(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】CNS感染症の治療のためのPOHとレムデシビルとの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20231023BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20231023BHJP
A61K 31/63 20060101ALI20231023BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20231023BHJP
A61K 31/4188 20060101ALI20231023BHJP
A61K 31/4015 20060101ALI20231023BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231023BHJP
A61K 31/7064 20060101ALI20231023BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231023BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/045
A61K31/63
A61K31/4745
A61K31/4188
A61K31/4015
A61K39/395 T
A61K31/7064
A61P35/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522847
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 US2021055383
(87)【国際公開番号】W WO2022082093
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513048058
【氏名又は名称】ネオンク テクノロジーズ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チェン,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA16
4C085BB01
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC07
4C086BC36
4C086CB05
4C086CB22
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA59
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA09
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA72
4C206MA75
4C206MA79
4C206MA86
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、血液脳関門を透過性にするためのモノテルペンまたはセスキテルペンの使用に関する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の中枢神経系に治療剤を投与する方法であって、前記治療剤の前、または同時にモノテルペンを投与することを含む方法。
【請求項2】
前記中枢神経系が脳である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モノテルペンがペリリルアルコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ペリリルアルコールが動脈内投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ペリリルアルコールが、約0.050mg/kg~約500mg/kg体重の範囲の用量で投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記モノテルペンが、前記治療剤が投与される約0.2分~約60分前に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記モノテルペンが、前記治療剤が投与される約1分~約15分前に投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モノテルペンと前記治療剤とが別々に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記モノテルペンと前記治療剤とが同時に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記モノテルペンと前記治療剤とが、医薬組成物中で一緒に投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記治療剤が化学療法剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記化学療法剤が、DNAアルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、小胞体ストレス誘導剤、白金化合物、代謝拮抗物質、酵素阻害剤、受容体アンタゴニスト、治療用抗体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記化学療法剤が、ジメチル-セレコキシブ(DMC)、イリノテカン(CPT-11)、テモゾロミドまたはロリプラムである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記治療剤が抗体または抗体断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記治療剤が、キメラ抗原受容体を発現する免疫細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫細胞がT細胞である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記治療剤がCAR-T細胞である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記モノテルペンが、吸入、鼻腔内、経口的、静脈内、皮下、または筋肉内によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記哺乳動物ががんを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記がんが神経系の腫瘍である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記腫瘍が神経膠芽腫である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記哺乳動物を放射線で治療することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記治療剤がレムデシビルである、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記モノテルペンが、吸入または鼻腔内によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
レムデシビルが、吸入または鼻腔内によって投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記モノテルペンがレムデシビルと同時に投与される、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願第63/092,607号(2020年10月16日出願)の優先権を主張するものであり、当該出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、血液脳関門を透過性にして医薬品を送達するためのモノテルペンまたはセスキテルペンの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
血液脳関門(BBB)は、血液、間質液(IF)と、脳の脳脊髄液(CSF)との間の連続的な境界である。これは、内皮細胞の層、すなわち脳毛細血管内皮から構成され、これは、高分子サイズおよび低分子サイズの両方の血清成分の脳組織への侵入に対する有効な障壁として働く。そのような物質の脳およびCSFへの侵入に対する制限は、脳毛細血管内皮の固有の構造に起因する。他の器官では、内皮層の細胞は、それらの間に層を貫通する間隙およびチャネルを有するが、そのようなチャネルは脳毛細血管内皮に欠けており、これは、その細胞間の解剖学的タイトジャンクションの点、および他の内皮で頻繁に見られ得る飲作用胞の希少性の点の両方で独特である。
【0004】
正常な(健康な)状態では、BBBを通過することができる物質のみが脳に進入することができ、そのような物質は比較的疎水性(脂質様)である傾向がある。親水性(水溶性)の物質は、BBBをあまり有効に透過しないか、または全く透過しない。そのような水溶性で透過性が低い物質は、アルブミンのような大きい分子からナトリウムのような小さいイオンに及ぶ全範囲の分子、ならびに化学療法剤、薬物、画像診断化合物および潜在的な治療用途のタンパク質を包含する。一部の治療剤はBBBを透過するのに十分な程度の脂溶性を有するが、大部分の薬物(例えば、ペニシリン)および他の治療的に有用な物質は限られた脂溶性を有し、したがってBBBを十分に透過することができない。多くの潜在的に有用な薬物によるBBBのこの不十分な透過性は、脳組織およびCSFの疾患の治療に深刻な制限をもたらす。したがって、BBBを「開放」し、脳障害の治療または診断に有効であることが公知であるが、単独ではBBBを通過することができない薬剤による脳組織およびCSFへのアクセスを可能にする製品および方法を開発することは、臨床的に最も重要である。
【0005】
中枢神経系(CNS)がんの最も一般的な形態である悪性神経膠腫は、現在、本質的に不治であると考えられている。様々な悪性神経膠腫の中でも、退形成星状細胞腫(グレードIII)および多形神経膠芽腫(GBM;グレードIV)は、その急速な成長および現在利用可能な治療に対する抵抗性のために、特に予後不良である。悪性神経膠腫に対する現在の標準ケアは、手術、電離放射線および化学療法からなる。医学の最近の進歩にもかかわらず、過去50年間、悪性神経膠腫の予後の有意な改善は見られていない。Wen et al.Malignant gliomas in adults.New England J Med.359:492-507,2008.Stupp et al.Radiotherapy plus concomitant and adjuvant temozolomide for glioblastoma.New England J Med.352:987-996,2005.
悪性神経膠腫の予後不良の主な理由は、十分な量の化学療法剤を脳に送達することが困難であることである。脳への薬物アクセスは、血液脳関門(BBB)によって制限される。最終的に脳に到達する薬物の濃度は、肝臓の初回通過代謝および尿中排泄によってさらに低下する。したがって、腫瘍切除、抗腫瘍薬品の定位注射、または薬品の対流強化送達のためのカテーテルの配置などの侵襲的手術がしばしば必要とされる。
【0006】
薬物の鼻腔内送達は、血液脳関門を迂回し、医薬品をCNSに直接迅速に送達するための新規な非侵襲的療法を提供する。鼻腔内投与された薬物は、数分以内に脳、脊髄および/または脳脊髄液(CSF)の実質組織に到達する。嗅覚路および三叉神経を介した送達に加えて、動物研究から、治療薬は経鼻血管系を介して全身的にも送達されると思われる。Hashizume et al.New therapeutic approach for brain tumors:intranasal delivery of telomerase inhibitor GRN163.Neuro-oncology 10:112-120,2008.Thorne et al.Delivery of insulin-like growth factor-1 to the rat brain and spinal cord along olfactory and trigeminal pathways following intranasal administration.Neuroscience 127:481-496,2004.治療剤の鼻腔内送達は、肺がん、前立腺がん、乳がん、造血器がんおよび卵巣がんなどの他のタイプのがんを治療するための全身的方法を提供し得る。
【0007】
数十年の試みにもかかわらず、がんに対する治癒的免疫療法を達成することは非常に困難であり、基本的原理は、抗体またはT細胞(T細胞受容体を介した)による抗原認識能力である(Cousin-Frankel,Science(2013)342:1432)。抗体に基づく免疫療法は、標的抗原が正常細胞と比較して腫瘍細胞において上方制御される場合(例えば、Her-2増幅乳がんにおけるHer-2)、または腫瘍細胞が抗体もしくは抗体-毒素コンジュゲート(例えば、CD20に対するリツキシマブ)によって認識され得る抗原を発現する場合(Baselga et al.,Annals Oncology(2001)12:S35)に、がんに対して広く使用されてきた。抗体に基づく免疫療法を用いた臨床試験では、限られた数のがんタイプにおいて患者の生存率の改善が示されているが(通常、標準的な化学療法と組み合わせた場合)、これらの効果には、しばしば重大な安全性および有効性の懸念が伴う(Cousin-Frankel Cancer,Science(2013)342:1432)。
【0008】
がんに対する有効なT細胞療法は、臨床的に達成することがさらに困難であった(Schmitt et al.,Hum.Gene Ther.(2009)20(11):1240)。がんに対する有効なT細胞療法は、がん細胞上の抗原に対する高親和性結合を有するT細胞に依存する。キメラ抗原受容体T細胞(CAR T細胞)は、ペプチドを「提示する」ためのHLA抗原などのアクセサリー認識分子を必要とせずに、高い親和性および特異性の両方で細胞上の抗原を認識するために広く使用されている。CAR T細胞のT細胞受容体は、抗原結合重鎖および抗原結合軽鎖と「交換」され、それによってHLAアクセサリー分子を不要にする。組換えCAR T受容体は、CAR T受容体が標的抗原に結合するとT細胞の活性化をもたらすシグナル伝達ドメインに融合される。
【0009】
天然に存在するモノテルペンであるペリリルアルコール(POH)は、CNSがん、乳がん、膵臓がん、肺がん、黒色腫および結腸がんを含む様々ながんに対する有効な薬剤であることが示唆されている。Gould,M.Cancer chemoprevention and therapy by monoterpenes.Environ Health Perspect.1997,105(Suppl 4):977-979.ペリリルアルコールおよびレチノイドの両方を含有するハイブリッド分子を調製して、アポトーシス誘導活性を増加させた。Das et al.Design and synthesis of potential new apoptosis agents:hybrid compounds containing perillyl alcohol and new constrained retinoids.Tetrahedron Letters 2010,51,1462-1466.
