(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(54)【発明の名称】ニオブナノ粒子調製物、同調製物の使用及び同調製物を得るための方法
(51)【国際特許分類】
C01G 33/00 20060101AFI20230905BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20230905BHJP
B22F 1/05 20220101ALI20230905BHJP
B22F 9/04 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
C01G33/00 A
B22F1/00 R
B22F1/05
B22F9/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512423
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-10
(86)【国際出願番号】 BR2021050346
(87)【国際公開番号】W WO2022036427
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】BR1020200167740
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523057987
【氏名又は名称】フラス エーリエ ソシエダッド アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルドソ テイシェイラ デ アルブケルケ フォレイラ、セザル アウグスト
(72)【発明者】
【氏名】ボアレット、ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ダドリー クルス、ロビンソン カルロス
【テーマコード(参考)】
4G048
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4G048AA02
4G048AB02
4G048AD04
4G048AE05
4K017AA03
4K017CA07
4K017EA03
4K018BA20
4K018BB04
(57)【要約】
本発明は、ニオブナノ粒子の調製、その使用、及び粉砕により、すなわちトップダウンプロセスによりそれを得る方法を記載している。本発明のナノ粒子の調製物は、これらの及び他の問題を解決し、特異な組成、純度、粒度プロファイル、及び比表面積を有し、様々な用途において有用である。本発明はまた、制御された粉砕によって、ナノ粒子の合成に特有の薬剤による化学反応又は汚染を伴わずに、ニオブを含有する鉱物種のナノ粒子を得る方法も開示する。本発明は、最新技術とはかけ離れて対照的に、高純度、所定の粒度プロファイル、及び非常に大きい比表面積を有する五酸化ニオブナノ粒子の大規模生産を実現し、いくつかの工業用途でのその実用を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
95wt%以上のニオブ粒子の含量を含むことを特徴とする、ナノ粒子の調製物であって、50%~99%の粒子(d50~d99)が5~1000ナノメートル(nm)の粒度範囲内にある、上記ナノ粒子の調製物。
【請求項2】
90%~99%の粒子(d90~d99)が5~1000ナノメートル(nm)の粒度範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載のナノ粒子の調製物。
【請求項3】
含量が99wt%以上のニオブ粒子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のナノ粒子の調製物。
【請求項4】
ナノ粒子が五酸化ニオブであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載のナノ粒子の調製物。
【請求項5】
粒径分布プロファイルがd10:14~110nm;d50:29~243nm;及びd90:89~747nmであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のナノ粒子の調製物。
【請求項6】
粒径分布プロファイルがd10 70~100nm;d50 170~240nm;d90 400~580nmであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のナノ粒子の調製物。
【請求項7】
粒径分布プロファイルがd50 10~178nm;d80 10~300nm;d90 10~400nmであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のナノ粒子の調製物。
【請求項8】
90%~99%の粒子(d90~d99)が100~1000nmの粒度範囲内にあることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のナノ粒子の調製物。
【請求項9】
90%~99%の粒子(d90~d99)が5~100nmの粒度範囲内にあることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のナノ粒子の調製物。
【請求項10】
粒径分布プロファイルがd10:9~27nm;d50:16~67nm;d90:33~94nmであることを特徴とする、請求項9に記載のナノ粒子の調製物。
【請求項11】
比表面積が0.5~150m
2/gであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のナノ粒子の調製物。
【請求項12】
平均比表面積が40~70m
2/gであることを特徴とする、請求項11に記載のナノ粒子の調製物。
【請求項13】
最終調製物の調整されたレオロジー特性、調整された充填又は空隙率の度合い、調整された流動性を有する、粒子又はナノ粒子の他の調製物を得るためであることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載のナノ粒子の調製物の使用。
【請求項14】
安定なコロイド組成物;鋼、金属合金及び非金属合金、セラミック及び/若しくはポリマー;複合材料、電子部品、電池セル、エネルギー貯蔵システム、圧電センサー及びアクチュエーター、ソーラーパネル;ガラス、ガラスセラミック、透明及び半透明材料;触媒の調製のためであることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載のナノ粒子の調製物の使用。
【請求項15】
・高エネルギーミル、ボールミル、及びスチームミルから選択される粉砕装置にニオブ粒子を供給するステップと;
・高エネルギーミルにおいて:粉砕しようとする粒子を1~90%m/mの濃度で液体中に懸濁させ、安定なコロイド懸濁液を得るまで懸濁液を安定化させ;前記懸濁液及び5μm~1.3mmの選択された直径を有する研削ボールを研削チャンバーに入れ;500~4500rpmの間でミル回転速度を調整し;60℃未満の温度で粒子を研削するか;又は
・過熱流体を有するジェットミル又はスチームミルにおいて、40マイクロメートル未満の粒子を供給し;空気分級装置の速度を1,000~25,000rpmの間で調整し;10~100barの間で圧縮蒸気圧力を調整し230~360℃の間で温度を調整するか
のいずれかから選択される粉砕条件を調整するステップと;
・所望の粒度分布プロファイルを得るまで粒子を粉砕するステップと
を含む、ニオブナノ粒子を得る方法。
【請求項16】
極性液体媒体のpHを2~13の範囲まで調整し、場合により界面活性剤を添加すること;又は非極性液体媒体中に界面活性剤を添加することによりコロイド懸濁液の安定化が行われることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
