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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】浮き基礎
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/06 20060101AFI20231122BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
E02B3/06 302
E02D27/52 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529896
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 US2021072553
(87)【国際公開番号】W WO2022109616
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/116,260
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523179924
【氏名又は名称】ネプルド,ケヴィン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ネプルド,ケヴィン
【テーマコード(参考)】
2D046
2D118
【Fターム(参考)】
2D046DA07
2D046DA61
2D118AA11
2D118BA03
2D118BA05
2D118FA06
(57)【要約】
構造物を支持するリフトシステム及び方法。リストシステムは、第1端部から第2端部まで延在するスポンソンタンクと、スポンソンタンクの第2端部から延在する機械的アセンブリであって、機械的アセンブリ上に配置された構造物の荷重をスポンソンタンクに伝達する機械的アセンブリとを備える、第1浮揚性スポンソンタンクを含む。スポンソンタンクは、タンクの外部のある体積の流体によって変位するように構成され、タンクは、構造物を垂直に変位させるために、構造物に対して所定の浮力を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を支持するリフトシステムであって、
タンク:
第1端部から第2端部まで延在するスポンソンタンクと、
所定の幅のボアを有する第1スポンソンウェルであって、前記ボアが、第1浮揚性スポンソンタンクを受けるように構成されている、第1スポンソンウェルと、
前記スポンソンタンクの前記第2端部から延在する機械的アセンブリであって、前記機械的アセンブリ上に配置された構造物の荷重を前記スポンソンタンクに伝達する機械的アセンブリと、
を備え、
前記スポンソンタンクが、前記スポンソンタンクの外部のある体積の流体によって変位して、前記スポンソンタンクが、前記構造物を垂直に変位させるために、前記機械的アセンブリによって前記構造物に対して所定の浮力を提供するように構成されている、リフトシステム。
【請求項2】
前記第1スポンソンウェルの前記ボアがシートパイルライニングを含む、請求項1に記載のリフトシステム。
【請求項3】
前記第1スポンソンウェルの前記ボアが、前記シートパイルライニングによって画定された空洞内に配置された円筒形シャフト壁ライナを含む、請求項1に記載のリフトシステム。
【請求項4】
前記円筒形シャフト壁が、円筒形繊維強化ポリマーライナを含む、請求項3に記載のリフトシステム。
【請求項5】
前記円筒形シャフト壁ライナを補強するために、前記シートパイルライニングと前記円筒形シャフト壁ライナとの間の前記第1スポンソンウェル内に配置されたコンクリートの層をさらに備える、請求項4に記載のリフトシステム。
【請求項6】
前記円筒形シャフト壁ライナに取り付けられた少なくとも1つの金属チャンネルガイドトラックをさらに備え、前記少なくとも1つの金属チャンネルガイドトラックが、前記第1スポンソンウェルの長手方向軸に沿って延在している、請求項3に記載のリフトシステム。
【請求項7】
前記第1スポンソンウェルの前記スポンソンタンクが、前記第1浮揚性スポンソンタンクの動きが前記第1スポンソンウェルの前記長手方向軸と実質的に平行に延在する垂直軸に制限されるように、前記少なくとも1つの金属チャンネルガイドトラックに係合するように構成された外部フレーム部材を含む、請求項6に記載のリフトシステム。
【請求項8】
前記第1浮揚性スポンソンタンクによって提供される前記所定の浮力が、前記垂直軸に沿って延在する方向に沿って前記構造物に供給される、請求項7に記載のリフトシステム。
【請求項9】
前記スポンソンタンクの外部の前記体積の流体が、前記第1スポンソンウェルによって画定された流体通路を介して受けられる、請求項1に記載のリフトシステム。
【請求項10】
前記体積の流体が水を含み、前記第1スポンソンウェルの前記流体通路が、前記スポンソンウェルの外部から前記水を受けるように構成された入口と、前記第1浮揚性スポンソンタンクが前記構造物に対して前記所定の浮力を提供するように前記スポンソンウェル内に前記水を提供する出口とを含む、請求項9に記載のリフトシステム。
【請求項11】
前記スポンソンタンクの外部の前記体積の流体が、前記スポンソンタンクの内部から前記体積の流体を移送するポンプによって提供される、請求項10に記載のリフトシステム。
【請求項12】
前記機械的アセンブリが金属フレームを備え、前記金属フレームが、前記スポンソンタンクから延在する複数の長尺状支持部材に基づく円錐形状を有する、請求項1に記載のリフトシステム。
【請求項13】
前記第1浮揚性スポンソンタンクの前記スポンソンタンクの前記第2端部から延在するアクセスタワーをさらに備え、前記アクセスタワーが、水密アクセスハッチを備えた実質的に円筒形の本体を含む、請求項1に記載のリフトシステム。
【請求項14】
前記アクセスタワー内及び/又は前記アクセスタワーの外面に配置された梯子をさらに備える、請求項13に記載のリフトシステム。
【請求項15】
少なくとも第2浮揚性スポンソンタンクをさらに備え、前記第2浮揚性スポンソンタンクにスポンソンウェルが関連付けられており、前記第2浮揚性スポンソンタンクが、前記第1浮揚性スポンソンタンクによって提供される前記所定の浮力と実質的に等しい浮力を供給するように構成されている、請求項1に記載のリフトシステム。
【請求項16】
前記スポンソンタンクが、垂直方向に変位する前記構造物に対する前記所定の浮力を増加又は減少させるバラストを収容するように構成されている、請求項1に記載のリフトシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、参照により本明細書に完全に援用される、2020年11月20日に出願された米国仮特許出願第63/116,260号の利益を主張する。
【0002】
技術分野
[0002] 本明細書は、概して、構造物を支持する基礎に関し、特に、構造物を潜在的に恒久的な固定基礎と同じ高さに支持するとともに、構造物の周囲の水位を上昇させる高潮又は他の事象の場合に構造物が「浮く」ことができるようにする、リフトシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 以下は、先行技術の一部、又は当業者の共通の一般知識の一部であることを認めるものではない。
【0004】
[0004] 2050年まで、世界の人口の約70%が都市部に住むようになると予想されている。世界の大都市の90%が、海面上昇、沿岸の嵐及び/又は津波にさらされる水辺地区に位置している。2019年9月のハリケーン「ドリアン」は、23フィート(7.5M)の高さの高潮を発生させ、それはグランドバハマ島に押し寄せた。2011年に日本を襲った福島津波により、海底及び沿岸地帯が独特な地形であるため、上陸した最も高い波が33.5フィート(10M)の高さに達した。米国地質調査所によると、日本の東北の海岸線の約250マイル(400km)が2フィート(0.6m)下がったという。
