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特表2023-536698三位置の空気圧又は油圧パワーシリンダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-29
(54)【発明の名称】三位置の空気圧又は油圧パワーシリンダ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
F15B15/14 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504180
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 RU2020000392
(87)【国際公開番号】W WO2022019800
(87)【国際公開日】2022-01-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523019284
【氏名又は名称】ヴォロシン・ロマー・レオニドヴィチ
【氏名又は名称原語表記】Voloshin Roman Leonidovich
【住所又は居所原語表記】10A Geroya Vasilyeva, 63, Nizhny Novgorod, (603095) Russian Federation
(71)【出願人】
【識別番号】523021645
【氏名又は名称】パンテレイエフ・ドミトリー・ヴィクトロヴィチ
【氏名又は名称原語表記】Panteleev Dmitry Victorovich
【住所又は居所原語表記】30 Zemlyanichnaya, Nizhny Novgorod, (603069) Russian Federation
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロシン・ロマー・レオニドヴィチ
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA06
3H081BB02
3H081BB03
3H081CC23
3H081CC25
3H081DD02
3H081FF04
(57)【要約】
本発明は、油圧シリンダ装置に関し、車両用変速機に使用され得る。三位置の空気圧又は油圧シリンダは、エンドキャップを有するハウジング、2つのピストン、ロッド、及び作動流体用供給チャネルで構成され、各ピストンは、ピストンを分離する中央突起及びロッドにおける周辺突起のため、ロッドに沿った動きを制限するように構成され、また、ハウジング内での動きを制限するように構成される。中央突起は、ブッシングの形で構成され、環状突起は、ハウジングの内面に構成される。上記ブッシング及び上記突起は、軸型/開放型の気密可動カップリングを形成する。別個のチャネルは、各ピストンで形成されるチャンバ、及びハウジングの対応するエンドに作動流体を供給するために使用され、共有チャネルは、各ピストンで形成されるチャンバ、中央突起及びブッシングに作動流体を供給するために使用され、又は、別個のチャネルは、各ピストンで形成されるチャンバ、中央突起及びブッシングに作動流体を供給するために使用され、共有チャネルは、各ピストンで形成されるチャンバ、及びハウジングの対応するエンドに作動流体を供給するために使用される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三位置の空気圧又は油圧シリンダであって、エンドキャップを有するハウジング、2つのピストン、ロッド、及び作動流体用供給チャネルで構成され、各前記ピストンは、前記ピストンを分離する中央突起及び前記ロッドにおける周辺突起のため、前記ロッドに沿った動きを制限するように構成され、また、前記ハウジング内での動きを制限するように構成され、前記中央突起は、ブッシングの形で構成され、環状突起は、前記ハウジングの内面に構成され、前記ブッシング及び前記突起は、軸型/開放型の気密可動カップリングを形成する、三位置の空気圧又は油圧シリンダ。
【請求項2】
前記作動流体供給チャネルは、各前記ピストンで形成されるチャンバ、及び前記ハウジングの対応するエンドへの別個のチャネル、並びに各前記ピストンで形成されるチャンバ、前記中央突起及び前記ブッシングへの共有チャネルとして実装される、請求項1に記載の三位置のシリンダ。
【請求項3】