悪性神経膠腫などのがんならびにパーキンソン病およびアルツハイマー病などの他の脳障害の治療において、様々な治療剤の送達のために血液脳関門を透過性にする必要が依然としてある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Wen et al. Malignant gliomas in adults.New England J Med.359:492-507,2008
【非特許文献2】Stupp et al. Radiotherapy plus concomitant and adjuvant temozolomide for glioblastoma.New England J Med.352:987-996,2005
【非特許文献3】Hashizume et al. New therapeutic approach for brain tumors:intranasal delivery of telomerase inhibitor GRN163.Neuro-oncology 10:112-120,2008
【非特許文献4】Thorne et al. Delivery of insulin-like growth factor-1 to the rat brain and spinal cord along olfactory and trigeminal pathways following intranasal administration.Neuroscience 127:481-496,2004
【非特許文献5】Cousin-Frankel,Science(2013)342:1432
【非特許文献6】Baselga et al.,Annals Oncology(2001)12:S35
【非特許文献7】Schmitt et al.,Hum.Gene Ther.(2009) 20(11):1240
【非特許文献8】Gould,M. Cancer chemoprevention and therapy by monoterpenes.Environ Health Perspect.1997,105(Suppl4):977-979
【非特許文献9】Das et al. Design and synthesis of potential new apoptosis agents:hybrid compounds containing perillyl alcohol and new constrained retinoids.Tetrahedron Letters 2010,51,1462-1466
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、哺乳動物(例えば、ヒト)の中枢神経系に治療剤を投与する方法であって、治療剤の前、後、または同時にモノテルペンを投与することを含む方法を提供する。
【0012】
中枢神経系は脳であり得る。
【0013】
モノテルペンは、ペリリルアルコールであり得る。
【0014】
モノテルペン(例えば、ペリリルアルコール)は、哺乳動物の血管系内、例えば動脈内に投与(例えば、動脈内に注射)され得る。モノテルペン(例えば、ペリリルアルコール)は、吸入、鼻腔内、経口的、静脈内、皮下、または筋肉内によって投与され得る。
【0015】
モノテルペン(例えば、ペリリルアルコール)は、約0.050mg/kg~約500mg/kg体重の範囲の用量で投与され得る。
【0016】
モノテルペン(例えば、ペリリルアルコール)は、治療剤が投与される前、約0.2分~約60分、または約1分~約15分に投与され得る。
【0017】
モノテルペンと治療剤とは別々に投与してもよい。
【0018】
モノテルペンと治療剤とは同時に投与してもよい。一実施形態では、モノテルペンと治療剤とは、医薬組成物(例えば、溶液)中で一緒に投与される。
【0019】
治療剤は化学療法剤であり得る。化学療法剤の非限定的な例としては、DNAアルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、小胞体ストレス誘導剤、白金化合物、代謝拮抗物質、酵素阻害剤、受容体アンタゴニスト、治療用抗体、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
化学療法剤は、ジメチル-セレコキシブ(DMC)、イリノテカン(CPT-11)、テモゾロミドまたはロリプラムであり得る。
【0021】
治療剤はレムデシビルであり得る。
【0022】
治療剤は、抗体または抗体断片であり得る。
【0023】
治療剤は、キメラ抗原受容体を発現する免疫細胞であり得る。免疫細胞はT細胞であり得る。一実施形態では、治療剤はCAR-T細胞である。
【0024】
哺乳動物は、神経系の腫瘍(例えば、神経膠芽腫)などのがんを有し得る。
【0025】
本方法は、哺乳動物を放射線で治療する工程をさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】Lym-1 CARおよびCD19(FMC 63)CAR構築物の概略図を示す。
【
図2A】脳腫瘍内のヒトCAR T細胞の蓄積を示す。
図2Aは、脳内へのヒトCAR T細胞の透過および形成された腫瘍(GL261マウス神経膠腫)を検出するための免疫組織化学(IHC)染色を示す。一次抗体、抗ヒトCD3抗体(CD3ε(D7A6E(商標))XP(登録商標)ウサギmAb(#85061)(Cell Signaling、Boston、MA)を使用して、ヒト由来CD3陽性細胞を同定した。
【
図2B】培養されたヒトCAR T細胞におけるCD3発現を示す。
【
図2C】正常なC57 BL/6脳切片におけるCD3染色を示す。
【
図2D】Lym-1ヒトCAR T細胞を静脈内(IV)注射によって投与した場合の、GL261マウス神経膠腫を有する脳におけるCD3発現を示す。
【
図2E】3% NEO100のIC注射後にLym-1ヒトCAR T細胞をIVによって注射した場合の、GL261マウス神経膠腫を有する脳におけるCD3発現を示す。
【
図2F】抗CD19ヒトCAR T細胞を静脈内(IV)注射によって投与した場合の、GL261マウス神経膠腫を有する脳におけるCD3発現を示す。
【
図2G】3% NEO100のIC注射後に抗CD19ヒトCAR T細胞をIVによって注射した場合の、GL261マウス神経膠腫を有する脳におけるCD3発現を示す。
【
図2H】GL261腫瘍を有する脳の正常部分におけるCD3陽性細胞の比較を示す。
【
図3】ペリリルアルコールの非存在下または存在下での、同系マウスGBM(GL261)を有するC57 BL/6における抗マウスPD-1抗体媒介治療効果を反映する生存率を示す。
【
図4A】NEO100をin vitro BBBモデルを渡って適用することができ、標識抗体がそれを越えることを一時的に可能にすることを示す。
図4Aは、in vitro脳関門タイトジャンクションモデルを示す。標記された構成要素は、Transwell走化性チャンバー;上部チャンバー;多孔質膜および下部チャンバーである。トランスウェル培養チャンバー(孔径:0.8μm)。メイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞は上皮細胞である。TEER:経上皮/経内皮電気抵抗。蛍光Ab:Alexa Fluo(登録商標)488;ロバ抗ラットIgG(H+L)蛍光を下部チャンバーで約120分測定した。
【
図4B】NEO100をin vitro BBBモデルを渡って適用することができ、標識抗体がそれを越えることを一時的に可能にすることを示す。
図4Bは、漸増濃度による上部チャンバーを通る蛍光標識抗体の透過促進を示す。
【
図4C】NEO100をin vitro BBBモデルを渡って適用することができ、標識抗体がそれを越えることを一時的に可能にすることを示す。
図4Cは、2mMの濃度のNEO100を適用した後のTEERの低下を示す。
【
図4D】NEO100をin vitro BBBモデルを渡って適用することができ、標識抗体がそれを越えることを一時的に可能にすることを示す。
図4Dは、NEO100を適用した後のTEERの回復時間を示す。
【
図5A】(異なる濃度の)NEO100と2%エバンスブルー(EB)との混合物の心臓内注射(IC)を示す。
【
図5B】NEO100がIC(心臓内注射)またはIV注射によって適用された後の、脳へのEBの透過を示す。
【
図6】脳内でNEO100によりタイトジャンクションが突破されたことを示す。
【
図7】血液脳関門突破を介したNEO100媒介ドーパミン送達を示す。
【
図9】ペリリルアルコールの非存在下または存在下での抗マウスIgG抗体送達を示す。
【
図10】ペリリルアルコールの非存在下または存在下での抗PD-1抗体送達を示す。
【
図11】NSGマウスにおける頭蓋内Rajiリンパ腫異種移植片の治療における、NEO100媒介ヒトCAR T細胞(Lym-1 CAR)送達後のカプランマイヤー生存曲線を示す。
【
図12A】レムデシビル-シクロデキストリン-H
2Oの静脈内(IV)送達またはレムデシビル-シクロデキストリン-POHの鼻腔内(IN)送達の後30分~240分のレムデシビルの血漿中濃度を示す。
【
図12B】レムデシビル-シクロデキストリン-H
2Oの静脈内(IV)送達またはレムデシビル-シクロデキストリン-POHの鼻腔内(IN)送達の後30分~240分のレムデシビルの脳内濃度を示す。
【
図13】POHがin vitro BBBモデルにおいてBBBを渡ってレムデシビルを送達するのに非常に効率的であったことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で使用される場合、「NEO100」という用語は、ペリリルアルコールを指す。
【0028】
本発明は、血液脳関門を透過性にするためにモノテルペンもしくはセスキテルペンまたはそれらの誘導体(例えば、ペリリルアルコールすなわちPOH、イソペリリルアルコール、またはペリリルアルコール誘導体)を使用する方法を提供する。したがって、モノテルペンまたはセスキテルペンを使用して、BBBを渡って少なくとも1つの治療剤を送達することができる。
【0029】
モノテルペン(またはセスキテルペン)は、約98.5%(w/w)超、約99.0%(w/w)超、または約99.5%(w/w)超の純度を有し得る。
【0030】
モノテルペン(またはセスキテルペン)は、(1または複数の)治療剤の存在下または非存在下で医薬組成物に製剤化され得、モノテルペン(またはセスキテルペン)は、約0.01%(w/w)~約100%(w/w)、約0.1%(w/w)~約80%(w/w)、約1%(w/w)~約70%(w/w)、約10%(w/w)~約60%(w/w)、約1%(w/w)~約10%(w/w)、約1%(w/w)~約5%(w/w)、約1%(w/w)~約3%(w/w)、約3%(w/w)~約10%(w/w)、または約0.1%(w/w)~約20%(w/w)の範囲の量で存在する。
【0031】
モノテルペン(例えば、ペリリルアルコール)は、約0.050mg/kg~約500mg/kg体重の範囲の用量で投与され得る。他の範囲としては、約0.1mg/kg~約100mg/kg、約1mg/kg~約50mg/kg、約5mg/kg~約25mg/kg、および約10mg/kg~約15mg/kgが挙げられる。
【0032】
モノテルペンまたはセスキテルペンは、限定するものではないが、化学療法剤、免疫療法剤、免疫調節剤、抗体(例えば、モノクローナル抗体)、免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)、ワクチン、抗体-薬物コンジュゲート、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗微生物剤、抗生物質、およびそれらの組み合わせを含む少なくとも1つの治療剤と組み合わせて使用され得る。
【0033】
精製されたモノテルペンまたはセスキテルペンと組み合わせて使用され得る抗がん剤は、がん細胞または対象に対する以下の効果の1つ以上を有し得る:細胞死;細胞増殖の減少;細胞数の減少;細胞成長の阻害;アポトーシス;壊死;分裂期細胞死;細胞周期停止;細胞サイズの減少;細胞分裂の減少;細胞生存率の低下;細胞代謝の低下;細胞損傷または細胞傷害性のマーカー;腫瘍収縮などの細胞損傷または細胞傷害性の間接的指標;対象の生存の改善;または望ましくない、不必要なもしくは異常な細胞増殖に関連するマーカーの消失。米国特許出願公開第20080275057号。
【0034】
治療剤は、ペリリルアルコールに溶解されてもよい。本組成物は、がんなどの疾患を治療するために、単独で投与することができ、または放射線もしくは別の薬剤(例えば、化学療法剤)と同時投与することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、薬剤は抗体-薬物コンジュゲートである。いくつかの実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗原結合断片と、標的細胞において細胞傷害性を誘導する毒素または薬物とを含む。抗体-薬物コンジュゲートでの使用に適合する毒素または薬物は当技術分野で周知であり、当業者には明らかであると思われる。例えば、Peters et al.Biosci.Rep.(2015)35(4):e00225を参照されたい。いくつかの実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗体および薬物分子を結合させるリンカー(例えば、切断可能なリンカーなどのペプチドリンカー)をさらに含み得る。
【0036】
治療は逐次的であってもよく、(1または複数の)治療剤の投与前または投与後にモノテルペン(またはセスキテルペン)が投与される。モノテルペン(またはセスキテルペン)と(1または複数の)治療剤とは同時に投与してもよい。
【0037】
モノテルペン(またはセスキテルペン)と少なくとも1つの治療剤とは、同時に、別々に、または逐次的に投与することができる。それらは、有利に組み合わされた効果(例えば、相加効果または相乗効果)を発揮することができる。
【0038】
逐次投与の場合、モノテルペン(またはセスキテルペン)を最初に投与し、次いで(1または複数の)治療剤を投与するか、または(1または複数の)治療剤を最初に投与し、続いてモノテルペン(またはセスキテルペン)を投与する。モノテルペン(またはセスキテルペン)と治療剤とが別々に投与される実施形態では、モノテルペン(またはセスキテルペン)の投与は、数秒、数分、数時間、数日、または数週間、(1または複数の)治療剤の投与に先立っても、あるいは投与の後に続いてもよい。非同時投与における時間差は、1分を超えてもよく、例えば、正確には、少なくとも、5分、10分、15分、30分、45分、60分、2時間、3時間、6時間、9時間、12時間、24時間、36時間、もしくは48時間まで、もしくはそれ未満、または48時間より長くてもよい。2つ以上の薬剤は、互いに数分以内、または互いに約0.5、約1、約2、約3、約4、約6、約9、約12、約15、約18、約24もしくは約36時間以内、または互いに約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14日間以内、または互いに約2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10週間以内に投与することができる。場合によっては、より長い間隔が可能である。
【0039】
本開示はまた、(i)少なくとも1つのモノテルペン(またはセスキテルペン)、および(ii)少なくとも1つの治療剤、を含む医薬組成物を提供する。
【0040】
投与経路は様々であり得、動脈内送達、吸入、鼻腔内、経口、経皮、静脈内、皮下または筋肉内注射を含み得る。
