(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-06
(54)【発明の名称】オレフィン重合触媒を製造するための固体成分、その製造方法およびその利用
(51)【国際特許分類】
C08F 4/02 20060101AFI20231027BHJP
C08F 4/654 20060101ALI20231027BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20231027BHJP
C07F 3/02 20060101ALN20231027BHJP
【FI】
C08F4/02
C08F4/654
C08F10/00 510
C07F3/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525540
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 CN2021126397
(87)【国際公開番号】W WO2022089423
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】202011156589.6
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011157579.4
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011157613.8
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011157626.5
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李威莅
(72)【発明者】
【氏名】夏先知
(72)【発明者】
【氏名】周俊領
(72)【発明者】
【氏名】劉月祥
(72)【発明者】
【氏名】凌永泰
(72)【発明者】
【氏名】劉涛
(72)【発明者】
【氏名】趙瑾
(72)【発明者】
【氏名】高富堂
(72)【発明者】
【氏名】任春紅
(72)【発明者】
【氏名】譚揚
(72)【発明者】
【氏名】陳龍
【テーマコード(参考)】
4H048
4J015
4J128
【Fターム(参考)】
4H048AA03
4H048AB40
4H048VA12
4H048VA20
4H048VA30
4H048VB10
4J015EA00
4J128AA04
4J128AB04
4J128AC05
4J128AC07
4J128BA00A
4J128BA02B
4J128BB00A
4J128BB01B
4J128BC15B
4J128BC36B
4J128CA14A
4J128CA15A
4J128CA16A
4J128CB22A
4J128CB23A
4J128CB26A
4J128CB44A
4J128CB45A
4J128CB48A
4J128CB66A
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB03
4J128EB04
4J128EB05
4J128EB09
4J128EB10
4J128EC01
4J128FA01
4J128FA09
4J128GA05
4J128GA14
4J128GB01
(57)【要約】
本発明の開示は、オレフィン重合触媒を製造するための固体成分、その製造方法およびその利用に関する。前記固体成分は(i)下記式(1)で表されるマグネシウム化合物、(ii)ルイス塩基(LB)、および(iii)任意に、マグネシウム以外の金属成分を含み、ここで、LBは、一般式(II)で示される化合物、または、一般式(II′)で示されるアミド化合物である。本発明において製造される固体成分は良好な粒子形態を有し、当該固体成分を担体として使用することによって製造される触媒は、破砕されにくく、オレフィン重合、特にプロピレンの重合または共重合において、より良好な立体構造の配向性を有する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)下記式(1)で表されるマグネシウム化合物:
【化1】
式中、R
1はC
1~C
12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R
2およびR
3が同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはハロゲン化したC
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;Xはハロゲンであり;mは0.1~1.9であり;nは0.1~1.9であり;m+n=2である;と、
(ii)ルイス塩基(LB);と、
(iii)任意に、マグネシウム以外の他の金属成分、好ましくは前記他の金属成分は鉄および銅の一方または両方であり、好ましくは前記固体成分中における金属換算の前記他の金属成分の含有量は0~1重量%である;と、を含み、
ここで、前記ルイス塩基は、一般式(II)で表される化合物であり、
【化2】
式中、R
5およびR
7は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはヒドロキシル基置換されたC
1~C
8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、;R
6は、C
1~C
8の直鎖状または分岐鎖状アルキレンであるか、または、
前記ルイス塩基は一般式(II′)で表されるアミド化合物であり、
【化3】
式中、R
10は、水素、アミノ、または、C
1~C
8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、R
11およびR
12は、同一であるか、または異なっており、水素、または、C
1~C
8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである、ポリオレフィン触媒の担体。
【請求項2】
一般式(I)、(I′)または(I′′)で表される組成:
【化4】
前記式(I′)中、R
1は、C
1~C
12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R
2およびR
3は同一または異なっており、水素、または、非置換もしくはハロゲン化したC
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;XおよびYは独立して、ハロゲンを表し;mは0.1~1.9であり;nは0.1~1.9であり;m+n=2であり;0<i≦2;0<j≦2;0<k≦2;i+j+k=3であり;0<p≦0.1;および0<z<0.1であり;
前記式(I)中、R
1は、C
1~C
12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R
2およびR
3は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはハロゲン化したC
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;Xはハロゲンであり;mは0.1~1.9であり;nは0.1~1.9であり;m+n=2であり;0<z<0.5であり;
前記式(I′′)中、R
1はC
1~C
12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R
2およびR
3は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはハロゲン化したC
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;XおよびYは、独立して、ハロゲンを表し;mは0.1~1.9であり;nは0.1~1.9であり;m+n=2であり;0≦a<2、0<b≦2、a+b=2であり;0<q<0.1であり;および0≦z<0.1であり;
LBは一般式(II)で表される化合物であり、
【化5】
式中、R
5およびR
7は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはヒドロキシル基置換されたC
1~C
8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;R
6は、C
1~C
8の直鎖状または分岐鎖状アルキレンである;を含む、請求項1に記載のポリオレフィン触媒の担体。
【請求項3】
以下の特徴:
前記一般式(I)、前記一般式(I′)または前記一般式(I′′)において、R
1はC
1~C
8の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり、好ましくは、R
1はエチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、n-オクチルおよび2-エチルヘキシルからなる群から選択されること;と、
前記一般式(I)、前記一般式(I′)または前記一般式(I′′)において、R
2およびR
3はそれぞれ独立して、水素、C
1~C
3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、または、ハロゲン化したC
1~C
3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、好ましくはR
2およびR
3はそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、クロロメチル、クロロエチル、ブロモメチルまたはブロモエチルであること;と、
前記一般式(II)中、R
5およびR
7は、水素、または、C
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、R
6は、C
1~C
5の直鎖状または分岐鎖状アルキレンであること;と、
前記ハロゲンは、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択され、好ましくは塩素であること;と、
前記一般式(II)で表される前記化合物は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミンおよびN-メチルジエタノールアミンのうちの1種以上であること;と、の少なくとも1つを有する、請求項2に記載のポリオレフィン触媒の担体。
【請求項4】
前記担体が、10~100μm、好ましくは30~70μmの平均粒径、および1.2よりも小さく、好ましくは0.7~0.9の粒径分布を有することを特徴とする請求項2に記載のポリオレフィン触媒の担体。
【請求項5】
下記一般式(I′′′)で表される組成:
【化6】
式中、R
1はC
1~C
12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R
2およびR
3は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはハロゲン化したC
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;Xはハロゲンであり;mは0.1~1.9であり;nは0.1~1.9であり;m+n=2であり;0<z<0.5であり;LBが下記一般式(II)で表されるアミド化合物であり;
【化7】
式中、R
10は、水素、アミノ、またはC
1~C
8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;R
11およびR
12は、同一であるか、または異なっており、水素、または、C
1~C
8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである;を含む、請求項1に記載のポリオレフィン触媒の担体。
【請求項6】
以下の特徴:
R
1は、C
1~C
8の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり、好ましくは、R
1は、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、n-オクチルおよび2-エチルヘキシルからなる群から選択されること;と、
R
2およびR
3はそれぞれ独立して、水素、C
1~C
3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、または、ハロゲン化したC
1~C
3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、好ましくはR
2およびR
3はそれぞれ独立して、メチル、エチル、クロロメチル、クロロエチル、ブロモメチルおよびブロモエチルであること;と、
R
10は、水素、アミノ、または、C
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、R
11およびR
12は、水素、または、C
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであること;と、
前記ハロゲンは、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択され、好ましくは塩素であること;と、
前記アミド化合物は、ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミドおよびカルボンアミドのうちの1つ以上であること;と、
前記担体は球状であり、10~100μm、好ましくは30~70μmの平均粒径、および1.2よりも小さく、好ましくは0.7~0.9の粒径分布を有すること;と、の少なくとも1つを有している、請求項5に記載の担体。
【請求項7】
マグネシウム以外の他の金属成分をさらに含み、好ましくは前記他の金属成分は鉄および銅の一方または両方であり、好ましくは前記固体成分中の前記他の金属成分の含有量が0~1重量%である、請求項5に記載の担体。