前記作動流体供給チャネルは、各前記ピストンで形成されるチャンバ、前記中央突起及び前記ブッシングへの別個のチャネル、並びに各前記ピストンで形成されるチャンバ、及び前記ハウジングの対応するエンドへの共有チャネルとして実装される、請求項1に記載の三位置のシリンダ。
【請求項4】
前記ロッド軸に傾斜した少なくとも1つの負荷相互作用ピンは、前記環状突起の穴内に配置される、請求項1、2又は3に記載の三位置のシリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボリューム型の空気圧又は油圧駆動装置に関し、具体的には、空気圧(油圧)油圧シリンダ装置に関し、ロボット生産ライン、車両用変速機を含む多用途の機械の駆動装置のために使用され得る。
【先行技術】
【0002】
例えば、同期ずれの油圧駆動装置が知られている(第RU2545543C2号の特許出願)。駆動装置は、シリンダと、第1チャンバ及び第2チャンバを分離するシリンダ内で移動するように配置されるピストンとを含む。
【0003】
駆動装置が第1係合位置にある場合、第1チャンバの容積は最小であり、駆動装置が第2係合位置にある場合、第2チャンバの容積は最小である。ピストンは、シリンダ内の第3チャンバの境界も定め、駆動装置がニュートラル位置にある場合、チャンバの容積は最小である。
【0004】
この駆動装置は、技術的に複雑な製品であり、特に、その性能は、特定のチャンバ内の加圧精度に直接依存する。
【0005】
三位置の油圧シリンダ(第RU2079007C1号の特許出願)は、負荷接続及び作動流体供給のためのウィンドウを有するハウジングを含み、カバーによって閉じられたキャビティには、穴の開いたピストン、それと相互作用するプランジャ、及びカバーが配置され、プランジャは、ストロークを制限する止具を備えたピストンの穴に配置される。
【0006】
本体の縦軸に垂直に配置されたピンは、負荷と相互作用する作動要素として使用される。この設計の欠点は、作動要素をハウジングのエンドに移動できないことである。
【0007】
エンドキャップを有するハウジング、2つのピストン、ロッド、作動流体用チャネルで構成される三位置の空気圧シリンダ(第1HU87364B号の特許出願)はプロトタイプとして選択される。ピストンは、シリンダの内部を3つのチャンバに分割し、各ピストンは、ピストンを分離する中央突起、及びロッドにおける周辺突起のため、ロッドに沿った動きを制限するように構成され、また、ハウジングの内面に構成される突起のため、ハウジング内での動きを制限するように構成される。止め要素は、2つのピストン間のロッドに固定され、止め要素には、ピストン間のチャンバへの作動流体(空気)供給チャネルの入口ポートがある。
【0008】
既知のプロトタイプ装置の欠点は、以下の設計上の特徴を有し、
【0009】
- 上エンドキャップの存在による大きな寸法。
【0010】
- シリンダ端面の1つから追加のロッド出口を実装できない、また、例えば、垂直に取り付けられたピン。
【0011】
- ロッド(作動流体供給領域)における突起(ブッシング)の端面はピストンとして機能し、従って、任意のロッドの動きに影響を与え、つまり、ロッドを中間位置又はニュートラル位置に設定するために、作動流体の追加のエネルギー(圧力)は必要である。
【0012】
- ロッドが中間位置にある場合のポテンシャル圧力差により、いわゆる中間位置を超えたロッドの振れが発生し、その後、中間位置に戻る(移動)。この要因は、これが仕事関数に従ってはならない装置では不利である。
【0013】
- カバー及びピストンとの接触により、ロッドの位置合わせを確保し、ロッドに大きな負荷がかかると、装置の連続動作時間に影響を与える可能性がある。シールポイントでの位置合わせは、少なくとも疑わしいように見える。第HU87364B号の特許出願では、ピストンフィッティングの寸法が大きくなり、ロッドの位置合わせが確実になり、そのため、装置の寸法、重量及び材料の消費量が増加する。
【0014】
