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特表2023-537633手指衛生、健康状態、および人的交流を監視するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-04
(54)【発明の名称】手指衛生、健康状態、および人的交流を監視するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/16 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
A61L2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511620
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 US2021045685
(87)【国際公開番号】W WO2022036054
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/064,879
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/399,991
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.Blu-ray
3.SWIFT
4.SMALLTALK
5.MATLAB
6.SIMULINK
(71)【出願人】
【識別番号】523050759
【氏名又は名称】ステリロジー・ホールディングス,インク
【氏名又は名称原語表記】STERILOGY HOLDINGS, INC.
【住所又は居所原語表記】3700 Brookside Drive Bloomfield Hills, Michigan 48302-1504 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザイマ ハロルド
(72)【発明者】
【氏名】クライツ ジョン
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA29
4C058BB07
4C058DD01
4C058DD02
4C058DD03
4C058DD13
4C058DD14
4C058DD16
4C058JJ01
4C058JJ21
(57)【要約】
システムは、ベッドゾーン境界モジュールとユーザインターフェース装置(UID)制御モジュールとを備える。ベッドゾーン境界モジュールは、第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジとの少なくとも一方がいつベッド周囲のゾーンの境界内にあるかを検出し、第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジとの少なくとも一方がゾーン境界内にあるときに消毒リマインダ信号を生成するよう構成される。UID制御モジュールは、消毒リマインダ信号に応じてユーザインターフェース装置を制御して、第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジとの少なくとも一方を装着している人に、ベッドの患者に近づく前に手の消毒剤を使うよう注意喚起するメッセージを生成するよう構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジとの少なくとも一方がベッド周囲のゾーンの境界内にいつあるかを検出し、前記第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと前記識別バッジとの少なくとも一方が前記ゾーン境界内にあるとき消毒リマインダ信号を生成するよう構成されるベッドゾーン境界モジュールと、
前記消毒リマインダ信号に応じてユーザインターフェース装置を制御して、前記第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと前記識別バッジとの少なくとも一方を装着している人に、前記ベッドの患者に近づく前に手の消毒剤を使うよう注意喚起するメッセージを生成するよう構成されるユーザインターフェース装置(UID)制御モジュールとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
ベッドディスペンサアセンブリが手の消毒剤を吐出することによりディスペンスイベントをいつ行ったかを判定し、前記ディスペンスイベントの日付と前記ディスペンスイベントの時間とを記憶するよう構成されるディスペンスイベントモジュールをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記ベッドディスペンサアセンブリをさらに備え、前記ベッドディスペンサアセンブリは、前記ベッドと独立し、かつ前記ベッドに取り付けられるか、前記ベッドと一体化されるかのいずれかであることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムであって、前記ディスペンスイベントモジュールは、前記ディスペンスイベントと、前記第一ウェアラブルディスペンサアセンブリおよび前記識別バッジの少なくとも一方とを関連付けるよう構成されることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記ディスペンスイベントモジュールは、前記ディスペンスイベントの日付および時間を示すディスペンスイベント信号を生成するよう構成され、
前記第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと前記識別バッジとの少なくとも一方は、前記ディスペンスイベント信号を受信し、前記ディスペンスイベントの日付および時間を記憶するよう構成される追跡モジュールを備えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項2に記載のシステムにおいて、前記ディスペンスイベントモジュールは、前記ディスペンスイベント時の前記ベッドの位置を記憶するよう構成されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記ベッドゾーン境界モジュールは、前記第一ウェアラブルディスペンサアセンブリがいつ前記ゾーン境界内にあるかを検出し、
第二ウェアラブルディスペンサアセンブリがいつ前記ゾーン境界内にあるかを検出し、
前記識別バッジがいつ前記ゾーン境界内にあるかを検出し、
前記第一ウェアラブルディスペンサアセンブリから受信した第一信号の強度と、前記第二ウェアラブルディスペンサアセンブリから受信した第二信号の強度と、前記識別バッジから受信した第三信号の強度とに基づき、前記第一ウェアラブルディスペンサアセンブリ、前記第二ウェアラブルディスペンサアセンブリ、および前記識別バッジのいずれが前記ベッドディスペンサアセンブリにより近いかを判定するよう構成され、
前記ディスペンスイベントモジュールは、前記ディスペンスイベントと、前記ディスペンスイベント時の前記ベッドにより近い前記第一ウェアラブルディスペンサアセンブリ、前記第二ウェアラブルディスペンサアセンブリ、および前記識別バッジのいずれかとを関連付けるよう構成されることを特徴とするシステム。
【請求項8】
システムであって、
医療機関内の部屋の識別子を示す部屋識別信号を生成するよう構成される部屋識別モジュールと、
前記部屋識別信号を受信し、前記部屋識別信号に応じて、第一ベッドと前記部屋識別子とを関連付け、前記第一ベッドが前記部屋識別子と関連付けられた日付と、前記第一ベッドが前記部屋識別子と関連付けられた時間とを記憶するよう構成されるベッド位置モジュールとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記第一ベッドの識別子を示す第一ベッド識別信号を生成するよう構成されるベッド識別モジュールをさらに備え、前記部屋識別モジュールは、
前記第一ベッド識別信号を受信し、
前記第一ベッド識別信号の強度に基づき、前記部屋内の前記第一ベッドの位置を判定するよう構成されることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項8に記載のシステムであって、第二ベッドの識別子を示す第二ベッド識別信号を生成するよう構成される第二ベッド識別モジュールをさらに備え、前記部屋識別モジュールは、
前記第二ベッド識別信号を受信し、
前記第二ベッド識別信号の強度を前記第一ベッド識別信号と比較し、
前記比較に基づき、前記部屋内の前記第一ベッドの位置と前記部屋内の前記第二ベッドの位置とを判定するよう構成されることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項8に記載のシステムであって、
ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジとの少なくとも一方がいつ前記第一ベッド周囲のゾーンの境界内にあるかを検出し、
前記ウェアラブルディスペンサアセンブリと前記識別バッジとの少なくとも一方が前記ゾーン境界にあるとき消毒リマインダ信号を選択的に生成するよう構成されるベッドゾーン境界モジュールをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記ベッドゾーン境界モジュールは、前記ウェアラブルディスペンサアセンブリと前記識別バッジとの少なくとも一方が前記ゾーン境界内にあり、かつ前記部屋識別信号が受信されたときに前記消毒リマインダ信号を生成するよう構成されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムにおいて、前記ベッドゾーン境界モジュールは、前記部屋識別信号が受信されなくなったとき、前記消毒リマインダ信号の生成を停止するよう構成されることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記ベッドゾーン境界モジュールは、前記部屋識別信号が少なくとも所定時間受信されたとき前記消毒リマインダ信号の生成を再開するよう構成されることを特徴とするシステム。
【請求項15】
システムであって、
ウェアラブルディスペンサアセンブリの位置を判定するよう構成されるウェアラブルディスペンサ位置モジュールと、
前記ウェアラブルディスペンサアセンブリが手の消毒剤を吐出することによりディスペンスイベントをいつ行ったかを検出し、前記ディスペンスイベントの日付と、前記ディスペンスイベントの時間と、前記ディスペンスイベント時の前記ウェアラブルディスペンサアセンブリの位置とを記憶するよう構成されるディスペンスイベントモジュールとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、ユーザインターフェース装置を制御して、前記ディスペンスイベントの日付および時間と、前記ディスペンスイベント時の前記ウェアラブルディスペンサアセンブリの位置とを表示するよう構成されるユーザインターフェース装置(UID)制御モジュールをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、前記ウェアラブルディスペンサアセンブリを装着している人がいつ立ち寄りをしたかと、前記立ち寄りの継続時間とを判定するよう構成される追跡モジュールをさらに備え、前記UID制御モジュールは、前記ユーザインターフェース装置を制御して前記立ち寄りの継続時間を表示するよう構成されることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムであって、温度プローブを制御して前記ウェアラブルディスペンサアセンブリを装着している人の体温を測定するよう構成される温度プローブ制御モジュールをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、ユーザインターフェース装置を制御して、前記人の体温と前記人の体温が測定された時間とを表示するよう構成されるユーザインターフェース装置(UID)制御モジュールをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムにおいて、前記UID制御モジュールは、最後の体温チェックから経過した時間が所定時間より長いとき前記ウェアラブルディスペンサアセンブリを装着している人に体温チェックを行うよう促すよう構成されることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年8月11日に出願されたアメリカ特許出願番号17/399,991の利益を主張し、2020年8月12日に出願されたアメリカ仮出願番号63/064,879の利益をも主張する。上記で参照された出願の開示事項全体を本明細書において援用する。
【0002】
本願開示は、手指衛生、健康状態、および人的交流を監視するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載される背景技術は開示内容を概括的に提示する目的で説明されるものである。現在指名される発明者の業績は、この背景技術セクションに記載される限りにおいて、その他の形で出願時の先行技術として適格性を備えない可能性のある記載の態様と並び、明示的にも黙示的にも本願開示に対する先行技術としては認められない。
【0004】
SARS、鳥インフルエンザ、HIV、ヘルペス、MRSA、H1N1インフルエンザ、および最近ではCOVID-19などの各種感染症は、世界人口に対して著しい影響を与えている。世界中を旅行する人が増加するのにしたがって、このような感染症は地域間および国家間でより容易に拡がることが可能となり、このペースは引き続き加速する一方であろう。このような感染症の早期検出と伝染防止とが、広域流行を防止するための二つの手段である。また、これらの感染症は、医療施設、レストラン、および他の公共施設において流行しうる。しかし、伝染を食い止めるには、感染を最も顕著な伝染ポイントにおいて根絶しなくてはならない。任意の細菌またはインフルエンザの最大の媒介手段は、接触を介することが公知である。主として、この接触は手によるものである。したがって、手を頻繁に、かつ適切な時間に洗浄することが、感染症防止において不可欠である(これは、大量の細菌と病原体が存在し、かつ医療従事者が患者および一般大衆との接触を通じてこのような病原体に常に曝される病院において最も重要である)。
【0005】
病原体を生じる疾病を感染開始、または伝染する前に破壊するのに利用できる方法の一つは、エチルアルコールゲル、発泡体、または液体等の抗微細菌剤(anti-microbacterial agents)を含む製品を使用し、塗布することである。このような製品は容易に入手可能であり、感染性病原体の流行を根絶するのに有効であり、かつ接触すれば細菌を死滅させる。しかしながら、これらの細菌死滅性物質を所持しているだけでは不十分である。製品は、用いられなくてはならず、頻繁に用いられなくてはならず、かつ、最も重要なことに、正しい時間に用いられなくてはならない。したがって、この製品は容易に利用可能でなくてはならず、かつ、ユーザはこの製品を正しい時間に用いなくてはならない。したがって、任意の殺菌製品が機能を発揮するには、この殺菌成分が有効でなくてはならず、ユーザがこの製品を吐出する装置に即座かつ便利にアクセスできなくてはならず、かつ最も重要なことに、この殺菌剤が適切な時間に塗布されなくてはならない。
【0006】
現在、医療施設には、医療従事者が手を石鹸および水で適切に洗浄可能な場所が複数設けられている。加えて、多くの医療施設には、壁に取り付けられた抗菌剤吐出容器を有するステーションが設けられる。さらに、医療従事者は、感染性疾病の伝染を防止するために、各患者を診察する前に手を殺菌するための比較的小さな容器をポケットの中に持ち歩いていることもある。一般大衆は、店舗およびレストランの化粧室に見られるゲルポンプソープシステムが最もありふれた利用可能手段であり、手を適切かつ常時洗浄する機会がより少ない。有用ではあるものの、これらの方法のいずれも真に有効であることは示されていない。病院では、手を抗菌ソープで適切に洗浄する場所は、いつも即座に利用可能であるとは限らない。また、利用可能であっても、手を頻繁に洗うと手が乾燥し、すりむけて、医療従事者および患者双方に不快感を生じる。