【請求項8】
以下の工程:
(a)一般式MgX
2で表されるハロゲン化マグネシウムと、任意のハロゲン化金属と、一般式R
1OHで表されるアルコール化合物と、一般式(II)または(II′)で表される化合物とを反応させて、溶液を製造する工程,
【化8】
式中、Xはハロゲンであり;R
1はC
1~C
12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R
5およびR
7は、同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはヒドロキシル基置換されたC
1~C
8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;R
6は、C
1~C
8の直鎖状または分岐鎖状アルキレンであり;R
10は、水素、アミノ、または、C
1~C
8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;並びに、R
11およびR
12は同一であるか、または異なっており、水素、または、C
1~C
8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである;と、
(b)(a)の工程で製造した前記溶液をエポキシ化合物と反応させて、球状固体粒子を直接生成する工程;と、
(c)(b)の工程で製造した前記球状固体粒子を回収する工程;と、を含む、ポリオレフィン触媒用担体の製造方法。
【請求項9】
以下の工程:
(a)前記一般式MgX
2で表される前記ハロゲン化マグネシウムと、前記構造式FeY
2で表される任意のハロゲン化金属、または前記構造式CuYcで表される任意のハロゲン化金属と、前記一般式R
1OHで表されるアルコール化合物と、下記一般式(II)で表される化合物とを反応させて、溶液を製造する工程,
【化9】
式中、R
1はC
1~C
12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり、R
5およびR
7は、同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはヒドロキシル基置換されたC
1~C
8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;R
6はC
1~C
8の直鎖状または分岐鎖状アルキレンであり、XおよびYはハロゲンであり、C=1または2である;と、
(b)(a)の工程で製造した前記溶液をエポキシ化合物と反応させて、球状固体粒子を直接生成する工程、好ましくは、前記エポキシ化合物が下記一般式(III)で表され、
【化10】
式中、R
2およびR
3は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはハロゲン化したC
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルを表す;と、
(c)(b)の工程で製造された前記球状固体粒子を回収する工程;と、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
以下の特徴:
R
1はC
1~C
8の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり、好ましくは、R
1はC
1~C
6の直鎖状または分岐鎖状アルキルである;と、
R
5およびR
7は、水素、または、C
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、R
6はC
1~C
5の直鎖状または分岐鎖状アルキレンである;と、
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、または、ハロゲン化したC
1~C
3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである;と、
(a)の工程において、高分子分散安定剤が前記溶液の前記製造中に添加され、前記高分子分散安定剤の重量平均分子量は1000よりも大きく、好ましくは3000よりも大きい;と、
前記ハロゲン化マグネシウムは、二塩化マグネシウム、二臭化マグネシウムおよび二ヨウ化マグネシウムの1つ以上である;と、
前記金属ハロゲン化物は、塩化第一鉄、塩化第一鉄四水和物、臭化第一鉄、およびヨウ化第一鉄のうちの1つ以上であり、好ましくは塩化第一鉄およびその水和物である;と、
前記担体は、10~100μm、好ましくは30~70μmの平均粒径を有する;と、
前記担体は、1.2よりも小さく、好ましくは0.7~0.9の粒径分布を有する;と、
(a)の工程において、前記溶液の前記製造は、30~160℃、好ましくは40~120℃の温度で実施される;と、
前記R
1OH化合物の添加量は、マグネシウム1molに対して3~30mol、好ましくは4~25molである;と、
前記一般式(II)で表される前記化合物と、前記ハロゲン化マグネシウムとのmol比は、1:100~1:5、好ましくは1:50~1:5である;と、
前記金属ハロゲン化物の添加量は、マグネシウム1molに対して0.001~0.1mol、好ましくは0.003~0.08molである;と、
(b)の工程において、前記反応の温度は30~160℃、好ましくは40~120℃である;と、
(b)の工程において、前記オキシラン型化合物の添加量は、マグネシウム1molに対して、1~10mol、好ましくは2~6molである;と、の少なくとも1つを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
以下の工程:
(a)前記一般式MgX
2で表されるハロゲン化マグネシウムと、前記一般式R
1OHで表される前記アルコール化合物と、下記一般式(II′)で表される下記アミド化合物とを反応させて、溶液を製造する工程、
【化11】
式中、R
1はC
1~C
12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり、R
10は、水素、アミノ、または、C
1~C
8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、R
11およびR
12は同一であるか、または異なっており、水素、または、C
1~C
8の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり、Xはハロゲンである;と、
(b)(a)の工程で製造された前記溶液をエポキシ化合物と反応させて、球状固体粒子を直接生成する工程、好ましくは、前記エポキシ化合物が一般式(III)で表され、
【化12】
式中、R
2およびR
3は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはハロゲン化したC
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである;と、を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
以下の特徴:
R
1は、C
1~C
8の直鎖状または分岐鎖状アルキルであること;と、
R
10は、水素、アミノ、または、C
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、R
11およびR
12は、水素、または、C
1~C
5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであること;と、
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、または、ハロゲン化したC
1~C
3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであること;と、
(a)の工程において、還元性金属ハロゲン化物が前記溶液の前記製造中に添加され、好ましくは式MY
aを有する前記金属ハロゲン化物であり、式中、Yはハロゲンであり、Mは鉄および銅の1つ以上であり、aは1または2であり、より好ましくは、前記金属ハロゲン化物はCuClおよびFeCl
2からなる群から選択され、前記金属ハロゲン化物の添加量はマグネシウム1molに対して、0.001~0.1mol、好ましくは0.003~0.08molであること;と、
(a)の工程において、高分子分散安定剤が前記溶液の前記製造中に添加され、前記高分子分散安定剤の重量平均分子量は1000よりも大きく、好ましくは3000よりも大きいこと;と、
(a)の工程において、前記溶液の前記製造は、30~160℃、好ましくは40~120℃の温度で実施されること;と、
(a)の工程において、前記R
1OH化合物の添加量は、マグネシウム1molに対して、3~30mol、好ましくは4~25molであること;と、
前記一般式(II′)で表される前記化合物と、前記ハロゲン化マグネシウムとのmol比は、1:100~1:5、好ましくは1:50~1:5であること;と、
(b)の工程において、前記反応の温度は30~160℃、好ましくは40~120℃であること;と、
(b)の工程において、前記オキシラン型化合物の添加量は、マグネシウム1molに対して、1~10mol、好ましくは2~6molであること;と、
前記固体成分は球状であり、10~100μm、好ましくは30~70μmの平均粒径、および1.2よりも小さく、好ましくは0.7~0.9の粒径分布を有すること;と、の少なくとも1つを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか一項に記載の担体と、チタン化合物および内部電子供与体化合物との反応生成物を含む、オレフィン重合用触媒成分。
【請求項14】
請求項13に記載の触媒成分と、アルキルアルミニウム化合物と、任意に外部電子供与体化合物とを含む、オレフィン重合用触媒系。
【請求項15】
オレフィン重合のための方法であって、オレフィンの重合条件下、1種以上のオレフィンを、請求項14に記載の触媒系と接触させてポリオレフィンを生成することと、得られたポリオレフィンを回収することとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、中国特許出願番号の優先権および利益を主張する。CN202011156589.6、CN202011157579.4、CN202011157613.8およびCN202011157626.5(2020年10月26日出願)は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、ポリオレフィン触媒(担体としても知られる)を製造するための固体成分、その製造方法、およびポリオレフィン触媒の製造におけるその使用に関する。
【0003】
〔背景技術〕
オレフィン重合に使用される触媒の大部分は、活性無水塩化マグネシウム上にハロゲン化チタンを担持することによって製造される。このような方法では、無水α-MgCl2とアルコールとを反応させて付加物を形成させ、この付加物を担体としてハロゲン化チタンを担持させてオレフィン重合触媒の固形分を製造する。塩化マグネシウム-アルコール付加物は、噴霧乾燥、噴霧冷却、高圧押出、高速撹拌、乳化剤、超重力回転床などの方法によって製造することができる。例えば、US4421674、US4469648、WO8707620、WO9311166、US5100849、US6020279、US4399054、EP0395383、US6127304、US6323152、CN1463990、CN1580136などは、塩化マグネシウム-アルコール付加物の製造を開示している。
【0004】
さらに、塩化マグネシウム-アルコール付加物からなる二成分担体の製造系に少量の電子供与体化合物を添加すると、MgCl2・mEtOH・nLBの多成分担体の生成につながり、これにより、触媒の重合性能を向上させることができることが研究により示されている。例えば、特許CN101050245はフタレート化合物の添加を教示し、CN101544710はC,C-ジヒドロカルビルオキシ炭化水素化合物の添加を教示し、CN101550205はポリエーテル化合物の添加を教示し、CN101486776はポリエステル化合物の添加を教示し、CN101215344はo-アルコキシベンゾエート化合物の添加を教示し、CN102796127はアルコキシベンゾイル化合物またはヒドロキシベンゾイル化合物の添加を教示している。US2008/0293897は塩化マグネシウム-アルコール付加物担体の製造中に水以外のルイス塩基化合物を添加し、それによって最終的な触媒の重合活性を増加させることを教示している。ルイス塩基化合物は、エーテル、エステルおよびRXm(式中、Rは1~20個の炭素原子のアルキル基であり、Xは-NH2、-NHRまたは-OHの構造を有する)の構造式を有する化合物であり得る。
【0005】
