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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】応答時間が改善された温度プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/18 20060101AFI20240109BHJP
   G01K 1/08 20210101ALI20240109BHJP
   G01K 7/02 20210101ALI20240109BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G01K1/18
G01K1/08 Q
G01K7/02 C
G01K7/22 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540065
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 US2021060063
(87)【国際公開番号】W WO2022146576
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】17/137,648
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】キャバノー,ジャック・エム
(72)【発明者】
【氏名】ロヤ,ネイサン・エス
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056KC01
2F056KC08
2F056QC01
2F056QC06
2F056QC16
(57)【要約】
温度プローブ(100)は、シース(104)、感温素子(102、122)、及び挿入部材(200)を含む。シース(104)は、その内部に内部空間を画定する側壁(108)を有する。感温素子(102、122)は、側壁(108)の内部空間内に配置され、温度によって変化する電気特性を有する。炭化ケイ素で形成された挿入部材(200)は、側壁(108)と感温素子(102、122)との間に動作可能に挿入される。温度プローブの製造方法も提供される。温度プローブを用いた温度検知システムも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度プローブであって、
その中の内部空間を画定する側壁を有するシース、
前記側壁の前記内部空間内に配置された感温素子であって、温度によって変化する電気特性を有する前記感温素子、及び、
前記側壁と前記感温素子との間に動作可能に挿入される挿入部材であって、前記挿入部材は、炭化ケイ素で形成される挿入部材、
を含む温度プローブ。
【請求項2】
前記感温素子は、熱電対である、請求項1に記載の温度プローブ。
【請求項3】
前記感温素子は、RTD素子である、請求項1に記載の温度プローブ。
【請求項4】
前記挿入部材は、円筒形状を有し、外径が、前記シースの前記側壁の内径を与えるところに位置する、請求項3に記載の温度プローブ。
【請求項5】
前記RTD素子は、前記挿入部材の内径に近接して配置された外径を有する、円筒形状を有する巻線式RTD素子である、請求項4に記載の温度プローブ。
【請求項6】
前記RTD素子は、矩形形状を有する薄膜式RTD素子であり、前記薄膜式RTD素子は、前記挿入部材の内径内に配置される、請求項4に記載の温度プローブ。
【請求項7】
前記挿入部材の内径と、前記薄膜式RTD素子の矩形の表面と、の間の空隙に配置された絶縁性粉体をさらに含む、請求項6に記載の温度プローブ。
【請求項8】
前記絶縁性粉体は、前記薄膜式RTD素子を、前記シースの遠位端から離間させる、請求項7に記載の温度プローブ。
【請求項9】
前記シースは、前記側壁に溶接された端部キャップ部分を含み、前記挿入部材は、前記シースの遠位端から前記溶接部までの距離よりも長い長さを有する、請求項4に記載の温度プローブ。
【請求項10】
前記シースは、金属で形成されている、請求項1に記載の温度プローブ。
【請求項11】
温度プローブの製造方法であって、
金属シースの端部を提供する工程と、
前記金属シース内に、炭化ケイ素の挿入部材を配置する工程であって、前記炭化ケイ素挿入部材は、少なくとも部分的に貫通して延伸されるボアを有する、工程と、
感温素子を炭化ケイ素の挿入部材のボアに挿入する工程と、
を含む製造方法。
【請求項12】
