(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】制振装置
(51)【国際特許分類】
A61H 31/00 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A61H31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543472
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 IB2021058653
(87)【国際公開番号】W WO2022064392
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523111278
【氏名又は名称】キネティカ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KYNETIKA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダウハジレ,アブラハム・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ダウハジレ,アブラハム・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ダウハジレ,ダニエル・ピィ
(72)【発明者】
【氏名】クラスコ,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C074
【Fターム(参考)】
4C074AA04
4C074BB04
4C074CC20
4C074DD10
4C074GG11
(57)【要約】
人工心臓弁により人間が知覚する振動を低減するためのシステム及び方法は、人間の胴体の周りに着用可能なベストと、ベストに取り付けられた複数のセンサーと、ベストに取り付けられた複数の振動発生アクチュエータと、コントローラとを含む。複数のセンサーは、人工心臓弁によって生成された人間における振動を検出する。コントローラは、複数のセンサーから検出された振動を表す信号を受信するように動作可能であり、検出された振動を実質的に減衰させる防振信号を生成するように動作可能である。複数のセンサーの第1のセンサーは、センサー/アクチュエータセットを形成するために、複数の振動発生アクチュエータの第1の振動発生アクチュエータの近くに配置される。センサー/アクチュエータセットにおいて、第1の振動発生アクチュエータのためにコントローラによって発生される防振信号は、第1のセンサーによって検出された振動に対応する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工心臓弁により人間が知覚する振動を低減するためのシステムであって、
前記人間の胴体の周りに着用可能なベストと、
前記ベストに取り付けられた複数のセンサーであって、前記人工心臓弁によって生成された振動を検出する、前記複数のセンサーと、
前記ベストに取り付けられた複数の振動発生アクチュエータと、
前記複数のセンサーから前記検出された振動を表す信号を受信するように動作可能なコントローラであって、前記検出された振動を低減する防振信号を生成するように動作可能である、前記コントローラと、を備え、
前記複数のセンサーの第1のセンサーは、センサー/アクチュエータセットを形成するために、前記複数の振動発生アクチュエータの第1の振動発生アクチュエータの近くに配置され、
前記センサー/アクチュエータセットにおいて、前記第1の振動発生アクチュエータのために前記コントローラによって発生される前記防振信号は、前記第1のセンサーによって検出された振動に対応する、前記システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記複数のセンサーからの前記検出された振動に応答して前記人工心臓弁からの将来の振動を予測するアルゴリズムを有し、
前記コントローラは、前記予測に基づいて、前記複数の振動発生アクチュエータのための前記防振信号を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のセンサーは継続的に前記振動を検出し、
前記コントローラは、前記複数のセンサーによって検出された前記振動に基づいて前記アルゴリズムを監視し、適応的に調整する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記アルゴリズムは、較正段階に従って最初に設定されるパラメータを含み、
前記パラメータには、心拍数、血圧、または患者の身体構造の測定値が含まれる、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記患者の身体構造は、脂肪率、骨構造、及び骨密度を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数のセンサーは、前記較正段階からの前記測定値に基づいて前記ベスト上の位置に取り付けられる、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラと通信するユーザインターフェースデバイスを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のセンサーは、加速度計またはマイクロフォンを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の振動発生アクチュエータは、触覚アクチュエータまたは非触覚アクチュエータを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の振動発生アクチュエータは、フィードフォワードトポロジーのスピーカーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のセンサーは、音響センサー及び触覚振動センサーを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
人工心臓弁により人間が知覚する振動を低減するための装置であって、
前記人間の胴体の周りに着用可能なベストと、
前記ベストに取り付けられた複数のセンサーであって、前記人工心臓弁によって生成された振動を検出する、前記複数のセンサーと、
前記ベストに取り付けられた複数の振動発生アクチュエータと、を備え、
前記複数のセンサーの第1のセンサーは、センサー/アクチュエータセットを形成するために、前記複数の振動発生アクチュエータの第1の振動発生アクチュエータの近くに配置される、前記装置。
【請求項13】
前記複数のセンサー及び前記複数の振動発生アクチュエータは、前記ベストに解放可能に取り付けられ、前記複数のセンサー及び前記複数の振動発生アクチュエータの位置を調整することを可能にする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記複数のセンサー及び前記複数の振動発生アクチュエータは、個々の患者に合わせてカスタマイズされた位置に取り付けられる、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記複数のセンサーは、加速度計またはマイクロフォンを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記複数の振動発生アクチュエータは、触覚アクチュエータまたは非触覚アクチュエータを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記複数の振動発生アクチュエータはフィードフォワードマイクロフォンを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記複数のセンサーは、音響センサー及び触覚振動センサーを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
人工心臓弁により人間が知覚する振動を低減するための方法であって、
