IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボーズ・コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特表-インイヤ型イヤピース保持構造 図1A
  • 特表-インイヤ型イヤピース保持構造 図1B
  • 特表-インイヤ型イヤピース保持構造 図1C
  • 特表-インイヤ型イヤピース保持構造 図2
  • 特表-インイヤ型イヤピース保持構造 図3
  • 特表-インイヤ型イヤピース保持構造 図4
  • 特表-インイヤ型イヤピース保持構造 図5
  • 特表-インイヤ型イヤピース保持構造 図6
  • 特表-インイヤ型イヤピース保持構造 図7
  • 特表-インイヤ型イヤピース保持構造 図8
  • 特表-インイヤ型イヤピース保持構造 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】インイヤ型イヤピース保持構造
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20230621BHJP
   H04R 25/02 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
H04R1/10 104A
H04R25/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572770
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 US2021026807
(87)【国際公開番号】W WO2021242421
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】16/883,529
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・アンドリュー・ザリスク
(72)【発明者】
【氏名】リアム・ロバート・ケリー
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BE03
(57)【要約】
態様は、装着者の耳内でイヤピースを安定させ固定するための二重平面保持部品を記述する。保持部品は、イヤピースに固定されているか、又はイヤピースから取り外し可能である。保持部品は、イヤピースが装着されたときに装着者の耳の対耳珠の下に柔軟に適合するように成形された第1の片持ち部分と、イヤピースが装着されたときに装着者の耳の対耳輪の下に柔軟に適合するように成形された第2の片持ち部分と、保持部品をイヤピースの本体に結合する少なくとも1つの取り付け特徴と、を含み、本体は、イヤピースが装着されたときに装着者の耳の下部耳甲介に適合するように成形されている。態様では、第1の片持ち部分及び第2の片持ち部分は、一体的に形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インイヤ型オーディオ出力デバイスのイヤピースのための保持部品であって、
前記イヤピースが装着されたときに装着者の耳の対耳珠の下に柔軟に適合するように成形された第1の片持ち部分と、
前記イヤピースが装着されたときに前記装着者の耳の対耳輪の下に柔軟に適合するように成形された第2の片持ち部分と、
前記イヤピースの本体に前記保持部品を結合する少なくとも1つの取り付け特徴であって、前記本体は、前記イヤピースが装着されたときに前記装着者の耳の下部耳甲介に適合するように成形されている、少なくとも1つの取り付け特徴と、を備える、保持部品。
【請求項2】
前記取り付け特徴は、前記本体の外周の部分にまたがり、
前記第1の片持ち部分は、第1の側と、前記第1の側とは実質的に反対側の第2の側と、を備え、前記第1の片持ち部分の前記第1の側は、前記取り付け特徴に結合されており、
前記第2の片持ち部分は、第1の側と、前記第1の側とは実質的に反対側の第2の側と、を備え、前記第2の片持ち部分の前記第1の側は、前記取り付け特徴に結合されている、請求項1に記載の保持部品。
【請求項3】
前記第1の片持ち部分の前記第2の側は、前記取り付け特徴が前記装着者の耳内に配置された前記イヤピースの前記本体に結合されたときに、前記第1の片持ち部分の第1の側に向かって折り畳まれ、
前記第2の片持ち部分の前記第2の側は、前記取り付け特徴が前記イヤピースの前記本体に結合され、前記装着者の耳内に配置されるときに、前記第2の片持ち部分の前記第1の側に向かって折り畳まれる、請求項2に記載の保持部品。