前記炭化ケイ素の挿入部材を配置する工程は、前記金属シースに圧入される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記感温素子は、巻線式RTD素子である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記感温素子は、薄膜式RTD素子である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記薄膜式RTD素子の矩形形状と、前記挿入部材のボアの内径と、の間の空隙に絶縁性粉体を充填することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記絶縁性粉体は、酸化マグネシウム(MgO)粉体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記感温素子は、中実のブランク材である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
温度測定システムであって、
遠位端と、そこから延伸される円筒形の側壁と、を有するサーモウェル、
前記サーモウェル内に配置された温度プローブ、及び、
前記サーモウェル内に配置され、前記温度プローブの周囲に配置された炭化ケイ素の挿入部材、
を含む温度測定システム。
【請求項19】
前記温度プローブは、RTD温度プローブである、請求項18に記載の温度測定システム。
【請求項20】
前記温度プローブは、
内部空間を画定する側壁を有するシース、
前記側壁の前記内部空間内に配置されたRTD素子であって、温度によって変化する電気抵抗を有する、前記RTD素子、及び、
前記側壁と前記RTD素子との間に動作可能に挿入される挿入部材であって、炭化ケイ素で形成される、前記挿入部材、
を含む、請求項19に記載の温度測定システム。
【請求項21】
前記RTD素子は、薄膜式RTD素子である、請求項20に記載の温度測定システム。
【請求項22】
前記薄膜式RTD素子の矩形の表面と、前記炭化ケイ素の挿入部材の内径と、の間の空隙に配置された絶縁性粉体をさらに含む、請求項21に記載の温度測定システム。
【請求項23】
前記RTD素子は、巻線式RTD素子である、請求項20に記載の温度測定システム。
【請求項24】
前記温度プローブは、熱電対プローブである、請求項18に記載の温度測定システム。
【請求項25】
前記温度プローブの端部キャップは、前記サーモウェルの遠位端に接触して配置される、請求項18に記載の温度測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
温度プローブは、パイプ等のプロセス流体導管内を流れるプロセス流体のような物質又は表面の温度を示すために、様々な産業や環境で使用されている。温度プローブは、一般的に、金属、セラミック又はガラスで形成され、シース内部に位置する感温素子を、衝撃及びプロセス流体等への暴露から保護する外側シースを含む。通常、酸化マグネシウム(MgO)又はセラミック(酸化アルミナ-Al等)のような非導電性粉体が、シースの内面と感温素子との間の空隙を埋めるために使用される。
【0002】
温度プローブには、特定のアプリケーションに適用するために考慮しなければならない様々な設計上の考慮事項がある。これらの考慮事項の中には、精度、温度動作範囲、応答時間等がある。医薬品、食品及び飲料の製造、物品の保管・移送等、多くの高精度産業では、高速な応答時間が非常に重要な考慮事項となる。応答時間が改善された温度プローブを提供することにより、そのような温度プローブをより多くのアプリケーション、特に、高速な応答時間を必要とするアプリケーションで使用できるようになる。
【発明の概要】
【0003】
概要
温度プローブは、シース、感温素子及び挿入部材を含む。シースは、その内部空間を画定する側壁を有する。感温素子は、側壁の内部空間内に配置され、温度によって変化する電気特性を有する。炭化ケイ素で形成された挿入部材は、側壁と感温素子との間に動作可能に導入される。また、温度プローブの製造方法も提供される。また、温度プローブを使用した温度検知システムも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】従来技術に係るRTDベースの温度プローブの一部を示す模式図である。
図2A】従来技術に係るRTDベースの温度プローブの一部を示す模式断面図である。
図2B】従来技術に係るRTDベースの温度プローブの一部を示す模式断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るRTDベースの温度プローブ用のサーマル挿入部材の模式斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る、ステンレス鋼のシース内に配置されたサーマル挿入部材の模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係るRTDベースの温度プローブの斜視図である。
図6A】本発明の一実施形態に係るRTDベースの温度プローブの一部を示す模式断面図である。
図6B】本発明の一実施形態に係るRTDベースの温度プローブの一部を示す模式断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るRTDベースの温度プローブの製造方法のフロー図である。
