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特表2023-536285細胞工学および療法のための合成オリゴマー化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】細胞工学および療法のための合成オリゴマー化システム
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20230817BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20230817BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230817BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230817BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230817BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230817BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230817BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230817BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230817BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230817BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20230817BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230817BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20230817BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20230817BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K14/705 ZNA
C12N5/10
A61P35/00
A61P31/00
A61P31/12
A61P31/04
A61P37/06
A61P43/00 111
A61P17/02
A61P43/00 121
A61K38/02
A61P35/02
C12N15/12
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506309
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 US2021043563
(87)【国際公開番号】W WO2022026618
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】63/058,466
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515158308
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チー レイ エス.
(72)【発明者】
【氏名】チャベス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フィン ポール ビー.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90Y
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA02
4C084BA03
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA24
4C084MA31
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA60
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZB311
4C084ZB312
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC521
4C084ZC522
4C084ZC751
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
膜外シグナルの認識によりオリゴマー化するように構成されたキメラ膜貫通受容体ポリペプチドが本明細書において提供される。前記受容体は、膜外ドメイン、膜貫通ドメイン、および、前記受容体のオリゴマー化により1つまたは複数の膜内シグナル経路の活性化を誘導するように構成された膜内ドメインを含む。提供される受容体は、操作細胞療法に特に有用である。開示される受容体を含むシステムおよび宿主細胞、ならびに開示される材料を使用するための方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラ膜貫通受容体ポリペプチドによる膜外シグナルの認識によりオリゴマー化するように構成された前記キメラ膜貫通受容体ポリペプチドであって、
膜外ドメイン;
膜貫通ドメイン;および
前記キメラ膜貫通受容体ポリペプチドのオリゴマー化により1つまたは複数の膜内シグナル経路の活性化を誘導するように構成されている、膜内ドメイン
を含む、前記キメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項2】
前記キメラ膜貫通受容体ポリペプチドが、前記膜外シグナルの認識により二量体化するように構成されており、前記膜内ドメインが、前記キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの二量体化により前記1つまたは複数の膜内シグナル経路の活性化を誘導するように構成されている、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項3】
前記膜外ドメインが、FK506結合タンパク質(FKBP)ファミリードメイン、BET(bromodomain and extra terminal domain)ファミリードメイン、ジベレリン非感受性矮性(GID)ファミリードメイン、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)ファミリードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項4】
前記膜外ドメインが、可溶性N-エチルマレイミド感受性因子(NSF)付着タンパク質(SNAP)受容体ドメイン、ビオチン受容体ドメイン、上皮増殖因子受容体ドメイン、エストロゲン受容体ドメイン、アンドロゲン受容体ドメイン、インスリン受容体ドメイン、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)ドメイン、AXL受容体型チロシンキナーゼドメイン、単鎖可変断片(scFv)ドメイン、ナノボディドメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項5】
前記膜外ドメインが、Toll様受容体(TLR)ファミリードメイン、ErbB受容体ファミリードメイン、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)受容体ファミリードメイン、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリードメイン、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメイン、トロポミオシン受容体キナーゼ(trk)ファミリードメイン、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)受容体ファミリードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項6】
前記膜貫通ドメインが、TLRファミリードメイン、ErbB受容体ファミリードメイン、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、TGFβ受容体ファミリードメイン、TNF受容体ファミリードメイン、IgSFドメイン、trkファミリードメイン、GDNF受容体ファミリードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項7】
前記膜内ドメインが、TLRファミリードメイン、ErbB受容体ファミリードメイン、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、TGFβ受容体ファミリードメイン、TNF受容体ファミリードメイン、IgSFドメイン、trkファミリードメイン、GDNF受容体ファミリードメイン、遺伝子編集ヌクレアーゼドメイン、転写コントローラードメイン、RNAコントローラードメイン、タンパク質コントローラードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項8】
1つまたは複数のさらなる膜外ドメインをさらに含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項9】
1つまたは複数のさらなる膜内ドメインをさらに含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項10】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項11】
前記シグナルペプチドが、TLRファミリーシグナルペプチド、CD3εシグナルペプチド、CD8αシグナルペプチド、IgKシグナルペプチド、IgLシグナルペプチド、マウスCD4シグナルペプチド、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、請求項10記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項12】
前記シグナルペプチドが、オリゴマー化ペプチド、クラスター化促進ペプチド、抗クラスター化ペプチド、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、請求項10記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項13】
1つまたは複数のリンカーペプチド配列をさらに含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項14】
前記1つまたは複数のリンカーペプチド配列が、GGSリンカー配列、GGSGGSGGSリンカー配列、GSリンカー配列、GSGSGSリンカー配列、ESKYGPPAPPAP(突然変異IgG4ヒンジ)リンカー配列、ESKYGPPCPPCP(IgG4ヒンジ)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項13記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項15】
前記1つまたは複数のリンカーペプチド配列が、オリゴマー化ペプチド配列、クラスター化促進ペプチド配列、抗クラスター化ペプチド配列、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、請求項13記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項16】
前記膜外シグナルが、前記膜外ドメインに結合することができるリガンドを含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項17】
前記リガンドが小分子を含む、請求項16記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項18】
前記リガンドがオリゴヌクレオチドを含む、請求項16記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項19】
前記リガンドがペプチド、タンパク質、多糖、脂質、またはそれらの組み合わせを含む、請求項16記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項20】
前記リガンドが抗体、ナノボディ、またはscFvを含む、請求項16記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項21】
前記リガンドが代謝物を含む、請求項16記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項22】
前記膜外シグナルが温度またはpHの変化を含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項23】
前記膜外シグナルが音または電磁放射線の変化を含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項24】
前記膜外シグナルが、機械的な力の変化を含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項25】
前記1つまたは複数の膜内シグナル経路のうちの少なくとも1つが外因性経路である、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項26】
前記1つまたは複数の膜内シグナル経路のうちの少なくとも1つが合成経路である、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項27】
前記1つまたは複数の膜内シグナル経路が、ゲノム配列編集、転写の活性化もしくは抑制、エピジェネティック修飾、ゲノムの転座および再編成、RNAの発現もしくは分解、RNAのスプライシングもしくはプロセシング、mRNAもしくはncRNAの転写後修飾、タンパク質の翻訳後修飾、タンパク質の切断もしくはプロテオリシス、代謝物もしくは他の化学現象に関する生成もしくは分解、シグナリング分子の輸送、細胞周期制御、細胞の分化もしくは再プログラミング、T細胞の活性化もしくは疲弊、プログラム細胞死、細胞輸送、サイトカインもしくはホルモンの分泌、ニューロン活性、マクロファージ食作用、好中球NETポプトーシス(NETpoptosis)、免疫シナプス形成、骨髄系細胞脱顆粒、抗原提示、抗体の分泌もしくは高頻度突然変異、腫瘍溶解性ウイルスの生成、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
【請求項28】
膜外領域を膜内領域から分離する膜;
前記膜外ドメインが前記膜外領域内に位置し、前記膜内ドメインが前記膜内領域内に位置する、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチド
を含む、システム。
【請求項29】
前記膜が細胞膜、核膜、オルガネラ膜、または小胞膜である、請求項28記載のシステム。
【請求項30】
トランス作用受容体ポリペプチドをさらに含む、請求項28記載のシステム。
【請求項31】
前記トランス作用受容体ポリペプチドが、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞抗原受容体(TCR)、合成ノッチ(SynNotch)受容体、GPCR TANGO受容体、CRISPR ChaCha受容体、B細胞受容体(BCR)、C型レクチン様受容体Ly49、CD94-NKG2C/E/Hヘテロ二量体受容体、NKG2D受容体、DNAM-1/CD226ネクチン/ネクチン様結合受容体、CRTAMネクチン/ネクチン様結合受容体、自然細胞傷害性受容体(NCR)ファミリーのメンバー、CD64 Fc受容体、CD32 Fc受容体、CD16a Fc受容体、CD16b Fc受容体、CD23 Fc受容体、CD89 Fc受容体、CD351 Fc受容体、FcεRI Fc受容体、またはFcRn Fc受容体である、請求項30記載のシステム。
【請求項32】
請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチドまたは請求項28記載のシステムを含む、宿主細胞。
【請求項33】
前記キメラ膜貫通受容体ポリペプチドを発現する、請求項32記載の宿主細胞。
【請求項34】
リンパ球、食細胞、顆粒球細胞、または樹状細胞である、請求項32記載の宿主細胞。
【請求項35】
前記リンパ球が、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、または自然リンパ球系細胞(ILC)である、請求項34記載の宿主細胞。
【請求項36】
前記T細胞が、CD4+ヘルパーαβT細胞、CD8+キラーαβT細胞、δγT細胞、またはナチュラルキラーT(NKT)細胞である、請求項35記載の宿主細胞。
【請求項37】
前記食細胞が単球またはマクロファージである、請求項34記載の宿主細胞。
【請求項38】
前記顆粒球細胞が、好中球、好塩基球、好酸球、または肥満細胞である、請求項34記載の宿主細胞。
【請求項39】
幹細胞または前駆細胞である、請求項32記載の宿主細胞。
【請求項40】
人工多能性幹細胞(iPSC)、胚性幹細胞(ESC)、成体幹細胞、または間葉系幹細胞(MSC)である、請求項39記載の宿主細胞。
【請求項41】
前記前駆細胞が、神経前駆細胞、骨格前駆細胞、筋前駆細胞、脂肪前駆細胞、心臓前駆細胞、軟骨細胞、または膵臓前駆細胞である、請求項39記載の宿主細胞。
【請求項42】
宿主細胞の集団であって、前記集団の各宿主細胞が独立して、請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチドまたは請求項28記載のシステムを含む、前記宿主細胞の集団。
【請求項43】
請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチドを提供する工程を含む、膜内シグナル経路を活性化するための方法。
【請求項44】
前記キメラ膜貫通受容体を前記膜外シグナルに曝露する工程をさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
ある量の請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチドを対象に投与する工程を含む、前記対象において疾患を防止または処置するための方法。
【請求項46】
前記投与する工程の後に、前記キメラ膜貫通受容体を前記膜外シグナルに曝露する工程をさらに含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記曝露する工程が、治療的に有効な量の前記膜外シグナルを前記対象に導入することを含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記疾患ががんである、請求項45記載の方法。
【請求項49】
前記疾患ががん性腫瘍である、請求項45記載の方法。
【請求項50】
前記がん性腫瘍が固形がん性腫瘍である、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記がん性腫瘍が液状がん性腫瘍である、請求項49記載の方法。
【請求項52】
前記疾患が感染症である、請求項45記載の方法。
【請求項53】
前記感染症がウイルス感染症または細菌感染症である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記疾患が自己免疫疾患である、請求項45記載の方法。
【請求項55】
前記疾患が加齢性疾患である、請求項45記載の方法。
【請求項56】
ある量の請求項1記載のキメラ膜貫通受容体ポリペプチドを対象に投与する工程を含む、前記対象において創傷を治癒するための方法。
