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  • 特表-砂型凍結印刷用層間予冷装置 図1
  • 特表-砂型凍結印刷用層間予冷装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(54)【発明の名称】砂型凍結印刷用層間予冷装置
(51)【国際特許分類】
   B22C 9/02 20060101AFI20231116BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231116BHJP
【FI】
B22C9/02 101B
B33Y30/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532248
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2022098841
(87)【国際公開番号】W WO2023005473
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】202110859399.9
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519291342
【氏名又は名称】南京航空航天大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】単 忠徳
(72)【発明者】
【氏名】楊 浩秦
(72)【発明者】
【氏名】施 建培
(57)【要約】
本発明は、負圧低温成形室の上方に位置し、複数の独立した砂敷き槽、中空砂敷きローラ、冷却室、スクレーパー、及び開閉可能バッフルを含む砂敷き装置を備え、各前記砂敷き槽の排出口に、低温プレミックス砂をオンデマンドで敷くための開閉可能バッフルが回転可能に設けられ、中空砂敷きローラ及びスクレーパーへ冷熱を供給することにより、低温鋳物砂を平坦化して締め固める過程においてプレミックス鋳物砂をさらに冷却する、砂型凍結印刷用層間予冷装置を開示する。本装置を用いて砂型凍結3D印刷を行う場合、プレミックス鋳物砂の低温の温度を正確に制御することができ、砂型凍結印刷に対する層間予冷を実現するのに重要である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂型凍結印刷用層間予冷装置であって、
負圧低温成形室(5)の上方に位置し、複数の独立した砂敷き槽(11)、中空砂敷きローラ(8)、冷却室(9)、スクレーパー(10)、及び開閉可能バッフル(12)を含む砂敷き装置(3)を備え、
各前記砂敷き槽(11)の排出口に、低温プレミックス砂をオンデマンドで敷くための開閉可能バッフル(12)が回転可能に設けられる、ことを特徴とする砂型凍結印刷用層間予冷装置。
【請求項2】
開閉可能バッフル(12)は、砂敷き槽(11)の下方に位置し、
制御システムによって開閉可能バッフル(12)を開閉制御することにより砂をオンデマンドで敷き、
スクレーパー(10)は、開閉可能バッフル(12)の近傍に設けられ、砂敷き槽(11)から敷いた鋳物砂に対して一次平坦化をするものであり、前記中空砂敷きローラ(8)はキャビティが中空状であり、スクレーパー(10)は冷却室(9)に固定して接続され、前記中空砂敷きローラ(8)は、前記冷却室(9)内に位置し、一端が接続ロッドを介して前記スクレーパー(10)に固定して接続され、鋳物砂に対して二次平坦化及び加圧緻密化を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の砂型凍結印刷用層間予冷装置。
【請求項3】
前記開閉可能バッフル(12)の一端は、リターンスプリングを介して前記砂敷き槽(11)に固定して接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の砂型凍結印刷用層間予冷装置。
【請求項4】
前記中空砂敷きローラ(8)には、ドライアイスと液体窒素が導入されて、砂敷きローラの表面の温度を-40℃~-10℃に制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の砂型凍結印刷用層間予冷装置。
【請求項5】
冷却室(9)のキャビティにはドライアイスと液体窒素が導入可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の砂型凍結印刷用層間予冷装置。
【請求項6】
前記開閉可能バッフルは、プレミックス鋳物砂が砂吐出口から順調に流出することを可能にし、開閉可能バッフル(12)の傾斜角が60°で、砂吐出口の幅が6mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の砂型凍結印刷用層間予冷装置。
【請求項7】
