(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】バッテリーモジュールの充電電圧をバランスさせるための動的システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20231019BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231019BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520036
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2021075784
(87)【国際公開番号】W WO2022069277
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エ エル バシャ, アブデスラム
(72)【発明者】
【氏名】モーデュイ, ジャン-ロック
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503FA06
5G503GA15
5G503GC04
5G503GD03
5G503HA02
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB23
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
本発明は、電気エネルギーを蓄積するためのバッテリー(1)に関し、バッテリー(1)は、- 電気回路(10)によって電気的に接続される複数のバッテリーモジュール(1A、1B)と、- 複数のスイッチ(31、32、33、34、35、36)を備えるスイッチユニット(3)であって、複数のスイッチ(31、32、33、34、35、36)が、電気回路上に配置され、充電器(2)によるバッテリーの充電段階を通じて電気回路(10)においてバッテリーモジュールを直列接続するように設計されている、スイッチユニット(3)とを備える。本発明によれば、スイッチユニット(3)は、バッテリーモジュールの充電をバランスさせるためのシステム(40)をさらに備え、システム(40)は、電気回路上に配置され、バッテリーが、充電器によって充電され、同時に、バッテリーが給電している需要回路(4)へ放電する混合段階では、バッテリーモジュールのうちの過充電の方へ送出される電流の一部をバッテリーモジュールのうちの別の充電不足の方へ分流するように、電気回路を変化させるように設計されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを蓄積するためのバッテリー(1)であって、
それぞれが電気エネルギーを蓄積するように適合され、電気回路(10)によって電気的に接続された複数のバッテリーモジュール(1A、1B)と、
複数のスイッチ(31、32、33、34、35、36)を備えるスイッチユニット(3)であって、前記複数のスイッチ(31、32、33、34、35、36)が、前記電気回路(10)上に配置され、充電器(2)による前記バッテリー(1)の充電段階を通じて前記電気回路(10)において前記バッテリーモジュール(1A、1B)を直列接続するように適合されている、スイッチユニット(3)と、を備え、前記バッテリー(1)は、
前記スイッチユニット(3)が、前記バッテリーモジュール(1A、1B)の充電をバランスさせるためのシステム(40)をさらに備え、前記システム(40)が、前記電気回路(10)上に配置され、混合段階を通じて、前記バッテリーモジュール(1A、1B)のうちの過充電の方へ送出された電流のうちのいくらかをバッテリーモジュール(1A、1B)のうちの別の充電不足の方へ分流するように前記電気回路(10)を変化させるように適合されており、前記混合段階を通じて、前記バッテリー(1)が、前記充電器(2)によって充電され、同時に、前記バッテリー(1)が給電する需要回路(4)へ放電すること
を特徴とする、バッテリー(1)。
【請求項2】
前記スイッチユニット(3)の前記スイッチ(31、32、33、34、35、36)が、前記混合段階を通じて、前記電気回路(10)において前記バッテリーモジュール(1A、1B)を直列接続し、同時に、前記バッテリーモジュール(1A、1B)のうちの少なくとも1つの端子に、好ましくは前記バッテリーモジュール(1A、1B)のうちの1つだけの端子に、前記需要回路(4)を接続するように適合されている、請求項1に記載バッテリー(1)。
【請求項3】
前記スイッチユニット(3)の前記スイッチ(31、32、33、34、35、36)が、前記バッテリー(1)の前記需要回路(4)への放電段階を通じて、前記電気回路(10)において前記バッテリーモジュール(1A、1B)を並列接続するようにさらに適合され、前記バランスシステム(40)が、前記バッテリー(1)の前記充電段階と前記放電段階との間の過渡段階中に、前記バッテリーモジュール(1A、1B)のうちの過充電の方へ給電する電流のうちのいくらかをバッテリーモジュール(1A、1B)のうちの別の充電不足の方へ転送するように前記電気回路(10)を変化させるように適合される、請求項1または2に記載バッテリー(1)。
【請求項4】
前記バランスシステム(40)が、前記2つの別個のバッテリーモジュール(1A、1B)の2つのプラス端子を接続する前記電気回路(10)の分岐の一部からの分岐として配置された少なくとも1つの主バランスユニット(41)を備え、前記主バランスユニット(41)は、コイル(L1)と直列接続されダイオード(D1)と並列接続されたスイッチ(410)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載バッテリー(1)。
【請求項5】
前記主バランスユニット(41)の前記スイッチ(410)の閉期間が、バランスされることになる前記バッテリーモジュール(1A、1B)の前記端子にわたる供給電圧(Va)と、前記充電器(2)からの充電電流(Ic)とに依拠するパルス幅変調によって制御される、請求項4に記載バッテリー(1)。
