(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】レーザ波長測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01J 9/02 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
G01J9/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560158
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2020135615
(87)【国際公開番号】W WO2021196723
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010244216.8
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】323005533
【氏名又は名称】北京科益虹源光▲電▼技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲広▼▲義▼
(72)【発明者】
【氏名】江 ▲鋭▼
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼ ▲暁▼泉
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 江山
(72)【発明者】
【氏名】沙 ▲鵬▼▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】殷 青青
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 華
(57)【要約】
レーザ波長測定装置(2)及び方法を開示し、レーザ波長測定装置(2)は、第一光路部品と第二光路部品を含み、第二光路部品が第一光路部品とレーザ光波長測定光路を構成し、第二光路部品は、FPエタロン部品(11)及び光学分級機(13)を含み、均一化処理された前記レーザビームがFPエタロン部品(11)を介して干渉縞を生成し、光学分級機(13)は、レーザ光波長測定光路においてFPエタロン部品(11)の後ろに設置され、FPエタロン部品(11)を通過したレーザビームに対して偏向処理を行う。FPエタロン部品(11)により、二つのFPエタロン(FP1、FP2)が同じ光路を共用して干渉結像を行い、構造がコンパクトで体積が小さく、設計が簡単で、安定性が高い。光学分級機(13)の協力で、同時にレーザ波長に対する正確な測定を実現し、波長測定範囲が大きく、レーザ光波長のオンライン測定及び対応する閉ループ制御フィードバックに適用する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザから出射されたレーザビームに対して均一化処理を行うための第一光路部品と、
前記第一光路部品とレーザ光波長測定光路を構成し、前記第一光路部品により均一化処理されたレーザビームを分級結像するための第二光路部品と、を含み、
前記第二光路部品は、
少なくとも二つのFPエタロンを含むFPエタロン部品であって、均一化処理された前記レーザビームが前記FPエタロン部品を介して干渉縞を生成するFPエタロン部品と、
前記レーザ光波長測定光路において前記FPエタロン部品の後ろに設置され、前記FPエタロン部品を通過したレーザビームに対して偏向処理を行うことにより、分級結像を実現する光学分級機と、を含む
レーザ波長測定装置。
【請求項2】
前記第一光路部品は、前記レーザ光波長測定光路に沿って順に設置されたビームスプリッタ及び光均一化部品を含み、
前記ビームスプリッタは、前記レーザから出射された一部のレーザビームを前記レーザ光波長測定光路に反射し、
前記光均一化部品は、前記ビームスプリッタにより前記レーザ光波長測定光路に反射されたレーザビームに対して均一化処理を行うために用いられ、前記光均一化部品は、前記レーザ光波長測定光路に沿って順に設置された光学光均一化素子、第一集光レンズ及びミラーを含み、
前記光学光均一化素子は、前記レーザビームを均一化することにより、前記レーザビーム品質の測定精度への影響を減少させるために用いられ、
前記第一集光レンズは、前記光学光均一化素子により均一化処理されたレーザビームを前記第二光路部品に集光するために用いられ、
前記ミラーは、前記第一集光レンズにより集光されたレーザビームを前記第二光路部品に反射するために用いられる
請求項1に記載のレーザ波長測定装置。
【請求項3】
前記第二光路部品は、前記レーザ光波長測定光路に沿って順に設置されたホモジナイザー、視野絞り、コリメートレンズ、第二集光レンズ及び結像デバイスをさらに含み、
前記ホモジナイザーは、前記レーザ光波長測定光路において前記第一光路部品の後ろに対応して設置され、前記第一光路部品を通過して前記第二光路部品に入射したレーザビームに対して更なる均一化処理を行うために用いられ、
前記視野絞りは、前記ホモジナイザーにより均一化処理されたレーザビームの前記分級結像における結像範囲を制御することに用いられ、
前記コリメートレンズは、前記レーザ光波長測定光路において前記FPエタロン部品の前に対応して設置され、前記FPエタロン部品に入射するレーザビームのコリメート特性を保証するために用いられ、
前記第二集光レンズは、前記レーザ光波長測定光路において前記光学分級機の後ろに設置され、前記光学分級機を通過したレーザビームを前記結像デバイスに集光するために用いられ、
前記結像デバイスは、前記第二集光レンズを通過したレーザビームを結像するために用いられる
請求項1に記載のレーザ波長測定装置。
【請求項4】
前記第二光路部品は、
前記レーザ光波長測定光路において前記FPエタロン部品と前記光学分級機との間に設置され、前記FPエタロン部品を通過した前記レーザビームの向きを制限するための開口絞りをさらに含む
請求項1に記載のレーザ波長測定装置。
【請求項5】
前記FPエタロン部品は、
前記FPエタロン部品の封止キャビティを構成するためのハウジングと、
前記封止キャビティ内に設置され、前記分級結像の第一干渉縞を対応して生成するための第一FPエタロンと、
前記第一FPエタロンに対応して前記封止キャビティ内に設置され、前記分級結像の第二干渉縞を対応して生成するための第二FPエタロンと、を含む
請求項1に記載のレーザ波長測定装置。
【請求項6】
前記第一FPエタロン及び前記第二FPエタロンは以下を満たし、
【数1】
ここで、k<0.2であり、前記FSR
1は、前記第一FPエタロンの自由スペクトル範囲であり、前記FSR