活性塩化マグネシウム担体は、原料としてマグネシウムアルコキシドを使用することによっても製造することができる。CN1016422Bは、Z-N触媒の固体成分を製造する方法を開示している。Z-N触媒の固体成分は、遷移金属アルコキシドの存在下で水溶性ジアルキルマグネシウムを遷移金属ハロゲン化物と反応させ、次いで固体成分を液体炭化水素で沈殿させることによって製造される。ここで使用されるマグネシウムジアルコキシドにおけるアルコキシ基は、液体炭化水素に水溶性マグネシウムアルコキシド溶液を形成できるように、6~12個の炭素原子を含む線形アルコキシ基または5~12個の炭素原子を含む分岐鎖状アルコキシ基である。しかしながら、このようなマグネシウムアルコキシドを得ることは困難である。CN1177868Cは、オレフィン重合触媒前駆体の製造方法を開示している。オレフィン重合触媒の前駆体は、クリッピング剤の存在下でマグネシウムアルコキシドをチタンアルコキシドと反応させて固体複合体を形成することによって製造される。マグネシウムアルコキシドはマグネシウムジエトキシドであり、チタンアルコキシドはチタンテトラエトキシドである。CN101056894Aは、プロピレン重合のための触媒を開示している。当該触媒は、有機溶媒の存在下で、マグネシウムジアルコキシドを、ハロゲン化チタン化合物またはハロゲン化シラン化合物および内部電子供与体と反応させることによって製造される。マグネシウムジアルコキシドは一般式Mg(OR)2を有し、式中、RはC1~C6アルキル基であり、マグネシウム金属をアルコールと反応させることによって製造される。CN101190953Aは、一般式ClMg(OR)・n(ROH)のマグネシウム含有錯体を、不活性炭化水素の存在下で、電子供与体化合物および四ハロゲン化チタンとそれぞれ反応させることを含む、オレフィン重合触媒の固体成分の製造方法を開示する。マグネシウム含有錯体は金属マグネシウム粉末をアルコールと反応させることによって製造され、前記一般式中、RはC1~C5アルキル基であり、nは0.1~1.0である。
【0006】
特許出願CN200910235565は、オレフィン重合触媒担体として使用することができる化合物およびその製造方法を開示している。この方法はハロゲン化マグネシウム、アルコール化合物および不活性分散媒を加熱してハロゲン化マグネシウム-アルコール付加物溶液を形成し、次いでこの溶液をオキシラン型化合物と反応させて球状担体を形成することを含む。特許出願CN2013104913936は、上述の担体製造プロセスにおけるポリマー分散安定剤の添加が、不活性分散媒を添加することなく、良好な粒子形態および狭い粒径分布を有する固体粒子を得ることができ、それによって、シングルポット収率を改善し、溶媒回収コストを低減することができることを教示している。このことに基づいて、特許出願CN111072804A、CN111072811A、CN107915792A、CN107915793A、CN107915795A、CN109400763A、CN109400778A、およびCN11072803Aは、担体の粒子形態および重合特性を改善するために、上述の担体製造プロセスにおけるハロゲン化亜鉛、ハロゲン化クロム、ハロゲン化マンガン、ハロゲン化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物などの金属ハロゲン化物の添加を、相次いで開示している。
【0007】
良好な粒子形態などの望ましい特性を示すオレフィン重合触媒の製造に有用な固体成分/担体が、依然として必要とされている。
【0008】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、オレフィンの重合触媒、特にプロピレンの重合または共重合の触媒の製造のための担体として使用することができる固体成分であり、ポリオレフィン触媒の製造に有用な固体成分を提供することである。本発明に係る固体成分/担体は例えば、先行技術によって損なわれる担体粒子の凝集という問題なしに、良好な粒子形態を示す。さらに、オレフィンの重合、特にプロピレンの重合または共重合に使用される場合、担体として前記固体成分を用いて製造された触媒は、高い重合活性および立体特異性および/または良好な水素変調感度を示す。
【0009】
本発明のさらなる目的は、ポリオレフィン触媒の製造に有用な固体成分の製造方法を提供することである。本発明に係る方法は製造プロセスが単純であり、製造プロセスにおけるエネルギー消費が低い。
【0010】
本発明のさらなる目的は、ポリオレフィン触媒成分を提供することである。ポリオレフィン触媒成分は、本発明に係る担体/固体成分と、チタン化合物および内部電子供与体化合物との反応生成物を含む。
【0011】
本発明のさらなる目的は、ポリオレフィン触媒系を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、オレフィン重合方法を提供することにある。
【0013】
以下、本発明の他の特徴および利点について詳細に説明する。
【0014】
〔図面の簡単な説明〕
図1Aは、実施例1で製造した固体成分粒子の形態(倍率160倍)の光学顕微鏡写真である。
【0015】
図1Bは、実施例1で製造した固体成分粒子の形態(倍率400倍)の光学顕微鏡写真である。
【0016】
図2は、実施例4で製造した固体成分粒子の形態(倍率160倍)の光学顕微鏡写真である。
【0017】
図3Aは、比較例1で製造した固体成分の形態(倍率160倍)の光学顕微鏡写真である。
【0018】
図3Bは、比較例1で製造した固体成分の形態(倍率400倍)の光学顕微鏡写真である。
【0019】
図4は、実施例1で製造した固体触媒成分粒子の形態の光学顕微鏡写真である。
【0020】
図5は、比較例1で製造した触媒成分の形態の光学顕微鏡写真である。
【0021】
図6Aは、実施例14で製造した担体粒子の形態の160倍の倍率による光学顕微鏡写真である。
【0022】
図6Bは、実施例14で製造した担体粒子の電子顕微鏡写真である。
【0023】
図7は、実施例24で製造した触媒成分の形態の光学顕微鏡写真である。
【0024】
図8Aは、実施例27で製造した担体粒子の形態の160倍の倍率による光学顕微鏡写真である。
【0025】
図8Bは、実施例27で製造した担体粒子の形態の400倍の倍率による光学顕微鏡写真である。
【0026】
図8Cは、実施例27で製造した担体粒子の電子顕微鏡写真である。
【0027】
〔発明の概要〕
第1の態様において、本発明は、ポリオレフィン触媒の製造に有用な固体成分を提供し:
(i)下記式で表されるマグネシウム化合物:
【0028】
【0029】
式中、R1はC1~C12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R2およびR3は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはハロゲン化したC1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;Xはハロゲンであり;mは0.1~1.9であり;nが0.1~1.9であり;かつm+n=2である;と、
(ii)ルイス塩基(LB);と、
(iii)任意に、マグネシウム以外の他の金属成分、好ましくは他の金属成分が鉄および銅の一方または両方であり、好ましくは前記固体成分中の金属換算の前記他の金属成分の含有量が0~1重量%である;と、を含み、
ここで、前記ルイス塩基は一般式(II)で表される化合物であり、
【0030】
【0031】
式中、R5およびR7は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはヒドロキシル基置換されたC1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;R6は、C1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレンであるか、または、
前記ルイス塩基は一般式(II′)で表されるアミド化合物であり、
【0032】
【0033】
式中、R10は、水素、アミノ、または、C1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、R11およびR12は同じであるか、または異なっており、水素、または、C1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである。
【0034】
本開示において、用語「ポリオレフィン触媒の製造に有用な固体成分」および「ポリオレフィン触媒の製造に有用な担体(または単に「担体」)」は、互換的に使用される。
【0035】
いくつかの実施形態において、本発明に係る担体は、一般式(I)、一般式(I′)もしくは一般式(I′′)によって表される組成を含むか、または一般式(I)、一般式(I′)もしくは一般式(I′′)によって表される組成を有し:
【0036】
【0037】
式(I′)中、R1はC1~C12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R2およびR3は同一または異なっており、水素、または、非置換もしくはハロゲン化したC1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;XおよびYは独立してハロゲンを表し;mは0.1~1.9であり;nは0.1~1.9であり;m+n=2であり;0<i≦2;0<j≦2;0<k≦2;i+j+k=3;0<p≦0.1;および0<z<0.1であり;
前記式(I)中、R1はC1~C12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R2およびR3は同一であるか、または異なっており、水素、または非置換もしくはハロゲン化したC1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;Xはハロゲンであり;mは0.1~1.9であり;nは0.1~1.9であり;m+n=2であり;0<z<0.5であり;
式(I′′)中、R1はC1~C12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R2およびR3は同一であるか、または異なっており、水素または非置換もしくはハロゲン化したC1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;XおよびYは、独立して、ハロゲンを表し;mは0.1~1.9であり;nは0.1~1.9であり;m+n=2であり;0≦a<2、0<b≦2、a+b=2であり;0<q<0.1であり;および0≦z<0.1であり;
LBは一般式(II)で表される化合物であり、
【0038】
【0039】
式中、R5およびR7は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはヒドロキシル基置換されたC1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;R6は、C1~C8の直鎖状または分岐鎖状アルキレンである。
【0040】
当業者が理解できるように、上述の一般式(I)は、
【0041】
【0042】
で示されるマグネシウム化合物、およびLBからなる組成を所定のmol比で表す。同様に、一般式(I′)は、
【0043】
【0044】
およびLBからなる組成を所定のmol比で表す。同様に、一般式(I′′)は、
【0045】
【0046】
およびLBからなる組成を所定のmol比で表す。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明に係る担体は、一般式(I′′′)によって表される組成を含むか、または一般式(I′′′)によって表される組成を有し:
【0048】
【0049】
式中、R1はC1~C12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R2およびR3は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはハロゲン化したC1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;Xはハロゲンであり;mは0.1~1.9であり;nは0.1~1.9であり;m+n=2であり;0<z<0.5であり;LBは、一般式(II′)で表さるアミド化合物であり、
【0050】
【0051】
式中、R10は、水素、アミノ、または、C1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、R11およびR12は、同一または異なっており、水素、または、C1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである。
【0052】
当業者が理解できるように、上記一般式(I′′′)は、
【0053】
【0054】
で示されるマグネシウム化合物、およびLBからなる組成を所定のmol比で表す。
【0055】
本開示のいくつかの実施形態において、R1は、C1~C8の直鎖状または分岐鎖状アルキルである。好ましくは、R1がエチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、n-オクチルおよび2-エチルヘキシルからなる群から選択される。
【0056】
本開示のいくつかの実施形態において、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素、C1~C3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、またはハロゲン化されたC1~C3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである。好ましくは、R2およびR3はそれぞれ独立して、メチル、エチル、クロロメチル、クロロエチル、ブロモメチルまたはブロモエチルである。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態において、R5およびR7はC1~C5の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり、R6は、C1~C5の直鎖状または分岐鎖状アルキレンである。いくつかの実施形態では、R5およびR7は独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、tert-ブチルまたはイソブチルである。いくつかの実施形態において、R6は、メチレン、エチレンまたはプロピレンである。
【0058】
本開示のいくつかの実施形態において、本開示において有用な一般式(II)によって表される化合物は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミンおよびN-メチルジエタノールアミンからなる群から選択される1つ以上である。