【請求項57】
前記投与する工程の後に、前記キメラ膜貫通受容体を前記膜外シグナルに曝露する工程をさらに含む、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記曝露する工程が、治療的に有効な量の前記膜外シグナルを前記対象に導入することを含む、請求項57記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月29日に出願された米国特許仮出願第63/058,466号に対して優先権を主張し、その完全な開示は、すべての目的のためにその全体が参照により組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
小分子治療剤および生物製剤は、前世紀において薬学的スペースで有意な位置を占めていた。しかし、細胞療法の新規なパラダイムが、薬学的状勢を変え始めており、疾患の処置を改革し始めている。療法として細胞を利用することによって、人体の天然で複雑な機能性を新しい標的に対して再プログラムすることができ、これによって、古いパラダイムを使用して以前は利用不可能であった見込みのある治療様式についての非常に大きなスペースが広がる。例えば、がん処置の養子細胞療法では、免疫細胞は、患者から抽出され、分子付加または遺伝子改変を介して新規な機能性を伴って操作され、がん細胞を排除するために患者に再導入される。臨床的成功例は、再発したか、または放射線および化学療法などの療法の従来の形態に不応性になった患者において液状がんを処置するための新規な方法である、CAR T細胞療法である。この療法では、T細胞は、がんを標的にし、続いてネイティブなT細胞の機能性を活性化して悪性病変を標的にし、死滅させる能力をT細胞に注ぎ込むキメラ抗原受容体(CAR)を用いて操作される。新しいがん細胞標的に対してT細胞を再指示することによって、細胞はその宿主系全体を調べ、がん細胞に対して免疫応答を開始することができ、これによって、療法の他の形態を用いて以前に得ることができなかった寛解率がもたらされる。
【0003】
操作細胞療法の成功は、新規な疾患関連標的を攻撃するための遺伝子操作を介して、天然の免疫活性化経路のそのような書き直しから恩恵を受ける。しかし、多くの課題および満たされていないニッチがこのスペース内に存在する。第1に、現在の成功した細胞療法は、T細胞中に操作されたCARまたはT細胞受容体(TCR)にもっぱら依拠する。このアプローチを使用することによる、大抵の固形腫瘍に対するCARまたはTCR T細胞の有効性は、非常に限られている。さらに、他の分子組成物を使用した場合、成功は限られていた。したがって、免疫細胞に新しい特徴を注ぎ込む新規な分子組成物を明らかにすることは、未だ対処されていない適応症に細胞療法をもたらすために必要とされる革新のための重要な局面である。
【0004】
第2に、操作された免疫細胞の活性化は、現在、疾患シグナルによって制御されるだけである。この方法では、細胞は、自律的かつ医師の制御外で、または2次シグナルを介して作用する。この抑制されていない自律的活性は、健康な臓器におけるサイトカイン放出症候群または他の重度の副作用にしばしばつながり得る。さらに、療法は、患者ごとに制御不可能な変動に苦しむ可能性もある。
【0005】
第3に、以前に利用可能な合成ツールの大多数は、操作されたT細胞における1つの特定のシグナリング経路のみを活性化し、有効性が限られている。これに対して、天然T細胞の複数のシグナリング経路は、差次的シグナリング動態、したがって異なる免疫応答を生じさせる。この、操作されたT細胞内で多様なシグナリング経路をモジュレートするための能力を持ち合わせていないことは、固形腫瘍または自己免疫疾患を処置するためにこれらの免疫細胞を適用することに対して、別の大きな課題を提起する。
【0006】
最後に、T細胞は適応免疫細胞であり、免疫システム全体のほんの一部しか含まない。疾患を処置するために他の自然免疫細胞、例えば、マクロファージ、樹状細胞、および好中球を操作または利用するための現在利用可能なツールはない。これらの自然免疫細胞の複数の経路を活性化することができる新規な分子ツールによって、細胞療法を新しい分野、例えば、感染症(ウイルスと細菌の両方)、創傷治癒、加齢、老化、および自己免疫に広げることが可能になり得る。
【0007】
これらの知見および結果の点から見て、療法の改善に有用な、細胞を操作するための新しいシステムが、当技術分野において必要である。
【発明の概要】
【0008】
概要
本明細書における開示は、これらの課題に対処し、関連する利点および他の利点を提供するための一連の解決策を提供する。これらは、分子設計および組成物ならびにより良い細胞療法のためにそのようなシステムを用いる方法体系を含む。提供される材料および方法は、適応免疫細胞と自然免疫細胞の両方と幅広い適用性があり、幅広い疾患適応症に影響を与えることができる臨床的特徴を可能にする。
【0009】
一局面では、本開示は、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドによる膜外シグナルの認識によりオリゴマー化するように構成されたキメラ膜貫通受容体ポリペプチドを提供する。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、膜外ドメイン、膜貫通ドメイン、および膜内ドメインを含む。膜内ドメインは、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドのオリゴマー化により1つまたは複数の膜内シグナル経路の活性化を誘導するように構成される。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、膜外シグナルの認識により二量体化するように構成され、膜内ドメインは、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの二量体化により1つまたは複数の膜内シグナル経路の活性化を誘導するように構成される。
【0010】
いくつかの態様では、膜外ドメインは、FK506結合タンパク質(FKBP)ファミリードメイン、BET(bromodomain and extra terminal domain)ファミリードメイン、ジベレリン非感受性矮性(GID)ファミリードメイン、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)ファミリードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、可溶性N-エチルマレイミド感受性因子(NSF)付着タンパク質(SNAP)受容体ドメイン、ビオチン受容体ドメイン、上皮増殖因子受容体ドメイン、エストロゲン受容体ドメイン、アンドロゲン受容体ドメイン、インスリン受容体ドメイン、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)ドメイン、AXL受容体型チロシンキナーゼドメイン、単鎖可変断片(scFv)ドメイン、ナノボディドメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、toll様受容体(TLR)ファミリードメイン、ErbB受容体ファミリードメイン、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)受容体ファミリードメイン、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリードメイン、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメイン、トロポミオシン受容体キナーゼ(trk)ファミリードメイン、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)受容体ファミリードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、1つまたは複数のさらなる膜外ドメインを含む。
【0011】
いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、TLRファミリードメイン、ErbB受容体ファミリードメイン、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、TGFβ受容体ファミリードメイン、TNF受容体ファミリードメイン、IgSFドメイン、trkファミリードメイン、GDNF受容体ファミリードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜内ドメインは、TLRファミリードメイン、ErbB受容体ファミリードメイン、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、TGFβ受容体ファミリードメイン、TNF受容体ファミリードメイン、IgSFドメイン、trkファミリードメイン、GDNF受容体ファミリードメイン、遺伝子編集ヌクレアーゼドメイン、転写コントローラードメイン、RNAコントローラードメイン、タンパク質コントローラードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、1つまたは複数のさらなる膜内ドメインを含む。
【0012】
いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、シグナルペプチドをさらに含む。いくつかの態様では、シグナルペプチドは、TLRファミリーシグナルペプチド、CD3εシグナルペプチド、CD8αシグナルペプチド、IgKシグナルペプチド、IgLシグナルペプチド、マウスCD4シグナルペプチド、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、1つまたは複数のリンカーペプチド配列をさらに含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のリンカーペプチド配列は、GGSリンカー配列、GGSGGSGGSリンカー配列、GSリンカー配列、GSGSGSリンカー配列、
(突然変異IgG4ヒンジ)リンカー配列、
(IgG4ヒンジ)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0013】
いくつかの態様では、膜外シグナルは、膜外ドメインに結合することができるリガンドを含む。いくつかの態様では、リガンドは小分子を含む。いくつかの態様では、リガンドはオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、リガンドは、ペプチド、タンパク質、多糖、または脂質の1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、リガンドは、抗体、ナノボディ、またはscFvの1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、リガンドは代謝物を含む。
【0014】
いくつかの態様では、膜外シグナルは温度またはpHの変化を含む。いくつかの態様では、膜外シグナルは音または電磁放射線の変化を含む。いくつかの態様では、膜外シグナルは機械的な力の変化を含む。
【0015】
いくつかの態様では、1つまたは複数の膜内シグナル経路のうちの少なくとも1つは外因性経路である。いくつかの態様では、1つまたは複数の膜内シグナル経路のうちの少なくとも1つは合成経路である。いくつかの態様では、1つまたは複数の膜内シグナル経路は、ゲノム配列編集、転写の活性化もしくは抑制、エピジェネティック修飾、ゲノムの転座および再編成、RNAの発現もしくは分解、RNAのスプライシングもしくはプロセシング、mRNAもしくはncRNAの転写後修飾、タンパク質の翻訳後修飾、タンパク質の切断もしくはプロテオリシス、代謝物もしくは他の化学現象に関する生成もしくは分解、シグナリング分子の輸送、細胞周期制御、細胞の分化もしくは再プログラミング、T細胞の活性化もしくは疲弊、プログラム細胞死、細胞輸送、サイトカインもしくはホルモンの分泌、ニューロン活性、マクロファージ食作用、好中球NETポプトーシス(NETpoptosis)、免疫シナプス形成、骨髄系細胞脱顆粒、抗原提示、抗体の分泌もしくは高頻度突然変異、または腫瘍溶解性ウイルスの生成のうちの1つまたは複数のための経路を含む。
【0016】
別の局面では、本開示は、膜外領域を膜内領域から分離する膜および本明細書において開示されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドを含む、システムを提供する。膜外ドメインは膜外領域内に位置し、膜内ドメインは膜内領域内に位置する。いくつかの態様では、膜は細胞膜、核膜、オルガネラ膜、または小胞膜である。いくつかの態様では、システムは、トランス作用受容体ポリペプチドをさらに含む。いくつかの態様では、トランス作用受容体ポリペプチドは、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞抗原受容体(TCR)、合成ノッチ(SynNotch)受容体、GPCR TANGO受容体、CRISPR ChaCha受容体、B細胞受容体(BCR)、C型レクチン様受容体Ly49、CD94-NKG2C/E/Hヘテロ二量体受容体、NKG2D受容体、DNAM-1/CD226ネクチン/ネクチン様結合受容体、CRTAMネクチン/ネクチン様結合受容体、自然細胞傷害性受容体(NCR)ファミリーのメンバー、CD64 Fc受容体、CD32 Fc受容体、CD16a Fc受容体、CD16b Fc受容体、CD23 Fc受容体、CD89 Fc受容体、CD351 Fc受容体、FcεRI Fc受容体、またはFcRn Fc受容体である。
【0017】
別の局面では、本開示は、本明細書において開示されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドを含む宿主細胞を提供する。いくつかの態様では、宿主細胞はキメラ膜貫通受容体ポリペプチドを発現する。いくつかの態様では、宿主細胞は、リンパ球、食細胞、顆粒球細胞、または樹状細胞(DC)、例えば、cDC1、cDC2、pDC、tDCもしくは単球由来DCである。いくつかの態様では、リンパ球は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、または自然リンパ球系細胞(ILC)、例えば、グループ1 ILC、グループ2 ILC、またはグループ3 ILCである。いくつかの態様では、T細胞は、CD4+ヘルパーαβT細胞、CD8+キラーαβT細胞、δγT細胞、またはナチュラルキラーT(NKT)細胞、例えば、インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞である。いくつかの態様では、B細胞は形質細胞である。いくつかの態様では、食細胞は、マクロファージまたは単球、例えば、CD14+単球またはCD16+単球である。いくつかの態様では、顆粒球細胞は、好中球、好塩基球、好酸球、または肥満細胞である。いくつかの態様では、宿主細胞は幹細胞または前駆細胞である。いくつかの態様では、宿主細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)、胚性幹細胞(ESC)、成体幹細胞、または間葉系幹細胞(MSC)である。いくつかの態様では、前駆細胞は、神経前駆細胞、骨格前駆細胞、筋前駆細胞、脂肪前駆細胞、心臓前駆細胞、軟骨細胞、または膵臓前駆細胞である。
【0018】
別の局面では、本開示は、宿主細胞の集団を提供する。集団の各細胞は独立して、本明細書において開示されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、または本明細書において開示されるシステムを含む。
【0019】
別の局面では、本開示は、膜内シグナル経路を活性化するための方法を提供する。本方法は、本明細書において開示されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、本明細書において開示されるシステム、本明細書において開示される宿主細胞、または本明細書において開示される宿主細胞の集団を提供する工程を含む。いくつかの態様では、方法は、キメラ膜貫通受容体を膜外シグナルに曝露する工程をさらに含む。
【0020】
別の局面では、本開示は、対象において疾患を防止または処置するための方法を提供する。本方法は、ある量の本明細書において開示されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、本明細書において開示されるシステム、本明細書において開示される宿主細胞、または本明細書において開示される宿主細胞の集団を対象に投与する工程を含む。対象に投与される量は、疾患を防止または処置するために治療的に有効な量である。
【0021】
いくつかの態様では、方法は、投与する工程の後に、キメラ膜貫通受容体を膜外シグナルに曝露する工程をさらに含む。いくつかの態様では、曝露する工程は、治療的に有効な量の膜外シグナルを対象に導入することを含む。いくつかの態様では、疾患はがんである。いくつかの態様では、疾患はがん性腫瘍である。いくつかの態様では、がん性腫瘍は固形がん性腫瘍である。いくつかの態様では、がん性腫瘍は液状がん性腫瘍である。いくつかの態様では、疾患は感染症である。いくつかの態様では、感染症はウイルス感染症または細菌感染症である。いくつかの態様では、疾患は自己免疫疾患である。いくつかの態様では、疾患は加齢性疾患である。
【0022】
別の局面では、本開示は、対象において創傷を治癒するための方法を提供する。本方法は、ある量の本明細書において開示されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、本明細書において開示されるシステム、本明細書において開示される宿主細胞、または本明細書において開示される宿主細胞の集団を対象に投与する工程を含む。対象に投与される量は、疾患を防止または処置するために治療的に有効な量である。いくつかの態様では、方法は、投与する工程の後に、キメラ膜貫通受容体を膜外シグナルに曝露する工程をさらに含む。いくつかの態様では、曝露する工程は、治療的に有効な量の膜外シグナルを対象に導入することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの構成の一般的な設計の図解である。
図2】FKBP細胞外ドメインおよびTLR5の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインから構成されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの性能を示すグラフであり、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドはジャーカット細胞中に存在し、AP20187によって活性化される。
図3】FKBPのN末端融合が後に続く天然TLR5の連続的トランケーションおよびAP20187による活性化を示すグラフである。NTは処理なしを指す。
図4】トランケートされたFKBP-TLR5受容体のフラジェリン活性化の喪失を示すグラフである。
図5】フラジェリンおよびAP20187による内因性受容体および操作された受容体の活性化を比較するグラフである。
図6】AP20187によって活性化されるFKBP-TLR5キメラ膜貫通受容体ポリペプチドについての用量応答曲線のグラフである。
図7】FKBP細胞外ドメインおよびTLR5の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを有する1つのキメラ膜貫通受容体ポリペプチドならびにFRB細胞外ドメインおよびTLR5の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを有する第2のキメラ膜貫通受容体ポリペプチドから構成される2受容体ヘテロ二量体化システムの活性化を示すグラフである。ヘテロ二量体化システムは、AP21967によって活性化される。
