(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】回転駆動装置
(51)【国際特許分類】
F01C 1/12 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
F01C1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549798
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 NZ2021050186
(87)【国際公開番号】W WO2022086348
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523150174
【氏名又は名称】ロブソン,デイビッド ジョージ
【氏名又は名称原語表記】ROBSON, David George
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ロブソン,デイビッド ジョージ
(57)【要約】
内部に第1のロータおよび第2のロータが配置されるハウジングを備える回転駆動装置であって、前記第1のロータは、第1の軸を中心に回転可能であるとともに、そこから径方向に突出するロータ要素を有し、前記第2のロータは、前記第1の軸と平行な第2の軸を中心に前記第1のロータとは反対の方向に回転可能であり、前記第2のロータは、前記ロータ要素を受けることができる凹部を備え、前記第1のロータ、前記第2のロータおよびハウジングは、前記ロータ要素が通過するチャンバを前記第1のロータの周りに画定し、前記チャンバは、流体が前記チャンバに出入りすることができる入口および出口を有する、回転駆動装置が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に第1のロータおよび第2のロータが配置されるハウジングを備える回転駆動装置であって、前記第1のロータは、第1の軸を中心に回転可能であるとともに、そこから径方向に突出するロータ要素を有し、前記第2のロータは、前記第1の軸と平行な第2の軸を中心に前記第1のロータとは反対の方向に回転可能であり、前記第2のロータは、前記ロータ要素を受けることができる凹部を備え、前記第1のロータ、前記第2のロータおよびハウジングは、前記ロータ要素が通過するチャンバを前記第1のロータの周りに画定し、前記チャンバは、流体が前記チャンバに出入りすることができる入口および出口を有する、回転駆動装置。
【請求項2】
前記第1のロータおよび第2のロータは、回転中にシール係合を維持することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ロータ要素が回転中に前記凹部の床と接触しない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のロータと前記ハウジングおよび/又は前記第2のロータとの間にシールを形成することができるシール手段を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ロータ要素と前記ハウジングおよび/又は前記第2のロータとの間にシールを形成することができるシール手段を前記ロータ要素に更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ロータ要素に隣接して前記第1のロータから突出して、前記第1のロータのサイクルの一部の間に前記入口および/又は前記出口を少なくとも部分的に閉塞する肩部を更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ロータ要素又は前記肩部の先行面および/又は後面は、流体の抗力を低減又は緩和する形状を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、入口手段を通じて加圧流体を導入して、前記ロータ要素にエネルギーを付与するようになっている、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記流体は、前記ロータ要素に対してより直接的な圧力を与えるように、前記第1のロータの前記回転軸からオフセットした角度で前記入口に入る、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2のロータと前記ハウジングとの間にシール手段を更に備える、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記ロータ要素に隣接して前記第1のロータから突出する肩部を更に備える、請求項8から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ロータ要素の両側で前記第1のロータから突出する2つの肩部を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のロータの回転中に、肩部が前記ロータ要素に先行して前記第1のロータのサイクルの一部の間に前記入口を閉塞する、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
2つのロータ要素と、前記ロータ要素を受けることができる前記第2のロータの2つの凹部とを備える、請求項8から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第2のロータは、前記第1のロータの直径の2倍を有し、前記第2のロータは、前記ロータ要素を受けることができる2つの凹部を備える、請求項8から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記入口および前記出口は、前記ロータ要素が移動する前記チャンバのゾーン内に配置されるとともに、前記第2のロータが移動する前記ゾーンを避けるように配置される、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記入口および前記出口は、前記ロータの前記回転軸に対して実質的に垂直なチャンバ壁の領域に配置される、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記ロータ要素が前記凹部と係合するときに、前記ロータ要素が前記入口および前記出口の両方を同時に閉塞する、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記ロータ要素は、前記第1のロータの前記軸に対して約60°から約120°のセクタを占める、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記ロータ要素は、前記第1のロータの前記軸に対して約80°のセクタを占める、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、通気領域を更に形成する前記入口および/又は前記出口への延在部を更に備える、請求項18から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記通気領域は、前記第2のロータが移動する前記ゾーンを回避する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記通気領域は、前記第2のロータが移動する前記ゾーン内に配置される、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記ロータ要素は、
前記ロータの回転中に前記ロータ要素の他の部分に先行する前面、前記前面とは反対側の後面、および前記第1のロータの回転中に前記チャンバの前記壁と接触する又はほぼ接触する外面と、
前記前面と前記ロータ要素の前記外面との間の外側前接合部と、
前記後面と前記ロータ要素の前記外面との間の外側後接合部と、
前記第1のロータの外壁と前記ロータ要素の前記前面との間の内側前接合部と、
前記第1のロータの外壁と前記ロータ要素の前記後面との間の外側後接合部と、
によって画定され、
前記凹部は、
前記ロータ要素の前記前面および前記後面を受け入れるように離間される壁、および前記ロータ要素が前記凹部内に受けられるときに前記ロータ要素の前記外面と接触する又はほぼ接触する床と、
前記床と前記凹部の前記前壁との間の内側前接合部と、
前記床と前記凹部の前記後壁との間の内側後接合部と、
前記凹部の前記前壁と前記第2のロータの前記外壁との間の外側前接合部と、
前記凹部の前記後壁と前記第2のロータの前記外壁との間の外側後接合部と、
によって画定される、請求項18から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記ロータ要素の前記外側接合部が前記ロータの軸を結ぶ線Xから等距離にある係合位置において、
前記ロータ要素の前記内側接合部は、前記第1のロータの軸から延在して前記線Xと約+37°、-37°の角度をなす線の傍に配置され、
前記ロータ要素の前記外側接合部は、前記第1のロータの軸から延在して前記線Xと約+30°、-30°の角度をなす線の傍に配置され、