2は、前記第二FPエタロンの自由スペクトル範囲である
請求項5に記載のレーザ波長測定装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、
前記ハウジングの光入射口に対応して設置される第一封止溝と、
前記第一封止溝にマッチングして前記光入射口に設置される第一封止リングと、
前記第一封止リングにマッチングして前記第一封止溝内に設置される第一窓部材と、
前記ハウジングの光出射口に対応して設置される第二封止溝と、
前記第二封止溝にマッチングして前記光出射口に設置される第二封止リングと、
前記第二封止リングにマッチングして前記第二封止溝内に設置される第二窓部材と、を含み、
ここで、前記第一窓部材及び前記第二窓部材にいずれも反射低減膜を有し、又は
前記第一窓部材の光入射面の法線及び/又は出射面の法線と前記レーザビームの入射方向は第一角度を呈し、及び/又は
前記第二窓部材の光入射面の法線及び/又は出射面の法線と前記レーザビームの入射方向は第二角度を呈し、
前記第一角度又は第二角度は5度-10度である
請求項5に記載のレーザ波長測定装置。
【請求項8】
前記光学分級機は、
第一楔角を有し、第一FPエタロンを通過したレーザビームに対して偏向処理を行うための第一偏向部材と、
第二楔角を有し、前記第二楔角により前記第一偏向部材の第一楔角に対応して設置され、第二FPエタロンを通過したレーザビームに対して偏向処理を行うための第二偏向部材と、を含む
請求項1に記載のレーザ波長測定装置。
【請求項9】
前記光学分級機は、
第三楔角を有し、第一FPエタロンを通過したレーザビームに対して偏向処理を行うか、又は第二FPエタロンを通過したレーザビームに対して偏向処理を行うための第三偏向部材、
又は
第四偏向部材、を含み、
前記第四偏向部材は、
レーザビームの入射方向と平行で前記第四偏向部材に穿設される光透過孔を含み、
前記第四偏向部材が前記第一FPエタロンを通過した前記レーザビームに対して偏向処理を行う場合、前記光透過孔は、前記第二FPエタロンを通過した前記レーザビームに前記光透過孔を通じさせるために用いられ、
前記第四偏向部材が前記第二FPエタロンを通過した前記レーザビームに対して偏向処理を行う場合、前記光透過孔は、前記第一FPエタロンを通過した前記レーザビームに前記光透過孔を通じさせるために用いられる
請求項1に記載のレーザ波長測定装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のレーザ波長測定装置に適用され、前記レーザに生成されたレーザ光波長に対する測定を実現する
レーザ波長測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザスペクトル測定の技術分野に関し、具体的には、レーザ波長測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザは、現代工業において重要な光源装置であり、照明、レーザ加工、投影表示、光通信、物質分析、テスト計量、半導体加工などの分野に用いることができ、ここでいくつかのハイサイド領域(例えばテスト計量及び半導体加工などの分野)において、レーザ光は、より高い波長安定性を有することが要求される。したがって、レーザに対応するレーザ波長測定装置を設計する必要があり、測定結果に基づいてレーザの波長に対して閉ループ制御フィードバックを実現することにより、レーザの安定した波長出力を確保する。
【0003】
半導体加工技術分野において、エキシマレーザは、半導体リソグラフィプロセスに応用される主要光源である。例えば、ArFエキシマレーザの中心波長は193.4nmであり、KrFエキシマレーザの中心波長は248.3nmである。レーザ中心波長の変化はリソグラフィーの露出焦点面の変化に直接的に影響し、露光ラインが広くなり、チップの良品率が低下することを引き起こす。また、110nmプロセスノードに対して、レーザの中心波長安定性が0.05pmより高いことを要求し、28nmプロセスノードに対して、レーザの中心波長安定性が0.03pmより高いことを要求する。
【0004】
したがって、レーザの波長測定に対してpmレベルを有する波長測定装置を設計する必要がある。波長測定装置によりレーザの波長をリアルタイムに測定し、かつ閉ループ制御を行い、それによりレーザ波長の安定性出力を実現する。
【0005】
レーザのレーザ光波長の測定方法は多く、例えば分散法及び干渉法であり、分散法はプリズム分散及びグレイティング分散を含み、干渉法はフーリエ変換法及びFabry-Perotエタロン(以下FPエタロンと略称する)法を含む。
【0006】
プリズム分散と低次ブレーズグレイティングに基づく方法は波長を測定する精度が低く、高精度の波長測定を実現することができない。また、フーリエ変換法に基づく波長測定は、素子の機械的運動を必要とし、安定性が低く、高速波長測定を実現することができない。
【0007】
従来の高速、高精度のレーザ波長測定方法は主に、中階段グレイティング法及びFPエタロン法を含む。中階段グレイティングを用いてレーザ中心波長を測定し、中階段グレイティングの回折次数が高く、高精度の中心波長測定を実現することができる。しかしながら、中階段グレイティングの波長計は体積が膨大であり、レーザ波長のオンライン測定に適しておらず、一般的にオフライン測定に用いられる。FPエタロン法は、体積が比較的小さく、スペクトル分解能が高いため、レーザのオンライン測定波長の理想的な選択である。FPエタロン法により、レーザ光はFPエタロンを通過した後、干渉縞を生成し、干渉縞のピークの位置に基づいて、入射レーザの波長を取得する。
【0008】
しかしながら、従来のFPエタロンは測定波長の範囲が比較的小さく、一般的に一つのFPエタロンを介して広範囲及び高精度の波長測定を実現することができない。例えば、FPエタロン及びグレイティングの協力方式によって波長を測定し、入射レーザ光を二つのビームに分け、それぞれグレイティングとFPエタロンに照射し、ここでグレイティングは波長の粗測定に用いられ、FPエタロンは波長の精密測定に用いられ、それによりレーザの波長の正確値を取得する。
【0009】
また、二つのFPエタロンを採用してレーザ波長を測定することができ、そのうちの一つのFPエタロンは測定範囲が比較的大きく、中心波長の粗測定に用いられ、もう一つのFPエタロンは測定範囲が比較的小さく、中心波長の精密測定に用いられる。ビームスプリッタを用いてレーザのレーザビームを二つのビームに分け、それぞれ二つのFPエタロンに照射し、次に二つのFPエタロンの干渉縞を算出し、波長粗測定及び精密測定結果を得て、それによりレーザ波長の正確値を取得する。
【0010】
