(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(54)【発明の名称】最小発散イオンビームの調整装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/317 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
H01J37/317 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574740
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 US2021037607
(87)【国際公開番号】W WO2021257689
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 修
(72)【発明者】
【氏名】プラトウ,ウィルヘルム
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA25
5C101BB03
5C101BB06
5C101DD33
5C101EE19
5C101EE22
5C101EE35
5C101EE45
5C101EE48
5C101EE59
5C101EE67
5C101EE69
5C101FF02
5C101FF56
5C101GG15
(57)【要約】
イオン注入システムは、イオンビームを形成するように構成されたイオン源を有する。質量分析器がイオンビームを質量分析し、走査要素がイオンビームを水平方向に走査し、平行化レンズが扇形に広げられた走査ビームを平行シフト走査イオンビームに変換する。平均入射角だけでなく、高度に整列されたイオン入射角および厳しい角度分布を必要とする用途の場合、スリット装置は、平行化レンズの水平および/または垂直前方焦点に配置される。ワークピース上のイオンビームの最小の水平および/または垂直角度分布は、スリットシステムを通る最良のビーム透過のために、走査要素の上流のビーム集束レンズを制御することによって達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンをワークピースに注入するイオン注入システムであって、
イオンビームを形成するように構成されたイオン源と、
前記イオンビームを質量分析するように構成された質量分析器と、
前記イオンビームが水平方向および垂直方向のそれぞれに焦点を有するように前記イオンビームを前記水平方向に走査するように構成された走査要素と、
前記水平方向および前記垂直方向における前記イオンビームのそれぞれの前記焦点のうちの1つ以上に、かつ、前記走査要素の下流に選択的に配置された開口を有するスリット装置と、
前記スリット装置の下流に配置され、かつ、前記イオンビームを平行化するように構成されていることによって、前記水平方向および前記垂直方向のうちの1つ以上における角度分布が最小化される平行化光学系と、
を備えた、イオン注入システム。
【請求項2】
前記イオンビームは、ペンシルビームまたはスポットビームを含む、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項3】
前記スリット装置は、前記開口が画定されたプレートを備える、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項4】
前記プレートを選択的に位置決めするように構成された移動装置をさらに備える、請求項3に記載のイオン注入システム。
【請求項5】
前記移動装置は、前記プレートを選択的に回転させて前記イオンビームの経路に出入りさせるように構成された回転移動装置を備える、請求項4に記載のイオン注入システム。
【請求項6】
前記移動装置は、前記プレートを選択的に直線的に移動させて前記イオンビームの経路に出入りさせるように構成された直線移動装置を備える、請求項4に記載のイオン注入システム。
【請求項7】
前記走査要素は、扇形に広げられた走査ビームを画定するように構成されている、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項8】
前記走査要素の上流の四重極レンズと、
制御装置と、をさらに備えており、
前記走査要素は、前記水平方向および前記垂直方向における前記イオンビームの角度分布を提供するように構成されており、
前記制御装置は、前記走査要素、前記四重極レンズ、および前記スリット装置の前記開口の位置のうちの1つ以上を制御して、前記イオンビームのビーム電流を最大化するとともに、前記ワークピースにおける前記イオンビームの前記角度分布を最小化するように構成されている、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項9】
前記イオン源、前記質量分析器、前記走査要素、前記スリット装置、および前記平行化光学系のうちの1つ以上を制御して、前記イオンビームのビーム電流を最大化するとともに、前記ワークピースにおける前記イオンビームの角度分布を最小化するように構成された制御装置をさらに備える、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項10】
イオンをワークピースに注入するイオン注入システムであって、
イオンビームを形成するように構成されたイオン源と、
前記イオンビームを質量分析するように構成された質量分析器と、
走査頂点から水平方向に前記イオンビームを走査するように構成された走査要素と、
