(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】環境に優しく機能的な武道衣服及び武道布地
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
A41D13/00 115
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504239
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2021070391
(87)【国際公開番号】W WO2022018138
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523022848
【氏名又は名称】ワイダー スポーツ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイダーストロム、フレドリック
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211AA01
3B211AA05
3B211AB14
3B211AC14
3B211AC17
3B211AC24
(57)【要約】
本明細書の開示は、竹繊維を含む布地の武道衣服に関する。さらに、竹繊維を含む武道布地が提供される。またさらに、本明細書の開示は、武道布地を製造するプロセスに関する。化学的に処理された環境有害物質は製造プロセス中に添加されない。それにより、化学的に処理された環境有害物質を有さない布地及び衣服が提供される。本明細書に開示される、布地及び衣服のすべての実施形態、及びそれらを生産するための製造プロセスは、エコラベル及びノルディック・スワン・エコラベルによって設定された要求条件を満たす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹繊維を備える布地の武道衣服。
【請求項2】
前記布地は、少なくとも第2材料の繊維をさらに含み、前記第2材料は、ココヤシ、大豆、木炭、トウモロコシ又は伸張性材料のいずれかである、請求項1に記載の武道衣服。
【請求項3】
前記布地は、少なくとも第3材料の繊維をさらに含み、前記第3材料は、ココヤシ、大豆、木炭、トウモロコシ又は伸張性材料のいずれかである、請求項2に記載の武道衣服。
【請求項4】
前記布地は、4つ又はそれより多くの材料の繊維組み合わせを含み、前記繊維組み合わせは、竹、ココヤシ、大豆、木炭、トウモロコシ、又は伸張性材料からの繊維のいずれかの組み合わせである、請求項2に記載の武道衣服。
【請求項5】
少なくとも第1衣服部分及び第2衣服部分を備え、ここで前記第1衣服部分は第1繊維組み合わせの布地を有し、前記第2衣服部分は第2繊維組み合わせの布地を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の武道衣服。
【請求項6】
前記第2衣服部分は、少なくとも竹繊維及びココヤシ繊維の組み合わせを含む布地を含み、これにより、強度の増加が提供される、請求項5に記載の武道衣服。
【請求項7】
前記第2衣服部分は、少なくとも竹繊維及び大豆繊維の組み合わせを含む布地を含み、これにより、動きやすさの増進が提供される、請求項5に記載の武道衣服。
【請求項8】
前記第2衣服部分は、少なくとも竹繊維及び伸張性繊維の組み合わせを含む布地を含み、これにより、動きやすさの増進が提供される、請求項5に記載の武道衣服。
【請求項9】
前記第2衣服部分は、使用者の鼠径部領域又は腋窩のいずれかに最も近い前記武道衣服の部分である、請求項5~8のいずれか一項に記載の武道衣服。
【請求項10】
竹繊維を備える武道布地。
【請求項11】
前記武道布地は、少なくとも第2材料の繊維をさらに備え、前記第2材料は、ココヤシ、大豆、木炭、トウモロコシ又は伸張性材料のいずれかである、請求項10に記載の武道布地。
【請求項12】
前記武道布地は、少なくとも第3材料の繊維をさらに備え、前記第3材料は、ココヤシ、大豆、木炭、トウモロコシ又は伸張性材料のいずれかである、請求項11に記載の武道布地。
【請求項13】
前記武道布地は、4つ又はそれより多くの材料の繊維組み合わせを備え、前記繊維組み合わせは、竹、ココヤシ、大豆、木炭、トウモロコシ、又は伸張性材料からの繊維のいずれかの組み合わせである、請求項12に記載の武道布地。
【請求項14】
天然の抗菌特性を有する有機繊維を備え、これにより、化学的に処理された、抗菌特性を有する環境有害物質を添加することなく、抗菌特性を有する布地が提供される、請求項10~13のいずれか一項に記載の武道布地。
【請求項15】
前記武道布地は、耐炎特性を有する有機繊維を備え、これにより、化学的に処理された、耐炎特性を有する環境有害物質を添加することなく、耐炎性布地が提供される、請求項10~14のいずれか一項に記載の武道布地。
【請求項16】
前記武道布地は、天然の着色物質によって着色されており、これにより、化学的に処理された環境有害着色物質を添加することなく、着色された布地が提供される、請求項10~15のいずれか一項に記載の武道布地。
【請求項17】
前記武道布地は、洗濯したときに色落ちせず、これにより、着色物質が洗濯手順からの廃水に放出されることはない、請求項10~16のいずれか一項に記載の武道布地。
【請求項18】
前記武道布地はリサイクル可能であり、これにより、使い古された布地を使用して新しい布地を生産することができる、請求項10~17のいずれか一項に記載の武道布地。
【請求項19】
前記武道布地は堆肥化可能であり、これにより、使い古された布地を堆肥にし、土壌に変えることができる、請求項10~18のいずれか一項に記載の武道布地。
【請求項20】
前記武道布地は、天然の高密度又は低密度を有する有機繊維を備え、これにより、前記武道布地の重量を増加又は減少させるために、化学的に処理された、セリウムのような環境有害物質を添加することなく、所望の密度を有する布地が提供される、請求項10~19のいずれか一項に記載の武道布地。
【請求項21】
前記武道布地は、天然の防カビ特性を有する有機繊維を備え、これにより、前記武道布地のカビに対する耐性を高めるために、化学的に処理された、クロロフェノール系化合物のような環境有害物質を添加することなく、防カビ特性を有する布地が提供される、請求項10~20のいずれか一項に記載の武道布地。
【請求項22】
前記武道布地は、異なる密度を有する繊維の混合物を備え、これにより、1~2000グラム/平方メートルの任意の密度を有する布地が提供される、請求項10~21のいずれか一項に記載の武道布地。
【請求項23】
前記武道布地は、2つ又はそれより多くの異なる繊維の組み合わせを備え、前記繊維は、0.01%から99.99%の間の任意の比率で複合化されている、請求項10~22のいずれか一項に記載の武道布地。
【請求項24】
請求項10~23のいずれか一項に記載の武道布地を製造するプロセスであって、化学的に処理された環境有害物質は前記製造するプロセス中に添加されず、これにより、化学的に処理された環境有害物質を有さない布地が提供される、武道布地を製造するプロセス。
【請求項25】
前記製造するプロセスは、製造される布地1キログラムあたり250リットル未満の水を使用している、請求項24に記載の武道布地を製造するプロセス。
【請求項26】
前記製造するプロセスは、水及び他の溶剤を、閉ループシステムにおいて再使用し、これにより、前記製造するプロセスは、最小限の水及び/又は他の溶剤を使用している、請求項24又は25のいずれか一項に記載の武道布地を製造するプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、武道衣服の布地及び用具の布地に関する。