それ以外に、二つの直列接続されたFPエタロンを用いて波長を測定することができ、一つのFPエタロンは波長偏差を大まかに決定し、もう一つのFPエタロンは波長偏差を正確に決定し、二つのFPエタロンの後の干渉信号の強度を比較することにより、レーザの波長偏差を取得し、それによりレーザ波長の安定を維持する。
【0011】
又は、二つの並行するFPエタロン及び一つのグレイティングを干渉型フィルタとして採用して入射レーザの強度を検出し、各フィルタは波長測定精度が異なり、レーザの波長を段階的に測定し、レーザ波長の正確値を取得する。
【0012】
上記レーザ波長測定の方法に基づいて、少なくとも二セットの波長測定装置を採用し、一つ(又は複数)は波長粗測定に用いられ、一つはFPエタロン法を用いて波長精密測定に用いられ、入射レーザ光を分岐する必要があり、二セットの波長測定装置は、完全な共通光路を実現することができず、装置は複雑である。最終的な波長測定結果は一つのFPエタロンの正確な測定結果のみに依存し、外部環境の影響を受けやすく、波長測定精度及び安定性が低い。
【発明の概要】
【0013】
本開示の一態様はレーザ波長測定装置を開示し、第一光路部品及び第二光路部品を含み、第一光路部品は、レーザから出射されたレーザビームに対して均一化処理を行うために用いられ、第二光路部品は、第一光路部品とレーザ光波長測定光路を構成し、第一光路部品により均一化処理されたレーザビームを分級結像するために用いられ、第二光路部品は、FPエタロン部品及び光学分級機(Optical classifier)を含み、均一化処理された前記レーザビームがFPエタロン部品を介して干渉縞を生成し、光学分級機は、レーザ光波長測定光路においてFPエタロン部品の後ろに設置され、FPエタロン部品を通過したレーザビームに対して偏向処理を行うことにより、分級結像を実現する。
【0014】
本開示の実施例によれば、第一光路部品は、レーザ光波長測定光路に沿って順に設置されたビームスプリッタ及び光均一化部品を含み、ビームスプリッタは、レーザから出射された一部のレーザビームをレーザ光波長測定光路に反射し、光均一化部品は、ビームスプリッタにより前記レーザ光波長測定光路に反射されたレーザビームに対して均一化処理を行うために用いられる。
【0015】
本開示の実施例によれば、光均一化部品は、レーザ光波長測定光路に沿って順に設置された光学光均一化素子、第一集光レンズ及びミラーを含み、光学光均一化素子は、レーザビームを均一化することにより、レーザビーム品質の測定精度への影響を減少させるために用いられ、第一集光レンズは、光学光均一化素子により均一化処理されたレーザビームを第二光路部品に集光するために用いられ、ミラーは、第一集光レンズにより集光されたレーザビームを第二光路部品に反射するために用いられる。
【0016】
本開示の実施例によれば、前記第二光路部品は、レーザ光波長測定光路に沿って順に設置されたホモジナイザー(homogenizer)、視野絞り及びコリメートレンズをさらに含み、ホモジナイザーは、レーザ光波長測定光路において第一光路部品の後ろに対応して設置され、第一光路部品を介して第二光路部品に入射したレーザビームに対して更なる均一化処理を行うために用いられ、視野絞りは、ホモジナイザーにより均一化処理されたレーザビームの分級結像における結像範囲を制御することに用いられ、前記コリメートレンズは、レーザ光波長測定光路においてFPエタロン部品の前に対応して設置され、FPエタロン部品に入射するレーザビームのコリメート特性を保証するために用いられる。
【0017】
本開示の実施例によれば、第二光路部品は、レーザ光波長測定光路においてFPエタロン部品と光学分級機との間に設置され、FPエタロン部品を通過したレーザビームの向きを制限するための開口絞りをさらに含む。
【0018】
本開示の実施例によれば、第二光路部品は、レーザ光波長測定光路に沿って順に設置された第二集光レンズ及び結像デバイスをさらに含み、前記第二集光レンズは、レーザ光波長測定光路において前記光学分級機の後ろに設置され、光学分級機を通過したレーザビームを結像デバイスに集光するために用いられ、結像デバイスは、第二集光レンズを通過したレーザビームを結像するために用いられる。
【0019】
本開示の実施例によれば、前記FPエタロン部品は、ハウジング、第一FPエタロン及び第二FPエタロンを含み、ハウジングは、FPエタロン部品の封止キャビティを構成するために用いられ、第一FPエタロンは、封止キャビティ内に設置され、分級結像の第一干渉縞を対応して生成するために用いられ、第二FPエタロンは、第一FPエタロンに対応して封止キャビティ内に設置され、分級結像の第二干渉縞を対応して生成するために用いられる。
【0020】
本開示の実施例によれば、前記第一FPエタロン及び前記第二FPエタロンは以下を満たす。
【0021】
【0022】
ここで、k<0.2であり、FSR1は、第一FPエタロンの自由スペクトル範囲であり、FSR2は、第二FPエタロンの自由スペクトル範囲である。
【0023】
本開示の実施例によれば、ハウジングは、第一封止溝、第一封止リング及び第一窓部材、第二封止溝、第二封止リング及び第二窓部材を含み、第一封止溝は、ハウジングの光入射口に対応して設置され、第一封止リングは、第一封止溝にマッチングして光入射口に設置され、第一窓部材は、第一封止リングにマッチングして第一封止溝内に設置され、第二封止溝は、ハウジングの光出射口に対応して設置され、第二封止リングは、第二封止溝にマッチングして光出射口に設置され、第二窓部材は、第二封止リングにマッチングして第二封止溝内に設置され、ここで、第一窓部材及び第二窓部材にいずれも反射低減膜を有し、又は第一窓部材の光入射面の法線及び/又は出射面の法線とレーザビームの入射方向は第一角度を呈し、及び/又は第二窓部材の光入射面の法線及び/又は出射面の法線とレーザビームの入射方向は第二角度を呈し、第一角度又は第二角度は5度-10度である。
【0024】
本開示の実施例によれば、光学分級機は、第一偏向部材及び第二偏向部材を含み、第一偏向部材は、第一楔角を有し、第一FPエタロンを通過したレーザビームに対して偏向処理を行うために用いられ、第二偏向部材は、第二楔角を有し、第二楔角により第一偏向部材の第一楔角に対応して設置され、第二FPエタロンを通過したレーザビームに対して偏向処理を行うために用いられる。
【0025】
本開示の実施例によれば、光学分級機は、第三楔角を有し、第一FPエタロンを通過したレーザビームに対して偏向処理を行うか、又は第二FPエタロンを通過したレーザビームに対して偏向処理を行うための第三偏向部材を含む。
【0026】