粉砕装置へ供給するステップの前にニオブ粒子の予備粉砕ステップをさらに含み、前記予備粉砕が40マイクロメートル未満の平均粒径に到達するまで行われることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記予備粉砕が、ボールミル、ディスクミル、若しくは高エネルギーミルにおいて、又はジェットミルにおいて行われることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
・高エネルギーミルにマイクロメートルの五酸化ニオブ(Nb
2O
5)粒子を供給するステップと;
・前記ミルに液体を供給し、pHを5~10の範囲内に調整するステップと;
・50μm~400μmの選択された直径を有するボールを前記ミルに供給するステップと;
・2000~4000rpmの間でミル回転速度を調整するステップと;
・所望の粒度プロファイルが得られるまで粒子を60℃未満の温度で研削するステップと
を含むことを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項20】
高エネルギーミルが撹拌媒体型のものであり、球体がジルコニア、炭化ケイ素、アルミナから選択され、前記球体が場合によりイットリア若しくは五酸化ニオブ、又はそれらの組み合わせで安定化されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
過熱温度でのジェットミル又はスチームミルが、以下のパラメーター:20,000rpmの空気分級器の回転;50barの圧縮蒸気圧力;及び280℃の過熱流体の温度により調整されることを特徴とする、請求項15又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料工学及びナノテクノロジーの分野におけるものである。より具体的には、本発明はニオブナノ粒子の調製物、その使用、及び粉砕により、すなわち、トップダウンプロセスによりそれを得るための方法を記載している。何十年も高純度五酸化ニオブナノ粒子を大量に得るための努力がなされたが失敗に終わっているので、本発明は今まで達成不可能と考えられた業績である。本発明のナノ粒子の調製物はこれらの及び他の問題を解決し、特異な組成、純度、粒度プロファイル、及び比表面積を有し、様々な用途において有用である。本発明はまた、制御された粉砕によって、ナノ粒子の合成に特有の薬剤による化学反応又は汚染を伴わずに、ニオブを含有する鉱物種のナノ粒子を得るための方法も開示する。本発明は、最新技術とかけ離れて対照的に、高純度五酸化ニオブナノ粒子の大規模生産、所定の粒度プロファイル、及び非常に大きい比表面積を実現し、いくつかの工業用途でのその実用を可能にする。
【背景技術】
【0002】
様々な材料の粒子、特にセラミック酸化物を含めたセラミック材料の粒子は、様々な用途において非常に役立つ。この分野において、いわゆるポスト冶金(Post Metallurgy)は特殊材料の開発に関わる多くの研究グループ及び企業による研究の目的であり、サイズ制限又は粒径分布プロファイルはそのような材料の特性における重要な要素である。
【0003】
本発明に関連して特に重要であるのは、(i)他の粒子の中でわずかなナノ粒子を含有する調製物と;(ii)主に又は完全にナノメートルの粒度範囲内にある粒子を含有する調製物と;(iii)規定の粒度分布プロファイルを有する、主に又は完全にナノメートルの粒度範囲内にあるナノ粒子の調製物との違いが強調されていることである。本発明はこれらの後者の2つを提供する。
【0004】
これに関連して、本発明の発明者らの1人による最近の文献(Powder Technology 383(2021)348~355-粉末研削及びナノ粒子サイジング:音、光及び照明(Powder grinding and nano-particle sizing:sound,light and illumination))は、特にナノ寸法でのそのような大きさに関する正しい記述のために、粒子サイズを測定する技術について知ることがいかに重要であるかを示す。ナノ寸法において、従来の測定方法(EAS、電気音響分光法、及びDLS動的光散乱)は、粒子の体積に基づく場合に誤差が生じやすく、粒子の数に基づきまたそれらの比表面積にも基づく技術がこの寸法では最も適切である。
【0005】
ニオブ粒子調製物は最終的にわずかなナノ粒子を含有し得るが、マイクロメートル/ミクロンの範囲内のはるかに大きい粒子サイズが優勢であることが、実際のナノ粒子調製物としてのそのような調製物の特性決定を妨げる。さらに、ナノスケールの材料の挙動は大幅に変化することが知られており、したがって、合成プロセスに典型的な汚染を伴わずに主に又は完全にナノメートルの範囲内にあり高純度を有するニオブ粒子を含有する調製物を大規模で入手できることが非常に望ましい。本発明はこれらの及び他の技術的問題を解決する。
【0006】
ブラジルで大規模に生産される元素であるニオブの特異な特性に起因して、セラミック酸化物、特に五酸化ニオブは、様々な用途において検討されてきた。ブラジルがニオブ生産における世界的リーダーの1つであり、この重要な材料における精力的な研究活動があるという事実にもかかわらず、大規模及び高純度で、主に又は完全にナノ粒子の範囲にあるニオブナノ粒子の調製物を得ようと何十年も試みられてきたが成功しなかった。本発明はこれらの及び他の技術的問題を解決する。
【0007】
文献は、ボトムアップと呼ばれる方法でのニオブを含有するナノ粒子の合成法の例を含む。しかし、ボトムアップ又は合成法であるため、そのような方法は化学反応、薬剤、及び生成物を伴うので、得られる生成物は通常は材料の残渣又は反応副生成物を有する多量の汚染物質を含有する。
【0008】
さらに、ボトムアップ法により得られるナノ粒子は、反応生成物である特定の化学種に限定される。さらに、これらの方法は技術的及び/又は経済的に大規模で実行可能ではなく、このことは安定、純粋で、主に又は完全にナノメートル範囲内の粒度分布を有するニオブナノ粒子の調製物が工業規模で入手できない理由の一部である。本発明はこれらの及び他の技術的問題を解決する。
【0009】
遷移金属を研削/粉砕/噴霧する方法は通常、比表面積を増加させ様々な工業的利用を可能にすることを目的とする。ニオブ又はニオブを含有する材料の場合、特に五酸化ニオブの場合、既知の方法はマイクロメートルの範囲の粒度分布を有する粒子を得ることに限られ、この特許出願の出願日まで、完全にナノ粒子を含有する調製物を得ることを実現するミリング法は本発明の発明者らに知られていない。
【0010】
ニオブはいくつかの他の遷移金属よりも高い誘電率を有し、これによりニオブは例えばキャパシタなどの電子部品において非常に有用な材料となる。しかし、金属ニオブ粉末を研削により得ることは、液体分散媒体の使用を必要とし、ニオブ粉末と分散媒体との接触、及び/又は研削により生じる熱は、吸着媒体中に存在する酸素が水素化ニオブに吸着することを引き起こし、LC値(インダクタ/キャパシタ又はインダクタンス/キャパシタンス)を損なう酸化ニオブの形成は、LC値の広い分散を生じさせ、キャパシタ及び/又は他の電子部品で使用するための材料の信頼性を損なう。さらに、本発明までは、ミリング(トップダウンプロセス)によってニオブ及び五酸化ニオブの主に又は完全にナノメートルサイズの粒子を得ることは、技術的に不可能と考えられた課題で、何十年もの間頓挫した試みの目的であった。本発明はこれらの及び他の技術的問題を解決する。
【0011】
科学文献及び特許文献における最新技術の調査において、主題に関連する以下の文献を見出した。
【0012】
