(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-30
(54)【発明の名称】プロピレン-ブテン共重合体ならびにその調製方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
C08F 210/06 20060101AFI20231023BHJP
C08F 4/654 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
C08F210/06
C08F4/654
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523116
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2021123945
(87)【国際公開番号】W WO2022078473
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202011103642.6
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011104743.5
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】趙瑾
(72)【発明者】
【氏名】周俊領
(72)【発明者】
【氏名】夏先知
(72)【発明者】
【氏名】劉月祥
(72)【発明者】
【氏名】劉濤
(72)【発明者】
【氏名】凌永泰
(72)【発明者】
【氏名】李威莅
(72)【発明者】
【氏名】高冨堂
(72)【発明者】
【氏名】陳竜
(72)【発明者】
【氏名】譚揚
(72)【発明者】
【氏名】任春紅
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA03P
4J100AA04Q
4J100CA04
4J100DA04
4J100DA40
4J100DA42
4J100FA04
4J100FA09
4J100FA43
4J100JA50
4J100JA58
4J100JA59
4J100JA60
4J128AA01
4J128AB01
4J128AC04
4J128AC05
4J128AC06
4J128AC07
4J128BA00A
4J128BA02B
4J128BB00A
4J128BB01B
4J128BC14B
4J128BC15B
4J128BC34B
4J128BC35B
4J128BC36B
4J128BC42B
4J128CA16A
4J128CB30A
4J128CB89A
4J128DA02
4J128EA01
4J128EB04
4J128EB05
4J128EC02
4J128FA02
4J128FA04
4J128FA09
4J128GA05
4J128GA06
4J128GA21
(57)【要約】
プロピレン-ブテン共重合体が開示される。共重合体は、共重合体の構造単位の総量に基づいて、90~99mol%のプロピレン構造単位および1~10mol%のブテン構造単位を含有する。共重合体のキシレン可溶物含有量は、4重量%以下、好ましくは3重量%以下である。プロピレン-ブテン共重合体は、1000未満の分子量を有する画分を実質的に含まない。共重合体は、2.16kgの荷重下、230℃で測定される場合、20g/10分以上のメルトフローインデックスを有する。本発明のプロピレン-ブテン共重合体は、メルトフローインデックスが高く、キシレン可溶物が少ないという利点を有し、フタル酸エステル系可塑剤を含有しないため、食品、医療、ヘルスサービスなどの分野におけるその適用に有益である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン-ブテン共重合体であって、
前記共重合体は、共重合体構造単位の総モルに基づいて、90~99mol%のプロピレン構造単位および1~10mol%のブテン構造単位、好ましくは91~97mol%のプロピレン構造単位および3~9mol%のブテン構造単位を含み、並びにキシレン可溶物の含有量が≦4重量%、好ましくは≦3重量%であり、
前記プロピレン-ブテン共重合体は、1000未満の分子量を有する画分を実質的に含まないことを特徴とするプロピレン-ブテン共重合体。
【請求項2】
前記共重合体は、5未満、好ましくは4.5未満、より好ましくは4未満の分子量分布指数Mw/Mnを有する、請求項1に記載のプロピレン-ブテン共重合体。
【請求項3】
前記プロピレン-ブテン共重合体は、フタル酸エステル系可塑剤を含まない、請求項1に記載のプロピレン-ブテン共重合体。
【請求項4】
プロピレン-ブテン共重合体であって、
前記共重合体は、共重合体構造単位の総モルに基づいて、92~99mol%のプロピレン構造単位および1~8mol%のブテン構造単位、好ましくは93~97mol%のプロピレン構造単位および3~7mol%のブテン構造単位を含み、並びに2.16kg荷重下、230℃で測定される場合、メルトフローインデックスが、≧20g/10分、好ましくは35~200g/10分、より好ましくは50~100g/10分であり、並びにキシレン可溶物の含有量が≦5重量%、好ましくは≦4重量%、より好ましくは≦3重量%であることを特徴とするプロピレン-ブテン共重合体。
【請求項5】
前記プロピレン-ブテン共重合体は、フタル酸エステル系可塑剤を含まない、請求項4に記載のプロピレン-ブテン共重合体。
【請求項6】
オレフィン重合反応条件下、触媒および任意選択の水素の存在下で、プロピレンおよびブテンを重合させて、プロピレン-ブテン共重合体を得る工程を含み、
前記触媒は、チーグラー-ナッタ触媒であり、固体触媒成分、アルキルアルミニウム化合物および任意選択の外部電子供与体化合物を含み、
前記固体触媒成分は、
(i)マグネシウム含有化合物と;
(ii)チタン含有化合物と;
(iii)内部電子供与体と
の反応生成物を含み、
前記内部電子供与体は、ホスフェート化合物およびジエーテル化合物を含む、プロピレン-ブテン共重合体の調製方法。
【請求項7】
前記オレフィン重合反応は水素の存在下で実施され、
重合系におけるモル基準での水素濃度は、≧1200ppm、好ましくは1800~8000ppmの範囲、より好ましくは2300~6000ppmの範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記固体触媒成分、前記アルキルアルミニウム化合物、および前記任意選択の外部電子供与体化合物の予備接触反応を行なって、予備接触した触媒を提供すること、並びに前記予備接触反応の後および前記重合反応の前に、前記予備接触した触媒の存在下で、プロピレン単量体および/またはエチレンもしくはブテンなどの他のα-オレフィン単量体ならびに任意選択で水素を使用して、予備重合反応を行なうことをさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記プロピレンおよび前記ブテンは、前記共重合体が、共重合体構造単位の総モルに基づいて、92~99mol%のプロピレン構造単位および1~8mol%のブテン構造単位、好ましくは93~97mol%のプロピレン構造単位および3~7mol%のブテン構造単位を含むような量で、前記重合に使用される、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記プロピレンおよび前記ブテンは、前記共重合体が、共重合体構造単位の総モルに基づいて、90~99mol%のプロピレン構造単位および1~10mol%のブテン構造単位、好ましくは91~97mol%のプロピレン構造単位および3~9mol%のブテン構造単位を含むような量で、前記重合に使用される、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