図8】TLR5の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインに融合したカフェイン二量体化性ナノボディ細胞外ドメインから構成されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの活性化を示すグラフであり、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、カフェインによって活性化される。
図9】異なるシグナルペプチドを含むTLR5キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの活性化を示すグラフである。
図10】それぞれ同じMcl-1結合モチーフを含むがリンカーの長さが異なる小分子化合物によるMcl-TLR5キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの活性化を示すグラフである。
図11】FKBP細胞外ドメインおよびTLR4の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインから構成されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの性能を示すグラフであり、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドはジャーカット細胞中に存在し、AP20187によって活性化される。
図12】FKBP細胞外ドメイン、TLR5膜貫通ドメイン、およびTLR4細胞内ドメインから構成されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの活性化を示すグラフであり、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、AP20187によって活性化される。
図13】FKBP細胞外ドメイン、TLR5膜貫通ドメイン、およびIL6RST(gp130)細胞内ドメインから構成されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの活性化を示すグラフであり、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、AP20187によって活性化される。
図14】TLR5の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインに融合した上皮増殖因子受容体(EGFR)細胞外ドメインから構成されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの活性化を示すグラフであり、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、タンパク質/ペプチド、上皮増殖因子(EGF)によって活性化される。
図15】単量体ストレプトアビジン細胞外ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、およびCD28-CD3ζ細胞内ドメインから構成されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドのオリゴマー化誘導性活性化を示すグラフであり、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドはジャーカット細胞中に存在し、二量体化、三量体化、または四量体化を制御することができる多価誘導因子によって活性化される。
図16】SNAPタンパク質細胞外ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、およびCD28-CD3ζ細胞内ドメインから構成される、翻訳後にオリゴヌクレオチド修飾されたキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの活性化を示すグラフであり、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、三量体オリゴヌクレオチドによって活性化される。
図17】単量体ストレプトアビジン細胞外ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、およびCD28-CD3ζ細胞内ドメインから構成されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドのオリゴマー化による、NFAT転写因子を介したT細胞シグナリング経路の活性化を示すグラフである。
図18】単量体ストレプトアビジン細胞外ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、およびCD28-CD3ζ細胞内ドメインから構成されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドのオリゴマー化による、NFκβ転写因子を介したT細胞シグナリング経路の活性化を示すグラフである。
図19】単量体ストレプトアビジン細胞外ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、およびCD28-CD3ζ細胞内ドメインから構成されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの活性化を示すグラフであり、キメラ膜貫通ポリペプチドは、分枝した多価小分子活性化因子によって活性化される。
図20】単量体ストレプトアビジン細胞外ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、およびCD137(4-1BB)細胞内ドメインから構成されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの活性化を示すグラフである。
図21】活性化されたFKBP-TLR5キメラ膜貫通受容体ポリペプチドが、ナチュラルキラー細胞(NK-92細胞株)がMHC-細胞(K562が示される)を死滅させる能力を改善することができることを示すグラフである。Y軸は、生細胞イメージングによって測定したK562の細胞数の代理値である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本発明者らは、例えば細胞膜またはオルガネラ膜を横切って、膜外シグナルの入力を伝達して、カスタマイズされたリガンド媒介性オリゴマー化を介して膜内シグナル経路を活性化することができる合成膜貫通受容体に基づいて、技術プラットフォームを設計した。好都合なことに、かつ、膜結合抗原に結合して機械的な力を介して膜を横切ってそのシグナルを伝達することによって細胞外シグナルを統合する以前に利用可能な操作された受容体と異なって、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、機械的シグナル伝達を介してではなく、オリゴマー化を介して活性化する。これによって、新規な一連の経路、活性化因子、およびシグナル、例えば可溶性小分子を提供される材料および方法と関連させることが可能になる。
【0025】
図1に示すように、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは以下を含むことができる:1)膜外、例えば、細胞外ドメイン;2)膜貫通ドメイン;3)膜内ドメイン、例えば、細胞内ドメイン;ならびに4)任意の翻訳後プロセシング機構(feature)、例えば、受容体の局在を指示するシグナルペプチド、および様々なドメインを接続するリンカーペプチド配列。受容体ポリペプチドの一般構造は、例えばSP-ECD-TMD-ICDであってもよく、SPは1つまたは複数のシグナルペプチドを表し、ECDは膜外ドメインまたは細胞外ドメインを表し、TMDは膜貫通ドメインを表し、ICDは膜内ドメインまたは細胞内ドメインを表し、各ダッシュ(-)は、隣接するドメインの直接融合、またはリンカーを加えた融合のいずれかを表す。細胞外ドメインは、例えば、リガンド結合を介して膜外シグナルを検出した際にオリゴマー化することができ、これは、細胞内ドメインを引き合わせて、例えば、シグナル経路制御、ゲノム制御、または細胞機能制御のための下流シグナルを活性化することができる。
【0026】
本明細書において開示されるシステムおよび方法のキメラ膜貫通受容体ポリペプチドによって提供される多くの恩恵の中には、内因性または外因性のいずれかであり得るある特定のシグナルの有無によって誘導的に受容体が活性化され得ることがある。この誘導は、シグナルの除去または競合シグナルの添加によって逆転させて、受容体の状態または宿主細胞の状態をその元の状況に戻すことができる。さらに、シグナルの濃度または強度に応じて、添加されるシグナルの量によって受容体システムを正確に制御して、その活性を微調整することができる。
【0027】
キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、多くの利用可能な小分子薬物または抗体を安全かつ有効な誘導因子として別の目的で使用することをさらに可能にする。これには、FDAによって承認されている薬物、または単にバイオアベイラビリティおよび有効性が損なわれていたことが理由で失敗したものが含まれる。受容体システムは、シグナルが宿主細胞に進入することを必要としないので、細胞に進入することができない小分子または抗体も誘導因子として使用することができる。これは、提供される方法との多様な安全な分子の適合性を大きく広げる。さらに、様々な入力および出力を有する複数の受容体をお互いに組み合わせるか、または他のT細胞またはB細胞特異的受容体と組み合わせて、組み合わせ機能を生み出すことができる。重要なことに、膜外シグナルの位置および投与によって、そのような受容体操作細胞がいつどこで活性化されるかを制御することができる。
【0028】
したがって、提供される材料および方法は、以前に利用可能な操作細胞療法と比較して、いくつかの利点および改善を提供する。例えば、細胞外がん結合ドメインおよび細胞内T細胞活性化ドメインからなり、かつ弱い刺激をT細胞に注ぎ込み、がんの死滅において不十分な有効性しか示されない、第1世代のCAR T細胞治療受容体と異なって、本明細書において開示される受容体は、相乗的なシグナリング経路の活性化を介した標的結合によりCAR T細胞応答をより良好に制御して、腫瘍クリアランスおよび疾患排除を援助するための2次シグナルを提供する。
【0029】
第2世代のCAR T細胞治療受容体は、その細胞内側に共刺激ドメインとT細胞活性化ドメインの両方を含む。共刺激ドメインは、T細胞増殖または細胞傷害性を増大することによって、T細胞の治療応答を改善する。しかし、これらの操作された細胞の治療域の制御がなく、かつ重大な副作用が患者で引き起こされ得る。共刺激ドメインはCARに結合しているので、これらの第2世代の細胞は、がんに結合した場合に完全な活性のみをもたらす、2元の「全か無かの」応答を有する。これに対して、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、操作された細胞、例えば、操作されたT細胞の治療域に対して制御をかけることができる。これによって、医療専門家が、より調整可能な処置の間に、有効性を維持することと患者の安全性を高めることの両方がより一層可能になり得る。
【0030】
T細胞受容体(TCR)操作T細胞は、特定のタイプのがんなどの疾患を示す特定のマーカーに結合するTCRをがん患者に提供することができる。TCR操作T細胞は、患者のT細胞に特定のTCRを遺伝的に導入し、次いで、これを患者に再注入して、標的のがんを探し、破壊する。しかし、第1世代のCARと同様に、がん結合シグナルは、T細胞の活性化を十分に誘導しない。提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドをTCRとともに患者のT細胞に導入して、TCR療法をより効果的に働かせることができる重要な2次シグナルを提供することができる。
【0031】
START CAR T細胞では、細胞外結合ドメインおよび細胞内共刺激および活性化ドメインは天然に分離しているが、医師が与えた小分子によって、これらの分離した部分が二量体化すること、およびT細胞がその再プログラムされた機能を行うことが可能になる。STOP CARの場合、細胞外部分および細胞内部分は天然に二量体化するが、医師が与えた小分子はこれらの部分を切り離して、CAR T細胞をオフにする。両方の場合で、小分子薬物は細胞透過性でなくてはならず、T細胞は「全か無かの」応答を有する。しかし、提供される材料および方法では、小分子活性化因子は、受容体を細胞表面にあるように操作することができるので、細胞不透過性でもよく、これにより、膜外シグナルとして使用することができる分子の種類が著しく増加する。さらに、提供される受容体は、CARと併せて使用される場合、第1世代のCARの低い応答と第2世代のCARの高い応答の間でCAR応答を調整(titrate)することができる。そうする場合、細胞はあるレベルの活性を常に有することができ、これによって、がんと戦う能力が常に存在すること、および刺激の欠如によって療法が患者システムから取り除かれないことが確実なものになる。
【0032】
別の操作された受容体、iMCは、第1世代のCARと併せて使用することができ、かつ小分子と二量体化して、がんのCAR T細胞による死滅のための2次シグナルとして作用することができる。しかし、細胞質にiMCが存在するには、その小分子誘導因子が細胞透過性であることを必要とし、それを活性化することができる薬物のスペースを大きく減らす。さらに、iMC受容体は、特定の臨床的に証明されてない共刺激ドメインとともに機能するように設計された。有利なことに、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、FDAの認可を有するものおよびまだ発見されていないものを含めて、多くの異なる共刺激ドメインに適合可能である。
【0033】
synNotch受容体は、細胞外細胞表面結合ドメインおよび細胞内直交転写因子を含み、細胞型および出力に依存しない。しかし、受容体は、機能するために、表面結合抗原を認識しなければならない。提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、好都合なことに、例えば、患者の体が作り出すかまたは薬物として投与される可溶性因子を認識することもできる。さらに、synNotch受容体の出力は、細胞プログラムを遺伝的に導入することによって設計することができるが、提供される受容体は、様々な複雑な免疫表現型を活性化する多数の天然経路に接続することができる。
【0034】
MESA操作受容体の2つの部分の第1のものは、膜貫通ドメインに接続した細胞外結合ドメインおよび細胞内プロテアーゼを含む。MESAの第2の部分は、膜貫通ドメインに接続した同じ細胞外結合ドメインおよびプロテアーゼ切断部位に接続した細胞内活性化ドメインを含む。この方法では、シグナルが2つの部分を強制的にオリゴマー化させ、プロテアーゼとプロテアーゼ切断部位を近接させ、受容体からの活性化ドメインの切断を誘導する。このように遊離した活性化ドメインは、次いで、細胞を動き回り、経路を活性化することができる。したがって、MESAの活性化ドメインは、細胞局在(例えば、核からの排除(nuclear exclusion))によって制御され得る、転写因子および他の活性化因子の小さなサブセットに限定される。提供されるキメラ膜貫通受容体と異なって、MESAは、オリゴマー化によって天然に誘導される多数の細胞シグナリング応答を活性化するために使用することができない。さらに、MESA受容体は、発現のために2つの遺伝成分を必要とするヘテロ二量体であるが、提供される受容体は、たった1つのポリペプチドしか必要としない。
【0035】
膜貫通受容体ポリペプチド
一局面では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドが開示される。提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、膜外シグナルの認識によりオリゴマー化するように構成される。いくつかの態様では、受容体ポリペプチドは、膜外シグナルの認識により二量体、例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体を形成するように構成される。いくつかの態様では、受容体ポリペプチドは、膜外シグナルの認識により三量体、例えば、ホモ三量体またはヘテロ三量体を形成するように構成される。いくつかの態様では、受容体ポリペプチドは、膜外シグナルの認識により四量体、例えば、ホモ四量体またはヘテロ四量体を形成するように構成される。
【0036】
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、受容体オリゴマー化を誘導する多種多様の膜外シグナルの1つまたは複数を認識するように構成され得る。いくつかの態様では、膜外シグナルは、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインに結合することができるリガンドを含む。いくつかの態様では、膜外シグナルは、小分子、例えば、小分子薬物または小分子ホルモンであるリガンドを含む。いくつかの態様では、膜外シグナルは小分子からなる。本明細書において使用する場合、用語「小分子」は、3,000ダルトン未満の分子量を有する化学成分を指す。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、例えば、リミドゥシド(AP1903)、ダルナビル、タモキシフェン、エストラジオール、AP20187、または対称性ステロイド(symmetrical steroid)を認識するように構成され得る。キメラ膜貫通ポリペプチドによって認識される小分子リガンドは、例えば、単量体(例えば、カフェインもしくはAP21967)、二量体(例えば、AP20187もしくは合成Mcl-1分子接着剤)、または四量体(例えば、合成ビオチンデンドリマー)であってもよい。
【0037】
いくつかの態様では、膜外シグナルは、代謝物であるリガンドを含む。いくつかの態様では、膜外シグナルは代謝物からなる。本明細書において使用する場合、用語「代謝物」は、化学物質への生物体の曝露の結果として、1つまたは複数の酵素または非酵素反応によって生成される化学成分を指す。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、例えば、サイトカイン、ケモカイン、またはがん関連抗原を認識するように構成され得る。受容体ポリペプチドは、がん抗原(CA)15-3などのムチン-1に由来する腫瘍マーカーを認識するように構成され得る。受容体ポリペプチドは、CA125などのムチン-16に由来する腫瘍マーカーを認識するように構成され得る。受容体ポリペプチドは、キヌレニンなどのアミノ酸代謝物を認識するように構成され得る。
【0038】
いくつかの態様では、膜外シグナルは、オリゴヌクレオチドであるリガンドを含む。いくつかの態様では、膜外シグナルはオリゴヌクレオチドからなる。本明細書において使用する場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、少なくとも6つの共有結合した天然のまたは化学的に修飾されたヌクレオシドから構成される短い核酸分子を指す。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、DNAヌクレオチド、RNAヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、または他の合成ヌクレオチド誘導体の任意の組み合わせを含むオリゴヌクレオチドを認識するように構成され得る。いくつかの態様では、膜外シグナルは、より長いポリヌクレオチドであるリガンドを含むか、またはそれからなる。膜外シグナルのオリゴヌクレオチドは、例えば、Y-DNA、X-DNA、および/またはI-DNAを作出するDNAオリガミを含むことができる。膜外シグナルのオリゴヌクレオチドは、DNAオリガミ構造などにおいて多量体形態を有し得る。オリゴヌクレオチドは、小分子、例えばビオチンにコンジュゲートしているハイブリッド形態を有し得る。
