(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-12
(54)【発明の名称】熱成形包装およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
C08L 67/02 20060101AFI20231205BHJP
B29C 51/00 20060101ALI20231205BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20231205BHJP
B29C 48/10 20190101ALI20231205BHJP
B29C 48/21 20190101ALI20231205BHJP
B29C 48/40 20190101ALI20231205BHJP
B65D 73/00 20060101ALI20231205BHJP
B29B 17/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
C08L67/02 ZAB
B29C51/00
B29C48/08
B29C48/10
B29C48/21
B29C48/40
B65D73/00 G
B29B17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530075
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021059723
(87)【国際公開番号】W WO2022109025
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519054116
【氏名又は名称】クロックナー、ペンタプラスト、オブ、アメリカ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KLOCKNER PENTAPLAST OF AMERICA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188651
【氏名又は名称】遠藤 広介
(72)【発明者】
【氏名】ウェード、ジャクソン、カマウフ
(72)【発明者】
【氏名】セス、トーマス、スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】カルロス、ダニエル、スタグナロ
【テーマコード(参考)】
3E067
4F207
4F208
4F401
4J002
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AB81
3E067AC01
3E067BA25A
3E067BA34A
3E067BB01A
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3E067EA06
3E067EA32
3E067FC01
4F207AA24
4F207AA50
4F207AG07
4F207AH55
4F207KA01
4F207KA17
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4J002CF052
4J002CF061
4J002GG02
(57)【要約】
様々な側面において、本開示は、その中に含まれる1つ以上の熱成形キャビティを有するポリマーフィルムを含んでなる熱成形ウェブに関し、ポリマーフィルムは、非晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)と、(a)ジカルボン酸残基(例えば、テレフタル酸残基および、場合により1つ以上の追加のジカルボン酸残基を含むジカルボン酸残基)および(b)ジオール残基(例えば、エチレングリコール残基および、場合により1以上の追加のジオールモノマー残基を含むジオール残基)を含んでなるコポリエステルとのポリマーブレンドを含んでなる。本開示の別の側面は、そのような熱成形ウェブを形成する方法、そのような熱成形ウェブを含む包装された製品、およびそのような熱成形ウェブをリサイクルする方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーフィルムを含んでなり、その中に含まれる1つ以上の熱成形キャビティを有する熱成形ウェブであって、
前記ポリマーフィルムが、
非晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)50wt%~95wt%と、
(a)ポリエチレンテレフタレート残基を含んでなるジカルボン酸残基、ならびに
(b)(i)エチレングリコール残基および
(ii)ネオペンチルグリコール残基、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、またはジエチレングリコール残基から選択される1種以上の追加のジオールモノマー残基、を含んでなるジオール残基
を含んでなるコポリエステル5wt%~50wt%と
のポリマーブレンドを含んでなる、熱成形ウェブ。
【請求項2】
前記ジカルボン酸残基が70モル%以上のテレフタル酸残基を含んでなる、請求項1に記載の熱成形ウェブ。
【請求項3】
前記ジオール残基が70モル%以上のエチレングリコール残基を含んでなる、請求項1~2のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項4】
前記ジオール残基が、追加のジオール残基の最大30モル%を含んでなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項5】
前記ポリマーフィルムが、DSCで測定して、120℃の等温結晶化温度で少なくとも2.5分、165℃の等温結晶化温度で30分を超えない結晶化時間を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項6】
ポリマーフィルムを含んでなり、その中に含まれる1つ以上の熱成形キャビティを有する熱成形ウェブであって、
前記ポリマーフィルムが、
非晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)と、
(a)ポリエチレンテレフタレート残基を含んでなるジカルボン酸残基、ならびに、
(b)(i)エチレングリコール残基および(ii)1種以上の追加のジオールモノマー残基を含んでなるジオール残基
を含んでなるコポリエステルと
のポリマーブレンドを含んでなり、
前記ポリマーフィルムは、DSCによって測定される120℃の等温結晶化温度で少なくとも2分の結晶化時間を有する、熱成形ウェブ。
【請求項7】
前記コポリエステルおよびAPETが混和性であり、前記ブレンドが均質である、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項8】
前記ポリマーフィルムが、2つの外側スキン層の間に配置されたコア層を含み、前記コア層および前記スキン層が前記ポリマーブレンドを含み、0.05~10wt%の無機粒子が前記スキン層にさらに添加されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項9】
前記ポリマーフィルムの融点が225~255℃の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項10】
前記ポリマーフィルムが、DSCでの測定により65~90℃の範囲のガラス転移温度を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項11】
前記ポリマーフィルムの厚さが25ミクロン~2000ミクロンの範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項12】
前記ポリマーフィルムの破断伸度がASTM D-638で測定して200~350%の範囲である、請求項1~11のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項13】
前記ポリマーフィルムが、ポリマーブレンドを1つ以上の層を有するシートに押し出すことにより形成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項14】
コポリエステルおよびAPETが、共回転二軸スクリュー押出、逆回転二軸スクリュー押出、および遊星押出から選択される方法によって配合される、請求項13に記載の熱成形ウェブ。
【請求項15】
前記ポリマーフィルムが、インフレーションフィルム、キャストフィルムまたは共押出フィルムである、請求項1~12のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項16】
前記ポリマーフィルムがカレンダー加工されたポリマーフィルムである請求項1~12のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項17】
前記熱成形ウェブがプラスチックリサイクル協会(APR)文書コードPET-S-08に規定される凝集基準を満たす、請求項1~12のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項18】
前記熱成形ウェブが、プラスチックリサイクル協会(APR)の透明PET樹脂および成形品に関する重要なガイダンスプロトコル(APRプロトコルPET-CG-01)で規定された基準を満たす、請求項1~12のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ。