以下の特徴のうちの少なくとも1つを有している、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法:
- 前記ホスフェート化合物および前記ジエーテル化合物の合計含有量は、前記内部電子供与体の重量に基づいて、70~100重量%、より好ましくは80~100重量%、さらに好ましくは90~100重量%、最も好ましくは100重量%である;
- 前記ホスフェート化合物は、式(1)で表されるホスフェート化合物のうちの少なくとも1つである;
【化1】
式中、R
13、R
14およびR
15は、それぞれ独立して、C
1-C
20直鎖または分岐アルキル、C
3-C
20シクロアルキル、C
6-C
20アリール、C
7-C
20アルカリルおよびC
7-C
20アラルキルからなる群から選択され、前記アリール、前記アルカリルおよび前記アラルキル中のベンゼン環における水素原子は、ハロゲン原子またはC
1-C
4アルコキシによって任意選択で置換され;さらに好ましくは、R
13、R
14およびR
15は、それぞれ独立して、C
1-C
12直鎖または分岐アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
6-C
12アリール、C
7-C
12アルカリルおよびC
7-C
12アラルキルからなる群から選択され、前記アリール、前記アルカリルおよび前記アラルキル中のベンゼン環における水素原子は、ハロゲン原子またはC
1-C
4アルコキシによって任意選択で置換され;さらに好ましくは、R
13、R
14およびR
15は、それぞれ独立して、C
1-C
4直鎖または分岐アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
8アリール、C
7-C
8アルカリルおよびC
7-C
8アラルキルからなる群から選択され、前記アリール、前記アルカリルおよび前記アラルキル中のベンゼン環における水素原子は、ハロゲン原子によって任意選択で置換され;
好ましくは、前記ホスフェート化合物は、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(o-、m-またはp-トリル)ホスフェート、トリス(o-、m-またはp-クミル)ホスフェート、トリス(o-、m-またはp-メトキシフェニル)ホスフェート、フェニルジメチルホスフェート、(o-、m-またはp-トリル)ジブチルホスフェート、(o-、m-またはp-クミル)ジメチルホスフェート、(o-、m-またはp-クミル)ジエチルホスフェート、(o-、m-またはp-クミル)ジブチルホスフェート、フェニルジ(o-、m-またはp-トリル)ホスフェート、フェニルジ(o-、m-またはp-クミル)ホスフェート、2,5-ジメチルフェニルジブチルホスフェート、3,5-ジメチルフェニルジブチルホスフェート、2,5-ジイソプロピルフェニルジメチルホスフェート、2,5-ジイソプロピルフェニルジエチルホスフェート、2,5-ジ-tert-ブチルフェニルジメチルホスフェートおよびo-トリルビス(2,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートから選択される少なくとも1つである;
- 前記ジエーテル化合物は、式(2)で表されるジエーテル化合物のうちの少なくとも1つである:
【化2】
式中、R
I、R
II、R
III、R
IV、R
VおよびR
VIは、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、C
1-C
20直鎖または分岐アルキル、C
3-C
20シクロアルキル、C
6-C
20アリール、C
7-C
20アルカリルおよびC
7-C
20アラルキルからなる群から選択され、R
I-R
VI基は、任意選択で連結されて環を形成し;R
VIIおよびR
VIIIは、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、C
1-C
20直鎖または分岐アルキル、C
3-C
20シクロアルキル、C
6-C
20アリール、C
7-C
20アルカリルおよびC
7-C
20アラルキルからなる群から選択され;
好ましくは、前記ジエーテル化合物は、2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-フェニルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(ジフェニルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチルブチル)-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ベンジル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパンおよび9,9-ジメトキシメチルフルオレンから選択される少なくとも1つである;
- 前記ホスフェート化合物と前記ジエーテル化合物とのモル比は、0.02~0.28:1、好ましくは0.03~0.25:1、より好ましくは0.04~0.20:1であり;あるいは、前記ホスフェート化合物と前記ジエーテル化合物とのモル比は、0.02~0.30:1、好ましくは0.04~0.25:1、より好ましくは0.05~0.20:1である;
- 前記マグネシウム含有化合物は、ハロゲン化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、ハロゲン化アルコキシマグネシウム、およびハロゲン化マグネシウム付加物のうちの少なくとも1つである;
- 前記チタン含有化合物は、一般式Ti(OR’)
3-aZ
aおよびTi(OR’)
4-bZ
bで表されるチタン含有化合物のうちの少なくとも1つであり、式中、R’はC
1-C
20アルキル、好ましくはC
1-C
12アルキル、より好ましくはC
1-C
6アルキルであり;Zはハロゲンであり;aは1~3の整数であり、bは1~4の整数である;
- 前記固体触媒成分中、チタン元素1重量部に対して、マグネシウム元素の含有量は、2~16重量部、好ましくは3~13重量部、より好ましくは4~10重量部であり;前記内部電子供与体の含有量は、2~16重量部、好ましくは3~14重量部、より好ましくは4~12重量部である;
- 前記アルキルアルミニウム化合物は、一般式AlR
16R
16’R
16''によって表される化合物のうちの少なくとも1つであり、式中、R
16、R
16’およびR
16''は、それぞれ独立して、C
1-C
8アルキルまたはハロゲンであり、それらのうちの少なくとも1つはC
1-C
8アルキルであり、前記アルキル上の水素原子は任意選択でハロゲンで置換されている;
- 前記アルキルアルミニウム化合物中のアルミニウムと前記固体触媒成分中のチタンとのモル比は、1~1000:1、好ましくは20~500:1、さらに好ましくは30~200:1である;