本開示の実施例によれば、光学分級機は、第四偏向部材を含み、前記第四偏向部材は、レーザビームの入射方向と平行で第四偏向部材に穿設される光透過孔を含み、第四偏向部材が第一FPエタロンを通過したレーザビームに対して偏向処理を行う場合、光透過孔は、第二FPエタロンを通過したレーザビームに光透過孔を通じさせるために用いられ、第四偏向部材が第二FPエタロンを通過したレーザビームに対して偏向処理を行う場合、光透過孔は、第一FPエタロンを通過したレーザビームに光透過孔を通じさせるために用いられる。
【0027】
本開示の別の態様はレーザ波長測定システムを開示し、上記レーザ波長測定装置及びレーザを含み、レーザは、レーザ波長測定装置に入射するレーザビームを生成するために用いられる。
【0028】
本開示のさらに別の態様は、レーザ波長測定方法を開示し、上記レーザ波長測定装置に適用され、レーザのレーザ光波長に対する測定を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】
図1Aは、本開示の一実施例におけるレーザ波長測定装置の構造概略図である。
【
図1B】
図1Bは、本開示の別の実施例におけるレーザ波長測定装置の構造概略図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施例におけるレーザ波長測定装置のFPエタロン部品及び光学分級機の構造概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施例におけるレーザ波長測定装置の別の光学分級機の構造概略図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施例におけるレーザ波長測定装置の別の光学分級機の構造概略図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施例におけるレーザ波長測定装置の
図2に示すFPエタロン部品及び光学分級機に対応するレーザビーム干渉縞のCCD結像デバイスでの結像結果である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例におけるレーザ波長測定装置に対応するレーザのレーザ光波長に対応する干渉縞の分布概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下に具体的な実施例を組み合わせるとともに図面を参照し、本開示をさらに詳細に説明する。
【0031】
従来技術におけるレーザ波長測定装置が完全な共通光路を実現することができず、装置が複雑であり、波長測定結果が外部の影響を受けやすく、波長測定精度及び安定性が低いという技術的問題を解決するために、本開示は、レーザ波長測定装置及び方法を開示している。
【0032】
本開示の一態様は、レーザ波長測定装置を開示し、
図1A、
図1Bに示すように、レーザ波長測定装置2は第一光路部品及び第二光路部品を含み、第一光路部品は、レーザ1から出射されたレーザビームに対して均一化処理を行う。第二光路部品は、第一光路部品に対応して設置され、第一光路部品とレーザ光波長測定光路を構成し、第二光路部品は、第一光路部品により均一化処理されたレーザビームを分級結像する。レーザ1により生成された測定すべきレーザビームは第一光路部品に入射した後、上記レーザ光波長測定光路に沿って第一光路部品を通過して第二光路部品に入射し、かつ第二光路部品において分級結像を行い、測定結果を取得し、例えばレーザビームに対応する干渉縞を取得する。
【0033】
本開示の実施例によれば、第二光路部品は、FPエタロン部品11及び光学分級機13を含み、FPエタロン部品11は、レーザビームに対応して干渉縞を生成し、具体的には、FPエタロン部品11を通過したレーザビームが結像デバイス15に照射された後、結像デバイス15により検出され、これに基づいてそれに対応する干渉縞を取得し、即ち均一化処理された前記レーザビームがFPエタロン部品を通過した後に干渉縞を生成する。ここで、FPエタロン部品11は、複数のFPエタロンを含むことができ、例えば二つのFPエタロンがFPエタロン部品の同一キャビティに封止されることができ、これにより、少なくとも二つのFPエタロンが同一の光路を共有して干渉結像を行うことを実現し、光路構造がコンパクトであり、安定性がより高い。そして、少なくとも二つのFPエタロンのFPエタロン部品という設計において、FPエタロンの間の自由スペクトル範囲FSRが比較的近いため、いずれもレーザビームの波長に対する正確な測定を実現することができる。波長測定結果は少なくとも二つのFPエタロンの測定結果の平均値であってもよく、波長測定精度をさらに向上させ、そして、波長測定範囲は少なくとも二つのFPエタロンの自由スペクトル範囲FSRの積であってもよく、波長の測定範囲をさらに向上させる。
【0034】
また、光学分級機13は、レーザ光波長測定光路においてFPエタロン部品11の後ろに対応して設置され、FPエタロン部品11を通過したレーザビームに対して偏向処理を行うことにより、分級結像を実現する。レーザビームは、上記レーザ光波長測定光路に沿ってFPエタロン部品11を通過して光学分級機13に入射し、光学分級機13は、レーザビームを二つのビームに偏向することにより、レーザビームに対応する干渉縞が結像デバイス15に分離して結像し、それにより二つの干渉縞の強度位置を計算することにより、入射レーザビームの波長を取得することに役立つ。
【0035】
したがって、本開示のFPエタロン部品11により、少なくとも二つのFPエタロンが同一の光路を共有して干渉結像を行い、構造がコンパクトで体積が小さく、設計が簡単で、安定性が高い。光学分級機13の協力で、レーザのレーザ光波長に対する正確な測定を同時に実現することができ、波長測定範囲が大きく、レーザ光波長のオンライン測定及び対応的な閉ループ制御フィードバックに適用する。
【0036】
本開示の実施例によれば、ここで、
図1A、
図1Bに示すように、第一光路部品は、レーザ光波長測定光路に沿って順に設置されたビームスプリッタ3及び光均一化部品4を含み、ここで、レーザ1は、測定すべきレーザビームを生成し、レーザ波長測定装置2に入射する。具体的には、測定すべきレーザビームが第一光路部品に入射する。第一光路部品において、測定すべきレーザビームはビームスプリッタ3に照射され、ビームスプリッタ3は平板ガラス又は楔角付きのガラスであり、大部分の光を該ビームスプリッタ3に透過させるために用いられ、同時に該レーザから出射された一部のレーザビームをレーザ光波長測定光路に反射するために用いられ、すなわち、一部の測定すべきレーザビームを反射して第一光路部品における光均一化部品に入射する。光均一化部品4は、レーザ光波長測定光路においてビームスプリッタ3の後ろに対応して設置され、ビームスプリッタ3により前記レーザ光波長測定光路に反射されたレーザビームを均一化処理するために用いられる。
