる。
【0095】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物を製造するための方法は、第3の混合物を冷却するステップをさらに含む。混合物の冷却は、組成物を包装し、次いで、包装された組成物を冷却することによって実現することができる。したがって、特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物を製造するための方法は、組成物を包装するステップを含む。好ましくは、本明細書で教示される組成物は、その製造後の組成物の良好な保存性を確実にするために、高温包装によって包装される。本明細書で使用される用語「高温包装」は、製品がまだ高温であるうちに、包装される製品が適切な(例えば、耐熱性の)容器に直接移される包装方法を指す。好ましくは、包装する際、製品の温度は、少なくとも70.0℃の温度である。好ましくは、第3の混合物を容器に流し込む間、製品の温度は、70.0℃~85.0℃である。好ましくは、本明細書で教示される組成物と容器の蓋との間の上部空間は、可能な限り小さい。例えば、容器の蓋と本明細書で教示される組成物との間の距離は、最大でも1.0cmである。他の実施形態では、本明細書で教示される組成物と容器の蓋との間の上部空間は、窒素または二酸化炭素などであるがこれらに限定されない不活性ガスを用いて洗浄される。
【0096】
本発明は、
- 1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(乾物重量/w);
- CPH、好ましくはCPH粉末を0.150~7.50%(乾物重量/w);
- ペクチンを0.10~4.0%(w/w);
- 1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w);
- クエン酸イオンを0.030~3.0%(w/w);
- カルシウムイオンを0.0010~0.50%(w/w);
- 保存料を0.0~2.0%(w/w);および
- 水を100.0%まで
含み、
好ましくは、ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストを製造するための組成物である、
Brixが45~75、好ましくは60~68、より好ましくは64~66である組成物を製造するための方法であって、
(a)ただし、1つまたは複数の食感付与助剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウム 結晶セルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、α化デンプン、予めゲル化されたデンプン、またはそれらの組合せ、好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの組合せなどの、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、方法は、以下のステップ:
- 1つまたは複数の糖、CPH、クエン酸イオン(の一部)、低温で、好ましくは15.0℃~35.0℃の温度で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および任意選択で水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 第1の混合物を、80.0℃~100.0℃、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチンを水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 第3の混合物を、80℃~100℃、好ましくは85℃~95℃の温度で、1~10分、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、混合物を、好ましくは70℃を超える温度で、包装するステップ
を含み;
(b)ただし、1つまたは複数の食感付与助剤が、アルギン酸塩などの、高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、方法は、以下のステップ:
- 1つまたは複数の糖、CPH、クエン酸イオン(の一部)、および任意選択で水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 第1の混合物を、80.0℃~100.0℃、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチン、および高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 第3の混合物を、80℃~100℃、好ましくは85℃~95℃の温度で、1~10分、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、混合物を、好ましくは70℃を超える温度で、包装するステップ
を含み;
(c)ただし、1つまたは複数の食感付与助剤が、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、方法は、以下のステップ:
- 1つまたは複数の糖、CPH、クエン酸イオン(の一部)、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および任意選択で水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 第1の混合物を、80.0℃~100.0℃、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチン、および高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 第3の混合物を、80℃~100℃、好ましくは85℃~95℃の温度で、1~10分、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、混合物を、好ましくは70℃を超える温度で、包装するステップ
を含む、方法を提供する。
【0097】
特定の実施形態では、食感付与助剤が、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの組合せである場合、方法は、以下のステップ:
- 15.0~35.0℃の温度である水の一部にカルボキシメチルセルロースナトリウムを予め溶解させるまたは予め分散させるステップ;
- 1つまたは複数の糖、CPH、クエン酸イオン(の一部)、予め溶解されたまたは予め分散されたカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、および任意選択で水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 第1の混合物を、85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは1~15分の間、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチンおよび水の残部を混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 第3の混合物を、80℃~100℃、好ましくは85℃~95℃の温度で、1~10分、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、混合物を、好ましくは70℃を超える温度で、包装するステップ
を含む。
【0098】
成分の混合は、混合装置および温度制御を備える装置などの、当技術分野において公知である任意の適切な装置で行うことができる。好ましくは、混合装置は、高せん断混合装置である。小規模の混合および加熱に適した装置の非限定的な例としては、Thermomix(登録商標)の混合機が挙げられる。大規模の混合および加熱に適した装置の非限定的な例としては、低せん断、中せん断および/または高せん断のレベルで混合し、加熱することができる任意の混合機(mixer)または混合機(blender)、任意の真空調理反応器、任意の真空調理容器、およびそれらの適切な組合せなどが挙げられる。
【0099】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、甘いゼリー状食品ペーストである。
ゼリー状食品ペーストは、親水コロイド、好ましくはペクチンが、好ましくは架橋によって反応した食品ペーストの下位カテゴリーであり、滑らかなペーストから厚みのあるしっかりとしたゼリー構造にまで及ぶ範囲の食感を与える。本明細書で使用される用語「甘いゼリー状食品ペースト」は、ペクチンまたはゼラチンなどの1つまたは複数の水溶性親水コロイドが存在することに起因して、柔らかくて弾力のある、甘味を有する食品組成物を指す。甘いゼリー状食品ペーストの非限定的な例は、ジャム、マーマレード、食品用のフィリング、および食品用のトッピング、艶出しまたはアイシングが挙げられる。
【0100】
特定の実施形態では、本明細書で教示される組成物は、食品用の甘いフィリングおよび/またはトッピングである。
本明細書の他の箇所に記載されるように、本発明者らは、驚くべきことに、CPH(全体)、好ましくはCPH(全体)の粉末を食品組成物に取り入れることによって、特に、CPH(全体)を、1つまたは複数の糖と、ペクチンなどの水溶性親水コロイドと、1つまたは複数の食感付与助剤と混ぜ合わせた場合に、食品組成物の風味が望ましいものになりうることを見出した。そのような食品組成物の風味は、個人個人で異なる表現がなされることで、その食品組成物を非常に独特なものとしている。個人にもよるが、そのような食品組成物、好ましくはゼリー状食品ペーストの風味は、イチジク、リンゴ、柑橘類、オレンジまたは酸っぱいアンズに関連するフルーティーな感じを有すると表現される。
【0101】
また、本発明は、食品組成物、好ましくは、例えばフィリングまたはトッピングなどのゼリー状食品ペーストにおける香味料としてのCPHの使用も提供する。
また、本発明は、ゼリー状食品ペースト、または、ゼリー状食品ペーストを製造するための組成物である、組成物における香味料としてのCPHの使用も提供する。
【0102】
また、本発明は、食品組成物、好ましくは、フィリングまたはトッピングなどのゼリー状食品ペーストの風味および/または食感を向上させるためのCPHの使用も提供する。
本明細書で使用される用語「香味料(flavouring agent)」または「香味料(flavourant)」は、食品に取り入れた際に香味を与え、食品の全体的な風味および匂いに寄与する食品等級剤を指す。
【0103】
また、本発明は、食品、好ましくは甘い食品の中のフィリングおよび/またはその上のトッピングとしての本明細書で教示される組成物の使用も提供する。食品にトッピングを施す、またはフィリングを注入する適切な方法は当業者に周知であり、例えば、パイピングする、すくい上げる、塗り広げる、または押し出すステップを含む。
