(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】拡張可能TLIFデバイスおよび関連する挿入移植器具
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537187
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 US2021062822
(87)【国際公開番号】W WO2022132583
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515252053
【氏名又は名称】スパイン・ウェーヴ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・バレイロ
(72)【発明者】
【氏名】スコット・マクレーン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ヴィグリオッティ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC03
4C097CC05
4C097CC18
4C097DD10
4C097MM05
4C097MM10
(57)【要約】
拡張可能椎体間固定デバイス、および該デバイスを椎間板腔内に挿入し、該デバイスを拡張させ、該デバイスが椎間板腔内で拡張されたときに該デバイス内への移植材送達において使用するための関連する器具。該デバイスは、カムビントライアングルに嵌挿されるのに十分に小さいものであるが、脊柱前弯に対応するための鉛直方向と、椎間板腔内において対向する椎体に対して横方向に十分な構造支持を与えるための横方向との両方において拡張可能である。該デバイスのテクスチャード上部表面およびテクスチャード下部表面を形成する方法であって、最初にナノ秒パルスレーザを用いてそれぞれの表面をレーザアブレーションし、次にフェムト秒パルスレーザを用いてこれらの表面をレーザアブレーションすることによって形成する、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎体間固定デバイスであって、
遠位端部、近位端部、前記遠位端部にあるベース、および前記ベースを通ってアクセス可能な中空内部を有するケージであって、前記ケージは、前記ケージの前記近位端部にある外方壁部と、前記外方壁部から内方に離間され、前記外方壁部との間でロッキングポケットを画定する内方壁部と、を備える前記ベースにある器具装着機構を備え、前記内方壁部は、第1の開口部を有し、前記外方壁部は、第2の開口部を有し、前記第1の開口部および前記第2の開口部は、前記ケージの前記中空内部と連通状態にあり、前記第1の開口部は、前記第2の開口部よりも小さい直径のものであり、前記ロッキングポケットは、前記外方壁部の一部分の奥に延在する長さを有する、ケージ
を備える、椎体間固定デバイス。
【請求項2】
前記ケージは、前記ケージの4つの角を交差および画定する高さおよび幅を有し、相対する対角は、前記高さおよび前記幅の両方に対して鋭角を成す軸を画定する、請求項1に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項3】
前記第2の開口部は、前記軸に沿ってより長い第1の長さと、前記軸に対して横軸方向により短い第2の長さと、を有する、請求項2に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項4】
前記第2の開口部は、円形部分と、前記軸に沿って反対方向に前記円形部分から径方向に延在する1対の円弧形状ローブと、を有し、前記円弧形状ローブは、前記軸に沿って前記より長い第1の長さを画定し、前記円形部分は、前記より短い長さを画定する、請求項3に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項5】
前記ロッキングポケットは、前記第2の開口部の前記円形部分と整列された円形部分と、前記軸に沿って反対方向に前記円形部分から径方向に延在する1対の延在ローブと、を有し、前記延在ローブは、円弧形状部分のために前記第2の開口部の前記ローブと連通状態にあり、さらなる円弧形状部分のために前記第2の開口部の前記ローブを越えて前記外方壁部の前記一部分の奥の位置まで延在する、請求項4に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項6】
前記第1の開口部は、円形構成を有する移植開口部を画定し、前記ケージの前記高さおよび前記幅は、前記ケージの断面積を画定し、前記移植開口部は、前記ケージの前記断面積の約29%以上の面積を有する、請求項5に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項7】
前記ケージは、拡張可能であるように構成される、請求項2に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項8】
前記ケージは、高さ方向および幅方向の両方において拡張可能であるように構成される、請求項7に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項9】
前記ケージは、前記ベースにおいて前記ケージにヒンジ装着された4つの可動アームを備える、請求項8に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項10】
前記ケージの前記アームは、前記ケージ内を前記遠位端部に向かって可動であるウェッジにより、前記ケージの前記遠位端部において前記高さ方向および前記幅方向に外方に偏曲される、請求項9に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項11】
前記ケージは、経椎間孔腰椎椎体間固定(TLIF)手技のためにカムビントライアングルを経由する後外側アプローチで椎間板腔内へ導入される前記未拡張状態で寸法設定される、請求項10に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項12】
L1/L2腰椎レベルにおけるTLIF手技のための前記ケージの前記未拡張高さは、約8.0mmである、請求項11に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項13】
L4/L5腰椎レベルにおけるTLIF手技のための前記ケージの前記未拡張高さは、約16.0mmである、請求項11に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項14】
TLIF手技のための前記ケージの前記未拡張幅は、約8.5mmである、請求項11に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項15】
前記ケージは、上部表面および対向側の下部表面を有し、前記上部表面および前記下部表面は、テクスチャード表面を備える、請求項1に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項16】
前記ケージは、チタンから形成される、請求項15に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項17】
椎体間固定装置であって、
遠位端部、近位端部、前記遠位端部にあるベース、および前記ベースを通ってアクセス可能な中空内部を有するケージを備える椎体間固定デバイスであって、前記ケージは、前記ケージの前記近位端部にある外方壁部と、前記外方壁部から内方に離間され、前記外方壁部との間でロッキングポケットを画定する内方壁部と、を備える前記ベースにある器具装着機構を備える、椎体間固定デバイスと、
細長ハンドル、外方チューブ、および内方チューブを備える、椎間板腔内に前記椎体間固定デバイスを挿入するための前記ケージに装着可能な器具であって、前記細長ハンドルは、前記外方チューブを支持し、前記内方チューブは、前記内方チューブを通って延在し、前記外方チューブ内におけるおよび前記外方チューブに対する軸方向移動および径方向移動のために支持される内部ルーメンを有し、前記外方チューブは、前記ケージの前記近位端部と協働して前記外方チューブと前記椎体間固定デバイスとの間の相対回転を防止する構造部を前記外方チューブの遠位端部に備え、前記内方チューブは、前記外方チューブの前記遠位端部から軸方向で遠位方向に突出する装着機構を前記内方チューブの遠位端部に有し、前記細長ハンドルは、前記細長ハンドルに対する回転移動および軸方向移動のためにロッキングハンドルを支持し、前記ロッキングハンドルは、前記内方チューブと共に回転移動および軸方向移動のために前記内方チューブに固定され、前記装着機構は、前記ケージの前記ロッキングポケットに自由に進入し、前記ロッキングハンドルが回転移動すると、前記ケージの前記外方壁部の一部分の奥へと内部へ前記ロッキングポケットの一部分まで前記装着機構を回転移動させ、前記ロッキングハンドルが軸方向移動すると、前記外方チューブの前記遠位端部に向かって前記ロッキング機構を軸方向において近位に移動させ、それにより前記装着機構と前記外方チューブの前記遠位端部との間において前記ケージの前記外方壁部を挟み固定的に締め付けるように構成される、器具と、
を備える、椎体間固定装置。
【請求項18】
前記ロッキングハンドルの軸方向移動は、前記ロッキングハンドルが回転移動すると引き起こされる、請求項17に記載の椎体間固定装置。
【請求項19】
前記外方チューブの前記遠位端部は、前記椎体間固定ケージの最大断面構成部以下の最大断面構成部を有する、請求項17に記載の椎体間固定装置。
【請求項20】
前記細長ハンドルは、側部開口部を有し、前記器具は、複数の個別に離間された移植片ペレットを収容するカートリッジをさらに備え、前記カートリッジは、前記側部開口部を通って前記細長ハンドル内へ横軸方向移動するために前記細長ハンドルにより支持され、前記カートリッジおよび前記細長ハンドルは、前記内方チューブの前記内部ルーメンに対する一時的保持位置に前記移植片ペレットのそれぞれを個別に整列させるように協働する、請求項17に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項21】