- 前記アルキルアルミニウム化合物中のアルミニウムと前記外部電子供与体化合物とのモル比は、1~50:1、好ましくは2~20:1、より好ましくは2~15:1である;
- 前記外部電子供与体化合物は、式Xによって表される有機ケイ素化合物のうちの少なくとも1つである、
(R
17)
m’(R
18)
p’Si(OR
19)
q’ 式X
式中、R
17、R
18およびR
19は、それぞれ独立して、C
1-C
18炭化水素基であり、任意選択でハロゲンを含み;m’およびp’は、それぞれ独立して、0~2の整数であり、q’は1~3の整数であり、m’、p’およびq’の合計は4であり;
好ましくは、R
17およびR
18は、それぞれ独立して、C
3-C
10直鎖または分岐アルキル、C
3-C
10アルケニル、C
3-C
10シクロアルキルまたはC
6-C
10アリールであり、任意選択でハロゲンを含み;およびR
19は、C
1-C
10直鎖または分岐アルキル、好ましくはC
1-C
4直鎖または分岐アルキル、より好ましくはメチル基であり;
より好ましくは、前記有機ケイ素化合物は、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチル-tert-ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、tert-ブチルトリメトキシシラン、tert-ヘキシルトリメトキシシランおよび2-エチルピペリジニル-2-tert-ブチルジメトキシシランから選択される少なくとも1つである;
- 前記オレフィン重合反応の温度は、10~150℃、好ましくは50~150℃、より好ましくは60~90℃の範囲である;
- 前記オレフィン重合反応の圧力は、0.01~10MPa、好ましくは0.05~5MPa、より好ましくは0.1~4MPa、より好ましくは1~4MPaの範囲である;
- 重合反応器中の反応単量体および前記触媒の滞留時間は、0.5~6時間、好ましくは1~4時間の範囲である;
- 前記予備接触反応の温度は、-10~30℃、好ましくは0~15℃の範囲である;
- 前記予備接触反応の持続時間は、0.05~30分間、好ましくは0.1~10分間の範囲である;
- 少量の水素ガスが、前記予備重合反応に任意選択で導入される;
- 前記予備重合反応の温度は、10~50℃、好ましくは12~25℃、より好ましくは15~19℃の範囲である;
- 前記予備重合反応の持続時間は、1~40分間、好ましくは5~20分間の範囲である。
【請求項12】
食品ならびに/または医薬品およびヘルスケア製品における、好ましくは食品および/またはヘルスケア製品のための包装材における、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロピレン-ブテン共重合体の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は2020年10月15日に出願されたCN202011104743.5およびCN202011103642.6の優先権および利益を主張し、これらは、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明はオレフィン重合の分野に属し、特にプロピレン-ブテン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体の調製方法、および食品および/または医療およびヘルスケア製品へのプロピレン-ブテン共重合体の適用に関する。
【0003】
〔背景技術〕
ポリプロピレン(PP)は無色透明の熱可塑性樹脂であり、相対密度が低く、加工が容易であり、衝撃強度が高く、耐食性があり、電気絶縁性が良好であり、且つ低価格であるという利点を有する。これは、汎用プラスチックの中で最も急速に成長している材料の1つであり、化学工業、建設、家庭用電気製品、農業、自動車産業および他の分野で広く使用されている。現在、新しいPP製品は、主に共重合体製品に集中している。プロピレンの共重合は、エチレン、ブテンおよび長鎖α-オレフィンなどの単量体との共重合を含む。前記分子鎖への新規単量体の導入は、ポリプロピレンの特性の変化および適用分野の拡大を明らかにもたらすであろう。それゆえ、これは、最近のポリプロピレン開発の新しい方向であった。従来の単独重合体PPと比較して、プロピレンおよびブテンを共重合した新しいPPは、高い透明性、良好な光沢、高い耐衝撃性、および低いヒートシール温度という利点を有する。これらは、包装材、医療機器、玩具、家庭用電気製品、自動車および他の高級な日用品の分野で広く使用することができ、従来のホモポリプロピレンの改良製品である。
【0004】
現在、商業化されたプロピレン-ブテン共重合体のほとんどは、低いメルトフローインデックスおよび高含有量のキシレン可溶物を有する製品であり、市場競争力が低い。したがって、高いメルトフローインデックスおよび低含有量のキシレン可溶物の両方を有するプロピレン-ブテン共重合体は、優れた加工性および低含有量の浸出物のために、より高い製品付加価値およびより広い市場見通しを有するであろう。
【0005】
プロピレン-ブテン共重合体については、環境保護の観点から、(1)可塑剤などの健康に有害な物質の含有を避けること、(2)浸出またはVOCの原因となる小分子を可能な限り低減すること、および(3)抽出物の含有量を可能な限り低減することにより、食品の包装材などの分野における適用の制限を回避すること、に留意すべきである。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、プロピレン-ブテン共重合体、その調製方法およびその使用を提供することであり、共重合体は、高いメルトフローインデックスおよび低含有量のキシレン可溶物の両方を有し、これにより、食品、医薬品およびヘルスケアなどの分野で有利に使用することができる。
【0007】
本発明のさらなる目的は、プロピレン-ブテン共重合体およびその調製方法を提供することであり、当該共重合体は、低含有量のキシレン可溶物、狭い分子量分布、および低含有量の小分子という利点を有し、且つフタル酸エステル系可塑剤を含まないことから、食品の包装材、医薬品、ヘルスケアなどの分野で有利に使用できる。
【0008】
したがって、第1の態様において、本発明は、プロピレン-ブテン共重合体を提供する。プロピレン-ブテン共重合体は、共重合体構造単位の総モルに基づいて、90~99mol%のプロピレン構造単位および1~10mol%のブテン構造単位、好ましくは91~97mol%のプロピレン構造単位および3~9mol%のブテン構造単位を含み、キシレン可溶物の含有量が≦4重量%、好ましくは≦3重量%、さらにより好ましくは≦2.8重量%、さらにより好ましくは≦2.5重量%、より一層好ましくは≦2.3重量%であり、プロピレン-ブテン共重合体は、1000未満の分子量を有する画分を実質的に含まない。好ましくは、共重合体が、5未満、好ましくは4.5未満、より好ましくは4未満の、分子量分布指数Mw/Mnを有する。
【0009】