【0059】
本開示のいくつかの実施形態において、R10は、水素、アミノ、またはC1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、R11およびR12は、水素、またはC1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである。
【0060】
本開示のいくつかの実施形態において、本開示において有用な一般式(II′)によって表されるアミド化合物は、ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミドおよびカルボンアミドからなる群から選択される1つ以上である。
【0061】
本出願の文脈において、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択され、好ましくは塩素である。
【0062】
本発明によれば、担体は、マグネシウム以外の他の金属成分、例えば遷移金属成分をさらに含むことができる。好ましくは、他の金属成分は、鉄および銅の一方または両方である。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態によれば、固体成分中の他の金属成分の含有量は、重量基準で、0~1%である。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態によれば、担体は球状である。本明細書で使用するとき、用語「球状」は担体が完全に球状の形態を有することを必要とせずに、担体が球のような粒子形態を有することを意味する。
【0065】
いくつかの実施形態では、担体が10~100μm、好ましくは30~70μmの平均粒径、および1.2よりも小さく、好ましくは0.7~0.9の粒径分布を有する。
【0066】
第2の態様において、本発明は、ポリオレフィン触媒のための担体を製造するための方法を提供し:
(a)一般式MgX2で表されるハロゲン化マグネシウムと、任意のハロゲン化金属と、一般式R1OHで表されるアルコール化合物と、一般式(II)または(II′)で表される化合物とを反応させて、溶液を製造する工程,
【0067】
【0068】
式中、Xはハロゲンであり;R1は、C1~C12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり;R5およびR7は同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはヒドロキシル基置換されたC1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;R6は、C1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレンであり;R10は、水素、アミノ、またはC1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;並びに、R11およびR12は同一であるか、または異なっており、水素、または、C1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである;と、
(b)(a)の工程で製造した溶液をエポキシ化合物と反応させて、球状固体粒子を直接生成する工程;と、
(c)(b)の工程で製造された球状固体粒子を回収する工程;と、を含んでいる。
【0069】
ここで、「球状固体粒子を直接生成する」という表現は、以下の意味を有する:
(1)固体粒子が化学反応によって沈殿する、すなわち、製造において、固体粒子が化学反応によって元の系から直接沈殿し、溶媒の気化、または系温度の変更(噴霧乾燥、系温度の低減など)などの他の手段を使用して、反応物から固体粒子を沈殿させる必要がなく;
(2)固体粒子の形状(典型的には球状)の獲得は、製造物中に良好な粒子形態を有する不活性担体物質(例えば、SiO2、金属酸化物など)を導入する必要なしに達成することができる。
【0070】
この態様のより具体的な態様では、方法は:
(a)一般式MgX2で表されるハロゲン化マグネシウム、構造式FeY2で表される任意のハロゲン化金属、または構造式CuYcで表される任意のハロゲン化金属、一般式R1OHで表されるアルコール化合物、および下記一般式(II)で表される化合物を反応させて、溶液を製造する工程,
【0071】
【0072】
式中、R1は、C1~C12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり、R5およびR7は、同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはヒドロキシル基置換されたC1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり;R6はC1~C8の直鎖状または分岐鎖状アルキレンであり、XおよびYはハロゲンであり、C=1または2であり、好ましくは1である;と、
(b)(a)の工程で製造された溶液をエポキシ化合物と反応させて、球状固体粒子を直接生成する工程;と、
(c)(b)の工程で製造された球状固体粒子を回収する工程;と、を含んでいる。
【0073】
この態様の別のより具体的な態様では、方法は:
(a)一般式MgX2で表されるハロゲン化マグネシウムと、前記一般式R1OHで表されるアルコール化合物と、下記一般式(II′)で表されるアミド化合物とを反応させて、溶液を製造する工程,
【0074】
【0075】
式中、R1はC1~C12の直鎖状または分岐鎖状アルキルであり、R10は、水素、アミノ、またはC1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、R11およびR12は、同一であるか、または異なっており、水素、またはC1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、Xはハロゲンである;と、
(b)(a)の工程で製造された溶液をエポキシ化合物と反応させて、固体粒子を直接生成する工程;と、
(c)(b)の工程で製造された固体粒子を回収する工程;と、を含んでいる。
【0076】
この態様のいくつかの実施形態において、R1は、C1~C8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、好ましくはC1~C6の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである。いくつかの具体的な実施形態によれば、R1は、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、n-オクチルおよび2-エチルヘキシルからなる群から選択される。本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、(a)の工程で使用されるR1OH化合物は、1種以上のアルコール化合物であってもよい。アルコールの具体例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノールを含む。
【0077】
この態様のいくつかの実施形態において、R5およびR7は、水素、または、C1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、R6は、C1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレンである。いくつかの実施形態では、R5およびR7が水素、または、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、tert-ブチル、イソブチルなどである。いくつかの実施形態において、R6は、メチレン、エチレン、プロピレンなどである。本発明のいくつかの実施形態によれば、一般式(II)で表される化合物は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミンおよびN-メチルジエタノールアミンからなる群から選択される1種以上である。
【0078】
この態様のいくつかの実施形態において、R10は、水素、アミノ、または、C1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルであり、R11およびR12は、水素、またはC1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである。本発明のいくつかの実施形態によれば、アミド化合物は、ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミドおよびカルボンアミドからなる群から選択される1つ以上である。
【0079】
この態様のいくつかの実施形態では、エポキシ化合物は、好ましくは一般式(III)で表され、
【0080】
【0081】
式中、R2およびR3は、同一であるか、または異なっており、水素、または、非置換もしくはハロゲン化されたC1~C5の直鎖状もしくは分岐鎖アルキルである。好ましくは、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素、C1~C3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、またはハロゲン化したC1~C3の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルである。好ましくは、R2およびR3は、それぞれ独立して、メチル、エチル、クロロメチル、クロロエチル、ブロモメチルまたはブロモエチルである。
【0082】
この態様のいくつかの実施形態では、(a)の工程において、高分子分散安定剤が溶液の製造中に添加され、その重量平均分子量は1000より大きく、好ましくは3000より大きい。
【0083】
この態様のいくつかの実施形態では、(a)の工程で使用される一般式MgX2のハロゲン化マグネシウムが二塩化マグネシウム、二臭化マグネシウム、および二ヨウ化マグネシウムのうちの1つ以上である。
【0084】
この態様のいくつかの実施形態において、金属ハロゲン化物、好ましくは還元性金属ハロゲン化物が、(a)の工程において添加され得る。例えば、金属ハロゲン化物は構造式MYaを有するものから選択され得、式中、Mは遷移金属であり、Yはハロゲンであり、aは1または2である。いくつかの特定の実施形態では、Mは銅であり、a=1である。他の特定の実施形態では、Mは鉄であり、a=2である。好ましい金属ハロゲン化物は、CuClおよびFeCl2である。
【0085】
この態様のいくつかの実施形態では、(a)の工程で任意に使用される金属ハロゲン化物は、塩化第一鉄、臭化第一鉄、ヨウ化第一鉄、およびそれらの水和物、例えば塩化第一鉄四水和物からなる群から選択される1つ以上であり、好ましくは塩化第一鉄およびその水和物である。
【0086】
この態様のいくつかの実施形態では、(a)の工程で任意に使用される金属ハロゲン化物は、ハロゲン化銅、好ましくはハロゲン化第一銅、最も好ましくは塩化第一銅である。ハロゲン化第一銅が上述の製造方法において使用される場合、ハロゲン化第一銅が、反応系において不溶性(またはわずかに可溶性)であることにより、(a)の工程において形成される混合物が懸濁液であることが見出された。驚くべきことに、最終的な担体粒子の粒度は、特定の範囲内で添加される金属ハロゲン化物の量によって著しく影響され得る。
【0087】
この態様のいくつかの実施形態では、製造された担体は、10~100μm、好ましくは30~70μmの平均粒径を有する。
【0088】
この態様のいくつかの実施形態では、製造された担体は、1.2よりも小さく、好ましくは0.7~0.9の粒径分布を有する。
【0089】
この態様のいくつかの実施形態では、(a)の工程における溶液の製造が30~160℃、好ましくは40~120℃の温度で実施される。本発明のいくつかの実施形態によれば、添加されるR1OH化合物の量は、マグネシウム1molに対して、3~30mol、好ましくは4~25molの範囲である。本発明のいくつかの実施形態によれば、ハロゲン化マグネシウムに対する一般式(II)または(II′)で表される化合物のmol比は、1:200~1:10、好ましくは1:200~1:2、例えば1:100~1:5、好ましくは1:50~1:50である。本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、(a)の工程は、密閉容器中で実施される。本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、(a)の工程において、溶液の製造中に原料を添加する順序は特定されない。
【0090】
この態様のいくつかの実施形態において、添加される金属ハロゲン化物の量は、マグネシウム1molに対して、0.001~0.1mol、好ましくは0.003~0.08molの範囲である。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態によれば、不活性分散媒は、(a)の工程における溶液の製造中に添加されてもよく、添加されなくてもよい。不活性分散媒は、液体脂肪族化合物、芳香族化合物または脂環式炭化水素およびシリコーン油の1つまたは混合物であり得る。不活性分散媒の添加量とR1OH化合物の添加量との比(体積比)は、0~5:1、好ましくは0~2:1である。
【0092】
本発明のいくつかの好適な実施形態によれば、(a)の工程で使用されるMgX2化合物の例としては、二塩化マグネシウム、二臭化マグネシウム、および二ヨウ化マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、二塩化マグネシウムが好ましい。MgX2化合物は、別々にまたは組み合わせて使用することができる。
