(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】熱安定性多層バリアフィルム構造
(51)【国際特許分類】
B32B 27/06 20060101AFI20230920BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230920BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20230920BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B32B27/06
B65D65/40 D
B32B15/08 F
B32B9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515396
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 US2021049614
(87)【国際公開番号】W WO2022056095
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522475557
【氏名又は名称】アムコア・フレキシブルズ・ノース・アメリカ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AMCOR FLEXIBLES NORTH AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】2301 Industrial Drive,Neenah,WI 54956 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・オクレ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフガング・ローヴァッサー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エトリッジ
(72)【発明者】
【氏名】ロイ・クリストファーソン
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086BA04
3E086BA13
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(57)【要約】
(10)~(100)pmの厚さを有するポリマー基材層と、無機コーティング層と、ポリマー基材層と無機コーティング層とに配置されるポリマー緩衝層であって無機コーティング層に直接接触するポリマー緩衝層とを含む耐久性バリアフィルムであって、無機コーティング層が(0.25)~(1.0)pmの平均振幅及び(2)~(5)pmの波長を特徴とする波構造を含む、耐久性バリアフィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐久性バリアフィルムであって、
ポリマー基材層と、
無機コーティング層と、
前記ポリマー基材層と前記無機コーティング層との間に配置されるポリマー緩衝層であって、前記無機コーティング層に直接接触するポリマー緩衝層と、
収縮開始温度と、
を含み、
前記ポリマー基材層が、ASTM D2732に準拠して前記収縮開始温度において縦方向又は横方向の少なくとも1つで0.5%~50%の自由収縮を含み、
前記無機コーティング層が0.005μm~0.1μmの厚さを含み、
前記ポリマー緩衝層が0.5μm~12μmの厚さを含み、
前記ポリマー緩衝層の前記厚さの、前記無機コーティング層の前記厚さに対する比が20~500で構成され、
前記ポリマー緩衝層が、ASTM E2546-15及びAnnex X.4に準拠して収集した測定置から計算して、前記収縮開始温度において、0.1~100MPaで構成されるヤング率を含む、
耐久性バリアフィルム。
【請求項2】
前記ポリマー緩衝層が1~5μmの厚さを含む、請求項1に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項3】
前記無機コーティング層が金属層又は酸化物コーティング層を含み、前記無機コーティング層の前記厚さが0.005μm~0.06μmで構成される、請求項1又は2に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項4】
前記ポリマー緩衝層の前記厚さの、前記無機コーティング層の前記厚さに対する前記比が30~120で構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項5】
前記ポリマー基材層が、一軸配向ポリプロピレンフィルム、二軸配向ポリプロピレンフィルム、一軸配向ポリエチレンフィルム、二軸配向ポリエチレンフィルム、一軸配向ポリエステルフィルム、又は二軸配向ポリエステルフィルムを含み、前記ポリマー基材層が6μm~100μmの厚さを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項6】
前記ポリマー基材層が配向ポリオレフィンフィルムを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項7】
前記ポリマー基材層が、ASTM D2732に準拠して前記収縮開始温度において1%~6%の自由収縮を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項8】
前記ポリマー緩衝層が、ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレンをベースとするポリマー、ポリウレタンをベースとするポリマー、又はポリ乳酸を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項9】
前記無機コーティング層に直接接触する第2のポリマー緩衝層をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項10】
1つ以上の追加の層をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項11】
前記ポリマー基材層が、10~50μmの厚さをもつ二軸配向ポリプロピレンを含み、
前記無機コーティング層が、真空蒸着されたアルミニウム、AlOx、又はSiOxを含み、前記無機コーティング層の前記厚さが0.01~0.1μmで構成され、
前記ポリマー緩衝層がポリウレタンを含み、前記ポリマー緩衝層の前記厚さが1~2.5μmで構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項12】
前記ポリマー基材層が一軸配向ポリエチレンフィルムを含み、前記ポリマー緩衝層がビニルアルコールコポリマーを含み、前記無機コーティング層が、真空蒸着されたアルミニウム、AlOx、又はSiOxを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項13】
耐久性バリアフィルムであって、
ポリマー基材層と
無機コーティング層と、
前記ポリマー基材層と前記無機コーティング層との間に配置されるポリマー緩衝層であって、前記無機コーティング層に直接接触するポリマー緩衝層とを含み、
前記ポリマー基材層が、ASTM D2732に準拠して60℃において0.5%~50%の自由収縮を含み、
前記無機コーティング層が0.005μm~0.1μmの厚さを含み、
前記ポリマー緩衝層が0.5~12μmの厚さを含み、
前記ポリマー緩衝層の前記厚さの、前記無機コーティングの前記厚さに対する比が20~500で構成され、
前記ポリマー緩衝層が、60℃の温度において、ASTM E2546-15及びAnnex X.4に準拠して収集した測定値から計算して0.1~100MPaで構成されるヤング率を含む、
耐久性バリアフィルム。
【請求項14】
耐久性バリアフィルムであって、
ポリマー基材層と、
無機コーティング層と、
前記ポリマー基材層と無機コーティング層との間に配置されるポリマー緩衝層であって、前記無機コーティング層に直接接触するポリマー緩衝層とを含み、
前記ポリマー基材層が10μm~100μmの厚さを含み、
前記無機コーティング層が、0.25μm~1.0μmで構成される平均振幅と2μm~5μmで構成される波長とを特徴とする波構造を含み、
前記ポリマー緩衝層が、前記波構造の前記平均振幅の1.1~20倍の厚さを含む、
耐久性バリアフィルム。
【請求項15】
前記無機層の前記波構造が、2~20で構成される、前記波長の前記平均振幅に対する比を特徴とする、請求項14に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項16】
前記無機層が金属層又は酸化物コーティングを含み、前記無機コーティング層の厚さが0.005μm~0.1μmで構成される、請求項14又は15に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項17】
前記ポリマー基材層が、一軸配向ポリプロピレンフィルム、二軸配向ポリプロピレンフィルム、一軸配向ポリエチレンフィルム、二軸配向ポリエチレンフィルム、一軸配向ポリエステルフィルム、又は二軸配向ポリエステルフィルムを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項18】
前記ポリマー基材層が配向ポリオレフィンフィルムを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項19】
前記ポリマー緩衝層が、ポリプロピレン、ポリウレタン、又はポリ乳酸を含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項20】
前記無機コーティング層に直接接触する第2のポリマー緩衝層をさらに含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項21】
