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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】滅菌チューブ連結装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/02 20060101AFI20230713BHJP
【FI】
B29C65/02
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022553659
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 SG2021050138
(87)【国際公開番号】W WO2021188049
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】10202002436X
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514294186
【氏名又は名称】レーサー・テクノロジー・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】コー, キー ジュー, ウィリー
(72)【発明者】
【氏名】リー, チア タ
(72)【発明者】
【氏名】ゴー, プアイ ヒアン
(72)【発明者】
【氏名】フー, ビャオ ジン ライアン
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AG08
4F211AK07
4F211AP06
4F211AR06
4F211AR07
4F211TA01
4F211TC11
4F211TD07
4F211TJ14
4F211TJ15
4F211TN02
(57)【要約】
第1チューブを第2チューブと接合する滅菌チューブ連結装置であって、長手方向に前後移動可能な第1チューブクランプと、第1チューブクランプから離間し、短手方向に左右移動可能な第2チューブクランプであって、第1および第2チューブクランプが、第1および第2チューブの中心長手方向軸線が平行になるように、第1および第2チューブを同時にクランプするように設けられる、第2チューブクランプと、加熱要素と、切断ウェハをキャリッジに支持して移動させるキャリッジであって、長手方向に前後移動可能であり、垂直方向に上下移動可能であるキャリッジと、モータによって回転されるリードスクリューであって、キャリッジに連結されたリードスクリューナットを有し、リードスクリューの回転によってキャリッジの移動が促される、リードスクリューと、モータの回転を制御してキャリッジの移動を促す電気制御回路基板と、を備える滅菌チューブ連結装置。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチューブを第2のチューブと接合するための滅菌チューブ連結装置であって、前記装置が、
前方および後方に、長手方向に移動可能な第1のチューブクランプと、
前記第1のチューブクランプから離間しており、かつ前記第1のチューブクランプの前方および後方への移動に垂直である左方および右方に、短手方向に移動可能な、第2のチューブクランプであって、前記第1のチューブクランプおよび前記第2のチューブクランプが、前記第1のチューブの中心長手方向軸線が前記第2のチューブの中心長手方向軸線と平行になるように、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを同時にクランプするように設けられている、第2のチューブクランプと、
加熱要素と、
キャリッジであって、前記キャリッジが、切断ウェハを前記キャリッジ上に支持して移動させるためのものであり、前記キャリッジが、前方および後方に、長手方向に移動可能であり、かつ上方および下方に、垂直方向に移動可能である、キャリッジと、
モータによって回転されるリードスクリューであって、前記リードスクリューが、前記キャリッジに固定的に連結されたリードスクリューナットを有し、前記リードスクリューの回転によって前記キャリッジの移動が促される、リードスクリューと、
を備え、
前記キャリッジが、前記ウェハを前記キャリッジ上に支持しているときに前記ウェハを前記加熱要素と接触させて、前記ウェハを所定の温度まで加熱するために移動可能であり、
前記ウェハの加熱後の前記キャリッジの前方および上方への移動により、前記ウェハを前記加熱要素から遠ざけ、前記第1のチューブクランプと前記第2のチューブクランプとの間で前記ウェハを前記第1のチューブおよび前記第2のチューブに通過させ、それによって前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを切断し、
前記第1のチューブおよび前記第2のチューブが切断された後に前記キャリッジが前方に移動するときに、前記第1のチューブクランプが前記キャリッジとともに前方に移動するように、前記キャリッジが、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブが切断された後に、前記第1のチューブクランプに自動的かつ機械的に連結され、前記第1のチューブクランプが前方に移動したとき、前記第1のチューブクランプによってクランプされた前記第1のチューブの保持された部分が、前記第2のチューブクランプによってクランプされた前記第2のチューブの保持された部分と軸線方向において位置合わせされ、
前記第1のチューブの前記保持された部分が前記第2のチューブの保持された部分と軸線方向において位置合わせされ、かつ前記ウェハが前記第1のチューブおよび前記第2のチューブとの接触から離された後に、前記キャリッジが前方に移動するときに、前記装置が、前記第2のチューブクランプを前記第1のチューブクランプに向かって短手方向に自動的かつ機械的に変位させ、それにより、前記第1のチューブの前記保持された部分および前記第2のチューブの前記保持された部分の溶融された切断端部を一緒にして、前記溶融された切断端部間に溶接部を形成し、前記第1のチューブの前記保持された部分および前記第2のチューブの前記保持された部分から単一の長さのチューブを形成するようにさらに構成されており、
前記装置が、
前記モータの回転を制御して前記キャリッジの移動を促すようにプログラムされた電気制御回路基板を備える、
滅菌チューブ連結装置。
【請求項2】
前記キャリッジが、上部キャリッジアセンブリおよび下部キャリッジアセンブリを備え、前記上部キャリッジアセンブリが、前記下部キャリッジアセンブリと垂直方向に向けて摺動係合しており、前記上部および下部キャリッジアセンブリの両方が、前方および後方に一緒に移動可能であり、前記上部キャリッジアセンブリのみが、上方および下方に移動可能である、請求項1に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項3】
前記装置が、前記キャリッジの走行経路の両側に1つずつ設けられた、直立した第1および第2のカムプレートをさらに備え、前記第1および第2のカムプレートが各々、前記走行経路に面するカムトラックを有し、前記上部キャリッジアセンブリが、前記第1および第2のカムプレートの前記カムトラックにそれぞれ回転可能に係合するように構成された第1および第2の上部キャリッジカムフォロワを有し、前記上部キャリッジアセンブリの長手方向および垂直方向の移動が、前記カムトラックの輪郭によってガイドされる、請求項2に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項4】
前記上部キャリッジアセンブリが、上部キャリッジブロックと、長手方向に方向付けされたウェハ支持スロットであって、前記上部キャリッジブロック上に設けられており、かつ前記ウェハを前記ウェハ支持スロット内に支持するための、ウェハ支持スロットと、前記ウェハ支持スロットの横に設けられており、前記ウェハ支持スロット内の前記ウェハの移動および位置決めをガイドする、ウェハガイドピンと、前記ウェハを前記ウェハ支持スロット内に固定し、かつ前記ウェハの後方への移動を防止するために設けられた、ウェハラッチと、を備える、請求項2または3に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項5】
前記第1のチューブクランプが、前方および後方に、長手方向に移動可能な変位機構アセンブリの上部に固定的に設けられており、前記装置が、前記第1のチューブクランプの長手方向の変位を、前記変位機構アセンブリをロックして防止し、ロック解除して可能にする、変位ロック機構をさらに備える、請求項2~4のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項6】
前記変位ロック機構が、垂直方向に移動可能かつ長手方向に移動不可能な変位ロックカムガイドと、自由上端および前記変位ロックカムガイドに固定的に取り付けられた下端を有する変位ロックピンと、前記変位ロックカムガイドおよび前記変位ロックピンを上方に付勢する変位ロックばねと、前方ピンスロットおよび後方ピンスロットであって、両方とも前記変位機構アセンブリ上に設けられており、異なる時間に前記変位ロックピンの前記自由上端に別々に係合して前記第1のチューブクランプの長手方向の変位を防止する、前方ピンスロットおよび後方ピンスロットと、を備え、前記装置が、前記下部キャリッジアセンブリ上に設けられており、かつ前記変位機構アセンブリをロックするために前記ロックカムガイドと係合する、ピンをさらに備える、請求項5に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項7】
前記カムトラックが各々、前記キャリッジを加熱エリアに移動させるための前記上部キャリッジアセンブリの水平移動のための第1の水平ベクトルを含む、請求項6に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項8】
前記カムトラックが各々、前記前方の方向に上方に傾斜した第1の傾斜ランプを備え、前記上部キャリッジカムフォロワが前記第1の傾斜ランプと係合し、かつ前記キャリッジが前方に移動されるとき、前記上部キャリッジアセンブリが、前記上部キャリッジアセンブリ上に支持された前記ウェハが前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを通って切断するために前記第1の傾斜ランプに沿って前方かつ上方に移動し、一方、前記変位機構アセンブリが、前記変位ロック機構によってロックされて、前記ウェハが前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを切断する間における前記第1のチューブクランプの長手方向の変位を防止する、請求項5~7のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項9】
変位キャッチおよび変位ノッチをさらに備え、前記変位キャッチが、前記上部キャリッジアセンブリおよび前記変位機構アセンブリのうちの一方の上に設けられており、前記変位ノッチが、前記上部キャリッジアセンブリおよび前記変位機構のうちの他方の上に設けられており、前記第1および第2のチューブが切断され、かつ前記変位ロック機構が前記変位機構アセンブリをロック解除して前記第1のチューブクランプの長手方向の移動を可能にした後に、前記変位キャッチが、前記変位ノッチと自動的に係合し、前記変位キャッチと前記変位ノッチとの係合により、前記上部キャリッジアセンブリが前記第1のチューブクランプに機械的に連結されて、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブが切断された後に前記第1のチューブの前記保持された部分を前記第2のチューブの前記保持された部分と軸線方向において位置合わせするように前記キャリッジが前方に移動するときに、前記第1のチューブクランプが前方に移動される、請求項5~8のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項10】
前記カムトラックが各々、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブが切断された後の前記キャリッジアセンブリの前方への移動のための第2の水平ベクトルを含む、請求項9に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項11】
前記カムトラックが各々、前記前方の方向に下方に傾斜した第2の傾斜ランプを備え、前記上部キャリッジカムフォロワが前記第2の傾斜ランプと係合し、かつ前記キャリッジが前方に移動されるときに、前記上部キャリッジアセンブリが前方および下方に移動して、前記上部キャリッジアセンブリ上に支持された前記ウェハを前記切断された第1のチューブおよび前記切断された第2のチューブから離す、請求項3~10のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項12】
前記第2のチューブクランプが、前記第2のカムプレート上に固定的に設けられており、前記第2のカムプレートが、左方および右方に、短手方向に変位可能であり、かつ前記第2のカムプレートと移動不可能な溶接機構後方プレートとの間に設けられた溶接機構ばねによって前記第1のカムプレートに向かって付勢されており、前記第2のカムプレートが、前記キャリッジの前記走行経路に面する溶接カムガイドを備え、前記下部キャリッジアセンブリが、前記溶接カムガイドに回転可能に係合する下部キャリッジカムフォロワを備え、前記溶接カムガイドが、段部を有し、前記下部キャリッジカムフォロワが前記段部を越えて走行するときに、前記溶接機構ばねが前記第2のカムプレートを前記第1のカムプレートに向けて変位させ、それによって前記第2のチューブクランプを前記第1のチューブクランプに向けて変位させて、前記第1のチューブの前記保持された部分および前記第2のチューブの前記保持された部分の溶融された切断端部を結びつけるように、前記段部が、短手方向外側に延在する、請求項3~11のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項13】
前記キャリッジが前記加熱エリアから装填エリアに後方に移動するときに前記ウェハを前記キャリッジ上に装填するように構成された装填機構をさらに備え、前記装填機構が、装填下部ラックであって、前記キャリッジが前記装填下部ラックの前方端部に接触しているときに前記キャリッジの後方への移動によって前方位置から後方位置に後方に移動可能な装填下部ラックと、前記装填下部ラックと係合している装填ピニオンギヤと、装填上部ラックであって、前記装填上部ラックが前記装填下部ラックの移動とは反対方向に移動するように前記ピニオンギヤと係合している、装填上部ラックと、前記装填上部ラックに固定的に取り付けられており、前記キャリッジが装填位置まで後方に移動するときに、前記装填下部ラックが後方に移動する結果として、前記装填上部ラックが前方に移動するときに、ウェハカートリッジから前記キャリッジ上にウェハを前方に押し出す、装填ブロックと、を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項14】
前記装填機構が、前記装填下部ラックの前記前方端部に設けられた装填下部ラックプランジャヘッドと前記装填下部ラックを支持する装填機構ハウジングとの間で前記装填下部ラックの周囲に設けられた装填下部ラックばねをさらに備え、前記装填下部ラックばねが、前記キャリッジが前記装填位置から離れるように前方に移動するときに前記装填下部ラックを前記後方位置から前記前方位置に戻す、請求項13に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項15】
前記キャリッジから前記ウェハを外すように構成された取出し機構をさらに備え、前記取出し機構が、取出し下部ラックであって、前記キャリッジが前記取出し下部ラックの後方端部に接触しているときに、前記キャリッジの前方への移動によって後方位置から前方位置に前方に移動可能な取出し下部ラックと、前記取出し下部ラックと係合している取出しピニオンギヤと、取出し上部ラックであって、前記取出し上部ラックが前記取出し下部ラックの移動とは反対方向に移動するように、前記ピニオンギヤと係合している取出し上部ラックと、前記取出し上部ラックに固定的に取り付けられた取出しリンク機構と、前記取出しリンク機構に移動可能に連結されており、かつ前記取出しリンク機構に対して左方および右方に、短手方向に変位可能な取出しキャッチと、を備え、前記取出しキャッチが、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブが切断された後に前記キャリッジが取出し位置まで前方に移動するときに前記取出し下部ラックが前方に移動する結果として、前記取出し上部ラックが後方に移動するときに、前記キャリッジ上に支持された使用済みウェハの後縁と係合し、前記キャリッジが前記取出し位置から離れるように後方に移動し、かつ前記取出し下部ラックの前記後方端部に設けられた取出し下部ラックプランジャヘッドと前記装置の直立前方プレートとの間に設けられた取出しばねによって前記取出し下部ラックが前記後方位置に戻されるときに、前記取出しキャッチによって前記ウェハが前記キャリッジから前方に引き出される、請求項1~14のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項16】
前記装置が、前記加熱エリア、前記装填エリア、および取出しエリアへの前記キャリッジの到着をそれぞれ自動的に検出するために、前記加熱エリアに設けられた加熱位置センサ、前記装填エリアに設けられた装填位置センサ、および前記取出しエリアに設けられた取出し位置センサとインターフェースするために前記キャリッジ上に設けられた位置決めピンをさらに備える、請求項13または14に従属する場合の請求項15に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項17】
前記装置の使用の1つのサイクルにおいて、前記電気制御回路基板が、前記モータの回転を制御して、前記キャリッジを、加熱位置から前記装填位置に後方に移動させて前記ウェハを前記キャリッジ上に装填し、前記装填位置から前記加熱位置に前方に移動させて前記ウェハを加熱し、前記加熱位置から前記取出し位置に前方に移動させて前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを切断して接合し、前記取出し位置から前記加熱位置に後方に移動させて前記ウェハを前記キャリッジから離すようにプログラムされている、請求項16に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の前記滅菌チューブ連結装置とともに使用するための切断ウェハであって、前記切断ウェハが、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを通って切断するために前記所定の温度に加熱されるように設けられた金属材料の単一層のウェハ作用エリアと、前記加熱要素から熱を受け取って、前記ウェハ作用エリアに熱を供給するために設けられた金属材料の複数層を備えるウェハ加熱エリアと、を備える、切断ウェハ。
【請求項19】
前記ウェハ加熱エリアが、前記ウェハ作用エリアの前記金属材料の2つの層を備え、前記金属材料の前記2つの層が、折り目によって連結されている、請求項18に記載の切断ウェハ。
【請求項20】
前記ウェハを前記ウェハ支持スロット内に固定し、かつ前記ウェハの後方への移動を防止するための、前記ウェハラッチによる係合のためのウェハラッチスロットをさらに備える、請求項4に従属する場合の請求項18または19に記載の切断ウェハ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの長さの滅菌チューブを接合するための滅菌チューブ連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
滅菌チューブ連結装置を使用して、2つの長さの滅菌チューブを互いに接合して単一の長さの滅菌チューブを形成する。これは、まず、適切な温度に加熱された切断ウェハで2つのチューブを切断し、それにより、両方のチューブの溶融された切断端部を互いに接触させて、切断されたチューブを単一の長さのチューブとして接合する溶接部を形成することができることを伴う。両方のチューブを同時に切断しなければならないため、または温度および溶融状態の差により、溶接が弱いもしくは不均一となり、切断中に連結が失敗するため、ウェハは両方のチューブを第1の方向に同時に横切って切断する必要がある。切断後、両方のチューブの保持された部分の中心長手方向軸線を軸線方向において位置合わせするために、チューブのうちの一方の保持された部分を他方のチューブの保持された部分に対して第2の方向に移動させなければならない。両方のチューブの保持された部分が軸線方向において位置合わせされたとき、保持された部分の切断面は、次に、両方のチューブの溶融された切断端部を互いに接触させて溶接部を形成するために、第1の方向および第2の方向の両方に対して垂直な第3の方向に互いに向けられなければならない。切断、位置合わせ、および接触/溶接プロセス全体を自動化するために必要な機構は、ウェハおよびチューブの動きについての様々な異なる方向を伴い、通常、いくつかの同期モータを使用して達成される。したがって、既存の滅菌チューブ連結装置は、通常、大きくかさばり、現場に携帯して使用するために簡単に移動させることはできない。
【0003】
熱可塑性チューブは非常に熱に敏感であるため、ウェハの温度制御もまたチューブの切断および溶接において重要である。温度がわずかにずれると、チューブ連結が弱くなりすぎるか、または溶接面が利用できなくなることとなり、連結が失敗する。熱可塑性チューブとウェハを加熱するために使用される加熱要素との間の距離もまた要因であり、これは、チューブと加熱要素とが互いに近すぎるように配置されると、加熱要素からの熱の放射がチューブに影響を及ぼす可能性があり、一方、加熱要素とチューブとが遠すぎるように配置されると、加熱要素とチューブとの間を熱が伝わる際にウェハから熱が失われ得るためである。したがって、機械的遷移の遅延および使用中のチューブ連結装置の周囲温度の変動のために温度制御を達成することは困難であり、一貫性のない熱損失をもたらす。
【0004】
したがって、切断されたチューブの良好な溶接を達成するために熱損失を最小限に抑えながら、コンパクトで携帯可能な滅菌チューブ連結装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様によれば、第1のチューブを第2のチューブと接合するための滅菌チューブ連結装置であって、装置が、
前方および後方に、長手方向に移動可能な第1のチューブクランプと、
第1のチューブクランプから離間しており、かつ第1のチューブクランプの前方および後方への移動に垂直である左方および右方に、短手方向に移動可能な、第2のチューブクランプであって、第1のチューブクランプおよび第2のチューブクランプが、第1のチューブの中心長手方向軸線が第2のチューブの中心長手方向軸線と平行になるように、第1のチューブおよび第2のチューブを同時にクランプするように設けられている、第2のチューブクランプと、
加熱要素と、
キャリッジであって、キャリッジが、切断ウェハをキャリッジ上に支持して移動させるためのものであり、キャリッジが、前方および後方に、長手方向に移動可能であり、かつ上方および下方に、垂直方向に移動可能である、キャリッジと、
モータによって回転されるリードスクリューであって、リードスクリューが、キャリッジに固定的に連結されたリードスクリューナットを有し、リードスクリューの回転によってキャリッジの移動が促される、リードスクリューと、
を備え、
キャリッジが、ウェハをキャリッジ上に支持しているときにウェハを加熱要素と接触させて、ウェハを所定の温度まで加熱するために移動可能であり、ウェハの加熱後のキャリッジの前方および上方への移動により、ウェハを加熱要素から遠ざけ、第1のチューブクランプと第2のチューブクランプとの間でウェハを第1のチューブおよび第2のチューブに通過させ、それによって第1のチューブおよび第2のチューブを切断し、
