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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】Y2O3:REナノ粒子
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/78 20060101AFI20230711BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20230711BHJP
   C01F 17/32 20200101ALI20230711BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20230711BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20230711BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20230711BHJP
   C09K 11/80 20060101ALN20230711BHJP
【FI】
C09K11/78 ZNM
C09K11/08 A
C09K11/08 J
C01F17/32
H01L33/50
B82Y40/00
B82Y20/00
C09K11/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576147
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2021065865
(87)【国際公開番号】W WO2021250268
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】20179805.5
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519144299
【氏名又は名称】シーボロー・アイピー・アイ.・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】SEABOROUGH IP I. B.V.
【住所又は居所原語表記】Science Park 106,3rd Floor,1098 XG AMSTERDAM,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ベレンズ、アンネ・クレール
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デ・ハール、マリー・アンネ
【テーマコード(参考)】
4G076
4H001
5F142
【Fターム(参考)】
4G076AA02
4G076AA18
4G076AA24
4G076AB04
4G076AB11
4G076BA33
4G076BA42
4G076BD02
4G076CA02
4G076CA26
4G076DA30
4H001CA02
4H001CF01
4H001XA08
4H001XA13
4H001XA39
4H001XA71
4H001YA58
4H001YA63
4H001YA65
5F142DA15
5F142DA22
5F142DA43
5F142DA52
5F142DA53
5F142DA64
5F142GA21
5F142HA01
(57)【要約】
本発明は、立方晶構造のY:REナノ粒子であって、REが三価の希土類金属イオンであるナノ粒子を提供する。本発明は、a) (i) イットリウム塩及び/又はイットリウムアルコキシド、(ii) 希土類金属塩及び/又は希土類金属アルコキシド、並びに、(iii) 有機溶媒を含む混合物を準備する段階;b) 場合によっては、混合物を少なくとも80℃、又は結晶水及び/若しくは有機不純物が除去される温度に加熱することを含む前処理工程にかける段階、c) 混合物を220℃~320℃及び/又は前駆体複合体が形成される温度に加熱する段階;d) 前記混合物を沈殿物が形成される沈殿工程にかける段階、ここで、前記工程は、好ましくは、前記混合物の冷却、及び/又は、前記混合物への貧溶媒の添加を含む;並びに e) 前記沈殿物を、600℃~900℃で、及び/又は、Y立方晶構造が形成される温度で、好ましくは少なくとも10分間加熱する段階を含む、Y:REナノ粒子の製造方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立方晶構造のY:REナノ粒子であって、REが三価の希土類金属イオンであるナノ粒子。
【請求項2】
REが、ユウロピウム(III)、テルビウム(III)又はそれらの組合せである、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
前記ナノ粒子がナノプレートレットである、請求項1又は2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
前記ナノ粒子の最小寸法のD50値が、0.5nm以上100nm以下、好ましくは0.5nm以上50nm以下、好ましくは0.5nm以上10nm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項5】
前記ナノ粒子の最小寸法のD50値が、0.5nm以上10nm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項6】
1つの方向の寸法が0.5nm以上10nm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項7】
赤色、緑色及び/又は黄色で発光できる、請求項1~6のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項8】
請求項9~15のいずれか一項に記載の方法で得ることができるナノ粒子。
【請求項9】
a) (i) イットリウム塩及び/又はイットリウムアルコキシド、(ii) 希土類金属塩及び/又は希土類金属アルコキシド、並びに、(iii) 有機溶媒を含む混合物を準備する段階、
b)場合によっては、前記混合物を少なくとも80℃、又は結晶水及び/若しくは有機不純物が除去される温度に加熱することを含む前処理工程にかける段階、
c)前記混合物を220℃~320℃及び/又は前駆体複合体が形成される温度に加熱する段階;
d)前記混合物を沈殿物が形成される沈殿工程にかける段階、ここで、前記工程は、好ましくは、前記混合物の冷却、及び/又は、前記混合物への貧溶媒の添加を含む;並びに
e) 前記沈殿物を、600℃~900℃で、及び/又は、Y立方晶構造が形成される温度で、好ましくは少なくとも10分間加熱する段階、
を含む、Y:REナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
- 前記イットリウム塩は、ハロゲン化物、酢酸塩、アセチルアセトナート、硫酸塩及び硝酸塩、若しくはそれらの混合物、並びに/若しくはそれらの水和物からなる群から選択される;
- 前記イットリウムアルコキシドは、式Y(OR)(式中、ROはアルコキシドで、RはC1-C4基である)であり、好ましくは前記アルコキシドはイソプロポキシド、エトキシド及び/若しくはtert-ブトキシドである;
- 前記希土類金属塩は、ハロゲン化物、酢酸塩、アセチルアセトナート、硫酸塩及び硝酸塩、若しくはそれらの混合物、並びに/若しくはそれらの水和物からなる群から選択される;並びに/又は
- 前記希土類金属アルコキシドは、式RE(OR)(式中、ROはアルコキシドで、RはC1-C4基である)であり、好ましくはアルコキシドはイソプロポキシド、エトキシド及び/若しくはtert-ブトキシドである;請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記有機溶媒の沸点は、圧力10Paで少なくとも280℃であり、及び/若しくは、前記有機溶媒は、1-オクタデセン、オレイルアミン、オクタデシルアミン、オレイン酸又はそれらの混合物の群から選択される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
段階b)において、前記混合物を、大気圧下で約100℃~約180℃、若しくは、真空下で80℃~約130℃に加熱する、及び/又は、前記混合物を、少なくとも10分間、好ましくは10~420分間加熱する、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
