IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テ ヨン ファン ガード カンパニー,リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-非接触無負荷動力伝達装置 図1
  • 特表-非接触無負荷動力伝達装置 図2
  • 特表-非接触無負荷動力伝達装置 図3
  • 特表-非接触無負荷動力伝達装置 図4
  • 特表-非接触無負荷動力伝達装置 図5
  • 特表-非接触無負荷動力伝達装置 図6
  • 特表-非接触無負荷動力伝達装置 図7
  • 特表-非接触無負荷動力伝達装置 図8
  • 特表-非接触無負荷動力伝達装置 図9
  • 特表-非接触無負荷動力伝達装置 図10
  • 特表-非接触無負荷動力伝達装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】非接触無負荷動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 27/01 20060101AFI20230823BHJP
   F16H 49/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
F16D27/01
F16H49/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575763
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2020009947
(87)【国際公開番号】W WO2022025307
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0092754
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522477012
【氏名又は名称】テ ヨン ファン ガード カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ギル ヨン
(57)【要約】
本発明は、磁石対非磁石の構造を用いて非接触無負荷状態で動力を伝達することができる非接触無負荷動力伝達装置に関するものである。このために、動力軸または負荷軸のうちのいずれか一方に結合され、一側面に磁性体を備える第1ディスクユニット(10)と、前記第1ディスクユニット(10)に対応する動力軸または負荷軸に結合され、前記磁性体との間で引力が作用する非磁性体から形成される第2ディスクユニット(20)とを含み、非接触式で動作することを特徴とする非接触無負荷動力伝達装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力軸と負荷軸とから構成される動力伝達装置であって、
前記動力軸または前記負荷軸のうちのいずれか一方に結合され、一側面に磁性体を備える第1ディスクユニット(10)と、
前記第1ディスクユニット(10)に対応する前記動力軸または前記負荷軸に結合され、前記磁性体との間に引力が作用する非磁性体から形成される第2ディスクユニット(20)と、を含み、
非接触無負荷方式で動作することを特徴とする、非接触無負荷動力伝達装置。
【請求項2】
前記第1ディスクユニット(10)と第2ディスクユニット(20)との位置を離隔させるか近接させることで、カップリングにかかる回転数及び負荷量を制御することを特徴とする、請求項1に記載の非接触無負荷動力伝達装置。
【請求項3】
前記第1ディスクユニット(10)は、第1ディスク(11)と、前記第1ディスク(11)の一側面に放射状に配置されて結合される磁性体(13)と、前記磁性体(13)の一側面に接し、前記磁性体(13)から発生する磁力が外部に放出されるようにする磁力形成板(12)と、前記磁性体(13)を前記第1ディスク(11)に締結して結束し、磁力が外部に放出されるようにする磁力形成締結部材(14)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の非接触無負荷動力伝達装置。
【請求項4】
前記磁性体(13)は、複数のN極及びS極が交互に配列されることを特徴とする、請求項3に記載の非接触無負荷動力伝達装置。
【請求項5】