第1のチューブおよび第2のチューブが切断された後にキャリッジが前方に移動するときに、第1のチューブクランプがキャリッジとともに前方に移動するように、キャリッジが、第1のチューブおよび第2のチューブが切断された後に、第1のチューブクランプに自動的かつ機械的に連結され、第1のチューブクランプが前方に移動したとき、第1のチューブクランプによってクランプされた第1のチューブの保持された部分が、第2のチューブクランプによってクランプされた第2のチューブの保持された部分と軸線方向において位置合わせされ、
第1のチューブの保持された部分が第2のチューブの保持された部分と軸線方向において位置合わせされ、かつウェハが第1のチューブおよび第2のチューブとの接触から離された後に、キャリッジが前方に移動するときに、装置が、第2のチューブクランプを第1のチューブクランプに向かって短手方向に自動的かつ機械的に変位させ、それにより、第1のチューブの保持された部分および第2のチューブの保持された部分の溶融された切断端部を一緒にして、溶融された切断端部間に溶接部を形成し、第1のチューブの保持された部分および第2のチューブの保持された部分から単一の長さのチューブを形成するようにさらに構成されており、
装置が、
モータの回転を制御してキャリッジの移動を促すようにプログラムされた電気制御回路基板を備える、
滅菌チューブ連結装置が提供される。
【0006】
キャリッジが、上部キャリッジアセンブリおよび下部キャリッジアセンブリを備えてもよく、上部キャリッジアセンブリが、下部キャリッジアセンブリと垂直方向に向けて摺動係合しており、上部および下部キャリッジアセンブリの両方が、前方および後方に一緒に移動可能であり、上部キャリッジアセンブリのみが、上方および下方に移動可能である。
【0007】
装置が、キャリッジの走行経路の両側に1つずつ設けられた、直立した第1および第2のカムプレートをさらに備えてもよく、第1および第2のカムプレートが各々、走行経路に面するカムトラックを有し、上部キャリッジアセンブリが、第1および第2のカムプレートのカムトラックにそれぞれ回転可能に係合するように構成された第1および第2の上部キャリッジカムフォロワを有し、上部キャリッジアセンブリの長手方向および垂直方向の移動が、カムトラックの輪郭によってガイドされる。
【0008】
上部キャリッジアセンブリが、上部キャリッジブロックと、長手方向に方向付けされたウェハ支持スロットであって、上部キャリッジブロック上に設けられており、かつウェハをウェハ支持スロット内に支持するための、ウェハ支持スロットと、ウェハ支持スロットの横に設けられており、ウェハ支持スロット内のウェハの移動および位置決めをガイドする、ウェハガイドピンと、ウェハをウェハ支持スロット内に固定し、かつウェハの後方への移動を防止するために設けられた、ウェハラッチと、を備えてもよい。
【0009】
第1のチューブクランプが、前方および後方に、長手方向に移動可能な変位機構アセンブリの上部に固定的に設けられてもよく、装置が、第1のチューブクランプの長手方向の変位を、変位機構アセンブリをロックして防止し、ロック解除して可能にする、変位ロック機構をさらに備えてもよい。
【0010】
変位ロック機構が、垂直方向に移動可能かつ長手方向に移動不可能な変位ロックカムガイドと、自由上端および変位ロックカムガイドに固定的に取り付けられた下端を有する変位ロックピンと、変位ロックカムガイドおよび変位ロックピンを上方に付勢する変位ロックばねと、前方ピンスロットおよび後方ピンスロットであって、両方とも変位機構アセンブリ上に設けられており、異なる時間に変位ロックピンの自由上端に別々に係合して第1のチューブクランプの長手方向の変位を防止する、前方ピンスロットおよび後方ピンスロットと、を備えてもよく、装置が、下部キャリッジアセンブリ上に設けられており、かつ変位機構アセンブリをロックするためにロックカムガイドと係合する、ピンをさらに備える。
【0011】
カムトラックが各々、キャリッジを加熱エリアに移動させるための上部キャリッジアセンブリの水平移動のための第1の水平ベクトルを含んでもよい。
【0012】
カムトラックが各々、前方の方向に上方に傾斜した第1の傾斜ランプを備えてもよく、上部キャリッジカムフォロワが第1の傾斜ランプと係合し、かつキャリッジが前方に移動されるとき、上部キャリッジアセンブリが、上部キャリッジアセンブリ上に支持されたウェハが第1のチューブおよび第2のチューブを通って切断するために第1の傾斜ランプに沿って前方かつ上方に移動し、一方、変位機構アセンブリが、変位ロック機構によってロックされて、ウェハが第1のチューブおよび第2のチューブを切断する間における第1のチューブクランプの長手方向の変位を防止する。
【0013】
滅菌チューブ連結装置が、変位キャッチおよび変位ノッチをさらに備えてもよく、変位キャッチが、上部キャリッジアセンブリおよび変位機構アセンブリのうちの一方の上に設けられており、変位ノッチが、上部キャリッジアセンブリおよび変位機構のうちの他方の上に設けられており、第1および第2のチューブが切断され、かつ変位ロック機構が変位機構アセンブリをロック解除して第1のチューブクランプの長手方向の移動を可能にした後に、変位キャッチが、変位ノッチと自動的に係合し、変位キャッチと変位ノッチとの係合により、上部キャリッジアセンブリが第1のチューブクランプに機械的に連結されて、第1のチューブおよび第2のチューブが切断された後に第1のチューブの保持された部分を第2のチューブの保持された部分と軸線方向において位置合わせするようにキャリッジが前方に移動するときに、第1のチューブクランプが前方に移動される。
【0014】
カムトラックが各々、第1のチューブおよび第2のチューブが切断された後のキャリッジアセンブリの前方への移動のための第2の水平ベクトルを含んでもよい。
【0015】
カムトラックが各々、前方の方向に下方に傾斜した第2の傾斜ランプを備えてもよく、上部キャリッジカムフォロワが第2の傾斜ランプと係合し、かつキャリッジが前方に移動されるときに、上部キャリッジアセンブリが前方および下方に移動して、上部キャリッジアセンブリ上に支持されたウェハを切断された第1のチューブおよび切断された第2のチューブから離す。
【0016】
第2のチューブクランプが、第2のカムプレート上に固定的に設けられてもよく、第2のカムプレートが、左方および右方に、短手方向に変位可能であり、かつ第2のカムプレートと移動不可能な溶接機構後方プレートとの間に設けられた溶接機構ばねによって第1のカムプレートに向かって付勢されており、第2のカムプレートが、キャリッジの走行経路に面する溶接カムガイドを備え、下部キャリッジアセンブリが、溶接カムガイドに回転可能に係合する下部キャリッジカムフォロワを備え、溶接カムガイドが、段部を有し、下部キャリッジカムフォロワが段部を越えて走行するときに、溶接機構ばねが第2のカムプレートを第1のカムプレートに向けて変位させ、それによって第2のチューブクランプを第1のチューブクランプに向けて変位させて、第1のチューブの保持された部分および第2のチューブの保持された部分の溶融された切断端部を結びつけるように、段部が、短手方向外側に延在する。
【0017】
滅菌チューブ連結装置が、キャリッジが加熱エリアから装填エリアに後方に移動するときにウェハをキャリッジ上に装填するように構成された装填機構をさらに備えてもよく、装填機構が、装填下部ラックであって、キャリッジが装填下部ラックの前方端部に接触しているときにキャリッジの後方への移動によって前方位置から後方位置に後方に移動可能な装填下部ラックと、装填下部ラックと係合している装填ピニオンギヤと、装填上部ラックであって、装填上部ラックが装填下部ラックの移動とは反対方向に移動するようにピニオンギヤと係合している、装填上部ラックと、装填上部ラックに固定的に取り付けられており、キャリッジが装填位置まで後方に移動するときに、装填下部ラックが後方に移動する結果として、装填上部ラックが前方に移動するときに、ウェハカートリッジからキャリッジ上にウェハを前方に押し出す、装填ブロックと、を備える。
【0018】
装填機構が、装填下部ラックの前方端部に設けられた装填下部ラックプランジャヘッドと装填下部ラックを支持する装填機構ハウジングとの間で装填下部ラックの周囲に設けられた装填下部ラックばねをさらに備えてもよく、装填下部ラックばねが、キャリッジが装填位置から離れるように前方に移動するときに装填下部ラックを後方位置から前方位置に戻す。
【0019】
滅菌チューブ連結装置が、キャリッジからウェハを離すように構成された取出し機構をさらに備えてもよく、取出し機構が、取出し下部ラックであって、キャリッジが取出し下部ラックの後方端部に接触しているときに、キャリッジの前方への移動によって後方位置から前方位置に前方に移動可能な取出し下部ラックと、取出し下部ラックと係合している取出しピニオンギヤと、取出し上部ラックであって、取出し上部ラックが取出し下部ラックの移動とは反対方向に移動するように、ピニオンギヤと係合している取出し上部ラックと、取出し上部ラックに固定的に取り付けられた取出しリンク機構と、取出しリンク機構に移動可能に連結されており、かつ取出しリンク機構に対して左方および右方に、短手方向に変位可能な取出しキャッチと、を備え、取出しキャッチが、第1のチューブおよび第2のチューブが切断された後にキャリッジが取出し位置まで前方に移動するときに取出し下部ラックが前方に移動する結果として、取出し上部ラックが後方に移動するときに、キャリッジ上に支持された使用済みウェハの後縁と係合し、キャリッジが取出し位置から離れるように後方に移動し、かつ取出し下部ラックの後方端部に設けられた取出し下部ラックプランジャヘッドと装置の直立前方プレートとの間に設けられた取出しばねによって取出し下部ラックが後方位置に戻されるときに、取出しキャッチによってウェハがキャリッジから前方に引き出される。
【0020】
滅菌チューブ連結装置が、加熱エリア、装填エリア、および取出しエリアへのキャリッジの到着をそれぞれ自動的に検出するために、加熱エリアに設けられた加熱位置センサ、装填エリアに設けられた装填位置センサ、および取出しエリアに設けられた取出し位置センサとインターフェースするためにキャリッジ上に設けられた位置決めピンをさらに備えてもよい。
【0021】
装置の使用の1つのサイクルにおいて、電気制御回路基板が、モータの回転を制御して、キャリッジを、加熱位置から装填位置に後方に移動させてウェハをキャリッジ上に装填し、装填位置から加熱位置に前方に移動させてウェハを加熱し、加熱位置から取出し位置に前方に移動させて第1のチューブおよび第2のチューブを切断して接合し、取出し位置から加熱位置に後方に移動させてウェハをキャリッジから離すようにプログラムされてもよい。
【0022】
第2の態様によれば、第1の態様の滅菌チューブ連結装置とともに使用するための切断ウェハであって、切断ウェハが、第1のチューブおよび第2のチューブを通って切断するために所定の温度に加熱されるように設けられた金属材料の単一層のウェハ作用エリアと、加熱要素から熱を受け取って、ウェハ作用エリアに熱を供給するために設けられた金属材料の複数層を備えるウェハ加熱エリアと、を備える、切断ウェハが提供される。
【0023】
ウェハ加熱エリアが、ウェハ作用エリアの金属材料の2つの層を備えてもよく、金属材料の2つの層が、折り目によって連結されている。
【0024】
ウェハをウェハ支持スロット内に固定し、かつウェハの後方への移動を防止するための、ウェハラッチによる係合のためのウェハラッチスロットをさらに備えてもよい。
【0025】
本発明が十分に理解され、容易に実践的に実施され得るために、ここでは、本発明の例示的な実施形態のみを非限定的な例として説明し、説明は添付の例示的な図面を参照して行う。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】例示的な滅菌チューブ連結装置の右側斜視図である。
図1B図1の装置の左側斜視図である。
図2A】左側の特徴のより詳細を示すために右側の特徴が隠された、図1Aの装置の右側斜視図である。
図2B】右側の特徴のより詳細を示すために左側の特徴が隠された、図1Aの装置の左側斜視図である。
図3A図1の装置のキャリッジの右側斜視図である。
図3B図3Aのキャリッジの右側斜視分解組立図である。
図4A図1Aの装置とともに使用するための切断ウェハの右側斜視図である。
図4B図4Aのウェハの右側立面図である。
図5A】キャリッジが装填位置まで後方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図5B】ウェハカートリッジからキャリッジ上にウェハを押し込む、装置の装填機構の拡大上面図である。
図5C】キャリッジが装填位置から加熱位置まで前方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図6A】キャリッジが加熱位置から切断および接合のために装置上にクランプされた2つのチューブ(図示せず)に向かって前方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図6B図6Aの位置における装置のキャリッジおよびウェハ、左チューブクランプ、ならびに変位ロック機構の位置の拡大右側立面図である。
図6C図6Aの位置における装置のキャリッジ、2つのチューブ、左チューブクランプ、右チューブクランプ、変位機構アセンブリ、および溶接機構アセンブリの位置の拡大上面図である。
図7A】ウェハが装置上にクランプされた2つのチューブ(図示せず)を切断するために、キャリッジが前方および上方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図7B図7Aの位置における装置のキャリッジおよびウェハ、左チューブクランプ、ならびに変位ロック機構の位置の拡大右側立面図である。
図7C図7Aの位置における装置のキャリッジ、2つのチューブ、左チューブクランプ、右チューブクランプ、変位機構アセンブリ、および溶接機構アセンブリの位置の拡大上面図である。
図8A】装置上にクランプされた2つのチューブ(図示せず)がウェハによって切断された直後にキャリッジが前方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図8B図8Aの位置における装置のキャリッジおよびウェハ、左チューブクランプ、ならびに変位ロック機構の位置の拡大右側立面図である。
図8C図8Aの位置における装置のキャリッジ、2つのチューブ、左チューブクランプ、右チューブクランプ、変位機構アセンブリ、および溶接機構アセンブリの位置の拡大上面図である。
図9A】ウェハが依然として2つの切断されたチューブと接触している間にキャリッジが前方および下方に移動されるときの、装置のキャリッジ、2つのチューブ、左チューブクランプ、右チューブクランプ、変位機構アセンブリ、および溶接機構アセンブリの位置の拡大上面図である。
図9B】装置上にクランプされた2つのチューブ(図示せず)がウェハによって切断され、ウェハがもはや2つの切断されたチューブと接触しなくなった後、キャリッジが前方および下方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図9C図9Bの位置における装置のキャリッジおよびウェハ、左チューブクランプ、ならびに変位ロック機構の位置の拡大右側立面図である。
図10A】キャリッジが取出し位置まで前方に移動した場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図10B】キャリッジが図10Aの位置まで前方に移動したときにウェハと係合する取出し機構の拡大上面図である。
図10C】取出し機構によってキャリッジからウェハが取り出された後に、キャリッジが取出し位置から加熱位置に向かって後方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
滅菌チューブ連結装置10および滅菌チューブ連結の方法900の例示的な実施形態を、図1A図10Cを参照して以下に説明する。同じまたは類似の部分を示すために、同じ参照番号が複数の図にわたって使用される。
【0028】
図1A図2Bに示すように、一般に、滅菌チューブ連結装置10は、少なくとも電気制御回路基板17と、キャリッジ30であって、切断ブレードまたはウェハ95をキャリッジ30上に支持するためのキャリッジ30と、第1のチューブクランプ421と、第2のチューブクランプ521と、キャリッジ30に固定的に連結されたリードスクリュー26と、リードスクリュー26を駆動するためのモータ27と、ウェハ95を加熱するための加熱要素611と、を備える。装置10はまた、装填機構70、取出し機構80、およびカートリッジアセンブリ90(または、ウェハカートリッジ90)を損なってもよい。ウェハカートリッジ90は、装置10で使用するための、図4Aに示すようなウェハ95の複数を収容するように設計されている。例示的な実施形態では、第1および第2のチューブクランプ421、521は、それぞれ左右のチューブクランプ421、521として設けられており、以下の説明ではそのようなものとして参照されるが、他の実施形態では、本発明の趣旨から逸脱することなく左右を交換してもよい。
【0029】
装置10は、キャリッジ30の走行経路の両側にそれぞれ1つずつ設けられた、直立した第1のカムプレート41(図2A)および直立した第2のカムプレート51(図2B)をさらに備えてもよい。例示的な実施形態では、第1および第2のカムプレート41、51は、それぞれ左右のカムプレート41、51として設けられており、以下の説明ではそのように言及されるが、他の実施形態では、本発明の趣旨から逸脱することなく左右を交換してもよい。左右のカムプレート41、51は各々、走行経路に面するカムトラック411、511を有する。キャリッジ30は、ウェハ95を加熱するために加熱エリアに移動させ、左チューブクランプ421および右チューブクランプ21によって装置10上にクランプされた2つのチューブ131、132を通してウェハを移動させて、左チューブクランプ421と右チューブクランプ21との間の両方のチューブ131、132を同時に切断するために、切断ウェハ95を前方11および後方12の長手方向に(図1Aに示すように)、さらに上方101および下方102の垂直(上下)方向(図1Aに示すように)に支持および移動させるように、かつ図5B図5C図6A図7A図8A図9A図10B、および図10Cに見られるように、キャリッジ30を開始位置に戻すように構成されている。キャリッジ30は、前方11および後方12の長手方向に移動可能であり、キャリッジ30の少なくとも一部はまた、以下でさらに説明するように、左右のカムプレート41、51によってガイドされるように、上方101および下方102の垂直方向に移動可能である。キャリッジ30の移動は、モータ27によって回転されるリードスクリュー26によって促される。
【0030】
装置10および装置10の構成要素、例えば、変位機構アセンブリ42であって、左チューブクランプ421が変位機構アセンブリ42上に設けられた変位機構アセンブリ42、溶接機構アセンブリ52であって、右チューブクランプ521が溶接機構アセンブリ52上に設けられた溶接機構アセンブリ52、左チューブクランプ421、右チューブクランプ521、キャリッジ30、左カムプレート41、右カムプレート51、リードスクリュー27、装填機構70、および取出し機構80は、アルミニウムおよび/または鋼等の1つ以上の金属材料で作製されてもよい。ウェハカートリッジ90のカートリッジケース91は、好ましくは透明または半透明であるポリカーボネート等のプラスチック材料で作製されてもよい。
【0031】
切断前および切断中に、両方のチューブ131、132は、図6Cおよび図7Cに見ることができるように、左チューブクランプ421および右チューブクランプ421によって同時に所定の位置にクランプされる。左チューブクランプ421および右チューブクランプ521は、ウェハ95の移動経路の左右側部にそれぞれ設けられており、互いに短手方向に離間している。両方のチューブ131、132は、両方のチューブ131、132の中心長手方向軸線が互いに平行になるように、左チューブクランプ421および右チューブクランプ521によってクランプされる。例示的な実施形態では、装置10上にクランプされたときの2つのチューブ131、132の中心長手方向軸線は、長手方向11、12に対して垂直であり、すなわち、ウェハ95の移動経路を横切っている。このようにして、チューブ131、132を静止状態に保ちながら、左チューブクランプ421と右チューブクランプ521との間のウェハ95の前方11および上方101への移動の結果として、両方のチューブ131、132を左チューブクランプ421と右チューブクランプ521との間で同時に切断することができる。ウェハ切断動作の詳細については後述する。
【0032】
図1Bでより明確に見ることができるように、左チューブクランプ421は、変位機構アセンブリ42の上部に設けられている。変位機構アセンブリ42は、両方のチューブ131、132がウェハ95によって切断された後に左チューブクランプ421を前方11に、長手方向に変位または移動させ、左チューブクランプ421を後方12に、開始位置に戻すために、前方11および後方12の方向に長手方向に変位可能である。変位機構アセンブリ42は、装置10の不動の左直立壁40(図1B)に対する長手方向の移動11、12を可能にする直線ガイドレール(図示せず)によって連結されてもよい。両方のチューブ131、132が加熱されたウェハ95によって同時に切断された後、第1のチューブ131の保持された部分134は左チューブクランプ421によってクランプされたままであり、一方、第2のチューブ132の保持された部分135は右チューブクランプ521によってクランプされたままである。左チューブクランプ421を前方11に移動させることによって、図8Cに示すように、第1および第2のチューブ131、132の両方の保持された部分134、135の中心長手方向軸線が軸線方向において位置合わせされることができる。変位機構アセンブリ42は、変位機構クランプ装着プレート422をさらに備えてもよく、左チューブクランプ421は変位機構クランプ装着プレート422上に固定的に装着されている。変位機構アセンブリ42は、左カムプレート41に対して長手方向に移動可能である。以下、変位機構クランプ装着プレート422の付加的な特徴についてさらに説明する。
【0033】
右チューブクランプ521は、溶接機構アセンブリ52の上部に設けられている。溶接機構アセンブリ52は、図1Aに示すように、左方13および右方14方向(すなわち、前方11および後方12の方向に対して垂直である)に、短手方向に変位可能である。保持された部分134、135が軸線方向において位置合わせされ、ウェハ95が保持された部分134、135との接触から離れた後、右チューブクランプ521は、左チューブクランプ421に向かって短手方向左方13に移動される。右方14の短手方向移動により、右チューブクランプ521が開始位置に戻る。図9Cに示すように、右チューブクランプ521を左チューブクランプ421に向かって左方13に移動させることにより、軸線方向において位置合わせされた保持された部分134、135の溶融された切断面が互いに接触され、単一の接合されたチューブ137を形成するために所定の時間にわたって所定の位置に保持されて、2つの保持された部分134、135の溶接が行われる。溶接機構アセンブリ52は、溶接機構クランプ装着プレート522であって、右チューブクランプ521が溶接機構クランプ装着プレート上に固定的に装着された溶接機構クランプ装着プレート522と、溶接機構クランプ装着プレート522を右カムプレート51に固定的に連結するための溶接機構サイドプレート523と、をさらに備えてもよい。以下、溶接機構クランプ装着プレート522の付加的な特徴についてさらに説明する。
【0034】