より複雑な製造設計を使用し、例えば、ブッシングの中央にある保持突起は、作動流体の出口に対して特別に適合し、又は衝撃強度を確保しながら、溝と穴のシステムを備えた明らかに複雑な設計でなければならず、保持リングの使用も設計を複雑にし、固定及び密閉のために、追加の上エンドキャップを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上記の欠点のない装置を提供することである。この技術的結果は、設計を簡素化し、装置の信頼性、速度及び精度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この問題は、エンドキャップ(壁)を有するハウジング、2つのピストン、ロッド、及び作動流体用チャネルで構成される三位置の空気圧又は油圧シリンダによって解決され、各ピストンは、ピストンを分離する中央突起及びロッドにおける周辺突起のため、ロッドに沿った動きを制限するように構成され、また、ハウジング内での動きを制限するように構成され、中央突起がブッシングの形で構成され、環状突起がハウジングの内面に構成されることは提案され、ブッシング及び突起は、軸型/開放型の気密可動カップリングを形成する。実際、提案される解決策は、エンドキャップ(壁)、2つのピストン、及びブッシングと環状突起によって形成される仕切りによって形成されるハウジング内に4つのチャンバを形成する。
【0017】
突起は、ブッシング、ハウジングの一部、又はピストンの動きを制限するロッドなどの任意の部分を意味すると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、シリンダの第1好ましい実施形態の縦断面図、中央(中間)位置を示す。
図2図2は、シリンダの第1好ましい実施形態の縦断面図、一番右の位置を示す。
図3図3は、シリンダの第2好ましい実施形態の縦断面図、作動流体供給チャネルの異なる設計を有する中央(中間)位置を示す。
図4図4は、シリンダの第2好ましい実施形態の縦断面図、作動流体供給チャネルの異なる設計を有する中央(中間)位置を示す。
図5図5は、シリンダの第2好ましい実施形態の縦断面図、一番右の位置を示す。
図6図6は、2つのエンドロッド要素を有するプロトタイプの三位置のシリンダの全体図を示す。
図7図7は、2つのエンドロッド要素を有するプロトタイプの三位置のシリンダの分解図を示す。
図8図8は、1つのエンドロッド要素を有するプロトタイプの三位置のシリンダの分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
作動流体供給チャネルの実装によって決定される、本発明の2つの好ましい実施形態が提案される。
【0020】
第1好ましい実施形態では、作動流体供給チャネルは、各ピストンで形成されるチャンバ、及びハウジングの対応するエンド(エンドキャップ)への別個のチャネル、並びに各ピストンで形成されるチャンバ、中央突起及びブッシングへの共有チャネルとして実装される。
【0021】
第2好ましい実施形態では、作動流体供給チャネルは、各ピストンで形成されるチャンバ、中央突起及びブッシングへの別個のチャネル、並びに各ピストンで形成されるチャンバ、及びハウジングの対応するエンド(エンドキャップ)への共有チャネルとして実装される。
【0022】
全ての実施形態は、環状突起の穴内にロッド軸に傾斜した少なくとも1つの負荷相互作用ピンを配置することによって補足することができる。
【0023】
装置の一実施形態では、上記のピン要素のみが負荷相互作用のために提供される。原則として、装置の特定の用途に応じて、1つ又は2つのロッド出口、1つ以上のピンの様々な組み合わせで設計を実装することができる。ピン付きのブッシングは、ブッシングの軸を中心に扇形に回転することもできる。
【0024】
本発明は、グラフィック素材(プロトタイプの図面と写真)によって説明される。
【0025】
三位置のシリンダは、ロッドが配置され、ハウジング1の円筒部分の内側とブッシング2上との両方に自由移動可動なピストン3と4のための2つの突起を有する円筒状ブッシング2の中央部分を含むハウジング、2つのエンドキャップ5と6、エンドロッド要素7、8、及び横ピン9で構成される。好ましくは、ロッドは、堅牢に接続される複数の部品で構成され、その部品は、低摩擦摺動材料で製造されるブッシング2、周辺突起を有するエンド部品7、8、及び横ピン9である。この装置は、作動流体(圧縮空気又は液体)供給チャネルA、B及びCを更に含む。
【0026】
第1好ましい実施形態(図1及び2)では、ピストン3、4のそれぞれで形成されるチャンバへの別個のチャネルA及びC、並びにハウジングの対応するエンド(キャップ5と6)は、ハウジング及びキャップ5と6内に配置することができる。ピストン3、4のそれぞれで形成されるチャンバへの共有チャネルB、中央突起及びブッシング2は、ハウジング1の突起内に配置することができる。