【背景技術】
【0002】
武道スポーツの衣類及び用具のなかで、使用される布地の多くは綿又はポリエステルと混合されているが、その両方ともが完全に環境に優しいとは見なされていない。綿は水に飢えた植物であり、成長するには大量の水が必要になり、非常に人気のある換金作物なので、世界の耕作可能な農地の約2.4%を使用している。十分な雨が降らない地域に農家が綿を植えることを強制されることはよくある。その結果、米国南部を含めて、栽培されているすべての綿の約73%が灌漑を必要としている。綿の生産における水の膨大な必要性では、わずか1kgの綿(ジーンズ1着、又はTシャツ1枚に相当する)を生産するために最大20,000リットルの水が必要になる可能性がある。
【0003】
水に飢えた作物であるだけでなく、綿栽培は現在多くの化学物質を使用しており、全世界の農薬の4%以上及び殺虫剤の10%が綿栽培に使用されている。化学物質は地域の生態系及び飲料水の供給を汚染する。管理が不十分な綿生産は環境に壊滅的な影響を及ぼしており、最も目立つ例では、アラル海が世界で4番目に大きい湖から砂漠に向かっているが、それは、1960年代以降、地方政府がすべての川と水路を綿生産に転用し、アラル海は蒸発してアラルクム砂漠に取って代わられたからであり、その砂は、何十年にもわたる綿産業の流亡からの農薬及び除草剤で甚だ汚染され、アラルクム砂漠から吹き飛ばされたダストは、南極大陸まで遠く離れた動物をその毒素に感染させた。
【0004】
このように、布地に綿を使用すると、環境負荷が高くなる。
【0005】
スウェーデンの環境目標は無害な環境であり、循環経済への転換を促進することである。開発は、有害化学物質の段階的廃止、及び、グリーンケミストリなどのより優れた環境性能及び健康性能を有する化学物質及び材料への置き換えに向けて進んでいる。スウェーデン化学物質庁は、化学物質及び材料のイノベーションへの公共投資がどのように有害化合物の置き換えを強化するかについて調査しており、それにより、無害な環境という環境目標の達成に貢献し、循環経済への長期的な発展を可能にしている。環境負荷の高い布地の使用を、竹及びココヤシ(したがって、ココナッツからの繊維)のような環境に優しい有機材料へ置き換えることは、この目的と完全に一致している。
【0006】
布地は、日常生活及び家庭でしばしば頻繁に使用される製品群である。それらは長期間の曝露中に皮膚の近くにある製品によく使用される。それにより、危険な化学物質を含む布地は私たちの健康への脅威である。
【0007】
一例は、アゾ系着色料である。皮膚に曝されると、それらはアレルギ反応を引き起こすことがあり、また、目が炎症を起こすことがある。またさらに、吸入する又は飲むと、中毒になる可能性がある。また、それらは水生生物に対して有毒であることが判明しており、水生環境に長期的な有害影響を引き起こす可能性がある。
【0008】
スポーツグローブを使用すると、手の皮膚はしばしば湿ることになる。水分でじめじめした手袋は、細菌にとって肥沃な土壌となり、結果として湿疹又は真菌、又は水虫のような皮膚の問題が生じることがある。スポーツグローブに関連するのと同様の問題が、靴下及びホーザリ、さらにはトレーニングシューズでも発生する可能性がある。靴下及び靴を使用することができる武道は、例えば、テコンド又は武術太極拳、カンフ及び太極拳である。
【0009】
アゾ系着色料のような発がん性物質を含むことが判明している子供向け製品の例がある。布地に使用される、環境に優しくない物質の他の例は、布地又は織物が塩素のような化学物質によって漂白されている場合である。特に子供及び若者は化学物質への暴露に非常に敏感である。子供及び若者がよく使用する製品が、武道スポーツのようなスポーツのための衣装である。したがって、有害な化学物質を含まず、環境に優しく、スポーツウェアにも好適な布地が必要である。
【0010】
スウェーデンでは、家庭での衣類の布地及び織物の消費量は、約20年の間に30%以上増加した。これは、布地の消費量が約14kg/人年であることを意味する。布地の生産は、人々の環境、気候、及び地球への大きな負荷になる。衣類の環境負荷の80%以上は生産段階で発生する。これは、布地の生産に大量の原料、水、エネルギ、及び化合物が使用されるためである。その生産は、結果として大気、水への排出、及び地面及び土壌への排出をもたらす。
【0011】
武道衣類における綿のさらなる欠点は、それはあまり丈夫な布地ではなく、吸収性があり、重く、乾燥するのに長い時間がかかり、また汚れやすいことである。またさらに、綿は弾力性に乏しい。それはひどく折り目がつき、また、ひどく縮む。綿を湿ったままにしておくと、白カビに襲われることもある。
【0012】
リサイクルポリエステルはいくらか環境に優しいが、しかしながら、自然界に投入されたポリエステルは依然として問題であり、環境への脅威である。ポリエステルにはいくつかの望ましい特性があり、すなわち、それは安価で強度が高く、再使用された材料であるため、少なくともある側面で環境に優しいが、しかし、ポリエステルの使用は、他のさらに環境に優しい材料によってますます非難される可能性が高い。
【0013】
OS又はVMのような大規模イベント用に生産された制服、又は他のスポーツウェア、又は布地で作られた製品は、環境に優しくない材料がよく使用される製品の一例である。このようなユニフォームに環境に優しい布地を使用することで、例えば、OSなどのような大規模スポーツイベントに参加する国が、環境に関連する問題の重要性を世界に示す声明を発表していることになる。それにより、環境関連の問題に関する議論が活発化するかもしれない。
【0014】
今日、例えば、空手の初心者、型、組手、柔術、カンフ太極拳、武術太極拳、又はテコンドの初心者、ファインティング、プムセにおいて、環境に優しい武道スポーツウェアのニーズが高まっている。さらなる例は、散打、柔道柔術の現代柔道及びブラジリアン柔術、及び合気道技、ハカマ(Hakkama)である。
【0015】
今日の産業の深刻な環境汚染への関心が高まるとともに、環境保護が焦点になっている。したがって、環境負荷の低い武道スポーツ製品が一般的に必要とされている。
【0016】
本開示は、可能な限り環境に優しく、さらに完全菜食主義的な製品であることを目的とする。環境に優しい完全菜食主義的な製品であることで、それは環境の保護に有益である。
【発明の概要】
【0017】
上記の問題は、本明細書に開示される実施形態によって対処される。本明細書の実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によって明らかになり、これらは参照によりこのセクションに組み込まれている。以下に詳細に説明する1つ又は複数の実施形態を考慮することにより、当業者は、本発明の実施形態をより完全に理解するとともに、その追加的な強みを実現することができるであろう。最初に、添付の図面を参照しながら、これらの図面について簡単な説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態による、武道衣服の例を示す。
【
図2】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態による、武道衣服の例を示す。
【
図3】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態による、武道衣服の例を示す。
【
図4】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態による、武道衣服の例を示す。
【
