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特表2023-539024物体を保持し、クランプし、位置決めするためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】物体を保持し、クランプし、位置決めするためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/02 20060101AFI20230906BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20230906BHJP
   B23Q 7/14 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
B23Q3/02 A
B23Q3/06 303A
B23Q3/06 303D
B23Q7/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505963
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 TR2020050757
(87)【国際公開番号】W WO2022045990
(87)【国際公開日】2022-03-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523029490
【氏名又は名称】シーエヌシー イレリ テクノロジ ミュヘンジスリク サナイ ヴェ ティジャーレット リミテッド シルケット
【氏名又は名称原語表記】CNC ILERI TEKNOLOJI MUHENDISLIK SANAYI VE TICARET LIMITED SIRKETI
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ゲラー,ヤイル
(72)【発明者】
【氏名】ゲキシク,フェザ
【テーマコード(参考)】
3C016
3C033
【Fターム(参考)】
3C016BA01
3C016CA01
3C016CA07
3C016CB06
3C033HH00
3C033PP00
(57)【要約】
本発明は、工作機械、マシニングセンタ、旋盤、搬送ライン、金属機械、ロボット、ロボットアーム、ロボットハンド、回転テーブル、固定具の分野において、物体をクランプ、ロック、固定、位置決め、搬送、把持、保持、押動または引動するために使用され、物体(P)を保持するホルダ(T)が、リンク要素(S)によって機械テーブルまたはロボット上にロックされ、同時にロックされることを可能にする、物体保持および位置決めシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(P)を保持、クランプ、位置決めおよび配向するために使用される、物体保持、クランプ、位置決めおよび配向システムであって、
リンク要素(S)を引っ張ることによって機械またはロボット上に位置決めおよびクランプされ、同時にロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)によってロックされる物体(P)を保持する少なくとも1つのホルダ(T)
を備え、
-前記ホルダ(T)は、前記ロックシステム(A)の少なくとも1つの位置決め孔(503)に係合して、前記物体(P)の正確な位置および配向を提供する、少なくとも1つのピン(T1)を含む、または
-前記ロックシステム(A)の代わりにロボットグリッパが使用される場合、前記ロボットグリッパ(B)に形成される少なくとも1つのピン(B1)が、前記ホルダ(T)に形成された配向孔(T2)に係合して、前記物体(P)の正確な位置および配向を提供する
ことを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記ロックシステム(A)が、ホルダ(T)を使用することなくリンク要素(S)を介して前記物体(P)を直接保持することを特徴とする、請求項1に記載の物体保持および位置決めシステム。
【請求項3】
物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)であって、
工作機械、マシニングセンタ、旋盤、搬送ライン、金属機械、ロボット、ロボットアーム、ロボットハンド、回転テーブル、固定具などにおいて、物体(P)をクランプ、ロック、固定、位置決め、搬送、把持、保持、押動または引動するために使用され、
リンク要素(S)を引くことによって機械またはロボット上に位置決めおよびクランプされ、同時にロックされる、前記物体(P)を直接またはホルダ(T)を介して保持することを可能にし、
-油圧または空気圧源によって空気または油が導入されるシリンダ孔(12)を有する本体(10)、
-前記本体(10)の側面に接続されるサイドカバー(20)、
-前記本体(10)内に搬送される空気または油によって前記シリンダ孔(12)内で前後に移動し、その上に傾斜したT字形チャネル(321)を有する、傾斜スライダ(32)を有するピストン(31)
-前記リンク要素(S)が引っ張られることを確保するように内面に前記リンク要素(S)の傾斜面上を転動する複数のローラ(42)を備える上下に移動する円錐形チャンバ(41)、前記円錐形チャンバ(41)の下面の延長部(411)と自由に係合する支持ディスク(43)、前記延長部(411)の下面に接続され前記円錐形チャンバ(41)によって前記支持ディスク(43)の下面上を上下に移動する下側本体(44)、および、前記リンク要素(S)がロックされることを確保するように前記傾斜スライダ(32)の傾斜したT字形チャネル(321)内で前後に移動するT字形スライド(441)を有する、上下に移動するクランプ機構(40)、
