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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(54)【発明の名称】デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20230912BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20230912BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230912BHJP
   H10K 50/115 20230101ALI20230912BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20230912BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20230912BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20230912BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20230912BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20230912BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G02B5/20
H05B33/14 Z
H10K50/10
H10K50/115
H10K59/122
H10K59/38
H10K59/35
H10K85/10
C08L101/00
C08L33/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514897
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021074076
(87)【国際公開番号】W WO2022049096
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】20194574.8
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】岸本 匡史
(72)【発明者】
【氏名】能谷 敦子
(72)【発明者】
【氏名】ブルシュカ,ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 照晃
(72)【発明者】
【氏名】横山 大志
(72)【発明者】
【氏名】芝山 聖史
【テーマコード(参考)】
2H148
3K107
4J002
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H148AA18
3K107AA01
3K107AA05
3K107DD53
3K107DD60
3K107DD68
3K107DD89
3K107DD96
3K107EE24
3K107EE28
3K107GG08
3K107GG11
4J002AA001
4J002AA021
4J002BG011
4J002FD090
4J002GQ00
4J002GQ05
(57)【要約】
本発明は、色変換デバイス(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部分(110)を含有する少なくともマトリックス材料(120)を含む少なくとも第1のピクセル(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを含む色変換デバイス(100)。
【請求項2】
マトリックス材料(120)が(メタ)アクリレートポリマーを含有する、請求項1に記載のデバイス(100)。
【請求項3】
該第1のピクセル(161)が、少なくとも1つのアクリレートモノマーを含有する第1の組成物を少なくとも1つの発光部分(110)と一緒に硬化させることにより得られるまたは得ることができる固体層である、請求項1または2に記載のデバイス(100)。
【請求項4】
該ポリマー材料が熱硬化性樹脂である、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項5】
該バンク(150)が界面活性剤をさらに含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項6】
該バンク(150)が非イオン性界面活性剤を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項7】
バンク(150)が糖類をさらに含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項8】
バンク(150)が着色料をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項9】
さらに第2のピクセル(162)を含有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項10】
少なくとも1つのピクセル(160)が、マトリックス材料(120)において、少なくとも1つの光散乱粒子(130)をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項11】
該第1のピクセル(161)が、励起光により照射されるとき、赤色を発光するように構成されている1のピクセルまたは2以上のサブピクセルからなる、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項12】
バンク(150)が該第1のピクセル(161)の面積を決定するように構成され、およびバンク(150)の少なくとも一部が第1のピクセル(161)の少なくとも一部に直接接触されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項13】
該バンク(150)がフォトリソグラフィでパターン化され、および該第1のピクセル(161)がバンク(150)によって囲まれている、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項14】
第1のピクセル(161)が、
i)以下の化学式(I)で表される少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー、および
ii)別の材料;
【化1】

式中
X1は、非置換または置換のアルキル基、アリール基またはアルコキシ基またはエステル基であり;
X2は、非置換または置換アルキル基、アリール基またはアルコキシ基またはエステル基であり;
R1は、水素原子、Cl、BrまたはFで表されるハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基であり;
R2は、水素原子、Cl、Br、またはFで表されるハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基であり;
好ましくは記号X1は、
【化2】

