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特表2023-550347血管漏出障害および内皮バリア障害を処置することにおける使用のためのMK2活性化化合物
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  • 特表-血管漏出障害および内皮バリア障害を処置することにおける使用のためのMK2活性化化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】血管漏出障害および内皮バリア障害を処置することにおける使用のためのMK2活性化化合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20231124BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/42 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/4468 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/4168 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/502 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/403 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/423 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61P1/04
A61P29/00
A61P37/06
A61P25/00
A61P11/00
A61P31/14
A61P9/10
A61P9/12
A61P17/02
A61P13/12
A61P1/16
A61P1/00
A61P9/00
A61K31/42
A61K31/496
A61K31/519
A61K31/4468
A61K31/4168
A61K31/501
A61K31/4178
A61K31/5415
A61K31/495
A61K31/415
A61K31/502
A61K31/506
A61K31/397
A61K31/343
A61K31/4245
A61K31/403
A61K31/422
A61K31/423
A61K31/4439
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528678
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021059191
(87)【国際公開番号】W WO2022104097
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/112,878
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】523176543
【氏名又は名称】アクティーヴァ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ツァイウン, カーチャ
(72)【発明者】
【氏名】カイヤーリ, ウサマ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィユートレ, ブリュノ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA421
4C084ZA422
4C084ZA451
4C084ZA452
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA681
4C084ZA682
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC411
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA06
4C086BC03
4C086BC10
4C086BC21
4C086BC36
4C086BC37
4C086BC38
4C086BC41
4C086BC50
4C086BC60
4C086BC67
4C086BC69
4C086BC70
4C086BC71
4C086BC80
4C086BC84
4C086BC89
4C086CB06
4C086CB09
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA45
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB33
4C086ZC41
(57)【要約】
必要性のある患者における血管障害または内皮バリア障害の処置のための、MK2アクチベーター、およびMK2アクチベーターを含む組成物が、本明細書で提供される(上記MK2アクチベーターは、1000Da未満の分子量を有し、上記MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットに結合する)。患者にMK2アクチベーターを投与することによって、患者において血管障害または内皮バリア障害を処置する方法がまた、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要性のある患者において血管障害または内皮バリア障害を処置するためのMK2アクチベーターであって、前記MK2アクチベーターは、1000Da未満の分子量を有し;前記MK2アクチベーターは、MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置した結合ポケットに結合する、MK2アクチベーター。
【請求項2】
MK2の前記Cローブドメインは、配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のMK2アクチベーター。
【請求項3】
MK2の前C末端調節ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のMK2アクチベーター。
【請求項4】
MK2の前記CローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置した前記結合ポケットは、アミノ酸残基M275、K276、I279、V352、E354、E355、S358、A359、およびT362を含む、請求項1~3に記載のMK2アクチベーター。
【請求項5】
MK2の前記CローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置した前記結合ポケットは、アミノ酸残基Y260、Y264、S265、N266、H267、E285、F286、P287、N288、P289、E290、およびV341を含む、請求項1~3に記載のMK2アクチベーター。
【請求項6】
MK2の前記CローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置した前記結合ポケットは、アミノ酸残基Y260、Y264、S265、N266、H267、A270、I271、S272、P273、G274、M275、K276、R278、I279、E285、F286、P287、N288、P289、E290、V341、E347、R348、E350、D351、V352、E354、E355、S358、A359、およびT362を含む、請求項1~3に記載のMK2アクチベーター。
【請求項7】
前記結合ポケットは、アミノ酸残基Y260とT362との間に位置する、請求項1に記載のMK2アクチベーター。
【請求項8】
前記結合ポケットは、アミノ酸残基E290とD351との間に位置する、請求項1に記載のMK2アクチベーター。
【請求項9】
前記MK2アクチベーターは、約-5kcalまたはこれより低い結合親和性を有する前記結合ポケットに結合する、請求項1~8のいずれか1項に記載のMK2アクチベーター。
【請求項10】
前記MK2アクチベーターは、他のキナーゼよりMK2に対して選択的である、請求項1~9のいずれか1項に記載のMK2アクチベーター。
【請求項11】
前記MK2アクチベーターは、セピモスタット、ビフェプラミド、カペセロド、ビフェプロフェン、ロルシナドール、スルファマゾン、アルタピゾン、ザルダリド、ネツピタント、カソピタント、ピパマジン、サペルコナゾール、バルマスチン、Bgt-226、イミドカルブ、エロピプラゾール、オキサフルマジン、フルペンチキソール、クロカプラミン、パリペリドン、チオスピロン、セルチンドール、ペロスピロン、ジプラシドン、ピクロキシジン、Amg-548、Cep-32496、Gsk-1070916、Gsk-461364、Ly-2584702、フルドキソポン、クロドキソポン、Amg-900、Mk-6592、Mk-8033、Azd-1775、ムブリチニブ、モセチノスタット、Pf-3758309、R428、ラルチトレキセド、XL228、Azd3514、エリノグレル、Tak-901、Chir-265、バフェチニブ、Ac-480、Cc-401、ニロチニブ、ラドチニブ、ゴルバチニブ、アベキシノスタット、Ast-487、Enmd-2076、Bms-833923、ドラフラジン、テゾセンタン、ロメトレキソール、シヌペロン、マレイン酸イコペジル、エルバニジン、グリシンダマイド、カミシナル、テゴブビル、フルメリドン、ロミタピド、マゾカリム、ロスラジン、ペラキンシン、レフルノミド、アファシフェナシン、Ag-13958、ロルピプラゾール、シポニモド、メスピペロン、XL019、ベンチピミン、ゾスキダル、ファシチバント、Amg-517、Ci-988、ボキシジン、グリカラミド、ニアプラジン、イソメタミジウム、メトフェナザート、トレニジン、フロトレニジン、ジフルアニン、ラマトロバン、ソネピプラゾール、タファミジス、ベルルカスト、ロピジン、ロトリフェン、ミオフラジン、タロトレキシン、チフラミゾール、トレフェンタニル、アサピプラント、リドフラジン、ルザドラン、プレラデナント、メディバジン、デラビルジン、ピフルチキソール、エベルコナゾール、テネリグリプチン、ダルトロバン、デラコキシブ、レレノプリド、アバガセスタット、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載のMK2アクチベーター。
【請求項12】
前記MK2アクチベーターは、セピモスタット、ビフェプラミド、カペセロド、ビフェプロフェン、ロルシナドール、スルファマゾン、アルタピゾン、ザルダリド、ネツピタント、カソピタント、ピパマジン、サペルコナゾール、バルマスチン、Bgt-226、イミドカルブ、エロピプラゾール、オキサフルマジン、フルペンチキソール、クロカプラミン、パリペリドン、チオスピロン、セルチンドール、ペロスピロン、ジプラシドン、ピクロキシジン、Ly-2584702、フルドキソポン、クロドキソポン、ムブリチニブ、モセチノスタット、Pf-3758309、ラルチトレキセド、Azd3514、エリノグレル、Ac-480、アベキシノスタット、Bms-833923、ドラフラジン、テゾセンタン、ロメトレキソール、シヌペロン、マレイン酸イコペジル、エルバニジン、グリシンダマイド、カミシナル、テゴブビル、フルメリドン、ロミタピド、マゾカリム、ロスラジン、ペラキンシン、アファシフェナシン、Ag-13958、ロルピプラゾール、シポニモド、メスピペロン、ベンチピミン、ゾスキダル、ファシチバント、Amg-517、Ci-988、ボキシジン、グリカラミド、ニアプラジン、イソメタミジウム、メトフェナザート、フロトレニジン、ジフルアニン、ラマトロバン、ソネピプラゾール、タファミジス、ベルルカスト、ロピジン、ロトリフェン、ミオフラジン、タロトレキシン、チフラミゾール、トレフェンタニル、アサピプラント、リドフラジン、ルザドラン、プレラデナント、メディバジン、デラビルジン、ピフルチキソール、エベルコナゾール、テネリグリプチン、ダルトロバン、デラコキシブ、レレノプリド、アバガセスタット、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載のMK2アクチベーター。
【請求項13】
前記MK2アクチベーターは、アベキシノスタット(PCI-24781)、Ac-480(BMS-599626)、アダボセルチブ(MK-1775)、Ag-13958、Amg-517、Amg-900、アサピプラント、Ast-487(NVP-AST487)、アバガセスタット(BMS-708163)、Azd3514、BAF312(シポニモド)、バフェチニブ(INNO-406)、ベムセンチニブ(R428)、Bgt-226(NVP-BGT226)、Bms-833923、Cc-401塩酸塩、Cep-32496、デラビルジン(メシル酸塩)、デラコキシブ、ドロプロピジン、Enmd-2076、フルペンチキソール二塩酸塩、ゴルバチニブ、Gsk-1070916、Gsk-461364、イミドカルブジプロピオン酸塩、レフルノミド、レボドロプロピジン、ロミタピド、Ly-2584702、MK2-AP(バッチ#2)、モセチノスタット(MGCD0103)、ムブリチニブ(TAK 165)、ナファモスタットメシル酸塩、ネツピタント、ニロチニブ(AMN-107)、パリペリドン、ペロスピロン塩酸塩、Pf-3758309、プレラデナント、ラドチニブ、RAF265(Chir-265)、ラルチトレキセド、ラマトロバン、タファミジス、Tak-901、テゴブビル、テネリグリプチン臭化水素酸塩、XL019、XL228、ジプラシドンHCl、ゾスキダル(LY335979) 3HCl、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載のMK2アクチベーター。
【請求項14】
前記MK2アクチベーターは、ロミタピド、ペロスピロン、アベキシノスタット、AG-13958、レボドロプロピジン、ニロチニブ、AMG-900、AMG-517、デラビルジン、Bgt-226、モセチノスタット、タファミジス、XL019、ラドチニブ、ジプラシドン、ムブリチニブ、ラマトロバン、デラコキシブ、ラルチトレキセド、GSK461364、アダボセルチブ、テゴブビル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載のMK2アクチベーター。
【請求項15】
前記MK2アクチベーターは、レフルノミド、ネツピタント、パリペリドン、ロミタピド、ペロスピロン塩酸塩、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載のMK2アクチベーター。
【請求項16】
治療上有効な量の請求項1~15のいずれか1項に記載のMK2アクチベーターを含む、血管障害または内皮バリア障害の処置のための組成物。
【請求項17】
治療上有効な量の請求項1~15のいずれか1項に記載のMK2アクチベーターおよび薬学的に受容可能な賦形剤を含む、血管障害または内皮バリア障害の処置のための薬学的組成物。
【請求項18】
治療上有効な量の請求項1~15のいずれか1項に記載のMK2アクチベーターを含む、血管障害または内皮バリア障害の処置のための単位投与形態。
【請求項19】
必要性のある患者において血管障害または内皮バリア障害を処置する方法であって、前記方法は、前記患者に、治療上有効な量の請求項1~15のいずれか1項に記載のMK2アクチベーターを投与する工程を包含する方法。
【請求項20】