【請求項4】
前記第1の片持ち部分の前記第1の側は主に、第1の平面上にあり、前記第2の片持ち部分の前記第1の側は主に、前記第1の平面とは異なる第2の平面上にある、請求項3に記載の保持部品。
【請求項5】
前記第1の平面は、前記イヤピースが装着されたときに、前記第2の平面と比較して、前記装着者の外耳道に向かってより深く位置する、請求項4に記載の保持部品。
【請求項6】
前記第1の片持ち部分又は前記第2の片持ち部分のうちの一方は、フリンジを備える、請求項1に記載の保持部品。
【請求項7】
前記第1の片持ち部分及び前記第2の片持ち部分は、一体的に形成されている、請求項1に記載の保持部品。
【請求項8】
前記取り付け特徴は、前記本体の外周にまたがるように成形されている、請求項1に記載の保持部品。
【請求項9】
インイヤ型オーディオ出力デバイスのイヤピースであって、
前記イヤピースが装着されたときに装着者の耳の下部耳甲介に適合するように成形された本体と、
保持部品と、を備え、前記保持部品は、装着者の耳の対耳珠の下に柔軟に適合するように成形された第1の片持ち部分、前記装着者の耳の対耳輪の下に柔軟に適合するように成形された第2の片持ち部分、及び前記保持部品を前記本体に結合する少なくとも1つの取り付け特徴を備える、イヤピース。
【請求項10】
前記取り付け特徴は、前記本体の外周の部分にまたがり、
前記第1の片持ち部分は、第1の側と、前記第1の側とは実質的に反対側の第2の側と、を備え、前記第1の片持ち部分の前記第1の側は、前記取り付け特徴に結合されており、
前記第2の片持ち部分は、第1の側と、前記第1の側とは実質的に反対側の第2の側と、を備え、前記第2の片持ち部分の前記第1の側は、前記取り付け特徴に結合されている、請求項9に記載のイヤピース。
【請求項11】
前記第1の片持ち部分の前記第2の側は、前記イヤピースが前記装着者の耳内に配置されるときに、前記第1の片持ち部分の第1の側に向かって折り畳まれ、
前記第2の片持ち部分の前記第2の側は、前記イヤピースが前記装着者の耳内に配置されるときに、前記第2の片持ち部分の前記第1の側に向かって折り畳まれる、請求項10に記載のイヤピース。
【請求項12】
前記第1の片持ち部分の前記第1の側は主に、第1の平面上にあり、前記第2の片持ち部分の前記第1の側は主に、前記第1の平面とは異なる第2の平面上にある、請求項11に記載のイヤピース。
【請求項13】
前記第1の平面は、前記イヤピースが装着されたときに、前記第2の平面と比較して、前記装着者の外耳道に向かってより深く位置する、請求項12に記載のイヤピース。
【請求項14】
前記第1の片持ち部分及び前記第2の片持ち部分は、一体的に形成されている、請求項9に記載のイヤピース。
【請求項15】
前記取り付け特徴は、前記本体の外周にまたがるように成形されている、請求項9に記載のイヤピース。
【請求項16】
前記装着者の耳の外耳道に向かって延在し、平坦な遠位端部を備えるノズルであって、前記装着者の前記外耳道に音波を伝導するための音響通路を備える、ノズルと、
前記ノズルの前記平坦な遠位端部から延在する実質的に球状のドーム形状の封止構造と、を更に備える、請求項9に記載のイヤピース。
【請求項17】
前記ノズルの前記遠位端部は、前記音響通路のための実質的に楕円形の開口部を備える、請求項16に記載のイヤピース。
【請求項18】
前記実質的に楕円形の開口部の主軸は、前記イヤピースが前記装着者の耳内に配置されるときに、前記装着者の外耳道の主軸と実質的に整列される、請求項17に記載のイヤピース。
【請求項19】
前記封止構造は、前記ノズルに結合された狭端部と、幅が典型的な外耳道よりも大きい広端部と、を備える、請求項16に記載のイヤピース。
【請求項20】
前記保持部品は、前記本体から取り外し可能である、請求項16に記載のイヤピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、内容全体が、以下に完全に記載されるように参照により本明細書に組み込まれる、2020年5月26日に出願された米国特許出願第16/883,529号の優先権及び利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本開示の態様は、インイヤ型オーディオ出力デバイスのイヤピースのための保持構造の様々な特徴を記述する。本明細書でより詳細に説明するように、保持構造は、安定性を生み出すとともに、イヤピースを外耳道に向かって押すためのばね要素として動作する「スクープ」又は「フラップ」を含む。