【請求項6】
前記バランスシステム(40)が少なくとも1つの副バランスユニット(42)を備え、前記少なくとも1つの副バランスユニット(42)が、コイル(L2)と直列接続されダイオード(D2)と並列接続されたスイッチ(420)を備え、前記2つの別個のバッテリーモジュール(1A、1B)の2つのマイナス端子を接続する前記電気回路(10)の分岐の一部からの分岐として配置されている、請求項4または5に記載バッテリー(1)。
【請求項7】
各バランスユニット(41、42)の前記スイッチ(410、420)がパワートランジスタである、請求項4から6のいずれか一項に記載バッテリー(1)。
【請求項8】
前記バッテリー(1)に第1のバッテリーモジュール(1A)が設けられ、前記第1のバッテリーモジュール(1A)のマイナス端子が、互いに直列接続された第1のダイオード(DA)と第2のダイオード(DB)とによって第2のバッテリーモジュール(1B)のプラス端子に接続されており、前記第1のダイオード(DA)の電流入力端子が前記第1のバッテリーモジュール(1A)の前記マイナス端子に接続されており、前記第2のダイオード(DB)の電流出力端子が前記第2のバッテリーモジュール(1B)の前記プラス端子に接続されており、
前記スイッチユニット(3)が、
前記充電器(2)のプラス端子に接続するように構成された第1の接触点および前記第1のバッテリーモジュール(1A)のプラス端子に接続された第2の接触点を有する第1のスイッチ(31)と、
前記充電器(2)のマイナス端子に接続するように構成された第1の接触点および前記第2のバッテリーモジュール(1B)のマイナス端子に接続された第2の接触点を有する第2のスイッチ(32)と、
前記第2のバッテリーモジュール(1B)の前記プラス端子に接続された第1の接触点および前記需要回路(4)の一方の端子に接続された第2の接触点を有する第3のスイッチ(33)と、
前記第2のバッテリーモジュール(1B)の前記マイナス端子に接続された第1の接触点および前記需要回路(4)の他方の端子に接続された第2の接触点を有する第4のスイッチ(34)と、
前記第1のバッテリーモジュール(1A)の前記プラス端子に接続された第1の接触点および前記第2のダイオード(DB)の前記電流出力端子に接続された第2の接触点を有する第5のスイッチ(35)と、
前記第2のバッテリーモジュール(1B)の前記マイナス端子に接続された第1の接触点および前記第1のダイオード(DA)の前記電流入力端子に接続された第2の接触点を有する第6のスイッチ(36)と、を備え、
前記バランスシステム(40)の前記主バランスユニット(41)が、前記第1のバッテリーモジュール(1A)の前記プラス端子と前記第2のダイオード(DB)の電流入力端子とを接続する電気的分岐上に配置されており、前記主バランスユニット(41)の前記ダイオード(D1)の前記電流入力端子が前記第1のダイオード(DA)の電流出力端子に接続されている、請求項4から7のいずれか一項に記載バッテリー(1)。
【請求項9】
前記バランスシステム(40)の前記副バランスユニット(42)が、前記第2のバッテリーモジュール(1B)の前記マイナス端子と前記第2のダイオード(DB)の前記電流入力端子とを接続する電気的分岐上に配置されており、前記副バランスユニット(42)の前記ダイオード(D2)の前記電流出力端子が前記第1のダイオード(DA)の前記電流出力端子に接続されている、請求項6と組み合わせた請求項8に記載のバッテリー。
【請求項10】
電気回路(10)において複数のスイッチ(31、32、33、34、35、36)を備えるスイッチユニット(3)によって電気的に接続される複数のバッテリーモジュール(1A、1B)を備えるバッテリー(1)、ならびに前記バッテリーモジュール(1A、1B)の充電をバランスさせるためのシステム(40)を制御するための方法であって、前記方法にしたがって、
充電器(2)による前記バッテリー(1)の充電段階を通じて、前記バッテリーモジュール(1A、1B)を互いに直列接続するように前記スイッチユニット(3)の前記スイッチ(31、32、33、34、35、36)を制御するため、また、
前記バッテリー(1)が前記充電器(2)によって充電されながら同時に需要回路(4)へ放電する混合段階を通じて、前記バッテリーモジュール(1A、1B)のうちの過充電の方へ送出された電流のうちのいくらかをバッテリーモジュール(1A、1B)のうちの別の充電不足の方へ分流するように、前記スイッチユニット(3)の前記バランスシステム(40)を制御するための
制御ユニット(5)が用意される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電気エネルギーを蓄積するためのバッテリーに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、電気エネルギーを蓄積するためのバッテリーに関し、このバッテリーは、
- それぞれが電気エネルギーを蓄積するように適合されて電気回路によって電気的に接続された複数のバッテリーモジュールと、
- 充電器によるバッテリー充電中は電気回路においてバッテリーモジュールを直列に接続するように適合されて電気回路上に配置された複数のスイッチを備える、スイッチユニットと
を備える。
【0003】
本発明は、陸地、川または航空の輸送機関用のバッテリー、特に電気自動車用のバッテリーに有利な用途を見いだすものである。このバッテリーは、車両の構成要素に電気エネルギーを供給するためにバッテリーから送出する公称電圧よりも高い電圧における急速再充電に特に適合する。
【0004】
本発明は、バッテリーの充電段階または放電段階に特に依拠してスイッチユニットのスイッチを開閉するように制御するために、そのようなバッテリーを制御するための方法にも関する。
【背景技術】
【0005】
バッテリーに電気エネルギーを蓄積するための充電に必要な時間を短縮するために、バッテリーの充電電力を増大するべきである。この目的のために、バッテリーの充電電流を増加するのではなく、バッテリーの端子にわたる充電電圧を増加するのが好ましい。
