(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】加工後変性を有する水溶性繊維およびそれを含有する物品
(51)【国際特許分類】
D06M 13/184 20060101AFI20230913BHJP
D04H 1/4309 20120101ALI20230913BHJP
D01F 6/14 20060101ALI20230913BHJP
D06M 101/24 20060101ALN20230913BHJP
【FI】
D06M13/184
D04H1/4309
D01F6/14 B
D06M101:24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513727
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021049051
(87)【国際公開番号】W WO2022051614
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508122415
【氏名又は名称】モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジース, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ナイト, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ブライドウェル, ヴィクトリア
(72)【発明者】
【氏名】シェイ, アリッサ
【テーマコード(参考)】
4L033
4L035
4L047
【Fターム(参考)】
4L033AA05
4L033AB07
4L033AC15
4L033BA19
4L035AA04
4L035BB05
4L035BB15
4L047AA16
4L047CA02
4L047CA05
(57)【要約】
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む繊維を処理する方法、および得られた繊維または得られた繊維を含む生成物が、開示される。例示的な実施形態では、繊維を処理する方法は、ポリマーを含む繊維の表面を変性剤と接触させて、繊維の少なくとも表面を含む繊維の領域において変性剤でポリマーの少なくとも一部分を化学的に変性し、変性された繊維を形成することを含む。本開示は、一般に、水溶性繊維に関する。より詳細には、本開示は、ポリマー中のビニルアルコール部分を化学的に変性することにより、繊維形成後に酢酸ビニル部分および/またはビニルアルコール部分を含む変性ポリマーを含む、水溶性繊維に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を処理する方法であって、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む繊維の表面を、変性剤と接触させて、前記繊維の少なくとも前記表面を含む前記繊維の領域において前記変性剤で前記ポリマーの少なくとも一部分を化学的に変性し、変性された繊維を形成するようにすること
を含む、方法。
【請求項2】
前記変性剤用の溶媒を添加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維の表面を前記変性剤と接触させることが、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記繊維、前記変性剤、および前記溶媒を混合することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維が、前記繊維の前記溶媒と接触する持続時間にわたり、前記溶媒に可溶ではない、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維の表面を前記変性剤と接触させる前に、前記溶媒中の前記繊維を加熱することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維、前記変性剤、および前記溶媒を加熱することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記繊維の前記表面が、最長で約48時間の期間にわたり前記変性剤と接触させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記繊維の前記表面が、約10℃から約100℃の範囲の温度で前記変性剤と接触させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記ポリマーが、前記繊維の表面を前記変性剤と接触させる前に約79%よりも高く、および約99.9%未満の加水分解度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記繊維の表面を前記変性剤と接触させることが、酢酸ビニル部分もしくはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記ポリマーに制御された量の化学的な変性を提供するのに、および/または酢酸ビニル部分もしくはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記ポリマーに、化学的な変性の制御された増大を提供するのに十分な条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記変性剤による前記ポリマーの少なくとも一部分の前記化学的な変性が、下記:エステル化、アミド化、アミノ化、カルボキシル化、ニトロ化、アシロイン縮合、アリル化、アセチル化、イミド化、ハロゲン化、スルホン化、アルキル化、エノール化、ニトロソ化、およびシランカップリングの1つまたはそれより多くを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
活性化剤を前記繊維および前記変性剤と混合することをさらに含み、前記活性化剤が、酸、塩基、アジリジン、フリーラジカル開始剤、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記変性剤が、無水物、カルボン酸、アルコール、エステル、エーテル、スルホン酸、スルホネート、クリックケミストリー試薬剤、アミド、アミン、ラクタム、ニトリル、ケトン、アリル含有化合物、アセチル含有化合物、ハロゲン、アルキル含有化合物、イミド、アセタール含有化合物、エノレート、ニトロ含有化合物、シラン、アジリジン、イソシアネート、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記変性された繊維が、モノカルボン酸、ジカルボン酸、スルホン酸、スルホネート、クリックケミストリー試薬、アミド、アミン、ニトリル、ケトン、エステル、アリル、アセチル、ハロゲン、アルキル、イミド、アセタール、エノレート、ニトロ、シラン、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記スルホネートが、スルホン酸アミノプロピルを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ラクタムが、ピロリドンまたはカプロラクタムを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記スルホン酸が、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記モノカルボン酸または前記ジカルボン酸が、酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸ジアルキル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、アルキル(アルキル)アクリレート、前述のアルカリ金属塩、これらの加水分解アルカリ金属塩、これらのエステル、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記変性剤が無水物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記無水物が有機酸無水物であり、前記有機酸無水物が、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、イソ酪酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、グルタル酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、グルタコン酸無水物、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記無水物が、マレイン酸無水物を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記変性剤が、前記溶媒の重量に基づいて、約0.2%から約75%(w/w)の量で提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記溶媒が、極性溶媒を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、1つまたはそれより多くの溶媒を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記溶媒が、非極性溶媒を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記溶媒が、混合条件下で液体であるアルコールを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記溶媒が、第1の溶媒および第2の溶媒の混合物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の溶媒が水を含み、前記第2の溶媒がアルコールを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記繊維の表面を前記変性剤と接触させることが、アニオン変性ポリマーを提供するのに十分な条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記アニオン変性ポリマーが、カルボキシレート、スルホネート、またはこれらの組合せを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記ポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記繊維が、追加のポリマーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記追加のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラギーナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのいずれかの任意の組合せからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記繊維の表面を前記変性剤と接触させることが、コアおよびシースを含むコア-シース構造を有する横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で行われ、前記コアの前記ポリマーは、第1の量の化学的な変性を有し、前記シースの前記ポリマーは、前記第1の量よりも大きい第2の量の化学的な変性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記繊維の表面を前記変性剤と接触させることが、内部領域から前記表面領域までの前記ポリマーの前記化学的な変性の量の増加勾配により特徴づけられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記繊維の表面を前記変性剤と接触させることが、前記横断面の全体にわたり等量の化学的な変性を有する前記ポリマーにより特徴づけられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記繊維が、前記繊維の表面を前記変性剤と接触させる前に水溶性である、または水溶性ではない、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記変性された繊維が水溶性である、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記繊維の表面を前記変性剤と接触させる前に、前記繊維が第1の完全溶解温度を有し、前記変性された繊維が、前記第1の完全溶解温度とは異なる第2の完全溶解温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の完全溶解温度が、前記第2の完全溶解温度よりも高い、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の完全溶解温度が、前記第2の完全溶解温度よりも低い、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記繊維の表面を前記変性剤と接触させることが、以下:浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリント、またはこれらの任意の組合せの1つまたはそれよりも多くによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記繊維の表面を前記変性剤および溶媒と接触させることが、連続インラインプロセスの部分として前記繊維の形成後に行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記繊維が、前記繊維の表面の前記変性剤および溶媒との前記接触の間、動いている、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記繊維の表面の前記変性剤との接触が、バッチ式プロセスで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記繊維が、ステープル繊維、ステープルヤーン、繊維フィル、ニードルパンチ布、結合繊維、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記繊維の表面を前記変性剤と接触させた後に、前記繊維を洗浄し乾燥することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記繊維を洗浄することが、前記繊維を非溶媒で濯ぐことを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記繊維を乾燥することが、以下:エアジェット乾燥、撹拌、ボルテックス、遠心分離、またはこれらの任意の組合せの1つまたはそれよりも多くを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
複数の繊維を含み、前記複数の繊維の各繊維が、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む、不織布ウェブを処理する方法であって、前記方法が、
前記不織布ウェブの少なくとも一部分を変性剤と接触させて、前記変性剤により各繊維の第1の領域で前記ポリマーを化学的に変性させることにより、変性不織布ウェブを提供するようにすること
を含む方法。
【請求項53】
前記変性剤用の溶媒を添加することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記不織布ウェブの少なくとも一部分を前記変性剤と接触させることが、以下:浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリント、またはこれらの任意の組合せの1つまたはそれよりも多くによって行われる、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記不織布ウェブの前記少なくとも一部分を前記変性剤と接触させながら、前記複数の繊維を前記不織布ウェブに同時に結合することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記複数の繊維を結合することが、前記複数の繊維を化学結合することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記複数の繊維を結合することが、熱活性化触媒を使用することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む前記ポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ポリビニルアルコールコポリマーが、アニオン変性コポリマーを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記アニオン変性コポリマーが、カルボキシレート、スルホネート、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記繊維が、追加のポリマーをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項63】
前記追加のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラギーナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのいずれかの任意の組合せからなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記変性剤が、無水物、カルボン酸、アルコール、エステル、エーテル、スルホン酸、スルホネート、クリックケミストリー試薬、アミド、アミン、ラクタム、ニトリル、ケトン、アリル含有化合物、アセチル含有化合物、ハロゲン、アルキル含有化合物、イミド、アセタール含有化合物、エノレート、ニトロ含有化合物、シラン、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項65】
前記変性剤が無水物を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項66】
前記無水物が、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、イソ酪酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、グルタル酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、グルタコン酸無水物、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記変性剤が、前記溶媒の重量に基づいて、約0.2%から約75%(w/w)の量で提供される、請求項53に記載の方法。
【請求項68】
前記複数の繊維が、前記繊維の前記溶媒と接触する持続時間にわたり、前記溶媒に可溶ではない、請求項53に記載の方法。
【請求項69】
前記繊維が、約88%、約92%、または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、前記変性剤がマレイン酸無水物を含み、前記溶媒がメタノールを含み、前記方法がさらに、水酸化ナトリウムを含む活性化剤を、前記繊維、前記変性剤、および前記溶媒と混合することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項70】
前記繊維が、約88%、約92%、または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、前記変性剤がマレイン酸無水物を含み、前記溶媒がメタノールを含み、ポリマーを含む繊維の表面を変性剤と接触させることが、
前記繊維と前記溶媒とを合わせて混合物を形成すること、
前記混合物を約55℃から約75℃に加熱して、加熱混合物を形成すること、
前記加熱混合物に、前記マレイン酸無水物と、水酸化ナトリウムを含む活性剤とを添加して、反応混合物を形成すること、および
前記反応混合物を約55℃から約75℃で約3から7時間撹拌すること
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項71】
前記複数の繊維が、約88%、約92%、または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、前記変性剤がマレイン酸無水物を含み、前記溶媒がメタノールを含み、前記方法がさらに、水酸化ナトリウムを含む活性化剤を、前記繊維、前記変性剤、および前記溶媒と混合することを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項72】
前記複数の繊維が、約88%、約92%、または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、前記変性剤がマレイン酸無水物を含み、前記溶媒がメタノールを含み、ポリマーを含む繊維の表面を変性剤と接触させることが、
前記繊維と前記溶媒とを合わせて混合物を形成すること、
前記混合物を約55℃から約75℃に加熱して、加熱混合物を形成すること、
前記加熱混合物に、前記マレイン酸無水物と、水酸化ナトリウムを含む活性剤とを添加して、反応混合物を形成すること、および
前記反応混合物を約55℃から約75℃で約3から7時間撹拌すること
を含む、請求項53に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月4日に出願された米国仮出願第63/074,716号の利益を主張し、この出願は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、水溶性繊維に関する。より詳細には、本開示は、ポリマー中のビニルアルコール部分を化学的に変性することにより、繊維形成後に酢酸ビニル部分および/またはビニルアルコール部分を含む変性ポリマーを含む、水溶性繊維に関する。
【0003】
背景
不織布ウェブは、伝統的に、包帯、おむつ構成物、女性のケアおよび成人の失禁などのパーソナルケア製品を含む多くの1回使い切り消費者製品、ならびに工業用途、医療用途、清浄用途およびパーソナル/ベビーケアなどにおける1回使い切りワイプに使用される。そのような製品に使用される伝統的な化学物質、例えば、ビスコース、ポリプロピレンまたは綿繊維は、一般に、非持続性であり、非生分解性であり、マイクロプラスチックの潜在的原因因子であり、多くの場合、トイレに流され、廃水処理および下水施設に入ることなどによって不正確に廃棄される。公知のワイプは、ごみ入れに入れて廃棄されなくてはならず、これは、使用者にとって衛生的でも便利でもない場合がある。これらの物品の不適切な廃棄の結果、家の配管が詰まり、住宅および都市廃水システムにおいて、「ファットバーグ」、または固まったグリースおよび調理用脂および使い捨てワイプで構成される生分解性および非生分解性材料の固まった塊の凝集物が形成され、海洋マイクロプラスチックの原因となり得、消費者行動の変化が必要とされ得る。
【0004】
水溶性物品の溶解度プロファイルおよび機序(例えば、熱水溶性対冷水溶性、易溶性対遅延溶性または延長放出)は、物品の最終使用に基づいて調節される必要があり得る。水溶性繊維を含む物品の場合、溶解度プロファイルおよび機序は、共重合などの種々の化学的な変性を有する繊維形成材料を選択することによって様々にすることができる。しかしながら、繊維形成材料の化学的な変性は、繊維形成材料が繊維を形成する能力にも影響する。したがって、所望の溶解度プロファイルを有する繊維を提供するように所望の化学的な変性を有する特定のポリマーで形成された繊維は、繊維形成材料が繊維作製プロセスに耐えられないことがあるため、入手できないことがある。したがって、通常なら利用可能ではない溶解度プロファイルを入手するために、繊維形成後の繊維の溶解度プロファイルを変性するための方法を提供することが有利と考えられる。
【0005】
さらに、そこから調製された繊維または水溶性物品の、溶解度プロファイル、結合可能性、およびその他の性質、例えば機械的性質および化学的相溶性は、特定の最終用途に合わせて設計することができる。このように、結合可能性を改善し、繊維形成後の繊維の化学的相溶性および/もしくはその他の性質を拡張し、ならびに/または在庫管理のために複合体への組立て前に不織布ウェブの溶解度プロファイルを維持もしくは変性するための、方法を提供することが有利と考えられる。拡張された化学的相溶性は、包装および配送のための適用例に使用される。繊維の化学構成、したがって繊維の溶解度プロセスを、加工後変性する能力は、1つのまたは一握りの繊維タイプから出発する様々な繊維タイプの入手を有利に可能にすると考えられる。製造後繊維変性は、加工可能性、加工の変更、および/または組成の柔軟性など、多くの利点を提供する。
【0006】
図面の簡単な説明
本開示の理解をさらに促進するために、24の図を本明細書に添付する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1A~1Dは、例示的な実施形態による、様々な繊維形状の横断面を示し、線は繊維の直径を示す。
【0008】
【
図2】
図2Aは、例示的な実施形態による、コア-シース構造によって特徴付けられる丸繊維の横断面を示し、シース(シェル)202のポリマーは、化学的な変性またはコア201のポリマーよりも高い変性度を有する。
【0009】
図2Bは、例示的な実施形態による、内部領域301から表面領域302へのポリマーの変性度の増加勾配によって特徴付けられる丸繊維の横断面を示す。
【0010】
図2Cは、例示的な実施形態による、横断面にわたってポリマーが同じまたは同等の変性度を有することによって特徴付けられる丸繊維の横断面を示す。
【0011】
【
図3】
図3は、例示的な実施形態による、第1の領域、例えばコア領域401、第2の領域、例えばシース(シェル)領域402、ならびに少なくとも1つの第3の領域、例えば第1の領域と第2の領域との間に配置された2つの中間領域403aおよび403bを有する丸繊維の横断面を示し、繊維の断面は、第1の領域から第2の領域へのポリマーの変性度の増加勾配によって特徴付けられる。
【0012】
【
図4】
図4Aは、例示的な実施形態による、1の柔らかさ等級を有する本開示の不織布ウェブの顕微鏡写真画像である。
【0013】
図4Bは、例示的な実施形態による、5の柔らかさ等級を有する本開示の不織布ウェブの顕微鏡写真画像である。
【0014】
【
図5】
図5は、例示的な実施形態による、ウェブの外面を100および101と記した不織布ウェブの例示である。
【0015】
【
図6】
図6は、例示的な実施形態による、60℃で5時間の、THF中でのグルタル酸無水物での化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維A)を含む通気式不織布ウェブのATR-FTIR結果を示す。
【0016】
【
図7】
図7は、例示的な実施形態による、60℃で5時間の、THF中でのマレイン酸無水物での化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維A)を含む通気式不織布ウェブのATR-FTIR結果を示す。
【0017】
【
図8】
図8は、例示的な実施形態による、60℃で5時間の、THF中でのフタル酸無水物での化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維A)を含む通気式不織布ウェブのATR-FTIR結果を示す。
【0018】
【
図9】
図9は、例示的な実施形態による、60℃で5時間の、THF中でのマレイン酸無水物での化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維E)のATR-FTIR結果を示す。
【0019】
【
図10】
図10は、例示的な実施形態による、60℃で5時間の、THF中でのマレイン酸無水物、グルタル酸無水物、またはフタル酸無水物などの無水物での化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維A)を有する通気不織布ウェブの破壊時間(秒)を示す。
【0020】
【
図11】
図11は、例示的な実施形態による、室温で5時間の、DCM中でのマレイン酸無水物による化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維A)を有する不織布ウェブの破壊時間(秒)を示す。
【0021】
【
図12】
図12は、例示的な実施形態による、60℃で5時間の、THF中でのマレイン酸無水物、グルタル酸無水物、またはフタル酸無水物などの無水物による化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維A)を有する通気不織布ウェブの引張強度を示す。
【0022】
【
図13】
図13は、例示的な実施形態による、室温で5時間の、DCM中でのマレイン酸無水物による化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維A)を有する不織布ウェブの引張強度を示す。
【0023】
【
図14】
図14は、例示的な実施形態による、60℃で5時間の、THF中でのマレイン酸無水物、グルタル酸無水物、またはフタル酸無水物などの無水物による化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維A)を有する通気不織布ウェブのグリセリン保持容量(保持率のパーセンテージ)を示し、このグリセリンの初期負荷は50%であった。
【0024】
【
図15】
図15は、例示的な実施形態による、室温で5時間の、DCM中でのマレイン酸無水物による化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維A)を有する不織布ウェブのグリセリン保持容量(保持率のパーセンテージ)を示し、このグリセリンの初期負荷は50%であった。
【0025】
【
図16】
図16は、例示的な実施形態による、60℃で5時間の、THF中でのマレイン酸無水物、グルタル酸無水物、またはフタル酸無水物などの無水物による化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維A)を有する通気不織布ウェブのグリセリン保持容量(保持率のパーセンテージ)を示し、このグリセリンの初期負荷は180%であった。
【0026】
【
図17】
図17は、例示的な実施形態による、室温で5時間の、DCM中でのマレイン酸無水物による化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの複数の繊維(繊維A)を有する不織布ウェブのグリセリン保持容量(保持率のパーセンテージ)を示し、このグリセリンの初期負荷は180%であった。
【0027】
【
図18】
図18は、例示的な実施形態による、60℃で5時間の、THF中でのマレイン酸無水物による化学的な変性なしおよび化学的な変性ありの、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを含む例示的なブロックの内部領域(「内側領域」)および表面領域(「外側領域」)のATR-FTIR結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
本明細書では、繊維またはその表面を変性剤と接触させて、繊維の領域またはその表面において変性剤でポリマーの少なくとも一部分を化学的に変性し、変性された繊維を形成することにより、繊維を構成するポリマーを化学的に変性するように繊維を処理する方法が提供される。本明細書では、ポリマーを含む繊維、変性剤、および必要に応じて変性剤用の溶媒を混合して、変性剤でポリマーの少なくとも一部分を化学的に変性し、および変性された繊維を形成することによって、繊維を処理する方法も提供される。実施形態では、繊維は、繊維の溶媒と接触する持続時間にわたり、溶媒に可溶ではない。本開示の方法は、繊維を構成するポリマーの化学的な変性もしくは化学的な変性の増大を有する繊維、シースもしくは表面領域のポリマーがコアもしくは内部領域のポリマーとは異なる量の化学的な変性(変性度)を有するコア-シース構造を有する繊維、および/または内部領域から表面領域まで繊維を構成するポリマーの化学的な変性の勾配を有する繊維を、有利に提供することができる。必要に応じて、ポリマーは、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む。本明細書で使用される場合、「酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つ」および「酢酸ビニル部分および/またはビニルアルコール部分」は、酢酸ビニル部分のみ、ビニルアルコール部分のみ、または酢酸ビニル部分およびビニルアルコール部分の両方を含む例示的なポリマーについて記述する。本開示において、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明示しない限り複数指示対象を含む。このように、例えば「ビニルアルコール部分」への言及は、ビニルアルコール部分を含むそのような構造および均等物の1つまたはそれよりも多くへの言及である。例えば、そのようなポリマーは、酢酸ビニル部分およびビニルアルコール部分の両方を含むコポリマー、即ち、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーであってもよい。
【0029】
本開示の一態様は、繊維またはその表面を変性剤と接触させて、繊維の領域またはその表面において変性剤でポリマーの少なくとも一部分を化学的に変性し、変性された繊維を形成することによって、繊維を構成するポリマーを化学的に変性するように繊維を処理する方法を提供する。実施形態では、繊維またはその表面を変性剤に接触させることは、酢酸ビニル部分および/またはビニルアルコール部分を含むポリマーを含む繊維、変性剤、ならびに必要に応じて変性剤用の溶媒を混合することを含む。
【0030】
本開示の別の態様は、本開示の方法による、変性剤で化学的に変性された、変性された繊維を提供する。
【0031】
本開示の別の態様は、表面領域および内部領域を有する繊維を提供する。繊維は、酢酸ビニル部分および/またはビニルアルコール部分を含む変性ポリマーを含む。繊維は、第1の変性度を有するポリマーを含む内部領域と、第1の変性度よりも大きい第2の変性度を有するポリマーを含む表面領域とを含む、横断面を有する。
【0032】
本開示の別の態様は、コア-シース構造を有する横断面を含む繊維を提供する。繊維は、第1の変性度を有するポリマーを含む第1の領域、例えばコア領域と、第2の変性度を有するポリマーを含む第2の領域、例えばシース領域とを含む。第2の変性度は、第1の変性度とは異なり、例えばより大きい。
【0033】
本開示の別の態様は、複数の繊維を含む不織布ウェブを処理する方法を提供する。例示的な実施形態では、複数の繊維の各繊維は、酢酸ビニル部分および/またはビニルアルコール部分を含むポリマーを含む。方法は、不織布ウェブの少なくとも一部分を変性剤に接触させて、その内部の各繊維の領域で変性剤によりポリマーを化学的に変性することにより変性された不織布ウェブが提供されるようにすることを含む。
【0034】
本開示の別の態様は、本開示の方法により内部のポリマーが変性剤で化学的に変性される、変性された不織布ウェブを提供する。
【0035】
本開示の別の態様は、本開示の変性された繊維を含む不織布ウェブを提供する。
【0036】
本開示の別の態様は、本開示の方法に従って処理された不織布ウェブまたは本開示の繊維を含む不織布ウェブを含む第1の層を含む多層不織布ウェブを提供する。
【0037】
本開示の別の態様は、内部ポーチ体積部を画定するポーチの形態の、本開示による不織布ウェブを含むポーチを提供する。
【0038】
本開示の別の態様は、本開示の不織布ウェブを含む封止物品を提供する。
【0039】
本開示の別の態様は、本開示の不織布ウェブを含む水に流せる物品を提供する。
【0040】
本開示の別の態様は、着用者側面および外側面を有する吸収コア、ならびに液体取得層を含む着用可能吸収物品であって、液体取得層が、本開示の不織布ウェブを含む、着用可能吸収物品を提供する。
【0041】
さらなる態様および利点は、以下の詳細な説明の検討から、当業者に明らかになる。繊維、不織布ウェブ、ポーチ、物品およびそれらの作製方法は、様々な形態の実施形態が可能である一方、本明細書の以下の記載は、本開示が例示であることの理解とともに特定の実施形態を含み、本発明を本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図されていない。
【0042】
実施形態では、本開示の繊維は、変性剤での処理前に水溶性であり、変性剤の処理後に水溶性のままである。実施形態では、本開示の繊維は、変性剤での処理前に冷水溶性であり、変性剤の処理後に熱水溶性である。実施形態では、本開示の繊維は、変性剤での処理前に冷水溶性であり、繊維の外面の少なくとも一部分は、変性剤での処理後に熱水溶性である。実施形態では、本開示の繊維は、変性剤での処理前に熱水溶性であり、変性剤での処理後に冷水溶性である。実施形態では、本開示の繊維は、変性剤での処理前に熱水溶性であり、繊維の外面の少なくとも一部分は、変性剤での処理後に冷水溶性である。実施形態では、本開示の繊維は、変性剤での処理前は熱水溶性であり、繊維の外面の少なくとも一部分は、変性剤での処理後に冷水溶性である。実施形態では、本開示の繊維は、変性剤での処理前は冷水溶性であり、変性剤での処理後は冷水溶性のままである。実施形態では、繊維は、変性剤での処理前は水溶性ではなく、繊維は、変性剤での処理後は水溶性である。実施形態では、繊維は、変性剤と繊維を混合した後は水溶性ではない。
【0043】
本開示の方法および繊維は、繊維のミクロ構造の制御を行うこと、繊維の溶解度プロファイルおよび/またはメカニズムを修正すること、繊維の化学剤に対する化学的相溶性を高めること、繊維の吸収能を増大させること、繊維の内部への活性剤の負荷を増大および/または制御すること、繊維の内部からの組成物または活性物質の放出の制御を行うこと、分子間力を介して繊維間凝集を増大させ、および共有結合形成を介して架橋部位を創出すること、繊維およびそれから形成された不織布ウェブの加工性を改善すること(例えば、通気結合を使用して不織結合を可能にすること、引張強度を改善すること、追加の官能基に関する固着点を提供すること、および活性剤の誘発送達を可能にすること)を含むがこれらに限定することのない、1つまたはそれよりも多くの利点を提供することができる。
【0044】
他に明示しない限り、「加水分解度」という用語は、ポリマーが最初に有する全ての加水分解性部分のうちの加水分解された部分のパーセンテージ(例えば、モルパーセンテージ)として理解される。例えば、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーの場合、ヒドロキシル基による酢酸ビニル部分のエステル基の部分的な置換えが加水分解中に起こり、酢酸ビニル部分はビニルアルコール部分になる。ポリ酢酸ビニルホモポリマーの加水分解度はゼロであると考えられ、一方、ポリビニルアルコールホモポリマーの加水分解度は100%である。酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーの加水分解度は、酢酸ビニルおよびビニルアルコール部分の合計のうちのビニルアルコール部分のパーセンテージに等しく、ゼロから100%の間である。
【0045】
本明細書で使用される場合、および他に指定されない限り、本明細書に記述される化学的な変性に関するような「変性度」という用語は、本明細書に記述される繊維のポリマー主鎖に提供される化学的な変性の量を指す。例えば、ポリビニルアルコールコポリマー主鎖は、加水分解度に応じてビニルアルコールモノマー単位(部分)および酢酸ビニルモノマー単位(部分)を含むことができ、ビニルアルコールモノマー単位および酢酸ビニルモノマー単位の総量に基づいて、ポリビニルアルコールがマレイン酸モノメチルで2mol%変性されている場合には、ポリビニルアルコールの変性度が2mol%である。本明細書で使用される場合、および他に指定されない限り、主鎖における2つまたはそれよりも多くのモノマー単位を有するコポリマーは、本明細書に記述されるように、主鎖単位が繊維形成後に化学的に変性されていない限り、変性ポリマーとは見なされない。例えば、ビニルアルコールモノマー単位、酢酸ビニルモノマー単位、およびマレイン酸モノメチルモノマー単位を含むポリビニルアルコールコポリマーであって、マレイン酸モノメチルモノマー単位が全主鎖モノマー単位の2mol%を構成するものは、2mol%の変性度を有するとは見なされない。しかしながら、そのようなコポリマーは、例えば3mol%のマレイン酸モノメチルで化学的に変性させて、3mol%のマレイン酸モノメチル変性を持つ2mol%のマレイン酸モノメチル主鎖単位を含むコポリマーを提供することができる。本明細書で使用する場合、他に指定されない限り、「化学的な変性」および「化学的に変性する」という用語は、繊維のポリマー主鎖の変性を指し、化学的な変性はポリマーを加水分解することを含まず、化学的な変性は主鎖モノマー単位の量を増加させない。例えば、ポリビニルアルコールコポリマー主鎖は、加水分解度に応じてビニルアルコールモノマー単位および酢酸ビニルモノマー単位を含むことができ、ポリビニルアルコールが、本明細書では化学的に変性されていると言われる場合、ビニルアルコールモノマー単位および酢酸ビニルモノマー単位の総量は、変性されていないまたは非変性ポリマーに対して、化学的な変性の量(変性度)だけ減少するが、それはビニルアルコールモノマー単位および/または酢酸ビニルモノマー単位が、変性されたモノマー単位に変換されているからである。本明細書に開示される繊維のポリマーは、繊維のポリマーをさらに化学的に変性させる前に、変性度を有することが可能であり、したがって全変性度は、繊維のポリマーをさらに化学的に変性させる前の変性度を、本明細書に開示される変性剤から生じた変性度に加えられたものと考えられる。一部の実施形態では、ビニルアルコール部分におけるヒドロキシル(-OH)基は変性剤と反応し、ポリマー主鎖は、変性剤の部分に化学的に結合する。
【0046】
本明細書で使用される場合、他に指定されない限り、「水溶性」という用語は、本明細書で示される通り溶解時間および崩壊時間を試験するための方法(MSTM-205)に従って決定されるように、指定された温度で300秒もしくそれ未満の溶解時間を有する任意の不織布ウェブもしくはそれを含有する物品、または本明細書に開示の単一繊維溶解度を決定する方法に従って、指定された温度で30秒未満の完全溶解時間を有する任意の繊維を指す。例えば、溶解度パラメーターは、6ミル(約152μm)の厚さを有する不織布ウェブまたはそれから作製された物品の特性とすることができる。不織布ウェブの溶解時間は、必要に応じて、約100℃、約90℃、約80℃、約70℃、約60℃、約50℃、約40℃、約20℃、または約10℃の温度で、200秒もしくはそれ未満、100秒もしくはそれ未満、60秒もしくはそれ未満、または30秒もしくはそれ未満とすることができる。溶解温度が指定されていない実施形態では、水溶性不織布ウェブは、約100℃以下の温度で300秒またはそれ未満の溶解時間を有する。繊維は、約100℃、約90℃、約80℃、約70℃、約60℃、約50℃、約40℃、約20℃、または約10℃の温度で、30秒またはそれ未満の完全溶解時間を有することができる。本明細書で使用される場合、繊維が、本明細書に開示の単一繊維溶解度を決定する方法に従って、指定された温度で30秒超の完全溶解時間を有する場合、繊維は「不溶性」、「水不溶性」、「非水溶性」、または「水に不溶性」である。完全溶解温度が指定されていない実施形態では、水溶性繊維は、約100℃以下の温度で30秒またはそれ未満の完全溶解時間を有し、水不溶性繊維は、約100℃以下の温度で30秒超の完全溶解時間を有する。本明細書で使用される場合、他に指定されない限り、「冷水溶性」という用語は、MSTM-205に従って決定されるような、10℃で300秒またはそれ未満の溶解時間を有する任意の不織布ウェブを指す。例えば、溶解時間は、必要に応じて、10℃で200秒もしくはそれ未満、100秒もしくはそれ未満、60秒もしくはそれ未満、または30秒とすることができる。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、繊維に関連する「冷水溶性」という用語は、本明細書に開示の単一繊維溶解度を決定する方法に従って、10℃またはそれ未満の温度で30秒またはそれ未満の完全溶解時間を有する繊維を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「水分散性」という用語は、特定の温度における水浸時に不織布ウェブまたは物品がより小さな構成片に物理的に分離する、不織布ウェブまたはそれを含有する物品をいう。より小さな破片は、肉眼で可視であっても可視でなくてもよく、水に懸濁したままであってもなくてもよく、最終的に溶解してもしなくてもよい。分散温度が指定されていない実施形態では、不織布ウェブまたはポーチは、MSTM-205に従って、約100℃またはそれ未満の温度で300秒またはそれ未満で崩壊する。例えば、崩壊時間は、必要に応じて、MSTM-205に従って、約80℃、約70℃、約60℃、約50℃、約40℃、約20℃、または約10℃の温度で、200秒もしくはそれ未満、100秒もしくはそれ未満、60秒もしくはそれ未満、または30秒もしくはそれ未満であり得る。例えば、そのような分散パラメーターは、6ミル(約152μm)の厚さを有する不織布ウェブまたはそれから作製された物品の特性であり得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「水に流せる」という用語は、ウェブ(複数可)またはポーチ(複数可)の廃棄の結果、そのような物品が給排水システムの配管内に留まるまたは経時的に蓄積してそのような配管の閉塞を引き起こすことのないような、水性環境、例えば、下水システムに分散性である物品、例えば不織布ウェブまたはポーチをいう。フラッシング性に関するINDA/EDANA規格は、28RPM(毎分回転数)および18°傾斜角を使用した60分間のスロッシュボックス試験後に、95%超の出発材料が12.5mm篩を通過しなくてはならないことを要求する。本明細書で示されるフラッシング性試験は、より厳格なフラッシング性試験を提供する。本明細書で市販ワイプAと呼ばれる、水に流せるワイプの形態の市販の不織布ウェブは、水に流せることが保証されており、本明細書で示されるフラッシング性試験によって測定して、20秒の崩壊時間を有する。したがって、本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「水に流せる」という用語は、本明細書で示されるフラッシング性試験によって測定して、市販ワイプAのパーセント分解(20%)を満たすまたはそれを超えるパーセント崩壊を有する物品、例えば、不織布ウェブまたはポーチをいう。水に流せる不織布ウェブおよびそれを含有する物品は、再利用法においてより処理可能である、あるいは例えば、浄化用の都市下水処理システムに単純に流すことができ、使用後、ウェブ、構造体またはポーチが埋め立て、焼却またはその他の廃棄の必要がないという利点を有する。