1つ以上の追加のポリオレフィン層をさらに含む、請求項14~20のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項22】
前記ポリマー基材層が、10~50μmの厚さをもつ二軸配向ポリプロピレンフィルムを含み、
前記無機コーティング層が、真空蒸着されたアルミニウム、AlOx、又はSiOxを含み、前記無機コーティング層の厚さが0.01~0.1μmで構成され、
前記波構造の前記平均振幅が0.4μm~1.0μmで構成される、請求項14~21のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項23】
前記ポリマー基材層が一軸配向ポリエチレンフィルムを含み、前記ポリマー緩衝層がビニルアルコールコポリマーを含み、前記無機コーティング層が、真空蒸着されたアルミニウム、AlOx、又はSiOxを含み、前記波構造の前記平均振幅が0.15μm~1.0μmで構成され、前記波構造の前記波長が1μm~4μmで構成される、請求項14~21のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項24】
前記ポリマー緩衝層がポリウレタンを含む、請求項22に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルムの製造方法であって、
前記ポリマー基材層を提供するステップと、
押出成形、ラッカー塗り、スプレーコーティング、又は溶媒蒸発を含む技術によって、前記ポリマー基材層の表面に前記ポリマー緩衝層を取り付けるステップと、
真空蒸着によって、前記ポリマー緩衝層の表面に前記無機コーティング層を取り付けるステップと、
を含む方法。
【請求項26】
押出成形、ラッカー塗り、スプレーコーティング、溶媒蒸発を含む技術によって前記ポリマー基材層の表面に前記第2のポリマー緩衝層を取り付けるステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
1つ以上の追加のポリオレフィン層を、前記ポリマー基材層、前記無機コーティング層、前記第2のポリマー緩衝層、又は別の追加のポリオレフィン層の1つ以上の表面に接着するステップをさらに含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1~24のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルムを含む気密封止された包装材料。
【請求項29】
請求項1~24のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルムを含むレトルト安定性包装材料であって、
多層バリアフィルムの、25℃及び50%の相対湿度におけるASTM 3985-2005に準拠した、レトルト処理後の酸素透過率の、レトルト処理前の酸素透過率に対する比が5以下であり、
25℃及び50%の相対湿度におけるASTM 3985-2005に準拠した前記酸素透過率が、レトルト処理前に0.5cm
3/(m
2 24h bar)未満であり、127℃において50分のレトルト処理後に1cm
3/(m
2 24h bar)未満である、レトルト安定性包装材料。
【請求項30】
貯蔵性の包装された製品の製造方法であって、
請求項1~12のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルムを提供するステップと、
前記耐久性バリアフィルムから包装材料を形成するステップと、
前記包装材料に製品を入れるステップと、
前記包装材料内の前記製品を気密封止して、包装された製品を形成するステップと、
前記包装された製品を殺菌条件に曝露するステップであって、前記殺菌条件が、前記耐久性バリアフィルムの前記収縮開始温度よりも高い高温を含むステップと、
を含む、方法。
【請求項31】
貯蔵性の包装された製品の製造方法であって、
請求項1~12のいずれか一項に記載の耐久性バリアフィルムを提供するステップと、
前記耐久性バリアフィルムを、前記耐久性バリアフィルムの前記収縮開始温度よりも高い温度を含む熱処理に曝露して、波構造を含む耐久性バリアフィルムを得るステップと、
波構造を含む前記耐久性バリアフィルムから包装材料を形成するステップと、
前記包装材料に製品を入れるステップと、
前記包装材料内の前記製品を気密封止して、包装された製品を形成するステップと、
前記包装された製品を殺菌条件に曝露するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱安定性多層バリアフィルム構造に関し、特に包装用途の可撓性多層フィルムに関する。このバリア構造は、多層積層体中に少なくとも1つの緩衝層に接触する、1つ以上の無機コーティング層を含む。緩衝層が存在することで、無機コーティング層中に波を形成することができ、それによって、熱応力下で基材層が収縮するときの亀裂の形成が回避される。これによって、通常は低下する酸素及び水蒸気の透過率の低下が少なくなり、熱処理後であってもフィルムの透過率は許容可能なままとなる。
【背景技術】
【0002】
多層バリア構造の熱応力への曝露を伴う典型的な包装用途の1つは、レトルト包装である。レトルト包装では、包装された製品に対して、長時間の熱及び加圧処理プロセスが行われる。同様に、包装材料又は包装された製品は、約80℃において低温殺菌プロセスを行うことができる。さらに別の用途では、多層バリア構造は、80℃以下の温度において熱収縮ラップホイルとして用いることができる。
【0003】
ラッピングホイルとして用いるための多層熱収縮性フィルムは、例えば米国特許文献の米国特許出願公開第2006222793号明細書及び米国特許第6627274号明細書に開示されている。
【0004】
食品は、金属缶及びガラス瓶の代替品としての可撓性レトルト包装材料中へ包装されることがますます増加している。可撓性レトルト包装用の包装材料は、典型的には、埋め込まれたバリア層と、バリア層の一方の側に接着され包装の外面を形成する外側ポリマー層と、ガスバリア層の反対側に接着され、包装の内面を形成するヒートシール可能な内側ポリマーフィルム層とを含む。この層の組み合わせによって、溶融や実質的な劣化(すなわち、漏れ、層間剥離)が生じることなく、レトルトプロセスに耐えることが可能となる。一般に、レトルト処理は、包装容器を100~135℃の温度、0.5~1.1barの超過圧力において、20~100分の時間加熱することにある。
【0005】
レトルト包装用の積層体は、例えば米国特許第4,310,578A号明細書、米国特許第4,311,742A号明細書、米国特許第4,308,084A号明細書、米国特許第4,309,466A号明細書、米国特許第4,402,172A号明細書、米国特許第4,903,841A号明細書、米国特許第5,273,797A号明細書、米国特許第5,731,090A号明細書、欧州特許出願公開第1466725A1号明細書;特開平09-267868号公報、特開2002-096864号公報、特開2015-066721号公報、特開2018-053180号公報、特開2017-144648号公報;特開昭62-279944号公報、特開昭6-328642号公報、特開平10-244641号公報に開示されている。
【0006】
従来の可撓性レトルトパウチは、酸素、水、細菌、及び香りのバリア特性を実現するために異なる材料の層を用いて製造される。回復性レトルト包装多層バリアフィルムを設計するための典型的な選択肢の1つは、少なくとも5μm、好ましくは12μmを超える厚さのアルミニウムバリア層を用いることである。しかし、アルミニウムは、費用がかかり、高密度であり、厚さが薄いと屈曲後にピンホールが生じやすく、不透明であるという欠点を有する。アルミニウムは、包装された食品を電子レンジ中で再加熱する場合に問題が発生することも知られている。さらに、金属層の存在は、再利用の可能性、及び包装プロセス中の金属の検出の観点からは、一般に望ましくない。
【0007】
標準的なレトルトパウチのための多層バリアフィルム構造の典型的な例の1つは、ポリエチレンテレフタレート外側層と、バリア層と、内側シール層とを含み、外側層は、一般に印刷層を含み、バリア層は、金属箔、金属化フィルム、又は透明バリアポリマーフィルムであり、内側層は、ヒートシール可能なポリオレフィン層である。この包装材料は、ポリアミド層などの追加のポリマーフィルム層などを含むこともできる。
【0008】
再利用の問題に加えて、一体化されたアルミニウム箔が存在するため、多層バリアフィルム構造を構成するポリマー層の多様性によって、このフィルム構造の再利用を可能とするためにさらなる問題が生じる。
【0009】
最先端のシステムの関連する利点に異議を唱えるものではないが、包装用の再利用可能な熱安定性多層バリアフィルム構造であって、バリア層が、熱処理中に実質的に亀裂が生じないままであり、それによってフィルムの酸素及び水蒸気のバリア特性の低下が制限される熱安定性多層バリアフィルム構造が依然として必要なことは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、例えば低温殺菌中又はレトルト処理中に熱処理される包装用耐久性(すなわち、熱回復性)多層バリアフィルム構造であって、熱処理の最中又は後に実質的に亀裂が生じないままである無機バリア層を含み、それによってフィルムの酸素及び水蒸気の透過率の増加が制限される、フィルム構造を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、顕著な酸素透過率(低透過、高バリア)を示す、より持続性の透明多層バリアフィルムであって、上記酸素透過率が、熱処理後に実質的に変化しないままであり、この構造は、現行の耐久性高バリア構造よりも再利用が比較的容易である、透明多層バリアフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ポリマー基材層、無機コーティング層、及びポリマー基材層と無機コーティング層との間に配置されるポリマー緩衝層を有する耐久性バリアフィルムが本明細書に開示される。ポリマー緩衝層は無機コーティング層に直接接触する。ポリマー基材層は、ASTM D2732に準拠して耐久性バリアフィルムの収縮開始温度において縦方向又は横方向の少なくとも1つで0.5%~50%の自由収縮を示す。無機コーティング層は、0.005μm~0.1μmの厚さを有する。ポリマー緩衝層は、0.5μm~12μmの厚さを含む。ポリマー緩衝層の厚さの、無機コーティング層の厚さに対する比は20~500である。ポリマー緩衝層は、ASTM E2546-15及びAnnex X.4に準拠して収集した測定値から計算して、収縮開始温度において0.1~100MPaのヤング率(Youngs modulus)(すなわち弾性率)を含む。