【0039】
いくつかの態様では、膜外シグナルは、ペプチドまたはタンパク質であるリガンドを含む。いくつかの態様では、膜外シグナルは、ペプチドまたはタンパク質であるリガンドからなる。本明細書において使用する場合、用語「ペプチド」および「タンパク質」は、共有結合した天然のまたは化学的に修飾されたアミノ酸残基から構成されるポリマーを指す。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、例えば、環状ペプチドまたは直鎖ペプチドを認識するように構成され得る。膜外シグナルのペプチドは、天然に存在するタンパク質、例えばEGFであってもよい。膜外シグナルのペプチドは、合成の天然に存在しないタンパク質であってもよい。
【0040】
いくつかの態様では、膜外シグナルは、多糖であるリガンドを含む。いくつかの態様では、膜外シグナルは、多糖であるリガンドからなる。本明細書において使用する場合、用語「多糖」は、共有結合した天然のまたは化学的に修飾された糖分子から構成されるポリマーを指す。多糖には、例えば、セルロース、ヘミセルロース、リグノセルロース、デンプンなどが含まれる。
【0041】
いくつかの態様では、膜外シグナルは、脂質であるリガンドを含む。いくつかの態様では、膜外シグナルは、脂質であるリガンドからなる。本明細書において使用する場合、用語「脂質」は、1つまたは複数の疎水性部分に共有結合している親水性部分を有する化学成分を指す。脂質分子には、例えば、脂肪、ワックス、ステロイド、コレステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、陽イオン性または陰イオン性脂質、誘導体化脂質などが含まれる。受容体ポリペプチドは、修飾された脂質、例えば、がんの結果として修飾された脂質を認識するように構成され得る。
【0042】
いくつかの態様では、膜外シグナルは、抗体であるリガンドを含む。いくつかの態様では、膜外シグナルは、抗体であるリガンドからなる。本明細書において使用する場合、用語「抗体」は、免疫グロブリンファミリーのポリペプチドまたは対応する抗原のエピトープに非共有結合的に、可逆的に、および特異的な様式で結合することができる、免疫グロブリンの断片を含むポリペプチドを指す。本用語には、限定されないが、ヒトまたは他の哺乳動物細胞に由来する、アイソタイプクラスIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMのポリクローナルまたはモノクローナル抗体、例えば、天然形態または遺伝子改変形態、例えば、ヒト化抗体、ヒト抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、ハイブリッド抗体、突然変異導入抗体、グラフト化抗体、およびインビトロ生成抗体が含まれる。本用語は、限定されないが、免疫グロブリン部分を含む融合タンパク質、例えば、キメラ抗体または二重特異性抗体、ならびに断片、例えば、Fab、F(ab')2、Fv、scFv、Fd、dAb、および他の組成物を含めて、コンジュゲートを包含する。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、例えば、ニボルマブ、イピリムマブ、またはトシリズマブを認識するように構成され得る。
【0043】
いくつかの態様では、膜外シグナルは、ナノボディであるリガンドを含む。いくつかの態様では、膜外シグナルは、ナノボディであるリガンドからなる。本明細書において使用する場合、用語「ナノボディ」または「単一ドメイン抗体」は、20kDa未満の分子量を有し、特定の抗原に選択的に結合することができる単一の単量体可変抗体ドメインから構成される抗体断片を指す。
【0044】
いくつかの態様では、膜外シグナルは、単鎖可変断片(scFv)であるリガンドを含む。いくつかの態様では、膜外シグナルは、scFvであるリガンドからなる。本明細書において使用する場合、用語「単鎖可変断片」および「scFv」は、従来の2鎖抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメインが結合して1つの鎖を形成した抗体を指す。本用語は、リンカーペプチドが重鎖と軽鎖の間に挿入されて、単鎖の適切なフォールディングおよび活性な結合部位の作出を可能にする抗体を指すこともできる。
【0045】
いくつかの態様では、膜外シグナルは、環境パラメーターの変化、例えば、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドに近接した膜外環境の変化を含むか、またはそれからなる。例えば、いくつかの態様では、膜外シグナルは、温度変化、例えば、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドに近接した膜外環境の温度の変化を含むか、またはそれからなる。膜外シグナルは、少なくとも予め決定された量と同じ大きさの膜外温度の上昇を含み得るか、またはそれからなり得る。膜外シグナルは、少なくとも予め決定された量と同じ大きさの膜外温度の低下を含み得るか、またはそれからなり得る。いくつかの態様では、膜外シグナルは、pHの変化、例えば、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドに近接した膜外環境のpHの変化を含むか、またはそれからなる。膜外シグナルは、少なくとも予め決定された量と同じ大きさの膜外pHの上昇を含み得るか、またはそれからなり得る。膜外シグナルは、少なくとも予め決定された量と同じ大きさの膜外pHの低下を含み得るか、またはそれからなり得る。
【0046】
いくつかの態様では、膜外シグナルは、音の変化、例えば、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドに衝突する膜外の音の周波数、振幅、包絡線、もしくは他の特性の変化を含むか、またはそれらからなる。膜外シグナルは、音、例えば、受容体ポリペプチドに向けられるアコースティック音、超音波、および/もしくは超低周波音を含み得るか、またはそれらからなり得る。いくつかの態様では、膜外シグナルは、電磁放射線の変化、例えば、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドに衝突する膜外電磁放射線の周波数、振幅、もしくは他の特性の変化を含むか、またはそれからなる。膜外シグナルは、電磁放射線、例えば、受容体ポリペプチドに向けられる可視光、赤外線、紫外線、X線、電波、および/もしくはγ線を含み得るか、またはそれらからなり得る。いくつかの態様では、膜外シグナルは、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドに衝突する機械的な力の変化を含むか、またはそれからなる。膜外シグナルは、受容体ポリペプチドに向けられる機械的な力を含み得るか、またはそれからなり得る。
【0047】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、FK506(FKBP)結合タンパク質ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、FKBP結合ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、ホモ二量体FKBPドメインを含み得るか、またはそれからなり得る。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、ヘテロ二量体FKBP/FRBドメインを含み得るか、またはそれからなり得る。本明細書において使用する場合、用語「バリアント」および「断片」は、例えば、アミノ酸配列、構造(例えば、2次および/もしくは3次)、活性(例えば、酵素活性)、ならびに/または機能のいずれかによって野生型ポリペプチドと関連するポリペプチドを指す。ポリペプチドのバリアントおよび断片は、野生型ポリペプチドと比較して、1つまたは複数のアミノ酸の変異(例えば、突然変異、挿入、および欠失)、トランケーション、修飾、またはそれらの組み合わせを含むことができる。バリアントまたは断片は、対応する野生型ポリペプチドの配列、構造、活性、および/または機能の50%、例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含むことができる。
【0048】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、BET(bromodomain and extra terminal domain)ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、BETファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したBETファミリードメインには、例えば、ブロモドメイン含有タンパク質2(BRD2)、BRD3、BRD4、およびブロモドメイン精巣特異的タンパク質(BRDT)が含まれる。
【0049】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、Bcl-2ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したBcl-2ファミリードメインには、例えば、Bcl-XL、Bcl-2様1(BCL2L1)、BCL2L2、BCL2L10、BCL2L13、BCL2L14、Bcl-2関連卵巣キラー(Bcl-2 related ovarian killer)(BOK)、誘導性骨髄性白血病細胞分化タンパク質Mcl-1、Mcl-2、Bim、Bid、BAD、細胞死異常遺伝子9(CED-9)、Bcl-2-関連タンパク質A1、Bfl-1、Bcl-2関連Xタンパク質(Bax)、Bcl-2相同アンタゴニスト/キラー(Bak)、Diva、Bcl-Xs、およびEgl-1が含まれる。
【0050】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、可溶性N-エチルマレイミド感受性因子(NSF)付着タンパク質(SNAP)受容体ドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、SNAP受容体ドメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したSNAP受容体ドメインには、例えば、SNAP-TAG(登録商標)、CLIP-TAG(登録商標)、ACP-TAG(登録商標)、およびMCP-TAG(登録商標)が含まれる。膜外ドメインは、共有結合形成を介して、他の小分子+タンパク質と同様に働くことができる。
【0051】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、Toll様受容体(TLR)ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、TLRファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したTLRファミリードメインには、例えば、ヒトTLR1、ヒトTLR2、ヒトTLR3、ヒトTLR4、ヒトTLR5、ヒトTLR6、ヒトTLR7、ヒトTLR8、ヒトTLR9、およびヒトTLR10由来のドメインが含まれる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインのTLRファミリードメインは、例えば、マウスTLR1、マウスTLR2、マウスTLR3、マウスTLR4、マウスTLR5、マウスTLR6、マウスTLR7、マウスTLR8、マウスTLR9、マウスTLR11、マウスTLR12、またはマウスTLR13由来のドメインであってもよい。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインのTLRファミリードメインは、無脊椎動物TLR由来であってもよい。
【0052】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)ドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、RTKドメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したRTKドメインには、例えば、ErbB受容体ファミリー(上皮増殖因子受容体(EGFR)ファミリーとも称される)、インスリン受容体ファミリー、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体ファミリー、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体ファミリー、維芽細胞増殖因子(FGF)受容体ファミリー、結腸がんキナーゼ(CCK)受容体ファミリー、NGF受容体ファミリー、肝細胞増殖因子(HGF)受容体ファミリー、Eph受容体ファミリー、AXL受容体ファミリー、TIE受容体ファミリー、RYK受容体ファミリー、ジスコイジンドメイン受容体(DDR)ファミリー、RET受容体ファミリー、ROS受容体ファミリー、リューコシントリロシン(leukocine tryrosine)キナーゼ(LTK)受容体ファミリー、受容体型チロシンキナーゼ様オーファン受容体(ROR)ファミリー、MuSK受容体ファミリー、LMR受容体ファミリー、およびRTKクラスXXファミリー由来のドメインが含まれる。
【0053】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、ErbB受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、ErbB受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したErbB受容体ファミリードメインには、例えば、Her1(EGFRまたはErbB-1とも称される)、Her2(がん原遺伝子Neu、ErbB-2、またはCD340とも称される)、Her3(ErbB-3とも称される)、およびHer4(ErbB-4とも称される)由来のドメインが含まれる。
【0054】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したI型サイトカイン受容体ファミリードメインには、例えば、インターロイキン(IL)受容体、例えば、IL-1受容体、IL-2受容体、IL-3受容体、IL-4受容体、IL-5受容体、IL-6受容体、IL-7受容体、IL-9受容体、IL-11受容体、IL-12受容体、IL-13受容体、IL-15受容体、IL-18受容体、IL-21受容体、IL-23受容体、およびIL-27受容体由来のドメインが含まれる。適切なI型サイトカイン受容体ファミリードメインには、例えば、コロニー刺激因子(CSF)受容体、例えば、エリスロポエチン受容体、顆粒球マクロファージCSF受容体、顆粒球CSF受容体、およびトロンボポエチン受容体由来のものが含まれる。適切なI型サイトカイン受容体ファミリードメインには、例えば、ホルモン受容体/神経ペプチド受容体、例えば、成長ホルモン受容体、プロラクチン受容体、およびレプチン受容体由来のものが含まれる。I型サイトカイン受容体ファミリードメインには、共通γ鎖(CD132とも称される)、共通β鎖(CD131とも称される)、または糖タンパク質130(CD130とも称される)由来のドメインが含まれ得る。
【0055】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したII型サイトカイン受容体ファミリードメインには、例えば、インターフェロン(IFN)受容体、例えば、IFN-α/β受容体、IFN-γ受容体、およびIFN III型受容体由来のドメインが含まれる。適切なII型サイトカイン受容体ファミリードメインには、例えば、IL受容体、例えば、IL-10受容体、IL-20受容体、IL-22受容体、およびIL-28受容体由来のものが含まれる。
【0056】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、TGFβ受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したTGFβ受容体ファミリードメインには、例えば、TGFβ I型受容体、例えば、アクチビン受容体様キナーゼ1(ALK1。ACVRL1とも称される)、ALK2(ACVR1Aとも称される)、ALK3(BMPR1Aとも称される)、ALK4(ACVR1Bとも称される)、ALK5(TGFβR1とも称される)、ALK6(BMPR1Bとも称される)、およびALK7(ACVR1Cとも称される)由来のドメインが含まれる。適切なTGFβ受容体ファミリードメインには、例えば、TGFβ II型受容体、例えば、TGFβR2、骨形成タンパク質受容体II型(BMPR2)、アクチビン(activing)受容体2A型(ACVR2A)、ACVR2B、および抗ミュラー管ホルモン受容体2型(AMHR2)由来のものが含まれる。適切なTGFβ受容体ファミリードメインには、例えば、TGFβ III型受容体、例えば、TGFβR3(β-グリカンとも称される)由来のものが含まれる。
【0057】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、TNF受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したTNF受容体ファミリードメインには、例えば、TNF受容体スーパーファミリー1A(TNFRSF1A。CD120aとも称される)、THFRSF1B(CD120bとも称される)、TNFRSF2(腫瘍壊死因子またはTNFαとも称される)、TNFRSF3(リンホトキシンβまたはTNFγとも称される)、TNFRSF4(OX40リガンド、CD252、またはCD134Lとも称される)、TNFRSF5(CD40リガンドまたはCD154とも称される)、TNFRSF6(Fasリガンド、CD178、またはCD95Lとも称される)、TNFRSF7(CD27リガンドまたはCD70とも称される)、TNFRSF8(CD30リガンドまたはCD153とも称される)、TNFRSF9(CD137リガンドまたは4-1BBLとも称される)、TNFRSF10(TRAILまたはCD243とも称される)、TNFRSF11(RANKLまたはCD254とも称される)、TNFRSF12(TWEAKとも称される)、TNFRSF13(APRILまたはCD256とも称される)、TNFRSF13b(BAFFまたはCD257とも称される)、TNFRSF14(LIGHTまたはCD258とも称される)、TNFRSF15(VEGIとも称される)、TNFRSF18、およびTNFRSF19(エクトジスプラシンAとも称される)由来のドメインが含まれる。
