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特表2023-545621吸収先端ブラシ生検装置、キット及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】吸収先端ブラシ生検装置、キット及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
A61B10/02 140
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515836
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 US2021049527
(87)【国際公開番号】W WO2022056038
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/075,728
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523085108
【氏名又は名称】テクメッド ベンチャーズ,エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】523085119
【氏名又は名称】マラノースカ-ステガ,ザネッタ
(71)【出願人】
【識別番号】523085120
【氏名又は名称】ステガ,ダミアン
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マラノースカ-ステガ,ザネッタ
(72)【発明者】
【氏名】ステガ,ダミアン
(57)【要約】
可撓性同軸組織試料採取装置は、挿管と、挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では、挿管の遠位端から延伸し、第2状態では、挿管の遠位端内に後退させられる第2端部とを有する、挿管内の変位可能ワイヤと、を備え、変位可能ワイヤの第2端部は、細胞試料採取構造と、第1状態では挿管の外側にあり、第2状態では内側にある多孔質吸収材料と、を含む。挿管の近位端にある変位可能ワイヤの第1端部に対する張力は、細胞試料採取構造及び多孔質吸収材料とともに、変位可能ワイヤを第1状態から第2状態に後退させる。多孔質吸収材料は、後退後に流体試料を保持し、試料の他の組織との接触から保護する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性同軸組織試料採取装置であって、
壁及び前記壁の内部に中空空間を有する挿管と、
前記中空空間内の変位可能ワイヤであって、前記変位可能ワイヤは、前記挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では前記挿管の遠位端から延伸し、第2状態では前記挿管の前記遠位端内に後退するように構成された第2端部と、を有する、変位可能ワイヤと、を備え、
前記変位可能ワイヤの前記第2端部は、吸引要素、細胞試料採取構造体、及び多孔質吸収材料を含み、前記細胞試料採取構造体及び前記多孔質吸収材料は、前記第1状態では前記挿管の外側にあり、前記第2状態では前記挿管の内側にあり、前記吸引要素は、前記細胞試料採取構造体及び前記多孔質吸収材料の近位にあり、
可撓性同軸構造体は、前記挿管の前記近位端における前記変位可能ワイヤの前記第1端部に対する張力が、前記第1状態から前記第2状態への前記変位可能ワイヤの後退をもたらして、前記挿管内への前記変位可能ワイヤの変位並びに吸引要素、前記細胞試料採取構造体、及び前記多孔質吸収材料の対応する近位変位を引き起し、前記挿管の外側の媒体を前記挿管の前記遠位端に吸引するように構成されており、前記多孔質吸収材料が、前記第2状態への遷移後に前記第1状態で得られた流体試料を保持するように構成されている、可撓性同軸組織試料採取装置。
【請求項2】
前記多孔質吸収材料が、前記変位可能ワイヤの前記第2端部をキャップし、前記変位可能ワイヤの先端による損傷から組織を保護する、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項3】
前記多孔質吸収材料が、前記変位可能ワイヤの前記第2端部の先端に形成されている、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項4】
前記第2状態での前記挿管内の前記多孔質吸収材料が、前記第1状態から前記第2状態への遷移中に得られた前記挿管内の生検試料を、患者からの前記遠位端の引き出し中の汚染から保護する、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項5】
前記多孔質吸収材料が、核酸分析のための生検試料を吸収するために適合される、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項6】
前記多孔質吸収材料が、スポンジである、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項7】
前記細胞試料採取構造体が、ブラシを含む、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項8】
前記ブラシが、前記変位可能ワイヤから半径方向に延伸する複数のブラシ毛を含む、請求項7に記載の組織試料採取装置。
【請求項9】
前記同軸構造体が、子宮内膜生検試料を取り出すために人間の子宮の内頸管口を通して挿入されるように構成されており、前記挿管上の深度ストップのスライドによって、前記同軸構造体が前記第1状態に維持されている間に生検処置中に調整可能な深度を有する、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項10】
前記同軸構造体が、子宮内膜生検試料を取り出すために人間の子宮の内頸管口を通して所定の深度まで挿入され、前記頸部から引き出されるように構成されている、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項11】
前記同軸構造体が、
前記変位可能構造体が前記第2状態にある状態で、前記頸管口内に所定の深度まで挿入され、
前記細胞試料採取構造体が前記子宮内にある状態で、前記第1状態に延伸され、
前記子宮内の細胞を取り去るために、ユーザによって前記変位可能構造体の前記第1端部の移動により操作され、
前記子宮内で前記第2状態に後退させられて、前記挿管の前記遠位端内に前記細胞試料採取構造体の周囲の液体試料を引き込むように真空を生じさせ、
前記変位可能構造体が前記第2状態にある状態で前記頸管口から後退させられるように更に構成された、請求項10に記載の組織試料採取装置。
【請求項12】
前記細胞試料採取構造体が、近位ガイドワイヤに溶接された、ブラシ毛が延伸するスパイラル状のねじりスチールワイヤを含む、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項13】
前記多孔質吸収材料が、前記第2端部に設けられ、前記スパイラル状のねじりスチールワイヤを終端するキャップの上に設けられたウレタンフォームを含む、請求項12に記載の組織試料採取装置。
【請求項14】
前記挿管が、約0.15インチの外径、及び20~50cmの長さを有する、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項15】
前記スカートストッパの軸方向位置を越えて患者の前記子宮内に前記可撓性挿管の挿入を防止するように構成された、前記可撓性挿管の外面上に設けられたスライド可能なスカートストッパを更に備える、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項16】
少なくとも2つの可撓性同軸構造体であって、各々、それぞれの挿管、それぞれの変位可能ワイヤ、それぞれの吸引要素、それぞれの細胞試料採取構造体、及びそれぞれの多孔質吸収材料を有する、少なくとも2つの可撓性同軸構造体と、
係合されるとユーザインターフェースから前記変位可能構造体に張力と圧迫とが伝えられて前記変位可能構造体を前記第1状態と前記第2状態との間で遷移させ、係合解除されると前記ユーザインターフェースから前記変位可能構造体に張力と圧迫とが伝えられないように、それぞれの可撓性構造体のそれぞれの変位可能ワイヤを前記ユーザインターフェースに選択的に係合及び係合解除するように構成されているハウジングと、を備える、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項17】
前記変位可能構造体を移動させるように構成された電気モータを更に備える、請求項1に記載の組織試料採取装置。
【請求項18】
可撓性同軸組織試料採取装置であって、
壁及び前記壁の内部に中空空間を有する挿管と、
前記中空空間内の変位可能ワイヤであって、前記変位可能ワイヤが、前記挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では前記挿管の遠位端から延伸し、第2状態では前記挿管の前記遠位端内に後退するように構成された第2端部と、を有する、変位可能ワイヤと、を備え、
前記変位可能ワイヤの前記第2端部が、細胞試料採取構造体、及び多孔質吸収材料を含み、前記細胞試料採取構造体及び前記多孔質吸収材料が、前記第1状態では前記挿管の外側にあり、前記第2状態では前記挿管の内側にあり、
前記可撓性同軸構造体は、前記挿管の前記近位端における前記変位可能ワイヤの前記第1端部に対する張力が、前記第1状態から前記第2状態への前記変位可能ワイヤの後退をもたらして、前記挿管内への前記変位可能ワイヤ、前記細胞試料採取構造体、及び前記多孔質吸収材料の変位を引き起し、前記多孔質吸収材料が、前記第2状態への遷移後に前記第1状態で得られた流体試料を保持し、前記変位可能ワイヤの前記第2端部との接触から組織を保護するように構成されている、可撓性同軸組織試料採取装置。
【請求項19】
前記細胞試料採取構造体が、前記変位可能ワイヤから半径方向に延伸する複数のブラシ毛を有し、かつ連続気泡フォーム層により覆われた無外傷球状部を含む前記多孔質吸収材料で終端するブラシを含み、
前記変位可能ワイヤとともに変位可能であり、かつ前記細胞試料採取構造及び前記多孔質吸収材料の近位の吸引要素を更に備え、前記吸引要素は、前記変位ワイヤが前記挿管内に引き込まれると、前記吸引要素の遠位の前記挿管内に負圧を生じさせるように構成されている、請求項18に記載の組織試料採取装置。
【請求項20】
生検方法であって、
壁及び前記壁の内部に中空空間を有する挿管と、前記中空空間内の変位可能ワイヤであって、前記変位可能ワイヤは、前記挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では前記挿管の遠位端から延伸し、第2状態では前記挿管の前記遠位端内に後退させられるように構成された第2端部と、を有する、変位可能ワイヤと、を含む可撓性同軸構造体を提供することであって、前記変位可能ワイヤの前記第2端部が、細胞試料採取構造体、及び多孔質吸収材料を含み、前記細胞試料採取構造体及び前記多孔質吸収材料が、前記第1状態では前記挿管の外側にあり、前記第2状態では前記挿管の内側にある、提供することと、
前記可撓性同軸構造体が前記第2状態にある間に、前記挿管の前記遠位端を、頸部を通って、前記内頸管口を超えて、子宮内に挿入することと、
前記変位可能ワイヤの前記第1端部を前記挿管内に押し込んで、前記可撓性同軸構造体に前記第1状態を想定させることと、
前記変位可能ワイヤの先端による侵入から前記子宮内膜を保護しながら、前記細胞試料採取構造体を前記子宮内膜に擦り付け、前記多孔質吸収材料に流体を吸収させて、細胞試料を得るように前記変位可能ワイヤを操作することと、
前記吸収された流体を前記多孔質吸収材料内に保持しながら、前記挿管の前記近位端における前記変位可能ワイヤの前記第1端部に張力を加えて、前記変位可能ワイヤを前記第1状態から前記第2状態に後退させ、結果として前記変位可能ワイヤ、前記細胞試料採取構造、及び前記多孔質吸収材料を前記挿管内に引き込むことと、
前記頸部及び膣内の細胞によって前記細胞試料採取構造上に保持された生検試料の汚染を防止するために、前記挿管の前記遠位端を前記多孔質吸収材料でキャップすることと、を含む、生検方法。
【請求項21】
組織試料採取装置であって、同軸構造を備え、前記同軸構造が、内部真空を維持するように構成された遠位端部を少なくとも有する可撓性挿管と、前記挿管内の変位可能構造体と、を含み、前記変位可能構造体が、前記挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では前記挿管の遠位端から延伸し、第2状態では前記挿管の前記遠位端内に後退させられるように構成された第2端部と、を有し、前記変位可能構造体の前記第2端部が、近位の吸引要素によって先行される細胞試料採取構造体を有し、多孔質吸収材料を有し、前記同軸構造体は、前記挿管の前記近位端における前記変位可能構造体の前記第1端部に対する張力が、前記変位可能構造体の前記第1状態から前記第2状態への後退をもたらして、前記挿管外部の媒体をピストンの遠位の前記挿管内に変位させる吸引を発生させるように構成されている、組織試料採取装置。
【請求項22】