【0005】
[0005] 1938年、ニューイングランド南部で、ハリケーンにより約600人が死亡した。この嵐はカテゴリ3としてロードアイランドを襲い、ナラガンセット湾の河口で約15フィートの高潮を発生させ、この高潮は、プロビデンスの繁華街に20フィートの気象潮を押し流した。1954年には、ハリケーン「キャロル」がプロビデンスの繁華街を12~14フィートの水位で浸水させた。マイアミ、ニューヨーク市、バージニア州ノーフォーク、サウスカロライナ州チャールストン等、米国東海岸の多くの都市及び自治体は、1938年、1954年のハリケーン又はグランドバハマ島に押し寄せた2019年9月のハリケーンのような嵐に対して非常に脆弱である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] 構造物を支持し、高潮、又は構造物の周囲の水位を上昇させる他の事象の場合に、構造物が「浮く」ことができるようにすることができる、基礎が必要とされている。
【0007】
[0007] 本明細書とともに含まれる図面は、本明細書の教示の物品、方法及び装置のさまざまな例を説明するためのものであり、教示するものの範囲をいかなるようにも限定するように意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[0008]本開示の一実施形態による構造物を支持するリフトシステムを示し、構造物は、リフトシステムが海岸線、河川又は任意の水域に沿って水中に沈んでいる間に浮いている。
図2】[0009]本開示の一実施形態による、図1のリフトシステム内で使用されるのに好適なスポンソンウェル(sponson well)を示す。
図3】[0010]本開示の一実施形態による、図2のスポンソンウェル内に配置された浮揚性スポンソンタンクを示す。
図4】[0011]本開示の一実施形態による、支持された構造物に対して第1水位に基づいて浮力を供給するように図2のスポンソンウェル内に浮かんでいる、最下位置にある浮揚性スポンソンタンクの一例を示す。
図5】[0012]本開示の一実施形態による、支持された構造物に対して第2水位に基づいて浮力を供給するように図2のスポンソンウェル内から伸びている浮揚性スポンソンタンクを示す。
図6】[0013]本開示の一実施形態による、支持された構造物に対して第2水位に基づいて浮力を供給するように図2のスポンソンウェル内から伸びている浮揚性スポンソンタンクを示す。図6では、図5に示すバラスト水120が排出されて、システムの排水量を減少させ、システムが支持する構造物を水面高さに対してより高く上昇させる。
図7】[0014]1つ又は複数のリフトシステム100で吊り上げられる、本開示の一実施形態による高さ調整可能な浮き基礎(Adjustable Height Floating Foundation)桟橋127又は乾ドックを示す。船舶を、船舶の2つ以上の側面で吊上げドック又は桟橋127に固定するための吊上げスリング若しくはストラップ128又は他の手段。大型船は、船舶の2つ以上の側面で吊上げ桟橋127を同時に上昇させることにより、水から吊り上げられる。1つ又は複数の吊上げドック又は桟橋127を水中に沈めて、船舶又は潜水艇(subsurface craft)を吊上げドック又は桟橋127の上に浮かせ、吊上げスリング128又はクレードルを用いて又は用いずに大型船を吊り上げることも可能である。
図8】[0015]本開示の一実施形態による、構造物を支持し吊り上げるリフトシステムの一例を示し、ここでは、システムは、水域から出て高台に位置している。リフトシステム及びそれが支持する構造物の総重量を変位させるのに十分な水を収容するように、図4のスポンソンウェル102よりも深い図8のスポンソンウェル内に配置された浮揚性スポンソンタンク。
図9】[0016]本開示の一実施形態による、スポンソンタンク104内からバラスト水120(図8に示す)を排出することに基づいて、支持された構造物に対して浮力を供給するように図2のスポンソンウェル内から伸びている浮揚性スポンソンタンクを示す。
図10】[0017]本開示の一実施形態による、支持された構造体に対して第2水位に基づいて浮力を供給するようにスポンソンウェル内から伸びている浮揚性スポンソンタンクを示す。
図11】[0018]スポンソンウェル構造の最上部の高さを、地下凹部、凹状基礎システム、又は水溜め(basin)システム内の周囲基準面(grade)の高さよりも低く設置することが、地階等、システムが支持する地上構造物とともに含まれる地中要素を地上に上昇させる能力、又は一般に地下構造物と称される完全に地下の地中構造物を完全に地上であるように上昇させることを含む多くの利点を有することを示す。本システムが支持する構造物を上昇させることによって残る地面の中の残っている空隙は、さらなる目的を果たすことができる。空隙の1つの目的は、雨水の捕捉及び貯留用の水溜めとして使用して、自治体の雨水管システムの容量を増やすことである。
図12】[0019]システムが提供することができる解決法の範囲が全体的に理解されるように、システムサイズ構成のさまざまな例と対応する特性とを示す表1を含む。この表は全能力を概説するものではなく、本システムは、表に含まれるよりも大きい性能及び小さい性能を達成することができる。
図13】[0020]2次元(2D)断面図、図13に示すように、平屋根134を備えた3,000平方フィートの2階建て建物133を支持し、2階建て建物をスポンソンウェル構造内に収容するように、建物を地上に且つ完全に地下に吊り上げることができることを除き、時折洪水が起こる高台に位置する、図8のリフトシステム101と同様の設計である50フィート直径及び45フィート深さのスポンソンウェル102を有する、本開示の一実施形態による吊上げパッド基礎システムを示す。
図14】[0021]図13に示すものと同じ基礎システム及び建物を示すが、2階建て建物の1階高さが構造物に隣接する完成基準面(finish grade)と整列するように建物が上昇している点が異なる。
図15】[0022]水位120が完成基準面(finished grade)よりも約5フィート上方である洪水の間に建物が吊り上げられたときの、図14に示すものと同じ施設を示す。
図16】[0023]本開示の一実施形態により、同じ配置にある、図13に示すものと同じ建物及び吊上げパッド基礎システムを示し、2階建て建物がスポンソンウェル102内に完成した基準面高さよりも下方に収容されるように格納されるか又は下降している。図16は、建物134の屋根が、周囲に溶け込むように構造物をカモフラージュすることができる方法を実証する、3次元(3D)俯瞰図である。
図17】[0024]図14と同じ建物高さ構成である、2階建て建物134の1階高さの床が完成基準面と整列している、同じ建物及び吊上げパッドシステムを示す。
図18】[0025]図15に示したものと同じ建物高さ構成である、洪水に備えて、又は洪水の間に、2階建て建物134の1階床が完成基準面よりも2階以上上昇している、同じ建物及び吊上げパッドシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
