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特表2023-536687マイクロ手術処置のためのロボットシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-29
(54)【発明の名称】マイクロ手術処置のためのロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20230822BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20230822BHJP
   A61F 9/008 20060101ALN20230822BHJP
   A61F 9/01 20060101ALN20230822BHJP
【FI】
A61B34/30
A61F9/007 130B
A61F9/007 130D
A61F9/007 130
A61F9/008 120
A61F9/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580082
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 IB2021056784
(87)【国際公開番号】W WO2022023962
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】63/057,391
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/087,408
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】522497490
【氏名又は名称】フォーサイト ロボティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グロズマン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド,オファー
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA02
4C130AA04
4C130AA13
4C130AA14
4C130AA19
4C130AA22
4C130AA23
4C130AA44
4C130AB01
4C130AB07
4C130AD02
4C130AD05
4C130AD21
4C130AD25
4C130BA02
4C130BA05
(57)【要約】
【課題】 マイクロ手術処置をロボットのように行うための装置及び方法を提供することである。
【解決手段】 1つ以上のツール(21)を使用して患者の体の一部に処置を行うための装置及び方法が記載されている。ロボットユニット(20)が1つ以上のツール(21)を確実に保持するように構成されたツールマウント(30)を備える。多関節アーム(32)がツールマウント(30)の側面に配設され、ツールマウント(30)を可動に支持するように構成されている。少なくとも1つの多関節アーム(32)と関連付けられた複数のアームモータ(34)が、ツールマウント(30)を少なくとも5自由度で動かすように構成されている。ツールマウント(30)と関連付けられた1つ以上のマウントモータ(36)が、ツール(21)をツールマウント(30)に対して第6の自由度で動かすように構成されている。他の適用例も記載されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のツールを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
前記1つ以上のツールを確実に保持するツールマウントと、
前記ツールマウントの側面に配設され、前記ツールマウントを可動に支持する少なくとも1つの多関節アームと、
前記少なくとも1つの多関節アームと関連付けられ、前記ツールマウントを少なくとも5自由度で動かす複数のアームモータと、
前記ツールマウントと関連付けられ、前記ツールを前記ツールマウントに対して第6の自由度で動かす1つ以上のマウントモータと、を備えたロボットユニットを備えた装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの多関節アームが、前記ツールマウントの単一の側面に配設され、前記ツールマウントを可動に支持する2つ以上の多関節アームを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のアームモータが前記ツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かす、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のアームモータが前記ツールマウントを6以上の自由度で動かす、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のアームモータが前記ツールを更なる自由度で動かす、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ロボットユニットが、前記少なくとも1つの多関節アームの複数の関節周りに配置されている1本以上の引張ケーブルと、前記関節に張力を生み出すために張力を前記引張ケーブルに加える引張ケーブルモータとを更に備えることによって、前記多関節アームのバックラッシュを低減する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの多関節アームが、各関節に配設されている垂直リンクと、垂直リンクの隣接する各対の間に延在する平行ビームの各対とを備えることによって、前記多関節アームの前記リンクのそれぞれの端部が、前記アームが動くときも互いに平行のままである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの多関節アームが、前記アームの各関節に配設されたプーリを備えたプーリ・ケーブルシステムであって、前記アームが動くときも前記プーリが一定方向に向いたままとなるように配置されるプーリ・ケーブルシステムを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ツールマウントと関連付けられた前記1つ以上のマウントモータが、前記ツールを前記ツールマウントに対して更なる自由度で動かす、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ツールマウントと関連付けられた前記1つ以上のマウントモータが、前記ツールを前記ツールマウントに対して前記患者の眼の中への物質の注入を制御するように動かす、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上のツールが、それぞれが互いに異なる各外周を有する2つ以上のツールを含み、前記ツールマウントが前記2つ以上のツールのそれぞれを確実に保持する、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ツールマウントが、3mmから20mmの直径を有するツールを確実に保持する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記2つ以上のツールが、ケラトーム刃及び水晶体乳化吸引プローブを備え、前記ツールマウントが、前記ケラトーム刃及び前記水晶体乳化吸引プローブの両方を確実に保持する、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記2つ以上のツールのうちの第1のツールが5から8mmの直径を有し、前記2つ以上のツールのうちの第2のツールが10から14mmの直径を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記ツールマウントが、前記1つ以上のツールを前記ツールマウントに対して回転できるようにすると同時に、前記1つ以上のツールを確実に保持する、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記ツールマウントが、前記1つ以上のツールを中心位置から±80度の範囲で回転できるようにする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
互いに異なる各外周を有する2つ以上のツールを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
各位置の間で調整可能であることによって、各位置のそれぞれにおいて前記ツールのうちの各1つを確実に保持するツールマウントと、
前記ツールマウントの側面に配設され、前記ツールマウントを可動に支持する少なくとも1つのアームと、
前記ツールマウントと関連付けられ、前記ツールが前記ツールマウント内に確実に保持されている間、前記2つ以上のツールのそれぞれを前記ツールマウントに対して回転させる1つ以上のマウントモータと、を備えたロボットユニットを備えた装置。
【請求項18】
前記ツールマウントが、直径が3mmから20mmのツールを確実に保持する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記2つ以上のツールが、ケラトーム刃及び水晶体乳化吸引プローブを備え、前記ツールマウントが、前記ケラトーム刃及び前記水晶体乳化吸引プローブの両方を確実に保持する、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記2つ以上のツールのうちの第1のツールが5から8mmの直径を有し、前記2つ以上のツールのうちの第2のツールが10から14mmの直径を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記1つ以上のマウントモータが、前記2つ以上のツールのそれぞれを前記ツールマウントに対して中心位置から±80度の範囲で回転させる、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記ツールマウントと関連付けられた前記1つ以上のマウントモータが、前記ツールのうちの少なくとも1つを前記ツールマウントに対して更なる自由度で動かす、請求項17から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記ツールマウントと関連付けられた前記1つ以上のマウントモータが、前記ツールのうちの前記少なくとも1つを前記ツールマウントに対して前記患者の眼の中への物質の注入を制御するように動かす、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
眼内手術で使用されるロボットシステムで用いられる方法であって、
人間の眼の各部分の標準的な寸法範囲に基づいて、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するように前記ロボットシステムを訓練すること、並びに
所与の患者の眼に対する白内障手術の前記1つ以上のステップを、
前記眼の少なくとも1つの画像を受信すること、
前記少なくとも1つの画像から前記眼の1つ以上の寸法を決定すること、及び
前記訓練及び決定した前記眼の寸法に基づいて白内障手術の前記1つ以上のステップを実行することによって実行するように前記ロボットシステムをプログラムすることを含む方法。
【請求項25】
白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するように前記ロボットシステムを訓練することが、前記ロボットシステムのコンポーネントに白内障手術の前記1つ以上のステップを実行させるように、前記ロボットシステムと関連付けられた1つ以上のコンピュータプロセッサに指示するアルゴリズムを書くことを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するように前記ロボットシステムを訓練することが、機械学習を利用して、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するように前記ロボットシステムを訓練することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記眼の位置及び向きを前記少なくとも1つの画像から決定することを更に含み、
白内障手術の前記1つ以上のステップを実行することが、前記眼の前記位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の前記1つ以上のステップを実行することを含む、請求項24から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記眼の前記位置及び向きを前記少なくとも1つの画像から決定することが、前記少なくとも1つの画像から前記眼の現在の位置及び向きを決定することを含み、
白内障手術の前記1つ以上のステップを実行することが、前記眼の前記現在の位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の前記1つ以上のステップを実行することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
白内障手術の前記1つ以上のステップを実行することが、
白内障手術の前記1つ以上のステップの実行中に、
前記患者の眼及び前記ロボットシステムの少なくとも一部分のリアルタイム画像を受信すること、及び
前記リアルタイム画像に応答して、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、自動的に動作を実行することを含む、請求項24から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に前記動作を実行することが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、自動的に1つ以上のツールを動かすことを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に前記動作を実行することが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、自動的に前記ロボットシステムの撮像システムの1つ以上のコンポーネントを制御することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に前記動作を実行することが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、自動的に水晶体乳化吸引プローブを制御することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に前記動作を実行することが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、自動的に注入ツールを制御することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に前記動作を実行することが、前記眼が所与の位置にあるときを検出すること、及び前記眼が前記所与の位置にあるときの前記動作の実行時間を決定することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に前記動作を実行することが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的にIOLマニピュレータツールを制御することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に前記IOLマニピュレータツールを制御することが、前記ツールが前記IOLの前記患者の眼の中における精密な位置決めのために前記IOLを前記患者の眼の内部で操作するように前記IOLマニピュレータツールを制御することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に前記動作を実行することが、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、前記動作を実行するためにツールの先端を前記患者の眼に対して望ましいように動かすことを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら前記ツールの前記患者の眼の中への進入を切開点に固定維持することが、前記切開点に位置し、前記ツールの運動の中心であり、前記眼の動きと連動して動く動的な遠隔運動中心を提供することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