【0041】
本発明はまた、がんなどの疾患を治療する方法であって、本組成物を患者に送達する工程を含む方法を提供する。
【0042】
本発明の組成物は、1つ以上のタイプのモノテルペン(またはセスキテルペン)を含有し得る。モノテルペンには、2つのイソプレン単位からなり、分子式C10H16を有するテルペンが含まれる。モノテルペンは、直鎖(非環式)であってもよく、または環を含有してもよい。モノテルペンの酸化または再構成などの生化学的修飾によって産生されるモノテルペノイド、およびモノテルペンまたはモノテルペノイドの薬学的に許容される塩も本発明に包含される。モノテルペンおよびモノテルペノイドの例としては、ペリリルアルコール(S(-)およびR(+))、ゲラニルピロリン酸、オシメン、ミルセン、ゲラニオール、シトラール、シトロネロール、シトロネラール、リナロール、ピネン、テルピネオール、テルピネン、リモネン、テルピネン類、フェランドレン、テルピノレン、テルピネン-4-オール(またはティーツリー油)、ピネン、テルピネオール、テルピネン;メントール、チモールおよびカルボクロールなどの単環式テルペンから誘導されるp-シメンなどのテルペノイド;カンフル、ボルネオールおよびユーカリプトールなどの二環式モノテルペノイドが挙げられる。
【0043】
モノテルペンは、炭素骨格の構造によって区別することができ、非環式モノテルペン(例えば、ミルセン、(Z)-および(E)-オシメン、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ミルセノール、ゲラニアール、シトラールa、ネラール、シトラールb、シトロネラールなど)、単環式モノテルペン(例えば、リモネン、テルピネン、フェランドレン、テルピノレン、メントール、カルベオールなど)、二環式モノテルペン(例えば、ピネン、ミルテノール、ミルテナール、ベルバノール、ベルバノン、ピノカルベオール、カレン、サビネン、カンフェン、ツエンなど)および三環式モノテルペン(例えばトリシクレン)に分類され得る。Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Volume 23,page 834-835を参照されたい。
【0044】
本発明のセスキテルペンには、3つのイソプレン単位からなり、分子式C15H24を有するテルペンが含まれる。セスキテルペンは、直鎖(非環式)であってもよく、または環を含有してもよい。セスキテルペンの酸化または再構成などの生化学的修飾によって産生されるセスキテルペノイドも本発明に包含される。セスキテルペンの例としては、ファルネソール、ファルネサール、ファルネシル酸およびネロリドールが挙げられる。
【0045】
モノテルペン(またはセスキテルペン)の誘導体には、限定するものではないが、モノテルペン(またはセスキテルペン)のエステル、アルコール、アルデヒドおよびケトンが含まれる。モノテルペン(またはセスキテルペン)アルコールは、エステル、アルデヒドまたは酸に誘導体化され得る。
【0046】
本発明のモノテルペン(またはセスキテルペン)アルコールのエステルは、無機酸または有機酸から誘導することができる。無機酸には、限定するものではないが、リン酸、硫酸、および硝酸が含まれる。有機酸としては、限定するものではないが、カルボン酸、例えば安息香酸、脂肪酸、酢酸およびプロピオン酸が挙げられる。モノテルペン(またはセスキテルペン)アルコールのエステルの例としては、限定するものではないが、カルボン酸エステル(例えば、安息香酸エステル、脂肪酸エステル(例えば、パルミチン酸エステルおよびリノール酸エステル)、アセテート、プロピオネート(またはプロパノエート)およびホルメート)、ホスフェート、サルフェート、およびカルバメート(例えば、N,N-ジメチルアミノカルボニル)が挙げられる。Wikipedia-エステル。URL:http://en.wikipedia.org/wiki/Esterから検索。
【0047】
本発明で使用され得るモノテルペンの具体例は、ペリリルアルコール(一般にPOHと略される)である。本発明のペリリルアルコール組成物は、(S)-ペリリルアルコール、(R)-ペリリルアルコール、または(S)-ペリリルアルコールと(R)-ペリリルアルコールとの混合物を含有することができる。
【0048】
「キメラ受容体」、「キメラ抗原受容体」、または「CAR」という用語は、全体を通して互換的に使用され、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および以下に定義される刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメイン(本明細書では「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも呼ばれる)を含む組換えポリペプチド構築物を指す。Lee et al.,Clin.Cancer Res.(2012)18(10):2780;Jensen et al.,Immunol Rev.(2014)257(1):127;www.cancer.gov/about-cancer/treatment/research/car-t-cells.一実施形態では、刺激分子は、T細胞受容体複合体に関連するゼータ鎖である。一態様では、細胞質シグナル伝達ドメインは、以下に定義される少なくとも1つの共刺激分子に由来する1つ以上の機能的シグナル伝達ドメインをさらに含む。共刺激分子はまた、4-1BB(すなわち、CD137)、CD27および/もしくはCD28またはそれらの分子の断片であり得る。別の態様では、CARは、細胞外抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、および刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメイン、を含むキメラ融合タンパク質を含む。別の態様では、CARは、細胞外抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、および共刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインと刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインとを含む細胞内シグナル伝達ドメイン、を含むキメラ融合タンパク質を含む。代替的には、CARは、細胞外抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、および1つ以上の(1または複数の)共刺激分子に由来する2つの機能的シグナル伝達ドメインと刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインとを含む細胞内シグナル伝達ドメイン、を含むキメラ融合タンパク質を含む。CARはまた、細胞外抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、および1つ以上の(1または複数の)共刺激分子に由来する少なくとも2つの機能的シグナル伝達ドメインと刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインとを含む細胞内シグナル伝達ドメイン、を含むキメラ融合タンパク質を含むことができる。CARの抗原認識部分は、任意の抗原結合抗体断片を含有することができる。抗体断片は、1つ以上のCDR、可変領域(またはその一部)、定常領域(またはその一部)、または前述のいずれかの組み合わせを含むことができる。
【0049】
本明細書で使用される場合、キメラ受容体は、宿主細胞の表面上に発現することができ、抗原結合断片を含む天然に存在しない分子を指す。一般に、キメラ受容体は、異なる分子に由来する少なくとも2つのドメインを含む。本明細書に記載の抗原結合断片に加えて、キメラ受容体はヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、少なくとも1つの共刺激ドメイン、および細胞質シグナル伝達ドメインの1つ以上をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、N末端からC末端へ、抗原結合断片、ヒンジドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は少なくとも1つの共刺激ドメインをさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のキメラ受容体は、抗原結合断片と膜貫通ドメインとの間に位置し得るヒンジドメインを含む。ヒンジドメインは、一般にタンパク質の2つのドメイン間に見られ、タンパク質の柔軟性およびドメインの一方または両方の互いに対する動きを可能にし得るアミノ酸セグメントである。キメラ受容体の別のドメインに対する抗原結合断片のそのような柔軟性および動きを提供する任意のアミノ酸配列を使用することができる。
【0051】
本明細書に記載のキメラ受容体のいずれかは、従来の技術を介して発現のために適切な免疫細胞に導入することができる。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、初代T細胞またはT細胞株などのT細胞である。あるいは、免疫細胞は、確立されたNK細胞株(例えば、NK-92細胞)などのNK細胞であり得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、CD8を発現する(CD8+)T細胞またはCD8およびCD4を発現する(CD8+/CD4+)T細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、確立されたT細胞株のT細胞、例えば293T細胞またはJurkat細胞である。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のキメラ受容体のいずれかを発現する免疫細胞は、標的細胞(例えば、がん細胞)の数を少なくとも20%、例えば、50%、80%、100%減少させる、1/2、1/5、1/10、1/20、1/50、1/100に、またはそれを超えて減少させるのに有効な量で対象に投与される。
【0053】
哺乳動物(例えば、ヒト)に投与される細胞、例えば免疫細胞(例えばCAR T細胞)の典型的な量は、例えば100万~1000億細胞の範囲であり得るが、この例示的な範囲より下または上の量も本開示の範囲内である。例えば、細胞の1日用量は、約100万~約500億細胞(例えば、約500万細胞、約2500万細胞、約5億細胞、約10億細胞、約50億細胞、約200億細胞、約300億細胞、約400億細胞、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲)、好ましくは約1000万~約1000億細胞(例えば、約2000万細胞、約3000万細胞、約4000万細胞、約6000万細胞、約7000万細胞、約8000万細胞、約9000万細胞、約100億細胞、約250億細胞、約500億細胞、約750億細胞、約900億細胞、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲)、より好ましくは約1億細胞~約500億細胞(例えば、約1億2000万細胞、約2億5000万細胞、約3億5000万細胞、約4億5000万細胞、約6億5000万細胞、約8億細胞、約9億細胞、約30億細胞、約300億細胞、約450億細胞、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲)であり得る。
【0054】
一実施形態では、キメラ受容体(例えば、キメラ受容体をコードする核酸)は免疫細胞に導入され、対象(例えば、ヒト患者)は、キメラ受容体を発現する免疫細胞の初回投与または初回用量を受ける。薬剤(例えば、キメラ受容体を発現する免疫細胞)の1回以上のその後の投与を、先の投与の後15日、14日、13日、12日、11日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日または2日の間隔で患者に提供することができる。1週間に2回以上の薬剤の用量、例えば、薬剤の2回、3回、4回またはそれ以上の投与を対象に投与することができる。対象は、1週間に2回以上の用量の薬剤(例えば、キメラ受容体を発現する免疫細胞)を投与され、その後1週間は薬剤の投与を行わず、最後に1回以上のさらなる用量の薬剤(例えば、キメラ受容体を発現する免疫細胞の1週間に2回以上の投与)を投与され得る。キメラ受容体を発現する免疫細胞は、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間またはそれ以上の間、1週間に3回の投与のために1日おきに投与され得る。
【0055】
本開示の文脈において、本明細書に列挙される疾患状態のいずれかに関する限り、「治療する」、「治療」などの用語は、そのような状態に関連する少なくとも1つの症状を軽減もしくは緩和すること、またはそのような状態の進行を遅らせるもしくは逆転させることを意味する。本開示の意味の範囲内で、用語「治療する」はまた、疾患を停止すること、発症を遅延させること(すなわち、疾患の臨床症状発現前の期間)、および/または疾患を発症もしくは悪化させるリスクを低減することを意味する。例えば、がんに関連して、「治療する」という用語は、患者の腫瘍負荷を排除もしくは低減すること、または転移を予防、遅延もしくは阻害することなどを意味し得る。
【0056】
本明細書に記載の方法および組成物は、限定するものではないが、脳腫瘍、肺がん、耳、鼻および喉のがん、造血器がん、結腸がん、黒色腫、膵臓がん、乳がん(mammary cancer)、前立腺がん、乳がん(breast cancer)、卵巣がん、基底細胞癌腫、胆道がん;膀胱がん;骨がん;乳がん;子宮頸がん;絨毛癌腫;結腸直腸がん;結合組織がん;消化器系のがん;子宮内膜がん;食道がん;眼のがん;頭頸部がん;胃がん;上皮内新生物;腎臓がん;喉頭がん;肝臓がん;線維腫、神経芽細胞腫;口腔がん(例えば、唇、舌、口、および咽頭);卵巣がん;膵臓がん;前立腺がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸がん;腎がん;呼吸器系のがん;肉腫;皮膚がん;胃がん;精巣がん;甲状腺がん;子宮がん;泌尿器系のがん、ならびに他の癌腫および肉腫を治療するために使用され得る。
【0057】