【請求項19】
軟化ポリマーフィルムが形成される温度まで前記ポリマーフィルムを加熱し、前記軟化フィルムを金型の1つ以上の金型キャビティ内に押し込むことを含んでなる、請求項1~18のいずれか一項に従う熱成形ウェブを形成する方法。
【請求項20】
前記ポリマーフィルムを全体的に70~150℃の範囲の温度に加熱する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(a)前記熱成形ウェブが支持のない機械で形成され、前記ポリマーフィルムが任意の方向に+/-5%の範囲の加工中の最大収縮を有するか、または(b)前記熱成形ウェブが支持のある機械で形成され、前記ポリマーフィルムが+/-8%の範囲の加工中の最大収縮を有する、請求項19~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
(a)請求項1~18のいずれか一項に記載の熱成形ウェブ、(b)熱成形ウェブに適用される蓋、ならびに(c)1つ以上の熱成形キャビティ内および蓋と熱成形ウェブとの間に配置される1つ以上の製品、を備える包装製品。
【請求項23】
前記1つ以上の製品が消耗品である、請求項22に記載の包装製品。
【請求項24】
フィルムの厚さが100~550ミクロンの範囲である、請求項22~23のいずれか一項に記載の包装製品。
【請求項25】
前記蓋が、破裂可能な層と破裂可能な層から除去可能な耐破裂層と、包装製品の反対側の圧力によって開くことができる破裂可能な層、または、1つ以上の製品へのアクセスできる熱成形ウェブから剥がすことができる剥離可能な層を備える、請求項22~24のいずれか一項に記載の包装製品。
【請求項26】
前記1つ以上の製品が、医療機器、食品または消費者製品を含んでなる、請求項22に記載の包装製品。
【請求項27】
前記フィルムの厚さが200~2000ミクロンの範囲である、請求項26に記載の包装製品。
【請求項28】
前記蓋がポリマーおよび/または紙を備える、請求項26~27のいずれか一項に記載の包装製品。
【請求項29】
a)前記熱成形ウェブの1つ以上の熱成形キャビティ内に、前記1つ以上の製品を配置する方法と、(b)前記熱成形ウェブに蓋をシールし、それにより、1つ以上の製品を1つ以上の熱成形キャビティ内に封入する方法とを含んでなる、請求項22~28のいずれか一項に従う包装製品を形成する方法。
【請求項30】
前記蓋が、110℃~210℃の範囲の機械シール温度で熱成形ウェブにシールされる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
(a)(i)ポリエチレンテレフタレートフレークおよび/またはペレットと(ii)ならびに、請求項1~18のいずれか一項に従う熱成形ウェブのフレーク、および/または請求項1~18のいずれか一項に従う熱成形ウェブのフレークから形成されたペレットとを組み合わせて混合物を形成すること、ならびに、(b)前記混合物を高温で結晶化させて、自由流動性の結晶化混合物を形成することを含んでなる、リサイクル方法。
【請求項32】
自由流動性の結晶化混合物をポリマー加工装置に供給して加工ポリマー製品を形成することをさらに含んでなる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記加工ポリマー製品が押出ポリマー製品である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記加工ポリマー製品がカレンダー加工ポリマー製品である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
(a)リサイクルされたポリエチレンテレフタレートフレークおよび/またはペレットと、(b)請求項1~18のいずれか一項に従う熱成形ウェブのリサイクルされたフレークおよび/または請求項1~18のいずれか一項に従う熱成形ウェブのフレークから形成されたペレット、とを含んでなるリサイクルストリーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「熱成形包装およびその形成方法」と題する2020年11月18日1月出願の係属中の米国仮特許出願番号63/115,297の利益を主張するものであり、その出願の全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
熱成形包装は、医薬品、食品、チューインガムなどの消耗品や医療機器などの包装に一般的に使用されている。ブリスター包装は、重要な社会的ニーズに応える熱成形包装の特殊な形態である。例えば、ブリスターパッケージングは医薬品に特に有用である。なぜなら、ブリスターパッケージングは各投与量の無菌環境を保証し、パッケージングされた医薬品を劣化や物理的損傷から保護し、医薬品の有効性を向上させるからである。ブリスターパッケージはまた、複数の投与剤形(dose forms)が互いに付着しないようにすることができ、美的にも優れている。剤形が個別(dosage forms)に包装され、目に見えるブリスターパッケージの形式は、さらに心理的な利点をもたらす。バイアル瓶に入れられるのとは対照的に、剤形がブリスターパッケージに包装されている場合、患者は処方指示によく従い、処方された用量を完遂することが研究で示されている。熱成形包装は、そこに包装される医療機器の無菌環境を確保し、包装された医療機器を物理的損傷から保護し、環境上の危険から保護し、実施される医療処置の整理を支援する便利なキット形式を提供するため、医療機器に有用である。
【0003】
さらに、プラスチックの消費量が世界的に増加する中、包装をリサイクルする能力も社会的ニーズとなっており、従来のブリスターパッケージはこの要件を満たしていない。ブリスター包装および医療機器包装は、伝統的にポリ塩化ビニル(PVC)フィルムとその各種ラミネートを使用してきた成熟技術である。「モノPVCフィルム」として知られるPVCを含んでなるフィルムは、今日広く使用されており、世界の医薬品ブリスターパッケージの50%以上、医療機器パッケージのかなりの割合を占める。PVCベースのフィルムは熱成形が容易で、軟化点が鋭く、低残留収縮率で製造でき、切断も容易である。ブリスター包装機や医療機器包装機は、このような特性のために特別に設計された。したがって、今日存在する機械の大規模なインフラは、PVCのような性能属性を持つフィルムに適している。PVCはリサイクル可能であるが、PVCパッケージを回収し、分別し、機械的にリサイクルするためのインフラは普及しない。標準的なプラスチック廃棄物の流れでは、PVC製品は一般的に焼却されるか埋め立てられる。
【0004】
既存の機械ラインで運転できる非塩ビフィルムが必要とされている。また、従来の機械的リサイクルの流れでリサイクルできる非塩ビフィルムも必要とされている。ASTM International Resin Identification Coding System(RIC)ストリーム#1(RIC1)として知られるこのようなリサイクルストリームの1つは、非晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)を含む製品に適用される。しかし、標準的なAPETフィルムや未加工のAPETフィルムは、医薬品ブリスターパッケージや医療機器パッケージ、特にサポートウェブマシン用に開発されたフィルムに使用するには理想的ではない。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
様々な側面において、本開示は、ポリマーフィルムを含んでなる熱成形ウェブに関し、熱成形ウェブは、その中に含まれる1つ以上の熱成形キャビティを有する(the thermoformed webs having one or more thermoformed cavities contained therein)。
【0006】
いくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、非晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)と、(a)ジカルボン酸残基(例えば、テレフタル酸残基と、任意に、1種以上の追加のジカルボン酸残基とを含んでなるジカルボン酸残基)および(b)ジオール残基(例えば、エチレングリコール残基と、任意に、1種以上の追加のジオールモノマー残基とを含んでなるジオール残基)とを含んでなる。
【0007】
いくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、非晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)と、(a)ポリエチレンテレフタレート残基を含んでなるジカルボン酸残基、ならびに(b)(i)エチレングリコール残基および(ii)1種以上の追加のジオールモノマー残基を含んでなるジオール残基を含んんでなるコポリエステルとのポリマーブレンドを含んでなる。
【0008】
いくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、50wt%~95wt%の非晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)と、(a)ジカルボン酸残基(例えば、テレフタル酸残基および任意で1種以上の追加のジカルボン酸残基とを含んでなるジカルボン酸残基)および(b)ジオール残基(例えば、エチレングリコール残基および任意で1種以上の追加のジオールモノマー残基(例えば、ネオペンチルグリコール残基、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、またはジエチレングリコール残基から選択される1種以上の追加のジオールモノマー残基)を含んでなるジオール残基)を含んでなる、5wt%~50wt%のコポリエステルとのポリマーブレンドを含んでなる。
【0009】
いくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、
50wt%~95wt%の非晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)と、
5wt%~50wt%の、(a)ポリエチレンテレフタレート残基を含んでなるジカルボン酸残基ならびに(b)(i)エチレングリコール残基および(ii)ネオペンチルグリコール残基、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、またはジエチレングリコール残基から選択される1種以上の追加のジオールモノマー残基を含んでなるジオール残基、を含んでなるコポリエステルと
のポリマーブレンドを含んでなる。
【0010】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ジカルボン酸残基は、70モル%以上のテレフタル酸残基含んでなる。
【0011】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ジオール残基は、70モル%以上のエチレングリコール残基を含んでなる。
【0012】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ジオール残基は、追加のジオール残基の30モル%までを含んでなる。
【0013】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、DSCによって測定される120℃の等温結晶化温度において、少なくとも2.5分、有益には2.5~60分の間、例えば、2.5分~5分~10分~15分~20分~30分~60分の間の任意の範囲(換言すれば、先行する値の任意の2つの間の範囲)、例えば、3~30分の間の結晶化時間を有する。
【0014】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、DSCによって測定されるように、120℃の等温結晶化温度で少なくとも2.5分、しかしながら165℃の等温結晶化温度で30分を超えない結晶化時間を有する。
【0015】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、前記コポリエステルおよび前記APETは混和性であり、前記ブレンドは均質である。
【0016】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、2つの外側スキン層(outer skin layers)の間に配置されたコア層を含み、コア層およびスキン層はポリマーブレンドを含み、0.05~10wt%の無機粒子がスキン層にさらに添加されている。
【0017】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、225~255℃の範囲の融点を有する。
【0018】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、DSCによって測定される65℃~90℃の範囲のガラス転移温度を有する。
【0019】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、25ミクロン~2000ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0020】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、ASTM D-638によって測定される200~350%の範囲の破断伸度(break ranging)を有する。
【0021】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、ポリマーブレンドを1つまたは複数の層を有するシートに押し出すことによって形成される。これらの実施態様のいくつかにおいて、コポリエステルおよびAPETは、共回転二軸スクリュー押出(co-rotating twin screw extrusion)、逆回転二軸スクリュー押出(counter-rotating twin screw extrusion)、および遊星押出(planetary extrusion.)から選択される方法を介して配合される。
【0022】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、インフレーションフィルム(blown film)、キャストフィルム、または共押出フィルムである。
【0023】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、ポリマーフィルムはカレンダー加工されたポリマーフィルムである。
【0024】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、前記熱成形ウェブは、プラスチックリサイクル業者協会(APR)のPETフレーク凝集評価(文書コードPET-S-08)に規定される凝集基準(the clumping criteria)を満たすことができる。この試験方法は、APRのPET成形品のフレーク状への造粒(文書コードPET-P-03)およびPETフレークの洗浄及びシンク/フロート分離(文書コードPET-P-04)に従って、凝集化試験用の材料を準備することを要求する。凝集化評価(the Clumping Evaluation)の最初の部分では、165℃で30分間、オーブン対応の開放容器(外形は22cm×33cm)に入れた1.5kgの材料を分析する結晶化ステップを指示する。その後試料を取り出し、室温まで冷却する。試験試料中の物質の塊は、軽く手で押して砕くことができる。これでサンプルは凝集化評価の準備が整う。低圧評価と荷重下での評価の2つのバージョンがある。本命最初で言及するすべての試験は、低圧評価を表す。オーブンを210℃に加熱し、結晶化ステップで得られた試料1kgを、ホイルで裏打ちしたオーブン対応の開放容器(例えば22cm×33cm)に入れる。オーブン内で90分間加熱した後、オーブンから取り出し、そのまま室温まで冷却する。その後、原料を12.5mmのふるいに移し、ふるいを手で振る。ふるいを通過しなかったフレークは重量を測定し、記録する。同様に、ホイルに付着した材料も計量し記録する。凝集した材料とホイルに付着した材料は、試料の総重量の1%以下でなければならない(例えば、1kgの試料の場合、ふるいを通過せずホイルに付着した材料は合わせて10gのみ)。
【0025】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、前記熱成形ウェブは、プラスチックリサイクル協会(APR)の透明PET樹脂および成形品のための重要なガイダンスプロトコル(APRプロトコルPET-CG-01)によって指定された全ての基準を満たすことができる。
【0026】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、前記熱成形ウェブは、以下の評価のうちの1つ以上を含む、プラスチックリサイクル協会(APR)の透明PET樹脂および成形品の重要なガイダンスプロトコル(APRプロトコルPET-CG-01)によって指定された1つ以上の基準を満たすことができる:PETフレーク塊スクリーニング(PET-S-08)、IVビルドスクリーニング(PET-S-07)、およびプラーク色スクリーニング(PET-S-09)。
【0027】
様々な側面において、本開示は、上記の側面および実施態様にしたがって熱成形ウェブを形成する方法に関し、この方法は、ポリマーフィルムを、軟化ポリマーフィルムが形成される温度まで加熱することと、軟化ポリマーフィルムを金型の1つ以上の金型キャビティ(mold cavities)内に強制的に押し込むこととを含む。
【0028】
いくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、熱成形方法中、全体にわたって70~150℃の範囲の温度に加熱される。
【0029】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、前記熱成形ウェブは、支持のないウェブ機械(an unsupported web machine)上で形成され、ポリマーフィルムは、任意の方向に±5%の範囲の加工中の最大収縮(a maximum shrinkage)を有する。
【0030】
上記の側面および実施態様と組み合わせて使用することができるいくつかの実施態様において、前記熱成形ウェブは、支持ウェブ機械上で形成され、ポリマーフィルムは、±8%の範囲の加工中の最大収縮を有する。
【0031】
様々な側面において、本開示は、(a)上記の側面および実施態様に従った熱成形ウェブ、(b)熱成形ウェブに適用された蓋、ならびに(c)1つ以上の熱成形キャビティ内および蓋と熱成形ウェブとの間に配置された1つ以上の製品を備える包装製品に関する。
【0032】