前記第1ディスク(11)には、前記磁性体が(13)が回転することによる極性変化によって発生する渦電流によって発生する熱気を放出するための放熱ホール(112)がさらに形成されることを特徴とする、請求項3に記載の非接触無負荷動力伝達装置。
【請求項6】
前記磁力形成締結部材(14)と前記磁力形成締結部材(14)の一側面が接触する前記磁力形成板(12)とが前記磁性体(13)を収容する箱体構造に形成され、前記磁力形成締結部材(14)の一部が外部に向かうようにすることで、前記磁性体(13)から発生する磁力が前記第2ディスクユニット(20)に集中することを特徴とする、請求項3に記載の非接触無負荷動力伝達装置。
【請求項7】
前記第2ディスクユニット(20)は、第2ディスク(21)と、前記第2ディスク(21)の一側面に結合される磁力強化板(22)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の非接触無負荷動力伝達装置。
【請求項8】
前記第2ディスク(21)と前記磁力強化板(22)との間には、異種金属腐食などによって前記第2ディスク(21)及び前記磁力強化板(22)で腐食が発生することを防止するための腐食防止板(23)をさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載の非接触無負荷動力伝達装置。
【請求項9】
前記磁力強化板(22)には、渦電流によって発生する熱気を放出し、渦電流が発生することができるようにする放熱ホール(221)がさらに形成され、前記放熱ホール(221)は、点形、曲線形、幅の小さい扇形、変形された王字形などの多様な形態に形成されることを特徴とする、請求項7に記載の非接触無負荷動力伝達装置。
【請求項10】
前記第1ディスクユニット(10)及び前記第2ディスクユニット(20)は、磁力及び回転磁界によって発生する渦電流によって、前記第1ディスクユニット(10)及び前記第2ディスクユニット(20)に結合される前記動力軸または前記負荷軸の中心が同一水平軸線上にある場合、上方または下方のどの方向にもずれた場合、及び前記動力軸または前記負荷軸の中心がねじれ角を維持する場合にも駆動されることができることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の非接触無負荷動力伝達装置。
【請求項11】
前記第1ディスクユニット(10)と前記第2ディスクユニット(20)との間に発生する磁力及び回転磁界によって発生する渦電流によって、単一の動力軸に対して複数の負荷軸が対応して駆動することができることを特徴とする、請求項1に記載の非接触無負荷動力伝達装置。
【請求項12】
前記磁性体と前記非磁性体との間の引力のみが発生して、極性変化に関係なく駆動可能であり、前記磁性体の回転によって変わる極性変化、すなわち回転磁界によって渦電流が発生し、前記回転磁界によって前記非磁性体が回転することで、運転中の急停止または正回転中の逆回転の際、物理的衝撃及び機械的破損なしに駆動可能であり、非接触式で両ディスクユニットの間の離隔空間によるクッション現象を提供することで、前記動力軸及び前記負荷軸に対する物理的衝撃及び機械的破損なしに運転中のスムーズな逆回転が可能であることを特徴とする、請求項1に記載の非接触無負荷動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁石対非磁石の構造を用いて非接触無負荷状態で動力を伝達することができる非接触無負荷動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分で記述する内容は単純に本発明の一実施例についての背景情報を提供するだけで、従来技術を構成するものではない。
【0003】
一般に、動力伝達装置には多様な形態の装置が存在する。そのうち、代表的なものは、機械的接触による物理力の伝達手段としてギアを用いた動力伝達、プーリー及びベルトを用いた伝達などがあり、このように対からなる動力伝達装置をカップラーまたはカップリングなどという。
【0004】
このようなカップリングは駆動力を伝達するためのものであり、モーターまたはエンジンなどに連結されて駆動力を伝達する動力軸とポンプなどのような回転対象体側に連結される負荷軸または従動軸とのように互いに異なる二つの軸を連結することで、両軸が同時に回転するようにするためのものである。
【0005】
