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特表2023-535467大きいビーズの送達のための塞栓術用マイクロカテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】大きいビーズの送達のための塞栓術用マイクロカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
A61M25/00 620
A61M25/00 530
A61M25/00 534
A61M25/00 610
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505799
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 IL2021050904
(87)【国際公開番号】W WO2022024117
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】276416
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517241628
【氏名又は名称】アキュレイト メディカル セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】ダガン、 トム
(72)【発明者】
【氏名】ジポリー、 ユーバル
(72)【発明者】
【氏名】ハーバター、 オスナット
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、 エラン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB06
4C267BB08
4C267BB15
4C267BB31
4C267BB36
4C267BB40
4C267CC08
4C267GG02
4C267GG04
4C267GG21
4C267GG34
(57)【要約】
編組、編組の周りに形成されるポリマー及び壁の内面をコーティングする内側ライナを含む壁、遠位端開口に近接して配置される放射線不透過性マーカを有する塞栓術用マイクロカテーテルであって、放射線不透過性マーカの近位端と遠位端開口との間に延在するマイクロカテーテルの部分は、ライナを有さず、壁は、約120ミクロン以下の厚さを有する、塞栓術用マイクロカテーテル。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔を形成する細長い管状部材であって、遠位端開口で終了し、前記細長い管状部材の壁は、編組、前記編組の周りに形成されるポリマー及び前記壁の内面をコーティングする内側ライナを含み、近位放射線不透過性マーカと前記遠位端開口との間に延在する前記細長い管状部材の部分の前記壁は、130ミクロン以下の厚さを有する、細長い管状部材と、
前記遠位端開口に近接して配置される遠位放射線不透過性マーカと
を含む塞栓術用マイクロカテーテルであって、前記遠位放射線不透過性マーカの近位端と前記遠位端開口との間に延在する細長い管状部材の部分は、前記ライナを有しない、塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項2】
前記細長い管状部材の外径は、1.5mm以下であり、及び前記細長い管状部材の内径は、700ミクロン以上である、請求項1に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項3】
前記壁の遠位端の厚さは、120ミクロン以下である、請求項1又は2に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項4】
前記細長い管状部材の前記壁に形成されたフィルタをさらに含み、前記フィルタは、2つ以上のフィルタセグメントを含み、各フィルタセグメントは、前記壁を貫通する複数の側面開口を含み、前記複数の側面開口は、前記細長い管状部材の周囲で円周方向に分布する、請求項1~3のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項5】
前記フィルタセグメントのうちの最も近位側のものは、それに対して遠位側のリングより少ない側面開口を含む、請求項4に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項6】
前記フィルタセグメントのうちの最も遠位側のものは、前記遠位端開口の2~4mm近位側に位置付けられる、請求項4又は5に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項7】
前記最も遠位側のフィルタセグメントの側面開口は、基本的に正方形である、請求項4~6のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項8】
前記基本的に正方形の側面開口は、50×50ミクロンの寸法を有する、請求項7に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項9】
前記基本的に正方形の側面開口は、80×50ミクロンの寸法を有する、請求項7に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項10】
前記少なくとも2つのフィルタセグメントの残りのフィルタセグメントの前記側面開口は、軸方向のスリットの形態である、請求項7に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項11】
前記少なくとも2つのフィルタセグメントの前記残りのフィルタセグメントの前記側面開口は、20ミクロンの幅を有し、前記少なくとも2つのフィルタセグメントの前記残りのフィルタセグメントの前記側面開口の長さは、前記側面開口間で変化する、請求項10に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項12】
前記少なくとも2つのフィルタセグメントの前記残りのフィルタセグメントの前記側面開口は、少なくとも200ミクロンの長さを有する、請求項11に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項13】
前記少なくとも2つのフィルタセグメントの前記残りのフィルタセグメントの前記側面開口の少なくともいくつかは、2700×20ミクロンの寸法を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項14】
