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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(54)【発明の名称】改良された水平風力タービン
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/00 20160101AFI20230824BHJP
   F03D 7/04 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
F03D80/00
F03D7/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506145
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 IB2021057052
(87)【国際公開番号】W WO2022029601
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/060,144
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523030533
【氏名又は名称】ヴォロベヴ,ヴァレリー ユレヴィッチ
【氏名又は名称原語表記】VOROBEV, Valerii Yurevich
【住所又は居所原語表記】Oktyabrskaya str, 3 - 35, Krasnoyarsk, 660135 (RU)
(71)【出願人】
【識別番号】523030544
【氏名又は名称】テレシュチュク,ニコライ ニコライエヴィッチ
【氏名又は名称原語表記】TERESHCHUK, Nikolai Nikolayevich
【住所又は居所原語表記】Leningradskaya str, 11- 120 Krasnoyarsky krai Norilsk 663318 (RU)
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロベヴ,ヴァレリー ユレヴィッチ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB31
3H178CC05
3H178CC12
3H178DD12Z
(57)【要約】
本発明は、風力エネルギーに関する。風力タービンは、タービンローター軸に取り付けられた水平軸タービンローターと、発電機と、を備える。タービンは、タービンローター軸と同軸に取り付けられた「中空中心」部を備える。タービンローターは、1セットのブレードと、支持ロッドと、を備える。ブレードは、「中空中心」部の外縁に取り付けられ、風上もしくは風下に角度付けできる。タービンは、風力タービンローター軸によって駆動され風力タービンローターによって回転するファンを使用して、「中空中心」部を通る気流を加速する。したがって、本発明は、同じタービンローター直径の従来の揚力ベースの水平軸風力タービンと比較して、気流からより多くの運動エネルギーをより良い性能係数で抽出し、それを電気エネルギーに変換することによって、高い性能効率を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
効率を高める設計上の特徴を有する風力タービンであって、
1セットのブレードを備える主タービンローターであって、前記ブレードは、回転面に対して固定のまたは調整可能な任意の角度に設定され、固定のまたは調整可能な前記ブレードの迎え角を有し、回転中心から主ローターの総半径の0.25Rから1Rの範囲の距離の任意の場所に配置され、タービンローター軸に、支持ロッドまたは前記ブレードを前記タービンローター軸から離れて保持する他の機械的手段によって接続され、水平回転軸を有している、主タービンローターと、
中心セクションであって、入ってくる風の流れに対する妨害を最小限に抑えながら、前記主ローターの総半径の最大0.75Rまでをカバーできる、中心セクションと、
任意の数の推進ブレードを備えるファンまたは電気的もしくは機械的なその他の任意の装置であって、主タービンローター軸と同軸に同一もしくは異なる回転面で前記中心セクションに取り付けられ、前記主タービンローターによって直接駆動されるか、または主風力タービンローター軸によって直接駆動されるか、または増速機もしくはギアボックスもしくは自在輪を介して駆動されるように構成されており、入ってくる気流を高速空気流に加速して風力タービンの背後に低圧領域を創出し、主ローターブレードを通る気流にプラスの効果を与える、ファンまたはその他の任意の装置と、
発電機であって、前記主タービンローター軸と同軸に同一もしくは異なる回転面で取り付けられ、前記主タービンローターによって直接駆動されるか、または主風力タービンローター軸によって直接駆動されるか、または増速機もしくはギアボックスもしくは自在輪を介して駆動されるように構成された、発電機と、
を備える、タービン。
【請求項2】
入ってくる気流を高速空気流に加速する前記ファンまたはその他の任意の装置は、前記中心セクションを占有して気流を分離するディフューザーもしくはシェルもしくはリムの内側に取り付けられ、前記風力タービンの性能をさらに改善することができる、請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
