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特表2023-544754電池および電池を冷却するための回路を含む車両
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  • 特表-電池および電池を冷却するための回路を含む車両 図1
  • 特表-電池および電池を冷却するための回路を含む車両 図2
  • 特表-電池および電池を冷却するための回路を含む車両 図3
  • 特表-電池および電池を冷却するための回路を含む車両 図4
  • 特表-電池および電池を冷却するための回路を含む車両 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】電池および電池を冷却するための回路を含む車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20231018BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K11/04 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520328
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2021075706
(87)【国際公開番号】W WO2022078711
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】2010593
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボダン, ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】コロン-デュクリュゾー, シャルル
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC04
3D235AA01
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC14
3D235DD35
3D235EE64
3D235FF12
(57)【要約】
本発明は、フロア(2)と、前記フロア(2)の下に取り付けられた電池(3)と、前記電池(3)を冷却するための冷却水回路(11)とを含む車両(1)に関する。本発明によれば、冷却水回路(11)は、電池(3)に隣接して車両(1)のフロア(2)の下に取り付けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロア(2)と、前記フロア(2)の下に取り付けられた48V以下の無負荷電圧を有する電池(3)と、前記電池(3)を冷却するための液体冷却回路(11)とを含む、車両(1)において、前記冷却回路(11)が、前記電池(3)に隣接して前記車両(1)の前記フロア(2)の下に取り付けられていることを特徴とする、車両(1)。
【請求項2】
前記電池(3)および前記冷却回路(11)が、前記フロア(2)の実質的に中央の領域の下に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記電池(3)および前記冷却回路(11)が、前記車両(1)の横方向軸線Yに沿って並置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記水冷却回路(11)が、キャップが設けられた水容器(14)を含み、前記容器(14)が、前記キャップが前記フロア(2)の下に留まりながら前記容器の最も上側の部分に対応するように、前記フロア(2)の下に配置されている、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両。
【請求項5】
乗員室を含み、前記フロア(2)に、前記乗員室からアクセス可能なハッチ(18)であって、前記容器(14)の前記キャップへのアクセスを可能にするために前記容器(14)と整列して配置されたハッチ(18)が設けられている、ことを特徴とする、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記ハッチ(18)が、前記ハッチ(18)が前記フロア(2)と連続している閉鎖位置と、前記ハッチ(18)が前記フロア(2)から前記乗員室内へ突出している開放位置との間で回転させられることができることを特徴とする、請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記冷却回路(11)が、送水ポンプ(12)および冷却装置(13)を含むことを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の車両。
【請求項8】
前記容器(14)、冷却装置(13)および送水ポンプ(12)が、前記フロア(2)と前記電池(3)の最も下側の箇所との間に含まれる空間において前記フロアの下に配置された硬くかつ剛性の管(15,16,17)によって流体連通していることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の車両。
【請求項9】
前記電池(3)が、前記車両の長手方向軸線Xに沿って延びるセグメント(6)および前記車両の横方向軸線Yに沿って延びるセグメント(7)を有するケージの形式の支持部材(5)によって前記フロア(2)の下に保持されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の車両。
【請求項10】
前記電池(3)および前記冷却回路(11)が、2つの横材(8,9)によって画定された空間において前記フロア(2)の下に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池および電池を冷却するための回路を含む車両に関する。
【0002】