-前記本体(10)に接続され、平坦なシート表面(501)、直径の孔(502)および少なくとも1つの位置決め孔(503)を含む、ガイドカバー(50)
を備えることを特徴とする、物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項4】
前記傾斜ハウジング(30)が、円形のピストン(31)、および、該ピストン(31)の内側に接続された傾斜スライダ(32)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項5】
傾斜スライダ(32)の形態の傾斜構造を含み、雌型の閉鎖チャネルを利用することができる螺旋状スライダまたは二重傾斜スライダであり得ることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項6】
前記T字形チャネル(321)の傾斜が、好ましくは7°または7°未満であるが、セルフロックが必要とされない場合、任意の角度を使用することができることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項7】
前記リンク要素(S)が、前記円錐形チャンバ(41)の内側に配置されて前記リンク要素(S)が係合された状態で、それは、下部本体(44)がその下面に接続された状態で前記支持ディスク(43)を通過する前記延長部(411)によって前記支持ディスク(43)内で下方に移動する前記円錐形チャンバ(41)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項8】
前記リンク要素(S)が前記円錐形チャンバ(41)内に配置された状態で、前記リンク要素(S)の傾斜面上を転動する複数のローラ(42)を備え、前記円錐形チャンバ(41)および前記下部本体(44)の上方への移動によって前記リンク要素(S)をロックするクランプ機構(40)を提供することを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項9】
前記下部本体(44)の下面に配置されたT字形スライド(441)を備え、前記傾斜スライダ(32)の雌型T字形チャネル(321)内で前後に移動することによって前記リンク要素(S)をロックするクランプ機構(40)を提供することを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項10】
T字形スライド(441)との雌型T字形チャネル(321)の嵌合表面において低摩擦係数を有する材料で構成される、ローラ(323)をその上に有するローラケージ(322)、および、ピストンとシリンダハウジングとの間のベアリングガイドリング(13)のような、摩擦低減要素、を有することを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項11】
前記クランプ機構(40)が、該クランプ機構(40)の下面に配置された中間ロッド(442)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項12】
ロックシステム(A)の代わりにロボットグリッパ(B)が使用される場合、配向ピン位置決め孔(503)はピン(B1)に置き換えられることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項13】
前記本体(10)と前記ガイドカバー(50)との間に接続され、内部に前記クランプ機構(40)が配置される、中間本体(60)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項14】
前記ガイドカバー(50)が、前記リンク要素(S)の引き込みおよび解放のために正確な直径の孔(502)を中央に有する平坦な座面(501)を上部に備えることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項15】
前記物体(P)の正確な位置決めおよび配向のために平坦な座面(501)上に少なくとも1つの位置決め孔(503)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項16】
少なくとも1つの空気排出孔(504)がシートチェックのために平坦なシート表面(501)に形成され、ワークピース物体(P)が前記平坦なシート表面(501)と接触していない場合、シートチェックラインの圧力降下により警告が発せられることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項17】
傾斜スライダ(32)を有するピストン(31)が、傾斜ハウジング(30)内に構築され、前記本体(10)の底部の開口部を通して部品を接続するための半径方向内向きのボルトまたは任意の種類の結合を介して、システムの組立てを可能にすることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項18】
前記傾斜スライダ(32)が、円筒形ピストン(31)アセンブリの自軸周りの回転を制限する矩形形状を有し、その軸周りの角型ピストン(31)運動を制限する物理的特徴はなく、したがって、前記円筒形ピストン(31)アセンブリの軸方向運動は、角度方向の回転に対して保護されることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項19】
前記傾斜スライダ(32)および前記下部本体(44)は、互いに対して横方向に動くことができることを特徴とする、請求項3に記載の物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)。
【請求項20】