前記少なくとも2つのフィルタセグメントの前記残りのフィルタセグメントの前記側面開口の少なくともいくつかは、1350×20ミクロンの寸法を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項15】
前記少なくとも2つのフィルタセグメントの前記残りのフィルタセグメントの前記側面開口の少なくともいくつかは、300×20ミクロンの寸法を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項16】
前記編組は、タングステンから作製される、請求項1~15のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項17】
前記内側ライナは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項18】
前記放射線不透過性マーカは、金属マーカバンドを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項19】
前記放射線不透過性マーカは、前記遠位端開口の0.5~2mm近位側に配置される、請求項1~18のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項20】
約900ミクロンの粒子サイズを有する塞栓ビーズの送達に適している、請求項1~19のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項21】
少なくとも1mの長さを有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項22】
塞栓ビーズを送達するための方法であって、
請求項1~21のいずれか一項に記載の塞栓術用マイクロカテーテルを、送達カテーテルを介して標的位置まで送達することと、
前記マイクロカテーテルを通してビーズを注入することと
を含む方法。
【請求項23】
前記ビーズは、少なくとも500ミクロンの粒子サイズを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ビーズは、少なくとも900ミクロンの粒子サイズを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記送達カテーテルは、5.0Frの送達カテーテルである、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、塞栓術のためのマイクロカテーテルの分野に関し、特に、標準的な送達カテーテルを通した送達に適した大口径塞栓術用カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
経動脈的塞栓療法、腫瘍塞栓術又は経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)は、塞栓物質(化学療法剤及び/又は放射線療法剤を含み得る)を、マイクロカテーテルを介して腫瘍(例えば、肝腫瘍)に直接投与することを含む。
【0003】
腫瘍の塞栓術は、典型的には、マイクロカテーテルを利用して行われるが、これは、腫瘍に選択的に影響を与える一方、健康な組織への損傷をできるだけ防止する必要性による。塞栓術に伴う主要な課題は、「標的外部位の塞栓」であり、この場合、塞栓物質は、標的組織又は腫瘍領域に直接栄養するもの以外の血管に運ばれて、健康な組織に損傷を与え、好ましくない及びさらに危険な結果につながる。考え得るシナリオには、肝塞栓による胃潰瘍の他、塞栓物質がマイクロカテーテルに沿って逆流して胃壁に到達し、虚血及び潰瘍形成の原因となる可能性があるケースが含まれる。特に進行したステージの肝癌において多く見られるその他の現象は、動脈門脈シャントを通した標的外塞栓である。
【0004】
マイクロカテーテルは、通常、腹腔又は肝動脈等の血管の近位部分に設置されたより大径のカテーテルに通され、その後、マイクロカテーテルは、その中で腫瘍に向かって前進されて、最終的に標的位置に到達する。いくつかのシナリオでは、マイクロカテーテルのための送達媒体として診断用カテーテルを使用することが有利である。この手順によれば、1つのカテーテルを他のカテーテルに置き換える必要がなくなり、実質的な時間の節約につながる。
【0005】
マイクロカテーテルが塞栓術において定常的に使用される他の理由は、血液を器官又は腫瘍に直接運ぶ栄養血管の大きさである。腫瘍にできるだけ近付けるために、塞栓術用カテーテルは、より細く、場合により蛇行する血管内を進められる。より大径の、多くの場合により硬いカテーテルでこれらの血管に到達させることは、不可能ではないとしても難しい。さらに、体内の血管は、操作中に痙攣する傾向があり、それにより塞栓物質の送達が有効に行われなくなるため、柔軟なマイクロサイズのカテーテルが絶対的に必要である。
【0006】
経カテーテル的塞栓術の主な欠点は、典型的には、目に見えない塞栓物質が逆流し、標的外組織に到達してそれに損傷を与える可能性があることである。加えて、塞栓物質の逆流は、標的組織への塞栓物質の送達に不利な影響を与える場合があり、したがって治療効果とその臨床的結果とが害される。
【0007】
ビーズの逆流を防止しながら、塞栓ビーズを送達するためのフィルタ区間を有するマイクロカテーテルが本願の発明者らによって開示されている。しかしながら、そのようなカテーテルは、ビーズがマイクロカテーテルに詰まるため、大きい塞栓ビーズの送達に不適当であるとわかる一方、マイクロカテーテルの外径の単純な拡大は、それらのマイクロカテーテルを、5.0フレンチの送達カテーテルなどの標準的な送達カテーテルを通した送達に不適当なものにする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、5.0フレンチの送達カテーテルを通した送達に適している一方、大きい塞栓ビーズ、すなわち900ミクロン以上の粒子サイズのビーズの送達も容易にする塞栓術用マイクロカテーテルに関する。
【0009】
これは、有利には、塞栓術用マイクロカテーテルの壁の独自の構造によって実現される。
【0010】