いくつかの実施態様において、1つ以上の製品は消耗品である。これらの実施態様のいくつかでは、フィルムの厚さは100~550ミクロンの範囲である。これらの実施態様のいくつかでは、蓋は、破裂可能層と、破裂可能層から除去可能な耐破裂層と、包装された製品の反対側の圧力によって開封可能な破裂可能層と、または1つ以上の製品へのアクセスを与える熱成形ウェブから除去可能な剥離可能層とを備える。
【0033】
いくつかの実施態様では、1つ以上の製品は医療用デバイスを含んでなる。これらの実施態様のいくつかでは、フィルムの厚さは200~2000ミクロンの範囲である。これらの実施態様のいくつかでは、蓋は、ポリマーおよび/または紙を備える。
【0034】
様々な側面において、本開示は、(a)1つ以上の製品を熱成形ウェブの1つ以上の熱成形キャビティ内に配置する(positioning)工程と、(b)蓋材を熱成形ウェブにシールし、それによって1つ以上の製品を1つ以上の熱成形キャビティ内に封入する工程とを含む、上記側面の実施態様のいずれかに従って包装製品を形成する工程に関する。
【0035】
いくつかの実施態様において、蓋材は、110~210℃の範囲の機械シール温度で熱成形ウェブにシールされる。
【0036】
様々な側面において、本開示は、(a)(i)ポリエチレンテレフタレートフレークおよび/またはペレットと、(ii)上記の側面および実施態様のいずれかに従う熱成形ウェブのフレーク、および/または上記の側面および実施態様のいずれかに従う熱成形ウェブのフレークから形成されたペレットとを組み合わせ、それによって、フレークおよび/またはペレットの混合物を形成する工程と、(b)該混合物を高温で結晶化させて、自由流動性の結晶化混合物を形成する工程と、を含んでなるリサイクル方法に関する。
【0037】
いくつかの実施態様において、前記方法は、自由流動性の結晶化混合物をポリマー加工装置に供給して、加工ポリマー製品を形成することをさらに含む。いくつかの実施態様において、加工ポリマー製品は押出ポリマー製品である。いくつかの実施態様において、加工ポリマー製品はカレンダー加工ポリマー製品である。
【0038】
様々な側面において、本開示は、(a)リサイクルされたポリエチレンテレフタレートフレークおよび/またはペレット、ならびに(b)上記の側面および実施態様のいずれかに従う熱成形ウェブのリサイクルされたフレーク、および/または上記の側面および実施態様のいずれかに従う熱成形ウェブのフレークから形成されたペレットを含むリサイクルストリームに関する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、本開示の一実施態様に従った、ブリスターとして知られる熱成形キャビティのアレイを含む熱成形ウェブを含むブリスターパッケージの概略図である。
【0040】
【
図2】
図2は、本開示の一実施態様に従った、1つ以上の熱成形キャビティを含む熱成形ウェブを含む医療機器パッケージの概略図であり、1つ以上の熱成形キャビティは、1つ以上の医療機器を含む。
【0041】
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの実施態様に従った、ポリマーフィルムの、熱成形温度に対する横方向収縮のグラフ図である。
【0042】
【
図4】
図4は、本開示のいくつかの実施態様に従った、ポリマーフィルム組成物に対する破断伸度のグラフ図である。
【0043】
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの実施態様に従った、ポリマーフィルム組成物に対する融解温度のグラフ図である。
【0044】
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの実施態様に従った、ポリマーフィルム組成物に対する結晶化温度のグラフ図解である。
【0045】
【
図7】
図7は、本開示のいくつかの実施態様に従った、いくつかのフィルム組成物についての逆の等温結晶化温度(inverse isotheral crystallization temperature)に対する結晶化時間の自然対数のグラフ図である。
【0046】
【
図8】
図8は、ある範囲の温度における本明細書に記載の本発明の様々な反復と比較した、標準APETの等温結晶化速度のグラフ図である。注意として、一部のサンプルは、テストの記録部分の前に結晶化するため、高温では評価されていない。
【発明を実施するための形態】
【0047】
発明の詳細な説明
ここで
図1を参照すると、ブリスターパッケージ100は、一般的に、ブリスター102bとして知られる熱成形キャビティのアレイを含むポリマーフィルム102を含み、このキャビティは目的の消耗品104(例えば、医薬剤形、食品、タバコ製品、大麻製品、チューインガムなど)を含み、その上に蓋としても知られるカバー106が適用される。蓋106は、箔、ポリマーフィルムおよび/または紙など、当該技術分野で公知の1つ以上の材料から形成することができる。蓋106は一般に、ブリスター102bの外側と間にシール領域として残るポリマーフィルム102の平坦部102fに、多くの場合ヒートシールラッカーでスケーリングされる。
【0048】
熱成形中、ポリマーフィルム102は軟化温度まで加熱され、所定の形状のブリスター102bがフィルム全体に熱成形される。得られた製品(すなわち、その中にブリスターキャビティ102bが形成されたポリマーフィルム102)は、本明細書では熱成形ウェブとも呼ばれる。
【0049】
ほとんどのブリスター包装機は、熱とガス圧(プラグ・アシストの有無は問わない)を利用して、ロール状またはシート状のポリマーフィルムにブリスターを形成する。典型的な方法では、ポリマーフィルムはロールから巻き戻され、ブリスター包装機内に導かれる。ポリマーフィルム200は接触ヒーター(またはラジアントヒーター)を通過し、ポリマーフィルムが軟化して柔軟になるような高温に達する。軟化したポリマー・フィルムは、プラグ・アシストの有無にかかわらず、加圧ガス(圧縮空気など)を用いて金型のキャビティに吹き込まれ、ポリマー・フィルムにブリスターが形成され、熱成形ウェブが形成される。金型は通常、ポリマーフィルムが十分に硬くなり、熱成形ウェブがその形状を維持するように冷却され、熱成形ウェブを金型から取り出すことができる。(ポリマーフィルムを加熱軟化させた後、プラグアシストの有無にかかわらず、真空を介して成形ツールのキャビティにポリマーフィルムを引き込むことによりブリスターを形成する方法など、他の方法も知られている。)ブリスター包装機は一般的に支持のないウェブ機(unsupported web machines)であり、ポリマーフィルムの両側をクランプ、ピン止め、その他の方法で支持することなく、ポリマーフィルムを機械に通す。その後、充填装置を使用してブリスターに所望の製品を充填する。その後、シールステーションを使用して、適切な温度と圧力で熱成形ウェブの表面に蓋をシールし、ブリスター内の所望の製品を密封する。ブリスター包装機に加工するポリマーフィルムの厚さは、一般的に100ミクロン以下から550ミクロン以上の範囲であり、例えば100~150~200~250~300~350~400~450~500~550ミクロンの範囲である(言い換えれば、先行する値のいずれか2つの間の範囲)。
【0050】
ここで
図2を参照すると、医療機器パッケージ110は、一般に、例えば1つ以上の医療機器、医療機器部品、および/または医療機器付属品を収容する1つ以上の熱成形空洞112cを含むポリマーフィルム112を含み、その上に蓋としても知られるカバー116が適用される。蓋116は、医療機器包装技術において知られている1つ以上の材料、例えば、TYVEK(商標)(DuPont de Nemours,Inc.、ウィルミントン、デラウェア州、米国から入手可能な、高密度ポリエチレン繊維から形成されたスパンボンド材料)などのポリマー蓋材料および/または紙から形成することができる。蓋116は、一般に、1つ以上の熱成形キャビティ112cの外側(複数のキャビティがある場合には、1つ以上の熱成形キャビティ112cの間と同様に)にシール領域として残るポリマーフィルム112の平坦部分にスケーリングされる。図示されていないが、医療機器パッケージ110は、外側ホイルパウチ内に封入され密封されてもよい。
【0051】
医療機器包装の熱成形中、ポリマーフィルム112は軟化温度まで加熱され(例えば、接触ヒーターまたは放射ヒーターを用いて)、所定の形状の1つまたは複数の熱成形空洞112cがフィルム全体に熱成形される。得られた製品(すなわち、その中に1つ以上のキャビティ112cが形成されたポリマーフィルム112)は、本明細書では熱成形ウェブとも呼ばれる。
【0052】
典型的なプロセスでは、ポリマーフィルムはロールから巻き戻され、医療機器包装機に導かれる。ポリマーフィルムを加熱して高温にし、ポリマーフィルムが軟化して柔軟になるようにする。軟化したポリマーフィルムは、プラグアシストの有無にかかわらず、加圧ガス(圧縮空気など)または真空を使用して金型の空洞に吹き込まれるか引き込まれ、ポリマーフィルムに1つ以上のキャビティが形成され、熱成形ウェブが形成される。金型は通常、ポリマーフィルムが十分に硬くなり、熱成形ウェブがその形状を維持するように冷却され、熱成形ウェブを金型から取り出すことができる。医療機器包装機は、一般的に支持のあるウェブ成形機(supported web machines)であり、ポリマーフィルムの側面が、例えばクランプやピンなどの支持体を用いて、工程中の点で支持されることを意味する。次に、1つ以上の医療機器、医療機器コンポーネント、および/または医療機器付属品が、1つ以上のキャビティに配置される。その後、シールステーションを使用して、適切な温度と圧力で熱成形ウェブの表面に蓋をシールし、これにより所望の製品がキャビティ内に密封される。医療機器包装機に加工するポリマーフィルムの厚さは、一般的に200ミクロン以下から1800ミクロン以上の範囲であり、例えば、200~400~600~800~1000~1200~1400ミクロンの範囲である。