このようなカップリングは、機械的連結によって噛み合って回転することにより、摩擦による騷音、粉塵、振動、エネルギー効率減少、耐久性低下、機械的焼損などが発生することがある。
【0006】
また、初期動作の際、負荷軸または従動軸に高負荷の回転対象体が位置する場合、動力軸に高負荷が同様に提供されるので、モーターまたはエンジンなどの寿命を短縮させるか、異常状況による急停止または急回転方向転換などの作業の際、機械的衝撃が動力軸に緩衝なしに伝達されることで、動力軸が破損される場合が頻繁に発生する。
【0007】
したがって、機械的連結によるカップリングが騷音や振動が発生することを防止することができるように、一例としてポンプに異物が挟まるなどの原因で負荷軸または従動軸が回転を停止することにより、動力軸の電動モーターなどに過負荷がかかることを防止することができるように、磁石の磁力を用いたマグネティックカップリングが使われている。
【0008】
したがって、多様な形態のカップリングが提案されている。そのうち、代表的なものが韓国公開特許第10-2015-0017885号公報(磁力を用いた非接触動力伝達構造、以下「先行技術」という。2015年02月23日公開)であり、これは分離された主動軸と従動軸とを連結して動力を伝達するための構造に関するものであり、具体的には、中央に形成され、N極及びS極のうちのいずれか一極性を有する第1磁石と、前記第1磁石の外郭に形成され、多数のN極及びS極に分割された第2磁石とからなる一対の磁性体が構成されることにより、磁力を用いて非接触状態で主動軸の動力を従動軸に伝達することができる、磁力を用いた非接触動力伝達構造を提供する。
【0009】
しかし、前記のような先行技術は、動力軸ディスクに配置された磁石と負荷軸ディスクに配置された磁石との間の引力及び斥力を用いる構造を有し、周期的スリップ現象が発生して一様な動力伝達に困難があり、周期的スリップ現象を克服するためには一体型構造を有することになる欠点がある。
【0010】
また、その他の一般的なマグネティックカップリングは、引力や斥力が発生するとき、渦電流による磁気熱及び抵抗熱が発生し、このように発生した高熱は磁力減少の主原因になってエネルギー効率を低下させる。既存の一般的なカップリングの場合、流量調節のためのバルブの設置及び操作によって解決したが、この過程は過負荷を発生させる主原因になり、機械的焼損をもたらし、エネルギー効率を減少させる問題点がある。すなわち、従来のマグネティックカップリングは、モーター側の動力を従動軸に効率的に伝達することができなくて動力伝達効率がちょっと低く、モーターの動力伝達効率が低くて従動軸の精密な回転制御が困るという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2015-0017885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前述した問題点を解決するために、本発明の一実施例によって、動力軸または負荷軸のうちの一方に連結されて動作することができるように磁性体を含むディスクと、これに対応する負荷軸または動力軸に配置された非磁石ディスクとの間に形成された磁力によってスリップまたは渦電流の発生による発熱を最小化しながら動力を伝達することができるマグネティックカップリングを提供することに目的がある。
【0013】
また、本発明は、回転対象体が結合される負荷軸の負荷量を制御することができるようにすることで、動力軸のモーターまたはエンジンなどの動力発生源の破損を防止することができるようにするマグネティックカップリングを提供することに他の目的がある。
【0014】
ただ、本実施例が達成しようとする技術的課題は前述したような技術的課題に限定されず、他の技術的課題があり得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した技術的課題を達成するための技術的手段として、本発明の一実施例による非接触無負荷動力装置は、動力軸と負荷軸とから構成される動力伝達装置であって、動力軸または負荷軸のうちのいずれか一方に結合され、一側面に磁性体を備える第1ディスクユニット(10)と、前記第1ディスクユニット(10)に対応する動力軸または負荷軸に結合され、前記磁性体との間に引力が作用する非磁性体から形成される第2ディスクユニット(20)とを含み、非接触無負荷方式で動作することを特徴とする。
【0016】