【0093】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、(a)の工程において添加される個々の原材料中の微量の水は、反応に関与して溶液を製造することができる。
【0094】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、(b)の工程で使用されるエポキシ化合物の具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エポキシクロロブタン、エポキシブロモプロパン、エポキシブロモブタンなどが挙げられる。
【0095】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、(b)の工程における反応温度は、30~160℃、好ましくは40~120℃の範囲である。
【0096】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、(b)の工程において添加されるエチレンオキシド型化合物の量は、マグネシウム1molに対して、1~10mol、好ましくは2~6molである。
【0097】
より良好な粒子形態を有する粒子を得るために、(a)の工程における溶液の製造中に少なくとも1種の高分子分散安定剤を添加することが好ましく、高分子分散安定剤の重量平均分子量は、1000よりも大きく、好ましくは3000よりも大きく、例えば2,000,000まで、または1,000,000までである。特に、高分子分散安定剤は、ポリアクリレート、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、ポリスチレンスルホネート、ナフタレンスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合生成物、縮合アルキルフェニルエーテルスルフェート、縮合アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテルホスフェート、オキシアルキルアクリレートコポリマー変性ポリエチレンイミン、ポリ(1-ドデシル-4-ビニルピリジニウムブロミド)、ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルピロリドン-co-ビニルアセテート)、ポリ(エチレングリコール)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテルおよびポリ(アルキルメタクリレート)から選択される少なくとも1種であり得、好ましくはポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルピロリドン-co-ビニルアセテート)およびポリ(エチレングリコール)の少なくとも1種であってよい。
【0098】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、高分子分散安定剤の量は、マグネシウム化合物とR1OH化合物との合計量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.2~5重量%である。
【0099】
本発明によれば、製造方法は、得られた固体粒子を回収する(c)の工程をさらに含む。(c)の工程における固体の回収は、濾過、デカント、遠心分離、および他の操作などのような、公知である固液分離技術を使用することによって固体粒子を得ることを指し、また、得られた球状担体粒子を炭化水素溶媒で洗浄し、乾燥させることを含む。不活性炭化水素溶媒は、好ましくは4個を超える炭素鎖長を有する直鎖または分岐鎖液体アルカン、またはヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエンなどの芳香族炭化水素である。
【0100】
好ましい実施形態において、担体を製造するための方法は:
(1)密閉容器中、少なくとも1種の高分子分散安定剤の存在下で、ハロゲン化マグネシウムMgX2と、有機アルコールR1OHと、構造式FeY2の任意の金属ハロゲン化物または構造式CuYcの任意の金属ハロゲン化物と、一般式(II)の化合物との混合物を、30~160℃、好ましくは40~120℃で0.1~5時間、好ましくは0.5~2時間反応させて、溶液を製造することと;
(2)上記溶液と式(III)で表されるアルキレンオキシド化合物とを30~160℃、好ましくは40~120℃で0.1~5時間、好ましくは0.2~1時間反応させ、固体粒子を直接析出させることと;
(3)固体粒子を固体-液体分離技術によって回収して、球状担体を得ることと、を含んでいる。
【0101】
より好ましい実施形態において、担体を製造するための方法は:
(1)密閉容器中、マグネシウムハロゲン化物と、有機アルコールと、構造式FeY2の任意の金属ハロゲン化物または構造式CuYcの任意の金属ハロゲン化物と、一般式(II)の化合物と、少なくとも1種の高分子分散安定剤との混合物を、攪拌しながら、30~160℃、好ましくは40~120℃の温度まで加熱し、混合物を0.1~5時間、好ましくは0.5~2時間反応させて混合溶液を製造し、ここで、有機アルコールの量は3~30mol、好ましくは4~25molであり、一般式(II)の化合物の量はマグネシウム1molに対して、0.005~0.1mol、好ましくは0.005~0.05molであり;、構造式FeY2の金属ハロゲン化物または構造式CuYcの金属ハロゲン化物の量は、マグネシウム1molに対して、好ましくは0.01~0.1mol、より好ましくは0.01~0.05molであり;、高分子分散安定剤の量が、ハロゲン化マグネシウムと有機アルコールとを合わせた量に対し、0.1~10重量%、好ましくは0.2~5重量%であること;
(2)上記混合溶液に式(III)で表されるアルキレンオキシド化合物を攪拌しながら添加し、30~160℃、好ましくは40~120℃で0.1~5時間、好ましくは0.2~1時間反応させて直接固体粒子を生成させ、使用するアルキレンオキシド化合物の量は、マグネシウム1molに対して1~10mol、好ましくは2~6molであること;
(3)固体粒子を固体-液体分離技術によって回収して、球状担体を得ること、を含む。
【0102】
好ましい実施形態において、固体成分を製造するための方法は:
(1)密閉容器中、少なくとも1種の高分子分散安定剤の存在下で、ハロゲン化マグネシウムMgX2と、有機アルコールR1OHと、一般式(II′)の化合物との混合物を30~160℃、好ましくは40~120℃で0.1~5時間、好ましくは0.5~2時間反応させて、溶液を製造すること;
(2)上記溶液と式(III)で表されるアルキレンオキシド化合物とを30~160℃、好ましくは40~120℃で0.1~5時間、好ましくは0.2~1時間反応させ、固体粒子を直接析出させること;
(3)固体粒子を固体-液体分離技術によって回収して、球状担体を得ること、を含む。
【0103】
好ましい実施形態においては、上記(1)の工程において、MYaの構造を有する金属ハロゲンも添加される。
【0104】
より好ましい実施形態において、球状担体を製造するための方法は:
(1)密閉容器中、ハロゲン化マグネシウムと、有機アルコールと、一般式(II′)の化合物と、少なくとも1種の高分子分散安定剤との混合物を攪拌しながら30~160℃、好ましくは40~120℃に加熱し、混合物を0.1~5時間、好ましくは0.5~2時間反応させて混合溶液を製造し、有機アルコールの量が3~30mol、好ましくは4~25molであり、一般式(II′)の化合物の量がマグネシウム1molに対して0.01~0.5mol、好ましくは0.02~0.3molであり、高分子分散安定剤の量がハロゲン化マグネシウムと有機アルコールとを合わせた量に対して0.1~10重量%、好ましくは0.2~5重量%であり、この工程において、MYa構造の金属ハロゲン化物が任意に添加され、使用される場合、マグネシウム1molに対して、0.01~0.1mol、好ましくは0.01~0.05molの量で添加されること;と、
(2)上記混合溶液に式(III)で表されるアルキレンオキシド化合物を攪拌しながら添加し、30~160℃、好ましくは40~120℃で0.1~5時間、好ましくは0.2~1時間反応させて直接固体粒子を生成し、使用するアルキレンオキシド化合物の量は、マグネシウム1molに対して1~10mol、好ましくは2~6molであること;と、
(3)固体粒子を固体-液体分離技術によって回収して、球状担体を得ることと、を含む。
【0105】
上記の好ましい実施形態において、固体粒子の回収は当技術分野において公知の固液分離技術、例えば、濾過、デカンティング、遠心分離などによって実施することができる。さらに、(3)の工程は得られた球状担体粒子を不活性炭化水素溶媒で洗浄し、乾燥することをさらに含んでもよい。不活性炭化水素溶媒は、好ましくは4個を超える炭素鎖長を有する直鎖または分岐鎖液体アルカン、または芳香族炭化水素であり、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエンなどである。
【0106】
本発明はさらに、上記の製造方法によって製造された固体成分を提供する。本発明のいくつかの実施形態によれば、固体成分は球状であり、10~100μm、好ましくは30~70μmの平均粒径、および1.2よりも小さく、好ましくは0.7~0.9の粒径分布を有する。
【0107】
本発明はさらに、オレフィン重合のための触媒成分を提供する。触媒成分は、本明細書に記載の担体/固体成分、および/または本明細書に記載の製造方法によって製造された固体成分と、チタン化合物および内部電子供与体化合物との反応生成物を含む。触媒成分の合成は公知の合成方法、例えば、中国特許CN1091748に記載されているように、球状マグネシウム含有組成物粒子をハロゲン化チタンと直接反応させることによる方法;または中国特許出願CN201310469927に記載されているように、球状マグネシウム含有組成物を、最初にTi(OR)4の構造式を有するアルコキシチタン化合物と反応させて、中間生成物を得、次いで、中間生成物をハロゲン化チタンと反応させることによる方法を採用することができる。上述の触媒の製造方法では、実際の適用に応じて、当技術分野で公知のいくつかの内部電子供与体化合物を任意に添加することが通常である。
【0108】
本発明はさらに、触媒成分、アルキルアルミニウム化合物、および任意の外部電子供与体化合物を含むオレフィン重合用触媒系を提供する。
【0109】
本発明はさらに、オレフィン重合条件下、1種以上のオレフィンを触媒系に接触させることを含む、オレフィン重合のための方法を提供する。本発明の一実施形態において、オレフィンはCH2=CHRであり、式中、Rは、水素またはC1~C7のアルキルである。好ましくは、オレフィンは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンおよび1-ヘキセンのうちの1つ以上である。
【0110】
本発明は、(1)本発明に記載の組成を有する固体成分の粒子形態が改善され、それにより粒子の凝集が低減されること;(2)オレフィンの重合、特にプロピレンの重合または共重合に使用される場合、担体として本発明の固体成分を使用することによって製造される触媒は高い立体特異性を有すること;(3)担体として本発明の固体成分を使用することによって製造される触媒は高い強度を有し、破壊が少ないこと、(4)特定の構造を有する還元性金属ハロゲン化物および電子供与体化合物を反応系に添加することによって、撹拌速度を変えることなく担体の粒径を調整すること、特に、撹拌速度を変えることなく小さい粒径(<40μm)を有する担体を得ること、(5)担体の製造方法が安定であること、のうちのいくつかまたはすべての利点を有する。
【0111】
〔実施例〕
以下の実施例は本発明をさらに説明するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0112】
試験方法:
1. ポリマーのメルトインデックス:ASTM D1238-99に従って、230℃および荷重2.16kgで測定した。
【0113】
2. ポリマーのアイソタクチシティ:ヘプタン抽出法(6時間のヘプタン沸騰抽出)により、次のように測定した:乾燥ポリマー試料2gを、抽出器中、ヘプタンを6時間沸騰させることで抽出し、次いで、残留物質を一定重量に乾燥し、2(g)に対する残留ポリマー(g)の重量の比率をアイソタクチシティとみなした。
【0114】
3. 粒径分布:担体粒子の平均粒径および粒径分布はMasters Sizer Model 2000 Particle sizer(Malvern Instruments社製)で測定し、分散媒はn-ヘキサンである。粒径分布値のスパン=(D90-D10)/D50。
【0115】
4. オレフィン重合触媒のための担体の外観上の形態は、160倍または400倍の倍率で、Nikon社から購入したEclipse E200光学顕微鏡によって、または米国、FEI社のXL-30電界放出環境走査電子顕微鏡によって観察された。
【0116】
5. 担体中の金属元素の含有量:Agilent ICP-MS 7500CX誘導結合プラズマ質量分析計(Agilent社,米国)を使用することによって測定され、ここで担体は濃硝酸に溶解され、次いで測定前に12時間静置された。
【0117】
6. 触媒の活性=得られるポリマーの重量/使用される触媒の重量。
【0118】
7. 1H-NMR 測定は、スイスのBruker社のAVANCE300核磁気共鳴分光計を用いて行なう。試験する試料約100mgを、乾燥窒素流のグローブボックス内の2mLサンプルボトルに入れ、次いで、1mLの重水素化トルエンおよび100μLのリン酸トリ-n-ブチルまたはリン酸トリイソブチルをサンプルボトルに加える。サンプルボトルを密封フィルムで密封し、60℃の水浴中で0.5時間超音波処理した後、数分間放置する。次に、透明液体の約1/10をNMR管に取り込む。NMRチューブ内の液体の総体積が0.5mLになるまで、追加の重水素化トルエンをNMRチューブに添加し、試料を試験する準備を整える。
