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特表2023-547984組織由来マトリキン組成物及びその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】組織由来マトリキン組成物及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/12 20150101AFI20231108BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 8/98 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 8/65 20060101ALI20231108BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 38/38 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 38/47 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 38/36 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 38/46 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20231108BHJP
   A61K 38/30 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A61K35/12
A61P17/02
A61P17/04
A61P17/06
A61P17/10
A61P43/00 105
A61K38/02
A61K9/08
A61K9/14
A61K38/39
A61K38/19
A61K38/18
A61K8/64
A61K8/98
A61K8/65
A61Q19/00
A61K38/38
A61K38/47
A61K38/36
A61K38/46
A61K38/17
A61K38/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515618
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 US2021049432
(87)【国際公開番号】W WO2022055974
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/075,638
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523082565
【氏名又は名称】キシリクス バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】オニール ジョン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャーマングス イガール
(72)【発明者】
【氏名】アランダ エブリン
(72)【発明者】
【氏名】ション ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】キッセル ナタリア
(72)【発明者】
【氏名】ニコルス アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ガッディー エディ
(72)【発明者】
【氏名】グエン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ダリー ドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ナイ アンドレア
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA29
4C076BB31
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC20
4C076CC26
4C083AA071
4C083AA072
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD431
4C083AD432
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD17
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE13
4C083EE14
4C083FF01
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA43
4C084CA18
4C084DA01
4C084DA36
4C084DB52
4C084DB55
4C084DB58
4C084DC09
4C084DC16
4C084DC17
4C084DC22
4C084DC50
4C084MA02
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZA89
4C084ZB21
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087MA02
4C087MA16
4C087MA28
4C087MA43
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA89
4C087ZB21
(57)【要約】
上皮への局所投与のための組成物が開示される。組成物は、生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームを含む。組成物は、1つ以上の、薬学的に許容されるかまたは化粧品的に許容される賦形剤をさらに含む。分解されたマトリソームは、1つ以上の酵素による分解によって断片化されて、1つ以上のペプチドを産生し得る。1つ以上のペプチドは、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、組織恒常性、組織修復、及び組織再生のうちの1つ以上を促進するよう構成され得る。組成物を使用して、瘢痕化、ざ瘡、湿疹、乾癬、及び他の皮膚の状態を呈する皮膚組織等の組織を治療し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上皮への局所投与のための組成物であって、
少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、
1つ以上の、薬学的に許容されるかまたは化粧品的に許容される賦形剤と、を含み、
前記分解されたマトリソームが、前記組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、
前記1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドが、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって組織恒常性、組織修復、及び組織再生のうちの1つ以上を促進するよう構成されている、前記組成物。
【請求項2】
前記分解されたマトリソームが、前記組成物の約0.1重量%~約2.5重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酵素的に断片化されたペプチドが、1つ以上の皮膚層を通って吸収されるようサイズ調整され、構成されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記1つ以上の皮膚層が、表皮及び真皮を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記酵素的に断片化されたペプチドが、約500Da未満のサイズを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記酵素的に断片化されたペプチドが、約250Da未満のサイズを有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項7】
約6.0未満のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記分解されたマトリソームが、溶液及び粉末のうちの1つ以上を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記分解されたマトリソームが、コラーゲン、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、ラミニン、細胞外マトリックス関連タンパク質、可溶性成長因子、炎症性サイトカイン及びケモカイン、ならびに免疫メディエーターの1つ以上の断片を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記コラーゲンの断片が、約400μg/mL~約9700μg/mLの量である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記コラーゲンの断片が、約2ng/mL~約24ng/mLの量のIV型コラーゲンを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記グリコサミノグリカンの断片が、約3μg/mL~約170μg/mLの量である、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記分解されたマトリソームが、コラーゲン、糖タンパク質、プロテオグリカン、エラスチン、マトリソーム分泌因子、構造タンパク質、成長因子、及びECM調節因子の1つ以上の断片を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記コラーゲンの断片が、約400μg/mL~約9700μg/mLの量である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記エラスチンの断片が、約40μg/mL~約3000μg/mLの量である、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記1つ以上のコラーゲンの断片が、I型コラーゲンアルファ1鎖、III型コラーゲンアルファ1鎖、及びV型コラーゲンアルファ2鎖を含み、
前記1つ以上の糖タンパク質の断片が、線維性コラーゲンNC1ドメイン含有タンパク質、フィブリリン1、及びマイクロフィブリル関連タンパク質4を含み、
前記1つ以上のプロテオグリカンの断片が、ヘパラン硫酸プロテオグリカン2を含み、
前記1つ以上のエラスチンの断片が、エラスチンアイソフォームを含み、
前記1つ以上の構造タンパク質の断片が、アクチンガンマ2及びフィラミンAを含み、
前記1つ以上の成長因子の断片が、潜在型形質転換成長因子ベータ結合タンパク質4を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記1つ以上のコラーゲンの断片が、I型コラーゲンアルファ1鎖、I型コラーゲンアルファ2鎖、II型コラーゲンアルファ1鎖、III型コラーゲンアルファ1鎖、V型コラーゲンアルファ1鎖、V型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ3鎖、VIII型コラーゲンアルファ1鎖、IX型コラーゲンアルファ2鎖、XI型コラーゲンアルファ1鎖、XI型コラーゲンアルファ2鎖、XII型コラーゲンアルファ2鎖、及びXIV型コラーゲンアルファ1鎖を含み、
前記1つ以上の糖タンパク質の断片が、フィブリリン1、脂肪細胞エンハンサー結合タンパク質1、アルファ-2-Heremans-Schmid糖タンパク質、ビグリカン、細胞外マトリックスタンパク質2、フィブリノーゲンベータ鎖、フィブリノーゲンガンマ鎖、フィブロネクチン1、オステオネクチン、ペリオスチン、テナスチンC、テナスチンN、トロンボスポンジン1、形質転換成長因子ベータ誘導性、及びビトロネクチンを含み、
前記1つ以上のプロテオグリカンの断片が、ヘパラン硫酸プロテオグリカン2、アグレカンコアタンパク質、アスポリン、デコリン、フィブロモジュリン、ルミカン、ミメカン、オステオグリカン、オステオモジュリン、及びプロリン/アルギニンリッチ末端ロイシンリッチリピートタンパク質を含み、
前記1つ以上のエラスチンの断片が、エラスチンを含み、
前記1つ以上のマトリソーム分泌因子の断片が、アルブミン、アネキシンA2、キチナーゼ、コレクチンサブファミリーメンバー12、クレアチンキナーゼB、オルファクトメジンを含み、
前記1つ以上のECM調節因子の断片が、凝固因子IX、凝固因子X、インターアルファ(グロブリン)阻害因子H4、プロトロンビン、及びセルピンペプチダーゼ阻害因子クレードFであり、
前記1つ以上の構造タンパク質の断片が、アクチンガンマ2及びビメンチンである、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記1つ以上のコラーゲンの断片が、I型コラーゲンアルファ1鎖、I型コラーゲンアルファ2鎖、II型コラーゲンアルファ1鎖、III型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ2鎖、V型コラーゲンアルファ1鎖、V型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ3鎖、VI型コラーゲンアルファ5鎖、VIII型コラーゲンアルファ1鎖、及びVIII型コラーゲンアルファ2鎖を含み、
前記1つ以上の糖タンパク質の断片が、デルマトポンチン、フィブリリン1、マイクロフィブリル関連タンパク質4、及びペリオスチンを含み、
前記1つ以上のプロテオグリカンの断片が、アスポリン及びヘパラン硫酸プロテオグリカン2を含み、
前記1つ以上のエラスチンの断片が、エラスチンアイソフォームを含み、
前記1つ以上のマトリソーム分泌因子の断片が、キチナーゼ、コレクチンサブファミリーメンバー、トレフォイル因子1、及び血管活性腸管ペプチドを含み、
前記1つ以上のECM調節因子の断片が、ヒアルロン酸結合タンパク質2を含み、
前記1つ以上の構造タンパク質の断片が、アクチンガンマ2及びミオシン11を含み、
前記1つ以上の成長因子の断片が、アンフィレグリン、塩基性線維芽細胞成長因子、骨形態形成タンパク質4、骨形態形成タンパク質7、上皮成長因子、成長分化因子15、肝細胞成長因子、インスリン様成長因子結合タンパク質3、及びオステオプロテゲリンを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項19】
前記1つ以上のコラーゲンの断片が、I型コラーゲンアルファ1鎖、I型コラーゲンアルファ2鎖、II型コラーゲンアルファ1鎖、III型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ1鎖、V型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ3鎖、VI型コラーゲンアルファ5鎖を含み、
前記1つ以上の糖タンパク質の断片が、フィブリリン1、フィブリリン2、EGF含有フィブリン様細胞外マトリックスタンパク質、ラミニンサブユニットガンマ1、前立腺幹細胞抗原、サポシンB-Val、及びフォン・ヴィレブランド因子を含み、
前記1つ以上のプロテオグリカンの断片が、ヘパラン硫酸プロテオグリカンを含み、
前記1つ以上のエラスチンの断片が、エラスチンアイソフォームを含み、
前記1つ以上のマトリソーム分泌因子の断片が、キチナーゼ、ムチン5AC、ムチン6、血清アルブミン、及びトレフォイル因子2を含み、
前記1つ以上のECM調節因子の断片が、グラニューリン前駆体を含み、
前記1つ以上の構造タンパク質の断片が、アクチン、ケラチン1、ケラチン2、ケラチン9、ケラチン10、ミオシン重鎖9、及びチューブリンベータ鎖を含み、
前記1つ以上の成長因子の断片が、骨形態形成タンパク質4、線維芽細胞成長因子2、インスリン様成長因子結合タンパク質4、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(CD115)、及び上皮促進成長因子を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項20】
前記1つ以上のコラーゲンの断片が、I型コラーゲンアルファ1鎖、I型コラーゲンアルファ2鎖、I型コラーゲンアルファ3鎖、II型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ2鎖、IV型コラーゲンアルファ3鎖、IV型コラーゲンアルファ4鎖、IV型コラーゲンアルファ5鎖、V型コラーゲンアルファ1鎖、V型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ1鎖、VI型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ3鎖、VIII型コラーゲンアルファ1鎖、XVI型コラーゲンアルファ1鎖、及びXXI型コラーゲンアルファ1鎖を含み、
前記1つ以上の糖タンパク質の断片が、フィブリン2、ペリオスチン、ビトロネクチン、デルマトポンチン、ラミニンサブユニットアルファ3、ラミニンサブユニットアルファ5、ラミニンサブユニットベータ2、ラミニンサブユニットガンマ1、及びニドゲン1を含み、
前記1つ以上のプロテオグリカンの断片が、ビグリカン及びヘパラン硫酸プロテオグリカンコアタンパク質を含み、
前記1つ以上のエラスチンの断片が、エラスチンアイソフォームを含み、
前記1つ以上のマトリソーム分泌因子の断片が、ホルネリンを含み、
前記1つ以上のECM調節因子の断片が、アルファ1抗トリプシン、カテプシンG、デスモプラキン、ジャンクションプラコグロビン、血清アルブミン前駆体、及びメタロプロテイナーゼ阻害因子3を含み、
前記1つ以上の構造タンパク質の断片が、ケラチン1、ケラチン2、ケラチン5、ケラチン9、ケラチン10、及びケラチン14を含み、
前記1つ以上の成長因子の断片が、塩基性線維芽細胞成長因子、脳由来神経栄養因子、上皮成長因子受容体、内分泌腺由来血管内皮成長因子、成長分化因子15、肝細胞成長因子、インスリン様成長因子結合タンパク質1、インスリン様成長因子結合タンパク質6、オステオプロテゲリン、血小板由来成長因子AA、及び血管内皮成長因子を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項21】
標的組織における恒常性、修復、または再生を促進する方法であって、
組成物を前記標的組織の上皮に局所投与することを含み、
前記組成物が、
少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、
1つ以上の、薬学的に許容されるかまたは化粧品的に許容される賦形剤と、を含み、
前記分解されたマトリソームが、前記組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、
前記1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドが、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって前記標的組織内の組織恒常性、組織修復、及び組織再生のうちの1つ以上を促進するよう構成されている、前記方法。
【請求項22】
前記組織が、急性損傷、創傷、瘢痕化、ざ瘡、湿疹、及び乾癬のうちの1つ以上を示す、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物を局所的に投与することが、ケラチンの発現の増加をもたらす、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ケラチンが、ケラチン1、ケラチン2、ケラチン9、及びケラチン10のうちの1つ以上を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物を局所的に投与することが、細胞再生の増加をもたらす、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記組織が、皮膚組織であり、前記組成物を局所的に投与することが、皮膚発赤の低減をもたらす、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記組織が、創傷を含み、前記組成物を局所的に投与することが、前記創傷の直径の減少をもたらす、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記組織が、損傷を含み、前記組成物を局所的に投与することが、瘢痕の形成の低減及び瘢痕の外観を目立たなくすることをもたらす、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記組織が、瘢痕化を含み、前記組成物を局所的に投与することが、瘢痕治癒の増加をもたらす、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
標的組織におけるケラチン遺伝子発現を増加させる方法であって、
組成物を前記標的組織の上皮に局所投与することを含み、
前記組成物が、
少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、
1つ以上の、薬学的に許容されるかまたは化粧品的に許容される賦形剤と、を含み、