図5】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態による、武道衣服の例を示す。
【
図6】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態による、武道衣服の例を示す。
【
図7】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態による、武道衣服の例を示す。
【
図8】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態による、武道衣服の例を示す。
【
図9】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態による、武道衣服の例を示す。
【
図10】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態による、武道衣服の例を示す。
【
図11】本明細書に記載の1つ又は複数の実施形態による、武道衣服の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、概して、武道のスポーツ衣類及び用具に使用される布地又は織物に関する。より具体的には、本開示は、環境に優しい特質を有する特定の繊維及び/又は繊維の特定の組み合わせを有する布地に関する。本明細書の開示によれば、武道の衣類及び用具での使用に好適な特定の特徴を有する天然材料の特定の組み合わせを有する布地が提供される。本布地の目的は、可能な限り環境に優しいことであり、有機材料のみを、又は少なくとも主に有機材料を含有するものでなければならない。有機繊維は、非常に環境に優しい肥料になる。
【0020】
図1~11を参照して、武道衣服の例をここで説明する。武道衣服1が提供される。武道衣服は、一例では、竹繊維を含む布地で作られている。武道衣服は、竹繊維の衣服のみ、又は以下で説明する他の繊維と複合化させた竹の衣服であってもよい。しかしながら、他の任意の有機繊維を基材繊維として使用してもよいことに留意されたい。例示された武道衣服1は、少なくとも第2材料の繊維をさらに含む布地で作られてもよい。そのような第2材料は、例えば、ココヤシ、大豆、木炭、トウモロコシ又は伸張性材料のいずれであってもよい。しかしながら、リサイクルポリエステル又は麻のような、武道衣服に好適な他の任意の材料を使用してもよい。衣服の例には、ユニフォームではズボン及び上着のセット、つなぎ服、単一の上着又は単一のズボンがあり、又は他の属性ではヘルメット、ベルト、トップ、フード、ヘッドドレス又はヘッドバンド、又は他の任意のスポーツ属性がある。
【0021】
武道衣服1は、第3材料の繊維をさらに含む布地で作られてもよい。そのような第3材料は、例えば、ココヤシ、大豆、木炭、トウモロコシ又は伸張性材料のいずれであってもよい。武道衣服1は、4つ又はそれより多くの材料の繊維組み合わせを含む布地で作られてもよい。そのような繊維組み合わせは、例えば、竹、ココヤシ、大豆、木炭、トウモロコシ、又は伸張性材料からの繊維のいずれかの組み合わせであってもよい。
【0022】
例示された武道衣服1は、少なくとも第1衣服部分2及び第2衣服部分3を有し得る。第1衣服部分2は第1繊維組み合わせの布地を含んでもよく、第2衣服部分3は第2繊維組み合わせの布地を含んでもよい。第2衣服部分3は、竹繊維及びココヤシ繊維の組み合わせを有する布地を含んでもよく、これにより、強度の増加が提供される。しかしながら、強度の増加を提供する他の任意の繊維組み合わせを使用してもよい。
【0023】
第2衣服部分3は、竹繊維及び大豆繊維の組み合わせを有する布地を含んでもよく、これにより、動きやすさの増進が提供される。大豆の繊維は天然の伸張性を有する。ただし、動きやすさの増進を提供する他の任意の繊維組み合わせを使用してもよい。またさらに、エラスタンなどのような伸張性機能を提供する昔ながらの材料を使用して、第2衣服部分3の動きやすさを増進させてもよい。例えば、竹繊維及び伸張性繊維の組み合わせを使用してもよく、これにより、第2衣服部分3の動きやすさの増進が提供される。通常、使用者の鼠径部又は腋窩に最も近い武道衣服1の部分には動きやすさが必要である。したがって、例示的な実施形態に示されている第2衣服部分3は、使用者が繰り返す運動による大きな運動及び激しい摩耗に曝されている衣服の部分である。
【0024】
激しい摩耗に曝されている第2衣服部分3のさらに別の例は、武道のユニフォームのズボンの膝部分、又は上着、トップなどの肘領域である。衣服の部分が引き裂かれる問題を克服するために、膝部分は、例えば、別個の衣服(同じ布地であっても、異なる繊維組み合わせを有する異なる布地であってもよい)の複数の層で作られてもよい。複数の層の別の強みは、層の間にパッドを設けて、使用者の膝の保護を提供し得ることである。さらに、衣服の設計は、使用者により多くの動きやすさを提供し得る。またさらに、膝部分は、強度の増加及び/又は伸張性の増加を提供する布地で作られてもよい。
【0025】
伸張性を有する布地は、衣服の使用者に動きやすさを提供する。これは武道着において非常に重要になり得る。そのような伸張性は、エラスタンのように、布地への伝統的な伸張性材料の混合を使用することによって提供され得るが、大豆の繊維のように、天然の伸張性を有する繊維を使用することによっても提供され得る。またさらに、布地の伸張性は、織布又は不織布であってもよい布地を生産するさまざまな方法によって機械的に提供されてもよい。本明細書の布地には、布地表面のダイヤモンド構造、スター構造、及び/又はレインドロップ構造を設けてもよい。布地表面のこのような構造のおかげで、空気が布地の表面に曝されやすくなり、これにより、濡らしたまま、又は湿らせたままにしても、表面は乾きやすくなる。
【0026】
本明細書に開示される布地は、武道スポーツの衣服、及び用具を対象とする。そのような用具は、例えば、サンドバッグ、パッド、カーペット又はマット、キックパッド又はミット、グローブ、又は他の任意の、布地で作られたスポーツ付属物であってもよい。
【0027】
本明細書に開示される布地は、例えば、幅広い範囲の厚さを有してもよく、1~2000gsm(gsm=グラム/平方メートル)の任意の厚さが好適になり得る。通常、種々の武道が衣服に種々の厚さを使用しており、例えば、空手及びテコンドは通常約200gsmを使用するが、柔道用の衣服は約800gsmを使用する。柔道及び柔術及びブラジリアン柔術は、1000gsmまで又はそれを超えるより厚い布地が使用されるいくつかの例である。
【0028】
本開示を武道衣類に使用される代替布地として提示することは、環境問題への関心が高まっている市場での大きな強みをもたらすであろう。本開示は、顧客が信頼できる、代替の、環境に優しくかつ完全菜食主義的な製品を提示することを目的とする。環境に優しいという側面では、以下の点、すなわち植物が成長するために必要な水の量、植物から布地への加工、廃棄物及びリサイクル可能になる可能性が考慮されている。
【0029】
竹繊維は、竹から再生されるセルロース系繊維である。竹は、織物材料として顕著な生物分解特性を有し、従来のガラス繊維に匹敵する強度を有する有望なグリーン繊維である。繊維の作成に使用される竹は、通常、3~4年目のものである。繊維は、竹の茎及び葉のアルカリ性加水分解及び多相漂白、及びその後に続く、プロセス中に生成されたでんぷん質パルプの化学処理によって生産される。
【0030】