[0026] 上述したように、基礎(本明細書では、浮き基礎(FF)又は高さ調整可能-浮き基礎(AH-FF:Adjustable Height-Floating Foundation)、又は浮き基礎杭(FFP:floating foundation pile)又は水陸両用基礎システム(AFS:amphibious foundation system)構造リフトシステム又は単にリフトシステム)であって、このシステムを、外部の垂直及び水平面を介してすべての荷重を地中に伝達し、構造物の周囲の水位を上昇させる高潮又は他の事象の場合に構造物が「浮く」ことができるようにするために、地盤杭又は地盤コンクリート壁及びスプレッドフーチングを利用する従来の固定コンクリート基礎と同等のものとして分類する、構造物を潜在的に同じ高さのアンカー及び支持体に固定及び支持することができる、基礎が必要とされている。より具体的には、本開示と一貫するリフトシステムの態様及び特徴は、自然の潮周期、嵐、気候変動、又はダム若しくは堤防の決壊等の人為的な事象により洪水及び/又は水位上昇が起こりやすい地理的位置に配置される可能性がある、一戸建て及び複数世帯住宅、軍事、沿岸警備、捜索救助、法執行局及び消防署、ボートハウス、埠頭及び桟橋を含む商業、機関又はインフラ施設等、水上又は陸上の固定された構造物に特によく適している。高さ可変の基礎システムが、固定された恒久的な基礎に匹敵する特性を有する基礎であるものとして業界に受け入れられた場合、このシステムを利用する構造物が恒久的な構造物とみなされることを可能にすることができる。恒久的な構造物の地位は、例えば、ハウスボート又は移動住宅とみなされる一戸建て住宅と比較して、住宅ローン融資、税金、保険及び他の利益に役立つことができる。本システムが関係当局に受け入れられた場合、当局によって従来の固定基礎に対する好ましい代替物として確立され、洪水が起こりやすい地域で一般的に使用されている支柱、杭及び迫持を含む他の任意の基礎タイプよりも大きい融資、税金及び保険の利益を可能にするとともに、資産価値を向上させることができると考えられる。本システムは、本質的に、それが支持する構造物の耐水性を高め、洪水保険の必要性をなくす可能性がある。
【0010】
[0027] 好ましくは、リフトシステムは、日本の本州沿岸を襲った33フィートの高さの津波等の極度の災害から、又は2019年にバハマ諸島に押し寄せた23フィートの高さの高潮に加えて10フィート以上の大波を伴う160mphの風を発生させたドリアンのようなハリケーンから、前例のない弾力的な保護を提供する。
【0011】
[0028] 好ましくは、リフトシステムは完全に自動化され、リフトシステムが0.01%未満の故障率で動作し、完全に機能するために人間の入力を必要とせず、そのため避難が指示されたときに構造物が保護されるように、フェイルセーフが作動する。
【0012】
[0029] 好ましくは、リフトシステムは、ネット・ゼロ・エネルギー(net zero energy)システムであり、リフトシステムによって年間ベースで使用されるエネルギーの総量は、現場で生成される再生可能エネルギーの量と等しい。より好ましくは、リフトシステムは、受動式に電力なしで動作することができる。したがって、本開示によるリフトシステムは、比較的遠隔地において、又は、嵐の被害及び他のそのようなシナリオのために電力が利用できないときに、機能することができる。
【0013】
[0030] 好ましくは、リフトシステムは、既製の構成要素を使用して容易に大量生産され、モジュール式でありスケーラブルである。本開示は、値ごろ感が、多くの市場部門にわたってリフトシステムを大規模に実施するための重要な要因であることを認識する。
【0014】
[0031] 好ましくは、リフトシステムは、非常に重量のある荷重、例えば、図1に示すように最大578.76トンの荷重を支持することができ、又は、より大きいサイズで作製されるか若しくはより多くの数で使用される場合、それが保護する構造物は重量制限されず、手頃な価格の材料及び方法を使用して作製することができる。
【0015】
[0032] 好ましくは、リフトシステムにより、構造物のすぐ下にボートの船体を露出させる必要性が排除されて、コストが削減され、複雑性を低減し、船体が浮遊する水面の残骸によって損傷した場合のあり得る故障が低減する。システム内の浮力手段を水面の十分下方に維持することにより、システム及びシステムが支持する構造物における波の動きが低減し又はなくなる。
【0016】
[0033] 好ましくは、リフトシステムは、構造物の間取り又は外壁に制約を与えるべきではない。好ましくは、リフトシステムは、支持された構造物の内部及び外部から、実質的に見えないように、より好ましくは完全に見えないようにするべきである。また、リフトシステムのために建物の内外に主要な空間を確保する必要はない。
【0017】
[0034] 好ましくは、アクセス可能性のために、本開示と一貫するリフトシステムによって支持される構造物の1階/デッキは、現水位の2フィート未満上方まで下降させることができ、又は捜索救助、消防若しくは沿岸警備隊タイプの施設又はボートハウスの場合、ボート乗り場、保管デッキ、ドック又は桟橋及び船舶用の停泊クレードルとともに、水陸両用車の保管及び進水プラットフォーム又はスロープを降下させて沈めることができるべきである。
【0018】
[0035] 以上のことを鑑みると、本開示の態様は、以下の非限定的な特徴のリストを通じて、変化する水位及び海面状態に一致するように迅速に上昇することができる、機械的に単純で、信頼性が高く、迅速に作用し、大部分受動的で、完全に自動化されたリフトシステムを作り出すことを目的とする。
【0019】
[0036] 嵐の間に機能しない可能性のある機械設備又はオフサイト電力に必ずしも頼ることなく、支持された構造物を受動的に吊り上げるように、水面下に位置決めされた、1つ又は複数の浮揚性スポンソンタンクの使用。
【0020】
[0037] 上記構造物における波の動きを排除するように、水面下、又は地面若しくは海底の下に、1つ又は複数の浮揚性スポンソンタンクを位置決めする。
【0021】
[0038] 約50~120フィート(15~36メートル)深さ、3気圧(303kPa)の大気圧であるボアウェル(本明細書では、スポンソンウェル、又は単にウェルとも称する)に浮揚性スポンソンタンクを収容する。浮揚性スポンソンタンクをより深い水深に位置決めすることにより、スポンソンの容積が増大しない限り、吊上げ能力は増加しないが、大気圧の上昇により、スポンソンは底部でより強力な壁を有することが必要となる。
【0022】
[0039] 浮揚性スポンソンタンクは、好ましくは、水圧の力に耐えるのに十分に適した断面形状を有する円筒形状を含む。これらの特性は、半球状(half-spherical)又は半球状(hemispherical)の形状の底部を有することにより、さらに向上させることができる。
【0023】
[0040] 好ましくは、浮揚性スポンソンタンクは、各浮揚性スポンソンタンクが自由に上下にスライドし、最大風速の最大の高潮及び波高の事象の間に最大カテゴリ5の力の風及び波に耐える可能性がある十分な横方向の支持を提供することができるようにする、スライドトラックシステム又は高さ調整アンカレッジ(height adjusting anchorage)の他の適切な機械的手法を介して、ボアウェル基礎壁に十分に固定される。スポンソンウェルの深さの1つのこうした例は、少なくとも60フィートの深さであり、目下よく知られている建設手段、方法及び材料では、120フィート程度の深さであり、建設するのに比較的手頃な値段である。
【0024】
[0041] 本開示の1つの態様は、最大の横方向の構造的荷重を決定するために、システムの最大リフト高における浮揚性スポンソンタンクとボアホール壁との間のオーバーラップ長の量を確立することを含む。非限定的なシステム構成例については、以下の表1を参照されたい。ウェルは、十分に深く建造することができ、そのため、完全に伸ばされた高さにおいて、スポンソン全体がウェル内に完全に隠れたままであり、オーバーラップを最大限にして比較的高いレベルの横方向の支持をもたらし、例えば、流れの速い河川で、又は大量の相当の大きさの残骸が高速で外れてシステムに衝突する可能性がある森林地帯若しくは都市部で、遭遇する可能性がある、水流及び水中に巻き込まれた残骸に曝されることからスポンソンを保護することができる。
【0025】