前記凹部の前記内側接合部は、前記第2のロータの軸から延在して前記線Xと約+38°、-38°の角度をなす線の傍に配置され、
前記入口および前記出口は、前記ロータ要素が移動するゾーン内に配置されるが、前記第2のロータが移動するゾーンを回避する、
請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記ロータ要素の前記外側接合部が前記ロータの軸を結ぶ線Xから等距離にある係合位置において、
前記ロータ要素の前記内側接合部および前記外側接合部は、前記第1のロータの前記軸から延在して前記線Xと約+40°、-40°の角度をなす線の傍に配置され、
前記凹部の前記内側接合部は、前記第2のロータの軸から延在して前記線Xと約+43°、-43°の角度をなす線の傍に配置され、
前記凹部の前記外側接合部は、前記第2のロータの軸から延在して前記線Xと約+46°、-46°の角度をなす線の傍に配置され、
前記入口および前記出口は、前記ロータ要素が移動するゾーン内に配置されるが、前記第2のロータが移動するゾーンを回避する、
請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記ロータ要素の前記外側接合部が前記ロータの軸を結ぶ線Xから等距離にある係合位置において、
前記ロータ要素の前記内側接合部および前記外側接合部は、前記第1のロータの前記軸から延在して前記線Xと約+40°、-40°の角度をなす線の傍に配置され、
前記入口は、前記ロータ要素が移動するゾーン内であって、前記第1のロータの前記軸から延びて前記線Xと約+38°の角度をなす線内に配置されるとともに、前記第2のロータが移動するゾーンを回避し、
前記出口は、前記ロータ要素が移動するゾーン内であって、前記第1のロータの前記軸から延びて前記線Xと約-39°の角度をなす線内に配置されるとともに、前記第2のロータが移動するゾーンを回避し、
前記凹部の前記内側接合部は、前記第2のロータの前記軸から延在して前記線Xと約+45°、-45°の角度をなす線の傍に配置され、
前記凹部の前記外側接合部は、前記第2のロータの前記軸から延在して前記線Xと約+53°、-53°の角度をなす線の傍に配置される、
請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記入口と前記出口との間の空間は、両方のロータの軸から延在して前記線Xと約+15°、-15°の角度をなす線によって画定される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記ロータ要素の前記外側接合部が前記ロータの軸を結ぶ線Xから等距離にある係合位置において、
前記ロータ要素の前記内側接合部および前記外側接合部は、前記第1のロータの前記軸から延在して前記線Xと約+40°、-40°の角度をなす線の傍に配置され、
前記入口は、前記ロータ要素が移動するゾーン内であって、前記第1のロータの前記軸から延びて前記線Xと約+38°の角度をなす線内に配置されるとともに、前記第2のロータが移動するゾーンを回避し、
前記出口は、前記ロータ要素が移動するゾーン内であって、前記第1のロータの前記軸から延びて前記線Xと約-39°の角度をなす線内に配置されるとともに、前記第2のロータが移動するゾーンを回避し、
前記凹部の前記内側接合部は、前記第2のロータの前記軸から延在して前記線Xと約+46°、-46°の角度をなす線の傍に配置され、
前記凹部の前記外側接合部は、前記第2のロータの前記軸から延在して前記線Xと約+53°、-53°の角度をなす線の傍に配置される、
請求項24に記載の装置。
【請求項30】
前記装置は、前記第1のロータ又は前記第2のロータに回転エネルギーを与えて、前記入口手段を通じて流体を引き込み、出口手段を通じて前記流体を押し出すようになっている、請求項1から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記流体が空気又は空気/酸素混合物であり、前記装置が人工呼吸器用のポンプを提供する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記第1のロータの回転中に、肩部が前記ロータ要素に追従して前記第1のロータのサイクルの一部の間に前記出口を閉塞する、請求項30又は31に記載の装置。
【請求項33】
前記出口は、圧力が解放されるときにシールすることができる一方向弁を備える、請求項30から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
2つの入口を備える、請求項30から33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記装置は、点火手段を更に備えるとともに、前記ロータ要素にエネルギーを与えるべく、燃焼のために前記入口手段を介して可燃性流体又は流体の混合物を導入するようになっている、請求項1から6又は16から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記ロータ要素に隣接して前記第1のロータから突出する肩部を更に備え、前記肩部は、前記第1のロータの回転中に前記ロータ要素に先行して前記第1のロータのサイクルの一部の間に前記入口を閉塞する、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
請求項8から29のいずれか一項に記載の装置を使用して流体からエネルギーを抽出する方法であって、前記ロータ要素にエネルギーを付与するために前記入口を介して前記チャンバに加圧流体を導入するステップと、前記加圧流体が前記出口を介して前記チャンバから出ることができるようにするステップと、を含む方法。
【請求項38】
請求項8から29のいずれか一項に記載の装置の、タービンとしての使用。
【請求項39】
請求項30から34のいずれか一項に記載の装置を使用して流体を圧送する方法であって、前記装置の前記入口を流体と接触させるステップと、前記第1のロータおよび/又は前記第2のロータに回転エネルギーを加えて、前記流体を前記入口に引き込むとともに前記チャンバを通じて前記出口から引き出すステップと、を含む方法。
【請求項40】
前記流体が空気又は空気/酸素混合物であり、前記ポンプが人工呼吸器ポンプである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
請求項30から34のいずれか一項に記載の装置の、ポンプとしての使用。
【請求項42】
前記流体が空気又は空気/酸素混合物であり、前記ポンプが人工呼吸器ポンプである、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
請求項35又は36に記載の装置を使用して可燃性流体からエネルギーを抽出する方法であって、可燃性流体を前記入口を介して前記装置の前記チャンバに導入するステップと、前記ロータ要素にエネルギーを与えるために前記可燃性流体を点火するステップと、燃焼した流体が前記出口を介して前記チャンバから出ることができるようにするステップと、を含む方法。
【請求項44】
請求項35又は36に記載の装置の、燃焼機関としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンや人工呼吸器ポンプを含む流体ポンプとして好適な回転駆動装置に関する。また、本発明の回転駆動装置は、ロータリーエンジンとしても好適である。
【背景技術】
【0002】
原則として、回転駆動装置は、駆動シャフトと移動流体又は燃焼流体との間でエネルギーを伝達する。回転駆動装置のための多くの構成が知られており、また、それらのための広範囲の用途がある。
【0003】
タービンでは、移動流体が駆動シャフトにエネルギーを与える。現在のタービンは、タービンを回転させるために、液体又は気体から圧力を受けるブレードを利用する。そのような概念は、かなりの割合のガス又は流体が、ブレードに接触することも、ブレードに位置エネルギーを伝達することもなく、タービンのブレードを通過するため、ガス又は流体で利用可能なエネルギーの全てを利用するわけではない。
【0004】
ロータリーエンジンにおいて、エネルギー伝達は、燃焼流体から駆動シャフトへとなされる。ピストンを必要としない燃焼機関、例えばロータリーエンジンが知られている。ピストンを上下に移動させる際にピストンのそれぞれのチャンバ内でかなりの量のエネルギーが失われるため、ピストン駆動エンジンの代替品を見つけることには特に利点がある。従来の「4ストローク」エンジンの実際の効率は、燃料によって与えられる位置エネルギーと比較して低い。ロータリーエンジンの既知の概念は、ピストンチャンバの必要性を求心エネルギーに依存する機械に置き換えることを試みる。以前は、ロータリーエンジンおよびポンプは、複雑な構成および困難な組立方法を有しており、製造するのが高価であった。更に、既存のロータリーエンジン形態は、回転動作に加えて左右動作を伴う複雑な機構を有する。全体的な結果は、電力および効率の損失である。既知のロータリーエンジンは、従来の4ストロークエンジンの有用な代替手段であるが、実行可能な完全な代替品ではない。
