(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-05
(54)【発明の名称】回転式円筒型反応器中の反応物質塊の内部逆混合システム
(51)【国際特許分類】
B01J 19/28 20060101AFI20231128BHJP
F27B 7/16 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B01J19/28
F27B7/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023527353
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 BR2021050486
(87)【国際公開番号】W WO2022094684
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】BR102020022740-8
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523099932
【氏名又は名称】テクノード デセンヴォルヴィメント テクノロジコ エス.アー.
【氏名又は名称原語表記】TECNORED DESENVOLVIMENTO TECNOLOGICO S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブラジル, リュドミラ, ロペス, ナシメント
(72)【発明者】
【氏名】デ オリヴェイラ, ロナルド, ロペス
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサウヴェス, ギリェルメ フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】ソアレス, アルバロ, ゲデス
(72)【発明者】
【氏名】フロイス, ファブリシオ, ティノコ
(72)【発明者】
【氏名】ダ シルバ, エゼキエル
(72)【発明者】
【氏名】ポッター, スティーブン マイケル
【テーマコード(参考)】
4G075
4K061
【Fターム(参考)】
4G075AA22
4G075AA37
4G075BA05
4G075BA06
4G075BB02
4G075BB05
4G075BD10
4G075CA02
4G075EC11
4G075ED04
4G075ED09
4G075EE40
4K061AA08
4K061BA00
4K061BA06
4K061EA03
4K061EA07
4K061GA05
(57)【要約】
本発明は、回転式円筒型反応器における反応物質塊の逆混合のためのシステムに関する。本文脈中、本発明は、回転式円筒型反応器(2)における反応物質塊の内部逆混合のためのシステムであって、反応物質塊を第1の方向に引っ張るように構成された第1のセットのドラグフィン(27)と、反応物質塊を第1の方向とは反対の第2の方向に引っ張るように構成された第2のセットのドラグフィン(28)とを備え、第1のセットのドラグフィン(27)及び第2のセットのドラグフィン(28)は、円筒型回転式反応器(2)の長さに沿って内部に配置されている、システムを提供する。上記のシステムにより、反応器のより進んだ段階の反応物質塊の一部と、処理のより早い段階の別の部分とを混合し、反応物質塊の温度を均質化し、反応器の生産性を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式円筒型反応器(2)における反応物質塊の内部逆混合システムにおいて、
反応物質塊を第1の方向に引っ張るように構成された第1のセットのドラグフィン(27)と、
前記反応物質塊を前記第1の方向とは反対の第2の方向に引っ張るように構成された第2のセットのドラグフィン(28)と
を備え、
前記第1のセットのドラグフィン(27)及び前記第2のセットのドラグフィン(28)が、回転式円筒型反応器(2)の長さに沿って内部に配置されていることを特徴とする、内部逆混合システム。
【請求項2】
前記第1のセットのドラグフィン(27)が、前記反応物質塊を前記回転式円筒型反応器(2)の供給入口から出口へ引っ張るように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の内部逆混合システム。
【請求項3】
前記第2のセットのドラグフィン(28)が、前記反応物質塊を前記回転式円筒型反応器(2)の前記出口から前記供給入口へ引っ張るように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の内部逆混合システム。
【請求項4】