【0104】
また、本発明は、本明細書で教示される組成物を、好ましくはフィリングおよび/またはトッピングとして、含む食品、好ましくは甘い食品も提供する。
本明細書で使用される用語「甘い食品」は、その最も広い意味を指し、特に、全体的に甘味を有する食用の製品を意味する。甘い食品は、(例えば、フィリングおよび/またはトッピングとして)ゼリー状の食品ペーストを含みうる。甘い食品は、(濃厚なまたは甘い)ベーカリー製品、(高級)パティスリー製品、チョコレート、(高級)チョコレート菓子製品、および(高級)砂糖菓子製品でありうる。甘い食品は、焼成食品(例えば、菓子パン(sweet breads)、菓子パン(sweet buns)、パイ、ケーキ(カップケーキ、蒸しケーキ、スポンジケーキ、クリームケーキ)、チーズケーキ、マフィン、デニッシュペストリー、クロワッサン、ドーナツ、ワッフル、クッキー)または非焼成食品(例えば、チョコレートバー、スナックバー、プラリネ、チョコレートコーティングされたマシュマロ)でありうる。適切な甘い食品の非限定的な例は、菓子パン、菓子パン、パイ、ケーキ(カップケーキ、蒸しケーキ、スポンジケーキ、クリームケーキ)、チーズケーキ、デザート、ムース、キャンディーバー、マフィン、デニッシュペストリー、スイートロール、クロワッサン、ドーナツ、ワッフル、クッキー、チョコレートバー、スナックバー、プラリネ、およびチョコレートコーティングされたマシュマロが挙げられる。
【0105】
本明細書で使用される用語「フィリング」は、限定はされないが、パイ、ケーキ、デザート、ムース、キャンディーバー、カップケーキ、マフィン、デニッシュペストリー、スイートロール、クロワッサン、ドーナツ、チョコレートバー、プラリネ、およびチョコレートコートティングされたマシュマロなどの任意のベーカリー製品、(高級)パティスリー製品、チョコレート、(高級)チョコレート菓子製品、および(高級)砂糖菓子製品の中に、例えば、限定はされないが、装飾および/または香味づけを目的として、適用可能な製品を指す。
【0106】
本明細書で使用される用語「トッピング」は、限定はされないが、パイ、ケーキ、デザート、ムース、キャンディーバー、カップケーキ、マフィン、デニッシュペストリー、スイートロール、クロワッサン、ドーナツ、チョコレートバー、プラリネ、およびチョコレートコートティングされたマシュマロなどの任意のベーカリー製品、(高級)パティスリー製品、チョコレート、(高級)チョコレート菓子製品、および(高級)砂糖菓子製品の上に、例えば、限定はされないが、装飾および/または香味づけを目的として、適用可能な製品を指す。
【0107】
特定の実施形態では、食品が焼成製品である場合、本明細書で教示される組成物は、焼成する前または焼成した後、好ましくは焼成した後に焼成製品に加えることができる。
また、本発明は、甘い食品に本明細書で教示される組成物を詰めるステップを含む、甘い食品を製造するための方法も提供する。
【0108】
また、本発明は、甘い食品の上に本明細書で教示される組成物を載せるステップを含む、甘い食品を製造するための方法も提供する。
当業者は、本明細書で教示される組成物の特定の実施形態が、本明細書で教示される方法および使用にも適用可能であり、その逆もまた同じであることを理解する。
【0109】
本発明をその具体的な実施形態とともに説明したが、以上の説明に照らして、多くの代替形態、修正形態、および変形形態が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲において、以下のすべてのそのような代替形態、修正形態、および変形形態を包含することを意図している。
【0110】
上記の態様および実施形態は、以下の非限定的な例によってさらにサポートされる。
【実施例
【0111】
実施例1
本明細書で教示される組成物の製造および特性評価
表1に示す成分を用いて、組成物を製造した。
【0112】
カカオの実の殻の調製
カカオの実をマチェテ(machete)で2つに切断し、カカオ豆を取り除いた。カカオの実の殻を約8片に切断し、約10日間天日乾燥させた。乾燥させた後、カカオの実の殻をMockmill(登録商標)の穀物粉砕機を用いて微粉末が得られるまで粉砕した。次いで、粉末を篩にかけ、200μmの篩を通過した画分をさらに使用するために保管した。
【0113】
【表1】
【0114】
組成物の製造
高せん断のThermomix(登録商標)を用いて、CPH粉末(存在する場合)をグルコースシロップ、スクロース、クエン酸カルシウム、およびクエン酸ナトリウムと混合し、第1の混合物を得た。一定の撹拌下で、第1の混合物を最大で90℃まで加熱した。ペクチンおよびアルギン酸ナトリウムを熱水(90℃)中でペクチンおよびアルギン酸が溶解するまで混合することによって、第2の混合物を製造した。
【0115】
第1の混合物および第2の混合物を90℃の温度で混ぜ合わせて第3の混合物を得て、クエン酸水溶液を滴下することによって酸性にした。その後、ソルビン酸カリウムを混合物に加えた。混合物を90℃で3分間維持し、加工中に失われた水分を補うために水を加えた。
【0116】
加熱段階の終了時に、組成物を80~85℃の容器に流し込み、次いで、製品と容器の蓋の間に最大1cmの上部空間があるように密封した。その後、製品を室温で冷却するようにし、同温度で保管した。
【0117】