ここで、前記第1ディスクユニット(10)と第2ディスクユニット(20)との位置を離隔させるか近接させることで、カップリングにかかる回転数及び負荷量を制御することができる。
【0017】
また、前記第1ディスクユニット(10)は、第1ディスク(11)と、前記第1ディスク(11)の一側面に放射状に配置されて結合される磁性体(13)と、前記磁性体(13)の一側面に接し、磁性体(13)から発生する磁力が外部に放出されるようにする磁力形成板(12)と、磁性体(13)を第1ディスク(11)に締結して結束し、磁力が外部に放出されるようにする磁力形成締結部材(14)とを含み、前記磁性体(13)は、多数のN極及びS極が交互に配列され、前記第1ディスク(11)には、磁性体が(13)が回転することによる極性変化によって発生する渦電流によって発生する熱気を放出するための放熱ホール(112)がさらに形成される。
【0018】
また、前記磁力形成締結部材(14)と前記磁力形成締結部材(14)の一側面が接触する磁力形成板(12)とが磁性体(13)を収容する箱体構造に形成されるようにし、磁力形成締結部材(14)の一部が外部に向かうようにすることで、磁性体(13)から発生する磁力が第2ディスクユニット(20)に集中するようにする。
【0019】
また、前記第2ディスクユニット(20)は、第2ディスク(21)と、前記第2ディスク(21)の一側面に結合される磁力強化板(22)とを含み、前記第2ディスク(21)と磁力強化板(22)との間には、異種金属腐食などによって第2ディスク(21)及び磁力強化板(22)で腐食が発生するのを防止するための腐食防止板(23)をさらに備える。
【0020】
ここで、前記磁力強化板(22)には、渦電流によって発生する熱気を放出し、渦電流が発生することができるようにする放熱ホール(221)がさらに形成され、前記放熱ホール(221)は、点形、曲線形、幅の小さい扇形、変形した王字形などの多様な形態に形成される。
【0021】
ここで、前記第1ディスクユニット(10)及び第2ディスクユニット(20)は、磁力及び回転磁界によって発生する渦電流によって、第1ディスクユニット(10)及び第2ディスクユニット(20)に結合される動力軸または負荷軸の中心が同一水平軸線上にある場合、上方または下方のどの方向にもずれた場合、及び動力軸または負荷軸の中心がねじれ角を維持する場合にも駆動されることができ、前記第1ディスクユニット(10)と第2ディスクユニット(20)との間に発生する磁力及び回転磁界によって発生する渦電流によって、単一の動力軸に対して複数の負荷軸が対応して駆動することができる。
【0022】
また、前記磁性体と非磁性体との間の引力のみが発生して、極性変化に関係なく駆動可能であり、磁性体の回転によって変わる極性変化、すなわち回転磁界によって渦電流が発生し、回転磁界によって非磁性体が回転することで、運転中の急停止または正回転中の逆回転の際、物理的衝撃及び機械的破損なしに駆動可能であり、非接触式で両ディスクユニットの間の離隔空間によるクッション現象を提供することで、動力軸及び負荷軸に対する物理的衝撃及び機械的破損なしに運転中のスムーズな逆回転が可能であることを特徴とする非接触無負荷動力伝達装置を提供することで本発明の目的をよりうまく達成することができる。
【発明の効果】
【0023】
前述した本発明の課題解決手段によれば、本発明は、負荷軸に配置された磁性体を含むディスクと動力軸に配置された非磁性のディスクとの間に形成された磁力によって非接触無負荷状態で動力を伝達することで、機械的焼損、騷音、振動、粉塵から自由であり、既存のマグネティックカップリングに比べて、周期的スリップ現象なしに安定的な出力を提供することができる効果がある。
【0024】
また、本発明は、磁石対非磁石構造のマグネティックカップリングによって順方向回転及び逆方向回転が可能であり、自由な間隔調節によって回転速度及び出力量を制御することができるので、エネルギー効率を極大化することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例による非接触無負荷動力伝達装置の構成を説明する図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図1の一部の構成要素である磁力強化板の多様な形態を説明する図である。
図4図1の第1ディスクを示す図である。
図5図1の一部の構成要素である磁力強化板の構成を説明するための図である。
