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特表2023-540321病原性医療廃棄物処分のための凝集剤ベースの消毒プロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】病原性医療廃棄物処分のための凝集剤ベースの消毒プロセス
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/16 20060101AFI20230914BHJP
   A01N 37/46 20060101ALI20230914BHJP
   A01N 59/06 20060101ALI20230914BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230914BHJP
   B09B 3/70 20220101ALI20230914BHJP
【FI】
A01N59/16 Z
A01N37/46
A01N59/06 Z
A01P3/00
B09B3/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514842
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 IN2021050032
(87)【国際公開番号】W WO2022054071
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】202011039050
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523074102
【氏名又は名称】カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】シャンカー プーパナル,スリジス
(72)【発明者】
【氏名】ユニクリシュナン ネア サラスワシー,ハレッシュ
(72)【発明者】
【氏名】パラメスワラン,ビノド
(72)【発明者】
【氏名】スクマラン,ラジェブ クマール
(72)【発明者】
【氏名】アジャヤゴッシュ,アヤパンピレイ
【テーマコード(参考)】
4D004
4H011
【Fターム(参考)】
4D004AA48
4D004CA34
4D004CC11
4D004CC15
4H011AA02
4H011AA05
4H011BA06
4H011BB06
4H011BB18
4H011DA13
(57)【要約】
病原性医療廃棄物処分のための凝集剤ベースの消毒プロセス
テストサンプル等の感染性廃棄物の不適切な管理は、微生物/毒素/ウイルスの伝染および接触伝染病および感染病の蔓延をもたらす。凝集剤を液体廃棄物に添加することで、流出およびエアロゾル化の危険性が低減する。本発明は、瞬間的な凝集/ゲル化が可能な、規定加重組成物を有し、選択されたナノ材料の水中でのゾルと、ポリアミノ酸(ポリグルタミン酸)を備える凝集/ゲル化剤を提供する。これにより、液体および固体サンプルの両方を消毒し、99.9%を超える微生物の消毒とともにこれらを非感染性にする。このような消毒処理された医療廃棄物の分別、輸送、および焼却は、より容易、より安全になり、医療施設にかかる医療廃棄物処分コストを削減する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液Aと、溶液Bとを含み、
前記溶液Aは、0.1~2000mg/mL、より好適には、1~200mg/mLの範囲内であり、前記溶液Bの10~20%(v/v)の範囲内であり、前記溶液Bは、0.1~700mg/mLの範囲内である、凝集剤ベースの消毒組成物。
【請求項2】
前記溶液Aは、塩基を含有するポリグルタミン酸である、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項3】
前記塩基は、水酸化ナトリウムである、請求項2に記載の消毒組成物。
【請求項4】
前記溶液Bは、チタニウムの酸化物、アルミニウム(ベーマイト)の酸化物、シリコンの酸化物、またはランタノイド元素のリン酸塩からなる群から選択されたナノ材料である、請求項1に記載の消毒組成物。
【請求項5】
前記ランタノイド元素は、セリウムまたはランタンから選択される、請求項4に記載の消毒組成物。
【請求項6】
前記ナノ材料は、0.1~70wt%の範囲内であり、2wt%のTiO、50wt%のSiO、2wt%のLaPO、または10wt%のベーマイトのゾルからなる、請求項4に記載の消毒組成物。
【請求項7】
a.ポリグルタミン酸を水酸化ナトリウムおよび水と混合して溶液Aを得るステップと、
b.ナノ材料の水性ゾルの溶液Bを調製するステップと、
c.ステップ(b)で得られた前記溶液Bにサンプルを添加し、続いて、ステップ(a)で得られた前記溶液Aを添加して、消毒処理組成物の溶液を得るステップと、を備え、
前記得られた溶液は、前記溶液Aの濃度に基づき、凝集、ゲル化、または凝固することを特徴とする、請求項1に記載の消毒組成物を調製するためのプロセス。
【請求項8】
ステップ(a)で使用されるポリグルタミン酸は、前記溶液Bの10~20%(v/v)の範囲内である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
ステップ(a)で使用される水酸化ナトリウムは、ポリグルタミン酸が0.1~2000mg/mL、好適には、100~500mg/mLの範囲内である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記溶液AのpHは、9~13の範囲内である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項11】
ステップ(c)で使用される前記サンプルは、塩、金属塩、水系廃棄物、唾液、尿、血液、または任意の固体サンプル、コットン、ティッシュ、紙、注射針、もしくは綿棒単体からなる群から選択された、またはそれらの組み合わせである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項12】
a.上側システム[1]と、
b.中間システム[2]と、
c.底部システム[3]と、
d.前記上側システムに接続されているスクリューキャップ[4]と、
e.上側システムと底部システムとの間に接続されている破壊可能なスクリューキャップ[5]と、からなり、請求項1に記載の消毒処理組成物で満たされている消毒処分装置。
【請求項13】
前記上側システムは、前記溶液Aで満たされている、請求項12に記載の消毒処分装置。
【請求項14】
前記中間システムは、サンプルで満たされている、請求項12に記載の消毒処分装置。
【請求項15】
前記底部システムは、前記溶液Bで満たされている、請求項12に記載の消毒処分装置。
【請求項16】
サンプルは、固体または液体の廃棄物である、請求項12に記載の消毒処分装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学的廃棄物の処理のための凝集剤ベースのゲル化凝固消毒システムに関する。具体的には、本発明は、水中のゾルとしての選択されたナノ材料と、塩基性化剤を含有するポリアミノ酸からなる消毒組成物の調製のためのプロセスに関し、これは、規定の体積および/または加重組成で固体または流体の廃棄物サンプルと混合されると、99.9%を超える微生物の消毒とともに瞬間的な凝集/ゲル化/凝固をもたらす。より具体的には、本発明は、生物医学的廃棄物の処理のための消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物医学的テストサンプル等の感染性廃棄物の不適切な管理は、微生物/毒素/ウイルスの伝染をもたらし、接触伝染病および感染病の蔓延へとさらに導く。WHOによる意見書(2000年)によると、感染した皮下注射針および注射器等の医療廃棄物の不適切管理は、世界中でB型肝炎(2100万事例)、C型肝炎(200万事例)、およびHIV(26万事例)に関連する感染症を引き起こしてきた。WHOから引用した以下の記述は、適正な医療廃棄物管理の重要性および必要性を損なうものである。「医療廃棄物の不十分な管理は、医療従事者、廃棄物処理者、患者、および地域社会全体を感染症、有毒作用、および傷害、ならびに環境汚染の危険性にさらす恐れがある。全ての医療廃棄物質は、発生時に分別され、適切に処理され、安全に廃棄処分されることが不可欠である。」(http://www.who.int/topics/medical_waste/en/より複製)。
【0003】