Instituto Militar de Engenhariaに与えられ消滅した特許PI 0601929-3は、ゾル-ゲル技術を使用して、ナノメートルスケールでアルミナ中の酸化ニオブの均質混合物を得ることを開示している。前記方法は、反応によってこれらの混合酸化物のナノメートルサイズの粒子を得るために、アセチルアセトンを使用してこの遷移金属の加水分解及び縮合速度を制御して、ゾル-ゲル技術により、水性媒体中でAl2O3中のNb2O5の混合酸化物を得る。
【0013】
特許出願の特開平10-242004号は、LC値を増加させるためのニオブ粉末の部分窒化の技術を開示している。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0014】
米国特許第4084965号は、5.1ミクロンの粒径を有するニオブ粉末(コロンビウム粉末とも呼ばれる)を得ることを開示している。前記粉末は、ニオブインゴットを水素化及び研削することにより得られ、研削は混合を容易にするために好ましくは液体の形態でリン含有材料を少量添加(5~600ppmの元素リン)することにより助けられる。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0015】
米国特許出願2004/0168548号は、10~500ミクロンの粒度範囲を有するニオブ粉末を得るための方法を開示している。この方法はミリングを伴い、キャパシタで使用するためのニオブ粉末を得ることを目的とする。前記方法において、水素化ニオブ又は水素化ニオブ合金は、分散媒体の存在下で、-200~30℃の温度でミリングされる。使用される分散媒体は、水、有機溶媒、又は液化ガスから選択される。水素化ニオブ粉末又は水素化ニオブ合金粉末の脱水素は、研削後に100~1000℃の温度で行われる。得られるニオブ粉末の特性は、比表面積が0.5~40m2/g;密度が0.5~4g/mL;ピーク細孔径が0.01~7ミクロン;酸素含量が3wt%以下である。前記方法において、粒状粉末の平均粒径が10ミクロン未満であることは望ましくなく、なぜなら粉末はこの方法の効率を低下させ材料の流動性を損なうためである。本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製は開示されていない。
【0016】
CBMMにより出願され棚上げされた、ブラジル特許出願PI 0401882-6号は、高い化学純度、広い表面積、適正なモルフォロジー及び多孔性、並びに低い見かけ密度を有する、金属ニオブ及びタンタル粉末を製造するための方法を開示している。前記方法は、微細粉末を得るステップと;制御された方法での表面酸化のステップと;溶融塩浴中、又は溶融塩混合物中でこの酸化物層をアルカリ金属又はアルカリ土類金属により還元するステップと;形成されたケーキを溶解及び浸出させるステップと;得られた生成物をろ過、洗浄、及び乾燥するステップとを含む。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0017】
CBMMに与えられたブラジル特許PI 0105773-1号は、0.1%~10%のジルコニウムを含有するNb-Zr合金粉末を製造するための方法を開示している。前記方法は、ニオブ-ジルコニウム(Nb-Zr)合金を水素化、ミリング、及び脱水素化して不純物のレベルが制御された粉末を製造することを含む。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0018】
IPT/SPにより出願されたブラジル特許出願PI 0303252-9号は、キャパシタの製造に使用しようとする、高い純度、広い比表面積、制御された酸素及び窒素含量、適切なモルフォロジー及び適正な多孔性の一酸化ニオブ(NbO)粉末を製造するための方法を開示している。前記方法は、還元ガスによって行われる、五酸化ニオブ(Nb2O5)から直径が0.3~0.6mmである二酸化ニオブ(NbO2)への還元の第1の段階と、NbOの形成のための温度及び時間の適切な条件下で集電体材料により一酸化ニオブ(NbO)を得ることを含む第2の段階という、五酸化ニオブ(Nb2O5)の2段階の還元によって特徴づけられる。NbO粒子はナノスケールと比較してサイズが大きい。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0019】
IPT/SPにより出願され拒絶されたブラジル特許出願PI 0402611-0号は、キャパシタの製造で使用される、高純度、広い比表面積、制御された酸素及び窒素含量、適切なモルフォロジー及び適正な多孔性の一酸化ニオブ(NbO)粉末の製造方法を開示している。前記方法は、還元ガスによって行われる、五酸化ニオブ(Nb2O5)から二酸化ニオブ(NbO2)への還元の第1の段階と、NbO2からNbOへの変換を指す、NbO2と同様のモルフォロジー及び物理特性を有する金属ニオブ(Nb)の微細粉末への酸素の完全な又は部分的な移動により一酸化ニオブ(NbO)を得ることを含む第2の段階という、五酸化ニオブ(Nb2O5)の2段階の還元によって特徴づけられる。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0020】
CBMMにより出願されIPT/SPへ移転された、ブラジル特許PI 0106058-9は、広い比表面積及び制御された酸素レベルの、高純度ニオブ粉末の製造方法を開示している。前記方法は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属(MexNbOy、式中Meはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、x=0.5~3、及びy=2~4)のニオブ酸塩を同じ性質の金属により還元する1つのステップを含み、その後最終生成物中に存在するアルカリ金属又はアルカリ土類金属酸化物(又は還元において使用される過剰のアルカリ金属又はアルカリ土類金属)を除去するための酸浸出/洗浄ステップが続く。特許はまたこのようにして得られるニオブ粉末を保護する。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0021】
Evonik Operations GMBHにより出願されたブラジル特許出願BR 112020014972-1号(国際公開第2019145298号)は、ポリマー無機ナノ粒子の組成物及びその調製方法を開示している。前記文献で開示されるナノ粒子は、硫黄、セレン、テルル、又は酸素を含有する金属カルコゲニド、及びアクリレート、酸、ハロゲン化物、又はエステルを含めたいくつかの種類のポリマーから選択されるポリマーであり、潤滑剤として使用されることを意図している。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0022】
UFRNにより出願された特許出願BR 102017017416-6は、高エネルギーミリングによるニオブ酸鉄の合成経路を開示している。前記文献は、五酸化ニオブ(Nb2O5)、金属鉄(α-Fe)、蒸留水(H2O)をそれぞれ55%~65%、20%~30%、及び10%~20%の質量パーセント、100~500rpmの回転で機械的研削し(湿式法)、その後1000~1500℃、1~5時間で熱処理することによる、ニオブ酸鉄(FeNbO4)の合成を開示している。得られる生成物は97.82%のニオブ酸鉄及び2.18%のヘマタイト(α-Fe2O3)の二相を含有する。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0023】
日本の昭和電工株式会社に与えられ共に消滅した特許PI0110333-4号及びPI0206094-9号は、ニオブ粉末及び前記粉末を含有する焼結体を開示している。前記文献の焦点はキャパシタの製造であり、発明者らは窒素濃度の制御が良好な性能のキャパシタを得るための鍵の1つであることを発見した。前記文献において、使用されるニオブ粉末はマイクロメートルサイズ(最大で1000μm)であり、インゴット及びジェットミルから得られ、0.5~40m2/gの表面積を有する。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0024】