前記開閉可能バッフル(12)は、回転ピンを介して螺旋駆動モータに接続されるか、又は、回転ピンと回転エアシリンダにより開閉角度を制御されて砂を敷く、ことを特徴とする請求項1に記載の砂型凍結印刷用層間予冷装置。
【請求項8】
砂敷き装置(3)内に、プレミックス鋳物砂の変形及び粘着を防止するために、振動モータが取り付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の砂型凍結印刷用層間予冷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結砂型の高寸法精度の3D印刷製造の技術分野に関し、砂型凍結印刷用層間予冷装置である。
【背景技術】
【0002】
砂型3D印刷技術は、主に微小液滴噴射原理に基づく高速成形技術である。凍結砂型3D印刷は、水性溶液を砂型鋳造用バインダーとし、低温環境下でプレミックス砂を層ごとに凍結して固体にし、その形状を維持するもので、室温下で印刷材料を加熱する他の3D印刷技術とは異なる。凍結砂型は、高温の溶融物による衝撃で自然に崩壊し、注入中に強い刺激性ガスを発生させることはない。この方法は、樹脂を使用せず、バインダーの主成分は水であり、環境保全の役割を果たし、現代の環境配慮製造の理念に合致する。
【0003】
微小液滴である純水を用いて鋳物砂を凍結して粘着する過程において、砂敷きプロセスは設備の正常な作動や鋳物の成形品質に大きく影響する。図1に示すように、従来の砂型凍結印刷装置は、真空供給装置(1)と、砂混合装置(2)と、砂敷き装置(3)と、噴射ヘッドアレイ(4)と、負圧低温成形室(5)と、を含み、前記真空供給装置(1)は前記砂敷き装置(3)の上方に位置し、砂混合装置(2)の供給口に接続され、砂敷き装置(3)は負圧低温成形室(5)の上方に位置し、3次元運動システム(7)は前記負圧低温成形室(5)の上方に位置し、噴射ヘッドアレイ(4)は、第1サーボモータによって前記3次元運動システム(7)に摺動可能に設けられ、3自由度方向における移動が可能になり、噴射ヘッドアレイ(4)は、オンデマンドで純水を噴射して砂型を凝固させるものであり、砂敷き装置(3)は、第2サーボモータによって前記3次元運動システム(7)に摺動可能に接続される。
【0004】
従来の砂敷き装置では、一般的な砂敷きローラやスクレーパーを使用すると、プレミックス砂の温度を-40℃~-10℃の範囲に制御するのが困難であり、噴射ヘッドの印刷成形精度が影響を受ける。また、ドライアイス又は液体窒素とプレミックスした低温鋳物砂にも、砂敷き中に平坦度が劣り、緻密度が均一ではないという問題が存在し、凍結鋳型の形状・寸法精度及び鋳物の基本性能に悪影響を及ぼしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題を解決するために、本発明は、低温プレミックス砂を敷く過程において平坦度が劣ること、緻密度が不均一であることや、層間予冷等の課題を解決するために、砂型凍結印刷用層間予冷装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成させるために、本発明は、以下の技術的解決手段により実現される。
【0007】
砂型凍結印刷用層間予冷装置であって、
負圧低温成形室の上方に位置し、複数の独立した砂敷き槽、中空砂敷きローラ、冷却室、スクレーパー、及び開閉可能バッフルを含む砂敷き装置を備え、
各前記砂敷き槽の排出口に、低温プレミックス砂をオンデマンドで敷くための開閉可能バッフルが回転可能に設けられる。
【0008】
本発明の更なる改良として、開閉可能バッフルは、砂敷き槽の下方に位置し、
制御システムによって開閉可能バッフルを開閉制御することにより砂をオンデマンドで敷き、
スクレーパーは、開閉可能バッフルの近傍に設けられ、砂敷き槽から敷いた鋳物砂に対して一次平坦化をするものであり、前記中空砂敷きローラはキャビティが中空状であり、スクレーパーは冷却室に固定して接続され、前記中空砂敷きローラは、前記冷却室内に位置し、一端が接続ロッドを介して前記スクレーパーに固定して接続され、鋳物砂に対して二次平坦化及び加圧緻密化を行う。
【0009】
本発明の更なる改良として、前記開閉可能バッフルの一端は、リターンスプリングを介して前記砂敷き槽に固定して接続される。
【0010】
本発明の更なる改良として、前記中空砂敷きローラには、ドライアイスと液体窒素が導入されて、砂敷きローラの表面の温度を-40℃~-10℃に制御する。
【0011】
本発明の更なる改良として、冷却室のキャビティにはドライアイスと液体窒素が導入可能である。
【0012】
本発明の更なる改良として、前記開閉可能バッフルは、プレミックス鋳物砂が砂吐出口から順調に流出することを可能にし、開閉可能バッフルの傾斜角が60°で、砂吐出口の幅が6mmである。
【0013】
本発明の更なる改良として、前記開閉可能バッフルは、回転ピンを介して螺旋駆動モータに接続されるか、又は、回転ピンと回転エアシリンダにより開閉角度を制御されて砂を敷く。
【0014】