【0007】
ゲル、液体および発泡体での手殺菌ステーションの場合には、医療従事者が使用しなくてはならない、または使用したい時に、容易に利用可能でなくてはならない。利用可能であっても、医療従事者がステーションの殺菌剤が空であるとわかることも多く、したがって、常に監視して補充する必要がある。小さな容器はいくらか有効であるが、医療従事者はこの容器を下に置いて忘れがちである。殺菌剤を有用なものとするには、病院内または公共の場所で手を洗浄する方法は、便宜であり、かつ必要な利用地点において容易にアクセス可能でなくてはならない。
【発明の概要】
【0008】
本願開示にしたがったシステムの一例は、ベッドゾーン境界モジュールとユーザインターフェース装置(UID)制御モジュールとを備える。ベッドゾーン境界モジュールは、第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジとの少なくとも一方がいつベッド周囲のゾーンの境界内にあるかを検出し、第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジとの少なくとも一方がゾーン境界内にあるときに消毒リマインダ信号を生成するよう構成される。UID制御モジュールは、消毒リマインダ信号に応じてユーザインターフェース装置を制御して、第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジとの少なくとも一方を装着している人に、ベッドの患者に近づく前に手の消毒剤を使うよう注意喚起するメッセージを生成するよう構成される。
【0009】
一態様において、システムは、ベッドディスペンサアセンブリが手の消毒剤を吐出することによりディスペンスイベントをいつ行ったかを判定し、ディスペンスイベントの日付とディスペンスイベントの時間とを記憶するよう構成されるディスペンスイベントモジュールをさらに備える。
【0010】
一態様において、システムは、ベッドディスペンサアセンブリをさらに備え、このベッドディスペンサアセンブリは、ベッドと独立し、かつベッドに取り付けられるか、ベッドと一体化されるかのいずれかである。
【0011】
一態様において、ディスペンスイベントモジュールは、ディスペンスイベントと、第一ウェアラブルディスペンサアセンブリおよび識別バッジの少なくとも一方とを関連付けるよう構成される。
【0012】
一態様において、ディスペンスイベントモジュールは、ディスペンスイベントの日付および時間を示すディスペンスイベント信号を生成するよう構成され、第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジとの少なくとも一方は、ディスペンスイベント信号を受信し、ディスペンスイベントの日付および時間を記憶するよう構成される追跡モジュールを備える。
【0013】
一態様において、ディスペンスイベントモジュールは、ディスペンスイベント時のベッドの位置を記憶するよう構成される。
【0014】
一態様において、ベッドゾーン境界モジュールは、第一ウェアラブルディスペンサアセンブリがいつゾーン境界内にあるかを検出し、第二ウェアラブルディスペンサアセンブリがいつゾーン境界内にあるかを検出し、識別バッジがいつゾーン境界内にあるかを検出し、第一ウェアラブルディスペンサアセンブリから受信した第一信号の強度、第二ウェアラブルディスペンサアセンブリから受信した第二信号の強度、および識別バッジから受信した第三信号の強度に基づき、第一ウェアラブルディスペンサアセンブリと、第二ウェアラブルディスペンサアセンブリと、識別バッジとのいずれがベッドディスペンサアセンブリにより近いかを判定するよう構成され、ディスペンスイベントモジュールは、ディスペンスイベントと、ディスペンスイベント時にベッドにより近い第一ウェアラブルディスペンサアセンブリ、第二ウェアラブルディスペンサアセンブリ、および識別バッジのいずれかとを関連付けるよう構成される。
【0015】
本願開示にしたがったシステムの別の例は、部屋識別モジュールとベッド位置モジュールとを備える。部屋識別モジュールは、医療機関内の部屋の識別子を示す部屋識別信号を生成するよう構成される。ベッド位置モジュールは、部屋識別信号を受信し、部屋識別信号に応じて、第一ベッドと部屋識別子とを関連付けるよう構成される。ベッド位置モジュールはさらに、第一ベッドが部屋識別子と関連付けられた日付と、第一ベッドが部屋識別子と関連付けられた時間とを記憶するよう構成される。
【0016】
一態様において、システムは、第一ベッドの識別子を示す第一ベッド識別信号を生成するよう構成されるベッド識別モジュールをさらに備え、部屋識別モジュールは、第一ベッド識別信号を受信し、第一ベッド識別信号の強度に基づき部屋内の第一ベッドの位置を判定するよう構成される。
【0017】
一態様において、システムは、第二ベッドの識別子を示す第二ベッド識別信号を生成するよう構成される第二ベッド識別モジュールをさらに備え、部屋識別モジュールは、第二ベッド識別信号を受信し、第二ベッド識別信号の強度と第一ベッド識別信号とを比較し、比較に基づき、部屋内の第一ベッドの位置と部屋内の第二ベッドの位置とを判定するよう構成される。
【0018】
一態様において、システムは、ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジとの少なくとも一方がいつ第一ベッド周囲のゾーンの境界内にあるかを検出し、ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジの少なくとも一方がゾーン境界内にあるときに選択的に消毒リマインダ信号を生成するよう構成されるベッドゾーン境界モジュールをさらに備える。
【0019】
一態様において、ベッドゾーン境界モジュールは、(i)ウェアラブルディスペンサアセンブリと識別バッジの少なくとも一方がゾーン境界内にあり、(ii)部屋ID信号が受信されるときに、消毒リマインダ信号を生成するよう構成される。
【0020】
一態様において、ベッドゾーン境界モジュールは、部屋ID信号が受信されなくなったとき、消毒リマインダ信号の生成を停止するよう構成される。
【0021】
一態様において、ベッドゾーン境界モジュールは、部屋ID信号が少なくとも所定時間受信されたとき消毒リマインダ信号の生成を再開するよう構成される。
【0022】
本願開示にしたがったシステムのさらに別の例は、ウェアラブルディスペンサ位置モジュールとディスペンスイベントモジュールとを備える。ウェアラブルディスペンサ位置モジュールは、ウェアラブルディスペンサアセンブリの位置を判定するよう構成される。ディスペンスイベントモジュールは、ウェアラブルディスペンサアセンブリが手の消毒剤を吐出することによりディスペンスイベントをいつ行ったかを検出し、ディスペンスイベントの日付と、ディスペンスイベントの時間と、ディスペンスイベント時のウェアラブルディスペンサアセンブリの位置とを記憶するよう構成される。
【0023】
一態様において、システムは、ユーザインターフェース装置を制御して、ディスペンスイベントの日付および時間と、ディスペンスイベント時のウェアラブルディスペンサアセンブリの位置とを表示するよう構成されるUID制御モジュールをさらに備える。
【0024】
一態様において、システムは、ウェアラブルディスペンサアセンブリを装着している人がいつ立ち寄りをしたかと、立ち寄りの継続時間とを判定するよう構成される追跡モジュールをさらに備え、UID制御モジュールは、ユーザインターフェース装置を制御して立ち寄りの継続時間を表示するよう構成される。
【0025】
一態様において、システムは、温度プローブを制御してウェアラブルディスペンサアセンブリを装着している人の体温を測定するよう構成される温度プローブ制御モジュールをさらに備える。
【0026】
一態様において、システムは、ユーザインターフェース装置を制御して、人の体温と人の体温が測定された時間とを表示するよう構成されるUID制御モジュールをさらに備える。
【0027】
一態様において、UID制御モジュールは、最後の体温チェックから経過した時間が所定時間より長いときウェアラブルディスペンサアセンブリを装着している人に体温チェックを行うよう促すよう構成される。
【0028】
本願開示のさらなる適用可能性は、詳細な説明、請求項および図面から明らかになるであろう。詳細な説明および具体例は、説明目的のみであることを意図するものであり、開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本願開示は、詳細な説明および添付図面からより十全に理解される。
【0030】
図1】本願開示の原理にしたがった手指衛生、健康状態、および人的交流を監視するためのシステムの一例を備える医療機関の部屋の斜視図である。
図2】本願開示の原理にしたがったウェアラブルディスペンサアセンブリの一例の斜視図である。
図3図2のウェアラブルディスペンサアセンブリの分解斜視図である。
図4図2のウェアラブルディスペンサアセンブリの底面図である。
図5図2のウェアラブルディスペンサアセンブリの背面図である。
図6図2のウェアラブルディスペンサアセンブリの側面図である。
図7図2のウェアラブルディスペンサアセンブリの側面断面図である。
図8A】本願開示の原理にしたがったベッド取り付け型ディスペンサアセンブリの一例の斜視部分断面図である。
図8B図8Aのベッド取り付け型ディスペンサアセンブリの側面断面図である。
図9A】本願開示の原理にしたがったベッド一体型ディスペンサアセンブリの一例の斜視部分断面図である。
図9B図9Aのベッド一体型ディスペンサアセンブリの側面断面図である。
図10】本願開示の原理にしたがったウェアラブルディスペンサモジュールの一例の機能ブロック図である。
図11】本願開示の原理にしたがったベッドディスペンサモジュールの一例の機能ブロック図である。
図12】本願開示の原理にしたがった手指衛生、健康状態、および人的交流を監視するための方法の一例を示すフローチャートである。
図13】本願開示の原理にしたがった手指衛生、健康状態、および人的交流を監視するための方法の別の例を示すフローチャートである。
図14図13の方法に関して表示される情報の一例を示すマップである。
【0031】
図面中、類似および/または同一の要素を識別するために参照符号が再利用されうる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
まず図1を参照すると、医療機関の部屋10は、手指衛生、健康状態、および人的交流を監視するためのシステム12を備える。このシステム12は、ベッドディスペンサアセンブリ14と、ベッドゾーン境界モジュール16と、ベッドバックアップバッテリ18(一つのみ図示)と、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20と、識別バッジ22と、部屋識別(ID)モジュール24とを備える。ベッドディスペンサアセンブリ14は、部屋10内のベッド26と一体化されてもよく、あるいはベッドディスペンサアセンブリ14は、ベッド26と独立して設けられ、ベッド26に取り付けられてもよい。各ベッドディスペンサアセンブリ14は、流体を収容し、ベッドディスペンサアセンブリ14のボタンまたは表面の押圧などのユーザによるアクションに応じて当該流体の一部を吐出するよう構成される。この流体は、殺菌流体(例:殺菌剤)などの液体、ゲル、ローション、気体、もしくは発泡体、または別の流体ないし流体状物質、または紫外線等の光であってもよい。流体を吐出するよう構成されることに加えて、またはこれに代えて、各ベッドディスペンサアセンブリ14は紫外線などの殺菌光を手に照射して手を殺菌するよう構成されてもよい。上述の流体を吐出する、または殺菌光を照射する行動または事例を、本明細書中では、ディスペンスイベントと呼称する。
【0033】
各ベッドゾーン境界モジュール16は、いつウェアラブルディスペンサアセンブリ20と識別バッジ22の一つ以上が各ベッド26(すなわち、ベッドゾーン境界モジュール16が取り付けられたベッド26)周囲のゾーン32の境界30内にあるかを検知するよう構成される。各ベッドゾーン境界モジュール16は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20と識別バッジ22とに、例えば、WiFi、超広帯域(UWB)、Bluetooth、または無線自動識別(RFID)を用いて無線通信を行うことによりこれを実現する。一例において、各ベッドゾーン境界モジュール16はスキャン信号34を出力し、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20および識別バッジ22は、スキャン信号34に応じてフィードバック信号を出力する。本例において、各ベッドゾーン境界モジュール16は、ベッドゾーン境界モジュール16がウェアラブルディスペンサアセンブリ20と識別バッジ22との一方からフィードバック信号を受信したとき、このウェアラブルディスペンサアセンブリ20と識別バッジ22との一方が各ベッド26のゾーン境界30内にあると判定してもよい。したがって、ゾーン境界30は、スキャン信号34および/またはフィードバック信号の最大範囲を表してもよい。
【0034】
図示される例では、各ベッド26は、ベース36と、台38と、傾斜調整機構40と、ヘッドボード42と、フットボード44と、一対のサイドレール46とを備える。ベッドディスペンサアセンブリ14、ベッドゾーン境界モジュール16、および/またはバックアップバッテリ18は、ベッド26の一部と考えられてもよい。ベース34は、フレーム48と、ベッド26をある場所から別の場所に移動可能とするホイール50とを備える。台38は、患者54が横たわりうるマットレス52を支持するよう構成される。傾斜調整機構40は、台38をベース36に接続しており、台38の水平に対する角度を調整するためのアクチュエータを備える。各種実施形態において、傾斜調整機構40を、台38をベース36に接続するが、台38の水平に対する角度を調整するための機構を備えない固定構造に交換してもよい。各ベッドゾーン境界モジュール16は、それぞれのベッド26のベース36に取り付けられる。各ベッドゾーン境界モジュール16と各ベッド26のフットボード44との間の距離は、各ベッド26の長さの約3分の1と等しい。
【0035】
各ベッドゾーン境界モジュール16は、それぞれのベッド26のベッドディスペンサアセンブリ14と、無線または有線接続(例えば、WiFi、UWB、Bluetooth、RFID)を通じて通信する。例えば、各ベッドディスペンサアセンブリ14は、ベッドディスペンサアセンブリ14が流体を吐出したとき、各ベッド26のベッドゾーン境界モジュール16に報知してもよい。別の例において、各ベッドゾーン境界モジュール16は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22の一方が各ベッド26のゾーン境界30内にあるとき、消毒リマインダ信号を出力する。この消毒リマインダ信号に応じて、各ベッド26のベッドディスペンサアセンブリ14は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22の一方を装着している人56に、各ベッド26に近づく前に手を消毒するよう注意喚起するメッセージを表示する。これに加えて、またはこれに代えて、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20は、消毒リマインダ信号に応じて、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人56に各ベッド26に近づく前に手を消毒するよう注意喚起するメッセージを表示する。各種実施形態において、各ベッドゾーン境界モジュール16は、各ベッド26の境界30内のウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22の装着者がゾーン32に入る前に手を消毒している場合は、消毒リマインダ信号を生成しなくてもよい。