昭和電工株式会社により出願され棚上げされた、特許出願PI 0114919-9は、ニオブを含有するキャパシタ粉末を開示している。前記粉末は水素化され少なくとも部分的に窒化されたニオブである。実施例は、ハロゲン化のためのガスが供給される反応塔への、直径0.1~5mmの寸法を有するニオブ金属粒子の供給を含む。得られるハロゲン化ニオブ粉末を水素ガスにより還元して4~30m2/gの比表面積を有するクラスターを形成することができ、キャパシタの調製のための有用な焼結体を焼結させるのに使用される。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0025】
Cabot Corp.の米国特許第6375704B1号は、ニオブ粉末調製物及びキャパシタで使用するためのニオブ粉末フレークの調製方法を開示している。前記方法は、ニオブチップを研削してフレークを形成させ、次いで得られるフレークに好ましくはマグネシウムにより脱酸素ステップを施すことを含む。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0026】
CBMMにより出願され棚上げされた特許出願PI0401114-7は、共沈により得られる、制御された量のバナジウムを有するニオブ粉末(五酸化物又は一酸化物)を開示している。前記文献における五酸化ニオブ又は一酸化ニオブの比表面積は0.4m2/g~30.0m2/である。酸化ニオブを含有するスポンジ形態を開示しており、本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0027】
三井金属鉱業株式会社により出願され棚上げされた、特許出願PI0508759-7号は、キャパシタで使用するための酸化ニオブ、及びそれを得るための方法を開示している。前記文献において、高い酸化数を有する酸化ニオブから得られる、低酸化数の酸化ニオブが開示され、得られる生成物(NbO)は2ミクロンの平均粒径d50及び2.0m2/g~50.0m2/gの比表面積(BET値)を有する。製造方法は、2つのステップで段階的に五酸化ニオブを乾式還元して一酸化ニオブを製造することを含む。段階的還元において、炭素含有還元剤が2つのステップの少なくとも1つで使用され、環境温度及び圧力が各々のステップで所定の範囲内に維持されることが好ましい。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0028】
三井金属鉱業株式会社により出願され棚上げされた、特許出願PI 0711243-2号は、キャパシタでの使用のための多孔質構造の一酸化ニオブを開示している。前記文献において、一酸化ニオブが10.7m2/gの比表面積(BET値)を有することが開示されている。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0029】
米国特許出願第2009/0256014A1号は、窒化ケイ素ボールなどの、3.6g/cm3の密度及び1.5MPa.m1/2以上の破砕硬度値のミリング助剤を使用した、水素化ニオブのミリング法を開示している。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0030】
ブラジル特許出願PI0009107号(拒絶)のファミリーメンバーである、Cabot Corpによる中国特許第100381234C号は、ミリングによりニオブ粉末を製造する方法を開示している。この方法は、高温及び少なくとも1つの液体溶媒の存在下で金属粉末を研削することを必要とする。金属粉末を湿式ミリングして凝集金属とすることにより凝集金属を形成する方法も開示され、湿式ミリングプロセスの際に少なくとも1つの液体フッ素処理流体が存在する。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0031】
Guilin Tech Gut Universityによる中国特許出願101798227A号は、ニオブ酸塩/チタン酸塩のナノメートル粉末の固相合成の方法を開示している。前記方法は、ボールミル中で五酸化ニオブ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、二酸化チタン、及び三酸化ビスマスを研削して、粒子を精製し次いでそれらを規定の化学量論的比率で焼成することを含む。固相反応は、ニオブ酸ナトリウム-カリウム、チタン酸ナトリウムビスマス、又は他の混合物の粉末の形成をもたらし、粒子は80ナノメートル以下である。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0032】
Huang Yuhongにより出願され放棄された、米国特許出願2007185242A1号は、ナノメートルの金属水酸化物を含む低温硬化インクを開示している。前記文献の焦点は、電極又はキャパシタを被覆するための組成物である。組成物は、水酸化ルテニウムナノ粒子を使用した機械化学的方法により得られるサブミクロンの粒子を含む。前記文献において、金属水酸化物ナノ粒子は水中で金属塩化物を水酸化ナトリウムと反応させることにより製造される。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0033】
ミズーリ大学により出願された米国特許出願2020391294号は、粉末状金属-セラミック複合材料の調製方法を開示している。前記方法において、ミルが使用され、金属粉末をセラミックナノ粒子と一緒に粉砕して金属-セラミック複合材を生成させる。ミルボールは及びミルの内部はセラミックである。これは本発明のような五酸化ニオブナノ粒子の調製を開示していない。
【0034】
調査した文献から分かることからは、本発明の教示に先駆ける又は本発明の教示を提案する文献は見られなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明は、主に又は完全にナノメートルの粒度分布を有するニオブの調製に関する、いくつかの最新の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明の目的の1つは、高純度を有するニオブナノ粒子調製物を提供することである。
【0037】
本発明の目的の1つは、化学的に定義された組成のニオブ粒子の調製物を提供することである。
【0038】
本発明の目的の1つは、ナノメートルの粒度範囲内のd50~d99を有する五酸化ニオブ粒子の調製物を提供することである。
【0039】
本発明の目的の1つは、ナノメートルの粒度範囲内のd90~d99を有する五酸化ニオブ粒子の調製物を提供することである。
【0040】
いくつかの実施形態において、五酸化ニオブナノ粒子調製物は178~239nmの平均粒径(d50)を有する。
【0041】
本発明の目的の1つは、100ナノメートル未満の粒度範囲内のニオブ粒子の調製物を提供することである。
【0042】
いくつかの実施形態において、五酸化ニオブナノ粒子調製物は、d10:9~27nm;d50:16~67nm;及びd90:33~94nmの粒度分布を有する。
【0043】
他の実施形態において、五酸化ニオブナノ粒子調製物は、d10:14~110nm;d50:29~243nm;及びd90:89~747nmの粒度分布を有する。
【0044】
本発明の目的の1つは、0.5~150m2/gの比表面積を有するニオブ粒子の調製物を提供することである。
【0045】
一実施形態において、五酸化ニオブナノ粒子調製物は、40~70m2/gの平均比表面積を有する。
【0046】