前記人間の胴体の周りに着用可能なセットアップベストを提供することであって、前記セットアップベストは、前記セットアップベスト上に再配置可能な第1の複数のセンサー及び第1の複数の振動発生アクチュエータを有する、前記提供することと、
前記セットアップベスト上の前記第1の複数のセンサー及び前記第1の複数の振動発生アクチュエータの配置をカスタマイズするために較正セッションを行うことと、
ベストを前記人間に提供することであって、前記ベストは、前記較正セッションからの前記配置に従って前記ベストに取り付けられた第2の複数のセンサー及び第2の複数の振動発生アクチュエータを有する、前記提供することと、
を備え、
前記第2の複数のセンサーの少なくとも1つのセンサーは、センサー/アクチュエータセットを形成するために、前記第2の複数の振動発生アクチュエータの少なくとも1つの振動発生アクチュエータの近くに配置される、前記方法。
【請求項20】
前記第2の複数のセンサーから検出された振動を表す信号を受信するように動作可能なコントローラを提供することであって、前記振動は前記人工心臓弁によって生成される、前記提供することを更に含み、
前記コントローラは、前記検出された振動を低減する防振信号を生成するように動作可能である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記センサー/アクチュエータセットにおいて、前記少なくとも1つの振動発生アクチュエータに対して前記コントローラによって生成される前記防振信号は、前記少なくとも1つのセンサーからのセンサー読み取り値に対応する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記コントローラは、前記第2の複数のセンサーによって生成されたセンサー読み取り値に応答して、前記人工心臓弁からの将来の振動に関する予測を行うアルゴリズムを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記コントローラは、前記第2の複数のセンサーによって検出された前記振動に基づいて前記アルゴリズムを監視し、適応的に調整する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記コントローラと通信するユーザインターフェースデバイスを更に備える、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の複数のセンサー及び前記第2の複数のセンサーは、加速度計またはマイクロフォンを備える、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の複数の振動発生アクチュエータ及び前記第2の複数の振動発生アクチュエータは、触覚アクチュエータまたは非触覚アクチュエータを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の複数の振動発生アクチュエータはフィードフォワードマイクロフォンを備える、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の複数のセンサーは、音響センサー及び触覚振動センサーを備える、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2020年9月28日に出願された、「Vibration Suppression Apparatus」という名称の米国仮特許出願第63/084,559号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
人工心臓弁など、心臓の中及び/または周囲の人工内部デバイスは、身体の内部骨構造、組織などを通じて伝播する振動を生成する。弁のばたつき(開閉)は、身体を通って振動を伝達し、これらの振動波が伝播すると、それらは患者によって感じられる。
【0003】
これらの振動の振幅は、多くの患者がこれらの振動による睡眠不足やその他の障害に苦しむほど大きくなる可能性がある。体位が異なると、振動が非常に不快になり、患者は夜眠れなくなる可能性がある。患者の生活の質(QOL)に対する心臓弁の振動の影響に関する研究では、心臓弁のレシピエントが深刻な睡眠障害を経験する可能性があり、慢性的なストレスなどの更なる健康問題につながる可能性があることが示されている。これらの睡眠の問題に対するいくつかの解決策は、機械心臓弁の設計を改善することを対象としている。他の解決策には、鎮静剤の投与などの薬物介入、または認知行動療法やノイズ相殺耳栓の着用などの非薬物介入を含む、患者への治療が含まれる。しかしながら、患者の生活の質に対する機械的心臓振動の影響は、重大な継続的問題であり続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態では、人工心臓弁により人間が知覚する振動を低減するためのシステムは、人間の胴体の周りに着用可能なベストと、ベストに取り付けられた複数のセンサーと、ベストに取り付けられた複数の振動発生アクチュエータと、コントローラとを含む。複数のセンサーは、人工心臓弁によって生成された人間の振動を検出する。コントローラは、複数のセンサーから検出された振動を表す信号を受信するように動作可能であり、検出された振動を低減する防振信号を生成するように動作可能である。複数のセンサーの第1のセンサーは、センサー/アクチュエータセットを形成するために、複数の振動発生アクチュエータの第1の振動発生アクチュエータの近くに配置される。センサー/アクチュエータセットにおいて、第1の振動発生アクチュエータのためにコントローラによって発生される防振信号は、第1のセンサーによって検出された振動に対応する。
【0005】
実施形態では、人工心臓弁により人間が知覚する振動を低減するための装置は、人間の胴体の周りに着用可能なベストである。複数のセンサーがベストに取り付けられ、複数のセンサーは、人工心臓弁によって生成された人間の振動を検出する。複数の振動発生アクチュエータがベストに取り付けられる。複数のセンサーの第1のセンサーは、センサー/アクチュエータセットを形成するために、複数の振動発生アクチュエータの第1の振動発生アクチュエータの近くに配置される。
【0006】
いくつかの実施形態では、人工心臓弁により人間が知覚する振動を低減するための方法は、人間の胴体の周りに着用可能なセットアップベストを提供することを含む。セットアップベストは、セットアップベスト上に再配置可能な第1の複数のセンサー及び第1の複数の振動発生アクチュエータを有する。セットアップベスト上の第1の複数のセンサー及び第1の複数の振動発生アクチュエータの配置をカスタマイズするために較正セッションが行われる。ベストが人間に提供され、ベストは、較正セッションからの配置に従ってベストに取り付けられた第2の複数のセンサー及び第2の複数の振動発生アクチュエータを有する。第2の複数のセンサーの少なくとも1つのセンサーは、センサー/アクチュエータセットを形成するために、第2の複数の振動発生アクチュエータの少なくとも1つの振動発生アクチュエータの近くに配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】当技術分野で知られている心音図の一例である。
【
図2】いくつかの実施形態による、制振装置を備えた人間の胸部の断面概略側面図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、制振装置の等角図を示す。
【
図3B】いくつかの実施形態による、別の制振装置の等角図を示す。
【
図4A】いくつかの実施形態による、制振装置の図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、セットアップベストの図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、人間の制振システムの概略図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、制振システムの電子部品ブロック図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、振動相殺波形を示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、制振システムのブロック図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、人工心臓弁によって人間が知覚する振動を低減するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