物体保持および位置決めシステムのホルダ(T)であって、該ホルダ(T)は、リンク要素(S)を引っ張ることによって機械またはロボット上に位置決めおよびクランプされ、同時にロックされる物体(P)を保持し、
前記ホルダ(T)は、少なくとも1つの貫通エッジ(T4)を有する少なくとも1つの貫通インサート(T3)を含み、これを使用して、前記物体(P)の表面に一定量を貫通することによって、または所望の角度で接触面に摩擦力を作り出すことによって、水平軸および垂直軸上での前記物体(P)の移動を防止し、両方の軸に沿って固定する
ことを特徴とする、物体保持および位置決めシステムのホルダ(T)。
【請求項21】
前記貫通インサート(T3)および前記貫通エッジ(T4)が、バイス、固定具、または任意の種類のホルダにおいて使用することができ、前記貫通インサート(T3)および前記貫通エッジ(T4)によって前記物体(P)上にいかなる蟻継ぎまたは溝も必要とされないことを特徴とする、請求項20に記載の物体保持および位置決めシステムのホルダ(T)。
【請求項22】
前記貫通インサート(T3)が、バイメタル(硬質)材料、好ましくは炭化物で作製されることを特徴とする、請求項20に記載の物体保持および位置決めシステムのホルダ(T)、バイス、固定具。
【請求項23】
対向する/2つの面にわたる/両方の側で物体を機械加工する必要がある場合、1つのクランプで機械加工して、窓型ホルダ(W)を使用することができ、前記物体(P)の上面が機械加工され、その後、前記窓型ホルダ(W)が所望の角度に回転され、前記物体(P)を切り離すことなく、同じ物体(P)の他方の反対面を機械加工することができることを特徴とする、請求項20に記載の物体保持および位置決めシステムのホルダ(T)。
【請求項24】
前記貫通インサート(T3)が、正方形、長方形、多角形、三角形、円形の断面を有し得ることを特徴とする、請求項20に記載の物体保持および位置決めシステムのホルダ(T)。
【請求項25】
前記貫通インサート(T3)を前記ホルダ(T)または前記窓型ホルダ(W)に固定して取り付けるために、溶接、はんだ付け、圧入、ボルト、ピン、溶接などのモンタージュ法が使用されることを特徴とする、請求項20に記載の物体保持および位置決めシステムのホルダ(T)。
【請求項26】
薄い物体をクランプするためのホルダ(T)として鋸歯型ホルダ(D)が使用され、薄い部品のためにシステムを使用することが望まれる場合、鋸歯状構造(D2)を有する相互ジョー(D1)が、解決策のために使用され、前記鋸歯状歯構造(D2)は、突出部(D3)および凹部(D4)を含み、これらは、互いに係合して、厚さゼロの薄い部品をクランプすることができることを特徴とする、請求項20に記載の物体保持および位置決めシステムのホルダ(T)。
【請求項27】
異なる直径を有する物体をクランプするためのホルダ(T)として鋸歯状のジョーを有するホルダ(E)が使用され、ジョーを有する前記ホルダ(E)は、前記物体(P)の表面に一定量を貫通することによって、または接触面上に摩擦力を作り出すことによって、前記物体を固定するために使用される炭化物バルジ(E1)を含むことを特徴とする、請求項20に記載の物体保持および位置決めシステムのホルダ(T)。
【請求項28】
工作機械、マシニングセンタ、旋盤、搬送ライン、金属機械、ロボット、ロボットアーム、ロボットハンド、回転テーブル、固定具などの分野において、物体をクランプ、ロック、固定、位置決め、搬送、把持、保持、押動または引動するために、物体(P)を保持するホルダ(T)が、リンク要素(S)を引くことによって機械またはロボット上にクランプされ、同時に位置決め、配向およびロックされることを可能にする、物体保持および位置決めシステムであって、
前記クランププロセスが、以下の工程:
-リンク要素(S)が、物体(P)またはホルダ(T)に直接接続され、
-リンク要素(S)をクランプ機構(40)内で円錐形チャンバ(41)内に下方に位置決めし、
-リンク要素(S)の傾斜面上に円錐形チャンバ(41)の内面を取り囲むローラ(42)を配置し、
-支持ディスク(43)を通過する延長部(411)およびその下面に接続された下側本体(44)によって、前記支持ディスク(43)内で円錐形チャンバ(41)を下方に移動させ、
-前記円錐形チャンバ(41)および下側本体(44)の上方移動によって、前記円錐形チャンバ(41)および該円錐形チャンバ(41)の内面を取り囲むローラ(42)を用いて、機構(40)をリンク要素(S)にクランプし、
-前記本体(10)内に移送される空気または油によって、前記傾斜ハウジング(30)を前記本体(10)内で移動させ、
-前記傾斜ハウジング(30)の移動により、傾斜スライダ(32)の雌型T字形チャネル(321)内のT字形スライド(441)を7°または7°未満の傾斜角度で移動させ、前記クランプ機構(40)を前記リンク要素(S)にロックさせる
を含むことを特徴とする、物体保持および位置決めシステム。
【請求項29】
物体(P)を保持するホルダ(T)が、組立ラインにおけるリンク要素(S)を引くことによって機械またはロボット上にクランプされることを可能にする、物体保持および位置決めシステムのオートティーチングソフトウェアアルゴリズムの背後にある変換行列を用いた3Dベクトル計算であって、
組み立てられる部品に取り付けられる座標フレームを画定するために、
-ロボットのツールフランジ座標系はTCFSと称され、
-プローブのツール中心点はPTCPと称され、
-ロボットの原点はベースと称され、
-[TCPTCPTCPは、ロボットツールフランジ座標系の原点からツール中心点への移動を定義し、
【数1】
-少なくとも3つの異なるロボット位置を使用して、上記の式を適用してTCP、TCP、TCPを求め、これにより、PTCPTFCSが得られる
ことを特徴とする、3Dベクトル計算。
【請求項30】
部品番号1についてロボットに取り付けられた座標系を画定するために、