【0005】
本発明の目的は、エネルギーのより効率的な使用、又はより滑らかな動作、又は少なくとも有用な代替物を公衆に提供する回転駆動装置を製造することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様では、内部に第1のロータおよび第2のロータが配置されるハウジングを備える回転駆動装置が提供され、第1のロータは、第1の軸を中心に回転可能であるとともに、そこから径方向に突出するロータ要素を有し、第2のロータは、第1の軸と平行な第2の軸を中心に第1のロータとは反対の方向に回転可能であり、第2のロータは、ロータ要素を受けることができる凹部を備え、第1のロータおよび第2のロータおよびハウジングは、ロータ要素が通過するチャンバを第1のロータの周りに画定し、チャンバは、流体がチャンバに出入りすることができる入口および出口を有する。
【0007】
幾つかの実施形態において、第1のロータおよび第2のロータは、回転中にシール係合を維持することができる。
【0008】
幾つかの実施形態では、ロータ要素が回転中に凹部の床と接触しない。
【0009】
任意選択的に、装置は、第1のロータと第2のロータおよびハウジングとの間にシール手段を更に備える。
【0010】
任意選択的に、装置は、第1のロータとハウジングおよび/又は第2のロータとの間にシールを形成することができるシール手段を更に備える。
【0011】
任意選択的に、装置は、ロータ要素とハウジングおよび/又は第2のロータとの間にシールを形成することができるシール手段をロータ要素に更に備える。
【0012】
任意選択的に、装置は、ロータ要素に隣接して第1のロータから突出して、第1のロータのサイクルの一部の間に入口および/又は出口を少なくとも部分的に閉塞する肩部を更に備える。
【0013】
任意選択的に、ロータ要素又は肩部の先行面および/又は後面は、流体の抗力を低減又は緩和する形状を備える。
【0014】
好ましい実施形態において、装置は、入口手段を通じて加圧流体を導入して、ロータ要素にエネルギーを付与するようになっている。
【0015】
任意選択的に、流体は、ロータ要素に対してより直接的な圧力を与えるように、第1のロータの回転軸からオフセットした角度で入口に入る。
【0016】
任意選択的に、段落0014の実施形態において、装置は、第2のロータとハウジングとの間にシール手段を更に備える。
【0017】
任意選択的に、段落0014の実施形態において、装置は、ロータ要素に隣接して第1のロータから突出する肩部を更に備える。
【0018】
任意選択的に、段落0014の実施形態において、装置は、ロータ要素の両側で第1のロータから突出する2つの肩部を更に備える。
【0019】
任意選択的に、段落0014の実施形態において、第1のロータの回転中に、肩部がロータ要素に先行して第1のロータのサイクルの一部の間に入口を閉塞する。
【0020】
幾つかの実施形態において、装置は、2つのロータ要素と、ロータ要素を受けることができる第2のロータの2つの凹部とを備える。
【0021】
幾つかの実施形態において、第2のロータは、第1のロータの直径の2倍を有し、第2のロータは、ロータ要素を受けることができる2つの凹部を備える。
【0022】
幾つかの実施例において、入口および出口は、ロータ要素が移動する前記チャンバのゾーン内に配置されるとともに、第2のロータが移動するゾーンを避けるように配置される。
【0023】
任意選択的に、入口および出口は、ロータの回転軸に対して実質的に垂直なチャンバ壁の領域に配置される。
【0024】
幾つかの実施形態では、ロータ要素が凹部と係合するときに、ロータ要素が入口および出口の両方を同時に閉塞する。
【0025】
幾つかの実施例において、ロータ要素は、第1のロータの軸に対して約60°から約120°のセクタを占める。
【0026】
幾つかの実施形態において、ロータ要素は、第1のロータの軸に対して約80°のセクタを占める。
【0027】
幾つかの実施例において、装置は、通気領域を更に形成する入口および/又は出口への延在部を更に備える。
【0028】
幾つかの実施形態において、通気領域は、第2のロータが移動するゾーンを回避するが、他の実施形態において、通気領域は、第2のロータが移動するゾーンに配置される。
【0029】
通常は、幾つかの実施例において、ロータ要素は、ロータの回転中にロータ要素の他の部分に先行する前面、前面とは反対側の後面、および第1のロータの回転中にチャンバの壁と接触する又はほぼ接触する外面と、前面とロータ要素の外面との間の外側前接合部と、後面とロータ要素の外面との間の外側後接合部と、第1のロータの外壁とロータ要素の前面との間の内側前接合部と、第1のロータの外壁とロータ要素の後面との間の外側後接合部とによって画定され、凹部は、ロータ要素の前面および後面を受け入れるように離間される壁、およびロータ要素が凹部内に受けられるときにロータ要素の外面と接触する又はほぼ接触する床と、床と凹部の前壁との間の内側前接合部と、床と凹部の後壁との間の内側後接合部と、凹部の前壁と第2のロータの外壁との間の外側前接合部と、凹部の後壁と第2のロータの外壁との間の外側後接合部とによって画定される。
【0030】
好ましい実施形態では、ロータ要素の外側接合部がロータの軸を結ぶ線Xから等距離にある係合位置において、ロータ要素の内側接合部は、第1のロータの軸から延在して前記線Xと約+37°、-37°の角度をなす線の傍に配置され、ロータ要素の外側接合部は、第1のロータの軸から延在して前記線Xと約+30°、-30°の角度をなす線の傍に配置され、凹部の内側接合部は、第2のロータの軸から延在して前記線Xと約+38°、-38°の角度をなす線の傍に配置され、入口および出口は、ロータ要素が移動するゾーン内に配置されるが、第2のロータが移動するゾーンを回避する。
【0031】
他の好ましい実施形態では、ロータ要素の外側接合部がロータの軸を結ぶ線Xから等距離にある係合位置において、ロータ要素の内側接合部および外側接合部は、第1のロータの軸から延在して前記線Xと約+40°、-40°の角度をなす線の傍に配置され、凹部の内側接合部は、第2のロータの軸から延在して前記線Xと約+43°、-43°の角度をなす線の傍に配置され、凹部の外側接合部は、第2のロータの軸から延在して前記線Xと約+46°、-46°の角度をなす線の傍に配置され、入口および出口は、ロータ要素が移動するゾーン内に配置されるが、第2のロータが移動するゾーンを回避する。
【0032】
他の好ましい実施形態では、ロータ要素の外側接合部がロータの軸を結ぶ線Xから等距離にある係合位置において、ロータ要素の内側接合部および外側接合部は、第1のロータの軸から延在して前記線Xと約+40°、-40°の角度をなす線の傍に配置され、入口は、ロータ要素が移動するゾーン内であって、第1のロータの軸から延びて前記線Xと約+38°の角度をなす線内に配置されるとともに、第2のロータが移動するゾーンを回避し、出口は、ロータ要素が移動するゾーン内であって、第1のロータの軸から延びて前記線Xと約-39°の角度をなす線内に配置されるとともに、第2のロータが移動するゾーンを回避し、凹部の内側接合部は、第2のロータの軸から延在して前記線Xと約+45°、-45°の角度をなす線の傍に配置され、凹部の外側接合部は、第2のロータの軸から延在して前記線Xと約+53°、-53°の角度をなす線の傍に配置される。
【0033】
好ましい実施形態において、入口と出口との間の空間は、両方のロータの軸から延在して前記線Xと約+15°、-15°の角度をなす線によって画定される。
【0034】
他の好ましい実施形態では、ロータ要素の外側接合部がロータの軸を結ぶ線Xから等距離にある係合位置において、ロータ要素の内側接合部および外側接合部は、第1のロータの軸から延在して前記線Xと約+40°、-40°の角度をなす線の傍に配置され、入口は、ロータ要素が移動するゾーン内であって、第1のロータの軸から延びて前記線Xと約+38°の角度をなす線内に配置されるとともに、第2のロータが移動するゾーンを回避し、出口は、ロータ要素が移動するゾーン内であって、第1のロータの軸から延びて前記線Xと約-39°の角度をなす線内に配置されるとともに、第2のロータが移動するゾーンを回避し、凹部の内側接合部は、第2のロータの軸から延在して前記線Xと約+46°、-46°の角度をなす線の傍に配置され、凹部の外側接合部は、第2のロータの軸から延在して前記線Xと約+53°、-53°の角度をなす線の傍に配置される。
【0035】
前述した本発明の幾つかの実施例において、装置は、第1のロータ又は第2のロータに回転エネルギーを与えて、入口手段を通じて流体を引き込み、出口手段を通じて流体を押し出すようになっている。
【0036】
好ましくは、段落0035の実施形態では、流体が空気又は空気/酸素混合物であり、装置が人工呼吸器用のポンプを提供する。
【0037】
任意選択的に、段落0035の実施形態では、第1のロータの回転中に、肩部が前記ロータ要素に追従して第1のロータのサイクルの一部の間に出口を閉塞する。
【0038】
任意選択的に、段落0035の実施形態では、出口は、圧力が解放されるときにシールすることができる一方向弁を備える。