前記分解されたマトリソームが、前記組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、
前記1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドが、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、前記標的組織における弛緩、しわ、及びたるみのうちの1つ以上を低減もしくは予防するよう構成されている、前記方法。
【請求項31】
標的組織における皮膚発赤を低減する方法であって、
組成物を前記標的組織の上皮に局所投与することを含み、
前記組成物が、
少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、
1つ以上の、薬学的に許容されるかまたは化粧品的に許容される賦形剤と、を含み、
前記分解されたマトリソームが、前記組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、
前記1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドが、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、前記標的組織における瘢痕形成、創傷、及び火傷のうちの1つ以上からの治癒もしくは回復を促進するよう構成されている、前記方法。
【請求項32】
標的組織の表面のpHを低下させる方法であって、
組成物を前記標的組織の上皮に局所投与することを含み、
前記組成物が、
少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、
1つ以上の、薬学的に許容されるかまたは化粧品的に許容される賦形剤と、を含み、
前記分解されたマトリソームが、前記組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、
前記1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドが、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、前記表面の前記pHを低下させ、前記標的組織の前記表面上の病原体の存在もしくは増殖を減少させるよう構成されている、前記方法。
【請求項33】
標的皮膚組織の特徴を改善する方法であって、
組成物を前記標的皮膚組織の上皮に局所投与することを含み、
前記組成物が、
少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、
1つ以上の、薬学的に許容されるかまたは化粧品的に許容される賦形剤と、を含み、
前記分解されたマトリソームが、前記組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、
前記1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドが、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、前記標的皮膚組織の前記特徴を改善するよう構成され、
前記標的皮膚組織の特徴が、張り、弾力性、小じわ、しわ、皮膚の質感、皮膚の色合い、及び外観からなる群から選択される、前記方法。
【請求項34】
標的組織における細胞再生を増加させる方法であって、
組成物を前記組織の上皮に局所投与することを含み、
前記組成物が、
少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、
1つ以上の、薬学的に許容されるかまたは化粧品的に許容される賦形剤と、を含み、
前記分解されたマトリソームが、前記組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、
前記1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドが、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、前記標的組織の上皮バリアを復元するよう構成されている、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年9月8日に出願された「Tissue-Derived Matrikine Compositions and Methods Therefor」との発明の名称を有する米国仮特許出願第63/075,638号の優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は、広義には、マトリソーム成分を含む組成物及び関連する方法に関する。開示される組成物及び方法は、例えば、瘢痕及び他の皮膚症状、例えば、ざ瘡、湿疹、及び乾癬を治療するために利用され得る。
【背景技術】
【0003】
背景
皮膚組織の損傷が、毎年世界中で5億人以上の人々に影響を及ぼしているが、効果的な局所治療のための選択肢として市販されているものは少ない。現在、最も売れている市販の瘢痕治療製品は、十分な修復または再生シグナル伝達能力を持たない植物ベースのまたは化学的な成分に限定されている。皮膚修復のための実績のある裏付けを提供する生物活性成分を含む製品は欠如しており、未開拓の大きな市場ギャップが存在する。
【0004】
瘢痕修復を治療する既存の製品には、ハーブまたは食品抽出物、シリコーンベースの成分、または他の合成成分が組み込まれているが、再生的な生物活性が証明された、または特定の皮膚の状態、民族、年齢などに合わせて「パーソナライズされた」製品の提供を促進する能力に関するデータは限られたものとなっている。天然の再生シグナルを複製することによって、外傷後の発赤や傷跡を予防し、効果的に低減することができる、局所的皮膚生物活性剤に対する大きな市場ニーズが存在する。
【0005】
その天然の環境では、細胞外マトリックス(ECM)は、細胞の維持及び増殖のための構造を提供し、細胞の増殖、分化、遺伝子発現、移動、配向、及び構築を仲介する、組織特異的な(例えば、分子的、構造的、生体力学的)手がかりを有する足場である。ECMは、限定されないが、クッション性を提供する粘性のプロテオグリカン(例えば、ヘパリン硫酸塩、ケラチン硫酸塩、及びコンドロイチン硫酸塩)、強度及び弾力性を提供するコラーゲン及びエラスチン繊維、ならびにプロテオグリカン及びコラーゲン線維を細胞受容体に結合する可溶性多接着タンパク質(例えば、フィブロネクチン及びラミニン)を含む、成分どうしの連結メッシュを含む。天然の細胞外マトリックスはまた、一般的に、ヒアルロン酸及びインテグリン、カドヘリン、セレクチン、及び免疫グロブリン等の細胞接着分子(CAM)も含む。
【0006】
ECMの複雑さは、天然の環境の外では完全に再現することが困難であることが証明されている。合成生体材料を用いたECM構造の模倣、または精製ECM成分を添加することによる組成の模倣は可能である。合成生体材料は、構造的な模倣物を提供するが、インビトロで細胞挙動(すなわち、増殖、分化、遺伝子発現、移動、配向、及びアセンブリ)を変化させ、潜在的に移植部位で細胞毒性のある副生成物を生じさせることにより、不十分な創傷治癒または炎症環境の生成につながる可能性がある。
【0007】
さらに、各タイプの組織のECMは、組織の独自の一連の役割に好適であり、独自の細胞活性をシグナル伝達し得る、成分、成分の濃度、及び/または特性の組み合わせが、それぞれ異なり得る。さらに、組織における疾患状態は、ECM環境の生化学的組成、構造、及び生体力学における特定の変化と関連し得る。
【0008】
したがって、インビボのニッチ環境を再現することによって、組織特異的及び/または集団特異的な様式で、再生的生物活性を活性化することが可能な局所組成物を提供することが有利であろう。
【発明の概要】
【0009】
概要
本概要は、37C.F.R.§1.73に準拠するよう提供されたものである。これは、本開示の範囲または意味を解釈または制限するために使用するものではないことを理解すべきである。
【0010】
本発明の実施形態は、上皮に局所投与するための組成物を対象とし、組成物は、少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、1つ以上の、薬学的に許容されるまたは化粧品的に許容される賦形剤とを含み、分解されたマトリソームは、組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドは、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、組織恒常性、組織修復、及び組織再生の1つ以上を促進するよう構成されている。
【0011】
本発明の実施形態は、標的組織における修復または再生を促進する方法を対象とし、方法は、組成物を標的組織の上皮に局所投与することを含み、組成物は、少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、1つ以上の、薬学的に許容されるまたは化粧品的に許容される賦形剤とを含み、分解されたマトリソームは、組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドは、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、標的組織における組織恒常性、組織修復、及び組織再生の1つ以上を促進するよう構成されている。
【0012】
本発明の実施形態は、標的組織におけるケラチン遺伝子発現を増加させる方法を対象とし、方法は、組成物を標的組織の上皮に局所的に投与することを含み、組成物は、少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、1つ以上の、薬学的に許容されるまたは化粧品的に許容される賦形剤とを含み、分解されたマトリソームは、組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドは、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、標的組織における弛緩、しわ、及びたるみの1つ以上を低減または防止するよう構成されている。
【0013】
本発明の実施形態は、標的組織における皮膚発赤を低減させる方法を対象とし、方法は、組成物を標的組織の上皮に局所的に投与することを含み、組成物は、少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、1つ以上の、薬学的に許容されるまたは化粧品的に許容される賦形剤とを含み、分解されたマトリソームは、組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドは、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、瘢痕形成、創傷、及び火傷の1つ以上からの標的組織における治癒または回復を促進するよう構成されている。
【0014】
本発明の実施形態は、標的組織の表面のpHを低下させる方法を対象とし、方法は、組成物を標的組織の上皮に局所的に投与することを含み、組成物は、少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、1つ以上の、薬学的に許容されるまたは化粧品的に許容される賦形剤とを含み、分解されたマトリソームは、組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドは、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、表面のpHを低下させ、標的組織の表面上の病原体の存在または成長を低下させるよう構成されている。
【0015】
本発明の実施形態は、標的皮膚組織の特徴を改善する方法を対象とし、方法は、組成物を標的皮膚組織の上皮に局所的に投与することを含み、組成物は、少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、1つ以上の、薬学的に許容されるまたは化粧品的に許容される賦形剤とを含み、分解されたマトリソームは、組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドは、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、標的皮膚組織の特徴を改善するよう構成され、標的皮膚組織の特徴は、張り、弾力性、小じわ、しわ、皮膚の質感、皮膚の色合い、及び外観からなる群から選択される。
【0016】
本発明の実施形態は、標的組織における細胞再生を増加させる方法を対象とし、方法は、組成物を組織の上皮に局所的に投与することを含み、組成物は、少なくとも1つの生体組織に由来する1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドを含む、分解されたマトリソームと、1つ以上の、薬学的に許容されるまたは化粧品的に許容される賦形剤とを含み、分解されたマトリソームは、組成物の約0.1重量%~約15重量%の量であり、1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドは、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって、標的組織の上皮バリアを回復させるよう構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、記載された説明と共に、本発明の原理、特性、及び特徴を説明するのに役立つ。図面の簡単な説明は以下のとおりである。
【0018】
図1】一実施形態による、線維症特異的細胞外マトリックス基質を作製する方法の例示的な図を示す。
図2】一実施形態による、分解されたマトリソーム上で培養された正常なヒト真皮線維芽細胞の例を示す。
図3】一実施形態による、分解されたマトリソーム上で培養された正常なヒト真皮線維芽細胞の例を示す。
図4】一実施形態による、血管及び皮膚細胞外マトリックス成分のSDS-PAGEゲルの例を示す。
図5】一実施形態による、組織特異的細胞と共に培養された細胞外マトリックス成分における遺伝子発現の例を示す。
図6】一実施形態による、血管及び皮膚細胞外マトリックス成分の生化学的分析の例を示す。
図7】一実施形態による、マトリキン誘発性皮膚組織再生の増加の例を示す。
図8】一実施形態による、創傷治癒中のマトリキン誘発性発赤低減の例を示す。
図9】一実施形態による、創傷サイズのマトリキン誘発性縮小の例を示す。
図10】一実施形態による、マトリキン誘発性治癒の図を示す。
図11】一実施形態による、マトリキン誘発性の細胞移動及び創傷表面縮小の例を示す。
図12A】一実施形態によるヒト反復損傷パッチテストの例を示す。
図12B】一実施形態によるヒト反復損傷パッチテストの例を示す。
図13】一実施形態による、マトリキン誘発性創傷治癒の例を示す。
図14】一実施形態による、マトリキン誘発性創傷治癒の例を示す。
図15】一実施形態による、マトリキン誘発性創傷治癒の例を示す。
図16】一実施形態による、マトリキン誘発性瘢痕低減の例を示す。
図17】一実施形態による、マトリキン誘発性瘢痕低減の例を示す。
図18】一実施形態による、マトリキン誘発性瘢痕低減の例を示す。
図19】一実施形態による、マトリキン誘発性瘢痕低減の例を示す。
図20】一実施形態による、尋常性ざ瘡のマトリキン誘発性治療の例を示す。
図21】一実施形態による、尋常性ざ瘡のマトリキン誘発性治療の例を示す。
図22】一実施形態による、しわのマトリキン誘発性治療の例を示す。
図23】一実施形態による、ユーザの知覚の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本開示は、記載された特定のシステム、デバイス、及び方法に限定されず、これらは変動し得る。本明細書で使用される専門用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明することのみを目的とし、範囲を限定することを意図するものではない。本開示のかかる態様は、多くの異なる形態で具現化され、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、その範囲を当業者に完全に伝達するよう提供される。
【0020】
以下、様々な態様について詳細に説明する。しかしながら、かかる態様は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に示される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、その範囲を当業者に完全に伝達するよう提供される。
【0021】
単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈によって明らかにそうでないと指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ポリマー」への言及は、単一のポリマー、ならびに2つ以上の同じまたは異なるポリマーを含み、「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤、ならびに2つ以上の同じまたは異なる賦形剤を含む、等である。
【0022】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、現実世界での測定または取り扱い手順を通じて、これらの手順における誤った誤差を通じて、組成物または試薬の製造、供給源、または純度の違いを通じて、等々によって生じ得る数値量の変化を指す。典型的には、本明細書で使用される「約」という用語は、記載された値の1/10の増減、例えば±10%、によって示される、値または値の範囲を意味する。「約」という用語はまた、当業者によって同等であると認識される変動を指すこともあり、但しかかる変動は、先行技術によって実施された既知の値を包含しない限りにおいてである。「約」という用語に続く各値または値の範囲はまた、記載された絶対値または値の範囲の実施形態を包含することが意図される。本開示で列挙される「約」という用語によって修飾されるか否かにかかわらず、定量的な値は、列挙された値に対する同等値、例えば、発生し得るが、当業者によって同等値であると認識されるであろう数値の変動を包含する。本開示の文脈がそうでないことを示す場合、またはかかる解釈と矛盾する場合、上記の解釈は、当業者に容易に明らかになるよう修正され得る。例えば、「約49、約50、約55などの数値のリストでは、「約50」は、前述の値と後続の値との間の間隔(複数可)の半分未満、例えば、49.5超えて52.5未満にわたる範囲を意味する。さらに、「約~未満」または「約~より大きい」という語句は、本明細書に提供される「約」という用語の定義を考慮して理解されるべきである。
【0023】
「含む(comprising)」という移行用語は、「含む(including)」、「含む(containing)」、または「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の未列挙の要素または方法ステップを除外しない。対照的に、移行句「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲で特定されていない、いかなる要素、ステップ、または含有物も除外する。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という移行句は、特許請求の範囲を、特定された材料またはステップ及び請求項に係わる主題の「基本的かつ新規な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップ」に限定する。含む(comprising)という用語が移行句として使用されているいくつかの実施形態または請求項では、そのような実施形態は、「含む(comprising)」という用語を、「からなる(consisting of)」または「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語で置き換えることを想定することもできる。
【0024】
本明細書で使用される用語は、一般に、「オープンな」用語として一般的に意図されることが当業者によって理解されるであろう(例えば、用語「を含む」は、「を含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「を有する」は、「少なくとも~を有する」と解釈されるべきであり、用語「を含む」は、「を含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである、等)。さらに、「含む(comprising)」という移行句は、「含む(including)」、「含む(containing)」、または「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の未列挙の要素または方法ステップを除外しない。種々の組成物、方法、及びデバイスは、種々の構成要素またはステップを「含む」という観点から説明されるが(「を含むが、これらに限定されない」という意味で解釈される)、組成物、方法、及びデバイスは、種々の構成要素及びステップ「から本質的になる」か、または「からなる」ことも可能であり、かかる場合の用語は、本質的に閉じたメンバー群を定義するものとして解釈されるべきである。対照的に、「~からなる」という移行句は、特許請求の範囲において特定されていない任意の要素、ステップ、または含有物を除外する。移行句「本質的にからなる」は、特許請求の範囲を、特定の材料またはステップであって、特許請求の範囲の「基本的及び新規な特徴(複数可)に実質的に影響を与えない」それらに限定するものである。