前記血管障害は、血管漏出障害である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記内皮バリア障害は、微小血管バリア漏出障害である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記微小血管バリア漏出障害は、炎症性腸疾患、脳浮腫、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、および肺浮腫からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記急性呼吸窮迫症候群は、COVID-19と関連する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記急性呼吸窮迫症候群は、内皮バリアの過剰透過性と関連する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記急性呼吸窮迫症候群は、中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、および肺炎からなる群より選択される感染性疾患と関連する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記急性肺傷害は、COVID-19と関連する、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記急性肺傷害は、内皮バリアの過剰透過性と関連する、請求項22または26に記載の方法。
【請求項28】
前記急性肺傷害は、中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、および肺炎からなる群より選択される感染性疾患と関連する、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記内皮バリア障害は、血管バリア漏出障害である、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記血管バリア漏出障害は、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、妊娠高血圧腎症、および川崎病からなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記内皮バリア障害は、線維芽細胞関連障害である、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
前記線維芽細胞関連障害は、創傷治癒、肺線維症、肝線維症、血管線維症、腎線維症、および組織リモデリングからなる群より選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記血管障害は、血管バリア障害である、請求項19に記載の方法。
【請求項34】
前記血管バリア障害は、消化管障害である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記消化管障害は、COVID-19と関連する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記消化管障害は、内皮バリアの過剰透過性と関連する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
必要性のある患者において急性呼吸窮迫症候群を処置する方法であって、前記方法は、治療上有効な量の請求項1~15のいずれか1項に記載のMK2アクチベーターを前記患者に投与する工程を包含する方法。
【請求項38】
前記急性呼吸窮迫症候群は、COVID-19と関連する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
必要性のある患者において急性肺傷害を処置する方法であって、前記方法は、治療上有効な量の請求項1~15のいずれか1項に記載のMK2アクチベーターを前記患者に投与する工程を包含する方法。
【請求項40】
前記急性肺傷害は、COVID-19と関連する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記MK2アクチベーターは、前記患者に静脈内投与される、請求項19~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記MK2アクチベーターは、前記患者に経口投与される、請求項19~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記MK2アクチベーターは、前記患者に非経口投与される、請求項19~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記患者は、ヒトである、請求項19~43のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月12日出願の米国仮出願第63/112,878号(その内容は、その全体において本明細書に参考として援用される)の利益および優先権を主張する。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子提出された配列表を含み、その全体において本明細書に参考として援用される。上記ASCIIコピーは、2021年11月12日に作成され、ファイル名、AKY-001WO_ST25.txtであり、サイズは7,769バイトである。
【背景技術】
【0003】
背景
血管内皮は、血中の循環する流体および炎症性の細胞を周囲の組織から分離する。血管漏出(vascular leak)は、代表的には、広範に拡がった炎症プロセスへの応答において起こり、これは、慢性疾患への応答において、ならびに急性の状況において、ウイルス、細菌または直接的な毒素曝露への応答において生じ得る。血管漏出によって引き起こされる60を超える医学的状態が存在し、これらとしては、とりわけ、浮腫および急性腎障害が上げられる。例えば、眼では、血管漏出は、糖尿病網膜症のような黄斑変性をもたらし得る;肺では、血管漏出は、敗血症、急性肺傷害(ALI)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)をもたらし得る。ARDSは、生命を脅かす障害であり、この障害では、肺における肺胞毛細管透過性バリアが漏れやすくなり、肺が流体で溢れ、必須の器官に酸素を提供するために、肺がその主要な機能を果たす能力を減少させる。このことは、肺胞の洪水、低酸素血症および呼吸不全をもたらす。呼吸に関するウイルス(例えば、インフルエンザ、コロナウイルス、SARS、MERS)が肺に達する場合、それらは、肺胞における内皮膜を間接的に混乱させ、疾患の最も重篤な発現では、ARDSをもたらす。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、2019年後半に出現し、「新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019)」(COVID-19)と称される急性呼吸器疾患のパンデミックを引き起こした感染性の高い、かつ病原性のコロナウイルスであり、これは、同じようにして活動する。COVID-19より前ですら、ALI/ARDSは集中治療室における死亡率の主要原因であるが、その根底にある内皮細胞バリア機能を回復させる医学療法は存在しない。人工呼吸は、ARDSの間に適切なガス交換を維持するための標準治療であるが、それは、炎症プロセスの加速をもたらし得、肺損傷を増大させ得る。従って、ARDSを処置して、呼吸器感染の最も重篤な発現と戦うための新規な治療ストラテジーを開発し、そして患者における他の血管漏出障害を処置するための未だ満たされていないニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
1つの局面において、必要性のある患者において血管障害または内皮バリア障害を処置するためのMK2アクチベーターであって、ここで上記MK2アクチベーターは、1000Da未満の分子量を有し;上記MK2アクチベーターは、MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットに結合するMK2アクチベーターが、本明細書で提供される。
【0005】
ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態において、上記MK2のC末端調節ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0006】
ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットは、アミノ酸残基M275、K276、I279、V352、E354、E355、S358、A359、およびT362を含む。ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットは、アミノ酸残基Y260、Y264、S265、N266、H267、E285、F286、P287、N288、P289、E290、およびV341を含む。ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットは、アミノ酸残基Y260、Y264、S265、N266、H267、A270、I271、S272、P273、G274、M275、K276、R278、I279、E285、F286、P287、N288、P289、E290、V341、E347、R348、E350、D351、V352、E354、E355、S358、A359、およびT362を含む。
【0007】
ある特定の実施形態において、上記結合ポケットは、アミノ酸残基Y260とT362との間に位置する。ある特定の実施形態において、上記結合ポケットは、アミノ酸残基E290とD351との間に位置する。
【0008】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、約-5kcalまたはこれより低い結合親和性で上記結合ポケットに結合する。ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、他のキナーゼよりMK2に対して選択的である。
【0009】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、セピモスタット、ビフェプラミド、カペセロド、ビフェプロフェン、ロルシナドール、スルファマゾン、アルタピゾン、ザルダリド、ネツピタント、カソピタント、ピパマジン、サペルコナゾール、バルマスチン、Bgt-226、イミドカルブ、エロピプラゾール、オキサフルマジン、フルペンチキソール、クロカプラミン、パリペリドン、チオスピロン、セルチンドール、ペロスピロン、ジプラシドン、ピクロキシジン、Amg-548、Cep-32496、Gsk-1070916、Gsk-461364、Ly-2584702、フルドキソポン、クロドキソポン、Amg-900、Mk-6592、Mk- 8033、Azd-1775、ムブリチニブ、モセチノスタット、Pf-3758309、R428、ラルチトレキセド、XL228、Azd3514、エリノグレル、Tak-901、Chir-265、バフェチニブ、Ac-480、Cc-401、ニロチニブ、ラドチニブ、ゴルバチニブ、アベキシノスタット、Ast-487、Enmd-2076、Bms-833923、ドラフラジン、テゾセンタン、ロメトレキソール、シヌペロン、マレイン酸イコペジル、エルバニジン、グリシンダマイド、カミシナル、テゴブビル、フルメリドン、ロミタピド、マゾカリム、ロスラジン、ペラキンシン、レフルノミド、アファシフェナシン、Ag-13958、ロルピプラゾール、シポニモド、メスピペロン、XL019、ベンチピミン、ゾスキダル、ファシチバント、Amg-517、Ci-988、ボキシジン、グリカラミド、ニアプラジン、イソメタミジウム、メトフェナザート、トレニジン、フロトレニジン、ジフルアニン、ラマトロバン、ソネピプラゾール、タファミジス、ベルルカスト、ロピジン、ロトリフェン、ミオフラジン、タロトレキシン、チフラミゾール、トレフェンタニル、アサピプラント、リドフラジン、ルザドラン、プレラデナント、メディバジン、デラビルジン、ピフルチキソール、エベルコナゾール、テネリグリプチン、ダルトロバン、デラコキシブ、レレノプリド、アバガセスタット、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0010】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、セピモスタット、ビフェプラミド、カペセロド、ビフェプロフェン、ロルシナドール、スルファマゾン、アルタピゾン、ザルダリド、ネツピタント、カソピタント、ピパマジン、サペルコナゾール、バルマスチン、Bgt-226、イミドカルブ、エロピプラゾール、オキサフルマジン、フルペンチキソール、クロカプラミン、パリペリドン、チオスピロン、セルチンドール、ペロスピロン、ジプラシドン、ピクロキシジン、Ly-2584702、フルドキソポン、クロドキソポン、ムブリチニブ、モセチノスタット、Pf-3758309、ラルチトレキセド、Azd3514、エリノグレル、Ac-480、アベキシノスタット、Bms-833923、ドラフラジン、テゾセンタン、ロメトレキソール、シヌペロン、マレイン酸イコペジル、エルバニジン、グリシンダマイド、カミシナル、テゴブビル、フルメリドン、ロミタピド、マゾカリム、ロスラジン、ペラキンシン、アファシフェナシン、Ag-13958、ロルピプラゾール、シポニモド、メスピペロン、ベンチピミン、ゾスキダル、ファシチバント、Amg-517、Ci-988、ボキシジン、グリカラミド、ニアプラジン、イソメタミジウム、メトフェナザート、フロトレニジン、ジフルアニン、ラマトロバン、ソネピプラゾール、タファミジス、ベルルカスト、ロピジン、ロトリフェン、ミオフラジン、タロトレキシン、チフラミゾール、トレフェンタニル、アサピプラント、リドフラジン、ルザドラン、プレラデナント、メディバジン、デラビルジン、ピフルチキソール、エベルコナゾール、テネリグリプチン、ダルトロバン、デラコキシブ、レレノプリド、アバガセスタット、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0011】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、アベキシノスタット(PCI-24781)、Ac-480(BMS-599626)、アダボセルチブ(MK-1775)、Ag-13958、Amg-517、Amg-900、アサピプラント、Ast-487(NVP-AST487)、アバガセスタット(BMS-708163)、Azd3514、BAF312(シポニモド)、バフェチニブ(INNO-406)、ベムセンチニブ(R428)、Bgt-226(NVP-BGT226)、Bms-833923、Cc-401塩酸塩、Cep-32496、デラビルジン(メシル酸塩)、デラコキシブ、ドロプロピジン、Enmd-2076、フルペンチキソール二塩酸塩、ゴルバチニブ、Gsk-1070916、Gsk-461364、イミドカルブジプロピオン酸塩、レフルノミド、レボドロプロピジン、ロミタピド、Ly-2584702、MK2-AP(バッチ#2)、モセチノスタット(MGCD0103)、ムブリチニブ(TAK 165)、ナファモスタットメシル酸塩、ネツピタント、ニロチニブ(AMN-107)、パリペリドン、ペロスピロン塩酸塩、Pf-3758309、プレラデナント、ラドチニブ、RAF265(Chir-265)、ラルチトレキセド、ラマトロバン、タファミジス、Tak-901、テゴブビル、テネリグリプチン臭化水素酸塩、XL019、XL228、ジプラシドンHCl、ゾスキダル(LY335979) 3HCl、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0012】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、ロミタピド、ペロスピロン、アベキシノスタット、AG-13958、レボドロプロピジン、ニロチニブ、AMG-900、AMG-517、デラビルジン、Bgt-226、モセチノスタット、タファミジス、XL019、ラドチニブ、ジプラシドン、ムブリチニブ、ラマトロバン、デラコキシブ、ラルチトレキセド、GSK461364、アダボセルチブ、テゴブビル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0013】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、レフルノミド、ネツピタント、パリペリドン、ロミタピド、ペロスピロン塩酸塩、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0014】