竹繊維はさまざまな微細な隙間を有しており、そのために綿よりも柔らかく、その水分吸収は増加している。それらは弾性があり、環境に優しく、生物分解性である。その繊維は、静菌性、抗真菌性、抗菌性、低アレルギ性、吸湿性を有し、天然消臭剤であり、紫外線に対して耐性がある。さらに、それは非常に耐久性があり、安定していて強靱であり、かなりの引張強度を有している。その汎用的な特性により、竹繊維は主に衣装、タオル、及びバスローブを作るために織物産業で使用されている。その抗菌性の性質により、さらに、包帯、マスク、看護師衣、及び生理用ナプキンを作るために使用される。耐紫外線性、抗生性、及び静菌性のカーテン、テレビのカバー、及び壁紙及びその他多くのものも竹繊維で作成されて、細菌の影響を少なくし、人間の皮膚への紫外線放射の害を減らしている。
【0031】
竹はこの惑星の最も用途の広い草の1つである。それは非常に速く成長し、適切な条件にもよるが、最大で1日に1フィート(0.305m)にも及ぶ。約1400種を有するこの植物には、複数の使途があり、食べたり、衣類として着用したり、建設目的で使用したり、などができる。中国では、特別な種類の口当たりの良いビールが竹から作られている。芳香性の香水及び救命薬もそれから作られている。環境に影響を与えることなく栽培し、補充することができる。広葉樹林よりも多量のバイオマス及び30%多い酸素を生産する。窒素消費量が多いため、水質汚染を軽減する。地球温暖化の原因となる二酸化炭素ガスの低減に役立つ。
【0032】
活性炭を有する布地は、皮膚から水分を素早く取り除き、布地の表面全体に水分を分散させ、それにより蒸発及び乾燥時間を増加させ、臭気を引き付けて閉じ込め、その後、閉じ込めておいた臭気を洗濯時に放出するといった、いくつかの非常に有用な特色を有する布地のさらに別の例である。さらに、活性炭の布地は、UPF30+から50+の日焼け止めを提供する。活性炭の利点は、布地の洗濯及び乾燥からの熱でリフレッシュされる。活性炭/木炭を、ココナッツの殻、竹、又は他の任意の供給源から製造された繊維としてもよい。活性炭は、ノットウェア、フリースウェア、Tシャツ、アウターウェア及びメンズシャツのような服飾に使用されている。さらに、活性炭は、ホームファッション及び家具、マットレス表がわ、敷物及び玄関マットなどで使用される。またさらに、活性炭は自動車の車室内艤装、掃除用ブラシ、及び網のようなジオテキスタイルに見られる。医療業界は、臭気吸収材料としての木炭の利点を認識している。木炭は、ガス及び流体から有害な要素を吸収することができる。活性炭布地は、このプロセスでの最新のイノベーションである。
【0033】
活性炭は、混紡糸に新しい性能品質を追加する天然繊維強化剤として使用される。ポリエステル及び活性炭混紡繊維の生産中、活性炭をコーティングする保護層を作成するプロセスを使用してもよい。保護層を使用しない場合、ポリエステルポリマを溶融して繊維を作るときに、ポリエステルは活性炭の細孔を埋める。これは、活性炭の非活性化を引き起こす可能性がある。糸加工及び布地生産の間に、この方法は、炭素繊維の細孔を覆って保護する。布地生産の最後の段階でこの保護層を取り除き、活性炭の細孔を露出させる。さらに布地洗濯により、この保護層は引き続き除去され、活性炭の細孔がさらに露出して、吸収能力が増加する。通常、混紡糸内における40%から50%の活性炭が、活性炭の吸収の利点を生じさせるのに妥当である。したがって、活性炭を有する混紡糸はいくつかの問題を有する場合がある。
【0034】
活性炭を製造するプロセスは、ココナッツの殻の炭素を炭化して木炭を作ることから始まる。このプロセスでは、ココナッツの殻、木材、又は籾殻などの任意の炭素材料を使用できるが、ココナッツの殻から製造された活性炭は他の供給源よりも優れていると考えられている。食品業界向けにココヤシを用いて製品を生産する場合、ココナッツの殻は廃棄物である。したがって、ココナッツの殻を使用することは、費用対効果が高い上に、環境にも優しい。またさらに、ココナッツの殻も多くの場所で簡単に手に入る。他の強みの中では、ココナッツ殻の小さな大胞子構造により、それはガス/蒸気の吸着にとってより効果的になる。
【0035】
活性炭を作るプロセスは、ハンマーミルでココナッツの殻を必要なサイズに粉砕する段階、及びその後ボールミルで微粉砕する段階からなる。殻粉末を塩化亜鉛で浸食する。次に、その塊を高温で活性化し、希塩酸で急冷して浸出させ、トレイ乾燥機で乾燥させる。蒸気処理活性化プロセスでは、完全に成熟し、乾燥し、洗浄されたココナッツを、限られた供給だが、炭化(非グラファイト形態の炭素)を生じさせるのに十分な空気があるなかで燃焼させており、これにより、吸着特性が増加する。
【0036】
トウモロコシ繊維は、織物産業における比較的新しいイノベーションである。トウモロコシはでんぷんを多く含む農業製品であり、製造業者はこれを植物繊維から抽出して糖に分解し、次に糖を発酵させてポリマに分離する。プロセスのこの時点で、トウモロコシ繊維はペースト状の物質であり、その後、繊細なストランドへと押し出され、ストランドは切断され、カーディングされ、梳かれ、糸に紡がれる。化学プロセスを除けば、残りのプロセスは羊毛で行われることと同様である。全体的にトウモロコシ由来の繊維は、完全に生態系に適合しており、並外れた質的特徴を有している。トウモロコシ繊維は、紡糸形態とフィラメント形態の両方で、最高級最軽量布地のマイクロデニールから、より堅牢な用途の高番手まで、多種多様な番手で利用できる。これは、自然に出現する植物糖に由来する。製品の耐用年数が終了すると、それらを地球に戻すことができるが、このことは石油系製品とは異なっており、これらはサーマルリサイクル、物理的リサイクル、又は埋め立てによってのみ処分できる。
【0037】
トウモロコシの繊維は、高い融点、高い結晶化度及び良好な清澄度のようないくつかの有利な特性を有する。トウモロコシ繊維はまた、伝統的な通常のポリ繊維と比較して高い強度を有する。したがって、トウモロコシ繊維の使用は非常に幅広い。トウモロコシ繊維は、光沢のある絹の特色を有し、手触りと輝きに優れている。トウモロコシ繊維の衣服は、良好なソイルリリース性、速乾性を示し、優れた洗濯後外観を示したと報告されている。トウモロコシ繊維は、完全に毎年の再生可能な資源に由来する人工繊維である。これらの繊維は、しばしば合成材料を連想させる性能上の強み、及び綿及び羊毛などの天然製品を補足する特性を有する。トウモロコシ繊維は、トウモロコシでんぷんを糖に変換し、次にそれを発酵させて乳酸を得ることによって生産される乳酸から構成される。乳酸は、商品化学の眠れる巨人であると考えることができ、その有する強みは、それはバイオマスから作られることができ、ヒドロキシル基とカルボン酸基の両方を有し、光学活性であることである。
【0038】
トウモロコシ繊維から作られた布地は、手入れが簡単で、安価で、非常に着心地が良い。さらに、汚れが付きにくく、耐紫外線性である。布地は、既製の服飾、おむつ、寝具、カーペット及び室内装飾品などのいくつかの用途に使用されてもよい。トウモロコシ繊維は、織物において強度及び弾力性を、快適さ、柔らかさ及びドレープとバランスをとっている。トウモロコシはまた、化学添加物も表面処理剤も使用しておらず、天然の難燃性である。トウモロコシは、顕著な水分管理特性及び低い臭気保持力を有しており、トウモロコシで作られた衣服の着用者に最高の快適さ及び自信を与えている。トウモロコシ繊維フィラメントは、微妙な光沢及び滑らかなドレープを、創造性を刺激する新しい材料を提示する天然の手で持っていると言われている。トウモロコシの繊維充填材により、アウターウェアの衣服メーカは、完全なストーリ、及びパッド入りの衣服におけるポリエステル及びナイロンの組み合わせへの、より環境に優しい代替品を提示することができる。トウモロコシは紫外線に対する耐性において合成繊維よりも優れており、強度、色及び特性を長期にわたって保持すると報告されている。さらに、トウモロコシは手入れが簡単で、独立した洗濯テスト及びドライクリーニングテストにより、テストされたトウモロコシ繊維の衣服は、標準的な洗濯機及び乾燥機を使用して洗濯できることが示されている。独立した試験により、トウモロコシ繊維は、主要なアクティブウェアの用途でポリエステルと比較して優れた性能又は同等の性能を有することが確認されている。