前記走査要素の下流の、前記イオンビームを平行化するように構成された平行化光学系であって、前記平行化光学系が垂直方向における前記イオンビームの垂直焦点および前記水平方向における前記イオンビームの水平焦点のうちの1つ以上を画定し、前記垂直焦点および前記水平焦点が前記平行化光学系の上流にある、前記平行化光学系と、
前記イオンビームの前記走査頂点および前記垂直焦点のうちの1つ以上に選択的に配置された開口を有することによって、前記水平方向および前記垂直方向のうちの1つ以上における前記イオンビームの角度分布が最小化される、スリット装置と、
を備えた、イオン注入システム。
【請求項11】
前記イオンビームがペンシルビームまたはスポットビームを含む、請求項10に記載のイオン注入システム。
【請求項12】
前記スリット装置は、前記開口が画定されたプレートを備える、請求項10に記載のイオン注入システム。
【請求項13】
前記プレートを選択的に位置決めするように構成された移動装置をさらに備える、請求項12に記載のイオン注入システム。
【請求項14】
前記移動装置は、前記プレートを選択的に回転させて前記イオンビームの経路に出入りさせるように構成された回転移動装置を備える、請求項13に記載のイオン注入システム。
【請求項15】
前記移動装置は、前記プレートを選択的に直線的に移動させて前記イオンビームの経路に出入りさせるように構成された直線移動装置を備える、請求項13に記載のイオン注入システム。
【請求項16】
前記走査要素は、扇形に広げられた走査ビームを提供するように構成されている、請求項10に記載のイオン注入システム。
【請求項17】
前記スリット装置の上流に配置された四重極レンズをさらに備え、
前記四重極レンズは、前記水平方向および前記垂直方向のそれぞれにおける前記イオンビームの角度分布を最小化するために、前記開口において水平集束および垂直集束を提供するように構成される、請求項10に記載のイオン注入システム。
【請求項18】
制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記四重極レンズ、前記平行化光学系、および前記スリット装置の前記開口の位置のうちの1つ以上を制御して、前記イオンビームのビーム電流を最大化するとともに、前記ワークピースにおける前記イオンビームの前記角度分布を最小化するように構成されている、請求項17に記載のイオン注入システム。
【請求項19】
ワークピース上のイオンビームの角度分布を最小化するための方法であって、
補正磁石の上流の焦点に前記イオンビームを集束させることと、
前記イオンビームの前記焦点にスリットを選択的に位置決めすることと、
前記イオンビームのビーム電流が最大化されるとともに、前記イオンビームの角度分布が前記補正磁石の下流に配置された前記ワークピースにおいて最小化されるように、前記スリットの上流にある四重極レンズを制御することと、を含む方法。
【請求項20】
前記四重極レンズを制御することは、前記スリットを通る前記イオンビームの透過を最大にするように前記焦点を独立に変更する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2020年6月17日に出願された米国仮出願第63/040,131号の利益を主張し、その全ての内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は概してイオン注入システムに関し、より具体的には、イオン注入システムにおけるイオンビームのビーム角を制御するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
(背景技術)
半導体デバイスの製造では、不純物またはドーパントを半導体にドープするためにイオン注入が使用される。イオンビーム注入装置は、イオンビームでシリコンウエハを処理するために使用される。その結果、集積回路の製造中に、n型またはp型の外因性材料ドーピングを引き起こす、またはパッシベーション層を形成することが可能である。半導体のドーピングに使用される場合、イオンビーム注入器は、選択された外因性核種を注入して、所望の半導体材料を生成する。アンチモン、ヒ素、またはリンなどの原材料から生成されたイオンを注入すると、「n型」の外因性材料ウェハが得られるが、「p型」の外因性材料ウェハが所望される場合、ホウ素、またはインジウムなどの原材料を用いて生成されたイオンを注入することができる。
【0004】
典型的なイオンビーム注入装置は、イオン化可能な源材料から正に帯電したイオンを生成するためのイオン源を含む。生成されたイオンは、ビームに形成され、所定のビーム経路に沿って注入ステーションに向けられる。イオンビーム注入装置は、イオン源と注入ステーションとの間に延在するビーム形成および成形構造を含むことができる。ビーム形成および成形構造はイオンビームを維持し、ビームが注入ステーションに向かう途中で通過する細長い内部空洞または通路を画定する。注入装置を動作させるとき、この通路はガス分子との衝突の結果として、イオンが所定のビーム経路から偏向される確率を低減するために、排気されることができる。
【0005】
磁界中の所与の運動エネルギーの荷電粒子の軌道は、これらの粒子の異なる質量(または電荷対質量比)によって異なる。したがって、一定の磁場を通過した後に半導体ウェハまたは他の対象の所望の領域に到達する抽出されたイオンビームの一部は、望ましくない分子量のイオンがビームから離れた位置に偏向され、所望の物質以外の注入を回避することができるので、純粋にされることができる。所望のおよび望ましくない電荷対質量比のイオンを選択的に分離するプロセスは、質量分析として知られている。質量分析器は典型的には異なる電荷対質量比のイオンを効果的に分離する弓形通路内の磁気偏向を介して、イオンビーム内の様々なイオンを偏向させるために、双極子磁場を生成する質量分析磁石を使用する。