癌腫は上皮起源のがんである。本開示の方法での治療が意図される癌腫には、限定するものではないが、腺房癌腫、小葉癌腫、肺胞腺癌腫(腺嚢癌腫、腺筋上皮腫(adenomyoepithelioina)、篩状癌腫、および円柱腫とも呼ばれる)、腺腫性癌腫(carcinoma adenomatosum)、腺癌腫、副腎皮質の癌腫、肺胞癌腫、肺胞細胞癌腫(細気管支癌腫、肺胞細胞腫瘍、および肺腺腫症とも呼ばれる)、基底細胞癌腫、基底細胞の癌腫(基底細胞癌、または基底細胞腫、および毛母癌腫とも呼ばれる。)、類基底細胞癌腫、基底扁平細胞癌腫、乳癌腫、気管支肺胞上皮癌腫、細気管支癌腫、気管支原性癌腫、脳様癌腫(cerebriform carcinoma)、胆管細胞癌腫(胆管腫および胆管癌腫とも呼ばれる)、絨毛癌腫、膠様癌腫(colloid carcinoma)、面疱癌腫、子宮体癌腫(corpus carcinoma)、篩状癌腫、鎧状癌腫(carcinoma en cuirasse)、皮癌腫、円柱癌腫(cylindrical carcinoma)、円柱状細胞癌腫(cylindrical cell carcinoma)、腺管癌腫、緻密性癌腫(carcinoma durum)、胚性癌腫、脳様癌腫、眼球上癌腫(epibulbar carcinoma)、類表皮癌腫、腺様上皮癌腫(carcinoma epitheliale adenoides)、潰瘍癌腫(carcinoma exulcere)、線維性癌腫(carcinoma fibrosum)、膠様癌腫(gelatiniform carcinoma、gelatinous carcinoma)、巨細胞癌腫、巨細胞がん(gigantocellulare)、腺癌腫、顆粒膜細胞癌腫、毛母癌腫、血様癌腫(hematoid carcinoma)、肝細胞癌腫(肝細胞腫、悪性肝細胞腫、肝臓癌腫とも呼ばれる)、Huirthle細胞癌腫、硝子様癌腫(hyaline carcinoma)、副腎様癌腫(hypernephroid carcinoma)、小児胚性癌腫、上皮内癌腫、表皮内癌腫、上皮内癌腫、Krompecher癌腫、Kulchitzky細胞癌腫、レンズ上癌腫(lenticular carcinoma、carcinoma lenticulare)、脂肪性癌腫、リンパ上皮癌腫、乳腺炎性癌腫、髄様癌腫(carcinoma medullare、medullary carcinoma)、黒色癌腫(carcinoma melanodes、melanotic carcinoma)、粘液癌腫、粘液癌腫(mucinous carcinoma、carcinoma muciparum)、粘液腫様癌腫(carcinoma myxomatodes)、鼻咽頭癌腫、黒色癌腫(carcinoma nigrum)、燕麦細胞癌腫、骨化性癌腫(carcinoma ossificans)、類骨癌腫(osteoid carcinoma)、卵巣癌腫、乳頭癌腫、門脈周囲癌腫(periportal carcinoma)、前浸潤癌腫、前立腺癌腫、腎臓の腎細胞癌腫(腎臓の腺癌腫および副腎様癌腫とも呼ばれる)、予備細胞癌腫、肉腫様癌腫、シュナイダー癌腫(scheinderian carcinoma)、硬性癌腫、陰嚢癌腫、印環細胞癌腫、単純癌腫、小細胞癌腫、ソラノイド癌腫、球状細胞癌腫、紡錘細胞癌腫、海綿様癌腫、扁平上皮癌腫、扁平上皮細胞癌腫、ストリング癌腫、血管拡張性癌腫、毛細血管拡張性癌腫、移行上皮癌腫、結節癌腫(carcinoma tuberosum、tuberous carcinoma)、疣贅癌腫、絨毛癌腫が含まれる。好ましい実施形態では、本開示の方法は、乳房、子宮頸部、卵巣、前立腺、肺、結腸および直腸、膵臓、胃または腎臓のがんを有する対象を治療するために使用される。
【0058】
肉腫は、骨および軟組織で生じる間葉系新生物である。様々なタイプの肉腫が認識されており、これらには以下が含まれる:脂肪肉腫(粘液型脂肪肉腫および多形型脂肪肉腫を含む)、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(悪性シュワン細胞腫、神経線維肉腫、または神経原性肉腫とも呼ばれる)、ユーイング腫瘍(骨ユーイング肉腫、骨外性(すなわち、非骨)ユーイング肉腫および原始神経外胚葉腫瘍[PNET]を含む)、滑膜肉腫、血管肉腫(angiosarcomas、hemangiosarcomas)、リンパ管肉腫、カポジ肉腫、血管内皮腫、線維肉腫、類腱腫(侵襲性線維腫症とも呼ばれる)、隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)、悪性線維性組織球腫(MFH)、血管周囲細胞腫、悪性間葉腫、胞状軟部肉腫、類上皮肉腫、明細胞肉腫、線維形成小細胞腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)(GI間質肉腫としても知られる)、骨肉腫(骨原性肉腫としても知られる)-骨格および骨外、ならびに軟骨肉腫。
【0059】
いくつかの実施形態では、治療されるがんは、難治性がんであり得る。本明細書で使用される「難治性がん」は、処方された標準的なケアに抵抗性のがんである。これらのがんは、最初は治療に応答性に見える場合がある(その後再発する)か、または治療に完全に非応答性である場合がある。通常の標準的なケアは、がんのタイプおよび対象における進行の程度に応じて変わると思われる。それは、化学療法、または手術、または放射線、またはそれらの組み合わせであり得る。当業者は、このような標準的なケアを認識している。したがって、難治性がんのために本開示に従って治療されている対象は、そのがんのための別の治療に既に曝露されている可能性がある。あるいは、がんが難治性である可能性が高い場合(例えば、対象のがん細胞または病歴の分析を考慮して)、対象は既に別の治療に曝露されていないこともある。難治性がんの例としては、限定するものではないが、白血病、黒色腫、腎細胞癌腫、結腸がん、肝臓(肝)がん、膵臓がん、非ホジキンリンパ腫および肺がんが挙げられる。
【0060】
本明細書に記載のキメラ受容体を発現する免疫細胞のいずれも、薬学的に許容される担体または賦形剤中で医薬組成物として投与され得る。
【0061】
「薬学的に許容される」という語句は、本開示の組成物および/または細胞に関連して使用される場合、生理学的に忍容性であり、かつ、典型的には、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与された場合、不都合な反応を生じさせないそのような組成物の分子実体および他の成分を示す。好ましくは、本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府もしくは州政府の規制機関によって承認されていること、または哺乳動物、より具体的にはヒトにおける使用のために米国薬局方もしくは他の一般に認識されている薬局方に記載されていることを意味する。「許容される」とは、担体が組成物の有効成分(例えば、核酸、ベクター、細胞または治療用抗体)と適合性であり、(1または複数の)組成物が投与される対象に悪影響を及ぼさないことを意味する。本方法で使用される医薬組成物および/または細胞のいずれも、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含むことができる。
【0062】
緩衝剤を含む薬学的に許容される担体は当技術分野で周知であり、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤;低分子量ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;アミノ酸;疎水性ポリマー;単糖類;二糖類;および他の炭水化物;金属錯体;および/または非イオン性界面活性剤を含み得る。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed.(2000)Lippincott Williams and Wilkins,Ed.K.E.Hooverを参照されたい。
【0063】
治療用途のためのキット
本発明の薬剤/組成物を使用するためのキットも本開示の範囲内である。そのようなキットは、少なくとも1つのモノテルペンまたはセスキテルペンおよび薬学的に許容される担体を含む第1の医薬組成物、ならびに少なくとも1つの治療剤および薬学的に許容される担体を含む第2の医薬組成物を含む1つ以上の容器を含み得る。別の実施形態では、キットは、少なくとも1つのモノテルペンまたはセスキテルペン、少なくとも1つの治療剤、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を含む1つ以上の容器を含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかで使用するための説明書を含むことができる。含まれる説明書は、第1および第2の医薬組成物を対象に投与して、対象において意図された活性を達成するための説明を含むことができる。キットは、対象が治療を必要としているかどうかを識別することに基づいて、治療に適した対象を選択する説明をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、説明書は、治療を必要とする対象に医薬組成物を投与することの説明を含む。
【0065】
本明細書に記載の医薬組成物の使用に関する説明書は、一般に、意図される治療のための投薬量、投薬スケジュールおよび投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数回用量パッケージ)またはサブ単位用量であり得る。本開示のキットに供給される説明書は、典型的には、ラベルまたは添付文書に書き込まれた説明書である。ラベルまたは添付文書は、医薬組成物が対象の疾患または障害を治療、発症の遅延および/または緩和するために使用されることを示す。
【0066】
本明細書で提供されるキットは、適切な包装中にある。適切な包装には、限定するものではないが、バイアル、ボトル、瓶、フレキシブル包装などが含まれる。吸入器、経鼻投与装置、または注入装置などの特定の装置と組み合わせて使用するためのパッケージも企図される。キットは、滅菌アクセスポート(例えば、容器は、静脈内溶液バッグであってもよいし、皮下注射針で穿刺可能な栓を有するバイアルであってもよい)を有し得る。容器もまた、滅菌アクセスポートを有してもよい。
【0067】
キットには、緩衝液および解釈情報などの追加の構成要素が提供されていてもよい。通常、キットは、容器と、容器上または容器に関連するラベルまたは(1または複数の)添付文書とを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、上記のキットの内容物を含む製品を提供する。
【0068】
ペリリルアルコール誘導体としては、ペリリルアルコールエステル、ペリルアルデヒド、ジヒドロペリル酸、およびペリル酸が挙げられる。ペリリルアルコールの誘導体はまた、その酸化性および求核性/求電子性付加誘導体を含み得る。米国特許出願公開第20090031455号、米国特許第6,133,324号および第3,957,856号。
【0069】
本発明はまた、がんまたは他の神経系障害などの疾患を治療するために、モノテルペン(またはセスキテルペン)と、少なくとも1つの治療剤とを使用する方法を提供する。モノテルペン(またはセスキテルペン)は、単独で、または治療剤と組み合わせて投与され得る。モノテルペンまたはセスキテルペンはまた、治療剤と同時投与され得る。モノテルペン(またはセスキテルペン)は、または治療剤と組み合わせて投与することができる。
【0070】
薬剤は、同時にまたは逐次的に投与され得る。モノテルペン(またはセスキテルペン)は、治療剤の投与の前、その最中またはその後に投与することができる。
【0071】
モノテルペン(またはセスキテルペン)は、治療剤を病変部位に送達するための溶媒または透過促進剤として使用され得る。モノテルペン(またはセスキテルペン)は、化学療法剤を腫瘍細胞に送達するための溶媒または透過促進剤として使用され得る。モノテルペンまたはセスキテルペンはまた、任意の適切な経路を介して送達され得るワクチンのための溶媒として使用され得る。
【0072】
本組成物および方法は、悪性神経膠腫(例えば、星状細胞腫、未分化星状細胞腫、多形神経膠芽腫)、網膜芽細胞腫、毛様細胞性星状細胞腫(グレードI)、髄膜腫、転移性脳腫瘍、神経芽細胞腫、下垂体腺腫、頭蓋底髄膜腫および頭蓋底がんなどの神経系がんの治療に使用され得る。本明細書で使用される場合、「神経系腫瘍」という用語は、対象が神経系細胞の悪性増殖を有する状態を指す。
【0073】
本組成物および方法によって治療することができるがんは、限定するものではないが、肺がん、耳、鼻および喉のがん、白血病、結腸がん、黒色腫、膵臓がん、乳がん(mammary cancer)、前立腺がん、乳がん(breast cancer)、造血器がん、卵巣がん、基底細胞癌腫、胆道がん;膀胱がん;骨がん;乳がん;子宮頸がん;絨毛癌腫;結腸直腸がん;結合組織がん;消化器系のがん;子宮内膜がん;食道がん;眼のがん;頭頸部がん;胃がん;上皮内新生物;腎臓がん;喉頭がん;急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病を含む白血病;肝臓がん;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫;骨髄腫;線維腫、神経芽細胞腫;口腔がん(例えば、唇、舌、口、および咽頭);卵巣がん;膵臓がん;前立腺がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸がん;腎がん;呼吸器系のがん;肉腫;皮膚がん;胃がん;精巣がん;甲状腺がん;子宮がん;泌尿器系のがん、ならびに他の癌腫および肉腫を含む。米国特許第7,601,355号。
【0074】
本発明はまた、限定するものではないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、心理学的障害、精神病およびうつ病などの原発性変性神経障害を含むCNS障害を治療するための方法および組成物を提供する。
【0075】
本組成物は、放射線療法と組み合わせて使用され得る。
【0076】
本発明のモノテルペンまたはセスキテルペンは、限定するものではないが、化学療法剤、免疫療法剤、および抗体(例えば、モノクローナル抗体)を含む少なくとも1つの治療剤と組み合わせて使用され得る。精製されたモノテルペンまたはセスキテルペンと組み合わせて使用され得る抗がん剤は、がん細胞または対象に対する以下の効果の1つ以上を有し得る:細胞死;細胞増殖の減少;細胞数の減少;細胞成長の阻害;アポトーシス;壊死;分裂期細胞死;細胞周期停止;細胞サイズの減少;細胞分裂の減少;細胞生存率の低下;細胞代謝の低下;細胞損傷または細胞傷害性のマーカー;腫瘍収縮などの細胞損傷または細胞傷害性の間接的指標;対象の生存の改善;または望ましくない、不必要なもしくは異常な細胞増殖に関連するマーカーの消失。米国特許出願公開第20080275057号。
【0077】
モノテルペン(またはセスキテルペン)と、限定するものではないが、化学療法剤を含む少なくとも1つの治療剤との混合物および/または共製剤も本発明に包含される。
【0078】
化学療法剤には、限定するものではないが、DNAアルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、小胞体ストレス誘導剤、白金化合物、代謝拮抗物質、ビンカルカロイド(vincalkaloid)、タキサン、エポチロン、酵素阻害剤、受容体アンタゴニスト、治療用抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、ホウ素放射線増感剤(すなわち、ベルケイド)、および化学療法併用療法が含まれる。
【0079】
DNAアルキル化剤は当技術分野で周知であり、様々な腫瘍を治療するために使用される。DNAアルキル化剤の非限定的な例は、メクロレタミン、シクロホスファミド(イホスファミド、トロフォスファミド)、クロラムブシル(メルファラン、プレドニムスチン)、ベンダムスチン、ウラムスチンおよびエストラムスチンなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(セムスチン)、フォテムスチン、ニムスチン、ラニムスチンおよびストレプトゾシンなどのニトロソ尿素;ブスルファン(マンノスルファン、トレオスルファン)などのアルキルスルホネート;カルボコン、ThioTEPA、トリアジコン、トリエチレンメラミンなどのアジリジン;ヒドラジン(プロカルバジン);ダカルバジンおよびテモゾロミドなどのトリアゼン;アルトレタミンおよびミトブロニトールである。
【0080】
