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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】骨折用外部保持装置(創外固定器)
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/64 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
A61B17/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503129
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 DE2020100628
(87)【国際公開番号】W WO2022012705
(87)【国際公開日】2022-01-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510279125
【氏名又は名称】エーオー テクノロジー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】ダンクヴァルト ヘンチュ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー シュテア
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL18
4C160LL21
(57)【要約】
本発明は、V字形断面を持つ円形リブ(19、29)及び溝(22)を有する骨の断片のための外部保持装置(創外固定装置)(1)のジョイント(4)を提供することを提案し、その側部は、高い摩擦力によりジョイント(4)の回転防止を可能にする錐台形状の摩擦面(20、21、23、24、25、26、30、31)を形成し、それにより保持装置(1)の不慮の変位を防止し、骨の断片を整復するための調整可能な摩擦力を使用した保持装置(1)の調整を可能とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨折した骨の断片、又は一般的に言えば、骨格部分の断片を保持するための外部保持装置であって、
2つのロッド(5)と、前記2つのロッド(5)に対し軸周りに回転可能にかつ回転を防止するよう固定可能に接続するジョイント(4)とを備え、
前記ジョイント(4)は、前記ロッド(5)が取り付けられた2つのロッドホルダ(6、7)を備え、
前記2つのロッドホルダ(6、7)は、前記軸を中心に互いに回転可能であり、
前記2つのロッドホルダのうちの第1のロッドホルダ(6)は、前記軸に対して同軸である第1の錐台形状の摩擦面(20)を備え、
前記第2のロッドホルダ(7)は、前記第1の摩擦面(20)に面し、かつ前記軸に対して同軸である鏡面対向であって同様の錐台形状の第3の摩擦面(23)を備え、
前記保持装置(1)は、テンショナ装置(16)を備え、これにより前記2つの摩擦面(20、23)は、互いに対してテンション力をかけることができ、その結果前記2つのロッドホルダ(6、7)は、前記錐台形状の摩擦面(20、23)の間の摩擦係合によって回転を防止するように相互に保持される、外部保持装置。
【請求項2】
前記第1のロッドホルダ(6)は、前記軸に対して同軸であり、かつ前記第1の摩擦面(20)を同心円状に取り囲む錐台形状の第2の摩擦面(21)を備え、
前記第2のロッドホルダ(7)は、前記第2の摩擦面(21)と鏡面対向であり、前記第2の摩擦面(21)に面し、前記軸に対して同軸であり、かつ前記第3の摩擦面(23)を同心円状に取り囲む錐台形状の第4の摩擦面(24)を備え、
前記テンショナ装置(16)は、前記第1及び第3の摩擦面(20、23)と共に前記第2及び第4の摩擦面(21、24)に相互にテンションを加え、その結果、前記第1及び第3の摩擦面(20、23)に加えて前記第2及び第4の摩擦面(21、24)が摩擦係合により相互に前記2つのロッドホルダ(6、7)を相互間で保持して回転を防止する、請求項1に記載の外部保持装置。
【請求項3】
前記第2のロッドホルダ(7)は、前記軸に対して同軸であり、前記第1のロッドホルダ(6)の反対側に面する第5の錐台形状の摩擦面(25)を備え、
前記ジョイント(4)は、前記軸に対して同軸であり、前記第5の摩擦面(25)と鏡面対向であり、前記第5の摩擦面(25)と面し、かつ前記第1のロッドホルダ(6)に対して回転不可能な錐台形状の第7の摩擦面(30)を備え、