【0119】
8. 担体中の電子供与体の含有量:米国、Thermo Fisher社からのTraceGC UltraクロマトグラフおよびDSQ II質量分析計を用いて測定し、カラムはカラム長30mのHP-5キャピラリーカラムであり、試料の溶媒としてメタノールを使用し、加熱速度は10℃/分であり、蒸発温度は200℃である。
【0120】
A-1. 球状担体の製造
実施例1
1.0Lの反応釜にポリビニルピロリドン(PVP、重量平均分子量58000)1.6g、エタノール2.8mol、塩化マグネシウム0.2mol、ホルムアミド0.015molを順次加え、撹拌下(450rpm)、温度を70℃に上げた。1時間の恒温反応の後、エピクロロヒドリン0.6molを加え、0.5時間、当該温度を保持した後、濾過した。固体をヘキサンで5回洗浄し、真空下で乾燥して固体成分粒子を得た。核磁気共鳴、元素分析およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通して、固体成分粒子の組成は:
【0121】
【0122】
であることが見出された。
【0123】
固体成分粒子は、D50=63.5μm、スパン=0.67の粒径分布を有し、粒子形態を
図1A(160倍)、
図1B(400倍)に示す。
【0124】
実施例2
製造方法は、ホルムアミドの量が0.03molであり、反応温度が80℃であることを除き、実施例1の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通して、固体成分粒子の組成は:
【0125】
【0126】
であることが見出された。
【0127】
固体成分粒子は、D50=45.2μm、およびスパン=0.65の粒径分布を有している。
【0128】
実施例3
製造方法は、ホルムアミドの量が0.005molであったことを除き、実施例1の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通して、固体成分粒子の組成は:
【0129】
【0130】
であることが見出された。
【0131】
担体は、D50=78.5μm、およびスパン=0.67の粒径分布を有している。
【0132】
実施例4
製造方法は、2mmolの塩化第一鉄をさらに加えたことを除き、実施例1の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通して、固体成分粒子は実施例1と同じ主組成を有し、0.046重量%のFeを含有することが見出された。
【0133】
固体成分粒子はD50=61.4μm、およびスパン=0.69の粒径分布を有し、粒子形態を
図2に示す。
【0134】
実施例5
製造方法は、添加した塩化第一鉄の量が9mmolであったことを除き、実施例4に記載したものと同じであった。核磁気共鳴、元素分析およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、固体成分粒子は実施例1と同じ主組成を有し、0.59重量%のFeを含有することが見出された。
【0135】
固体成分粒子は、D50=47.1μm、およびスパン=0.76の粒径分布を有している。
【0136】
実施例6
製造方法は、5mmolの塩化第一銅をさらに添加したことを除き、実施例1に記載したものと同じであった。核磁気共鳴、元素分析およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、固体成分粒子は実施例1と同じ主組成を有し、0.038重量%のCuを含有することが見出された。
【0137】
固体成分粒子は、D50=53.1μm、およびスパン=0.68の粒径分布を有している。
【0138】
実施例7
製造方法は、0.015molのホルムアミドを0.02molのN,N-ジメチルアセトアミドで置き換えたことを除き、実施例1に記載したものと同じであった。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通して、固体成分粒子の主な組成は:
【0139】
【0140】
であることが見出された。
【0141】
固体成分粒子は、D50=65.1μm、およびスパン=0.65の粒径分布を有している。
【0142】
実施例8
製造方法は、0.015molのホルムアミドを0.02molのN-メチルアセトアミドで置き換えたことを除き、実施例1に記載したものと同じであった。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、固体成分粒子の主な組成は:
【0143】
【0144】
であることが見出された。
【0145】
固体成分粒子は、D50=57.8μm、およびスパン=0.67の粒径分布を有している。
【0146】
実施例9
製造方法は、ホルムアミドの添加量を0.04molに変更し、反応温度を60℃としたこと以外は、実施例1に記載したものと同じであった。核磁気共鳴、元素分析およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通して、固体成分粒子の組成は:
【0147】
【0148】
であることが見出された。
【0149】
固体成分粒子は、D50=43.6μm、およびスパン=0.66の粒径分布を有している。
【0150】
実施例10
製造方法は、0.015molのホルムアミドを0.01molのカルボンアミドで置き換えたことを除き、実施例1に記載されたとものと同じであった。核磁気共鳴、元素分析およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通して、固体成分粒子の組成は:
【0151】
【0152】
であることが見出された。
【0153】
固体成分粒子は、D50=65.3μm、およびスパン=0.65の粒径分布を有している。
【0154】
B-1. 球状触媒成分の製造
実施例11
(1)中間反応生成物の製造
300mLのガラス反応フラスコ中、窒素雰囲気下、機械的に撹拌しながら、実施例1で製造した固体成分粒子10gをヘキサン100mL中に分散させ、-10℃に冷却し、0.5時間維持した。次に、テトラエチルチタネート(TET)(TET/Mg=0.2のmol比に相当)2.5mLを加え、温度を60℃まで徐々に上げ、0.5時間維持した。液体を濾過し、固体をヘキサンで3回洗浄し、次いで真空下で乾燥させて、中間生成物を得た。
【0155】
(2)触媒成分の製造
不活性雰囲気下、300mLのガラス反応フラスコに四塩化チタン100mLを加え、-20℃に冷却し、上記で製造した中間生成物8gを加えた。温度を110℃に上げ、加熱プロセス中にフタル酸ジイソブチル1.5mLを加えた。液体を濾過し、固体を四塩化チタンで2回、ヘキサンで3回洗浄し、真空下で乾燥させて球状触媒成分を得た。
【0156】
(3)プロピレンの重合
プロピレンの液相バルク重合を、5Lのステンレス鋼オートクレーブ中で実施した。窒素保護下で、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mmol/mLの濃度を有する)5mL、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(0.1mmol/mLの濃度を有する)1mL、および上記球状触媒成分9mgを、オートクレーブに連続的に添加した。オートクレーブを閉じ、一定量の水素(標準体積)および2.3Lの液体プロピレンをそこに添加した。温度を70℃に上げ、1時間反応させた。次いで、温度を下げ、圧力を緩和し、材料を排出し、得られたプロピレンホモポリマーを乾燥し、秤量した。その結果を表1に示す。
【0157】
実施例12
使用した固体成分粒子が実施例6で製造したものであることを除き、実施例11の手順を繰り返した。
【0158】
実施例13
使用した固体成分粒子が実施例7で製造したものであることを除き、実施例10の手順を繰り返した。
【0159】
比較例1
球状担体の製造は、一般式(II)のアミド化合物を添加しなかったことを除き、実施例1について記載したものと同じであった。固体成分粒子の形態を
図3A(160倍)および
図3B(400倍)に示し、図からいくつかの固体成分粒子が互いに付着して不規則な粒子を形成していることが分かる。
【0160】
実施例11に記載されているように、触媒製造およびプロピレンの重合を実施し、重合の結果を表1に示す。
【0161】
上記固体成分の粒径分布および添付図面の結果から、本発明は担体の製造中に一般式(II)で表されるアミド化合物を添加することにより、担体の粒子形態を改善し、さらに粒子の凝集を低減することが分かる。
【0162】
【0163】
表1の結果から、担体の製造中におけるアミド化合物の添加は触媒の立体特異性を改善することができ、触媒の重合活性にほとんど影響を及ぼさないことが分かる。
【0164】
実施例1の触媒成分の写真を
図4に示し、比較例1の触媒成分の写真を
図5に示す。図から、担体として、一般式(II)の化合物を添加した固体成分粒子を用いて製造された触媒は破損が少ないことが分かる。
【0165】
A-2. 球状担体の製造
実施例14
1.0Lの反応釜に、ポリビニルピロリドン(PVP、重量平均分子量58000)1.6g、エタノール2.8mol、塩化マグネシウム0.2mol、塩化第一鉄2mmol、トリエタノールアミン2mmolを順次加え、撹拌下(450rpm)、温度を70℃に上げた。1時間の恒温反応の後、エピクロロヒドリン0.6molを加え、温度を0.5時間維持した後、濾過した。固体をヘキサンで5回洗浄し、真空下で乾燥して固体成分粒子を得た。核磁気共鳴、元素分析、ガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の構造を有することが見出された。
【0166】
【0167】
担体は、D50=71.1μm、およびスパン=0.65の粒径分布を有し、粒子形態を
図6(A)(光学顕微鏡写真、160倍)および
図6(B)(電子顕微鏡写真)に示す。
【0168】
実施例15
製造方法は、塩化第一鉄の添加量が4mmolであったことを除き、実施例14の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の構造を有することが見出された。
【0169】
【0170】
担体は、D50=68.2μm、およびスパン=0.67の粒径分布を有している。
【0171】
実施例16
製造方法は、塩化第一鉄の添加量を8mmolとしたことを除き、実施例14に記載されたものと同じであった。核磁気共鳴、元素分析、ガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の構造を有することが見出された。
【0172】
【0173】
担体は、D50=39.8μm、およびスパン=0.68の粒径分布を有している。
【0174】
実施例17
製造方法は、反応温度が80℃であったことを除き、実施例14の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、ガスクロマトグラフィーによる特性評価を通じ、担体は以下の構造を有することが見出された。
【0175】
【0176】
担体は、D50=72.2μm、およびスパン=0.65の粒径分布を有している。
【0177】
実施例18
製造方法は、反応温度が60℃であったことを除き、実施例14の記載と同じであった。
【0178】
担体は、D50=38.8μm、およびスパン=0.66の粒径分布を有している。
【0179】
実施例19
製造方法は、塩化第一鉄の添加量が5mmolであったことを除き、実施例18の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、ガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の構造を有することが見出された。
【0180】
【0181】
担体は、D50=35.4μm、およびスパン=0.66の粒径分布を有している。
【0182】
実施例20
製造方法は、塩化第一鉄四水和物の添加量を0.1gとしたことを除き、実施例14の記載と同じであった。
【0183】
担体は、D50=81.6μm、およびスパン=0.59の粒径分布を有している。
【0184】
実施例21
製造方法は、エタノールの添加量を2.4molとしたことを除き、実施例20の記載と同じであった。
【0185】
担体は、D50=73.5μm、およびスパン=0.67の粒径分布を有している。
【0186】
実施例22
製造方法は、2mmolのトリエタノールアミンを4mmolのN,N-ジメチルエタノールアミンで置き換えたことを除き、実施例14の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、ガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の構造を有することが見出された。
【0187】
【0188】
担体は、D50=69.5μm、およびスパン=0.64の粒径分布を有している。
【0189】
実施例23
製造方法は、トリエタノールアミンの添加量が0.01molであったことを除き、実施例16の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、ガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の構造を有することが見出された。
【0190】
【0191】
担体は、D50=53.2μm、およびスパン=0.68の粒径分布を有している。
【0192】
B-2. 球状触媒成分の製造
実施例24
(1)中間反応生成物の製造