前記ケージは、拡張可能であるように構成される、請求項17に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項22】
前記ケージは、高さ方向および幅方向の両方において拡張可能であるように構成される、請求項21に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項23】
椎間板腔内に椎体間固定デバイスを挿入するための、および前記椎体間固定デバイスに移植材を送達するための器具であって、
側部開口部を有する細長ハンドルと、
遠位端部、近位端部、ならびに前記近位端部を通って延在する内部ルーメンを有する細長チューブであって、前記遠位端部において椎体間固定デバイスに装着するための装着機構を有し、前記近位端部において前記細長ハンドルに装着される、細長チューブと、
前記細長ハンドルにより可動的に支持されたロッキングハンドルであって、前記ロッキングハンドルの移動により、前記細長チューブは、前記椎体間固定デバイスに固定的に装着される、ロッキングハンドルと、
複数の個別に離間された移植片ペレットを収容するカートリッジであって、前記カートリッジは、前記側部開口部を通る前記細長ハンドル内への横軸方向移動のために前記細長ハンドルにより支持され、前記カートリッジおよび前記細長ハンドルは、前記細長チューブの前記内部ルーメンに対する一時的保持位置に前記移植片ペレットのそれぞれを個別に整列させるように協働する、カートリッジと、
を備える、器具。
【請求項24】
前記細長ハンドルは、前記細長チューブの前記内部ルーメンに整列された可動解除可能戻り止めを支持する、請求項23に記載の器具。
【請求項25】
前記個別のペレットは、その延在方向において相互に離間され、前記カートリッジは、そのそれぞれが前記ペレットのうちの1つに関連づけられた複数の離間された凹部を備え、前記凹部は、前記可動解除可能戻り止めを受け、前記カートリッジに対して前記延在方向に手動力を印加することにより克服され得る前記細長ハンドルに対する一時的な位置に前記カートリッジを保持するように構成される、請求項23に記載の器具。
【請求項26】
上部表面および対向側の下部表面を有するケージを備える椎体間固定デバイス上にテクスチャード表面を形成する方法であって、前記テクスチャード表面は、
最初に、ナノ秒パルスレーザを用いて前記ケージの前記上部表面および前記下部表面をレーザアブレーションして、前記上部表面および前記下部表面のそれぞれの上に、突出部および凹部を備える多孔表面を形成するステップと、
次いで、超高速パルスレーザを用いて前記ケージの前記最初にアブレーションされた上部表面および前記下部表面をレーザアブレーションして、前記上部表面および前記下部表面の上に前記多孔表面の前記突出部および前記凹部よりも小さな突出部および凹部を備えるナノスケール構造物を形成するステップと、
を含む方法により備えられる、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法により備えられたテクスチャード上部表面およびテクスチャード下部表面を有するケージを備える、椎体間固定デバイス。
【請求項28】
超高速パルスレーザを用いた、前記最初にアブレーションされた上部表面および下部表面の前記レーザアブレーションは、フェムト秒パルスレーザを用いて実施される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法により備えられたテクスチャード上部表面およびテクスチャード下部表面を有するケージを備える、椎体間固定デバイス。
【請求項30】
前記ケージはチタンから形成される、請求項29に記載の椎体間固定デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年12月18日に出願された米国仮特許出願第63/127,316号に基づく利益を主張するものであり、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般的には脊柱インプラントの分野に関し、より詳細には拡張可能経椎間孔腰椎椎体間固定(TLIF)デバイスと、患者の椎間板腔内にTLIFデバイスを挿入しこのデバイスの拡張後に椎間板腔内に移植材を導入するための関連する器具とに関する。
【背景技術】
【0003】
椎体間固定デバイスなどの脊柱インプラントは、変性椎間板疾患と、隣接する椎骨間の椎間板の他の損傷または欠陥とを治療するために使用される。椎間板は、ヘルニアまたは様々な変性症状を被る場合があり、その場合には椎間板の解剖学的機能が破綻する。これらの症状に対する最も一般的な外科治療は、罹患した椎間板を囲む2つの椎骨を固定するものである。ほとんどの場合において、椎間板切除手技によって椎間板線維輪の一部分を除く椎間板全体が除去される。次いで、脊椎固定デバイスが、椎間板腔内に導入され、適切な骨移植片または骨代用材が、2つの隣接する椎骨間の固定を促進するために実質的にこのデバイスの中におよび/またはこのデバイスに隣接して配置される。
【0004】
現行において使用されている様々な脊椎固定用インプラントが存在するが、これらの中の一部は拡張可能であり、他のものは固定寸法を有する。脊椎の解剖学的構造に対応し、関節固定を助長するために、椎体間固定デバイスは、隣接する脊椎端板との接触が最適化されることが好ましい。これは、通常は、デバイスと対向する椎体の骨端板との間の接触面が、実現可能な限りにおいて最大限の表面積を有することを確保することによって実現される。拡張可能椎体間固定デバイスは、特にこの目的において使用されてきた。低侵襲性の脊椎手術の登場によって、脊椎手術の最中における患者に対する外傷軽減をさらに進めるさらなる努力がなされてきた。このようにして、拡張可能椎体間固定デバイスは、カムビントライアングル(kambin’s triangle)として知られているものを経由した後外側アプローチで使用するために、さらに小型のサイズへとサイズ設定および構成されてきた。椎体間固定デバイスのサイズのさらなる小型化により、典型的には特に切開部の縮小、失血の低下、および患者回復の短期化が結果として得られる。椎体間椎間板腔内への導入の最中にカムビントライアングルに嵌挿されるようにサイズ設定および構成された椎体間固定デバイスの例は、椎間板腔の高さを増大させるように拡張する拡張可能椎体間固定デバイスについて説明した2016年4月9日に発行されたScott J. Perrowの「Expandable Intervertebral Device, and Systems and Methods for Inserting Same」と題する特許文献1、および椎間板腔内において横方向に拡張する拡張可能椎体間固定デバイスについて説明した2017年12月19日に発行されたSteve Wolfeらの「Far Lateral Spacer」と題する特許文献2において示されている。
【0005】
カムビントライアングルに嵌挿されるようにサイズ設定および構成された拡張可能椎体間固定デバイスは、いくつかの外科的利点を有するが、その一方で、特に比較的小型サイズであることに起因するデバイスの挿入およびその後の移植材の導入に関する他の難点を生み出す。
【0006】
したがって、適切な挿入移植器具を用いてカムビントライアングルを経由して椎体間椎間板腔内に挿入可能である、経椎間孔腰椎椎体間固定(TLIF)手技において使用されるように構成された拡張可能椎体間固定デバイスを展開することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第9,408,717号明細書
【特許文献2】米国特許第9,844,444号明細書
【特許文献3】米国特許第10,492,925号明細書
【特許文献4】米国特許第5,473,138号明細書
【特許文献5】米国特許第6,951,627号明細書
【特許文献6】米国特許第10,603,093号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】M. Hardenbrookら、「The Anatomic Rationale for the Transforaminal Endoscopic Interbody Fusion: a Cadaveric Analysis」、Neurosurgical Focus 40巻、2016年2月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、挿入器具に対する装着性能が改善された椎体間固定デバイスを提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、椎体間固定デバイスと、椎間板腔内に椎体間固定デバイスを挿入するためにこのデバイスに対して装着可能な器具とを含む、改良された椎体間固定装置を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、椎間板腔内に椎体間固定デバイスを挿入しそこに移植材を送達するための改良された器具を提供することである。
【0012】
本発明のさらにもう1つの目的は、椎体間固定デバイスの上部表面および下部表面の上にテクスチャード表面を形成するプロセスを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による拡張可能椎体間固定デバイスと、本発明の一実施形態によるデバイスに対して装着しこのデバイスと共に使用するための関連する器具との分解上前方斜視図である。
【
図2】拡張可能椎体間固定デバイスと器具の遠位端部の一部分とを示す、
図1の拡大図である。
【
図3A】
図1の椎体間固定デバイスの平面図である。
【
図3B】
図1の椎体間固定デバイスの側方立面図である。
【
図3C】
図1の椎体間固定デバイスの後方立面図である。