前記テンショナ装置(16)は、前記第1及び第3の摩擦面(20、23)と共に前記第5及び第7の摩擦面(25、30)に相互にテンション力を加え、その結果、前記第1及び第3の摩擦面(20、23)に加えて前記第5及び第7の摩擦面(25、30)が摩擦係合により相互に前記2つのロッドホルダ(6、7)を相互間で保持して回転を防止する、請求項1又は2に記載の外部保持装置。
【請求項4】
前記第2のロッドホルダ(7)は、前記軸に対して同軸であり、前記第1のロッドホルダ(6)の反対側に面し、かつ前記第5の摩擦面(25)を同心円状に取り囲む第6の錐台形状の摩擦面(26)を備え、
前記ジョイント(4)は、前記軸に対して同軸であり、前記第6の摩擦面(26)と鏡面対向であり、前記第6の摩擦面(26)と面し、かつ前記第1のロッドホルダ(6)に対して回転不可能な錐台形状の第8の摩擦面(31)を備え、
前記テンショナ装置(16)は、前記第1及び第3の摩擦面(20、23)と共に前記第6及び第8の摩擦面(26、31)に相互にテンション力を加え、その結果、他の摩擦面(20、21、23、24、25、30)に加えて前記第6及び第8の摩擦面(26、31)が摩擦係合により相互に前記2つのロッドホルダ(6、7)を相互間で保持して回転を防止する、請求項1又は2に記載の外部保持装置。
【請求項5】
前記ジョイント(4)は、前記第1のロッドホルダ(6)に対して回転不可能であり、前記軸に対して同軸であり、前記第1のロッドホルダ(6)を貫通して延在し、かつ前記第7の摩擦面(30)を前記第1のロッドホルダ(6)に回転不能に接続するシャフト(12)を備える請求項3又は4に記載の外部保持装置。
【請求項6】
前記シャフト(12)は、前記テンショナ装置(16)の一部であり、
前記シャフト(12)は、前記摩擦面(20、21、23、24)に対して相互にテンション力を加えるのに使用される軸方向テンション力を、前記第2のロッドホルダ(7)から前記第7の摩擦面(30)に伝達する、請求項5に記載の保持装置。
【請求項7】
前記ジョイント(4)は、
前記テンショナ装置(16)により相互にテンションが加えられていない場合に、前記摩擦面(20、21、23、24、25、26、30、31)を相互に対して押し出す押し出しバネ(35)を備え、
その結果、前記テンショナ装置(16)が解放された際には、前記2つのロッド(5)を含む前記2つのロッドホルダ(6、7)が調節可能に相互に円滑に回転可能である、請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の外部保持装置。
【請求項8】
摩擦面(20、21、23、24、25、26、30、31)は、半径方向に弾性を有する、請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の外部保持装置。
【請求項9】
前記2つのロッドホルダ(6、7)は、前記2つのロッド(2、3)が所定の位置に締結される取り外し可能なクランプを備える、請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載の外部保持装置。
【請求項10】
少なくとも1つのロッドホルダ(6、7)が、異なるロッド断面を持つロッド(2、3)のためのクランプ装置を備えるクランプを有する、請求項9に記載の外部保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブル部の特徴を有する、骨折後の骨の断片、又は一般的に言えば、骨格部分の断片を保持するための外部保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような保持装置は、「創外固定器」とも呼ばれ、多種多様な設計が存在する。
これらの保持装置は、2つ又はそれ以上の骨の断片又は個々の骨格部分の断片を、所望の位置にそれぞれ取り付けることを可能にする点で共通している。
骨が折れていないときには、断片が所望の形で保持されるため、元の位置で互いに取り付けられる。この目的のために、ねじ、ペグ、ワイヤ又は他の取り付け要素(以下、概括してピンと呼ぶ)が、外側から、皮膚を介して骨の断片に又はその中に取り付けられ、ピンは次に保持装置に取り付けられ、ここで、ピンは保持装置の必要不可欠部分であり得るが、そうである必要はない。
【0003】