【背景技術】
【0003】
人々は、長期間にわたって、及び様々な種類の活動に従事する際に、オーディオ出力デバイスを装着する。一例として、人々は、通勤、仕事、及び運動をしている間、一日中インイヤ型イヤピースを装着する。インイヤ型イヤピースによって提供される機能は、技術の相当の進歩と、インターネット及びスマートデバイスと通信するためのイヤピースの能力とを改善し続けている。そのため、インイヤ型イヤピースは、人々の日常生活においてより一体化されつつある。インイヤ型イヤピースの使用及び人気を考慮すると、イヤピースがユーザの耳に快適に留まることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
態様は、インイヤ型イヤピースのための保持構造を提供する。一態様では、インイヤ型オーディオ出力デバイスのイヤピースのための保持部品は、イヤピースが装着されたときに装着者の耳の対耳珠の下に柔軟に着座するように成形された第1の片持ち部分と、イヤピースが装着されたときに装着者の耳の対耳輪の下に柔軟に適合するように成形された第2の片持ち部分と、保持部品をイヤピースの本体に結合する少なくとも1つの取り付け特徴とを備え、本体は、イヤピースが装着されたときに装着者の耳の下部耳甲介に適合するように成形されている。
【0005】
特徴態様では、取り付けは、本体の外周の部分にまたがる。第1の片持ち部分は、第1の側と、第1の側とは実質的に反対側の第2の側とを備え、第1の片持ち部分の第1の側は、取り付け特徴に結合されており、第2の片持ち部分は、第1の側と、第1の側とは実質的に反対側の第2の側とを備え、第2の片持ち部分の第1の側は、取り付け特徴に結合されている。
【0006】
特徴態様では、第1の片持ち部分の第2の側は、取り付けが装着者の耳内に配置されたイヤピースの本体に結合されるときに、第1の片持ち部分の第1の側に向かって折り畳まれ、第2の片持ち部分の第2の側は、取り付け特徴がイヤピースの本体に結合されて装着者の耳内に配置されるときに、第2の片持ち部分の第1の側に向かって折り畳まれる。
【0007】
態様では、第1の片持ち部分の第1の側は主に、第1の平面上にあり、第2の片持ち部分の第1の側は主に、第1の平面とは異なる第2の平面上にある。態様では、第1の平面は、イヤピースが装着されたときに、第2の平面と比較して、装着者の外耳道に向かってより深く位置する。
【0008】
態様では、第1の片持ち部分又は第2の片持ち部分のうちの一方は、フリンジを備える。態様では、第1の片持ち部分及び第2の片持ち部分は一体的に形成される。態様では、第1の片持ち部分及び第2の片持ち部分は、異なる硬度を有する。特徴態様において、取り付けは、本体の外周にまたがるように成形されている。
【0009】
特徴態様は、インイヤ型オーディオ出力デバイスのイヤピースであって、イヤピースが装着されたときに装着者の耳の下部耳甲介に適合するように成形された本体と、保持部品と、を備え、保持部品は、装着者の耳の対耳珠の下に柔軟に適合するように成形された第1の片持ち部分、装着者の耳の対耳輪の下に柔軟に適合するように成形された第2の片持ち部分、及び保持部品を本体に結合する少なくとも1つの取り付けを備える、インイヤ型オーディオ出力デバイスのイヤピースを提供する。
【0010】
特徴態様では、取り付けは、本体の外周の部分にまたがり、第1の片持ち部分は、第1の側と、第1の側とは実質的に反対側の第2の側とを備え、第1の片持ち部分の第1の側は、取り付け特徴に結合されており、第2の片持ち部分は、第1の側と、第1の側とは実質的に反対側の第2の側とを備え、第2の片持ち部分の第1の側は、取り付け特徴に結合されている。
【0011】
態様では、第1の片持ち部分の第2の側は、イヤピースが装着者の耳内に配置されるときに、第1の片持ち部分の第1の側に向かって折り畳まれ、第2の片持ち部分の第2の側は、イヤピースが装着者の耳内に配置されるときに、第2の片持ち部分の第1の側に向かって折り畳まれる。
【0012】
態様では、第1の片持ち部分の第1の側は主に、第1の平面上にあり、第2の片持ち部分の第1の側は主に、第1の平面とは異なる第2の平面上にある。
【0013】
態様では、第1の平面は、イヤピースが装着されたときに、第2の平面と比較して、装着者の外耳道に向かってより深く位置する。
【0014】