例示的な実施形態では、キャリッジ30は、下部キャリッジアセンブリ32の上部に装着された上部キャリッジアセンブリ31を備える。上部キャリッジアセンブリ31に固定された上部キャリッジガイドシャフト319は、下部キャリッジアセンブリ32内に固定された対応する下部キャリッジ軸受ブッシング325と位置合わせされて、その中に摺動可能に挿入され(図3Aおよび図3B)、それによって、ガイドシャフト319がブッシング325内を移動するときに、上部キャリッジアセンブリ31が下部キャリッジアセンブリ32に対して上方101および下方102に移動することを可能にする。代替的な実施形態では、ガイドシャフトは、下部キャリッジアセンブリ31に固定されてもよく、一方、ガイドシャフトに係合する軸受ブッシングが上部キャリッジアセンブリ32内に固定されている。したがって、上部キャリッジアセンブリ31は、下部キャリッジアセンブリ32と垂直方向に向けて摺動係合しており、上部および下部キャリッジアセンブリ31、32の両方が前方11および後方12に一緒に移動可能であり、かつ上部キャリッジアセンブリ31のみが上方101および下方102に移動可能である。
【0035】
例示的な実施形態では、キャリッジ30を前方11および後方12に移動させる、リードスクリュー26およびモータ27は、直線ガイドキャリッジ24であって、下部キャリッジアセンブリ32が直線ガイドキャリッジ24上に固定された直線ガイドキャリッジ24と、直線ガイドレール25であって、直線ガイドキャリッジ24が直線ガイドレール25に沿って摺動可能に係合する直線ガイドレール25と、をさらに備える、ベース機構アセンブリ20の一部である。直線ガイドレール25は、装置10のベースプレート21に固定的に取り付けられている。リードスクリュー26は、リードスクリュー26の両端で、ベースプレート21の前端および後端にそれぞれ固定的に装着された直立前方プレート22および直立後方プレート23によって、ベースプレート21と平行に回転可能に支持されている。キャリッジ30は、前方プレート22と後方プレート23との間を走行する。リードスクリュー26のリードスクリューナット324が、下部キャリッジアセンブリ32の下部キャリッジブロック321内に設けられており(図3B)、かつ下部キャリッジブロック321によって回転が防止され、その結果、下部キャリッジアセンブリ32は、モータ27の回転によってリードスクリュー26が回転されるときに前方11および後方12に直線的に移動される。
【0036】
上部キャリッジアセンブリ31は、上部キャリッジアセンブリ31の左右側面上に第1および第2の上部キャリッジカムフォロワ318を備える(図3Aおよび図3B)。上部キャリッジカムフォロワ318は、上部キャリッジアセンブリ31に対して回転可能であるが、その他の点では、上部キャリッジアセンブリ31に対して移動可能ではない。例示的な実施形態では、上部キャリッジカムフォロワ318は、水平かつ短手方向の回転軸線を有するローラを備え、すなわち、回転軸線は、上述の左13および右14方向と平行であり、すなわち、長手方向の前方11および後方12の方向に対して垂直である。直立した左右のカムプレート41、51が、キャリッジ30の左右側部にそれぞれ設けられている。左右のカムプレート41、51は各々、左右のカムプレート41、51間を移動するキャリッジ30に対向する左右のカムプレート41、51の内面上にそれぞれカムトラック411、511を備える。カムトラック411、511は、好ましくは鏡のように互いに対称である。上部キャリッジカムフォロワ318は、上部カムトラック411、511の上方101に向いている面に回転可能に係合して、上部カムトラック411、511の輪郭に従って上部キャリッジアセンブリ31の移動をガイドする。したがって、上部キャリッジアセンブリ31はまた、左右のカムプレート41、51のカムトラック411、511上に載置された上部キャリッジカムフォロワ318によって支持されている。
【0037】
カムトラック411、511の輪郭は、図5A図6B図7B図8B、および図9Bにおいてより詳細に見ることができる。各カムトラック411、511は、好ましくは、上部キャリッジカムフォロワ18が回転可能に係合される左右のカムプレート41、51にそれぞれ作製された連続した溝である。図5Aに示すように、各カムトラック411、511は、上部キャリッジアセンブリ31の水平移動のための第1の水平ベクトルH1と、所定の高さに達するまで前方11の方向に上方101に傾斜している第1の傾斜ランプAR1であって、第1の傾斜ランプAR1が第1の水平ベクトルH1の前方11に設けられている、第1の傾斜ランプAR1と、所定の高さで所定の水平長さにわたって連続する第2の水平ベクトルH2であって、第2の水平ベクトルH2が第1の傾斜ランプの前方11に設けられている、第2の水平ベクトルH2と、第1の水平ベクトルH1と一致する高さのレベルに達するまで前方11の方向に下方102に傾斜している第2の傾斜ランプAR2であって、第2の傾斜ランプAR2が第2の水平ベクトルH2の前方11に設けられている、第2の傾斜ランプAR2と、第1の水平ベクトルH1の高さで水平に連続する第3の水平ベクトルH3であって、第3の水平ベクトルH3が第2の傾斜ランプAR2の前方11に設けられている、第3の水平ベクトルH3と、を含む。
【0038】
カムトラック411、511は、装置10の4つの区画、すなわち、装填エリア、加熱エリア、切断エリア、および取出しエリアを通過する。装填エリアは、ウェハ95が上部キャリッジアセンブリ31上に機械的に装填されるエリアである。加熱エリアは、(好ましくは、ベースプレート21に固定的に連結されたヒータ装着アセンブリ60中に設けられた)加熱要素611がウェハ95と接触して熱伝達することによって、ウェハ95を所定の加工温度まで加熱するエリアである。切断エリアは、ウェハ95が予め位置決めされた熱可塑性チューブ131、132を切断するエリアであり、その間でチューブ131、132は、左チューブクランプ421および右チューブクランプ521によって所定の位置にクランプされる。切断エリアはまた、第1および第2のチューブクランプ421、521が切断されたチューブ131、132の保持端部134、135を位置合わせし直して溶接するエリアである。取出しエリアは、切断後にウェハ95が装置10から機械的に外されるエリアである。
【0039】
例示的な実施形態では、装置10の使用前の開始位置において、キャリッジ30は、図1Bに示すように、装置10上に設けられた加熱位置センサ442と位置合わせされた加熱位置中の加熱エリアにある(図5Cは、加熱位置にあるがウェハ95がキャリッジ30上に装填された後のキャリッジ30を同様に示している)。例えば、開始ボタン15を押すことによって装置10が起動すると、モータ27が起動されて第1の回転方向に回転し、その結果、リードスクリュー26を第1の回転方向に回転させる。第1の回転方向へのリードスクリューの回転は、下部キャリッジアセンブリ32内のリードスクリューナット324をリードスクリュー26に沿って後方の方向12に直線的に並進させ、キャリッジ30を後方12の長手方向に引っ張る。したがって、キャリッジ30は、加熱位置センサ442から、装置10上に設けられた装填位置センサ441と位置合わせされた装填位置まで、後方の長手方向12に駆動される(図5B)。モータ27は、下部キャリッジアセンブリ32上に設けられた下部キャリッジ位置決めピン322が装填位置センサ441とインターフェースしたときに、回転を停止し、それによってキャリッジ30を装填位置で瞬間的に停止させるようにプログラムされている。例示的な実施形態では、位置決めピン322は光ブロッカピンを含んでもよく、加熱位置センサ442および装填位置センサ441等の様々な位置センサは光センサを含んでもよい。
【0040】
キャリッジ30が装填エリア内に後方12の方向に後退することにより、装填機構70を作動させるかまたはトリガして、ウェハカートリッジ90から上部キャリッジアセンブリ31上にウェハ95を装填する。装填機構70は、キャリッジ30の後方12への直線運動を、ウェハ95をウェハカートリッジ90から上部キャリッジアセンブリ31上に装填する装填機構70の前方11への(または他の方向への)動きに変換する、二次カムトラック、ラックアンドピニオン機構、または任意の他の適切な機構を備えてもよい。
【0041】
図1B図5A、および図5Cに見られるような例示的な実施形態では、装填機構70は、ベースプレート21に固定的に連結されており、かつ装填ピニオンギヤ72、装填上部ラックアセンブリ711、および装填下部ラックアセンブリ73を支持する、装填機構ハウジング71を備える。装填上部ラックアセンブリ711は、装填ピニオンギヤ72と係合し、かつ装填機構ハウジング71によって支持されている、装填上部ラック712を備える。装填上部ラックアセンブリ711はまた、装填上部ラック712に固定的に取り付けられた装填ブロック713を含む(図2B)。装填下部ラックアセンブリ73は、装填機構ハウジング71によって支持されており、さらに装填ピニオンギヤ72と係合している、装填下部ラック731を備える。装填下部ラックアセンブリ73は、装填下部ラック731の前方11端部に設けられており、かつキャリッジ30に対向する、装填下部ラックプランジャヘッド732と、装填下部ラックプランジャヘッド732と後方プレート23との間で装填下部ラック731の周囲に設けられた装填下部ラックばね733と、を含む。したがって、この実施形態では、装填機構70はラックアンドピニオン機構として構成されており、キャリッジ30が開始位置、すなわち加熱位置にあるときに、装填下部ラック731は、装填下部ラックばね733によってキャリッジ30に向かって前方位置に向かって付勢される。
【0042】
装置10が起動され、切断サイクルが開始されると、キャリッジ30が下部ラックプランジャヘッド732に接触し、キャリッジ30が加熱位置から装填位置に後方長手方向12に移動するときに、装填下部ラック731は、キャリッジ30によって前方位置から後方位置へ装填機構ハウジング71内に後方12に押し込まれる(図5A)。したがって、装填ピニオンギヤ72は、後方12に移動する下部ラック731によって回転運動するように駆動される。ピニオンギヤ72のこの回転運動は、次に、装填上部ラック712および取り付けられた装填ブロック713を反対方向、すなわち前方11に駆動して延ばす。装填ブロック713が前方11に移動し続けると、図5Bに示すように、装填ブロック713は、ウェハカートリッジ90内の最も前方のウェハ95の後縁97と接触し、ウェハ95をウェハカートリッジ90から前方11に押し出して摺動させ、ウェハ95を上部キャリッジアセンブリ31上に装填する。
【0043】
ウェハ95が装填ブロック713を介して上部キャリッジアセンブリ31上に装填されるとき、ウェハ95の下縁は、図3Aおよび図3Bに見られるように、上部キャリッジアセンブリ31の上部キャリッジブロック311上に設けられたウェハ支持スロット301内に摺動され、ウェハ支持スロット301内のウェハ95の移動および位置決めが上部キャリッジブロック311上のウェハガイドピン313の間でガイドされる。上部キャリッジブロック311上には、垂直な回転軸線を有するウェハラッチ枢動ねじ316を中心に回転可能なウェハラッチ315が設けられている。ウェハラッチ315は、ウェハ支持スロット301中に延びる先端を有する。ウェハ95がウェハ支持スロット301内に摺動するとき、ウェハ95の前縁96および側面がウェハラッチ315の先端と接触して、ウェハラッチ315をウェハラッチ枢動ねじ316を中心として変位および回転させる。ウェハラッチ315の先端は、上部キャリッジブロック31内に設けられたウェハラッチばね317によってウェハ支持スロット301に向かって付勢されているため(図3B)、ウェハラッチ315の先端は、ウェハがウェハ支持スロット301に沿って摺動するときに、ウェハラッチ315の先端がウェハ95中に設けられたウェハラッチスロット956を貫通して係合するまで、ウェハ95の側面に対して接触したままであり、その時点で、ウェハ95はキャリッジ30上に正確に装填されたと見なされ、ウェハ95の後方への移動はウェハラッチ315によって防止される。ウェハラッチスロット956は、ウェハ95の底縁に隣接するように位置決めされている。
【0044】
ウェハ95がキャリッジ30上に装填された後、次に、キャリッジ30は、モータ27が第2の回転方向に回転すると、リードスクリュー26によって加熱エリア内にウェハ95とともに前方長手方向11に駆動され、下部キャリッジ位置決めピン322が加熱位置センサ442とインターフェースしたときに、加熱位置で停止する。また、キャリッジ30のこの前方11運動により、装填下部ラックばね733が装填下部ラック731を前方位置に戻す際に、ウェハカートリッジ90から装填される次のウェハ95を準備するために装填機構70をリセットする。
【0045】
加熱位置において、ウェハ95は、図5Cに示すように、一対のヒータアセンブリ61の間に位置決めされる。加熱エリアにある一対のヒータアセンブリ61は各々、加熱要素611と、絶縁ストリップ612と、ヒータ片持ちばね614と、を備える(図2A)。ヒータアセンブリ61は、加熱位置センサ442が設けられている場所において、上部キャリッジアセンブリ31上のウェハ95の両側の、キャリッジ30の経路中に位置決めされている。ヒータアセンブリ61は、キャリッジ30の経路を横切るように位置決めされたヒータ装着アセンブリ60によって支持されている。ヒータ片持ちばね614は、ウェハ95に向かって短手方向内側に圧縮して、加熱要素611がウェハ95のウェハ加熱エリア954を完全に押圧することを可能にし、一方、加熱要素611とヒータ片持ちばね614との間の絶縁ストリップ612は、伝導によって失われる可能性のある熱エネルギーの量を減少させる。下部キャリッジ位置決めピン322が加熱位置センサ442とインターフェースしたときに、モータ27は回転を停止するようにプログラムされており、その結果、ウェハ95は、加熱要素611と接触するヒータアセンブリ61間で静止したままとなる。この位置で、電気制御回路基板17は、加熱要素611を作動させてウェハ95を加熱する。
【0046】
ウェハ95の近傍に配置されたウェハ温度センサ62は、加熱されているウェハ95の温度を読み取る。例示的な実施形態では、温度センサ62は、上部キャリッジブロック311上(図3Bおよび図3C)、例えば、ウェハガイドピン313のうちの1つに設けられてもよい。ウェハ95がウェハ温度センサ62によって判断される十分な加工温度まで加熱されると、モータ27が電気制御回路基板17によって作動されて、キャリッジ30およびウェハ95を加熱位置センサ442から切断位置まで前方長手方向11に駆動し、切断および溶接プロセスを開始する。動作のこの段階における動きを、図6A図6B、および図6Cに示す。
【0047】
図4Aおよび図4Bに示す例示的な実施形態では、ウェハ95は、折り畳まれた金属シートを含み、銅等の金属材料で作製されてもよい。したがって、ウェハ95は、そうとは限らないが、寸法的に不均衡な区画を有する金属シートを折り畳むことによって形成されてもよい。したがって、金属シートの折り目は、ウェハ95の底縁958にある(図4A)。ウェハ95は、3つの領域、すなわち、ウェハ作用エリア953、ウェハ加熱エリア954、およびウェハ保持エリア955を備える(図4B)。ウェハ95のこの構成は、ヒータ接触加熱エリア954および保持エリア955が2つ以上の折り畳まれた金属シートの層を含む一方で、作用エリア953が単一層であることを可能にする。作用エリア953は、熱可塑性チューブを切断および溶接するときの精度を高め、かつ材料の損失を低減するために、薄くする必要がある。作用エリア953の後方角は、ウェハ95上のチューブかすが切断されたチューブ134、135を汚染するのを最小限に抑えることを可能にするように、ウェハ95がチューブ131、132から離れるときに、チューブ134、135の保持された部分の溶融された切断端部との均一な接触を可能にするように輪郭付けられている。この輪郭は、この特定の設計とは限らず、装置10内で使用される対応するカムトラック411、511の輪郭に応じて異なる。
【0048】
上述したように、金属シートの輪郭は、折り畳まれたときに、ウェハ95の切断部分が単層区画951のままである一方で、ウェハ95の残りの部分が、折り目によって連結された金属シートの2つの層を含む多層区画952であるようになっている。図4Aに示す例示的な実施形態では、折り目はウェハ95の前縁96に沿っている。代替的な実施形態では、折り目は、ウェハ95の底縁958または後縁97に沿ってもよい。作用エリア953は、切断および溶接プロセス中に両方の長さの熱可塑性チューブ131、132がウェハ95と接触する場所である。したがって、ウェハ作用エリア953は、熱可塑性チューブ131、132を切断するのに必要な材料の単一層を含む単一層区画951である。加熱エリア954は、ヒータアセンブリ61の加熱要素611がウェハ95を押圧し、ウェハ95を予め設定された温度まで加熱するエリアである。保持エリア955は、ウェハ95が、ウェハガイドピン313と上部キャリッジブロック311内のウェハ支持スロット301の下に設けられ得るウェハ支持ピン314(図3B)とによって、上部キャリッジアセンブリ31上のウェハ支持スロット301内に保持されるエリアである。保持エリア955は、上述したように、ウェハラッチ315と係合してウェハ95を上部キャリッジアセンブリ31上に固定するための、ウェハラッチスロット956をさらに備える。自動装填および取り外し機構を可能にするまたは強化するための付加的な特徴が、保持エリア955に含まれてもよい。保持エリア955もまた多層であることが好ましく、これにより、ウェハ95の実行されるプロセス全体にわたる構造強度が増加し、高温に加熱されたときに薄い金属シートが軟化する可能性があるため、ウェハ95が湾曲するのを防止する。
【0049】
保持エリア955に十分な空間があれば、ウェハの再使用を防止するために、使い捨てマーカ957等の他の特徴を組み込むことができる。このようなマーカ957は、装置10に内蔵されたセンサによって読み取られることによって、前に使用されたウェハを排除することができる。マーカ957は、RFIDタグ付け、高温または機械的手段のいずれかによって変わる蛍光コーティングを含み得るが、これらに限定されない。さらに、電気制御回路基板17は、チューブ131、132の切断および溶接に進む前に、ウェハ95が新しいかどうかをセンサ(図示せず)を介して検出するようにさらに適切に構成されてもよい。これにより、連結される予定のチューブ131、132に対する以前のチューブ連結から出た材料による汚染を防ぐ。
【0050】
ウェハ95において、多層ウェハ加熱エリア954(図4A)は、単一層区画951を備えるウェハ作用エリア953よりも大きい熱質量を有する。ウェハ加熱エリア954は、ウェハ95が切断および溶接プロセスのためにヒータアセンブリ61から離れるときに、ウェハ作用エリア953における熱損失の速度を減少させるための熱容量性の特徴として作用する。切断および溶接プロセス中にさらなる熱損失が発生することとなるため、ウェハ95の多層ウェハ加熱エリア954およびウェハ保持エリア955は、貯蔵された熱エネルギーがより高いポテンシャル領域54、955からより低いポテンシャル領域953にシフトするにつれて、ウェハ作用エリア953に熱エネルギーまたは熱を供給し続けることとなる。
【0051】
特に、キャリッジ30の一部の部品(例えば、キャリッジ30が加熱位置にあるときにウェハ95と接触するか、または加熱要素611に近い一部の部品)は、Vespel(登録商標)(例えば、ウェハガイドピン313)またはジルコニア(例えば、ウェハ支持ピン314)等の耐熱性ポリイミド系プラスチックで作製されてもよく、その結果、それらは高い熱物理的安定性を有し、したがって、ウェハ95との接触によるウェハ95からの熱損失を最小限に抑えながら、加熱要素611からの熱に曝されたときに最小限の寸法変化を呈する。
【0052】
上述したように、ウェハ95が加熱要素911間にある間、温度センサ62はウェハ95をチェックして、ウェハ95が必要な温度に加熱されていることを保証する。加熱後、次いで、モータ27を第2の回転方向に回転させてキャリッジ30を前方11に移動させることによって、ウェハ95を切断エリアまで前方11に駆動する。キャリッジ30が前方11に移動するとき、上部キャリッジカムフォロワ318は、カムトラック411、511の第1の水平ベクトルH1に沿って移動する。上部キャリッジカムフォロワ318が第1の水平ベクトルH1のレベルにあるとき、ウェハ95の切断上縁959は、左右のチューブクランプ421、521によって装置10の上部にクランプされた両方のチューブ131、132よりも低い(図6Aおよび図6B)。
【0053】
キャリッジ30が前方11に移動し続けると、上部キャリッジカムフォロワ318は、カムトラック411、511の第1の傾斜ランプAR1に到達して係合し、上部キャリッジアセンブリ31が下部キャリッジアセンブリ32によって前方に引っ張られるにつれて、上部キャリッジアセンブリ31をカムトラック411、511の傾斜ランプAR1に沿って上昇させる。これにより、上部または下部キャリッジアセンブリ31、32のいかなる回転運動もなしに、ウェハ95が同時に前方11に移動されかつ上昇させられるときに、ウェハ95の上縁959は、下から上に熱可塑性チューブ131、132の両方を同時に切断するために、熱可塑性チューブ131、132の両方の長さと平行な位置合わせを維持することができる。上部キャリッジガイドシャフト319は、上部キャリッジアセンブリ31の上部キャリッジブロック311の角の近傍に位置決めされており、上部キャリッジアセンブリ31が第1の傾斜ランプAR1の傾斜ベクトルに対応する傾斜ベクトルで上昇するときに、上部キャリッジアセンブリ31がチューブ131、132に対して平行な位置合わせを維持することを可能にする。動作のこの段階における動きを、図7A図7B、および図7Cに示す。
【0054】
上部キャリッジアセンブリ31がカムトラック411、511の第1の傾斜ランプ溝AR1に沿って走行するとき、上部キャリッジアセンブリ31は同時に前方11および上方101の両方に移動し、一方、下部キャリッジアセンブリ32は前方にのみ移動する。この間、下部キャリッジアセンブリ32に設けられたピン(下部キャリッジ位置決めピン322と同じピンであってもよい)は、変位機構アセンブリ42上に設けられた変位ロック機構43と係合する(図7B)。変位ロック機構43は、変位機構アセンブリ42の移動を防止および許容するために、変位機構アセンブリをロックおよびロック解除するように構成されている。変位機構アセンブリ42が、開始位置にあるとき等、変位ロック機構43によってロックされているとき、変位機構アセンブリ42は、前方11または後方12の方向に直線的に並進することができない。
【0055】
例示的な実施形態では、変位ロック機構43は、垂直方向に移動可能かつ長手方向に移動不可能な変位ロックカムガイド431と、変位ロックカムガイド431に固定的に取り付けられた下端を有する変位ロックピン432と、変位ロックカムガイド431およびピン432を上方101に付勢する変位ロックばね433(図5Aおよび図5Cに見ることができる)と、変位機構アセンブリ42上に両方とも設けられた、前方ピンスロット423および後方ピンスロット424と、を備える。前方ピンスロット423および後方ピンスロット424は各々、変位機構アセンブリ42の移動を妨げるために、異なる時間に変位ロックピン432の上端に別々に係合する。前後のピンスロット423、424は、変位機構アセンブリ42の変位機構クランプ装着プレート422の下側に設けられてもよく、前方ピンスロット423は、長手方向において後方ピンスロット424の前方11に位置決めされる。
【0056】
特に、上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511の第1の水平ベクトルH1に係合している間、変位ロックピン432の自由上端は、前方ピンスロット423内に位置決めされて係合し、それによって変位機構アセンブリ42をロックして、変位機構アセンブリ42が前方11または後方12に変位するのを防止する。
【0057】
例示的な実施形態では、下部キャリッジ位置決めピン322と接触して係合するロック機構カムガイド431の上方101を向いている面は、カムトラック411、511の輪郭と同様の輪郭を有し、変位ロック機構43をキャリッジ30の位置に関連して作動させることを可能にする。キャリッジ30が前方11に移動しながら変位機構アセンブリ42を通過するとき、下部キャリッジアセンブリ32上の下部キャリッジ位置決めピン322が変位ロックカムガイド431を押し下げ、それによって変位ロックピン432を下降させ、変位ロックピン432を変位機構クランプ装着プレート422の前方ピンスロット423から係合解除し、変位機構アセンブリ42をロック解除して前方11または後方12への移動を可能にする。したがって、下部キャリッジ位置決めピン322は、ロック機構カムガイド431の上方101を向いている面に回転可能に係合するために、水平および短手方向の回転軸線を有する上部キャリッジカムフォロワ318と同様のローラを備えてもよい。