実用新案DE8419372U1は、ロッドとロッドを接続するジョイントとを備えるこのような保持装置を開示している。ジョイントが解放されると、ロッドはジョイントの軸を中心に相互に回転することができ、ジョイントを固定することによって、ロッドを相互に接続することができる。ジョイントは、一端が開口し、ロッドを通すことができる円形孔がある端部を有する2つのU字形クランプジョーを備える。骨折した骨の断片の中に取り付けられたピンは、同様にジョイントを介してロッドに取り付けることができる。ジョイントのクランプジョーはねじによって接続され、ねじは、クランプジョーを、円形孔から間隔を空けて、溝の開口端の近くで、溝に対して垂直に接続し、そのためクランプジョーは、ねじの周りで回転することができる。ねじを締めることで、ロッドはクランプジョーの円形孔内で締められ、クランプジョーには相互にテンションがかかる。クランプジョーは、ねじを取り囲む平歯を、相互に向かい合う面に備え、平歯はクランプジョーが共に締められたときに、はめあいにより回転を防止するようにクランプジョーを保持する。クランプジョーを回転させるためには、クランプジョーの平歯が相互に係合解除されるまで、ねじを緩めなければならない。さらに、クランプジョーは、平歯によって予め規定された角度ステップでのみ調整することができる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、骨折した骨の断片を所望の位置に整復することを容易にする、上記のタイプの保持装置を提供することである。
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴によって達成される。骨折した骨の断片を保持するための、本発明による外部保持装置は、創外固定器とも呼ばれ、2つのロッドと1つのジョイントを備え、ジョイントが解放されたときにジョイントの軸を中心に回転できるようにロッドを接続し、ジョイントが固定されたときにロッドを相互に固定する。ジョイントは2つのロッドホルダを備え、これに対して又はこの中に、ロッドが取り付けられ又は取り付け可能であり、ジョイントが解放されると、ジョイントの軸を中心に相互に回転可能である。
【0006】
本発明によれば、ジョイントのロッドホルダは、相互に向かい合う面に錐台形状で鏡面対向の摩擦面を備え、これはジョイントの軸に対して同軸であり、テンショナ装置によって相互に締結可能である。
【0007】
「錐台形状」とは正確には円錐台の側面を指し、円錐台の軸はジョイントの軸と一致する。くさび作用により、相互に締結された摩擦面は高い摩擦力を形成し、これは、ジョイントの2つの相互に締結されたロッドホルダを保持し回転を防止する。摩擦は、2つの摩擦面を共に締結するテンション力、錐台形状の摩擦面の円錐角、材料の組合せ、及び摩擦面の表面状態(乾燥、湿潤、潤滑、汚れ等)に依存する。円錐角は高い摩擦を達成するように鋭角であることが選択され、摩擦はジョイントの軸周りの回転を防止するためにロッドを保持し、ここにおいて、セルフロッキング、すなわち、テンション力がない状態で相互に締結された摩擦面がクランピングすることは回避されるべきである。
【0008】
テンショナ装置はねじを備えることができ、ねじは例えば、ジョイントの軸と同軸のロッドホルダの挿入孔を通って延在し、いずれかのテンショナ装置の雌ねじにねじ込み可能であるか、ナットにねじ込まれる。
【0009】
「鏡面対向」とは、一方は内側円錐台の形状を持ち、他方は同じ円錐角度と同じ直径を持つ外側円錐台の形状を持つ、相互に補い合う対となった摩擦面を意味する。
【0010】
骨折した骨の断片に対して又はその中に取り付けられ、又は取り付け可能なピンは、本発明によるジョイントによって、又は別の方法でロッドに取り付けることができる。
そのようなピンは、ねじ、ペグ、ワイヤ、又は他の取り付け要素である。
【0011】
本発明による保持装置は2つ以上のロッドを備えることができ、そのうちの2つはそれぞれ、角度調整可能にジョイントに接続される。平行なロッドはまた、2つ以上のジョイントに接続されてもよい。さらに、保持装置は、骨折した骨の断片に対して又はその中に取り付けるためのピン等を備えることができ、これらの断片はそれぞれ、ジョイントによって保持装置のロッドのうちの1つに取り付けられる。また、複数のジョイントによる、複数のロッドへのピンの取り付けも考えられる。
【0012】