【0039】
本発明の幾つかの実施形態では、装置が2つの入口を含む。
【0040】
幾つかの実施例において、装置は、点火手段を更に備えるとともに、ロータ要素にエネルギーを与えるべく、燃焼のために入口を介して可燃性流体又は流体の混合物を導入するようになっている。
【0041】
任意選択的に、点火手段を備える実施形態において、装置は、ロータ要素に隣接して第1のロータから突出する肩部を更に備え、肩部は、第1のロータの回転中にロータ要素に先行して第1のロータのサイクルの一部の間に入口を閉塞する。
【0042】
本発明の第2の態様では、前述した装置を使用して流体からエネルギーを抽出する方法が提供され、該方法は、ロータ要素にエネルギーを付与するために入口を介してチャンバに加圧流体を導入するステップと、加圧流体が出口を介してチャンバから出ることができるようにするステップと、を含む。関連して、本発明は、タービンとしての、本明細書に記載の装置の使用を提供する。
【0043】
本発明の第3の態様では、前述した装置を使用して可燃性流体からエネルギーを抽出する方法が提供され、該方法は、可燃性流体を前記入口を介して装置のチャンバに導入するステップと、ロータ要素にエネルギーを与えるために可燃性流体を点火するステップと、燃焼した流体が出口を介してチャンバから出ることができるようにするステップと、を含む。関連して、本発明は、燃焼機関としての、本明細書に記載の装置の使用を提供する。
【0044】
本発明の第4の態様では、前述した装置を使用して流体を圧送する方法が提供され、該方法は、装置の入口を流体と接触させるステップと、第1のロータおよび/又は第2のロータに回転エネルギーを加えて、流体を入口に引き込むとともにチャンバを通じて出口から引き出すステップと、を含む方法。関連して、本発明は、ポンプとしての、本明細書に記載の装置の使用を提供する。
【0045】
任意選択的に、第4の態様の方法では、流体が空気又は空気/酸素混合物であり、前記ポンプが人工呼吸器ポンプである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明の回転駆動装置は、好ましい実施形態を示す添付図面に関連して以下で説明される。
【0047】
【
図1】
図1は、ポンプ、タービン又は燃焼機関としての使用に適した回転駆動装置のハウジングの内部の図である。
【
図1A】
図1Aは、半サイクル回転後の
図1の回転駆動装置のハウジングの内部の図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明のシール手段を示すロータの部分斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、シール手段のない本発明におけるロータの部分斜視図である。
【
図3C】
図3Cは、ロータ要素の後面が流体中の抗力を低減又は緩和する形状を備える、本発明におけるロータの部分斜視図である。
【
図3D】
図3Dは、ハウジング内で互いに結合された2つの回転駆動装置の配置の断面図である。
【
図4A】
図4Aは、タービンを提供するために加圧流体媒体と共に使用するのに適した更に別の実施形態のハウジングの内部の図である。
【
図4B】
図4Bは、タービンを提供するために加圧流体媒体と共に使用するのに適した更に別の実施形態のハウジングの内部の図であり、ロータ要素の両面は、流体の抗力を低減又は緩和する形状を備える。
【
図5】
図5は、タービンを提供するために加圧流体媒体と共に使用するのに適した別の実施形態のハウジングの内部の図である。
【
図6】
図6は、タービンを提供するために加圧流体媒体と共に使用するのに適した本発明の更なる実施形態のハウジングの内部の図である。
【
図7】
図7は、タービンを提供するために加圧流体媒体と共に使用するのに適した本発明の更なる実施形態のハウジングの内部の図である。
【
図8】
図8は、人工呼吸器ポンプなどのポンプとしての使用に適した本発明の更なる実施形態のハウジングの内側の図である。
【
図9】
図9は、人工呼吸器ポンプなどのポンプとしての使用に適した本発明の更なる実施形態のハウジングの内部の図である。
【
図10】
図10は、ポンプ又はタービンとしての使用に適した本発明の更なる実施形態のハウジングの内部の図を示す。
【
図11】
図11は、ポンプ又はタービンとしての使用に適した本発明の更なる実施形態のハウジングの内部の図を示す。
【
図12A】
図12Aは、ポンプ又はタービンとしての使用に適した本発明の更なる実施形態のハウジングの内部の図を示す。
【
図12B】
図12Bは、ポンプ又はタービンとしての使用に適した本発明の更なる実施形態のハウジングの内部の図を示す。
【
図13】
図13は、ポンプ又はタービンとしての使用に適した本発明の更なる実施形態のハウジングの内部の図を示す。
【
図14】
図14は、燃焼機関としての使用に適した本発明の更なる実施形態のハウジングの内部の図である。
【
図15】
図15は、燃焼機関としての使用に適した本発明の更なる実施形態のハウジングの内側の図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
[定義]
本発明の説明全体を通して、および以下の特許請求の範囲において、文脈が明示的な言語又は必要な含意により他の意味に解釈すべき場合を除いて、「備える(COMPRISE)」という単語又は「備える(COMPRISES)」もしくは「備えている(COMPRISING)」などの変形は包括的な意味で使用され、すなわち、記載された特徴の存在を特定するが、本発明の様々な実施形態における更なる特徴の存在又は追加を排除するものではない。加えて、不定冠詞「1つの(A)」又は「1つの(AN)」による要素への言及は、文脈が要素の1つのみが存在することを明確に要求しない限り、要素の複数が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「1つの(A)」又は「1つの(AN)」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「流体」という用語は、一般に、液体又は気体、および燃料/空気混合物又は空気/酸素混合物を含むこれらのそれぞれの混合物を指すために使用される。
【0050】
本発明において、「シール」又は「シール係合」の要件又は程度は、流体の性質および回転速度を含む提案された使用に応じて異なることは明らかである。本明細書で使用される場合、「シール係合」という用語は、完全なシールを指すこと、又は全ての場合に完全なシールが必要であることを意味することを意図するものではない。むしろ、「シール係合」という用語は、ロータの回転の反対方向の流れが少なくとも実質的に防止されることを示す。
【0051】
本明細書で使用される場合、角度に関して「約」という用語は、記載された値よりも5°、好ましくは4°、3°、2°、1°又は0.5°大きい又は小さい範囲を含み、パーセンテージに関して記載された値よりも5%、好ましくは4、3、2又は1%大きい又は小さい範囲を含む。
【0052】
[回転駆動装置の全体形態]
本発明に係る回転駆動装置の一般的な形態を
図1および
図2に示す。
【0053】
図1は、本発明の回転駆動装置の「対向する連動ロータ」の概念を示す図である。ハウジング10は、第1のロータ11および第2のロータ14を囲む。ロータ11は、第2のロータ14の凹部13によって受け入れられる単一の突出ロータ要素12を含む。
【0054】
それぞれのロータ11および14の周壁16および17と共に、ハウジング10は、ロータ要素12が通過するチャンバを第1のロータの周囲に画定する。チャンバは、流体がチャンバに出入りすることができる少なくとも1つの入口18および少なくとも1つの出口19を有する。図面では、入口18および出口19は、ロータの回転軸に実質的に垂直なチャンバ壁15aの領域に示されている。しかしながら、入口および出口の配置は変更することができ、例えば、入口は、流体が装置の一方の側Sa(
図2)からチャンバに入り、反対側Sb(
図2)でチャンバを出るように配置することができ、或いは任意選択的に、偏心を低減するために装置の側SaおよびSbに入口および出口をそれぞれ設けることができる。ロータ要素および凹部に対する入口および出口の位置も、本明細書で更に説明するように変更することができる。
【0055】
図1および
図2では、突出ロータ要素12および凹部13は、サイクルごとに1回互いに係合する。ロータ要素12と凹部13とが互いに係合していないとき、第1のロータは第2のロータと接触したままであり、したがって第2のロータは回転中ずっと第1のロータとシール係合したままである。したがって、ロータ11および14の回転速度が同じになることは明らかであろう。一貫性は、タイミングベルト、歯(噛み合う歯を有する)又は当技術分野で公知の他のタイミング手段によって達なすることができる。
図1では、各ロータ11および14の直径は実質的に同じである。直径が異なる場合、大径のロータは、小径のロータよりも速く回転する必要があり、機構を複雑にする。
【0056】
図1Aは、