前記多孔質吸収材料が、前記第2端部の前記遠位先端に形成されている、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項23】
前記多孔質吸収材料が、核酸分析のための生検試料を吸収するために適合される、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項24】
前記多孔質吸収材料が、スポンジである、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項25】
前記多孔質吸収材料が、前記第2端部の前記遠位先端に形成されたスポンジである、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項26】
流体生検試料を内部に引き込むために前記挿管遠位内に負圧を生じさせるように構成されたポンプを更に備える、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項27】
前記細胞試料採取構造体が、ブラシを含む、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項28】
前記ブラシが、前記変位可能構造体から半径方向に延伸する複数のブラシ毛を含む、請求項27に記載の組織試料採取装置。
【請求項29】
前記ブラシが、らせん状断面輪郭を有する、請求項27に記載の組織試料採取装置。
【請求項30】
前記同軸構造体が、子宮内膜生検試料を取り出すために人間の子宮の内頸管口内に所定の深度まで挿入され、前記頸部から引き出されるように構成されている、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項31】
前記同軸構造体が、
前記変位可能構造体が前記第2状態にある状態で、前記頸管口内に所定の深度まで挿入され、
前記細胞試料採取構造体が前記子宮内にある状態で、前記第1状態に延伸され、
前記子宮内の細胞を取り去るために、ユーザによって前記変位可能構造体の前記第1端部の移動により操作され、
前記挿管の前記遠位端内に前記細胞試料採取構造体の周囲の液体試料を引き込むように真空を生じさせるために、前記子宮内で前記第2状態に後退させられ、
前記変位可能構造体が前記第2状態にある状態で、前記頸部から後退させられるように更に構成されている、請求項30に記載の組織試料採取装置。
【請求項32】
前記細胞試料採取構造体が、近位ガイドワイヤに溶接された、ブラシ毛が延伸するスパイラル状のねじりスチールワイヤを含む、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項33】
前記多孔質吸収材料が、前記第2端部遠位に設けられ、前記スパイラル状のねじりスチールワイヤを終端するキャップの上に設けられたウレタンフォームを含む、請求項32に記載の組織試料採取装置。
【請求項34】
前記挿管が、約0.15インチの外径、及び20~50cmの長さを有する、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項35】
前記スカートストッパの軸方向位置を越えて患者の前記子宮内に前記挿管の挿入を防止するように構成された、前記挿管の外面上に設けられたスカートストッパを更に備える、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項36】
前記スカートストッパが、前記挿管の外面上のフランジ状要素を含み、前記挿管が、前記所定の深度まで人間の子宮の前記内頸管内に挿入されるように構成されており、
前記変位可能ワイヤが前記第2状態にある状態で、前記内頸管口内に前記所定の深度まで挿入され、
前記細胞試料採取装置が前記子宮内にある状態で、前記第1状態に延伸され、
子宮内膜細胞を取り去るように前記変位可能ワイヤの前記第1端部の移動により操作され、
前記子宮内で前記第2状態に後退させられて、前記細胞試料採取装置の周囲の液体試料を前記挿管の前記遠位端に引き込むように真空引きし、
前記変位可能ワイヤが前記第2状態にある状態で、前記頸管口から後退させられるように更に構成された、請求項35に記載の組織試料採取装置。
【請求項37】
それぞれが内部真空を維持するように構成された遠位端部を少なくとも有する複数の可撓性挿管と、
1組の同軸構造体を形成する、各可撓性挿管内の変位可能構造体のそれぞれと、
係合されるとユーザインターフェースから前記変位構造体に張力と圧迫とが伝えられて前記変位可能構造体を前記第1状態と前記第2状態との間で遷移させ、係合解除されると前記ユーザインターフェースから前記変位可能構造体に張力と圧迫とが伝えられないように、それぞれの変位可能構造体を前記ユーザインターフェースに選択的に取り付けるように構成されたハウジングと、を備える、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項38】
前記変位可能構造体を軸方向に変位させるように構成された電気モータを更に備える、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項39】
前記細胞試料採取構造体を回転させるように構成された電気モータを更に含む、請求項21に記載の組織試料採取装置。
【請求項40】
複数試料生検装置であって、
複数の可撓性挿管と、
同軸構造体を形成する、各挿管内の変位可能構造体であって、
各変位可能構造体が、前記挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では前記挿管の遠位端から延伸し、かつ第2状態では前記挿管の前記遠位端内に後退させられるように構成された第2端部とを有し、
前記変位可能構造体の前記第2端部が、多孔吸収フォームで遠位に終端される細胞試料採取構造を有する、変位可能構造体と、
係合されるとユーザインターフェースから前記変位可能構造体に張力と圧迫とが伝えられて前記変位可能構造体を前記第1状態と前記第2状態との間で遷移させ、係合解除されると前記ユーザインターフェースから前記変位可能構造体に張力と圧迫とが伝えられないように、それぞれの変位可能構造体を前記ユーザインターフェースに選択的に取り付けるように構成されたハウジングと、を備える、複数試料生検装置。
【請求項41】
組織試料採取方法であって、
同軸構造体を提供することであって、内部真空を維持するように構成された遠位端部を少なくとも有する可撓性挿管と、前記挿管内の変位可能構造体とを含んで、同軸構造体を形成し、前記変位可能構造体が、前記挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では前記挿管の遠位端から延伸し、第2状態では前記挿管の前記遠位端内に後退させられるように構成された第2端部と、を有し、前記変位可能構造体の前記第2端部が、ピストンに先行され、かつ多孔質吸収組織掻爬構造によって終端される細胞試料採取構造を有する、提供することと、
前記挿管の前記近位端にある前記変位可能構造体の第1端部に張力を加えて、前記変位可能構造体を前記第1状態から前記第2状態に後退させて真空を発生させることと、を含む、組織試料採取方法。
【請求項42】
前記同軸構造体が、前記可撓性挿管の人間の頸部への挿入深度を制限するように構成された前記可撓性挿管の周囲のスカートを更に含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記同軸構造体が、子宮内膜生検試料を取り出すために、前記可撓性挿管の周囲の前記スカートの軸方向位置によって画定された前記所定の挿入深度まで人間の子宮の前記内頸管口内に挿入され、前記頸部から引き出されるように構成されている、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記変位可能構造体が第2状態にある状態で、前記同軸構造体の前記遠位端部を子宮の頸管口内に所定の深度まで挿入することと、
前記細胞試料採取構造体が前記子宮内にある状態で前記同軸構造体の前記遠位端部を前記第1状態に延伸させることと、
前記子宮内の細胞を取り去るように前記変位可能構造体の前記第1端部を操作することと、
前記細胞試料採取構造体の周囲の液体試料を前記挿管の前記遠位端内に引き込むように真空を生じさせるために、前記子宮内で前記同軸構造体を前記第2状態に後退させることと、
前記第2状態で前記同軸構造体の前記遠位端部を前記頸部から後退させることと、を更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞試料採取構造体が、前記変位可能構造体から半径方向に延伸する複数のブラシ毛を有し、かつ連続気泡フォーム層によって覆われた無外傷球状部で終端するブラシを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞試料採取構造体が、ブラシ毛が延伸するスパイラル状のねじり可撓性ワイヤを含み、前記方法が、前記ガイドワイヤをねじって、それによって前記細胞試料採取構造体を回転させることを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
可撓性同軸生検装置であって、
管状挿管内に変位可能ワイヤを有する前記管状挿管の外部に対して内部真空を維持するように構成された壁を有する管状挿管と、
多孔質吸収構造で遠位に終端された細胞試料採取装置であって、前記細胞試料採取装置及び前記多孔質吸収構造の各々が、組織の表面を破壊するように構成されており、要素の遠位の前記変位可能構造に取り付けられ、前記変位可能要素が第1状態に配設されると前記管状挿管の遠位端から突出し、前記変位可能要素が第2状態に配設されると前記管状挿管の前記遠位端内に収容されるように構成されている、細胞試料採取装置と、を含む、可撓性同軸生検装置。
【請求項48】
前記頸部への前記管状挿管の挿入の深度を制限するように構成された、前記管状挿管の外面上のフランジ状要素を更に備える、請求項47に記載の可撓性同軸生検装置。
【請求項49】
前記細胞試料採取装置が、前記変位可能ワイヤから外側に延伸し、かつフォーム層を含む前記多孔質吸収構造によって覆われた無外傷球状部で前記遠位端が終端する複数のブラシ毛を含む、請求項47に記載の可撓性同軸生検装置。
【請求項50】
前記子宮内部から子宮内膜生検試料を取り出すために人間の子宮の内頸管口内に所定の深度まで挿入し、前記子宮内膜生検試料が得られた後に前記子宮の外頸管口から引き出されるように構成されている、請求項47に記載の可撓性同軸生検装置。
【請求項51】
前記変位可能ワイヤが前記管状挿管内に引き込まれると前記管状挿管内に負圧を生じさせる要素を更に含む、請求項47に記載の可撓性同軸生検装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮の生体検査を行うためのシステム及び方法を提供する。より具体的には、本発明は、子宮内膜を破壊し、子宮内膜から細胞を試料採取し、同時に、掻爬ブラシ、吸引器、及び吸収性構造によって試料を採取する装置である。
【背景技術】
【0002】
本技術は、米国特許第9,351,712号、第8,920,336号、第8,517,956号、第8,348,856号、及び第20180161021号に対する改善を表す。これらの特許は、Cook Medical Tao Brush(商標)I.U.M.C.Endometrial Sampler、及びPipelle子宮内膜生検装置(Sierecki AR,Gudipudi DK,Montemarano N,Del Priore G.,「Comparison of endometrial aspiration biopsy techniques:specimen adequacy」 J Reprod Med.53(10):760-4,2008 Octを参照のこと)に対する改善を表す。図3及び図4に示すように、Tao Brush(商標)は、ブラシが子宮の基底部に達したときの外傷を低減するために先端にヘッドを有する。図4は、挿管から延伸されたブラシを示し、図2は、後退させられたブラシを示す。ガイドワイヤ上に、ブラシに近接して、ワイヤを心合わせするために設けられた内側スリーブがあるが、これは締まり嵌めをもたらさず、ガイドワイヤを後退させたときに真空引きしない。Tao Brush(商標)によって採取される試料は、ブラシ毛によって子宮内膜から掃き取り又は掻爬された細胞を表す。
【0003】
頸部組織のための試料採取装置は、米国特許出願公開第20160331357号及び第20020161313号に開示されている。頸部試料採取は、頸部及び頸部口がよりアクセスしやすく、子宮内膜組織の適切な試料を得るために、頸部を通過する際に生検装置を保護しなければならないという点で、子宮内膜試料採取とは異なる。更に、子宮内膜生検装置の直径は、頸部口によって制約される。
【0004】
図20A図20C及び図7は、Tao Brush(商標)の使用法を示す。製造業者(Cook Medical)は、以下の使用説明を提供している。
1.8mlのCytoRich(登録商標)Brush Cytology Preservative(AutoCyte,Inc.,米国ノースカロライナ州エルロン大学)を入れたねじキャップ付き試験管を、処置場所における試験管立てに配置する。
2.患者を砕石位にする。
3.ブラシ試料採取器を外側挿管内に完全に後退させる。