【0006】
いくつかのイオン注入システムでは、ビームの物理的な大きさは対象ワークピースよりも小さく、したがって、ビームは対象ワークピースの表面を適切に覆うために、1つ以上の方向に走査される。一般に、静電または磁気ベースのスキャナはイオンビームを高速方向に走査し、機械装置は対象ワークピースを低速走査方向に移動させて、十分な被覆を提供する。
【0007】
その後、イオンビームは、対象ワークピースを保持する対象エンドステーションに向けられる。イオンビーム内のイオンは、対象ワークピースに注入され、これがイオン注入である。イオン注入の重要な特徴の1つは、対象ワークピース(例えば、半導体ウェハ)の全面にわたってイオン束の均一な角度分布が存在することである。イオンビームの角度内容は、フォトレジストマスクまたはCMOSトランジスタゲートなどの垂直構造の下での結晶チャネリング効果またはシャドウイング効果を介して注入特性を規定する。イオンビームの不均一な角度分布または角度内容は、制御されないおよび/または望ましくない注入特性をもたらす可能性がある。
【0008】
エネルギー汚染のリスクを防止するために、偏向デセルレンズが実装されるとき、角度補正が使用されることがある。エネルギー汚染は非所望のエネルギー(典型的には所望のエネルギーより高い)を有するイオンの含有量と考えることができ、ワークピース内の不適切なドーパント配置をもたらす。それは、さらに、望ましくないデバイス性能またはデバイス損傷さえも引き起こし得る。
【0009】
(発明の概要)
したがって、本開示はワークピース内の結晶構造を通るチャネリングを使用するときなどに、イオンビームの角度分布(発散とも呼ばれる)を最小化するためのイオン注入システムおよび方法を提供する。したがって、開示されたシステムおよび方法によって達成可能な、イオンビームの正確かつ迅速な同調が達成され、それによって、イオンビームの厳しい角度分布が、ビーム輸送システム内の最後のイオンビーム集束要素の前焦点における取り外し可能なスリットによって達成され得る。
【0010】
したがって、以下は本発明のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、本発明の簡略化された概要を提示する。この概要は、本発明の広い概観ではない。これは、本発明の重要なまたは決定的な要素を識別しようとするものでも、本発明の範囲を線引きしようとするものでもない。この目的は、後に記載する詳細な説明の序文として、本発明のいくつかの概念を単純化した形で示すことにある。
【0011】
イオン注入システムは、イオンビームを形成するように構成されたイオン源を有する。質量分析器はイオンビームを質量分析し、走査要素はイオンビームを水平方向に走査し、並行化レンズは、扇形に広げられた走査ビームを平行シフト走査イオンビームに変換する。本開示は、いくつかの適用ではイオン軌道がワークピースにわたる平均入射角または平均入射角とは対照的に、ワークピースにわたる高度に整列された入射角を有する一方で、非常に厳しい角度分布も有することが有利であり得ることを理解されたい。したがって、スリット装置は、平行化レンズの水平または垂直前方焦点のうちの1つ以上に位置決めされる。ワークピース上のイオンビームの最小水平および/または垂直角度分布はスリット装置を通る最良のビーム透過のために走査要素の上流にビーム集束レンズ(例えば、四重極レンズ)を調整するか、または他の方法で制御することによってさらに達成される。
【0012】
本開示の例示的な一態様によれば、イオンをワークピースに注入するためのイオン注入装置が提供される。前記イオン注入装置は例えば、イオンビームを形成するように構成されたイオン源と、前記イオンビームを質量分析するように構成された質量分析器とを備える。前記走査要素は例えば、イオンビームを水平方向に走査するように構成され、イオンビームは前記水平方向および垂直方向のそれぞれにそれぞれの焦点を有する。スリット装置は例えば、前記水平方向および前記垂直方向における前記イオンビームの前記それぞれの焦点のうちの1つ以上において前記走査要素の下流に選択的に配置された開口を有する。さらに、平行化光学系が、スリット装置の下流に設けられ、イオンビームを平行化するように構成され、それによって、前記水平方向および前記垂直方向のうちの1つ以上における角度分布が最小化される。
【0013】
一例では、イオンビームがペンシルビームまたはスポットビームを含む。別例では、スリット装置がその中に画定された開口を有するプレートを備える。例えば、移動装置をさらに設けてよく、前記イオンビームに対してなど、前記プレートを選択的に位置決めするように構成してよい。例えば、前記移動装置は、前記プレートを選択的に回転させて前記イオンビームの経路に出入りさせるように構成された回転運動装置を備えることができる。別例では、前記移動装置は、前記プレートを選択的に直線的に移動させて前記イオンビームの経路に出入りさせるように構成された直線移動装置を備える。前記走査要素は例えば、扇形に広げられた走査ビーム提供するように構成される。
【0014】
別例では、前記走査要素の上流に四重極レンズが設けられ、前記走査要素は前記イオンビームの前記水平方向および前記垂直方向の角度分布を提供するように構成される。制御装置がさらに設けられ、前記走査機構、前記四重極レンズ、および前記スリット装置の前記開口の位置のうちの1つ以上を制御して、前記イオンビームのビーム電流を最大化するとともに、前記ワークピースにおける前記イオンビームの前記角度分布を最小化するように構成される。別例では、前記制御装置が前記イオン源、前記質量分析器、前記走査要素、前記スリット装置、および前記平行化光学系のうちの1つ以上を制御して、前記イオンビームのビーム電流を最大化するとともに、前記ワークピースにおける前記イオンビームの角度分布を最小化するように構成される。