【0037】
本開示の実施例によれば、ここで、
図1A、
図1Bに示すように、光均一化部品4は、レーザ光波長測定光路に沿って順に設置された光学光均一化素子5、第一集光レンズ6及びミラー7を含み、ここで、光学光均一化素子5は、レーザビームを均一化し、レーザビーム品質による測定精度への影響を減少させ、該光学光均一化素子5は、マイクロレンズアレイ、光学積分ロッド又は回折光学素子(DOE)などの部品であってもよい。第一集光レンズ6は、光学光均一化素子5により均一化処理されたレーザビームを第二光路部品に集光する。ここで、第二光路部品と第一集光レンズ6との間にミラー7をさらに設置してもよく、該ミラー7は、第一集光レンズ6により集光されたレーザビームを第二光路部品に反射するために用いられ、該ミラー7は、反射面に一層の高反射膜をめっきすることができ、レーザビームを反射する能力を向上させるために用いられる。ミラー7により、レーザ光波長測定光路の経路を変更することができ、それによりレーザ波長測定装置2の構造がよりコンパクトになり、該レーザ波長測定装置2の体積を縮小することを実現する。
【0038】
本開示の実施例によれば、ここで、
図1A、
図1Bに示すように、第二光路部品は、レーザ光波長測定光路に沿って順に設置されたホモジナイザー8、視野絞り9及びコリメートレンズ10をさらに含み、ここで、第一集光レンズ6により集光された後、第一光路部品のミラー7により反射されたレーザビームが第二光路部品におけるホモジナイザー8に反射され、ホモジナイザー8は、レーザ光波長測定光路において第一光路部品のミラー7の後ろに対応して設置され、第一光路部品を通過して第二光路部品に入射したレーザビームに対して更なる均一化処理を行うために用いられ、該ホモジナイザー8は、すりガラス又はホモジナイジング(Homogenizing)効果を有する他の素子であってもよい。視野絞り9は、ホモジナイザー8により更なる均一化処理が行なわれたレーザビームの分級結像における結像範囲を制御し、即ち干渉縞の結像デバイス15の結像面における結像範囲を制御する。コリメートレンズ10は、レーザ光波長測定光路においてFPエタロン部品11の前に対応して設置され、FPエタロン部品11に入射するレーザビームのコリメート特性を保証するために用いられ、かつホモジナイザー8、視野絞り9を順に通過したレーザビームを、コリメートレンズ10を通過してFPエタロン部品11に入射させる。
【0039】
本開示の実施例によれば、ここで、
図1A、
図1Bに示すように、第二光路部品は、開口絞り12をさらに含み、レーザ光波長測定光路においてFPエタロン部品11と光学分級機13との間に設置され、FPエタロン部品11を通過したレーザビームの向きを制限する。本開示の実施例のFPエタロン部品11において、少なくとも二つのFPエタロン(FP1及びFP2)が存在してもよく、二つのFPエタロンを通過したレーザビームは開口絞り12を通過し、二本のレーザビームの交差を防止することができる。
【0040】
当業者であれば理解すべきことは、FPエタロン部品11における該少なくとも二つのFPエタロンは、3つのFPエタロン、又はより多くのFPエタロンを含むことができ。具体的には、
図1Bに示すように、FPエタロン部品11は、3つのFPエタロン(FP1、FP2及びFP3)を含む。
【0041】
本開示の実施例によれば、ここで、
図1A、
図1Bに示すように、第二光路部品は、レーザ光波長測定光路に沿って順に設置された第二集光レンズ14及び結像デバイス15をさらに含み、ここで、第二集光レンズ14はレーザ光波長測定光路において光学分級機13の後ろに設置され、光学分級機13を通過したレーザビームを結像デバイス15に集光する。結像デバイス15は、第二集光レンズ14を通過したレーザビームを結像し、結像デバイス15はCCD結像カメラであってもよい。具体的には、レーザビームは、開口絞り12を通過した後に光学分級機13に入射し、光学分級機13は、異なる入射位置に対応するビームを異なる出射角度に偏向し、次に第二集光レンズ14に入射し、最後に第二集光レンズ14の集光作用を通過して、二本のレーザビームは互いに影響しない状況で結像デバイス15に入射して結像を完了する。光学分級機13の存在により、FPエタロンFP1及びFPエタロンFP2を通過した光を異なる角度に偏向するため、FPエタロンFP1及びFPエタロンFP2の干渉縞は結像デバイス15の異なる位置に結像することができ、適切な偏向角度を選択することにより、結像デバイス15で異なる干渉縞を得ることができる。
図5に示すように、CCD結像カメラで得られたFPエタロンFP1及びFPエタロンFP2の干渉縞であり、ここで、左側がFP1の干渉縞であり、右側がFP2の干渉縞である。
【0042】
本開示の実施例によれば、ここで、
図1A、
図1B、
図2に示すように、FPエタロン部品11は、ハウジング16、第一FPエタロンFP1及び第二FPエタロンFP2を含み、すなわち本開示の実施例において、レーザ波長測定装置2のFPエタロン部品は、二つのFPエタロンに設計されることができる。
【0043】
当業者であれば理解すべきことは、
図1Bに示すように、FPエタロン部品11は、第三FPエタロンFP3をさらに含んでもよく、第一FPエタロンFP1と第二FPエタロンFP2との間に設置される。
【0044】
ハウジング16は、FPエタロン部品11の封止キャビティを構成するために用いられ、封止キャビティは、その中に内蔵された第一FPエタロンFP1及び第二FPエタロンFP2を封止するために用いられる。第一FPエタロンFP1は、封止キャビティ内に設置され、結像デバイス15で分級結像を生成する第一干渉縞に対応し、第二FPエタロンFP2は、第一FPエタロンFP1に対応して封止キャビティ内に設置され、分級結像を生成する第二干渉縞に対応する。
図2に示すように、第一FPエタロンFP1は、封止キャビティの上方に設けられ、第二FPエタロンFP2は、第一FPエタロンFP1の下方に対応して設けられ、第一FPエタロンFP1及び第二FPエタロンFP2は、以下を満たすことができる。
【0045】
【0046】
ここで、k<0.2であり、FSR
1は第一FPエタロンFP1の自由スペクトル範囲であり、FSR
2は第二FPエタロンFP2の自由スペクトル範囲である。換言すれば、第一FPエタロンFP1の自由スペクトル範囲FSR
1と第二FPエタロンFP2の自由スペクトル範囲FSR
2は近い。本開示の実施例において、半導体加工技術分野において、フォトリソグラフィプロセスに応用されるエキシマレーザ波長変化範囲は一般的に数百pmであり、レーザ波長測定の測定精度及び測定範囲を保証するために、FSR