【
図3D】
図1の椎体間固定デバイスの上後方斜視図である。
【
図3E】
図3Aの線A-Aに沿った、椎体間固定デバイスの断面図である。
【
図3F】
図3Aの線B-Bに沿った、椎体間固定デバイスの断面図である。
【
図3G】
図3Bの線C-Cに沿った、椎体間固定デバイスの断面図である。
【
図4A】
図1の椎体間固定デバイスを拡張するためのウェッジの上前方斜視図である。
【
図5】
図2の椎体間固定デバイスおよび器具の遠位端部を示すさらなる図であり、この器具の遠位端部が椎体間固定デバイスに対する装着のために椎体間固定デバイスと整列状態に移動された、図である。
【
図6A】椎体間固定デバイスに対して器具を装着するプロセスの画像を示す図である。
【
図6B】椎体間固定デバイスに対して器具を装着するプロセスの画像を示す図である。
【
図9A】ロッキングボタンがロック位置にある状態において椎体間固定デバイスに対して器具をロックするためのロッキング構造部の詳細を示す、器具ハンドルを断面化した部分の分解斜視図である。
【
図9B】
図9Aに示す器具ハンドルの部分の側方断面図である。
【
図9C】
図9Aに示す器具ハンドルの部分の長手方向断面図である。
【
図10A】ロック解除位置にあるロッキングボタンを示す、
図9Aのさらなる図である。
【
図10B】ロック解除位置にあるロッキングボタンを示す、
図9Bのさらなる図である。
【
図11】器具が椎体間固定デバイスから分離されることを可能にする位置へとロッキングハンドルが移動された、
図10Aと同様のさらなる図である。
【
図12】ロッキングハンドルが装着時に鉛直方向位置にある状態における、装着された椎体間固定デバイスおよび器具を示す
図1のさらなる図である。
【
図13A】拡張状態にある
図1の椎体間固定デバイスの上前方斜視図である。
【
図14】拡張された椎体間固定デバイスへ移植片ペレットを個別送達するための、器具内において横方向に位置決めされた状態に複数の移植片ペレットを保持する移植片送達カートリッジを示す、
図12のさらなる図である。
【
図16】本デバイスの特定の一態様による表面テクスチャリングを有する、拡張されていない椎体間固定デバイスの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以降においては、本発明の原理の周知および理解を目的として、図面に示され以下の明細書で説明される実施形態が参照される。これは、本発明の範囲の限定を意図するものではないと理解される。さらに、本発明は、例示の実施形態のあらゆる代替および修正を包含し、本発明に関する分野の当業者には普通に想起されるような本発明の原理の他の用途を包含するものと理解される。
【0015】
図1を参照すると、拡張可能椎体間固定デバイス10と、椎間板腔内にデバイス10を挿入し、デバイス10を拡張させ、デバイス10が椎間板腔内で拡張されたときにこのデバイス10内への移植材送達において使用するための関連する器具200とが図示される。ある特定の構成によれば、デバイス10および器具200は、経椎間孔腰椎椎体間固定(TLIF)手技においてカムビントライアングルを経由する後外側アプローチにおいてデバイス10を導入するようにサイズ設定および構成される。カムビントライアングルは、周知のものであり、椎間板の背外側上の直角三角形として定義される。ここで、三角形の斜辺は、外部神経根であり、三角形の底辺(幅)は、尾椎の上縁であり、三角形の高さは、内部神経根である(非特許文献1を参照されたい。これは参照により本明細書に組み込まれる)。以降で説明されるように、デバイス10は、カムビントライアングルに嵌挿するのに十分に小さいものであるが、脊柱前弯に対応するための鉛直方向と、椎間板腔内において対向する椎体に対して十分な構造支持を与えるための横方向との両方において拡張可能である。デバイス10は、特にTLIF手技における脊柱インプラントとしての使用向けに構成されているが、カムビントライアングル経由の使用に限定されるものではなく、したがって例えば脊柱の種々のレベルにおける後方、前方、および横方向において、または経皮的になど、他のアプローチにおいて導入され得る拡張可能椎体間固定デバイスとしても使用され得る点を理解されたい。
【0016】
次に、
図2および
図3A~
図3Gを参照として、拡張可能椎体間固定デバイス10の詳細を説明する。デバイス10は、中空内部12fを有するケージ12と、前記中空内部12f内において摺動可能なウェッジ100とを備える。ケージ12は、遠位端部12aおよび近位端部12bを有する。ケージ12は、
図3Aに示すように遠位端部12aおよび近位端部12bを通って延在する長手方向軸12cを画定する全体的に細長形状を成す。ウェッジ100は、以降で説明されるように、ケージ12を拡張させるためにケージ12内において摺動可能になるようにサイズ設定および構成される。ケージ12は、その近位端部12bにあるベース14と、ベース14から遠位端部12aに向かって突出する複数の可撓性可動アーム16とを備える。これらのアーム16は、遠位端部12aにおいて自由であり、相互に装着されず、したがってケージ12が遠位端部12aにおいて拡張することが可能となる。図示する構成では、ケージ12は、1対の上方アーム16aおよび16bと1対の下方アーム16cおよび16dとを含む4つの可動アーム16を有する。これらのアーム16は、アーム16のベース14に対する2つの横軸方向への偏曲を可能にするような様式で、ヒンジポイント18a、18b、18c(図示せず)、および18dのそれぞれにおいてベース14に対して装着される。ケージ12は、アーム16aと16bとの間の上部開口部11と、アーム16cと16dとの間の下部開口部13と、1対の側部開口部とをさらに備え、これらの1対の側部開口部の一方の開口部15は、アーム16aと16cとの間にあり、他方の開口部17は、アーム16bと16dとの間にある(
図13Aおよび
図13Bをさらに参照されたい)。使用時に、これらの横軸方向は、相互に直交方向をなし得るものであり、すなわち鉛直方向においては遠位端部12aにおけるデバイス高さを拡大させることによって椎間板腔内で脊柱前弯に対応し、水平方向においてはデバイス幅を増大させしたがって椎間板腔内において対向する椎体に対する横方向支持を強化することができる。
図3Cでは、未拡張デバイス高さH
1および未拡張デバイス幅W
1が示される。ある特定の構成では、ケージ12は、
図3Dに示すように、四角形状を有するような単体デバイスとしてモノリシック形成され得る。例えば円筒状などの他のケージ形状もまた使用されてもよい点を理解されたい。
【0017】
図2および
図3Gに示すように、上方アーム16aおよび下方アーム16cはそれぞれ、傾斜カム表面20aおよび20cを備え、これらの傾斜カム表面20aおよび20cは、ウェッジ100と協働係合するために鉛直方向において相互に対面する。上方アーム16bおよび下方アーム16dもまた、
図2および
図3Bに示すように同様の傾斜カム表面20bおよび20dを備え、これらの傾斜カム表面20bおよび20dは、ウェッジ100と協働係合するために鉛直方向において相互に対面する。上方アーム16aおよび16bはそれぞれ、
図3Aに示すように傾斜カム表面22aおよび22bをさらに備え、これらの傾斜カム表面22aおよび22bは、ウェッジ100と協働係合するために横方向において相互に対面する。下方アーム16cおよび16dのそれぞれもまた、
図3Gに示すように同様の傾斜カム表面22cおよび22dを備え、これらの傾斜カム表面22cおよび22dは、ウェッジ100と協働係合するために横方向において相互に対面する。下方アーム16cおよび16dはそれぞれ、
図3Gに示すようにロッキング切欠部23cおよび23dをさらに備え、上方アーム16aおよび16bはそれぞれ、
図3Bに示すようにロッキング切欠部23a(図示せず)および23bをさらに備える。これらのロッキング切欠部23a、23b、23c、および23dは、複数のアーム16をケージ12の拡張位置においてロックするためにウェッジ100の複数の部分を受けるように、ケージ12の遠位端部12aにそれぞれ隣接して配設される。
【0018】
次に
図4A~
図4Cを参照として、ウェッジ100の詳細を説明する。ウェッジ100は、デバイス10の拡張器としての役割を果たし、遠位方向移動時にケージ12の遠位端部12aを拡張させるためにケージ12内において可動に収容されるようにサイズ設定および構成される。ウェッジ100は、略十字形状を有し、以降において説明するように器具200のねじシャフトと螺合するためのウェッジ100の略中心を通って延在するねじ穴101を有する。ウェッジ100は、鉛直方向セクション102および横軸水平方向セクション104を有し、これらの鉛直方向セクション102および横軸水平方向セクション104は、ある特定の構成においては相互に対して直交方向にある。鉛直方向セクション102は、水平方向セクション104の上方に形成された傾斜側部表面102aおよび102bと、水平方向セクション104の下方に形成された傾斜側部表面102cおよび102dとを有する。ケージ12内においてウェッジ100を遠位端部12aに向かって移動させる最中に、湾曲側部表面102aおよび102bは、
図3Aに示すように、上方アーム16aおよび16bの上の傾斜カム表面22aおよび22bにそれぞれ係合するように構成され、傾斜側部表面102cおよび102dは、下方アーム16cおよび16d上の傾斜カム表面22cおよび22dにそれぞれ係合するように構成される。ウェッジ100のかかる移動と、ケージ12との協働係合とにより、アーム16a、16b、16c、および16dの各遠位端部は、ヒンジポイント18a、18b、18c、および18dを中心としたカンチレバー方式で正中線12cから離れるように横方向に偏曲され、それにより遠位端部12aにおいてケージ12の幅を拡張させる。
【0019】
水平方向セクション104は、水平方向セクション104の上方の鉛直方向セクション102の両側部上に形成された湾曲上方表面104aおよび104bと、水平方向セクション104の下方の鉛直方向セクション102の両側部上に形成された湾曲下方表面104cおよび104dとを有する。そのため、