-ロボットのベースに関する平面の同次変換行列はPLANEBASEと称され、
-ロボットのベースに関するツールフランジ座標系の同次変換行列はTFCSBASEと称され、
-ロボットのツールフランジ座標系に関するプローブのツール中心点の同次変換行列はPTCPTFCSと称され、
【数2】
-上記の式を使用して、空間内の任意の物体について座標フレームを画定する
ことを特徴とする、請求項29に記載の物体保持および位置決めシステムのオートティーチングソフトウェアアルゴリズムの背後にある変換行列を用いた3Dベクトル計算。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、マシニングセンタ、旋盤、搬送ライン、金属機械、ロボット、ロボットアーム、ロボットハンド、回転テーブル、固定具などにおいて、物体をクランプ、ロック、固定、位置決め、搬送、把持、保持、押動または引動するために使用されるシステムに関する。
【0002】
本発明は、特に、リンク要素を引くことによって機械またはロボット上に位置決めおよびクランプされ、同時にスライダによってロックされる、物体を直接またはホルダを介して保持することを可能にする、物体保持、クランプおよび位置決めシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
今日、工作機械、搬送ライン、回転テーブル、固定具などの領域において物体を把持し、保持し、または引っ張るための装置上に物体が置かれ、また、機械上にホルダのように固定するためにクランプ機構が使用される。
【0004】
本技術分野で使用されるクランプ機構は、概して、リンク要素によってホルダをクランプするボール機構を有する。その一端でホルダに接続され、プルスタッドとも呼ばれる同様のリンク要素は、クランプ機構に固定され、円形状の他端部から取り外すことができる。クランプ機構におけるリンク要素への固定プロセスを行うボール機構は、一般的な構造として、本体と、本体の内面を取り囲む複数のボールと、ボールがロック位置に連続的に留まることを確保するばねアセンブリとを有する。ボールは、ばねアセンブリによって連続的にロック位置に保持され、本体の内側に位置するリンクピースの端部を把持することによってクランプされる。ボールに開放力を加えることができるようにするために、加圧オイルまたは空気を使用することによってボールを開放位置に通過させることが提供される。しかしながら、先行技術における圧縮システムにおけるボール機構の動作原理によれば、クランププロセスのみがボール機構によって実行され、このクランププロセスによってロックプロセスが実現される。したがって、特に重いワークピースにおいて、ボール機構がボールを用いて実行する唯一の効果的なクランププロセスによって、システムが安全に動作しない可能性がある。
【0005】
文献で行われた研究における先行技術の例として、特許文献1を示すことができる。前記文献は、クイッククランプ装置に関する。前記発明において、相互接続要素として使用されるニップルは、シリンダ内に円周方向に配置されたボールによってシリンダの中央受孔にクランプされることが記載されている。ニップルをシリンダ内に解放可能にクランプするために、シリンダの中心に油または空気を供給することを可能にする吸引ダクトが開放される。
【0006】
先行技術の例として、特許文献2を示すことができる。前記文献は、ボールプール式クイッククランプ装置に関する。前記発明において、シリンダ内に円周方向に配置されたボールは、エネルギー蓄積器の作用下で移動するピストンによって相互接続要素にクランプされる。上記発明によれば、係止部が大きく係止深さの大きい相互接続部材にボールをクランプすることができる。
【0007】
先行技術の例として、特許文献3を示すことができる。前記文献は、ハウジングと、ハウジングを覆い、ワークピースパレットの下側に配置されたインサートニップルを受け入れるための中央凹部を有するカバーとからなるクイックアクションクランプシリンダに関する。前記インサートニップルは、インサートニップルの外周上のロック位置にばね荷重される複数のロックボールによってハウジング内にばね荷重方式でロックされる。前記ロックボールは、加圧媒体によって作動されるピストンの変位によって、ロック解除位置においてインサートニップルから係合解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第10118809号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10118808号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10317350号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の全ての文献において、ワークピースを保持するホルダに接続された相互接続要素に対してクランププロセスのみを実行するシステムが記載されている。したがって、先行技術では、ワークピースを保持するホルダにクランプされ、同時にロックすることができるシステムが必要とされている。
【0010】
その結果、上記の問題の存在および既存の解決策の不十分さにより、関連技術分野における開発が必要になった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の欠点を克服し、関連技術分野に新たな利点をもたらすセルフクランプシステムに関する。
【0012】
本発明の主な目的は、直接、または物体を保持するホルダを介して、物体を、引張りリンク要素によって機械またはロボット上にクランプすることができ、同時に傾斜スライダによって位置決めし、配向し、ロックすることができる、物体保持、クランプおよび位置決めシステムを得ることである。
【0013】
