(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】人間または動物の身体の選択された領域のサーマルセラピー治療のための装置、および、前記装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
A61F 7/03 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
A61F7/08 333
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528488
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 EP2021081335
(87)【国際公開番号】W WO2022101320
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523173346
【氏名又は名称】ハイロサーム・ホールディング・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・シュテグマン
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099CA03
4C099CA07
4C099CA09
4C099CA11
4C099EA01
4C099EA05
4C099GA02
4C099HA01
4C099HA03
4C099JA02
4C099LA01
4C099LA07
4C099LA11
4C099LA13
4C099LA21
4C099NA06
4C099NA07
4C099PA02
(57)【要約】
本発明は、人間または動物の身体の選択された領域のサーマルセラピー治療において使用するためのデバイスに関し、デバイスは、とりわけ、外科的介入後の組織損傷、怪我、炎症、および、リウマチタイプの慢性疾患の治療において使用するためのものであり、とりわけ、化学療法の治療を支援するためのものであり、デバイスは、温度制御流体の温度を制御するために提供されている温度制御デバイスと、身体の選択された領域に熱を伝達するために配置されている熱伝達デバイスとを含み、温度制御デバイスは、流体伝導性の様式で、熱伝達デバイスに接続されており、熱伝達デバイスを通って流れる熱伝達温度制御流体によって、熱伝達デバイスを温度調整するようにさらに配置されており、また、デバイスは、温度制御デバイスおよび熱伝達デバイスに接続されている制御デバイスを備えており、熱伝達デバイスと温度制御されることとなる身体の選択された領域との間の接触表面の領域において、熱伝達デバイスが少なくとも部分的におおよそ均一な温度になることを引き起こすように、制御デバイスは、温度制御デバイスを制御するように配置されている。本発明は、さらに、デバイスを動作させる方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達ユニット(4)であって、前記熱伝達ユニット(4)は、人間または動物の身体の選択された領域と接触させられるように提供されており、前記熱伝達ユニット(4)は、前記身体の前記選択された領域に熱を伝達するように配置されており、前記熱伝達ユニット(4)は、前記熱伝達ユニット(4)を通って流れるように配置されている温度制御流体とともに使用するためのものであり、前記熱伝達ユニット(4)は、
第1の可撓性材料層(6)であって、前記第1の可撓性材料層(6)は、前記身体の前記選択された領域に向けて少なくとも部分的に面するように配置されている第1の皮膚接触表面を有しており、また、前記第1の皮膚接触表面から離れるように面する第1の温度制御流体接触表面を有している、第1の可撓性材料層(6)と、
第2の可撓性材料層(7)であって、前記第2の可撓性材料層(7)は、第2の温度制御流体接触表面を有しており、前記第2の温度制御流体接触表面は、それ自身と前記第1の可撓性材料層(6)の前記第1の温度制御流体接触表面との間において、熱伝達温度制御流体がそれを通って流れることができる1つまたは複数の温度制御流体チャンバーの少なくとも部分的に境界を定めている、第2の可撓性材料層(7)と
を含み、
前記第1の可撓性材料層(6)および前記第2の可撓性材料層(7)は、概して折り畳みラインまたは折り畳み領域(21)に沿って、とりわけ、手によって、一緒に折り畳まれているか、または、折り畳まれるように配置されて、第1の熱伝達ユニット部分(4a)および第2の熱伝達ユニット部分(4b)を画定するようになっており、前記第1の熱伝達ユニット部分(4a)は、第1の温度制御流体チャンバー部分(5a)を含むかまたは画定しており、前記第2の熱伝達ユニット部分(4b)は、第2の温度制御流体チャンバー部分(5b)を含むかまたは画定しており、
前記熱伝達温度制御流体は、前記折り畳みラインまたは折り畳み領域(21)を通過して、前記第1の温度制御流体チャンバー部分(5a)から前記第2の温度制御流体チャンバー部分(5b)へ流れるように配置されており、
前記折り畳み領域(21)において、または、前記折り畳みライン(21)においてもしくはその近くにおいて、前記熱伝達ユニット(4)は、前記第1の可撓性材料層(6)および前記第2の可撓性材料層(7)が概して前記折り畳みラインまたは折り畳み領域(21)に沿って一緒に折り畳まれているときに、前記第1の温度制御流体チャンバー部分(5a)から前記折り畳みラインまたは折り畳み領域(21)を介して前記第2の温度制御流体チャンバー部分(5b)への前記熱伝達温度制御流体のフローの低減に対抗するための補剛材料(20)を含む、熱伝達ユニット(4)。
【請求項2】
前記補剛材料(20)は、前記第1の可撓性材料層(6)と前記第2の可撓性材料層(7)との間に挿入されていることを特徴とする、請求項1に記載の熱伝達ユニット(4)。
【請求項3】
前記補剛材料(20)は、前記第1の可撓性材料層(6)および前記第2の可撓性材料層(7)の材料またはそれを構成する材料よりも高い曲げ剛性を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱伝達ユニット(4)。
【請求項4】
前記補剛材料(20)は、概して前記折り畳みラインまたは折り畳み領域(21)に沿って、とりわけ手によって、前記第1の可撓性材料層(6)および前記第2の可撓性材料層(7)が一緒に折り畳まれることを可能にするのに十分な可撓性を示していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱伝達ユニット(4)。
【請求項5】
前記第1の可撓性材料層(6)および前記第2の可撓性材料層(7)は、とりわけ、溶接ラインまたは融合ラインを介して、とりわけ、前記第1の可撓性材料層(6)および前記第2の可撓性材料層(7)の周辺部に沿って、ならびに/または、前記第1の可撓性材料層(6)および前記第2の可撓性材料層(7)の前記周辺部の中のラインに沿って接続されており、それによって、とりわけラビリンス-タイプパターンを定義しており、前記ラビリンス-タイプパターンに沿って、または、前記ラビリンス-タイプパターンを通って、前記熱伝達温度制御流体が流れることが可能であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱伝達ユニット(4)。
【請求項6】
前記補剛材料(20)は、1つまたは複数の補剛リブ(20)を含み、前記1つまたは複数の補剛リブ(20)は、前記折り畳みラインまたは折り畳み領域(21)を通過して、とりわけ、前記第1の熱伝達ユニット部分(4a)の中の場所から、とりわけ、前記第1の温度制御流体チャンバー部分(5a)の中の場所から、前記第2の熱伝達ユニット部分(4b)の中の場所へ、とりわけ、前記第2の温度制御流体チャンバー部分(5b)の中の場所へ延在していることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱伝達ユニット(4)。
【請求項7】
複数のウェブ(22)が、前記第1の可撓性材料層(6)および前記第2の可撓性材料層(7)を接続しており、前記ウェブ(22)は、スペース(25)を残す個々の島またはカラムを形成しており、前記熱伝達温度制御流体は、前記スペース(25)を通って流れることが可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱伝達ユニット(4)。
【請求項8】
前記1つまたは複数の補剛リブ(20)は、前記スペース(25)のそれぞれのものの中へ挿入されていることを特徴とする、請求項6に従属する請求項7に記載の熱伝達ユニット(4)。
【請求項9】
前記1つまたは複数の補剛リブ(20)は、前記補剛リブ(20)の長手方向に沿って変化する断面を有しており、とりわけ、前記1つまたは複数の補剛リブ(20)は、1つまたは複数のバーブまたは他の突出部を含むことを特徴とする、請求項6に記載の、または、請求項6に直接的にもしくは間接的に従属する請求項7もしくは8に記載の熱伝達ユニット(4)。
【請求項10】
人間または動物の身体の少なくとも2つの選択された領域のサーマルセラピー治療において使用するためのデバイスであって、前記デバイスは、とりわけ、外科的介入後の組織損傷、怪我、炎症、および、リウマチタイプの慢性疾患の治療において使用するためのものであり、とりわけ、化学療法の治療を支援するためのものであり、前記デバイスは、
温度制御流体の温度を制御するために提供されている温度制御デバイス(1)と;
前記身体の前記少なくとも2つの選択された領域に熱を伝達するためにそれぞれ配置されている少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)と
を含み、
前記温度制御デバイス(1)は、流体伝導性の様式で、前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)に接続されており、前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)を通って流れる前記温度制御流体によって、前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)を温度調整するようにさらに配置されており、
前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)は、直列に接続されており、前記温度制御流体が、以下の順序で流れるように配置されるようになっている:
a)前記温度制御デバイス(1)から、前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの第1のものへ;
b)前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの前記第1のものを通って;
c)前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの前記第1のものから、前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの第2のものへ;
d)前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの前記第2のものを通って;
e)前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの前記第2のものから、前記温度制御デバイス(1)へ戻る、デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの正確に2つが、直列に接続されており、前記正確に2つの熱伝達ユニットのうちの前記第2のものを通って流れた後に、前記温度制御流体が、前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの別のものを通って流れることなく、前記温度制御デバイス(1)に流れて戻るように配置されるようになっていることを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの前記第1のものは、足のための温度制御を提供するように配置されており、前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの前記第2のものは、手のための温度制御を提供するように配置されていることを特徴とする、請求項10または11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの2つ以上が、直列に接続されており、前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの前記第2のものを通って流れた後に、前記温度制御流体が、前記温度制御デバイス(1)に流れて戻る前に、少なくとも前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちのさらなる1つを通って流れるように配置されていることを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの前記第1のものは、足のための温度制御を提供するように配置されており、前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの前記第2のものは、足のための、とりわけ、さらなる足のための温度制御を提供するように配置されており、前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの任意のさらなるものは、提供される場合には、1つまたは複数の手のための温度制御を提供するように配置されていることを特徴とする、請求項10または13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記温度制御デバイス(1)は、熱伝達ユニット(4)のそれぞれの直列接続のための別個の出力ポートおよび戻りポートを有していることを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの少なくとも1つ、とりわけ、前記少なくとも2つの熱伝達ユニット(4)のうちの前記第2のものは、請求項1から9のいずれか一項に記載の熱伝達ユニット(4)であることを特徴とする、請求項10から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
人間または動物の身体の選択された領域のサーマルセラピー治療において使用するためのデバイスであって、前記デバイスは、とりわけ、外科的介入後の組織損傷、怪我、炎症、および、リウマチタイプの慢性疾患の治療において使用するためのものであり、とりわけ、化学療法の治療を支援するためのものであり、前記デバイスは、
温度制御流体の温度を制御するために提供されている温度制御デバイス(1)と;
前記身体の前記選択された領域に熱を伝達するために配置されている熱伝達デバイス(2)と
を含み、
前記温度制御デバイス(1)は、流体伝導性の様式で、前記熱伝達デバイス(2)に接続されており、前記熱伝達デバイス(2)を通って流れる熱伝達温度制御流体によって、前記熱伝達デバイス(2)を温度調整するようにさらに配置されており、
また、前記デバイスは、前記温度制御デバイス(1)および前記熱伝達デバイス(2)に接続されている制御デバイス(3)を含み、
前記熱伝達デバイス(2)と温度制御されることとなる前記身体の前記選択された領域との間の接触表面の領域において、前記熱伝達デバイス(2)が少なくとも部分的におおよそ均一な温度になることを引き起こすように、前記制御デバイス(3)は、前記温度制御デバイス(1)を制御するように配置されている、デバイス。
【請求項18】
前記熱伝達デバイス(2)は、少なくとも1つの熱伝達ユニット(4)を含み、前記少なくとも1つの熱伝達ユニット(4)は、前記選択された領域と接触させられるように提供されており、前記熱伝達ユニット(4)は、実質的に可撓性材料から構成されており、1つまたは複数の温度制御流体チャンバー(5)が、前記実質的に可撓性材料の中に配置されており、前記温度制御流体は、前記1つまたは複数の温度制御流体チャンバー(5)を通って流れることが可能であることを特徴とする、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記熱伝達ユニット(4)は、
少なくとも第1の可撓性材料層(6)であって、前記第1の可撓性材料層(6)は、人間または動物の前記身体の選択された領域に向けて少なくとも部分的に面する少なくとも第1の皮膚接触表面を有しており、また、前記第1の皮膚接触表面から離れるように面する少なくとも第1の温度制御流体接触表面を有している、第1の可撓性材料層(6)と、
少なくとも1つの第2の可撓性材料層(7)であって、前記第2の可撓性材料層(7)は、少なくとも第2の温度制御流体接触表面を有しており、前記第2の温度制御流体接触表面は、それ自身と前記第1の可撓性材料層(6)の前記第1の温度制御流体接触表面との間において、熱伝達温度制御流体がそれを通って流れることができる1つまたは複数の温度制御流体チャンバーの少なくとも部分的に境界を定めている、第2の可撓性材料層(7)と
を含み、
前記熱伝達ユニット(4)は、
前記熱伝達ユニット(4)に熱伝達温度制御流体を供給するための少なくとも第1の接続ライン(8)と、
前記熱伝達ユニット(4)から熱伝達温度制御流体を吐出するための少なくとも第2の接続ライン(8)と
をさらに含み、
前記熱伝達ユニット(4)は、少なくとも第1の形状を有しており、または、そのような第1の形状をとることが可能であり、前記熱伝達ユニット(4)は、前記第1の形状において、人間または動物の前記身体の前記選択された領域を少なくとも部分的に囲むことを特徴とする、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記熱伝達デバイスは、圧力デバイス(10)をさらに含み、前記圧力デバイス(10)は、
少なくとも1つの圧力ユニット(11)と、
支持デバイス(12)と
を含み、
前記圧力ユニット(11)は、前記支持デバイス(12)に取り付けられており、前記圧力ユニット(11)は、前記熱伝達ユニット(4)を少なくとも部分的に圧力にさらすように提供されており、前記圧力ユニット(11)は、少なくとも1つの圧力チャンバー(13)を含み、前記少なくとも1つの圧力チャンバー(13)は、所定のまたは可変の内部圧力を有しており、前記少なくとも1つの圧力チャンバー(13)は、前記選択された領域に対する前記熱伝達デバイス(2)の接触圧力を少なくとも部分的に増加させるように適合されていることを特徴とする、請求項17から19の少なくともいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つの圧力チャンバー(13)は、圧力流体によって充填されているチャンバーを含み、圧力流体によって充填されている前記少なくとも1つのチャンバーは、可撓性材料によって形成されていることを特徴とする、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