【0039】
さらに、トウモロコシ布地の生産は、燃料の使用量が少なくて済むので、環境にも優しい。産業規模でトウモロコシ繊維を作るために使用されるポリマを製造するプロセスは、単純な植物糖であるトウモロコシ・デキストロースの発酵、蒸留及び重合に重点を置いている。トウモロコシ繊維の生産及び使用により、結果としてより少ない温室効果ガスが大気に追加される。温室効果ガスは地球規模の気候変動の主な要因である。高度に堆肥化可能な化学的リサイクルが可能であることは、適切な条件下で適切な取り扱いを行うことで、生産、消費、廃棄、及び再使用という完全なライフサイクルがきちんと閉じることを意味している。ただし、トウモロコシ繊維にはいくつかの弱みがある。トウモロコシ繊維織物は硬く、脆弱である場合がある。
【0040】
ココナッツコイアは、最も太く、最も耐性のある入手可能な天然繊維の1つである。それはココナッツの外殻から巧みに抽出され、成熟したココナッツに由来するブラウンコイア、及び初期段階のココナッツを最大10か月間浸漬して作られたホワイトコイアの2つの形態で出回っている。ブラウンコイアはより丈夫であり、ブラシ、マットレス、ラグ及びロープに使用されている。その糸は塩水に対して耐性があるため、漁網のような海用製品に最適である。1000個のココナッツから10kgのコイアの収量が提供される。世界で年間約65万トンが93か国で生産されており、さらなる国々への生産拡大にかなりの動機がある。
【0041】
ココナッツコイアは非常に高濃度のリグニン(このおかげで、例えば綿よりも著しく丈夫になっている)を有している。コイアは微生物の作用に対して非常に耐性があり、除草剤を含む化学処理を不要にする。それはまた、高い湿潤性を誇り、極めて吸収性であるが、それでも成長するのに大量の水を必要せず、少ない量を頻繁に必要とするだけである。コイアは目覚ましい耐久性及び吸収性を有しているため、土壌浸食を防ぐために使用されるジオテキスタイルに最適である。コイアの耐日光性能力のおかげで、その任務(土壌そのものの模擬)にさらに好適になるとともに、それは自然の生物分解性であり、合成代替品とは異なって、後で除去する必要がない。ココナッツはその豊富な利点のために称賛されており、コイアには地球を愛する副産物、すなわち高品質のマルチかつ優秀な有機肥料であるピートも付いてくる。ココナッツ繊維の繊維繊度は50から300μmの間で変動する。
【0042】
ココナッツ/コイア繊維の化学組成は次のとおりである。
【0043】
リグニン・・・45.84%、
セルロース・・・43.44%、
ヘミセルロース・・・00.25%、
ペクチン及び関連化合物・・・03.00%、
水溶性分・・・05.25%、灰分・・・02.22%。
【0044】
ココナッツ/コイア繊維の物理的特性は次のとおりである。
長さ(インチ)・・・6~8(0.152~0.203m)、
密度(g/cc)・・・1.40、
引張り強さ(g/Tex)・・・10.0、
破断伸び(%)・・・30%、
直径(mm)・・・0.1から1.5、
弾性率・・・1.8924dyne/cm2(1.8924×10-5N/cm2)、
水中膨潤直径・・・5%、
65%RHでの水分率・・・10.50%。
ココナッツ繊維の欠点は、可燃性が高いことであり、ココナッツ繊維は、可燃性固体として知られている化合物の部類に属している。点火すると非常に簡単に燃えだす。さらなる欠点が、非常に高いリグニン含有量は、織物繊維に利用可能な染色技術及び漂白技術をコイアに単純に移転できないことを意味することである。またさらに、コイアは非常に丈夫だが、これには、あまり柔軟性がなく、柔らかくもないという影響がある。したがって、ココナッツ繊維は家庭用品には素晴らしいが、服飾にはあまり適していない。別の欠点は、長い時間の浸漬と抽出プロセスによるコイア涵養は、伝統的に非常に時間がかかることであったのだが、しかしながら、技術は進歩して、外皮剥き機を利用できるようになり、これにより生産時間が短縮された。
【0045】
大豆織物及び大豆布地は、100%リサイクル可能な(エコテックススタンダード100認証に基づくもののような)有機化学物質のみを使用して繊維に加工できる。このプロセスでは「クローズドループ」システムを使用しており、ここでは使用される化学物質はリサイクルされ、何度も使用される。
【0046】
大豆織物は、以下の認証の1つ又は複数に基づいて認証される。
【0047】
オーガニックテキスタイル世界基準GOTS、エコテックススタンダード100、OCS Blended-オーガニック・コンテント・スタンダード、OCS100-オーガニック・コンテント・スタンダード。大豆布地には多くの強みがある。生態系に優しい大豆布地は、大豆の皮から作られているため、食品生産廃棄物に由来している。大豆織物の使用は私たちの惑星にとって良いことであり、それは大豆食品産業の「残り物」から紡がれた繊維から作られているからである。この植物自体は簡単に再生可能であり、この繊維はポリエステルのような石油系製品よりも急速に生物分解するので、大豆の使用は最小限の環境影響を有する。大豆繊維を使用することに伴うさらなる1つの強みは、それが抗菌特性を有することである。大豆布地は生物分解性が高いため、使い古したときにそれを堆肥の山に捨ててもよい。さらに、大豆繊維の衣類は軽くて絹のように柔らかく、ほんの少し伸張性があり、天然のドレープを有している。大豆は柔らかく、手入れが簡単で、染料をすばやく吸収するため、染料の原料は少なくて済む。大豆は、その贅沢で柔らかな質感から、植物性「カシミヤ」と呼ばれることもある。それでも、大豆は手入れが非常に簡単なので、カシミヤよりもはるかに優れている。大豆織物及び大豆布地の手入れは簡単である。穏やかな設定で布地を冷水で機械洗濯してもよい。さらに、大豆布地は自然に柔らかいので、塩素系漂白剤及び布地柔軟剤を省略できる。大豆布地の衣類を平らに寝かせて乾かしてもよい。さらに、大豆は美しいドレープを有しており、アイロンをかける必要はない。
【0048】
生態系に優しい大豆布地は、汗を蒸発させる優れた吸収性質を有している。それにより、大豆布地の衣類は、暑い天候でも涼しく快適に着用できる。さらに、大豆織物及び大豆布地の水分管理により、それらはまた抗菌性である。またさらに、大豆布地はまた、耐紫外線性質により太陽からの保護を提供する。さらに別の強みは、大豆はある程度の天然の伸張性を有しており、柔軟な布地を提供することである。
【0049】
ただし、大豆布地には、例えば綿又は麻ほど丈夫でないという弱みがある。
【0050】
上記のすべての繊維の弱みを克服するために、複合化繊維で作られた布地が提供される。本明細書に開示される布地について、以下の繊維のいずれかを、いずれかの組み合わせで使用してもよい;竹、木炭、ココヤシ、大豆、トウモロコシ又は伸張性材料。例えば、以下の繊維又は繊維組み合わせのいずれかを使用してもよい:100%の竹、木炭と複合化させた竹、又はココヤシと複合化させた竹、又は木炭及びココヤシの両方と複合化させた竹。
【0051】
本明細書の布地は、以下の繊維組み合わせのいずれかをさらに含んでもよい;大豆と複合化させた竹、又はトウモロコシと複合化させた竹、又は大豆及びトウモロコシの両方と複合化させた竹。またさらに、竹は大豆及びココヤシの両方と複合化させることができ、又は竹はココヤシ及び伸張性材料と複合化させることができる。しかしながら、環境に優しい繊維の他の任意の好適な組み合わせを使用してもよいことに留意されたい。
【0052】