液体廃棄物に凝集剤が添加されると、流出およびエアロゾル化の危険性が低減される。コットン、鋭利物、およびティッシュペーパー等の固形廃棄物もまた、感染拡大をもたらす可能性があり、さらに、現在、使用されている単純な吸収剤または次亜塩素酸塩もこのような廃棄物の処理が常にできるというわけではない。仮に凝集/ゲル化剤が消毒剤を含有する場合、廃棄物を規定外の医療廃棄物として廃棄処分することが可能かもしれず、これは赤いゴミ袋で処理するよりも安価である。このような消毒処理された医療廃棄物の分別、輸送、および焼却はより容易、より安全になり、医療施設にかかる医療廃棄物処分コストも削減する。
【0004】
液体生物医学的廃棄物の管理のためにいくつかの方策が導入されており、これには衛生下水道処分法、すなわち最短接触時間30分間の1%の次亜塩素酸ナトリウム溶液、または水1リットル当たり10~14gmのさらし粉、70%のエタノール、4%のホルムアルデヒド、70%のイソプロピルアルコール、25%のヨウ素または6%の過酸化水素を使用する化学処理、塩素またはグルタルアルデヒドのような殺菌剤または消毒剤を含有する乾燥高吸水性ポリマーを使用する液体廃棄物の凝固、クローズド処分システム等が含まれるが、これらに限定されない。「液体生物医学的廃棄物管理:医師にとっての新たな懸念、ビスワルS、ミュラー・ジャーナル・オブ・メディカル・サイエンス・アンド・リサーチ、2013年、4、99~106」の記事を参照してもよく、高い微生物負荷または豊富なタンパク質含有量を含有する培地は厳密な消毒手順を必要とし、不活性化は1:10で希釈された5.23%の次亜塩素酸ナトリウムを安全の保たれた容器内で最短8時間使用して、続いて、衛生下水道へ廃棄し、その後、少なくとも10分間、大量の冷水で洗い流すことで達成される、と記述している。
【0005】
凝固システム(超吸収剤)は、他の処理方法よりも有利で、より安全な生物医学的流体廃棄物の廃棄処分であると考えられている。高吸水性ポリマーは、一般的に、ビスアクリルアミド、トリアクリレート、ジメタクリレート、またはトリアリルアミンを含むが、これらに限定されないオリゴ官能性モノマー等の内部架橋剤を使用して、不飽和カルボン酸、またはアクリル酸、あるいはアクリル酸の金属/アンモニウム塩、およびアクリル酸アルキルを含むが、これらに限定されない不飽和カルボン酸の誘導体を重合させることで調製される。
【0006】
いくつかの特許がこのような凝固システムの開発を啓発してきた。吸収剤構造に基づく良好な液体保持、透過性、および機械的強度を有する表面架橋高吸水性ポリマーについては、米国特許第7291674号明細書が参照できる。
【0007】
少ないゲルブロックで液体凝固するための複数の第2粒子と組み合わされる1または複数の表面架橋超吸収性粒子および液体医療廃棄物を凝固する方法については、米国特許第8450389号明細書を参照できる。
【0008】
複数の表面架橋超吸収性粒子を、容器、創傷被覆剤、および小袋とともに備え、少ないゲルブロックで同様の液体凝固システムを含む携帯型創傷治療システムについては、他の米国特許第9533081号明細書が参照できる。
【0009】
部分加水分解ポリ(酢酸ビニル)、架橋ポリ(ビニルアルコール)、架橋ヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレート、エチレンオキシドのポリマーおよびコポリマー、ならびにアクリルアミドのポリマーおよびコポリマーの親水性キセロゲルを備える排泄流体凝固装置については、米国特許第5391351号明細書が参照できる。
【0010】
密度が異なる3つの吸着剤を備えることで、密度が既知の液体体積を凝固させて、結果的に流動性材料をその全体量にわたって制御された安定化を図るための凝固剤については、米国特許第6797857号明細書が参照できる。
【0011】
粉末吸収剤材料が内部に配置されている液体廃棄物を吸収するためのカプセルであって、上記カプセルの本体は、吸着キャニスター内に位置する液体廃棄物の吸着をもたらす水溶性であるカプセルについては、米国特許第5424265号明細書が参照できる。
【0012】
水、水性液体、および血液を吸収可能な微粒子高吸水性ポリマー、および上記高吸水性ポリマーを製造するプロセスについては、米国特許第9102806号明細書が参照できる。上記高吸水剤は、ポリオレフィン、ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンアクリル酸コポリマー、スチレンコポリマー、エチレンアルキルメタクリレートコポリマー、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、これらの混合物、またはこれらのコポリマーから選択される任意の種類の熱可塑性ポリマーの1~10wt%からなり、人肌と同様のpH値を有する中和された多価金属塩溶液で表面が処理される。
【0013】
シリコン原子に結合した最小で1つのビニル基または最小で1つのアリル基を有するシラン誘導体からなる内部架橋剤と、遠心分離保持能力の高いSi-O結合を少なくとも1つ備える高吸水性ポリマーについては、米国特許第8403904号明細書が参照できる。
【0014】
超吸着ポリマー、液体凝固におけるその調製および応用の方法は、いくつかの特許、すなわち、欧州特許第2739660号明細書、米国特許出願公開第2013/0310251号明細書、欧州特許第0273141号明細書、米国特許第8476189号明細書、日本国特許第5527916号公報、米国特許第5578318号明細書、独国特許出願公開第69815670号明細書の翻訳文、および米国特許第8821363号明細書によって説明されている。
【0015】
使用済みコットン、ティッシュペーパー、注射器、および注射針を含むが、これらに限定されない、固形廃棄物は、一般的に、認可された消毒剤および/または殺菌剤を使用して消毒され、焼却またはリサイクルされる。廃棄物の埋設または埋め立て、セメントピットへの廃棄処分、発泡プラスチック、砂、セメント、または粘土使用の固定化、低/中/高温焼却、調節焼却、蒸気オートクレービング、ロータリーキルン、マイクロ波処理、化学処理、破砕、溶融などが固形廃棄物の処分の一般的な慣例である。
【0016】
(WHO@www.who.int/、およびMedical Waste Management, International Committee of the Red Cross@www.icrc.org/を参照してもよい)。生物医学的廃棄物の消毒には、漂白剤もしくは次亜塩素酸塩、水酸化ナトリウム、または他の化学消毒剤の1~10%の溶液が使用される。熱、アルカリ消化漕、およびマイクロ波もこの目的のために使用される。
【0017】
アクリレート系凝固剤は、安価で広く入手可能だが、デメリットがないわけではない。一般的に、完全にゲル化するまでに10~15分かかり、容易にリサイクルできない。その上、非生分解性で、いくつかのアクリレートはまた可燃性であることが示されている。いくつかのアクリレートとその原料は発がん性を有し得ると研究で示唆されている。アクリルの製造は、健康面および環境面の両方において影響がある。アクリル工場からの化学廃棄物はもちろん、製造に使用されるいくつかの化学物質も有毒である。次亜塩素酸塩(漂白剤)は、血液等の有機物の含有量の多い廃棄物に必ずしも効果的とは限らない。その上、液体と固体の両方の医療廃棄物を瞬時に処理、固定化、消毒可能な消毒システムは、文献上、見当たらない。
【0018】
使用略語
WHO:世界保健機関
min.:分間
wt%:重量パーセント
TiO:チタニア/二酸化チタン
SiO:シリカ/二酸化ケイ素
LaPO:リン酸ランタン
CePO:リン酸セリウム
NaOH:水酸化ナトリウム
mg:ミリグラム
mL:ミリリットル
kg:キログラム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の主たる目的は、固体および流体の生物医学的廃棄物サンプルを瞬間的に凝集、ゲル化、または凝固することを通して、処理および消毒可能な消毒組成物を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、漏出と職業被ばくの低減を通して、固体および液体廃棄物を含む生物医学的廃棄物を管理するための、より安全で費用対効果の良い方策を提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、装置内に収集される固体および流体の廃棄物をケアの必要な時点で廃棄処分するための消毒組成物を調製するためのプロセスを提供する。
【0022】