【0025】
全てのパーセンテージ、部及び比率は、別段の指定がない限り、製剤及び組成物の総重量に基づいており、全ての測定は約25℃で行われる。
【0026】
当業者に理解されるように、書面による説明を提供するという観点等の、任意の及び全ての目的のために、本明細書に開示される全ての範囲は、その範囲の上限と下限との間の各介在値と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在値とを包含することが意図される。本明細書に開示される全ての範囲はまた、その任意の及び全ての可能な部分範囲及び部分範囲の組み合わせを包含する。任意の列挙された範囲は、その範囲を、少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などができることを十分に説明し、可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下位3分の1、中間3分の1、上位3分の1などに容易に分解することができる。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」などの全ての言語は、列挙された数を含み、上述したように後に部分範囲に分割され得る範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の細胞を有する群は、1個、2個、または3個の細胞を有する群、ならびに1個以上かつ3個以下の細胞を有する値の範囲を指す。同様に、1~5個の細胞を有する群は、1、2、3、4、または5個の細胞を有する群、ならびに、1個以上かつ5個以下の細胞を有する値の範囲を指す、等である。
【0027】
加えて、特定の数が明示的に列挙されていても、当業者は、かかる列挙が少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語を含まずに単に「2つの列挙」というときは、少なくとも2つの列挙、または2つ以上の列挙を意味する)。さらに、「A、B、及びC、等々のうちの少なくとも1つ」に類似する言い回しが使用される場合、一般に、かかる構成は、当業者がその言い回しを理解する意味で意図される(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、及び/またはA、B及びCを一緒に、等々を有するシステムを含むが、これらに限定されない)。「A、B、またはC等の少なくとも1つ」に類似する言い回しが使用される場合、一般に、かかる構成は、当業者がその言い回しを理解する意味で意図される(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に有するシステム、A及びCを一緒に有するシステム、B及びCを一緒に有するシステム、及び/またはA、B及びCを一緒に有するシステム等を含むが、これらに限定されない)。詳細な説明、サンプル実施形態、または図面のいずれにおいても、2つ以上の代替的な用語を提示する事実上任意の分離的な単語及び/または語句は、用語の1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を考慮すると理解されるべきであることが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、語句「AまたはB」は、「A」または「B」または「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。
【0028】
加えて、本開示の特徴がマーカッシュ群の観点から説明される場合、当業者は、本開示が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブ群の観点からも説明されることを認識するであろう。
【0029】
範囲に従って、または任意の同様の方法で請求することができる、群内の任意の部分範囲または部分範囲の組み合わせを含む、任意のかかる群の任意の個々のメンバーを除外または除外する権利を留保することにより、本開示の全範囲未満のものを、あらゆる理由においても特許請求することができる。さらに、個々の置換物、構造、もしくはそれらの群、または特許請求された群の任意のメンバーを除外または除外する権利を留保することにより、本開示の全範囲未満のものを、あらゆる理由においても特許請求することができる。
【0030】
「患者」及び「対象」という用語は交換可能であり、本明細書に提供される化合物または組成物で投与及び/または治療され得る任意の生物体を意味すると解釈され得る。したがって、「患者」及び「対象」という用語は、限定されないが、任意の非ヒト哺乳動物、霊長類またはヒトを含み得る。いくつかの実施形態では、「患者」または「対象」は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、またはヒト等の哺乳動物である。いくつかの実施形態では、患者または対象は、成人、小児、または乳児である。いくつかの実施形態では、患者または対象はヒトである。
【0031】
一般に、「組織」という用語は、特定の機能の実施について団結している、同様に特化した細胞の任意の凝集体を指す。本明細書で使用される場合、「組織」は、別段の指示がない限り、その必要な構造及び/または機能の一部としてエラスチンを含む組織を指す。例えば、とりわけ、コラーゲンフィブリル及びエラスチンフィブリルからなる結合組織は、本明細書で使用される「組織」の定義を満たす。さらに、エラスチンは、血管、静脈、及び動脈の固有の粘弾性における適切な機能に関与していると考えられる。
【0032】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、2つ以上の異なる含有物、成分、または物質の組み合わせまたは混合物を指す。
【0033】
「マトリキン」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞活性を調節する細胞外マトリックス由来ペプチドを指す。マトリキンは、細胞外マトリックス巨大分子の部分的な酵素分解(すなわち、タンパク質分解)の結果として生成される生物活性ペプチドである。ペプチドは、全長分子の断片であり、細胞増殖、移動、及びアポトーシスを調節することを含むがこれらに限定されない、全長分子とは異なる様式でシグナル伝達を介して細胞活性をしばしば調節する。さらに、マトリキンからのシグナル伝達は、酵素分解によって生じる断片化の程度(すなわち、断片のサイズ)に基づいて変化し得る。本明細書で使用される「Matrikyne」という用語は、本出願で開示された、及び/またはXYLYX BIO,INC.(New York,USA)によって製造されたマトリキンの配合物を指す。
【0034】
本明細書で使用される「マトリソーム」という用語は、細胞外マトリックスから放出されるか、または細胞外マトリックスの酵素分解から生じるマトリキンのセットを指す。完全マトリソームは、マトリソームが由来する組織特異的細胞外マトリックスに応じて異なる濃度のマトリキンを含んでよく、マトリキンの全ての集まりを表す。
【0035】
本明細書で使用される「賦形剤」という用語は、担体及び希釈剤を包含し、組織層(例えば、角質層または棘層)を横断して医薬品、化粧品、または他の薬剤を運搬または輸送することに関与する、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材などの材料、組成物、またはビヒクルを意味する。
【0036】
「角質繊維」という用語は、本明細書で使用される場合、皮膚、毛髪、及び爪を含むがこれらに限定されない、繊維状構造タンパク質としてケラチンを含む任意の組織を指す。
【0037】
本明細書で使用される「局所的に」及び「局所的な」という用語は、皮膚、粘膜細胞、ケラチン、及び組織の表面への組成物の適用を指す。ケラチンの例は、爪及び毛髪である。
【0038】
「薬学的に許容される」または「化粧品的に許容される」という語句は、本明細書では、合理的な利益/リスク比に見合った過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒト及び/または他の哺乳類の組織と接触して使用するのに適した健全な医学的判断の範囲内にある、目的の薬剤/化合物、塩、組成物、剤形等を指すために用いられる。いくつかの態様において、薬学的に許容されるとは、哺乳動物(例えば、動物)において、より具体的には、ヒトにおいて使用するために、連邦または州政府の規制機関によって承認されたか、または米国薬局方または他の一般に認識されている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0039】
「化粧品」という用語は、肌を洗浄する、美しくする、魅力を高める、外観を変えるまたはそれらの任意の組み合わせのために、人体に利用される、及び/または適用されることが意図される剤を意味する。
【0040】
本明細書で使用される場合、「治療的」という用語は、患者の望ましくない症状または疾患を治療し、対処し、改善し、予防し、または改善するために利用される薬剤を意味する。部分的には、本発明の実施形態は、創傷、瘢痕、及び皮膚症状の治療を対象とする。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物及び方法は、かかる治療を必要とする対象により、またはかかる治療を必要とする対象に対して、利用することができ、「それを必要とする」とも称されることができる。本明細書で使用される場合、「それを必要とする」という語句は、対象が特定の方法または治療を必要としていると特定されており、治療がその特定の目的のために対象に与えられていることを意味する。
【0042】
「治療する」、「治療された」、または「治療すること」という用語は、本明細書で使用される場合、皮膚障害または全身性症状を治療する方法を指し、一般に、化合物または組成物の投与を含み、目的は、医学的症状の頻度を低減するか、または発症を遅延させること、対象の組織表面の意図される組織治療領域の質感、外観、色、感覚、または水分補給を、化合物または組成物を受けていない対象と比較して向上させること、またはそうでなければ有益なまたは所望の臨床結果を得ることである。本発明の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果には、検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず、症状の逆転、低減もしくは緩和、症状、障害もしくは疾患の程度の低減、症状、障害もしくは疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、症状、障害もしくは疾患の発症または進行の遅延、症状、障害または疾患状態の改善、及び寛解(部分的または完全な)、または症状、障害もしくは疾患の促進または改善が含まれるが、これらに限定されない。治療には、過剰なレベルの副作用を伴わずに、臨床上重要な応答を誘発することが含まれる。治療にはまた、治療を受けない場合に予想される生存期間と比較した生存期間延長も含まれる。
【0043】
「阻害する」という用語は、本発明の化合物を投与して、症状の発症を予防し、症状を緩和し、症状を低減し、疾患及び/またはその症状の進行を遅延または減少させ、または疾患、症状もしくは障害を除去することを含む。
【0044】
便宜上、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲で用いられる、ある特定の用語がここに集められる。特に定義されない限り、本開示で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0045】
本開示全体で、様々な特許、特許出願、及び刊行物が参照される。これらの特許、特許出願、及び刊行物のそれら全体の開示は、本開示の日付現在、当業者に知られている技術的現状をより完全に説明するために参照により本開示に組み込まれる。特許、特許出願、及び引用刊行物と本開示との間に何らかの不一致がある場合は、本開示が優先する。
【0046】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本開示におけるいかなるものも、本開示に記載される実施形態が、先行発明のためにかかる開示に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0047】
本明細書で考察されるように、細胞外マトリックスに由来する再生促進バイオマテリアルペプチド(すなわち、マトリキン)は、細胞再生に必要な複雑な構造支持体及び生化学シグナルを細胞に提供することができる。生物活性組成物は、再生的な生物活性成分を使用して、包括的な皮膚修復及び全体的な皮膚の健康を提供し得る。組成を変化させて、瘢痕治療を目的とした製品、ならびにざ瘡、湿疹、及び乾癬等の他の皮膚症状の治療を目的とした製品ラインを作製し得る(例えば、XYLYX BIO,Inc.から入手可能なMatrikyne(登録商標)組成物)。
【0048】
何百ものマトリキン生物活性タンパク質複合体が、皮膚細胞の再生と治癒を促進し、それによって、実証済みの若返り特性を有する臨床的に証明された成分を提供する。生物活性成分は、皮膚細胞、健康な皮膚の微生物叢、及び免疫系の間で必須の情報伝達を調整し、皮膚細胞の活発な再生及び健康を統合的にサポートする。何百ものマトリキン生体活性タンパク質複合体は、必須の修復機能に貢献するために一緒に機能する生物活性分子の6つの広範なファミリーに由来する。生物活性物質のファミリー及びその利点としては、ラミニン(細胞の移動及び分化を調節する)、プロテオグリカン(皮膚細胞の再生及び増殖の信号を送る)、成長因子(皮膚細胞の若返りをサポートする)、糖タンパク質(免疫細胞及び系に対する指示をする)、エラスチン(組織の完全性及び調子をサポートする)、コラーゲン(皮膚の修復及び再生をサポートする)が挙げられる。
【0049】
天然のマトリキン生物活性は、炎症を調節し、線維症を阻害し、コラーゲンの産生及び成長因子の発現を増強することによって、組織の修復及び治癒をサポートする。マトリキンは、細胞の再生を導き、皮膚の健康の基礎となる生理学的な「対話」に不可欠である。従来利用可能な製品とは異なり、断片化された細胞外マトリックスはマトリキンを含み、それは皮膚に浸透して、皮膚細胞、免疫系、及びマイクロバイオーム間の対話を促進することができる。製剤は、小じわやしわの外観の低減、瘢痕やざ瘡の治療、及び全体的な皮膚の明るさ、張り、若返りの向上など、様々な用途を対象とすることができる。マトリキンはまた、皮膚の自然なバランスを回復させることによって発赤を低減することが証明されており、瘢痕治療、発赤の低減、湿疹、バラ花粉症、及びしわ防止処理に使用することができる。さらに、マトリキンは、製品のパーソナライズのために、皮膚の状態、年齢、民族性などに合わせて調整することもできる。
【0050】
局所マトリキン組成物
本明細書に開示される実施形態は、1つ以上のペプチド(すなわち、マトリキン)を含む断片化された分解されたマトリソームを含む、局所適用のための組成物を対象とする。組成物は、1つ以上の賦形剤(例えば、薬学的に許容される賦形剤または化粧品的に許容される賦形剤)をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、1つ以上の分解されたマトリソーム成分のタンパク質分解(すなわち、酵素分解)によって断片化されて、1つ以上のペプチドとして生成され得る。さらに、1つ以上のペプチドは、組織恒常性、組織修復、及び組織再生のうちの1つ以上を促進するよう構成され得る。
【0051】
マトリキンは、様々な組織タイプに特異的な組織特異的細胞外マトリックス(TS-ECM)に由来し得、したがって、そこから得られた、組成物中のマトリキン混合物は、様々な組織のニッチ環境をエミュレートし得る。いくつかの実施形態では、TS-ECMは皮膚特異的ECMを含み得る。しかしながら、様々なTS-ECMを使用してマトリキンを導出し得る。いくつかの実施形態では、TS-ECMは、血管特異的ECM、軟骨特異的ECM、腸特異的ECM、肝臓特異的ECM、胎盤特異的ECM、皮膚特異的ECM及び胃特異的ECMから選択され得る。なおさらなる実施形態では、TS-ECMは、別の組織に特異的なニッチ環境をエミュレートし得る。例えば、組織は、副腎、羊水、膀胱、骨、脳、乳房、絨毛、結合組織、食道、眼、脂肪、心臓、腎臓、喉頭、靭帯、肺、リンパ、微小血管系、筋肉、口、網膜、卵巣、卵管、甲状腺、副甲状腺、大腸、小腸、膵臓、腹膜、咽頭、胎盤膜、前立腺、直腸、平滑筋、脊髄、脊髄液、脾臓、腱、睾丸、胸腺、臍帯、子宮、膣、またはワルトンゼリー(Wharton’s Jelly)から選択され得る。いくつかの実施形態では、TS-ECMは、解剖学的構造の領域、器官、または器官の領域をエミュレートし得る。例えば、TS-ECMは、大腸を表し得、またはより具体的には、結腸または直腸を表し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは生物学的組織に由来し得る。様々な組織源を出発物質として使用して、分解されたマトリソームを得ることができる。いくつかの実施形態では、組織源はヒト源である。いくつかの実施形態では、組織源は動物源である。例えば、組織は、ブタ(すなわち、ブタ由来)または臨床的に適切であることが知られている任意の他の動物組織であり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、組織源は、ヒト源または動物源以外であり得る。いくつかの実施形態では、組織源は、植物源及び真菌源から選択され得る。本明細書に例示される分解されたマトリソームは、動物組織を表すが、選択された組織は、組織源として選択される生物の種類に基づいて変化し得る。例えば、組織源が植物源及び/または真菌源である場合、選択された組織は、当業者に理解される、植物及び/または真菌に存在することが知られている任意の組織タイプであり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、組織源は、胎児組織、若年組織、及び成体組織から選択される。いくつかの実施形態では、組織源は健康な組織である。しかしながら、いくつかの実施形態では、組織源は、疾患組織、トランスジェニック組織、または特定の障害または健康状態を有する組織から選択される。例えば、特定の障害または状態は、特定のタンパク質及び/またはペプチドの過剰発現をもたらし得る。したがって、特定のタンパク質またはマトリキンを含む組成物を、同じ特定のタンパク質またはマトリキンを過少発現する個体に適用することが有益であり得る。したがって、ターゲティングされた方法で非健康な組織からTS-ECMからマトリキンを誘導することが有利であり得る。得られるTS-ECMは、組織源由来の細胞外マトリックス、またはより一般的には、組織源と同じ関連特性を有する組織由来の細胞外マトリックスを表す(例えば、胎児のヒト皮膚組織は、胎児のヒト皮膚を表す皮膚特異的ECMを生じる)。
【0055】
いくつかの実施形態では、マトリキンは単一のTS-ECMから単離される。いくつかの実施形態では、マトリキンは複数のTS-ECMから単離される。したがって、組成物に含まれるマトリキンの混合物及びマトリキンの相対濃度は、単一の組織、組織の組み合わせを表し得る。複数のTS-ECMを、互いに対して所定の量または比率で提供することにより、結果として得られるマトリキンの混合物をテーラーメードすることができる。さらに、TS-ECMから単離された任意の数のマトリキンを、調整(例えば、濃度の調整)または完全に除去することにより、組織修復及び再生のための所望の特性を有するマトリキン混合物を有する組成物を得ることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、組成物は、特定の天然組織において見出される細胞外環境をエミュレートする特定の濃度の酵素的に断片化された分解されたマトリソーム及び/またはマトリキンを含む。組成物は、足場タンパク質、ECM関連タンパク質、ECM調節因子、糖タンパク質、プロテオグリカン、ラミニン、細胞外マトリックス関連タンパク質、可溶性成長因子、炎症性サイトカイン及びケモカイン、免疫メディエーター、ならびに細胞外液中の分泌因子等の、分解されたマトリソーム性巨大分子の特定の組み合わせを含み得る。加えて、組成物は、マトリキンの特定の組み合わせを含み得る。マトリキンは、TS-ECM中の巨大分子(すなわち、「親」タンパク質または巨大分子)に由来するため、組成物中のマトリキン(すなわち、「子」ペプチド)の混合物は、TS-ECMの構成に応じて変化し得る。したがって、組成物中のマトリキンは、マトリキンが由来するTS-ECMのタイプに対応し得る。さらに、これらの成分のそれぞれは、サブタイプを有してもよく、そのそれぞれの存在は、1つの分解されたマトリソームから別の分解されたマトリソームで変化し得る。各分解されたマトリソームは、1つ以上の成分の存在または非存在によって特徴付けられ得る。さらに、各成分の濃度は、1つの分解されたマトリソームから別の分解されたマトリソームで変動し得る。
【0057】