前記第1のセットのドラグフィン(27)が、前記第2のセットのドラグフィン(28)に隣接しており、両方とも、前記回転式円筒型反応器(2)の長手方向軸線に平行であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の内部逆混合システム。
【請求項5】
前記第1のセットのドラグフィン(27)及び前記第2のセットのドラグフィン(28)が、溶接によって前記回転式円筒型反応器(2)の内側に取り付けられていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の内部逆混合システム。
【請求項6】
前記反応物質塊と接触する前記第1のセットのフィン(27)の全フィンの総面積が、前記第2のセットのフィン(28)の総面積よりも大きいことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の内部逆混合システム。
【請求項7】
前記第2のセットのドラグフィン(28)と比較して、前記第1のセットのドラグフィン(27)中により多くの数のフィンを含むことを特徴とする、請求項6に記載の内部逆混合システム。
【請求項8】
前記第1のセットのドラグフィン(27)の前記フィンが、前記第2のセットのドラグフィン(28)の前記フィンよりも大きな長さ及び/又は幅を有することを特徴とする、請求項6に記載の内部逆混合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、反応物質塊(massa reagente)の逆混合(retromistura)のためのシステムに関する。特に、本発明は、回転円筒型反応器における反応物質塊の逆混合のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[002]回転式円筒型反応器の最も一般的な用途の中には、有機物及び食品の乾燥、バイオマス及び食品の焙焼、バイオマスの熱分解、並びに石炭の熱処理がある。一般に、これらのプロセスでは、固体生成物の品質に関連付けられた可能な限り高い生産性を与える回転式円筒型反応器の特性を発展させようとしている。
【0003】
[003]バイオマスの熱分解プロセスには、乾燥(最高180℃)、次いで焙焼(最高340℃)という予備吸熱反応が関わる。その後、反応物質系のかなりの塊が失われ、固形物であるバイオ炭の化学構造が大きく変化することを特徴とする、350℃付近の非常に激しい発熱化学反応が起こる。
【0004】
[004]熱分解において、バイオマス中の有機物が酸素の不在下で加熱されることにより熱化学的に分解され、高炭素含有量の生成物が生成される。生成物の特徴、気相、液相及び固相の相対比率、並びにプロセスに必要なエネルギーは、前駆体バイオマス及び反応物質雰囲気の性質、圧力、反応物質ガスの取り込み速度、温度、加熱速度、並びに粒径などのいくつかの要因に依存する。
【0005】
[005]反応物質ガスの圧力及び吸引速度は、反応物質ガスが固体マトリックス製品であるバイオ炭と再結合するプロセス(化学気相成長法と呼ばれるプロセス)に影響を与える。
【0006】
[006]温度、加熱速度及び粒径は、外部媒体からバイオマス粒子内部への全体的な熱伝達速度、ひいてはプロセスの生産性に影響を与える。
【0007】
[007]バイオマス熱分解プロセスの、吸熱初期段階とそれに次ぐ発熱最終段階を伴う熱力学的展開と、さらに高スループットの回転反応器を実現するという目標とを考慮すると、回転円筒型反応器の設計者が求める主な目標は、最終段階の反応物質塊の一部を初期処理段階で反応器に導入される反応物質塊と混合する方法である。
【0008】
[008]回転式円筒型反応器では、このような混合を行う1つの方法が、反応器の外部にあるスクリューコンベヤを通したものであった。回転式円筒型反応器の排出口にある固体生成物は分割され、一部が閉鎖型スクリューコンベヤを介して戻され、回転式円筒型反応器の供給口に再注入される。しかし、反応塊は約400℃又はそれ以上の高温であり、この生成物が大気と接触することはないため、これは複雑なシステムである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[009]本発明は、上記課題を実用的かつ効率的に解決することを目的とする。
【0010】
[0010]本発明は、回転式円筒型反応器における反応物質塊の内部逆混合のシステムであって、反応器のより進んだ段階の反応物質塊の一部を処理の前段階の別の部分と混合し、反応物質塊の温度を均質化し、反応器の生産性を向上させることを可能にするシステムを提供するという第1の目的を有する。
【0011】
