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特表2023-537191消防車バルブチェッカーシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】消防車バルブチェッカーシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 37/00 20060101AFI20230824BHJP
   F16K 5/06 20060101ALI20230824BHJP
   F16K 1/22 20060101ALI20230824BHJP
   A62C 27/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
F16K37/00 D
F16K5/06 Z
F16K1/22 A
A62C27/00 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022578673
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 US2021037905
(87)【国際公開番号】W WO2021257882
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/041,448
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/057678
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522490398
【氏名又は名称】ヘイル プロダクツ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エー ラスカリス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン セラーノ
【テーマコード(参考)】
2E189
3H052
3H054
3H065
【Fターム(参考)】
2E189AE06
3H052AA02
3H052BA31
3H052BA32
3H052BA35
3H052CC01
3H052EA02
3H054AA03
3H054BB24
3H054BB30
3H054CC03
3H054EE01
3H054GG02
3H065AA02
3H065AA06
3H065BA01
3H065BA07
3H065BB12
3H065BB15
3H065CA03
(57)【要約】
バルブチェッカーシステムは、入口側、出口側及びその間のバルブ要素を有するバルブハウジングを有するバルブを含む。バルブ要素は、第1の閉位置と開位置の間で選択的かつ反復的に回転可能であり、第1の閉位置において、バルブ要素とバルブハウジングの間にシールが形成され、それにより入口側と出口側の間の流体フローを実質的に防止し、開位置において、流体フローが入口側と出口側の間で許容可能となるようにシールが破壊される。バルブ要素はまた、第1の閉位置から、シールがバルブ要素とバルブハウジングの間に維持される第2の閉位置へ、開位置に向かう方向に個別の角度内で選択的かつ反復的に回転可能である。コントローラは、バルブ要素に動作可能に結合され、第1の閉位置と第2の閉位置の間でバルブ要素を回転させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブチェッカーシステムであって、
バルブであって、
入口側、出口側及びそれらの間に位置決めされるバルブ要素を有するバルブハウジングを含み、前記バルブ要素が、(i)前記バルブ要素と前記バルブハウジングの間にシールが形成され、それにより前記入口側と前記出口側の間の流体フローを実質的に防止する、第1の閉位置と、(ii)流体フローが前記入口側と前記出口側の間で許容可能となるように前記シールが破壊される、開位置と、の間で選択的かつ反復的に回転可能であり、
前記バルブ要素はまた、前記第1の閉位置から、前記シールが前記バルブ要素と前記バルブハウジングの間に維持される第2の閉位置へ、前記開位置に向かう方向に個別の角度内で選択的かつ反復的に回転可能である、バルブと、
前記バルブ要素に動作可能に結合され、前記第1の閉位置と前記第2の閉位置の間で前記バルブ要素を回転させるように構成されたコントローラと、
を備えるバルブチェッカーシステム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記バルブ要素を前記第1の閉位置と前記第2の閉位置の間で周期的に回転させるように構成された、請求項1に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項3】
前記バルブハウジング内にバルブシートが取り付けられ、前記バルブ要素は、ボールであって周囲面及び該ボールを通じて延在するポートを有するボールであり、前記シールは、前記第1の閉位置及び前記第2の閉位置の双方において前記ポートが前記バルブハウジングの前記入口側及び前記出口側から流体的に切り離されるように、前記ボールの前記周囲面と前記バルブシートの間に形成され、前記ポートは、流体フローが前記ポートを通じて前記入口側と前記出口側の間で許容可能となるように、前記開位置において前記入口側及び前記出口側と流通する、請求項1又は2に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項4】
前記個別の角度は、約4度と約9度の間である、請求項1から3のいずれか一項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項5】
前記バルブはバタフライバルブであり、前記バルブ要素はディスクである、請求項1、2及び4のいずれか一項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項6】
前記ディスクは、該ディスクと前記バルブハウジングの間に前記シールを形成するように構成された高分子コーティングで被覆されている、請求項5に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項7】
前記高分子コーティングは、ニトリルゴムコーティングを含む、請求項6に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項8】
前記ディスクは、前記ディスクと前記バルブハウジングの間の前記シールを形成する上端及び下端周囲フランジを有するダブルフランジディスクである、請求項5から7のいずれか一項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項9】