本発明のナノ粒子調製物は、鋼、金属合金及び非金属合金、セラミック及び/若しくはポリマーの機械的特性の調整又は改善;電子部品、電池セル、エネルギー貯蔵システム、ソーラーパネル、センサー、及び圧電アクチュエーターでの使用のために電磁特性を調節するための材料のドーピング;ガラス又は他の透明若しくは半透明材料の光学特性の調整;触媒の成分としての使用;安定な液体/コロイド組成物の調製を含めた、いくつかの用途において有用である。
【0047】
一実施形態において、本発明のナノ粒子の調製物は、ナノ粒子が長期間懸濁液のままである安定な液体組成物の調製を実現し、長い保存可能期間をもたらした。
【0048】
したがって本発明の目的の1つは、安定な液体/コロイド組成物の調製における本発明のニオブナノ粒子の使用である。
【0049】
本発明の別の目的は、トップダウンの手法による、すなわち、化学的又は機械化学的合成を使用しない粉砕による、ニオブナノ粒子の調製物の調製方法を提供することである。前記方法は大規模であり、調製物の経済的実行可能性及び有効利用性において適している。
【0050】
本発明の方法は、
・高エネルギーミル及びスチームミルから選択される粉砕装置にニオブ粒子を供給するステップと;
・高エネルギーミルにおいて:
・粉砕しようとする粒子を1~90%m/mの濃度で液体中に懸濁させ、安定なコロイド懸濁液を得るまで懸濁液を安定化させ;
・前記懸濁液及び5μm~1.3mmの選択された直径を有する研削ボールを研削チャンバーに入れ;500~4500rpmの間でミル回転速度を調整し;60℃未満の温度で粒子を研削するか;又は
・過熱流体を有するジェットミル又はスチームミルにおいて、40マイクロメートル未満の粒子を供給し;空気分級装置の速度を1,000~25,000rpmの間で調整し;10~100barの間で圧縮蒸気圧力を調整し230~360℃の間で温度を調整するか
のいずれかから選択される粉砕条件を調整するステップと;
・所望の粒度分布プロファイルを得るまで粒子を粉砕するステップと
を含む。
【0051】
一実施形態において、上記で言及される高エネルギーミルの研削チャンバーに入れようとするコロイド懸濁液の安定化は、極性液体媒体のpHを2~13の範囲に調整し、場合により界面活性剤を添加すること;又は非極性液体媒体中に界面活性剤を添加することから選択される。
【0052】
一実施形態において、ニオブナノ粒子を得る方法は、特定のパラメーターを調整することにより、ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、五酸化ニオブ安定化ジルコニア、又はそれらの組み合わせなどの特殊材料の球体を使用して動作する高エネルギーミルにおいてミリングすることを含む。
【0053】
別の実施形態において、ニオブナノ粒子を得る方法は、特定のパラメーターを調整することにより、過熱蒸気を有するジェットミル、又はスチームミルにおいてミリングすることを含む。
【0054】
本発明のこれらの及び他の目的は、当業者により直ちに理解され、下記に詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
以下の図を示す。
【0056】
【
図1】
図1は、本発明ニオブ(Nb
2O
5)ナノ粒子調製物の実施形態の粒径分布を示し、FRITSCHブランドのAnalysette 22 Nano Tecplusを使用した、レーザー散乱法により測定される粒度プロファイルを示す。粒度分布、すなわちナノメートルでの粒子体積ベースの等価直径(横軸)、ナノ粒子の相対分率(左側の縦軸)、及び累積分率(右側の縦軸)を示す。
【0057】
【
図2】
図2は、媒体のpHを変化させるようにHCl又はNaOHにより調整された水溶液中のNb
2O
5粒子で形成される懸濁液のpHに応じた、沈殿試験の写真を示す。番号付けされた試験管2、4、9、及び12において異なる平衡pHが示される。
【0058】
【
図3】
図3は、TURBISCAN型装置での比濁分析において使用される時間(保存可能期間)に応じた、安定化試験の試験管の写真を示し、6時間の評価後の、pH9のニオブナノ粒子の懸濁液が入った試験管を示す。
【0059】
【
図4】
図4は、高エネルギーミルにおける研削時間の関数としての粉砕された五酸化ニオブの粒径分布を示す(サンプリング頻度)。nmでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0060】
【
図5】
図5は、粉砕された五酸化ニオブ試料の累積体積の関数としての、粒径分布を示す。nmでの等価直径をx軸に示し、%での累積体積をx軸に示す。
【0061】
【
図6】
図6は、ジェットミルの入口における、分散剤としてのアルコール中のNb
2O
5粒子の累積分布プロファイルを示す。ミクロンでの等価直径をx軸に示し、左側のy軸に体積%、右側のy軸に累積体積%を示す。
【0062】
【
図7】
図7は、ジェットミルの出口における、分散剤としてのアルコール中のNb
2O
5粒子の累積粒子分布プロファイルを示す。ミクロンでの等価直径をx軸に示し、左側のy軸に体積%、右側のy軸に累積体積%を示す。
【0063】
【
図8】
図8は、五酸化ニオブを含有する市販品(曲線A=投入)及び予備粉砕後の五酸化ニオブ調製物(曲線B)の粒度分布プロファイルに対応する曲線を示す。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での累積体積をy軸に示す。
【0064】
【
図9】
図9は、五酸化ニオブを含有する市販品(曲線A=投入物)及び予備粉砕後の五酸化ニオブ調製物(曲線B)の粒度分布プロファイルに対応する曲線を示す。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0065】
【
図10】
図10は、74~747nmの粒子を有する、完全にナノメートルの範囲内にある五酸化ニオブナノ粒子の調製物の粒径分布プロファイル(曲線C)に対応する曲線を示す。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0066】
【
図11】
図11は、20~206nmの粒子を有する、完全にナノメートルの範囲内にある五酸化ニオブナノ粒子調製物の粒径分布プロファイル(曲線D)に対応する曲線を示す。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0067】
【
図12】
図12は、8~89nmの粒子を有する、完全にナノメートルの範囲内にある五酸化ニオブナノ粒子調製物の粒径分布プロファイル(曲線E)に対応する曲線を示す。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0068】
【
図13】
図13は、予備粉砕後の五酸化ニオブの3種の異なる調製物の粒度分布プロファイル(曲線C、D、及びE)に対応する曲線を1つのグラフに示す。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0069】
【
図14】
図14は、予備粉砕後の五酸化ニオブの3種の異なる調製物の粒度分布プロファイル(曲線C、D、及びE)に対応する曲線を1つのグラフに示す。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明は、いくつかの最先端の課題を解決し、主に又は完全にナノメートルの粒度範囲内にある粒子;高純度;経済的規模での供給及び使用を可能にする工業規模のプロセスという技術的特性を同時に意図するニオブナノ粒子の調製物を提供する。前記調製物はニオブナノ粒子の調製物とも呼ばれる。
【0071】
本発明において、「ニオブ粒子」という用語は、ニオブ金属、ニオブの酸化物、水和物、水素化物、炭化物、若しくは窒化物、ニオブ鉄、又は他の金属若しくは遷移金属に結合したニオブ、又はそれらの組み合わせを含めた、ニオブを含有する様々な化学物質を包含する。これは五酸化ニオブも含む。
【0072】
本発明は、以下の規定によっても定義される。
【0073】