図1の装置から半サイクルオフセットした装置を示す。突出ロータ要素12は、凹部13から係合解除され(ここではチャンバ15の壁15aでシールされ)、それぞれのロータ11および14の周壁16および17は、それらがサイクルの残りの間係合するシールを形成する。壁16および17が回転中に互いにシールすることが望まれる場合、高レベルの機械加工精度が必要である。
【0057】
[ロータ要素および凹部の詳細な幾何学的形状]
ロータ要素および凹部の詳細な幾何学的形状は変化し得る。ロータ要素は、
図1に符号12a、12bおよび12cで示す様々な面を有する。
図1に示す回転方向において、符号12bはロータ要素の前面を示し、符号12aは後面を示し、符号12cはロータ要素の外面を示す。前面は、ロータ要素の他の部分に先行する面であり、デバイスの固定部分(例えば、入口および出口)に最初に到達する面である。凹部13は、一般に、壁13a,13bと、床13c(
図1Aに示されている)とを有する。壁13bは、ロータ14がロータ11と反対方向に回転しているときに凹部の他の部分に先行する凹部の前壁である。
【0058】
ロータ要素および凹部の異なる面は、目的に応じて異なる幾何学的形状を有することができ、例えば、直線的であってもよく、又はより複雑な曲面を有してもよい。以下の説明では、ロータ要素および凹部の幾何学的形状は、それぞれ4つの接合部によって特徴付けられる。接合部は、鋭い角又は曲面であり得る。
【0059】
図1を参照すると、ロータ要素12の幾何学的形状は、ロータ11の壁16とロータ要素12の前面12bとの間の接合部である内側前接合部121、ロータ11の壁16とロータ要素12の後面12aとの間の接合部である内側後接合部122、ロータ要素12の前面12bと外面12cとの間の接合部である外側前接合部123と、ロータ要素12の後面12aと外面12cとの間の接合部である外側後接合部124によって表わされる。
【0060】
同様に、凹部13の幾何学的形状は、床13cと凹部13の前壁13bとの間の接合部である内側前接合部131、床13cと凹部13の後壁13aとの間の接合部である内側後接合部132、凹部13の前壁13bとロータ14の壁17との間の接合部である外側前接合部133、凹部13の後壁13aとロータ14の壁17との間の接合部である外側後接合部124によって表わされる。
【0061】
図1では、例えば、接合部131および132が所定の角部であることが分かる。接合部133および134は複雑な曲線の一部に生じるが、それらは壁17の円形輪郭が終了するポイントに相当する。
【0062】
シャフトAおよびBの軸を接合する概念的な線Xは、
図1に破線で示されており、接合部の位置は、線Xを参照することによって説明することができる。これは、ロータ要素12の外側前接合部123および外側後接合部124が線Xから等距離にある係合位置を参照して行われる。
【0063】
そのような係合位置では、接合部121,122,123,124の位置は、接合部をシャフトAの軸と接続する線と線Xとの2つの線の間に作られる角度によって表わすことができる。これを図に示し、特定の実施形態について以下で更に説明する。接合部121および123の位置は、例えば、約+5°,+10°,+15°,+16°,+17°,+18°,+19°,+20°,+21°,+22°,+23°,+24°,+25°,+26°,+27°,+28°,+29°,+30°,+31°,+32°,+33°,+34°,+35°,+36°,+37°,+38°,+39°,+40°,+41°,+42°,+43°,+44°,+45°,+46°,+47°,+48°,+49°,+50°,+51°,+52°,+53°,+54°,+55°,+56°,+57°,+58°,+59°,+60°,+65°,+70°,+75°,+80°,+85°,+90°,+95°又は+100°の角度などによって独立して表わすことができる。接合部122および124の位置は、例えば、約-5°,-10°,-15°,-16°,-17°,-18°,-19°,-20°,-21°,-22°,-23°,-24°,-25°,-26°,-27°,-28°,-29°,-30°,-31°,-32°,-33°,-34°,-35°,-36°,-37°,-38°,-39°,-40°,-41°,-42°,-43°,-44°,-45°,-46°,-47°,-48°,-49°,-50°,-51°,-52°,-53°,-54°,-55°,-56°,-57°,-58°,-59°,-60°,-65°,-70°,-75°,-80°,-85°,-90°,-95°又は-100°の角度などによって独立して表わすことができる。同様に、接合部131,132,133,134の位置は、接合部をシャフトBの軸と接続する線と線Xとの2つの線の間に作られる角度によって表わすことができる。接合部131および133の位置は、例えば、約-5°,-10°,-15°,-16°,-17°,-18°,-19°,-20°,-21°,-22°,-23°,-24°,-25°,-26°,-27°,-28°,-29°,-30°,-31°,-32°,-33°,-34°,-35°,-36°,-37°,-38°,-39°,-40°,-41°,-42°,-43°,-44°,-45°,-46°,-47°,-48°,-49°,-50°,-51°,-52°,-53°,-54°,-55°,-56°,-57°,-58°,-59°,-60°,-65°,-70°,-75°,-80°,-85°,-90°,-95°又は-100°の角度などによって独立して表わすことができる。接合部132および134の位置は、例えば、約+5°,+10°,+15°,+16°,+17°,+18°,+19°,+20°,+21°,+22°,+23°,+24°,+25°,+26°,+27°,+28°,+29°,+30°,+31°,+32°,+33°,+34°,+35°,+36°,+37°,+38°,+39°,+40°,+41°,+42°,+43°,+44°,+45°,+46°,+47°,+48°,+49°,+50°,+51°,+52°,+53°,+54°,+55°,+56°,+57°,+58°,+59°,+60°,+65°,+70°,+75°,+80°,+85°,+90°,+95°又は+100°の角度などによって独立して表わすことができる。
【0064】
本明細書で使用する場合、正の角度、例えば+40°は、指定された軸(A又はB)の周りで線Xから時計回りに測定された角度である。負の角度、例えば-40°は、指定された軸(A又はB)の周りで線Xから反時計回りに測定された角度である。
【0065】
上記の議論は、ロータ要素および凹部の外側範囲の様々な幾何学的形状を網羅する。これらの特徴は、ロータ要素と凹部、並びに入口および出口との係合およびその後の係合解除のための様々な異なるプロファイルを提供する。次に、断面におけるシステムの幾何学的形状について説明する。
【0066】
[断面におけるロータ要素、凹部およびチャンバ]
本発明に係る回転駆動装置の断面を
図2に示す。この実施形態では、ロータ要素12は、凹部13による収容を可能にする半円形の外面12cを有する。
図2は、ロータ要素12の特徴12a,12b,12cについて1つの可能性のみを示していることが理解され得る。
図2の実施形態では、駆動シャフトAがロータ11上に示されており、ロータ14は更なるシャフトBの周りを回転する。
図2に示すように、全体的に符号20で示すシールリングを設けて、チャンバ15の完全性を維持することができる。チャンバ壁15aとシールするために、ロータ要素12の表面に埋め込まれた更なるシール手段21を任意選択的に設けることができる。シール手段21を有するロータ11およびロータ要素12の構成が
図3Aに示されている。クリアランスが極めて小さい場合、シールリングは必要とされない場合があることが理解され得る。
図3Bに示すようなシールリングのない実施形態は、著しく改善された効率を達なすることが期待される。
【0067】
図2および
図3Aから
図3Cは、ロータ要素12およびチャンバ壁15aの湾曲した輪郭を示しているが、製造がより容易な平坦な輪郭を含む他の輪郭も可能であることが理解され得る。この例が
図3Dに示されており、ロータ要素112,212は、ハウジング100と接触する軸AおよびBに平行な平坦面を有する。
【0068】
ロータの直径に対するロータの厚さは、異なり得るものであり、例えば、ロータの直径の約10%、20%、30%、40%又は50%の厚さであり得る。
【0069】
突出ロータ要素の形状およびサイズは、様々な結果を達なするために流体力学の法則に従って適合させることができる。
【0070】
例えば、
図3Cは、突出ロータ要素の後面12aが流体中の抗力を低減又は緩和する形状を含む本発明の一実施形態を示す。この例では、ロータ要素12の後面12aの形状は複合形状である。複合形状の最後尾12xは、表面16から凸状ロータ要素12の最外点12yまで滑らかな曲線で延びている。突出ロータ要素の片面又は両面に対するこのような複合形状は、効率を改善することができる。一般に、複合形状は、タービン、燃焼機関およびポンプ/人工呼吸器の一方又は両方の側面12aおよび12bにあり得る。