前記コントローラ及び前記バルブ要素に動作可能に結合されたモータをさらに備え、該モータは前記バルブ要素を回転させるように構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項10】
前記コントローラ及び前記バルブ要素に動作可能に結合された位置センサをさらに備え、前記位置センサは前記バルブ要素の位置情報を検出して該位置情報を前記コントローラに送信するように構成され、前記コントローラは、さらに、前記モータに電力が供給されて前記位置情報が変化しないままである場合にバルブ異常と判定するように構成された、請求項9に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、さらに、前記モータに流れる電流が所定の閾値電流を超える場合にバルブ異常と判定するように構成された、請求項9又は10に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項12】
前記コントローラ及び前記バルブ要素に動作可能に結合されたリミットスイッチをさらに備え、該リミットスイッチは、前記バルブ要素が前記第1の閉位置から回転されると状態を変化させるように構成され、前記コントローラは、さらに、前記バルブ要素が前記第1の閉位置にある状態で前記モータに電力が供給されて前記リミットスイッチの状態が変化しないままである場合に、バルブ異常と判定するように構成された、請求項1から11のいずれか一項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項13】
前記バルブは、消防車ポンプ用バルブである、請求項1から12のいずれか一項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項14】
複数の、請求項1から13のいずれか一項における前記バルブであって、各バルブのそれぞれの前記バルブ要素がその前記第1の閉位置と前記第2の閉位置の間で選択的かつ反復的に回転可能な、複数のバルブを備え、
前記コントローラが、各バルブの前記それぞれのバルブ要素をその前記第1の閉位置と前記第2の閉位置の間で回転させるように構成された、消防車ポンプ用バルブのネットワーク。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項における前記バルブのバルブ固着を防止する方法であって、
前記バルブの前記バルブ要素をその前記第1の閉位置からその前記第2の閉位置まで回転させるステップと、
前記バルブ要素をその前記第2の閉位置からその前記第1の閉位置まで回転させるステップと、
を備える方法。
【請求項16】
前記回転させるステップの双方を周期的に反復するステップをさらに備える請求項15に記載の方法。
【請求項17】
モータ及び位置センサが前記コントローラ及び前記バルブ要素に各々動作可能に結合され、前記モータは前記バルブ要素を回転させるように構成され、前記回転させるステップの各々は、前記モータに電力を供給して前記バルブ要素を回転させるステップを備え、
前記位置センサを介して前記バルブ要素の位置情報を検出するステップと、
前記位置情報を前記コントローラに送信するステップと、
前記位置情報が変化しないままである場合に前記コントローラを介してバルブ異常と判定するステップと、
をさらに備える請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
モータが前記コントローラ及び前記バルブ要素に動作可能に結合され、前記モータは前記バルブを回転させるように構成され、前記回転させるステップの各々は前記モータに電力を供給して前記バルブ要素を回転させることを含み、
前記モータに流れる電流が所定の閾値電流を超える場合に前記コントローラを介してバルブ異常と判定するステップをさらに備える請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
モータ及びリミットスイッチが前記コントローラ及び前記バルブ要素に各々動作可能に結合され、前記モータは前記バルブ要素を回転させるように構成され、前記リミットスイッチは前記バルブ要素が前記第1の閉位置から回転されると状態を変化させるように構成され、前記バルブ要素をその前記第1の閉位置からその前記第2の閉位置まで回転させるステップは前記モータに電力を供給して前記バルブ要素を回転させることを含み、
前記リミットスイッチの前記状態が変化しないままである場合に前記コントローラを介してバルブ異常と判定するステップをさらに備える請求項15又は16に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から13のいずれか一項における前記バルブを複数備える消防車ポンプ用バルブのネットワークのバルブ固着を防止する方法であって、
各バルブのそれぞれの前記バルブ要素をその前記第1の閉位置からその前記第2の閉位置まで回転させるステップと、
各バルブのそれぞれの前記バルブ要素をその前記第2の閉位置からその前記第1の閉位置まで回転させるステップと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年6月19日出願の米国仮特許出願第63/041448号、発明の名称「Fire Truck Valve Checker」及び2020年10月28日出願の国際特許出願第PCT/US20/57678号、発明の名称「System And Method For Use In Operation Of A Firefighting Vehicle」の優先権を主張し、その各々の全体の内容がここに参照により取り込まれる。
【0002】
本発明は、消防車バルブの動作性をチェックするためのシステム及び方法に関する。より具体的には、本発明は、消防車バルブチェッカー、及び消防車バルブチェッカーを用いて1以上の消防車バルブの動作性を確認する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
種々のタイプのバルブは、動作することなく長く固定放置されていると、固着してしまい、その後にそれらを動作させるのが難しくなる。これは、特に、個々のバルブが使用と使用の間に相当な期間にわたって作動されない場合があるような消防装置のポンプ及びバルブにおける懸念事項となる。これは、バルブが使用と使用の間に長期間にわたって固定放置されるポンプ用消防装置で使用される電動及び機械動作型ボールバルブ及びバタフライバルブの特性である。
【0004】