【0053】
食品包装、消費者製品包装、及び医療機器包装のような他の熱成形品は、一般的に、支持のあるウェブ機械上で行われる。加熱は、例えば、輻射熱を用いて行うことができる。
【0054】
本開示は、その中に含まれる1つ以上の熱成形キャビティを有するポリマーフィルムを含む熱成形ウェブに関し、ポリマーフィルムは、非晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)と、(a)ジカルボン酸残基(例えば、ジカルボン酸残基(例えば、テレフタル酸残基および任意で1つ以上の追加のジカルボン酸残基を含んでなる、ジカルボン酸残基)および(b)ジオール残基(例えば、エチレングリコール残基および任意で1つ以上の追加のジオールモノマー残基を含んでなる、ジオール残基)を含んでなるコポリエステルとを含んでなる。
【0055】
様々な実施態様において、ポリマーフィルムは、非晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)と、(a)ポリエチレンテレフタレート残基を含んでなるジカルボン酸残基、ならびに(b)(i)エチレングリコール残基および(ii)ネオペンチルグリコール残基、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、ジエチレングリコール残基、またはトリエチレングリコール残基から選択される1種以上の追加のジオールモノマー残基を含んでなるジオール残基を含んでなるコポリエステル、とのポリマーブレンド、を含んでなる。
【0056】
様々な実施態様において、ポリマーフィルムは、50wt%~95wt%の非晶質ポリエチレンテレフタレート(APET)と、5wt%~50wt%の、(a)ジカルボン酸残基(例えば、テレフタル酸残基と、任意で、1つ以上の追加のジカルボン酸残基とを含んでなるジカルボン酸残基)および(b)ジオール残基(例えば、ジオール残基は、エチレングリコール残基と、任意で1つ以上の追加のジオールモノマー残基、例えば、ネオペンチルグリコール残基、1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、またはジエチレングリコール残基から選択される1つ以上の追加のジオールモノマー残基とを含んでなる)を含んでなるコポリマーを含んでなる。
【0057】
様々な実施態様において、ポリマーフィルムは、50wt%以下~95wt%以上の非晶性ポリエチレンテレフタレート、例えば、50wt%~55wt%~60wt%~65wt%~70wt%~75wt%~80wt%~85wt%~87.5wt%~90wt%~92.5wt%~95wt%の非晶性ポリエチレンテレフタレート、および、5wt%以下~50wt%以上のコポリエステル、例えば、5wt%~7.5wt%~10wt%~12.5wt%~15wt%~20wt%~25wt%~30wt%~35wt%~40wt%~45wt%~50wt%のコポリエステルを含みうる。
【0058】
種々の実施態様において、コポリエステルのジカルボン酸残基は、70モル%以上のテレフタル酸残基を含みうる。例えば、コポリエステルのジカルボン酸残基は、70モル%~75モル%~80モル%~85モル%~90モル%~95または97.5モル%~99モル%~100モル%のテレフタル酸残基から含みうる。いくつかの実施態様において、コポリエステルのジカルボン酸残基は、芳香族ジカルボン酸残基(テレフタル酸残基以外)、20個までの炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸残基、またはその両方から選択される30モル%以下の追加のジカルボン酸残基をさらに含んでもよい。例えば、コポリエステルの追加のジカルボン酸残基は、30モル%~25モル%~20モル%~15モル%~5モル%~2.5モル%~1モル%~0モル%の追加のジカルボン酸残基を含んでいてもよい。このような追加のジカルボン酸残基の具体例としては、イソフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、スチルベンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、および/またはドデカンジカルボン酸などが挙げられる。
【0059】
種々の実施態様において、コポリエステルのジオール残基は、70モル%以上のエチレングリコール残基を含みうる。例えば、コポリエステルのジオール残基は、70モル%~75モル%~80モル%~85モル%~90モル%~95モル%~97.5モル%~99モル%のエチレングリコール残基を含みうる。種々の実施態様において、コポリエステルのジオール残基は、追加のジオール残基の30モル%以下を含みうる。例えば、追加のジオール残基は、追加のジオール残基の30モル%~25モル%~20モル%~15モル%~5モル%~2.5モル%~1モル%を含みうる。いくつかの実施態様において、コポリエステルの追加のジオール残基は、30モル%以下のネオペンチルグリコール残基、例えば、30モル%~25モル%~20モル%~15モル%~5モル%~2.5モル%~1モル%~0モル%のネオペンチルグリコール残基を含んでよい。いくつかの実施態様において、コポリエステルの追加のジオール残基は、30モル%以下の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基、例えば、30モル%~25モル%~20モル%~15モル%~5モル%~2.5モル%~1モル%~0モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含んでもよい。いくつかの実施態様において、追加のジオール残基は、30モル%以下のジエチレングリコール残基、例えば、30モル%~25モル%~20モル%~15モル%~5モル%~2.5モル%~1モル%~0モル%のジエチレングリコール残基を含んでもよい。いくつかの実施態様において、追加のジオール残基は、30モル%以下のトリエチレングリコール残基、例えば、30モル%~25モル%~20モル%~15モル%~5モル%~2.5モル%~1モル%~0モル%のトリエチレングリコール残基を含んでもよい。
【0060】
様々な実施態様において、APETとコポリエステルは混和性であり、ブレンドは均質である。
【0061】
熱成形ウェブがブリスター包装に使用される実施態様では、ポリマーフィルムは、典型的には100ミクロン以下から550ミクロン以上の範囲、例えば100ミクロン~150ミクロン~200ミクロン~250ミクロン~300ミクロン~350ミクロン~400ミクロン~450ミクロン~500ミクロン~550ミクロンの範囲の厚さを有しうる。
【0062】
熱成形ウェブが医療機器、食品、及び消費者製品包装に使用される実施態様では、ポリマーフィルムは、典型的には、200ミクロン以下から1800ミクロン以上の範囲、例えば、厚さが、200ミクロン~400ミクロン~600ミクロン~800ミクロン~100ミクロン~1200ミクロン~1400ミクロンの範囲である。
【0063】
種々の実施態様において、ポリマーフィルムは、例えば225℃~255℃の範囲、例えば225℃~230℃~235℃~240℃~245℃~250℃~255℃の範囲の融点を有する。
【0064】
種々の実施態様において、ポリマーフィルムは、DSCによって測定される65~90℃の範囲のガラス転移温度、例えば、65℃~70℃~75℃~80℃~90℃~95℃の範囲のガラス転移温度を有する。
【0065】
種々の実施態様において、ポリマーフィルムは、130℃~160℃の範囲の結晶化温度、例えば、130℃~135℃~140℃~145℃~150℃~155℃~160℃の範囲の結晶化温度を有する。
【0066】
いくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、フィルムに色を与えるのに十分な量の顔料をさらに含む。これらには、透明青色および透明緑色などの透明色が含まれる。いくつかの実施態様において、添加剤は、L*が0(黒)から100(白)までの明るさを示すCIELAB色空間から、L*値<40、および/またはNIR(近赤外)反射率<=10%の暗い色を達成するために添加される。
【0067】
いくつかの実施態様では、ポリマーフィルムは、2つの外側スキン層の間にポリマーブレンドのコア層を含んでなり、そのブレンドに少量(例えば、0.05から10wt%)のミネラル粒子のような無機粒子が添加され、積層されたときに熱成形ウェブの層が互いに分離されやすくなる。典型的には、各スキン層は全体の充填厚さ(the overall fill thickness)の2.5~20%を構成し(comprise)、コア層は全体の充填厚さの60~95%を構成する。
【0068】