【0049】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「不織布ウェブ」という用語は、配置構成(例えば、カーディング法によって)され、互いに結合した繊維を含む、それらからなるまたはそれらから本質的になるウェブまたはシートをいう。したがって、不織布ウェブという用語は、不織繊維ベースのウェブの簡略表記と考えることができる。さらに、本明細書で使用される場合、「不織布ウェブ」は、例えば、その表面にラミネートされたフィルムを有する不織布ウェブまたはシートを含む不織布ウェブまたはシートを含む任意の構造を含む。繊維から不織布ウェブを調製する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるNonwoven Fabrics Handbook, prepared by Ian Butler, edited by Subhash Batra et al., Printing by Design, 1999に記載されている。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「フィルム」という用語は、例えば、キャスティングまたは押出法によって調製された連続フィルムまたはシートをいう。
【0050】
「含む」とは、本明細書で使用される場合、様々な構成成分、成分またはステップが、本開示を実施するのに合同して用いることができることを意味する。したがって、「含む」という用語は、より限定的な用語「から本質的になる」および「からなる」を包含する。本組成物は、本明細書に開示の必要なおよび必要に応じた要素のうちの任意のものを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなり得る。例えば、熱成形パケットは、非熱成形フィルムまたは不織布ウェブ(例えば、蓋部分)および例えばインクジェットプリントによる必要に応じたフィルム上のマーキングを含みながら、その熱成形特性の使用について本明細書に記載の不織布ウェブ「から本質的になり」得る。本明細書に例示的に開示される本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素またはステップの非存在下で好適に実施されてもよい。
【0051】
本明細書で言及されるすべてのパーセンテージ、部および比は、場合により、本開示の不織布ウェブもしくはフィルム組成物の総乾燥重量、またはパケット内容物組成物の総重量に基づき、すべての測定は、別に指定されない限り、約25℃で行われる。すべてのそのような重量は、活性レベルに基づき、したがって、別に指定されない限り、市販材料に含まれ得る担体または副生成物を含まない。
【0052】
本明細書で示されるすべての範囲は、範囲のすべての可能な部分集合およびそのような部分集合範囲の任意の組合せを含む。既定では、別に述べられない限り、範囲は述べられた端点を含む。値の範囲が提示される場合、その範囲の上限と下限との間に介在する各値、およびその述べられた範囲の任意の他の述べられたまたは介在する値は、本開示内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立して含まれてもよく、また、述べられた範囲の任意の特に除外された限界を条件に、本開示内に包含される。述べられた範囲が、一方または両方の限界を含む場合、含まれる限界のいずれかまたは両方を除く範囲もまた、本開示の一部であることが企図される。
【0053】
例えば、記載の主題のパラメーターまたは記載の主題と関連する範囲の一部として本明細書に記載の任意の数値について、記載の一部を形成する代替案は、特定の数値を囲む機能的に等価な範囲である(例えば、「40mm」と開示される寸法について、企図される代替の実施形態は、「約40mm」である)ことが明らかに企図される。
【0054】
本明細書で使用される場合、パケット(複数可)およびポーチ(複数可)という用語は、交換可能と考えられるべきである。ある特定の実施形態では、パケット(複数可)およびポーチ(複数可)という用語は、それぞれ、不織布ウェブおよび/またはフィルムを使用して作製された容器、ならびに例えば測定用量送達系の形態の、その中に封止された材料を好ましくは有する完全封止容器をいうために使用される。封止ポーチは、加熱封止、溶媒溶接および接着封止(例えば、水溶性接着剤の使用による)などのプロセスおよび特徴を含む任意の好適な方法から作製され得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「wt.%」および「wt%」という用語は、言及される物品または組成物全体、例えば、不織布ウェブもしくはフィルム中の残留水分(適用可能な場合)を含む不織布ウェブもしくはフィルムまたはラミネート構造体の「乾燥」(非水)重量部、あるいはポーチ内に封入された組成物(適用可能な場合)の重量部の特定の要素の組成をいうことが意図される。
【0056】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「PHR」(「phr」)という用語は、言及されるポリマー含有物品、例えば、水溶性フィルム、繊維もしくは不織布ウェブ、または繊維もしくはフィルムを作製するのに使用された溶液中の水溶性ポリマー(別に指定されない限り、PVOHまたは他のポリマーのいずれであれ)100部当たりの部の特定の要素の組成をいうことが意図される。
【0057】
不織布ウェブ、ポーチおよび関連物品、ならびに作製方法および使用方法は、別に述べられない限り、以下にさらに記載される追加の必要に応じた要素、特徴およびステップ(実施例および図に示されるものを含む)のうちの1つまたはそれよりも多くの任意の組合せを含む実施形態を含むことが企図される。
【0058】
繊維形成材料
【0059】
一般に、本開示の繊維は、単一の繊維形成材料または繊維形成材料の組合せ(すなわち、ブレンド)を含み得る。単一の繊維は、1つもしくはそれよりも多くの水溶性繊維形成材料、1つもしくはそれよりも多くの非水溶性繊維形成材料、または水溶性および非水溶性繊維形成材料の組合せを含み得る。本開示の繊維は、一般に、合成繊維形成材料、天然繊維形成材料、植物ベースの繊維形成材料、バイオベースの繊維形成材料、生分解性繊維形成材料、堆肥化可能な繊維形成材料、またはその組合せを含み得る。植物ベースの繊維形成材料は、天然に存在し得(例えば、綿)、または再構成され得る(例えば、竹)。
【0060】
一般に、本開示の繊維は、変性剤に接触させる前、化学的に変性させることができる官能基を含む繊維形成材料を含む。本明細書で使用される場合、化学的に変性させることができる官能基は一般に、エステル化、アミド化、アミン化、カルボキシル化、ニトロ化、アシロイン縮合、アリル化、アセチル化、イミド化、ハロゲン化、スルホン化、アルキル化、アセタール化、エノール化、ニトロソ化、およびシランカップリングを受けることができる任意の官能基を含むが、これらに限定するものではない。化学的に変性させることができる官能基を含む適切なポリマーには、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、ポリビニルアルコールポリマー、ポリ(N-ビニルアセトアミド)ポリマー、ポリビニルブチラールポリマー、ポリ(アクリル酸ブチル)ポリマー、ポリ(メタクリル酸ブチル)ポリマー、酢酸セルロースポリマー、ポリアクリロニトリルポリマー、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ポリマー、ポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)ポリマー、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)ポリマー、ポリ(メチルビニルエーテル)ポリマー、ポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)ポリマー、ポリ(N-ビニルホルムアミド)ポリマー、ポリ(N-ビニルカプロラクタム)ポリマー、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリ乳酸、およびこれらの組合せが含まれる。
【0061】
実施形態では、本開示の繊維は、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含むことができる。一部の実施形態では、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーの適切な例には、限定するものではないがポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマー、およびこれらの組合せが含まれる。例えば、ポリビニルアルコールコポリマーは、一部の実施形態では、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである。例えば、一部の実施形態では、変性ポリビニルアルコールコポリマーは、カルボキシレート、スルホネート、またはこれらの組合せなどの追加の基をさらに含む酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーであってもよい、アニオン性変性コポリマーを含む。また、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むそのようなポリマーは、例えばブレンド中に追加のポリマーを含んでいてもよい。一部の実施形態では、ビニルアルコール部分におけるヒドロキシル(-OH)基は、ポリマーの化学的な変性のための変性剤と反応する。
【0062】
ポリビニルアルコールは、通常はポリ酢酸ビニルの加水分解または鹸化と呼ばれるアルコール分解によって、一般に調製される合成ポリマーである。事実上全てのアセテート基がアルコール基に変換されている、完全に加水分解したPVOHは、熱水-約140°F(約60℃)超にのみ溶解する、強力に水素結合した高度結晶化ポリマーである。十分な数のアセテート基が、ポリ酢酸ビニルの加水分解後に残される場合、即ちPVOHポリマーが部分的に加水分解する場合、ポリマーは、より弱く水素結合してそれほど結晶質ではなく、一般には冷水-約50°F(約10℃)未満に可溶である。したがって、部分的に加水分解したポリマーは、PVOH(ポリビニルアルコール)コポリマーであるビニルアルコール-酢酸ビニルコポリマーであるが、一般には「ポリビニルアルコール(PVOH)」または「PVOHポリマー」と呼ばれる。簡単に言うと、本明細書で使用される「PVOHポリマー」という用語は、ビニルアルコール部分、例えば50%またはそれよりも高いビニルアルコール部分を含むホモポリマー、コポリマー、および変性コポリマーを包含すると理解される。本明細書で使用される「PVOH繊維」という用語は、ホモポリマー、コポリマー、および変性コポリマーであって、ビニルアルコール部分、例えば50%またはそれよりも高いビニルアルコール部分を含むホモポリマー、コポリマー、および変性コポリマーを含む繊維;および変性剤で化学的に変性されたそのようなポリマーを含む繊維を包含すると理解される。化学的に変性された繊維は、ビニルアルコール単位を含まないか、または50%未満のビニルアルコール単位を含み得る。
【0063】
本明細書に記述される繊維は、ポリ酢酸ビニル、1つもしくはそれより多くのポリビニルアルコール(PVOH)ホモポリマー、1つもしくはそれより多くのポリビニルアルコールコポリマー、あるいはこれらの組合せを含むことができる。本明細書で使用される場合、「ホモポリマー」という用語は一般に、単一タイプのモノマー反復単位を有するポリマーを含む(例えば、単一モノマー反復単位からなるまたはそれから実質的になるポリマー鎖)。PVOHの特定の場合には、化学的な変性のためのポリマーの例として「PVOHポリマー」という用語は、加水分解度に応じて、ビニルアルコールモノマー単位および酢酸ビニルモノマー単位の分布からなるコポリマーを含む(例えば、ビニルアルコールおよび酢酸ビニルモノマー単位からなるまたはそれから実質的になるポリマー鎖)。100%加水分解の限定的な場合には、PVOHポリマーは、ビニルアルコール単位のみ有する真のホモポリマーを含んでもよい。一部の実施形態では、本開示の繊維および/またはフィルムは、ポリビニルアルコールコポリマーを含む。一部の実施形態では、本開示の繊維および/またはフィルムは、熱水溶性ポリビニルアルコールコポリマーを含む。
【0064】
一部の実施形態では、化学的な変性のためのポリマーは、酢酸ビニル/ビニルアルコール基に加えて1つまたはそれよりも多くのモノマーを含むポリビニルアルコールコポリマーまたは高級ポリマー(例えば、ターポリマー)を含む。必要に応じて、追加のモノマーは中性であり、例えばエチレン、プロピレン、N-ビニルピロリドン、またはその他の非荷電モノマー種により提供されるものである。必要に応じて、追加のモノマーは、例えば正に帯電したモノマー種により提供された、カチオン性である。必要に応じて、追加のモノマーはアニオン性である。このように、一部の実施形態では、ポリビニルアルコールは、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーを含む。アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、アニオン性モノマー単位、ビニルアルコールモノマー単位、および必要に応じて酢酸ビニルモノマー単位(即ち、完全に加水分解されなかったとき)を含む、部分的にまたは完全に加水分解されたPVOHコポリマーを含むことができる。一部の実施形態では、PVOHコポリマーは、2つまたはそれよりも多くのタイプのアニオン性モノマー単位を含み得る。PVOHコポリマーに使用することができるアニオン性モノマー単位の一般的なクラスは、スルホン酸ビニルモノマーおよびそのエステル、モノカルボン酸ビニルモノマー、これらのエステルおよび無水物、重合性二重結合を有するジカルボン酸モノマー、これらのエステルおよび無水物、ならびに前述のいずれかのアルカリ金属塩に相当するビニル重合単位を含む。適切なアニオン性モノマー単位の例には、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸ジアルキル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、シトラコン酸無水物、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、グルタコン酸無水物、アクリル酸アルキル、アルクアクリル酸アルキル、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド(acrylamide)-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸2-スルホエチル、前述のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、またはその他のアルカリ金属塩)、前述のエステル(例えば、メチル、エチル、またはその他のC1~C4またはC6アルキルエステル)、および前述の組合せ(例えば、アニオン性モノマーまたは同じアニオン性モノマーの均等形態の多数のタイプ)を含む、ビニルアニオン性モノマーに該当する、ビニル重合単位が含まれる。一部の実施形態では、PVOHコポリマーは、中性、アニオン性、およびカチオン性モノマー単位から選択される2つまたはそれよりも多くのタイプのモノマー単位を含み得る。
【0065】
PVOHコポリマー中の1つまたはそれよりも多くのモノマー単位の組込みレベルは、特に限定されない。実施形態では、1つまたはそれよりも多くのモノマー単位は、約1mol%または2mol%から約6mol%または10mol%の範囲の量で(例えば、様々な実施形態で少なくとも1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、または4.0mol%、および/または最大で約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0、または10mol%)、PVOHコポリマー中に存在する。実施形態では、追加のモノマー単位は、アニオン性モノマー単位とすることができ、アニオン性モノマー単位は、約1mol%または2mol%から約6mol%または10mol%の範囲の量で(例えば、様々な実施形態において少なくとも1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、または4.0mol%、および/または最大で約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0、または10mol%)、PVOHコポリマー中に存在する。
【0066】
ポリビニルアルコールは、溶解度特性の変化に供することができる。酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマー(PVOHコポリマー)のアセテート基は、酸またはアルカリ性加水分解のいずれかによって加水分解可能であることが当業者に公知である。加水分解度が増加するにつれて、PVOHコポリマーで作製されたポリマー組成物は、増加した機械的強度を有することになるが、より低温で溶解度が減少することになる(例えば、溶解のために熱水温度が必要である)。したがって、PVOHコポリマーのアルカリ性環境(例えば、洗濯用漂白添加剤から生じる)への曝露は、所与の水性環境(例えば、冷水媒体)に迅速に、および完全に溶解するものから、水性環境にゆっくりおよび/または不完全に溶解するものにポリマーを変換させることができ、洗浄サイクルの終了時に未溶解のポリマー残留物が生じる可能性がある。
【0067】
例えば、ビニルアルコール/加水分解メチルアクリレートナトリウム塩ポリマーなどのペンダントカルボキシル基を有するPVOHコポリマーは、隣接するペンダントカルボキシルとアルコール基との間でラクトン環を形成することができ、したがってPVOHコポリマーの水溶解度が減少する。強塩基の存在下で、ラクトン環は、比較的温暖(周囲)および高湿度条件で数週間の過程をかけて開環できる(例えば、ラクトン開環反応を介して、対応するペンダントカルボキシルおよびアルコール基が形成し、水溶解度が増加する)。したがって、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのPVOHコポリマーで観察された効果とは逆に、そのようなPVOHコポリマーペンダントカルボキシル基は、保存の間のポリマーとポーチ内のアルカリ性組成物との間の化学的相互作用に起因して、より可溶性になり得ると考えられる。
【0068】
重合性ビニル結合を有する特定のスルホン酸およびその誘導体は、酢酸ビニルと共重合して、強塩基の存在下で安定である冷水溶性PVOHポリマーをもたらすことができる。水溶性フィルムの配合物中で使用されるこれらのコポリマーの塩基触媒下アルコール分解生成物は、迅速に溶解するビニルアルコール-スルホネート塩コポリマーである。PVOHコポリマーのスルホネート基は、水素イオンの存在下でスルホン酸基に逆戻りし得るが、スルホン酸基は、ポリマーの優れた冷水溶解度をなおもたらす。実施形態では、ビニルアルコール-スルホネート塩コポリマーは、残留アセテート基を含有せず(すなわち、完全に加水分解されている)、したがって、酸またはアルカリ性加水分解のいずれによってもさらに加水分解できない。一般に、コモノマーの量が増加するにつれて、水溶解度は増加し、したがって、スルホネートまたはスルホン酸基の十分な包含により、水素結合および結晶性が阻害され、冷水への溶解が可能になる。酸性または塩基性種の存在下で、コポリマーは、スルホネートまたはスルホン酸基を除いて一般に影響を受けず、これは、酸性または塩基性種の存在下でさえ、優れた冷水溶解度を維持する。適切なスルホン酸コモノマー(および/またはこれらのアルカリ金属塩誘導体)の例には、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸および2-スルホエチルアクリレートが含まれ、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)のナトリウム塩が好ましいコモノマーである。
【0069】
繊維形成ポリマーは、ポリビニルアルコールポリマーまたはそれ以外のいずれであれ、ブレンドできる。ポリマーブレンドが、ポリビニルアルコールポリマーのブレンドを含む場合、PVOHポリマーブレンドは、PVOHコポリマーまたは1つもしくはそれより多くの種のアニオン性モノマー単位(例えば、PVOH ター(またはより高級コ-)ポリマー)を含む変性PVOHコポリマーを含み得る第1のPVOHポリマー(「第1のPVOHポリマー」)、ならびにPVOHコポリマーまたは1つもしくはそれより多くの種のアニオン性モノマー単位(例えば、PVOH ター(またはより高級コ-)ポリマー)を含む変性PVOHコポリマーを含み得る第2のPVOHポリマー(「第2のPVOHポリマー」)を含み得る。一部の態様では、PVOHポリマーブレンドは、第1のPVOHポリマーおよび第2のPVOHポリマー(例えば、2つのポリマーの二元ブレンド)のみを含む。あるいは、または加えて、PVOHポリマーブレンドまたはそれから作製された繊維もしくは不織布ウェブは、他のポリマー(例えば、一般に他のポリマー、特に他のPVOHベースのポリマー、またはその両方)を含まない、または実質的に含まないことを特徴とし得る。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」とは、第1および第2のPVOHポリマーが、水溶性繊維またはフィルム中の水溶性ポリマーの総量の少なくとも95wt.%、少なくとも97wt.%または少なくとも99wt.%を構成することを意味する。他の態様では、繊維は、1つまたはそれより多くの追加の水溶性ポリマーを含み得る。例えば、PVOHポリマーブレンドは、第3のPVOHポリマー、第4のPVOHポリマー、第5のPVOHポリマーなど(例えば、アニオン性モノマー単位を含むまたは含まない1つまたはそれより多くの追加のPVOHコポリマーまたは変性PVOHコポリマー)を含み得る。例えば、繊維は、PVOHポリマー以外(例えば、アニオン性モノマー単位を含むまたは含まないPVOHホモポリマーまたはPVOHコポリマー以外)の少なくとも第3(または第4、第5など)の水溶性ポリマーを含み得る。
【0070】
変性剤による化学的な変性前の、本開示の繊維に含まれるPVOHコポリマーの加水分解度(DH)は、約75%から約99.9%(例えば、冷水溶性組成物の場合など、約79%から約99.9%、約79%から約92%、約80%から約90%、約88%から92%、約86.5%から約89%、または約88%、90%もしくは92%;約90%から約99%、約92%から約99%、約95%から約99%、約98%から約99%、約98%から約99.9%、約96%、約98%、約99%または99%超)の範囲にすることができる。加水分解度が減少するにつれて、ポリマーから作製された繊維は、減少した機械的強度を有することになるが、約20℃よりも低い温度でより速く溶解する。加水分解度が増加するにつれて、ポリマーから作製された繊維またはフィルムは、機械的にさらに強くなる傾向になり、熱成形性が減少する傾向になる。PVOHの加水分解度は、ポリマーの水溶解度が温度依存性であるように選択することができ、したがって、ポリマーから作製された繊維の溶解度も影響される。1つの選択肢では、繊維は冷水溶性である。任意の他のモノマー(例えば、アニオン性モノマーと共重合しないコポリマー)を含まない、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーの場合、10℃未満の温度の水に可溶である冷水溶性繊維は、約75%から約90%の範囲、または約80%から約90%の範囲、または約85%から約90%の範囲の加水分解度を有するPVOHを含むことができる。別の選択肢では、繊維は熱水溶性である。任意の他のモノマー(例えば、アニオン性モノマーと共重合しないコポリマー)を含まない、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーの場合、少なくとも約60℃の温度の水に可溶である熱水溶性繊維は、少なくとも約98%の加水分解度を有するPVOHを含むことができる。酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーは、PVOHコポリマーと呼ばれ得るが、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーであってアニオン性モノマー部分を含むものは、変性PVOHコポリマーまたはアニオン性変性PVOHコポリマーと呼ばれ得る。PVOHコポリマーおよび変性PVOHコポリマーは共に、変性剤による化学的な変性前の繊維中のポリマーとすることができる。
【0071】
ポリマーブレンドの加水分解度はまた、算術加重、平均加水分解度
【数1】
によって特徴付けることができる。例えば、2つまたはそれよりも多くのPVOHポリマーを含むPVOHポリマーの
【数2】
は、式
【数3】
(式中、W
iはそれぞれのPVOHポリマーの重量パーセンテージであり、H
iは、それぞれの加水分解度である)によって計算される。ポリマーが特定の加水分解度を有すると言われる場合、ポリマーは、指定の加水分解度を有する単一のポリビニルアルコールポリマーまたは指定の平均加水分解度を有するポリビニルアルコールポリマーのブレンドとすることができる。
【0072】
PVOHポリマーの粘度(μ)は、英国規格EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield試験法に記載の通り、ULアダプターを備えるBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに作製した溶液を測定することによって決定される。20℃における4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を記述するのが国際標準である。本明細書で特定されるすべての粘度(単位センチポアズ(cP))は、別に指定されない限り、20℃における4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度をいうと理解されるべきである。同様に、ポリマーが特定の粘度を有する(または有さない)と記載される場合、別に指定されない限り、特定の粘度は、ポリマーの平均粘度であり、これは、本質的に、対応する分子量分布、すなわち、以下に記載の通りの加重自然対数平均粘度を有することが意図される。PVOHポリマーの粘度は、PVOHポリマーの重量平均分子量
【数4】
と相関し、多くの場合、粘度は、
【数5】
の代わりとして使用されることが、当技術分野で周知である。
【0073】
実施形態では、PVOHポリマーは、約1.0~約50.0cP、約1.0~約40.0cP、または約1.0~約30.0cP、例えば、約4cP、8cP、15cP、18cP、23cPまたは26cPの粘度を有し得る。実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約1.0~約40.0cP、または約5cP~約23cP、例えば、約1cP、1.5cP、2cP、2.5cP、3cP、3.5cP、4cP、4.5cP、5cP、5.5cP、6cP、6.5cP、7cP、7.5cP、8cP、8.5cP、9cP、9.5cP、10cP、11cP、12cP、13cP、14cP、15cP、17.5cP、18cP、19cP、20cP、21cP、22cP、23cP、24cP、25cP、26cP、27cP、28cP、29cP、30cP、31cP、32cP、33cP、34cP、35cPまたは40cPの粘度を有し得る。実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約21cP~26cPの粘度を有し得る。実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約5cP~14cPの粘度を有し得る。実施形態では、PVOHホモポリマーおよび/またはコポリマーは、約5cP~約23cPの粘度を有し得る。
【0074】
参考のために、ポリマーブレンドにおいて、第1のPVOHポリマーは、第1の20℃における4%溶液粘度(μ
1)を有すると示され、第2のPVOHポリマーは、第2の20℃における4%溶液粘度(μ
2)を有すると示される。様々な実施形態では、第1の粘度μ
1は、約4cP~約70cP(例えば、少なくとも約4、8、10、12もしくは16cPおよび/または最大約12、16、20、24、28、30、32、35、37、40、45、48、50、56、60もしくは70cP、例えば、約4cP~約70cp、約4cp~約60cp、約4cP~約46cP、約4cP~約24cP、約10cP~約16cP、または約10cP~約20cP、または約20cP~約30cP)の範囲であり得る。あるいは、または加えて、第2の粘度μ
2は、約4cP~約70cP(例えば、少なくとも約4、8、10、12もしくは16cPおよび/または最大約12、16、20、24、28、30、32、35、37、40、45、48、50、56、60もしくは70cP、例えば、約12cP~約30cP、約10cP~約16cP、または約10cP~約20cP、または約20cP~約30cP)の範囲であり得る。PVOHポリマーブレンドが、PVOHポリマーおよびPVOHコポリマーから選択される3つまたはそれよりも多くのPVOHポリマーを含む場合、前述の粘度値は、各PVOHポリマーまたはPVOHコポリマーに個々に当てはまり得る。したがって、第1のPVOHコポリマーおよび第2のPVOHコポリマーを含む水溶性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、約30,000~約175,000、または約30,000~約100,000、または約55,000~約80,000の範囲であり得る。PVOHポリマーブレンドの平均粘度をいう場合、加重自然対数平均粘度
【数6】
が使用される。2つまたはそれよりも多くのPVOHポリマーを含むPVOHポリマーの
【数7】
は、式
【数8】
(式中、μ
iは、それぞれのPVOHポリマーの粘度である)によって計算される。
【0075】
水溶性繊維がポリビニルアルコールホモポリマーおよびポリビニルアルコールコポリマーのブレンドを含む実施形態では、ホモポリマーおよびコポリマーの相対量は、特に限定されない。ポリビニルアルコールホモポリマーは、水溶性ポリマーブレンドの総重量の約15wt.%~約70wt.%、例えば、水溶性ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも約15wt.%、少なくとも約20wt.%、少なくとも約25wt.%、少なくとも約30wt.%、少なくとも約40wt.%、少なくとも約50wt.%または少なくとも約60wt.%および最大約70wt.%、最大約60wt.%、最大約50wt.%、最大約40wt.%または最大約30wt.%を構成し得、単一のホモポリマーまたは1つもしくはそれより多くのホモポリマー(例えば、粘度および/または加水分解度の差を有する)のブレンドであり得る。水溶性ポリマーブレンドの残部は、水溶性ポリビニルアルコールコポリマーであり得る。理論に縛られることを意図することなく、ホモポリマーの量が約15wt.%未満に減少するにつれて、ポリビニルアルコールホモポリマーおよびコポリマーのブレンドが繊維を形成する能力が減少すると考えられる。水溶性ポリビニルアルコールコポリマーは、水溶性ポリマーブレンドの総重量の約30wt.%~約85wt.%、例えば、水溶性ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも約30wt.%、少なくとも約40wt.%、少なくとも約50wt.%、少なくとも約60wt.%、少なくとも約70wt.%、少なくとも約75wt.%または少なくとも約80wt.%および最大約85wt.%、最大約80wt.%、最大約70wt.%、最大約60wt.%、最大約50wt.%または最大約40wt.%を構成し得、単一のコポリマーまたは1つもしくはそれより多くのコポリマーのブレンドであり得る。ブレンドは、ポリビニルアルコールホモポリマーおよびポリビニルアルコールコポリマーからなり得る。ブレンドは、ポリビニルアルコールホモポリマーおよび複数のポリビニルアルコールコポリマーからなり得る。ブレンドは、1種よりも多いポリビニルアルコールホモポリマーおよび1種よりも多いポリビニルアルコールコポリマーからなり得る。
【0076】
実施形態では、繊維は、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む。実施形態では、繊維は、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーまたはその組合せを含む。実施形態では、繊維は、ポリビニルアルコールホモポリマーを含む。実施形態では、繊維は、ポリビニルアルコールコポリマーを含む。実施形態では、繊維は、アニオンモノマー単位(部分)を含むポリビニルアルコールコポリマーを含む。実施形態では、繊維は、アニオンモノマー単位を含み、アニオンモノマー単位はカルボキシレート、スルホネートまたはその組合せを含む。実施形態では、ポリビニルアルコールポリマーは、繊維を変性剤と混合する前に、水溶性である。実施形態では、ポリビニルアルコールポリマーは、変性剤の添加前に、約0mol%から約10mol%の範囲の変性度を有する。実施形態では、変性剤による変性前の繊維中のポリマーは、繊維を加水分解剤溶液と混合する前に約79%よりも多く、および約99.99%未満(例えば、約79%から約96%または約88%から約99.99%)の加水分解度を有する。
【0077】
本開示の繊維は、PVOH、PVOHコポリマー、および変性PVOHコポリマー以外の水溶性ポリマーであって、限定するものではないがポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルランを含むもの、水溶性天然ポリマーであって、限定するものではないがグアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラギーナンおよび水溶性デンプンを含むもの、水溶性ポリマー誘導体であって、限定するものではないが変性デンプン、エトキシル化デンプン、およびヒドロキシプロピル化デンプンを含むもの、前述のもののコポリマー、ならびに前述の追加のポリマーまたはコポリマーのうち任意のものの組合せを含むことができる。なお他の水溶性ポリマーは、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸およびその塩、水溶性セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸およびその塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ならびに前述のもののうち任意のものの組合せを含むことができる。そのような水溶性ポリマーは、PVOHまたはそれ以外のいずれであれ、種々の供給元から市販されている。
【0078】
実施形態では、繊維は、ポリビニルアルコールポリマーと、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラギーナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのうち任意のものの組合せを含む追加のポリマーとを含む。
【0079】
繊維は、水不溶性繊維形成材料をさらに含み得る。好適な水不溶性繊維形成材料は、これらに限定されないが、綿、ポリエステル、コポリエステル、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、木材パルプ、フラッフパルプ、マニラ麻、ビスコース、不溶性セルロース、不溶性デンプン、大麻、ジュート、亜麻、ラミー、サイザル麻、バガス、芭蕉繊維、シロマツ、絹、腱、カットガット、毛、シーシルク、モヘア、アンゴラ、カシミア、コラーゲン、アクチン、ナイロン、ダクロン、レーヨン、竹繊維、モーダル、ジアセテート繊維、トリアセテート繊維、ポリエステル、コポリエステル、ポリラクチド(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)およびその組合せを含む。実施形態では、水不溶性繊維は、綿またはレーヨンを含まない。実施形態では、水不溶性繊維は、毛、ジアセテート、トリアセテート、ナイロン、PLA、PET、PPまたはその組合せを含む。
【0080】
繊維は、本明細書において補助または二次成分と呼ばれる非繊維形成材料をさらに含み得る。補助剤は、これらに限定されないが、活性剤、可塑剤、可塑剤相溶化剤、界面活性剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、脱粘着剤、消泡剤、層状シリケート型ナノクレイなどのナノ粒子(例えば、ナトリウムモンモリロナイト)、漂白剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムまたはその他)、苦味剤(例えば、安息香酸デナトニウム、デナトニウム糖および塩化デナトニウムなどのデナトニウム塩;スクロースオクタアセタート;キニーネ;ケルセチンおよびナリンゲニンなどのフラボノイド;ならびにカシンおよびブルシンなどのカシノイド)および辛味剤(例えば、カプサイシン、ピペリン、アリルイソシアネートおよびレシニフェラトキシン(resinferatoxin))などの嫌悪剤、ならびに他の機能性成分などの活性剤および処理剤を、その意図される目的に好適な量で含み得る。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「補助剤」は、二次添加剤、処理剤および活性剤を含む。特定のそのような補助剤および処理剤は、水溶性繊維、水不溶性繊維、不織布ウェブにおける使用に好適なもの、または水溶性フィルムにおける使用に好適なものから選択され得る。
【0081】
実施形態では、本開示の繊維は、補助剤を含まない。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、繊維に関して「補助剤を含まない」とは、繊維が、繊維の総重量に基づいて、約0.01wt.%未満、約0.005wt.%未満、または約0.001wt.%未満の補助剤を含むことを意味する。
【0082】
可塑剤は、材料(通常、樹脂またはエラストマー)に添加されて、その材料をより柔らかく、より可撓性にし(ポリマーのガラス転移温度を低下させることによって)、加工しやすくする液体、固体または半固体である。あるいは、ポリマーは、ポリマーまたはモノマーを化学変性することによって、内部から可塑化され得る。加えて、または代わりに、ポリマーは、好適な可塑化剤を添加することによって、外部から可塑化され得る。水は、PVOHおよびこれらに限定されないが、水溶性ポリマーを含む他のポリマーの非常に効率のよい可塑剤として認識されているが、しかしながら、ポリマーフィルムは、低および高相対湿度を含む周囲条件の変動に対して少なくともある程度の抵抗(頑強性)を有する必要があるため、水の揮発性により、その利用は制限される。
【0083】
可塑剤は、これらに限定されないが、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、最大400MWのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ソルビトール、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPDiol(登録商標))、エタノールアミンおよびその混合物を含み得る。繊維中に提供される非水可塑剤の総量は、総繊維重量に基づいて、約1wt.%~約45wt.%、または約5wt.%~約45wt.%、または約10wt.%~約40wt.%、または約20wt.%~約30wt.%、約1wt.%~約4wt.%、または約1.5wt.%~約3.5wt.%、または約2.0wt.%~約3.0wt.%の範囲、例えば、約1wt.%、約2.5wt.%、約5wt.%、約10wt.%、約15wt.%、約20wt.%、約25wt.%、約30wt.%、約35wt.%または約40wt.%であり得る。
【0084】
繊維に使用するための界面活性剤は、当技術分野で周知である。フィルムに使用するための界面活性剤も、当技術分野で周知であり、本開示の繊維および/または不織布ウェブにおいて好適に使用できる。必要に応じて、界面活性剤は、加工の間、繊維の分散を補助するために含まれる。本開示の繊維に好適な界面活性剤は、これらに限定されないが、スルホコハク酸ジアルキル、グリセロールおよびプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸の乳酸エステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、アルキルポリエチレングリコールエーテル、レシチン、グリセロールおよびプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸のアセチル化エステル、ミリスチルジメチルアミンオキシド、トリメチルタローアルキルアンモニウムクロリド、第四級アンモニウム化合物、約8~24個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のアルカリ金属塩、硫酸アルキル、アルキルポリエトキシレートサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、モノエタノールアミン、ラウリルアルコールエトキシレート、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、その塩および前述のもののうちの任意のものの組合せを含む。
【0085】
好適な界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性および双性イオン性クラスを含み得る。好適な界面活性剤は、これらに限定されないが、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、モノエタノールアミン、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコールおよびアルカノールアミド(非イオン性)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩および第四級化ポリオキシエチレン化アミン(カチオン性)、約8~24個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のアルカリ金属塩、硫酸アルキル、アルキルポリエトキシレートサルフェートおよびアルキルベンゼンスルホネート(アニオン性)、ならびにアミンオキシド、N-アルキルベタインおよびスルホベタイン(双性イオン性)を含む。他の好適な界面活性剤は、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、グリセリンおよびプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸の乳酸エステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセリンおよびプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、ならびに脂肪酸のアセチル化エステル、ならびにその組合せを含む。様々な実施形態では、繊維中の界面活性剤の量は、約0.01wt.%~約2.5wt.%、約0.1wt.%~約2.5wt.%、約1.0wt.%~約2.0wt.%、約0.01wt%~0.25wt%、または約0.10wt%~0.20wt%の範囲である。
【0086】
実施形態では、本開示の繊維および/または不織布ウェブは、活性剤を含み得る。活性剤は、繊維自体に、もしくは不織布ウェブのカーディングの間に添加してもよく、および/または結合前に不織布ウェブに添加してもよい。カーディングの間に繊維に添加された活性剤は、不織布ウェブ全体にわたって分布し得る。カーディング後であるが結合前に不織布ウェブに添加される活性剤は、不織布ウェブの1つまたは両方の面に選択的に添加できる。さらに、活性剤は、不織布ウェブから調製したポーチまたは他の物品の表面に添加できる。実施形態では、活性剤は、複数の繊維の一部として提供されるか、不織布ウェブ内に分散するか、不織布ウェブの面上に提供されるか、またはそれらの組合せである。
【0087】
活性剤は、少なくとも約1wt%、または約1wt%~約99wt%の範囲の量で繊維および/または不織布ウェブ中に存在する場合、不織布ウェブに追加の機能性を提供する。実施形態では、活性剤は、これらに限定されないが、酵素、油、香料、着色料、臭気吸収剤、芳香剤、殺虫剤、肥料、活性化剤、酸触媒、金属触媒、イオン捕捉剤、洗剤、殺菌剤、界面活性剤、漂白剤、漂白成分、布柔軟剤またはその組合せを含む1つまたはそれよりも多くの成分を含み得る。実施形態では、活性剤は、着色料、界面活性剤またはその組合せを含み得る。活性剤は、固体(例えば、粉末、顆粒、結晶、フレークまたはリボン)、液体、マル(mull)、ペースト、ガスなどを含む任意の所望の形態を取り得、必要に応じて、カプセル化され得る。