眼内手術を行うロボットシステムと、
訓練段階中に、人間の眼の各部分の標準的な寸法範囲に基づいて、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するためのプログラミング指示を受信し、
後段階中に、所与の患者の眼に対する白内障手術の前記1つ以上のステップを、
前記眼の少なくとも1つの画像を受信し、
前記少なくとも1つの画像から前記眼の1つ以上の寸法を決定し、
前記プログラミング指示及び決定した前記眼の寸法に基づいて白内障手術の前記1つ以上のステップを実行することによって前記ロボットシステムに実行させる少なくとも1つのコンピュータプロセッサと、を備えた装置。
【請求項40】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、
前記少なくとも1つの画像から前記眼の位置及び向きを決定し、
前記眼の前記位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の前記1つ以上のステップを実行する、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、
前記少なくとも1つの画像から前記眼の現在の位置及び向きを決定し、
前記眼の前記現在の位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の前記1つ以上のステップを実行する、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、白内障手術の前記1つ以上のステップの実行中に、
前記患者の眼及び前記ロボットシステムの少なくとも一部分のリアルタイム画像を受信し、
前記リアルタイム画像に応答して、前記患者の眼のリアルタイム画像を考慮しながら、自動的に前記ロボットシステムに動作を実行させることによって、
前記ロボットシステムに前記所与の患者の前記眼に対する白内障手術の前記1つ以上のステップを実行させる、請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記装置が1つ以上のツールと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、前記ロボットシステムを駆動して自動的に前記1つ以上のツールを動かす、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記装置が撮像システムと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、前記撮像システムの1つ以上のコンポーネントを自動的に制御する、請求項42に記載の装置。
【請求項45】
前記装置が水晶体乳化吸引プローブと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、前記ロボットシステムに前記水晶体乳化吸引プローブを制御させる、請求項42に記載の装置。
【請求項46】
前記装置が注入ツールと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、前記ロボットシステムに前記注入ツールを制御させる、請求項42に記載の装置。
【請求項47】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記眼が所与の位置にあるときを検出し、前記ロボットシステムに前記眼が前記所与の位置にあるときの動作の実行時間を決定させる、請求項42に記載の装置。
【請求項48】
前記装置がIOLマニピュレータツールと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら前記ロボットシステムに前記IOLマニピュレータツールを制御させる、請求項42に記載の装置。
【請求項49】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記ツールが前記IOLの前記患者の眼の中における精密な位置決めのために前記IOLを前記患者の眼の内部で操作するように、前記ロボットシステムに前記IOLマニピュレータツールを制御させる、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記装置がツールと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、前記ロボットシステムを駆動して、前記動作を実行するために前記ツールの先端を前記患者の眼に対して望ましいように動かす、請求項42に記載の装置。
【請求項51】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記切開点に位置し、前記ツールの運動の中心であり、前記眼の動きと連動して動く動的な遠隔運動中心を前記ロボットシステムに提供させる、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
眼内手術を行うロボットシステムと、
機械学習を介して訓練が行われる訓練段階中に、人間の眼の各部分の標準的な寸法範囲に基づいて、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行し、
後段階中に、所与の患者の眼に対する白内障手術の前記1つ以上のステップを、
前記眼の少なくとも1つの画像を受信し、
前記少なくとも1つの画像から前記眼の1つ以上の寸法を決定し、
前記プログラミング指示及び決定した前記眼の前記寸法に基づいて白内障手術の前記1つ以上のステップを実行することによって前記ロボットシステムに実行させる1つ以上のコンピュータプロセッサと、を備えた装置。
【請求項53】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、
前記少なくとも1つの画像から前記眼の位置及び向きを決定し、
前記眼の前記位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の前記1つ以上のステップを実行する、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、
前記少なくとも1つの画像から前記眼の現在の位置及び向きを決定し、
前記眼の前記現在の位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の前記1つ以上のステップを実行する、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、白内障手術の前記1つ以上のステップの実行中に、
前記患者の眼及び前記ロボットシステムの少なくとも一部分のリアルタイム画像を受信し、
前記リアルタイム画像に応答して、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、自動的に前記ロボットシステムに動作を実行させることによって、
前記所与の患者の前記眼に対する白内障手術の前記1つ以上のステップを前記ロボットシステムに実行させる、請求項52に記載の装置。
【請求項56】
前記装置が1つ以上のツールと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、前記ロボットシステムを駆動して自動的に前記1つ以上のツールを動かす、請求項55に記載の装置。
【請求項57】
前記装置が撮像システムと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、前記撮像システムの1つ以上のコンポーネントを自動的に制御する、請求項55に記載の装置。
【請求項58】
前記装置が水晶体乳化吸引プローブと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、前記ロボットシステムに前記水晶体乳化吸引プローブを制御させる、請求項55に記載の装置。
【請求項59】
前記装置が注入ツールと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、前記ロボットシステムに前記注入ツールを制御させる、請求項55に記載の装置。
【請求項60】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記眼が所与の位置にあるときを検出し、前記ロボットシステムに前記眼が前記所与の位置にあるときの動作の実行時間を決定させる、請求項55に記載の装置。
【請求項61】
前記装置がIOLマニピュレータツールと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら前記ロボットシステムに前記IOLマニピュレータツールを制御させる、請求項55に記載の装置。
【請求項62】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記ツールが前記IOLの前記患者の眼の中における精密な位置決めのために前記IOLを前記患者の眼の内部で操作するように前記ロボットシステムに前記IOLマニピュレータツールを制御させる、請求項61に記載の装置。
【請求項63】
前記装置がツールと共に使用されるものであり、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、前記ロボットシステムを駆動して前記動作を実行するために前記ツールの先端を前記患者の眼に対して望ましいように動かす、請求項55に記載の装置。
【請求項64】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサが、前記切開点に位置し、前記ツールの運動の中心であり、前記眼の動きと連動して動く動的な遠隔運動中心を前記ロボットシステムに提供させる、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
先端を有するツールを使用して患者の眼に対して眼内手術を行うための装置であって、
前記ツールを確実に保持し、前記ツールの前記患者の眼の中への進入が切開点を経由し、前記ツールの前記先端が前記患者の眼の中に配置されるように前記ツールを前記患者の眼に中に挿入するツールマウントと、
前記ツールマウントの単一の側面に配設され、前記ツールマウントを可動に支持する1つ以上の多関節アームと、を備えたロボットユニットと、
前記患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記処置の前記一部を行うために前記ツールの前記先端を前記眼に対して望ましいように動かすことによって前記ロボットユニットに行わせるコンピュータプロセッサと、を備えた装置。
【請求項66】
前記患者の眼の画像を取得する撮像デバイスを更に備え、前記コンピュータプロセッサが、
前記患者の眼の前記画像を受信し、
前記画像を解析することによって前記患者の眼の3次元の動きを検出し、
検出した前記患者の眼の動きに応答して、前記ロボットユニットを駆動して、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記処置の前記一部を行うために前記ツールの前記先端を前記眼に対して望ましいように動かす、請求項65に記載の装置。
【請求項67】
前記1つ以上の多関節アームが、前記ツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かし、前記コンピュータプロセッサが、前記1つ以上の多関節アームを駆動して、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記ツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かす、請求項65又は請求項66に記載の装置。
【請求項68】
前記1つ以上の多関節アームが、前記ツールマウントを中心方位から±25度のヨー角回転によって動かし、前記コンピュータプロセッサが、前記1つ以上の多関節アームを駆動して、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記ツールマウントを前記中心方位から±25度のヨー角回転によって動かす、請求項67に記載の装置。
【請求項69】
前記1つ以上の多関節アームが、前記ツールマウントを開始ピッチから60度のピッチ角回転によって動かし、前記コンピュータプロセッサが、前記1つ以上の多関節アームを駆動して、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記ツールマウントを前記開始ピッチから60度のピッチ角回転によって動かす、請求項67に記載の装置。
【請求項70】
前記ツールマウントが、前記ツールを前記ツールマウントに対して回転できるようにし、前記コンピュータプロセッサが、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記ツールを前記ツールマウントに対して回転させる、請求項65又は請求項66に記載の装置。
【請求項71】
前記ツールマウントが、前記ツールを中心位置から±80度のロール角回転によって前記ツールマウントに対して回転できるようにし、前記コンピュータプロセッサが、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記ツールを前記中心位置から±80度のロール角回転によって前記ツールマウントに対して回転させる、請求項70に記載の装置。
【請求項72】
前記コンピュータプロセッサが、前記切開点に位置する、前記ツールの運動の中心である動的な遠隔運動中心を前記ロボットユニットに提供させる、請求項65又は請求項66に記載の装置。
【請求項73】
前記コンピュータプロセッサが、前記眼の動きと連動して動く動的な遠隔運動中心を提供することによって、前記動的な遠隔運動中心を前記ロボットユニットに提供させ、これによって前記患者の眼が3次元の動きを経験するときでさえ前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持する、請求項72に記載の装置。
【請求項74】
先端を有するツールを使用して患者の眼に対して眼内手術を行う方法であって、
前記ツールをロボットユニットのツールマウント内に固定すること、
前記ツールの前記患者の眼の中への進入が切開点を経由し、前記ツールの前記先端が前記患者の眼の中に配置されるように、前記ロボットユニットを駆動して前記ツールを前記患者の眼の中に挿入すること、及び