[0011]本発明は、回転式円筒型反応器における反応物質塊の内部逆混合のシステムであって、前記塊を移動させるための外部システムの必要性をなくし、反応器の設計を大幅に簡素化するシステムを提供するという第2の目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0012]上述の目的を達成するために、本発明は、回転式円筒型反応器における反応物質塊の内部逆混合のシステムであって、(i)反応物質塊を第1の方向に引っ張るように構成された第1のセットのドラグフィンと、(ii)反応物質塊を第1の方向とは反対の第2の方向に引っ張るように構成された第2のセットのドラグフィンとを備え、第1のセットのドラグフィン及び第2のセットのドラグフィンは、円筒型回転式反応器の長さに沿って内部に配置されている、システムを提供する。
【0013】
[0013]以下の詳細な説明では、添付の図面及びそれぞれの参照番号を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による逆混合システムを備えた円筒型反応器の断面側面図を示す図である。
【
図2】回転式円筒型反応器の内部側の平面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0016]事前に、以下の説明は、本発明の好ましい実施形態から始まることを強調する。しかしながら、当業者には明らかなように、本発明はこれらの特定の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
[0017]本発明は、回転式円筒型反応器2における反応物質塊の内部逆混合のためのシステムを提供することによって、上記の技術的課題を解決する。本明細書の目的のために、回転式円筒型反応器2は、その端部に開口部を有する円筒型回転体であると定義される。
【0017】
[0018]本発明のシステムは、
図1及び
図2に示す好ましい実施形態によれば、反応物質塊を第1の方向に引っ張るように構成された第1のセットのドラグフィン27と、反応物質塊を第1の方向とは反対の第2の方向に引っ張るように構成された第2のセットのドラグフィン28とを備え、第1のセットのドラグフィン27及び第2のセットのドラグフィン28は、回転式円筒型反応器2の長さに沿って内部に配置されている。
【0018】
[0019]
図1の断面側面図に示すように、第1のセットのドラグフィン27及び第2のセットのドラグフィン28は、好ましくは、その高さが典型的には回転式円筒型反応器2の直径の約10分の1に相当するシートメタルである。
【0019】
[0020]好ましくは、第1のセットのドラグフィン27及び第2のセットのドラグフィン28は、溶接によって回転式円筒型反応器2の内側に取り付けられる。しかし、フィンは、当技術分野で知られている任意の取り付け方法によって回転式円筒型反応器2の内側に取り付けられてもよい。
【0020】
[0021]
図2は、回転式円筒型反応器2の側部の内面の平面図を表す。円筒形において、点Aは点A’と一致し、点Bは点B’と一致する。実際に製造計画からなるこの例では、回転式円筒型反応器2の内部側板は、その長さに沿って36セクション、その幅に沿って8セクションに分割されていた。このセクション分割は代表的かつ例示的なものに過ぎないため、当技術分野に精通した技術者により他の構成も実行可能であることは指摘する価値がある。
【0021】
[0022]この例では、回転式円筒型反応器2の長さ及び直径をそれぞれL及びDとし、平面側の長さ及び幅に沿った仮想線の数をそれぞれn及びmとし、フィンは長手方向ラインa、b、c、d、e、f、g、hに対して傾斜して取り付けられた板である。プロペラフィンの傾斜は、
図2に示すように、
【数1】
(式中、x及びyはセクター各々の寸法である)となるようにこれらの長手方向ラインに対して角度αを成す。
【数2】
及び
【数3】
を考慮すると、フィンの傾斜は
【数4】
と表すことができる。
【0022】
[0023]
図2の平面図は、長手方向ラインa、b、c、d、e、f、g、hに沿って配置された異なるセットのドラグフィン27、28も示しており、前記セットのドラグフィン27、28は、互いに隣接し、円筒型回転式反応器2の長手方向軸線に平行である。第1のセットのドラグフィン27は、反応物質塊を供給入口から出口へ(左から右へ)引っ張るように構成される。第2のセットのドラグフィン28は、出口から供給入口へ(右から左へ)反応物質塊を引っ張るように構成される。明らかに、最終的な目標は、供給入口に入る反応物質塊すべてが出口で処理されて出てくることであるため、反応物質塊と接触する第1のセットのフィン27の全フィンの総面積は、第2のセットのフィン28の総面積よりも大きい。これは、一例として、第2のセットのドラグフィン28と比較して第1のセットのドラグフィン27のフィンの数がより多いという形で実現され得る。或いは、2つのセットのフィンの数は同じであるが、第1のセットのドラグフィン27のフィンは、第2のセットのドラグフィン28のフィンよりも大きな長さ及び/又は幅を有するという可能性もある。