壁は、(特にそのフィルタ区間に沿って)マイクロカテーテルに構造的完全性及び追従性を提供する編組の周りに形成されるポリマー材料で作製される。壁は、壁の内面をコーティングし、壁と、それを通して流れるビーズとの間の摩擦を低減するように構成される内側ライナも含む。さらに、壁の厚さは、(少なくとも送達マイクロカテーテルを通過するその部分に沿って)約120ミクロンより小さく維持される。壁の薄さを維持することに対する主な障害は、マイクロカテーテルの遠位端開口に近接して配置される放射線不透過性マーカである。驚くべきことに、所望の壁の薄さが、バルキングを避けるように、放射線不透過性マーカまでのみ延在する内側ライナを有することによって実現及び維持され得ることと、放射線不透過性マーカから遠位端開口まで延在するマイクロカテーテルの部分に沿ったライナの欠如が、遠位端開口を通るビーズの送達にほとんど又は全く影響しないこととが、本願で開示されるマイクロカテーテルの発明者によって見出された。
【0011】
本願で開示される塞栓術用マイクロカテーテルは、流体の流出のために構成される一方、ビーズの流出を防止し、逆流を最小限にしながら高濃度の塞栓ビーズの送達を確実にする複数の開口を有するフィルタ区間をさらに含み得る。
【0012】
有利には、開口のサイズ、形状及び分布は、それらの大きいサイズにもかかわらず、ビーズのスムーズな送達を可能にする。これは、2つ以上のフィルタセグメントを含むことによって実現され、複数の側面開口を含む各フィルタセグメントは、マイクロカテーテルの周囲で円周方向に分布する最も近位側の円周方向区間を有し、最も近位側の円周方向区間は、それに対して遠位側の区間よりも少ない側面開口を含む。結果として、流体の流出は、フィルタの近位端で比較的小さく、そのため、詰まりの可能性が減少し、逆流を防ぐために低流出量が望まれる遠位端開口に向けて増加する。さらに、開口の形状及びサイズは、フィルタの最も遠位側部分が、懸濁流体の量が減少したときに、ビーズが詰まる及び/又は吸い込まれることを防ぐように構成された小さい、好ましくは、正方形の開口を含むように、フィルタの近位端と遠位端との間で変化する。
【0013】
本開示のいくつかの態様は、管腔を形成する細長い管状部材であって、細長い管状部材が遠位端開口で終了し、細長い管状部材の壁が、編組、編組の周りに形成されるポリマー及び壁の内面をコーティングする内側ライナを含み、近位放射線不透過性マーカと遠位端開口との間に延在する細長い管状部材の部分の壁が、130ミクロン以下の厚さを有する、細長い管状部材と、遠位端開口に近接して配置される遠位放射線不透過性マーカとを含み、放射線不透過性マーカの近位端と遠位端開口との間に延在する細長い管状部材の部分がライナを有しない、塞栓術用マイクロカテーテルを提供する。
【0014】
いくつかの実施形態によると、細長い管状部材の外径は1.5mm以下であり、細長い管状部材の内径は700ミクロン以上である。
【0015】
いくつかの実施形態によると、壁の遠位端の厚さは、120ミクロン以下である。
【0016】
いくつかの実施形態によると、塞栓術用マイクロカテーテルは、細長い管状部材の壁に形成されたフィルタを含み、フィルタは2つ以上のフィルタセグメントを含み、各フィルタセグメントは壁を貫通する複数の側面開口を含み、複数の側面開口は細長い管状部材の周囲で円周方向に分布する。
【0017】
いくつかの実施形態によると、フィルタセグメントのうちの最も近位側のものは、それに対して遠位側のリングよりも少ない側面開口を含む。
【0018】
いくつかの実施形態によると、フィルタセグメントのうちの最も遠位側のものは、遠位端開口の2~4mm近位側に位置付けられる。
【0019】
いくつかの実施形態によると、最も遠位側のフィルタセグメントの側面開口は、基本的に正方形である。いくつかの実施形態によると、基本的に正方形の側面開口は、50×50ミクロンの寸法を有する。いくつかの実施形態によると、基本的に正方形の側面開口は、80×50ミクロンの断面寸法を有する。
【0020】
いくつかの実施形態によると、少なくとも2つのフィルタセグメントの残りのフィルタセグメントの側面開口は、軸方向のスリットの形態である。
【0021】
いくつかの実施形態によると、少なくとも2つのフィルタセグメントの残りのフィルタセグメントの側面開口は、20ミクロンの幅を有し、少なくとも2つのフィルタセグメントの残りのフィルタセグメントの側面開口の長さは、側面開口間で変化する。
【0022】
いくつかの実施形態によると、少なくとも2つのフィルタセグメントの残りのフィルタセグメントの側面開口は、少なくとも200ミクロンの長さを有する。
【0023】
いくつかの実施形態によると、少なくとも2つのフィルタセグメントの残りのフィルタセグメントの側面開口の少なくともいくつかは、2700×20ミクロンの寸法を有する。
【0024】
いくつかの実施形態によると、少なくとも2つのフィルタセグメントの残りのフィルタセグメントの側面開口の少なくともいくつかは、1350×20ミクロンの寸法を有する。いくつかの実施形態によると、少なくとも2つのフィルタセグメントの残りのフィルタセグメントの側面開口の少なくともいくつかは、300×20ミクロンの寸法を有する。
【0025】
いくつかの実施形態によると、編組は、タングステンから作製される。
【0026】
いくつかの実施形態によると、内側ライナはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。
【0027】
いくつかの実施形態によると、放射線不透過性マーカは、金属マーカバンドを含む。いくつかの実施形態によると、放射線不透過性マーカは、遠位端開口の0.5~2mm近位側に配置される。
【0028】
いくつかの実施形態によると、塞栓術用マイクロカテーテルは、約900ミクロンの粒子サイズを有する塞栓ビーズの送達に適している。
【0029】
いくつかの実施形態によると、塞栓術用マイクロカテーテルは、少なくとも1mの長さを有する。
【0030】
いくつかの実施形態によると、塞栓ビーズを送達するための方法が提供され、この方法は、本願で開示される塞栓術用マイクロカテーテルを、送達カテーテルを介して標的位置まで送達することと、マイクロカテーテルを通してビーズを注入することとを含む。
【0031】
いくつかの実施形態によると、ビーズは、少なくとも500ミクロンの粒子サイズを有する。いくつかの実施形態によると、ビーズは、少なくとも900ミクロンの粒子サイズを有する。
【0032】
いくつかの実施形態によると、送達カテーテルは、5.0Frの送達カテーテルである。
【0033】
本開示の特定の実施形態は、上記の特徴のいくつか又は全部を含んでいても又は全く含んでいなくてもよい。1つ又は複数の技術的利点は、本願に含まれる図面、説明文及び特許請求の範囲から当業者には容易に明らかであり得る。さらに、具体的な特徴を列挙したが、様々な実施形態は、列挙した特徴の全部又はいくつかを含んでいても又は全く含んでいなくてもよい。