【0006】
しかしながら、バッテリー充電電圧を増加させると、バッテリーからの電気エネルギー供給を必要とする、空調および暖房のシステム、ラジオ、ファンすなわち実際はインバータなどの車両の構成要素の動作電圧に適合しなくなる。
【0007】
知られている第1の解決策は、車両の構成要素を、動作電圧が充電電圧と等しくなるように変換するものであり、非常に高くつく。
【0008】
米国特許出願公開第20180062402号が開示している第2の解決策は、バッテリー充電電圧を車両の構成要素の動作電圧よりも高くしてバッテリーを充電するものである。この目的のために、バッテリーをバッテリーモジュールに分割して、高電圧でのバッテリー充電段階を通じて互いに電気的に直列接続する。バッテリーの放電段階を通じて、1つのバッテリーモジュールだけが車両の構成要素に電気エネルギーを供給し、このバッテリーモジュールによって送出される電圧は車両の前記構成要素の動作電圧と互換性がある。一旦、このバッテリーモジュールが、選択された充電低下に達すると、構成要素に電力を供給するために別のバッテリーモジュールに引き継がれる。
【0009】
しかしながら、この第2の解決策では、バッテリーの充電中は車両の構成要素に給電することができない。
【発明の概要】
【0010】
発明の提示
従来技術の前述の短所を緩和するために、本発明が提案する電気エネルギー蓄積用バッテリーは、電気エネルギーを消費する車両の回路に第1の電圧で給電し得、同時に前記第1の電圧よりも高い第2の電圧で再充電され得るものである。
【0011】
より詳細には、本発明によれば、冒頭部で定義されたバッテリーが提案され、スイッチユニットは、バッテリーモジュールの充電をバランスさせるためのシステムを電気回路上にさらに備え、このシステムは、バッテリーが充電器によって充電されながら同時に前記バッテリーが電気エネルギーを供給する需要回路へ放電する混合段階を通じて、バッテリーモジュールのうちの過充電の方へ送出された電流のうちのいくらかを、バッテリーモジュールのうちの別の充電不足のバッテリーモジュールへ分流するように電気回路を変化させるように適合されている。
【0012】
したがって、本発明により、バッテリーまたはバッテリーから需要回路を介して給電される車両の構成要素に損害を与えることなく、バッテリーの利用と急速充電とが同時に可能になる。
【0013】
より詳細には、バッテリーをバランスさせるためのシステムにより、各バッテリーモジュールの充電レベルを動的にバランスさせることが可能になる。このバランスシステムにより、バッテリーモジュールの電圧が特定のマージンの範囲内に制御され、バッテリーが満充電になるまで常に同一の充電レベルであることが保証される。バッテリーの充電中にバッテリーモジュールのうちの1つが需要回路への電気エネルギーの送出を要求されたとしても、各バッテリーモジュールはバランスされる。2つのバッテリーモジュールが(前記マージンの範囲内に制御された)同一の供給電圧を送出するとき、それぞれの端子間は「同一の充電レベル」である。
【0014】
本発明によるバッテリーには、以下のような有利で非限定的な他の機能があり、これらの機能は、個々に、または任意の技術的に可能な組合せで採用される。
- スイッチユニットのスイッチは、混合段階を通じて電気回路においてバッテリーモジュールを直列に接続し、同時に、需要回路を、少なくとも1つのバッテリーモジュールの端子に、好ましくは1つだけのバッテリーモジュールの端子に接続するように適合されている。
- スイッチユニットのスイッチは、バッテリーの需要回路への放電段階を通じて電気回路において前記バッテリーモジュールを並列接続するようにさらに適合されており、バランスシステムは、バッテリーの前記充電段階と前記放電段階との間の過渡段階中に、バッテリーモジュールのうちの過充電の方へ送出された電流のうちのいくらかをバッテリーモジュールのうちの別の充電不足のバッテリーモジュールへ分流するように電気回路を変化させるように適合されている。
- バランスシステムは、2つの別個のバッテリーモジュールの2つのプラス端子を接続する電気回路の分岐の一部からの分岐として配置された少なくとも1つの主バランスユニットを備え、前記主バランスユニットは、コイルと直列接続されダイオードと並列接続されたスイッチを備え、前記スイッチに過電圧がかかるのを防止する。
- 前記主バランスユニットのスイッチの閉期間は、バランスされることになるバッテリーモジュールの端子にわたる電圧と、充電器からの充電電流とに依拠して、パルス幅変調によって制御される。
- バランスシステムは、前記2つの別個のバッテリーモジュールの2つのマイナス端子を接続する電気回路の分岐の一部からの分岐として配置され、コイルと直列接続されダイオードと並列接続されたスイッチを備え、前記スイッチに過電圧がかかるのを防止する、少なくとも1つの副バランスユニットを備える。
- それぞれの主バランスユニットおよび副バランスユニットのスイッチはパワートランジスタである。
- 第1のバッテリーモジュールが用意され、これのマイナス端子は、互いに直列接続された第1のダイオードと第2のダイオードとによって第2のバッテリーモジュールのプラス端子に接続されており、第1のダイオードの電流入力端子は第1のバッテリーモジュールのマイナス端子に接続されており、第2のダイオードの電流出力端子は第2のバッテリーモジュールのプラス端子に接続されている。
- スイッチユニットが用意され、充電器のプラス端子に接続するように構成された第1の接触点および第1のバッテリーモジュールのプラス端子に接続された第2の接触点を有する第1のスイッチと、充電器のマイナス端子に接続するように構成された第1の接触点および第2のバッテリーモジュールのマイナス端子に接続された第2の接触点を有する第2のスイッチと、第2のバッテリーモジュールのプラス端子に接続された第1の接触点および需要回路の一方の端子に接続された第2の接触点を有する第3のスイッチと、第2のバッテリーモジュールのマイナス端子に接続された第1の接触点および需要回路の他方の端子に接続された第2の接触点を有する第4のスイッチと、第1のバッテリーモジュールのプラス端子に接続された第1の接触点および第2のダイオードの電流出力端子に接続された第2の接触点を有する第5のスイッチと、第2のバッテリーモジュールのマイナス端子に接続された第1の接触点および第1のダイオードの電流入力端子に接続された第2の接触点を有する第6のスイッチとを備える。