コンピュータプロセッサを使用して、前記患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記処置の前記一部を行うために前記ツールの前記先端を前記眼に対して望ましいように動かすことによって前記ロボットユニットに行わせることを含む方法。
【請求項75】
前記コンピュータプロセッサを使用して、
前記患者の眼の前記画像を受信すること、
前記画像を解析することによって、前記患者の眼の3次元の動きを検出すること、及び
検出した前記患者の眼の前記動きに応答して、前記ロボットユニットを駆動して、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記処置の前記一部を行うために前記ツールの前記先端を前記眼に対して望ましいように動かすことを更に含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、前記処置の前記一部を行うために前記ツールの前記先端を前記眼に対して望ましいように動かすことによって前記ロボットユニットに実行させることが、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記ロボットユニットを駆動して前記ツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かす、請求項74又は請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記ロボットユニットを駆動して前記ツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かすことが、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記ロボットユニットを駆動して前記ツールマウントを中心方位から±25度のヨー角回転によって動かすことを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記ロボットユニットを駆動して前記ツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かすことが、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記ロボットユニットを駆動して前記ツールマウントを開始ピッチから60度のピッチ角回転によって動かすことを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、前記処置の前記一部を行うために前記ツールの前記先端を前記眼に対して望ましいように動かすことによって前記ロボットユニットに行わせることが、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記ツールを前記ツールマウントに対して回転させることを含む、請求項74又は請求項75に記載の方法。
【請求項80】
前記ツールを前記ツールマウントに対して回転させることが、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記ツールを前記ツールマウントに対して中心位置から±80度のロール角回転によって回転させることを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持しながら、前記処置の前記一部を行うために前記ツールの前記先端を前記眼に対して望ましいように動かすことによって前記ロボットユニットに行わせることが、前記切開点に位置し、前記ツールの運動の中心である動的な遠隔運動中心を提供することを含む、請求項74又は請求項75に記載の方法。
【請求項82】
前記動的な遠隔運動中心を提供することが、前記眼の動きと連動して動く動的な遠隔運動中心を提供することを含むことによって、前記患者の眼が3次元の動きを経験するときでさえ、前記ツールの前記患者の眼の中への進入を前記切開点に固定維持する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
1つ以上のツールを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
前記ツールを6自由度で動かすロボットユニットと、
ユーザによって動かされる少なくとも1つの制御コンポーネントアームを備えた制御コンポーネントであって、前記制御コンポーネントアームが、
先端を画定する制御コンポーネントツール、
少なくとも6つの関節、
それぞれが前記関節のうちの各1つに結合され、前記各関節の動きを検出し、これに応答して前記制御コンポーネントツールの前記先端のXYZ位置を示す回転エンコーダデータを生成する3つの回転エンコーダ、及び
3軸加速度計、3軸ジャイロスコープ、及び3軸磁力計からなるグループから選択された少なくとも1つのセンサを備え、前記制御コンポーネントツールの前記先端の向きを示す慣性測定ユニットデータを生成する慣性測定ユニット、を備えた制御コンポーネントと、
前記回転エンコーダデータ及び前記慣性測定ユニットデータを受信し、
前記回転エンコーダデータ及び前記慣性測定ユニットデータの組み合わせに基づいて、前記制御コンポーネントツールの前記先端の前記XYZ位置及び前記向きを決定し、
これに応答して前記ロボットユニットを動かすコンピュータプロセッサと、を備えた装置。
【請求項84】
前記制御コンポーネントが、前記制御コンポーネントアームの動作中に前記ユーザの手首を支持する1つ以上の手首支持要素を備える、請求項83に記載の装置。
【請求項85】
前記制御コンポーネントが、前記患者の体の前記一部及び前記1つ以上のツールのリアルタイムの立体画像を前記ユーザに表示する内蔵立体ディスプレイを備える、請求項83に記載の装置。
【請求項86】
前記装置が少なくとも第1及び第2のツールと共に使用されるものであり、
前記ロボットユニットが、前記第1のツールを6自由度で動かす第1の部分と、前記第2のツールを6自由度で動かす第2の部分とを備え、
前記少なくとも1つの制御コンポーネントアームが、前記制御コンポーネントアームのうちの第1の制御コンポーネントアームが前記ユーザの右手で動かされ、前記制御コンポーネントアームのうちの第2の制御コンポーネントアームが前記ユーザの左手で動かされる2つの制御コンポーネントアームを含み、
前記コンピュータプロセッサが、前記制御コンポーネントアームのうちの前記第1の制御コンポーネントアームの動きに応答して前記ロボットユニットの前記第1の部分を制御し、前記制御コンポーネントアームのうちの前記第2の制御コンポーネントアームの動きに応答して前記ロボットユニットの前記第2の部分を制御する、請求項83から85のいずれか一項に記載の装置。
【請求項87】
前記第1及び第2の制御コンポーネントアームが互いに対して非対称である、請求項86に記載の装置。
【請求項88】
前記患者の体の前記一部及び前記1つ以上のツールのリアルタイム画像を前記ユーザに表示するヘッドマウントディスプレイを更に備えた、請求項83から85のいずれか一項に記載の装置。
【請求項89】
前記ヘッドマウントディスプレイが、前記患者の体の前記一部及び前記1つ以上のツールのリアルタイムの立体画像を前記ユーザに表示する立体ヘッドマウントディスプレイを備える、請求項88に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、
2020年7月28日に出願された「Robotic system for microsurgical procedures」と題するGlozmanらによる米国仮特許出願第63/057,391号、及び
2020年10月5日に出願された「Control component for microsurgical robotic system」と題するGlozmanらによる米国仮特許出願第63/087,408号の優先権を主張するものである。
【0002】
上記の米国仮出願はいずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明の一部の適用例は概して医用装置及び方法に関する。具体的には、本発明の一部の適用例は、マイクロ手術処置をロボットのように行うための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
白内障手術は、混濁(白内障として知られている)を発症した眼の自然のレンズを除去すること、及びこれを眼内レンズと交換することからなる。かかる手術は通常、順次行われる複数の標準的なステップを伴う。
【0005】
第1ステップにおいて、患者の顔の眼の周りが(通常、ヨード溶液で)消毒され、顔が無菌ドレープで覆われて眼だけが露出される。消毒及びドレーピングが完了すると、通常は点眼液の形態で投与される局部麻酔薬を使用して眼に麻酔がかけられる。次いで眼球が上下の眼瞼を開いたままに保つ開瞼器を使用して露出される。眼の角膜に1回以上の切開(通常、2又は3回の切開)が行われる。切開は通常、ケラトーム刃と呼ばれる専用刃を使用して行われる。この段階において、眼に更に麻酔をかけるために、通常、眼の前眼房にリドカインが注入される。このステップに続いて、角膜切開によって粘弾性物質注入が施される。粘弾性物質注入を行うのは、前眼房を安定させるため、及び処置の残り時間の間眼圧を維持するのを助けるため、更に水晶体嚢を拡張するためである。
【0006】
嚢切開として知られている後段階において、前水晶体嚢の一部が除去される。レーザを利用した嚢切開、(精密ナノパルス技術を利用する)zeptoを使用した切開、及びマーカーを利用した嚢切開(嚢開放に望ましいサイズを示すために、角膜に規定のマーカーを使用して印が付けられる)などの様々な強化技術が、嚢切開を行うために開発されている。
【0007】
その後、ハイドロダイセクションとして知られているステップにおいて、白内障の外皮層を切り裂くために、角膜切開によって流体波を注入することが一般的である。ハイドロデリニエーションとして知られている後続のステップにおいて、水晶体の外側のより柔らかいエピ核は、流体波の注入によって内側のより硬いエンド核から分離される。次のステップでは、水晶体乳化吸引として知られているプロセスにおいて水晶体の超音波乳化が行われる。水晶体の核は初めにチョッパーを使用して破砕され、その後に通常は超音波水晶体乳化吸引プローブを使用して、水晶体の外側断片が破壊及び除去される。更に通常は、水晶体乳化吸引中に吸引を行うために別個のツールが使用される。水晶体乳化吸引が完了すると、残っている水晶体皮質(すなわち水晶体の外層)物質が水晶体嚢から吸引される。水晶体乳化吸引及び吸引の間、吸引された流体が通常、前眼房内の流体圧力を維持するために、平衡塩類溶液の灌流によって補われる。一部の例では、必要と見なされれば水晶体嚢は研磨される。その後、眼内レンズ(IOL)が水晶体嚢に挿入される。IOLは通常、折り畳み可能であり、折り畳まれた状態で挿入された後、水晶体嚢内部で展開される。この段階において、粘弾性物質は通常、以前に流体を水晶体嚢から吸引するのに使用された吸引デバイスを使用して除去される。必要であれば、眼球内の圧力を高めることによって切開部を塞ぎ、切開部の内部組織を外部組織に押し当てることによって強制的に切開部を閉じる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一部の適用例によれば、眼内手術などのマイクロ手術処置のためにロボットシステムが使用される。眼内手術、特に白内障手術が、眼の解剖学的構造及び/又は幾何学的形状の患者による違いが比較的少ないという事実によって特徴付けられることに留意されたい。また、白内障手術は比較的標準化された処置の流れを有し、通常のステップの順序は上記の背景部分に記載した通りである。白内障手術と関連付けられている比較的標準的な寸法及びステップの順序に鑑み、本発明の一部の適用例では、ロボットシステムが、初めに人間の眼の各部分の標準的な寸法範囲に基づいて白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するように訓練される。
【0009】
通常、ロボットシステムは、撮像システム、ディスプレイ、及び制御コンポーネントに加えて、(ツールを保持するように構成されている)第1及び第2のロボットユニットを備えており、医療専門家は制御コンポーネントを介してロボットユニットを制御することができる。通常、ロボットシステムは1つ以上のコンピュータプロセッサを備え、これを介してシステムのコンポーネント及びユーザ(例えば医療専門家)が操作可能に互いに対話を行う。
【0010】
一部の適用例では、訓練段階において、ロボットユニットの動き(及び/又はロボットシステムの他の側面の制御)が、ユーザ(例えば医療専門家)によって少なくとも部分的に制御される。例えば、ユーザは患者の眼、ロボットユニット、及び/又はその中に配設されたツールの画像を、ディスプレイを介して受信することがある。通常、かかる画像は撮像システムによって取得される。一部の適用例では、撮像システムは立体視撮像デバイスであり、ディスプレイは立体視ディスプレイである。受信した画像に基づいて、ユーザは通常、処置のステップを実行する。一部の適用例では、ユーザはコマンドをロボットユニットに(以下で更に詳細に説明される)制御コンポーネントを介して提供する。通常、かかるコマンドは、ロボットユニット内に配設されているツールの位置及び/又は向きを制御するコマンド、及び/又はツールにより実行される動作を制御するコマンドを含む。例えばコマンドは、水晶体乳化吸引ツール(例えば、水晶体乳化吸引ツールの動作モード及び/又は吸引力)、及び/又は注入ツール(例えば、どの流体(例えば粘弾性流体、生理食塩水など)を、及び/又はどの流量で注入すべきか)を制御することがある。代替的又は付加的に、ユーザは撮像システム(例えば、撮像システムの拡大表示、ピント、及び/又はx-y位置決め)を制御するコマンドを入力することがある。一部の適用例では、コマンドは、例えば眼の中におけるIOLの精密な位置決めのためにIOLを眼の内部で操作するIOLマニピュレータツールを制御することを含む。
【0011】
一部の適用例では、初期の訓練段階の後に、ロボットシステムは、所与の患者の眼に対する白内障手術の1つ以上のステップを少なくとも部分的に自動化された方法で実行するのに使用される。そのような一部の適用例では、患者の眼の少なくとも1つの画像が撮像システムを使用して得られる。例えば画像は、白内障手術の1つ以上のステップが患者の眼に対して行われる前に又は間に得られることがある。通常、コンピュータプロセッサは、患者の眼の正確な寸法を決定するために画像を解析し、白内障手術のステップは、訓練及び決定した眼の寸法に基づいて計画される。通常、かかるステップは、以上で説明したように、ツールの位置及び向きをロボットユニットを介して制御すること、及び処置の追加的な側面を制御すること(ツールの機能、及び/又は撮像システムの機能及び動きを制御することなど)を含む。これに続いて、コンピュータプロセッサは通常、ロボットユニット及び/又はロボットシステムの追加コンポーネントに計画されたステップを実行させる。一部の適用例では、処置の間、医療専門家はロボットユニットの動き及び/又はロボットシステムの他の側面を制御することができる。例えばコンピュータプロセッサは、処置のステップを計画し、計画したステップを医療専門家に示すことがある。このとき医療専門家は、計画した処置のステップを例えば制御コンポーネントを介して無効にする及び/又は洗練することがある。
【0012】
一部の適用例では、白内障処置の以下のステップ(その一部又はその組み合わせ)のいずれか1つが、本明細書に記載の技術を用いて、自動化された又は半自動化された方法で実行される。角膜切開(例えば、通常はケラトーム刃を使用した2面又は3面切開)、粘弾性物質注入(1つの切開部を介した針挿入及び/又は針の同時注入及び後退を含む)、嚢切開、ハイドロダイセクション、ハイドロデリニエーション、水晶体乳化吸引(核切断、及び/又は水晶体乳化吸引プローブを使用した超音波乳化を含む)、灌流、吸引、IOLの移植(例えばIOL注入システムを使用した)、粘弾性物質除去、創傷治癒、及び/又はこれらの任意の組み合わせ。