圧力流体によって充填されている前記少なくとも1つのチャンバーは、圧力流体によって充填されている複数のチャンバーであることを特徴とする、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記圧力流体は、空気、水、油、または、それらの組み合わせの群から選択されることを特徴とする、請求項21または22に記載のデバイス。
【請求項24】
圧力流体によって充填されている前記少なくとも1つのチャンバーの中の前記圧力流体は、圧力流体によって充填されている前記少なくとも1つのチャンバーの中の内部圧力を変化させるために、
筋力を介して手動で、および/または、
圧縮機(17)を介して、
圧力流体によって充填されている前記少なくとも1つのチャンバーに接続されている圧力ラインを介して、圧力にさらされることが可能であることを特徴とする、請求項21から23の少なくともいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記少なくとも1つの圧力チャンバー(13)は、弾性的な材料から作製されており、前記支持デバイス(12)と前記熱伝達ユニット(4)との間に配置されていることを特徴とする、請求項20に記載のデバイス。
【請求項26】
前記熱伝達デバイスは、圧力デバイス(10)をさらに含み、
前記圧力デバイス(10)は、
少なくとも1つの圧力ユニット(11)と、
支持デバイス(12)と
を含み、
前記圧力ユニット(11)は、前記支持デバイス(12)に取り付けられており、いる、前記圧力ユニット(11)は、前記熱伝達ユニット(4)を少なくとも部分的に圧力にさらすように提供されており、前記圧力ユニット(11)は、前記選択された領域に対する前記熱伝達デバイス(2)の接触圧力を少なくとも部分的に増加させるように適合されている弾性的な材料の本体部を含むことを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記圧力ユニット(11)は、所定の体積を有しており、前記圧力ユニット(11)の実質的に体積全体は、前記弾性的な材料から作製されていることを特徴とする、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記圧力ユニット(11)は、膨張不可能であることを特徴とする、請求項26または27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記圧力デバイス(10)の前記支持デバイス(12)は、低い可撓性を有する材料から作製されていることを特徴とする、請求項20から28の少なくともいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記圧力ユニット(11)の材料の可撓性は、前記支持デバイス(12)の可撓性よりも著しく大きく、とりわけ、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、および100倍からなる群から選択される倍数だけ大きいことを特徴とする、請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
人間または動物の前記身体の前記選択された領域の周りの前記圧力デバイス(10)の前記支持デバイス(12)は、少なくとも1つの固定エレメントを備えた接続デバイス(14)をさらに含み、前記接続デバイス(14)は、それが前記圧力デバイス(10)の周りに少なくとも部分的に到達するように、および、この「周りに到達する」位置において、前記圧力デバイス(10)に対して支持力を働かせるように構築されており、前記支持力は、「使用のために配備された」条件で人間または動物の前記身体の前記選択された領域に前記圧力デバイス(10)を固定することに少なくとも部分的に寄与することを特徴とする、請求項20から30の少なくともいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
少なくとも1つのセンサーデバイス(15)が提供されており、前記少なくとも1つのセンサーデバイス(15)は、前記制御デバイス(3)に接続されており、前記センサーデバイス(15)は、前記身体の前記選択された領域と皮膚接触表面との間のセンサー信号を測定するように配置されていることを特徴とする、請求項17から31の少なくともいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記少なくとも1つのセンサーデバイス(15)は、前記第1の材料層の前記皮膚接触表面の上にグリッドで少なくとも部分的に取り付けられている複数のセンサーデバイスであることを特徴とする、請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
測定される前記センサー信号は、圧力、電流、および温度の群から選択されることを特徴とする、請求項32または33に記載のデバイス。
【請求項35】
少なくとも1つの表示デバイス(16)が提供されており、前記表示デバイス(16)は、前記制御デバイス(3)に接続されており、前記センサーデバイス(15)によって測定された前記センサー信号を、前記表示デバイス(16)を介してユーザーに出力するようにセットアップされていることを特徴とする、請求項17から34の少なくともいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項36】
前記温度制御デバイス(1)は、
少なくとも1つのハウジングと、
少なくとも1つの温度制御流体供給デバイスであって、熱伝達温度制御流体は、前記少なくとも1つの温度制御流体供給デバイスによって前記ハウジングの中に提供される、少なくとも1つの温度制御流体供給デバイスと、
少なくとも1つの温度制御ユニットであって、前記少なくとも1つの温度制御ユニットは、前記ハウジングの中に配置されており、前記少なくとも1つの温度制御ユニットは、前記ハウジングを通って流れる前記熱伝達温度制御流体を温度制御する、少なくとも1つの温度制御ユニットと、
少なくとも1つの温度制御流体流出デバイスであって、前記熱伝達温度制御流体は、実質的に所定の温度において、前記少なくとも1つの温度制御流体流出デバイスを通して前記ハウジングから外に導かれる、少なくとも1つの温度制御流体流出デバイスと、
少なくとも1つのポンピングデバイスであって、前記少なくとも1つのポンピングデバイスは、前記ハウジングの中に配置されており、前記少なくとも1つのポンピングデバイスは、前記ハウジングを通って流れる前記熱伝達温度制御流体に圧力を印加する、少なくとも1つのポンピングデバイスと
を含み、
前記少なくとも1つの温度制御ユニットは、少なくとも第1の温度制御エレメントおよび少なくとも第2の温度制御エレメントを含み、そのそれぞれは、少なくとも1つの熱電エレメント、とりわけ、少なくとも1つのペルティエエレメントと、少なくとも1つの熱交換エレメントであって、前記温度制御流体にまたは前記温度制御流体にから熱を伝達するために、温度制御流体が前記少なくとも1つの熱交換エレメントを通って流れることが可能である、少なくとも1つの熱交換エレメントと、少なくとも1つのヒートシンクとを含むことを特徴とする、請求項17から35の少なくともいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項37】
前記制御デバイス(3)は、前記センサーデバイス(15)によって測定される前記センサー信号、および、前記温度制御デバイス(1)を介して、制御ループを形成するようにセットアップされており、前記熱伝達デバイス(2)と温度調整されることとなる前記身体の一部分との間の接触表面の領域が、少なくとも1つの領域においておおよそ均一な温度を有するようになっていることを特徴とする、請求項32から36の少なくともいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項38】
冷却のための前記デバイスは、前記温度制御流体の温度が、10℃から35℃の温度範囲、好ましくは、12℃から22℃の温度範囲、さらに好ましくは、15℃から22℃の温度範囲、さらに好ましくは、10℃から35℃の温度範囲、または、その他に好ましくは、10℃から43℃の温度範囲の中に制御されることを可能にすることを特徴とする、請求項17から37の少なくともいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項39】
加熱のための前記デバイスは、前記温度制御流体の温度が、35℃から45℃の温度範囲、好ましくは、38℃から44℃の温度範囲、さらに好ましくは、41℃から43℃の温度範囲の中に制御されることを可能にすることを特徴とする、請求項17から37の少なくともいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項40】
とりわけ、請求項20から39のいずれか一項に記載のデバイスによって、人間または動物の身体の選択された領域のサーマルセラピー治療のためのデバイスを動作させる方法であって、前記方法は、
- 圧力デバイス(10)を備えた熱伝達デバイス(2)を「使用のために配備された」条件で前記身体の前記選択された領域と接触させるステップ(101)と;
- 前記圧力デバイス(10)を介して、前記身体の前記選択された領域に作用する接触圧力を印加するステップ(102)と;
- 前記熱伝達デバイス(2)に接続されている温度制御デバイス(1)を介して、熱伝達熱制御流体が前記熱伝達デバイス(2)の熱伝達ユニット(4)を通って流れることを引き起こすことによって、前記身体の前記選択された領域を温度調整するステップ(103)と
を含み、
前記熱伝達デバイス(2)と温度調整されることとなる前記身体の一部分との間の接触表面の領域において、前記熱伝達デバイス(2)が、少なくとも1つの領域においておおよそ均一な温度を有するようになっている、方法。
【請求項41】
前記方法は、
- 前記圧力デバイス(10)の圧力ユニット(11)の内部圧力を調節するステップ(104)であって、前記圧力ユニット(11)は、圧力流体によって充填されている少なくとも1つの圧力チャンバー(13)を含み、圧力流体によって充填されている前記少なくとも1つの圧力チャンバー(13)の前記内部圧力は、ユーザーの筋力によって手動で、および/または、外部圧力供給源によって調節されることが可能である、ステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記方法は、
- 前記熱伝達デバイス(2)に接続されているセンサーデバイス(15)によってセンサー信号を測定するステップ(105)と;
- 測定された前記センサー信号に基づいて、前記制御デバイス(3)に接続されている前記圧力デバイス(10)を制御デバイス(3)によって制御するステップ(106)と
をさらに含むことを特徴とする、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記方法は、前記人間または動物の前記身体の化学療法治療と同時に実施され、好ましくは、前記化学療法治療の開始の少なくとも20分前に、好ましくは少なくとも30分前に開始され、および/または、前記化学療法治療の終了後に、少なくとも20分まで、好ましくは少なくとも30分まで、好ましくは少なくとも40分まで、好ましくは少なくとも1時間まで実施されることを特徴とする、請求項40から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記化学療法治療は、前記人間または動物の前記身体に対して実施される一連の化学療法治療の一部であり、前記方法は、前記一連の化学療法治療のすべての化学療法治療と同時に実施されることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記方法は、前記一連の化学療法治療の最後の化学療法治療の後に複数回実施され、前記複数回は、1回、2回、3回、および4回からなる群から選択されることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記方法は、前記一連の化学療法治療の前記最後の化学療法治療の6カ月後から18カ月後の間に最後に実施されることを特徴とする、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記化学療法治療は、前記人間または動物の前記身体に対して実施される一連の化学療法治療の一部であり、化学療法誘発性多発性神経障害(CIPN)または手足症候群(HFS)の症状が前記人間または動物の前記身体に観察されたときのみ、前記方法が実施されることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記化学療法治療は、前記人間または動物の前記身体に対して実施される一連の化学療法治療の一部であり、Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)v5.0にしたがったグレードに関係する症状が前記人間または動物の前記身体に観察されたときのみ、前記方法が実施され、前記グレードは、
- グレード1またはそれ以上、
- グレード2またはそれ以上、
- グレード3またはそれ以上、および、
- グレード4
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月11日に出願された欧州特許出願第20206941.5号、および、2021年7月1日に出願された米国特許出願第17/365,957号の優先権を主張し、それらの文献の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、人間または動物の身体の選択された領域のサーマルセラピー治療(thermal therapy treatment)において使用するためのデバイス、および、とりわけ、外科的介入後の組織損傷、怪我、炎症、および、リウマチタイプの慢性疾患の治療において使用するためのデバイス、および、とりわけ、化学療法の治療を支援するためのデバイス、ならびに、そのようなデバイスを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の文脈において、「サーマルセラピー治療」という用語は、熱が人間または動物の身体に供給されるかまたはそこから除去される治療を意味するように理解されることを意図している。
【0004】
好ましくは、これは、たとえば、サウナにおいて、および、冷水によって充填されたプランジプールへのその後の浸漬において行われているように、身体全体に熱を供給することまたは身体全体から熱を除去することの問題ではなく、それは、好ましくは、治療効果を実現するために、人間の身体の選択された領域(たとえば、四肢、背中の領域、腹部、胸部、または頭部)に熱を供給することまたはそこから熱を除去することの問題である。
【0005】
サーマルセラピー治療のための知られているデバイスは、たとえば、特許文献1および特許文献2に説明されているような温度制御デバイスを有している。これらの温度制御デバイスは、冷却ユニットおよび/または加熱ユニットを含み、流体(好ましくは、水)は、それによって所望の温度に冷却および/または加熱される。好ましくは、1つまたは複数のポンプも提供されており、温度制御された流体が、それによって接続ホースを介して熱伝達デバイスに搬送される。
【0006】
特許文献3は、熱伝達デバイスの例を示しており、温度制御デバイスによって発生させられる熱は、それによって身体の選択された領域に伝達される。そこに示されているデバイス(それは、この文献において、および、実際に、通常はカフと称されている)は、第1および第2の可撓性材料層を含み、第1の可撓性材料層と第2の可撓性材料層との間に、フロースペースが提供されており、温度調整される流体がフロースペースを通って流れる。これらのカフは、たとえば、ハンドカフ、前腕カフ、膝カフ、ふくらはぎカフ、ラウンドカフ(round cuff)、胸部カフ、または顔カフとして、身体の所定の領域のための多くの異なる形状で構築されることが可能である。さらに、それらは、台形カフまたは表面カフとして構築されることが可能であり、それらは、それらのサイズおよび形状に応じて、身体の任意の所望の領域に設置されるのに適切である。締結具およびテープなどが、カフを身体に固定するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP2194940B1
【特許文献2】EP2462906B1
【特許文献3】DE202018107423U1
【特許文献4】DE102015003473A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に述べられたデバイスは、それら自身が実践されていることを証明しているが、さらなる改善が望まれている。したがって、本発明の目的は、すでに知られているデバイスを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、本発明は、請求項17によるデバイスを提供する。第2の態様において(それは、請求項40の主題である)、本発明は、人間または動物の身体の選択された領域のサーマルセラピー治療のためのデバイスを動作させる方法、とりわけ、第1の態様によるデバイスを動作させる方法を提供する。第3の態様において、本発明は、請求項1による熱伝達ユニットを提供する。第4の態様において、本発明は、人間または動物の身体の少なくとも2つの選択された領域のサーマルセラピー治療において使用するための、請求項10によるデバイスを提供する。本発明の好適なさらなる実施形態は、従属請求項の主題である。
【0010】
本発明の態様の特徴、および、下記に説明されているそれらの好適な実施形態は、これが明示的に除外されていないかまたは技術的に不可能でない限り、任意の所望の様式で互いに組み合わせられることが可能である。これは、装置態様および方法態様に同様に関するものであり、ならびに、それらの好適な実施形態に関するものである。したがって、たとえば、本明細書で開示されているデバイスのいずれかは、本明細書で開示されている方法のいずれかの文脈において使用されることが可能である。さらに、たとえば、第3の態様の熱伝達ユニットは、第1の態様または第4の態様によるデバイスとともに使用されることが可能であり、または、その一部を形成することが可能である。繰り返しを回避するために、特定の実施形態の特徴は、本発明の態様のうちの1つに関連してのみ説明されることとなり、同じ、対応する、または同様の特徴が、本発明の他の態様の実施形態の一部を形成することも可能であり、または、それに関連して使用されることも可能であるということが理解される。
【0011】
上記に述べられた特許文献1 17-07-27、特許文献2 17-07-27、特許文献3、および特許文献4の開示は、本発明の開示に参照により組み込まれている。
【0012】