【0088】
ある特定の実施形態では、活性剤は、酵素を含んでもよい。好適な酵素は、6つの従来の酵素委員会(EC)分類、すなわち、EC1のオキシドレダクターゼ(酸化/還元反応を触媒する)、EC2のトランスフェラーゼ(官能基、例えば、メチルまたはホスフェート基を転移する)、EC3のヒドロラーゼ(様々な結合の加水分解を触媒する)、EC4のリアーゼ(加水分解および酸化以外の手段によって様々な結合を切断する)、EC5のイソメラーゼ(分子内の異性化変化を触媒する)、およびEC6のリガーゼ(2つの分子を共有結合により結合する)のいずれか1つに分類される酵素を含む。そのような酵素の例は、EC1のデヒドロゲナーゼおよびオキシダーゼ、EC2のトランスアミナーゼおよびキナーゼ、EC3のリパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、マンナーゼおよびペプチダーゼ(プロテアーゼまたはタンパク質分解酵素としても公知)、EC4のデカルボキシラーゼ、EC5のイソメラーゼおよびムターゼ、ならびにEC6のシンセターゼおよびシンターゼを含む。各分類からの好適な酵素は、例えば、米国特許第9,394,092号に記載されており、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0089】
洗濯および食器洗浄の用途に使用するための酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、デヒドロゲナーゼ、トランスアミナーゼ、キナーゼ、セルラーゼ、マンナーゼ、ペプチダーゼ、デカルボキシラーゼ、イソメラーゼ、ムターゼ、シンセターゼ、シンターゼおよび漂白剤の形成を触媒するオキシド-レダクターゼ酵素を含むオキシド-レダクターゼ酵素のうちの1つまたはそれよりも多くを含み得る。
【0090】
芳香剤以外の油は、着香料および着色料を含み得る。
【0091】
一クラスの実施形態では、活性剤は、香料または香料の組合せを含む。好適な香料は、これらに限定されないが、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリンの油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、ならびに合成香料および柑橘油を含む天然果物香料を含む。
【0092】
一部の実施形態では、活性剤は、着色料または着色料の組合せであってもよい。好適な着色料の例は、食品着色剤、カラメル、パプリカ、シナモンおよびサフランを含む。好適な着色料の他の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,002,789号に見出すことができる。
【0093】
別のクラスの実施形態は、活性剤として1つまたはそれよりも多くの臭気吸収剤を含む。本開示による活性剤として使用するのに好適な臭気吸収剤は、これらに限定されないが、ゼオライトおよびリシノール酸の錯体亜鉛塩を含む。臭気吸収活性剤はまた、これらに限定されないが、ラダナム、エゴノキの抽出物およびアビエチン酸の誘導体を含むほぼ臭気中性芳香剤として当技術分野で周知の定着剤を含み得る。
【0094】
別のクラスの実施形態は、活性剤として1つまたはそれよりも多くの芳香剤を含む。本明細書で使用される場合、芳香剤という用語は、十分に揮発して香りを生じる任意の適用可能材料をいう。活性剤として芳香剤を含む実施形態は、ヒトに心地のよい香りである芳香剤、または代わりに、ヒト、動物および/もしくは昆虫が忌避する香りである芳香剤を含み得る。好適な芳香剤は、これらに限定されないが、レモン、リンゴ、チェリー、ブドウ、セイヨウナシ、パイナップル、オレンジ、イチゴ、ラズベリーを含む果物、ジャコウ、ならびにこれらに限定されないが、ラベンダーのようなもの、バラのようなもの、アヤメのようなものおよびカーネーションのようなものを含む花の香りを含むが、これらに限定されない。必要に応じて、芳香剤は、また着香料ではないものである。他の芳香剤は、これらに限定されないが、ローズマリー、タイムおよびセージを含む草木の香り、ならびにマツ、トウヒおよび他の森の匂い由来の森林の香りを含む。芳香剤はまた、これらに限定されないが、精油を含む様々な油、またはこれらに限定されないが、ペパーミント、スペアミントなどを含む植物材料由来であってもよい。好適な芳香油は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,458,754号に見出すことができる。
【0095】
芳香剤は、香水を含み得る。香水は、ニート香水、カプセル化香水またはその混合物を含んでもよい。好ましくは、香水は、ニート香水を含む。香水の一部は、コア-シェルカプセルにカプセル化されてもよい。別の種類の実施形態では、香水は、コア-シェルカプセルにカプセル化されない。
【0096】
本明細書で使用される場合、「香水」という用語は、香水原材料(PRM)および香水調合物を包含する。「香水原材料」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも約100g/molの分子量を有し、単独または他の香水原材料と共にのいずれかで臭気、芳香、エッセンスまたは香りを付与するのに有用な化合物をいう。本明細書で使用される場合、「香水成分」および「香水原材料」という用語は、交換可能である。「調合物」という用語は、本明細書で使用される場合、2つまたはそれよりも多くのPRMの混合物をいう。
【0097】
適用可能な昆虫忌避芳香剤は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,664,064号に開示のジクロルボス、ピレトリン、アレスリン、ナレドおよび/またはフェンチオン殺虫剤のうちの1つまたはそれよりも多くを含む。好適な昆虫忌避剤は、シトロネラール(3,7-ジメチル-6-オクタナール)、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(DEET)、バニリン、ならびにウコン(Curcuma longa)、コブミカン(Citrus hystrix)、コウスイガヤ(Cymbopogon winterianus)およびタイバジル(Ocimum americanum)から抽出された揮発油である。さらに、適用可能な昆虫忌避剤は、昆虫忌避剤の混合物であり得る。
【0098】
一クラスの実施形態では、本開示による活性剤は、1つまたはそれよりも多くの殺虫剤(pesticide)を含む。好適な殺虫剤は、これらに限定されないが、殺虫剤(insecticide)、除草剤、殺ダニ剤、殺真菌剤および幼虫駆除剤を含み得る。
【0099】
別のクラスの実施形態は、活性剤として1つまたはそれよりも多くの肥料を含む。本明細書で使用される場合、肥料という用語は、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、ホウ素、塩素、銅、鉄、マンガン、モリブデンまたは亜鉛のうちの1つまたはそれよりも多くを放出する任意の適用可能な材料に当てはまる。好適な肥料は、これらに限定されないが、ゼオライトを含む。例えば、クリノプチロライトは、カリウムを放出し、アンモニウムが予備充填された場合、窒素も放出し得るゼオライトである。
【0100】
一クラスの実施形態は、活性剤として酸触媒を含む。本明細書で使用される場合、酸触媒という用語は、プロトン源として役立ち、それによって、化学反応を促進する任意の種をいう。一種の実施形態では、酸触媒は、非酸化性有機酸である。好適な有機酸は、パラ-トルエンスルホン酸である。一部の実施形態では、酸触媒である活性剤は、これらに限定されないが、アセタール化、エステル化またはエステル交換を含む反応を促進する。さらなる酸触媒反応は、当技術分野で周知である。
【0101】
一クラスの実施形態では、活性剤は、金属触媒を含む。これらの触媒は、これらに限定されないが、酸化または還元、水素化、カルボニル化、C-H結合活性化および漂白を含む反応を媒介する。金属触媒として使用するのに好適な金属は、これらに限定されないが、VIIIAおよびIB遷移金属、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、銀、オスミウム、金およびイリジウムを含む。触媒反応を媒介する金属は、任意の好適な酸化状態のものであり得る。
【0102】
代替の実施形態では、活性剤は、必要に応じて、イオン捕捉剤であってもよい。好適なイオン捕捉剤は、これらに限定されないが、ゼオライトを含む。必要に応じて、ゼオライトは、軟水化剤として、封入された洗濯用洗剤または食器洗浄用洗剤を含む水溶性パケットに添加され得る。
【0103】
無機および有機漂白剤は、本明細書における使用に好適な清浄活性剤である。無機漂白剤は、これらに限定されないが、過ホウ酸、過炭酸、過リン酸、過硫酸および過ケイ酸塩を含む過酸化水素化塩を含む。無機過酸化水素化塩は、通常、アルカリ金属塩である。アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書における使用に好適な過酸化水素化物である。有機漂白剤は、ジアシルおよびテトラアシルペルオキシド、とりわけ、これらに限定されないが、ジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸およびジペルオキシヘキサデカン二酸を含む有機ペルオキシ酸を含み得る。過酸化ジベンゾイルは、本開示による好適な有機ペルオキシ酸である。他の有機漂白剤は、ペルオキシ酸を含み、特定の例は、アルキルペルオキシ酸およびアリルペルオキシ酸である。
【0104】
一クラスの実施形態では、活性剤は、60℃およびそれ未満の温度で清浄の過程の漂白作用を強化する有機過酸前駆体を含む漂白増感剤を含み得る。本明細書における使用に好適な漂白増感剤は、過加水分解条件下で、1~10個の炭素原子、もしくは2~4個の炭素原子、および/または必要に応じて置換過安息香酸を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸(peroxoycarboxylic acids)をもたらす化合物を含む。好適な物質は、特定の炭素原子の数のO-アシルおよび/もしくはN-アシル基、ならびに/または必要に応じて置換ベンゾイル基を有する。好適な物質は、これらに限定されないが、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に、1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特に、テトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N-アシルイミド、特に、N-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特に、n-ノナノイル-またはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-またはイソ-NOBS)、カルボン酸無水物、特に、無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、エチレングリコールジアセテートおよび2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフランおよびまたトリエチルアセチルシトレート(TEAC)を含む。
【0105】
活性剤として布柔軟剤を含む実施形態では、様々な、洗い流す布柔軟剤、とりわけ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,062,647号のきめ細かいスメクタイト粘土、および当技術分野で公知の他の柔軟剤粘土が、必要に応じて、織物清浄と同時に利益のある布柔軟剤を提供するために使用できる。粘土柔軟剤は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,375,416号および同第4,291,071号に開示の通り、アミンおよびカチオン性柔軟剤と組み合わせて使用できる。
【0106】
実施形態では、活性剤は、殺菌剤を含み得る。本明細書における使用に好適な殺菌剤は、これらに限定されないが、過酸化水素、無機ペルオキシドおよびその前駆体、メタ重亜硫酸ナトリウム、第四級アンモニウムカチオンベースの化合物、塩素、活性炭および次亜塩素酸塩を含み得る。
【0107】
実施形態では、活性剤は、界面活性剤を含み得る。本明細書における使用に好適な界面活性剤は、これらに限定されないが、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、モノエタノールアミン、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アセチレングリコールおよびアルカノールアミド(非イオン性)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩および第四級化ポリオキシエチレン化アミン(カチオン性)、約8~24個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のアルカリ金属塩、硫酸アルキル、アルキルポリエトキシレートサルフェートおよびアルキルベンゼンスルホネート(アニオン性)、アミンオキシド、N-アルキルベタインおよびスルホベタイン(双性イオン性)、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、グリセリンおよびプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチル酸エステル、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセリンおよびプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、ならびに脂肪酸のアセチル化エステル、ならびにその組合せを含み得る。
【0108】
活性剤は、固体であっても液体であってもよい。固体である活性剤は、少なくとも約0.01μmの平均粒径(例えば、Dv50)、または例えば、約0.01μm~約2mmの範囲のサイズを有し得る。液体活性剤は、不織布ウェブに直接塗布してもよく、担体粉末と混合してもよく、またはマイクロカプセル化してもよい。担体粉末を含む実施形態では、担体粉末の平均粒径は、少なくとも約0.01μm、または例えば、約0.01μm~約2mmの範囲であり得る。
【0109】
一クラスの実施形態では、活性剤はカプセル化され、活性剤の制御放出が可能になる。好適なマイクロカプセルは、メラミンホルムアルデヒド、ポリウレタン、ウレアホルムアルデヒド、キトサン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラヒドロフラン、ゼラチン、アラビアゴム、デンプン、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アラビノガラクタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリ(エチレンビニルアセテート)、硝酸セルロース、シリコーン、ポリ(ラクチドコ-グリコリド)、パラフィン、カルナウバ、鯨ろう、蜜ろう、ステアリン酸、ステアリルアルコール、グリセリルステアレート、シェラック、酢酸フタル酸セルロース、ゼインおよびその組合せのうちの1つまたはそれよりも多くを含む、またはそれらから作製され得る。一種の実施形態では、マイクロカプセルは、少なくとも約0.1ミクロン、または例えば、約0.1ミクロン~約200ミクロンの範囲の平均粒径(例えば、Dv50)によって特徴付けられる。代替の実施形態では、マイクロカプセルは、個々の粒子の凝集体を形成し得、例えば、個々の粒子は、少なくとも約0.1ミクロン、または約0.1ミクロン~約200ミクロンの範囲の平均粒径を有する。
【0110】
処理される繊維は、当技術分野で公知の任意のプロセス、例えば、湿式冷却ゲル紡糸、熱可塑性繊維紡糸、メルトブローン、スパンボンド、電界紡糸、回転紡糸、連続フィラメント製造手法、トウ繊維製造手法およびその組合せによって形成できる。
【0111】
実施形態では、繊維は、湿式冷却ゲル紡糸、メルトブローン、スパンボンドまたはその組合せによって形成された繊維を含む。実施形態では、繊維は、湿式冷却ゲル紡糸によって形成された繊維を含む。実施形態では、繊維は水溶性繊維を含み、それから調製された不織布ウェブは、連続メルトブローン法で形成される。実施形態では、繊維は水溶性繊維を含み、それから調製された不織布ウェブは、連続スパンボンド法で形成される。繊維および不織布ウェブを調製するために使用したプロセスによってそれを呼ぶことが、当技術分野において標準的である。したがって、本明細書において、例えば、「メルトブローン繊維」または「カーディング不織布ウェブ」への任意の参照は、特定のメルトブローンまたはカーディング法についてのプロダクト・バイ・プロセスの限定と理解されるべきではなく、むしろ、単に特定の繊維またはウェブを特定すると理解されるべきである。したがって、加工用語は、述べられた繊維および/または不織布を任意の特定のプロセスによる調製に限定することなく、繊維および/または不織布を区別するために使用されてもよい。
【0112】
処理される繊維は、二成分繊維として形成できる。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「二成分繊維」とは、繊維形成材料のブレンドを含む繊維をいうのではなく、むしろ、繊維形成材料の2つまたはそれよりも多くの別個の領域を含み、繊維形成材料の組成が領域によって異なる繊維をいう。二成分繊維の例は、これらに限定されないが、コア-シース二成分繊維、海島型の二成分繊維および横並び二成分繊維を含む。コア-シース二成分繊維は、一般に、繊維形成材料の第1の組成物(例えば、単一の繊維形成材料または繊維形成材料の第1のブレンド)を有するコア、および繊維形成材料の第2の組成物(例えば、コア材料とは異なる単一の繊維形成材料、またはコアの繊維形成材料の第1のブレンドとは異なる繊維形成材料の第2のブレンド)を有するシースを含む。海島型二成分繊維は、一般に、繊維形成材料の第1の組成物を有する第1の連続する「海」領域、およびその中に分散した、第1の組成物とは異なる繊維形成材料の第2の組成物を有する目立たない「島」領域を含む。横並び二成分繊維は、一般に、繊維の長さにわたり、繊維形成材料の第1の組成物を含む第1の領域と、これに隣接する、繊維の長さにわたり、第1の組成物とは異なる繊維形成材料の第2の組成物を含む、少なくとも第2の領域とを含む。そのような二成分繊維は、当技術分野で周知である。
【0113】
繊維の形状は、特に限定されず、これらに限定されないが、丸形、楕円(リボンとも呼ばれる)、三角形(デルタとも呼ばれる)、三葉形および/または他の多葉形状を含む横断面形状を有し得る(
図1)。繊維の形状は、完全に幾何学的である必要はなく、例えば、丸い横断面形状を有する繊維は、横断面領域として完全な円を有する必要はなく、三角形の横断面形状を有する繊維は、一般に、丸みのある角を有することが理解される。
【0114】
繊維の直径とは、最長の横断面軸に沿った繊維の横断面直径をいうことが理解される。繊維が特定の直径を有する(または有さない)と記載される場合、別に指定されない限り、特定の直径は、参照される特定の繊維型の平均直径である、すなわち、ポリビニルアルコール繊維形成材料から調製された複数の繊維は、複数の繊維にわたる算術平均繊維直径を有することが意図される。典型的には「直径」を有さないと考えられる形状、例えば、三角形または多葉形状の場合、直径とは、繊維形状を囲む円の直径をいう(
図1)。
【0115】
本開示の繊維は、典型的に、約10ミクロン~300ミクロン、例えば、少なくとも10ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも20ミクロン、少なくとも25ミクロン、少なくとも50ミクロン、少なくとも100ミクロンまたは少なくとも125ミクロンおよび最大約300ミクロン、最大約275ミクロン、最大約250ミクロン、最大約225ミクロン、最大約200ミクロン、最大約100ミクロン、最大約50ミクロン、最大約45ミクロン、最大約40ミクロンまたは最大約35ミクロンの範囲、例えば、約10ミクロン~約300ミクロン、約50ミクロン~約300ミクロン、約100ミクロン~約300ミクロン、約10ミクロン~約50ミクロン、約10ミクロン~約45ミクロン、または約10ミクロン~約40ミクロンの範囲の直径を有する。実施形態では、繊維は、100ミクロン超~約300ミクロンの直径を有し得る。実施形態では、繊維は、セルロースを含み、約10ミクロン~約50ミクロン、約10ミクロン~約30ミクロン、約10ミクロン~約25ミクロン、約10ミクロン~約20ミクロン、または約10ミクロン~約15ミクロンの範囲の直径を有する。実施形態では、繊維は、水溶性繊維形成材料を含み、約50ミクロン~約300ミクロン、約100ミクロン~約300ミクロン、約150ミクロン~約300ミクロン、または約200ミクロン~約300ミクロンの直径を有する。実施形態では、本開示の不織布ウェブを調製するのに使用される複数の水溶性繊維の直径は、実質的に均一な直径を有する。本明細書で使用される場合、繊維直径は、繊維間の直径のばらつきが10%未満、例えば、8%もしくはそれ未満、5%もしくはそれ未満、2%もしくはそれ未満、または1%もしくはそれ未満である場合、「実質的に均一」である。実質的に均一な直径を有する繊維は、湿式冷却ゲル紡糸法または熱可塑性繊維紡糸法によって調製できる。さらに、繊維種類のブレンドが使用される場合、繊維ブレンドの平均直径は、個々の繊維種類の加重平均を使用して決定できる。
【0116】
本開示の繊維は、一般に、任意の長さのものであり得る。実施形態では、繊維の長さは、約20mm~約100mm、約20~約90、約30mm~約80mm、約10mm~約60mm、または約30mm~約60mm、例えば、少なくとも約30mm、少なくとも約35mm、少なくとも約40mm、少なくとも約45mmまたは少なくとも約50mmおよび最大約100mm、最大約95mm、最大約90mm、最大約80mm、最大約70mmまたは最大約60mmの範囲であり得る。実施形態では、繊維の長さは、約30mm未満、または約0.25mm~約30mm未満、例えば、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.5mm、少なくとも約0.75mm、少なくとも約1mm、少なくとも約2.5mm、少なくとも約5mm、少なくとも約7.5mmまたは少なくとも約10mmおよび最大約29mm、最大約28mm、最大約27mm、最大約26mm、最大約25mm、最大約20mmまたは最大約15mmの範囲であり得る。繊維は、押出ポリマー混合物を切断および/またはクリンプすることによって任意の長さに調製できる。実施形態では、繊維は、例えば、スパンボンド、メルトブローン、電界紡糸および回転紡糸などのプロセスによって調製された連続フィラメントであり得、連続フィラメントは、ウェブ形態に直接調製され、提供される。さらに、繊維種類のブレンドが使用される場合、繊維の平均長さは、個々の繊維種類の加重平均を使用して決定できる。
【0117】
本開示の繊維は、一般的に、任意の長さ対直径(L/D)比を有し得る。実施形態では、繊維の長さ対直径比は、約2超、約3超、約4超、約6超、約10超、約50超、約60超、約100超、約200超、約300超、約400超、または約1000超であり得る。有利には、不織布ウェブの触覚は、不織布組成物中の繊維のL/D比、および様々なL/D比を有する繊維のそれぞれの量を使用して制御できる。一般に、繊維のL/Dが減少するにつれて、硬度および曲げ耐性は増加し、手触りがより粗くなる。本開示の繊維は、一般に、繊維が約0.5~約15、または約0.5~約25、または約1~約5の範囲の低L/D比を有する場合、それを含む不織布ウェブに粗い感触を付与する。そのような低L/D繊維は、不織布ウェブ中の繊維の総重量に基づいて、約0~約50重量%の範囲、例えば、約0.5wt.%~約25wt.%、または約1wt.%~約15wt.%の範囲の量で不織布ウェブ中に提供され得る。不織布ウェブ中の低L/D繊維の量が既知でない場合、量は、不織布ウェブの顕微鏡写真の目視検査によって推定できる。
図4に示されるように、全繊維集団に対して目に見えて大きい直径および短いカット率を有する繊維の集団を、観察することができる。
図4Aは、0%の低L/D繊維および柔軟性のランクが1である不織布ウェブの顕微鏡写真であり、それに対して
図4Bは、25%の低L/D繊維および柔軟性のランクが5である不織布ウェブの顕微鏡写真である。
【0118】
本開示の繊維は、一般に、任意の靭性を有し得る。繊維の靭性は、繊維の粗度と相関する。一般に、繊維の靭性が減少するにつれて、繊維の粗度は増加する。本開示の繊維は、約1~約100cN/dtex、もしくは約1~約75cN/dtex、もしくは約1~約50cN/dtex、もしくは約1~約45cN/dtex、もしくは約1~約40cN/dtex、もしくは約1~約35cN/dtex、もしくは約1~約30cN/dtex、もしくは約1~約25cN/dtex、もしくは約1~約20cN/dtex、もしくは約1~約15cN/dtex、もしくは約1~約10cN/dtex、もしくは約1~約5cN/dtex、もしくは約3~約8cN/dtex、もしくは約4~約8cN/dtex、もしくは約6~約8cN/dtex、もしくは約4~約7cN/dtex、もしくは約10~約20、もしくは約10~約18、もしくは約10~約16の範囲、または約1cN/dtex、約2cN/dtex、約3cN/dtex、約4cN/dtex、約5cN/dtex、約6cN/dtex、約7cN/dtex、約8cN/dtex、約9cN/dtex、約10cN/dtex、約11cN/dtex、約12cN/dtex、約13cN/dtex、約14cN/dtex、もしくは約15cN/dtexの靭性を有し得る。実施形態では、繊維は、約3cN/dtex~約10cN/dtexの靭性を有し得る。実施形態では、繊維は、約7cN/dtex~約10cN/dtexの靭性を有し得る。実施形態では、繊維は、約4cN/dtex~約8cN/dtexの靭性を有し得る。実施形態では、繊維は、約6cN/dtex~約8cN/dtexの靭性を有し得る。
【0119】
本開示の繊維は、一般に、任意の繊度を有し得る。繊維の繊度は、所与の厚さのヤーンの横断面に、どれくらいの量の繊維が存在するかと相関する。繊維繊度は、長さに対する繊維質量の比である。繊維繊度の主物理単位は1texであり、これは、1gの重量で1000mの繊維に等しい。典型的には、1g/10,000mの繊維を表す単位dtexが使用される。繊維の繊度は、不織布ウェブの好適な硬度/手触り、ねじり剛性、光の反射および相互作用、染料および/または他の活性剤/添加剤の吸収、製造プロセスにおける繊維紡糸の容易さ、ならびに完成物品の均一性を有する不織布ウェブをもたらすように選択できる。一般に、繊維の繊度が増加するにつれて、それから得られる不織布は、より高い均一性、改善された引張強度、伸展性および光沢を示す。さらに、理論によって縛られることを意図することなく、繊維が細いほど、密度に基づいてより大きい繊維と比較して、よりゆっくりした溶解時間になると考えられる。さらに、理論に縛られることを意図することなく、繊維のブレンドが使用される場合、繊維の平均繊度は、個々の繊維成分の加重平均を使用して決定できる。繊維は、非常に微細(dtex≦1.22)、微細(1.22≦dtex≦1.54)、中程度(1.54≦dtex≦1.93)、わずかに粗い(1.93≦dtex≦2.32)、および粗い(dtex≧2.32)を特徴付けられ得る。本開示の不織布ウェブは、非常に微細、微細、中程度、わずかに粗い、またはその組合せの繊維を含み得る。実施形態では、繊維は、約1dtex~約10dtex、約1dtex~約7dtex、約1dtex~約5dtex、約1dtex~約3dtex、または約1.7dtex~約2.2dtexの範囲の繊度を有する。実施形態では、繊維は、約1.7dtexの繊度を有する。実施形態では、繊維は、約2.2dtexの繊度を有する。
【0120】
湿式冷却ゲル紡糸
【0121】
実施形態では、本開示の繊維は、湿式冷却ゲル紡糸法に従って形成され、湿式冷却ゲル紡糸法は、
(a)繊維形成材料(ポリマー)を溶液に溶解して、ポリマー混合物を形成するステップであって、ポリマー混合物が、必要に応じて、補助剤を含む、ステップ;
(b)ポリマー混合物を、スピナレットノズルを通して固化浴に押出して、押出ポリマー混合物を形成するステップ;
(c)押出ポリマー混合物を溶媒交換浴に通過させるステップ;
(d)必要に応じて、押出ポリマー混合物を湿式延伸するステップ;および
(e)押出ポリマー混合物を仕上処理して繊維を提供するステップ
を含む。
【0122】
繊維形成ポリマーが溶解される溶媒は、好適には、ポリマーが可溶である任意の溶媒であり得る。実施形態では、ポリマーが溶解される溶媒は、極性非プロトン溶媒を含む。実施形態では、ポリマーが溶解される溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。
【0123】
一般に、固化浴は、押出ポリマー混合物をゲル化するための冷却溶媒を含む。固化浴は、一般に、押出ポリマー混合物の固化を促進する任意の温度であり得る。固化浴は、ポリマーが可溶である溶媒およびポリマーが不溶である溶媒の混合物を含み得る。ポリマーが不溶である溶媒は、一般に、一次溶媒であり、ポリマーが不溶である溶媒は、混合物の50%超を構成する。
【0124】
固化浴の通過後、押出ポリマー混合物ゲルは、1つまたはそれよりも多くの溶媒交換浴に通過させてもよい。溶媒交換浴は、ポリマーが可溶である溶媒をポリマーが不溶である溶媒に交換するために用意されて、押出ポリマー混合物をさらに固化し、ポリマーが可溶である溶媒を、より容易に蒸発する溶媒に交換し、それによって、乾燥時間を短縮する。溶媒交換浴は、ポリマーが可溶である溶媒とポリマーが不溶である溶媒の勾配を有する一連の溶媒交換浴、ポリマーが不溶である溶媒のみを有する一連の溶媒交換浴、またはポリマーが不溶である溶媒のみを有する単一溶媒交換浴を含み得る。
【0125】
完成繊維は、時に、ステープル繊維、ショートカット繊維またはパルプと呼ばれることがある。実施形態では、仕上処理は、押出ポリマー混合物を乾燥することを含む。実施形態では、仕上処理は、押出ポリマー混合物を切断またはクリンプして、個々の繊維を形成することを含む。押出ポリマー混合物の湿式延伸により、押出ポリマー混合物、したがって、それから切断される繊維の直径は実質的に均一になる。延伸は、当技術分野で周知である通り、押出とは別個のものである。特に、押出とは、樹脂混合物をスピナレットヘッドに強制的に通過させることによって繊維を作製する作業をいい、一方、延伸とは、繊維を機械的に機械加工方向に引いて、繊維強度および靭性が増加するようにポリマー鎖配向および結晶度を向上させることをいう。
【0126】
繊維が湿式冷却ゲル紡糸法から調製される実施形態では、繊維形成ポリマーは、一般に、本明細書に一般に記載の通り、任意の繊維形成ポリマーまたはそのブレンド、例えば、2つまたはそれよりも多くの異なるポリマーであり得る。前述の実施形態の改良では、ポリマー(複数可)は、例えば、10~10,000,000、例えば、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも750または少なくとも1000および最大10,000,000、最大5,000,000、最大2,500,00、最大1,000,000、最大900,000、最大750,000、最大500,000、最大250,000、最大100,000、最大90,000、最大75,000、最大50,000、最大25,000、最大12,000、最大10,000、最大5,000または最大2,500の範囲、例えば、1000~約50,000、1000~約25,000、1000~約12,000、1000~約5,000、1000~約2,500、約50~約12,000、約50~約10,000、約50~約5,000、約50~約2,500、約50~約1000、約50~約900、約100~約800、約150~約700、約200~約600、または約250~約500の範囲の任意のDPを有し得る。実施形態では、DPは、少なくとも1,000である。実施形態では、繊維形成ポリマーは、1000~約50,000、1000~約25,000、1000~約12,000、1000~約5,000、1000~約2,500、約50~約12,000、約50~約10,000、約50~約5,000、約50~約2,500、約50~約1000、約50~約900、約100~約800、約150~約700、約200~約600、または約250~約500の範囲のDPを有するポリビニルアルコールを含む。実施形態では、繊維形成ポリマーは、1000~約50,000、1000~約25,000、1000~約12,000、1000~約5,000、または1000~約2,500の範囲のDPを有するポリビニルアルコールを含む。
【0127】
湿式冷却ゲル紡糸法は、有利には、水溶性ポリマーのブレンドを含む繊維を提供すること、繊維の直径に対する制御を提供すること、比較的大きな直径の繊維を提供すること、繊維の長さに対する制御を提供すること、繊維の靭性に対する制御を提供すること、高靭性繊維を提供すること、高い重合度を有するポリマーから繊維を提供すること、および/または自己支持不織布ウェブを提供するために使用できる繊維を提供することなどの1つまたはそれよりも多くの利点を提供する。スパンボンド、メルトブローン、電界紡糸および回転紡糸などの連続プロセスは、一般に、水溶性ポリマーをブレンドすること(例えば、様々なポリマーのメルトインデックスを一致させることが困難であることに起因して)、大直径(例えば、50ミクロン超)の繊維を形成すること、繊維の長さを制御すること、高靭性繊維を提供すること、または高重合度を有するポリマーの使用を可能にしない。さらに、湿式冷却ゲル紡糸法は、有利には、溶融加工可能なポリマーのみに限定されず、したがって、非常に高い分子量、高融点、低メルトフローインデックス、またはその組合せを有する繊維形成材料から作製された繊維を入手でき、加熱押出法によって調製された繊維と比較して、より強い物理特性および異なる化学機能性を有する繊維が提供される。
【0128】
ステープル繊維および連続繊維を調製する方法は、当技術分野で周知である。ステープル繊維または連続繊維がカーディングされると、不織布ウェブは結合する。ステープル繊維を結合する方法は当技術分野で周知であり、エア結合(熱)、カレンダー結合(熱と圧力)および化学結合によるものを含み得る。本開示の不織布ウェブは、熱的にまたは化学的に結合し得る。不織布ウェブは、一般に、様々な孔径、モルホロジーおよびウェブ不均質性の多孔性であり得る。繊維の物理特性および結合の種類は、得られる不織布ウェブの多孔度に影響し得る。カレンダー結合は、熱および圧力を付与することによって実現され、典型的には、カーディング法によって製造された孔径、形状および配列を維持する。カレンダー結合のための条件は、当業者であれば、容易に決定できる。一般に、付与される熱および/または圧力が低すぎる場合、繊維は、自立ウェブを形成するのに十分に結合せず、熱および/または圧力が高すぎる場合、繊維は一緒に融合し始める。繊維化学は、カレンダー結合のための熱および/または圧力の上限および下限を決定する。理論に縛られることを意図することなく、235℃超の温度では、ポリビニルアルコールベースの繊維は分解すると考えられる。繊維のカレンダー結合のためのエンボス加工の方法は公知である。エンボス加工は、片側エンボス加工または両面エンボス加工であり得る。典型的には、水溶性繊維のエンボス加工は、規則的円形アレイからなる単一のエンボス加工ロールおよび平坦面を有する鋼ロールを使用した片側エンボス加工を含む。エンボス加工が増加する(例えば、ウェブに表面特徴が付与される)につれて、ウェブの表面積は増加する。理論に縛られることを意図することなく、ウェブの表面積が増加するにつれて、ウェブの溶解度は増加すると予想される。したがって、不織布ウェブの溶解度特性は、有利には、エンボス加工により表面積を変更することによって調節できる。
【0129】
カレンダー結合とは対照的に、化学結合は、典型的には繊維の調製から残された廃ポリマーの結合剤溶液を使用して、カーディング繊維を圧力下でコーティングし、その結果、カーディングの孔と比べてより小さく、規則的でない孔が生じ得る。一般に溶媒は、結合剤を可溶化する任意の溶媒とすることができる。典型的には、化学結合溶液の溶媒は、水である。理論に拘泥するものではないが、化学結合に使用されるポリマー溶液が十分濃縮されているおよび/または十分な圧力が付与される場合、非多孔性水分散性不織布ウェブが形成され得ると考えられる。化学結合に使用される溶媒は、ウェブ中に存在する繊維の部分的な可溶化を誘発して、繊維を一緒に溶接し、結合させる。溶液中に提供されるポリビニルアルコール結合剤は、溶接プロセスを補助して、より機械的に頑強なウェブを提供する。ポリマー溶液の温度は、特に限定されず、室温(約23℃)で提供することができる。
【0130】
一部の実施形態では、繊維の第2の層を使用して不織布ウェブを結合することができる。理論に縛られることを意図することなく、メルトブローン法によって調製した繊維、例えば、水溶性繊維は、インラインプロセスを使用して、不織布ウェブを結合するのに使用できると考えられる。特に、不織布ウェブは、メルトブローン法ステーションを通過して、その結果、メルトブローン繊維が、溶融押出後に堆積され、メルトブローン繊維が冷却および固化するにつれて、互いに結合し、それらが堆積された不織布ウェブに結合し得る。メルトブローン繊維は、長さがミクロからナノ規模であり得、メルトブローン繊維が、最終不織布ウェブ中の繊維の総重量に基づいて、最終不織布ウェブの約15重量%、約12重量%、約10重量%、約8重量%、約6重量%、または約5重量%を構成するように、不織布ウェブ上に提供され得る。理論に縛られることを意図することなく、約5%~約15%のメルトブローン繊維の含有は、不織布ウェブの溶解度特性を実質的に変化させることなく、不織布ウェブの機械的完全性を増加させ得ると考えられる。一般に、ポリビニルアルコール繊維形成材料を使用してメルトブローン繊維を調製する場合、メルトブローン法は低粘度および高メルトフローインデックスのポリマーを必要とするため、ポリビニルアルコールポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーとなる。
【0131】
孔径は、これらに限定されないが、ブルナウアー-エメット-テーラー理論(BET)、小角X線散乱(SAXS)および分子吸着を含む高倍率規則的表面分析技術を使用して決定できる。
【0132】
一般に、本開示の繊維は、当技術分野で公知の任意の繊維加工によって形成することができ、次いで、加工後に化学的な変性により処理され、この化学的な変性は、ポリマーを加水分解することを含まない。
【0133】
本開示は、本明細書に記述される酢酸ビニル部分およびビニルアルコール部分の少なくとも1つ、例えば少なくとも1つの酢酸ビニル部分のみ、少なくとも1つのビニルアルコール部分のみ、または酢酸ビニル部分およびビニルアルコール部分の両方を含むポリマーなどのポリマーを含む繊維を処理する方法を提供する。実施形態では、方法は、本明細書に記述される酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む繊維の表面を、変性剤と接触させて、繊維の少なくとも表面を含む繊維の領域内で変性剤によりポリマーの少なくとも一部分を化学的に変性させ、それによって変性された繊維を形成するようにすることを含む。実施形態では、方法は、本明細書に記述される酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む繊維、変性剤、および必要に応じて変性剤用の溶媒を混合させて、ポリマーの少なくとも一部分を変性剤で化学的に変性させ、および変性された繊維を形成することを含む。実施形態では、繊維は、変性剤用の溶媒に可溶ではない。繊維の表面と変性剤との接触後または変性剤および変性剤用の溶媒の混合後の変性度は、当業者に公知の任意の適切な方法、例えば減衰全反射(ATR)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、示差走査熱量測定(DSC)、溶解度試験(例えば、本明細書に開示される実施例の溶解および崩壊試験法)、滴定(例えば、本明細書に開示される実施例の滴定法)、または同様のものもしくはこれらの組合せによって決定することができる。滴定法は、繊維についての平均加水分解度または化学的な変性度を決定する。繊維の横断面にわたって一定の加水分解度または変性度によって特徴付けられる繊維の場合、一定の加水分解度または変性度は、繊維についての平均加水分解度である。繊維の横断面が加水分解度または変性度のコア-シースまたはコア-シェル型の分布または勾配分布を有することによって特徴付けられる繊維の場合、滴定試験は、繊維の全ての断面にわたる平均加水分解度または変性度を提供する。本明細書で使用される場合、他に指定されない限り、繊維のいずれか一部分(例えば、外側の面もしくは部分、シェル表面もしくは部分、および/または内側の部分)が、出発繊維の加水分解度と比べて混合後に増加した変性度を有する場合、繊維の少なくとも一部分は低下した加水分解度を有する。繊維の任意の部分への加水分解度の低下の結果、滴定法によって決定した繊維の平均加水分解度が低下することになることが理解されよう。したがって、滴定法によって決定された繊維の平均加水分解度が、混合前の繊維の平均加水分解度と比べて繊維を変性剤と混合した後に少なくなる場合、繊維中のポリビニルアルコールポリマーの少なくとも一部の加水分解度は低下していると理解されよう。
【0134】
本明細書で使用される場合、他に指定されない限り、繊維の少なくとも一部分は、繊維の任意の部分(例えば、外側の面もしくは部分、シース(シェル)表面もしくは部分、および/または内側の部分)が出発繊維の変性度に対して接触または混合後に低下した加水分解度を有する場合、増大した変性度を有する。
【0135】
一般に、接触または混合は、繊維を、変性剤および変性剤用の溶媒の混合物中に浸漬することを含むことができる。実施形態では、接触または混合は、変性剤用の溶媒および変性剤を含む二相溶媒系に繊維を浸漬することを含むことができる。実施形態では、二相溶媒系は、水および有機溶媒を含むことができる。実施形態では、混合は、繊維、変性剤、および変性剤用の溶媒の混合物を撹拌することを含むことができる。実施形態では、接触は、コロナ処理、電子線放射、またはUV放射などのエネルギー源を繊維に適用することを含むことができる。
【0136】
実施形態では、方法は、制御された量の化学的な変性(変性度)をポリマーに、および/または制御された化学的な変性(変性度)の増大をポリマーに提供するのに十分な条件下、変性剤および繊維を混合することを含む。実施形態では、方法はさらに、変性剤用の溶媒を変性剤および繊維と混合することを含む。実施形態では、方法は、制御された量の化学的な変性(変性度)をポリマーに、および/または制御された化学的な変性(変性度)の増大をポリマーに提供するのに十分な条件下、変性剤、繊維、および変性剤の溶媒を混合することを含む。実施形態では、方法はさらに、変性剤用の溶媒を変性剤および繊維と混合することを含む。一般に、処理された繊維の化学的な変性の量および/または処理された繊維の化学的な変性の増大は、反応条件を変えることによって設計し制御することができる。制御された量の化学的な変性および/または化学的な変性の増大を提供するように、変更することができる反応条件には、変性剤の選択、変性剤用の溶媒の選択、溶媒中の変性剤の濃度の選択、反応(混合または接触)時間、反応(混合または接触)温度、および必要に応じた活性化剤の包含が含まれる。
【0137】
一般に、反応時間が増加するにつれて、化学的な変性は増大することになる。したがって、反応時間は、繊維を構成するポリマー、例えばポリビニルアルコール、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマー、またはアニオン性変性ビニルアルコールコポリマーの化学的な変性の所望の増大を提供するように選択することができる。反応時間は、最大約48時間、例えば、約1分から約36時間、約2分から約24時間、約2分から約12時間、約2分から約6時間、約2分から約4時間、約2分から約2時間、約2分から約1時間、約5分から約1時間、約5分から約2時間、約5分から約5時間、約5分から約10時間、約5分から約12時間、約5分から約24時間、約10分から約24時間、約15分から約24時間、約30分から約24時間、約1時間から約24時間、約2時間から約24時間、約3時間から約24時間、約4時間から約24時間、約5時間から約24時間、約6時間から約24時間、約8時間から約24時間、約10時間から約24時間、約12時間から約24時間、約12時間から約18時間、約14時間から約20時間、または約16時間から約24時間とすることができる。実施形態では、混合は、約1分から約48時間とすることができる。実施形態では、混合は、約1時間から約36時間とすることができる。実施形態では、混合は、約2時間から約8時間とすることができる。
【0138】
一般に、反応の温度が上昇するにつれ、化学的な変性速度は増加することになる。したがって反応温度は、繊維を構成するポリマー、例えばポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマー、またはアニオン性変性ビニルアルコールコポリマーの、化学的な変性の量の所望の増大を提供するように、反応時間と組み合わせて選択することができる。反応温度は、繊維が溶解または分解されず、および溶媒が、存在する場合には加熱条件下で液体のままである限り、特に限定されない。反応温度は、約10℃から約200℃、約10℃から約190℃、約10℃から約180℃、約10℃から約170℃、約10℃から約160℃、約10℃から約150℃、約10℃から約140℃、約10℃から約130℃、約10℃から約120℃、約10℃から約110℃、約10℃から約100℃、約10℃から約90℃、約10℃から約80℃、約10℃から約70℃、約10℃から約60℃、約10℃から約50℃、約10℃から約40℃、約10℃から約30℃、約20℃から約100℃、約20℃から約90℃、約20℃から約80℃、約30℃から約100℃、約30℃から約90℃、約30℃から約80℃、約40℃から約80℃、約50℃から約80℃、または約60℃から約80℃とすることができる。理論に拘泥するものではないが、より高い温度では、溶媒の極性が増加するにつれて繊維は膨張、ゲル化および/または溶解し始めると考えられる。したがって反応温度は、溶媒と組み合わせて、繊維が不溶のままであり、分解しないように選択することができる。実施形態では、方法はさらに、変性剤と繊維および溶媒とを混合する前に、変性剤用の溶媒中で繊維を加熱するステップを含む。実施形態では、方法はさらに、繊維、変性剤、変性剤用の溶媒の混合物を加熱することを含む。