組成物の特性評価
組成物の特性を評価した。その特性を表2に示す。図1は、両方の組成物の写真(左:参考組成物/右:本明細書で教示される組成物)を示す。
【0118】
【表2】
【0119】
実施例2
カップケーキのフィリングとしての本明細書で教示される組成物1の使用
以下の通り、カップケーキを製造した。
【0120】
- Tegral Satin Cream Cake(Puratos、Belgium)53.4%、水12%、卵18.6%、油16%を混合する。
- カップケーキの紙型に、クリームケーキの生地45gを流し込む。
【0121】
- 180℃で27分間焼成する。
焼成した後、実施例1に記載の本明細書に教示される組成物1の約8gをフィリングとしてカップケーキに注入した(上部中央)。図2は、本明細書で教示される組成物1を注入した後のカップケーキの写真(左図)および同じカップケーキの断面の写真(右図)を示す。
【0122】
パティスリー製品、特にケーキおよびカップケーキを試食する訓練を受けた審査員団によって、カップケーキが評価された。カップケーキ、特にそのフィリングについて、美味しくフルーティーで心地よい食感であると評された。香味の面は、濃厚で上品であり、通常のカップケーキにありがちな人工的な風味はないと評された。
【0123】
実施例3
ベルギープラリネおよびマシュマロのフィリングとしての本明細書で教示される組成物1の使用
実施例1に記載の本明細書で教示される組成物1を用いて、当技術分野における通常の方法を用いてベルギープラリネを製造した。プラリネは、その上部に本明細書で教示される組成物を含む白くて柔らかいガナッシュで作られた中核を有し、ミルクチョコレートで作られた外殻を有する。図3は、プラリネの写真(図の左側)および本明細書で教示される組成物1をフィリングとして用いて作ったプラリネの断面の写真(右図)を示す。
【0124】
チョコレート製品、特にプラリネを試食する訓練を受けた審査員団によって、プラリネが評価された。プラリネについて、通常のプラリネと比較して、さらに好みに合うフルーティーな風味と心地よい食感であると評された。
【0125】
実施例1に記載の本明細書で教示される組成物1を、当技術分野における通常の方法を用いたマシュマロの作製中に用いた。マシュマロは、本明細書で教示される組成物1の層で被覆されたチョコレート含有スペキュロスのビスケットで作られた底部、マシュマロで作られた内部、およびダークチョコレートで作られた外殻を有する。図4は、マシュマロの写真(左図)および本明細書で教示される組成物1をフィリングとして用いて作ったマシュマロの断面の写真(右図)を示す。
マシュマロも同じ審査員団によって評価された。マシュマロは、上品で高い評価の柑橘系の風味であると評された。
【0126】
実施例4
本明細書で教示される組成物2の製造および特性評価
表3の成分を用いて、本明細書で教示される組成物2を製造した。組成物中のカルシウムイオン濃度を測定したところ、0.02%であった。
【0127】
【表3】
【0128】
本明細書で教示される組成物2の製造
約80%の水およびセルロースを高せん断のThermomix(登録商標)で15分間混合した。ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンを加え、2分間混合した。次いで、糖を加え、混合し、得られた溶液を60℃に加熱した。次に、クエン酸三ナトリウム、ソルビン酸カリウム、およびカカオの実の殻の粉末を加え、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンが完全に糊化されるまで(約5~10分)、混合物を91~92℃に加熱した。その後、クエン酸を加えた。別の容器で、ペクチンを、85℃に予め加熱した水の残部と混合した。
【0129】
その後、2つの溶液を混ぜ合わせて85~90℃で約2分間混合した。次に、混合物を75℃に冷却し、製品と容器の蓋の間に最大1cmの上部空間を保ちながら容器に流し込み、容器を密閉した。混合物を室温で冷却させる。
【0130】
本明細書で教示される組成物2の特性評価
本明細書で教示される組成物2の特性を評価した。その特性を表4に示す。
【0131】
【表4】
【0132】
カップケーキのフィリングとしての本明細書で教示される組成物2の使用
実施例2と同様にカップケーキを製造した。一実験では、本明細書で教示される組成物2の約8gを、焼成する前に生地に注入した。2回目の実験では、本明細書で教示される組成物2の約8gを、実施例2と同様、焼成した後に注入した。焼成した後、本明細書で教示される組成物2の約8gをカップケーキに注入した(上部中央)。図5は、本明細書で教示される組成物2をフィリングとして焼成する前に加えたカップケーキの断面の写真(左図)または焼成した後に加えたカップケーキの断面の写真(右図)を示す。
【0133】
パティスリー製品、特にケーキおよびカップケーキを試食する訓練を受けた、実施例2と同じ審査員団によって、カップケーキが評価された。本明細書で教示される組成物2を焼成する前に注入した場合、製品はわずかにより乾いているが、不快な食感ではないと評された。実施例2と同様に、カップケーキ、特にそのフィリングは、美味しくフルーティーであると評された。香味の面も同様に、濃厚で上品であり、通常のカップケーキにありがちな人工的な香味はないと評された。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-02-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.150~7.50%(乾物重量/重量(w))のカカオの実の殻(CPH)を含