本発明の別のさらなる目的は、凝集、ゲル化、または凝固を通して、装置内に収集される固体および流体の廃棄物の廃棄処分の準備のための組成物を提供して、さらに、サンプルの処理および輸送を含む廃棄処分の準備のために廃棄物中の感染性因子を破壊または少なくとも消毒もしくは不活性化することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本節は、本発明を好適な実施形態で説明する。
【0024】
上記背景技術を考慮して、本発明は、生物医学的廃棄物の処理のための凝集剤ベースのゲル化凝固消毒組成物の開発の開示を意図するものである。
【0025】
従って、本発明は、溶液Aと、溶液Bとを含み、前記溶液Aは、0.1~2000mg/mL、より好適には、1~200mg/mLの範囲内であり、前記溶液Bの10~20%(v/v)の範囲内であり、前記溶液Bは、0.1~700mg/mLの範囲内である、凝集剤ベースの消毒組成物を提供する。
【0026】
本発明の実施形態では、前記溶液Aは、塩基を含有するポリグルタミン酸である。
【0027】
本発明の他の実施形態では、前記塩基は、水酸化ナトリウムである。
【0028】
本発明のさらなる実施形態では、前記溶液Bは、チタニウムの酸化物、アルミニウム(ベーマイト)の酸化物、シリコンの酸化物、またはランタノイド元素のリン酸塩からなる群から選択されたナノ材料である。
【0029】
本発明のさらなる実施形態では、前記ランタノイド元素は、セリウムまたはランタンから選択される。
【0030】
本発明のまた他の実施形態では、前記ナノ材料は、0.1~70wt%の範囲内である。
【0031】
別の態様では、本発明は、
a.ポリグルタミン酸を水酸化ナトリウムおよび水と混合して溶液Aを得るステップと、
b.ナノ材料の水性ゾルの溶液Bを調製するステップと、
c.ステップ(b)で得られた前記溶液Bにサンプルを添加し、続いて、ステップ(a)で得られた前記溶液Aを添加して、消毒処理組成物の溶液を得るステップと、を備え、
前記得られた溶液は、前記溶液Aの濃度に基づき、凝集、ゲル化、または凝固することを特徴とする、消毒組成物を調製するためのプロセスを提供する。
【0032】
本発明の実施形態では、ステップ(a)で使用されるポリグルタミン酸は、前記溶液Bの10~20%(v/v)の範囲内である。
【0033】
本発明の他の実施形態では、ステップ(a)で使用される水酸化ナトリウムは、ポリグルタミン酸が0.1~2000mg/mL、好適には、100~500mg/mLの範囲内である。
【0034】
本発明のさらなる実施形態では、前記溶液AのpHは、9~13の範囲内である。
【0035】
本発明のさらなる実施形態では、ステップ(c)で使用される前記サンプルは、塩、金属塩、水系廃棄物、唾液、尿、血液、または任意の固体サンプル、コットン、ティッシュ、紙、注射針、もしくは綿棒単体からなる群から選択された、またはそれらの組み合わせである。
【0036】
別の態様では、本発明は、
a.上側システム[1]と、
b.中間システム[2]と、
c.底部システム[3]と、
d.前記上側システムに接続されているスクリューキャップ[4]と、
e.上側システムと底部システムとの間に接続されている破壊可能なスクリューキャップ[5]と、からなり、消毒処理組成物で満たされている消毒処分装置を提供する。
【0037】
本発明の実施形態では、前記上側システムは、前記溶液Aで満たされている。
【0038】
本発明の他の実施形態では、前記中間システムは、サンプルで満たされている。
【0039】
本発明のさらなる実施形態では、前記底部システムは、前記溶液Bで満たされている。
【0040】
本発明のまた他の実施形態では、サンプルは、固体または液体の廃棄物である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】1mLの水中2%のTiOゾルに容積の異なる(10~100μL)ポリグルタミン酸を添加した場合の凝集ゲル化プロセスを示す。全てのサンプルにおいて瞬間的な凝集が起こる一方で、瞬間的なゲル化は、70μL以上の量のポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOHを含有)の添加に際して起こる。
図2】200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、水系廃棄物が混合された1mLの水中TiOゾル(2wt%)のゲル化/凝固を示す。
図3】100μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、過剰な塩化ナトリウム(300mg超)が混合された1mLの水中TiOゾル(2wt%)のゲル化/凝固を示す。塩化ナトリウムはポリグルタミン酸が添加される前に水中TiOゾルに添加された。
図4】100μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、過剰な金属錯体(鉄ビピリジン100mg超)が混合された1mLの水中TiOゾル(2wt%)のゲル化/凝固を示す。金属錯体はポリグルタミン酸が添加される前に水中TiOゾルに添加された。
図5】100μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、過剰な塩化ナトリウム(300mg超)および金属錯体(鉄ビピリジン100mg超)が混合された1mLの水中TiOゾル(2wt%)のゲル化/凝固を示す。塩化ナトリウムおよび金属錯体はポリグルタミン酸が添加される前に水中TiOゾルに添加された。
図6】200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、6%のBSA溶液(水中1mL)が混合された1mLの水中TiOゾル(2wt%)のゲル化/凝固を示す。BSAはポリグルタミン酸が添加される前に水中TiOゾルに添加された。
図7】1mLの人工唾液のゲル化/凝固を示す。200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が1mLの人工唾液に添加され、続いて、2mLの水中シリカ(SiO)ゾル(50wt%)が添加された。
図8】0.75mLの人工唾液のゲル化/凝固を示す。2mLの水中ベーマイト(アルミナ)ゾル(10wt%)が0.75mLの人工唾液に添加され、続いて、200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。
図9】0.3~0.4mLの人工唾液のゲル化/凝固を示す。100μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が0.3~0.4mLの人工唾液に添加され、続いて、1mLの水中TiOゾル(2wt%)が添加された。
図10】1mLの人工尿のゲル化/凝固を示す。200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が1mLの人工尿に添加され、続いて、2mLの水中シリカ(SiO)ゾル(50wt%)が添加された。
図11】1mLの人工尿のゲル化/凝固を示す。1.5mLの水中ベーマイト(アルミナ)ゾル(10wt%)が1mLの人工尿に添加され、続いて、200μLポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。
図12】0.5mLの人工血液のゲル化/凝固を示す。200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が0.5mLの人工血液を含有する1mLの水中TiOゾル(2wt%)に添加された。
図13】固形綿棒の固定化を示す。5mLの水中TiOゾル(2wt%)が綿棒を含むバイアルに添加され、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
図14】固形綿棒の固定化を示す。5mLの水中SiOゾル(50wt%)が綿棒を含むバイアルに添加され、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
図15】固形綿棒の凝集を示す。12mLの水中TiOゾル(2wt%)が綿棒を含むバイアルに添加され、続いて、2mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
図16】注射針の固定化を示す。5mLの水中SiOゾル(50wt%)が注射針を含むバイアルに添加され、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
図17】注射針の固定化を示す。5mLの水中ベーマイトゾル(10wt%)が注射針を含むバイアルに添加され、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