【0139】
変性剤の選択は、変性反応の速度に影響し得る。したがって変性剤は、反応時間および温度と組み合わせて、繊維を構成するポリマー、例えばポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマー、またはアニオン性変性ビニルアルコールコポリマーの化学的な変性の量の所望の増加を提供するように選択することができる。変性が、エステルまたはアミドの酸または塩基で触媒されたエステル交換によって行われる実施形態では、反応速度は、変性剤の求核性強度に基づいて変更され得る。
【0140】
化学的な変性は、一般に、繊維のポリマー主鎖の官能基の、所望の官能基への任意の所望の化学的な変性とすることができる。企図される化学的な変性の非限定的な例には、エステル化、アミド化、アミン化、カルボキシル化、ニトロ化、アシロイン縮合、アリル化、アセチル化、イミド化、ハロゲン化、スルホン化、アルキル化、アセタール化、エノール化、ニトロソ化、シランカップリング、および架橋の1つまたはそれよりも多くが含まれる。実施形態では、方法は、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つ、例えば少なくとも1つの酢酸ビニル部分のみ、少なくとも1つのビニルアルコール部分のみ、または酢酸ビニル部分とビニルアルコール部分との両方を含むポリマーを化学的に変性させるのに十分な条件下で混合することを含むことができ、この化学的な変性は、エステル化、アミド化、アミン化、カルボキシル化、ニトロ化、アシロイン縮合、アリル化、アセチル化、イミド化、ハロゲン化、スルホン化、アルキル化、アセタール化、エノール化、ニトロソ化、およびシランカップリングの1つまたはそれよりも多くを含む。実施形態では、方法は、ポリマーを架橋するのに十分な条件下で接触させることを含むことができ、変性剤は、コロナ処理、電子線放射、またはUV放射を含む。一部の実施形態では、化学的な変性後のポリマーは架橋されていない。
【0141】
変性剤は、一般に、ポリマー主鎖の官能基を化学的に変性させて所望の官能基にし、および/またはこれを触媒することができる、任意の薬剤とすることができる。変性剤の非限定的な例は、これらに限定されないが、無水物、カルボン酸、アルコール、エステル、エーテル、スルホン酸、スルホネート、クリックケミストリー試薬、アミド、アミン、ラクタム、ニトリル、ケトン、アリル化合物、アセチル化合物、ハロゲン化合物、アルキル含有化合物、イミド、アセタール含有化合物、エノレート、ニトロ含有化合物、シラン、アジリジン、イソシアネート、またはこれらの任意の組合せを含む。実施形態では、変性剤は、無水物、カルボン酸、アルコール、エステル、エーテル、スルホン酸、スルホネート、クリックケミストリー試薬、アミド、アミン、ニトリル、ケトン、アリル化合物、アセチル含有化合物、ハロゲン含有化合物、アルキル含有化合物、イミド、アセタール含有化合物、エノレート、ニトロ含有化合物、シラン、アジリジン、イソシアネート、エネルギー源、またはこれらの任意の組合せを含む。実施形態では、変性剤は、無水物、アミン、スルホネート、スルホン酸、モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはこれらの任意の組合せを含む。実施形態では、変性剤は、スルホネートを含む。実施形態では、スルホネートは、スルホン酸アミノプロピルを含む。実施形態では、変性は、アミンまたはラクタムを含む。実施形態では、ラクタムは、ピロリドンまたはカプロラクタムを含む。実施形態では、変性剤は、スルホン酸を含む。実施形態では、スルホン酸は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を含む。実施形態では、変性剤は、モノカルボン酸またはジカルボン酸を含む。実施形態では、モノカルボン酸またはジカルボン酸は、酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸ジアルキル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、アルキル(アルキル)アクリレート、前述のアルカリ金属塩、これらの加水分解アルカリ金属塩、これらのエステル、またはこれらの組合せを含む。実施形態では、変性剤は、無水物を含む。実施形態では、無水物は有機酸無水物であり、有機酸無水物は、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、イソ酪酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、グルタル酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、グルタコン酸無水物、またはこれらの任意の組合せを含む。実施形態では、有機酸無水物はマレイン酸無水物を含む。実施形態では、変性剤は、アジリジンを含む。実施形態では、アジリジンはオリゴマーである。実施形態では、変性剤は、イソシアネートを含む。実施形態では、イソシアネートがオリゴマーである。一部の実施形態では、出発繊維は、酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマーを含み、変性剤は、有機酸無水物を含む。ビニルアルコール部分からのヒドロキシル基(-OH)は変性剤と反応し、ポリマー鎖上の変性部分に化学的に結合し、取着する。ある特定の場合には、変性度は、ヒドロキシル基が完全に反応したときの、変性前のポリマーの加水分解度と同じである(等しい)。
【0142】
本明細書で使用される場合、「クリックケミストリー試薬」という用語は、繊維のポリマー主鎖を化学的に変性して、クリックケミストリー反応性対の第1の官能基にできる試薬を指す。本明細書で使用される場合、「クリックケミストリー反応性対」という用語は、「クリックケミストリー」反応を受けることが可能な1対の相補的官能基を指す。本明細書で使用される場合、「クリックケミストリー反応性対の第1の官能基」は、「クリックケミストリー」反応を受けることが可能な相補的官能基の対の一方を指す。一般に、クリックケミストリー反応の4つの主なクラス:1)環化付加、2)求核開環、3)非アルドール型のカルボニル化学、および4)炭素-炭素多重結合への付加がある。クリックケミストリー反応対は、例えばチオール/アルケン、アジド/アルキン、アジド/アルケン、アルケン/テトラジン、イソニトリル/テトラジンなど、上記にて示されたクリックケミストリー反応の4つのクラスに適合性がある1対の相補的官能基とすることができる。クリックケミストリー反応対のさらなる例は、Wang et. al., Pharm Res., 2008, 25(10): 2216-2230; Bowman et al., Adv. Funct. Mater., 2014, 24, 2572-2590; およびJozwiak et al., Chem. Rev., 2013, 113, 4905-4979に見出すことができる。
【0143】
一般に、変性剤用の溶媒中の変性剤の濃度が増加するにつれ、反応速度は増大することになる。したがって変性剤の濃度は、繊維を構成するポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、または変性ポリビニルアルコールコポリマーの、変性度の所望の増大をもたらすために、反応時間、反応温度、および変性剤の選択と組み合わせて選択することができる。一般に、変性剤用の溶媒中の変性剤の濃度は、任意の濃度にすることができる。典型的には、濃度は、提供される変性剤の全てが溶液であるように選択されることになる。実施形態では、変性剤は、溶媒の重量に基づいて、約0.2%から約75%(w/w)、例えば、約0.2%から約75%、約0.2%から約50%、約0.2%から約25%、約0.5%から約20%、約1%から約18%、約2%から約16%、約5%から約15%、約8%から約12%、または約10%の量で提供されてもよい。実施形態では、変性剤は、溶媒の重量に基づいて、約0.2%から約25%(w/w)の量で提供される。実施形態では、変性剤は、溶媒の重量に基づいて、約2%から約25%(w/w)の量で提供される。実施形態では、変性剤は、溶媒の重量に基づいて、約5%から約15%(w/w)の量で提供される。変性剤がエネルギー源である実施形態では、一般に、エネルギー源の強度が増大するにつれ、反応速度が増大することになる。したがってエネルギー強度は、繊維を構成するポリマー、例えばポリビニルアルコールの変性度の所望の増大をもたらすように、反応時間、反応温度、および変性剤の選択と組み合わせて選択することができる。
【0144】
変性剤用の溶媒は、一般に、変性剤が可溶であり、および処理される繊維が、処理が行われる温度で繊維が溶媒と接触する継続時間にわたって不溶である、任意の溶媒とすることができる。実施形態では、繊維は処理前に溶媒に不溶である。実施形態では、繊維は、処理の間、溶媒に不溶である。実施形態では、繊維は、処理後、溶媒に不溶である。一般に、溶媒は、繊維を構成するポリマー、例えばポリビニルアルコールの変性度の所望の増加をもたらすように、反応時間、反応温度、変性剤の選択およびその濃度と組み合わせて選択することができる。溶媒の極性が増加するにつれて、繊維のポリマーマトリックス中への溶媒の拡散は、一般に増加し、その結果、ポリマーマトリックス中への変性剤の拡散が増加する。理論に拘泥するものではないが、溶媒の極性が増加するにつれて、繊維の内側/コアセクションの変性度を増加させることができ、したがって変性度は、繊維の横断面にわたって増加することができると考えられる。さらに、理論に拘泥するものではないが、溶媒の極性が減少するにつれて、繊維のポリマーマトリックス中への溶媒の拡散は一般に減少し、したがって変性度は、繊維の表面/外部/シースの一部分で増加し得る。繊維の表面/外部/シースの一部分での繊維のポリマーの変性は、また、繊維の横断面にわたる変性度の平均的増加ももたらす。さらに、理論に拘泥するものではないが、溶媒の組合せを使用して、処理された繊維のポリマーの変性度の拡散制御された半径方向勾配を提供することができる。実施形態では、溶媒の組合せを二相溶媒系とすることができる。実施形態では、二相溶媒系は、水および有機溶媒を含むことができる。実施形態では、二相溶媒系は、水およびアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール)を含むことができる。実施形態では、二相溶媒系は、水およびメタノールを含む。
【0145】
実施形態では、変性剤用の溶媒は、Hansen溶解度パラメーター(HSP)によって特徴付けることができる。理論に拘泥するものではないが、3つのHSP値である分散、モル体積および水素結合は、ポリビニルアルコールの混和性、したがって特定の溶媒による溶媒和または膨張の指標であると考えられる。さらに、理論に拘泥するものではないが、水素結合は、予想される挙動のうちの最大の予測因子であるが、全てのパラメーターの合計であるHtotalもまた予測的であると考えられる。一般に、溶媒のHSP値がポリビニルアルコールのHSP値より低い場合、溶媒およびポリビニルアルコール間でHSP値が異なるほど、ポリビニルアルコール中への溶媒の拡散率は低くなる。理論に拘泥するものではないが、溶媒のHtotal値がポリビニルアルコールのHtotal値よりも約4から約15単位低い場合、ポリビニルアルコール中への溶媒取込み速度および溶媒の拡散率は、溶媒取込み、したがって変性剤取込みの勾配が生じるようなものであり、内側のコア領域と比べて表面領域での変性度がより高い、横断面にわたるポリビニルアルコール繊維の変性度の勾配が提供されると考えられる。理論に拘泥するものではないが、溶媒のHtotal値がポリビニルアルコールのHtotal値よりも約4から約15単位高い場合、ポリビニルアルコール中への溶媒取込み速度および溶媒の拡散率は、溶媒取込み、したがって変性剤の取込みが素早く生じるようなものであり、ポリビニルアルコール繊維の横断面にわたって均一な変性度が提供されると考えられる。さらに、理論に拘泥するものではないが、溶媒のHtotal値が繊維のポリビニルアルコールのHtotal値よりも15単位を超えて低い場合、拡散率は、繊維の外側表面のみが変性剤で処理されるように制限され、溶媒のHtotal値が繊維のポリビニルアルコールのHtotal値よりも15単位を超えて高い場合、溶媒は、繊維のポリビニルアルコールを溶解することになると考えられる。
【0146】
実施形態では、変性剤用の溶媒は、極性溶媒を含む。実施形態では、溶媒は、オクタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、ペンタノール、ブタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、メタノール、アセトニトリル、エチレングリコール、N,N-ジメチルホルムアミド、グリセロール、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水またはその任意の組合せを含む。実施形態では、溶媒は、n-オクタノール、n-ヘプタノール、n-ヘキサノール、n-ペンタノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、メタノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水またはその任意の組合せを含む。実施形態では、溶媒は、n-プロパノール、アセトン、エタノール、N-メチルピロリドン、メタノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水またはその任意の組合せを含む。実施形態では、溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、アセトン、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される1つまたはそれよりも多くの溶媒を含む。実施形態では、溶媒は、混合条件下で液体であるアルコールを含む。実施形態では、溶媒は、メタノールを含む。実施形態では、溶媒は、メタノールおよび少なくとも1つの追加の溶媒を含む。実施形態では、溶媒は、メタノールおよび水を含む。実施形態では、溶媒は、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールおよびオクタノールのうちの少なくとも1つを水と組み合わせて含む。実施形態では、溶媒は、第1の溶媒および第2の溶媒の混合物を含む。実施形態では、第1の溶媒は水を含み、第2の溶媒はアルコールを含む。実施形態では、第2の溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、またはこれらの任意の組合せを含む。実施形態では、溶媒は、DMSOおよび水を含む。実施形態では、溶媒は、DMSOおよび水を含み、DMSOおよび水は、約40/60から80/20の重量比で提供される。理論に拘泥するものではないが、水の量が60%を超えて増加する、またはDMSOの量が約80%を超えて増加するにつれて、それぞれの溶媒のポリビニルアルコールとの相互作用が増加し、その結果、ポリマーの膨張およびゲル化が増加すると考えられる。
【0147】
実施形態では、溶媒は、非極性溶媒を含む。実施形態では、溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルペンタン、ペンタン、シクロプロパン、ジオキサン、ベンゼン、ピリジン、キシレン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルムまたはその組合せを含む。
【0148】
実施形態では、溶媒は、第1の溶媒および第2の溶媒の混合物を含む。実施形態では、第1の溶媒は、極性溶媒を含み、第2の溶媒は、非極性溶媒を含む。実施形態では、第1の溶媒は、第1の誘電率を有し、第2の溶媒は、第2の誘電率を有し、第1の溶媒の誘電率は、第2の溶媒の誘電率よりも高い。実施形態では、第1の誘電率は、5もしくはそれ未満、4もしくはそれ未満、3もしくはそれ未満、または2もしくはそれ未満である。実施形態では、第2の誘電率は、5超、7.5超、10超、15超、18超、20超、25超、または30超である。実施形態では、第1の誘電率および第2の誘電率の差は、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも8、または少なくとも10である。溶媒が第1の溶媒および第2の溶媒の混合物を含む実施形態では、第1の溶媒および第2の溶媒は、任意の比で提供され得、ただし、加水分解剤は、混合物に可溶であり、繊維は、処理前、処理中および処理後に、混合物に不溶である。実施形態では、第1の溶媒および第2の溶媒は、約99/1~約1/99、約95/5~約5/95、約90/10~10/90、約85/15~約15/85、約80/20~約20/80、約75/25~約25/75、約70/30~約30/70、約65/35~約35/65、約60/40~約40/60、約55/45~約45/55または約50/50の重量比で提供され得る。
【0149】
実施形態では、本開示の方法はさらに、繊維、変性剤、および必要に応じて溶媒を活性化剤と混合することを含む。活性化剤は一般に、変性剤による繊維の処理を容易にする任意の添加剤とすることができる。活性化剤は一般に、繊維のポリマーと変性剤との間の反応の活性化エネルギーを低減させるための触媒、または例えばポリマーマトリックスへの変性剤の拡散を容易にする化合物を含むことができる。実施形態では、活性化剤は、酸、塩基、アジリジン、フリーラジカル開始剤、またはこれらの組合せを含むことができる。実施形態では、活性化剤がフリーラジカル開始剤である。実施形態では、フリーラジカル開始剤は、過酸化物を含むことができる。実施形態では、過酸化物は、過酸化ベンゾイル(benzoic peroxide)、過酸化水素、過酸化ジベンゾイル(BPO)、過酸化ジドデカノイル(ジラウロイル)(LPO)、またはこれらの組合せを含むことができる。実施形態では、フリーラジカル開始剤は、アゾ化合物、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を含むことができる。実施形態では、活性化剤が酸である。実施形態では、酸は、有機酸、無機酸、またはこれらの組合せを含むことができる。実施形態では、有機酸は、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、またはこれらの組合せなどのカルボン酸を含むことができる。実施形態では、無機酸は、ホウ酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、硫酸、硫化水素酸、塩酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、ハロゲン化水素酸、またはこれらの組合せを含むことができる。実施形態では、ハロゲン化水素酸は、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、またはこれらの組合せを含むことができる。実施形態では、活性化剤が塩基である。実施形態では、塩基は、金属水酸化物を含むことができる。実施形態では、金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0150】
変性された繊維は一般に、変性剤との混合後に化学的な変性を含む繊維とすることができる。変性された繊維が含むことができる化学的な変性の非限定的な例には、モノカルボン酸、ジカルボン酸、スルホン酸、スルホネート、クリックケミストリー反応性対の第1の官能基、アミド、アミン、カルバメート、ニトリル、ケトン、エステル、アリル、アセチル、ハロゲン、アルキル、イミド、アセタール、エノレート、ニトロ、シラン、架橋、またはこれらの任意の組合せが含まれる。実施形態では、変性された繊維は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、スルホン酸、スルホネート、クリックケミストリー反応性対の第1の官能基、アミド、アミン、ニトリル、ケトン、エステル、アリル、アセチル、ハロゲン、アルキル、イミド、アセタール、エノレート、ニトロ、シラン、またはこれらの組合せを含む。実施形態では、変性された繊維は、スルホネート、スルホン酸、または両方を含む。実施形態では、変性された繊維は、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート、前述のアルカリ金属塩誘導体、またはこれらの組合せを含む。実施形態では、変性された繊維は、スルホネートを含む。実施形態では、スルホネートはスルホン酸アミノプロピルを含む。実施形態では、変性された繊維はスルホン酸を含む。実施形態では、スルホン酸は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)および/またはAMPSのナトリウム塩を含む。実施形態では、変性された繊維は、アミンまたはカルバメートを、ラクタムからの部分として含む。実施形態では、そのようなカルバメートは、ピロリドンまたはカプロラクタムを含むラクタムに由来し得る。実施形態では、変性された繊維は、モノカルボン酸またはジカルボン酸を含む。実施形態では、モノカルボン酸またはジカルボン酸は、酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸ジアルキル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、アルキル(アルキル)アクリレート、前述のアルカリ金属塩、これらの加水分解アルカリ金属塩、これらのエステル、またはこれらの組合せを含む。実施形態では、ジカルボン酸がマレイン酸モノメチルを含む。実施形態では、変性された繊維は、上記で開示されたような、クリックケミストリー反応性対の第1の官能基を含む。実施形態では、変性された繊維は、クリックケミストリー反応性対の第1の官能基を含み、本明細書に開示される活性剤は、クリックケミストリー反応性対の第2の官能基を含む。したがって、変性剤は、クリックケミストリー反応性対の特定の第1の官能基で繊維を変性させることを企図することができ、したがってクリックケミストリー反応性対の第2の官能基を含む所望の活性剤は、容易に変性された繊維と反応して、所望の活性剤に結合された繊維を形成することができる。実施形態では、変性された繊維はアミドを含む。実施形態では、変性された繊維はエステルを含む。実施形態では、変性された繊維はアミンを含む。
【0151】
一般に、本明細書に開示される加工後の方法の前の繊維に対する、変性された繊維の化学的な変性の量(変性度)の増加は、0.1mol%から約50mol%の範囲にすることができる。例えば、本明細書に開示される方法からの変性度は、約1mol%、約2mol%、約3mol%、約4mol%、約5mol%、約6mol%、約7mol%、約8mol%、約9mol%、約10mol%、約11mol%、約12mol%、約13mol%、約14mol%、約15mol%、約20mol%、約30mol%、約40mol%、または約50mol%、例えば1mol%から15mol%、約1mol%から約10mol%、約1mol%から約8mol%、約2mol%から約8mol%、約2mol%から約8mol%、約3mol%から約8mol%、約3mol%から約6mol%、または約1mol%から約4mol%の範囲にすることができる。
【0152】
反応条件はまた、処理された繊維の溶解度機序ならびに/または吸収能および保持を設計および制御するために選択できる。例えば、反応条件は:(a)シースのポリマーがコアのポリマーとは異なる、例えば、より大きい変性度を有するコア-シース構造(
図2A)、(b)内部領域から表面領域への、例えば、変性度を増大させるための、ポリマーの変性度の半径方向勾配(
図2B;
図3)、または(c)横断面にわたって一貫した変性度(
図2C)によって特徴付けられる横断面を有する繊維を提供するように選択できる。得られた繊維は、異なる溶解度機序(例えば、即時放出、遅延放出、または誘発放出)、化学的相溶性/抵抗性、ならびに/または吸収能および保持特性を有することができる。制御された繊維構造を提供するよう変更され得る反応条件は、変性剤の選択、変性剤用の溶媒中の変性剤の濃度の選択、反応(接触または混合)時間、反応(接触または混合)温度、変性剤溶液のための溶媒の選択、および活性化剤の必要に応じた含有を含む。
【0153】
コア-シース構造またはコア-シェル構造を有する繊維は、ポリビニルアルコールなどのポリマーを有する繊維を、繊維の内側コア領域内への溶媒および変性剤の半径方向拡散を最小限に抑えるのに十分な条件下、変性剤および溶媒で処理することによって、調製することができる。繊維の内側コア領域への溶媒および変性剤の拡散は、例えば、短い反応時間、低い反応温度を選択し、および/または非極性溶媒を含むことによって、最小限に抑えることができる。実施形態では、本開示の方法の接触は、シースのポリマーがコアのポリマーよりも大きい変性度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有するビニルアルコール部分を有するポリマーを含む繊維を提供するのに十分な条件下で行われる。実施形態では、シースのポリマーがコアのポリマーよりも大きい変性度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件は、20もしくはそれ未満、18もしくはそれ未満、14もしくはそれ未満、または10もしくはそれ未満の誘電率を有する溶媒を含むことを含む。実施形態では、シースのポリマーがコアのポリマーよりも大きい変性度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件は、繊維および変性剤溶液を、約10℃から約30℃、約10℃から約25℃、または約15℃から約25℃の範囲の温度で混合することを含む。実施形態では、シースのポリマーがコアのポリマーよりも大きい変性度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件は、繊維および変性剤を、約2分から約6時間、約2分から約4時間、約5分から約3時間、約10分から約2時間、または約15分から約1時間にわたり、混合することを含む。実施形態では、シースのポリマーがコアのポリマーよりも大きい変性度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件は、20もしくはそれ未満、18もしくはそれ未満、14もしくはそれ未満、または10もしくはそれ未満の誘電率を有する溶媒を含むこと、繊維、変性剤、および溶媒を、約10℃から約30℃、約10℃から約25℃、または約15℃から約25℃の範囲の温度で混合すること、ならびに繊維、変性剤、および溶媒を、約2分から約6時間、約2分から約4時間、約5分から約3時間、約10分から約2時間、または約15分から約1時間にわたり、混合することを含む。シースのポリマーがコアのポリマーよりも大きい変性度を有するコア-シース構造によって特徴付けられる横断面を有するそのような繊維は、繊維の内部に提供された活性剤の遅延放出特性、変性ポリマーに共役された活性剤の制御放出特性、繊維の内部に提供されたおよび/もしくは変性ポリマーに共役された活性剤の誘発放出、ならびに/または変性のない繊維に対して高い化学抵抗性を提供することができる。実施形態では、変性されたシース領域は、実質的に連続することができる。本明細書で使用される場合、他に指定されない限り、「実質的に連続」は、繊維の表面積の少なくとも約60%が変性を含むような、繊維の表面積全体にわたる変性の均質分布を指す。実施形態では、繊維の表面積の少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%が、変性を含む。理論に拘泥するものではないが、変性シース領域が実質的に連続的である場合、繊維は、酸化剤などの刺激の強い化学物質と接触したときに高い化学抵抗性を実証することができ、したがって繊維は変色および溶解度の低下から保護されるようになると考えられる。さらに、理論に拘泥するものではないが、変性されたシース領域の不連続領域は、繊維が刺激の強い化学物質に接触したときに、刺激の強い化学物質の浸潤および刺激の強い化学物質による経時的な繊維の劣化の可能性がある、刺激の強い化学物質の影響を受け易い領域であると考えられる。
【0154】
本明細書で使用される場合、他に指定されない限り、繊維からの活性剤の「遅延放出」とは、活性剤の全体が、繊維の最終使用用途の条件下で溶媒(通常、水)と接触させられた場合、繊維から即時放出されないことを意味する。例えば、活性剤を含有し、洗濯用途に使用される繊維は、洗浄条件下で、活性物質の全体を即時放出しないことがある。むしろ、活性物質は、経時的に繊維から拡散し得る。本明細書で使用される場合、他に指定されない限り、繊維からの活性剤の「誘発放出」とは、誘発条件が満たされるまで、活性物質は繊維から一切放出されないことを意味する。例えば、活性剤を含有し、洗濯用途に使用される繊維は、洗浄水が所定の温度および/またはpHに達するまで、活性剤を放出しないことがある。
【0155】
誘発条件は、限定するものではないが温度、pH、UV/VIS放射、IR放射、イオンの存在、触媒の存在またはその組合せを含むことができる。
【0156】
シース構造の厚さが増加するにつれて、流体で膨張し飽和したコアを有する繊維の安定性は増加するが、流体を吸収するためのコア中の利用可能なポリマーの量は減少する。シースの厚さは、繊維のポリマー構造中への変性剤の拡散を制御することによって制御できる。繊維の内側部分の処理は拡散制御されるので、シースは、繊維の外縁周りの厚さのばらつきを有し得、シースの内側部分は、シースの外面におけるポリマーの変性度より低いが繊維の中心におけるポリマーの変性度より大きい変性度を有し得ることが理解される。したがって一部の実施形態では、繊維の横断面は、コア-シース構造によって特徴付けられ得、また、繊維の内側部分から繊維の外側部分への増加勾配を有することを特徴とし得る。
【0157】
増加する半径方向勾配構造によって特徴付けられる横断面を有する繊維は、変性度がないポリビニルアルコールまたは酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーなどのポリマーを有する繊維を、繊維の内側領域への溶媒および変性剤の半径方向拡散を変更するのに十分な条件下で、変性剤および溶媒で処理することによって調製できる。実施形態では、内側領域から外部領域への増加する半径方向勾配構造によって特徴付けられる横断面を有する繊維は、異なる拡散速度(同時または段階的)を有する多数の溶媒を使用し、繊維中への溶媒および変性剤の拡散速度を変更するように混合中に温度を変化させ、ならびに/または反応時間を、一部の変性剤が内側領域に拡散してポリマーの変性度を変更するのを可能にするのに十分長いが、内側部分のポリマーが外部/表面部分のポリマーと同じ程度に化学的に変性するのを可能にするほどには長くないように選択して、調製できる。実施形態では、本開示の方法の混合は、繊維の内部領域から繊維の表面領域へのポリマーの変性度の増加勾配によって特徴付けられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で行われる。変性度の増加勾配によって特徴付けられる横断面を有するそのような繊維は、繊維の内部に提供された活性剤の遅延放出特性、繊維の内部に提供された活性剤の誘発放出、横断面にわたって一貫した変性度を有する繊維と比べて増加した吸収力、および/または改善された吸収流体の保持を提供することができる。
【0158】
コア-シース構造および/または増加半径方向構造によって特徴付けられる横断面を有する繊維は、コア/内側領域に充填された活性剤を有し得る。活物質が、繊維を活性剤の溶液と接触させ、活性剤溶液をポリマー構造中に拡散することを可能にすることによって、コア/内側領域に充填され得る結果、繊維のコア/内側領域が活性剤溶液を吸収し、膨張する。活性剤は、活性剤溶液溶媒に可溶である本明細書に開示の任意の活性剤であり得る。溶媒は、本明細書に開示の任意の溶媒であり得る。理論に縛られることを意図することなく、溶媒の極性が増加するにつれて、繊維のコア/内側領域への拡散速度が増加すると考えられる。例示的な溶媒は、水であり、ただし、活性剤溶液の水は、繊維のコア/内側領域および繊維のシース/シェル/外部領域を構成するポリマーの溶解温度よりも低い温度で維持される。
【0159】
横断面(全体)にわたって同じ変性度を有するポリマーによって特徴付けられる横断面を有する繊維は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーなどのポリマーを有する繊維を、繊維の内側コア領域への溶媒および変性剤の半径方向拡散を最大にするのに十分な条件下で、変性剤および溶媒で処理することによって調製できる。溶媒および変性剤の繊維の内側コア領域への拡散は、例えば、長い反応時間、高い反応温度を選択し、および/または高度に極性の溶媒を含むことによって最大にできる。実施形態では、本開示の方法の混合は、横断面にわたってポリマーが同じ変性度を有することによって特徴付けられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で行われる。
【0160】
有利には、一部の実施形態では、理論に拘泥するものではないが、繊維の内側領域中のポリマーの変性度(存在する場合)と比べて繊維の表面領域におけるポリマーの変性度が増加するにつれて、繊維のバルク溶解度は増加しまたは同じレベルで維持することができ、繊維全体にわたって一貫した変性度を有するまたは変性度のない繊維を単に選択することと比べて、繊維の溶解度パラメーターおよび繊維の異なる溶解度特性をより正確に調節することが可能になる。
【0161】
本開示はさらに、繊維を処理する方法であって、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つ、例えば少なくとも1つの酢酸ビニル部分のみ、少なくとも1つのビニルアルコール部分のみ、または酢酸ビニル部分およびビニルアルコール部分の両方を含むポリマーを含む繊維の表面を、変性剤および変性剤用の溶媒と接触させて、繊維の少なくとも表面を含む繊維の領域における変性剤を持つポリマーの少なくとも一部分を化学的に変性することを含む、方法を提供する。実施形態では、接触は、浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリントまたはその組合せにより行うことができる。実施形態では、ポリマーは、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの組合せからなる群から選択される。変性剤は、本明細書に開示の任意の変性剤を含むことができ、変性剤用の溶媒は、本明細書に開示の任意の溶媒を含むことができる。実施形態では、方法はさらに、連続インラインプロセスの一部として、繊維の形成後に、繊維の表面を変性剤と接触させることを含むことができる。例えば、繊維は、第1のステーションにおいてポリマー混合物から形成でき、次いで第2のステーションに移されて、繊維の表面が処理され得る。別の例では、繊維は、繊維供給ステーション、繊維処理ステーションおよび繊維収集ステーションを含む装置で処理できる。実施形態では、繊維は、繊維の表面の接触の間、動いている。実施形態では、繊維の表面を変性剤および溶媒と接触させることは、バッチごとのプロセスまたは連続インラインプロセスで行われる。例えば、繊維はバルクに調製でき、不織布ウェブへの繊維の形成前に変性剤で処理できる。実施形態では、繊維は、ステープル繊維、ステープルヤーン、繊維フィル、ニードルパンチ布、結合繊維またはその組合せを含む。実施形態では、繊維はステープル繊維を含む。実施形態では、方法はさらに、繊維の表面を変性剤と接触させた後に、繊維を洗浄し乾燥することを含む。洗浄は、繊維を非溶媒で濯ぐことによるものであり得る。非溶媒は、繊維を可溶化せずに変性剤などの未反応の化学物質を除去する液体を指す。非溶媒の例には、極性または非極性溶媒のいずれかが含まれる。例えばアセトンを使用することができる。繊維の乾燥は、エアジェット乾燥、撹拌、ボルテックスまたは遠心分離によるものであり得る。
【0162】
実施形態では、繊維を処理する本明細書に開示される方法は、約79%から約99.9%の範囲の加水分解度、例えば88%、92%、または96%の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含むポリマーを含み、変性剤はマレイン酸無水物を含み、溶媒はメタノールを含み、方法はさらに、水酸化ナトリウムを含む活性化剤を、繊維、変性剤、および溶媒と混合することを含む。実施形態では、繊維を処理する本明細書に開示される方法は、繊維は88%、92%、または96%の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含み、変性剤はマレイン酸無水物を含み、溶媒はメタノールを含み、および、混合することは、繊維および溶媒を合わせること、ならびに混合物を約65℃から約75℃に加熱して、加熱混合物を形成すること;加熱混合物にマレイン酸無水物と、水酸化ナトリウムを含む活性化剤とを添加して、反応混合物を形成すること;および反応混合物を約65℃から約75℃で約3から7時間撹拌することを含む、を含む。
【0163】
本開示は、本開示の方法に従って処理した繊維を提供する。
【0164】
本開示は、表面領域および内部領域を有する繊維を提供する。繊維は、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つ、例えば少なくとも1つの酢酸ビニル部分のみ、少なくとも1つのビニルアルコール部分のみ、または酢酸ビニル部分およびビニルアルコール部分の両方を含むポリマーであって、本明細書に記述される変性剤で化学的に変性されたものを含む。繊維中のポリマーは、変性剤で化学的に変性され、例えばビニルアルコール部分にあるヒドロキシル基との反応を通して変性剤部分と化学的に結合される。実施形態では、繊維は、第1の変性度を有する内部領域と、内部領域のポリマーの第1の変性度とは異なる、例えば大きい、第2の変性度を有する表面領域とを含む横断面を有する。第1の変性度は、ゼロまたはゼロより大きくてもよい。第1の変性度がゼロであるとき、繊維の内部領域は、少なくとも1つの酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分、例えば少なくとも1つの酢酸ビニル部分のみ、少なくとも1つのビニルアルコール部分のみ、または酢酸ビニル部分およびビニルアルコール部分の両方を含むポリマーであって、変性がないもの、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、アニオン性変性ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの組合せを含む。実施形態では、本開示は、表面領域および内部領域を有する繊維を提供する。実施形態では、繊維は、変性剤で変性された酢酸ビニル部分およびビニルアルコール部分を含むポリマーを含む。繊維は、第1の変性度を有する内部領域と、第1の変性度よりも大きい第2の変性度を有する表面領域とを含む横断面を有する。
【0165】
本開示の繊維は、内部領域から表面領域へのポリマーの変性度の増加勾配を有する繊維の横断面を有し得る。実施形態では、本開示の繊維は、内部領域から表面領域へのポリマーの同じ変性度を有する繊維の横断面を有することができる。一部の実施形態では、変性前のポリマーは、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマー、アニオン性変性ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの組合せを含む。変性後、ポリマーは、ビニルアルコール中のヒドロキシル基と変性剤との間の反応を通して、変性剤部分と化学結合する。
【0166】
図3に示される通り、本開示は、コア-シース構造またはコア-シェル構造を有する横断面を含む繊維を提供する。繊維は、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つ、例えば少なくとも1つの酢酸ビニル部分のみ、少なくとも1つのビニルアルコール部分のみ、または酢酸ビニル部分とビニルアルコール部分との両方を含むポリマーを含む第1の領域、例えばコア領域(
図3において401と示される)を含む。コア領域内のそのようなポリマーは、変性がないまたは変性剤による第1の変性度を有する。第1の変性度は、ゼロまたはゼロよりも大きくすることができる。繊維は、変性剤で変性され、および第1の領域のポリマーに関する第1の変性度よりも大きい第2の変性度を有するそのようなポリマーを含む第2の領域、例えばシース領域(
図3において402と示される)も含む。実施形態では、繊維は、コア-シース構造を有する横断面を含むことができる。繊維は、ポリビニルアルコールをまたはポリビニルアルコールコポリマーを含む第1の領域、例えばコア領域と、第1の領域における第1の変性度とは異なる第2の変性度で変性されたそのようなポリマーを含む第2の領域、例えばシース領域とを含む。実施形態では、繊維は、コア-シース構造を有する横断面を含むことができる。繊維は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーを含む第1の領域、例えばコア領域と、第1の領域におけるポリマーの第1の変性度よりも大きい第2の変性度を有するそのようなポリマーを含む第2の領域、例えばシース領域とを含む。一部の実施形態では、ポリビニルアルコールコポリマーは、変性前の酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである。繊維中のポリマーは、変性剤で化学的に変性され、例えばビニルアルコール部分のヒドロキシル基との反応を通して変性剤部分で化学的に結合される。実施形態では、繊維はさらに、第1の領域と第2の領域との間に配置され、および第1の領域のポリマーの第1の変性度と第2の領域のポリマーの第2の変性度との間の中間の第3の変性度を有するポリマーを含む、少なくとも1つの第3の領域、例えば少なくとも1つの中間領域(
図3において403と示される)を含む。実施形態では、繊維はさらに、第1の領域と第2の領域との間に配置され、および第1の領域の第1の変性度よりも大きく第2の領域の第2の変性度よりも小さい第3の変性度を有するポリマーを含む、少なくとも1つの第3の領域の領域、例えば少なくとも1つの中間領域(
図3において403と示される)を含む。実施形態では、繊維は、第1の領域と第2の領域との間に配置された複数の第3の中間領域、例えば複数の中間領域(
図3において403a、403bと示される)を含むことができる。繊維の横断面は、第1の領域から第2の領域まで、ポリマーの変性度において増加勾配を有する。実施形態では、複数の第3の領域は、変性剤でポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーから変性されたポリマーを含む。繊維の横断面は、第1の領域から第2の領域まで、ポリマーの変性度に増加勾配を有する。
【0167】
実施形態では、本開示の繊維は、約0.1%、約0.3%、約0.5%、約0.7%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、または約15%の、例えば0.1%から15%、約0.3%から約10%、約0.5%から約8%、約1%から約8%、約2%から約5%、約1%から約4%、または約0.5%から約5%の範囲の、第1および第2の領域中のポリマーの変性度の差を有し得る。実施形態では、繊維の横断面は、平均半径によって特徴付けることができ、第2の領域は、繊維の平均半径の約0.5%、例えば、約1%、約2%、約3%、約5%、約7%、約9%、約10%、約12%、約15%、約20%、約25%、約50%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約94%、約96%、または約98%、例えば、約1%から約98%、約1%から約90%、約1%から約75%、約1%から約50%、約1%から約25%、約1%から約20%、約1%から約15%、約1%から約12%、約1%から約10%、約1%から約8%、約1%から約6%、約1%から約5%、約1%から約4%、約2%から約25%、約4%から約25%、約6%から約35%、または約8%から約20%の範囲を構成し得る。
【0168】
実施形態では、第1、第2および必要に応じた第3の領域中のポリマーは、同じ重合度を有する。実施形態では、第1、第2および必要に応じた第3の領域中のポリマーは、同じ加水分解度を有することができる。
【0169】
コア-シース構造または勾配変性度によって特徴付けられる横断面を有する本明細書に開示の繊維は、繊維のシースおよび/または表面領域においてより大きい変性度を有すると記載されているが、繊維は、繊維のシースおよび/または表面領域のポリマーの変性度が、コアおよび/または内側表面領域のポリマーの変性度より低くなるように調製できることが理解される。したがって本開示は、表面領域および内部領域を有する繊維をさらに提供する。繊維は、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つ、例えば少なくとも1つの酢酸ビニル部分のみ、少なくとも1つのビニルアルコール部分のみ、または酢酸ビニル部分およびビニルアルコール部分の両方を含み、変性剤で化学的に変性されたポリマーを含む。繊維は、内部領域中の変性度よりも低い変性度を有する表面領域を含む横断面を有する。実施形態では、本開示は、表面領域および内部領域を有する繊維を提供する。繊維は、ビニルアルコールおよびポリビニルアルコールコポリマーを含む。繊維は、内部領域中の変性度よりも低い変性度を有する表面領域のポリマーを含む横断面を有する。