【0036】
各バックアップバッテリ18は、それぞれのベッド26への交流(AC)電力供給が遮断されるとき、それぞれのベッド26(すなわち、バックアップバッテリ18が取り付けられるベッド26)に電力を供給する。例えば、各バックアップバッテリ18は、それぞれのベッド26がAC電源57(医療機関の部屋10の壁コンセントとして図示)から切断されたとき、それぞれのベッド26に電力を供給してもよい。各バックアップバッテリ18は、それぞれのベッド26の電気システム全体に電力を供給して、例えばベッドディスペンサアセンブリ14、ベッドゾーン境界モジュール16、および傾斜調整機構40を動作させてもよい。これに代えて、各バックアップバッテリ18は、ベッドゾーン境界モジュール16のみに電力を供給してもよい。ベッド26へのAC電力供給が回復したとき、バックアップバッテリ18はAC電力供給を用いて充電されてもよい。バックアップバッテリ18は、過充電防止機構を備えてもよい。
【0037】
各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20は、図1に示される人56のいずれかなどの人によって装着されるよう構成される。加えて、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20は流体を収容し、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20のボタンまたは表面の押圧などのユーザによるアクションに応じて当該流体の一部を吐出するよう構成される。この流体は、殺菌流体(例:殺菌剤)などの液体、ゲル、ローション、気体、もしくは発泡体、または別の流体ないし流体状物質であってもよい。さらに、各ベッドゾーン境界モジュール16は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20と無線で通信する。例えば、上述のように、各ベッドゾーン境界モジュール16は、当該ベッドゾーン境界モジュール16がウェアラブルディスペンサアセンブリ20からフィードバック信号を受信したとき、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の一つが各ベッド26のゾーン境界32内にあると判定してもよい。
【0038】
別の例において、各ベッドゾーン境界モジュール16は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20から受信した信号の強度に基づき、いずれのウェアラブルディスペンサアセンブリ20が各ベッドディスペンサアセンブリ14に最も近いかを判定してもよい。より具体的に、各ベッドゾーン境界モジュール16は、最も強い信号強度を持つウェアラブルディスペンサアセンブリ20の一つが各ベッドディスペンサアセンブリ14に最も近いと判定してもよい。次いで、ベッドディスペンサアセンブリ14の一つが流体を吐出したとき、それぞれのベッド26のベッドゾーン境界モジュール16は、ベッドディスペンサアセンブリ14に最も近いウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人56にディスペンスイベントを認定してもよい。言い換えると、ベッドゾーン境界モジュール16は、各ベッドディスペンサアセンブリ14に最も近いウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人56にディスペンスイベントを結び付けてもよい。
【0039】
識別バッジ22は、例えばWiFi、UWB、Bluetooth、またはRFIDによりベッドゾーン境界モジュール16と無線で通信するよう構成される。例えば、上述のように、各ベッドゾーン境界モジュール16は、当該ベッドゾーン境界モジュール16が識別バッジからフィードバック信号を受信したとき、識別バッジ22が各ベッド26のゾーン境界32内にあると判定してもよい。別の例において、各ベッドゾーン境界モジュール16は、受信した信号の強度に基づき、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20と識別バッジ22のいずれが各ベッドディスペンサアセンブリ14に最も近いかを判定してもよい。次いで、ベッドディスペンサアセンブリ14の一つが流体を吐出したとき、それぞれのベッド26のベッドゾーン境界モジュール16は、ベッドディスペンサアセンブリ14に最も近いウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22のいずれかを装着している人56にディスペンスイベントを認定してもよい。
【0040】
各種実施形態において、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20および識別バッジ22は、ベッドゾーン境界モジュール16を介してベッドディスペンサアセンブリ14と通信するのに代えて、または加えて、ベッドディスペンサアセンブリ14と直接無線で通信してもよい。例えば、各ベッドゾーン境界モジュール16は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22のいずれがベッドディスペンサアセンブリ14に最も近いかを示す信号を各ベッド26上のベッドディスペンサアセンブリ14に送信してもよい。次いで、各ベッド26上のベッドディスペンサアセンブリ14が流体を吐出したとき、当該ベッドディスペンサアセンブリ14は、最も近いウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22のいずれかを装着している人56にディスペンスイベントを認定してもよい。
【0041】
部屋IDモジュール24は、ベッドディスペンサアセンブリ14および/またはベッドゾーン境界モジュール16と、無線接続(例えばWiFi、UWB、Bluetooth、RFID)を通じて通信する。一例において、部屋IDモジュール24は、部屋番号などの部屋10の識別子を示す部屋識別信号58を生成する。ベッドゾーン境界モジュール16が部屋識別信号58を受信すると、ベッドゾーン境界モジュール16は、各ベッド26(すなわち、ベッドゾーン境界モジュール16が取り付けられるベッド26)を部屋10の識別子と関連付ける。加えて、ベッドゾーン境界モジュール16は、各ベッド26が部屋識別子と関連付けられた日付と、各ベッド26が部屋識別子と関連付けられた時間とを記憶してもよい。このようにして、ベッドゾーン境界モジュール16は、ベッド26が配置された医療機関の部屋、およびベッド26がいつ当該部屋に配置されたかを追跡する。これに対し、医療機関内の患者54の位置は、患者54の位置の代理または代わり(proxy or surrogate)としてベッド26の位置を用いて追跡されてよい。
【0042】
図1に示される各種要素は省略可能であり、他の要素は、省略された要素なしで可能な限りで本明細書に記載されたように動作しうる。例えば、システム12は二つのウェアラブルディスペンサモジュール20と二つのベッド26とを備えるものとして示されているが、システム12は、ただ一つのウェアラブルディスペンサモジュール20および/またはただ一つのベッド26を備えてもよい。別の例において、部屋10に入る医療従事者は、必ずしもウェアラブルディスペンサモジュール20を装着しなくてもよい。なぜなら、ベッドディスペンサアセンブリ14により、医療従事者には消毒する際にベッドディスペンサアセンブリ14かまたはウェアラブルディスペンサモジュール20を使うというオプションが提供されるからである。本例では、医療従事者は、ディスペンスイベントの認定を受けるために識別バッジ22を装着してもよい。ベッドディスペンサアセンブリ14は、また、医療機関の消毒剤コストを低減可能である。
【0043】
各種実施形態において、ベッドディスペンサアセンブリ14および/またはベッドゾーン境界モジュール16などの各ベッド26の一つ以上の要素は、可動搬送装置(例:ストレッチャー、車いす)またはベッド26の後ろの壁に取り付けられたヘッドウォール構造に含まれていてもよい。これらの実施形態においては、可動搬送装置またはヘッドウォール構造の位置が、患者の位置の代わりとして機能してもよい。別の実施形態において、ベッドゾーン境界モジュール16は患者に装着される装置(例:リストバンド)または患者に埋め込まれる装置の一部とされて、患者の正確な位置を常時提供してもよい。
【0044】
次に、図2から図7を参照すると、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の例示的実施形態は、主ハウジング60と、容器28(キャニスターとも呼ぶ)とを備える。主ハウジング60は、前壁62と、後壁64と、それぞれ前壁62と後壁64との間に延びる側壁66と、底壁68とを備える。図示される例では、前壁62と側壁66の一部とにより、不規則形状の上端70が形成され、前壁62および後壁64の各々は、略湾曲または円弧状である。前壁62、後壁64、側壁66、および底壁68は、合わせてキャビティ72を形成する。
【0045】
主ハウジング60の具体的な形状、サイズ、および構成は変更されてよい。一つの実施形態において、この主ハウジング60は、爪型(claw-type)ホルダーであってもよい。この主ハウジング60は、これらに限られないが、金属または熱可塑性材料を含む数多くの材料のいずれかから製造可能である。熱可塑性材料は、IonArmour(登録商標)、抗菌性マスターバッチ、ないし各種の市販の抗菌性樹脂のいずれかなどの抗菌性樹脂であってよい。
【0046】
容器28は、主ハウジング60のキャビティ72内に収容される。この容器28は、上壁74と下壁76とを備える。この容器28は、さらに前壁78と、後壁80と、上壁74と下壁76との間に延びる一対の側壁82とを備える。一つの実施形態において、容器28の前壁78および後壁80の外形は、主ハウジング60の前壁62および後壁64の湾曲形状と相補的なものとされ、容器28が主ハウジング60のキャビティ72内に配置された際に、確実に適切にフィットするようにされる。しかしながら、容器28は、これらに限られないが、円筒形状、楕円形状、または三日月形状を含む数多くの形状のいずれかであってもよいことは理解されるべきである。
【0047】
この容器28は主ハウジング60に固定されて、容器28が不用意に脱落するのを防止する。主ハウジング60は、後壁64の前方面86に沿って形成されたタブ84を備える。このタブ84は、容器28が主ハウジング60のキャビティ72内に確実に保持されるよう、容器28の後壁80に沿って形成された凹部に係合する。別の実施形態において、この容器28は、締まりばめ等の従来からある保持機構を用いて固定される。
【0048】
容器28が空である場合、既存の容器28を新たな容器28と交換してもよい。容器28を取り外すため、ユーザは指、または類似形状の物体を主ハウジング60の底壁68に沿って形成される少なくとも一つの開口88を通して挿入し、容器28を押してタブ84を凹部から外す。結果として、容器28は主ハウジング60に固定されなくなる。略舌形状のタブ84は、容器28が主ハウジング60から取り外される際にタブ84が後方に湾曲するよう後壁64に取り付けられた底部を備える。
【0049】
別の実施形態において、主ハウジング60の側壁66は容器28の側壁よりも低い高さに形成され、これにより、ユーザが容器28を把持して容易に取り外しおよび交換可能となる。別の実施形態において、主ハウジング60の側壁66の一方または双方は、略舌形状で主ハウジング60にヒンジ止めされて容器28の外面に係合する押圧可能なフィンガーまたはタブ(図示略)を備える。タブを押圧すると、タブの先端に配置された突起が外面に係合して主ハウジング60内の容器28を持ち上げ、ユーザが容器28を把持して主ハウジング60から外部に持ち上げることが可能となる。
【0050】
容器28は、その内部90(図7)に流体を収容するよう構成される。この流体は、殺菌流体(例:殺菌剤)などの液体、ゲル、ローション、気体、および発泡体、または別の流体ないし流体状物質を含んでもよい。容器28は、収容される具体的な流体に応じて加圧されたり加圧されなかったりしてもよい。
【0051】
図7を具体的に参照すると、容器28は、ポンプ機構92と、内部90内に配置されて流体を選択的に容器28外部に排出するステム94とを備える。ステム94は、流体がステム94の開口端96を通って選択的に容器28から排出可能なように容器28の内部90と流体を介して連通する。この容器28は、ユーザによって下方に押圧されてポンプ機構92を作動させ、流体をステム94の開口端96を通して容器28外部に排出するプッシュボタン98(図2に表面として図示)を備える。いくつかの実施形態において、容器28は、バルブスプリング(図示略)の付勢力に抗して容器28をステム94に対して押圧することにより開放されるバルブとしてポンプ機構92が形成されるエアロゾル容器である。このようなバルブはエアロゾル吐出容器分野において従来技術であり、本明細書内では詳述されない。例えば、本明細書に援用されるアメリカ特許番号6,978,916のバルブシステムおよび容器参照。いくつかの実施形態において、内部90に配置される流体は、ポンプディスペンサにより容器28から吐出可能である。
【0052】
引き続き図7を参照すると、主ハウジング60は、底壁68から延びるノズル100を備える。ノズル100はステム94と流体を介して連通し、選択的にウェアラブルディスペンサアセンブリ20から流体を吐出する。ノズル100は、ステム94の開口端96と連結され、流体を容器28の内部90からノズル100に移送する流入孔102を備える。また、ノズル100は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の駆動時に流体が中を通って排出される流体排出開口104を備える。ステム94はバルブスプリング(図示略)により通常位置に戻るよう付勢される。ステム94はノズル100内で位置が固定されることから、このように付勢されることで容器28が上方向に付勢され、その後の利用の準備ができる。
【0053】
シール106がノズル100内の溝(独立して番号が付されない)内に配置される。シール106は容器28のステム94がノズル100内に配置された際にステム94に当接してシールする。ノズル100は主ハウジング60と一体化される。これに代えて、ノズル100は、主ハウジング60と独立とされ、ノズル100を主ハウジング60から取り外しおよび交換可能とするタブとして作用する羽根(wings)(図示略)を備えてもよい。別の実施形態において、ノズル100は主ハウジング60とねじ止めおよび取り外し可能とされ、ノズル100を必要に応じて交換および洗浄可能とする。
【0054】
容器28は計量される。いくつかの実施形態において、一回分の流体(図示略)を計量するための機構が容器28内に配置される。これらの実施形態において、この機構は、容器28を駆動することで計量された一回分が吐出されるように、吐出前に一回分の流体を計量する分野において当業者に公知の内部アセンブリを備える。容器28が一回分全量を吐出するよう適切に作動されない場合、一部の分量が吐出されてもよい。この場合、ディスペンスイベントは記録されなくてもよい。その場合でも、次のディスペンスイベントについては別の一回分の全量が計量される。別の実施形態において、ポンプ駆動容器を用いる場合などでは、この計量は容器28のプッシュボタン98が完全に押圧された場合にのみ流体の一回分の全量が吐出されるように設定される。プッシュボタン98を完全に押圧することで、容器28がリセットされ、流体の吐出が確保される。上述のいずれの場合においても、プッシュボタン98が完全には駆動されず一回分の全量をは吐出しない場合、いくつかの実施形態において、ユーザは後述の監視システムからディスペンスイベントの認定を受けない可能性がある。容器28内の流体の量とその計量される具体的な分量とは、適切な量が毎回吐出され、使用頻度に応じて、ユーザが定期的に容器28を交換するだけでよいように調整されてよい。