図3Bに示すように、ケージ12内においてウェッジ100を遠位端部12aに向かって移動させる最中に、湾曲上方表面104bは、上方アーム16b上の傾斜カム表面20bに係合するように構成され、湾曲下方表面104dは、下方アーム16d上の傾斜カム表面20dに係合するように構成される。同様に、湾曲上方表面104aは、上方アーム16a上の傾斜カム表面20aに係合するように構成され、湾曲下方表面104cは、下方アーム16c上の傾斜カム表面20cに係合するように構成される。ウェッジ100のかかる移動と、ケージ12との協働係合とにより、アーム16a、16b、16c、および16dの各遠位端部は、ヒンジポイント18a、18b、18c、および18dを中心としたカンチレバー方式で正中線12cから離れるように鉛直方向に偏曲され、それにより遠位端部12aにおいてケージ12の高さを拡張させる。さらに、湾曲上方表面104aおよび104bはそれぞれ、係合エッジ106aおよび106bにおいてそれぞれ終端し、湾曲下方表面104cおよび104dはそれぞれ、係合エッジ106cおよび106dにおいてそれぞれ終端する。これらの係合エッジは、以降において説明するように、それぞれのロッキング切欠部23a、23b、23c、および23dに係合しこれらの切欠部内に位置することによって、ケージ12を拡張位置にロックするように構成される。
【0020】
ある特定の構成では、ウェッジ100と、アーム16a~16dの上の傾斜カム表面20a~20dおよび22a~22dとが、複数のアーム16を同時に移動させるような様式で構成および配向される。また、傾斜表面20a~20dおよび22a~22dは、逐次移動を生じさせるようにウェッジ100に対して構成および配向されてもよく、これにより複数のアーム16は、最初に横方向に移動され、その後に鉛直方向に移動される、または所望に応じてその逆となる点を理解されたい。
【0021】
ケージ12およびウェッジ100は、共に、適切な金属系生体材料またはポリマー系生体材料から形成される。適切な生体適合性金属系材料としては、純チタン、タンタル、コバルトクロム合金、チタン合金(例えばニッケルチタン合金およびタングステンチタン合金)、ステンレス鋼合金、モリブデンレニウム(MoRe)、ならびにNiTinol(超弾性特性)が含まれる。適切なポリマー材料としては、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、炭素強化PEEK、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)などのポリアリルエーテルケトン(PAEK)族の要素、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、または架橋UHMWPEが含まれる。例えば酸化アルミニウムすなわちアルミナ、酸化ジルコニウムすなわちジルコニア、粒子ダイヤモンド圧粉体、または熱分解炭素などのセラミック材料が、かかるポリマーに含まれ得る。これらの材料は、所望に応じて、個別に使用されてもまたは合成して使用されてもよい点を理解されたい。
【0022】
再び
図3C、
図3D、
図3E、および
図3F、ならびに
図5を参照として、拡張可能椎体間固定デバイス10および器具200の装着の詳細を説明する。上記のように、ある特定の構成では、デバイス10は、カムビントライアングルを経由して椎間板内腔に嵌入するようにサイズ設定および構成される。結果として、デバイス10の高さおよび幅により画定されるようなデバイス10の断面プロファイルは、カムビントライアングルを経由する使用を可能にするような様式で寸法設定される。さらに、デバイス10を挿入するための器具200の少なくとも遠位端部が、カムビントライアングルに嵌挿されることがさらに必要となる場合があるため、装着端部202を備える器具200の遠位端部の寸法は、同様にカムビントライアングルを経由する導入に適合するように同様に設定される。このようにすることで、器具200は、器具200の少なくとも遠位端部がケージ12の外方断面プロファイルによる制限内において最大寸法を有する状態で、ケージ12の近位端部12bに対して装着されるように構成される。
【0023】
ケージ12の外方断面プロファイルのサイズが、カムビントライアングルを経由する導入のために実現可能な限り最小に設定される一方で、望ましくは、ケージ12の開口内部の設定は、拡張されたケージ12内への移植材のその後の導入を容易にするために実現可能な限り最大となる。一例として、L1/L2腰椎レベルにおけるTLIF固定手技のためのサイズ設定および構成の場合には、
図3Cに示すようなケージ12の未拡張高さH
1は、8.0mmであってもよく、未拡張幅W
1は、8.5mmであってもよい。この例においてかように寸法設定されることにより、外方断面プロファイルはほぼ正方形となる。ケージ12内への移植片進入部を最大化するために、内方移植円形開口部24は、最大で約5.0mmの直径を有するように設定され得る。かように寸法設定されることにより、ケージ12の断面積に対する移植開口面積の比は、少なくとも最小で約29%となる。これらの寸法および最小移植開口比は、移植片送達にとっては望ましいが、かかる寸法の場合には、器具200に対するケージ12の高さ方向または幅方向のいずれかへの装着のためには、その材料は比較的わずかしか残らない。したがって、
図3Cに示すような相対する対角12dは、器具200に対するケージ12の装着のために使用される。
【0024】
図5は、ケージ12に対する固定装着が可能な位置に配向された器具200の装着部分202を示す。以降においてさらに詳細に説明されることとなる器具200は、回転可能円筒状内方チューブ206を支持する外方チューブ204を備える。ある特定の構成では、外方チューブ204は、未拡張ケージ12の断面のサイズ以下の矩形断面を有し得る。内方チューブ206は、その遠位端部に装着部分202を備える。装着部分202は、正反対の方向に内方チューブ206から径方向外方に突出する1対のラグ208を備える。
図3Dにも示すように、ケージ12は、ベース14に器具装着機構13を備え、この器具装着機構13は、近位端部12bにある外方壁部26と外方壁部26から内部に離間された内方壁部28とを備える。内方壁部28は、ケージ中空内部12fと連通状態にある移植開口部24を備える。外方壁部26は、移植開口部24およびケージ中空内部12fと連通状態にある入口開口部30を備える。入口開口部30は、移植開口部24の構成とは異なる構成を有し、ある特定の構成では、円形部分30aおよび1対の円弧形状ローブ30bを有し、これらの円弧形状ローブ30bは、正反対の方向に円形部分30aから径方向外方に突出する。ローブ30bは、
図3Cに示すようにケージ12の両角12dに向かって延在する対角線方向軸12eに沿って配設されるように構成される。この構成では、軸12eは、ケージ12の高さおよび幅の両方に対して鋭角を成す。入口開口部30の円形部分30aは、器具200の円筒状内方チューブ206を比較的緊密に受けるようにサイズ設定され、ローブ30bは、円筒状内方チューブ206上のそれぞれのラグ208を比較的緊密に受けるようにサイズ設定される。器具200の装着部分202が、入口開口部30を通り受けられ得る一方で、移植開口部24は、入口開口部30の円形部分30aよりも小さい寸法になるようにサイズ設定され、そのため器具200の装着部分202は、内方壁部28の移植開口部24を通過することができない。
【0025】
ある構成では、入口開口部30は、相互に逆方向に突出するローブを有する円形部分を有するように形成されるが、他の形状の入口開口部30が用意されてもよい点を理解されたい。例えば、入口開口部30は、楕円形状で、または対角線方向軸12eの方向により長い長さとこの対角線方向軸12eに対して横軸方向により短い長さとを有する他の形状で形成されてもよい。
【0026】
外方壁部26と内方壁部28との間の空間は、
図3Dおよび
図3Fに示すようなロッキングポケット32を画定する。ロッキングポケット32は、器具200の円筒状内方チューブ206を受けるように構成された円形部分32aと、円形部分32aから径方向外方に延在する1対の延在ローブ32bとを有する。延在ローブ32bは、入口開口部30のローブ30bよりも円形部分32aの周方向に沿ってより長い円弧長さを有するように構成される。そのため、延在ローブ32bは、ある円弧部分についてはローブ30bと整列状態に連通し、外方壁部26の奥ではローブ30bと非整列状態において円弧方向へとさらに延在する。したがって、内方チューブ206は、
図6Aに示すように入口開口部30を通過して延在すると、適切な角度で回転され得、それによりラグ208は、
図6Bに示すように内方壁部28と外方壁部26との間に位置するまで、延在ローブ32b内において円弧状に移動される。8.0mmの未拡張高さH
1および8.5mmの幅W
1を有するケージ12の特定の例では、内方チューブ206は、内方壁部28と外方壁部26との間の位置にラグ208を移動させるように約41°回転され得る。
図3Fに示すような円形部分32aと延在ローブ32bとの移行ポイント32cは、ラグ208で係合したときの機械ストッパとしての役割を果たし、それによりロッキングポケット32内における装着部分202のさらなる回転が防止され得る。以降で説明するように、この位置において、装着部分202は、ケージ12から引き抜かれ得ず、ケージ12に固定的にロックされ得る。
【0027】
次に
図7および