【0015】
本開示の別の例示的な一態様によれば、イオン注入システムが提供され、前記イオン注入システムはイオンビームを形成するように構成されたイオン源と、前記イオンビームを質量分析するように構成された質量分析器と、前記イオンビームを水平方向に走査するように構成された走査要素とを備え、前記イオンビームは前記水平方向および垂直方向のそれぞれにそれぞれの焦点を有する。平行化光学系は、前記スリット装置の下流に設けられ、前記イオンビームを平行化するように構成され、これにより、前記平行化光学系はその上流に垂直焦点および水平焦点のうちの1つ以上を画定し、それにより、前記水平方向および垂直方向のうちの1つ以上における角度分布が最小化される。さらに、開口を有するスリット装置が、前記走査要素の走査頂点および前記イオンビームの垂直焦点のうちの1つ以上に選択的に位置決めされる。
【0016】
前記スリット装置は例えば、その中に画定された開口を有するプレートを備える。移動装置が、前記プレートを選択的に位置決めするようにさらに構成されてよい。前記移動装置は例えば、前記プレートを選択的に回転させて前記イオンビームの経路に出入りさせるように構成された回転運動装置を備えることができる。代替的な例では、前記移動装置が前記プレートを選択的に直線的に移動させて前記イオンビームの経路に出入りさせるように構成された直線移動装置を備える。
【0017】
別の例では、四重極レンズが前記スリット装置の上流に配置され、前記四重極レンズは水平方向および垂直方向それぞれにおける前記イオンビームの角度分布を最小限に抑えるために、開口において水平および垂直集束を提供するように構成される。別例では、制御装置が、前記四重極レンズ、前記平行化光学系、および前記スリット装置の前記開口の位置のうちの1つ以上を制御して、前記イオンビームのビーム電流を最大化するとともに、前記ワークピースにおける前記イオンビームの角度分布を最小化するように構成される。
【0018】
本開示のさらに別の態様によれば、イオンビームの角度分布を最小化するための方法が提供される。この方法は例えば、補正磁石の上流の焦点にイオンビームを集束させることを含む。スリットは、前記イオンビームの前記焦点に選択的に配置される。さらに、前記スリットの上流にある四重極レンズが制御され、前記イオンビームのビーム電流が最大化されるとともに、前記補正磁石の下流に配置されたワークピースにおいて前記イオンビームの前記角度分布が最小化される。前記四重極レンズを制御することは例えば、焦点を独立に変更して、前記スリットを通る前記イオンビームの透過を最大化する。
【0019】
前述の目的および関連する目的を達成するために、本開示は、以下に十分に説明され、特許請求の範囲において特に指摘される特徴を含む。以下の記載および添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を詳細に示している。しかし、これらの実施形態は、本発明の原理を用いる種々の方法の一部を示しているにすぎない。本発明の他の目的、利点および新規な特徴は、図面を参照して、本発明の詳細な記載から明らかになるのであろう。
【0020】
(図面の簡単な説明)
図1は、本開示の一態様に係るイオン注入システムの一例を示す。
【0021】
図2は、本開示の一態様に係る有限ビーム角分布を示す模式図である。
【0022】
図3は、本開示の一態様に係る注入角度を示す走査イオンビームの模式図である。
【0023】
図4は、本開示の一態様に係る水平発散のためのスリットを組み込んだ注入角度を示す走査イオンビームの模式図である。
【0024】
図5は、本開示の一態様に係る垂直発散スリットを示す走査イオンビームの模式図である。
【0025】
図6Aは、本開示の一態様に係る注入角度を制御するための垂直発散スリット装置の一例の簡略化された斜視図である。
【0026】
図6Bは、本開示の別の一態様に係る垂直発散スリット装置の一例の上面図である。
【0027】
図6Cは、本開示のさらに別の一態様に係る、
図6Bの垂直発散スリット装置の側面図である。
【0028】
(発明を実施するための形態)
本開示は、ワークピース内の結晶構造を通るチャネリングを用いるときなどに、イオンビームの角度分布(例えば、発散)を制御する(例えば、最小化する)ためのイオン注入システムおよび方法を提供する。さらに、本開示は、イオンビーム輸送システム内の下流または最後の集束素子の前焦点に取り外し可能なスリットを実装することによって、イオンビームの厳しい角度分布を達成するためにイオンビームを正確かつ迅速に調整するためのシステムおよび方法を提供する。
【0029】
したがって、ここで、図面を参照して本発明を説明するが、全体を通して、同様の要素を指すために同様の参照番号が使用され得る。これらの実施局面の説明は単なる例示であり、限定的な意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。以下の記載では、説明のために、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくても本発明を実施できることは当業者には明らかであろう。また、以下に説明する実施形態または実施例によって本考案の範囲が限定されるものではない。しかしながら、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが意図される。
【0030】