【0034】
上述の例示的な態様及び実施形態に加えて、さらなる態様及び実施形態が図面及び以下の詳細な説明でさらに展開される。
【0035】
本開示の特徴、性質及び利点は、以下の詳細な説明から、これを図面とともに読むことでより明らかとなり、図面では、全体を通して同様の参照文字は、対応するものを示す。2つ以上の図面に示されている同じ構造、要素又は部品には、一般に、それらが示されているすべての図面において同じ番号が付されている。代わりに、2つ以上の図面に示されている要素又は部品には、それらが示されている図面ごとに異なる番号が付されていることがある。図中の構成要素及び特徴の寸法は、表現の便宜及び明瞭さのために選択されており、必ずしも正確な縮尺で示されているとは限らない。図面を以下に列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】いくつかの実施形態による、異なるポリマー材料で作製される複数の区間を含む外層を含むマイクロカテーテルを概略的に示す。
図1B図1Aのマイクロカテーテルの遠位端の切欠き斜視図を概略的に示し、外層、ストライク層、内層、内層と外層との間に配置される編組による骨格を示す。
図2A】いくつかの実施形態による、流体バリア形成区間を有する3.0Frの塞栓術用マイクロカテーテルを概略的に示す。
図2B】いくつかの実施形態による、図2Aのマイクロカテーテルの遠位端の拡大部分分解図を概略的に示す。
図2C】いくつかの実施形態による、図2Aのマイクロカテーテルの遠位先端の拡大部分分解図を概略的に示す。
図2D】いくつかの実施形態による、図2Aの塞栓術用マイクロカテーテルの流体バリア形成区間などの流体バリア形成区間の壁を貫通する選択的カットによって形成されるスリットを概略的に示す。
図3図2Aのマイクロカテーテルの任意選択のスリットパターンを概略的に示す。
図4図2Aのマイクロカテーテルの別の任意選択のスリットパターンを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
添付の図面に関する以下の詳細な説明は、各種の構成の説明を意図し、本明細書に記載の概念を実施し得る唯一の構成を表すことを意図しない。詳細な説明は、各種の概念を詳細に理解できるようにするために具体的な詳細を含む。しかしながら、これらの概念は、本明細書に記載されている具体的な詳細がなくても実施され得ることも当業者に明らかであろう。いくつかの例において、よく知られている特徴は、開示を不明瞭にしないように、省略又は簡略化されていることがある。
【0038】
ここで、塞栓術用マイクロカテーテル100を概略的に示す図1A及び図1Aの遠位部分の拡大/分解図を示す図1Bを参照する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「塞栓術」、「経カテーテル的塞栓術」、「経カテーテル的動脈塞栓術」及び「TAE」という用語は、互換的に使用され得、例えば出血の止血治療又は血管を故意に閉塞させることによって腫瘍細胞への栄養を断絶するいくつかの種類の癌治療などの治療目的のために、血流内に塞栓を通過させ、留置することを指す。
【0040】
塞栓術用マイクロカテーテル100は、約1.5mmの外径又は1.0~1.5mm若しくは1.2~1.6mmの外径及び700~850ミクロンの内径を有する細長い管状部材110を有する3.0Frのマイクロカテーテルである。
【0041】
マイクロカテーテル100の近位端130は、ハブ102を含み、これは、マイクロカテーテル100の細長い管状部材110上に成形されるか、又はそれ以外にマイクロカテーテル100の細長い管状部材110に取り付けられる。
【0042】
ハブ102は、流体若しくは薬剤の注入又はガイドワイヤの導入など、様々な機能のために細長い管状部材110の管腔にアクセスすることができるように構成される。ハブ102は、歪除去体112を含み、これは、好ましくは、ハブ102に機械的に連結される。歪除去体112は、ポリマー材料で作製され得、図のようにその遠位端がテーパであり得る。歪除去体112は、細長い管状部材110に構造的支持を提供してキンクを防止するように構成することができる。
【0043】
いくつかの実施形態によると、細長い管状部材110の壁は、複数の区間を含み得、各区間は、利用されるポリマーによって特徴付けられる。いくつかの実施形態によると、複数の区間は、3、4、5、6、7、8、9、20又はより多くの区間を含み得る。各々の可能性は、別の実施形態である。
【0044】
いくつかの実施形態によると、異なるポリマー層は、層/区間、すなわち細長い管状部材110の異なる特性に寄与し得る。例えば、異なるポリマー層は、層、したがってマイクロカテーテルの弾力性、柔軟性、伸縮性、強度、硬さ、剛性、極限引張強度、伸び又は他のいずれかの特性に寄与し得る。各々の可能性は、別の実施形態である。
【0045】
歪除去体112に取り付けられる、細長い管状部材110の近位端130は、約70Dのショア硬さ及び/又は約74,000psiの曲げ弾性率を有するポリエーテルブロックアミドから作製された外層132を含む。いくつかの実施形態によると、近位端132は、600~1200mm(例えば、約1000mm)の長さを有し得る。
【0046】
任意選択的に、外層132の一部は、歪除去体112と細長い管状部材110との間の接合部を覆う熱収縮材料134を含み得る。
【0047】
隣接する区間132は、約60D~65Dのショア硬さ及び/又は約41,000psiの曲げ弾性率を有するポリエーテルブロックアミドから作製された、細長い管状部材110の第2の区間136である。区間136は、20~60mm(例えば、40mm)の長さを有し得る。
【0048】
細長い管状部材110の中間部分140は、約55Dのショア硬さ及び/又は約25,000psiの曲げ弾性率を有するポリエーテルブロックアミド又は他の好適なポリマーから作製され得る外層を有する区間142と、約40Dのショア硬さを有するポリマー材料、例えば約40Dのショア硬さ及び/又は約10,000~12,000psiの曲げ弾性率を有するポリカーボネート系熱可塑性ウレタンから作製された外層を有する区間144と、約95Aのショア硬さを有する1つ又は複数のポリカーボネート系熱可塑性ウレタンから作製された外層を有している区間146と、約85Aのショア硬さを有する1つ又は複数のポリカーボネート系熱可塑性ウレタンから作製された外層を有している区間148とを含む。