別の局面において、治療上有効な量の本明細書で記載されるMK2アクチベータを含む、血管障害または内皮バリア障害を処置するための組成物が、本明細書で提供される。
【0015】
別の局面において、治療上有効な量の本明細書で記載されるMK2アクチベーターおよび薬学的に受容可能な賦形剤を含む、血管障害または内皮バリア障害の処置のための薬学的組成物が、本明細書で提供される。
【0016】
別の局面において、治療上有効な量の本明細書で記載されるMK2アクチベーターを含む、血管障害または内皮バリア障害の処置のための単位投与形態が、本明細書で提供される。
【0017】
別の局面において、必要性のある患者において血管障害または内皮バリア障害を処置するための方法であって、上記方法は、一般に、治療上有効な量の本明細書で記載されるMK2アクチベーターを上記患者に投与する工程を包含する方法が、本明細書で提供される。
【0018】
ある特定の実施形態において、上記血管障害は、血管漏出障害である。
【0019】
ある特定の実施形態において、上記内皮バリア障害は、微小血管バリア漏出障害である。ある特定の実施形態において、上記微小血管バリア漏出障害は、炎症性腸疾患、脳浮腫、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、および肺浮腫からなる群より選択される。
【0020】
ある特定の実施形態において、上記急性呼吸窮迫症候群は、COVID-19と関連する。ある特定の実施形態において、上記急性呼吸窮迫症候群は、内皮バリアの過剰透過性と関連する。ある特定の実施形態において、上記急性呼吸窮迫症候群は、中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、および肺炎からなる群より選択される感染性疾患と関連する。
【0021】
ある特定の実施形態において、上記急性肺傷害は、COVID-19と関連する。ある特定の実施形態において、上記急性肺傷害は、内皮バリアの過剰透過性と関連する。ある特定の実施形態において、上記急性肺傷害は、中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、および肺炎からなる群より選択される感染性疾患と関連する。
【0022】
ある特定の実施形態において、上記内皮バリア障害は、血管バリア漏出障害である。ある特定の実施形態において、上記血管バリア漏出障害は、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、妊娠高血圧腎症、および川崎病からなる群より選択される。
【0023】
ある特定の実施形態において、上記内皮バリア障害は、線維芽細胞関連障害である。ある特定の実施形態において、上記線維芽細胞関連障害は、創傷治癒、肺線維症、肝線維症、血管線維症、腎線維症、および組織リモデリングからなる群より選択される。
【0024】
ある特定の実施形態において、上記血管障害は、血管バリア障害である。ある特定の実施形態において、上記血管バリア障害は、消化管障害である。ある特定の実施形態において、上記消化管障害は、COVID-19と関連する。ある特定の実施形態において、上記消化管障害は、内皮バリアの過剰透過性と関連する。
【0025】
別の局面において、必要性のある患者において急性呼吸窮迫症候群を処置する方法であって、上記方法は、一般に、治療上有効な量の本明細書で記載されるMK2アクチベーターを上記患者に投与する工程を包含する方法が提供される。ある特定の実施形態において、上記急性呼吸窮迫症候群は、COVID-19と関連する。
【0026】
別の局面において、必要性のある患者において急性肺傷害を処置する方法であって、上記方法は、一般に、治療上有効な量の本明細書で記載されるMK2アクチベーターを上記患者に投与する工程を包含する方法が提供される。ある特定の実施形態において、上記急性肺傷害は、COVID-19と関連する。
【0027】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、上記患者に静脈内投与される。ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、上記患者に経口投与される。ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、上記患者に非経口投与される。ある特定の実施形態において、上記患者は、ヒトである。
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、MK2アクチベーターありおよびなしで処理した細胞の溶解物に対して抗phospho HSP-27および抗HSP-27抗体を使用するウェスタンブロットの画像を示す。
【0029】
図2図2は、種々の推定MK2結合アクチベーターで認められるとおりのウェスタンブロットからの正規化されたリン酸化シグナルを示すヒストグラムである。
【0030】
図3図3は、抗phospho-HSP-27抗体試薬を直接分析することによって生成したphospho-HSP-27 ELISA標準曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
本明細書で一般的に記載されるように、本開示は、必要性のある患者において本明細書で記載される障害、例えば、血管障害または内皮バリア障害を、MK2アクチベーターを使用して処置する方法を提供する。治療上有効な量のMK2アクチベーターまたはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物および薬学的組成物がまた、本明細書で提供される。
【0032】
MK2アクチベーター
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ-活性化タンパク質キナーゼ2(MK2またはMAPKAPK2)、UniProt ID P49137は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ-活性化タンパク質キナーゼ(MAPKAPK)ファミリー(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)シグナル伝達によって活性化されるキナーゼの群)に属するキナーゼである。MK2は、p38αによって活性化され、炎症性サイトカインの生成を調節する。このキナーゼは、p38 MAPキナーゼの直接的リン酸化を介して調節される。p38 MAPキナーゼとともに、このキナーゼは、ストレスおよび炎症応答、核エクスポート、遺伝子発現調節および細胞増殖を含む多くの細胞プロセスに関与することが公知である。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記MK2タンパク質は、全長タンパク質またはその機能的フラグメントである。ある特定の実施形態において、上記MK2タンパク質は、表1に列挙されるように、配列番号1のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態において、上記MK2タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列の機能的フラグメント(例えば、触媒ドメイン)を含む。ある特定の実施形態において、MK2タンパク質またはその機能的フラグメントは、配列番号1と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%)同一のアミノ酸配列を含むアミノ酸を含む。
【0034】
本明細書で記載されるMK2アクチベーターは、本明細書で記載される障害の処置、予防またはリスクの低減において有用であり得る。例えば、本明細書で記載されるMK2アクチベーターは、必要性のある患者において血管障害または内皮バリア障害を処置するにあたって有用であり得る。ある特定の実施形態において、血管障害の処置のためのMK2アクチベーターが本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、内皮バリア障害の処置のためのMK2アクチベーターが本明細書で提供される。
【0035】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、500Da、550Da、600Da、650Da、700Da、750Da、800Da、850Da、900Da、950Da、1000Da、1050Da、1100Da、1150Da、1200Da、1250Da、1300Da、1350Da、1400Da、1450Da、または1500Da未満の分子量を有する。いくつかの実施形態において、上記MK2アクチベーターは、1000Da未満の分子量を有する。
【0036】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、MK2のCローブドメインに位置する結合ポケットに結合する。ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインは、表1に列挙されるように、配列番号2のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインは、配列番号2と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%)同一のアミノ酸配列を含む。
【0037】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、MK2のC末端調節ドメインに位置する結合ポケットに結合する。ある特定の実施形態において、上記MK2のC末端調節ドメインは、表1に列挙されるように、配列番号3のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態において、上記MK2のC末端調節ドメインは、配列番号3と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%)同一のアミノ酸配列を含む。
【0038】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットに結合する。
【0039】
種々の実施形態において、必要性のある患者において血管障害または内皮バリア障害を処置するためのMK2アクチベーターであって、ここで上記MK2アクチベーターは、1000Da未満の分子量を有し;上記MK2アクチベーターは、上記MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットに結合するMK2アクチベーターが、本明細書で提供される。
【0040】
ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットは、M275、K276、I279、V352、E354、E355、S358、A359、およびT362からなる群より選択される配列番号1の1個またはこれより多くのアミノ酸残基(例えば、1個のアミノ酸、2個のアミノ酸、3個のアミノ酸、4個のアミノ酸、5個のアミノ酸、6個のアミノ酸、7個のアミノ酸、8個のアミノ酸、または9個のアミノ酸)を含む。ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットは、配列番号1のアミノ酸残基M275、K276、I279、V352、E354、E355、S358、A359、およびT362を含む。
【0041】
ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットは、配列番号1のY260、Y264、S265、N266、H267、E285、F286、P287、N288、P289、E290、およびV341からなる群より選択される配列番号1の1個またはこれより多くのアミノ酸残基(例えば、1個のアミノ酸、2個のアミノ酸、3個のアミノ酸、4個のアミノ酸、5個のアミノ酸、6個のアミノ酸、7個のアミノ酸、8個のアミノ酸、9個のアミノ酸、10個のアミノ酸またはこれより多く)を含む。ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットは、アミノ酸残基Y260、Y264、S265、N266、H267、E285、F286、P287、N288、P289、E290、およびV341を含む。
【0042】
ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットは、配列番号1のY260、Y264、S265、N266、H267、A270、I271、S272、P273、G274、M275、K276、R278、I279、E285、F286、P287、N288、P289、E290、V341、E347、R348、E350、D351、V352、E354、E355、S358、A359、およびT362からなる群より選択される配列番号1の1個またはこれより多くのアミノ酸残基(例えば、1個のアミノ酸、2個のアミノ酸、3個のアミノ酸、4個のアミノ酸、5個のアミノ酸、6個のアミノ酸、7個のアミノ酸、8個のアミノ酸、9個のアミノ酸、10個のアミノ酸またはこれより多く)を含む。ある特定の実施形態において、上記MK2のCローブドメインおよびC末端調節ドメインに位置する結合ポケットは、アミノ酸残基Y260、Y264、S265、N266、H267、A270、I271、S272、P273、G274、M275、K276、R278、I279、E285、F286、P287、N288、P289、E290、V341、E347、R348、E350、D351、V352、E354、E355、S358、A359、およびT362を含む。
【0043】
ある特定の実施形態において、上記結合ポケットは、配列番号1のアミノ酸残基Y260とT362との間に位置する。ある特定の実施形態において、上記結合ポケットは、配列番号1のアミノ酸残基E290とD351との間に位置する。
表1.