であり、
式中
nは、0または1であり;
好ましくは記号X2は、
【化3】

であり
式中
mは、0または1であり;
好ましくは少なくともmまたはnは1であり;
R3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアルキル基であり、好ましくはR3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
Rは、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアルキル基であり、好ましくはRは、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、Dまたは1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Raはここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもよい、
を含む第1の組成物から得られる、または得ることができる、または前記第1の組成物の硬化層である、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項15】
バンク(150)が
(I)アルカリ可溶性ポリマー、
(II)重合開始剤、および
(III)少なくとも2の(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する化学化合物
を少なくとも含む第2の組成物から得られる、または得ることができる、または前記第2の組成物の硬化層である、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項16】
少なくとも1つの色変換デバイス(100)、および光を変調するようにまたは光を放出するように構成されている機能的媒体(320、420、520)を含有する光学デバイス(300、400、500)。
【請求項17】
発光部分(110)を含有する少なくともマトリックス材料(120)を含む少なくとも第1のピクセル(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを含む色変換デバイス(100)を製造するための、少なくとも次の手順を好ましくはこの順序で含む方法:
Xi)支持媒体の表面に第2の組成物を提供すること
Xii)第2の組成物を硬化させること、
Xiii)硬化される前記組成物にフォトパターニングを適用し、バンクおよびパターン化されたピクセル領域を作製すること、
Xiv)好ましくはインクジェットによって、少なくとも1つのピクセル領域に第1の組成物を提供すること、
Xv)第1の組成物を硬化させ、好ましくは前記色変換デバイス(100)は、支持媒体(170)をさらに含有する。
【請求項18】
請求項17に記載の方法から得られるまたは得ることができる色変換デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、色変換デバイス、少なくとも1つの色変換デバイスを含む光学デバイス、色変換デバイスの作製方法、および色変換デバイスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
WO2017/054898A1には、赤色発光型ナノ結晶、湿潤および分散剤、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酸性基を包含するアクリル単位とシラン変性アクリル単位を含むアクリルポリマー混合物が記載される。
WO2019/002239A1には、半電導性発光ナノ粒子、および粘度ほぼ90cpを有する1.4シクロヘキサンジメタノール-モノアクリレートなどのポリマーおよび(メタ)アクリレートを含む組成物が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献
1.WO2017/054898A1
2.WO2019/002239A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の概要
しかしながら、発明者らは、以下に列挙されるとおり、改善が望まれる重要な問題の1以上が依然として存在することを新たに発見した。
バンクの改善された光学特性、バンクと発光部分を含有する組成物(例としてQDインク)との間の改善された適合性、発光部分を含有する組成物に対する改善された湿潤特性および化学的安定性、発光部分を含有する組成物をバンクに接触させる際のバンク構造の少ない分解、
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる分解は、QDインク配合物によるバンク構造の(部分的または完全な)溶解、バンク構造の剥離、および/またはバンクとQDインクとの混在であり得る。これは、バンク構造のウェルにQDインクを充填する際に分解が観察されないように、バンクの適切な耐薬品性を実現し、バンクの低硬化温度(例えば100℃)特性を実現し、高解像性および/または遮光性に優れたバンクを提供する、バンク構造の完全性の喪失および/または明確なピクセル構造の喪失につながる。有機現像液以外の低濃度アルカリ現像液でも現像されるように構成され、環境性にも優れ、組成物中の半導体発光ナノ粒子の改善された均一分散性、組成物中の散乱粒子の改善された均一分散性、好ましくは、半導体発光ナノ粒子と散乱粒子の両方の改善された均一分散性、より好ましくは、溶媒を使用しない半導体発光ナノ粒子および/または散乱粒子の改善された均一分散性をもつバンク組成物、インクジェットプリンティングに好適な低粘度の組成物、好ましくは、高充填の半導体発光ナノ粒子および/または散乱粒子のと混合されても、より低い粘度を維持できる、さらにより好ましくは無溶媒である組成物、大面積の均一プリンティングのためのより低い蒸気圧を有する組成物、組成物中の半導体発光ナノ粒子の改善されたQYおよび/またはEQE、プリンティング後の半導体発光ナノ粒子の改善されたQYおよび/またはEQE、熱安定性の向上、プリンティングノズルの目詰まりがなく、簡単にプリンティングできる、組成物の容易な取り扱い、改善されたプリンティング特性、簡単な作製プロセス、青色光の改善された吸収、インクジェットプリンティング後の組成物から作られた層の改善された固体性が提供される。
【0006】
本発明者らは、上述の問題の1つ以上を解決することを目的とした。
次いで、発光部分(110)を含有する少なくともマトリックス材料(120)を含む少なくとも第1のピクセル(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを含む新規な色変換デバイス(100)、好ましくは色変換デバイス(100)は支持媒体(170)をさらに含有する、が見出された。
別の側面において、本発明はまた、少なくとも1つの色変換デバイス(100)、および光を変調するようにまたは光を放出するように構成されている機能的媒体(320、420、520)を含有する光学デバイス(300、400、500)にも関する。
【0007】
別の側面において、本発明は、発光部分(110)を含有する少なくともマトリックス材料(120)を含む少なくとも第1のピクセル(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを含む色変換デバイス(100)を製造するための、少なくとも次の手順を好ましくはこの順序で含む方法に関する:
i)支持媒体の表面に第2の組成物を提供すること
ii)第2の組成物を硬化させること、
iii)硬化される前記組成物にフォトパターニングを適用し、バンクおよびパターン化されたピクセル領域を作製すること、
iv)好ましくはインクジェットによって、少なくとも1つのピクセル領域に第1の組成物を提供すること、
v)第1の組成物を硬化させ、好ましくは前記色変換デバイス(100)は、支持媒体(170)をさらに含有する。
別の側面において、本発明はさらに、本発明の方法から得られる、または得られる色変換デバイス(100)に関する。
別の側面において、本発明はさらに、請求項1から34および37のいずれか一項に記載の色変換デバイス(100)の、光を変調するように構成された、または光を放出するように構成された少なくとも1つの機能的媒体(320、420、520)を含む光学デバイス(300)における使用にも関する。
本発明のさらなる利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の説明
図1図1は、色変換フィルム(100)の一態様の概略の断面図を示す。
図2図2は、本発明の色変換フィルム(100)の別の態様の概略の上面図を示す。
図3図3は、本発明の光学デバイス(300)の一態様の概略の断面図を示す。
図4図4は、本発明の光学デバイス(300)の別の態様の概略の断面図を示す。
図5図5は、本発明の光学デバイス(300)の別の態様の概略の断面図を示す。
図6図6は、サンプル1および2の断面SEM分析の結果を示す。
図7図7は、サンプル1および2の断面SEM分析の結果を示す。
【0009】
図1の引用符号のリスト
100.色変換デバイス
110.発光部分
110R.発光部分(赤色)
110G.発光部分(緑色)
120.マトリックス材料
130.光散乱粒子(任意の)
140.着色剤(任意の)
140R.着色剤(赤色)(任意の)
140G.着色剤(緑色)(任意の)
140B.着色剤(青色)(任意の)
150.バンク
161.第1のピクセル
162.第2のピクセル
163.第3のピクセル
170.支持媒体(基体)(任意の)
【0010】
図2の引用符号のリスト
200.色変換フィルム
210R.ピクセル(赤色)
210G.ピクセル(緑色)
210B.ピクセル(青色)
220.バンク
【0011】
図3の引用符号のリスト
300.光学デバイス
100.色変換デバイス
110.発光部分
110R.発光部分(赤色)
110G.発光部分(緑色)
120.マトリックス材料
130.光散乱粒子(任意の)
140.着色剤(任意の)
140R.着色剤(赤色)(任意の)
140G.着色剤(緑色)(任意の)
140B.着色剤(青色)(任意の)
150.バンク
320.光モジュレーター
321.偏光子
322.電極
323.液晶層
330.光源
331.LED光源
332.導光板(任意の)
333.光源(330)からの光放射
【0012】
図4の引用符号のリスト
400.光学デバイス
100.色変換デバイス
110.発光部分
110R.発光部分(赤色)
110G.発光部分(緑色)
120.マトリックス材料
130.光散乱粒子(任意の)
140.着色剤(任意の)
140R.着色剤(赤色)(任意の)
140G.着色剤(緑色)(任意の)
140B.着色剤(青色)(任意の)
150.バンク
420.光モジュレーター
421.偏光子
422.電極
423.液晶層
430.光源
431.LED光源
432.導光板(任意の)
440.色フィルター
433.光源(330)からの光放射
【0013】
図5の引用符号のリスト
500.光学デバイス
100.色変換デバイス
110.発光部分
110R.発光部分(赤色)
110G.発光部分(緑色)
120.マトリックス材料
130.光散乱粒子(任意の)
140.着色剤(任意の)
140R.着色剤(赤色)(任意の)
140G.着色剤(緑色)(任意の)
140B.着色剤(青色)(任意の)
150.バンク
520.発光デバイス(例としてOLED)
521.TFT
522.電極(アノード)
523.基体
524.電極(カソード)
525.発光層(例としてOLED層(単数または複数))
526.発光デバイス(520)からの光放射
530.光学層(例として偏光子)(任意の)
540.色フィルター
【0014】
本発明の詳細な記載
本明細書において、記号、単位、略語、用語は、別様に特定されない限り以下の意味を有する。
【0015】
本明細書において、別様に断りのない限り、単数形は複数形を含み、「1つ」または「それ」は「少なくとも1つ」を意味する。本明細書において、別様に断りのない限り、概念の要素は複数種で表すことができ、量(例えば、質量%またはmol%)を記載する場合、複数種の合計を意味する。「および/または」は、すべての要素の組み合わせが含まれ、要素の単独使用も包含される。
本明細書において「まで」または「~」を用いて数値範囲を示すときは、両端点を包含し、単位は共通である。例えば、5~25mol%とは、5mol%以上25mol%以下を意味する。
【0016】
本明細書において、炭化水素は、炭素および水素を包含し、酸素または窒素を包含してもよいものを意味する。ヒドロカルビル基は、一価または二価以上の炭化水素を意味する。本明細書において、脂肪族炭化水素は、直鎖、分岐または環状の脂肪族炭化水素を意味し、脂肪族炭化水素基は、1価または2価以上の脂肪族炭化水素を意味する。芳香族炭化水素は、置換基として脂肪族炭化水素基を含むだけでなく、脂環が縮合していてもよい芳香環を含む炭化水素を意味する。芳香族炭化水素基は、1価または2価以上の芳香族炭化水素を意味する。また芳香環とは共役不飽和環構造を含む炭化水素を意味し、脂環は環構造を有し共役不飽和環構造を含まない炭化水素を意味する。
本明細書において、アルキルは、直鎖状または分岐状の飽和炭化水素から任意の水素を1つ除いた基を意味し、直鎖状アルキルおよび分岐状アルキルを包含し、およびシクロアルキルは、環状構造を含む飽和炭化水素から1個の水素を除いた基を意味し、環状構造中に側鎖として直鎖状または分岐状のアルキルを包含してもよい。
【0017】
本明細書において、アリールは、芳香族炭化水素から任意の水素を1つ除くことにより得られる基を意味する。アルキレンは、直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素から任意の水素2個を除くことにより得られる基を意味する。アリーレンは、芳香族炭化水素から任意の2個の水素を除くことにより得られる炭化水素基を意味する。
本明細書において、「Cx-y」、「Cx-Cy」、「Cx」等の表記は、分子または置換基中の炭素数を意味する。例えば、C1-6アルキルは、炭素数1~6のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)を意味する。また、本明細書においてフルオロアルキルとは、アルキルの水素の1個以上がフッ素に置き換えられたものをいい、フルオロアリールとはアリールの水素の1個以上がフッ素に置き換えられたものをいう。
【0018】
本明細書において、ポリマーが複数種の繰り返し単位を有する場合、これらの繰り返し単位は共重合する。これらの共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれか、またはこれらの混合物である。
本明細書において、「%」は質量%を表し、「比」は質量比を表す。
本明細書において、摂氏が温度単位として使用される。たとえば、20度は摂氏20度を意味する。
本発明に従って、一側面において、色変換デバイス(100)は、発光部分(110)を含有する少なくともマトリックス材料(120)を含む少なくとも第1のピクセル(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを含む、本質的にからなる、またはからなる。
-第1のピクセル(161)
本発明に従って、該第1のピクセル(161)は、発光部分(110)を含有するマトリックス材料(120)を含む。好ましい態様において、第1のピクセル(161)は、少なくとも1つのアクリレートモノマーを含有する第1の組成物を少なくとも1つの発光部分(110)と一緒に硬化させることにより得られるまたは得ることができる固体層であり、好ましくは該硬化は、光照射による光硬化、熱硬化、または光硬化と熱硬化の組み合わせである。
本発明のいくつかの態様において、ピクセル(161)の層厚さは、0.1~100μm、好ましくはそれは、1から50μmまで、より好ましくは5から25μmまでの範囲である。
【0019】
本発明のいくつかの態様において、色変換デバイス(100)は、第2のピクセル(162)をさらに含有し、好ましくは、デバイス(100)は、少なくとも前記第1のピクセル(161)、第2のピクセル(162)、および第3のピクセル(163)を含有し、より好ましくは、前記第1のピクセル(161)は赤色ピクセルであり、第2のピクセル(162)は緑色のピクセルであり、第3のピクセル(163)は青色のピクセルであり、さらにより好ましくは、第1のピクセル(161)は赤色発光部分(110R)を含有し、第2カラーピクセル(162)は緑色の発光部分(110G)を含有し、第3のピクセル(163)は発光部分を含有しない。
いくつかの態様において、少なくとも1つのピクセル(160)は、マトリックス材料(120)において少なくとも1つの光散乱粒子(130)をさらに含み、好ましくはピクセル(160)は複数の光散乱粒子(130)を含有する。
本発明のいくつかの態様において、前記第1のピクセル(161)は、励起光によって照射されると赤色を発光するように構成された1つのピクセルまたは2つ以上のサブピクセルからなり、より好ましくは、前記サブピクセルは同じ発光部分(110)を含有する。
【0020】
-マトリックス材料(120)
好ましい態様において、マトリックス材料(120)は、(メタ)アクリレートポリマーを含有し、好ましくは、メタクリレートポリマー、アクリレートポリマー、またはそれらの組み合わせであり、より好ましくは、それはアクリレートポリマーであり、さらにより好ましくは、前記マトリックス材料(120)は、少なくとも1つのアクリレートモノマーを含有し第1の組成物から得られる、または得ることができ、さらにより好ましくは、前記マトリックス材料(120)は、少なくとも1つのジアクリレートモノマーを含有する第1の組成物から得られるか、または得ることができ、特に好ましくは、前記マトリックス材料(120)は、少なくとも1つのジアクリレートモノマーおよびモノアクリレートモノマーを含む第1の組成物から得られるか、または得ることができ、好ましくは、前記組成物は感光性組成物である。
【0021】
-発光部分(110)
本発明の好ましい態様において、前記発光部分(110)は、有機および/または無機発光材料であり、好ましくは、有機色素、無機リン光体および/または量子材料などの半導体発光ナノ粒子である。
本発明のいくつかの態様において、発光部分(110)の総量は、第1のピクセル(161)の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、好ましくは10wt.%から70wt.%まで、より好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲である。
本発明に従い、用語「半導体」は、室温において導電体(銅などの)の電導度と絶縁体(ガラスなどの)の電導度の間の程度の電導度を有する材料を意味する。好ましくは、半導体はその電導度が温度に伴って増加する材料である。
用語「ナノサイズの」は、0.1nmと150nmとの間のサイズ、より好ましくは、3nm~50nmを意味する。
【0022】
このように、本発明に従い、「半導体発光ナノ粒子」は、室温で、導体(銅などの)のそれと絶縁体(ガラスなどの)のそれの間の程度までの導電率を有する、サイズが、1nm~150nm、より好ましくは、3nm~50nmである発光材料とみなされ、好ましくは、半導体は、その導電率が、温度とともに増加する材料であり、そのサイズは、0.1nmと150nmの間にあり、好ましくは、0.5nm~150nm、より好ましくは、1nm~50nmである。
本発明に従って、用語「サイズ」は、半導体ナノサイズ発光粒子の長軸の平均直径を意味する。
【0023】
TecnaiG2SpiritTwinT-12透過型電子顕微鏡によって作製されるTEM画像中の100個の半導体発光ナノ粒子に基づいて、半導体ナノサイズ発光粒子の平均直径は、算出される。
本発明の好ましい態様において、本発明の半導電性発光ナノ粒子は量子サイズの材料である。
【0024】
本発明に従い、用語「量子サイズの」は、たとえばISBN:978-3-662-44822-9に記載されているように、量子閉じ込め効果を示すことができる、配位子または別の表面修飾を含まない半導体材料自体のサイズを意味する。
【0025】
たとえば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgSe、HgTe、InAs、InP、InPZn、InPZnS、InPZnSe、InPZnSeS、InPZnGa、InPGaS、InPGaSe、InPGaSeS、InPZnGaSeSおよびInPGa、InCdP、InPCdS、InPCdSe、InSb、AlAs、AlP、AlSb、CuS、CuSe、CuInS2、CuInSe、Cu(ZnSn)S、Cu(InGa)S、TiO合金およびこれらのいずれかの組合せが使用されてもよい。
【0026】
本発明の好ましい態様において、第1半導体材料は、少なくとも1つの周期表の13族の1の元素および周期表の15族の1の元素を含み、好ましくは、該13族の元素が、Inであり、および該15族の元素が、Pであり、より好ましくは、該第1半導体材料が、InP、InPZn、InPZnS、InPZnSe、InPZnSeS、InPZnGa、InPGaS、InPGaSe、InPGaSeS、InPZnGaSeSおよびInPGaからなる群から選択される。
本発明に従い、半導体発光ナノ粒子のコアの形状タイプ、合成される半導体発光ナノ粒子の形状は特に限定されない。
【0027】
たとえば、球状、長尺状、星状、多面体状、ピラミッド状、テトラポッド状、四面体状、小板状、円錐状、不規則形状のコアおよび/または半導電性発光ナノ粒子は合成され得る。 本発明のいくつかの態様において、コアの平均直径は1.5nmから3.5nmまでの範囲にある。
【0028】
TecnaiG2SpiritTwinT-12透過型電子顕微鏡によって作製されるTEM画像の100個の半導体発光ナノ粒子に基づいて、コアの平均直径は、算出される。
【0029】
本発明のいくつかの態様において、シェル層は、少なくとも1つの周期表の12族の第1元素および周期表の16族の第2元素を含む、またはからなり、好ましくは、該第1元素は、Znであり、および、第2元素は、S、Se、またはTeであり、好ましくは、前記コアを直接覆う第1のシェル層は、周期表の第12族の第1の元素および周期表の第16族の第2の元素を含むか、またはからなり、好ましくは、第1の元素はZnであり、第2の元素はS、Se、またはTeである。
【0030】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1つのシェル層(第1のシェル層)は、以下の式(XI)によって表され、コアを直接覆うシェル層は、化学式(XI)で表されることが好ましく、
【0031】
式中0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1であり、好ましくは、0≦x≦1、0≦y≦1、z=0、およびx+y=1であり、好ましくは、該シェル層は、ZnSe、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTezである。
【0032】
いくつかの態様において、前記シェル層は、合金シェル層、または傾斜シェル層であり、好ましくは、前記傾斜シェル層は、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTez、より好ましくは、それはZnSxSeyである。
【0033】
本発明のいくつかの態様において、半導体発光ナノ粒子は、前記シェル層の上の第2のシェル層をさらに含み、好ましくは、第2のシェル層は、周期表の12族の第3の元素および周期表の16族の第4の元素を含み、またはそれらからなり、より好ましくは、第3の元素は、Znであり、および、第4の元素は、S、Se、またはTeであり、ただし、第4の元素および第2の元素は、同じではない。
【0034】
本発明の好ましい態様において、第2のシェル層は、以下の式(XI)によって表され、
【0035】
式(XI)中、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1であり、好ましくは、該シェル層は、ZnSe、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTezであり、ただし、該シェル層および第2のシェル層は、同じではない。
本発明のいくつかの態様において、前記第2のシェル層は、合金のシェル層であることができる。
本発明のいくつかの態様において、半導体発光ナノ粒子は、さらに第2のシェル層の上にマルチシェルとして1以上の追加のシェル層を含んでもよい。
本発明に従い、用語「マルチシェル」は、3以上のシェル層からなる積み重ねシェル層を表す。
【0036】
たとえば、CdSe/CdS、CdSeS/CdZnS、CdSeS/CdS/ZnS、ZnSe/CdS、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnS、InZnPS/ZnS、InZnPS/ZnSe、InZnPS/ZnSe/ZnS、ZnSe/CdS、ZnSe/ZnSまたはそれらのいずれかの組合せは使用されてもよい。
【0037】
好ましくは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnSである。
【0038】
かかる半導体発光ナノ粒子は、公的に入手可能であり(たとえばSigmaAldrichから)、および/または、たとえばUS7,588,828B、US8,679,543BおよびChem.Mater.2015,27,pp4893-4898中に記載されている方法によって合成されることができる。
本発明のいくつかの態様において、該組成物は、2以上の半導体発光ナノ粒子を含む。
本発明のいくつかの態様において、組成物は、複数個の半導体発光ナノ粒子を含む。
本発明のいくつかの態様において、半導体発光ナノ粒子の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%、好ましくは10wt.%から70wt.%、より好ましくは30wt.%から50wt.%の範囲である。
【0039】
-バンク(150)
本発明のいくつかの態様において、バンク(150)の高さは、0.1から100μm、好ましくは1から50μmまでであり、より好ましくは1から25μmまでであり、さらに好ましくは5から20μmまでの範囲である。
本発明の好ましい態様において、バンク(150)は、前記第1のピクセル(161)の面積を決定するように構成され、バンク(150)の少なくとも一部は、第1のピクセル(161)の少なくとも一部に直接接触し、好ましくは、バンク(150)の前記第2のポリマーは、第1のピクセル(161)の第1のポリマーの少なくとも一部に直接接触している。
より好ましくは、前記バンク(150)はフォトリソグラフィでパターン化され、前記第1のピクセル(161)はバンク(150)によって取り囲まれ、好ましくは、前記第1のピクセル(161)、第2のピクセル(162)、および第3のピクセル(163)はすべて、フォトリソグラフィでパターン化されたバンク(150)によって取り囲まれている。
【0040】
-バンクのポリマー材料
本発明の好ましい態様において、前記バンクのポリマー材料は熱硬化性樹脂であり、好ましくは感光性樹脂であり、より好ましくはアルカリ可溶性ポリマーを含有する熱硬化性および感光性樹脂であり、好ましくは、前記アルカリ可溶性ポリマーの重量平均分子量は、1,000から100,000まで、より好ましくは、1,200から80,000までの範囲であり、好ましくは、アルカリ可溶性ポリマーの固体酸価は、10から500mgKOH/gまで、より好ましくは、20から300mgKOH/gまでの範囲であり、好ましくは、前記アルカリ可溶性ポリマーは、(メタ)アクリレートポリマー、シロキサン(メタ)アクリレートポリマーから選択され、より好ましくは、メタクリレートポリマー、アクリレートポリマー、またはそれらの組み合わせであり、さらにより好ましくは、ポリマー材料はアクリレートポリマーであり、さらにより好ましくは、前記バンク(150)は、少なくとも1つのアルカリ可溶性ポリマーと、少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含む化合物とを含有する第2の組成物から得られるか、または得ることができ、特に好ましくは、前記バンク(150)は、少なくとも1つのアルカリ可溶性ポリマーと、少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する化合物と界面活性剤とを含む第2の組成物から得られるか、または得ることができ、好ましくは、前記組成物は感光性組成物であり、好ましくは、前記バンクは、組成物から得られる、または得ることができる硬化層であり、より好ましくは、前記バンクは、組成物から得られる、または得ることができる、フォトリソグラフィでパターン化された硬化層である。かかる材料については、公に入手可能なものが使用されてもよい。
【0041】
-バンクの界面活性剤
本発明に従って、好ましくは、前記バンク(150)は界面活性剤をさらに含有し、好ましくは、バンクの表面の少なくとも一部が前記界面活性剤によって覆われ、より好ましくはバンクの表面は疎水性であり、なおより好ましくはバンクの頂部の表面は撥油性であり、好ましくは、界面活性剤の総量は、バンク総量に基づき、0.001から5wt.%まで、より好ましくは0.01から4wt.%まで、さらにより好ましくは0.05から3wt.%まで、さらに好ましくは0.1から1wt.%までの範囲である。
【0042】
さらに好ましい態様において、バンク(150)は、非イオン性界面活性剤を含有し、好ましくは該非イオン性界面活性剤は、炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤、フッ素をベースとした非イオン性界面活性剤、有機ケイ素のベースの非イオン性界面活性剤またはこれらの組み合わせであり、より好ましくは該炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル;ポリオキシエチレン脂肪酸モノエステル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー;アセチレンアルコール;3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,5-ジ-メチル-3-ヘキシン-2,5-ジオールなどのアセチレングリコール、2,5-ジ-メチル-2,5-ヘキサンジオール;アセチレンアルコールのポリエトキシレート;アセチレングリコールのポリエトキシレートなどのアセチレングリコール誘導体;からなる群から選択される1以上のメンバーであり、好ましくはフッ素をベースとした非イオン性界面活性剤は、1以上のフッ素を含有する界面活性剤から選択され、好ましくは該炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤は、有機シロキサン界面活性剤から選択され、好ましくは界面活性剤は、フッ素をベースとした非イオン性界面活性剤である。かかる界面活性剤としては、公に入手可能な界面活性剤が使用されてもよい。
【0043】
-バンクにおける糖類
本発明の好ましい態様において、バンク(150)はさらに糖類を含有し、好ましくは、前記糖は、単糖、オリゴ糖、多糖、またはそれらの混合物から選択され、より好ましくはオリゴ糖であり、なおより好ましくは、前記糖は、2~10個の単糖の脱水縮合したオリゴ糖であり、および環状オリゴ糖(例えば、シクロデキストリン)もまた包含し、さらに好ましくは、それはシクロデキストリンまたは2分子の単糖を縮合することによって得られる二糖であり、さらにまた好ましくは糖類は1~6個の炭素原子を有するアルキレンオキサイドを有するオリゴ糖であり、より好ましくはそれは2~5個の炭素原子を有するアルキレンオキサイドを有し、およびさらに好ましくはそれはエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを有し、特に好ましくは、それはスクロース-アルキレンオキシド-ラウリン酸エステルであり、好ましくは、界面活性剤の総量は、ポリマー材料の全固形分に基づき、0.001~1wt.%、より好ましくは0.1~60wt.%、さらにより好ましくは1~40wt.%、さらに好ましくは10~30wt.%の範囲である。例えば、スクロースエチレンオキシド付加体が好ましくは使用されてもよい。これらの界面活性剤は、市販のものが使用されてもよい。
【0044】
-バンクにおける着色料
本発明の好ましい態様において、バンク(150)は着色料をさらに含み、好ましくは該着色料は、有機着色料および/または無機着色料であり、より好ましくはそれは有機黒色色素および/または無機黒色色素から選択される黒色着色料であり、好ましくは該黒色着色料は前記黒色着色料は、1.2以上の[波長365nmにおける光線透過率]/[波長500nmにおける光線透過率]で表される光線透過率比を有し、より好ましくは比は2.0以上であり、好ましくは前記黒色着色剤は、5.0以下の[波長365nmにおける光線透過率]/[波長500nmにおける光線透過率]で表される光線透過率比を有し、なおより好ましくはそれは1.2から5.0までさらに好ましくは2.0から4.0までの範囲であり、ただし、透過率は以下のステップで得られるフィルムを測定することにより得られる:黒色着色剤を樹脂全量に対して10質量%分散させた組成物をガラス基体上に塗布してフィルム厚10μmのフィルムを形成し、および次いで100℃で硬化させた後、得られたフィルムをUV-vis-NIR(HitachiHigh-TechnologiesCorporation)を用いて測定する、好ましくは、該無機黒色色素はジルコニウム窒化物であり、好ましくは該有機黒色色素は、2つ以上の有機着色色素の混合物であり、より好ましくは、混合によって黒色を示すように構成された赤、緑、青の有機着色色素の混合物であり、さらにより好ましくは、該有機黒色色素は、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンゾイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系およびペリレン系有機色素からなる群から選択される混合物であり、具体的に好ましくは該有機黒色色素は、C.I.PigmentOrange43,C.I.PigmentOrange64andC.I.PigmentOrange72,withC.I.PigmentBlue60,C.I.PigmentGreen7、C.I.PigmentGreen36andC.I.PigmentGreen58からなる群から選択されるものの混合物である。
好ましくは、該着色料の総量は、バンクのポリマー材料の総量に基づき、3から80wt.%まで、好ましくは5から50wt.%までである。
【0045】
-支持媒体(170)
本発明のいくつかの態様において、該支持媒体(170)は基体であり、より好ましくは透明基体である。
一般に、透明基体などの前記基体は、可撓性、半剛性、または剛性であってもよい。
光学デバイスのために好適な公知の透明基体が適宜使用されてもよい。
好ましくは、透明基体として、透明高分子基体、ガラス基体、透明高分子フィルム上に積層された薄いガラス基体、透明金属酸化物(例えば、オキシドシリコーン、オキシドアルミニウム、オキシドチタン)、透明金属酸化物をもつ高分子フィルム基体は使用されてもよい。さらにより好ましくは、それは透明ポリマー基体またはガラス基体である。
【0046】
透明ポリマー基体はポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニル塩化物、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール(vutyral)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、テトラフルオロエチレン-エル(er)フルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、ポリビニルフッ化物、テトラフルオロ(flyoro)エチレンエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロポリマーコポリマー、またはこれらの任意の組み合わせから作られてもよい。
用語「透明」は、光起電力デバイスにおいて使用される厚さ、および光起電力セルの動作中に使用される波長または波長範囲にて、入射光の透過率が少なくともほぼ60%であることを意味する。それは好ましくは70%超え、より好ましくは75%超え、最も好ましくは80%超えである。
【0047】
-第1の組成物
本発明に従って、いくつかの態様において、第1のピクセル(161)は、
i)以下の化学式(I)で表される少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー、および
ii)別の材料;
【化1】