1=20pmであり、FSR
2=20.5pmであることができる。当業者であれば理解すべきことは、上記関連パラメータFSR
1及びFSR
2の数値は本開示の実施例の具体的な実施データだけであり、該パラメータデータの具体的な制限ではない。一方、
図6に示すように、レーザの波長が変化する場合、FPエタロンに対応するレーザにより生成されたレーザビームの干渉縞の分布も相応的に変化し、これにより、そのうちの一つのFPエタロン(例えば第一FPエタロンFP1)が自由スペクトル範囲FSR
1に達した後、第二FPエタロンFP2の自由スペクトル範囲FSR
2が第一FPエタロンFP1の自由スペクトル範囲FSR
1とわずかに異なるため、両者に対応して生成された干渉縞が重複しない。これにより、本開示のレーザ波長測定装置2の波長測定範囲を拡大し、波長測定範囲は少なくとも410pm(すなわち両者の積であるFSR
1×FSR
2)を実現することができ、それによりエキシマレーザ波長測定要求を満たすことができる。そして、二つのFPエタロンにより、レーザ波長測定装置2が高いスペクトル分解能も有するようにする。
【0047】
ここまで、上記エキシマレーザを例にして、本開示の実施例におけるレーザ波長測定装置2の波長測定をさらに説明し、以下のとおりである。
【0048】
FPエタロンに対して、レーザからレーザ光波長測定光路に入射するレーザビーム波長(すなわち測定すべきレーザの中心波長λ)は以下の式(1)を満たす。
【0049】
【0050】
ここで、λはレーザの中心波長であり、nはFPエタロン内のガスの屈折率であり、dはFPエタロンのピッチであり、mはFPエタロン干渉縞の次数であり、θはFPエタロンに対応するレーザビームの出射角である。
【0051】
FPエタロン干渉縞の半径をrとし、第二集光レンズ14の焦点距離をfとする時、上記FPエタロンに対応する干渉縞の半径rに基づいて該FPエタロンにより測定したレーザの中心波長λが以下の式(2)を満たすことを得ることができる。
【0052】
【0053】
相応的には、本開示の実施例において、第一FPエタロンFP1の間隔がd1であり、第二FPエタロンFP2の間隔がd2である場合、それぞれに対応する干渉縞(
図5に示す)の半径がそれぞれr1とr2である場合、それに対応するレーザの中心波長はそれぞれ以下の式(3)及び(4)を満たす。
【0054】
【0055】
【0056】
また、第一FPエタロンFP1の間隔d1、第二FPエタロンFP2の間隔d2に基づいて、第一FPエタロンFP1及び第二FPエタロンFP2の自由スペクトル範囲はそれぞれ以下の式(5)及び(6)を満たすことができる。
【0057】
【0058】
【0059】
第一FPエタロンFP1及び第二FPエタロンFP2の干渉縞をそれぞれ算出し、レーザの中心波長はそれぞれ以下の式(7)及び(8)を満たすことができる。
【0060】
【0061】
【0062】
ここで、N及びMは整数であり、一定の範囲内に異なる整数N及びMを選択することができ、λFP1-λFP2を最小にして、この時に得られたレーザの中心波長λlaserは以下のとおりである。
【0063】
【0064】
以上から分かるように、レーザの中心波長λlaserは二つのFPエタロン(すなわち第一FPエタロンFP1及び第二FPエタロンFP2)のそれぞれの精密測定波長の平均値であり、その安定性は、単一のFPエタロンの測定結果より高く、かつ波長測定範囲を実現することができる。
【0065】
注意すべきことは、3つのFPエタロンであれば、
図1Bに示すように、FPエタロン部品11における3つのFPエタロンの自由スペクトル範囲も近いことが必要であり、第三エタロンFP3エタロンが波長を精密に測定するプロセスは、第一FPエタロンFP1、第二FPエタロンFP2と同じであり、この時、レーザの中心波長は、3つのFPエタロンのそれぞれの精密測定波長の平均値であり、それによりレーザ中心波長の測定精度をさらに向上させることができる。同じ理由にて、他のFPエタロン部品11においてより多くのFPエタロンを有する場合についても適用することができ、ここでは説明を省略する。
【0066】
本開示の実施例によれば、ここで、
図1A、
図1B及び
図2に示すように、FPエタロン部品11のハウジング16は、第一封止溝、第一封止リング18a及び第一窓部材17a、及び第二封止溝、第二封止リング18b及び第二窓部材17bを含み、該ハウジング16の封止キャビティに対して良好な封止効果を実現するために用いられる。
【0067】
第一封止溝は、ハウジング16の光入射口に対応して設置され、
図2に示す光路矢印のように、ハウジング16の左側は第一窓部材17aの光透過口に対応し、入光口であり、第一封止溝は、該入光口の縁部に囲まれてハウジング16に内凹して設計された環状閉鎖封止溝構造であってもよい。ここで、
図2に示すように、第一封止リングは、第一固定溝及び第一本体溝を含み、それぞれ第一封止リング18a及び第一窓部材17aを対応して設置するために用いられる。
【0068】
第一封止リング18aは、第一封止溝にマッチングして光入射口に設置され、具体的には、第一封止リング18aは第一固定溝に内蔵され、第一封止リング18aは、該入光口の縁部に囲まれて設計された環状閉鎖実体構造であり、その形状及び寸法は上記第一固定溝の形状及び寸法とマッチングして設計され、第一封止リング18aを第一固定溝内にぴったりと取り付けるために用いられる。
【0069】
第一窓部材17aは、第一封止リング18aとマッチングして第一封止溝内に設置され、具体的には、第一窓部材17aは第一本体溝に内蔵され、第一窓部材17aは第一本体溝の寸法、形状とマッチングして設計され、それにより第一窓部材17aはぴったりと第一本体溝内に取り付けられ、それにより第一封止リング18aと協力して光入射口を封止する。
【0070】
第二封止溝は、ハウジング16の光出射口に対応して設置され、
図2に示す光路矢印のように、ハウジング16の右側は第二窓部材17bの光透過口に対応して光出射口であり、第二封止溝は、該光出射口の縁部に囲まれてハウジング16に内凹して設計された環状閉鎖封止溝構造であってもよい。ここで、
図2に示すように、第二封止リングは第二固定溝及び第二本体溝を含み、それぞれ第二封止リング18b及び第一窓部材17bを対応して設置するために用いられる。
【0071】
第二封止リング18bは、第二封止溝にマッチングして光出射口に設置され、具体的には、第二封止リング18bは第二固定溝に内蔵され、第二封止リング18bは該光出射口の縁部に囲まれて設計された環状閉実体構造であり、その形状及び寸法は上記第二固定溝の形状及び寸法とマッチングして設計され、第二封止リング18bを第二固定溝内にぴったりと取り付けるために用いられる。