【表1】
【0044】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、約-1kcalもしくはこれより小さい、約-1.5kcalもしくはこれより小さい、約-2kcalもしくはこれより小さい、約-2.5kcalもしくはこれより小さい、約-3kcalもしくはこれより小さい、約-3.5kcalもしくはこれより小さい、約-4kcalもしくはこれより小さい、約-4.5kcalもしくはこれより小さい、約-5kcalまたはこれより低い, 約-5.5kcalもしくはこれより小さい、約-6kcalもしくはこれより小さい、約-6.5kcalもしくはこれより小さい、約-7kcalもしくはこれより小さい、約-7.5kcalもしくはこれより小さい、または約-8kcalもしくはこれより小さい結合親和性を有する結合ポケットに結合する。ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、約-5kcalまたはこれより低い結合親和性を有する結合ポケットに結合する。
【0045】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、他のキナーゼよりMK2に対して選択的である。
【0046】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、表2に示される任意の化合物またはその薬学的に受容可能な塩から選択されるMK2アクチベーターである。
【0047】
MK2アクチベーターの例としては、フルメリドン、ザルダリド、メトフェナザート、Ci-988、Ac-480、カミシナル、ネツピタント、カソピタント、エリノグレル、シヌペロン、シポニモド、ファシチバント、バルマスチン、モセチノスタット、アベキシノスタット、Bms-833923、グリカラミド、アファシフェナシン、マゾカリム、Amg-517、Pf-03758309、ロミタピド、スルファマゾン、ラルチトレキセド、ムブリチニブ、ゾスキダル、エロピプラゾール、クロカプラミン、カペセロド、オキサフルマジン、フルペンチキソール、パリペリドン、チオスピロン、セルチンドール、ペロスピロン、ジプラシドン、マレイン酸イコペジル、ロスラジン、ロルピプラゾール、メスピペロン、ニアプラジン、ビフェプラミド、ペラキンシン、ベンチピミン、グリシンダマイド、ドラフラジン、Bgt-226、ロメトレキソール、イソメタミジウム、テゴブビル、セピモスタット、サペルコナゾール、ピクロキシジン、Azd3514、ボキシジン、アルタピゾン、フロトレニジン、ジフルアニン、ビフェプロフェン、ロルシナドール、ピパマジン、イミドカルブ、Ly-2584702、フルドキソポン、クロドキソポン、エルバニジン、テゾセンタン、Ag-13958、ゲムシタビン、ラマトロバン、ソネピプラゾール、タファミジス、ベルルカスト、ロピジン、ロトリフェン、ミオフラジン、タロトレキシン、チフラミゾール、トレフェンタニル、アサピプラント、リドフラジン、ルザドラン、プレラデナント、メディバジン、デラビルジン、ピフルチキソール、エベルコナゾール、テネリグリプチン、ダルトロバン、デラコキシブ、レレノプリド、およびアバガセスタットが挙げられるが、これらに限定されない。MK2アクチベーターの他の例としては、Amg-548、Cep-32496(アゲラフェニブ)、Gsk-1070916、Gsk-461364、Amg- 900、Mk-6592、Mk-8033、Azd-1775(アダボセルチブ)、R428(ベムセンチニブ)、Xl-228、Tak-901、Chir-265、バフェチニブ、Cc-401、ニロチニブ、ラドチニブ、ゴルバチニブ、Ast-487、Enmd-2076、レフルノミド、Xl-019、およびトレニジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明のMK2アクチベーターの他の例は、例えば、Lagardeら, Oncotarget., 2018, 9(64), 32346-32361; Wishartら, Nucleic Acids Res., 2018, 46(D1), D1074-D1082; Ursuら, Nucleic Acids Res. 2019, 47(D1), D963-D970; Siramshettyら, Nucleic Acids Res., 2018, 46(D1), D1137-D1143;およびMendezら, Nucleic Acids Res., 2019, 47(D1), D930-D940(これらの各々は、それらの全体において本明細書に参考として援用される)において見出され得る。
【0049】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、セピモスタット、ビフェプラミド、カペセロド、ビフェプロフェン、ロルシナドール、スルファマゾン、アルタピゾン、ザルダリド、ネツピタント、カソピタント、ピパマジン、サペルコナゾール、バルマスチン、Bgt-226、イミドカルブ、エロピプラゾール、オキサフルマジン、フルペンチキソール、クロカプラミン、パリペリドン、チオスピロン、セルチンドール、ペロスピロン、ジプラシドン、ピクロキシジン、Amg-548、Cep-32496、Gsk-1070916、Gsk-461364、Ly-2584702、フルドキソポン、クロドキソポン、Amg-900、Mk-6592、Mk-8033、Azd-1775、ムブリチニブ、モセチノスタット、Pf-3758309、R428、ラルチトレキセド、XL228、Azd3514、エリノグレル、Tak-901、Chir-265、バフェチニブ、Ac-480、Cc-401、ニロチニブ、ラドチニブ、ゴルバチニブ、アベキシノスタット、Ast-487、Enmd-2076、Bms-833923、ドラフラジン、テゾセンタン、ロメトレキソール、シヌペロン、イコペジル、エルバニジン、グリシンダマイド、カミシナル、テゴブビル、フルメリドン、ロミタピド、マゾカリム、ロスラジン、ペラキンシン、レフルノミド、アファシフェナシン、Ag-13958、ロルピプラゾール、シポニモド、メスピペロン、XL019、ベンチピミン、ゾスキダル、ファシチバント、Amg-517、Ci-988、ボキシジン、グリカラミド、ニアプラジン、イソメタミジウム、メトフェナザート、トレニジン、フロトレニジン、ジフルアニン、ラマトロバン、ソネピプラゾール、タファミジス、ベルルカスト、ロピジン、ロトリフェン、ミオフラジン、タロトレキシン、チフラミゾール、トレフェンタニル、アサピプラント、リドフラジン、ルザドラン、プレラデナント、メディバジン、デラビルジン、ピフルチキソール、エベルコナゾール、テネリグリプチン、ダルトロバン、デラコキシブ、レレノプリド、アバガセスタット、ドロプロピジン、レボドロプロピジン、MK2-AP、ナファモスタット、およびこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される。
【0050】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、セピモスタット、ビフェプラミド、カペセロド、ビフェプロフェン、ロルシナドール、スルファマゾン、アルタピゾン、ザルダリド、ネツピタント、カソピタント、ピパマジン、サペルコナゾール、バルマスチン、Bgt-226、イミドカルブ、エロピプラゾール、オキサフルマジン、フルペンチキソール、クロカプラミン、パリペリドン、チオスピロン、セルチンドール、ペロスピロン、ジプラシドン、ピクロキシジン、Amg-548、Cep-32496、Gsk-1070916、Gsk-461364、Ly-2584702、フルドキソポン、クロドキソポン、Amg-900、Mk-6592、Mk-8033、Azd-1775、ムブリチニブ、モセチノスタット、Pf-3758309、R428、ラルチトレキセド、XL228、Azd3514、エリノグレル、Tak-901、Chir-265、バフェチニブ、Ac-480、Cc-401、ニロチニブ、ラドチニブ、ゴルバチニブ、アベキシノスタット、Ast-487、Enmd-2076、Bms-833923、ドラフラジン、テゾセンタン、ロメトレキソール、シヌペロン、マレイン酸イコペジル、エルバニジン、グリシンダマイド、カミシナル、テゴブビル、フルメリドン、ロミタピド、マゾカリム、ロスラジン、ペラキンシン、レフルノミド、アファシフェナシン、Ag-13958、ロルピプラゾール、シポニモド、メスピペロン、XL019、ベンチピミン、ゾスキダル、ファシチバント、Amg-517、Ci-988、ボキシジン、グリカラミド、ニアプラジン、イソメタミジウム、メトフェナザート、トレニジン、フロトレニジン、ジフルアニン、ラマトロバン、ソネピプラゾール、タファミジス、ベルルカスト、ロピジン、ロトリフェン、ミオフラジン、タロトレキシン、チフラミゾール、トレフェンタニル、アサピプラント、リドフラジン、ルザドラン、プレラデナント、メディバジン、デラビルジン、ピフルチキソール、エベルコナゾール、テネリグリプチン、ダルトロバン、デラコキシブ、レレノプリド、アバガセスタット、ドロプロピジン、レボドロプロピジン、MK2-AP、ナファモスタットメシル酸塩、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0051】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、セピモスタット、ビフェプラミド、カペセロド、ビフェプロフェン、ロルシナドール、スルファマゾン、アルタピゾン、ザルダリド、ネツピタント、カソピタント、ピパマジン、サペルコナゾール、バルマスチン、Bgt-226、イミドカルブ、エロピプラゾール、オキサフルマジン、フルペンチキソール、クロカプラミン、パリペリドン、チオスピロン、セルチンドール、ペロスピロン、ジプラシドン、ピクロキシジン、Amg-548、Cep-32496、Gsk-1070916、Gsk-461364、Ly-2584702、フルドキソポン、クロドキソポン、Amg-900、Mk-6592、Mk-8033、Azd-1775、ムブリチニブ、モセチノスタット、Pf-3758309、R428、ラルチトレキセド、XL228、Azd3514、エリノグレル、Tak-901、Chir-265、バフェチニブ、Ac-480、Cc-401、ニロチニブ、ラドチニブ、ゴルバチニブ、アベキシノスタット、Ast-487、Enmd-2076、Bms-833923、ドラフラジン、テゾセンタン、ロメトレキソール、シヌペロン、イコペジル、エルバニジン、グリシンダマイド、カミシナル、テゴブビル、フルメリドン、ロミタピド、マゾカリム、ロスラジン、ペラキンシン、レフルノミド、アファシフェナシン、Ag-13958、ロルピプラゾール、シポニモド、メスピペロン、XL019、ベンチピミン、ゾスキダル、ファシチバント、Amg-517、Ci-988、ボキシジン、グリカラミド、ニアプラジン、イソメタミジウム、メトフェナザート、トレニジン、フロトレニジン、ジフルアニン、ラマトロバン、ソネピプラゾール、タファミジス、ベルルカスト、ロピジン、ロトリフェン、ミオフラジン、タロトレキシン、チフラミゾール、トレフェンタニル、アサピプラント、リドフラジン、ルザドラン、プレラデナント、メディバジン、デラビルジン、ピフルチキソール、エベルコナゾール、テネリグリプチン、ダルトロバン、デラコキシブ、レレノプリド、アバガセスタット、およびこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される。
【0052】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、セピモスタット、ビフェプラミド、カペセロド、ビフェプロフェン、ロルシナドール、スルファマゾン、アルタピゾン、ザルダリド、ネツピタント、カソピタント、ピパマジン、サペルコナゾール、バルマスチン、Bgt-226、イミドカルブ、エロピプラゾール、オキサフルマジン、フルペンチキソール、クロカプラミン、パリペリドン、チオスピロン、セルチンドール、ペロスピロン、ジプラシドン、ピクロキシジン、Amg-548、Cep-32496、Gsk-1070916、Gsk-461364、Ly-2584702、フルドキソポン、クロドキソポン、Amg-900、Mk-6592、Mk-8033、Azd-1775、ムブリチニブ、モセチノスタット、Pf-3758309、R428、ラルチトレキセド、XL228、Azd3514、エリノグレル、Tak-901、Chir-265、バフェチニブ、Ac-480、Cc-401、ニロチニブ、ラドチニブ、ゴルバチニブ、アベキシノスタット、Ast-487、Enmd-2076、Bms-833923、ドラフラジン、テゾセンタン、ロメトレキソール、シヌペロン、マレイン酸イコペジル、エルバニジン、グリシンダマイド、カミシナル、テゴブビル、フルメリドン、ロミタピド、マゾカリム、ロスラジン、ペラキンシン、レフルノミド、アファシフェナシン、Ag-13958、ロルピプラゾール、シポニモド、メスピペロン、XL019、ベンチピミン、ゾスキダル、ファシチバント、Amg-517、Ci-988、ボキシジン、グリカラミド、ニアプラジン、イソメタミジウム、メトフェナザート、トレニジン、フロトレニジン、ジフルアニン、ラマトロバン、ソネピプラゾール、タファミジス、ベルルカスト、ロピジン、ロトリフェン、ミオフラジン、タロトレキシン、チフラミゾール、トレフェンタニル、アサピプラント、リドフラジン、ルザドラン、プレラデナント、メディバジン、デラビルジン、ピフルチキソール、エベルコナゾール、テネリグリプチン、ダルトロバン、デラコキシブ、レレノプリド、アバガセスタット、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0053】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、セピモスタット、ビフェプラミド、カペセロド、ビフェプロフェン、ロルシナドール、スルファマゾン、アルタピゾン、ザルダリド、ネツピタント、カソピタント、ピパマジン、サペルコナゾール、バルマスチン、Bgt-226、イミドカルブ、エロピプラゾール、オキサフルマジン、フルペンチキソール、クロカプラミン、パリペリドン、チオスピロン、セルチンドール、ペロスピロン、ジプラシドン、ピクロキシジン、Ly-2584702、フルドキソポン、クロドキソポン、ムブリチニブ、モセチノスタット、Pf-3758309、ラルチトレキセド、Azd3514、エリノグレル、Ac-480、アベキシノスタット、Bms-833923、ドラフラジン、テゾセンタン、ロメトレキソール、シヌペロン、マレイン酸イコペジル、エルバニジン、グリシンダマイド、カミシナル、テゴブビル、フルメリドン、ロミタピド、マゾカリム、ロスラジン、ペラキンシン、アファシフェナシン、Ag-13958、ロルピプラゾール、シポニモド、メスピペロン、ベンチピミン、ゾスキダル、ファシチバント、Amg-517、Ci-988、ボキシジン、グリカラミド、ニアプラジン、イソメタミジウム、メトフェナザート、フロトレニジン、ジフルアニン、ラマトロバン、ソネピプラゾール、タファミジス、ベルルカスト、ロピジン、ロトリフェン、ミオフラジン、タロトレキシン、チフラミゾール、トレフェンタニル、アサピプラント、リドフラジン、ルザドラン、プレラデナント、メディバジン、デラビルジン、ピフルチキソール、エベルコナゾール、テネリグリプチン、ダルトロバン、デラコキシブ、レレノプリド、アバガセスタット、およびこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される。