本発明の第1の態様によるデバイスは、温度制御流体の温度を制御するために提供されている温度制御デバイスを有している。この目的のために、温度制御デバイスは、流体伝導性の様式で、熱伝達デバイスに接続されており、熱伝達デバイスは、身体の選択された領域に熱を伝達するために配置されており、熱伝達デバイスを通って流れる熱伝達温度制御流体によって、熱伝達デバイスを温度調整するようにさらに配置されている。デバイスは、温度制御デバイスおよび熱伝達デバイスに接続されている制御デバイスをさらに含み、それによって、熱伝達デバイスと温度制御されることとなる身体の選択された領域との間の接触表面の領域において、熱伝達デバイスが少なくとも部分的におおよそ均一な温度になることを引き起こすように、制御デバイスは、温度制御デバイスを制御するように配置されている。
【0013】
「制御デバイス」という用語は、デバイスに供給されるデータもしくは値、および/または、ユーザーによって入力されるデータもしくは値または設定に基づいて、デバイスの一部を制御するか、および/または、フィードバックを用いて制御するかのいずれかであるデバイスを意味するように理解されることを意図している。影響を与えることは、好ましくは、作動デバイスを介して実施される。作動デバイスは、指示された様式で技術システムに影響を与えるのに適切な任意の電気的なまたは機械的なコンポーネントを意味するように理解されることを意図している。
【0014】
この点において、人間の身体の選択された領域は、身体の表面の上の任意の領域であることが可能である。とりわけ、選択された領域は、四肢(たとえば、腕または脚、好ましくは、手または足など)のうちの1つに関係する可能性がある。さらに、選択された領域は、胸部の領域、腹部の領域、背中の領域、または、頭部の領域に関係する可能性もある。以下では、選択された領域における患者の皮膚は、皮膚接触領域とも称される。
【0015】
流体接続、または、流体伝導性の様式で接続されている接続は、1つの場所から別の場所への液体またはガスの流体の交換を可能にする接続を意味するように理解されることを意図している。典型的な流体接続は、好ましくは、ホースまたはパイプを介して行われる。流体接続は、好ましくは、部分的にまたは完全に熱的に絶縁されており、流体の伝導の間に熱の損失または冷たさの損失を可能な限り低く維持するようになっており、一方では、省エネルギー構築が実現され得ることを保証するようになっており、他方では、皮膚接触の領域において熱伝達デバイスが到達することとなるターゲット温度が可能な限り正確に維持されることを保証するようになっている。
【0016】
本発明によれば、熱伝達温度制御流体が使用される。「熱伝達温度制御流体」という用語は、その機能の観点から、熱エネルギーの形態でその中に貯蔵されている熱をターゲット場所に輸送するように配置されている流体を意味するように理解されることを意図している。有利には、熱伝達温度制御流体は、したがって、多量の熱エネルギーを貯蔵または吸収するのに適切な液体である。好ましくは、水が、温度制御流体として使用されるが、水および塩の混合物、または、適切な鉱油もしくは合成油を使用することも好ましい。
【0017】
本発明の文脈において、「接続されている」という用語は、「直接的に接続されている」(たとえば、好ましくは、ケーブルもしくはホースなど)または「間接的に接続されている」(たとえば、好ましくは、光、赤外線、または、WiFiもしくはBluetooth規格にしたがった無線を介してなど)を意味することが可能である。この文脈において、温度制御デバイスは、熱伝達デバイスに直接的に(すなわち、少なくとも1つの流体ラインによって)接続されているが、一方では、温度制御デバイスは、制御デバイスに間接的に(すなわち、ラインなしで、無線などを介して)接続されることも可能である。
【0018】
熱伝達デバイスの接触表面が、温度調整されることとなる身体の領域の皮膚表面から短い距離に位置付けされている領域、および、好ましくは、それが皮膚表面の上に直接的に載る領域は、熱伝達デバイスと温度調整されることとなる身体の領域との間の接触表面の領域として指定される。
【0019】
本発明によれば、熱伝達デバイスは、温度調整されることとなる身体の選択された領域においておおよそ均一な温度を発生させることを意図している。この点において、「おおよそ均一な温度」という用語は、熱伝達デバイスの接触表面のこの領域におけるすべてのポイントが、10℃、好ましくは5℃、とりわけ好ましくは3℃、およびさらにとりわけ好ましくは1℃の間隔の中にあるということを意味するように理解されることを意図している。
【0020】
好適な実施形態において、熱伝達デバイスは、この目的のために、少なくとも1つの熱伝達ユニットを含み、少なくとも1つの熱伝達ユニットは、身体の選択された領域と接触させられるように提供されている。この文脈において、熱伝達ユニットは、実質的に可撓性材料から構成されており、1つまたは複数の温度制御流体チャンバーが、実質的に可撓性材料の中に配置されており、温度制御流体は、1つまたは複数の温度制御流体チャンバーを通って流れることが可能である。
【0021】
原則として、温度調整されることとなる身体の領域は、平坦ではなく、凹形領域および/または凸形領域を有している。本発明の文脈において、これらの凹凸の特徴は、熱伝達ユニットと治療されることとなる身体の皮膚表面との間の個々の空気ポケットの形成につながる可能性があり、この空気ポケットは、選択された領域の皮膚部分の影響を受けた局所領域を熱伝達ユニットから熱的に絶縁するということが見出されている。この結果として、選択された領域を温度調整することは、不均一となり、温度調整することの所望の効果(とりわけ、血流の増加または減少)は、均一に起こらない。
【0022】
限定された局所的な熱的絶縁のこの効果を低減させるために、熱伝達デバイスは、3次元表面全体にわたって熱伝達ユニットと温度調整されることとなる領域との間の距離を可能な限り小さく維持するために、実質的に可撓性材料を含み、それによって、可撓性は、好ましくは、それが温度調整されることとなる選択された領域の上に直接的に横たわることを可能にする。
【0023】
この文脈において、温度制御流体チャンバーは、温度制御流体が温度制御流体チャンバーを通って流れるときに、温度制御流体の熱が、温度調整されることとなる身体の領域に可能な限り均一に伝達されるように、熱伝達ユニットの中に配置されている。
【0024】
好適な実施形態において、可能な限り均一に熱を伝達するために、熱伝達ユニットの実質的に可撓性材料は、少なくとも第1の可撓性材料層を含み、第1の可撓性材料層は、人間または動物の身体の選択された領域に向けて少なくとも部分的に面する少なくとも第1の皮膚接触表面と、第1の皮膚接触表面から離れるように面する少なくとも第1の温度制御流体接触表面とを有している。加えて、熱伝達ユニットは、少なくとも第2の可撓性材料層を含み、第2の可撓性材料層は、少なくとも第2の温度制御流体接触表面を有しており、第2の温度制御流体接触表面は、それ自身と第1の可撓性材料層の第1の温度制御流体接触表面との間において、熱伝達温度制御流体がそれを通って流れることができる1つまたは複数の温度制御流体チャンバーの少なくとも部分的に境界を定めている。
【0025】
この文脈において、熱伝達ユニットは、熱伝達ユニットに熱伝達温度制御流体を供給するための少なくとも第1の接続ラインと、熱伝達ユニットから熱伝達温度制御流体を吐出するための少なくとも第2の接続ラインとをさらに含む。循環システムの中の所望の温度に温度制御流体を加熱または冷却するために、第1および第2の接続ラインは、温度制御デバイスに接続されている。
【0026】
この文脈において、可撓性材料を使用することによって、熱伝達ユニットは、それが人間または動物の身体の選択された領域をカバーするおよび/または少なくとも部分的に囲む形状を少なくとも有しているか、または、そのような形状をとることが可能である。
【0027】
好適な実施形態において、上記に説明されているように空気ポケットによる局所的な熱的絶縁の効果を低減させるために、熱伝達デバイスは、圧力デバイスをさらに含み、身体の選択された領域に対する熱伝達ユニットの接触圧力を発生させるかまたは増加させるようになっており、それによって、熱伝達ユニットと温度調整されることとなる領域との間の熱的に絶縁性の空気ポケットの発生を少なくとも部分的にまたはさらには実質的に完全に低減させるようになっている。この文脈において、圧力デバイスは、少なくとも圧力ユニットおよび支持デバイスを含み、圧力ユニットは、支持デバイスによって、選択された領域の皮膚接触表面とは反対の方向への移動を行うことを防止される。
【0028】
圧力ユニットは、熱伝達ユニットを少なくとも部分的に圧力にさらすように構築されており、次いで、その圧力は、熱伝達デバイスの接触圧力として、治療されることとなる身体の部分によって吸収される。この目的のために、圧力ユニットは、所定のまたは可変の内部圧力を有する少なくとも1つの圧力チャンバーを含む。
【0029】
流体によって充填されている圧力チャンバーの使用は、特定の利点を有している。流体によって充填されている圧力チャンバーでは、流体の中の圧力は、常に同じである。これは、熱伝達ユニットが、選択された領域の皮膚部分に均一な圧力で押し付けられるということ意味している。この結果として、熱伝達ユニットの可撓性材料は、選択された領域の凸形領域および/または凹形領域にとりわけ良好に適合することが可能であり、その結果として、空気ポケットの発生が回避され、とりわけ良好な熱伝達が実現される。
【0030】
この文脈において、接触圧力は、圧力ユニットから、熱伝達ユニットを介して、温度調整されることとなる身体の選択された領域に伝達される表面力のその部分を表している。
【0031】
接触圧力を高めるために、支持デバイスが提供されている。「支持デバイス」という用語は、接触圧力の方向に対抗する方向に配向される表面力を吸収するのに適切な任意のタイプのデバイスを意味するように理解されることを意図している。
【0032】
好適な実施形態において、少なくとも1つの圧力ユニットは、圧力流体によって充填されているチャンバーを含み、圧力流体によって充填されている少なくとも1つのチャンバーは、可撓性材料によって境界を定められている。「圧力流体」という用語は、圧縮性であるか(好ましくは、空気もしくはガス)または非圧縮性である(好ましくは、水、水および塩の混合物、水および油の混合物、もしくは油)ことが可能である流体を意味するように理解されることを意図している。しかし、圧力流体として他の流体を使用することも可能である。
【0033】
好適な実施形態において、圧力流体によって充填されている少なくとも1つのチャンバーは、圧力ラインに接続されている。この文脈において、圧力流体によって充填されている少なくとも1つのチャンバーの中の圧力流体は、ユーザーによる筋力によって手動で、および/または、圧縮機によって、圧力流体によって充填されている少なくとも1つのチャンバーに接続されている圧力ラインを介して、圧力にさらされることが可能である。この結果として、圧力流体によって充填されている少なくとも1つの圧力チャンバーの中の内部圧力は、変化させられることが可能である。したがって、可変の内部圧力の結果として、身体の一部分に対する熱伝達デバイスの接触圧力も、調節可能である。好ましくは、人間の筋力によって作動されるデバイスが提供されている。
【0034】
この文脈において、「圧縮機」という用語は、圧力流体に機械的な仕事を供給し、それによって、内部圧力を増加させる目的を果たす機械を意味するように理解されることを意図している。流体が液体である場合には、圧縮機は、ポンプを表す。
【0035】
1つの実施形態では、圧力デバイスは、圧力ユニットの内部圧力を低下させるための解放弁を含む。
【0036】
さらなる好適な実施形態において、少なくとも1つの圧力ユニットは、圧力流体によって充填されている圧力チャンバーから形成されているのではなく、弾性的な材料から作製されており、また、支持デバイスと熱伝達ユニットとの間に配置されている。ここで、弾性的な材料は、発泡ゴムのタイプ、ゴムのタイプ、または、これらのもしくは同様の材料の組み合わせであることが可能である。この文脈において、弾性は、圧力ユニットの体積にわたって一定であることが可能であるが、いくつかの実施形態では、圧力ユニットの弾性が体積にわたって変化するということも考えられ、起こり得る圧力ピークを回避するようになっており、および/または、好ましくは、治療されることとなる身体の部分の小さな半径にわたって、ターゲットとされた様式で増加した圧力を印加するようになっている。
【0037】
代替的な実施形態において、圧力デバイスは、少なくとも1つの圧力ユニットと、支持デバイスとを含み、圧力ユニットは、支持デバイスに取り付けられており、圧力ユニットは、熱伝達ユニットを少なくとも部分的に圧力にさらすように提供されており、圧力ユニットは、選択された領域に対する熱伝達デバイスの接触圧力を少なくとも部分的に増加させるように適合されている弾性的な材料の本体部を含む。したがって、圧力ユニットは、圧力チャンバーを含む必要はない。その代わりに、弾性的な材料の本体部自身は、十分な弾性を有しており、弾性的な材料の本体部が圧縮されているときに、それが、熱伝達ユニットを圧力にさらすことが可能であるようになっている。繰り返しになるが、弾性的な材料は、発泡ゴムのタイプ、ゴムのタイプ、または、これらのもしくは同様の材料の組み合わせであることが可能である。
【0038】
弾性的な材料の圧縮は、たとえば、弾性的な材料が支持デバイスおよび治療されることとなる身体の一部分との間で圧縮されることによって実現されることが可能である。たとえば、治療されることとなる身体の一部分が手である場合には、熱伝達デバイスは、ハンドカフまたはグローブまたは同様のものを含むことが可能であり、手がその中に導入されることが可能である。たとえば、概して対称の構築体を仮定すると、1つの実施形態では、熱伝達デバイスは、3つの層から構成されることが可能であり、それによって、それぞれの層は、効果的にポーチを形成しており:最も内側のポーチは、少なくとも1つの熱伝達ユニットを含み、それは、少なくとも1つの圧力ユニットを含む中間ポーチの内側に位置付けされており、それは、支持デバイスを含む最も外側のポーチの内側に位置付けされている(玉ねぎの層と漠然と同様である)。この例では、熱伝達デバイスの異なる部分(とりわけ、少なくとも1つの熱伝達ユニット、圧力ユニット、および支持デバイス)、とりわけ、それらの厚さは、熱伝達デバイスの初期状態において(すなわち、手が挿入されていない状態で)、最も内側のポーチの中にスペースがほとんどないかまたは全くない、すなわち、手を挿入するためのスペースがその中にほとんどないかまたは全くないように、寸法決めされることが可能である。好ましくは、最も内側のポーチと中間ポーチとの間に、また、中間ポーチと最も外側のポーチとの間に、少しだけスペースがあるかまたは全くスペースがない。最も内側のポーチの中に手が挿入されているときに、圧力ユニットの材料(すなわち、中間ポーチ)は、支持デバイス(すなわち、最も外側のポーチ)と手との間で圧縮されており、熱伝達ユニット(すなわち、最も内側のポーチ)は、圧力ユニットと手との間に位置付けされている。そして、圧力ユニットの圧縮は、熱伝達ユニットに圧力を発生させ、それは、熱伝達ユニットと手の皮膚との間の良好な(熱的)接触を保証することが可能である。
【0039】
同じまたは同様の効果は、熱伝達デバイスの他の構成、たとえば、前腕カフまたはブーツなどの形態の熱伝達デバイスによって実現されることが可能である。同様に、治療されることとなる身体の部分が熱伝達デバイスの中へ挿入されることを意図しておらず、その代わりに、治療されることとなる人間または動物の皮膚に対して熱伝達デバイスが(一方的に)設置されることを意図している場合には、対応する効果が実現されることが可能である。このケースでは、熱伝達デバイスは、一方が他方の内側に設置されているポーチではなく、いくつかの層(たとえば、3つの層、たとえば、皮膚から離れるように面する外側支持デバイス層、圧力ユニットを構成する中間層、および、皮膚に向けて面する内側熱伝達デバイス層など)を含むことが可能である。
【0040】
1つの実施形態では、圧力ユニットは、所定の体積を有しており、圧力ユニットの(実質的に)体積全体は、弾性的な材料から作製されている。これは、実質的に非弾性的な材料(それは、圧力ユニットの弾性的な特性に悪影響を与える可能性がある)のかなりの部分を含む圧力ユニットとは対照的である。さらに、この実施形態は、圧力流体によって充填され得る圧力チャンバーを圧力ユニットが形成している実施形態(上記に説明されている)とも対照的である。
【0041】
より明示的には、1つの実施形態では、圧力ユニットは、膨張不可能である。この実施形態では、圧力ユニットの中に蓄積されることとなる圧力または圧縮は、上記に説明されているように、支持デバイスと治療されることとなる身体の部分との間で圧力ユニットが圧縮されることによって発生させられることが可能である。
【0042】
好ましくは、圧力ユニットが膨張可能であるかどうかにかかわらず、圧力ユニットの材料は、複数の材料の中から選ばれており、通常の使用において(とりわけ、治療されることとなる身体の一部分に固定されるか、それに対して保持されるか、もしくは、その周りに巻かれるときに、または、治療されることとなる身体の一部分が、熱伝達デバイスの中へ導入されたときに)、圧力ユニットが、少なくともいくつかのエリアにおいて、その厚さの少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、または少なくとも60%だけ圧縮されるようになっている。
【0043】
好適な実施形態において、圧力デバイスの支持デバイスは、低い可撓性を有する材料から作製されている。
【0044】
この文脈において、「低い可撓性を有する材料」という用語は、より高い弾性係数を有する材料(たとえば、好ましくは、硬質プラスチックなど)を意味するように理解されることを意図している。とりわけ、ここでは、熱伝達ユニットと身体の選択された領域との間の接触表面に圧力ユニットの内部圧力を伝導するために、支持デバイスのために使用される材料が、圧力ユニットよりも高い剛性を有しているということが重要である。
【0045】
1つの実施形態では、支持デバイスは、プラスチック材料(たとえば、プラスチック材料のシート)を含むことが可能であり、または、それから作製されることが可能である。プラスチック材料は、たとえば、少なくとも0.5mm、少なくとも0.8mm、少なくとも1mm、少なくとも1.3mm、少なくとも1.5mm、および少なくとも1.7mmから選択される厚さを有することが可能である。加えて、または、代替例として、プラスチック材料は、たとえば、多くとも2.5mm、多くとも2.2mm、多くとも2mm、多くとも1.8mm、多くとも1.5mmおよび多くとも1.2mmから選択される厚さを有することが可能である。プラスチック材料は、たとえば、約1mm、1.3mm、または2mmの厚さを有することが可能である。
【0046】
1つの実施形態では、支持デバイスは、少なくとも2x109Nm-2の弾性係数を有する材料から作製されているか、または、それを含む。対称的に、圧力ユニットは、0.5x109Nm-2以下、好ましくは0.2x109Nm-2以下、好ましくは0.1x109Nm-2以下の弾性係数を有する材料から作製されることが可能であり、または、それを含むことが可能である。
【0047】