上記のように、ECMは、巨大分子(例えば、タンパク質、脂質、及び多糖)、ならびに特定のニッチ環境における細胞シグナル伝達に特異的な他の因子を含む。天然のECMでは、ECM成分は3次元の微細構造を形成する。いくつかの用途では、例えば、局所適用のために、溶液またはヒドロゲルのようなより均一な基質が好まれるかも知れない。本明細書に記載の方法によって産生されるTS-ECMは、天然のECMとは異なる。TS-ECMは脱細胞化され、細胞構造の除去により、巨大分子及び他の細胞シグナル伝達因子の濃度が調節される。さらに、3次元微細構造が除去され得、分解されたマトリソームの様々な成分が断片へと消化され得る。本明細書に記載の様々な実施形態及び/または配合におけるECM成分はいずれも、限定されないが、コラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、マトリックス関連因子、ECM調節因子、マトリソーム分泌因子、免疫因子、骨髄関連因子、及び他の構造因子を含む、分解されたマトリソームへと断片化され得る。ECMの3次元微細構造の除去及び分解されたマトリソーム成分の断片化は、本明細書に記載のように、局所適用のための組成物、例えば、ヒドロゲル、液体溶液、粉末、及び他のフォーマットの形成に使用するための均質な混合物の形成を促進する。驚くべきことに、断片化された成分は、それにもかかわらず、小分子と共に細胞シグナル伝達に寄与し、断片化及び従来の基質構造を形成するために必要とされる微細構造の欠如にもかかわらず、ニッチ環境の特性を高度に保持する。
【0058】
いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲン、エラスチン、及びグリコサミノグリカンを含む高分子断片の均質な混合物を含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲン、エラスチン、及びグリコサミノグリカンを含む巨大分子または巨大分子断片を含み、各巨大分子の量は、脱細胞化後に減少し得る。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲン、エラスチン、及びグリコサミノグリカンを含む高分子断片の均質混合物を含み、各高分子の濃度は、脱細胞化後に変化し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、巨大分子断片の均質混合物を含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、巨大分子断片の均質混合物を含み、巨大分子は、酵素消化後に完全にまたは部分的に断片化され得る。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、高分子断片の均質な混合物を含み、均質な混合物は、細胞シグナル伝達を保持する。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、高分子断片の均質な混合物を含み、均質な混合物は、ECM三次元微細構造を含まない。いくつかの実施形態では、ECM三次元超微細構造は、細胞マトリックス認識に必要とされない。いくつかの実施形態では、細胞マトリックス認識に関与する相互作用は、無細胞マトリックスからの構造的手がかりに限定されず、小分子またはタンパク質断片からのシグナル伝達にも依存する。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、ECM粉末へと処理される。いくつかの実施形態では、ECM粉末は、高分子断片の均質混合物を含み、高分子は、酵素消化後に完全にまたは部分的に断片化され得る。いくつかの実施形態では、ECM粉末は、高分子断片の均質な混合物を含み、均質な混合物は、細胞シグナル伝達を保持する。いくつかの実施形態では、ECM粉末は、高分子断片の均質な混合物を含み、均質な混合物は、ECM三次元微細構造を含まない。いくつかの実施形態では、ECM三次元超微細構造は、細胞マトリックス認識に必要とされない。いくつかの実施形態では、細胞マトリックス認識に関与する相互作用は、脱細胞化マトリックスからの構造的手がかりに限定されず、小分子またはタンパク質断片からのシグナル伝達にも依存する。
【0060】
いくつかの実施形態では、TS-ECMは、酵素的に消化されなくてもよく、三次元微細構造は、例えば、無細胞及び/または脱水骨格として維持されてもよい。
【0061】
組成物は、表1、表2、及び表3、表4、表5、表6、及び表7にまとめられるように、任意のマトリキン成分、その濃度、及び/またはその通常からの変化によって特徴付けられ得る。表は、組成物中で検出された親ECM巨大分子に関する様々な配合を記載しているが、それは対応する親ECM巨大分子に由来するマトリキン、または断片化ペプチドを含み得ることを理解されたい。しかしながら、これらの組成物は、本質的に例示的であり、マトリキンのプロファイルは、任意の数の成分に関して、そこから変化し得る。例えば、組成物は、記載された濃度値及び/または範囲から約10%、約20%、約30%、30%超、またはそれらの間の個々の値もしくは範囲において変化し得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲンを含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、断片化されたコラーゲンを含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲンを約400μg/mL~約9700μg/mLの量で含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲンを約2900μg/mL~約3800μg/mLの量で含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲンを約7500μg/mL~約9500μg/mLの量で含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、約1100μg/mL~約1300μg/mLのコラーゲンを含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、約400μg/mL~約530μg/mLのコラーゲンを含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、約7000μg/mL~約9700μg/mLのコラーゲンを含む。いくつかの実施形態では、コラーゲンはIV型コラーゲンであり、該IV型コラーゲンは、約2ng/mL~約24ng/mLの量である。いくつかの実施形態では、コラーゲンはIV型コラーゲンであり、該IV型コラーゲンは、約6ng/mL~約10ng/mLの量である。いくつかの実施形態では、コラーゲンはIV型コラーゲンであり、該IV型コラーゲンは、約20ng/mL~約24ng/mLの量である。いくつかの実施形態では、コラーゲンはIV型コラーゲンであり、該IV型コラーゲンは、約9ng/mL~約19ng/mLの量である。いくつかの実施形態では、コラーゲンはIV型コラーゲンであり、該IV型コラーゲンは約2ng/mL~約10ng/mLの量である。いくつかの実施形態では、コラーゲンはIV型コラーゲンであり、該IV型コラーゲンは、約3ng/mL~約5ng/mLの量である。
【0063】
いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームはエラスチンを含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは断片化されたエラスチンを含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、エラスチンを約40μg/mL~約3000μg/mLの量で含む。いくつかの実施形態では、エラスチンは、約40μg/mL~約50μg/mLの量である。いくつかの実施形態では、エラスチンは、約350μg/mL~約450μg/mLの量である。いくつかの実施形態では、エラスチンは、約120μg/mL~約150μg/mLの量である。いくつかの実施形態では、エラスチンは、約1700μg/mL~約3000μg/mLの量である。
【0064】
いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームはグリコサミノグリカンを含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは断片化グリコサミノグリカンを含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、約3μg/ml~約170μg/mlの量のグリコサミノグリカンを含む。いくつかの実施形態では、グリコサミノグリカンは、約130μg/mL~約170μg/mLの量である。いくつかの実施形態では、グリコサミノグリカンは、約10μg/mL~約20μg/mLの量である。いくつかの実施形態では、グリコサミノグリカンは、約5μg/mL~約15μg/mLの量である。いくつかの実施形態では、グリコサミノグリカンは、約3μg/mL~約5μg/mLの量である。いくつかの実施形態では、グリコサミノグリカンは、約80μg/mL~約110μg/mLの量である。
【0065】
(表1)Matrikynes配合1の成分の部分リスト
【0066】
(表2)Matrikynes配合2の成分の部分リスト
【0067】
(表3)Matrikynes配合3の成分の部分リスト
【0068】
(表4)Matrikynes配合4の成分の部分リスト
【0069】
(表5)Matrikynes配合5の成分の部分リスト
【0070】
(表6)5つのMatrikynes(商標)配合における細胞外マトリックス成分の定量化
【0071】
(表7)ヒト細胞外親タンパク質から放出される主要なマトリクリプチン/マトリキン
【0072】
いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲン、糖タンパク質、プロテオグリカン、エラスチン、マトリソーム分泌因子、構造タンパク質、成長因子、及びECM調節因子のうちの1つ以上を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲン、糖タンパク質、プロテオグリカン、エラスチン、マトリソーム分泌因子、構造タンパク質、成長因子、及びECM調節因子の1つ以上の断片を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンまたはコラーゲンの断片を含み、コラーゲンは、I型コラーゲンアルファ1鎖、I型コラーゲンアルファ2鎖、I型コラーゲンアルファ3鎖、II型コラーゲンアルファ1鎖、III型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ2鎖、IV型コラーゲンアルファ3鎖、IV型コラーゲンアルファ4鎖、IV型コラーゲンアルファ5鎖、V型コラーゲンアルファ1鎖、V型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ1鎖、VI型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ3鎖、VI型コラーゲンアルファ5鎖、VIII型コラーゲンアルファ1鎖、VIII型コラーゲンアルファ2鎖、IX型コラーゲンアルファ2鎖、XI型コラーゲンアルファ1鎖、XI型コラーゲンアルファ2鎖、XII型コラーゲンアルファ2鎖、XIV型コラーゲンアルファ1鎖、XVI型コラーゲンアルファ1鎖、XXI型コラーゲンアルファ1鎖のうちの1つ以上から選択される。
【0075】
いくつかの実施形態では、組成物は、糖タンパク質または糖タンパク質の断片を含み、糖タンパク質は、線維性コラーゲンNC1ドメイン含有タンパク質、フィブリリン、フィブリリン1、フィブリリン2、フィブリン2、マイクロフィブリル関連タンパク質4、脂肪細胞エンハンサー結合タンパク質1、アルファ-2-Heremans-Schmid糖タンパク質、ビグリカン、細胞外マトリックスタンパク質2、フィブリノーゲンベータ鎖、フィブリノーゲンガンマ鎖、フィブロネクチン1、オステオネクチン、ペリオスチン、テナスチンC、テナスチンN、トロンボスポンジン1、形質転換成長因子ベータ誘導性、ビトロネクチン、ダーマトポンチン、EGF含有フィブリン様細胞外マトリックスタンパク質、ラミニン、サブユニットアルファ3、ラミニンサブユニットアルファ5、ラミニンサブユニットベータ2、ラミニンサブユニットガンマ1、前立腺幹細胞抗原、サポシン-B-Val、フォン・ヴィレブランド因子及びニドゲン1のうちの1つ以上から選択される。
【0076】
いくつかの実施形態では、組成物は、プロテオグリカンまたはプロテオグリカンの断片を含み、プロテオグリカンは、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン2、ヘパラン硫酸プロテオグリカンコアタンパク質、アグレカンコアタンパク質、アスポリン、デコリン、フィブロモジュリン、ルミカン、ミメカン、オステオグリカン、オステオモジュリン、プロリン/アルギニンリッチ末端ロイシンリッチリピートタンパク質、及びビグリカンのうちの1つ以上から選択される。
【0077】
いくつかの実施形態では、組成物は、エラスチンまたはエラスチンの断片を含み、エラスチンは、エラスチンアイソフォームである。
【0078】
いくつかの実施形態では、組成物は、マトリソーム分泌因子またはマトリソーム分泌因子の断片を含み、マトリソーム分泌因子は、アルブミン、血清アルブミン、アネキシンA2、キチナーゼ、コレクチンサブファミリーメンバー12、クレアチンキナーゼB、オルファクトメジン、トレフォイル因子1、トレフォイル因子2、血管活性腸ペプチド、ムチン5AC、ムチン5、及びホルネリンのうちの1つ以上から選択される。
【0079】
いくつかの実施形態では、組成物は、構造タンパク質または構造タンパク質の断片を含み、構造タンパク質は、アクチン、アクチンガンマ2、フィラミンA、ケラチン1、ケラチン2、ケラチン5、ケラチン9、ケラチン10、ケラチン14、ミオシン11、ミオシン重鎖9、チューブリンベータ鎖、及びビメンチンのうちの1つ以上から選択される。
【0080】
いくつかの実施形態では、組成物は、成長因子または成長因子の断片を含み、成長因子は、潜在型形質転換成長因子ベータ結合タンパク質4、アンフィレグリン、塩基性線維芽細胞成長因子、骨形質形成タンパク質4、骨形質形成タンパク質7、脳由来神経栄養因子、上皮成長因子、上皮成長因子受容体、上皮促進成長因子、内分泌腺由来血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子2、成長分化因子15、肝細胞成長因子、インスリン様成長因子結合タンパク質1、インスリン様成長因子結合タンパク質3、インスリン様成長因子結合タンパク質4、インスリン様成長因子6、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(CD115)、オステオプロテゲリン、血小板由来成長因子AA、血管内皮成長因子のうちの1つ以上から選択される。
【0081】
いくつかの実施形態では、組成物は、ECM調節因子またはECM調節因子の断片を含み、ECM調節因子は、アルファ1抗トリプシン、カテプシンG、凝固因子IX、凝固因子X、デスモプラキン、グラニューリン前駆体、ヒアルロン酸結合タンパク質2、インターアルファ(グロブリン)阻害因子H4、接合プラコグロビン、メタロプロテイナーゼ阻害因子2、プロトロンビン、セルピンペプチダーゼ阻害因子クレードF、及び血清アルブミン前駆体のうちの1つ以上から選択される。
【0082】
いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲン、糖タンパク質、プロテオグリカン、エラスチン、マトリソーム分泌因子、構造タンパク質、成長因子、及びECM調節因子の1つ以上の断片を含み、1つ以上のコラーゲンは、I型コラーゲンアルファ1鎖、III型コラーゲンアルファ1鎖、及びV型コラーゲンアルファ2鎖を含み、1つ以上の糖タンパク質は、線維コラーゲンNC1ドメイン含有タンパク質、フィブリリン1、及びマイクロフィブリル関連タンパク質4を含み、1つ以上のプロテオグリカンは、ヘパラン硫酸プロテオグリカン2を含み、1つ以上のエラスチンは、エラスチンアイソフォームを含み、1つ以上の構造タンパク質は、アクチンガンマ2及びフィラミンAを含み、1つ以上の成長因子は、潜在型形質転換成長因子ベータ結合タンパク質4を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲン、糖タンパク質、プロテオグリカン、エラスチン、マトリソーム分泌因子、構造タンパク質、成長因子、及びECM調節因子の1つ以上の断片を含み、1つ以上のコラーゲンは、I型コラーゲンアルファ1鎖、I型コラーゲンアルファ2鎖、II型コラーゲンアルファ1鎖、III型コラーゲンアルファ1鎖、V型コラーゲンアルファ1鎖、V型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ3鎖、VIII型コラーゲンアルファ1鎖、IX型コラーゲンアルファ2鎖、XI型コラーゲンアルファ1鎖、XI型コラーゲンアルファ2鎖、XII型コラーゲンアルファ2鎖、及びXIV型コラーゲンアルファ1鎖を含み、1つ以上の糖タンパク質は、フィブリリン1、脂肪細胞エンハンサー結合タンパク質1、アルファ-2-Heremans-Schmid糖タンパク質、ビグリカン、細胞外マトリックスタンパク質2、フィブリノーゲンベータ鎖、フィブリノーゲンガンマ鎖、フィブロネクチン1、オステオネクチン、ペリオスチン、テナスチンC、テナスチンN、トロンボスポンジン1、形質転換成長因子ベータ誘導性、及びビトロネクチンを含み、1つ以上のプロテオグリカンは、ヘパラン硫酸プロテオグリカン2、アグレカンコアタンパク質、アスポリン、デコリン、フィブロモジュリン、ルミカン、ミメカン、オステオグリカン、オステオモジュリン、及びプロリン/アルギニンリッチ末端ロイシンリッチリピートタンパク質を含み、1つ以上のエラスチンは、エラスチンを含み、1つ以上のマストリソーム分泌因子は、アルブミン、アネキシンA2、キチナーゼ、コレクチンサブファミリーメンバー12、クレアチンキナーゼB、オルファクトメジンを含み、1つ以上のECM調節因子は、凝固因子IX、凝固因子X、インターアルファ(グロブリン)阻害因子H4、プロトロンビン、及びセルピンペプチダーゼ阻害因子クレードFであり、1つ以上の構造タンパク質は、アクチンガンマ2及びビメンチンである。
【0084】
いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲン、糖タンパク質、プロテオグリカン、エラスチン、マトリソーム分泌因子、構造タンパク質、成長因子、及びECM調節因子の1つ以上の断片を含み、1つ以上のコラーゲンは、I型コラーゲンアルファ1鎖、I型コラーゲンアルファ2鎖、II型コラーゲンアルファ1鎖、III型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ2鎖、V型コラーゲンアルファ1鎖、V型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ3鎖、VI型コラーゲンアルファ5鎖、VIII型コラーゲンアルファ1鎖、及びVIII型コラーゲンアルファ2鎖を含み、1つ以上の糖タンパク質は、デルマトポンチン、フィブリリン1、マイクロフィブリル関連タンパク質4、及びペリオスチンを含み、1つ以上のプロテオグリカンは、アスポリン及びヘパラン硫酸プロテオグリカン2を含み、1つ以上のエラスチンは、エラスチンアイソフォームを含み、1つ以上のマトリソーム分泌因子は、キチナーゼ、コレクチンサブファミリーメンバー、トレフォイル因子1、及び血管活性腸ペプチドを含み、1つ以上のECM調節因子は、ヒアルロン酸結合タンパク質2を含み、1つ以上の構造タンパク質は、アクチンガンマ2及びミオシン11を含み、1つ以上の成長因子は、アンフィレグリン、塩基性線維芽細胞成長因子、骨形態形成タンパク質4、骨形態形成タンパク質7、上皮成長因子、成長分化因子15、肝細胞成長因子、インスリン様成長因子結合タンパク質3、及びオステオプロテゲリンを含む。
【0085】