第2の態様において、本発明は、プロピレン-ブテン共重合体を提供する。プロピレン-ブテン共重合体は、共重合体構造単位の総モルに基づいて、92~99mol%のプロピレン構造単位および1~8mol%のブテン構造単位、好ましくは93~97mol%のプロピレン構造単位および3~7mol%のブテン構造単位を含み、2.16kg荷重下、230℃で測定される場合、メルトフローインデックスが、≧20g/10分、好ましくは35~200g/10分、より好ましくは50~150g/10分、さらにより好ましくは50~100g/10分であり、キシレン可溶物の含有量が≦5重量%、好ましくは≦4重量%、より好ましくは≦3重量%、さらにより好ましくは≦2.8重量%、さらにより好ましくは≦2.5重量%、より一層好ましくは≦2.3重量%である。
【0010】
第3の態様において、本発明は、プロピレン-ブテン共重合体を調製するための方法を提供する。当該方法は、オレフィン重合反応条件下で、触媒および任意選択の水素の存在下で、プロピレンおよびブテンを重合して、プロピレン-ブテン共重合体を得る工程を含み、ここで、触媒はチーグラー-ナッタ触媒であり、固体触媒成分、アルキルアルミニウム化合物および任意選択の外部電子供与体化合物を含み、固体触媒成分は、
(i)マグネシウム含有化合物と;
(ii)チタン含有化合物と;
(iii)内部電子供与体と
の反応生成物を含み、
内部電子供与体は、ホスフェート化合物およびジエーテル化合物を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記方法は、固体触媒成分、アルキルアルミニウム化合物、および任意選択の外部電子供与体化合物の予備接触反応を行なうこと、並びに予備接触反応の後且つ前記重合反応の前に、予備接触した触媒の存在下で、プロピレン単量体および/または他のα-オレフィン単量体(例えば、エチレンまたはブテン)および任意選択の水素を使用して、予備重合反応を行なうこと、をさらに含む。
【0012】
第5の態様において、本発明は、食品ならびに/または医薬品およびヘルスケア製品における、上記のプロピレン-ブテン共重合体の使用を提供する。
【0013】
本発明のプロピレン-ブテン共重合体は、高いメルトフローインデックスおよび低含有量のキシレン可溶物という利点を有し、フタル酸エステル系可塑剤を含まない。あるいは、本発明のプロピレン-ブテン共重合体は、キシレン可溶物が少なく且つ分子量分布が狭いという利点を有し、フタル酸エステル系可塑剤を含まない。上記の特徴は、食品、医薬品およびヘルスケアの分野におけるそれの適用に有益である。
【0014】
本発明の他の特徴および利点について、以下に詳細に説明する。
【0015】
〔発明を実施するための最良の形態〕
本発明の具体的な実施形態について、以下に詳細に説明する。本明細書に記載される特定の実施形態は、本発明を例示および説明するためにのみ使用されるが、本発明を限定するためには使用されないことを理解されたい。
【0016】
第1の態様において、本発明は、プロピレン-ブテン共重合体を提供する。プロピレン-ブテン共重合体は、共重合体構造単位の総モルに基づいて、90~99mol%のプロピレン構造単位および1~10mol%のブテン構造単位、好ましくは91~97mol%のプロピレン構造単位および3~9mol%のブテン構造単位を含み、キシレン可溶物の含有量が≦4重量%、好ましくは≦3重量%、さらにより好ましくは≦2.8重量%、さらにより好ましくは≦2.5重量%、より一層好ましくは≦2.3重量%であり、プロピレン-ブテン共重合体は、1000未満の分子量を有する画分を実質的に含まない。当業者によって理解されるように、共重合体中の小分子画分の含有量が低いほど、物品中の浸出物が少なくなり、そして、物品が人体と接触するときの安全性がより高くなる。
【0017】
本明細書において用いる場合、用語「ブテン」は、特に明記しない限り、1-ブテンを意味する。
【0018】
いくつかの実施形態において、共重合体は、5未満、好ましくは4.5未満、より好ましくは4未満の分子量分布指数Mw/Mnを有する。
【0019】
本開示において、キシレン可溶物の含有量は、GB/T 24282-2009に従って測定され、1000未満の分子量を有する画分の分子量分布指数および含有量(重量パーセント)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。具体的には、島津製作所製LC-10ATゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いることができ、ここでは、トリクロロベンゼンが移動相として使用され、温度は150℃である。
【0020】
本開示において、「プロピレン-ブテン共重合体は1000未満の分子量を有する画分を実質的に含まない」という表現は、GPC法によって測定される場合、プロピレン-ブテン共重合体が、0.015重量%未満、好ましくは0.01重量%未満、より好ましくは0.005重量%未満の、1000g/mol未満の分子量を有する画分を含むことを意味する。いくつかの実施形態において、本発明のプロピレン-ブテン共重合体は、GPC法によって測定され、測定結果は、1000g/mol未満の分子量を有する画分の含有量がゼロであることを示す。
【0021】
いくつかの実施形態において、プロピレン-ブテン共重合体は、上記の低含有量のキシレン可溶物、狭い分子量分布、および低含有量の小分子に加えて、フタル酸エステル系可塑剤を含まないことを特徴とする。
【0022】
第2の態様において、本発明は、プロピレン-ブテン共重合体を提供する。プロピレン-ブテン共重合体は、共重合体構造単位の総モルに基づいて、92~99mol%のプロピレン構造単位および1~8mol%のブテン構造単位、好ましくは93~97mol%のプロピレン構造単位および3~7mol%のブテン構造単位を含み、2.16kg荷重下、230℃で測定される場合、メルトフローインデックスが、≧20g/10分、好ましくは35~200g/10分、より好ましくは50~150g/10分、さらにより好ましくは50~100g/10分であり、キシレン可溶物の含有量が≦5重量%、好ましくは≦4重量%、より好ましくは≦3重量%、さらにより好ましくは≦2.8重量%、さらにより好ましくは≦2.5重量%、より一層好ましくは≦2.3重量%である。
【0023】
本開示において、メルトフローインデックスは、GB/T 3682-2000に従って測定される。
【0024】
いくつかの実施形態において、プロピレン-ブテン共重合体は、上記の高いメルトフローインデックスおよび低含有量のキシレン可溶物に加えて、フタル酸エステル系可塑剤を含まないことを特徴とする。本明細書において使用される場合、「フタル酸エステル系可塑剤を含まない」という表現は、プロピレン-ブテン共重合体が、意図的に添加されたフタル酸エステル系可塑剤を含まないことを意味する。
【0025】
第3の態様において、本発明は、プロピレン-ブテン共重合体を調製するための方法を提供する。当該方法は、オレフィン重合反応条件下、触媒および任意選択の水素の存在下で、プロピレンおよびブテンを重合させて、プロピレン-ブテン共重合体を得る工程を含み、ここで、触媒はチーグラー-ナッタ触媒であり、固体触媒成分、アルキルアルミニウム化合物および任意選択の外部電子供与体化合物を含み、固体触媒成分は、
(i)マグネシウム含有化合物と;
(ii)チタン含有化合物と;
(iii)内部電子供与体と
の反応生成物を含み、