段階c)において、前記混合物を少なくとも15分間、好ましくは約30~約120分間加熱する、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記貧溶媒は極性有機溶媒であり、より好ましくはアルコール又はケトン、より好ましくはC1-C4アルコール又はケトン、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール又はアセトンである、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記沈殿物を10~60分間加熱する、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~8のいずれか一項に記載のナノ粒子を含む発光組成物。
【請求項17】
第1の波長の光を放出できる第1の発光材料、及び第2の波長の光を吸収できる第2の発光材料を含み、前記第1の発光材料の励起バンドの1つ以上と少なくとも部分的に重なる発光スペクトルを有し、前記第1の発光材料又は前記第2の発光材料の少なくとも1つは請求項1~8のいずれか一項に記載のナノ粒子を含む、請求項16に記載の発光組成物。
【請求項18】
前記第1の発光材料及び第2の発光材料は、前記第2の発光材料から前記第1の発光材料への非放射エネルギー移動を可能にするように、互いに配置される、請求項17に記載の発光組成物。
【請求項19】
前記第1の材料は請求項1~8のいずれか一項に記載のY:REナノ粒子を含み、前記第2の材料はYAl12(YAG)、LuAl12(LuAG)又はこれらの組合せを含み、ドーパントはCe3+、Tb3+又はこれらの組合せを含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の発光組成物。
【請求項20】
前記第1の材料は請求項1~8のいずれか一項に記載のY:REナノ粒子を含み、前記第2の材料は半導体ナノ粒子材料を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の発光組成物。
【請求項21】
前記第1の材料は請求項3~8のいずれか一項に記載のY:Euナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce、LuAl12:Ce又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の発光組成物。
【請求項22】
前記第1の材料は請求項3~8のいずれか一項に記載のY:Euナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce,Tb、LuAl12:Ce,Tb又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の発光組成物。
【請求項23】
前記第1の材料は請求項3~8のいずれか一項に記載のY:Tbナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce、LuAl12:Ce又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の発光組成物。
【請求項24】
前記第1の材料は請求項3~8のいずれか一項に記載のY:Tbナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce,Tb、LuAl12:Ce,Tb又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の発光組成物。
【請求項25】
前記第1の材料は請求項3~8のいずれか一項に記載のY:Tb,Euナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce、LuAl12:Ce又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の発光組成物。
【請求項26】
前記第1の材料は請求項3~8のいずれか一項に記載のY:Tb,Euナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce,Tb、LuAl12:Ce,Tb又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の発光組成物。
【請求項27】
請求項16~26のいずれか一項に記載の発光組成物、並びに、紫色及び/又は青色発光半導体材料を含む発光デバイス。
【請求項28】
請求項16~26のいずれか一項に記載の発光組成物及び/又は請求項27に記載の発光デバイスを含むシステムであって、前記システムは、
a.オフィス照明システム
b.家庭用システム
c.店舗照明システム
d.住宅照明システム
e.アクセント照明システム
c.スポット照明システム
g.劇場照明システム
h.光ファイバー用システム
i.投影システム
j.自発光表示システム
k.ピクセル表示システム
l.セグメント表示システム
m.警告表示システム
n.医療用照明システム
o.標識表示システム
p.装飾照明システム
q.ポータブルシステム
r.自動車用システム
s.温室照明システム
t.表示装置バックライト
u.発光ディスプレイ
v.マイクロLED
の1つ以上であるシステム。
【請求項29】
請求項16~26のいずれか一項に記載の発光組成物の、例えば偽造防止などの用途における、タガントとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Y:REナノ粒子、Y:REナノ粒子の製造方法、及びY:REナノ粒子を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダウンコンバージョン材料は、照明やディスプレイなどの固体照明デバイスで重要な役割を果たす。
【0003】
:Euは蛍光管などで使用されるミクロン単位の有名な材料である。
【0004】
国際公開第2012/091778号は、形状及びサイズが均一な単分散粒子と、その形状指向の自己組織化に関し、Y:Yb,Erの球状六角晶の製造を開示している。球状六角晶は、材料の結晶構造が六方晶であることを示す。
【0005】
国際公開第2018/167266号は、発光材料及び増感材料を含む組成物を開示し、発光材料及び増感材料は、増感材料が、発光材料の励起バンドの1つ以上と少なくとも部分的に重なる発光スペクトルを有するように選択され、発光材料及び増感材料は、増感材料から発光材料への非放射エネルギー移動を可能にするように互いに配置される。この出願では、その製造方法も記載している。
【0006】
増感材料から発光材料への非放射エネルギー移動(蛍光共鳴エネルギー移動、FRETと呼ばれることもある)は、増感材料中の励起した増感イオンから発光材料中のアクセプター(又は発光材)イオンへのエネルギーの非放射移動を含む。これは、増感材料中の増感イオンが選択的に励起されると、発光材料中の発光イオンからの発光が増加することによって証明される。
【0007】
ナノ材料は、表面積が大きく、体積が小さいために注目されており、発光材料を空間的に近くに配置することで粒子間FRETを利用できる。
【発明の概要】
【0008】
本発明では、立方晶構造のY:REナノ粒子であって、REが三価の希土類イオンであるナノ粒子が提供される。
【0009】
本発明では、
a) (i) イットリウム塩及び/又はイットリウムアルコキシド、(ii) 希土類金属塩及び/又は希土類金属アルコキシド、並びに、(iii) 有機溶媒を含む混合物を準備する段階;
b)場合によっては、前記混合物を少なくとも80℃、又は結晶水及び/若しくは有機不純物が除去される温度に加熱することを含む前処理工程にかける段階、
c)混合物を220℃~320℃及び/又は前駆体複合体が形成される温度に加熱する段階;
d)前記混合物を沈殿物が形成される沈殿工程にかける段階、ここで、前記工程は、好ましくは、前記混合物の冷却、及び/又は、前記混合物への貧溶媒の添加を含む;並びに
e)沈殿物を、600℃~900℃で、及び/又は、Y立方晶構造が形成される温度で、好ましくは少なくとも10分間加熱する段階
を含む、Y:REナノ粒子の製造方法も提供される。
【0010】
本発明では、発光組成物であって、第1の波長の光を放出できる第1の発光材料及び第2の波長の光を吸収できる第2の発光材料を含み、前記第1の発光材料の励起バンドの1つ以上と少なくとも部分的に重なる発光スペクトルを有し、前記第1の発光材料又は前記第2の発光材料の少なくとも1つは本発明のナノ粒子を含む発光組成物が、更に提供される。
【0011】
本発明のナノ粒子は、良好な吸収/発光特性を示し、発光組成物への混合に適している。それらは、結晶欠陥が少なく、小さなサイズで高度に結晶性である。それらは、非放射エネルギー移動(蛍光共鳴エネルギー移動、FRETと呼ばれることもある)が望まれる組成物で、有利に使用できる。