CPHが、外果皮と一緒の、または外果皮を除いたカカオ果実の実の外殻全体を包含する、ゼリー状食品ペースト。
【請求項2】
1つまたは複数の糖、1つまたは複数の食品等級の水溶性親水コロイド、食品等級のクエン酸イオン、水、および任意選択で1つまたは複数の保存料をさらに含む、請求項1に記載のゼリー状食品ペースト。
【請求項3】
前記1つまたは複数の食品等級の水溶性親水コロイドが、ペクチン、および1つまたは複数の食感付与助剤を含む、請求項1または2に記載のゼリー状食品ペースト。
【請求項4】
Brixが45~75である、および/またはpHが2.8~4.5である、請求項1~のいずれか一項に記載のゼリー状食品ペースト。
【請求項5】
- 1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(乾物重量/w);
- CPHを0.150~7.50%(乾物重量/w)、ここで、CPHが、外果皮と一緒の、または外果皮を除いたカカオ果実の実の外殻全体を包含する
- ペクチンを0.10~4.0%(w/w);
- 1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w);
- クエン酸イオンを0.030~3.0%(w/w);
- カルシウムイオンを0.0010~0.50%(w/w);
- 保存料を0.0~2.0%(w/w);および
- 水を100.0%まで
含む組成物であって、
Brixが45~75で、pHが2.8~4.5であり;ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストへゼリー状にすることが可能な組成物である、
組成物。
【請求項6】
前記CPHが、CPH粉末である、請求項1~のいずれか一項に記載のゼリー状食品ペーストまたは請求項に記載の組成物。
【請求項7】
前記CPH粉末の最大粒径が、200μm未満である、請求項に記載のゼリー状食品ペーストまたは組成物。
【請求項8】
カカオ豆に由来する白い果肉を含まない、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記1つまたは複数の糖が、スクロースおよびグルコースシロップの形態で存在する、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記グルコースシロップのデキストロース当量が、55を超える、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
前記1つまたは複数の食感付与助剤が、アルギン酸塩、ガラクトマンナン、ローカストビーンガム、ジェラン、セルロース、デンプン、およびカラギーナン、またはそれらの組合せからなる群から選択され、好ましくは、前記食感付与助剤がアルギン酸塩であり、より好ましくはアルギン酸ナトリウムである、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ペクチンのエステル化度が、50%未満である、請求項11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~のいずれか一項に記載のゼリー状食品ペーストまたは請求項12のいずれか一項に記載の組成物をフィリングおよび/またはトッピングとして含む、食品。
【請求項14】
請求項12のいずれか一項に記載の組成物を製造するための方法であって、請求項に規定される前記組成物の成分を混合するステップを含む、方法。
【請求項15】
Brixが45~75である組成物を製造するための方法であって、
- 1つまたは複数の糖を5.0~70.0%(w/w);
- CPHを0.150~7.50%(w/w)、ここで、CPHが、外果皮と一緒の、または外果皮を除いたカカオ果実の実の外殻全体を包含する
- ペクチンを0.10~4.0%(w/w);
- 1つまたは複数の食感付与助剤を0.10~7.0%(w/w);ここで、好ましくは、前記1つまたは複数の食感付与助剤は、1つもしくは複数の低温で溶解可能なもしくは低温で分散可能な食感付与助剤、および/または1つもしくは複数の高温で溶解可能な食感付与助剤を含む;
- クエン酸イオンを0.030~3.0%(w/w);
- カルシウムイオンを0.0010~0.50%(w/w);
- 保存料を0.0~2.0%(w/w);および
- 水を100.0%まで
含み、
ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストへゼリー状にすることが可能な組成物であり、
(a)ただし、前記1つまたは複数の食感付与助剤が、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、前記方法は、以下のステップ:
- 前記1つまたは複数の糖、前記CPH、前記クエン酸イオン、前記低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および任意選択で前記水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 前記第1の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度に、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチンを前記水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に前記水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 前記第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 前記第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、前記第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 前記第3の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、1~10分の間、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、前記混合物を、好ましくは70.0℃を超える温度で、包装するステップ
を含み;
(b)ただし、前記1つまたは複数の食感付与助剤が、高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、前記方法は、以下のステップ:
- 前記1つまたは複数の糖、前記CPH、前記クエン酸イオン、および任意選択で前記水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 前記第1の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度に、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチン、および前記高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を前記水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に前記水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 前記第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 前記第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、前記第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 前記第3の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、1~10分の間、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、前記混合物を、好ましくは70.0℃を超える温度で、包装するステップ
を含み;
(c)ただし、前記1つまたは複数の食感付与助剤が、低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤からなる場合、前記方法は、以下のステップ:
- 前記1つまたは複数の糖、前記CPH、前記クエン酸イオン、前記低温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤、および任意選択で前記水の一部を混合し、それによって第1の混合物を得るステップ;
- 前記第1の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度に、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度に、好ましくは一定の撹拌下で、加熱するステップ;
- ペクチン、および前記高温で水に予め溶解させるまたは予め分散させることが好ましい1つまたは複数の食感付与助剤を前記水の残部に混合し、それによって第2の混合物を得るステップであって、混合する前に前記水を80.0℃~90.0℃の温度に予め加熱する、ステップ;
- 前記第1の混合物および第2の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、好ましくは一定の撹拌下で、混合し、それによって第3の混合物を得るステップ;
- 前記第3の混合物のpHの値を2.8~4.5、好ましくは3.0~4.3、より好ましくは3.4~4.2に調整するステップ;
- 任意選択で、前記第3の混合物に保存料を加えるステップ;
- 前記第3の混合物を、80.0℃~100.0℃の温度で、好ましくは85.0℃~95.0℃の温度で、1~10分の間、好ましくは3~6分の間、好ましくは一定の撹拌下で、維持するステップ;および
- 任意選択で、前記混合物を、好ましくは70.0℃を超える温度で、包装するステップ
を含む、方法。
【請求項16】
食品、好ましくは甘い食品の中のフィリングおよび/または食品、好ましくは甘い食品の上のトッピングとしての請求項12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項17】
組成物における香味料としてのCPHの使用であって、
CPHが、外果皮と一緒の、または外果皮を除いたカカオ果実の実の外殻全体を包含し、前記組成物が、ゼリー状食品ペースト、またはゼリー状食品ペーストへゼリー状にすることが可能な組成物であ前記組成物が0.150~7.50%(乾物重量/重量(w))のCPHを含む、使用。
【国際調査報告】