内部電子供与体は、ホスフェート化合物およびジエーテル化合物を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、オレフィン重合反応は、水素の存在下で実施され、ここでは、重合系におけるモル基準での水素濃度は、≧1200ppm、好ましくは1800~8000ppmの範囲、より好ましくは2300~6000ppmの範囲である。
【0027】
いくつかの実施形態において、プロピレンおよびブテンは、共重合体が、共重合体構造単位の総モルに基づいて、92~99mol%のプロピレン構造単位および1~8mol%のブテン構造単位、好ましくは93~97mol%のプロピレン構造単位および3~7mol%のブテン構造単位を含むような量で、本方法において使用される。
【0028】
他の実施形態において、プロピレンおよびブテンは、共重合体が、共重合体構造単位の総モルに基づいて、90~99mol%のプロピレン構造単位および1~10mol%のブテン構造単位、好ましくは91~97mol%のプロピレン構造単位および3~9mol%のブテン構造単位を含むような量で、方法において使用される。
【0029】
本発明によれば、ホスフェート化合物およびジエーテル化合物の合計含有量は、内部電子供与体の重量に基づいて、好ましくは70~100重量%、より好ましくは80~100重量%、さらに好ましくは90~100重量%、最も好ましくは100重量%である。
【0030】
いくつかの好ましい実施形態において、固体触媒成分は、内部電子供与体としてフタル酸エステル系化合物を含まない。
【0031】
本発明において、ホスフェート化合物の種類は特に限定されず、オレフィン重合用触媒において内部電子供与体として使用可能な種々の既存のホスフェート化合物であり得る。好ましくは、ホスフェート化合物は、式(1)で表されるホスフェート化合物のうちの少なくとも1つである。
【化1】
式中、R
13、R
14およびR
15は、それぞれ独立して、C
1-C
20直鎖または分岐アルキル、C
3-C
20シクロアルキル、C
6-C
20アリール、C
7-C
20アルカリルおよびC
7-C
20アラルキルからなる群から選択され、アリール、アルカリルおよびアラルキル中のベンゼン環における水素原子は、ハロゲン原子またはC
1-C
4アルコキシによって任意選択で置換されていてもよく;より好ましくは、R
13、R
14およびR
15は、それぞれ独立して、C
1-C
12直鎖または分岐アルキル、C
3-C
12シクロアルキル、C
6-C
12アリール、C
7-C
12アルカリルおよびC
7-C
12アラルキルからなる群から選択され、アリール、アルカリルおよびアラルキル中のベンゼン環における水素原子は、ハロゲン原子またはC
1-C
4アルコキシによって任意選択で置換されていてもよく;さらに好ましくは、R
13、R
14およびR
15は、それぞれ独立して、C
1-C
4直鎖または分岐アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
8アリール、C
7-C
8アルカリルおよびC
7-C
8アラルキルからなる群から選択され、アリール、アルカリルおよびアラルキル中のベンゼン環における水素原子は、ハロゲン原子によって任意選択で置換されていてもよい。本明細書において用いる場合、用語「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
【0032】
より好ましくは、ホスフェート化合物は、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(o-、m-またはp-トリル)ホスフェート、トリス(o-、m-またはp-クミル)ホスフェート、トリス(o-、m-またはp-メトキシフェニル)ホスフェート、フェニルジメチルホスフェート、(o-、m-またはp-トリル)ジブチルホスフェート、(o-、m-またはp-クミル)ジメチルホスフェート、(o-、m-またはp-クミル)ジエチルホスフェート、(o-、m-またはp-クミル)ジブチルホスフェート、フェニルジ(o-、m-またはp-トリル)ホスフェート、フェニルジ(o-、m-またはp-クミル)ホスフェート、2,5-ジメチルフェニルジブチルホスフェート、3,5-ジメチルフェニルジブチルホスフェート、2,5-ジイソプロピルフェニルジメチルホスフェート、2,5-ジイソプロピルフェニルジエチルホスフェート、2,5-ジ-tert-ブチルフェニルジメチルホスフェートおよびo-トリルビス(2,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートから選択される少なくとも1つである。
【0033】
最も好ましくは、ホスフェート化合物はトリブチルホスフェートである。
【0034】
本発明において、ジエーテル化合物の種類は特に限定されず、オレフィン重合用触媒における内部電子供与体として使用できる種々の既存のジエーテル化合物とすることができる。好ましくは、ジエーテル化合物は、式(2)で表されるジエーテル化合物のうちの少なくとも1つである。
【化2】
式中、R
I、R
II、R
III、R
IV、R
VおよびR
VIは、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、C
1-C
20直鎖または分岐アルキル、C
3-C
20シクロアルキル、C
6-C
20アリール、C
7-C
20アルカリルおよびC
7-C
20アラルキルからなる群から選択され、R
I-R
VI基は、任意選択で連結されて環を形成し;R
VIIおよびR
VIIIは、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、C
1-C
20直鎖または分岐アルキル、C
3-C
20シクロアルキル、C
6-C
20アリール、C
7-C
20アルカリルおよびC
7-C
20アラルキルからなる群から選択される。
【0035】
好ましくは、ジエーテル化合物は、2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-フェニルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(ジフェニルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチルブチル)-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ベンジル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパンおよび9,9-ジメトキシメチルフルオレンから選択される少なくとも1つである。
【0036】
最も好ましくは、ジエーテル化合物は、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンおよび/または9,9-ジメトキシメチルフルオレンである。
【0037】
本発明において、ホスフェート化合物およびジエーテル化合物は、内部電子供与体として併用され、ホスフェート化合物とジエーテル化合物とのモル比は、好ましくは0.02~0.30:1、例えば0.02~0.28:1に制御され、さらに好ましくは0.03~0.25:1、例えば0.04~0.25:1に制御され、さらに好ましくは0.04~0.20:1、例えば0.05~0.20:1に制御される。これは、触媒の水素調整に対する感受性および立体特異性を効果的に改善し、重合体のキシレン可溶物の含有量を低減するのに役立ち、得られる重合体を分子量分布において狭くすることができる。