トポイソメラーゼI阻害剤の非限定的な例としては、Pommier Y.(2006)Nat.Rev.Cancer 6(10):789-802および米国特許公開第200510250854号に記載のCPT-11(イリノテカン)、SN-38、APC、NPC、カンポテシン、トポテカン、メシル酸エキサテカン、9-ニトロカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、ルルトテカン、ルビテカン、シラテカン、ギマテカン、ジフロモテカン、エキスタテカン、BN-80927、DX-8951f、およびMAG-CPT;Li et al.(2000)Biochemistry 39(24):7107-7116およびGatto et al.(1996)Cancer Res.15(12):2795-2800に記載の、ベルベルルビンおよびコラリンを含むプロトベルベリンアルカロイドおよびその誘導体;Makhey et al.(2003)Bioorg.Med.Chem.11(8):1809-1820に記載の、ベンゾ[i]フェナントリジン、ニチジンおよびファガロニンを含むフェナントロリン誘導体;Xu(1998)Biochemistry 37(10):3558-3566に記載のテルベンズイミダゾールおよびその誘導体;ならびにFoglesong et al.(1992)Cancer Chemother.Pharmacol.30(2):123-]25、Crow et al.(1994)J.Med.Chem.37(19):31913194、およびCrespi et al.(1986)Biochem.Biophys.Res.Commun.136(2):521-8に記載の、ドキソルビシン、ダウノルビシンおよびミトキサントロンを含むアントラサイクリン誘導体である。トポイソメラーゼII阻害剤には、限定するものではないが、エトポシドおよびテニポシドが含まれる。二重トポイソメラーゼIおよびII阻害剤としては、限定するものではないが、サイントピンおよび他のナフテセンジオン、DACAおよび他のアクリジン-4-カルボキサミド、イントプリシンおよび他のベンゾピリドインドール、TAS-I03および他の7H-インデノ[2,1-c]キノリン-7-オン、ピラゾロアクリジン、XR 11576および他のベンゾフェナジン、XR 5944および他の二量体化合物、7-オキソ-7H-ジベンズ[f,ij]イソキノリンおよび7-オキソ-7H-ベンゾ[e]ペリミジン、ならびにDenny and Baguley(2003)Curr.Top.Med.Chem.3(3):339-353に記載のアントラセニル-アミノ酸コンジュゲートが挙げられる。いくつかの薬剤、例えば、限定するものではないが、アントラサイクリン(アクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン)およびアントラセンジオン(ミトキサントロンおよびピキサントロン)は、トポイソメラーゼIIを阻害し、DNAインターカレーション活性を有する。
【0081】
小胞体ストレス誘導剤の例としては、限定するものではないが、ジメチル-セレコキシブ(DMC)、ネルフィナビル、セレコキシブおよびホウ素放射線増感剤(すなわち、ベルケイド(ボルテゾミブ))が挙げられる。
【0082】
DNAアルキル化剤のサブクラスである白金系化合物。そのような薬剤の非限定的な例としては、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、トリプラチンテトラニトレート、サトラプラチン、アロプラチン、ロバプラチン、およびJM-216が挙げられる(McKeage et al.(1997)J.Clin.Oncol.201:1232-1237 and in general,CHEMOTHERAPY FOR GYNECOLOGICAL NEOPLASM,CURRENT THERAPY AND NOVEL APPROACHES,in the Series Basic and Clinical Oncology,Angioli et al.Eds.,2004を参照されたい)。
【0083】
代謝拮抗剤の非限定的な例としては、葉酸系、すなわちジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤、例えばアミノプテリン、メトトレキサートおよびペメトレキセド;チミジル酸シンターゼ阻害剤、例えばラルチトレキセド、ペメトレキセド;プリン系、すなわち、ペントスタチンなどのアデノシンデアミナーゼ阻害剤、チオグアニンおよびメルカプトプリンなどのチオプリン、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビンなどのハロゲン化/リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、もしくはチオグアニンなどのグアニン/グアノシン:チオプリン;またはピリミジン系、すなわち、アザシチジンおよびデシタビンなどのシトシン/シチジン:低メチル化剤、シタラビンなどのDNAポリメラーゼ阻害剤、ゲムシタビンなどのリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、またはフルオロウラシル(5-FU)などのチミン/チミジン:チミジル酸シンターゼ阻害剤が挙げられる。5-FUの等価物としては、5’-デオキシ-5-フルオロウリジン(ドキシフルロジン)、1-テトラヒドロフラニル-5-フルオロウラシル(フトラフル)などのそのプロドラッグ、類似体および誘導体、カペシタビン(ゼローダ)、S-I(テガフールと、2つのモジュレーター、5-クロロ-2,4-ジヒドロキシピリジンおよびオキソ酸カリウムとからなるMBMS-247616)、ラリチトレキセド(トムデックス)、ノラトレキセド(チミタク(Thymitaq)、AG337)、例えば、Papamicheal(1999)The Oncologist 4:478-487に記載のLY231514およびZD9331が挙げられる。
【0084】
ビンカルカロイドの例としては、限定するものではないが、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンフルニン、ビンデシンおよびビノレルビンが挙げられる。
【0085】
タキサンの例としては、限定するものではないが、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、パクリタキセルおよびテセタキセルが挙げられる。エポチロンの例は、イキサベピロン(iabepilone)である。
【0086】
酵素阻害剤の例としては、限定するものではないが、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(チピファルニブ(Tipifamib));CDK阻害剤(アルボシジブ、セレシクリブ);プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ);ホスホジエステラーゼ阻害剤(アナグレリド;ロリプラム);IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(チアゾフリン);およびリポキシゲナーゼ阻害剤(マソプロコール)が挙げられる。受容体アンタゴニストの例としては、限定するものではないが、ERA(アトラセンタン);レチノイドX受容体(ベキサロテン);および性ステロイド(テストラクトン)が挙げられる。
【0087】
治療用抗体の例としては、限定するものではないが、抗HER1/EGFR(セツキシマブ、パニツムマブ);抗HER2/neu(erbB2)受容体(トラスツズマブ);抗EpCAM(カツマキソマブ、エドレコロマブ)抗VEGF-A(ベバシズマブ);抗CD20(リツキシマブ、トシツモマブ、イブリツモマブ);抗CD52(アレムツズマブ);および抗CD33(ゲムツズマブ)が挙げられる。米国特許第5,776,427号および同第7,601,355号。
【0088】
チロシンキナーゼ阻害剤の例としては、限定するものではないが、下記に対する阻害剤が挙げられる、ErbB:HER1/EGFR(エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、スニチニブ、ネラチニブ);HER2/neu(ラパチニブ、ネラチニブ);RTKクラスIII:C-kit(アキシチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ)、FLT3(レスタウルチニブ)、PDGFR(アキシチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ);およびVEGFR(バンデタニブ、セマキサニブ、セジラニブ、アキシチニブ、ソラフェニブ);bcr-abl(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ);Src(ボスチニブ)およびヤヌスキナーゼ2(レスタウルチニブ)。
【0089】
セツキシマブは、抗EGFR抗体の一例である。これは、上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とするキメラヒト/マウスモノクローナル抗体である。生物学的に等価な抗体は、本明細書において修飾された抗体、およびEGFR抗原の同じエピトープに結合し、実質的に等価な生物学的応答、例えば、EGFRのリガンド結合の防止、EGFR受容体の活性化の防止および細胞成長の破壊をもたらすEGFR経路の下流シグナル伝達の遮断を生じるものとして同定される。
【0090】
「ラパチニブ」(Tykerb(登録商標))は、EGFRおよびerbB-2の二重阻害剤である。ラパチニブは、抗がん単独療法として、ならびにトラスツズマブ、カペシタビン、レトロゾール、パクリタキセルおよびFOLFlR1(イリノテカン、5-フルオロウラシルおよびロイコボリン)と組み合わせて、いくつかの臨床試験で調査されている。現在、転移性の乳がん、頭頸部がん、肺がん、胃がん、腎がんおよび膀胱がんの経口治療の第III相試験中である。ラパチニブの化学的等価物は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)、あるいはHER-1阻害剤またはHER-2阻害剤である小分子または化合物である。いくつかのTKIは、有効な抗腫瘍活性を有することが見出されており、承認されているか、または臨床試験中である。そのような例としては、限定するものではないが、ザクティマ(ZD6474)、イレッサ(ゲフィチニブ)およびタルセバ(エルロチニブ)、メシル酸イマチニブ(STI571;グリベック)、エルロチニブ(OSI-1774;タルセバ)、カネルチニブ(CI 1033)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、ソラフェニブ(BAY 43-9006)、スーテント(SUI 1248)およびレフルトモミド(SU10l)が挙げられる。ラパチニブの生物学的等価物は、HER-1阻害剤および/またはHER-2阻害剤であるペプチド、抗体またはその抗体誘導体である。そのような例としては、限定するものではないが、ヒト化抗体のトラスツズマブおよびハーセプチンが挙げられる。
【0091】
PTK/ZKは、全てのVEGF受容体(VEGFR)、血小板由来成長因子(PDGF)受容体、c-KITおよびc-Fmsを標的とする広範な特異性を有する「小」分子チロシンキナーゼ阻害剤である。Drevs(2003)Idrugs 6(8):787-794。PTK/ZKは、VEGFR-I(Flt-1)、VEGFR-2(KDR/Flk-1)およびVEGFR-3(Flt-4)を含むVEGFに結合する全ての公知の受容体の活性を阻害することによって、血管新生およびリンパ管新生を遮断する標的化薬物である。PTK/ZKの化学名は、1-[4-クロロアニリノ]-4-[4-ピリジルメチル]フタラジンスクシネートまたは1-フタラジンアミン、N-(4-クロロフェニル)-4-(4-ピリジニルメチル)-ブタンジオエート(1:1)である。PTK/TKの同義語および類似体は、バタラニブ、CGP79787D、PTK787/ZK 222584、CGP-79787、DE-00268、PTK-787、PTK787A、VEGFR-TK阻害剤、ZK 222584およびZKとして公知である。
【0092】
モノテルペンまたはセスキテルペンと組み合わせて使用することができる化学療法剤には、アムサクリン、トラベクテジン、レチノイド(アリトレチノイン、トレチノイン)、三酸化ヒ素、アスパラギン枯渇剤のアスパラギナーゼ/ペガスパルガーゼ)、セレコキシブ、デメコルシン、エルスクロモール、エルサミトルシン、エトグルシド、ロニダミン、ルカントン、ミトグアゾン、ミトタン、オブリメルセン、テムシロリムス、およびボリノスタットも含まれ得る。
【0093】
治療剤はレムデシビルであり得る。レムデシビルは、広範囲の抗ウイルス剤である。一実施形態では、レムデシビルは静脈内注射によって投与され得る。特定の実施形態では、レムデシビルを使用して、RNAウイルスに関連する感染症を治療することができる。例えば、レムデシビルは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoVまたはSARS-CoV-1)、または中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)に関連する感染症を治療するために使用することができる。一実施形態では、レムデシビルを使用して、対象においてCOVID-19を治療することができる。
【0094】
【0095】
レムデシビル
本発明の組成物および方法と共に使用され得る他の治療剤としては、例えば、CAR-T細胞、CAR-マクロファージまたはCAR-NK細胞が挙げられる。
【0096】
本組成物および方法は、傍細胞透過性、例えば、内皮細胞または上皮細胞の傍細胞透過性を増加させるために使用され得る。本組成物および方法は、血液脳関門透過性を増加させるために使用され得る。血液脳関門の透過性に対する投与の効果は、5分~10時間持続可能であり、他の範囲、少なくとも約15分、30分、1時間、2時間、3時間、5時間、10時間、24時間、48時間または72時間も含まれる。
【0097】
本組成物および方法は、血管新生を減少または阻害するために使用され得る。本組成物および方法は、限定するものではないが、血管内皮成長因子(VEGF)およびインターロイキン8(IL8)を含む血管新生促進性サイトカインの産生を減少または阻害し得る。
【0098】
モノテルペンまたはセスキテルペンは、血管新生阻害剤と組み合わせて使用され得る。
【0099】
血管新生阻害剤の例としては、限定するものではないが、アンジオスタチン、アンジオザイム、アンチトロンビンIII、AG3340、VEGF阻害剤(例えば、抗VEGF抗体)、バチマスタット、ベバシズマブ(アバスチン)、BMS-275291、CAI、2C3、HuMV833カンスタチン、カプトプリル、カルボキシアミドトリアゾール、軟骨由来阻害剤(CDI)、CC-5013、6-O-(クロロアセチル-カルボニル)-フマギロール、COL-3、コンブレタスタチン、コンブレタスタチンA4ホスフェート、ダルテパリン、EMD 121974(シレンギチド)、エンドスタチン、エルロチニブ、ゲフィチニブ(イレッサ)、ゲニステイン、臭化水素酸ハロフギノン、Id1、Id3、IM862、メシル酸イマチニブ、IMC-IC11誘導タンパク質10、インターフェロン-α、インターロイキン12、ラベンダスチンA、LY317615またはAE-941、マリマスタット、ムスピン、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(medroxpregesterone acetate)、Meth-1、Meth-2、2-メトキシエストラジオール(2-ME)、ネオバスタット、オテオポンチン切断産物、PEX、色素上皮成長因子(pgment epithelium growth factor)(PEGF)、血小板因子4、プロラクチン断片、プロリフェリン関連タンパク質(PRP)、PTK787/ZK 222584、ZD6474、組換えヒト血小板因子4(rPF4)、レスチン、スクアラミン、SU5416、SU6668、SU11248スラミン、タキソール、テコガラン、サリドマイド、トロンボスポンジン、TNP-470、トロポニン-l、バソスタチン、VEG1、VEGF-TrapおよびZD6474が挙げられる。