4.装置を基底部のレベルまで徐々に挿入する。(図20A
5.外側挿管を取っ手まで完全に引き戻す。ブラシ試料採取器を十分に回転させる。(図20B
6.子宮内膜試料を原位置で捕捉するために、外側挿管をブラシ上で先端まで押し、装置を取り出す。(図20C)。通常の子宮内膜腔は収縮状態にあり、従って、ブラシは子宮内膜表面全体と直接接触することになる。
7.装置を直ちに8mlのCytoRich(登録商標)Brush Cytology Preservative内に浸漬する。(図7
8.挿管を後退させてブラシを保存液にさらす。
9.挿管をしっかりと保持し、ブラシを挿管に出し入れして、付着した細胞及び組織を洗い出す。収集物は保存液中で最大数週間まで概ね安定である。
10.ブラシアセンブリを試験管から取り出し、ねじキャップを元に戻し、試験管を処理のために検査所に提出する。
【0005】
生検試料を得るための2つの代替方法が推奨されている。
1)ブラシ試料採取器を、取っ手上の基準マークが360°回転の完了を示すまで時計回りに回転させ、次に、取っ手上の基準マークが360°回転の完了を示すまで反時計回り(反対方向)に回転させる。
2)ブラシ試料採取器を、一方向にのみ4回又は5回、360°完全に回転させることによって回転させる。注:取っ手上の基準マークが360°回転の完了を示す。
【0006】
汚染されていない子宮内膜培養物を得るために、
1.無菌の潤滑剤なしの膣鏡の挿入後、綿棒によりポビドンヨード溶液で子宮頸膣部及び子宮頸管を消毒する。注:ポビドンによる子宮頸膣部の十分な消毒を確実にするために、綿棒を子宮頸管内に約1.5cm挿入する。
2.この使用説明の前項のステップ3からステップ6に従って子宮内膜腔にブラシを挿入する。取っ手上の基準マークが360°回転の完了を示す。
3.試料採取器を取り出す。
4.ブラシの丸い先端を95%アルコールガーゼで拭う。
5.挿管を引き戻す。無菌スライドガラス上に直接塗抹を引くことによって形態評価(必要な場合)の準備をし、直ちにスプレー凝固する。
6.培養検査のために、ブラシを無菌Stuarts Transportation Medium中に入れ、5秒間攪拌する。
【0007】
図8A(試料採取前)及び図8B(試料採取後)は、Pipelle生検器具を示し、これは、試料を挿管内に吸引するが、露出したブラシを有さない。
【0008】
図9及び図10A図10Cは、米国特許第9,351,712号、第8,920,336号、第8,517,956号、及び第8,348,856号による設計を示し、これらは、掻爬組織試料採取生検に加えて吸引生検を実装することによってTao Brush(商標)設計を改善する。これは、ワイヤ2の引き出しにより、ブラシを挿管1内に引き込むと子宮から流体試料を引き込む、生検ブラシ3に近接して締まり嵌めプランジャ4を設けることによって実現される。図10Aは、子宮内への挿入中の初期状態のブラシを示す。図10Bは、挿管から延伸されたブラシを示す。図10Cは、生検試料が採取された後に挿管内に引き込まれたブラシを示す。しかし、Tao Brush(商標)設計及び米国特許第9,351,712号、第8,920,336号、第8,517,956号、及び第8,348,856号の設計によると、ブラシは、恣意的距離又は推定距離だけ、又は子宮基底部を押すブラシの先端によって抵抗を受けるまで挿入され、これは無用に組織損傷、場合によっては合併症を起こす危険がある。米国特許第9,351,712号、第8,920,336号、第8,517,956号、及び第8,348,856号は、ガイドワイヤを備えた細い円筒形の管と、ガイドワイヤの端部にある生検試料採取装置とを有し、Cook Medical(米国インディアナ州ブルーミントン)のTao Brush(商標)I.U.M.C.Endometrial Samplerに類似し、挿管内に配置され、ワイヤが挿管を通して引き出されると真空引きし、ガイドワイヤの周囲の流体を挿管内に吸い込むピストン状構造体となるように改変された、子宮内生検試料採取装置について論じている。知られているPipelle子宮内膜吸引キュレットなどの真空生検試料採集装置は、真空を生じさせ、類似の原理によってその真空を挿管内に引き込むが、遠位端にブラシ又は他の生検試料採集装置がない。
【0009】
この装置は、ほとんど、又はまったく不快感なしに子宮内膜腔内に容易に通ることができる、直径1mm~3mm、長さ30cm~40cmの同軸「ストロー」1である。この装置は、柔軟性があるが、頸部を通過するのに十分な力を加えるのに十分な剛性を有する。不透性の管である外側挿管の中央において、より薄い内側挿入部2を管3の端部を越えて子宮内に延伸させることができる。生検ブラシから近接した位置に吸引要素4があり、この吸引要素4は、ガイドワイヤが引き出されると液体を挿管内に引き込む。内部オブチュレータが子宮を破壊して子宮の生検試料を解き放し、収集する。組織試料採取装置は、対向する近位端と遠位端とを備えた、スパイラル状のねじり可撓性ワイヤを含む。また、ブラシ全体を硬くすることなく追加的な剛性をもたせるために、ワイヤのかなりの部分を覆うプラスチック管も含む。
【0010】
ワイヤの遠位端部に沿って、組織試料を収集するために使用されたブラシ毛を含むブラシがある。ブラシ毛は、スパイラル状のねじりワイヤ内の遠位端付近に固定され、ワイヤの遠位端に向かうほどより太く先細になっている。装置の遠位端からブラシ毛が先細にされていることにより、子宮内膜腔の形状のために子宮内膜のより大域的な組織収集が可能になる。ねじりワイヤの最遠位端上には無外傷球状部がある。プラスチック管とねじりワイヤとは、ねじりワイヤよりも長さが短い挿管内に収容され、それによって、挿管をプラスチック管に沿ってねじりワイヤの遠位端の無外傷球状部まで移動させることによって、挿入時及び組織収集後の取り出し時にブラシを覆うことができるようになっている。
【0011】
挿入中にブラシを保護するために、挿入前に挿管をねじりワイヤの遠位端の上方の所定位置に移動させることができる。挿入中にブラシを覆わせることによって、患者にとっての快適性も増し、意図しない領域から組織を収集しないようにブラシを保護する。装置が適切な収集深度まで挿入された後、挿管がねじりワイヤの緊端に向かって戻され、ブラシを露出させ、組織試料の収集を可能にする。挿管は、ブラシを完全に露出させるように動かされても良く、又はブラシの各部分を露出させるように段階的に動かされてもよい。これにより、医師は患者の解剖学的構造に基づいてブラシの有効収集面積を調整することができる。
【0012】
ワイヤを覆うプラスチック管は、ブラシの遠位端からプラスチック管の近位端まで、子宮に挿入されたブラシの正確な長さを示すマークによって、プラスチック管に沿ってセンチメートル単位で目盛りが付けられている。これにより、臨床医はブラシが子宮内にどれだけ深く挿入されているかを知ることができる。挿管は、プラスチック管とほぼ同じ長さであり、挿入前にはブラシ毛を覆うように所定位置にある。挿管は、プラスチック管上の目盛りが挿管を通して見えるように、透明材料で形成されてもよい。挿入深度を測定することができることによって、収集された組織試料が正しい領域からのものである確実性が高められる。適正な領域から組織試料が収集された後、組織試料採取装置が挿入されたままの状態で、ブラシを取り出す前にブラシ毛を覆うように挿管をねじりワイヤの遠位端に沿って戻すことができる。これにより、取り出し中に挿管内でブラシ上の組織試料が保護されるようにすることができる。
【0013】
更に、可撓性管に沿った目盛りは、医師が露出しているブラシ毛の長さを測定することができるようにする。医師が挿管をその挿入位置から取っ手に向かって引くとき、挿管が引かれる距離が長いほど多くのブラシ毛が露出される。目盛り(定規)はこの測定の目視確認を可能にし、医師がブラシ毛を特定の長さのみ正確に露出させることができるようにする。この測定は、医師が組織の試料採取を行う位置をより良好に制御することができるようにし、事前の検査時に測定された、又は患者の履歴に基づいて推定された子宮の大きさなどの患者の特定のパラメータに基づいて、医師がブラシの長さを調整することができるようにする。ブラシ露出の制御により、試料採取精度及び患者の快適さが増す。
【0014】
内部オブチュレータが細い円筒状管内に引き戻されるのと同時に、装置は破壊された試料を外側管内に収集するために弱い吸引を生じさせる。次に、装置全体が子宮から引き出され、体外でこのプロセスを逆に行うことによって試料が収集される。
【0015】
2つ以上の生検方法を組み合わせて1つの装置に組み込むことにより、痛み、不快感、及び不便さ、例えば、十分かつ正確な検体を得るための再処置がなくなる。複数の試料収集方法、例えば物理的手段による破壊と吸引とを併用することによって、個々の方法のより穏やかな適用を可能にし、激しい破壊、例えばD&C及び強力な吸引を、例えば同時に適用される穏やかな破壊と穏やかな吸引に置き換えることができる。1つの装置における複数のより穏やかな方法の組み合わせは、どのような単独の方法よりも安全かつより効果的である。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、子宮内組織生検のための複数の試料採取モダリティを提供する。最初に、ブラシ又は組織表面の破壊的なモダリティがある。第2に、バルク流体及び懸濁された細胞材料試料採取モダリティがある。第3に、流体吸収モダリティがある。これらの特徴は、組み合わせ又はサブ組み合わせで提供されてもよい。
【0017】
本発明の好ましい実施形態は、ガイドワイヤを備えた細い円筒形の管と、端部にある生検試料採取装置を提供し、Cook Medical(米国インディアナ州ブルーミントン)のTao Brush(商標)I.U.M.C.Endometrial Samplerに類似し、生検試料採取装置の遠位先端が細胞材料を引き込む吸収構造を有するように改変されたものを提供する。更に、ガイドワイヤ上の生検試料採取装置の近位には、フランジ又はピストン構造があり、試料採取の終了時にガイドワイヤが引き出されると、管内を真空引きする。
【0018】
円筒管を囲むと、子宮の外口を越え、固定距離を超えて円筒管の挿入を制限する頸管ストップが設けられてもよい。頸管ストップは、深度を制御するために円筒管に沿って調整可能であってもよい。任意に、円筒管上の頸管ストップの移動は、範囲内で制限されて、最初の挿入時に頸部に配置され、次いで、円筒管が完全に挿入されると触覚フィードバックを提供してもよい。したがって、ユーザは、円筒管の端部からの生検試料採取装置の延伸と、円筒管の子宮内への挿入の深度の両方を制御することができる。この追加パラメータは、ブラシによって、特にフランジ又はピストンによって採取された試料が、円筒管中に引き込まれたときに円筒管の開口部がどこにあるかに依存するため、意味がある。米国特許第9,351,712号、第8,920,336号、第8,517,956号、及び第8,348,856号を参照のこと。
【0019】
例えば、頸管ストップは、減衰したが滑らかな軸方向の移動を提供するために、円筒形の管との摩擦嵌合を有してもよい。範囲の端部には、スライド移動を制限するために、近位及び遠位突起又はOリングが設けられてもよい。代替的には、円筒管に対する頸管ストップの滑らかさ又は摩擦係数は、特に遠位の場合に急激に変化することがある。実際、摩擦変動の逐次ゾーン(例えば、センチメートルごと)は、挿入深度のカウントを可能にするためにユーザに触覚/感覚フィードバックを提供するために設けられてもよい。頸管ストップが近位ストップに到達すると、それにより更なる挿入が制限されて、生検試料採取装置の端部で子宮を穿刺することを回避するのを助ける。
【0020】
試料採取のために、生検試料採取装置(例えば、ブラシ)は、円筒管の挿入深度を維持しながらガイドワイヤを後退させることによって円筒管内に引き込まれ、次いで、フランジ又はピストン構造の後退から真空引きすることによって、その位置で生検試料採取装置の周囲の流体を試料採取する。したがって、円筒管は、生検試料採取装置の周囲の流体が試料採取されることが望まれる所望の深度まで挿入されるべきである。頸部ストッパに拘束力が加えられない限り、円筒管が頸部から引き出されると、頸部ストッパはもはや頸部に接触しなくなる。
【0021】
生検試料採取装置は、円筒管に引き戻され、頸管口から引き出される前に、処置中に円筒管の端部を数センチメートル超えて延伸してもよい。
【0022】
遠位突起又はOリングは、頸管口内に挿入され、したがって、組織外傷を引き起こしてはならない。近位突起又はOリングは、頸管口内に挿入されず、より大きな頸部ストップの近位にあるままである。
【0023】
遠位突起又はOリングは、固定又は変位可能であってもよく、場合によっては、ユーザは、初期挿入深度を調整したいことがある。
【0024】
上記のように、生検試料採取装置の遠位先端は、子宮内膜から細胞流体試料を引き出すことができる多孔質吸収構造を含む。先端はまた、ガイドワイヤの端部をキャップし(それがそれほど遠くまで延伸する場合)、生検試料採取装置による子宮内膜の穿刺を防止する無外傷機能を含む。生体試料採取装置が操作されている間、多孔質吸収構造は、表面から細胞を剪断する掻爬品質を提供するために、好ましくはざらつきがあるか、又はテクスチャ加工されている。例えば、高分子フォーム球状部は、ガイドワイヤから延伸する一組のブラシ毛の遠位にあるガイドワイヤの端部上のキャップの上に形成されてもよく、ガイドワイヤは、フランジ又はピストン構造の遠位にある。この場合、フォーム球状部はキャップに接着され、多孔質吸収構造が挿入及び引き出し中に頸部から隔離されるように、円筒管内に引き込まれるようにサイズ調整及び構成されている。同様に、これは、多孔質吸収性構造を、引き出し中の試料の圧縮及び結果としての損失から保護する。