【0054】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、セピモスタット、ビフェプラミド、カペセロド、ビフェプロフェン、ロルシナドール、スルファマゾン、アルタピゾン、ザルダリド、ネツピタント、カソピタント、ピパマジン、サペルコナゾール、バルマスチン、Bgt-226、イミドカルブ、エロピプラゾール、オキサフルマジン、フルペンチキソール、クロカプラミン、パリペリドン、チオスピロン、セルチンドール、ペロスピロン、ジプラシドン、ピクロキシジン、Ly-2584702、フルドキソポン、クロドキソポン、ムブリチニブ、モセチノスタット、Pf-3758309、ラルチトレキセド、Azd3514、エリノグレル、Ac-480、アベキシノスタット、Bms-833923、ドラフラジン、テゾセンタン、ロメトレキソール、シヌペロン、マレイン酸イコペジル、エルバニジン、グリシンダマイド、カミシナル、テゴブビル、フルメリドン、ロミタピド、マゾカリム、ロスラジン、ペラキンシン、アファシフェナシン、Ag-13958、ロルピプラゾール、シポニモド、メスピペロン、ベンチピミン、ゾスキダル、ファシチバント、Amg-517、Ci-988、ボキシジン、グリカラミド、ニアプラジン、イソメタミジウム、メトフェナザート、フロトレニジン、ジフルアニン、ラマトロバン、ソネピプラゾール、タファミジス、ベルルカスト、ロピジン、ロトリフェン、ミオフラジン、タロトレキシン、チフラミゾール、トレフェンタニル、アサピプラント、リドフラジン、ルザドラン、プレラデナント、メディバジン、デラビルジン、ピフルチキソール、エベルコナゾール、テネリグリプチン、ダルトロバン、デラコキシブ、レレノプリド、アバガセスタット、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0055】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、アベキシノスタット(PCI-24781)、Ac-480(BMS-599626)、アダボセルチブ(MK-1775)、Ag-13958、Amg-517、Amg-900、アサピプラント、Ast-487(NVP-AST487)、アバガセスタット(BMS-708163)、Azd3514、BAF312(シポニモド)、バフェチニブ(INNO-406)、ベムセンチニブ(R428)、Bgt-226(NVP-BGT226)、Bms-833923、Cc-401、Cep-32496、デラビルジン、デラコキシブ、ドロプロピジン、Enmd-2076、フルペンチキソール、ゴルバチニブ、Gsk-1070916、Gsk-461364、イミドカルブ、レフルノミド、レボドロプロピジン、ロミタピド、Ly-2584702、MK2-AP、モセチノスタット(MGCD0103)、ムブリチニブ(TAK 165)、ナファモスタットメシル酸塩、ネツピタント、ニロチニブ(AMN-107)、パリペリドン、ペロスピロン、Pf-3758309、プレラデナント、ラドチニブ、RAF265(Chir-265)、ラルチトレキセド、ラマトロバン、タファミジス、Tak-901、テゴブビル、テネリグリプチン、XL019、XL228、ジプラシドン、ゾスキダル(LY335979)、およびこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される。
【0056】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、アベキシノスタット(PCI-24781)、Ac-480(BMS-599626)、アダボセルチブ(MK-1775)、Ag-13958、Amg-517、Amg-900、アサピプラント、Ast-487(NVP-AST487)、アバガセスタット(BMS-708163)、Azd3514、BAF312(シポニモド)、バフェチニブ(INNO-406)、ベムセンチニブ(R428)、Bgt-226(NVP-BGT226)、Bms-833923、Cc-401塩酸塩、Cep-32496、デラビルジン(mesylate)、デラコキシブ、ドロプロピジン、Enmd-2076、フルペンチキソール二塩酸塩、ゴルバチニブ、Gsk-1070916、Gsk-461364、イミドカルブジプロピオン酸塩、レフルノミド、レボドロプロピジン、ロミタピド、Ly-2584702、MK2-AP(バッチ#2)、モセチノスタット(MGCD0103)、ムブリチニブ(TAK 165)、ナファモスタットメシル酸塩、ネツピタント、ニロチニブ(AMN-107)、パリペリドン、ペロスピロン塩酸塩、Pf-3758309、プレラデナント、ラドチニブ、RAF265(Chir-265)、ラルチトレキセド、ラマトロバン、タファミジス、Tak-901、テゴブビル、テネリグリプチン臭化水素酸塩、XL019、XL228、ジプラシドンHCl、ゾスキダル(LY335979) 3HCl、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0057】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、ロミタピド、ペロスピロン、アベキシノスタット、AG-13958、レボドロプロピジン、ニロチニブ、AMG-900、AMG-517、デラビルジン、Bgt-226、モセチノスタット、タファミジス、XL019、ラドチニブ、ジプラシドン、ムブリチニブ、ラマトロバン、デラコキシブ、ラルチトレキセド、GSK461364、アダボセルチブ、テゴブビル、およびこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される。
【0058】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、ロミタピド、ペロスピロン、アベキシノスタット、AG-13958、レボドロプロピジン、ニロチニブ、AMG-900、AMG-517、デラビルジン、Bgt-226、モセチノスタット、タファミジス、XL019、ラドチニブ、ジプラシドン、ムブリチニブ、ラマトロバン、デラコキシブ、ラルチトレキセド、GSK461364、アダボセルチブ、テゴブビル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0059】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、レフルノミド、ネツピタント、パリペリドン、ロミタピド、ペロスピロン、およびこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される。
【0060】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、レフルノミド、ネツピタント、パリペリドン、ロミタピド、ペロスピロン塩酸塩、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
表2. MK2アクチベーター化合物のリスト
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0061】
別の局面において、MK2アクチベーターまたはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、本明細書で記載されるMK2アクチベーターまたはその薬学的に受容可能な塩(例えば、表2に示される任意の化合物から選択されるMK2アクチベーター)である。
【0062】
種々の実施形態において、本明細書で記載される組成物は、血管障害または内皮バリア障害の処置、予防およびリスクの低減のために有用であり得る。
【0063】
本開示の組成物は、必要性のある患者において本明細書で記載される障害(例えば、血管障害、内皮バリア障害)の1またはこれより多くの症状を改善するために十分な量において投与され得る。
【0064】
種々の実施形態において、治療上有効な量の本明細書で記載されるMK2アクチベーターを含む、血管障害または内皮バリア障害の処置のための組成物が、本明細書で提供される。
【0065】
さらに、本明細書で提供される組成物は、種々の経路(経口(経腸)投与、非経口(注射による)投与、直腸投与、経皮投与、皮内投与、髄腔内投与、皮下(SC)投与、静脈内(IV)投与、筋肉内(IM)投与、吸入、噴霧化、および鼻内投与が挙げられるが、これらに限定されない)によって投与され得る。
【0066】
ある特定の実施形態において、上記組成物は、静脈内に、経口的に、皮下に、または筋肉内に投与される。ある特定の実施形態において、上記組成物は、静脈内投与される。ある特定の実施形態において、上記組成物は、経口投与される。ある特定の実施形態において、上記組成物は、非経口投与される。いくつかの実施形態において、上記組成物は、長期的に投与される。いくつかの実施形態において、上記組成物は、連続的に(例えば、連続静脈内注入によって)投与される。
【0067】
さらに、本明細書で提供される組成物は、正確な投与を容易にするために単位投与形態において提示され得る。用語「単位投与形態」とは、ヒト被験体および他の哺乳動物のために単位投与量として適切な物理的に不連続の単位であって、各々の単位は、適切な薬学的賦形剤と会合した状態で、所望の治療効果を生じるために計算された活性物質の所定の量を含むものに言及する。
【0068】
別の局面において、治療上有効な量の本明細書で記載されるMK2アクチベーターを含む、血管障害または内皮バリア障害の処置のための単位投与形態が、本明細書で提供される。
【0069】
薬学的組成物
1つの局面において、MK2アクチベーターまたはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、本明細書で記載されるMK2アクチベーターまたはその薬学的に受容可能な塩(例えば、表2に示される任意の化合物から選択されるMK2アクチベーター)である。
【0070】
種々の実施形態において、本明細書で記載される薬学的組成物は、血管障害または内皮バリア障害の処置、予防およびリスクの低減のために有用であり得る。
【0071】
本開示の薬学的組成物は、必要性のある患者において本明細書で記載される障害(例えば、血管障害、内皮バリア障害)の1またはこれより多くの症状を改善するために十分な量において投与され得る。
【0072】
ある特定の実施形態において、本開示のMK2アクチベーターは、上記薬学的組成物において有効量で提供される。ある特定の実施形態において、本開示のMK2アクチベーターは、治療上有効な量で提供される。
【0073】
種々の実施形態において、治療上有効な量の本明細書で記載されるMK2アクチベーターを含む、血管障害または内皮バリア障害の処置のための薬学的組成物が、本明細書で提供される。
【0074】
本明細書で提供される薬学的組成物は、種々の経路(経口(経腸)投与、非経口(注射による)投与、直腸投与、経皮投与、皮内投与、髄腔内投与、皮下(SC)投与、静脈内(IV)投与、筋肉内(IM)投与、吸入、噴霧化、および鼻内投与が挙げられるが、これらに限定されない)によって投与され得る。
【0075】
別の局面において、本開示は、本開示の組成物および薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物(例えば、静脈内(IV)投与のような注射に適した組成物)を提供する。
【0076】
ある特定の実施形態において、上記薬学的組成物は、静脈内に、経口的に、皮下に、または筋肉内に投与される。ある特定の実施形態において、上記薬学的組成物は、静脈内投与される。ある特定の実施形態において、上記薬学的組成物は、経口投与される。ある特定の実施形態において、上記薬学的組成物は、非経口投与される。いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物は、長期的に投与される。いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物は、連続的に(例えば、連続静脈内注入によって)投与される。
【0077】
さらに、本明細書で記載される薬学的組成物は、正確な投与を容易にするために単位投与形態において提示され得る。
【0078】
本明細書で提供される薬学的組成物の記載は、ヒトへの投与に適した薬学的組成物に主に関するが、このような組成物が、全ての種類の動物への投与に概して適していることは、当業者によって理解される。種々の動物への投与に適した組成物にするためのヒトへの投与に適した薬学的組成物の改変は、十分に理解され、通常の技術を持った獣医薬理学者は、通常の実験でこのような改変を設計および/または実施し得る。薬学的組成物の製剤化および/または製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 第21版, Lippincott Williams & Wilkins, 2005に見出され得る。
【0079】
使用および処置の方法
本明細書で記載されるMK2アクチベーターは、本明細書で記載される障害に罹患している患者を処置するにあたって有用であり得る。例えば、本開示の方法は、内皮バリアを増強するために、低分子ヒートショックタンパク質HSP-27のリン酸化の活性化に有用であり得る。よって、本開示の方法は、例えば、血管障害または内皮バリア障害(例えば、急性呼吸窮迫症候群)に罹患している患者を処置するために有用であり得る。処置され得る障害の例は、以下に記載される。