本発明は、比較的小さな軸方向のテンション力を用いて、高い摩擦力によりジョイントのロッドホルダが回転するのを防止することを可能にする。他の利点は、ロッドの角度調整が連続的に可能となることである。ジョイントが部分的にのみ緩められた場合、ロッドはロッドホルダ間の摩擦に打ち勝つことによって、互いに対して手動で旋回することができ、それにより、ロッドに取り付けられた骨折した骨の断片を整復することができ、このとき、摩擦力は、断片が外力の作用なしに位置を維持するほど大きい。テンション力を調整することによって、ロッドの旋回を防止するためのジョイントの摩擦力を、所望のレベルに個別に調整することができる。断片が所望の位置に移動されると、ジョイントが締められ、それにより、ロッドに取り付けられた骨折した骨の断片を含んでロッドの位置が互いに対して固定される。2つ以上のロッドを、原理上は任意の数のロッドを、対応する数のジョイントを介して互いに接続することが可能である。
【0013】
本発明の改良形態によると、各ロッドホルダは、互いに対して、かつジョイントの軸に対して同軸であり、互いに包囲する2つ以上の錐台形状の摩擦面を備える。各ロッドホルダは、好ましくは内側の錐台形状の摩擦面と、内側錐台形状の摩擦面を同心円状に包囲するか、又は内側錐台形状の摩擦面によって同心円状に包囲される外側錐台形状の摩擦面とを有する。ジョイントの第2のロッドホルダは、第1のロッドホルダの2つの摩擦面に鏡面対向である錐台形状の摩擦面を備える。摩擦面はロッドホルダの互いに向かい合う面に配置されており、その結果これらの摩擦面は、テンショナ装置によって互いに締結可能である。例えば、一方のロッドホルダは円形リブを備え、円形リブはジョイントの軸に対して同軸であり、同じジョイントの他方のロッドホルダに向かう面に逆V字断面を持ち、他方のロッドホルダは、ジョイントの軸に対して同軸であり、かつV字断面を持つ円形状の溝を有する。「逆」とは、リブのV字断面の先端が溝に面することを意味する。リブ及び溝は同じ直径を有し、断面が鏡面対向である。リブの側面及び溝の横面は、錐台形状の摩擦面を形成する。リブのV字断面の先端は、溝の底部に触れないように平坦化することが好ましく、溝の底部も同様に平坦化され得る。ロッドホルダの摩擦面は、同一又は異なる円錐角を有することができ、ジョイントの2つのロッドホルダに配置された鏡面対向摩擦面は、同一の円錐角及び同一の直径を有する。本発明のこの設計によって達成される摩擦面の増大は、軸方向のテンション力は同じままジョイントのロッドホルダ間の摩擦を増大させ、その結果相互に締結されたロッドホルダは、相互に確実に保持されて回転が防止される。
【0014】
摩擦面が複数である他の利点は、表面圧力が低いことであり、これは、ジョイントを調整するためにテンショナ装置が緩められたときに、摩擦面の互いの摺動を改善する。このようにして、ロッドホルダ、及びこれらに付随するロッドは、痙攣的振動なく相互に回転可能となる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、ジョイントの第2のロッドホルダの側であって第1のロッドホルダの反対側に、ジョイントの軸に対して同軸の錐台形状の別の摩擦面を提供する。この摩擦面は、別の摩擦面と鏡面対向である摩擦面と協働し、第1のロッドホルダに対して回転不可かつ軸方向に移動可能に接続され、第2のロッドホルダの側であって第1のロッドホルダの反対側に配置され、第2のロッドホルダの摩擦面に面する。第2のロッドホルダの側であって第1のロッドホルダの反対側にある対の摩擦面は、好ましくは、相互に対向する面において対となる摩擦面を相互に締結するために使用されるロッドホルダのものと同じテンショナ装置によって、相互に締結される。第2のロッドホルダの側であって第1のロッドホルダの反対側にある対の摩擦面は、同様に、ジョイントのロッドホルダ間の摩擦力を倍増して回転を防止する。本発明のこの実施形態はまた、互いに同心円状に包囲する複数の内側錐台形状及び外側錐台形状の摩擦面を備えることができ、摩擦力を増大させてさらに回転を防止する。
【0016】