多くの人が、自然の大動脈弁または僧帽弁の手術及び置換をもたらす心臓または心臓弁の問題を抱えている。人工心臓弁にはいくつかの種類があり、機械的なものもあれば、組織(人間のドナーまたは動物の組織)でできているものもある。しかしながら、これらの人工弁はすべて、機械弁であろうと組織弁であろうと、心臓が拍動するときに胸腔全体に望ましくない振動を発生させる。これらの振動は、骨構造と胸部の組織を介して伝播する。
【0009】
本開示のシステム及び方法は、人工心臓弁により患者が知覚する振動を大幅に減衰させるために、人の胴体に外付けで装着される制振デバイスを含む。振動は、患者が感じる触覚及び患者が聞く可聴ノイズを含み得る。制振デバイスは、患者が着用する胸部カバーの形態をしており、患者の胴体の周りにセンサーが配置されている。胸部カバーは、例えば、ベストの形態であってもよい。ベストのセンサーは、心臓弁によって生成される胸部の外側の振動を読み取る。いくつかの実施形態では、特定のアクチュエータの防振信号が、対になっているセンサーによって感知された信号に基づくように、センサーが振動発生アクチュエータとセットで同じ場所に配置される。これらのセンサー/アクチュエータセットは、システム全体に対して生成される単一のノイズ相殺と比較して、より正確なノイズ相殺を有利に提供する。このようなノイズには、可聴信号及び/または非可聴信号が含まれる場合がある。センサー及びアクチュエータは、個々の患者に合わせてカスタマイズされたベストの位置に配置されてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示の制振システムは、個人の心臓弁振動特性を独自に学習し、振動相殺信号をカスタマイズして、これらの振動の影響を大幅に低減する。このようなシステムには、次の振動パルスを予測するために特別に設計された適応ソフトウェアアルゴリズムと共に、センサーからのリアルタイムデータを使用する電子機器及びマイクロコントローラが含まれる。電子機器は、ベストにも配置されている振動発生アクチュエータを駆動し、患者の体内にある人工心臓弁からの振動に対抗する。システムは、知覚された内部振動が著しく減衰されるように、防振パルスを感知し、学習し、適合させ、予測し、生成する。独自に設計された信号相殺方法を利用して、患者間の変動を考慮して各患者に対してセンサーをアルゴリズム的に較正する。
【0011】
本開示では、制振は、防振、振動相殺、ノイズ相殺、またはノイズ抑制と呼ばれる場合がある。振動発生アクチュエータによって生成される信号は、振動、パルス、または波と呼ばれる場合がある。制振とは、振動を患者にとって許容可能なレベルまで実質的にまたは著しく減少させる、減衰させる、打ち消す、または排除するなど、患者が知覚する振動を減少させることを指すものとする。
【0012】
図1は、胸部の感知デバイスによって測定された心音の典型的な心音
図100を示す。心音には通常、少なくとも2つのパルス、すなわち、収縮期の開始時に僧帽弁と三尖弁が閉じることによって引き起こされるS1、収縮期の終わりに大動脈弁と肺動脈弁が閉じるS2が含まれる。それぞれの2サイクルが
図1に示されており、S1-1、S2-1、S1-2、及びS2-2とラベル付けされ、それぞれの拡大図も示されている。人工弁は、
図1に見られるものと同様のパルスを生成する。人工弁によって生成された振動が胸腔を通過すると、神経終末によって拾われ、次いで患者によって感じられ、多くの場合、不安や不眠を引き起こす可能性がある。人工弁によって生成される振動は、波形、周波数、及び/または振幅など、患者ごとに変動性を示す可能性がある。変動性は、各患者の内部の骨と組織の構造、密度、及びその他の要因の関数であるため、普遍的な方法で振動を特徴付けることが困難になる。更に、振動は、身体運動、ストレス、または睡眠などにより、1日の間に個人で変化する可能性がある。振動は、老化、体重減少もしくは増加、または健康状態の変化などにより、個人に対して経時的に変化し得る。このように、人間の心音は特徴付けが非常に複雑である。
【0013】
図2は、人間の胴体200の断面概略図であり、個人によって異なり、人体内の振動信号の生成及び伝達に影響を与える解剖学的態様を示している。
図2には、皮膚210、軟組織220、心臓230、骨240a及び240b、ならびに神経終末250が示されている。骨240aは、脊椎を表すなどの縦図で示され、骨240bは、肋骨などの断面で示される。これらの解剖学的特徴のサイズ、位置、密度、及びその他の態様は患者ごとに異なり、従来の技術を使用して対処することができないノイズ相殺信号を生成するための複雑さをもたらす。例えば、患者の体重、体質量、及び筋緊張は、振動が胸腔を介して伝播する方法に影響を与える。
【0014】
本開示で対処されるノイズ振動の最初の発生源は、人工心臓弁260である。同じ種類の弁が2人の異なる患者に移植されたとしても、発生する振動は2人の患者間で、個々の生理機能に基づいて異なる。身体を通る振動の伝達も、これら2人の患者間で異なる。ノイズ振動は、軟組織220(筋肉、脂肪など)を通って骨240a、240b及び皮膚210に伝わる。身体の多くの場所の神経終末250が振動を拾い、信号を脳に送る。軟組織内の骨の位置、存在する軟組織の種類(例えば、筋肉と脂肪の比率など)、ならびに神経終末の位置及び量に応じて、振動は患者ごとに異なる方法で知覚される。これらの振動音及び身体感覚に対処するために、本開示は、患者の胸部に装着される制振デバイス270を説明する。制振デバイス270は、患者によって生成される心音を感知及び分析し、患者によって知覚される人工心臓弁の音を大幅に低減するための防振信号を分析及び生成する。制振装置270は、ベスト内のセンサー配置のカスタマイズを可能にすることによって、異なる解剖学的構造の人々に有利に適応する。また、装置270は、アルゴリズムを使用して予測的に分析し、防振信号を生成するなどして、患者の心臓信号を継続的に監視し、それに適応する。
【0015】
システムは主に、皮膚と直接接触する衣服の下など、人間の胸部に着用するベストの形で説明するものとする。しかし、本開示のウェアラブル装置は、心臓の領域にわたって胸部の少なくとも一部を覆うバンド、ベルト、またはストリップなどの他の形態で構成されてもよい。本開示における「ベスト」に言及する実施形態は、これらの他の構成にも同様に適用されるものとする。
【0016】
図3Aは、制振システムの構成要素を含む、いくつかの実施形態によるベスト300の例を示す。ベスト300は、患者の心臓の上の領域を少なくとも覆う主要部310を有する。例えば、主要部310は、少なくとも胸部または胸郭を覆い得、または肩から腰までなどの胴体全体を覆い得る。ベスト300は、この例では肩ストラップ320を含み、ベスト300が患者の上を滑り落ちるのを防止するのに役立つ。しかしながら、他の実施形態では、
図3Bの胸部バンド301によって示されるように、装置が主要部310のみを含むように、ストラップ320は含まれる必要はない。ベスト300は、異なるサイズ範囲、輪郭、またはスタイル(例えば、女性用に対する男性用の幅広のストラップ320)を有するなど、男性用及び女性用の異なるバージョンで提供され得る。ベスト300及び胸部バンド301は、患者の胴体の周りに固定するためにサイズを調整可能にする調整機構330を有する。調整機構330は、ユーザの背中に配置される。調整機構330は、
図3Aでは鉤ホックとして、