また、図面は本発明の実施形態のいくつかの局面を例示するために提供されており、したがって、概略的なものに過ぎないと見なされるべきであることに留意されたい。特に、図面に示される要素は必ずしも互いに一定の縮尺ではなく、図面における様々な要素の配置はそれぞれの実施形態の明確な理解を提供するように選択される。図面における様々な成分の配置は、必ずしも本発明の一実施形態による実装形態における様々な構成要素の実際の相対位置の表現であると解釈されるべきではない。さらに、本明細書に記載の様々な実施形態および実施例の特徴は特に断りのない限り、互いに組み合わせることができる。
【0031】
また、以下の説明では図面に示され、または本明細書で説明される、機能ブロック、装置、構成要素、回路要素、または他の物理的もしくは機能的ユニット間の任意の直接的な接続または結合は間接的な接続または結合によっても実装され得ることを理解されたい。さらに、図面に示される機能ブロックまたはユニットは一実施形態では別個の特徴または回路として実装されてもよく、また、または代替として、別の実施形態では共通の特徴または回路において完全にまたは部分的に実装されてもよいことを諒解されたい。例えば、いくつかの機能ブロックは、信号プロセッサなどの一般的なプロセッサ上で実行されるソフトウエアとして実装されてもよい実施例である。さらに、以下の明細書において有線ベースであるとして説明される任意の接続は、不都合であることが示されない限り、無線通信として実装されてもよいことが理解されるべきである。
【0032】
本開示は、結晶格子構造を通る高度のチャネリングを達成するために、特に高エネルギーで、イオンビームがワークピースの結晶格子構造と角度的に整列されるべきであることを理解する。チャネリングコンセプトおよびイオン注入システムの様々な実施例について、Satoh氏の共同所有の米国特許第9,711,328号に提供されており、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0033】
本開示は、イオンビームのそのような位置合わせが、結晶格子に対するイオンビームの平均または平均角度だけでなく、その分布も含むことをさらに理解する。例えば、約10MeVを超える非常に高エネルギーのヒ素(As)注入の場合、イオンビーム内のイオンは標準偏差が約0.1度未満の角度分布を有するなど、望ましいチャネリング・デプス・プロファイルを提供するために、厳しい角度分布を有するべきである。
【0034】
従来、注入角度の制御は、イオンビーム全体の平均入射角の制御が主に関係しており、その配分はあまり注目されていなかった。しかしながら、最近のチャネリングインプラントの普及に伴い、インプラント角度の分布に関する問題がより重要になってきており、また、かなり小さな角度分布を有するイオンビームをいかに確実に得るかがより重要になってきている。
【0035】
非常に小さい角度分布を提供するためにイオンビームを調整することは、従来、試行錯誤の面倒なプロセスであった;すなわち、パラメータをほとんど盲目的に変更するサイクルを繰り返し、結果として生じるイオンビームの角度分布を測定し、適切な分布が達成されるまでパラメータの修正を続けていく必要があった。本開示は、角度分布を最小化するための従来のスピードが遅く信頼性のない調整プロセスに対する迅速な解決策を提供する。本発明は、マサチューセッツ州ビバリーのアクセリス・テクノロジーズ社製のプリオンXE/VXE/XEmax(Purion XE/VXE/XEmax)の非限定的な実施例のような、イオン注入システムにおける垂直ビームダイバージェンスを調整するための基準を提供する。
【0036】
本開示をよりよく理解するために、本開示の様々な実施形態に基づくイオン注入システム100を
図1に示す。イオン注入システム100は説明のために提示されており、本実施態様において説明するイオン注入システムに限定されず、様々な構成の他の適切なイオン注入システムも使用することができることが理解される。
【0037】
イオン注入システム100は、ターミナル102と、ビームラインアセンブリ104と、エンドステーション106とを有するように示されている。ターミナル102は、一実施例として、高圧電源110によって給電されるイオン源108を備え、イオン源はイオンビーム112を生成して、ビームラインアセンブリ104を通って最終的にエンドステーション106に向ける。一例として、イオンビーム112は、スポットビーム、ペンシルビーム、リボンビーム、または他の任意の形状のビームの形態をとることができる。ビームラインアセンブリ104は、ビームガイド114および質量分析器116をさらに有し、双極子磁場はエンドステーション106内に配置されたワークピース120(例えば、半導体ウェハ、表示パネルなど)に向けられた質量分析イオンビーム135を画定するために、ビームガイド114の出口端部の開口118を通って適切な電荷対質量比のイオンのみを通過させるように確立される。
【0038】