[0042] これらの極端な残骸フィールド状態に対する保護は、スポンソンの上方に位置する、本明細書で外骨格上部構造(exoskeleton superstructure)105と称するシステムの上方の上部構造に、システムに脅威を与えない水及び小さいサイズの残骸が流れて、構造の上の残骸蓄積及び流体力学的抵抗を低減させるがシステムを損傷する可能性があるサイズの残骸の通過を可能にしない、目の粗いメッシュタイプの偏向スクリーニングを追加することによっても、増大させることができる。平面図で上から下向きに見ると、スポンソンタンクとシステムの上部取付板との間に3つ又は4つのタンク外骨格上部構造105を利用するシステム100は、外骨格上部構造105のうちの1つが水流の方向に向かって直接上流に向くように方向付けることができる。
【0026】
[0043] この向きでは、このタンクと水流の下流にある2つのタンクとの間のメッシュは、水流の方向に対して約45度であって、残骸を方向転換させ、残骸のシステムに対する衝撃力を低減させるのに役立つ。複数の浮き基礎リフト100を平面図でV字形又は菱形配置で構成し、V字形/菱形パターンの先端に位置するシステム100が流れの方向に向かって上流に向いた状態で、システムに対して残骸が損傷を与えるか又は蓄積する可能性をさらに低減させることができる。
【0027】
[0044] システムの一態様は、浮揚性スポンソンタンク104が所定の低い箇所よりも低く落下しないようにトラック112の両端部に、及び、トラックが、それぞれの所定の設計許容範囲を超える高い水位又は上昇風力によって浮揚性スポンソンタンク104が吊り上げられてウェル102から出ることを防止するためにウェル102の最上部で終端する場合、トラックの最上部に向かって又はトラックの最上部に、止め具又はバンパを設けることを含むことができる。
【0028】
[0045] 津波はほとんど又はまったく警告なしに襲ってくるため、ボアウェルの直径は、好ましくは、関連する浮揚性スポンソンタンクの直径よりも十分に大きい直径であるようなサイズであり、そのため、水は、浮揚性スポンソンタンクの下に、支持された構造物の最下階高さを津波/水の波頂よりも上方に維持する速度で吊り上げるのに十分高速な速度で、溜まることができる。
【0029】
[0046] システム100は、図7に示すように、高さ調整可能な浮き基礎桟橋127又は乾ドックとして構成される場合、大型船及び船を含む実質的に任意のサイズの1つの船舶又は複数の船舶を吊り上げるために使用することができる。船舶の1つ又は複数の側面にリフトシステム100がある図7の吊上げドック又は桟橋127は、大型船を水から吊り上げることができる。これは、吊り上げられている大型船の重量を支持及び分配するのに必要であるように、任意の数の長さ調整可能な吊上げスリング128を、2つの平行な吊上げドック127の間にまたがるように配置することによって達成することができる。この構成により、1つの船舶又は1つの列の複数の船舶の2つ以上の側面で吊上げ桟橋127を同時に上昇させることにより、桟橋ごとに6つのリフトシステム(合計12)は、好ましくは3,472トン又は3,000トンのヨット、船、潜水艦又は他の1つの船舶又は複数の船舶を吊り上げることができる。吊上げスリング又はストラップ128以外の吊上げドック又は桟橋127に船舶を固定する他の手段も使用することができる。任意のサイズの船舶又は潜水艇が吊上げドック又は桟橋127の上に浮かんで停止するのに十分な水面下の深さで1つ又は複数の吊上げドック若しくは桟橋127を水没させるのに必要な量のバラスト水を、スポンソンタンク内部に追加することも可能である。次いで、スポンソンタンクの各々の内部からバラスト水を排出することにより同時にリフトシステム100を上昇させることによって、吊上げスリング128を用いても用いなくても、又はクレードルを用いても用いなくても、大型船を水中から出て水の上方に完全に吊り上げる。
【0030】
[0047] 図1図3を参照すると、図1は、本開示の一実施形態による、構造物(図示せず)を支持するリフトシステム例100の断面図を示す。
【0031】
[0048] リフトシステム100は、スポンソンウェル102内に配置された、好ましくは円筒体又は柱の形態であり得る、少なくとも1つの浮揚性スポンソンタンク104を含む。
【0032】
[0049] スポンソンウェル102は、好ましくは、地面の下に延在するボアを含む。好ましくは、スポンソンウェル102のボアは、システムの上方のあり得る水面、理想的にはスポンソンウェル102の上側開口部を包囲する領域の表面(ただし、この表面は水平である必要はない)に対して実質的に垂直に延在する長手方向軸に沿って延在する。
【0033】
[0050] スポンソンウェル102のボアは、所望の構成に応じて、例えば、20~120フィートで地面の下方に延在することができる。システムは120フィートよりも深くすることができるが、ウェルの建造は著しくより複雑で費用がかかるものとなり、水圧の上昇により、チャンバ式又は複数の上部及び下部タンクを有するマルチスポンソンシステムにおいて、著しく強力でより費用のかかるスポンソンタンク又は下部タンクが必要となる。水密隔壁を備えるか又は単一のウェルに2つ以上のスポンソンタンクを有するマルチチャンバ式タンクにより、スポンソン破裂が発生した場合に性能の劣化が最小限となる。
【0034】
[0051] 他の断面形状も可能であるが、スポンソンウェル102のボアは、好ましくは、実質的に円筒形であり、所定の幅を含む。図1に示すような、スポンソンウェル102のボアが円筒形であるシナリオでは、所定の幅は、2~30フィート、好ましくは、道路によって現場に容易に輸送される容易に入手可能な材料及びシステムを利用するために2~16フィートの直径を含むことができる。システムは、直径が30フィートを超えることができ、本明細書では、パッド若しくはスラブタイプの浮き基礎、又はハイドアウェイ(hideaway)若しくはハイドアウェイシステムと称する場合がある。直径又は深さに関係なく、浮き基礎システムのうちのいずれも、それらが支持する構造物又は物体を、ボアウェルの上縁部又はウェルの外側の地面の高さから部分的に又は完全に下方である深さまで格納するように設計することができる。
【0035】
[0052] スポンソンウェル102のボアは、好ましくは、図1に示すような浮揚性スポンソンタンク104等の単一の浮揚性スポンソンタンクを受けるように構成されている。1つの好ましい例は、少なくとも2つ以上の浮揚性スポンソンタンク及び関連するスポンソンウェルを有するリフトシステム100を含むことに留意されたい。少なくとも2つの浮揚性スポンソンタンク及び関連するスポンソンウェルは、好ましくは実質的に同じに構成され、より好ましくは、同じもののボアが実質的に等量の流体、例えば、海水、雨水等を含むとき、支持構造物に実質的に等量の浮力を供給するように構成されている。別の好ましい実施例は、揚力を増加させるために少なくとも30フィートの直径を有する単一のリフトシステム100を含み、又は、より小さい直径のより深いウェルができるのと同等の揚力を生成するために浅いウェル深さが好ましいことに留意されたい。
【0036】
[0053] 図8は、時折表面水の高さよりも上方にある陸地、又は一般に高地若しくは乾燥地にあると称されるものに位置する、本開示の一実施形態による、構造物を支持するリフトシステム例を示す。図2及び図4図6に含まれる同じ浮揚性スポンソンタンクは、図2及び図4図6に描かれたスポンソンウェルよりも大きい深さの図8のスポンソンウェル内に配置される。ウェル深さは、システムがその最低高さ位置にあり、システムに隣接する土地に表面水が存在しないときに、スポンソンタンク内のバラスト水120を含むシステム及びそれが支持する構造物の重量を、表面水が存在しないときにシステムを浮かせて吊り上げるように荷重バランスをとるための妥当なバラスト重量マージンとともに、変位させて浮かせるために十分な水を、スポンソンの下に維持するために必要な深さまで増大する。
【0037】