図6】本発明の一実施例による非接触無負荷動力伝達装置の前後及び上下間隔調節過程を説明する図である。
図7図6に示す第1ディスクと第2ディスクとの上下及び左右間隔調節過程を説明する図である。
図8】本発明の一実施例による第1ディスクの第1軸と第2ディスクの第2軸とが水平状態からずれた状態を説明する図である。
図9】本発明の一実施例による複数の負荷軸を適用した動力伝達構造を説明するための例示図である。
図10】本発明の一実施例による複数の負荷軸を適用した動力伝達構造の動力伝達方法を説明するための例示図である。
図11】従来の磁石対磁石を適用した非接触式マグネティック動力伝達構造を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、添付図面に基づき、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、本発明は様々な相異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全般にわたって類似の部分に対しては類似の図面符号を付けた。
【0027】
明細書全般にわたり、ある部分が他の部分と「連結」されていると言うとき、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を排除するものではなくて他の構成要素をさらに含むことができることを意味し、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品又はこれらの組合せなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0028】
以下の実施例は本発明の理解を助けるための詳細な説明であり、本発明の権利範囲を制限するものではない。したがって、本発明と同じ機能を果たす同一範囲の発明も本発明の権利範囲に属するものであろう。
【0029】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施例を詳細に説明する。
【0030】
図1は本発明の一実施例による非接触無負荷動力伝達装置の構成を説明する図であり、図2図1の分解斜視図であり、図3図1の一部の構成要素である磁力強化板の多様な形態を説明する図であり、図4図1の第1ディスクを示す図であり、図5図1の一部の構成要素である磁力強化板の構成を説明するための図である。
【0031】
図1及び図2を参照すると、本発明の非接触無負荷動力伝達装置は、動力軸または負荷軸のうちのいずれか一方に結合され、一側面に磁性体を備えている第1ディスクユニット10と、前記第1ディスクユニット10に対応する動力軸または負荷軸に結合され、非磁石から形成される第2ディスクユニット20とから構成され、第1ディスクユニット10と第2ディスクユニット20とは互いに向き合う状態で離隔して非接触式で動作する。
【0032】
ここで、前記第1ディスクユニット10は、第1ディスク11と、前記第1ディスク11の一側面に放射状に配置されて結合される磁性体13と、前記磁性体13の一側面に接し、磁性体13から発生する磁力が外部に放出されるようにする磁力形成板12と、磁性体13を第1ディスク11に締結して結束し、磁力が外部に放出されるようにする磁力形成締結部材14とから構成される。
【0033】
ここで、前記第1ディスク11は、中心部に動力軸Aまたは負荷軸Bのうちのいずれか一方を締結することができるように軸結合ホール111が形成され、前記軸結合ホール111を中心に磁性体13が放射状に配置されて結合されるように内側に食刻された空間を形成する磁性体収容ホール113がさらに形成される。
【0034】
また、前記第1ディスク11上には、磁性体13が回転することによって極性が変化する回転磁界によって発生する渦電流によって発生する熱気を放出するための放熱ホール112がさらに形成される。
【0035】
ここで、前記放熱ホール112は第1ディスク11の一面から他面まで複数が貫設される。
【0036】
前記のように形成された第1ディスク11に締結されて結合される磁性体13としては通常の永久磁石を適用することができるが、これに限定されるものではなく、永久磁石や電磁石のように磁力を発生させることができるものであれば何でも可能である。
【0037】