【0025】
装置によって得られた試料(複数可)は、遺伝物質分析、すなわち、それぞれ、DNA及びRNAのPCR又はRT-PCTに好ましくは好適である。汚染を回避するために、材料、特にフォーム又は他の吸収材料は、合成及び滅菌されていることが好ましい。
【0026】
装置は、子宮の内面(子宮内膜)から組織試料を収集することを意図したものである。装置は、カテーテルの遠位端にブラシを有する。ブラシは、表面の粘液及び細胞をブラシで拭くことによって、子宮内膜の試料を徐々に試料採取することを意図している。装置の近位端は、医師による扱いを容易にするための取っ手を有する。装置は、遠位端でブラシを覆ったり露出させたりするように、装置の長さに沿って(取っ手に対して相対的に)動かすことができる比較的硬い外側挿管を有する。
【0027】
装置は、好ましくは、外側挿管の遠位端の周囲にスカートストッパ、すなわち、頸管ストップを有する。スカートストッパは、好ましくは、円筒形挿管の周囲のハブから半径方向に延伸する環状フランジである。スカートストッパは、可撓性シリコーン又はポリウレタンゴムで形成され得る。
【0028】
スカートは、頸部に対して装置を位置付けることを意図している。頸管ストップは、所定の位置に固定されてもよく、すなわち、円筒管の端部が頸部上皮細胞を通って挿入されることを可能にするのに十分な量、又は外側挿管に沿って手動でスライド可能にされるのに十分な量、先端から変位していてもよい。一般に、頸管ストップは、スライド可能である場合、円筒管の外面に対して十分な摩擦係数を有し、頸管ストップが頸部に当接すると、ガイドワイヤ及び挿管の操作が意図せずに頸管ストップの位置を変えないように、意図的に位置を変えない限り、配置後に所定位置に軸方向に固定されたままであるべきである。
【0029】
挿管に沿った頸管ストップの定量的位置合わせを可能にするために、好ましくは一連の軸方向マークが設けられる。上記のように、ユーザに円筒管に対するガイドワイヤの回転の程度を示すマーキングも設けられてもよい。
【0030】
場合によっては、生体検査プロセスの一部が自動化されてもよい。例えば、1つ以上の電気モータが、ガイドワイヤの回転及び延伸を制御してもよい。例えば、コアレスDCモータ(例えば、タイプ0408、0412、又は612)モータは、例えば、減速ギア伝達を通してガイドワイヤの回転を駆動してもよく、一方、類似のモータは、挿管からの延長及び後退を制御するためにサーボとして動作してもよい。例えば、ウォームギア及びフォロア(ねじ及びナット)が使用されてもよい。制御は、ARM M0又はM4ベースのマイクロコントローラか、Arduino又は他のオペレーティングシステムを実行するか、又は直接マイクロコード化されていてもよい。有利には、プロセッサは、識別及び情報処理機能、並びに制御機能の両方を提供するために、RFID装置内に含まれ、例えば、NXP PN7462、NTAG203、NTA53321G0Fなどである。
【0031】
制御は、好ましくは再使用可能であり、一方、生検カテーテルは、好ましくは単回使用であり、分析のために病理検査室に輸送される。制御は、好ましくはオートクレーブ可能であるか、又はガス滅菌可能であるが、また、防水であってもよく、滅菌/消毒溶液に浸漬することによって滅菌及び/又は洗浄されてもよい。マイクロコントローラ及び電源は、例えば、Qi又は他の無線標準誘導結合を介して結合される、モータ/アクチュエータユニットに無線で結合されてもよい。以下で説明するように、電子アシストを使用して他の自動化された機能が可能であり、単一の生検装置の基本的な試料採取機能は、エレクトロニクスなしで熟練したユーザによって合理的に実行される。
【0032】
スカートストッパは、好ましくは、丸みのある縁を備え、所望の特性を提供し、かつユーザが過剰な圧力を掛けても意図しない外傷を回避するために十分な弾性を有する、ゴム、シリコーン、又はプラスチックなどのエラストマ製である。
【0033】
装置は、スカートが頸部に達してそれ以上は進めなくなるまで、ブラシが外側挿管によって覆われた状態で患者内部に前進させられるように意図されている。スカートが頸部に当たって停止した後、ガイドワイヤを挿管に対して相対的に動かすことによってブラシを挿管の端部を越えて前進させてブラシを子宮内部で露出させ、組織試料採取を可能にする。スカートは、頸部に押し付けられると挿管に力を提供する。
【0034】
装置はまた、カテーテルの主軸、すなわちガイドワイヤに固定されたOリング、フランジ又はピストンを有する。外側挿管、すなわち円筒管とOリング、フランジ又はピストンとは互いに封止を生じさせ、ガイドワイヤとブラシとが挿管内に引き込まれると組織試料を固定するためにカテーテルの遠位端に吸引(真空)を生じさせる。
【0035】
装置は、ブラシが外側挿管によって覆われた状態で患者から取り出される。挿管内へのガイドワイヤの引き込みを制限するためにストップが設けられてもよい。例えば、挿管内部の固定位置に取り付けられた環状又は円筒部材が、Oリング(又はフランジ若しくはピストン)と干渉し、それによって後退を制限してもよい。
【0036】
装置は好ましくは無菌であり、使い捨て専用とされる。有利には、ガイドワイヤ及び挿管は、分析のために輸送する必要がある材料を低減するために、はさみ(せん断)又はワイヤカッターで容易に切断されてもよい。切断点が設けられてもよく、残りの切断点よりも容易に断絶される。典型的には、ねじり又は編組ステンレススチールガイドワイヤは、切断が困難であるか、又はファインシザーに傷をつける。しかしながら、ワイヤの弱い部分は、弱い領域でワイヤを修正するか、又はインサートを提供するかのいずれかで設けられてもよい。
【0037】
バーコード又は2Dバーコードは、識別のために使用されてもよいが、書き込み可能なRFID装置は、可視であることなく(例えば、包まれているか、又は被覆されている)読み取り可能であること、使用中に容易に更新可能であること(書き込み可能なタグ)の利点を有し、視線の要件を回避し、(選択された集積回路に応じて)暗号認証及びアクセス制限を可能にする。場合によっては、アイデンティティと関連情報がブロックチェーン又は分散ブロックチェーンに記憶されてもよく、一方で集中アクセスの必要性を回避し、他方で単一障害点と暗黙の信頼を回避する。したがって、暗号ハンドシェイクを使用して、例えば、操作ハンドル又は頸管ストップに埋め込まれた、生検装置に関連付けられたRFID装置は、単なるインデックス番号であるか、又は特定の患者識別でプログラムされたものであり得る識別情報、並びに処置及び報告詳細などのアドホック又は構造化情報を記憶することができる。場合によっては、RFIDのための好ましい規格は、ISO 11784及びISO 11785に従ってもよく、これらは、ISO 14443よりも低い周波数で動作し、したがって、それに巻き付けられたコイルを有するフェライトアンテナを使用してもよく、円筒形状ファクタ及びハンドル内への配置、又はハンドル内への成形を容易にする。
【0038】
場合によっては、ハンドルをハンドルから断絶(切断)されて、分析のための検査室への輸送及び分析を容易にする。その場合、RFIDがハンドル内にある場合、関連付けられた試料から分離される。その場合、RFIDは、挿管上に設けられてもよい。RFID半導体装置は、典型的には2mm未満であり、可能性としては1mm未満であり、したがって、挿管上に取り付けられてもよい。しかしながら、RFIDアンテナは、一般に、領域の周りのコイルとして構成されている。この場合、アンテナは長く薄くてもよく、挿管の周りに巻き付けられてもよい。例えば、アンテナは、挿管に埋め込まれてもよく、又はその表面に付加的に印刷されてもよい。
【0039】
識別はまた、挿管上の線形バーコード、又はハンドル若しくは装置のハンドル端部に関連付けられたタグ上のQRコード(登録商標)であってもよい。これは、印刷又はレーザー刻印されてもよい。
【0040】
別の実施形態によれば、識別は、収集された試料、すなわち、ブラシ、スポンジ先端、及び挿管内に引き込まれた流体が生検後に配置される試料収集チャンバ(カップ)上に提供される。その場合、RFIDは、試料収集容器の内部、試料収集容器の外部、又は試料収集容器の壁若しくは上部に埋め込まれたモジュールであってもよい。試料収集容器は、内部にブラシを保持するためのポケットを有してもよい。試料収集容器は、保存剤及び/又は固定剤溶液で予め充填されてもよい。典型的には、生検装置の先端は、試料収集容器内に配置する前に断絶される。改ざんの証拠なしに病理検査室の外で再開するのを防止するために、ポケットは、先端の周りでしっかりと閉じれてもよい。代替的には、ポケットは、再度開くことが可能なフラップ閉鎖を有してもよい。
【0041】
スポンジ先端は流体吸収が制限されており、したがって、挿管内に引き込まれると、その流体ペイロードを排出するために絞られない。例えば、流体を吸収するときのスポンジの膨張は、0~30%であってもよい。例えば、吸収は、膨張ではなく、主に毛細血管作用によって行われてもよい。
【0042】
場合によっては、RFIDは、生体検査装置から分離可能であり、先端を用いて試料収集容器に(又は試料収集容器と併せて)手動で移送される。
【0043】
あるいは、RFID装置は、例えば、NFC(en.wikipedia.org/wiki/Near-field_communication)又はISO/IEC14443などの他の規格に従って、非接触RFクレジットカードと同様に役割を果たしてもよい。装置に情報を記憶する代わりに、装置は、暗号化ハンドシェイクに基づいて、装置の真正性の証明に基づいてアクセスであるレコードにリンクする、それ自体のための安全な認証を提供する。次いで、機密情報へのアクセスは、例えば、病理検査室にいる後続のユーザが検証された資格情報を有することを必要としてもよい。例えば、試料を採取する医師は、特定の検査室の患者レコードをプログラムしてもよい。あるいは、検査室は、その生検装置を医師に提供し、その後、秘密鍵又はPINを使用して電子的に記憶された情報を読み取り、使用することができる。
【0044】
生検装置は、書き込み可能なRFID装置を有してもよく、書き込まれた情報は、暗号化されてもよく、又は暗号学的に保護されてもよい。RFIDの必要性は接触の回避から生じ、生検検体の場合、バイオハザードや汚染に関連付けられてもよい。一方、RFIDは、衛生的又は密閉された筐体を破ることなくタグの読み取りと書き込みを可能にする。書き込み可能なRFID装置は、処置記録及び/又は患者記録の様々な関連部分を含んでもよいが、保存された情報が生体検査装置の分析及び報告に必要であるか、又は合理的に関連する情報に短縮されるべきであることを慎重に規定する。場合によっては、生体検査装置は、受信後に記憶され、例えば、法医学的証拠を含んでもよく、その場合、タグが、最初の試料採取の後に更新又は自動的に更新され得る、保管チェーン、記憶条件などを含むことが有利であってもよい。
【0045】
本発明の別の実施形態によると、1回で採取される複数の生検試料を取得し、分離することが可能な複数試料生検装置が提供される。この実施形態によると、生検器具が頸管口又は肛門などの解剖学的開口部に入れられる。有利には、前述の頸管ストップと類似した突起が開口部の外側部分に対する位置基準を与える。この突起は、設計の一部、又は所望の挿入深度基準機能を実現するために追加された要素であってもよい。
【0046】
複数試料生検装置は、有利には、電子マイクロコントローラで自動的に制御されてもよい。このケースでは、複数の試料構成要素の選択及び作動は、マイクロコントローラによって制御され、自動的であってもよい。同様に、場合によっては、生検試料採取は、自動制御から利益を得てもよい。例えば、処置中の異なる隔離された液体試料の収集は、制御された真空源及び試料隔離を伴ってもよい。試料は、電子的にラベル付けされ、電子タグ又はRFIDタグに基づいてアイデンティティが管理される。
【0047】
この複数試料の実施形態による生検装置は、例えば頸管内試料採取器、子宮内膜試料採取器、パンチ試料採取器、及び吸引付き子宮内膜試料採取器など、それぞれが同じか又は異なっていてもよい複数の生検試料採取器具を提供する。各器具は、器具試料採取ヘッドを挿管の端部を越えて延伸させ、挿管に対して相対的にねじり、挿管内で器具試料採取ヘッドを後退させるために、ガイドワイヤによって操作可能な、1.5mm~4mmの管などの挿管内部の装置として提供される。
【0048】
挿管に対して相対的な生検器具の前進の制御を行うことに加えて、各挿管は開口部に選択的に挿入され、生検器具が挿管内に後退させられた状態で器官内に前進し、生検器具が挿管内に後退させられた状態で器官から取り出されるように制御可能である。
【0049】