- 第1のバッテリーモジュールのプラス端子と第2のダイオードの電流入力端子とを接続する電気的分岐上に配置されるバランスシステムの主バランスユニットが用意され、前記主バランスユニットのダイオードの電流入力端子は第1のダイオードの電流出力端子に接続されている。
- バランスシステムの副バランスユニットが第2のバッテリーモジュールのマイナス端子と第2のダイオードの電流入力端子とを接続する電気的分岐上に配置され、前記副バランスユニットのダイオードの電流出力端子は第1のダイオードの電流出力端子に接続されている。
【0015】
本発明は、電気回路においてスイッチユニットによって電気的に接続される複数のバッテリーモジュールを備えるバッテリーを制御する方法をも提案するものであり、スイッチユニットは、複数のスイッチならびに前記バッテリーモジュールの充電をバランスさせるためのシステムを備え、それに応じて、
- 充電器による前記バッテリーの充電段階を通じて、前記バッテリーモジュールを互いに直列接続するようにスイッチユニットのスイッチを制御するため、また
- バッテリーが充電器によって充電されながら同時に需要回路へ放電する混合段階を通じて、バッテリーモジュールのうちの過充電の方へ送出された電流のうちのいくらかをバッテリーモジュールのうちの別の充電不足のバッテリーモジュールへ分流するようにスイッチユニットのバランスシステムを制御するための
制御ユニットが用意される。
【0016】
本発明による方法には、以下のような有利で非限定的な他の機能があり、これらの機能は、個々に、または任意の技術的に可能な組合せで採用される。
- 制御ユニットは、前記混合段階を通じて、前記バッテリーモジュールを直列接続したまま、同時にバッテリーモジュールのうちの少なくとも1つの端子に需要回路を接続するように、スイッチユニットの前記スイッチを制御する。
- 制御ユニットは、バッテリーの、需要回路に電気エネルギーを供給している放電段階を通じて、前記バッテリーモジュールを互いに並列接続するように、スイッチユニットの前記スイッチを制御する。
【0017】
もちろん、本発明の様々な特徴、変形形態および実施形態は、互いに不適合または相互排除でなければ、互いに様々に組み合わされ得る。
【0018】
非限定的な例として示される添付図の参照を伴う以下の説明により、本発明の構成および本発明を具現する方法が容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明によるバッテリーの電気回路図である。
【
図2】本発明による制御方法の主要なステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明によるバッテリー1の一例の回路図を示す。
【0021】
バッテリー1は、たとえば電気自動車またはハイブリッド車といった車両(図示せず)に設置される。
【0022】
バッテリー1は、電気エネルギーを蓄積して、求められたときには、この蓄積された電気エネルギーのすべてまたは一部を需要回路4に送出することによって戻すように適合されており、需要回路4は、車両の内部にあって、空調および暖房のシステム、ラジオ、ファンすなわち実際はインバータなどの車両の様々な構成要素に接続されている。バッテリー1は、ここでは約400ボルトである公称の供給電圧Vaを需要回路4に送出することができる。
【0023】
バッテリー1は、電気エネルギーを蓄積するために、充電電流Icおよび充電電圧Vcを送出する外部充電器2で充電(日常語では再充電)されるように適合されている。充電器2自体は知られているものである。充電器2は、たとえば街路、ガソリンスタンド、駐車場などに設けられた公的または私的な充電スタンドである。
【0024】
バッテリーを迅速に充電するために、充電器2によってバッテリーに送出される充電電圧Vcは、バッテリー1が需要回路4に供給する供給電圧Vaよりもはるかに高い。たとえば、充電電圧Vcは供給電圧Vaの2倍である。ここで、充電電圧Vcは約800ボルトである。
【0025】
バッテリー1は、需要回路4への供給電圧Vaよりも高い充電電圧Vcで充電され得るように、様々な構成を取り入れることができる電気回路10によって互いに電気的に接続された複数のバッテリーモジュール1A、1Bを備える。
【0026】
それぞれのバッテリーモジュール1A、1Bは、前記電気エネルギーが蓄積される複数の電気化学セル(図示せず)を備える限りにおいて、電気エネルギーを蓄積するように適合されている。バッテリーモジュール1A、1Bは、たとえばリチウムイオンバッテリーである。
【0027】
ここで、すべてのバッテリーモジュール1A、1Bは、それぞれのプラス端子とマイナス端子との間に同一の公称供給電圧Vaを送出するようにサイズ設定されている。この目的のために、すべてのバッテリーモジュール1A、1Bに、同一蓄積容量の電気化学セルが同じ数だけ、同じバッテリーモジュール1A、1B内で互いに直列接続されたものが備わっている。
【0028】
図1の例では、バッテリー1は、約400ボルトの公称供給電圧Vaを送出するようにそれぞれがサイズ設定された第1のバッテリーモジュール1Aおよび第2のバッテリーモジュール1Bを備える。
【0029】
この例では、電気回路10において、第1のバッテリーモジュール1Aのマイナス端子が、第1のダイオードDAおよび第2のダイオードDBを通じて第2のバッテリーモジュール1Bのプラス端子に接続されている。第1のダイオードDAと第2のダイオードDBとが互いに直列接続されており、その結果、第1のダイオードDAの電流入力端子が第1のバッテリーモジュール1Aのマイナス端子に接続され、第2のダイオードDBの電流出力端子が第2のバッテリーモジュール1Bのプラス端子に接続されている。