ここで、前記磁性体13は第1ディスク11の軸結合ホール111を中心に放射状に配置されて結合され、第1ディスクユニット10が回転するとき、中心軸からの離隔距離に対する回転軌跡差を補償するために、一端部が他端部より長く形成される上狭下広または上広下狭の形状の四角形、またはその断面が扇形または台形の形状を有し、外側に長弧及び内側に短弧を有する形状に形成されるが、これに限定されるものではなく、多様な形状に形成されることができる。
【0038】
また、磁性体13は、第1ディスク11の一側面に軸結合ホール111を中心に放射状に配置されるとき、多数のN極及びS極が交互に配列される。
【0039】
また、前記磁性体13の一側面に接し、第1ディスク11の磁性体収容ホール113の内側に収容され、磁性体13から発生する磁力を外部に放出させるための磁力形成板12は磁性体13の形状と同一に形成される。
【0040】
ここで、前記磁力形成板12は第1ディスク11の内側に結合され、第1ディスクユニット10に対応する第2ディスクユニット20の方向に磁性体13の透磁率を高めるようにする。
【0041】
前記のような磁力形成板12は磁性体の透磁率を高めることができる材料から形成されることが好ましい。本発明では、ケイ素鋼板、アモルファス磁性体、アルミニウムなどが可能であるが、これに限定されるものではなく、透磁率を高めることができる材料であれば何でも可能である。
【0042】
前記磁力形成板12は複数の放熱ホール121をさらに備える。これは、渦電流によって磁性体13から発生する熱気を放出するためのものである。
【0043】
また、前記磁力形成板12に一側面が接して支持され、外側面が内側面に接するように内挿された磁性体13を結束する磁力形成締結部材14も磁力形成板12と同じ材料から形成される。
【0044】
より詳細に説明すると、前記磁力形成締結部材14は第1ディスク11の磁性体収容ホール113の内側面と磁性体13との間に締まりばめ方式で締結され、磁性体13を結束するとともに磁力形成板12及び磁性体13の磁力を外部に放出して透磁率を向上させる。
【0045】
したがって、磁力形成締結部材14と前記磁力形成締結部材14の一側面が接触する磁力形成板12とが磁性体13を収容する箱体構造に形成され、磁力形成締結部材14の一部が外部に向かうようにすることで、磁性体13から発生する磁力が第2ディスクユニット20の方向に集中する。
【0046】
前記のような第1ディスクユニット10に対応し、一側面が離隔して配置され、第1ディスクユニット10に結合される動力軸または負荷軸に対応する動力軸または負荷軸に締結される第2ディスクユニット20は、第1ディスクユニット10の磁性体から発生する磁力によって回転することができるように非磁性体から構成される。
【0047】
ここで、前記非磁性体は磁性体との間に引力を維持することができる金属材料または非金属材料からなるが、磁性体との間に引力を維持することができるものであれば何でも可能である。
【0048】
より詳細に説明すると、金属材ディスクまたは合成樹脂に金属粉末などが含まれて形成され、磁性体との間に引力を維持することができるものを言う。
【0049】
前記のような第2ディスクユニット20は、中心に動力軸Aまたは負荷軸Bのうちの一つが締結されることができる軸結合ホール211が形成され、前記締結ホール211を中心に複数の放熱ホール212がさらに形成される円盤状の第2ディスク21から構成される。
【0050】
ここで、前記放熱ホール212は軸結合ホール211を中心に放射状に配置されて形成される。
【0051】
また、前記第2ディスク21の一側面には第1ディスクユニット10から発生する渦電流に対応するかまたは磁性体13から発生する磁力による引力を増加させることができる磁力強化板22を備え、前記磁力強化板22と第2ディスク21との間には異種金属腐食などによって腐食が発生することを防止するための腐食防止板23をさらに備える。
【0052】
ここで、前記腐食防止板23は、異種金属間の腐食を防止し、熱を吸収するためのセラミックペーパーのような吸熱材から形成されることが好ましいが、これに限定されるものではなく、異種金属間の渦電流によって発生する腐食を防止することができるものであれば何でも可能である。
【0053】
前記のような磁力強化板22には、渦電流によって発生する熱気を放出し、渦電流を発生するようにする放熱ホール221がさらに形成される。
【0054】