一部の実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲン、糖タンパク質、プロテオグリカン、エラスチン、マトリソーム分泌因子、構造タンパク質、成長因子、及びECM調節因子の1つ以上の断片を含み、1つ以上のコラーゲンは、I型コラーゲンアルファ1鎖、I型コラーゲンアルファ2鎖、II型コラーゲンアルファ1鎖、III型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ1鎖、V型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ3鎖、VI型コラーゲンアルファ5鎖を含み、1つ以上の糖タンパク質は、フィブリリン1、フィブリリン2、EGF含有フィブリン様細胞外マトリックスタンパク質、ラミニンサブユニットガンマ1、前立腺幹細胞抗原、サポシンB-Val、及びフォン・ヴィレブランド因子を含み、1つ以上のプロテオグリカンは、ヘパラン硫酸プロテオグリカンを含み、1つ以上のエラスチンは、エラスチンアイソフォームを含み、1つ以上のマトリソーム分泌因子は、キチナーゼ、ムチン5AC、ムチン6、血清アルブミン、及びトレフォイル因子2を含み、1つ以上のECM調節因子は、グラニューリン前駆体を含み、1つ以上の構造タンパク質は、アクチン、ケラチン1、ケラチン2、ケラチン9、ケラチン10、ミオシン重鎖9、及びチューブリンベータ鎖を含み、1つ以上の成長因子は、骨形態形成タンパク質4、線維芽細胞成長因子2、インスリン様成長因子結合タンパク質4、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(CD115)、及び上皮促進成長因子を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、コラーゲン、糖タンパク質、プロテオグリカン、エラスチン、マトリソーム分泌因子、構造タンパク質、成長因子、及びECM調節因子の1つ以上の断片を含み、1つ以上のコラーゲンは、I型コラーゲンアルファ1鎖、I型コラーゲンアルファ2鎖、I型コラーゲンアルファ3鎖、II型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ1鎖、IV型コラーゲンアルファ2鎖、IV型コラーゲンアルファ3鎖、IV型コラーゲンアルファ4鎖、IV型コラーゲンアルファ5鎖、V型コラーゲンアルファ1鎖、V型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ1鎖、VI型コラーゲンアルファ2鎖、VI型コラーゲンアルファ3鎖、VIII型コラーゲンアルファ1鎖、XVI型コラーゲンアルファ1鎖、及びXXI型コラーゲンアルファ1鎖を含み、1つ以上の糖タンパク質は、フィブリン2、ペリオスチン、ビトロネクチン、デルマトポンチン、ラミニンサブユニットアルファ3、ラミニンサブユニットアルファ5、ラミニンサブユニットベータ2、ラミニンサブユニットガンマ1、及びニドゲン1を含み、1つ以上のプロテオグリカンは、ビグリカン及びヘパラン硫酸プロテオグリカンコアタンパク質を含み、1つ以上のエラスチンは、エラスチンアイソフォームを含み、1つ以上のマトリソーム分泌因子は、ホルネリンを含み、1つ以上のECM調節因子は、アルファ1抗トリプシン、カテプシンG、デスモプラキン、ジャンクションプラコグロビン、血清アルブミン前駆体、及びメタロプロテイナーゼ阻害因子3を含み、1つ以上の構造タンパク質は、ケラチン1、ケラチン2、ケラチン5、ケラチン9、ケラチン10、及びケラチン14を含み、1つ以上の成長因子は、塩基性線維芽細胞増殖因子、脳由来神経栄養因子、上皮成長因子受容体、内分泌腺由来血管内皮成長因子、成長分化因子15、肝細胞成長因子、インスリン様成長因子結合タンパク質1、インスリン様成長因子結合タンパク質6、オステオプロテゲリン、血小板由来成長因子AA、及び血管内皮成長因子を含む。
【0087】
得られた、組成物中のマトリキン混合物は、特定の混合物及びその濃度に基づいて、独自の生物活性をシグナル伝達及び調節し得る。例えば、マトリキンは、増殖、移行、プロテアーゼ産生、アポトーシス、細胞相互作用、遺伝子発現、及びECMリモデリングをシグナル伝達することができ、それによって、組織の修復及び再生を促進する。いくつかの実施形態では、本出願の酵素的に断片化されたマトリキンを含む分解されたマトリソームは、組織損傷に関連する生物学的シグナル伝達をエミュレートし、治癒を促進するために免疫応答を誘発し得る。例えば、マトリソームの断片化は、組織損傷をエミュレートし得、それによってマトリキンを放出し、組織損傷に対する自然な生物学的応答をエミュレートするシグナル伝達を誘発する。したがって、分解されたマトリソームは、組織損傷に対する自然な生物学的応答をエミュレートするシグナル伝達及び細胞相互作用を活性化することによって、免疫応答を誘発し、及び/または治癒を促進し得る。いくつかの実施形態では、組成物が現在または最近の損傷を有しない組織に適用される場合でも、分解されたマトリソームは、免疫応答を誘発し得る及び/または組織における治癒を促進し得る。
【0088】
本明細書に記載される組成物は、これらの様々な成分の包含により、様々な従来の方法によって産生されるTS-ECMまたはマトリキン組成物と比べて独自のものであり得る。従来の方法は、細胞培養のために天然組織からのECM足場の無傷のシート、スライス、または切片を利用するが、足場だけでもいくつかの欠点を有し得る。無傷の足場は、皮膚または他の表面のカバーとして使用することができるが、ECMフォーマットならびに断片サイズにより、表面を通って浸透しない及び吸収されないことがある。
【0089】
さらに、マトリキンは、しばしば、天然の完全長親タンパク質または分子によっては現れない隠れた生物活性を示す。一部のマトリキンは、完全長形態で活性化され得るが、多くのマトリキンは、本明細書に記載されるよう断片化された後にのみ活性化される。ある場合には、マトリキンは、親タンパク質とは反対の活性を促進し得る。したがって、無傷のシートは、断片化された子ペプチドと同じ生物活性のシグナル伝達及び調節を提示しない場合がある。親巨大分子に対してこの生物活性が異なる例示的な活性マトリキンを、表7に示す(全内容を参照により本明細書に組み込む、Ricard-Blum and Salza,“Matricryptins and matrikines:biologically active fragments of the extracellular matrix,”Exper.Dermat.,2014,23,457-463を参照されたい)。
【0090】
さらに、足場の無傷のシートは、ECF及び/またはより大きいマトリソームにのみ見出されるいくつかの成分を欠いてもよい。さらに、足場内の様々な成分の濃度は、組織全体における同じ成分の濃度とは異なる場合がある(すなわち、より大きなマトリソームの組成が異なるため)。本明細書に記載のマトリキンは、足場以外の細胞外環境の成分を除去または損失しないような方法で、ECM足場及び組織を処理することによって、TS-ECMから産生され得る。したがって、本明細書に記載の組成物は、同じ組織源からのECM足場の無傷のシートまたは被覆から独自の方法で、生物活性をシグナル伝達及び/または調節し得る。
【0091】
対照的に、本明細書に記載の組成物は、ECMに由来する酵素的に断片化された分解されたマトリソームを含み得、それによって追加のマトリキン生物活性を活性化し、皮膚のより深い皮膚層に吸収させることができる減少したサイズを有する。単離された無細胞の細胞外マトリックスは、当業者には明らかであろう、プロテアーゼなどの酵素で消化することによって、1つ以上の皮膚層を通って吸収されるサイズの断片へと処理され得る(例えば、表皮への吸収、表皮を通して真皮への吸収、及び/または真皮を通して真皮下部への吸収)。例えば、約500Da未満のサイズを有する分解されたマトリソーム断片は、表皮及び真皮への吸収のために構成され得る。しかしながら、本明細書に記載の組成物中の断片は、約250kDa、約200kDa、約150kDa、約100kDa、約50kDa、約25kDa、約10kDa、約5kDa、約1kDa、約500Da、約250Da、約100Da、約50Da、約50Da未満、及び/またはそれらの間の個々の値もしくは範囲などの様々なサイズを有し得る。
【0092】
マトリソームは、本明細書に記載の1つ以上の断片化プロセスを介して分解され得、これは、酵素消化(例えば、プロテアーゼによる)などの化学的断片化、及び/または源物質(すなわち、生物組織)に力を加えることによる物理的断片化を含み得る。マトリソームは、ECMベースの細胞培養基質を作製する目的での断片化などの従来のプロセスよりも大きく断片化され得ることが理解されるべきである。したがって、記載されるような種々の断片化プロセスを適用することによって、分解されたマトリソームは、2つ以上のアミノ酸程度に小さい断片化されたペプチドを含み得る。細胞培養などの特定の用途では限られた程度の断片化のみが必要とされるが、本明細書に開示される主題は、1つ以上の真皮層への吸収のためにサイズ設定及び構成される断片をもたらす、より大きな程度の断片化を提供する。さらに、断片化の大きい程度は、組織損傷に関連する生物学的シグナル伝達をエミュレートし得る。例えば、本明細書に記載の方法によるマトリソームの断片化は、組織損傷をエミュレートし得、それによってマトリキンを放出し、組織損傷に対する自然な生物学的応答をエミュレートするシグナル伝達を誘発する。したがって、分解されたマトリソームは、免疫応答を誘発し、及び/または組織損傷に対する自然な生物学的応答を模倣するシグナル伝達及び細胞相互作用を活性化することによって治癒を促進することができる断片を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物が現在または最近の損傷を有しない組織に適用される場合でも、分解されたマトリソームは、免疫応答を誘発及び/またはその中での治癒を促進することが可能であり得る。
【0093】
さらに、分解されたマトリソームは、特定の天然組織及び/またはそれらの組み合わせ中に見出されるマトリソームをエミュレートする特定の組成物を有し得る。したがって、各分解されたマトリソームの組成物は変化し得る。分解されたマトリソームは、「完全なマトリソーム」、すなわち、細胞相互作用及びシグナル伝達を促進する目的で断片化された巨大分子の完全なセットを提供するために、1つ以上の生体組織からの自然に定義されるECM成分の完全な集まりを含むことが理解されるべきである。
【0094】
各分解されたマトリソームは、プロテオグリカン、コラーゲン、エラスチン、多接着性タンパク質、ヒアルロン酸、CAM、及び追加の成分の異なる組み合わせを含み得る。これらの成分のそれぞれは、サブタイプを有してもよく、そのそれぞれの存在は、1つの分解されたマトリソームから別の分解されたマトリソームで変化してもよい。各分解されたマトリソームは、1つ以上の成分の存在または非存在によって特徴付けられ得る。さらに、各成分の濃度は、1つの分解されたマトリソームから別の分解されたマトリソームで変動し得る。これらの変動は、構造及び剛性等の独自の物理的特性、ならびに遺伝子発現、ECMリモデリング、及び細胞増殖等の独自の細胞相互作用特性をそれぞれ有する、分解されたマトリソームをもたらす。
【0095】
さらに、断片化された分解されたマトリソームは、足場を超えた細胞外環境の成分を除去または損失しないような様式で脱細胞化、単離及び処理され得る。したがって、本明細書に記載のECM基質は、インビボでECM足場に見出されるものを超える成分を含み、それによって組織のインビボ細胞外環境をより正確にエミュレートする。
【0096】
いくつかの実施形態では、酵素的に断片化された分解されたマトリソームは、天然の細胞外マトリックスに存在するものを超えた追加の成分を含み得る。いくつかの実施形態では、酵素的に断片化された分解されたマトリソームは、特定の組織の細胞外液中に見出される成分を含み得る。例えば、皮膚組織の細胞外液に存在する成分は、そのECM足場に存在し得ず、したがって、ニッチ環境をさらにエミュレートするためにECMに添加され得る。いくつかの実施形態では、酵素的に断片化された分解されたマトリソームは、アミノ酸、グルコース、塩、ビタミン、炭水化物、タンパク質、ペプチド、微量元素、他の栄養素、抽出物、添加物、ガス、または有機化合物のうちの1つ以上を含み得る。当業者に周知のように、皮膚の適切な成長、修復、及び再生のための追加の成分も本明細書に企図される。
【0097】
本明細書に記載されるように、マトリキンは、組織の再生及び治癒をサポートするよう構成され得る。さらに、マトリキンは、組織治癒と合致する方法でヒト皮膚線維芽細胞の成長及び増殖を促進するよう構成され得る。したがって、マトリキンは、組織治癒と合致する方法で、遺伝子発現、成長因子分泌、及び他の特性を誘導する可能性がある。しかし、マトリキンは、皮膚に見られる様々な追加の細胞型、すなわち天然細胞を支持するよう構成することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、局所製剤は、約6.0未満のpHを有し得る。いくつかの実施形態では、局所製剤は、約5.5未満のpHを有する。いくつかの実施形態では、局所製剤は、約4.0~約6.0、約4.5~約5.0、及び約4.4~約4.7からなる群から選択されるpHを有する。局所製剤は、病原体の存在または増殖を低減または排除するために、皮膚表面のpHを低下させるよう構成され得る。
【0099】
局所組成物は、種々の形態をとることができる。いくつかの実施形態では、組成物は、液体、流体、エマルション、懸濁液、固体、半固体、ゼリー、ペースト、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、ローション、血清、クリーム、フォーム、ムース、液体、スプレー、懸濁液、分散液、粉末、エアロゾル、フィルム、または液体、クリーム、軟膏、ゲル、エアロゾル、ネッククリーム、ネックローション、ボディローション、ボディクリーム、フェイスローション、フェイスクリーム、アイラッシュトリートメント、ヘアモイスチャライザー、ヘアコンディショナー、セルライトトリートメント、ネイルコンディショナー、ゲル、エマルション、シリコーンゲル、ウォータージェル、水中油型エマルション、または油中水型エマルションとして製剤化された経皮パッチからなる群から選択される形態で製剤化される。
【0100】
いくつかの実施形態では、局所組成物は、約0.01重量%~約25重量%の分解マトリキンを含む。いくつかの実施形態では、局所組成物は、約0.1重量%~約15重量%の分解マトリキンを含む。いくつかの実施形態では、局所組成物は、約0.1重量%~約2.5重量%の分解マトリキンを含む。いくつかの実施形態では、局所組成物は、約0.01重量%~約15重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.01重量%~約7.5重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.01重量%~約2.5重量%、約0.01重量%~約1重量%、約0.01重量%~約0.9重量%、約0.01重量%~約0.8重量%、約0.01重量%~約0.7重量%、約0.01重量%~約0.6重量%、約0.01重量%~約0.5重量%、約0.01重量%~約0.4重量%、約0.01重量%~約0.3重量%、約0.01重量%~約0.2重量%、約0.01重量%~約0.1重量%、約0.01重量%~約0.075重量%、約0.01重量%~約0.05重量%、約0.01重量%~約0.025重量%、またはこれらの間の個々の値または範囲で、分解マトリキンを含む。
【0101】
局所投与のための液体剤形は、例えば、アルコール、グリコール、油、水などの希釈剤を含み得る。かかる組成物はまた、湿潤剤または乳化剤を含み得る。
【0102】
クリームは、水相が油相中に分散される油中水(w/o)エマルション、または水性ベース内に油が分散される水中油(o/w)エマルションであり得る。軟膏は、一般に、より粘性のある水中油クリームを指す。従来の軟膏基剤(すなわち、担体)としては、炭化水素(ワセリン、ミツロウ等)植物油、脂肪アルコール(コレステロール、ラノリン、ウールアルコール、ステアリルアルコール等)またはシリコーンが含まれる。デンプン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、またはタルクなどの不溶性固体も、軟膏及びクリームに使用することができる。上記の組成物のゲル形態は、ポリマーまたはコロイド状固体粒子のネットワーク内に大量の水性または水性アルコール性液体を閉じ込めることによって形成することができる。このようなポリマーまたはコロイド(ゲル化剤または増粘剤)は、典型的には、10%w/w未満の濃度で存在し、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、ペクチン、トラガカント、カラギン、寒天、クレイ、ケイ酸アルミニウム、カルボマー等を含む。
【0103】
エアロゾルにおいて、組成物は、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガス等の高圧ガス、ならびにかかるエタノール、アセトン、ヘキサデシルアルコール、及びこれらの組み合わせ等の共溶媒中に溶解される。
【0104】
ヒドロゲルは、典型的には、3次元ポリマーネットワークを提供するために、様々なモノマー及び/またはポリマーを架橋することによって調製される。ポリマーの非限定的な例としては、ポリオキシエチレン-ポリプロピレンブロックコポリマー、キトサンまたはアルギン酸ナトリウムなどのイオン性多糖類、セルロース、ならびにポリラクチド(PLA)及びポリグリコリド(PGA)、コハク酸ブチレン(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリカプロラクトン酸ラクトン(PCL)、ポリヒドロキシ酪酸塩(PHB)、グリコールアミル(PHV)、PHB及びPHVコポリマー(PHBV)、及びポリ乳酸(PLA)-ポリエチレングリコール(PEG)コポリマー(PLEG)などの生分解性ポリマーが挙げられる。
【0105】
経皮パッチは、例えば、ストリップ、ガーゼ、フィルム等の任意の従来の形態であり得る。パッチ材料は、不織布または織物(例えば、ガーゼ包帯)であり得る。加工中に層を積層し得る。非閉塞性または閉塞性であり得るが、後者は、バッキング層のために好ましい。パッチは、好ましくは、保管のために密封されている(例えば、ホイル包装)。パッチは皮膚に保持することができ、パッチの成分は様々な接着剤を使用して一緒に保持することができる。例えば、経皮パッチは、バンドエイドタイプのデバイスの形態であってもよく、時計の一部として着用されるものと同様に、接着剤、テープ、または外側の布地または革ストラップを使用して適切な部位に紐で固定した小さな金属またはプラスチックの「カップ」に包装されてもよい。パッチ全体は使い捨てであってもよいし、詰め替え可能であってもよい。実施形態では、製剤はラテックスポリマーで製剤化することができ、製剤は皮膚に適用され、閉塞性フィルムを形成する。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される製剤は、包帯上にコーティングされるか、バイオ接着剤と混合されるか、または包帯に含まれることができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される製剤は、化粧用デバイスと組み合わせて使用することができる。
【0108】
一部の実施形態では、本明細書に開示される製剤は、パッチと併用され得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、製剤は、抗老化レジメンの一部である。いくつかの実施形態では、製剤は、サンケア後のレジメンの一部である。いくつかの実施形態では、製剤は、光保護レジメンの一部である。いくつかの実施形態では、光保護レジメンは、日焼け止めレジメンまたはサンスクリーンである。いくつかの実施形態では、製剤は、皮膚美白のためのレジメンの一部である。いくつかの実施形態では、製剤は、皮膚白化のためのレジメンの一部である。いくつかの実施形態では、製剤は、ざ瘡治療のためのレジメンの一部である。いくつかの実施形態では、製剤は、炎症治療のためのレジメンの一部である。いくつかの実施形態では、製剤は、カラー化粧品レジメンの一部である。いくつかの実施形態では、製剤は、毛髪治療レジメンの一部である。いくつかの実施形態では、抗酸化剤組成物は、頭皮治療レジメンの一部である。
【0110】
いくつかの実施形態では、局所製剤は、溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、水、グリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ココカプリレート/カプリレート塩、1,2-ヘキサンジオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0111】
いくつかの実施形態では、局所製剤は、薬学的添加剤、化粧品添加剤、追加の薬剤、水、またはそれらの組み合わせをさらに含む。いくつかの実施形態では、局所製剤は、薬学的添加剤及び化粧品添加剤の両方をさらに含む。いくつかの実施形態では、薬学的添加剤、化粧品添加剤、追加の添加剤、またはそれらの組み合わせは、合計量が少なくとも約12重量%である。いくつかの実施形態では、医薬添加剤、化粧品添加剤、追加の添加剤、またはそれらの組み合わせは、約12重量%~約90重量%、約12重量%~約85重量%、約12重量%~約80重量%、約15重量%~約90重量%、約15重量%~約85重量%、約15重量%~約80重量%、約15重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約65重量%、約30重量%~約60重量%、約35重量%~約55重量%、及び約40重量%~約50重量%からなる群から選択される合計量である。いくつかの実施形態では、局所製剤は、少なくとも約68重量%の割合で水を含み得る。いくつかの実施形態では、局所製剤は、約68重量%~約90重量%、約70重量%~約88重量%、約72重量%~約86重量%、約74重量%~約84重量%、約76重量%~約82重量%、及び約78重量%~約80重量%からなる群から選択される割合で水を含み得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、医薬添加剤は、希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤、着色剤、可塑剤、担体、賦形剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。当業者は、実施形態の組成物及び製剤中のかかる成分の量を決定する際の指針として、例えば、Modern Pharmaceutics,Banker & Rhodes,Marcel Dekker,Inc.(1979)及びGoodman & Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics,6th Edition,MacMillan Publishing Co,New York(1980)等の様々な薬学の参照文献を参照することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、化粧品添加剤は、ビタミン、化粧品ペプチド、オイルコントロール剤、感覚修飾剤、美白剤、水和配合物、日焼け止め剤、UV光子を吸収または反射する化合物、他のスキンケア剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0114】