発電機が、ディフューザー本体もしくは主ローター支持リムもしくはファンリムに組み込まれ、前記主ローターが低い回転速度で発電可能とされている、請求項2に記載のタービン。
【請求項4】
風力タービン効率を高める方法であって、回転中心から離れて配置され、主風力タービンローターの0.25R~1Rの任意の半径範囲をカバーする主ローターブレードを使用して、前記風力タービンの中心を通って入ってくる気流を任意の手段で加速可能にする方法において、その中心を主風力タービンローター半径の0R~0.75R範囲の任意の場所に設定し、前記風力タービンの背後に低圧領域を創出することにより、巻込み効果を活用する高速空気流を創出し、次に主風力タービンローターブレードを通る気流を増加させる、方法。
【請求項5】
前記ブレードは、回転面に対して角度付けされて風下または風上に伸び(swept)、したがって、ローター軸に直接接続されると共に回転軸に垂直である従来の直線ブレードとは対照的に、同じ受風領域(swept area)内でより長いブレードを使用して、より多くのエネルギーを活用可能とされている、請求項4に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力エネルギーに関し、運動風力エネルギーを取得して電気に変換するために使用できる。グループ:F03D,F03D1/00(その他にも該当し得る)。
【背景技術】
【0002】
風力タービンには多くの異なった種類があり、異なるエネルギー抽出コンセプトに基づいているが、概して、揚力ベースと抗力ベースの2つのグループに分類される。水平風力タービン(水平軸風力タービン(HAWT))は、最も一般的な揚力ベースのトポロジーである。これは、ブレードに揚力を発生させることによって風の運動エネルギーを捕捉し、回転力学的エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0003】
従来の水平風力タービンは、タービンローターであって、ギアボックス(増速機:入ってくる低速の回転を発電に適した高速の回転に変換するために使用される構成要素)を介して発電機に接続されたタービンローター軸に垂直に風上に取り付けられたブレードを有するタービンローターと、風向に応じてローターを回転させるローターヨー機構と、そして全ての構成要素が上部に取り付けられるタワーと、を備える。タービンローターの中心は、一般的に、増速機、発電機、発電機ローター軸、およびタービンローター軸のハウジングとして機能すると共にタワーとローターとを接続するナセルに使用される。ローターの中心にナセルが存在しても、中心ではブレード回転速度が低いため、風力タービンの性能にはあまり寄与しない。
【発明の概要】
【0004】
本風力タービンは、「中空中心」部と、回転中心軸(ローター軸)から離れて取り付けられたブレードと、を使用して巻込み効果を活用する機械設計機能を実装しており、途切れることなく(元の)速度または(ジェットファンまたはその他の方法を使用して)加速された速度で気流を通過させて、風力タービンの背後に高速空気流を創出することにより、運動風力エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が改善される。さらに、独自のブレード構成(回転面に対して角度付けされたブレード)を使用することで、さらに効率を改善できる。
【0005】
本発明のアイデアを簡略化された形で紹介するために本発明の概要を提供したが、これを以下の本発明の説明においてさらに開示する。本発明の概要は、本発明の特許請求の範囲の目的の必須の特徴を特定することを意図するものではなく、また、本発明の範囲を限定する目的で使用されることを意図するものでもない。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
空力特性が風力タービンの性能効率の非常に重要な側面であることは明らかであるため、これを改善することが常に目標とされている。
【0007】
さらに、揚力ベースの風力タービンの設計では、回転速度を使用した揚力の創出を完了しながらも、入ってくる気流を遮断しないようにする必要がある。したがって、本発明の目的は、同じタービンローター直径の従来の揚力ベースの水平軸風力タービンと比較して、より多くの運動エネルギーを気流から抽出し、より良い性能係数で電気エネルギーに変換することによって高い性能効率を提供するような設計の、揚力ベースの水平軸風力タービンを創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、ローターの外半径(0.75R~1Rの任意の場所)に(揚力を創出できる)動作領域を有するタービンローター(1セットのブレード)であって、水平な回転軸を有し、支持ロッドによってタービンローター軸に取り付けられ、「中空中心」部と、回転中心軸(ローター軸)から離れて取り付けられたブレードと、を使用して巻込み効果を活用し、途切れることなく(元の)速度または(ジェットファンまたはその他の方法を使用して)加速された速度で気流を通過させ、風力タービンの背後に高速空気流を創出するタービンローターからなる風力タービンを提供することによって、解決される。