式中
X1は、非置換または置換のアルキル基、アリール基またはアルコキシ基またはエステル基であり;
X2は、非置換または置換アルキル基、アリール基またはアルコキシ基またはエステル基であり;
R1は、水素原子、Cl、BrまたはFで表されるハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基であり;
R2は、水素原子、Cl、Br、またはFで表されるハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基であり;
好ましくは記号X1は、
【化2】

であり、
式中
nは、0または1であり;
好ましくは記号X2は、
【化3-1】

であり
式中
mは、0または1であり;
好ましくは少なくともmまたはnは1であり;
R3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアルキル基であり、好ましくはR3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
Rは、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアルキル基であり、好ましくはRは、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、Dまたは1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Raはここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもよい、
を含む第1の組成物から得られる、または得ることができる、または前記第1の組成物の硬化層である。
本発明の好ましい態様において、組成物の粘度は、室温で35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、さらにより好ましくは2から25cPまでの範囲である。
本発明において、前記粘度は、振動式粘度計VM-10A(SEKONIC)により室温で測定することができる。
https://www.sekonic.co.jp/product/viscometer/vm/vm_series.html
【0048】
-マトリックス材料としての化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマー
低粘度組成物をインクジェットプリンティングに好適なものにするためには、低粘度が重要であると考えられる。したがって、上記パラメータ範囲内の粘度値を有する(メタ)アクリレートモノマーは、インクジェットプリンティング用組成物を作製するのに特に適している。これらの(メタ)アクリレートモノマーを組成物に使用することにより、高充填の半導体発光ナノ粒子などの別の材料と混合した場合、組成物はインクジェットプリンティングに好適な範囲内でより低い粘度を維持することができる。
本発明の好ましい態様において、大面積均一インクジェットプリンティングのために、化学式(I)で表される該(メタ)アクリレートモノマーの沸点(B.P.)は250℃以上であり、好ましくは250℃から350℃まで、なおより好ましくは280℃から350℃まで、さらに好ましくは300℃から348℃までの範囲である。
【0049】
前記高沸点は、大面積均一プリンティングのために、好ましくは0.001mmHg未満のより低い蒸気圧を有する組成物を作るためにも重要であると考えられ、たとえ高充填の半導体発光ナノ粒子などの高充填の別の材料と混合されたとしても、大面積均一インクジェットプリンティングに好適な組成物を作るためには、25℃で25cP以下の粘度値および少なくとも250℃以上、好ましくは250℃から350℃、より好ましくは、300℃から348℃の範囲である沸点を有する式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーを使用することが好ましい。
【0050】
本発明に従って、該B.PはScienceofPetroleum,Vol.II.p.1281(1398),https://www.sigmaaldrich.com/chemistry/solvents/learning-center/nomograph.htmlにおいて記載されるなどの知られる方法により推定されてもよい。
本発明に従って、化学式(I)で表される公知のアクリレートおよび/またはメタクリレートのいずれも好適に使用されてもよい。
特に第1の側面においては、化学式(I)で表される25℃における粘度値が25cP以下である任意のタイプの公に入手可能なアクリレートおよび/またはメタクリレートは使用されてもよい。
さらにより好ましくは、式(I)のR3および式(I)のR4は各々、互いに独立して、以下の基から選択され、ここで基はRaで置換されてもよく好ましくはそれらはRaで非置換である。
【化3-2】

【化3-3】
【0051】
具体的に好ましくは、式(I)の該R3およびR4は、出現毎に、独立してまたは異なって、以下の基から選択される。
【化3-4】

【化3-5】

ここで「*」はR3の場合、式中への酸素原子との結合点またはX2への結合点を表し、およびここで「*」はR4の場合、式中への酸素原子との結合点またはXへの結合点を表す。
さらに好ましくは、前記式(I)は、NDDA(BP:342℃)、HDDMA(BP:307)またはDPGDA(BP:314℃)である。
【化4】
【0052】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、次の化学式(II)
【化5】

によって表される別の(メタ)アクリレートモノマーをさらに含み、
X3は、非置換または置換アルキル基、アリール基またはアルコキシ基であり、
好ましくは記号X3は、
【化6】

であり、
ここで
lは、0または1であり;
R5は、水素原子、Cl、Br、またはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基であり;
R6は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖でり好ましくはR6は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、1以上の非隣接するCH2基はRaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、および1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
R7は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖でり好ましくはR7は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、1以上の非隣接するCH2基はRaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、および1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、Dまたは1~20個の炭素原子を有するアルキル基3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、ここで2以上の隣接する置換基Raは相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系してもまたよい。
【0053】
-化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマー
下記化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーよりもはるかに低い粘度値を示すと考えられる。したがって、化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーを化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーと組み合わせて使用することにより、滑らかなインクジェットプリンティングに望ましいより粘度の低い組成物を、好ましくは外部量子効率(EQE)の値を下げずに実現することができる。
前記組み合わせは、高充填半導体発光ナノ粒子など、多量の別の材料を含む低粘度組成物を実現できると考えられる。したがって、組成物が別の材料を含むとき、インクジェットプリンティングに特に好適である。
本発明の好ましい態様において、前記化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーの沸点(B.P.)は250℃以上であり、好ましくは、化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーは250℃以上であり、より好ましくは、250℃から350℃の範囲であり、なおより好ましくは280℃から350℃まで、大面積均一インクジェットプリンティングのためには、さらに好ましくは300℃から348℃である。
【0054】
本発明のさらに好ましい態様において、前記化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーの沸点(B.P.)および/または前記化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーの沸点(B.P.)が250℃以上であり、好ましくは、化学式(I)および化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、両方とも250℃以上であり、より好ましくは、250℃から350℃の範囲であり、なおより好ましくは280℃から350℃まで、大面積均一インクジェットプリンティングのためにはさらに好ましくは300℃から348℃までである。
【0055】
さらに好ましくは、式(II)の前記Rは、それぞれの場合において、独立してまたは異なって、以下の基から選択され、これらの基はRで置換されていてもよく、好ましくはRで置換されていない。
【化7】

式中、「*」は、lが1の場合、XのRとの結合点を表し、nが0の場合、式(II)のXの酸素原子との結合点を表す。
さらに好ましくは、前記式(II)は、メタクリル酸ラウリル(LM、粘度6cP、BP:142℃)またはアクリル酸ラウリル(LA、粘度:4.0cP、BP:313.2℃)である。
本発明の好ましい態様において、化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、組成物中にあり、および化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーと化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーとの混合比は、1:99~99:1の範囲(式(I):式(II))、好ましくは5:95から50:50まで、より好ましくは10:90から40:60まで、さらにより好ましくは、15:85から35:65までであり、好ましくは、少なくとも化学式(I)、(II)で表される精製(メタ)アクリレートモノマーが組成物に使用され、より好ましくは、化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーおよび化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、両方とも精製法によって得られるか、または得ることができる。
【0056】
化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーの総量に対する化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーの量が多いほど、組成物のEQEが改善されると考えられ、化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマー全量に対する化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーの混合重量比は、組成物の粘度、組成物の良好なインクジェット特性の観点から50wt.%未満であることが好ましい。好ましくは、シリカカラムを用いて精製された(メタ)アクリレートモノマーが使用される。
【0057】
シリカカラム精製による(メタ)アクリレートモノマーからの不純物除去により、組成物中の半導体発光ナノ粒子のQYが改善されると考えられる。
本発明のいくつかの態様において、組成物は以下の化学式(III)で表される(メタ)アクリレートモノマーをさらに含み、
【化8-1】

ここでR9は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基または化学式(IV)で表される(メタ)アクリル基であり、
【化8-2】

R6は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基または化学式(V)で表される(メタ)アクリル基であり、
【化9】
R7は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基または化学式(VI)で表される(メタ)アクリル基であり、
【化10】
ここでR8a、R8bおよびR8cは、各々独立してまたは互いに独立して出現毎に、HまたはCH3であり;
ここでR9、R10およびR11の少なくとも1つは、(メタ)アクリル基であり、好ましくはR9、R10およびR11の2つは(メタ)アクリル基でありおよび他の1つは、水素原子または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基であり、好ましくは、式(III)で表される(メタ)アクリレートモノマーの導電率(S/cm)は1.0*10-10以下であり、好ましくはそれは5.0*10-11以下、より好ましくはそれは5.0*10-11から1.0*10-15まで、なおより好ましくはそれは5.0*10-12から1.0*10-15までの範囲である。
【0058】
化学式(III)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、インクジェットプリンティング後に組成物から作製される層の固体性を改善するために有用であると考えられる。
本発明に従って、下記化学式(III)で表される公知の(メタ)アクリレートモノマーを使用して、インクジェットプリンティングおよび架橋後の層の固体性を改善させることができる。
極めて好ましくは、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)が化学式(III)で表される(メタ)アクリレートモノマーとして使用される。
本発明の好ましい態様において、組成物中の(メタ)アクリレートモノマーの総量に基づく化学式(III)で表される(メタ)アクリレートモノマーの量は、0.001wt.%から25wt.%の範囲、より好ましくは0.1wt.%から15wt.%までの範囲、さらにより好ましくは1wt.%から10wt.%まで、さらにより好ましくは3から7wt.%までの範囲である。
【0059】
好ましくは、シリカカラムを用いて精製された(メタ)アクリレートモノマーが使用される。
シリカカラム精製による(メタ)アクリレートモノマーからの不純物除去により、組成物中の半導体発光ナノ粒子のQYが改善されると考えられる。
本発明に従って、好ましい態様において、組成物の粘度は、室温で35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、さらにより好ましくは2から25cPまでの範囲である。
【0060】
本発明の好ましい態様において、組成物は、組成物の総量に基づいて10wt.%以下の溶媒を含み、より好ましくはそれは5wt.%以下であり、より好ましくはそれは無溶媒組成物であり、好ましくは組成物は、以下の、エチレングリコールモノアルキルエーテル、たとえばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、たとえばジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテル;プロピレングリコールモノアルキルエーテル、たとえばプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテル;エチレングリコールアルキルエーテルアセタート、たとえばメチルセロソルブアセタート、およびエチルセロソルブアセタート;プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、たとえばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタート;ケトン、たとえばメチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノン;アルコール、たとえばエタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、およびグリセリン;エステル、たとえばエチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナート、および乳酸エチル;および環式エステル、たとえばガンマ-ブチロ-ラクトン;塩素化炭化水素、たとえばクロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、例えば1,3,5-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、ドセシル(docecyl)ベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、3-メチルビフェニル、4-メチルビフェニル、およびジクロロベンゼンからなる群の1以上の要素から選択される少なくとも1以上の溶媒のいずれのものも含まない。
【0061】
組成物における10wt%未満の溶媒は、改善されたインクジェットにつながり、および溶媒の蒸発後に同じピクセル上に2回以上のインクジェットを避けることができると考えられる。
【0062】
本発明に従って、好ましくは組成物は、
iii)第1の半導体ナノ粒子、および任意に第1の半導体ナノ粒子の少なくとも一部を覆う1つ以上のシェル層を含む少なくとも1つの半導体発光ナノ粒子、好ましくは、前記ナノ粒子はリガンドを含み、より好ましくは、前記ナノ粒子は、炭素原子2~25個、好ましくは6~15個(C12、C8など)を有するアルキル型配位子を含み;
iv)別の(メタ)アクリレートモノマー;
v)散乱粒子、および
vi)光学的に透明ポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤および/または界面活性剤、
からなる群の1以上のメンバーから選択される別の材料をさらに含む。
本発明のいくつかの態様において、好ましくは本発明の組成物は、
v)散乱粒子および
vii)前記ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散させることを可能にするように構成された少なくとも1つのポリマーを含み、
ここでポリマーは、少なくともホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級のアミン、カルボキシル基、ヘテロ環状基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくはポリマーは、三級のアミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む。
【0063】
本発明に従って、前記ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散させることを可能にするように構成されたポリマーは、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級のアミン、カルボキシル基、ヘテロ環状基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせを含む少なくとも繰り返し単位Aを含み、好ましくは繰り返し単位Aは、三級のアミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む。
【0064】
本発明のいくつかの態様において、繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bは、繰り返し構成単位である。
さらにより好ましくは、繰り返し単位Aは、以下の化学式(VII)によって表される三級アミンを含み、
【化11】

式中R12は、1~30個の炭素原子を有する直鎖であるか分枝のアルキル基、または1~30個の炭素原子を有するアリール基であり;R13は、水素原子、1~30個の炭素原子を有する直鎖であるか分枝のアルキル基、または1~30個の炭素原子を有するアリール基であり;R12およびR13は、互いに同じであるか、異なってもよく;R14は、単結合、1~30個の炭素原子を有する直鎖であるか分枝のアルキレン基、1~30個の炭素原子を有するアルケニレン基、1~30個の炭素原子を有する(ポリ)オキサアルキレン基である。
なおより好ましくは、R12は、1~30個の炭素原子を有する直鎖であるか分枝のアルキル基であり;R13は、1~30個の炭素原子を有する直鎖であるか分枝のアルキル基であり;R12およびR13は、互いに同じであるか、異なってもよい。
【0065】
さらにまた好ましくは、R12は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、またはn-ブチル基であり;R13は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、またはn-ブチル基である。
本発明に従い、好ましい態様において、繰り返し単位Aは、塩を含有しない。
本発明の好ましい態様において、ポリマーは、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、交互コポリマー、およびランダムコポリマーからなる群から選択されるコポリマーであり、好ましくは、前記コポリマーは、繰り返し単位A、および、ホスフィン基、ホスフィン、オキシド基、リン酸基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、およびそれらの組み合わせのいずれも包含しない繰り返し単位Bを含み、より好ましくは、該コポリマーは、以下の化学式(VIII)または(IX)によって表されるブロックコポリマーであり、
【化12】

【化13】

式中記号「A」は、繰り返し単位Aを表し;記号「B」は、繰り返し単位Bを意味するととられ;記号「n」、「m」および「o」は、それぞれの出現において、互いに独立して、または、従属して、整数1~100、好ましくは、5~75、より好ましくは、7~50であり;さらにより好ましくは、繰り返し単位Bは、(ポリ)エチレン、(ポリ)フェニレン、ポリジビニルベンゼン、(ポリ)エーテル、(ポリ)エステル、(ポリ)アミド、(ポリ)ウレタン、(ポリ)カルボナート、ポリ乳酸、(ポリ)ビニルエステル、(ポリ)ビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース、およびそれらのいずれかの誘導体からなる群から選択されるポリマー鎖を含む。
本発明の好ましい態様において、繰り返し単位Bのポリマー鎖は、ポリエチレングリコールである。
【0066】
より好ましくは、繰り返し単位Bは、以下の化学式(X)によって表される化学構造を含み、
【化14】