本発明の目的は、使用分野に応じて、単動式または複動式クランプシステムを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、油圧、空気圧またはサーボによって駆動される物体保持、クランプおよび位置システムを提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、物体の搬送、把持、保持、押動、引動または移送処理が、形状が閉じた構成を有するセルフロック式傾斜スライダによって安全に行われることを確保することである。
【0016】
本発明の構造的および特徴的な特徴およびすべての利点は、以下の図およびこれらの図を参照して記載される詳細な説明によって、より明確に理解されるであろう。そのため、これらの図や詳細な説明を考慮して評価を行うべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】物体保持、クランプおよび位置決めシステムの斜視図
図2】物体保持、クランプおよび位置決めシステムの異なる角度からの斜視図
図3】ロックシステムがホルダを使用せずに物体を直接保持する代替的使用における物体保持、クランプおよび位置決めシステムの斜視図
図4】分解された分解部品配列状態の本発明によるロックシステムの斜視図
図5】分解状態の本発明によるロックシステムの別の図
図5a図5にも示されている詳細な斜視図
図5b】ローラケージの詳細な斜視図
図6】蓋が開いている状態の本発明によるロック位置および配向システムの図
図7】本発明によるロックシステムの斜視図
図8】本発明の代替実施形態におけるロボットグリッパの斜視図
図9】分解状態の本発明の代替実施形態におけるロボットグリッパの斜視図
図10】本発明によるロックシステムの断面図
図11】本発明の代替実施形態におけるロボットグリッパの断面図
図12】ホルダの斜視図
図12a】異なる角度からのホルダの斜視図
図12b】ホルダとして代替的に使用することができる構造体の斜視図
図12c】ホルダとして代替的に使用することができるバイスの斜視図
図12d】貫通インサートの様々な形態を示す図
図12e】貫通インサートの様々な位置(角度)を示す図
図13】他のホルダの代わりに代替的に使用可能な窓型ホルダの斜視図
図13a】薄い物体をクランプするために使用される鋸歯型ホルダの斜視図
図13b】薄い物体をクランプするために使用される鋸歯型ホルダの異なる角度からの斜視図
図13c】他のホルダの代わりに代替的に使用可能な鋸歯状のジョーを有するホルダの斜視図
図14】プルグリッパでロボットに接続されるタッチプローブを示す斜視図は
図14a】地面に置かれたロックシステムが、プルグリッパを用いて配置されたタッチセンサによってロボットに接触され、平面が作成されることを示す斜視図
図14b】ロボットが、プルグリッパを用いてリンク要素から物体を把持し、ロックシステムに落下させることを示す斜視図
図14c】ロボットがタッチプローブを用いて第1の組立部品に接触することを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1および図2は、異なる角度からの物体保持、クランプ、配向および位置決めシステムの斜視図を示す。
【0019】
システムは、クランプおよび保持、または、クランプ、保持および位置決め、またはクランプ、保持、位置決めおよび配向に適している。
【0020】
図1および図2に見られるように、本発明は、特に、物体(P)を保持する貫通ホルダ(T)が、リンク要素(S)を引っ張ることによって機械またはロボット上で位置決め、配向、およびクランプされ、同時に、ロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)によってロックされることを可能にする、物体保持および位置決めシステムに関する。
【0021】
好ましい実施形態では、ホルダ(T)は、ロックシステム(A)の少なくとも1つの配向孔(503)に係合して物体(P)の正確な位置および配向を提供する少なくとも1つのピン(T1)を含む。
【0022】
ロボットグリッパ(B)は、単独でまたはロックシステム(A)と共に使用することもできる。この場合、ロボットグリッパ(B)に形成された少なくとも1つのピン(B1)は、ホルダ(T)に形成された配向孔(T2)に係合し、物体(P)の正確な位置および配向を提供する。
【0023】
図3は、代替的な使用における物体保持、クランプおよび位置決めシステムの斜視図を示し、複数のロックシステム(A)は、ホルダ(T)を使用せずにリンク要素(S)を介して物体(P)を直接保持し、ロボットグリッパ(B)を備えたロボットアームによって保持およびクランプをする。
【0024】
この詳細な説明では、本発明によるロックシステム(A)およびロボットグリッパ(B)の好ましい代替形態は、主題をより良く理解するためにのみ、かつそれらがいかなる矛盾効果も生じないように説明される。
【0025】
図4および図5には、本発明に係るロックシステム(A)の分解図が示されている。したがって、ロックシステム(A)は、主として、油圧または空気圧源によって空気または油が導入されるシリンダ孔(12)を有する本体(10)と、接続要素(70)によって本体(10)の側面に接続されるサイドカバー(20)と、シリンダ孔(12)内で前後に移動するピストン(31)を含む傾斜ハウジング(30)と、リンク要素(S)を下方に引っ張り、本体(10)内で前後に移動することによってその内面に係合すると同時に傾斜ハウジング(30)の前後の移動によってロックされる、クランプ機構(40)と、接続要素(70)によって本体(10)に接続されたおよびガイドカバー(50)とを備える。
【0026】