【0009】
「中空中心」部は、「そのまま」で、またはディフューザー増強されて、または機械的もしくは電気的に駆動されるファン(またはジェットファン)と使用されて作用し、外部風力タービンローターブレードによって捕捉された力から高速空気流(気流)を創出できる。
【0010】
タービンローターブレードは、任意の手段(いくつかの例としては、リムベース付のスポークまたは支持ロッド)によってタービンローター軸に接続され、「中空中心」部の外縁に配置される。それら(ブレード)は、「中空中心」部から離れて(単一の回転面ではなく)ローター軸上に座していてもよく、重なっていてもよい。前記ブレードはまた、前記風力タービンの性能をさらに高めるために回転面から風上もしくは風下に角度付けされても、または真っすぐであってもよい。
【0011】
発電機は、前記風力タービンであって、風力タービンローターによって直接(風力タービンローター軸の速度で)、或いは、自在輪もしくはその他の風力タービンローターへの接続手段を使用するか、または固定され得る、機械的もしくは電磁的に接続された(高い回転速度を創出する)増速機の使用を通して、駆動されるように構成される。
【発明の効果】
【0012】
提示する風力タービンは、「中空中心」部を備えることを特徴とし、これにより、空気は途切れることなく元の風速で回転するブレードの中心を通って流れるか、またはタービンローターブレードの背後(航跡wake)で元の風速よりも速い速度に加速することが可能になる。
【0013】
前述によって「巻込み効果」が引き起こされ、速く移動する気流が(ベルヌーイの法則に従って)タービンローターの背後に低圧領域を創出し、タービンローターを通ってくる気流をスピードアップさせて、乱流を迅速に遠ざける。
【0014】
揚力は、空気が流れる表面積に依存するため、タービンローターブレードを回転面に対して斜めに(風下または風上に角度付けして)配置すると、次に同じ外部タービンローター直径を保持しながらより長いブレードを使用することが可能となり、したがって比較的高い揚力が創出される。
【0015】
その結果、従来の揚力ベースの水平軸風力タービンと比較して、入ってくる気流の遮断を減らし揚力を増加させることにより、高い性能効率を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明を、風力タービンの好ましい実施形態を示す図面によって、さらに詳細に説明する。
図1図1は、特許請求された風力タービンの好ましい実施形態の1つの、長手方向断面における概略図である。
図2図2は、特許請求された風力タービンの別の好ましい実施形態の、長手方向断面における概略図である。
図3図3は、特許請求された風力タービンの好ましい実施形態の1つおよび従来の風力タービンの、長手方向断面における概略比較図である。
図4図4は、従来の風力タービンブレードおよび特許請求された風力タービンブレードの、回転速度の概略比較図である。
図5図5は、特許請求された風力タービンの別の好ましい実施形態の概略図である。
図6図6は、特許請求された風力タービンの別の好ましい実施形態の概略図である。
図7図7は、特許請求された風力タービンの好ましい実施形態の1つの部分断面図である。 本発明を、風力タービンの好ましい実施形態を示す図面によって、より詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ディフューザーが入口と出口とを備え、入口が出口よりも小さい直径を有することは、明らかとする。また、タービンローター軸と同軸に取り付けられたディフューザーの入口が風上を向いていることも、明らかとする。
【0018】
「角度付けされた」という用語が、ブレードが回転面および入ってくる気流方向に対して角度付けられる方向を表し、入ってくる気流が風力タービンの構造の前面を向いていることは、明らかとする。
【0019】
風力タービンの「前面」という用語が、入ってくる気流に面する構造の側面について使用されていることは、明らかとする。
【0020】
本発明の好ましい実施形態において、タービンローターブレードは、固定または調整可能な角度に設定される。角度調整を目的として、タービンローターブレードはジョイントによって支持ロッドの上部に取り付けできる。角度の調整は、揚力係数を最適なレベルに維持するのに役立つ。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、タービンは増速機を備え、発電機は、タービンローター軸、増速機、および発電機ローター軸を介してタービンローターによって駆動されるように構成される。
【0022】
「増速機」という用語が、風力タービンローターの遅い回転を、より効果的な発電に適した発電機ローターの速い回転に変える「増速ギア」に使用されることは、明らかとする。本発明の好ましい実施形態において、増速機は、電気的または機械的のいずれかである。それにもかかわらず、例えば遅い回転速度入力に適しているため増速機を挟まずにタービンローター軸から直接駆動される発電機のように、異なる種類の発電機が使用される本発明の実施形態が存在し得ることは、明らかとする。
【0023】