【0170】
本開示の繊維は、内部領域から表面領域へのポリマーの変性度の減少勾配を有する繊維の横断面を有することができる。実施形態では、本開示の繊維は、内部領域から表面領域へのポリビニルアルコールコポリマーの変性度の減少勾配を有する横断面を有することができる。
【0171】
不織布ウェブ
【0172】
本開示の不織布ウェブは、一般に、2つの外面を有するシート様構造体であり、不織布ウェブは、複数の繊維を含む。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、不織布ウェブの「外面」とは、
図5において100および101で示されるシート様構造体の面をいう。不織布ウェブとは、一般に、互いに結合した繊維の配置構成をいい、繊維は、織られても、編まれてもいない。一般に、複数の繊維は、任意の配向で配置構成され得る。実施形態では、複数の繊維は、ランダムに配置構成される(すなわち、配向を有さない)。実施形態では、複数の繊維は、一方向配向で配置構成される。実施形態では、複数の繊維は、二方向配向で配置構成される。一部の実施形態では、複数の繊維は、不織布ウェブの異なる領域において異なる配置構成を有する多方向性である。実施形態では、不織布ウェブは、単一種類の水溶性繊維を含み得る。実施形態では、不織布ウェブは、単一種類の水不溶性繊維を含み得る。実施形態では、不織布ウェブは、単一種類の水溶性繊維および1つまたはそれよりも多くの異なる種類の水不溶性繊維を含み得る。実施形態では、不織布ウェブは、1つまたはそれよりも多くの異なる種類の水溶性繊維および1つまたはそれよりも多くの異なる種類の水不溶性繊維を含み得る。実施形態では、不織布ウェブは、水溶性繊維からなる、または水溶性繊維から本質的になり得る。実施形態では、不織布ウェブは、水不溶性繊維からなる、または水不溶性繊維から本質的になり得る。一部の実施形態では、不織布ウェブは、単一種類の繊維形成材料を含み得る(すなわち、すべての繊維が同じ組成の繊維形成材料を有する)が、1つまたはそれよりも多くの繊維形成法、例えば、湿式冷却ゲル紡糸、熱可塑性繊維紡糸、メルトブローン、スパンボンドまたはその組合せによって調製された繊維を含み得る。一部の実施形態では、不織布ウェブは、単一種類の繊維形成材料を含み得、繊維は、単一の繊維形成法から作製される。一部の実施形態では、不織布ウェブは、2つまたはそれよりも多くの繊維形成材料(例えば、異なる組成の繊維形成材料を有する繊維のブレンド、繊維形成材料のブレンドを含む繊維、またはその両方)を含み得、繊維は、1つまたはそれよりも多くの繊維形成法、例えば、湿式冷却ゲル紡糸、熱可塑性繊維紡糸、メルトブローン、スパンボンドまたはその組合せによって調製され得る。一部の実施形態では、不織布ウェブは、2つまたはそれよりも多くの繊維形成材料を含み得、繊維は、単一の繊維形成法から作製される。実施形態では、不織布ウェブの繊維は、実質的に同じ直径または異なる直径を有し得る。
【0173】
本開示の不織布ウェブが、第1の繊維および第2の繊維を含む繊維のブレンドを含む実施形態では、第1および第2の繊維は、長さ対直径(L/D比、靭性、形状、剛性、弾性、溶解度、融点、ガラス転移温度(Tg)、繊維形成材料、色またはその組合せの差を有し得る。
【0174】
当技術分野で十分理解されている通り、機械加工方向(MD)という用語は、例えば、市販の不織布作製機で不織布ウェブが製造される際にウェブが進行する方向をいう。同様に、交差方向(CD)という用語は、機械加工方向に垂直なウェブの平面の方向をいう。不織布複合物品、ワイプ、吸収物品または本開示の不織布複合物品を含む他の物品に関して、これらの用語は、物品の製造に使用される不織布ウェブに関して物品の対応する方向をいう。
【0175】
不織布ウェブの靭性は、ウェブを調製するのに使用された繊維の靭性と同じまたは異なり得る。理論に縛られることを意図することなく、不織布ウェブの靭性は、不織布ウェブの強度に関連し、靭性がより高いほど、不織布ウェブの強度がより高くなると考えられる。一般に、不織布ウェブの靭性は、異なる靭性を有する繊維を使用することによって修正できる。不織布ウェブの靭性はまた、加工によって影響され得る。一般に、本開示の水分散性ウェブは、比較的高い靭性を有し得、すなわち、水分散性不織布ウェブは、物品および/またはポーチを調製するための単独材料として使用できる自己支持ウェブである。実施形態では、不織布ウェブは自己支持ウェブである。反対に、メルトブローン、電界紡糸および/または回転紡糸法により調製された不織布ウェブは、典型的には、低い靭性を有し、自己支持ではない、または物品もしくはポーチを形成するための単独ウェブとして使用することができない場合がある。したがって、一部の実施形態では、不織布ウェブは、自己支持ではなく、第2の不織布ウェブおよび/または水溶性フィルムと組み合わせて使用される。
【0176】
実施形態では、本開示の不織布ウェブは、約0.5~約1.5、約0.75~約1.5、約0.80~約1.25、約0.90~約1.1、もしくは約0.95~約1.05の範囲、または約1の、機械加工方向の靭性の交差方向の靭性に対する比(MD:CD)を有し得る。実施形態では、本開示の不織布ウェブは、約0.8~約1.25の靭性比MD:CDを有する。実施形態では、本開示の不織布ウェブは、約0.9~約1.1の靭性比MD:CDを有する。実施形態では、本開示の不織布ウェブは、約1の靭性を有する。理論に縛られることを意図することなく、靭性比MD:CDが1に近づくにつれて、不織布の耐久性が増加し、使用の間、例えば、本開示の不織布ウェブを含む水に流せるワイプでこする、または着用可能吸収物品の着用の間の動きによって引き起こされる不織布の引張(pulling/tugging)により不織布に応力が付与された場合、不織布の分解への優れた抵抗を付与すると考えられる。
【0177】
本開示の不織布ウェブは、水溶性フィルムと比べて粗い表面を有し、これにより、表面と水溶性フィルムとの間よりも表面と不織布ウェブとの間の接触が減少する。有利には、この表面粗度により、消費者の感触が改善され(すなわち、ゴムのような手触りではなく布のような手触りになる)、美観が改善される(すなわち、水溶性フィルムよりも光沢が少なくなる)、ならびに/または加工機/型の表面に沿ってウェブを延伸する必要がある熱成形および/もしくは垂直形成、充填および封止されたおよび/またはマルチチャンバーのパケットの調製における加工性が促進され得る。したがって、繊維は、抗力を生じるほど粗くなることなく、得られる不織布ウェブに表面粗度をもたらすのに十分粗くなくてはならない。
【0178】
不織布ウェブは、坪量によって特徴付けることができる。不織布の坪量は、不織布の単位面積当たり質量である。坪量は、当技術分野で公知の通り、製造条件を変更することによって修正できる。不織布ウェブは、結合前および結合後で同じ坪量を有し得る。あるいは、結合法により、不織布ウェブの坪量は変化し得る。例えば、結合が、熱および圧力の付与によって起こる場合、不織布の厚さ(したがって不織布の面積)は、減少し得、それによって、坪量は増加する。別の例では、繊維間の結合は、適切な温度で、例えば約100℃から約200℃の範囲(例えば、120℃から180℃)で通気プロセス中に引き起こすこともできる。したがって、本明細書で使用される場合、他に指定されない限り、不織布の坪量は、結合の後の不織布の坪量を指す。
【0179】
本開示の不織布ウェブは、約0.1g/m2~約700g/m2、約0.5g/m2~約600g/m2、約1g/m2~約500g/m2、約1g/m2~約400g/m2、約1g/m2~約300g/m2、約1g/m2~約200g/m2、約1g/m2~約100g/m2、約30g/m2~約100g/m2、約20g/m2~約100g/m2、約20g/m2~約80g/m2または約25g/m2~約70g/m2の範囲の任意の坪量を有し得る。
【0180】
実施形態では、不織布ウェブはカーティングされ得、約5g/m2~約15g/m2、約7g/m2~約13g/m2、約9g/m2~約11g/m2または約10g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブはカーディングされ得、30g/m2またはそれよりも大きい、例えば、30g/m2~約70g/m2、約30g/m2~約60g/m2、約30g/m2~約50g/m2、約30g/m2~約40g/m2、または約30g/m2~約35g/m2の範囲の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブはメルトスパンされ得、約1g/m2~約20g/m2、約2g/m2~約15g/m2、約3g/m2~約10g/m2、約5g/m2~約15g/m2、約7g/m2~約13g/m2、約9g/m2~約11g/m2の範囲、または約10g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブはメルトスパンされ得、約0.1g/m2~約10g/m2、約0.1g/m2~約8g/m2、約0.2g/m2~約6g/m2、約0.3g/m2~約4g/m2、約0.4g/m2~約2g/m2、または約0.5g/m2~約1g/m2の坪量を有し得る。
【0181】
坪量には、不織布の繊維体積密度および多孔度が関係する。調製時および結合前の不織布ウェブは、約30体積%またはそれ未満の繊維密度を有し、すなわち、所与の体積の不織布について、30%またはそれ未満の体積が繊維から構成され、残りの体積は空気である。したがって、不織布ウェブは、高度に多孔性である。不織布の繊維体積密度および多孔度は、逆相関する不織布の特性であり、例えば、約30体積%の繊維体積密度を有する不織布は、約70体積%の多孔度を有することになる。繊維体積密度が増加するにつれて、多孔度が減少することは、当技術分野において十分理解されている。繊維体積密度は、不織布の坪量を増加させることによって、例えば、熱および圧力の付与による結合または高温通気によって、潜在的に不織布の厚さ(したがって、体積)を減少させることによって、増加させることができる。したがって、本明細書で使用される場合、他に指定されない限り、不織布の繊維体積密度および多孔度とは、結合後の不織布の繊維体積密度および多孔度を指す。
【0182】
本開示の不織布ウェブは、約50%~約95%、例えば、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%もしくは少なくとも約80%および最大約95%、最大約90%、最大約85%、最大約80%、最大約75%、最大約70%の範囲、または約50%~約95%、約50%~約80%、約50%~約70%、約60%~約75%、約60%~約80%、約60%~約90%、約75%~約85%、約75%~約90%、もしくは約75%~約95%の範囲の任意の多孔度を有し得る。
【0183】
孔径は、これらに限定されないが、ブルナウアー-エメット-テーラー理論(BET)、小角X線散乱(SAXS)および分子吸着を含む高倍率規則的表面分析技術を使用して決定できる。
【0184】
本開示の不織布ウェブは、任意の厚さを有し得る。好適な厚さは、これらに限定されないが、約5~約10,000μm(1cm)、約5~約5,000μm、約5~約1,000μm、約5~約500μm、約200~約500μm、約5~約200μm、約20~約100μm、または約40~約90μm、または約50~80μm、または約60~65μm、例えば、50μm、65μm、76μm、または88μmを含み得る。本開示の不織布ウェブは、高ロフトまたは低ロフトを特徴とし得る。一般に、ロフトとは、厚さの坪量に対する比をいう。高ロフト不織布ウェブは、厚さの坪量に対する高い比によって特徴付けることができる。本明細書で使用される場合、「高ロフト」とは、本明細書で定義される通りの坪量および200μmを超える厚さを有する本開示の不織布ウェブをいう。不織布ウェブの厚さは、ASTM D5729-97、ASTM D5736およびISO 9073-2:1995に従って決定でき、例えば、不織布ウェブを2Nの負荷にかけ、厚さを測定することを含み得る。高ロフト材料は、当技術分野で公知の方法、例えば、エアスルー結合、またはクロスラッパーを使用して未結合ウェブをそれ自体の上に折り畳んで、ロフトおよび坪量を作るクロスラップに従って使用できる。理論に縛られることを意図することなく、フィルムの溶解度がフィルムの厚さに依存し得る水溶性フィルムとは反対に、水溶性繊維を含む不織布ウェブの溶解度は、ウェブの厚さに依存しないと考えられる。これに関して、フィルムの厚さに関わらず、個々の繊維により水溶性フィルムよりも大きい表面積がもたらされるため、水の繊維への到達、およびそれによって、水溶性不織布ウェブ中の繊維の溶解を制限するパラメーターは、坪量であると考えられる。
【0185】
本開示の不織布ウェブの水溶解度は、ウェブを調製するのに使用した繊維(複数可)のタイプおよび水分散性ウェブの坪量の関数である。理論に拘泥するものではないが、単独の繊維形成材料を含む単独の繊維タイプを含む不織布ウェブの場合、不織布ウェブの溶解度プロファイルは、不織布ウェブを調製するのに使用した繊維(複数可)と同じ溶解度プロファイルに従い、繊維の溶解度プロファイルは、この繊維が調製される繊維形成ポリマー(複数可)と同じ溶解度プロファイルに従うと考えられる。例えば、PVOH繊維を含む不織布ウェブの場合、PVOHまたはPVOHコポリマーの加水分解度および変性度は、不織布ウェブの水溶解度もまた影響を受けるように選択できる。一般に、所与の温度において、PVOHまたはPVOHコポリマーの変性度が増加するにつれて、ポリマーの水溶解度は、一般に増加する。
【0186】
PVOHまたはPVOHコポリマーの変性は、ポリマーの溶解度を増大させる。したがって、所与の温度において、変性PVOHコポリマーから調製された水分散性不織布ウェブの溶解度は、変性なしのPVOHコポリマーから調製され、およびPVOHコポリマーと同じ加水分解度を有する不織布ウェブの溶解度よりも高いと予想される。さらに、所与の温度では、繊維の変性度を増大させるために本明細書に記述される方法によって処理されたPVOHコポリマーまたは変性PVOHコポリマーから調製された水分散性不織布ウェブの溶解度は、本明細書に開示される繊維の変性後なしに調製された不織布ウェブの溶解度よりも高いと予想される。これらの傾向に従って、特定の溶解度特性を有する水分散性不織布ウェブが、設計できる。一部の実施形態では、繊維の水溶解度は、変性剤による変性後に維持され、繊維の水溶解度は、変性剤による化学的な変性の前および後でほぼ同じとなり得る。
【0187】
驚くべきことに、各繊維種類が単独の繊維形成材料を有する繊維種類のブレンドを含む不織布ウェブの場合、不織布ウェブの溶解度は、繊維種類のブレンドの場合に予想される通りの混合物の規則に従わない。むしろ、2つの繊維種類のブレンドを含む不織布ウェブの場合、2つの繊維種類が1:1以外の比で提供された場合、不織布の溶解度はあまり可溶性ではない繊維(すなわち、完全に溶解するためにより高温が必要であり、完全溶解温度より低い温度でよりゆっくり溶解する繊維)の溶解度に向かう傾向がある。繊維の1:1ブレンドを含む不織布ウェブの場合、不織布ウェブの溶解度は、一般に、1:1ブレンド以外のブレンドを含む不織布ウェブの溶解度より低かった(すなわち、所与の温度において、1:1ブレンドを含む不織布ウェブは、破壊、崩壊および溶解まで、例えば、3:1および1:3比の繊維種類を含む不織布ウェブよりも長くかかった)。この傾向は、とりわけ、あまり可溶性ではない繊維の完全溶解温度より低い温度で顕著であった。
【0188】
不織布ウェブ中の水不溶性繊維の含有はまた、特定の溶解度および/または遅延放出特性を有する不織布ウェブ(例えば、不織布ウェブが水分散性ポーチに含まれる場合)を設計するのに使用できる。理論に縛られることを意図することなく、不織布ウェブに含まれる水不溶性繊維の重量パーセント(不織布ウェブの総重量に基づく)が増加するにつれて、不織布ウェブの溶解度は一般に減少し、不織布ウェブを含むポーチの遅延放出特性は一般に増加すると考えられる。水溶性繊維の溶解温度またはそれよりも高い温度における水との接触時、水溶性繊維および水不溶性繊維を含む不織布ウェブは、水溶性繊維が溶解するにつれて細線化し始め、それによってウェブ構造体が分解する、および/または不織布ウェブの孔の孔径が増加する。一般に、ウェブ構造体の分解または孔径の増加がより大きいほど、より速く水がポーチの内容物に達し、より速くポーチの内容物が放出される。同様に、本開示の不織布ウェブを含むポーチの内容物の遅延放出は、異なる溶解特性および/または異なる溶解温度を有する水溶性繊維のブレンドを使用することによって実現できる。一般に、ポリビニルアルコール繊維形成材料を含む水溶性繊維を含む不織布ウェブの場合、水溶性繊維の完全溶解温度の50%もしくはそれよりも高い水温(例えば、70℃の完全溶解温度を有する繊維の場合、40℃)において、繊維はポリマーネットワークの膨張および軟化を受けるが、構造体全体はインタクトなままとなる。不織布ウェブが水溶性繊維および水不溶性繊維を含む実施形態では、可溶性繊維の不溶性繊維に対する比は特に限定されない。水溶性繊維は、繊維の総重量の約1重量%~約99重量%、約20重量%~約80重量%、約40重量%~約90重量%、約50重量%~約90重量%、または約60重量%~約90重量%を構成し得、水不溶性繊維は、繊維の総重量の約1重量%~約99重量%、約20重量%~約80重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、または約10重量%~約40重量%を構成し得る。
【0189】
さらに、不織布ウェブの坪量が増加するにつれて、ウェブの溶解速度は減少し、ただし、より多くの材料が溶解するため、繊維組成および結合パラメーターは一定のままである。例えば、所与の温度において、PVOHポリマー(複数可)を含む繊維から調製され、例えば、40g/m2の坪量を有する水溶性ウェブは、例えば、30g/m2の坪量を有するそれ以外は同一の不織布ウェブよりもゆっくり溶解すると予想される。この関係は、とりわけ、溶解のための水の温度が不織布ウェブを構成する繊維の完全溶解温度より低い場合に顕著であった。したがって、坪量はまた、水分散性不織布ウェブの溶解特徴を修正するために使用できる。不織布ウェブは、一般に、約1g/m2~約700g/m2、約1g/m2~約600g/m2、約1g/m2~約500g/m2、約1g/m2~約400g/m2、約1g/m2~約300g/m2、約1g/m2~約200g/m2、約1g/m2~約100g/m2、約30g/m2~約100g/m2、約20g/m2~約100g/m2、約20g/m2~約80g/m2、約25g/m2~約70g/m2、または約30g/m2~約70g/m2の範囲の任意の坪量を有し得る。
【0190】
さらに、カレンダー設定は、本開示の不織布ウェブの溶解度プロファイルに二次的な影響を有する。例えば、同一の繊維化学および同様の坪量を有する不織布ウェブの場合、所与のカレンダー圧において、不織布ウェブ溶解時間は、一般に、カレンダー温度が増加するにつれて増加する。この関係は、とりわけ、溶解のための水の温度が不織布ウェブを構成する繊維の完全溶解温度より低い場合に顕著であった。
【0191】
理論に縛られることを意図することなく、水溶性不織布ウェブの溶解度(例えば、MSTM-205に従う、溶解までの時間の点で)は、同じPVOHポリマーから調製された同じサイズ(L×W)および/または質量の水溶性フィルムの溶解度を超えると予想されると考えられる。これは、フィルムと比較して不織布において見出される、より速い溶解をもたらすより大きい表面積に起因する。
【0192】
本開示の不織布ウェブは、本明細書に開示の任意の補助剤を含み得る。補助剤は、ウェブ全体を通して、例えば、繊維間に分散され得る、または不織布ウェブの1つもしくはそれよりも多くの表面に塗布され得る。補助剤は、当技術分野で周知の通り、メルトスパン法の間に、Kimberly Clarkによって開発された「同時形成」法を使用して不織布ウェブに添加できる。補助剤はまた、任意の好適な手段で、不織布ウェブまたはそれから調製された物品の1つまたはそれよりも多くの面に添加され得る。
【0193】
実施形態では、本開示の不織布ウェブは、実質的に補助剤を含まない。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「実質的に補助剤を含まない」とは、不織布ウェブが、不織布ウェブの総重量に基づいて、約0.01wt%未満、約0.005wt.%未満、または約0.001wt.%未満の補助剤を含むことを意味する。
【0194】
一実施形態では、1つまたはそれよりも多くの静止粉末スプレーガンを使用して、補助剤粉末流を、1つまたはそれよりも多くの方向からウェブまたは物品に向け、一方では、ウェブまたは物品は、ベルトコンベヤによってコーティングゾーンを通って運搬される。代替の実施形態では、物品は、空気中補助剤粉末の懸濁物を通して運ばれる。なお別の代替の実施形態では、物品は、筒状装置において補助剤粉末とタンブル混合される。任意の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、静電力を用いて、補助剤粉末と物品との間の誘引が強化される。この種類のプロセスは、粉末粒子を負に帯電させ、これらの荷電粒子を接地物品に方向付けることに基づき得る。他の代替の実施形態では、これらに限定されないが、粉末と接触した回転ブラシを含む二次転移ツールによって、または粉末を容器から物品に転移できる粉末化グローブによって、補助剤粉末は物品に塗布される。なお別の実施形態では、補助剤粉末は、粉末を非水性溶媒または担体に溶解または懸濁し、次いで、これを不織布または物品上に噴霧およびスプレーすることによって、塗布される。一種の実施形態では、溶媒または担体は、その後蒸発し、補助剤粉末が後に残される。一クラスの実施形態では、補助剤粉末は、正確な投入量で不織布または物品に塗布される。このクラスの実施形態は、閉鎖システム乾燥潤滑剤塗布機器、例えば、PekuTECH粉末塗布装置PM 700Dを利用する。このプロセスでは、補助剤粉末は、必要に応じてバッチ式または連続して、塗布機器の供給トラフに供給される。不織布ウェブまたは物品は、標準回転ドラムポーチ装置の出口ベルトから粉末塗布装置のコンベヤベルト上に転移され、ここで制御された投入量の補助剤が不織布ウェブまたは物品に塗布される。
【0195】
液体補助剤は、例えば、スピンキャスティング、エアロゾル化溶液などの溶液のスプレー、ロールコーティング、フローコーティング、カーテンコーティング、押出、ナイフコーティング、またはその組合せによって、不織布ウェブまたは物品に塗布できる。
【0196】
実施形態では、不織布ウェブは、着色、顔料により着色および/または染料により着色されて、水溶性フィルムと比べて改善された美的効果を提供し得る。好適な着色料は、指示染料、例えば、pH指示薬(例えば、チモールブルー、ブロモチモール、チモールフタレインおよびチモールフタレイン)、水分/水指示薬(例えば、ハイドロクロミック(hydrochromic)インクまたはロイコ染料)、あるいは温度が上昇および/または下降するとインクの色が変化するサーモクロミックインクを含み得る。好適な着色料は、これらに限定されないが、トリフェニルメタン染料、アゾ染料、アントラキノン染料、ペリレン染料、インジゴイド染料、食品、薬物および化粧用(FD&C)着色料、有機顔料、無機顔料、またはその組合せを含む。着色料の例は、これらに限定されないが、FD&C赤色#40、赤色#3、FD&C黒色#3、黒色#2、マイカベースの真珠光沢顔料、FD&C黄色#6、緑色#3、青色#1、青色#2、二酸化チタン(食品グレード)、ブリリアントブラックおよびその組合せを含む。
【0197】
水溶性繊維に含まれる場合、着色料は、水溶性ポリマー混合物の0.01重量%~25重量%、例えば、水溶性ポリマー混合物の0.02重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、および24重量%の量で提供され得る。
【0198】
有利には、本開示の不織布ウェブは、熱および/または水(例えば、湿度)の存在下で優先収縮を示し得る。したがって、不織布ウェブは、パケットに形成される場合、熱および/または水収縮され得る。さらに有利には、本開示の不織布ウェブは、高熱および水分環境(例えば、38℃および80%相対湿度(RH))での保存後に、頑強性(すなわち、機械特性)の増加および溶解度性能の改善を示し得る。組成上同様の水溶性フィルムに基づいた予測では、頑強性および溶解度性能は高熱および水分条件での保存によって影響されないと考えられるため、そのような頑強性の増加および溶解度性能の改善は驚くべきことである。特に、調整環境からの同等の水溶性フィルムの除去後、水溶性フィルムはフィルムの性能特性の長期間または永続変化をもたらさない周囲環境と再平衡化する。
【0199】
本開示の不織布ウェブは、単一層として使用でき、または他の不織布ウェブおよび/もしくは水溶性フィルムと層状化できる。一部の実施形態では、不織布ウェブは、不織布ウェブの単一層を含む。一部の実施形態では、不織布ウェブは、不織布ウェブの2つまたはそれよりも多くの層を含む多層不織布ウェブである。1つまたはそれよりも多くの層は、互いにラミネートできる。前述の実施形態の改良では、2つまたはそれよりも多くの層は同じであり得る(例えば、同じ繊維から調製でき、同じ坪量を有する)。前述の実施形態の改良では、2つまたはそれよりも多くの層は異なり得る(例えば、異なるタイプの繊維から調製できる、および/または異なる坪量を有し得る)。実施形態では、不織布ウェブは、水溶性フィルムにラミネートできる。前述の実施形態の改良では、不織布ウェブおよび水溶性フィルムは、同じポリマー(例えば、特定の粘度、加水分解度、および変性ポリマーの場合には変性の量を有するPVOHコポリマー、変性ポリマー)から調製できる。前述の実施形態の改良では、不織布ウェブおよび水溶性フィルムは、異なるポリマー(例えば、不織布ウェブの繊維を調製するのに使用されるポリマーは、水溶性フィルムを構成するポリマーとは異なる繊維化学(例えば、変性)、粘度、重合度、加水分解度および/または溶解度を有し得る)から調製できる。有利には、多層不織布ウェブおよびラミネートは、それから作製されたポーチまたはパケットの水蒸気透過率(MVTR)を調節するのに使用できる。多層材料は、当技術分野で公知の様々なプロセス、例えば、溶融押出、コーティング(例えば、溶媒コーティング、水性コーティングまたは固体コーティング)、スプレー接着、材料移行、熱間ラミネーション、冷間ラミネーションおよびその組合せに従って、調製できる。
【0200】
多層不織布ウェブは、個々の層の坪量の合計である坪量を有し得る。したがって、多層不織布ウェブは、溶解するのに、単一層として提供される個々の層のうちの任意のもより長くかかる。実施形態では、多層不織布は、約1g/m2~約100g/m2の範囲の坪量を有し得る。さらに、理論に縛られることを意図することなく、孔径および孔配置構成が層間で異質である場合、各層の孔は整列せず、それによって、個々の層よりも小さい孔を有する多層不織布ウェブが提供されると考えられる。したがって、非多孔性水分散性不織布ウェブは、複数の多孔性水分散性不織布ウェブを層化することによって調製できる。
【0201】
不織布ウェブは、水溶性フィルムにラミネートすることもできる。ラミネートは、これらに限定されないが、熱および圧力、高温通気、化学結合ならびに/または溶媒溶接を含む当技術分野で公知の任意の方法を使用して形成できる。化学結合は、不織布ウェブの表面および/または水溶性フィルムの表面をイオンまたは共有結合により官能化し、不織布ウェブの表面が水溶性フィルムの表面と接触した場合に化学反応が起こり、不織布ウェブおよび水溶性フィルムを一緒に共有結合することを含み得る。多層不織布ウェブは、3つまたはそれよりも多くの層を含み得る。実施形態では、多層不織布ウェブは、水溶性フィルムを含む第1の層、不織布ウェブを含む第2の層、および水溶性フィルムを含む第3の層を含み得る。実施形態では、多層不織布ウェブは、不織布ウェブを含む第1の層、水溶性フィルムを含む第2の層、および不織布ウェブを含む第3の層を含み得る。
【0202】
有利には、ラミネートは、例えば、熱成形の間に付与される熱を使用して、不織布ウェブおよび水溶性フィルム層を一緒に結合して、ポーチ形成と同時に、調製できる。水溶性フィルムは、不織布ウェブと同じ溶解度および/もしくは化学適合性特徴を有し得、または水溶性フィルムは、不織布ウェブとは異なる溶解度および/もしくは化学適合性特徴を有し得る。実施形態では、水溶性フィルムは、不織布ウェブと同じ溶解度および/または化学適合性特徴を有する。一部の実施形態では、水溶性フィルムは、不織布ウェブとは異なる溶解度および/または化学適合性特徴を有する。有利には、水溶性フィルムが不織布ウェブとは異なる溶解度および/または化学適合性特徴を有する場合、ラミネートを使用して、第1の溶解度および/または化学適合性を有する内部表面、ならびに第2の溶解度および/または化学適合性を有する外面を有するポーチを形成できる。
【0203】
ラミネートに使用される水溶性フィルムは一般に、任意の水溶性フィルム、例えば、当技術分野で既に公知のものであり得る。水溶性フィルムを形成するのに使用されるポリマーは、任意の水溶性ポリマーまたはその組合せ、例えば本明細書に記述されるものであり得る。水溶性フィルムは、少なくとも約50wt.%、55wt.%、60wt.%、65wt.%、70wt.%、75wt.%、80wt.%、85wt.%、もしくは90wt.%および/または最大約60wt.%、70wt.%、80wt.%、90wt.%、95wt.%、もしくは99wt.%の水溶性ポリマー、例えばPVOHポリマー、例えばPVOHコポリマー、例えば変性剤で変性されたポリマー、またはこれらの任意のポリマーブレンドを含有し得る。
【0204】
水溶性フィルムは、他の補助剤および処理剤、例えば、これらに限定されないが、可塑剤、可塑剤相溶化剤、界面活性剤、潤滑剤、剥離剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、脱粘着剤、消泡剤、層状シリケート型ナノクレイなどのナノ粒子(例えば、ナトリウムモンモリロナイト)、漂白剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムまたはその他)、苦味剤(例えば、安息香酸デナトニウム、デナトニウム糖および塩化デナトニウムなどのデナトニウム塩;スクロースオクタアセタート;キニーネ;ケルセチンおよびナリンゲニンなどのフラボノイド;ならびにカシンおよびブルシンなどのカシノイド)および辛味剤(例えば、カプサイシン、ピペリン、アリルイソシアネートおよびレシニフェラトキシン)などの嫌悪剤、ならびに他の機能性成分などを、その意図される目的に好適な量で含有し得る。可塑剤を含む実施形態が好ましい。そのような薬剤の量は、個々にまたはまとめて、フィルムの最大約50wt.%、20wt%、15wt%、10wt%、5wt.%、4wt%および/または少なくとも0.01wt.%、0.1wt%、1wt%、もしくは5wt%であり得る。
【0205】
本開示はさらに、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む複数の繊維を含む不織布ウェブを処理する方法を提供する。方法は、不織布ウェブの少なくとも一部分を変性剤および溶媒と接触させて、その内部の各繊維の領域内のポリマーを変性剤で化学的に変性し、または不織布ウェブのその部分の繊維のポリマーの変性度を増大させることを含む。方法は、変性された不織布ウェブを提供する。実施形態では、変性剤と接触させられた不織布ウェブの部分は、不織布ウェブの面であり得る。実施形態では、接触させることは、浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリントまたはそれらの任意の組合せにより得る。実施形態では、接触は、複数の繊維を結合させて不織布ウェブにするのと同時に行われる。実施形態では、接触および結合は、化学結合を含む。実施形態では、接触および結合は、熱活性化触媒を含む。酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーは、本明細書に開示されるように、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマーまたはその任意の組合せとすることができる。実施形態では、ポリマーは、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、変性ポリビニルアルコールコポリマー、およびこれらの任意の組合せから選択される。実施形態では、ポリビニルアルコールコポリマーは、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである。実施形態では、ポリビニルアルコールコポリマーは、アニオン変性コポリマーを含む。実施形態では、アニオン変性コポリマーは、カルボキシレート、スルホネートまたはその組合せを含む。実施形態では、繊維は、追加のポリマーをさらに含む。変性剤は、本明細書に開示の任意の変性とすることができる。実施形態では、変性剤は、無水物、カルボン酸、アルコール、エステル、エーテル、スルホン酸、スルホネート、クリックケミストリー試薬、アミド、アミン、ラクタム、ニトリル、ケトン、アリル化合物、アセチル含有化合物、ハロゲン含有化合物、アルキル含有化合物、イミド、アセタール含有化合物、エノレート、ニトロ、シラン、アジリジン、イソシアネート、またはこれらの組合せを含むことができる。実施形態では、変性剤は、無水物を含むことができる。適切な無水物の例は、上述される。実施形態では、変性剤は、溶媒の重量に基づいて、約0.2%から約75%(w/w)の量で提供される。実施形態では、繊維は、処理前、処理中、および処理後に溶媒に可溶ではない。実施形態では、変性剤はさらに、本明細書に記述される活性化剤を含む。
【0206】
本開示は、本開示の方法に従って処理した不織布ウェブをさらに提供する。本開示は、本明細書に記述される複数の繊維を含む不織布ウェブを提供する。本開示は、本開示の方法に従って処理された不織布ウェブまたは本開示の複数の繊維を含む不織布ウェブを含む、第1の層を含む多層不織布ウェブを提供する。不織布ウェブ中の繊維のポリマーは、化学的に変性され、例えば、化学反応、例えばビニルアルコール部分のヒドロキシル基(-OH)と変性剤との間の反応を通して、変性剤の部分と結合される。
【0207】
生分解性
【0208】
ポリビニルアルコールポリマーは、一般に、好気性、嫌気性、土壌および堆肥条件下(水の存在下)、水および酵素の存在下で分解するため、生分解性である。一般に、ポリビニルアルコールポリマーの加水分解度が、最大約80%増加するにつれて、ポリビニルアルコールポリマーの生分解活性は増加する。理論に縛られることを意図することなく、80%超の加水分解度の増加は、生分解性に認識できるほどには影響しないと考えられる。さらに、ポリビニルアルコールポリマーのヒドロキシル基の立体規則性は、生物分解活性レベルに対して大きな効果を有し、ポリマー配列のヒドロキシル基がよりアイソタクチックであるほど、分解活性は高くなる。理論に縛られることを意図することなく、土壌および/または堆肥生分解について、フィルムと比べて、不織布ウェブによってもたらされるポリマー表面積が増加することに起因して、ポリビニルアルコール繊維から調製された不織布ウェブは、同様のポリビニルアルコールポリマーから調製された水溶性フィルムと比べてより高い生分解活性レベルを有すると考えられる。さらに、理論に縛られることを意図することなく、ポリビニルアルコールポリマーの重合度は、ポリマーにより調製されたフィルムまたは不織布ウェブの生分解性にほとんどまたはまったく効果を有さない一方、重合温度はポリマーの結晶度および凝集状態に影響を及ぼし得るため、重合温度は、フィルムまたは不織布の生分解性に対する効果を有し得ると考えられる。特に、結晶度が減少するにつれて、ポリマー鎖ヒドロキシル基は、ポリマー構造中であまり整列しなくなり、ポリマー鎖は、より不規則になり、鎖が非晶質凝集体として蓄積することが可能になり、それによって、規則的なポリマー構造の利用性が減少し、生分解活性は、ポリマーが溶解しない土壌および/または堆肥生分解機序について減少すると予想される。理論に拘泥するものではないが、ポリビニルアルコールポリマーのヒドロキシル基の立体規則性は、生分解活性レベルに対して大きな効果を有するので、変性剤など、ヒドロキシル基以外の官能基の置換(例えば、アニオン性AMPS官能基、カルボキシレート基またはラクトン基など)は、官能基自体もまた生分解性であり、ポリマーの生分解性が置換により増加し得る場合でない限り、変性がなく、および同じ加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーと比べて生分解活性レベルを低下させると予想されると考えられる。さらに、置換ポリビニルアルコールの生分解活性レベルは、対応するホモポリマーの生物分解活性レベルより低くあり得るが、置換ポリビニルアルコールは、なお生分解性を示すことになると考えられる。
【0209】
生分解活性を決定する方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるChiellini et al., Progress in Polymer Science, Volume 28, Issue 6, 2003, pp. 963-1014に記載の通り、当技術分野で公知である。さらなる方法および規格は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるECHA's Annex XV Restriction Report - Microplastics, Version number 1, January 11, 2019に見出すことができる。好適な規格は、OECD 301B(易生分解性)、OECD 301B(強化された生分解)、OECD 302B(固有の生分解性)、OECD 311(嫌気性)およびASTM D5988(土壌)を含む。
【0210】
実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、規格の易生分解性、強化された生分解または固有の生分解のものであり得る。本明細書で使用される場合、「易分解」という用語は、前記ECHA’s Annex XVに記載の通りのOECD 301B試験に従って、材料(例えば、繊維)が、試験の開始の28日以内に60%生分解(ミネラル化)に達する場合に満たされる規格をいう。本明細書で使用される場合、「強化された分解」という用語は、前記ECHA’s Annex XVに記載の通りのOECD 301B試験に従って、材料(例えば、繊維)が、試験の開始から60日以内に60%生分解に達する場合に満たされる規格をいう。実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、易分解の規格を満たす。実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、易分解または強化された分解の規格を満たす。実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、固有の分解の規格を満たす。実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、強化された分解の規格を満たす。実施形態では、本開示の繊維および不織布ウェブは、固有の分解、強化された分解または易分解の規格を満たす。実施形態では、本開示のラミネート(不織布およびフィルム)は、易分解または強化された分解の規格を満たす。
使用
【0211】
本開示の不織布ウェブは、様々な市販用途に好適である。本開示の不織布ウェブの好適な市販用途は、これらに限定されないが、水分散性または水に流せるポーチおよびパケット;医療使用、例えば、サージカルマスク、医療包装、靴用カバー、創傷被覆材および薬物送達;例えば、ガソリンおよび石油、選鉱、真空バッグ、エアフィルターおよびアレルゲン膜またはラミネート用のろ過システム;例えば、ボディワイプ、化粧除去用ワイプ、角質除去布、化粧道具のためのパーソナルケア製品、ならびに着用可能吸収物品、例えば、おむつおよび成人失禁用製品;オフィス用品、例えば、ショッピングバッグまたは封筒;ならびにその他、例えば、眼鏡拭きワイプ、室内清掃ワイプ、植物用のポッティング材、抗菌ワイプ、農業用シードストリップ、布柔軟剤シート、衣類/洗濯バッグ、食品包装、食品ケアワイプ、ペットケアワイプ、研磨ツール、塵除去および手指清浄を含み得る。
【0212】
封止ポーチ
【0213】
本開示は、内部ポーチ体積部を画定するポーチの形態の、本開示による不織布ウェブを含むポーチをさらに提供する。一部の実施形態では、ポーチは、本開示の水溶性フィルムおよび不織布ウェブを含むラミネートを含み得る。ポーチは、水分散性ポーチ、必要に応じて、水溶性ポーチおよび/または水に流せるポーチであり得る。本開示は、本開示の不織布ウェブを含むパケットを調製する方法であって、不織布ウェブをポーチの形態に形成するステップ、ポーチに封入される組成物を充填するステップ、およびポーチを封止してパケットを形成するステップを含む、方法をさらに提供する。一部の実施形態では、封止は、加熱封止、溶媒溶接、接着封止またはその組合せを含み得る
【0214】
本明細書に開示の不織布ウェブおよびラミネートは、水性環境中に放出するための組成物を中に含有する内部ポーチ体積部を画定するポーチの形態の封止物品を作るのに有用である。「封止物品」は、例えば、コンパートメントがオフガスする固体を封入する実施形態では、必要に応じて、通気穴を有する封止コンパートメントを包含するが、より一般的には、完全封止コンパートメントとなる。
【0215】
ポーチは、単一のコンパートメントまたは複数のコンパートメントを含んでもよい。ポーチは、境界面において封止された2層の不織布ウェブもしくはラミネートから、またはそれ自体の上に折り畳まれ、封止された単一の不織布ウェブもしくはラミネートから形成され得る。不織布ウェブまたはラミネートは、ポーチの少なくとも1つの側壁、必要に応じてポーチ全体、および好ましくは少なくとも1つの側壁の外側表面を形成する。別の種類の実施形態では、不織布ウェブまたはラミネートは、例えば、コンパートメント間の隔壁として、パケットの内側壁を形成する。不織布ウェブまたはラミネートはまた、例えば、外部壁、内側壁および/またはコンパートメントの蓋として、水溶性フィルムと組み合わせて使用できる。
【0216】
ポーチに封入される組成物は、例えば、本明細書に記載の様々な組成物のうちの任意のものを含み、特に限定されない。複数のコンパートメントを含む実施形態では、各コンパートメントは、同一および/または異なる組成物を含有してもよい。次に、組成物は、これらに限定されないが、液体、固体、ゲル、ペースト、マル、圧縮固体(錠剤)およびその組合せ(例えば、液体に懸濁された固体)を含む任意の好適な形態をとってもよい。
【0217】
一部の実施形態では、ポーチは、複数のコンパートメントを含む。複数のコンパートメントは、一般に、コンパートメントがポーチ内部の隔壁を共有するように重ねられる。マルチコンパートメントポーチのコンパートメントは、同じまたは異なるサイズおよび/または体積であってもよい。本マルチコンパートメントポーチのコンパートメントは、任意の好適な方法で分離または結合され得る。実施形態では、第2および/または第3および/または後続のコンパートメントが、第1のコンパートメント上に重ねられる。一実施形態では、第3のコンパートメントは、第2のコンパートメント上に重ねられてもよく、これは次に、サンドイッチ構成で第1のコンパートメント上に重ねられる。あるいは、第2および第3のコンパートメントは、第1のコンパートメント上に重ねられてもよい。しかしながら、第1、第2および/または第3および/または後続のコンパートメントは、横並びまたは同心円に配向されることも等しく想定される。コンパートメントは、各コンパートメントが切り取り線で個々に分離されるストリングに包装されてもよい。したがって、各コンパートメントは、最終使用者によってストリングの残部から個々に引き離されてもよい。一部の実施形態では、第1のコンパートメントは、例えば、タイヤとリムの配置またはポーチインポーチの配置で、少なくとも第2のコンパートメントによって取り囲まれていてもよい。
【0218】
コンパートメントの幾何学は、同じであっても異なっていてもよい。実施形態では、必要に応じた第3および後続のコンパートメントは各々、第1および第2のコンパートメントと比較して異なる幾何学および形状を有する。これらの実施形態では、必要に応じた第3および後続のコンパートメントは、第1または第2のコンパートメントに対する設計で配置構成される。設計は、装飾的、教育的、または図解的、例えばコンセプトもしくは指示を図解するおよび/または製品の由来を示すために使用されてもよい。
【0219】
ポーチを作製する方法
【0220】
ポーチおよびパケットは、任意の好適な機器および方法を使用して作製されてよい。例えば、単一コンパートメントポーチは、当技術分野で一般に公知の垂直式充填、水平式充填または回転ドラム充填技術を使用して作製されてもよい。そのようなプロセスは、連続または間欠のいずれであってもよい。不織布ウェブ、層化不織布ウェブおよびフィルム、またはラミネート構造体は、その展性を増加させるために湿らせおよび/または加熱されてもよい。方法はまた、不織布ウェブ、層化不織布ウェブおよびフィルムまたはラミネート構造体を好適な型に引き入れるための真空の使用を含んでもよい。不織布ウェブまたはラミネートを型に引き入れる真空は、不織布ウェブ、層化不織布ウェブおよびフィルムまたはラミネート構造体が表面の水平部分上になってから、約0.2~約5秒間、または約0.3~約3、または約0.5~約1.5秒間付与され得る。この真空は、例えば、10mbar~1000mbarの範囲、または100mbar~600mbarの範囲の圧力下を提供するようなものであり得る。
【0221】
パケットが作製されてもよい型は、ポーチの必要な寸法に応じて任意の形状、長さ、幅および深さを有し得る。型はまた、所望の場合、サイズおよび形状が互いに様々であってもよい。例えば、最終ポーチの体積は、約5ml~約300ml、または約10ml~150ml、または約20ml~約100mlであってもよく、型のサイズは、それに従って調節される。
【0222】
熱成形
【0223】