【0058】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、IgSFドメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したIgSFドメインには、例えば、抗原受容体、例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、およびT細胞受容体鎖由来のドメインが含まれる。適切なIgSFドメインには、例えば、抗原提示分子、例えば、クラスI主要組織適合遺伝子複合体(MHC)、クラスII MHC、およびβ-2ミクログロブリン由来のものが含まれる。適切なIgSFドメインには、例えば、共受容体、例えば、CD4、CD8、およびCD19由来のものが含まれる。適切なIgSFドメインには、例えば、抗原受容体アクセサリー分子、例えば、CD3、CD79a、およびCD79b由来のものが含まれる。適切なIgSFドメインには、例えば、共刺激性または阻害性分子、例えば、CD28、CD80、およびCD86由来のものが含まれる。適切なIgSFドメインには、例えば、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)および白血球免疫グロブリン様受容体(LLIR)が含まれる。適切なIgSFドメインには、例えば、細胞接着分子(CAM)、例えば、神経細胞接着分子(NCAM)、細胞間接着分子-1(ICAM-1)、およびCD2が含まれる。適切なIgSFドメインには、例えば、増殖因子受容体、例えば、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)および肥満/幹細胞増殖因子受容体前駆体(SCFR)由来のものが含まれる。適切なIgSFドメインには、例えば、受容体型チロシンキナーゼ/ホスファターゼ、例えば、チロシン-プロテインキナーゼ受容体Tie-1前駆体、IIa型受容体タンパク質チロシンホスファターゼ(RPTP)、およびIIb型RPTP由来のものが含まれる。適切なIgSFドメインには、例えば、Ig結合受容体、例えば、ポリマー免疫グロブリン受容体(PIGR)由来のものが含まれる。適切なIgSFドメインには、例えば、細胞骨格分子、例えば、ミオチリン、ミオパラジン、パラジン、タイチン(titn)、オブスクリン、ミオメシン-1、およびミオメシン-2由来のものが含まれる。適切なIgSFドメインには、例えば、CD147、CD90、CD7、およびブチロフィリンが含まれる。
【0059】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、トロポミオシン受容体キナーゼ(trk)ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、trkファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したTrkファミリードメインには、例えば、trkA、trkB、およびtrkC由来のドメインが含まれる。
【0060】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜外ドメインは、GDNF受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインとの使用に適したGDNF受容体ファミリードメインには、例えば、GDNFファミリー受容体α-1(GFRα1)、GFRα2、GFRα3、およびGFRα4由来のドメインが含まれる。
【0061】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、免疫シグナリングドメイン、例えば、4-1BB由来のドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの態様では、膜外ドメインは、免疫シグナリングドメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、ジベレリン非感受性矮性(GID)ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、ビオチン受容体ドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、上皮増殖因子受容体ドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、エストロゲン受容体ドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、アンドロゲン受容体ドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、インスリン受容体ドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)ドメイン、プログラム死リガンド1(PD-L1)ドメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、AXL受容体型チロシンキナーゼドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、単鎖可変断片(scFv)ドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜外ドメインは、ナノボディドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。
【0062】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜貫通ドメインは、TLRファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜貫通ドメインのTLRファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜貫通ドメインは、RTKファミリードメイン、例えば、ErbB受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜貫通ドメインのRTKまたはErbB受容体ファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜貫通ドメインは、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜貫通ドメインのI型サイトカイン受容体ファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜貫通ドメインは、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜貫通ドメインのII型サイトカイン受容体ファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜貫通ドメインは、TGFβ受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜貫通ドメインのTGFβファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜貫通ドメインは、TNF受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜貫通ドメインのTNF受容体ファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜貫通ドメインは、IgSFドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜貫通ドメインのIgSFドメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜貫通ドメインは、trkファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜貫通ドメインのtrkファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜貫通ドメインは、GDNF受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜貫通ドメインのGDNF受容体ファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。
【0063】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、TLRファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜内ドメインのTLRファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、RTKファミリードメイン、例えば、ErbB受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜内ドメインのRTKまたはErbB受容体ファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜内ドメインのI型サイトカイン受容体ファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜内ドメインのII型サイトカイン受容体ファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、TGFβ受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜内ドメインのTGFβファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、TNF受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜内ドメインのTNF受容体ファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、IgSFドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜内ドメインのIgSFドメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、trkファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜内ドメインのtrkファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、GDNF受容体ファミリードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。膜内ドメインのGDNF受容体ファミリードメインは、例えば、本明細書において先に開示されるもののいずれかであり得る。
【0064】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、遺伝子編集ヌクレアーゼドメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、膜内ドメインは、遺伝子編集ドメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインとの使用に適した遺伝子編集ドメインには、例えば、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(clustered regularly interspaced short palindromic repeat)(CRISPR)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR関連タンパク質9(Cas9)、Cas12、Cas13、Cas14、CasX、CasY、Casφ、塩基エディター、およびプライマーエディターが含まれる。いくつかの態様では、膜内ドメインは、エピジェネティックエディタードメイン、またはそのバリアントもしくは断片を含むか、あるいはそれらからなる。
【0065】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、転写コントローラードメイン、またはその断片のバリアントを含む。いくつかの態様では、膜内ドメインは、転写コントローラードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインとの使用に適した転写コントローラードメインには、例えば、CRISPRi/a、ジンクフィンガー、TALE、dCas9、dCas12、dCas13、dCas14、dCasX、dCasY、およびdCasφが含まれる。転写コントローラードメインはそれ自体で使用することができ、または多くの他の転写またはエピジェネティックエフェクタードメインに融合させることができる。
【0066】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、RNAコントローラードメイン、またはその断片のバリアントを含む。いくつかの態様では、膜内ドメインは、RNAコントローラードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインとの使用に適したRNAコントローラードメインには、例えば、Cas13、Cas14、CasФ、ADAR、アルゴノート、およびそれらの操作されたバリアントが含まれる。
【0067】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、タンパク質コントローラードメイン、またはその断片のバリアントを含む。いくつかの態様では、膜内ドメインは、タンパク質コントローラードメイン、またはそのバリアントもしくは断片からなる。キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインとの使用に適したタンパク質コントローラードメインには、例えば、プロテアーゼ、例えば、タバコエッチ病ウイルス(Tobacco Etch Virus)(TEV)プロテアーゼ、C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus)(HCV)プロテアーゼ、およびヒト免疫不全ウイルス-1(human immunodeficiency virus-1)(HIV-1)プロテアーゼが含まれる。膜内ドメインとの使用に適したタンパク質コントローラードメインには、例えば、抗CRISPR(Acr)および他の修飾後酵素および分解複合体が含まれる。
【0068】
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの膜内ドメインは、受容体ポリペプチドのオリゴマー化、例えば、二量体化または3次元(3D)クラスター化により1つまたは複数の膜内シグナル経路の活性化を誘導するように構成される。いくつかの態様では、膜内ドメインは、2つの膜内シグナル経路の活性化を誘導ように構成される。いくつかの態様では、膜内ドメインは、2経路超、例えば、3経路超、4経路超、5経路超、6経路超、7経路超、8経路超、9経路超、または10経路超の活性化を誘導する。
【0069】
いくつかの態様では、膜内ドメインによって活性化される1つまたは複数の膜内シグナル経路のうちの少なくとも1つは外因性経路である。いくつかの態様では、膜内ドメインによって活性化される1つまたは複数の膜内シグナル経路のそれぞれは外因性経路である。いくつかの態様では、膜内ドメインによって活性化される1つまたは複数の膜内シグナル経路のうちの少なくとも1つは内因性経路である。いくつかの態様では、膜内ドメインによって活性化される1つまたは複数の膜内シグナル経路のそれぞれは内因性経路である。
【0070】
いくつかの態様では、膜内ドメインによって活性化される1つまたは複数の膜内シグナル経路のうちの少なくとも1つは合成経路である。いくつかの態様では、膜内ドメインによって活性化される1つまたは複数の膜内シグナル経路のそれぞれは合成経路である。いくつかの態様では、膜内ドメインによって活性化される1つまたは複数の膜内シグナル経路のうちの少なくとも1つは天然に存在する経路である。いくつかの態様では、膜内ドメインによって活性化される1つまたは複数の膜内シグナル経路のそれぞれは天然に存在する経路である。
【0071】
多種多様の膜内シグナル経路が、本明細書において開示されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドによる活性化に適している。受容体ポリペプチドによって活性化される1つまたは複数の膜内シグナル経路は、例えば、ゲノム配列編集、転写の活性化もしくは抑制、エピジェネティック修飾、ゲノムの転座および再編成、RNAの発現もしくは分解、RNAのスプライシングもしくはプロセシング、mRNAもしくはncRNAの転写後修飾、タンパク質の翻訳後修飾、タンパク質の切断もしくはプロテオリシス、代謝物もしくは他の化学現象に関する生成もしくは分解、シグナリング分子の輸送、細胞周期制御、細胞の分化もしくは再プログラミング、T細胞の活性化もしくは疲弊、プログラム細胞死、細胞輸送、サイトカインもしくはホルモンの分泌、ニューロン活性、マクロファージ食作用、好中球NETポプトーシス、免疫シナプス形成、骨髄系細胞脱顆粒、抗原提示、抗体の分泌もしくは高頻度突然変異、および/または腫瘍溶解性ウイルスの生成に関与する経路を含むことができる。
【0072】
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、任意で、1つまたは複数のシグナルペプチドを含むことができる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドのシグナルペプチドは、TLRファミリーシグナルペプチド、例えば、TLR5シグナルペプチド、またはそのバリアントもしくは断片である。TLR5シグナルペプチドは、
の配列、またはそのバリアントもしくは断片配列を有し得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドのシグナルペプチドは、CD3εシグナルペプチド、またはそのバリアントもしくは断片である。CD3εシグナルペプチドは、
の配列、またはそのバリアントもしくは断片配列を有し得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドのシグナルペプチドは、CD8αシグナルペプチド、またはそのバリアントもしくは断片である。CD8αシグナルペプチドは、
の配列、またはそれらのバリアントもしくは断片を有し得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドのシグナルペプチドは、IgKシグナルペプチド、またはそのバリアントもしくは断片である。IgKシグナルペプチドは、
の配列、またはそれらのバリアントもしくは断片を有し得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドのシグナルペプチドは、IgLシグナルペプチド、またはそのバリアントもしくは断片である。IgLシグナルペプチドは、
の配列、またはそれらのバリアントもしくは断片を有し得る。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドのシグナルペプチドは、マウスCD4シグナルペプチド、またはそのバリアントもしくは断片である。マウスCD4シグナルペプチドは、
の配列、またはそれらのバリアントもしくは断片を有し得る。
【0073】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドのシグナルペプチドは、オリゴマー化ペプチドまたはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、シグナルペプチドは、クラスター化促進ペプチド、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、シグナルペプチドは、抗クラスター化ペプチド配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む。これらの方法では、シグナルペプチドは、受容体のオリゴマー化またはクラスター化に影響し、正および/または負のゲージとして作用する、さらなる力を導入することができる。受容体オリゴマー化またはクラスター化に影響し得る例示的なペプチドには、システイン-システインジスルフィド結合、電荷-電荷ベースの引力、または電荷-電荷ベースの斥力を形成することができるものが含まれる。
【0074】
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、任意で、1つまたは複数のリンカーペプチド配列を含むことができる。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、2つのリンカーペプチド配列を含む。いくつかの態様では、受容体ポリペプチドは、2つ超のリンカーペプチド配列を含む。
【0075】