1つの実施形態では、圧力ユニットの材料の可撓性は、支持デバイスの可撓性よりも著しく大きく、とりわけ、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、および100倍からなる群から選択される倍数だけ大きい。1つの実施形態では、この可撓性の程度は、当該材料の弾性係数を介して表現されることが可能である。
【0048】
好適な実施形態において、人間または動物の身体の選択された領域の周りの圧力デバイスの支持デバイスは、少なくとも1つの固定エレメントを備えた接続デバイスをさらに含む。この文脈において、接続デバイスは、それが圧力デバイスの周りに少なくとも部分的に到達するように、および、この「周りに到達する」位置において、圧力デバイスに対して支持力を働かせるように構築されており、支持力は、「使用のために配備された」条件で人間または動物の身体の選択された領域に圧力デバイスを固定することに少なくとも部分的に寄与する。この文脈において、少なくとも1つの固定エレメントを有する接続デバイスは、(たとえば、好ましくは、ストラップなどによって)連続的に調節可能であることができ、または、専用の取り付けポイント(たとえば、好ましくは、プレススタッドなど)を含むことが可能であり、または、両方の組み合わせから構成されることが可能である。
【0049】
「’使用のために配備された’条件」という用語は、熱伝達デバイスが身体の選択された領域に適用されている条件を意味するように理解されることを意図している。
【0050】
好適な実施形態において、少なくとも1つのセンサーデバイスがさらに提供されており、少なくとも1つのセンサーデバイスは、制御デバイスに接続されている。センサーデバイスは、好ましくは、デバイスの特定の位置においてセンサー信号を測定するように配置されている。好ましくは、センサーデバイスは、身体の選択された領域と皮膚接触表面との間の、および/または、熱伝達デバイスにおける、および/または、身体に向けて面する熱伝達デバイスの縁部領域における、温度および/または接触圧力を測定するために使用される。
【0051】
「センサーデバイス」という用語は、物理的な状態を測定するためのセンサーを有し、この状態をセンサー信号に変換するようにセットアップされた任意のデバイスを意味するように理解されることを意図している。ここで、センサー信号は、光学的、音響的、またはデジタルであることが可能である。
【0052】
好適な実施形態において、少なくとも1つのセンサーデバイスは、複数のセンサーデバイスであり、複数のセンサーデバイスは、好ましくは、縁部領域において、または、「使用のために配備された」位置において、皮膚に向けて面する第1の材料層の表面の上に、好ましくは、グリッドで少なくとも部分的に配置されている。この文脈において、グリッドは、同一の距離を有するグリッド、もしくは、ほとんど同一の距離を有するグリッド、もしくは、異なる距離を有するグリッド、または、それらの組み合わせであることが可能である。
【0053】
ここで、好適な実施形態において、測定されるセンサー信号は、圧力、電流、および温度の群から選択される。しかし、他の物理的な変数も考えられる。
【0054】
好適な実施形態において、少なくとも1つの表示デバイスが提供されている。表示デバイスは、制御デバイスに接続されており、センサーデバイスによって測定されたセンサー信号を、表示デバイスを介してユーザーに出力するようにセットアップされている。
【0055】
この文脈において、表示デバイスは、個々のデバイスのステータスおよび/または測定されたセンサー信号についての情報がユーザーに提供されることを可能にする任意の形態の表示設備を含むことが可能である。したがって、表示は、視覚的(好ましくは、スクリーンの形態で)であり、音響的(好ましくは、可聴音の形態で)であり、触覚的(好ましくは、振動の形態で)であることも可能である。しかし、他の形態の表示も考えられる。
【0056】
身体の選択された領域の温度制御のために必要なエネルギーを、熱伝達流体に供給するために、または、熱伝達流体から除去するために、温度制御デバイスが提供されている。温度制御デバイスは、好ましくは、ハウジングと、好ましくは、温度制御流体供給デバイスであって、熱伝達温度制御流体は、温度制御流体供給デバイスによってハウジングの中に提供される、温度制御流体供給デバイスと、少なくとも1つの温度制御ユニットであって、少なくとも1つの温度制御ユニットは、好ましくは、ハウジングの中に配置されており、熱伝達温度制御流体は、少なくとも1つの温度制御ユニットによって温度制御される、少なくとも1つの温度制御ユニットとを有している。さらに、温度制御デバイスは、少なくとも1つの温度制御流体流出デバイスであって、熱伝達温度制御流体は、実質的に所定の温度において、少なくとも1つの温度制御流体流出デバイスを通してハウジングから外に導かれる、少なくとも1つの温度制御流体流出デバイスと、好ましくは、少なくとも1つのポンピングデバイスであって、少なくとも1つのポンピングデバイスは、好ましくは、ハウジングの中に配置されており、少なくとも1つのポンピングデバイスは、ハウジングを通って流れる熱伝達温度制御流体に圧力を印加する、少なくとも1つのポンピングデバイスとを有している。
【0057】
温度制御ユニットは、好ましくは、電気加熱ユニットを含む。さらに好ましくは、温度制御ユニットは、少なくとも1つの従来の冷却ユニットを含み、従来の冷却ユニットでは、冷却剤が圧縮され、熱膨張弁を介して膨張され、凝縮器を介して凝縮される。
【0058】
とりわけ好ましくは、温度制御ユニットは、加えてまたは排他的に、熱電エレメントとして(とりわけ、ペルティエエレメントとして)構築された少なくとも1つの温度制御エレメントを有している。好ましくは、温度制御流体にまたは温度制御流体から熱を伝達するために、温度制御流体がそれを通って流れることができる熱交換エレメントも提供されており、好ましくは、少なくとも1つの冷却ユニットも提供されている。
【0059】
好ましくは、デバイスは、以下に説明されている3つのグループのセンサーのうちの少なくとも1つを使用する。
【0060】
第1のグループのセンサーは、熱伝達デバイスの条件および(適用可能な場合には)接続ラインの条件も検出するために提供される。
【0061】
これは、熱伝達デバイスおよび接続ラインの所定の場所における温度をセンシングする温度センサーと、熱伝達デバイスの中の圧力ユニットの圧力を測定する圧力センサーと、フロー測定のためのセンサー(供給および/または吐出されている温度制御流体の流量および/または量が、それによって検出されることが可能である)とを含む。
【0062】
第2のグループのセンサーは、温度制御ユニットの中に提供される。ここでも、温度、圧力、および、フロー速度またはフロー体積が、好ましくは検出される。
【0063】
第3のグループのセンサーは、患者についての生理学的なデータの測定を行うために提供され、それらは、好ましくは、デバイスの動作、および、とりわけ、熱伝達デバイスの温度を制御するために、および/または、フィードバックを用いて制御するために、制御デバイスによって使用される。
【0064】
好ましくは、温度センサーが使用され、温度センサーは、好ましくは、デバイスによって温度調整されることとなる身体の選択された領域の中に薄い電極の形態で配置されている。そのうえ、圧力センサーが、(好ましくは、同様に薄い電極の形態で)好ましくは使用され、熱伝達デバイスの接触圧力がそれによって検出されることが可能である。
【0065】
さらに好ましくは、治療されている患者の生理学的な状態を検出するセンサーが使用される。この目的のために、1つまたは複数のセンサーは、以下に述べられているセンサーを含むサブグループから選択される:心拍数を測定するセンサー、ECGを記録するセンサー、血圧を測定するセンサー、および、好ましくは、血流を測定するセンサー。
【0066】
好適な実施形態において、制御デバイスは、センサーデバイスまたはセンサーによって測定される信号に基づいて、1つまたは複数の制御ループを形成するようにセットアップされており、熱伝達デバイスと温度調整されることとなる身体の一部分との間の接触表面の領域が、少なくとも1つの領域においておおよそ均一な予め選択された温度を有するようになっている。
【0067】
デバイスは、好ましくは、デバイスのパラメーター(たとえば、流体の温度、流量、および送達される流体の量など)が変更されることを可能にする1つまたは複数の作動またはフィードバック制御デバイスを有している。これらの作動またはフィードバック制御デバイスは、好ましくは、電圧、周波数、および/または電流に影響を有する電気的なフィードバック制御デバイスであることが可能である。さらに好ましくは、フィードバック制御デバイスは、好ましくは、フロー抵抗を変化させ、および/または、フローを停止させることができる機械的なフィードバック制御デバイスであることが可能であり、または、それらは、電気機械的な構築体であることが可能である。
【0068】
制御デバイスは、所望の治療パラメーターが設定されることを可能にする少なくとも1つの動作エレメント、しかし、好ましくは、2つの動作エレメント、またはさらに好ましくは、複数の動作エレメントを装備している。好ましくは、これは、動作時間および一時停止時間の仕様、ならびに、温度または温度間隔の仕様を含む。
【0069】
適用のエリアに応じて、デバイスが冷却のために使用されるときには、以下の温度範囲が、とりわけ有利であり、それぞれのデバイスによってカバーされるべきである。病院などでの使用に関して、10~35℃の温度範囲が推奨され、病院および外来での治療に関して、12~22℃の温度範囲が推奨され、私的な環境における治療に関して、15~22℃の温度範囲が推奨される。しかし、デバイスが、10~35℃のより広い温度範囲、または、さらには、10~43℃の温度範囲をカバーするように、デバイスを構築することも好適である。
【0070】
好ましくは、制御デバイスは、プロセッサーデバイスおよびメモリーデバイスを含む。1つまたは複数のプログラムルーチンは、好ましくは、メモリーデバイスの中に記憶されており、それは、個別にまたは一緒に、プロセッサーデバイスによって、制御デバイスの動作、および、好ましくは、デバイスのパーツの動作にも影響を与えるかまたは制御するために使用される。プログラムルーチンは、好ましくは、予め決定されており、メモリーデバイスの中に恒久的に記憶されている。さらに好ましくは、プログラムルーチンは、ユーザーによって修正されることが可能であり、および/または、追加的なプログラムルーチンは、メモリーデバイスの中へ入力されることが可能である。
【0071】
とりわけ、排他的ではないが、病院または他の医療施設の外側の私的な環境のみで(または、私的な環境でも)使用されるデバイスの場合、制御デバイスの制御の一部またはすべては、外部プロセッサーデバイスによって実施されることが可能である。好ましくは、静止したまたは輸送可能なコンピューター(たとえば、好ましくは、ラップトップコンピューターなど)が、この目的のために使用される。さらに好ましくは、モバイル通信デバイス(とりわけ、携帯電話、または、とりわけ好ましくは、スマートフォン)が、外部プロセッサーデバイスとして使用される。好ましくは、モバイル通信デバイス(とりわけ、スマートフォン)は、患者の生理学的なデータを検出することができる外部センサーに接続されている。好ましくは、たとえば、センサーを備えたリストバンド、または、スマートウォッチなど、患者の身体に取り付けられることができるセンサーが、この目的のために使用される。生理学的なデータ(たとえば、好ましくは、心拍数およびECG機能など)を収集するためにモバイル通信デバイスの上で使用されるプログラムは、次いで、デバイスを制御するために使用されることが可能である。
【0072】
好ましくは、デバイスは、アラームモードを特徴とする。このアラームモードは、好ましくは、温度が望ましい範囲内にないときにトリガーされる。好ましくは、これは、流体温度が所定の値を超えて上昇する場合、または、さらに好ましくは、ハウジング温度が所望されない値をとる場合であることが可能である。さらに、アラームモードは、患者に接続されているセンサーが検出する生理学的な値が所望されない範囲内にあるときにトリガーされることも可能である。
【0073】
上記に述べられている例において、本発明によれば、人間または動物の身体の選択された領域のサーマルセラピー治療を実施するためのデバイスを動作させる方法が提供され、方法は、以下のステップを含む。開始時に、熱伝達デバイスは、圧力デバイスによって、「使用のために配備された」条件に持って行かれ、身体の選択された領域と接触させられる。次いで、身体の選択された領域に作用する接触圧力が、圧力デバイスを介して印加される。身体の選択された領域は、熱伝達デバイスに接続されている温度制御デバイスを介して温度調整され、熱伝達温度制御流体は、熱伝達デバイスの熱伝達ユニットを通って流れ、熱伝達デバイスと温度調整されることとなる身体の一部分との間の接触表面の領域において、少なくとも1つの領域においておおよそ均一な温度を有するようになっている。
【0074】
「熱伝達デバイスを接触させる」という用語は、好ましくは、熱伝達デバイスを含有するカフを患者の手の周りに設置することを意味するように理解されることが可能である。さらに、「接触させる」という用語は、クッションの上に載っている熱伝達デバイスの上に身体のパーツを設置することを意味するように理解されることも可能である。
【0075】
好適な実施形態において、方法は、以下のステップをさらに含む。
【0076】
圧力デバイスの圧力ユニットの内部圧力が設定され、圧力ユニットは、圧力流体によって充填されている少なくとも1つのチャンバーを含む。
【0077】
この文脈において、圧力流体によって充填されている少なくとも1つのチャンバーの内部圧力は、ユーザーの筋力を介して、および/または、外部圧力供給源を介して、手動で調節されることが可能である。
【0078】
好適な実施形態において、方法は、以下のステップをさらに含む。
【0079】
センサー信号が、熱伝達デバイスに接続されているセンサーデバイスを介して測定される。
次いで、制御デバイスに接続されている圧力デバイスは、測定されたセンサー信号に基づいて、制御デバイスを介して制御される。この制御の形態は、制御ループと称されることも可能である。
【0080】
以下では、本発明によるデバイスがとりわけ適切なセラピー治療が説明されることとなる。
【0081】
外科的処置の前のターゲットとされた熱治療は、毛細血管の循環を改善し、処置後の治癒を促進する。この目的のために、本発明によるデバイスを使用して、手術の約18時間前に熱が複数回印加され、それによって、組織を41~43℃に温度調整することが、とりわけ有利である。この温度調整は、たとえば、毎回30分にわたって3回適用され、室温における冷却局面がその間に挟まれ、それも、毎回30分間続く。
【0082】
この目的のために、シーケンスプログラムが、デバイスの中に記憶または入力され、そのシーケンスプログラムは、タイミングおよびデバイスのさまざまなコンポーネントを制御する。センサーによって測定される物理的なデータ(温度、圧力など)または生理学的なデータがこの目的のために使用されることが、とりわけ好適である。
【0083】
外科的介入の後に、また、とりわけ怪我の後に、および、慢性疾患およびそれから結果として生じる任意の腫れ、内部出血、血腫、浮腫、ならびに炎症の場合に、本発明によるデバイスによって患部組織を冷却することは、治癒プロセスを促進し、痛みの強度を低減させ、それは、著しく低減された薬物の投与を結果として生じさせることが可能である。この治療効果は、患部組織が炎症を伴って介入または怪我に反応し、したがって過熱するという事実によって説明されることが可能であり、その結果として、酸素需要が増加される。組織の冷却は、この酸素需要を低減させ、細胞死を防止する。この目的のために、デバイスは、特定のターゲット温度が到達されるように制御される。たとえば、組織の冷却を達成するためのターゲット温度は、14.5℃であることが可能である。ターゲット温度が到達されたかどうかは、センサーによってモニタリングされることが可能であり、追加的に、患者の生理学的な条件がモニタリングされることが可能であり、制御デバイスは、心拍数または血流などに関する値が、所望されない範囲内にある場合には、必要な場合にはスイッチオフされることが可能である。
【0084】
また、サーマルセラピー措置は、化学療法による癌の治療においても特に重要性を有する。癌細胞を低減させるために使用される化学療法剤は、手および足の毛細血管の中へ浸透し、組織およびとりわけ神経細胞への永久的な損傷を伴う恐れられる化学療法誘発性多発性神経障害(CIPN)または手足症候群(HFS)につながる可能性がある。軽度の場合、これは、不愉快な皮膚感覚および「うずき」などとして現れ、重度の場合、それは、広範なまたは完全なしびれとして現れ、それは、手を使用することまたは歩くことさえも困難にする可能性がある。そのうえ、ときどき高い強度を伴う痛みも報告されている。重度の場合、爪甲剥離症、すなわち、1つまたは複数の爪の剥離も、頻繁に起こる。
【0085】
共通の理解によれば、敏感な神経系の優先的な攻撃は、有窓毛細血管によるこれらの神経細胞の血液供給に起因する。これは、細胞壁のタンパク質組成が、特定の化学療法剤に対して異なっている(すなわち、より浸透性である)ということ意味している。したがって、それらは、神経細胞に対する基本的な損傷を展開する。細胞DNAおよびミトコンドリアDNAに対する損傷、乱れたカルシウムバランス、および酸化ストレスは、神経節細胞の溶解を促進する。最も長い神経線維は、これらの損傷の影響により敏感であるので、CIPNは、通常、長さ依存性として現れ、下肢に重点が置かれる。
【0086】
本発明によるデバイスによる化学療法の間の手および足または身体の他の領域の冷却は、冷却された組織の酸素需要を低減させる効果、および/または、冷却された領域の代謝を低減させる効果、および/または、これらの領域への血流を低減させる効果を有しており、その結果として、より少ない治療剤が毛細血管に到達し、多発性神経障害の発症が防止されることが可能である。また、これは、有利には、本発明によるデバイスによって、および、本発明によるデバイスを動作させる方法によって実現されることが可能である。
【0087】
また、本発明によるデバイスによる化学療法の間の手および足または身体の他の領域の冷却は、汗腺からの化学療法剤の分泌を低減させる効果を有しており、それによって、HFS発症の可能性を低減させる。
【0088】
冷却は、好ましくは、8℃から30℃の間の温度範囲において実施されるが、とりわけ好ましくは、10℃から14℃の間の範囲において実施される。10℃から12℃の範囲における冷却温度は、さらにより好適である。
【0089】
好ましくは、外科的処置に関係して上記に説明されてきたサーマル治療は、冷温治療の形態の化学療法に関連する治療にも適用される。この目的のために、本発明によるデバイスは、好ましくは、化学療法剤の投与の約30分前に冷温を適用するために使用され、それによって、選択された領域の組織表面または皮膚表面を10℃から12℃に温度調整することは、とりわけ有利である。この温度調整は、好ましくは、化学療法剤の投与全体の間に適用され、同様に、好ましくは、化学療法剤の投与の完了後に1時間から3時間にわたって適用される。
【0090】