50%~99%の粒子(d50~d99)が5~1000ナノメートル(nm)の粒度範囲内にある、95wt%以上のニオブ粒子の含量を含むナノ粒子の調製物。
【0074】
90%~99%の粒子(d90~d99)が5~1000ナノメートル(nm)の粒度範囲内にある、95wt%以上のニオブ粒子の含量を含むナノ粒子の調製物。
【0075】
99wt%以上のニオブ粒子の含量を含む、上記で定義されるナノ粒子の調製物。
【0076】
ナノ粒子が五酸化ニオブである、上記で定義されるナノ粒子の調製物。
【0077】
d10:14~110nm;d50:29~243nm;及びd90:89~747nmの粒径分布を有する、上記で定義されるナノ粒子の調製物。
【0078】
70~100nmのd10;170~240nmのd50;400~580nmのd90の粒径分布を有する、上記で定義されるナノ粒子の調製物。
【0079】
10~178nmのd50;10~300nmのd80;10~400nmのd90の粒径分布を有する、上記で定義されるナノ粒子の調製物。
【0080】
90%~99%の粒子(d90~d99)が100~1000nmの粒度範囲内にある、上記で定義されるナノ粒子の調製物。
【0081】
90%~99%の粒子(d90~d99)が5~100nmの粒度範囲内にある、上記で定義されるナノ粒子の調製物。
【0082】
d10:9~27nm;d50:16~67nm;d90:33~94nmの粒径分布を有する、上記で定義されるナノ粒子の調製物。
【0083】
0.5~150m2/gの比表面積を有する、上記で定義されるナノ粒子の調製物。
【0084】
40~70m2/gの平均比表面積を有する、上記で定義されるナノ粒子の調製物。
【0085】
他の粒子又はナノ粒子の調製物のレオロジー特性を調整するため、最終調製物の充填の度合い、流動性、空隙率、又は他の特性を調整するための、上記のナノ粒子調製物の使用。
【0086】
安定なコロイド組成物;鋼、金属合金及び非金属合金、セラミック、並びに/又はポリマー;電子部品、電池セル、エネルギー貯蔵システム、圧電センサー及びアクチュエーター、ソーラーパネル;ガラス、ガラスセラミック、又は他の透明及び半透明材料;触媒の調製のための、上記のナノ粒子調製物の使用。
【0087】
・高エネルギーミル及びスチームミルから選択される粉砕装置にニオブ粒子を供給するステップと;
・高エネルギーミルにおいて:
・粉砕しようとする粒子を1~90%m/mの濃度で液体中に懸濁させ、安定なコロイド懸濁液を得るまで懸濁液を安定化させ;
・前記懸濁液及び5μm~1.3mmの選択された直径を有する研削ボールを研削チャンバーに入れ;500~4500rpmの間でミル回転速度を調整し;60℃未満の温度で粒子を研削するか;又は
・過熱流体を有するジェットミル又はスチームミルにおいて、40マイクロメートル未満の粒子を供給し;空気分級装置の速度を1,000~25,000rpmの間で調整し;10~100barの間で圧縮蒸気圧力を調整し230~360℃の間で温度を調整するか
のいずれかから選択される粉砕条件を調整するステップと;
・所望の粒度プロファイルを得るまで粒子を粉砕するステップと
を含む、ニオブナノ粒子を得る方法。
【0088】
高エネルギーミルの研削チャンバーに入れようとするコロイド懸濁液の安定化が、極性液体媒体のpHを2~13の範囲まで調整し、場合により界面活性剤を添加すること;又は非極性液体媒体中に界面活性剤を添加することから選択される、上記の方法。
【0089】
粉砕装置へ供給するステップの前にニオブ粒子の予備粉砕ステップをさらに含み、前記予備粉砕が1~40マイクロメートルの平均粒径に到達するまで行われる、上記の方法。
【0090】
前記予備粉砕がボールミル、ディスクミル、又は高エネルギーミルで行われる、方法。
【0091】
前記予備粉砕がジェットミルで行われる、方法。
【0092】
高エネルギーミルが撹拌媒体型のものであり、前記球体がジルコニア、炭化ケイ素、アルミナから選択され、前記球体が場合によりイットリア、又は五酸化ニオブ、又はそれらの組み合わせにより安定化される、上記の方法。
【0093】
ミルにおける動作pHが6~10である、上記の方法。
【0094】
ミルにおける動作温度が30~40℃である、上記の方法。
【0095】
一実施形態において、99%以上の純度を有する五酸化ニオブ(Nb2O5)ナノ粒子の調製物が提供される。
【0096】
一実施形態において、本発明のニオブナノ粒子調製物は5~1000ナノメートルの粒径を有する。いくつかの実施形態において、本発明のナノ粒子の調製物は、規定の粒径画分を有する粒子を含み、例えば、完全に100~1000nmである粒子を有する調製物、完全に5~100ナノメートルである粒子を有する調製物、並びに中間値の粒子及び規定の値の粒度画分を有する調製物である。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態において、既にこの分野の慣行であるように、粒度画分の分布はd10、d50、d90、及び場合によりd99により規定され、表記は各表記に対応する粒子の累積体積%を反映し、d10は粒子体積の10%を指し、d50は体積の50%などである。
【0098】
いくつかの実施形態において、本発明は、100ナノメートル未満の粒度範囲内のニオブ粒子の調製物を提供する。
【0099】
いくつかの実施形態において、五酸化ニオブナノ粒子調製物は、d10:9~27nm;d50:16~67nm;及びd90:33~94nmの粒度分布を有する。
【0100】
他の実施形態において、五酸化ニオブナノ粒子調製物は、d10:14~110nm;d50:29~243nm;及びd90:89~747nmの粒度分布を有する。
【0101】
いくつかの実施形態において、本発明は、50~148m2/gの比表面積を有するニオブ粒子の調製物を提供する。
【0102】
一実施形態において、五酸化ニオブナノ粒子調製物は、62.07m2/gの平均比表面積を有する。
【0103】
一実施形態において、16nmの平均粒径(d50)を有する五酸化ニオブナノ粒子の調製物が提供される。別の実施形態において、五酸化ニオブナノ粒子調製物は29nmの平均粒径(d50)を有する。別の実施形態において、五酸化ニオブナノ粒子調製物は67nmの平均粒径(d50)を有する。別の実施形態において、五酸化ニオブナノ粒子調製物は178nmの平均粒径(d50)を有する。
【0104】
本発明のナノ粒子調製物は、安定なコロイド懸濁液の調製;鋼、金属合金及び非金属合金、セラミック及び/若しくはポリマーの機械的特性の調整又は改善;電子部品、電池セル、エネルギー貯蔵システム、ソーラーパネル、センサー、及び圧電アクチュエーターでの使用のために電磁特性を調節するための材料のドーピング;ガラス又は他の透明材料の光学特性の調整;触媒の成分としての使用を含めた、いくつかの用途において有用である。
【0105】
一実施形態において、本発明のナノ粒子調製物の使用は、ナノ粒子が長期間懸濁液のままである安定な液体組成物又はコロイド懸濁液を実現し、長い保存可能期間をもたらした。
【0106】
ニオブナノ粒子を得る方法は、化学反応又は機械化学を伴わないトップダウンプロセスであるので他の同類の方法とは異なる。この方法はボトムアップ、合成、又は最新の機械化学の方法の場合のように不純物を加えない又は反応生成物の形成をもたらさないので、純粋な又は高純度のニオブ粒子が粉砕に使用されるという事実は、高純度ナノ粒子調製物の入手を実現する。
【0107】
本発明の方法は、
・高エネルギーミル;及びスチームミルから選択される粉砕装置にニオブ粒子を供給するステップと;
・高エネルギーミルにおいて:
・粉砕しようとする粒子を1~90%m/mの濃度で液体中に懸濁させ、安定なコロイド懸濁液を得るまで懸濁液を安定化させ;
・前記懸濁液及び5μm~1.3mmの選択された直径を有する研削ボールを研削チャンバーに入れ;500~4500rpmの間でミル回転速度を調整し;60℃未満の温度で粒子を研削するステップ;