300mLのガラス反応フラスコ中、窒素雰囲気下、機械的に撹拌しながら、実施例14で製造した担体10gをヘキサン100mL中に分散させ、-10℃に冷却し、0.5時間維持した。次に、テトラエチルチタネート(TET)(TET/Mg=0.2のmol比に相当)2.5mLを加え、温度を60℃まで徐々に上げ、0.5時間維持した。液体を濾過し、固体をヘキサンで3回洗浄し、次いで真空下で乾燥させて、中間生成物を得た。
【0193】
(2)触媒成分の製造
300mLのガラス反応フラスコに、不活性雰囲気下、四塩化チタン100mLを加え、-20℃に冷却し、上述の(1)で製造した中間生成物8gを加えた。温度を110℃に上げ、加熱プロセス中にフタル酸ジイソブチル1.5mLを加えた。液体を濾過し、固体を四塩化チタンで2回、ヘキサンで3回洗浄し、真空下で乾燥させて球状触媒成分を得た。
【0194】
(3)プロピレンの重合
プロピレンの液相バルク重合を5Lのステンレス鋼オートクレーブ中で実施した。窒素保護下で、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mmol/mLの濃度を有する)5mL、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(0.1mmol/mLの濃度を有する)1mL、および上述の球状触媒成分9mgを、オートクレーブに連続的に添加した。オートクレーブを閉じ、一定量の水素(標準体積)および2.3Lの液体プロピレンをそこに添加した。温度を70℃に上げ、1時間反応させた。次いで、温度を下げ、圧力を緩和し、材料を排出し、得られたプロピレンホモポリマーを乾燥し、秤量した。表2に結果を示す。
【0195】
実施例25
(1)中間反応生成物の製造
300mLのガラス反応フラスコ中、窒素雰囲気下、機械的に撹拌しながら、実施例15で製造した担体10gをヘキサン100mL中に分散させ、-10℃に冷却し、0.5時間維持した。次に、テトラエチルチタネート(TET)(TET/Mg=0.2のmol比に相当)2.5mLを加え、温度を60℃まで徐々に上げ、0.5時間維持した。液体を濾過し、固体をヘキサンで3回洗浄し、次いで真空下で乾燥させて、中間生成物を得た。
【0196】
(2)触媒成分の製造
不活性雰囲気下、300mLのガラス反応フラスコに四塩化チタン100mLを加え、-20℃に冷却し、上述の(1)で製造した中間生成物8gを加えた。温度を110℃に上げ、加熱プロセス中にフタル酸ジイソブチル1.5mLを加えた。液体を濾過し、固体を四塩化チタンで2回、ヘキサンで3回洗浄し、真空下で乾燥させて球状触媒成分を得た。
【0197】
(3)プロピレンの重合
プロピレンの液相バルク重合を5Lのステンレス鋼オートクレーブ中で実施した。窒素保護下で、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mmol/mLの濃度を有する)5mL、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(0.1mmol/mLの濃度を有する)1mL、および上記球状触媒成分9mgを、オートクレーブに連続的に添加した。オートクレーブを閉じ、一定量の水素(標準体積)および2.3Lの液体プロピレンをそこに添加した。温度を70℃に上げ、1時間反応させた。次いで、温度を下げ、圧力を緩和し、材料を排出し、得られたプロピレンホモポリマーを乾燥し、秤量した。表2に結果を示す。
【0198】
実施例26
(1)中間反応生成物の製造
300mLのガラス反応フラスコ中、窒素雰囲気下、機械的に撹拌しながら、実施例21で製造した担体10gをヘキサン100mL中に分散させ、-10℃に冷却し、0.5時間維持した。次に、テトラエチルチタネート(TET)(TET/Mg=0.2のmol比に相当)2.5mLを加え、温度を60℃まで徐々に上げ、0.5時間維持した。液体を濾過し、固体をヘキサンで3回洗浄し、次いで真空下で乾燥させて、中間生成物を得た。
【0199】
(2)触媒成分の製造
不活性雰囲気下、300mLのガラス反応フラスコに四塩化チタン100mLを加え、-20℃に冷却し、上述の(1)で製造した中間生成物8gを加えた。温度を110℃に上げ、加熱プロセス中にフタル酸ジイソブチル1.5mLを加えた。液体を濾過し、固体を四塩化チタンで2回、ヘキサンで3回洗浄し、真空下で乾燥させて球状触媒成分を得た。
【0200】
(3)プロピレンの重合
プロピレンの液相バルク重合を5Lのステンレス鋼オートクレーブ中で実施した。窒素保護下で、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mmol/mLの濃度を有する)5mL、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(0.1mmol/mLの濃度を有する)1mL、および上記球状触媒成分9mgを、オートクレーブに連続的に添加した。オートクレーブを閉じ、一定量の水素(標準体積)および2.3Lの液体プロピレンをそこに添加した。温度を70℃に上げ、1時間反応させた。次いで、温度を下げ、圧力を緩和し、材料を排出し、得られたプロピレンホモポリマーを乾燥し、秤量した。表2に結果を示す。
【0201】
比較例2
製造方法は、塩化第一鉄および式(II)の化合物を添加せず、撹拌速度を1600rpmに上げたことを除き、実施例19の記載と同じであった。担体は、D50=35.4μm、およびスパン=0.9の粒径分布を有している。
【0202】
比較例3
製造方法は、2mmolの塩化第一鉄を3mmolの塩化第二鉄で置き換えたことを除き、実施例14の記載と同じであった。担体は、D50=76.5μm、およびスパン=0.68の粒径分布を有している。担体粒子の一部が凝集して不規則な粒子を形成することが観察された。
【0203】
比較例4
製造方法は、2mmolの塩化第一鉄を6mmolの塩化第二鉄で置き換えたことを除き、実施例14に記載した方法と同じであった。担体は、D50=72.5μm、およびスパン=0.67の粒径分布を有している。
【0204】
比較例5
製造方法は、トリエタノールアミンを添加しなかったことを除き、実施例14の記載と同じであった。担体は、D50=71.0μm、およびスパン=0.67の粒径分布を有している。担体は、粗い表面および少量の凝集を有することが観察された。
【0205】
上記の担体の粒径分布および添付の図面の結果から、本発明によれば、担体の製造中に塩化第一鉄を添加することは、担体の粒子形態を著しく改善し、粒子の凝集を減少させることができることが分かる。また、塩化第一鉄の添加量が多いほど、担体の粒度が著しく小さくなり(実施例14~16参照)、低速攪拌下でも粒度の小さい担体を得ることができる(実施例19参照)。塩化第一鉄を添加しない場合、攪拌速度を1600rpmに上げても、担体の粒径はなお35μmであり、粒径分布は明らかに広がっている(比較例2参照)。比較例3および4は、担体粒子の粒径の調整に対する塩化第二鉄の添加の効果が明らかでないことを示している。比較例5は一般式(II)の化合物と組み合わせて使用した場合にのみ、塩化第一鉄が担体の粒子形態に明らかな改善効果を有することを示す。
【0206】
【0207】
実施例24の触媒の写真を
図7に示し、比較例1の触媒成分の写真を
図5に示す。
【0208】
表2並びに
図7および5の結果から、本発明に係る球状担体から製造された触媒成分をプロピレンの重合に用いると、重合活性および立体特異性が高く、同時に、触媒は、表面にクラックがなく、破壊が少ないことが分かる。
【0209】
A-3. 球状担体の製造
実施例27
1.0Lの反応釜に、ポリビニルピロリドン(PVP、重量平均分子量58000)1.6g、エタノール2.8mol、塩化マグネシウム0.2mol、およびトリエタノールアミン2mmolを順次加え、撹拌下(450rpm)、温度を70℃に上げた。1時間の恒温反応の後、エピクロロヒドリン0.6molを加え、温度を0.5時間維持した後、濾過した。固体をヘキサンで5回洗浄し、真空中で乾燥させて、固体成分粒子を得た。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することが見出された。
【0210】
【0211】
担体はD50=59.9μm、およびスパン=0.66の粒径分布を有し、粒子形態を
図8(A)(光学顕微鏡写真、160倍)、
図8(B)(光学顕微鏡写真、400倍)、
図8(C)(電子顕微鏡写真)に示す。
【0212】
実施例28
製造方法は、トリエタノールアミンの添加量が4mmolであったことを除き、実施例27の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、ガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することが見出された。
【0213】
【0214】
担体は、D50=66μm、およびスパン=0.65の粒径分布を有している。
【0215】
実施例29
製造方法は、トリエタノールアミンの添加量が6mmolであったことを除き、実施例27の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することが見出された。
【0216】
【0217】
担体は、D50=86μm、およびスパン=0.73の粒径分布を有している。
【0218】
実施例30
製造方法は、2mmolのトリエタノールアミンを4mmolのN,N-ジメチルエタノールアミンで置き換えたことを除き、実施例27の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することが見出された。
【0219】
【0220】
担体は、D50=58.6μm、およびスパン=0.65の粒径分布を有している。
【0221】
実施例31
製造方法は、2mmolのトリエタノールアミンを2mmolのジエタノールアミンで置き換えたことを除き、実施例27に記載したものと同じであった。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することが見出された。
【0222】
【0223】
担体は、D50=58.6μm、およびスパン=0.65の粒径分布を有している。
【0224】
B-3. 球状触媒成分の製造
実施例32
(1)中間反応生成物の製造
300mLのガラス反応フラスコ中、窒素雰囲気下、機械的に撹拌しながら、実施例27で製造した担体10gをヘキサン100mL中に分散させ、-10℃に冷却し、0.5時間維持した。次に、テトラエチルチタネート(TET)(TET/Mg=0.2のmol比に相当)2.5mLをそこに加え、温度を60℃まで徐々に上げ、0.5時間維持した。液体を濾過し、固体をヘキサンで3回洗浄し、次いで真空下で乾燥させて、中間生成物を得た。
【0225】
(2)触媒成分の製造
不活性雰囲気下、300mLのガラス反応フラスコに四塩化チタン100mLを加え、-20℃に冷却し、上述の(1)で製造した中間生成物8gを加えた。温度を110℃に上げ、加熱プロセス中にフタル酸ジイソブチル1.5mLを加えた。液体を濾過し、固体を四塩化チタンで2回、ヘキサンで3回洗浄し、真空下で乾燥させて球状触媒成分を得た。
【0226】
(3)プロピレンの重合
プロピレンの液相バルク重合を5Lのステンレス鋼オートクレーブ中で実施した。窒素保護下で、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mmol/mLの濃度を有する)5mL、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(0.1mmol/mLの濃度を有する)1mL、および上記球状触媒成分9mgを、オートクレーブに連続的に添加した。オートクレーブを閉じ、一定量の水素(標準体積)および2.3Lの液体プロピレンをそこに添加した。温度を70℃に上げ、1時間反応させた。次いで、温度を下げ、圧力を緩和し、材料を排出し、得られたプロピレンホモポリマーを乾燥し、秤量した。結果を表3に示す。
【0227】
実施例33
(1)中間反応生成物の製造
300mLのガラス反応フラスコ中、窒素雰囲気下、機械的に撹拌しながら、実施例30で製造した担体10gをヘキサン100mL中に分散させ、-10℃に冷却し、0.5時間維持した。次に、テトラエチルチタネート(TET)(TET/Mg=0.2のmol比に相当)2.5mLを加え、温度を60℃まで徐々に上げ、0.5時間維持した。液体を濾過し、固体をヘキサンで3回洗浄し、次いで真空下で乾燥させて、中間生成物を得た。
【0228】
(2)触媒成分の製造
不活性雰囲気下、300mLのガラス反応フラスコに四塩化チタン100mLを加え、-20℃に冷却し、上述の(1)で製造した中間生成物8gを加えた。温度を110℃に上げ、加熱プロセス中にフタル酸ジイソブチル1.5mLを加えた。液体を濾過し、固体を四塩化チタンで2回、ヘキサンで3回洗浄し、真空下で乾燥させて球状触媒成分を得た。
【0229】
(3)プロピレンの重合
プロピレンの液相バルク重合を5Lのステンレス鋼オートクレーブ中で実施した。窒素保護下で、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mmol/mLの濃度を有する)5mL、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(0.1mmol/mLの濃度を有する)1mL、および上記球状触媒成分9mgを、オートクレーブに連続的に添加した。オートクレーブを閉じ、一定量の水素(標準体積)および2.3Lの液体プロピレンをそこに添加した。温度を70℃に上げ、1時間反応させた。次いで、温度を下げ、圧力を緩和し、材料を排出し、得られたプロピレンホモポリマーを乾燥し、秤量した。結果を表3に示す。
【0230】
上記担体の粒径分布および添付図面の結果から、本発明によれば、担体の製造の間に一般式(II)で表される化合物を添加することにより、担体の粒子形態を改善できるため、粒子は表面が平滑であり、それ故、粒子の凝集をさらに低減できることが分かる。