図4Bは、ロータ要素12の両面12aおよび12bに複合形状を含む例を示す。
図4Bでは、比較のために、また本発明の理解を助けるために、ロータ要素12の単純な形状が破線で示されているが、複合形状の背後の入口18および出口19の一般的な位置も破線で示されている。複合形状は、流体の流れを改善し、抗力を低減又は緩和しながら、行程容積を減少させることができる。そのような複合形状は、ロータ要素に隣接する肩部(複数可)を組み込むことができ、これらの肩部(複数可)は、以下で更に説明するように、サイクルの特定の部分で入口(複数可)および出口(複数可)を閉じる役割を果たすことができる。一般に、入口および/又は出口は、図面に示すように片側だけでなく、チャンバ15のどちらの側にあってもよい。
【0071】
それぞれのロータ表面16および17上の任意の固定点が同じ相対速度で移動することが好ましい。これにより、不必要な摩擦、したがって効率の損失が回避される。
【0072】
2以上の回転駆動ユニットが連結されてもよく、ロータ11および14のそれぞれの向きは、サイクルの「電力モード」のユニットが現在電力を供給していないユニットに対してオフセットされるようにオフセットする。これは、システムのより滑らかな機能を与えることが期待される。例えば、2つの結合されたユニットは、それぞれのロータ11および14の向きを180°だけオフセットし、3ユニットでは120°だけオフセットし、4ユニットでは90°だけオフセットし、以下同様である。この例を
図3Dに示す。ハウジング100内の2つのユニットは、シャフトAおよびBを共有し、タイミングベルト又は歯付き機構Tによって連結されている。第1のユニットのロータ112は係合解除上方位置にあり、ロータ111はロータ114と接触している。凹部113は、ユニットの底部まで移動している。この位置において、第2のユニットのロータ要素212は、ロータ214の凹部を占める。したがって、チャンバ115の一部は、第2のユニットの上部に見える。
【0073】
[流体駆動回転駆動装置]
回転駆動装置がタービンとして機能する本発明の態様は、例として、
図4Aから
図7に示す実施形態に示されている。殆ど全ての水が駆動力を発生させているため、本発明はタービンとして効率的に機能すると考えられ、捕捉されない唯一の非常に少量のエネルギーは、サイクルの様々な段階で非常に小さな隙間を通過して摺動する流体中のエネルギーである。
【0074】
幾つかのタービンの実施形態では、第1ロータおよび第2のロータは、回転中にシール係合を維持することができ、すなわち、ロータ要素が凹部と接触しているか、又は表面16および17が互いに接触している。これにより、サイクルのロストコンタクト部分の間に流体がロータ要素を迂回して電力の損失をもたらすことを防止することができる。このような動力の損失は、部分的なものに過ぎず(後述するように複数のタービンを連結することによって相殺することができる)、タービンの効率を低下させる。ポンプの実施形態では、この効率の低下は、流体の滑らかな流れを供給することよりも懸念が少ない場合がある。
【0075】
図4A、
図4Bおよび
図5を参照すると、流体圧力が入口ポート18によってチャンバ15に導入され、出口19を介してチャンバ15から出る。流体圧力は、例えば水力又は蒸気駆動タービンのように、水又は蒸気を含む流体源から供給される。このようにして、ロータ要素は、第1のロータの回転を駆動する駆動要素として機能する。図示のような(ロータ11の)時計回りの回転軸の実施形態では、入口18は、線Xに対して軸Aの周りで約7又は8時(すなわち、+30°から+60°)に位置し、出口19は、線Xに対して軸Aの周りで4又は5時(すなわち、-30°から-60°)に位置することが好ましい。これは、最大の「ストローク」(電力が印加されるアークであるか、又はガスもしくは流体がチャンバ15から押し出される)を与えるが、将来の実施形態では他の位置も可能であり得る。
【0076】
好ましくは、動力サイクルは、ロータ要素12が入口18の真上の位置、例えば線Xに対して軸Aの周りに+60°から+90°で始まる(すなわち、8から9時)。この位置では、壁16および17は、流体圧力がロータ要素12の後面12aに伝えられ、それによってロータ11をこの例で示される時計回り方向に押すように、入口18「後方」シール係合にある。ロータ11は、駆動シャフトA(
図2)に更に取り付けられ、その回転エネルギーは、従来の方法で発電機を使用して電気を生なするための使用を含む、更なる使用に供することができる。
【0077】
突出ロータ要素12が出口19に到達すると、求心動作は、凹部13内のロータ要素12の係合を過ぎて両方のロータ11および14を回転させ続け、新しいサイクルが始まる。
【0078】
図1と比較すると、
図4A、
図4Bおよび
図5において、ロータ11は、ロータ要素12の基部に更なる肩部26を含む。ロータ11が肩部を含む場合、ロータ要素12はロータ要素12の壁16に直接接合しないので、ロータ要素11の内側接合部121および122は存在しない。しかしながら、ロータ要素の形状は、概念的な内側接合部を参照することによって依然として表わすことができる。肩部26は、蒸気および水で駆動されるタービンの成功および効率を改善するために、サイクルの特定の段階で入口18を覆う閉鎖弁であるという効果を有することができる。幾つかの実施形態では、肩部26は、ロータ要素に強度を与えることができる。例えば、タービンの実施形態では、肩部は、ロータ要素に加えられる圧力に抵抗するためのバットレスとして作用することができる。そのような実施形態では、肩部はフランジとして説明することができる。
図4Aにおいて、肩部26は、ロータ要素12がロータ14の凹部13と係合するときに入口18および出口19を覆う。タービンの実施形態では、ロータ要素12の両側の2つの肩部26の使用は、ロータが回転すると、出口19が後肩部によって覆われないと同時に入口18が先行する肩部によって覆われ、したがってタービンを通る一定の流れを与えるので有利である。入口18および出口19に対する肩部26の正確な形状は、入口18の完全な被覆および出口19の不完全な被覆をもたらすように調整することができる。これは、チャンバ15を出る流体のより自由な動きをもたらし、圧力の蓄積を回避する。
【0079】
図4Bを参照すると、シャフトAとシャフトBとの間に引かれた線Xが破線で示されており、線Xの両側で軸Aと軸Bの両方から延在し、線Xと+50°、-50°の角度をなす更なる破線が示されている。図において、これらの破線は、部品間の関係を説明し、本発明の理解を助けるのに役立つ。例えば、
図4Bでは、内側前接合部121および内側後接合部122は、線Xに対して約+50°、-50°の角度をなす。凹部13の内側前接合部131および内側後接合部132は、軸Bからこれらの線と整列し、したがって線Xに対して+50°、-50°の角度をなす。
【0080】
入口18および出口19自体の形状も適合させることができる。
図1から
図11では、入口18および出口19は、概略的に示されており、入口18および出口19はロータ11および14によって覆われるべきではなく、存在する場合にはロータ要素12および肩部26によって断続的にのみ覆われるべきであるという原理で示されている。しかしながら、好ましい実施形態では、入口18および出口19の形状は、図面に示す通りである。
【0081】
図4Aおよび
図4Bでは、入口18は、周壁16および17の係合に隣接してチャンバ15の裏壁に配置されている。チャンバ15の完全性を維持するために、第2のロータとハウジングとの間に更なるシール手段20が示されている。しかしながら、幾つかの実施形態では、特にハウジング10と壁17との間のクリアランスが極めて小さい場合、シール手段20は必要でもなく有益でもない場合がある。
【0082】
図5は、入口18を覆うように成形された、ただ1つの肩部26を有する更なる実施形態を示す。この図では、外側前接合部123および外側後接合部124が線Xから等距離にある係合位置において、入口18を配置するための領域は、肩部26の対応する形状内にあり、軸線Aから延在し、線Xと+50°の角度をなす破線によって表わされる。出口19を配置するための領域は、シャフトAおよびBから延びる破線によって表わされ、それぞれが線Xに対して-50°、+50°の角度をなす。ロータ要素12が図示の位置にあるとき、入口18は肩部26によってブロックされ、流体(水)は入口18を介してハウジングに入ることができず、ロータは前のサイクルからの動作量のために回転している。ロータ要素12が入口18を通過すると、入口18を介して入る流体は、ロータ要素12の表面12aおよびロータ14の露出面に同時に圧力を加え、したがって次のサイクルを駆動する。
【0083】
理解され得るように、効率を高めるために更なるシールを設けることができる。例えば、
図4Aに示すように、直線状のシール20をロータ14の壁17とハウジング10の壁との間に設けることができる。しかしながら、前述したように、壁17とハウジング10との間のクリアランスが非常に小さい実施形態では、シール手段は必要ではなく、実際に効率を低下させる可能性がある。
【0084】