場合によっては、挿管自体が、生検器具を所望の領域に向けるように屈曲可能又は角度方向に誘導可能であってもよい。屈曲可能挿管は単軸であってもよく、すなわち、典型的には、挿管の壁に取り付けられたケーブル、ガイドワイヤ又はフィラメントなどの張力要素にかかる張力の結果としての挿管の端部の湾曲であってもよい。チタンニッケル合金などの形状記憶合金(SMA)は、熱制御アクチュエータとして使用されてもよい。温度は、制御電流で制御されたオーム加熱であってもよい。湾曲の角度と、器官に対する挿管の回転角度とを制御することによって、適度な制御範囲がもたらされる。SMA要素は、挿管の長さに沿った位置に選択的に設けられてもよく、シリアル制御ラインに沿った信号によって作動されてもよく、この信号は、挿管に埋め込まれたアドレス指定可能なシリアル受信機集積回路によって受信される。複数の受信機が設けられてもよく、複雑な動きの可能性を提供する。
【0050】
同様に、パンチ、又はスネア、又はカプセル化生検装置も張力によって制御することができ、これはワイヤ若しくはポリマーフィラメント又はSMAアクチュエータであってもよい。単一自由度(前進/後退)を有する単一ガイドワイヤの場合が最も簡略な事例であるが、追加の制御及び自由度が設けられてもよい。
【0051】
場合によっては、例えば短管内において、又は開口部に対する器官の末梢部において、「ブラインド」試料採取を行うことができる。
【0052】
また他の事例では、例えばより大きな器官の内腔内において、何らかの撮像ガイダンスが好ましい場合もある。従って、装置が内視鏡とともに使用されてよく、及び/又は、1mm~3mm内視鏡カメラなどの内視鏡カメラを含んでもよい。典型的には、このような装置は、照明と撮像の両方のために先端から撮像装置までの光ファイバに依存する。しかし、本技術の一実施形態によると、撮像装置回路とレンズとが内視鏡の先端にあり、内視鏡は、生検試料採取装置の端部付近に配置されて生体検査処置の直接的かつリアルタイムの撮像を実現する。
【0053】
例えば、On Semiconductor社は、MT9V115 1/13”VGA、OV6922 1/18”1/4VGA撮像装置、及びOVM6946 1/18”400×400撮像装置など、様々な適合する装置を提供しており、これらの装置を、画像を、電気的相互接続を介して(又は無線で)データストリームとして送信する超小型モジュールの一部として含めてもよい。撮像装置は、典型的には、生検器具に面する視野を備え、1組のLED、又はLED照明ファイバがこの視野を照明する。カメラはすべての動作モード、すなわちすべての試料採取処置で必要というわけではないが、カメラを備える場合は、処置全体を通して開口部内に挿入されたままとすることができる。カメラは、挿管の端部付近にあってよく、処置の間、生検器具のそれぞれの挿管とともに器官内に前進させることができる。撮像機能及び/又はネットワーク通信を含む電子機器の制御は、Linux(登録商標)又はリアルタイムLinuxコントローラに基づいてもよく、例えば、Raspberry Pi 4、ESP32、又は他の既知のコントローラ若しくはマルチコアコントローラを含んでもよいし、これらのものと同様であってもよい。典型的には、医療装置は、装置の異常な動作から患者に害を及ぼすことがない限り、消費者グレード装置又はオペレーティングシステムを使用しない。生検装置の場合、害を及ぼす可能性があり、したがって、コード及び周辺装置認証を備えた安全なハードウェア及びソフトウェアが好ましい。
【0054】
有利には、撮像装置からの映像信号は、生検器具を制御するガイドワイヤを電力及び/又は信号搬送路として使用して搬送されてもよい。なお、動作電圧は典型的には低く、例えば、<3.3Vであり、したがって、漏電の場合に患者にとって危険な条件は存在しない。しかし、危険を更に低減し、信号品位を向上させるために、電力搬送部材を絶縁してもよい。例えば近傍の無線受信機への無線送信も備えることができ、それによって有線送信の必要をなくすことができる。その場合、装置は内蔵バッテリを有するか、ガイドワイヤを有利に含み得る導体を介して動作電力を受け取るか、誘導結合を通して電力を受信してもよい。好ましいガイドワイヤは多重撚り線であるため、撚り線が互いに絶縁されていれば、電力と接地、さらには信号も送信することができる。ガイドワイヤが非絶縁でなければならない説得力ある理由がないため、これによって既存の構造体の拡張された活用がわずかな追加コストと複雑化で可能になる。装置の先端は、LED照明を含んでもよい。実際、場合によっては、疑わしい組織を選択的に強調する蛍光色素が用いられてもよく、特に試料採取されるべき領域を明らかにするために、蛍光色素を発光させるためにUV LEDが使用されてもよい。場合によっては、色素は、UV活性化治療剤である。その場合、カテーテルの生検構成要素は任意である。
【0055】
複数の生検試料の実施形態による生検装置は、角度方向に変位した位置での様々な生検器具を備えたバレルカートリッジ、又は生検器具の線形又は方形アレイを提供する。特定の器具を選択的に作動させる1つの方法は、ユーザによって制御されるマニピュレータが複数の生検先端部のうちの1つに対する機能的制御、例えば挿管の延伸と後退、及びガイドワイヤの延伸、後退、回転を行う、単一の作動位置をバレルに設けることである。上述のように、別の作動フィラメントにかかる張力による挿管の屈曲のための機能も備えてもよい。バレル内の残りの生検器具はそれぞれの非配備位置に拘束、例えば所定位置に固定されたままとすることができる。したがって、アクチュエータの自由度の数は、任意の単一器具に加えて、器具選択によって必要とされる最大限に制限されてもよい。
【0056】
バレル又はアレイは単一器具の場合の最小挿管直径よりも寸法が大きいため、バレル又はアレイは器官開口部の外部に保持され、それぞれの生検器具の係合と係合解除とを行うための機構も器官開口部の外部にあり、この機構は、例えば所定の位置まで回転して1つの器具を解放する一方、他の器具を後退位置にロックしてもよい。このようにして、比較的大きいアレイ(円形又は空間アレイ)、例えば4mm~20mmのものに、2個~30個の生検器具が設けられてもよい。バレル又はアクチュエータ機構の端部は、器官、例えば、子宮内への挿管の挿入距離を制限するとともに明瞭な位置基準を示す頸部ストッパとしての役割を果たすので有利である。
【0057】
一実施形態によれば、装置内の各生検器具は分離しており(すなわち、個別の所定のガイドワイヤアクチュエータを有し)、制御切り替えがない。したがって、4つの配備可能な生検器具を有する生検装置の場合、カートリッジから延伸可能なそれぞれのガイドワイヤを有する4つの別々の挿管がある。これにより、医師は標準設計品又は特注設計品の中からそれぞれの処置のために適切な生検器具を選択することができる。作動器具が使用中の間、使用していない器具は器官の外部にとどまる。場合によっては、複数の器具を器官内に前進させることができ、例えば、その場合、内視鏡が利用可能な器具の1つとして備えられ、特定の生検器具又は単一の生検器具に連結されていない。
【0058】
一方、第2実施形態では、別々の生検器具各々に対して、例えば、挿管、ガイドワイヤ、及び屈曲ワイヤと機械的に別々に係合する機構が設けられ、単一の制御システムは、多重化された生検制御パス、及び追加の生検器具選択パスを含むカートリッジから延伸する。例えば、作動位置にあるそれぞれの生検器具と個別に係合するように、多方向クランプ、バヨネットソケット、クイックリリース、SMAアクチュエータ又は磁気機構が設けられてもよい。カートリッジは、典型的には丸く、処置中は開口部に中心があり、それによって非配備生検装置は使用されていないときにはカートリッジ内で中心から外れている。ロックアウト/クランプ制御機構の回転、及び心合わせなどにより作動位置に移動されると、それぞれの生検器具の制御機構も接続され、作動させられる。
【0059】
カメラがまた、作動生検器具に取り付けられ、それとともに前進してもよい。あるいは、カメラは生検器具に事前に挿入され、生検器具とは別に配置されてもよい。
【0060】
なお、1つ以上の器具は、単独で又は別の器具の一部としてのいずれかで、組織を露出させ、試料を採取するために表面を擦る弾性のある流体吸収のテクスチャ加工された表面を含んでもよい。一実施形態によれば、乾燥したときの吸収構造はざらつきがあり、水和されるにつれて、それはより柔軟になる。吸収要素は、子宮内液体に短時間露出した後に溶解される塩又はポリマーで含浸されてもよい。
【0061】
場合によっては、例えば機械式制御機構をラッチし、挿管を所望の挿入深度まで延伸し、ブラシを回転させるとともに、挿管を後退及び/又は生検ブラシを挿管内に後退させるために、電気又は電子機構がカートリッジに設けられてもよい。典型的には、生検ブラシの延伸及び軸方向操作はユーザにより制御され、自動ではないが、完全に自動化された生体検査も可能である。
【0062】
各生検器具が、移動を所定の範囲内に制御し、制限するための機械的リミッタを有することが好ましく、その場合、所定の範囲は、それぞれの用途の意図された使用法に応じて様々な生検器具ごとに異なっていてもよい。これにより、ユーザエラーともたらされる患者への害を回避し、使用可能な検体を確実に取得することも助ける。軸方向の制御限界が挿入開口部の周囲の外面とバレルの端部とを基準にしており、開口部内に滑り込まずにこの位置基準を維持するためにバレルの周囲のリング又は突起が使用されるので有利である。
【0063】
例えば、頸管内ブラシは典型的には開口部を0cm~2cm越えて挿管を延伸させ、子宮内膜ブラシは典型的には頸管を2cm~10cm越えて子宮内に挿管を延伸させ、ブラシ生検器具は挿管の端部を1cm~3cm越えて延伸する。頸管内ブラシ及び子宮内膜ブラシは、吸引を備えても備えなくてもよく、吸引はブラシを制御するガイドワイヤが挿管内に引き込まれるとプランジャの機械的動作により実現されるか、又は挿管を通してカートリッジ又はその先からもたらされる真空によって実現されてもよい。
【0064】
別の実施形態によれば、ブラシの直接近位及び頸管ストップの遠位にある挿管内のプランジャ、Oリング又はピストンの代わりに、例えば、頸部に挿入されず、より大きな直径を有する、生検装置のより近位領域に試料採取真空を発生させることも可能である。これは、頸管ストップにあるか、又は頸管ストップの遠位にあってもよい。したがって、この広い断面領域でのガイドワイヤの変位によって挿管に引き込まれる体積は、ブラシ先端の体積を超え、より大きな体積試料、及び/又はより高い真空力を可能にする。水、生理食塩水又はシリコーン油などの流体は、空気圧連通の代わりに真空の油圧連通を可能にするために、挿管内でガイドワイヤの周囲に設けられてもよい。水、生理食塩水又は油は、装置に閉じ込められ、生検試料及び患者から隔離されてもよい。
【0065】
パンチャ又はカップ生検器具は、典型的にはビデオ撮像装置を使用した目視観察下で使用され、使用中にはユーザが装置を制御することが想定されているため、この状況では機械的に制約されることがより少ない。
【0066】
従って、本設計は、器官の異なる領域から、互いに分離された状態を維持して、1回に複数の生体組織を採取することを可能にする。患者の観点からは、試料採取処置が容易になされ、時間と経済的負担との組み合わせが一般には別々の生検器具を使用する場合よりも少なくなるので、これは有利である。また、複数の生体検査処置に使用される単一の撮像装置との併用性も効率的である。最後に、標準の取っ手から取り外すカートリッジの場合、カートリッジは、1人の患者からの試料を整理し、標識付け(識別)する効率的な方法を提供し、同じ患者及び同じ器官からの様々な試料の病理学検査を効率化する。最後に、各試料は開口部を基準にして正確に深度標識付けされるため、正確な深度基準を示さない従来の生検器具と比較して臨床的に重要な情報が得られる。なお、マイクロSDカードなどのメモリカードをカートリッジに付随させてもよく、メモリカードには自動的に記録され維持される各生検器具のビデオ及び/又は操作履歴情報が含まれ、手軽に病理学者に渡したり患者の記録の一部としたりすることができる。上述のように、接触装置を使用するときの汚染問題を回避するために、ISO14443RFID装置などの非接触電子識別及び/又は情報記憶及び/又は安全認証装置が用いられてもよい。あるいは、データベース又は分散データベース/ブロックチェーン内のレコードの読み取りを可能にするバーコードが用いられてもよい。
【0067】
可撓性同軸組織試料採取装置であって、壁及び壁の内部に中空空間を有する挿管と、中空空間内の変位可能ワイヤであって、変位可能ワイヤは、挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では挿管の遠位端から延伸し、第2状態では挿管の遠位端内に後退するように構成された第2端部と、を有する、変位可能ワイヤと、を備え、変位可能ワイヤの第2端部は、吸引要素、細胞試料採取構造体、及び多孔質吸収材料を含み、細胞試料採取構造体及び多孔質吸収材料は、第1状態では挿管の外側にあり、第2状態では挿管の内側にあり、吸引要素は、細胞試料採取構造体及び多孔質吸収材料の近位にあり、可撓性同軸構造体は、挿管の近位端における変位可能ワイヤの第1端部に対する張力が、第1状態から第2状態への変位可能ワイヤの後退をもたらして、挿管内への変位可能ワイヤの変位並びに吸引要素、細胞試料採取構造体、及び多孔質吸収材料の対応する近位変位を引き起し、挿管の外側の媒体を挿管の遠位端に吸引するように構成されており、多孔質吸収材料は、第2状態への遷移後に第1状態で得られた流体試料を保持するように構成されている、組織試料採取装置を提供することを目的とする。
【0068】