【0231】
【0232】
表3の結果から、担体の製造中にアルコールアミン化合物を添加することにより、触媒の水素変調感度を向上させることができることが分かる。
【0233】
A-4. ポリオレフィン触媒用担体の製造
実施例34
1.0Lの反応釜に、ポリビニルピロリドン(PVP、重量平均分子量58000)1.6g、エタノール2.8mol、塩化マグネシウム0.2mol、塩化第一銅3mmol、トリエタノールアミン2mmolを順次加え、撹拌下(撹拌速度450rpm)、温度を70℃に上げた。1時間の恒温反応の後、エピクロロヒドリン0.6molを加え、当該温度を0.5時間維持した後、濾過した。固体をヘキサンで5回洗浄し、真空下で乾燥して固体成分粒子を得た。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することが見出された。
【0234】
【0235】
担体は、D50=68.2μm、およびスパン=0.64の粒径分布を有している。
【0236】
実施例35
製造方法は、塩化第一銅の添加量を6mmolとしたことを除き、実施例34の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、ガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することが見出された。
【0237】
【0238】
担体は、D50=54.8μm、およびスパン=0.64の粒径分布を有している。
【0239】
実施例36
製造方法は、塩化第一銅の添加量が0.01molであったことを除き、実施例34の記載と同じであった。担体は、D50=45.4μm、およびスパン=0.64の粒径分布を有している。
【0240】
実施例37
製造方法は、反応温度が60℃であることを除き、実施例36の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することが見出された。
【0241】
【0242】
担体は、D50=31μm、およびスパン=0.64の粒径分布を有している。
【0243】
実施例38
製造方法は、エタノールの添加量を2.4molとし、塩化第一銅の添加量を0.01molとしたことを除き、実施例36の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することが見出された。
【0244】
【0245】
担体は、D50=36.2μm、およびスパン=0.64の粒径分布を有している。
【0246】
実施例39
製造方法は、トリエタノールアミンの添加量が0.01molであったことを除き、実施例35の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することがわかった:
【0247】
【0248】
担体は、D50=57.8μm、およびスパン=0.7の粒径分布を有している。
【0249】
実施例40
製造方法は、2mmolのトリエタノールアミンを4mmolのN,N-ジメチルエタノールアミンで置き換えたことを除き、実施例34の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することが見出された。
【0250】
【0251】
担体は、D50=52.8μm、およびスパン=0.64の粒径分布を有している。
【0252】
実施例41
製造方法は、撹拌速度が1200rpmであったことを除き、実施例37の記載と同じであった。
【0253】
担体は、D50=24.5μm、およびスパン=0.64の粒径分布を有している。
【0254】
実施例42
製造方法は、トリエタノールアミンを添加しなかったことを除き、実施例34の記載と同じであった。核磁気共鳴、元素分析、およびガスクロマトグラフィーによる特性評価を通し、担体は以下の組成を有することが見出された。
【0255】
【0256】
担体は、D50=60.4μm、およびスパン=0.63の粒径分布を有している。
【0257】
実施例43
製造方法は、塩化第一銅の量が6mmolであり、トリエタノールアミンを添加しなかったことを除き、実施例42の記載と同じであった。
【0258】
担体は、D50=57.2μm、およびスパン=0.64の粒径分布を有している。
【0259】
実施例44
製造方法は塩化第一銅の量が12mmolであり、トリエタノールアミンを添加しなかったことを除き、実施例43の記載と同じであった。
【0260】
担体は、D50=35.3μm、およびスパン=0.67の粒径分布を有している。
【0261】
実施例45
製造方法は、塩化第一銅を塩化第二銅で置き換えたことを除き、実施例34の記載と同じであった。
【0262】
【0263】
担体は、D50=62.5μm、およびスパン=0.69の粒径分布を有している。
【0264】
実施例46
製造方法は、塩化第二銅の添加量が6mmolであったことを除き実施例45の記載と同じであった。
【0265】
担体は、D50=60.2μm、およびスパン=0.68の粒径分布を有している。
【0266】
B-4. 球状触媒成分の製造
実施例47
(1)中間反応生成物の製造
300mLのガラス反応フラスコ中、窒素雰囲気下、機械的に撹拌しながら、実施例34で製造した担体10gをヘキサン100mL中に分散させ、-10℃に冷却し、0.5時間維持した。次に、テトラエチルチタネート(TET)(TET/Mg=0.2のmol比に相当)2.5mLを加え、温度を60℃まで徐々に上げ、当該温度を0.5時間維持した。液体を濾過し、固体をヘキサンで3回洗浄し、次いで真空下で乾燥させて、中間生成物を得た。
【0267】
(2)触媒成分の製造
不活性雰囲気下、300mLのガラス反応フラスコに四塩化チタン100mLを加え、-20℃に冷却し、上述の(1)で製造した中間生成物8gを加えた。温度を110℃に上げ、加熱プロセス中にフタル酸ジイソブチル1.5mLを加えた。液体を濾過し、固体を四塩化チタンで2回、ヘキサンで3回洗浄し、真空下で乾燥させて球状触媒成分を得た。
【0268】
(3)プロピレンの重合
プロピレンの液相バルク重合を5Lのステンレス鋼オートクレーブ中で実施した。窒素保護下で、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mmol/mLの濃度を有する)5mL、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(0.1mmol/mLの濃度を有する)1mL、および上記球状触媒成分9mgを、オートクレーブに連続的に添加した。オートクレーブを閉じ、一定量の水素(標準体積)および2.3Lの液体プロピレンをそこに添加した。温度を70℃に上げ、1時間反応させた。次いで、温度を下げ、圧力を緩和し、材料を排出し、得られたプロピレンホモポリマーを乾燥し、秤量した。結果を表4に示す。
【0269】
実施例48
(1)中間反応生成物の製造
300mLのガラス反応フラスコ中、窒素雰囲気下、機械的に撹拌しながら、実施例40で製造した担体10gをヘキサン100mL中に分散させ、-10℃に冷却し、0.5時間維持した。次に、テトラエチルチタネート(TET)(TET/Mg=0.2のmol比に相当)2.5mLを加え、温度を60℃まで徐々に上げ、当該温度を0.5時間維持した。液体を濾過し、固体をヘキサンで3回洗浄し、次いで真空下で乾燥させて、中間生成物を得た。
【0270】
(2)触媒成分の製造
不活性雰囲気下、300mLのガラス反応フラスコに四塩化チタン100mLを加え、-20℃に冷却し、上述の(1)で製造した中間生成物8gを加えた。温度を110℃に上げ、加熱プロセス中にフタル酸ジイソブチル1.5mLを加えた。液体を濾過し、固体を四塩化チタンで2回、ヘキサンで3回洗浄し、真空下で乾燥させて球状触媒成分を得た。
【0271】
(3)プロピレンの重合
プロピレンの液相バルク重合を5Lのステンレス鋼オートクレーブ中で実施した。窒素保護下で、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mmol/mLの濃度を有する)5mL、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(0.1mmol/mLの濃度を有する)1mL、および上記球状触媒成分9mgを、オートクレーブに連続的に添加した。オートクレーブを閉じ、一定量の水素(標準体積)および2.3Lの液体プロピレンをそこに添加した。温度を70℃に上げ、1時間反応させた。次いで、温度を下げ、圧力を緩和し、材料を排出し、得られたプロピレンホモポリマーを乾燥し、秤量した。結果を表4に示す。
【0272】
実施例49
(1)中間反応生成物の製造
300mLのガラス反応フラスコ中、窒素雰囲気下、機械的に撹拌しながら、実施例42で製造した担体10gをヘキサン100mL中に分散させ、-10℃に冷却し、0.5時間維持した。次に、テトラエチルチタネート(TET)(TET/Mg=0.2のmol比に相当)2.5mLを加え、温度を60℃まで徐々に上げ、当該温度を0.5時間維持した。液体を濾過し、固体をヘキサンで3回洗浄し、次いで真空下で乾燥させて、中間生成物を得た。
【0273】
(2)触媒成分の製造
不活性雰囲気下、300mLのガラス反応フラスコに四塩化チタン100mLを加え、-20℃に冷却し、上述の(1)で製造した中間生成物8gを加えた。温度を110℃に上げ、加熱プロセス中にフタル酸ジイソブチル1.5mLを加えた。液体を濾過し、固体を四塩化チタンで2回、ヘキサンで3回洗浄し、真空下で乾燥させて球状触媒成分を得た。
【0274】
(3)プロピレンの重合
プロピレンの液相バルク重合を5Lのステンレス鋼オートクレーブ中で実施した。窒素保護下で、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mmol/mLの濃度を有する)5mL、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(0.1mmol/mLの濃度を有する)1mL、および上記球状触媒成分9mgを、オートクレーブに連続的に添加した。オートクレーブを閉じ、一定量の水素(標準体積)および2.3Lの液体プロピレンをそこに添加した。温度を70℃に上げ、1時間反応させた。次いで、温度を下げ、圧力を緩和し、材料を排出し、得られたプロピレンホモポリマーを乾燥し、秤量した。結果を表4に示す。
【0275】
上記の担体の粒径分布および添付の図面の結果から、本発明によれば、担体の製造中に塩化第一銅を添加することは、担体の粒子形態を著しく改善し、粒子の凝集を減少させることができることが分かる。また、塩化第一銅の添加量が多いほど、担体の粒径が著しく小さくなる(実施例34~36、42~44参照)。特に、塩化第一銅を一般式(II)で表されるアミン化合物と併用すると、担体の表面がより平滑になり、担体の真球度がより良好であり、粒径の調整効果がより顕著であり、低速攪拌下でも小粒径の担体を得ることができる(実施例37参照)。攪拌速度を上げると、担体の粒径をさらに25μmまで小さくすることができ、狭い粒径分布を得ることができる(実施例41参照)。塩化第一銅を添加しない場合、攪拌速度を1600rpmに上げても、担体の粒径はなお35μmであり、粒径分布は明らかに広がっている(比較例2参照)。実施例45および46は、担体粒子の粒径の調整に対する塩化銅の添加の効果が、非自明であることを示す。
【0276】
【0277】
表4の結果から、担体の製造中のアルコールアミン化合物の添加は触媒の水素変調感度を改善することができ、触媒の重合活性に実質的に影響を及ぼさないことが分かる。
【0278】
なお、上記の実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は典型的な実施例を参照して説明されてきたが、本明細書で使用される用語は限定的ではなく、説明的および解釈的であることを理解されたい。本発明は本発明の特許請求の範囲に記載された範囲内で変更することができ、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することができる。本明細書に記載される本発明は特定の方法、材質、および実施例に関するが、本明細書に開示される特定の実施例に限定されることは意図されず、むしろ、本発明は同じ機能を有する他のすべての方法および利用に及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0279】
【
図1A】
図1Aは、実施例1で製造した固体成分粒子の形態(倍率160倍)の光学顕微鏡写真である。
【
図1B】
図1Bは、実施例1で製造した固体成分粒子の形態(倍率400倍)の光学顕微鏡写真である。
【
図2】
図2は、実施例4で製造した固体成分粒子の形態(倍率160倍)の光学顕微鏡写真である。
【
図3A】
図3Aは、比較例1で製造した固体成分の形態(倍率160倍)の光学顕微鏡写真である。
【
図3B】
図3Bは、比較例1で製造した固体成分の形態(倍率400倍)の光学顕微鏡写真である。
【
図4】
図4は、実施例1で製造した固体触媒成分粒子の形態の光学顕微鏡写真である。
【
図5】
図5は、比較例1で製造した触媒成分の形態の光学顕微鏡写真である。
【
図6A】
図6Aは、実施例14で製造した担体粒子の形態の160倍の倍率による光学顕微鏡写真である。
【
図6B】
図6Bは、実施例14で製造した担体粒子の電子顕微鏡写真である。
【
図7】
図7は、実施例24で製造した触媒成分の形態の光学顕微鏡写真である。
【
図8A】
図8Aは、実施例27で製造した担体粒子の形態の160倍の倍率による光学顕微鏡写真である。
【
図8B】
図8Bは、実施例27で製造した担体粒子の形態の400倍の倍率による光学顕微鏡写真である。
【
図8C】
図8Cは、実施例27で製造した担体粒子の電子顕微鏡写真である。
【国際調査報告】