【0013】
耐久性バリアフィルムの実施形態は、以下の特徴の1つ以上を有することができる:
・ポリマー緩衝層は1~5μmの厚さを有する;
・無機コーティング層は金属層又は酸化物コーティング層であり、無機コーティング層の厚さは0.005μm~0.06μmである;
・ポリマー緩衝層の厚さの、無機コーティング層の厚さに対する比は30~120である;
・ポリマー基材層は、一軸配向ポリプロピレンフィルム、二軸配向ポリプロピレンフィルム、一軸配向ポリエチレンフィルム、二軸配向ポリエチレンフィルム、一軸配向ポリエステルフィルム、又は二軸配向ポリエステルフィルムを含み、ポリマー基材層は6μm~100μmの厚さを有する;
・ポリマー基材層は配向ポリオレフィンフィルムを含む;
・ポリマー基材層は、ASTM D2732に準拠して収縮開始温度において1%~6%の自由収縮を有する;
・ポリマー緩衝層は、ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレンをベースとするポリマー、ポリウレタンをベースとするポリマー、又はポリ乳酸を含む;
・無機コーティング層に直接接触する第2のポリマー緩衝層をさらに有する。
【0014】
耐久性バリアフィルムの幾つかの実施形態では、ポリマー基材層は、10~50μmの厚さを有する二軸配向ポリプロピレンを含み、無機コーティング層は、真空蒸着されたアルミニウム、AlOx、又はSiOxであり、無機コーティング層の厚さは0.01~0.1μmであり、ポリマー緩衝層はポリウレタンであり、ポリマー緩衝層の厚さは1~2.5μmである。
【0015】
耐久性バリアフィルムの幾つかの実施形態は、一軸配向ポリエチレンフィルムのポリマー基材層と、ビニルアルコールコポリマー(すなわちEVOH)のポリマー緩衝層と、真空蒸着された金属、例えばアルミニウム、AlOx、又はSiOxの無機コーティング層とを含む。
【0016】
耐久性バリアフィルムの別の一実施形態は、前述のようなポリマー基材層、無機コーティング層、及びポリマー基材層と無機コーティング層との間に配置されたポリマー緩衝層を含む。この場合も、ポリマー緩衝層は、無機コーティング層に直接接触する。これらの変形形態は、ASTM D2732に準拠して60℃において0.5%~50%の自由収縮を有するポリマー基材層を含む。無機コーティング層は0.005μm~0.1μmの厚さを有し、ポリマー緩衝層は0.5~12μmの厚さを有し、ポリマー緩衝層の厚さの、無機コーティングの厚さに対する比は20~500であり、ポリマー緩衝層は、ASTM E2546-15及びAnnex X.4に準拠して収集した測定値から計算して60℃の温度において0.1~100MPaのヤング率(Youngs modulus)を有する。耐久性バリアフィルムの別の実施形態は、0.5%~50%の自由収縮を有するポリマー基材層と、40℃、50℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、又は110℃の温度において0.1~100MPaのヤング率(Youngs modulus)を有するポリマー緩衝層とを有することができた。
【0017】
耐久性バリアフィルムは、波構造を含むこともできる。これらの実施形態では、フィルムは、ポリマー基材層、無機コーティング層、及びポリマー基材層と無機コーティング層との間に配置されるポリマー緩衝層を含む。ポリマー緩衝層は無機コーティング層に直接接触する。ポリマー基材層は10μm~100μmの厚さを有する。無機コーティング層は、0.25μm~1.0μmの平均振幅と2μm~5μmの波長とを特徴とする波構図を含む。ポリマー緩衝層は、波構造の平均振幅の1.1~20倍の厚さを有する。
【0018】
耐久性バリアフィルムの幾つかの実施形態では、無機コーティングは、波長の平均振幅に対する比が2~20であることを特徴とする波構造を有する。波構造を有する無機層を有する耐久性バリアフィルムは、金属層又は酸化物コーティングの無機層を含むことができ、無機コーティング層の厚さは0.005μm~0.1μmであってよい。
【0019】
耐久性バリアフィルムの幾つかの実施形態では、ポリマー基材層は、一軸配向ポリプロピレンフィルム、二軸配向ポリプロピレンフィルム、一軸配向ポリエチレンフィルム、二軸配向ポリエチレンフィルム、一軸配向ポリエステルフィルム、又は二軸配向ポリエステルフィルムである。ポリマー基材層は配向ポリオレフィンフィルムであってよい。ポリマー緩衝層は、ポリプロピレン、ポリウレタン、又はポリ乳酸を含むことができる。
【0020】
耐久性バリアフィルムの幾つかの実施形態は、無機コーティング層に直接接触する第2のポリマー緩衝層を含むことができる。耐久性バリアフィルムは、1つ以上の追加のポリオレフィン層をさらに含むことができる。
【0021】
耐久性バリアフィルムの幾つかの実施形態は、10~50μmの厚さを有する二軸配向ポリプロピレンフィルムのポリマー基材層と、真空蒸着されたアルミニウム、AlOx、又はSiOxの無機コーティング層とを有する。無機コーティング層の厚さは0.01~0.1μmであってよい。波構造の平均振幅は、0.4μm~1.0μmで構成されてよい。
【0022】
耐久性バリアフィルムの幾つかの実施形態は、一軸配向ポリエチレンフィルムのポリマー基材層と、EVOHコポリマーのポリマー緩衝層と、真空蒸着されたアルミニウム、AlOx、又はSiOxの無機コーティング層とを含む。無機コーティング層中の波構造の平均振幅は0.15μm~1.0μmであり、波構造の波長は1μm~4μmである。ポリマー緩衝層はポリウレタンを含むことができる。
【0023】
耐久性バリアフィルムの製造方法も本明細書に開示される。この方法は、
- ポリマー基材層を提供するステップと、
- 押出成形、ラッカー塗り、スプレーコーティング、又は溶媒蒸発などの技術によって、上記ポリマー基材層の表面にポリマー緩衝層を取り付けるステップと、
- 真空蒸着によって、上記ポリマー緩衝層の表面に無機コーティング層を取り付けるステップと、
を含む。
【0024】
上記方法は、
- 押出成形、ラッカー塗り、スプレーコーティング、溶媒蒸発を含む技術によって、ポリマー基材層の表面に第2のポリマー緩衝層を取り付けるステップと、
- 1つ以上の追加のポリオレフィン層を、ポリマー基材層、無機コーティング層、第2のポリマー緩衝層、又は別の追加のポリオレフィン層の1つ以上の表面に接着するステップと、
を含むこともできる。
【0025】
上記耐久性バリアフィルムを含む、気密封止された包装材料又はレトルト安定性包装材料も本明細書に開示される。幾つかのレトルト安定性包装材料では、上記多層バリアフィルムのASTM 3985-2005に準拠した、25℃及び50%の相対湿度におけるレトルト処理後の酸素透過率の、レトルト処理前の酸素透過率に対する比は5以下であり、ASTM 3985-2005準拠した、25℃及び50%の相対湿度における酸素透過率は、レトルト処理前には0.5cm3/(m2 24h bar)未満であり、127℃において50分のレトルト処理後には1cm3/(m2 24h bar)未満である。
【0026】
貯蔵性の包装された製品の製造方法も本明細書に開示される。この方法の一実施形態は、1)耐久性バリアフィルムを提供し、そのフィルムから包装材料を形成するステップと、2)包装材料に製品を入れるステップと、3)包装材料内の製品を気密封止して、包装された製品を形成するステップと、4)包装された製品を殺菌条件に曝露するステップであって、殺菌条件が、耐久性バリアフィルムの収縮開始温度よりも高い温度を含むステップとを含む。この方法の別の一実施形態は、1)耐久性バリアフィルムを提供し、そのフィルムに対して、耐久性バリアフィルムの収縮開始温度よりも高い温度を含む熱処理を行って、波構造を含む耐久性バリアフィルムを得るステップと、2)そのフィルムから包装材料を形成するステップと、3)その包装材料に製品を入れるステップと、4)包装材料内の製品を気密封止して、包装された製品を形成するステップと、5)包装された製品を殺菌条件に曝露するステップとを含む。
【0027】
添付の図面に関連する本開示の種々の実施形態の以下の詳細な説明を考慮すれば、本開示をより十分に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】熱処理及び波構造の形成の前の耐久性バリアフィルムの一実施形態の断面図である。
【
図2】熱処理及び波構造の形成の後の耐久性バリアフィルムの一実施形態の断面図である。
【
図3】熱処理及び波構造の形成の前の耐久性バリアフィルムの一実施形態の断面図である。
【
図4】熱処理及び波構造の形成の後の耐久性バリアフィルムの一実施形態の断面図である。
【
図5】耐久性バリアフィルムの一実施形態で形成された波構造を拡大した上面図である。
【
図6】耐久性バリアフィルムを用いて形成された気密封止された包装材料の一実施形態の斜視図である。
【
図7】耐久性バリアフィルムを用いて形成されたレトルト安定性包装材料の一実施形態の斜視図である。
【