【0027】
第2好ましい実施形態(図3、4、5)では、ピストンのそれぞれで形成されるチャンバへの別個のチャネルA及びC、中央突起及びブッシング2は、ハウジング1の突起内に配置され、ピストン3、4のそれぞれで形成されるチャンバへの共有チャネルB、及び対応するエンド(エンドキャップ5、6)は、ハウジング1の壁(図3及び5)、又はブッシング2(図4)内に配置することができる。
【0028】
装置は、任意の数の出力負荷相互作用要素(エンド要素7、8、ピン9)で動作可能である。エンド要素7、8なしで装置を使用する場合、突出するピストンストローク限定手段(ピストン3、4)をロッド穴のないブッシング2とキャップ(キャップ5、6)に取り付ける必要がある。図8は、1つのエンドロッド要素を有するプロトタイプ装置を示す。
【0029】
第1好ましい実施形態(圧縮空気)による装置の動作は、以下のとおりである。
【0030】
圧縮空気がチャネルBに供給される場合、ピストン3が左に移動し、ピストン4が右に移動し、ピストンがキャップ5、6の突起に到達し、ロッド7及び8の保持突起に寄り掛かり、ブッシング2を中間位置に設定する(図1)。その時点で、チャネルA及びCは大気に開放される。
【0031】
圧縮空気がチャネルAに供給される場合、ピストン3が右に移動し、ブッシング2の突起に到達して右に押し、次に、ピストン3は、メインハウジングの保持突起に寄り掛かり、ブッシング2は、キャップ6に寄り掛かったピストン4に寄り掛かり、従って、要素7、8及びピン9を有するブッシング2を一番右の位置に設定する(図2)。その時点で、チャネルB及びCは大気に開放される。
【0032】
一番左の位置への移動は、一番右の位置への移動に対して反対(ミラー)の順序で行われる。
【0033】
メインハウジング、エンドキャップ5、6の突起、及びブッシング2が非対称設計の場合、ロッドは、中央(中間)位置に対して必要な(シフトされる)中途位置に保持され得る。
【0034】
第2好ましい実施形態(圧縮空気)による装置の動作は、以下のとおりである(図3、4)。
【0035】
装置は、任意の数の出力負荷相互作用要素(エンド要素7、8、ピン9)でも動作可能である。エンド要素7、8なしで装置を使用する場合、突出するピストンストローク限定手段(ピストン3、4)をロッド穴のないブッシング2とキャップ(キャップ5、6)に取り付ける(第1好ましい実施形態と同様)必要がある(図8)。
【0036】
圧縮空気がチャネルBに供給される場合、ピストン3が右に移動し、ピストン4が左に移動し、ピストンがブッシング2の突起に到達し、ハウジングに寄り掛かり、ロッド7、8及びピン9を有するブッシング2を中間位置に設定する。その時点で、チャネルA及びCは大気に開放される。
【0037】
圧縮空気がチャネルCに供給される場合、ピストン4が右に移動し、ロッド8に到達し、ブッシング2が右に移動し、ロッド7がピストン3に寄り掛かり、ロッド7、8及びピン9を有するブッシング2を一番右の位置に設定する。その時点で、チャネルA及びBは大気に開放される。
【0038】
一番左の位置への移動は、一番右の位置への移動に対して反対(ミラー)の順序で行われる。
【0039】
メインハウジング1及びブッシング2が非対称設計の場合、ロッドは、中央(中間)位置に対して必要な(シフトされる)中途位置に保持され得る。
【0040】
液圧下での装置の動作原理は、圧縮空気での動作と同様であるが、ロッドの再配置時に高圧下にないメイン液体ラインのチャネルは、メイン低圧液体ライン及び膨張タンクに開放されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
試験中のプロトタイプ装置(ピン9なし、図6、7、8)は、動作能力を実証し、問題を解決し、前述の技術的結果を達成する。
【0042】
試験運転中の故障、半係合及び中断は記録されない。なお、3つの上記位置のいずれかに到達する場合、ロッド(及び/又はピン)の駆動(移動)力は同じであり、従って、3つの位置の全てに確実に到達する場合、そのシリンダはパワーシリンダであると言える。駆動(移動)装置も低い接合気密性で動作可能であるが、到達した位置(作動流体圧力下)での力の保持を確実にするために、ピストンとエンドキャップの適切な気密性と密封性を提供する必要がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】