【0080】
種々の実施形態において、本明細書で記載される障害に罹患している患者を処置する方法であって、上記方法は、治療上有効な量の本明細書で記載されるMK2アクチベーター(例えば、表2に示される任意の化合物から選択されるMK2アクチベーター)を上記患者に投与する工程を包含する方法が、本明細書で提供される。
【0081】
本開示の一局面は、血管障害、例えば、血管炎、血管漏出障害、腹部大動脈瘤、アテローム性動脈硬化症、頚動脈疾患/頚動脈狭窄、慢性静脈不全、間欠性跛行、深部静脈血栓症、末梢血管疾患、肺塞栓症、肺高血圧症、脳虚血、脳卒中、レイノー現象、腎血管疾患、胸部大動脈瘤、心臓発作、および拡張蛇行静脈に罹患している患者を処置する方法を提供する。特に、ある特定の実施形態において、本開示は、治療上有効な量のMK2アクチベーターを必要性のある患者に投与する工程を包含する、以下の医学的適応症を処置する方法を提供する。
【0082】
ある特定の実施形態において、上記血管障害は、血管漏出障害である。
【0083】
種々の実施形態において、上記血管障害は、内皮と関連する。ある特定の実施形態において、上記血管障害は、内皮バリア障害である。ある特定の実施形態において、上記内皮バリア障害は、微小血管バリア漏出障害である。
【0084】
ある特定の実施形態において、上記血管障害は、血管炎である。いくつかの実施形態において、上記血管炎は、大血管炎、中血管炎、および小血管炎からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記大血管炎は、高安動脈炎および側頭動脈炎から選択される。いくつかの実施形態において、上記中血管炎は、バージャー病、川崎病、および結節性多発動脈炎からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記小血管炎は、ベーチェット症候群、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(チャーグ-ストラウス症候群としても公知)、皮膚血管炎、多発血管炎を伴う肉芽腫症、ヘノッホシェーライン紫斑病、および顕微鏡的多発血管炎からなる群より選択される。ある特定の実施形態において、上記好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ-ストラウス症候群としても公知)は、急性呼吸窮迫症候群と関連する。ある特定の実施形態において、上記多発血管炎性肉芽腫症は、肺炎と関連する。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記血管障害は、ウイルスと関連する(例えば、ウイルスによって誘導される)。ある特定の実施形態において、上記血管障害は、RNAウイルス、DNAウイルス、コロナウイルス、パピローマウイルス、ニューモウイルス、インフルエンザウイルス、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アルファウイルス、ブンヤウイルス(例えば、ハンタウイルス)、フィロウイルス(例えば、エボラウイルス)、およびアルボウイルス(例えば、黄熱ウイルス、デングウイルス)からなる群より選択されるウイルスと関連する(例えば、ウイルスによって誘導される)。ある特定の実施形態において、上記血管障害は、コロナウイルスと関連する(例えば、コロナウイルスによって誘導される)。いくつかの実施形態において、上記血管障害と関連するコロナウイルスは、229Eアルファコロナウイルス、NL63アルファコロナウイルス、OC43ベータコロナウイルス、HKU1ベータコロナウイルス、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、および新型コロナウイルス感染症2019(SARS-CoV-2またはCOVID-19)からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記血管障害と関連するコロナウイルスは、COVID-19である。
【0086】
他の実施形態において、上記ウイルスは、カナリア痘ウイルス、ウシ伝染性鼻腔気管炎ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、パラインフルエンザ3ウイルス、ウシRSウイルス、ネコカリシウイルス、クラミジアウイルス、イヌコロナウイルス、汎血球減少症ウイルス、ネコ白血病ウイルス、A型肝炎、B型肝炎、およびC型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)および2型(HIV-2)、サイトメガロウイルス、ヒトTリンパ向性ウイルスI型(HTLV-I)およびII型(HTLV-II)、脳炎ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、RSウイルス、ロタウイルス、天然痘ウイルス、腸チフスワクチンウイルス、水痘ウイルス、ならびに黄熱ワクチンウイルスからなる群より選択される。
【0087】
実施形態において、上記血管障害は、細菌と関連する(例えば、細菌によって誘導される)。ある特定の実施形態において、上記細菌は、Streptococcus pneumoniae、Staphylococcus aureus、A群Streptococcus、Klebsiella pneumoniae、Haemophilus influenzae、Moraxella catarrhalis、嫌気性菌、Bacillus anthracis(炭疽)、およびグラム陰性生物からなる群より選択される。
【0088】
本開示の別の局面は、内皮バリア障害、例えば、微小血管バリア漏出障害、血管バリア漏出障害、血管バリア障害、および消化管障害に罹患している患者を処置する方法を提供する。ある特定の実施形態において、上記微小血管バリア漏出障害は、炎症性腸疾患、脳浮腫、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、および肺浮腫からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記血管バリア漏出障害は、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、妊娠高血圧腎症、および川崎病からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記内皮バリア障害は、血管バリア障害である。いくつかの実施形態において、上記血管バリア障害は、線維芽細胞関連障害である。いくつかの実施形態において、上記線維芽細胞関連障害は、創傷治癒、肺線維症、肺線維症、肝線維症、血管線維症、腎線維症、および組織リモデリングからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記消化管障害は、セリアック病、便秘、クローン病、下痢、憩室症、胃食道逆流症(GERD)、痔核および裂肛、過敏性腸症候群、乳糖不耐症、吸収不良症候群、ポリープおよび大腸がん、消化性潰瘍疾患(PUD)、潰瘍性大腸炎、および嘔吐からなる群より選択される。特に、ある特定の実施形態において、本開示は、治療上有効な量のMK2アクチベーターを必要性のある患者に投与する工程を包含する、以下の医学的適応症を処置する方法を提供する。
【0089】
種々の実施形態において、上記内皮バリア障害は、内皮バリアの過剰透過性と関連する。いくつかの実施形態において、上記内皮バリアの過剰透過性は、COVID-19と関連する(例えば、COVID-19によって誘導される)。いくつかの実施形態において、上記内皮バリアの過剰透過性は、急性呼吸窮迫症候群と関連する。いくつかの実施形態において、上記過剰透過性内皮バリアは、急性肺傷害と関連する。
【0090】
いくつかの実施形態において、上記内皮バリア障害は、ウイルスと関連する(例えば、ウイルスによって誘導される)。ある特定の実施形態において、上記過剰透過性内皮バリアは、ウイルスと関連する(例えば、ウイルスによって誘導される)。例えば、上記ウイルスは、RNAウイルス、DNAウイルス、コロナウイルス、パピローマウイルス、ニューモウイルス、インフルエンザウイルス、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アルファウイルス、ブンヤウイルス(例えば、ハンタウイルス)、フィロウイルス(例えば、エボラウイルス)、およびアルボウイルス(例えば、黄熱ウイルス、デングウイルス)からなる群より選択される。ある特定の実施形態において、上記内皮バリア障害は、コロナウイルスと関連する。いくつかの実施形態において、上記内皮バリア障害と関連するコロナウイルスは、229Eアルファコロナウイルス、NL63アルファコロナウイルス、OC43ベータコロナウイルス、HKU1ベータコロナウイルス、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、および新型コロナウイルス感染症2019(SARS-CoV-2またはCOVID-19)からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記内皮バリア障害と関連するコロナウイルスは、COVID-19である。
【0091】
他の実施形態において、上記ウイルスは、カナリア痘ウイルス、ウシ伝染性鼻腔気管炎ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、パラインフルエンザ3ウイルス、ウシRSウイルス、ネコカリシウイルス、クラミジアウイルス、イヌコロナウイルス、汎血球減少症ウイルス、ネコ白血病ウイルス、A型肝炎、B型肝炎、およびC型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)および2型(HIV-2)、サイトメガロウイルス、ヒトTリンパ向性ウイルスI型(HTLV-I)およびII型(HTLV-II)、脳炎ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、RSウイルス、ロタウイルス、天然痘ウイルス、腸チフスワクチンウイルス、水痘ウイルス、ならびに黄熱ワクチンウイルスからなる群より選択される。
【0092】
実施形態において、上記内皮バリア障害は、細菌と関連する(例えば、細菌によって誘導される)。ある特定の実施形態において、上記過剰透過性内皮バリアは、細菌と関連する(例えば、細菌によって誘導される)。ある特定の実施形態において、上記細菌は、Streptococcus pneumoniae、Staphylococcus aureus、A群Streptococcus、Klebsiella pneumoniae、Haemophilus influenzae、Moraxella catarrhalis、嫌気性菌、Bacillus anthracis(炭疽)、およびグラム陰性生物からなる群より選択される。
【0093】
種々の実施形態において、急性呼吸窮迫症候群に罹患している患者を処置する方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、治療上有効な量のMK2アクチベーターを上記患者に投与する工程を包含する、急性呼吸窮迫症候群に罹患している患者を処置する方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、上記急性呼吸窮迫症候群は、ウイルスと関連する(例えば、ウイルスによって誘導される)。いくつかの実施形態において、上記急性呼吸窮迫症候群は、RNAウイルス、DNAウイルス、コロナウイルス、パピローマウイルス、ニューモウイルス、インフルエンザウイルス、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス、レンチウイルスおよびアルファウイルスからなる群より選択されるウイルスと関連する(例えば、ウイルスによって誘導される)。いくつかの実施形態において、上記急性呼吸窮迫症候群と関連するコロナウイルスは、229Eアルファコロナウイルス、NL63アルファコロナウイルス、OC43ベータコロナウイルス、HKU1ベータコロナウイルス、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、および新型コロナウイルス感染症2019(SARS-CoV-2またはCOVID-19)からなる群より選択される。ある特定の実施形態において、上記急性呼吸窮迫症候群は、COVID-19と関連する(例えば、COVID-19によって誘導される)。
【0094】
種々の実施形態において、急性肺傷害に罹患している患者を処置する方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、治療上有効な量のMK2アクチベーターを上記患者に投与する工程を包含する、急性肺傷害に罹患している患者を処置する方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、上記急性肺傷害は、ウイルスと関連する(例えば、ウイルスによって誘導される)。いくつかの実施形態において、上記急性肺傷害は、RNAウイルス、DNAウイルス、コロナウイルス、パピローマウイルス、ニューモウイルス、インフルエンザウイルス、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、およびアルファウイルスからなる群より選択されるウイルスと関連する(例えば、ウイルスによって誘導される)。いくつかの実施形態において、上記急性肺傷害と関連するコロナウイルスは、229Eアルファコロナウイルス、NL63アルファコロナウイルス、OC43ベータコロナウイルス、HKU1ベータコロナウイルス、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、および新型コロナウイルス感染症2019(SARS-CoV-2またはCOVID-19)からなる群より選択される。ある特定の実施形態において、上記急性肺傷害は、COVID-19と関連する(例えば、COVID-19によって誘導される)。
【0095】
ある特定の実施形態において、上記方法は、本明細書で記載されるとおりの組成物を、血管障害または内皮バリア障害の1またはこれより多くの症状を改善するために十分な量において上記患者に投与する工程を包含する。
【0096】
ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、上記患者に静脈内投与される。ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、上記患者に経口投与される。ある特定の実施形態において、上記MK2アクチベーターは、上記患者に非経口的に投与される。
【0097】
ある特定の実施形態において、上記患者は、ヒトである。
【0098】
定義
本発明の理解を容易にするために、多くの用語および語句が、以下で定義される。
【0099】
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される略語は、化学分野および生物学分野内のそれらの従来の意味を有する。本明細書で示される化学構造および式は、化学分野において公知の化学価の標準的規則に従って構築される。
【0100】
本出願において、要素または構成要素は、記載される要素もしくは構成要素のリスト中に含まれるおよび/またはリストから選択されるといわれ、上記要素もしくは構成要素が、上記記載される要素もしくは構成要素のうちのいずれか1つであり得るか、または上記要素もしくは構成要素が、上記記載される要素もしくは構成要素のうちの2またはこれより多くのものからなる群より選択され得ることは、理解されるべきである。
【0101】
さらに、本明細書で記載される組成物または方法の要素および/または特徴が、本明細書で明示的であろうが暗示的であろうが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の方法において組み合わされ得ることは、理解されるべきである。例えば、特定の化合物に言及がなされる場合、その化合物は、文脈から別段理解されなければ、本発明の組成物および/または本発明の方法の種々の実施形態において使用され得る。言い換えると、本出願内では、実施形態は、明確かつ簡潔な出願が書面で書かれ、描かれることを可能にする方法で記載されかつ示されているが、実施形態が本教示および本発明から分かれることなく、種々に組み合わされ得るかまたは分離され得ることが、意図されかつ認識される。例えば、本明細書で記載され、示される全ての特徴が、本明細書で記載され、示される発明の全ての局面に適用可能であり得ることは、認識される。
【0102】
用語「1つの、ある(a)」および「1つの、ある(an)」は、本明細書で使用される場合、「1またはこれより多い(one or more)」を意味し、文脈が不適切でなければ、複数を含む。
【0103】
表現「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」が、その文脈および使用から別段理解されなければ、上記表現に関するその記載される対象の各個々およびその記載される対象のうちの2またはこれより多くのものの種々の組み合わせを含むことは、理解されるべきである。3またはこれより多くの記載される対象に関連する表現「および/または(and/or)」とは、文脈から別段理解されなければ、同じ意味を有すると理解されるべきである。
【0104】
用語「約(about)」の使用は、定量的値の前である場合、本発明はまた、別段具体的に述べられなければ、その具体的な定量的値自体を含む。本明細書で使用される場合、用語「約」とは、別段示されるかまたは文脈から暗示されなければ、公称値から±10%の変動に言及する。
【0105】
本明細書で使用される場合、用語「障害(disorder)」「疾患(disease)」および「状態(condition)」は、交換可能に使用される。
【0106】
本明細書で使用される場合、用語「有効(な)量(effective amount)」とは、有益なまたは所望の結果をもたらすために十分な組成物(例えば、本発明の液体の薬学的製剤)の量に言及する。有効量は、1回またはこれより多くの投与、適用または投与量において投与され得、特定の製剤または投与経路に限定されるとは意図されない。
【0107】
用語「包含する、含む(include)」、「包含する、含む(includes)」、「含む、包含する(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む、含有する(contain)」、「含む、含有する(contains)」、または「含む、含有する(containing)」は、その文法上の等価物を含め、オープンエンドの(open-ended)および非限定的、例えば、別段具体的に述べられなければまたは文脈から理解されなければ、さらなる記載されていない要素または工程を排除しないとして、概して理解されるべきである。
【0108】
任意のおよび全ての例、または本明細書中の例示的な文言、例えば、「のような、例えば(such as)」または「が挙げられる(including)」の使用は、本発明をよりよく例証することが意図されるに過ぎず、特許請求されなければ、本発明の範囲に対する限定を課さない。本明細書中のいかなる文言も、任意の特許請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示されるとは解釈されるべきでない。
【0109】
本明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能な(pharmaceutically acceptable)」とは、毒性学観点から薬学的適用における使用に関して受容可能であり、活性成分と有害に相互作用しない物質に言及する。よって、薬学的に受容可能なキャリアは、製剤中の他の成分と適合性であり、生物学的に受容可能なものである。ある特定の実施形態において、補助的な活性成分はまた、上記薬学的組成物へと組み込まれ得る。
【0110】
本明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能な賦形剤(pharmaceutically acceptable excipient)」とは、被験体への活性薬剤の投与および被験体による吸収を助け、患者に対して顕著で有害な毒性効果を引き起こすことなく本発明の組成物中に含まれ得る物質に言及する。薬学的に受容可能な賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、通常生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、エマルジョン(例えば、油/水または水/油エマルジョンのような)、乳酸添加リンゲル液、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング、甘味料、フレーバー、塩類溶液(例えば、リンゲル液)、アルコール、油、ゼラチン、炭水化物(例えば、ラクトース、アミロースまたはデンプン)、脂肪酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、および着色料などが挙げられる。このような調製物は、滅菌され得、所望であれば、本発明の化合物と有害に反応しない補助物質(例えば、滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩類、緩衝液、着色物質、および/または芳香性の物質などと混合され得る。賦形剤およびキャリアの例に関しては、Martin, Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第15版, Mack Publ. Co., Easton, PA(1975)を参照のこと。
【0111】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア(pharmaceutically acceptable carrier)」とは、標準的な薬学的キャリア(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、水、エマルジョン(例えば、油/水または水/油エマルジョンのような)、および種々のタイプの湿潤剤のうちのいずれかに言及する。上記組成物はまた、安定化剤および保存剤を含み得る。キャリア、安定化剤およびアジュバントの例に関しては、Martin, Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第15版, Mack Publ. Co., Easton, PA [1975]を参照のこと。
【0112】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩(pharmaceutically acceptable salt)」とは、被験体への投与の際に、本発明の化合物またはその活性な代謝産物もしくは残留物を提供し得る、本発明の化合物の任意の薬学的に受容可能な塩(例えば、酸または塩基)に言及する。当業者に公知であるように、本発明の化合物の「塩(salt)」は、無機酸もしくは有機酸または無機塩基もしくは有機塩基から得られ得る。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体では薬学的に受容可能でないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩を得るにあたって、中間体として有用な塩の調製において使用され得る。
【0113】
本明細書で使用される場合、用語「被験体(subject)」および患者(patient)」とは、本明細書で記載される方法および/または組成物によって処置されるべき生物に言及する。このような生物は、好ましくは、哺乳動物(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)、およびより好ましくはヒトである。
【0114】
本明細書で使用される場合、用語「処置する(treat)」、「処置する(treating)」、および「処置(treatment)」は、状態、疾患、障害などの改善を生じるか、またはその症状を改善する任意の効果(例えば、減少させる、低減する、調節する、改善するまたは排除する)を含む。
【0115】
語句「治療上有効な量(therapeutically-effective amount)」とは、本明細書で使用される場合、被験体においてある所望の治療効果を生じるために有効な組成物(例えば、本発明の液体の薬学的製剤)のその量を意味する。
【実施例
【0116】
実施例
本明細書で記載される開示が、より十分に理解され得るために、以下の実施例が示される。本出願において記載される実施例は、本明細書で提供される化合物、薬学的組成物、および方法を例証するために提供され、それらの範囲を限定するとは決して解釈されるべきではない。
【0117】
実施例1: MK2ループ構築法
小さな触媒部位インヒビターと共結晶化したMK2キナーゼの結晶構造(PDB ID: 3KA0)(PMID 19919896)における3つの欠損ループ - 残基153~158(RGDQAF(配列番号4))、215~238(TSHNSLTTPCYTPYYVAPEVLGPE(配列番号5))、および265~273(SNHGLAISP(配列番号6)) - を、双方向Superlooper2ウェブサーバー(参照: pubmed id: PMID: 27105847)を使用して構築した。
【0118】
次いで、移植したループは、GROMACS v5.1.3 独立型パッケージ(参照: Abraham M.J., Murtola T., Schulz R., Pall S., Smith J.C., Hess B., Lindahl E. GROMACS: High performance molecular simulations through multi-level parallelism from laptops to supercomputers. SoftwareX. 2015;1:19-25. doi: 10.1016/j.softx.2015.06.001.)で最急降下法アルゴリズム(the steepest descent algorithm)を用いて真空中で最初にエネルギー最小化されたが、残りのタンパク質原子は、固定されたままであった。
【0119】
実施例2: MK2ループ改良法
次いで、初期モデル構造を、(追加される対イオンの正確な数で)溶媒和化し、実行の異なる開始点を得るために、一連の8回のMDシミュレーション(N,物質量、V,容積、T,温度カノニカルアンサンブル)を通じてGROMACSにおいてさらに平衡化した(各1回は、500ピコ秒の継続時間にわたり、異なる初期パラメーター(温度、サーモスタット、および/または相互作用カットオフ半径(interaction cutoff radius))を用いる)。次いで、上記ループ構造の各1つに対してNPT実行(等温-等圧アンサンブル、Pは圧力)を行い、続いて、4回のナノ秒シミュレーションを、同じパラメーターを使用して行った。次いで、その得られた構造を全て、システムの最終的なエネルギーおよび構造安定性に対するRamachandranプロットに関して評価した。本研究においてモデル化を必要とした上記3つのループ(RGDQAF(配列番号4)、TSHNSLTTPCYTPYYVAPEVLGPE(配列番号5)、およびSNHGLAISP(配列番号6))に関する都合の良いRamachandranプロットを有する最低エネルギー構造を、最終モデルのために選択した。
【0120】
実施例3: MK2活性化ペプチドドッキング法
CABS-ドック独立型パッケージ(PMID: 31682301; PMID: 30865258)およびMDockPePサーバーを使用して、正に荷電した活性化ペプチド、YARAAARQARAHPRNPARRTPGTRRGAPAA(配列番号7)(PMID: 26066827)をMK2モデル構造の表面にドッキングした。
【0121】
1. CABSドック独立型アプリケーションでのペプチドドッキング
ドッキングプロトコールは、4つの工程からなった: 第1に、MK2レセプター構造を、CABS粗視化表現(coarse-grained representation)に変換した(単一のアミノ酸が4個までの原子またはシュード原子(pseudo-atom)によって提示される)。次に、無作為のペプチド構造を、包括的なペプチドコンホメーションのライブラリーから無作為に選択し(粗視化表現の同じタイプをまた、そのペプチドのために使用し)、レセプター表面から20Åの適切な距離においてMK2レセプターの周りの無作為の位置に配置した。そのMK2 3D構造および上記ペプチドを、シミュレーションの間にフレキシブルと見做す。第2に、ドッキングしたペプチドのフィルタリングは、その計算されたCABS MK2-ペプチド相互作用エネルギー値に基づいた(10000の低エネルギーモデルを、ドッキングシミュレーションの間に生成した1000のコンホメーションから選択した)。第3に、最終的なモデルのグラスター化およびスコア付け(上位100個のスコアのモデルを、1000の低エネルギーモデルから選択した)。第4に、全原子表示への10の最終的な最良のMK2-ペプチドモデルの再構築を行った。その得られたMK2-ペプチド構造を、MaestroおよびPyMolにおいて視覚的に調べた。