【0030】
通常、ダイオードは、接続されている電気的分岐を通して電流を一方向にのみ流す。したがって、慣例により、「ダイオードの電流入力端子」は、前記ダイオードに電流が流入する端子を指し、「ダイオードの電流出力端子」は、このダイオード流れた後、電流が流出する端子を指す。
【0031】
電気回路10においてバッテリーモジュール1A、1Bを様々な構成に応じて電気的に接続することができるように、バッテリー1には、電気回路10上に配置された複数のスイッチ31、32、33、34、35、36を備えるスイッチユニット3が備わっている。
【0032】
図1の例では、スイッチユニット3は、
- 充電器2のプラス端子に接続するように構成された第1の接触点および第1のバッテリーモジュール1Aのプラス端子に接続された第2の接触点を有する第1のスイッチ31と、
- 充電器2のマイナス端子に接続するように構成された第1の接触点および第2のバッテリーモジュール1Bのマイナス端子に接続された第2の接触点を有する第2のスイッチ32と、
- 第2のバッテリーモジュール1Bのプラス端子に接続された第1の接触点および需要回路4の一方の端子(ここではマイナス端子)に接続された第2の接触点を有する第3のスイッチ33と、
- 第2のバッテリーモジュール1Bのマイナス端子に接続された第1の接触点および需要回路4の他方の端子(ここではプラス端子)に接続された第2の接触点を有する第4のスイッチ34と、
- 第1のバッテリーモジュール1Aのプラス端子に接続された第1の接触点および第2のダイオードDBの電流出力端子に接続された第2の接触点を有する第5のスイッチ35と、
- 第2のバッテリーモジュール1Bのマイナス端子に接続された第1の接触点および第1のダイオードDAの電流入力端子に接続された第2の接触点を有する第6のスイッチ36と
を備える。
【0033】
電気回路10は、スイッチユニット3のスイッチ31、32、33、34、35、36の各々の開および/または閉によって、バッテリー1のそれぞれの動作段階に対応する別個の構成を採用するように調節され得る。充電器2によるバッテリー1の充電段階用の電気回路10の構成と、バッテリー1の需要回路4への放電段階用の電気回路10の別の構成とが特に用意される。
【0034】
実際には、スイッチユニット3のスイッチ31、32、33、34、35、36は、バッテリー1の動作段階に依拠して開閉するように、制御ユニット5によって制御される。言い換えれば、制御ユニット5は、電気回路10を、採用可能な様々な構成に従って変化させるようにスイッチユニット3を制御するように適合されている。
【0035】
制御ユニット5は、バッテリー1に組み込まれ得、または前記バッテリー1から遠隔のものでもあり得る。制御ユニット5は、たとえば、中央処理装置(CPU)を含むマイクロプロセッサを有する電子回路と、情報を記憶するランダムアクセスメモリおよび/または読出し専用メモリと、バッテリー1と通信するためのインターフェースとを備える。ランダムアクセスメモリおよび/または読出し専用メモリは、特に、電気回路10に関する情報と、バッテリーモジュール1A、1Bの各々の端子にわたって検知された供給電圧Vaに関する情報と、充電器2によって送出された充電電流Icおよび充電電圧Vcに関する情報とを記憶する。
【0036】
充電器2によるバッテリー1の充電段階を通じて、スイッチユニット3のスイッチ31、32、33、34、35、36は、充電器2のプラス端子にバッテリー1のプラス端子を接続し、充電器2のマイナス端子にバッテリー1のマイナス端子を接続するように制御される。バッテリー1の充電段階を通じて、スイッチ31、32、33、34、35、36は、電気回路10においてバッテリーモジュール1Aと1Bとを直列接続するようにさらに制御される。
【0037】
したがって、
図1の例では、バッテリー1の充電段階を通じて、第1のスイッチ31および第2のスイッチ32を閉じて、第3のスイッチ34、第4のスイッチ35、第5のスイッチ36および第6のスイッチ37を開く。
【0038】
対照的に、車両の需要回路4へのバッテリー1の放電段階を通じて、スイッチ31、32、33、34、35、36は、バッテリー1のプラス端子を需要回路4のマイナス端子に接続し、バッテリー1のマイナス端子を需要回路4のプラス端子に接続するように制御される。バッテリー1の放電段階を通じて、スイッチ31、32、33、34、35、36は、電気回路10においてバッテリーモジュール1A、1Bを並列接続するようにも制御される。
【0039】
したがって、
図1の例では、バッテリー1の放電段階を通じて、第3のスイッチ33、第4のスイッチ34、第5のスイッチ35、および第6のスイッチ36を閉じ、第1のスイッチ31および第2のスイッチ32を開く。
【0040】
本発明によるバッテリー1は、充電器2によって充電電圧Vcで充電され、同時に需要回路4に供給電圧Vaで電力を供給することによって放電する、混合段階で動作するようにさらに適合されている。
【0041】
したがって、バッテリー1のそのような混合動作段階では、車両のユーザは、バッテリー1を再充電しながら、同時に、たとえば空調システムまたはラジオといった車両の構成要素のうちの1つを使用することができる。
【0042】
混合動作段階を通じて、スイッチユニット3のスイッチ31、32、33、34、35、36は、充電器2のプラス端子にバッテリー1のプラス端子を接続し、充電器2のマイナス端子にバッテリーのマイナス端子を接続するように制御される。混合動作段階を通じて、スイッチ31、32、33、34、35、36は、電気回路10においてバッテリーモジュール1A、1Bを直列接続したまま、同時に、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの少なくとも1つの端子に需要回路4を接続する(バッテリーモジュール1A、1Bのうちの1つのプラス端子を需要回路4プラス端子に接続し、前記少なくとも1つのバッテリーモジュール1A、1Bのマイナス端子を需要回路4のマイナス端子に接続する)ようにさらに制御される。