本明細書の布地に複合化された異なる繊維の比率は、0.01%~99.99%、又はそれ未満のように、非常に広くなり得る。繊維を複合化させるときに、ナノテクノロジーを使用してもよい。
【0053】
使用できる他の繊維組み合わせは、例えば、木炭及び大豆と複合化させたココヤシである。木炭及び大豆の両方に抗菌効果があり、非常に有益になり得る。天然有機繊維に基づく他の任意の繊維組み合わせを依然として使用してもよい。
【0054】
竹の繊維を木炭の繊維と複合化させると、結果として多くの利点を有する布地が得られる。そのような布地は非常に強い吸着能力を有しており、木炭と複合化させた竹の吸着能力は木炭単独の5倍以上である。竹/木炭の複合化材料は、臭気を吸収、分解し、物質を脱臭する。武道服又は武道衣装の場合、この材料は、使用者が浴びる可能性のある汗及び他の液体を吸収するので有利である。さらに、複合化材料は、例えばホルムアルデヒド、ベンゼン、トルエン、アンモニア、及び粉塵などの有害物質を吸収するために使用されてもよい。竹/木炭の複合化布地の他の有利な特性は、遠赤外線放射、蓄熱、及び暖かさであり、遠赤外線放射率は最大0.87であることから、この材料は熱を蓄えて暖かく保つことができ、温度上昇率は通常の綿布地よりもはるかに速い。したがって、そのような布地の武道服は、着用者を快適に、寒いときは暖かく、暑いときは涼しく保つ。竹/木炭の複合化繊維は、大きな楕円形細孔及び小さな楕円形細孔の両方で覆われた天然の断面を有し、これにより、布地は大量の水又はその他の液体を瞬時に吸収して蒸発させることができる。空洞のおかげで、竹/木炭の複合化繊維は、吸湿性、水分放出、及び通気性という優れた特性を有している。さらに、竹/木炭の複合化繊維は抗菌特性を有している。綿の布地で細菌が増殖する可能性はあるが、竹/木炭の複合化繊維の布地の細菌は、むしろ24時間後に90%以上減少する。
【0055】
繊維内に竹のナノ粒子を有する竹/木炭の布地の例がある。
【0056】
ナノテクノロジーの最新の進歩により、竹木炭布地に新しく建設的な側面が与えられた。
【0057】
環境に優しい製品の認証を利用可能である。エコラベル、及び織物のノルディック・スワン・エコラベルはこのような認証の例である。本明細書に開示される、布地及び衣服のすべての実施形態、及びそれらを生産するための製造プロセスは、エコラベル及びノルディック・スワン・エコラベルによって設定された要求条件を満たす。
【0058】
本明細書に開示される布地は、天然の抗菌特性を有する有機繊維を含んでもよい。それにより、化学的に処理された、抗菌特性を有する環境有害物質を添加することなく、抗菌特性を有する布地が提供される。本明細書に開示されるさらに別の例は、耐炎特性を有する有機繊維を含み得る布地である。それにより、化学的に処理された、耐炎特性を有する環境有害物質を添加することなく、耐炎性布地を提供することができる。
【0059】
またさらに、本明細書に開示される布地が着色されている場合、それらは天然の着色物質によって着色されることがある。それにより、化学的に処理された、例えば、アゾ系着色料のような環境有害着色物質を少しも添加することなく、着色された布地が提供されるが、このアゾ系着色料はアレルギ反応を引き起こす可能性があり、目が炎症を起こす可能性もあり、水生生物に有毒であることが分かっており、水生環境に長期的有害影響を引き起こす可能性がある。
【0060】
本明細書に開示されている布地は、洗濯したときに色落ちしない。それにより、環境的な着色物質が洗濯手順からの廃水に放出されることはない。さらに、衣服が色落ちしない場合、その布地で生産された衣服のような製品を、より長期間着用することができ、それにより、より耐久性のある衣服が提供される。
【0061】
またさらに、環境に優しい製品を提供するために、本明細書に開示される布地はリサイクル可能である。それにより、使い古された布地を使用して新しい布地を生産することができ、布地のライフサイクルが延長される。本明細書に開示される布地を、堆肥化可能としてもよい。それにより、使い古された布地を堆肥にし、土壌に変えることができる。したがって、この布地は、使用される天然繊維のおかげで生物分解性であるので、使い古したときに、有害な痕跡を少しも残すことなく、堆肥の山に捨てることができる。本明細書に開示される布地は、天然の高密度又は低密度を有する有機繊維をさらに含んでもよい。それにより、布地の重量を増加又は減少させるために、化学的に処理された、セリウムのような環境有害物質を添加することなく、所望の密度を有する布地を提供することができる。本明細書に開示される布地は、例えば、幅広い範囲の厚さを有することができ、1~2000gsm(gsm=グラム/平方メートル)の任意の厚さが好適になり得る。異なる密度を有する繊維の混合物のおかげで、任意の所望の厚さ及び重量を提供することができる。
【0062】
本明細書に開示される布地は、天然の防カビ特性を有する有機繊維を含み得る。それにより、布地のカビに対する耐性を高めるために、化学的に処理された、クロロフェノール系化合物のような環境有害物質を添加することなく、防カビ特性を有する布地を提供することができる。綿のような伝統的な材料は、湿らせたままにすると、白カビに襲われやすくなる。特にスポーツウェアの場合、衣服はしばしば湿っている。布地又は衣服が湿気に曝されるさらに別の状況は、輸送中である。長い輸送中に、周囲温度はかなり変動し、水分が布地に付着することになり、これにより布地表面にカビが発生する危険性が高い。自然にカビ及び白カビへの耐性がある繊維を使用することで、より持続可能な布地が提供される。
【0063】
布地を製造するプロセスも本明細書に開示される。製造プロセスでは、化学的に処理された環境有害物質は製造プロセス中に添加されない。それにより、化学的に処理された環境有害物質を含まない布地が提供され得る。それにより、環境及び織物使用者の両方が保護される。ノルディック・スワン・エコラベルは、禁止されている化学物質の長いリストを提示して、織物生産を規制している。これらは環境、及び人間の健康に有害な化学物質である。これらの化学物質はいずれも、本明細書に開示される布地を製造するプロセスでは使用されない。ノルディック・スワン・エコラベルを有する織物は、長寿命の機会を提供しており、それゆえに、品質がテストされ、文書化されている。
【0064】
本明細書に開示される布地を製造するプロセスにおいて、製造される布地1キログラムあたり250リットル未満の水が使用される。水、及び使用され得る他の任意の溶剤を、閉ループシステムにおいて再使用してもよい。それにより、製造プロセスは最小限の水及び/又は他の溶剤を使用する。水の消費が少ない環境保護の繊維を使用することで、本明細書の布地を生産するためのブルーウォータの使用は実質的に低減される。またさらに、それでもなお必要となり得る水は、生産プロセスにおいて再使用されてもよいし、グリーンウォータから提供されてもよい。したがって、本明細書に開示される布地を生産することによる水のフットプリントは、例えば昔ながらの綿のような繊維の布地の伝統的な生産と比較して、非常に小さい。
【0065】
織物の捺染及び仕上げの生産現場からの有機化合物の総排出量は、100.0mgC/Nm3未満である。溶剤の回収と再使用により(使用した場合)、コーティングプロセス及び乾燥プロセスの排出量は150.0mgC/Nm3の制限を下回っている。製織、染色、捺染、及び仕上げの現場では、環境への廃水排出量は20gCOD/kg処理済織物未満である。これは、現場内廃水処理プラント、及び/又は処理現場からの廃水を受け入れる現場外廃水処理プラントの下流で測定される。織物及び布地のノルディック・スワン・エコラベルは織物産業のための焦点領域を有しており、それは、持続可能な繊維、有害化学物質(例えば、グリーンピースのデトックスリスト)の置き換え、エネルギ及び水の消費量の低減、リサイクル及び循環経済、労働者の権利の点から見た責任ある生産、及びファストファッションよりもむしろ品質及びスローファッションに当てた焦点である。