いくつかの実施形態では、追加の添加剤は、ヒドロキシアセトフェノン、植物酸ナトリウム、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、アクリル酸ナトリウム共重合体、オクチルドデカノール、オクチルドデシルキシロシド、PEG-30ジポリヒドロキシステアリン酸、ホホバエステル、Helianthus annuus(ヒマワリ)種子ワックス、Acacia decurrens花ワックス、ポリグリセリン-3、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、イソヘキサデカン、ポリソルベート80、シクロペンシロキサオキサン、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、エチルヘキシルグリセリン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0115】
いくつかの実施形態では、局所製剤は、研磨剤、抗ざ瘡剤、抗ふけ剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗酸化剤、トナー、保湿剤、皮膚コンディショニング剤、湿潤剤、エモリエント、閉塞剤、皮膚漂白剤または美白剤、タンパク質、クリーナー、髪コンディショナーなどをさらに含み得る。
【0116】
研磨剤を使用して、死んだ皮膚細胞及びカルスなどの不要な皮膚を除去し得る。いくつかの実施形態では、研磨剤は、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、アンズ種子粉末、アタパルジャイト、アボカド粉末、竹粉末、大麦粉末、ベントナイト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、白亜、キチン、ココナッツシェル粉末、コロイドオートミール、コンフリーリーフ粉末、トウモロコシ穂軸ミールまたは粉末、トウモロコシ粉末、トウモロコシミール、トウモロコシデンプン、ダイヤモンド粉末、珪藻土、リン酸二カルシウム、リン酸二カルシウム脱水物、卵殻粉末、フラーズアース、水和シリカ、ヒドロキシアパタイト、カオリン、キウイ種子、ラウリルアクリレートポリマー、黄土、フルオロケイ酸カリウムマグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、微結晶セルロース、モンモリロナイト、モロッコ溶岩クレイ、オートブラン、オートフラワー、オートミール、カキ殻粉末、ピーチピット粉末、ピーナッツ粉末、ピーカン殻粉末、ポリエチレン、軽石、ラズベリー種子、米ぬか、ライ麦粉末、砂、シリカ、重炭酸ソーダ、ヒドロキシプロピルスターチリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸マグネシウムナトリウム、シリコアルミン酸ナトリウム、大豆粉末、スイートアーモンドミール、タルク、酸化スズ、リン酸三カルシウム、クルミ殻粉末、小麦ふすま、小麦粉、小麦粉末、小麦デンプン、木粉、ケイ酸ジルコニウム、ならびにそれらの誘導体及び組み合わせからなる群から選択される。
【0117】
抗ざ瘡剤を使用して、傷、吹き出物、ブラックヘッド、及びホワイトヘッドを治療し得る。いくつかの実施形態では、抗ざ瘡剤は、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、過酸化カルバミド、グリコール酸、レチナール、レチノール、レチナールデヒド、ビタミンA、ビタミンA誘導体、アゼライン酸、または硫黄、ならびにそれらの誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0118】
抗ふけ剤を使用して、ふけ、脂漏性皮膚炎、または乾癬を治療し得る。いくつかの実施形態では、抗ふけ剤は、コールタール、サリチル酸、硫化セレン、硫黄、亜鉛ピリチオン、ならびにそれらの誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0119】
抗真菌剤としては、真菌細胞の増殖及び再生を阻害する、または存在する真菌の数を減少させる薬剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗真菌剤は、ウンデシレン酸カルシウム、ケトコナゾール、ポビドンヨード(PVPヨード)、ティーツリーオイル、ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛、ならびにそれらの誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0120】
抗菌剤としては、微生物を殺し、微生物の増殖及び再生を予防または阻害する薬剤、または軽微な切り傷、擦り傷、及び火傷における感染を予防するのに役立つ薬剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗菌剤は、低鎖(C1~C4)アルコール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムなどの第四級アンモニウム化合物、クリンダマイシン、塩化メチルベンゼトニウム、過酸化水素、オリゴペプチド-10、フェノール、ティーツリーオイル、トリクロサン、ポビドン-ヨウ素(PVP-ヨウ素)、ならびにそれらの誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0121】
抗酸化剤としては、フリーラジカルスカベンジャーとして特徴付けられ、フリーラジカルによって引き起こされる皮膚損傷を逆転させるのを助ける薬剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗酸化剤は、アセチルシステイン、αリポ酸、アルブチン、アスコルビン酸(ビタミンC)、アスコルビン酸ポリペプチド、ジパルミチン酸アスコルビル、ペクチン酸アスコルビルメチルシラノール、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、BHA、BHT、t-ブチルヒドロキノン、カフェ酸、ツバキ油、カロテノイド、アスコルビン酸キトサン、グリコール酸キトサン、サリチル酸キトサン、クロロゲン酸、CoQ10、コーティセン、システイン、システインHC1、デシルメルカプトメチルイミダゾール、ジアミルヒドロキノン、ジ-t-ブチルヒドロキノン、チオジプロピオン酸ジセチル、ジシクロペンタジエン/t-ブチルクレゾールコポリマー、トリオレイン酸ジガロイル、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、ジオレイルトコフェリルメチルシラノール、ジオスミン、アスコルビル硫酸二ナトリウム、ルチニル二硫酸ニナトリウム、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジトリデシル、没食子酸ドデシル、デュナリエラサリナエキス、エリソルビン酸、エチルフェルレート、フェルラ酸、ヒドロキノン、p-ヒドロキシアニソール、ヒドロキシルアミンHC1、ヒドロキシルアミン硫酸、ヒドロキシチロゾール、チオグリコール酸イソオクチル、イソクエルシトリン、コウジ酸、マデカッソシド、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸マグネシウム、メラトニン、メトキシPEG-7ルチニルコハク酸、メチレンジ-t-ブチルクレゾール、メチルシラノールアスコルビン酸、ノルジヒドログアヤレチック酸、オクチルガレート、フェニルチオグリコール酸、フロログルシノール、アスコルビルトコフェリルリン酸カリウム、亜硫酸カリウム、没食子酸プロピル、レスベラトロール、ロスマリン酸、ルチン、シルトゥニス、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビル/コレステリルリン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ソルビチルフルフラール、ティーツリー油、テトラヘキシルデシルアスコルビン酸、テトラヒドロジフェルロイルメタン、チオジグリコール、チオジグリコールアミド、チオジグリコール酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオサリチル酸、チオタウリン、トコフェレス誘導体、トコフェロール(ビタミンE)、トコファーソラン、酢酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、リノール酸/オレイン酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、トコキノン、o-トリルビグアニド、リン酸トリ(ノニルフェニル)、ユビキノン、ビタミンD、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ならびにそれらの誘導体及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0122】
トナーとしては、皮膚に対して、張りまたはヒリヒリする感触を与える薬剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、トナーは、アンモニウムミョウバン、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、ジメチルMEA、没食子酸、レンズエスクレンタ(レンズ豆)種子エキス、カリウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、アルミニウムクロロヒドロキシ乳酸ナトリウム、アルミニウム乳酸ナトリウム、タンニン酸、チオキソロン、トラネキサム酸、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、乳酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化ジルコニウム、マンサク、変性アルコール及びSDアルコール等のアルコール誘導体、酢酸アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロヒドレックス、アルミニウムクエン酸塩、アルミニウムジアセテート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレックス、アルミニウムグリシネート、アルミニウムラクテート、アルミニウムフェノールスルホネート、アルミニウムセスキクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレックス、アルミニウム硫酸塩などのアルミニウム誘導体、アルミニウムジルコニウムオクタクロロヒドレックス、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレックス、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックス、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、及びアルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレックスなどのアルミニウムジルコニウム誘導体、ならびにそれらの誘導体及び組み合わせからなる群から選択される。
【0123】
皮膚コンディショニング剤または保湿剤は、エモリエント、保湿剤、及び閉塞剤などの異なるグループに分類することができる。エモリエントとしては、皮膚の上層に残り、潤滑剤として作用し、外観を改善する薬剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、エモリエントは、ペトロレータム、ワセリンプラス揮発性シリコーン、コールドクリーム(USP)、親水性軟膏(USP)、ラノリン、グリセリド、果実油、ナッツ油、植物油、イソプロピルパルミテート、ジメチコン、メチコン、シクロメチコン、ドーミン、脂肪酸、ブチルミリステート及びミリスチルミリステートのようなミリステート誘導体、オレオレート誘導体、C1-C4グリコール、脂肪酸グリコール、グリコールエステル、グリセリン、グリセロール、パラフィン、菜種油、長鎖アルコール、オリーブオイル、ホホバ油、ヒマシ油、ならびにそれらの誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。湿潤剤としては、皮膚の最上層の水分含有量を増加させる薬剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、湿潤剤は、アラトイン、アガロース、アルギニン、ヒアルロン酸ベンジル、キトサン、銅、トウモロコシグリセリド、グルコノラクトン、乳酸、ラクトビオン酸、ラクトース、リジン、コンブチャ、マルチトール、マルトース、マンニトール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、プロパンジオール、アスパルチン酸ナトリウム、フルクトース、蜂蜜、グリセリン、ジグリセリン、ベタイン、ジオール、ヒドロキシエチル尿素、1,2-ヘキサンジオール、D-リボース、グルコース、ソルビトール、デキストロース、ウレア、2-ピロリドン-5-カルボン酸及び関連する塩、海塩、クエン酸無機塩、乳酸無機塩、エクトイン、グリコール酸、ならびにそれらの誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。閉塞剤は、皮膚からの水分の蒸発を遅延させる。いくつかの実施形態では、閉塞剤は、ワセリン、シアバター、ジメチコン、アボカド、キャノーラ、タラ肝臓、及びトウモロコシなどの植物及び動物油、鉱油、オリーブ油、大豆油、ラノリン、グリセリド、蜂蝋、トリグリセリド、長鎖脂肪アルコール、ココバター、ココナッツオイル、ホホバ油、プロピレングリコール、ならびにそれらの誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0124】
保湿効果を提供する皮膚コンディショニング剤に加えて、皮膚の外観を改善する他の皮膚コンディショニング剤が存在する。いくつかの実施形態では、皮膚コンディショニング剤は、コレステロール、シスチン、ヒアルロン酸、ケラチン、卵黄、グリシン、グルコノラクトン、乳酸、ラクトビオン酸、パンテノール、レチノール、サリチル酸、植物油、タンパク質、ビタミン、ビサボロール、セラミド、コエンザイムA、レシチン、ならびにそれらの誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0125】
皮膚漂白剤または美白剤としては、皮膚の色素を明るくする薬剤が挙げられる。好ましい皮膚漂白剤は、ヒドロキノンである。いくつかの実施形態では、白化剤は、アゼライン酸、ベアベリー、デオキシアルブテン、グリチルリザグラブラ(リコリス)根抽出物、コウジ酸、泥炭抽出物、ならびにそれらの誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0126】
ヘアコンディショナーとしては、光沢、質感、または張り・コシなどの特性を改善することによって髪の外観と感触を向上させる薬剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、ラノリン、シリコーン、ジメチコン、タンパク質(アミノ酸、コラーゲン、及びケラチンなど)、ビタミン、ベタイン界面活性剤、アミン酸化物界面活性剤、セラミド、脂肪酸、卵、牛乳、天然植物及び動物油、鉱油、オリーブ油、ポリクオタニウム、ならびにそれらの誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0127】
タンパク質としては、皮膚の健康上の利点を有する動物、植物、真菌、酵母、及び細菌タンパク質が挙げられる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、コラーゲン、ケラチン、大豆タンパク質、小麦タンパク質、パルミチン酸豆、アスコルビン酸ポリペプチド、アミノ酸、カゼイン、コレカル酸ポリペプチド、米タンパク質、絹タンパク質、グルテンタンパク質、リジン、アセチルグルコサミン、アクチン、アクチザイム、アルブメン、コンキオリンタンパク質、トウモロコシタンパク質、卵タンパク質、エラスチン、フィブロネクチン、ガガイモタンパク質、ヘモグロビン、ヘキサペプチド-21、ラクトアルブミン、ルパインタンパク質、カエデアメリカスズカケノキタンパク質、ミルクタンパク質、ミリストイルペンタペプチド-8、ミリストイルテトラペプチド-8、オートタンパク質、オリゴペプチド10、パルミトイルヘキサペプチド-14、パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルテトラペプチド-7、エンドウタンパク質、ポテトタンパク質、レチクリン、米ぬかタンパク質、血清タンパク質、スイートアーモンドタンパク質、テトラペプチド-16、野菜タンパク質、酵母タンパク質、パルミトイルオリゴペプチド、パントテン酸ポリペプチド、乳固形分、セリシン、アルブメン、アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、アルギニン、ブロメライン、カタラーゼ、ゼラチン、ゼイン、クリスタリン、チトクロームC、デオキシリボヌクレアーゼ、グリアジン、グルコースオキシダーゼ、糖タンパク質、ラクトフェリン、ラクトグルブリン、ラクトパーオキシダーゼ、リパーゼ、ナイシン、酸化還元酵素、パパイン、ペプシン、サブチリシン、スチライン、ならびにそれらの誘導体及び組み合わせからなる群から選択される。
【0128】
クレンザーとしては、油を可溶化し、土を懸濁させることによって皮膚と髪を洗浄するために使用される薬剤が挙げられる。クレンザーは、発泡性または非発泡性であり得る。例示的なクレンザーは、典型的には界面活性剤であり、非イオン性、陰イオン性、または両性イオン性として特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、クレンザーは、タウレート、スルフェート、スルホネート、カルボキシレート、スルホスクシネート、サルコシレート、両性イオン性ベタイン、脂肪酸及び脂肪アルコール誘導体、ならびにアルキルポリグルコシド及びアミン酸化物界面活性剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、クレンザーは、軽い剥離力を生じさせるために、クレイ及び硫黄等のいくつかの研磨剤と組み合わされ得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、局所製剤はゲル化剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、ゲル化剤は水相ゲル化剤である。いくつかの実施形態では、水相ゲル化剤は、キサンタンガム、ゲランガム、カラギーナン、生糖ガムI、硬化性ガム、ペクチン、プルラン、グアーガム、アラビアゴム、コンドロイチン、硫酸塩、アルギン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解ヒアルロン酸ポリグルタミン酸ナトリウム、キチン、キトサン、デンプン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ゲル化剤はキサンタンガムである。
【0130】
いくつかの実施形態では、局所製剤は油制御剤をさらに含み得る。油制御剤は、皮膚油または皮脂の産生を調節し、油性皮膚の外観を改善するのに有用な化合物である。いくつかの実施形態では、油制御剤は、サリチル酸、デヒドロ酢酸、過酸化ベンゾイル、ビタミンB3(例えば、ナイアシンアミド)など、それらの異性体、エステル、塩及び誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0131】