図8】本発明の一実施形態に係るサーモウェルに適用されるサーマル挿入部材の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
例示的な実施形態の詳細な説明
図1は、従来技術に係るRTDベースの温度プローブの一部を示す模式図である。プローブ100は、一般的に、金属の端部106を有する金属シース104内に配置されたRTD素子102を含む。側壁108と端部106が一体となって、温度プローブ100の端部アセンブリを形成する。端部アセンブリは、溶接部112でシース側壁110に溶接されるか、又はその他の方法で、結合される。酸化マグネシウム(MgO)等の絶縁性粉体は、シース104内に配置され、シース104内のRTD素子102の位置を概ね維持する。RTD素子102は、薄膜式技術又は巻線技術等の、任意の適切なRTD素子形成プロセスに従って形成することができる。いずれの場合も、一般的に、温度変化に応答して変化する抵抗を有する金属で形成された回路が提供される。そのような金属の例としては、白金、銅、及びニッケルを含む。二本以上の導体116、118は、絶縁性粉体114を通って延伸され、素子102を適切な測定回路(図示せず)に結合する。
【0006】
図2A及び図2Bは、従来技術に係るRTDベースの温度プローブの断面図である。図2Aに示すように、矩形のRTD素子120は、シース104内のMgO粉体114内に配置されている。矩形のRTD素子120は、ケイ素のような非導電性基板上に、金属がスパッタリングされるか又は他の方法で堆積される、薄膜の堆積技術に従って形成されることができる。図2Bでは、円形の巻線式RTDセンサー素子122が、シース104内のMgO粉体114内に配置される。いずれの場合も、シース104の外側の表面又は環境からの温度を検出するためには、RTD素子が検出可能な温度変化を発生させるために、熱エネルギーが、金属シース104(ステンレス鋼又はインコネル合金で形成可能)を通過し、MgO粉体114を通過して流れる必要がある。理解されるように、熱エネルギーは、温度変化がより高温になるか低温になるかに応じて、どちらかの方向にも流れる可能性がある。いずれの場合も、熱エネルギーが移動するのに必要な時間は、RTDの応答時間に影響する。図2A及び図2Bに示すように、MgO粉体の熱伝導率は、約18W/Cである。MgO粉体の熱伝導率は、熱が粉体中を流れなければならない距離と共に、MgO粉体よりも高い熱伝導率を有する絶縁構造を提供することにより、熱応答特性を改善する(すなわち、応答時間を短縮する)機会を提供すると考えられる。
【0007】
図3は、本発明の一実施形態に係る温度プローブ用の炭化ケイ素の挿入部材の斜視図である。炭化ケイ素の挿入部材200は、一般的に、ステンレス鋼シース104(図1に示す)の内径内に収まるサイズの外径202を有する円筒形状を有する。さらに、挿入部材200は、参照符合数字120、又は122(図2A及び図2Bに示す)で図式的に示されるRTDセンサー素子等の感温素子を受け入れるサイズの内部ボア204も含む。感温素子は、温度によって変化する電気的な特性を有する。RTDの場合、特性は抵抗であり、熱電対の場合、特性は電圧である。薄膜式RTDセンサー素子(矩形の薄膜式素子120等)が使用される場合、挿入部材200のボア204はセンサー120の矩形形状を取り囲むサイズにされている。同様に、巻線式RTDセンサー素子122が使用される場合、ボア204は、巻線式RTDセンサー122の外径が挿入部材200の内径ボア204を通過するようなサイズにされる。
【0008】
図4は、本発明の一実施形態に係るステンレス鋼シース104内に配置された炭化ケイ素の挿入部材200の模式図である。シース104の構造において、端部キャップ106によって結合された端部キャップ部分は、通常、溶接部112において円筒状の側壁110に溶接される。これは、シースにおける潜在的な弱点の領域である。本発明の一態様によれば、挿入部材200は、端部キャップ106から溶接部112を越えた位置まで延伸される。このようにして、炭化物の挿入部材200の剛性は、溶接部112の位置における温度プローブに強度を与える。従来技術の装置においては、溶接部112が、摩耗や破損の原因となることがあったが、これにより、より堅牢な構造を提供することができる。
【0009】
図5は、本発明の一実施形態に係るRTDベースの温度プローブの斜視図である。薄膜式RTDセンサー素子120は、炭化ケイ素の挿入部材200のボア204内に配置される。さらに、炭化ケイ素の挿入部材200の内径204と薄膜式RTDセンサー素子120の外面205との間に、多量のMgO粉体114が供給されている。さらに、追加のMgO粉体114は、端部キャップ106の上方であり、RTDセンサー素子120の下面220の下に位置して支持している。
【0010】