第2のロッドホルダの別の摩擦面と鏡面対向である摩擦面を第1のロッドホルダに回転不能に接続するために、一実施形態は例えば、第1のロッドホルダに対して回転不能であり、ジョイントの軸に対して同軸であり、ジョイントの軸に対して同軸である第2のロッドホルダの貫通孔を通って延在し、別の摩擦面と鏡面対向である摩擦面が回転不能かつ軸方向に移動可能に案内されるシャフトを提供する。シャフトはテンショナ装置の一部として形成することができ、ジョイントの全ての摩擦面を互いに引っ張るために使用される軸方向のテンション力を、第1のロッドホルダと、別の摩擦面と鏡面対向である摩擦面との間で伝達することができる。例えば、シャフトは、第1のロッドホルダと剛性ユニットを形成するねじ付きボルトや、又はねじ頭部が第1のロッドホルダに回転不能かつテンション耐性を有して接続されるねじによって形成することができる。第1のロッドホルダに対して回転不能であるシャフトはまた、ジョイントによって接続されたロッドが相互に揺動するとき、第2のロッドホルダとの連れ回りを防止するために、別の摩擦面と鏡面対向の摩擦面を保持し、ロッドを含むロッドホルダの旋回によってテンション力及び摩擦力は変化しない。
【0017】
本発明の一実施形態は、テンション力が減少又は解放されるときに摩擦面を相互に押し出す押し出しばねを提供する。押し出しばねはセルフロック、すなわち、錐台形状の摩擦面が相互に締め付けられるのを緩和し、調整可能な摩擦力を使用して、テンション力の減少によって、ロッドを含むロッドホルダの滑らかな角度調整を可能にする。
【0018】
製造公差を補償するために、本発明の実施形態は半径方向に弾性的に設計された摩擦面を提供し、ここにおいて、摩擦面の一部が半径方向に弾性的であれば充分である。
【0019】
本発明の一実施形態は、ロッド及び/又はピンを定位置に締結するための解放可能なクランプを提供する。ロッドホルダは、例えば、ロッド及び/又はピンがその間に配置されて把持される対のテンションジョーを備えることができる。対のテンションジョーは、摩擦面を互いに締め付けるテンショナ装置によって、互いに締結され得る。対のテンションジョーはまた、他の方法で互いに締結され得る。対のテンションジョーは、例えば、1つの部品で互いに弾性的に接続することができ、又は2つ以上の部品から構成することができる。
【0020】
本発明の一実施形態は、1つ、複数又はすべてのクランプが、異なるロッド断面を有するロッドのためのクランプ装置を構成することを提供する。例えば、クランプの対のテンションジョーは、異なる断面を持ち互いに向かい合う溝を備えることができ、溝の中でロッド又はピンが配置され、かつ締結され得る。
【0021】
本明細書において言及され、及び/又は図面において示される特徴の全ては、本発明の実施形態において、単独で、又は任意の組み合わせで、個々に実装され得る。独立請求項を含む請求項の、全てではなく一部の特徴のみを含む本発明の実施形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明は、図面に示される1つの例示的な実施形態に基づいて、以下においてより詳細に説明される。
図1図1は、骨折した骨の断片を保持するための、本発明による外部保持装置(創外固定器)の使用を示す。
図2図2は、図1の保持装置のうちの、2つのロッドと、ロッドを接続するジョイントを斜視図で示す。
図3図3は、図2のジョイントの軸方向断面図を斜視図で示す。
図4図4は、図3のジョイントの個々の部品の分解図を斜視図で示す。
図5図5は、本発明の変形例における、図2のジョイントの個々の部品を斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示される本発明に係る外部保持装置1は、骨折した骨の断片2を接合するために使用され、一般的に言えば、これは、骨格部分を互いに対して意図した位置に保持するために使用される。外部保持装置1は、創外固定器とも呼ばれる。
【0024】
保持装置1を骨折した骨の断片2に取り付けるために、又は逆に、断片2を保持装置1に取り付けるために、1つ以上の骨ねじが、体外から患者の皮膚を通して、各断片2にねじ込まれる。骨ねじの代わりに、現在利用可能又は将来開発される、ペグ、ワイヤ、又は他のペグ形状もしくは他の形状の取り付け要素を、骨の断片2に対して、又はその中に取り付けることができる。取り付け要素は、これらがピンの形状を有するかどうかに関わらず、ここではピン3と称される。
【0025】
ジョイント4を用いて、1つのロッド5が骨折した骨の各断片2のピン3に取り付けられ、ロッド5同士はジョイント4によって互いに接続される。図2図4には、ジョイント4及びその各部が示される。
【0026】