【0066】
ノルディック・スワン・エコラベル織物は、織物のライフサイクル全体を通じて環境への影響を低減している。織物生産は、国連人権規約及び関連する国際労働条約を順守している。布地の種々の繊維は、繊維の種類に応じて、有機であるか、リサイクルされるか、又はバイオベースでなければならない。繊維がバイオベースの場合、それらは、環境への影響を低減して生産されなければならない。環境、及び織物の使用者を保護するために、禁止されている化学物質の長いリストが織物生産を規制している。これらは環境、及び人間の健康に有害な化学物質である。ノルディック・スワン・エコラベルを有する織物は、長い耐用年限の機会を与えるため、品質がテストされ、文書化されている。
【0067】
要求条件は循環経済を刺激し、資源を節約し、廃棄物の量を減らすのに役立つ。これは、リサイクル原料又はバイオベースの原料のいずれかへの要求条件、織物に含まれる化学物質の厳格な管理、完成した織物の品質試験、及び装飾のためのプラスチック適用及び金属適用の使用を禁止する要求条件による。要求条件には、環境への影響を低減するための、繊維栽培及び/又は繊維生産に対する厳しい要求条件が含まれる。特定の種類の業務用織物については、BCI又はFairTradeによる認証を受けた繊維を使用することもできる。
【0068】
化学物質に対する厳しい環境及び健康の要求条件を満たす必要がある。癌、遺伝又は生殖能力に対する損傷、及び内分泌かく乱物質、難燃剤、及びフッ素物質の禁止の原因になり得る物質はすべて禁止されている。織物生産におけるすべての化学物質は、その環境特性及び健康特性のために管理されている。これは、より清浄な廃水につながる。織物生産は、水効率及びエネルギ効率の高いものである必要があり、これにより、水を節約し、CO2排出量を低減する。布地及び織物の品質には、色の堅牢度及び収縮の試験を行う必要がある。織物製造者は、国連人権規約及び関連する国際労働条約を順守しなければならない。環境、及び織物の使用者を保護するために、禁止されている化学物質の長いリストが織物生産を規制している。
【0069】
本明細書のさらなる実施形態では、上記の繊維組み合わせのいずれかで作られた布地及び武道衣服は、以下に記載されるさらなる天然繊維のいずれかと複合化してもよい。
【0070】
植物系織物は環境に良い。すべての天然繊維は生物分解し、環境への影響はほとんどない、又はまったくない。さらに、それらは洗濯によってマイクロプラスチックを水路に流出させない。それらは健康にも良い。結局のところ、合成繊維は、皮膚への悪影響を有し得る油に由来している。またさらに、天然繊維は、適切な手入れを行えば、合成繊維よりもずっと長く持ちこたえることができる。合成繊維は、プラスチック繊維とも呼ばれ得る。それらは石油又は石油化学物質に由来し、適切に処分されないと私たちの生態系に大惨事をもたらすことになるが、その時でさえ、真に分解することはない。したがって、少なくとも合成繊維は避けるべきである。いくつかの極めて一般的な合成繊維には、ポリエステル、アクリル、ナイロン、及びスパンデックスがある。繊維に変わるリサイクルプラスチック(例えば、使用済みのウォータボトル)でさえ、やはり、すべての弱みが依然として存在する合成である。これらの活気に満ちた繊維は、持続可能な様式へのゲームチェンジャである。完全菜食主義的な天然繊維が動物皮革及び合成皮革に取って代わることがある。
【0071】
マイクロシルクは、クモの巣と同じタンパク質から紡がれ、生物学、発酵、及び伝統的な織物生産を使用して作成された高性能織物である。この繊維製造プロセスの主な投入物は、栽培され、収穫され、再植栽された植物からの糖である。それは、弾力性及び柔らかさを有する、耐久性のある繊維である。
【0072】
マイコワークスは、菌類の栄養体部分である菌糸体、及び農業副産物を皮革に変える。それらは、質感及びその他の特徴をまさしく材料内に発達させられるので、独自にカスタマイズ可能である。それは皮革のように感じられるとともに機能して、耐水性もある。
【0073】
MuSkinは、動物の皮革に代わる100%植物性の代替品である。それは、野生で育つ大きな寄生菌に由来している。MuSkinは、このキノコの外皮で作られている。この材料の表面は柔らかく、スエードと非常に似ている。マイロは、手作りの皮革のように見え、感じられ、振る舞う材料である。キノコの根の構造である菌糸体から作られている。それは数年ではなく数日で生産でき、動物皮革の使用のような材料廃棄はない。マイロは有機物から作られているので、完全な生物分解性であり、無毒である。
【0074】
ピニャテックスのベースは、パイナップル収穫の副産物の葉である。それらの新たな使用は、農業コミュニティに追加的な収入の流れを生み出している。残渣葉バイオマスさえも天然肥料/バイオ燃料として使用されている。この材料は完全な生物分解性である。
【0075】
シーセルは、海藻及びユーカリの繊維から作られた、豪華で柔らかく、絹のような繊維である。それはセルロース繊維であり、非アレルギ性である。シーセルはsmartfiber AGによって生産されている。シーセルのための海藻は、船の往来による廃棄物も汚染もない場所にある、人口が希薄なアイスランドのフィヨルドで収穫される。
【0076】
また、布地はバイオファブリケーションされた材料から作られてもよい。細胞をDNAレベルで設計して、タンパク質を生産する微生物を作り出すことができる。発酵により、細胞は、材料のブロックとして使用され得る何十億ものコラーゲン生産細胞工場に増殖する。
【0077】
亜麻(リネン)は人間の歴史の中で最も古い栽培植物の1つで、リネンを作り出す。繊維はこの植物の茎の内部から取り出されるが、これは、この植物を腐らせて茎の外側を剥がすことが必要になるプロセスである。リネンは、素早く水を吸収するその能力のために、温暖な気候に適しているが、しわになりやすい。面白いことに、世界で最も古い衣服はリネンで作られている。この材料は、完全に分解するまでにわずか数週間しかかからない場合がある。
【0078】
考古学者の紀元前8000年の発見によると、麻は歴史上最初に使用された天然繊維の1つである可能性がある。麻は最良かもしれず、綿よりも少ない水を使用し、より多くの作物を生み出し、除草剤も農薬も必要としないので管理が簡単である。また、土壌をきれいにし、回復させる。麻はとても丈夫で強い布地である。その1つの欠点が、しわになりやすいことである。
【0079】
リヨセルは半天然繊維に近く、一般的にはブランド名「テンセル」として知られており、すべての植物の天然成分である溶解パルプ(漂白木材パルプ)からのセルロース繊維で作られている。これは、すべての布地の中で最も生態系に優しい製造プロセスの1つである。リヨセルは独特の水分吸収能力を有しており、そのために通気性があり、柔らかく、しわになりにくい。レンプールは、ストローブマツの木の剪定材から作られた生物分解性の布地である。それは絹の快適性、カシミヤの手触り、及びリネンの軽さを有している。これは他のセルロース繊維よりも上の段階であり、その要因は、その柔らかさ、吸収能力、湿気を放出する能力、及びより高い温度範囲を維持して夏は涼しく、冬は暖かく保つ能力にある。
【0080】
植物性カシミヤとも呼ばれる大豆シルクは大豆廃棄物から作られており、1940年代に製造が開始された。大豆タンパク質は液化され、その後、長い連続繊維に伸張されて、他の任意の紡糸繊維とも同様に切断され処理される。大豆は高いたんぱく質含有量を有しており、そのため布地は天然染料を非常によく受け入れる。他の天然繊維と混ぜ合わせると、大豆シルクは滑らかな絹のような品質を追加し、他方の繊維は強度を改善する。