図8を参照として、器具200のさらなる詳細を説明する。器具200は、細長器具ハンドル210、外方チューブ204、内方チューブ206、およびウェッジドライバ212を備える。既述のように、外方チューブ204は、その遠位端部204aにおいて未拡張ケージ12の断面のサイズ以下の矩形断面を有し得る。外方チューブ204の残りの長さ部分は、円筒状外方表面204cを有し得る。外方チューブ204は、外方チューブ204を長手方向に通って延在する内部ルーメン204bを有する。内方チューブ206は、上述のように1対のラグ208を備える装着部分202を遠位端部206aに備える。内方チューブ206は、外方チューブ204のルーメン204b内において摺動係合するための円筒状外部表面206dを有する。内方チューブ206は、内方チューブ206を長手方向に通って延在する内部ルーメン206bを有する。ロッキングハンドル214が、内方チューブ206の近位端部206cに設けられる。ロッキングハンドル214は、内方チューブ206と共に回転かつ軸方向移動を行うために内方チューブ206に対して固定され、ロッキングレバー214bにおいて終端する径方向突出シャフト214aを備え、以降において説明するように、このロッキングレバー214bは、ロッキングハンドル214のおよびしたがって内方チューブ206の手動回転を容易にする。
【0028】
ウェッジドライバ212は、遠位端部212bおよび近位端部212cを有する細長円筒状シャフト212aを備える。円筒状シャフト212aは、内方チューブ206のルーメン206b内に摺動的に延在するようにサイズ設定および構成される。ねじ部分212dが、シャフト212aの遠位端部212bに設けられ、以降において説明するように、このねじ部分212dは、ウェッジ100のねじ穴101に螺合するように構成される。拡張円筒状部分212eが、ウェッジドライバ212の近位端部212cに配設される。
【0029】
次にとりわけ
図8を再び参照すると、ハンドル210が、ハンドル本体210a、ハンドルカバー210b、および端部キャップ211を備える。ハンドルカバー210bは、例えば4つのねじ216のセットなどの固定部材によってハンドル本体210aに対して適切に装着される。端部キャップ211は、ハンドル本体210aの近位端部に形成されたキー213によって、ハンドル本体210aに対して適切に装着され、配向され得る。ハンドル210は、その遠位端部において外方チューブ204を固定的に支持し、内方チューブ206を受け支持するためのチャネル210cをその遠位端部に隣接して備える。開口部211aが、以降において説明するようにウェッジドライバ212を軸方向において遠位方向に駆動するために、T字ハンドルの一部分を受けるためのハンドル本体210aの近位端部を通る開口部210dと整列状態において端部キャップ211を通って延在する。カム要素218が、ハンドル本体210aの遠位端部においてレッジ222および224によって画定されたポケット220内で支持される。カム要素218は、傾斜カム表面218aを有し、この傾斜カム表面218aは、以降において説明するようにロッキングハンドル214のカム表面214cと連係するために近位方向を向く(
図9Bおよび
図10Bを参照)。カム要素218は、例えばねじ226および228などの適切な固定部材によりポケット220内に固定され得る。ハンドル本体210aは、ハンドル本体210a内における枢動のためにハンドル本体210aの遠位端部に隣接する押下げ可能ロッキングボタン230を支持する。ロッキングボタン230は、凹部210e内に捕捉された圧縮ばね232によりばね付勢されてもよく、以降において説明するように、この圧縮ばね232は、通常はロッキングボタン230をロッキング位置に付勢する。また、ハンドル本体210aは、カム要素218に隣接して開口部234を備え、この開口部234は、ハンドル本体210aに対する回転移動を制限するために開口部234内にロッキングハンドル214のシャフト214aを受けるように構成およびサイズ設定される。ハンドル本体210aは、駆動ナット236をさらに支持する。駆動ナット236は、ハンドル本体210aの内部に形成された適合矩形凹部238内に受けられ保持されるように実質的に矩形の構成を有し得る。ハンドルカバー210bがハンドル本体210aに装着された状態において、駆動ナット236は、ハンドル210内で適切に保持され、ハンドル210内における軸方向移動または回転移動のいずれかが防止される。ある特定の構成では、駆動ナット236は、以降において説明するようにウェッジドライバ212をおよびしたがってウェッジ100を軸方向において遠位方向に駆動してケージ12を拡張させるために適したツールに係合するための雌ねじ236aを備える。比較的平坦状の表面240が、椎間板腔内への椎体間固定デバイス10の挿入を支援するための若干の叩き込みを可能にするために、ハンドル端部キャップ211の近位端部に形成されてもよい。
【0030】
さらに
図7および
図8を参照すると、ある特定の態様では、器具200のハンドル210は、以降においてさらに説明するように、拡張されたデバイス10内への移植材の導入を助長するために移植カートリッジを受けるように形成され得る。これに関して、ハンドル本体210aおよびハンドルカバー210bは、移植材を収容するカートリッジを横方向に受けるための側部開口部215および217をそれぞれ有するように形成される。カートリッジに対して横方向力を印加すると手動により制され得る可動解除可能戻り止め242が、ハンドル本体210a内の凹部244内に支持され得る。
【0031】
次に
図9A~
図9C、
図10A~
図10B、および
図11を参照として、ロッキングボタン230のさらなる詳細および機能を説明する。
図9A~
図9Cは、正常ロック位置にあるロッキングボタン230を示す。ロッキングボタン230は、枢動ピン246によりハンドル210内に回転可能に支持される。ロッキングボタン230は、その一方の端部に押下げ可能部分230aを、および対向側端部に突出ロック230bを備える。押下げ可能部分230は、円形構成または他の適切な形状のものであってもよく、ハンドル210の開口部248を通してユーザがアクセス可能である。
図9A、
図9B、および
図9Cに示す位置では、付勢ばね232が、押下げ可能部分230aを下方に付勢し、それによりロック230bを上方に付勢し、それによってロック230bの自由端部230cをロッキングハンドル214のロッキング溝214d内に進入させる。
図10Aおよび
図10Bは、解除位置にあるロッキングボタン230を示す。ユーザは、押下げ可能部分230aを上方へと手動により押し上げることにより、対向側端部にあるロック230bを下方に移動させ、それによってロック230bの自由端部230cをロッキングハンドル214のロッキング溝214dから外へと移動させ得る。この位置では、ロッキングハンドル214は、
図11に示すようにハンドル開口部234内において自由に回転し得るため、ハンドル210に対して内方シャフト206を回転させる。この位置において、ロック230bの自由端部230dは、ロッキングハンドル214の第2の溝214e内に位置してもよく、これは、ロッキングハンドル214をロック位置へと回転させて戻すと克服され得る。
図11におけるロッキングハンドル214の位置は、
図1に示すようなロッキングハンドル214の位置と同一である。
【0032】
椎体間固定デバイス10および器具200の詳細について説明したが、次に、2つの対向する椎体間の椎間板腔内にデバイス10を挿入し、この椎間板腔内においてデバイス10を拡張させ、拡張されたデバイス10内への移植片送達を助長するための器具200の使用について説明する。TLIF手技のための例えばカムビントライアングルを経由する脊椎手術部位への作業コリドーを確立するために、切開部が患者の組織を通って形成される。このコリドーは、適切な器具を用いて形成されてもよく、椎間板腔は、椎体間固定デバイス10の挿入のためにコリドーを介して適切に備えられ得る。
図2に示すように、ウェッジドライバ212を有さない器具200が、最初にケージ12の外方壁部26にある開口部30のローブ30bに対して内方チューブ206の装着端部202にあるラグ208を整列させることによって、デバイス10に装着され得る。次いで、装着端部202は、
図5に示すように開口部30を通りケージ12内に挿入され、
図6Aに示すようにラグ208が延在ローブ32b内に位置する状態においてロッキングポケット32内へ挿入され得る。この時点においては、ロッキングハンドル214が、
図1に示すようなハンドル210に対するある角度位置にある。次いで、ロッキングハンドル214は、
図9A~
図9Cおよび
図12に示すような鉛直方向位置に来るまで、器具200の近位端部から患者に向かって見た場合の時計回り方向へと手動によって回転される。例えば外方チューブ204の遠位端部にある突出部204d(
図2および
図5を参照)などの構造機構が、デバイス10の近位端部においてローブ30bに進入および係合し、それによりロッキングハンドル214の回転中における外方チューブ204とデバイス10との間の相対回転を防止する。8.0mmの未拡張高さH
1および8.5mmの幅W
1を有するケージ12の上記の例では、ロッキングハンドル214は、約41°回転され得る。ロッキングハンドル214を鉛直方向位置に回転させる最中に、ロッキングハンドル214のシャフト214aは、ロッキングボタン230に係合し、ばね232の付勢に対抗して軸方向において近位方向にロッキングボタン230を押す。ロッキングハンドル214が
図12に示す鉛直方向位置に到達すると、自由端部230cは、ロッキングハンドル214の二次溝214e外へと移動して、ロッキングボタン230によってロック230bの自由端部230cをロッキング溝214d内へとスナップ嵌めすることが可能となり、これによりロッキングボタン230が手動によりハンドル210に対して上方に押し上げられるまで、かかる位置にロッキングハンドル214をロックする。
【0033】
ロッキングハンドル214のかかる回転の最中に、ラグ208は、
図6Bに示すように外方壁部26の奥の延在ローブ32b内へと延在するように円弧状に移動される。この位置では、近位壁部26が、ローブ208と器具200の外方チューブ204の遠位端部204aとの間に捕捉される。同時にかかる回転の最中に、ロッキングハンドル214上のカム表面214cが、カム要素218上のカム表面218aに摺動係合して、ロッキングハンドル214に固定的に装着された内方チューブ206をハンドル210に対して軸方向において近位方向へと若干移動させる。内方チューブ206のこの軸方向近位方向移動量は、外方壁部26が内方チューブ206の遠位端部にあるローブ208と外方チューブ204の遠位端部204aとの間に挟まれるようにするために十分なものである。ロッキングハンドル214が