【0049】
区間142は、約30~約80mm(例えば、40mm)の長さを有し得る。区間144は、約30mm~約70mm(例えば、約50mm)の長さを有し得る。区間146は、約80mm~約150mm(例えば、約130mm)の長さを有し得る。区間148は、約20mm~約60mm(例えば、約45mm)の長さを有し得る。
【0050】
いくつかの実施形態によると、遠位端は、マイクロカテーテル100の遠位の100mm、50mm、30mm、20mm、15mm、10mm、5mm又は2mmを指し得る。各々の可能性は、別の実施形態である。いくつかの実施形態によると、遠位端は、近位マーカと遠位端開口180との間に延在するマイクロカテーテルの一部を指し得る。
【0051】
いくつかの実施形態によると、中間部分140のすべての区間のポリマー材料は、管状部材110の近位端130の壁区間のポリマー材料のものより柔らかい。
【0052】
いくつかの実施形態によると、区間148のポリマー材料は、区間146のポリマー材料より柔らかい。いくつかの実施形態によると、区間146のポリマー材料は、区間144のポリマー材料より柔らかい。いくつかの実施形態によると、区間144のポリマー材料は、区間142のポリマー材料より柔らかい。
【0053】
細長い管状部材110の遠位端150は、約85Aのショア硬さを有するポリマー材料、例えば約85Aのショア硬さを有するポリカーボネート系熱可塑性ウレタンから作製される外層を有する区間152及び区間を含む。区間152のポリマーは、ポリマー放射線不透過性マーカ、例えば、限定されないが、タンタル粉末をさらに含み得る。区間154は、約95Aショア硬さを有するポリマー材料、例えば約95Aショア硬さを有するポリカーボネート系熱可塑性ウレタンから作製される外層を有する。いくつかの実施形態によると、細長い管状部材110の遠位先端170は、遠位端開口で終了する。いくつかの実施形態によると、遠位先端は、遠位マーカ162及び遠位端開口180を指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、「遠位端開口」という用語は、マイクロカテーテルの、その管腔につながる端開口を指す。いくつかの実施形態によると、遠位端開口180は、マイクロカテーテルの終端をその遠位端において画定する。いくつかの実施形態によると、遠位端開口180は、マイクロカテーテル管腔の内径と基本的に等しい内径を有し得る。いくつかの実施形態によると、遠位端開口180は、マイクロカテーテル管腔の内径より小さく、その結果、管腔は、その端に向かって細くなり得る。
【0055】
区間152は、(図1Bで参照される)近位マーカ160を含み、区間154は、(同様に図1Bで参照される)遠位マーカ162で終了する。いくつかの実施形態によると、遠位端150は、10~20mmの長さを有し得る。いくつかの実施形態によると、区間152は、2~10mm(例えば、約6mm)の長さを有し得る。いくつかの実施形態によると、区間154は、5~20mm(例えば、約10mm)の長さを有し得る。いくつかの実施形態によると、近位マーカ160は、基本的に本明細書で説明されるように、区間152の外層の一部に埋め込まれた放射線不透過性粉末であり得る。いくつかの実施形態によると、近位マーカ160は、遠位端開口180から約5~20mm又は10~15mmに位置付けられ得る。いくつかの実施形態によると、遠位マーカ162は、外層154に埋没された放射線不透過性合金であり得る。いくつかの実施形態によると、遠位マーカ162は、遠位端開口180から約1mm近位側に位置付けられ得る。
【0056】
ここで、近位マーカ160から先端170まで延在し、細長い管状部材110の区間154を含む、図1Aに示されるマイクロカテーテル100の遠位端150の遠位部分の切欠き斜視図を概略的に示す図1Bを参照する。上記のように、区間154の壁である。分解図から参照されるように、編組190は、外層の下にある。
【0057】
いくつかの実施形態によると、編組190は、管状部材110の全長に沿って延在する。代わりに、編組190は、細長い管状部材110の一部のみに沿って、例えば区間154のみに沿って、区間152及び154に沿って、区間152、154及び148に沿って、区間152、154、148及び146に沿って、区間152、154、148、146及び144に沿って又は区間152、154、148、146、144及び142に沿って延在する。各々の可能性は、別の実施形態である。
【0058】
いくつかの実施形態によると、編組190は、低いデュロメータ硬さのポリマーと組み合わせて、柔軟な遠位端が得られ、より高いデュロメータ硬さを有するポリマーと組み合わせて、比較的硬い近位端が提供されることが確実になるようなピック/インチ(PPI)(横打ち込み本数)の値を有する。いくつかの実施形態によると、編組による骨格は、75~150ピック/インチ(PPI)、100~150PPI又は100~150PPIのワイヤ配列を有し得る。各々の可能性は、別の実施形態である。非限定的な例として、編組による骨格は、約140PPI又は約145PPIのワイヤ配列を有し得る。当業者は、ピック/インチ(PPI)という用語が編組ワイヤ密度の測定値であり、編組の1インチあたりのピック(例えば、横糸ワイヤ)の数を表すことを理解するであろう。
【0059】
本明細書で使用される場合、「編組」及び「編組による骨格」という用語は、複数の組み合わされたワイヤから形成される管状要素などの構造的要素を指し得る。いくつかの実施形態によると、編組は、管を形成する少なくとも3本の組み合わされたワイヤから形成され得る。いくつかの実施形態によると、編組は8~48本のワイヤ又は12~32本のワイヤを含み得る。非限定的な例として、編組は16本のワイヤを含み得る。各々の可能性は、別の要素である。いくつかの実施形態によると、網組を形成するワイヤは10~60ミクロン、例えば15~40ミクロン若しくは20~30ミクロンの範囲の直径又は10~60ミクロンの範囲内の任意の他の好適な直径を有し得る。各々の可能性は、別の実施形態である。非限定的な例として、編組を形成するワイヤは25ミクロンの直径を有し得る。いくつかの実施形態によると、骨格は、基本的にカテーテルの全長に沿って延在し得る。いくつかの実施形態によると、編組は、タングステン、ステンレススチール、ニッケルチタン(ニチノールとも呼ばれる)、ニチノール、コバルトクロム、白金イリジウム、ナイロン又はそれらの任意の組合せから作製され得る。各々の可能性は、別の実施形態である。