本体(10)は、本発明に係るロックシステム(A)の主要な構造であり、空気および油が導入されるシリンダ孔(12)を有する。サイドカバー(20)は、接続要素(70)によって本体(10)の側面に封止される。
【0027】
本体(10)内のシリンダ孔(12)には、傾斜ハウジング(30)が前後に移動可能に配置されている。前記傾斜ハウジング(30)は、概して、円形ピストン(31)と、ピストン(31)の内側に接続された傾斜スライダ(32)とから構成される。傾斜スライダ(32)には、傾斜構造を有する傾斜T字形チャネル(321)がある。前記傾斜T字形チャネル(321)の傾斜は、7°以下である。
【0028】
図5bに見られるように、T字形スライド(441)との雌型T字形チャネル(321)の嵌合表面において低摩擦係数を有する材料で構成される、その上にローラ(323)を有するローラケージ(322)、および、ピストンとシリンダハウジングとの間のベアリングガイドリング(13)のような、摩擦低減要素が使用される。
【0029】
図6に見られるように、クランプ機構(40)は、傾斜ハウジング(30)に関連付けられるように本体(10)上に配置される。前記クランプ機構(40)は、リンク要素(S)をクランプするために円形状の内面を有し、その下面に延長部(411)を有する円錐形チャンバ(41)と、円錐形チャンバ(41)の内面を取り囲み、リンク要素(S)の傾斜面上を転動する複数のローラ(42)と、円錐形チャンバ(41)の下面の延長部(411)と自由に係合する支持ディスク(43)と、支持ディスク(43)の下に位置し、接続要素(70)によって延長部(411)の下面に関して上下に移動する下部本体(44)とから構成される。下側本体(44)の下面には、「T」字形のスライド(441)がある。前記「T」字形スライド(441)は、傾斜ハウジング(30)内の傾斜スライダ(32)のT字形チャネル(321)内で前後に移動することができる。したがって、前後に移動し、円錐形チャンバ(41)および円錐形チャンバ(41)の内面を取り囲むローラ(42)によってリンク要素(S)をクランプするクランプ機構(40)は、傾斜スライダ(32)のT字形チャネル(321)内でT字形スライド(441)を前後に移動させることによってリンク要素(S)をロックするために設けられる。傾斜スライダ(32)のT字形チャネル(321)内でのT字形スライド(441)の前後の移動は、油圧、空気圧またはサーボモータなどの供給源によって空気または油が本体(10)内に伝達されることによって得られる。
【0030】
図7に見られるように、本体(10)の上面は、接続要素(70)によって本体(10)上のカバー(50)によってメッキされ封止される。
【0031】
本発明のロックシステム(A)は、機械テーブル上で使用することができ、また、本発明の代替実施形態では、ロボットグリッパ(B)としてロボット上で使用することもできる。この場合、図8および図9に見られるように、中間ロッド(442)が下部本体(44)の下面に形成され、T字形スライド(441)が中間ロッド(442)の底面から下方に延びるように設けられる。したがって、クランプ機構(40)の長さは、本体(10)上で延長される。また、ロボットグリッパ(B)が使用される場合、クランプ機構(40)は、接続要素(70)によって本体(10)とガイドカバー(50)との間に中間体(60)を接続することによって、中間体(60)内に位置決めされるように設けられる。
【0032】
図10および図11に見られるように、本発明によるロックシステム(A)およびロボットグリッパ(B)の動作原理は以下の通りである。
【0033】
本体(10)は、機械テーブルまたはロボット上の油圧、空気圧、またはサーボモータ等の供給源に接続される。
【0034】
リンク要素(S)は、クランプ機構(40)内の円錐形チャンバ(41)内に下向きに配置され、その任意の表面から、物体(P)を一端から保持するホルダ(T)に接続されたリンク要素(S)を、ロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)と係合させる。
【0035】
リンク要素(S)が円錐形チャンバ(41)内に配置された状態で、リンク要素(S)はクランプ機構(40)を作動させ、円錐形チャンバ(41)の内面を取り囲むローラ(42)はリンク要素(S)の傾斜面上を転動する。一方、円錐形チャンバ(41)は、その下面に接続された下部本体(44)と共に、支持ディスク(43)を貫通する延長部(411)によって、支持ディスク(43)内を上方に移動する。円錐形チャンバ(41)および下部本体(44)の上方への移動により、クランプ機構(40)は、円錐形チャンバ(41)および円錐形チャンバ(41)の内面を取り囲むローラ(42)によってリンク要素(S)をクランプするように設けられる。
【0036】
クランプ機構(40)がリンク要素(S)をロックするために、傾斜ハウジング(30)は、本体(10)内に移送される空気または油によって本体(10)内で移動される。傾斜ハウジング(30)の移動に伴って、T字形スライド(441)は傾斜スライダ(32)のT字形溝(321)内を7°以下の傾斜角度で移動し、クランプ機構(40)はリンク要素(S)をロックするように設けられる。したがって、機械テーブルまたはロボットのロボットグリッパ(B)に接続されたロックシステム(A)は、物体(P)を保持するホルダ(T)に接続される。
【0037】
本発明の代替実施形態では、クランプ機構(40)がリンク要素(S)をロックすることを望まない場合、傾斜スライダ(32)の傾斜角度は7°超でもよい。この力は、傾斜スライダ(32)の傾斜角度を変更することで増減させることができる。
【0038】
物体保持および位置決めシステムのロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)は、傾斜スライダ(32)の形態の傾斜構造を含み、雌型の閉鎖チャネルを利用することができる螺旋スライダまたは二重傾斜スライダとすることができる。