図3Bでは面ファスナとして示されている。他の実施形態では、調整機構330は、例えば、バックル、ボタン、スライド/アジャスタ付きストラップ、及び/または他の手段であってもよい。主要部310は、天然または合成繊維など、着用者にとって快適な柔らかい材料でできている。いくつかの実施形態では、材料は、ユーザの胸部が拡張及び収縮するときに伸縮できるように弾性布地であってもよい。いくつかの実施形態では、主要部310の材料は、防振信号がベスト300または胸部バンド301に沿って横方向に広がるのを実質的に隔離する材料であるように選択されてもよい。
【0017】
図4Aは、実施形態による、ベスト400の主要部における構成要素の例示的な配置を示す概略図である。簡単にするために、ベスト400の前部のみが示されている。複数のセンサー410及び振動発生アクチュエータ420がベスト400に沿った様々な位置に配置され、ユーザの胸部にわたる心音信号に対処する。振動発生アクチュエータ420は、防振信号、すなわち、患者が知覚する人工心臓弁のノイズを減衰または低減する振動を生成する。システム内で複数のセンサー410及びアクチュエータ420を使用すること(例えば、少なくとも2つのセンサー及び少なくとも2つの振動発生アクチュエータ)は、信号を検出する精度及び感度を改善し、単一のセンサー及びアクチュエータを使用する場合と比較して、振動のより完全な減衰を可能にする。
【0018】
1つ以上のセンサー410は、センサー/アクチュエータセット430を形成するために協働する各振動発生アクチュエータ420の近くに配置することができる。これらのセンサー/アクチュエータセット430において、各振動発生アクチュエータ420は、その位置の近くでセンサー410によって感知された振動に対応する減衰信号を生成することができる。複数のセンサーの第1のセンサー410は、センサー/アクチュエータセット430を形成するために、複数の振動発生アクチュエータの第1の振動発生アクチュエータ420の近くに配置されてもよい。センサー/アクチュエータセット430において、第1の振動発生アクチュエータのためにシステム(例えば、コントローラ)によって発生される防振信号は、第1のセンサーによって検出された振動に対応する。例えば、センサー及びアクチュエータとの間でデータを受信及び送信するコントローラは、セットのセンサー(複数可)及びアクチュエータ(複数可)を互いに関連付けるように命令またはプログラムされてもよい。センサー/アクチュエータセット430は、例えば、1つのセンサー410及び1つのアクチュエータ420、または1つ以上のアクチュエータ420を有する1つ以上のセンサー410を備えてもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上のセンサー410によって感知される振動の振幅の勾配を決定し得るように、2つ以上のセンサー410が互いに離間して配置される。圧電型センサー及び振動発生アクチュエータを使用する一例では、センサー410及びアクチュエータ420はそれぞれ約1/2インチ平方であり、互いに隣接または近接して配置される。
【0019】
振動は心臓に対する方向に変化するため、防振アクチュエータがその位置の近くで感知された振動に応じて信号を生成するセンサー/アクチュエータセットを有することは有益である。いくつかの実施形態によるセンサー/アクチュエータセット430は、有利なことに、アクチュエータ420がその特定の位置で感知された振動を特に対象とすることを可能にする。センサー/アクチュエータセット430は、患者の胸部全体に分散され、センサー/アクチュエータセット430の数及びそれらの間の間隔は、骨密度、肋骨構造、及び/または体脂肪率などの要因によって決定され得る。例えば、より体重の重い個人または脂肪率の高い個人は、痩せた個人または脂肪率の低い個人よりも多くのセンサー及び/またはセンサー間のより小さい間隔を必要とし得る。別の例では、胸部の女性と男性の解剖学的な違いに対応するために、男性のベストとは異なるセンサー間隔及び位置で女性用ベストを設計してもよい。
図4Aに示されるように、センサー/アクチュエータセット430は、特定の患者について評価されたノイズ外乱に応じて、互いに対して様々な向き、間隔、及び配置で配置され得る。
図4Aはまた、追加の感知データを提供するために、または異なる位置からの複数のセンサーに基づいて防振信号を提供するために、いくつかのセンサー410及びアクチュエータ420が互いに別個に(すなわち、セットではない)配置され得ることを示す。
【0020】
図4Bは、個々の患者に対するセンサー及びアクチュエータの配置をカスタマイズするための「セットアップ」ベスト401の主要部の実施形態を示す。ベスト401は、振動が患者から適切に感知され、患者に伝達され得るように、ベストのサイズを患者にぴったりと合わせる調節機能(例えば、
図3A~3Bの調整機構330)を含む。ベスト401は、セットアップセッション(本開示では較正セッションまたは較正段階とも呼ばれ得る)中にセンサー410及びアクチュエータ420の最適な配置位置を取り付けて決定するための試験面460を有する。試験面460は、ベストに解放可能に取り付けられるセンサー及びアクチュエータのための複数の接続位置を含んでもよい。いくつかの実施形態では、試験面は、フレキシブル回路基板及び/またはワイヤリングハーネスを含んでもよい。試験面460は、患者の身体と直接接触するように、患者に面するベスト401の内面に配置されてもよい。試験面460は、ベスト401の作業領域を覆うシートとして、または完全な作業領域よりも小さく、ベストの異なる領域に配置されるストリップまたはピースとして構成され得る。
【0021】
試験面460及び/またはベスト材料は、例えば、センサー410、アクチュエータ420及び/またはセンサー/アクチュエータセット430が取り付けられるファスナ(例えば、フック、クリップ、接着ストリップ)で構成され得る。実施形態はまた、センサー/アクチュエータセット430を保持できる区画を含んでもよい。ファスナ及び/または区画により、センサーとアクチュエータをセットアップベスト上で再配置して、特定の個人に合わせて配置をカスタマイズできる。いくつかの実施形態では、試験面460は、センサー410及びアクチュエータ420(例えば、センサー/アクチュエータセット430として個別にまたはペアで)の試験位置の基準点として機能するように、試験面460上に印刷または描画される、
図4Bにグリッドとして示される位置マーキングを含んでいてもよい。
【0022】
セットアップセッション中、センサー410及びアクチュエータ420は、患者が最も高い信号振幅を有する心臓弁信号を経験している位置を決定するために、移動、再配向、または別の方法で再配置及び調整することができる。いくつかの例では、心臓弁信号は、可聴信号及び/または非可聴信号(例えば、振動及び/またはノイズ)を含む。センサー及びアクチュエータの数及び種類は、セットアップセッション中に変更して、患者が受け入れられるノイズ低減結果を達成できる。いくつかの実施形態では、センサー410のうちの2つ以上は、患者が最も高い信号振幅を有する心臓弁信号を経験している場所を迅速に決定するために、心臓弁信号の振幅勾配を提供するように動作可能である。いくつかの実施形態では、特定の領域における心臓弁信号の勾配は、その領域に一時的に配置された複数のセンサーを使用して測定することができ、より良い信号を得るためにセンサーをどの方向に動かすかを導くことができる。セットアップベストでセンサーとアクチュエータの適切な配置が達成されると、較正セッション中に決定された位置でセンサーとアクチュエータをベストに取り付けて、その患者用にカスタマイズされたベストを作成できる。
【0023】
また、
図4A及び
図4Bには、センサー410、振動発生アクチュエータ420、ならびにセンサー410及び振動発生アクチュエータ420との間の信号を処理する電子機器450に電力を供給するバッテリ440(例えば、薄いリチウムイオンコインセル)である。いくつかの実施形態では、バッテリ440を充電するためにワイヤレス充電器445が使用される。いくつかの実施形態では、電子機器450は、着用者にとって快適であるように、柔軟な電子ボード上に収容され得る。他の実施形態では、電子機器450及び/またはバッテリ440は、センサー410及び振動発生アクチュエータ420と電力及び信号通信してもよいが、機械的にベストに固定されていなくてもよい。