【0013】
一部の適用例では、上記の患者の眼を撮像するステップ、処置上のステップを計画するステップ、並びにロボットユニットを動かす及び/又はロボットシステムの他の側面を制御するステップは反復的に実行される。通常、所与の処置上のステップが実行されている期間を通じて、患者の眼並びにロボットユニット(及び/又はユニット内に配設されたツール)はリアルタイムで継続的に撮像される。リアルタイム画像に応答して、ツールの位置及び向きは、(以下で更に詳細に説明されるように)患者の眼のリアルタイムの動きと対応するように更新される。通常、ツールの位置及び向きは、ツールをロボットユニットを介して動かすことによって更新される。代替的又は付加的に、コンピュータプロセッサは、眼が所与の位置にあるときを検出し、一定の機能が眼が所与の位置にあるときに実行されるように一定の機能がロボットユニットにより実行される時間を測定するように構成されている。
【0014】
通常、コンピュータプロセッサは、患者の眼の3次元の動きを、(以上で説明したように、通常は立体視撮像システムである)撮像システムが得た画像を解析することによって検出する。一部の適用例では、検出した患者の眼の動きに応答して、コンピュータプロセッサはロボットユニットを駆動して、ツールの患者の眼の中への進入が、患者の眼が3次元の動きを経験するときでさえ切開点を経由したままとなるようにツールを動かす。通常、患者の眼が3次元の動きを経験するときでさえ、コンピュータプロセッサは、患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすことによってロボットユニットに行わせる。このようにしてロボットユニットは、切開点に位置する、ツールの運動の中心である動的な遠隔運動中心を提供するように作用する。通常、遠隔運動中心は眼の動きと連動して動く。一部の適用例では、上記のステップは、ツールが眼の中に配置されていることによって患者の眼が実質的に静止状態で保持される間に実行される。つまり、眼が静止状態で保持される間、コンピュータプロセッサは、患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすことによってロボットユニットに行わせる。
【0015】
以上で説明したように、一部の適用例では、ユーザはコマンドを制御コンポーネント経由でロボットユニットに提供する。通常、制御コンポーネントの制御コンポーネントアームが、ユーザによって動かされることによって、ロボットユニットのアームの動きを制御するように構成されている。通常、制御コンポーネントは、ロボットシステムの各ロボットユニットに対応するように構成されている第1及び第2の制御コンポーネントアームを備える。一部の適用例では、制御コンポーネントアームは、(ロボットユニットのアームを再現するために)その中に各制御コンポーネントツールを保持するように構成されている。一部の適用例では、制御コンポーネントアームのそれぞれは、少なくとも3つの関節と、3つの関節のうちのそれぞれの関節に結合された対応する回転エンコーダとを備える。回転エンコーダは、各関節の動きを検出し、これに応答して回転エンコーダデータを生成するように構成されている。一部の適用例では、制御コンポーネントアームは更に、3軸加速度計、3軸ジャイロスコープ、及び/又は3軸磁力計を備えた慣性測定ユニットを備える。慣性測定ユニットは通常、制御コンポーネントアームが動かされたことに応答して、制御コンポーネントアームの3次元方位に関する慣性測定ユニットデータを生成する。一部の適用例では、コンピュータプロセッサは回転エンコーダデータ及び慣性測定ユニットデータを受信する。通常、コンピュータプロセッサは、回転エンコーダデータに基づいて制御コンポーネントツールの先端のXYZ位置を決定し、慣性測定ユニットデータに基づいて制御コンポーネントツールの先端の向き(例えば、3オイラー方位角、及び/又は別の配向表現)を決定する。したがって、回転エンコーダデータ及び慣性測定ユニットデータの組み合わせに基づいて、コンピュータプロセッサは、制御コンポーネントツールの先端のXYZ位置及び向きを決定するように構成されている。
【0016】
一部の適用例では、コンピュータプロセッサは、処置を行うのに使用されている実際のツールの先端が制御コンポーネントツールの先端の動きを追跡するようにロボットユニットを駆動する。通常、制御コンポーネントアームの3次元方位を検出するために慣性測定ユニットを組み込むことによって、ユーザは、回転エンコーダが制御コンポーネントアームの6自由度全ての動きを検出するのに使用されていた場合と比べて少ない数のセンサを使用して、ロボットユニットの動きを制御することができる。更に通常は、使用される回転エンコーダの数を減らすことによって、制御コンポーネントの全体的な複雑さが減少する傾向がある。なぜなら、追加の回転エンコーダを導入すると、回転する関節を通過する追加のワイヤが必要になるためである。
【0017】
本発明の一部の適用例が白内障手術について記載されているが、本出願の範囲には、本明細書に記載の装置及び方法を他の医療処置に準用することが含まれる。具体的には、本明細書に記載の装置及び方法は、マイクロ手術技術を用いて行われる一般外科、整形外科、婦人科、耳鼻咽喉科、神経外科、口腔顎顔面外科、形成外科、足病外科、血管外科、及び/又は小児外科などの他のマイクロ手術処置に適用されることがある。
【0018】
本出願の範囲には、本明細書に記載の装置及び方法を白内障手術以外の眼内処置に準用することが含まれることに留意されたい。かかる処置には、コラーゲン架橋結合、内皮角膜移植(例えばDSEK、DMEK、及び/又はPDEK)、DSO(移植のないデスメ膜剥離)、レーザを利用した角膜移植、角膜移植、LASIK/PRK、SMILE、翼状片、眼表面癌治療、二次的IOL配置(縫合、経結膜など)、虹彩修復、IOL再配置、IOL交換、角膜表層切除、低侵襲緑内障手術(MIGS)、角膜輪部幹細胞移植、乱視角膜切除、角膜輪部減張切開(LRI)、羊膜移植(AMT)、緑内障手術(例えば、trabs、tubes、低侵襲緑内障手術)、自動化層状角膜移植(ALK)、前部硝子体切除、及び/又は経扁平部前部硝子体切除が含まれることがある。
【0019】
したがって、本発明の一部の適用例によれば、1つ以上のツールを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
1つ以上のツールを確実に保持するように構成されたツールマウントと、
ツールマウントの側面に配設され、ツールマウントを可動に支持するように構成された少なくとも1つの多関節アームと、
少なくとも1つの多関節アームと関連付けられ、ツールマウントを少なくとも5自由度で動かすように構成されている複数のアームモータと、
ツールマウントと関連付けられ、ツールをツールマウントに対して第6の自由度で動かすように構成された1つ以上のマウントモータと、を備えたロボットユニットを備えた装置が提供される。
【0020】
一部の適用例では、少なくとも1つの多関節アームは、ツールマウントの単一の側面に配設され、ツールマウントを可動に支持するように構成された2つ以上の多関節アームを含む。
【0021】
一部の適用例では、複数のアームモータは、ツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かすように構成されている。
【0022】
一部の適用例では、複数のアームモータはツールマウントを6以上の自由度で動かすように構成されている。一部の適用例では、複数のアームモータはツールを更なる自由度で動かすように構成されている。
【0023】
一部の適用例では、ロボットユニットは、少なくとも1つの多関節アームの複数の関節周りに配置される1本以上の引張ケーブルと、関節に張力を生み出すために張力を引張ケーブルに加えるように構成されている引張ケーブルモータとを更に備えることによって、多関節アームのバックラッシュを低減する。
【0024】
一部の適用例では、少なくとも1つの多関節アームは、各関節に配設されている垂直リンクと、垂直リンクの隣接する各対の間に延在する平行ビームの各対とを備えることによって、多関節アームの各リンクの端部が、アームが動くときも互いに平行のままである。
【0025】
一部の適用例では、少なくとも1つの多関節アームは、アームの各関節に配設されたプーリを備えたプーリ・ケーブルシステムであって、アームが動くときもプーリが一定方向に向いたままとなるように配置されているプーリ・ケーブルシステムを備える。
【0026】
一部の適用例では、ツールマウントと関連付けられた1つ以上のマウントモータは、ツールをツールマウントに対して更なる自由度で動かすように構成されている。一部の適用例では、ツールマウントと関連付けられた1つ以上のマウントモータは、ツールをツールマウントに対して患者の眼の中への物質の注入を制御するように動かすように構成されている。
【0027】
一部の適用例では、1つ以上のツールは、それぞれが互いに異なる各外周を有する2つ以上のツールを含み、ツールマウントは2つ以上のツールのそれぞれを確実に保持するように構成されている。一部の適用例では、ツールマウントは、3mmから20mmの直径を有するツールを確実に保持するように構成されている。一部の適用例では、2つ以上のツールは、ケラトーム刃及び水晶体乳化吸引プローブを備え、ツールマウントは、ケラトーム刃及び水晶体乳化吸引プローブの両方を確実に保持するように構成されている。一部の適用例では、2つ以上のツールのうちの第1のツールは5から8mmの直径を有し、2つ以上のツールのうちの第2のツールは10から14mmの直径を有する。一部の適用例では、ツールマウントは、1つ以上のツールをツールマウントに対して回転できるようにすると同時に、1つ以上のツールを確実に保持するように構成されている。一部の適用例では、ツールマウントは、1つ以上のツールが中心位置から±80度の範囲で回転できるように構成されている。
【0028】
本発明の一部の適用例によれば、互いに異なる各外周を有する2つ以上のツールを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
各位置の間で調整可能であるように構成されることによって、各位置のそれぞれにおいてツールの各1つを確実に保持するように構成されているツールマウントと、
ツールマウントの側面に配設され、ツールマウントを可動に支持するように構成された少なくとも1つのアームと、
ツールマウントと関連付けられ、ツールをツールマウント内に確実に保持すると同時に、2つ以上のツールのそれぞれをツールマウントに対して回転させるように構成された1つ以上のマウントモータと、を備えたロボットユニットを備えた装置が更に提供される。
【0029】
一部の適用例では、ツールマウントは、3mmから20mmの直径を有するツールを確実に保持するように構成されている。一部の適用例では、2つ以上のツールは、ケラトーム刃及び水晶体乳化吸引プローブを備え、ツールマウントは、ケラトーム刃及び水晶体乳化吸引プローブの両方を確実に保持するように構成されている。一部の適用例では、2つ以上のツールのうちの第1のツールが5から8mmの直径を有し、2つ以上のツールのうちの第2のツールが10から14mmの直径を有する。一部の適用例では、1つ以上のマウントモータは、2つ以上のツールのそれぞれをツールマウントに対して中心位置から±80度の範囲で回転させるように構成されている。
【0030】
一部の適用例では、ツールマウントと関連付けられた1つ以上のマウントモータは、ツールのうちの少なくとも1つをツールマウントに対して更なる自由度で動かすように構成されている。一部の適用例では、ツールマウントと関連付けられた1つ以上のマウントモータは、ツールのうちの少なくとも1つをツールマウントに対して患者の眼の中への物質の注入を制御するように動かすように構成されている。
【0031】
本発明の一部の適用例によれば、眼内手術で使用されるロボットシステムで用いられる方法であって、
人間の眼の各部分の標準的な寸法範囲に基づいて、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するようにロボットシステムを訓練すること、並びに
所与の患者の眼に対する白内障手術の1つ以上のステップを、
眼の少なくとも1つの画像を受信すること、
少なくとも1つの画像から眼の1つ以上の寸法を決定すること、及び
訓練及び決定した眼の寸法に基づいて白内障手術の1つ以上のステップを実行することによって実行するようにロボットシステムをプログラムすることを含む方法が更に提供される。
【0032】
一部の適用例では、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するようにロボットシステムを訓練することは、ロボットシステムのコンポーネントに白内障手術の1つ以上のステップを実行させるように、ロボットシステムと関連付けられた1つ以上のコンピュータプロセッサに指示するアルゴリズムを書くことを含む。一部の適用例では、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するようにロボットシステムを訓練することは、機械学習を利用して、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するようにロボットシステムを訓練することを含む。
【0033】
一部の適用例では、
方法は更に、眼の位置及び向きを少なくとも1つの画像から決定することを含み、
白内障手術の1つ以上のステップを実行することは、眼の位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の1つ以上のステップを実行することを含む。
【0034】
一部の適用例では、
眼の位置及び向きを少なくとも1つの画像から決定することは、少なくとも1つの画像から眼の現在の位置及び向きを決定することを含み、
白内障手術の1つ以上のステップを実行することは、眼の現在の位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の1つ以上のステップを実行することを含む。
【0035】
一部の適用例では、白内障手術の1つ以上のステップを実行することは、白内障手術の1つ以上のステップの実行中に、
患者の眼及びロボットシステムの少なくとも一部分のリアルタイム画像を受信すること、及び
リアルタイム画像に応答して、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に動作を実行することを含む。
【0036】
一部の適用例では、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に動作を実行することは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に1つ以上のツールを動かすことを含む。一部の適用例では、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に動作を実行することは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、自動的にロボットシステムの撮像システムの1つ以上のコンポーネントを制御することを含む。
【0037】