化学式(X)中、R15は、水素原子またはメチル基であり;R16は、1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり;および、nは、整数1~5であり、さらに、「」は、別のポリマー繰り返し単位またはポリマーの末端へ接続する位置を表す。
なおより好ましくは、R15は、水素原子またはメチル基であってもよく、R16は、エチル基であってもよく、および、nは整数1~5である。
本発明のいくつかの態様において、半導体発光ナノ粒子のコアの表面または1以上のシェル層の最外部表面は、部分的に、または、完全に、ポリマーによってコートされることができる。たとえば、ThomasNann,Chem.Commun.,2005,1735-1736,DOI:10.1039/b-414807jに記載の配位子交換方法を用いて、ポリマーは、半導体発光ナノ粒子のコアの表面またはコアの最外部表面上へ導入されてもよい。
本発明に従い、いくつかの態様において、前記ポリマーの内容物は、半導体発光ナノ粒子の総重量に対して、1%~500wt.%の範囲に、より好ましくは、20%~350wt.%の範囲に、さらにより好ましくは、50%~200wt.%の範囲にある。
【0067】
本発明の好ましい態様において、ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、200g/mol~30,000g/molの範囲に、好ましくは、250g/mol~2,000g/molの範囲に、より好ましくは、400g/mol~1,000g/molの範囲にある。
分子量Mwは、内部ポリスチレン標準に対するGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)によって決定される。
【0068】
ポリマーとしては、非極性のおよび/または低極性の有機溶媒中に溶解されることができる商業的に入手可能な湿潤および分散添加剤が、好ましくは、使用されることができる。BYK-111,BYK-LPN6919,BYK-103,BYK-P104,BYK-163(BYKcom.からの[商標]),TERPLUSMD1000series,suchasMD1000,MD1100(OtsukaChemicalからの[商標]),ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアミン(SigmaAldrichからの[商標]、Sigma-Ald767565),ポリエステルビス-MPAデンドロン,32ヒドロキシル,1チオール,(SigmaAldrichからの[商標]Sigma-Ald767115),LIPONOLDA-T/25(LionSpecialtyChemicalsCo.から),カルボキシメチルセルロース(Polyscienceその他から),たとえば「MarcThiryet.al.,ACSNANO,AmericanChemicalsociety,Vol.5,No.6,pp4965-4973,2011」、「KimihiroSusumu,et.al.,J.Am.Chem.Soc.2011,133,pp9480-9496」に開示された別の湿潤および分散添加剤等。
よって、本発明のいくつかの態様において、組成物は、少なくとも化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマー、化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマー、および前記ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散させることを可能にするように構成されたポリマーを含み、ここで、化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマー:ポリマーの混合比は、10:89:1から50:40:10まで、好ましくは、15:82:3から30:60:10までである。
【0069】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、本発明の組成物の(メタ)アクリレートモノマーから誘導された、または誘導可能なポリマーを少なくとも含む、本質的にそれらからなる、またはそれらからなる。
本発明の好ましい態様において、前記ポリマーは、組成物中のすべての(メタ)アクリレートモノマー、例えば、少なくとも化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーおよび/または化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーから誘導されるか、または誘導可能である。
-配位子
本発明のいくつかの態様において、任意に、半導体発光ナノ粒子は、配位子によって上に直接コートされることができ、または、半導体発光ナノ粒子の無機部分の外側のほとんどの表面は、追加の配位子によって直接コートされることができ、そして、該追加の配位子は、ポリマーによってさらにコートされる。
【0070】
追加の配位子として、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、およびトリブチルホスフィン(TBP)などのホスフィンおよびホスフィンオキシド;ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、およびヘキシルホスホン酸(HPA)などのホスホン酸;オレイルアミン、ドデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)、およびオクタデシルアミン(ODA)、オレイルアミン(OLA)などのアミン、1-オクタデセン(ODE)、ヘキサデカンチオールおよびヘキサンチオールなどのチオール;メルカプトプロピオン酸およびメルカプトウンデカン酸などのメルカプトカルボン酸;オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などのカルボン酸;酢酸、ポリエチレンイミン(PEI)、一官能性PEGチオール(mPEG-チオール)またはmPEGチオールの誘導体およびそれらのいずれかの組み合わせが使用されてもよい。
たとえば、かかる配位子の例は、出願公開国際特許出願番号WO2012/059931Aに記載されている。
【0071】
v)散乱粒子
本発明において、散乱粒子としては、SiO2、SnO2、CuO、CoO、Al2O3、TiO2、Fe2O3、Y2O3、ZnO、ZnS、MgO等の公知の無機酸化物微粒子;重合ポリスチレン、重合PMMAなどの有機粒子;中空シリカまたはこれらのいずれかの組み合わせなどの無機中空酸化物は好適に使用されてもよい。
本発明のいくつかの態様において、組成物は、
iii)第1の半導体ナノ粒子を含む少なくとも1つの半導体発光ナノ粒子、場合により第1の半導体ナノ粒子の少なくとも一部を覆う1つ以上のシェル層、好ましくは、組成物は23%以上、好ましくは24%以上95%未満のEQE値を有する。
本発明に従い、用語「透明な」は、少なくとも約60%の入射光が光学媒体に使用される厚さおよび光学媒体の動作中に使用される波長または波長範囲で透過することを意味する。それは、好ましくは、70%超、より好ましくは、75%超、最も好ましくは、それは80%超である。
本発明に従い、用語「ポリマー」は、繰り返し単位を有し、かつ1000g/mol以上の重量平均分子量(Mw)を有する材料を意味する。
分子量Mwは、内部ポリスチレン標準に対するGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)によって決定される。
本発明のいくつかの態様において、透明なポリマーのガラス転移温度(Tg)は、70℃以上および250℃以下である。
【0072】
Tgは、http://pslc.ws/macrog/dsc.htm;RickeyJSeyler,AssignmentoftheGlassTransition,ASTMpublicationcodenumber (PCN)04-012490-50に記載の示差走査熱量測定で観察される熱容量の変化に基づいて測定される。
たとえば、透明マトリクス材料用の透明ポリマーとして、ポリ(メタ)アクリレート、エポキシ、ポリウレタン、ポリシロキサンが好ましくは使用されてもよい。
【0073】
本発明の好ましい態様において、透明マトリクス材料としてのポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000から300,000g/molの範囲内であり、より好ましくは、それは10,000から250,000g/molである。
本発明においては、WO2016/134820Aに記載されているなどの公知の酸化防止剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤および/または界面活性剤が好ましくは使用されてもよい。
【0074】
-QY算出
組成物の量子収率(QY)測定は、AbsolutePL量子収率分光計C9920-02(Hamamatsu Photonics K.K.)を使用して行われ、次の式が使用される。
量子収率(QY)=サンプルから放出された光子数/サンプルの吸収された光子数。
半導体発光ナノ粒子を含む光学媒体、例えば光学フィルムを含む量子サイズ材料からのアウトカップリング効率を高めるために、散乱粒子をフィルムおよび/または隣接するフィルムに組み込む、中空シリカ粒子を組み込むことによってフィルムの屈折率を下げる、適切な形状の構造を配置するなど(cf.ProceedingsofSPIE,P.184,5519-33,2004)いくつかの方法が提案されている。その中でも、構造化フィルムを量子材料含有フィルムの上に配置することは、ローカルディミング技術を適用して高ダイナミックレンジを実現する大型TVアプリケーションに最適である。散乱粒子は、散乱光が色にじみを引き起こし、中空シリカ粒子の体積が限られているため、フィルムの屈折率を実用的なレベルに十分に下げることが難しいため、調光技術に有害である。屈折率を下げることと構造化フィルムを配置することの組み合わせも適用できる。
【0075】
-バンク組成物(第2の組成物)
バンク(150)は、少なくとも
(I)アルカリ可溶性ポリマー、
(II)重合開始剤、および
(III)少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する化合物、
を含む第2の組成物から得られるか、または得ることがであるか、またはの硬化層であり、好ましくは前記組成物は感光性組成物であり、好ましくは前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基は2つ以上のアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、またはこれらの組み合わせであり、好ましくは、アルカリ可溶性ポリマーの総量に基づく前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含む化合物の総量は、5wt.%から1,000wt.%、より好ましくは10wt.%から500wt.%の範囲である。さらに好ましくは、樹脂との適合性の観点から、15wt.%~300wt.%である。好ましくは、前記化合物は、分子量2000以下、より好ましくは2000~50の範囲を有するモノマーであり、さらに好ましくは1000~100である。反応性の観点から、アルカリ可溶性ポリマーよりも相対的に小さいことが好ましい。
【0076】
ここで、「(メタ)アクリロイルオキシ基」は、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基の総称である。この化合物は、アルカリ可溶性ポリマーと反応して架橋構造を形成できる化合物である。ここで、架橋構造を形成するためには、反応性基であるアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を2つ以上含む化合物が必要であり、より高次の架橋構造を形成するためには、3つ以上のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を含むことが好ましい。
また、(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用されてもよい。
【0077】
好ましくは少なくとも2の(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する該化学化合物は、少なくとも3つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリアクリレートモノマーであり、より好ましくはそれは、3つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリアクリレートモノマー、4つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリアクリレートモノマー、5つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリアクリレートモノマー、6つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリアクリレートモノマーからなる群1以上のメンバーから選択されるポリアクリレートモノマーであり、なおより好ましくはそれは5つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリアクリレートモノマー、6つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリアクリレートモノマーまたはその混合物であり、
【0078】
好ましくは、3つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記ポリアクリレートモノマーは、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートからなる群の1つ以上のメンバーから選択され;
【0079】
好ましくは、4つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記ポリアクリレートモノマーは、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリトリトールエトキシテトラアクリレートからなる群の1つ以上のメンバーから選択され、
【0080】
好ましくは、5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記ポリアクリレートモノマーは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであり、好ましくは、6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記ポリアクリレートモノマーは、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートであり、最も好ましくは、前記化合物は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、またはそれらの混合物である。
【0081】
-アルカリ可溶性ポリマー
本発明に従う組成物は、アルカリ可溶性ポリマーを含む。
本発明に使用されるアルカリ可溶性ポリマーは、アクリロイル基を有することが好ましい。また、本発明において使用されるアルカリ可溶性ポリマーは、特に限定されないが、主骨格にシロキサン結合を含むポリシロキサン、(メタ)アクリレートポリマーから選ばれることが好ましい。これらの中でも、メタクリレート系ポリマー、アクリレート系ポリマー、またはこれらの組み合わせを用いることがより好ましく、アクリレート系ポリマーであることがさらに好ましい。
本発明において使用されるアルカリ可溶性ポリマーは、カルボキシル基を有していてもよい。カルボキシル基を有することにより、アルカリ可溶性ポリマーの低濃度現像液に対する溶解性を向上させることができる。
本発明に従って、用語「アルカリ可溶性ポリマー」は、23.0±0.1℃にて2.38%TMAH水溶液に可溶なポリマーを意味する。
【0082】
-(メタ)アクリレートポリマー
本明細書において(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの総称である。
本発明において、低濃度の現像液を使用する場合および/または低い硬化温度を適用する場合には、(メタ)アクリレートポリマーを1種または2種以上使用することが好ましい。
本発明において使用されるアルカリ可溶性ポリマーは、一般的に使用されるメタクリレートポリマー、アクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせから選択されてもよく、より好ましくは例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレートなどアクリルポリマーである。本発明において使用されるアクリル系ポリマーは、アクリロイル基を含有する繰り返し単位を含むことが好ましく、さらにカルボキシル基を含有する繰り返し単位および/またはアルコキシシリル基を含有する繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0083】
カルボキシル基を含有する繰り返し単位は、側鎖にカルボキシル基を含有する繰り返し単位であれば特に限定されないが、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはこれらの混合物に由来する繰り返し単位が好ましい。
アルコキシシリル基を有する繰り返し単位は、側鎖にアルコキシシリル基を有する繰り返し単位であってもよいが、下記式(B)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位であることが好ましい。
XB-(CH2)a-Si(ORB)b(CH3)3-b (B)
ここでXはビニル基、スチリル基または(メタ)アクリロイルオキシ基であり、Rはメチル基またはエチル基であり、aは0~3の整数であり、bは1~3の整数である。
【0084】
さらに、上記重合体は、水酸基含有不飽和単量体に由来する水酸基を含有する繰り返し単位を含有することが好ましい。
本発明に従うアルカリ可溶性高分子の質量平均分子量は特に限定されないが、好ましくは1,000から100,000まで、より好ましくは1,200から80,000まで、さらに好ましくは1,000から40,000まで、さらに好ましくは2,000から30,000までである。ここで、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の質量平均分子量である。また、酸基の数に関しては、低濃度アルカリ現像液での現像が可能で反応性と保存安定性を両立させる観点から、アルカリ可溶性ポリマーの固体酸価は、10から500mgKOH/gまでの範囲であることが好ましく、より好ましくはそれは20から300mgKOH/gまで、さらに好ましくは40から190mgKOH/gまで、さらに好ましくは60から150mgKOH/gまでである。例えば、2-プロペン酸、2-メチル-、2-ヒドロキシエチル2-メチル-2-プロペン酸、2-イソシアナトエチル2-プロペン酸およびメチル2-メチル-2-プロペン酸をもつポリマー(C6H10O3.C6H7NO3.C5H8O2.C4H6O2)x(CAS Registry Number 1615232-03-05)は好ましくは使用される。
【0085】
-ポリシロキサン
アルカリ可溶性ポリマーは、主骨格としてシロキサン(Si-O-Si)結合を含むことが好ましい。本発明では、主骨格としてシロキサン結合を含むポリマーをポリシロキサンと呼ぶ。ポリシロキサンの骨格構造は、ケイ素原子に結合している酸素原子の数によって次のように分類できる。シリコン骨格(シリコン原子に結合する酸素原子の数は2)、シルセスキオキサン骨格(ケイ素原子に結合する酸素原子の数は3)、シリカ骨格(ケイ素原子に結合する酸素原子の数は4)。本発明において、これらのいずれも使用されてもよい。ポリシロキサン分子は、これらの骨格構造の複数の組み合わせを含有してもよい。本発明において使用されるポリシロキサンは、シルセスキオキサン骨格を含有することが好ましい。
【0086】
ポリシロキサンは、一般にシラノール基またはアルコキシシリル基を有する。シラノール基、アルコキシシリル基は、シロキサン骨格を形成するケイ素に直接結合した水酸基、アルコキシ基を意味する。ここで、シラノール基及びアルコキシシリル基は、組成物を用いて硬化フィルムを形成する際の硬化反応を促進する作用の他、後述するケイ素含有化合物との反応にも寄与すると考えられる。このため、ポリシロキサンはこれらの基を有することが好ましい。かかるポリシロキサン及び/または(メタ)アクリレートポリマーは、公に入手可能なものは好ましくは使用されてもよい。または、WO2021/018972A1に開示されているようなポリシロキサンおよび/または(メタ)アシレートポリマーは好ましくは使用されてもよい。