好ましくは、たとえば、カルボプラチン、カペシタビン、5-Fu、シクロホスファミド、シタラビン、ドセタキセル、ドキソルビシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ソラフィニド、およびスニチニブなどのような、細胞増殖抑制薬物が、化学療法のための化学療法剤として使用される。これらの名称は、それぞれの製造会社または流通会社のために保護されている商品名である。これらの化学療法剤のリストは、限定として理解されるべきではない。本発明の実施形態は、他の化学療法剤に関連して使用され、とりわけ、本明細書で議論されているCIPN、HFS、および他の副作用を結果として生じさせる可能性のあるものに関連して使用され、とりわけ、化学療法の治療を受けている患者の手および/または足および/または他の身体のパーツの冷却を通して低減され得るかまたはさらには排除され得る副作用を結果として生じさせる可能性のあるそれらの化学療法剤に関連して使用されることが可能である。
【0091】
最適な冷却温度がそれぞれの患者に対して設定されることが可能になるようにするために、温度制御デバイスは、1℃の精度で温度制御流体を設定することが可能であるが、好ましくは、0.5℃から0.2℃の間の精度で設定することが可能である。所望の治療効果が実現されるようにするために、所望の温度(それは、本明細書においてターゲット温度とも称される)が、冷却プロセスの間にも可能な限り正確に維持されるということが本文脈において必須である可能性がある。
【0092】
化学療法に関連するこの適用において、デバイスは、とりわけ有利には、圧力デバイスを装備している。本目的は、毛細血管を通る血流を低減させることであるので、熱伝達ユニットが患者の身体の選択された領域の皮膚領域と均一な接触をしている(すなわち、任意の熱的に絶縁性の空気ポケットが可能な限りない)場合には、とりわけ有利である。これは、圧力デバイスによって実現される。
【0093】
たとえば、デバイスの時間制御によって、ターゲット温度に到達するために必要とされる時間は、化学療法剤の送達が開始される前に特定されることが可能である。
【0094】
しかし、熱伝達デバイスの上の温度センサーが、また、代わりに使用され、ターゲット温度が到達されたときを検出し、次いで、対応する信号を出力することも可能である。
【0095】
最後に、血流を測定するためのセンサーが、とりわけ有利な様式で、ここで使用されることも可能である。次いで、冷却プロセスが開始され、血流が所定の値に降下するまで継続される。デバイスを通して患者の生理学的な値(たとえば、心拍数および血圧など)をモニタリングすることによって、冷却が患者の望ましくない条件につながらないことが同時に保証されることが可能である。
【0096】
1つの実施形態では、方法は、人間または動物の身体の化学療法治療と同時に実施され、好ましくは、化学療法治療の開始の少なくとも20分前に、好ましくは少なくとも30分前に開始され、および/または、化学療法治療の終了後に、少なくとも20分まで、好ましくは少なくとも30分まで、好ましくは少なくとも40分まで、好ましくは少なくとも1時間まで実施される。これは、化学療法治療の特定の副作用に対して良好な保護を提供することが可能であり、一方で、過度に時間がかかることはない。
【0097】
1つの実施形態では、化学療法治療は、人間または動物の身体に対して実施される一連の化学療法治療の一部であり、方法は、前記一連の化学療法治療のすべての化学療法治療と同時に実施される。本発明による方法は、化学療法治療が行われるたびに実施される場合には、最良の結果(すなわち、化学療法治療の特定の副作用を低減させるかまたは排除するという観点から)をもたらすということを本発明者は見出した。化学療法治療の開始時間および終了時間に対するサーマル治療の開始時間および終了時間(たとえば、事前に30分;その後に1時間)は、一連の化学療法治療のすべての化学療法治療に関して同じに維持されることが可能であり、または、変化させられることが可能である。
【0098】
1つの実施形態では、方法は、前記一連の化学療法治療の最後の化学療法治療の後に複数回実施され、前記複数回は、1回、2回、3回、および4回からなる群から選択される。このように、最後の化学療法治療の後にサーマル治療が実施されない場合よりも、化学療法治療の特定の副作用からのより良好な保護が提供されることが可能である。
【0099】
1つの実施形態では、方法は、前記一連の化学療法治療の最後の化学療法治療の6カ月後から18カ月後の間に最後に実施される。このように、最後の化学療法治療と同時に、または、その直後にのみ(たとえば、1カ月以内)、最後のサーマル治療が実施される場合よりも、化学療法治療の特定の副作用からのより良好な保護が提供されることが可能である。
【0100】
1つの実施形態では、化学療法治療は、人間または動物の身体に対して実施される一連の化学療法治療の一部であり、化学療法誘発性多発性神経障害(CIPN)または手足症候群(HFS)の症状が人間または動物の身体に観察されたときのみ、方法が実施される。CIPNおよびHFSは、化学療法を受けるすべての患者において起こるわけではないので、いくつかのケースでは、CIPNおよびHFSが実際に起こった場合にのみサーマル治療を実施することが好適である可能性があるが、上記に説明されているように、サーマル治療が予防的な対策として実施される場合には、(これらの症状の長期の防止の観点から)結果がより良好になる傾向がある。
【0101】
1つの実施形態では、化学療法治療は、人間または動物の身体に対して実施される一連の化学療法治療の一部であり、Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)v5.0にしたがったグレードに関係する症状が人間または動物の身体に観察されたときのみ、方法が実施され、前記グレードは、
- グレード1またはそれ以上、
- グレード2またはそれ以上、
- グレード3またはそれ以上、および、
- グレード4
からなる群から選択される。
【0102】
Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)v5.0によるグレードが、さらに下記に説明されている。
【0103】
上記に述べられている例において、温度制御デバイスが、選択された領域を特定のターゲット温度に加熱または冷却することが想定される。しかし、一定のターゲット温度の代わりに、温度は、治療の間に変化されることも可能である。これは、温度/時間曲線を変調させることによって行われることが可能である。この変調は、好ましくは、温度/時間曲線において、長方形形状、正弦波形状、鋸歯形状、または台形形状を有することが可能である。
【0104】
また、本明細書で開示されているのは、熱伝達ユニットであり、熱伝達ユニットは、人間または動物の身体の選択された領域と接触させられるように意図されており、熱伝達ユニットは、身体の選択された領域に熱を伝達するように配置されており、熱伝達ユニットは、熱伝達ユニットを通って流れるように配置されている温度制御流体とともに使用するためのものであり、熱伝達ユニットは、
第1の可撓性材料層であって、第1の可撓性材料層は、身体の選択された領域に向けて少なくとも部分的に面するように配置されている第1の皮膚接触表面を有しており、また、第1の皮膚接触表面から離れるように面する第1の温度制御流体接触表面を有している、第1の可撓性材料層と、
第2の可撓性材料層であって、第2の可撓性材料層は、第2の温度制御流体接触表面を有しており、第2の温度制御流体接触表面は、それ自身と第1の可撓性材料層の第1の温度制御流体接触表面との間において、熱伝達温度制御流体がそれを通って流れることができる1つまたは複数の温度制御流体チャンバーの少なくとも部分的に境界を定めている、第2の可撓性材料層と
を含み、
第1の可撓性材料層および第2の可撓性材料層は、概して折り畳みラインまたは折り畳み領域に沿って、とりわけ、手によって、一緒に折り畳まれているか、または、折り畳まれるように配置されており、第1の熱伝達ユニット部分および第2の熱伝達ユニット部分を画定するようになっており、第1の熱伝達ユニット部分は、第1の温度制御流体チャンバー部分を含むかまたは画定しており、第2の熱伝達ユニット部分は、第2の温度制御流体チャンバー部分を含むかまたは画定しており、
熱伝達温度制御流体は、折り畳みラインまたは折り畳み領域を通過して、第1の温度制御流体チャンバー部分から第2の温度制御流体チャンバー部分へ流れるように配置されており、
折り畳み領域において、または、折り畳みラインにおいてもしくはその近くにおいて、熱伝達ユニットは、第1の可撓性材料層および第2の可撓性材料層が概して折り畳みラインまたは折り畳み領域に沿って一緒に折り畳まれているときに、第1の温度制御流体チャンバー部分から折り畳みラインまたは折り畳み領域を介して第2の温度制御流体チャンバー部分への熱伝達温度制御流体のフローの低減に対抗するための補剛材料を含む。
【0105】
第1の可撓性材料層および第2の可撓性材料層は、たとえば、プラスチック材料の可撓性のシートを含むことが可能である。製造の間に、これらは、たとえば、互いに重ねて設置され、下記に説明されているように、互いに接続されることが可能である。使用の前または使用の間に、第1および第2の可撓性材料層の組み合わせは、次いで折り畳まれ、層が折り畳まれた結果として、(少なくとも)4つの層のサンドイッチ構造体を有する熱伝達ユニットを結果として生じさせる。4層サンドイッチ構造体の上部層および底部層のそれぞれは、たとえば、第2の可撓性材料層(の半分)から構成されることとなり、4層サンドイッチ構造体の中間の2つの層のそれぞれは、第1の可撓性材料層(の半分)から構成されることとなる。この4層サンドイッチ構造体では、底部の2つの層は、第1の熱伝達ユニット部分の一部を形成することとなり、上部の2つの層は、第2の熱伝達ユニット部分の一部を形成することとなる。
【0106】
第3の態様の熱伝達ユニットは、とりわけ(排他的ではないが)、手の治療において使用するのに適切である。熱伝達ユニットが手の治療の過程において使用されるときには、手は、4層サンドイッチ構造体の2つの中間層の間に設置されこととなり、それによって、折り畳みラインまたは折り畳み領域のいずれかの側の2つの熱伝達ユニット部分は、比較的に平坦なパネルになる(および、治療の間にそのままになる)ことが可能であり、折り畳み領域は、2つの比較的に平坦なパネルの間のヒンジとして効果的に作用する。より一般的には、第3の態様の熱伝達ユニットは、とりわけ(排他的ではないが)、2つの熱伝達ユニット部分(それらは、比較的に平坦であってもよく、または、そうでなくてもよい)が折り畳みラインまたは折り畳み領域において接続されている身体の部分の治療において使用するのに適切である。
【0107】
温度制御流体は、第1の熱伝達ユニット部分を介して熱伝達ユニットに進入し、第2の熱伝達ユニット部分を介してデバイスを離れることとなるということが想定されるので、温度制御流体は、第1の熱伝達ユニット部分(または、第1の温度制御流体チャンバー部分)から第2の熱伝達ユニット部分(または、第2の温度制御流体チャンバー部分)へ流れることができる必要がある。補剛材料がない場合に、第1および第2の可撓性材料層が折り畳まれると、温度制御流体チャンバーの断面が、折り畳みラインまたは折り畳み領域の近くにおいて低減され、それは、流体フローに対する抵抗を表しており、それによって、温度制御流体の流量を低減させるか、または、さらには流体フローを完全に妨げるというリスクが存在しているということを本発明者は見出した。本発明のこの態様によれば、補剛材料は、これに対抗することを助け、折り畳みラインまたは折り畳み領域の近くの温度制御流体チャンバーの利用可能な断面が、少なくとも部分的に、または、補剛材料がないとした場合よりも少なくとも多く、開かれた状態に保持されるようになっている。したがって、本発明のこの態様によれば、補剛材料なしの熱伝達ユニットの場合よりも高い流量が実現されることが可能である。代替的に、同じ流量は、補剛材料なしの熱伝達ユニットと比較して、より強力でないポンプによって実現されることが可能である。
【0108】
第1および第2の材料層が折り畳まれているときには、それらは、第1および第2の材料層の可撓性の性質を所与として、典型的に、予め定義された十分に定義された折り畳みラインに沿って(とりわけ、必ずしも直線に沿っているわけではない)折り畳まれないこととなる。したがって、「折り畳みライン」という用語は、好ましくは、数学的な意味で理解されることを意図しているのではなく、代わりに、折り畳みが行われる領域または体積の意味で理解されることを意図している。「折り畳み領域」という用語は、同じまたは同様の方式で理解されることが可能である。とりわけ、「折り畳み領域」という用語は、好ましくは、これらの層が折り畳まれる結果として第1および第2の材料層の可撓性材料が曲げられるかまたは歪められる領域(体積)を意味するように理解される。とりわけ、これは、所定の領域を含むことが可能であり、その領域では、これらの層が折り畳まれる結果として材料が「押し合わされる」ことに起因して、これらの層のうちの少なくとも1つが波状の表面などの外観を採用する。
【0109】
1つの実施形態では、補剛材料は、第1の可撓性材料層と第2の可撓性材料層との間に挿入されている。これは、折り畳み領域においてまたは折り畳みラインにおいてもしくはその近くにおいて必要とされる剛性を提供するとりわけ簡単でさらに効果的な方式を表す。しかし、加えてまたは代替例として、第1および/または第2の可撓性材料層の中へ補剛材料を一体化することも可能であることとなる。
【0110】
1つの実施形態では、補剛材料は、第1の可撓性材料層および第2の可撓性材料層の材料またはそれを構成する材料よりも高い曲げ剛性を有している。換言すれば、補剛材料は、第1および第2の可撓性材料層の材料よりも強力に曲げに抵抗する。好適な実施形態では、補剛材料は、第1および第2の可撓性材料層の材料とは異なる材料から作製されている。しかし、補剛材料が、第1および第2の可撓性材料層と同じ材料から作製され、それによって、補剛材料を第1および第2の可撓性材料層よりも厚くすることによって、補剛材料のより高い曲げ剛性が実現されることとなるということも考えられる。
【0111】
1つの実施形態では、補剛材料は、概して折り畳みラインまたは折り畳み領域に沿って、とりわけ手によって、第1の可撓性材料層および第2の可撓性材料層が一緒に折り畳まれることを可能にするのに十分な可撓性を示している。これは、ユーザーの快適性を増加させ、また、たとえば、補剛材料が可撓性材料層のうちの一方または両方を穿孔しないことを保証することも可能である。
【0112】
本開示によってガイドされ、当業者は、温度制御流体のフローの低減に対抗するために必要とされる剛性を提供しながら、補剛材料が十分な可撓性を有することを保証するために、補剛材料に(および、第1および第2の可撓性材料層に)適切な材料を選択することができることとなる。とりわけ、材料の選択肢は、以下を含む意図される適用に依存する可能性もある:
- 身体のどのパーツが治療されることとなるか。
- ユーザー(患者)が子供であるかまたは大人であるか
- ユーザー(患者)が人間であるかまたは動物であるか
- ユーザー(患者)が小動物であるかまたは大動物であるか
- デバイスを通して温度制御流体をポンプ送りするために使用されるポンプのサイズ(または、パワー)。
【0113】
1つの実施形態では、第1の可撓性材料層および第2の可撓性材料層は、とりわけ、溶接ラインまたは融合ラインを介して、とりわけ、第1の可撓性材料層および第2の可撓性材料層の周辺部に沿って、ならびに/または、第1の可撓性材料層および第2の可撓性材料層の周辺部の中のラインに沿って接続されており、それによって、とりわけラビリンス-タイプパターンを定義しており、ラビリンス-タイプパターンに沿って、または、ラビリンス-タイプパターンを通って、熱伝達温度制御流体が流れることが可能である。これは、温度制御流体チャンバー(部分)を形成する簡単であるが効果的な方式を表す。第1および第2の可撓性材料層がプラスチック材料から作製されている場合には、これらは、熱の適用を通して一緒に溶接または融合されることが可能である。好ましくは、溶接ラインまたは融合ラインの場所は、デバイスに進入する流体全体が温度制御流体チャンバー(部分)を通って流れるように強制されるように選択され、流体フローが第1および第2の材料層の実質的に表面全体をカバーするかまたはそれを超えてガイドされ、実質的に均一の温度分布を保証するようになっている。
【0114】
1つの実施形態では、補剛材料は、1つまたは複数の補剛リブを含み、1つまたは複数の補剛リブは、折り畳みラインまたは折り畳み領域を通過して、とりわけ、第1の熱伝達ユニット部分の中の場所から、とりわけ、第1の温度制御流体チャンバー部分の中の場所から、第2の熱伝達ユニット部分の中の場所へ、とりわけ、第2の温度制御流体チャンバー部分の中の場所へ延在している。この簡単であるが効果的な解決策は、補剛材料が、これが有益であるそれらのエリアにおいて、温度制御流体のフローの低減に対抗するその機能を果たすことができるということを保証することが可能である。
【0115】
たとえば、補剛リブは、第1のおよび第2の可撓性材料層が一緒に溶接または融合される前に、第1の可撓性材料層と第2の可撓性材料層との間に設置されることが可能である。代替的に、補剛リブは、たとえば、(将来の)溶接ラインまたは融合ラインの場所において、層のうちの1つの中の孔部を通して、第1の可撓性材料層と第2の可撓性材料層との間に挿入されることが可能であり、それによって、孔部は、溶接または融合によって、補剛リブの挿入の後に閉鎖されることが可能である。
【0116】
特定の実施形態において、補剛リブは、丸みを帯びた端部を有しており、それは、補剛リブが第1または第2の可撓性材料層を穿孔するリスクを低減させることが可能である。
【0117】
1つの実施形態では、熱伝達ユニットは、第1の可撓性材料層および第2の可撓性材料層を接続する複数のウェブを含み、ウェブは、スペースを残す個々の島またはカラムを形成しており、熱伝達温度制御流体は、スペースを通って流れることが可能である。好都合なことに、ウェブは、適切な成形プロセスによって、第1および/または第2の材料層から形成されることが可能である。ウェブは、第1および第2の可撓性材料層を互いに対して位置付けすることを助けることが可能であり、また、第1および第2の可撓性材料層を互いから所定の距離に維持することを助けることが可能である。
【0118】
1つの実施形態では、1つまたは複数の補剛リブは、前記スペースのそれぞれのものの中へ挿入されている。したがって、スペースを画定するウェブは、補剛リブを適切な場所に保つことを助けることが可能である。
【0119】
1つの実施形態では、1つまたは複数の補剛リブは、補剛リブの長手方向に沿って変化する断面を有しており、とりわけ、1つまたは複数の補剛リブは、1つまたは複数のバーブまたは他の突出部を含む。また、これは、たとえば、バーブまたは他の突出部がウェブに係合する結果として、補剛リブを適切な場所に保つことを助けることが可能である。
【0120】