【0060】
いくつかの実施形態によると、編組による骨格を形成するワイヤの少なくともいくつかは、同じ方向又は反対方向に、すなわち左撚り/右撚りで編組され得る。有利には、この編組構造は、良好なトルク能力(コイル状骨格よりも優れている)、低い曲げ剛性(すなわち良好な柔軟性)、良好な押し込み能力(コイル状骨格よりも優れている)及び優れた耐キンク性を可能にする。
【0061】
いくつかの実施形態によると、編組による骨格を形成するワイヤの少なくともいくつかは、非円形/円形であり得る。
【0062】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から作製され得る内側ライナ192は、編組190の下にある。いくつかの実施形態によると、内側ライナ192は、10~30ミクロン又は10~25のミクロンの厚さを有し得る。各々の可能性は、別の実施形態である。いくつかの実施形態によると、ライナは、フィルム流延ライナである。
【0063】
有利には、遠位マーカ162のかさ高さを補うために、遠位マーカ162の遠位端から遠位端開口180まで延在する細長い管状部材110の部分は、内側ライナ192がなく、それにより遠位マーカ162のかさ高さにもかかわらず、細長い管状部材110の内径及び外径を基本的に維持し、それは、5.0Frの送達カテーテル(図示せず)を通るスムーズな送達を可能にする。
【0064】
いくつかの実施形態によると、細長い管状部材の遠位端の壁の全厚は、少なくとも、5.0Frの送達カテーテルを通して挿入される細長い管状部材の部分に沿って、約130ミクロンを上回らない。いくつかの実施形態によると、細長い管状部材の遠位端の壁の全厚は、少なくとも、5.0Frの送達カテーテルを通して挿入される細長い管状部材の部分に沿って、約120ミクロンを上回らない。
【0065】
ここで、塞栓術用マイクロカテーテル200及びその一部の拡大/分解図を概略的に示す図2A図2Cを参照する。塞栓術用マイクロカテーテル200は、塞栓術用マイクロカテーテル200がフィルタ220も含むことを除いて、塞栓術用マイクロカテーテル100と類似し得る。フィルタ220の構造を概略的に示す図2Dも参照する。塞栓術用マイクロカテーテル200は、約1.0~1.5mm又は約1.2mm~1.6mmの外径及び700~850ミクロンの内径を有する細長い管状部材210を有する3.0Frのマイクロカテーテルである。塞栓術用マイクロカテーテル200は、大きい塞栓ビーズ、例えば、限定されないが、500ミクロン以上、600ミクロン以上、700ミクロン以上、800ミクロン以上、900ミクロン以上及び1000ミクロン以上の平均粒子サイズを有する塞栓ビーズの送達に特に適している。各々の可能性は、別の実施形態である。
【0066】
細長い管状部材210の壁に形成される複数の貫通する側面開口を含むフィルタ220が、図2Bに概略的に示されている。
【0067】
本明細書で使用される場合、側面開口に関する「複数」という用語は、2個以上、3個以上、5個以上、10個以上、15個以上、20個以上又は25個以上の軸方向のスリットを指す。各々の可能性は、別の実施形態である。
【0068】
いくつかの実施形態によると、フィルタ220は、細長い管状部材110の一体部分であり得、0.3mm~20mmの長さ、例えば1mm~10mm、1mm~5mm、1.5mm~5mm、2mm~5mm又は任意の他の中間の好適な長さに沿って延在し得る。各々の可能性は、別の実施形態である。
【0069】
いくつかの実施形態によると、フィルタ220は、側面開口によって形成される、0.2~1mm、0.2~0.6mm、0.3~1mm、0.3~0.5mm、0.4~0.6mm、0.5~1.5mm、1.0~3.5mm、1.5~4mm、2.0~3.5mmの範囲又は0.1~4mmの範囲内の任意の他の好適な面積の総開口面積を有し得る。各々の可能性は、別の実施形態である。いくつかの実施形態によると、フィルタ220の少なくとも5%、少なくとも10%又は少なくとも15%は、側面開口によって形成される開口面積である。いくつかの実施形態によると、フィルタ220の5%~30%、少なくとも7%~25%、7%~20%、5%~15%は、側面開口によって形成される開口面積である。各々の可能性は、別の実施形態である。
【0070】
いくつかの実施形態によると、側面開口は、選択的カット(例えば、選択的レーザカット)により、すなわち図2Dに示される編組290を形成するワイヤを切断することなく形成され得る。いくつかの実施形態によると、ワイヤの下に位置付けられるライナの部分は無傷のままである。いくつかの実施形態によると、ポリマー層と、編組290のワイヤ間に位置付けられた内側ライナとはどちらも、スリット形成時に貫通される。有利には、(編組290を基本的に無傷のまま残すポリマー層の選択的なカットにより、側面開口の少なくともいくつかが、編組によって分離されるがポリマー外層によっては分離されない2つ以上の副側面開口(ここでは、副側面開口225a~225d)に細分され得る。
【0071】
フィルタ220の1つの任意選択の構造が図3に提供されている。図3で参照されるように、フィルタ320は、4つのフィルタ区間(Section)321、322、323及び324を含み得、各フィルタ区間は、フィルタ部材320の周囲の円周リングに分布する複数の側面開口325、326、327及び328を含む。
【0072】
いくつかの実施形態によると、最も近位側のフィルタ区間であるフィルタ区間321は、それに対して遠位側のフィルタ区間よりも少ない側面開口を有する。いくつかの実施形態によると、フィルタ区間321は、側面開口の1~4個又は1~3個のリング、例えば、限定されないが、側面開口の2個のリングを含み得る。いくつかの実施形態によると、リングのそれぞれは、1リングあたり1~5個の側面開口又は1~3個の側面開口、例えば、限定されないが、2個の側面開口を含み得る。いくつかの実施形態によると、フィルタ区間321は、合計1~5、2~4個の側面開口、例えば、限定されないが、2個の側面開口を含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態によると、最も近位側の円周方向区間の側面開口は、その隣接する円周方向区間の側面開口に対して円周方向に移動される。
【0074】
いくつかの実施形態によると、フィルタ区間321の第1のリングの側面開口325は、その隣接するリングの側面開口に対して円周方向に移動され得、且つ/又はフィルタ区間322の側面開口326に対して円周方向に移動され得る。