一部の適用例では、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に動作を実行することは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、自動的に水晶体乳化吸引プローブを制御することを含む。一部の適用例では、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に動作を実行することは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、自動的に注入ツールを制御することを含む。一部の適用例では、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に動作を実行することは、眼が所与の位置にあるときを検出すること、及び眼が所与の位置にあるときの動作の実行時間を決定することを含む。一部の適用例では、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に動作を実行することは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的にIOLマニピュレータツールを制御することを含む。一部の適用例では、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的にIOLマニピュレータツールを制御することは、ツールがIOLの患者の眼の中における精密な位置決めのためにIOLを患者の眼の内部で操作するようにIOLマニピュレータツールを制御することを含む。一部の適用例では、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら自動的に動作を実行することは、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、動作を実行するためにツールの先端を患者の眼に対して望ましいように動かすことを含む。一部の適用例では、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながらツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持することは、切開点に位置し、ツールの運動の中心であり、眼の動きと連動して動く動的な遠隔運動中心を提供することを含む。
【0038】
本発明の一部の適用例によれば、
眼内手術を行うように構成されたロボットシステムと、
訓練段階中に、人間の眼の各部分の標準的な寸法範囲に基づいて、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するためのプログラミング指示を受信し、
後段階中に、所与の患者の眼に対する白内障手術の1つ以上のステップを、
眼の少なくとも1つの画像を受信し、
少なくとも1つの画像から眼の1つ以上の寸法を決定し、
プログラミング指示及び決定した眼の寸法に基づいて白内障手術の1つ以上のステップを実行することによって、ロボットシステムに実行させるように構成された少なくとも1つのコンピュータプロセッサと、を備えた装置が更に提供される。
【0039】
一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、
少なくとも1つの画像から眼の位置及び向きを決定し、
眼の位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の1つ以上のステップを実行するように構成されている。
【0040】
一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、
少なくとも1つの画像から眼の現在の位置及び向きを決定し、
眼の現在の位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の1つ以上のステップを実行するように構成されている。
【0041】
一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、白内障手術の1つ以上のステップの実行中に、
患者の眼及びロボットシステムの少なくとも一部分のリアルタイム画像を受信し、
リアルタイム画像に応答して、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、自動的にロボットシステムに動作を実行させることによって、
ロボットシステムに所与の患者の眼に対する白内障手術の1つ以上のステップを実行させるように構成されている。
【0042】
一部の適用例では、装置は1つ以上のツールと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、ロボットシステムを駆動して自動的に1つ以上のツールを動かすように構成されている。一部の適用例では、装置は撮像システムと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、撮像システムの1つ以上のコンポーネントを自動的に制御するように構成されている。一部の適用例では、装置は水晶体乳化吸引プローブと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、ロボットシステムに水晶体乳化吸引プローブを制御させるように構成されている。
【0043】
一部の適用例では、装置は注入ツールと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、ロボットシステムに注入ツールを制御させるように構成されている。一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、眼が所与の位置にあるときを検出し、ロボットシステムに眼が所与の位置にあるときの動作の実行時間を決定させるように構成されている。一部の適用例では、装置はIOLマニピュレータツールと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながらロボットシステムにIOLマニピュレータツールを制御させるように構成されている。一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、ツールがIOLの患者の眼の中における精密な位置決めのためにIOLを患者の眼の内部で操作するように、ロボットシステムにIOLマニピュレータツールを制御させるように構成されている。
【0044】
一部の適用例では、装置はツールと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ロボットシステムを駆動して、動作を実行するためにツールの先端を患者の眼に対して望ましいように動かすように構成されている。一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、切開点に位置し、ツールの運動の中心であり、眼の動きと連動して動く動的な遠隔運動中心をロボットシステムに提供させるように構成されている。
【0045】
本発明の一部の適用例によれば、
眼内手術を行うように構成されたロボットシステムと、
機械学習を介して訓練が行われる訓練段階中に、人間の眼の各部分の標準的な寸法範囲に基づいて、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行し、
後段階中に、所与の患者の眼に対する白内障手術の1つ以上のステップを、
眼の少なくとも1つの画像を受信し、
少なくとも1つの画像から眼の1つ以上の寸法を決定し、
プログラミング指示及び決定した眼の寸法に基づいて白内障手術の1つ以上のステップを実行することによって、ロボットシステムに実行させるように構成された1つ以上のコンピュータプロセッサと、を備えた装置が更に提供される。
【0046】
一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、
少なくとも1つの画像から眼の位置及び向きを決定し、
眼の位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の1つ以上のステップを実行するように構成されている。
【0047】
一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、
少なくとも1つの画像から眼の現在の位置及び向きを決定し、
眼の現在の位置及び向きに少なくとも部分的に基づいて白内障手術の1つ以上のステップを実行するように構成されている。
【0048】
一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、白内障手術の1つ以上のステップの実行中に、
患者の眼及びロボットシステムの少なくとも一部分のリアルタイム画像を受信し、
リアルタイム画像に応答して、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、自動的にロボットシステムに動作を実行させることによって、
所与の患者の眼に対する白内障手術の1つ以上のステップをロボットシステムに実行させるように構成されている。
【0049】
一部の適用例では、装置は1つ以上のツールと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、ロボットシステムを駆動して自動的に1つ以上のツールを動かすように構成されている。一部の適用例では、装置は撮像システムと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、撮像システムの1つ以上のコンポーネントを自動的に制御するように構成されている。
【0050】
一部の適用例では、装置は水晶体乳化吸引プローブと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、ロボットシステムに水晶体乳化吸引プローブを制御させるように構成されている。一部の適用例では、装置は注入ツールと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながら、ロボットシステムに注入ツールを制御させるように構成されている。一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、眼が所与の位置にあるときを検出し、ロボットシステムに眼が所与の位置にあるときの動作の実行時間を決定させるように構成されている。一部の適用例では、装置はIOLマニピュレータツールと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、患者の眼のリアルタイムの動きを考慮しながらロボットシステムにIOLマニピュレータツールを制御させるように構成されている。一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、ツールがIOLの患者の眼の中における精密な位置決めのためにIOLを患者の眼の内部で操作するようにロボットシステムにIOLマニピュレータツールを制御させるように構成されている。
【0051】
一部の適用例では、装置はツールと共に使用されるものであり、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ロボットシステムを駆動して、動作を実行するためにツールの先端を患者の眼に対して望ましいように動かすように構成されている。一部の適用例では、少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、切開点に位置し、ツールの運動の中心であり、眼の動きと連動して動く動的な遠隔運動中心をロボットシステムに提供させるように構成されている。
【0052】
本発明の一部の適用例によれば、先端を有するツールを使用して患者の眼に対して眼内手術を行うための装置であって、
ツールを確実に保持するように構成され、ツールの患者の眼の中への進入が切開点を経由し、ツールの先端が患者の眼の中に配置されるようにツールを患者の眼に中に挿入するように構成されたツールマウントと、
ツールマウントの単一の側面に配設され、ツールマウントを可動に支持するように構成された1つ以上の多関節アームと、を備えたロボットユニットと、
患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすことによってロボットユニットに行わせるように構成されたコンピュータプロセッサと、を備えた装置が更に提供される。
【0053】
一部の適用例では、装置は、患者の眼の画像を取得するように構成された撮像デバイスを更に備え、コンピュータプロセッサは、
患者の眼の画像を受信し、
画像を解析することによって患者の眼の3次元の動きを検出し、
検出した患者の眼の動きに応答して、ロボットユニットを駆動して、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすように構成されている。
【0054】
一部の適用例では、1つ以上の多関節アームは、ツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かすように構成されており、コンピュータプロセッサは、1つ以上の多関節アームを駆動して、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かすように構成されている。
【0055】
一部の適用例では、1つ以上の多関節アームは、ツールマウントを中心方位から±25度のヨー角回転によって動かすように構成されており、コンピュータプロセッサは、1つ以上の多関節アームを駆動して、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ツールマウントを中心方位から±25度のヨー角回転によって動かすように構成されている。一部の適用例では、1つ以上の多関節アームは、ツールマウントを開始ピッチから60度のピッチ角回転によって動かすように構成されており、コンピュータプロセッサは、1つ以上の多関節アームを駆動して、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ツールマウントを開始ピッチから60度のピッチ角回転によって動かすように構成されている。
【0056】
一部の適用例では、ツールマウントは、ツールをツールマウントに対して回転できるように構成されており、コンピュータプロセッサは、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ツールをツールマウントに対して回転させるように構成されている。一部の適用例では、ツールマウントは、ツールを中心位置から±80度のロール角回転によってツールマウントに対して回転できるように構成されており、コンピュータプロセッサは、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ツールを中心位置から±80度のロール角回転によってツールマウントに対して回転させるように構成されている。
【0057】
一部の適用例では、コンピュータプロセッサは、切開点に位置する、ツールの運動の中心である動的な遠隔運動中心をロボットユニットに提供させるように構成されている。一部の適用例では、コンピュータプロセッサは、眼の動きと連動して動く動的な遠隔運動中心を提供することによって、動的な遠隔運動中心をロボットユニットに提供させ、これによって、患者の眼が3次元の動きを経験するときでさえツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持するように構成されている。
【0058】
本発明の一部の適用例によれば、先端を有するツールを使用して患者の眼に対して眼内手術を行う方法であって、
ツールをロボットユニットのツールマウント内に固定すること、