図8A-8C】波が形成されたフィルム(8A及び8C)及び波が形成されていない比較用フィルム(8B)の上から観察した拡大顕微鏡写真である(これらの写真は同じ倍率ではないことに留意されたい)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面は、幾つかの実施形態を示しているが、すべての実施形態を示しているのではない。図面中に示される要素は、説明的なものであり、必ずしも一定の縮尺ではなく、図面全体にわたって同じ(又は類似の)参照番号は同じ(又は類似の)特徴を示している。
【0030】
本発明による耐久性バリアフィルム構造は、少なくとも1つの熱収縮性ポリマー基材層、少なくとも1つの無機コーティング層、及び少なくとも1つのポリマー緩衝層を含み、ポリマー緩衝層は、無機コーティング層に直接接触し、ポリマー基材層と無機コーティング層との間に配置される。バリアフィルムが収縮するのに十分高い温度への曝露中、緩衝層の役割は、収縮性の基材層と、剛性であり非収縮性の無機コーティング層との間の可鍛性界面となることであり、これによって緩衝層の表面において無機層内に連続的な波構造を形成することができる。この波構造が形成されることによって、無機コーティング層内の亀裂を実質的に減少させることができ、収縮性の基材層による酸素及び水蒸気のバリアの低下を軽減することができる。
【0031】
緩衝層上の無機層の波構造の形成の効果は、1)ポリマー緩衝層の厚さと、2)熱処理温度におけるポリマー緩衝材料の弾性率と、3)無機層の厚さとの間の繊細な釣り合いによって得られる。基材層が収縮し始める温度(すなわち収縮開始温度)以上で、緩衝層は、形状変化が可能となるようなモジュラスを有する必要がある。形状の変化は、収縮性の基材層に最も近い緩衝層の側の収縮性の表面領域、及び無機コーティング層に隣接する緩衝層の側の非収縮性の表面領域との結果生じる。その低モジュラスのため、基材層に隣接する緩衝層の表面が動いて収縮力に適応することができる。無機層に隣接する緩衝層は、無機コーティング層の変化しない表面領域に適応するために、波構造に適合する。無機コーティングの波構造は、限定するものではないが規則的(すなわちストライプ)、ヘリングボーン、及び不規則(すなわち迷路)などの1つ以上のパターンで形成することができる。波の形成によって、無機コーティング層がたわむことができ、その元の面積を維持することができ、亀裂がなく(又は同じ数の亀裂が生じることなく)無傷のままとなり、基材層の収縮によって生じ得るこの層のバリアの劣化を軽減又は解消することができる。
【0032】
本発明を限定するものではないが、種々の系における波の理論的形成を表すために用いられるモデルは、Huang,ZY,Hong,W,Suo Z 2005,“Nonlinear Analysis of Wrinkles in a Film Bonded to a Compliant Substrate”,Journal of the Mechanics and Physics of Solids,53,2101-2118に見ることができる。
【0033】
本明細書において使用される場合、「収縮開始温度」は、耐久性バリアフィルムが、MD又はTDの少なくとも1つにおいて少なくとも1%の自由収縮を示す温度である。本明細書において使用される場合、「自由収縮」は、高温への曝露によってフィルム又は層に生じる拘束のない線収縮である。収縮は、不可逆的であり、比較的迅速(すなわち数秒又は数分内の事象)である。自由収縮は、元の寸法のパーセント値(すなわち100×(収縮前の寸法-収縮後の寸法)/(収縮前の寸法))として表される。自由収縮はASTM D2732を用いて測定することができる。或いは、自由収縮は、加熱源として高温流体浴の代わりに熱風を用いて修正したASTM D2732に記載の試験方法を用いて測定することができる。熱風方法を用いる場合、指定の温度に設定したオーブン中に拘束のない試料を少なくとも1分間入れて、オーブン内部と試料とが熱平衡に到達するのに十分な時間を確保する。収縮開始温度を求めるためには、縦方向及び横方向の一方又は両方で材料が少なくとも1%収縮するまで、10℃ずつ上昇させて自由収縮試験を行う。少なくとも1つの方向(MD又はTD)で自由収縮が少なくとも1%となる温度が収縮開始温度である。本明細書に記載の耐久性バリアフィルムの実際の収縮開始温度は50℃~200℃となりうる。
【0034】
本明細書において使用される場合、「ポリマー緩衝層」は、耐久性バリアフィルム中の層であり、無機コーティング層に直接隣接して接触し、無機コーティング層を比較的平坦な断面形状から波構造にたわませることが可能な機能を有する。本明細書にさらに記載されるように、ポリマー緩衝層は、耐久性バリアフィルムが熱曝露によってわずかに収縮する温度範囲内で(すなわち耐久性バリアフィルムの収縮開始温度において)材料又は材料のブレンドが可鍛性となるように配合される。ポリマー緩衝層の配合は、適切な温度範囲内で材料を曲げることができる弾性率の実現を目標とすることができる。
【0035】
本明細書において使用される場合、互いに「直接接触する」又は「直接隣接する」層又はフィルムは、それらの間に介在する材料を有しない。
【0036】
本明細書において使用される場合、「無機コーティング層」は、金属層又は酸化物コーティング層を含む層を意味する。これらの層は、バリア特性のための機能を有する。無機コーティング層は、緩衝層の表面上に直接真空蒸着(すなわち真空めっき、気相コーティング、真空金属化)することができる。或いは、無機コーティング層は、溶液コーティングなどの湿式化学方法によって堆積することができる。
【0037】
本明細書に記載のように、ポリマー基材層は配向させることができる。配向は、フィルムの一軸配向(縦方向又は横方向)、又は二軸配向(縦方向及び横方向)の配向を行い、縦方向及び/又は横方向の寸法を増加させ、続いて材料の厚さを減少させることで行うことができる。二軸配向は、フィルムに同時に又は逐次的に行うことができる。いずれか又は両方の方向の延伸は、フィルム中のポリマーの溶融温度よりわずかに低い温度でフィルムに対して行われる。このようにして、延伸によって、ポリマー鎖が「配向」されて、フィルムの物理的性質が変化する。同時に、延伸によってフィルムが薄くなる。得られた配向フィルムは、より薄くなり、靱性、耐熱性、剛性、引裂強度、及びバリアなどの機械的性質に顕著な変化が生じうる。配向は、典型的にはダブルバブル若しくはトリプルバブルプロセスによって、テンターフレームプロセス、又は加熱ロールを用いたMDOプロセスによって行われる。典型的なインフレーションフィルム法では、フィルムがある程度延伸されるが、本明細書に記載のように考慮される配向には不十分である。配向フィルムは、配向後にヒートセット(すなわちアニール)することができ、これによってレトルトフィルム積層体の加工中(すなわち印刷又は積層)、又は積層体の使用中(すなわちヒートシール又はレトルト殺菌)中に発生しうる高温条件下で寸法安定性となる。
【0038】
本明細書において使用される場合、「ポリオレフィン」という用語は、一般にポリプロピレン及びポリエチレンポリマーを含む。
【0039】
本出願全体にわたって用いられる場合、「コポリマー」という用語は、少なくとも2つのモノマー種の重合反応又は共重合によって得られるポリマー生成物を意味する。「コポリマー」という用語は、ターポリマー、クオーターポリマーなどと呼ばれる反応生成物を有する3つ、4つ、又はそれを超えるモノマー種の重合反応も含んでいる。
【0040】
本出願全体にわたって用いられる場合、「ポリプロピレン」又は「PP」という用語は、特に示されなければ、プロピレンのホモポリマー又はコポリマーを意味する。このようなプロピレンのコポリマーとしては、プロピレンと少なくとも1つのアルファ-オレフィンとのコポリマー、及び別の単位若しくは基を有するプロピレンのコポリマーが挙げられる。「ポリプロピレン」又は「PP」という用語は、置換分岐基又は別の改質剤の存在又は非存在とは無関係に用いられる。ポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリマーポリプロピレン、ポリプロピレン衝撃コポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマーなどが挙げられる。種々のポリプロピレンポリマーを再生ポリプロピレン又は再生ポリオレフィンとして再利用することができる。
【0041】
本出願全体にわたって用いられる場合、「ポリエチレン」又は「PE」という用語は、特に示されなければ、エチレンのホモポリマー又はコポリマーを意味する。このようなエチレンのコポリマーとしては、エチレンと少なくとも1つのアルファ-オレフィンとのコポリマー、及び酢酸ビニル、酸基、アクリレート基などの別の単位若しくは基を有するエチレンのコポリマーが挙げられる。「ポリエチレン」又は「PE」という用語は、置換分岐基の存在又は非存在とは無関係に用いられる。ポリエチレンとしては、例えば、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレンアルファ-オレフィンコポリマー、エチレン酢酸ビニル、エチレン酸コポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、又はそれらのブレンドが挙げられる。種々のポリエチレンポリマーを再生ポリエチレン又は再生ポリオレフィンとして再利用することができる。
【0042】
本出願全体にわたって用いられる場合、「ポリエステル」又は「PET」という用語は、モノマー単位間にエステル結合を有するホモポリマー又はコポリマーを意味する。エステル結合は、一般式[O-R-OC(O)-R’-C(O)]n(ここで、R及びR’は同じ又は異なるアルキル(又はアリール)基である)によって表すことができ、一般にジカルボン酸とジオールモノマーとの重合によって形成することができる。
【0043】