可撓性同軸組織試料採取装置であって、壁及び壁の内部に中空空間を有する挿管と、中空空間内の変位可能ワイヤであって、変位可能ワイヤは、挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では挿管の遠位端から延伸し、第2状態では挿管の遠位端内に後退するように構成された第2端部と、を有する、変位可能ワイヤと、を備え、変位可能ワイヤの第2端部は、細胞試料採取構造体、及び多孔質吸収材料を含み、細胞試料採取構造体及び多孔質吸収材料は、第1状態では挿管の外側にあり、第2状態では挿管の内側にあり、可撓性同軸構造体は、挿管の近位端における変位可能ワイヤの第1端部に対する張力が、第1状態から第2状態への変位可能ワイヤの後退をもたらして、挿管内への変位可能ワイヤ、細胞試料採取構造体、及び多孔質吸収材料の変位を引き起し、多孔質吸収材料は、第2状態への遷移後に第1状態で得られた流体試料を保持し、変位可能ワイヤの第2端部との接触から組織を保護するように構成されている、組織試料採取装置を提供することも目的とする。
【0069】
生検方法であって、壁及び壁の内部に中空空間を有する挿管と、中空空間内の変位可能ワイヤであって、変位可能ワイヤは、挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では挿管の遠位端から延伸し、第2状態では挿管の遠位端内に後退させられるように構成された第2端部と、を有する、変位可能ワイヤと、を含む可撓性同軸構造体を提供することであって、変位可能ワイヤの第2端部は、細胞試料採取構造体、及び多孔質吸収材料を含み、細胞試料採取構造体及び多孔質吸収材料は、第1状態では挿管の外側にあり、第2状態では挿管の内側にある、提供することと、可撓性同軸構造体が第2状態にある間に、挿管の遠位端を、頸部を通って、内頸管口を超えて、子宮内に挿入することと、変位可能ワイヤの第1端部を挿管内に押し込んで、可撓性同軸構造体に第1状態を想定させることと、変位可能ワイヤの先端による侵入から子宮内膜を保護しながら、細胞試料採取構造体を子宮内膜に擦り付け、多孔質吸収材料に流体を吸収させて、細胞試料を得るように変位可能ワイヤを操作することと、吸収された流体を多孔質吸収材料内に保持しながら、挿管の近位端における変位可能ワイヤの第1端部に張力を加えて、変位可能ワイヤを第1状態から第2状態に後退させ、結果として変位可能ワイヤ、細胞試料採取構造、及び多孔質吸収材料を挿管内に引き込むことと、頸部及び膣内の細胞によって細胞試料採取構造上に保持された生検試料の汚染を防止するために、挿管の遠位端を多孔質吸収材料でキャップすることと、を含む、生検方法を提供することを更に目的とする。
【0070】
細胞試料採取構造体は、変位可能ワイヤから半径方向に延伸する複数のブラシ毛を有し、かつ連続気泡フォーム層により覆われた無外傷球状部を含む多孔質吸収材料で終端するブラシを含み、
変位可能ワイヤとともに変位可能であり、かつ細胞試料採取構造及び多孔質吸収材料の近位の吸引要素を更に備え、吸引要素は、変位ワイヤが挿管内に引き込まれると、吸引要素の遠位の挿管内に負圧を生じさせるように構成されている。
【0071】
多孔質吸収材料は、変位可能ワイヤの第2端部をキャップし、変位可能ワイヤの先端による損傷から組織を保護してもよい。多孔質吸収材料は、変位可能ワイヤの第2端部の先端に形成されてもよい。第2状態での挿管内の多孔質吸収材料は、第1状態から第2状態への遷移中に得られた挿管内の生検試料を、患者からの遠位端の引き出し中の汚染から合わせて保護してもよい。多孔質吸収材料は、核酸分析のための生検試料を吸収するために適合されてもよい。多孔質吸収材料は、スポンジであってもよい。
【0072】
細胞試料採取構造体は、ブラシを含んでもよい。ブラシは、変位可能ワイヤから半径方向に延伸する複数のブラシ毛を含んでもよい。
【0073】
同軸構造体は、子宮内膜生検試料を取り出すために人間の子宮の内頸管口を通して挿入されるように構成されてもよく、挿管上の深度ストップのスライドによって、同軸構造体が第1状態に維持されている間に生検処置中に調整可能な深度を有する。
【0074】
同軸構造体は、子宮内膜生検試料を取り出すために人間の子宮の内頸管口内に所定の深度まで挿入され、子宮から引き出されるように構成されてもよい。同軸構造体は、変位可能構造体が第2状態にある状態で、頸管口内に所定の深度まで挿入され、細胞試料採取構造体が子宮内にある状態で、第1状態に延伸され、子宮内の細胞を取り去るために、ユーザによって変位可能構造体の第1端部の移動により操作され、挿管の遠位端内に細胞試料採取構造体の周囲の液体試料を引き込むように真空を生じさせるために、子宮内で第2状態に後退させられ、変位可能構造体が第2状態にある状態で頸管口から後退させられるように更に構成され得る。
【0075】
細胞試料採取構造体は、近位ガイドワイヤに溶接された、ブラシ毛が延伸するスパイラル状のねじりスチールワイヤを含んでもよい。
【0076】
第2端部に形成された多孔質吸収材料は、スパイラル状のねじりスチールワイヤを終端するキャップの上に設けられたウレタンフォームを含んでもよい。
【0077】
挿管は、0.15インチの外径と、20cm~50cmの長さとを有してもよい。
【0078】
組織試料採取装置は、スカートストッパの軸方向位置を越えて患者の子宮内に可撓性挿管の挿入を防止するように構成された、可撓性挿管の外面上に設けられたスライド可能なスカートストッパを更に備えてもよい。
【0079】
一実施形態は、少なくとも2つの可撓性同軸構造体であって、各々、それぞれの挿管、それぞれの変位可能ワイヤ、それぞれの吸引要素、それぞれの細胞試料採取構造体、及びそれぞれの多孔質吸収材料を有する、少なくとも2つの可撓性同軸構造体と、係合されるとユーザインターフェースから変位可能構造体に張力と圧迫とが伝えられて変位可能構造体を第1状態と第2状態との間で遷移させ、係合解除されるとユーザインターフェースから変位可能構造体に張力と圧迫とが伝えられないように、それぞれの可撓性構造体のそれぞれの変位可能ワイヤをユーザインターフェースに選択的に係合及び係合解除するように構成されているハウジングと、を提供する。
【0080】
組織試料採取装置は、例えば、軸方向及び回転方向に変位可能構造体を移動させるように構成された電気モータを更に備えてもよい。
【0081】
したがって、組織試料採取装置であって、内部真空を維持するように構成された遠位端部を少なくとも有する可撓性挿管と、挿管内の変位可能構造体と、を含んで、同軸構造体を形成し、変位可能構造体は、挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では挿管の遠位端から延伸し、第2状態では挿管の遠位端内に後退させられるように構成された第2端部と、を有し、変位可能構造体の第2端部は、近位の吸引要素によって先行される細胞試料採取構造体を有し、遠位先端に形成された遠位の多孔質吸収材料を有し、同軸構造体は、挿管の近位端における変位可能構造体の第1端部に対する張力が、変位可能構造体の第1状態から第2状態への後退をもたらして、挿管外部の媒体をピストンの遠位の挿管内に変位させる吸引を発生させるように構成されている、組織試料採取装置を提供することを目的とする。
【0082】
組織試料採取装置は、変位可能構造体とともに変位可能な要素を更に備えてもよく、その要素は、変位可能ワイヤが管状挿管内に引き込まれると、要素の遠位に管状挿管内に負圧を生じさせるように構成されている。
【0083】
細胞試料採取構造体は、ブラシを備え得る。
【0084】
ブラシは、変位可能構造体から半径方向に延伸する複数のブラシ毛を備え得る。ブラシは、らせん状断面輪郭を有し得る。
【0085】
同軸構造体は、子宮内膜生検試料を取り出すために人間の子宮の頸管口内に所定の深度まで挿入され、子宮の頸管口から引き出されるように構成されてもよい。
【0086】
同軸構造体は、変位可能構造体が第2状態にある状態で、頸管口内に所定の深度まで挿入され、細胞試料採取構造体が子宮内にある状態で、第1状態に延伸され、子宮内の細胞を取り去るために、ユーザによって変位可能構造体の第1端部の移動により操作され、挿管の遠位端内に細胞試料採取構造体の周囲の液体試料を引き込むように真空を生じさせるために、子宮内で第2状態に後退させられ、変位可能構造体が第2状態にある状態で頸管口から後退させられるように更に構成されてもよい。
【0087】
細胞試料採取構造体は、近位ガイドワイヤに溶接された、ブラシ毛が延伸するスパイラル状のねじりスチールワイヤを含んでもよい。遠位先端に形成された多孔質吸収材料は、スパイラル状のねじりスチールワイヤを終端するキャップの上に設けられたウレタンフォームを含んでもよい。
【0088】
挿管は、0.15インチの外径と、20cm~50cmの長さとを有してもよい。
【0089】
組織試料採取装置は、スカートストッパの軸方向位置を越えて患者の子宮内に可撓性挿管の挿入を防止するように構成された、可撓性挿管の外面上に設けられたスカートストッパを更に備えてもよい。スカートストッパが可撓性挿管の外面上のフランジ状要素を含んでもよく、可撓性挿管は、子宮内部から子宮内膜生検試料を取り出すために人間の子宮の頸管口内に所定の深度まで挿入され、子宮内膜生検試料が得られた後で子宮の頸管口から引き出されるように構成され、更に、変位可能ワイヤが第2状態にある状態で所定の深さまで頸管口に挿入され、細胞試料採取装置が子宮内にある状態で第1状態に延伸され、変位可能ワイヤの第1端部の移動によって子宮内膜細胞を取り去るように操作され、細胞試料採取装置の周囲の液体試料を管状挿管の遠位端内に引き込むように真空を引くために、子宮内で第2状態に後退させられ、変位可能ワイヤが第2状態にある状態で頸管口から後退させられるように構成される。
【0090】
組織試料採取装置は、それぞれが内部真空を維持するように構成された遠位端部を少なくとも有する複数の可撓性挿管と、1組の同軸構造体を形成する、各可撓性挿管内の変位可能構造体のそれぞれと、係合されるとユーザインターフェースから変位可能構造体に張力と圧迫とが伝えられて変位可能構造体を第1状態と第2状態との間で遷移させ、係合解除されるとユーザインターフェースから変位可能構造体に張力と圧迫とが伝えられないように、それぞれの変位可能構造体をユーザインターフェースに選択的に取り付けるように構成されたハウジングと、を更に備えてもよい。
【0091】
組織試料採取装置は、変位可能構造体を変位させるように構成された電気モータを更に備え得る。組織試料採取装置は、細胞試料採取構造体を回転させるように構成された電気モータを更に備え得る。
【0092】
複数の可撓性挿管と、同軸構造体を形成する、各挿管内の変位可能構造体であって、各変位可能構造体は、挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では挿管の遠位端から延伸し、第2状態では挿管の遠位端内に後退させられるように構成された第2端部と、を有し、変位可能構造体の第2端部は、多孔質吸収フォームで遠位が終端された細胞試料採取構造体を有する、変位可能構造体と、係合されるとユーザインターフェースから変位可能構造体に張力と圧迫とが伝えられて変位可能構造体を第1状態と第2状態との間で遷移させ、係合解除されるとユーザインターフェースから変位可能構造体に張力と圧迫とが伝えられないように、それぞれの変位可能構造体をユーザインターフェースに選択的に取り付けるように構成されているハウジングと、を備える複数の試料生検装置を提供することも目的とする。
【0093】
組織試料採取方法であって、内部真空を維持するように構成された遠位端部と、同軸構造体を形成する、挿管内の変位可能構造体と、を少なくとも有する可撓性挿管を含む同軸構造体であって、変位可能構造体が、挿管の近位端から延伸する第1端部と、第1状態では挿管の遠位端から延伸し、第2状態では挿管の遠位端内に後退させられるように構成された第2端部と、を有し、変位可能構造体の第2端部は、ピストンによって先行され、かつ多孔質吸収組織掻爬構造体によって終端される細胞試料採取構造体を有する、同軸構造体を設けることと、変位可能構造体を第1状態から第2状態に後退させて真空を発生させるように、挿管の近位端における変位可能構造体の第1端部に張力を加えることと、を含む、組織試料採取方法を提供することも目的とする。
【0094】
同軸構造体は、可撓性挿管の人間の頸部への挿入深度を制限するように構成された、可撓性挿管の周囲のスカートを更に備えてもよい。
【0095】
同軸構造体は、子宮内膜生検試料を取り出すために人間の子宮の頸管口内に、可撓性挿管の周囲のスカートの軸方向位置によって画定される所定の深度まで挿入され、子宮の頸管口から引き出されるように構成されてもよい。
【0096】
方法は、変位可能構造体が第2状態にある状態で、同軸構造体の遠位端部を子宮の頸管口内に所定の深度まで挿入することと、細胞試料採取構造体が子宮内にある状態で同軸構造体の遠位端部を第1状態に延伸させることと、子宮内の細胞を取り去るように変位可能構造体の第1端部を操作することと、細胞試料採取構造体の周囲の液体試料を挿管の遠位端内に引き込むように真空を生じさせるために、子宮内で同軸構造体を第2状態に後退させることと、変位可能構造体が第2状態にある状態で、同軸構造体の遠位端部を頸管口から後退させることと、を更に含んでもよい。
【0097】
細胞試料採取構造体は、変位可能構造体から半径方向に延伸する複数のブラシ毛を有し、かつ連続気泡フォーム層によって覆われた無外傷球状部で終端するブラシを含んでもよい。