ツールの患者の眼の中への進入が切開点を経由し、ツールの先端が患者の眼の中に配置されるように、ロボットユニットを駆動してツールを患者の眼の中に挿入すること、及び
コンピュータプロセッサを使用して、患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすことによってロボットユニットに行わせること、を含む方法が更に提供される。
【0059】
一部の適用例では、方法は、コンピュータプロセッサを使用して、
患者の眼の画像を受信すること、
画像を解析することによって、患者の眼の3次元の動きを検出すること、及び
検出した患者の眼の動きに応答して、ロボットユニットを駆動して、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすことを更に含む。
【0060】
患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすことによってロボットユニットに行わせることは、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ロボットユニットを駆動してツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かすことを含む。
【0061】
一部の適用例では、ロボットユニットを駆動してツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かすことは、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ロボットユニットを駆動してツールマウントを中心方位から±25度のヨー角回転によって動かすことを含む。一部の適用例では、ロボットユニットを駆動してツールマウントをx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角回転及びヨー角回転によって動かすことは、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ロボットユニットを駆動してツールマウントを開始ピッチから60度のピッチ角回転によって動かすことを含む。
【0062】
一部の適用例では、患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすことによってロボットユニットに行わせることは、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ツールをツールマウントに対して回転させることを含む。一部の適用例では、ツールをツールマウントに対して回転させることは、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、ツールをツールマウントに対して中心位置から±80度のロール角回転によって回転させることを含む。
【0063】
一部の適用例では、患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすことによってロボットユニットに行わせることは、切開点に位置し、ツールの運動の中心である動的な遠隔運動中心を提供することを含む。一部の適用例では、動的な遠隔運動中心を提供することは、眼の動きと連動して動く動的な遠隔運動中心を提供することによって、患者の眼が3次元の動きを経験するときでさえツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持することを含む。
【0064】
本発明の一部の適用例によれば、1つ以上のツールを使用して患者の体の一部に処置を行うための装置であって、
ツールを6自由度で動かすように構成されたロボットユニットと、
ユーザによって動かされるように構成された少なくとも1つの制御コンポーネントアームを備えた制御コンポーネントであって、制御コンポーネントアームが、
先端を画定する制御コンポーネントツール、
少なくとも6つの関節、
それぞれが関節の各1つに結合され、各関節の動きを検出し、これに応答して制御コンポーネントツールの先端のXYZ位置を示す回転エンコーダデータを生成するように構成された3つの回転エンコーダ、及び
3軸加速度計、3軸ジャイロスコープ、及び3軸磁力計からなるグループから選択された少なくとも1つのセンサを備え、制御コンポーネントツールの先端の向きを示す慣性測定ユニットデータを生成するように構成されている慣性測定ユニット、を備えた制御コンポーネントと、
回転エンコーダデータ及び慣性測定ユニットデータを受信し、
回転エンコーダデータ及び慣性測定ユニットデータの組み合わせに基づいて、制御コンポーネントツールの先端のXYZ位置及び向きを決定し、
これに応答してロボットユニットを動かすように構成されたコンピュータプロセッサと、を備えた装置が更に提供される。
【0065】
一部の適用例では、制御コンポーネントは、制御コンポーネントアームの動作中にユーザの手首を支持するように構成された1つ以上の手首支持要素を備える。
【0066】
一部の適用例では、制御コンポーネントは、患者の体の一部及び1つ以上のツールのリアルタイムの立体画像をユーザに表示するように構成されている内蔵立体ディスプレイを備える。
【0067】
一部の適用例では、
装置は少なくとも第1及び第2のツールと共に使用されるものであり、
ロボットユニットは、第1のツールを6自由度で動かすように構成された第1の部分と、第2のツールを6自由度で動かすように構成された第2の部分とを備え、
少なくとも1つの制御コンポーネントアームは、第1の制御コンポーネントアームがユーザの右手で動かされるように構成されており、第2の制御コンポーネントアームがユーザの左手で動かされるように構成されている2つの制御コンポーネントアームを含み、
コンピュータプロセッサは、制御コンポーネントアームのうちの第1の制御コンポーネントアームの動きに応答してロボットユニットの第1の部分を制御し、制御コンポーネントアームのうちの第2の制御コンポーネントアームの動きに応答してロボットユニットの第2の部分を制御するように構成されている。
【0068】
一部の適用例では、第1及び第2の制御コンポーネントアームは互いに対して非対称である。
【0069】
一部の適用例では、装置は、患者の体の一部及び1つ以上のツールのリアルタイム画像をユーザに表示するように構成されているヘッドマウントディスプレイを更に備える。
【0070】
一部の適用例では、ヘッドマウントディスプレイは、患者の体の一部及び1つ以上のツールのリアルタイムの立体画像をユーザに表示するように構成されている立体ヘッドマウントディスプレイを備える。
【0071】
本発明は、図面と照らし合わせた以下の本発明の実施形態の詳細な説明からより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1A】本発明の一部の適用例に係る、眼内手術などのマイクロ手術処置において使用されるように構成されているロボットシステムの概略図である。
図1B】本発明の一部の適用例に係る、眼内手術において使用されるように構成されているロボットシステムの第1及び第2のロボットユニットの概略図である。
図2】本発明の一部の適用例に係る、患者の解剖学的構造がない状態が示されている図1Bに示すロボットユニットの概略図である。
図3A】本発明の一部の適用例に係るロボットユニットのツールマウントの概略図である。
図3B】本発明の一部の適用例に係るロボットユニットのツールマウントの概略図である。
図3C】本発明の一部の適用例に係るロボットユニットのツールマウントの概略図である。
図3D】本発明の一部の適用例に係るロボットユニットのツールマウントの概略図である。
図4】本発明の一部の適用例に係る、引張ケーブルを備えたロボットユニットの概略図である。
図5A】本発明の一部の適用例に係る、眼科医が手作業で行われる眼内手術中に手術ツールを動かす正常な可動域と一致するロボットユニットにより動かされるように構成されているツールの可動域を示す概略図である。
図5B】本発明の一部の適用例に係る、眼科医が手作業で行われる眼内手術中に手術ツールを動かす正常な可動域と一致するロボットユニットにより動かされるように構成されているツールの可動域を示す概略図である。
図5C】本発明の一部の適用例に係る、眼科医が手作業で行われる眼内手術中に手術ツールを動かす正常な可動域と一致するロボットユニットにより動かされるように構成されているツールの可動域を示す概略図である。
図6】A、Bは、本発明の一部の適用例に係るロボットシステムで使用されるロボットユニットの概略図である。
図7】本発明の一部の適用例に係る、ユーザにより動かされることによってロボットユニットのアームの動きを制御するように構成された制御コンポーネントアームの概略図である。
図8】本発明の一部の適用例に係る制御コンポーネントの概略図である。
図9A】本発明の一部の適用例に係る内蔵立体視覚システムを備えた制御コンポーネントのそれぞれの視点による概略図である。
図9B】本発明の一部の適用例に係る内蔵立体視覚システムを備えた制御コンポーネントのそれぞれの視点による概略図である。
図10】本発明の一部の適用例に係る、制御コンポーネント及び制御コンポーネントと共に使用されるヘッドマウントディスプレイの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
これより本発明の一部の適用例に係る、眼内手術などのマイクロ手術処置において使用されるように構成されているロボットシステム10の概略図である図1Aを参照する。同様に本発明の一部の適用例に係る、ロボットシステムの第1及び第2のロボットユニット20の概略図である図1Bも参照する。図1Bに示すロボットユニット20の例が図1Aに示すものと異なることに留意されたい。通常、ロボットシステム10は、撮像システム22、ディスプレイ24及び制御コンポーネント26に加えて、(ツール21を保持するように構成されている)第1及び第2のロボットユニット20を備えており、ユーザ(例えば医療専門家)が制御コンポーネント26を介してロボットユニット20を制御することができる。通常、ロボットシステム10は1つ以上のコンピュータプロセッサ28を備えており、これを介してシステムのコンポーネント及びユーザ(例えば医療専門家)は操作可能に互いに対話を行う。一部の適用例では、第1及び第2のロボットユニット20は図に示すように支持面27で支持されている。本出願の範囲には、互いに対して異なる様々な位置のいずれかに第1及び第2のロボットユニットを取り付けることが含まれる。
【0074】
眼内手術、特に白内障手術が、眼の解剖学的構造及び/又は幾何学的形状の患者による違いが比較的少ないという事実によって特徴付けられることに留意されたい。また、白内障手術は比較的標準化された処置の流れを有し、通常のステップの順序は上記の背景部分に記載した通りである。白内障手術と関連付けられている比較的標準的な寸法及びステップの順序に鑑み、本発明の一部の適用例では、ロボットシステム10は、初めに人間の眼の各部分の標準的な寸法範囲に基づいて、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行するように訓練される。通常は訓練段階において、ロボットユニットの動き(及び/又はロボットシステムの他の側面の制御)は、ユーザ(例えば医療専門家)によって少なくとも部分的に制御される。例えば、ユーザは患者の眼及びロボットユニット、並びに/又はその中に配設されたツールの画像をディスプレイ24を介して受信することがある。通常、かかる画像は撮像システム22によって取得される。一部の適用例では、撮像システム22は立体視撮像デバイスであり、ディスプレイ24は立体視ディスプレイである。受信した画像に基づいて、ユーザは通常、処置のステップを実行する。一部の適用例では、ユーザはコマンドをロボットユニットに(以下で更に詳細に説明される)制御コンポーネント26を介して提供する。通常、かかるコマンドは、ロボットユニット内に配設されているツールの位置及び/又は向きを制御するコマンド、及び/又はツールにより実行される動作を制御するコマンドを含む。例えばコマンドは、水晶体乳化吸引ツール(例えば、水晶体乳化吸引ツールの動作モード及び/又は吸引力)、及び/又は注入ツール(例えば、どの流体(例えば粘弾性流体、生理食塩水など)を、及び/又はどの流量で注入すべきか)を制御することがある。代替的又は付加的に、ユーザは撮像システム(例えば、撮像システムの拡大表示、ピント、及び/又はx-y位置決め)を制御するコマンドを入力することがある。一部の適用例では、コマンドは、例えば眼の中におけるIOLの精密な位置決めのためにIOLを眼の内部で操作するIOLマニピュレータツールを制御することを含む。
【0075】
一部の適用例では、ロボットシステム10のコンピュータプロセッサ28は、処置の各ステップを実行するために、ユーザ(例えば医療専門家)が提供するコマンドを解析する。通常、多くのかかる処置の解析に基づいて、コンピュータプロセッサ(及び/又はコンピュータプロセッサと関連付けられている別のコンピュータプロセッサ)は、人間の眼の各部分の標準的な寸法範囲に基づいて、白内障手術の1つ以上のステップを自動化された方法で実行する方法を決定する。一部の適用例では、上記のステップは、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、サポートベクターマシン、単純ベイズ、kNN、K平均法、ランダムフォレスト、次元削減アルゴリズム、及び/又は勾配ブースティングアルゴリズムなどの機械学習アルゴリズムを使用して実行される。通常は訓練が単一のロボットシステム及び単一の関連コンピュータプロセッサを使用して行われることはないことに留意されたい。むしろ多くのかかるロボットシステムは通常、集中コンピュータプロセッサ(又はコンピュータプロセッサのネットワーク)により処理されるデータを提供する。初期の訓練段階の後も、追加の処置が更なる患者に対して行われるときにロボットシステムが更なる訓練データを受信し続けることが一般的であることに更に留意されたい。
【0076】
一部の適用例では、コンピュータプロセッサは、1人以上の人間のプログラマーによって少なくとも部分的に、人間のプログラマーが各ステップ(及び/又はその一部及び/又はその組み合わせ)を実行する方法についてのプログラミング指示をコンピュータプロセッサに提供することによって訓練される。例えば1人以上の人間のプログラマーは、標準的な寸法範囲を有する人間の眼の部分に対して行われる処置を解析することがある。この解析に基づいて、1人以上の人間のプログラマーは、処置の各ステップ(及び/又はその一部及び/又はその組み合わせ)が実行されるときにツールが経験する動き、ツールの他の機能、及び/又はロボットシステムの他の部分の機能(例えば撮像システムが経験する機能及び/又は動作)を解析することがある。そのとき人間のプログラマーは、ロボットユニット(及び/又はロボットシステムの他のコンポーネント)に動き及び/又は機能を自動的に実行させるように1つ以上のコンピュータプロセッサに指示するアルゴリズムを書くことがある。一部の適用例では、アルゴリズムの少なくとも一部は、コンピュータプロセッサが制御コンポーネント26を介してコンピュータプロセッサに入力される入力を解析することによって書かれる。
【0077】