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドとの使用に適したリンカー配列には、例えば、グリシン(G)およびセリン(S)からなるものが含まれる。いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの1つまたは複数のリンカーペプチド配列のうちの少なくとも1つは、GGSリンカー配列である。いくつかの態様では、1つまたは複数のリンカーペプチド配列のそれぞれはGGSである。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの1つまたは複数のリンカーペプチド配列のうちの少なくとも1つは、GGSGGSGGSリンカー配列である。いくつかの態様では、1つまたは複数のリンカーペプチド配列のそれぞれはGGSGGSGGSである。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの1つまたは複数のリンカーペプチド配列のうちの少なくとも1つは、GSリンカー配列である。いくつかの態様では、1つまたは複数のリンカーペプチド配列のそれぞれはGSである。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの1つまたは複数のリンカーペプチド配列のうちの少なくとも1つは、GSGSGSリンカー配列である。いくつかの態様では、1つまたは複数のリンカーペプチド配列のそれぞれはGSGSGSである。
【0076】
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドとの使用に適した他のリンカー配列には、例えば、IgGヒンジリンカー配列が含まれる。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの1つまたは複数のリンカーペプチド配列のうちの少なくとも1つは、野生型IgG4
リンカー配列である。いくつかの態様では、1つまたは複数のリンカーペプチド配列のそれぞれは
である。いくつかの態様では、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの1つまたは複数のリンカーペプチド配列のうちの少なくとも1つは、突然変異導入IgG4
リンカー配列である。いくつかの態様では、1つまたは複数のリンカーペプチド配列のそれぞれは
である。
【0077】
いくつかの態様では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの1つまたは複数のリンカーペプチド配列のうちの少なくとも1つは、オリゴマー化ペプチド配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のリンカーペプチド配列のうちの少なくとも1つは、クラスター化促進ペプチド配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のリンカーペプチド配列のうちの少なくとも1つは、抗クラスター化ペプチド配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む。これらの方法では、リンカーペプチドは、受容体のオリゴマー化またはクラスター化に影響し、正および/または負のゲージとして作用する、さらなる力を導入することができる。受容体オリゴマー化またはクラスター化に影響し得る例示的な配列には、システイン-システインジスルフィド結合、電荷-電荷ベースの引力、または電荷-電荷ベースの斥力を形成することができるものが含まれる。
【0078】
別の局面では、この提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、膜をさらに含むシステムの一部である。本システムの膜は、2つの空間領域を分離し、2つの空間領域は、例えば、細胞外領域および細胞内領域、細胞質領域および核領域、または細胞内の小胞もしくはオルガネラの外側領域および内側領域であり得る。受容体ポリペプチドは、膜外ドメインおよび膜内ドメインが膜の反対側に位置し、同時に、膜内ドメインが膜内に位置するように置かれる。いくつかの態様では、提供されるシステムの膜は細胞膜である。いくつかの態様では、提供されるシステムの膜は核膜である。いくつかの態様では、提供されるシステムの膜はオルガネラ膜である。いくつかの態様では、提供されるシステムの膜は小胞膜である。
【0079】
提供されるシステムは、トランス作用受容体ポリペプチドをさらに含むことができる。いくつかの態様では、提供されるシステムのトランス作用受容体ポリペプチドはキメラ抗原受容体(CAR)である。いくつかの態様では、提供されるシステムのトランス作用受容体ポリペプチドはT細胞抗原受容体(TCR)である。いくつかの態様では、提供されるシステムのトランス作用受容体ポリペプチドは合成ノッチ(SynNotch)受容体である。いくつかの態様では、提供されるシステムのトランス作用受容体ポリペプチドはGPCR TANGO(商標)受容体である。いくつかの態様では、提供されるシステムのトランス作用受容体ポリペプチドはCRISPR ChaCha受容体である。いくつかの態様では、提供されるシステムのトランス作用受容体ポリペプチドはB細胞受容体(BCR)である。いくつかの態様では、提供されるシステムのトランス作用受容体ポリペプチドはC型レクチン様受容体、例えばLy49である。いくつかの態様では、提供されるシステムのトランス作用受容体ポリペプチドは自然細胞傷害性受容体(NCR)である。いくつかの態様では、提供されるシステムのトランス作用受容体ポリペプチドはFc受容体、例えばCD64である。
【0080】
別の局面では、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドまたはシステムは、宿主細胞内にある。いくつかの態様では、宿主細胞は、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドを発現する。本明細書において使用する場合、用語「細胞」は、一般に、生物の細胞を指す。細胞は、生きている生物体の基本的な構造的、機能的および/または生物学的単位であり得る。細胞は、1つまたは複数の細胞を有する任意の生物体に由来し得る。いくつかの非限定例には、以下が含まれる:原核細胞、真核細胞、細菌細胞、古細菌細胞、単細胞真核生物の細胞、原生動物細胞、植物由来の細胞(例えば、作物植物、果実、野菜、穀物、ダイズ、コーン、トウモロコシ、コムギ、種子、トマト、イネ、キャッサバ、サトウキビ、カボチャ、乾草、ジャガイモ、ワタ、大麻、タバコ、顕花植物、針葉樹、裸子植物、シダ、ヒカゲノカズラ類、ツノゴケ類、苔類、コケ由来の細胞)、藻類細胞(例えば、ボツリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)、ナンノクロロプシス・ガディタナ(Nannochloropsis gaditana)、クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)、ヤツマタモク(Sargassum patens)など)、海藻(例えば、ケルプ)、真菌細胞(例えば、酵母細胞、キノコ由来の細胞)、無脊椎動物(例えば、ショウジョウバエ、刺胞動物、棘皮動物、線虫、軟体動物など)由来の細胞、脊椎動物(例えば、魚、両生類、爬虫類、鳥、哺乳動物)由来の細胞、哺乳動物(例えば、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、げっ歯類、ラット、マウス、非ヒト霊長類、ヒトなど)由来の細胞など。細胞は天然の生物体に由来しないこともある(例えば、細胞を合成的に作製することができ、これは、人工細胞と呼ばれることもある)。
【0081】
多種多様の細胞型が、提供される宿主細胞としての使用に適している。いくつかの態様では、宿主細胞は、免疫応答に関与する任意の細胞を含めた免疫細胞である。例えば、操作された自然免疫細胞、例えば、任意で、同種異系天然NK細胞、iPSC由来のNK細胞、および/またはマクロファージ細胞の使用は、副作用を回避しながら、固形腫瘍の処置を大いに容易にすることができる。これによって、的確な位置(例えば、局部的腫瘍シグナルの存在)および特定の時点(例えば、薬物の投与)でのリガンド媒介性の的確な免疫活性化が可能になる。この効果は誘導的かつ可逆的である。
【0082】
いくつかの態様では、宿主免疫細胞型には、顆粒球、例えば、好塩基球、好酸球、および好中球;肥満細胞;マクロファージに発達することができる単球;抗原提示細胞、例えば樹状細胞;ならびにリンパ球、例えば、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、B細胞、およびT細胞が含まれる。いくつかの態様では、宿主免疫細胞は免疫エフェクター細胞である。免疫エフェクター細胞は、刺激に応答して特定の機能を果たすことができる免疫細胞である。いくつかの態様では、宿主免疫細胞は、細胞死を誘導することができる免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様では、宿主免疫細胞はリンパ球である、いくつかの態様では、リンパ球はNK細胞である。いくつかの態様では、リンパ球はT細胞である。いくつかの態様では、T細胞は活性化T細胞である。T細胞には、ナイーブ細胞とメモリー細胞(例えば、セントラルメモリーまたはTCM、エフェクターメモリーまたはTEM、およびエフェクターメモリーRAまたはTEMRA)の両方、エフェクター細胞(例えば、細胞傷害性T細胞またはCTLまたはTc細胞)、ヘルパー細胞(例えば、Thl、Th2、Th3、Th9、Th7、TFH)、調節性細胞(例えば、TregおよびTrl細胞)、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、リンパ球活性化キラー細胞(LAK)、αβT細胞、γδT細胞、ならびにT細胞系譜の同様のユニークなクラスが含まれる。
【0083】
T細胞は、細胞の表面にどのタンパク質が提示されるかに基づいて、2つの幅広いカテゴリー:CD8+T細胞およびCD4+T細胞に分けることができる。提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドを発現するT細胞は、感染細胞の死滅、および他の免疫細胞の活性化または動員を含めて、複数の機能を行うことができる。CD8+T細胞は、細胞傷害性T細胞または細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と称される。提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドを発現するCTLは、ウイルス感染細胞およびがん細胞の認識および除去に関与し得る。CTLは、特殊化したコンパートメントまたは顆粒を有し、これは、アポトーシス、例えば、プログラム細胞死を引き起こす細胞毒を含む。CD4+T細胞は、さらなるサブセットが存在する可能性もあるが、4つのサブセット、Th1、Th2、Th17、およびTregに細分することができ、「Th」は「ヘルパーT細胞」を指す。Th1細胞は、細胞内の微生物、特に細菌に対して免疫応答をコーディネートすることができる。これは、細菌を摂取するマクロファージのような他の免疫細胞に警戒態勢を取らせ、前記免疫細胞を活性化する分子を生成し、分泌することができる。Th2細胞は、B細胞、顆粒球、および肥満細胞に警戒態勢を取らせることによって、蠕虫(寄生虫)のような細胞外病原体に対して免疫応答をコーディネートすることに関与する。Th17細胞は、免疫細胞および非免疫細胞を活性化するシグナリング分子であるインターロイキン17(IL-17)を生成することができる。Th17細胞は、好中球の動員にとって重要である。
【0084】
リガンド媒介性細胞分化およびプログラミングを指示するように、受容体を再生宿主細胞型に操作することができる。これによって、損傷したかまたは老化した体を修復または再生するための細胞および組織の部位特異的分化が可能になる。いくつかの態様では、宿主細胞は幹細胞である。宿主細胞は、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)、胚性幹細胞(ESC)、成体幹細胞、または間葉系幹細胞(MSC)であり得る。いくつかの態様では、宿主細胞は前駆細胞である。宿主細胞は、例えば、神経前駆細胞、骨格前駆細胞、筋前駆細胞、脂肪前駆細胞、心臓前駆細胞、軟骨細胞、または膵臓前駆細胞であり得る。
【0085】
別の局面では、宿主細胞の集団が提供される。集団の各宿主細胞は独立して、本明細書において開示されるキメラ膜貫通受容体または本明細書において開示されるシステムを含む。
【0086】
方法
別の局面では、膜内シグナル経路を活性化するための方法が開示される。活性化される膜内シグナル経路は、本明細書において開示されるもののいずれかであり得る。膜内シグナル経の活性化方法は、本明細書において開示されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドのいずれか、本明細書において開示されるシステムのいずれか、本明細書において開示される宿主細胞のいずれか、または本明細書において開示される宿主細胞の集団のいずれかを提供する工程を含む。いくつかの態様では、方法は、キメラ膜貫通受容体を膜外シグナルに曝露する工程をさらに含む。曝露する工程は、任意の適切な時間の長さ、例えば、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月間、またはそれ以上にわたって、行うことができる。
【0087】
別の局面では、対象において疾患を防止または処置するための方法が開示される。次世代細胞療法のための提供される方法にしたがって、新しいクラスの合成受容体を使用することができる。内因性(例えば、サイトカイン、腫瘍微小環境シグナル、抗原)または外因性(例えば、小分子薬物、ペプチド、生物製剤、超音波)のいずれかの入力によって受容体を誘導すること、および受容体を様々な細胞経路に「繋げる」ことによって、これらの操作細胞療法の方法は、細胞ががん、感染症、創傷治癒、自己免疫、再生医療、CNS疾患、および老化防止などに関与する任意の疾病について適応がある。
【0088】
本明細書において使用する場合、用語「処置」は、限定されないが、治療的恩恵および/または予防的恩恵を含めて、有益な結果または望ましい結果を得るためのアプローチを指す。治療的恩恵は、処置を受けている1つまたは複数の疾患、状態または症状において任意の適切な改善を、またはこれらに対して任意の適切な効果を与える。予防的恩恵については、特定の疾患、状態、もしくは症状を発生する危険性がある対象に、または疾患、状態、もしくは症状がまだ顕在化していない可能性があるにもかかわらず、疾患の生理的症状の1つもしくは複数を報告している対象に、組成物を投与することができる。処置は、疾患、例えばがんの1つもしくは複数の症状を好転させること、そのような症状の顕在化をそれらが起こる前に防止すること;(再発エピソード間の期間がより長いこと、症状の悪化の緩徐化もしくは防止などによって明らかになり得るように)疾患の進行を緩徐化させるかもしくは完全に防止すること、寛解期間の開始を早めること、疾患の進行性-慢性段階(原発段階および続発段階の両方)で引き起こされる不可逆的損傷を緩徐化させること、前記進行性段階の開始を遅らせること、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかを含むことができる。
【0089】
提供される疾患防止または処置方法は、治療的に有効な量の本明細書において開示されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、本明細書において開示されるシステム、本明細書において開示される宿主細胞、または本明細書において開示される宿主細胞の集団を対象に投与する工程を含む。本明細書において使用する場合、用語「投与すること」は、生物学的作用の望ましい部位への剤または組成物の送達を指す。投与方法には、限定されないが、非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉、血管内、髄腔内、鼻腔内、硝子体内、注入、および局部注射)、経粘膜的注射、経口投与、坐剤としての投与、ならびに局所投与が含まれる。他の送達様式には、限定されないが、リポソーム製剤の使用、静脈内注入、移植などが含まれる。当業者は、疾患に付随する1つまたは複数症状を防止または軽減するために治療的に有効な量の本開示の組成物を投与するためのさらなる方法について知っているであろう。
【0090】
本明細書において使用する場合、用語「治療的に有効な量」は、その必要がある対象に投与すると望ましい活性をもたらすのに十分である組成物の分量を指す。本開示の文脈内で、用語「治療的に有効な」は、本開示の方法によって処置される障害の顕在化を遅らせる、前記障害の進行を阻止する、前記障害の少なくとも1つの症状を軽減または緩和するのに十分である組成物の分量を指す。
【0091】
本明細書において記載されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、システム、または宿主細胞を含む薬学的組成物は、予防的および/または治療的処置のために投与することができる。治療用途では、組成物は、疾患または状態の症状を治すかもしくは少なくとも部分的に阻止するのに、または状態を治す、治癒する、改善する、もしくは好転させるのに十分である量で、疾患または状態を既に罹患している対象に投与することができる。この使用に有効な量は、疾患または状態の重症度および経過、以前の療法、対象の健康状態、体重、および薬物への応答、ならびに処置医師の判断に基づいて変動し得る。
【0092】
本明細書において記載されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、システム、または宿主細胞は、疾患または状態の出現の前、間または後に投与することができ、組成物を投与するタイミングは変動し得る。例えば、薬学的組成物は、予防薬として使用することができ、疾患または状態の出現を防止するために、状態または疾患になる傾向がある対象に連続的に投与することができる。薬学的組成物は、症状の間、または症状の発症後できるだけ早く、対象に投与することができる。投与は、症状の発症の最初の48時間以内、症状の発症の最初の24時間以内、症状の発症の最初の6時間以内、または症状の発症の3時間以内に始めることができる。初回の投与は、本明細書において記載される任意の製剤を使用する本明細書において記載される任意の経路によるなど、実際的な任意の経路を介することができる。組成物は、疾患または状態の発症が検出されたかまたは疑われた後実行可能な限り早く、例えば、約1か月~約3か月など、疾患の処置に必要な時間の長さにわたって、投与することができる。処置の長さは、対象ごとに異なり得る。
【0093】
提供される方法を使用して、多種多様の疾患を防止または処置することができる。本発明は、例えば、血液または固形がん、ウイルス感染、細菌感染、遺伝性疾患、創傷治癒、自己免疫、再生医療、CNS疾患、および老化防止を処置するための幅広い細胞療法用途に適する。
【0094】