[0054] 表面水がシステムに達する前に、スポンソン内のバラスト水の量は、ポンプ、サイホン作用又は他の手段によって排出されたときに、システムが、システムが支持する構造物を所定の高さまで吊り上げて、海洋高潮又は河川洪水事象の間に洪水に伴う可能性がある、予期又は予測された風、水流、又は大気圧による表面波を補償するように、又は津波、ダム又は堤防の故障等によって引き起こされる水の高速移動波を補償するように、設計されている。スポンソンウェルの深さは、スポンソンタンクから排出されるバラスト水を収容し、スポンソンウェルの境界内に追加の水を保持して、システムの吊上げ能力を高めるのに十分な深さに構築することもできる。バラスト水をシステム内に収容することにより、追加のバラストが必要なときに外部源からシステムに水を追加することなく、構造物を複数回上昇及び下降させることができる。
【0038】
[0055] したがって、バラスト水が好ましいバラスト媒体であるが、タンク及びウェルのサイズを低減させるために水よりも密度が高いか又は重量のある液体等、他のバラスト媒体を利用して、揚力を減少させるか、又はスポンソンタンクの内部から排出して揚力を増加させることができる。言い換えれば、スポンソンタンク内のバラストは、スポンソンタンクが構造物に対して吊り上げられて垂直方向に変位するように提供することができる浮力を、増加又は減少させるように調整することができる。バラストを使用して、システム又はシステムが吊り上げ下降させるペイロード構造物に作用する外力を打ち消すために、死荷重又は活荷重の変化を調整するように同期して合わせて使用されている、複数のリフトシステムのバランスをとることができる。これらの力には、水流、表面波、風、地震、及び他の自然に発生するか又は人為的な原因も含まれる場合がある。
【0039】
[0056] 図9は、図8に含まれるバラスト水が、図1図4図6及び図8図9に示すようにスポンソンタンクの底部に位置するか又は他の場所に位置する、ウォーターポンプ、ウェルポンプ、又は2つ以上のポンプを介して排出された後の、リフトシステムの浮揚性スポンソンタンクの1つの例を示す。図9において、この排出により、好ましくは、システムは、スポンソンウェル構造の最上部の上方3フィート6インチ、又は図8に示すように基準面の上方7フィート6インチから、ウェルの最上部の上方15フィート0インチ、及び隣接する現場の基準面の上方19フィート0インチまで上昇する。バラスト水排出リフトの量は、システムの総吊上げ高さ能力の任意の部分となるように設計又は調整することができる。例えば、水バラストシステムは、好ましくは、洪水から保護する手段として支柱の最上部に建築される近くの建物の必要な高さに一致する高さまで、構造物を吊り上げるように設計することができる。
【0040】
[0057] 図10は、図9のリフトシステムの浮揚性スポンソンタンクが、その周囲で水位が変化するのと同じ速度で上昇する状態を示しており、例えば水深33フィート6インチの洪水にさらされた場合に、スポンソンタンク内のバラスト水位が図9に示すものと同じ水位にとどまる場合、システムは、水面と基礎システムが支持する構造物の下面との間に図9に示す19フィート0インチの隙間を維持しながら33フィート6インチ上昇する(両方の図において、バラスト水は完全に排出されている)。
【0041】
[0058] スポンソンウェル102のボアは、好ましくは、ボアを少なくとも部分的に包囲するシートパイルライニング106を含む。シートパイルライニング106は、例えば、鋼、亜鉛めっき鋼若しくはコア10鋼、又は他の好適な金属/金属合金を含むことができる。場合によっては、シートパイルは、主に建築中の一時的な土壌保持システムとしての役割を果たし、従来の非めっき又は他の腐食保護鋼の場合、コンクリート充填物110が打設されるとシステムに悪影響を与えることなく腐食の犠牲になることができる。適切な密度及び安定性の岩棚、岩盤又はサンゴが存在する場合、ウェルを掘削することができ、シートパイルは不要である。浅瀬又は陸上では、シートパイルの代わりに土留杭及び掛け矢板又は他の土壌保持の手段を採用することができる。
【0042】
[0059] スポンソンウェル102のボアは、好ましくは、シャフト壁ライナ108を含む。シャフト壁ライナ108は、ボアを少なくとも部分的に包囲する。シャフト壁ライナ108は、好ましくは、実質的に円筒形の形状を含み、シートパイルライニング106によって画定される空洞内に受け入れられるように構成されている。シャフト壁ライナ108は、本明細書では円筒形シャフト壁ライナとも称する場合がある。
【0043】
[0060] シャフト壁ライナ108は、好ましくは、円筒形の繊維補強ポリマーを含むが、コンクリート及びプレキャストコンクリート等の他の材料(例えば、一般に最大12.5フィートの直径で入手可能なコンクリートパイプ)、プレキャストコンクリートボックスカルバート、又は任意の長さで6インチ~150インチの直径で製造することができる波形金属パイプ等の耐腐食金属、又は非常に大きい直径のシステムは、波形金属多車線道路トンネルライナ及び貯蔵タンク、又は複数の曲線部で組み立てられる鋼シャフトケーシング及びライナ、又はガラス融合ボルト鋼タンクを使用することができる。
【0044】
[0061] スポンソンウェル102のボアは、さらに好ましくは、円筒形のシャフト壁ライナを補強するために、シートパイルライニング106とシャフト壁ライナ108との間に配置された少なくとも1層のコンクリート110を含む。少なくとも1層のコンクリート110は、さらに好ましくは、スポンソンウェル102のボアの基部に、フーチング111を提供する。
【0045】
[0062] コンクリート110は、好ましくは建設業界標準の鋼、又はメッキ及び/又は他の方法で腐食保護された鋼又はステンレス鋼の鉄筋の形態の鋼補強を含むこともできる。こうした補強構造は、水が汲み出されているウェルの内部の適所に製作することができる。こうした補強構造は、一般に「鉄筋(rebar)」と称される垂直及び水平補強バーで構成されるかご状構造として、現場外で、又は陸上若しくは浮きデッキ若しくははしけの上において現場内で、製作することもできる。鉄筋構造が製作されると、ウェルが部分的に浸水しているか、又は水域の下方に完全に沈んでいる場合であっても、クレーンを用いて構造物をウェル内に下降させることができる。補強がウェルに固定された後、トンネルが浸水するか又は完全に水面下にあっても、トレミーシステムとして一般に知られる水密性の高いコンクリート打設管及び円錐形のホッパーシステムを使用して、コンクリートを打設することができる。これらの建設プロセスが提供する利点は、地下水が存在するか、又はシステム全体が完全に水域の下に沈んでいる状況で、建設現場から水を堰き止めるか又はポンプで吸い上げる必要なく、浮き基礎システムの全体(又は実質的に全体)を建設することができることである。
【0046】
[0063] スポンソンウェル102のボアは、さらに好ましくは、円筒形シャフト壁ライナに取り付けられた少なくとも1つの金属チャネルガイドトラック112を含み、少なくとも1つの金属チャネルガイドトラックは、スポンソンウェル102の長手軸に沿って延在している。
【0047】
[0064] スポンソンウェル102は、さらに好ましくは、本明細書ではスクリーンとも称する場合があるメッシュ114を含む。メッシュ114は、スポンソンウェル102のボアへの残骸の侵入を低減させる一方で、スポンソンとウェル102との間の空間を介して達成することができる流量以上の速度で水がメッシュ114を通って流れるのを可能にするように構成することができる。簡単に言えば、メッシュ114は、好ましくは、システムが扱うように設計されている最速の水位変化/速度に対応する速度でシステムが上昇及び下降することができるように、水流の速度を妨げない。
【0048】
[0065] 円筒形のウェル102の場合のスクリーン114は、平面において正方形状とするか、又は実質的に円筒形とすることができ、また、アコーディオン/伸長可能なフレームを使用することを含むいくつかの構成により長さを伸長させるように設計するか、又は互いの中に配置されたときに摩擦嵌合を形成することができる異なる幅の一連のスクリーンとして構築することができる。アコーディオン/伸長可能なフレームの設計のための1つの好ましい手法は、システムの形状を制御するための構造体としての役割を果たす、網に組み込まれた連続的な可撓性の螺旋/渦巻き状のロッドを有する、直線状又は円筒形の折畳み式魚網トラップと同様であり得る。