ポンプ車バルブは、通常、硬質のバルブ要素に固着し得る軟質な封止要素を有する。この現象を最小限とするのに様々な材料が使用される。それでもなお、バルブは固着し、必要な時に動作しないことがある。これが電動動作型バルブの場合、固着したバルブによって、ブレーカーが落ち、又はモータが停止してしまう。固着した手動動作型バルブは、バルブが加圧下で開かなくなるほどに動作し難くなり得る。バルブが使用されずに長く固定放置されるほど、材料は、場合によっては2つの隣接材料の「塑性クリープ」を介して相互に固着し易くなる傾向にある。材料は、それらを結合する嵌合部品の細孔に流入し得る。潤滑が固着を防止するのに使用されるが、潤滑は、サイズ及び重量に制約がある移動消防装置では実現するのが難しい。消防装置用途におけるボールバルブ設計に潤滑を適用することが知られている。潤滑を用いても、バルブが長期間にわたって移動されないと、固着又は焼付きが起こり得る。ゴム着座バルブの場合、ゴムは、嵌合部品に対して硬化すると考えられる。
【0005】
さらに、バルブ機械式アクチュエータ及び/又はその電気的接続部は、それらがJ1939CANネットワークを介するものであっても、個々の配線接続を介したものであっても、他の構成要素と同様に摩耗及び損傷を受ける。したがって、機械的又は電気的な問題は、固着バルブに寄与し得る。例えば、道路の塩分又は他の手段からの腐食を受けてきた弱い接地は、モータに利用可能な有効電力を低減し、これにより、モータ出力トルクが減少し、長時間固定放置した後に必要とされる場合にバルブが移動できなくなる可能性が高くなる。同様の問題のリスクは、全ての機械式の相互接続部、カップリング、ギア及び電気的相互接続部、スイッチ、ワイヤなどにも当てはまる。
【0006】
またさらに、作業者は毎日車両に配置されるわけではなく、年間火災発生数は徐々に減少しており(容易に入手可能な報告に基づく)、バルブは長期にわたってテストされず、場合によっては固着し、又は機能しないままとなり得るので、消防署の作業者がそれらを緊急事態に使用することが必要となるまでそれが検出されない場合がある。
【0007】
したがって、長期の未使用期間の後に必要となった場合でもポンプ車バルブの動作性を保証する必要性がある。
【発明の概要】
【0008】
簡潔に記載すると、本開示の一態様は、入口側、出口側及びそれらの間に位置決めされるバルブ要素を有するバルブハウジングを有するバルブを含むバルブチェッカーシステムに向けられる。バルブ要素は、(i)第1の閉位置であって、バルブ要素とバルブハウジングの間にシールが形成され、それにより入口側と出口側の間の流体フローを実質的に防止する、第1の閉位置と、(ii)開位置であって、流体フローが入口側と出口側の間で許容可能となるようにシールが破壊される、開位置と、の間で選択的かつ反復的に回転可能である。バルブ要素はまた、第1の閉位置から、シールがバルブ要素とバルブハウジングの間に維持される第2の閉位置へ、開位置に向かう方向に個別の角度内で選択的かつ反復的に回転可能である。コントローラは、バルブ要素に動作可能に結合され、第1の閉位置と第2の閉位置の間でバルブ要素を回転させるように構成される。
【0009】
一構成において、コントローラは、バルブ要素を第1の閉位置と第2の閉位置の間で周期的に回転させるように構成される。
【0010】
上記構成のいずれかにおいて、バルブハウジング内にバルブシート(seat)が取り付けられてもよく、バルブ要素は、ボールであって周囲面及びボールを通じて延在するポートを有するボールであってもよく、シールは、第1の閉位置及び第2の閉位置の双方においてポートがバルブハウジングの入口側及び出口側から流体的に切り離されるように、ボールの周囲面とバルブシートの間に形成され、ポートは、流体フローがポートを通じて入口側と出口側の間で許容可能となるように、開位置において入口側及び出口側と流通する。
【0011】
上記構成のいずれかにおいて、個別の角度は、約4度と約9度の間であり得る。
【0012】
上記構成のいずれかにおいて、バルブはバタフライバルブであってもよく、バルブ要素はディスクであり得る。一構成において、ディスクは、ディスクとバルブハウジングの間にシールを形成するように構成された高分子コーティングで被覆されてもよい。一構成において、高分子コーティングは、ニトリルゴムコーティングを含み得る。一構成において、ディスクは、ディスクとバルブハウジングの間のシールを形成する上端及び下端周囲フランジを有するダブルフランジディスクであり得る。
【0013】
上記構成のいずれかにおいて、バルブチェッカーシステムは、コントローラ及びバルブ要素に動作可能に結合されたモータをさらに含んでいてもよく、モータはバルブ要素を回転させるように構成される。上記構成のいずれかにおいて、バルブチェッカーシステムは、コントローラ及びバルブ要素に動作可能に結合された位置センサをさらに含んでいてもよく、位置センサはバルブ要素の位置情報を検出して位置情報をコントローラに送信するように構成され、コントローラは、さらに、モータに電力が供給されて位置情報が変化しないままである場合にバルブ異常と判定するように構成される。上記構成のいずれかにおいて、コントローラは、さらに、モータに流れる電流が所定の閾値電流を超える場合にバルブ異常と判定するように構成され得る。
【0014】
上記構成のいずれかにおいて、バルブチェッカーシステムは、コントローラ及びバルブ要素に動作可能に結合されたリミットスイッチをさらに含んでいてもよく、リミットスイッチは、バルブ要素が第1の閉位置から回転されると状態を変化させるように構成され、コントローラは、さらに、バルブ要素が第1の閉位置にある状態でモータに電力が供給されてリミットスイッチの状態が変化しないままである場合に、バルブ異常と判定するように構成される。
【0015】
上記構成のいずれかにおいて、バルブは、消防車ポンプ用バルブであり得る。
【0016】
本開示の他の態様は、上記構成のいずれかにおける複数のバルブを有する消防車ポンプ用バルブのネットワークに向けられ、各バルブのそれぞれのバルブ要素はその第1の閉位置と第2の閉位置の間で選択的かつ反復的に回転可能であり、コントローラは、各バルブのそれぞれのバルブ要素をその第1の閉位置と第2の閉位置の間で回転させるように構成される。
【0017】
本開示の他の態様は、上記構成のいずれかにおけるバルブのバルブ固着を防止する方法に向けられ、方法は、バルブのバルブ要素をその第1の閉位置からその第2の閉位置まで回転させるステップと、バルブ要素をその第2の閉位置からその第1の閉位置まで回転させるステップと、を含む。
【0018】
一構成において、方法は、回転させるステップの双方を周期的に反復するステップをさらに含み得る。
【0019】