本発明の更なる改良として、砂敷き装置内に、プレミックス鋳物砂の変形及び粘着を防止するために、振動モータが取り付けられる。
【0015】
さらに、前記中空砂敷きローラには、ドライアイスと液体窒素が導入されて、砂敷きローラの表面の温度を-40℃~-10℃に制御する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)本形態では、冷凍剤を容れた中空砂敷きローラ、冷却室及びスクレーパーにより、プレミックス鋳物砂を低温で敷くことで、砂を敷く過程において温度を制御するような層間予冷効果が得られ、印刷噴射ヘッドによる成形の精度が向上し、凍結鋳型の形状・寸法精度及び鋳物の基本性能がさらに向上する。
(2)砂型成形が負圧低温の環境に置かれるので、鋳物砂の緻密度が高まり、外部の環境の圧力や温度による印刷過程への影響がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】背景技術に関する図面である。
図2】砂敷き装置の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び特定実施形態を参照して、本発明についてさらに説明するが、下記の特定実施形態は本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を制限するものではない。なお、以下で説明される「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」の用語とは、図面の方向を指し、「内」と「外」という用語は、それぞれ、特定の部材の幾何学的な中心から接近又は離間する方向を指す。
【0019】
図1~2に示すように、本実施例の砂型凍結印刷用層間予冷装置において、真空供給装置1は、前記砂敷き装置3の上方に位置し、砂混合装置2に接続され、原砂を貯蔵タンクから砂混合装置に送る。砂混合装置の下方には、砂止め板及びリターンスプリングが設けられ、砂敷き槽内の鋳物砂の量が少ない場合、モータは、砂敷き槽を駆動して、砂混合装置の下にある砂止め板を押して、鋳物砂が砂敷き槽内に流れ、流出量が砂敷き装置による使用量を満たすと、砂敷き槽は止め板から離れ、止め板は戻り、砂吐出口が閉じられる。砂敷き装置3は、3次元運動システム7の上に位置し、独立して開閉する複数の砂敷き槽11と開閉可能バッフル12を含み、低温プレミックス砂をオンデマンドで敷くものである。負圧低温成形室5は、砂を敷く過程において鋳物砂を負圧・低温環境に付与するもので、負圧環境により鋳物砂の緻密度が向上し、最終的な成形鋳型の強度に有利である。低温環境は、外部環境の温度による干渉をなくし、純水バインダーの凍結に寄与する。図2に示すように、砂敷き装置3は、中空砂敷きローラ8、冷却室9、スクレーパー10、砂敷き槽11,及び開閉可能バッフル12を含む。砂敷き装置3は、ボールネジ及び駆動モータにより制御される。ボールネジ伝動対偶デバイスは、位置決めが正確で、かつ伝動効率が高い。駆動モータは、砂敷き器を駆動してY方向に作動させることができ、砂敷き装置3の内部にある振動モータは、プレミックス鋳物砂の変形及び粘着を防止する。開閉可能バッフル12は、砂敷き槽11の下方に位置し、回転ピンを介して螺旋駆動モータ又は回転エアシリンダに接続されることで、開閉角度を制御して砂をオンデマンドで敷く。
【0020】
スクレーパー10は、開閉可能バッフル12の近傍に設けられ、開閉可能バッフルから吐出された鋳物砂に対して一次平坦化をするものである。中空砂敷きローラ6は、冷却室9を通じてスクレーパー8に接続され、鋳物砂に対して二次平坦化及び加圧緻密化を行う。開閉可能バッフル12の傾斜角が60°で、砂吐出口の幅が6mmであり、これにより、鋳物砂は全体として流体状態で均一かつ安定的に流出し、アーチング現象を防止する。上記の中空砂敷きローラは、中空で、かつ冷却室とともに所定量のドライアイス又は液体窒素が内部に導入されており、砂敷きローラ及びスクレーパーの表面の温度を-40℃~-10℃に制御する。冷却室9のキャビティ壁は中空砂敷きローラ8、スクレーパー10に接続され、チャンバーの内部にあるドライアイス又は液体窒素は、砂敷きローラ及びスクレーパーの外壁の表面温度を下げ、スクレーパーや締め固めに際して、プレミックス砂をさらに冷却し、このように、鋳物砂を敷くときの層間予冷効果が得られ、印刷噴射ヘッドの成形精度が向上する。また、本明細書において詳細に説明されていない内容は当業者に公知の従来技術である。
【0021】
本発明の形態で開示された技術的手段は、上記の実施形態で開示された技術的手段に限定されるものではなく、以上の技術的特徴を任意に組み合わせた技術的解決手段も含まれる。
【符号の説明】
【0022】
1 真空供給装置
2 砂混合装置
3 砂敷き装置
4 噴射ヘッドアレイ
5 負圧低温成形室
6 可升降工作台
7 3次元運動システム
8 中空砂敷きローラ
9 冷却室
10 スクレーパー
11 砂敷き槽
12 開閉可能バッフル
図1
図2
【国際調査報告】