【0055】
ウェアラブルディスペンサアセンブリ20は、各流体吐出が適切に調整および計量されて過大ないし過少な流体が一回に吐出されることを確実に防止する計量調整装置を備えてもよい。計量調整装置は、主ハウジング60の底部に配置され、容器28がどこまで深く押圧可能かを制限し、これにより吐出される流体の量を制御する部材であってもよい。別の実施形態においては、この計量調整装置は調整可能ねじ付きストッパーを備え、このストッパーの位置は調整可能で容器28が適切な計量位置でストッパーに対して確実に底打ちするものとしてもよい。
【0056】
ウェアラブルディスペンサアセンブリ20は、流体が吐出された回数(例:ウェアラブルディスペンサアセンブリ20のディスペンスイベントの数)をカウントする電気または機械式カウンター(独立した符号を付さない)を備える。新たな容器28が主ハウジング60に挿入されるたび、カウンターはリセットされ、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20が使用された回数をカウントし始める。カウンターが所定回数に達すると、警告アラートが作動され(視覚、聴覚、または触覚で)、ユーザに容器28を交換する時期であることを知らせる。これに代えて、警告アラートは、容器28に内蔵され、流体レベルが低いときに吐出音(spitting sound)などの可聴音を生じる装置を備えてもよい。
【0057】
流体がなくなったら、空の容器28を完全充填容器28と交換する。別の実施形態において、容器28は容器28の上部の補充開口を選択的にカバーするカバーを備えてもよい。容器28を補充するには、カバーを外し、流体をマスター容器から補充開口を介して容器28に追加する。
【0058】
一つの実施形態において、光源108は図2に示されるように主ハウジング60の底壁68に沿って配置される。光源108は、流体が塗布され続いて消毒された箇所に光を照射することで、ユーザにウェアラブルディスペンサアセンブリ20および関連するディスペンスイベントの有効性をチェック可能とし、ユーザに流体が塗布された箇所(例:消毒領域)の清浄性を確保可能とする紫外線、赤外線ないし類似の光源であってよい。
【0059】
図5から図7を参照すると、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20は、主ハウジング60の後壁64の外部面112に沿って形成されるフランジ110を備える。このフランジ110と主ハウジング60の後壁64とによりチャンバ114が形成される。チャンバ114の主ハウジング60に対する具体的な位置は変更されてよい。チャンバ114は、脱着可能カバー116により選択的に閉じられる。カバー116はシールされてもシールされなくてもよい。
【0060】
図4から図7を参照すると、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20は、主ハウジングに連結されるストラップあるいはクリップアセンブリなどの取付部材を備える。この取付部材により、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20をユーザの腰ベルト、下襟、ポケット、聴診器等に取り付けることが可能になる。図示される実施形態では、この取付部材は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20をユーザの腰ベルト、ポケット等に取り付けることを可能とするクリップアセンブリ118である。このクリップアセンブリ118は、後壁64の外部面112から外方に延びる取付アーム120を備える。ポスト122が取付アーム120を貫通して延びる。クリップ124はポスト122を中心として回転し、クリップアセンブリ118を図6に示される閉位置と、開位置との間で動かす。このクリップ124は上端126と下端128とを備える。図4から図7に示される例では、下端128は略U字状またはL字状である。閉位置に向けてクリップアセンブリ118を付勢するための付勢部材130がポスト122に固定される。付勢部材130の端部は、それぞれ後壁64とクリップ124とに当接する。
【0061】
一つの実施形態において、主ハウジング60は、図6に示されるように、固定された容器28とともに、基部132を中心としてクリップアセンブリ118に対して回転してもよい。したがって、基準直立垂直位置(すなわちプッシュボタン98が容器28の最上面を形成している状態)のウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着しているユーザは、主ハウジング60と容器28とをクリップアセンブリ118に対して、プッシュボタン98がウェアラブルディスペンサアセンブリ20の一側面に沿って配置されるよう約45から90度、略水平位置になるまで回転可能である。この結果、プッシュボタン98はユーザの腹部により接触しにくくなり、これにより予期せず流体が吐出される可能性が低減する。ユーザは主ハウジング60と容器28とを基準直立垂直位置から数多くの使用位置のいずれにも回転可能であることが理解されるべきである。基部132は、クリック音を立てて所定位置に収まることで主ハウジング60と容器28とがいくつかの所定位置の一つにあることをユーザに了知させるクリックまたは戻り止め機構を備えてもよい。
【0062】
次に図2図3および図7を参照すると、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20は、さらにウェアラブルディスペンサモジュール134と、電子ディスプレイ136と、一つ以上のボタン138と、電子ディスペンスセンサ140とを備える。電子ディスプレイ136および/またはボタン138は、合わせてユーザインターフェース装置を構成してもよいし、またはユーザインターフェース装置の一部となってもよい。各種実施形態において、電子ディスプレイ136はタッチスクリーンであってもよく、このときボタン138は省略されてもよい。このユーザインターフェース装置は、これに加えて、またはこれに代えて、マイク(図示略)、スピーカ(図示略)、および/または振動機構(図示略)を備えてもよい。ディスペンスセンサ140は、ユーザインターフェース装置の一部として考えられてもよい。
【0063】
ウェアラブルディスペンサモジュール134は、チャンバ114内に配置される。ウェアラブルディスペンサモジュール134は、ディスプレイ136と、スピーカと、振動機構とを制御し、それぞれ視覚的、聴覚的、および触覚的メッセージを生成する。例えば、ウェアラブルディスペンサモジュール134は、ユーザへのアラーム(リマインダアラートとも呼ぶ)を生成し、ユーザにウェアラブルディスペンサアセンブリ20に関する情報を伝えるようユーザインターフェース装置を制御してもよい。また、ウェアラブルディスペンサモジュール134は、ユーザおよび/またはディスペンスイベントに関連するデータを有線または無線接続を通じて収集および送信する。
【0064】
ディスプレイ136は、英数字、グラフィック、画像などを表示する。ディスプレイ136は発光ダイオードディスプレイ、液晶ディスプレイ、または別の種類のディスプレイであってよい。図示される例では、ディスプレイ136は主ハウジング60の前壁62に沿って配置される。しかし、ディスプレイ136は、主ハウジング60の様々な箇所のいずれに配置されてもよい。ディスプレイ136は、日時、広告、医療機関名、従事者またはウェアラブルディスペンサアセンブリ20のユーザの名前、殺菌流体の供給者の名前、または任意の項目の組み合わせを表示可能である。
【0065】
ボタン138は、ウェアラブルディスペンサモジュール134に電気的に接続される。いくつかの実施形態において、ボタン138は脱着可能カバー116を通して延びる。ボタン138は、ウェアラブルディスペンサモジュール134への入力部として動作する。ボタン138は、スイッチまたは他の電子信号伝達装置を駆動してウェアラブルディスペンサモジュール134に入力を供給してもよい。タッチセンサインターフェース、音声認識入力装置、デルタpトランスデューサ/センサ、流量センサ、抵抗および/または容量性センサなどの他の入力装置も利用可能である。
【0066】
アラームを受信すると、ユーザは、例えばプッシュボタン98(例えば容器28の底面)を押下して計量された流体の一回分を吐出することにより、流体を吐出してもよい。計量された流体の一回分が吐出された後、ウェアラブルディスペンサモジュール134はアラームを停止してもよい。プッシュボタン98を押すことでディスペンスセンサ140が作動する。ディスペンスセンサ140は、ウェアラブルディスペンサモジュール134に電気的に接続された圧力センサ、流量計、マイクロスイッチ、または接触スイッチであってもよい。このディスペンスセンサ140は、容器28に取り付けられた磁石の移動を検出するホール効果センサであってもよい。ディスペンスセンサ140は、図示されるように主ハウジング60内で容器28下に配置される。このディスペンスセンサ140は、例えば、容器28の移動または押圧を検出することにより流体の吐出を検出する。これに代えて、ディスペンスセンサ140は、ノズル100近傍に配置されてノズル100を通る流体の移動により生じる圧力変化または流量を検出する圧力センサまたは流量計であってもよい。ディスペンスセンサ140は、ディスペンスイベントが起こったことを示す電気信号をウェアラブルディスペンサモジュール134に送信する。次いで、ウェアラブルディスペンサモジュール134は、ディスペンスイベントの日付、時間および位置を記録および保存する。
【0067】
具体的に図2を参照すると、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20はさらに、温度プローブ142と、温度プローブ142を保持するブラケット144とを備える。ウェアラブルディスペンサモジュール134は温度プローブ142を制御してウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着しているユーザの体温を測定してもよい。一例において、ユーザは、ユーザの額に温度プローブ142を当て、例えばボタン138を押圧することにより体温チェックが要求されることをウェアラブルディスペンサモジュール134に知らせる。これに対し、ウェアラブルディスペンサモジュール134は温度プローブ142を制御してユーザの体温を測定する。温度プローブ142は、例えば赤外線を用いてユーザの体温を測定してもよい。一つ以上のボタン138を温度プローブ142上に配置してもよい。温度プローブ142は、有線または無線接続を通じてウェアラブルディスペンサモジュール134と通信する。
【0068】
ブラケット144は、主ハウジング60の側壁66の一方から突出する。ブラケット144は、温度プローブ142とブラケット144との間の締まりばめにより温度プローブ142を保持してもよい。例えば、温度プローブ142がブラケット144に挿入されるにつれ、ブラケット144のアームが外側に(すなわち、温度プローブ142の側面から離れる方向に)たわんで温度プローブ142をアームの返しつき(barbed)端部を越えて挿入可能としてもよい。次いで、温度プローブ142が返しつき端部を越えて挿入されると、アームがその初期位置に復帰し、返しつき端部が温度プローブ142をブラケット144に保持してもよい。
【0069】
次に図8Aから図8Bを参照して示されるベッドディスペンサアセンブリ14とベッド26の例示的実施形態では、ベッドディスペンサアセンブリ14がベッド26と独立とされ、ベッド26に取り付けられる。ベッドディスペンサアセンブリ14は、ベッドディスペンサアセンブリ14がウェアラブルディスペンサアセンブリ20よりも大きくてもよい点を除き、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20と略同様である。したがって、ベッドディスペンサアセンブリ14とウェアラブルディスペンサアセンブリ20との相違点のみを以下に記載する。
【0070】
上述のように、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20のクリップアセンブリ118は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20をユーザの腰ベルト、ポケット等に取り付けることを可能とするものである。例えば、図6に最も良く示されるように、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20のクリップ124の下端128は、U字状とされ、ユーザの腰ベルトの下端に巻き付く。これに対し、図8A図8Bに示されるように、ベッドディスペンサアセンブリ14のクリップアセンブリ118は、ベッドディスペンサアセンブリ14をベッド26のサイドレール46の一方に取り付けることを可能とするものである。これに加えてまたはこれに代えて、ベッドディスペンサアセンブリ14のクリップアセンブリ118は、ベッドディスペンサアセンブリ14をベッド26のヘッドボード42(図1)および/またはベッド26のフットボード44(図1)に取り付けることを可能とするものであってもよい。
【0071】
図8Aおよび図8Bに示される例では、クリップ124の下半分146(すなわち、クリップ124の下端128からクリップ124の上端126および下端128の間の中間点まで延びるクリップ124の部分)はサイドレール46の外形に合わせた半円筒形状である。加えて、ベッドディスペンサアセンブリ14のクリップ124はウェアラブルディスペンサアセンブリ20のクリップ124よりも幅広であり、ベッドディスペンサアセンブリ14の取付アーム120はウェアラブルディスペンサアセンブリ20のものよりもさらに離れて広がり、より幅広のクリップ124を収容する。このより幅広のクリップ124は、さらなる保持強度を付与し、また、ユーザの不快感につながるクリップ124のかさばりに関する懸念がないことから、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20に実装可能である。
【0072】
さらに、主ハウジング60のフランジ110には、サイドレール46の外形に合わせた溝148が形成され、クリップ124内に収容されるサイドレール46の部分と反対側のサイドレール46の部分を収容する。したがって、サイドレール46はクリップ124とフランジ110との間に強固にクランプされ、これによりベッドディスペンサアセンブリ14がディスペンスイベントの間に移動するのを阻害する。ベッドディスペンサアセンブリ14内に溝148が設けられることで、脱着可能カバー116とボタン138とがフランジ110の背面からフランジ110の側面に位置変更される。加えて、ベッドディスペンサアセンブリ14は、ウェアラブルディスペンサモジュール134の代わりにベッドディスペンサモジュール150を備える。
【0073】
ベッドディスペンサモジュール150は、チャンバ114と同様、フランジ110によって形成されるチャンバ(図示略)内に配置されてもよい。ベッドディスペンサモジュール150は、ディスプレイ136と、スピーカと、振動機構とを制御し、それぞれ視覚的、聴覚的、および触覚的メッセージを生成する。例えば、ベッドディスペンサモジュール150は、ユーザにアラーム(すなわち、リマインダアラート)を生成し、ユーザにベッドディスペンサアセンブリ14に関する情報を伝えるようユーザインターフェース装置を制御してもよい。また、ベッドディスペンサモジュール150は、ユーザおよび/またはディスペンスイベントに関連するデータを有線または無線接続を通じて収集および送信する。
【0074】
ボタン138は、ベッドディスペンサモジュール150に電気的に接続される。ボタン138は、ベッドディスペンサモジュール150への入力部として動作する。ボタン138は、スイッチまたは他の電子信号伝達装置を作動させてベッドディスペンサモジュール150に入力を供給してもよい。タッチセンサインターフェース、音声認識入力装置、デルタpトランスデューサ/センサ、流量センサ、抵抗および/または容量性センサなどの他の入力装置も利用可能である。