【0012】
本発明の方法は、本発明のナノ粒子を得ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、395nmで励起したY:Eu3+前駆体複合体の発光スペクトルを示す。
図2図2は、Y:Eu3+前駆体複合体のX線回折パターン(XRD)を示す。
図3図3は、395nmで励起したY:Eu3+ナノプレートレットの発光スペクトルを示す。
図4図4は、Y:Eu3+ナノプレートレットのXRDを示す。
図5図5は、488nmで励起したY:Tb3+ナノプレートレットの発光スペクトルを示す。
図6図6は、Y:Tb3+ナノプレートレットのXRDを示す。
図7図7は、重量比1:1で混合したY:Eu3+ナノプレートレット及びLaPO:Tb3+ナノプレートレット混合物と、純粋なY:Eu3+ナノプレートレットの発光スペクトルを示す。486nmで励起。
図8図8は、重量比1:1で混合したY:Eu3+ナノプレートレット及びLaPO:Tb3+ナノプレートレット混合物と、純粋なY:Eu3+ナノプレートレットの励起スペクトルを示す。700nmで発光。
図9図9はY:Eu3+ナノプレートレットの発光減衰を示す。465nmで励起、610nmで発光。
図10図10は、重量比1:1で混合したY:Eu3+ナノプレートレット及びLaPO:Tb3+ナノプレートレット混合物の発光減衰を示す。488nmで励起、610nmで発光。
図11図11は、重量比1:1で混合したY:Eu3+ナノプレートレット及びYAG:Tb3+ナノプレートレット混合物と、純粋なY:Eu3+ナノプレートレットの発光スペクトルを示す。488nmで励起。
図12図12は、重量比1:1で混合したY:Eu3+ナノプレートレット及びYAG:Tb3+ナノプレートレット混合物と、純粋なY:Eu3+ナノプレートレットの励起スペクトルを示す。698nmで発光。
図13図13は、重量比1:1で混合したY:Eu3+ナノプレートレット及びYAG:Tb3+,Ce3+ナノプレートレット混合物の発光スペクトルを示す。440nmで励起。
図14図14は、実施例1の生成物のTEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ナノ粒子
本発明のナノ粒子は、立方晶構造のY:REナノ粒子であり、REは三価の希土類イオンである。
【0015】
立方晶構造は、良好な吸収/発光特性をもたらすことが判明している。
【0016】
好ましくは、REは、ユウロピウム(III)若しくはテルビウム(III)イオン又はそれらの組合せである。Eu3+は、適切な励起により赤色発光を示す。Tb3+は、適切な励起により黄緑色の発光を示す。
【0017】
好ましくは、ユウロピウムをドープしたナノ粒子の場合、ドーピング率は少なくとも10%であり、より好ましくは、ドーピング率は15%~80%ある。本明細書では、ドーピング率は、結晶格子内のドーピングイオン及びイットリウム原子の合計に対するドーピングイオンの割合である。
【0018】
好ましくは、テルビウムをドープしたナノ粒子の場合、ドーピング率は少なくとも15%であり、より好ましくは、ドーピング率は30%~80%ある。
【0019】
好ましくは、ユウロピウム及びテルビウムの両者を共ドープしたナノ粒子の場合、ユウロピウムのドーピング率は15%~50%であり、テルビウムのドーピング率は少なくとも15%である。
【0020】
本発明のナノ粒子は、少なくとも1つの方向の寸法がナノメートルの規模、好ましくは100nm以下である粒子を含む。好ましくは、本発明のナノ粒子は、少なくとも1つの方向の寸法が70nm以下である。さらに、ナノ粒子の最小寸法のD50値は、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定した場合、好ましくは0.5nm以上100nm以下、より好ましくは0.5nm以上50nm以下、最も好ましくは0.5nm以上10nm以下である。D50は、ナノ粒子の最小の寸法の中央値であり、少なくとも50の代表的な粒子を測定する。
【0021】
好ましくは、ナノ粒子はナノプレートレットである。用語、ナノプレートレットは、当業者に知られており、厚さ(thickness)のサイズ(最小寸法のサイズ)よりも大きな横方向(lateral dimension)のサイズの粒子を包含する。例えば、ナノプレートレットは、最小寸法以外の少なくとも1つの方向の寸法、好ましくは2つの方向の寸法が、粒子の最小寸法の少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍であるナノ粒子であってもよい。ナノプレートレットは、例えば、少なくとも1方向、好ましくは2方向で、5nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上500nm以下のサイズで、厚さが0.5nm以上10nm以下であってもよい。
【0022】
好ましくは、プレートレットの1つの方向の寸法は、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定した場合、0.5nm以上10nm以下である。
【0023】
好ましくは、本発明のナノ粒子は、発光できる。
【0024】
好ましくは、本発明のY:REナノ粒子は、赤色及び/又は緑色で発光できる。本明細書では、用語、赤色発光材料は、適切な励起により、600nm~700nmの1つ以上の発光帯域を有する材料を指す。本明細書では、用語、緑色発光材料は、適切な励起により、510nm~560nmの1つ以上の発光帯域を有する材料を指す。
【0025】
より好ましくは、本発明のY:REナノ粒子(REは、ユウロピウム、テルビウム、又はユウロピウム及びテルビウムの両者)は、赤色及び/又は緑色で発光できる。
【0026】
製造方法
本発明は、Y:REナノ粒子の製造方法を提供する。
【0027】
本発明の方法は、本発明のナノ粒子を得ることができる。
【0028】
段階a)
本発明のY:REナノ粒子の製造方法は、(i) イットリウム塩及び/又はイットリウムアルコキシド、(ii) 希土類金属塩及び/又は希土類金属アルコキシド、並びに、(iii) 有機溶媒を含む混合物を準備する段階を含む。
【0029】
希土類金属イオン(RE)は、好ましくはユウロピウム(III)及び/又はテルビウム(III)である。
【0030】
有機溶媒に溶解する好適なイットリウム塩及び/又はアルコキシド、並びに、希土類金属塩及び/又はアルコキシドを使用してもよい。
【0031】
好ましくは、イットリウム塩は、ハロゲン化物、酢酸塩、アセチルアセトナート、硫酸塩、硝酸塩及び/又はこれらの物質の水和物からなる群から選択される。
【0032】
好ましくは、イットリウムアルコキシドは、式Y(OR)(式中、ROはアルコキシドで、RはC1-C4基である)である。好ましくは、アルコキシドは、イソプロポキシド、エトキシド及び/又はtert-ブトキシドである。
【0033】
好ましくは、希土類金属塩は、ハロゲン化物、酢酸塩、アセチルアセトナート、硫酸塩、硝酸塩及び/又はこれらの物質の水和物からなる群から選択される。
【0034】
好ましくは、希土類金属アルコキシドは、式RE(OR)(式中、ROはアルコキシドで、RはC1-C4基である)である。好ましくは、アルコキシドは、イソプロポキシド、エトキシド及び/又はtert-ブトキシドである。
【0035】
当業者は、ナノ粒子中のイオンの望ましい比率が得られるように、塩及び/又はアルコキシドの量を決定できる。
【0036】
混合物は有機溶媒を含む。有機溶媒は、好ましくは高沸点溶媒である。有機溶媒の沸点は、好ましくは圧力10Paで少なくとも220℃、より好ましくは圧力10Paで少なくとも260℃、より好ましくは圧力10Paで少なくとも320℃、又は、少なくとも段階b)及びc)の温度よりも高い。有機溶媒は、1-オクタデセン、オレイルアミン、オクタデシルアミン、オレイン酸又はそれらの混合物の群から選択される。混合比は、好ましくは、溶媒20mLに対し、塩0.1~1mmolである。
【0037】
段階b)
本発明の方法は、場合によっては、混合物を、少なくとも80℃、又は結晶水及び/若しくは有機不純物が除去される温度に加熱することを含む前処理工程にかける段階を含んでいてもよい。
【0038】
前処理工程は、混合物中の塩及び溶媒から、結晶水及び他の不純物を除去することを目的としている。これは、この目的を達成するのに適した温度で行うことができる。
【0039】
混合物は、少なくとも80℃に加熱してもよい。温度は、大気圧下で約100℃若しくは真空下で少なくとも約80℃、及び/又は、不純物が除去される温度であってもよい。混合物を、少なくとも水が蒸発する温度に加熱する。例えば、大気圧では、混合物を少なくとも100℃に加熱する。