一部の適用例では、初期の訓練段階の後にロボットシステム10は、所与の患者の眼に対する白内障手術の1つ以上のステップを少なくとも部分的に自動化された方法で実行するのに使用される。そのような一部の適用例では、患者の眼の少なくとも1つの画像が撮像システム22を使用して得られる。例えば画像は、白内障手術の1つ以上のステップが患者の眼に対して行われる前に又は間に得られることがある。通常、コンピュータプロセッサは、患者の眼の正確な寸法を決定するために画像を解析し、白内障手術のステップは、訓練及び決定した眼の寸法に基づいて計画される。一部の適用例では、画像は眼の位置及び/又は向きを決定するために更に解析され、白内障手術のステップは、決定した眼の位置及び/又は向きに基づいて更に計画される。通常、白内障手術のステップを計画することは、以上で説明したように、ツールの位置及び向きをロボットユニットを介して制御すること、及び手術の追加的な側面を制御すること(ツールの機能を制御すること、及び/又は撮像システムの機能及び/又は位置決めを制御することなど)を計画することを含む。計画立案が行われた後、コンピュータプロセッサは通常、ロボットユニット及び/又はロボットシステムの追加コンポーネントに計画したステップを実行させる。一部の適用例では、処置の間、ユーザ(例えば医療専門家)は、ロボットユニットの動き及び/又はロボットシステムの他の側面を制御することができる。例えばコンピュータプロセッサは、処置のステップを計画し、計画したステップをユーザに(例えばディスプレイ24を介して)示すことがある。このときユーザは処置の計画されたステップを、例えば制御コンポーネント26を介して無効にする及び/又は洗練することがある。
【0078】
一部の適用例では、白内障処置の以下のステップ(又はその一部、及び/又はその組み合わせ)のいずれか1つが、本明細書に記載の技術を用いて、自動化された又は半自動化された方法で実行される。角膜切開(例えば、通常はケラトーム刃を使用する2面又は3面切開)、粘弾性物質注入(1つの切開部を介した針挿入及び/又は針の同時注入及び後退を含む)、嚢切開、ハイドロダイセクション、ハイドロデリニエーション、水晶体乳化吸引(核切断、及び/又は水晶体乳化吸引プローブを使用した超音波乳化を含む)、灌流、吸引、IOLの移植(例えばIOL注入システムを使用した)、粘弾性物質除去、創傷治癒、及び/又はこれらの任意の組み合わせ。一部の適用例では、上記のステップの実行には、ロボットユニット内に配設されているツールの位置及び/又は向きを制御すること、及び/又はツールにより実行される動作を制御することが含まれる。例えば、水晶体乳化吸引ツール(例えば、水晶体乳化吸引ツールの動作モード及び/又は吸引力)、及び/又は注入ツール(例えば、どの流体(例えば粘弾性流体、生理食塩水など)を、及び/又はどの流量で注入すべきか)を制御すること。代替的又は付加的に、上記のステップの実行には、撮像システム(例えば、撮像システムの拡大表示、ピント、及び/又はx-y位置決め)を制御することが含まれることがある。一部の適用例では、上記のステップの実行には、例えば眼の中におけるIOLの精密な位置決めのためにIOLを眼の内部で操作するIOLマニピュレータツールを制御することが含まれる。
【0079】
一部の適用例では、上記の患者の眼を撮像するステップ、処置上のステップを計画するステップ、並びにロボットユニットを動かす及び/又はロボットシステムの他の側面を制御するステップは反復的に実行される。通常は、所与の処置上のステップが実行されている期間を通じて、患者の眼並びにロボットユニット(及び/又はユニット内に配設されたツール)はリアルタイムで継続的に撮像される。リアルタイム画像に応答して、ツールの位置及び向きは、(図5Aから図5Cを参照して以下で更に詳細に説明されるように)患者の眼のリアルタイムの動きと対応するように自動的に更新される。通常、ツールの位置及び向きは、ツールをロボットユニットを介して動かすことによって更新される。代替的又は付加的に、コンピュータプロセッサは、眼が所与の位置にあるときを検出し、一定の機能が眼が所与の位置にあるときに実行されるように、一定の機能のロボットユニットによる実行時間を決定するように構成されている。
【0080】
これより本発明の一部の適用例に係る、(ロボットユニットが患者の解剖学的構造がない状態で示されている)図1Bに示すロボットユニット20の概略図である図2を参照する。一部の適用例では、ロボットユニットのそれぞれは、ツールを確実に保持し、ツールの患者の眼の中への進入が切開点を経由し、ツールの先端が患者の眼の中に配置されるようにツールを患者の眼に中に挿入するように構成されたツールマウント30を備える。一部の適用例では、2つの多関節アーム32が、ツールマウントの単一の側面に配設されており、ツールマウントを可動に支持するように構成されている。
【0081】
通常、コンピュータプロセッサは、患者の眼の3次元の動きを、(以上で説明したように、通常は立体視撮像システムである)撮像システム22が得た画像を解析することによって検出する。一部の適用例では、検出した患者の眼の動きに応答して、コンピュータプロセッサは、ツールの患者の眼の中への進入が、患者の眼が3次元の動きを経験するときでさえ切開点を経由したままとなるように、ロボットユニットを駆動してツールを動かす。通常、患者の眼が3次元の動きを経験するときでさえ、コンピュータプロセッサは、患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすことによってロボットユニットに行わせる。このようにしてロボットユニットは、切開点に位置する、ツールの運動の中心である動的な遠隔運動中心を提供するように作用する。通常、遠隔運動中心は眼の動きと連動して動く。代替的又は付加的に、コンピュータプロセッサは、眼が所与の位置にあるときを検出し、一定の機能が眼が所与の位置にあるときに実行されるように、一定の機能がロボットユニットにより実行される時間を決定するように構成されている。一部の適用例では、上記のステップは、ツールが眼の中に配置されていることによって患者の眼が実質的に静止状態で保持されている間に実行される。つまり、眼が静止状態で保持されている間に、コンピュータプロセッサは、患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすことによってロボットユニットに行わせる。
【0082】
通常、複数のアームモータ34が2つの多関節アーム32と関連付けられている。複数のアームモータは、5自由度(例えば、x軸、y軸、及びz軸に沿った、並びにピッチ及びヨーの動き)でツールマウント30を動かす。一部の適用例では、複数のアームモータは、ツールマウント(及び/又はツール)を6以上の自由度で動かすように構成されている。更に通常は、1つ以上のマウントモータ36(図3A及び図3Bにより明確に示されている)がツールマウントと関連付けられており、ツールをツールマウントに対して第6の自由度(例えばロール)で動かすように構成されている。一部の適用例では、ツールマウントと関連付けられた1つ以上のマウントモータは、ツールをツールマウントに対して更なる自由度で動かすように構成されている。
【0083】
これより本発明の一部の適用例に係る、ロボットユニット20のツールマウント30のそれぞれの視点による概略図である図3A図3B図3C、及び図3Dを参照する。通常、ツールマウント30は、複数の様々なサイズのツールを収納するように構成されている。一部の適用例では、ツールマウントは、互いに対して固定位置に配設されている第1及び第2のローラセット40、42と、第1及び第2のローラセットに対して可動な第3のローラ44とを備える。通常、ローラは、(第1及び第2のローラセットを支持する)第1の支持要素50及び(第3のローラを支持する)第2の支持要素52に取り付けられており、第2の支持要素は第1の支持要素に対して旋回可能に取り付けられることによって、第3のローラ44は第1及び第2のローラセットに対して可動である。したがって、図のようにツールマウントは、互いに異なる外周を有するツールを確実に保持するように構成されており、第3のローラが第1及び第2のローラに対して動かされることによって、第1、第2、及び第3のローラの異なる組み合わせが各外周を取り囲む。例えば、外周が比較的小さいツールが、(図3A及び図3Cに示すように)第1のローラセットと第3のローラとの間に保持されることがあるのに対して、外周が大きいツールが、(図3B及び図3Dに示すように)第2のローラセットと第3のローラとの間に保持されることがある。ツールマウントは通常、ツールのそれぞれがツールマウントの内部に配設されている間に回転可能であるように、互いに直径が異なるツールを確実に保持するように構成されている。一部の適用例では、ツールマウントは3mmから20mm、例えば6mmから15mmの範囲の直径を有するツールを確実に保持するように構成されている。例えば図3A及び図3Cは、(通常は直径が5から8mmである)ケラトーム刃46を確実に保持するツールマウントを示しているのに対して、図3B及び図3Dは、(通常は直径が10から14mmである)水晶体乳化吸引プローブ48を確実に保持するツールマウントを示している。一部の適用例では、ツールマウントは、ツールマウントに(a)互いに異なる外周を有するツールを確実に保持させる一方、(b)ツールのそれぞれがツールマウントの内部に配設されていると同時に回転可能である異なる様式で設計される。
【0084】
上記のように、1つ以上のマウントモータ36はツールマウントと関連付けられており、ツールをツールマウントに対して第6の自由度(例えばロール)で動かすように構成されている。一部の適用例では、マウントモータは、第4のローラ54を歯車機構58(歯車機構58は図3Cに見て取れる)を介して回転させることによってツールを回転させる。
【0085】
以上で説明したように、通常、ローラは支持要素50及び52に取り付けられている。一部の適用例では、支持面及びローラは、ロボットユニットの他の部分から分離可能であり、異なる患者による使用と使用の間に滅菌されるように構成されている、及び/又は1回の処置に使用された後に廃棄されるように構成されている。一部の適用例では、ロボットユニットは、通常はツールマウントと関連付けられ、注射器ピストン(すなわち注射器プランジャ)の動きを制御することによって流体、生理食塩水、粘弾性物質などの注入を制御する第7の自由度を定義する。代替的又は付加的に、ロボットユニットはツール21の追加の機能と関連付けられた追加の自由度を有する。
【0086】
これより本発明の一部の適用例に係る、1本以上の引張ケーブル60を備えるロボットユニット20の概略図である図4を参照する。図4に示すロボットユニット20の例が図1Aに示したものと概ね類似しており、図1B及び図2に示したものと異なることに留意されたい。図4に示す例では、ツールマウント30の各側面に配設された各多関節アーム62が存在する。一般に、図4に示されているロボットユニット20の特徴及びロボットユニット20との使用について説明される技術は、ロボットユニット20の他の例に適用可能であり、逆の場合も同じである。
【0087】
ロボットユニットの動きがモータ及び歯車機構を介して制御されることが一般的である。一般に、かかる歯車機構は、歯車機構が動けなくなるのを防ぐために、歯車機構への入力がない場合でもいくらか自由に動くことができる。通常は、これによって歯車機構が動いた後に歯車機構のバックラッシュが発生する可能性があり、ロボットユニット内に配設されたツールの患者の眼に対する位置決めが精密でなくなる可能性がある。したがって、一部の適用例では、1本以上の引張ケーブルが多関節アームのいくつかの関節64の周りに配置され、これによって関節に張力が生み出される。一部の適用例では、引張ケーブルモータ66が張力を引張ケーブルに加えるように構成されている。通常、引張ケーブルモータ66は、(例えば引張ケーブルモータ66として定トルクモータを使用することによって)一定の電流及び/又はトルクの張力を加え、これによって引張ケーブルに一定の張力を発生させる。通常、これによって多関節アームのバックラッシュは、引張ケーブルが使用されない場合と比べて小さくなる(又はなくなる)。代替的又は付加的に、多関節アームのバックラッシュを小さくする(又はなくす)ために他の技術が用いられる。例えばバックラッシュ防止歯車機構が使用されることがある。
【0088】
これより本発明の一部の適用例に係る、眼科医が手作業で行われる眼内手術中に手術ツールを動かす正常な可動域と一致する、ロボットユニット20により動かされるように構成されているツールの可動域を示す概略図である図5A図5B、及び図5Cを参照する。図5Aを参照すると、通常、白内障手術が行われる作業空間の直径D1は、通常10から15mm、例えば約12mmである。通常、処置の間にこの作業空間は、直径D2が20mmから30mm、例えば約25mmの円内を移動することになる。これは、各方向の眼の可動範囲を示す破線円によって示される円内を眼が動くためである。図5Bを参照すると、通常、白内障手術が行われる作業空間の深さは、通常10mmから20mm、例えば約15mmである。
【0089】
一部の適用例では、ロボットシステム10は第1及び第2のロボットユニット20を備えることによって、眼科医がそれぞれが各角度から眼に挿入される各ツールを左手及び右手に保持して処置を行う標準的な外科診療を再現される。このようにして第1及び第2のロボットユニットを使用することが図1A及び図1Bに示されている。以上で説明したように、ロボットユニットのツールマウントは少なくとも5自由度で動かすことができる。一部の適用例では、ロボットユニットはツールマウントを5自由度で動かすように構成されており、これによってツールはx軸、y軸、及びz軸に沿って、並びにピッチ角運動及びヨー角運動によって動く。図5Cを参照すると、通常、ロボットユニットはツールマウントを中心方位から±25度のヨー角回転αによって動かすように構成されている。一部の適用例では、ロボットユニットは、ツールマウントを60度のピッチ角回転βによって動かすように構成されている。通常、ツールマウントのピッチ角回転βによる動きは、(図5Cに示すように)xy平面から約20度(例えば15から25度)の開始ピッチγを起点として行われる。更に通常は、ロボットユニットはツールをツールマウントに対して第6の自由度(例えばロール)で動かすように構成されている。一部の適用例では、ロボットユニットはツールをツールマウントに対して回転させるように構成されており、これによってツールは図5Cに示すように中心位置から±80度のロール角回転θの範囲を有する。
【0090】
通常、所与の処置上のステップが実行されている期間を通じて、患者の眼並びにロボットユニット(及び/又はユニット内に配設されたツール)はリアルタイムで継続的に撮像される。リアルタイム画像に応答して、ツールの位置及び向きは、(以下で更に詳細に説明されるように)患者の眼のリアルタイムの動きと対応するように更新される。通常、ツールの位置及び向きは、ツールをロボットユニットを介して動かすことによって更新される。一部の適用例では、処置(又はそのステップ)中に、コンピュータプロセッサは、患者の眼の3次元の動きを、(以上で説明したように、通常は立体視撮像システムである)撮像システム22が得た画像を解析することによって検出する。そのような一部の適用例では、検出した患者の眼の動きに応答して、コンピュータプロセッサはロボットユニットを駆動して、ツールの患者の眼の中への進入が、患者の眼が3次元の動きを経験するときでさえ切開点を経由したままとなるようにツールを動かす。通常、患者の眼が3次元の動きを経験するときでさえ、コンピュータプロセッサは、患者の眼に対する処置の少なくとも一部を、ツールの患者の眼の中への進入を切開点に固定維持しながら、処置の一部を行うためにツールの先端を眼に対して望ましいように動かすことによってロボットユニットに行わせる。代替的又は付加的に、コンピュータプロセッサは、眼が所与の位置にあるときを検出し、一定の機能が眼が所与の位置にあるときに実行されるように一定の機能がロボットユニットにより実行される時間を決定するように構成されている。
【0091】