ここで、前記放熱ホール221は、図3に示すように、点形、曲線形、幅の小さい扇形、変形された王字形などの多様な形態のホールが放射状に配列されることができる。
【0055】
このように、渦電流によって発生した熱を外部に放出することで、磁気熱及び抵抗熱による磁性体13の磁力減少を防止することができ、動力軸から発生した回転動力が負荷軸に円滑に伝達されるようにすることができる。
【0056】
図6は本発明の一実施例による非接触無負荷動力伝達装置の前後及び上下間隔調節過程を説明する図であり、図7図6の第1ディスクと第2ディスクとの上下及び左右間隔調節過程を説明する図であり、図8は本発明の一実施例による第1ディスクの第1軸と第2ディスクの第2軸とが水平状態からずれた状態を説明する図であり、図9は本発明の一実施例による複数の負荷軸を適用した動力伝達構造を説明するための例示図である。
【0057】
また、図10は本発明の一実施例による複数の負荷軸を適用した動力伝達構造の動力伝達方法を説明するための例示図である。
【0058】
図6図10を参照して詳細に説明すると、本発明による非接触無負荷動力伝達装置は、第1ディスクユニット10と第2ディスクユニット20との間の縦方向、横方向及び上下左右方向などの多様な方向にディスク間の距離及び配置方向を含めた間隔調節によって無負荷状態で回転速度及び負荷量を調節することができる。このために、無負荷マグネティックカップリングは、制御手段(図示せず)によって管理者が第1ディスクユニット10と第2ディスクユニット20との間の間隔を手動または自動で設定するようにすることができる。
【0059】
より詳細に説明すると、負荷軸Bに連結された第2ディスクユニット20の位置を離隔させるか近接させることで、非接触無負荷動力伝達装置にかかる負荷力を調節することができるようにする。
【0060】
例えば、第1ディスクユニット10と第2ディスクユニット20との近接面間の離隔距離を調整して磁性体磁力を減衰させるか増加させることで、動力軸Aの駆動力を調節するかまたは負荷軸Bの負荷量を調節することができるようにする。
【0061】
図6及び図7に示すように、動力軸Aまたは負荷軸Bを第1軸Aと第2軸2と仮定し、両軸が同一水平軸線上にある場合に第1ディスクユニット10と第2ディスクユニット20との間の間隔を減らすか増やすことができ、第1軸Aと第2軸Bとが同一水平軸線上に位置しなくて上方にまたは下方にずれた場合にも、第1ディスクユニット10と第2ディスクユニット20との間の間隔を減らすか増やすことができる。
【0062】
一方、図8に示すように、第1軸Aと第2軸Bとが完全に水平軸線上からずれた場合にも、アラインメント及びバランスなどがどの方向にもねじれ角の限界を克服することができる。したがって、既存のマグネティックカップリングの場合、一側に磁性体を備え、これに対応する他側にも他の磁性体を備えることで、複数の磁性体の極性が回転によって変更される場合、引力及び斥力が交互に発生するので、両軸が同一軸上からずれる場合、両面が引力によって結合するか斥力によって分離されることによって動作ができない点を克服することができる。
【0063】
このために、本発明は、カップリングの一側には磁性体を備え、これに対応する他側には磁性体との間に引力を維持することができるようにする非磁性体を備えることで、両軸が同一線上に位置しないか、または両軸の間に所定の離隔角度が発生しても、磁力及び磁力の回転によって発生する渦電流によって回動することができるようにする。
【0064】
ところで、既存のマグネティックカップリングの場合、運転中の急停止または正回転中の逆回転を制御するとき、対向する磁性体の極性が変わって引力及び斥力が同時に発生するから不可能であるが、本発明の非接触無負荷動力伝達装置は、非接触無負荷状態でただ引力のみが発生するので、極性変化に関係なく駆動することができ、磁性体の回転によって変わる極性変化、すなわち回転磁界によって渦電流が発生し、回転磁界によって非磁性体が回転することで、運転中の急停止または正回転中の逆回転の際、物理的衝撃及び機械的破損なしに駆動可能である。
【0065】
また、非接触式で両ディスクユニットの間の離隔空間によるクッション現象を提供することで、動力軸及び負荷軸に対する物理的衝撃及び機械的破損なしに運転中にスムーズな逆回転が可能である。
【0066】