所定の自動車のハイブリッド化に関連して、電池は、これらの車両の車体の下に取り付けられ、したがって、道路に面して配置される。この電池は、使用されるとき、発熱する傾向を有し、電池を定常的かつ効率的に冷却することができることが必要である。この目的のために、空冷回路よりも優れた性能を有する水冷却回路を使用することが好ましい。
【0003】
しかしながら、エンジン室において利用可能な空間はますます少なくなっており、前記エンジン室に電池を冷却するための回路を据え付けることを非常に困難にまたはさらには不可能にしている。
【発明の概要】
【0004】
本発明による車両は、車体の下に取り付けられた電池と、前記電池を冷却するための回路とを含み、前記車両内の回路の位置は、この冷却機能を十分に保証することができるように最適化されている。
【0005】
本発明による車両において必要とされる様々な部品の位置決めを明らかに理解するために、車両に関連した直接正規直交基準座標系XYZに関連して説明が行われ、Xは、後方に向けられた車両の前方-後方長手方向軸線であり、Yは、車両の右に向かって向けられた横方向軸線であり、Zは、上方へ方向付けられた垂直軸線である。
【0006】
本発明の主題は、フロアと、前記フロアの下に取り付けられた48V以下の無負荷電圧を有する電池と、前記電池を冷却するための液体冷却回路とを含む車両である。
【0007】
本発明によれば、冷却回路は、電池に隣接して車両のフロアの下に取り付けられている。本発明による車両の独創性は、特に熱損失を制限するために冷却回路を車両のフロアの下の電池に可能な限り近く配置することにある。したがって、その動作および冷却を含む全体的な「電池」機能は、大きな空間を占めることなく車両の下の同じ位置にまとめられる。有利には、冷却回路は、前記車両の体積を増大させやすい、Zに沿ったおよび/または平面XYにおける車両の下のいかなる突起も生じないように車両のフロアの下に配置されている。液体冷却回路は、前記回路が、有利には水であってよい冷却液の循環に基づくことを意味する。
【0008】
本発明の1つの可能な特徴によれば、電池および冷却回路は、フロアの実質的に中央の領域の下に取り付けられている。これにより、このような集中させられた配置は、電池と冷却回路との間に存在する近接性を強調することを可能にする。「中央」という形容詞は、車両の長手方向軸線に関して考えられる。「実質的に」という用語は、領域が、車両の長手方向軸線Xに沿って厳密に中央の位置に関して最大で多かれ少なかれ50cmずれている可能性があることを意味する。
【0009】
本発明の1つの可能な特徴によれば、電池および冷却回路は、車両の横方向軸線Yに沿って並置されている。これにより、電池および冷却回路は、車両の長手方向軸線に沿って制限された大きさを有する、車両の下の限定された空間を占める。
【0010】
本発明の1つの可能な特徴によれば、水冷却回路は、キャップが設けられた水容器を含み、キャップは、前記キャップが前記フロアの下に留まりながらその最も上側の部分に対応するように、フロアの下に配置されている。これにより、容器は、フロアを超えて突出せず、キャップは、必要に応じて容器の充填を行うためにいつでも取り外すことができる。この容器の存在は、冷却回路が車両において完全に自律的であることを意味する。なぜならば、容器は、自己の貯水量を有し、したがって、車両の別の水回路に接続される必要がないからである。
【0011】
本発明の1つの可能な特徴によれば、車両は、乗員室を含み、フロアに、前記乗員室からアクセス可能でかつ前記容器のキャップへのアクセスを可能にするために容器と整列して配置されたハッチが設けられている。これにより、車両の下へ身をよじる必要なくかつ/または前記容器へアクセスするために前もって車両の構造部品を取り外す必要なく電池の冷却回路の容器に水を供給することが容易になる。
【0012】
本発明の1つの可能な特徴によれば、ハッチは、ハッチがフロアと連続している閉鎖位置と、ハッチがフロアから乗員室内へ突出している開放位置との間で回転することができる。これは、本発明による車両に完全に適しているが、限定的ではない、変形実施形態である。スライド式ハッチも適している可能性がある。同様に、フロアに螺合させられかつ容易に取り外すことができるキャップの形式のハッチは、本発明に関連して採用されるためのソリューションであることができる。
【0013】
本発明の1つの可能な特徴によれば、冷却回路は、送水ポンプおよび冷却装置を含む。ポンプは、水を回路に循環させることを可能にし、冷却装置は、電池から来るまだ高温の冷却水を冷却することを可能にする。
【0014】
本発明の1つの可能な特徴によれば、容器、冷却装置および送水ポンプは、前記フロアと電池の最も下側の箇所との間に含まれた空間においてフロアの下に配置された硬くかつ剛性の管によって流体連通している。実際、冷却回路は、管が車両の下で水平方向および/または垂直方向に突出しかつ前記車両の体積を増大させるという状況を特に回避しながら所定の程度のコンパクトさを保持しなければならない。
【0015】
本発明の1つの可能な特徴によれば、電池は、車両の長手方向軸線Xに沿って延びるセグメントおよび車両の横方向軸線Yに沿って延びるセグメントを有するケージの形式の支持部材によってフロアの下に保持されている。電池は、落下のリスクまたはさらには移動のリスクなしに車両の下に十分に固定されていることが重要である。この支持部材は、電池との間にいかなる隙間も残すことなく可能な限り電池の近くに突き出ている。さらに、支持部材の長手方向セグメントと横方向セグメントとの間に生じた開口は、これらの開口を通じて周囲空気が電池を冷却することを可能にする。
【0016】
本発明の1つの可能な特徴によれば、電池および冷却回路は、2つの横材によって画定された空間においてフロアの下に取り付けられている。
【0017】