【0075】
アラームを受信すると、ユーザは、例えばプッシュボタン98を押下して計量された流体の一回分を吐出することにより、流体を吐出してもよい。計量された流体の一回分が吐出された後、ベッドディスペンサモジュール150はアラームを停止してもよい。プッシュボタン98を押すことでディスペンスセンサ140が作動する。ディスペンスセンサ140は、ディスペンスイベントが起こったことを示す電気信号をベッドディスペンサモジュール150に送信する。次いで、ベッドディスペンサモジュール150はディスペンスイベントの日付、時間、および位置を記録および保存し、ユーザにより装着されるウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22にディスペンスイベントを認定する。
【0076】
次に図9Aおよび図9Bを参照して示されるベッドディスペンサアセンブリ14とベッド26の例示的実施形態では、ベッドディスペンサアセンブリ14がベッド26と一体化される。図9Aおよび図9Bのベッドディスペンサアセンブリ14は、図8Aおよび図8Bのベッドディスペンサアセンブリ14と略同様である。したがって、図9Aおよび図9Bのベッドディスペンサアセンブリ14と図8Aおよび図8Bのベッドディスペンサアセンブリ14との相違点のみを以下に記載する。
【0077】
図9Aおよび図9Bのベッドディスペンサアセンブリ14においては、サイドレール46の一つ、主ハウジング60、およびフランジ110が単一部材として一体成形される(または合わせて成形される)。加えて、ベッドディスペンサアセンブリ14がベッド26と一体化され、ベッドディスペンサアセンブリ14とベッド26とをクリップアセンブリ118により取り付ける必要がないことから、クリップアセンブリ118は省略される。さらに、ベッドディスペンサアセンブリ14は、主ハウジング60の底壁68の下でベッドディスペンサアセンブリ14の長手方向の中央線に沿って配置される単一のノズル100に代えて、サイドレール46の対向端部に配置される一対のノズル100を備える。したがって、ベッドディスペンサアセンブリ14はベッド26の前端または後端で、ユーザが流体を吐出することができるようにする。各種実施形態において、ベッドディスペンサアセンブリ14はヘッドボード42および/またはフットボード44と一体化されて、ユーザがベッド26のいずれの側でも流体を吐出できるようにされてもよい。
【0078】
サイドレール46は、サイドレール46の円筒状部分から下方に突出するU字状突起152を備え、長手状突起152は、それぞれ主ハウジング60からノズル100の一方に延びる一つ以上の分岐流路154を形成する。主ハウジング60とフランジ110とは、容器28の開口端96から分岐流路154に流体を移送する一つ以上のメイン流路156を形成する。これに対し、各分岐流路154は流体をそれぞれのノズル100に移送する。主ハウジング60は一つ以上のバルブ(図示略)をも備えてもよく、ベッドディスペンサモジュール150はこのバルブを制御して分岐流路154の一つのみを通してユーザが位置するノズル100の一つに流体を送ってもよい。これに代えて、単一のメイン流路156と単一の分岐流路154を容器28からの流体で常に満たし、各ノズル100はベッドディスペンサモジュール150によって開かれて各ノズル100から流体を吐出するバルブを備えてもよい。
【0079】
ノズル100が容器28と主ハウジング60とから離れて配置されることから、プッシュボタン98も容器28から離れて配置されてよい。より具体的に、単一のプッシュボタン98を容器28の底面上に配置する(または底面をプッシュボタンとする)のに代えて、図9Aおよび図9Bのベッドディスペンサアセンブリ14は、それぞれノズル100の一方に、またはその近傍に配置される一対のプッシュボタン98を備える。さらに、図9Aおよび図9Bのベッドディスペンサアセンブリ14は、それぞれのプッシュボタン98が、例えばボタン98の移動または押圧を検出することにより、押圧されたかをそれぞれ検出する一対の電子ディスペンスセンサ140を備える。
【0080】
次に図10を参照すると、ウェアラブルディスペンサモジュール134の例示的実施形態は、ディスペンサ識別(ID)モジュール158と、ディスペンスイベントモジュール160と、ウェアラブルディスペンサ位置モジュール162と、追跡モジュール164と、ユーザインターフェース装置(UID)制御モジュール166と、温度プローブ制御モジュール168と、トランシーバモジュール170とを備える。ディスペンサIDモジュール158は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20(例:ウェアラブルディスペンサモジュール134が含まれるウェアラブルディスペンサアセンブリ20)の識別子を示すディスペンサID信号を生成する。例えば、識別子は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を識別する一意な番号であってよい。
【0081】
ディスペンスイベントモジュール160は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20がいつディスペンスイベントを実行したかを判定する。さらに、ディスペンスイベントモジュール160は、ディスペンスイベントの日付と、ディスペンスイベントの時間と、ディスペンスイベント時の各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の位置とを記憶する。さらに、ディスペンスイベントモジュール160は、ディスペンスイベントの日付と、ディスペンスイベントの時間と、ディスペンスイベント時の各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の位置とを示すディスペンスイベント信号を生成(または出力)する。
【0082】
一例において、ディスペンスイベントモジュール160は、所定時間以上の時間だけそのプッシュボタン98が押圧されるとき、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20がディスペンスイベントを行ったと判定する。別の例において、ディスペンスイベントモジュール160は、そのプッシュボタン98が所定距離以上の量押圧されたとき、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20がディスペンスイベントを行ったと判定する。別の例において、ディスペンスイベントモジュール160は、そのノズル100内の圧力またはそのノズル100を通る流量の変化が所定量よりも大きいとき、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20がディスペンスイベントを行ったと判定する。ディスペンスイベントモジュール160は、いつそのプッシュボタン98が押圧されたか、そのプッシュボタン98が押圧された量、そのノズル100内の圧力、および/またはそのノズル100を通る流量を示す信号をディスペンスセンサ140から受信する。
【0083】
ディスペンスイベントモジュール160は、ウェアラブルディスペンサ位置モジュール162から各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の位置を受信する。ウェアラブルディスペンサ位置モジュール162は、GPS衛星172から受信したGPS信号、WiFiアクセスポイント信号、携帯電話中継塔信号、またはその組み合わせに基づき、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の位置を判定する。ウェアラブルディスペンサ位置モジュール162は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の位置を示すディスペンサ位置信号を生成する。
【0084】
追跡モジュール164は、ディスペンスイベントモジュール160からディスペンスイベント信号を受信し、ディスペンスイベントの日付と、ディスペンスイベントの時間と、ディスペンスイベント時の各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の位置とを記憶する。ディスペンスイベントモジュール160が最も最近のディスペンスイベントのみに関する情報を記憶してもよいのに対し、追跡モジュール164は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20によって行われる複数の(例:すべての)ディスペンスイベントに関する情報を記憶してもよい。また、追跡モジュール164は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人がいつ立ち寄りをしたか、および立ち寄りの継続時間を判定し、立ち寄りの日付、時間および継続時間を記憶してもよい。例えば、ウェアラブルディスペンサ位置モジュール162からの各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の位置を用いて、追跡モジュール164は、いくつかの家および/または医療機関を通る経路上で人がいつ家または医療機関に立ち寄ったかを判定してもよい。
【0085】
各種実施形態において、識別バッジ22は、追跡モジュール164と同様の機能を果たす識別子(ID)バッジモジュール171(図11)を備える。このIDバッジモジュール171は、各ベッドディスペンサアセンブリ14によって行われるディスペンスイベントの日付、時間および位置を示すディスペンスイベント信号をベッドディスペンサモジュール150から受信してもよい。ベッドディスペンサアセンブリ150はディスペンスイベント信号をIDバッジモジュール171に送信して、各識別バッジ22にディスペンスイベントを認定してもよい。IDバッジモジュール171は、それぞれの識別バッジ22に認定された複数のディスペンスイベントに関する情報を記憶してもよい。ディスペンスイベントは、一つ以上のベッドディスペンサアセンブリ14によって行われてもよい。
【0086】
UID制御モジュール166はそれぞれのウェアラブルディスペンサアセンブリ20のユーザインターフェース装置(例:電子ディスプレイ36、スピーカ、および/または振動機構)を制御する。例えば、UID制御モジュール166は、ユーザインターフェース装置を制御して現在の日時および/または各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の現在の位置を表示してもよい。別の例において、UID制御モジュール166はユーザインターフェース装置を制御して、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20によって行われた各ディスペンスイベントの日時、並びに各ディスペンスイベント時の各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の位置を表示してもよい。別の例において、UID制御モジュール166は、ユーザインターフェース装置を制御して各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人が行った立ち寄りの各々の位置および継続時間を表示してもよい。別の例において、UID制御モジュール166はユーザインターフェース装置を制御して、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人の体温およびこの人の体温が測定された時間を表示してもよい。
【0087】
各種実施形態において、電子ディスプレイ136は各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人の近傍の人々に情報を表示するよう構成され、UID制御モジュール166は電子ディスプレイ136を制御してこれらの人に情報を伝えてもよい。例えば、UID制御モジュール166は、装着者が最後に消毒してからの時間または装着者の体温をチェックしてからの時間が所定時間以下であるとき、電子ディスプレイ136を制御して「順守」とのテキスト、および/または緑色を表示してもよい。逆に、UID制御モジュール166は、装着者が最後に消毒してからの時間または装着者の体温をチェックしてからの時間が所定時間よりも長いとき、電子ディスプレイ136を制御して「不順守」とのテキストおよび/または赤色を表示してもよい。各種実施形態において、ベッドディスペンサアセンブリ14、ベッドゾーン境界モジュール16、識別バッジ20、および/または壁取付型ディスペンサアセンブリが、電子ディスプレイ136および/またはUID制御モジュール166を、これらの部品を備えるウェアラブルディスペンサアセンブリ20に加えて、またはこれに代えて、備えてもよい。
【0088】
さらに、UID制御モジュール166は各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20のユーザ(または装着者)から命令またはリクエストを受信し、これらの命令またはリクエストをウェアラブルディスペンサモジュール134内の一つ以上の他のモジュールに中継してもよい。例えば、ユーザは各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20のユーザインターフェース装置に触れたり話しかけたりすることにより体温チェックを命令してよく、UID制御モジュール166は当該命令を温度プローブ制御モジュール168に中継してもよい。これに対し、温度プローブ制御モジュール168は、ユーザの体温を測定するよう温度プローブ142を制御してもよい。
【0089】
一例において、ユーザは、ユーザの額に温度プローブ142を当て、例えば、ボタン138の一つを押圧することにより体温チェックを命令する。次いでUID制御モジュール166は、当該命令を温度プローブ制御モジュール168に中継する。別の例において、ユーザはボタン138の一つを単に押圧して体温チェックを命令し、これに応じて、UID制御モジュール166はユーザインターフェース装置を制御してユーザに温度プローブ142をユーザの額に押し当てて、押し当てたらボタン138の一つを押すよう指示する。ユーザがこれらのタスクを終えたら、UID制御モジュール166は、命令を温度プローブ制御モジュール168に中継する。
【0090】
さらに別の例において、温度プローブ制御モジュール168は最後の体温チェックから経過した時間が所定時間(例えば5分間)よりも長いかどうかを判定する経過時間が所定時間よりも長いとき、温度プローブ制御モジュール168は、ウェアラブルディスペンサアセンブリを装着している人に体温チェックを行うよう促すようUID制御モジュール166に指示する。次いでUID制御モジュール166は、この指示にしたがって、ユーザインターフェース装置を制御して、視覚的メッセージ、聴覚的メッセージ、および/または触覚的メッセージを生成する。
【0091】
トランシーバモジュール170は、ウェアラブルディスペンサモジュール134内のモジュールからの情報をウェアラブルディスペンサモジュール134外部のモジュールに無線で伝える。一例において、追跡モジュール164は各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20によって行われた一回以上のディスペンスイベントの日付、時間、および位置を示す信号を出力し、トランシーバモジュール170は当該信号をクラウドモジュール174に無線で送信する。これに対し、クラウドモジュール174は、ディスペンスイベントの日付、時間および位置を記憶する。これに代えて、ディスペンスイベントモジュール160は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20によって行われた最も最近のディスペンスイベントの日付、時間、および位置を示す信号を出力し、トランシーバモジュール170は当該信号をクラウドモジュール174に無線で送信してもよい。この後者の例では、クラウドモジュール174は各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20によって行われた複数のディスペンスイベントの日付、時間および位置を記憶することで追跡モジュール164としても機能してよく、この場合、追跡モジュール164は省略されてもよい。