本明細書において使用される場合、「ポリアミド」という用語は、分子鎖に沿って生じるアミド結合(--CONH--)nを有する高分子量ポリマーを意味し、このようなものとして、包装用フィルムとしての有用性などの多数の用途を有する周知のポリマーである「ナイロン」樹脂が挙げられる。食品の包装及び加工に用いるためのナイロンポリマー樹脂の例としては、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン66/610、ナイロン6/66、ナイロン11、ナイロン6、ナイロン66T、ナイロン612、ナイロン12、ナイロン6/12、ナイロン6/69、ナイロン46、ナイロン6-3-T、ナイロンMXD-6、ナイロンMXDI、ナイロン12T、及びナイロン6I/6Tが挙げられる。ポリアミドの例としては、ナイロンホモポリマー及びコポリマー、例えばナイロン4,6(ポリ(テトラメチレンアジパミド))、ナイロン6(ポリカプロラクタム)、ナイロン6,6(ポリ(ヘキサメチレンアジパミド))、ナイロン6,9(ポリ(ヘキサメチレンノナンジアミド))、ナイロン6,10(ポリ(ヘキサメチレンセバカミド))、ナイロン6,12(ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド))、ナイロン6/12(ポリ(カプロラクタム-コ-ドデカンジアミド))、ナイロン6,6/6(ポリ(ヘキサメチレンアジパミド-コ-カプロラクタム))、ナイロン66/610(例えば、ナイロン66塩及びナイロン610塩の混合物の縮合によって製造される)、ナイロン6/69樹脂(例えば、エプシロン-カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、及びアゼライン酸の縮合によって製造される)、ナイロン11(ポリウンデカノラクタム)、ナイロン12(ポリラウリルラクタム)、並びにそれらのコポリマー又は混合物が挙げられる。ポリアミドは、その独特の物理的及び化学的性質のため、食品の包装及び別の用途のフィルム中に用いられる。ポリアミドは、フィルムの耐温度性、耐摩耗性、破壊強度、及び/又はバリアを改善するための材料として選択される。ポリアミド含有フィルムの性質は、コポリマーの選択、及び加工方法(例えば同時押出成形、配向、積層、及びコーティング)などの多種多様の変量の選択によって変化させることができる。
【0044】
本明細書において使用される場合、「ポリウレタン」は、一般に、ウレタン結合(-NH-(C=O)-O-)によって結合した有機単位を有するポリマーを意味する。
【0045】
本明細書において使用される場合、「ポリ乳酸」は、乳酸から製造され[-C(CH3)HC(=O)O-]nの主鎖を有するポリマーである。
【0046】
本出願全体にわたって用いられる場合、「ビニルアルコールコポリマー」という用語は、ビニルアルコール(CH2CHOH)のフィルム形成性コポリマーを意味する。例としては、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ブタンジオールビニルアルコールコポリマー(BVOH)、及びポリビニルアルコール(PVOH)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
本出願全体にわたって用いられる場合、「エチレンビニルアルコールコポリマー」、「EVOHコポリマー」、又は「EVOH」という用語は、エチレン及びビニルアルコールの繰り返し単位で構成されるコポリマーを意味する。エチレンビニルアルコールコポリマーは、一般式:[(CH2-CH2)n-(CH2-CH(OH))]nで表すことができる。エチレンビニルアルコールコポリマーは、けん化又は加水分解したエチレン酢酸ビニルコポリマーを含むことができる。EVOHは、エチレンコモノマーを有するビニルアルコールコポリマーである例えば、酢酸ビニルコポリマーの加水分解によって、又はビニルアルコールとの化学反応によって調製される。エチレンビニルアルコールコポリマーは、28モルパーセント(以下)から48モルパーセント(以上)のエチレンを含むことができる。
【0048】
本明細書において使用される場合、「層」という用語は、1つの材料の種類、又は複数の材料の均一なブレンドの構造であるフィルムの構成単位を意味する。層は、1つのポリマー、1つのポリマーの種類中の材料のブレンド、又は種々のポリマーのブレンドであってよく、金属材料を含むことができ、添加剤を有することができる。層は、フィルムと連続であってよいし、又は不連続であってもパターンが形成されてもよい。層は、長さ及び幅(x-y方向)と比較するとわずかな厚さ(z方向)を有し、したがって2つの主面を有すると規定され、それらの面積は層の長さ及び幅によって規定される。外部層は、一方のみの主面で別の層と接続される層である。言い換えると、外面層の一方の主面は露出している。内部層は、両方の主面で別の層と接続される層である。言い換えると、内部層は、2つの別の層の間に存在する。層は、副層を有することができる。
【0049】
同様に、本明細書において使用される場合、「フィルム」という用語は、層及び/又はフィルムで構成されるウェブを意味し、それらのすべては互いに直接隣接して接続される。フィルムは、フィルムの長さ及び幅と比較するとわずかな厚さを有すると記載することができる。フィルムは2つの主面を有し、それらの面積はフィルムの長さ及び幅によって規定される。
【0050】
本明細書において使用される場合、「外部」という用語は、それが含まれるフィルムの一方の主面上に位置するフィルム又は層を表すために用いられる。本明細書において使用される場合、用語「内部」は、それが含まれるフィルムの表面上には位置しないフィルム又は層を表すために用いられる。内部のフィルム又は層は、両側が別のフィルム又は層と隣接している。
【0051】
本明細書において使用される場合、「波構造」は、無機コーティング層と隣接するポリマー緩衝層の表面との断面形状を意味する。任意の波と同様に、この波構造は、x-y方向で測定可能な波長と、z方向で測定可能な振幅とを有する。
【0052】
波構造の波長は、限定するものではないが、光学顕微鏡法、レーザー走査顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法などの上から観察される顕微鏡技術を用いて求めることができる。顕微鏡の解像度は、波の特徴、すなわち波の山及び波の谷として同定するのに十分である必要がある。代表的な上から観察される顕微鏡法の一例を
図5中に示す。この図中に示されるように、波は、さまざまなパターンをとり、波が規則的で配列する波の領域又は区画に組織化される。波の領域は、コーナー又は端部で集まり、不規則な折り目又は交点を形成する。波の測定は、波の領域内で行うことができ、それらの領域の例が重ねられた楕円で示されている。衝突する波が規則的なパターンを妨害するので、波の測定のばらつきが交点で生じることがあり、それらの交点の例が重ねられた円で示されている。波の交点は、波の測定には用いられない。
【0053】
波長は、ゆがみのない波の範囲(すなわち波の領域)内の山と山との間又は谷と谷との間の距離である。平均波長は、少なくとも5つの個別の波長測定値の平均を取ることによって計算される。
【0054】
波長を求めるための別の技術も可能である。例えば、波長は波構造の断面図を用いて測定することができる。別の選択肢の1つは、波を格子として用いる光学設定で測定することである。フィルムを通過して得られる輝く光のスペクトルを用いて、波長を求めることができる。
【0055】
波構造の振幅(すなわち波の谷から山までの距離)は、フィルムに対してz方向の情報に敏感な顕微鏡を用いて評価することができる。例えば、顕微鏡は、レーザー走査顕微鏡又は原子間力顕微鏡であってよい。z方向の解像度は、少なくとも数十ナノメートルの範囲の小ささとなるべきである。
【0056】
フィルムの幾つかの実施形態では、振幅は、適切な解像度及びコントラストの顕微鏡で切断面(すなわちエポキシ中に埋め込まれ研磨されたミクロトーム切断部、又は別の経路)上で求めることができる。多くの層を含む積層体中の収縮は、ポリマー基材層、ポリマー緩衝層、及び無機コーティング層のみを含むフィルム中の収縮よりも一般に小さいので、振幅がより小さくなる場合がある。
【0057】
本明細書において使用される場合、「平均振幅」は、ゆがみのない範囲(すなわち波の領域)中のフィルム試料の1つ以上の位置を用いて少なくとも5つの個別の波の振幅を測定し、これら5つの測定の平均を計算することによって求められる。
【0058】
本明細書において使用される場合、「バリア」又は「バリアフィルム」又は「バリア層」又は「バリア材料」は、酸素(すなわち酸素バリア材料を含む)などのガスの透過を減少させることを意味する。バリア材料は、水分の透過を減少させることができる(すなわち水分バリア材料を含む)。バリア特性は、複数のバリア材料の1つ以上又はブレンドによって得ることができる。バリア層によって、数か月又はさらには1年を超える場合がある長い保存寿命全体にわたって包装内の製品を保存するために必要な特殊なバリアを得ることができる。
【0059】
バリアは、包装された製品の保存寿命中(すなわち包装が気密封止される間)に耐久性バリアフィルムを通過する酸素の流入を減少させることができる。耐久性バリアフィルムの酸素透過率(OTR)は、得られるバリアの指標の1つであり、ASTM F1927に準拠して1気圧、23℃、及び50%RHの条件を用いて測定することができる。
【0060】
本明細書において使用される場合、「耐久性バリアフィルム」又は「気密封止された包装材料」又は「レトルト安定性包装材料」は、収縮開始温度以上に曝露した後にわずかな劣化で高いバリアレベルを維持するフィルム、又はそのフィルムでできた包装材料である。これらの包装材料は、製品を入れて、封止し、気密封止を維持して、優れたバリア特性を維持することができる包装材料である。
【0061】