【0122】
2. MDockPePサーバーでのペプチドドッキング
結合ドッキング実験を、MDockPeP ab-initioタンパク質-ペプチドドッキングサーバー(MDockPeP ab-initio protein-peptide docking server)(PMID: 30368849)で行った。第1に、MDockPePサーバーは、モノマータンパク質からの類似配列フラグメントに基づいて、本発明者らの入力ペプチドに関して3個までの非冗長配座(non-redundant conformer)をモデル化した。次に、そのモデル化したペプチド配座を、AutoDockVinaパッケージ(PMID: 19499576)の改変バージョンを使用して、全体のMK2タンパク質へと独立してドッキングした。その検索のグリッドボックスを、三次元においてタンパク質構造の座標の最小および最大両方へ20Å拡げることによって定義した。次いで、上記ペプチド配座を、グリッドボックス内に105の並進および回転の外形を無作為に生成することによって、全体のタンパク質に厳密にドッキングする。これらの予備モデルを、Vinaスコア付け機能を使用して、最初にランク付けした。次いで、フレキシブルサンプリングを、最良のVinaドッキングスコアを有するドッキングしたペプチドモデルのために行った。ペプチド中の全ての回転可能な結合を、サンプリングの間にフレキシブルとして処理した。この段階で、異なる初期ペプチド配座から生成した全てのこれらの初期結合モードを、組み合わせ、次いで、ITScorePeP(PMID: 27642160)(タンパク質-ペプチドドッキングのために具体的に開発した統計ポテンシャルベースのスコア付け機能)で計算したエネルギースコアに従って再ランク付けした。タンパク質とペプチドとの間の両方の相互作用からの寄与(スコア間(inter-score))およびペプチド内の非隣接残基間の相互作用(スコア内(intra-score))を、スコア付け機能において考慮する。次いで、上位100個の結合モードを、PyMol分子グラフィクスパッケージで双方向に分析した。
【0123】
実施例4: MK2分子表面分析および結合ポケット推定法
静電エネルギー計算(electrostatic calculations)を、正に荷電したペプチドとの相互作用に関して重要であり得る推定の強い電気陰性結合溝を検索するために、Adaptive Poisson-Boltzmann Solver(APBS)(PMID: 28836357)で計算した。低分子に関するありそうな結合ポケットの推定を、P2Rank(PMID: 30109435)(推定リガンド結合部位を提案するための機械学習ベースのツール)で行った。MK2 3D構造を入力として使用し、上位5個の推定ポケットを、静電エネルギー計算結果(electrostatic computations)および上記で言及した全表面ペプチドドッキング実験に鑑みて、双方向に調査した。
【0124】
実施例5: 構造ベースの計算結果での薬物スクリーニングアッセイ
MTiOpenScreenウェブサーバーとDrugs-libコレクション(PMID: 30190791 PMID: 25855812)とを使用し、ドッキングを、推定される最もありそうなMK2ペプチド結合ポケットに対して行った。このサーバーは、構造ベースの仮想スクリーニングおよびスコア付けツール(PMID: 27077332)のためにAutoDock Vinaを実行する。約22,000の承認薬および試験薬のリストを、DrugBank[PMID: 29126136]、DrugCentral[PMID: 30371892]、SuperDrug2[PMID: 29140469]、およびChEMBL[PMID: 30398643]から得た。化合物のリストはまた、Drugs-libコレクション[PMID:30190791]においても見出され得る。
【0125】
分子を精選し、重複を除去し、フィルタリングを行って、FAF-Drug4[PMID: 28961788]を使用して、記録された強い毒性因子(toxicophore)を有する化合物を却下し、20個未満の回転可能な結合および1000Da未満のMWを有する分子を、試験のために同定した。Drugs-libコレクションから、化学物質販売業者のカタログにおいて入手可能な分子を、試験のために同定し、これを、約4600個の分子へとまとめた。上記化合物の滴定可能な基のプロトン化状態を、ChemAxon(https://chemaxon.com/)を使用して推定し、その3D構造をCorina(https://www.mn-am.com/)を使用して構築した。次いで、上位1500個の最良のドッキングスコアを考慮し、双方向に分析して、分子の選択をガイドした。
【0126】
実施例6:MK2アクチベーター薬物候補の同定
静電エネルギー計算結果は、アミノ酸345~390(配列番号8)と配列同一性を有する自己阻害ドメインの直ぐ下の触媒部位から離れて、MK2のCローブドメインにある強い電気陰性溝を強調した。この領域は、本質的に、E290とD351との間に位置し、MK2-p38複合体の結晶構造(PMID 17395714)において認められるように、p38αの結合境界面の近くにある。結合ポケット推定を行ったところ、上位3個の結合ポケットのうちの2つ(ポケット1および3)が、電気陰性であると推定された。ポケット1は、配列番号1のアミノ酸残基M275、K276、I279、V352、E354、E355、S358、A359、およびT362を含む。ポケット3は、アミノ酸残基Y260、Y264、S265、N266、H267、E285、F286、P287、N288、P289、E290、およびV341を含む。2位にランク付けされた結合ポケットは、触媒部位に相当する。2つの完全表面ペプチドドッキングアルゴリズムを使用して、MK2表面にその活性化ペプチドを位置付けたところ、両方の方法が、最もあり得る結合部位が電気陰性溝の中にあると推定し、推定されたポケット1および3と並んだ。まとめると、これらの結果は、ポケット1および3の領域が、構造ベースの薬物再利用計算結果に使用され得ることを示唆した。ポケット1および3を、1個の検索ゾーンへと併合し、構造ベースの仮想スクリーニングをこの領域に対して実行した。この全体的なポケットに存在する配列番号1の残基は、Y260、Y264、S265、N266、H267、A270、I271、S272、P273、G274、M275、K276、R278、I279、E285、F286、P287、N288、P289、E290、V341、E347、R348、E350、D351、V352、E354、E355、S358、A359、およびT362を含む。上位1500個のスコアを、コンピュータースクリーン上で双方向に分析し、その腔へと十分にフィットした上位115個の化合物および都合の良いドッキングスコアを有するものを、同定した(表3)。より良好なスコアを有するいくつかの化合物を無視した。なぜならそれらの結合姿勢およびMK2アミノ酸との相互作用パターンが、PyMolにおける3D可視化後にありそうにないことが見出されたからである。
表3.
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【0127】
実施例7: ウェスタンブロット分析によるMK2結合アクチベーターの機能的活性の評価
推定MK2結合アクチベーターの機能的活性を評価するために、一連のこれらの化合物(すなわち、レフルノミド、ネツピタント、パリペリドン、ロミタピド、およびペロスピロン)を、ウェスタンブロット分析によって分析した。ラット微小血管内皮細胞を、35mm組織培養ディッシュの中でコンフルエントになるまで増殖させた。上記細胞を、20μM 濃度の推定MK2結合アクチベーターありまたはなしで、30分間、37℃において処理した。陽性コントロールとして、細胞ディッシュのうちの1つを、UV光に約10分間曝した。次いで、上記細胞を、種々の抗タンパク質溶解薬剤を含む1% triton溶液で溶解し、得られた溶解物を、4-12% アクリルアミド(Bis-Tris)ゲル上に載せ、電気泳動した。その分離したタンパク質バンドを、PVDF膜上に電気的に転写した。その膜を、先ず、5% 脱脂粉乳中でブロッキングし、次いで、ウサギ抗ラットphospho-HSP-27または抗ラットHSP-27(正規化コントロールとして)のいずれかでプローブし、続いて、検出用の二次抗ウサギHRP結合体でプローブした。その膜を洗浄し、化学発光基質で処理し、デジタル画像化し、続いて、デンシトメトリーによって定量化した。検出されたシグナルの強度は、試験した化合物のMK2活性化効力に比例した。
【0128】
上記の方法によって分析した化合物のウェスタンブロット結果を図1に提供し、HSP-27シグナルに対して正規化した後に、図2においてヒストグラムプロットとしてグラフとして提供する。
【0129】
図1の左にあるブロット画像(すなわち、Phospho HSP-27と表示されたブロット画像)は、リン酸化HSP-27と関連したバンドを示すが、図1の右側のブロット(すなわち、HSP-27と表示されたブロット画像)は、リン酸化されていないHSP-27に特異的なバンドを示す。上記ブロットの各レーンにおいて認められるその2つのバンドは、リン酸化HSP-27およびリン酸化されていないHSP-27の両方のモノマー形態およびダイマー形態を表す。そのバンドの強度を、デンシトメトリーによって定量化し、次いで、各生の読み取りを、種々の処理条件にわたる溶解物負荷の任意の差を補正するために、リン酸化されていないHSP-27のシグナル強度によって正規化した。これらの正規化した結果を、図2に示す。
【0130】
図2にプロットした結果は、UV照射によって細胞にストレスを与えた場合のコントロール(陽性コントロールとして使用)を超えて、リン酸化の>3× 増大を明らかに示す。さらに、試験した5種の化合物のうち、ロミタピドは、HSP-27リン酸化の最強の増大を誘発した。
【0131】
実施例8: ELISA MK2細胞ベースの活性アッセイ
上記MK2アクチベーター候補(人工知能(AI)支援ドッキングアプローチを使用して同定)を、MK2標的に対するリード選択のために活性アッセイにおいて試験した。MK2活性化を、(a)ラット微小血管内皮細胞(RMVEC)および(b)ヒトがん皮膚線維芽細胞(Malme-3M)を使用する細胞ベースのアッセイを使用して評価した。両方のアッセイにおいて、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)技術を試用して、(HSP-27)リン酸化(DYC2314-2, R&D Systems)を測定した。両方の細胞株を、96ウェル組織培養プレートの中でコンフルエントになるまで増殖させ、37℃において30分間、20μMの濃度の試験化合物で処理した。その後、上記細胞を、0.5% Triton X-100および抗タンパク質分解薬剤を含む溶解緩衝液で溶解した。次いで、その得られた溶解物を、抗ラットphospho-HSP27でコーティングしたELISAプレートに載せた。インキュベーションおよび洗浄の後、そのプレートを、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体化抗phospho-HSP27二次抗体で処理し、次いで、化学発光に関して測定した。MK2に対して作用する化合物の活性が高いほど、ELISAによって測定されるように、HSP-27リン酸化のより高いレベルが誘導された。
【0132】
上記ELISAのphospho-HSP27標準曲線(200pg/mLまでの標準phospho-HSP27を載せることによって作成)を、図3に示す。
【0133】
AI推定MK2アクチベーターのうちのいくつかの分析からの結果を、表4および表5に示す。
表4. RMVEC細胞を使用する推定MK2アクチベーターの下位集団の分析のデータ
【表4-1】
【表4-2】
(t) = 3種の別個のかつ独立したアッセイにおいて分析した化合物
(d) = 2種の別個のかつ独立したアッセイにおいて分析した化合物
【0134】
多数のアッセイからの結果を有する化合物に関しては、平均応答を表4に示している。
表5. Malme-3M細胞を使用する推定MK2アクチベーターの分析のデータ
【表5】
【0135】
ラット内皮細胞との比較において、ヒト皮膚線維芽細胞株で実質的により強い応答が観察された。全体的に、試験した化合物のうち、最も強い応答を示したものとしては、ロミタピド、ペロスピロン、アベキシノスタットおよびレボドロプロピジンが挙げられた。
【0136】
援用の表示
本出願は、種々の発行された特許、公開された特許出願、雑誌記事、および他の刊行物(その全てが本明細書に参考として援用される)に言及する。援用される参考文献のうちのいずれかと本明細書との間で矛盾が存在する場合には、本明細書が優先するものとする。さらに、先行技術内に入る本開示の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲のうちのいずれか1またはこれより多くのものから明示的に排除され得る。このような実施形態は、当業者に高地であると見做されることから、それらは、本明細書中で排除が明示的に示されないとしても、排除され得る。本開示の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連しようがしまいが、任意の理由から、任意の請求項から排除され得る。
【0137】
均等物
本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的形態において具現化され得る。従って、前述の実施形態は、本明細書に記載される発明ではなく、全ての点において例証と見做されるべきである。従って、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等の意味および範囲内に入る全ての変更が、その中で具現化されることが意図される。
図1
図2
図3
【配列表】
2023550347000001.app
【国際調査報告】