効率を向上させる更なる手段は、各ロータの平坦面の一方又は両方に、ロータに折り返され、前記面の外周付近でロータの周りに延在するトラック内のOリングなどのシールを設けることである。
【0085】
例えば、石炭、石油、核又は地熱エネルギーから生成された高圧の水又は蒸気の動力を利用するタービンとして使用される場合、突出ロータ要素12が出口19から入口18を直接通過する点(例えば9時)まで回転するときに、瞬間的に吸気口を閉じるための弁(図示せず)を入口18に含むことが可能である。殆どの場合、突出ロータ要素12が次のサイクルで強制的に移動されるときに単にガス/水の逃げ道を可能にするため、出口19上の弁を使用する必要はない。
【0086】
入口弁は、サイクルの段階に関連して他の可動部から駆動されるカムによって作動されてもよい。入口弁は必要とされない場合があり、
図5又は
図6には示されていない。
【0087】
図6は、ロータ14に2つの凹部と、流体が入るチャンバ15からロータ要素12に力を受ける面12aを有する2つの突出ロータ要素12とがある更なる実施形態を示す。したがって、第2のロータの2つの凹部は、2つのロータ要素を収容し、ロータ要素が凹部と係合するときにシール係合を維持する。
【0088】
この配置は、ロータの偏心を除去し、ロータ11および14のバランスを改善することによって効率を改善することができる。これは、極めて高い毎分回転数が必要とされる場合に特に有利である。
【0089】
図7は、ロータ14がロータ11の直径の実質的に2倍であり、ロータ14に2つの凹部13を必要とする更なる実施形態を示す。ロータのうちの1つ又は他のロータの直径を乗算する原理は、本発明の他の好ましい実施形態、燃焼機関および人工呼吸器ポンプにも適用することができることに留意されたい。
【0090】
[ポンプとしての回転駆動装置]
回転駆動装置が水又は人工呼吸器ポンプなどのポンプを提供する本発明の別の態様は、
図8および
図9に示す実施形態によって示されている。本発明のこの態様は、凝縮器装置としての用途も有する。
【0091】
入口18で流体リザーバ(水、気体又は空気)に接続されている間に、駆動シャフトを介してロータ11又は14に回転動作が外部から加えられる場合、装置はポンプとして機能する。
図8に示すように、空気又は空気-酸素混合物などの流体は、入口18を通って引き込まれ、ロータ要素12の面12bによってチャンバ15の周りを押されて、ロータ11の回転速度によって規定される圧力で出口19に至る。
図8および
図9では、第1のロータの回転中に、肩部がロータ要素に追従し、第1のロータのサイクルの一部の間に出口を閉塞し、これは高速ポンプの実施形態において有用である。
【0092】
任意選択的に、ポンプの実施形態又は人工呼吸器の実施形態では、第1のおよび第2のロータは、回転中、すなわち回転の任意の段階で、ロータ要素12が凹部13と接触しているか、又は表面16および17が互いに接触しているかのいずれかで、シール係合を維持することができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、第1ロータおよび第2のロータは、回転の一部の間に互いに短時間接触しなくなる(例えば、ロータ要素12が凹部13と接触しなくなった場合)。このような回転の段階では、ポンプ/人工呼吸器によって引き込まれる流体/空気の量の減少があり得る。流体/空気の引き込みは、第1のロータと第2のロータとの間のシールが再確立されると、回転の次の段階で最大レベルに戻る。
【0093】
実施例を以下により詳細に説明する。
【0094】
[実施例:
図8のポンプの実施形態]
図8では、入口18は、シャフトAから延在し、線Xに対して+50°の角度をなす破線によって画定されるセクタの内側に位置し、出口19は、シャフトAから延在し、線Xに対して-50°の角度をなす破線によって画定されるセクタの外側に位置する。この配置は、出口19がロータ要素12および肩部26によって閉塞されるまで、出口19から出る流体/ガスに最大圧力を与え、その後、ロータ要素12が凹部13と接触しなくなると、ロータ間のシールが除去される。ロータ間のシールが再確立されると、出口19の圧力が再開する。
図10の実施形態は、高圧ポンプなどのより高速の回転に特に適していると予想される。そのようなポンプは、非常に小さなクリアランスを有するシールを必要としない場合がある。
【0095】
[実施例:
図9のポンプ/人工呼吸器の実施形態]
図9の実施形態は、2つの入口18を備え、人工呼吸器などの低速ポンプにより適している。入口18の一方は、シャフトAから延在し、線Xと+50°の角度をなす破線によって画定されるセクタの内側および外側に位置する。この配置は、ロータ要素12が第1の入口18に達すると、ロータ11および14がシール係合になり、したがって新しいガスが引き込まれ始めることができることを意味する。これはまた、ロータ11および14がロータ要素12の背後でシールすると真空が生成されるのを防止する。代替的な構成は、各入口に対してより小さいサイズを必要とする、ロータ11に対して径方向に位置合わせされた2つの入口を有することであり得る。任意選択的に、そのようなポンプは、設計に組み込まれたゴム引きシールを有することができる。
図9の実施形態は、ロータ要素12が出口19を通過するときにシールすることができる出口19上の一方向弁を備える。出口19のシールは、背圧が流体をチャンバ15内に押し戻すのを防止する。出口19に関して、一方向弁は、装置の本体10に接触するか、又は装置とは別個であり得る。出口19は、シャフトAから延在し、線Xに対して-50°の角度をなす破線によって画定されるセクタの外側に位置する。
【0096】
ロータ11又はロータ14のいずれかへの回転動作の適用の選択は、人工呼吸デバイスなどのポンプの一部として本発明の装置を構なする際の柔軟性を与える。
【0097】
実施形態では、人工呼吸器用のポンプには、空気および酸素用の2つの入口をそれぞれ設けることができ(
図9に示すように)、それにより、空気/酸素混合物を患者に提供することができる。2つの入口の使用は、より正確な空気/酸素混合物を可能にし、リアルタイムで調整することができる選択肢も提供し、これは人工呼吸器の実施形態に有利である。
【0098】
[幅広のロータ要素を有する回転駆動装置]
図10から
図13は、幅広のロータ要素を有する回転駆動装置を示す。これらの図に示す実施形態は、タービン又はポンプとして適しているが、幅広のロータ要素を有する燃焼機関についても以下で説明する。
図10から
図13の実施形態では、ロータ11およびロータ14は同じ半径を有し、ロータ要素12は、ロータ11又はロータ11の半径の約30%の距離だけロータ14を越えて径方向に延在する。
【0099】
一般に、幅広のロータ要素は、
図10から
図13に示す係合位置において、入口18および出口19の両方を同時に閉塞するものである。このようにして、チャンバ15の周りの流体の漏れが回避される。入口18は、約+30°から+90°、好ましくは+30°から+60°の範囲の線Xと正の角度をなす線の傍に配置され、出口19は、約-30°から-90°、好ましくは-30°から-60°の範囲の線Xと負の角度をなす線の傍に配置されるため、これは、ロータ要素が一般に約60°から約180°、好ましくは約60°から120°のセクタを占め、全ての接合部がこのセクタの範囲内に入ることを意味する。例えば、幅広のロータ要素は、好ましくは、約60°、70°、80°、90°、又は100°のセクタを占めることができる。好ましくは、ロータ要素は、約80°のセクタを占める。これにより、チャンバ15の行程容積を維持しながら、入口18と出口19の両方を同時に覆うことを可能にするバランスをとるある程度の被覆がもたらされる。
【0100】
図10では、ロータ要素12の内側接合部121,122は、シャフトAから延在し、線Xに対して+37°、-37°の角度をなす線の傍に配置される。後面12aおよび前面12bは、ロータ11から径方向に延在していない。代わりに、外側接合部123,124は、シャフトAから延在し、線Xから+30°、-30°の角度をなす線の傍に配置される。後面12aおよび前面12bの径方向の向きは、同じ結果を達なすると予想される。凹部13に目を向けると、凹部の内側接合部131,132は、シャフトBから延在し、線Xから+38°、-38°の角度をなすセクタによって配置される。
【0101】
ロータ12の外表面は、シャフトAからの距離が大きいため、凹部13よりも速く移動する。したがって、符号12と符号13との間のシール係合は生じず、むしろ、それらの表面間にはほぼ接触があり、それらの間には公称間隙のみがある。内側接合部131,132と比較して内側接合部121,122の角度がわずかに小さい(この場合、それぞれ37°および38°の1°の差である)こともまた、凹部がロータ要素を収容することを可能にする。近接触は、ギャップを通るいくらかの流れをもたらし、したがって効率をわずかに低下させる。幅広のロータ要素は、
図10に示す係合する向きで入口18および出口19を完全に覆う。
【0102】
この例では、入口18および出口19は、ロータ要素12が移動するゾーンに位置するが、ロータ14が移動するゾーンを回避する。