挿入部材200の材料として炭化ケイ素を選択したのは、様々な設計上の制約のバランスを慎重に考慮した結果に基づいている。温度プローブ内の材料は、適度な高温に耐え、シース材料とガルバニ電池を形成せず、適度な熱的な衝撃及び機械的な衝撃に耐えることができなければならない。さらに、このような材料は、設計全体の経済的な実現可能性を維持できる価格で使用することがでできなければならない。炭化ケイ素は、温度プローブ等に必要とされる厳しい材料特性の要件を満たし、RTDプローブ構造で一般的に使用される材料をはるかに上回る200W/m*Kの熱伝導率を提供する。比較のためとなるが、MgO粉体は、60W/m*Kの熱伝導率を有する。MgO粉体の比熱は、0.880J/g*Kであり、20°Cで1014Ω*Cmより大きい電気抵抗率を有する。MgO粉体の密度も、約3.6g/cmである。一方、炭化ケイ素は、熱伝導率が、200 W/m*Kであり、比熱が、0.67J/g*Kであり、電気抵抗率が、20°Cで10Ω*Cmである。炭化ケイ素の密度は、3.2g/cmである。
【0011】
以下の応答時間の比較分析では、以下に示す式1~3が有用である。
【0012】
【数1】

式1において、Qは、温度差t-tを有する全熱抵抗Rtotalを横切る熱流を表す。
【0013】
【数2】

式2において、Rcylinderは、内側半径rと外側半径rを有する円筒の壁を通過する熱抵抗であり、Lは円筒の長さ、kは材料の熱伝導率である。
【0014】
【数3】

式3は、全コンダクタンスCtotalと全熱抵抗Rtotalの逆数を定義する。
【0015】
熱流の比較のためとなるが、従来技術では、環境からの熱は、一般的に、シースの熱抵抗を通過して流れ、その後、MgO粉体の熱抵抗を通過して、RTDセンサー素子に流れる。薄膜式RTDセンサー素子を採用する本発明の実施形態では、熱流は、シースを通過し、炭化ケイ素の挿入部材を通過し、炭化ケイ素の挿入部材の内径と薄膜式センサーとの間の比較的少量のMgO粉体を通過する。
【0016】
本発明の巻線式センサーの実施形態では、従来技術のMgOを通る熱流を、炭化ケイ素の挿入部材を直接に通過する熱流に、単純に置き換えるだけである。
【0017】
比較のためであり、熱流と応答時間の違いを説明するために、特定のプロトタイプと寸法を使用した。以下の例では、外径5.95mm、内径5.35mm、長さ28mmのステンレス鋼シースを使用した。これにより、シース全体の熱抵抗Rsheathとしては、0.0403C/Wが得られる。
【0018】
薄膜式の実施形態を比較するためであるが、従来技術のMgO粉体も、外径5.35mm、内径3.0mm、長さ28mmを有する場合、熱抵抗は0.0548C/Wである。一方、全く同じ寸法の炭化ケイ素の挿入部材の熱抵抗は0.0164C/W、言い換えれば、熱コンダクタンスは、60.7934である。これにより、全体的な熱抵抗の70%が減少される。
【0019】
内径3.0mmのケイ素の挿入部材を使用する場合も、矩形のセンサー素子とケイ素の挿入部材の内径との間の空隙を埋めるために、少量のMgO粉体が必要である。このMgOの外径は、挿入部材の内径(3.0mm)と同じであり、MgOの内径は2.95mmである。これにより、MgOの熱抵抗は0.0016C/Wとなり、炭化ケイ素の挿入部材の熱抵抗(0.0164C/W)とRsheathの熱抵抗(0.0403)が加えられて、全熱抵抗Rtotalとして0.0583C/Wが提供される。これにより、図6Aに示すように、MgO粉体のみを使用して、炭化ケイ素の挿入部材を使用しない、薄膜ベースのRTDセンサーから、38.67%が減少される。
【0020】
巻線式の実施形態を比較した場合、炭化ケイ素の挿入部材によってもたらされる改善がより顕著である。外径5.95mm、内径5.35mm、長さ47mmのシースが使用された。このシースは、0.0240C/Wの熱抵抗を有した。外径5.35mm、内径2.60mm、長さ47mmのMgO粉体は、0.0407C/Wの熱抵抗を提供する。従って、従来技術システムの全熱抵抗は0.0647C/Wとなる。MgO粉体と同じ寸法の炭化ケイ素の挿入部材を使用した場合、挿入部材の熱抵抗は0.0122C/Wとなり、全熱抵抗は0.0362C/Wとなる。これにより、図6Bに示すように、Rtotalで44.05%が減少される。本発明の実施形態の熱抵抗におけるこれらの減少は、全体的なRTDベースの温度プローブに対してより迅速な応答時間を提供する。
【0021】
炭化ケイ素は、結晶格子内で強い結合を持つ炭素原子とケイ素原子の四面体で構成されている。これは、非常に硬くて強い材料を生成する。炭化ケイ素は、800℃までの酸又はアルカリ又は溶融塩、には侵されない。空気中では、炭化ケイ素は、1200℃で酸化ケイ素の保護膜を形成し、1600℃まで使用できる。高い熱伝導率は、低い熱膨張と高い強度と共に、この材料に卓越した耐熱衝撃性を与える。粒界不純物をほとんど又は全く含まない炭化ケイ素のセラミックスは、1600℃に近い超高温まで、強度が失われることなく維持される。この材料は、化学的な純度、温度での化学的攻撃に対する耐性、及び高温での強度保持により、半導体炉のウェハー・トレイ・サポート及びパドルとして、非常に人気を有する。この材料の電気伝導性は、電気炉用の抵抗性の加熱要素内での、及びサーミスタやバリスタの主要部品としての、その使用を導いている。