いくつかの側面において、本開示は、その中に含まれる1つ以上の熱成形キャビティを有する熱成形ウェブを形成する方法に関する。熱成形ウェブは、本明細書の他の箇所で詳述するように、非晶性ポリエチレンテレフタレートとコポリエステルとのブレンドを含んでなるポリマーフィルムから形成される。この方法は、ポリマーフィルムを軟化ポリマーフィルムが形成される温度まで加熱することと、軟化フィルムを金型内の1つ以上のキャビティ内に強制的に押し込むこと(例えば、正圧を使用して軟化フィルムを1つ以上のキャビティ内に吹き込むこと、真空を使用して軟化フィルムを1つ以上のキャビティ内に引き込むこと、プラグアシストの有無など)とを含み、これにより1つ以上のキャビティが形成される。ポリマーフィルムはその後冷却され、金型から取り出される。
【0069】
いくつかの実施態様において、ポリマーフィルムの熱成形温度は、70℃~150℃の範囲(例えば、70℃~80℃~90℃~100℃~110℃~120℃~130℃~140℃~150℃の範囲)であり、好ましくは、特定の実施態様において100℃~125℃の範囲である。
【0070】
いくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、支持のないウェブ機械上に形成され、+/-1%、+/-2%、+/-3%、+/-4%、又は+/-5%の範囲の加工中の任意の方向の最大収縮(a maximum shrinkage)を有する。いくつかの実施態様において、ポリマーフィルムは、支持ウェブ機械上で形成され、+/-1%、+/-2%、+/-3%、+/-4%、+/-5%、+/-6%、+/-7%、または+/-8%の範囲の加工中の任意の方向の最大収縮を有する。後述するように、最も収縮が大きい方向は、典型的には、フィルムの巻き戻し方向、すなわち機械方向に対して直角方向である。
【0071】
いくつかの側面において、本開示は、1つ以上の熱成形キャビティを有する熱成形ウェブを作製するためにその後使用することができるポリマーフィルムを形成するための方法に関する。この方法は、本明細書の他の箇所で詳述するように、非晶性ポリエチレンテレフタレートおよびコポリエステルの断片(例えば、フレークおよび/またはペレット)を、残留水分レベルが100ppm未満(好ましくは、可能な限り低い)になるまで乾燥させることと、非晶質ポリエチレンテレフタレートおよびコポリエステルの混合物を押し出してポリマーフィルムを形成することとを含み得る。いくつかの実施態様において、ポリマーフィルムはカレンダー加工される。
【0072】
いくつかの実施態様において、非晶性ポリエチレンテレフタレートは、120~140℃の範囲の温度で8~12時間の範囲の時間乾燥され、コポリエステルは、60~72℃の範囲の温度で12~16時間の範囲の時間乾燥される。
【0073】
いくつかの実施態様では、押出は、少なくとも1つの押出機バレル、スクリューおよび供給システム、供給ブロック(例えば、2層供給ブロック、3層供給ブロックなど)およびダイまたはマルチマニホールドダイを含んでなる押出機を使用して行われる。各層タイプには、それぞれ独自の押出機バレル、スクリュー、フィーダーがあり(例えば、A/B/Aの3層フィルムには2つの押出機がある)、市販の装置にはスクリーンチェンジャーやメルトポンプがある場合もある。押出材料はすべてフィードブロックに流れ込み、その後ダイまたはマルチマニホールドダイが続く。これらの実施態様において、ポリマーブレンドは、235~290℃の範囲のバレル温度、235~290℃の範囲のフィードブロック温度、および230~270℃の範囲のダイ温度で運転される押出機の条件下で押出され得る。
【0074】
いくつかの側面において、本開示は、(a)その中に含まれる1つ以上の熱成形ブリスターキャビティを有し、本明細書の他の箇所でより詳細に説明するように、非晶質ポリエチレンテレフタレートとコポリエステルとのブレンドを含んでなるポリマーフィルムから形成される熱成形ウェブ、(b)熱成形ウェブに適用される蓋、および(c)1つ以上の熱成形ブリスターキャビティ内に、蓋と熱成形ウェブとの間に配置される1つ以上の消耗品、を含むブリスターパッケージに関する。このような消耗品の例としては、固体、半固体および液体の医薬剤形(例えば、錠剤、ピル、カプセル、粉末およびシロップ)、タバコ製品、大麻製品、消費者製品(例えば、かみそり、歯ブラシおよびペン)および食品(例えば、チューインガム、ヨーグルトおよびスプレッド)などが挙げられる。特定の実施態様において、蓋は、各ブリスターキャビティを囲む熱成形ウェブの領域上に敷かれ、ヒートシールラッカーで接着される。特定の実施態様において、蓋は、特に破裂可能な箔層、1つ以上のポリマー層、または紙などの破裂可能な層を含んでなり、破裂可能性を向上させるために、場合によっては傷をつけてもよい。蓋はまた、除去されるまで破裂の安全性を提供する破裂抵抗性層を含んでもよい。例えば、耐破裂層は、破裂可能層の外面に貼付されたラベルであってもよい。
【0075】
いくつかの側面において、本開示は、(a)その中に含まれる1つ以上の熱成形キャビティを有し、本明細書の他の箇所でより詳細に記載されるように、非晶性ポリエチレンテレフタレートとコポリエステルとのブレンドを含んでなるポリマーフィルムから形成される熱成形ウェブ、(b)熱成形ウェブに適用される蓋、および(c)1つ以上の熱成形キャビティ内および蓋と熱成形ウェブとの間に配置される1つまたは複数の医療機器、医療機器部品および/または医療機器付属品、を含む医療機器パッケージに関する。このような医療機器の例としては、例えば、整形外科用機器、カテーテル、注射器、手術キット、吸入器などが挙げられる。特定の実施態様において、蓋は、ヒートシールラッカーで各キャビティを囲む熱成形ウェブの領域上に敷かれ、接着される。特定の実施態様において、蓋材は、ポリマー材料および/または紙を含んでなる。一般的に使用される蓋材は、気体は通過させるが病原体(例えば、細菌またはウイルス微生物)は通過させないものである。このような材料には、高密度ポリエチレン繊維から形成されたスパンボンド材料(例えば、TYVEK(商標))や特殊紙グレードが含まれる。これらの材料の多孔性は、酸化エチレンによる滅菌を可能にし、このガスが蓋を通過することによって機能する。どちらの場合も、一般的に蓋には剥離可能な接着剤が使用され、ガスも通過するようにグリッドコーティングが施されている。あるいは、電子ビームやガンマ線照射で滅菌できる高分子フィルムも利用できる。場合によっては、医療機器パッケージは外側のホイルパウチ内に封入・密封されることもある。
【0076】
様々な実施態様において、本開示は、(a)本明細書の他の箇所に記載されるような非晶性ポリエチレンテレフタレートとコポリエステルとのブレンドを含むポリマーフィルムから形成される熱成形ウェブのキャビティ内に製品(例えば、消費者製品、医療機器、医療機器部品、医療機器付属品など)を配置する工程と、(b)熱成形ウェブに蓋をシールする工程とを含むプロセスに向けられている。いくつかの実施態様では、蓋材は、高温のシール温度で熱成形ウェブにシールされる。例えば、蓋材は、110℃~210℃の範囲のシール温度、例えば、110℃~120℃~130℃~140℃~150℃~160℃~170℃~180℃~190℃~200℃~210℃の範囲のシール温度で熱成形ウェブに取り付けられてもよい。
【0077】
本開示の他の側面は、(a)(i)ポリエチレンテレフタレートフレークおよび/またはポリエチレンテレフタレートペレットと(ii)その中に含まれる1つ以上の熱成形キャビティを有し、本明細書の他の箇所で詳述されるような非晶質ポリエチレンテレフタレートとコポリエステルとのブレンドを含んでなるポリマーフィルムから形成される熱成形ウェブのフレーク、および/またはそのような熱成形ウェブのフレークから形成されるペレット、とを組み合わせて、フレークおよび/またはペレットの混合物を形成する。いくつかの実施態様において、混合物は、適切な時間(例えば、160~170℃で15~45分間)高温で結晶化され、結晶化混合物を形成する。晶析された混合物は、その後、さらなる方法の流れに供給することができる。例えば、結晶化した混合物を乾燥し、押出機に供給して押出製品(例えば、フィルム、ペレット、ストランド)を形成することができる。
【0078】
本開示の他の側面は、(a)リサイクルされたポリエチレンテレフタレートフレークおよび/またはペレットを含み、それに(b)本明細書の他の箇所で詳述するような非晶質ポリエチレンテレフタレートとコポリエステルとのブレンドを含んでなるポリマーフィルムから形成される、1つ以上の熱成形キャビティをその中に含む熱成形ウェブのリサイクルされたフレーク、および/またはそのような熱成形ウェブのリサイクルされたフレークから形成されるペレットが混在するリサイクルストリームに関する。
【実施例】
【0079】
表1に記載したように、8種類の処方を製造した。
【表1】
【0080】