本明細書において使用される場合、「劣化係数」はバリア測定値の増加を意味する。バリア測定値は、酸素透過率又は水分透過率であってよく、バリア測定値の増加は、実際のバリアレベルの低下を表し、したがってバリアの劣化を表す。バリアの低下(すなわち透過率の増加)は、2つの時点で、典型的には特定の事象の前及び後に測定される。この事象は、熱処理又は物理的伸張などの過酷なプロセスであってよい。バリアの測定は、標準的な方法を用いて同一条件下で2つの時点で行うべきである。劣化係数は、測定値の比:後者の値/前者の値として計算される。例えば、フィルムの酸素透過率が、熱処理サイクル前に0.25であり、熱処理サイクル後に0.75であると測定されると、劣化係数は3(0.75/0.25)である。
【0062】
本明細書において使用される場合、ヤング率又は弾性率は、張力下又は圧縮力下で寸法を変化させる材料の性質の尺度であり、単位は単位面積当たりの力である。ヤング率が大きい材料は比較的剛性となることができ、ヤング率が小さい材料は比較的柔軟で曲げやすい(すなわち弾性である)。ヤング率は、ナノインデンテーション試験手順から得られる力-変位データセットから計算することができる。
【0063】
本明細書において使用される場合、「ASTM E2546-15 Annex X.4」は、30nmの画定されたチップ半径を有するシリコンカンチレバー上に搭載されたシリコンチップを含む装置を用いて記載の規格に準拠した機器を備えた圧入試験手順を意味する。
【0064】
本明細書に記載の耐久性バリアフィルムは、レトルト包装フィルムとして有用となりうる。本明細書において使用される場合、「レトルト包装フィルム」又は「レトルト包装材料」は、製品を入れて、封止し、典型的なレトルト殺菌プロセスに曝露した後に気密封止を維持することができるフィルム、又はそのフィルムでできた包装材料である。典型的なレトルト殺菌は、約100℃~約150℃の温度、最大約70psi(483kPa)の超過圧力を使用し、数分から数時間の時間を有することができるバッチプロセスである。可撓性フィルム中に包装された製品に使用される一般的なレトルトプロセスは、蒸気又は水中浸漬を含む。レトルト包装フィルム中に包装されレトルト殺菌された食品又は別の製品は、周囲条件において長時間保管することができ(すなわち貯蔵性であり)、無菌性を維持することができる。レトルトプロセスは非常に過酷であるので、このプロセスに耐えられるように、非常に特殊な可撓性包装フィルムが設計されている。
【0065】
驚くべきことに、フィルム構造は、フィルム構造の加熱によって、無機コーティング層中に波構造の形成が組み込まれるように開発することができたことが分かった。加熱後、フィルム構造は、包装用途及び別の類似の使用に用いられるこれらのフィルムに必要な性能特性を維持した。例えば、波の形成に必要な層は、隣接する層に必要な結合を含むこともでき、適切な可撓性及び透明性を有することもでき、熱曝露以外の別の環境条件(すなわち屈曲、破壊、湿度など)による耐久性を得ることもできる。
【0066】
これより本発明者らは、耐久性バリアフィルムの構造の一実施形態の特定の詳細に注目する。
図1中、耐久性バリアフィルム10は、ポリマー基材層12、無機コーティング層13、及びポリマー基材層12と無機コーティング層13との間に配置されるポリマー緩衝層14を含む。ポリマー緩衝層14は無機コーティング層13に直接接触する。
図1中に示されるようにポリマー緩衝層14はポリマー基材層12に直接接触することができ、又はそれらの間に1つ以上の追加の層が存在することができる。
【0067】
ポリマー基材層は、それが含まれる耐久性バリアフィルムの収縮開始温度において、縦方向又は横方向の少なくとも1つでゼロを超える自由収縮値を有する。収縮開始温度において、又は耐久性バリアフィルムが曝露される収縮開始温度よりも高い別の温度において生じるポリマー基材層の自由収縮によって、ポリマー基材層の表面積が減少する。収縮するポリマー基材層に隣接する又は近くにある任意の層は、表面積が減少するために、x-y方向に収縮力が生じる。
【0068】
収縮開始温度におけるポリマー基材層の自由収縮は、0.5%~50%、0.5%~25%、1%~10%、又は1%~6%であってよい。ポリマー基材層の自由収縮は、ポリマー基材層単独(存在し得るあらゆる副層を含む)に対して測定することができる。或いは、ポリマー基材層の自由収縮は、ポリマー基材層及びポリマー緩衝層、並びにあらゆる介在する層を合わせた組み合わせに対して測定することができる。ポリマー基材層の自由収縮は、これがポリマー緩衝層及びあらゆる別の介在する層を含む無機コーティング層に結合する場合に測定することができる。
【0069】
ポリマー基材層は、限定するものではないが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、及びポリ乳酸、又はポリマーのブレンドなどのあらゆるポリマーを含む。ポリマー基材層は、あらゆる数の副層を含むことができる。ポリマー基材層の副層は、同じポリマーの分類のポリマーを含むことができるし(すなわちすべての層がさまざまな種類のポリプロピレンポリマーである)、又は副層は異なるポリマーの分類であってもよい。ポリマー基材層は、配向される場合も、配向されない場合もある。ポリマー基材層は、比較的透明、半透明、又は不透明であってよい。ポリマー基材層は、いずれかの主面の上に堆積された印刷表示を有することができる。
【0070】
ポリマー基材層はフィルムであってよく、このフィルムは、あらゆる周知の方法、例えばインフレーションフィルム又はキャストフィルムによって製造することができる。ポリマー基材層は、一軸配向ポリプロピレンフィルム(MDOPP)、二軸配向ポリプロピレンフィルム(BOPP)、一軸配向ポリエチレンフィルム(MDOPE)、二軸配向ポリエチレンフィルム(BOPE)、一軸配向ポリエステルフィルム(MDO PET)、又は二軸配向ポリエステルフィルム(BOPET)であってよい。ポリマー基材層は、特定のポリマーを用いて製造することができ、フィルムの耐熱性を最適化する特定の条件を用いて配向させることができる。
【0071】
ポリマー基材層は、(収縮前に)6μm~100μmの厚さを有することができる。幾つかの実施形態では、ポリマー基材層は、10μm~50μm、又は10μm~30μmの厚さを有することができる。
【0072】
耐久性バリアフィルムの無機コーティング層は、真空蒸着プロセス、例えば化学蒸着又は物理蒸着によって取り付けられた金属又は無機酸化物である。或いは、無機コーティング層は、湿式化学技術を用いて取り付けることができる。無機コーティング層は、ポリマー緩衝層の表面上に堆積される。無機コーティング層は、ポリマー緩衝層に直接隣接し直接接触する。
【0073】
無機コーティング層は、耐久性バリアフィルムへの酸素バリア(OTRの低下)に大きく寄与する。無機コーティング層は、AlOx(すなわち酸化アルミニウム)又はSiOx(すなわち酸化ケイ素)などの透明酸化物コーティングであってよい。酸化物コーティングは、真空蒸着プロセスによって形成することができる。
【0074】
無機コーティング層は、アルミニウム又はアルミニウムと別の金属との混合物などの金属層を含むことができる。金属層は真空蒸着プロセスによって形成することができる。
【0075】
再び
図1を参照すると、無機コーティング層13は、z方向で測定して厚さ19を有する。無機コーティング層13は、0.005μm~0.1μm、0.005μm~0.06μm、0.01μm~0.1μm、又は0.01μm~0.06μmの厚さ19を有する。これらの範囲を超える厚さを有する無機コーティング層は、亀裂が生じたり他の方法で破壊したりすることなく表面積の変化に適応するために波構造にたわむことができない層となる。
【0076】
耐久性バリアフィルムのポリマー緩衝層は、ポリマー基材層と無機コーティング層との間に位置する。ポリマー緩衝層は無機コーティング層に直接接触する。ポリマー緩衝層は、ポリマー基材層に直接接触することができる。ポリマー緩衝層は、ポリマー基材層も含むフィルム内の層であってよい。耐久性バリアフィルムの幾つかの実施形態では、ポリマー緩衝層とポリマー基材層との間に介在層が存在することができる。
【0077】
限定するものではないが、ポリマー緩衝層の実施形態は、ビニルアルコールコポリマー、ポリウレタンをベースとするポリマー、ポリプロピレンをベースとするポリマー、ポリ乳酸をベースとするポリマー、これらのポリマーのブレンド、又はこれらの材料途別の材料とのブレンドなどのポリマーを含むことができる。この場合も、限定するものではないが、ポリマー緩衝層は、コーティング、押出成形、同時押出成形、又は積層によって形成することができる。緩衝層は、耐久性バリアフィルムの全体のバリア特性に寄与することができる固有のバリア特性(酸素又は水分のバリア)を有することができる。
【0078】
再び
図1を参照すると、ポリマー緩衝層14は、z方向で測定して厚さ18を有する。ポリマー緩衝層14は、0.5μm~12μm、1μm~5μm、又は1μm~2.5μmの厚さ18を有する。
【0079】
耐久性バリアフィルムのポリマー緩衝層の厚さの、耐久性バリアフィルムの無機コーティング層の厚さに対する比は、20~500、又は30~120である。この範囲内の厚さの比は、ポリマー基材層の収縮後に無機コーティング層中に波構造を形成可能にする要因の組み合わせの1つである。
【0080】
ポリマー緩衝層は、耐久性バリアフィルムの収縮開始温度などの高温において0.1MPa~100MPaのヤング率を有する。ポリマー緩衝層のこの性質と、フィルム構造の別の詳細の中のポリマー緩衝層の位置及び厚さとによって、有利には、ポリマー基材層が収縮するときに無機コーティング層中の波構造の形成が可能となり、亀裂及びバリア特性の低下が防止される。
【0081】
耐久性バリアフィルムは、追加の層を含むこともできる。
図3中に示される耐久性バリアフィルム20は、追加の層を含む非限定的な例である。
図3中、耐久性バリアフィルム20は、ポリマー基材層22、無機コーティング層23、及びポリマー基材層22と無機コーティング層23との間に配置されるポリマー緩衝層24を含む。ポリマー緩衝層24は無機コーティング層23に直接接触する。