【0040】
好ましくは、混合物を、大気圧下で約100℃~約180℃、又は、真空下で約80℃~約130℃に加熱する。これは、混合物から結晶水及び他の不純物を除去することを可能にする。
【0041】
好ましくは、混合物を、少なくとも10分間、より好ましくは10~420分間又は不純物が除去されるのに十分な時間、加熱する。量が多い場合、前処理段階は長くなってもよい。
【0042】
段階c)
本発明の方法は、混合物を220℃~320℃及び/又は前駆体複合体が形成される温度に加熱する段階を含む。
【0043】
好ましくは、混合物を少なくとも約15分間加熱する。より好ましくは、混合物を、約30分~約120分間加熱し、量が多い場合、長くなる可能性がある。
【0044】
混合物は不活性条件で加熱してもよいが、これは必須ではない。理論に縛られるものではないが、この加熱工程で前駆体複合体が形成されると考えられる。
【0045】
段階d)
本発明の方法は、混合物を、好ましくは、混合物の冷却及び/又は混合物への貧溶媒の添加、を含む沈殿物が形成される沈殿工程にかける段階を含む。好ましくは貧溶媒は極性有機溶媒であり、より好ましくはアルコール又はケトン、より好ましくはC1-C4アルコール又はケトン、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール又はアセトンである。貧溶媒の添加は、沈殿を促進し、沈殿物の分離を促進する。好ましくは、貧溶媒の沸点は比較的低く、後の工程での液体の除去を促進する。
【0046】
沈殿工程では、沈殿物が形成される。沈殿物の沈降、遠心分離、ろ過を可能にするような、当該技術分野で知られている手段によって、沈殿物を分離してもよい。
【0047】
好ましくは、分離した沈殿物を乾燥させる。これにより、段階e)において、所望の温度に迅速かつ制御された方法で到達できる。
【0048】
段階e)
本発明の方法は、沈殿物を、600℃~900℃で、及び/又は、Y立方晶構造が形成される温度で、好ましくは少なくとも10分間加熱する段階を含む。
【0049】
好ましくは、沈殿物を、少なくとも5分間、好ましくは約10分間、より好ましくは約10分間~60分間加熱する。
【0050】
理論に縛られるものではないが、加熱工程は、材料が所望の立方晶構造に結晶化することを可能すると考えられる。
【0051】
発光組成物及びその製造方法
本発明は、本発明のナノ粒子を含む発光組成物も提供する。
【0052】
好ましくは、発光組成物は、第1の発光材料及び第2の発光材料を含み、前記第1の発光材料又は前記第2の発光材料の少なくとも1つは、本発明のナノ粒子を含む。
【0053】
好ましくは、発光組成物は、第1の波長の光を放出できる第1の発光材料及び第2の波長の光を吸収できる第2の発光材料を含み、前記第1の発光材料の励起バンドの1つ以上と少なくとも部分的に重なる発光スペクトルを有する。
【0054】
第1の発光材料は、第1の波長の光を放出できる。当業者は、第1の発光材料が本発明の組成物において発光材料として機能することを理解する。第1の波長は、関心のある任意の波長であってもよい。好ましい波長については以下に説明する。
【0055】
第2の発光材料は、第2の波長の光を吸収できる。当業者は、第2の発光材料が本発明において増感材料として機能することを理解する。第2の波長は、関心のある任意の波長であってもよい。好ましい波長については以下に説明する。
【0056】
第2の発光材料は、第2の波長の光によって励起された場合、前記第1の発光材料の励起バンドの1つ以上と少なくとも部分的に重なる発光スペクトルを有する。当業者は、当該技術分野において知られているスペクトルに基づいて、又は、例えば国際公開第2020/053429号で開示されている日常的な実験でスペクトルを決定することによって、スペクトルの重なりを十分に決定できる。
【0057】
好ましくは、前記第2の材料の前記発光スペクトルと前記第1の材料の励起バンドの1つ以上の重なりは、青色(440~480nm)、緑色(510~560nm)又は黄色(560~580nm)の波長にある。
【0058】
好ましくは、前記第1の発光材料(luminescent material)(発光材料(emitter material))及び前記第2の発光材料(増感材料)は、前記第2の発光材料から前記第1の発光材料への非放射エネルギー移動(蛍光共鳴エネルギー移動、FRETと呼ばれることもある)を可能にするように、互いに配置される。一般に、これは、第1及び第2の発光材料が非常に接近、例えば約0.5nm~約20nmに接近していることを含む。当業者は、どのように非放射エネルギー移動が生じるかをよく知っている。これは、例えば国際公開第2018/167266号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。当業者は、非放射エネルギー移動が、励起した増感材料から発光材料中のアクセプター(又は発光材)イオンへのエネルギーの非放射移動を含むことを理解する。これは、増感材料の選択的励起が増加し、発光材料中の発光イオンからの発光が増加することによって証明される。対象となる非放射エネルギー移動は、フェルスター型又はデクスター型のエネルギー移動から生じてもよい。共鳴エネルギー移動は、(フェルスター型エネルギー移動の場合)イオン間距離の6乗に反比例し、又は、(デクスター型エネルギー伝達の場合)距離に指数関数的に比例するので、当業者は、非放射エネルギー移動を可能にする構成が、発光材料中の増感材料と発光イオンの有効距離を適切に設計することでもたらされてもよいことを理解する。
【0059】
第1の発光材料及び/又は第2の発光材料は、Y:REナノ粒子である。これは、第1及び第2の材料間の接触面が大きくし、(さらに)非放射エネルギー移動の発生を可能にする。Y:REナノ粒子は、望ましい発光特性を有する。
【0060】
好ましくは、前記第1の発光材料は、Y:REナノ粒子又は本発明のナノプレートレットである。本発明のY:REナノ粒子は、発光組成物での使用に非常に適している。より好ましくは、REはユウロピウム(III)、テルビウム(III)、又はユウロピウム(III)及びテルビウム(III)である。これらのイオンは、望ましい吸収/放出特性を有する。
【0061】
好ましくは、前記第1の発光材料及び前記第2の発光材料は、ナノ粒子の形態である。好適なナノ粒子は、少なくとも1つの方向の寸法がナノメートルの規模、好ましくは100nm以下の粒子を含む。小さなサイズは、第1及び第2の材料の表面間の距離を小さくし、(さらに)粒子間の非放射エネルギー移動の発生を可能にする。両方の材料をナノ粒子の形で提供することで、粒子をより効率的に混合し、均一な分散が可能になり、粒子間の非放射エネルギー移動を更に促進する。
【0062】
検討したように、ナノ粒子の最小寸法のD50値は、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定した場合、好ましくは0.5nm以上100nm以下、より好ましくは0.5nm以上50nm以下、最も好ましくは0.5nm以上10nm以下である。D50は、ナノ粒子の最小寸法について、全体の少なくとも50の粒子を測定した場合の中央値である。
【0063】
別の好ましい態様では、第2の発光材料は、第2の発光材料上の第1の発光材料と共にバルク材料として提供される。ここで、用語「バルク」は、特に、ナノメートルの規模を超え、例えば直径が100nmを超え、マイクロメートルの規模を含むことを意味し、及び/又は含む。
【0064】
第1の発光材料
検討したように、第2の発光材料は、本発明のナノ粒子を含んでもよい。第2の発光材料が本発明のナノ粒子を含む組成物では、第1の発光材料は、好ましくは、以下に説明するとおりである。
【0065】
第1の発光材料は、第1の波長の光を放出できる。第1の波長は、関心のある任意の波長であってもよい。
【0066】
好ましくは、第1の発光材料は、赤色又は緑色の発光材料を含む。本明細書では、赤色発光材料という用語は、適切な励起により、600nm~700nmの1つ以上の発光帯域を有する材料を指し、緑色発光材料という用語は、適切な励起により、510nm~560nmの1つ以上の発光帯域を有する材料を指す。赤色又は緑色の発光材料を提供することは、演色のために望ましい場合がある。本発明の別の側面によれば、第1の発光材料は、適切な励起により、700~1400nm(IR-A)、580~600nm(琥珀色及び/又はオレンジ色)、560~580nm(黄)、480~510nm(シアン)、440~480nm(青)、400~440nm(紫)、315~400nm(UV-A)、及び/又は、280~315nm(UV-B)の1つ以上の発光帯域を有する材料である。