【0058】
例示的な実施形態では、変位ロックピン432は、上部キャリッジアセンブリ31が所定の高さまで上昇すると同時に前方ピンスロット423から下降する(図7A図7C)。これは、上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511の第1の傾斜ランプAR1を上っていると同時に、下部位置決めピン322が変位ロックカムガイド431と係合して変位ロックカムガイド431を押し下げ、変位ロックピン432を下げていることを意味する。この間、変位ロックピン432が下降している間に上部キャリッジアセンブリ31が前方11および上方101の両方に移動するとき、図6Bおよび図7Bの両方に見られるように、ウェハ95の加熱されたウェハ作用エリア953の上縁959が両方のチューブ131、132の配置に対して平行な位置合わせを維持しているため、ウェハ95も前方11および上方101の両方に移動して、両方のチューブ131および132を下方から上方に同時に切断する。
【0059】
特に、切断中、ウェハ95が上昇して2つのチューブ131、132の両方を通って切断する際に、変位ロックピン432が前方ピンスロット423から出て下降している間、変位ロックピン432の自由上端は依然として前方ピンスロット423から完全には出ていない。したがって、変位機構アセンブリ42は依然としてロックされて、長手方向に移動することが防止され、それによってウェハ95の作用エリア953が清浄かつ制御された切断のために2つのチューブ131、132を通過する間、2つのチューブ131、132を静止状態に保つ。切断後、ウェハ95は、第1のチューブ131の保持された部分134と第2のチューブ132の保持された部分135との両方の間に接触したままであり、それによって両方の保持された部分134、135の滅菌閉鎖ループを維持する。2つのチューブ131、132の切断後、保持された部分134、135は、それぞれ左チューブクランプ421および右チューブクランプ521によってクランプされたままであり、一方、第1および第2のチューブ131、132の廃棄端部133、136は、それぞれ右チューブクランプ521および左チューブクランプ421によってクランプされたままである(図7C)。
【0060】
キャリッジ30が前方11に移動し続ける中、上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511中の第2の水平ベクトルH2の開始点に達したとき、変位ロックピン432は前方ピンスロット423から完全に係合解除されて、変位機構アセンブリ42の長手方向の移動を可能にする。この時点で、両方のチューブ131、132は切断されており、上部キャリッジアセンブリ31上に設けられた変位キャッチ312は、変位機構アセンブリ42の変位機構クランプ装着プレート422上に設けられた変位ノッチ425と係合する。変位キャッチ312および変位ノッチ425は、変位機構アセンブリ42の長手方向の移動を可能にするために、変位ロックピン432が前方ピンスロット423から完全に係合解除されたときにのみ互いに係合するように位置決めされている。このようにして、キャリッジ30は、第1および第2のチューブ131、132が切断された後にキャリッジ30が前方に移動したときに左チューブクランプ421に自動的かつ機械的に連結されて、左チューブクランプ421を前方に移動させる。
【0061】
例示的な実施形態では、変位キャッチ312は、短手方向軸線に沿って上部キャリッジブロック311の上面から突出する隆起部を備え、一方、変位ノッチ425は、変位キャッチ312を変位ノッチ425内に受容して係合するために、変位機構クランプ装着プレート422の下側に雌型インターフェースまたは窪みを備える(図7B)。このようにして、上部キャリッジアセンブリ31は、上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511の第2の水平ベクトルH2に係合した状態でキャリッジ30が前方11に移動し続けたときに、変位機構アセンブリ42に接触し、前方11の長手方向の力を伝達することができ、それによって、変位ロックピン432が下降されて前方ピンスロット423から係合解除された後に、変位機構アセンブリ42は上部キャリッジアセンブリ31と一緒に前方11に(長手方向軸線に沿って)引っ張られる。代替的な実施形態では、変位キャッチ312は、変位機構クランプ装着プレート422の下側に設けられてもよく、一方、変位ノッチ425は、例えば、上部キャリッジブロック311の上面に設けられてもよい。
【0062】
変位機構アセンブリ42が、前方11に移動する上部キャリッジアセンブリ31によって前方11に引っ張られることにより、接合されるべき熱可塑性チューブの保持された部分134、135を位置合わせし(図8A図8C)、一方、すでに上述したように、ウェハ95は、第1および第2のチューブ131、132の保持された部分134、135の切断および溶融された端部と接触したままである。左チューブクランプ421によってクランプされた第1のチューブ131の保持された部分134が、右チューブクランプ521によってクランプされた第2のチューブ132の保持された部分135と軸線方向において位置合わせされるように前方11に変位されるとき、上部キャリッジアセンブリ31は、カムトラック411、511中の第2の傾斜ランプAR2を下方102および前方11に追従して、切断されたチューブ131、132の保持された部分134、135からウェハ95を離して移動させる。
【0063】
上部キャリッジアセンブリ31が第2の傾斜ランプAR2に追従して前方11および下方102に移動すると同時に、下部キャリッジアセンブリ32上に固定的に設けられた下部キャリッジカムフォロワ323は、図9Aに示すように、右カムプレート51上に設けられた溶接カムガイド524の段部524-1の上を走行する。段部524-1は、図2Bに斜視図で示されており、キャリッジ30から離れるように短手方向外側14に延在する。例示的な実施形態では、下部キャリッジカムフォロワ323は、下部キャリッジアセンブリ32との下部キャリッジカムフォロワ323の相対運動が下部キャリッジカムフォロワ323の回転のみを含むように下部キャリッジアセンブリ32の右側に固定的に設けられた、垂直回転軸線を有するローラを備える。下部キャリッジカムフォロワは、溶接カムガイド524と回転可能に係合する。溶接カムガイド524は、キャリッジ30の走行経路に対向しており、下部キャリッジカムフォロワ323が沿って回転する右カムプレート51の内面上に、短手方向に突出した輪郭面を備えてもよい。溶接カムガイド524は、図2Bに見られるように、カムトラック511の下の右カムプレート51上に設けられてもよい。右カムプレート51は、右カムプレート51と、ベースプレートに固定的に連結された溶接機構後方プレート526であって、すなわち移動不可能な溶接機構後方プレート526との間に設けられた1つ以上の溶接機構ばね(図示せず)によって、左カムプレート41に向かって短手方向に付勢されている。このようにして、互いに固定的に連結された溶接カムガイド524、右カムプレート51、溶接機構装着プレート522、および右チューブクランプ521は全て、装置10のベースプレート21に固定的に連結された溶接機構後方プレート526から左方13および右方14に変位可能である。これを容易にするために、溶接機構装着プレート522は、(溶接機構装着プレート522の短手方向移動13、14を可能にする)直線ガイドレール528によって、装置10の不動の直立壁50(図1A)に連結されてもよい。
【0064】
なお、下部キャリッジカムフォロワ323の長手方向の走行経路は、溶接カムガイド524の短手方向の突出面に干渉するように構成されている。したがって、(右カムプレート51に固定的に連結されている)右チューブクランプ521の短手方向の変位および位置決めは、溶接カムガイド24の輪郭面に沿った下部キャリッジカムフォロワ323の場所によって決定される。
【0065】
図2Bに見られるように、溶接カムガイド524上の段部524-1は、溶接カムガイド524の短手方向の面上に設けられている。キャリッジ30(下部キャリッジカムフォロワ323を含む)は、短手方向に移動できないが、溶接カムガイド524(すなわち、下部キャリッジカムフォロワ323に対して相対的に回転接触している)は、1つ以上の溶接機構ばねによってもたらされる左方13の付勢に対抗して、下部キャリッジカムフォロワ323によって、右方14に短手方向に変位可能である。したがって、下部キャリッジカムフォロワ323が前方11に移動して、溶接カムガイド524上の段部524-1に係合するとき、圧縮された溶接機構ばね525が右カムプレート51(したがって、右チューブクランプ521も)を、ウェハ95に向かう短手方向の方向13に変位させる。このようにして、装置10は、第1のチューブ131の保持された部分134が第2のチューブ132の保持された部分135と軸線方向において位置合わせされた後に、キャリッジ30が前方11に移動するとき、右チューブクランプ521を左チューブクランプ421に向かって(すなわち、左方13)自動的かつ機械的に変位させる。左チューブクランプ421に向かう右チューブクランプ521のこの左方13への短手方向の移動は、第1のチューブ131の保持された部分134および第2のチューブ132の保持された部分135の溶融された切断端部をウェハ作用エリア953の面と接触させて移動させ、切断プロセス中に失われたチューブ材料を補償し、切断されたチューブ131、132の保持された部分134、135で滅菌閉鎖ループを維持する。
【0066】
キャリッジ30が前方長手方向11に継続して進むとき、上部キャリッジアセンブリ31は、カムトラック411、511に従って第2の傾斜ランプAR2を下って進み、それによってウェハ95をチューブ131、132間から下降させ、その結果、ウェハ95はもはやチューブ131、132と接触しない。この動きはまた、上部キャリッジアセンブリ31の変位キャッチ312を変位機構クランプ装着プレート422上の変位ノッチ425から係合解除させる(図9C)。同時に、下部キャリッジアセンブリ32上の下部キャリッジ位置決めピン322が変位ロックカムガイド431を通過し、変位ロックカムガイド431から係合解除され、それによって、変位ロックピン432の上部自由端が(変位ロックばね433の上方101への付勢作用の下で)変位機構クランプ装着プレート422の後方ピンスロット424内に上昇して、変位機構アセンブリ42を所定の位置に保持する(図9C)。同時に、1つ以上の溶接機構ばねは、右カムプレート52を(したがって、右チューブクランプ521も)短手方向左方13に、左チューブクランプ421に向かって押し続け、第2のチューブ132の保持された部分135の溶融された切断端部を、第1のチューブ131の保持された部分134の軸線方向において位置合わせされた、溶融された切断端部に対して左方13に移動させて、単一のチューブ137を形成する(図9Aに示すように)。左チューブクランプ421および右チューブクランプ521は、この位置に留まるように残され、両方の保持された部分のチューブ134、135の溶融された切断端部を一緒に押圧されたままにして、キャリッジ30が第3の水平ベクトルH3に沿って前方11に移動し続けている間に溶接されたチューブ137を冷却して融合させることを可能にする。
【0067】
したがって、上部キャリッジアセンブリ31も下降させるキャリッジ30の連続的な前方11への移動によってウェハ95が切断されたチューブ131、132から前方11および下方102に移動するとき、溶接機構アセンブリ52は、下部キャリッジアセンブリ32によってトリガされて、右チューブクランプ521を左チューブクランプ421に向かって短手方向13に移動させると言うことができる。これにより、(右チューブクランプ521によってクランプされている)第2のチューブ132の保持された部分135を、(左チューブクランプ421によってクランプされている)第1のチューブ131の前方11に変位した保持された部分134に向かって内側短手方向13に、溶接のために移動させる。
【0068】
装置10は、チューブ131、132が切断された後に装置10から使用済みウェハ95を自動的に外すための取出し機構80をさらに備えてもよい。好ましくは、第3の水平ベクトルH3に沿ったキャリッジ30のさらなる前方11への移動は、キャリッジ30を取出しエリアに移動させ、そこで下部キャリッジ位置決めピン322と装置10上に設けられた取出し位置センサ443との位置合わせにより、キャリッジ30のさらなる前方11への移動を停止させる。キャリッジ30が水平方向前方11の取出しエリア内に駆動されたとき、取出し機構80(装填機構70の機構と同様であってもよい)がトリガされて、ウェハ95と係合する。装置10がリセットされると(例えば、リセットボタン16を押すことによって)、キャリッジ30は開始位置に戻り、それによって取出し機構80がキャリッジ30からウェハ95を外す。
【0069】
例示的な実施形態では、取出し機構80は、ベースプレート21に固定的に連結されており、かつ取出しピニオンギヤ83、取出し上部ラックアセンブリ82、および取出し下部ラックアセンブリ84を支持する、取出し機構ハウジング81を備える。取出し上部ラックアセンブリ82は、取出しピニオンギヤ83と係合しており、かつ取出し機構ハウジング81によって支持されている、取出し上部ラック821を備える。取出し上部ラックアセンブリ82はまた、取出し上部ラック821に固定的に取り付けられた取出しリンク機構822を含む。取出しキャッチ823が、取出しリンク機構822に固定的に連結された取出しキャッチシャフト825の周囲に設けられた取出しキャッチばね824を介して、取出しリンク機構822に移動可能に連結されている。取出しキャッチ823は、取出しキャッチばね824およびキャッチシャフト825の長手方向軸線を水平方向および短手方向に向けることによって、取出しリンク機構822に対して短手方向の左方13および右方14に変位可能である。開始位置では、図1Bに見られるように、取出しリンク機構822および取出しキャッチ823は、装置10のe22に隣接している。取出し下部ラックアセンブリ84は、取出し下部ラック841を備え、取出し下部ラック841は、取出し下部ラック841が長手方向に直線的に並進するときに取出しピニオンギヤ83を駆動して回転させる。取出し下部ラックアセンブリ84は、取出し下部ラック841の一端に設けられており、かつキャリッジ30に対向する、取出し下部ラックプランジャヘッド842と、取出し下部ラック841の周囲で取出し下部ラックプランジャヘッド842と前方プレート22との間に設けられた取出し下部ラックばね843と、を含む。したがって、この実施形態では、取出し機構80はラックアンドピニオン機構として構成されており、取出し下部ラック841は、キャリッジ30が開始位置、すなわち加熱位置にあるときに、取出し下部ラックばね843によってキャリッジ30に向かう後方位置に向けて付勢される。
【0070】
下部キャリッジ位置決めピン322が取出し位置センサ443とインターフェースするまで、キャリッジ30が前方長手方向11に移動するにつれて、取出し機構下部ラック841がキャリッジ30によって取出し機構ハウジング81内に、前方に押し込まれるとき(図10A)、取出し機構ピニオンギヤ83が駆動されて運動し、それによって取出し上部ラック821および取り付けられた取出しリンク機構822を反対方向、すなわち後方12に延ばす。取出しリンク機構822が後方12に移動するとき、取出しキャッチ823は、上部キャリッジ30上のウェハ95の前縁96と接触し、取出しキャッチシャフト825に沿って取出しリンク機構822に向かって左方13に変位し、それによって、取出しキャッチ823がウェハ95の後縁97の後ろに落ちるまで(図10A)、取出しキャッチ823がウェハ95の側面に沿って後方12に摺動し続けている間、取出しキャッチばね824を圧縮する(図10B)。取出しキャッチ823がウェハ95の後縁97の背後にあるとき、圧縮された取出しキャッチばね824は、取出し機構キャッチ823をウェハ95の背後から短手方向14に繰り出して、ウェハ95の後縁97と係合させる。
【0071】
例示的な実施形態では、装置10のリセットボタン16の起動時に、モータ27は、取出し位置センサ443(図10C)の場所から加熱位置センサ442の場所に向かって後方12の長手方向にキャリッジ30を駆動する第2の回転方向に回転される。同時に、圧縮された取出し下部ラックばね843は、キャリッジ30が後方12に駆動されるときに取出し下部ラックプランジャヘッド842を後方12の方向に押し、それによって取出しリンク機構822および取出しキャッチ823を前方の方向11に、前方プレート22に隣接する開始位置まで戻す。取出しキャッチが開始位置に戻るとき、取出しキャッチはウェハ95を前方長手方向11に引っ張り、それによってウェハラッチ315をウェハラッチスロット956から係合解除して、ウェハ95を上部キャリッジアセンブリ31の外に、また前方プレート22内に設けられた取出しスロット221を通して装置10の外に摺動させる(図1Aに見られるように)。
【0072】
変位機構アセンブリ42および取出し機構80等の全ての補助機構の作動は、直線ガイドレール25に沿ったキャリッジ30の位置に依存するため、全ての補助機構の機構はまた、キャリッジ30がカムトラック411、511を逆方向または後方12の方向をたどるときに全ての補助機構の開始構成にリセットされる。
【0073】
例えば、上部キャリッジアセンブリ32が第2の傾斜ランプAR2を後方の方向12に上昇しているとき、下部位置決めピン322は、変位ロックカムガイド431と係合して変位ロックカムガイド431を押し下げ、変位ロックカムガイド431と同時に変位ロックピン432を押し下げており、それによって変位ロックピン432が変位機構クランプ装着プレート422の後方ピンスロット424から出て下降する。
【0074】
キャリッジ30が後方12に移動し続けているときに、上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511中の第2の水平ベクトルH2に達したとき、変位ロックピン432は後方ピンスロット424から完全に係合解除されて、変位機構アセンブリ42の長手方向の移動を可能にする。この時点で、変位キャッチ312は再び変位ノッチ425と係合し、上部キャリッジアセンブリ31は変位機構アセンブリ42に接触して後方12の長手方向の力を伝達することができる。上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511の第2の水平ベクトルH2に係合した状態でキャリッジ30が後方12に移動し続けたときに、これにより、変位機構アセンブリ42が上部キャリッジアセンブリ31とともに(長手方向軸線に沿って)後方12に引っ張られて変位機構アセンブリ42の開始位置まで移動し、下部キャリッジ位置決めピン322が加熱位置センサ442と接触したときに、キャリッジ30は最終的に加熱エリアで静止する。同様に、下部キャリッジカムフォロワ32は、第2の段部524-2、第1の段部524-1、および溶接機構カムガイド524の残りの部分に沿って後方の方向12に走行し、それによって右カムプレート51および右チューブクランプ521を右カムプレート51および右チューブクランプ521の開始位置に戻す。
【0075】
上記の移動をもたらし、制御するために、装置10には、装置10の制御の完全なサイクルを説明する以下の例示的なシーケンスに従って装置10の動作を制御するようにプログラムされた電気制御回路基板17によって実行される、電気制御が設けられている。
・開始ボタン15が起動されると、モータ27を第1の回転方向に回転させて、キャリッジ30を開始位置から後方長手方向12に、ウェハ95をキャリッジ30上に装填するようにプログラムされた1つ以上の速度で駆動する。
・下部キャリッジ位置決めピン322が装填位置センサ441とインターフェースしたとき、モータ27を停止させ第2の回転方向に回転させて、ウェハ95を搬送するキャリッジ30を1つ以上のプログラムされた速度で前方長手方向11に駆動する。
・下部キャリッジ位置決めピン322が加熱位置センサ442とインターフェースしたとき、モータ27を停止させ、加熱要素611を作動させてウェハ95を所定の温度まで加熱する。
・ウェハ温度センサ62が、ウェハ95の温度が所定の温度に達したことを検出したとき、加熱要素611のさらなる加熱を停止し、モータ27を第2の方向に回転させて、キャリッジ30を前方長手方向11に、1つ以上のプログラムされた速度で駆動し、両方のチューブ131、132を切断および接合する。
・下部キャリッジ位置決めピン322が取出し位置センサ443とインターフェースしたとき、モータ27を停止させる。
・リセットボタン16の起動時に、モータ27を第1の方向に回転させて、キャリッジ30を1つ以上のプログラムされた速度で後方長手方向12に駆動し、使用済みウェハ95をキャリッジ30から取り出して、変位機構アセンブリ42および溶接機構アセンブリ52を変位機構アセンブリ42および溶接機構アセンブリ52の開始位置に戻す。
・下部キャリッジ位置決めピン322が加熱位置センサ442とインターフェースしたとき、キャリッジ30が開始位置に戻ったときにモータ27を停止させるように構成されている。
【0076】
上述の装置10では、2つのチューブ131、132が切断されて接合され、チューブ137の滅菌状態を維持しながら単一の長さのチューブ137を形成するために、装置10の全ての可動部品をそれらの様々な異なる方向に駆動するためにただ1つのモータ27が必要とされることが理解され得る。切断ウェハ95の装填および取出しさえも、同じ1つのモータ27を使用して装置10上で自動的に実行することができる。キャリッジ30の長手方向の移動を2つのチューブクランプ421、521のうちの1つの必要な長手方向の変位と機械的に連動させて、切断後の溶接のために2つのチューブ134、135の保持された部分を位置合わせし、また、キャリッジ30の長手方向の移動を2つのチューブクランプ421、521のうちの1つの必要な短手方向の変位と機械的に連動させて、2つのチューブ134、135の位置合わせされた保持された部分を一緒に溶接することによって、2つのチューブ131、132を切断および溶接して単一の長さのチューブ137を形成するために必要な全ての移動を行うために、本装置10では1つのモータ27のみを必要とする。このようにして、装置10は、現在利用可能な滅菌チューブ連結装置と比較してコンパクトで省スペースになり、それによって装置10は、現場での使用のために様々な異なる場所に容易に持ち運ぶことができるため、携帯可能になる。装置10はまた、調整および同期される必要がある異なる方向に移動する異なる部品を各々制御する複数のモータを有さないため、制御が容易である。代わりに、本装置10は、ウェハ装填、チューブ切断、チューブ再位置合わせ、チューブ溶接、およびウェハ取出しを含むプロセス全体の全ての異なる段階が装置10によって実行されるために、様々な所定の時間間隔の間、1つのモータ27の回転および停止方向のみを設定することによって容易にプログラムされる。
【0077】