コポリエステルのペレットとしては、EmbraceTMLV(CHDMベースのコポリエステル)、EastmanTM 開発中のコポリエステル D39251 Natural(Eastman Chemical Company、Kingsport、TN、USA)、Huahong WS-501(NPGベースのコポリエステル)(Jiangyin Huahong Chemical Fiber Co、 Jiangsu China)、Selenis HS420(CHDMベースコポリエステル)、Selenis 80M(NPGベースコポリエステル)、Selenis HS310(NPGベースコポリエステル)(Compagnie Selenis Canada, Montreal, Canada)、SKケミカルSF 700(CHDMベースコポリエステル)(SKケミカルズ、Bundang-gu, Seongnam-si, Gyeonggi-do, 韓国)、およびYixing Guanghui HSF(NPGベースコポリエステル)(Yixing Guanghui Package Co.,Ltd., Jiangsu, 中国)が挙げられる。APETのペレットとしては、DAK LaserTM+C9921(DAKアメリカズLLC、ペンシルベニア州チャッズフォード、米国)、Indorama Preformance(商標) SG08、Indorama Polyclear(商標) PET、Indorama FuTuRe-PET(商標)、(Indorama Ventures USA LLC、ノースカロライナ州アッシュボロ、米国)、0.80 IV 食品グレードAPET、具体的には、StarPet Performance(商標) PET 1708(StarPet/Indoramaベンチャーズ、ノースカロライナ州アッシュボロ、米国)、Selenis InfinitTM S 80などが挙げられる。コポリエステルとAPETとのペレットをブレンドして押し出し、3層フィルム(フィルム全体の厚さを基準として、スキン5~10%/コア80~90%/スキン5~10%)を形成し、3層の各層は同じポリマー含量を有するが、外側のスキン層は1.5%のミネラル表面改質剤を含む。試験されたフィルムは、25:1のL/Dを持つ2台のC.W.Brabender(米国ニュージャージー州サウスハッケンサック)3/4”単軸スクリュー押出機を含むラボスケールの共押出セットアップを使用して調製された。C.W.Brabender Intelli-Torque Plasti Corder トルクレオメーターが主(コア)押出機の駆動装置として使用され、C.W.Brabender ATR Plasti-Corderが副(スキン)押出機の駆動装置として使用された。押出機からのブレンドは、C.W.BrabenderのA/B/Aフィードブロックに供給され、ノードソン社、ウェストレイク、OH、USAのカスタムEDI(商標)12”フィッシュテールフレックスリップシートダイに供給された。フィルムはLabTech LCR-350-HD 3ロールスタック(Labtech Engineering Company Ltd., Muang, Samutprakarn, Thailand)に送られ、ゲージ制御と巻き取りが行われた。フィルムの最終厚みは8~10ミル(203~305ミクロン)であった。
【0081】
次に、各フィルムの性能を定量化するために、フィルムをUhlmann B1240ブリスター熱成形ライン(Uhlmann Pac-Systeme GmbH & Co. KG, Laupheim, Germany)で運転した。各フィルムの寸法安定性を測定するために、成形後の横方向(TD)収縮をいくつかの温度で記録した。
【0082】
支持のないウェブ方法である熱成形方法では、フィルムは加熱され、続いて所望の形状に成形される。この加熱により、付与された熱応力が緩和され、横方向(巻き戻し方向に垂直な方向)に収縮が生じる可能性がある。熱応力に加えて、加熱されたフィルムにかかる熱成形ラインからの張力もまた、すべての熱成形可能な固体が示す機械的歪みを引き起こす可能性がある。この歪みは、通常、機械方向(巻き戻し方向と平行な方向)への伸びをもたらし、その結果、横方向への収縮をもたらす。横方向の収縮には張力が寄与するが、収縮測定前のフィルムには張力がほとんどないため、主な要因は熱応力の緩和である。横方向の収縮に加えて、フィルムには偏りや非対称収縮が生じることがあり、ブリスターラインで加工する際にフィルムが片側または反対側にずれることがある。ブリスターラインでのこのようなずれは、最終部品の欠陥や、未成形キャビティ、「ハローイング(haloing)」、成形・シール・切断ステーション間のミスアライメントなどの加工上の問題につながる可能性がある。さらに、収縮が大きくて工具が適切にクランプできない場合は、収縮によってフィルムが後退した領域から空気が逃げるため、キャビティは形成されない。非対称的な収縮に加えて、クランプ領域を超えて収縮するフィルムも同様の影響を与える可能性がある。これは、フィルムに一貫した非対称収縮や不均衡な収縮が見られる場合、ロール全体が使用できなくなる可能性があることを意味する。
【0083】
図3に示すように、すべてのブレンドは、熱成形ウィンドウ(thermoforming window)の開始から110℃の温度まで全体的に低い収縮を示した。一般に、開発作業において4%を超える収縮はUhlmann B 1240ブリスター熱成形ラインに問題を引き起こし、一貫してブリスターカードを製造できなくなるが、この収縮値はライン(サイズ、メーカーなど)によって大きく異なる。この研究のサンプルで示された平均熱成形ウィンドウは90~120℃であった。比較のために、標準的なPVCフィルム (Pentapharm(商標) PH-M570/01、250 ミクロン、Kloeckner Pentaplast Group、ロンドン、英国)は、約110~130℃の典型的な熱成形ウィンドウを有する。
【0084】
すべての実験サンプルの熱成形ウィンドウは、フィルムが型またはウィンドウの上端の接触ヒーターに付着したため、最終的に減少した。固着に加えて、ほぼすべてのサンプルは120℃以上でスカロッピング(インデックスの中央で収縮が増加するが、端では収縮が増加しない)を示した。すべてのブレンドサンプルにおいて、熱成形ウィンドウが純粋なAPETサンプルおよび純粋なコポリエステルサンプルと比較して上方にシフトしたことが注目された。純粋な(ニート)樹脂サンプルは110℃を超える温度では実行できなかったが、ブレンドされたサンプルは120℃まで安定していた(収縮率4%未満)。これにより、樹脂混合物が標準のPVC熱成形ウィンドウ(約110℃~130℃)に近づく。
【0085】
引張試験は、材料の強度、靱性、および伸びを測定するために使用される。これらの物理的特性は、さまざまな用途における材料の性能に関する洞察を提供します。熱成形包装フィルムの場合、引張特性は、形成されたキャビティの剛性とフィルムの切断性についての洞察を与える可能性がある。降伏強度が高い傾向のある材料は、変形するのに必要な力が大きくなるため、より硬いキャビティを形成する傾向がある。一方、より大きな伸びを示す材料は、破損する前に変形する傾向があるため、切断がより困難になり、その結果、品質が低下する。ただし、これらの傾向には例外がある場合がある。
【0086】
切断伸長試験法(ASTM D-638)は、ポリマーマトリックスの弾性を切断伝播に関する相対靭性と相関させるために使用され、結果が
図4に示されている。ノッチ感度がないと、マトリックスを切断するためにブレードがより大きな力を必要とするため、ノッチ感度もこの値に重要な役割を果たすと仮説が立てられる。さらに、APET材料にはノッチ感受性がないため亀裂の伝播が最小限に抑えられ、ノッチ感受性のある材料と比較した場合、同じ厚さのマトリックスの場合、切断器具は荷重を受ける距離が長くなる。クロスヘッドが結果に大きな役割を果たしており、ASTM規格で概説されている最速の設定(500mm/分)がサンプル間で最も顕著な違いを生み出すことがわかっている。引張試験では、純粋なAPETが、純粋なコポリエステルまたはコポリエステル/APETブレンドよりも大幅に優れた靭性を示すことが示されており、これがAPETの切断時に通常経験する困難を説明している可能性がある。APETの靱性の増加が予想されるが、コポリエステル/APETブレンドの靱性は、配合プロセス中にブレンドが受けるせん断により低下した可能性がある。
【0087】
示差走査熱量測定(DSC)は、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、および融解温度(Tm)などの熱力学的転移を測定するために使用される。DSCを使用して測定されるこれら3つの温度はそれぞれ、ポリマーの加工とリサイクルにおいて役割を果たす。
【0088】
ガラス転移温度は、原子の体積が温度に依存せず、ポリマー鎖間の自由体積が、ポリマーマトリックスがポリマー鎖の振動を可能にする点まで増加する温度である。実用的な観点から見ると、ガラス転移温度は、ポリマーの非晶質領域が軟化し、容易に変形する温度である。ガラス転移によって引き起こされるこの軟化は、ポリエチレン テレフタレート ベースのポリマー(PETベースのポリマー)を含む非晶性ポリマーの熱成形範囲の開始を意味する。Tgが低いポリマーは、より低い温度で熱成形できるため、加熱時間の短縮によるサイクルタイムの短縮や、加熱要件の減少によるエネルギーコストの削減など、熱成形中の利点が得られる。
【0089】
PETベースのポリマーの融解温度は、結晶ドメインが融解し、固体材料が液体になる温度である。PETベースのポリマーの溶解温度は、押出、配合、乾燥、リサイクルなどのさまざまなプロセスに影響します。溶解温度はリサイクルプロセスにとって非常に重要であるため、RIC#1材料としてラベル付けされるPETベースのポリマーの溶解温度の許容範囲(225~255℃)がカリフォルニア州の法律で指定されている。
【0090】
図5に示すように、PETブレンドの溶解温度は、コポリエステル含有量が増加するにつれて低下する傾向がある。また、
図5は、100%コポリエステルフィルムが、カリフォルニア州でRIC#1のラベルを付けるための特定の溶解温度範囲要件(すなわち、
図5の水平線で示される225~255℃)内に収まらないことを示している。100%コポリエステル樹脂はリサイクル可能に必要な溶解範囲には入らないが、APETとコポリエステルとのブレンドは、リサイクル可能に必要な温度範囲内で単一の溶解ピークを示すようである。