【0072】
第二窓部材17bは、第二封止リング18bとマッチングして第二封止溝に設置され、具体的には、第二窓部材17bは第二本体溝に内蔵され、第二窓部材17bは第二本体溝の寸法、形状とマッチングして設計され、それにより第二窓部材17bはぴったりと第二本体溝内に取り付けられ、それにより第二封止リング18bと協力して光出射口を封止する。
【0073】
ここで、第一封止リング18a及び第二封止リング18bはいずれもゴム、シリカゲルなどの弾性変形性能を有する材料を採用することができる。第一窓部材17a及び第二窓部材17bは、いずれもガラス等の透光性を有する材料を採用することができる。また、第一窓部材17aと第二窓部材17bにはいずれも反射低減膜を有し、及び/又は第一窓部材17aの光入射面の法線及び/又は出射面の法線とレーザビームの入射方向とは第一角度となり、及び/又は第二窓部材17bの光入射面の法線及び/又は出射面の法線とレーザビームの入射方向とは第二角度となり、第一角度又は第二角度は5度-10度であり、それにより第一窓部材17a及び第二窓部材17bにおける反射光によるレーザ波長測定結果への影響を減少させる。換言すれば、レーザビームは垂直角度で第一窓部材17a及び/又は第二窓部材17bの光入射面及び/又は光出射面に入射することができない。したがって、第一窓部材17a及び/又は第二窓部材17bは楔角を有する構造であってもよく、又は、第一窓部材17aは傾斜角度で光入射口に設置されかつそれを密封し、及び/又は第二窓部材17bは一定の傾斜角度で光出射口に設置されかつそれを密封する。
【0074】
当業者であれば理解されるように、光路を測定するFPエタロン部品11に複数のFPエタロンを有する場合、
図1Bに示すように3つのFPエタロンであれば、複数のFPエタロンの封止方式は二つのFPエタロンの封止方式と同じであり、すなわちいずれも同一の封止キャビティ内に封止され、ここで繰り返し説明しない。
【0075】
本開示の一実施例によれば、第一窓部材17a及び第二窓部材17bが楔角を有する構造である場合、レーザビームを入射する入射方向は第一窓部材17aの光入射面と光出射面に垂直することができず、第一窓部材17aの光入射面の法線又は出射面の法線とレーザビームの入射方向とは第一角度となり、第一角度は5度-10度であり、同様に、第二窓部材17bの光入射面の法線又は出射面の法線とレーザビームの入射方向とは第二角度となり、第二角度は5度-10度である。
【0076】
本開示の別の実施例によれば、第一窓部材17aは、楔角を有さない構造であってもよく、例えば平板ガラスであってもよく、ハウジング16の光入射口に斜めに取り付けられ、レーザビームの入射方向と第一窓部材17aの光入射面の法線と出射面の法線とはそれぞれ5-10度の角度となり、すなわち、レーザビームを入射する入射方向と第一窓部材17aの光入射面及び/又は光出射面とが垂直することができない。同様に、第二窓部材17bはハウジング16の光出射口に斜めに取り付けられてもよく、具体的には説明を省略する。ここで、本開示の実施例において、光入射面は光学素子における光線が照射された表面であり、光出射面は光学素子におけるそれから出射された表面であり、一般的には光入射面の裏面であってもよい。
【0077】
これにより、第一FPエタロンFP1と第二FPエタロンFP2が同一の封止環境にあることを確保することができ、それによりレーザ波長測定の安定性及び精度を保証する。
【0078】
本開示の実施例によれば、ここで、
図1A、
図1B及び
図2に示すように、光学分級機13は、第一偏向部材19a及び第二偏向部材19bを含み、光学分級機13を通過したレーザビームに対して偏向処理を行うために用いられる。ここで、第一偏向部材19aは第一楔角を有し、第一FPエタロンFP1を通過したレーザビームに対して偏向処理を行うために用いられ、第一偏向部材19aの光入射面は、第一FPエタロンFP1を通過したレーザビームの入射方向と垂直であり、第一偏向部材19aの光出射面は斜面であり、これにより該第一偏向部材19aの光出射面と光入射面との間に第一楔角に対応する角度を有し、該第一楔角は第一偏向部材19aの先端に対応して設置されてもよい。
【0079】
それに対応して、第二偏向部材19bは第二楔角を有し、第二楔角により、第一偏向部材19aの第一楔角に対応して設置され、第二FPエタロンFP2を通過したレーザビームに対して偏向処理を行うために用いられる。第二偏向部材19bの光入射面は、第二FPエタロンFP2を通過したレーザビームの入射方向と垂直であり、第二偏向部材19bの光出射面は斜面であり、これにより該第二偏向部材19bの光出射面と光入射面との間に第二楔角に対応する角度を有する。ここで、第一楔角は第二楔角に等しくてもよく、該第二楔角は第二偏向部材19bの先端に対応して設置されてもよい。
【0080】
本開示の実施例において、第一偏向部材19aにより偏向処理されたレーザビームが、第二偏向部材19bにより偏向処理されたレーザビームと交差しないために、第一偏向部材19aと第二偏向部材19bは先端が対向して設置される必要があり、すなわち第一偏向部材19aの第一楔角を有する頂端と第二偏向部材19bの第二楔角を有する頂端とが接触し、第一偏向部材19aと第二偏向部材19bの光入射面は光入射方向と垂直して平行である。
【0081】
本開示の別の実施例において、第一偏向部材19aの光入射面は、第一FPエタロンFP1を通過したレーザビームの入射方向に垂直でなくてもよく、同様に、第二偏向部材19bの光入射面は、第一FPエタロンFP1を通過したレーザビームの入射方向に垂直でなくてもよい。この時、第一偏向部材19aと第二偏向部材19bは先端が対向して設置されてもよい。
【0082】
したがって、FPエタロン部品を通過したレーザビームは、開口絞り12を通過した後、形成された空間位置が変化し、二本のレーザビームに分けられて光学分級機13に入射し、光学分級機13は、第一偏向部材19a及び第二偏向部材19bを用いてそれぞれ二本の光ビームを偏向し、それぞれの出射角度を変更し、その出射方向を異ならせ、それにより結像デバイス15(例えばCCD結像カメラ)に入射する時に、結像デバイス15はそれぞれのレーザビームの異なる位置に対応する干渉縞を取得することができる。
【0083】
さらに説明する必要があるものとして、
図1Bに示すように、FPエタロン部品11に3つのFPエタロンを有する場合、第三FPエタロンFP3が第一FPエタロンFP1と第二FPエタロンFP2との間に設置され、かつ第三FPエタロンFP3の中心光軸線が第二集光レンズ14の中心光軸線に対応して重なる場合、光学分級機13における第三FPエタロンFP3に対応する位置に、偏向部材を対応して設置しなくてもよく、すなわち