図18】注射針の固定化を示す。5mLの水中LaPOゾル(2wt%)が注射針を含むバイアルに添加され、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
図19】コットンの固定化を示す。2mLの水中ナノ材料ゾルがコットンを含むバイアルに添加され、続いて、200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。1:SiO(50wt%)、2:TiO(2wt%)、3:LaPO(2wt%)、および4:ベーマイト(10wt%)。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
図20】1枚のティッシュペーパーの固定化を示す。2mLの水中ナノ材料ゾルが1枚のティッシュペーパーを含むバイアルに添加され、続いて、200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。1:SiO(50wt%)、2:TiO(2wt%)、3:LaPO(2wt%)、および4:ベーマイト(10wt%)。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
図21】大規模な凝固挙動を示す。(A)100個以下のコットンを有する2000mLのガラスビーカー、(B)ポリグルタミン酸の10%の溶液(100mLの水中に10g)(左側)および100個以下のコットンを有する2000mLのビーカーに添加された1000mLの50%のSiOゾル(右側)、(C)(B)中の2つの混合物が添加されて混合された直後、(D)上下逆さに立っている(C)中の凝固混合物、(E)混合完了後の凝固混合物、(F)上下逆さに立っている(E)中の混合完了後の凝固混合物、および(G)その機械的強度を確認する2kg以下の重りを加えられた凝固混合物の写真である。
図22】処理サンプル、(左側)大腸菌および(右側)黄色ブドウ球菌での微生物の消毒を示す。
図23】流体サンプルのためのオールインワンサンプル収集消毒処分装置の試作品を示し、(A)順に重ねた3つのプラスチック収集バイアルで構成され、(B)上部のバイアルはポリグルタミン酸溶液(100mg/mL、グルタミン酸溶液1mL当たり360mgの水酸化ナトリウムを含有)、中間のバイアルはサンプル収集用、および底部のバイアルは必要量のナノ材料(一例として50wt%のSiOが示されている)ゾルが事前に満たされている。上部区画はねじを外すことができ、サンプルは中間区画に収集できる。収集されたサンプルが一旦検査されると、まず(C)中間区画と底部区画との間の接合部を壊すことでサンプルをナノ材料ゾルと混合できるようにし、続いて、(D)上部区画と中間区画との間の接合部を壊すことで上部区画からポリグルタミン酸を添加し、残りのサンプルは凝集、ゲル化、または凝固できる。3つの流体混合物を混合することで病原体の完全消毒が可能となる。
図24】固体サンプルのためのオールインワンサンプル収集消毒処分装置の試作品を示し、(A)別のより小さなプラスチックバイアルがその上部に載っている固体サンプル用プラスチック収集容器で構成され、(B)上部のバイアルはポリグルタミン酸溶液(100mg/mL、グルタミン酸溶液1mL当たり360mgの水酸化ナトリウムを含有)、および底部のバイアルは必要量のナノ材料(一例として50wt%のSiOが示されている)ゾルが半分満たされている。(C)上部区画はねじを外すことができ、固体サンプル(コットン廃棄物)が底部区画に収集でき、(D)2つの区画間の接合部を壊すことでサンプルとナノ材料ゾルをポリグルタミン酸溶液と混合することを可能にして、凝集、ゲル化、または凝固できる。溶液の混合およびゲル化により病原体の完全消毒が可能となる。
図25図23に示される流体サンプル用のオールインワンサンプル収集消毒処分装置の試作品の設計図である。
図26図24に示される固体サンプル用のオールインワンサンプル収集消毒処分装置の試作品の設計図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
従って、本発明において、添付の説明/図面は、本発明を詳細に説明し理解する目的を意図するものであり、本発明もしくはその範囲またはその両方を限定する意図はない。
【0043】
上記背景技術を考慮して、本発明は生物医学的廃棄物の処理のための凝集剤ベースのゲル化凝固消毒組成物を提供する。本明細書中に説明されている処理組成物は、水中のゾルとしての選択されるナノ材料と、塩基性化剤を含むポリアミノ酸とからなり、規定の体積および/または加重組成で固体または流体の廃棄物サンプルと混合されると、最大100%までの微生物の消毒とともに瞬間的な凝集/ゲル化/凝固をもたらす。
【0044】
本発明の主たる目的は、バクテリア、菌類など、ウイルス、および他の毒素等だが、これらに限定されない、病原菌を含む感染性因子の破壊、消毒、または不活性化と組み合わされた収集容器に収集される固体および流体廃棄物の廃棄処分の準備のための消毒組成物を提供することであり、それによって、処理、取り扱い、および輸送を含む廃棄処分がより容易、より安全、そして費用対効果が良くなると考えられる。
【0045】
本発明の別の態様は、唾液、尿、血液などが含まれるが、これらに限定されない、流体医療廃棄物のための非流動環境を作る方法を提供し、漏出および職業被ばくに関する危険性が最小限に抑えられ、99.9%を超える微生物の消毒も付加される。
【0046】
一態様では、本主題は、コットン、ティッシュペーパー、綿棒、注射針などが含まれるが、これらに限定されない、固体医療廃棄物の処理を対象にし、99.9%を超える微生物の消毒とともに未処理および感染したサンプルの集積に関する危険性が最小限に抑えられる。
【0047】
本発明の別の態様は、所定の量の流体医療廃棄物の完全消毒のための体積組成物を開示する。体積組成物は、チタニウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、シリコンの酸化物、またはランタンまたはセリウムから選択されるが、これらに限定されないランタノイド元素のリン酸塩から選択されるが、これらに限定されない、規定のナノ材料の所定のwt%の水中のゾルと、pH調整塩基またはアルカリを含有する、その水溶液としての生体高分子、具体的には、ポリアミノ酸、さらに具体的に言うと、ポリグルタミン酸との体積組成物である。
【0048】
本発明はまた、固体医療廃棄物の処理方法を提供する。固体医療廃棄物の処理方法は、チタニウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、シリコンの酸化物、またはランタンまたはセリウムから選択されるが、これらに限定されないランタノイド元素のリン酸塩から選択されるが、これらに限定されない、規定のナノ材料の所定のwt%の水中のゾルと、pH調整塩基またはアルカリを含有する、その水溶液としての生体高分子、具体的には、ポリアミノ酸、さらに具体的に言うと、ポリグルタミン酸との組成物を使用して、コットン、綿棒、注射針、またはティッシュペーパーが含まれるが、これらに限定されない、固体医療廃棄物の処理の方法である。これにより、99.9%を超える微生物の消毒とともにサンプルを非感染性にする。
【0049】
広範囲に及ぶ調査に際し、本発明の発明者らは、ポリアミノ酸をその水溶液として、安定した水中ナノ材料ゾルに添加することで、瞬間的な凝集をもたらし、上記の凝集プロセスをさらに制御して、ナノ材料の種類、濃度、体積比などに依存するが、これらに限定されない慎重に管理された状況下でゲル化または凝固を生じさせることができると見出した。
【0050】
本発明は、バクテリア、菌類など、ウイルス、および他の毒素等だが、これらに限定されない、病原菌を含む感染性因子の破壊、消毒、または不活性化と組み合わされた、装置内に収集される固体および流体廃棄物をケアの必要な時点での廃棄処分の準備のための消毒組成物を提供し、それによって、処理、取り扱い、および輸送を含む処分がより容易、より安全、そして費用対効果が良くなると考えられる。液体廃棄物に凝集剤が添加されると、流出およびエアロゾル化の危険性が低減される一方、消毒はその廃棄物を規定外の医療廃棄物として廃棄処分することを可能にし、これは赤いゴミ袋に入れて処理するよりも安価である。このような消毒処理された医療廃棄物の分別、輸送、および焼却は、より容易、より安全になり、医療施設にかかる医療廃棄物処分コストも削減する。
【0051】