【0023】
[0024]第1のセットの第1のセットのドラグフィン27により多くの数のフィンがある実現形態では、反応物質塊を前方に(供給入口から出口まで)運ぶフィンの数は、反応物質塊を後方に運ぶフィンの数よりも常に多い。例えば、回転式円筒型反応器2のフィン8枚ごとに、6枚は第1のセットのドラグフィン27に属してもよく、2枚は第2のセットのドラグフィン28に属してもよい。この場合、事実上、材料を前方に運ぶ作業を行う6枚のフィンがあり、残りの2枚は反応物質塊を逆混合する役割を行い、反応のより進んだ段階(高温)で反応物質塊の一部を反応の前の段階(低温)の反応物質塊の一部と混合させる。
【0024】
[0025]
【数5】
個の縦バンドのフィンの分布は、回転式円筒型反応器2の内側全長に沿って繰り返され、反応物質塊の前方へのドラグストリングが発生し、規則的なセクターのフィンが最も高温の塊を後方に持って行く。この配置は、反応物質塊の熱交換を促進する方法からなり、回転式円筒型反応器2の生産性を向上させる。
【0025】
[0026]したがって、上記で露呈したように、本発明は、回転式円筒型反応器における反応物質塊の内部逆混合のシステムであって、反応器のより進んだ段階の反応物質塊の一部を処理の前段階の別の部分と混合し、反応物質塊の温度を均質化し、反応器の生産性を向上させることを可能にするシステムを提供する。このように、本システムは、前記塊を移動させるための外部システムの必要性をなくし、反応器の設計をかなり簡素化する。
【0026】
[0027]本請求の保護範囲に影響を与える数多くの変形が許容される。したがって、本発明は、上記の特定の構成/具現化に限定されないことが強調しておく。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、反応物質塊(massa reagente)の逆混合(retromistura)のためのシステムに関する。特に、本発明は、回転円筒型反応器における反応物質塊の逆混合のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[002]回転式円筒型反応器の最も一般的な用途の中には、有機物及び食品の乾燥、バイオマス及び食品の焙焼、バイオマスの熱分解、並びに石炭の熱処理がある。一般に、これらのプロセスでは、固体生成物の品質に関連付けられた可能な限り高い生産性を与える回転式円筒型反応器の特性を発展させようとしている。
【0003】
[003]バイオマスの熱分解プロセスには、乾燥(最高180℃)、次いで焙焼(最高340℃)という予備吸熱反応が関わる。その後、反応物質系のかなりの塊が失われ、固形物であるバイオ炭の化学構造が大きく変化することを特徴とする、350℃付近の非常に激しい発熱化学反応が起こる。
【0004】
[004]熱分解において、バイオマス中の有機物が酸素の不在下で加熱されることにより熱化学的に分解され、高炭素含有量の生成物が生成される。生成物の特徴、気相、液相及び固相の相対比率、並びにプロセスに必要なエネルギーは、前駆体バイオマス及び反応物質雰囲気の性質、圧力、反応物質ガスの取り込み速度、温度、加熱速度、並びに粒径などのいくつかの要因に依存する。
【0005】
[005]反応物質ガスの圧力及び吸引速度は、反応物質ガスが固体マトリックス製品であるバイオ炭と再結合するプロセス(化学気相成長法と呼ばれるプロセス)に影響を与える。
【0006】
[006]温度、加熱速度及び粒径は、外部媒体からバイオマス粒子内部への全体的な熱伝達速度、ひいてはプロセスの生産性に影響を与える。
【0007】
[007]バイオマス熱分解プロセスの、吸熱初期段階とそれに次ぐ発熱最終段階を伴う熱力学的展開と、さらに高スループットの回転反応器を実現するという目標とを考慮すると、回転円筒型反応器の設計者が求める主な目標は、最終段階の反応物質塊の一部を初期処理段階で反応器に導入される反応物質塊と混合する方法である。
【0008】
[008]回転式円筒型反応器では、このような混合を行う1つの方法が、反応器の外部にあるスクリューコンベヤを通したものであった。回転式円筒型反応器の排出口にある固体生成物は分割され、一部が閉鎖型スクリューコンベヤを介して戻され、回転式円筒型反応器の供給口に再注入される。しかし、反応塊は約400℃又はそれ以上の高温であり、この生成物が大気と接触することはないため、これは複雑なシステムである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[009]本発明は、上記課題を実用的かつ効率的に解決することを目的とする。
【0010】
[0010]本発明は、回転式円筒型反応器における反応物質塊の内部逆混合のシステムであって、反応器のより進んだ段階の反応物質塊の一部を処理の前段階の別の部分と混合し、反応物質塊の温度を均質化し、反応器の生産性を向上させることを可能にするシステムを提供するという第1の目的を有する。