図1Bに示すように、第三FPエタロンFP3を通過したビームが第二集光レンズ14の中心に直接的に垂直に入射することができ、第二集光レンズ14を通過した後に結像デバイス15に直接入射する。したがって、当業者であれば理解されるように、FPエタロン部品11においてより多くのFPエタロンを有することに対して、その光路経路及び対応的な偏向部材の数及び設置位置等を相応的に取得することができ、ここでは説明を省略する。
【0084】
本開示の別の実施例によれば、ここで、
図1A、
図1B、
図3に示すように、光学分級機13は、第三偏向部材21をさらに含み、第三楔角を有し、第一FPエタロンFP1を通過したレーザビームG1に対して偏向処理を行い、又は第二FPエタロンFP2を通過したレーザビームG2に対して偏向処理を行うために用いられる。同様に、第三偏向部材21の光入射面はレーザビームG1(又はレーザビームG2)の入射方向に垂直であり、第三偏向部材21の光出射面は斜面であり、これにより、該第三偏向部材21の光出射面と光入射面との間に第三楔角に対応する角度を有する。この時、該光学分級機13には、該第三偏向部材21に入射するレーザビームG1(又はレーザビームG2)を偏向させる作用のみを有し、第三偏向部材21に入射しない別のレーザビームG2(又はレーザビームG1)に対して、偏向なしに出射し、最後に結像デバイス15に入射して結像することができる。
【0085】
換言すれば、該光学分級機13は一つの第三偏向部材21のみを設計することができ、すなわち入射した二本のレーザビームを偏向させ、その出射方向を異ならせることを実現することができ、それにより結像デバイス15(例えばCCD結像カメラ)に入射する時に、結像デバイス15はそれぞれのレーザビームの異なる位置に対応する干渉縞を取得することができる。ここで、該第三偏向部材21は元の光学分級機13の上端部分空間又は下端部分空間のみを占め、体積サイズが小さく、光学分級機13のサイズの縮小を実現し、本開示のレーザ測定装置のサイズの縮小に役立つ。
【0086】
本開示の別の実施例によれば、ここで、
図1A、
図1B、
図4に示すように、光学分級機13は、第四偏向部材22を含み、第四偏向部材22は、レーザビームの入光方向と平行で第四偏向部材22に穿設された光透過孔23を含み、具体的には、第四偏向部材22は第四楔角を有し、第一FPエタロンFP1を通過したレーザビームG1に対して偏向処理を行うか、又は第二FPエタロンFP2を通過したレーザビームG2に対して偏向処理を行うために用いられる。同様に、第四偏向部材22の光入射面はレーザビームG1(又はレーザビームG2)の入射方向に垂直であり、第四偏向部材22の光出射面は斜面であり、これにより該第四偏向部材22の光出射面と光入射面との間に第四楔角に対応する角度を有する。ここで、第四偏向部材22における第四楔角が位置する頂端部位に近くに光透過孔23を穿設することができ、それが第四偏向部材22の本体部分と一定の距離を置いて、相互の影響を回避することができる。
【0087】
したがって、第四偏向部材22が通過したレーザビームG1を偏向処理する場合、光透過孔23により、レーザビームG2を光透過孔23に通じさせ、第四偏向部材がレーザビームG2を偏向処理する場合、光透過孔により、レーザビームG1を光透過孔23に通じさせる。
【0088】
これから分かるように、該光学分級機13には第四偏向部材22のみが設計されることができ、すなわち入射した二本のレーザビームを偏向させ、その出射方向を異ならせることを実現することができ、第三偏向部材21と類似する技術効果を達成する。ここで、該第四偏向部材22は、光学分級機13の大部分の空間を占めることができ、その体積サイズにより加工製造の便宜性を保証することができる。
【0089】
最後に、当業者であれば理解されるように、上記実施例における光学分級機13に対する解釈は、これを限定するものではない。ここで、
図1A、
図1B、
図2、
図3及び
図4に示すように、第一偏向部材19a、第二偏向部材19b、第三偏向部材21、第四偏向部材22等は偏向プリズムであってもよく、ミラー、スイングミラー又は微振動ミラー等のレーザビームの偏向効果を有する素子又は構造であってもよい。
【0090】
本開示の別の態様は、レーザ波長測定システムを開示し、
図1A、
図1Bに示すように、上記レーザ波長測定装置2及びレーザ1を含み、レーザ1は、レーザ波長測定装置2に入射した測定すべきレーザビームを生成し、該レーザ波長測定装置2により、測定すべきレーザビームに対応する中心波長を取得する。ここで、該レーザ1とレーザ波長測定装置2との間にオンライン測定と閉ループ制御フィードバックの設計を有する。
【0091】
本開示のさらに別の態様は、レーザ波長測定方法を開示し、上記レーザ波長測定装置2に応用され、前述のレーザ波長測定演算過程に基づいて、レーザ1のレーザビームの中心波長に対する測定を実現する。
【0092】
本開示は、レーザ波長測定装置及び方法を開示し、該レーザ波長測定装置は、第一光路部品及び第二光路部品を含み、第一光路部品は、レーザから出射されたレーザビームに対して均一化処理を行うために用いられ、第二光路部品は、第一光路部品とレーザ光波長測定光路を構成し、第一光路部品により均一化処理されたレーザビームを分級結像するために用いられ、ここで、第二光路部品は、FPエタロン部品及び光学分級機を含み、均一化処理された前記レーザビームはFPエタロン部品を通過して干渉縞を生成し、光学分級機は、レーザ光波長測定光路においてFPエタロン部品の後ろに設置され、FPエタロン部品を通過したレーザビームに対して偏向処理を行うことにより、分級結像を実現するために用いられる。本開示のFPエタロン部品により、二つのFPエタロンが同一の光路を共用して干渉結像を行い、構造がコンパクトで体積が小さく、設計が簡単で、安定性が高く、光学分級機の協力で、レーザ波長に対する正確な測定を同時に実現することができ、波長測定範囲が大きく、レーザ光波長のオンライン測定及び対応的な閉ループ制御フィードバックに適用する。
【0093】
以上に述べた具体的な実施例により、本発明の目的、技術的解決手段及び有益な効果をさらに詳細に説明し、理解すべきものとして、以上の記載は本発明の具体的な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び原則内で行われたいかなる修正、均等置換、改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】