【0043】
したがって、
図1の例では、バッテリー1の混合動作段階を通じて、第1のスイッチ31、第2のスイッチ32、第3のスイッチ33、および第4のスイッチ34を閉じ、第5のスイッチ35および第6のスイッチ36を開く。次いで、需要回路4は、第2のバッテリーモジュール1Bの端子にのみ電気的に接続される。
【0044】
際立って、スイッチユニット3は、特に前記バッテリーモジュール1A、1Bの充電と放電とが同時に行われるとき、バッテリーモジュール1A、1Bの充電を動的にバランスさせるバランスシステム40をさらに備える。バランスシステム40により、バッテリー1の混合動作段階を通じて、電気回路10の構成要素と、需要回路4に接続された車両の構成要素とを維持することが特に可能になる。
【0045】
バランスシステム40は、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの過充電の方へ送出された電流のうちのいくらかをバッテリーモジュール1A、1Bのうちの別の充電不足の方へ分流するように電気回路10を変化させるように適合されて電気回路10上に配置されている。したがって、バランスどりが実施されていないとき、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの1つに給電するように意図された電流のうちのいくらかは、混合段階を通じて、必要に応じて、バランスシステム40によって分流される。より詳細には、バランスシステム40は、作動されたとき、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの充電不足の方は、特に需要回路4へ同時に放電されるので、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの過充電の方へ給電するように意図された電流のうちのいくらかを、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの充電不足の方へより多く給電するために、分流する。バランスどりは、一方ではバッテリーモジュール1A、1Bの充電および放電が行われ、他方では前記バッテリーモジュール1A、1Bの充電および放電の妨げにならない限り、「動的」であると考えられる。
【0046】
バランスシステム40は、2つの別個のバッテリーモジュール1A、1Bの2つのプラス端子を接続する電気回路10の分岐の一部からの分岐として配置された少なくとも1つの主バランスユニット41を備える。
【0047】
図1に示されるように、ここの主バランスユニット41は、コイルL1と直列接続されダイオードD1と並列接続されたスイッチ410を備える。ダイオードD1は、起こり得る過電圧から前記スイッチ410を保護する。ここで、主バランスユニット41のスイッチ410はパワートランジスタである。
【0048】
図1の例では、バランスシステム40の主バランスユニット41は、第1のバッテリーモジュール1Aのプラス端子と第2のダイオードDBの電流入力端子とを接続する電気的分岐上に配置されている。前記主バランスユニット41のダイオードD1の電流入力端子は第1のダイオードDAの電流出力端子に接続されている。
【0049】
図1の例では、主バランスユニット41は、スイッチ410が閉じているとき、通常は第1のバッテリーモジュール1Aを再充電するように意図された、充電器2からの充電電流Icのうちのいくらかを、需要回路4へ放電しているために前記第1のバッテリーモジュール1Aに対して充電不足である第2のバッテリーモジュール1Bの方へ、転送することを可能にする。
【0050】
スイッチ410が閉じたとき、電気回路10の、コイルL1を担持する分岐に、電流ランプが出現する。スイッチ410の閉期間がより長ければ、主バランスユニット41を通って第2のバッテリーモジュール1Bに伝わる電流がより大きくなる。正確かつ精細なバランスを達成するために、スイッチ410の開閉は、ほぼ50kHz程度の周波数で制御されるべきである。
【0051】
主バランスユニット41のダイオードD1によって、スイッチ410は、開かれるとき保護され得る。スイッチ410が開かれるとき、主バランスユニット41を通って流れている電流は、コイルL1のために流れ続ける。いわゆる「フリーホイール」ダイオードD1により、スイッチ410が開いたとき、この電流のうちのいくらかを第1のバッテリーモジュール1Aのプラス端子の方へ流すことができ、したがって前記スイッチ410のトリップを防止する。
【0052】
主バランスユニット41のスイッチ410の閉期間は、パルス幅変調方式によって制御される。制御パルスの幅は、一方では、バランスされることになるバッテリーモジュール1A、1Bの端子にわたって検知された供給電圧Vaに依拠して、他方では充電器2からの充電電流Icに依拠して、調整される。
【0053】
ここで、バランスシステム40の主バランスユニット41のスイッチ410の開閉用パルスを制御するのは制御ユニット5である。
【0054】
バッテリーモジュール1A、1Bの両方向のバランスどり、すなわち、一方では、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの過充電の第1のバッテリーモジュールからバッテリーモジュール1A、1Bのうちの充電不足の第2のバッテリーモジュールへ、他方では、バッテリーモジュールうち動作中に過充電になった前記第2のバッテリーモジュールから、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの充電不足になった前記第1のバッテリーモジュールへ、バランスどりを可能にするために、バランスシステム40は、前記2つの別個のバッテリーモジュール1A、1Bの2つのマイナス端子を接続する電気回路10の分岐の一部からの分岐として配置された副バランスユニット42も備える。