図12に示す鉛直方向位置に到達すると、十分な圧縮力が、外方壁部26に対して印加されて、デバイス10のケージ12に対して器具200を固定的に締め付ける。
【0034】
ケージ12に対して器具200を装着すると、器具200は、適切に備えられた椎間板腔内にデバイス10を挿入するために使用される。器具ハンドル210の平坦表面240は、外科医の所望に応じて、デバイス10を椎間板腔内に穏やかに付勢するために、適切に叩かれてもまたは打撃されてもよい。次いで、ウェッジドライバ212が、内方チューブ206のルーメン206b内に導入され、ねじ部分212dが、ウェッジ100のねじ穴101内に手動で螺入されて、ウェッジドライバ212に対してウェッジ100を適切に装着させる。代替的には、外科医の施術に応じて、ウェッジドライバ212は、椎間板腔内へのデバイス10の導入前にウェッジ100に装着され得る。ウェッジドライバ212は、装着されると、軸方向において遠位方向に適切に駆動されることにより、ケージ12内においてウェッジ100を軸方向において遠位方向に押して、上述のように椎間板腔内でケージ12を拡張させ得る。最初にケージ12の遠位端部12aと近位端部12bとの間のほぼ中央に配設されるウェッジ100は、係合エッジ106a、106b、106c、および106dが、それぞれのロッキング切欠部23a、23b、23c、および23d内に係合し位置することによって、
図13Aに示すような拡張位置にケージ12をロックするまで、遠位端部12aに向かって移動される。
【0035】
ウェッジドライバ212およびしたがってウェッジ100を軸方向に駆動するための適切なツールは、T字ハンドル(図示せず)であってもよい。かかるT字ハンドルは、遠位端部に雄ねじを有した細長円筒チューブを有し得る。T字ハンドルは、T字ハンドルの遠位端部にある雄ねじが駆動ナット236の雌ねじ236a内に螺入するまで、円筒チューブがハンドル端部キャップ211の開口部211a内において摺動するように、構成され得る。内部横軸方向表面は、ウェッジドライバ212の近位端部212cにおいて拡張円筒状部分212eを係合させるために、T字ハンドル内に設けられ得る。T字ハンドルの適切な回転により、T字ハンドルは、T字ハンドルの雄ねじと駆動ナット236の雌ねじ236aとの間の螺合の影響下において、ハンドル210に対して軸方向遠位に移動し、それによりT字ハンドルの内部横軸方向表面は、拡張円筒状部分212eを押圧し、それによりウェッジドライバ212を軸方向遠位に押す。T字ハンドルのかかる回転は、ケージ12が
図13A~
図13Cに示すように適切に拡張され、ウェッジ100がロッキング切欠部23a~23d内において適切にロックされるまで継続される。
【0036】
椎体間固定デバイス10が拡張された後で、ウェッジドライバ212、および使用される場合にはT字ハンドルは、器具200から除去されてもよく、この器具200は、拡張されたデバイス10に装着されたままに留まる。移植材は、器具200を使用して拡張された椎体間固定デバイス10内に導入され得る。
図14および
図15に示すように、移植材の複数の個別に離間されたペレット302を収容する細長カートリッジ300が、
図14に示すような器具ハンドル210の側部の開口部215内に摺動的に挿入され得る。カートリッジ300は、任意の適切な個数の個別ペレット302を収容し得るものであり、
図15では5つのペレットが示される。カートリッジ300は、複数の凹部304を備え、各凹部304は、個別ペレット302のうちの1つに関連づけられ整列される。各凹部304は、
図15に示すように可動解除可能戻り止め242を受けるように構成される。各凹部304内に戻り止め242を受けることにより、カートリッジ300は、ペレットのうちの1つが内方チューブ206および外方チューブ204の内部ルーメン206bおよび204bにそれぞれ整列されるような位置に、一時的に保持される。手動力がカートリッジ300に対して横方向に印加されることにより、戻り止め242が各凹部304から横軸方向に外へと移動して、カートリッジ300がハンドル210内へとさらに移動されて、最終的に別の凹部304が戻り止め242と整列されることによって、この一時的な位置は解消される。カートリッジ300は、ハンドル210の対向側の開口部217を通り出現するまで、ハンドル210を通って横方向に移動され得、この出現時に除去され得る。各ペレット302が、内方チューブ206および外方チューブ204と整列されることにより、適切なプランジャ250が、ハンドル端部キャップ211の開口部211aを通り導入され得ることによって、十分な移植材が配置されるまで、拡張された椎体間固定デバイス10の内部中空部12f内へと移植開口部24を通りペレット302を1度に1つずつ個別に押し込むことができる。上記のように、いくつかの例では、椎体間固定デバイス10のケージ12の移植開口部24は、最大で約5.0mmの直径を有するように設定されてもよく、これにより、適切な量の移植材を効果的にかつ容易に送達することが助長される。移植材が内部中空部12fを満たすと、移植材は、ケージ上部開口部11および底部開口部13をさらに通過して、対向する脊柱の椎体の脊椎端板と接触し得ることによって、椎体に対する固定が助長される。また、移植材は、ケージ側部開口部15および17から出てケージ12に隣接する椎間板腔をふさぎ得ることによって、対向する椎体に対するさらなる固定が助長され得る。
【0037】
一代替例として、別個の移植片送達デバイスが、外科部位におよび拡張されたデバイス10内に適切な量の移植材を送達するために器具200と組み合わせて使用され得る。1つのかかる適切な移植片送達デバイスは、2019年12月3日に発行され本願と同一の譲受人に譲渡されたHollisterらの特許文献3(‘925号特許)において説明されている。この‘925号特許の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。‘925号特許に記載の移植片送達デバイスは、GraftMagの商標名で市販されている。使用時に、‘925号特許に記載のチャネル12は、ケージ12の開口部30を経由してデバイス10内に移植片を配置するために、器具200の内方チューブ206を通り導入され得る。
【0038】
適切な移植材を送達し外科手技が完了すると、次いで、器具200は、拡張されたケージ12から装着解除され得る。かかる装着解除を実行するために、ロッキングボタン230の押下げ可能部分230aが、手動で上方に押し上げられて、上述のようにロッキング溝214dからロック230bを解除し、それによりロッキングハンドル214をハンドル210の開口部234内を径方向に
図1に示す角度位置まで移動させることが可能となる。かかる移動の最中に、ラグ208と器具外方チューブ204の遠位端部204aとの間におけるケージ外方壁部26の圧縮が、緩められ、その一方でラグ208は、ローブ30bとの整列状態へと径方向に移動されて戻る。この時点において、器具200は、拡張したデバイス10からおよび外科部位から引き戻され得る。
【0039】
L1/L2腰椎レベルでTLIF固定手技において使用するための上記に示した例では、ケージ12は、8.0mmの未拡張高さH
1および8.5mmの未拡張幅W
1を有し得る。
図13A、
図13B、および
図13Cに示すように、拡張すると、ケージの遠位端部12aは、10mmの拡張高さH
2および11mmの拡張幅W
2へと増大し得る。H
2へ高さが増大することにより、結果として遠位端部12aにおける前弯角度は8度になり、遠位端部12aにおけるケージ12の幅は約29%増大する。上記のように、椎体間固定デバイス10は、他の脊柱レベルでのTLIF固定手技においても使用することができる。例えば、L4/L5レベルでのTLIF固定手技で使用される場合に、ケージ12は、カムビントライアングルを経由する導入に対応する16.0mmの未拡張高さH
1および8.5mmの未拡張幅W
1を有し得る。拡張すると、このレベルにおけるケージ12の遠位端部12aは、18mmの拡張高さH
2へと増大し、結果として8度の前弯角度および11mmの拡張幅W
2を得ることができる。かような他のレベルでは、ケージ12は、移植片送達器具に適合するように近位端部12bに5.0mmの開口部30を有し得る。しかし、開口部30に関して他の適切な直径が使用されてもよい。
【0040】
次に
図16を参照すると、ケージ12の一変形例であるケージ112が示される。ケージ112は、テクスチャードの上部表面および下部表面を有する点を除いてはケージ12と同一である。上部表面および下部表面の両方のテクスチャリングが同一であるため、上部テクスチャード表面の詳細のみを図示および説明する。下部テクスチャード表面の詳細は、同一であるものとして理解される。テクスチャード上部表面34は、上方アーム16aおよび16bの両方の上に形成される。図示するように、テクスチャード上部表面34は、上方アーム16aおよび16bの上部表面34全体の上に形成される。いくつかの例では、テクスチャリングは、椎間板腔に隣接する上方の椎体の椎骨端板に接触するように構成された部分のみに設けられてもよい。テクスチャード表面は、例えば複数の鋸歯状部36などの固定構造部を有するアーム16aおよび16bの上方部分を含む。かかる鋸歯状部36は、ヒンジポイント18aおよび18bに隣接する位置には設けられない。他の例では、テクスチャード表面は、椎間板腔内へのケージ112の進入を助長するような様式で湾曲されたケージ112の遠位端部12aには形成され得ない。
【0041】