また、本明細書で開示されているのは、人間または動物の身体の少なくとも2つの選択された領域のサーマルセラピー治療において使用するためのデバイスであり、デバイスは、とりわけ、外科的介入後の組織損傷、怪我、炎症、および、リウマチタイプの慢性疾患の治療において使用するためのものであり、とりわけ、化学療法の治療を支援するためのものであり、デバイスは、
温度制御流体の温度を制御するために提供されている温度制御デバイスと;
身体の少なくとも2つの選択された領域に熱を伝達するためにそれぞれ配置されている少なくとも2つの熱伝達ユニットと
を含み、
温度制御デバイスは、流体伝導性の様式で、少なくとも2つの熱伝達ユニットに接続されており、少なくとも2つの熱伝達ユニットを通って流れる温度制御流体によって、少なくとも2つの熱伝達ユニットを温度調整するようにさらに配置されており、
少なくとも2つの熱伝達ユニットは、直列に接続されており、温度制御流体が、以下の順序で流れるように配置されるようになっている:
a)温度制御デバイスから、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第1のものへ;
b)少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第1のものを通って;
c)少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第1のものから、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第2のものへ;
d)少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第2のものを通って;
e)少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第2のものから、温度制御デバイスへ戻る。
【0121】
身体の領域のサーマルセラピー治療において使用するためのいくつかの熱伝達ユニットを備えたデバイスが知られているが、これらの熱伝達ユニットは、それぞれの温度制御デバイスに個別に接続されており、それによって、別個の温度制御デバイスがそれぞれの熱伝達ユニットに対して提供されているか、または、2つ以上の熱伝達ユニットが単一の温度制御デバイスに接続されているかのいずれかであるが、それぞれの熱伝達ユニットは、温度制御デバイスのそれぞれの専用の対の出力ポートおよび戻りポートに接続されており、すなわち、1つの熱伝達ユニットのみが、それぞれの出力ポートから温度制御流体を供給され、それは、デバイス全体を比較的に複雑にする。2つ以上の熱伝達ユニットが同じ出力ポートから温度制御流体を供給されることが可能であるということを本発明者は認識した。この文脈において、2つ以上の熱伝達ユニットの想定される直列接続は、直列接続の熱伝達ユニットが比較的に低い流体フロー抵抗を示す場合には、とりわけ効果的であるということを本発明者はさらに認識した(これは、必ずしも限定として理解されることを意図していない)。これは、温度制御流体がそれを通って流れる必要がある温度制御流体チャンバーの断面の著しい低減が存在しない場合に、とりわけ顕著である。これは、たとえば、熱伝達ユニットの材料の鋭いベンドを回避することによって、および/または、たとえば、本発明の第3の態様にしたがって、補剛材料を使用することによって、実現されることが可能である。
【0122】
1つの実施形態では、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの正確に2つが、直列に接続されており、正確に2つの熱伝達ユニットのうちの第2のものを通って流れた後に、温度制御流体が、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの別のものを通って流れることなく、温度制御デバイスに流れて戻るように配置されるようになっている。多くの用途において、正確に2つの伝達ユニットを直列に接続することは、良好な結果をもたらし、その理由は、(1つの熱伝達ユニットのみが温度制御デバイスのそれぞれの出力ポートを介して供給されるデバイスと比較して)デバイスの複雑さが低減されることが可能であり、さらに、直列接続のフロー抵抗が比較的に低く維持され、温度制御流体を循環させるための比較的に低消費電力のポンプが使用されることが可能になっているからであるということを本発明者は実験において見出した。
【0123】
1つの実施形態では、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第1のものは、足のための温度制御を提供するように配置されており、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第2のものは、手のための温度制御を提供するように配置されている。多くの用途において、この配置が良好な結果をもたらすということを本発明者は実験において見出した。たとえば、典型的な足の形状は、典型的な手の形状ほど平坦になっておらず、第1の熱伝達ユニット(の材料)の中に任意の鋭いベンドまたは折り曲げ部の必要性が存在しないようになっていることが多い。第2の熱伝達ユニット(手のためのものであることを意図している)は、より高いフロー抵抗を有することが可能であるが、それは、第1の熱伝達ユニットに対して下流の場所にあるので、いくらか高いフロー抵抗は、熱伝達ユニットが逆の順序で接続されていたとした場合よりも有害ではない。繰り返しになるが、フロー抵抗は、熱伝達ユニットのうちの一方または両方において、本発明の第3の態様による補剛材料を使用することによって(さらに)低減されることが可能である。
【0124】
1つの代替的な実施形態において、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの2つ以上が、直列に接続されており、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第2のものを通って流れた後に、温度制御流体が、温度制御デバイスに流れて戻る前に、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちのさらなる1つを通って流れるように配置されている。これは、デバイスの複雑さをさらに低減させる。とりわけ、それは、熱伝達ユニットを通して温度制御流体を循環させるために必要な出力ポートおよび戻りポートの数を低減させることが可能である。繰り返しになるが、フロー抵抗は、熱伝達ユニットのうちの1つまたは複数において、好ましくは、熱伝達ユニットのすべてにおいて、本発明の第3の態様による補剛材料を使用することによって(さらに)低減されることが可能である。
【0125】
1つの実施形態では、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第1のものは、足のための温度制御を提供するように配置されており、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第2のものは、足のための、とりわけ、さらなる足のための温度制御を提供するように配置されており、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの任意のさらなるものは、提供される場合には、1つまたは複数の手のための温度制御を提供するように配置されている。この実施形態は、繰り返しになるが、足のための熱伝達ユニットのフロー抵抗が手のための熱伝達ユニットよりも低くなる傾向があるという事実を利用する。
【0126】
1つの実施形態では、温度制御デバイスは、熱伝達ユニットのそれぞれの直列接続のための別個の出力ポートおよび戻りポートを有している。これは、それぞれの熱伝達ユニットにおける実質的に均一な温度分布を保証することが可能である。代替的に、熱伝達ユニットの2つ以上の直列接続が、単一の対の出力ポートおよび戻りポートに接続されることが可能であり、それによって、直列接続自身は、互いに並列に接続されることとなる。
【0127】
1つの実施形態では、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの少なくとも1つ、とりわけ、少なくとも2つの熱伝達ユニットのうちの第2のものは、本発明の第3の態様による熱伝達ユニットである。
【0128】
本発明のさらに有利な実施形態は、添付の図面に関連して以下の説明において説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【
図1】サーマルセラピー治療において使用するための、本発明によるデバイスを示す図である。
【
図2】展開された状態における、本発明によるグローブ形状の熱伝達ユニットを示す図である。
【
図3】展開された状態における、本発明による圧力デバイスを示す図である。
【
図4】
図3による本発明による圧力デバイスと組み合わせて、
図1による本発明による熱伝達ユニットを示す図である。
【
図5】本発明によるデバイスを動作させる方法のフロー図である。
【
図6】サーマルセラピー治療において使用するための、本発明の実施形態による熱伝達ユニットを示す図である。
【
図7】
図6の熱伝達ユニットの線B-Bに沿った断面図である。
【
図8】
図6の熱伝達ユニットの線C-Cに沿った断面図である。
【
図9】折り畳まれた状態における、および、補剛材料が省略された場合の、
図6の熱伝達ユニットの線C-Cに沿った断面図である。
【
図10】
図6の熱伝達ユニットの線D-Dに沿った断面図である。
【
図11】折り畳まれた状態における(および、補剛材料を含む)、
図6の熱伝達ユニットの線D-Dに沿った断面図である。
【
図12】折り畳みラインに沿った、
図6の熱伝達ユニットの断面図である。
【
図13】補剛リブの異なる実施形態の断面を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態による、サーマルセラピー治療において使用するためのデバイスの概略図である。
【
図16】本発明のさらなる実施形態による、サーマルセラピー治療において使用するためのデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0130】
図1は、人間または動物の身体の選択された領域のサーマルセラピー治療において使用するためのデバイス、ならびに、とりわけ、外科的介入後の組織損傷、怪我、炎症、および、リウマチタイプの慢性疾患の治療において使用するためのデバイス、ならびに、とりわけ、化学療法の治療のサポートのためのデバイスを示しており、それは、温度制御デバイス1を備えており、温度制御デバイス1は、温度制御流体を温度調整するために提供されている。温度制御デバイス1は、流体伝導性の様式で熱伝達デバイス2に接続されており、熱伝達デバイス2は、身体の選択された領域への熱の伝達のために配置されており、熱伝達デバイス2は、熱伝達デバイス2を通って流れる熱伝達温度制御流体によって熱伝達デバイス2を温度調整するようにさらに配置されている。そのうえ、制御デバイス3は、温度制御デバイス1および熱伝達デバイス2に接続されており、それによって、制御デバイス3は、温度制御デバイス1を制御するように配置されており、熱伝達デバイス2と温度調整されることとなる身体の選択された領域との間の接触表面の領域において、熱伝達デバイス2が少なくとも部分的におおよそ均一な温度を有することを引き起こすようになっている。
【0131】
この文脈において、熱伝達デバイス2は、少なくとも1つの熱伝達ユニット4を含み、熱伝達ユニット4は、身体の選択された領域と接触させられるように提供されており、それによって、熱伝達ユニット4は、実質的に可撓性材料から構成されており、1つまたは複数の温度制御流体チャンバー5がその中に配置されており、温度制御流体は、1つまたは複数の温度制御流体チャンバー5を通って流れることが可能である。
【0132】
この文脈において、熱伝達デバイスは、圧力デバイス10をさらに含み、圧力デバイス10は、熱伝達ユニット4に隣接しており、圧力デバイス10は、少なくとも1つの圧力ユニット11および支持デバイス12を含む。
【0133】
圧力ユニット11は、支持デバイス12と連通しており、圧力ユニット11は、熱伝達ユニット4を少なくとも部分的に圧力にさらすために提供されており、次いで、その圧力は、熱伝達デバイス2の接触圧力として、治療されることとなる身体の部分によって吸収される。この目的のために、圧力ユニット11は、所定のまたは可変の内部圧力を有する少なくとも1つの圧力チャンバー13を含み、それは、選択された領域に対する熱伝達デバイス2の接触圧力を少なくとも部分的に増加させるように配置されている。この文脈において、少なくとも1つの圧力チャンバー13は、圧力流体によって充填されるチャンバーを含み、圧力流体によって充填される少なくとも1つのチャンバーは、可撓性材料によって形成されている。この文脈において、圧力流体によって充填されている少なくとも1つの圧力チャンバーの中の圧力流体は、圧力流体によって充填されている少なくとも1つのチャンバーの中の内部圧力を変化させるために、筋力を介して手動で、および/または、圧縮機17の助けを借りて、圧力流体によって充填されている少なくとも1つのチャンバーに接続されている圧力ラインを介して圧力にさらされることが可能である。
【0134】
圧力デバイス10の支持デバイス12は、接続デバイス14をさらに含み、接続デバイス14は、少なくとも1つの固定エレメントを有しており、接続デバイス14は、それが圧力デバイス10の周りに少なくとも部分的に延在するように、および、それがこの周囲の位置において圧力デバイス10に対して支持力を働かせるように構築されており、その支持力は、「使用のために配備された」条件で人間または動物の身体の選択された領域に圧力デバイス10を固定することに少なくとも部分的に寄与する。
【0135】
さらに、少なくとも1つのセンサーデバイス15が提供されており、少なくとも1つのセンサーデバイス15は、制御デバイス3に接続されている。センサーデバイス15は、身体の選択された領域と皮膚接触表面との間のセンサー信号を測定するようにセットアップされている。ここで、センサー信号は、光学的な、音響的な、またはデジタルの形態で存在することが可能である。
図1に示されている例示的な実施形態では、センサーデバイス15は、熱伝達ユニット4と治療されることとなる身体の部分との間に装着されているが、他の位置も可能である。
【0136】
さらに、少なくとも1つの表示デバイス16が提供されており、表示デバイス16は、制御デバイス3に接続されており、センサーデバイス15によって測定されたセンサー信号を、表示デバイス16を介してユーザーに出力するようにセットアップされている。また、センサー信号は、フィードバックを伴う制御のために使用されることも可能であり、熱伝達デバイス2と温度調整されることとなる身体の部分との間の接触表面の領域が、少なくとも1つの領域において、おおよそ均一な予め選択された温度を有するようになっている。
【0137】
図2は、熱伝達ユニット4を示しており、熱伝達ユニット4は、身体の選択された領域と接触させられるように提供されており、熱伝達ユニット4は、実質的に可撓性材料から構成されており、1つまたは複数の温度制御流体チャンバー5(図示せず)が、実質的に可撓性材料の中に配置されており、温度制御流体は、1つまたは複数の温度制御流体チャンバー5を通って流れることが可能である。
【0138】
この文脈において、熱伝達ユニット4は、
- 少なくとも第1の可撓性材料層6であって、第1の可撓性材料層6は、人間または動物の身体の選択された領域に向けて少なくとも部分的に面する少なくとも第1の皮膚接触表面を有しており、また、第1の皮膚接触表面から離れるように面する少なくとも第1の温度制御流体接触表面を有している、第1の可撓性材料層6と、
- 少なくとも第2の可撓性材料層7であって、第2の可撓性材料層7は、少なくとも第2の温度制御流体接触表面を有しており、第2の温度制御流体接触表面は、それ自身と第1の可撓性材料層6の第1の温度制御流体接触表面との間において、熱伝達温度制御流体がそれを通って流れることができる1つまたは複数の温度制御流体チャンバーの境界を少なくとも部分的に定めている、第2の可撓性材料層7と
を含み、
熱伝達ユニット4は、
- 熱伝達温度制御流体を熱伝達ユニット4に供給するための少なくとも第1の接続ライン8と、
- 熱伝達ユニット4から熱伝達温度制御流体を吐出するための少なくとも第2の接続ライン9と
をさらに含む。
【0139】
温度調整されることとなる身体の領域が平坦ではなく、凹形領域および/または凸形領域を含むので、可撓性材料層6、7の使用が必要であり、材料層6、7の可撓性は、熱伝達ユニット4と温度調整されることとなる領域との間の距離を、3次元表面全体にわたって可能な限り小さく維持することを可能にし、それによって、熱伝達ユニット4は、好ましくは、皮膚表面の上に直接的に置かれる。
【0140】
この文脈において、熱伝達ユニット4は、少なくとも第1の形状を有しているか、または、それが人間または動物の身体の選択された領域を少なくとも部分的に囲むそのような第1の形状をとることが可能である。
【0141】
好適な変形例では、熱伝達ユニット4は、以下の形状のうちの1つを有しているか、または、これらの形状のうちの1つをとることが可能である。
- 内部スペースの細分化なしに手を囲むカバーの形状;
-
図2に示されているように、少なくとも1つの指のための部分的に分離されたカバーを備えたグローブの形状、とりわけ、親指のための部分的に分離されたカバーを備えたミトンの形状;
- それぞれの指のための部分的に分離されたカバーを備えたフィンガーグローブの形状;
- 少なくとも1つの指が囲まれていない、少なくとも部分的にフィンガーレスのグローブの形状。
【0142】
しかし、治療されることとなる身体の部分は、足または任意の他の身体のパーツであることも可能であり、その場合では、熱伝達ユニット2は、シューズもしくはストッキングの形状、または、それぞれの身体のパーツに適合された任意の他の形状を有しているか、または、その形状をとることが可能である。
【0143】
図3は、圧力デバイス10を示しており、圧力デバイス10は、少なくとも1つの圧力ユニット11および支持デバイス12を含み、それは、接触圧力を高めるために提供されている。圧力ユニット11は、支持デバイス12に取り付けられており、熱伝達ユニット4を少なくとも部分的に圧力にさらすために提供されている。この目的のために、圧力ユニット11は、少なくとも1つの圧力チャンバー13を含み、少なくとも1つの圧力チャンバー13は、所定のまたは可変の内部圧力を有しており、少なくとも1つの圧力チャンバー13は、内部圧力によって、選択された領域に対する熱伝達デバイス2の接触圧力を少なくとも部分的に増加させるように配置されている。この文脈において、1つの実施形態によれば、圧力ユニット11は、圧力流体によって充填されるチャンバーの形態の圧力チャンバー13を含むことが可能であり、圧力流体によって充填される少なくとも1つのチャンバーは、可撓性材料によって境界を定められている。さらなる好適な実施形態において、少なくとも1つの圧力ユニット11は、弾性的な材料(たとえば、好ましくは、発泡ゴムのタイプ、ゴムのタイプ、または、これらのもしくは同様の材料の組み合わせなど)から作製されており、それによって、圧力ユニット11および圧力チャンバー13は、この実施形態では、同じコンポーネントとして考えられることとなる。