【0092】
各種実施形態において、ウェアラブルディスペンサモジュール134の追跡モジュール164またはIDバッジモジュール171(図11)は、基地局モジュール175(図10)に信号を送信してもよい。この信号は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20および/または一つ以上のベッドディスペンサアセンブリ14によって行われた一回以上のディスペンスイベントの日付、時間および位置を示す。追跡モジュール164は有線または無線接続を通じて基地局モジュール175と通信してもよい。一例において、基地局モジュール175は、部屋10近傍のナースステーションなどの頻繁に立ち寄るエリアのコンピュータのポートに接続されるドングル内に含まれ、基地局モジュール175はウェアラブルディスペンサアセンブリ20および/または識別バッジ22と無線で通信する。
【0093】
一例において、基地局モジュール175はping信号を送信してウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22を検出する。ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22が、例えば、ping信号を返信することにより基地局モジュール175に接続されると、基地局モジュール175はウェアラブルディスペンサモジュール134またはIDバッジモジュール171(図11)からデータを取得する。このデータは、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20またはベッドディスペンサアセンブリ14の一つによって行われた一回以上のディスペンスイベントの日付、時間および位置を含んでもよい。基地局モジュール175がすべてのデータを受信し、データが破損していないことを確認したら、基地局モジュール175はウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22にデータ転送が完了したことを示す信号を出力する。これに加えて、またはこれに代えて、この信号はウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22に、そのメモリからデータを消去してメモリスペースを空けることを許可してもよい。次いで、基地局モジュール175は、データをクラウドモジュール174に無線で送信する。
【0094】
別の例において、追跡モジュール164は各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人によって行われた一回以上の立ち寄りの日付、時間、位置、および継続時間を示す信号を出力し、トランシーバモジュール170は当該信号をクラウドモジュール174に無線で送信する。追跡モジュール164によって出力された信号は、最も最近の立ち寄りのみに関連する情報を示してもよく、またはこの信号は複数の立ち寄りに関連する情報を示してもよい。いずれの場合でも、クラウドモジュール174は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人が行った複数の(例えばすべての)立ち寄りの日付、時間、位置および継続時間を記憶してもよい。
【0095】
別の例においては、ディスペンサIDモジュール158は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の識別子を示すディスペンサID信号をトランシーバモジュール170に出力し、トランシーバモジュール170はこのディスペンサID信号を無線で送信する。さらに図1を参照すると、部屋10内の他のウェアラブルディスペンサアセンブリ20のトランシーバモジュール170も、当該ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の識別子を示すディスペンサID信号を無線で送信する。部屋IDモジュール24は、これらのディスペンサID信号をウェアラブルディスペンサアセンブリ20から受信したとき、これらのウェアラブルディスペンサアセンブリ20が部屋10内にあると判定してもよい。ベッドディスペンサモジュール150は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20からディスペンサID信号を受信したとき、これらのウェアラブルディスペンサアセンブリ20が各ベッド26のゾーン境界30内にあると判定してもよい。
【0096】
また、トランシーバモジュール170は、ウェアラブルディスペンサモジュール134外部のモジュールからの情報をウェアラブルディスペンサモジュール134内のモジュールに無線で伝える。一例では、ベッドディスペンサモジュール150は、ベッドディスペンサモジュール150が、例えば、ディスペンサID信号を受信することによりウェアラブルディスペンサアセンブリ20が部屋10内にあることを検出すると、消毒リマインダ信号を生成する。トランシーバモジュール170はこの消毒リマインダ信号を受信し、これをUID制御モジュール166に中継する。これに応じて、UID制御モジュール166はユーザインターフェース装置を制御して、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人に、各ベッド26の患者に近づく前に手の消毒剤を使うよう注意喚起するメッセージを生成する。
【0097】
また、トランシーバモジュール170は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20のウェアラブルディスペンサモジュール134内のモジュールと他のウェアラブルディスペンサアセンブリ20のウェアラブルディスペンサモジュール134内のモジュールとの間で無線で情報を伝える。一例において、各ウェアラブルディスペンサモジュール134は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20と他のウェアラブルディスペンサモジュール20(または各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の範囲内の任意のウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22)との間の間隔を判定するディスペンサ間隔モジュール176を備えてもよい。
【0098】
ディスペンサ間隔モジュール176は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20に含まれてもよい近接センサ177を用いて間隔を判定してもよい。ディスペンサ間隔モジュール176は、ウェアラブルディスペンサ位置モジュール162からの各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の位置と、トランシーバモジュール170からの他のウェアラブルディスペンサモジュール20(または識別バッジ22)の位置とに基づき間隔を判定してもよい。ディスペンサ間隔モジュール176は、他のウェアラブルディスペンサモジュール20からのディスペンサID信号(または識別バッジ22からのバッジID信号)の強度に基づき、間隔を判定してもよい。
【0099】
次いで、ディスペンサ間隔モジュール176は、ソーシャルディスタンスのため、ウェアラブルディスペンサモジュール20間(または各ウェアラブルディスペンサモジュール20と識別バッジ22との間)の間隔が所定距離(例えば6フィート)未満であるかを判定する。間隔が所定距離未満である場合、ディスペンサ間隔モジュール176はウェアラブルディスペンサモジュール20間(または各ウェアラブルディスペンサモジュール20と識別バッジ22との間)の間隔違反が生じたことを示す間隔違反信号を出力する。これに応じて、UID制御モジュール166は、ユーザインターフェース装置を制御して間隔違反が生じたことを示す視覚的、聴覚的および/または触覚的メッセージを生成してもよい。さらに、この間隔違反信号は、間隔違反に関わるウェアラブルディスペンサモジュール20および/または識別バッジ22の識別子と並んで、間隔違反の日付、時間、および位置を示してもよい。クラウドモジュール174および/またはディスペンサ間隔モジュール176は、この情報を接触追跡目的で記憶してもよい。
【0100】
上記段落では、二つのウェアラブルディスペンサモジュール20、またはウェアラブルディスペンサモジュール20と識別バッジ22とを用いたソーシャルディスタンス監視と接触追跡を記載するものの、他の装置もこの目的のために使用可能である。例えば、ウェアラブルディスペンサモジュール20または識別バッジ22は、ウェアラブルディスペンサモジュール20または識別バッジ22の装着者とスマートフォンのユーザとの間のソーシャルディスタンスを監視するために、同様の形で、スマートフォンと接続されてもよい。さらに、ウェアラブルディスペンサモジュール20または識別バッジ22は、装着者とユーザとの間の交流に関する詳細を記憶し、これらの詳細を、接触追跡目的のため、(例えば、直接、または基地局モジュール175を介して)クラウドモジュール174に送信してもよい。
【0101】
次に図11を参照すると、ベッドディスペンサモジュール150の例示的実施形態は、ベッド識別(ID)モジュール178と、ディスペンスイベントモジュール180と、ユーザインターフェース装置(UID)制御モジュール182と、UID制御モジュール184と、電力供給モジュール186と、トランシーバモジュール188とを備える。この例示的実施形態において、ベッドディスペンサモジュール150は、ベッドゾーン境界モジュール16をも備える。しかし、ベッドゾーン境界モジュール16は、図1に示されるようにベッドディスペンサアセンブリ14から独立していてもよい。ベッドIDモジュール178は、各ベッド26(例:ベッドディスペンサモジュール150が含まれるベッド26)の識別子を示すベッドID信号を生成する。例えば、識別子は、各ベッド26を識別する一意な番号であってよい。
【0102】
ディスペンスイベントモジュール180は、各ベッドディスペンサアセンブリ14(例えば、ベッドディスペンサモジュール150が含まれるベッドディスペンサアセンブリ14)がいつディスペンスイベントを実行したかを判定する。さらに、ディスペンスイベントモジュール180はディスペンスイベントの日付と、ディスペンスイベントの時間と、ディスペンスイベント時の各ベッド26の位置とを記憶する。さらに、ディスペンスイベントモジュール180は、ディスペンスイベントの日付と、ディスペンスイベントの時間と、ディスペンスイベント時の各ベッド26の位置とを示すディスペンスイベント信号を生成(または出力)する。
【0103】
一例において、ディスペンスイベントモジュール180は、所定時間以上の時間だけそのプッシュボタン98が押圧されるとき、各ベッドディスペンサアセンブリ14がディスペンスイベントを行ったと判定する。別の例において、ディスペンスイベントモジュール180は、そのプッシュボタン98が所定距離以上の量押圧されたとき、各ベッドディスペンサアセンブリ14がディスペンスイベントを行ったと判定する。別の例において、ディスペンスイベントモジュール180は、そのノズル100内の圧力またはそのノズル100を通る流量の変化が所定量よりも大きいとき、各ベッドディスペンサアセンブリ14がディスペンスイベントを行ったと判定する。ディスペンスイベントモジュール180は、いつそのプッシュボタン98が押されたか、そのプッシュボタン98が押圧された量、そのノズル100内の圧力、および/またはそのノズル100を通る流量を示す信号をディスペンスセンサ140から受信する。
【0104】
ディスペンスイベントモジュール180は、トランシーバモジュール188を介して部屋IDモジュール24から部屋10内の各ベッド26の位置を受信する。さらに図1を参照すると、部屋IDモジュール24は、ベッド26から受信するベッドID信号の強度に基づき部屋10内のベッド26の位置を判定する。一例において、部屋IDモジュール24は、より弱いベッドID信号を送信しているベッド26が部屋10内の窓に最も近いと判定し、部屋IDモジュール24は、より強いベッドID信号を送信しているベッド26が部屋10の入り口に最も近いと判定する。上述の例では、部屋IDモジュール24は部屋10の入り口により近く配置されて、ベッドID信号の強度に差をつけてもよい。部屋IDモジュール24はベッド位置を記憶し、続いてこのベッド位置をウェアラブルディスペンサモジュール134および/またはバッジIDモジュール171に送信する。これに加えてまたはこれに代えて、部屋IDモジュール24は部屋識別子(例えば部屋番号)を記憶し、ベッド26が部屋10に配置されたら、ベッド26の部屋での位置(例えば、窓側、廊下側)を識別し、当該情報をベッド26のベッドゾーン境界モジュール16に送信してもよい。別の部屋IDモジュール24が新たな部屋識別子と部屋位置とを識別する新たな信号を送信するまで、ベッドゾーン境界モジュール16は当該位置を保持してもよい。
【0105】
ディスペンスイベントモジュール180は、ベッド位置モジュール182から医療機関内の各ベッド26の位置を受信する。ベッド位置モジュール182は、トランシーバモジュール188を介して部屋IDモジュール24から部屋ID信号を受信する。この部屋ID信号に応じて、ベッド位置モジュール182は各ベッド26と部屋10の識別子とを関連付ける。加えて、ベッド位置モジュール182は、各ベッド26が部屋10と関連付けられた日付と、各ベッド26が部屋10と関連付けられた時間とを記憶する。
【0106】
図1を参照して上述されたように、ベッドゾーン境界モジュール16は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22が各ベッド26のゾーン境界30内にあるとき、消毒リマインダ信号を生成してもよい。一例において、ベッドゾーン境界モジュール16は、(i)ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22が各ベッド26のゾーン境界30内にあるとき、および(ii)ベッドゾーン境界モジュール16が部屋IDモジュール24から部屋ID信号を受信したときにのみ、消毒リマインダ信号を生成する。さらに、ベッドゾーン境界モジュール16は、(i)ウェアラブルディスペンサアセンブリ20および識別バッジ22が各ベッド26のゾーン境界30内にないとき、または(ii)ベッドゾーン境界モジュール16が部屋ID信号を受信しなくなったときには、消毒リマインダ信号の生成を停止してもよい。さらに、ベッドゾーン境界モジュール16は、(i)ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22が各ベッド26のゾーン境界30内にあるとき、および(ii)ベッドゾーン境界モジュール16が少なくとも所定時間だけ部屋ID信号を受信したとき、消毒リマインダ信号の生成を再開してもよい。ベッドゾーン境界モジュール16は、消毒リマインダ信号の生成を停止したときに作動を停止し(例えば、電源オフ)、消毒リマインダ信号の生成を開始または再開したときに作動(例えば、電源オン)してもよい。この所定時間は、ベッド26が部屋10のそばを通って廊下を移動する際に、部屋10の部屋IDモジュール24を通過しただけではベッドゾーン境界モジュール16が確実に作動しないように選択されてよい。
【0107】