一実施例によれば、静電スキャナまたは電磁気スキャナなどのイオンビーム走査システム122(総称的に「スキャナ」または「走査素子」と呼ばれる)は、イオンビーム112を、ワークピース120に対して少なくとも第1の方向123(例えばy軸の+/-方向、なお第1の走査経路または「高速走査」の軸、経路、または方向とも呼ばれる)に走査するように構成され、リボン形状のイオンビームまたは走査イオンビーム124(例えば、扇形に広げられた走査イオンビーム)を画定する。さらに、本実施例では、ワークピース走査システム126が提供され、ワークピース走査システムはイオンビーム112を通してワークピース120を少なくとも第2の方向125(例えば、x軸の+/-方向、なお第2のスキャンパスまたは「低速走査」の軸、パス、または方向とも呼ばれる)に選択的に走査するように構成される。一実施例として、イオンビーム走査システム122およびワークピース走査システム126はイオンビーム112に対するワークピースの所望の走査を提供するために、別々に、または互いに関連して設置されてもよい。別の実施例ではイオンビーム112が第1の方向123に静電走査され、走査イオンビーム124を生成し、ワークピース120は走査イオンビーム124を介して第2の方向125に機械的に走査される。イオンビーム112およびワークピース120の静電および機械的走査のそのような組み合わせは、いわゆる「ハイブリッド走査」を生成する。本発明はイオンビーム112に対するワークピース120の走査の全ての組合せに適用可能であり、逆もまた同様である。さらに、制御装置130が提供され、当該制御装置は、イオン注入システム100の1つまたは複数の構成要素を制御するように構成される。
【0039】
本発明の1つの例示的な局面によれば、ビーム測定システム150がさらに提供される。ビーム測定システム150は、一実施例として、イオンビーム112に関連する1つ以上の特性を決定するように構成される。ワークピース120に入射するイオンの角度を測定するためのシステムおよび方法、ならびにワークピースの結晶面に対する前記測定値の較正はいわゆる「プリオン XE」(Prion XE)イオン注入システム、およびRobert DRathmellらの共同所有の米国特許第7,361,914号に提供されており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
このようにして、質量分析器116は、所望の電荷対質量比を有するイオンビーム112内のイオン種を通過させて、開口118を通って出る質量分析イオンビーム135を画定する。図示されていないが、質量分析イオンビーム135は一実施例として、所望のエネルギーに加速され、ビーム集束レンズ(例えば、四重極レンズ)によってさらに集束された後、走査要素122に入射する。走査イオンビーム124は次いで、図示の実施例では2つの双極子磁石162A、162Bを備える平行化器160(例えば平行化および補正を行う構成要素、なお「補正器磁石」(corrector magnet)とも呼ばれる)を通過する。双極子磁石162A、162Bは例えば、実質的に台形であり、走査イオンビーム124を実質的にS字形に屈曲させるように互いに鏡像をなすように配向される。換言すれば、双極子磁石162A、162Bは、角度および半径が等しく、曲率の反対方向である構成を有する。
【0041】
平行化器160は、一例として、走査角度に関係なく、質量分析されたビームがビーム軸に対して平行に進むように、走査イオンビーム124のビーム経路を変更させる。結果として、注入角度は、ワークピース120にわたって均一となる。一実施例では、平行化器160のうちの1つまたは複数が、並行化器の上流で生成された中性粒子が公称の経路に従わないことによってエンドステーション106およびワークピース120に到達する可能性がほぼ0であるように、偏向構成要素としても働く。
【0042】
1つまたは複数のいわゆる補正器磁石または平行化器160は、イオンビーム112を集束、屈曲、偏向、収束、発散、走査、平行化、および/または汚染除去するように配置およびバイアスされた任意の適切な数の電極または磁石を備え得ることが理解されよう。次いで、エンドステーション106は、ワークピース120に向けられた質量分析イオンビーム135を受け取る。異なる種類のエンドステーション106が、イオン注入システム100において使用されてもよいことが理解される。一実施例として、「一括」型のエンドステーションは回転支持機構上に多数のワークピース120を同時に支持することができ、ワークピースは、全てのワークピースが完全に注入されるまで、イオンビーム112の経路を通って回転される。一方、「連続」型のエンドステーションは注入のためにビーム経路に沿って単一のワークピース120を支持し、複数のワークピースが連続的に一度に1つずつ注入され、各ワークピースは、次のワークピースの注入が始まる前に完全に注入される。ハイブリッドシステムでは、ワークピース120が第1の方向(例えば、y軸に沿って、低速走査または垂直方向とも呼ばれる)に機械的に平行移動される一方で、ビームは第2の方向(例えば、x軸に沿って、高速走査または水平方向とも呼ばれる)に走査され、ワークピース全体にわたってイオンビーム112を付与する。
【0043】
図1の実施例におけるエンドステーション106は、注入のためにビーム経路に沿って単一のワークピースを支持する「連続」型エンドステーションである。ビーム測定システム150は、注入処理に先立ち行われる較正測定のために、ワークピース120の位置の近くのエンドステーション106にさらに含まれてもよい。較正中、イオンビーム112はビーム測定システム150を通過する。ビーム測定システム150は一実施例として、静止していてもよいし、プロファイラ経路を連続的に横断していてもよい1つ以上のプロファイラを含み、それによって、イオンビーム112(例えば、走査されたまたは走査されていないスポットまたはペンシルビーム)のプロファイルを測定する。
【0044】
イオンビーム112内のイオンは一般に、角度分布の平均値の周りにある程度の分布(例えば、発散)を伴って同じ方向に移動する。したがって、本開示は、イオン注入中、ワークピース120の表面にわたる一定の入射角、すなわち分布の平均角度が重要な考慮事項であることを企図する。さらに、例えば、イオンビームの角度分布の忠実度または緊密度は、フォトレジストマスクまたはCMOSトランジスタゲートなどの垂直型構造のもとでの結晶チャネリング効果またはシャドウイング効果による注入特性を規定する。角度の分布を制御しないイオンビーム112では、例えば、無制御で、望ましくない注入特性をもたらす。