上記方法の構成のいずれかにおいて、モータ及び位置センサがコントローラ及びバルブ要素に各々動作可能に結合されてもよく、モータはバルブ要素を回転させるように構成され、回転させるステップの各々は、モータに電力を供給してバルブ要素を回転させるステップを備え、方法は、位置センサを介してバルブ要素の位置情報を検出するステップと、位置情報をコントローラに送信するステップと、位置情報が変化しないままである場合にコントローラを介してバルブ異常と判定するステップと、をさらに含み得る。
【0020】
上記方法の構成のいずれかにおいて、モータがコントローラ及びバルブ要素に動作可能に結合されてもよく、モータはバルブ要素を回転させるように構成され、回転させるステップの各々はモータに電力を供給してバルブ要素を回転させることを含み、方法は、モータに流れる電流が所定の閾値電流を超える場合にコントローラを介してバルブ異常と判定するステップをさらに含み得る。
【0021】
上記方法の構成のいずれかにおいて、モータ及びリミットスイッチがコントローラ及びバルブ要素に各々動作可能に結合されてもよく、モータはバルブ要素を回転させるように構成され、リミットスイッチはバルブ要素が第1の閉位置から回転されると状態を変化させるように構成され、バルブ要素をその第1の閉位置からその第2の閉位置まで回転させるステップはモータに電力を供給してバルブ要素を回転させることを含み、方法は、リミットスイッチの状態が変化しないままである場合にコントローラを介してバルブ異常と判定するステップをさらに含み得る。
【0022】
本開示の他の態様は、上記構成のいずれかにおける複数のバルブを含む消防車ポンプ用バルブのネットワークのバルブ固着を防止する方法に向けられ、方法は、各バルブのそれぞれのバルブ要素をその第1の閉位置からその第2の閉位置まで回転させるステップと、各バルブのそれぞれのバルブ要素をその第2の閉位置からその第1の閉位置まで回転させるステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ボールバルブを採用し、ボールバルブがその第1の完全閉位置にある、本開示の第1の実施形態に係るバルブチェッカーシステムの左側面斜視図及び部分模式断面図である。
図2】完全閉位置にある、図1のボールバルブの断面図である。
図3】ボールバルブがその第2の閉位置にある、図1のバルブチェッカーシステムの左側面斜視図及び部分模式断面図である。
図4】バタフライバルブを採用し、バタフライバルブがその第1の完全閉位置にある、本開示の第2の実施形態に係るバルブチェッカーシステムの断面部分模式図である。
図5】バタフライバルブがその第1の完全閉位置からその第2の閉位置へ開位置に向かって徐々に回転される、図3のバルブチェッカーシステムの断面部分模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態の以下の説明は、添付図面との関係で読まれることにより、より良く理解されることになる。ただし、本発明は、図示する正確な配置構成及び手段に限定されないことが理解されるべきである。
【0025】
以下の説明において、特定の用語が便宜のみのために用いられ、それは限定的なものではない。文言「下」、「下部」、「上」及び「上部」は、参照がなされる図面における方向を指定する。文言「内向き」、「外向き」、「上向き」及び「下向き」は、本開示に係る、バルブの幾何中心及びその指定部分に向かう方向及びそこから離れる方向をそれぞれいう。ここに特に断りがない限り、用語「a」、「an」及び「the」は1つの要素に限定されず、「少なくとも1つ」を意味するものとして読まれるべきである。用語は、上記の文言、その派生語及び類義語を含む。
【0026】
また、本発明の構成要素の寸法又は特性を言う場合にここで使用される用語「約(about)」、「約(approximately)」、「一般的に/略」、「実質的に」及び同様の用語は、記載の寸法/特性が厳密な境界又はパラメータではなく、機能的に同様なそこからの軽微な変形を排除するものでもないことを示していることが理解されるべきである。少なくとも、数値パラメータを含むような参照は、当技術分野で受け入れられる数学的及び産業的原理(例えば、測定値又は他の体系的誤差、製造公差などを丸めること)を用いて、最小有効数字を変化させない変形を含むことになる。
【0027】
図面を詳細に参照するにあたり、同様の数値は全体を通じて同様の要素を示し、図1~3には、本開示の第1の実施形態に係る、少なくとも1つの産業用ボールバルブ10と、バルブ10の動作性をチェック、確認及び維持するように構成された付随する動作可能に接続されたコントローラ13と、を含むバルブチェッカーシステムを示す。バルブ10は、消防車(不図示)のポンプ用消防バルブとしての用途に適する。
【0028】
汎用のフローティング産業用ボールバルブ10を図1及び2に示す。理解されるように、ボールバルブ10は、入口9a及び出口9bを有するバルブハウジング9を含む。バルブハウジング9は、くり抜かれ又は中空の回転/旋回ボール16をそこに収容する。バルブシート(seat)18、すなわち、環状シートリングは、その入口20側においてボール16下にあり、対向バルブシート18はその出口22側においてボール16上に位置決めされる。回転可能なボール16は、そこを通るポート(チャネル)14を画定する(又は中空であり得る)。ボール16の上流(入口)20及び下流(出口)22の各々の側にあるバルブシート18は、バルブハウジング9に関して実質的に静止している。当業者には分かるように、バルブシート18は、金属、ポリマー、それらの組合せなどで構成され得る。また、理解されるように、バルブシート18は、流体を封止し、流体がボール16の上流20側と下流22側の間でボール16の周囲に流れることを実質的に防止し、それにより、流体が、その上流20側と下流22側の間で移動するために、ボールポート14を通じて移動することを制限する。ボール16は、その開位置(不図示)と完全閉位置、すなわち、その第1の閉位置(図1)との間で、当業者にはよく分かる態様で回転可能である。開位置では、ボールポート14は、流体が上流側入口9aと下流側出口9bの間でボール16を通じて流れ得るように、上流側入口9a及び下流側出口9bの双方と流通している。第1の閉位置では、ボールポート14は、上流側入口9a及び下流側出口9bから流体的に切り離される。
【0029】