上記の説明では、本発明の例示的な実施形態を説明したが、本発明から逸脱することなく、設計、構築、および/または動作の詳細における多くの変形および組合せが行われ得ることが、当業者には理解されよう。例えば、上記では、2つのチューブが切断された後に左チューブクランプが前方に長手方向に変位し、その後、右チューブクランプが左チューブクランプに向かって左方に短手方向に変位して2つのチューブの保持端部を接合し単一のチューブを形成することを説明したが、代替的な実施形態では、2つのチューブが切断された後に右チューブクランプが前方に長手方向に変位し、その後、左チューブクランプが右チューブクランプに向かって右方に短手方向に変位して2つの切断されたチューブの保持端部を接合し単一のチューブを形成してもよいことを理解されたい。上述の実施形態および図示の装填機構アセンブリは、ダブルラックおよびピニオンアクチュエータを備えるが、他の実施形態では、装填機構アセンブリは、代替的に、キャリッジアセンブリの直線運動を異なるベクトルの運動に変換してウェハを装填するためのカムおよびガイド機構を備えてもよい。上述の実施形態および図示の取出し機構アセンブリは、ダブルラックおよびピニオンアクチュエータを備えるが、他の実施形態では、取出し機構アセンブリは、代替的に、キャリッジアセンブリの直線運動を異なるベクトルの運動に変換してウェハを装填するためのカムおよびガイド機構を備えてもよい。アルミニウム、鋼、銅、Vespel(登録商標)、およびジルコニアを、装置の構成要素の多くに使用され得る材料として上述したが、他の適切な材料を使用して構成要素を形成してもよい。

図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
【手続補正書】
【提出日】2022-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの長さの滅菌チューブを接合するための滅菌チューブ連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
滅菌チューブ連結装置を使用して、2つの長さの滅菌チューブを互いに接合して単一の長さの滅菌チューブを形成する。これは、まず、適切な温度に加熱された切断ウェハで2つのチューブを切断し、それにより、両方のチューブの溶融された切断端部を互いに接触させて、切断されたチューブを単一の長さのチューブとして接合する溶接部を形成することができることを伴う。両方のチューブを同時に切断しなければならないため、または温度および溶融状態の差により、溶接が弱いもしくは不均一となり、切断中に連結が失敗するため、ウェハは両方のチューブを第1の方向に同時に横切って切断する必要がある。切断後、両方のチューブの保持された部分の中心長手方向軸線を軸線方向において位置合わせするために、チューブのうちの一方の保持された部分を他方のチューブの保持された部分に対して第2の方向に移動させなければならない。両方のチューブの保持された部分が軸線方向において位置合わせされたとき、保持された部分の切断面は、次に、両方のチューブの溶融された切断端部を互いに接触させて溶接部を形成するために、第1の方向および第2の方向の両方に対して垂直な第3の方向において互いに向き合わせられなければならない。切断、位置合わせ、および接触/溶接プロセス全体を自動化するために必要な機構は、ウェハおよびチューブの動きについての様々な異なる方向を伴い、通常、いくつかの同期モータを使用して達成される。したがって、既存の滅菌チューブ連結装置は、通常、大きくかさばり、現場に携帯して使用するために簡単に移動させることはできない。
【0003】
熱可塑性チューブは非常に熱に敏感であるため、ウェハの温度制御もまたチューブの切断および溶接において重要である。温度がわずかにずれると、チューブ連結が弱くなりすぎるか、または溶接面が利用できなくなることとなり、連結が失敗する。熱可塑性チューブとウェハを加熱するために使用される加熱要素との間の距離もまた要因であり、これは、チューブと加熱要素とが互いに近すぎるように配置されると、加熱要素からの熱の放射がチューブに影響を及ぼす可能性があり、一方、加熱要素とチューブとが遠すぎるように配置されると、加熱要素とチューブとの間を熱が伝わる際にウェハから熱が失われ得るためである。したがって、機械的遷移の遅延および使用中のチューブ連結装置の周囲温度の変動のために温度制御を達成することは困難であり、一貫性のない熱損失をもたらす。
【0004】
したがって、切断されたチューブの良好な溶接を達成するために熱損失を最小限に抑えながら、コンパクトで携帯可能な滅菌チューブ連結装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様によれば、第1のチューブを第2のチューブと接合するための滅菌チューブ連結装置であって、装置が、
前方および後方に、長手方向に移動可能な第1のチューブクランプと、
第1のチューブクランプから離間しており、かつ第1のチューブクランプの前方および後方への移動に垂直である左方および右方に、短手方向に移動可能な、第2のチューブクランプであって、第1のチューブクランプおよび第2のチューブクランプが、第1のチューブの中心長手方向軸線が第2のチューブの中心長手方向軸線と平行になるように、第1のチューブおよび第2のチューブを同時にクランプするように設けられている、第2のチューブクランプと、
加熱要素と、
キャリッジであって、キャリッジが、切断ウェハをキャリッジ上に支持して移動させるためのものであり、キャリッジが、前方および後方に、長手方向に移動可能であり、かつ上方および下方に、垂直方向に移動可能である、キャリッジと、
モータによって回転されるリードスクリューであって、リードスクリューが、キャリッジに固定的に連結されたリードスクリューナットを有し、リードスクリューの回転によってキャリッジの移動が促される、リードスクリューと、
を備え、
キャリッジが、ウェハをキャリッジ上に支持しているときにウェハを加熱要素と接触させて、ウェハを所定の温度まで加熱するために移動可能であり、ウェハの加熱後のキャリッジの前方および上方への移動により、ウェハを加熱要素から遠ざけ、第1のチューブクランプと第2のチューブクランプとの間でウェハを第1のチューブおよび第2のチューブに通過させ、それによって第1のチューブおよび第2のチューブを切断し、
第1のチューブおよび第2のチューブが切断された後にキャリッジが前方に移動するときに、第1のチューブクランプがキャリッジとともに前方に移動するように、キャリッジが、第1のチューブおよび第2のチューブが切断された後に、第1のチューブクランプに自動的かつ機械的に連結され、第1のチューブクランプが前方に移動したとき、第1のチューブクランプによってクランプされた第1のチューブの保持された部分が、第2のチューブクランプによってクランプされた第2のチューブの保持された部分と軸線方向において位置合わせされ、
第1のチューブの保持された部分が第2のチューブの保持された部分と軸線方向において位置合わせされ、かつウェハが第1のチューブおよび第2のチューブとの接触から離された後に、キャリッジが前方に移動するときに、装置が、第2のチューブクランプを第1のチューブクランプに向かって短手方向に自動的かつ機械的に変位させ、それにより、第1のチューブの保持された部分および第2のチューブの保持された部分の溶融された切断端部を一緒にして、溶融された切断端部間に溶接部を形成し、第1のチューブの保持された部分および第2のチューブの保持された部分から単一の長さのチューブを形成するようにさらに構成されており、
装置が、
モータの回転を制御してキャリッジの移動を促すようにプログラムされた電気制御回路基板を備える、
滅菌チューブ連結装置が提供される。
【0006】
キャリッジが、上部キャリッジアセンブリおよび下部キャリッジアセンブリを備えてもよく、上部キャリッジアセンブリが、下部キャリッジアセンブリと垂直方向に向けて摺動係合しており、上部および下部キャリッジアセンブリの両方が、前方および後方に一緒に移動可能であり、上部キャリッジアセンブリのみが、上方および下方に移動可能である。
【0007】
装置が、キャリッジの走行経路の両側に1つずつ設けられた、直立した第1および第2のカムプレートをさらに備えてもよく、第1および第2のカムプレートが各々、走行経路に面するカムトラックを有し、上部キャリッジアセンブリが、第1および第2のカムプレートのカムトラックにそれぞれ回転可能に係合するように構成された第1および第2の上部キャリッジカムフォロワを有し、上部キャリッジアセンブリの長手方向および垂直方向の移動が、カムトラックの輪郭によってガイドされる。
【0008】
上部キャリッジアセンブリが、上部キャリッジブロックと、長手方向に方向付けされたウェハ支持スロットであって、上部キャリッジブロック上に設けられており、かつウェハをウェハ支持スロット内に支持するための、ウェハ支持スロットと、ウェハ支持スロットの横に設けられており、ウェハ支持スロット内のウェハの移動および位置決めをガイドする、ウェハガイドピンと、ウェハをウェハ支持スロット内に固定し、かつウェハの後方への移動を防止するために設けられた、ウェハラッチと、を備えてもよい。
【0009】
第1のチューブクランプが、前方および後方に、長手方向に移動可能な変位機構アセンブリの上部に固定的に設けられてもよく、装置が、第1のチューブクランプの長手方向の変位を、変位機構アセンブリをロックして防止し、ロック解除して可能にする、変位ロック機構をさらに備えてもよい。
【0010】
変位ロック機構が、垂直方向に移動可能かつ長手方向に移動不可能な変位ロックカムガイドと、自由上端および変位ロックカムガイドに固定的に取り付けられた下端を有する変位ロックピンと、変位ロックカムガイドおよび変位ロックピンを上方に付勢する変位ロックばねと、前方ピンスロットおよび後方ピンスロットであって、両方とも変位機構アセンブリ上に設けられており、異なる時間に変位ロックピンの自由上端に別々に係合して第1のチューブクランプの長手方向の変位を防止する、前方ピンスロットおよび後方ピンスロットと、を備えてもよく、装置が、下部キャリッジアセンブリ上に設けられており、かつ変位機構アセンブリをロックするためにロックカムガイドと係合する、ピンをさらに備える。
【0011】
カムトラックが各々、キャリッジを加熱エリアに移動させるための上部キャリッジアセンブリの水平移動のための第1の水平ベクトルを含んでもよい。
【0012】
カムトラックが各々、前方の方向に上方に傾斜した第1の傾斜ランプを備えてもよく、上部キャリッジカムフォロワが第1の傾斜ランプと係合し、かつキャリッジが前方に移動されるとき、上部キャリッジアセンブリが、上部キャリッジアセンブリ上に支持されたウェハが第1のチューブおよび第2のチューブを通って切断するために第1の傾斜ランプに沿って前方かつ上方に移動し、一方、変位機構アセンブリが、変位ロック機構によってロックされて、ウェハが第1のチューブおよび第2のチューブを切断する間における第1のチューブクランプの長手方向の変位を防止する。
【0013】
滅菌チューブ連結装置が、変位キャッチおよび変位ノッチをさらに備えてもよく、変位キャッチが、上部キャリッジアセンブリおよび変位機構アセンブリのうちの一方の上に設けられており、変位ノッチが、上部キャリッジアセンブリおよび変位機構のうちの他方の上に設けられており、第1および第2のチューブが切断され、かつ変位ロック機構が変位機構アセンブリをロック解除して第1のチューブクランプの長手方向の移動を可能にした後に、変位キャッチが、変位ノッチと自動的に係合し、変位キャッチと変位ノッチとの係合により、上部キャリッジアセンブリが第1のチューブクランプに機械的に連結されて、第1のチューブおよび第2のチューブが切断された後に第1のチューブの保持された部分を第2のチューブの保持された部分と軸線方向において位置合わせするようにキャリッジが前方に移動するときに、第1のチューブクランプが前方に移動される。
【0014】
カムトラックが各々、第1のチューブおよび第2のチューブが切断された後のキャリッジアセンブリの前方への移動のための第2の水平ベクトルを含んでもよい。
【0015】
カムトラックが各々、前方の方向に下方に傾斜した第2の傾斜ランプを備えてもよく、上部キャリッジカムフォロワが第2の傾斜ランプと係合し、かつキャリッジが前方に移動されるときに、上部キャリッジアセンブリが前方および下方に移動して、上部キャリッジアセンブリ上に支持されたウェハを切断された第1のチューブおよび切断された第2のチューブから離す。
【0016】
第2のチューブクランプが、第2のカムプレート上に固定的に設けられてもよく、第2のカムプレートが、左方および右方に、短手方向に変位可能であり、かつ第2のカムプレートと移動不可能な溶接機構後方プレートとの間に設けられた溶接機構ばねによって第1のカムプレートに向かって付勢されており、第2のカムプレートが、キャリッジの走行経路に面する溶接カムガイドを備え、下部キャリッジアセンブリが、溶接カムガイドに回転可能に係合する下部キャリッジカムフォロワを備え、溶接カムガイドが、段部を有し、下部キャリッジカムフォロワが段部を越えて走行するときに、溶接機構ばねが第2のカムプレートを第1のカムプレートに向けて変位させ、それによって第2のチューブクランプを第1のチューブクランプに向けて変位させて、第1のチューブの保持された部分および第2のチューブの保持された部分の溶融された切断端部を結びつけるように、段部が、短手方向外側に延在する。
【0017】
滅菌チューブ連結装置が、キャリッジが加熱エリアから装填エリアに後方に移動するときにウェハをキャリッジ上に装填するように構成された装填機構をさらに備えてもよく、装填機構が、装填下部ラックであって、キャリッジが装填下部ラックの前方端部に接触しているときにキャリッジの後方への移動によって前方位置から後方位置に後方に移動可能な装填下部ラックと、装填下部ラックと係合している装填ピニオンギヤと、装填上部ラックであって、装填上部ラックが装填下部ラックの移動とは反対方向に移動するように装填ピニオンギヤと係合している、装填上部ラックと、装填上部ラックに固定的に取り付けられており、キャリッジが装填位置まで後方に移動するときに、装填下部ラックが後方に移動する結果として、装填上部ラックが前方に移動するときに、ウェハカートリッジからキャリッジ上にウェハを前方に押し出す、装填ブロックと、を備える。
【0018】
装填機構が、装填下部ラックの前方端部に設けられた装填下部ラックプランジャヘッドと装填下部ラックを支持する装填機構ハウジングとの間で装填下部ラックの周囲に設けられた装填下部ラックばねをさらに備えてもよく、装填下部ラックばねが、キャリッジが装填位置から離れるように前方に移動するときに装填下部ラックを後方位置から前方位置に戻す。
【0019】
滅菌チューブ連結装置が、キャリッジからウェハを離すように構成された取出し機構をさらに備えてもよく、取出し機構が、取出し下部ラックであって、キャリッジが取出し下部ラックの後方端部に接触しているときに、キャリッジの前方への移動によって後方位置から前方位置に前方に移動可能な取出し下部ラックと、取出し下部ラックと係合している取出しピニオンギヤと、取出し上部ラックであって、取出し上部ラックが取出し下部ラックの移動とは反対方向に移動するように、取出しピニオンギヤと係合している取出し上部ラックと、取出し上部ラックに固定的に取り付けられた取出しリンク機構と、取出しリンク機構に移動可能に連結されており、かつ取出しリンク機構に対して左方および右方に、短手方向に変位可能な取出しキャッチと、を備え、取出しキャッチが、第1のチューブおよび第2のチューブが切断された後にキャリッジが取出し位置まで前方に移動するときに取出し下部ラックが前方に移動する結果として、取出し上部ラックが後方に移動するときに、キャリッジ上に支持された使用済みウェハの後縁と係合し、キャリッジが取出し位置から離れるように後方に移動し、かつ取出し下部ラックの後方端部に設けられた取出し下部ラックプランジャヘッドと装置の直立前方プレートとの間に設けられた取出しばねによって取出し下部ラックが後方位置に戻されるときに、取出しキャッチによってウェハがキャリッジから前方に引き出される。
【0020】
滅菌チューブ連結装置が、加熱エリア、装填エリア、および取出しエリアへのキャリッジの到着をそれぞれ自動的に検出するために、加熱エリアに設けられた加熱位置センサ、装填エリアに設けられた装填位置センサ、および取出しエリアに設けられた取出し位置センサとインターフェースするためにキャリッジ上に設けられた位置決めピンをさらに備えてもよい。
【0021】
装置の使用の1つのサイクルにおいて、電気制御回路基板が、モータの回転を制御して、キャリッジを、加熱位置から装填位置に後方に移動させてウェハをキャリッジ上に装填し、装填位置から加熱位置に前方に移動させてウェハを加熱し、加熱位置から取出し位置に前方に移動させて第1のチューブおよび第2のチューブを切断して接合し、取出し位置から加熱位置に後方に移動させてウェハをキャリッジから離すようにプログラムされてもよい。
【0022】
第2の態様によれば、第1の態様の滅菌チューブ連結装置とともに使用するための切断ウェハであって、切断ウェハが、第1のチューブおよび第2のチューブを通って切断するために所定の温度に加熱されるように設けられた金属材料の単一層のウェハ作用エリアと、加熱要素から熱を受け取って、ウェハ作用エリアに熱を供給するために設けられた金属材料の複数層を備えるウェハ加熱エリアと、を備える、切断ウェハが提供される。
【0023】
ウェハ加熱エリアが、ウェハ作用エリアの金属材料の2つの層を備えてもよく、金属材料の2つの層が、折り目によって連結されている。
【0024】
ウェハをウェハ支持スロット内に固定し、かつウェハの後方への移動を防止するための、ウェハラッチによる係合のためのウェハラッチスロットをさらに備えてもよい。
【0025】
本発明が十分に理解され、容易に実践的に実施され得るために、ここでは、本発明の例示的な実施形態のみを非限定的な例として説明し、説明は添付の例示的な図面を参照して行う。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】例示的な滅菌チューブ連結装置の右側斜視図である。
図1B図1の装置の左側斜視図である。
図2A】左側の特徴のより詳細を示すために右側の特徴が隠された、図1Aの装置の右側斜視図である。
図2B】右側の特徴のより詳細を示すために左側の特徴が隠された、図1Aの装置の左側斜視図である。
図3A図1の装置のキャリッジの右側斜視図である。
図3B図3Aのキャリッジの右側斜視分解組立図である。
図4A図1Aの装置とともに使用するための切断ウェハの右側斜視図である。
図4B図4Aのウェハの右側立面図である。
図5A】キャリッジが装填位置まで後方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図5B】ウェハカートリッジからキャリッジ上にウェハを押し込む、装置の装填機構の拡大上面図である。
図5C】キャリッジが装填位置から加熱位置まで前方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図6A】キャリッジが加熱位置から切断および接合のために装置上にクランプされた2つのチューブ(図示せず)に向かって前方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図6B図6Aの位置における装置のキャリッジおよびウェハ、左チューブクランプ、ならびに変位ロック機構の位置の拡大右側立面図である。
図6C図6Aの位置における装置のキャリッジ、2つのチューブ、左チューブクランプ、右チューブクランプ、変位機構アセンブリ、および溶接機構アセンブリの位置の拡大上面図である。
図7A】ウェハが装置上にクランプされた2つのチューブ(図示せず)を切断するために、キャリッジが前方および上方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図7B図7Aの位置における装置のキャリッジおよびウェハ、左チューブクランプ、ならびに変位ロック機構の位置の拡大右側立面図である。
図7C図7Aの位置における装置のキャリッジ、2つのチューブ、左チューブクランプ、右チューブクランプ、変位機構アセンブリ、および溶接機構アセンブリの位置の拡大上面図である。
図8A】装置上にクランプされた2つのチューブ(図示せず)がウェハによって切断された直後にキャリッジが前方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図8B図8Aの位置における装置のキャリッジおよびウェハ、左チューブクランプ、ならびに変位ロック機構の位置の拡大右側立面図である。
図8C図8Aの位置における装置のキャリッジ、2つのチューブ、左チューブクランプ、右チューブクランプ、変位機構アセンブリ、および溶接機構アセンブリの位置の拡大上面図である。
図9A】ウェハが依然として2つの切断されたチューブと接触している間にキャリッジが前方および下方に移動されるときの、装置のキャリッジ、2つのチューブ、左チューブクランプ、右チューブクランプ、変位機構アセンブリ、および溶接機構アセンブリの位置の拡大上面図である。
図9B】装置上にクランプされた2つのチューブ(図示せず)がウェハによって切断され、ウェハがもはや2つの切断されたチューブと接触しなくなった後、キャリッジが前方および下方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図9C図9Bの位置における装置のキャリッジおよびウェハ、左チューブクランプ、ならびに変位ロック機構の位置の拡大右側立面図である。
図10A】キャリッジが取出し位置まで前方に移動した場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
図10B】キャリッジが図10Aの位置まで前方に移動したときにウェハと係合する取出し機構の拡大上面図である。
図10C】取出し機構によってキャリッジからウェハが取り出された後に、キャリッジが取出し位置から加熱位置に向かって後方に移動された場合の、図1Aの装置の右側立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
滅菌チューブ連結装置10および滅菌チューブ連結の方法900の例示的な実施形態を、図1A図10Cを参照して以下に説明する。同じまたは類似の部分を示すために、同じ参照番号が複数の図にわたって使用される。
【0028】
図1A図2Bに示すように、一般に、滅菌チューブ連結装置10は、少なくとも電気制御回路基板17と、キャリッジ30であって、切断ブレードまたはウェハ95をキャリッジ30上に支持するためのキャリッジ30と、第1のチューブクランプ421と、第2のチューブクランプ521と、キャリッジ30に固定的に連結されたリードスクリュー26と、リードスクリュー26を駆動するためのモータ27と、ウェハ95を加熱するための加熱要素611と、を備える。装置10はまた、装填機構70、取出し機構80、およびカートリッジアセンブリ90(または、ウェハカートリッジ90)を備えてもよい。ウェハカートリッジ90は、装置10で使用するための、図4Aに示すようなウェハ95の複数を収容するように設計されている。例示的な実施形態では、第1および第2のチューブクランプ421、521は、それぞれ左右のチューブクランプ421、521として設けられており、以下の説明ではそのようなものとして参照されるが、他の実施形態では、本発明の趣旨から逸脱することなく左右を交換してもよい。
【0029】
装置10は、キャリッジ30の走行経路の両側にそれぞれ1つずつ設けられた、直立した第1のカムプレート41(図2A)および直立した第2のカムプレート51(図2B)をさらに備えてもよい。例示的な実施形態では、第1および第2のカムプレート41、51は、それぞれ左右のカムプレート41、51として設けられており、以下の説明ではそのように言及されるが、他の実施形態では、本発明の趣旨から逸脱することなく左右を交換してもよい。左右のカムプレート41、51は各々、走行経路に面するカムトラック411、511を有する。キャリッジ30は、ウェハ95を加熱するために加熱エリアに移動させ、左チューブクランプ421および右チューブクランプ21によって装置10上にクランプされた2つのチューブ131、132を通してウェハを移動させて、左チューブクランプ421と右チューブクランプ21との間の両方のチューブ131、132を同時に切断するために、切断ウェハ95を前方11および後方12の長手方向に(図1Aに示すように)、さらに上方101および下方102の垂直(上下)方向(図1Aに示すように)に支持および移動させるように、かつ図5図5C図6A図7A図8A図9図10、および図10Cに見られるように、キャリッジ30を開始位置に戻すように構成されている。キャリッジ30は、前方11および後方12の長手方向に移動可能であり、キャリッジ30の少なくとも一部はまた、以下でさらに説明するように、左右のカムプレート41、51によってガイドされるように、上方101および下方102の垂直方向に移動可能である。キャリッジ30の移動は、モータ27によって回転されるリードスクリュー26によって促される。