【0067】
好ましい態様では、第1の発光材料は希土類ドープ蛍光体材料を含む。蛍光体材料は、二価又は三価の希土類ドープ蛍光体であってもよい。適切な希土類ドープ蛍光体材料の例には、LaPO:Eu3+(及び/又はTb3+)、CaAlSiN:Eu2+、Y:Eu3+(及び/又はTb3+)、Y(V,P)O:Eu3+(及び/又はTb3+)、LuAl12:Ce3+(又はEu3+及び/若しくはTb3+)、YAl12:Ce3+(又はEu3+及び/若しくはTb3+)、BaMgAl1423:Mn2+、Mg(Al,Ga):Mn2+、ZnSiO:Mn2+、KSiF:Mn4+、MgF.GeO:Mn4+及びそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
蛍光体材料は、今日、市場で調達してもよく、又は、例えば、Riwotzki, K.; Meyssamy, H.; Kornowski, A.; Haase, M. J. Phys. Chem. B. 2000, 104, 2824-2828に記載のとおりに合成してもよい。
【0069】
当業者に知られているように、希土類ドープ蛍光体材料は、光学活性イオンでドープされたホスト格子を含む。
【0070】
第1の発光材料は、適切なホスト格子を有していてもよい。ホスト格子は、例えば、酸化物、フッ化物、窒化物、ホウ酸塩、ガーネット、モリブデン酸塩、リン酸塩、バナジン酸塩、塩化物、硫化物、セレン化物、ケイ酸塩、アルミン酸塩、オキシフッ化物、オキシ塩化物、オキシ窒化物、オキシ硫化物、オキシセレン化物、フッ化塩化物、フッ化ケイ酸塩及びフッ化臭化物、若しくはこれらの組合せ、又は、光学活性イオンを組み込むことができる別の無機ホスト材料からなる群から選択してもよい。
【0071】
好ましくは、第1の発光材料のホスト格子は、酸化物、リン酸塩、バナジン酸塩又はそれらの組合せであり、より好ましくは、YAl12(YAG)、LuAl12(LuAG)、Y、YVPO、YVO若しくはLaPO又はそれらの組合せからなる群から選択される。むしろ、前記好ましい第1の発光材料のホスト格子は、Eu3+、Tb3+、Mn2+及びMn4+からなる群から選択される1つ以上のイオンでドープされる。これらのイオンは、強力な、及び/又は、可視スペクトルの赤色又は緑色の発光帯域といった、良好な発光特性を提供する。
【0072】
Eu3+によるドーピングの場合、第1の発光材料は、例えば、少なくとも10%のドーピング率、より好ましくは15%~80%のドーピング率でドープされたホスト格子を有してもよい。Tb3+によるドーピングの場合、第1の発光材料は、例えば、少なくとも15%のドーピング率、より好ましくは30%~80%のTb3+ドーピング率でドープされたホスト格子を有してもよい。Mn4+によるドーピングの場合、第1の発光材料は、例えば、ドーピング率が0.1~30%、最も好ましくは1%~10%でドープされたホスト格子を有してもよい。Mn2+によるドーピングの場合、第1の発光材料は、例えば、ドーピング率が0.1~30%、最も好ましくは1%~10%でドープされたホスト格子を有してもよい。
【0073】
代表的な態様では、第1の発光材料は、(Ca,Sr)Ga:Eu3+(又はTb3+)、(Ca,Sr,Ba)LaBi(SiOO:Eu3+(又はTb3+)、(Ca,Sr,Ba)SnO:Eu3+(及び/又はTb3+)、(Ca,Y,Gd)MoO:Eu3+(又はTb3+)、(Y,Gd)BO(擬バテライト):Eu3+(又はTb3+)、(Y,Tb)SiO:Eu3+(又はTb3+)、A-La:Eu3+(又はTb3+)、Ba(SiO):O2-:Eu3+(又はTb3+)、BaMgSi:Eu3+(又はTb3+)、BaY(BOCl:Eu3+(又はTb3+)、Ba(PO:Eu3+(又はTb3+)、BaCa(PO:Eu3+(又はTb3+)、BaGd(BO:Eu3+(又はTb3+)、BaGd(BO:Eu3+(又はTb3+)、BaLa(BO:Eu3+(又はTb3+)、Ba:Eu3+(又はTb3+)、Ba(BO:Eu3+(又はTb3+)、BaB13:Eu3+(又はTb3+)、BaBPO:Eu3+(又はTb3+)、BaFCl:Eu3+(又はTb3+)、BaGd:Eu3+(又はTb3+)、BaGdSi17:Sm:Eu3+(又はTb3+)、BaGdB16:Eu3+(又はTb3+)、BaLaB16:Eu3+(又はTb3+)、BaSO:Eu3+(又はTb3+)、BaY:Yb:Eu3+(又はTb3+)、BaYSi10:Eu3+(又はTb3+)、BaYB16:Eu3+(又はTb3+)、BaZr(BO:Eu3+(又はTb3+)、BaZrO:Eu3+(又はTb3+)、BaZrO:Eu3+(又はTb3+)、b-BaB:Eu3+(又はTb3+)、B-Gd:Eu3+(又はTb3+)、CaAl(AlSiO):Eu3+(又はTb3+)、CaGd(GeOO:Eu3+(又はTb3+)、CaGd(SiO:Eu3+(又はTb3+)、CaGdSi26:Eu3+(又はTb3+)、CaLa(SiO:Eu3+(又はTb3+)、Ca(BO:Eu3+(又はTb3+)、CaAl:Eu3+(又はTb3+)、CaGd(BO:Eu3+(又はTb3+)、CaLa(BO:Eu3+(又はTb3+)、Ca(BO:Eu3+(又はTb3+)、CaGdO(BO:Eu3+(又はTb3+)、Ca(PO11F:Eu3+(又はTb3+)、Ca(POBr:Eu3+(又はTb3+)、Ca(POF:(4f位):Eu3+(又はTb3+)、Ca(POF:(6h位):Eu3+(又はTb3+)、Ca(POOH:Eu3+(又はTb3+)、CaBPO:Eu3+(又はTb3+)、CaF:Eu3+(又はTb3+)、CaLaB13:Eu3+(又はTb3+)、カルサイト-CaCO:Eu3+(又はTb3+)、CaO:Eu3+(又はTb3+)、CaSO:Eu3+(又はTb3+)、CaYO(BO):Eu3+(又はTb3+)、C-Gd:Eu3+(又はTb3+)、C-Lu:(C2):Eu3+(又はTb3+)、C-Lu:(C3i):Eu3+(又はTb3+)、CsNaYF:Tm:Eu3+(又はTb3+)、C-Sc:Yb:Eu3+(又はTb3+)、C-Y:Eu3+(又はTb3+)、Eu3+(又はTb3+)[(ttfa)3(phen)]0:Eu3+(又はTb3+)、Gd17.33(BO(B16:Eu3+(又はTb3+)、GdBaZnO:Eu3+(又はTb3+)、Gd(SO):Eu3+(又はTb3+)、Gd13:Eu3+(又はTb3+)、GdBr:Eu3+(又はTb3+)、GdPO:Eu3+(又はTb3+)、GdTeLi12:Eu3+(又はTb3+)、Gd17:Eu3+(又はTb3+)、GdAl3(BO:Eu3+(又はTb3+)、GdAlO:Eu3+(又はTb3+)、GdAlO:Eu3+(又はTb3+)、GdB:Eu3+(又はTb3+)、GdBO:Eu3+(又はTb3+)、GdGaO:Eu3+(又はTb3+)、GdOBr:Eu3+(又はTb3+)、GdOCl:Eu3+(又はTb3+)、GdP:Eu3+(又はTb3+)、GdPO:Eu3+(又はTb3+)、I-CaB:Eu3+(又はTb3+)、InBO:Eu3+(又はTb3+)、I-SrB:Eu3+(又はTb3+)、KCaGd(PO:Eu3+(又はTb3+)、La2627(BO:Eu3+(又はTb3+)、LaBaZnO:Eu3+(又はTb3+)、LaHf:Eu3+(又はTb3+)、La(SO):Eu3+(又はTb3+)、LaS:Eu3+(又はTb3+)、La12:Eu3+(又はTb3+)、LaZr(MoO:Eu3+(又はTb3+)、LaTaOCl:Eu3+(又はTb3+)、LaWOCl:Eu3+(又はTb3+)、LaAlO:Eu3+(又はTb3+)、LaB:Eu3+(又はTb3+)、LaBO:Eu3+(又はTb3+)、LaF:Eu3+(又はTb3+)、LaGaO:Eu3+(又はTb3+)、LaMgB10:Eu3+(又はTb3+)、LaOBr:Eu3+(又はTb3+)、LaOCl:Eu3+(又はTb3+)、LaOF:Eu3+(又はTb3+)、LaOI:Eu3+(又はTb3+)、LaP:Eu3+(又はTb3+)、LaPO:Eu3+(又はTb3+)、LaYO:Eu3+(又はTb3+)、LiLu(BO:Eu3+(又はTb3+)、LiBaLa(MoO:Eu3+(又はTb3+)、