態様では、第1の片持ち部分又は第2の片持ち部分はフリンジを備える。態様では、第1の片持ち部分及び第2の片持ち部分は、異なる硬度を有する。態様では、第1の片持ち部分及び第2の片持ち部分は一体的に形成される。特徴態様において、取り付けは、本体の外周にまたがるように成形されている。
【0015】
態様では、イヤピースは、装着者の耳の外耳道に向かって延在し、平坦な遠位端部を備えるノズルであって、装着者の外耳道に音波を伝導するための音響通路を備える、ノズルと、ノズルの平坦な遠位端部から延在する実質的に球状のドーム形状の封止構造とを更に備える。態様では、ノズルの端部は、音響通路のための実質的に楕円形の開口部を備える。
【0016】
態様では、実質的に楕円形の開口部の主軸は、イヤピースが装着者の耳内に配置されたときに装着者の外耳道の主軸と実質的に整列される。態様において、封止構造は、ノズルに結合された狭端部と、幅が典型的な外耳道よりも大きい広端部と、を備える。態様では、保持部品は本体から取り外し可能である。
【0017】
下記で言及される全ての例及び特徴は、任意の技術的に可能な方式で組み合わせることができる。他の特徴、目的、及び利点は、以下の図面に関連して読まれるとき、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】ヒトの耳の外側面の図である。
図1B】ヒトの耳の例示的な断面図である。
図1C】ヒトの耳の例示的な断面図である。
図2】本開示の態様による、保持部品、取り付け特徴、本体、ノズル、及び封止構造を含むインイヤ型イヤピースの側面図である。
図3】本開示の態様による、保持部品、取り付け特徴、本体、ノズル、及び封止構造を含むインイヤ型イヤピースの正面図である。
図4】本開示の態様による、保持取り付け特徴、本体、及び封止構造を含むインイヤ型イヤピースに取り付けられたノズルの正面図である。
図5】本開示の態様による、装着者の耳内に配置されたイヤピースの側面斜視図である。
図6】本開示の態様による、装着者の耳内に配置された保持部品の側面斜視図である。
図7】本開示の態様による、装着者の耳内に配置されたイヤピースの上面斜視図である。
図8】本開示の態様による、第1の片持ち部分及び第2の片持ち部分の両方の第2の自由側にフリンジを含む例示的な保持部品の正面図である。
図9】本開示の態様による、第1の片持ち部分及び第2の片持ち部分の両方の第2の自由側にフリンジを含む保持部品の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
StayHear+イヤチップなどのいくつかのイヤピースは、それらを所定の位置に押す必要なく、装着者の耳の内側にしっかりと着座する。この設計のイヤピースは、追加の支持のために装着者の耳の対耳輪を使用する。これらの設計は、快適であり、ノイズ低減を容易にするための穏やかなシールを生み出し、圧力点を回避するために装着者の耳にわたって均一に接触を広げ、ノイズ低減を最大にしながら一貫したオーディオ性能を提供するのに役立つ。しかしながら、より新しい設計は、装着者の耳甲介の周りに置かれる電子回路の量を増加させようとする。
【0020】
本明細書に記述される保持部品は、過度の半径方向圧力を伴わずに、配向及び安定性を提供する。配向は、イヤピースが装着者の耳内に適切に存在することを確実にするのに役立つ。安定性を達成することは、イヤピースが適切に挿入されたときに最小の動きで装着者の耳に留まることを意味する。記載された保持部品は、インイヤ型イヤピースが、装着者の耳甲介の周りの領域により多くの電子回路を収容し、装着者が様々な活動に従事している間、長時間にわたって装着者の耳の中に快適に着座するのを助ける。
【0021】
保持部品は、イヤピースが装着されたときに装着者の耳の対耳珠の下に柔軟に適合するように成形された第1の片持ち部分と、イヤピースが装着されたときに装着者の耳の対耳輪の下に柔軟に適合するように成形された第2の片持ち部分とを含む。態様では、第1の片持ち部分及び第2の片持ち部分は一体的に形成される。保持部品はまた、保持部品をイヤピースの本体に結合するか、又は他のやり方で取り付ける取り付け特徴を含む。図示された保持部品及びイヤピースは、装着者の右耳用として示されている。装着者の左耳にフィットするように設計された保持部品及びイヤピースは、以下に説明する保持部品及びイヤピースの鏡像であり、同じ原理に従って動作する。
【0022】