・過熱温度におけるジェットミル又はスチームミルにおいて、40マイクロメートル未満の粒子を供給し;空気分級装置の速度を1,000~25,000rpmの間で調整し;10~100barの間で圧縮蒸気圧力を調整し230~360℃の間で温度を調整するステップ
から選択される粉砕条件を調整するステップと;
・所望の粒度分布プロファイルを得るまで粒子を粉砕するステップと
を含む。
【0108】
上記で実証されるような前処理の平均粒径の減少は、例1~4、及び7で実証されるような高エネルギーミルにおける、又は下記の例6に記載されるスチームミル粉砕プロセスにおける、その後の粉砕プロセスの性能を改善するのに特に有用である。
【0109】
一実施形態において、この方法は高エネルギーミルでの湿式ミリングを伴い、工業規模で最初に、主に又は完全にナノメートルの粒度範囲内にある五酸化ニオブ粒子を得ることを可能にする。粉砕が高エネルギー湿式ミルで行われる実施形態において、高エネルギーミルの研削チャンバーに入れようとするコロイド懸濁液の安定化は非常に重要なステップであり、極性液体媒体のpHを2~13の範囲で調整し、場合により界面活性剤を添加すること;又は界面活性剤を非極性液体媒体に添加することから選択される。
【0110】
一実施形態において、回転時間、pH、及び温度を含めた特定のパラメーターを調整することにより、最新技術で知られているミル、例えば、イットリア安定化ジルコニア球体(ZrO2+Y2O3)を使用する高エネルギーミルなどが使用される。一実施形態において、研削媒体は、ジルコニアボール、ZTA(アルミナ強化ジルコニア又はイットリウム)、及びアルミナを含む。好ましくは、5%m/mイットリアで安定化されたジルコニウム球体が使用される。
【0111】
別の実施形態において、この方法は過熱蒸気を有するジェットミル(スチームミル)による粉砕を伴い、40ミクロン未満の粒子がこれに供給され、空気分級器の回転が1,000~25,000rpmの間で調整され、圧縮蒸気圧力が10~100barの間、温度が230~360℃の間で調整される。
【0112】
【実施例】
【0113】
本明細書に示される実施例は、本発明を実施する様々な方法のいくつかを単に例示することを意図するが、しかしその範囲を限定しない。
【0114】
(例1)-高エネルギーミルにおける五酸化ニオブ(Nb2O5)の湿式研削プロセス
【0115】
この実施形態において、回転速度、pH、温度を含むパラメーターの調整を伴うミリングにより、五酸化ニオブナノ粒子の調製物を得た。
【0116】
高純度を有し粒度分布d90=68.425、d50=20.867、及びd10=0.345(μm)の粒度分布を有する、市販の供給源からの五酸化ニオブ(Nb2O5)を、撹拌媒体型の高エネルギーミルへ供給した。前記ミルは、イットリア安定化ジルコニアでできている、直径が5μm~1.3mmの研削ボール/球体と共に動作する。この実施形態において、前記ボールのサイズは400μmであった。ニオブナノ粒子粉末(Nb2O5)を得るための前記材料の研削条件には、1000~4500rpmの回転速度、前記ミルの外部の強制冷却システムの助けを借りて維持される40℃未満の温度が含まれた。これらの条件下での30~120分の動作後、ニオブナノ粒子を含有する粉末調製物が得られた。
【0117】
様々な研削条件を試験して効率を評価した。表1は様々なミリングパラメーター及び時間における試験結果を示す。
【0118】
【0119】
表1のデータは、30分の研削時間、pH6.63、Mieモデルによるレーザー散乱による体積ベースでのサイズ測定技術、及び34.7℃の温度の条件下で、0.077のd10;0.178のd50;及び0.402のd90(それぞれ77nm、178nm、及び402nm)を有するナノ粒子が得られたことを示す。
【0120】
(例2)-粒径測定
【0121】
FRITSCHブランドのAnalysette 22 NanoTecplusを使用して、粒径分布をレーザー散乱法により測定した。
図1に示すように、本発明のニオブナノ粒子の調製物は、完全にナノ粒子の範囲内にある粒度分布を有する。
図1は、粒径分布、すなわちナノメートルでの粒子の等価直径(横軸)、ナノ粒子の相対分率(左側の縦軸)、及び累積分率(右側の縦軸)を示す。図は、本発明のこの実施形態のニオブナノ粒子が10~1000ナノメートル(nm)の等価直径を有し、90% 10~400nm、80% 10~300nm、50% 10~178nmであることを示す。
【0122】
(例3)-安定なコロイド懸濁液-pHの関数としての水溶液中でのニオブ粒子の安定性試験
【0123】
例1にしたがって得られたナノ粒子調製物を使用して安定なコロイド懸濁液を得て、pHの関数としての安定化試験を行った。
図2は、様々な試験されたpH:2、4、9、12について番号付けされた試験管において得られた結果を示す。
図2に示されるように、結果は、ニオブナノ粒子の安定性が媒体のpHに強く依存すること、pH4において粒子が最も高い不安定度に到達したことを示す。試験管中の上清液体が環境の可視光からの干渉を受けることがあるサイズを有する固体粒子を完全に含まないので、このpH4において事実上100%の粒子が沈殿したことも観察された。上清液体は使用される水溶液の典型的な透光性を有する。pH4の試験管の底においてニオブ粒子の蓄積も観察され、粒子により形成される沈殿物の高さが示される。pH9において、その条件の粒子は沈殿が起こりにくくより高い安定性を示した。
【0124】
(例4)-ニオブナノ粒子を含有する液体組成物-安定性/保存可能期間試験
【0125】
例1及び2によるナノ粒子の調製物は、時間(保存可能期間)の関数としての安定性試験を受けた。
図3は、前記試験の結果を示し、TURBISCAN装置での6時間の比濁試験後、pH9の粒子が安定のままであり沈殿物を形成しなかったことを示す。この挙動は安定なナノメートル粒子に特有である。
【0126】
(例5)-高エネルギーミルにおける五酸化ニオブ(Nb2O5)の湿式研削プロセス
【0127】
Labstar LS01ボールミル(Netzsch)に五酸化ニオブのマイクロメートル粒子を供給した。前記プロセスは高エネルギー湿式ミリングを伴う。粒子懸濁液は17.7%mであり、およそ3500gのmilli-Q水+10M NaOH、及びpH9のミル混合槽で調製及び安定化され10M NaOHで滴定された750gの固体試料から成る。使用した研削ボールは直径が400μmのイットリア安定化ジルコニアであった。研削チャンバーの充填は80% vol、懸濁液温度は40℃未満であった。ミル回転速度を3000rpmに設定し、研削を8時間行った。懸濁液をpH9で安定化させるために、ミリングの間に10M NaOHの添加を行い、試料を時々採取し、粒径を測定した。
【0128】
付属品として湿式粒径測定のユニットを有するAnalysette 22モデルのFritsch装置において、粒子の測定を行った。粒径分布測定を静的光散乱により行った。分析媒体は蒸留水であった。17.7%mの一定分量懸濁液を、ミリングプロセスの間に装置により10回繰り返して分析した。表2の結果は、上記で示される条件下で各研削時間において得られる測定(10回の測定の平均)及びDTP(粒径分布)を示す。
【0129】
【0130】
頻度及び累積体積の関数としての粒径分布曲線を
図4及び5に示す。
【0131】
図4は、高エネルギーミルにおける研削時間の関数としての粉砕された五酸化ニオブの粒径分布を示す(サンプリング頻度)。nmでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0132】
図5は、粉砕された五酸化ニオブ試料の累積体積の関数としての粒径分布を示す。mでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での累積体積をy軸に示す。
【0133】
(例6)-ジェットミルによる五酸化ニオブの粉砕