一構成では、バルブ10は、電動的に作動され得る。あるいは、バルブは、例えば、3位置エアシリンダーを用いる空気動力付与動作型であってもよく、それは、例えば、バルブチェックのために少量だけ必要に応じてバルブ10を移動可能とし(さらに詳細に後述する)又は完全な動作バルブ移動を可能とする。この構成では、コントローラ13は、当業者によく理解されるとともにさらに後述する態様で必要な構成要素に動力付与するのに採用される。追加的又は代替的に、バルブ10は、例えば、(後述するように)バルブ動作をチェックして固着を防止するのに必要な少量の回転を通じてバルブ10を移動させることができる短ストロークエアアクチュエータ(不図示)を付加することによって、手動動作されてもよい。この作動手段は、バルブ10又は手動アクチュエータに内蔵されてもよく、空動き機械的リンク機構を取り入れてバルブの完全移動が移動の全範囲を通じて手動で動作可能とする。
【0030】
一般に、消防車に採用される動力作動バルブは、バルブを構成する相互関連構成要素の間の機械的クリアランスを有する。すなわち、例えば、バルブ10は、バルブ10が閉じられたままで、すなわち、シールがポートを外れて流体が流れ始める前のシールが無傷のままで、ボール16がバルブシート18に対して、すなわち、第2の閉位置(図3)に対して特定/個別の回転角を移動することができるように、設計され得る。水又は水/消火剤溶液がバルブの逆側にあり、それは接続前のホース(不図示)内に又は地面上に溢れ得るので、シールが破壊される前に、したがって流体を流通可能とすることなく、バルブ要素、例えば、ボール16(又は後述するようなディスク)を個別の角度量(第1の閉位置から第2の閉位置まで)だけ移動させることができると有益である。
【0031】
記載する実施形態では、ボールバルブ10は、バルブハウジング9内で、ボールポート14と各バルブシート18の内周エッジ18bとの間に測定可能な変位12を有する。すなわち、ボール16は、閉じられたままで、すなわち、ボール16におけるポート(又は孔)14がバルブシート18の内周エッジ18bを突破してボールポート14を通じてバルブハウジング9の入口9aと出口9bの間のフローを許容する前に、個別の回転角を(第1の閉位置から第2の閉位置まで)移動することができる。変位12は、フローが始まる前に、ボール16とバルブシート18の間のシールを維持しつつ、回転軸A周りのボール16の許容可能な回転角に換算する。第1の閉位置と第2の閉位置の間の回転角は、様々なタイプ又は設計のバルブに対して異なり得る。したがって、ボール16における孔14とシート18の内周エッジ18bの間の関係を管理することによって、シールがポートを外れてフローが始まる前に閉じられたままでボール16の多少の移動を許容するようにバルブ10が設計され得る。一例において、限定ではなく、Akron(登録商標)Brass Company製のModel8825、2.5インチGeneration II Heavy Duty「Self Locking」Swing-Out Ball Valve(Model8825バルブ)は、バルブが開いてバルブを通じた流体フローを可能とする前に、バルブの回転可能ボールが9度を回転することを許容するように設計される。すなわち、バルブは、ボールが9度を超えて回転されるまで閉じられたままとなる。
【0032】
バルブ10に動作可能に接続されたコントローラ13は、例えば、バルブ10を電気的に作動させて、その開位置と閉位置の間で所定量を移動させ得る。コントローラ13は、回転軸A周りにその回転を実行するためにボール16に結合されたモータ11、例えば、DCモータを作動させることによってボール16に対して作用し得る。一実施形態では、例えば、限定ではなく、コントローラ13は、消防ポンプに統合されたHale Products Inc.製のSAM(商標)Control Systemの形態であってもよく、消防車のポンプ、タンク、取水部及び放水部を管理するように構成される。あるいは、コントローラ13は、Hale Products Inc.製のClass1 Sentry Pressure Governor System又はHale Products Inc.製のTotal Pressure Governor(TPG)の形態であってもよい。
【0033】
バルブチェックモードにおいて、コントローラ13は、周期的に、例えば、ポンプ(不図示)は稼働されずに加圧されていない時間中に、その第1の閉位置(図1)と第2の閉位置(図3)の間でバルブ10を作動させ、すなわち、ボール16を、ボールポート14と各バルブシート18の内周(内周エッジ)18bとの間の測定可能変位12未満の個別の増分量を移動させてバルブ10におけるクリアランスを占めるようにしてもよい。当業者には理解されるように、ポンプは、車両が放置され又は道路を走行している場合など、給水源に接続されていない場合には加圧されない。したがって、バルブ背部の残留圧力は、ポンプ内にあり得る残留水のわずかな先端圧力となる。
【0034】
バルブ10は、位置フィードバックを有するように構成されてもよい。例えば、位置センサ15が、ボール16(可動バルブ要素)の位置の変化を検出してその情報をコントローラ13に送信するように従来的態様で(当業者にはよく理解されている態様で)採用され得る。これにより、コントローラ13は、ボール16が移動したか否か、及びどの程度移動したかを特定し得る。コントローラ13は、位置センサ15によって与えられるフィードバックに基づいてボール16を特定量移動させるように構成され得る。例えば、Akron Brass Co.のModel8825バルブでは、コントローラ13は、ボール16を開位置(それでも流体がバルブ10を流通するのを防止する)に向けて9度未満、例えば、5~6度移動させてからボール16を完全閉位置に戻すように構成され得る。この移動によって、固着、すなわち、静止面が相互に対する移動に設定されることを防止しがちな、バルブシート18との摩擦を回避及び/又は「破壊」するようにボール16が少量だけ移動することが可能となる。追加的又は代替的に、バルブ10は、さらに後述するように、リミットスイッチを採用してもよい。
【0035】
複数のバルブが採用される消防車の設定などの車両の設定において、バルブをチェックし及び/若しくは作動させる制御システムが、バルブチェッカールーティンを通じて動作するようにバルブに命令するバルブのネットワーク配置構成(不図示)に配備されてもよいし、又はスタンドアロンバルブルーティンの一部として個々にバルブに適用されてもよい。例えば、コントローラ13は、車両/装置の電気システムへの電気負荷が過負荷とならないように、バルブチェックモードにおいてバルブ10を順次サイクルで動作させ得る。様々なバルブは、それらが固着し始める前にどの程度長く非作動であってもよいかを決定する異なる休止時間を有する。したがって、コントローラ13は、特定の採用されるバルブに応じてかつ固着が起こる前に周期的にバルブにバルブチェックを行うように構成され得る。通常、1日あたり1バルブあたり1回のバルブチェックが平均的な頻度であるが、本開示はそのようには限定されない。例えば、より硬いシートを有するより小型のバルブについては、移動される間隔はより長くなり得る。異なるバルブが、固着を防止するのに異なる量のバルブ移動を必要とする場合もある。したがって、コントローラ13は、バルブを、それぞれ、特定のバルブの設計に対応する個別の量だけ移動するように構成されてもよい。