【0075】
いくつかの実施形態によると、フィルタ区間322は、側面開口の1~5個又は2~4個のリング、例えば、限定されないが、側面開口の3個のリングを含み得る。いくつかの実施形態によると、リングのそれぞれは、1リングあたり1~5個の側面開口又は2~4個の側面開口、例えば、限定されないが、3個の側面開口を含み得る。いくつかの実施形態によると、フィルタ区間322は、合計5~15、6~10個の側面開口、例えば、限定されないが、9個の側面開口を含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態によると、フィルタ区間322の第1のリングの側面開口326は、その隣接するリングの側面開口に対して円周方向に移動され得る。
【0077】
いくつかの実施形態によると、フィルタ区間323は、側面開口の2~10個又は3~7個のリング、例えば、限定されないが、側面開口の5個のリングを含み得る。いくつかの実施形態によると、リングのそれぞれは、1リングあたり2~15個の側面開口又は4~8個の側面開口、例えば、限定されないが、6個の側面開口を含み得る。いくつかの実施形態によると、フィルタ区間323は、合計10~50、20~40個の側面開口、例えば、限定されないが、30個の側面開口を含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態によると、フィルタ区間321、322及び323の側面開口325、326及び327は、それぞれ基本的に長方形の軸方向のスリットであり得る。フィルタ220の形状のために、側面開口325、326及び327は、円錐状であり得、すなわちフィルタ220の内面においてよりも外面においてより大きい断面を有し得る。
【0079】
以下で提供されるサイズは、内面において作製される大きさに関する。
【0080】
いくつかの実施形態によると、側面開口325、326及び327は、約150×20ミクロンの寸法を有し得る。
【0081】
いくつかの実施形態によると、フィルタ区間321、322及び323の側面開口325、326及び327の各リングは、その隣接するリングから100~200ミクロン又は120~180ミクロンだけ、例えば、限定されないが、150ミクロン離間し得る。
【0082】
いくつかの実施形態によると、最も遠位側のフィルタ区間であるフィルタ区間324は、遠位端開口の約2~5mm近位側に位置付けられる。いくつかの実施形態によると、最も遠位側のフィルタ区間であるフィルタ区間324は、遠位端開口の約3mm近位側に位置付けられる。
【0083】
いくつかの実施形態によると、フィルタ区間324の側面開口328は、基本的に正方形である。有利には、側面開口328の正方形のサイズは、流体の流出を可能にする一方、ビーズが側面開口325、326及び327を通る流体の流出によりすでに濃縮されているにもかかわらず、遠位端開口の方へのビーズの流れに対する妨害を最小限にすることを確実にする。いくつかの実施形態によると、フィルタ区間324は、側面開口の3~10個又は4~6個のリング、例えば、限定されないが、側面開口の5個のリングを含み得る。いくつかの実施形態によると、リングのそれぞれは、1リングあたり3~10個の側面開口又は4~8個の側面開口、例えば、限定されないが、6個の側面開口を含み得る。
【0084】
いくつかの実施形態によると、フィルタ区間324の側面開口328は、約50×50ミクロンの寸法を有し得る。
【0085】
いくつかの実施形態によると、側面開口328の最も遠位側のリングは、フィルタ区間323の側面開口327のリングの最も遠位側から1~10mm又は2~7mmだけ、例えば、限定されないが、2mm離間し得る。
【0086】
いくつかの実施形態によると、側面開口328の最も遠位側のリングは、遠位端開口から1~10mm又は2~5mmだけ、例えば、限定されないが、3mm離間し得る。
【0087】
いくつかの実施形態によると、フィルタ区間324の側面開口328の各リングは、その隣接するリングから20~100ミクロン又は30~60ミクロンだけ、例えば、限定されないが、50ミクロン離間し得る。
【0088】
いくつかの実施形態によると、スリットは同じ又は異なる長さ方向の位置に位置付けられ得る。各々の可能性は、別の実施形態である。いくつかの実施形態によると、スリットの分布は、互い違い、ジグザグ又は任意の他の好適な均一若しくは不均一な分布であり得る。
【0089】
有利には、フィルタ320は、複数のスリットがその壁に形成されていても、キンクを生じずに曲がるように構成され得る。いくつかの実施形態によると、フィルタ220の柔軟性は、側面開口の数、それらの最小断面寸法、それらの幅、長さ間隔、幾何学的形状、遠位出口からの距離などによって決定され、基本的に本明細書で説明されるように、それがキンクを生じずに曲がることを可能にすることができる。
【0090】
本明細書で使用される場合、「キンクを生じずに曲がる」という用語は、その中を通る流れを妨害する、フィルタ320が曲がることを指し得る。いくつかの実施形態によると、フィルタ320は、約180度の角度で、キンクを生じずに曲がるように構成され得る。いくつかの実施形態によると、フィルタ320は、約0.5~1.5mm、例えば0.5~1.2、0.5~1mmの範囲又はそれらの間の任意の半径の最小曲げ半径でキンクを生じずに曲がるように構成され得る。
【0091】
有利には、フィルタ320を含むマイクロカテーテル300は、有効な逆流防止を提供し、これは、比較的高い側面開口の密度を必要とする一方、小さいキンクフリー半径(例えば、0.5~1.5mmの範囲内)及び少なくとも5Nの引張強度がさらに確実となる。
【0092】
いくつかの実施形態によると、マイクロカテーテル300は、少なくとも50cm、少なくとも60cm、少なくとも75cm又は少なくとも1mの長さを有し得る。各々の可能性は、別の実施形態である。
【0093】
いくつかの実施形態によると、マイクロカテーテル300の外壁は、基本的にその全長に沿って、非テーパ状であり得る。
【0094】
フィルタ220の1つの任意選択の構造が図4に提供されている。図4で参照されるように、フィルタ420は、2つのフィルタ区間421及び422を含み得、各フィルタ区間は、細長い管状フィルタ420の周囲の円周リングに分布する複数の側面開口425及び427を含む。
【0095】
フィルタ220の形状のために、側面開口側面開口425及び427は、円錐状であり得、すなわちフィルタ220の内面よりも外面においてより大きい断面を有し得る。
【0096】