【0030】
装置10および装置10の構成要素、例えば、変位機構アセンブリ42であって、左チューブクランプ421が変位機構アセンブリ42上に設けられた変位機構アセンブリ42、溶接機構アセンブリ52であって、右チューブクランプ521が溶接機構アセンブリ52上に設けられた溶接機構アセンブリ52、左チューブクランプ421、右チューブクランプ521、キャリッジ30、左カムプレート41、右カムプレート51、リードスクリュー2、装填機構70、および取出し機構80は、アルミニウムおよび/または鋼等の1つ以上の金属材料で作製されてもよい。ウェハカートリッジ90のカートリッジケース91は、好ましくは透明または半透明であるポリカーボネート等のプラスチック材料で作製されてもよい。
【0031】
切断前および切断中に、両方のチューブ131、132は、図6Cおよび図7Cに見ることができるように、左チューブクランプ421および右チューブクランプ21によって同時に所定の位置にクランプされる。左チューブクランプ421および右チューブクランプ521は、ウェハ95の移動経路の左右側部にそれぞれ設けられており、互いに短手方向に離間している。両方のチューブ131、132は、両方のチューブ131、132の中心長手方向軸線が互いに平行になるように、左チューブクランプ421および右チューブクランプ521によってクランプされる。例示的な実施形態では、装置10上にクランプされたときの2つのチューブ131、132の中心長手方向軸線は、長手方向11、12に対して垂直であり、すなわち、ウェハ95の移動経路を横切っている。このようにして、チューブ131、132を静止状態に保ちながら、左チューブクランプ421と右チューブクランプ521との間のウェハ95の前方11および上方101への移動の結果として、両方のチューブ131、132を左チューブクランプ421と右チューブクランプ521との間で同時に切断することができる。ウェハ切断動作の詳細については後述する。
【0032】
図1Bでより明確に見ることができるように、左チューブクランプ421は、変位機構アセンブリ42の上部に設けられている。変位機構アセンブリ42は、両方のチューブ131、132がウェハ95によって切断された後に左チューブクランプ421を前方11に、長手方向に変位または移動させ、左チューブクランプ421を後方12に、開始位置に戻すために、前方11および後方12の方向に長手方向に変位可能である。変位機構アセンブリ42は、装置10の不動の左直立壁40(図1B)に対する長手方向の移動11、12を可能にする直線ガイドレール(図示せず)によって連結されてもよい。両方のチューブ131、132が加熱されたウェハ95によって同時に切断された後、第1のチューブ131の保持された部分134は左チューブクランプ421によってクランプされたままであり、一方、第2のチューブ132の保持された部分135は右チューブクランプ521によってクランプされたままである。左チューブクランプ421を前方11に移動させることによって、図8Cに示すように、第1および第2のチューブ131、132の両方の保持された部分134、135の中心長手方向軸線が軸線方向において位置合わせされることができる。変位機構アセンブリ42は、変位機構クランプ装着プレート422をさらに備えてもよく、左チューブクランプ421は変位機構クランプ装着プレート422上に固定的に装着されている。変位機構アセンブリ42は、左カムプレート41に対して長手方向に移動可能である。以下、変位機構クランプ装着プレート422の付加的な特徴についてさらに説明する。
【0033】
右チューブクランプ521は、溶接機構アセンブリ52の上部に設けられている。溶接機構アセンブリ52は、図1Aに示すように、左方13および右方14方向(すなわち、前方11および後方12の方向に対して垂直である)に、短手方向に変位可能である。保持された部分134、135が軸線方向において位置合わせされ、ウェハ95が保持された部分134、135との接触から離れた後、右チューブクランプ521は、左チューブクランプ421に向かって短手方向左方13に移動される。右方14の短手方向移動により、右チューブクランプ521が開始位置に戻る。図9Aに示すように、右チューブクランプ521を左チューブクランプ421に向かって左方13に移動させることにより、軸線方向において位置合わせされた保持された部分134、135の溶融された切断面が互いに接触され、単一の接合されたチューブ137を形成するために所定の時間にわたって所定の位置に保持されて、2つの保持された部分134、135の溶接が行われる。溶接機構アセンブリ52は、溶接機構クランプ装着プレート522であって、右チューブクランプ521が溶接機構クランプ装着プレート上に固定的に装着された溶接機構クランプ装着プレート522と、溶接機構クランプ装着プレート522を右カムプレート51に固定的に連結するための溶接機構サイドプレート523と、をさらに備えてもよい。以下、溶接機構クランプ装着プレート522の付加的な特徴についてさらに説明する。
【0034】
例示的な実施形態では、キャリッジ30は、下部キャリッジアセンブリ32の上部に装着された上部キャリッジアセンブリ31を備える。上部キャリッジアセンブリ31に固定された上部キャリッジガイドシャフト319は、下部キャリッジアセンブリ32内に固定された対応する下部キャリッジ軸受ブッシング325と位置合わせされて、その中に摺動可能に挿入され(図3Aおよび図3B)、それによって、ガイドシャフト319がブッシング325内を移動するときに、上部キャリッジアセンブリ31が下部キャリッジアセンブリ32に対して上方101および下方102に移動することを可能にする。代替的な実施形態では、ガイドシャフト319は、下部キャリッジアセンブリ31に固定されてもよく、一方、ガイドシャフト319に係合する軸受ブッシング325が上部キャリッジアセンブリ32内に固定されている。したがって、上部キャリッジアセンブリ31は、下部キャリッジアセンブリ32と垂直方向に向けて摺動係合しており、上部および下部キャリッジアセンブリ31、32の両方が前方11および後方12に一緒に移動可能であり、かつ上部キャリッジアセンブリ31のみが上方101および下方102に移動可能である。
【0035】
例示的な実施形態では、キャリッジ30を前方11および後方12に移動させる、リードスクリュー26およびモータ27は、直線ガイドキャリッジ24であって、下部キャリッジアセンブリ32が直線ガイドキャリッジ24上に固定された直線ガイドキャリッジ24と、直線ガイドレール25であって、直線ガイドキャリッジ24が直線ガイドレール25に沿って摺動可能に係合する直線ガイドレール25と、をさらに備える、ベース機構アセンブリ20の一部である。直線ガイドレール25は、装置10のベースプレート21に固定的に取り付けられている。リードスクリュー26は、リードスクリュー26の両端で、ベースプレート21の前端および後端にそれぞれ固定的に装着された直立前方プレート22および直立後方プレート23によって、ベースプレート21と平行に回転可能に支持されている。キャリッジ30は、前方プレート22と後方プレート23との間を走行する。リードスクリュー26のリードスクリューナット324が、下部キャリッジアセンブリ32の下部キャリッジブロック321内に設けられており(図3B)、かつ下部キャリッジブロック321によって回転が防止され、その結果、下部キャリッジアセンブリ32は、モータ27の回転によってリードスクリュー26が回転されるときに前方11および後方12に直線的に移動される。
【0036】
上部キャリッジアセンブリ31は、上部キャリッジアセンブリ31の左右側面上に第1および第2の上部キャリッジカムフォロワ318を備える(図3Aおよび図3B)。上部キャリッジカムフォロワ318は、上部キャリッジアセンブリ31に対して回転可能であるが、その他の点では、上部キャリッジアセンブリ31に対して移動可能ではない。例示的な実施形態では、上部キャリッジカムフォロワ318は、水平かつ短手方向の回転軸線を有するローラを備え、すなわち、回転軸線は、上述の左13および右14方向と平行であり、すなわち、長手方向の前方11および後方12の方向に対して垂直である。直立した左右のカムプレート41、51が、キャリッジ30の左右側部にそれぞれ設けられている。左右のカムプレート41、51は各々、左右のカムプレート41、51間を移動するキャリッジ30に対向する左右のカムプレート41、51の内面上にそれぞれカムトラック411、511を備える。カムトラック411、511は、好ましくは鏡のように互いに対称である。上部キャリッジカムフォロワ318は、上部カムトラック411、511の上方101に向いている面に回転可能に係合して、上部カムトラック411、511の輪郭に従って上部キャリッジアセンブリ31の移動をガイドする。したがって、上部キャリッジアセンブリ31はまた、左右のカムプレート41、51のカムトラック411、511上に載置された上部キャリッジカムフォロワ318によって支持されている。
【0037】
カムトラック411、511の輪郭は、図5A図6B図7B図8B、および図9Bにおいてより詳細に見ることができる。各カムトラック411、511は、好ましくは、上部キャリッジカムフォロワ318が回転可能に係合される左右のカムプレート41、51にそれぞれ作製された連続した溝である。図5Aに示すように、各カムトラック411、511は、上部キャリッジアセンブリ31の水平移動のための第1の水平ベクトルH1と、所定の高さに達するまで前方11の方向に上方101に傾斜している第1の傾斜ランプAR1であって、第1の傾斜ランプAR1が第1の水平ベクトルH1の前方11に設けられている、第1の傾斜ランプAR1と、所定の高さで所定の水平長さにわたって連続する第2の水平ベクトルH2であって、第2の水平ベクトルH2が第1の傾斜ランプの前方11に設けられている、第2の水平ベクトルH2と、第1の水平ベクトルH1と一致する高さのレベルに達するまで前方11の方向に下方102に傾斜している第2の傾斜ランプAR2であって、第2の傾斜ランプAR2が第2の水平ベクトルH2の前方11に設けられている、第2の傾斜ランプAR2と、第1の水平ベクトルH1の高さで水平に連続する第3の水平ベクトルH3であって、第3の水平ベクトルH3が第2の傾斜ランプAR2の前方11に設けられている、第3の水平ベクトルH3と、を含む。
【0038】
カムトラック411、511は、装置10の4つの区画、すなわち、装填エリア、加熱エリア、切断エリア、および取出しエリアを通過する。装填エリアは、ウェハ95が上部キャリッジアセンブリ31上に機械的に装填されるエリアである。加熱エリアは、(好ましくは、ベースプレート21に固定的に連結されたヒータ装着アセンブリ60中に設けられた)加熱要素611がウェハ95と接触して熱伝達することによって、ウェハ95を所定の加工温度まで加熱するエリアである。切断エリアは、ウェハ95が予め位置決めされた熱可塑性チューブ131、132を切断するエリアであり、その間でチューブ131、132は、左チューブクランプ421および右チューブクランプ521によって所定の位置にクランプされる。切断エリアはまた、第1および第2のチューブクランプ421、521が切断されたチューブ131、132の保持端部134、135を位置合わせし直して溶接するエリアである。取出しエリアは、切断後にウェハ95が装置10から機械的に外されるエリアである。
【0039】
例示的な実施形態では、装置10の使用前の開始位置において、キャリッジ30は、図1Bに示すように、装置10上に設けられた加熱位置センサ442と位置合わせされた加熱位置中の加熱エリアにある(図5Cは、加熱位置にあるがウェハ95がキャリッジ30上に装填された後のキャリッジ30を同様に示している)。例えば、開始ボタン15を押すことによって装置10が起動すると、モータ27が起動されて第1の回転方向に回転し、その結果、リードスクリュー26を第1の回転方向に回転させる。第1の回転方向へのリードスクリューの回転は、下部キャリッジアセンブリ32内のリードスクリューナット324をリードスクリュー26に沿って後方の方向12に直線的に並進させ、キャリッジ30を後方12の長手方向に引っ張る。したがって、キャリッジ30は、加熱位置センサ442から、装置10上に設けられた装填位置センサ441と位置合わせされた装填位置まで、後方の長手方向12に駆動される(図5)。モータ27は、下部キャリッジアセンブリ32上に設けられた下部キャリッジ位置決めピン322が装填位置センサ441とインターフェースしたときに、回転を停止し、それによってキャリッジ30を装填位置で瞬間的に停止させるようにプログラムされている。例示的な実施形態では、位置決めピン322は光ブロッカピンを含んでもよく、加熱位置センサ442および装填位置センサ441等の様々な位置センサは光センサを含んでもよい。
【0040】
キャリッジ30が装填エリア内に後方12の方向に後退することにより、装填機構70を作動させるかまたはトリガして、ウェハカートリッジ90から上部キャリッジアセンブリ31上にウェハ95を装填する。装填機構70は、キャリッジ30の後方12への直線運動を、ウェハ95をウェハカートリッジ90から上部キャリッジアセンブリ31上に装填する装填機構70の前方11への(または他の方向への)動きに変換する、二次カムトラック、ラックアンドピニオン機構、または任意の他の適切な機構を備えてもよい。
【0041】
2A図5A、および図5Cに見られるような例示的な実施形態では、装填機構70は、ベースプレート21に固定的に連結されており、かつ装填ピニオンギヤ72、装填上部ラックアセンブリ711、および装填下部ラックアセンブリ73を支持する、装填機構ハウジング71を備える。装填上部ラックアセンブリ711は、装填ピニオンギヤ72と係合し、かつ装填機構ハウジング71によって支持されている、装填上部ラック712を備える。装填上部ラックアセンブリ711はまた、装填上部ラック712に固定的に取り付けられた装填ブロック713を含む(図2B)。装填下部ラックアセンブリ73は、装填機構ハウジング71によって支持されており、さらに装填ピニオンギヤ72と係合している、装填下部ラック731を備える。装填下部ラックアセンブリ73は、装填下部ラック731の前方11端部に設けられており、かつキャリッジ30に対向する、装填下部ラックプランジャヘッド732と、装填下部ラックプランジャヘッド732と後方プレート23との間で装填下部ラック731の周囲に設けられた装填下部ラックばね733と、を含む。したがって、この実施形態では、装填機構70はラックアンドピニオン機構として構成されており、キャリッジ30が開始位置、すなわち加熱位置にあるときに、装填下部ラック731は、装填下部ラックばね733によってキャリッジ30に向かって前方位置に向かって付勢される。
【0042】
装置10が起動され、切断サイクルが開始されると、キャリッジ30が下部ラックプランジャヘッド732に接触し、キャリッジ30が加熱位置から装填位置に後方長手方向12に移動するときに、装填下部ラック731は、キャリッジ30によって前方位置から後方位置へ装填機構ハウジング71内に後方12に押し込まれる(図5A)。したがって、装填ピニオンギヤ72は、後方12に移動する下部ラック731によって回転運動するように駆動される。装填ピニオンギヤ72のこの回転運動は、次に、装填上部ラック712を反対方向、すなわち前方11に駆動して延ばし、装填ブロック713に取り付ける。装填ブロック713が前方11に移動し続けると、図5Bに示すように、装填ブロック713は、ウェハカートリッジ90内の最も前方のウェハ95の後縁97と接触し、ウェハ95をウェハカートリッジ90から前方11に押し出して摺動させ、ウェハ95を上部キャリッジアセンブリ31上に装填する。
【0043】
ウェハ95が装填ブロック713を介して上部キャリッジアセンブリ31上に装填されるとき、ウェハ95の下縁は、図3Aおよび図3Bに見られるように、上部キャリッジアセンブリ31の上部キャリッジブロック311上に設けられたウェハ支持スロット301内に摺動され、ウェハ支持スロット301内のウェハ95の移動および位置決めが上部キャリッジブロック311上のウェハガイドピン313の間でガイドされる。上部キャリッジブロック311上には、垂直な回転軸線を有するウェハラッチ枢動ねじ316を中心に回転可能なウェハラッチ315が設けられている。ウェハラッチ315は、ウェハ支持スロット301中に延びる先端を有する。ウェハ95がウェハ支持スロット301内に摺動するとき、ウェハ95の前縁96および側面がウェハラッチ315の先端と接触して、ウェハラッチ315をウェハラッチ枢動ねじ316を中心として変位および回転させる。ウェハラッチ315の先端は、上部キャリッジブロック31内に設けられたウェハラッチばね317によってウェハ支持スロット301に向かって付勢されているため(図3B)、ウェハラッチ315の先端は、ウェハがウェハ支持スロット301に沿って摺動するときに、ウェハラッチ315の先端がウェハ95中に設けられたウェハラッチスロット956を貫通して係合するまで、ウェハ95の側面に対して接触したままであり、その時点で、ウェハ95はキャリッジ30上に正確に装填されたと見なされ、ウェハ95の後方への移動はウェハラッチ315によって防止される。ウェハラッチスロット956は、ウェハ95の底縁958に隣接するように位置決めされている。
【0044】
ウェハ95がキャリッジ30上に装填された後、次に、キャリッジ30は、モータ27が第2の回転方向に回転すると、リードスクリュー26によって加熱エリア内にウェハ95とともに前方長手方向11に駆動され、下部キャリッジ位置決めピン322が加熱位置センサ442とインターフェースしたときに、加熱位置で停止する。また、キャリッジ30のこの前方11運動により、装填下部ラックばね733が装填下部ラック731を前方位置に戻す際に、ウェハカートリッジ90から装填される次のウェハ95を準備するために装填機構70をリセットする。
【0045】
加熱位置において、ウェハ95は、図5Cに示すように、一対のヒータアセンブリ61の間に位置決めされる。加熱エリアにある一対のヒータアセンブリ61は各々、加熱要素611と、絶縁ストリップ612と、ヒータ片持ちばね614と、を備える(図2A)。ヒータアセンブリ61は、加熱位置センサ442が設けられている場所において、上部キャリッジアセンブリ31上のウェハ95の両側の、キャリッジ30の経路中に位置決めされている。ヒータアセンブリ61は、キャリッジ30の経路を横切るように位置決めされたヒータ装着アセンブリ60によって支持されている。ヒータ片持ちばね614は、ウェハ95に向かって短手方向内側に圧縮して、加熱要素611がウェハ95のウェハ加熱エリア954を完全に押圧することを可能にし、一方、加熱要素611とヒータ片持ちばね614との間の絶縁ストリップ612は、伝導によって失われる可能性のある熱エネルギーの量を減少させる。下部キャリッジ位置決めピン322が加熱位置センサ442とインターフェースしたときに、モータ27は回転を停止するようにプログラムされており、その結果、ウェハ95は、加熱要素611と接触するヒータアセンブリ61間で静止したままとなる。この位置で、電気制御回路基板17は、加熱要素611を作動させてウェハ95を加熱する。
【0046】
ウェハ95の近傍に配置されたウェハ温度センサ62は、加熱されているウェハ95の温度を読み取る。例示的な実施形態では、ウェハ温度センサ62は、上部キャリッジブロック311上(図3A、3Bおよび図C)、例えば、ウェハガイドピン313のうちの1つに設けられてもよい。ウェハ95がウェハ温度センサ62によって判断される十分な加工温度まで加熱されると、モータ27が電気制御回路基板17によって作動されて、キャリッジ30およびウェハ95を加熱位置センサ442から切断位置まで前方長手方向11に駆動し、切断および溶接プロセスを開始する。動作のこの段階における動きを、図6A図6B、および図6Cに示す。
【0047】
図4Aおよび図4Bに示す例示的な実施形態では、ウェハ95は、折り畳まれた金属シートを含み、銅等の金属材料で作製されてもよい。したがって、ウェハ95は、そうとは限らないが、寸法的に不均衡な区画を有する金属シートを折り畳むことによって形成されてもよい。したがって、金属シートの折り目は、ウェハ95の底縁958にある(図4A)。ウェハ95は、3つの領域、すなわち、ウェハ作用エリア953、ウェハ加熱エリア954、およびウェハ保持エリア955を備える(図4B)。ウェハ95のこの構成は、ヒータ接触加熱エリア954および保持エリア955が2つ以上の折り畳まれた金属シートの層を含む一方で、作用エリア953が単一層であることを可能にする。作用エリア953は、熱可塑性チューブを切断および溶接するときの精度を高め、かつ材料の損失を低減するために、薄くする必要がある。作用エリア953の後方角は、ウェハ95上のチューブかすが切断されたチューブ134、135を汚染するのを最小限に抑えることを可能にするように、ウェハ95がチューブ131、132から離れるときに、チューブ134、135の保持された部分の溶融された切断端部との均一な接触を可能にするように輪郭付けられている。この輪郭は、この特定の設計とは限らず、装置10内で使用される対応するカムトラック411、511の輪郭に応じて異なる。
【0048】
上述したように、金属シートの輪郭は、折り畳まれたときに、ウェハ95の切断部分が単層区画951のままである一方で、ウェハ95の残りの部分が、折り目によって連結された金属シートの2つの層を含む多層区画952であるようになっている。図4Aに示す例示的な実施形態では、折り目はウェハ95の前縁96に沿っている。代替的な実施形態では、折り目は、ウェハ95の底縁958または後縁97に沿ってもよい。作用エリア953は、切断および溶接プロセス中に両方の長さの熱可塑性チューブ131、132がウェハ95と接触する場所である。したがって、ウェハ作用エリア953は、熱可塑性チューブ131、132を切断するのに必要な材料の単一層を含む単一層区画951である。加熱エリア954は、ヒータアセンブリ61の加熱要素611がウェハ95を押圧し、ウェハ95を予め設定された温度まで加熱するエリアである。保持エリア955は、ウェハ95が、ウェハガイドピン313と上部キャリッジブロック311内のウェハ支持スロット301の下に設けられ得るウェハ支持ピン314(図3B)とによって、上部キャリッジアセンブリ31上のウェハ支持スロット301内に保持されるエリアである。保持エリア955は、上述したように、ウェハラッチ315と係合してウェハ95を上部キャリッジアセンブリ31上に固定するための、ウェハラッチスロット956をさらに備える。自動装填および取り外し機構を可能にするまたは強化するための付加的な特徴が、保持エリア955に含まれてもよい。保持エリア955もまた多層であることが好ましく、これにより、ウェハ95の実行されるプロセス全体にわたる構造強度が増加し、高温に加熱されたときに薄い金属シートが軟化する可能性があるため、ウェハ95が湾曲するのを防止する。
【0049】
保持エリア955に十分な空間があれば、ウェハの再使用を防止するために、使い捨てマーカ957等の他の特徴を組み込むことができる。このようなマーカ957は、装置10に内蔵されたセンサによって読み取られることによって、前に使用されたウェハを排除することができる。マーカ957は、RFIDタグ付け、高温または機械的手段のいずれかによって変わる蛍光コーティングを含み得るが、これらに限定されない。さらに、電気制御回路基板17は、チューブ131、132の切断および溶接に進む前に、ウェハ95が新しいかどうかをセンサ(図示せず)を介して検出するようにさらに適切に構成されてもよい。これにより、連結される予定のチューブ131、132に対する以前のチューブ連結から出た材料による汚染を防ぐ。
【0050】
ウェハ95において、多層ウェハ加熱エリア954(図4)は、単一層区画951を備えるウェハ作用エリア953よりも大きい熱質量を有する。ウェハ加熱エリア954は、ウェハ95が切断および溶接プロセスのためにヒータアセンブリ61から離れるときに、ウェハ作用エリア953における熱損失の速度を減少させるための熱容量性の特徴として作用する。切断および溶接プロセス中にさらなる熱損失が発生することとなるため、ウェハ95の多層ウェハ加熱エリア954およびウェハ保持エリア955は、貯蔵された熱エネルギーがより高いポテンシャル領域54、955からより低いポテンシャル領域953にシフトするにつれて、ウェハ作用エリア953に熱エネルギーまたは熱を供給し続けることとなる。