各ジョイント4は2つのロッドホルダ6、7を備え、これらのロッドホルダは、軸を中心に互いに対して回転することができ、互いに回転不可能に締結されることができ、ロッドホルダに、又はその中に、ロッド5及びピン3を取り付け可能であり、又は取り付けられる。ロッドホルダ6、7は、クランプとして設計され、クランプジョー8を備え、その間にピン3とロッド5を締めて固定することができる。軸は、これを中心にロッドホルダ6、7を互いに対して回転させることができ、ジョイント4の軸を形成する。各クランプジョー8は、1つ、2つ又はそれ以上の異なるピン3及び/又はロッド5のためのクランプ装置、例えば溝を備えることができる。
【0027】
クランプジョー8は、互いに向かい合う内側表面に2つのクランプ溝9を備え、クランプ溝9の間に貫通孔10を有する。内面は、ロッドホルダ6、7のクランプジョー8の互いに向かい合う面である。貫通孔10はクランプ溝9に対して垂直に、又はクランプ溝9が設けられているクランプジョー8の内側表面に対して垂直に延在する。ジョイント4の全てのクランプジョー8の貫通孔10は、相互に位置合せされている。1つのクランプ溝9は、各々の場合においてピン3をその中に挿入し、締めて固定できるように設計される。他のクランプ溝9の各々は、ロッド5を挿入し、締めて固定するために提供される。例示的な実施形態において、クランプ溝9は、ピン3又はロッド5の直径を持つ半円形断面を有する。クランプ溝9はまた、他の断面、例えばV字形、又は台形の断面(図示せず)を有することもできる。
【0028】
ねじ11は、2つのロッドホルダ6、7を形成して各々対とされるクランプジョー8の貫通孔10を通して挿入され、ねじのシャンクはシャフト12を形成し、クランプジョー8又はロッドホルダ6、7を回転可能に接続し、それらをシャフト12の長軸周りに回転可能とする。シャフト12の長軸は、ジョイント4の軸を形成する。
【0029】
ねじ11のねじ頭部13はその円周に2つの平行面を有し、2つのロッドホルダのうちの第1のロッドホルダ6の外側クランプジョー8の外側面の相補的な窪みに挿入され、ねじ頭部13は回転不可能かつテンション耐性的にロッドホルダ6の中に収容され、その結果シャフト12を形成するねじのシャンクは、第1のロッドホルダ6の外側クランプジョー8に対し回転不可能に接続される。ねじ頭部13を、例えば、外側クランプジョー8の外側面の相補的な窪みに回転不可能に挿入される、四角形又は六角形のねじ頭部等の異なる形状とすることも同様に可能である(図示せず)。また、シャフト12は、例えば、溶接等の他の方法で外側クランプジョー8に接合することができる(図示せず)。
【0030】
ロッドホルダ6、7をシャフト12に保持するナット15は、シャフト12を形成するねじ11のシャンクのねじ山14にねじ込まれる。ねじ11及びナット15はテンショナ装置16を形成し、それによって、ロッドホルダ6、7又はクランプジョー8を互いに締結することができる。例示的な実施形態において、図示されていない工具レンチ、例えばオープンエンドスパナやリングスパナを適用するために、ナット15は六角部17を有し、ナット15を手動で回転させるためにナット15の周縁にローレット18を有する。
【0031】
第1のロッドホルダ6の内側クランプジョー8は、外側面に、貫通孔10を同心状に包囲するV字形断面を持つ円形リブ19を備える。第1のロッドホルダ6のクランプジョー8であって、他方、すなわちジョイントの第2のロッドホルダ7に面するクランプジョー8は、内側クランプジョー8と呼ばれる。その外側面はまた、他方すなわち第2のロッドホルダ7に面する。リブ19の側部は2つの錐台形状の摩擦面20、21を形成し、内側錐台形状の内側摩擦面20は、以下、第1の摩擦面20とも呼ばれ、外側錐台形状を持つ外側摩擦面21は、以下、第2の摩擦面21とも呼ばれる。詳細には、摩擦面20、21、及びまだ説明されていない全ての他の摩擦面23、24、25、26、30、31は、内側円錐台又は外側円錐台の側面の形状を有する。
【0032】
互いに反対方向を向いた外側面において、第2のロッドホルダ7の両方のクランプジョー8は、クランプジョー8の貫通孔10を同心円状に囲む円形溝22を備える。溝22は、リブ19と同じ直径と、リブ19の鏡面対向であるV字形の断面を有する。溝22の側部は、リブ19の摩擦面20、21の鏡面対向である摩擦面23、24、25、26を形成し、これは、以下、第3、第4、第5、及び第6の摩擦面23、24、25、26とも呼ばれる。
【0033】