本発明は、体積組成物を提供する。体積組成物は、チタニウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、シリコンの酸化物、またはランタンまたはセリウムから選択されるが、これらに限定されないランタノイド元素のリン酸塩から選択されるが、これらに限定されない、規定のナノ材料の所定のwt%の水中のゾル、好適には0.1~50wt%の水中チタニア(TiO)ゾル、より好適には、1~5wt%の水中チタニア(TiO)ゾル、好適には0.1~60wt%の水中ベーマイト(アルミナ)ゾル、より好適には、5~10wt%の水中ベーマイト(アルミナ)ゾル、好適には0.1~50wt%の水中リン酸ランタンまたはセリウム(LaPOまたはCePO)ゾル、より好適には、1~5wt%の水中リン酸ランタンまたはセリウム(LaPOまたはCePO)ゾル、好適には0.1~70wt%の水中シリカ(SiO)、より好適には、25~50wt%の水中シリカ(SiO)ゾルと、pH調整塩基またはアルカリを含有する、その水溶液としての、好適には0.1~2000mg/mLの濃度で、より好適には1~200mg/mLの濃度の生体高分子、具体的には、ポリアミノ酸、さらに具体的に言うと、ポリグルタミン酸との体積組成物である。上記の塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、金属の塩基性塩および有機カチオン、より好適には、ポリアミノ酸1mL当たり0.1~2000mg、より好適には、ポリアミノ酸1mL当たり100~500mgの濃度の水酸化ナトリウムであり、上記の混合物は所定の量の流体医療廃棄物の完全消毒をもたらす。
【0052】
本発明は、生物医学的廃棄物の処理および処分のための自己消毒凝集剤ベースのゲル化凝固組成物を提供する。本明細書中に開示される処理組成物は、その水溶液としてポリアミノ酸と水中のゾルとしての選択されるナノ材料とからなり、これは、規定の体積および/または加重組成で固体または流体の廃棄物サンプルと混合されると、最大100%までの微生物の消毒とともに瞬間的な凝集/ゲル化/凝固をもたらす。上記の溶液は、好適にはpH>11、より好適には、pH>13の塩基を使用して、pH>9のアルカリに塩基性化され、上記の塩基は、好適には水酸化ナトリウムである。
【0053】
本発明は、固体医療廃棄物の処理のプロセスを提供する。固体医療廃棄物の処理のプロセスは、チタニウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、シリコンの酸化物、またはランタンまたはセリウムから選択されるが、これらに限定されないランタノイド元素のリン酸塩から選択されるが、これらに限定されない、規定のナノ材料の所定のwt%の水中のゾル、好適には0.1~50wt%の水中チタニア(TiO)ゾル、より好適には、1~5wt%の水中チタニア(TiO)ゾル、好適には0.1~60wt%の水中ベーマイト(アルミナ)ゾル、より好適には、5~10wt%の水中ベーマイト(アルミナ)ゾル、好適には0.1~50wt%の水中リン酸ランタンまたはセリウム(LaPOまたはCePO)ゾル、より好適には、1~5wt%の水中リン酸ランタンまたはセリウム(LaPOまたはCePO)ゾル、好適には0.1~70wt%の水中シリカ(SiO)、より好適には、25~50wt%の水中シリカ(SiO)ゾルと、pH調整塩基またはアルカリを含有する、その水溶液としての、好適には0.1~2000mg/mLの濃度で、より好適には1~200mg/mLの濃度の生体高分子、具体的には、ポリアミノ酸、さらに具体的に言うと、ポリグルタミン酸との組成物を使用して、コットン、綿棒、注射針、またはティッシュペーパーが含まれるが、これらに限定されない、固体医療廃棄物を処理するプロセスである。上記の塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、金属の塩基性塩および有機カチオン、より好適には、ポリアミノ酸1mL当たり0.1~2000mg、より好適には、ポリアミノ酸1mL当たり100~500mgの濃度の水酸化ナトリウムであり、その結果、99.9%を超える微生物の消毒とともにサンプルを非感染性にする。
【0054】
本発明は消毒組成物を提供し、消毒組成物は、1または複数のナノ材料のゾルと、pH調整塩基またはアルカリを含有する、その水溶液としての、好適には0.1~2000mg/mLの濃度、より好適には、1~200mg/mLの濃度のpH調整済ポリアミノ酸、具体的には、ポリグルタミン酸とからなり、上記の塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、金属の塩基性塩および有機カチオン、より好適には、ポリアミノ酸1mL当たり0.1~2000mg、より好適には、ポリアミノ酸1mL当たり100~500mgの濃度の水酸化ナトリウムであり、タンパク質、微生物培養物、高濃度の塩または金属イオンを含有する固体または流体サンプルの凝集/ゲル化/凝固を効果的に行う。
【0055】
本発明は、唾液、尿、血液などが含まれるが、これらに限定されない、流動性の良い流体医療廃棄物のための非流動環境を作る方法を提供し、漏出および職業被ばくに関する危険性が最小限に抑えられ、99.9%を超える微生物の消毒も付加される。各例に記載されるように、高タンパク含有物、塩または糖が混ぜられて体液のサンプルがシミュレートされた。
【0056】
本発明における別の重要な構成要素は、感染拡大をもたらすコットン、ティッシュペーパー、綿棒、注射針などを含むが、これらに限定されない固体医療廃棄物の処理に関し、現在使用されている簡易な吸収剤または次亜塩素酸塩は、必ずしもこのような固形廃棄物の処理ができるわけではなく、未処理および感染したサンプルの集積に関する危険性は、99.9%を超える微生物の消毒とともに最小限に抑えられる。
【0057】
本発明の別の態様は、固体または液体のサンプルを収集可能な必要寸法のオールインワンサンプル収集凝固消毒装置の作成、必要に応じておよび必要時におけるサンプルの凝集/ゲル化/凝固、およびその廃棄処分準備のためのサンプルの消毒を対象とする。
【実施例
【0058】
以下の実施例は、説明のためであり、そのため、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0059】
実施例1.ポリグルタミン酸を使用するTiOゾルの凝集ゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。1mLの水中TiOゾル(2wt%)を10個の8mLのガラスバイアルへとピペットで移した。10~100μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルのそれぞれに添加され、混合された。混合するとすぐに全てのバイアル内において凝集の発生が確認された一方で、瞬間的なゲル化は、70μL以上の量のポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して発生する。
【0060】
実施例2.ポリグルタミン酸を使用するTiOゾル中の水系廃棄物の凝集ゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。1mLの水中TiOゾル(2wt%)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水系廃棄物に添加された。200μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して瞬間的なゲル化が発生した。
【0061】
実施例3.ポリグルタミン酸を使用し、過剰な塩化ナトリウムを含有するTiO2ゾルのゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。過剰な塩化ナトリウム(300mg)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水中TiO2ゾル(2wt%)に添加された。200μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して瞬間的なゲル化が発生した。
【0062】
実施例4.ポリグルタミン酸を使用し、過剰な金属塩を含有するTiOゾルのゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。Fe(II)ビピリジン錯体(100mg、Fe(bpy)Cl)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水中TiOゾル(2wt%)に添加された。200μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して瞬間的なゲル化が発生した。