【0144】
図4は、
図1からの熱伝達デバイス2、および、
図3からの圧力デバイス10を、わずかに異なる寸法で再び示している。ここで、右手側の図は、左手側の図における破線の直線A-Aに沿って、図面の平面から出て来る断面平面を通る断面A-Aを表している。また、左手側の図では、
図2の熱伝達ユニット4は、破線によって示されている。ここで、熱伝達デバイス2は、少なくとも1つの熱伝達ユニット4を含み、1つまたは複数の温度制御流体チャンバー5は、少なくとも1つの熱伝達ユニット4の中に配置されている。圧力デバイス10は、熱伝達ユニット4に接続されており、圧力デバイス10は、少なくとも1つの圧力ユニット11および支持デバイス12を含む。支持デバイス12は、圧力ユニット11に取り付けられており、熱伝達ユニット4を介して、治療されることとなる身体の一部分に対する熱伝達デバイス2の接触圧力を少なくとも部分的に高めるように提供されている。この目的のために、圧力ユニット11は、少なくとも1つの圧力チャンバー13を含む。圧力チャンバー13は、内部圧力によって、選択された領域に対する熱伝達デバイス2の接触圧力を少なくとも部分的に増加させるように配置されている。圧力デバイス10は、支持デバイス12をさらに含み、それによって、圧力デバイス10は、支持デバイス12に取り付けられており、圧力ユニット11は、熱伝達ユニット4を少なくとも部分的に圧力にさらすために提供されている。この実施形態では、圧力デバイスは、3つの接続デバイス14を有しているが、好ましくは、より多くのまたはより少ない接続デバイスも考えられる。この実施形態では、示されている接続デバイス14のそれぞれは、ワンピースの構築のものである。好適な実施形態において、接続デバイスは、円周方向の様式で、たとえば、ジッパーまたは同様のメカニズムの形態で構築されている。
図4に示されている実施形態では、圧力ユニット11は、平面図において、熱伝達ユニット4よりも大きな面積を占有しており、同様に、ワンピースの構築のものであるが、熱伝達ユニットとの関係において、より小さな寸法およびマルチパーツ圧力ユニットも、好ましくは考えられ、それは、個別にもしくは共同で、共通の流体接続を通して充填されることが可能であり、または、制御デバイス3の助けを借りて、個別にもしくは共同で制御されることが可能である。
【0145】
図5は、本発明による、人間または動物の身体の選択された領域のサーマルセラピー治療のためのデバイスを動作させる方法のフローチャートを示しており、方法は、以下のステップ:
- 圧力デバイス10を備えた熱伝達デバイス2を「使用のために配備された」条件で身体の選択された領域と接触させるステップ101と;
- 圧力デバイス10を介して、身体の選択された領域に作用する接触圧力を印加するステップ102と;
- 熱伝達デバイス2に接続されている温度制御デバイス1を介して、熱伝達熱制御流体が熱伝達デバイス2の熱伝達ユニット4を通って流れることを引き起こすことによって、身体の選択された領域を温度調整するステップ103と;
を含み、
熱伝達デバイス2と温度調整されることとなる身体の一部分との間の接触表面の領域において、少なくとも1つの領域においておおよそ均一な温度を有するようになっている。
【0146】
好適な実施形態において、サーマルセラピー治療のためのデバイスを動作させる方法は、以下のステップ:
- 圧力デバイス10の圧力ユニット11の内部圧力を調節するステップ104であって、圧力ユニット11は、圧力流体によって充填されている少なくとも1つのチャンバーを含み、圧力流体によって充填されている少なくとも1つのチャンバーの内部圧力は、ユーザーの筋力によって手動で、および/または、外部圧力供給源によって調節されることが可能である、ステップ
をさらに含む。
【0147】
さらなる好適な実施形態において、サーマルセラピー治療のためのデバイスを動作させる方法は、以下のステップ:
- 熱伝達デバイス2に接続されているセンサーデバイス15によってセンサー信号を測定するステップ105と;
- 測定されたセンサー信号に基づいて、制御デバイス3に接続されている圧力デバイス10を制御デバイス3によって制御するステップ106と
をさらに含む。
【0148】
この文脈において、制御デバイス3は、好ましくは、熱伝達デバイス2および温度制御デバイス1とともに、センサーデバイス15によって測定されたセンサー信号を使用して制御ループを形成するようにセットアップされており、おおよそ均一な予め選択された温度が、熱伝達デバイスと温度調整されることとなる身体の一部分との間の接触表面の領域の少なくとも1つの領域において、フィードバック制御されるようになっている。この文脈において、熱伝達ユニットと温度調整されることとなる身体の領域との間の熱的に絶縁性の空気ポケットを回避することによって、熱伝達が、著しく改善される。
【0149】
臨床研究結果/実施例
本出願人によって、または、本出願人のために、複数の研究が実施されており、その詳細は、下記に与えられている。研究のすべては、秘密の環境で実施された。室温は、室温(約22℃)であった。
【実施例1】
【0150】
本発明の実施形態によるデバイス(温度制御デバイス、一般的にハンドカフの形態の熱伝達ユニット、および、接続ホース)が、人間の手を冷却するために使用された。温度センサーは、いくつかの層の接着剤テープを使用して手に取り付けられた。温度センサーを手に取り付けるこの方式は、合理的に可能な限り、皮膚とハンドカフとの間のスペースの中に広がる温度ではなく、センサーが手の皮膚の温度を測定することを保証するように選ばれた。
【0151】
第1に、手の異なる場所における皮膚温度が、冷却することなしに、および、手がハンドカフの中に挿入されることなく測定された。平均温度は、約29℃であり、手の場所(手のひら、手の甲、または指の間)に応じて、わずかな変動があった。すべての測定値は、27℃から30℃の間にあった。
【0152】
次に、手が、ハンドカフの中に挿入された。冷却流体(このケースでは、水)は、温度制御デバイスによって冷却され、温度制御デバイスとハンドカフとの間に循環された。冷却流体のターゲット温度は、温度制御デバイスにおいて10℃に設定された。温度制御デバイスは、冷却流体の温度を約10℃±0.5℃(温度制御デバイスの中で)において安定した状態に維持した。温度制御デバイスとハンドカフとの間の熱損失に起因して、ハンドカフに到着する冷却流体の平均温度は、約11℃であった。最初は、ハンドカフと手の間に(追加的な)接触圧力を発生させるために、(上記に説明されているように、圧力デバイスを使用して)圧力は印加されなかった。約7分後に、手の温度は、約25℃まで徐々に降下し、その温度でおおよそ安定したままであった。
【0153】
次いで、接触圧力を増加させるように、および、ハンドカフと手との間のより良好な(熱的)接触を実現するように、圧力が圧力デバイスによって印加された。結果として、手の温度は、手が最初に追加的な圧力なしにハンドカフの中に設置されたときよりも急激に降下した。圧力の印加の開始から約7分後に、手の温度は、約18℃まで徐々に降下した。最終的に、手の温度は、約15℃に落ち着いた。これは、圧力の印加の開始からおおよそ18分後に実現された。
【0154】
次いで、(圧力デバイスによって発生させられるような)圧力が除去されたが、ハンドカフは適切な場所にあるままであり、冷却流体は循環され続けた。手の温度は、約6分の過程にわたって約1℃だけ再びゆっくりと上昇した。ハンドカフが完全に除去されると、冷却された手の温度は、さらに8分の過程にわたって、平均約19℃(手における場所に応じて、17℃から21℃の間)まで、さらに約3℃だけゆっくりと上昇した。
【0155】
実施例1は、(なかでも)以下の結果を示している:
a)温度制御デバイスにおいて設定されたターゲット温度は、とりわけ、接触圧力に依存して、皮膚温度において測定された実際の温度とは著しく異なっている可能性がある。
b)(追加的な)圧力の印加がなくても、合理的な程度の冷却が実現される可能性がある。より高い程度の冷却は、(追加的な)圧力の印加を通して実現されることが可能である。
c)治療効果は、冷却されることとなる組織の温度に依存しているので、本発明の特定の実施形態は、皮膚がターゲット皮膚温度まで実際に冷却されることを保証しようとする。これは、実際の皮膚温度を無視しながら、(温度制御デバイスの中に依然としてある間の)冷却流体の温度が特定の温度まで冷却されることを単に保証するだけのセラピーよりも良好な結果をもたらす。セラピーが組織を加熱しようとする場合にも、同じことが当てはまる。
【実施例2】
【0156】
実施例2における実験のセットアップおよび原理は、人間の手の代わりに人間の足において実験が実施されたということを除いて、実施例1のものに本質的に対応している。
【0157】
本発明の実施形態によるデバイス(温度制御デバイス、一般的にスリッパの形態の熱伝達ユニット、および、接続ホース)が、人間の足を冷却するために使用された。温度センサーは、いくつかの層の接着剤テープを使用して足に取り付けられた。温度センサーを足に取り付けるこの方式は、合理的に可能な限り、皮膚とスリッパとの間のスペースの中に広がる温度ではなく、センサーが足の皮膚の温度を測定することを保証するように選ばれた。
【0158】
第1に、足の異なる場所における皮膚温度が、冷却することなしに、および、足がスリッパの中に挿入されることなく測定された。平均温度は、約31℃であり、足の場所(足の裏、足の甲、または、足の指の間、ここでは、足の親指と足の人差し指との間)に応じて、わずかな変動があった。すべての測定値は、30℃から32℃の間にあった。
【0159】
次に、足が、スリッパの中に挿入された。冷却流体(このケースでは、水)は、温度制御デバイスによって冷却され、温度制御デバイスとスリッパとの間に循環された。冷却流体のターゲット温度は、温度制御デバイスにおいて10℃に設定された。温度制御デバイスは、冷却流体の温度を約10℃±0.5℃(温度制御デバイスの中で)において安定した状態に維持した。温度制御デバイスとスリッパとの間の熱損失に起因して、スリッパに到着する冷却流体の平均温度は、約11℃であった。最初は、スリッパと足の間に(追加的な)接触圧力を発生させるために、(上記に説明されているように、圧力デバイスを使用して)圧力は印加されなかった。約7分後に、足の温度は、約27℃まで徐々に降下し、その温度でおおよそ安定したままであった。
【0160】
次いで、接触圧力を増加させるように、および、スリッパと足との間のより良好な(熱的)接触を実現するように、圧力が圧力デバイスによって印加された。結果として、足の温度が降下した。足の場所に応じて、この降下は、足が最初に追加的な圧力なしにスリッパの中に設置されたときよりも、わずかに急激であった。圧力の印加の開始後に(足における場所に応じて)約7分から20分の間において、足の温度は、約22℃まで徐々に降下した。最終的に、足の温度は、約17℃(足における場所に応じて、いくらかの変動を伴う)に落ち着いた。これは、圧力の印加の開始からおおよそ40分から45分後に実現された。
【0161】
次いで、(圧力デバイスによって発生させられるような)圧力が除去されたが、スリッパは適切な場所にあるままであり、冷却流体は循環され続けた。足の温度は、約6分の過程にわたって約1℃だけ再びゆっくりと上昇した。スリッパが完全に除去されると、冷却された足の温度は、さらに8分の過程にわたって、平均約19℃(足における場所に応じて、17℃から20.5℃の間)まで、さらに約2℃だけゆっくりと上昇した。
【0162】
実施例2は、実施例1と同様の結果を示しているが、足/手における場所に応じて、いくらか異なる冷却の速度およびわずかに異なる量の温度変動を伴う。
【実施例3】
【0163】
この臨床試験は、タキサン系の化学療法(とりわけ、パクリタキセルまたはドセタキセルを使用する)を受けた、乳癌を患う130人の女性患者に関するものである。それぞれの化学療法治療の前に、その間に、および、その後に、彼女らの手および足は、本発明の実施形態による方法/デバイスを使用して、約10℃から12℃(皮膚温度)に連続的に冷却された。冷却は、化学療法治療の30分前に開始し、それぞれの化学療法治療の終了後に30分から60分にわたって継続された。
【0164】
次いで、化学療法から結果として生じる副作用(有害事象「AE」)の発生が、「Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)v5.0」を使用して記録された。これは、臨床的な記述を使用し、「グレード0」に加えて、有害事象の深刻度に応じて、5つのグレードを以下の通りに定義する:
グレード0 AEは観察されない。
グレード1 軽度;無症状または軽度の症状;臨床的なまたは診断的な観察のみ;介入は指示されない。
グレード2 中等度;最小限の、局所的な、または非侵襲的な介入が指示される;年齢相応の手段的ADL(日常生活動作:Activities of Daily Living)を制限する。手段的ADLは、食事の準備をすること、食料品または衣服の買い物、電話を使用すること、金銭を管理することなどを指す。
グレード3 重度または医学的に重要であるが、直ちに生命を脅かすものではない;入院または入院期間の延長が指示される;活動不能;セルフケアADLを制限する。セルフケアADLは、入浴すること、着替えること、食事をすること、トイレを使用すること、薬を服用すること、および、寝たきりでないことを指す。
グレード4 生命を脅かす結果;緊急の介入が指示される。
グレード5 AEに関連した死亡。
【0165】
この臨床試験において、グレード2 AEの例は、うずき、中等度のしびれ、皮膚の発赤、または他の痛い間隔であった。グレード3 AEの例は、広範なしびれ、手足を使用する能力の低減、水疱の形成、皮膚のはがれ、皮膚の出血、潰瘍、または、1つもしくは複数の指の爪もしくは足の指の爪の剥離、および、強い痛みであった。
【0166】
この臨床試験において、化学療法の過程全体の間に報告されたAEの最高グレードは、以下の通りであった:
グレード0: 51患者
グレード1: 70患者
グレード2: 8患者
グレード3: 1患者
グレード4: 0患者
グレード5: 0患者
【0167】
換言すれば、本発明の実施形態による方法/デバイスを使用して、患者の93%(n=121)は、症状がないか、または、非限定的な症状(グレード0および1)のみを有しており、6.2%(n=8)は、グレード2の症状を有しており、1%(n=1)未満が、グレード3の症状を有していた。患者のいずれも、グレード4または5の症状を有していなかった。
【0168】
対称的に、本発明の実施形態による方法/デバイスの使用のない科学雑誌において報告された研究では(多数の患者を含む)、CIPNは、すべての患者の60%において報告され、1つの研究は、4.1%を報告しており、別の研究は、グレード3または4の症状を有する患者の6~20%を報告している。他の研究は、(本発明の実施形態による方法/デバイスの使用なしの)タキサン系の化学療法を受けた患者の50%がグレード2または3の症状を示したということを報告した。
【0169】
一方では、本発明の実施形態による方法/デバイスを使用する臨床試験と、他方では、科学雑誌において報告された研究との間の比較は、本発明による方法/デバイスが、化学療法からのAEの有病率を著しく低減させ、とりわけ、CTCAE v5.0によるより高いグレードのAEの有病率を著しく低減させるということを実証している。
【実施例4】
【0170】
この臨床試験は、実施例3の臨床試験に基づいており、すなわち、実施例3の臨床試験の後に、最後の化学療法治療の後の4つの異なる時点において、本発明の実施形態による方法/デバイスを使用するさらなる治療が続いた。これらの4つの時点は、最後の化学療法治療から4週間後、4カ月後、7カ月後、および10カ月後になるように選ばれた。
【0171】
化学療法治療の終了時には、患者の93%は、症状がないかまたは非限定的な症状のみを有していたが(実施例3を参照)、このパーセンテージは、最後の化学療法治療から10カ月後において、98%に増加した。
【実施例5】
【0172】
この臨床試験は、実施例3の臨床試験と同様であった。この臨床試験は、タキサン系の化学療法(とりわけ、パクリタキセルまたはドセタキセルを使用する)を受けた、乳癌を患う38人の女性患者に関するものである。しかし、最初は、彼女らが彼女らの化学療法を開始したときに、彼女らは、本発明の実施形態による方法/デバイスを使用せず、CIPNおよび/またはHFSの症状が発症したときにのみそれを使用した。次いで、彼女らは、すべての後続の化学療法治療に関して、および、最後のそのような治療から4週間後まで、本発明の実施形態による方法/デバイスを使用して実施した。
【0173】
CTCAE v5.0による症状の有病率は、最後の化学療法治療のとき、および、その4週間後に記録された(すなわち、グレード0、1、2の症状を有する患者のパーセンテージなど)。加えて、観察の期間の間に遭遇した最高グレードが記録された。これは、以下の結果をもたらした。
【0174】
【0175】
上記の結果は、本発明の実施形態による方法/デバイスが使用された時間の間に、グレード2および3の症状からグレード0(すなわち、症状なし)またはグレード1(非限定的な症状)の症状に向けた明確なシフトを実証している。
【実施例6】
【0176】
実施例5の臨床試験が継続され、すなわち、本発明の実施形態によるセラピーが、最後の化学療法治療から4カ月後、7カ月後、10カ月後、および14カ月後に提供された。グレード0(症状なし)またはグレード1(非限定的な症状)に向けた傾向は、この追加的な観察の期間の間も継続した。
【実施例7】
【0177】
さまざまなタイプの癌(乳癌、婦人科癌、および膵臓癌を含む)を治療するための化学療法を受け、さまざまな化学療法剤(たとえば、上記に列挙されているものなど)を使用する患者に対して、実施例3から実施例6のものと同様のさらなる臨床試験が実施された。AEの観点からの結果(とりわけ、本発明の実施形態による治療の結果として、(CTCAE v5.0による)より低いグレードに向けたシフト)は、実施例3から実施例6のものと全体的に同様であった。
【実施例8】
【0178】
実施例8における実験のセットアップおよび原理は、実施例1および実施例2のものに本質的に対応している。しかし、温度制御デバイスは、(約10℃の代わりに)約15℃から17℃の間のより高いターゲット温度に設定された。約20℃から22℃の間の皮膚温度(手および足)は、マイナスの(化学療法関連の)効果(たとえば、CIPNなど)が発現する可能性を著しく低減させるのに十分であるということが見出された。(温度制御デバイスにおいて設定されるような)約15℃および17℃のより高いターゲット温度を使用することは、約20℃から22℃の間の皮膚温度を結果として生じさせるのに十分であることが見出された。この実験に参加した被検者は、(温度制御デバイスにおいて設定されるような約15℃および17℃のターゲット温度を使用して)約20℃および22℃に皮膚を冷却することは、実施例1および実施例2において使用されているいくらかより低い温度範囲(温度制御デバイスにおいて設定されるような約10℃のターゲット温度を使用して、約15℃および17℃のターゲット皮膚温度)に皮膚を冷却するよりも快適に感じるということを報告した。