図3中に示されるように、ポリマー緩衝層24は、ポリマー基材層22に直接接触することができるし、又はそれらの間に1つ以上の追加の層が存在することができる。耐久性バリアフィルム20は、無機コーティング層23の反対側に位置し、無機コーティング層23に直接接触する第2のポリマー緩衝層25も含む。層26は、ヒートシール層又はある別の機能層であってよい追加の層である。
【0082】
耐久性バリアフィルムは、ヒートシールのための外部に位置する層を含むことができる。これによって、それ自体又は別の構成要素をヒートシールすることにより包装を形成することができる。ヒートシール層は、ポリマー材料を含むことができる。このシール層は、反対側の外面の耐熱性を引き立てるためにヒートシール開始温度が低下するように設計されたポリマーの配合を含むことができる。シール層は、幾分低い温度の軟化点を有することができるが、レトルト殺菌プロセスの高温と、流通及び使用中に包装材料が耐える場合がある別の酷使とに耐えるために、シール層は十分な完全性を有することができる。
【0083】
図1~4中に示されるように、ポリマー基材層は、耐久性バリアフィルム構造の外部の上に位置することができる。しかし、本明細書の幾つかの実施例に記載されるように、ポリマー基材層が構造の内部層となるように、構造に追加の層を加えることができる。
【0084】
耐久性バリアフィルムは、約63.5μm~約254μm、又は約76.2μm~約152.4μmの全体の厚さを有することができる。
【0085】
本明細書に記載の耐久性バリアフィルムは、重量基準で少なくとも80%又は少なくとも90%のポリオレフィンをベースとするポリマーを含むことができ、それによってそれが用いられるフィルム及び/又は包装材料の再利用性を高めることができる。ポリオレフィンをベースとするポリマーではない材料は最小限にされる。例えば、耐久性バリアフィルムのバリア層は、ポリオレフィンをベースとする材料ではない材料であり、したがってバリアとしての性質を得るためにできる限り薄い層で提供される。フィルムは、接着剤及びインクなどの別の非ポリオレフィン材料を有することもできる。
【0086】
本明細書に記載のようなフィルム構造の設計要素の組み合わせを用いて、耐久性バリアフィルムを実現することができる。これらのフィルムは、高ポリオレフィン含有量であるので、ポリオレフィンをベースとする再利用プロセスにおける再利用に適切となりうる。これらのフィルムは、ポリエステル、ポリアミド、塩素含有ポリマー、及びアルミニウム箔などの材料を少量で有することができ、又はこれらの材料を実質的に有しない場合がある。上記フィルムは、接着層又はインク層中に使用されるものなどのポリオレフィンをベースとしないポリマーを含むことができるが、これらは最小限にされ、一般に組成全体の10重量%未満である。上記フィルムは、バリア材料などの非ポリマー材料を含むことができるが、これらは最小限にされ、一般に組成全体の10重量%未満である。
【0087】
本明細書で前述したように、環境温度の上昇によって、ポリマー基材層がわずかに収縮することがある。温度が上昇すると、ポリマー材料が軟化して、製造後に層中に残った張力が開放される。この張力の開放によって、ポリマー鎖の移動及び再配列が起こることがあり、層の寸法の最終的な変化(増加又は減少)が生じることがある。ポリマー基材層に対する温度上昇の一般的な結果の1つは、層のx-y面と平行な少なくとも1つの方向での基材のわずかな減少(すなわち収縮)である。
【0088】
ポリマー基材層が収縮すると、耐久性バリアフィルム内の別の層に圧縮力が加わり、その最大の力は隣接する層に加わる。他の層も高温において収縮する傾向を有する場合があり、各層の自由収縮はわずかに異なると思われる。自由収縮の最大の差は、層を耐久性バリアフィルムの無機コーティング層と比較した場合に見られると思われる。ほとんどの無機コーティングは、ポリマー基材層が収縮する温度(すなわち収縮開始温度、60℃又はある別の温度)において収縮が生じない。さらに、無機コーティングは、これらの高温において非常に高いモジュラス(高い剛性)も有する。
【0089】
本明細書で説明した耐久性バリアフィルムの規定された構造を用いると、高温に曝露することで、ポリマー基材層、及び場合により構造の別の層が収縮し始める。高温において低いモジュラスを有する近くに位置するポリマー緩衝層は、x-y方向で圧縮力が生じ、容易に応力に適合する。ポリマー緩衝層の表面は、わずかに緻密になる場合があり、又はポリマー基材の表面積(x-y方向)が減少し、材料のポリマー緩衝層が圧縮されるので、ポリマー緩衝層はわずかに厚く(z方向)なる場合がある。しかし、無機コーティング層は、柔軟にならない(すなわち高いモジュラス、高い剛性)。収縮するポリマー基材層によるx-y方向の圧縮力と、下にある(すなわち直接隣接する)ポリマー緩衝層の低モジュラスとの結果として、無機コーティング層は湾曲して波のパターンになる傾向を有する場合があり、それらの波の振幅はz方向に形成される。波構造の形成によって、無機コーティング層の表面積は維持され、収縮力下で通常形成される典型的な亀裂は防止される。
【0090】
図2中に示される図は、耐久性バリアフィルムの収縮開始温度よりも高い温度に曝露した後の
図1中に示される耐久性バリアフィルム11である。
図2は、無機コーティング層13中に波構造80を含む耐久性バリアフィルム11の一実施形態の断面図を示している。熱への曝露後、ポリマー基材層12は収縮している。高温において、ポリマー緩衝層14は、圧縮力下で材料が柔軟となることができる十分低いモジュラスを有し、それによって結合した無機コーティング層13は波構造80を形成することができる。この波構造は波長84及び振幅82を特徴とする。
【0091】
同様に、
図4は、耐久性バリアフィルムの収縮開始温度よりも高い温度に曝露した後の
図3中に示される耐久性バリアフィルム21である。無機コーティング層23は、ある波長及び振幅を特徴とする波構造となっている。
図4中に示されるように、第2の緩衝層25が耐久性バリアフィルム中に存在すると、第2の緩衝層も波の形成温度以上で低いモジュラスを有し、第2の緩衝層も柔軟となるため、波構造を形成することができる。或いは、無機コーティング層に結合する追加の層(すなわち非緩衝層)が存在することができる。
【0092】
波構造が形成されている耐久性バリアフィルムの幾つかの実施形態では、波構造の平均振幅は、0.25μm~1.0μm又は0.4μm~1.0μmであってよい。波構造の波長は2μm~5μmであってよい。波構造は、波長の平均振幅に対する比が2~20、又は4~10であることを特徴とすることもできる。
【0093】
無機コーティング層中に形成された波構造を含む耐久性バリアフィルムの実施形態では、ポリマー緩衝層の厚さは、波構造の平均振幅の1.1~20倍であってよい。幾つかの実施形態では、ポリマー緩衝層の厚さは、波構造の平均振幅の1.5~5倍であってよい。
【0094】
幾つかの実施形態では、高温条件に曝露する前に、耐久性バリアフィルムは、2cm3/m2/日未満、1cm3/m2/日未満、0.5cm3/m2/日未満、又は0.1cm3/m2/日未満の平均酸素透過率(OTR)値を有することができる(ASTM F1927に準拠して、1気圧、23℃、及び50%RHの条件を用いて測定される)。幾つかの実施形態では、典型的なレトルト殺菌プロセスに曝露した後、耐久性バリアフィルムは、2cm3/m2/日未満、1cm3/m2/日未満、0.5cm3/m2/日未満、又は0.1cm3/m2/日未満の平均OTR値を有する。この平均OTR値は、試験装置の最小検出レベル付近、最小検出レベル、又は最小検出レベル未満となりうる。代表的なレトルト殺菌プロセスは、レトルト包装フィルムのDIN A4のサイズの部分を切断し、それを128℃及び2.5barの超過圧力において蒸気殺菌プロセスに60分曝露し、続いてウォーターシャワー冷却を行うことによって完了する。
【0095】
耐久性バリアフィルムが収縮開始温度よりも高い温度に曝露した場合に、波構造を形成することができる。これは、あらゆる種類のプロセスで生じうる。例えば、耐久性バリアフィルムの加工の最中又は後に、フィルムはローラー又はオーブンによって加熱されることがある。ローラーは、フィルムの収縮開始温度よりも高い温度にフィルムが上昇して波の形成が生じることができる温度に加熱されるべきである。次にこのフィルムは、包装用途又は別の使用に用いることができる。或いは、耐久性バリアフィルムは、この材料から包装材料を形成して、製品を入れ、これを気密封止して閉じる最中又は後に、収縮開始温度よりも高い温度に曝露することがある。この高温は、レトルトプロセス又は別の種類の低温殺菌の一部であってよい。この場合も、この高温は、耐久性バリアフィルムの収縮開始温度よりも高くなるべきであり、それによって波の形成が起こる。
【0096】
別の包装の構成要素を用いて又は用いずに、耐久性バリアフィルムから包装材料を形成することができる。例えば、
図7中に示されるように、耐久性バリアフィルム210から可撓性自立パウチ200を形成することができる。気密封止される包装材料100の別の一実施形態では、耐久性バリアフィルム110は、
図6中に示されるような熱成形されたトレイ又はカップに封止される蓋材料であってよい。
【0097】
上記耐久性バリアフィルムは、そのフィルムから包装を形成し、充填し、気密封止し、レトルト殺菌プロセスを行った後でさえも、優れたバリア特性及び視覚的外観を維持する。
【実施例】
【0098】
実施例及びデータ
以下の表1にまとめたように、幾つかのフィルム構造を製造した。
【0099】
【0100】