熱成形性不織布ウェブまたはラミネートは、熱および力の付与を通して成形できるものである。不織布ウェブ、層化不織布ウェブおよびフィルムまたはラミネート構造体の熱成形は、不織布ウェブ、層化不織布ウェブおよびフィルムまたはラミネート構造体を加熱し、それを成形し(例えば、型中で)、次いで、得られた不織布ウェブまたはラミネートを冷却し、その際に不織布ウェブまたはラミネートがその形状、例えば、型の形状を保持するプロセスである。熱は、好適な手段を使用して付与されてよい。例えば、不織布ウェブまたはラミネートは、表面上に供給される前にまたは表面上に供給されたら、加熱要素下または熱気中を通過させることによって直接加熱されてもよい。あるいは、不織布ウェブまたはラミネートは、例えば、表面を加熱することによって、または不織布ウェブもしくはラミネート上に熱品目を適用することによって、間接的に、加熱されてもよい。実施形態では、不織布ウェブまたはラミネートは、赤外光を使用して加熱される。不織布ウェブまたはラミネートは、約50℃~約200℃、約50℃~約170℃、約50℃~約150℃、約50℃~約120℃、約60℃~約130℃、約70℃~約120℃、または約60℃~約90℃の範囲の温度に加熱されてもよい。熱成形は、以下のプロセスのうちの任意の1つまたはそれよりも多くによって実施できる:熱軟化不織布ウェブもしくはラミネートの型上への手動ドレーピング、または軟化不織布ウェブもしくはラミネートの型への圧力誘導成形(例えば、真空形成)、または形成およびトリミングステーションへの正確に既知の温度を有する新たな押出シートの自動高速インデクシング、または不織布ウェブもしくはラミネートの自動配置、プラグおよび/もしくは空気伸張および加圧形成。
【0224】
あるいは、不織布ウェブまたはラミネートは、任意の好適な手段、例えば、表面上に供給される前にもしくは表面上に供給されたら、不織布ウェブもしくはラミネート上に湿潤剤(水、ポリマー組成物、不織布ウェブもしくは積層組成物用の可塑剤、または前述のものの任意の組合せを含む)をスプレーすることによって直接、あるいは表面を湿潤することによって、または不織布ウェブもしくはラミネート上に湿品目を適用することによって間接的に、湿潤され得る。
【0225】
不織布ウェブまたはラミネートは、加熱および/または湿潤されると、好ましくは真空を使用して、適切な型に引き入れられてもよい。成形不織布ウェブまたはラミネートの充填は、任意の好適な手段を利用することによって実現できる。実施形態では、最も好ましい方法は、製品形態および必要な充填速度に依存する。実施形態では、成形不織布ウェブまたはラミネートは、インライン充填技術によって充填される。次いで、充填された開放パケットは、第2の不織布ウェブまたはラミネートを使用して、任意の好適な方法によって、閉鎖されてポーチが形成される。これは、水平配置および連続した一定の動きの間に実現されてもよい。閉鎖は、第2の不織布ウェブまたはラミネート、好ましくは、水溶性不織布ウェブまたはラミネートを、開放パケットに対してその上に連続して供給し、次いで、好ましくは、第1および第2の不織布ウェブまたはラミネートを一緒に、典型的には型間の領域、したがってパケット間で封止することによって実現されてもよい。
【0226】
ポーチの封止
【0227】
ポーチおよび/またはその個々のコンパートメントを封止する任意の好適な方法を利用してよい。そのような手段の非限定例は、加熱封止、溶媒溶接、溶媒または湿潤封止およびその組合せを含む。典型的には、封止が形成される領域のみが、熱または溶媒で処理される。熱または溶媒は、任意の方法によって、典型的には閉鎖材料に、典型的には、封止が形成される領域のみに適用され得る。溶媒または湿潤封止または溶接が使用される場合、熱も付与されることが好ましいことがある。好ましい湿潤または溶媒封止/溶接法は、例えば、これをこれらの領域上にスプレーまたはプリントし、次いで、これらの領域上に圧力を付与して封止を形成することによって、型間の領域上または閉鎖材料上に溶媒を選択的に塗布することを含む。例えば、封止ロールおよびベルト(必要に応じて、熱も供給する)が使用できる。
【0228】
実施形態では、内側不織布ウェブまたはラミネートは、溶媒封止によって、外側不織布ウェブ(複数可)またはラミネート(複数可)に封止される。封止溶液は、一般に、水溶液である。実施形態では、封止溶液は、水を含む。実施形態では、封止溶液は、水を含み、1つまたはそれよりも多くのポリオール、ジオールおよび/またはグリコール、例えば、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、1,5-ペンタンジオール(1,5-pantanediol)(ペンタメチレングリコール)、1,6-ヘキサンジオール(ヘキサメチレングリコール)、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、様々なポリエチレングリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール)およびその組合せをさらに含む。実施形態では、封止溶液は、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、イソマール、マルチトール、ラクチトール、または任意のその組合せを含む。実施形態では、封止溶液は、水溶性ポリマーを含む。
【0229】
封止溶液は、内側および外側不織布ウェブまたはラミネートを接着するのに好適な任意の量で、内側不織布ウェブまたはラミネートの境界面領域に塗布できる。本明細書で使用される場合、「コート重量」という用語は、不織布ウェブまたはラミネート1平方メートル当たりの溶液のグラムの単位の不織布ウェブまたはラミネートに塗布される封止溶液の量をいう。一般に、封止溶媒のコート重量が低すぎる場合、不織布ウェブまたはラミネートは、十分に接着せず、縫い目におけるポーチ不良のリスクが増加する。さらに、封止溶媒のコート重量が高すぎる場合、境界面領域からの溶媒移行のリスクが増加し、ポーチの側面にエッチホールが形成し得る確率が増加する。コート重量ウィンドウとは、良好な接着を維持し、エッチホールの形成を回避しながら所与のフィルムに塗布できるコート重量の範囲をいう。ウィンドウが幅広いほど、広範囲の操作下で頑強な封止を提供するため、幅広いコート重量ウィンドウが望ましい。好適なコート重量ウィンドウは、少なくとも約3g/m2、または少なくとも約4g/m2、または少なくとも約5g/m2、または少なくとも約6g/m2である。
【0230】
パケットの切断
【0231】
形成されたパケットは、切断デバイスによって切断されてもよい。切断は、任意の公知の方法を使用して実現され得る。切断はまた、連続方式で、好ましくは一定速度で、好ましくは水平位置で行われることが好ましい場合がある。切断デバイスは、例えば、鋭利な品目、または熱品目、またはレーザーであり得、後者の場合、熱品目またはレーザーは、フィルム/封止領域を通して「燃やす」。
【0232】
マルチコンパートメントポーチの形成および充填
【0233】
マルチコンパートメントポーチの異なるコンパートメントは、横並びのスタイルでまたは同心円スタイルで一緒に作製されてもよく、得られた結合したポーチは、切断によって分離されてもされなくてもよい。あるいは、コンパートメントは、別々に作製され得る。
【0234】
実施形態では、ポーチは、a)第1のコンパートメントを形成するステップ(上記の通り);b)ステップ(a)で形成された閉鎖コンパートメント内またはそのすべてで凹部を形成して、第1のコンパートメントの上に重ねられた第2の成形コンパートメントを生成するステップ;c)第3の不織布ウェブ、ラミネートまたはフィルムによって第2のコンパートメントを充填および閉鎖するステップ;d)第1、第2および第3の不織布ウェブ、ラミネートまたはフィルムを封止するステップ;ならびにe)不織布ウェブまたはラミネートを切断してマルチコンパートメントポーチを製造するステップを含むプロセスに従って作製されてもよい。ステップ(b)で形成される凹部は、ステップ(a)で調製されたコンパートメントに真空を付与することによって達成されてもよい。
【0235】
実施形態では、欧州特許出願第08101442.5号または米国特許出願公開第2013/240388A1号またはWO2009/152031に記載通り、第2および/または第3のコンパートメントは、別のステップで作製され、次いで、第1のコンパートメントと組み合わせられ得る。
【0236】
実施形態では、ポーチは、a)必要に応じて、加熱および/または真空を使用し、第1の不織布ウェブまたはラミネートを使用して、第1の形成機で第1のコンパートメントを形成するステップ;b)第1のコンパートメントに第1の組成物を充填するステップ;c)必要に応じて、第2のコンパートメントに第2の組成物を充填するステップ;d)第1および必要に応じた第2のコンパートメントを、第2の不織布ウェブまたはラミネートにより第1の不織布ウェブまたはラミネートに封止するステップ;ならびにe)不織布ウェブまたはラミネートを切断して、マルチコンパートメントポーチを製造するステップを含むプロセスに従って作製されてもよい。
【0237】
実施形態では、ポーチは、a)必要に応じて、加熱および/または真空を使用し、第1の不織布ウェブまたはラミネートを使用して、第1の形成機で第1のコンパートメントを形成するステップ;b)第1のコンパートメントに第1の組成物を充填するステップ;c)第2の形成機で、必要に応じて、加熱および真空を使用して、第2の不織布ウェブまたはラミネートを変形させて、第2および必要に応じて第3の成形コンパートメントを作製するステップ;d)第2および必要に応じて第3のコンパートメントを充填するステップ;e)第2および必要に応じて第3のコンパートメントを、第3の不織布ウェブまたはラミネートを使用して封止するステップ;f)封止された第2および必要に応じて第3のコンパートメントを、第1のコンパートメント上に配置するステップ;g)第1、第2および必要に応じて第3のコンパートメントを封止するステップ;ならびにh)不織布ウェブまたはラミネートを切断してマルチコンパートメントポーチを製造するステップを含むプロセスに従って作製されてもよい。
【0238】
第1および第2の形成機は、上記のプロセスを実施するそれらの適性に基づいて選択してもよい。実施形態では、第1の形成機は、好ましくは、水平式形成機であり、第2の形成機は、好ましくは、第1の形成機の上に位置する、好ましくは、回転ドラム形成機である。
【0239】
適切な供給ステーションの使用によって、いくつかの異なるもしくは別個の組成物および/または異なるもしくは別個の液体、ゲルもしくはペースト組成物を組み込むマルチコンパートメントポーチを製造することが可能となる場合があることが理解されるべきである。
【0240】
実施形態では、不織布ウェブもしくはラミネートおよび/またはポーチは、好適な材料、例えば活性剤、潤滑剤、嫌悪剤またはその混合物をスプレーまたは撒粉される。実施形態では、不織布ウェブもしくはラミネートおよび/またはポーチは、例えば、インクおよび/または活性剤でプリントされる。
【0241】
垂直形成、充填および封止
【0242】
実施形態では、本開示の不織布ウェブまたはラミネートは、封止物品に形成され得る。実施形態では、封止物品は、垂直形成、充填および封止物品である。垂直形成、充填および封止(VFFS)法は、従来の自動化プロセスである。VFFSは、不織布ウェブまたはラミネートの単一片を垂直に配向された供給管の周りに巻くアセンブリ機などの装置を含む。機械は、不織布ウェブまたはラミネートの相対する端部を一緒に加熱封止または他の方法で固定して、側部封止を作出し、不織布ウェブまたはラミネートの中空管を形成する。続いて、機械は、加熱封止または他の方法で底部封止を作出し、それによって、上部封止が後で形成される開放上部を有する容器部分が規定される。機械は、開放上部端を通して容器部分に特定の量の流動性生成物を導入する。容器に所望量の生成物が含まれたら、機械は不織布ウェブまたはラミネートを、例えば、上部封止を作出する別の加熱封止デバイスに送る。最後に、機械は、不織布ウェブまたはラミネートを、フィルムを上部封止の直上で切断して充填パッケージを提供するカッターに送る。
【0243】
操作の間、アセンブリ機は、不織布ウェブまたはラミネートをロールから送りパッケージを形成する。したがって、不織布ウェブまたはラミネートは、機械を通って容易に進むことができなくてはならず、機械アセンブリに接着してはならず、加工中に破壊されるほど脆くあってはならない。
【0244】
ポーチ内容物
【0245】
任意の実施形態では、ポーチは、ポーチの規定された内部体積に組成物を収容(封入)し得る。組成物は、液体、固体またはその組合せから選択され得る。組成物が液体を含む実施形態では、不織布ウェブは、水溶性フィルムでラミネートされた非多孔性不織布ウェブまたは多孔性不織布ウェブであり得、水溶性フィルムは、ポーチの内側表面を形成する。組成物が固体である実施形態では、ポーチは、非多孔性不織布ウェブ、水溶性フィルムでラミネートされた多孔性不織布ウェブまたは多孔性不織布ウェブを含み得る。ポーチが多孔性不織布ウェブを含む実施形態では、固体組成物の粒径は、不織布ウェブの孔径よりも小さい。
【0246】
実施形態では、本開示の封止物品は、内部ポーチ体積部中に、液体洗濯洗剤、農業用組成物、自動食器洗浄用組成物、家事用清浄組成物、水処理組成物、パーソナルケア組成物、食品および栄養組成物、工業用清浄組成物、医療用組成物、殺菌性組成物、ペット用組成物、オフィス用組成物、家畜用組成物、産業用組成物、水産業用組成物、商用組成物、軍事用組成物、リクリエーション用組成物またはその組合せを含む組成物を封入し得る。実施形態では、本開示の水分散性封止物品は、内部ポーチ体積部中に、液体洗濯洗剤、農業用組成物、自動食器洗浄用組成物、家事用清浄組成物、水処理組成物、パーソナルケア組成物、食品および栄養組成物、工業用洗浄組成物またはその組合せを含む組成物を封入し得る。実施形態では、本開示の水分散性封止物品は、内部ポーチ体積部中に、液体洗濯洗剤、農業用組成物、自動食器洗浄用組成物、家事用清浄組成物、水処理組成物、パーソナルケア組成物またはその組合せを含む組成物を封入し得る。実施形態では、本開示の水分散性封止物品は、内部ポーチ体積部中に、農業用組成物または水処理組成物を含む組成物を封入し得る。
【0247】
本明細書で使用される場合、「液体」は、自由流動液体、ならびにペースト、ゲル、泡およびムースを含む。液体の非限定例は、軽量および重量液体洗剤組成物、手洗いおよび/または機械洗浄用の食器洗剤;硬質表面清浄組成物、布強化剤、一般的に洗濯に使用される洗剤ゲル、漂白剤および洗濯用添加剤、シェービングクリーム、スキンケア、ヘアケア組成物(シャンプーおよびコンディショナー)、ならびにボディウォッシュを含む。そのような洗剤組成物は、界面活性剤、漂白剤、酵素、香水、染料または着色料、溶媒およびその組合せを含んでもよい。必要に応じて、洗剤組成物は、洗濯洗剤、食器洗浄用洗剤、硬質表面清浄組成物、布強化剤組成物、シェービングクリーム、スキンケア、ヘアケア組成物(シャンプーおよびコンディショナー)およびボディウォッシュ、ならびにその組合せからなる群から選択される。
【0248】
液体の非限定例は、農業用組成物、自動車用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、水産業用組成物、医療用組成物、商用組成物、軍事用および準軍事用組成物、オフィス用組成物、リクリエーションおよび公園用組成物、ペット用組成物、および水処理組成物を含み、任意のそのような使用に適用可能な清浄および洗剤組成物を含む。
【0249】
ガス、例えば浮遊泡、または固体、例えば粒子が、液体内に含まれてもよい。本明細書で使用される場合、「固体」は、これらに限定されないが、粉末、凝集体およびその混合物を含む。固体の非限定例は、顆粒、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードルおよびパールボールを含む。固体組成物は、これらに限定されないが、丸洗いできる利益、前処理利益および/または美的効果を含む技術的利益を提供し得る。
【0250】
組成物は、非家事用ケア組成物であってもよい。例えば、非家事用ケア組成物は、農業用組成物、航空機用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、水産業用組成物、医療用組成物、商用組成物、軍事用および準軍事用組成物、オフィス用組成物、リクリエーションおよび公園用組成物、ペット用組成物、および水処理組成物から選択され得、任意のそのような使用に適用可能な清浄および洗剤組成物を含むが布および家事用ケア組成物を除く。
【0251】
一種の実施形態では、組成物は、農薬、例えば、1つまたはそれよりも多くの殺虫剤、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、忌避剤、誘引剤、枯れ葉剤(defoliament)、植物成長調整剤、肥料、殺菌剤、微量栄養素および微量元素を含み得る。好適な農薬および二次剤は、米国特許第6,204,223号および4,681,228号、ならびにEP0989803A1に記載されている。例えば、好適な除草剤は、パラコート塩(例えば、二塩化パラコートまたはパラコートビス(メチルサルフェート)、ジクワット塩(例えば、二臭化ジクワットまたはアルギン酸ジクワット)、およびグリホセートまたはその塩もしくはエステル(例えば、グリホセートイソプロピルアンモニウム、グリホセートセスキナトリウム、またはサルホセートとしても公知のグリホセートトリメシウム)を含む。作物防疫化学物質の不適合対は、例えば米国特許第5,558,228号に記載の通り、別のチャンバーで使用できる。使用できる作物防疫化学物質の不適合対は、例えば、ベンスルフロンメチルおよびモリネート;2,4-Dおよびチフェンスルフロンメチル;2,4-Dおよびメチル2-[[[[N-4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-N-メチルアミノ]カルボニル]アミノ]-スルホニル]ベンゾエート;2,4-Dおよびメトスルフロンメチル;マンネブまたはマンコゼブおよびベノミル;グリホセートおよびメトスルフロンメチル;トラロメトリンおよび任意のオルガノホスフェート、例えば、モノクロトホスまたはジメトエート;ブロモキシニルおよびN-[[4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)-アミノ]カルボニル]-3-(エチルスルホニル)-2-ピリジン-スルホンアミド;ブロモキシニルおよびメチル2-[[[[(4-メチル-6-メトキシ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]カルボニル]アミノ]スルホニル]-ベンゾエート;ブロモキシニルおよびメチル2-[[[[N-(4-メトキシ-6-メチル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-N-メチルアミノ]カルボニル]アミノ]-スルホニル]ベンゾエートを含む。別の関連する種類の実施形態では、組成物は、必要に応じて土壌と一緒に、さらに必要に応じて、例えば、米国特許第8,333,033号に記載の種類の実施形態を含む、マルチ、砂、ピートモス、水ゼリークリスタルおよび肥料から選択される1つまたはそれよりも多くの追加の成分と一緒に、1つまたはそれよりも多くの種を含み得る。
【0252】
別の種類の実施形態では、組成物は、水処理剤である。そのような薬剤は、例えば、米国特許出願公開第2014/0110301号および米国特許第8,728,593号に記載の通り、積極的酸化化学物質などの激しい化学物質を含み得る。例えば、消毒剤は、次亜塩素酸塩、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムおよび次亜塩素酸リチウム;塩素化イソシアヌレート、例えば、ジクロロイソシアヌル酸(「ジクロロ」またはジクロロ-s-トリアジントリオン、1,3-ジクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンとも呼ばれる)およびトリクロロイソシアヌル酸(「トリクロロ」または1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンとも呼ばれる)を含み得る。消毒化合物の塩および水和物もまた企図される。例えば、ジクロロイソシアヌル酸は、中でもジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物として提供されてもよい。臭素含有消毒剤、中でも例えば、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、ジブロモシアノ酢酸アミド、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン;および2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオールもまた、単位用量包装適用に使用するのに好適であり得る。酸化剤は、米国特許第7,476,325号に記載のもの、例えば、ペルオキシ一硫酸水素カリウムであり得る。組成物は、例えば、米国特許出願公開第2008/0185347号に記載の通りのpH調節化学物質であり得、例えば、組成物が水と接触させられた場合に発泡性であり、水のpHを調節するように、酸性成分およびアルカリ性成分を含み得る。好適な成分は、重炭酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、水酸化カリウム、スルファミン酸、有機カルボン酸、スルホン酸およびリン酸二水素カリウムを含む。緩衝剤ブレンドは、例えば、ホウ酸、炭酸ナトリウム、グリコール酸およびオキソン一過硫酸を含み得る。
【0253】
水処理剤は、例えば、米国特許出願公開第2014/0124454号に記載の通り、凝集剤であり得るまたはそれを含み得る。凝集剤は、ポリマー凝集剤、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドコポリマー、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(diallydimethylammonium chloride)(DADMAC)のアクリルアミドコポリマー、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEM)、3-メチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)またはアクリル酸;カチオン性ポリアクリルアミド;アニオン性ポリアクリルアミド;中性ポリアクリルアミド;ポリアミン;ポリビニルアミン;ポリエチレンイミン;ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド;ポリオキシエチレン;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸;ポリリン酸;ポリスチレンスルホン酸;またはその任意の組合せを含み得る。凝集剤は、キトサンアセテート、キトサンラクテート、キトサンアジペート、キトサングルタメート、キトサンスクシネート、キトサンマレート、キトサンシトレート、キトサンフマレート、キトサン塩酸塩およびその組合せから選択され得る。水処理組成物は、ホスフェート除去物質、例えば、ジルコニウム化合物、希土類ランタニド塩、アルミニウム化合物、鉄化合物またはその組合せから選択される1つまたはそれよりも多くを含み得る。
【0254】
組成物は、例えば、米国特許出願第2006/0172910号に記載の通り、水垢除去組成物、例えば、クエン酸もしくはマレイン酸、またはその硫酸塩、またはその任意の混合物であり得る。
【0255】
微粒子、例えば、US RE29059 Eに記載の通りの、例えば、羽毛;例えば、米国特許出願公開第2004/0144682号および2006/0173430号に記載の通りの超吸収性ポリマー;例えば、米国特許第3,580,390号および米国特許出願公開第2011/0054111号に記載の通りの顔料およびティンター;例えば、米国特許第8,163,104号に記載の通りのろう付用フラックス(例えば、アルカリ金属フルオロアルミネート、アルカリ金属フルオロシリケートおよびアルカリ金属フルオロジンケート);米国特許出願公開第2007/0003719号に記載の通りの食料品(例えば、コーヒー粉末または乾燥スープ);ならびに例えば、米国特許第4,466,431号に記載の通りの創傷被覆材を含む様々な他の種類の組成物が、本明細書に記載のパケットにおける使用を企図される。
【0256】
洗濯用、洗濯添加剤および/または布強化剤組成物を含むポーチにおいて、組成物は、以下の非限定的なリストの成分のうちの1つまたはそれよりも多くを含んでもよい:布ケア有益剤;洗浄酵素;堆積助剤;レオロジー調整剤;ビルダー;漂白剤(bleach);漂白剤(bleaching agent);漂白前駆体;漂白増強剤;漂白触媒;香水および/または香水マイクロカプセル(例えば、米国特許第5,137,646号を参照されたい);香水充填ゼオライト;デンプンカプセル化アコード(starch encapsulated accord);ポリグリセリンエステル;美白剤;真珠光沢剤;酵素安定化システム;アニオン性色素の固定剤、アニオン性界面活性の錯化剤およびその混合物を含む捕捉剤;蛍光増白剤または蛍光剤;これらに限定されないが、土壌放出ポリマーおよび/または土壌懸濁ポリマーを含むポリマー;分散剤;消泡剤;非水性溶媒;脂肪酸;泡抑制剤、例えば、シリコーン泡抑制剤(米国特許出願公開第2003/0060390A1号、段落65~77を参照);カチオン性デンプン(米国特許出願公開第2004/0204337A1号およびUS2007/0219111A1を参照されたい);スカム分散剤(米国特許出願公開第2003/0126282A1号、段落89~90を参照されたい);直接染料;色調染料(米国特許出願公開第2014/0162929A1号を参照されたい);着色料;乳白剤;酸化防止剤;ハイドロトロープ、例えば、トルエンスルホネート、クメンスルホネートおよびナフタレンスルホネート;色斑;着色ビーズ、球または押出物;クレイ軟化剤;抗細菌剤。これらの成分のうちの任意の1つまたはそれよりも多くは、米国特許出願公開第2010/305020A1号、米国特許出願公開第2003/0139312A1号および米国特許出願公開第2011/0023240A1号にさらに記載されている。加えて、または代替的に、組成物は、界面活性剤、第四級アンモニウム化合物および/または溶媒系を含んでもよい。第四級アンモニウム化合物は、布強化剤組成物、例えば、布柔軟剤中に存在してもよく、構造NR4
+(式中、Rは、アルキル基またはアリール基である)の正に帯電した多原子イオンである第四級アンモニウムカチオンを含む。
【0257】
複合物品
【0258】
本開示の複合物品は、少なくとも2層の不織布ウェブを含む。本開示の複合物品は、第1の直径を有する第1の複数の繊維を含む第1の不織布ウェブの第1の層と、第2の直径を有する第2の複数の繊維を含む第2の不織布ウェブの第2の層と、ならびに第1の不織布ウェブの少なくとも一部および第2の不織布ウェブの少なくとも一部を含む第1の境界面であって、第1の不織布ウェブの一部および第2の不織布ウェブの一部が融合している、第1の境界面とを有し得、第2の直径が第1の直径よりも小さい。複合物品の任意の不織布層は、それにラミネートされた水溶性フィルムを含み得る。
【0259】
本開示の複合物品は、これらに限定されないが、単一層の複合物品単独と同一の不織布ウェブと比べて増加した機械的強度、単一層の複合物品単独と同一の不織布ウェブと比べて向上した液体取得機能(例えば、おむつの液体取得層、またはこぼれたものを吸収するワイプ)、ならびに/または単一層の複合物品単独と同一の不織布ウェブと比べて向上した液体保持および/もしくは活性組成物(例えば、ウェットワイプの活性ローション)を含む1つまたはそれよりも多くの利点を提供し得る。
【0260】
第1の不織布ウェブの少なくとも一部および第2の不織布ウェブの少なくとも一部を含む第1の境界面は、第1および第2の不織布ウェブが重なり、第1の複数の繊維および第2の複数の繊維が混在する複合体の領域である。一般に、第1の境界面を形成する第1の不織布ウェブの一部は、第1の不織布ウェブの外面である。実施形態では、第1の境界面は、第1の不織布ウェブの厚さの50%もしくはそれ未満、第1の不織布ウェブの厚さの40%もしくはそれ未満、30%もしくはそれ未満、25%もしくはそれ未満、20%もしくはそれ未満、10%もしくはそれ未満、5%もしくはそれ未満、2.5%もしくはそれ未満、または1%もしくはそれ未満を構成する。実施形態では、第1の境界面は、第1の不織布の厚さの少なくとも0.1%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、または少なくとも5%を構成する。実施形態では、第1の境界面は、第1の不織布の厚さの約0.1%~約25%を構成する。一般に、境界面を形成する第2の不織布ウェブの一部は、第2の不織布ウェブの外面である。実施形態では、境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの75%もしくはそれ未満、70%もしくはそれ未満、60%もしくはそれ未満、50%もしくはそれ未満、40%もしくはそれ未満、30%もしくはそれ未満、25%もしくはそれ未満、20%もしくはそれ未満、または15%もしくはそれ未満を構成する。実施形態では、第1の境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、または少なくとも40%を構成する。実施形態では、第1の境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの約1%~約75%を構成する。
【0261】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、各ウェブからの繊維の少なくとも一部が、他のウェブからの繊維に結合している場合、2層の不織布ウェブは「融合」している。本明細書に記載の通り、繊維の結合は、繊維の絡合を含む。2層の不織布ウェブは、任意の好適な方法を使用して融合し得る。実施形態では、第1の不織布ウェブの一部および第2の不織布ウェブの一部は、熱融合している、溶媒融合している、またはその両方である。実施形態では、第1の不織布ウェブの一部および第2の不織布ウェブの一部は、熱融合している。熱融合は、熱および/または圧力の使用を含み得る。実施形態では、2つの別々の不織布ウェブの一方または両方は、繊維が柔らかくなるまで加熱でき、次いで、ウェブは、一緒に圧縮され、繊維が冷却されると、各ウェブからの繊維の少なくとも一部が、他のウェブからの繊維の少なくとも一部に結合する。実施形態では、第1および第2の不織布ウェブの一方または両方は、メルトスパンされ、加熱された柔らかい繊維が、ダイアセンブリを通過した後、予備形成不織布ウェブに直接適用され、融合境界面を形成する予備形成不織布の繊維に融合するように、インラインプロセスに適用され得る。実施形態では、第1の不織布ウェブの一部および第2の不織布ウェブの一部は、溶媒融合している。溶媒融合は、結合剤溶液を不織布ウェブの一方または両方に塗布し、続いて、乾燥時、各ウェブからの繊維の少なくとも一部が他のウェブからの繊維の少なくとも一部に結合するように、不織布ウェブを接触させることを含み得る。溶媒融合は、2つの別々の予備形成ウェブを含む別々のプロセスとして行われ得、または、結合剤溶液が予備形成不織布ウェブに塗布され、第2の不織布ウェブが、連続プロセスにおいて予備形成不織布ウェブ上で形成されるインラインプロセスであり得る。不織布ウェブの溶媒融合のための結合剤溶液は、結合について本明細書に記載の任意の結合剤溶液であり得る。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「予備形成不織布ウェブ」は、形成されているが結合されていない不織布ウェブ、および形成され、結合された不織布ウェブを包含する。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「別々の不織布ウェブ」は、ステープル繊維のカーディングもしくはエアレイドによって、または連続プロセスによって形成された不織布ウェブを包含し、不織布ウェブは、結合していても、結合していなくてもよい。実施形態では、2つの不織布ウェブの融合はまた、不織布ウェブの一方または両方を結合するために使用できる。
【0262】
実施形態では、第1の境界面は溶媒融合され、溶媒は、水、エタノール、メタノール、DMSO、グリセリンおよびその組合せからなる群から選択される。実施形態では、第1の境界面は溶媒融合され、溶媒は、水、グリセリンおよびその組合せからなる群から選択される。実施形態では、第1の境界面は、ポリビニルアルコールを含む結合剤溶液および水、グリセリンまたはその組合せを使用して、溶媒融合される。実施形態では、第1の境界面は、ポリビニルアルコール、ラテックスまたはその組合せを含む結合剤溶液、および水、グリセリンまたはその組合せを使用して、溶媒融合される。
【0263】
本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、第1の種類の繊維の平均繊維直径が、第2の種類の繊維の平均繊維直径より小さい場合、第1の種類の繊維は、第2の種類の繊維の直径「よりも小さい」直径を有する。例えば、第1の種類の繊維は、第2の種類の繊維と重なる直径サイズ分布を有し得、第1の種類の繊維についての平均繊維直径が、第2の種類の繊維の平均繊維直径よりも小さい限り、より小さい直径をなお有する。実施形態では、より小さい繊維種類は、より大きい繊維種類の直径サイズ分布の最小直径よりも小さい平均繊維直径を有する。SO137:2015に概説される通り、投射顕微鏡撮像を使用して差が可視化できる場合、直径の差が存在する。実施形態では、例えば、複数のメルトスパン層が使用される場合、より小さい繊維種類とより大きい繊維種類との間の直径の差は、サブミクロンであり得る。実施形態では、より小さい繊維種類とより大きい繊維種類との間の直径の差は、約1ミクロン~約300ミクロン、約5ミクロン~約300ミクロン、約5ミクロン~約250ミクロン、約5ミクロン~約200ミクロン、約10ミクロン~約150ミクロン、約10ミクロン~約100ミクロン、約10ミクロン~約90ミクロン、約15ミクロン~約80ミクロン、約15ミクロン~約70ミクロン、約20ミクロン~約60ミクロン、約20ミクロン~約50ミクロン、または約25ミクロン~約45ミクロンであり得る。実施形態では、より小さい繊維種類とより大きい繊維種類との間の直径の差は、約5ミクロン~約75ミクロンであり得る。実施形態では、より小さい繊維種類とより大きい繊維種類との間の直径の差は、約20ミクロン~約80ミクロンであり得る。理論に縛られることを意図することなく、不織布ウェブが融合しており、第2の不織布ウェブが第1の不織布ウェブよりも小さい繊維直径を有する2つの不織布ウェブの複合体を提供することにより、有利には、複合物品の吸着/吸収速度および流体容量、流体が優先的に移動するより大きい直径の繊維からより小さい直径の繊維への直接吸着/吸収が改善し得;単一直径材料と比較して、不織布複合物品の表面対体積比が増加し得、その結果、単一直径材料を有する不織布と比較して、充填容量が増加し、そして/または分散が改善し、そして/または不織布複合物品の全溶解が改善すると考えられる。個々のウェブ層の繊維の平均直径は、本明細書で提示される任意の直径であり得る。実施形態では、第1の不織布の第1の層の第1の複数の繊維は、約10ミクロン~約300ミクロン、約50ミクロン~約300ミクロン、または約100ミクロン超~約300ミクロンの直径を有し得る。実施形態では、第1の複数の繊維は、約100ミクロン超~約300ミクロンの平均直径を有し得る。不織布複合材料の不織布層が、異なる直径を有する繊維種類のブレンドを含む実施形態では、繊維直径の分布が一峰性である場合、平均繊維直径とは、ブレンドの平均繊維直径をいう。繊維種類のブレンドは、二峰性またはそれよりも高次の不織布層の繊維直径の分布を有し得る。繊維のブレンドが二峰性またはより高次峰性直径分布を有する場合、繊維がブレンドの最小直径繊維の分布の平均より小さい平均繊維直径を有する場合、繊維は前記ブレンドの繊維よりも小さい直径を有し、繊維がブレンドのより大きい直径繊維の分布の平均よりも大きい平均繊維直径を有する場合、繊維は前記ブレンドの繊維よりも大きい。
【0264】
実施形態では、複合物品は、第3の複数の繊維を含む第3の不織布ウェブの第3の層をさらに含む。不織布複合物品が第3の不織布ウェブの第3の層を含む実施形態では、第2の層は、第1の層と第3との層の間に設けられ得、第2の不織布ウェブの少なくとも第2の部分および第3の不織布ウェブの少なくとも一部は、融合して第2の境界面をもたらし得る。第2の不織布ウェブの少なくとも第2の部分および第3の不織布ウェブの少なくとも一部を含む第2の境界面は、第2および第3の不織布ウェブが重なり、第2の複数の繊維および第3の複数の繊維が混在する複合体の領域である。一部の実施形態では、第2の不織布ウェブの第2の層の厚さに応じて、第1の複数の繊維および第3の複数の繊維は、第1の境界面と第2の境界面との間に明らかな線引きがないように、混在および/または融合されてもよい。一般に、第2の境界面を形成する第2の不織布ウェブの一部は、第1の不織布ウェブに融合した第2の不織布ウェブの外面とは反対側の第2の不織布ウェブの外面である。実施形態では、第2の境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの75%もしくはそれ未満、70%もしくはそれ未満、60%もしくはそれ未満、50%もしくはそれ未満、40%もしくはそれ未満、30%もしくはそれ未満、25%もしくはそれ未満、20%もしくはそれ未満、または15%もしくはそれ未満を構成する。実施形態では、第2の境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、または少なくとも40%を構成する。実施形態では、第2の境界面は、第2の不織布ウェブの厚さの約1%~約75%を構成する。実施形態では、第2の境界面を形成する第3の不織布ウェブの一部は、第3の不織布ウェブの外面である。実施形態では、第2の境界面は、第3の不織布ウェブの厚さの50%もしくはそれ未満、第1の不織布ウェブの厚さの40%もしくはそれ未満、30%もしくはそれ未満、25%もしくはそれ未満、20%もしくはそれ未満、10%もしくはそれ未満、5%もしくはそれ未満、2.5%もしくはそれ未満、または1%もしくはそれ未満を構成する。実施形態では、第2の境界面は、第3の不織布の厚さの少なくとも0.1%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、または少なくとも5%を構成する。実施形態では、第2の境界面は、第3の不織布の厚さの約0.1%~約25%を構成する。
【0265】
実施形態では、第2の不織布ウェブの第2の部分および第3の不織布ウェブの一部は、熱融合している、溶媒融合している、またはその両方である。実施形態では、第2の不織布ウェブの第2の部分および第3の不織布ウェブの一部は、熱融合している。実施形態では、第2の不織布ウェブの第2の部分および第3の不織布ウェブの一部は、溶媒融合している。
【0266】
実施形態では、第2の境界面は溶媒融合され、溶媒は、水、エタノール、メタノール、DMSO、グリセリンおよびその組合せからなる群から選択される。実施形態では、第2の境界面は溶媒融合され、溶媒は、水、グリセリンおよびその組合せからなる群から選択される。実施形態では、第2の境界面は、ポリビニルアルコールを含む結合剤溶液および水、グリセリンまたはその組合せを使用して、溶媒融合される。実施形態では、第2の境界面は、ポリビニルアルコール、ラテックスまたはその組合せを含む結合剤溶液、および水、グリセリンまたはその組合せを使用して、溶媒融合される。
【0267】
実施形態では、第1の不織布ウェブの第1の層および第2の不織布ウェブの第2の層は、異なる多孔度を有する。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、不織布ウェブの多孔度の差が少なくとも約1%である場合、2つの不織布ウェブは「異なる多孔度」を有する。実施形態では、複合物品の不織布ウェブの2つの層間の多孔度の差は、約1%~約20%であり得る。例えば、複合物品の不織布ウェブの1つの層は、約80%の多孔度を有し得、複合物品の不織布ウェブの第2の層は、約85%の多孔度を有し得、多孔度の差は5%である。実施形態では、第2の不織布ウェブの多孔度は、第1の不織布ウェブの多孔度より低い。実施形態では、第2の不織布ウェブの多孔度は、第1の不織布ウェブの多孔度と同じである。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、2つの不織布ウェブ間の多孔度値の差が1%未満である場合、2つの不織布ウェブは「同じ多孔度」を有する。
【0268】
複合物品が第3の不織布ウェブの第3の層を含む実施形態では、第3の不織布ウェブは、第1の不織布ウェブと同じまたは異なる多孔度を有し得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第1の不織布ウェブと同じ多孔度を有し得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第1の不織布ウェブとは異なる多孔度を有し得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第1の不織布ウェブより低い多孔度であり得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第2の不織布ウェブと同じ多孔度を有し得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第2の不織布ウェブとは異なる多孔度を有し得る。実施形態では、第3の不織布ウェブは、第2の不織布ウェブより低い多孔度であり得る。実施形態では、第2の不織布ウェブは、第1の不織布ウェブより低い多孔度であり得、第3の不織布ウェブは、第2の不織布ウェブより低い多孔度であり得る。実施形態では、不織布複合物品は、不織布ウェブの層間で多孔度の勾配を有し得、複合材料構造体の1つの外面は最大多孔度を有し得、複合材料構造体の他の外面は最小多孔度を有し得る。実施形態では、複合材料構造体は、不織布ウェブの層間で多孔度の勾配を有し得、複合材料構造体の外面は最大多孔度を有し得、複合材料構造体の中間層(複数可)は最小多孔度を有し得る。実施形態では、複合材料構造体は、不織布ウェブの第4のまたはそれよりも多数の層を含み得、中間層(複数可)は、不織布ウェブの第2および第3の層(4層複合材料構造体の場合)、または不織布ウェブの第3の層(5層複合材料構造体の場合)を含み得る。
【0269】
理論に縛られることを意図することなく、複合材料構造体の多孔度が勾配を含む場合、複合材料構造体は、有利には、より多孔性の外面から多孔性の低い外面または多孔性の低い中間層(複数可)への強化された液体の吸水を有すると考えられる。
【0270】
複合物品の任意の所与の不織布層の複数の繊維は、本明細書に開示の繊維のうちの任意のものであり得、同じであっても異なっていてもよい。実施形態では、第1の複数の、第2の複数の、および第3の複数の繊維の繊維形成材料の組成は、同じであっても異なっていてもよく、例えば、直径、長さ、靭性、形状、剛性、弾性、溶解度、融点、ガラス転移温度(T
g)、繊維形成材料、色またはその組合せの任意の差を有する。以下の表1は、不織布層が3つの異なる繊維組成を有する繊維を含み得る企図される複合物品を示しており、「A」、「B」および「C」の各文字は、特定の繊維組成をいい、「-」は、企図される複合物品が不織布ウェブの第3の層を含まないことを意味する。繊維組成A、BおよびCの各々は、(a)単一の繊維形成材料を含む単一の繊維種類、(b)繊維形成材料のブレンドを含む単一の繊維種類、(c)各繊維種類が単一繊維形成材料を含む繊維種類のブレンド、(d)各繊維種類が繊維形成材料のブレンドを含む繊維種類のブレンド、または(e)各繊維種類が単一繊維形成材料もしくは繊維形成材料のブレンドを含む繊維種類のブレンドであり得る。
【表1】
【0271】
実施形態では、第1の複数の繊維は、水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)繊維形成材料を含む。本明細書に記述されるように、「PVOH繊維」という用語は、ホモポリマー、コポリマー、または変性コポリマーであってビニルアルコール部分を含むもの、例えば50%またはそれよりも多くのビニルアルコール部分を含む繊維、および変性剤で化学的に変性されたようなポリマーを含む繊維を含むことが理解される。化学的に変性された繊維は、ビニルアルコール部分を含まなくてもよく、または50%未満のビニルアルコール部分を含んでいてもよい。実施形態では、第2の複数の繊維は、水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料を含む。実施形態では、第1の複数の繊維および第2の複数の繊維は、水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料を含む。第3の複数の繊維を有する不織布ウェブの第3の層を含む実施形態では、第3の複数の繊維は、水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料を含み得る。実施形態では、ポリビニルアルコール繊維形成材料は、複数の繊維の1つまたはそれよりも多くの繊維種類中に存在し得る。第1の複数、第2の複数、または第3の複数の繊維のうちの任意のものの水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料は、本明細書に開示の任意の水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料であり得る。第1の複数の繊維、第2の複数の繊維および/または第3の複数の繊維の2つまたはそれよりも多くがポリビニルアルコール繊維形成材料を含む実施形態では、ポリビニルアルコールは、各複数において同じであっても異なってもよく、各複数において単独繊維形成材料または繊維形成材料のブレンドの一部であり得、各複数が異なるポリビニルアルコール繊維を含む場合、長さ対直径の比(L/D)、靭性、形状、剛性、弾性、溶解度、融点、ガラス転移温度(Tg)、繊維化学、色またはその組合せの差があり得る。