【0049】
[0066] 洗濯物入れ、及び子供が這って中を通る子供用の折畳み式トンネル遊具等の家庭用品は、網の代わりに布又はメッシュが使用されている以外は、同様の手法を採用している。これらの設計手法はともに、直方体又は円筒形である補強された折畳み式残骸保護システムをもたらすように大型化することができる。連続した螺旋状の補強構造体は、防食メッキ及び/又はコーティングされた鋼又はばね鋼を含む、種々の材料から作製することができる。リフトシステムが小さいサイズの残骸や沈泥からの保護を必要とする場合、網は、多数のタイプの可撓性スクリーン、メッシュ又はフィルタ布の層に置き換えるか、又はそうした層を含むことができる。
【0050】
[0067] スポンソンウェル102は、将来の土、沈泥及び砂、又は植物及び木の葉若しくは水生植物材料又は氷及び雪等の他の残骸(これは、洪水又はこの物質を蓄積させる他の状況の間、ウェルの周囲の地面又は河川、湖若しくは海底に蓄積する可能性がある)を補償するのに十分、隣接する土地又は海底よりも高く延在することができる。海底の上方のスポンソンウェルシャフト102の範囲は、図1図4図5及び図6のスポンソンウェル102の左側で4フィートの高さとして寸法決めされているが、所定の現場条件が異なる高さを保証する場合、4フィートの高さよりも大きくするか又は小さくすることができる。スポンソンウェル102は、さらに好ましくは、パイプ116を提供する。パイプ116は、さらに好ましくは、後により詳細に考察するように、スポンソンウェル102を包囲する領域の表面上の水が、ボア内で、より詳細にはシャフト壁ライナ108の内部で移送/提供されて、浮揚性スポンソンタンク104を変位させることを可能にする、流体通路を画定する。この目的のために、パイプ116の流体通路は、表面(例えば、スポンソンウェル102の最上部に隣接する領域)に隣接/近接している入口と、スポンソンウェル102のボア内にある出口とを含むことができる。流体通路116は、残骸がシステムに入らないようにするために、スクリーン及び/又はフィルタを含むこともできる。流体通路濾過システムは、フィルタから残骸を遠ざけるか、又はフィルタ周囲の水中の氷の形成を低減させるように、攪拌機又は気泡発生器も含むことができる。
【0051】
[0068] 氷点下の温度の領域で停泊する船舶の船体の周りに氷が形成されないように使用される気泡発生器又は他の機構を設置することにより、リフトシステム全体の中及びその周りの氷の形成を低減させることもできる。
【0052】
[0069] 浮揚性スポンソンタンク104は、好ましくは、スポンソンタンク118を含み、本明細書においてバラストタンク又は単にタンクと称する場合もある、単一のスポンソンウェル102において重なって又は横に並んで構成された2つ以上のタンクを有することができる。スポンソンタンク118は、好ましくは、浮揚性スポンソンタンク104が、支持された構造物(図示せず)に対して外骨格上部構造105によって所定の浮力を与えて、支持された構造物を垂直に変位させるように、スポンソンタンクの外部のある体積の流体によって変位するように構成されている。
【0053】
[0070] スポンソンタンク118は、さらに好ましくは、第1端部から第2端部まで延在する長尺状本体を含む。より好ましくは、スポンソンタンク118は、図1に示すような、実質的に円筒形の輪郭を含む。
【0054】
[0071] スポンソンタンク118は、好ましくは、アルミニウムを含む金属、波形鋼を含む亜鉛メッキ鋼、ガラス溶融鋼(GFS)又はステンレス鋼等の材料で、耐食性コーティングを施して、又はガラス繊維オーバーレイ、より好ましくは、固有の耐食性特性のために、水又は塩水条件下で腐食に対する最高の耐性を提供する繊維で強化されたポリマーマトリクスで作製されたガラス繊維強化ポリエステル、ガラス繊維、繊維強化プラスチック(FRP)又はガラス繊維強化プラスチック(GRP)複合材料、又は他の適切に隆起した材料を施して形成されている。これらの材料のすべてが、4気圧以上の大気圧に対応できるように適切な壁厚とエンドキャップとを備えるように設計することができる。
【0055】
[0072] スポンソンタンク118は、好ましくは、構造的完全性を確保するために、タンク直径の6倍を超えない全長を含む。スポンソンタンク118は、好ましくは、10~100フィート、より好ましくは、少なくとも30フィートの全高を含む。スポンソンタンク118はまた、さらに好ましくは、6インチ~30フィート、より好ましくは少なくとも8~12フィートの直径を含み、30フィートを超えることができる。提供した例は、限定的であるようには意図されていない。スポンソンタンク118の他の高さ及び直径の構成については、図12の表1を参照されたい。
【0056】
[0073] スポンソンタンク118は、好ましくは、水密であるように構成され、空気(又は他の気体)、又は好ましくは、空気と所定量の水等のバラスト流体120とを収容することができる。図示するようなサイアミーズポンプ又は他の水中ポンプ等の1つ又は複数のポンプ122が、好ましくは、スポンソンタンク118内に配置され、スポンソンタンク118内のバラスト流体120の量を選択的に調整するように構成されている。
【0057】
[0074] 特に、1つ又は複数のポンプ122は、スポンソンウェル102内のスポンソンタンク118の外部にバラスト流体120を移送して、浮揚性スポンソンタンクを、例えば浮力によって変位させ、浮揚性スポンソンタンクを垂直に上昇させて支持された構造物(図示せず)に対して所望の高さを選択するように構成することができる。この特徴の追加の態様については、図4及び図6に関して後に開示する。
【0058】
[0075] 外骨格上部構造105は、好ましくは、スポンソンタンク118を包含し、荷重力、特に横荷重力を伝達してスポンソンの、システムが支持する構造物からの横荷重を伝達し外部フレーム部材130を介してスポンソンウェル構造102に及びウェル102を包囲する地面内に伝達する荷重支持能力を向上させる役割を果たす。外骨格上部構造は、好ましくは、外骨格上部構造105とスポンソンタンク118とが軸方向に位置合せされるように、スポンソンタンク118の上端部から延在している。外骨格上部構造105は、さらに好ましくは、その上に配置された構造物の荷重をスポンソンタンク118に伝達するように構成されている、スポンソンウェル102から延在するプラットフォーム107を提供する。
【0059】
[0076] 外骨格上部構造105は、さらに好ましくは、金属フレームを備え、金属フレームは、スポンソンタンク118からプラットフォーム107に延在する複数の長尺状支持部材に基づく円錐形状を有する。外骨格上部構造105の金属フレームは、例えば、防食メッキ及び/又はコーティングされた鋼を含むことができる。
【0060】
[0077] プラットフォーム107を含む外骨格上部構造105は、より広義には、吊上げを必要とする構造物を吊り上げるスポンソンの耐荷重能力を伝達する役割を果たす構造的構成要素(例えば、金属フレームを提供する金属ビーム及び/又は金属管)を備えた機械的アセンブリとして理解することができる。したがって、図示するように、吊上げを必要とする構造物の耐荷重能力を外骨格上部構造105に伝達する耐荷重アセンブリ107を含む外骨格上部構造105は、上述したように、吊り上げるべき構造物と係合するようにスポンソンの最上部に位置決めされる機械的アセンブリに対する単なる1つの好ましい構成を表す。加えて、スポンソンタンクから延在する機械的アセンブリは、構造物の荷重をスポンソンタンクにも伝達すると理解することができ、こうした荷重は、その後、吊上げを必要とする可能性がある、ということを認めることができる。