【0134】
本発明の実施例において、ナノメートル範囲内の完全な粒度分布(d99)になるまでのその後の粉砕プロセスの性能を改善するために、ジェットミルを使用して五酸化ニオブ粒子を予備粉砕した。
【0135】
d90% 69.4μm;d50% 40.6μm、及びd10% 13.4μmの投入粒径分布プロファイル、相対湿度0.85%(Sartorius-105℃で20分)、及び嵩密度1.62g/cm3を有する五酸化ニオブの試料に、表3にまとめるように、ジェットミルでの様々な粉砕条件を施した。
【0136】
【0137】
図6は、ジェットミルにおける分散剤としてのアルコール中のNb
2O
5の累積粒子分布プロファイルを示す(上記の表3の生産物1)。ミクロンでの等価直径をx軸に示し、左側のy軸に体積%、右側のy軸に累積体積%を示す。この試料について、残留重量は1.14%であり、比表面積は1.536m
2/g、濃度は0.0020%である。粒子分布プロファイルは、dD90=31.1μm;D50=11.4μm;d10=1.41μmである。
【0138】
図7は、ジェットミルにおける分散剤としてのアルコール中のNb
2O
5の累積粒子分布プロファイルを示す(上記の表3の生産物3)。ミクロンでの等価直径をx軸に示し、左側のy軸に体積%、右側のy軸に累積体積%を示す。この試料において、残留重量は0.68%であり、比表面積は1.063m
2/g、濃度は0.0081%である。粒子分布プロファイルは、dD90=22.3μm;D50=8.88μm;d10=2.77μmである。
【0139】
上記で実証されるような平均粒径の減少は、例1~4で実証されるようなその後の高エネルギーミル粉砕プロセス、又は下記の例7に記載される粉砕プロセスの性能を改善するのに特に有用である。
【0140】
(例7)-スチームミルによる五酸化ニオブの粉砕
【0141】
この実施形態において、
図7(例6)による分布プロファイルdD90=22.3μm;D50=8.88μm;d10=2.77μmを有するNb
2O
5粒子をスチームミルへ供給した。
【0142】
次いで、空気分級器の回転を20,000rpmに調整し、圧縮蒸気圧力を50barに調整した。過熱流体の温度は280℃であった。
【0143】
これらの条件下での動作後、例1~2、
図1で得られたものと同様の粒径分布プロファイルが得られた。
【0144】
(例8)-高純度及び規定の粒度分布の五酸化ニオブ(Nb2O5)ナノ粒子調製物
【0145】
本発明の実施例において、99%を超える純度を有する五酸化ニオブナノ粒子調製物のいくつかの実施形態が得られた。表4に記載の粒度分布を有する市販の五酸化ニオブを、400μmの直径を有するイットリア安定化ジルコニア球体の入った高エネルギーミルにおいて、液体媒体中及び6.6に調整されたpHで予備粉砕した。ミル回転速度を3500rpmとし、粒子の研削を40℃未満の温度で行った。表4は、予備粉砕ステップの投入物五酸化ニオブ(市販品)及び生産物五酸化ニオブの粒径分布(DTP)を示す。
【0146】
【0147】
図8は、五酸化ニオブを含有する市販品(曲線A=投入物)及び予備粉砕後の五酸化ニオブ調製物(曲線B)の粒度分布プロファイルに対応する曲線を示す。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での累積体積をy軸に示す。
【0148】
図9は、五酸化ニオブを含有する市販品(曲線A=投入物)及び予備粉砕後の五酸化ニオブ調製物(曲線B)の粒度分布プロファイルに対応する曲線を示す。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。データは予備粉砕ステップが1~40マイクロメートルの粒子を有する五酸化ニオブ微粒子を含有する調製物を得ることを可能にすることを示す。
【0149】
予備粉砕ステップ後の粒子の平均比表面積S(m2/g)は0.32m2/gであった。
【0150】
一実施形態において、予備粉砕後の粒子を次に高エネルギーミルに供給し、例5に記載のものと同様の条件を適用するが、200μmのZr球体を使用し、ナノ粒子の各調製物を得るまで異なる時間でミリングを行った。ナノ粒子の3種の異なる調製物が得られ、各々は表5に記載される規定の粒度分布を有する。
【0151】
【0152】
図10は、74~747nmの粒子を有する、完全に(d99.99)ナノメートルの範囲内にある五酸化ニオブナノ粒子の調製物の粒度分布プロファイルに相当する曲線を示す(曲線C)。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0153】
図11は、20~206nmの粒子を有する、完全に(d99.99)ナノメートルの範囲内にある五酸化ニオブナノ粒子の調製物の粒度分布プロファイルに相当する曲線を示す(曲線D)。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0154】
図12は、8~89nmの粒子を有する、完全に(d99.99)ナノメートルの範囲内にある五酸化ニオブナノ粒子の調製物の粒度分布プロファイルに相当する曲線を示す(曲線E)。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0155】
図13は、
図10~12の予備粉砕後の五酸化ニオブの3種の異なる調製物の粒度分布プロファイル(曲線C、D、及びE)に相当する曲線を1つのグラフに示す。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0156】
図14は、予備粉砕後の五酸化ニオブの3種の異なる調製物の粒度分布プロファイル(曲線C、D、及びE)に相当する曲線を1つのグラフに示す。マイクロメートルでの粒子の等価直径をx軸に示し、%での頻度をy軸に示す。
【0157】
本発明のこの実施形態のナノ粒子調製物は非常に大きい比表面積を有し、これは非常に幅広い用途でのそれらの使用を可能にする。表6は、五酸化ニオブナノ粒子調製物の平均比表面積データを示す。
【0158】
【0159】
調製物Eの一部の画分において、90m2/gを超える五酸化ニオブナノ粒子が得られ、画分の1つは148.2m2/gという結果となり、先行技術では決して達成されなかった値をはるかに超える値であったことを特筆するべきである。
【0160】
当業者は、空気分級器又は超遠心分離などの分級器の使用によって、各調製物の異なる粒度画分を分離することができ、それにより上記で例証されるものと比較してさらにより狭い粒度分布プロファイル曲線を得ることが可能になることを知るであろう。
【0161】
(例9)-五酸化ニオブ(Nb2O5)の完全にナノメートルの調製物の組み合わせから得られるナノ粒子の調製物
【0162】
本発明の実施例において、上記の例8で例証される2つのナノ粒子調製物(調製物C及びE)を組み合わせることにより、様々なナノ粒子調製物が得られた。
【0163】
一実施形態において、単純な均質化により、例8の調製物C及び調製物Eの1:1混合物が得られた。
【0164】
別の実施形態において、単純な均質化により、例8の調製物C及び調製物Eの1:10混合物が得られた。
【0165】
別の実施形態において、単純な均質化により、例8の調製物D及び調製物B(予備粉砕後)の1:1混合物が得られた。
【0166】
より大きい粒子(調製物B又はC)とより小さいナノ粒子(調製物D又はE)との組み合わせが、焼結、粘性の液体中の分散液などのその後の用途、及び他の用途において、様々な度合いの充填、空隙率、流動性、及び異なる挙動をもたらすので、得られる粒度分布プロファイルは、得られる調製物のレオロジーの調整を実現する。
【0167】
当業者は、本明細書に提示される知識を高く評価し、以下の特許請求の範囲により網羅される、提示される様式において及び他の変形形態及び代替形態において、本発明を再現することが可能となるであろう。
【国際調査報告】