【0091】
PETベースのポリマーが結晶化の前後で示す特性の明確な違いのため、PETベースのポリマーを加工するための結晶化温度を知ることは有用である。PETベースのポリマーが結晶化すると、結晶領域の安定性によりポリマーマトリックスの耐熱性が大幅に増加する。結晶領域の安定性により、PETは乾燥機内で変形したり大きな凝集を形成したりすることなく結晶相で高温に耐えることができるため、乾燥時間を短縮できる。結晶化温度は熱成形範囲の終点と考えられるため、PETベースのポリマー結晶の温度安定性も熱成形性能に影響する。結晶性ポリマーは一般に、典型的な熱成形温度では硬くなりすぎて成形できなくなる。樹脂ブレンドの結晶化温度が上昇すると、フィルムが非晶質状態に保たれるため、熱成形および押出ウィンドウが改善される。これは、熱成形用途や美的理由からも望ましいことである。
【0092】
図6には、コポリエステルとAPETの様々なブレンドについて、加熱しながらDSCを使用して測定した結晶化温度が示されている。加熱中の結晶化温度は、コポリエステル含有量の増加とともに上昇する傾向がある(図示されていないが、樹脂が溶解物から冷却される際に測定される結晶化温度は、コポリエステル含有量とともに低下する傾向があることにさらに留意されたい)。コポリエステル/APETブレンド間の結晶化温度の違いは、樹脂を固体状態で加熱することによって結晶化させるか、溶解状態から冷却することによって結晶化させるかに関係なく、APETがより容易に結晶化することを示す。これらの結晶化傾向は、より高いコポリエステル配合量を有するブレンドは、より高いAPET配合量を有するブレンドよりも非晶質相になる傾向が大きいことも示している。
【0093】
図7は、以下のポリマーフィルムの等温結晶化データを示す:(a)ニートコポリエステルフィルム、(b)ニートAPETフィルム、(c)15/85コポリエステル/APETフィルム、および(d)35/65コポリエステル/APETフィルム。すべてのフィルムは、2台の押出機と付属の補助装置(乾燥機、フィーダー、ホッパーなど)、フィードブロックとダイに流入する各押出機のメルトポンプとスクリーンパックとともに、続いてロールスタックとテイクオフロールを備えたA/B/Aレイアウトを備えた商用装置で製造された。
【0094】
フィルムの結晶化速度は、DSCを使用してポリマーへの熱流を通じて測定した。記録された結晶化時間は、各サンプルが所定の温度でそのピーク結晶化速度(ポリマーへの熱流によって測定)に達する時間である。
図7に示すように、結晶化時間と温度の関係はアレニウスの式に従い、温度の逆数は結晶化時間の対数に対して線形になる。さらに、
図7は、テストしたすべての温度でコポリエステル含有量が増加するにつれて結晶化時間が増加することも示す。コポリエステル含有量と結晶化時間との間のこの関係は、ブレンド中のコポリエステル含有量を変更することで結晶化時間を特定の用途に合わせて調整できることを示す。
【0095】
さらに、
図8は、DSCによって試験された、異なる温度の様々なサンプルに存在する等温結晶化遅延を示す。
図8は、以下のポリマーフィルムの等温結晶化データを示しています:(a)ニート(そのままの)APETフィルム、(b)最初の押出操作で形成された15/85コポリエステル/APETフィルム、(c)第2の押出工程で形成された追加の15/85コポリエステル/APETフィルム、および(d)35/65コポリエステル/APETフィルム。すべてのフィルムは、2台の押出機と付随する補助装置(乾燥機、フィーダー、ホッパーなど)、フィードブロックおよびダイに流れ込む各押出機のメルトポンプとスクリーンパックとともに、続いてロールスタックとテイクオフロールを備えたA/B/Aレイアウトを備えた市販の装置で形成された。
【0096】
特に注目すべきは、120℃での結果であり、これは、熱成形ラインで観察される加工条件温度と類似しているからである。標準的なAPET材料は約2分で結晶化するが、本発明で製造されたサンプルは約4~10分の結晶化時間をもたらす。標準的なAPET材料をさらに結晶化させることにより、新規ポリマーフィルムの加工性と使いやすさが大幅に向上する。注目すべき項目の1つである、2番目の15%コポリエステル/85%APETサンプル(三角マーカー)は140℃でテストされていない。図に存在しない他のサンプルは、試験方法の平衡部分で結晶化したため、測定値がありません。
【0097】
結晶化の遅延は有益であるが、実行可能性には上限がある。APRPETフレーク凝集評価(APR Doc.#PET-S-08)では、165℃で30分間保持する結晶化手順が指定されている。材料はこの時間枠内に結晶化する必要があり、そうでないと凝集評価に不合格となる可能性が高くなる。
【0098】
また、理論に拘束されるわけではないが、コポリエステルの添加により、鎖が適切な結晶格子内に配向するために必要な自由体積が増加するため、結晶化プロセスが速度論的に遅くなり、これを達成するには追加の熱が必要になると考えられる。
【0099】
結晶化速度は、より厚い(>508ミクロン)フィルムの熱成形およびすべての結晶化可能なポリエステルフィルムの厚さのシールの重要な要素である。これは、ポリマーマトリックスに存在する固有の低い熱伝導率に関連している。熱伝導率が低いと、特に業界に存在するサイクル時間の制約内で、ガラス転移温度を超える材料を均一に作成するためにフィルムの表面により多くのエネルギーを導入する必要がある。これにより、結晶化が起こり、視覚的および物理的特性に望ましくない変化が生じる可能性がある。マトリックスに対する熱負荷が低いほど、マトリックス全体の温度がより均一になりますが、必要な時間は指数関数的に長くなる。同様に、シーリングは通常、フィルムの結晶化点を超える温度で行われ、同様の視覚的および物理的特性の問題を引き起こす可能性がある。結晶化の問題は、熱成形の切り替えや停止中にも発生する可能性があり、さまざまな膜厚にわたるラインのパフォーマンスにも悪影響を及ぼす。
【0100】
したがって、DSC試験によって示されるように、コポリエステル/APETブレンドは熱特性のバランスを示し、ニートコポリエステルまたはニートAPET樹脂の特性よりも特定の用途にとってより有用である。コポリエステル/APETブレンドの遅い結晶化速度は、フィルムを非晶質状態に保つのに役立ち、熱成形用途や美的理由からも望ましい非晶質状態を維持するのに役立ち、熱成形および押出ウィンドウを改善する。結晶化速度が遅いと、結晶化が遅くなり、特に厚いサンプル(医療機器のパッケージングなど)での操作ウィンドウの自由度が高まるため、結晶化特性が向上する。本開示によるフィルムは、35/65コポリエステル/APETフィルムについては120℃の温度で10分以上の結晶化時間、および15/85コポリエステル/APETフィルムの場合は120℃の温度で2.5分以上の結晶化時間を有するように製造されている。この温度での純粋なAPETの結晶化時間は2分である。
【0101】
さらに、コポリエステル含量の増加はAPETの結晶化特性を改善するが(熱成形およびシールの観点からはより遅い結晶化が望ましい)、コポリエステル含量の増加により溶解温度も低下する。APETの溶解温度がカリフォルニア州によって225~255℃と定義されていることを考慮すると、DSCは、100%コポリエステル樹脂の融点がカリフォルニア州によって定義された溶解温度要件を満たさないことを示しているが、APETとコポリエステルとのブレンドはこれらの要件を満たすことができる。
【0102】
リサイクル可能性も材料の重要な特性である。PETベースのポリマーをペレット化して固体化する従来の方法ではなく、押出成形前に洗浄したPETベースのポリマーフレークを固体状態にすることがより一般的になりつつある。洗浄されたPETベースのポリマーフレークの固相化では、ポリマーフレークは190℃を超え220℃までの熱と、装填されたホッパー内の圧力にさらされる可能性がある。高温や圧縮にさらされたときにポリマーフレークがくっついて硬い塊を形成しないことが重要である。ポリマーフレークの塊は、供給システム内でブリッジングを引き起こし、材料の流れを妨げる可能性がある。
【0103】
本発明のサンプルに対するリサイクル性試験は、プラスチックリサイクル業者協会(APR)の透明PET樹脂および成形品に関する重要なガイダンスプロトコル(APR文書番号PET-CG-01)によって規定された方法の経験を持つ試験機関によって完了した。サンプルは、以下を含むすべての必要な評価に合格した:PETフレーク凝集(Clump)スクリーニング(APR文書#PET-S-08)、IV損失(ASTM D4603)、発煙付着、危険性評価(APR文書#PET-P-06) IV ビルド スクリーニング(APR文書#PET-S-07)、融点(ASTM D3418)、スティックと残留物(APR文書#PET-P-06)、プラークカラースクリーニング(APR文書#PET-S-09)。
【0104】
リサイクル性試験のために第三者研究所に提出されたすべてのサンプルは、市販の押出システムで製造され、熱成形に適切な幅にスリットされた。サンプルは、標準工具(タイプ1タブレット)を使用し、標準加工条件でUhlmann B1240 支持のないウェブ熱成形機で熱成形された。
【0105】
本明細書に記載される本発明の実施例は、説明のみを目的としており、決して本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載されている。
【国際調査報告】