【0051】
特に、キャリッジ30の一部の部品(例えば、キャリッジ30が加熱位置にあるときにウェハ95と接触するか、または加熱要素611に近い一部の部品)は、Vespel(登録商標)(例えば、ウェハガイドピン313)またはジルコニア(例えば、ウェハ支持ピン314)等の耐熱性ポリイミド系プラスチックで作製されてもよく、その結果、それらは高い熱物理的安定性を有し、したがって、ウェハ95との接触によるウェハ95からの熱損失を最小限に抑えながら、加熱要素611からの熱に曝されたときに最小限の寸法変化を呈する。
【0052】
上述したように、ウェハ95が加熱要素11間にある間、温度センサ62はウェハ95をチェックして、ウェハ95が必要な温度に加熱されていることを保証する。加熱後、次いで、モータ27を第2の回転方向に回転させてキャリッジ30を前方11に移動させることによって、ウェハ95を切断エリアまで前方11に駆動する。キャリッジ30が前方11に移動するとき、上部キャリッジカムフォロワ318は、カムトラック411、511の第1の水平ベクトルH1に沿って移動する。上部キャリッジカムフォロワ318が第1の水平ベクトルH1のレベルにあるとき、ウェハ95の切断上縁959は、左右のチューブクランプ421、521によって装置10の上部にクランプされた両方のチューブ131、132よりも低い(図6Aおよび図6B)。
【0053】
キャリッジ30が前方11に移動し続けると、上部キャリッジカムフォロワ318は、カムトラック411、511の第1の傾斜ランプAR1に到達して係合し、上部キャリッジアセンブリ31が下部キャリッジアセンブリ32によって前方に引っ張られるにつれて、上部キャリッジアセンブリ31をカムトラック411、511の傾斜ランプAR1に沿って上昇させる。これにより、上部または下部キャリッジアセンブリ31、32のいかなる回転運動もなしに、ウェハ95が同時に前方11に移動されかつ上昇させられるときに、ウェハ95の上縁959は、下から上に熱可塑性チューブ131、132の両方を同時に切断するために、熱可塑性チューブ131、132の両方の長さと平行な位置合わせを維持することができる。上部キャリッジガイドシャフト319は、上部キャリッジアセンブリ31の上部キャリッジブロック311の角の近傍に位置決めされており、上部キャリッジアセンブリ31が第1の傾斜ランプAR1の傾斜ベクトルに対応する傾斜ベクトルで上昇するときに、上部キャリッジアセンブリ31がチューブ131、132に対して平行な位置合わせを維持することを可能にする。動作のこの段階における動きを、図7A図7B、および図7Cに示す。
【0054】
上部キャリッジアセンブリ31がカムトラック411、511の第1の傾斜ランプ溝AR1に沿って走行するとき、上部キャリッジアセンブリ31は同時に前方11および上方101の両方に移動し、一方、下部キャリッジアセンブリ32は前方にのみ移動する。この間、下部キャリッジアセンブリ32に設けられたピン(下部キャリッジ位置決めピン322と同じピンであってもよい)は、変位機構アセンブリ42上に設けられた変位ロック機構43と係合する(図7B)。変位ロック機構43は、変位機構アセンブリ42の移動を防止および許容するために、変位機構アセンブリをロックおよびロック解除するように構成されている。変位機構アセンブリ42が、開始位置にあるとき等、変位ロック機構43によってロックされているとき、変位機構アセンブリ42は、前方11または後方12の方向に直線的に並進することができない。
【0055】
例示的な実施形態では、変位ロック機構43は、垂直方向に移動可能かつ長手方向に移動不可能な変位ロックカムガイド431と、変位ロックカムガイド431に固定的に取り付けられた下端を有する変位ロックピン432と、変位ロックカムガイド431および変位ロックピン432を上方101に付勢する変位ロックばね433(図5Aおよび図5Cに見ることができる)と、変位機構アセンブリ42上に両方とも設けられた、前方ピンスロット423および後方ピンスロット424と、を備える。前方ピンスロット423および後方ピンスロット424は各々、変位機構アセンブリ42の移動を妨げるために、異なる時間に変位ロックピン432の上端に別々に係合する。前後のピンスロット423、424は、変位機構アセンブリ42の変位機構クランプ装着プレート422の下側に設けられてもよく、前方ピンスロット423は、長手方向において後方ピンスロット424の前方11に位置決めされる。
【0056】
特に、上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511の第1の水平ベクトルH1に係合している間、変位ロックピン432の自由上端は、前方ピンスロット423内に位置決めされて係合し、それによって変位機構アセンブリ42をロックして、変位機構アセンブリ42が前方11または後方12に変位するのを防止する。
【0057】
例示的な実施形態では、下部キャリッジ位置決めピン322と接触して係合するロック機構カムガイド431の上方101を向いている面は、カムトラック411、511の輪郭と同様の輪郭を有し、変位ロック機構43をキャリッジ30の位置に関連して作動させることを可能にする。キャリッジ30が前方11に移動しながら変位機構アセンブリ42を通過するとき、下部キャリッジアセンブリ32上の下部キャリッジ位置決めピン322が変位ロックカムガイド431を押し下げ、それによって変位ロックピン432を下降させ、変位ロックピン432を変位機構クランプ装着プレート422の前方ピンスロット423から係合解除し、変位機構アセンブリ42をロック解除して前方11または後方12への移動を可能にする。したがって、下部キャリッジ位置決めピン322は、ロック機構カムガイド431の上方101を向いている面に回転可能に係合するために、水平および短手方向の回転軸線を有する上部キャリッジカムフォロワ318と同様のローラを備えてもよい。
【0058】
例示的な実施形態では、変位ロックピン432は、上部キャリッジアセンブリ31が所定の高さまで上昇すると同時に前方ピンスロット423から下降する(図7A図7C)。これは、上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511の第1の傾斜ランプAR1を上っていると同時に、下部位置決めピン322が変位ロックカムガイド431と係合して変位ロックカムガイド431を押し下げ、変位ロックピン432を下げていることを意味する。この間、変位ロックピン432が下降している間に上部キャリッジアセンブリ31が前方11および上方101の両方に移動するとき、図6Bおよび図7Bの両方に見られるように、ウェハ95の加熱されたウェハ作用エリア953の上縁959が両方のチューブ131、132の配置に対して平行な位置合わせを維持しているため、ウェハ95も前方11および上方101の両方に移動して、両方のチューブ131および132を下方から上方に同時に切断する。
【0059】
特に、切断中、ウェハ95が上昇して2つのチューブ131、132の両方を通って切断する際に、変位ロックピン432が前方ピンスロット423から出て下降している間、変位ロックピン432の自由上端は依然として前方ピンスロット423から完全には出ていない。したがって、変位機構アセンブリ42は依然としてロックされて、長手方向に移動することが防止され、それによってウェハ95の作用エリア953が清浄かつ制御された切断のために2つのチューブ131、132を通過する間、2つのチューブ131、132を静止状態に保つ。切断後、ウェハ95は、第1のチューブ131の保持された部分134と第2のチューブ132の保持された部分135との両方の間に接触したままであり、それによって両方の保持された部分134、135の滅菌閉鎖ループを維持する。2つのチューブ131、132の切断後、保持された部分134、135は、それぞれ左チューブクランプ421および右チューブクランプ521によってクランプされたままであり、一方、第1および第2のチューブ131、132の廃棄端部133、136は、それぞれ右チューブクランプ521および左チューブクランプ421によってクランプされたままである(図7C)。
【0060】
キャリッジ30が前方11に移動し続ける中、上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511中の第2の水平ベクトルH2の開始点に達したとき、変位ロックピン432は前方ピンスロット423から完全に係合解除されて、変位機構アセンブリ42の長手方向の移動を可能にする。この時点で、両方のチューブ131、132は切断されており、上部キャリッジアセンブリ31上に設けられた変位キャッチ312は、変位機構アセンブリ42の変位機構クランプ装着プレート422上に設けられた変位ノッチ425と係合する。変位キャッチ312および変位ノッチ425は、変位機構アセンブリ42の長手方向の移動を可能にするために、変位ロックピン432が前方ピンスロット423から完全に係合解除されたときにのみ互いに係合するように位置決めされている。このようにして、キャリッジ30は、第1および第2のチューブ131、132が切断された後にキャリッジ30が前方に移動したときに左チューブクランプ421に自動的かつ機械的に連結されて、左チューブクランプ421を前方に移動させる。
【0061】
例示的な実施形態では、変位キャッチ312は、短手方向軸線に沿って上部キャリッジブロック311の上面から突出する隆起部を備え、一方、変位ノッチ425は、変位キャッチ312を変位ノッチ425内に受容して係合するために、変位機構クランプ装着プレート422の下側に雌型インターフェースまたは窪みを備える(図7B)。このようにして、上部キャリッジアセンブリ31は、上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511の第2の水平ベクトルH2に係合した状態でキャリッジ30が前方11に移動し続けたときに、変位機構アセンブリ42に接触し、前方11の長手方向の力を伝達することができ、それによって、変位ロックピン432が下降されて前方ピンスロット423から係合解除された後に、変位機構アセンブリ42は上部キャリッジアセンブリ31と一緒に前方11に(長手方向軸線に沿って)引っ張られる。代替的な実施形態では、変位キャッチ312は、変位機構クランプ装着プレート422の下側に設けられてもよく、一方、変位ノッチ425は、例えば、上部キャリッジブロック311の上面に設けられてもよい。
【0062】
変位機構アセンブリ42が、前方11に移動する上部キャリッジアセンブリ31によって前方11に引っ張られることにより、接合されるべき熱可塑性チューブの保持された部分134、135を位置合わせし(図8A図8C)、一方、すでに上述したように、ウェハ95は、第1および第2のチューブ131、132の保持された部分134、135の切断および溶融された端部と接触したままである。左チューブクランプ421によってクランプされた第1のチューブ131の保持された部分134が、右チューブクランプ521によってクランプされた第2のチューブ132の保持された部分135と軸線方向において位置合わせされるように前方11に変位されるとき、上部キャリッジアセンブリ31は、カムトラック411、511中の第2の傾斜ランプAR2を下方102および前方11に追従して、切断されたチューブ131、132の保持された部分134、135からウェハ95を離して移動させる。
【0063】
上部キャリッジアセンブリ31が第2の傾斜ランプAR2に追従して前方11および下方102に移動すると同時に、下部キャリッジアセンブリ32上に固定的に設けられた下部キャリッジカムフォロワ323は、図9Aに示すように、右カムプレート51上に設けられた溶接カムガイド524の段部524-1の上を走行する。段部524-1は、図2Bに斜視図で示されており、キャリッジ30から離れるように短手方向外側14に延在する。例示的な実施形態では、下部キャリッジカムフォロワ323は、下部キャリッジアセンブリ32との下部キャリッジカムフォロワ323の相対運動が下部キャリッジカムフォロワ323の回転のみを含むように下部キャリッジアセンブリ32の右側に固定的に設けられた、垂直回転軸線を有するローラを備える。下部キャリッジカムフォロワは、溶接カムガイド524と回転可能に係合する。溶接カムガイド524は、キャリッジ30の走行経路に対向しており、下部キャリッジカムフォロワ323が沿って回転する右カムプレート51の内面上に、短手方向に突出した輪郭面を備えてもよい。溶接カムガイド524は、図2Bに見られるように、カムトラック511の下の右カムプレート51上に設けられてもよい。右カムプレート51は、右カムプレート51と、ベースプレートに固定的に連結された溶接機構後方プレート526であって、すなわち移動不可能な溶接機構後方プレート526との間に設けられた1つ以上の溶接機構ばね(図示せず)によって、左カムプレート41に向かって短手方向に付勢されている。このようにして、互いに固定的に連結された溶接カムガイド524、右カムプレート51、溶接機構クランプ装着プレート522、および右チューブクランプ521は全て、装置10のベースプレート21に固定的に連結された溶接機構後方プレート526から左方13および右方14に変位可能である。これを容易にするために、溶接機構クランプ装着プレート522は、(溶接機構クランプ装着プレート522の短手方向移動13、14を可能にする)直線ガイドレール528によって、装置10の不動の直立壁50(図1A)に連結されてもよい。
【0064】
なお、下部キャリッジカムフォロワ323の長手方向の走行経路は、溶接カムガイド524の短手方向の突出面に干渉するように構成されている。したがって、(右カムプレート51に固定的に連結されている)右チューブクランプ521の短手方向の変位および位置決めは、溶接カムガイド24の輪郭面に沿った下部キャリッジカムフォロワ323の場所によって決定される。
【0065】
図2Bに見られるように、溶接カムガイド524上の段部524-1は、溶接カムガイド524の短手方向の面上に設けられている。キャリッジ30(下部キャリッジカムフォロワ323を含む)は、短手方向に移動できないが、溶接カムガイド524(すなわち、下部キャリッジカムフォロワ323に対して相対的に回転接触している)は、1つ以上の溶接機構ばねによってもたらされる左方13の付勢に対抗して、下部キャリッジカムフォロワ323によって、右方14に短手方向に変位可能である。したがって、下部キャリッジカムフォロワ323が前方11に移動して、溶接カムガイド524上の段部524-1に係合するとき、圧縮された溶接機構ばね525が右カムプレート51(したがって、右チューブクランプ521も)を、ウェハ95に向かう短手方向の方向13に変位させる。このようにして、装置10は、第1のチューブ131の保持された部分134が第2のチューブ132の保持された部分135と軸線方向において位置合わせされた後に、キャリッジ30が前方11に移動するとき、右チューブクランプ521を左チューブクランプ421に向かって(すなわち、左方13)自動的かつ機械的に変位させる。左チューブクランプ421に向かう右チューブクランプ521のこの左方13への短手方向の移動は、第1のチューブ131の保持された部分134および第2のチューブ132の保持された部分135の溶融された切断端部をウェハ作用エリア953の面と接触させて移動させ、切断プロセス中に失われたチューブ材料を補償し、切断されたチューブ131、132の保持された部分134、135で滅菌閉鎖ループを維持する。
【0066】
キャリッジ30が前方長手方向11に継続して進むとき、上部キャリッジアセンブリ31は、カムトラック411、511に従って第2の傾斜ランプAR2を下って進み、それによってウェハ95をチューブ131、132間から下降させ、その結果、ウェハ95はもはやチューブ131、132と接触しない。この動きはまた、上部キャリッジアセンブリ31の変位キャッチ312を変位機構クランプ装着プレート422上の変位ノッチ425から係合解除させる(図9C)。同時に、下部キャリッジアセンブリ32上の下部キャリッジ位置決めピン322が変位ロックカムガイド431を通過し、変位ロックカムガイド431から係合解除され、それによって、変位ロックピン432の上部自由端が(変位ロックばね433の上方101への付勢作用の下で)変位機構クランプ装着プレート422の後方ピンスロット424内に上昇して、変位機構アセンブリ42を所定の位置に保持する(図9C)。同時に、1つ以上の溶接機構ばねは、右カムプレート52を(したがって、右チューブクランプ521も)短手方向左方13に、左チューブクランプ421に向かって押し続け、第2のチューブ132の保持された部分135の溶融された切断端部を、第1のチューブ131の保持された部分134の軸線方向において位置合わせされた、溶融された切断端部に対して左方13に移動させて、単一のチューブ137を形成する(図9Aに示すように)。左チューブクランプ421および右チューブクランプ521は、この位置に留まるように残され、両方の保持された部分のチューブ134、135の溶融された切断端部を一緒に押圧されたままにして、キャリッジ30が第3の水平ベクトルH3に沿って前方11に移動し続けている間に溶接されたチューブ137を冷却して融合させることを可能にする。
【0067】
したがって、上部キャリッジアセンブリ31も下降させるキャリッジ30の連続的な前方11への移動によってウェハ95が切断されたチューブ131、132から前方11および下方102に移動するとき、溶接機構アセンブリ52は、下部キャリッジアセンブリ32によってトリガされて、右チューブクランプ521を左チューブクランプ421に向かって短手方向13に移動させると言うことができる。これにより、(右チューブクランプ521によってクランプされている)第2のチューブ132の保持された部分135を、(左チューブクランプ421によってクランプされている)第1のチューブ131の前方11に変位した保持された部分134に向かって内側短手方向13に、溶接のために移動させる。
【0068】
装置10は、チューブ131、132が切断された後に装置10から使用済みウェハ95を自動的に外すための取出し機構80をさらに備えてもよい。好ましくは、第3の水平ベクトルH3に沿ったキャリッジ30のさらなる前方11への移動は、キャリッジ30を取出しエリアに移動させ、そこで下部キャリッジ位置決めピン322と装置10上に設けられた取出し位置センサ443との位置合わせにより、キャリッジ30のさらなる前方11への移動を停止させる。キャリッジ30が水平方向前方11の取出しエリア内に駆動されたとき、取出し機構80(装填機構70の機構と同様であってもよい)がトリガされて、ウェハ95と係合する。装置10がリセットされると(例えば、リセットボタン16を押すことによって)、キャリッジ30は開始位置に戻り、それによって取出し機構80がキャリッジ30からウェハ95を外す。
【0069】
例示的な実施形態では、取出し機構80は、ベースプレート21に固定的に連結されており、かつ取出しピニオンギヤ83、取出し上部ラックアセンブリ82、および取出し下部ラックアセンブリ84を支持する、取出し機構ハウジング81を備える。取出し上部ラックアセンブリ82は、取出しピニオンギヤ83と係合しており、かつ取出し機構ハウジング81によって支持されている、取出し上部ラック821を備える。取出し上部ラックアセンブリ82はまた、取出し上部ラック821に固定的に取り付けられた取出しリンク機構822を含む。取出しキャッチ823が、取出しリンク機構822に固定的に連結された取出しキャッチシャフト825の周囲に設けられた取出しキャッチばね824を介して、取出しリンク機構822に移動可能に連結されている。取出しキャッチ823は、取出しキャッチばね824および取出しキャッチシャフト825の長手方向軸線を水平方向および短手方向に向けることによって、取出しリンク機構822に対して短手方向の左方13および右方14に変位可能である。開始位置では、図2Aに見られるように、取出しリンク機構822および取出しキャッチ823は、装置10の取出しリンク機構822に隣接している。取出し下部ラックアセンブリ84は、取出し下部ラック841を備え、取出し下部ラック841は、取出し下部ラック841が長手方向に直線的に並進するときに取出しピニオンギヤ83を駆動して回転させる。取出し下部ラックアセンブリ84は、取出し下部ラック841の一端に設けられており、かつキャリッジ30に対向する、取出し下部ラックプランジャヘッド842と、取出し下部ラック841の周囲で取出し下部ラックプランジャヘッド842と前方プレート22との間に設けられた取出し下部ラックばね843と、を含む。したがって、この実施形態では、取出し機構80はラックアンドピニオン機構として構成されており、取出し下部ラック841は、キャリッジ30が開始位置、すなわち加熱位置にあるときに、取出し下部ラックばね843によってキャリッジ30に向かう後方位置に向けて付勢される。
【0070】
下部キャリッジ位置決めピン322が取出し位置センサ443とインターフェースするまで、キャリッジ30が前方長手方向11に移動するにつれて、取出し機構下部ラック841がキャリッジ30によって取出し機構ハウジング81内に、前方に押し込まれるとき(図10A)、取出しピニオンギヤ83が駆動されて運動し、それによって取出し上部ラック821および取り付けられた取出しリンク機構822を反対方向、すなわち後方12に延ばす。取出しリンク機構822が後方12に移動するとき、取出しキャッチ823は、キャリッジ30上のウェハ95の前縁96と接触し、取出しキャッチシャフト825に沿って取出しリンク機構822に向かって左方13に変位し、それによって、取出しキャッチ823がウェハ95の後縁97の後ろに落ちるまで(図10A)、取出しキャッチ823がウェハ95の側面に沿って後方12に摺動し続けている間、取出しキャッチばね824を圧縮する(図10B)。取出しキャッチ823がウェハ95の後縁97の背後にあるとき、圧縮された取出しキャッチばね824は、取出しキャッチ823をウェハ95の背後から短手方向14に繰り出して、ウェハ95の後縁97と係合させる。
【0071】
例示的な実施形態では、装置10のリセットボタン16の起動時に、モータ27は、取出し位置センサ443(図10C)の場所から加熱位置センサ442の場所に向かって後方12の長手方向にキャリッジ30を駆動する第2の回転方向に回転される。同時に、圧縮された取出し下部ラックばね843は、キャリッジ30が後方12に駆動されるときに取出し下部ラックプランジャヘッド842を後方12の方向に押し、それによって取出しリンク機構822および取出しキャッチ823を前方の方向11に、前方プレート22に隣接する開始位置まで戻す。取出しキャッチ823が開始位置に戻るとき、取出しキャッチ823はウェハ95を前方長手方向11に引っ張り、それによってウェハラッチ315をウェハラッチスロット956から係合解除して、ウェハ95を上部キャリッジアセンブリ31の外に、また前方プレート22内に設けられた取出しスロット221を通して装置10の外に摺動させる(図1Aに見られるように)。
【0072】
変位機構アセンブリ42および取出し機構80等の全ての補助機構の作動は、直線ガイドレール25に沿ったキャリッジ30の位置に依存するため、全ての補助機構の機構はまた、キャリッジ30がカムトラック411、511を逆方向または後方12の方向をたどるときに全ての補助機構の開始構成にリセットされる。
【0073】
例えば、上部キャリッジアセンブリ3が第2の傾斜ランプAR2を後方の方向12に上昇しているとき、下部キャリッジ位置決めピン322は、変位ロックカムガイド431と係合して変位ロックカムガイド431を押し下げ、変位ロックカムガイド431と同時に変位ロックピン432を押し下げており、それによって変位ロックピン432が変位機構クランプ装着プレート422の後方ピンスロット424から出て下降する。
【0074】