本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、タービンは、内部に発電機を有する機械式空気ファン(空気流を高速化するためのブレードのセット)を備え、「中空中心」部分の内側に取り付けられているが、風力タービンローターブレードの回転面からは幾らか離れており、同じ軸上に座してはいるが、風力タービンがある場合は風力タービンの回転エネルギーを利用できるように自在輪を介して接続され、それ以外の場合は自由に回転(して運動量を維持)する。
【0024】
(ジェット)ファンは、高速空気流を創出して、風力タービンローターの背後に低圧領域を創出し、風力タービンローターを通る気流をスピードアップすることにより、「巻込み効果」を増加させるのに役立つ。
【0025】
支持ロッド(またはスポーク)は、次に、出ていく気流に高速流のパターンを創出するためにも使用できる。
【0026】
ジェットファンが、発電機ローター軸ではなく別の軸を介して駆動されるか、または内径の内側のファンローターブレードの異なる構成(上述した「中空中心」部分)を使用することによって駆動される本発明の実施形態が存在し得ることは、明らかとする。
【0027】
本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、発電機は、(ディフューザー本体としても作用し得る)ブレード支持リムに組み込まれた発電機を備える。
【0028】
別の好ましい実施形態では、別個のハウジングを備える異なった種類の発電機が使用される。
【0029】
特定の実施形態に応じて、全ての構成要素(タービンローター、増速機、発電機、ディフューザー、タービンローター軸、発電機ローター軸、ファン)を異なる構成にすることができ、別々の2つの面に分離することさえできるが、何れにせよ高い効率を達成するために連携して動作することは明らかとする。
【0030】
特定の実施形態に応じて、全ての構成要素(タービンローター、増速機、発電機、ディフューザー、タービンローター軸、発電機ローター軸、ファン)をタワーの上部に設置できるが、それでも、例えば、発電機および増速機が他の構成要素から分離してタワーの下部に取り付けられ、追加のギアおよび軸を介して風力タービンローターから駆動される実施形態が存在し得ることは、明らかとする。
【0031】
本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、タービンは、クリアランスを有してディフューザーの内部に取り付けられると共に少なくとも発電機ローター軸およびタービンローター軸のためのハウジングとして機能するナセルを備える。特定の実施形態に応じて、増速機および発電機もナセルの内側に取り付けられ得ることは明らかとする。
【0032】
本発明の態様を、本発明の実施形態の非限定的な実施例である図面を参照して、さらに開示する。
【0033】
図1は、特許請求された風力タービン(1)の好ましい実施形態の1つを、長手方向断面で示している。図から分かるように、特許請求された風力タービン(1)は、水平回転軸を有してタービン(1)ローター(2)軸(3)に取り付けられたタービン(1)ローター(2)と、発電機(4)と、タービン(1)ローター(2)軸(3)と同軸に取り付けられた「中空中心」部(5)と、を備え、前記タービン(1)ローター(2)は、1セットのブレード(6)および支持ロッド(7)を備えており、前記ブレード(6)は、支持ロッド(7)によってタービン(1)ローター(2)軸(3)に取り付けられ、ディフューザー(5)背後の外縁に位置し、風下に角度付けされている。タービン(1)はまた、増速機(8)を備えており、発電機(4)は、タービン(1)ローター(2)軸(3)、増速機(8)、および発電機(4)ローター軸(9)を介してタービン(1)ローター(2)によって駆動されるように構成されている。タービン1はまた、ディフューザー(5)の内側に取り付けられてタービン(1)ローター(2)軸(3)、増速機(8)、および発電機4ローター軸(9)を介してタービン(1)ローター(2)によって駆動されるように構成されたジェットファン(10)を備える。ディフューザー(5)には発電機(4)ステーター(図示せず)が組み込まれ、ジェットファン(10)には発電機(4)ローター(図示せず)が組み込まれている。タービン1は、ディフューザー(5)の内側にクリアランスを有して取り付けられて発電機(4)ローター軸(9)、タービン(1)ローター(2)軸(3)および増速機(8)のハウジングとして機能するナセル(11)を備える。タービン(1)はタワー(12)を備えており、その上部に全ての構成要素が取り付けられる。ブレード(6)は調整可能な角度に設定されており、矢印は角度調整の方向を示している。よって、図が2つのブレード(6)の2つの位置を示していることは明らかとする。
【0034】
図2は、特許請求された風力タービン(1)の別の好ましい実施形態を長手方向断面で示しているが、図1に示した実施形態とは使用されている発電機の種類が異なっている。この特定の実施形態では、直接駆動発電機(13)が、ナセル(11)ではなく、ディフューザー(5)ハウジング内に具現化されている。
【0035】