テクスチャード表面34は、複数の突出部および凹部を有する3次元ジオメトリパターンで形成され得る。かかるパターンは、レーザアブレーション、酸エッチング、および機械加工を含むがこれらに限定されない、様々な方法により形成され得る。かかるパターンのテクスチャード表面は、対向する椎体の端板とケージ112との間の密接な組織一体化の成立を促進すると考えられている。ケージ112がチタンから形成される特定の構成では、テクスチャード表面34は、ナノ秒範囲内のパルスレーザでケージ112の上方表面および下方表面をアブレーションすることにより、最大で少なくとも100μmの深さを有する突出部および凹部を備える多孔表面を形成することによって形成され得る。かかるプロセスは、例えば1995年12月5日に発行されたSinghらの「Method for Increasing the Surface Area of Ceramics, Metals and Composites」と題する特許文献4などにおいて教示および説明されているナノ秒レーザデバイスおよび方法に従って実施され得る。この特許の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
ケージ112の組織一体化の面をさらに強化するために、テクスチャード上方表面34は、超高速パルスレーザによりこれらの事前形成された表面をさらにアブレーションすることによって後処理を行い、それにより1μm未満のおよび好ましくは200nm以下の深さを有する追加のより小さな突出部および凹部を形成されてもよい。かかるプロセスは、例えば2005年10月に発行されたLiらの「Method of Drilling Holes With Precision Laser Micromachining」と題する特許文献5において教示および説明されている方法およびレーザデバイスなどによる、ピコ秒パルスレーザデバイスまたはフェムト秒パルスレーザデバイスを用いて実施されてもよい。この特許の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。また、例えば2020年3月31日に発行されたLinらの「Bone Implant and Manufacturing Method Thereof」と題する特許文献6に説明されるような、他のピコ秒パルスレーザおよびフェムト秒パルスレーザが使用されてもよい。この特許の全内容が、参照により組み込まれる。特に好ましい一構成では、テクスチャード表面34は、最初にナノ秒レーザデバイスでケージ112の表面をレーザアブレーションして多孔表面を形成し、その後にフェムト秒レーザでレーザアブレーションすることによってさらに表面を変化させて、ナノスケール構造物を形成することによって形成される。
【0043】
図面および前述の説明の中で本発明を詳細に図示および説明したが、これらは、その性質として例示的なものであり非限定的なものとして解釈されるべきである。例えば、本明細書において説明される本発明のコンセプトは、拡張可能脊椎インプラントだけでなく拡張不能脊椎インプラントと共に使用されてもよく、本明細書において説明されるレーザアブレーションプロセスによって形成されるテクスチャード表面はまた、他の脊柱インプラントと共に、およびTLIF用途以外の脊柱外科手技において使用されてもよい。したがって、好ましい実施形態を提示したにすぎず、本発明の趣旨の範囲内に含まれるあらゆる変更、修正、および他の用途の保護を求める点を理解されたい。
【符号の説明】
【0044】
10 拡張可能椎体間固定デバイス
11 上部開口部、ケージ上部開口部
12 ケージ
12a 遠位端部
12b 近位端部
12c 長手方向軸、正中線
12d 対角、角
12e 対角線方向軸
12f 中空内部、ケージ中空内部、内部中空部
13 下部開口部、底部開口部、器具装着機構
14 ベース
15 開口部、ケージ側部開口部
16 可撓性可動アーム
16a 上方アーム
16b 上方アーム
16c 下方アーム
16d 下方アーム
17 開口部
18a ヒンジポイント
18b ヒンジポイント
18c ヒンジポイント
18d ヒンジポイント
20a 傾斜カム表面
20b 傾斜カム表面
20c 傾斜カム表面
20d 傾斜カム表面
22a 傾斜カム表面
22b 傾斜カム表面
22c 傾斜カム表面
22d 傾斜カム表面
23a ロッキング切欠部
23b ロッキング切欠部
23c ロッキング切欠部
23d ロッキング切欠部
24 内方移植円形開口部、移植開口部
26 外方壁部、ケージ外方壁部、近位壁部
28 内方壁部
30 入口開口部
30a 円形部分
30b 円弧形状ローブ
32 ロッキングポケット
32a 円形部分
32b 延在ローブ
32c 移行ポイント
34 テクスチャード上部表面、テクスチャード上方表面
36 鋸歯状部
100 ウェッジ
101 ねじ穴
102 鉛直方向セクション
102a 傾斜側部表面、湾曲側部表面
102b 傾斜側部表面、湾曲側部表面
102c 傾斜側部表面
102d 傾斜側部表面
104 横軸水平方向セクション
104a 湾曲上方表面
104b 湾曲上方表面
104c 湾曲下方表面
104d 湾曲下方表面
106a 係合エッジ
106b 係合エッジ
106c 係合エッジ
106d 係合エッジ
112 ケージ
200 器具
202 装着端部、装着部分
204 外方チューブ、器具外方チューブ
204a 遠位端部
204b ルーメン
204b 内部ルーメン
204c 円筒状外方表面
204d 突出部
206 回転可能円筒状内方チューブ、内方チューブ、内方シャフト
206a 遠位端部
206b 内部ルーメン
206c 近位端部
206d 円筒状外部表面
208 ラグ、ローブ
210 細長器具ハンドル
210a ハンドル本体
210b ハンドルカバー
210c チャネル
210d 開口部
210e 凹部
211 端部キャップ、ハンドル端部キャップ
211a 開口部
212 ウェッジドライバ
212a 細長円筒状シャフト
212b 遠位端部
212c 近位端部
212d ねじ部分
212e 拡張円筒状部分
213 キー
214 ロッキングハンドル
214a 径方向突出シャフト
214b ロッキングレバー
214c カム表面
214d ロッキング溝
214e 第2の溝、二次溝
215 側部開口部
217 開口部
218 カム要素
218a 傾斜カム表面
220 ポケット
222 レッジ
230 押下げ可能ロッキングボタン、押下げ可能部分
230a 押下げ可能部分、押下げ可能ボタン
230b 突出ロック
230c 自由端部
230d 自由端部
232 圧縮ばね、付勢ばね
234 開口部、ハンドル開口部
236 駆動ナット
236a 雌ねじ
238 適合矩形凹部
240 比較的平坦状の表面、平坦表面
242 可動解除可能戻り止め
244 凹部
246 枢動ピン
248 開口部
250 プランジャ
300 細長カートリッジ
302 ペレット
304 凹部
H1 未拡張デバイス高さ
H2 拡張高さ
W1 未拡張デバイス幅
W2 拡張幅
【手続補正書】
【提出日】2023-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎体間固定デバイスであって、
遠位端部、近位端部、前記
近位端部にあるベース、および前記ベースを通ってアクセス可能な中空内部を有するケージであって、前記ケージは、前記ケージの前記近位端部にある外方壁部と、前記外方壁部から内方に離間され、前記外方壁部との間でロッキングポケットを画定する内方壁部と、を備える前記ベースにある器具装着機構を備え、前記内方壁部は、第1の開口部を有し、前記外方壁部は、第2の開口部を有し、前記第1の開口部および前記第2の開口部は、前記ケージの前記中空内部と連通状態にあり、前記第1の開口部は、前記第2の開口部よりも小さい直径のものであり、前記ロッキングポケットは、前記外方壁部の一部分の奥に延在する長さを有する、ケージ
を備える、椎体間固定デバイス。
【請求項2】
前記ケージは、前記ケージの4つの角を交差および画定する高さおよび幅を有し、相対する対角は、前記高さおよび前記幅の両方に対して鋭角を成す軸を画定する、請求項1に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項3】
前記第2の開口部は、前記軸に沿ってより長い第1の長さと、前記軸に対して横軸方向により短い第2の長さと、を有する、請求項2に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項4】
前記第2の開口部は、円形部分と、前記軸に沿って反対方向に前記円形部分から径方向に延在する1対の円弧形状ローブと、を有し、前記円弧形状ローブは、前記軸に沿って前記より長い第1の長さを画定し、前記円形部分は、前記より短い長さを画定する、請求項3に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項5】
前記ロッキングポケットは、前記第2の開口部の前記円形部分と整列された円形部分と、前記軸に沿って反対方向に前記円形部分から径方向に延在する1対の延在ローブと、を有し、前記延在ローブは、円弧形状部分のために前記第2の開口部の前記ローブと連通状態にあり、さらなる円弧形状部分のために前記第2の開口部の前記ローブを越えて前記外方壁部の前記一部分の奥の位置まで延在する、請求項4に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項6】
前記第1の開口部は、円形構成を有する移植開口部を画定し、前記ケージの前記高さおよび前記幅は、前記ケージの断面積を画定し、前記移植開口部は、前記ケージの前記断面積
の29%以上の面積を有する、請求項5に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項7】
前記ケージは、拡張可能であるように構成される、請求項2に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項8】
前記ケージは、高さ方向および幅方向の両方において拡張可能であるように構成される、請求項7に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項9】