【0098】
細胞試料採取構造体は、ブラシ毛が延伸するスパイラル状のねじり可撓性ワイヤを備えてもよく、細胞試料採取構造体を回転させるようにガイドワイヤをねじることを更に含んでもよい。
【0099】
可撓性同軸生検装置であって、管状挿管内に変位可能ワイヤを有する管状挿管の外部に対して内部真空を維持するように構成された壁を有する管状挿管と、多孔質吸収構造で遠位に終端された細胞試料採取装置であって、細胞試料採取装置及び多孔質吸収構造の各々は、組織の表面を破壊するように構成されており、要素の遠位の変位可能構造に取り付けられ、変位可能要素が第1状態に配設されると管状挿管の遠位端から突出し、変位可能要素が第2状態に配設されると管状挿管の遠位端内に収容されるように構成されている、細胞試料採取装置と、を含む、可撓性同軸生検装置を提供することを別の目的とする。
【0100】
可撓性同軸生検装置は、頸部への管状挿管の挿入の深度を制限するように構成された、管状挿管の外面上のフランジ状要素を更に備えてもよい。
【0101】
細胞試料採取装置は、変位可能ワイヤから外側に延伸し、かつフォーム層を含む多孔質吸収構造によって覆われた無外傷球状部で遠位端が終端する複数のブラシ毛を含んでもよい。
【0102】
可撓性同軸生検装置は、子宮内部から子宮内膜生検試料を取り出すために人間の子宮の頸管口内に所定の深度まで挿入し、子宮内膜生検試料が得られた後に子宮の頸管口から引き出されるように構成されてもよい。
【0103】
可撓性同軸生検装置は、変位可能ワイヤが管状挿管内に引き込まれると管状挿管内に負圧を生じさせる要素を更に備えてもよい。
【0104】
上述の生検ブラシは、肛門生検ブラシとしての使用のために改変することも可能であり、子宮内膜生検ブラシと肛門生検ブラシとを一緒にキットとして、任意により(単一ブラシ用の)保存溶液の小瓶とともに単独で、又はキットのための複数の保存液の小瓶とともに提供されてもよい。キットは、無菌パッケージであることが好ましく、パッケージは二重に包装されてもよく、生検ブラシと、保存液の小瓶と、任意により細胞学的試料採取のために許容可能な潤滑剤と、任意により使い捨ての無菌シート又はドレープとを収容する。
【0105】
肛門生検ブラシは、医師又は介護人と患者開口部との間の作業距離がより短いため、より短い点が子宮内生検ブラシとは異なる。子宮内用の場合、挿管は典型的には長さが20cm~25cmであり、長さ4cmのブラシを備え、ガイドワイヤが2cm露出し、それによりワイヤは長さ26cm~31cmとなり、ワイヤが結合される取っ手の端部を越え、挿管上の遠位端から約4cmの位置にスカートを備える。
【0106】
肛門生検ブラシ挿管は、典型的には長さが8cm~12cmであり、遠位端から約4cmの位置にスカートを備える。例えば、肛門生検ブラシは、遠位端から4cmの位置にスカートを備え、直腸内で挿管の端部を越えて最大6cmまで試料採取するための長さ14cm~18cmのガイドワイヤを有する、長さ8cmの挿管を有してもよい。吸収先端は、好ましくは、設けられる。
【0107】
従って、キットは、約20cmの挿管長を有する長い子宮内生検装置と、約8cmの挿管長を有する短い肛門生検装置と、細胞保存液の2つの小瓶と、水性の細胞学的に許容可能な潤滑剤(例えば、好ましくはカルボマーを含まないSurgilube(登録商標))のパケットと、無菌ドレープと、添付の標識説明書(必要に応じてパッケージに印字されていてもよい)とを含み得る。ブラシが後退位置にある状態で、挿管又はブラシの端部に潤滑剤が付かないように注意して、スカート又はフランジと先端部との間の挿管の外面に任意の潤滑剤を塗布する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1】後退状態及び延伸状態での円筒形スポンジキャップを備えた本発明による生検装置の第1実施形態を示す。
図2】後退状態及び延伸状態での円筒形スポンジキャップを備えた本発明による生検装置の第1実施形態を示す。
図3】挿管に対してそれぞれ後退状態及び延伸状態での先行技術のTao Brushを示す。
図4】挿管に対してそれぞれ後退状態及び延伸状態での先行技術のTao Brushを示す。
図5】後退状態及び延伸状態での丸いキャップを備えた本発明による生検装置の第2実施形態を示す。
図6】後退状態及び延伸状態での丸いキャップを備えた本発明による生検装置の第2実施形態を示す。
図7】ブラシ細胞学保存剤を含有する管への生検試料の移送を示す。
図8A】それぞれ延伸状態及び後退状態での先行技術のPipelle子宮内膜生検装置を示す。
図8B】それぞれ延伸状態及び後退状態での先行技術のPipelle子宮内膜生検装置を示す。
図9】米国特許第9,351,712号、第8,920,336号、第8,517,956号、及び第8,348,856号による、吸引を備えた先行技術の子宮内膜生検ブラシを示す。
図10】米国特許第9,351,712号、第8,920,336号、第8,517,956号、及び第8,348,856号による、吸引を備えた先行技術の子宮内膜生検ブラシを示す。
図10A】米国特許第9,351,712号、第8,920,336号、第8,517,956号、及び第8,348,856号による、吸引を備えた先行技術の子宮内膜生検ブラシを示す。
図10B】米国特許第9,351,712号、第8,920,336号、第8,517,956号、及び第8,348,856号による、吸引を備えた先行技術の子宮内膜生検ブラシを示す。
図10C】米国特許第9,351,712号、第8,920,336号、第8,517,956号、及び第8,348,856号による、吸引を備えた先行技術の子宮内膜生検ブラシを示す。
図11】無外傷球状部を覆うスポンジを備えた本発明によるガイドワイヤ及び生検ブラシを示す。
図12】本発明による、スカートストッパが備え付けられた細い挿管を示す。
図13】本発明による、手動動作取っ手と、スカートストッパと、挿管と、ガイドワイヤと、ブラシと、Oリングと、無外傷球状部を覆うスポンジと、を備えた完全な生検装置を示す。
図14】独立して制御可能な生検複数試料生検装置の構成を示し、4つの同様の生検試料採取器具を示す。
図15】独立して制御可能な生検複数試料生検装置の構成を示し、4つの異なる生検試料採取器具を示す。
図16】バレルカートリッジ内の単一生検試料採取器具の操作を可能にするセレクタの詳細を示す。
図17】本発明によるシャツストッパを示す。
図18】試料の吸収の概略図を有する、生検装置の遠位先端に吸収スポンジ材料を有する、プロトタイプ生検装置の側面斜視図を示す。
図19】生検ブラシを保持するためのポケットを備えた標本収集容器を示す。
図20A】先行技術の生検器具の子宮内への挿入を示す。
図20B】組織試料採取のための子宮内への先行技術の生検器具の操作を示す。
図20C】その後の子宮からの取り出しのための挿管への先行技術の試料採取ブラシの引き出しを示す。
図21A】断面における膣管/子宮の側面図を示す。
図21B】本発明による装置が膣管内に移動し、頸部に入り、スカートが頸部を子宮内部の挿管内に包まれたブラシと接触させるときに止まることを示す。
図21C】無外傷球状部及び遠位先端を覆う吸収スポンジを備えた、子宮の腔の内部の全長にわたって延伸するブラシを示す。
【発明を実施するための形態】
【0109】
実施例1:本発明の好ましい一実施形態は、外径約2.25mm、内径1.2mmの外側薄壁管を有し、長さが20cm~50cm、例えば22cmの子宮内生検装置からなる。この管は、例えばナイロン製の、透明で、曲げられるが自己支持型であるプラスチック管であってもよい。ガイドワイヤは、好ましくは、直径約0.1mm~0.2mmで、使用中にブラシの延伸及び後退のための力を伝達するのに十分な機械的特性を有するねじりステンレススチールワイヤである。ガイドワイヤの遠位端には、先端に無外傷球状部を備えた図8及び図11に示す生検ブラシがある。ブラシは、長さ約4cmで、延伸時には挿管の端部を約2cm越えて延伸する。Oリングは、好ましくは、挿管の端部を再係合する問題を回避するために、全移動範囲にわたって挿管内に留まる。例えば、Oリング(又はより一般的には、ワイヤに取り付けられたプランジャ)は、例えば、延伸時に挿管の端部から2mm~5mmの位置にある。
【0110】
外径約2.25mm、内径1.2mmの外側薄壁管を有し、長さが8cm~12cm、例えば8cmの肛門生検装置も提供されてもよい。この管は、例えばナイロン製の、透明で、曲げられるが自己支持型であるプラスチック管とすることができる。ガイドワイヤは、好ましくは、直径約0.1mm~0.2mmで、使用中にブラシの延伸及び後退のための力を伝達するのに十分な機械的特性を有するねじりステンレススチールワイヤである。ガイドワイヤの遠位端には、先端に無外傷球状部を有する図8及び図11に示す生検ブラシがある。肛門生検装置用のブラシは、長さが4cmであってもよく、ブラシが延伸されると挿管の端部から2mm~5mmの位置にOリング又はプランジャを備える。
【0111】
ワイヤは、医師又は生検装置操作者が、挿管の近位端を基準にしたブラシ挿入を推定することができるように、1cm刻みなど一定間隔で印が付けられている。
【0112】
子宮又は肛門に入る一端に、生検ブラシが形成されている。図10A図10Cに示すものと同様のガイドワイヤの周囲の締まり嵌めOリングが、ピストンの役割を果たし、オブチュレータが外側薄壁管を通って引き出されると吸引を生じる。
【0113】
別の実施形態では、Oリングは先端から約2.5cmの位置に配置されてよく、ブラシは先端から約1.5cm延伸し、両者の間に約1cmの裸ワイヤがある。
【0114】
図9図10及び図11に示すように、遠位端付近の薄壁管の外面の周囲にスカートストッパが設けられ、スカートストッパは固定位置にあってもよく、手動でスライド可能であってもよい。スカートは、直径が約1cmであり、ナイロン、ポリウレタン、シリコーン、ネオプレン、又はその他の医療上受容可能なプラスチック又はゴムからなってよい。典型的には、スカートは所定位置に固定され、挿管の所定位置に接着(例えば紫外線硬化メチルメタクリル接着剤)されるか又はモールド成形される。
【0115】
生検装置は以下のように使用される。(a)ブラシを外側挿管内に完全に後退させる。(b)スカートストッパが頸部の外口に達するまで、挿管を、膣を通して頸部に挿入する。ブラシの先端は基底部からずれていなければならない。(c)外側挿管を、止まるまで、すなわち取っ手に当接するまで後方に引く。次に、挿管を保持しながら取っ手を回すことによってブラシを回転させる。例えば、取っ手上の基準マークが360°の1回転の完了を示すまでブラシを時計回りに回転させ、次に、取っ手上の基準マークが-360°の1回転の終了を示すまで反時計回りに回転させてもよい。あるいは、4回又は5回、360°回転させることによって一方向にのみ回転ブラシを回転させてもよい。場合によっては、ブラシの位置を軸方向に変えてもよいが、試料採取が完了するまでブラシを挿管内に引き込んではならない。(d)ブラシによる試料採取後、挿管がストップ(例えば取っ手の縁)に当たるまで取っ手でガイドワイヤを引き、それによって先端の周囲の流体を挿管内に吸引し、次いで、挿管内にブラシを引き込む。(e)装置を膣から引き出した後、ブラシと、挿管に入った流体とをフォルマリンなどの細胞保存液中に浸漬し、ブラシを流体に浸漬された挿管に出し入れすることによって、試料をブラシから保存液中に洗い出す。
【0116】
本発明は、例えば、異常を診断するために、子宮の内部の試料採取を行うために使用することができる。これにより、癌を検出又は除去することができる。これにより、不妊症の原因を特定するために十分な組織試料を得ることができる。
【0117】
肛門ブラシも同様に採用される。そのような生検器具は、解剖学的により到達しやすいため、典型的には子宮頸管内ブラシ生検器具よりも短い挿管及びガイドワイヤを有する。例えば、挿管は長さが10cm~15cmであってよく、ブラシは挿管の端部を2cm~6cm越えて延伸してもよい。上述の子宮頸管ブラシ生検器具と同様に、好ましくは、挿入のための物理的基準距離を与えるために、挿管を越える肛門内への挿管の挿入を防止するスカートが設けられる。場合によっては、どの程度の挿入深度で試料を採取すべきかを医師が決定することができるように、挿管上でスカートの位置が変えられてもよい。この再調整は、スカートストッパに接して挿管の非強制的圧迫を加えることにより加えられるよりも多くの力を必要とし、その結果、使用中にはその位置が維持されるが、生検器具が体外にあるときにはスティクション力に打ち勝つことができるので、有利である。
【0118】
生検中に子宮表面を擦り、液体試料を吸収するために、粗い吸収先端を設けてもよい。
【0119】
実施例2:第2実施形態によると、1回に採取される複数の生検試料を取得し、分離することができる、複数試料生検装置が提供される。従って、これは複数の生検ブラシ又は器具と、器具をその中で延伸及び後退させる複数の挿管とを必要とする。
【0120】
上述のように、スカートストッパなどの挿入深度位置基準を設けてもよい。ただし、複数生検器具システムが、開口部の外部で維持される機構を有する場合、器具の直径を、追加の構造体なしにストッパの役割を果たすのに十分な大きさとしてもよい。
【0121】