【0039】
楔伝達比は、高い機械的利点を提供し、これは、クランプ力を作動ピストン力の9倍まで増加させる。この事実によって、シリンダ圧力を制御することにより、装置サイズを変更することなく、装置を様々な引張力に使用することが可能になる。
【0040】
2つの別個の機構モジュールによる開発に起因して、装置は、Tバーの長さを変更するだけで、ロボットグリッパ(B)アームとして別の用途を有する。このような場合、配向ピン位置決め孔(503)は、円錐形の先端を有する2つの直径の段付きピンB1に置き換えられる。この場合も、2つの直径の段付きピンが正確に位置決めされる。
【0041】
ロックシステム(A)またはロボットグリッパ(B)のガイドカバー(50)は、リンク要素(S)の引き込みおよび解放のために、中央に正確な直径の孔(502)を有する平坦なシート表面(501)を上部に備える。
【0042】
リンク要素(S)の軸および機械加工軸が直交する位置で接続されると、残りの6番目の面がクランプするために使用されているので、その表面の5つに垂直な直方柱物体を機械加工することが可能である。
【0043】
対向する/2つの面にわたる/両方の側で物体を機械加工する必要がある場合、1つのクランプに入れて、窓型ホルダ(W)を使用することができ、前記物体は窓の内側に配置される。例えば、物体の上面が機械加工され、その後、窓型ホルダ(W)が回転され、所望の角度に位置決めされ、他方の反対側の表面は、物体(P)を切り離すことなく機械加工され得る。
【0044】
少なくとも1つの空気排出孔(504)は、シートチェックのために平坦なシート表面(501)に形成される。ワークピース物体(P)が平坦なシート表面(501)と接触していない場合、シートチェックラインの圧力降下により警告が発せられる。
【0045】
傾斜スライダ(32)を有するピストン(31)は、傾斜ハウジング(30)内に構築され、本体(10)の底部の開口部を通して部品を接続するための半径方向内向きのボルトまたは任意の結合を介して、システムの組立てを可能にする。
【0046】
傾斜ハウジング(30)は、任意のフットプリント形状に採用することができる。円形である必要はない。加圧流体用ポートは、相互に直交する3つの表面上に配置することができる。ポートは、任意の角度でも配置され得る。
【0047】
ロックシステム(A)はまた、作動ピストン(31)の垂直方向のプッシュまたはプルクランプとして使用することができる。この場合、クランプ機構のローラ(42)は使用されない。
【0048】
傾斜スライダ(32)は、円筒形ピストン(31)アセンブリの自軸周りの回転を制限する矩形形状を有する。その軸の周りの角型ピストン(31)の運動を制限する物理的特徴はない。したがって、円筒形ピストン(31)アセンブリの軸方向運動は、角度方向の回転に対して保護される。傾斜スライダ(32)および下部本体(44)は、互いに対して横方向に動くことができる。
【0049】
図12に見られるように、物体保持および位置決めシステムは、ホルダ(T)を含み、前記ホルダ(T)は、リンク要素(S)を引っ張ることによって機械またはロボット上に位置決めおよびクランプされ、同時にロックされる物体(P)を保持し、前記ホルダ(T)は、少なくとも1つの貫通エッジ(T4)を有する少なくとも1つの貫通インサート(T3)を含み、これを使用して、物体(P)の表面に一定量を貫通することによって、または所望の角度で接触面に摩擦力を作り出すことによって、水平軸および垂直軸上での物体(P)の移動を防止し、両方の軸に沿って固定する。貫通インサート(T3)は、バイメタル(硬質)材料、好ましくは炭化物から作製される。
【0050】
対向する/2つの面にわたる/両方の側で物体を機械加工する必要がある場合、1つのクランプで機械加工して、窓型ホルダ(W)を使用することができ、物体(P)の上面が機械加工され、その後、窓型ホルダ(W)が所望の角度に回転され、物体(P)をホルダから取り外すことなく、同じ物体(P)の他方の反対側の表面を機械加工することができる。
【0051】
貫通インサート(T3)は、正方形、長方形、多角形、三角形、円形の断面を有することができる。締結具(T3)をホルダ(T)または窓型ホルダ(W)またはバイスに固定して取り付けるために、溶接、はんだ付け、圧入、ボルト、ピン、溶接などのモンタージュ法が使用される。
【0052】
図13aおよび図13bは、薄い物体をクランプするために使用される鋸歯型ホルダ(D)の斜視図を示す。薄い部品のためにシステムを使用することが望まれる場合、鋸歯状歯構造(D2)を有する相互ジョー(D1)が解決策のために使用される。鋸歯状歯構造(D2)は、突出部(D3)および凹部(D4)を含み、これらは、互いに係合して、厚さゼロの薄い部品をクランプすることができる。図13cに見られるように、鋸歯状のジョーを有するホルダ(E)は、異なる直径を有する物体をクランプするためのホルダ(T)として使用され、ジョーを有する前記ホルダ(E)は、物体(P)の表面に一定量を貫通することによって、または接触面上に摩擦力を生成することによって、物体を固定するために使用される炭化物バルジ(E1)を含む。
【0053】
図14は、プルグリッパを用いてタッチプローブがロボットに接続されることを示す。このプローブの較正は、地面に置かれた較正ピースを用いて行われる。
【0054】
図14aは、地面に置かれたロックシステムが、プルグリッパを用いて配置されたタッチセンサによってロボット上でタッチされ、平面が作られることを示す斜視図を示す。
【0055】
図14bは、ロボットがプルグリッパでリンク要素から物体を掴み、それをロックシステム上に落下させることを示す斜視図を示す。例として挙げられるシリンダブロックピースの底部のリンク要素については、歯が開かれ、リンク要素がシリンダブロックに取り付けられる。ロックシステムは、シリンダブロックを所望の場所に固定する。