第2のロッドホルダ7の外側クランプジョー8とナット15との間には、シャフト12を形成するねじ11のシャンクが配置される中心孔28を有する円板27が配置される。中心孔28は互いに平行な2つの面を備え、その結果、ディスク27はシャフト12上で回転することができず、このシャフト12は、ねじ山14の領域において、同様に、ディスク27の中心孔28の平行な面と同じ距離だけ離間した、互いに平行な2つの面を備える。シャフト12は、第1のロッドホルダ6の外側クランプジョー8に対して回転することができないので、ディスク27は第1のロッドホルダ6の外側クランプジョー8に対して回転不可能である。ディスク27はシャフト12上で軸方向に移動可能である。
【0034】
第2のロッドホルダ7の外側クランプジョー8に面する側面では、ディスク27は、中心孔28を同心円状に囲む円形リブ29を備え、クランプジョー8の溝22と同じ直径を有し、鏡面対向のV字形断面を有する。リブ29の側部は、ジョイント4の第7及び第8の摩擦面30、31を形成する。
【0035】
ねじ11にナット15を締めることで、ねじ11と共にテンショナ装置16を形成し、ロッドホルダ6、7、クランプジョー8、円板27、及び合計8つの摩擦面20、21、23、24、25、26、30、31を一緒に締めることができて、その結果、クランプジョー8のクランプ溝9に挿入されたロッド5及びピン3が、クランプジョー8の間に固定的にチャックされ、クランプジョー8又はロッドホルダ6、7は、相互に接触し、かつ相互にテンションがかけられる摩擦面20、21、23、24、25、26、30、31の間の摩擦によって、相互に回転不可能に保持される。くさび作用により、摩擦面20、21、23、24、25、26、30、31の円錐形状は、摩擦面20、21、23、24、25、26、30、31の間に高い摩擦力を生じさせ、合計8つの摩擦面20、21、23、24、25、26、30、31は摩擦力を8倍にし、その結果、発生する比較的低いテンション力を使用して、ロッドホルダ6、7は回転防止のために、相互に確実に保持される。ナット15を締め付けるために、工具レンチ、例えばオープンエンドスパナ又はリングスパナによってナット15の締め付けが提供される。場合によっては、ナット15を手で締めれば充分な場合もある。また、テンショナ装置16(図示せず)を締結するために、自転車から知られているようなクイックリリーススキュワーや他の偏心レバーを提供することも考えられる。このようなクイックリリーススキュワーは特に、ねじ頭13に設けられる。
【0036】
ナット15を緩めることで、ロッド5及びピン3はクランプジョー8のクランプ溝9内で位置変更することができ、クランプジョー8又はロッドホルダ6、7は相互に回転可能となり、それによって、ロッド5、ピン3及びそれらに取り付けられた骨又は骨格部分の断片2を各々相互に所望の位置に持っていくことができる。ロッドホルダ6、7、クランプジョー8、ロッド5、及びピン3を位置合せするために、摩擦面20、21、23、24、25、26、30、31間の摩擦力は、ナット15によって生成されるテンション力によって、細かく調整可能である。
【0037】
リブ19,29の先端は、溝22の底部に触れないように平坦化されている。
【0038】
2つのロッドホルダ6、7の内側クランプジョー8の貫通孔10の円筒形の窪み内に圧縮コイルばねが配置され、押し出しばね35として機能し、クランプジョー8と摩擦面20、21、23、24、25、26、30、31とを、これらがテンショナ装置16によって相互に締め付けされていない場合に各々を押し出す。このようにして、ロッド5及びピン3を旋回させるための、摩擦面20、21、23、24、25、26、30、31間の摩擦力を、ナット15によって充分に調整することができる。
【0039】
図5は、V字形の断面を持つ、代替的に設計されたリブ29を備えるディスク27を示し、その側部は第7及び第8の摩擦面30、31を形成する。リブ29は、円筒状の溝32によって外側部分と内側部分とに分割されている。さらに、放射状スロット33は、リブ29を複数の扇形に分割する。さらに、溝34は、例示的な実施形態では外側からのみ、リブ29の裾に放射状平面内に設けられる。溝32、33、34の結果として、摩擦面30、31は半径方向に弾力があり、したがって、半径方向に弾性的である。このようにして、製造公差を補償する目的で、摩擦面30、31は、第2のロッドホルダ7のクランプジョー8の外側面の溝内にある鏡面対向の摩擦面23、24、25、26に適合することができる。第1のロッドホルダ6の内側クランプジョー8の外側面のリブ19はまた、そのような溝32、33、34を含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】