LiLa(BO:Eu3+(又はTb3+)、LiGd(BO:Eu3+(又はTb3+)、LiY(BO:Eu3+(又はTb3+)、LiCaAlF:Eu3+(又はTb3+)、LiEu3+(又はTb3+)、Mo:Eu3+(又はTb3+)、LiGd(BO:Eu3+(又はTb3+)、LiGdF:Eu3+(又はTb3+)、LiGdGeO:Eu3+(又はTb3+)、LiGdO:Eu3+(又はTb3+)、LiGdSiO:Eu3+(又はTb3+)、LiLaBO:Eu3+(又はTb3+)、LiLaGeO:Eu3+(又はTb3+)、LiLaO:Eu3+(又はTb3+)、LiLaP12:Eu3+(又はTb3+)、LiLaSiO:Eu3+(又はTb3+)、LiLuGeO:Eu3+(又はTb3+)、LiLuO:Eu3+(又はTb3+)、LiLuSiO:Eu3+(又はTb3+)、LiScO:Eu3+(又はTb3+)、LiSrYO:Eu3+(又はTb3+)、LiSrAlF:Eu3+(又はTb3+)、LiY(BO:Eu3+(又はTb3+)、LiYF:Eu3+(又はTb3+)、LiYGeO:Eu3+(又はTb3+)、LiYO:Eu3+(又はTb3+)、LiYSiO:Eu3+(又はTb3+)、Lu(SO):Eu3+(又はTb3+)、LuSi:Eu3+(又はTb3+)、LuAl12:Eu3+(又はTb3+)、LuAl12:Yb:Eu3+(又はTb3+)、LuBO:Eu3+(又はTb3+)、LuBO(カルサイト):Eu3+(又はTb3+)、LuOCl:Eu3+(又はTb3+)、LuPO:Eu3+(又はTb3+)、MgGd(SiO:Eu3+(又はTb3+)、MgLa(SiO:Eu3+(又はTb3+)、MgO:Eu3+(又はTb3+)、MgSiO:Eu3+(又はTb3+)、NaYSi:Eu3+(又はTb3+)、NaGd(BO:Eu3+(又はTb3+)、NaGdGeO:Eu3+(又はTb3+)、NaGdO:Eu3+(又はTb3+)、NaGdSiO:Eu3+(又はTb3+)、NaLaGeO:Eu3+(又はTb3+)、NaLaO:Eu3+(又はTb3+)、NaLaSiO:Eu3+(又はTb3+)、NaLuGeO:Eu3+(又はTb3+)、NaLuSiO:Eu3+(又はTb3+)、NaScO:Eu3+(又はTb3+)、NaSrLa(VO:Eu3+(又はTb3+)、NaYGeO:Eu3+(又はTb3+)、NaYSiO:Eu3+(又はTb3+)、ScBO:Eu3+(又はTb3+)、ScOCl:Eu3+(又はTb3+)、ScPO:Eu3+(又はTb3+)、Sr:Eu3+(又はTb3+)、SrGd(SiO:Eu3+(又はTb3+)、SrLaZn:Eu3+(又はTb3+)、SrLaZn:Eu3+(又はTb3+)、SrLaAlO:Eu3+(又はTb3+)、Sr(BO:Eu3+(又はTb3+)、Sr(PO:Eu3+(又はTb3+)、Sr(PO:Sm:Eu3+(又はTb3+)、SrGd(BO:Eu3+(又はTb3+)、SrLa(BO:Eu3+(又はTb3+)、SrLa(SiO:Eu3+(又はTb3+)、Sr(BO:Eu3+(又はTb3+)、Sr(POF:Eu3+(又はTb3+)、SrLn(VO:Eu3+(又はTb3+)、SrAl:Eu3+(又はTb3+)、SrB:Eu3+(又はTb3+)、SrB10:Eu3+(又はTb3+)、SrCO:Eu3+(又はTb3+)、SrGdAlO:Eu3+(又はTb3+)、SrHfO:Tm:Eu3+(又はTb3+)、SrLaBeO:(4c):Eu3+(又はTb3+)、SrLaBeO:(8d):Eu3+(又はTb3+)、SrLaAlO:Eu3+(又はTb3+)、SrLaGa:Eu3+(又はTb3+)、SrLaO(BO):Eu3+(又はTb3+)、SrO:Eu3+(又はTb3+)、SrY:(Sr位):Eu3+(又はTb3+)、SrY:(Y位1):Eu3+(又はTb3+)、SrY:(Y位2):Eu3+(又はTb3+)、TbMo12:Eu3+(又はTb3+)、Tb12:Eu3+(又はTb3+)、TbBO:Eu3+(又はTb3+)、ThO:Eu3+(又はTb3+)、X1-GdSiO:Eu3+(又はTb3+)、X1-YSiO:Eu3+(又はTb3+)、X2-YSiO:Eu3+(又はTb3+)、Y17.33(BO(B16:Eu3+(又はTb3+)、YGe:Eu3+(又はTb3+)、YGeO:Eu3+(又はTb3+)、Y(SO):Eu3+(又はTb3+)、YS:Eu3+(又はTb3+)、YS:Eu3+(又はTb3+)、Y:Eu3+(又はTb3+)、Y13:Eu3+(又はTb3+)、YSi:Eu3+(又はTb3+)、YSiO:Eu3+(又はTb3+)、YAl12:Eu3+(又はTb3+)、YBr:Eu3+(又はTb3+)、YCl:Eu3+(又はTb3+)、YPO:Eu3+(又はTb3+)、YGeO:Eu3+(又はTb3+)、Y17:Eu3+(又はTb3+)、YAl(BO:Eu3+(又はTb3+)、YAlO:Eu3+(又はTb3+)、YBO:Eu3+(又はTb3+)、YbOBr:Yb:Eu3+(又はTb3+)、YF:Eu3+(又はTb3+)、YOBr:Eu3+(又はTb3+)、YOCl:Eu3+(又はTb3+)、YOCl:Eu3+(又はTb3+)、YOF:Eu3+(又はTb3+)、Y
OF:Eu3+(又はTb3+)、YP:Eu3+(又はTb3+)、YPO:Eu3+(又はTb3+)、YTaO:Eu3+(又はTb3+)、YVO:Eu3+(又はTb3+)、ZrP:Eu3+(又はTb3+)、YAl12:Ce3+、LuAl12:Ce3+又はこれらの混合物からなる群から選択される。
【0074】
表記:Eu3+(:Tb3+、:Ce3+、:Mn2+又は:Mn4+)は、ホスト格子がEu3+(Tb3+、Ce3+、Mn2+又はMn4+)でドープされていることを示す点を当業者は理解する。
【0075】
第2の発光材料
検討したように、第1の発光材料は、本発明のナノ粒子を含んでもよい。第1の発光材料が本発明のナノ粒子を含む組成物では、第2の発光材料は、好ましくは、以下に説明するとおりである。より好ましくは、第1の発光材料は、REが、ユウロピウム(III)、テルビウム(III)又はそれらの組合せである本発明のY:REナノ粒子であり、第2の発光材料は、以下に説明するとおりである。
【0076】
適切な無機発光材料を、第2の発光材料として使用してもよい。第2の材料は、第2の波長の光を吸収できる。第2の波長は、関心のある任意の波長であってもよい。
【0077】
好ましくは、第2の発光材料は、波長380~580nmに1つ以上の励起バンドがあり、好ましくは、前記第2の発光材料は、UV-A(315~400nm)、紫(400~440nm)、青(440~480nm)又は緑(510~560nm)に、最も好ましくは青(440~480nm)に1つ以上の励起バンドがある。(Al,In,Ga)Nに基づくLEDは、紫~青の波長(約400nm~約480nm)で効率的な「ポンプ」光を発生する。青色励起材料の例は、CaAlSiN:Eu2+、YAl12:Ce3+、CsPbBr、CdSe、InPである。
【0078】
本発明の別の側面では、第2の発光材料は700~1400nm(IR-A)、580~600nm(琥珀色及び/又はオレンジ色)、560~580nm(黄)、510~560nm(緑)、480~510nm(シアン)、440~480nm(青)、400~440nm(紫)、315~400nm(UV-A)、及び/又は、280~315nm(UV-B)に、1つ以上の励起バンドを有する。
【0079】
別の好ましい態様では、第2の発光材料のホスト格子は、ガーネット、フッ化物、ケイ酸塩、リン酸塩又は窒化物であり、より好ましくはYAl12(YAG)、LuAl12(LuAG)、MgF、CaF、SrSiO、BaSiO、CaMgSi、LiSrPO、CaAlSiN又はそれらの組合せからなる群から選択される。むしろ、前記好ましい第2の発光材料のホスト格子は、Eu2+、Pb2+、Bi3+及びCe3+からなる群から選択される1つ以上のイオンでドープされ、より好ましくはTb3+と組み合わせたEu2+又はCe3+であり、最も好ましくはTb3+と組み合わせたCe3+である。
【0080】
好ましくは、第2の発光材料又はその前駆体のホスト格子は、YAl12(YAG)、LuAl12(LuAG)又はこれらの組合せといった、ガーネットである。最も好ましくは、ホスト格子は、YAl12(YAG)、LuAl12(LuAG)又はそれらの組合せから選択され、ドーパントは、必要に応じてTb3+と組み合わせて、Ce3+を含む。
【0081】
好ましくは、Ce3+によるドーピングの場合、第2の発光材料は、0.05~5%、より好ましくは0.1~4%ドーピングされたホスト格子を有する。
【0082】
好ましくは、第1の材料は、REがユウロピウム(III)である本発明のY:REナノ粒子であり、第2の材料は、Ce3+又はTb3+でドープされたYAl12である。より好ましくは、YAl12材料はナノ粒子として提供される。
【0083】
好ましくは、第1の材料は、REがユウロピウム(III)及び/又はテルビウム(III)である本発明のY:REナノ粒子であり、第2の材料は半導体ナノ粒子材料である。
【0084】