【0272】
実施形態では、第1の複数の繊維、第2の複数の繊維および/または第3の複数の繊維の繊維は、ポリビニルアルコール繊維形成材料以外の繊維形成材料を含み得る。
【0273】
実施形態では、第1の不織布ウェブは、約0.5~約1.5の靭性比(MD:CD)を有する。実施形態では、第1の不織布ウェブは、約0.8~約1.25のMD:CDを有する。実施形態では、第1の不織布ウェブは、約0.9~約1.1のMD:CDを有する。実施形態では、第2の不織布ウェブは、約0.5~約1.5の靭性比(MD:CD)を有する。実施形態では、第2の不織布ウェブは、約0.8~約1.25のMD:CDを有する。実施形態では、第2の不織布ウェブは、約0.9~約1.1のMD:CDを有する。実施形態では、第3の不織布ウェブは、約0.5~約1.5の靭性比(MD:CD)を有する。実施形態では、第3の不織布ウェブは、約0.8~約1.25のMD:CDを有する。実施形態では、第3の不織布ウェブは、約0.9~約1.1のMD:CDを有する。実施形態では、不織布複合物品は、約0.5~約1.5、約0.8~約1.25、約0.9~約1.1、または約0.95~約1.05の範囲の靭性比(MD:CD)を有する。実施形態では、不織布複合物品は、約0.8~約1.5のMD:CDを有する。実施形態では、不織布複合物品は、約0.9~1.1のMD:CDを有する。不織布複合物品のMD:CDは、複合物品中に存在する不織布ウェブの各個々の層のMD:CD比に関係する。理論に縛られることを意図することなく、複合物品のMD:CDは、不織布ウェブの各層のMDおよびCDを個々に考慮することによっては決定できないが、不織布複合物品のMDおよびCDは、測定しなくてはならないと考えられる。理論に縛られることを意図することなく、不織布複合物品の靭性比MD:CDが1に近づくにつれて、複合物品の耐久性が増加し、使用の間に不織布に応力が付与された場合の不織布の分解に対する優れた抵抗が付与されると考えられる。さらに、理論に縛られることを意図することなく、少なくとも一層のメルトスパン不織布ウェブを含む複合物品のMD:CD比は、すべてカーディング層を含むことを除いて同一の複合物品よりも1:1に近いMD:CD比を有すると考えられる。
【0274】
本開示の不織布複合物品の坪量は特に限定されず、約5g/m2~約150g/m2、約5g/m2~約125g/m2、約5g/m2~約100g/m2、約5g/m2~約70g/m2、約5g/m2~約50g/m2、約5g/m2~約30g/m2の範囲であり得る。実施形態では、本開示の不織布複合物品は、約5g/m2~約50g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、本開示の不織布複合物品は、約50g/m2~約150g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第1の層は、約30g/m2~約70g/m2の坪量を有し得、不織布複合物品は、約60g/m2~約150g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第1の層は、約5g/m2~約15g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第1の層は、約5g/m2~約15g/m2の坪量を有し得、不織布複合物品は、約15g/m2~約50g/m2の範囲の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第3の層は、約5g/m2~約15g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第1の層は、約5g/m2~約15g/m2の坪量を有し得、不織布ウェブの第3の層は、約5g/m2~約15g/m2の坪量を有し得る。実施形態では、不織布ウェブの第2の層は、複合物品の総重量に基づいて、約2.5wt.%~約10wt.%で複合物品に含まれ得る。実施形態では、不織布ウェブの第2の層は、複合物品の総重量に基づいて、約2.5wt.%~約10wt.%で複合物品に含まれ得、不織布ウェブの第1の層は、複合物品の総重量に基づいて、約90wt.%~約97.5wt.%で複合物品に含まれ得る。実施形態では、不織布ウェブの第2の層は、複合物品の総重量に基づいて、約2.5wt.%~約10wt.%で複合物品に含まれ得、不織布ウェブの第1の層および不織布ウェブの第3の層は一緒に、複合物品の総重量に基づいて、約90wt.%~約97.5wt.%で含まれる。実施形態では、不織布ウェブの第3の層は、複合物品の総重量に基づいて、約2.5wt.%~約10wt.%で複合物品に含まれ得、不織布ウェブの第1の層および不織布ウェブの第2の層は一緒に、複合物品の総重量に基づいて、約45wt.%~約48wt.%で含まれる。
【0275】
実施形態では、第1の複数の繊維の繊維直径は、実質的に均一であり得る。実施形態では、第2の複数の繊維の繊維直径は、実質的に均一であり得る。実施形態では、第3の複数の繊維の繊維直径は、実質的に均一であり得る。実施形態では、第1の複数の繊維および第3の複数の繊維の繊維直径は、実質的に均一であり得る。実施形態では、第1の複数の繊維、第2の複数の繊維および第3の複数の繊維の各々の繊維直径は、実質的に均一であり得る。
【0276】
実施形態では、不織布複合物品は、第1の層のみを含む同一の物品と比べて、機械加工方向、交差方向またはその両方において、改善された弾性率、引張強度、伸び、靭性またはその組合せを有し得る。実施形態では、不織布複合物品は、第1の層のみを含む同一の物品と比べて、機械加工方向において、改善された弾性率、引張強度、伸び、靭性またはその組合せを有し得る。実施形態では、不織布複合物品は、第1の層のみを含む同一の物品と比べて、交差方向において、改善された弾性率、引張強度、伸びまたはその組合せを有し得る。実施形態では、不織布複合物品は、第1の層のみを含む同一の物品と比べて、機械加工方向および交差方向において、改善された弾性率、引張強度、伸び、靭性またはその組合せを有し得る。
【0277】
複合物品を調製する方法
【0278】
複合物品は、不織布ウェブの2つまたはそれよりも多くの層を、第1の層の少なくとも一部および第2の層の一部が融合しており、それによって境界面を形成するように組み合わせるのに好適な当技術分野で公知の任意のプロセスを使用して作製できる。
【0279】
実施形態では、本開示の不織布複合物品を形成する方法は、
(a)第1の不織布ウェブの少なくとも一部を第2の不織布ウェブの少なくとも一部に融合し、それによって第1の境界面を形成するのに十分な条件下で、第1の不織布ウェブを含む第1の層上に、第2の不織布ウェブを含む第2の層を堆積させるステップ;および
(b)第2の不織布ウェブの少なくとも第2の部分を第3の不織布ウェブの少なくとも一部に融合し、それによって第2の境界面を形成するのに十分な条件下で、必要に応じて、第2の不織布ウェブを含む第2の層上に、第3の不織布ウェブを含む第3の層を堆積させるステップ
を含み得る。
【0280】
実施形態では、ステップ(a)および(b)は、複合材料構造体に追加の不織布層、例えば、第4の不織布層、第5の不織布層などを含むように繰り返され得る。
【0281】
第1の不織布ウェブの少なくとも一部を第2の不織布ウェブの少なくとも一部に融合するおよび/または第2の不織布ウェブの少なくとも第2の部分を第3の不織布ウェブの少なくとも一部に融合するのに十分な条件は、本明細書に記載の通りの熱融合および/または溶媒融合を含み得る。
【0282】
前述の方法の実施形態では、第1の層は、カーディング不織布ウェブを含み得る。前述の方法の実施形態では、第3の層は、カーディング不織布ウェブまたはメルトスパン不織布ウェブを含み得る。前述の方法の実施形態では、第2の層は、メルトスパン不織布ウェブまたはエアレイド不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はメルトスパン不織布ウェブを含み得、第3の層はカーディング不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はメルトブローン不織布ウェブを含み得、第3の層はカーディング不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第2の層は、エアレイド不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第3の層はメルトスパン不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第3の層はメルトブローン不織布ウェブを含み得る。実施形態では、不織布複合物品は、5層の不織布ウェブを含み得、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第3の層はメルトスパン不織布ウェブを含み得、第4の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第5の層はカーディング不織布ウェブを含み得る。実施形態では、不織布複合物品は、5層の不織布ウェブを含み得、第1の層はカーディング不織布ウェブを含み得、第2の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第3の層はメルトブローン不織布ウェブを含み得、第4の層はエアレイド不織布ウェブを含み得、第5の層はカーディング不織布ウェブを含み得る。実施形態では、第2の不織布ウェブは、セルロース繊維形成材料を含み得る。
【0283】
水に流せるワイプ
【0284】
本開示の水に流せるワイプは、本開示の不織布ウェブおよび/または本開示による複合物品を含み得る。
【0285】
水に流せるワイプは、本開示の複数の繊維を含み得、複数の繊維は、水溶性繊維および必要に応じて、水不溶性繊維を含み得る。
【0286】
水に流せるワイプが水溶性繊維および水不溶性繊維を含む不織布ウェブを含む実施形態では、水不溶性繊維の水溶性繊維に対する比は、約1:18~約4:1、約1:10~約3:1、約1:5~約2:1、または約1:2~約2:1の範囲、例えば、約1:18、1:16、1:14、1:12、1:10、1:5、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、または4:1であり得る。
【0287】
本開示の水に流せるワイプは、清浄ローションを含み得る。本開示の水に流せるワイプは、一般に、ワイプ製造プロセスの湿潤ステップの間に、清浄ローションによって繊維を容易に湿潤させることを可能にするのに十分高い表面エネルギーを有する繊維を含む。したがって、実施形態では、水に流せるワイプの不織布複合物品の少なくとも1つの外層の少なくとも一部は、親水性繊維を含む。実施形態では、水に流せるワイプを調製するのに使用される不織布複合物品の各外層の少なくとも一部は、親水性繊維を含む。本明細書で使用される場合、別に指定されない限り、「親水性繊維」とは、その表面が親水性である任意の繊維をいう。繊維は、繊維が例えば親水性繊維形成材料を含む、繊維がシース中に親水性繊維形成材料を含むコア/シース型二成分繊維である、および/または繊維がその表面に親水性材料を含むように表面処理されている場合、親水性表面を有し得る。理論に縛られることを意図することなく、不織布の親水性繊維は、不織布の表面からの液体の毛細管作用/吸水を促進し得、親水性繊維を含まない同一の不織布と比べて改善された液体取得を提供すると考えられる。
【0288】
ワイプの用途の非限定例は、表面の清浄、皮膚の清浄、自動車用途、ベビーケア、女性のケア、毛髪清浄、ならびに化粧、皮膚コンディショナー、軟膏、日焼け止め、昆虫忌避剤、薬品、ワニスの除去または塗布、あるいは工業および機関清浄を含む。
【0289】
ローション組成物
【0290】
本開示の水に流せるワイプは、基材を湿潤して清浄を促進するローション組成物を含み得る。水に流せるワイプがパーソナルケアワイプである実施形態では、ローション組成物はまた、例えば、皮膚を鎮静、軟化もしくはケアする、ローションの感触を改善する、皮膚からの残留物の除去を改善する、心地のよい香りをもたらすおよび/または細菌増殖を防止するための成分を含んでもよい。
【0291】
ローション組成物は、生理学的皮膚pHに近い約5.5またはそれに近いpHを有し得る。低pHローション組成物は、約3.8またはそれに近いpHを有し得、ワイプがアルカリ性残留物、例えば、腸排泄物からの残留物を除去するために使用される場合、有用であり得、およそ5の健康な酸性皮膚pHに回復するのを助ける、および/または糞便酵素を不活化することによって、腸排泄物からの刺激物を非刺激性にする。低pHローションはまた、微生物増殖を阻害し得る。ローション組成物のpHが約4またはそれ未満である実施形態では、第1の複数の繊維、第2の複数の繊維および/または第3の複数の繊維の繊維は、ポリビニルアルコールコポリマーを含み得る。コポリマーは、繊維ブレンドの繊維中の単独繊維形成材料として、または繊維形成材料のブレンドを含む繊維中の繊維形成材料の一成分として提供され得る。前述の実施形態の改良では、繊維は、ポリビニルアルコールコポリマーおよびホモポリマーのブレンドを含み得る。ポリビニルアルコールコポリマーおよびホモポリマーは、約1:1~約4:1の比で提供され得る。前述の実施形態のさらなる改良では、ポリビニルアルコールコポリマー含有繊維は、非水溶性繊維とブレンドされ得る。ポリビニルコポリマーおよびホモポリマーのいずれかまたは両方は、本明細書に記述される変性剤で化学的に変性されてもよい。
【0292】
ローション組成物は、スーパーウェッター、レオロジー改質剤、軟化剤および/または乳化剤を含み得る。スーパーウェッターは、ローション組成物の総重量に対して約0.01重量%~0.2重量%のスーパーウェッターの量で存在し得る。スーパーウェッターは、トリシロキサン、ポリエーテルジメチコン(ポリエーテル官能基は、PEG、PPGまたはその混合物である)、および前述のものの混合物からなる群から選択され得る。
【0293】
レオロジー改質剤は、ローション組成物の総重量に基づいて約0.01重量%~0.5重量%のレオロジーの量で存在し得る。レオロジー改質剤は、キサンタンガム、変性キサンタンガムおよびその組合せからなる群から選択され得る。
【0294】
軟化剤は、存在する場合、粘稠軟化剤であってもよい。好適な軟化剤は、これらに限定されないが、PEG-10ヒマワリ油グリセリド、ヒマワリ油、パーム油、オリーブ油、エミュー油、ババス油、マツヨイグサ油、パーム核油、肝油、綿実油、ホホバ油、メドウフォーム種子油、スイートアーモンド油、キャノーラ油、ダイズ油、アボカド油、ベニバナ油、ココナッツ油、ゴマ油、米ぬか油、ブドウ種子油、鉱油、イソプロピルステアレート、イソステアリルイソノナノエート、ジエチルヘキシルフマレート、ジイソステアリルマレート、トリイソセチルシトレート、ステアリルステアレート、メチルパルミテート、メチルヘプチルイソステアレート、ワセリン、ラノリン油およびラノリンワックス、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコールおよび2-ヘキシル-デカノールのような長鎖アルコール、ミリスチルアルコール、様々な分子量のジメチコン液およびその混合物、PPG-15ステアリルエーテル(arlatone Eとしても公知)、シアバター、オリーブバター、ヒマワリバター、ココナッツバター、ホホババター、ココアバター、スクアランおよびスクアレン、イソパラフィン、様々な分子量のポリエチレングリコール、様々な分子量のポリプロピレングリコールまたはその混合物を含む。
【0295】
乳化剤は、存在する場合、室温で固体であってもよい。好適な乳化剤は、これらに限定されないが、ラウレス-23、セテス-2、セテス-10、セテス-20、セテス-21、セテアレス-20、ステアレス-2、ステアレス-10、ステアレス-20、オレス-2、オレス-10、オレス-20、ステアレス-100、ステアレス-21、PEG-40ソルビタンペルオレエート、PEG-8ステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-50ステアレート、PEG-100ステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタントリオレート、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、PEG-40水添ヒマシ油、クエン酸エステル、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、蜜ろう、カルナウバワックス、オゾケライトワックス、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコールおよびその混合物を含む。
【0296】
実施形態では、清浄ローションは、軟化剤および乳化剤を含む水性エマルジョンを含む。
【0297】
清浄ローションは、これらに限定されないが、グリセリン、プロピレングリコールおよびホスホリピドを含む保水剤;本明細書に記載の精油および香水などの芳香剤;保存剤;酵素;着色料;油吸収剤;殺虫剤;肥料;活性化剤;酸触媒;金属触媒;イオン捕捉剤;洗剤;殺菌剤;界面活性剤;漂白剤;漂白成分;ならびに布柔軟剤をさらに含み得る。実施形態では、清浄ローションは、芳香剤、保存剤、酵素、着色料、油吸収剤、殺虫剤、イオン捕捉剤、洗剤、殺菌剤またはその組合せを含む。
【0298】
保存剤は、液体ローション、水に流せるワイプおよび/またはワイプが使用される基材における微生物の増殖を防止する。保存剤は、疎水性であっても、親水性であってもよい。好適な保存剤は、これらに限定されないが、メチルパラベン、プロピルパラベンなどのパラベン、アルキルグリシネート、ヨウ素誘導体およびその組合せを含む。
【0299】
ローション充填量は、150%~480%であり得る。本明細書で使用される場合、「充填」とは、不織布ウェブまたは複合物品をローション組成物と組み合わせるために使用される方法、すなわち浸漬、スプレー、キスロールなどに関わらず、不織布ウェブまたは複合物品をローション組成物と組み合わせることをいい、すなわち、ローション組成物は不織布ウェブまたは複合物品の上または中に充填される。「ローション充填量」とは、不織布ウェブまたは複合物品の上または中に充填されるローションの量をいい、乾燥(非充填)不織布ウェブまたは複合物品の重量に対するローションの重量のパーセンテージとして表される。水に流せるワイプは、使用の間、基材(例えば、皮膚または清浄される別の表面)にいくらかのローションが容易に転移できる程度にローションを充填されることが望ましい場合がある。転移は、清浄を促進する、使用者に心地のよい感覚(滑らかな皮膚感または蒸発による清涼感など)をもたらす、および/または基材に有益な機能を提供する化合物の転移を可能にし得る。
【0300】
水に流せるワイプは、ワイプを構成する繊維間に高密度の格子間空間を有する不織布ウェブまたは複合物品であり得る。基材に転移するのに十分なローションをワイプの表面で利用可能に維持するために、ワイプ中の格子間空間の大部分は、ローションで満たされ得る。例えば、十分な湿潤感を提供することによって、使用者に、ローションが基材への転移に利用可能であることを知らせるのに十分な量で過剰のローションをワイプ中に充填できるように、格子間空間のローションは、基材への転移に容易には利用できなくてもよい。有利には、水に流せるワイプに使用される不織布複合物品は、本明細書に記載の通りの多孔度の勾配を有し得、これは、ローションのワイプへの充填を促進し得る。
【0301】
水に流せるワイプは、不織布ウェブまたは複合物品を、乾燥繊維質複合体1グラム当たり少なくとも1グラムの液体清浄ローションで湿潤することによって作製できる。清浄ローションを不織布ウェブまたは複合物品に送達する好適な方法は、これらに限定されないが、水浸、スプレー、埋め込み、押出コーティングおよびディップコーティングを含む。湿潤後、湿潤複合物品は、所望により折り畳まれ、積層され、長さに切断され、包まれ得る。水に流せるワイプは、一般に、取り扱いに好都合であるのに十分な寸法である一方、下水システムに容易に廃棄するのに十分小さい。湿潤複合物品は、製造プロセスの間、そのような寸法に切断もしくは折り畳むことができ、またはより大きなサイズであり、切り取り線などの、使用者が個々のワイプを所望のサイズにウェブから分離することを可能にする手段を有し得る。
【0302】
実施形態では、本開示の水に流せるワイプは、本開示の不織布ウェブおよび清浄ローションを含む。実施形態では、本開示の水に流せるワイプは、本開示の不織布複合物品および清浄ローションを含む。実施形態では、本開示の水に流せるワイプは、本開示の不織布複合物品および清浄ローションからなる。
【0303】
吸収物品
【0304】
本開示の不織布ウェブおよび不織布複合物品は、吸収物品の液体取得層として使用できる。吸収物品は、よだれ掛け、胸部パッド、ケアマット、清浄パッド(例えば、床清浄パッド)、おむつ、パンツ型おむつ、失禁ライナー、パッドおよび他の物品(例えば、成人失禁用おむつ、成人失禁用パッド、成人失禁用パンツ、トイレトレーニングライナー、トイレトレーニングパッド、トイレトレーニングパンツおよびペットトレーニング用パッド、例えば、子犬用パッド)、陰唇間デバイス、月経パッド、パンツライナー、生理用ナプキン、タンポン、こぼれたものの吸収マット、こぼれたものの吸収パッド、こぼれたものの吸収ロール、創傷被覆材などを含み得る。一態様では、前述の物品のうちの任意のものは、使い捨て品であり得る。「使い捨て」という用語は、単回使用後に廃棄されることを設計または意図された物品をいう。つまり、使い捨て物品は、洗濯または他の方法で回復もしくは再使用されることを意図されず、実施形態では、洗濯、回復または再使用ができない場合がある。
【0305】
本明細書で使用される場合、「吸収物品」という用語は、身体浸出液などの液体を吸収および含有する物品を含む。「吸収物品」という用語は、おむつ、失禁用物品、生理用ナプキンなどを含むことが意図される。「失禁用物品」という用語は、成人または他の失禁者のいずれによって着用されるのであれ、パッド、下着(ベルト等などの何らか種類の支持システムによって所定位置に保持されたパッド)、吸収物品の挿入物、吸収物品の容量ブースター、ブリーフ、ベッドパッドなどを含むことが意図される。少なくとも一部のそのような吸収物品は、月経血または血液、腟分泌物、尿、汗、母乳および腸排泄物などの体液の吸収が意図される。
【0306】
本明細書で使用される場合、「おむつ」とは、着用者の皮膚に対して配置されて、身体から排出される様々な浸出液を吸収および含有することが意図されるデバイスをいう。おむつは、一般に、乳児および失禁者によって、着用者のウエストおよび脚を一周するように胴の下部に着用される。おむつの例は、乳児または成人用おむつ、およびトレーニングパンツなどのパンツ様おむつを含む。「トレーニングパンツ」とは、本明細書で使用される場合、乳児または成人着用者向けに設計されたウエスト開口部および脚開口部を有する使い捨て下着をいう。パンツは、着用者の脚を脚開口部に挿入し、パンツを着用者の胴の下部周囲の位置に移動させることによって着用者の所定位置に配置され得る。パンツは、これらに限定されないが、再固定可能および/または再固定不可能な結合(例えば、縫い目、溶接、接着、密着ボンド、ファスナーなど)を使用して物品の部分に一緒に接続することを含む任意の好適な技術によって予備形成されていてもよい。パンツは、物品の周囲に沿った任意の位置(例えば、横側固定、前面ウエスト固定)で予備形成されていてもよい。
【0307】
実施形態では、本開示の吸収物品は、液体透過性トップシート、トップシートに接続された液体不透過性バックシート、ならびにトップシートとバックシートとの間の液体取得層および吸収コアを含む。吸収物品が着用可能物品(例えば、失禁用物品、生理用ナプキンなど)である実施形態では、物品は、着用者側面および外側面を有し得る。一般に、液体透過性トップシートは、吸収物品の着用者側面にあり、液体不透過性バックシートは、外側面にある。吸収コアは、一般に、シート様構造であり、着用可能物として提供される場合、着用者側面および外側面を有する。
【0308】
液体透過性トップシートは、当技術分野で公知の任意の液体透過性トップシートであり得る。着用可能物品の場合、トップシートは、完全または部分的に伸縮自在にされ得、またはトップシートと吸収コアとの間に空所を備えるように短縮され得る。液体不透過性バックシートは、当技術分野で公知の任意の液体不透過性バックシートであり得る。バックシートは、吸収コアによって吸収され、物品内に含有される浸出液が、吸収物品が接触し得る任意の基材と接触することを防止する。バックシートは、液体不透過性であり、不織布および熱可塑性フィルムなどのプラスチック薄膜の積層物を含み得る。好適なバックシートフィルムは、Terre Haute、Ind.のTredegar Industries Inc.によって製造され、商品名X15306、X10962およびX10964で販売されているものを含む。他の好適なバックシート材料は、液体がバックシートを通過するのを防止しながらも、吸収物品から蒸気を逃がすことができる通気性材料を含み得る。例示的な通気性材料は、織物ウェブ、不織布ウェブなどの材料、ならびに日本のMitsui Toatsu Colによって表示名ESPOIR NOで製造されているものおよびBay City、Tex.のEXXON Chemical Co.によって表示名EXXAIREで製造されているものなどの複合材料を含み得る。
【0309】
吸収コアは、トップシートとバックシートとの間に配置される。吸収コアは、尿および他の身体浸出液などの液体を吸収および保持することが可能な任意の吸収材料を含み得る。吸収コアは、使い捨ておむつ、および超吸収性ポリマー、細砕木材パルプ(エアフェルト)、クレープ加工セルロースワッディング;吸収性発泡体、吸収性スポンジ、吸収性ゲル化材料、または任意の他の公知の吸収材料、または材料の組合せなどの他の吸収物品に一般に使用される多種多様な液体吸収材料を含み得る。吸収コアは、少量(約10%未満)の非液体吸収性材料、例えば、接着剤、ワックス、油などを含み得る。
【0310】
液体取得層は、本明細書に記述される水溶性ポリビニルアルコール繊維形成材料を含む複数の繊維を含む、本開示の不織布ウェブを含む。複数の繊維は、単一繊維タイプまたは繊維タイプのブレンドを含むことができ、繊維は、単独のポリビニルアルコール繊維形成材料、またはポリビニルアルコール繊維形成材料を含む繊維形成材料のブレンドを含むことができる。繊維は、本明細書に記述される変性剤で化学的に変性された繊維を含むことができる。
【0311】
実施形態では、液体取得層は、吸収コアとトップシートとの間に設けられ得る。着用可能な実施形態では、液体取得層は、吸収コアの着用者側面に設けられ得る。実施形態では、液体取得層は、吸収コアとバックシートとの間に設けられ得る。着用可能な実施形態では、液体取得層は、吸収コアの外側面上に設けられ得る。実施形態では、液体取得層は、吸収コアを包む。液体取得層は、吸収コアを包む単一シートであり得、または接続された2つの個々の層として設けられ得る。理論に縛られることを意図することなく、吸収コアとバックシートとの間、または吸収コアの外側面上に液体取得層を含むことは、トップシート側および/または着用者側面からの液体のいかなる流出も捕捉する追加の液体取得材料を設けることによって、有利には、吸収物品からの液体の漏れが防止すると考えられる。
【0312】
液体取得層は、吸収コアと直接接触し得、吸収コアと液体取得層との間に空間を含み得、または吸収コアと液体取得層との間に介在層を含み得る。実施形態では、液体取得層は、吸収コアと接触している。実施形態では、吸収物品は、取得層と吸収コアとの間に設けられた介在層を含む。実施形態では、液体取得層は、トップシート側/着用者側面で吸収コアと接触しており、介在層が、バックシート側/外側面の取得層と吸収コアとの間に設けられている。実施形態では、液体取得層は、バックシート側/外側面で吸収コアと接触しており、介在層が、トップシート側/着用者側面の取得層と吸収コアとの間に設けられている。介在層は、例えば、液体が、堆積点から吸収コアの全面積を被覆するように拡がるのを助けて促進するために含まれる第2の液体透過性層または液体取得層であり得る。
【0313】
実施形態では、吸収物品は、本開示の不織布ウェブである液体取得層を含む。実施形態では、着用可能吸収物品は、本開示の不織布ウェブである液体取得層を含む。実施形態では、吸収物品は、本開示の不織布複合物品である液体取得層を含む。実施形態では、着用可能吸収物品は、本開示の不織布複合物品である液体取得層を含む。
溶解および崩壊試験(MSTM-205)
【0314】
不織布ウェブ、水溶性フィルムまたはラミネート構造体は、当技術分野で公知の方法であるMonoSol試験法205(MSTM 205)に従って、溶解時間および崩壊時間によって特徴付け、または試験できる。例えば、米国特許第7,022,656号を参照されたい。以下に提供される記載は、不織布ウェブを指すが、これは、水溶性フィルムまたはラミネート構造体にも等しく適用可能である。
機器および材料は、以下を含む:
600mLビーカー、
磁気撹拌器(Lablineモデル番号1250または等価物)、
磁気撹拌棒(5cm)、
温度計(0~100℃±1℃)、
鋳型、ステンレス鋼(3.8cm×3.2cm)、
タイマー(0~300秒、秒単位の精度)、
Polaroid 35mmスライドマウント(または等価物)、
MonoSol 35mmスライドマウントホルダー(または等価物)、および
蒸留水。
【0315】
試験される各不織布ウェブについて、不織布ウェブ試料から、3.8cm×3.2cm標本の3つの試験標本を切断する。標本は、ウェブの領域からウェブの横方向に沿って均等に間を空けて切断するべきである。次いで、各試験標本を、以下の手順を使用して分析する。
【0316】
各標本を、別々の35mmスライドマウンドに固定する。
【0317】
ビーカーに500mLの蒸留水を満たす。温度計で水温を測定し、必要であれば、水を加熱または冷却して、溶解を決定する温度、例えば、20℃(約68°F)で温度を維持する。
【0318】
水のカラム高さに印を付ける。ホルダーのベースに磁気撹拌器を置く。ビーカーを磁気撹拌器の上に置き、ビーカーに磁気撹拌棒を入れ、撹拌機を作動させ、水カラムのおよそ5分の1の高さの渦が生じるまで撹拌速度を調節する。渦の深さに印を付ける。
【0319】
35mmスライドマウントホルダーのワニ口クランプに、スライドマウントの長端が水面に平行になるように35mmスライドマウントを固定する。ホルダーの深さ調節は、落としたときに、クランプの端部が水面の0.6cm下になるように設定するべきである。不織布ウェブ表面が水の流れに垂直になるように、スライドマウント短端の一方をビーカーの側面に接し、他端を攪拌棒の中心に対して直接配置するべきである。
【0320】
1回の動作で、固定したスライドおよびクランプを、水中に落とし、タイマーを起動する。破壊は、試料がスライド内で傷ついたとき、例えば、穴ができたときに起こる。崩壊は、不織布ウェブが分離し、試料材料がスライドに残っていないときに起こる。すべての可視不織布ウェブがスライドマウントから離れたら、スライドを水から取り出し、一方、未溶解の不織布ウェブ断片について溶液のモニタリングを継続する。溶解は、すべての不織布ウェブ断片が可視ではなくなり、溶液が透明になったときに起こる。繊維が低加水分解度(例えば、約65~88%)を有するポリビニルアルコールから調製されている不織布試料の場合、破壊および溶解は同時に生じ得る。破壊と溶解との間に5秒またはそれよりも長い差がある場合、溶解時間は、破壊時間とは独立して記録する。
【0321】
細線化時間もまた、MSTM-205を使用して決定できる。不織布ウェブの細線化は、不織布ウェブを構成する繊維の一部が溶解し、一方、他の繊維がインタクトなままであるときに起こる。ウェブの細線化は、ウェブの崩壊の前に起こる。細線化は、不織布ウェブの不透明度の減少、または透明度の増加によって特徴付けられる。不透明から次第に増加する透明度への変化は、視覚的に観察できる。MSTM-205の間、固定したスライドおよびクランプが水中に落下した後、不織布ウェブの不透明度/透明度をモニタリングする。不透明度/透明度の変化が観察されなくなった(すなわち、ウェブが不透明にならなくなるまたはより透明にならなくなる)時点で、その時間を細線化時間として記録する。
【0322】
結果は、以下のもの:完全な試料の同定、個々および平均崩壊および溶解時間、ならびに試料を試験したときの水温を含むべきである。
単一繊維溶解度を決定する方法
【0323】
単一繊維の溶解度は、水分解温度によって特徴付けることができる。繊維分解温度は、以下の通り決定できる。2mg/dtexの充填量を、100mmの固定長を有する繊維に負荷する。水温は、1.5℃で開始し、次いで、繊維が分解するまで、2分毎に1.5℃の増分で上昇させる。繊維が分解する温度を、水分解温度として記す。
【0324】
単一繊維の溶解度はまた、完全溶解の温度によって特徴付けることもできる。完全溶解の温度は、以下の通り決定できる。2mmの固定長さを有する0.2gの繊維を、100mLの水に添加する。水温は、1.5℃で開始し、次いで、繊維が完全に溶解するまで、2分毎に1.5℃の増分で上昇させる。試料を、各温度においてかき混ぜる。繊維が30秒未満で完全に溶解する温度を、完全溶解温度として記す。
直径試験法
【0325】
別個の繊維または不織布ウェブ内の繊維の直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡、および画像分析ソフトウェアを使用して決定する。繊維が測定のために好適に拡大されるように、200~10,000倍の倍率を選択する。SEMを使用した場合、試料は、金またはパラジウム化合物でスパッタリングして、電子ビーム中での繊維の帯電および振動を回避する。繊維直径を決定するための手動手順を、SEMまたは光学顕微鏡で撮った画像(モニタースクリーン上)から使用する。マウスおよびカーソルツールを使用して、ランダムに選択した繊維の端部を探し、次いで、繊維の他方の端部までその幅にわたって(すなわち、その点で繊維方向に垂直に)測定する。縮尺を合わせ、較正した画像分析ツールにより、縮尺を合せたミクロン単位の実際の読取りが得られる。不織布ウェブ内の繊維について、SEMまたは光学顕微鏡を使用して、不織布ウェブの試料にわたっていくつかの繊維をランダムに選択する。不織布ウェブ材料の少なくとも2つの部分を切断し、この方法で試験する。合せて少なくとも100回、そのような測定を行い、次いで、すべてのデータを、統計分析のために記録する。記録したデータを使用して、繊維の平均(幾何平均(mean))、繊維の標準偏差および繊維直径の中央値を計算する。
引張強度、弾性率および伸び試験
【0326】
引張強度(TS)試験に従って引張強度、弾性率(MOD)試験に従って弾性率(または引張応力)、および伸び試験に従って伸びによって特徴付けられ、または試験される不織布ウェブ、水溶性フィルムまたはラミネート構造体は、以下の通り分析する。以下に提供される記載は、不織布ウェブを指すが、これは、水溶性フィルムまたはラミネート構造体にも等しく適用可能である。手順は、ASTM D 882(「薄プラスチックシートの引張特性に関する標準試験法」)または等価物に従う引張強度の決定および10%伸びにおける弾性率の決定を含む。INSTRON引張試験装置(モデル5544引張試験機または等価物)を、不織布ウェブデータの収集のために使用する。各々、寸法安定性および再現性を確実にする信頼性の高い切断ツールで切断した最小で3つの試験標本を、各測定について機械加工方向(MD)(適用可能な場合)で試験する。試験は、23±2.0℃および35±5%相対湿度の標準研究室雰囲気で行う。引張強度または弾性率の決定のために、不織布ウェブの1インチ幅(2.54cm)の試料を調製する。次いで、試料をINSTRON引張試験機に移して、試験を進める一方、35%相対湿度環境への曝露を最小にする。引張試験機は、製造業者の説明書に従って調製し、500Nロードセルを備え、較正する。正確なグリップおよび面を取付ける(ゴムコーティングされた25mm幅の、モデル番号2702-032面を有するINSTRONグリップ、または等価物)。試料を、引張試験機に嵌め、分析して、100%弾性率(すなわち、100%フィルム伸びを実現するのに必要な応力)、引張強度(すなわち、フィルムを破壊するのに必要な応力)、および伸び%(初期試料長さと比べた、破壊時の試料長さ)を決定する。一般に、試料の伸び%が高いほど、不織布ウェブの加工性特徴(例えば、パケットまたはポーチへの増加した形成性)が良好になる。
坪量の決定
【0327】
坪量は、ASTM D3776/D3776M-09a(2017)に従って決定する。簡潔には、少なくとも130cm2の面積を有する不織布標本、または試料の異なる位置から取った、少なくとも130cm2の総面積を有するいくつかのより小さいダイカット標本を切断する。±0.001gの分解能のトップローディング化学秤で標本(複数可)を秤量して、質量を決定する。秤は、ドラフトシールドを使用して、気流および他の外乱から保護する。布の標本を、一緒に秤量してもよい。質量を、1平方ヤード当たりオンス、1線形ヤード当たりオンス、1ポンド当たり線形ヤードまたは平方メートル当たりグラムで3有効桁まで計算する。
水蒸気透過率の決定
【0328】
水蒸気透過率(MVTR)は、MSTM-136に従って決定する。MVTRは、試料を通して、1日当たりどれくらいの水分が移動するかを定義する。以下に提供される記載は、不織布ウェブを指すが、これは、水溶性フィルムまたはラミネート構造体にも等しく適用可能である。
【0329】
機器および材料は、以下を含む:
Permatran-Wモデル3/34(または等価物)、
窒素の高圧ガスシリンダー(99.7%またはそれよりも高い)、
レギュレータ-ティー(パーツ番号027-343)、
主ライン供給レギュレータ、
HPLCグレード水(または等価物)、
Luerlokチップを備える10ccシリンジ(パーツ番号800-020)、
粉末不含グローブ、
高真空グリース(パーツ番号930-022)、
(2)試験セル、
切断鋳型、
切断ボード、
持ち手つきレーザーブレード、および
耐切創性グローブ。
【0330】
Permatran W-モデル3/34の調製:確実に、窒素圧力レベルを300psi超、担体ガスレギュレータ-ティーの圧力読取りを29psi(32psiを超えてはならない)にし、主ライン供給レギュレータ圧力を35psiに設定する。機器パネルの扉を開いて加湿器を利用して、水レベルを確認する。水レベルが低い場合、シリンジにHPLCグレードの水を満たし、シリンジに取付けたルアーをリザーバの「充填口」に挿入する。「充填バルブ」を2~3回、反時計回りに回すことによって開き、次いでプランジャーをシリンジに押し込んで水をリザーバに入れる。「充填バルブ」を閉め、シリンジを取り外す。水レベルは、リザーバに隣接して印を付けた線を超えるべきではない。
【0331】
試料の調製および試験:試験される各不織布ウェブについて、試料ウェブを取り、切断ボードに平らに置く。ウェブの上部に鋳型を置き、持ち手つきレーザーブレードを使用して試料を切り出す。試料を切り出す際は、耐切創性グローブを確実に装着する。試料を横によけておく。試験セルの上部部分の封止表面に高真空グリースでグリースを塗る。フィルム試料を試験セルの上部部分の上部に載せる。配向が重要な場合がある。均質材料の場合、配向は重要ではない。多層のラミネート材料の場合、セルの上部に向けて、バリアコーティングまたはラミネートが上になるように多層フィルムまたはラミネートを置く。例えば、片面ワックスコーティングPVOHウェブは、ワックス側を上にして載せ、ワックスを担体ガス(窒素)に向けて置くべきである。試験セルの上部部分を試験セルの底部部分の上部に置く。試験セルが、良好な封止で一緒に確実にクランプされるようにする。セルロード/アンロードボタンを押して、セルトレイを開く。試験セルの前および後端部を掴み、真っ直ぐ下に下げる。やさしくパネルに向けて真っ直ぐ押し込むことによって、セルトレイを完全に閉める。カチッと音が聞こえるまでセルロード/アンロードボタンを押してセルをクランプする。第2の試料について繰り返す。
【0332】
試料がロードされ、機器の用意ができた後、試験パラメーターを設定しなくてはならない。試験パラメーターには、セルパラメーターおよび機器パラメーターの2タイプがある。セルパラメーターは、各セルに特異的である一方、機器パラメーターは全てのセルに共通である。スクリーンの「試験ボタン」にタッチする。「自動試験」の「タブA」を選択する。「セルタブ」にタッチする。各吹き出しをタッチすることによって以下を入力する:ID、面積(cm2)、厚さ(ミル)。注:鋳型の面積は50cm2である。「タブB」について繰り返す。「機器タブ」にタッチする。各吹き出しをタッチすることによって以下を入力する:セル温度(℃)および試験ガスRH(%)。100%RHを確実にオフに設定する。セル温度は、最小10℃から最大40℃に設定できる。試験ガスRHは、最小5%から90%に設定できる。100%RHが必要である場合、異なる方法が必要である。「タブB」について繰り返す。試験パラメーターを設定したら、試料数に応じて「選択したものを開始」または「全て開始」を選択する。注:フロントパネルの各セルについてのインジケータランプが緑であれば、試験の開始を示している。
表面抵抗率測定
【0333】
不織布ウェブおよびフィルムの表面抵抗率は、ASTM D257に従って測定できる。
柔らかさ等級
【0334】
本開示の不織布ウェブまたはポーチの手触りは、試料の柔らかさに関連し、関連する試験法を使用して評価できる。柔らかさ評価を実施する試験者は、清潔な手を使用して、88%の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーからなり、および2.2dtex/51mm切片を有し1(最も柔らかい)の柔らかさ等級を有する繊維からなる不織布ウェブを含む対照材料、ならびに88%の加水分解度を有する75%ポリビニルアルコールコポリマーからなり、および2.2/51mm切片を有する繊維、および25%の22dtex/38mmのPET繊維からなる、5(最も粗い/最も粗雑な)の柔らかさ等級を有する不織布ウェブを含む対照材料と比較して、本開示の不織布ウェブおよび物品の柔らかさ等級を決定するための何であれ個人が選択した方式または方法で、試料を触る。ハンドパネルは盲検研究で実施することで、評定者が試料名の認識によって意見を変えないようにする。試料は、1~5で等級付けた。
フラッシング性試験
【0335】
本開示の不織布ウェブおよび/またはラミネートの浄化用または都市下水処理システムへの水で流せる性能は、水に流せる製品としての認定基準である、以下に提示される通りの修正INDA/EDANAに従って決定できる。以下の試験は、不織布ウェブ試料を参照するが、この方法は、ラミネート構造体についても使用できることが理解される。
【0336】
機器および材料は、以下を含む:
ロッキングデジタルプラットフォームシェーカー、
2つの透明なプラスチック製の12×5×3.9インチ容器、
2つの篩(12.5mm開口)、
乾燥不織布ウェブ試料、および
100℃のオーブン。
【0337】
パラメーターは以下を含む:
18RPMおよび11°傾斜間隔に設定したロッキングプラットフォーム、
容器当たり1Lの水道水、ならびに
30分の試験時間。
【0338】
試験手順:
1. 2つの容器をロッキングプラットフォームに置く。この方法は、2つの試料を同時に試験する。
2. ビーカーに水道水1Lを量り入れ、1つのプラスチック容器に注ぐ。他方の容器について繰り返す。試験開始前に、容器中の水道水を確実に15℃±1℃にする。
3. 初期乾燥試験試料の重量(初期試料質量(g))および篩の重量(初期篩質量(g))を記録し、独立して記録する。
4. デジタルロッキングプラットフォームで適切なパラメーターを設定する。
5. 各試験試料をそれらの対応する容器に入れ、直ちに撹拌プロセスを開始する(プラットフォームを揺らす)。
6. プロセスが完了したら(30分後)、各容器を取り、それらの対応する篩を通して注ぐ。篩プレートの10cm上の高さで注ぐ。
7. 容器をすすいで篩に入れ、残留する試験試料をすべて確実に除去する。
8. 篩を100℃のオーブンに45分間入れて、すべての水を確実に蒸発させる。
9. 篩および残留試験試料の重量を一緒に(総最終質量(g))記録する。
10. 総保持試料質量(最終試料質量(g))を計算する:
最終試料質量(g)=総最終質量(g)-初期篩質量(g)
11. パーセント(%)崩壊を計算する:
%崩壊=[1-(最終試料質量(g)/初期試料質量(g))]×100
12. 確実に、篩を清浄し、乾燥し、次の試験の開始前に再秤量する。
13. 各特定の試験試料についてN=3の反復が完了するまで試験を繰り返す。
【0339】
試料が少なくとも20%に等しいまたはそれよりも高いパーセント崩壊を有する場合、試料は、浄化用または都市下水処理システムに流すことによって廃棄するのに十分水に流すことができる。実施形態では、本開示の不織布ウェブ、ラミネートおよびポーチは、フラッシング性試験によって測定して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%のパーセント崩壊を有し得る。
液体放出試験
【0340】
ワイヤフレームケージは、本明細書に記述される液体放出試験において、水溶性ポーチなど、試料に関して使用される。液体放出試験を行うための装置は、スタンドに載せられたビーカーを含み、このスタンドは、ビーカー中にケージを下降させるためのロッドを保持するものであり、このロッドは、止めネジでカラーにより固定可能なものである。
【0341】
液体放出試験に従って遅延溶解度によって特徴付けられるまたは遅延溶解度について試験される水溶性不織布ウェブ、フィルムおよび/またはポーチは、以下の材料を使用して以下の通り分析される:
2Lビーカーおよび1.2リットルの脱イオン(DI)水、
試験対象の水溶性ポーチ;ポーチは、2週間、38℃で事前にコンディショニングする;結果の比較のために、試験するすべての不織布ウェブは、同じ坪量を有するべきであり、試験するすべてのフィルムは、同じ厚さ、例えば、88μmまたは76μmを有するべきである、
温度計、
ワイヤケージ、ならびに
タイマー。
【0342】
実験を行う前に、実験を5回繰り返すのに十分な脱イオン水が利用可能であることを確認し、ワイヤケージおよびビーカーが清潔で乾燥していることを確認する。
【0343】