いくつかの態様では、防止または処置される疾患はがんである。提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、システム、または宿主細胞で処置されるがんの非限定例には、棘細胞腫、腺房細胞がん、聴神経腫瘍、末端性ほくろ性黒色腫、先端汗腺腫、急性好酸球性白血病、急性リンパ性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単球性白血病、成熟を伴う急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄樹状細胞白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、アダマンチノーマ、腺がん、腺様嚢胞がん腫、腺腫、腺様歯原性腫瘍、副腎皮質がん腫、成人T細胞白血病、侵攻性NK細胞性白血病、エイズ関連がん、エイズ関連リンパ腫、胞状軟部肉腫、エナメル芽細胞線維腫、肛門がん、未分化大細胞リンパ腫、甲状腺未分化がん、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、血管筋脂肪腫、血管肉腫、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍、基底細胞がん、基底様がん(Basal-like carcinoma)、B細胞白血病、B細胞リンパ腫、ベリーニ管がん、胆道がん、膀胱がん、芽腫、骨がん、骨腫瘍、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳がん、ブレンナー腫瘍、気管支腫瘍、細気管支肺胞がん、褐色腫、バーキットリンパ腫、原発部位不明がん、カルチノイド腫瘍、がん腫、上皮内がん、陰茎のがん、原発部位不明がん腫、がん肉腫、キャッスルマン病、中枢神経系胚芽腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、子宮頸がん、胆管がん腫、軟骨腫、軟骨肉腫、脊索腫、絨毛がん、脈絡叢乳頭腫、慢性リンパ性白血病、慢性単球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、慢性好中球性白血病、明細胞腫、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、デゴス病、隆起性皮膚線維肉腫、類皮嚢胞、線維形成性小円形細胞腫瘍、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、胎生期がん、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜がん、子宮内膜子宮がん、子宮内膜性腫瘍、腸症関連T細胞リンパ腫、上衣芽腫、上衣腫、類上皮肉腫、赤白血病、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング腫瘍、ユーイングファミリー肉腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、乳房外ページェット病、卵管がん、胎児内胎児、線維腫、線維肉腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性甲状腺がん、胆嚢がん、胆嚢がん、神経節膠腫、神経節腫、胃がん、胃リンパ腫、胃腸がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞腫瘍、胚細胞腫、妊娠性絨毛がん、妊娠性絨毛腫瘍、骨巨細胞腫、多形神経膠芽腫、神経膠腫、大脳神経膠腫症、グロムス腫瘍、グルカゴノーマ、性腺芽細胞腫、顆粒膜細胞腫、ヘアリーセル白血病、ヘアリーセル白血病、頭頸部がん、頭頸部がん、心臓がん、血管芽腫、血管外皮腫、血管肉腫、血液学的悪性疾患、肝細胞がん、肝脾T細胞リンパ腫、遺伝性乳がん-卵巣がん症候群、ホジキンリンパ腫(Hodgkin Lymphoma)、ホジキンリンパ腫(Hodgkin's lymphoma)、下咽頭がん、視床下部神経膠腫、炎症性乳がん、眼内黒色腫、膵島細胞がん、膵島細胞腫瘍、若年性骨髄単球性白血病、カポジ肉腫(Kaposi Sarcoma)、カポジ肉腫(Kaposi's sarcoma)、腎臓がん、クラツキン腫瘍、クルケンベルグ腫瘍、喉頭がん、喉頭がん、悪性黒子型黒色腫、白血病、白血病、唇および口腔のがん、脂肪肉腫、肺がん、黄体腫、リンパ管腫、リンパ管肉腫、リンパ上皮腫、リンパ様白血病、リンパ腫、マクログロブリン血症、悪性線維性組織球腫、悪性線維性組織球腫、骨の悪性線維性組織球腫、悪性神経膠腫、悪性中皮腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、悪性ラブドイド腫瘍、悪性トリトン腫瘍、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肥胖細胞性白血病、縦隔胚細胞腫瘍、縦隔腫瘍、甲状腺髄様がん、髄芽腫、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、黒色腫、髄膜腫、メルケル細胞がん、中皮腫、中皮腫、原発不明の転移性扁平上皮頸部がん、転移性尿路上皮がん、混合ミュラー管腫瘍、単球性白血病、口腔がん、粘液性腫瘍、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫、菌状息肉症、菌状息肉症、骨髄異形成疾患、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄肉腫、骨髄増殖性疾患、粘液腫、鼻腔がん、鼻咽頭がん、上咽頭がん、新生物、神経鞘腫、神経芽細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、神経腫、結節性黒色腫、非ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚がん、非小細胞肺がん、眼の腫瘍(Ocular oncology)、乏突起星細胞腫、乏突起神経膠腫、オンコサイトーマ、視神経鞘髄膜腫、口腔がん、口腔がん、中咽頭がん、骨肉腫、骨肉腫、卵巣がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、乳房ページェット病、パンコースト腫瘍、膵臓がん、膵臓がん、甲状腺乳頭がん、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、血管周囲類上皮細胞腫瘍、咽頭がん、褐色細胞腫、中間分化型松果体実質腫瘍、松果体芽腫、下垂体細胞腫、下垂体腺腫、下垂体腫瘍、形質細胞新生物、胸膜肺芽腫、多胚腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性体液性リンパ腫、原発性肝細胞がん、原発性肝臓がん、原発性腹膜がん、原始神経外胚葉性腫瘍、前立腺がん、腹膜偽粘液腫、直腸がん、腎細胞がん、第15染色体のNUT遺伝子が関与する気道がん(Respiratory Tract Carcinoma Involving the NUT Gene on Chromosome 15)、網膜芽細胞腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、リヒター形質転換、仙尾部奇形腫、唾液腺がん、肉腫、神経鞘腫症、脂腺がん、続発性新生物、セミノーマ、漿液性腫瘍、セルトリ-ライディッヒ細胞腫、性索間質腫瘍、セザリー症候群、印環細胞がん、皮膚がん、小円形青色細胞腫瘍(Small blue round cell tumor)、小細胞がん、小細胞肺がん、小細胞リンパ腫、小腸がん、軟部組織肉腫、ソマトスタチノーマ、煤煙性いぼ、脊髄腫瘍、脊椎腫瘍、脾臓周辺帯リンパ腫、扁平上皮がん、胃がん、表在拡大型黒色腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、表層上皮性・間質性腫瘍、滑膜肉腫、T細胞急性リンパ性白血病、T細胞大顆粒リンパ球性白血病、T細胞白血病、T細胞リンパ腫、T細胞性前リンパ球性白血病、奇形腫、抹消リンパ系がん(Terminal lymphatic cancer)、精巣がん、莢膜細胞腫、咽頭がん、胸腺がん腫、胸腺腫、甲状腺がん、腎盂および尿管の移行上皮がん、移行上皮がん、尿膜管がん、尿道がん、泌尿生殖器新生物、子宮肉腫、ブドウ膜黒色腫、腟がん、ヴァーナー・モリソン症候群、疣状がん、視経路グリオーマ、外陰がん、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ワルティン腫瘍、ウィルムス腫瘍、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0095】
いくつかの態様では、防止または処置される疾患はがん性腫瘍である。がん性腫瘍は固形がん性腫瘍または液状がん性腫瘍であり得る。液状がん性腫瘍は、例えば、リンパ腫または白血病であり得る。本明細書において開示される方法で処置される腫瘍は、安定化した腫瘍増殖をもたらすことができる(例えば、1つまたは複数の腫瘍は、サイズが1%、5%、10%、15%、もしくは20%を超えて増大しない、および/または転移しない)。いくつかの態様では、腫瘍は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週間、またはそれ以上安定化される。いくつかの態様では、腫瘍は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月間、またはそれ以上安定化される。いくつかの態様では、腫瘍は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10年間、またはそれ以上安定化される。いくつかの態様では、腫瘍のサイズまたは腫瘍細胞の数は、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上低減する。いくつかの態様では、腫瘍は完全に排除されるか、または検出レベル未満に低減する。いくつかの態様では、対象は、処置に続いて、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週間、またはそれ以上腫瘍がないままである(例えば、寛解状態)。いくつかの態様では、対象は、処置に続いて、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月間、またはそれ以上腫瘍がないままである。いくつかの態様では、対象は、処置後、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10年間、またはそれ以上腫瘍がないままである。
【0096】
いくつかの態様では、防止または処置される疾患は感染症である。感染症は、例えば、ウイルス感染症であり得る。感染症は、例えば、細菌感染症であり得る。細菌感染の場合には、自然免疫システムは、病原体を取り除くために、微生物の特異的なマーカーを認識しなければならない。これらの病原体関連分パターンは、様々な受容体、最も注目すべきは、すべての免疫細胞に共通しており、その殺菌能力をオンにする免疫経路を活性化するように働くTLRによって認識される。マクロファージの場合には、TLRを介した微生物病原体の認識は、細菌を自身の中に貪食し、酸性化によって病原体を破壊する、そのユニークな能力を活性化する。しかし、細菌は、この活性化を引き起こす分子を隠すことによってマクロファージを逃れるメカニズム有する。例えば、カテーテルおよびペースメーカーなどの生物医学的装置の埋め込みの間に、細菌は、その周囲に高密度バイオフィルムを形成して認識を回避し、大きな感染問題を引き起こし、これによって、クリニックへの救命技術の移行が妨げられている。提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、システム、または宿主細胞は、これらのTLRを「再度繋げて」、細菌ではなくてバイオフィルムそれ自体の成分を認識することができ、その結果、マクロファージが忌避メカニズムによって活性化され、感染を破壊し、それにより、これらの装置がより安全に埋め込まれることが可能になる。
【0097】
いくつかの態様では、方法は、投与されるキメラ膜貫通受容体を膜外シグナルに曝露する工程をさらに含む。膜外シグナルへのキメラ膜貫通受容体の曝露は、例えば、治療的に有効な量の膜外シグナルを対象に導入することを含むことができる。
【0098】
態様
以下の態様が企図される。特徴と態様のすべての組み合わせが企図される。
態様1: キメラ膜貫通受容体ポリペプチドによる膜外シグナルの認識によりオリゴマー化するように構成されたキメラ膜貫通受容体ポリペプチドであって、
膜外ドメイン;膜貫通ドメイン;およびキメラ膜貫通受容体ポリペプチドのオリゴマー化により1つまたは複数の膜内シグナル経路の活性化を誘導するように構成されている、膜内ドメイン
を含む、キメラ膜貫通受容体ポリペプチド。
態様2: キメラ膜貫通受容体ポリペプチドが、膜外シグナルの認識により二量体化するように構成されており、膜内ドメインが、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの二量体化により1つまたは複数の膜内シグナル経路の活性化を誘導するように構成されている、態様1の態様。
態様3: 膜外ドメインが、FK506結合タンパク質(FKBP)ファミリードメイン、BET(bromodomain and extra terminal domain)ファミリードメイン、ジベレリン非感受性矮性(GID)ファミリードメイン、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)ファミリードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、態様1の態様。
態様4: 膜外ドメインが、可溶性N-エチルマレイミド感受性因子(NSF)付着タンパク質(SNAP)受容体ドメイン、ビオチン受容体ドメイン、上皮増殖因子受容体ドメイン、エストロゲン受容体ドメイン、アンドロゲン受容体ドメイン、インスリン受容体ドメイン、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)ドメイン、AXL受容体型チロシンキナーゼドメイン、単鎖可変断片(scFv)ドメイン、ナノボディドメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、態様1の態様。
態様5: 膜外ドメインが、Toll様受容体(TLR)ファミリードメイン、ErbB受容体ファミリードメイン、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)受容体ファミリードメイン、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリードメイン、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメイン、トロポミオシン受容体キナーゼ(trk)ファミリードメイン、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)受容体ファミリードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、態様1の態様。
態様6: 膜貫通ドメインが、TLRファミリードメイン、ErbB受容体ファミリードメイン、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、TGFβ受容体ファミリードメイン、TNF受容体ファミリードメイン、IgSFドメイン、trkファミリードメイン、GDNF受容体ファミリードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、態様1~5の態様のいずれかの態様。
態様7: 膜内ドメインが、TLRファミリードメイン、ErbB受容体ファミリードメイン、I型サイトカイン受容体ファミリードメイン、II型サイトカイン受容体ファミリードメイン、TGFβ受容体ファミリードメイン、TNF受容体ファミリードメイン、IgSFドメイン、trkファミリードメイン、GDNF受容体ファミリードメイン、遺伝子編集ヌクレアーゼドメイン、転写コントローラードメイン、RNAコントローラードメイン、タンパク質コントローラードメイン、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、態様1~6の態様のいずれかの態様。
態様8: 1つまたは複数のさらなる膜外ドメインをさらに含む、態様1~7の態様のいずれかの態様。
態様9: 1つまたは複数のさらなる膜内ドメインをさらに含む、態様1~8の態様のいずれかの態様。
態様10: シグナルペプチドをさらに含む、態様1~9の態様のいずれかの態様。
態様11: シグナルペプチドが、TLRファミリーシグナルペプチド、CD3εシグナルペプチド、CD8αシグナルペプチド、IgKシグナルペプチド、IgLシグナルペプチド、マウスCD4シグナルペプチド、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、態様10の態様。
態様12: シグナルペプチドが、オリゴマー化ペプチド、クラスター化促進ペプチド、抗クラスター化ペプチド、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、態様10の態様。
態様13: 1つまたは複数のリンカーペプチド配列をさらに含む、態様1~12の態様のいずれかの態様。
態様14: 1つまたは複数のリンカーペプチド配列が、GGSリンカー配列、GGSGGSGGSリンカー配列、GSリンカー配列、GSGSGSリンカー配列、ESKYGPPAPPAP(突然変異IgG4ヒンジ)リンカー配列、ESKYGPPCPPCP(IgG4ヒンジ)、またはそれらの組み合わせを含む、態様13の態様。
態様15: 1つまたは複数のリンカーペプチド配列が、オリゴマー化ペプチド配列、クラスター化促進ペプチド配列、抗クラスター化ペプチド配列、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む、態様13の態様。
態様16: 膜外シグナルが、膜外ドメインに結合することができるリガンドを含む、態様1~15の態様のいずれかの態様。
態様17: リガンドが小分子を含む、態様16の態様。
態様18: リガンドがオリゴヌクレオチドを含む、態様16の態様。
態様19: リガンドがペプチド、タンパク質、多糖、脂質、またはそれらの組み合わせを含む、態様16の態様。
態様20: リガンドが抗体、ナノボディ、またはscFvを含む、態様16の態様。
態様21: リガンドが代謝物を含む、態様16の態様。
態様22: 膜外シグナルが温度またはpHの変化を含む、態様1~15の態様のいずれかの態様。
態様23: 膜外シグナルが音または電磁放射線の変化を含む、態様1~15の態様のいずれかの態様。
態様24: 膜外シグナルが、機械的な力の変化を含む、態様1~15の態様のいずれかの態様。
態様25: 1つまたは複数の膜内シグナル経路のうちの少なくとも1つが外因性経路である、態様1~24の態様のいずれかの態様。
態様26: 1つまたは複数の膜内シグナル経路のうちの少なくとも1つが合成経路である、態様1~24の態様のいずれかの態様。
態様27: 1つまたは複数の膜内シグナル経路が、ゲノム配列編集、転写の活性化もしくは抑制、エピジェネティック修飾、ゲノムの転座および再編成、RNAの発現もしくは分解、RNAのスプライシングもしくはプロセシング、mRNAもしくはncRNAの転写後修飾、タンパク質の翻訳後修飾、タンパク質の切断もしくはプロテオリシス、代謝物もしくは他の化学現象に関する生成もしくは分解、シグナリング分子の輸送、細胞周期制御、細胞の分化もしくは再プログラミング、T細胞の活性化もしくは疲弊、プログラム細胞死、細胞輸送、サイトカインもしくはホルモンの分泌、ニューロン活性、マクロファージ食作用、好中球NETポプトーシス、免疫シナプス形成、骨髄系細胞脱顆粒、抗原提示、抗体の分泌もしくは高頻度突然変異、腫瘍溶解性ウイルスの生成、またはそれらの組み合わせを含む、態様1~26の態様のいずれかの態様。
態様28: 膜外領域を膜内領域から分離する膜;膜外ドメインが膜外領域内に位置し、膜内ドメインが膜内領域内に位置する、態様1~27の態様のいずれかのキメラ膜貫通受容体ポリペプチド
を含む、システム。
態様29: 膜が細胞膜、核膜、オルガネラ膜、または小胞膜である、態様28の態様。
態様30: トランス作用受容体ポリペプチドをさらに含む、態様28または29の態様。
態様31: トランス作用受容体ポリペプチドが、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞抗原受容体(TCR)、合成ノッチ(SynNotch)受容体、GPCR TANGO受容体、CRISPR ChaCha受容体、B細胞受容体(BCR)、C型レクチン様受容体Ly49、CD94-NKG2C/E/Hヘテロ二量体受容体、NKG2D受容体、DNAM-1/CD226ネクチン/ネクチン様結合受容体、CRTAMネクチン/ネクチン様結合受容体、自然細胞傷害性受容体(NCR)ファミリーのメンバー、CD64 Fc受容体、CD32 Fc受容体、CD16a Fc受容体、CD16b Fc受容体、CD23 Fc受容体、CD89 Fc受容体、CD351 Fc受容体、FcεRI Fc受容体、またはFcRn Fc受容体である、態様30の態様。