【0036】
有利なことに、バルブの動力付与による、すなわち、コントローラ13を介した動作/作動と位置検知フィードバックとの組合せによって、実際の必要な使用の前のバルブ異常の検出が可能となる。すなわち、例えば、コントローラ13はボール16を移動させるようにモータ11に命令し、位置センサ15はボール16が移動しないことを検出した場合、バルブ10からの期待される位置変化が取得されなかったことから、位置センサ15からコントローラ13へのフィードバックは異常、例えば、電気的又は機械的な異常を示すことになる。したがって、例えば、限定ではなく、破損したモータ、又は多数の他の機械的故障若しくは機能しない電子部品などの欠陥が検出可能となる。IDEX Fire and Safety製のCaptium(商標)などの、コントローラ13に接続された通信プラットフォームは、当業者にはよく理解されている態様で、ローカル及び/又は遠隔の作業者に警告又はサービス警報を通信するのに採用され得る。これにより、予防的なトラブルシューティング及びサービスアクションをスケジューリングすることで、バルブが緊急事態において必要とされかつ作業者が問題に直面する前に欠陥を修繕することができ、又はバルブがサービスから外されてそれが修理されるまでそのバルブは使用されないようにすることができる。有利なことに、そのような各バルブ10に対するアクションは、ポンプ車/車両が放置され又は道路上にあっても、他の活動に影響を与えることなく達成可能となる。
【0037】
任意選択的に、電子部品ハードウェア(不図示)は、バルブ作動モータの電流を検出することによって電気的フィードバックを与えるのに追加的又は代替的に採用されてもよい。一例として、電気アクチュエータであるAkron(登録商標)Brass Company製のModel No.8615-8635、モータに流れる電流を測定するバルブアクチュエータ/コントローラが、バルブ停止位置を設定するために(当業者には周知であるように)コントローラ設計の一部として採用されてもよい。モータ過電流検出は、バルブ異常を示し、(上述したように)報告され得る。例えば、バルブ10のモータ最大電流が約10アンペアとなる場合、バルブにかかる圧力がなければ、すなわち(確認される場合にバルブ10がなり得るように)給水源に接続されない場合、バルブ10を作動させる電流は4アンペアにもならない。したがって、バルブ作動が通常の電圧において4アンペア超を必要とすることを電子部品ハードウェアが検出した場合、異常がコントローラ13によって特定される。問題点が機械的異常であっても電気的異常であっても、緊急事態時に異常を回避するようにその問題が報告され得る。コントローラ13は、各バルブがそのチェック位置まで移動するのに電流をどの程度の必要とするのかを学習又は自己較正するための電流及び位置フィードバックを調整するように構成されてもよく、その後にバルブがより多くの電流を必要とする場合に、経時的な劣化の問題を特定することができる。電源の電圧及びバルブを移動させるのに必要な電流を測定することによって、既知の良好な範囲のマップが開発可能となり、それにより、多数の自動チェックにわたって移動させるのにバルブがより多くの電流を必要とする場合に、更なる保守の必要が推定可能となる。
【0038】
前述したように、位置センサ15を採用することは、異常検出に寄与する。例えば、電力がモータ11に供給されても位置センサ15がバルブ10の位置変化を検出しない場合には、機能的な、すなわち、機械的な又は電気的な問題がある。さらに有利なことに、位置フィードバックを電気的フィードバックに組み合わせることは、存在する機能的な異常のタイプを識別することにも寄与し得る。例えば、電力がモータ11に印加され、電子部品ハードウェアが実質的にゼロの電流及びバルブ10の位置変化がないことを検出した場合には、異常は電気的異常である可能性がある。あるいは、電力がモータ11に印加され、電子部品ハードウェアは高い電流を検出するがバルブの位置変化がない場合には、異常は機械的異常である可能性がある。
【0039】
前述したように、本開示のバルブチェッカーシステムは、多数の有利な効果を提供する。すなわち、システムは、微動アクチュエータを有するバルブ、例えば、動力付与バルブ又は手動作動バルブを、各バルブを動作させる個別の量だけ動作させて、それが固着せずに必要時に完全に動作可能であることを確かめるのに役立つ。システムは、バルブを開くことなく、すなわち、上流側の水が流通するのを許容する位置までバルブを移動させることなく、バルブを移動させるように構成される。これは、下流側ポンプが回転していないこと及びポンプに圧力がかかっていないことを確かめることによって、そしてバルブ要素を少量のみ移動させることによって達成される。システムは、ポンプが使用されていない時に、定期的な周期毎に各バルブを自動的に動作させるように構成される。この構成は、異なるサイズ及びタイプのバルブを異なるスケジュールで動作させて固着を防止すること、並びに各バルブを他のバルブとは潜在的に異なる専用仕様の量だけ移動させて各特定のバルブ設計の要件を充足することを含む。したがって、システムは、個々のバルブに適用され、すなわち、カスタマイズされ、又はバルブのネットワーク化された配置構成に適用され得る。
【0040】
図4及び5は、本開示のバルブチェッカーシステムの第2の実施形態を示す。本実施形態の符号は、上記実施形態のものとは、百(100)番台であることによって区別可能であるが、特に断りがある場合を除き、上記と同じ要素を示す。実施形態間での特定の類似事項は、簡明化及び説明の便宜のためにここでは省略される場合があり、したがって、限定的なものではない。
【0041】
本開示のバルブチェッカーシステムの第1の実施形態と第2の実施形態の主な相違は、ポンプ用消防バルブとして採用されるバルブに関する。バルブ110は、例えば、限定ではなく、Hale Products Inc.製のMaster Intake Valveなどのバタフライバルブの形態である。すなわち、そして当業者によって理解されるように、バルブ110は、バルブハウジング(バルブ本体)109及びバタフライバルブディスク116を含む。ここに使用される用語「バタフライバルブ」は、略円盤形状の開閉体を有する任意のバルブを包含する充分に広範なものであり、それは、流体フローを制限するように、選択的に、パイプの断面に沿って、すなわち、完全閉位置(図4)と開位置(当業者には理解される)の間で、流体フローの方向に垂直な軸周りに、すなわち、円盤形状開閉体にかかる圧力差にかかわらず、旋回可能なものである。