UID制御モジュール184は各ベッドディスペンサアセンブリ14のユーザインターフェース装置(例:電子ディスプレイ36、スピーカ、および/または振動機構)を制御する。例えば、UID制御モジュール184は、ユーザインターフェース装置を制御して現在の日時および/または各ベッドディスペンサアセンブリ14の現在の位置を表示してもよい。別の例において、UID制御モジュール184はユーザインターフェース装置を制御して、各ベッドディスペンサアセンブリ14によって行われた各ディスペンスイベントの日時、並びに各ディスペンスイベント時の各ベッド26の位置を表示してもよい。UID制御モジュール184は、ディスペンスイベントモジュール180から各ディスペンスイベントに関連する情報を受信してもよい。別の例において、ベッドゾーン境界モジュール16からの消毒リマインダ信号に応じて、UID制御モジュール184はユーザインターフェース装置を制御して、ゾーン境界30内の人に、各ベッド26の患者に近づく前に手の消毒剤を使うことを注意喚起するメッセージを生成する。このメッセージは視覚的メッセージ、聴覚的メッセージ、および/または触覚的メッセージであってよい。
【0108】
電力供給モジュール186は、各ベッド26がAC電源57からいつ切断されたかを検出する。各ベッド26がAC電源57に接続されると、電力供給モジュール186はAC電源57からの電力をベッドゾーン境界モジュール16に供給する。加えて、電力供給モジュール186はAC電源57からの電力を各ベッド26のバックアップバッテリ18に供給して当該ベッド26のバックアップバッテリ18を充電してもよい。
【0109】
各ベッド26がAC電源57から切断されると、電力供給モジュール186はバックアップバッテリ18からの電力をベッドゾーン境界モジュール16に供給する。さらに、電力供給モジュール186は、電力遮断信号を生成してもよく、これに応じて、UID制御モジュール166はユーザインターフェース装置を制御して、各ベッド26がAC電源57から切断されたことを示す視覚的、聴覚的および/または触覚的メッセージを生成してもよい。さらに、トランシーバモジュール188はこの電力遮断信号を無線で送信して、同じ通知を(例えば、同じメッセージをナースステーションで生成することにより)医療機関のスタッフに提供してもよい。各種実施形態において、各ベッド26がAC電源57から切断されると、電力供給モジュール186はベッドバックアップバッテリ18からの電力をベッドディスペンサアセンブリ14および/または傾斜調整機構40にも供給してよい。
【0110】
トランシーバモジュール188は、ベッドディスペンサモジュール150内のモジュールからの情報をベッドディスペンサモジュール150外部のモジュールに無線で伝える。一例において、ディスペンスイベントモジュール180は、各ベッドディスペンサアセンブリ14によって行われた最も最近のディスペンスイベントの日付、時間、および位置を示す信号を出力し、トランシーバモジュール188は当該信号をクラウドモジュール174に無線で送信する。これに対し、クラウドモジュール174は、各ベッドディスペンサアセンブリ14により行われた複数の(例えばすべての)ディスペンスイベントの日付、時間、および位置を記憶する。これに加えてまたはこれに代えて、トランシーバモジュール188はウェアラブルディスペンサモジュール134またはIDバッジモジュール171に信号を無線で送信して、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22の装着者にディスペンスイベントを認定してもよい。
【0111】
さらに別の例においては、ベッドIDモジュール178は、各ベッド26の識別子を示すベッドID信号をトランシーバモジュール188に出力し、トランシーバモジュール188はこのベッドID信号を無線で送信する。さらに図1を参照すると、部屋10内の他のベッドディスペンサアセンブリ14のトランシーバモジュール188も、各ベッド26の識別子を示すベッドID信号を無線で送信する。部屋IDモジュール24は、このベッドID信号をベッドディスペンサアセンブリ14から受信したとき、ベッドディスペンサアセンブリ14が部屋10内にあると判定する。さらに、上述のように、部屋IDモジュール24は、ベッド26から受信するベッドID信号の強度に基づき部屋10内のベッド26の位置を判定してもよい。
【0112】
上述の記載中、身体装着式電子部品(例えば、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20、識別バッジ22)は、パッシブRFIDなどの小さな電力しか要しない受動素子を備える。これに対し、ベッド26、可動搬送装置、またはヘッドウォール構造上の電子部品(例えば、ベッドディスペンサアセンブリ14、ベッドゾーン境界モジュール16)は、AC電源および/または大型バックアップバッテリ(例えば、バックアップバッテリ18)などのより大きな電力を要する能動素子を備える。しかし、各種実施形態において、受動および能動素子の位置は、交換されたり、その他上述したのとは異なってもよい。同様に、トランシーバモジュール170、188と類似または同一のトランシーバモジュールが、ベッドディスペンサアセンブリ14、ベッドゾーン境界モジュール16、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20、および/またはヘッドウォール構造に配置されてもよく、配置されなくてもよい。
【0113】
また、上記で示したように、部屋の識別子、ベッドの識別子、ベッド位置、ディスペンスイベントの日付、時間、および位置(例えば、ディスペンスイベントを行った装置の識別子および/または位置)、ディスペンスイベントが認定されたウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22などの各種情報がクラウドモジュール174に送信される。クラウドモジュール174は、電子医療(または健康)記録(EMR)モジュール(図示略)と相互運用できおよび/またはそれに接続されて、このようなデータの大規模な収集かつ分析を可能としてもよい。例えば、クラウドモジュール174、EMRモジュール、またはクラウドモジュール174もしくはEMRモジュールと通信する分析モジュール(図示略)により、消毒剤の使用および不順守のレベルと、患者の診断、治療、および院内感染症(HAI)の有無とを関連付けてもよい。同じモジュールは、この相関関係を用いて、他の患者にHAIなどの悪影響が高い確率で起こることを予測し、ユーザインターフェース装置を制御して、予防措置をとることが可能なように医療管理者にこの予測を警告してもよい。
【0114】
次に図12を参照すると、手指衛生、健康状態、および人的交流を監視するための例示的方法が190で開始される。この方法は、図1および図11のモジュールとの関連で説明される。しかし、この方法の工程を行う具体的なモジュールは、以下に述べられるモジュールとは異なってもよく、および/またはこの方法の一つ以上の工程は、任意のモジュールと独立に実施されてよい。
【0115】
192において、部屋IDモジュール24は、部屋10の識別子を示す部屋ID信号を生成する。194において、各ベッドディスペンサモジュール150のベッドIDモジュール178は、各ベッド26の識別子を示すベッドID信号を生成する。196において、部屋IDモジュール24は、ベッドID信号を検出したか(または受信したか)を判定する。ベッドID信号が検出された場合、この方法は198に進む。さもなければ、この方法は194に戻り、部屋IDモジュール24は、ベッドID信号が検出されるか否かの判定を継続する。
【0116】
198において、部屋IDモジュール24は、ベッドID信号の強度に基づき部屋10内のベッド26の位置を判定する。例えば、部屋IDモジュール24は、最も強いベッドID信号のベッド26が部屋IDモジュール24に最も近く、最も弱いベッドID信号のベッド26が部屋IDモジュール24から最も遠いと判定してもよい。200において、ベッド位置モジュール182および/またはクラウドモジュール174は、部屋10の識別子と、部屋10内のベッド26の位置とを記憶する。加えて、ベッド位置モジュール182および/またはクラウドモジュール174は、ベッド26が部屋10内に、および/または部屋10内の特定の位置に配置された日付および時間を記憶してもよい。
【0117】
202において、電力供給モジュール186は、各ベッド26がAC電源57から切断されているか否かを検出する。各ベッド26がAC電源57から切断されている場合、この方法は204に進み、電力供給モジュール186はバックアップバッテリ18から各ベッド26に電力を供給する。208において、トランシーバモジュール188は、各ベッド26がAC電源57から切断されていることを通知する無線信号を送信する。各ベッド26がAC電源57に接続されている場合、この方法は206に進み、電力供給モジュール186はAC電源57を用いてバックアップバッテリ18を充電する。
【0118】
210において、トランシーバモジュール188は、部屋IDモジュール24、または医療機関内の任意の部屋の任意の部屋IDモジュールによって生成された部屋ID信号が検出されたか否かを判定する。部屋ID信号が検出された場合、この方法は212に進む。さもなければ、この方法は214に進む。214において、トランシーバモジュール188はベッドゾーン境界モジュール16の作動を停止する。220では、トランシーバモジュール188は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22に、装着者に消毒するよう注意喚起する信号を送信しない。次いでこの方法は210に戻る。
【0119】
212において、トランシーバモジュール188は各ベッド26のベッドゾーン境界モジュール16を作動させる。これに対し、216において、ベッドゾーン境界モジュール16は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ(WDA)20または識別バッジ22が各ベッド26のゾーン境界30内で検出されるか否かを判定する。ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22が各ベッド26のゾーン境界30内で検出されると、この方法は218に進む。さもなければ、この方法は220に進む。218では、トランシーバモジュール188は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22に、装着者に消毒するよう注意喚起する信号を送信する。これに加えてまたはこれに代えて、UID制御モジュール184は各ベッドディスペンサアセンブリ14のユーザインターフェース(例えば、電子ディスプレイ136)を制御して、ベッド26の近傍の範囲内の人々に消毒するよう注意喚起してもよい。各種実施形態において、218では、トランシーバモジュール188は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22に、装着者がゾーン32に入る前に消毒していない場合、装着者に消毒するよう注意喚起する信号を送信するのみでもよい。これらの例では、この方法は222ではなく、218から228に進んでもよい。
【0120】
222において、ディスペンスセンサ140は、各ベッドディスペンサアセンブリ(BDA)14がいつ流体を吐出するかを示す信号を生成する。224において、ディスペンスイベントモジュール180は、各ベッドディスペンサアセンブリ14がディスペンスイベントを実行したか否かを判定する。各ベッドディスペンサアセンブリ14がディスペンスイベントを行っている場合、この方法は226に進む。さもなければ、この方法は210に戻る。各種実施形態において、この方法は210ではなく、216に進んでもよい。
【0121】
226において、ベッドゾーン境界モジュール16は、各ベッドディスペンサアセンブリ14に最も近いウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22にディスペンスイベントを認定する。228において、ディスペンスイベントモジュール180および/またはクラウドモジュール174は、ディスペンスイベントの日付および時間を記憶する。ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22の装着者がゾーン32に入る前に消毒している場合、ディスペンスイベントモジュール180および/またはクラウドモジュール174は、ディスペンスイベントの日付および時間を記憶してもよい。230において、ディスペンスイベントモジュール180および/またはクラウドモジュール174は、ディスペンスイベントに関連付けられたベッド26の位置(例えば、部屋10の識別子、部屋10内のベッド26の位置)を記憶する。ディスペンスイベントモジュール180および/またはクラウドモジュール174は、ディスペンスイベントが認定された(または関連付けられた)ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22の識別子をも記憶してよい。ウェアラブルディスペンサアセンブリ20または識別バッジ22の装着者がゾーン32に入る前に消毒している場合、ディスペンスイベントモジュール180は、ディスペンスイベントの日付および時間をベッド26のゾーン32(またはベッド26の患者)に関連付ける、または結び付けてもよい。
【0122】
次に図13を参照すると、手指衛生、健康状態、および人的交流を監視するための別の例示的方法が232において開始される。この方法は、図1および図10のモジュールとの関連で説明される。しかし、この方法の工程を行う具体的なモジュールは、以下に述べられるモジュールとは異なってもよく、および/またはこの方法の一つ以上の工程は、任意のモジュールと独立に実施されてよい。
【0123】
234において、ディスペンサIDモジュール158は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の識別子を示すディスペンサID信号を生成する。236において、ディスペンサ間隔モジュール176は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20が別のウェアラブルディスペンサアセンブリ20(または識別バッジ22)の第一距離内にあるか否かを判定する。この第一距離は、ソーシャルディスタンスを実現する所定距離(例えば、6フィート)であってよい。各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20が別のウェアラブルディスペンサアセンブリ20(または識別バッジ22)の第一距離内にある場合、この方法は238に進む。さもなければ、この方法は240に進む。
【0124】
238において、ディスペンサ間隔モジュール176は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20間(またはウェアラブルディスペンサアセンブリ20と識別バッジ22との間)の間隔に違反があることを通知する信号を生成する。242において、ディスペンサ間隔モジュール176は間隔違反の日付および時間を記憶する。ディスペンサ間隔モジュール176は、間隔違反に関わったウェアラブルディスペンサアセンブリ20(またはウェアラブルディスペンサアセンブリ20と識別バッジ22)の識別子をも記憶してもよい。244において、トランシーバモジュール170は、間隔違反に関する上記情報をクラウドモジュール174に送信する。
【0125】
240において、温度プローブ制御モジュール168は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20がその装着者の体温を測定する命令を受信しているか否かを判定する。このような命令が受信されている場合、この方法は246に進み、温度プローブ制御モジュール168は温度プローブ142を制御して各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人の体温を測定する。さもなければ、この方法は248をスキップして248に進む。
【0126】