【0081】
コルク繊維は、その樹皮を自然に再成長させる特定のオークの木の樹皮から収穫されており、高度に再生可能な資源になっている。それは軽量で天然の断熱性を有しており、織物産業では特にアウターウェア及びアクティブウェアに理想的である。
【0082】
光沢のある布地はイラクサ植物に由来する可能性がある。布地はその植物の葉柄(植物の外表面の棘ではない)の内部の繊維から作られている。イラクサは、実際には16世紀にさかのぼって、食品、布地、さらには薬剤にも使用されてきた。その植物はほとんど制御不能に成長しており、そのため大いに再生可能である。それは亜麻及び麻に関連しており、リネンよりもはるかに丈夫で、濡れたときには強度がさらに高くなる上質なリネン生地を生産するために使用され得る。また、他の繊維とうまく混ざり合って、柔らかさを追加し、寿命を延ばすことを促進し得る。
【0083】
ジュートは長く、柔らかく、輝いている植物性繊維であり、粗くて丈夫な糸に紡ぐことができる。主にジュート袋生地、又はラグ及びカーテンのようなものに見られる。
【0084】
コイアはココナッツの外皮から抽出される。非常に粗い質感のために、フロアマット、玄関マット、ブラシ、及びマットレスに使用されている。
【0085】
私たちの海にはおびただしい数のクラゲがいるとともに、死んだクラゲを使って皮革を作るというコンセプトは革新的かつ持続可能な布地としての名声を確立できるものである。乱獲及び気候変動により、クラゲはますます豊富な資源になっている。大量のクラゲが廃棄物として捨てられ、クラゲから持続可能な皮革が作られている。クラゲから100%有機の生物分解性皮革が作られている。
【0086】
キノコ皮革は、クールで持続可能な布地に寄与する、着用に適した材料である。確かに柔らかくて気持ちがよく、この布地の着用を非常に快適にしてくれる品質である。キノコ皮革は確かに多くの産業において将来性がある。また、衣服及びバッグ、さらには頑丈な家具及び建築用レンガにも使用できる。菌糸体はカーボンネガティブであり、自然に任意の色に汚れる可能性がある。
【0087】
エコニール(Econyl)はエコナイロン(Eco Nylon)の頭字語である。これは、漁網及び産業用プラスチックを含む合成廃棄物を使用したリサイクル布地である。私たちの環境にそれらを捨てる代わりに、イタリアの会社Aquafilはそれらをリサイクルし、本物のナイロンと品質で類似するエコナイロンに再生する。
【0088】
このプロセスは、ナイロンを生産する伝統的な方法よりも少ない水を使用し、廃棄物も少なくなる。
【0089】
別の可能性は、乳タンパク質カゼインから布地を生産することである。これは、可能性の低い持続可能な材料の供給源かもしれないが、しかし、織物繊維の生産にとって大きな期待になっている。人間が消費するには適さないと見なされる廃棄生乳製品は、環境に優しいプロセスで使用され、低アレルギ性で抗菌性の布地を生成する。QMilchの生産には化学物質が含まれていないため、化学物質に敏感な人々に心配はない。それは生物分解性であり、サステナビリティ・スコアカードで高得点を記録する。
【0090】
ピニャテックスは完全菜食主義的な皮革の代替品である。ピニャテックスはパイナップルの葉の繊維から作られ、これにより、パイナップルを栽培する農業コミュニティによって捨てられる廃棄物が減る。
【0091】
オレンジファイバはオレンジの皮を使用して、新しく革新的な持続可能な布地を作り出す。イタリアでは、オレンジ果汁を流し出した後、毎年70万トンもの多くのオレンジの皮が廃棄されている。これらの材料が捨てられる代わりに、柔らかくて絹のような布地に変換される。
【0092】
Parblexは、ボタン及び布地の留め具のような付属物を作るために使用できるバイオプラスチックである。マッケインを供給源とするジャガイモ廃棄物から作られている。廃棄物ゼロを促進する生産システムで作られ、質感のある仕上げには、雪、べっこう、及びスモークの色彩が現れている。Parblex布地は、純粋な繊維質であるか、又は透けて見える。それは循環経済を使用して作成され、伝統的なプラスチックと同じように役に立ち、使用後は生物分解性でリサイクル可能である。また、モールディング、3D印刷、ミリング、及び他の産業界にも対応している。
【0093】
Agroloopバイオファイバは、Circular Systemsが作り出した持続可能な布地である。このバイオファイバは、サトウキビ、バナナ、パイナップル、亜麻、及び麻の栽培から一般的に得られる作物残渣から作られている。このシステムにおいて、そのすべての廃棄物を、腐敗させるのではなく新製品に変える。これにより、大気を汚染するメタンの量が減少する。
【0094】
果物から得られるピニャテックスと同様に、ベガテキスタイルはブドウの絞りかすから得られる。皮革は、ワイン製造プロセス中に廃棄物として得られるブドウの種、葉柄、皮から形成される。廃棄される代わりに、皮革の作成に使用される。また、使用しても完全に安全である。
【0095】
クモの糸の遺伝子及び微生物の組み合わせを使用して、Qmonosと呼ばれる合成クモの糸を作成する。この繊維は、鋼よりも5倍も強いため、事実上、最も強靱であると考えられている。その強靱さにもかかわらず、信じられないほど柔軟で軽量である。生物分解性のある布地は大きなプラスである。この製造プロセスは、いかなるクモも危険にさらすことはなく、ナイロンの倫理的な代替品である。
【0096】
マイロは菌類の根から作られている。この生態系に優しい選択肢により、動物製品を着用せずに、クールな革のジャケットをおしゃれに着ることができる。この完全菜食主義的な布地は、おそらくあなたが出会う最高のイミテーション皮革かもしれない。菌糸体から作られ、いかなるコラーゲンも含んでいない。それは、そのライフサイクルのあらゆる段階で可能な限り持続可能であるように設計されている。別の持続可能な布地はコンブチャ皮革であり、これは酵母及び細菌の共生コロニから作られている。これはコンブチャSCOBYと呼ばれ、これを栽培し、発酵飲料コンブチャの生産に使用している。SCOBYは乾燥すると皮革のような性質を有しているので、これは、ファッションの世界で履物及び衣類の生産に非常に有用であることが証明されている。この生産は重要な資源を必要としないので、保守的なプロセスになる。コンブチャ皮革は、発酵茶飲料と同様に、細菌及び酵母のどろどろした共生培養物で作られている。皮革と同様の布地を作るために、ぬるぬるした培養物を乾燥させ、ココナッツオイルで柔らかくしてもよい。この材料が寿命を過ぎたときには、これを堆肥にしてもよい。
【0097】
テンセルは抗菌特性を有しており、このおかげで、衣類の材料として完璧である。テンセルの人気が高まっているのは、綿より50%多く吸収するその能力のためである。別の重要な強みは、生産に必要な水及びエネルギが少ないことである。木材パルプを溶解して作ったこの製品は、印象的なほどにエネルギ効率がよく、危険な廃棄物の発生を低減している。
【0098】
天然繊維は、植物又は動物、又は地質学的プロセスから生産される繊維である。これらの繊維は、繊維の配向が特性に影響を与える複合材料の成分としての用途を有し得る。天然繊維には、動物又は植物、又は鉱物のような多数の供給源がある。植物及び動物の繊維は非常に有用である。植物を供給源とする最も一般的な天然繊維のいくつかは、綿、亜麻、麻、竹、サイザル麻、及びジュートである。主成分はセルロースである。動物からの最も一般的な天然繊維のいくつかは、羊毛、絹、アンゴラ及びモヘアである。
【国際調査報告】