【0055】
図1に示されるように、ここでは、副バランスユニット42は主バランスユニット41に類似である。副バランスユニット42には、コイルL2と直列接続されダイオードD2と並列接続されたスイッチ420が備わっている。ダイオードD2は、起こり得る過電圧から前記スイッチ420を保護する。ここで、副バランスユニット42のスイッチ420はパワートランジスタである。
【0056】
図1の例では、バランスシステム40の副バランスユニット42は、第2のバッテリーモジュール1Bのマイナス端子と第2のダイオードDBの電流入力端子とを接続する、電気回路10の電気的分岐上に配置されている。前記副バランスユニット42のダイオードD2の電流出力端子は第1のダイオードDAの電流出力端子に接続されている。
【0057】
図1の例では、副バランスユニット42は、主バランスユニット41に関して説明されたものと同様に動作することにより、スイッチ420が閉じているときには、過充電になっている第2のバッテリーモジュール1Bを再充電するように意図された電流のうちのいくらかを、第2のバッテリーモジュール1Bに対して充電不足である第1のバッテリーモジュール1Aの方へ転送することを可能にする。
【0058】
制御ユニット5は、バランスシステム40の副バランスユニット42のスイッチ420の開閉用パルスをも制御する。パルスの幅は、一方では、バランスされることになるバッテリーモジュール1A、1Bのそれぞれの端子間の電圧に依拠して、他方では充電器2からの充電電流Icに依拠して、調整される。
【0059】
コイルL1のインダクタンスおよびダイオードD1の特性は、コイルL2のインダクタンスおよびダイオードD2の特性と同様に、バッテリー1の電力と、バッテリーモジュール1A、1Bのそれぞれの端子間供給電圧Vaの許容される最大の不均衡とに依拠して、これを最後に固定される。ダイオードD1の特性とD2の特性とが必ずしも同一ではないように、コイルL2のインダクタンスはコイルL1のインダクタンスと必ずしも同一ではない。
【0060】
バランスシステム40が作動しているとき、制御ユニット5が、主バランスユニット41のスイッチ410と副バランスユニット42のスイッチ420とを、同時に閉じるように制御することはない。対称的に、制御ユニット5は、前記スイッチ410、420を交互に閉じるように制御する。バランスシステム40が動作を停止したとき、主バランスユニット41のスイッチ410と副バランスユニット42のスイッチ420とが同時に開かれる。
【0061】
有利には、前述のバランスシステム40は、バッテリー1の充電段階と放電段階との間の過渡段階を通じて、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの過充電の方へ送出された電流のうちのいくらかを、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの別の充電不足の方へ分流するように、電気回路10を変化させるようにも適合される。
【0062】
過渡動作段階は、バッテリー1の充電が終了して、電気回路10がバッテリー1の放電段階用に構成されるまでの間に生じる段階である。
【0063】
バッテリー1の過渡動作段階を通じて、スイッチユニット3のスイッチ31、32、33、34、35、36は、一方ではバッテリー1のプラス端子と充電器2のプラス端子とを切り離し、他方ではバッテリー1のマイナス端子と充電器2のマイナス端子とを切り離すように制御される。過渡段階を通じて、バッテリーモジュール1A、1Bは、電気回路10においてまだ並列接続されていない。
【0064】
したがって、
図1の例では、バッテリー1の過渡段階を通じて、第1のスイッチ31および第2のスイッチ32は開いており、第5のスイッチ35および第6のスイッチ36も同様である。第3のスイッチ33および第4のスイッチ34も開いている。
【0065】
2つのバッテリーモジュール1A、1Bの場合には、バッテリー1の充電段階の最後、またはバッテリー1の混合段階の最後において第1のスイッチ31および第2のスイッチ32は開いており、バランスシステム40によって動的にバランスされるが、全く同一の充電レベルにあるわけではなく、したがって各モジュールの端子間に同一の公称供給電圧Vaを送出することはできない。バランスシステム40によってこの不均衡が改善され得、制御ユニット5は、バランスが回復するまで、閉パルスおよび開パルスと、主バランスユニット41のスイッチ410および副バランスユニット42のスイッチ420の間の交番とを制御する。
【0066】
図2は、以前に説明された、バッテリー1を制御するための方法の一例の主ステップを示す。
【0067】
本発明の制御方法によって、
- 充電器2による前記バッテリー1の充電段階を通じて、前記バッテリーモジュール1A、1Bを互いに直列接続するようにスイッチユニット3のスイッチ31、32、33、34、35、36を制御するため、また、
- バッテリー1が充電器2によって充電されながら同時に需要回路4へ放電する混合段階を通じて、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの過充電の方へ送出された電流のうちのいくらかをバッテリーモジュール1A、1Bのうちの別の充電不足の方へ分流するようにスイッチユニット3のバランスシステム40を制御するための
制御ユニット5が用意される。
【0068】
制御ユニット5は、混合段階を通じて、バッテリーモジュール1A、1Bを直列接続し、同時に前記バッテリーモジュール1A、1Bのうちの少なくとも1つの端子に需要回路を接続するように、スイッチユニット3のスイッチ31、32、33、34、35、36をさらに制御する。より具体的には、
図2に示されるように、制御ユニット5は、ステップE1中に、電気回路10に充電器2が接続されているかどうかを判定する。回路に充電器が接続されていなければ、制御ユニット5は、電気回路10に充電器2が接続されるまでステップE1を繰り返す。
【0069】