【0024】
実施形態は、ユーザの快適さのためにバッテリ440のサイズを最小化することを含み得る。バッテリのサイズは、例えば、バッテリの使用を節約するための省電力モードを提供すること、及び/または電子機器450を低電力にしてより長いバッテリ寿命を提供することによって最小化され得る。省電力モードでは、センサーの読み取り値が一定期間大幅に変化していない場合(例えば、患者が座っている場合)、測定の頻度を下げるか、または特定のセンサー及び振動発生アクチュエータの測定頻度、もしくは心音障害が他の地域ほど顕著ではない地域での作動率を下げて操作することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、システムは、患者が眠っているときのためのスリープモードを有してもよく、このモードでは、ユーザにとって快適な減衰レベルがマイクロコントローラによって維持されるが、患者は眠っており、身体活動を行っていないので、将来の心音の継続的な監視及び計算は実行されない(したがって、バッテリ寿命を節約する)。一実施形態では、システムは、夜の特定の時間にスリープモードに変更するようにプログラムしてもよい。別の実施形態では、システムは、患者がいつ眠りに落ちるかを検出し、次いで、制振システムにスリープモードに切り替えるように指示する外部モニター(例えば、患者のスマートウォッチまたは睡眠モニター)と通信し得る。
【0025】
実施形態では、人工心臓弁により人間が知覚する振動を低減するための装置は、人間の胴体の周りに着用可能なベストである。複数のセンサーがベストに取り付けられ、複数のセンサーは、人工心臓弁によって生成された人間の振動を検出する。複数の振動発生アクチュエータがベストに取り付けられる。複数のセンサーの第1のセンサーは、センサー/アクチュエータセットを形成するために、複数の振動発生アクチュエータの第1の振動発生アクチュエータの近くに配置される。
【0026】
図5は、いくつかの実施形態による、患者の体内の人工内部デバイスによって生成される振動を抑制するための装置500のブロック図を示す。装置500は、ユーザが着用するベストなどの胸部カバーである。装置500は、内部人工デバイス(ここでは機械大動脈弁560として図示)から生じる振動を検出するための振動センサー510と、振動相殺波を生成するための振動発生アクチュエータ520とを含む。装置500はまた、ワイヤレス充電式バッテリシステム540及び電子機器550を含む。電子機器550は、例えば、マイクロコントローラ、アナログ-デジタル変換器、デジタル-アナログ変換器、BLUETOOTH(登録商標)及びWi-Fi接続、増幅器、及びメモリを含むことができる。
【0027】
図5に示されるように、心臓が大動脈弁560をポンピングして作動させると、弁フラップ562の動きが振動を生み出す。振動は、弁本体564を介して伝達され、次いで患者の骨構造570及び胸腔の組織を介して伝達される。これらの振動は多くの神経終末580によって拾われ、振動感覚は患者の脳に伝達される。本開示の制振装置500を使用して、胸部のいくつかの位置に外部的に配置されたいくつかの振動センサー510もこれらの振動を拾う。アクチュエータ520は、信号を生成して患者が知覚する振動を低減し、それによって快適さと生活の質を改善する。
【0028】
図6は、いくつかの実施形態による、制振システム600のブロック図である。システムは、患者が着用するベストまたは他の胸部カバーなどの装置を含み、ウェアラブル装置は、振動センサー610、振動発生アクチュエータ620、バッテリ640、バッテリ充電器645(例えば、ワイヤレス充電器)、及び電子機器650を含む。振動発生アクチュエータ620は、防振信号を生成して、患者が知覚する人工心臓弁のノイズを減衰または低減する。電子機器650は、アナログ-デジタル変換器652、コントローラ654(例えば、マイクロコントローラ)、及びデジタル-アナログ変換器656を含む。電子機器650はまた、他の電子機器と同じまたは別個の回路基板上にワイヤレス送信システム670を含んでもよい。いくつかの実施形態では、制振システム600は、外部コンピュータサーバーまたはクラウドベースのコンピューティングシステムなどのコンピューティングデバイス660と通信する。
【0029】
ワイヤレス送信システム670は、振動センサー610、コントローラ654、及び振動発生アクチュエータ620からコンピューティングデバイス660へ、BluetoothまたはWi-Fiを介して、保存されたリアルタイムデータを送信及び受信するために使用される。データは、最初の患者較正段階中に、及び/または進行中の患者のモニタリングから収集されて、例えば学習適応予測(LAP)アルゴリズムであってもよいアルゴリズム655のパラメータの再調整を通知し得る。アルゴリズム655によって学習され得る例示的なパラメータは、心臓パルスの特性(例えば、波形形状、S1とS2との間の時間ギャップ、S1とS2の振幅、S1とS2パルスのスペクトル(周波数スペクトル)内容)及びそれらの特性の重み付けを含む。
【0030】
充電式バッテリ640は、ウェアラブルベストの構成要素に電力を供給する。いくつかの実施形態では、バッテリ充電器645は、バッテリ640を無線で再充電する。いくつかの実施形態では、バッテリ充電器645は、プラグイン充電器を介してバッテリ640を再充電するための物理的コネクタを含み得る。バッテリ充電レベル及び/またはシステム状態に関する情報は、携帯電話アプリケーションまたはコンピュータを介して患者に提供され得る。
【0031】
使用中、胸部ベストの振動センサー610によって心音及び振動680が検出される。振動センサー610からのアナログ信号681は、アナログ-デジタル変換器652に送信され、アナログ/デジタル変換器652は、デジタルデータ682をコントローラ654に送信する。デジタルデータ682は、コントローラ654によってリアルタイムで分析され、コントローラ654内のアルゴリズム655は、防振デジタルシーケンス684を生成する。コントローラ654は、複数のセンサーから検出された振動を表す信号を受信するように動作可能であり、検出された振動を実質的に減衰させる防振信号を生成するように動作可能である。いくつかの実施形態では、アルゴリズム655は、患者が経験する次の振動を予測し、それらの信号を減衰させる防振デジタルシーケンス684を生成するLAPアルゴリズムである。予測された振動の態様には、波形、周波数、振幅、パルス持続時間、パルス間の時間、及び/またはパルス発生の遅延が含まれ得る。防振デジタルシーケンス684は、オプションとして、デジタル-アナログ変換器656を介してアナログ信号686に変換される。防振アナログ信号686または防振デジタルシーケンス684は、振動発生アクチュエータ620を駆動するために適用され、振動発生アクチュエータは、胸部及び/または必要に応じて他の方向への振動相殺防振信号688を生成する。
【0032】
センサー610は、機械的振動及び/または可聴ノイズを検出し、それを表す信号をアナログ-デジタル変換器652に提供するように動作可能である。センサー610は、心電図(ECG)センサー、圧電センサー、微小電気機械(MEMS)、加速度計、変位センサー、速度センサー、圧力センサー及び/またはマイクロフォンを含み得るが、これらに限定されない。振動発生アクチュエータ620は、デジタル信号またはアナログ信号を受信し、受信信号に対応する機械的振動を生成するように動作可能である。振動発生アクチュエータ620は、触覚アクチュエータ(例えば、圧電アクチュエータ、線形共振アクチュエータ、及び偏心回転質量アクチュエータ)及び/またはスピーカーもしくはマイクロフォンなどの非触覚アクチュエータを含み得るが、これらに限定されない。
【0033】
センサー610及び振動発生アクチュエータ620は、ベスト全体にわたってすべて同じ種類及び/またはサイズであってもよいし、様々な種類及び/またはサイズであってもよい。振動は全方向に伝播するため、チェストベルト内の様々な種類及び/または位置のセンサー及び振動発生アクチュエータを使用すると、単一のセンサー及びアクチュエータと比較して、患者が感じる振動をより効果的に打ち消し得る。