【0042】
本開示の第1の実施形態と第2の実施形態の他の相違は、バルブシール118が、バルブハウジング109の静止構成要素でもなければバルブハウジング109に取り付けられるのでもなく、可動バルブ要素の構成要素として構成されることである。記載する実施形態では、バルブディスク116の径方向周辺がバルブシール118を構成する。一構成では、ディスク116は、ディスク116の封止特性を高めるように、シール剤、例えば、これに限定されないが、ニトリルゴムなどの高分子コーティングで被覆されてもよい。記載する実施形態では、図4及び5に示すように、ディスク116は、バルブシール118を構成する上端及び下端周囲フランジを有するダブルフランジディスクの形態をとるが、本開示はそのようには限定されない。
【0043】
第1の実施形態のバルブ10と同様に、可動要素、すなわち、バルブ110のディスク116は、バルブが閉じたままで、したがって、ディスク116とバルブハウジング109の間のシールが破壊されてバルブハウジング109の入口側120と出口側122の間のフローを許容する前に、(その第1の閉位置と第2の閉位置の間で)少量の増分回転角で移動することができる。すなわち、記載する実施形態では、ディスク116は、バルブ110が開く前に上部及び下部シール(バルブシール)118の双方を破壊するのに充分な回転を必要とする。したがって、そして第1の実施形態と同様に、コントローラ113は、バルブ110をその開位置と閉位置の間で作動させるようにバルブ110に動作可能に接続されたコントローラ113は、周期的に、例えば、ポンプが稼働されずに加圧されない時毎に、バルブ110をその第1の閉位置と第2の閉位置の間で作動させ、すなわち、ディスク116を、バルブを開くのに必要な角度未満の個別の角度だけ回転させ、すなわち、ディスク116とバルブ本体109の間のシールを破壊して固着を回避及び/又は破壊してもよい。
【0044】
バルブ110はまた、バルブ110及びコントローラ113に動作可能に接続された少なくとも1つのリミットスイッチ117を(当業者によく理解されている態様で)採用し得る。当業者には理解されるように、例えば、バルブアクチュエータ/ステムにおけるリミットスイッチ117は、いつバルブ110が完全に閉じられるか、すなわち、第1の閉位置となるかを示す。ディスク116が完全閉位置から(開位置に向かって)徐々に回転されるにつれて、リミットスイッチ117は、その電気的接続の接続-遮断寸法に従って(よく理解されている態様で)状態を変化させる。
【0045】
例えば、一構成では、リミットスイッチ117は、ディスク116がその第2の閉位置に達すると電気的接続が遮断されるように構成され得る。したがって、コントローラ113は、リミットスイッチ117の遮断に応じてモータ111への電力を遮断し、それにより、ディスク116の回転を停止させてもよい。一例において、リミットスイッチ117は、ディスク116が完全閉位置から約4度~約7度回転すると状態を(接続から遮断に)変化させるように構成され、これはディスク116とバルブ本体109の間の固着を破壊するのに充分な回転であり、リミットスイッチ117は、バルブ作動構成要素が適正に機能することを確認するように構成され得る。したがって、モータ111は更なる回転を停止し、その後にディスク116が完全(第1の)閉位置に逆の態様で戻され得る。
【0046】
他の構成では、リミットスイッチ117は、ディスク116がその第2の閉位置に達する前に電気的接続が遮断されるように構成されてもよく、すなわち、リミットスイッチが状態を変化させると不十分な移動が達成されるようにバルブ作動構成要素及び可動バルブ構成要素が設計される。このような構成では、コントローラ113は、リミットスイッチ117を遮断してディスク116が完全閉位置から約4度~約7度回転させた後に、所定の短い期間、例えば、約1秒~約2秒にわたってモータ111に給電し続けるように構成されてもよい。所定期間に影響する一要因は、例えば、モータ111への供給電圧であり得る。当業者には理解されるように、供給電圧が低いほど、モータ111は遅く回転し、供給電圧時が高いほど、回転数/秒は低下する。これを補償するために、モータ111に対する電力のタイミングは比例して高速化される。
【0047】
位置センサ15と同様に、すなわち、コントローラ113を介するバルブの動力付与による動作/作動とリミットスイッチ117の組合せによって、実際の必要な使用の前のバルブ異常の検出が可能となる。例えば、コントローラ113がモータ111にディスク116を移動させるように命令してもリミットスイッチ117が状態を変化させない場合、リミットスイッチ117の期待される状態変化が得られなかったことから、コントローラ113へのリミットスイッチ117のフィードバックは異常、例えば、電気的又は機械的異常を示すことになる。追加的又は代替的に、バルブ110は、前述したように、位置センサ15を採用し得る。
【0048】
当業者には、その広範な発明のコンセプトから逸脱することなく変更が上記実施形態になされ得ることが分かるはずである。したがって、この発明は開示される特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨及び範囲内の変形例を包含することが意図されることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消防車バルブチェッカーシステムであって、
消防車ポンプ用バルブであって、
給水源に接続可能な入口側、出口側及びそれらの間に位置決めされるバルブ要素を有するバルブハウジングを含み、前記バルブ要素が、(i)前記バルブ要素と前記バルブハウジングの間にシールが形成され、それにより前記入口側と前記出口側の間の流体フローを実質的に防止する、第1の閉位置と、(ii)流体フローが前記入口側と前記出口側の間で許容可能となるように前記シールが破壊される、開位置と、の間で選択的かつ反復的に回転可能であり、
前記バルブ要素はまた、前記第1の閉位置から、前記シールが前記バルブ要素と前記バルブハウジングの間に維持される第2の閉位置へ、前記開位置に向かう方向に個別の角度内で選択的かつ反復的に回転可能であり、
前記消防車ポンプ用バルブは、給水源に接続された場合に加圧状態となり、給水源に接続されない場合に非加圧状態となる、消防車ポンプ用バルブと、
前記バルブ要素に動作可能に結合され、前記消防車ポンプ用バルブが非加圧状態にある場合に前記第1の閉位置と前記第2の閉位置の間で前記バルブ要素を周期的に回転させるように構成されたコントローラと、
を備えるバルブチェッカーシステム。
【請求項2】