【0100】
血管新生阻害剤の非限定的な例には、チロシンキナーゼ受容体Flt-1(VEGFR1)およびFlk-1/KDR(VEGFR2)の阻害剤などのチロシンキナーゼ阻害剤、表皮由来、線維芽細胞由来、または血小板由来成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断薬、ポリ硫酸ペントサン、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(アスピリンおよびイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ならびにセレコキシブおよびロフェコキシブなどの選択的シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤を含む)、およびステロイド系抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド、ミネラルコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレド(methylpred)、ベタメタゾン)も含まれる。
【0101】
血管新生を調節または阻害し、モノテルペンまたはセスキテルペンと組み合わせて使用することもできる他の治療剤には、凝固系および線溶系を調節または阻害する薬剤が含まれる。凝固経路および線溶経路を調節または阻害するそのような薬剤の例には、限定するものではないが、ヘパリン、低分子量ヘパリンおよびカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性トロンビン活性化線溶阻害剤[TAFIa]の阻害剤としても知られる)が含まれる。米国特許出願公開第20090328239号、米国特許第7,638,549号。
【0102】
免疫調節剤としては、限定するものではないが、サイトカイン、例えばインターロイキン、リンホカイン、モノカイン、インターフェロンおよびケモカインが挙げられる。
【0103】
モノテルペン(またはセスキテルペン)と共に使用され得る他の透過促進剤としては、限定するものではないが、グリセリンの脂肪酸エステル、例えばカプリン酸、カプリル酸、ドデシル酸、オレイン酸のエステル;イソソルビド、スクロース、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;カプロイルラクチル酸;ラウレス-2;酢酸ラウレス-2;安息香酸ラウレス-2;ラウレス-3カルボン酸;ラウレス-4;ラウレス-5カルボン酸;オレス-2;ピログルタミン酸オレイン酸グリセリル;オレイン酸グリセリル;N-ラウロイルサルコシン;N-ミリストイルサルコシン;ノクチル-2-ピロリドン;ラウラミノプロピオン酸;ポリプロピレングリコール-4-ラウレス-2;ポリプロピレングリコール-4-ラウレス-5ジメチルラウラミド;ラウラミドジエタノールアミン(DEA)、ピログルタミン酸ラウリル(LP)、モノラウリン酸グリセリル(GML)、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル(GMO)およびソルビタンモノラウレートが挙げられる。ポリオールまたはエタノールは、透過促進剤または共溶媒として作用し得る。追加の透過促進剤については、米国特許第5,785,991号、同第5,843,468号、同第5,882,676号、および同第6,004,578号を参照されたい。
【0104】
共溶媒は当技術分野で周知であり、限定するものではないが、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、グリコール、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどが挙げられる。
【0105】
本組成物は、限定するものではないが、動脈内、鼻腔内、経口、眼、腹腔内、吸入、静脈内、心臓内注射(IC)、脳室内(ICV)、大槽内注射または注入、皮下、インプラント、膣、舌下、尿道(例えば、尿道坐剤)、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、直腸、舌下、粘膜、眼、脊髄、髄腔内、関節内、動脈内、くも膜下(sub-arachinoid)、気管支およびリンパ投与を含む、当技術分野で公知の任意の方法によって投与することができる。局所製剤は、ゲル、軟膏、クリーム、エアロゾルなどの形態であり得、鼻腔内製剤は、スプレーとして、または液滴で送達することができ、経皮製剤は、経皮パッチまたはイオン泳動を介して投与することができ、吸入製剤は、ネブライザーまたは同様の装置を用いて送達することができる。組成物はまた、錠剤、丸剤、カプセル、半固体、粉末、持続放出製剤、溶液、懸濁液、エリキシル剤、エアロゾル、または任意の他の適切な組成物の形態をとることができる。
【0106】
そのような医薬組成物を調製するために、従来の医薬品配合技術に従って、モノテルペン(またはセスキテルペン)の1つ以上および/または少なくとも1つの治療剤を、医薬品として許容される担体、アジュバントおよび/または賦形剤と混合することができる。
【0107】
本組成物に使用することができる薬学的に許容される担体は、リン酸緩衝生理食塩水、水、および油/水または水/油エマルジョンなどのエマルジョン、および様々なタイプの湿潤剤などの標準的な医薬品担体のいずれかを包含する。組成物は、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルクなどの固体医薬品賦形剤をさらに含有することができる。液体および半固体賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、および石油、動物、植物または合成起源のものを含む様々な油、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などから選択され得る。特に注射液用の液体担体としては、水、生理食塩水、水性デキストロース、およびグリコールが挙げられる。担体、安定剤およびアジュバントの例については、Remington’s Pharmaceutical Sciences,edited by E.W.Martin(Mack Publishing Company,18th ed.,1990)を参照されたい。組成物はまた、安定剤および保存剤を含むことができる。
【0108】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、特定の障害または疾患を治療するか、あるいは障害または疾患を治療する薬理学的応答を得るのに十分な量である。
【0109】
最も有効な投与手段および投与量を決定する方法は、療法に使用される組成物、療法の目的、治療される標的細胞、および治療される対象によって変動し得る。治療投与量は、一般に、安全性および有効性を最適化するために用量設定され得る。単回投与または複数回投与は、治療する医師によって選択される用量レベルおよびパターンで行うことができる。適切な投与製剤および薬剤を投与する方法は、当業者によって容易に決定することができる。例えば、組成物は、約0.01mg/kg~約200mg/kg、約0.1mg/kg~約100mg/kg、または約0.5mg/kg~約50mg/kgで投与される。本明細書に記載の化合物が別の薬剤または療法と同時投与される場合、有効量は、薬剤が単独で使用される場合よりも少ない場合がある。
【0110】
本開示はまた、鼻腔内投与のための上記の組成物を提供する。したがって、組成物は、透過促進剤をさらに含むことができる。Southall et al.Developments in Nasal Drug Delivery,2000。本組成物は、溶液、エマルジョン、懸濁液、滴剤などの液体形態で、または粉末、ゲル、もしくは軟膏などの固体形態で鼻腔内投与され得る。鼻腔内薬品を送達するための装置は、当技術分野において周知である。経鼻薬物送達は、限定するものではないが、鼻腔内吸入器、鼻腔内スプレー装置、アトマイザー、経鼻スプレーボトル、単位用量容器、ポンプ、滴下器、スクイーズボトル、ネブライザー、定量吸入器(MDI)、加圧吸入器、吹送器、および双方向装置を含む装置を使用して行うことができる。経鼻送達装置は、正確な有効投与量を鼻腔に投与するために計量することができる。経鼻送達装置は、単一ユニット送達用または複数ユニット送達用であり得る。特定の例では、Kurve Technology(Bethell、Washington)のViaNase Electronic Atomizerを本発明で使用することができる(http://www.kurvetech.com)。本発明の化合物はまた、チューブ、カテーテル、注射器、パックテール(packtail)、綿球、鼻タンポンまたは粘膜下注入によって送達され得る。米国特許出願公開第20090326275号、同第20090291894号、同第20090281522号、および同第20090317377号。
【0111】
本発明の組成物は、標準的な手順を使用してエアロゾルとして製剤化することができる。モノテルペン(またはセスキテルペン)および/または少なくとも1つの治療剤は、溶媒を用いても、または用いなくても製剤化することができ、担体を用いても、または用いなくても製剤化することができる。製剤は、溶液であってもよく、または1つ以上の界面活性剤を含む水性エマルジョンであってもよい。例えば、エアロゾルスプレーは、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、炭化水素、圧縮空気、窒素、二酸化炭素、または他の適切なガスを含む加圧容器から生成され得る。投与量単位は、定量を送達するための弁を提供することによって決定することができる。ポンプ噴霧ディスペンサーは、計量された用量または特定の粒子もしくは液滴サイズを有する用量を分配することができる。本明細書で使用される場合、「エアロゾル」という用語は、ガス中の微細な固体粒子または液体溶液の液滴の懸濁液を指す。具体的には、エアロゾルは、MDI、ネブライザーまたはミスト噴霧器などの任意の適切な装置で生成され得るような、モノテルペン(またはセスキテルペン)の液滴のガス媒介懸濁液を含む。エアロゾルはまた、空気または他のキャリアガス中に懸濁された本発明の組成物の乾燥粉末組成物を含む。Gonda(1990)Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 6:273-313.Raeburn et al.,(1992)Pharmacol.Toxicol.Methods 27:143-159。
【0112】
本組成物は、経鼻吹送器によって送達されるミクロスフェアなどの形態の粉末として鼻腔に送達され得る。本組成物は、固体表面、例えば担体に吸収され得る。粉末またはミクロスフェアは、乾燥した気体中に分散可能な(air-dispensable)形態で投与され得る。粉末またはミクロスフェアは、吹送器の容器中に貯蔵されてもよい。あるいは、粉末またはミクロスフェアは、ゼラチンカプセルなどのカプセル、または経鼻投与に適合した他の単回投与ユニットに充填されてもよい。
【0113】
医薬組成物は、例えば、ゲル、軟膏、経鼻エマルジョン、ローション、クリーム、鼻タンポン、滴下器、または生体接着性ストリップの形態で、鼻腔内に組成物を直接配置することによって鼻腔に送達することができる。特定の実施形態では、例えば吸収を促進するために、鼻腔内での医薬組成物の滞留時間を延長することが望ましい場合がある。したがって、医薬組成物は、生体接着性ポリマー、ガム(例えば、キサンタンガム)、キトサン(例えば、高度に精製されたカチオン性多糖)、ペクチン(または鼻粘膜に適用する場合、ゲルのように増粘する、もしくは乳状にする任意の炭水化物)、ミクロスフェア(例えば、デンプン、アルブミン、デキストラン、シクロデキストリン)、ゼラチン、リポソーム、カルボマー(carbamer)、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサンおよび/またはセルロース(例えば、メチルまたはプロピル;ヒドロキシルまたはカルボキシ;カルボキシメチルまたはヒドロキシルプロピル)と共に製剤化されていてもよい。
【0114】
組成物は、気道、すなわち肺への経口吸入によって投与することができる。
【0115】
吸入可能な薬剤の典型的な送達系には、ネブライザー吸入器、乾燥粉末吸入器(DPI)、および定量吸入器(MDI)が含まれる。
【0116】
ネブライザー装置は、液体の形態の治療剤をミストとして噴霧させる高速空気流を生成する。治療剤は、適切なサイズの粒子の溶液または懸濁液などの液体形態で製剤化される。一実施形態では、粒子は微粒子化される。「微粉化された」という用語は、約90%以上の粒子が約10μm未満の直径を有することと定義される。適切なネブライザー装置は、例えばPARI GmbH(Starnberg、Germany)によって市販されている。他のネブライザー装置としては、Respimat(Boehringer Ingelheim)ならびに例えば米国特許第7,568,480号および同第6,123,068号、ならびに国際公開第97/12687号に開示されているものが挙げられる。モノテルペン(またはセスキテルペン)は、水溶液または液体懸濁液としてネブライザー装置で使用するために製剤化することができる。
【0117】
DPI装置は、典型的には、吸気中に患者の気流中に分散させることができる自由流動性粉末の形態の治療剤薬を投与する。外部エネルギー源を使用するDPI装置も、本発明で使用することができる。自由流動性粉末を達成するために、治療剤は、適切な賦形剤(例えば、ラクトース)と共に製剤化することができる。乾燥粉末製剤は、例えば、約1μm~100μmの粒径を有する乾燥ラクトースをモノテルペン(またはセスキテルペン)の微粒子化粒子と組み合わせ、乾燥ブレンドすることによって作製することができる。あるいは、モノテルペンは、賦形剤なしで製剤化することができる。製剤は、乾燥粉末ディスペンサーに、または乾燥粉末送達装置で使用するための吸入カートリッジもしくはカプセルに装填される。市販されているDPI装置の例としては、Diskhaler(GlaxoSmithKline,Research Triangle Park,N.C.)(例えば、米国特許第5,035,237号参照されたい);Diskus(GlaxoSmithKline)(例えば、米国特許第6,378,519号を参照されたい);Turbuhaler(AstraZeneca,Wilmington,Del.)(例えば、米国特許第4,524,769号を参照されたい。);およびRotahaler(GlaxoSmithKline)(例えば、米国特許第4,353,365号を参照されたい)が挙げられる。適切なDPIデバイスのさらなる例は、米国特許第5,415,162号、同第5,239,993号、および同第5,715,810号、ならびにその中の参考文献に記載されている。
【0118】