【0063】
実施例5.ポリグルタミン酸を使用し、過剰な塩化ナトリウムおよび金属塩を含有するTiOゾルのゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。過剰な塩化ナトリウム(300mg)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水中TiOゾル(2wt%)に添加され、続いて、Fe(II)ビピリジン錯体(100mg、Fe(bpy)Cl)が添加された。200μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して瞬間的なゲル化が発生した。
【0064】
実施例6.ポリグルタミン酸を使用し、ヒト血液を再現したタンパク質含有のTiOゾルのゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。ウシ血清アルブミン(BSA、ヒトの血液を再現した水中で6%、1mL)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水中TiOゾル(2wt%)に添加された。200μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して瞬間的なゲル化が発生した。
【0065】
実施例7.ポリグルタミン酸を使用するSiOゾルのゲル化凝固
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。100μLのポリグルタミン酸溶液が8mLのガラスバイアル内の1mLのSiOゾル(水中で50wt%)に添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、凝固をもたらす瞬間的なゲル化が発生した。
【0066】
実施例8.ポリグルタミン酸を使用するSiOゾル中の水系廃棄物のゲル化凝固
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。1mLの水中SiOゾル(50wt%)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水系廃棄物に添加された。200μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、凝固をもたらす瞬間的なゲル化が発生した。
【0067】
実施例9.ポリグルタミン酸を使用し、過剰な金属塩を含有するTiOゾルのゲル化凝固
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。Fe(II)ビピリジン錯体(100mg、Fe(bpy)Cl)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水中SiOゾル(50wt%)に添加された。200μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、凝固をもたらす瞬間的なゲル化が発生した。
【0068】
実施例10.ポリグルタミン酸を使用し、ヒト血液を再現したタンパク質含有のSiOゾルのゲル化凝固
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。ウシ血清アルブミン(BSA、ヒトの血液を再現した水中で6%、1mL)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水中SiOゾルに添加された。200μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、瞬間的なゲル化、続いて、凝固が発生した。
【0069】
実施例11.ポリグルタミン酸を使用するベーマイト(アルミナ)ゾルの凝集ゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。100μLのポリグルタミン酸溶液が8mLのガラスバイアル内の1mLのベーマイトゾル(10wt%の水中)に添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生した。
【0070】
実施例12.ポリグルタミン酸を使用するベーマイト(アルミナ)ゾル中の水系廃棄物の凝集ゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。1mLの水中ベーマイトゾル(10wt%)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水系廃棄物に添加された。200μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、ゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生した。
【0071】
実施例13.ポリグルタミン酸を使用し、ヒト血液を再現したタンパク質含有のベーマイト(アルミナ)ゾルの凝集
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。ウシ血清アルブミン(BSA、ヒトの血液を再現した水中で6%、1mL)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水中SiOゾルに添加された。100μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、瞬間的な凝集が発生した。
【0072】
実施例14.ポリグルタミン酸を使用し、ヒト血液を再現したタンパク質含有のベーマイト(アルミナ)ゾルの凝集ゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。ウシ血清アルブミン(BSA、ヒトの血液を再現した水中で6%、1mL)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水中SiOゾルに添加された。200μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、ゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生した。
【0073】
実施例15.ポリグルタミン酸を使用するLnPO(Ln=La、Ce)ゾルの凝集ゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。100μLのポリグルタミン酸溶液が8mLのガラスバイアル内の1mLのLaPOゾル(2wt%の水中)に添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、ゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生した。
【0074】
実施例16.ポリグルタミン酸を使用するLnPO(Ln=La、Ce)ゾル中の水系廃棄物の凝集ゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。1mLの水中LaPOゾル(2wt%)が8mLのガラスバイアル内の1mLの水系廃棄物に添加された。200μLのポリグルタミン酸溶液が上記のバイアルに添加され、混合された。ポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)の添加に際して、ゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生した。
【0075】
実施例17.人工唾液の調製
以下の2つの手順によって人工唾液が調製された。(i)1.5mMのCa(NO3)2、0.90mMのKHPO、130mMのKCl、およびpH7.4の60mMのトリスバッファーを混合する(カークハム、Jら、自己組織化足場ペプチドによるエナメル質の再石灰化促進、ジャーナル・オブ・デンタル・リサーチ、2007年、86、426~430を参照してもよい)。(ii)塩化ナトリウム(0.06g)、塩化カリウム(0.072g)、塩化カルシウム二水和物(0.022g)、リン酸二水素カリウム(0.068g)、リン酸水素二ナトリウム十二水和物(0.086g)、チオシアン酸カリウム(0.006g)、炭酸水素ナトリウム(0.15g)、およびクエン酸(0.003g)をpH6.5の100mLの蒸留水に混合する(デュフォ、G.S.ら、歯科用合金の腐食挙動を研究するための人工唾液溶液の開発、コロージョン、2004年、60、594~602を参照してもよい)。