いくつかの実施形態では、局所製剤は、レチノール、ステロイド、日焼け止め、サリチレート、ミノサイクリン、抗真菌剤、ペプチド、抗体、リドカインなどからなる群から選択される他のスキンケア剤、及びそれらの組み合わせをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、他のスキンケア剤としては、例えば、N-アシルフェニルアラニン、N-アシルチロシンなどを含むN-アシルアミノ酸化合物、それらのD及びL異性体を含む異性体、塩、誘導体、及びそれらの混合物が挙げられる。好適なN-アシルアミノ酸の例は、N-ウンデシレノイル-L-フェニルアラニンであり、SEPIWHITE(登録商標)という商品名で市販されている。他の皮膚活性剤としては、限定されないが、Lavandox、Thallasine 2、Argireline NP、Gatuline In-Tense及びGatuline Expression、Myoxinol LS 9736、Syn-ake、及びInstensyl(登録商標)、Sesaflash(商標)、N-アセチルD-グルコサミン、パンテノール(例えばAlps Pharmaceutical Incから入手できるDLパンテノール)、ニコチン酸トコフェリル、過酸化ベンゾイル、3-ヒドロキシ安息香酸、フラボノイド(例えば、フラバノン、カルコン)、ファルネソール、フィタントリオール、グリコール酸、乳酸、4-ヒドロキシ安息香酸、アセチルサリチル酸、2-ヒドロキシブタン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、シス型レチノイン酸、トランス型レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル(例えばプロピオン酸レチニル)、フィチン酸、N-アセチル-L-システイン、リポ酸、トコフェロール及びそのエステル(例えば、酢酸トコフェロール:Eisaiから入手可能な酢酸DL-a-トコフェロール)、アゼライン酸、アラキドン酸、テトラサイクリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ハイドロコルチゾン、アセトミノフェン、レゾルシノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’-トリクロロカルバニリド、オクトピロックス、塩酸リドカイン、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、硫酸ネオマイシン、テオフィリン、及びこれらの混合物などが挙げられる。さらなるスキンケア剤は、米国公開第2007/0020220A1号に開示されており、当該成分/含有物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0132】
いくつかの実施形態では、局所製剤は、アスコルビン酸化合物、ビタミンB化合物、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ガリン酸及びその誘導体、グリチルリチン酸、ヒドロキノン、コウジ酸、アルブチン、桑エキス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される抗老化成分をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、局所組成物または最終製剤は、Ovaliss((S)-5,6,6a,7-テトラヒドロ-1,2,9,10-テトラメトキシ-6-メチル-4H-ジベンゾ[de,g]キノリン、1,2-オクタンジオール、D-グルコピラノース、オリゴマー、C10-16-アルキルグリコシド、水、エチルアルコール、及びグリセリン)、乳清タンパク質、MPC(乳タンパク質複合体)、Sesaflash(グリセリン、アクリレートコポリマー、PVP/ポリカルバミルポリグリコールエステル、加水分解セサミプロテインPG-プロピルメチルシランジオール)、Majestem(グリセリン、Leontopodium Alpinum Callus Culture Extract及びキサンタンガム)、またはIdealift(ブチレングリコール、ソルビタンラウレート、ヒドロキシエチルセルロース、及びアセチルジペプチド-1セチルエステル)を含み得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、局所製剤は、パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAエステル(グリセリルPABA、アミルジメチルPABA及びオクチルジメチルPABA)、ベンゾフェノン(オキシベンゾン及びスリソベンゾン)、シンナメート(オクチルメトキシシンナメート及びシノキサート)、サリチレート(ホモメチルサリチレート)、アントラニレート、TiO、アボベンゾン、ベモトリジノール、ビソクトリゾル、3-(4-メチルベンジリデン)-カンファー、シノキサート、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、エカムル、エチルヘキシルトリアゾン、ホモサレート、メンチルアンスラニレート、オクトクリレン、オクチルサリシレート、イソトリジノール、イソペンテニル-4-メトキシシンナメート、オクチル-ジメチル-p-アミノ安息香酸、オクチルメトキシシンナメート、オキシベンゾン、ポリシリコーン15、トロラミンサリシレート、ZnO及びこれらの組み合わせからなる群より選択される日焼け止め剤をさらに含み得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、局所製剤は、冷却剤、加温剤、緩和剤または鎮静剤、刺激剤または爽快剤、及びそれらの組み合わせの群から選択される感覚修飾剤を含み得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、冷却剤は、メントール;メントールの異性体、メントール誘導体;4-メチル-3-(1-ピロリジニル)-2[5H]-フラノン;WS-23、イシリン、Icilin Unilever Analog、5-メチル-4-(1-ピロリジニル)-3[2H]-フラノン;4,5-ジメチル-3-(1-ピロリジニル)-2[5H]-フラノン;イソプレゴール、3-(l-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、3-(l-メントキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール、p-メンタン-2,3-ジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、6-イソプロピル-9-メチル-1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカン-2-メタノール、コハク酸メンチル及びそのアルカリ土類金属塩、トリメチルシクロヘキサノール、N-エチル-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、ハッカ(Mentha arvensis)オイル、ペパーミントオイル、メントン、メントングリセロールケタール、乳酸メンチル、3-(l-メントキシ)エタン-1-オール、3-(l-メントキシ)プロパン-1-オール、3-(l-メントキシ)ブタン-1-オール、l-メンチル酢酸N-エチルアミド、l-メンチル-4-ヒドロキシペンタン酸、l-メンチル-3-ヒドロキシ酪酸、N,2,3-トリメチル-2-(1-メチルエチル)ブタンアミド、スペアミント油、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0136】
いくつかの実施形態では、加温剤は、多価アルコール、カプサイシン、トウガラシ粉末、トウガラシチンキ、トウガラシエキス、カプサイシン、ハママリス、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ノナノイルバニリルアミド、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体、例えばバニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、及びバニリルへキルエーテル、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ジンジャーエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール、ジンゲロンならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0137】
いくつかの実施形態では、緩和剤または鎮静剤は、ハーブ抽出物、アロエベラ、αビサボロール、D-パンテノール、アラントイン、ハマメリス、カモミール、ヤロウ;キンセンカ、コンフリー、マンサク及び他の収斂剤、海草、及び麦抽出物;アーモンド油、アボカド油、及びコンフリーからなる群から選択される油;ならびに、カルダモン、ユーカリ、メンサ・ピペリタ(mentha piperita)(ペパーミント)、ヒソップ、及びローズマリーからなる群から選択される精油;ラノリンもしくはヴァセリンゼリーからなる群から選択されるワックス状または非粘着性の物質、酸化亜鉛、カラミン、及びセレンからなる群から選択されるミネラル類;酢酸トコフェロール(ビタミンE)からなる群から選択されるビタミン類;鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症剤、及び抗ヒスタミン剤、及び筋弛緩剤からなる群から選択される医薬剤;メントール、カンフル、オイゲノール、ユーカリプトール、サフロール、サリチル酸メチル、乳酸メンチル、エトキシ酢酸メンチル、メントングリセリンアセタール、3-1-メントキシプロパン-1,2-ジオール、エチル1-メンチルカーボネート、(1S,3S,4R)-p-メンチル-8-エン-3-オール、メンチルピロリドンカルボキシレート、N-置換-p-メンタン-3-カルボキサミドハマメリスエキス、ジンジャーオイルからなる群から選択される医薬剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0138】
いくつかの実施形態では、刺激剤または爽快剤は、アルコール、L-メントール、樟脳、メンテ油、カプシクム抽出物、カプサイシン、ニコチン酸ベンジル、サリチレート、サリチル酸グリコール、アセチルコリン、セロトニン、ヒスタミン、プロスタグランジン、神経伝達物質、CNS刺激剤、カフェイン、キニン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0139】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、約10年、またはその中の任意の2つの値の間の任意の個々の値もしくは任意の範囲の貯蔵寿命を有する。
【0140】
局所組成物は、さらに、局所組成物の作製方法及び使用方法に関して、本明細書に記載される任意の方法で構成、適合、作製及び/または使用され得る。
【0141】
本発明の主題の別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、例えば、本明細書に記載の局所組成物を用いて、組織を治療する方法を対象とする。本方法は、1つ以上の酵素的に断片化されたペプチド(すなわち、マトリキン)を含む、分解されたマトリソームを含む組成物を患者の組織に局所的に投与することを含み得、1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドは、組織恒常性、組織修復、及び組織再生のうちの1つ以上を促進する。いくつかの実施形態では、組成物は、組織の上皮(例えば、皮膚表面)に局所的に適用される。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の賦形剤(例えば、薬学的に許容される賦形剤または化粧品的に許容される賦形剤)をさらに含む。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、酵素的に断片化され、1つ以上の分解されたマトリソーム成分のプロテアーゼによるタンパク質分解(すなわち、酵素分解)によって1つ以上のペプチドを生成する。いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素的に断片化されたペプチドは、細胞シグナル伝達能力を保持し、それによって組織恒常性、組織修復、及び組織再生のうちの1つ以上を促進するよう構成されている。さらに、組成物は、本明細書に十分に記載されている成分、特性、特徴、及び/またはバリエーションのいずれかを含むことができる。
【0142】
いくつかの実施形態では、組成物を投与することは、組織の少なくとも1つの特徴を促進及び/または改善する。
【0143】
いくつかの実施形態では、組成物は、ケラチン遺伝子の発現を増加させる。いくつかの実施形態では、組成物は、水分補給及び/または保湿を増加させる。いくつかの実施形態では、組成物は、弛緩、しわ、及びたるみなどの老化効果を低減または予防するために組織再生を増加させる。いくつかの実施形態では、組成物は、ざ瘡瘢痕を低減させるために組織再生を増加させる。いくつかの実施形態では、組成物は、毛穴サイズの縮小を促進し、及び/または皮膚の色合いを改善する。
【0144】
いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚発赤を低減する。いくつかの実施形態では、組成物は、瘢痕の治癒を促進し、及び/または瘢痕の形成を低減する。いくつかの実施形態では、組成物は、創傷または火傷からの治癒及び/または回復を促進する。例えば、火傷は、熱による火傷、化学的火傷、及び/または光損傷であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚の変色を低減する。例えば、変色は、瘢痕、発赤、及び/または日焼けによるシミによって引き起こされ得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、組成物は、病原体の存在または増殖を低減または排除するために、組織表面のpHを低下させる。いくつかの実施形態では、組成物は、組織表面のpHを約6.0未満、約5.5未満、約5.0未満、約4.5未満、約4.0未満、及び/またはそれらの間の個々の値もしくは範囲に低下させ得る。
【0146】
本明細書に記載される実施形態では、皮膚の見た目または外観を改善することは、皮膚の特徴の改善である。いくつかの実施形態では、皮膚の特徴は、張り、弾力性、小じわ、しわ、皮膚の質感、皮膚の色合い、外観、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、皮膚の見た目を改善することは、より滑らかで、より張りがあり、若々しい見た目の皮膚をもたらす。いくつかの実施形態では、皮膚の見た目を改善することは、より明るい顔色、改善された質感、均一に見える皮膚、及び/またはより柔らかい皮膚をもたらす。いくつかの実施形態では、皮膚の外観を改善することは、変色の改善、傷の消失、及び/または発赤の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、皮膚の外観を改善することは、抗炎症効果をもたらす。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される局所組成物で皮膚などの組織を治療することは、ケラチンの発現の増加をもたらし、ケラチンは、ケラチン1、ケラチン2、ケラチン9、及び/またはケラチン10を含む。いくつかの実施形態では、局所組成物は、ケラチンの発現の約300%の増加をもたらす。しかしながら、局所組成物は、ケラチン発現の約50%、約100%、約200%、約300%、約400%、約400%超、またはそれらの間の追加の値もしくは範囲の増加をもたらし得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される局所組成物を用いて皮膚などの組織を治療することは、細胞再生の増加をもたらし、細胞再生は、上皮バリアの復元によって測定される。いくつかの実施形態では、局所組成物は、細胞再生の約225%の増加をもたらす。しかしながら、局所組成物は、細胞再生の約50%、約100%、約200%、約300%、約400%、約400%超、またはそれらの間の追加の値もしくは範囲の増加をもたらし得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される局所組成物で皮膚などの組織を治療することは、創傷直径の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、局所組成物は、創傷直径の約400%の減少をもたらす。しかしながら、局所組成物は、創傷直径の約50%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約600%超、またはそれらの間の追加の値もしくは範囲の減少をもたらし得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される局所組成物で皮膚などの組織を治療することは、治癒の加速をもたらす。いくつかの実施形態では、局所組成物は、治癒において約7倍の加速をもたらす。しかしながら、局所組成物は、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約10倍超、またはそれらの間の追加の値もしくは範囲の治癒加速をもたらし得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される局所組成物で皮膚などの組織を治療することは、皮膚の発赤の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、局所組成物は、約80%の皮膚発赤の低減をもたらす。しかしながら、局所組成物は、約20%、約40%、約60%、約80%、約100%、約200%、約300%、約300%超、またはそれらの間の追加の値もしくは範囲の皮膚発赤の低減をもたらし得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような局所組成物を用いて皮膚などの組織を治療することは、瘢痕治癒の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、局所組成物は、約700%の皮膚発赤の低下をもたらす。しかしながら、局所組成物は、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、約1000%、約1000%超、またはそれらの間の追加の値もしくは範囲の皮膚発赤の低減をもたらし得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、組成物は、それを必要とする対象において特定の組織の状態または疾患を治療するよう構成され得る。したがって、本方法は、対象の組織に、本明細書に記載の局所組成物を局所投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、局所組成物を用いて皮膚などの組織を治療することは、組織の状態または疾患の少なくとも1つの症状または特徴の改善をもたらす。
【0154】
いくつかの実施形態では、組織の状態は、ざ瘡、湿疹、及び乾癬から選択される。いくつかの実施形態では、組織の状態は、強皮症、腎原性線維性皮膚病、混合結合組織疾患、硬化性粘液水腫、強皮症、好酸球性筋膜炎、及びそれらの組み合わせから選択される線維性皮膚症状である。
【0155】
本明細書の組成物及び方法は、皮膚組織に関して概して説明されるが、組成物は、別の組織への適用及び/または別の投与経路のために構成され得ることが理解されるべきである。各場合において、組成物は、従来の方法に従い投与され得る。
【0156】
いくつかの実施形態では、組成物は、唇または他の粘膜表面の修復及び再生を促進するために使用されるリップバームであり、唇に局所的に投与され得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、組成物は、角膜瘢痕を最小限に抑えるまたは低減するために使用される眼科用溶液であり、眼に投与され得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、組成物は、胃腸の健康及び再生を治療するために使用される食用栄養補助食品であり、経口投与され得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、マトリキン組成物は、ヘアスタイリング製品、くせ防止製品、油、爪用製品、美容製品などの化粧品である。
【0160】
いくつかの実施形態では、マトリキン組成物は、パーソナル潤滑剤である。
【0161】
いくつかの実施形態では、組成物は、口腔洗浄、日焼け止め、またはアフターサンケア製品などのパーソナルケア製品である。
【0162】
いくつかの実施形態では、組成物は、髪または毛皮の健康を促進するために使用されるヘアケア製品であり、髪及び/または毛皮に局所的に投与され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、頭皮毛髪、眉毛、及びまつ毛の成長を促進するために使用されるヘアケア製品であり、頭皮、眉毛、及び/またはまつ毛に投与され得る。本明細書に記載の実施形態では、毛髪の処理は、毛髪の特徴の改善をもたらす。本明細書に記載の実施形態では、毛髪の特徴は、輝き、質感、膨満感、滑らかさ、密度、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。本明細書に記載される実施形態では、毛髪の外観を改善することは、より滑らかな毛髪、より柔らかい毛髪、より明るい毛髪、毛髪の質感の改善、より光沢のある毛髪、より完全な毛髪、またはより鮮やかな毛髪をもたらす。
【0163】
本明細書に記載される実施形態では、対象は、乳児、小児、青年、または成人である。本明細書に記載される実施形態では、対象は、獣医動物である。
【0164】