【0011】
[0011]本発明は、回転式円筒型反応器における反応物質塊の内部逆混合のシステムであって、前記塊を移動させるための外部システムの必要性をなくし、反応器の設計を大幅に簡素化するシステムを提供するという第2の目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0012]上述の目的を達成するために、本発明は、回転式円筒型反応器における反応物質塊の内部逆混合のシステムであって、(i)反応物質塊を第1の方向に引っ張るように構成された第1のセットのドラグフィンと、(ii)反応物質塊を第1の方向とは反対の第2の方向に引っ張るように構成された第2のセットのドラグフィンとを備え、第1のセットのドラグフィン及び第2のセットのドラグフィンは、円筒型回転式反応器の長さに沿って内部に配置されている、システムを提供する。
【0013】
[0013]以下の詳細な説明では、添付の図面及びそれぞれの参照番号を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による逆混合システムを備えた円筒型反応器の断面側面図を示す図である。
【
図2】回転式円筒型反応器の内部側の平面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0016]事前に、以下の説明は、本発明の好ましい実施形態から始まることを強調する。しかしながら、当業者には明らかなように、本発明はこれらの特定の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
[0017]本発明は、回転式円筒型反応器2における反応物質塊の内部逆混合のためのシステムを提供することによって、上記の技術的課題を解決する。本明細書の目的のために、回転式円筒型反応器2は、その端部に開口部を有する円筒型回転体であると定義される。
【0017】
[0018]本発明のシステムは、
図1及び
図2に示す好ましい実施形態によれば、反応物質塊を第1の方向に引っ張るように構成された第1のセットのドラグフィン27と、反応物質塊を第1の方向とは反対の第2の方向に引っ張るように構成された第2のセットのドラグフィン28とを備え、第1のセットのドラグフィン27及び第2のセットのドラグフィン28は、回転式円筒型反応器2の長さに沿って内部に配置されている。
【0018】
[0019]
図1の断面側面図に示すように、第1のセットのドラグフィン27及び第2のセットのドラグフィン28は、好ましくは、その高さが典型的には回転式円筒型反応器2の直径の約10分の1に相当するシートメタルである。
【0019】
[0020]好ましくは、第1のセットのドラグフィン27及び第2のセットのドラグフィン28は、溶接によって回転式円筒型反応器2の内側に取り付けられる。しかし、フィンは、当技術分野で知られている任意の取り付け方法によって回転式円筒型反応器2の内側に取り付けられてもよい。
【0020】
[0021]
図2は、回転式円筒型反応器2の側部の内面の平面図を表す。円筒形において、点Aは点A’と一致し、点Bは点B’と一致する。実際に製造計画からなるこの例では、回転式円筒型反応器2の内部側板は、その長さに沿って36セクション、その幅に沿って8セクションに分割されていた。このセクション分割は代表的かつ例示的なものに過ぎないため、当技術分野に精通した技術者により他の構成も実行可能であることは指摘する価値がある。
【0021】
[0022]この例では、回転式円筒型反応器2の長さ及び直径をそれぞれL及びDとし、平面側の長さ及び幅に沿った仮想線の数をそれぞれn及びmとし、フィンは長手方向ラインa、b、c、d、e、f、g、hに対して傾斜して取り付けられた板である。プロペラフィンの傾斜は、
図2に示すように、
【数1】
(式中、x及びyはセクター各々の寸法である)となるようにこれらの長手方向ラインに対して角度αを成す。
【数2】
及び
【数3】
を考慮すると、フィンの傾斜は
【数4】
と表すことができる。
【0022】
[0023]
図2の平面図は、長手方向ラインa、b、c、d、e、f、g、hに沿って配置された異なるセットのドラグフィン27、28も示しており、前記セットのドラグフィン27、28は、互いに隣接し、円筒型回転式反応器2の長手方向軸線に平行である。第1のセットのドラグフィン27は、反応物質塊を供給入口から出口へ(左から右へ)引っ張るように構成される。第2のセットのドラグフィン28は、出口から供給入口へ(右から左へ)反応物質塊を引っ張るように構成される。明らかに、最終的な目標は、供給入口に入る反応物質塊すべてが出口で処理されて出てくることであるため、反応物質塊と接触する第1のセットのフィン27の全フィンの総面積は、第2のセットのフィン28の総面積よりも大きい。これは、一例として、第2のセットのドラグフィン28と比較して第1のセットのドラグフィン27のフィンの数がより多いという形で実現され得る。或いは、2つのセットのフィンの数は同じであるが、第1のセットのドラグフィン27のフィンは、第2のセットのドラグフィン28のフィンよりも大きな長さ及び/又は幅を有するという可能性もある。