【0022】
図5に戻ると、炭化ケイ素の挿入部材200は、一般的に、温度プローブの熱端(hot end)のシース内に圧入される。挿入部材200の外径は、プローブのシースの内径に一致させられ、炭化ケイ素の挿入部材の内径は、センサー素子(薄膜式又は巻線式)よりもわずかに大きいサイズにされる。薄膜式素子の場合、検出素子をアセンブリの中心に固定するために、残りの体積にはMgO粉体が充填される。いくつかの実施形態では、個々の素子の形状に合わせてポケットをカスタマイズする機会を有するように、中実(solid)のブランク材を選択することができる。このカスタマイズは、製造工程の後期段階で実施することができる。これにより、製造工程で廃棄されるMgO粉体を回収し、空隙の充填に再利用することが可能になる。さらに、中実の挿入部材を使用する場合、素子配置の一貫性と再現性を向上させるために、バックストップ又はブラインドホールと共に使用することができる。RTD素子を取り付けた後の残りの空隙にMgO(標準マグネシア粉体)を供給することで、剛性の高い内部構造だけでなく、熱伝導性も得ることができる。また、MgOは、検出素子の形状のばらつきを補償する。
【0023】
図7は、本発明の一実施形態に係るRTDベースの温度プローブの製造方法のフロー図である。方法300は、シースの端部が提供されるブロック302から開始される。図1に示されるように、端部は、端部キャップ106を有する。次に、ブロック304において、シース内に、炭化ケイ素の挿入部材が、圧入されるか、又は他の方法で配置される。一実施形態では、炭化ケイ素の挿入部材の長さは、シースの端部キャップから、シース内のいかなる端部キャップ/側壁溶接部を超える位置まで、延伸されるように選択される。次に、ブロック306で、RTD素子又はブランク材が、炭化ケイ素の挿入部材内に配置される。図7に示されるように、RTD素子は、薄膜式素子308又は巻線式素子310、あるいは素子308/310のいずれか一つのような形状及びサイズの適切な中実のブランク材とすることができる。薄膜式センサー310を使用する実施形態では、ブロック312で、炭化ケイ素の挿入部材の内径と薄膜式RTDセンサー素子の外面との間の領域を満たすように、MgO粉体が供給される。
【0024】
本発明の各実施形態は、炭化ケイ素の挿入部材の強度を考慮すると、特に、炭化ケイ素の挿入部材を従来のステンレス鋼のシース内に提供することに適用可能であるが、ステンレス鋼又は他の適切な金属の壁厚を低減することができ、それによって温度プローブの応答時間をさらに短縮できることも明確に企図されている。
【0025】
本発明の各実施形態は、温度プローブに関して説明してきたが、各実施形態はサーモウェルの熱伝導率及び応答時間を改善するためにも使用することができる。これは、サーモウェルの材料セグメントを、サーモウェルの底部にある炭化ケイ素の挿入部材に置き換え、挿入されたプローブの外径に着想物(idea)を実装することによって達成することができる。
【0026】
図8は、本発明の一実施形態に係るサーモウェルに適用される熱的(thermal)挿入部材の模式図である。サーモウェルシステム400は、温度を測定するためにプロセス流体導管又は他の適切な構造内に延伸される遠位部分404を有するサーモウェル402を含む。遠位部分は、一般的に、円筒形であり、図1に示す従来技術のプローブアセンブリ、又は本明細書に記載された炭化ケイ素ベースの配置等である温度プローブアセンブリ408、を受け入れることができる内部を有する。本発明のさらなる態様によれば、サーモウェル402の遠位部分404は、サーモウェルシステム400の応答時間をさらに短縮するために、炭化ケイ素の挿入部材406を含むこともできる。
【0027】
さらに、本明細書に記載された各実施形態は、センサーの先端の端部に、同様な挿入センサーの配置を有する衛生的なセンサーに対しても実施することができる。またさらに、従来のセンサーに対する改良は、最小限の努力で提供することができ、相当数のセンサーの構成及び素子で使用することができる。
【0028】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されたが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に変更を加えることができることを認識するであろう。例えば、各実施形態は、RTDに関して一般的に記載されており、本明細書に記載される各実施形態は、熱電対、サーミスタ、及び半導体ベースの集積回路を含むが、これらに限定されるものではない任意のタイプの感温素子に適用可能である。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
【国際調査報告】