先端速度比(TSR)は通常、入ってくる風の速度よりも高いブレード先端の回転速度を意味するため、ブレードへの直接風圧だけでなく回転速度が風力タービンの全体的な性能に大きく寄与することに留意することが重要である。入ってくる空気の速度と回転速度は、回転中心からブレードの先端まで変化する迎え角を有する「見かけの風」を創出する。
【0036】
図3は、特許請求された風力タービン(1)の好ましい実施形態の1つと、従来の風力タービン(14)との、長手方向断面における比較図を示している。従来の風力タービン(14)は、風力タービン(14)ローター(15)を備えるが、ここで、ブレード16は、一般に、風力タービン(14)ローター(15)軸(17)に対して垂直である。図からわかるように、従来の風力タービン(14)では、中心はブレード(16)の回転速度が遅く性能にあまり寄与しないため、ナセル(18)に使用されている。同じ直径の従来の風力タービン(14)と比較して、提示されている風力タービン(1)は、支持ロッド(7)によってタービン(1)ローター(2)軸(3)に取り付けられると共に中心からより遠いディフューザー(5)の背面の外縁に位置して風下に角度付けられているブレード(6)を有する。図からわかるように、風力タービン(1)および(14)はどちらも同じローター直径を有しているが、異なる長さのブレードを有しており、従来の風力タービン(14)ブレード(16)の長さは、特許請求された風力タービン(1)ブレード(6)の長さよりも小さく、これはブレード(6)を回転面に対してある角度で(この実施例では風下に角度付けして)配置することによって実現される。先端速度比(TSR)は同じままであるため、ブレードのより広い領域がより速く空中を移動でき、同じ毎分回転数(RPM)を維持しながら、より長いブレードを使用することが可能になる。次に迎え角を調整すれば、揚力係数が最適なレベルに維持される。
【0037】
図4は、従来の風力タービンと、特許請求された風力タービンのブレード回転速度との、分離した10か所における比較図を示している。一方のブレードは、従来通りハブに取り付けられ、(提示された)他方のブレードは、支持ロッド(図示せず)に取り付けられて後方に角度付けされる。分離した10か所における揚力を計算することにより、揚力の大幅な改善がわかる。さらに、揚力7は、空気が流れる表面積に依存するため、図面からわかるように、同じローター外径を維持しながら、より長いブレードを使用できる。
【0038】
図5は、我々のプロトタイプでテストした、特許請求された風力タービン(1)の別の好ましい実施形態を長手方向断面で示しているが、図1に示した実施形態とは構成が異なっている。この特定の実施形態では、発電機(13)は、ファン(10)(ジェットファン)として作用するブレード(20)を有して第2ローター(19)に具現化され、ローター(2)軸(3)は、自在輪(22)を介してローター(19)軸(21)に接続されている。
【0039】
図6は、特許請求された風力タービン(1)の別の好ましい実施形態を長手方向断面において示しているが、図1に示した実施形態とは構成が簡素化されている点で異なっている。この特定の実施形態では、発電機(13)は、ファン(10)(ジェットファン)として作用するブレード(20)を有する第2ローター(19)とローター(2)との間に配置されており、どちらのローター(2,19)も同じローター(2)軸(3)を使用している。
【0040】
図7は、特許請求された風力タービンの好ましい実施形態の1つの異なる図を示している。図からわかるように、ディフューザー(5)は気流を分離する。気流(23)は、タービン(1)ローター(2)を通り、気流(24)はディフューザー(5)を通ってジェットファン(10)によって加速される。
【0041】
簡略化して提示すると、特許請求された風力タービン1は、以下のように運転される。入ってくる気流が、「中空中心」部(5)を介して2つの部分に分割される。気流(24)は中心(5)を通ってローター(2)ブレード(6)の背後で元の風速よりも速い速度に加速され、タービン(1)ローター(2)の背後に低圧領域を創出し、タービン(1)ローター(2)を通ってくる別の気流(23)を高速化して、ブレード(6)に揚力を創出する。タービン(1)ローター(2)がタービン(1)ローター(2)軸(3)を回転させ、(実施形態に応じて)増速機(8)および発電機(4)もしくは(13)ローター軸(9)を通して、発電機(4)もしくは(13)を駆動する。本発明の実施形態に応じて、タービン(1)ローター(2)ブレード(6)の傾斜角度がタービン(1)の運転中に調整されることで、迎え角が変化し、揚力係数が最適レベルに維持される。
【0042】
このように、特許請求された本発明は、揚力ベースの水平軸風力タービンであって、その前記構成は、同じタービンローター直径の従来の揚力ベースの水平軸風力タービンと比較して、気流からより多くの運動エネルギーをより良い性能係数で抽出し、それを電気エネルギーに変換することによって、高い性能効率を提供する。
【0043】
本発明に係る風力タービンは、上に記載した特定の特徴に限定されるものではないことを、考慮に入れるべきである。それどころか、上に記載した特定の特徴は本発明の実施形態の実施例として開示されたものであって、他の同等の特徴が本発明の範囲によってカバーされ得る。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】