【0023】
[0024]第1のセットのドラグフィン27により多くの数のフィンがある実現形態では、反応物質塊を前方に(供給入口から出口まで)運ぶフィンの数は、反応物質塊を後方に運ぶフィンの数よりも常に多い。例えば、回転式円筒型反応器2のフィン8枚ごとに、6枚は第1のセットのドラグフィン27に属してもよく、2枚は第2のセットのドラグフィン28に属してもよい。この場合、事実上、材料を前方に運ぶ作業を行う6枚のフィンがあり、残りの2枚は反応物質塊を逆混合する役割を行い、反応のより進んだ段階(高温)で反応物質塊の一部を反応の前の段階(低温)の反応物質塊の一部と混合させる。
【0024】
[0025]
【数5】
個の縦バンドのフィンの分布は、回転式円筒型反応器2の内側全長に沿って繰り返され、反応物質塊の前方へのドラグストリングが発生し、規則的なセクターのフィンが最も高温の塊を後方に持って行く。この配置は、反応物質塊の熱交換を促進する方法からなり、回転式円筒型反応器2の生産性を向上させる。
【0025】
[0026]したがって、上記で露呈したように、本発明は、回転式円筒型反応器における反応物質塊の内部逆混合のシステムであって、反応器のより進んだ段階の反応物質塊の一部を処理の前段階の別の部分と混合し、反応物質塊の温度を均質化し、反応器の生産性を向上させることを可能にするシステムを提供する。このように、本システムは、前記塊を移動させるための外部システムの必要性をなくし、反応器の設計をかなり簡素化する。
【0026】
[0027]本請求の保護範囲に影響を与える数多くの変形が許容される。したがって、本発明は、上記の特定の構成/具現化に限定されないことが強調しておく。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式円筒型反応器(2)に
含まれる反応物質塊の内部逆混合システムにおいて、
反応物質塊を第1の方向に引っ張るように
配置構成された第1のセットのドラグフィン(27)と、
前記反応物質塊を前記第1の方向とは反対の第2の方向に引っ張るように
配置構成された第2のセットのドラグフィン(28)と
を備え、
前記第1のセットのドラグフィン(27)及び前記第2のセットのドラグフィン(28)が、回転式円筒型反応器(2)の長さに沿って内部に配置され
、
前記第1のセットのドラグフィン(27)及び前記第2のセットのドラグフィン(28)が、溶接によって前記回転式円筒型反応器(2)の内側に取り付けられ、連続的な螺旋状の経路に沿ってドラグストリングを形成することを特徴とする、内部逆混合システム。
【請求項2】
前記第1のセットのドラグフィン(27)が、前記反応物質塊を前記回転式円筒型反応器(2)の供給入口から出口へ引っ張るように
配置構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の内部逆混合システム。
【請求項3】
前記第2のセットのドラグフィン(28)が、前記反応物質塊を前記回転式円筒型反応器(2)の出口から供給入口へ引っ張るように
配置構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の内部逆混合システム。
【請求項4】
前記第1のセットのドラグフィン(27)が、前記第2のセットのドラグフィン(28)に隣接しており、両方とも、前記回転式円筒型反応器(2)の長手方向軸線に平行であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の内部逆混合システム。
【請求項5】
前記反応物質塊と接触する前記第1のセットのフィン(27)の全フィンの総面積が、前記第2のセットのフィン(28)の総面積よりも大きいことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の内部逆混合システム。
【請求項6】
前記第2のセットのドラグフィン(28)と比較して、前記第1のセットのドラグフィン(27)中により多くの数のフィンを含むことを特徴とする、
請求項5に記載の内部逆混合システム。
【請求項7】
前記第1のセットのドラグフィン(27)の前記フィンが、前記第2のセットのドラグフィン(28)の前記フィンよりも大きな長さ及び/又は幅を有することを特徴とする、
請求項5に記載の内部逆混合システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】