いくつかの態様において、ポリシロキサンとアクリルポリマーの混合物はアルカリ可溶性ポリマーとして使用されてもよい。
【0087】
さらに、本発明の組成物を基体上に塗布し、像様曝露し、現像することにより硬化フィルムが形成される。このとき、曝露部と未曝露部とで溶解度に差が生じる必要があり、未曝露部のコーティングフィルムは現像液に対して一定以上の溶解性を有している必要がある。例えば、プリベーク(prebaked)後のコーティングフィルムの2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(以下、TMAHと略称することがある)水溶液(以下、アルカリ溶解速度またはADRという場合がある。詳細は後述)への溶解速度が50Å/秒以上であれば、曝露、現像によりパターンを形成できると考えられる。しかしながら、形成する硬化フィルムのフィルム厚や現像条件によって必要とされる溶解性が異なるため、現像条件に応じてアルカリ可溶性ポリマーを適宜選択する必要がある。組成物に含有される光増感用剤またはシラノール触媒の種類や添加量にもよるが、例えばフィルム厚が0.1~100μm(1,000~1,000,000Å)である場合、2.38%TMAH水溶液に対する溶解速度は、好ましくは50~20,000Å/秒、より好ましくは100~10,000Å/秒である。
【0088】
[アルカリ溶解速度(ADR)の測定と算出方法]
アルカリ溶液としてTMAH水溶液を用い、アルカリ可溶性ポリマーのアルカリ溶解速度を測定し、以下のように算出する。
アルカリ可溶性ポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAという)で35質量%に希釈し、スターラーで室温で1時間攪拌しながら溶解した。温度23.0±0.5℃、湿度50±5.0%のクリーンルーム内で、ピペットを用いて、厚さ525μmの4インチシリコンウェーハの中央部に、調製したアルカリ可溶性高分子溶液1ccを滴下し、スピンコートにより厚さ2±0.1μmのフィルムを作製し、次いで、フィルムをホットプレート上で100℃で90秒間加熱して溶媒を除去する。塗布フィルムのフィルム厚は、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製)で測定する。
【0089】
次に、23.0±0.1℃に調整した所定濃度のTMAH水溶液100mlを入れた直径6インチのガラス製シャーレに、このフィルムを有するシリコンウエハーを静かに浸し、次いで放置し、コーティングフィルムが消失するまでの時間が測定される。溶解速度は、ウエハエッジから内側10mmの領域のフィルムが消失するまでの時間で割ることにより決定される。
溶解速度が著しく遅い場合において、ウエハをTMAH水溶液に一定時間浸漬後、200℃のホットプレート上で5分間加熱し、溶解速度測定中にフィルムに取り込まれた水分を除去する。その後、フィルム厚を測定し、浸漬前後のフィルム厚変化量を浸漬時間で除して溶解速度を算出する。上記測定方法を5回行い、得られた値の平均値をアルカリ可溶性ポリマーの溶解速度とする。
【0090】
-重合開始剤
本発明に従う組成物は、重合開始剤を含む。重合開始剤は、放射線により酸、塩基またはラジカルを発生する重合開始剤と、熱により酸、塩基またはラジカルを発生する重合開始剤とを包含する。本発明においては、放射線照射直後に反応が開始し、および放射線照射後現像プロセス前の再加熱プロセスを省略できるため、プロセ短縮とコストの観点から、前者が好ましく、光ラジカル発生剤がより好ましい。
光ラジカル発生剤は、パターン形状を強化したり、現像のコントラストを上げたりすることで解像度を向上させることができる。本発明において使用される光ラジカル発生剤は、放射線の照射によりラジカルを放出する光ラジカル発生剤である。ここで、放射線の例は、可視光、紫外光、赤外光、X線、電子線、α線、およびγ線を包含する。
【0091】
光ラジカル発生剤の添加量は、その最適量は、光ラジカル発生剤の分解によって生成される活性物質の種類と量、必要とされる光感度、および曝露部と未曝露部との間の必要とされる溶解コントラストに依存するが、アルカリ可溶性ポリマーの全質量を基準として、好ましくは0.001~50質量%、より好ましくは0.01~30質量%であり、添加量が0.001質量%未満であると、曝露部と未曝露部の溶解コントラストが低すぎ、添加効果が発揮されないことがある。一方、光ラジカル発生剤の添加量が50質量%を超えると、形成されるコーティングフィルムにクラックが発生し、光ラジカル発生剤の分解による着色が顕著になることがあるため、コーティングフィルムの無色透明性が低下することがある。また、添加量が多くなると、光ラジカル発生剤の熱分解による硬化物の電気絶縁性の分解やガス放出が起こり、その後のプロセスで問題となることがある。また、モノエタノールアミン等を主成分とするフォトレジスト剥離剤に対するコーティングフィルムの耐性が低下することがある。
【0092】
光ラジカル発生剤の例は、アゾ系、過酸化物系、アシルホスフィンオキサイド系、アルキルフェノン系、オキシムエステル系、チタノセン系開始剤を包含する。
中でも、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系開始剤が好ましく、および、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)-フェニル]-1-ブタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキシド、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾル-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)等が包含される。
【0093】
-界面活性剤
さらに、本発明に従う組成物は、任意に界面活性剤を含んでもよい。好ましくはそれは非イオン性界面活性剤であり、好ましくは前記非イオン性界面活性剤は炭化水素系非イオン性界面活性剤、Fluorad(tradename,3MJapanLimited),Megafac(tradename,DICCorporation),Surflon(tradename,AGCInc.)などのフッ素系非イオン性界面活性剤、KP341(tradename,Shin-EtsuChemicalCo.,Ltd.)などの有機ケイ素系非イオン性界面活性剤、またはこれらの組み合わせであり、より好ましくは、前記炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル;ポリオキシエチレン脂肪酸モノエステル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー;アセチレンアルコール;3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-などテトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオールなどのアセチレングリコール、2,5-ジ-メチル-2,5-ヘキサンジオール;アセチレンアルコールのポリエトキシレート;アセチレングリコールのポリエトキシレートなどのアセチレングリコール誘導体からなる群の1以上のメンバーから選択され、好ましくは、フッ素ベースの非イオン性界面活性剤は、フッ素含有界面活性剤の1つ以上から選択され;好ましくは、前記炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤は、オルガノシロキサン界面活性剤から選択され;好ましくは、界面活性剤はフッ素ベースの非イオン性界面活性剤である。特に、MegafacRSシリーズ(商品名,DICCorporation)は、改良された疎水性バンク表面を実現する観点、および/または改良された撥油性バンク表面を実現する観点から(特に、バンクのその作製後の頂部の撥油性表面を実現すること)本発明に最も好適である。
【0094】
好ましくは、界面活性剤の総量は、第2の組成物(バンク組成物)の全固形含有物の総量に基づき、0.001から5wt.%、より好ましくは0.01から4wt.%、さらにより好ましくは0.05から3wt.%、さらに好ましくは0.1から1wt.%までの範囲である。界面活性剤は、塗布性向上、現像性向上、疎水性バンク表面の改善、および/または撥油性バンク表面の改善を実現する目的で添加される。
【0095】
-糖類
本発明の好ましい態様において、第2の組成物は糖類をさらに含み、好ましくは、界面活性剤の総量は、第2の組成物の全固形含有物総量に基づき、0.001から1wt.%、より好ましくは0.1から60wt.%、なお好ましくは1~40wt.%、さらに好ましくは10~30wt.%の範囲である。
本発明者らの研究によれば、かかる糖類には現像液への溶解促進効果があることが見出された。糖類は、親水性と疎水性を有するため、組成物中の溶媒に溶解し、現像液にも溶解し、溶解促進効果があると考えられる。かかる効果は、本発明に従う組成物の現像が低濃度の現像液で行われる場合に特に有益である。
本発明の好ましい態様において、前記糖類は、単糖類、オリゴ糖類、多糖類またはそれらの混合物から選択され、より好ましくはオリゴ糖であり、さらに好ましくは単糖が2~10分子脱水縮合したオリゴ糖であり、環状オリゴ糖(例えば、シクロデキストリン)もまた包含され、さらに好ましくは、それはシクロデキストリンまたは単糖が2分子縮合することによって得られる二糖であり、さらに好ましくは、2分子の単糖が縮合することによって得られる二糖であり、さらに好ましくは、糖類は、1~6個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを有するオリゴ糖であり、より好ましくは、2~5個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを有し、およびさらに好ましくはそれはエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを有し、特に好ましくはそれはスクロース-アルキレンオキサイド-ラウリン酸エステルである。
【0096】
-着色料
本発明の好ましい実施形態において、第2の組成物はさらに着色料を含み、好ましくは前記着色料の総量は、第2の組成物の固形含有物の総量に基づき、3~80wt.%、好ましくは5~50wt.%である。
好ましくは、前記着色料は有機着色料および/または無機着色料であり、より好ましくは、有機黒色色素および/または無機黒色色素から選択される黒色着色料であり、好ましくは、前記黒色着色料は、以下のステップで得られたフィルムを測定して透過率を求めた場合、[波長365nmにおける光線透過率]/[波長500nmにおける光線透過率]で表される光線透過率比が1.2以上であり、より好ましくは2.0以上であり、好ましくは前記黒色着色料は、[波長365nmにおける光透過率]/[波長500nmにおける光透過率]で表される光透過率比が5.0以下であり、1.2から5.0までであることがさらに好ましく、2.0から4.0までであることがさらに好ましい:黒色着色剤を樹脂全量に対して10質量%分散させた組成物をガラス基体上に塗布してフィルム厚10μmのフィルムを形成し、100℃で硬化させ、次いで、得られたフィルムをUV-vis-NIR(株式会社日立ハイテクノロジーズ)を用いて測定する、好ましくは、前記無機黒色色素は窒化ジルコニウムであり、好ましくは、前記有機黒色色素は、2つ以上の有機着色色素の混合物であり、より好ましくは、混合により黒色を呈するように構成された赤、緑、青の有機着色色素の混合物であり、さらにより好ましくは、前記有機黒色色素は、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンゾイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系およびペリレン系有機色素からなる群から選択される混合物であり、さらに好ましくは前記有機黒色色素は、C.I.PigmentOrange43,C.I.PigmentOrange64andC.I.PigmentOrange72,withC.I.PigmentBlue60,C.I.PigmentGreen7、C.I.PigmentGreen36andC.I.PigmentGreen58からなる群から選択されるものの混合物である。
【0097】
本発明に使用される着色料(好ましくは黒色着色料)として、要求される吸光度を満たす限り、無機色素、有機色素のいずれか、または2種以上の色素は組み合わせて使用されてもよい。
有機系黒色着色料がバンクに使用されるとき、2種以上の有機色素を組み合わせて黒色着色料とすることが好ましい。例えば、赤、緑、青の有機色素の各色を混合することにより、黒色の着色料を得ることができる。
本発明に使用される着色料は、分散剤と組み合わせて使用されてもよい。分散剤としては、例えばJP-A2004-292672号公報に記載の高分子分散剤等の有機化合物系分散剤は使用されてもよい。
【0098】
-溶媒
本発明の好ましい態様において、第2の組成物は溶媒をさらに含む。
溶媒の種類は特に限定されず、上記アルカリ可溶性ポリマー、重合開始剤、及び(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上含有する化合物を均一に溶解または分散できるものであれば、公知のものは使用されてもよい。
【0099】
好ましくは該溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル;PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール;、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル;およびγ-ブチロラクトンなどの環状エステルからなる群の1つ以上のメンバーから選択され、より好ましくは、前記溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートまたはエステルと、γ-ブチロラクトンなどの環状エステルとの組み合わせであり、好ましくは、組成物の総量に基づく前記溶媒の総量は、1wt.%から99wt.%まで、好ましくは5wt.%から90wt.%まで、さらにより好ましくは10wt.%から80wt.%までの範囲であり、さらに好ましくは20wt.%から70wt.%までである。
【0100】
-他の添加剤
本発明に従う組成物は、任意に他の添加剤を含んでもよい。かかる添加剤として、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、密着向上剤、重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤、増感剤、架橋剤、硬化剤などが添加されてもよい。
したがって、本発明に従って、好ましくは、第2の組成物は、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、密着向上剤、重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤、光増感剤、架橋剤、及び/または硬化剤からなる群の1つ以上のメンバーから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む。
【0101】
現像液溶解促進剤またはスカム除去剤は、形成されるコーティングフィルムの現像液に対する溶解性を調整し、現像後の基体上にスカムが残留するのを防止する機能を有する。かかる添加剤として、クラウンエーテルが使用されてもよい。最も単純な構造のクラウンエーテルは、一般式(-CH-CH-O-)で表される。本発明において好ましいのは、nが4~7のものである。環を構成する原子の総数をx、環に含まれる酸素原子の数をyと設定されるとき、クラウンエーテルはx-クラウン-y-エーテルと呼ばれることがある。本発明においては、x=12、15、18または21であり、y=x/3であるクラウンエーテル、およびそれらのベンゾ縮合物およびシクロヘキシル縮合物からなる群から選択されることが好ましい。より好ましいクラウンエーテルの具体例は、21-クラウン-7-エーテル、18-クラウン-6-エーテル、15-クラウン-5-エーテル、12-クラウン-4-エーテル、ジベンゾ-21-クラウン-7-エーテル、ジベンゾ-18-クラウン-6-エーテル、ジベンゾ-15-クラウン-5-エーテル、ジベンゾ-12-クラウン-4-エーテル、ジシクロヘキシル-21-クラウン-7-エーテル、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6-エーテル、ジシクロ-ヘキシル-15-クラウン-5-エーテル、およびジシクロヘキシル-12-クラウン-4-エーテルを包含する。本発明において、これらのうち、18-クラウン-6-エーテルおよび15-クラウン-5-エーテルから選ばれることが最も好ましい。その含有量は、アルカリ可溶性ポリマー全質量に対して、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。
【0102】
密着向上剤は、本発明の組成物を用いて硬化フィルムを形成する際、焼成後の応力によるパターンの剥がれを防止する効果を有する。密着向上剤としては、イミダゾール類、シランカップリング剤等が好ましい。イミダゾール類の中でも、2-ヒドロキシベンズイミダゾール、2-ヒドロキシエチルベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール、2-ヒドロキシイミダゾール、イミダゾール、2-メルカプトイミダゾール、2-アミノイミダゾールが好ましく、2-ヒドロキシベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール、2-ヒドロキシイミダゾール、イミダゾールが特に好ましく用いられる。
シランカップリング剤としては、公知のものが好適に使用され、例えば、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤等が挙げられる。具体的に言うと3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピル-トリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリ-メトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリ-エトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノ-プロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリ-メトキシシラン、3-イソシアナートプロピルトリエトキシシラン,等は、好ましい。これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができ、その添加量はアルカリ可溶性ポリマー全質量に対して0.05~15質量%が好ましい。
【0103】
また、シランカップリング剤として、酸基を有するシラン化合物およびシロキサン化合物などが使用されてもよい。酸基の例は、カルボキシル基、酸無水物基、フェノール性水酸基等を包含する。カルボキシル基やフェノール性水酸基などの一塩基酸基を含有するとき、1つのケイ素含有化合物が複数の酸基を有することが好ましい。
かかるシランカップリング剤の例示される態様は、式(C):
XnSi(ORC3)4-n(C)
で表される化合物またはそれを繰り返し単位として使用して得られるポリマーを包含する。このとき、XまたはRC3が異なる複数の繰り返し単位を組み合わせて用いることができる。
【0104】
式中、RC3は、炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基などのアルキル基を包含する。一般式(C)において、RC3は複数包含され、各RC3は同一であっても異なっていてもよい。
Xとして、ホスホニウム、ボラート、カルボキシル、フェノール、過酸化物、ニトロ、シアノ、スルホ、およびアルコール基などの酸基を有するものは包含され、および、これらの酸基がアセチル、アリール、アミル、ベンジル、メトキシメチル、メシル、トリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、トリイソプロピルシリルまたはトリチル基、および酸無水物基により保護されたはものは包含される。
それらの中で、RC3としてメチル基を、およびXとしてカルボン酸無水物基を有する化合物、例えば酸無水物基含有シリコーンが好ましい。より具体的には、シリコーンなど、下記式(X-12-967C(商品名、信越化学工業株式会社))で表される化合物、またはそれに相当する構造をケイ素含有ポリマーの末端または側鎖に含むポリマーが好ましい。
【化15】
【0105】
さらに、ジメチルシリコーンの末端にチオール、ホスホニウム、ボレート、カルボキシル、フェノール、過酸化物、ニトロ、シアノ、スルホ基等の酸基を設けた化合物も好ましい。かかる化合物としては、下記式(X-22-2290AS、X-22-1821(いずれも商品名、信越化学工業株式会社))で表される化合物が包含される。
【化16】