MDI装置は、典型的には、圧縮された噴射剤ガスを使用して測定された量の治療剤を放出する。MDI投与のための製剤は、液化噴射剤中の活性成分の溶液または懸濁液を含む。噴射剤の例としては、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA 134a)および1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン(HFA 227)などのヒドロフルオロアルカン(HFA)、ならびにCCl3Fなどのクロロフルオロカーボンが挙げられる。MDI投与用のHFA製剤のさらなる成分としては、エタノール、ペンタン、水などの共溶媒;およびソルビタントリオレエート、オレイン酸、レシチンおよびグリセリンなどの界面活性剤が挙げられる。(例えば、米国特許第5,225,183号、欧州特許第0717987号、および国際公開第92/22286号を参照されたい)。製剤は、MDI装置の一部を形成するエアロゾルキャニスタに装填される。HFA噴射剤と共に使用するために特に開発されたMDI装置の例は、米国特許第6,006,745号および同第6,143,227号に提供されている。吸入投薬に適した適切な製剤および装置を調製するプロセスの例については、米国特許第6,268,533号、同第5,983,956号、同第5,874,063号および同第6,221,398号、ならびに国際公開第99/53901号、国際公開第00/61108号、国際公開第99/55319号および国際公開第00/30614号を参照されたい。
【0119】
モノテルペン(またはセスキテルペン)および/または少なくとも1つの治療剤は、吸入による送達のためにリポソームまたはマイクロカプセルにカプセル化され得る。リポソームは、脂質二重層膜と水性内部とから構成される小胞である。脂質膜はリン脂質から作製することができ、その例としては、レシチンおよびリゾレシチンなどのホスファチジルコリン;ホスファチジルセリンおよびホスファチジルグリセロールなどの酸性リン脂質;ならびにホスファチジルエタノールアミンおよびスフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質が挙げられる。あるいは、コレステロールを加えてもよい。マイクロカプセルは、コーティング材料でコーティングされた粒子である。例えば、コーティング材料は、フィルム形成ポリマー、疎水性可塑剤、表面活性化剤または/および滑沢窒素含有ポリマーの混合物からなってもよい。米国特許第6,313,176号および同第7,563,768号。
【0120】
真皮に容易に透過する能力のために、モノテルペンは、単独で、または局所適用を介して少なくとも1つの治療剤と組み合わせて使用することもできる。経皮送達剤として、モノテルペンはまた、痛み止めの経皮送達のために麻酔剤または鎮痛剤と組み合わせて使用することができる。
【0121】
本発明はまた、点眼のための上記の組成物を提供する。したがって、組成物は、透過促進剤をさらに含むことができる。点眼のために、本明細書に記載の組成物は、溶液、エマルジョン、懸濁液などとして製剤化することができる。化合物を眼に投与するのに適した様々なビヒクルが当技術分野で公知である。具体的な非限定的な例は、米国特許第6,261,547号、同第6,197,934号、同第6,056,950号、同第5,800,807号、同第5,776,445号、同第5,698,219号、同第5,521,222号、同第5,403,841号、同第5,077,033号、同第4,882,150号、および同第4,738,851号に記載されている。
【0122】
本組成物は、短期間または長期間投与することができる。本組成物は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。哺乳動物としては、限定するものではないが、マウス、ラット、ウサギ、サル、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、家畜、スポーツ用動物、ペット、ウマおよび霊長類が挙げられる。
【0123】
鼻腔内投与のための装置は、鼻腔内スプレー装置、アトマイザー、ネブライザー、定量吸入器(MDI)、加圧用量吸入器、吹送器、鼻腔内吸入器、経鼻スプレーボトル、単位用量容器、ポンプ、滴下器、スクイーズボトル、または双方向装置であり得る。
【0124】
薬剤は、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0125】
本発明はまた、in vitro、ex vivoまたはin vivoで細胞の成長を阻害する方法であって、がん細胞などの細胞を本明細書に記載の有効量の精製モノテルペン(またはセスキテルペン)と接触させる方法を提供する。本組成物および方法は、化学療法剤に抵抗性である細胞の成長を阻害するために使用され得る。例えば、本組成物および方法は、テモゾロミド抵抗性細胞の成長を阻害するために使用され得る。
【0126】
過剰増殖性細胞または組織などの病理学的細胞または組織は、細胞または組織を有効量の本発明の組成物と接触させることによって治療することができる。がん細胞などの細胞は、初代がん細胞であり得るか、またはAmerican Type Culture Collection(ATCC)などの組織バンクから入手可能な培養細胞であり得る。病理学的細胞は、全身性がん、神経膠腫、髄膜腫、下垂体腺腫、または全身性がん、肺がん、前立腺がん、乳がん、造血がんもしくは卵巣がんからのCNS転移の細胞であり得る。細胞は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト由来であり得る。米国特許出願公開第2004/0087651号。Balassiano et al.(2002)Intern.J.Mol.Med.10:785-788。Thorne,et al.(2004)Neuroscience 127:481-496。Fernandes,et al.(2005)Oncology Reports 13:943-947。Da Fonseca,et al.(2008)Surgical Neurology 70:259267。Da Fonseca,et al.(2008)Arch.Immunol.Ther.Exp.56:267-276。Hashizume,et al.(2008)Neuroncology 10:112-120。
【0127】
がん幹細胞(CSC)または腫瘍開始細胞は、自己再生などの幹細胞特徴を有する未成熟細胞である。しかしながら、CSCでは自己再生が激化する。Reya et al.,Stem cells,cancer,and cancer stem cells.Nature.2001,414(6859):105-11。さらに、神経膠腫CSCは化学療法および放射線療法に抵抗性である。Bao et al.,Glioma stem cells promote radioresistance by preferential activation of the DNA damage response.Nature.2006,444(7120):756-60。Rich et al.,Chemotherapy and cancer stem cells.Cell Stem Cell.2007;1(4):353-5。本組成物および方法は、限定するものではないが、神経膠芽腫がん幹細胞を含むがん幹細胞の成長を阻害するために使用することができる。
【0128】
以下の実施例は、例示のみを目的として提示されており、本発明を限定するものではない。
【0129】
[実施例1]
脳および腫瘍へのNEO100媒介ヒトCAR T細胞送達
ヒトCAR T細胞の調製
ヒトCAR T細胞(CD19およびLym-1)は、Dr.Epstein(USC)によって提供された。キメラ抗原受容体(CAR)は、3つの異なるモジュール:細胞外抗体ベースの認識部位;分子を細胞膜に固定する膜貫通モジュール;および活性化シグナルを伝達するキメラ細胞内シグナル伝達ドメイン、を含む合成分子である。Jensen et al.,Designing chimeric antigen receptors to effectively and safely target tumors.Curr.Opin.Immunol.2015,33,9-15。CD19を標的とするCAR T細胞は、再発性または難治性(R/R)急性リンパ芽球性白血病(ALL)患者の治療において目覚ましい成果を達成している。Ruella et al.,Dual CD19 and CD123 targeting prevents antigen-loss relapses after CD19-directed immunotherapies.J.Clin.Invest.2016,126,(10),3814-3826。Maude et al.,CD19-targeted chimeric antigen receptor T-cell therapy for acute lymphoblastic leukemia.Blood 2015,125,(26),4017-23。Grupp et al.,Durable Remissions in Children with Relapsed/Refractory ALL Treated with T Cells Engineered with a CD19-Targeted Chimeric Antigen Receptor(CTL019).Blood 2015,126,(23),681-681。マウスIgG2aモノクローナル抗体であるLym-1を、Rajiリンパ腫細胞から単離した核でマウスを免疫化することによって作製した。Epstein et al.,Two new monoclonal antibodies,Lym-1 and Lym-2,reactive with human B-lymphocytes and derived tumors,with immunodiagnostic and immunotherapeutic potential.Cancer Res.1987,47,(3),830-40。Lym-1は、いくつかのHLA-DRサブタイプ上の不連続な立体配座エピトープに、正常B細胞よりも悪性B細胞に対して大きい結合親和性で結合する。Rose et al.,Critical Lym-1 binding residues on polymorphic HLA-DR molecules.Mol Immunol 1999,36,(11-12),789-97。Lym-1 CARおよびCD19(FMC 63)CAR構築物の概略図を
図1に示す。
【0130】
心臓内NEO100あり、およびなしでIV注射に使用するために、0.9%生理食塩水作業溶液に懸濁した200万個のCD19およびLym-1ヒトCAR T細胞。
【0131】
NEO100の心臓内穿刺
NEO100の心臓内注射用の作業溶液の調製:3% NEO100を0.9%生理食塩水に懸濁。
【0132】
超音波ガイド下心臓内穿刺の標準的な操作手順
簡潔には、2%イソフルランガスを使用して動物を麻酔し、心臓内穿刺のためにプラットフォーム上に固定した。注射針を肋間空間に貫通させ、皮膚および筋肉層を通して迅速に左心室に貫通させるために、超音波イメージングのガイド下で行う。
【0133】
左心室への針の挿入が成功したことの指標は、シリンジへの新鮮な動脈血(暗い赤色の静脈血とは対照的にピンク色)の還流である。生理食塩水中3% NEO100 40μlをゆっくり注射して、心臓内適用を完了させた。心臓への直接的な細胞注射は、注射の際に細胞が集塊した場合、局所的な微小梗塞(microinfaraction)を引き起こし、結果として心膜血腫および死を引き起こす可能性がある。そのため、これらの悪影響の可能性を最小限に抑えるために、(1)針が左心室のみに入ることを確実にするために針管の視覚化を可能にし、および(2)注射後のECGだけでなく心壁機能の視覚化を介して心臓のその後をモニタリングする、小さな30Gの針を用いた超音波ガイド下注射が重要である。細いゲージの針は、細胞が心臓内穿刺によって注射される場合、細胞が集塊しないことを確実にする。
【0134】
心臓内注射の確認
左心室への針の挿入が成功したことの指標は、シリンジへの新鮮な動脈血(暗い赤色の静脈血とは対照的にピンク色)の還流である。
【0135】
NEO100注射の完了直後に、40μlのPBS中200万個のヒトCAR T細胞を、食塩水で事前にプライミングした尾静脈カテーテルを通して注射した。心臓内適用を介した直接的な細胞注射による上記の悪影響の可能性を回避するために、本発明者らは研究のための2段階手順を設定した。
【0136】
工程1:生理食塩水中3% NEO100 40μlをゆっくり注射して、心臓内適用を完了させた。この手順により、NEO100はBBB破壊の機能を発揮することができる。
【0137】
工程2:200万個のCAR T細胞を尾静脈カテーテルを通してIVによって注射した。
【0138】
IHCおよび共焦点イメージングによるCAR T細胞拡散の評価
脳灌流-安楽死後に血管内に残った残留物を排除するために、試験動物を左心室を通して10mlの0.9%生理食塩水で灌流して血液を流し出した。その後、脳を取り出し、OCTに埋め、さらなる分析のために-80℃で保存した。
【0139】
共焦点イメージング-8μMの新鮮凍結切片を凍結保存機によって作製し、マイクロスライドに貼り付けた。共焦点検査の前に、DAPI封入剤により脳切片にカバースリップを封入した。
【0140】
IHC染色-標準化されたIHC染色手順を、脳内へのヒトCAR T細胞の透過および形成された腫瘍(GL261マウス神経膠腫)を検出するために適用した。一次抗体、抗ヒトCD3抗体(CD3ε(D7A6E(商標))XP(登録商標)ウサギmAb(#85061)(Cell Signaling、Boston、MA)を使用して、ヒト由来CD3陽性細胞を同定した(
図2に示す)。
【0141】
C57 BL/6マウスにおける同系マウス神経膠腫動物モデルの研究
10万個のGL261マウス神経膠腫細胞を、免疫適格C57 BL/6マウスに頭蓋内注射した。腫瘍細胞注射の3週間後、脳腫瘍を有するマウスに、静脈内適用(IV)および心臓内(IC)とIVとの組み合わせによって200万個のヒトCAR T細胞(抗CD19およびLym-1)を注射した。処置マウスを介入の6時間後に安楽死させた。
【0142】
心臓内適用に関して:PBS中3% NEO100の心臓内注射後に、200万個の抗CD19またはLym-1 CAR T細胞をIV注射によって投与した。
【0143】
静脈内適用に関して:200万個の抗CD19またはLym-1 CAR T細胞を40ul PBSに懸濁し、尾静脈を通して注射した。
【0144】
脳を0.9%生理食塩水で灌流し、取り出し、さらなる分析のために-80℃で保存した。
【0145】
試験に適用される抗体には、ネガティブ染色用の対照抗体:ウサギ(DA1E)mAb IgGアイソタイプ、およびin vitroおよびin vivoでCD3陽性細胞を検出するために使用される抗体:CD3ε(D7A6E(商標))XP(登録商標)ウサギmAb(#85061)が含まれる。
【0146】
結論
検出可能なCD3陽性細胞は、正常なC57 BL/6マウスの脳では見られなかった。
【0147】
従来の静脈内注射(IV)と比較して、NEO100によって媒介されるヒトCAR T細胞(抗CD19およびLym-1)の心臓内注射は、脳の内部に形成された腫瘍への透過を大幅に増加させることができる。
【0148】
3% NEO100媒介心臓内注射は、いかなる重篤な有害作用も動物の死も引き起こさない。
【0149】
NEO100の心臓内注射によって処置された脳の正常部分では、IV注射のみの試料よりも多くのCD3陽性細胞が見出された。
【0150】
[実施例2]
頭蓋内同系マウス神経膠腫(GL261)を有するC57 BL/6マウスにおける抗マウスPD-1抗体媒介治療効果
10万個のGL261マウス神経膠腫細胞を免疫適格マウスC57 BL/6の頭蓋内に注射した。注射の7日後にマウスを無作為に4つの実験群に分け、同日に処置を開始した。