【0038】
本発明において、マグネシウム含有化合物は、オレフィン重合用触媒に用いることができる種々のマグネシウム含有化合物であることができる。例えば、マグネシウム含有化合物は、ハロゲン化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、ハロゲン化アルコキシマグネシウム、ハロゲン化マグネシウム付加物担体などであり得る。ハロゲン化マグネシウムは例えば、塩化マグネシウムおよび/または臭化マグネシウムであり得;マグネシウムアルコキシドは例えば、ジエトキシマグネシウムであり得;ハロゲン化アルコキシマグネシウムは例えば、エトキシマグネシウムクロリドであり得る。ハロゲン化マグネシウム付加物担体の種類は、当業者に周知であり、例えば、CN1091748A、CN101050245A、CN101486722A、201110142357.X、201110142156.Xおよび201110142024.7に開示されている(これらの全ての関連する内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0039】
本発明によれば、チタン含有化合物は、当技術分野における従来の選択であってもよい。例えば、チタン含有化合物は、一般式Ti(OR’)3-aZaおよびTi(OR’)4-bZb(式中、R’はC1-C20アルキル、好ましくはC1-C12アルキル、より好ましくはC1-C6アルキルであり、ZはF、Cl、BrまたはIを含むハロゲンであり、aは1~3の整数であり、bは1~4の整数である)で表されるチタン含有化合物のうちの少なくとも1つであってもよい。好ましくは、チタン含有化合物は、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、トリブトキシチタンクロリド、ジブトキシチタンジクロリド、ブトキシチタントリクロリド、トリエトキシチタンクロリド、ジエトキシチタンジクロリド、エトキシチタントリクロリドおよび三塩化チタンのうちの1つ以上である。
【0040】
固体触媒成分中のマグネシウム、チタンおよび内部電子供与体の含有量は、本発明において特に限定されず、当技術分野における従来の固体触媒成分において見られる含有量のいずれかであり得る。好ましくは、チタン元素1重量部に対して、マグネシウム元素の含有量は、2~16重量部、好ましくは3~13重量部、より好ましくは4~10重量部であり、内部電子供与体の含有量は、2~16重量部、好ましくは3~14重量部、より好ましくは4~12重量部である。
【0041】
本発明において、アルキルアルミニウム化合物は、当技術分野において従来から用いられている種々のアルキルアルミニウム化合物であり得る。例えば、アルキルアルミニウム化合物は、一般式AlR16R16’R16''(式中、R16、R16’およびR16''は、それぞれ独立して、C1-C8アルキルまたはハロゲンであり、それらのうちの少なくとも1つはC1-C8アルキルであり、アルキル上の水素原子は任意選択でハロゲンで置換されていてもよい)によって表される化合物のうちの少なくとも1つであり得る。C1-C8アルキル基の具体例は、限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基を含み、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり得る。具体的には、アルキルアルミニウム化合物は、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、ジ-n-ブチルアルミニウムモノクロリド、ジ-n-ヘキシルアルミニウムモノクロリド、モノエチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、モノ-n-ブチルアルミニウムジクロリドおよびn-ヘキシルアルミニウムジクロリドからなる群より選択される1種以上であり得る。
【0042】
本発明によれば、アルキルアルミニウム化合物の使用量は、当技術分野において一般的に使用されている量とすることができる。好ましくは、アルキルアルミニウム化合物中のアルミニウムと固体触媒成分中のチタンとのモル比が1~1000:1である。さらに好ましくは、アルキルアルミニウム化合物中のアルミニウムと固体触媒成分中のチタンとのモル比が20~500:1である。最も好ましくは、アルキルアルミニウム化合物中のアルミニウムと固体触媒成分中のチタンとのモル比が30~200:1である。
【0043】
本発明において、外部電子供与体化合物は、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、アルコール、ラクトン、有機リン化合物および有機ケイ素化合物のうちの1つ以上など、当技術分野で一般的に使用される種々の外部電子供与体化合物であり得る。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によれば、外部電子供与体化合物は、式Xによって表される有機ケイ素化合物のうちの少なくとも1つである。
(R17)m’(R18)p’Si(OR19)q’ 式X
(式中、R17、R18およびR19は、それぞれ独立して、C1-C18炭化水素基であり、任意選択でハロゲンを含んでいてもよく;m’およびp’は、それぞれ独立して、0~2の整数であり、q’は1~3の整数であり、m’、p’およびq’の合計は4であり;
好ましくは、R17およびR18は、それぞれ独立して、C3-C10直鎖または分岐アルキル、C3-C10アルケニル、C3-C10シクロアルキルまたはC6-C10アリールであり、任意選択でハロゲンを含んでいてもよく;R19は、C1-C10直鎖または分岐アルキル、好ましくはC1-C4直鎖または分岐アルキル、より好ましくはメチル基である。)。
【0045】
好ましくは、有機ケイ素化合物は、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチル-tert-ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、tert-ブチルトリメトキシシラン、tert-ヘキシルトリメトキシシランおよび2-エチルピペリジニル-2-tert-ブチルジメトキシシランから選択される少なくとも1つである。
【0046】
使用される場合、外部電子供与体は、反応器に直接添加することができ、または反応器への供給に関連する装置およびラインに添加することができる。
【0047】
本発明によれば、アルキルアルミニウム化合物中のアルミニウムと外部電子供与体化合物とのモル比は、好ましくは1~50:1、より好ましくは2~20:1である。アルキルアルミニウム化合物および外部電子供与体化合物の量を上記の好ましい範囲内に制御することにより、得られる重合体の特性をさらに向上させることができる。
【0048】
本発明のこの態様によれば、オレフィン重合体の調製中に、触媒は、反応器に直接添加されてもよく、または予備錯化および/または予備重合の後に反応器に添加されてもよい。
【0049】