【0056】
図14cは、ロボットがタッチプローブで第1の組立部品にタッチすることを示す斜視図を示す。ロボットは、タッチプローブで第1の組立部品にタッチ(接触)する。ソフトウェアは、理論値と実数値との差を計算する。
【0057】
組立ラインの説明:
組立ラインの機能は、2つの構成要素を接続することである。例えば、第1の構成要素を別の構成要素に必要な精度で接続する(メインアセンブリ、サブアセンブリに接続する)。特定の場所の剛体平面上で、ロックシステム(A)が接続され、製造中の第1の構成要素内のcadデータに関連する孔が追加されて、リンク要素(S)を接続する(以降、空間内のリンク要素の位置が分かる)。本体は、リンク要素(S)と共にこのロックシステム(A)内に配置される。前記本体に接続される必要がある他の構成要素は、製造中にリンク要素(S)についての正確な位置決め孔が追加される。ロボットグリッパ(B)は、構成要素を正確に所定の場所に運ぶ。構成要素を正確に所定の場所に運ぶためには、第1の構成要素と第2の構成要素との間に相関関係がある必要がある。
【0058】
すなわち、ロボットが立体平面に追従し、立体平面内で位置決めする必要がある。タッチプローブセンサ(B)は、ロボットグリッパに接続される。タッチプローブセンサは、平面およびロックシステム(A)の位置決めを検出し、ソフトウェアを用いてデカルト座標系間の偏差を変換によって計算し、ユーザフレームおよびツールフレームを見つける。すなわち、これ以降、ロボットとベースが互いにマッチし、1つのデカルト座標変換システムとして作用する。このソフトウェアパッケージは、ロックシステムとは別個に使用することができる。
【0059】
組立ラインでは、正確な位置および再現性で接続される必要がある部品または部品のクラスタを組み合わせることが目的である。
【0060】
剛性ステーション上に、ロックシステム(A)が精確に配置される。リンク要素(S)は、部品番号1上の正確な対応場所に設置される。
【0061】
その結果、部品番号1は、理論モデルに密接に従って空間内に位置決めされている。他の部品番号2は、同じ理論モデルに関して部品番号1の上に置かれる。
【0062】
ロボットは、部品番号2を部品番号1の近くに搬送し、部品番号2を組み立てるよう配置する。
【0063】
部品番号2も、同じ空間内で同じ理論モデルに似た正確な位置を有する必要がある。このため、部品番号2には別のリンク要素(S)が設置されている。
【0064】
リンク要素(S)を介してロボットグリッパ側に接続されたタッチプローブは、座標フレームを部品番号1に割り当てる。
【0065】
タッチプローブセンサは、組立部品の実際の位置と理論モデルとの間の相関を確立するために使用される。
【0066】
座標フレーム変換を利用するオートティーチング(Y)ソフトウェアは、座標系を確立し、それらの間の相対偏差を計算する役割を果たす。
【0067】
このソリューションにより、部品番号1および部品番号2についてロボットに取り付けられた座標系が確立される。
【0068】
グリッパフレームを画定するために特別な精度が必要とされる場合、静止タッチプローブを利用することができる。
【0069】
このオートティーチング(Y)ソリューションは、完全なソリューションと共に、または別個に使用することができる。
【0070】
オートティーチング(Y)ソフトウェアの背後にある変換行列を用いた3Dベクトル計算は、以下の通りである:
TFCS:ロボットのツールフランジ座標系
PTCP:プローブのツール中心点
ベース:ロボットの原点。
【0071】
組み立てられる部品に取り付けられる座標フレーム
[TCPTCPTCP ロボットツールフランジ座標系の原点からツール中心点への移動。
【数1】
【0072】
少なくとも3つの異なるロボット位置を使用して、上記の式を適用してTCP、TCP、TCPを求める。これにより、PTCPTFCSが得られる。
【0073】
部品番号1についてロボットに取り付けられた座標系
PLANEBASE:ロボットのベースに関する平面の同次変換行列
TFCSBASE:ロボットのベースに関するツールフランジ座標系の同次変換行列
PTCPTFCS:ロボットのツールフランジ座標系に関するプローブのツール中心点の同次変換行列。
【数2】
【0074】
この式は、空間内の任意の物体について座標フレームを画定するために利用可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 本体
11 メインガイド孔
12 シリンダ孔
13 ベアリングガイドリング
20 サイドカバー
30 傾斜ハウジング
31 ピストン
32 傾斜スライダ
321 T字形チャネル
322 ローラケージ
323 ローラ
40 クランプ機構
41 円錐形チャンバ
411 延長部
42 ローラ
43 支持ディスク
44 下側本体
441 T字形スライド
442 中間ロッド
50 ガイドカバー
501 平坦なシート表面
502 直径孔
503 配向孔
504 空気排出孔
60 中間体
70 接続要素
A ロックシステム
S リンク要素
T ホルダ
T1 配向ピン
T2 配向孔
T3 貫通インサート
T4 貫通エッジ
P 物体
B ロボットグリッパ
B1 ピン
W 窓型ホルダ
D 鋸歯型ホルダ
D1 ジョー
D2 鋸歯状歯構造
D3 突出部
D4 凹部
E 鋸歯状のジョーを有するホルダ
E1 炭化物バルジ
図1
図2
図3
図4
図5
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図12a
図12b
図12c
図12d
図12e
図13
図13a
図13b
図13c
図14
図14a
図14b
図14c
【国際調査報告】