248において、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20のユーザインターフェース装置は、現在の日付、現在の時間、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人の体温、および最後の体温チェックの日付および時間を表示する。250において、トランシーバモジュール170は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人の体温と、最後の体温チェックの日付および時間とを、施設入口モジュール(図示略)に送信する。この施設入口モジュールは、施設(例えば製造プラントまたは医療機関)の入口システム(例えば、セキュリティまたはタイムクロック)の一部であってよい。
【0127】
252において、施設セキュリティモジュールまたは温度プローブ制御モジュール168は、最後の体温チェックから経過した時間が所定時間(例えば5分間)よりも長いかどうかを判定する。最後の体温チェックから経過した時間が所定時間よりも長い場合、この方法は254に進む。さもなければ、この方法は254をスキップして256に進む。254において、施設セキュリティモジュールまたは温度プローブ制御モジュール168は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の装着者に施設に入る前に自身の体温を測定するよう促すようユーザインターフェース装置に指示する。
【0128】
256において、ウェアラブルディスペンサ位置モジュール162は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の位置を監視する。258において、追跡モジュール164は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の装着者がいくつかの患者施設を通る経路上の患者施設に立ち寄ったか否かを判定する。一例において、追跡モジュール164は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20の位置が所定時間以上の時間だけ変化しないとき、装着者が患者施設に立ち寄ったと判定してもよい。装着者が患者施設に立ち寄っている場合、この方法は260に進む。さもなければ、この方法は256に戻る。260において、追跡モジュール164は、立ち寄りの時間、日付、位置、および継続時間を記憶する。さらに、追跡モジュール164は、UID制御モジュール166に当該情報を送信し、UID制御モジュール166は電子ディスプレイ136を制御して当該情報を表示してもよい。さらに、追跡モジュール164は当該情報をクラウドモジュール174に送信し、クラウドモジュール174は当該情報を表示する電子ディスプレイと通信してもよい。
【0129】
262において、ディスペンスイベントモジュール160は、各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20がディスペンスイベントを実行したか否かを判定する。各ウェアラブルディスペンサアセンブリ20がディスペンスイベントを行っている場合、この方法は264に進む。さもなければ、この方法は256に戻る。264において、追跡モジュール164および/またはクラウドモジュール174は、ディスペンスイベントの日付、時間および位置を記憶する。また、追跡モジュール164および/またはクラウドモジュール174は電子ディスプレイ(例えば、電子ディスプレイ136)と通信し、この電子ディスプレイは当該情報を表示する。
【0130】
図14は、電子ディスプレイ上に表示されてウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人が取る経路268、ならびに経路上で人によって行われる立ち寄りおよび立ち寄り中に行われるディスペンスイベントに関する情報を含むバルーン270を図示するマップ266の例を示す。各バルーン270は、各立ち寄りに関連付けられたウェアラブルディスペンサアセンブリ20の到着および出発時間を含む。加えて、バルーン270は、各立ち寄りに関連付けられたストリートアドレス、当該ストリートアドレスに位置する患者の名前、および各立ち寄り中に行われる処置の回数を含む。さらに、バルーン270は、各立ち寄り中にウェアラブルディスペンサアセンブリ20がディスペンスイベント(または消毒イベント)を行った回数をも表示する。マップ266上に表示される情報は、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20から払戻システムまたはモジュール(図示略)に無線で送信されてもよい。この払戻モジュールは、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20を装着している人の払戻フォームに自動的に記入して効率的かつ適時の払戻を容易としてもよい。
【0131】
上記の説明は、医療環境におけるウェアラブルディスペンサアセンブリ20および識別バッジ22の機能に主に焦点を当てている。しかし、これらの装置は、製造業(例えば製造プラント)および食品産業などの他の産業でも利用可能である。具体的に食品産業に関して言うと、特にレストランにおいては、公衆は手指衛生にとりわけ敏感になっている。食中毒または汚染は、収穫、生産、流通、店頭、またはレストランといった食品供給網のいずれの段階でも起こりうる。したがって、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20および識別バッジ22はこれらの環境の具体的な需要に合わせて改良されてもよい。
【0132】
例えば、レストランの常連客は、医療環境における患者と等価といえるかもしれない。常連客は、ベッドディスペンサアセンブリ14等の目標装置を装着していたり、その上で休んでいたりする可能性は低い。したがって、食品サービス従事者の位置または「ステーション」がより重要となってくる。しかし、食品サービス従事者は一つのステーションから別のステーション(例えば、キッチン、バー、伝達ライン(expediting line)、ダイニングテーブル)に繰り返し移動することから、ステーションでさえ(化粧室などの重要なものを除き)消毒イベントを主導するための代わりとしては不適切かもしれない。
【0133】
したがって、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20および識別バッジ22は位置ベースの、または交流ベースの消毒リマインダではなく、時間ベースの消毒リマインダを生成するよう改良されてもよい。例えば、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20と識別バッジ22とは、食品サービス従事者がどこにいるかに関わりなく、所定の時間間隔(例えば、20分毎)に消毒リマインダ信号を生成してもよい。消毒リマインダ信号を生成するのと同時に、ウェアラブルディスペンサアセンブリ20と識別バッジ22とは、ユーザインターフェース装置を制御して食品サービス従事者に自身の手を消毒、洗浄し、または自身の手袋を交換するよう指示する聴覚的および/または視覚的メッセージを生成してもよい。
【0134】
上記記載は、性質上単に説明目的であり、開示、適用、または用途を制限することを全く意図しない。本開示の広範な教示内容は、各種形態で実施可能である。したがって、本開示は特定の実施例を含むものの、他の変形が図面、明細書、および下記請求項を検討して明らかとなることから、開示の実際の範囲は限定されるべきではない。方法内の一つ以上の工程は、本願開示の原理を変更しない限りで、異なる順番(または同時に)実行されてもよい。さらに、上記で各実施形態は、特定の特徴を有するものとして記載されるものの、開示の任意の実施形態に関して記載された特徴の一つ以上は、組み合わせが明示的に記載されていないとしても、他の実施形態において、および/または他の実施形態のいずれかの特徴との組み合わせで実施可能である。言い換えると、記載される実施形態は相互に排他的ではなく、一つ以上の実施形態の互いの並び替えも本開示の範囲内にある。
【0135】
要素間の空間的および機能的関係(例えば、モジュール、回路部品、半導体層の間)は、「接続される」、「係合される」、「連結される」、「隣接する」、「の次」、「の上」、「上方」、「下方」、および「配置される」を含む各種用語を用いて記載される。「直接」と明示的に記載されない限り、第一および第二要素間の関係が上記開示事項に記載されるとき、当該関係は、第一および第二要素間に他の介在要素が存在しない直接的関係であってよいが、第一および第二要素の間に一つ以上の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的関係であってもよい。本明細書内で用いられる場合、A、B、およびCの少なくとも一つとの表現は非排他的論理ORを用いて論理(A OR B OR C)を意味するものと解釈されるべきであり、「少なくとも一つのA、少なくとも一つのB、および少なくとも一つのC」を意味するものと解釈されるべきではない。
【0136】
図面中、矢印により示される矢印の方向は、図に関連のある(データまたは指示などの)情報フローを広く明示する。例えば、要素Aおよび要素Bが各種情報を交換するが要素Aから要素Bに送信される情報が図示内容に関連するとき、矢印は要素Aから要素Bを指してもよい。一方向の矢印は、他の情報が要素Bから要素Aに送信されないことを暗示しない。さらに、要素Aから要素Bに送信される情報について、要素Bは要素Aに情報の要求、または受領確認を送ってもよい。
【0137】
本願中、下記定義を含めて、「モジュール」という用語、または「コントローラ」という用語は、「回路」という用語と置き換えられてもよい。「モジュール」という用語は、特定用途向け集積回路(ASIC);デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混合ディスクリート回路;デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混合集積回路;組み合わせ論理回路;フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA);コードを実行する(共有、専用、またはグループ)プロセッサ回路;プロセッサ回路により実行されるコードを記憶する(共有、専用、またはグループ)メモリ回路;記載された機能を提供する他の適切なハードウェア部品;またはシステム-オン-チップ等におけるもののような、上記のいくつかまたはすべての組み合わせを指したり、その一部であったり、またはこれらを含む。
【0138】
モジュールは、一つ以上のインターフェース回路を備えてもよい。いくつかの例において、インターフェース回路は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはこれらの組み合わせに接続される有線または無線インターフェースを含んでよい。本願開示の任意のモジュールの機能は、インターフェース回路を介して接続される複数のモジュールの間で分散されてもよい。例えば、複数のモジュールにより、ロードバランシングが可能となる。さらなる例において、(リモート、またはクラウドとしても知られる)サーバモジュールにより、クライアントモジュールの代わりにいくつかの機能が実現されてもよい。
【0139】
上記で用いられたコードという用語は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはマイクロコードを含んでもよく、プログラム、ルーチン、機能、クラス、データ構造、および/またはオブジェクトを指してもよい。共有プロセッサ回路という用語は、複数のモジュールからのいくつかまたはすべてのコードを実行する単一のプロセッサを包含する。グループプロセッサ回路という用語は、追加のプロセッサ回路と組み合わせて、一つ以上のモジュールからのコードのいくつかまたはすべてを実行するプロセッサ回路を包含する。複数のプロセッサ回路の記載は、個別の型上の複数のプロセッサ回路、単一の型上の複数のプロセッサ回路、単一のプロセッサ回路の複数のコア、単一のプロセッサ回路の複数のスレッド、または上記の組み合わせを包含する。共有メモリ回路という用語は、複数のモジュールからのいくつか、またはすべてのコードを記憶する単一のメモリ回路を包含する。グループメモリ回路との用語は、追加のメモリと組み合わせて、一つ以上のモジュールからのコードのいくつかまたはすべてを記憶するメモリ回路を包含する。
【0140】
メモリ回路という用語は、コンピュータ読み取り可能媒体という用語のサブセットである。コンピュータ読み取り可能媒体という用語は、本明細書で用いられる限りで、(搬送波などの)媒体を介して伝搬される一時的電気または電磁信号を包含しない。したがって、コンピュータ読み取り可能媒体という用語は、有形かつ非一時的なものと考えられる。非一時的で有形のコンピュータ読み取り可能媒体の制限的でない例は、(フラッシュメモリ回路、消去可能プログラマブルROM回路、またはマスクROMメモリ回路などの)非揮発性メモリ回路、(スタティックRAM回路またはダイナミックRAM回路などの)揮発性メモリ回路、(アナログまたはデジタル磁気テープまたはハードディスクドライブなどの)磁気記憶媒体、および(CD、DVD、またはBlu-rayディスクなどの)光学記憶媒体である。
【0141】
本願に記載される装置および方法は、汎用コンピュータを設定することにより創造される専用コンピュータにより部分的または全体的に実装され、コンピュータプログラムに実体化された一つ以上の具体的な機能を実行してもよい。上述の機能ブロック、フローチャートの部品、および他の要素は、ソフトウェアの仕様として機能し、熟練技術者またはプログラマのルーチン作業によりコンピュータプログラムに変換可能である。
【0142】
コンピュータプログラムは、少なくとも一つの非一時的で、有形のコンピュータ読み取り可能媒体上に記憶されるプロセッサ実行可能な指示を含む。また、コンピュータプログラムは、記憶されたデータを含み、またはこのデータに依拠してもよい。コンピュータプログラムは、専用コンピュータのハードウェアと相互作用する基本入出力システム(BIOS)と、専用コンピュータの特定のデバイスと相互作用するデバイスドライバと、一つ以上のオペレーティングシステムと、ユーザアプリケーションと、バックグラウンドサービスと、バックグラウンドアプリケーションなどを包含してもよい。
【0143】
コンピュータプログラムは、(i)HTML(ハイパーテキストマークアップ言語)、XML(拡張マークアップ言語)、またはJSON(ジャバスクリプトオブジェクトノーテーション)などの構文解析される記述テキスト、(ii)アセンブリコード、(iii)コンパイラによりソースコードから生成されるオブジェクトコード、(iv)インタプリタにより実行されるソースコード、(v)ジャストインタイムコンパイラによりコンパイルされ実行されるソースコード、などを含んでよい。単なる例として、ソースコードは、C、C++、C#、Objective C、Swift、Haskell、Go、SQL、R、Lisp、Java(登録商標)、Fortran、Perl、Pascal、Curl、OCaml、Javascript(登録商標)、HTML5(ハイパーテキストマークアップ言語第5版)、Ada、ASP(アクティブサーバページ)、PHP(PHP:ハイパーテキストプリプロセッサ)、Scala、Eiffel、Smalltalk、Erlang、Ruby、Flash(登録商標)、Visual Basic(登録商標)、Lua、MATLAB、SIMULINK、およびPython(登録商標)を含む言語からの構文を用いて書かれてもよい。
図1
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図8A
図8B
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図9B
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【国際調査報告】