【0076】
実施例18.ポリグルタミン酸を使用するSiOゾル中の人工唾液の凝集ゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。1mLの人工唾液を8mLのガラスバイアルに採取し、200μLのポリグルタミン酸溶液が添加され、混合された。その後、2mLの水中SiOゾル(50wt%)が添加され、混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生した。
【0077】
実施例19.ポリグルタミン酸を使用するベーマイト(アルミナ)ゾル中の人工唾液のゲル化凝固
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。0.75mLの人工唾液を8mLのガラスバイアルに採取し、2mLの水中ベーマイトゾル(10wt%)が添加された。その後、200μLのポリグルタミン酸溶液が添加され、混和に際して凝固をもたらす瞬間的なゲル化が発生した。
【0078】
実施例20.ポリグルタミン酸を使用するTiOゾル中の人工唾液の凝集ゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。0.3~0.4mLの人工唾液を8mLのガラスバイアルに採取し、1mLの水中TiOゾル(2wt%)が添加された。その後、100μLのポリグルタミン酸溶液が添加され、混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生した。
【0079】
実施例21.人工尿の調製
容器内の75mLの蒸留水に尿素(1.82g)が添加され溶解するようにしっかりと振った。塩化ナトリウム(0.75g)、塩化カリウム(0.45g)、およびリン酸ナトリウム(0.48g)が上記の混合物にさらに添加され、溶解するまでしっかりと混合された。pHが5から7の間に調整された。クレアチニン(200mg)およびアルブミン粉末(5mg)が添加され、軽く混合された。人工尿はこのように得られ、各実験前に数mgのグルコースがさらに混ぜられた。
【0080】
実施例22.ポリグルタミン酸を使用するSiOゾル中の人工尿のゲル化凝固
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。1mLのグルコースが混ぜられた人工尿を8mLのガラスバイアルに採取し、200μLのポリグルタミン酸溶液が添加され、混合された。その後、2mLの水中SiOゾル(50wt%)が添加され、混和に際して凝固をもたらす瞬間的なゲル化が発生した。
【0081】
実施例23.ポリグルタミン酸を使用するベーマイト(アルミナ)ゾル中の人工尿の凝集からゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。1mLのグルコースが混ぜられた人工尿を8mLのガラスバイアルに採取し、1.5mLの水中ベーマイトゾル(10wt%)が添加された。その後、200μLのポリグルタミン酸溶液が添加され、混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生した。
【0082】
実施例24.人工血液の調製
BSAの6%の溶液が蒸留水で調製された。その後、少量の赤色水溶性染料が着色するために添加された。
【0083】
実施例25.ポリグルタミン酸を使用するTiOゾル中の人工血液の凝集ゲル化
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。0.5mLの人工唾液を8mLのガラスバイアルに採取し、1mLの水中TiOゾル(2wt%)が添加された。その後、200μLのポリグルタミン酸溶液が添加され、混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生した。
【0084】
実施例26.ポリグルタミン酸を使用するSiOゾル中の人工血液のゲル化凝固
100mg/mLの濃度のポリグルタミン酸の原液が水で調製され、水酸化ナトリウム(ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mg)が添加された。0.5mLの人工血液を8mLのガラスバイアルに採取し、200μLのポリグルタミン酸溶液が添加され、混合された。その後、1mLの水中SiOゾル(50wt%)が添加され、混和に際して凝固をもたらす瞬間的なゲル化が発生した。
【0085】
実施例27.ポリグルタミン酸を使用し、ゲル化されたTiO2ゾル中の固形綿棒の固定化
1本の綿棒(4cm)を8mLのガラスバイアルに採取した。5mLの水中TiOゾル(2wt%)がバイアルに添加され(綿棒がゾルにほとんど浸かるように)、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生し、綿棒は固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0086】
実施例28.ポリグルタミン酸を使用し、ゲル化されたSiOゾル中の固形綿棒の固定化
1本の綿棒(4cm)を8mLのガラスバイアルに採取した。5mLの水中SiOゾル(50wt%)がバイアルに添加され(綿棒がゾルにほとんど浸かるように)、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際して凝固をもたらす瞬間的なゲル化が発生し、綿棒は固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0087】
実施例29.ポリグルタミン酸を使用し、凝集されたTiOゾル中の固形綿棒の処理
1本の綿棒(8cm)を15mLのガラスバイアルに採取した。12mLの水中TiOゾル(2wt%)がバイアルに添加され(綿棒がゾルにほとんど浸かるように)、続いて、2mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際して、固体および液体の成分の分離をもたらす瞬間的な凝集が発生した。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0088】
実施例30.ポリグルタミン酸を使用し、ゲル化されたSiOゾル中の注射針の固定化
注射針(4cm)を8mLのガラスバイアルに採取した。5mLの水中SiOゾル(50wt%)がバイアルに添加され(注射針がゾルにほとんど浸かるように)、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際して凝固をもたらす瞬間的なゲル化が発生し、注射針は固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0089】
実施例31.ポリグルタミン酸を使用し、ゲル化されたベーマイト(アルミナ)ゾル中の注射針の固定化
注射針(4cm)を8mLのガラスバイアルに採取した。5mLの水中ベーマイトゾル(10wt%)がバイアルに添加され(注射針がゾルにほとんど浸かるように)、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生し、注射針は固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0090】
実施例32.ポリグルタミン酸を使用し、ゲル化されたLaPOゾル中の注射針の固定化
注射針(4cm)を8mLのガラスバイアルに採取した。5mLの水中LaPOゾル(2wt%)がバイアルに添加され(注射針がゾルにほとんど浸かるように)、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生し、注射針は固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0091】
実施例33.ポリグルタミン酸を使用し、ゲル化されたSiOゾル中のコットン廃棄物の固定化
1個のコットン廃棄物を8mLのガラスバイアルに採取した。2mLの水中SiOゾル(50wt%)がバイアルに添加され(コットンがゾルにほとんど浸かるように)、続いて、200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際して凝固をもたらす瞬間的なゲル化が発生し、コットン廃棄物は固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0092】
実施例34.ポリグルタミン酸を使用し、凝集されたTiOゾル中のコットン廃棄物の固定化