ワイヤフレームケージは、端部の尖っていないプラスチックコーティングされたワイヤケージ(4”×3.5”×2.5”)または等価物である。ワイヤのゲージは約1.25mmであるべきであり、ワイヤは、0.5インチ(1.27cm)四方のサイズの開口部を有するべきである。
【0344】
試験の設定のため、ポーチをケージで引っ掻くことなくポーチを動かすための自由空間を可能にしながら、水溶性ポーチを注意深くケージに入れる。ポーチをワイヤケージにきつく縛ることはしないが、確実に固定し、ケージから出てこないようにする。ケージ内でのポーチの向きは、存在する場合、ポーチの自然な浮力が可能となるようにするべきである(即ち、ポーチが浮き上がる面が、上向きになるように配置すべきである)。ポーチが対称的である場合、ポーチの向きは、一般に問題ではない。
【0345】
次に、2Lビーカーに1200ミリリットルの20℃の脱イオン水を満たす。
【0346】
次に、ポーチを封入したワイヤフレームケージを水中に下降させる。ケージがビーカーの底部から1インチ(2.54cm)となっていることを確認する。ポーチの全ての側面が完全に沈んでいることを確かめる。ケージが安定であり、動かないことを確認し、ポーチを水中に下降させたらすぐにタイマーを起動する。ビーカー中の水に対するケージの位置は、任意の好適な手段、例えばビーカーの上に固定したクランプおよびケージの上部に取付けたロッドを使用することによって調節および維持できる。クランプは、ケージの位置を固定するようにロッドに係合でき、ケージを水中に下降させるために、クランプの張力は低下させることができる。摩擦係合の他の手段、例えば止めネジを持つカラーを、クランプの代わりに使用できる。
【0347】
液体内容物の放出は、沈んだポーチから液体が出たことを視覚により最初に確認したときとして定義される。
繊維の加水分解度の決定
【0348】
滴定法。繊維中のポリマーの加水分解度は、滴定を使用して決定できる。特に、既知量のポリビニルアルコール繊維は、混合物を70℃よりも高い温度で撹拌および加熱することによって、200mLの脱イオン水に溶解する。全てのPVOHポリマーが溶解したら、溶液を室温に冷却する。溶液が冷却されたら、4~5滴のフェノールフタレイン指示薬溶液を、20.0mLの0.5N NaOH溶液と共にPVOH溶液に添加する。溶液を混合し、室温で最短2時間静置する。この時間の後、20.0mLの0.5N硫酸を溶液に添加し、混合する。溶液がわずかにピンク色に変わり、無色の溶液に戻らずにこの色を最短30秒間維持する時点である終点まで、溶液を0.1N NaOH溶液で滴定する。前述の手順で得られた測定値を使用し、以下の計算を介してPVOHポリマーのDHを決定する
【数9】
式中:
A1:残留アセテート基(wt%)
A2:残留アセテート基(モル%)
DH:加水分解度(モル%)
Vsample:試料の滴定の間に添加した0.1N NaOH溶液の体積(mL)
Vblank:ブランクの滴定の間に添加した0.1N NaOH溶液の体積(mL)
N:滴定ステップに使用した標準化0.1N NaOH溶液の公称濃度
Wtsample:試料質量(g)
P:PVOH試料の純度=100-(揮発性物質(wt%)+酢酸ナトリウム(wt%))。
【0349】
FTIR方法。FTIRを使用して、減衰全反射法(ATR)を介して繊維表面の外側部分に変性が生じたか否かを決定することができる。この方法が測定する繊維の深さは、特定のATR装置、特に、使用される結晶に依存し、1ミクロン未満から数ミクロンに及ぶ可能性がある。ATRを介した特定の変性の存在の決定は、変性剤の化学構造に依存し、したがって、得られる繊維の化学構造に依存する。例えば、繊維の化学構造内にニトロ官能基の存在をもたらし得るように繊維が変性されることになった場合、このことはATRを介して検出することができる。ニトロ官能基は、1515~1560cm-1の領域で強力なIR吸光度を示す。この領域での吸光度シグナルの相対的な増加は、変性されていない繊維と比較した場合、同じ領域で潜在的に吸収するニトロおよび/またはその他の官能基を含有し得る変性プロセスから、反応物、溶媒、および/または活性化剤が繊維から適正に洗い落とされたことを前提として、繊維の首尾良くなされた変性を示す。同様にして、公知の吸光度値を持つその他の官能基を含有する変性された繊維の決定は、同じ領域で潜在的に吸収する変性プロセスから反応物、溶媒、および/または活性化剤がそのような繊維から適正に洗い落とされたことを前提として、検出することができる。ダイヤモンド結晶または均等物を備えたThermo Scientific Smart iTX ATRアクセサリーを使用するThermo Scientific Nicolet iS10 FTIR分光計を使用して、試料を特徴付けることができる。
【0350】
DSC法(MSTM-122)。繊維、不織布ウェブ、水溶性フィルム、またはラミネート構造は、示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けることができまたは試験することができる。この方法を使用して、様々なポリマー試料(例えば、ポリビニルアルコール試料)における融点、ガラス転移、結晶化、および融解熱事象を決定する。Auto Q20 DSCまたは均等物を使用して、試料を特徴付けることができる。
【0351】
試験片
【0352】
ポリマー試料は、他に言及しない限り、0.00300gから0.01200g(3.00mg~12.00mg)の間であるべきである。試料サイズは、試験される材料に依存し、受け皿の底を覆わなければならない。試料は、受け皿を穿孔または変形させることなく、封止された受け皿の内部に適合しなければならない。
【0353】
勾配試験方法。繊維の変性度の勾配は、断面X線光電子分光法(XPS)、深度XPS、NMR技法(固相NMRなど)、紫外光電子分光法(UPS)、環境SCM、オージェ電子分光法(AESまたはSAM)、または元素走査型電子顕微鏡法(SEM)を使用して決定および定量できる。変性前のポリビニルアルコールまたはポリ酢酸ビニルからの-OH基または-COMe基からの変性の結合エネルギーのシフトは、方法のスペクトルの変化をもたらし得る。化学シフトは、繊維に対して行われる変性のタイプに基づいて、異なることになることに留意されたい。
【0354】
XPS分析の場合、この方法が測定する繊維の深さは、断面の関数として変性度の変化を決定する深さプロファイルのためのXPS分析中に使用される特定のイオンビームに依存する。PVOHのヒドロキシル基に対応する286.5eVおよび532.8eVの場合と組み合わせた、完全には加水分解されていないPVOHのアセテート基のカルボキシルおよびカルボニル基を表す287.6eVおよび288.8eVにおけるデコンボリュートされたピークの、PVOHになされた特定の変性に対応するピークに対する比を求めることによって、出発PVOHの既知の変性度(存在する場合)に対してPVOH樹脂についての同じ比をプロットすることによって得られた等式を使用して、未知試料の変性度を決定できる。この方法は、イオンビームスパッタリングステージ間で繰り返して、PVOH繊維の完全な深さプロファイルおよび断面にわたる変性度の変化を得ることができる。XPS法は、Gilbert et al "Depth-profiling X-ray photoelectron spectroscopy (XPS) analysis of interlayer diffusion in polyelectrolyte multilayers" PNAS, vol. 110, no. 17, 6651-6656 (2013)(https://www.pnas.org/content/pnas/1/10/17/6651.full.pdf)およびEuropean Polymer Journal 126 (2020) 109544に記載されており、これらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0355】
AES法は、ASTM E984-12に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0356】
個々にまたは組み合わせて使用できる1つまたはそれよりも多くの必要に応じた特徴が、以下の段落に記述される。必要に応じて、処理される繊維は、ポリ酢酸ビニル繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、ポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、79~99%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、88%~96%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、88%、92%または96%の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、ポリビニルアルコールホモポリマーまたはコポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、アニオン変性コポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。必要に応じて、処理される繊維は、ポリビニルアルコール(PVOH)コポリマーおよびアニオン変性PVOHコポリマーを含むポリビニルアルコール繊維である。PVOHコポリマーの例は、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである。
【0357】
必要に応じて、変性剤は、マレイン酸無水物を含む。必要に応じて、変性剤用の溶媒は、メタノールを含む。必要に応じて、変性剤用の溶媒は、メタノールおよび水を含む。必要に応じて、方法はさらに活性化剤を含み、この活性化剤は水酸化ナトリウムを含む。
【0358】
必要に応じて、処理される繊維、変性剤、および溶媒の混合は、繊維を、変性剤を含む溶媒に浸漬することを含む。必要に応じて、混合は、繊維、変性剤、および溶媒の混合物を加熱することを含む。必要に応じて、混合は、繊維、変性剤、および溶媒の混合物を、約65℃から約75℃の温度に加熱することを含む。必要に応じて、混合は、繊維、変性剤、および溶媒の混合物を、最大約3から約7時間加熱することを含む。
【0359】
必要に応じて、処理される繊維は変性剤と接触させられて、繊維の少なくとも表面を含む繊維の領域において、繊維の酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーの変性度を増加させることができる。必要に応じて、接触は、浸漬により得る。必要に応じて、接触は、ディップコーティングにより得る。必要に応じて、接触は、スプレーにより得る。必要に応じて、接触は、ブラッシングにより得る。必要に応じて、接触は、ロール塗により得る。
【0360】
以下の段落は、本開示のさらなる態様について記述する。
【0361】
1.繊維を処理する方法であって、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む繊維の表面を、変性剤と接触させて、繊維の少なくとも表面を含む繊維の領域において変性剤でポリマーの少なくとも一部分を化学的に変性し、変性された繊維を形成するようにすること
を含む、方法。
【0362】
2. 変性剤用の溶媒を添加することをさらに含む、項1に記載の方法。
【0363】
3. 繊維の表面を変性剤と接触させることが、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含む繊維、変性剤、および溶媒を混合することを含む、項2に記載の方法。
【0364】
4. 繊維が、この繊維の溶媒と接触する持続時間にわたり、溶媒に可溶ではない、項2または3のいずれかに記載の方法。
【0365】
5. 繊維の表面を変性剤と接触させる前に、溶媒中の繊維を加熱することをさらに含む、項2から4のいずれかに記載の方法。
【0366】
6. 繊維、変性剤、および溶媒を加熱することをさらに含む、項2から4のいずれかに記載の方法。
【0367】
7. 繊維の表面が、最長で約48時間の期間にわたり変性剤と接触させられる、項1から6のいずれかに記載の方法。
【0368】
8. 繊維の表面が、約10℃から約100℃の範囲の温度で変性剤と接触させられる、項1から7のいずれかに記載の方法。
【0369】
9. 酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーが、繊維の表面を変性剤と接触させる前に約79%よりも高く、および約99.9%未満の加水分解度を有する、項1から8のいずれかに記載の方法。
【0370】
10. 繊維の表面を変性剤と接触させることが、酢酸ビニル部分もしくはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーに、制御された量の化学的な変性を提供するのに、および/または酢酸ビニル部分もしくはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーに、化学的な変性の制御された増大を提供するのに十分な条件下で行われる、項1から9のいずれかに記載の方法。
【0371】
11. 変性剤によるポリマーの少なくとも一部分の化学的な変性が、下記:エステル化、アミド化、アミノ化、カルボキシル化、ニトロ化、アシロイン縮合、アリル化、アセチル化、イミド化、ハロゲン化、スルホン化、アルキル化、エノール化、ニトロソ化、およびシランカップリングの1つまたはそれよりも多くを含む、項1から10のいずれかに記載の方法。
【0372】
12. 活性化剤を繊維および変性剤と混合することをさらに含み、活性化剤が、酸、塩基、アジリジン、フリーラジカル開始剤、またはこれらの組合せを含む、項1から11のいずれかに記載の方法。
【0373】
13. 変性剤が、無水物、カルボン酸、アルコール、エステル、エーテル、スルホン酸、スルホネート、クリックケミストリー試薬剤、アミド、アミン、ラクタム、ニトリル、ケトン、アリル含有化合物、アセチル含有化合物、ハロゲン、アルキル含有化合物、イミド、アセタール含有化合物、エノレート、ニトロ含有化合物、シラン、アジリジン、イソシアネート、またはこれらの任意の組合せを含む、項1から12のいずれかに記載の方法。
【0374】
14. 変性された繊維が、モノカルボン酸、ジカルボン酸、スルホン酸、スルホネート、クリックケミストリー試薬、アミド、アミン、ニトリル、ケトン、エステル、アリル、アセチル、ハロゲン、アルキル、イミド、アセタール、エノレート、ニトロ、シラン、またはこれらの任意の組合せを含む、項1のいずれかに記載の方法。
【0375】
15. スルホネートが、スルホン酸アミノプロピルを含む、項13に記載の方法。
【0376】
16. ラクタムが、ピロリドンまたはカプロラクタムを含む、項13に記載の方法。
【0377】
17. スルホン酸が、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含む、項13に記載の方法。
【0378】
18. モノカルボン酸またはジカルボン酸が、酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸ジアルキル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、アルキル(アルキル)アクリレート、前述のアルカリ金属塩、これらの加水分解アルカリ金属塩、これらのエステル、またはこれらの任意の組合せを含む、項13に記載の方法。
【0379】
19. 変性剤が無水物を含む、項1から18のいずれかに記載の方法。
【0380】
20. 無水物が有機酸無水物であり、有機酸無水物が、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、イソ酪酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、グルタル酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、グルタコン酸無水物、またはこれらの任意の組合せを含む、項19に記載の方法。
【0381】
21. 無水物が、マレイン酸無水物を含む、項19に記載の方法。
【0382】
22. 変性剤が、溶媒の重量に基づいて、約0.2%から約75%(w/w)の量で提供される、項2に記載の方法。
【0383】
23. 溶媒が、極性溶媒を含む、項2に記載の方法。
【0384】
24. 溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、水、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、1つまたはそれより多くの溶媒を含む、項2に記載の方法。
【0385】
25. 溶媒が、非極性溶媒を含む、項2に記載の方法。
【0386】
26. 溶媒が、混合条件下で液体であるアルコールを含む、項2に記載の方法。
【0387】
27. 溶媒が、第1の溶媒および第2の溶媒の混合物を含む、項2に記載の方法。
【0388】
28. 第1の溶媒が水を含み、第2の溶媒がアルコールを含む、項27に記載の方法。
【0389】
29. 第2の溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、またはこれらの任意の組合せを含む、項28に記載の方法。
【0390】
30. 繊維の表面を変性剤と接触させることが、アニオン変性ポリマーを提供するのに十分な条件下で行われる、項1から29のいずれかに記載の方法。
【0391】
31. アニオン変性ポリマーが、カルボキシレート、スルホネート、またはこれらの組合せを含む、項30に記載の方法。
【0392】
32. 酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの組合せを含む、項1から31のいずれかに記載の方法。
【0393】
33. ポリビニルアルコールコポリマーが、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである、項32に記載の方法。
【0394】
34. 繊維が、追加のポリマーをさらに含む、項1から33のいずれかに記載の方法。
【0395】
35. 追加のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラギーナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのいずれかの任意の組合せからなる群から選択される、項34に記載の方法。
【0396】
36. 繊維の表面を変性剤と接触させることが、コアおよびシースを含むコア-シース構造を有する横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で行われ、コアのポリマーは、第1の量の化学的な変性を有し、シースのポリマーは、第1の量よりも大きい第2の量の化学的な変性を有する、項1から35のいずれかに記載の方法。
【0397】
37. 繊維の表面を変性剤と接触させることが、内部領域から表面領域までのポリマーの化学的な変性の量の増加勾配により特徴づけられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で行われる、項1から36のいずれかに記載の方法。
【0398】
38. 繊維の表面を変性剤と接触させることが、横断面の全体にわたり等量の化学的な変性を有するポリマーにより特徴づけられる横断面を有する繊維を提供するのに十分な条件下で行われる、項1から37のいずれかに記載の方法。
【0399】
39. 繊維が、繊維の表面を変性剤と接触させる前に水溶性である、または水溶性ではない、項1から38のいずれかに記載の方法。
【0400】
40. 変性された繊維が水溶性である、項1から39のいずれかに記載の方法。
【0401】
41. 繊維の表面を変性剤と接触させる前に、繊維が第1の完全溶解温度を有し、変性された繊維が、第1の完全溶解温度とは異なる第2の完全溶解温度を有する、項1から40のいずれかに記載の方法。
【0402】
42. 第1の完全溶解温度が、第2の完全溶解温度よりも高い、項41に記載の方法。
【0403】
43. 第1の完全溶解温度が、第2の完全溶解温度よりも低い、項41に記載の方法。
【0404】
44. 繊維の表面を変性剤と接触させることが、以下:浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリント、またはこれらの任意の組合せの、1つまたはそれよりも多くによって行われる、項1から43のいずれかに記載の方法。
【0405】
45. 繊維の表面を変性剤および溶媒と接触させることが、連続インラインプロセスの部分として繊維の形成後に行われる、項44に記載の方法。
【0406】
46. 繊維が、繊維の表面の変性剤および溶媒との接触の間、動いている、項1から45のいずれかに記載の方法。
【0407】
47. 繊維の表面の変性剤との接触が、バッチ式プロセスで行われる、項1から46のいずれかに記載の方法。
【0408】
48. 繊維が、ステープル繊維、ステープルヤーン、繊維フィル、ニードルパンチ布、結合繊維、またはこれらの任意の組合せを含む、項1から47のいずれかに記載の方法。
【0409】
49. 繊維の表面を変性剤と接触させた後に、繊維を洗浄し乾燥することをさらに含む、項1から48のいずれかに記載の方法。
【0410】
50. 繊維を洗浄することが、繊維を非溶媒で濯ぐことを含む、項49に記載の方法。
【0411】
51. 繊維を乾燥することが、以下:エアジェット乾燥、撹拌、ボルテックス、遠心分離、またはこれらの任意の組合せの1つまたはそれよりも多くを含む、項49に記載の方法。
【0412】
52. 複数の繊維を含み、複数の繊維の各繊維が、酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーを含む、不織布ウェブを処理する方法であって、前記方法が、
不織布ウェブの少なくとも一部分を変性剤と接触させて、変性剤により各繊維の第1の領域でポリマーを化学的に変性させることにより、変性不織布ウェブを提供するようにすること
を含む方法。
【0413】
53. 変性剤用の溶媒を添加することをさらに含む、項52に記載の方法。
【0414】
54. 不織布ウェブの少なくとも一部分を変性剤と接触させることが、以下:浸漬、スプレー、トランスファーコーティング、吸水、発泡、ブラッシング、ロール塗、加湿、蒸着、プリント、またはこれらの任意の組合せの1つまたはそれよりも多くによって行われる、項52または53に記載の方法。
【0415】
55. 不織布ウェブの少なくとも一部分を変性剤と接触させながら、複数の繊維を不織布ウェブに同時に結合することをさらに含む、項52から54のいずれかに記載の方法。
【0416】
56. 複数の繊維を結合することが、複数の繊維を化学結合することを含む、項55に記載の方法。
【0417】
57. 複数の繊維を結合することが、熱活性化触媒を使用することを含む、項55に記載の方法。
【0418】
58. 酢酸ビニル部分またはビニルアルコール部分の少なくとも1つを含むポリマーが、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、またはこれらの任意の組合せを含む、項52から57のいずれかに記載の方法。
【0419】
59. ポリビニルアルコールコポリマーが、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーである、項58に記載の方法。
【0420】
60. ポリビニルアルコールコポリマーが、アニオン変性コポリマーを含む、項58に記載の方法。
【0421】
61. アニオン変性コポリマーが、カルボキシレート、スルホネート、またはこれらの任意の組合せを含む、項58に記載の方法。
【0422】
62. 繊維が、追加のポリマーをさらに含む、項52から61のいずれかに記載の方法。
【0423】
63. 追加のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラギーナン、デンプン、変性デンプン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリカルボン酸、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、デキストリン、前述のもののコポリマー、および前述の追加のポリマーまたはコポリマーのいずれかの任意の組合せからなる群から選択される、項62に記載の方法。
【0424】
64. 変性剤が、無水物、カルボン酸、アルコール、エステル、エーテル、スルホン酸、スルホネート、クリックケミストリー試薬、アミド、アミン、ラクタム、ニトリル、ケトン、アリル含有化合物、アセチル含有化合物、ハロゲン、アルキル含有化合物、イミド、アセタール含有化合物、エノレート、ニトロ含有化合物、シラン、またはこれらの任意の組合せを含む、項52から63のいずれかに記載の方法。
【0425】
65. 変性剤が無水物を含む、項52から64のいずれかに記載の方法。
【0426】
66. 無水物が、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、イソ酪酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、グルタル酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、グルタコン酸無水物、またはこれらの任意の組合せを含む、項65に記載の方法。
【0427】
67. 変性剤が、溶媒の重量に基づいて、約0.2%から約75%(w/w)の量で提供される、項53に記載の方法。
【0428】
68. 複数の繊維が、繊維の溶媒と接触する持続期間にわたり、溶媒に可溶ではない、項53に記載の方法。
【0429】
69. 繊維が、約88%、約92%、または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、変性剤がマレイン酸無水物を含み、溶媒がメタノールを含み、方法がさらに、水酸化ナトリウムを含む活性化剤を、繊維、変性剤、および溶媒と混合することを含む、項2に記載の方法。
【0430】
70. 繊維が、約88%、約92%、または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、変性剤がマレイン酸無水物を含み、溶媒がメタノールを含み、ポリマーを含む繊維の表面を変性剤と接触させることが、
繊維と溶媒とを合わせて混合物を形成すること、
混合物を約55℃から約75℃に加熱して、加熱混合物を形成すること、
加熱混合物に、マレイン酸無水物と、水酸化ナトリウムを含む活性剤とを添加して、反応混合物を形成すること、および
反応混合物を約55℃から約75℃で約3から7時間撹拌すること
を含む、項2に記載の方法。
【0431】
71. 複数の繊維が、約88%、約92%、または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、変性剤がマレイン酸無水物を含み、溶媒がメタノールを含み、方法がさらに、水酸化ナトリウムを含む活性化剤を、繊維、変性剤、および溶媒と混合することを含む、項53に記載の方法。
【0432】
72. 複数の繊維が、約88%、約92%、または約96%の加水分解度を有するビニルアルコールおよび酢酸ビニルのコポリマーを含み、変性剤がマレイン酸無水物を含み、溶媒がメタノールを含み、ポリマーを含む繊維の表面を変性剤と接触させることが、
繊維と溶媒とを合わせて混合物を形成すること、
混合物を約55℃から約75℃に加熱して、加熱混合物を形成すること、
加熱混合物に、マレイン酸無水物と、水酸化ナトリウムを含む活性剤とを添加して、反応混合物を形成すること、および
反応混合物を約55℃から約75℃で約3から7時間撹拌すること
を含む、項53に記載の方法。
【実施例】
【0433】
出発材料としての繊維
表2に示されるように、88%、92%、96%、98%、および99.99%の加水分解度をそれぞれ有する酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを含む5つの繊維、繊維A、繊維B、繊維C、繊維D、および繊維Eは、出発材料の例である。これらの繊維は、均一な組成を有し、表2に示される追加の性質を有する。繊維A~C、特に繊維Aは、本明細書に記述される実施例で出発材料として使用された。その記述は、繊維DおよびEにも適用可能である。本明細書に記述される実施例および比較例では、使用される繊維Aが、2.2dtexの繊度を有する。
【0434】
【0435】
ビニルアルコール部分を含み、および88%、92%または96%の加水分解度を有する繊維A、B、およびCを、単独繊維形成材料としてまたは他の繊維形成材料と組み合わせて、以下の通り加工後変性させた。実施例では、ビニルアルコール部分を含むポリマーを「ポリビニルアルコールポリマー」と呼び、そのようなポリマーを含む繊維を「ポリビニルアルコール(PVOH)繊維」と呼ぶ。4gのポリビニルアルコール繊維を、200gのメタノールに浸漬した。ポリビニルアルコール繊維とメタノールとの混合物を、70℃に加熱した。繊維は、メタノールに溶解しない。5gのマレイン酸無水物および60mLの水中1M水酸化ナトリウムを、加熱した混合物に添加した。得られた混合物を、70℃で5時間撹拌する。得られた変性された繊維を濾過し、メタノールで洗浄した。変性された繊維を換気フード内で12時間乾燥した。得られた乾燥繊維を、本明細書に開示される滴定法、MSTM 205、FTIR-ATR、および/またはDSCを使用して測定し、化学的な変性を確認した。
【0436】
このように、実施例1~3は、加工後カルボキシレート変性ポリビニルアルコール繊維を調製するのに本開示の方法を使用することを示す。酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマーのマレイン酸無水物による変性反応を、下記の通りスキーム(1)に例示する:
【化1】
【0437】
コポリマー中のヒドロキシル基とマレイン酸無水物との間のエステル化反応は、エステル結合を通してポリマー主鎖に化学的に取着されたマレイン酸モノメチル(MMM)またはその塩を有する変性ポリマーを提供する。変性された繊維は、本明細書に記述されるコア-シース構造を有する。
【0438】
THFおよびDCM(ジクロロメタン)などの追加の溶媒、ならびにグルタル酸無水物、イタコン酸無水物、およびフタル酸無水物などの追加の無水物を使用した。変性反応を、種々の温度で種々の期間にわたり行った。繊維を、各溶媒中に無傷のまま置いた。メタノールは、無水物および塩基(例えば、NaOH、KOH)などの反応物を可溶化し、一方、THFおよびDCMは、塩基を部分的に可溶化する。THFおよびDCMは、ポリマーの鹸化よりもエステル化を好むので、THFおよびDCMはメタノールよりも好ましい。メタノールが使用される場合、鹸化が生じる可能性があり、エステル化反応はより高い温度で生じる。THFまたはDCMが溶媒として使用されるとき、マレイン酸モノメチル(MMM)またはその塩を有する変性ポリマーは、鹸化なしに、コポリマーのヒドロキシル基とマレイン酸無水物との間のエステル化反応を通して得ることができる。そのような変性は、FT-IR結果により確認され、例えばピークはMMMの終わりでカルボキシレート基から1580cm-1で出現した。一方、そのような変性された繊維を含む不織布ウェブの溶解度は、維持された。繊維Aと、マレイン酸無水物、グルタル酸無水物、イタコン酸無水物、およびフタル酸無水物を含む無水物とに関する変性反応を行い、同じ条件下、例えばTHF中、60℃で5時間で、比較した。グルタル酸無水物およびイタコン酸無水物を使用したとき、変性された繊維は、MMMの場合に類似したFT-IR結果を示し、一方、イタコン酸無水物で変性した繊維は、より低い変性シグナル強度を示した。フタル酸無水物による変性は、非常に強い強度を示し、同じ条件下で4つの無水物による変性の中でも最も高い強度であるが、これは結合部位付近の共役炭素結合に起因するものであり、また、1450cm-1付近ではベンゼン環シグナルも示した。フタル酸無水物を、その抗菌性によりさらに選択した。各無水物による繊維の変性は、室温でも実現された。マレイン酸無水物、フタル酸無水物、およびグルタル酸無水物による変性された繊維は、変性されていない繊維の所望の白色外観を維持した。実験結果は、同じポリマーのガラス転移温度が、化学的な変性の前後で有意差を持たなかったことも示した。
【0439】
本明細書に記述される実施例では、出発繊維は、酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマーを含み、変性された繊維は、カルボキシレートおよびスルホネートなどの官能基で化学的に変性された。記述は、カルボキシレートおよび/またはスルホネートを有するアニオン変性PVOHコポリマーなど、変性コポリマーを含む繊維にも適用可能であり、そのような繊維はさらに、変性度が増大するように変性剤で化学的に変性される。
(実施例4~6)
【0440】
ビニルアルコール部分を含み、および88%、92%または96%の加水分解度を有する繊維A~Cを、単独繊維形成材料としてまたは他の繊維形成材料と組み合わせて、以下の通り加工後変性させた。5gのポリビニルアルコール繊維をメタノールに浸漬した。繊維は溶媒に溶解しない。得られた混合物を、約30℃から約80℃に加熱した。次いでスルホン酸アミノプロピルおよび活性化剤(例えば、酸または塩基)を、加熱した混合物に添加した。次いで加熱した混合物を1時間から10時間撹拌した。撹拌後、混合物を冷却し、繊維を溶媒から分離した。得られた変性された繊維を乾燥して、残留するいかなる溶媒も除去し、その後、繊維中のポリマーの変性度を、本明細書に開示される滴定法、MSTM 205、FTIR-ATR、および/またはDSCを使用して測定した。
【0441】
このように、実施例4~6は、加工後スルホネート変性ポリビニルアルコール繊維を調製するのに、本開示の方法を使用することを示す。
(実施例7~9)
【0442】
ビニルアルコール部分を含み、および88%、92%または96%の加水分解度を有する繊維A~Cを、単独繊維形成材料としてまたは他の繊維形成材料と組み合わせて、以下の通り加工後変性させた。5gのポリビニルアルコール繊維をメタノールに浸漬した。繊維は溶媒に溶解しない。得られた混合物を、約30℃から約80℃に加熱した。次いでピロリドンまたはカプロラクタムを含むラクタム、および活性化剤(例えば、酸または塩基)を、加熱した混合物に添加した。次いで加熱した混合物を1時間から10時間撹拌した。撹拌後、混合物を冷却し、繊維を溶媒から分離した。得られた変性された繊維を乾燥して、残留するいかなる溶媒も除去し、その後、ポリマーの変性度を、本明細書に開示される滴定法、MSTM 205、FTIR-ATR、および/またはDSCを使用して測定した。
【0443】
このように、実施例7~9は、ラクタムとビニルアルコール部分のヒドロキシル基との開環反応を通して、ラクタムにより化学的に変性した加工後ポリビニルアルコール繊維を調製するのに、本開示の方法を使用することを示す。
(実施例10~12)
【0444】
ビニルアルコール部分を含み、および88%、92%または96%の加水分解度を有する繊維A~Cを、単独繊維形成材料としてまたは他の繊維形成材料と組み合わせて、以下の通り加工後変性させた。5gのポリビニルアルコール繊維をメタノールに浸漬した。繊維は溶媒に溶解しない。得られた混合物を、約30℃から約80℃に加熱した。次いで2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含むスルホン酸および活性化剤(例えば、酸または塩基)を、加熱した混合物に添加した。次いで加熱した混合物を1時間から10時間撹拌した。撹拌後、混合物を冷却し、繊維を溶媒から分離した。得られた変性された繊維を乾燥して、残留するいかなる溶媒も除去し、その後、ポリマーの変性度を、本明細書に開示される滴定法、MSTM 205、FTIR-ATR、および/またはDSCを使用して測定した。
【0445】
このように、実施例10~12は、加工後スルホン酸変性ポリビニルアルコール繊維を調製するのに、本開示の方法を使用することを示す。
(実施例13~15)
【0446】
酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマーを含み、および88%の加水分解度を有する繊維(繊維A)を、無水物で、THF中、60℃で5時間、化学的に変性させた。繊維を、高温通気結合法を使用して結合して、不織布試料を提供した。
図6~8は、グルタル酸無水物、マレイン酸無水物、およびフタル酸無水物でそれぞれ化学的に変性した繊維を含む不織布試料のATR-FTIR曲線を示す(実施例13~15)ATR-FTIR曲線を示す。添加した無水物の量は、ヒドロキシル基の含量に関して繊維の加水分解度(即ち、繊維Aに関して88%)に基づき、および必要な変性度に基づき、計算した。例えば、25%の化学的な変性を実現するため(即ち、ヒドロキシル基の25%の変換)、必要とされるマレイン酸無水物、グルタル酸無水物、またはフタル酸無水物の量はそれぞれ1.343g、1.564g、または2.03gであった。繊維Aの重合度は1700であった。変性なしの繊維を含む不織布試料の曲線(比較例1)を、
図6~8のそれぞれにおいて点線で示す。FT-IR曲線のピークは、化学的な変性および変性度を特徴付けるのに使用することができる。例えば、
図7に示されるように、1734~1713cm
-1の範囲のピーク(複数可)は、アセテート基の場合などのカルボニル基(C=O、伸縮)を示す。1580cm
-1でのピークの出現は、MMMの終わりの非結合カルボキシレート基からである。1427cm
-1および1374cm
-1のピークは、ポリマー主鎖のメチレン基(即ち、CH
2曲げ)およびアセテート側基のメチルにそれぞれ該当する。
【0447】
図6~8に示されるように、開環反応後の無水物部分の終わりの非結合カルボキシル基は、1600cm
-1から1520cm
-1の間のピークに基づいて見ることができる。これは、カルボキシレート基が、得られる変性ポリマーにおいて架橋しないことを示す。
【0448】
溶解度および機械試験に関して作製された不織布試料の場合、繊維は、98.25%の繊維Aおよび1.75%のポリエチレン(PE)/ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んだ。繊維は、ステンレス鋼メッシュ間に配置する。通気プロセスの結合温度を、120℃、160℃、または180℃から選択した。
(実施例16)
【0449】
99.99%の加水分解度を持つPVOHコポリマーを有する繊維(繊維E)を、マレイン酸無水物で、THF中、60℃で5時間化学的に変性して、実施例16を得た。処理なしの繊維Eは比較例2であり、これは容易に水に溶解しない。
図9は、実施例16および比較例2のATR-FTIR結果を示す。1580cm
-1付近の新しいピークは、化学的な変性後に出現した。FT-IR結果はさらに、化学的な変性反応がビニルアルコール部分のヒドロキシル基で生じ(即ち、PVOHコポリマーの主鎖)、酢酸ビニル部分では生じないことを確認した。変性された繊維は水溶性である。
(実施例17~20)
【0450】
図10は、THF中、60℃で5時間の、マレイン酸無水物、グルタル酸無水物、またはフタル酸無水物などの無水物による化学的な変性なしおよびありの繊維(繊維A)を有する、通気結合した不織布ウェブの破壊時間を示す。
図10では、比較例3および4(
図10で標識される「CEx.3」および「CEx.4」)は、化学的な変性なしであるが繊維をTHFに60℃で5時間浸漬し、次いで乾燥した後に結合プロセスに供した繊維(繊維A)を有する、通気結合不織布ウェブである。比較例3および4の結合温度はそれぞれ160℃および180℃であった。比較例3および4を、正の対照と呼ぶ。実施例17(「Ex.17」)、実施例18(「Ex.18」)、および実施例19(「Ex.19」)では、繊維を、マレイン酸無水物、グルタル酸無水物、およびフタル酸無水物でそれぞれ化学的に変性させた。結合温度は、実施例17で160℃、実施例18および19で180℃であった。本明細書に記述される比較例を含むこれらの通気結合不織布試料では、繊維は最初に、98.25%の繊維Aおよび1.75%のPE/PETを含んだ。
【0451】
図11は、DCM中、室温で5時間の、マレイン酸無水物での化学的な変性なしおよびありの繊維(繊維A)を有する不織布ウェブの破壊時間を示す。不織布ウェブは、カレンダー結合(30gsm)を使用して作製した。
図11で標識された比較例5(「CEx.5」)および比較例6(「CEx.6」)は、比較例6がDCM中、室温で5時間処理されたことを除き、化学的な変性なしの繊維(繊維A)を有する不織布ウェブである。実施例20(「Ex.20」)は、マレイン酸無水物で、DCM中、室温で5時間、化学的に処理した。本明細書に記述される比較例を含むカレンダー結合試料では、初期の繊維が、PE/PETなどの任意のその他の繊維がない、100%の繊維Aを含んだ。
【0452】
化学的な変性のある
図10~11に示されるように、不織布試料の溶解度は維持される。これは架橋反応が生じないことも示す。そうでない場合には、溶解度が妨げられて、異なる溶解度プロファイルを示すことになる。
【0453】
図12は、THF中、60℃で5時間の、マレイン酸無水物、グルタル酸無水物、またはフタル酸無水物などの無水物による化学的な変性なしおよびありの繊維(繊維A)を有する通気不織布ウェブの引張強度を示す。試料は、実施例17~19および上述の正の対照として比較例3~4を含む。2つの追加の比較例(CEx.3’およびCEx.4’)も試験した。CEx.3’およびCEx.4’は、繊維がTHFに60℃で5時間浸漬されなかったことを除き、それぞれCEx.3およびCEx.4に該当し、160℃および180℃でそれぞれ直接通気結合された。
【0454】
図13は、上述の実施例20および比較例5~6を含む、DCM中、室温で5時間のマレイン酸無水物による化学的な変性なしおよびありの繊維(繊維A)を有する不織布ウェブの引張強度を示す。
【0455】
図12に示されるように、変性された繊維を有する通気試料は、変性のない比較例の場合よりもわずかに高い引張強度を有する。
図13に示されるように、化学的な変性から得られる引張強度の増大は、カレンダー結合により作製された不織布試料よりも有意である。
【0456】
図14は、THF中、60℃で5時間にわたり、マレイン酸無水物、グルタル酸無水物、またはフタル酸無水物などの無水物による化学的な変性なしおよびありの繊維(繊維A)を有する通気結合された不織布ウェブのグリセリン保持容量を示す。グリセリンの初期負荷は50%であった。初期負荷は、試料の重量に対する、試料に適用されるグリセリンの量である。例えば、負荷50%で、0.5gのグリセリンが1gの不織布試料に適用された。グリセリン保持容量は、周囲条件下で1時間の浸漬時間後に、不織布試料中に保持されるグリセリンの重量パーセンテージに対する、グリセリンの保持のパーセンテージとして測定した。グリセリンの保持は、不織布製品に使用される極性添加剤の保持の指標である。さらに、グリセリンは、個人向け衛生用品に好ましい担体である。
図14では、試料は、実施例17、18、および19、ならびに上述の比較例3~4を含む。さらに、比較例7(「CEx.7」)は、化学的な変性がなく、および120℃で結合された繊維(繊維A)を有する通気結合不織布ウェブである。化学的な変性を持つ試料は、グリセリンの保持において少なくとも10%の増大を示した。例えば、比較例3と比較して、マレイン酸無水物による実施例17は、グリセリンの保持において有意な増大を示した。
【0457】
図15は、上述のカレンダー結合を通して作製された、実施例20および比較例5~6を含む、DCM中、室温で5時間にわたるマレイン酸無水物での化学的な変性なしおよびありの繊維(繊維A)を有する不織布ウェブのグリセリン保持容量を示す。グリセリンの初期負荷は50%であった。
図15に示されるように、マレイン酸無水物の変性による実施例20は、この低い(50%)負荷でのグリセリンの保持において有意な増大(少なくとも20%)を示した。
【0458】
図16および17は、グリセリンの初期負荷(180%)が非常に高いこと以外、それぞれ
図14および15に類似している。
図16および17に示されるように、マレイン酸無水物変性は、この高い(180%)負荷でのグリセリンの保持において有意な増大(少なくとも20%)を提供する。
【0459】
実施例17~20のいくつかの結果も、表3および4にまとめる。
【表3】
【表4】
(実施例21)
【0460】
図18は、THF中、60℃で5時間にわたるマレイン酸無水物による化学的な変性なしおよびありの、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーを含む例示的なブロックの内部領域(「内側領域」)および表面領域(「外側領域」)のATR-FTIR結果を示す。ブロック試料は、88%の加水分解度を有する酢酸ビニルおよびビニルアルコールのコポリマーで作製した。各ブロック試料は、1.5センチメートル(cm)×1.5cm×0.5cmのサイズを有していた。試料は、THF中、60℃で5時間にわたり、マレイン酸無水物で変性させた。変性および乾燥後、0.1mmから0.5mmの範囲の厚さを有する試料をブロック試料からカットし、次いでATR-FTIRを使用して試験した。変性試料は実施例21であり、変性のない初期ブロックのFT-IR曲線は、
図18において点線で示される。FTIR結果に基づき、マレイン酸無水物のエステル化から得られるペンダント基は、ブロックの表面領域に主に限定され、したがって比較的高度な変性が外部領域に創出され、比較的低度の変性が試料の内部領域に創出される。このことは、同じ条件下で変性した繊維が、本明細書に記述されるコア-シース構造を有することを確認した。
【0461】
前述の記述は、理解を明瞭にするためにのみ与えられ、本開示の範囲内の修正は当業者に明らかになり得るので、そこから不必要な限定を理解すべきではない。
【0462】
本明細書で引用される全ての特許、刊行物、および参考文献は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。本開示と組み込まれた特許、刊行物、および参考文献との間に矛盾がある場合、本開示を優先すべきである。
【国際調査報告】