【0179】
さらなる発見
上記の実施例のすべてに共通するのは、本発明の実施形態によるデバイスによって適用される冷たさが特に不快感を結果として生じさせなかったということを大多数の患者(約75%)が感じたということであった。89人の患者が、「冷たさをどのように感じたか?」と質問された。彼らの答えは、以下の通りであった:
非常に快適:33患者
少し冷たい:33患者
冷たい:14患者
非常に冷たい:7患者
冷た過ぎる:2患者
【0180】
これは、手および/または足を冷却するために氷嚢、アイスバケット、または同様のものが使用されていた以前の治療(それは、患者によって非常に不快であると考えられる)とは対照的である。加えて、および、おそらくより重要なことには、そのような治療は、皮膚および組織の損傷(凍傷/麻痺)および反応性充血を結果として生じさせることが多かったが、一方では、本発明の実施形態による方法/デバイスが使用された臨床試験では、これらの副作用は生じなかった。
【0181】
さらに、本発明の実施形態による方法/デバイスの使用は、化学療法治療の効力に影響を与えないようであった。
【0182】
熱伝達ユニット
図6は、サーマルセラピー治療において使用するための、本発明の実施形態による熱伝達ユニット4を示している。すでに述べられているように、熱伝達ユニット4は、
図1から
図4のデバイスに関連して使用されることが可能であり、または、その一部であることが可能である。
図7は、
図6の熱伝達ユニットの線B-Bに沿った断面図を示しており、
図8は、
図6の熱伝達ユニットの線C-Cに沿った断面図を示している。
【0183】
図6から
図8を組み合わせて参照すると、熱伝達ユニット4は、第1の可撓性材料層6および第2の可撓性材料層7を含み、それらは、互いに重ねて設置されている。
図6から
図8に示されているように展開された状態では、可撓性材料の層6、7は、最初は実質的に平坦になっている。制御流体チャンバー5は、可撓性材料層6、7の間に形成されている。制御流体チャンバー5を形成してその境界を定めるために、可撓性材料の層6、7は、直接的に(たとえば、とりわけ、可撓性材料層がプラスチック材料から作製されている場合には、溶接プロセスまたは融合プロセスによって)または追加的な材料(図示せず)を介して間接的にのいずれかによって、実質的に周辺部全体に沿って互いに接続されることが可能である。したがって、熱伝達ユニット4または制御流体チャンバー5は、温度制御流体が制御流体チャンバー5の中へ供給されることおよび制御流体チャンバー5から吐出されることを可能にするように、入力ポート29および出力ポート28が提供されているということを除いて、実質的に流体密封の様式でシールされている。
【0184】
図6に示されている実施形態では、熱伝達ユニットは、複数の溶接ラインまたは融合ライン23を備えて形成されている。これは、流体がこれらのライン23を横切って流れることを(実質的に)防止されるような様式で、選択された領域において、または、選択されたラインに沿って、可撓性材料の層6および7を溶接するか、融合するか、またはその他の方法で接続することによって形成されることが可能である。したがって、ライン23は、矢印(ラベル付けされていない)によって部分的に示されているように、入力ポート29から制御流体チャンバー5を通って出力ポート28へ通過するために、温度制御流体がとる必要がある経路を画定している。ライン23は、ラビリンスパターンを定義するものとしてみなされることが可能であり、それによって、
図6に示されているようなラインのパターンは、単に1つの例に過ぎず、他のパターンも可能である。
【0185】
ライン23は、第2の可撓性材料層7に対して第1の可撓性材料層6を位置付けすることを助けることも可能であり、使用時に、これらの層が互いに実質的に平行のままになるようになっている。
【0186】
また、層6および7は、ウェブ22によって互いに接続されている。これらは、繰り返しになるが、たとえば、適切な成形プロセスによって、層6および7を互いに溶接するかもしくは融合するか、またはその他の方法で接続することによって形成されることが可能である。
図6の平面図において、ウェブ22は、個々の島として出現することが可能であり、温度制御流体がその周りに流れることが可能である。
図7の断面図に示されているように、ウェブ22は、個々のカラムの形態をとることが可能であり、それによって、
図6および
図7に示されているようなそれらのサイズおよび形状は、多くの可能性のうちの1つのみを表している。さらに、明確な図示のために、いくつかのウェブ22のみが、図に示されている。より多くのまたはより少ないウェブ22が提供されることが可能であり、または、全く提供されないことも可能であるということが理解されるべきである。とりわけ、ウェブ22は、実質的に層6および7の表面全体にわたって分配されることが可能であり、それらは、規則的なまたは不規則なパターンを形成することが可能である。また、ウェブ22は、第2の可撓性材料層7に対して第1の可撓性材料層6を位置付けすることを助けることも可能であり、使用時に、これらの層が互いに実質的に平行のままであるようになっている。さらに、ウェブ22は、隣接するウェブの間の位置において、層6および7を互いに間隔を置いて配置された状態に維持することを助けることが可能である。とりわけ
図7に示されているように、スペース25が、隣接するウェブ22の間に形成されており、温度制御流体がこれらのスペース25を通って流れることが可能であるようになっている。
【0187】
図6から
図8に示されている例の熱伝達ユニット4は、2つの半分体または熱伝達ユニット部分4aおよび4bから構成されている。熱伝達ユニット部分4aおよび4bは、互いの鏡像であるが、これは必須ではない。したがって、変形例では、熱伝達ユニット部分4bは、熱伝達ユニット部分4aの鏡像とは異なっていることが可能である。熱伝達ユニット部分4a、4bのそれぞれは、上記に説明されている2つの可撓性の層6、7(の一部分)を含む。
【0188】
図6から
図8に示されている例では、熱伝達ユニット4は、人間の手を温度調整するために使用されることを意図しており、したがって、それぞれの熱伝達ユニット部分4a、4bは、人間の手よりもいくらか大きい。使用時に、熱伝達ユニット部分のうちの一方(たとえば、4b)が、
図9および
図11に示されているように、概して折り畳みライン21に沿って、他方の熱伝達ユニット部分(4a)の上に折り畳まれ、折り畳みライン21は、示されている例では、2つの熱伝達ユニット部分4a、4bの対称軸線でもある(または、むしろ、折り畳みライン21は、図面平面に対して垂直の対称平面の中に存在している)。温度調整されることとなる手は、2つの熱伝達ユニット部分4a、4bが折り畳まれる前または後のいずれかに、2つの熱伝達ユニット部分4a、4bの間に設置されることが可能である。
図9および
図11に示されているように、折り畳まれた熱伝達ユニット4は、4層構造を形成しており、それによって、第2の可撓性材料層7は、4層構造の上部層および底部層を形成しており、第1の可撓性材料層6は、4層構造の中間の2つの層を形成している。温度調整されることとなる手は、中間の2つの層6の間に設置されることとなる。
【0189】
図6の下側半分に示されているように、中央の折り畳みラインの大部分に沿って、第2の温度制御流体チャンバー部分5bは、溶接ラインまたは融合ライン23によって、第1の温度制御流体チャンバー部分5aから分離されている。したがって、温度制御流体は、破線21によって
図6の上半分に示されている折り畳みラインのその一部分21を介してのみ、第1の温度制御流体チャンバー部分5aから第2の温度制御流体チャンバー部分5bへ流れることが可能である。ここで、第1および第2の可撓性材料層6、7は、少なくとも破線21によって示されているものの長さ全体にわたっては、互いに接続されていない。
【0190】
図9は、折り畳まれた状態における
図6の熱伝達ユニットの線C-Cに沿った断面図を示している。しかし、これは、任意の補剛材料(より詳細に下記に説明されることとなる)なしに示されており、補剛材料が省略された場合に何が起こることとなるかということを図示している。折り畳みライン21においてまたはその近くにおいて、熱伝達ユニット4の非ゼロの厚さを所与として(
図8に最良に見られる)、可撓性材料の第2の層7は、可撓性材料の第1の層6よりも「長い経路」(
図9に見られるように)を有しており、その結果として、可撓性材料の第1の層6の材料の一部分が押し合わされ、いくらか波状の外観を有する表面を備えた領域を形成することが可能である(
図9の左部分)。この部分は、折り畳み領域としてみなされることも可能である。可撓性材料の第1の層6の材料が折り畳み領域において押し合わされるという事実に起因して、折り畳みライン21の近くのまたは折り畳み領域における(すなわち、第1の温度制御流体チャンバー部分5aから第2の温度制御流体チャンバー部分5bへの移行部における)制御流体チャンバー5の残りの断面は、(著しく)低減され、そして、それは、流体フローを低減させる可能性がある。いくつかのケースでは、折り畳み領域における制御流体チャンバー5の断面は、ゼロになる可能性がある。これは、流体フローを完全に妨げる可能性がある。
【0191】
本発明の実施形態によれば、
図6、
図10、および
図11に示されているように、折り畳みライン21におけるまたは折り畳み領域における流体フローの低減に対抗するために、補剛材料20が使用されている。
図10に示されているように、補剛リブ20は、可撓性材料の第1の層6と第2の層7との間に設置されている(とりわけ、挿入されている)。補剛リブ20は、概して円筒形状の形態を有することが可能であり、および/または、丸みを帯びた端部を有することが可能であり、補剛リブ20が層6、7のうちの一方または両方を穿孔するリスクを低減させる。
【0192】
補剛リブ20は、いくらかの可撓性を有しており、熱伝達ユニットが折り畳みライン21に沿って折り畳まれることを可能にする。他方では、補剛リブ20は、可撓性材料の層6、7よりも高い曲げ剛性を有している。
【0193】
補剛リブ20は、ウェブ22間のスペース25の中に設置されることが可能である。これは、
図12に図示されており、
図12は、折り畳みライン21に沿った
図6の熱伝達ユニット4の断面図を示している。すなわち、たとえば、
図12の左手側の縁部は、
図6の破線21の下側端部における位置に対応しており、
図12の右手側の縁部は、
図6の破線21の上側端部における位置に対応している。
図12の視認方向は、
図6における右手側から左手側への方向である。
【0194】
図12に図示されているように、2つの補剛リブ20が、それぞれのスペース25の中へ挿入されている。隣接するスペース25は、空のままである。補剛リブ20および空のままに残されるスペース25の数は、示されている特定の実施形態に限定されず、なかでも、使用される材料に依存する可能性がある。
【0195】
熱伝達ユニット4が折り畳まれているときには(
図11)、補剛材料20も同様に曲げられている。補剛材料20自身は、補剛材料20がその中に位置付けされているスペース25の大部分を妨害する可能性がある。しかし、スペース25のいくらかにおける補剛材料20の存在は、隣接するスペース25(それらは、空のままに残される)の(
図9に示されているタイプの)崩壊を防止する効果も有しており、熱伝達ユニット4が折り畳まれているときでも、温度制御流体がこれらの空のスペース25を通って流れ続けることが可能であるようになっている。
【0196】
図13は、補剛リブ20の可能な断面の4つの例(すなわち、リング、十字形、星形、または正方形の形状)を示している。十字形および星形の形状の縁部は、正方形形状に関して示されているように、丸みを帯びていることが可能である。いずれにせよ、これらの形状は、単なる例示的なものに過ぎず、限定的な意味で理解されるべきではない。
【0197】
リング(すなわち、中空の円筒)の形状の断面を有する補剛リブ20は、温度制御流体が補剛リブ20自身を通って流れることを可能にすることができ、それは、合計の流体フローを増加させることが可能である。
【0198】
図14は、補剛リブ20の実施形態の側面図を示している。この特定の実施形態の補剛リブ20は、一般的に、円筒形状の形態を有することが可能である。しかし、それは、追加的に、バーブ24(たとえば、可撓性のバーブ24)を備えて形成されており、バーブ24は、補剛リブ20の長手方向の延在に対して側方に突出している。バーブ24と長手方向との間の角度は、たとえば、20°から60°の範囲にあることが可能である。代替的に、他の突出部が、補剛リブ20の外側表面に形成されることも可能である(たとえば、半球形の突出部)。バーブ24および他の突出部の混合物も可能である。バーブ24または他の突出部は、とりわけ、バーブ24または他の突出部がウェブ22に係合することによって、スペース25の中に補剛リブ20を位置付けすることを助けることが可能である。
【0199】
補剛リブ20は、とりわけ溶接または融合によって、可撓性材料層6、7が互い接続される前に、可撓性材料層6、7の間に設置されることが可能である。代替的に、可撓性材料層6、7は、第1に互いに接続されることが可能であり、次いで、補剛リブ20が、可撓性材料層の間に挿入される。この目的のために、孔部(図示せず)が、たとえば、溶接ラインまたは融合ライン23のうちの1つにおいてまたはその近くにおいて、たとえば、
図6の文字「E」および「F」によって示されている場所において、可撓性材料層6、7のうちの1つの中に形成されることが可能である。次いで、補剛リブ20は、これらの孔部を通して挿入され、
図6に示されている場所をとるようになり、その後に、孔部が、たとえば溶接プロセスまたは融合プロセスによって閉鎖されることが可能である。
【0200】
代替的な実施形態において(図面には明示的に示されていない)、補剛材料20は、これらの層の間に1つまたは複数の補剛リブ20または同様のものを提供する代わりに、または、それに加えて、可撓性材料の第1および第2の層6、7のうちの一方または両方の中へ一体されることが可能である。
【0201】
さらに、可撓性材料の第1および第2の層6、7のうちの一方または両方は、2つ以上のコンポーネント層から(それぞれ)形成されることが可能である。「可撓性材料の第1の層」および「可撓性材料の第2の層」という表現は、好ましくは、2つ以上のそのようなコンポーネント層から構成された構造体を包含するものと理解される。
【0202】
熱伝達ユニットを直列に接続する
図15は、本発明の実施形態によるサーマルセラピー治療において使用するためのデバイスの概略図を示している。
図15に示されているように、デバイスは、温度制御デバイス1ならびに4つの熱伝達ユニット40、41、42、および43を含む。これらの熱伝達ユニット40から43のうちの1つまたは複数(とりわけ、すべて)は、
図6から
図13に関連して上記に説明されているように、補剛材料を含むことが可能である。熱伝達ユニットの2つの直列接続が、
図15に示されてり、第1の直列接続は、熱伝達ユニット40および41を含み、第2の直列接続は、熱伝達ユニット43および42を含む。これらの直列接続のそれぞれは、温度制御デバイス1の出力ポートおよび戻りポート(ラベル付けされていない)のそれぞれの対に接続されている。
【0203】
図15の矢印によって示されているように、温度制御流体は、温度制御デバイス1の出力ポートから第1の熱伝達ユニット40へ供給されている。流体は、第1の熱伝達ユニット40を通って流れ、そこから第2の熱伝達ユニット41へ流れる。第2の熱伝達ユニット41を通って流れた後に、流体は、温度制御デバイス1の戻りポートを介して温度制御デバイス1に戻る。したがって、熱伝達ユニットのうちの2つ(すなわち、40および41)に温度制御流体を供給するために、1対の出力ポートおよび戻りポートのみが使用されるか、または、必要である。また、それぞれの熱伝達ユニットが温度制御デバイスのポート出力および戻りポートの専用の対に接続されている実装形態と比較して、この実施形態は、温度制御デバイス1と熱伝達ユニット40、41との間により少ない供給ラインを使用している。
【0204】
限定するものではないが、第1の熱伝達ユニット40は、たとえば、足のためのサーマルセラピー治療を提供するために使用されることが可能であり、第2の熱伝達ユニット41は、手のためのサーマルセラピー治療を提供するために使用されることが可能である。
【0205】
第2の直列接続は、対応する様式で動作されることが可能であり、それによって、熱伝達ユニット43は、第2の直列接続の第1の熱伝達ユニットとしてみなされることが可能であり、熱伝達ユニット42は、第2の直列接続の第2の熱伝達ユニットとしてみなされることが可能である。したがって、第1の直列接続に関連して上記に提供された説明は、第2の直列接続にも準用することが可能である。
【0206】
図16は、本発明のさらなる実施形態によるサーマルセラピー治療において使用するためのデバイスの概略図を示している。この実施形態の構造および動作原理は、すべての4つの熱伝達ユニット40から43が直列に接続されていることを除いて、
図15に示されている実施形態のものと同様である。したがって、温度制御流体は、温度制御デバイス1の出力ポートを介して温度制御デバイス1を離れた後に、第1に、熱伝達ユニット40(たとえば、足用)を通って流れ、次いで、熱伝達ユニット43(たとえば、足用)を通って流れ、次いで、熱伝達ユニット42(たとえば、手用)を通って流れ、次いで、熱伝達ユニット41(たとえば、手用)を通って流れ、次いで、温度制御デバイス1の戻りポートを介して温度制御デバイス1に戻る。この実施形態では、すべての4つの熱伝達ユニット40から43は、温度制御デバイス1の単一の対の出力ポートおよび戻りポートを介して温度制御流体を供給されることが可能である。
【0207】
単一の温度制御デバイス1から、および/または、単一の対の出力ポートおよび戻りポートを介して、および/または、直列接続で、より多くのまたはより少ない熱伝達ユニットを供給することも可能である。
【符号の説明】
【0208】
1 温度制御デバイス
2 熱伝達デバイス
3 制御デバイス
4 熱伝達ユニット
4a 第1の熱伝達ユニット部分
4b 第2の熱伝達ユニット部分
5 温度制御流体チャンバー
5a 第1の温度制御流体チャンバー部分
5b 第2の温度制御流体チャンバー部分
6 第1の可撓性材料層
7 第2の可撓性材料層
8 第1の接続ライン
9 第2の接続ライン
10 圧力デバイス
11 圧力ユニット
12 支持デバイス
13 圧力チャンバー
14 接続デバイス
15 センサーデバイス
16 表示デバイス
17 圧縮機
20 補剛材料/補剛リブ
21 折り畳みライン
22 ウェブ
23 溶接ライン/融合ライン
24 バーブ/突出部
25 スペース
28 出力ポート
29 入力ポート
40 熱伝達ユニット(たとえば、足用)
41 熱伝達ユニット(たとえば、手用)
42 熱伝達ユニット(たとえば、手用)
43 熱伝達ユニット(たとえば、足用)
101 接触させる
102 印加する
103 温度調整する
104 調節する
105 測定する
106 制御する
【国際調査報告】