1つの設計によると、挿管とガイドワイヤ制御機構とを含む各生検器具が分離している。1組の生検器具が1つの外側管ハウジング内にまとめられる。管は、単一の生検器具をハウジングの端部を越えて、生検組織を採集する開口部又は管部内に前進させることができるように、遠位端に円錐形内部輪郭を有する。場合によっては、生体検査の内視鏡ガイダンスが望まれることがあり、その場合、内視鏡と照明とを支持する第2挿管も前進させることができる。内視鏡挿管は、可視化のためにマグネシウムを射出してもよいが、マグネシウムは取り去った細胞を洗い流し、試料採取の位置的精度を低下させるため、ブラシ生検の場合、これは好ましくない。COなどの不活性ガスも、知られている方法で挿管を通して射出してもよい。1つ以上の器具は、子宮表面を擦り、生検中に液体試料を吸収するために、粗い吸収先端を有してもよい。
【0122】
例えば、6本の別々のブラシをハウジング内に備える生検ブラシを3mm管内に設けてもよい。引き込み過ぎを防止するために、ハウジング内の各挿管の近位端にストップが設けられてもよい。医師に挿入深度に関して知らせるために、各挿管上に印を付けてもよい。場合によっては、医師が開口部内の一連の深度において段階的試料採取をしたい場合があり、それぞれの挿管が、挿入深度を制限するストッパを有してもよく、深度に達したときに医師に触覚フィードバックを与えるので有利である。このストッパは、単純なOリング又はクランプであってよく、処置の前に医師が生検試料採取器具ごとに調整する。各試料採取器具のガイドワイヤも深度限界を有してもよい。当然ながら、生検器具が完全に挿管内に引き込まれた状態の後退位置が一方の極限に相当し、ガイドワイヤが挿管の端部を越えてどこまで遠くに延伸させられるかを制御するために、操作端にクランプ又はリミッタを設けてもよい。
【0123】
この第1設計では、各生検ブラシは、挿入リミッタと後退リミッタとが任意で追加され、かつ任意の吸収先端を備えた知られている種類のものであってよく、実際、複数生検試料採取セッションを配置するためのハウジング自体は、生検ブラシとは独立に設けられてもよい。なお、吸収構造は極端な先端にある必要はなく、実際には、場合によっては変位してもよい。一般に、大きいハウジング径は別個のスカートストッパを不要にするが、ハウジングがスカートストッパで終端してもよい。
【0124】
実施例3:複数試料生検装置の第2設計によると、単一のマニピュレータがハウジングから延伸し、それ自体が複数の生検器具を収容する。
【0125】
上述のように、スカートストッパなどの挿入深度位置基準を設けてもよい。ただし、複数生検器具システムが、開口部の外部で維持される機構を有する場合、器具の直径を、追加の構造体なしにストップの役割を果たすのに十分な大きさとしてもよい。
【0126】
したがって、選択的に係合可能な結合部が、単一のガイドワイヤと様々な器具との間に設けられる。結合部は、把持要素、取っ手、又は旋回機構などの医師操作インターフェースまで延伸するガイドワイヤを、各器具の個別ガイドワイヤに結合する。複数の器具は、ハウジングの役割を果たす回転バレル内に設けられるので有利である。各生検器具は、操作ガイドワイヤと係合されると、それぞれの挿管とともに挿入距離だけ前進させることができ、次に、生検ヘッドを、挿管を越えて前進させ、ねじるか又はその他の方法で操作して生検試料を得ることができる。その後、生検ヘッドが挿管内に引き戻され、次いで、覆われた生検ヘッドを備えたシースがカートリッジ内に引き戻され、バレルがひねられ、次いで、別の生検器具が係合してもよい。
【0127】
したがって、結合部は、挿管及びそれぞれの挿管内のガイドワイヤを別々に結合し、制御する、同軸結合部である。例えば、カートリッジ内で挿管の端部が、磁気透過可能なスチールリングで終端してもよい。このようにして、挿管の接続及び取り外しのために磁気結合部を使用することができる。また、典型的には電磁石、又は電磁石リリースを備えた永久磁石である、別の磁石によって、非作動生検器具を所定位置に保持してもよい。ガイドワイヤは、ばね荷重クランプによって外部操作ガイドワイヤに選択的に接続することができる。バレルを回転させるとばね荷重クランプが解放され、次の戻り止め位置に達すると、ばねクランプと位置合わせされた次の生検器具と再係合する。バレル内では、生検器具からのガイドワイヤがそれぞれの挿管の近位端を越えて延伸する。
【0128】
バレルは、典型的には少なくとも、患者内への挿管の所望の挿入深度と同じ長さである。従って、12cmの挿入深度を有することが望まれる場合、バレル機構は13cm~16cmの長さとすることができる。
【0129】
図14に示すように、カートリッジ内に複数の同様のブラシが設けられる。図15では、カートリッジ内に複数の異なるブラシが設けられる。カートリッジは、係合している生検器具のための出口を有する。各ブラシはそれ自体に附随する挿管を有し、挿管はどの器具が係合しているかに応じて独立して患者内に前進させることができる。ハウジングの近位端にある機構が、回転角度、それぞれの作動器具の挿管の器具前進制御機構へのラッチ、医師による操作のためのガイドワイヤ制御機構へのそれぞれの作動器具のガイドワイヤのクランプ、及び場合によっては挿管の偏向角度などのその他の制御により、バレル位置の選択を制御する。
【0130】
図16は、1つのガイドワイヤが医師によって自由に操作され、一方、他のガイドワイヤの操作のためのアクセスができないようにロックされるバレル内の機構の一部の端面図を示す。
【0131】
図14に、それぞれのブラシが挿管内に引き戻されると試料採取真空を引くように備えられた、各試料採取ブラシにすぐ近接して設けられた球状部を示す。
【0132】
図15では、1つの生検器具のみがこのような特徴を有する。生検試料採取器具は、例えば、頸管内試料採取器、子宮内膜試料採取器、パンチ試料採取器、及び吸引付き子宮内膜試料採取器であってもよい。
【0133】
場合によっては、挿管自体が、生検器具を所望の領域に向けるように屈曲可能又は角度方向に誘導可能であってもよい。屈曲可能挿管は、単軸であってもよく、すなわち、典型的には、図示されていない、挿管の壁に取り付けられたケーブル、ガイドワイヤ又はフィラメントなどの張力要素にかかる張力の結果としての挿管の端部の湾曲であってもよい。湾曲の角度と、器官に対する挿管の回転角度とを制御することによって、適度な制御範囲がもたらされる。同様に、パンチ、又はスネア、又はカプセル化生検装置も張力によって制御することができ、これはワイヤ又はポリマーフィラメントであってもよい。従って、単一自由度(前進/後退)を有する単一ガイドワイヤの場合が最も簡略な事例であり、追加の制御及び自由度を設けてもよい。なお、張力を変更するために、SMAアクチュエータも使用されてもよい。これらの器具のための制御機構は機構を介して選択的に係合させてもよく、又はユーザに個別に提供されてもよい。
【0134】
ハウジング内の様々な生検器具とともに使用することができるように、内視鏡撮像装置(図示せず)を、好ましくはハウジングの機構として設けてもよい。例えば、光ファイバ照明又は直接LED照明付き1mm~3mm内視鏡カメラ、例えばOn Semiconductor社のOVM6946 1/18”400×400撮像装置を設けてもよい。
【0135】
実施例4:図18は、生検装置の遠位先端に吸収スポンジ材料を有する、プロトタイプ生検装置の側面斜視図を示す。より長いフォーム先端はより多くの液体の吸収を可能にするが、同じ長さの装置のためにブラシがより短いことを要求する。フォームは、0.25インチの長さを有してもよい。吸収フォーム先端は、ガイドワイヤの端部にあるアクリルボールの上に位置付けられ、これは、フォームの長さにわたってブラシ毛を含まない。フォームは、フォームの近位端を圧縮するFEP熱収縮を使用し、熱収縮を除去する前にUV接着剤(Loctite 4011若しくは4306又はAA3979)を適用することによって、ブラシに取り付けられてもよい。
【0136】
挿管の外径は、0.150インチである。後退させられると、真空引きによる最大流体試料は、0.51mlであった。フォーム先端によって吸収された体積は、水の場合、0.03~0.05mlであり、5000cSt流体の場合、0.62~0.72mlであった。
【0137】
ブラシは、アクリルボールで終端された304SSコア上のストレートナチュラル6-12ナイロンフィラメントであってもよい。ブラシのねじりワイヤはブラシの近位のコアワイヤに溶接される。好ましい実施形態の寸法は、以下のようである。
全体の長さ:12インチ±0.125インチ、先端からブラシ毛までの距離:0.25インチ
コアワイヤ304SS、スプリングテンパー、直径:0.018インチ、ねじりワイヤ304SSの直径0.037インチ
ブラシの直径:0.118インチ±0.010インチ、ブラシの長さ:1.25インチ±0.125インチ
ブラシ毛 ストレートナチュラル6-12ナイロンフィラメント0.003インチ 単一ステム/単一スパイラル、コアワイヤから45°の角度付け
先端のアクリル球:0.055インチ±0.015インチの直径
ハンドルは、例えば、凹状輪郭でテクスチャ加工され、人間工学に基づいて形作られ、20% BaSOを有するTecoflex60Dであり、長さ約1.5インチ、直径0.313インチである。
【0138】
スカートは、ポリカーボネート(Calibre 2061)又はシリコーン、直径0.787インチ、長さ0.742インチ、角度30°及び60°のバイコニック交差輪郭、及び滑らかな縁を備える。
【0139】
Nusil Med-360シリコーン流体1000cPを使用して、挿管を潤滑し、真空引き機構を密封してもよい。真空引きするためのプランジャは、NuSil-4970シリコーンで形成された長さ0.118インチ、直径0.135インチのものであり、中央凹部を備えた各端部にシール面を有する。プランジャは、ブラシの近位にあるワイヤの周囲に圧縮嵌合している。
【0140】
フォーム先端は、例えば、プロトタイプでPuritan 1135 Purswab(登録商標)フォームの先端のアプリケータ(Puritan Medical Products Co.,Guilford,米国メイン州)から得られたウレタンフォームであるが、実際には、カスタムメイドである。
【0141】
装置は、医師のオフィスでの生検プロセス中に細胞収集を最大化するように設計されている。これは、スポンジによって作成された内蔵の吸引プロセスと吸収と、ブラシを使用した全体的な子宮内膜の破壊を組み合わせる。一連のテストにより、最適なブラシを選択することが可能となった。それは競合他社(0.118インチ±0.010インチ及び1.25インチ±0.125インチの長さ)と比較して小さい直径を有し、満足のいく組織試料採取を提供しながら、処置中の不快感の低減を促進する。
【0142】
組織破壊が完了した後、スポンジ先端は追加の流体及び材料を吸収し、装置は更なる組織試料を装置挿管に吸引する真空を生じさせる。吸引のアイデアは、他の装置で使用される吸引とは異なる。吸引は子宮壁から直接組織を得るのではなく、むしろ前もってブラシによって子宮壁から擦り取られた組織を吸引し、よりよい患者体験を保証する。スポンジの先端は、子宮壁の穿刺を防止し、吸収により、追加の組織収集と液体の摂取を提供する。(例えば、ポリカーボネートで形成された)ガードは、処置中に頸部に載置され、装置の過度の挿入を防止する。
【0143】
処置は以下のようである。
1.処置:一般に図21Aに示すように、患者を砕石位にする。検鏡を徐々に挿入し、開いて子宮頸部を露出させる。図21Aは、断面における膣管/子宮の側面図を示す。患者の皮膚の外形並びに陰唇、膣、頸部、及び子宮のみが描写されている。骨盤と脚の位置は、患者が検査位置にあることを示唆する。
2.ブラシが外側挿管内に完全に後退させられていることを確認する。
3.頸部を介して装置の外側挿管を子宮内に徐々に挿入し、スカート(ガード)が頸部に接触すると止める。(図21B
4.先端の抵抗が基底部に達するまで、ハンドルを徐々に押してブラシを延伸する。(図21C
5.試料採取器を時計回りに回転させ、4~5回の360°回転を完了する。
6.先端上のスポンジは、穴を開けることから基底部を保護する。それは子宮からの液体と細胞の吸収によって追加の組織試料採取を生じさせる。
7.ハンドルを後ろに引く。挿管の内側に位置するプランジャによって生じる吸引は、細胞の吸引を提供し、ブラシからの試料の喪失を防止する。
8.直ちに試料を保存剤溶液に浸漬する。図7又は図19を参照のこと。
9.病理検査室の指示に従って、試料とブラシを取り扱う。
【0144】
図18は、生検ブラシの先端の詳細を示し、スポンジは、装置の先端に位置し、ブラシの遠位にあり、先端の緩衝及び子宮内膜からの細胞含有流体の試料採取のための体積を提供する。
【0145】
図19は、例えば、完全な生検装置から切断、又は断絶された後の生検ブラシを保持するためのポケットを備えた標本収集容器を示す。検体収集容器は、識別のために、RFID、バーコード、又は2Dバーコード(若しくはQRコード(登録商標))を有してもよい。場合によっては、RFIDは、生体検査ブラシ部分を備えた試料収集容器に完全な生体検査装置から移送される。ポケットは、不正開封防止されており、したがって、輸送チェーンを介して強化されたセキュリティ及び認証を提供してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図21C
【国際調査報告】