以下で提供されるサイズは、内面において作製される大きさに関する。
【0097】
いくつかの実施形態によると、フィルタ区間421は、側面開口の2~10個又は2~6個の環状リング、例えば、限定されないが、側面開口の5個のリングを含み得る。いくつかの実施形態によると、リングのそれぞれは、1リングあたり1~10個の側面開口又は2~8個の側面開口、例えば、限定されないが、6個の側面開口を含み得る。いくつかの実施形態によると、フィルタ区間421は、合計10~60個の側面開口又は20~40個の側面開口、例えば、限定されないが、30個の側面開口を含み得る。いくつかの実施形態によると、側面開口425は、基本的に正方形又は長方形であり得る。いくつかの実施形態によると、側面開口425は、50~150ミクロン又は50~100ミクロン、例えば約80ミクロンの幅を有し得る。いくつかの実施形態によると、側面開口425は、20~100ミクロン又は例えば約50ミクロンの長さを有し得る。いくつかの実施形態によると、側面開口のリングのそれぞれは、その隣接するリングから20~100ミクロン、例えば約50ミクロンだけ長手方向に離間し得る。いくつかの実施形態によると、側面開口425の最も遠位側は、マイクロカテーテルの遠位端開口から約2~5mm、例えば約3mmに位置付けられ得る。
【0098】
有利には、側面開口425の正方形のサイズは、流体の流出を可能にする一方、ビーズが側面開口325、326及び327を通る流体の流出によりすでに濃縮されているにもかかわらず、遠位端開口の方へのビーズの流れに対する妨害を最小限にすることを確実にする。
【0099】
いくつかの実施形態によると、フィルタ区間422は、5~50個又は10~30個又は10~20個の側面開口427を含み得る。いくつかの実施形態によると、側面開口427の幅は、10~50又は10~30ミクロンの範囲、例えば約20ミクロンであり得る。いくつかの実施形態によると、側面開口427の少なくともいくつかは、異なる長さを有し得る。いくつかの実施形態によると、側面開口427の少なくともいくつか、例えば側面開口427aは、約1mm~4mm又は約2mm~3.5mmの範囲、例えば約2.7mmの長さを有し得る。いくつかの実施形態によると、側面開口427の少なくともいくつか、例えば側面開口427bは、約0.8mm~2mm又は約1mm~1.5mmの範囲、例えば約1.35mmの長さを有し得る。いくつかの実施形態によると、側面開口427の少なくともいくつか、例えば側面開口427cは、約0.2mm~1mm又は約0.2mm~0.5mmの範囲、例えば約0.3mmの長さを有し得る。有利には、フィルタ220は、(編組290を基本的に無傷のままにする)ポリマー層の選択的なカットによって形成され得る。いくつかの実施形態によると、側面開口427の少なくともいくつかは、編組290によって分離されるが、ポリマー外層によっては分離されない(図2Dの数字225a~225dで示される)副側面開口を含み得る。
【0100】
いくつかの実施形態によると、側面開口427のそれぞれは、側面開口の隣接する側面開口から長手方向に離間し、その隣接する側面開口から20~200ミクロンだけ離間し得る。いくつかの実施形態によると、側面開口427間の長手方向間隔は、変化し得る。いくつかの実施形態によると、側面開口427の少なくともいくつかは、隣接する側面開口に対して軸方向に移動される。いくつかの実施形態によると、側面開口427の最も遠位側は、マイクロカテーテルの遠位端開口から約3~10mm、例えば約5mmに位置付けられ得る。
【0101】
いくつかの実施形態によると、フィルタ420は、5~15mm又は約5~10mmの長さを有し得る。
【0102】
いくつかの実施形態によると、スリットは、同じ又は異なる長さ方向の位置に位置付けられ得る。各々の可能性は、別の実施形態である。いくつかの実施形態によると、スリットの分布は、互い違い、ジグザグ又は任意の他の好適な均一若しくは不均一な分布であり得る。
【0103】
有利には、フィルタ420は、複数のスリットがその壁に形成されていても、キンクを生じずに曲がるように構成され得る。いくつかの実施形態によると、フィルタ220の柔軟性は、側面開口の数、それらの最小断面寸法、それらの幅、長さ間隔、幾何学的形状、遠位出口からの距離などによって決定され、基本的に本明細書で説明されるように、それがキンクを生じずに曲がることを可能にすることができる。
【0104】
本明細書で使用される場合、「キンクを生じずに曲がる」という用語は、その中を通る流れを妨害する、フィルタ420が曲がることを指し得る。いくつかの実施形態によると、フィルタ420は、約180度の角度で、キンクを生じずに曲がるように構成され得る。いくつかの実施形態によると、フィルタ420は、約0.5~1.5mm、例えば0.5~1.2、0.5~1mmの範囲又はそれらの間の任意の半径の最小曲げ半径でキンクを生じずに曲がるように構成され得る。
【0105】
有利には、フィルタ420を含むマイクロカテーテル400は、有効な逆流防止を提供し、これは、比較的高い側面開口の密度を必要とする一方、小さいキンクフリー半径(例えば、0.5~1.5mmの範囲内)及び少なくとも5Nの引張強度がさらに確実となる。
【0106】
いくつかの実施形態によると、マイクロカテーテル400は、少なくとも50cm、少なくとも60cm、少なくとも75cm又は少なくとも1mの長さを有し得る。各々の可能性は、別の実施形態である。各々の可能性は、別の実施形態である。
【0107】
いくつかの実施形態によると、マイクロカテーテル400の外壁は、基本的にその全長に沿って、非テーパ状であり得る。
【0108】
本明細書で使用される場合、「略」及び「約」という用語は、それが指す範囲に対して+/-10%又は+/-5%又は+-2%を指す。各々の可能性は、別の実施形態である。
【0109】
上記で複数の例示的な態様及び実施形態を説明したが、当業者であれば、その特定の変更形態、追加形態及び部分的組合せを認識するであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲及び今後導入される特許請求の範囲は、このような変更形態、追加形態及び部分的組合せのすべてを、それらの実際の趣旨及び範囲内にあるものとして含むと解釈されるものとする。
【符号の説明】
【0110】
324:区間1
323:区間2
322:区間3
321:区間4
図1A-1B】
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
【国際調査報告】