好ましい態様では、第1の材料は、REがユウロピウム(III)である本発明のY:REナノ粒子であり、第2の材料は、REがテルビウム(III)である本発明のY:REナノ粒子である。
【0085】
本発明は、更に、本発明の方法によって得ることができる発光材料を含む発光デバイスに関する。好ましくは、発光デバイスは、第2の発光材料などの発光材料のための励起源を更に含む。好ましくは、励起源は、315~400nm(UV-A)、400~440nm(紫)又は440~480nm(青)、より好ましくは430~465nmで、発光材料に向かって光を放出するUV-A、紫色又は青色発光材料である。
【0086】
本発明は、更に、本発明の発光デバイスを備える照明システムに関する。好ましくは、照明システムは、ランプ又は照明器具、オフィス照明システム、家庭用システム、店舗照明システム、住宅照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、劇場照明システム、光ファイバー用システム、投影システム、自発光表示システム、ピクセル表示システム、セグメント表示システム、警告表示システム、医療用照明システム、標識表示システム、及び、装飾照明システム、ポータブルシステム、自動車用システム、及び、温室照明システムからなる群から選択される。
【0087】
本発明は、更に、マーカーとしての、本発明の発光組成物又は本発明のY:REナノ粒子を含む発光材料の使用に関する。タガント(taggant)は、さまざまな試験を可能にするために材料に添加されるマーカーである。本発明の発光材料及び/又は発光組成物の全体的な励起/発光スペクトルは、偽造防止用途におけるタガントとして役に立つ可能性があるように、従来の方法と比較して独特の特徴があるかもしれない。例えば、米国特許第7667828号は、互いに異なるさまざまなタガントを含む標識システムを開示する。
【0088】
本発明は、以下の項で更に定義される。
[1] 立方晶構造の本発明のY:REナノ粒子であって、REが三価の希土類金属イオンであるナノ粒子。
[2] REが、ユウロピウム(III)、テルビウム(III)又はそれらの組合せである、[1]に記載のナノ粒子。
[3] 前記ナノ粒子は、ナノプレートレットである、[1]又は[2]に記載のナノ粒子。
[4] 前記ナノ粒子の最小寸法のD50値は、0.5nm以上100nm以下、好ましくは0.5nm以上50nm以下、好ましくは0.5nm以上10nm以下である、[1]~[3]のいずれか一つに記載のナノ粒子。
[5] 1つの方向の寸法が0.5nm以上10nm以下である、[1]~[4]のいずれか一つに記載のナノ粒子。
[6] 前記ナノ粒子の最小寸法のD50値は、0.5nm以上10nm以下である、[1]~[5]のいずれか一つに記載のナノ粒子。
[7] 赤色、緑色及び/又は黄色で発光できる、[1]~[6]のいずれか一つに記載のナノ粒子。
[8] [9]~[15]のいずれか一つに記載の方法で得ることができるナノ粒子。
[9] a) (i) イットリウム塩及び/又はイットリウムアルコキシド、(ii) 希土類金属塩及び/又は希土類金属アルコキシド、並びに、(iii) 有機溶媒を含む混合物を準備する段階、
b)場合によっては、前記混合物を少なくとも80℃、又は結晶水及び/若しくは有機不純物が除去されるような温度に加熱することを含む前処理工程にかける段階、
c)混合物を220℃~320℃及び/又は前駆体複合体が形成されるような温度に加熱する段階;
d)前記混合物を沈殿物が形成される沈殿工程にかける段階、ここで、前記工程は、好ましくは、前記混合物の冷却、及び/又は、前記混合物への貧溶媒の添加を含む;並びに
e)前記沈殿物を、600℃~900℃で、及び/又は、Y立方晶構造が形成されるような温度で、好ましくは少なくとも10分間加熱する段階
を含む、Y:REナノ粒子の製造方法。
[10] - 前記イットリウム塩は、ハロゲン化物、酢酸塩、アセチルアセトナート、硫酸塩及び硝酸塩、若しくはそれらの混合物、並びに/若しくはそれらの水和物からなる群から選択される;
- 前記イットリウムアルコキシドは、式Y(OR)(式中、ROはアルコキシドで、RはC1-C4基である)であり、好ましくは前記アルコキシドはイソプロポキシド、エトキシド及び/若しくはtert-ブトキシドである;
- 前記希土類金属塩は、ハロゲン化物、酢酸塩、アセチルアセトナート、硫酸塩及び硝酸塩、若しくはそれらの混合物、並びに/若しくはそれらの水和物からなる群から選択される;並びに/又は
- 前記希土類金属アルコキシドは、式RE(OR)(式中、ROはアルコキシドで、RはC1-C4基である)であり、好ましくは前記アルコキシドはイソプロポキシド、エトキシド及び/若しくはtert-ブトキシドである、[9]に記載の方法。
[11] 前記有機溶媒の沸点は、圧力10Paで少なくとも280℃であり、及び/若しくは、前記有機溶媒は、1-オクタデセン、オレイルアミン、オクタデシルアミン、オレイン酸又はそれらの混合物の群から選択される、[9]又は[10]に記載の方法。
[12] 段階b)において、前記混合物を、大気圧下で約100℃~約180℃、若しくは、真空下で80℃~約130℃に加熱する、及び/又は、前記混合物を、少なくとも10分間、好ましくは10~420分間加熱する、[9]~[11]のいずれか一つに記載の方法。
[13] 段階c)において、前記混合物を少なくとも15分間、好ましくは約30~約120分間加熱する、[9]~[12]のいずれか一つに記載の方法。
[14] 前記貧溶媒は極性有機溶媒であり、より好ましくはアルコール又はケトン、より好ましくはC1-C4アルコール又はケトン、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール又はアセトンである、[9]~[13]のいずれか一つに記載の方法。
[15] 前記沈殿物を10~60分間加熱する、[9]~[14]のいずれか一つに記載の方法。
[16] [1]~[8]のいずれか一つに記載のナノ粒子を含む発光組成物。
[17] 第1の波長の光を放出できる第1の発光材料、及び第2の波長の光を吸収できる第2の発光材料を含み、前記第1の発光材料の励起バンドの1つ以上と少なくとも部分的に重なる発光スペクトルを有し、前記第1の発光材料又は前記第2の発光材料の少なくとも1つは、[1]~[8]のいずれか一つに記載のナノ粒子を含む、[16]に記載の発光組成物。
[18] 前記第1の発光材料及び第2の発光材料は、前記第2の発光材料から前記第1の発光材料への非放射エネルギー移動を可能にするように、互いに配置される、[17]に記載の発光組成物。
[19] 前記第1の材料は[1]~[8]のいずれか一つに記載のY:REナノ粒子を含み、前記第2の材料はYAl12(YAG)、LuAl12(LuAG)又はこれらの組合せを含み、ドーパントはCe3+、Tb3+又はこれらの組合せを含む、[16]~[18]のいずれか一つに記載の発光組成物。
[20] 前記第1の材料は[1]~[8]のいずれか一つに記載のY:REナノ粒子を含み、前記第2の材料は半導体ナノ粒子材料を含む、[16]~[18]のいずれか一つに記載の発光組成物。
[21] 前記第1の材料は[3]~[8]のいずれか一つに記載のY:Euナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce、LuAl12:Ce又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、[16]~[18]のいずれか一つに記載の発光組成物。
[22] 前記第1の材料は[3]~[8]のいずれか一つに記載のY:Euナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce,Tb、LuAl12:Ce,Tb又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、[16]~[18]のいずれか一つに記載の発光組成物。
[23] 前記第1の材料は[3]~[8]のいずれか一つに記載のY:Tbナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce、LuAl12:Ce又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、[16]~[18]のいずれか一つに記載の発光組成物。
[24] 前記第1の材料は[3]~[8]のいずれか一つに記載のY:Tbナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce,Tb、LuAl12:Ce,Tb又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、[16]~[18]のいずれか一つに記載の発光組成物。