分子量が大きすぎるとき、シランカップリング剤がシリコーン構造の場合、組成物に含まれるポリシロキサンとの適合性が悪くなり、そのため、現像液への溶解性が向上せず、フィルム中に反応性基が残存し、その後のプロセスに耐え得る耐薬品性を維持できない等の悪影響が生じ得る。この理由のため、シランカップリング剤の質量平均分子量は5000以下が好ましく、4000以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量は、アルカリ可溶性ポリマーの全質量に基づき、0.01~15質量%であることが好ましい。
【0106】
重合インヒビターとして、紫外線吸収剤ならびにニトロン、ニトロキシドラジカル、ヒドロキノン、カテコール、フェノチアジン、フェノキサジン、嵩高いアミンおよびその誘導体は添加されてもよい。中でも、メチルヒドロキノン、カテコール、4-t-ブチルカテコール、3-メトキシカテコール、フェノチアジン、クロロプロマジン、フェノキサジン、嵩高いアミンとしてTINUVIN144、292および5100(BASF)、および、紫外線吸収剤としてTINUVIN326、328、384-2、400および477(BASF)は好ましい。これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができ、その含有量は、アルカリ可溶性ポリマー全質量に基づき0.01~20質量%が好ましい。
【0107】
消泡剤として、アルコール類(C1-18)、オレイン酸およびステアリン酸などの高級脂肪酸、グリセリンモノラウレートなどの高級脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)(Mn:200~10,000)、ポリプロピレングリコール(PPG)(Mn:200~10,000)などのポリエーテル、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイルなどのシリコーン化合物、以下に詳述するオルガノシロキサン系界面活性剤が包含される。これらは単独でまたは複数を組み合わせて使用することができ、その含有量はアルカリ可溶性ポリマー全質量に基づき0.1~3質量%であることが好ましい。
【0108】
-光増感剤
本発明のバンク組成物には、任意に光増感剤が添加されてもよい。本発明の組成物に好ましく使用される光増感剤としては、クマリン、ケトクマリンおよびその誘導体、チオピリリウム塩、アセトフェノン類など、具体的には、p-ビス(o-メチルスチリル)ベンゼン、7-ジメチルアミノ-4-メチルキノロン-2,7-アミノ-4-メチルクマリン、4,6-ジメチル-7-エチルアミノクマリン、2-(p-ジメチルアミノ-スチリル)-ピリジルメチル-ヨウ化物、7-ジエチルアミノクマリン、7-ジエチルアミノ-4-メチル-クマリン、2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-8-メチル-キノリジノ-<9,9a,1-gh>クマリン、7-ジエチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、7-ジメチル-アミノ-4-トリフルオロ-メチルクマリン、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロキノリジノ-<9,9a,1-gh>クマリン、7-エチルアミノ-6-メチル-4-トリフルオロメチルクマリン、7-エチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-9-カルボエトキシキノリジノ-<9,9a,1-gh>クマリン、3-(2'-N-メチルベンゾイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、N-メチル-4-トリフルオロ-メチルピペリジノ-<3,2-g>クマリン、ヨウ化2-(p-ジメチルアミノスチリル)-ベンゾチアゾリルエチル、3-(2'-ベンゾイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、3-(2'-ベンゾチアゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、および下記化学式で表されるピリリウム塩、チオピリリウム塩等の増感色素を包含する。増感色素の添加により、高圧水銀灯(360~430nm)等の安価な光源を用いたパターニングが可能となる。その含有量は、アルカリ可溶性ポリマー全質量に対して、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。
【化17】