【0045】
したがって、イオンビーム112の入射角(分布の平均角)および角度分布は、様々なビーム診断装置を使用して高精度に測定され、そのうちのいくつかは上述されている。測定データは、次いで、角度補正方法において使用され得る。補正が適用されると、ビーム角度の測定およびその調整は、所望のビーム角度特性、平均角度および狭い分布が達成されるまで繰り返される。
【0046】
いくつかの注入システムでは、例えば、
図1の1つまたは複数の補正磁石または平行化器160を利用して、水平方向に扇形に広がるビームを平行にシフトする走査ビームに変換する。平行化する機能または光学系は、
図2に示されるように、平行化光学系202(平行化レンズとも呼ばれる)を含む正の集束レンズシステム200と見なすことができる。平行化光学系202は例えば、
図1の補正磁石または平行化器160を含むか、またはそれから構成されてもよい。平行化光学系202は、一実施例として、ワークピース120の全幅にわたってほぼ一定の「平均」注入角を得るように構成される。一実施例として、補正磁石160の前方焦点204または正レンズは、スキャナまたは走査要素122の走査頂点154に配置される。
図2に理想的な事例として示されるように、イオンビーム112のそれぞれの線206は「ゼロ」角度分布、すなわち、水平方向(例えば、
図2に示されるx方向)におけるイオンビーム112の実質的に小さな角度分布208を有するイオンビーム112を表す。
【0047】
図3は入射イオンビーム209(例えば、質量分析イオンビーム135)が有限角度分布210を有する実施例を示す。このような例では、有限角度分布210を有する入射イオンビーム209が同じ走査頂点位置(
図3に走査頂点154から発する円錐212として示される)に集束されるとき、ワークピース120上の最終イオンビーム213も有限角度分布210を有する。最終イオンビーム213の角度分布の程度は、入射イオンビーム209が走査頂点154にどれだけ良好に集束されるかに依存する。
【0048】
本開示によれば、
図4には、スリット214(例えば、走査要素122の動作ができるように構成された開口を有する格納式プレート内に画定されたスリット)が走査頂点154に配置されている例を示す。この例によれば、走査素子の上流の様々なレンズはスリットを通る入射イオンビーム209の焦点を合わせるか、または他の方法で最大伝搬を提供するように調整されるか、または他の方法で制御される。したがって、イオンビーム112は、ワークピース120に対して最も低い角度分布216を有する。したがって、
図4の例では、水平角分散最小化装置218を示す。
図4に示されたスリット214を設計する際には走査頂点154で引き込み可能であるなど、様々な技術的問題が存在すると理解されるが、高圧環境でのイオン注入装置の通常動作中に走査要素122の動作も提供する。本開示は、イオンビーム112の角度分布の望ましい最小化を提供するようなシステムを企図する。
【0049】
図5は、鉛直角分布最小化装置220の一実施例を示す。垂直方向(例えば、
図5に示されるy方向)では、補正磁石160が例えば、強い正の集束力を提供するように構成され、それによって、補正磁石は上述のように、水平方向で使用されるものと同様の原則を使用して、垂直ビーム角度分布222を最小化するために利用され得る。したがって、本開示は、垂直ビーム角度分布222を最小化するための垂直発散スリット(VDS:Vertical Divergence Slit)装置224(格納式スリット装置とも呼ばれる)を提供する。VDS装置224は、一実施例では走査要素122の出口226の直後に配置され、これもまた、補正磁石160のレンズの上下方向の前側焦点に近接している。補正磁石160の集束力(例えば、いわゆる「S字曲げ」)は例えば、VDS装置224のスリット214が、その焦点228において走査要素122の出口226に配置されるのに十分に十分な実施例である。VDS装置224は例えば、イオンビーム112の経路から選択的に取り外し可能であり、これによって、一例として矢印229に示されるように、VDS装置のスリット214を、イオンビームの経路から選択的に平行移動、回転、または他の方法で移動または除去することができる。VDS装置224のスリット214は例えば、x軸、y軸、またはz軸のいずれかに沿って、またはその周りに、選択的に位置決め、並進、および/または回転されるように構成される。
【0050】
特定のイオン注入が本明細書で具体的に論じられているが、例えば、他のイオン注入システムは水平方向または垂直方向のいずれかにおける最終のビームの角度分布を最小化するために、上述したものと同様のシステムを利用することができ、それによって、それぞれの水平方向または垂直方向における最終の正レンズの前焦点にスリットが提供されることに留意されたい。
【0051】
一実施例において、垂直焦点距離がより強く、したがって、スリット214が補正磁石160のより近くに位置するので、VDS装置224は走査要素122の後に設けられる。したがって、イオンビーム112の調整は、例えば、四重極レンズ(図示せず)を介して走査要素122の前後に行うことができ、これにより、調整後にスリット214を離すことができ、これにより、ワークピース120へのイオン注入を引き続き行うことができる。調整するとき、スリット214はビームラインに沿って位置決めされ、上流レンズ(図示せず)は点方向に調整され、合焦され得る。次いで、イオンビーム112のビーム電流はスリット214を通る伝搬が最適化される(例えば、最大化されたビーム電流をもたらす)ように測定することができ、したがって、イオンビームがスリットを通る非常に小さいという指標を提供する。したがって、本開示は、角分布制御調整補助装置を提供する。