図1Aは、識別されたいくつかの特徴を伴う、ヒト右耳の外側表面を示す。多くの異なる耳のサイズ及び幾何学的形状がある。いくつかの耳は、図1Aに示されていない追加の特徴を有する。いくつかの耳は、図1Aに示される特徴のいくつかを欠いている。いくつかの特徴は、図1Aに示されているものよりも多少目立つ場合がある。
【0023】
本明細書に記載される保持部品は、スクープ又はフラップと称され得る片持ち式特徴部を含む。片持ち式特徴部は、典型的な耳の幾何学的形状に基づく、少なくとも1つの第1の片持ち部分及び第2の片持ち部分を含む。第1の片持ち部分は、イヤピースが装着されたときに、領域110において装着者の耳の対耳珠の下に適合する。第2の片持ち部分は、イヤピースが装着されたときに、領域120において装着者の耳の対耳輪の下に適合する。態様では、第2の片持ち部分は、装着者の耳の対耳輪の小さい下部部分の下に適合する。態様では、これら片持ち部分は一体的に形成される。片持ち部分は、対耳珠、及び少なくとも対耳輪の小さい下部部分に沿って耳に圧力を加える。その結果、保持部品は、安定性を生み出し、イヤピースを装着者の外耳道に向かって押す。更に、保持部品は、装着者の耳甲介のボウルに沿って、電子回路を収容するイヤピース本体を支持する。
【0024】
図1B及び図1Cは、いくつかの特徴が識別された、ヒトの耳の2つの例示的な断面を示す。外耳道は、変化する断面積及び直線ではない中心線を有する不規則な形状の円筒である。識別される特徴の中には、外耳道への入口及び外耳道の主要部分がある。本明細書において、外耳道への入口とは、外耳道の壁が外耳道の中心線に対して実質的に非平行である、耳甲介の近くの外耳道の部分を指す。ヒトの耳の正確な構造は、個人によって大きく異なる。例えば、図1Bの断面では、外耳道の中心線30-1Bに対して平行でない外耳道壁から、外耳道の中心線に対して実質的に平行な壁への比較的急峻な遷移があり、したがって、外耳道への入口32-1Bは比較的短い。図1Cの断面では、外耳道の中心線に対して平行でない壁から外耳道の中心線30-1Cに対して実質的に平行な壁へのより緩やかな遷移があり、したがって、外耳道への入口32-1Cは比較的長い。
【0025】
図2は、本開示の態様による、保持部品を含むインイヤ型イヤピース200の側面図であり、図3は、インイヤ型イヤピース及び保持部品の正面図300であり、図4は、保持部品を含むインイヤ型イヤピースのノズル260の正面図400である。
【0026】
保持部品は、対耳珠の下に柔軟に適合する第1の片持ち部分210と、対耳輪の下に柔軟に適合する第2の片持ち部分220と、取り付け特徴230とを含む。態様では、第1の片持ち部分210及び第2の片持ち部分220は一体的に形成される。第1及び第2の片持ち部分の各々は、少なくともイヤピースが装着者の耳に挿入されていないときに、取り付け特徴230及び本体240に近接する第1の側と、取り付け特徴230及び本体240からより離れた第2の自由側とを含む。
【0027】
図6及び図7を参照してより詳細に説明されるように、第1及び第2の片持ち部分は、スクープ形状又は湾曲形状を有し、その結果、イヤピースが装着者の耳に挿入されるとき、保持部品は、装着者の対耳珠領域110及び対耳輪領域120の形状にそれぞれ快適に適合する。湾曲形状は、第1及び第2の片持ち部分が対耳珠及び対耳輪にそれぞれ接触するときに、片持ち部分の各々の第2の自由側が取り付け特徴230及び本体240に向かって緩やかに巻き上がることを可能にする。このようにして、保持部品は、広範囲の耳の幾何学的形状及びサイズに対してイヤピースを固定する。装着者が大きな耳を有する場合、イヤピースが耳に挿入されるとき、片持ち部分の自由側のより少ない部分が本体240に向かって巻き上がることがある。ユーザがより小さい耳を有する場合、自由側が対耳珠及び対耳輪に接触するとき、片持ち部分の自由側のより多くが本体240に向かって巻き上がることがある。しかしながら、両方の場合において、同じ保持部品は、イヤピースを適所に適切に配向された状態に保つための安定性を快適に提供し、装着者が本体240を外耳道から引き離すことによってイヤピースを取り外すときにわずかな抵抗を提供する。
【0028】
第1の片持ち部分210は、取り付け特徴230に結合された第1の側210aと、イヤピース200が装着者の耳に挿入されたときに第1の側210aに向かって折り畳まれる第2の側210bとを含む。第2の片持ち部分220は、第1の側220a(例えば、図3及び図6図9に示す)と、イヤピース200が装着者の耳に挿入されるときに第1の側220aに向かって折り畳まれる第2の側220bとを含む。第1の片持ち部分210の第1の側210aは、取り付け特徴230に結合されている。第2の片持ち部分220の第1の側220aもまた、取り付け特徴230に結合されている。特徴態様では、第1の片持ち部分210の第1の側210a及び第2の片持ち部分220の第1の側220aは、取り付け230に取り付けられる。特徴態様では、第1の片持ち部分210、第2の片持ち部分220、及び取り付け230は一体的に形成される。