実施例1a、実施例1b、及び実施例2の耐久性バリアフィルムは、水性ポリウレタン(PU)分散液を18μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムの表面に塗布し、分散液を乾燥させた後に1.7μmのコーティングを実現することによって作製した。このPUコーティングの表面に、酸化ケイ素コーティング又はアルミニウム層のそれぞれを蒸着によって取り付けた。実施例1bの試料は、酸化ケイ素コーティングの表面に加えられた水性PU分散液の追加の層を有した。
【0101】
比較例3は、ポリプロピレン層とEVOH外側層との同時押出成形によって作製し、続いて二軸配向を行った。このEVOH層(すなわち緩衝層)に、酸化ケイ素コーティングを蒸着によって取り付けた。比較例4は、18μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムの表面上への酸化ケイ素コーティングの真空蒸着によって作製した。この構造中に介在する材料は存在しなかった(すなわちポリマー緩衝層なし)。比較例5は、実施例1と同じ方法であるが、異なる水性ポリウレタン分散液のIncorez Ltd.より入手可能なDispurez(登録商標)101を用いて調製した。比較例6は、実施例1aと同じ方法を用いたが、酸化ケイ素の蒸着と、ポリウレタン分散液の塗布との順序を交換して作製した。ポリウレタン分散液の位置のため、比較例6は本明細書において規定される緩衝層を有しない。
【0102】
同様に、以下の表2中にまとめたように、幾つかのより複雑なフィルム構造を作製した。
【0103】
【0104】
実施例7の耐久性バリアフィルムは、実施例1aに記載の構造から、酸化ケイ素コーティング層に、印刷した18μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを接着積層し、反対側(BOPP)に60μmポリプロピレンシール層を接着積層することによって作製した。実施例8は、同様の方法であるが、実施例1aの副構造を裏返して作製した。印刷した18μm二軸配向ポリプロピレンフィルムは、実施例1aの18μmのBOPP側に取り付けた。
【0105】
実施例9及び10は、それぞれ実施例1a及び実施例2の無機コーティング層に60μmポリプロピレンシール層を接着積層することによって作製した。実施例14は、実施例1bの露出したPU緩衝層に60μmポリプロピレンシール層を接着積層することによって作製した。
【0106】
実施例11は、25μmのMDOPEフィルムの表面に水性ポリウレタン系プライマーを塗布した後に、水性EVOHラッカーを塗布して、ラッカーの乾燥後に厚さ1μmのコーティングを実現することによって作製した。このラッカー表面上に酸化ケイ素コーティングを蒸着によって取り付けた。
【0107】
実施例12及び比較例13は、最初に19μmのヒートシール可能な二軸配向ポリプロピレン(HSを有するBOPP)のヒートシール可能な表面上に酸化ケイ素コーティング層を堆積することによって作製した。このBOPPフィルムのヒートシール可能な層は、約0.7μmの厚さであり、緩衝層に適切な材料でできている。次に、上記酸化ケイ素コーティング層に60μmのポリプロピレンシール層を接着積層した。
【0108】
表1及び2中に列挙される実施例の構造及び比較例の構造のそれぞれの場合で、表3は、ASTM D2732を高温オーブンに修正することによって測定した実施例のフィルムの収縮開始温度を含んでいる。さらに、表3は、構造のポリマー基材層(又は比較例の場合のそれらの同等物)、及び構造の収縮開始温度におけるこの層の自由収縮を列挙している。最後に、表3は、構造のポリマー緩衝層(又は比較例の場合のそれらの同等物)、及び構造の収縮開始温度における緩衝層材料のヤング率を列挙している。
【0109】
【0110】
表3中に示されるヤング率データは、Park Systems NX10 AFM上でPinPoint(商標)Modeを利用する原子間力顕微鏡法(AFM)を用いて収集した。ポリマー緩衝層の機械的ヤング率を求めるために、ポリマー基材層/ポリマー緩衝層の試料を加熱ステージ上に搭載した。このステージを適切な試験温度まで加熱した。30nmの画定されたチップ半径を有するシリコンカンチレバー上に搭載されたシリコンチップ(SD-R30-FM、NanoAndMore GmbHより入手可能)を力分光法に用いた。得られた力-変位曲線からヤング率を計算した。
【0111】
表1及び2中に列挙される実施例の構造及び比較例の構造のそれぞれの場合で、表4は、ポリマー緩衝層と無機コーティング層との層の厚さの比を含んでいる。
【0112】
【0113】
表5は、実施例及び比較例の構造の波の形成のまとめを含んでいる。これらの構造は、構造の収縮開始温度よりも高い温度まで加熱し、続いて波について調べた。
【0114】
実施例7の耐久性バリアフィルムから、自立パウチ包装形状(
図7参照)を形成し、製品を入れて、気密封止した。次にこの包装材料に対して、127℃及び50分の条件を用いてレトルト殺菌プロセスを行った。レトルト処理中、酸化ケイ素コーティング層で波の形成が起こり、この結果、無機酸化物層中に亀裂の形成が非常に少ないフィルムが得られ、優れた酸素バリア特性を有する包装材料が得られた。
【0115】
平坦なフィルム及び積層体を用いて加熱条件下で波の形成の試験を行い、得られた波の特性を表5中に報告する。バリアデータは表6a及び6b中に報告する。試料は、実験室用垂直オートクレーブシステム(FVA/A1、Fedegari Autoclavi S.p.A、Italy)中で超過圧力において特定の時間及び温度でレトルト処理した。代わりに、幾つかの試料は、実験室用オーブン中、加熱プロセス中に温度が平衡になることを確認して、特定の時間及び温度で乾熱を行った。
【0116】
【0117】
実施例1、比較例5、及び実施例7の上から観察した顕微鏡写真を、それぞれ
図8A、8B、及び8C中に示す。これら3つの写真は、同じ倍率ではなく、相対的な波の特性を示すものではないことに留意されたい。むしろ、これらは、種々のパターンの明確な波の形成(
図8A及び8C)、及び無機コーティング層中に明確な亀裂を含む波の形成がない例(
図8B)を示している。
【0118】
【0119】
【0120】
フィルム構造のバリア性能に対する波の形成の結果は、表6a及び6bのデータから明らかである。フィルムの加熱及び収縮の後に波が形成できるように設計されたフィルムは、酸素バリアの劣化が実質的に少ない(OTRの増加が少ない)。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐久性バリアフィルムであって、
ポリマー基材層と、
無機コーティング層と、
前記ポリマー基材層と無機コーティング層との間に配置されるポリマー緩衝層であって、前記無機コーティング層に直接接触するポリマー緩衝層とを含み、
前記ポリマー基材層が10μm~100μmの厚さを含み、
前記無機コーティング層が、0.25μm~1.0μmで構成される平均振幅と2μm~5μmで構成される波長とを特徴とする波構造を含み、
前記ポリマー緩衝層が、前記波構造の前記平均振幅の1.1~20倍の厚さを含む、
耐久性バリアフィルム。
【請求項2】
前記無機層の前記波構造が、2~20で構成される、前記波長の前記平均振幅に対する比を特徴とする、請求項
1に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項3】
前記無機層が金属層又は酸化物コーティングを含み、前記無機コーティング層の厚さが0.005μm~0.1μmで構成される、請求項
1に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項4】
前記ポリマー基材層が、一軸配向ポリプロピレンフィルム、二軸配向ポリプロピレンフィルム、一軸配向ポリエチレンフィルム、二軸配向ポリエチレンフィルム、一軸配向ポリエステルフィルム、又は二軸配向ポリエステルフィルムを含む、請求項
1に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項5】
前記ポリマー緩衝層が、ポリプロピレン、ポリウレタン、又はポリ乳酸を含む、請求項
1に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項6】
前記無機コーティング層に直接接触する第2のポリマー緩衝層をさらに含む、請求項
1に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項7】
前記ポリマー基材層が、10~50μmの厚さをもつ二軸配向ポリプロピレンフィルムを含み、
前記無機コーティング層が、真空蒸着されたアルミニウム、AlOx、又はSiOxを含み、前記無機コーティング層の厚さが0.01~0.1μmで構成され、
前記波構造の前記平均振幅が0.4μm~1.0μmで構成される、請求項
1に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項8】
前記ポリマー基材層が一軸配向ポリエチレンフィルムを含み、前記ポリマー緩衝層がビニルアルコールコポリマーを含み、前記無機コーティング層が、真空蒸着されたアルミニウム、AlOx、又はSiOxを含み、前記波構造の前記平均振幅が0.15μm~1.0μmで構成され、前記波構造の前記波長が1μm~4μmで構成される、請求項
1に記載の耐久性バリアフィルム。
【請求項9】
請求項
1に記載の耐久性バリアフィルムを含む気密封止された包装材料。
【請求項10】
請求項
1に記載の耐久性バリアフィルムを含むレトルト安定性包装材料であって、
多層バリアフィルムの、25℃及び50%の相対湿度におけるASTM 3985-2005に準拠した、レトルト処理後の酸素透過率の、レトルト処理前の酸素透過率に対する比が5以下であり、
25℃及び50%の相対湿度におけるASTM 3985-2005に準拠した前記酸素透過率が、レトルト処理前に0.5cm
3/(m
2 24h bar)未満であり、127℃において50分のレトルト処理後に1cm
3/(m
2 24h bar)未満である、レトルト安定性包装材料。
【国際調査報告】