[25] 前記第1の材料は[3]~[8]のいずれか一つに記載のY:Tb,Euナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce、LuAl12:Ce又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、[16]~[18]のいずれか一つに記載の発光組成物。
[26] 前記第1の材料は[3]~[8]のいずれか一つに記載のY:Tb,Euナノプレートレットを含み、前記第2の材料は、YAl12:Ce,Tb、LuAl12:Ce,Tb又はこれらの組合せのナノ粒子を含む、[16]~[18]のいずれか一つに記載の発光組成物。
[27] [16]~[26]のいずれか一つに記載の発光組成物、並びに、紫色及び/又は青色発光半導体材料を含む発光デバイス。
[28] [16]~[26]のいずれか一つに記載の発光組成物及び/又は[27]に記載の発光デバイスを含むシステムであって、前記システムは、
a.オフィス照明システム
b.家庭用システム
c.店舗照明システム
d.住宅照明システム
e.アクセント照明システム
c.スポット照明システム
g.劇場照明システム
h.光ファイバー用システム
i.投影システム
j.自発光表示システム
k.ピクセル表示システム
l.セグメント表示システム
m.警告表示システム
n.医療用照明システム
o.標識表示システム
p.装飾照明システム
q.ポータブルシステム
r.自動車用システム
s.温室照明システム
t.表示装置バックライト
u.発光ディスプレイ
v.マイクロLED
の1つ以上であるシステム。
[29] [16]~[26]のいずれか一つに記載の発光組成物の、例えば偽造防止などの用途における、タガントとしての使用。
【0089】
以下の実施例により本発明を更に説明するが、これらに限定されるものではない。
【実施例
【0090】
実施例1 Y :Eu 3+ ナノプレートレットの合成
0.8mmolのYCl.6HO及び0.14mmolのEuCl.6HO(ドーピング率を15%とするため)を、40mLのオレイルアミンと混合した。最初に、混合物を周囲条件(空気中)で、160℃に30分間加熱した。次いで、混合物をN雰囲気中で、280℃に60分間加熱した。混合物を室温まで冷却し、20mLのエタノールで洗浄し、乾燥した。
【0091】
この中間生成物の発光スペクトルを図1に示す。この製品のXRDパターンを図2に示す。
【0092】
中間生成物を周囲条件で、800℃のオーブンに30分間入れた。
【0093】
最終製品の発光スペクトルを図3に示す。最終製品のXRDパターンを図4に示す。
【0094】
実施例2 Y :Tb 3+ ナノプレートレットの合成
0.8mmolのYCl.6HO及び0.14mmolのTbCl.6HO(ドーピング率を15%とするため)を、40mLのオレイルアミンと混合した。最初に、混合物を周囲条件で、160℃に30分間加熱した。次いで、混合物をN雰囲気中で、280℃に60分間加熱した。混合物を室温まで冷却し、20mLのエタノールで洗浄し、乾燥した。
【0095】
中間生成物プレートレットの厚さは5nm未満であると求められた。
【0096】
生成物を周囲条件で、800℃のオーブンに30分間入れた。
【0097】
この製品の発光スペクトルを図5に示す。この製品のXRDを図6に示す。
【0098】
実施例3 LaPO :Tb 3+ +Y :Eu 3+ 混合物のエネルギー移動の証明
実施例1で得たY:Eu3+粒子のエネルギー移動を示すために、以下の実験を行った。
【0099】
実施例1で得たY:Eu3+は、粉末として提供した。
【0100】
ドーピング率50%のLaPO:Tb3+ナノ粒子は、粉末として提供した。LaPO:Tb3+ナノ粒子のサイズは5~10nmで、表面にエチレングリコール リガンドがある。
【0101】
100gのY:Eu3+粉末及び100gのLaPO:Tb3+粉末を混合し、15mlの脱イオン水に分散させた。
【0102】
分散液を振とうし、数分間かく拌し、続いて超音波浴中で1.5時間処理した。
【0103】
粒子を120℃のオーブンで乾燥し、粉砕して粉末にした。
【0104】
次いで、混合物で以下の測定を行い、実施例1で得た純粋なY:Eu3+の測定値と比較した。
【0105】
混合物及び実施例1で得た純粋なY:Eu3+を486nmで励起したが、ここではTb3+のみが励起可能である。図7は、670~720nmにおける発光強度を示すが、ここではEu3+のみが発光する。実線は混合物の発光強度を、点線は純粋なY:Eu3+材料の発光強度を示す。
【0106】
混合物は、実施例1の試料と比較して、この領域で発光が大幅に増加し、これはTb3+からEu3+へのエネルギー移動を示す。
【0107】
700nmにおけるEu3+発光の励起スペクトルを記録し、図8に示した。実線は混合物の励起強度を、点線は純粋なY:Eu3+材料の励起強度を示す。混合物は、Tb3+励起線及びEu3+励起線の両者がはっきりと認められ、これはIFRET機構を示す。
【0108】
図9は、実施例1で得た純粋なY:Eu3+材料の減衰を示す。図10は、LaPO:Tb3++Y:Eu3+混合物の減衰を示す。Eu3+の減衰は、混合物の場合の、非放射エネルギー移動工程の代表的な特徴である立ち上がり時間を明確に示す。
【0109】
実施例4 YAG:Tb 3+ +Y :Eu 3+ 混合物のエネルギー移動の証明
実施例1で得たY:Eu3+粒子のエネルギー移動を示すために、以下の実験を行った。
【0110】
実施例1で得たY:Eu3+は、粉末として提供した。
【0111】
YAG:Tb3+ナノ粒子は、20重量%の水分散液として提供した。YAG:Tb3+ナノ粒子のサイズは5~10nmで、表面にエチレングリコール リガンドがあった。
【0112】
100gのY:Eu3+粉末及び0.5mLのYAG:Tb3+分散液(YAG:Tb3+が100g)を15mlの脱イオン水に分散させた。
【0113】
分散液を振とうし、数分間かく拌し、続いて超音波浴中で1.5時間処理した。
【0114】
粒子を120℃のオーブンで乾燥した。
【0115】
材料を粉砕して粉末にした。
【0116】
次いで、混合物で以下の測定を行い、実施例1で得た純粋なY:Eu3+の測定値と比較した。
【0117】
試料を488nmで励起したが、ここではTb3+のみが励起可能である。図11は、670~720nmにおける発光強度を示すが、ここではEu3+のみが発光する。実線は混合物の発光強度を、点線は純粋なY:Eu3+材料の発光強度を示す。実施例5で得た試料は、この領域で発光が大幅に増加し、これはTb3+からEu3+へのエネルギー移動を示す。
【0118】
700nmにおけるEu3+発光の励起スペクトルを記録し、図12に示した。実線は混合物の励起強度を、点線は純粋なY:Eu3+材料の励起強度を示す。この実施例で得た混合物は、Tb3+励起線及びEu3+励起線の両者がはっきりと認められ、これはIFRET機構を示す。
【0119】
実施例5 YAG:Tb 3+ ,Ce 3+ +Y :Eu 3+ 混合物のエネルギー移動の証明
実施例1で得たY:Eu3+粒子のエネルギー移動を示すために、以下の実験を行った。
【0120】
実施例1で得たY:Eu3+は、粉末として提供した。
【0121】
YAG:Tb3+,Ce3+ナノ粒子は、20重量%の水分散液として提供した。YAG:Tb3+,Ce3+ナノ粒子のサイズは5~10nmであった。
【0122】
100gのY:Eu3+粉末及び0.5mLのYAG:Tb3+,Ce3+分散液(YAG:Tb3+が100g)を15mlの脱イオン水に分散させた。
【0123】
分散液を振とうし、数分間かく拌し、続いて超音波浴中で1.5時間処理した。
【0124】
粒子を120℃のオーブンで乾燥した。
【0125】
材料を粉砕して粉末にした。
【0126】
次いで、混合物で以下の測定を行い、実施例1で得た純粋なY:Eu3+の測定値と比較した。
【0127】
試料を波長440nmで励起したが、ここではCe3+のみが直接励起可能である。図13は、525~720nmにおける発光強度を示すが、ここでは、Ce3+、Tb3+及びEu3+の発光ピークが見られる。Eu3+は440nmで直接励起できないことから、この結果は、Ce3+(→Tb3+)→Eu3+のエネルギー移動を示す。
【0128】
実施例6 TEM画像
図14は実施例1の生成物のTEM画像を示す。(部分的に)ロールアップする薄いプレートレットが形成されていることが観察できる。プレートレットの厚さは10nm未満であると求められた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】