前記バルブハウジング内にバルブシートが取り付けられ、前記バルブ要素は、ボールであって周囲面及び該ボールを通じて延在するポートを有するボールであり、前記シールは、前記第1の閉位置及び前記第2の閉位置の双方において前記ポートが前記バルブハウジングの前記入口側及び前記出口側から流体的に切り離されるように、前記ボールの前記周囲面と前記バルブシートの間に形成され、前記ポートは、流体フローが前記ポートを通じて前記入口側と前記出口側の間で許容可能となるように、前記開位置において前記入口側及び前記出口側と流通する、請求項1に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項3】
前記個別の角度は、約4度と約9度の間である、請求項1又は2に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項4】
前記バルブはバタフライバルブであり、前記バルブ要素はディスクである、請求項1又は3に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項5】
前記ディスクは、該ディスクと前記バルブハウジングの間に前記シールを形成するように構成された高分子コーティングで被覆されている、請求項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項6】
前記高分子コーティングは、ニトリルゴムコーティングを含む、請求項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項7】
前記ディスクは、前記ディスクと前記バルブハウジングの間の前記シールを形成する上端及び下端周囲フランジを有するダブルフランジディスクである、請求項からのいずれか一項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項8】
前記コントローラ及び前記バルブ要素に動作可能に結合されたモータをさらに備え、該モータは前記バルブ要素を回転させるように構成された、請求項1からのいずれか一項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項9】
前記コントローラ及び前記バルブ要素に動作可能に結合された位置センサをさらに備え、前記位置センサは前記バルブ要素の位置情報を検出して該位置情報を前記コントローラに送信するように構成され、前記コントローラは、さらに、前記モータに電力が供給されて前記位置情報が変化しないままである場合にバルブ異常と判定するように構成された、請求項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、さらに、前記モータに流れる電流が所定の閾値電流を超える場合にバルブ異常と判定するように構成された、請求項又はに記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項11】
前記コントローラ及び前記バルブ要素に動作可能に結合されたリミットスイッチをさらに備え、該リミットスイッチは、前記バルブ要素が前記第1の閉位置から回転されると状態を変化させるように構成され、前記コントローラは、さらに、前記バルブ要素が前記第1の閉位置にある状態で前記モータに電力が供給されて前記リミットスイッチの状態が変化しないままである場合に、バルブ異常と判定するように構成された、請求項1から10のいずれか一項に記載のバルブチェッカーシステム。
【請求項12】
複数の、請求項1から11のいずれか一項における前記バルブであって、各バルブのそれぞれの前記バルブ要素がその前記第1の閉位置と前記第2の閉位置の間で選択的かつ反復的に回転可能な、複数のバルブを備え、
前記コントローラが、各バルブの前記それぞれのバルブ要素をその前記第1の閉位置と前記第2の閉位置の間で回転させるように構成された、消防車ポンプ用バルブのネットワーク。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項における前記バルブのバルブ固着を防止する方法であって、
前記バルブの前記バルブ要素をその前記第1の閉位置からその前記第2の閉位置まで回転させるステップと、
前記バルブ要素をその前記第2の閉位置からその前記第1の閉位置まで回転させるステップと、
を備える方法。
【請求項14】
前記回転させるステップの双方を周期的に反復するステップをさらに備える請求項13に記載の方法。
【請求項15】
モータ及び位置センサが前記コントローラ及び前記バルブ要素に各々動作可能に結合され、前記モータは前記バルブ要素を回転させるように構成され、前記回転させるステップの各々は、前記モータに電力を供給して前記バルブ要素を回転させるステップを備え、
前記位置センサを介して前記バルブ要素の位置情報を検出するステップと、
前記位置情報を前記コントローラに送信するステップと、
前記位置情報が変化しないままである場合に前記コントローラを介してバルブ異常と判定するステップと、
をさらに備える請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
モータが前記コントローラ及び前記バルブ要素に動作可能に結合され、前記モータは前記バルブを回転させるように構成され、前記回転させるステップの各々は前記モータに電力を供給して前記バルブ要素を回転させることを含み、
前記モータに流れる電流が所定の閾値電流を超える場合に前記コントローラを介してバルブ異常と判定するステップをさらに備える請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
モータ及びリミットスイッチが前記コントローラ及び前記バルブ要素に各々動作可能に結合され、前記モータは前記バルブ要素を回転させるように構成され、前記リミットスイッチは前記バルブ要素が前記第1の閉位置から回転されると状態を変化させるように構成され、前記バルブ要素をその前記第1の閉位置からその前記第2の閉位置まで回転させるステップは前記モータに電力を供給して前記バルブ要素を回転させることを含み、
前記リミットスイッチの前記状態が変化しないままである場合に前記コントローラを介してバルブ異常と判定するステップをさらに備える請求項13又は14に記載の方法。
【請求項18】
請求項1から11のいずれか一項における前記バルブを複数備える消防車ポンプ用バルブのネットワークのバルブ固着を防止する方法であって、
各バルブのそれぞれの前記バルブ要素をその前記第1の閉位置からその前記第2の閉位置まで回転させるステップと、
各バルブのそれぞれの前記バルブ要素をその前記第2の閉位置からその前記第1の閉位置まで回転させるステップと、
を備える方法。
【国際調査報告】