【0034】
センサー610は、患者(または患者の近くにいる人)が聞く音響空気伝播可聴のカチカチ音、及び患者が感じる触覚振動を検出するために利用され得る。音響音を感知するためのセンサーの種類には、接触型マイクロフォン(例えば、圧電ベース)や微小電気機械(MEMS)マイクロフォンなどのマイクロフォンが含まれる。いくつかの実施形態では、センサーは、人間の可聴範囲(例えば、20Hz~20kHz)及びその範囲未満の周波数を検出するように構成され得る。例えば、センサーは、20Hz未満のサブオーディオ(すなわち超低周波)範囲で応答するマイクロフォンを含み得る。患者には超低周波音が聞こえない場合があるが、情報は、LAPアルゴリズムが将来の振動を予測するのに役立つ場合がある。物理的な振動を拾うセンサーの種類には、3軸加速度計及び圧電MEMS加速度計などの加速度計がある。音響センサーと触覚振動センサーからの読み取り値は、ノイズ信号の識別を強化するために、相互に関連付けて使用されてもよい。例えば、可聴心臓弁のカチカチ音の大きさは、存在する他の音よりも小さい場合があるため、触覚振動の読み取り値を使用して、音響センサーによって検出された信号が心臓弁によるものであることを確認できる。
【0035】
センサー610はまた、関心のある心臓ノイズ周波数よりも応答速度が速く、待ち時間が短くなるように選択される。センサーは、適切なアコースティックオーバーロードポイント(AOP)で選択されるため、センサーが感知できる信号の振幅がマイクロフォンを過負荷にしないようになっている。
【0036】
様々なアクチュエータ620を利用して、患者の聴覚を通じて知覚される振動ノイズと、身体(例えば、骨、軟組織)を通じて伝達されることによって患者が感じる触覚の両方に対処し得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ620及びセンサー610は、フィードフォワードまたはフィードバック振動及び/または可聴ノイズ相殺トポロジーの一部として使用されてもよい。フィードフォワードトポロジーでアクチュエータとして使用されるスピーカーの例では、そのようなスピーカーは、患者の身体から発生する可聴心臓弁のカチッと鳴るノイズを打ち消すために、患者から外側に面してもよい。人工心臓弁から可聴のカチッと鳴るノイズを拾うためのセンサー、例えばマイクロフォンは、防振アクチュエータとして機能するスピーカーと対にしてもよく、マイクロフォンは、ベストから出る可聴音を検出するように配置される。対照的に、センサー610(例えば、マイクロフォン)及びアクチュエータ620は、打ち消される音を特定のセンサーが拾っているベスト上の位置で、患者の皮膚の隣など、ノイズ/振動源にできるだけ近く配置されてもよい。フィードバックスピーカーは、発生源(心臓弁)からの振動を打ち消すために、体内に音を生成する。
【0037】
いくつかの実施形態では、複数のセンサー及び複数の振動発生アクチュエータは、ベストに解放可能に取り付けられ、それによって複数のセンサー及び複数の振動発生アクチュエータの位置を調整することを可能にする。いくつかの実施形態では、複数のセンサー及び複数の振動発生アクチュエータは、個々の患者に合わせてカスタマイズされた位置に取り付けられる。複数のセンサーは、加速度計、マイクロフォン、音響センサー、及び/または触覚振動センサーを含み得る。複数の振動発生アクチュエータは、触覚アクチュエータ、またはフィードフォワードマイクロフォンなどの非触覚アクチュエータを含み得る。
【0038】
図7は、センサーによって検出された元の振動710(S1-S2波)の心音図の例を示す。元の振動に応答して、アクチュエータによって防振信号720(防振波S1’及びS2’)が印加される。元の振動710に防振信号720が加えられた合成信号730は、振動を、患者が許容できる閾値まで、または患者が振動に気付かないレベルまで減少させる。いくつかの実施形態では、防振信号720が胸腔を通って伝わると、信号は、胸腔内の異なる神経終末で検出された振動信号を打ち消すまたは大幅に低減する。他の実施形態では、防振信号720が空気中を伝わり、ノイズ信号が患者に聞こえないようにする。
【0039】
実施形態では、本開示の学習アルゴリズムは、ユーザに外乱を生じさせる振動だけでなく、患者の正常な心拍リズムも分析して、将来の心臓信号を予測する精度を向上させ得る。例えば、アルゴリズムは、ルックアヘッド推定を可能にし、処理待ち時間を短縮するために、各心臓サイクルの血液取り込み部分を分析し得る。アルゴリズムは、個々の患者の心拍数の加速または減速に先行する指標を学習し得、これにより、より正確な推定が可能になり、処理の待ち時間が短縮される。
【0040】
図8は、いくつかの実施形態による、患者によって知覚される人工心臓弁音を低減するための例示的なシステム800のブロック図である。システムは、ウェアラブルデバイス805(例えば、胸部ベスト)及びユーザインターフェースデバイス850を含む。ユーザインターフェースデバイス850は、ウェアラブルデバイス805からの外部デバイスであり、パーソナルコンピュータまたは携帯電話などの電子デバイスであり得る。ユーザインターフェースデバイス850は、ユーザ(例えば、医師、技術者または患者)が個々の患者のためにウェアラブルデバイス805を較正することを可能にするユーザアプリケーション852を有する。較正またはセットアップセッションは、例えば、病院または研究室で実行できる。
【0041】
いくつかの実施形態では、アルゴリズム855は、人工心臓弁に関連する信号(例えば、電気信号、振動及び/または可聴ノイズ)のアナログまたはデジタル表現を受信し、(例えば、振動または可聴ノイズと位相がずれている相殺信号を生成することにより)患者が感じる振動及びノイズの減衰レベルを最大化する個々のアクチュエータごとの個々の信号を決定し、人工心臓弁に関連する信号を大幅に減衰させるノイズまたは振動をアクチュエータが生成するなど、各アクチュエータを制御するためのアナログもしくはデジタル信号または命令を生成する。減衰量は、少なくとも3dB、少なくとも4dB、または少なくとも6dBなど、知覚される音を少なくとも2デシベル(dB)低減することを望むなど、ノイズ及び振動外乱の患者の許容範囲に従って設定されてもよい。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、ユーザの好みに関係なく、少なくとも最小量の減衰(例えば、少なくとも3dBまたは少なくとも4dB)を達成することを目標とすることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、当技術分野で知られているアクティブ制振(AVC)のための古典的な制御戦略または最新の制御戦略を実施する。いくつかの実施形態では、アルゴリズム855は、比例積分微分(PID)制御アルゴリズムを実装する。いくつかの実施形態では、アルゴリズム855は、モデル予測制御(MPC)アルゴリズムを実装する。いくつかの実施形態では、心臓に関連する電気信号(例えば、ECG)を使用して、人工心臓弁に関連する信号がいつ放出されているか、及び/またはいつ放出されるかを判定する。いくつかの実施形態では、アルゴリズム855は、人工知能を使用してデバイスを装着している個人の振動特性を学習し、それらの特性に基づいて将来の振動を予測する学習適応予測(LAP)アルゴリズム855を含む。いくつかの実施形態では、LAPアルゴリズムは、人工心臓弁に関連する信号の以前に受信されたアナログまたはデジタル表現を使用して、振幅、周波数成分、及び周期性などの人工心臓弁に関連する信号の将来の特性を予測する特別に設計された予測アルゴリズムである。
【0043】
ユーザインターフェースデバイス850は、ユーザがバイオメトリック入力854をシステムに入力して保存することを可能にする。患者の初期セットアップまたは定期的な再較正セッションであり得るセットアップセッション中に、ユーザは、様々なユーザバイオメトリック入力854を含むプロファイルを作成する。バイオメトリック入力854は、身長、体重、性別、及び年齢などの情報を含むことができ、これらの情報はアルゴリズム855のパラメータとして、及び/またはアルゴリズム855のLAPアルゴリズムと共に使用されるユーザインターフェースデバイス850を介して事前訓練モデル856を選択するために使用することができる。事前訓練モデル856は、クラウドプロセッサ(例えば、