本発明による車両は、フロアの下に取り付けられた電池と、前記電池を冷却するための回路とを有し、回路が、この冷却回路が前記フロアの下に慎重に配置されていることによって完全に有効であるという利点を有する。本発明による車両は、加えて、一定の重量および体積を維持しながらこの追加的な機能を有するという利点を有する。本発明による車両は、最後に、制限的操作が行われる必要なくおよび/または特定の工具を使用する必要なく水を容易かつ迅速に供給することができる冷却回路を有するという利点を有する。
【0018】
本発明による車両の好ましい実施形態の詳細な説明が、以下の図面を参照して以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による車両の底面図を示す。
図2】本発明による車両の底部の斜視図を示す。
図3】本発明による車両のフロアの上部の斜視図を示し、冷却液容器へのアクセスのためのハッチを示す。
図4】本発明による車両の電池を冷却するための回路の斜視図を示す。
図5図4の冷却回路の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1および図2を参照すると、本発明による車両1は、フロア2を有する車体を含み、前記車体は、運転手および少なくとも一人の乗員が着席することができる乗員室を画定している。この車両は、フロア2の下に取り付けられた電池3、例えば、48V電池を含むハイブリッド車両である。
【0021】
図2および図4を参照すると、電池3は、平行六面体形状の細長いハウジング4に収容されており、前記ハウジング4は、その長手方向軸線が車両1の長手方向軸線Xに対して平行となるようにフロア2の下に取り付けられている。電池3を含むハウジング4は、平行六面体形状のケージの形態を取る支持部材5によってフロア2に固定されている。この支持部材5は、車両の長手方向軸線Xに対して平行に延びる長手方向直線セグメント6と、車両1の横方向軸線Yに対して平行に延びる横方向直線セグメント7とから成り、前記長手方向セグメント6と横方向セグメント7とは交差している。この支持部材5は、好ましくは、金属材料から製造される。長手方向セグメント6と横方向セグメント7との交差は、前記セグメント6,7の間に開口を生じ、周囲空気がこれらの開口を通じて電池3を冷却することを可能にする。
【0022】
図1図2図3図4および図5を参照すると、電池3のハウジング4は、車両1の横方向軸線Yに沿って延びる2つの平行な横材8,9によって画定された前記フロア2の領域10において車両1のフロア2の下に取り付けられている。好ましくは、この領域10は矩形であり、車両1の長手方向軸線Xを考えたときに前記フロア2内の実質的に中央にある。
【0023】
図1図2図4および図5を参照すると、本発明による車両1の特定の特徴は、前記電池3を冷却するための冷却回路11が電池3のすぐ近傍においてこの領域10に配置されているということである。
【0024】
図1図2図4および図5を参照すると、冷却回路11は、有利には水である冷却液で実現されており、送水ポンプ12、冷却装置13および水容器14を含む。冷却回路11のこれらの様々な構成要素12,13,14また電池3は、好ましくは硬くかつ剛性である様々な管15,16,17を介して流体連通している。送水ポンプ12、冷却装置13および容器14は、車両1が水平の地面に静止しているときに水平である1つの同じ平均平面XY内に内接させられている。冷却回路11に含まれる様々な管15,16,17は、車両1の下に位置する空間に含まれており、フロア2と、電池3のハウジング4の最も下側の箇所との間に収容されている。これにより、それらは、垂直軸線Zに沿った冷却回路11の寸法を増大しないことに寄与する。同様に、これらの管15,16,17は、ほとんどの部分が、電池3が配置されているフロア2の領域10を画定する水平面XYに含まれている。
【0025】
図2および図3を参照すると、容器14は、キャップを含み、前記キャップが、前記フロア2のレベルの下に留まりながら容器の最も上側の部分を構成するようにフロア2の下に配置されている。フロア2に形成されかつ車両1の乗員室からアクセス可能なハッチ18が、容器14のキャップの上方にこのキャップと整列して配置されている。したがって、容器14の貯水量が不十分になった場合、このハッチ18を乗員室から開放し、キャップにアクセスし、キャップを取り外し、前記容器14に水を充填するという動作を行うことが可能になる。このハッチ18は、例えば、ハッチ18がフロア2と完全に連続している閉鎖位置と、ハッチ18が前記フロア2から乗員室内へ突出する開放位置との間で回動可能にフロア2に取り付けられたフラップによって形成されてよい。ハッチ18は、閉鎖位置と開放位置との間を移動するスライド式フラップによって形成されてもよい。ハッチ18は、フロア2から取り外され、これにより容器14にアクセスすることができるようにねじ外されることができるキャップの形態を取ってもよい。
【0026】
冷却回路11は、車両1内で自律的である。なぜならば、冷却回路11は、容器14によって自己の貯水量を有し、したがって、前記車両1の別の水循環回路に接続される必要がないからである。
【0027】
図5を参照すると、この冷却回路は、閉ループの形態においても実現される。したがって、冷却装置13によって冷却された水は、第1の管15を介して電池3のハウジング4内へ送られ、そこで、水は、予め加熱された前記電池3の温度を低下させる。この段階の間、ハウジング4に存在する水は、高温の電池3と接触して加熱され、所定の温度においてハウジング4から出る。次いで、水は、第2の管16を介して冷却装置13に向かって送られ、そこで、水は、前記冷却装置13の冷熱源と接触して冷却された後、再び電池3のハウジング4などに向かって搬送される。この冷却回路11において水が欠如した場合、容器14は、命令に従って第3の管17を介してこの回路11に水を追加することができる。冷却回路11における水の循環は、送水ポンプ12を作動させることによって保証される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】