1個のコットン廃棄物を8mLのガラスバイアルに採取した。2mLの水中TiOゾル(2wt%)がバイアルに添加され(コットンがゾルにほとんど浸かるように)、続いて、200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生し、コットン廃棄物は固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0093】
実施例35.ポリグルタミン酸を使用し、ゲル化されたLaPOゾル中のコットン廃棄物の固定化
1個のコットン廃棄物を8mLのガラスバイアルに採取した。2mLの水中LaPOゾル(2wt%)がバイアルに添加され(注射針がゾルにほとんど浸かるように)、続いて、200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生し、コットン廃棄物は固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0094】
実施例36.ポリグルタミン酸を使用し、ゲル化されたベーマイト(アルミナ)ゾル中のコットン廃棄物の固定化
1個のコットン廃棄物を8mLのガラスバイアルに採取した。2mLの水中ベーマイトゾル(10wt%)がバイアルに添加され(コットンがゾルにほとんど浸かるように)、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生し、コットン廃棄物は固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0095】
実施例37.ポリグルタミン酸を使用し、ゲル化されたSiOゾル中のティッシュペーパーの固定化
1枚のティッシュペーパーを8mLのガラスバイアルに採取した。2mLの水中SiOゾル(50wt%)がバイアルに添加され(ティッシュペーパーがゾルにほとんど浸かるように)、続いて、200Lのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際して凝固をもたらす瞬間的なゲル化が発生し、ティッシュペーパーは固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0096】
実施例38.ポリグルタミン酸を使用し、凝集されたTiOゾル中のティッシュペーパーの固定化
1枚のティッシュペーパーを8mLのガラスバイアルに採取した。2mLの水中TiOゾル(2wt%)がバイアルに添加され(ティッシュペーパーがゾルにほとんど浸かるように)、続いて、200Lのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生し、ティッシュペーパーは固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0097】
実施例39.ポリグルタミン酸を使用し、ゲル化されたLaPOゾル中のティッシュペーパーの固定化
1枚のティッシュペーパーを8mLのガラスバイアルに採取した。2mLの水中LaPOゾル(2wt%)がバイアルに添加され(ティッシュペーパーがゾルにほとんど浸かるように)、続いて、200μLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生し、ティッシュペーパーは固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0098】
実施例40.ポリグルタミン酸を使用し、ゲル化されたベーマイト(アルミナ)ゾル中のティッシュペーパーの固定化
1枚のティッシュペーパーを8mLのガラスバイアルに採取した。2mLの水中ベーマイトゾル(10wt%)がバイアルに添加され(ティッシュペーパーがゾルにほとんど浸かるように)、続いて、1mLのポリグルタミン酸(c=100mg/mL、360mg/mLのNaOH含有)が添加された。混和に際してゲル化をもたらす瞬間的な凝集が発生し、ティッシュペーパーは固体マトリクス内に固定化された。ゾルおよびグルタミン酸の量は、固体サンプルのサイズによって決まる。
【0099】
実施例41.抗微生物研究
大腸菌および黄色ブドウ球菌の培養物がルリア-ベルターニ(LB)培地で調製され、大腸菌または黄色ブドウ球菌のコロニー形成単位(cfus)が1ミリリットル当たり約1~3×106である18時間経過時点でテストのために採取された。(予め、600nmの光学密度に基づいて規格化)。1mLの水中ナノ材料(2wt%のTiO、50wt%のSiO、2wt%のLaPO、または10wt%のベーマイト)ゾルに0.5~1.0mLのバクテリア懸濁液(スパイク溶液)を混ぜ、ボトルを回して混合させた。混合物全体がゲルになった際に、その濃度が総量(スパイク溶液も含む)の10%となるように、水系ポリグルタミン酸溶液(100mg/mL、ポリグルタミン酸溶液1mL当たり360mgの水酸化ナトリウムを含有)が添加された。ゲルはしっかりと混合され、滅菌した生理食塩水で10×希釈され、その希釈溶液100μLがLB寒天プレート上に置かれて37℃で一晩培養された。並行して、元のバクテリア懸濁液が連続的に滅菌生理食塩水で希釈され、適切な希釈液100μLがLB寒天プレートに置かれ、コントロールの役割を果たすテストサンプルとして培養された。翌日、コロニーが数えられ、適用された希釈に基づいて、ゾルに添加された元のバクテリア懸濁液のCFU/mLの数とゲル化した消毒剤中のCFUが算出された。効率は以下のように算出された。[(バクテリア懸濁液中のCFU数-ゲル化した消毒剤中のCFU数)/バクテリア懸濁液中のCFU数]×100で、百分率で表した。
【0100】
実施例42.流体サンプル用のサンプル収集消毒処分装置
流体サンプル用のオールインワンサンプル収集消毒処分装置の試作品が以下のように製造された。上部バイアルがポリグルタミン酸溶液(100mg/mL、グルタミン酸溶液1mL当たり360mgの水酸化ナトリウムを含有)を含有し、中間バイアルはサンプル収集のためであり、底部バイアルが必要量のナノ材料(2wt%のTiO、50wt%のSiO、2wt%のLaPO、または10wt%のベーマイト)ゾルが事前に満たされるように、3つのプラスチック収集バイアルが順に重ねられた。このデザインは、上部区画のねじを外すことを可能にして、サンプルを中間区画に採取できる。収集されたサンプルが一旦検査されると、まず、中間区画と底部区画との間の接合部を壊すことでサンプルをナノ材料ゾルと混合させることを可能にし、続いて、上部区画と中間区画との間の接合部を壊すことで上部区画からポリグルタミン酸を添加することを可能にして、残りのサンプルは凝集、ゲル化、または凝固できる。3つの流体混合物を混合することで、実施例37で証明されたように、完全な病原体の消毒が可能となる。
【0101】
実施例43.固体サンプル用のサンプル収集消毒処分装置
固体サンプル用のオールインワンサンプル収集消毒処分装置の試作品が以下のように製造された。固体サンプル(例えば、コットン廃棄物)用プラスチック収集容器は、上部バイアルはポリグルタミン酸溶液(100mg/mL、グルタミン酸溶液1mL当たり360mgの水酸化ナトリウム含有)を含有し、底部バイアルは必要量のナノ材料(2wt%のTiO、50wt%のSiO、2wt%のLaPO、または10wt%のベーマイト)ゾルが半分満たされるように、別のより小さなプラスチックバイアルがその上部に載せられた。このデザインは、上部区画のねじを外すことを可能にし、固体サンプルを底部区画に収集できる。一旦、十分な数の固体サンプルが底部容器に採取されたら2つの区画間の接合部を壊すことでサンプルとナノ材料ゾルをポリグルタミン酸溶液と混合させることができ、凝集、ゲル化、または凝固できる。溶液の混合およびゲル化により、実施例37で証明されたように、完全な病原体の消毒が可能となる。
【0102】
本発明の利点
・固有の抗微生物活性との混合
・混和に際する瞬間的なゲル化/凝集
・99.9%を超える微生物の消毒
・漏出および職業被ばくの危険性の低減
・規定外の医療廃棄物として廃棄物の処分が可能
・流体および固体医療廃棄物の両方の浄化に適用可能
・より安全、より容易で、費用対効果の良い廃棄処分
・任意の量の流体廃棄物を取り扱うために事前計測した容器を使用可能
・オールインワンサンプル収集消毒処分装置に組み込むことが可能
【符号の説明】
【0103】
[1]上側システム
[2]中間システム
[3]底部システム
[4]スクリューキャップ
[5]スクリューキャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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【国際調査報告】