また、光増感剤として、アントラセン骨格含有化合物もまた使用されてもよい。具体的には、下記式で表される化合物が包含され、
【化18】

式中R31は、それぞれ独立して、アルキル基、アラルキル基、アリル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、グリシジル基およびハロゲン化アルキル基からなる群から選択される置換基を表し、
R32はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボアルコキシ基からなる群から選択される置換基を表し、kは、それぞれ独立して、0および1~4の整数から選択される。
かかるアントラセン骨格を有する光増感剤を用いる場合、その含有量は、アルカリ可溶性ポリマー全質量に対して0.01~5質量%が好ましい。
【0109】
-光学デバイス
別の態様において、本発明はさらに、少なくとも1つの色変換デバイス(100)と、光を変調するように構成された、または光を放出するように構成された機能的媒体(320、420、520)とを含む光学デバイス(300、400、500)に関する。
本発明のいくつかの態様において、光学デバイスは、液晶ディスプレイデバイス(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、光学ディスプレイ用のバックライトユニット、発光ダイオードデバイス(LED)、マイクロエレクトロメカニカルシステム(以下「MEMS」)、エレクトロウェッティングディスプレイ、または電気泳動ディスプレイ、照明装置、および/または太陽電池でもよい。
図4~6は、本発明の光学デバイスのいくつかの態様を示す。
用語「放射」は、原子や分子の電子遷移による電磁波の放射を意味する。
【0110】
-プロセス
別の態様において、本発明はまた、組成物を得るために、
a)以下の化学式(I)で表される少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーと、ii)別の材料とを混合する
【化19】

(式中
X1は、非置換または置換のアルキル基、アリール基またはアルコキシ基あり;
R1は、水素原子、Cl、BrまたはFで表されるハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基であり;
R2は、水素原子、Cl、Br、またはFで表されるハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基であり;
好ましくは記号X1は、
【化20】

であり、
【0111】
式中
nは、0または1であり;
好ましくは記号X2は、
【化21】

であり
式中
mは、0または1であり;
好ましくは少なくともmまたはnは1であり;
R3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはR3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
Rは、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはRは、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
【0112】
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、Dまたは1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Raはここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもよい)ことを含む、本質的にからなる、またはからなる本発明の組成物を作製するためのプロセスにも関する。
好ましくは、前記別の材料は、下記化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーであり、
【化22】

X3は無置換もしくは置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、
好ましくはX3
【化23】

であり、
lは0または1であり、
【0113】
R5は水素原子、Cl、Br、Fのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボン酸基を表し、
Rは、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはRは、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
【0114】
Rは、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはRは、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
【0115】
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、Dまたは1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Raはここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもよい。
【0116】
好ましくは、化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーと化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーとの混合比は、1:99~99:1の範囲(式(I):式(II))であり、好ましくは5:95から50:50まで、より好ましくは10:90から40:60まで、さらにより好ましくは、15:85から35:65までであり、好ましくは、少なくとも化学式(I)、(II)で表される精製(メタ)アクリレートモノマーが組成物に使用され、より好ましくは、化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーおよび化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、両方とも精製法によって得られるか、または得ることができる。
したがって、本発明の好ましい態様において、方法は、(メタ)アクリレートモノマーの精製ステップを含む。より好ましくは、前記精製ステップは、ステップa)の前に起きる。
(メタ)アクリレートモノマー、別の材料、ポリマー、散乱粒子の詳細については、「(メタ)アクリレートモノマー」、「別の材料」、「ポリマー」、「散乱粒子」の項において説明される。
【0117】
「添加剤」の項において説明される追加の添加剤は混合されてもよい。
本発明に従って、ノズルの目詰まりを引き起こすことなく、および/または半導体発光ナノ粒子の分散性が良好で、および/または散乱粒子の分散性が良好な、改善された均一性を有する大面積インクジェットプリンティングを実現するために、溶媒を添加しないことが望ましい。
別の側面において、本発明はまた、発光部分(110)を含有する少なくともマトリックス材料(120)を含む少なくとも第1のピクセル(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを含む色変換デバイス(100)を製造するための、少なくとも次の手順を好ましくはこの順序で含む方法にも関する:
Xi)支持媒体の表面に第2の組成物を提供すること
Xii)第2の組成物を硬化させること、
Xiii)硬化される前記組成物にフォトパターニングを適用し、バンクおよびパターン化されたピクセル領域を作製すること、
Xiv)好ましくはインクジェットによって、少なくとも1つのピクセル領域に第1の組成物を提供すること、
Xv)第1の組成物を硬化させ、好ましくは前記色変換デバイス(100)は、支持媒体(170)をさらに含有する。
Y)任意に、UV光照射による(メタ)アクリレートモノマーの光硬化を適用する。
【0118】
-バンク作製プロセス
(1)塗布プロセス
はじめに、上記組成物が基体に塗布される。本発明に従う組成物のコーティングフィルムの形成は、感光性組成物の塗布方法として従来知られている任意の方法で行われてもよい。具体的には、それは、ディップコート、ロールコート、バーコート、刷毛塗り、スプレーコート、ドクターコート、フローコート、スピンコート、スリットコート等から自由に選択されてもよい。また、組成物を塗布する基体として、シリコン基体、ガラス基体、樹脂フィルム等の適宜の基体は使用されてもよい。これらの基体には、必要に応じて各種半導体装置等が形成されてもよい。基体がフィルムの場合、グラビアコーティングもまた利用されてもよい。所望される場合、フィルムを塗布した後、乾燥プロセスは追加されてもよい。また、必要な場合、塗布プロセスは1回または2回以上繰り返して、形成するコーティングフィルムのフィルム厚を所望のとおりにしてもよい。
【0119】
(2)プリベークプロセス
組成物を塗布して組成物のコーティングフィルムを形成した後、コーティングフィルムを乾燥させ、コーティングフィルム中の溶剤の残存量を低減するために、コーティングフィルムのプリベーク(加熱処理)を行うことが好ましい。プリベークプロセスは、通常50~150℃、好ましくは90~120℃の温度で行うことができ、ホットプレートの場合は10~300秒、好ましくは30~120秒、クリーンオーブンの場合は1~30分加熱する。
【0120】
(3)曝露プロセス
コーティングフィルムを形成した後、次いでコーティングフィルム表面は光で照射される。光照射に用いる光源として、パターン形成方法に従来使用されている任意のものが使用されてもよい。かかる光源として、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライド、キセノン等のランプ、レーザーダイオード、LED等が包含される。照射光として、通常g線、h線、i線等の紫外線が使用される。半導体等の超微細加工を除けば、数μm~数十μmのパターニングには360~430nm(高圧水銀灯)の光を用いるのが一般的である。照射光のエネルギーは、光源やコーティングフィルムのフィルム厚にもよるが、通常5~2000mJ/cm、好ましくは10~1000mJ/cmである。照射光エネルギーが5mJ/cm未満であると、十分な解像度が得られない場合がある。一方、照射光エネルギーが2000mJ/cmを超えると、曝露過多となり、ハレーションの発生が招かれることがある。
パターン形状に光を照射するために、一般的なフォトマスクが使用されてもよい。かかるフォトマスクは、公知のものの中から自由に選択されてもよい。照射時の環境は特に限定されず、通常、大気中(空気中)または窒素雰囲気とすることができる。また、基体全面にフィルムを形成する場合において、基体全面に光照射が行われてもよい。本発明において、パターンフィルムは、基体全面にフィルムが形成されている場合もまた包含する。
【0121】
(4)ポストエクスポージャーベークプロセス
曝露後、重合開始剤によるフィルムにおけるポリマー間の反応を促進するため、必要に応じてポストエクスポージャーベークが行われてもよい。この加熱処理は、後述する加熱プロセス(6)とは異なり、コーティングフィルムを完全に硬化させるのではなく、現像後に基体上に所望のパターンのみを残し、それ以外の領域を現像除去できるようにするために行われる。したがって、本発明において必須ではない。
【0122】
ポストエクスポージャーベークが実施されるとき、ホットプレート、オーブン、ファーネス等が使用されてもよい。光照射により発生した曝露部の酸、塩基、ラジカルが未曝露部に拡散することは好ましくないため、加熱温度が高すぎてはならない。かかる観点から、曝露後の加熱温度範囲は、40~150℃が好ましく、60~120℃がより好ましい。組成物の硬化速度を制御するために、必要に応じて段階的な加熱を適用することができる。また、加熱時の雰囲気は特に限定されず、組成物の硬化速度を制御する目的で、窒素等の不活性ガス中、真空下、減圧下、酸素ガス中等から選択されてもよくる。また、加熱時間は、ウエハ面内の温度履歴の均一性をより高く維持するために一定以上であることが好ましく、発生した酸、塩基またはラジカルの拡散を抑制するために過度に長くないことが好ましい。かかる観点から、加熱時間は20秒~500秒が好ましく、40秒~300秒がより好ましい。
【0123】
(5)現像プロセス
露光後、任意にポストエクスポージャーベークが実施された後、コーティングフィルムが現像される。現像時に使用する現像液として、従来感光性組成物の現像に使用されている任意の現像液が使用されてもよい。好ましい現像液は、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、コリン、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属メタケイ酸塩(水和物)、アルカリ金属リン酸塩(水和物)、炭酸ナトリウム水溶液、アンモニア、アルキルアミン、アルカノールアミンおよび複素環式アミンなどのアルカリ化合物の水溶液であるアルカリ現像液を包含し、および特に好ましいアルカリ現像液は、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液である。このアルカリ現像液において、必要に応じてメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤がさらに含有されてもよい。本発明において、現像液として通常使用される2.38質量%TMAH現像液よりも低濃度の現像液を使用して現像が実施されてもよい。かかる現像液として、0.05~1.5質量%TMAH水溶液、0.1~2.5質量%炭酸ナトリウム水溶液、0.01~1.5質量%水酸化カリウム水溶液等を包含する。現像時間は、通常10~300秒、好ましくは30~180秒である。現像方法も従来公知の方法の中から自由に選択されてもよい。具体的には、現像液への浸漬(ディップ)、パドル、シャワー、スリット、キャップコート、スプレー等の方法が包含される。パターンが得られる現像液現像後、水でのリンスが行われることが好ましい。
【0124】
(6)加熱プロセス
現像後、得られたパターンフィルムを加熱硬化させる。加熱プロセスのために使用される加熱装置として、上記ポストエクスポージャーベークと同様のものが使用されてもよい。この加熱プロセスにおける加熱温度は、コーティングフィルムの硬化が可能な温度であれば特に限定されず、自由に決定されてもよい。しかしながら、ポリシロキサンのシラノール基が残存すると、硬化フィルムの耐薬品性が不十分になったり、硬化フィルムの誘電率が高くなったりすることがある。かかる観点から、加熱温度としては比較的高い温度が一般的には選択される。しかしながら、本発明に従う組成物は、比較的低温で硬化することができる。具体的には、350℃以下で加熱硬化することが好ましく、硬化後の残膜率を高く維持するために、硬化温度は300℃以下がより好ましく、250℃以下が特に好ましい。一方、硬化反応を促進し、十分な硬化フィルムを得るためには、硬化温度は70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。本発明においては、100℃程度の低い硬化温度がより好ましい。また、加熱時間は特に限定されないが、通常10分~24時間、好ましくは30分~3時間である。また、この加熱時間は、パターンフィルムの温度が所望の加熱温度に達してからの時間である。通常、パターンフィルムが加熱前の温度から所望の温度に達するまでには、数分から数時間程度かかる。
【0125】
別の態様において、本発明はさらに、本発明の方法から得られる、または得られる色変換デバイス(100)に関する。
別の側面において、本発明はさらに、光を変調するように構成された、または光を放出するように構成された少なくとも1つの機能的媒体(320、420、520)を含む光学デバイス(300)における本発明の色変換デバイス(100)の使用に関する。
【0126】
好ましい態様
1.発光部分(110)を含有する少なくともマトリックス材料(120)を含む少なくとも第1のピクセル(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを含む、本質的にからなる、またはからなる、好ましくは色変換デバイス(100)が支持媒体(170)をさらに含有する色変換デバイス(100)。
【0127】
2.マトリックス材料(120)が、(メタ)アクリレートポリマーを含有し、好ましくは、メタクリレートポリマー、アクリレートポリマー、またはそれらの組み合わせであり、より好ましくは、それはアクリレートポリマーであり、さらにより好ましくは、前記マトリックス材料(120)は、少なくとも1つのアクリレートモノマーを含有し第1の組成物から得られる、または得ることができ、さらにより好ましくは、前記マトリックス材料(120)は、少なくとも1つのジアクリレートモノマーを含有する第1の組成物から得られるか、または得ることができ、特に好ましくは、前記マトリックス材料(120)は、少なくとも1つのジアクリレートモノマーおよびモノアクリレートモノマーを含む第1の組成物から得られるか、または得ることができ、好ましくは、前記組成物は感光性組成物である、態様1に記載デバイス(100)。
【0128】
3.該第1のピクセル(161)が、少なくとも1つのアクリレートモノマーを含有する第1の組成物を少なくとも1つの発光部分(110)と一緒に硬化させることにより得られるまたは得ることができる固体層であり、好ましくは該硬化は、光照射による光硬化、熱硬化、または光硬化と熱硬化の組み合わせである、態様1または2に記載のデバイス(100)。
【0129】
4.ポリマー材料が熱硬化性樹脂であり、好ましくは感光性樹脂であり、より好ましくはアルカリ可溶性ポリマーを含有する熱硬化性および感光性樹脂であり、好ましくは、前記アルカリ可溶性ポリマーの重量平均分子量は、1,000から100,000まで、より好ましくは、1,200から80,000までの範囲であり、好ましくは、アルカリ可溶性ポリマーの固体酸価は、10から500mgKOH/gまで、より好ましくは、20から300mgKOH/gまでの範囲であり、好ましくは、前記アルカリ可溶性ポリマーは、(メタ)アクリレートポリマー、シロキサン(メタ)アクリレートポリマーから選択され、より好ましくは、メタクリレートポリマー、アクリレートポリマー、またはそれらの組み合わせであり、さらにより好ましくは、ポリマー材料はアクリレートポリマーであり、さらにより好ましくは、前記バンク(150)は、少なくとも1つのアルカリ可溶性ポリマーと、少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含む化合物とを含有する第2の組成物から得られるか、または得ることができ、特に好ましくは、前記バンク(150)は、少なくとも1つのアルカリ可溶性ポリマーと、少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する化合物と界面活性剤とを含む第2の組成物から得られるか、または得ることができ、好ましくは、前記組成物は感光性組成物であり、好ましくは、前記バンクは、組成物から得られる、または得ることができる硬化層であり、より好ましくは、前記バンクは、組成物から得られる、または得ることができる、フォトリソグラフィでパターン化された硬化層である、態様1~3のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0130】
5.前記バンク(150)が界面活性剤をさらに含有し、好ましくは、バンクの表面の少なくとも一部が前記界面活性剤によって覆われ、より好ましくはバンクの表面は疎水性であり、なおより好ましくはバンクの頂部の表面は撥油性であり、好ましくは、界面活性剤の総量は、バンク総量に基づき、0.001から5wt.%まで、より好ましくは0.01から4wt.%まで、さらにより好ましくは0.05から3wt.%まで、さらに好ましくは0.1から1wt.%までの範囲である、態様1~4のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0131】
6.バンク(150)が、非イオン性界面活性剤を含有し、好ましくは該非イオン性界面活性剤は、炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤、フッ素をベースとした非イオン性界面活性剤、有機ケイ素のベースの非イオン性界面活性剤またはこれらの組み合わせであり、より好ましくは該炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル;ポリオキシエチレン脂肪酸モノエステル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー;アセチレンアルコール;3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,5-ジ-メチル-3-ヘキシン-2,5-ジオールなどのアセチレングリコール、2,5-ジ-メチル-2,5-ヘキサンジオール;アセチレンアルコールのポリエトキシレート;アセチレングリコールのポリエトキシレートなどのアセチレングリコール誘導体;からなる群から選択される1以上のメンバーであり、好ましくはフッ素をベースとした非イオン性界面活性剤は、1以上のフッ素を含有する界面活性剤から選択され、好ましくは該炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤は、有機シロキサン界面活性剤から選択され、好ましくは界面活性剤は、フッ素をベースとした非イオン性界面活性剤である、態様1~5のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0132】
7.バンク(150)がさらに糖類を含有し、好ましくは、前記糖は、単糖、オリゴ糖、多糖、またはそれらの混合物から選択され、より好ましくはオリゴ糖であり、なおより好ましくは、前記糖は、2~10個の単糖の脱水縮合したオリゴ糖であり、および環状オリゴ糖(例えば、シクロデキストリン)もまた包含し、さらに好ましくは、それはシクロデキストリンまたは2分子の単糖を縮合することによって得られる二糖であり、さらにまた好ましくは糖類は1~6個の炭素原子を有するアルキレンオキサイドを有するオリゴ糖であり、より好ましくはそれは2~5個の炭素原子を有するアルキレンオキサイドを有し、およびさらに好ましくはそれはエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを有し、特に好ましくは、それはスクロース-アルキレンオキシド-ラウリン酸エステルであり、好ましくは、界面活性剤の総量は、ポリマー材料の全固形分に基づき、0.001~1wt.%、より好ましくは0.1~60wt.%、さらにより好ましくは1~40wt.%、さらに好ましくは10~30wt.%の範囲である、態様1~6のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0133】
8.バンク(150)は着色料をさらに含み、好ましくは該着色料は、有機着色料および/または無機着色料であり、より好ましくはそれは有機黒色色素および/または無機黒色色素から選択される黒色着色料であり、好ましくは該黒色着色料は前記黒色着色料は、1.2以上の[波長365nmにおける光線透過率]/[波長500nmにおける光線透過率]で表される光線透過率比を有し、より好ましくは比は2.0以上であり、好ましくは前記黒色着色剤は、5.0以下の[波長365nmにおける光線透過率]/[波長500nmにおける光線透過率]で表される光線透過率比を有し、なおより好ましくはそれは1.2から5.0までさらに好ましくは2.0から4.0までの範囲であり、ただし、透過率は以下のステップで得られるフィルムを測定することにより得られる:黒色着色剤を樹脂全量に対して10質量%分散させた組成物をガラス基体上に塗布してフィルム厚10μmのフィルムを形成し、および次いで100℃で硬化させた後、得られたフィルムをUV-vis-NIR(HitachiHigh-TechnologiesCorporation)を用いて測定する、好ましくは、該無機黒色色素はジルコニウム窒化物であり、好ましくは該有機黒色色素は、2つ以上の有機着色色素の混合物であり、より好ましくは、混合によって黒色を示すように構成された赤、緑、青の有機着色色素の混合物であり、さらにより好ましくは、該有機黒色色素は、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンゾイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系およびペリレン系有機色素からなる群から選択される混合物であり、具体的に好ましくは該有機黒色色素は、C.I.PigmentOrange43,C.I.PigmentOrange64andC.I.PigmentOrange72,withC.I.PigmentBlue60,C.I.PigmentGreen7、C.I.PigmentGreen36andC.I.PigmentGreen58からなる群から選択されるものの混合物である、態様1~7のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0134】
9.該着色料の総量が、バンクのポリマー材料の総量に基づき、3から80wt.%まで、好ましくは5から50wt.%までである、態様1~8のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0135】
10.発光部分(110)が、有機および/または無機発光材料であり、好ましくは、有機色素、無機リン光体および/または量子材料などの半導体発光ナノ粒子である、態様1~9のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0136】
11.本発明のいくつかの態様において、発光部分(110)の総量は、第1のピクセル(161)の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、好ましくは10wt.%から70wt.%まで、より好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲である、態様1~10のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0137】
12.支持媒体(170)が基体であり、より好ましくは透明基体であり、さらにより好ましくは、ガラス基体、透明ポリマーフィルム上に積層された薄いガラス基体、透明金属酸化物(例えば、酸化シリコーン、酸化アルミニウム、酸化チタン)、または透明金属酸化物を有するポリマーフィルム基体から選択される透明ポリマー基体である、態様1~11のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0138】
13.バンク(150)の高さが、0.1から100μm、好ましくは1から50μmまでであり、より好ましくは1から25μmまでであり、さらに好ましくは5から20μmまでの範囲である、態様1~12のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0139】
14.ピクセル(161)の層厚さは、0.1~100μm、好ましくはそれは、1から50μmまで、より好ましくは5から25μmまでの範囲である、態様1~13のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0140】
15.色変換デバイス(100)が、第2のピクセル(162)をさらに含有し、好ましくは、デバイス(100)は、少なくとも前記第1のピクセル(161)、第2のピクセル(162)、および第3のピクセル(163)を含有し、より好ましくは、前記第1のピクセル(161)は赤色ピクセルであり、第2のピクセル(162)は緑色のピクセルであり、第3のピクセル(163)は青色のピクセルであり、さらにより好ましくは、第1のピクセル(161)は赤色発光部分(110R)を含有し、第2カラーピクセル(162)は緑色の発光部分(110G)を含有し、第3のピクセル(163)は発光部分を含有しない、態様1~14のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0141】
16.少なくとも1つのピクセル(160)は、マトリックス材料(120)において少なくとも1つの光散乱粒子(130)をさらに含み、好ましくはピクセル(160)は複数の光散乱粒子(130)を含有する、態様1~15のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0142】
17.第1のピクセル(161)は、励起光によって照射されると赤色を発光するように構成された1つのピクセルまたは2つ以上のサブピクセルからなり、より好ましくは、前記サブピクセルは同じ発光部分(110)を含有する、態様1~16のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0143】
18.バンク(150)は、前記第1のピクセル(161)の面積を決定するように構成され、バンク(150)の少なくとも一部は、第1のピクセル(161)の少なくとも一部に直接接触し、好ましくは、バンク(150)の前記第2のポリマーは、第1のピクセル(161)の第1のポリマーの少なくとも一部に直接接触している、態様1~17のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0144】
19.バンク(150)はフォトリソグラフィでパターン化され、前記第1のピクセル(161)はバンク(150)によって取り囲まれ、好ましくは、前記第1のピクセル(161)、第2のピクセル(162)、および第3のピクセル(163)はすべて、フォトリソグラフィでパターン化されたバンク(150)によって取り囲まれている、態様1~18のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0145】
20.第1のピクセルが、
i)以下の化学式(I)で表される少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー、および
ii)別の材料;
【化24】