【0029】
取り付け特徴230は、保持部品をイヤピース200に取り付ける。特徴態様では、図に示すように、取り付け230は、イヤピース200の本体240の外周にまたがるように成形されている。特徴態様では、取り付け230は、保持部品をイヤピース200から取り外すことを可能にする。図は、本体240の外周に嵌合するスリーブとしての取り付け特徴230を示す。しかしながら、態様では、取り付け特徴は、第1の片持ち部分210及び第2の片持ち部分220をイヤピース200の本体240に結合する任意の特徴である。取り付け特徴は、本体240の外周にまたがる必要はない。一例として、取り付け特徴は、本体の外周の一部にスナップ嵌め又はスライドインされて、第1の片持ち部分210及び第2の片持ち部分220を本体240に接続してもよい。
【0030】
イヤピース200は、本体240と、ノズル250と、封止構造260とを含む。本体240は、装着者の下部耳甲介の中及び周囲に適合するように成形されており、イヤピース200のための音響ドライバ及び他の電子回路を収納する。態様において、保持部品は、本体240に取り外し可能に取り付けられる。他の態様では、第1の片持ち部分210、第2の片持ち部分220、及び取り付け特徴230の任意の組み合わせが、本体に取り付けられるか、又は本体と一体的に形成される。一例では、第1及び第2の片持ち部分210、220が本体240に直接取り付けられる場合、保持部品は取り付け特徴230を含まない。
【0031】
ノズル250は、本体240から封止構造260に向かって延在する。ノズル250は、音波が装着者の外耳道に通過するための音響通路を含む。図2図4及び図5において、ノズル250は、実質的に楕円形の開口部270を備える平坦な端部を有する。実質的に楕円形の開口部270の主軸280は、イヤピースが装着者の耳内に配置されたとき、装着者の外耳道の主軸と実質的に整列される(図1B及び図5参照)。換言すれば、実質的に楕円形の開口部270の主軸280は、装着者の頭の縦と整列される。図2図5において、ノズルは、音響通路のための実質的に楕円形の開口部を備える。しかしながら、他の態様では、開口部は楕円形状又はレーストラック形状である。
【0032】
封止構造260は、典型的な装着者の外耳道とのシールを生み出す。封止構造260は、実質的に球状ドーム形状である。封止構造は、ノズル250の平坦な端部から延び、装着者の外耳に向かって折り返される。図2図4及び図5に示すように、封止構造260は、ノズル250に結合された狭端部260aと、典型的な外耳道の幅よりも大きい広端部260bとを含む。封止構造の狭端部260aと封止構造の広端部260bとの間には、柔軟で丸い接続部が存在する。一例では、狭端部260aと広端部260bとの間の接続部は、枕形、ドーム形、軟質、及び/又はわずかに湾曲したものとして記述される。このタイプの接続は、装着者の外耳道にかかる圧力を小さくし、イヤピース200を装着者の外耳道から押し出す力ベクトルを減少させる。
【0033】
図5は、装着者の耳内に配置されたイヤピースの側面斜視図500を示す。上述したように、直線状の接続部の代わりに、封止構造260は、封止構造の狭端部260aと封止構造の広端部260bとの間にわずかに湾曲した(枕形状、ドーム形状、及び/又は柔らかい)接続部を有する。更に、楕円形開口部270は、典型的な耳の幾何学的形状と整合し、同じイヤピースが様々な耳のサイズに快適に適応することを可能にする。
【0034】
図6は、本開示の態様による、装着者の耳内に配置された保持部品の側面斜視図600を示し、図7は、装着者の耳内に配置されたイヤピースの上面斜視図700を示す。
【0035】
第1の片持ち部分210及び第2の片持ち部分220の湾曲した設計が示されている。第1の片持ち部分210が装着者の対耳珠に接触すると、第2の自由側210bは、取り付け特徴230に向かって緩やかに巻き上がる。同様に、第2の片持ち部分220が装着者の対耳輪に接触すると、第2の自由側220bは、取り付け特徴230に向かって緩やかに巻き上がる。
【0036】