これより本発明の一部の適用例に係る、ロボットシステム10で使用されるロボットユニット20の代替例の概略図である図6A及び図6Bを参照する。図6Aから図6Bには、ロボットシステムの少なくとも1つの多関節アーム32の各バー80が各関節に配設されている垂直リンク84間に延在する2つの平行ビーム82を備えることが観察される場合がある。一部の適用例では、この平行ビーム及び垂直リンクの配置によって、所与の多関節アームの各リンクの端部は、(図6Aから図6Bへの変化に示すように)アームが動いても互いに平行のままである。そしてこれによって、ツールマウントは支持面27に対して回転することが妨げられる。一部の適用例では、多関節アームのそれぞれは上記のように構成されている。代替的に、多関節アームのうちの1つだけが上記のように構成されている。
【0092】
本発明の一部の適用例に係るロボットユニット20を示す図2を再度参照する。一部の適用例では、図6Aから図6Bに示す構成の代替案として、多関節アームのうちの1つ以上が図2に示すプーリ・ケーブルシステムを使用して安定化される。通常、多関節アームは、アームの支持面27に最も近い端部に配設されているプーリ86を備える。プーリ86は、支持面27に対して回転不能な固定位置に保持されている。多関節アームの各追加のリンク84(図6に示す)に追加のプーリ88が配設されている。通常、(プーリ86及び追加のプーリ88を含む)プーリの隣接する各対の間に、固定長を有するケーブル87のループが配設されている。追加のプーリはその軸周りに自由に回転する。ただし、ケーブルのループの長さが一定であり、プーリ86が支持面27に対して回転不能な固定位置に保持されているため、追加のプーリ88は多関節アームが動いても(矢印89が示す)一定方向を向くことになる。一部の適用例では、上記の構成によってツールマウントは支持面27に対して回転することが妨げられる。一部の適用例では、多関節アームのそれぞれは上記のように構成されている。代替的に、多関節アームのうちの1つだけが上記のように構成されている。
【0093】
図6Aから図6Bに示すように)平行ビームシステムを使用してツールマウントの支持面27に対する回転を防ぐことが、通常は平行ビームが互いに衝突することによって多関節アームの可動域を制限することに留意されたい。例えば、多関節アームは通常、図6Bに示す形態を超えて折り畳むことはできない。一方、アームは図2に示すようなプーリ・ケーブルシステムを備える場合にこのように制限されることはない。通常、図2に示すような形態の場合、アームの隣接部分が(例えばアームの隣接部分が互いに対して10度未満の角度で配設されるように)互いにほぼ平行になるように折り畳まれる可能性がある。
【0094】
これより本発明の一部の適用例に係る、ユーザにより動かされることによってロボットユニット20のアームの動きを制御するように構成されている制御コンポーネント26の制御コンポーネントアーム70の概略図である図7を参照する。図1Aから図1Bの上記の記載によれば、一部の適用例では、制御コンポーネント26は、ロボットシステムが処置(及び/又はそのステップ)を行うように訓練されている訓練段階の間にロボットユニットを制御するのに使用される。代替的又は付加的に、制御コンポーネント26は、例えばロボットシステムが実行する予定の処置のステップを無効にする及び/又は洗練するために、処置が所与の患者に対して後で行われる場合にロボットユニットを制御するのに使用される。更に代替的又は付加的に、デフォルトで制御コンポーネントは、処置が所与の患者に対して行われるときにロボットユニットのアームの動きを制御するのに使用される。
【0095】
通常、制御コンポーネントは、図1Aに示すようにロボットシステムの各ロボットユニット20に対応するように構成されている第1及び第2の制御コンポーネントアーム70を備える。一部の適用例では、制御コンポーネントアームは、同様に図1Aに示すように(ロボットユニットのアームを再現するために)各制御コンポーネントツール71を保持するように構成されている。(図7には、1つの制御コンポーネントアームのみが示されており、制御コンポーネントアームは制御コンポーネントツールがない状態で示されている。)
【0096】
一部の適用例では、制御コンポーネントアーム70のそれぞれは、少なくとも3つの関節72と、3つの関節のうちの各1つに結合された各回転エンコーダ74とを備える。回転エンコーダは、各関節の動きを検出し、これに応答して回転エンコーダデータを生成するように構成されている。一部の適用例では、制御コンポーネントアームは、3軸加速度計、3軸ジャイロスコープ、及び/又は3軸磁力計を備える慣性測定ユニット76を更に備える。慣性測定ユニットは通常、制御コンポーネントアームが動かされたことに応答して、制御コンポーネントアームの3次元方位に関する慣性測定ユニットデータを生成する。一部の適用例では、コンピュータプロセッサ28は回転エンコーダデータ及び慣性測定ユニットデータを受信する。通常、コンピュータプロセッサは、回転エンコーダデータに基づいて制御コンポーネントツール71の先端のXYZ位置を決定し、慣性測定ユニットデータに基づいて制御コンポーネントツール71の先端の向き(例えば、3オイラー方位角、及び/又は別の配向表現)を決定する。したがって、回転エンコーダデータ及び慣性測定ユニットデータの組み合わせに基づいて、コンピュータプロセッサは制御コンポーネントツールの先端のXYZ位置及び向きを決定するように構成されている。
【0097】
一部の適用例では、コンピュータプロセッサは、処置を行うのに使用されている実際のツールの先端が制御コンポーネントツールの先端の動きを追跡するようにロボットユニットを駆動する。通常、制御コンポーネントアームの3次元方位を検出するために慣性測定ユニットを組み込むことによって、ユーザは、回転エンコーダが制御コンポーネントアームの6自由度全ての動きを検出するのに使用される場合と比べて少ない数のセンサを使用して、ロボットユニットの動きを制御することができる。更に通常は、使用される回転エンコーダの数を減らすことによって、制御コンポーネントの全体的な複雑さが減少する傾向がある。なぜなら、追加の回転エンコーダを導入すると、回転する関節を通過する追加のワイヤが必要になるためである。
【0098】
これより本発明の一部の適用例に係る制御コンポーネント26の概略図である図8を参照する。一部の適用例では、制御コンポーネントは1つ以上の人間工学的な特徴を備える。例えば制御コンポーネントは、クッションやジェル充填パッドなどの手首支持要素90を備えることがある。一部の適用例では、左右の制御コンポーネントアーム70が非対称に設計されており、これによってユーザは左右の手でアームを把持し快適に動かすことができる。以上で説明したように、通常、制御コンポーネントアームはロボットユニット20のアームの動きを制御するのに使用される。例えば上記のように、回転エンコーダデータ及び慣性測定ユニットデータの組み合わせに基づいて、コンピュータプロセッサは制御コンポーネントツールの先端のXYZ位置及び向きを決定するように構成されることがある。一部の適用例では、制御コンポーネントアームは追加の制御手段を備える。例えば制御コンポーネントアームは、鉗子などのツールを作動するように構成されているボタン92を備えることがある。
【0099】
これより本発明の一部の適用例に係る、内蔵立体視覚システム94を備えた制御コンポーネント26のそれぞれの視点による概略図である図9A及び図9Bを参照する。以上で説明したように、一部の適用例では、撮像システム22は立体視撮像デバイスである。そのような一部の適用例では、撮像システムが取得した画像に基づいて、リアルタイムの立体画像が、制御コンポーネントに内蔵されている立体視システム94でユーザに表示される。受信した画像に基づいて、ユーザは通常、制御コンポーネント26の制御アーム70を介してコマンドをロボットユニットに提供することによって処置のステップを実行する。
【0100】
これより本発明の一部の適用例に係る、制御コンポーネント26及び制御コンポーネントと共に使用されるヘッドマウントディスプレイ96の概略図である図10を参照する。以上で説明したように、一部の適用例では、撮像システム22が取得した画像に基づいて、リアルタイム画像がユーザに表示される。一部の適用例では、画像はヘッドマウントディスプレイ96に表示される。通常、撮像システムが立体画像を取得し、ヘッドマウントディスプレイは立体画像をユーザに表示する。受信した画像に基づいて、ユーザは通常、制御コンポーネント26の制御アーム70を介してコマンドをロボットユニットに提供することによって処置のステップを実行する。
【0101】
本発明の一部の適用例が白内障手術について記載されているが、本出願の範囲には、本明細書に記載の装置及び方法を他の医療処置に準用することが含まれる。具体的には、本明細書に記載の装置及び方法は、マイクロ手術技術を用いて行われる一般外科、整形外科、婦人科、耳鼻咽喉科、神経外科、口腔顎顔面外科、形成外科、足病外科、血管外科、及び/又は小児外科などの他のマイクロ手術処置に適用されることがある。そのような一部の適用例では、撮像システムは1つ以上の顕微鏡撮像ユニットを含む。
【0102】
本出願の範囲には、本明細書に記載の装置及び方法を白内障手術以外の眼内処置に準用することが含まれることに留意されたい。かかる処置には、コラーゲン架橋結合、内皮角膜移植(例えばDSEK、DMEK、及び/又はPDEK)、DSO(移植のないデスメ膜剥離)、レーザを利用した角膜移植、角膜移植、LASIK/PRK、SMILE、翼状片、眼表面癌治療、二次的IOL配置(縫合、経結膜など)、虹彩修復、IOL再配置、IOL交換、角膜表層切除、低侵襲緑内障手術(MIGS)、角膜輪部幹細胞移植、乱視角膜切除、角膜輪部減張切開(LRI)、羊膜移植(AMT)、緑内障手術(例えば、trabs、tubes、低侵襲緑内障手術)、自動化層状角膜移植(ALK)、前部硝子体切除、及び/又は経扁平部前部硝子体切除が含まれることがある。
【0103】
本明細書に記載される本発明の適用例は、コンピュータプロセッサ28などの、コンピュータ又は任意の命令実行システムによる又は関連する使用のためのプログラムコードを提供するコンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。この説明の目的のために、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによる又は関連する使用のためのプログラムを含む、記憶する、伝達する、伝搬する、又は搬送することができる任意の装置である可能性がある。この媒体は、電子、磁気、光、電磁、赤外線、又は半導体システム(又は装置若しくはデバイス)又は伝搬媒体である可能性がある。通常、コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体は非一時的コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体である。
【0104】
コンピュータ可読媒体の例としては、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、取り外し可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、硬質磁気ディスク及び光学ディスクが挙げられる。現在の光学ディスクの例としては、コンパクトディスク-読み取り専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク-リード/ライト(CD-R/W)、DVD、及びUSBドライブなどが挙げられる。
【0105】
プログラムコードを記憶及び/又は実行するのに適したデータ処理システムが、システムバスを介してメモリ要素に直接的又は間接的に結合された少なくとも1つのプロセッサ(例えば、コンピュータプロセッサ28)を含むことになる。メモリ要素は、プログラムコードの実際の実行中に使用されるローカルメモリ、バルクストレージ、及び、実行中にバルクストレージからコードを取り出さなければならない回数を減らすために、少なくとも一部のプログラムコードの一時的記憶を行うキャッシュメモリを含む可能性がある。システムは、プログラムストレージデバイス上の本発明に係る命令を読み出し、これらの命令に従って本発明の実施形態の方法を実行することができる。
【0106】
ネットワークアダプタをプロセッサに結合して、プロセッサを介在プライベートネットワーク又はパブリックネットワークを介して他のプロセッサ、リモートプリンタ、又はストレージデバイスに結合可能にすることがある。モデム、ケーブルモデム及びイーサネットカードは、現在利用可能なネットワークアダプタの種類のほんの一部である。
【0107】
本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及びCプログラミング言語又は同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれることがある。
【0108】
本明細書に記載されているアルゴリズムがコンピュータプログラム命令によって実施され得ることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを生成し、これによってコンピュータのプロセッサ(例えばコンピュータプロセッサ28)又は他のプログラマブルデータ処理装置によって実行される命令が、本出願に記載のアルゴリズムに規定された機能/作用を実施するための手段を生成することがある。また、これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータ可読媒体(例えば非一時的コンピュータ可読媒体)に記憶されることがあり、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置に特定の方法で機能するように指示できることによって、コンピュータ可読媒体に記憶されている命令は、アルゴリズムに規定された機能/作用を実施する命令手段を含む製造品を生成する。また、コンピュータプログラム命令を、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードして、そのコンピュータ又は他のプログラマブル装置上で一連の動作ステップを実行させてコンピュータ実施プロセスを生成することができ、これによってコンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行する命令は、本出願に記載のアルゴリズムに規定された機能/作用を実施するためのプロセスを提供する。
【0109】
コンピュータプロセッサ28は通常、専用コンピュータを生成するようにコンピュータプログラム命令を用いてプログラムされたハードウェアデバイスである。例えば、図を参照して説明したアルゴリズムを実行するようにプログラムされた場合、コンピュータプロセッサ28は通常、専用のロボットシステムコンピュータプロセッサとして機能する。通常、コンピュータプロセッサ28により実行される本明細書に記載された動作は、実際の物理的物品であるメモリの物理的状態を変化させて、使用されるメモリの技術に応じて異なる磁気極性や電荷などをもたらす。一部の適用例では、コンピュータプロセッサにより実行されると記載されている動作が、互いに組み合わせられる複数のコンピュータプロセッサによって実行される。
【0110】
以上に具体的に示され説明されたものに本発明が限定されないことは当業者によって理解されるであろう。むしろ本発明の範囲は、上記の明細書で説明された様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術にはないそれらの変形例及び修正例を含む。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】