電気回路20に充電器2が接続されると、制御ユニット5は、ステップE2を通じて、前記バッテリーモジュール1Aと1Bとを互いに直列接続するようにスイッチユニット3のスイッチ31、32、33、34、35、36を制御する。次いで、電気回路10は、バッテリー1の前述の充電段階に関連した構成を採用する。
【0070】
次いで、ステップE3中に、制御ユニット5は、需要回路4に接続された車両の構成要素が稼動中であるか、または車両のユーザによって作動されているかどうかを判定する。
【0071】
稼動中の車両構成要素がなければ、バッテリー1は、
図2のステップE4aで指示される従来の知られている方法によって充電される。この知られている方法によれば、各電気化学セルがセル電圧センサ(CVS)によって監視されていて、電気化学セルのうちの1つが、同一のバッテリーモジュール他の電気化学セルよりも高い電圧に達すると、直ちに抵抗器に放電する。
【0072】
他方では、車両の少なくとも1つの構成要素が稼動中の場合には、または車両の構成要素の作動が制御ユニット5によって検知されると直ちに、需要回路4がバッテリー1に接続される(
図2のステップE4)。このステップE4を通じて、制御ユニット5は、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの少なくとも1つの端子に需要回路4を接続するようにスイッチユニット3のスイッチ31、32、33、34、35、36を制御する。次いで、電気回路10は、バッテリー1の前述の混合動作段階に関連した構成を採用する。
【0073】
次いで、ステップE5を通じて、制御ユニット5は、バッテリーモジュール1Aと1Bとの間に充電不均衡があるかどうかを判定する。この目的のために、制御ユニット5は、電圧検知ユニット(図示せず)を使用して、バッテリーモジュール1A、1Bのそれぞれの端子間供給電圧Vaを判定する。
【0074】
制御ユニット5は、不均衡が検知されなければ、検知されるまでステップE5を繰り返す。
【0075】
制御ユニット5は、不均衡を検知すると、通常はバッテリーモジュール1A、1Bのうちの過充電の方へ給電するように意図された電流のうちのいくらかを、バッテリーモジュール1A、1Bのうちの別の充電不足の方へ分流するように、ステップE6中にスイッチユニット3のバランスシステム40を制御する。このステップE6において、制御ユニット5は、バランスシステム40を作動させるように、より詳細には、バランスシステム40のスイッチ410、420の開期間および閉期間をパルス幅変調によって制御して、前記スイッチ410と420とを交互に閉じるように制御する。
【0076】
ステップE7を通じて、制御ユニット5は、バッテリーモジュール1A、1Bの充電のリバランスが完了しているかどうかを判定する。完了していなければ、すなわち制御ユニット5は、バッテリーモジュール1A、1Bのそれぞれの端子間供給電圧Vaが異なると判定した場合、前述のステップE6を繰り返す。
【0077】
対照的に、制御ユニット5は、リバランスが完了している、すなわちバッテリーモジュール1Aと1Bとのそれぞれの端子間供給電圧Vaがほぼ等しいと判定すると、ステップE8中に充電器2を切り離すように、スイッチユニット3のスイッチ31、32、33、34、35、36を制御する。実際には、制御ユニット5は、ステップE8中に第1のスイッチ31および第2のスイッチ32を開くように制御する。次いで、電気回路10は、バッテリー1の前述の過渡段階に関連した構成を採用する。
【0078】
次いで、ステップE9を通じて、制御ユニット5は、バッテリーモジュール1A、1Bに、前記第1のスイッチ31および第2のスイッチ32を開くことによる不均衡があるかどうかを再び判定する。
【0079】
制御ユニット5は、不均衡を検知すると、ステップE10を通じて、バランスシステム40を、ステップE6に関して説明されたのと類似のやり方で作動させるように再び制御する。
【0080】
バッテリーモジュール1A、1Bのそれぞれの端子間供給電圧Vaが一旦等しくなると、制御ユニット5は、ステップE11中に前記バッテリーモジュール1A、1Bを互いに並列接続するように、スイッチユニット3のスイッチ31、32、33、34、35、36を制御する。
【0081】
次いで、電気回路10は、バッテリー1の前述の放電段階に関連した構成を採用する。次いで、バランスシステム40は動作を停止し、すなわちスイッチ410、420は開いたままとなる。
【0082】
制御ユニット5は、ステップE9において不均衡が検知されなければ、前述のステップE11を直接実施する。
【0083】
このように、本発明によるバッテリー1と、これの制御方法とにより、使用中のバッテリー1を再充電することが可能になる。たとえば、それぞれが満充電のとき400ボルトの公称電圧を送出することができるそれぞれ40キロワット時(kWh)の2つの同一のバッテリーモジュール1A、1Bと、200マイクロヘンリー(μH)の2つのコイルL1、L2との状況で、前記バッテリーモジュール1Aと1Bとの間に30ボルトの不均衡が出現した場合、本発明によるバランスシステム40は、この不均衡を補償するために、充電不足のモジュールに10アンペア(A)までの電流を分流することができる。実際には、前記バッテリーモジュール1A、1Bが動的にリバランスされる、すなわちドリフトするので、2つのバッテリーモジュール1Aと1Bとの間のそのような不均衡は30Vに達しない。したがって、一般に、バランスシステム40が前記バッテリーモジュール1A、1Bの一方から他方へ分流する電流は、はるかに小さい。
【0084】
本発明は、説明されて示された実施形態に制限されることはなく、当業者には、これらの実施形態に本発明によるあらゆる変形形態を追加するやり方が分かるはずである。
【0085】
特に、バッテリーは2つよりも多くのバッテリーモジュールを含有することができる。それぞれのバッテリーモジュールが別々の蓄積容量を有することも可能であり、その場合、電気回路と、電気回路が採用可能な様々な構成とが、それに応じて適合される。
【国際調査報告】