【0151】
・1群.対照:40μl生理食塩水のIVおよび心臓内注射(5)。
【0152】
・2群.抗体処置マウス:2.5mg/kgの用量でのIV 40μlの抗マウスPD1抗体(5)。
【0153】
・3群.NEO100処置マウス:40μlの5% NEO100の心臓内注射(5)。
【0154】
・4群.NEO100と抗体との組み合わせで処置されたマウス:心臓内40μlの5% NEO100、引き続いて2.5mg/kgの用量でのIV 40μlの抗PD1体(6)。
【0155】
結果を
図3に示す。本発明者らは、NEO100の心臓内注射(マウスの動脈内注射に相当)が抗体のBBBを開くことができることを実証した。その後、本発明者らは、頭蓋内に移植されたマウスGL26神経膠腫細胞を使用して同系モデルを実行した。マウスを、生理食塩水、NEO100単独、抗PD1単独で静脈内、またはNEO100心臓内、引き続いて抗PD1静脈内で処置した。NEO100と組み合わせて抗PD1を静脈内投与した全てのマウスは依然として生存しているが、抗PD1を静脈内投与した対照は1匹のマウスを除いて全て死亡した。
【0156】
ペリリルアルコールは、介入神経放射線学を使用して大腿動脈を介して投与することができる(脳血管造影法など)。
【0157】
統計分析
カプラン・マイヤー法を使用して動物の生存データをプロットした。一元配置ANOVAを、差の全体的な試験に使用した。多重比較のために調整するテューキー法を使用して、グループ化比較を行った。生存曲線の比較のために、ログランク(Mantel-Cox)検定を適用した。p<0.05の統計評価結果を有意と見なした。
【0158】
・対照対IC NEO100+IV 抗マウスPD-1:*** P<0.0003
・対照対IV 抗マウスPD-1:ns、p=0.31
・IV 抗マウスPD-1対IC NEO100+IV 抗マウス:** P<0.005
・対照対IC NEO100:ns、p=0.397
[実施例3]
本発明者らは、NEO100をin vitro BBBモデルを渡って適用することができ、標識抗体が一時的にそれを通過することを一時的に可能にすることを実証した(
図4A~4D)。
【0159】
BBBを一時的に破損し、以前は非透過性であった小分子または大分子が脳に透過可能にするために、ペリリルアルコール(例えば、NEO100)を動脈内送達に使用できるかどうかを研究するために実験を行った。
【0160】
ペリリルアルコール(例えば、NEO100)の投与は、心臓内注射(マウスにおける動脈内注射)および静脈内注入を含み得る。
【0161】
製剤には、10% NEO100(27.5ml グリセロール+27.5ml エタノール+3.0ml NEO100)が含まれる。
【0162】
脳灌流-安楽死させる前に、試験動物を左心室を通して0.9%生理食塩水によって灌流した。脳を取り出し、OCTに埋め、さらなる分析のために-80℃で保存した。
【0163】
超音波ガイド下心臓内穿刺-簡潔には、2%イソフルランガスを使用して動物を麻酔し、心臓内穿刺のためにプラットフォーム上に固定した。注射針を肋間空間に貫通させ、皮膚および筋肉層を通して迅速に左心室に貫通させるために、超音波イメージングのガイド下で行う。左心室への針の挿入が成功したことの指標は、シリンジへの新鮮な動脈血(暗い赤色の静脈血とは対照的にピンク色)の還流である。
【0164】
エバンスブルーは、血清アルブミンに対して非常に高い親和性を有するアゾ色素である。染色されたアルブミンの循環からの血管外漏出を視覚化することができた。
【0165】
NEO100を心臓内注射(左心室)を介して送達し、エバンスブルー、BBB非透過性小分子(ドーパミン)、または抗体の脳内への取り込みの増加があるかどうかを判定した。
図5Aは、NEO100と2% エバンスブルー(EB)との混合物の心臓内注射(IC)を示す。異なる濃度のNE0100(0.9%生理食塩水中40μl)を心臓内穿刺、引き続いて2% エバンスブルー(体積40μl)の即時静脈内適用によって試験した。灌流後に脳を取り出した。結果は、1:1000希釈のNEO100(6.5mM 40μl)が依然としてBBBを妨害するのに有効であることを示している。
【0166】
図5Bは、NEO100がIC(心臓内注射)またはIV注射によって適用された後の、脳へのEBの透過を示す。
【0167】
実験群には以下が含まれる:
・IC 2% EBのみ
・IC 20% エタノール+2% EB
・IC 20% エタノール+2% EB+5% NEO100
・IC 20% エタノール+5% NEO100、引き続いて2% EB尾静脈注射 ・IV 20% エタノール+2% EB+5% NEO100
・IV 20% エタノール+2% EB
図6は、5% NEO100の心臓内注射で処置した脳では、正常な脳と比較してタイトジャンクションが劇的に突破されていることを実証した。
【0168】
パーキンソン病(PD)の薬理学的治療は、外因性ドーパミン(DA)および他のカテコールアミンはBBB透過が不十分であるため投与することができないので、DA補充療法に基づいて主に対症的である。ドーパミンは、BBB透過によって脳に入ることができる物質の特性を満たさない水溶性の親水性薬物である。
【0169】
図7は、血液脳関門突破を介したNEO100媒介ドーパミン送達を示す。
【0170】
図8は、BBBの開閉時間の測定値を示す。免疫適格C57 BL/6マウスに、5% NEO100(v/v)を心臓内穿刺(IC)によって注射し、引き続いてIC注射後、0、5分、15分、30分、1時間、2時間、3時間および4時間などの異なる時点で2% エバンスブルーの静脈内注射を行った。
【0171】
実験手順は以下を含んでいた:
1.心臓内注射(IC):5% NEO100。
【0172】
2.その後、異なる時間に2% EBの静脈内注射(IV)。
【0173】
3.試験動物をIV注射の1時間後に安楽死させた。
【0174】
図9は、ペリリルアルコールの非存在下または存在下での抗マウスIgG抗体(ウサギ抗マウスIgG H&L(テキサスレッド)-Ab6726)の送達を示す。
【0175】
図10は、ペリリルアルコールの非存在下または存在下での抗PD-1抗体(アルメニアンハムスター抗マウスCD279(PD-1)モノクローナル抗体(J43))送達を示す。PD-L1はPD-1に結合し、腫瘍細胞のT細胞殺傷を阻害する。PD-L1またはPD-1の遮断は、腫瘍細胞のT細胞殺傷を可能にする。
【0176】
NEO100の動脈内投与は安全である。
【0177】
[実施例4]
NSGマウスにおける頭蓋内Rajiリンパ腫異種移植片の治療における、NEO100媒介ヒトCAR T細胞(Lym-1 CAR)送達。
【0178】
(a)頭蓋内リンパ腫異種移植片:
5万(5×104)個のヒトB細胞リンパ腫細胞、Raji’s-Luc/GFPをNSGマウスの頭蓋内に注射した。
【0179】
(b)腫瘍取り込みの確認:
腫瘍細胞注射の5日後、光学イメージングを実施して腫瘍取り込み(100%腫瘍取り込み)を確認した。
【0180】
(c)尾静脈カテーテルおよび心臓内(IC)NEO100を介したCAR T注入の開始:
3つの実験群があった:(1)対照;(2)IV CAR T(5×10e6);(3)IV CAR T(5×10e6)+IC NEO100(0.3% v/v=492μM)
(d)ICリンパ腫を有するNSGマウスのモニタリング:
処置中のマウスの身体状態について体重をモニターした。腫瘍成長を光学イメージングによってモニターした。
【0181】
(e)動物生存率(カプランマイヤー曲線)
生存曲線(
図11)から明らかなように、対照マウス、すなわちヒトB細胞リンパ腫細胞を注射したマウスは注射後15~20日以内に死亡したが、Lym-1 CAR T細胞+NEO100を注射したマウスは生存した(P=0.0029)。
【0182】
[実施例5]
POHを鼻腔内吸入器(例えば、Kurve TechnologyのViaNase Electronic Atomizer(Bethell、Washington))に入れる。Kurve Technologyの鼻腔内送達系は、所定の薬物体積(例えば、0.2~6mL)を正確に送達することができる。装置は、肺ネブライザーと同じ様式で装填および洗浄される。装置は、動物およびヒトにおけるベンチテストにおいて、嗅覚領域に薬物を送達することができる。
【0183】
雄の無胸腺nu/nuマウス(6~8週齢)をこの研究に使用することになる。げっ歯類皮下/頭蓋内神経膠腫モデルは、以下のように確立することができる。6~8週齢の無胸腺nu/nuマウスをケタミン(80mg/kg)およびキシラジン(10mg/kg)の腹腔内注射で麻酔する。頭蓋内神経膠腫モデルの場合、マウスを定位的頭部フレーム(Harvard Apparatus)に入れ、局所麻酔薬(0.2ccの0.25%キシロカイン)を右前頭頭皮に注射する。ナイフブレードは、小さな切開を行うために使用され、ドリルビットは、冠状頭縫合のレベルで右前頭頭蓋骨に小さな開口部を形成するために使用される。神経膠腫細胞(1×105細胞/10μl)、例えば、U-87ヒト神経膠腫細胞を、較正されたハミルトン注射器に装填する。針先をラットの右前頭葉に正確に配置し、ハミルトン注射器からの制御プッシュを使用して細胞をゆっくり注射する。
【0184】
注射が終了した後、注射器および針を取り外し、創傷を閉じる。
【0185】
外科的移植の2週間後、マウスを4つの群(6匹のマウス/群)に分け、それぞれ、生理食塩水の液滴単独(対照)、Sigmaの粗POH(0.03%、50ul/滴、鼻孔あたり1滴)、POH(純度98.5%超まで精製;0.03%、50ul/滴、鼻孔あたり1滴)、およびTMZ(5mg/kg、強制経口投与)で処置する。TMZが陽性対照として働く。
【0186】
脳を採取し、腫瘍サイズを決定する。生存曲線は、マウスが神経学的欠損を発症するまでマウスを追跡することによって構築される。本発明者らの経験では、生存は、未処置マウスでは移植後約4週間であり、TMZで処置したマウスでは最大8週間である。
【0187】
本発明者らはまた、RG2ラット神経膠腫細胞(1×105細胞/10ul)がフィッシャー344ラットの右前頭葉に移植された免疫適格同系ラットモデルを使用する。ラットを上記と同じ4つの群に分ける。本発明者らはまた、RG2細胞は自由に遊走することができ、したがってラット実質に浸潤することができるので、ラットRG2モデルを使用してPOHの抗浸潤特性を調べるものとする。
【0188】
[実施例6]
ブラジルにおける最近の臨床研究では、再発性悪性神経膠腫患者におけるペリリルアルコールの鼻腔内送達は、疾患の退縮または安定化をもたらし、140名の治療患者の50%が6ヶ月の無増悪期間を達成し、数名の患者が3年もの疾患寛解を享受した。さらに、治療による副作用はほとんど存在しなかった。Da Fonseca et al.Correlation of tumor topography and peritumoral edema of recurrent malignant gliomas with therapeutic response to intranasal administration of perillyl alcohol.Invest New Drugs 2009,Jan 13.
本発明者らは、精製POH(純度98.5%超)を悪性神経膠腫に罹患している患者の鼻腔内に送達することにする。POHが脳腫瘍細胞に直接送達され得るかどうかを調べるために、精製POHの分布を、11C標識POHを患者に送達し、引き続いて陽電子放射断層撮影(PET)イメージングを行うことによって試験することにする。次いで、患者は、漸増用量の吸入POHを用いた限定的な治療試験を受けるものとする。患者は3つの群を使用して用量漸増され、各群が0.05%(w/v)、1%(w/v)、1.5%(w/v)、2%(w/v)、2.5%(w/v)の鼻腔内精製POH(純度98.5%超)を受ける。2%(w/v)が、現在ブラジルで使用されているものである。送達は、ViaNase経鼻吸入器を介して行われ、1日3回投与される。
【0189】
PETイメージング研究。病理学的に確認された悪性神経膠腫を有する10名の患者を、Siemens Biograph TruePoint HD PET/CTスキャナーを使用して、5~10 mCiの11C-POH製剤の鼻腔内吸入後にスキャンすることにする。静的イメージングは、吸入後30分に開始し、頭蓋を覆う単一ベッドポジションで10分間の取得を使用する。その後の連続取得を30分間隔で2時間行い、脳および腫瘍組織における進行性蓄積を評価する。患者のコンプライアンスならびに残りの活動および蓄積された活動のレベルに応じて、2時間を超えるイメージングを試みる。重ね合わせたPET/CT画像を、全ての患者に対する造影MRI研究と比較して、活動蓄積と増強パターンとの相関を評価する。
【0190】
[実施例7]
ペリリルアルコール(POH)の非存在下または存在下で、静脈内(IV)または鼻腔内(IN)経路を介したマウスへのin vivoでのレムデシビルの投与を試験した。
【0191】
レムデシビルをエタノールすなわちEtOH(10%)、シクロデキストリンおよび水と混合するか(IV送達用)、またはエタノール(10%)、シクロデキストリンおよびPOHと混合した(IN送達用)。シクロデキストリンをEtOHに溶解し、レムデシビルを溶液に1回添加し、水を添加し、次いでPOHを添加することによって混合物を調製し、次いでこれをポリトロンを使用して均質化した。投与されたレムデシビル用量は60mg/kg体重であった。POHは3.4mMの濃度であった。
【0192】
図12Aは、レムデシビル-シクロデキストリン-H
2Oの静脈内(IV)送達またはレムデシビル-シクロデキストリン-POHの鼻腔内(IN)送達の後30分~240分のレムデシビルの血漿中濃度を示す。
図12Bは、レムデシビル-シクロデキストリン-H
2Oの静脈内(IV)送達またはレムデシビル-シクロデキストリン-POHの鼻腔内(IN)送達の後30分~240分のレムデシビルの脳内濃度を示す。
【0193】
[実施例8]
in vitroでは、細胞をTranswellの上部チャンバーに播種した。POH-レムデシビルまたはH2O-レムデシビル混合物を上部チャンバーに入れた。POHは1.5mMの濃度であった。上部および下部チャンバーの両方からの培地を4時間後に回収し、レムデシビルについて定量した。
【0194】
図13は、POHがin vitro BBBモデルにおいてBBBを渡ってレムデシビルを送達するのに非常に効率的であったことを示す。
【0195】
本発明の範囲は、上記で具体的に示され説明されたものによって限定されない。当業者は、材料、構成、構造および寸法の図示された例に対する適切な代替物があることを認識すると思われる。特許および様々な刊行物を含む多数の参考文献が、本発明の説明において引用され、考察される。そのような参考文献の引用および考察は、単に本発明の説明を明確にするために提供されており、任意の参考文献が本明細書に記載の本発明の先行技術であることを認めるものではない。本明細書で引用および考察される全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているものの変形、修正、および他の実施は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者に想起されると思われる。本発明の特定の実施形態を示し説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであると思われる。前述の説明および添付の図面に記載された事項は、例示としてのみ提供され、限定として提供されるものではない。
【国際調査報告】