【0061】
[0078] 浮揚性スポンソンタンク104は、さらに好ましくは、浮揚性スポンソンタンク104のスポンソンタンク118の端部から延在するアクセスタワー124を備える。アクセスタワー124は、外骨格上部構造105のプラットフォーム107に隣接する端部に水密アクセスハッチ126を備えた実質的に円筒形の本体を含むことができる。アクセスタワー124は、好ましくは、外骨格上部構造105の複数の長尺状支持部材の間に延在しているが、本開示はこれに関して限定されない。
【0062】
[0079] 浮揚性スポンソンタンク104は、さらに好ましくは、アクセスタワー内及び/又はアクセスタワーの外面上に配置された梯子125(図3参照)を備える。
【0063】
[0080] 浮揚性スポンソンタンク104のスポンソンタンク118は、スポンソンタンク118の動きがスポンソンウェル102の長手方向軸と実質的に平行に延在する垂直軸に制限されるように、少なくとも1つの金属チャネルガイドトラック112に係合するように構成された少なくとも1つの外部フレーム部材130(図3参照)をさらに含む。したがって、浮揚性スポンソンタンク104によって提供される所定の浮力は、スポンソンウェル102の垂直軸/長手方向軸に沿って延在する方向に沿って、支持された構造物に供給される。
【0064】
[0081] 図8に示すように、表1は、さまざまなシステムサイズ構成例、例えば、浮揚性スポンソンタンクの数、ウェルボアサイズ、タンク直径、タンク高さ、及び、本明細書では所定の浮力とも称する、結果として得られる排水力(トン単位)を列挙している。
【0065】
[0082] 図1は、特に、天文学的な干潮時、例えば、平均干潮位から2.5フィート(0.75M)上方での穏やかな海面状態の間の、完全に格納された位置(又は第1位置)にある浮揚性スポンソンタンクを示す。1つの好ましい例では、浮揚性スポンソンタンクのスポンソンタンク118は、12フィートφ×40フィート(3.7Mφ×12M)という測定値であり、4,472立方フィート(127立方メートル)サイズのタンクを有し、水バラスト(又は他の好適な流体、気体若しくはその両方)で部分的に充填されて、支持された構造物の1階高さを所望である/実用的であるほど海面の近くに位置決めすることができる。1つのこうした例には、周囲の水面から2フィート以内がある。
【0066】
[0083] システムのすぐ近くにあり、隣接する港湾及び海水内のブイに遠隔配置された波動センサは、他の州、国又は国際緊急警報システムと組み合わされて、リフトシステム100がバラスト重量を継続的に監視し、システムが維持する必要がある最低高さを決定するために使用することができるデータを提供することができる。こうした調整は、例えば、リフトシステム100にローカルであるプロセッサ(図示せず)によって実行することができる。
【0067】
[0084] 図4は、支持された構造物(図示せず)に対して第1水位に基づいて浮力を供給するように、図2のスポンソンウェル内から伸びている浮揚性スポンソンタンク104の一例を示す。この例では、第1水位は15フィートである。
【0068】
[0085] この例では、浮揚性スポンソンタンク104は、荒海状態の間、その格納された干潮の位置にある。スポンソンタンクからバラスト水が汲み出されると、リフトシステム100は、好ましくは、支持された構造物(図示せず)を平均水面より17.5フィート(5.3M)高く上昇させる。スポンソンタンクは、上述したように、スポンソンタンクの底部に設置された水中ポンプを介して、部分的に又は完全に空にすることができる。
【0069】
[0086] バラスト水が完全に空にされると、リフトシステム100は、それが支持する構造物の1階高さを、2.5フィート(0.75M)の最低位置よりもさらに15フィート(4.5M)高く上昇させることができる。これにより、1階高さは海面から17.5フィート(5.3M)上昇する。
【0070】
[0087] 一対のポンプが逆に動作してスポンソンタンクに海水を補充し、海が沈静化すると支持された構造物の海面高さを低下させることができる
【0071】
[0088] 図5は、支持された構造物に対して第2水位に基づいて浮力を供給するように図2のスポンソンウェル内から伸びている浮揚性スポンソンタンク104を示す。この例では、水位は、33フィート、6インチである。
【0072】
[0089] この例では、浮揚性スポンソンタンク104は、海面が上昇するのと同じ速度で上昇する。図5は、30フィート(9M)の高潮又は津波に応答して、平均干潮位よりも33.5フィート(10M)上方の位置に向かう浮揚性スポンソンタンクを示す。2019年9月のハリケーン「ドリアン」は、グランドバハマ島で23フィート(7M)の高さの高潮を発生させた。
【0073】
[0090] 図6は、支持された構造物に対して第2水位に基づいて浮力を供給するように、図2のスポンソンウェル内から伸びている浮揚性スポンソンタンクを示す。この例では、浮揚性スポンソンタンク104は、スポンソンウェル102から、平均干潮位の約50フィート(14.75M)上方の最高位置まで伸ばされている。この好ましい実施例では、スポンソンタンクから汲み出された水は、荒れた海面状態を補償するために15フィート(4.5M)のさらなる高さを追加して、構造物を基本干潮位置よりも48.5フィート(14.75M)高く位置決めしている。
【0074】
[0091] 上水及び下水のためのユーティリティラインは、潮の満ち引きで1日に2回家が上下するハウスボートで使用されるものと同様であり得るが、著しく多い上下の移動量を考慮するように設計されている場合があることが異なる。これらのラインは、システム100が一定の高さを越えて構造物を吊り上げると、接続ラインが自動的に分離する、離脱接続部を組み込むこともできる。鉄道車両で使用される圧縮空気ホースと同様である、さまざまな直径の接続ライン又はホースを使用することができることが企図されている。鉄道車両間の空気ホースは、鉄道員が嵌合させると、単に部分的にねじれて、頑強で安全な気密接続をもたらす。鉄道車両の連結が解除されると、車両の分離によって引き起こされる空気ホースにかかる張力がホース間の接続部に対して引っ張り、張力の増加とともに空気ホースの接続部にねじれ力がかかる。この力により、ホース接続部は結合していた方向と反対方向にねじれ、人の介入なしに切り離される。電気接続は、米国の旅客列車で使用されているヘッドエンドパワー(HEP:Head End Power)プラグコネクタと同様のコネクタを有する、ばね荷重式の自己巻取りケーブルで対応することができる。
【0075】
[0092] ここで、スポンソンウェル構造の最上部の高さは、隣接する現場の基準面高さよりも上方又は下方の実質的に任意の高さであり得ることを理解することができる。図11は、スポンソンウェル構造の最上部の高さを地下に確立することが、システムが支持する地上構造物の地中要素を地上に上昇させる能力を含む多くの利点を有すること、又は同じことが、一般に地下構造物と称される完全に地下の地中構造物で達成できることを実証する。図11では、システムは、好ましくは、基礎システムをより良く見るために画像に示していない地下駐車場を含む複数階建物を支持することができる。こうした用途のためにリフトシステムを拡大縮小するために、リフトシステムの寸法を大きくすることができ、又は、図11に示すように、複数のリフトシステムが組み合わされて一体的に機能することができ、そこでは、図7図9に示すリフトシステム101の18個が、例えば、完全な地下階の地下駐車場を含む10万平方フィートの複数階建物を浮かせて吊り上げるように配置されている。18個のリフトシステムは、通常は完全に地下にある地下駐車場構造の最下部を1階の歩道基準面よりも高く位置決めするのに十分、建物を吊り上げるように、十分なバラスト水がスポンソンタンクから排出されている状態で示されている。洪水がないときに駐車場が収容される地面の17フィート6インチの深さの空隙は、この種の建設で通常使用されるような鉄筋、コンクリートの低温接合部のバルブ型止水材、及び防水コーティング又は膜を用いて、図9の18個の現場打ちコンクリートのスポンソンウェル101と一体化された、業界標準の従来から建設されている現場打ち鉄筋コンクリートの周囲基礎壁及び床スラブシステム131によって包囲されている。周囲基礎システムが防水性であり、地下水がその中の空間に浸透するのを防ぐため、雨水の捕捉及び保持用の水溜めとして、又は適切に設計された場合、建物が上昇したときに雨水の再装填用の水溜めとして、追加の機能を果たすことができる。