キャリッジ30が後方12に移動し続けているときに、上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511中の第2の水平ベクトルH2に達したとき、変位ロックピン432は後方ピンスロット424から完全に係合解除されて、変位機構アセンブリ42の長手方向の移動を可能にする。この時点で、変位キャッチ312は再び変位ノッチ425と係合し、上部キャリッジアセンブリ31は変位機構アセンブリ42に接触して後方12の長手方向の力を伝達することができる。上部キャリッジカムフォロワ318がカムトラック411、511の第2の水平ベクトルH2に係合した状態でキャリッジ30が後方12に移動し続けたときに、これにより、変位機構アセンブリ42が上部キャリッジアセンブリ31とともに(長手方向軸線に沿って)後方12に引っ張られて変位機構アセンブリ42の開始位置まで移動し、下部キャリッジ位置決めピン322が加熱位置センサ442と接触したときに、キャリッジ30は最終的に加熱エリアで静止する。同様に、下部キャリッジカムフォロワ32は、第2の段部524-2、第1の段部524-1、および溶接機構カムガイド524の残りの部分に沿って後方の方向12に走行し、それによって右カムプレート51および右チューブクランプ521を右カムプレート51および右チューブクランプ521の開始位置に戻す。
【0075】
上記の移動をもたらし、制御するために、装置10には、装置10の制御の完全なサイクルを説明する以下の例示的なシーケンスに従って装置10の動作を制御するようにプログラムされた電気制御回路基板17によって実行される、電気制御が設けられている。
・開始ボタン15が起動されると、モータ27を第1の回転方向に回転させて、キャリッジ30を開始位置から後方長手方向12に、ウェハ95をキャリッジ30上に装填するようにプログラムされた1つ以上の速度で駆動する。
・下部キャリッジ位置決めピン322が装填位置センサ441とインターフェースしたとき、モータ27を停止させ第2の回転方向に回転させて、ウェハ95を搬送するキャリッジ30を1つ以上のプログラムされた速度で前方長手方向11に駆動する。
・下部キャリッジ位置決めピン322が加熱位置センサ442とインターフェースしたとき、モータ27を停止させ、加熱要素611を作動させてウェハ95を所定の温度まで加熱する。
・ウェハ温度センサ62が、ウェハ95の温度が所定の温度に達したことを検出したとき、加熱要素611のさらなる加熱を停止し、モータ27を第2の方向に回転させて、キャリッジ30を前方長手方向11に、1つ以上のプログラムされた速度で駆動し、両方のチューブ131、132を切断および接合する。
・下部キャリッジ位置決めピン322が取出し位置センサ443とインターフェースしたとき、モータ27を停止させる。
・リセットボタン16の起動時に、モータ27を第1の方向に回転させて、キャリッジ30を1つ以上のプログラムされた速度で後方長手方向12に駆動し、使用済みウェハ95をキャリッジ30から取り出して、変位機構アセンブリ42および溶接機構アセンブリ52を変位機構アセンブリ42および溶接機構アセンブリ52の開始位置に戻す。
・下部キャリッジ位置決めピン322が加熱位置センサ442とインターフェースしたとき、キャリッジ30が開始位置に戻ったときにモータ27を停止させるように構成されている。
【0076】
上述の装置10では、2つのチューブ131、132が切断されて接合され、チューブ137の滅菌状態を維持しながら単一の長さのチューブ137を形成するために、装置10の全ての可動部品をそれらの様々な異なる方向に駆動するためにただ1つのモータ27が必要とされることが理解され得る。切断ウェハ95の装填および取出しさえも、同じ1つのモータ27を使用して装置10上で自動的に実行することができる。キャリッジ30の長手方向の移動を2つのチューブクランプ421、521のうちの1つの必要な長手方向の変位と機械的に連動させて、切断後の溶接のために2つのチューブ134、135の保持された部分を位置合わせし、また、キャリッジ30の長手方向の移動を2つのチューブクランプ421、521のうちの1つの必要な短手方向の変位と機械的に連動させて、2つのチューブ134、135の位置合わせされた保持された部分を一緒に溶接することによって、2つのチューブ131、132を切断および溶接して単一の長さのチューブ137を形成するために必要な全ての移動を行うために、本装置10では1つのモータ27のみを必要とする。このようにして、装置10は、現在利用可能な滅菌チューブ連結装置と比較してコンパクトで省スペースになり、それによって装置10は、現場での使用のために様々な異なる場所に容易に持ち運ぶことができるため、携帯可能になる。装置10はまた、調整および同期される必要がある異なる方向に移動する異なる部品を各々制御する複数のモータを有さないため、制御が容易である。代わりに、本装置10は、ウェハ装填、チューブ切断、チューブ再位置合わせ、チューブ溶接、およびウェハ取出しを含むプロセス全体の全ての異なる段階が装置10によって実行されるために、様々な所定の時間間隔の間、1つのモータ27の回転および停止方向のみを設定することによって容易にプログラムされる。
【0077】
上記の説明では、本発明の例示的な実施形態を説明したが、本発明から逸脱することなく、設計、構築、および/または動作の詳細における多くの変形および組合せが行われ得ることが、当業者には理解されよう。例えば、上記では、2つのチューブが切断された後に左チューブクランプが前方に長手方向に変位し、その後、右チューブクランプが左チューブクランプに向かって左方に短手方向に変位して2つのチューブの保持端部を接合し単一のチューブを形成することを説明したが、代替的な実施形態では、2つのチューブが切断された後に右チューブクランプが前方に長手方向に変位し、その後、左チューブクランプが右チューブクランプに向かって右方に短手方向に変位して2つの切断されたチューブの保持端部を接合し単一のチューブを形成してもよいことを理解されたい。上述の実施形態および図示の装填機構アセンブリは、ダブルラックおよびピニオンアクチュエータを備えるが、他の実施形態では、装填機構アセンブリは、代替的に、キャリッジアセンブリの直線運動を異なるベクトルの運動に変換してウェハを装填するためのカムおよびガイド機構を備えてもよい。上述の実施形態および図示の取出し機構アセンブリは、ダブルラックおよびピニオンアクチュエータを備えるが、他の実施形態では、取出し機構アセンブリは、代替的に、キャリッジアセンブリの直線運動を異なるベクトルの運動に変換してウェハを装填するためのカムおよびガイド機構を備えてもよい。アルミニウム、鋼、銅、Vespel(登録商標)、およびジルコニアを、装置の構成要素の多くに使用され得る材料として上述したが、他の適切な材料を使用して構成要素を形成してもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチューブを第2のチューブと接合するための滅菌チューブ連結装置であって、前記装置が、
前方および後方に、長手方向に移動可能な第1のチューブクランプと、
前記第1のチューブクランプから離間しており、かつ前記第1のチューブクランプの前方および後方への移動に垂直である左方および右方に、短手方向に移動可能な、第2のチューブクランプであって、前記第1のチューブクランプおよび前記第2のチューブクランプが、前記第1のチューブの中心長手方向軸線が前記第2のチューブの中心長手方向軸線と平行になるように、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを同時にクランプするように設けられている、第2のチューブクランプと、
加熱要素と、
キャリッジであって、前記キャリッジが、切断ウェハを前記キャリッジ上に支持して移動させるためのものであり、前記キャリッジが、前方および後方に、長手方向に移動可能であり、かつ上方および下方に、垂直方向に移動可能である、キャリッジと、
モータによって回転されるリードスクリューであって、前記リードスクリューが、前記キャリッジに固定的に連結されたリードスクリューナットを有し、前記リードスクリューの回転によって前記キャリッジの移動が促される、リードスクリューと、
を備え、
前記キャリッジが、前記ウェハを前記キャリッジ上に支持しているときに前記ウェハを前記加熱要素と接触させて、前記ウェハを所定の温度まで加熱するために移動可能であり、
前記ウェハの加熱後の前記キャリッジの前方および上方への移動により、前記ウェハを前記加熱要素から遠ざけ、前記第1のチューブクランプと前記第2のチューブクランプとの間で前記ウェハを前記第1のチューブおよび前記第2のチューブに通過させ、それによって前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを切断し、
前記第1のチューブおよび前記第2のチューブが切断された後に前記キャリッジが前方に移動するときに、前記第1のチューブクランプが前記キャリッジとともに前方に移動するように、前記キャリッジが、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブが切断された後に、前記第1のチューブクランプに自動的かつ機械的に連結され、前記第1のチューブクランプが前方に移動したとき、前記第1のチューブクランプによってクランプされた前記第1のチューブの保持された部分が、前記第2のチューブクランプによってクランプされた前記第2のチューブの保持された部分と軸線方向において位置合わせされ、
前記第1のチューブの前記保持された部分が前記第2のチューブの前記保持された部分と軸線方向において位置合わせされ、かつ前記ウェハが前記第1のチューブおよび前記第2のチューブとの接触から離された後に、前記キャリッジが前方に移動するときに、前記装置が、前記第2のチューブクランプを前記第1のチューブクランプに向かって短手方向に自動的かつ機械的に変位させ、それにより、前記第1のチューブの前記保持された部分および前記第2のチューブの前記保持された部分の溶融された切断端部を一緒にして、前記溶融された切断端部間に溶接部を形成し、前記第1のチューブの前記保持された部分および前記第2のチューブの前記保持された部分から単一の長さのチューブを形成するようにさらに構成されており、
前記装置が、
前記モータの回転を制御して前記キャリッジの移動を促すようにプログラムされた電気制御回路基板を備える、
滅菌チューブ連結装置。
【請求項2】
前記キャリッジが、上部キャリッジアセンブリおよび下部キャリッジアセンブリを備え、前記上部キャリッジアセンブリが、前記下部キャリッジアセンブリと垂直方向に向けて摺動係合しており、前記上部および下部キャリッジアセンブリの両方が、前方および後方に一緒に移動可能であり、前記上部キャリッジアセンブリのみが、上方および下方に移動可能である、請求項1に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項3】
前記装置が、前記キャリッジの走行経路の両側に1つずつ設けられた、直立した第1および第2のカムプレートをさらに備え、前記第1および第2のカムプレートが各々、前記走行経路に面するカムトラックを有し、前記上部キャリッジアセンブリが、前記第1および第2のカムプレートの前記カムトラックにそれぞれ回転可能に係合するように構成された第1および第2の上部キャリッジカムフォロワを有し、前記上部キャリッジアセンブリの長手方向および垂直方向の移動が、前記カムトラックの輪郭によってガイドされる、請求項2に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項4】
前記上部キャリッジアセンブリが、上部キャリッジブロックと、長手方向に方向付けされたウェハ支持スロットであって、前記上部キャリッジブロック上に設けられており、かつ前記ウェハを前記ウェハ支持スロット内に支持するための、ウェハ支持スロットと、前記ウェハ支持スロットの横に設けられており、前記ウェハ支持スロット内の前記ウェハの移動および位置決めをガイドする、ウェハガイドピンと、前記ウェハを前記ウェハ支持スロット内に固定し、かつ前記ウェハの後方への移動を防止するために設けられた、ウェハラッチと、を備える、請求項2または3に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項5】
前記第1のチューブクランプが、前方および後方に、長手方向に移動可能な変位機構アセンブリの上部に固定的に設けられており、前記装置が、前記第1のチューブクランプの長手方向の変位を、前記変位機構アセンブリをロックして防止し、ロック解除して可能にする、変位ロック機構をさらに備える、請求項2~4のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項6】
前記変位ロック機構が、垂直方向に移動可能かつ長手方向に移動不可能な変位ロックカムガイドと、自由上端および前記変位ロックカムガイドに固定的に取り付けられた下端を有する変位ロックピンと、前記変位ロックカムガイドおよび前記変位ロックピンを上方に付勢する変位ロックばねと、前方ピンスロットおよび後方ピンスロットであって、両方とも前記変位機構アセンブリ上に設けられており、異なる時間に前記変位ロックピンの前記自由上端に別々に係合して前記第1のチューブクランプの長手方向の変位を防止する、前方ピンスロットおよび後方ピンスロットと、を備え、前記装置が、前記下部キャリッジアセンブリ上に設けられており、かつ前記変位機構アセンブリをロックするために前記ロックカムガイドと係合する、ピンをさらに備える、請求項5に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項7】
前記カムトラックが各々、前記キャリッジを前記加熱要素へ移動させるための前記上部キャリッジアセンブリの水平移動のための第1の水平ベクトルを含む、請求項6に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項8】
前記カムトラックが各々、前記前方の方向に上方に傾斜した第1の傾斜ランプを備え、前記上部キャリッジカムフォロワが前記第1の傾斜ランプと係合し、かつ前記キャリッジが前方に移動されるとき、前記上部キャリッジアセンブリが、前記上部キャリッジアセンブリ上に支持された前記ウェハが前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを通って切断するために前記第1の傾斜ランプに沿って前方かつ上方に移動し、一方、前記変位機構アセンブリが、前記変位ロック機構によってロックされて、前記ウェハが前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを切断する間における前記第1のチューブクランプの長手方向の変位を防止する、請求項5~7のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項9】
変位キャッチおよび変位ノッチをさらに備え、前記変位キャッチが、前記上部キャリッジアセンブリおよび前記変位機構アセンブリのうちの一方の上に設けられており、前記変位ノッチが、前記上部キャリッジアセンブリおよび前記変位機構のうちの他方の上に設けられており、前記第1および第2のチューブが切断され、かつ前記変位ロック機構が前記変位機構アセンブリをロック解除して前記第1のチューブクランプの長手方向の移動を可能にした後に、前記変位キャッチが、前記変位ノッチと自動的に係合し、前記変位キャッチと前記変位ノッチとの係合により、前記上部キャリッジアセンブリが前記第1のチューブクランプに機械的に連結されて、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブが切断された後に前記第1のチューブの前記保持された部分を前記第2のチューブの前記保持された部分と軸線方向において位置合わせするように前記キャリッジが前方に移動するときに、前記第1のチューブクランプが前方に移動される、請求項5~8のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項10】
前記カムトラックが各々、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブが切断された後の前記キャリッジアセンブリの前方への移動のための第2の水平ベクトルを含む、請求項9に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項11】
前記カムトラックが各々、前記前方の方向に下方に傾斜した第2の傾斜ランプを備え、前記上部キャリッジカムフォロワが前記第2の傾斜ランプと係合し、かつ前記キャリッジが前方に移動されるときに、前記上部キャリッジアセンブリが前方および下方に移動して、前記上部キャリッジアセンブリ上に支持された前記ウェハを前記切断された第1のチューブおよび前記切断された第2のチューブから離す、請求項3~10のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項12】
前記第2のチューブクランプが、前記第2のカムプレート上に固定的に設けられており、前記第2のカムプレートが、左方および右方に、短手方向に変位可能であり、かつ前記第2のカムプレートと移動不可能な溶接機構後方プレートとの間に設けられた溶接機構ばねによって前記第1のカムプレートに向かって付勢されており、前記第2のカムプレートが、前記キャリッジの前記走行経路に面する溶接カムガイドを備え、前記下部キャリッジアセンブリが、前記溶接カムガイドに回転可能に係合する下部キャリッジカムフォロワを備え、前記溶接カムガイドが、段部を有し、前記下部キャリッジカムフォロワが前記段部を越えて走行するときに、前記溶接機構ばねが前記第2のカムプレートを前記第1のカムプレートに向けて変位させ、それによって前記第2のチューブクランプを前記第1のチューブクランプに向けて変位させて、前記第1のチューブの前記保持された部分および前記第2のチューブの前記保持された部分の前記溶融された切断端部を結びつけるように、前記段部が、短手方向外側に延在する、請求項3~11のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項13】
前記キャリッジが前記加熱エリアから装填エリアに後方に移動するときに前記ウェハを前記キャリッジ上に装填するように構成された装填機構をさらに備え、前記装填機構が、装填下部ラックであって、前記キャリッジが前記装填下部ラックの前方端部に接触しているときに前記キャリッジの後方への移動によって前方位置から後方位置に後方に移動可能な装填下部ラックと、前記装填下部ラックと係合している装填ピニオンギヤと、装填上部ラックであって、前記装填上部ラックが前記装填下部ラックの移動とは反対方向に移動するように前記ピニオンギヤと係合している、装填上部ラックと、前記装填上部ラックに固定的に取り付けられており、前記キャリッジが装填位置まで後方に移動するときに、前記装填下部ラックが後方に移動する結果として、前記装填上部ラックが前方に移動するときに、ウェハカートリッジから前記キャリッジ上にウェハを前方に押し出す、装填ブロックと、を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項14】
前記装填機構が、前記装填下部ラックの前記前方端部に設けられた装填下部ラックプランジャヘッドと前記装填下部ラックを支持する装填機構ハウジングとの間で前記装填下部ラックの周囲に設けられた装填下部ラックばねをさらに備え、前記装填下部ラックばねが、前記キャリッジが前記装填位置から離れるように前方に移動するときに前記装填下部ラックを前記後方位置から前記前方位置に戻す、請求項13に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項15】
前記キャリッジから前記ウェハを外すように構成された取出し機構をさらに備え、前記取出し機構が、取出し下部ラックであって、前記キャリッジが前記取出し下部ラックの後方端部に接触しているときに、前記キャリッジの前方への移動によって後方位置から前方位置に前方に移動可能な取出し下部ラックと、前記取出し下部ラックと係合している取出しピニオンギヤと、取出し上部ラックであって、前記取出し上部ラックが前記取出し下部ラックの移動とは反対方向に移動するように、前記ピニオンギヤと係合している取出し上部ラックと、前記取出し上部ラックに固定的に取り付けられた取出しリンク機構と、前記取出しリンク機構に移動可能に連結されており、かつ前記取出しリンク機構に対して左方および右方に、短手方向に変位可能な取出しキャッチと、を備え、前記取出しキャッチが、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブが切断された後に前記キャリッジが取出し位置まで前方に移動するときに前記取出し下部ラックが前方に移動する結果として、前記取出し上部ラックが後方に移動するときに、前記キャリッジ上に支持された使用済みウェハの後縁と係合し、前記キャリッジが前記取出し位置から離れるように後方に移動し、かつ前記取出し下部ラックの前記後方端部に設けられた取出し下部ラックプランジャヘッドと前記装置の直立前方プレートとの間に設けられた取出しばねによって前記取出し下部ラックが前記後方位置に戻されるときに、前記取出しキャッチによって前記ウェハが前記キャリッジから前方に引き出される、請求項1~14のいずれか一項に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項16】
前記装置が、前記加熱エリア、前記装填エリア、および取出しエリアへの前記キャリッジの到着をそれぞれ自動的に検出するために、前記加熱エリアに設けられた加熱位置センサ、前記装填エリアに設けられた装填位置センサ、および前記取出しエリアに設けられた取出し位置センサとインターフェースするために前記キャリッジ上に設けられた位置決めピンをさらに備える、請求項13または14に従属する場合の請求項15に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項17】
前記装置の使用の1つのサイクルにおいて、前記電気制御回路基板が、前記モータの回転を制御して、前記キャリッジを、加熱位置から前記装填位置に後方に移動させて前記ウェハを前記キャリッジ上に装填し、前記装填位置から前記加熱位置に前方に移動させて前記ウェハを加熱し、前記加熱位置から前記取出し位置に前方に移動させて前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを切断して接合し、前記取出し位置から前記加熱位置に後方に移動させて前記ウェハを前記キャリッジから離すようにプログラムされている、請求項16に記載の滅菌チューブ連結装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の前記滅菌チューブ連結装置とともに使用するための切断ウェハであって、前記切断ウェハが、前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを通って切断するために前記所定の温度に加熱されるように設けられた金属材料の単一層のウェハ作用エリアと、前記加熱要素から熱を受け取って、前記ウェハ作用エリアに熱を供給するために設けられた金属材料の複数層を備えるウェハ加熱エリアと、を備える、切断ウェハ。
【請求項19】
前記ウェハ加熱エリアが、前記ウェハ作用エリアの前記金属材料の2つの層を備え、前記金属材料の前記2つの層が、折り目によって連結されている、請求項18に記載の切断ウェハ。
【請求項20】
前記ウェハを前記ウェハ支持スロット内に固定し、かつ前記ウェハの後方への移動を防止するための、前記ウェハラッチによる係合のためのウェハラッチスロットをさらに備える、請求項4に従属する場合の請求項18または19に記載の切断ウェハ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2A
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2B
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3A
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3B
【国際調査報告】