図6のコンピューティングデバイス660)から、またはユーザアプリケーション852に組み込まれた選択から取得され得る。
【0044】
アルゴリズム855の一部としてLAPアルゴリズムを使用する実施形態では、次のステップは、ウェアラブルデバイス805上の振動センサー810のアレイから入力を取得して、事前訓練モデル856またはアルゴリズム855の初期LAPアルゴリズムの上で較正プロセスを実行することである。
【0045】
ウェアラブルデバイス805(例えば、セットアップベスト401)は、センサー810及びアクチュエータ830のための複数の位置を含む。いくつかの実施形態では、コンピュータデータベースまたはアルゴリズムは、患者の解剖学的構造及びそれらのバイオメトリック入力854に基づいて、ウェアラブルデバイス805上のセンサー810及びアクチュエータ830の位置の初期マップを提案し得る。コンピュータデータベースまたはアルゴリズムはまた、使用するセンサー810及びアクチュエータ830の数及び種類を提案することができる。較正段階中、補助センサー820を使用して、ウェアラブルデバイス805からの測定に加えて、補助測定を行ってもよい。補助センサー820は、心拍数を測定するための心拍数センサー及び/または血圧を測定するための血圧モニターを含み得る。いくつかの実施形態では、トレッドミル試験を実行することができ、アルゴリズム855のLAPアルゴリズムが、患者の特定の身体構造(例えば、骨構造、骨密度、脂肪率、胸部内の脂肪の分布、筋肉量)が身体活動中に人工心臓弁によって生成される振動にどのように影響するかを学習するように、試験中に較正読み取り値を記録することができる。振動は睡眠時に患者にとって最も煩わしいことが多いため、患者が眠っている様々な体位などの静止モードで読み取り値を収集することもできる。較正セッションは、特に患者が横になっているときに、最も強い振動信号が検出されるセンサー位置を見つけるために使用され得る。較正段階はまた、患者からの主観的な入力を使用して、患者を悩ませる振動振幅の閾値を学習することを含み得る。
【0046】
較正試験からセンサー及びアクチュエータの最適な位置が決定されると、較正段階で決定された配置に基づいて、患者用にカスタマイズされたベストが注文される。カスタマイズされたベストでは、複数のセンサー内のセンサーと、複数の振動発生アクチュエータ内のアクチュエータとが、較正段階中に収集された測定値と他のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、ベスト上の位置に取り付けられる。同様に、カスタマイズされたベストで使用されるセンサー及びアクチュエータの種類及び数は、較正段階で行われた評価に基づく。
【0047】
較正段階は、患者がベストを継続的に使用している間に複数回実行される場合がある。例えば、セットアップベストを使用して、患者の最初のセッションで較正段階を実行できる。カスタマイズされたベストを患者が初めて使用するときに、ベストが計画どおりに動作していることを確認するために、較正を実行することもできる。較正はまた、(継続的に学習アルゴリズムによって行われる調整に加えて)学習アルゴリズムを更に微調整するために、及び/または患者の健康もしくは他の状態の変化が、ベストが患者のニーズをどのように満たしているかに影響を与えたかを確認するために、数か月ごとなど、定期的に実行されてもよい。いくつかの実施形態では、較正段階中に取得された測定値を使用して、ベスト全体のセンサー及びアクチュエータの位置を決定または再調整し、センサー及び/またはアクチュエータを異なる種類のセンサー及びアクチュエータと交換し、またはソフトウェア調整を行うことができる。
【0048】
通常の使用中、胸部ベストは着用者の胸部の周りの複数のポイントで振動を感知する。ウェアラブルデバイス上のセンサーの位置のレイアウトと、患者の骨及び組織の構造に基づいて、可能な限り最良の減衰を保証するために、患者ごとにアクチュエータごとに個別化モデルが実装される。いくつかの実施形態では、アルゴリズム855のLAPアルゴリズムは、次のパルスの強度、性質(例えば、波形形状)、周波数、及び/または遅延及び/または発生時間などの将来の振動を予測し、相殺パルスを生成するように振動発生アクチュエータ830をプログラムする。センサー810は継続的にセンサー読み取り値を収集し、アプリケーションは継続的にアルゴリズム855を再訓練し、次の振動パルスを予測するための最良のモデルを出力する。いくつかの実施形態では、センサー810による連続測定は、骨及び組織を介して伝達される心音図信号の速度よりも大きく、心音図信号に関連する最大周波数よりも高い速度で行われる進行中の測定である。例えば、1~2kHzの周波数スペクトルを有する典型的な心臓振動信号の場合、本実施形態の測定アルゴリズムは、周波数スペクトルの最大周波数及び/または周波数帯域幅の少なくとも2倍であるサンプリングレートを利用し得る。
【0049】
マイクロコントローラのLAPアルゴリズムは、使用中に振動及び近くの音を継続的に監視及び測定し、次の振動パルス及びそれに対応するアクチュエータの相殺戦略を試みて予測する。システムは、パターン認識アルゴリズム及び機械学習を利用し得る。システムは低遅延で構成されており、マイクロコントローラが非常に高速で循環するため、信号は関心のある周波数の周期よりも高速に処理される。
【0050】
いくつかの実施形態では、線形回帰ベースのモデルを使用して、患者の神経終末で感じられる振動を減衰させるのに必要な防振アクチュエータ波形出力を生成し得る。いくつかの実施形態は、独立確率変数からの2つの線形形式の独立性によってガウス分布を特徴付けるDarmois-Skitovich定理を利用してもよい。Darmois-Skitovich定理は、通信業界でパイロット信号を使用せずに通信チャネルを効果的に反転させるために使用され、放射線科医は介在する組織ノイズを本質的に透明にしようと試みる。
【0051】
様々実施形態では、人工心臓弁により人間が知覚する振動を低減するためのシステムは、人間の胴体の周りに着用可能なベストと、ベストに取り付けられた複数のセンサーと、ベストに取り付けられた複数の振動発生アクチュエータと、コントローラとを含む。複数のセンサーは、人工心臓弁によって生成された人間の振動を検出する。コントローラは、複数のセンサーから検出された振動を表す信号を受信するように動作可能であり、コントローラは、検出された振動を、実質的に減衰させるなど低減する防振信号を生成するように動作可能である。複数のセンサーの第1のセンサーは、センサー/アクチュエータセットを形成するために、複数の振動発生アクチュエータの第1の振動発生アクチュエータの近くに配置される。センサー/アクチュエータセットにおいて、第1の振動発生アクチュエータのためにコントローラによって発生される防振信号は、第1のセンサーによって検出された振動に対応する。
【0052】
いくつかの実施形態では、コントローラは、複数のセンサーからの検出された振動に応答して人工心臓弁からの将来の振動を予測するアルゴリズムを有し、コントローラは、予測に基づいて、複数の振動発生アクチュエータのための防振信号を生成する。いくつかの実施形態では、複数のセンサーは継続的に振動を検出し、コントローラは、複数のセンサーによって検出された振動に基づいてアルゴリズムを監視し、適応的に調整する。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、較正段階に従って最初に設定されるパラメータを含み、パラメータは、心拍数、血圧、または患者の身体構造の測定値を含む。患者の身体構造には、脂肪率、骨構造、及び骨密度が含まれる場合がある。複数のセンサーは、較正段階からの測定値に基づいてベスト上の位置に取り付けられる。
【0053】