【0052】
図6A~
図6Cは、本発明の様々な実施局面による垂直角分布最小化装置300の別の実施例を示す。概要として、
図6Aは垂直角度分布最小化システム300を示し、それによって、イオンビーム112は四重極レンズ302を通過し、その後、走査要素122によって水平方向(例えば、x方向)に走査される。一実施例として、VDS装置224はスリット214の水平寸法304および垂直寸法306が走査イオンビーム124の垂直高さ(例えば、y方向)のみを主に制限する一方で、水平方向のイオンビーム112の走査幅全体を通過させるように、選択的に位置決めされる(例えば、矢印229によって示される)。走査頂点154は、一実施例として、平行化光学系202の水平前方焦点308と一致する。
【0053】
図6Bは
図6Aの垂直角度分布最小化システム300の上面
図310を示し、走査イオンビーム124は、VDS装置224のスリット214によって水平方向に妨げられない。走査頂点154、すなわち走査要素122の水平曲げ点は、平行化光学系202の水平前方焦点308に配置される。説明のために、平行化光学系202は単純な正の集束レンズとして示されているが、他のレンズシステムも考えられる。例えば四重極レンズ302は、イオンビーム112を、走査頂点154において焦点を絞る。これにより、平行化光学系202からの最終イオンビーム213は水平方向に平行であり、最小限の角度分布を有する。
【0054】
図6Cは、
図6Aの垂直角度分布最小化システム300の側面
図312を示す。VDS装置224のスリット214は四重極レンズ302がVDSスリットでイオンビーム112を垂直に集束させるとき、平行化光学系202の垂直前方焦点314に位置付けられる(例えば、矢印229として示される)。一実施例として、VDS装置224は、1つまたは複数の制御装置または他の制御機構と同様に、スリット214が画定されたプレート318に動作可能に結合された1つ以上のリニアアクチュエータ、回転アクチュエータ、ギア、リンク機構、および/または他の機構を備える移動装置316を備えることができることを理解されたい。これにより、VDS装置は、スリット214を垂直前方焦点314および走査頂点154に選択的に位置決めする。したがって、平行化光学系202から出射する最終イオンビーム213は有利には垂直方向に平行であり、一方、上述のように、垂直方向に最小の角度分布も有する。VDS装置224は、必要に応じて、イオンビーム112の経路からさらに除去されてもよい。
【0055】
したがって、本開示は従来の反復試行錯誤プロセスに勝る利点を提供し、したがって、リアルタイムでイオン注入システムのより迅速かつ容易な調整を迅速に達成する。
【0056】
本発明は1つまたは複数の実施形態に関して図示および説明されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、図示の実施例に対して変更および改変のうちの少なくとも一方を行うことができる。特に、上記の構成要素または構造(ブロック、ユニット、エンジン、アセンブリ、装置、回路、システムなど)によって実行される様々な機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は別段の指示がない限り、本発明の本明細書に例示される例示的な実施において機能を実行する開示される構造と構造的に等価ではないが、説明される構成要素の指定された機能(たとえば、機能的に等価である)を実行する任意の構成要素または構造に対応することが意図される。
【0057】
加えて、本発明の特定の特徴はいくつかの実装形態のうちの1つのみに関して開示されている場合があるが、そのような特徴は任意の所与のまたは特定の用途に対して所望され、かつ有利であり得るように、他の実装形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わされてもよい。「例示的」という語は本明細書で使用される場合、最良または上位とは対照的に、実施例を意味することを意図する。さらに、用語「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、またはその類が詳細な説明および特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される限り、そのような用語は、用語「含む(comprising)」と同等である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】本開示の一態様に係るイオン注入システムの一例を示す。
【
図2】本開示の一態様に係る有限ビーム角分布を示す模式図である。
【
図3】本開示の一態様に係る注入角度を示す走査イオンビームの模式図である。
【
図4】本開示の一態様に係る水平発散のためのスリットを組み込んだ注入角度を示す走査イオンビームの模式図である。
【
図5】本開示の一態様に係る垂直発散スリットを示す走査イオンビームの模式図である。
【
図6A】本開示の一態様に係る注入角度を制御するための垂直発散スリット装置の一例の簡略化された斜視図である。
【
図6B】本開示の別の一態様に係る垂直発散スリット装置の一例の上面図である。
【
図6C】本開示のさらに別の一態様に係る、
図6Bの垂直発散スリット装置の側面図である。
【国際調査報告】