このように、非接触無負荷動力伝達装置は、負荷軸、すなわち従動軸に配置されたディスクユニットと動力軸に配置されたディスクユニットとの間に形成された磁力、及び磁力の回転、すなわち回転磁界によって発生する渦電流によって動力を伝達し、磁石対非磁石構造によって完全な非接触無負荷状態で動力を伝達することができるので、既存のマグネティックカップリング(図11参照)に比べて、機械的焼損、騷音、振動、粉塵から自由であり、エネルギー効率を向上させる。
【0067】
また、動力軸と負荷軸との離隔距離を調節して負荷軸の回転数及び負荷量を調節することで、既存のモーター及びエンジンを用いた駆動体系において同じトルクを有するモーターまたはエンジンの回転数を変化させるためには最大回転数別にモーターまたはエンジンを交替しなければならない不便さがあったが、このような不便さを容易に克服することができる。
【0068】
より詳細に説明すると、既存には、同じトルクを有するモーターと言っても、内装される磁性体の極数によって、2極、4極、6極などの多様な極数のモーターが用いられる。例えば、同一周波数である60Hzで4極を適用するモーターの場合、最大回転数が1800rpmを維持するに対して、6極を用いるモーターの場合、最大回転数が1200rpmを維持することになる。
【0069】
したがって、負荷軸の回転数を制御するためには動力軸のモーターを交替しなければならない不便さがあり、同じモーターを適用すると言っても、別途の減速機のような変速機がさらに必要な問題点があった。
【0070】
また、本発明は、第1ディスクユニット10と第2ディスクユニット20との間の間隔の多様な調節によって、無負荷状態で回転速度及び負荷量を同時に調節することができ、エネルギー効率を極大化させることができる。
【0071】
また、既存のマグネティックカップリングの問題点である磁力形成過程で発生する磁気熱及び抵抗熱によって磁力が減少するだけでなく構成品の腐食を促進することがあったが、腐食防止板23をさらに備えて腐食を防止することで、製品の耐久性を向上させ、機械的期待寿命を一層延ばすことができる。
【0072】
このように、本発明の非接触無負荷動力伝達装置は、高価のインバーター及び流体カップリングなどに比べて、低い設置費用及び維持補修費用でより良い機械的効率及びエネルギー効率を有し、動力軸の第1軸Aと負荷軸の第2軸Bとが完全な水平状態からずれても運転が可能であり、アラインメント及びバランスなどのねじれ角の限界を克服することができる。
【0073】
また、図9のように、動力軸Aを移動可能に構成することで、単一の動力軸Aに複数の負荷軸Bを配置して駆動させることもできる。
【0074】
より詳細に説明すると、単一の動力軸Aを移動可能に配置し、複数の負荷軸Bを対向するように配置した後、駆動が必要な負荷軸Bに近くに移動させて当該負荷軸Bを駆動させるか、または複数の負荷軸Bに近くに配置することで(図10参照)、磁力及び渦電流によって当該負荷軸Bを駆動させる。
【0075】
ここで、前記動力軸Aは前後、左右及び上下に、または動力軸から負荷軸への駆動を制御することができる空間で移動可能なすべての方向に移動することができるようにすることで、動力軸Aに対応して向き合うように配置される負荷軸Bの駆動を制御することができる。
【0076】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須特徴を変更しなくても他の具体的形態に容易に変形することができることが理解可能であろう。したがって、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。例えば、単一型として説明している各構成要素は分散して実施することもでき、同様に分散しているものとして説明している構成要素も結合した形態に実施することができる。
【0077】
本発明の範囲は前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって決定され、特許請求範囲の意味及び範囲そしてその均等な概念から導出されるすべての変更または変形の形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0078】
10 第1ディスクユニット
11 第1ディスク
12 磁力形成板
13 磁性体
14 磁力形成締結部材
20 第2ディスクユニット
21 第2ディスク
22 磁力強化板
23 腐食防止板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】