式中
X1は、非置換または置換のアルキル基、アリール基またはアルコキシ基またはエステル基であり;
X2は、非置換または置換アルキル基、アリール基またはアルコキシ基またはエステル基であり;
R1は、水素原子、Cl、BrまたはFで表されるハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基であり;
R2は、水素原子、Cl、Br、またはFで表されるハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基であり;
好ましくは記号X1は、
【化25】

であり、
【0146】
式中
nは、0または1であり;
好ましくは記号X2は、
【化26】

であり
式中
mは、0または1であり;
好ましくは少なくともmまたはnは1であり;
【0147】
R3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアルキル基であり、好ましくはR3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
【0148】
Rは、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアルキル基であり、好ましくはRは、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
【0149】
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、Dまたは1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Raはここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもよい、
を含む第1の組成物から得られる、または得ることができる、またはの硬化層である、態様1~19のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【0150】
21.好ましくは、第1の組成物における別の材料は、化学式(I)
【化27】
で表される(メタ)アクリレートモノマーとは異なる下記化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーであり、
X3は無置換もしくは置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基を表し、
好ましくはX3
【化28】

であり、
lは0または1であり、
【0151】
R5は水素原子、Cl、Br、Fのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボン酸基を表し、
Rは、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはRは、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
【0152】
Rは、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはRは、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、
ここで1以上のラジカルRaにより置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接するCH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2によって置き換えられていてもよく、
【0153】
Raは、出現毎に、同一にまたは異なって、H、Dまたは1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルまたはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有するヘテロ芳香環系であり、ここでH原子はD、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよく、2以上の隣接する置換基Raはここで相互にモノ-または多環式、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香環系を形成してもよい。
【0154】
22.化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、第1の組成物中にあり、および化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーと化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーとの混合比は、1:99~99:1の範囲(式(I):式(II))、好ましくは5:95から50:50まで、より好ましくは10:90から40:60まで、さらにより好ましくは、15:85から35:65までであり、好ましくは、少なくとも化学式(I)、(II)で表される精製(メタ)アクリレートモノマーが組成物に使用され、より好ましくは、化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーおよび化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、両方とも精製法によって得られるか、または得ることができる、態様1~21のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【0155】
23.化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマーの沸点(B.P.)および/または前記化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーの沸点(B.P.)が250℃以上であり、好ましくは、化学式(I)および化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、両方とも250℃以上であり、より好ましくは、250℃から350℃の範囲であり、なおより好ましくは280℃から350℃まで、さらに好ましくは300℃から348℃までである、態様1~22のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【0156】
24.組成物の粘度が、室温で35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、さらにより好ましくは2から25cPまでの範囲である、態様1~23のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【0157】
25.第1の組成物は、
iii)少なくとも1つの発光部分(110)、好ましくは前記発光部分(110)は配位子を含み、より好ましくは前記発光部分(110)は炭素原子2~25を有するアルキル型配位子を含み;
iv)別の(メタ)アクリレートモノマー;
v)散乱粒子(130);および
vi)光学的に透明なポリマー、酸化防止剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤および/または界面活性剤
なる群の1つ以上のメンバーから選択される追加の材料を含む、態様1~24のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【0158】
26.第1の組成物が、
v)散乱粒子および
vii)前記ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散させることを可能にするように構成された少なくとも1つのポリマー、
ここでポリマーは、少なくともホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級のアミン、カルボキシル基、ヘテロ環状基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくはポリマーは、三級のアミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む、
を含む、態様1~25のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
27.第1の組成物は、組成物の総量に基づいて10wt.%以下の溶媒を含み、より好ましくはそれは5wt.%以下であり、より好ましくはそれは無溶媒組成物であり、好ましくは組成物は、以下の、エチレングリコールモノアルキルエーテル、たとえばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、たとえばジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテル;プロピレングリコールモノアルキルエーテル、たとえばプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテル;エチレングリコールアルキルエーテルアセタート、たとえばメチルセロソルブアセタート、およびエチルセロソルブアセタート;プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、たとえばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタート;ケトン、たとえばメチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノン;アルコール、たとえばエタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、およびグリセリン;エステル、たとえばエチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナート、および乳酸エチル;および環式エステル、たとえばガンマ-ブチロ-ラクトン;塩素化炭化水素、たとえばクロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、例えば1,3,5-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、ドセシル(docecyl)ベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、3-メチルビフェニル、4-メチルビフェニル、およびジクロロベンゼンからなる群の1以上の要素から選択される少なくとも1以上の溶媒のいずれのものも含まない、態様1~26のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【0159】
28.第1の組成物が、少なくとも化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマー、化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマー、および前記ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散させることを可能にするように構成されたポリマーを含み、ここで、化学式(I)で表される(メタ)アクリレートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリレートモノマー:ポリマーの混合比は、10:89:1~50:40:10、好ましくは、15:82:3から30:60:10までである、態様1~27のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【0160】
29.バンク(150)が、少なくとも
(I)アルカリ可溶性ポリマー、
(II)重合開始剤、および
(III)少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する化合物、
を含む第2の組成物から得られるか、または入手可能であるか、またはの硬化層であり、好ましくは前記組成物は感光性組成物であり、好ましくは前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基は2つ以上のアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、またはこれらの組み合わせであり、好ましくは、アルカリ可溶性ポリマーの総量に基づく前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含む化合物の総量は、5wt.%から1,000wt.%、より好ましくは10wt.%から500wt.%の範囲であり、さらに好ましくは、15wt.%~300wt.%であり、好ましくは、前記化合物は、分子量2000以下、より好ましくは2000~50の範囲を有するモノマーであり、さらに好ましくは1000~100であり、
【0161】
好ましくは、それは少なくとも3つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリアクリレートモノマーであり、より好ましくはそれは(メタ)アクリロイルオキシ基を3つ有するポリアクリレートモノマー、(メタ)アクリロイルオキシ基を4つ有するポリアクリレートモノマー、(メタ)アクリロイルオキシ基を5つ有するポリアクリレートモノマー、(メタ)アクリロイルオキシ基を6つ有するポリアクリレートモノマーからなる群の1つ以上のメンバーから選択されるポリアクリレートモノマーであり、なおより好ましくは、5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリアクリレートモノマー、6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリアクリレートモノマー、またはそれらの混合物であり、
好ましくは、3つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記ポリアクリレートモノマーは、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートからなる群の1つ以上のメンバーから選択され;
好ましくは、4つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記ポリアクリレートモノマーは、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリトリトールエトキシテトラアクリレートからなる群の1つ以上のメンバーから選択され、
【0162】
好ましくは、5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記ポリアクリレートモノマーは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであり、好ましくは、6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する前記ポリアクリレートモノマーは、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートであり、最も好ましくは、前記化合物は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、またはそれらの混合物である、態様1~28のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【0163】
30.第2の組成物はさらに界面活性剤を含み、好ましくは、界面活性剤の総量は、0.001から5wt.%の範囲であり、より好ましくは0.01~4wt.%、さらにより好ましくは、0.05~3wt.%、さらに好ましくは、第2の組成物の全固形分に対して0.1~1wt.%であり、好ましくは、前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤であり、好ましくは、前記非イオン性界面活性剤は、炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤、フッ素ベースの非イオン性界面活性剤、有機ケイ素ベースの非イオン性界面活性剤、またはこれらの組み合わせであり、好ましくは該非イオン性界面活性剤は、炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤、フッ素をベースとした非イオン性界面活性剤、有機ケイ素のベースの非イオン性界面活性剤またはこれらの組み合わせであり、より好ましくは該炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル;ポリオキシエチレン脂肪酸モノエステル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー;アセチレンアルコール;3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,5-ジ-メチル-3-ヘキシン-2,5-ジオールなどのアセチレングリコール、2,5-ジ-メチル-2,5-ヘキサンジオール;アセチレンアルコールのポリエトキシレート;アセチレングリコールのポリエトキシレートなどのアセチレングリコール誘導体;からなる群から選択される1以上のメンバーであり、好ましくはフッ素をベースとした非イオン性界面活性剤は、1以上のフッ素を含有する界面活性剤から選択され、好ましくは該炭化水素ベースの非イオン性界面活性剤は、有機シロキサン界面活性剤から選択され、好ましくは界面活性剤は、フッ素をベースとした非イオン性界面活性剤である、態様1~29のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0164】
31.第2の組成物は糖類がさらに含み、好ましくは、界面活性剤の総量は、第2の組成物の全固形含有物総量に基づき、0.001から1wt.%、より好ましくは0.1から60wt.%、なお好ましくは1~40wt.%、さらに好ましくは10~30wt.%の範囲であり、好ましくは糖類は、単糖類、オリゴ糖類、多糖類またはそれらの混合物から選択され、より好ましくはオリゴ糖であり、さらに好ましくは単糖が2~10分子脱水縮合したオリゴ糖であり、環状オリゴ糖(例えば、シクロデキストリン)もまた包含され、さらに好ましくは、それはシクロデキストリンまたは単糖が2分子縮合することによって得られる二糖であり、さらに好ましくは、2分子の単糖が縮合することによって得られる二糖であり、さらに好ましくは、糖類は、1~6個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを有するオリゴ糖であり、より好ましくは、2~5個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを有し、およびさらに好ましくはそれはエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを有し、特に好ましくはそれはスクロース-アルキレンオキサイド-ラウリン酸エステルである、態様1~30のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0165】
32.第2の組成物はさらに着色料を含み、好ましくは前記着色料の総量は、第2の組成物の固形含有物の総量に基づき、3~80wt.%、好ましくは5~50wt.%であり、前記着色料は有機着色料および/または無機着色料であり、より好ましくは、有機黒色色素および/または無機黒色色素から選択される黒色着色料であり、好ましくは、前記黒色着色料は、以下のステップで得られたフィルムを測定して透過率を求めた場合、[波長365nmにおける光線透過率]/[波長500nmにおける光線透過率]で表される光線透過率比が1.2以上であり、より好ましくは2.0以上であり、好ましくは前記黒色着色料は、[波長365nmにおける光透過率]/[波長500nmにおける光透過率]で表される光透過率比が5.0以下であり、1.2から5.0までであることがさらに好ましく、2.0から4.0までであることがさらに好ましい:黒色着色剤を樹脂全量に対して10質量%分散させた組成物をガラス基体上に塗布してフィルム厚10μmのフィルムを形成し、100℃で硬化させ、次いで、得られたフィルムをUV-vis-NIR(株式会社日立ハイテクノロジーズ)を用いて測定する、好ましくは、前記無機黒色色素は窒化ジルコニウムであり、好ましくは、前記有機黒色色素は、2つ以上の有機着色色素の混合物であり、より好ましくは、混合により黒色を呈するように構成された赤、緑、青の有機着色色素の混合物であり、さらにより好ましくは、前記有機黒色色素は、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンゾイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系およびペリレン系有機色素からなる群から選択される混合物であり、さらに好ましくは前記有機黒色色素は、C.I.PigmentOrange43,C.I.PigmentOrange64andC.I.PigmentOrange72,withC.I.PigmentBlue60,C.I.PigmentGreen7、C.I.PigmentGreen36andC.I.PigmentGreen58からなる群から選択されるものの混合物である、態様1~31のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0166】
33.第2の組成物が溶媒をさらに含み、好ましくは該溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル;PGMEA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール;、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル;およびγ-ブチロラクトンなどの環状エステルからなる群の1つ以上のメンバーから選択され、より好ましくは、前記溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートまたはエステルと、γ-ブチロラクトンなどの環状エステルとの組み合わせであり、好ましくは、組成物の総量に基づく前記溶媒の総量は、1wt.%から99wt.%まで、好ましくは5wt.%から90wt.%まで、さらにより好ましくは10wt.%から80wt.%までの範囲であり、さらに好ましくは20wt.%から70wt.%までである、態様1~32のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0167】
34.第2の組成物が、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、密着向上剤、重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤、光増感剤、架橋剤、及び/または硬化剤からなる群の1つ以上のメンバーから選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、態様1~33のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【0168】
35.少なくとも1つの色変換デバイス(100)、および光を変調するようにまたは光を放出するように構成されている機能的媒体(320、420、520)を含有する、または本質的にからなる、またはからなる光学デバイス(300、400、500)。
【0169】
36.発光部分(110)を含有する少なくともマトリックス材料(120)を含む少なくとも第1のピクセル(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを含む、本質的にからなる、またはからなる色変換デバイス(100)を製造するための、少なくとも次の手順を好ましくはこの順序で含む方法:
Xi)支持媒体の表面に第2の組成物を提供すること
Xii)第2の組成物を硬化させること、
Xiii)硬化される前記組成物にフォトパターニングを適用し、バンクおよびパターン化されたピクセル領域を作製すること、
Xiv)好ましくはインクジェットによって、少なくとも1つのピクセル領域に第1の組成物を提供すること、
Xv)第1の組成物を硬化させ、好ましくは前記色変換デバイス(100)は、支持媒体(170)をさらに含有する。
【0170】
37.態様36に記載の方法から得られるまたは得ることができる色変換デバイス(100)。
【0171】
38.光を変調するように構成された、または光を放出するように構成された少なくとも1つの機能的媒体(320、420、520)を含有する光学デバイス(300)における、請求項1~34および37のいずれか一項に記載の色変換デバイス(100)の使用。
【0172】
本発明の技術的効果
本発明は、バンクの改善された光学特性、バンクと発光部分を含有する組成物(例としてQDインク)との間の改善された適合性、発光部分を含有する組成物に対する改善された湿潤特性および化学的安定性、発光部分を含有する組成物をバンクに接触させる際のバンク構造の少ない分解、
かかる分解は、QDインク配合物によるバンク構造の(部分的または完全な)溶解、バンク構造の剥離、および/またはバンクとQDインクの混在であり得る。これは、バンク構造の完全性の喪失および/または明確なピクセル構造の喪失につながる。バンク構造のウェルにQDインクを充填する際に分解が観察されないように、バンクの適切な耐薬品性を実現し、バンクの低硬化温度(例えば100℃)特性を実現し、高解像性および/または遮光性に優れたバンクを提供する。有機現像液以外の低濃度アルカリ現像液でも現像されるように構成され、環境性にも優れ、組成物中の半導体発光ナノ粒子の改善された均一分散性、組成物中の散乱粒子の改善された均一分散性、好ましくは、半導体発光ナノ粒子と散乱粒子の両方の改善された均一分散性、より好ましくは、溶媒を使用しない半導体発光ナノ粒子および/または散乱粒子の改善された均一分散性をもつバンク組成物、インクジェットプリンティングに好適な低粘度の組成物、好ましくは、高充填の半導体発光ナノ粒子および/または散乱粒子のと混合されても、より低い粘度を維持できる、さらにより好ましくは無溶媒である組成物、大面積の均一プリンティングのためのより低い蒸気圧を有する組成物、組成物中の半導体発光ナノ粒子の改善されたQYおよび/またはEQE、プリンティング後の半導体発光ナノ粒子の改善されたQYおよび/またはEQE、熱安定性の向上、プリンティングノズルの目詰まりがなく、簡単にプリンティングできる、組成物の容易な取り扱い、改善されたプリンティング特性、簡単な作製プロセス、青色光の改善された吸収、インクジェットプリンティング後の組成物から作られた層の改善された固体性が提供される。
【0173】
以下の実施例1~16は、本発明の説明、ならびにそれらの製造の詳細な説明を提供する。
実施例
実施例1:モノマー混合物の調製
1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDDMA)とラウリルアクリレート(LA)をモレキュラーシーブ4Aで保存する。HDDMAを使用前にシリカゲルカラムに通すことにより精製する。4gのHDDAと6gのLAをガラスバイアル瓶で混合し、単量体混合物を得た。モノマー混合物中のHDDMA:LAの重量比は40:60である。
上記と同様に、HDDDMA:LA(40:60)の代わりに、HDDDMA:LA(30:70)、HDDDMA:LA(20:80)、NDDA:LA(30:70)のモノマー混合物を調製する。
【0174】
実施例2:QDモノマー分散液の調製
10.41mlのCdフリーの緑色のInPベースのトルエン中QD溶液(メルク)と実施例1で得られた1.02gのモノマー混合物をガラスフラスコ中で混合する。ロータリーエバポレーターを用いて40deg.Cでトルエンを減圧留去し、3.06gのQDモノマー分散液を得た。
【0175】
実施例3:TiO2モノマー分散液の調製
n-オクタン中のTiO2溶液(TOYOカラー)0.425gおよび実施例1で得られたモノマー混合物0.51gをガラスフラスコ中で混合する。ロータリーエバポレーターを用いて40deg.Cでn-オクタンをを減圧留去し、0.816gのTiO2モノマー分散液を得た。
【0176】
実施例4:QDインクの調製
実施例2で得られたQDモノマー分散液、実施例3で得られたTiO2モノマー分散液、1.12gの実施例1で得られたモノマー混合物、0.051gの光開始剤(Omnirad819)および0.041gの酸化防止剤(Irganox1010)をガラスバイアルで混合する。得られた混合物を、超音波をかけ、次いで磁気撹拌することによって撹拌して、5gのQDインクを得る。QDインクの組成は以下のとおりである。
【0177】
比較例1:QDインクの調製(ジアクリレートモノマーを含まない比較例)
QDインク組成物は、TBCH=tert-ブチルシクロヘキシルアクリレートおよびTMPTA=トリメチロールプロパントリアクリレートが、組成物中でHDDDMAの代わりに次の濃度で使用されることを除いて、上記の実施例1~4に記載されているのと同じ方法で調製する。
【0178】
【表1】
【0179】
実施例5:EQEおよびQY測定用のQDテストセルの作製
実施例4で得られたQDインクを15mmギャップのテキストセルに注入し、比較例5も同じ条件のテストセルに注入し、UV光を照射して光硬化させた。
【0180】
実施例6:EQE測定
光ファイバーによる励起光(CWL:450nm)と分光器(C9920、Hamamatsuホトニクス)を搭載した積分球を用いてEQE測定を行う。励起光の光子を検出するために、室温で空気を基準として使用する。
セルから積分球に向かう発光の光子の数を、室温で分光計によってカウントする。
EQEは以下の計算方法で計算される。
EQE=Photons[発光光]/Photons[励起光]
計算波長範囲
発光:[緑]480nm-600nm、[赤]560nm-680nm
実施例4で得られたQDインク組成物のEQE測定結果を表1に示す。
【0181】
【表2】
【0182】
比較例で得られたQDインク組成物のEQE値は22.7であった。
参考例1:QDインクの調製
精製されたものの代わりに非精製(メタ)アクリレートモノマーHDDMA:LA(20:80)を使用することを除き、QDインク組成物Aを実施例1から4に記載されたのと同じ方法で調製する。
実施例6と同様に測定したQDインク組成物AのEQE値は23.7であった。
【0183】
参考例2:QDインクの調製
精製されたものの代わりに非精製(メタ)アクリレートモノマーHDDMA:LA(40:60)を使用することを除き、QDインク組成物Bを実施例1から4に記載されたのと同じ方法で調製する。
実施例6と同様に測定したQDインク組成物BのEQE値は24.6であった。
【0184】
実施例7:希釈QDモノマー溶液のQY測定
サンプルを、トルエン(メルク)中の緑色QD溶液6.5mlをモノマー混合物10mlで希釈することによって調製する。サンプルの濃度は、0.13mgQD/mlモノマー溶液です。QYは、絶対PL量子収率測定システム(C9920、Hamamatsuホトニクス)を使用して、450nm励起の石英キュベットで測定する。
モノマー混合物中のHDDMA比率を増加させることにより、QYの大幅な改善が観察される。驚くべきことに、50%HDDMA混合のQYは元のQYよりもさらに高くなっている。
【0185】
【表3】
【0186】
実施例8:QDインクの調製
QDインク組成物を、下記のようにTMPTAがLAおよびHDDAと共にも使用されることを除いて、上記実施例1~4に記載されたのと同じ方法で調製する。
【0187】
【表4】
【0188】
実施例9:試験セルの作製と拭き取り試験
実施例4で得られたQDインクおよび実施例8で得られたQDインクをガラス基体上に400rpmで20秒間スピンコーティングする。石英ガラスを通してN2下で380mJまたは760mJのUV光を照射して光硬化させる。
光硬化には、395nmLED懐中電灯、6.3mW/cm2(FWHM10nm)を使用した。
得られたサンプルの表面をきれいな綿棒で手で拭く。
拭き取り試験の結果を表2に示す。
【0189】
【表5】
【0190】
実施例10:QD配位子交換
CdフリーのInPベースのQD(Merck)は、CHCl中のQDの総量に基づいて、7.5wt.%または50wt%のモノ(2-アクリロイルオキシエチル)スクシナート(Tokyo Kasei CAS:50940-49-3)と40deg. Cで1時間混合する。
CHCl-MeOHで洗浄を行う。
【0191】
実施例11:QDインクの調製
QDインク組成物を、実施例10から得られたモノ(2-アクリロイルオキシエチル)スクシネート(以下、「AES」)を有するQDが、後述のとおりLAおよびHDDAと共に使用されることを除いて、上記の実施例1~4に記載されたのと同じ方法で調製する。
【0192】
【表6】
【0193】
3日間、有意な粘度上昇は見られない。
HDDMAの代わりに、DPGDAまたはNDDAを好適に使用されてもよい。
AESの代わりに、既知のチオールアクリレートを使用することもできる。
【0194】
実施例12:QDテストセルの作製
実施例11で得られたQDインクを15mmギャップのテキストセルに注入し、UV光を照射して光硬化させた。
硬化したQDインク中のAESの含有量は、試験セル中の硬化したQDインクの総量に基づいて3.2wt.%である。テストセルは極めて透明である。
TEM分析によれば、硬化インク中に空隙がなく、硬化インク中に凝集のない平滑な層構造が観察される。
【0195】
実施例13:QDインクの調製とQDテストセルの作製
QDインク組成物を、TiO2粒子が使用されないことを除いて、実施例に記載されたのと同じ方法で調製する。
また、実施例13で得られたQDインクを用いた以外は、実施例5および6と同様にしてQDテストセルを作製し、EQEを測定した。
以下の表は、測定結果を示す。
【0196】
【表7】
【0197】
実施例14:QDインク組成物の調製
QDインク組成物を、以下の材料を使用して、上記と同様の方法で調製する。
【0198】
【表8】
【0199】
実施例15:バンク組成物の作製
バンク組成物を次の材料を使用して調製する。
【0200】
【表9】

糖類A:ショ糖エチレンオキサイド付加物
アクリルポリマーB:2-プロペン酸、2-メチル-、2-ヒドロキシエチル2-メチル&-2-プロペノアート、2-イソシアナトエチル2-プロペノアートおよびメチル2-メチル-2-プロペノアートを有するポリマー(Natoco)。
アクリルポリマーA:炭素酸モノマーと少なくとも1つの芳香環基を含有するモノマーとから作られるアクリルランダムポリマー(Shin-Nakajima)。
【0201】
実施例16:デバイス作製
得られたバンク組成物をスピンコートによりベアガラス基体上に塗布し、次いで塗布したガラス基体をホットプレート上で100℃、90秒間プリベークし、平均膜厚13μmとした。i線露光機を用いて露光し、230℃で30分のキュアベークを行う。次いで、0.03%KOHで60秒間現像し、脱イオン純水で30秒間リンスした。その結果、12μmのバンク(C/H)パターンが形成される。最後に、サンプル1を得る。
次いで、230℃30分のキュアベーク条件の代わりに100℃30分のキュアベーク条件を適用することを除いて、上記「サンプル1の作製」と同じ方法でサンプル2を作製する。次いでサンプル2を得る。
【0202】
-OD計算
サンプル1及びサンプル2の波長400~700nmにおける透過率を分光光度計CM-5(Konica Minolta, Inc)を用いて測定し、ODに換算(converted)する。
【0203】
-SEM分析
サンプル2の断面SEM分析を実施する。図6に断面SEM解析の結果を示す。
FT:11.5μm、テーパー角:98°が観察される。
断面SEM分析によると、明確に定義されたピクセル構造が観察される。また、バンクの低硬化温度(例:100℃)特性が極めて良好であることもまた証明する。また、低濃度のアルカリ現像液でも良好にバンク組成が現像される。
プロセス条件と得られたOD計算結果を表3に示す。また、サンプル1およびサンプル2のパターンが剥がれることなく形成されている(OK)ことをSEM分析によって確認した。
【0204】
【表10】
【0205】
-QDインクファイリングテスト
次に、実施例14で得られたQDインクをサンプル1とサンプル2に12mmのギャップで注入し、UV光を照射して光硬化させた。
得られたサンプル1と2は極めてクリアである。
断面SEM分析によれば、硬化インク中に空隙がなく、硬化インク中に凝集のない平滑な層構造が観察される。
また、バンクと硬化インクとの適合性、およびQDインクに対する濡れ性と化学的安定性の両方が極めて良好である。
図7にSEM分析の結果を示す。
SEM分析によれば、QDインクによるバンク構造の溶解も、剥離も、バンクとQDインクの混在も観察されない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】