いくつかの実施形態では、システムは、コントローラと通信するユーザインターフェースデバイスを含む。いくつかの実施形態では、複数のセンサーは、加速度計またはマイクロフォンを含む。いくつかの実施形態では、複数のセンサーは、音響センサー及び触覚振動センサーを含む。いくつかの実施形態では、複数の振動発生アクチュエータは、触覚アクチュエータまたは非触覚アクチュエータを含む。いくつかの実施形態では、複数の振動発生アクチュエータは、フィードフォワードトポロジーのスピーカーを含む。
【0054】
図9は、人工心臓弁によって人間が知覚する振動を低減するための方法を表すフローチャート900である。ステップ910は、人間の胴体の周りに着用可能なセットアップベストを提供することであって、セットアップベストは、セットアップベスト上に再配置可能な第1の複数のセンサー及び第1の複数の振動発生アクチュエータを有する、ことを含む。ステップ920では、セットアップベスト上の第1の複数のセンサー及び第1の複数の振動発生アクチュエータの配置をカスタマイズするために較正セッションが行われる。ステップ930では、カスタマイズされたベストが人間に提供され、ベストは、較正セッションからの配置に従ってベストに取り付けられた第2の複数のセンサー及び第2の複数の振動発生アクチュエータを有する。したがって、ステップ930のベストは、個々の患者の解剖学的構造及び知覚された振動への応答に対して有利にカスタマイズされる。第2の複数のセンサーの少なくとも1つのセンサーは、センサー/アクチュエータセットを形成するために、第2の複数の振動発生アクチュエータの少なくとも1つの振動発生アクチュエータの近くに配置される。
【0055】
実施形態はまた、複数のセンサーから検出された振動を表す信号を受信するように動作可能なコントローラを提供することを更に含み、振動は人工心臓弁によって生成されるステップ940を含む。コントローラは、検出された振動を、実質的に減衰するなど低減する防振信号を生成するように動作可能である。センサー/アクチュエータセットにおいて、少なくとも1つの振動発生アクチュエータに対してコントローラによって生成される防振信号は、少なくとも1つのセンサーからのセンサー読み取り値に対応する。フローチャート900のいくつかの実施形態では、コントローラは、第2の複数のセンサーによって生成されたセンサー読み取り値に応答して、人工心臓弁からの将来の振動に関する予測を行うアルゴリズムを有する。いくつかの実施形態では、コントローラは、第2の複数のセンサーによって検出された振動に基づいてアルゴリズムを監視し、適応的に調整する。いくつかの実施形態では、システムは、コントローラと通信するユーザインターフェースデバイスを含む。いくつかの実施形態では、複数のセンサーは、加速度計またはマイクロフォンを含む。いくつかの実施形態では、複数のセンサーは、音響センサー及び触覚振動センサーを含む。いくつかの実施形態では、複数の振動発生アクチュエータは、触覚アクチュエータまたは非触覚アクチュエータを含む。いくつかの実施形態では、複数の振動発生アクチュエータは、フィードフォワードトポロジーのスピーカーを含む。
【0056】
開示された発明の実施形態を詳細に参照したが、その1つ以上の例が添付の図に示されている。各例は、本技術を限定するものではなく、本技術を説明するものとして提供されたものである。実際、本明細書は、本発明の特定の実施形態に関して詳細に記載したが、当業者であれば、前述の理解を得ると、これらの実施形態に対する代替形態、変形形態、及び均等物を容易に着想し得ることが理解されよう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴を別の実施形態に使用して、更に別の実施形態を生み出してもよい。したがって、本主題が、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入るそのような修正及び変形を網羅することが意図される。本発明に対するこれらの及び他の修正及び変形は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載される本発明の範囲を逸脱することなく当業者によって実施され得る。更に、当業者は、前述の記載が例示のみを目的とし、本発明を制限することを意図しないことを理解するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工心臓弁により人間が知覚する振動を低減するためのシステムであって、
前記人間の胴体の周りに着用可能なベストと、
前記ベストに取り付けられた複数のセンサーであって、前記人工心臓弁によって生成された振動を検出する、前記複数のセンサーと、
前記ベストに取り付けられた複数の振動発生アクチュエータと、
前記複数のセンサーから前記検出された振動
の信号を受信するように動作可能なコントローラであって、前記検出された振動を低減する防振信号を生成するように動作可能である、前記コントローラと、を備え、
前記複数のセンサーの第1のセンサーは、センサー/アクチュエータセットを形成するために、前記複数の振動発生アクチュエータの第1の振動発生アクチュエータの近くに配置され、
前記センサー/アクチュエータセットにおいて、前記第1の振動発生アクチュエータのために前記コントローラによって発生される前記防振信号は、前記第1のセンサーによって検出された振動に対応する、前記システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記複数のセンサーからの前記検出された振動に応答して前記人工心臓弁からの将来の振動を予測するアルゴリズムを有し、
前記コントローラは、前記予測に基づいて、前記複数の振動発生アクチュエータのための前記防振信号を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のセンサーは継続的に前記振動を検出し、
前記コントローラは、前記複数のセンサーによって検出された前記振動に基づいて前記アルゴリズムを監視し、適応的に調整する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記アルゴリズムは、較正段階に従って最初に設定されるパラメータを含み、
前記パラメータには、心拍数、血圧、または患者の身体構造の測定値が含まれる、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記患者の身体構造は、脂肪率、骨構造、及び骨密度を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数のセンサーは、前記較正段階からの前記測定値に基づいて前記ベスト上の位置に取り付けられる、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラと通信するユーザインターフェースデバイスを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のセンサーは、加速度計またはマイクロフォンを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の振動発生アクチュエータは、触覚アクチュエー
タを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の振動発生アクチュエータは、フィードフォワードトポロジーのスピーカーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のセンサーは、音響センサー及び触覚振動センサーを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数のセンサー及び前記複数の振動発生アクチュエータは、前記ベストに解放可能に取り付けられ、前記複数のセンサー及び前記複数の振動発生アクチュエータの位置を調整することを可能にする、請求項
1に記載
のシステム。
【請求項13】
前記複数の振動発生アクチュエータはフィードフォワードマイクロフォンを備える、請求項
1に記載
のシステム。
【請求項14】
前記複数の振動発生アクチュエータは、非触覚アクチュエータを備える、請求項1に記載のシステム。
【国際調査報告】