プロピレンおよびブテンの重合は、公知の方法に従って、液相単量体もしくは重合性単量体を含有する不活性溶媒中で、または気相中で、または気相および液相中での組み合わせ重合プロセスによって、実施することができる。重合温度は、10~150℃、好ましくは60~90℃の範囲とすることができ、重合圧力は、対応する重合温度におけるプロピレンの飽和蒸気圧よりも高く、例えば、0.01~10MPa、好ましくは0.05~5MPa、より好ましくは0.1~4MPaの範囲とすることができる。本明細書において使用される場合、圧力は、ゲージ圧を指す。
【0050】
重合反応中に、使用される不活性ガスならびに溶媒の種類および量は、当技術分野における従来の選択であり得る。
【0051】
本明細書に記載される重合方法は、現在成熟している大規模な、Spheripolプロセス、Hypolプロセスなどに適している。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、固体触媒成分、アルキルアルミニウム化合物、および任意選択の外部電子供与体化合物の予備接触反応を行なって、予備接触した触媒を提供すること、並びに予備接触反応の後および重合反応の前に、予備接触した触媒の存在下で、プロピレン単量体および/または他のα-オレフィン単量体(例えば、エチレンまたはブテン)および任意選択で水素を用いて、予備重合反応を行なうことをさらに含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、予備接触反応の温度は、-10~30℃、好ましくは0~15℃の範囲であり、予備接触反応の持続時間は、0.05~30分間、好ましくは0.1~10分間の範囲である。予備接触反応を行なうことにより、触媒の重合活性および立体特異性、ならびに得られる重合体のかさ密度を著しく向上させることができ、触媒の活性中心の不純物抵抗性を高め、それによって重合体の灰分、キシレン可溶物および重合体粒子の破壊を低減することができる。
【0054】
予備接触反応の後および重合反応の前に、触媒を、プロピレン単量体および/または他のα-オレフィン単量体との予備重合反応に供することが好ましい。予備重合中に少量の水素が添加されてもよくまたは水素が添加されなくてもよく、予備重合反応の温度は、10~50℃、好ましくは12~25℃、より好ましくは15~19℃の範囲であり、予備重合反応の持続時間は、1~40分間、好ましくは5~20分間の範囲である。
【0055】
プロピレンおよびブテンの重合は、公知の方法に従って、液相単量体または重合性単量体を含有する不活性溶媒中で、または気相中で、または気相および液相中での組み合わせ重合プロセスによって実施することができる。重合温度は、通常50~150℃、好ましくは60~90℃である。重合反応圧力は常圧以上であり、例えば、0.01~10MPa、好ましくは0.05~5MPa、より好ましくは1~4MPaである。本明細書において使用される場合、圧力は、ゲージ圧を指す。重合中に、重合体分子量調節剤として水素ガスを重合反応器に添加して、重合体の分子量およびメルトインデックスを調節することができる。重合反応器中の反応単量体および触媒の滞留時間は、0.5~6時間、好ましくは1~4時間の範囲である。
【0056】
オレフィン重合反応中に、使用される不活性ガスならびに溶媒の種類および量は、当技術分野における従来の選択であり得る。
【0057】
本発明はさらに、上記の調製方法によって調製されたプロピレン-ブテン共重合体を提供する。
【0058】
本発明の共重合体は、組成物に配合することができる。当該組成物は、酸化防止剤、ハロゲン吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、核剤などの、当技術分野で一般的に使用される添加剤を含有してもよい。
【0059】
本発明はさらに、食品および/またはヘルスケア製品などの分野における、例えば、食品および/またはヘルスケア製品のための包装材としての、プロピレン-ブテン共重合体の使用を提供する。
【0060】
〔実施例〕
実施例を参照して、以下に本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
共重合体の組成は、Nicolet Instruments製の6700赤外分光計において実施した赤外分光(FT-IR)分析によって決定した。
【0062】
共重合体のメルトフローインデックスは、GB/T 3682-2000に従って、230℃、2.16kgの荷重下で測定した。
【0063】
共重合体のキシレン可溶物の含有量は、GB/T 24282-2009に従って測定した。
【0064】
本発明において、分子量分布指数および1000未満の分子量の重合体を有する画分の含有量(重量パーセント)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。具体的には、島津製作所製LC-10ATゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用い、ここでは、トリクロロベンゼンを移動相として使用し、温度は150℃であった。
【0065】
実施例1
この実施例は、本発明によるプロピレン-ブテン共重合体およびその調製方法を説明するために使用される。
【0066】
(1)触媒成分の調製
300mlのガラス反応器中で、90mlの四塩化チタンを添加し、-20℃に冷却し、次いで37mmol(マグネシウム元素換算)のハロゲン化マグネシウム支持体(CN1330086Aの実施例1に開示された方法に従って調製した)を、それに添加した。内容物を110℃まで加熱し、加熱プロセス中に、0.8mmolのトリブチルホスフェートおよび7.9mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加した。反応混合物を110℃で30分間維持した後に、液体を濾別し、固体を四塩化チタン、次いでヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥させて、触媒成分Cat-1を得た。
【0067】
(2)プロピレン-ブテン共重合体の調製
プロピレン、ブテンおよび水素ガスを反応器に供給し、触媒成分(Cat-1)、トリエチルアルミニウムおよびシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(チタン元素換算の触媒成分Cat-1とアルミニウム元素換算のトリエチルアルミニウムとのモル比は1:160であり、シクロヘキシルメチルジメトキシシランとアルミニウム元素換算のトリエチルアルミニウムとのモル比は1:5であった)を反応器に導入した。重合反応は、反応温度69℃、反応圧力3.5MPa、水素濃度(オンラインクロマトグラフィーによって検出)1600wppm、反応原料中のブテン濃度5.4mol%、および反応時間1時間の条件下で行った。得られた重合体を分析し、結果を表1に示す。
【0068】
実施例2
この実施例は、本発明によるプロピレン-ブテン共重合体およびその調製方法を説明するために使用される。
【0069】
重合体を調製する過程において、反応原料中のブテン濃度が8.9mol%であったことを除いて、実施例1に記載の方法に従って触媒成分および重合体を調製した。得られた重合体を分析し、結果を表1に示す。
【0070】
実施例3
この実施例は、本発明によるプロピレン-ブテン共重合体およびその調製方法を説明するために使用される。
【0071】