図10に示す係合位置では、入口18および出口19の両方がロータ要素によって閉塞されている。したがって、18および19の位置は、流れがロータ11の進行によって影響を受けるが、ロータ14の進行によっては影響を受けないような位置である。
【0103】
図11を参照すると、この実施形態では、後面12aおよび前面12bは、ロータ11から径方向に延在し、図示の向きでは、シャフトAから延在する線と整列し、線Xから+40°、-40°の角度をなす(内側接合部121,122および外側接合部123,124と同様に)。したがって、幅広のロータ要素は、約80°のセクタを占める。入口18は、ロータ14が通過するゾーンを避けるように成形されているが、入口までの延在部は、小さな通気領域18aを形成する。同様に、出口19への延在部は、ロータ14のゾーン内に延びるより大きな通気領域19aを形成する。通気領域は、背圧が流体をチャンバ15内に押し戻して装置を停止させるか、又は回転を著しく遅くすることを防止するように作用し、それによって装置のより滑らかな動作を与える。
【0104】
図11の実施形態では、内側接合部131,132は、シャフトBから延在し、線Xから+43°、-43°の角度をなすセクタによって配置され、一方、外側接合部133,134は、シャフトBから延在し、線Xから+46°、-46°の角度をなすセクタによって配置される。したがって、内側接合部131,132と比較して内側接合部121,122の角度がわずかに小さい(この場合、それぞれ40°および43°であり、3度の差である)ことによっても、凹部がロータ要素を収容することが可能になる。
【0105】
図12の実施形態では、
図11と同様に、後面12aおよび前面12bは、ロータ11から径方向に延在し、図示の係合位置では、シャフトAから延在する線と整列し、線Xから+40°、-40°の角度をなす(内側接合部121,122および外側接合部123,124と同様に)。入口18は、線Xと、軸線Aから延在し、線Xに対して+38°の角度をなす破線とによって画定されるセクタ内にある。出口19は、線Xと、軸Aから延在し、線Xと-39°の角度をなす破線とによって画定されるセクタ内にある。符号18,19を画定するためにそれぞれ+38°および-39°を選択することにより、それらの両方が係合位置でロ素12によって確実に閉塞される(以下に説明する通気領域18a、19aを除く)。前述したように、入口ポート18および出口ポート19の両方を同時に閉じることは、チャンバ15の周りの流体の漏れを防止し、それによってエネルギーの損失を防止する。
【0106】
入口18はまた、ロータ14が通過するゾーンを回避するように成形されているが、入口までの延在部は小さな通気領域18Aを形成する。出口19はまた、ロータ14が通過するゾーンを回避するように成形されているが、入口への延在部は小さな通気領域19Aを形成する。したがって、図示の係合位置では、入口18および出口19はロータ要素12によって閉塞されているが、通気領域18A、19Aは閉塞されていない。背圧を回避するために、入口18は出口19よりもわずかに小さいことが好ましい。入口18および出口19の相対的なサイズは、装置の機能に応じて変化し得る。タービンの場合、背圧の低減が望ましいため、入口は出口よりも小さくなるが、ポンプ(又は凝縮器)では、生成される圧力を増加させるために反対になる可能性がある。
【0107】
凹部13の内側接合部131,132は、シャフトBから延在し、線Xに対して+45°、-45°の角度をなす線の傍に配置される。外側接合部133,134は、シャフトBから延びる線の傍に配置され、線Xに対して+53°、-53°の角度をなす。したがって、内側接合部131,132と比較して内側接合部121,122の角度がわずかに小さい(この場合、それぞれ40°および45°であり、5度の差である)ことによっても、凹部がロータ要素を収容することが可能になる。
【0108】
入口18および出口19の幾何学的形状を
図12Bに示す。図に見られるように、入口と出口との間の空間は、両方のロータの軸から延在し、前記線Xに対して+15°、-15°の角度をなす線によって画定される。
【0109】
図12に示す実施形態と同様の実施形態を
図13に示す。この実施形態では、凹部13の内側接合部131および132は、シャフトBから延在し、線Xに対して+46°、-46°の角度をなす線の傍に配置される。これは、
図12の例と比較してわずかに広い凹部をもたらす。
図13の他の幾何学的形状は、
図12に示す幾何学的形状と同等である。この幾何学的形状を有する装置は、摩擦を生じることなくポンプとして非常に効率的に機能する。
【0110】
この装置をタービンとして動作させるために、入口18への流体の進入角を増加させることによって効率を改善することができる。好ましくは、流体は、ロータ要素を直接押すように、ロータ11の回転軸からオフセットした角度で入口18に入る。これは、ロータ11がその正確な位置合わせから押し出されるリスクを最小限に抑える。タービンの実施形態において偏心を低減するための他の方法は、両方のロータに穴を開けてロータの両側に圧力をより均一に分配することを含む。
【0111】
[燃焼駆動型回転駆動装置]
回転駆動装置が燃焼機関として機能する本発明の別の態様は、
図14および
図15に示す実施形態によって示されている。適切な燃料は明らかであり、ペトロール(ガソリン)又は水素および酸素を含む。
【0112】
燃焼機関の実施形態では、それぞれのロータ11および14の周壁16および17は、少なくともサイクルの吸気および燃焼段階中にシール係合を維持することができ、したがって、ロータ要素に動力を伝達するための燃焼のための限られた空間を与える。燃焼機関は、点火プラグ22を更に必要とし、当技術分野で知られているように燃料/空気混合物を供給する2つの入口23および24(
図14には示されておらず、
図15に示されている)を利用する(例としてのみ)。これにより、正確な空気/燃料混合が可能になり、リアルタイムで調整できるという選択肢も与えられる。入口23および24は、円形の一方向弁であってもよい。入口23および24における混合物の分配を制御するためにバルブが必要となる。入口弁は、サイクルの段階に関連して他の可動部から駆動されるカムによって作動されてもよい。また、
図15に示すように、点火プラグヘッドの近くの燃焼部のチャンバ壁15aは、点火プラグヘッドを通過するロータ要素12の回転を可能にするためにわずかに凹んでいることに留意されたい。
【0113】
燃焼は、好ましくは、セグメント12が最後の点火プラグ22をちょうど通過した時点にあるサイクルの段階で開始される。これはまた、ガスの適切な混合時間を可能にする。
【0114】
燃料/空気の爆発は、ロータ要素12を軸線Aの周りに押し付け、ロータ11が取り付けられているシャフトを駆動する。排気ガスは出口19を通って出る。セグメント12は、新しいサイクルを開始するときに前のサイクルからの排気を効果的に押し出すので、出口19が弁を含む必要はない。
【0115】
2以上の回転駆動ユニットが連結されてもよく、ロータ11および14のそれぞれの向きは、サイクルの「電力モード」のユニットが現在電力を供給していないユニットに対してオフセットされるようにオフセットする。これにより、より滑らかなエンジン回転が得られることが期待される。例えば、2つの結合されたユニットは、それぞれのロータ11および14の向きを180°だけオフセットし、3ユニットでは120°だけオフセットし、4ユニットでは90°だけオフセットし、以下同様である。2つ以上のユニットを有する幾つかの従来の「2ストローク」又は「4ストローク」燃焼機関は、ユニットのそのような配置を使用してそれらの「パワーモード」オフセットを有する。
【0116】
「2ストローク」燃焼機関では、ピストンを上下に動かさなければならないことによってエネルギーが失われている。本発明では、ピストンを上下に動かす必要がないことによって節約されるエネルギーは、シールなどを超える圧縮の損失によって引き起こされる効率の損失を上回ると考えられる。更に、各サイクルは動力を生なするが、4ストローク燃焼機関は、廃ガスを排出し、新鮮な可燃性ガス混合物を引き込むために1サイクルを必要とする。
【0117】
突出ロータ要素12のサイズおよび凹部13の深さはまた、比例して大きい推力のために調整されてもよい。凹部13内へのロータ要素12の特定の形状はまた、最適な動作特性を配置するように変更されてもよい。
【0118】
肩部26が
図14に示されているが、これは燃焼駆動の実施形態では必要ではないことが予想される。この代替的な「弁」配置に対する他の変形が、本発明の範囲内で可能であり得る。
【0119】
燃焼機関の実施形態では、
図10から
図13に示すタイプの幅広ロータ要素12を使用すると、より良好な効率を与えることができることに留意されたい。
【0120】
本発明の回転駆動装置は、高効率を有することができ、従来のポンプ、タービン、又はエンジンの設計に取って代わる可能性があると考えられる。少なくとも、「回転」駆動装置の構築方法を提示する代替案を考慮しなければならない。
【国際調査報告】