態様では、典型的な耳の幾何学的形状に起因して、第1の片持ち部分210及び第2の片持ち部分220は主に、異なる平面上にある。図6に示されるように、第1の片持ち部分210は、イヤピースが装着されたときに、第2の片持ち部分と比較して外耳道内により深く位置する。態様では、第1の片持ち部分210の第1の側210aは主に、イヤピースが装着されたときに、第2の片持ち部分220の第1の側220aと比較して外耳道により近い第1の平面上にある。
【0037】
図7では、イヤピースが装着者の耳に挿入されたときに、第1の片持ち部分210の小部分及び第2の片持ち部分220の小部分が上面図から見える。第2の片持ち部分の上部は、装着者の対耳輪に接触して、第2の側220bを取り付け特徴230及び本体240に向かって上方に湾曲させる。外耳が、第1及び第2の片持ち部分の残りの部分を見えなくしている。しかしながら、これらは両方とも、装着者の耳のより深い断面において装着者の外耳道内に配置された保持部品の上面図を示すために破線を使用して示されている。
【0038】
図8は、本開示の態様による、第1の片持ち部分210及び第2の片持ち部分220上にフリンジを含む例示的な保持部品の正面図800を示し、図9は、フリンジを含む保持部品の側面図900である。
【0039】
上述したように、第1及び第2の片持ち部分は、様々な耳のサイズ及び幾何学的形状に対してフレキシビリティを提供する。態様において、保持部品は、可撓性及び/又は快適性を高めるための他の特徴を含む。一例として、第2の自由側210b及び220bの外周の1つ以上は、連続しておらず、代わりにフリンジ(又はフィンガ)を含む。各フィンガの幅は実質的に同じである必要はない。一例では、領域110など、より高い可撓性が望まれるエリアでは、より細いフィンガが使用される。耳の幾何学的形状に急激な変化(例えば、湾曲)があるか、又は人によってより多くの変化がある耳の領域においてフリンジは、単一の保持部品がほとんどの耳にフィットするための可撓性を提供する。図8において、第1の片持ち部分の下部部分は、第1及び第2の片持ち部分の他の部分と比較してより薄いフリンジを有する。図示されていないが、態様では、第1又は第2の片持ち部分の一部のみがフリンジを含む。
【0040】
態様では、保持部品は、任意の生体適合性材料から作製され、様々な厚さを有する。一例では、より低い可撓性が所望される場合、より硬度の高い材料が使用される。例えば、人によって耳の幾何学的形状が異なること、又は耳の湾曲した領域に起因して、より大きな可撓性が所望される領域では、可撓性を増加させるために、より硬度の低い材料を使用することができことができる。
【0041】
図示されていない態様では、第1の片持ち部分210は、第1の側210aから第2の自由側210bに向かって厚さが減少する。同様に、態様において、第2の片持ち部分220は、第2の自由側220bに向かって薄くなる。
【0042】
二重平面保持部品は、外耳道に向かうバッドの方向に高いコンプライアンスを有し、装着者がイヤピースを回転又は除去しようとするときに垂直方向にいくらかの剛性を提供する。
【0043】
本明細書に記述されるイヤピースは、オーディオヘッドフォン、補聴器、補聴ヘッドフォン、ノイズマスキングイヤバッド、ANRヘッドフォン、航空ヘッドフォン、及びインイヤ型構成要素を含む他のデバイスを含む、様々なデバイスに適用可能である。
【0044】
本発明の概念から逸脱することなく、本明細書に開示される特定の装置及び技法の多数の使用及びそれらからの逸脱を行うことができる。したがって、本発明は、本明細書に開示され、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定される、ありとあらゆる新規な特徴及び特徴の新規な組み合わせを包含するものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0045】
30-1B、30-1C 中心線
32-1B、32-1C 入口
110 対耳珠領域
120 対耳輪領域
200 インイヤ型イヤピース
210 第1の片持ち部分
210a 第1の側
210b 第2の自由側
220 第2の片持ち部分
220a 第1の側
220b 第2の自由側
240 本体
250 ノズル
260 封止構造
260a 狭端部
260b 広端部
270 開口部
280 主軸
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】