いくつかの実施形態では、局所組成物及び製剤は、毎日1回、2回、3回、4回、5回またはそれ以上皮膚に適用され得、適用は、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月または12ヶ月の期間にわたって実施され得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、局所組成物及び製剤は、1以上の投与サイクルの間、必要に応じて1回、1日1回、1日2回、1日3回、1週間に1回、1週間に2回、1週間おき、1日おきなどで投与され得る。投与サイクルは、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、または約10週間の投与を含み得る。このサイクルの後、後続のサイクルは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間後に開始され得る。治療レジメンは、1、2、3、4、5、または6サイクルを含み得、各サイクルは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間の間隔で設けられる。
【0166】
いくつかの実施形態では、方法は、例えば、塗布、研磨、マイクロダーマブレーション、トーニングなどの部位で表面組織を洗浄することを含む様々な追加のステップを含み得る。
【0167】
組織の治療方法は、組成物及び組成物の作製方法に関して本明細書に記載される任意の方法でさらに適合される。
【0168】
本発明の主題の別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、本明細書に記載される局所組成物の作製方法を対象とする。多種多様な方法が、本明細書に記載される組成物及び製剤の調製のために使用され得る。大まかに言えば、本組成物は、本明細書に記載の製剤の成分を、薬学的にまたは化粧品的に許容できる組成物を提供するのに十分な温度及び時間で組み合わせることによって調製され得る。
【0169】
図1は、一実施形態による、局所組成物を作製する例示的方法の図を示す。方法は、組織を提供し(105)、脱細胞化した無細胞組織特異的細胞外マトリックスを生体組織から単離し(110)、1つ以上の酵素を使用して組織特異的細胞外マトリックスを断片化及び可溶化して(115)、1つ以上の酵素的に断片化されたペプチド(すなわち、マトリキン)を含む分解されたマトリソーム溶液を生成し、マトリックス溶液を1つ以上の賦形剤(例えば、薬学的に許容される賦形剤または化粧品的に許容される賦形剤)と組み合わせて(120)、局所組成物を形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のペプチドは、組織恒常性、組織修復、及び組織再生のうちの1つ以上を促進する。いくつかの実施形態では、組成物は、組織の上皮(例えば、皮膚表面)への局所適用のために構成される。いくつかの実施形態では、分解されたマトリソームは、1つ以上の分解されたマトリソーム成分のタンパク質分解(すなわち、酵素分解)によって1つ以上のペプチドを生成するよう断片化される。さらに、組成物は、本明細書に十分に記載されている成分、特性、特徴、及び/またはバリエーションのうちの任意のものを含むことができる。
【0170】
例示的な実施形態によれば、組織は、採取され、直ちに凍結され、切断のために調製される。次に、凍結ブロックを、組織の断面全体を示す薄い(200μm~1mm)スライスに長手方向に切断する。組織の一部は、脱細胞化の前に解剖され、薄いスライスから分離され得る。組織は、一連の化学洗浄、洗剤洗浄、及び酵素洗浄を使用して処理される。各洗浄に続いて脱イオン水洗浄が行われる。いくつかの実施形態では、各領域は、最大12時間の連続洗浄、続いて酵素消化によって脱細胞化される。
【0171】
記載されたプロセスは、本明細書に記載の様々な組織に対して改変または適合され得る。脱イオン水、高張性生理食塩水、酵素、洗剤、及び酸のうちの1つ以上を導入することによって、組織切片を脱細胞化する。例示的な実施形態では、組織切片は、一連の化学、洗剤、及び酵素洗浄を使用することによって脱細胞化される。各洗浄に続いて、脱イオン水洗浄を行い得る。
【0172】
脱細胞化後、脱細胞化された材料を液体窒素中で急速に凍結し、微粉化、粉砕、及び凍結乾燥して、微細なECM粉末を得る。いくつかの実施形態では、ECM粉末は酵素剤を使用して消化される。いくつかの実施形態では、ECM溶液は、ECM粉末から製造される。得られた消化物を、中和、凍結、及び解凍して、ECM溶液が得られ得る。いくつかの実施形態では、可溶化ステップは実行されなくてもよく、ECM材料はその粉末形態で利用され得る。
【0173】
ECM溶液またはECM粉末を、薬学的に許容される賦形剤及び/または化粧品的に許容される賦形剤等の賦形剤と組み合わせて、局所組成物が作製され得る。ECM材料及び賦形剤は、組み合わせ、混合、及び/または均質化され得る。さらに、局所製剤に関して本明細書に記載される薬剤及び/または不活性成分等の任意の数の追加の材料。
【0174】
いくつかの実施形態では、ECM溶液は、追加の材料と組み合わせる前に別の形態へと再構成され得る。ECM材料は、溶液のイオン強度及びpHを調整するために緩衝液などの試薬を添加することによって、ヒドロゲルまたは別の形態へと再構成され得る。いくつかの実施形態では、試薬は、中性緩衝液、塩基性緩衝液、塩基、及び酸のうちの1つ以上を含む。例えば、中性緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、TAPSO(3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、TES(2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸)、及び/またはMOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)を含み得る。例えば、塩基性緩衝液は、炭酸塩重炭酸塩、TAPS([トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパンスルホン酸)、ビシン(2-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸)、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、及び/またはトリシン(N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン)を含み得る。例えば、塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)を含み得る。例えば、酸は、塩酸(HCl)または酢酸を含み得る。さらなる実施形態では、試薬は、脱イオン水を含み得る。しかしながら、当業者に知られているよう、ECM材料を様々な形態に変換するために、追加のまたは代替の試薬が提供され得る。さらに追加の実施形態では、試薬は必要とされない。
【0175】
いくつかの実施形態では、プロセスは、組織の特性に基づいてさらに適合され得る。いくつかの実施形態では、結合組織のより高い含有量及び/またはより大きな機械的剛性は、他の組織に対して必要とされるよりも長い消化を必要とし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される溶液を形成するために、ECM粉末は、酵素剤で約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約5時間超、またはそれらの間の個々の値もしくは範囲で消化される。
【0176】
いくつかの実施形態では、複数の分解されたマトリソーム溶液は、本明細書に記載の方法によって形成され、局所組成物を形成するために使用され得る。いくつかの実施形態では、局所組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の異なる分解されたマトリソーム溶液を含み得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、局所組成物は、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年、約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、約10年、約10年超、またはその中の任意の2つの値の間の任意の個々の値もしくは任意の範囲の貯蔵寿命を有する。
【0178】
局所組成物は、表1、表2、及び表3、表4、表5及び表6にまとめられるような成分、その濃度、及び/またはそれらの通常からの変化のいずれかによって特徴付けられ得る。しかしながら、これらの組成物は、本質的に例示的であり、ECMプロファイルは、任意の数の成分に関して、そこから変動し得る。例えば、基質の組成物は、記載の濃度値及び/または範囲から、約10%、約20%、約30%、30%超、またはそれらの間の個々の値もしくは範囲によって変化し得る。
【0179】
本明細書に記載されるよう、局所組成物中のマトリキンは、組織の再生及び治癒をサポートするよう構成され得る。さらに、マトリキンは、組織治癒と合致する方法で、ヒト皮膚線維芽細胞の成長及び増殖を促進するよう構成され得る。したがって、マトリキンは、組織治癒と合致する方法で、遺伝子発現、成長因子分泌、及び他の特徴を誘導し得る。しかしながら、マトリキンは、皮膚内に見出される種々の追加の細胞型、すなわち、天然細胞を支持するよう構成され得る。
【0180】
ECM基質の作製方法は、ECM基質及びECM基質の使用方法に関して本明細書に記載される任意の方法でさらに適合され得る。
【0181】
本発明の主題を、以下の実施例を参照して記載する。これらの実施例は、例示のみを目的として提供され、特許請求の範囲は、決してこれらの実施例に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明らかになる全ての変形を包含するよう解釈されるべきである。当業者は、本質的に同様の結果をもたらすように変更または修正され得る、様々な重要でないパラメータを容易に認識するであろう。
【実施例
【0182】
本明細書で引用される各特許、特許出願、公開、及びアクセッション番号の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0183】
本開示は、種々の実施形態を参照して開示されているが、これらの他の実施形態及び変形は、本開示の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、かかる全ての実施形態及び同等の変形を含むように解釈されることが意図される。
【0184】
実施例1:異なる分解されたマトリソーム成分で培養された正常なヒト真皮線維芽細胞(NHDF)の遺伝子発現
NHDFを、光学顕微鏡(図2)及び免疫蛍光顕微鏡(図3、また、血管(BV)及び皮膚(SK)、細胞外マトリックスのSDS-PAGEを図4に示す)によって見られるよう、プラスチック上で、ならびに血管、皮膚、肝臓、腸、及び軟骨特異的細胞外マトリックス成分中で培養した。RNA抽出及びqPCRの後、創傷治癒及び瘢痕形成に関連する遺伝子(EGFR、IL1、TGFb1、COLA1、PDGFC、PDGFRB、FGF2、MMP2を含む)の存在を定量した。血管及び皮膚からのデータを、これらの組織タイプの両方について、3つのロットにわたって平均化した。NHDFは、プラスチック(分解されたマトリソーム成分なし)と比較して、全ての組織特異的成分の条件にわたり、創傷治癒遺伝子の発現の低下を示した(図5)。インターロイキン-1遺伝子発現は、分解されたマトリソーム成分の存在下で減少し、これらの成分が炎症反応を阻害し得ることが示唆された。遺伝子は、各特定の組織タイプにおいて異なる形で誘導または発現され得る。
【0185】
実施例2:マトリキン配合1の特徴解析
血管及び皮膚の細胞外マトリックス成分、またはマトリキンの生化学的解析。血管及び皮膚からの細胞外マトリックス成分を、タンパク質発現について解析した。各組織タイプ内のロット間の最小の変動が観察された(図6)。
【0186】
実施例3:マトリキンによる皮膚の治癒の促進
マトリキンとマイクロバイオームとの相互作用は、健康なバリア機能及び病原体からの保護に役立つ。マトリキンの固有の生物活性は、免疫応答を調節し、皮膚上皮細胞組織を指示し、正常な皮膚組織構造を回復させる。Matrikynes(登録商標)は、皮膚表面のpH(5.5)を下げ、皮膚を病原体が生存しにくい状態にし、皮膚上の病原性微生物の成長を制限する抗菌ペプチドを生成させる。500Da未満の細胞外マトリックス断片を含有するMatrikynes(登録商標)は、真皮への浸透を可能にする(図7)。ここでの実験及び測定は、この再生を定量化する。
【0187】
配合1(表1)のMatrikynes(登録商標)は、ケラチン発現の増加によって測定される上皮再生を促進する(図7)。Matrikynes(登録商標)は、皮膚の修復と治癒を改善し、傷跡の外観を目立たなくさせる。Matrikynes(登録商標)の適用は、36週間にわたって閾値を上回る平均画素によって測定した場合、発赤の約86%の低減を示した(図8)。Matrikynes(登録商標)は、未処理の組織と比較して創傷のサイズを421%減少させ、治癒を7.3倍速くする(図9)。まとめると、Matrikynes(登録商標)による治療は、ケラチン発現の316%の増加、未治療の組織と比較した細胞再生の227%の増加、創傷閉鎖の421%の増加、創傷発赤の86%の減少、及び皮膚治癒の726%の増加をもたらす(図10)。
【0188】
実施例4:Matrikynes(登録商標)の作製方法
組織特異的脱細胞化細胞外マトリックスは、局所適用のためにスキンケア製剤へと製剤化することができる。これらの生成物のいずれかを作成するための最初のステップは、組織を単離し、組織試料を収集することである。次いで、これらの試料からの組織は、細胞除去プロセス、または脱細胞化を経て、次いで細胞外マトリックスが細胞成分の残りから単離される。細胞外マトリックスが単離されると、いくつかのプロテアーゼを使用して酵素分解によって断片化され、皮膚治療のための局所製剤中での再構成のために粉末へと処理される。
【0189】
実施例5:マトリキンによる細胞活性の調節
初代ヒト上皮細胞を4日間培養した(図11)。Matrikynes(登録商標)(配合1、表1)を用いて、またMatrikynes(登録商標)を用いずに(対照)、スクラッチアッセイを行って、Matrikynes(登録商標)の効果を評価した結果、24時間後に、未治療の対照と比較して、細胞遊走、増殖、及び創傷の閉塞を増加させた(スケールバー:100μm)。
【0190】
実施例6:ヒト反復損傷パッチテスト(HRIPT)
ヒトの皮膚に接触する物質は、刺激及び/または感作する傾向があるかどうかを評価する必要がある。再現性のある標準化された定量的なパッチ評価手順を使用して、特定の材料を有害反応の重大なリスクを伴わずにヒトの皮膚に安全に適用できることを実証する必要がある。
【0191】
制御されたパッチ試験条件下でヒト対象の皮膚に繰り返し局所適用することによって、感作を評価した。反復損傷パッチ評価は、アレルギー反応を引き起こすのに十分な細胞媒介(IV型)免疫応答を誘導するために複数の適用を必要とする刺激性反応及び弱い感作性物質を検出することができる予測的パッチ試験である。再現性のある標準化された定量的なパッチ評価手順を使用して、2.5重量%のMatrikynes(登録商標)を有害反応を伴わずにヒト皮膚に安全に適用できることを実証した(図12A及び12B;N=106人のヒト対象)。配合IのMatrikynes(登録商標)(表1)をHRIPTに使用した。
【0192】
実施例7:創傷及び瘢痕の治癒におけるケーススタディ
表在性火傷:方法:Matrikynes(登録商標)(0.1重量%;配合1、表1)を含有するベースクリームを、人差し指の表面の火傷部位に、1日2回4週間塗布した。他の薬品や製品は使用しなかった。結果:グロス写真では、4週間後の発赤の低減、皮膚の修復、及び瘢痕のない治癒が示された(図13)。
【0193】
創傷治癒:方法:Matrikynes(登録商標)(0.1重量%;配合1、表1)を含有するベースクリームを、手のひらの上の外科用縫合糸で閉じた創傷部位に、1日2回8週間塗布した。他の薬品や製品は使用しなかった。結果:グロス写真では、8週間後に発赤が低減し、治癒が見られた(図14)。
【0194】
外科用縫合糸による創傷の治癒:方法:Matrikynes(登録商標)(0.1重量%;配合1、表1)を含有するベースクリームを、下肢の外科的縫合で閉じた創傷部位に、5週間にわたって1日2回塗布した。他の薬品や製品は使用しなかった。結果:グロス写真は、5週間後に発赤の低減及び瘢痕のない治癒を示した(図15)。
【0195】
瘢痕の低減:方法:Matrikynes(登録商標)(0.1重量%;配合1、表1)を含有するベースクリームを、上腕の術後の細かい線状の瘢痕部位に、20週間にわたって1日2回塗布した。他の薬品や製品は使用しなかった。結果:グロス写真では、20週間後に瘢痕の隆起が減少し、瘢痕部位の皮膚の質感が滑らかになり、外観が改善されたことが示された(図16)。
【0196】
瘢痕の低減:方法:Matrikynes(登録商標)(0.1重量%;配合1、表1)を含有するベースクリームを、帝王切開瘢痕に、1日2回5週間塗布した。他の薬品や製品は使用しなかった。結果:グロス写真では、5週間後に瘢痕の隆起と長さが減少し、変色が減少し、外観が改善されたことが示された(図17)。
【0197】
瘢痕の低減:方法:Matrikynes(登録商標)(0.1重量%;配合1、表1)を含有するベースクリームを、7年経過したACL膝手術瘢痕に、1日2回8週間塗布した。他の薬品や製品は使用しなかった。結果:グロス写真では、8週間後に瘢痕の隆起と長さの減少、しわの減少、及び外観の改善が示された(図18)。
【0198】
瘢痕の低減:方法:Matrikynes(登録商標)(0.1重量%;配合1、表1)を含有するベースクリームを、61歳の女性対象の股関節置換手術から2年後の瘢痕に、1日2回12週間塗布した。他の薬品や製品は使用しなかった。結果:グロス写真では、12週間後、視認できる瘢痕の外観が目立たなくなったことが示された(図19)。
【0199】
実施例8:皮膚疾患の治療におけるケーススタディ
尋常性ざ瘡試験1:方法:Matrikynes(登録商標)(0.1重量%;配合1、表1)を含有するベースクリームを、ざ瘡病変を有する顔の領域に、1日2回6週間塗布した。他の薬品や製品は使用しなかった。結果:グロス写真は、6週間後にアクネ病変の解消、炎症後紅斑の低減、及び皮膚の色合いの改善を示した(図20)。
【0200】
尋常性ざ瘡試験2:方法:Matrikynes(登録商標)(0.1重量%;配合1、表1)を含有するベースクリームを、ざ瘡病変を有する顔の領域に、1日2回2週間塗布した。他の薬品や製品は使用しなかった。結果:グロス写真は、2週間後に、ざ瘡病変の解消、炎症後紅斑の低減、及び皮膚の色合い及び質感の改善を示した(図21)。
【0201】
抗老化及び抗しわ:方法:Matrikynes(登録商標)(0.1重量%;配合1、表1)を含有するベースクリームを、顔に、1日2回6週間塗布した。他の薬品や製品は使用しなかった。結果:グロス写真は、2週間後に、光損傷、発赤、及び小じわの外観の低減を示した(図22)。
【0202】
皮膚症状の治療のためにMatrikynes(登録商標)(0.1重量%;配合1、表1)を使用した対象は、高いレベルの満足度を報告した(図23)。対象は、皮膚が柔らかく感じ、皮膚が滑らかに感じ、皮膚の質感が改善され、皮膚がより健康に見えたことを知覚した。対象は、製品が発赤または変色の外観を低減させ、傷跡及び瘢痕の外観を改善したことを認めた(図23)。
【0203】
実施例9:Matrikynes(登録商標)の抗老化特性
目的及び方法:35~65歳の対象において、Matrikyne(登録商標)製品で治療した後の皮膚の変化を観察する。臨床試験では、以下に列挙されるパラメータを評価する。測定される各パラメータのベースラインは、5日間のウォッシュアウト期間後に確立する。その後、対象はMatrikyne(登録商標)製品を与えられ、試験期間中、指示に従い使用する。対象は、評価のために1時間、4時間、8時間、4週間及び8週間後に診療所に戻る。
【0204】
パラメータ:1)Canfield VISIA CRで得られた写真のVAESTRO分析によって測定された(全体的な)小じわ及びしわの外観の減少、2)アンケートによって測定された主観、3)キュートメーターによって測定された皮膚の張り及び弾性の改善、4)コルネオメーターによって測定された皮膚の水分補給/保湿の改善、5)TEWLによって測定された皮膚バリア機能の改善、6)Canfield VISIA CRを用いた写真のVAESTRO分析によって測定された色素沈着/加齢シミの外観の改善、7)超音波によって測定された皮膚密度の改善、8)Primos 3Dによって測定された目尻のしわの小じわ及びしわの外観の低減、9)TWELとテープ剥離によって測定された皮膚バリア機能の修復。
【0205】
予想される結果:Matrikyne(登録商標)で治療された対象は、(全体的な、ならびに目尻のしわの)小じわ及びしわの外観の低減を示し、皮膚状態の改善、皮膚の張り及び弾力性の改善、皮膚の水分補給/保湿の改善、皮膚バリア機能の改善、色素沈着過剰/加齢シミの外観の改善、皮膚密度の改善、及び皮膚バリア機能の修復を主観的に報告するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【国際調査報告】