重合において、反応圧力が3.6MPaであり、水素濃度が2500ppmであり、反応原料中のブテン濃度が11mol%であり、反応時間が1.4時間であったことを除いて、実施例1に記載の方法に従って触媒成分および重合体を調製した。得られた重合体を分析し、結果を表1に示す。
【0072】
実施例4
この実施例は、本発明によるプロピレン-ブテン共重合体およびその調製方法を説明するために使用される。
【0073】
重合において、水素濃度が3100ppmであり、反応原料中のブテン濃度が9.1mol%であったことを除いて、実施例3に記載の方法に従って触媒成分および重合体を調製した。得られた重合体を分析し、結果を表1に示す。
【0074】
実施例5
この実施例は、本発明によるプロピレン-ブテン共重合体およびその調製方法を説明するために使用される。
【0075】
1.3mmolのトリブチルホスフェートおよび7mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを加熱プロセス中に添加し、触媒成分Cat-2を得たことを除いて、実施例1に記載の方法に従って触媒成分を調製した。
【0076】
チタン元素換算の触媒成分Cat-2とアルミニウム元素換算のトリエチルアルミニウムとのモル比が1:100であり、シクロヘキシルメチルジメトキシシランとアルミニウム元素換算のトリエチルアルミニウムとのモル比が1:3.5であり、水素濃度が2000ppmであり、反応原料中のブテン濃度が7mol%であったことを除いて、実施例1に記載の方法に従って重合体を調製した。
【0077】
比較例1
重合体の調製において、触媒成分Cat-1を、Sinopec Catalyst Co., Ltd. Beijing Aoda支店から購入したDQC触媒成分(内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルを含む)で置き換えたことを除いて、実施例2に記載の方法に従って重合体を調製した。得られた重合体を分析し、結果を表1に示す。
【0078】
【0079】
実施例および比較例の結果から、本発明のプロピレン-ブテン共重合体は、高いメルトフローインデックスおよび低含有量のキシレン可溶物を有すること、ならびに本発明で使用される触媒はフタル酸エステル(可塑剤)を含有しないので、前記重合体は食品およびヘルスケアの分野で有利に使用することができること、が分かる。
【0080】
実施例6
この実施例は、本発明によるプロピレン-ブテン共重合体の調製方法を説明するために使用される。
【0081】
(1)触媒成分の調製
300mlのガラス反応器中で、90mlの四塩化チタンを添加し、-20℃に冷却し、次いで37mmol(マグネシウム元素換算)のハロゲン化マグネシウム支持体(CN1330086Aの実施例1に開示された方法に従って調製した)を、それに添加した。内容物を110℃まで加熱し、加熱プロセス中に、0.9mmolのトリブチルホスフェートおよび8.3mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加した。反応混合物を110℃で30分間維持した後に、液体を濾別し、固体を四塩化チタン、次いでヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥させて、触媒成分Cat-3を得た。
【0082】
(2)ポリプロピレンの調製
プロピレン、ブテンおよび水素ガスを反応器に供給した。触媒成分(Cat-3)、トリエチルアルミニウム、およびシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(チタン元素換算の触媒成分Cat-3とアルミニウム元素換算のトリエチルアルミニウムとのモル比は1:120であり、シクロヘキシルメチルジメトキシシランとアルミニウム元素換算のトリエチルアルミニウムとのモル比は1:4であった)を10℃で5分間予備接触させ、次いで18℃で12分間予備重合反応に供し、次いで重合反応用反応器に導入した。重合反応は、反応温度69℃、反応圧力3.5MPa、水素濃度(オンラインクロマトグラフィーによって検出)1300ppm、反応原料中のブテン濃度6mol%、反応時間1時間の条件下で行った。得られた重合体を分析し、結果を表2に示す。
【0083】
実施例7
この実施例は、本発明によるプロピレン-ブテン共重合体の調製方法を説明するために使用される。
【0084】
重合体の調製において、反応原料中のブテン濃度が11.5mol%であったことを除いて、実施例6に記載の方法に従って触媒成分および重合体を調製した。得られた重合体を分析し、結果を表2に示す。
【0085】
実施例8
この実施例は、本発明によるプロピレン-ブテン共重合体の調製方法を説明するために使用される。
【0086】
重合において、水素濃度が2000ppmであり、予備接触反応を8℃で6分間行ない、反応原料中のブテン濃度が9mol%であったことを除いて、実施例6に記載の方法に従って触媒成分および重合体を調製した。得られた重合体を分析し、結果を表2に示す。
【0087】
実施例9
1.4mmolのトリブチルホスフェートおよび8mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを加熱プロセス中に添加し、触媒成分Cat-4を得たことを除いて、実施例6に記載の方法に従って触媒成分を調製した。
【0088】
チタン元素換算の触媒成分Cat-4とアルミニウム元素換算のトリエチルアルミニウムとのモル比が1:80であり、シクロヘキシルメチルジメトキシシランとアルミニウム元素換算のトリエチルアルミニウムとのモル比が1:7であり、水素濃度が1000ppmであり、反応原料中のブテン濃度が7mol%であったことを除いて、実施例6に記載の方法に従って重合体を調製した。
【0089】
比較例2
重合体の調製において、触媒成分Cat-3を、Sinopec Catalyst Co., Ltd. Beijing Aoda支店から購入したDQC触媒成分(内部電子供与体としてフタル酸ジイソブチルを含む)で置き換えたことを除いて、実施例8に記載の方法に従って重合体を調製した。得られた重合体を分析し、結果を表2に示す。
【0090】
【0091】
実施例6~9および比較例2の結果から、本発明のプロピレン-ブテン共重合体は、低含有量のキシレン可溶物、狭い分子量分布、および少量の小分子という特性を有していること、ならびに本発明はフタル酸エステル(可塑剤)を含有しない触媒を利用するので、前記重合体は食品およびヘルスケアの分野で有利に使用できること、が分かる。
【0092】
以上、本発明の様々な実施形態について説明したが、上記の説明は例示的なものであり、網羅的なものではなく、開示された実施形態に限定されるものではない。記載された実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの変更および変形が当業者には明らかであろう。
【0093】
本明細書に開示される範囲の終点および任意の値は、丁度の範囲または値に限定されず、これらの範囲または値は、これらの範囲または値に近い値を含むものとして理解されるべきである。数値範囲については、個々の範囲の端の値、個々の範囲の境界値およびそれらの間の個々の点の値、ならびに個々の点の値を互いに組み合わせて、1つ以上の新しい数値範囲を得ることができる。1つ以上の新しい数値範囲は、本明細書に具体的に開示されていると見なされるべきである。
【国際調査報告】