態様32: 態様1~27の態様のいずれかのキメラ膜貫通受容体ポリペプチドまたは態様28~31の態様のいずれかのシステムを含む、宿主細胞の態様の複数の態様のいずれかの態様。
態様33: 宿主細胞がキメラ膜貫通受容体ポリペプチドを発現する、態様32の態様。
態様34: 宿主細胞がリンパ球、食細胞、顆粒球細胞、または樹状細胞である、態様32または33の態様。
態様35: リンパ球が、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、または自然リンパ球系細胞(ILC)である、態様34の態様。
態様36: T細胞が、CD4+ヘルパーαβT細胞、CD8+キラーαβT細胞、δγT細胞、またはナチュラルキラーT(NKT)細胞である、態様35の態様。
態様37: 食細胞が単球またはマクロファージである、態様34の態様。
態様38: 顆粒球細胞が、好中球、好塩基球、好酸球、または肥満細胞である、態様34の態様。
態様39: 宿主細胞が幹細胞または前駆細胞である、態様32または33の態様。
態様40: 宿主細胞が人工多能性幹細胞(iPSC)、胚性幹細胞(ESC)、成体幹細胞、または間葉系幹細胞(MSC)である、態様39の態様。
態様41: 前駆細胞が、神経前駆細胞、骨格前駆細胞、筋前駆細胞、脂肪前駆細胞、心臓前駆細胞、軟骨細胞、または膵臓前駆細胞である、態様39の態様。
態様42: 宿主細胞の集団であって、集団の各宿主細胞が独立して、態様1~27の態様のいずれかのキメラ膜貫通受容体ポリペプチドまたは態様28~31の態様のいずれかのシステムを含む、宿主細胞の集団。
態様43: 態様1~27の態様のいずれかのキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、態様28~31の態様のいずれかのシステム、態様32~41の態様のいずれかの宿主細胞、または態様42の宿主細胞の集団を提供する工程を含む、膜内シグナル経路を活性化するための方法。
態様44: キメラ膜貫通受容体を膜外シグナルに曝露する工程をさらに含む、態様43の態様。
態様45: ある量の、態様1~27の態様のいずれかのキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、態様28~31の態様のいずれかのシステム、態様32~41の態様のいずれかの宿主細胞、または態様42の宿主細胞の集団を対象に投与する工程を含み、ある量が、疾患を防止または処置するために治療的に有効な量である、対象において疾患を防止または処置するための方法。
態様46: 投与する工程の後に、キメラ膜貫通受容体を膜外シグナルに曝露する工程をさらに含む、態様45の態様。
態様47: 曝露する工程が、治療的に有効な量の膜外シグナルを対象に導入することを含む、態様46の態様。
態様48: 疾患ががんである、態様45~47の態様のいずれかの態様。
態様49: 疾患ががん性腫瘍である、態様45~47の態様のいずれかの態様。
態様50: がん性腫瘍が固形がん性腫瘍である、態様49の態様。
態様51: がん性腫瘍が液状がん性腫瘍である、態様49の態様。
態様52: 疾患が感染症である、態様45~47の態様のいずれかの態様。
態様53: 感染症がウイルス感染症または細菌感染症である、態様52の態様。
態様54: 疾患が自己免疫疾患である、態様45~47の態様のいずれかの態様。
態様55: 疾患が加齢性疾患である、態様45~47の態様のいずれかの態様。
態様56: ある量の、態様1~27の態様のいずれかのキメラ膜貫通受容体ポリペプチド、態様28~31の態様のいずれかのシステム、態様32~41の態様のいずれかの宿主細胞、または態様42の宿主細胞の集団を対象に投与する工程を含み、ある量が、創傷を治癒するために治療的に有効な量である、対象において創傷を治癒するための方法。
態様57: 投与する工程の後に、キメラ膜貫通受容体を膜外シグナルに曝露する工程をさらに含む、態様56の態様。
態様58: 曝露する工程が、治療的に有効な量の膜外シグナルを対象に導入することを含む、態様57の態様。
【実施例
【0099】
本開示は、以下の非限定的実施例を考慮してより良く理解されると考えられる。以下の実施例は、例示目的のみを意図し、本発明の範囲を決して限定しない。
【0100】
以下の実施例のそれぞれでは、標準的な分子クローニング技法を行って、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドの成分をコードする核酸配列をプラスミド骨格上にアセンブルした。プラスミドをHEK293T細胞にトランスフェクトして、レンチウイルスを作出した。レンチウイルスをすべての細胞株に形質導入して、受容体操作細胞を作出した。蛍光レポーターによって前記受容体の存在を決定した。受容体操作ジャーカット細胞またはジャーカット-NFκβ-GFPおよび/もしくはジャーカット-NFAT-GFPレポーター細胞を活性化因子で8~24時間処理した。フローサイトメトリーを介した抗体染色またはGFP発現によって、受容体活性を測定した。
【0101】
実施例1. 小分子活性化因子を認識する受容体ポリペプチドの細胞外操作
優れたスキャフォールド特性を持つtoll様受容体(TLR)と呼ばれる天然のレセプターのクラスを使用して、キメラ膜貫通受容体ポリペプチドを構築した。TLRは天然に膜に結合しており、細菌を含めた生命のすべてのアームで見出され、これにより、操作を受けることができることが示される。さらに、TLRは、可溶性因子誘導性オリゴマー化によって活性化する単量体として存在する。TLRは、シグナル結合を制御する細胞外ドメイン(ECD)、局在を決定する膜貫通ドメイン(TMD)、およびシグナル経路を制御する細胞内ドメイン(ICD、toll/インターロイキン-1受容体(TIR)相同性ドメイン)を含むI型膜貫通受容体である。表1は、受容体のTLRファミリーの異なるメンバーに関する情報を示す。
【0102】
(表1)TLRファミリー受容体
【0103】
最初のモデルシステムは、フラジェリン(細菌の鞭毛の成分)に結合し、炎症誘発シグナルをオンにする細胞膜結合型受容体である、TLR5に焦点を合わせた。ホモ二量体化ヒト細胞内FK506ラパログ結合ドメイン、FKBP由来のドメインの突然変異導入形態をIgG4ヒンジリンカー配列によってヒトToll様受容体5(hTLR5)膜貫通ドメインに接続した。FKBPドメインは、ラパログAP20187(二価、小分子)を加えることで、ホモ二量体化することができる(A/Aシステム)。hTLR5膜貫通ドメインをhTLR5 Toll/Il-1受容体(TIR)ドメインに直接接続した。前記受容体は、細胞局在を改善するために、マウスCD4のシグナリングペプチドのN末端融合も有していた。この場合、操作された受容体は細胞膜上にあり、そこで、細胞外ラパログの結合が前記受容体のホモ二量体化を誘導し、細胞内TIRドメインのホモ二量体化を引き起こして、自然免疫システムの中心的な活性化経路であるMyD88依存的経路を活性化する。図2のグラフは、AP20187活性化因子で8~24時間処理した受容体操作ジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞についてNFκβ活性をプロットし、これは、膜内シグナル経路の活性化を実証するものである。
【0104】
結合ドメインを再指示して可溶性因子レパートリーを広げるようにTLR5 ECDをトランケートする場所を決定するために、FKBPに融合するより前にECDも特定の位置で系統的にトランケートした。結果は、トランケートされたFKBP-TLR5受容体をAP20187で活性化できるが、内因性TLR5リガンドのフラジェリンでは活性化できないことを示した。図3のグラフは、トランケートされた受容体コンストラクトを用いて、または用いずに操作され、AP20187活性化因子で8~24時間処理したジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットする。図4のグラフは、トランケートされた受容体コンストラクトを用いて、または用いずに操作され、フラジェリン活性化因子で8~24時間処理したジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットする。図5のグラフは、受容体を用いて、または用いずに操作され、AP20187もしくはフラジェリン活性化因子で、またはこれらなしで8~24時間処理したジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットする。図6のグラフは、0.01~1000nMの用量範囲のAP20187活性化因子で8~24時間処理した、受容体操作ジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットする。まとめると、これらの結果は、カスタムリガンドによって活性化し、内因性入力シグナルに直交するように提供される受容体を操作することができることを実証するものである。
【0105】
2つの異なる受容体コンストラクトを二量体することによってヘテロ二量体化すると活性化するように受容体をさらに改変した(A/Bシステム)。FKBPは、AP21967(タンパク質-タンパク質相互作用を誘導する大環状小分子)を加えることで、FKBP-ラパマイシン-結合(FRB。ヒトmTORのタンパク質断片)とヘテロ二量体化し、AP21967を用いてFKBP-TLR5/FRB-TLR5モデル受容体システムを操作し、活性化した。図7のグラフは、AP21967活性化因子を用いて、または用いずに8~24時間処理した、受容体操作ジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットし、これは、二量体化システムによる膜内シグナル経路の活性化を実証するものである。
【0106】
受容体ECDを、内因性タンパク質を越えて小分子に結合する操作されたナノボディにも広げた。例えば、図8は、操作され、非対称単量体小分子、カフェインによる処理によって活性化される、ナノボディが融合したキメラ膜貫通受容体ポリペプチド(Nb-TLR5)についての結果を示す。図8のグラフは、カフェイン活性化因子を用いて、または用いずに8~24時間処理した、受容体操作ジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットする。このデータは、ホモオリゴマー化活性化モードまたはヘテロオリゴマー化活性化モードのいずれかを介して可溶性因子を認識することができる結合ドメインを用いて、提供される受容体を任意の可溶性因子入力に対して操作することができることをさらに示す。
【0107】
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドが多量体小分子を含むリガンドを認識する能力も実証された。例えば、図10は、それぞれ合成Mcl-1分子接着剤小分子のカスタムホモ二量体であった異なる活性化因子の受容体認識についての結果を示す。ホモ二量体は、PEG1(活性化因子1)、PEG3(活性化因子2)、およびPEG7(活性化因子3)の長さのペグ化リンカーを含んでいた。図10のグラフは、異なるペグ化リンカー長の二量体Mcl-1小分子活性化因子を用いて、または用いずに8~24時間処理した、受容体操作ジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットする。さらに、図19および20は、ビオチンの四量体であった活性化因子の受容体認識についての結果を示す。図19のグラフは、四量体ビオチン小分子活性化因子を用いて、または用いずに8~24時間処理した、受容体操作ジャーカット-NFAT-GFPレポーター細胞について、NFAT活性をプロットする。図20のグラフは、四量体ビオチン小分子活性化因子を用いて、または用いずに8~24時間処理した、受容体操作ジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットする。
【0108】
実施例2. ペプチド活性化因子を認識する受容体ポリペプチドの細胞外操作
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドがペプチドまたはタンパク質を含むリガンドを認識する能力も実証された。例えば、図14は、天然上皮増殖因子(EGF)タンパク質の受容体認識についての結果を示す。図14のグラフは、EGF活性化因子を用いて、または用いずに8~24時間処理した、受容体操作ジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットし、これは、ペプチドリガンドの存在下での膜内シグナル経路の選択的活性化を実証するものである。
【0109】
実施例3. オリゴヌクレオチド活性化因子を認識する受容体ポリペプチドの細胞外操作
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドがオリゴヌクレオチドを含むリガンドを認識する能力も実証された。例えば、図16は、二本鎖DNAスキャフォールドリンカーに連結されたオリゴヌクレオチド配列を含む三量体DNAオリガミ構造の受容体認識についての結果を示す。図16のグラフは、三量体オリゴヌクレオチド活性化因子を用いて、または用いずに8~24時間処理した、受容体操作ジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットし、これは、オリゴヌクレオチドリガンドの存在下での膜内シグナル経路の活性化を選択的に実証するものである。さらに、図15は、2、3、または4個のビオチン分子を含むビオチンコンジュゲート化オリゴヌクレオチド(DNAオリガミ)活性化因子の受容体認識についての結果を示す。図15のグラフは、二量体、三量体、または四量体のビオチンコンジュゲート化オリゴヌクレオチドリガンドを用いて、または用いずに8~24時間処理した、受容体操作ジャーカット細胞について、CD69の表面発現レベルをプロットする。
【0110】
実施例4. 受容体の発現および局在
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの発現および局在をシグナルペプチド(SP)および膜貫通ドメイン(TMD)を介して操作した。SPは、宿主細胞が受容体をプロセッシングし、例えば細胞膜に輸送する能力に影響を及ぼす。SPの選択は、図9に示すように、FKBP-TLR5受容体の活性化能に影響がある。図9のグラフは、3種類の異なるシグナルペプチドを有する、受容体操作ジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットし、前記細胞は、AP20187活性化因子を用いて、または用いずに8~24時間処理した。
【0111】
TMDのドメインスワッピングも細胞局在を制御するために使用することができる。例えば、TLR5 TMDは、受容体を細胞膜結合型(TLR5)受容体からエンドソーム結合型(TLR7)受容体に再指示するために、エンドソームのTLR7 TMDとスワップされた。そのような成功した受容体局在制御によって、カスタムシグナル出力を用いて、エンドソームおよびエキソソーム間隙のサンプリングが可能になり、これは、免疫細胞、例えばマクロファージで用途がある。
【0112】
実施例5. TLRファミリー内での受容体ポリペプチドの細胞内ドメイン操作
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドとの使用に対する、TLR5のもの以外のTLRファミリー受容体ドメインの適合性も実証された。例えば、図11は、FKBPをTLR4由来のドメインに連結することによって構築されたキメラ膜貫通受容体ポリペプチドについての結果を示す。グラフは、AP20187活性化因子を用いて、または用いずに8~24時間処理した、受容体操作ジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットし、これは、TLR4ベースの受容体が、図2のTLR5ベースの受容体と同様に膜内シグナル経路を活性化することができることを示すものである。
【0113】
受容体ファミリー内での細胞内ドメインスワッピングの適合性を図12に示す。図12のグラフは、FKBP細胞外ドメインをTLR5膜貫通ドメインに、TLR4細胞内ドメインに連結することによって構築された膜貫通受容体ポリペプチドの結果を示す。グラフは、AP20187活性化因子を用いて、または用いずに8~24時間処理した、受容体操作ジャーカット-NFκβ-GFPレポーター細胞について、NFκβ活性をプロットし、これは、TLR4/TLR5キメラが膜内シグナリング経路を活性化することができることを実証するものである。
【0114】
実施例6. TLRファミリー外での受容体ポリペプチドの細胞内ドメイン操作
提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、TLRファミリーを超えた新しい細胞内ドメインを介してシグナリング経路を活性化することができる。図13は、FKBP細胞外ドメイン、TLR4膜貫通ドメイン、およびインターロイキン-6 I型サイトカイン受容体(IL6R)細胞内ドメインを含む膜貫通受容体ポリペプチドについての結果を示す。グラフは、AP20187活性化因子を用いて、または用いずに8~24時間処理した、受容体操作HEK293T-STAT3-GFPレポーター細胞のSTAT3活性をプロットし、これは、本受容体構成がこのシグナリング経路を活性化することができることを実証するものである。図17および18は、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインCD3ζおよびCD28を用いた細胞内ドメインスワッピングについて、NFκβおよびNFAT活性のレベルを示す。図20は、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリードメイン4-1BB(CD137)を用いた細胞内ドメインスワッピングについての結果を示す。
【0115】
実施例7. ナチュラルキラー細胞の受容体操作
前記実施例はそれぞれジャーカットがん細胞株由来のT細胞の操作を含むが、提供されるキメラ膜貫通受容体ポリペプチドは、上述したような様々な宿主細胞型を操作するために使用することができる。例えば、図21は、MHC-細胞を死滅させる能力を改善するための、ナチュラルキラー細胞の操作についての結果を示す。図21のグラフは、生細胞イメージングによって測定した場合の、操作されたNK-92細胞の細胞傷害指数をプロットし、これは、操作された細胞に導入されたFKBP-TLR5キメラ膜貫通受容体ポリペプチドに対する活性化因子の在存に応答した、改善された細胞死滅の選択的活性化を実証するものである。
【0116】
前述の開示は、理解を明確にする目的で、例示および例としてある程度詳細に記載してきたが、当業者は、例えば添付の特許請求の範囲の範囲内で、本開示の趣旨および範囲内のある特定の変更および改変を実施することができることを認識するであろう。本開示の局面および様々な列挙される態様および特徴の一部は、全体的または部分的のいずれかで組み合わせるかまたは交換することができることも理解されたい。様々な態様の前述の説明では、当業者によって認識されるように、別の態様に言及する態様は、他の態様と適切に組み合わせることができる。さらに、前述の説明は例示目的に過ぎず、本開示を限定することを意図するものではないことを当業者は認識するであろう。さらに、本明細書において提供される各参考文献は、各参考文献が個々に参照により組み入れられる場合と同じ程度に、すべての目的のためにその全体が参照により組み入れられる。
図1
図2
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図5
図6
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【手続補正書】
【提出日】2023-03-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023536285000001.app
【国際調査報告】