前記ケージは、前記ベースにおいて前記ケージにヒンジ装着された4つの可動アームを備える、請求項8に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項10】
前記ケージの前記アームは、前記ケージ内を前記遠位端部に向かって可動であるウェッジにより、前記ケージの前記遠位端部において前記高さ方向および前記幅方向に外方に偏曲される、請求項9に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項11】
前記ケージは、経椎間孔腰椎椎体間固定(TLIF)手技のためにカムビントライアングルを経由する後外側アプローチで椎間板腔内へ導入され
る未拡張状態で寸法設定される、請求項10に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項12】
L1/L2腰椎レベルにおけるTLIF手技のための前記ケージ
の未拡張高さは、約8.0mmである、請求項11に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項13】
L4/L5腰椎レベルにおけるTLIF手技のための前記ケージ
の未拡張高さは、約16.0mmである、請求項11に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項14】
TLIF手技のための前記ケージ
の未拡張幅は、約8.5mmである、請求項11に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項15】
前記ケージは、上部表面および対向側の下部表面を有し、前記上部表面および前記下部表面は、テクスチャード表面を備える、請求項1に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項16】
前記ケージは、チタンから形成される、請求項15に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項17】
椎体間固定デバイスであって、
遠位端部、近位端部、前記近位端部にあるベース、および前記ベースを通ってアクセス可能な中空内部を有するケージであって、前記ケージは、外方壁部を通り前記ケージの前記中空内部と連通状態にある装着開口部を有する前記ケージの前記近位端部にある前記外方壁部を備える前記ベースにある器具装着機構を備え、前記ケージは、前記ケージの4つの角を画定するように交差する高さおよび幅を有し、相対する対角は、前記高さおよび前記幅の両方に対して鋭角を成す軸を画定し、前記装着開口部は、前記軸に沿ってより長い第1の長さと、前記軸に対して横軸方向により短い第2の長さと、を有する、ケージ
を備える、椎体間固定デバイス。
【請求項18】
前記装着開口部は、円形部分と、前記軸に沿って反対方向に前記円形部分から径方向に延在する1対の円弧形状ローブと、を有し、前記円弧形状ローブは、前記軸に沿って前記より長い第1の長さを画定し、前記円形部分は、前記より短い長さを画定する、請求項17に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項19】
前記ケージは、拡張可能であるように構成される、請求項18に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項20】
前記ケージは、高さ方向および幅方向の両方において拡張可能であるように構成される、請求項19に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項21】
前記ケージは、前記ベースにおいて前記ケージにヒンジ装着された4つの可動アームを備える、請求項20に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項22】
前記ケージの前記アームは、前記ケージ内において前記遠位端部に向かって可動であるウェッジにより、前記高さ方向および前記幅方向に前記ケージの前記遠位端部において外方に偏曲される、請求項21に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項23】
前記ケージは、経椎間孔腰椎椎体間固定(TLIF)手技のためにカムビントライアングルを経由する後外側アプローチで椎間板腔内へ導入される未拡張状態で寸法設定される、請求項22に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項24】
前記ケージは、上部表面および対向側の下部表面を有し、前記上部表面および前記下部表面は、テクスチャード表面を備える、請求項17に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項25】
前記ケージはチタンから形成される、請求項24に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項26】
前記ベースにある前記器具装着機構は、前記外方壁部から内部に離間された内方壁部を備え、前記内方壁部は、前記内方壁部を通って前記装着開口部および前記ケージの前記中空内部と連通状態にある移植開口部を有し、前記内方壁部は、前記ケージに装着可能な器具の一部分を受けるように構成されたロッキングポケットを前記外方壁部との間に画定する、請求項17に記載の椎体間固定デバイス。
【請求項27】
前記移植開口部は、前記装着開口部よりも小さい寸法のものである、請求項26に記載の椎体間固定デバイス。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部表面および対向側の下部表面を有するケージを備える椎体間固定デバイス上にテクスチャード表面を形成する方法であって、前記テクスチャード表面は、
最初に、ナノ秒パルスレーザを用いて前記ケージの前記上部表面および前記下部表面をレーザアブレーションして、前記上部表面および前記下部表面のそれぞれの上に、突出部および凹部を備える三次元ジオメトリパターンを形成するステップと、
次いで、超高速パルスレーザを用いて前記ケージの前記最初にアブレーションされた上部表面および下部表面をレーザアブレーションして、前記上部表面上および前記下部表面上に1μm未満の深さを有するナノスケール構造物を形成するステップと、
を含む方法により備えられる、方法。
【請求項2】
超高速パルスレーザを用いた、前記最初にアブレーションされた上部表面および下部表面の前記レーザアブレーションは、フェムト秒パルスレーザを用いて実施され、これにより、前記ナノスケール構造物は、200nm以下の深さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上部表面および対向側の下部表面を有するケージを備える椎体間固定デバイス上にテクスチャード表面を形成する方法であって、前記テクスチャード表面は、
最初に、前記上部表面および前記下部表面のそれぞれの上に、最大で少なくとも100μmの深さを有する突出部および凹部を備える三次元ジオメトリパターンを形成するステップと、
次いで、超高速パルスレーザを用いて前記ケージの上部表面および前記下部表面のそれぞれの前記三次元ジオメトリパターンの表面をレーザアブレーションして、前記上部表面上および前記下部表面上に1μm未満の深さを有するナノスケール構造物を形成するステップと、
を含む方法により備えられる、方法。
【請求項4】
前記上部表面および前記下部表面のそれぞれの前記三次元ジオメトリパターンは、機械加工によって形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記上部表面および前記下部表面のそれぞれの前記三次元ジオメトリパターンは、酸エッチングによって形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記上部表面および前記下部表面のそれぞれの前記三次元ジオメトリパターンは、ナノ秒パルスレーザを用いて前記ケージの前記上部表面および前記下部表面をレーザアブレーションすることによって形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記上部表面および前記下部表面のそれぞれの上の前記ナノスケール構造物は、ピコ秒パルスレーザを用いて形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記上部表面および前記下部表面のそれぞれの上の前記ナノスケール構造物は、フェムト秒パルスレーザを用いて形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記上部表面および前記下部表面のそれぞれの上の前記ナノスケール構造物は、200nm以下の深さを有する突出部および凹部を有するように形成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上部表面および対向側の下部表面を有するケージを備える椎体間固定デバイス上にテクスチャード表面を形成する方法であって、前記テクスチャード表面は、
最初に、ナノ秒パルスレーザを用いて前記上部表面および前記下部表面をレーザアブレーションして複数の突出部および凹部を形成することによって、前記上部表面および前記下部表面のそれぞれの上に三次元ジオメトリパターンを形成するステップと、
次いで、フェムト秒パルスレーザを用いて前記ケージの前記最初にレーザアブレーションされた上部表面および下部表面をさらにレーザアブレーションして、前記上部表面上および前記下部表面上にナノスケール構造物を形成するステップと、
を含む方法により備えられる、方法。
【請求項11】
前記突出部および凹部は、最大で少なくとも100μmの深さを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記上部表面上および前記下部表面上の前記突出部上および前記凹部内の前記ナノスケール構造物は、200nm以下の深さを有するように形成される、請求項11に記載の方法。
【国際調査報告】