【0076】
[0093] 大部分の自治体は、地球温暖化予測に関連する嵐及びキングタイドの洪水が予測されるあり得る洪水リスクの増大に対処する、十分な雨水管理システムを有していない。17フィート0インチ深さまで充填された図11に示すフットプリントの水溜めは、3,300,000ガロンの雨水を保持する。同じフットプリントが、2階建ての地下駐車場に対して十分深く、同じ吊上げシステムで駐車場が吊上げられた場合、同じ高さまで充填される水溜めは、500万ガロン以上の雨水を保持する。現在、多くの都市で雨水管システムを圧迫し、近隣を水浸しにする晴天時又はキングタイドの洪水は、300万ガロン以上の規模の雨水捕捉によって、何区画ものサイズの領域にわたって防ぐことができる。2020年の秋、米国連邦緊急事態管理庁の規制が全米で施行され、それは、予測される高水位、基準洪水位高さの近く、又はそれより下に居住スペース又は車両駐車場を設けることを禁止している。基礎リフトシステム及び水溜めが、自治体により、恐らくは地方債を使用することによって資金提供された場合、自治体は、本来は使用できず課税されない地階及び1階高さに対する将来の不動産税から生じる収入によって、負債を返済し、投資収益を実現することができる。不動産所有者及び/又は不動産開発業者は、建物基礎に支払いを行う必要がなく、賃貸又は売却することができる地階及び1階を有し、例えばマサチューセッツ州ボストンのような都市に位置するこのサイズの建物の場合、年間30万ドル以上となる洪水保険を支払う必要がないことにより、より大きい利益を実現する可能性がある。
【0077】
[0094] 図12に列挙したものよりも大型のリフトシステムが可能であり、リフトシステムが収容することができる全体寸法のサイズには実質的に制限がない。例えば、50フィート直径、又は45フィート以上の深さである同様の平方フィート面積の矩形又は自由形状のフットプリントであって、リフトシステム101及び/又は101が含む、比例して拡大縮小された同じ構成要素及びシステムのすべてを含むリフトシステムは、同じ規約で分類又は命名することができ、又は好ましくは、多くの異なるタイプのペイロード又は構造物を上に建造することができるモノリシックスラブ又はパッドを含むこれらのより大型のシステムは、吊上げパッドシステムとして分類することができる。
【0078】
[0095] 吊上げパッドシステム用のスポンソンタンクは、工業用水、燃料及び油の貯蔵施設に通常使用されるプレハブの既製品のボルト式ガラス溶融鋼(GFS)タンクを含む、複数の異なる材料から製作することができる。
【0079】
[0096] 例えば、時折洪水が起こる高台に位置する、図8のリフトシステム101と同様の設計であるこのサイズ(50フィート直径×45フィート深さ)の吊上げパッドシステム(図13図18に示す)は、平屋根134を備えた3,000平方フィートの2階建て建物133を支持することができる。この構成では、システム101が機能し、図11の施設が洪水から保護するように機能するのと同様の方法で、バラスト水をスポンソンタンク104から又はスポンソンウェル内に除去する/汲み出すことにより、吊上げパッドシステムで支持されている構造物全体を地上に上昇させることができる。吊上げ能力に加えて、吊上げパッドシステムは、スポンソンタンク104内にバラスト水を追加する/注入すること、及び/又はスポンソンウェル102から水を除去することによって、2階建て建物134全体を完全に地下になるように格納することもできる。
【0080】
[0097] システムが、水が不足している乾燥又は砂漠気候にある場合に利用可能でない可能性がある追加の水をシステムに導入することなく、リフトシステムを上昇及び下降させるために内部又は外部のポンプ又は他の手段によってリフトシステムに水を複数回追加しそこから引き出すことができる閉ループシステムを作成するために、隣接するか若しくは近くの水域、又は理想的には専用の保持水溜め若しくは貯蔵タンクに水を注入し、そこから水を汲み出すことにより、スポンソンタンクと水を交換することとは別に、水をスポンソンウェルに追加しスポンソンウェルから除去することができる。
【0081】
[0098] 平屋根134は、屋根アセンブリを耐火性及び/又は耐衝撃及び爆発性にするのに十分大きい厚さを有する場所打ちコンクリートスラブ又は同様の不燃性高密度材料で建造することができ、又は、屋根は、土又は別の不燃性で比較的高密度の非構造的充填物を屋根の上に追加することによってこの性能基準を満たすことができた。このタイプの屋根アセンブリがあり、場合により、平屋根134の縁部とスポンソンウェルの面との間に適切な材料のガスケット及び/又は熱膨張性膨張シールを追加することにより、建物が格納されるとき、表面火災、森林火災、砂嵐、竜巻及びハリケーンによる強風及び飛散残骸、陸上車両及び航空機の衝突を含む自然及び人為災害、ミサイル若しくは爆弾攻撃による戦争行為、又は実質的にあらゆる現場外脅威から完全に保護されている要塞となることができる。このタイプの施設は、公共安全(消防署及び警察署)、緊急管理及び緊急対応施設、911コールセンター、航空機管制及び森林火災管理局並びにタワー構造、沿岸警備局等の重要なインフラ要素を含む軍事又は民間目的に理想的である。これらの施設のすべてが、災害発生前、発生中及び発生後の公共安全及びガバナンスを維持するのに不可欠であり、破壊された場合、再建して復旧させるのに何カ月もの時間がかかる可能性がある。
【0082】
[0099] 軍事目的、又は建物若しくはその他のインフラ要素を視界から隠すことが好ましい地域の場合に、植栽に適した土が構造物の屋根の上に適切な深さで配置されている場合、屋根に、成木を含む任意のタイプの植物を植えることができ、そのため、施設が地面に格納され、屋根の上の土の完成基準面がスポンソンウェルの周囲の完成基準面と整列したとき、建物の屋根は周囲の環境と正確に一致することができる。この手法により、建物は事実上、視界から消えることができる。この手法により、不要な複数階高さのインフラ要素を、カーボンオフセットと不要な目障りな存在の代わりの有用な公共アメニティとをもたらす、地下の庭園又は公園にすることができる。多くの緊急管理センターは地下施設にあり、この地下施設は、地下施設を地上に吊り上げ、その施設が外壁に建物内に自然光及び換気を取り入れる多くの窓を含むことができ、これらの施設が上昇したときにその屋根がルーフガーデンとして機能する場合、非緊急時の間に働くにはより望ましいものとなる。
【0083】
[00100] 本開示の原理について本明細書で説明したが、当業者であれば、この説明は単に例としてであって、本開示の範囲に関する限定としてではないことが理解されるはずである。本明細書に示し記載した例示的な実施形態に加えて、本開示の範囲内で、他の実施形態が企図される。当業者であれば、装置が、本明細書に含まれる特徴のうちの任意の1つ又は複数を具現化することができること、及び特徴が任意の特定の組合せ又はサブコンビネーションで使用することができることが理解されよう。当業者による変更及び置換は、特許請求の範囲以外では限定すべきではない本開示の範囲内にあるとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
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【国際調査報告】